08/11/25 第6回要介護認定調査検討会議事録 第6回要介護認定調査検討会議事録 日時:平成20年11月25日(火)14:00〜15:00 場所:東海大学校友会館 望星の間 議 事 次 第 1.要介護認定モデル事業(第2次)の結果報告について 2.その他 議事内容 ○事務局(田中) それでは定刻になりましたので、まだ村嶋先生がお見えになってい ないようですが、「第6回要介護認定調査検討会」を開催させていただきます。  私は、厚生労働省老人保健課、田中と申します。  なお、本日は、安西委員、加藤委員、小山委員、斎藤委員におかれましては、御欠席 の連絡をいただいております。また、今井委員は、少々遅れる旨の連絡をいただいてお ります。  初めに、厚生労働省老健局老人保健課長より、あいさつをさせていただきます。 ○鈴木老健課長 先生方、御多用中、またお寒い中にもかかわらず、御参集いただきま して、大変ありがとうございます。  要介護認定調査検討会、第6回になりました。前回8月8日でございますので、3か 月以上前ということになりますが、少し復習も含めて、ごあいさつを申し上げるとする と、これはそもそも来年4月に向けての、要介護認定方式の再検討、見直しは、大きく 二つの目的がございました。  一つは現方式は、少しデータが古ございますので、要介護者に対するサービスの技術 の進歩、こういうものを的確に反映するべきではないかという御意見が一つございまし た。  もう一つは、現在、要介護1相当になっている方を、二度手間で要介護1と要支援2 に分けるということでございますので、それを何とか一度でできないかということがご ざいましたので、そういう観点で見直しをさせていただきました。  ひるがえってみますと、一番最初にタイムスタディをさせていただいて、その結果に 基づきまして、一次モデル事業を一部の市町村でさせていただいた。その後実際に、前 回検討していただいて、どのぐらい最終的な結果に影響するのかという観点に加えて、 審査会に的確な情報を提供するという観点で、現行の項目ということにさせていただい たわけでございます。  今日、御紹介させていただきたいと思っていますのは、全市町村で行った二次モデル 事業の結果でございます。少し先走るようですけれども、後で御説明申し上げますが、 基本的には、先ほど申し上げた二つの目的をきちんと反映した上で、現行の方式と大き な違いがないということと、かつ現行の方式よりも、一部のばらつきについて小さくな っているということですので、改善をしたということではないかと思っておりますが、 先生方にごらんいただいて、また御意見もいただければというふうに思っております。  冒頭申し上げましたように、21年4月からこの改定方式を実施したいと思っておりま すので、今日の概略において、先生方の御了解がいただければ、この項目に沿ってソフ トウエアをきちんとつくる。また認定調査員の方、そして認定審査会の委員の方にも、 きちんと御理解をいただけるようなマニュアルなりテキストも整備して、市町村の現場 で混乱が起きないようにするということが、大事だというふうに思っております。 先生方の忌憚のない御意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願 いいたします。 ○事務局(田中) それでは、これからの進行は、開原委員長にお願いいたします。 ○開原委員長 今日は大変すばらしいきれいな日で、またきれいな部屋でございますの で、審議の方もすんなりといくといいと思っております。いずれにいたしましても、ど うぞよろしくお願いをいたします。  まず事務局の方から、本日の資料の確認をお願いいたします。 ○事務局(田中) それではお手元の資料について、確認させていただきます。  議事次第、委員名簿、座席表でございます。資料一覧でございます。  資料1、「要介護認定一次判定ロジック見直しの主な経緯」  資料2、「モデル事業データ分析結果」  資料3、「要介護認定一次判定ロジック(樹形図変更の流れ)」  以上でございます。資料の不足、乱調等ございましたら、事務局までお願いいたしま す。 ○開原委員長 よろしいでしょうか。 それでは、早速、議事に移らせていただきます。  まず議題1が「要介護認定モデル事業(第2次)の結果報告」ということでございま す。先ほど課長からお話のあったとおりの結果が出たということでございますので、ど うぞよろしくお願いをいたします。 ○事務局(田中) 事務局から説明をさせていただきます。まず、資料1をごらんくだ さい。「要介護認定一次判定ロジック見直しの主な経緯」です。  1枚目は、これまでの要介護認定一次判定ロジックの見直しを行うに当たって、主な 経緯をお示ししてございます。 現行のロジックは、平成13年のデータを使用していて、日々進歩する介護の現場の状況 を適切に反映していないのではないかということで、見直しに着手いたしました。  平成19年に高齢者介護実態調査、いわゆるタイムスタディを実施しております。  また平成18年度から、介護予防重視の観点から導入された、要介護1相当の判定に関 しまして、煩雑で運用上もばらつきがあるという指摘をいただいておりましたので、コ ンピューター判定ができるように、データの分析を進めてまいりました。  また、要介護認定の平準化を達成するため、全国の市町村を厚生労働省職員が訪問し、 実際の審査会の審査の運営を視察し、技術的助言を行うという、要介護認定適切化事業 を19年度より実施しているところでございますが、現場を実際に視察する中で、市町村 職員の要介護認定に係る事務負担が課題であり、このことが要介護認定の質の低下をさ せる原因になり得るのではないかというようなことが、わかってきましたので、こうし たことから、要介護認定のコンピューター判定の精度が落ちないということを前提に、 調査項目の見直しを行ってきたところです。  調査項目については、現行の82項目から、最終的には74項目として、モデル事業を 実施したところでございます。  1枚おめくりいただきたく存じます。今回、御報告に上がります要介護認定モデル事 業についてなんですけれども、モデル事業は、全国の市町村を対象としてございます。 新判定ソフトを配布いたしまして、従来の認定と新判定ソフトを用いた新しい認定を併 用し、比較分析いたしました。  各市町村の報告の目安として、人口規模に応じて、調査対象者を表のように設定させ ていただきました。  3枚目に移らせていただきます。新しい判定ソフトを用いるのと同時に、審査会資料 についても、幾つかの変更点がございますので、御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、認定調査項目の見直しを行っております。また、調査 項目の出入りに伴いまして、中間評価項目の分析をし直しており、群分けについても再 編されております。  要介護認定等基準時間をより意識していただくことを目的に、帯グラフを導入して、 視覚的に理解しやすい表示にしております。  (4)、(5)については、現行行われております要介護1相当の判定に参考となるように、 認知症高齢者自立度II以上の、蓋然性の表示及び状態の安定性の推計結果を表示してお ります。  中間評価項目得点表を見直しております。  また、日常生活自立度の組み合わせの要介護度別分布を削除しております。  要介護度変更の指標を削除しております。  比較できるように、4枚目で現行の審査会資料、5枚目でモデル事業の審査会資料を お示ししております。  続きまして、資料2のモデル事業のデータ分析結果に移らせていただきます。  1枚目ですが、報告をいただいた市区町村、あるいは広域連合事業組合、全部で1,626 の市区町村等から御報告をいただいております。  調査対象者数なんですけれども、例えば一番上の表の報告件数のところの下から2番 目、3万817件が調査対象者数となっております。  続きまして、2枚目、3枚目で全国のばらつきについて、比較検討したものでござい ます。2枚目は、都道府県別に現行の一次判定結果を、どれだけ重度変更、軽度変更を しているかをお示ししたものです。赤で染められているセルが最大、青で染められてい るセルが最少になっております。  現行の一次判定結果を重度変更する割合は、一番高い値で 32.9%、一次判定の実に3 件に1件が、重度変更しているというような地域がございます。  一方で、重度変更する割合が、一番低い値では、11.9%、こちらでは逆に10件に1件 というような数字になっております。  一方、軽度変更ですと、最大で17.1%、最小で3%となっております。  下の黄色で染められているところでございますけれども、こちらは全国の平均と標準 偏差をお示ししております。全国平均でいいますと、重度変更率は、22.0%、標準偏差 が4.4、軽度変更率ですと7.8%、標準偏差ですと2.7となっております。  1枚おめくりいただきまして、次はモデル事業の審査判定結果の重度変更、軽度変更 の割合等を各県別にお示ししたものです。  重度変更率が一番高いところですと、21.8%、一番低いところですと7.0%、軽度変 更率の最大は11.2%、最小は1.9%となっています。  我々が最も注目しております全国の平均と標準偏差ですけれども、重度変更の方が、 平均は13.3、標準偏差が2.9、軽度変更が5.0、標準偏差は2.2というふうになってお ります。  標準偏差を現行の審査判定と比較しますと、重度変更の標準偏差は、4.4からモデル 事業では2.9。軽度変更の標準偏差は、現行の2.7からモデル事業は2.2と、いずれも 全国のばらつきが小さくなっていることを示している結果となっております。  続きまして、4枚目、5枚目をごらんいただきたく存じます。要介護1相当をコンピ ューターで振り分けたことの影響を見るため、現行の審査判定を、要介護1相当の審査 判定結果と、モデル事業の審査判定結果を比較しております。  4枚目ですけれども、現行の審査判定結果のうち、都道府県ごとに要支援2と要介護 1のそれぞれどれだけ出現しているかをお示ししております。赤いセルは要介護1が最 も高く、要支援2が最も低い県。青いセルは、要介護1が最も低く、要支援2が最も高 い県です。やはり全国的にばらつきがございます。  要支援2の全国平均は51.4%、標準偏差は6.7、要介護1の全国平均は、48.6%、標 準偏差は6.7となっております。  1枚おめくりいただきまして、こちらは5枚目なんですけれども、こちらはモデル事 業の審査判定結果で、それぞれを都道府県ごとにお示ししたものでございます。  要支援2の全国平均が45.1%、標準偏差が6.5、要介護1の全国平均が54.9%、標準 偏差が6.5となってございます。  モデル事業の方の要介護1の方が、若干高く出る傾向がございます。標準偏差はほん のわずかですが、小さくなっているという結果を得ております。  続きまして6枚目でございますけれども、現行制度とモデル事業の一次判定の判別結 果の比較をお示ししてございます。上の表でございますけれども、各要介護度別に一次 判定結果の分布を、現行の制度とモデル事業のもとでの判定を、それぞれ比較しており ます。  数字的に大きな差はないのではないかというふうに、考察しております。  次に下の表に移りまして、現行の一次判定結果、すなわち現行の要介護度とモデル事 業の一次判定結果、モデル事業の要介護度、それが一致した件数を分子に、全体の件数 を分母とした割合を一致としてお示ししております。全体で見ますと57.6%という数字 になっております。  また現行の一次判定ソフトの判定結果よりも、モデル事業のソフトの一次判定結果の 方が軽く判定された割合、すなわち介護度が低く判定された割合というのが19.8%でし た。 現行の一次判定ソフトの判定結果よりも、モデル事業で重度と判定された割合、すなわ ち介護度が現行よりも高く判定されているという割合は、22.6%となっております。  1枚おめくりいただきたく存じます。7枚目なんですけれども、現行制度とモデル事 業の二次判定の判定結果の比較でございます。上の表では、現行とモデル事業の要介護 度別の二次判定結果の分布をお示ししてございます。  二次判定結果についても、現行とモデル事業で、分布に大きな違いはないものという ふうに考察しております。  下の方の表に移りまして、現行の二次判定とモデル事業の二次判定で、要介護度が同 じだった件数を分子、全体の件数を分母とした場合、その割合は、63.2%となりました。  現行の二次判定よりも、モデル事業の二次判定が軽度に判定されたものは、20.1%、 現行の二次判定よりも、モデル事業の二次判定で、重度に判定されたものが16.7%でご ざいました。  3枚目の資料で確認しましたように、一次判定から重度変更の割合が、全国的に低く なっているというようなことから、このような結果になったものというふうに考察して おります。  8枚目に移らせていただきます。今までの結果の確認なんですけれども、二次判定に よる重度変更、軽度変更の割合は、全国的に見ると平準化が図られました。要支援2、 要介護1の全国の出現比率のばらつきは、若干ですが、改善の傾向が見られたというふ うに分析しております。  現行及びモデル事業の一次判定を比較すると、一致した割合は、57.6%、モデル事業 の方が重度に判定された割合は22.6%、軽度に判定された割合は19.8%。  現行及びモデル事業の二次判定で、判定が一致した割合は63.2%、モデル事業の方が 現行よりも重度に判定される割合は、16.7%、軽度に判定される割合は、20.1%でした。  全国における、各要介護状態区分の出現割合については、一次判定、二次判定ともに、 現行の審査判定とほぼ同等であるというふうに考えられます。  なお、資料にはお示ししていないんですけれども、委員の方から、現場の声について 教えてほしいというような意見をいただいております。インターネットでモデル事業の 結果の報告と合わせて、市町村よりいただいた自由記載のアンケート、あるいは要介護 認定適正化事業で、市町村を訪問した際に、伺った意見というのを簡単に紹介させてい ただきます。  モデル事業では、6項目を新項目として追加しておりまして、話がまとまらない、自 分勝手に行動する、独り言、独り笑い、集団への不参加、買物、簡単な調理等がござい ます。  買物、簡単な調理などは、入院などの状況によって異なるので、判断しづらいである とか、一連の行為が広範であって、それを解釈するのが難しい。男女差があって不合理 である。  あるいは6項目全体について言えることかと思うんですけれども、家族などがいない 場合に質問するのが、困ったり判断しづらい。あるいは独り言、独り笑いというのは、 感情が不安定であったり、同じ話をするというような、既にある質問項目とダブるので はないか。あるいは買物というのは、金銭管理と重複する部分があるというようなこと で、不合理ではないかというようなことを御指摘いただいております。  要介護1相当の振り分けについてなんですけれども、こちらの審査会の委員の方から いただいている意見としては、審査の手間が省けるというような意見をいただいており ます。  また状態の安定、不安定については、事前にほとんど説明がないため、実態にそぐわ ないケースもあって、かえって混乱を招いているというような意見もいただいておりま す。  また審査会の資料の方なんですけれども、状態像の例が示されないので、このままで は一次判定を変更するのは、困難である。あるいは二次判定の重要性が感じられない、 というような意見もいただいております。  要介護認定の基準時間と介護の手間の時間の増減の目安がなくて、通常の例に比較し て、介護の手間が多いかどうか、判断は可能であっても、一次判定結果を変更しなけれ ばならない程度なのか、判断が困難であるというような意見もいただいております。  最後になりますけれども、いつもと変わらないという意見もいただいております。こ れは適正化事業で、模範的な審査をしているようなところからいただいたものというこ とで、特筆させていただきます。  今回の検討内容をもとに、御了承いただく場合には、これをソフトウエアに改修いた しまして、21年度のソフト導入をというふうに考えております。  事務局からは以上です。 ○開原委員長 どうもありがとうございました。  それでは、どうぞこの資料、この御報告に対して御質問、御意見等がありましたら、 委員の方々からお願いいたします。おおむね妥当な結果が出たというような感じではご ざいますが、いかがでございましょうか。  どうぞ、鳥羽委員。 ○鳥羽委員 非常に精度が上がって、ばらつきがなくなったという項目が、洗練されて きてすばらしいソフトになると、私も思います。  ただ、心配なのが1点ありまして6ページです。現行制度とモデル事業の一次判定に よる判定結果の比較で、マクロ的に見れば、大きな、非該当から要介護5までの判定率 の変更はないんですけれども、個別に見ますと、例えば要介護5が、後の二次判定では 違っていますけれども、1.2%。要介護5全体の2割が、外れるという結果になっている わけです。  この判定結果について、どの項目が、このような変更に一番きいていたかというのを、 分析する必要があるということが、1点です。  それから、要介護5を二次判定で現行制度とほぼ近いとなっているということになり ますと、認定審査会の役割、重要性というのが、依然として重要だと思うんですけれど も、実際に今まで5だった人が、4になるということは、よい介護をしてよくなるとい うことであれば、大変結構なことなんですけれども、同じ状態で、コンピューター判定 で2割が変わったというからには、何らかの2割という重さについて、判定上の留意点 として、どのようなことを注意書き文字としてつけるかという点を議論しておかないと、 ちょっとここは、大きな問題になるのではないかというふうに思います。  以上です。 ○開原委員長 どうぞ。 ○事務局(田中) こちらはあくまでも仮説なんですけれども、モデル事業用の一次判 定は、現行の一次判定よりも、若干重度に変更されているというような傾向がございま す。このことというのは、二次判定で判定された集団が、基準時間ごとに、ヒストグラ ムのように分布を描くと、現行のソフトの分布よりも、モデル事業の分布の方が、若干、 裾が広くて重度に分布するのではないかというふうに考えられます。  一方で、全国の要介護度の分布を見ますと、要介護5の方の出現割合というのは、通 常10%ぐらいになっております。そこの二つを結ぶ部分なんですけれども、今回モデル 事業は、申請者の同意をいただくということが、前提になっております。例えば要介護 5のような重度の方が、同意、御自身の意思表示がもうできないような方がいらっしゃ って、同意を得られない場合には、ある集団が、この調査から漏れてしまって、その分 だけ重い方がこちらの数字に反映されていないというような可能性があるというような ことは、分析というか、考察の中で考えさせていただきました。 ○開原委員長 よろしいですか。 いずれにしてもこの辺は、ここに詳しいデータがありませんから、今の鳥羽委員の御指 示のように、分析をしておく必要はあろうかと思います。  ほかに何かございますでしょうか。 ○鳥羽委員 今のをもう1点確認して、このモデル事業は、在宅もかなりたくさん入っ ているんでしょうか。 ○事務局(田中) 原則は、すべての申請者が調査対象となりまして、手を挙げていた だいた順番に、同意をいただいて、同意がいただけた順番に、一番最初に示したように、 市町村ごとの目安の人数が達成できるまで、調査対象になっていただくというような方 法をとっております。 ○鳥羽委員 わかりました。今回、調査内容が古くなってきて、介護技術も進歩してき たと。それは全く同意するところなんですけれども、それによって介護時間が、1分間 タイムスタディで、変更も当然くる。  それによって施設における要介護者の介護時間が、いろいろな状態像によって、進歩 によって変化も起こる。これも当然のことなんですけれども、そのような介護技術の進 歩は、在宅の、いわゆるプロの介護者じゃないところに、進歩はないわけなんですね。 同じだったはずなんです。  ですから状態像が同じときに、介護技術が進歩したからといって、要介護度がロジッ クで変わるということは、家で要介護者を見ている方にとっては、大変理解しがたい。 一般的に理解しがたい論理というふうに映りますので、先ほどの繰り返しなりますけれ ども、ソフトはソフトで大変結構なんですが、要介護度5の変更事例に関しましては、 何らかの補足記号などをつけた上での、注意書きを今回つけておかないと、やはり大き な問題になるというふうに、私は思います。 ○開原委員長 ありがとうございました。 どうぞほかにも御意見、今のような御注意で結構でございますので。 ○遠藤委員 三点あります。今回、現行の方法と、今回のモデル事業と大差がないとい うことではありますが、変わったことによる、例えば支給限度額、上限で考えた場合、 変わらないのか、少し出る方に傾くのかという、お金がどう動くかというのは、この方 法でどう変わるかというのが、ちょっと気になるところです。試算的にどうなるのかと いうデータがもしあれば、お聞きしたいということが一つと。  二つ目に、今回要支援2と要介護1というところの切り分けというのが、最大の課題 だったと思うんですけれども、それによってわかりやすくなったということが、自治体 からあったのかどうかということが、一つ。  それからそれに伴う、もう一つの目的は、事務作業が軽減したかというのが、大事な ポイントなんですけれども、そうすると項目が減ったことで、入力の手間が減ったと。 市町村側の事務作業が本当に減ったかどうかということと、もう一つは、変更率が余り 変わらない、減りますよね。よくなるということで、本当に事務作業が減るかというと ころの、御意見をいただきたいということ。  三つ目が審査会の資料の、新しいモデルのところに、帯グラフの中の下のところに、 6個目に問題行動とあるんですけれども、前回の介護保険の、この審査会の中で、問題 行動でなくなったというふうに、僕は理解しているんですけれども、その点三つ、質問 というか、お答えがあればと思います。 ○事務局(田中) 給付限度額の変遷というのは、私どもも、実際に、これは模擬審査 になっておりまして、サービス等を御利用いただいているというわけではないので、こ この分布、出目から推計するしかなくて、推計の作業は行っていないんですけれども、 数字の違いを見ると、大きな変化はないのではないかというふうに、考えております。  それから要支援2と要介護1の方に関しては、二つに意見が分かれているというふう に考えております。一つはわかりやすくなった。あるいは審査判定が楽になったという ような御意見をいただいているところと、もう一つ、状態の安定性が従来の定義からは、 随分甘く出るというような意見をいただきまして、最終的には、審査会が判定するので、 二度手間に関しては、全く変わっていないというような、二通りが非常に多い意見かと いうふうに思っています。  三番目の問題行動なんですけれども、これは、申し訳ございません。これはソフトウ エアを製作する中で、時間が間に合わなかった部分で、ここの表示は、次のソフトウエ アではBPSD関連というような言葉を使わせていただいております。 ○開原委員長 よろしゅうございますか。どうぞ。 ○今井委員 その行動障害のことなんですが、前回、いわゆる元気な認知症の人に対し て、ある程度の付加というか、介護時間の項にレ点がついたりとか、そういう操作をさ れていたわけなんですけれども、今回の結果で、いわゆる行動障害がある方に関しての、 一次判定の結果はどうだったかというのは、出てきませんでしたか。  元気な、要するに動ける方の行動障害の人の判定はどうだったか。 ○事務局(田中) 今回のモデル事業に関しては、ちょっと樹形図の振るまいというの が、非常にまず重要なことという位置付けでございました。そちらの運動機能の低下し ていない認知症のところの部分のロジックというのは、実際には運用されていなくて、 今度の21年度から入る部分で運用するというような体制をとっておりまして、ちょっと 分析に関しては、ここでは行えておりません。 ○開原委員長 よろしゅうございますか。ほかにどうぞ。 ○坂本委員 市町村審査会についてお伺いしたいんですけれども、先ほどの市町村の報 告の中で、審査会が軽視されるところがあるのではないかという、そういう意見があっ たということなんですけれども、実際にモデル事業をやられるときに、現行の市町村モ デルの運営マニュアルというか、運営の仕方と、モデル事業の運営の仕方は、等質にし ているんですか。それとも違う恰好でやっているんですか。 ○事務局(田中) ルールに関しては全く同じて、大原則は、老健局通知にお示しして いる審査会運営についてというもののルールに従っていただいておりますので、今回の モデル事業で、何か制限をかけたというものではございません。 ○開原委員長 ほかにいかがでございましょうか。  それでは、今日あとは御意見がなければ、新判定ロジックを、当委員会として承認す るということになります。もし何か御疑問の点がありましたら、是非、御質問、御意見 をいただきたいと思います。 今、鳥羽委員からの御注意は、確かに受け止めたということでございますが、そのほか にもし何かあればどうぞ。  ○今井委員 私も認定審査をやっているんですが、帯グラフが、審査委員の間でちょっ と見づらいんじゃないかということが出たんですが。これは、恐らくこの長さで給付の 一次判定が出てくるんだろうなと思うんですけれども、前みたいなレーダーチャートみ たいなものよりも、こちらの方がいいということなんでしょうか。  これは私の分科会で出た意見ですので、ほかの方はどうかなと思いました。 ○事務局(田中) レーダーチャートというか、中間評価項目得点をその大小によって表 示していった部分がございました。そちらは、要介護認定適正化事業は、何度か、先ほ ど紹介しているんですけれども、市町村の方の審査会に、実際に厚労省職員がお邪魔し まして、審査会を傍聴している中で、判定の方で、ちょっとそちらに影響されて、本来 議論していただきたい部分とちょっと違うところで、判定が左右されているような審査 会が、多々見られました。  やはり物事はメリット、デメリットがあるかというふうに思うんですけれども、表示 しないことによるメリットの方が大きいのではないかという判断のもとで、今回は表示 しないというような方向で、モデル事業を実施させていただいた次第です。 ○開原委員長 よろしいですか。はい、どうぞ。 ○石田委員 今回、モデル事業を実施した立場で、運営面という立場で、ちょっと発言 させていただきたいと思います。  認定調査員の調査項目は、確かに減ったということで、そういった面では負担軽減に なったという意見がありました。  一方で、特記事項を丁寧に記載しなければならないといった点が指摘されて、そうい った点については、まだ慣れが十分でないということから、現時点では、訪問調査員と しては、負担が軽くなったかどうかについては、今のところよくわからないという意見 がありました。  それから独り言を言う、集団に参加できないなどの項目については、やはり独居高齢 者については聞きにくいのではないか。また自分勝手に行動をするといった内容につい ては、性格的なものがあるので、なかなか本人に聞きづらかったというような意見が、 訪問調査員からはありました。  また認定審査会の委員さんからは、全体としてソフトに依存するということから、変 更しづらくなったという印象があるという御指摘がありましたが、認定審査会の委員が、 是正して判定するという仕組みの中では、確かに審査会の役割が少し減ったのではない かと、そんな印象があるということは、意見としてありました。  それから、それを実際に運用した、認定審査会の事務局の意見ですけれども、かつて は資料の3ページでしょうか。審査会資料の変更点の(7)日常生活自立度の組み合わせの 削除と、(8)の要介護度変更の指標の削除という点については、なかなか運営面ではこの 部分についての削除があったので、どこを根拠に認定の結果を出すかということについ ては、戸惑いが感じられたということであります。  認定審査会の中での資料として、特記事項、主治医意見書の比重が高まったという印 象が非常に強いという意見がありました。  また少なくとも、調査の留意事項のマニュアルなどでは、具体的な事項・例などを示 して、訪問調査員がきちんと調査ができると、記載ができるということについては、是 非、留意していただきたいという、そういう意見が強く出されています。  また、保険者、市の対応として、我々が感じたことでありますけれども、今回の変更 に際しては、一定の期間は訪問調査員、認定調査員の記述の差によって影響があるとい うふうに感じられましたので、資質の向上、あるいは医師の意見書の重要度が非常に高 まったという認識で、これらの質の向上について、一層の研修などをやる必要があると いうことであります。  そういった内容を考えないと、むしろ変更しにくいという、運用の中から、変更につ いて、市民から疑問を持たれる可能性もあるということが、感じられるということであ ります。 ○開原委員長 どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○事務局(田中) 新しい調査項目に関しては、非常に多くの市町村から、御意見をいた だいております。多くは、やはり難しい。判断がしづらい。あるいはいろいろな状況に よって、聞くことが非常にためらわれるものである。「自分勝手に行動する」ということ を、御本人に聞くのは、ためらわれるというような御意見をいただいております。  審査会の方でも、審査会が、今までよりも、変更がしづらくなったというような受け 取られ方の御意見をいただいております。 この2点につきましては、まず調査員用のテキストでは、一回定義を見直しまして、大 幅な変更がないという内容のもとで、判断にぶれがないように、あるいはわかりやすい ように、どうやって聞けばいいかというようなことを検討して、認定テキストを見直し たいというふうに思っております。  それから審査会委員の方なんですけれども、現行の認定の制度がどういうふうになっ ていて、審査会の委員の役割はどういうふうなものであって、どういう着眼点で審査を していただくかということを、改めてわかりやすく、テキストに落して、その役割を周 知徹底したいというふうに考えております。 ○開原委員長 どうもありがとうございました。  ほかに何か御意見はございますでしょうか。どうぞ。 ○浜村委員 主治医意見書を書く立場と、それからマニュアルの作成にお手伝いをさせ ていただいている立場でございますので、少しお尋ねしたいんですけれども。  前回から主治医意見書の役割が大きくなるということで、私も発言をさせていただき ました。このモデル事業では、審査会の先生方から、主治医意見書が余り精度が高くな いとか、書いてくれていないとか、そういう意見が出たということは、ございませんで したか。 ○事務局(田中) 基本的にはございません。主治医意見書に関しては、現行の申請のと きに作成していただいたものを、合わせてモデル事業の方の審査会でも使っていただく ということなので、特にそういった御意見というのはございませんでした。 ○浜村委員 ありがとうございました。 ○開原委員長 ほかに何かございますでしょうか。 ○村嶋委員 教えていただきたいんですが、この認定調査ができたときは、ずっと一貫 して客観的な指標で調査をするんだということが、あったんだと思うのですが、少しず つ項目を変わってきている。  そうしたときに、こうやって項目を変えたときの基準時間の一貫性みたいなものは、 どんなふうに実際なっているものかというところを、ちょっと教えていただければあり がたいのですが。 ○事務局(田中) 平成15年に調査項目を見直しまして、樹形モデルをつくり直しており ます。ちょっとデータ的な分析というのは、私は把握していないんですけれども、そこ で項目が変わったことによって、大きな混乱があったというふうなことは、伺っており ません。  ちょっと申し訳ないんですけれども、それ以上は私は把握していないので、お答えで きないんですが。 ○村嶋委員 同じ状態の人が、同じ時間にカウントされてくるのかというあたりの確か さみたいなのは、今回どんなふうに担保されているんでしょうか。 ○開原委員長 その辺、筒井先生、何か御意見はありますか。 ○筒井委員 同じ状態の人が、同じ時間になるかということについてですけれども、こ の考え方をもう一回整理してほしいんですけれども、ケアにかかっている時間というの が、同じ状態の人でも変わるので、認定ロジックを変えるというふうに、3年ごとに見 直しているんです。だから、まずそこが原則です。  先ほど鳥羽先生から御指摘がありましたように、それは施設と在宅では、若干違うの ではないかと。なぜならば、施設は技術の進歩があるけれども、在宅では、それほどの 進歩はないだろうという、そういう仮説もあるんですが、御家族という。そういうお話 もあるんですけれども、在宅でのタイムスタディというのは、同じような手法でやった ものというのはないので、これについては、データはありません。  施設については、今のようなことになりますので、同じ状態の人が同じ時間に、実時 間でもなっていないので、認定ロジックも、当然変わっていると思います。 ○開原委員長 方法論的には、一貫性はあるけれども、技術の進歩等があります。新し い測定においては、それが変わるから、ここで新しいロジックをつくったということだ と思いますが。  それではほかに、特に御意見がございますでしょうか。  それでは、御意見も出尽くしたようでございますので、今いろいろ御意見はいただき ましたけれども、それをもって、この判定ロジックを変更しなければいけないというよ うな大きな問題というのは、なかったと思われます。  ただ、いろいろ御注意をいただいた点は、今後もいろいろな場面で、注意深く見守っ ていく必要があろうかと思いますが、この新判定ロジックを用いて、平成21年度の認定 を進めるということを、本検討会としては了承するということでよろしゅうございます しょうか。 それではどうも大変ありがとうございました。  では、当委員会といたしまして、新判定ロジックを承認するということにいたしたい と思います。  それでは続きまして、議題の2をお願いいたします。 ○事務局(田中) ありがとうございます。資料3の「要介護認定一次判定ロジック変更 の流れ」をごらんいただきたく存じます。 平成18年度から、見直しの議論を続けていたところなんですけれども、今回、下から三 つ目の四角の、要介護認定検討会のところでございます。今回のソフトの細部を修正し て、平成21年度への準備を進めていきたいというふうに考えております。  1枚おめくりいただきまして、今後の予定なんですけれども、マニュアル配布は、で きれば今年中、遅くとも来年の1月上旬に配布をしたいというふうに考えております。  ソフトは順調に行けば、1月中旬配布、要介護認定の更新分は60日前から受付開始と いうふうになっておりますので、それに合わせて更新分の新認定を、市町村でお願いし たく存じます。  平成21年度からは、新たに全面施行というふうになります。 事務局からは以上です。今日の議題も以上になります。 ○開原委員長 それでは、以上で、今日用意いたしました議題としては、すべて終了で ございますが、何か特に御発言がございますでしょうか。  なければ、大分時間は早いようでございますが、早く終わるのは別に問題はないと思 いますので、これで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございまし た。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐  田中(内線3943)     介護認定係 青木、渡邉(内線3944)