08/11/21 第23回厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会議事録 科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会「生殖補助医療研究専門委員会」(第22回) 厚生科学審議会 科学技術部会「ヒト胚研究に関する専門委員会」(第23回) 議事録(案) 1. 日時    平成20年11月21日(金)15:33〜16:49 2. 場所    中央合同庁舎第7号館東館 3階1特別会議室 3. 出席者  (委 員)笹月主査、安達委員、石原委員、位田委員、小澤委員、加藤委員、後藤委員       高木委員、深見委員、星委員、町野委員、水野委員、吉村委員  (事務局)文部科学省:永井安全対策官、高橋室長補佐、野島専門官       厚生労働省:宮嵜母子保健課長、小林母子保健課長補佐、梅澤母子保健課長補佐 4. 議事次第  (1)ヒト受精胚の生殖補助医療研究目的での作成・利用に係る制度的枠組みの検討に     ついて     ・ヒト受精胚の作成・利用のための配偶子の提供に係るインフォームド・コンセ      ントのあり方について     ・個人情報保護について     ・国の関与のあり方について     ・その他(研究実施の手続、配偶子の入手方法のあり方について)  (2)その他 5.配付資料 資料1:第21回科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会生殖補助医療研究専門委員会     /第22回厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会議事録      (案) 資料2:検討事項(骨子) 資料3−1:検討のためのたたき台(配偶子の提供に係るインフォームド・コンセントの       あり方について) 資料3−2:インフォームド・コンセントの各論的事項の整理 資料3−3:インフォームド・コンセントを受ける時期 資料4−1:検討のためのたたき台(個人情報保護について) 資料4−2:関連指針における個人情報の保護に関する規定 資料5−1:検討のためのたたき台(国の関与のあり方について) 資料5−2:ヒト受精胚作成を伴う研究に係る手続きの流れ 資料6:その他(研究実施の手続、配偶子の入手方法のあり方について) 参考1:科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会生殖補助医療研究専門委員会名簿 参考2:厚生科学審議会科学技術部会ヒト胚研究に関する専門委員会名簿 参考資料:緑色の紙ファイル      ピンク色の紙ファイル 6.議事 ○笹月主査  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第22回の生殖補助医療研究専門委員会、 それから第23回のヒト胚研究に関する専門委員会を開催いたします。  まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○高橋室長補佐  本日の資料でございますけれども、議事次第を裏返していただきまして、資料1から資料6 でございます。資料1は、前回の議事録でございます。資料2でございますけれども、今まで 冊子になっておりました検討事項のたたき台でございますが、今回、事項を整理いたしまして、 残っている項目がどのようなものかというのがわかりやすいように、項目だけ残して整理いた しました。それから、資料3−1から資料3−3まででございますが、前回のインフォームド ・コンセントに関する資料でございます。それから、資料4−1から4―2、こちらは、前回 の続きですけれども、個人情報保護についての資料でございます。それから、資料5−1、資 料5−2は、今回新たに議題に追加してございます、国の関与のあり方についての資料でござ います。資料6につきましては、今まで後回しになって積み残しになっておりました議題をま とめまして、その他とさせていただいております。  それから、参考1、参考2は、先生方の名簿となっております。机上には、緑色の紙ファイ ルを置かせていただいております。  以上でございます。 ○笹月主査  どうもありがとうございました。  それでは、まず資料1、これは前回の委員会の議事録(案)でありますが、既にごらんいた だいておりますので、特に問題がなければ確認ということにさせていただきたいと思いますが、 よろしゅうございますか。  どうもありがとうございました。  それでは、本日の議題、まず前回の委員会で検討した合意事項について、事務局よりご説明 をお願いします。 ○梅澤母子保健課長補佐  それでは、前回の委員会で検討し合意した事項につきまして、事務局より説明させていただ きます。資料3−1をごらんいただけますでしょうか。今回の資料の資料3−1の3ページに なります。  前回、(1)インフォームド・コンセントに当たっての説明の内容について、整理がされて おります。個々の内容につきましては、各項目においていろいろご議論をちょうだいしており ます。  それでは、11ページになります。3ポツのインフォームド・コンセントのあり方に係る各 論的事項、A.卵子、(1)凍結された未受精卵、1)として医療が終了した時点でインフォ ームド・コンセントを受ける場合。その下の部分の(1)インフォームド・コンセントの下の2つ の●が整理されてございます。提供者の生殖補助医療には利用しないことが決定された後、受 けることとする。夫婦と医療機関との契約に基づいて行われる生殖補助医療の過程で採取され た未受精卵である場合、夫婦双方から受けることとする。  1枚めくっていただきまして、12ページです。(2)非凍結の未受精卵、1)生殖補助医 療以外の医療の過程でインフォームド・コンセントを受ける場合。こちらにつきましては、(1) インフォームド・コンセントの下の2つの●です。生殖補助医療ではないため、提供者本人か ら受けることとで足りることとする。生殖補助医療ではないが、医療の過程にあるため、主治 医とは別に説明者を置くこととする。  次の13ページをお願いいたします。2)生殖補助医療の過程でインフォームド・コンセン トを受ける場合の事前説明となります。2つ目の●です。事前説明を主治医が行っても構わな い。次の●が、書面による事前説明の内容につきまして合意が得られました。整理されました。 4つのポツで説明してございます。  それから、(2)インフォームド・コンセントはという形で3つ整理されました。まず最初の● です。未受精卵が生じた際に、生殖補助医療には利用しないことが決定された後、受けること とする。次の●です。夫婦双方に事前説明を行っているため、提供者本人から受けることで足 りることとする。最後の●です。同意を撤回する期間が実質的に数時間しかないことについて も、提供者に説明することとする。  1枚めくっていただいて、14ページです。その他の事項です。形態学的な異常により生殖 補助医療に用いられなかった未受精卵等については、医師による恣意的な判断を防ぐため、写 真を撮影するなどにより記録を残す必要があるとする。  そして、15ページは、実際には整理されておりますけど、ちょっと項目を読み上げさせて いただきます。(3)生殖補助医療目的で採取する未受精卵の一部を、本人の自由意思により、 生殖補助医療に用いず、研究に利用するもの。  16ページをお願いいたします。こちらは研究への提供が認められている未受精卵。四角の 部分を読み上げております。採取した未受精卵の一部を研究に提供する機会があることについ て、主治医等から直接患者に対して情報提供がなされる場合についてのご議論をちょうだいい たしました。  こちらは、間にところどころ前回合意いただいたところと以前合意いただいたところがござ いますので、わかりづらいかもしれませんけど、前回のところのみ申し上げます。  (1)情報提供として、真ん中あたりの●として、情報提供の内容について整理がされました。 そして、その次の●といたしまして、情報提供の際には、必ず主治医以外の第三者が加わるこ とを条件とする。第三者は「説明者」と同じ者で構わないとする。  17ページに行きまして、これはインフォームド・コンセントについてですけど、上から2 つ目の●です。生殖補助医療の結果に差が生じる可能性のあることを踏まえ、申し出からイン フォームド・コンセントを受けるまでの間に、夫と相談するなどの熟慮する機会を確保するも のとする。留意事項の※として、通常、未受精卵の採取までには10日間前後あると考えられ る。  19ページをお願いいたします。次に、精子についてに移りたいと思います。(1)凍結さ れた精子、1)医療が終了した時点でインフォームド・コンセントを受ける場合。上2つの● です。提供者の生殖補助医療には利用しないことが決定された後、受けることとする。精子は、 夫婦と医療機関との契約に基づいて行われている生殖補助医療の過程で採取されたものである ため、夫婦双方から受けることとする。  (2)非凍結の精子、1)生殖補助医療以外の医療の過程でインフォームド・コンセントを 受ける場合としまして、3つの●が整理されました。これら精巣または精巣切片、精子の廃棄 の意思が確認された後、受けることとする。生殖補助医療ではないため、提供者本人から受け ることで足りることとする。主治医とは別に説明者を置く必要はないとする。  1枚めくっていただきまして、20ページになります。2)生殖補助医療の過程でインフォ ームド・コンセントを受ける場合。上2つの●です。提供者の生殖補助医療には利用しないこ とが決定された後、受けることとする。生殖補助医療の過程で採取されたものの場合、夫婦と 医療機関との契約に基づくものであるため、インフォームド・コンセントは夫婦双方から受け ることとする。  飛び飛びになってしまいましてわかりづらかったかもしれませんけれども、インフォームド ・コンセントにつきましてはそのように整理されました。  次に、資料4−1に移っていただけますでしょうか。検討のためのたたき台(個人情報保護 について)です。  資料4−1の2ページをごらんいただけますでしょうか。3ポツといたしまして、真ん中あ たりです。個人情報保護のために講ずべき措置の次の●です。提供機関(研究実施機関と同一 の場合も含む)の長は、ヒト配偶子の提供者の個人情報を保護するため、機関内において「匿 名化」の措置を講ずるものとする。  以上のように整理されました。  以上でございます。ちょっと飛び飛びでわかりづらかったかもしれませんけれども、もし何 かございましたら、委員会終了後、ないしはまた事務局のほうにご連絡いただければと存じま す。ありがとうございます。 ○笹月主査  どうもありがとうございました。以上が前回合意した事項でありますが、きょうの議題は今 お話がありました個人情報保護についての続きということでありますので、これについて事務 局から資料の説明をお願いいたします。 ○高橋室長補佐  資料4−1を改めてごらんいただきたいと思います。1ページ目には、前回、個人情報の定 義ですとか、それから連結不可能匿名化とか匿名化の定義につきましてややご議論がございま したので、その定義を改めて整理させていただいております。1ページの下のほうに、「連結 不可能匿名化」の定義といたしまして、いかなる場合にも個人を識別できないよう新たに付し た符号または番号との対応表を残さない方法による匿名化を連結不可能匿名化と言うと。1枚 めくっていただきまして、「連結不可能匿名化」された場合には、「個人情報」には該当しな いということでございます。  それから、連結可能匿名化の場合でございますが、「連結可能匿名化」とは、必要な場合に その人を識別できるよう新たに付した符号または番号との対応表を残す方法による匿名化を 「連携可能匿名化」というふうに定義いたします。その場合に、機関において対応表を有する 場合には「個人情報」に該当いたしますけれども、機関において対応表を有しない場合には 「個人情報」には該当しないといいますか、対応表を有しない場合には「連結不可能匿名化」 と同じことになりますので、この場合には「個人情報」には該当しないという整理になってお ります。  先ほど厚労省さんの事務局のほうからご説明いただきましたように、前回、提供機関におい ては提供者の個人情報の保護のためにとりあえず匿名化の措置を講ずるということでご議論い ただいておりますので、以上を整理いたしますと、個人情報を保有する機関といたしましては、 研究実施機関と提供機関が別の場合、あるいは同一の場合にかかわらず、連結可能匿名化であ って対応表を保有する機関が個人情報を保有しているということになります。それが下の表に 整理してございますけれども、個人情報を有する場合が一番下の箱の場合になります。連結可 能匿名化で対応表を保有する場合ということになります。  この整理によりますと、研究実施機関と提供機関が別の場合で提供機関が対応表を保有する 場合には「個人情報あり」というのは明らかなんですけれども、研究実施機関につきましては その対応表を保有する場合があるかどうかというのがちょっとこちらのほうではっきりしなか ったので、それを確認させていただくために、下の○といたしまして、提供機関と研究実施機 関が別の場合、研究実施機関において、個人情報の対応表を必要とする場合があるかどうかと いうのをちょっと教えていただければなと思って、○にしております。  それから、個人情報の保護に関する規定といいますのは、ほかの医学研究に関する各種指針 にかなり共通して規定がございます。そういった規定とほぼ同様の規定を今度新しくつくる生 殖補助医療研究のガイドラインにも同じように置くこととしてよろしいかどうかというのが、 次の○になっております。  それから、次の3ページでございますけれども、前回のご議論におきまして、個人情報を保 有する機関においては「個人情報管理者」を置かなければならないのではないかというような ご議論がございましたので、そこを改めて○にさせていただいております。  「個人情報保護管理者」の定義でございますが、これはゲノム指針から同じ定義を持ってき てございますけれども、個人情報を取り扱う機関において、当該機関の長の指示を受け、提供 者等の個人情報がその機関の外部に漏えいしないよう個人情報を管理し、かつ匿名化する責任 者のことを「個人情報管理者」というふうに定義させていただきたいと思います。  個人情報保護の資料の説明は、以上でございます。 ○笹月主査  どうもありがとうございます。  何度か考えてみて、1つ気になるのは、今の2ページの3つ目の小さな●の個人情報が「連 結可能匿名化」された場合、機関において対応表を有する場合には「個人情報」だけれども、 対応表を持たない場合には「個人情報」に該当しないと、こう言っちゃっていいのかどうか。 すなわち、対応表を持たなければ個人情報の取扱いは自由でよろしいみたいな感じになって、 これが外に漏れて、対応表は別の機関にあるんだけれども、連結可能なんだからもとに戻れる じゃないかという感じがするので、きのうからこれをちょっと考えていたんですが、こういう ふうに言ってしまう必然性があるのかどうか。スタートのところでちょっと気になるので、こ れについて、何か規定というか、そういうものはありませんかね。 ○高橋室長補佐  ほかの指針の例でございますけれども、ゲノム指針におきましては、個人情報に該当しない 場合であっても、研究を行う機関の長は、当該情報を適切に管理することの重要性の研究者等 への周知徹底、当該情報の管理、責任の明確化、研究者等以外の者による当該情報の取扱いの 防止等、適切な措置を講じなければならないというような規定の例はございます。 ○笹月主査  だから、それほどきちんとしなきゃいけないというわけなので、あえて「個人情報」に該当 しないと言ったほうがその後その他に関して事が簡単にいく場合があるのか。これがちょっと 気になるんですね。  この件を言い出すと時間がかかるので、後で資料を十分検討していただいて議論したいと思 います、これから先のことについては。ですから、次の個人情報対応表を必要とする場合があ るかどうかという、それはそういうことがあるので出てきたんですが、現実にそういうことが あるかどうかという、この○からスタートしたいと思います。  これは、提供機関と研究実施機関が別の場合に、提供機関は当然、連結可能匿名化の対応表 を有しているんですが、実施機関においても対応表を必要とする場合があるかというのは、現 場の研究者にとってはどうなんでしょうか。ちょっとご意見をお聞かせいただければと思いま すが、どなたか。  研究を遂行する上で、臨床情報とか、もともと病気の方だとか、いろんな情報と照らしなが ら回答が得られるわけですので、全く連結不可能匿名化になっていたら困る研究というのは当 然あるだろうと思うんですが、その場合に、提供機関がその対応表を持っていればいいのか、 実施機関が持たなければいけないかという、その点もちょっと問題なんですが、すなわち対応 表というのは機関を越えて利用させていいのかということになると思うんです。  石原先生、実施機関は当然、研究の種類によっては連結可能になってないと研究の目的が達 成されないというのは幾らでもあると思うんですが、その点はいかがでしょう。 ○石原委員  具体的な事例がちょっとイメージしにくいんですが、これは複数施設の共同研究のような場 合を想定しているのだとすると、その可能性はあるかもしれないと思うんですね。幾つかの施 設から症例を集めてとかという。ただ現実には、例えば、提供機関は単純にサンプルを提供す るだけであって、研究には一切関与していないと。研究実施機関が単独である研究を行うとい う場合には、対応表というのは必要ないんじゃないかと思うんです。どういう背景であるとい うことは必要だと思いますが、いわゆる個人情報については必要性はあまりないんじゃないか という気がするんですが、吉村先生、具体的な事例は何か考えられますか。 ○吉村委員  僕も石原先生の意見と同じでいいと思いますが、この受精ができなかった理由は何かという ような研究に関しては、連結可能匿名化という道は残さなくちゃいけない。連結不可能にして しまうと、その理由が何だったのかということをフードバックできなくなってしまいます。し かし研究実施機関においては符号と番号であまり問題にはならないのではないか。ですから、 対応表を持つ必要性は必ずしもないのではないかというように、私は考えます。提供機関が対 応表を持っていればよろしいのではないか。研究機関からの成績、例えば3番の方はこうでし たということでよろしいのではないかと。 ○笹月主査  そうすると、提供機関がその研究の目的というか、イニシエーターみたいな感じになります ね、実施機関よりも。普通は、実施機関が例えば患者に戻すとする……。その辺はちょっと状 況がわからない。 ○吉村委員  先生がおっしゃったような研究は、連結不可能匿名化でもよろしい研究だと思うんですね。 ですけれども、連結可能匿名化でなくてはいけないような研究に関しては、提供機関にフィー ドバックが必要ということになると思うんです。 ○安達委員  研究のイメージなんですけれども、例えば、幾つかの卵を使って研究し、1つの卵の反応が おかしかったというようなことが生じたときに、その卵のバックグラウンド、例えば、年齢と か、どういう時点で卵を採取した、あるいは採取してから何時間たったとか、そういうことを 個人情報ととらえるのか。年齢だとか、今まで何回失敗しているかとか、そういうようなこと を聞いたときに、それを個人情報としてとらえるのであれば、そういうことを知りたいという ふうに思うことがあるかもしれないですね。 ○位田委員  研究の現場をよく理解しているわけではないので間違っているかもしれませんが、個人情報 というのは、この資料4−1の1ページにあるように、特定の個人を識別することができる情 報を個人情報と言うので、サンプル――この場合は卵ですね、その卵にかかわるさまざまな情 報がついてくるということだけでは、特に連結をする必要はないんだろうと思うんですね。例 えば253番の卵はどういう状況で採取されたとか、もしくは提供した人のいろんな健康状況 とか、そういったものを情報として一緒に渡すということだけでは個人を特定することになら ないと思いますし、研究をする分にはおそらくそれで十分なんだろうと思うんですね。結果を 返して、そのご本人に何らかの形であなたはこういうことだから受精しにくいんですよと言う 場合は、研究機関ではなくて、むしろ提供機関でおやりになればいいんだろうと思うので、個 人情報の理解のずれによってちょっと違うかなと。 ○笹月主査  私は、漠然とですけど、年齢とか臨床情報というのは個人情報のカテゴリーに入るんだと思 っていたものですから。それは個人情報には入らないという理解でいんですか。 ○位田委員  対応表が研究機関に行かないで、情報だけであれば、研究機関では個人情報としては扱われ ないということです。 ○笹月主査  いいんですか。 ○位田委員  はい。ただ、この人はここに住んでいて、何歳でという情報を一緒につけると、これはおそ らく個人の特定に結びつくと思いますので、それはだめだと思いますけれども、個人を特定で きないような医療情報だけであれば、それは個人情報として研究機関で扱う……。つまり、対 応表を一緒に持っていく必要はないのではないかという。 ○石原委員  具体的には、私どもIRBでいろいろな臨床研究などを大学で検討するわけですが、その際 に個人を特定する情報とされるのは、氏名とカルテのIDと生年月日というふうに我々は認識 しておりまして、それら以外の、例えば何回お産したことがあるとか、年齢が何歳であるかと かいうのは個人情報として扱っておりませんので、先ほど申し上げました3つの部分が全く消 されていれば、連結不可能であると。それについての対応表があれば連結可能であるという取 扱いを私どもは今までしてまいりました。 ○笹月主査  いわゆる個人情報の定義ということですが、それもちょっと私の理解と違うので、私自身も ちょっとチェックしたいんですが。 ○高橋室長補佐  個人情報保護法に基づきまして「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いの ためのガイドライン」というのがございまして、これは厚生労働省さんのガイドラインなんで すが、こちらの中では診療録等が暗号化されているか否かを問わずに個人情報に該当する場合 があるというふうに書いておりまして、ちょっとここら辺は文科省としてもその解釈は厚労省 さんにお聞きしないとわからないところがありますので、そこはまた整理させていただきたい と思います。 ○笹月主査  後で整理していただく。  後藤委員。 ○後藤委員  同様の意見だったんですが、個人情報というのは、2つそろったら個人を特定できるという、 そういう情報なものですから、患者さんの背景でどういう疾患かとか、それから、生年月日じ ゃなく生年までとか、そういうふうになってくると個人情報に入ってこないというふうに理解 しております。 ○笹月主査  それでは、2ページの下の2つの○の上のほうは、必要とする場合があるかということで、 これは、ないとか、あるとか言わなくて、ある場合には対応表を持てばいいという、そういう ことでよろしいですね。  その次の○、個人情報を保有する機関における個人情報保護のための必要な措置については、 既にある各種の指針と同様の規定を置くということでよろしいかと。これはよろしいでしょう ね。どうですか。  次のページの○、個人情報を保有する機関の長は、「個人情報管理者」を置かなければなら ない。これはそういうことだと思いますが、提供者等の個人情報がその機関の外部に漏えいし ないよう個人情報を管理し、かつ匿名化する責任者、「個人情報管理者」を置かなければなら ない。これでよろしいですね。  それでは、次へ行きますが、個人情報保護に関しては、これですべてですか。今のこの資料 4−1で。 ○高橋室長補佐  そうですね。具体的な規定につきましては、2ページの一番下の○のとおり、ほかの指針の 規定を準用していきたいと思います。 ○笹月主査  そうですね。ありがとうございました。  それでは、続きまして国の関与のあり方についてということに移りたいと思いますが、これ も事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。 ○高橋室長補佐  資料5−1でございます。検討のためのたたき台(国の関与のあり方について)でございま す。  一番上の黒ポツでございますが、総合科学技術会議意見「ヒト胚の取扱いに関する基本的考 え方」におきましては、「国は、生殖補助医療研究のためにヒト受精胚の作成・利用を計画し ている研究がガイドラインの定める基準に適合するかを審査するための適切な枠組みを整備す る」というふうに書かれてございます。  その下の○2つでございますけれども、これを踏まえまして、ほかの同じように胚を滅失す るES指針などのことを考えますと、やはり生殖補助医療研究のうち胚を作成するものにつき ましても、研究計画の指針に対する適合性について国が確認を行うこととしてはいかがでしょ うかということで、○にさせていただいております。  それから、少なくとも毎年1回、研究実施機関の長から報告を国に対して行うということに してよろしいかどうかということで、2つ目の○にしてございます。 ○笹月主査  どうもありがとうございました。そもそも総合科学技術会議の意見として、国はガイドライ ンの定める基準にその研究が適合しているかどうかを審査するための適切な枠組みを整備する とされているので、国が確認をするということはぜひ必要なことだと思いますが、よろしいで すね。  そのときに、少なくとも毎年1回、研究実施機関の長から報告を受けると。これはいかがで しょうか。これもよろしいですか。  じゃあ、この2つはお認めいただいたということにさせていただきます。 ○吉村委員  先生、1つ質問をよろしいでしょうか。 ○笹月主査  どうぞ。 ○吉村委員  資料5−2におきましては「ヒト受精胚作成を伴う研究」とだけあるんですが、ヒト受精胚 利用はよろしいんですか。「・利用」は要らないということでよろしいんですか。 ○笹月主査  求められていることはヒト受精胚の作成・利用ということですけれども、ここまで議論して きたのは作成ということだったので、国の関与についても、一応、作成というところでくくっ たということであります。 ○吉村委員  わかりました。ありがとうございました。 ○永井安全対策官  作成した上で利用する研究ということでございます。そういう意味では、「・」を入れても いいのかもしれませんけれども、作成があるということです。 ○笹月主査  それでは、続いて事務局から資料6のご説明をお願いします。 ○高橋室長補佐  資料6でございます。検討のためのたたき台(研究実施の手続について)でございますが、 以降、これまで積み残しになっておりました幾つかの、それぞれ別の項目を束ねてございます ので、よろしくお願いいたします。  まず、研究実施の手続についてのうちの、研究計画書の内容でございます。こちらは国の関 与があるかないかによって内容が違ってくるんじゃないかということで後回しになっておりま したけれども、先ほどご議論いただいた結果、国が二重審査を行うという前提でご議論いただ ければと思います。  研究計画書には、次に掲げる事項を記載することとしてよいか。研究に関する事項といたし まして、研究計画の名称、研究の概要、研究の目的、予想される研究の成果。提供される配偶 子の作成・利用に関する事項。胚の作成・利用に用いられる配偶子に関する説明。これは入手 方法等を書いていただければということを想定しております。それから、胚を作成・利用する 必要性、胚を作成・利用する方法及び研究計画の期間、インフォームド・コンセントに関する 説明。それから、研究実施機関及び提供機関に関する事項でございますけれども、研究の体制 (研究実施機関が複数の場合はその役割分担も含む)。それから、研究実施機関の名称及びそ の所在地並びに研究実施機関の長の氏名。研究責任者及び研究実施者の氏名、略歴、研究業績 及び研究計画において果たす役割。研究実施機関の基準に関する説明。これは、施設、設備、 実績、教育研修計画等を示しております。それから、研究実施機関の倫理審査委員会に関する 説明、研究機関の基準に関する説明、提供機関の倫理審査委員会に関する説明。  以上の項目につきましては、ほかの指針に書いてある研究計画書の内容に倣って書いてござ います。 ○笹月主査  まず、計画書に掲げるべき事項ということで、研究計画の名称、概要、目的、成果。胚の作 成・利用に用いられる配偶子に関する説明、必要性、期間。  いかがでしょうか。研究計画書に掲げるべき事項ということですが、これにつけ加えるべき 事項、あるいは必要ないと思われる事項などありましたら、ご意見をお聞かせください。  多分これでいいんじゃないかと思いますが、よろしいですか。  それじゃあ、これはこういうことでお認めいただきます。 ○位田委員  すみません、細かいところですけど、先ほど消したのをもとに戻されたところのすぐ下の 「胚の作成・利用に用いられる配偶子」というのは、作成の後の「・利用」というのは要らな い。 ○笹月主査  ありがとうございます。  どうぞ。 ○深見委員  私も細かいことなんですけれども、作成の「成」は、いろんなところに、次のところにもあ るんですけれども、文章だと作成ですけど、普通、胚の作成の「成」はこれを使いますか?  私たち、実験のときにはこれじゃないんですけど。漢字の問題です。 ○永井安全対策官  製造と書く場合も拝見したことありますけれども、もとになっている総合科学技術会議の今 回の検討のスタートの文書には、「成」のほうが使われてございます。 ○笹月主査  それでは……。 ○石原委員  1点よろしいですか。 ○笹月主査  どうぞ。 ○石原委員  1つ確認なんですけど、この手の研究計画書には、ほかのもので例えば、用いる費用はどこ から出るかというような記載というのは入ってないんでしょうか。 ○高橋室長補佐  臨床指針ですとか、疫学指針等には入ってございます。 ○石原委員  そうすると、入っている指針と入っていない指針と両方あるという。 ○高橋室長補佐  そうです。 ○石原委員  その点については、議論は必要ないでしょうか。 ○笹月主査  いや、ちょっとご意見をお聞かせください。いかがですか。  どうぞ。 ○高橋室長補佐  例えば疫学指針なんかの例で申し上げますと、「当該研究に係る資金源、起こりうる利害の 衝突及び研究者等の関連組織との関わり」といった、ここに書いてない項目がある指針もござ います。 ○笹月主査  もしその費用の記載ということを書く、あるいは書かないという議論のときに、プリンシプ ルとしてそれがどういう意味を持つのかということがまず一つ、そして、それがほんとうに必 要であればもちろん書かなきゃいけないと思いますが。  どうぞ。 ○位田委員  指針の中にどこまで細かく書くかという問題になるかと思うんですが。例えば研究の概要の ところに書くべき事項として、細則をつくるなり、Q&Aでこれこれの項目は書きなさいとい うことを細かく言っておけば、ここに掲げる事項というのではこのままでもいいのではないか なとは思いますけれども。 ○笹月主査  よろしいですか。何かほかにご意見なければ……。 ○後藤委員  どのような疾患を対象にするかというのは普通の倫理の審査のときに出てくるんですが、対 象者というのは概要のところに書けばよろしいものでしょうか。 ○笹月主査  研究に関する事項の研究計画の名称、研究の概要のところに当然出てくるでしょうね。 ○後藤委員  どのような疾患を対象とするか、それはいいという? ○笹月主査  はい。  よろしいですね。じゃあ、これでお認めいただきます。  次を。 ○高橋室長補佐  はい。ページ数が振ってなくて申しわけございませんが、1枚めくっていただきまして、次 に、複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成・利用する場合でございます。  まず、一番上の○でございますが、複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作成・利用す る場合、すべての研究実施機関が果たすべき役割分担について研究計画書に記載することとす るか。  すみません、先ほどの研究計画書の中で既に研究実施機関が複数の場合はその役割分担も含 めて合意いただいておりますので、ここはほぼ●かなと思っております。  それから、次の○でございますが、同じように複数の研究実施機関が共同でヒト受精胚を作 成・利用する場合、それぞれの研究実施機関の研究計画書について、提供機関の倫理審査委員 会において審査を行い、提供機関の長から了解を得ることとしてよいかということで、○にさ せていただいております。 ○笹月主査  それでは、最初の○は、各機関がその役割分担について研究計画書に記載することとすると。 すべての研究実施機関が書くと。これは当然のこととしてお認めいただけると思いますが、そ の次の、複数の研究実施機関が共同でやる場合には、提供機関の倫理審査委員会において審査 を行い、提供機関の長から了解を得ることとするか。  この点はいかがでしょうか。これはまたご議論があるところだと思いますが、いかがですか。 ○後藤委員  共同研究の場合は、主に、親となるというか、主幹する研究機関があると思いますので、そ こでわりあいと大枠の申請書類をつくって、それに基づいて各提供機関及び共同研究実施機関 が各倫理委員会で審査するという方法をとることが多いのではないかと思います。例えば、ど こかの大学が主幹する。そこがすべての倫理的な問題を網羅するような研究申請書をつくると いうものが多いのではないかと思います。 ○笹月主査  今おっしゃったように、主任研究者が所属する研究機関が倫理審査委員会をもちろんやりま す。それから、それが認められた場合に共同研究機関が倫理審査委員会を行って、全体もそう ですけれども、自分たちの分担のところを特にきちっと審査するというのがこれまで行われて いる臨床研究だと思いますが、これは、提供機関の倫理審査委員会がそれぞれの実施機関の分 も行って、それぞれの実施機関、分担機関はやらない。やらないとは書いてないけれども、こ れはちょっと説明をお願いします。 ○高橋室長補佐  補足いたしますけれども、2つ目の○の意味は、以前に研究実施の要件におきまして、提供 機関における機関内倫理審査委員会の要件といたしまして、研究実施機関が行う研究計画の科 学的妥当性及び倫理的妥当性についても提供機関としての立場で審査を行うこととするという ことで一度合意いただいております。それを踏まえまして、複数の研究実施機関が存在する場 合には、それぞれの研究計画について提供機関は審査を行うということでよろしいかというこ とをここでは確認させていただきたいということでございます。 ○笹月主査  普通の臨床研究の場合で言えば、繰り返しになりますけど、主任研究者の所属する研究機関 がやって、それが認められたときに各分担研究者がその所属する機関で倫理審査委員会を行う というのが臨床研究の倫理審査委員会だと思いますので、ここでもそれに相当する、要するに それぞれの研究実施機関はそれぞれの倫理審査委員会でアプルーブされることが必要だという ことになるので、そのことをここにつけ加えなきゃいけないんじゃないかと思うんです。 ○高橋室長補佐  上の○で書いておりますことは、それぞれの研究実施機関においては、全体の研究計画の中 でその研究機関が果たすべき役割について記載していただき、また、その内容をその研究機関 の倫理審査委員会の中で審査していただくということが、上の○の内容でございます。  下の○については、提供機関の倫理審査委員会において、研究実施機関が複数あれば、その 分だけ審査もしていただくということでよろしいかどうかということの○でございます。 ○笹月主査  今の言い方だと何か別の書類が出てくるという感じに聞こえますけれども、そうじゃなくて、 1つの研究の計画調書というのが出てきて、そこには当然分担研究の内容も書いてあるわけだ から、それを一括して主任研究者の属する研究機関がまずやりますと。それについて認められ て、そうすると分担者も自分の所属する機関でやりますと。そういうことだと思うんですけれ ども、それがわかるようにこの……。 ○高橋室長補佐  そうです。研究計画全体としては、複数の実施機関がございましても、実質的には1つでご ざいますので、提供機関の手間としてはおそらく1回の倫理審査委員会で済むということにな ると思います。 ○笹月主査  それプラス、分担研究者が所属する分担実施機関の倫理審査委員会でもやらなければいけな いということをここに書いておかなきゃいけないですね。ということが私の言いたいポイント なんですが、よろしいですか。 ○位田委員  多分それは、いろんな役割分担があって、分担研究であってもそこの研究機関の倫理委員会 に出すのは当然だと思いますので、念のために書いておくということについては、私は構わな いと思います。  もう1つの、今ここにある2つ目の○は、提供機関の倫理審査委員会で、主要な機関も、分 担の機関の研究計画も全部、1つ1つ審査をするということが問題なんですね。 ○笹月主査  1つ1つというか、調書は1つですから、それぞれの実施機関が別の調書を出すんじゃなく て、1つの計画調書がある。 ○位田委員  いや、この書き方だと、いろんな役割を持っているので、それぞれの役割を持っている研究 機関の研究計画がそれぞれ提供機関の倫理委員会で審査されるという、そういうイメージです か。それとも、全体が1つ来るという意味ですか。 ○永井安全対策官  今の文章だと、それぞれの研究実施機関の研究計画書についてということで、ばらばらに出 ることを前提とした書き方になっておりますので、むしろ、それぞれの研究実施機関の研究内 容についてとか、役割分担についてとか、要するに、2つで共同してやる場合には、それぞれ の機関でお互いのものについてもしっかり見るということを書けばいいという、そういうこと でございましょうか。 ○位田委員  やるのは実施機関の倫理委員会ではなくて提供機関の倫理委員会なので、今、永井さんがお っしゃったこととはちょっと違うのではないかと思うんですけど。 ○笹月主査  例えば、これはなかなかそういうことは難しいかもしれませんけれども、科学研究費とか、 そういうものでサポートされるというふうなことを考えた場合に、それぞれの実施機関が別々 の調書を出すということはあり得ないわけで、1つの計画調書が出されて、科研費の場合はそ れについて審査が行われる。それから、倫理審査委員会も、主任者の倫理審査委員会で審査さ れる。そして、それぞれがまた分担者の倫理審査委員会で審査される。そういうことになるん だろうと思うんです。だから、別々の調書があるということではないんですね。 ○位田委員  私、実はその点をご質問しようと思ったので。ここでは複数の研究実施機関が共同でヒト受 精胚を作成するということも入っていますので、例えば5つの共同実施機関があるとして、3 カ所でそれぞれ別々に受精胚を作成するという研究もあり得るわけですね、卵子を複数もらえ るとすれば。その場合には、提供機関としては、3つなら3つの機関がそれぞれヒト受精胚の 作成について適切な研究を実施できるかということを判断する必要があるのではないか。それ ぞれの研究実施機関の基準とか倫理委員会の審査等々がありますので、それは全体でやれるも のなのかなあというのが、私はちょっと疑問です。利用のほうはおそらく全体で1つのでいけ ると思うんですが、作成については、提供機関が倫理審査をすることの一番の目的は作成のと ころなんだろうと思うので、それはどうかなと。 ○笹月主査  全くそうなんですね。というのは、私が申した、一般の臨床研究の場合を例にとったんです が、とにかくこういう研究をしたいという発案者が主任研究者となって調書を書きます。こう いう計画で、こういう研究をするんです。もちろん、提供機関の話も、実施機関の話も、全部 入っている。それをその機関で審査します。もちろん、そこに入っている提供機関も、実施機 関も、それぞれでやります。ということで、それはそれでいいんだと思うんです。ただ、なぜ そういうふうに主任研究者と分担研究者というふうに言わずに提供機関と実施機関というふう にあえて分けたかというのは、提供機関は、とにかく提供するだけだから後の先は知りません よということではだめで、提供されたものがどういうふうに実施されるのか、ほんとうに倫理 的に問題がないのかということをきちんと了解した上で提供しなければいけないと、そういう 重みをそこにつけてあるというので提供機関、実施機関という名前が出てきてちょっと事が複 雑になったんですが、しかしながら、実際は、提供機関、実施機関と言わなくても、主任研究 者の機関及び分担研究者の機関で同じことになるわけなんですね、両方の倫理審査委員会でや るわけですから。参加するすべての機関の倫理審査委員会でやるわけなんです、同じ調書につ いて。 ○位田委員  すみません、ちょっと質問ですが、そうすると提供機関も分担研究機関という位置づけです か。 ○笹月主査  発案者によって、それはどっちになるかわからないと思います。自分たちはこういう研究を したいと。しかしながら、自分たちではつくれないので、どこかに提供をしてほしいと。そう するとそれは、私のセンスで言えば、提供する側は分担研究者みたいな形になると。だけども、 分担研究者も、主任研究者も、すべての機関で倫理審査委員会を行うと。 ○高橋室長補佐  共同研究機関の定義と言うと多分語弊があるかと思うんですが、複数の研究実施機関が共同 でヒト受精胚を作成する場合というのはどういう場合かといいますと、同じ1つの研究プロジ ェクトを複数の機関でもって行っているということだと思いますので、そういう意味で言えば、 研究計画は1つだと思います。その中で、この部分についてはA機関、この部分についてはB 機関、この部分についてはC機関という役割分担がそれぞれの研究実施機関において審査され て、それから、その全体像を1つのものとして提供機関において審査されるというイメージで ここは書かせていただいております。 ○位田委員  わかりました。そのときに、作成をする機関が複数ある場合に、それぞれの機関の審査を提 供機関の倫理審査委員会がやらなくていいのかというのが私の質問です。つまり、ここの提供 機関というのは、卵の提供機関ですね。そういうことですね。卵の提供機関としてはちゃんと 胚を作成してくれるかということに懸念があるとすれば、3つの機関がそれぞれ卵を作成する のであれば、その作成するそれぞれの機関について提供機関が倫理審査をしなくてもいいのか。 考え方としては、全体の研究計画が1つだからそれをやればいいんだという考え方も、両方あ り得ると思います。 ○笹月主査  すべてやるわけです。所属する機関の倫理審査委員会がすべてこれをやらなきゃいけないと。 そのときに、調書がばらばらに出てくるんじゃなくて、研究ですから、1つの計画調書の中に、 作成についても、利用についても、もろもろのことが記載されていて、それを審査するという ことになるんだと思うんです。 ○町野委員  どうも主査の描いているイメージと事務局のイメージとは、ちょっとうまく合わないといい ますか、一致してないように思いますが、事務局のご提案は次のようなことですか。つまり、 A、B、Cと3つの機関が作成・研究という機関だとすると、それぞれの機関において倫理委 員会がそれぞれ決定しなければいけない。しかし、その場合について、全体の研究計画の中で それぞれの機関が占める役割も同時に審査しなければならない。それは3つの機関が別々にや るという点では変わりはない。つまり、機関ごとに倫理審査委員会があるわけですから、これ は一緒にやりようがないという前提でスタートしている。そういうことでよろしいですね。 ○高橋室長補佐  はい。 ○町野委員  あと、提供機関のほうというのは、A、B、Cに提供するということになりますと、A、B、 Cで卵子がどのような研究計画、作成研究に使われるかについては倫理的関心を示さざるを得 ないから、その全部についてこちらで審査するということですね。 ○高橋室長補佐  そうです。 ○町野委員  そこのところで3つの研究機関から出てきた研究計画について一括で審査すると。おそらく そういう話になる。そういうイメージですか。 ○高橋室長補佐  そういうイメージです。 ○町野委員  わかりました。私はそれで結構だと思いますけれども。 ○笹月主査  私に言わせれば同じことなので、提供機関に重みを置くのかどうかということだろうと思う んですけど。 ○町野委員  提供機関にも、作成・利用機関にも、両方とも同じような重みがあるという話だと思います。 ○笹月主査  そういうふうに理解していただくなら、私の言った、すべての機関が全体を審査しますとい うことでよろしいんじゃないですか。 ○町野委員  すみません、もう一度、念を押すわけじゃないですが、すべての機関ではなくて、提供機関 のほうが全部について見るという話ですよね。ただ、3つのほかの、A、B、Cという作成・ 利用機関があったら、それぞれについてもやっぱりやらなきゃいけないという話で、研究機関 ごとにとにかく倫理委員会はありますから、それぞれ別なんですから、それを一括してやると いう前提じゃない。 ○笹月主査  そんなことを言っているのではなくて、それぞれが全部やりますと。 ○町野委員  はい。 ○位田委員  もし一括するということに合意をするのであれば、それぞれのというのではなくて、全体の 研究計画についてということですね。 ○高橋室長補佐  そのように訂正いたします。 ○笹月主査  要するに、提供する側も、つくり、利用する側も、あるいは、つくる側と利用する側が違う 場合もあるのかもしれませんけれども、それぞれのステップがきちんとなされていなければ、 自分のパートだけはきちんといっていますよでは済まないという、そういう意味ですべてを見 ますという。  ですから、ここのところの文章をちょっと修正してください。  次は、配偶子の入手方法のあり方、同意能力を欠く者からの提供についてというところで、 これも事務局からご説明願えますか。 ○高橋室長補佐  配偶子の入手方法のあり方についての中で、前回ご指摘いただいたところでございますが、 同意能力を欠く者からの提供についてでございます。  ヒト受精胚の作成を伴う研究に対し、生殖細胞の提供を受けるという点にかんがみ、十分な 同意能力を必要とすることから、同意能力を欠く者からの提供は認めないこととするかという 点でご議論いただきたいと思います。  参考といたしまして、ES指針における例を挙げさせていただいております。右側のページ の箱の下のほうでございますけれども、ES指針におきましては、同意の能力を欠く者として は、未成年者、それから心神喪失者等を想定しております。それから、インフォームド・コン セントを受けることができる者といたしまして、ES指針におきましては、夫婦からインフォ ームド・コンセントを受けることができるとしておりますので、実際には、16歳以上の婚姻 している女性、それから婚姻している18歳以上の男性であれ、ば同意能力があるというふう にES指針ではみなしております。 ○笹月主査  どうもありがとうございました。この点についていかがでしょうか。  特にご意見ございませんか。よろしいですか、これで。 ○吉村委員  ちょっとよろしいですか。 ○笹月主査  どうぞ。 ○吉村委員  これは、提供を受けるときに、いまだに同意能力がない人という意味ですか。例えば、14 歳で卵子をとっておいて、その人が25歳になったときに研究に使わせていただきたいという のは、これには該当しない? ○高橋室長補佐  ES指針の考え方ですと、該当しないことになります。 ○吉村委員  ES指針の場合は当然、受精胚ですから、受精胚をつくっているわけですね。ですから、配 偶子に関してはちょっとまた難しい問題が出てきて、生前同意とは違いますけれども、要する に研究に使うときに同意能力があったと認められても使えないということになるんでしょうか。 それは、そのときによければよろしいということですか。 ○野島専門官  はい。 ○吉村委員  わかりました。 ○笹月主査  それでは、ここの同意能力を欠く者からの提供についてということは、これでよろしいです ね。 ○安達委員  ちょっと確認なんですけど、もしこれがES指針と同じだとすると、婚姻していなければ、 未成年というと19歳までの男女は入らないということで、同意能力はないとみなすというこ とでよろしいんですか。 ○高橋室長補佐  そうです。 ○町野委員  確認したいんですけど、未成年者を例示してないですよね、今の案の中では。同意能力を欠 くのは、「未成年者など」と入れる必要はないんでしょうかということですけれども。未成年 者であっても同意能力はあるという議論ももちろんあり得るわけですから、それをどのように するかということはやっておいたほうがいいように思いますが。 ○高橋室長補佐  ここは、同意能力を欠く者という定義がいろいろあるかと思いましたので、あえて何も例示 をつけずに、あくまでもES指針ではこうなっておりますということでご紹介して、先生方の ご意見を承れればなと思ってそうしておりますが。 ○町野委員  私は、未成年者というのは例示したほうがいいように思います。 ○笹月主査  それはどういう理由ですか。 ○町野委員  今の法律の考え方では未成年者は基本的に同意能力はないという建前をとっていると考えら れまして、指針のほうもおそらくこれまでそのように考えてきたと思います。だから、18歳 だったらいいだろうとか、そういうことはおそらくしないと。婚姻していれば成年に達したと みなしますから、成年と同じ扱いにする。大体そういうことで動いてきていますから、ここで もそれを踏襲すべきだというのが、私の意見です。 ○笹月主査  事務局案はそういうことを含めて「同意能力を欠く者は」と言ったわけですね。だから、そ の中身をもう少し丁寧に述べよと、そういうことですか。 ○町野委員  丁寧という問題ではなくて、未成年者は入らないということをきちっと書くべきだという話 です。 ○高橋室長補佐  じゃあ、「未成年者など」というふうに入れたいと思います。 ○石原委員  お言葉を返すようで申しわけないですが、先生が未成年者とおっしゃるのは、20歳という ことをおっしゃっているわけですか。同意能力が20歳以下の人はないという証明はないと思 いますし、例えば外国では、ベロッティ判決でしたっけ? さまざまなことでもっと若年の十 三、四歳の人に関しても同意能力を認める方向性も少しは出てきているような状況の中で、こ のガイドラインに明確に、例えば未成年者はいかんとか、20歳以下はいかんと記するという のは、少しいかがなものかと。むしろ、ぼやかしたというか、何も書いてないぐらいのほうが かえって現実的なのではないかなという気もするんですが、いかがなものなんでしょうか。 ○町野委員  私から、まずよろしいですか。これは民法の方からもいろいろご議論があるだろうと思いま すから、いずれ出てくる話だと思います。  私は今のような議論があるからこそ書いておいたほうがいいという意見なんですけれども、 ぼやかしておいたらどうなのかというと、おそらく今のような議論が生ずると思いますね。  もう一つ、未成年者についてもある場合に承諾能力を認めるというのは、例えば治療行為等 ですね。親がノーと言っている。例えば、エホバの証人の親が輸血を認めない。例えばですよ。 そういうときについて、子どもが治療を受けたいと言ったときに、それをしちゃいけないとい う理由はないでしょうと。例えばそういうこととか、あるいは中絶に絡む問題ですね。未成年 者だからといって、中絶について自己決定権がないという議論はないと。そういうことで出て くるコンテクストでございまして、例えばこのように、治療でもないし、本人の自己決定の問 題でもないようなところにおいては、未成年者については決定能力を認めるべきではないと。 むしろこのときは、看護権といいますか、親のほうが優越するのであって、だから、そういう ときに親が決めるかというと、それもできないだろうという話で、未成年者から認めるべきで はないという議論なんですよ。  したがって、先ほど吉村委員のほうからお話がありました、未成年のころに卵子の提供を受 けて置いておいて、そして成年に達したときはどうかという議論がありますけど、同意能力と いうのは決定する段階でのあれですから、その時点で成年に達していれば問題はないという、 先ほどのご議論はそのとおりだろうと思います。  あとは民法の先生のほうに。 ○石原委員  とてもよくわかりました。ありがとうございます。 ○水野委員  特につけ加えることはなくて、基本的にそのとおりだと思います。民法上の建前は、未成年 者は親権者がついていて、親権者が法定代理権をもちます。そして、先ほど先生がおっしゃっ たような自己決定という議論は、親権者の判断に対して、未成年者が拒否権、ベトーを言える、 たとえば具体的には、中絶をはじめいろんな手術等で未成年者本人がベトーを言えるという、 親権者の代理権を制限する議論ででてくるものです。手術の場合の議論とこのような生体試料 をあげる場合とでは、やはり次元が違うでしょう。ベトーを言える権利は未成年者に与えられ なくてはなりませんけれども、逆に未成年者が自分の生体試料を好きなように提供できるかと いうと、このときには親が未成年者の判断に対してベトーを言えないとすると、やはりそれも おかしいのではないでしょうか。だから、これは未成年者を入れておくほうが紛れがなくてい いように思います。 ○石原委員  どうもありがとうございました。 ○高木委員  同意能力を持つ、持たないとかいうことを未成年者とくっつけるからおかしいんじゃないで すか。ただ単に未成年者はドナー候補から除外されるというふうに書けば、同意能力があるな しにかかわらず、未成年者は入れないという議論でいいんじゃないかと思うんです。 ○笹月主査  そのときに例の心身喪失者とかね。 ○高木委員  いや、心身喪失者は同意能力を持たない者としてもいい。だから、同意能力を持たない者や 未成年者はというふうに。未成年者が同意能力を持つか持たないかという議論を離したほうが いいと思うんです。 ○水野委員  提案なのですが、十分な同意能力を必要とすることから行為能力を欠く者はというふうに言 ってしまえば、自動的に未成年者が外れてきますから、行為能力に変えてしまうというのはい かがでしょうか。 ○笹月主査  素人から見ると、ますますわからない。(笑) ○町野委員  今、座長もおっしゃられたように、法律行為能力という概念というのは通常、通常って、我 々は異常じゃないですけれども、通常理解しがたいので、やはり私は未成年者と明示したほう がいいと思います。 ○笹月主査  じゃあ、その辺はちょっと修文して、未成年者という文言を入れるということですね。  その次は、情報の公開のあり方についてというところで、お願いします。 ○高橋室長補佐  情報の公開のあり方についてでございますが、総合科学技術会議意見におきましては「研究 に関する適切な情報の公開等を定める必要がある」というふうに明示的に書かれておりますの で、こちらについてもご議論いただきたいと思います。  ○といたしまして、研究実施機関の長は、個人情報の保護に反する場合などを除いて、原則 として研究の成果を公開するものとしてよいかということでご議論をお願いいたします。 ○笹月主査  どなたか、ご意見、コメント、ございますか。  ここで「成果を公開する」というのは、何をもって公開するかとか言うとまた各論的にいろ んな場合があろうと思いますから、一応ここは大くくりに「公開するものとする」ということ でよろしいですか。  じゃあ、これでお認めいただいたということにいたします。  一応これまでのところできょうの審議事項はあれですが、事務局から何かありますか。 ○高橋室長補佐  資料2にございますとおり、今まで○として残っていた部分がほぼ、非常に細かいところを 除いてはこれで終わりましたので、次回以降は、今までのおさらいを兼ねまして、これまでの 合意事項についての資料がおそらく出てくるかと思います。 ○笹月主査  検討すべきことについて一応全部●になったということですが、最初のころの●と最後の● とでほんとうに整合性があるのかどうか、全体として眺めなければいけないということもあろ うかと思いますので、事務局で全体を整理していただいて、それを次回検討するということで、 よろしくお願いします。  小澤委員、何かありますか。 ○小澤委員  マイナーなことですけれども、最後のところの研究成果の公開ですが、公開するのは普通は 研究者のほうであって、「研究実施機関の長が」とすると変な感じで、下の枠のほうにも「情 報の公開を定める必要がある」と。公開の仕方等を定めるんでしょうから、ちょっと文章がお かしいかなという気はするんですけれど。 ○笹月主査  先生のご意見では、実施機関の長じゃなくて、主任研究者という、そういうことですか。 ○小澤委員  実際に研究成果を公開するのは研究者のほうであって……。 ○笹月主査  それは、例えば論文を書くとか学会で発表するというのは主任研究者あるいは共同研究者で しょうが、それでよろしいかどうかということですね。機関の長がやるとすると、じゃあどん な形でやるのか。 ○小澤委員  そこのページの枠の下線を引いてあるところも、「適切な情報の公開を定める必要がある」 と。これは研究機関の長のすべきことだと思うんですね。それから、次のページの下の枠のと ころの臨床研究に関する倫理指針も、長は「臨床研究の成果を公開するよう努めるものとする」 と。ですから、長が直接公開するとか何とかという話じゃありませんので、文章を少し直され たほうがいいような気がします。 ○笹月主査  というよりも、機関の長がやらなくてよろしいか、主任研究者がやればよろしいかという、 そういう問題になろうかと思います。 ○町野委員  この文章の書き方の意味は、責任を持つのはどこかということで書かれておりますから、も ちろん研究者個人の名前で発表されるということは全然差し支えない話だろうと思います。た だ問題は、それが公表されなかったときにどこが責任を持つかというと、研究機関の長である と、そういう意味だろうと思いますので、ほかの指針も大体それで書かれているから、ここは 「長」になっているんだと思います。だから、おそらくご心配はないと、私は思いますけれど も。 ○笹月主査  という理解でよろしいですか。  ありがとうございます。  それでは、先ほど申しましたように、全体を眺める、まとめて検討するということを次回や らせていただくということで、よろしくお願いします。  ほかに、事務局から何かございますか。 ○高橋室長補佐  次回、第23回生殖補助医療専門委員会、第24回ヒト胚に関する専門委員会は、12月 26日(金)15時半から予定してございます。会場についてはまだ決まっておりませんけれ ども、決まり次第、改めてご連絡させていただきたいと思っております。 ○笹月主査  それでは、きょうの委員会はこれで終了します。どうもありがとうございました。 ―― 了 ――  事務局:文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室       電話:03−6734−4113(直通)      厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課       電話:03−5253−1111(内線7939)