08/11/21 第59回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第59回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年11月21日(金)午前9時00分から午後0時00分まで   全社協 灘尾ホール 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部(代理:小川参考人)、大森、沖藤、小島、勝田、 川合、神田、木村、久保田(代理:今井参考人)、齊藤、武久、田中(滋)、田中(雅)、  池主、対馬、中田、三上、村川の各委員、堀田専門委員 3 議題  <審議事項>  1.平成21年度介護報酬改定について(施設系サービス)  2.その他 (鈴木老人保健課長)  ほぼ定刻になったので、第59回社会保障審議会介護給付費分科会を開催させていただきたいと思 う。  まず初めに、本日の委員の先生方の御出欠の状況であるが、大島委員、矢田委員、山本委員から 御欠席の御連絡をいただいている。  また、本日は井部委員に代わり小川参考人が、久保田委員に代わり今井参考人が出席しておられ る。  小島委員は、若干遅れられるということであるが、後ほどいらっしゃると思う。  したがって、21名の先生方に御出席いただいているので、分科会として成立するということを御 報告させていただきたいと思う。  また、今回も堀田専門委員に御出席いただいているのでよろしくお願いをする。  神田委員については、11時ころに退席されるということであるので、後は小島委員がお席に着か れるということである。よろしくお願いする。  それでは、以降の進行を大森分科会長にお願いをしたいと思う。 (大森分科会長)  世の中は何か嫌な事件が起きているが、私どもはこの作業に専念したいと思う。よろしくお願い いする。  それでは、早速資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料について確認と御説明を若干させていただきたいと思う。  議事次第の後、座席表、名簿があり、その後に本資料になっている。  資料の1が、介護老人福祉施設特別養護老人ホームについてである。  資料の2が、介護老人保健施設、老健についてである。  資料の3が、介護療養型医療施設、療養病床についてである。  資料の4が、「口腔機能向上加算・栄養改善加算について」についてである。  資料の5が、「栄養管理体制加算及び栄養マネジメント加算について」についてである。  ここまでが本資料であり、その後、参考資料が付いてある。  参考資料1は横長であるが、これは「介護保険施設の現状について」ということで、過去の算定 の伸び、それから実際に今、入っておられる方の平均在所日数、要介護度、それの変化、どこから 来られてどこに出ていかれるか等々、今までも何回か御紹介した資料を少しお手元にご覧いただき やすいようにまとめたものであるので、これについては説明申し上げないが、お時間があればご覧 いただければと思う。  それから、参考資料2、これは逐次お示ししているものであるが、「平成21年度介護報酬改定の 視点(例)」ということで、必ずしも網羅的なものではないが、今まで御議論いただいてきた中で、 ある程度各委員の先生方からおおむねの方向性について御了解いただいたと考えられるものをまと めたものである。今回、新たに加えたもの、もしくは変更したものは下線部で書いてあるので、こ れも細かくは説明しないが、もしこういうことではない、もしくは何か大事な点が落ちているとい うことであれが、事務局の方に言っていただければと思う。  それから、参考資料3、主な御意見であるが、これも先ほどと同様、我々の方でも一応先生方の 御発言の中で主なものを項目ごとにまとめたものである。少し私の方で説明が足りなかった部分は あるかもしれないが、先生方から御提出していただいた資料は書面できちんと各先生にごらんいた だいているので、そうではなくて御発言の中でこういうことがあったということをまとめた資料で ある。これについては、もし先生方の御発言がきちんと反映されていないということであれば、お っしゃっていただければと思う。  これから後は各委員の先生方の提出資料ということであり、通常どおりこれは提出のみというこ とであるが、最初が沖藤委員の提出資料、2つ目が川合委員の提出資料、これには別添が付いてあ る。それから、その次が神田委員の全国知事会からの提出資料ということになっている。緑色のも のが、武久委員からの提出資料である。最後が、中田委員からの提出資料ということになっている。  資料の方は以上であるが、もし落丁、補足等ありましたらお知らせいただければと思う。以上で ある。 (大森分科会長)  よろしいか。本日は施設サービス等であり、前回同様各サービスについて、資料に基づいて、内 容を一括して説明していただいて、その後、若干休憩を取った後に議論をいたしたいと思う。それ では、説明をよろしくお願いする。 ○菱田計画課長より資料1について説明 ○鈴木老人保健課長より資料2から資料5までについて説明 (大森分科会長)  それでは、ここで10分ほど休憩とする。                (休 憩) (大森分科会長)  それでは、再開させていただきたいと思う。  今回も御意見をどなたからでも伺うことにしたいと思います。  では、川合さんからお願いする。 (川合委員)  それでは、お時間をいただく。  まず初めに、今日提出いたしました我々の資料にプリントミスがあるので、訂正から入らせてい ただきたい。  まずこの資料の後ろから2枚目、資料1というものをご覧になっていただきたいと思う。カラー 刷りだが、右にちょっと余白がある。これは印刷が偏ったのではなくて、わざと偏らせている。こ こは何かというと、記入もしているが、予防とか、そういうふうなことも含めましていろいろなこ とで法律改正も必要である。今回の介護保険の介護給付費だけではなくて、そういうふうなことも あるというような意味で偏らせて印刷をお願いした。赤のところが今回のことだが、この緑の下段 のことも、診療報酬との絡みがある。  それでは、表紙に戻っていただき、「平成21年度介護報酬改定に向けての要望事項 〜利用者の ニーズに応じて、老健施設がその機能を十分に発揮できるようにするための制度設計〜」というと ころである。点線で囲っているが、リハビリテーション関係に関しましては本席に出席していない 専門職のPT協会、OT協会、ST協会と数回協議を持ち、そういうふうな諸団体の意向も踏まえ て記載をしている。  それで、その下の方に丸が3つ重なっているが、我々は決してきれいごとではなく、過去20年間、 御利用の方々に対してのサービスの質の向上を目指して動いてきたが、今回巷間言われているよう に介護職に代表されるようなスタッフの処遇改善、それとそういうふうなサービスあるいはスタッ フの処遇改善を安定的なものにするための経営に関する諸支援策、この3つは不可分なものだと思 っている。  「はじめに」のところを読ませていただく。縦割り行政の弊害を廃し、障害を持たれた要介護高 齢者に心のこもった医療・介護サービスを提供する全く新しい施設として、老健施設が創設された。 老健施設は、多様なニーズに適切に対応する多機能なサービスを提供することを基本としてきた。  ところが、介護保険制度導入後の相次ぐ介護報酬の削減により、利用の方々への質の高いサービ スの提供、介護人材の確保と処遇改善、持続可能な老健施設の経営、いずれの側面から見ても危機 的状態に陥っている。  それらのことに関しては、今日事務局提出の「介護保険施設の現状について」という参考資料1 をごらんになっていただくと、いろいろなことが書かれている。また追って御説明をさせていただ くが、そういう中で介護報酬・施設サービス費の引上げと人員配置の実態に応じた介護報酬・施設 サービス費の積み上げを強く要望するものである。  次の2ページですが、「持続可能な介護保険制度のための要望事項」として3つを大きくまとめた。 先ほどの丸の3つの重なりとほぼ同一であるが、1番目が利用者のニーズに応じた老人保健施設の 社会的機能を十分に発揮するための制度設計の見直し、2番目が介護従事者の人材確保と処遇改善 を確実なものにするための諸施策の実行、3番目が老人保健施設として存続可能になるための介護 報酬・施設サービス費の引上げと諸支援策の実行である。  3ページに移るが、この1のことに関しては5項目について3ページから5ページにわたって3 ページに分けて記載している。  まず初めの1項目は「日常的なケアと看護・介護配置等について」、そこに3点、片括弧でやって いるが、今日お配りになった「介護保険施設の現状について」という参考資料の8ページ、10ペー ジ、12ページに記載されているが、たとえて言うと10ページである。介護福祉士の割合は、老人 保健施設がサービスの質を担保するために際立ってパーセントが高い。  8ページにおいては、看護職員と介護職員の100人規模における人員配置の実際を書いているが、 ここには実は同じようなサービスで、よりプロのサービスを提供しているリハ職、これは御案内の ように老人保健施設にはリハ職は必置である。このリハ職のカウントがない。単にこの中間かと思 われては、私どもはちょっと口惜しい思いがする。  それから、12ページである。これは医療のところでも申すが、いろいろな縛りがある。こういう ふうにビジュアルな表にしてしまうと、いかにも明確に、適切に分類されているようには見えるが、 現実はそうではないということも、るる述べさせていただきたいと思っている。  それで、3ページで2番目の医療のところで、包括範囲ということはこの老人保健施設ができた 20年前と今、急性期病院が入院期間の短少化に努力をしている段階で我々が要求される標準的な医 療、あるいは医療技術の進展等々を考えますと、20年前とは格段の差がある。その標準的な医療と いうことの縛りの範囲の見直しとか、そういうふうなことも適切に考えていただきたい。  それから、これは誤解を招くといけないので、1)の(2)の2行目の最後、「画像診断料、処置料等 については出来高算定とする」。これは、我々が出来高を希望しているという意味ではなくて、そう いうふうな医療技術情報が進歩してきた中で、急性変化が起こったときに当然のこととして対診を お願いする。そういう場合、医科の方でされる場合があるが、それを医科請求でしていただくとい いが、現行は我々の施設療養費の方にレセプトが回ってくる。  そういう時代の変化というか、この20年の間に診療報酬が何回改定されたかという現実を正確に 把握していただきたい。そういう意味で、我々が出来高請求を要求しているというのではなくて、 対診の急性期医療を担当している医療機関が医科請求をきちんとできる体制をお願いしたいと思っ ている。今回、診療報酬と同時改定ではないので、これは将来的な問題として提案をさせていただ きたいと思う。  それと、ターミナルケアのことについてやっているが、これは転換老健との問題、あるいは先ほ どの看取りのところで両課長の説明でもあったが、何度も私は過去申し上げてきたように、我々は 手を挙げて看取りをしている。いらっしゃいと言っている施設は1例もない。そのようなやさしい 心暖まるサービスを提供するのであるならば、看取らせてくれという多様なニーズに我々が応じて いる、応じさせていただいているというふうな現状を踏まえると、今回のダブルスタンダードであ るとか、ほかの施設では当然長期入所の上、看取りで請求しているものが、しかも過去にさかのぼ って請求できているものが我々にはできていない。頼まれてしていることができていないというこ とは、我々はちょっと口惜しい気がする。  それでは、リハビリに関して次のページをお話する。これは先ほど申したようにPT協会、OT 協会、ST協会と5度にわたる委員会共同開催によってまとめたものであるが、舛添大臣の緊急プ ロジェクトチームでも書かれていた。私も議事録に残る発言をしたが、軽度認知症の短期集中リハ ビリテーションの老人保健施設におけるEBMは評価できるという表現を今年の7月にいただいた。 そういう段階で、大臣のプロジェクトチームに関しての報告書をきちんと履行していただきたいと 思っている。 それから、通所リハビリテーションに関しては大規模減算と言われるが、いろいろ資料を見てまい ると大規模減算の手前のところでピークがぽんと鬼の角のように上がっている。これはなぜかとい うと、大規模減算までなるようなことをしてしまうと、せっかくそういうサービスをしているのに もかかわらず、いわゆるマイナスのインセンティブがかかってしまっているという現実であって、 大規模だから手を抜いてやっているという現実ではない。その点の御理解が多少欠けているのでは なかろうかと思う。もしもそこの鬼の角のようなものを削るのであるならば、全体的にレベルアッ プのできるような仕組みをつくっていただきたいと思っている。  次に5ページにいく。我々の主張を認めていただいたと思って、(1)は非常に感謝する。今の50%、 今回厚生労働省が出された我々の資料にもあるが、やはり20、30%のところに一つのピークがある。 そういう人たちが50%にいくということは、我々施設だけの努力ではなくて地域完結の努力が要る。 我々だけの責任で50%にならないというふうなことは、断じていただきたくない。この30%、20% のところを、40%、50%に上げるようなインセンティブを効かせていただきたいと思っている。  それから、(2)である。前回、木村会長がおっしゃったように、きちんといるにもかかわらず1人 分しかできないということに関しては、いろいろ我々の努力も認めていただきたいと思う。  4番の書類の整理統合、これは当然のことである。  次の「利用者負担、補足給付等について」は、いろいろ雑然としているが、先ほど申したように 補足給付が今、介護保険から拠出されているということはどうも合点がいかない。やはりこれは福 祉財源から出すべきものであって、生活保障のものですから、そういうふうなことはきちんと整理 をしていただきたいと思う。  それから、口腔ケアに関しては今、関連諸団体とリハ諸団体と協議しているのと同じようなこと が鋭意進行中であるので、この給付費分科会はちょっと遅れるかもわからないが、次回か次々回ぐ らいに提出をしたいと思っている。一応まとめとして1項目入れた。  4)、5)に関しては、全老健が数年来主張していることであるので、若干介護給付費とは違うが、 きちんとした運営をお願いしたいと思う。  次に、2番目の従事者の問題である。私は、9月まで事務局が提出される実態調査の数字と我々 の数字の差異について鋭く帳票の違いとか、我々の研修会の実地の回数とかということを主張して きたが、この期に及んではそういうことはぐだぐだと申さない。点線で囲っております四角のポツ が2つあるが、上の方は実調のデータを出している。208がいかがなものかとは思うが、そのデー タを出す。  しかし、我々の方はこのデータを持っている。これとは若干低額である。N数が多いが、低額で あるという主張を口頭で申し上げる。そのほかについては、「准」の字が「準」と間違っていたとい うことに関しましておわびをする。  7ページをお願いする。これは、大きな四角の中の点線のところである。一番下、出典のところ で「平成11年「介護保健施設の医療経済実態調査」中医協」と書いている。中医協は現存する公的 な機関だと思うが、これが介護保険に移行した後は、本分科会というふうな整理にされるのか。そ れはまた後ほど事務局の見解をお聞きしたいと思うが、そこで書いているように減価償却前受益率 は15%が目安、人件費は50%が目安、老人保健施設の返済可能限度額はおおむね6,400万程度、こ れは正式に資料として決定されたものである。もしそれが公式の機関で決定されたというのである ならば、この数字に沿うべく本省並びにこういう諮問機関は努力をすべきではなかろうかと思う。  まず一例を申すと、参考資料の2で付けているので、それをごらんになっていただきたいと思う。 借入残高である。そこで医療法人、我々のというよりも、日本の老人保健施設の7割強は医療法人 立であるが、平成18年の借入金残高は6,300万円である。ところで、先ほど申したように、おおむ ね6,400万程度が返済限度額であるというふうに述べている。  ところが、今回の本省のデータ、その点線の四角の上の実効税率を42%とすると「税引き後損益 はというところであるが、本庁のデータでも4,500万、全老健のデータでは3,500万である。これ でもって組織が維持できていること自体が不思議である。こういう現実を本当に正確に把握されて おられるかどうか、きちんと私は要求、要望をお願いしたいと思う。  それで、これからは雑駁な質問に入る。未定稿という書類、参考資料3であるが、それの17ペー ジの(2)で「介護福祉士ではどうしても医療処置ができないと言うなら、「介護療養士」という名称に した上で認めればよいのではないか」。これは、私は記憶が正確ではないのだが、私の発言を元にし て記載されたのか、別の方の発言なのかということを確認したいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  今の最後の点だけ確認していただけないか。 (鈴木老人保健課長)  もう一回議事録をきちんと見るが、私どもの意図は川合委員の発言を元にここに入れさせていた だいたということである。 (川合委員)  それでしたら、こういう表現にはしていない。介護医療士にしてはいかがかという、いわゆる嫌 味的な表現をした。介護福祉士があるのであるならば介護療養士ではなくて、医療行為を要求して いるのでありますから、介護医療士というふうに訂正していただきたい。 (大森分科会長)  では、そこに括弧で嫌味と書こうか。  では、中田さんどうぞ。 (中田委員)  今日、皆さん方のお手元にペーパーをお配りさせていただいたので、このペーパーに基づいて意 見、要望を述べさせていただきたいと思う。  冒頭に「「国民ニーズ」に合ったサービス体制の構築…特養待機45万人の解消こそ喫緊の課題」 ということをうたってあるが、平成21年度介護報酬改定の要望の前提となるところであるので、こ このところをちょっと読ませていただく。 「 厚労省の調査によると、2006年3月時点の特養ホーム入所待機者は38万5千人と推計されて います。今日、未調査の数県及びその後の待機者増を加味すると45万人の待機者がいるものと考え られます。  これらの入所待ちの要介護者と家族の実態は、「老老介護」、「認認介護」といわれる状況にあり、 中には「介護離職けせざるを得ない人も増えています。さらに、介護疲れからくる「高齢者虐待」 も一向に減らない現実が、私たちの現場に重く圧し掛かっています。  家族の介護力を前提とする在宅介護サービスには、自ずと限界があるのではないでしょうか。安 心と信頼の介護保険制度を構築するためには、特養ホームを家族の「最期の拠り所」として、要介 護者の「終の棲家」として、機能させ整備させていくことが必要です。  もとより、介護保険制度の安定的持続性は重要なキーワードでありますが、そのためにも効率的 なサービス提供、地域介護の基幹的役割を担う特養ホームの十分な整備が必要と考えられます。  平成21年度からの介護報酬改定にあたっては、こうした観点から特養ホームの新たな役割と、従 来から担ってきた機能に着目した報酬の見直しをお願いします。」  そういうことで、簡単に申し上げるが、まず1点は「介護従事者が意欲と誇りを持って働くこと ができる制度の実現」ということであり、介護報酬の算定基礎となる人件費率を訪問・通所系並み の人件費率60%に統一し、地域区分ごとの割増率を見直していただきたいということである。人件 費比率については介護施設については40%と設定され、その後、2度の報酬改定においてもその割 合は見直されていないという実態がある。施設においては、介護あるいは看護職員以外も職員が一 体となってチームケアでサービス向上に努めている実態があるが、これらのものを含めると人件費 率は平均60%を超えているという状況であるので、実態に合わせた見直しをお願いしたい。  次に、「職員のキャリアアップ、業務負担軽減等への評価」をお願いしたいということであり、こ こに書いてあるように介護福祉士を一定割合以上配置している場合についての評価を是非お願いし たい。それから、介護従事者の定着に着目した評価を是非お願いしたいということで、介護・看護 従事者の平均勤続年数が5年を超える事業所に対する評価を是非お願いしたいということである。 これは、人材確保の観点からである。  それから、人員配置基準を上回る事業所を是非評価していただきたい。介護・看護に関わる基準 職員配置を上回る事業所に対する評価を是非お願いしたい。  それから、夜勤介護職員の基準以上の配置を是非評価していただきたい。重度化、重度認知症の 方が非常に利用者として多くなってきた。より質の高いケアの確保のために、基準数を超えて夜勤 の介護職員を配置する場合は、是非評価をお願いしたい。  それから、「医療ニーズ・重度認知症ケア等に対する適正な評価」をお願いしたい。これは全国の 会員からの非常に要望の多いところであり、特に「看取り介護加算における死亡場所による加算額 の差の廃止」ということで、これは先ほど課長からも説明があったが、亡くなった場所によって単 価が半減するというような実態があるので、この辺の見直しを是非お願いしたいということである。  次に3ページ目であるが、これも先ほどの資料にあったが、特別養護老人ホームにおける口腔ケ ア加算の創設をお願いしたい。口腔ケアについては、先ほども御説明のとおり、18年改正により通 所介護に導入されているが、特養においてもやはり感染症予防だとか、あるいは症状の悪化防止、 死亡率の低下等の効果が期待されるという視点から、積極的に取り組みが必要であると思っている。 是非これらの評価をお願いしたい。  それから、「重度の認知症利用者のケアに対する体制の強化について」ということであるが、「B PSDへの体制整備を評価」していただきたいということで、ここに書いてあるが、認知症介護実 践研修修了者等を配置し、これら重度の認知症利用者に対応する体制を講じた場合、評価していた だければありがたい。  それから、最後のページであるが、特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付の基準費用額 の見直しをお願いしたい。  食費についてであるが、特養の場合は利用者のうち第1から第3段階の利用者が約75%と非常に 多いわけであり、そういう意味でほとんどの施設では基準費用1,380円が定価化しているという実 態であるので、昨今の物価等の上昇等を勘案してこのコスト1,380円基準費用を是非見直していた だきたいということである。  居住費についても、特に光熱費等の燃料費の見直し、最近重油等の値上がり等が非常に厳しいと いう状況で、これも食費と同様の状況にあるので見直しをお願いしたい。  最後に、冒頭で申し上げたことであるが、「特養待機者解消、緊急整備計画の推進」について、是 非皆さん方に御理解と御支援をお願いしたいということであり、理由はここに書いてあるとおりで ある。  以上である。どうぞよろしくお願いする。 (大森分科会長)  それでは、神田さんどうぞ。 (神田委員)  今回の議論の論点はさまざまあるわけだが、先ほどの事務局の説明の中でも、特養も老健も医療 施設も3施設とも共通しているのは、介護従事者のキャリアアップ、そしてそれに関連する介護報 酬の在り方、こういう御提案があったわけであり、私もこのキャリアアップという考え方が今回最 も大きなテーマの一つであり、質的なサービスを維持し、向上し、それを持続させるという意味で は最も重要な視点だと考えている。  そこで、少し触れたいと思う。今日お配りいただいた参考資料1の「介護保険施設の現状につい て」の10ページを拝見すると、先ほども川合委員さんが引用されたが、介護福祉士の資格の比率が 載っており、これは老人保健施設で46.7%、それから老人福祉施設で42.9%、こういう方々が有資 格者である。多くの施設において、質の高いサービスを提供するという観点から、こうした有資格 者を雇用したり、あるいは資格の取得に努めているところである。  けれども、全くこの辺りの配慮がないのが現状の人員基準であるし、報酬上の評価であるので、 残念ながら離職あるいは人材の確保には大きな阻害要因になっていること、これは今まで御議論が あったとおりである。  そこで、今回の具体的な論点の提案として出されていることについて言えば、有資格者を雇用し た場合に評価される報酬体系、これは最も重要な視点であるし、有資格者の給与に反映させるよう に是非ともお願いをしたいと考えているところである。  実は今、申し上げたことも含めて、今日お手元にこういうような資料をお配り申し上げている。 これは、実はせんだって全国知事会で取りまとめたものであり、表に概要を付け、本日付けの提言 ということで2ページ以降に数ページのものを付けさせていただいた。これは、介護人材の確保の 重要性をかんがみまして全都道府県に調査を行って、その調査結果のエッセンスをまとめ、提言と してお出ししたものである。  一番上の概要版をごらんいただくと、これは目次的になっているが、「介護報酬の設定」、「個別介 護サービスの報酬設定」、そして3つ目の「福祉・介護サービス関連職種の待遇改善・人材誘導」、 このような形になっており、今回の分科会での議論に直接関わりのないものもあるが、直接、間接、 いろいろな意味合いで密接な関係にもある。先ほど私が申し上げた点は、この「1.介護報酬の設定」 の(3)に当たるところである。  過去のテーマにも関わるので、ここでは詳しく申し上げないが、実はこのアンケート調査を行っ た中で、特に都道府県から大変多くの意見が出された点だけ若干御紹介を申し上げたいと思う。そ れは、介護報酬の設定の(1)の2点についてである。  まず1点目で、「1単位の単価の地域区分・割増率の見直し」という点であり、これは特に都市部 が多い都道府県から大変多くの意見が寄せられている。介護報酬の1単位の単価については、人件 費の地域差を反映させるために、地域区分ごとに割増率が設定されているわけであるが、残念なが らこの設定が現在では地域の実情を全く反映されたものになっていない。極めて地域実情とは乖離 したものになっていることが大変問題である。  特に賃金水準の高い地域では、介護以外の分野の給与水準との格差がすこぶる大きく、人材の確 保に大変苦慮しているところであり、1単位の単価について地域区分や割増率を現状に即したもの になるよう、これは見直しが大変急務だと考えているので、御理解をお願い申し上げたいと思う。  次に、2つ目の中山間地域である。これの特別地域加算の内容の充実という点については、これ また中山間地域やら離島を多く有する都道府県からかなり多くの意見が寄せられた。中山間地域と いう特性は過疎化、あるいはさまざまな交通状況などによって効率的な事業運営が非常に困難であ る。こうしたことから、事実上、事業者の参入がほとんどストップしている。これが現状であり、 サービスの提供に支障を来しているわけであるので、こうしたところへも平等にサービスが提供で きるようにするためには、現在の特別地域加算の内容を更により充実させていきたい。また、それ が必要だと考えているところである。これも特に意見が多かった点であるので、あえて触れさせて いただいた。  先ほど申し上げたとおり、都道府県からいろいろと調査を行い、全都道府県から出てきたものの エッセンスである。今後、この分科会を含め、今回の報酬の見直しなども含めて議論を進めていた だく中では、是非とも今日は一々取り上げはしないが、ここで取りまとめたものを御採用いただき、 御考慮いただきたいと思っているところである。 (大森分科会長)  では、武久さん、どうぞ。 (武久委員)  要望書を出している。特に目立つように1枚にしてグリーンにしているので、わかりやすいかと 思う。  介護療養型医療施設について要望する。全般的には、先ほど3%というのが前日来、どこか天の 声から挙がってきたが、3%はちょっと無理ではないかと思っている。以下、介護療養型医療施設 について要望する。  介護療養型医療施設は3年後になくなるというような政策決定がなされているからと言って、ど うせなくなるのだからどうでもいいじゃないかというお考えだったら、これはちょっと困るのでは ないかと思う。  というのは、3年間というのは非常に長いし、その後については私は何とも言わないが、非常に 重要な役割を担っている。更には、この3年間で介護療養型医療施設について、よりその責任を果 たしていくような政策決定がなされるべきではないかと思う。  と申すのは、介護療養型医療施設がほかの2つの施設と違うところは、これは病院である。病院 というところは、病気の人が入って治療をして治して退院していただくというのが大きな機能であ る。その機能を十分果たすことによって、やはりこの施設は必要なのだということが皆さんに御理 解を賜われるのではないかと思うし、またそのようにより病院らしく介護を伴って重度の医療が必 要な人をちゃんと見ているんだというインセンティブがあるような今回の報酬改定を望みたいとい うことである。  1番、救急難民が非常に問題になっている。10月の初めに我々も資料を出したが、救急が増えて おり、特に高齢者の軽症、中等症の方が増えているというのは事実である。これはどういうことか というと、どんどん療養病床を減らして介護施設や在宅へシフトしていくと、そこではお医者さん も看護婦さんも夜間はいないために、寮母さんが急変のときにすぐ救急車を呼んで、二次救急は受 け取ってもらえずに三次救急に行ってしまうというような事態が現実に多発している。  そういうことで、そういうところからの依頼で救急搬送があった次の日でもいいから、これは救 急病院で診るよりは介護療養型医療施設で診てくれという依頼があったときには、それは急性期受 託加算というものを付けた方が、救命救急及び急性期病院からの患者のシフトにつながり、ひいて は世の中の救急難民、たらい回しというものが少しずつ減ることのお手伝いができるのではないか。  2番は、同じように在宅や、こういうところにいる方が急に悪くなったときに何も救命救急セン ターに行かなくても嚥下性肺炎や尿路感染症、いろいろな高齢者特有の慢性期の病気があるが、そ ういうものを喜んで引き受けた場合に評価をしたらどうか。  これについては、前にも提出したアンケート調査によると、介護療養型医療施設は非常に重度の 利用者を入所、入院させている。そういうことから考えて、積極的にこのような社会的責任を担っ ている病院としての介護療養型医療施設を適正に評価していただきたい。すなわち、特養や老健で は、一部ではMRSAや経管栄養や医療やいろいろな糖尿病とか、そういうものを忌避する傾向が あるが、それらをすべて病院としての介護療養型医療施設では引き受けているということをお考え いただきたいと思う。  また、3番だが、よくした場合に評価をする。頑張っているところを評価するという意味で、こ の3番は回復期リハ病棟における診療の質ということを同様に入れていただけたらということで入 れた。  4番は、実は認知症についてだが、認知症の治療のために入院するのではなしに、高度の認知症 の人が肺炎になったり、いろいろな病気を合併する場合がある。そうすると、点滴一つするのでも 大変な手間がかかるということで、こういう患者さんもやはり治療をしている病院としての介護療 養型医療施設だから、これについては評価してほしい。  それからまた、方向性としては個室プライバシーというか、これから高齢者になる方はなかなか 4人部屋、6人部屋、8人部屋というようなところで長期療養に我慢できるような人たちが増える とは思わないので、介護療養型医療施設でのユニットケアというのは非常に少いが、こういうこと は増やしていくというインセンティブを評価していただけたらと思っている。  それから、「介護保険施設の現状について」という資料の8ページだが、介護職員が実に2倍ほど 法定より多いということ、これは6:1、6:1という標準に比べて倍も多いのに何とかやってい る。そして、高度な医療や介護を行っているという現状であるし、また同じく11ページには医師が 標準法定人員より2.5人も多いという現状もある。これは、押し寄せる重度の医療の必要な、また 介護と医療が両方必要な患者さんに対して適切な医療を行うためにどうしても必要だということか らである。  また、13ページにもリハのPT、OT、STも他の施設に比べて明らかに多く配属している。そ のように、医療の必要な要介護の人たちの入院施設としては非常に適切な病院ではないかと思って いるので、たとえ3年後になくなるという政策決定が行われているにしても、この3年間に対して はまじめにきちんとその責務を果たしている病院に対しては評価をするべきではないかと思ってい る。  また、栄養マネジメントについては非常にたくさん算定しているが、各病棟に1人の管理栄養士 を置くには非常に点数が低い。栄養マネジメントを行い非常によくなった患者さんはたくさんいる。 実に病院でも40%から50%の入院中の半分近くが低栄養だというデータも出ており、この改善こそ が要介護、また症状の改善に非常に大きいということだが、栄養マネジメントは評価が低いので是 非高くしていただきたい。また、このマネジメントの計画に沿った調理を行う面も非常に手間がか かっているという現状である。  それから、皆さんおっしゃれていたが、口腔対策としての歯科衛生士である。これは、病棟に1 人配属すると肺炎が激減する。私もそういう実感を持っている。実際にデータも出ているので、そ れらについて担当部局が評価するというお考えを示していただいたことは非常に評価いたしたいと 思う。  以上である。   (大森分科会長)  先ほど課長から指摘があったように、3年後に廃止するから今回はこれについて何も手をかけな いということはない。だから、この資料が出てきている。  ただし、全体として検討させていただいて、この療養施設についても改善できる点は改善すると いうことだが、もう決まっているとは揺るがさない。しかし、その間についてここだけが無視され ているというふうには私も思わないし、多分老健局もそう思っていないので、検討させていただく ということである。  では、沖藤さんどうぞ。 (沖藤委員)  簡単な質問と意見とをお願いする。  まず特別養護老人ホームについて、夜勤の状況が報告されている。9ページだ、この夜勤につい ては夜勤単独の施設もあるのだろうが、特養と併設しているショートステイもあるわけで、併設さ れているショートステイの場合は特養の夜勤の計算の中に入っているのかどうかということをまず 1点お尋ねしたいと思う。  更に、この夜勤の不安、大変さ、そういうものに対して今後どういう対応をしていこうという試 案でも何かあればお伺いしたいと思う。特養が第1点である。  それから、老人保健施設について、5ページ、6ページ、7ページ等々に回数が出ていて、その 前の4ページには算定割合というものが出ているが、5ページ、6ページ、7ページに至ると算定 割合というものが出ていない。その数字を、是非教えていただきたいと思う。  また、老人保健施設の7ページのところに退所者の状況というものが出ている。退所者が1万 5,982人いるというのだが、「うち家庭へ」というのが5,274人になっている。その下の赤線以下の 「うち」、「うち」となる、その「うち」が、うち家庭へ帰った人のうち介護老人保健施設なのか、 退所者のうち介護老人保健施設なのか。この「うち」の意味というものを解説してほしいと思う。  それから、合計しても1万5,982人にはならないわけで、その差の1万人弱の方はどこへ一体退 所なさっているのかということを知りたいと思う。  そして、ここからは意見だが、家庭への復帰というのは多くの利用者にとって喜ばしい反面、悩 ましい問題もある。というのは、私が再三この分科会において訪問介護の状況について意見書を出 しているが、この場で発言しないと主な意見に載らないということで改めて主な意見に入れていた だきたいので発言させていただくと、やはり暮らしを支える生活援助が06年の改正以降、極端に運 営基準の中で制限されてきている。そういうようなことも家庭復帰を妨げている要因になるのでは ないか。  また、生活援助が非常に使いにくい。単に使いにくいだけではなくて、時間制限が行われていて、 復帰してきた人を十分に支え切れるサービスになっていない。更に、現場裁量は認められていない ので、非常に窮屈な介護サービスの提供の仕方になっている。  また、通院支援というものが厳しく制限されており、特に院内介助などでは通院できない。私は 通院難民と言っているが、そういう方々が出ているときに、家庭復帰を言われた家族の狼狽、困惑 というのはいかなるものかと思う。  また、家庭復帰をしてきた家族を守るためには散歩なども重要だが、それがなかなか家族の状況 によってでき切れない。そうすると、せっかく老健施設さんでよくしてくださったのに、家庭復帰 した途端に身体症状が非常にダウンするというようなこともある。  そういうさまざまな家族の不安や、特別な日時、土日に何かあったらどうしようとか、そういう ことも含め、更にホームヘルパーの待遇改善も含め、家庭復帰を促進させる場合の対策について、 私は非常にこの訪問介護の充実が重要だと思っているが、余り制度的に重視されていないのではな いかというような思いがある。その点についても、お考えがあれば聞かせていただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  御質問があったので、その点についてお願いする。 (菱田計画課長)  最初に御質問いただいた特別養護老人ホームと併設されているショートの夜勤の基準というか、 体制である。併設の場合は特養の資料の9ページに夜勤のグラフを載せているが、従来型施設はお おむね先ほど申しました25人当たり1人という基準であるが、特養本体と、それから併設ショート の定員を合わせて合計数に対してこの基準を適用するということにしている。単独の場合は、単独 でこの基準が適用されている。 (沖藤委員)  特にショートステイの夜勤の場合はリロケーションの影響があって、夜勤が今の基準ではできな いと言われているくらい大変な状況に夜間はなっていると思うが、その点について何らか今後加算 するとか、余分な人員配置を付けるとか、お考えがあるようでしたら聞かせていただきたいと思う。 (菱田計画課長)  今、主に特養とか老健施設の夜勤については議論をしているが、ショートについても合わせて検 討させていただきたいと思う。 (鈴木老人保健課長)  具体的に老人保健施設の数字についてお尋ねがあった。5ページ目、6ページ目、7ページ目で 割合をということであるので、これは1回算定か、1日算定かとかいろいろ関係があるので、クリ アに割合が出るかどうかはちょっとわからないが、調べて次回までに資料を出させていただきたい と思う。 (沖藤委員)  わかった。 (鈴木老人保健課長)  それから、7ページ目の下のグラフである。これはちょっと見にくくて恐縮だが、退所者のうち 家庭、それから並列してうち施設で、それぞれ並列しているということで、この中で足りない部分 がある。これは全部足しても1万5,982にならない。  これは、お手数だが参考資料の1をごらんいただきたいと思う。「介護保険施設の現状について」 というものである。これの6ページをごらんいただければと思う。下の方だが、老人保健施設の場 合、どこから来られてどこに出られるかということを書いたものであるが、家庭が33%、先ほど申 し上げたような特養に行く場合云々というものがあるか、実は医療機関に行く場合が43.3%である。 こちらはパーセントでこちら側が人数なのでちょっと単純には比較できないが、沖藤委員が御指摘 の大部分、ここに書いていない部分については医療機関にいっている部分が多いということである。 (大森分科会長)  沖藤さん、いかがか。 (沖藤委員)  家庭復帰とほとんど同じくらいの人たちが医療機関に行くということは、家庭で介護できないと いう現状があるということと、先ほど川合委員が地域のケアが大事だと言われていたが、その地域 のケアというものが家族にとっては見えない。家族もでき切れない。訪問介護は制限されている。 こういう状態の中で医療機関に流れていくと言ったら失礼だけれども、そちらを求められて行くの は当然のことではないかという思いがする。  以上である。   (川合委員)  老人保健施設のことについて沖藤委員から御発言があったので、まさしく的を射た御発言に感謝 する。  我々の家庭復帰率に関しては、各保険者から数年に1回実地指導ということで全施設に回ってく るが、そこで言われることは何かというと、前回申したかと思うが、入退判定委員会を3か月に1 度、これは法令で決まったことで、それを記録として残しているが、それが大体3枚以上重なると、 なぜ退所できないのかというようなことを保険者から指導されるという現実を御理解いただきたい。  我々は帰っていただきたいけれども、受け入れ先がないのだ。そういうような現状を、単に実地 指導の紙の枚数でもって、この老人保健施設は努力が足りないというふうな表現をされる保険者の 方々には、十分この認識をしていただきたいと思う。我々は地域と連携をして存続できる施設だと 思っている。 (大森分科会長)  それでは、齊藤さんどうぞ。 (齊藤委員)  資料1で幾つかお尋ねをしたいと思う。  資料1の13ページの「具体的な論点」、老人福祉施設に関することだが、看護職員の手厚い配置 という言葉が幾つか出ていたが、この中には夜勤の基準を上回る評価について入っているのか、い ないのか、お尋ねをしたい。  というのは、老健の方では今回この資料の中に夜勤の基準を上回る配置についての評価をしては どうかということなので、老人福祉施設にも同じような状況があるのではないか。この読取りが、 それでできるのかどうかということを一点お尋ねしたいと思う。  それから、同じ13ページの(2)のところで、看取り加算と重度化加算の要件のことについて「要件 を統合する」という表現があるが、これはどういうふうに理解していいのか。ちょっとよくわから ないから、少し補足をしていただければと思う。  申し上げたいことは、加算が取りにくくなるのか、取りやすくなるのか。「要件の統合」という中 でどういうことが考えられるのか。できれば、それは加算が取りにくくなるのではなくて取りやす くすべきものではないかという趣旨で申し上げておきたいと思う。  それから、同じペーパーの(5)の中で地域密着型の老人福祉施設についての報酬上の対応を考えて みたらどうか。これは小規模型のことであるが、実態調査の中で同じように50人規模のところも大 変苦戦をしておられる実態があり、規模の拡大をすることによってそれが改善するのではないかと いう見通しもある。地域密着のことは非常に注視をされているが、50人の部分の苦戦をされている ところについてはどういうふうにお考えになっているのか。  中田委員の資料の中にも、やはり50人定員のところの規模拡大が可能なような方向の御指導があ っていいのではないかということがあったので、私どもとしても今、多くの待機者がいるという前 提の中で、既存の施設が規模拡大によってそれが可能であれば有効な方向に機能し得るのではない か。その辺のことが気になり、質問も合わせて御意見を申し上げた次第である。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、お答えいただきたい。 (菱田計画課長)  3点御質問をいただいた。  まず1点目の介護職員の夜勤の話である。参考資料1の11ページにあるが、看護職員の夜勤につ いては先ほどの中田委員の意見書の方にも項目としては入っているが、まず現時点で最低基準とし て介護老人福祉施設の看護職員については、例えばそこで書いてあるように入所者100人に対して は3人というような基準になっている。  ちなみに、介護老人保健施設の方はこの基準だと例えば100人だと9人ということで、施設の性 格もあり老人保健施設の方がもともと看護職員の配置が手厚いという中で、夜勤に対しても看護職 員がある程度配置されているケースが高いという状況がある。  これによって、現在特別養護老人ホームにおいては看護職員が夜勤まで回っていない施設がほと んどであると認識している。その中で医療的ニーズが高まっているので、まずは夜勤まで評価する かという以前に、看護職員を最低基準は見直さないまでも、多く配置しておられるところについて、 ある程度加算で評価してはどうかということを今、考えているということを申し上げたわけである。  それから、2番目の看取り介護の要件統合の話であるが、資料1の7ページをごらんいただきた いと思う。その表の真ん中辺りに5つほど項目があり、「看取りに関する指針等を定めていない」と か、5つくらい項目がある。これは、現在重度化対応加算の中でこのとおりの文言ではないが、要 は看取りに関する指針を定めるとか、もしくは職員研修を行うとか、そのための個室を確保すると か、そういう看取り介護加算を取るための前提となる体制を特養の方で取ってくださいということ を重度化対応加算の要件に入れている。  その結果として、その下の表であるが、看取りに関する要件のみが達成できないために、常勤の 看護師さんがいらっしゃるにもかかわらず重度化対応加算が取れていないという施設が前回のアン ケートで254施設、常勤看護師さんがいて、かつ重度化対応加算を取っていない施設全体のうち3 割くらいあったということである。  この要件は、看取り介護加算の方にそのまま持っていけば、看取り介護加算の方の用件としては 従前と変わらないので重くはならない。こちらの方は、重度化対応加算を今後看護体制の見直しの 方でどういうふうに変えていくかという話はあるが、少なくとも重度化対応加算というレベルでい ったとしても、取りにくくなるよりむしろ取りやすくなるという方向で検討しているということで ある。  それから、3つ目に50人規模の特養の話があった。これは、経営実態調査上マイナス8%という ことになっており、我々もいろいろ考えているが、なかなか細かいところまでの分析を詳しく行う のは難しい部分がある。  ただ、マイナスであることを問題視していないという意味ではないが、他方でいろいろ分析して いくと、より規模の小さい30人規模の特養よりも50人規模の特養の方が実態調査によると入所者 1人当たりの支出が多い。要は、規模が小さい方が当然経営は厳しくなると思っているが、今回の 実態調査によるとその30人規模の施設よりも減価償却費だとかその他費用、これは委託費とか給食 材料費とか、そういうものであるが、そういうものの1人当たりコストが30人規模よりも多いとい うような数字もある。  やや歴史的な経緯もあるとは思うが、施設側の御努力をいただける面もあるのではないかと思っ ており、そこは地域密着の方はやはり29人以下であえて町中につくっていただくという新たなカテ ゴリーとしてつくらせていただいたので、そこはある程度小規模前提でやっており、50人規模につ いても何らかのことを考えなければならないかなと思わないでもないが、地域密着と同じにはなら ないということである。  それから、それに絡めて規模の拡大をということだが、規模の拡大については、厚生労働省とし て、それは経営の効率化も含めてやっていただくことについて、何ら止めているとか、そういう状 況はない。  ただ、特別養護老人ホームをどの地域でどの程度の施設を新たにつくるのか。もしくは、増設を するのかということについて、基本的には全部都道府県の判断、地域密着型の場合は市町村である が、それを含めて全体の地域ごとの配分等を含めて県の判断になっており、県の方でその地域にそ れだけの規模の増床をするかどうかということは判断していただくことになっているので、そこは 我々として増やすべきとか、増やすべきではないとかということを一義的に県に指導申し上げる立 場にはないと思っている。 (中田委員)  先ほどの夜勤の看護職員体制だが、特養は100名で基準配置が3名である。それで、50名施設が 圧倒的に多い。半分以上が50名施設ということで、実態としては2名である。そういう状況の中で、 なかなか回らないという実態があるものだから、従来ともに重度化対応加算というような形でオン コール体制だとか、そういうところで対応したいということでお願いした経緯がある。  それからもう一点は、看取りと重度化対応加算との関係である。私は加算は取りやすくなるとい うことで理解しているので、是非この辺はお願いしたい。  それから、最後の点であるが、50名施設が先回の調査結果でマイナス8%と大変厳しい状況が出 た。やはり、スケールメリットもあるということだと思うし、ニーズが大きいということもあるの で、是非この50名施設に対する増築、増床というようなことも我々は調査し、かなりの数でそうい うニーズが経営者の方から出ているので、今後ともお願いしてまいりたいと思っている。よろしく お願いする。 (大森分科会長)  それでは、勝田さんどうぞ。 (勝田委員)  利用者の立場として施設をどう考えていくかということだが、特に認知症の場合、早期発見から 安らかな死を看取りまでということで切れ目のない支援が欲しいということは本当に毎回申し上げ ていることだが、まず先ほど川合委員や中田委員からおっしゃったように、やはり施設入所を選ぶ かどうかというのは介護家族や本人にとっても大きな選択の一つである。  特に入所の場合、やはり看取りまでというときには、特に特養さんの場合は6割に至る。その施 設で亡くなられる方が6割だ。老健さんについては、本来は在宅復帰だが、御家族の希望でという ことも含めて年々そういう看取りが増えているという現実がある中で、やはりそういうような体制 をしっかり介護報酬上もしていただくということがとても大切かと思う。  ただ、一方では、例えば老健ではいまだに私たち介護家族の側から薬を服用しているということ を理由に入所を断られるとか、これは施設側に問題があるのではなくて、今の医療と介護との連携 の中でのものではないか。やはり丸めではなくて、医療は医療としてきちんとどこに入ろうと受け られるものはしっかり受けられるような整備にしていただきたい。  それから、先ほどもおっしゃったが、口腔ケアや栄養加算などについては、特に口腔ケアについ ては在宅でもきちんと指導があるかどうかによっては、肺炎を併発しないとかということでは本当 にこれは大きな力を持っていると思っているが、人材の確保がなかなかできないということをおっ しゃられる。歯科医師会の担当の委員もいらっしゃられるが、地域にある開業医さん、歯科医院の 歯科衛生士さんとの連携とかをもう少し何か誘導できないのか。  これは、特に在宅にとっても指導なり、それからホームでは逆に食べかす、残さが多いとか、プ ラークが残っているというのはやはりブラッシングの問題があるのではないか。そこら辺の指導を もう少しきめ細やかにやっていただきたいということと同時に、それに対するきちんとした人材の 確保もしていただきたいと思う。  それから、最後になるが、やはり3年後に廃止が決まっているということだが、今ほど計画課長 さんがそれぞれの県の、特に特養さんなり、それから療養型の医療につきましては廃止が決まって いるとはいえ、各県のそれぞれに任せているんだとおっしゃったが、やはり私たちにとってはどこ へいくのか、どこへ受け入れてもらえるのかということが明確にならないと、とても不安である。 そういうことも関知しないということではなくて、やはり御指導されるのはこちらの方でもあるし、 各県の福祉計画が今、出される中で、それを本当に全部廃止されて受け皿がきちんとできるのか。 本当に介護難民は出ないのか。その不安は、私たちにはものすごく大きいものである。  それに対して、各県の計画にただゆだねているというようなことで、今、計画課長さんが関知し ないのだというふうにおっしゃったことについては、これはそればかりではなくて特養の増床も含 めて、もちろん保険者の問題もあるかとは思うが、もう少し連携をとりながら明確に私たち利用者 にとってわかるようにやっていただきたい。  最後になるが、介護報酬5%アップということで、これは本当に大切なことだと思う。ただ、そ の場合に私たち利用者側の限度額を同時に上げていただきたい。限度額を上げなければ、私たち利 用者は利用を手控える。そのことによって重度化するということも懸念されるので、合わせてその ことも御議論いただけたらと思う。 (大森分科会長)  5%アップは決まっていないので。 (勝田委員)  もちろん3%なのだが、希望的に……。 (大森分科会長)  御希望は承る。  それでは、池主さんどうぞ。 (池主委員)  口腔ケアに関する人材の問題が今、出たので、その点だけ述べさせていただきたいと思う。  確かに、衛生士という方々はほとんどが歯科診療所に勤めているという状況の中で、現在職務に はついていないが、ライセンスを持っている方は多数存在するので、ケアマネージャーの方々との 連携等でそういう方を掘り起こして、現状のニーズに対応できるような、歯科医師会としての組織 的な取り組みを考えている。 (大森分科会長)  小川さん、どうぞ。 (小川参考人)  手違いがあり、本日皆様方と同じように資料、要望書を提出する手はずで考えていたが、提出が できなかったので、できれば次回にでも資料の方は提出をしたいと考えている。  それでは、私の方は少しこれまで皆様方から出た議論も踏まえ、施設におけるサービスについて 少し問題提起をしたいと思っている。看護・介護職員3対1ということが度々出ているが、実際に その3対1というのは1人の看護・介護職員が3人の入所者をケアする体制ではない。実際には看 護職員は1週間40時間しか働けないし、また年次有給休暇や研修等もあり、1週間40時間を働く というのは難しい。入所者の方は、24時間365日対応するということなので、実際にケアができる のは1人の看護・介護職員が15人で、夜間においては先ほどから2人とか3人とかという話が出て いたが、そのように3対1という基準があっても実際にはそのようなサービスは受けていない。  そのような意味で、私は入所者や利用者、あるいは家族の立場に立って考えると、このような3 対1という表記の仕方は改めるべきではないかと思っている。実際に、利用者や家族がどういうケ アを受けているのかというのがわかるように、日中であれば1人の職員が10人の方をケアしている。 あるいは、夜間においては2人の体制で行っている。  また、先ほどキャリアアップの話が出ていたが、看護職員の方も丸めて看護職員というふうに言 われているが、実際は国家試験を受けて国家登録、国、厚生労働省に登録を受ける看護師と、都道 府県に登録をする准看護師とに分かれている。国家試験に合格する看護師と、都道府県登録の准看 護師がごっちゃになって議論されているので、利用者や家族の立場から見るとだれにサービスを受 けているのかがわからない。  あるいは、先ほどキャリアアップの話があったが、准看護師の皆さん方も進学コースに行ったり、 通信制を受けたり、看護師の資格を取ろうと頑張っている。看護師からサービスを受けているのか、 准看護師からサービスを受けているのか。参考資料の1の10ページでは看護職員というふうに丸め ているが、利用者や家族の立場から考えればどのような方からサービスを受けているのかがきちん とわかるように考えていくべきだと思っている。  資料1の4ページに、実は看護・介護職員の配置の状況がある。ユニット型施設でも2対1であ る。実際の配置で考えると、10対1ということになるのだろうか。既に2対1という施設が現にあ る。ここはきちんと評価をすべきである。  ちなみに、診療報酬の世界では3対1、2対1という入院区分がある。これまでは重度化対応加 算ということで、加算で評価をしていくということで考えてきていたが、これまでの重度化対応加 算をめぐる経過措置の問題を考えると、加算での対応というのはインセンティブが働かなかったの ではないかと私は思っている。めり張りのある対応を考えていって、質の高いサービスを提供して いく。そして、体制がきちんと設けられていく。あるいは、准看護師ではなくて看護師も配置がさ れていく。加算評価ではなくて、新たな2対1のようなところをきちんと評価をしていく。そのめ り張りのある対応が入所者の皆さん方、あるいは家族の皆さん方の安心や、あるいは介護の職員の 方の看取りに対する不安を払拭していくことにつながっていくのではないかと私は考える。  加算が取れやすくするという議論もあったが、加算というのはあくまでも手段である。目的は、 看取りが安心してできるような体制をつくっていくことである。だから、手段と目的をはき違えな いように、また重度化対応加算をめぐる問題を教訓にして、よりその体制をとっていくということ についてのインセンティブが働くような仕組みを是非考えていただきたい。  また、訪問看護は一部、がんの末期の方が特養に入れるが、訪問看護ががんの末期以外の方も活 用できるようなことも含めて是非要望をしておきたい。  資料については、また次回提出をさせていただくので、どうぞよろしくお願いする。 (田中(雅)委員)  介護老人保健施設の資料1の方なのだが、この中の9ページの「夜勤の状況」というところで、 実際の介護の職員が深夜や夜勤の時間帯に何か起こるのではないかと不安があるという声が一番出 ているのが入所系の施設だというデータがある。  その上に、特養の夜勤の勤務状況ということで、それぞれ基準を上回っているということが資料 として出ているが、実際に25人以下では基準では2.1人でいいが、それは2.9だとか、出ている。  しかし、このことは夜勤をしている職員の実際の感覚とはかなり乖離しているのではないかと思 っている。その結果が先ほど言ったように、平成20年度7月に報告された介護労働安定センターの アンケート調査の結果だと思っている。  そうであるならば、この資料の出し方だが、夜勤というものの勤務状況の2.9あるいは2.7、4.1 というカウントの仕方をどのようにされたのかについて、まず説明いただきたい。  実際に私自身も施設に退職間際まで勤務していたが、事業者によっていろいろな夜勤の勤務時間 帯がある。あるところでは夜間の20時に職場に入り、次の日の9時半まで拘束されている。その間 の実際に介護に従事しなければいけない時間帯が12時間だから、当然1.5時間の休憩というか、勤 務をしない時間がある。  その1.5時間は例えば記録の整理だとかに追われてしまってほとんど仮眠も取れない状況だとい う声も寄せられているし、16時間の拘束があってうち12時間労働をしていて、4時間においても ほとんど休憩が取れないとか、多くの従事者の声の実際だと思っている。そうであるならば、おっ しゃったようにこのデータにあるように、基準を上回っている職員がいるというだけでは評価につ ながらないのではないかというのが1つあり、それについて説明願いたい。  合わせてもう一つ、これまでも介護福祉士の配置割合に対する報酬上の評価ということで多くの 委員から意見を出されているし、また私どももやはり介護福祉士の配置割合に対する評価というこ とをお願いしたいと思っているが、その際に施設における報酬の在り方について少し御提案してい きたいと思っている。  介護労働を魅力あるものにするために、また適切な介護サービスの提供という観点や、あるいは 介護労働のより安全、かつゆとりあるサービスを提供するということでは、現行の人員配置基準が 見直されることは当然必要であると思っているが、その際、グループホームや小規模多機能型の居 宅介護、あるいは特定施設等を含めて、新たに施設サービス利用者に対する介護福祉士の配置を定 めた基準介護という仕組みを創設すべきではないかと提案させていただく。  なお、その場合、重度化に対応すると加算が必要な場合については基準介護の類型化によって対 応し、介護報酬上、適切に評価することも可能になると考えておりますので、是非そういった考え があることについても少し御検討いただければと願っている。先ほど冒頭に申し上げたように、現 場にいる者の実際の介護労働に対する不安というのは、単に看護師がいない不安ではなくて、25人 あるいはマックスは30人ですから、1人で30人の方々をほとんど寝ないで、あるいは休憩も取ら ないで診ることに対する労働上の問題である。  また、私ども日本介護福祉士会会員からは、労働三法の遵守をという声がアンケートで挙がって いるので、報酬上のことも大事であるが、そういった実態についても是非調査することを検討いた だければと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  御質問があったことについてお願いする。 (土生振興課長)  御質問があったここの調査の原点であるが、厚生労働省の統計情報部で行っている介護サービス 施設事業者調査というものがある。これは、まだ最新が18年の結果であるが、そこにおいて夜間、 深夜時間帯における勤務体制ということで、各事業所から特に時間を限定していないが、夜間及び 深夜の時間帯における勤務者数を記入していただきたいという中に介護職員何人、看護職員何人と いう数のデータを提供させていただいた。 (大森分科会長)  そうすると若干、今のような解釈がずれたものを含めてこの資料ができているという回答である が。そういうことになるのか。  一言あればどうぞ。 (田中(雅)委員)  解釈がずれているということになるのかもしれないが、だけど、先ほど言ったように、では国が 定めるところの夜勤というのは何時から何時なのか。  先ほど言ったように、夜勤の時間帯というのは私ども現場にいる者としては、夜勤に入るという ことで、例えば看護師の場合は明確である。準夜勤は何時から何時となっているが、介護職員の場 合、多くは変則2交替制の夜勤で、そこにおける実状という問題は先ほど言ったが、この資料にあ る人員基準における位置づけというのは何時から何時で何名に対して1なのか。それをちょっと明 確に説明してほしい。私も長く施設で働きながらその間のことを明確に説明された経験が一度もな いものだから。 (大森分科会長)  施設の方々にお伺いした方が実態に近いのではないか。施設で夜勤と言うのはいつからいつまで のことで、大体職員がいろいろやっておられるか。それをお聞きした方がいいのではないか。 (鈴木老人保健課長)   もう一度確認をしてから申し上げたいと思うが、一般的な考え方としては各施設でいわゆる昼間 帯、昼間の時間帯というのを決めている。それは9時から5時の場合もあるし、8時半から何時と、 施設によって違うので、それ以外の部分については準夜帯であれ、深夜帯であれ、昼間ではない時 間帯ということであり、そこにどのくらい実際の雇用条件として常勤として配置していくかという ことである。  今、資料の方が出てきたが、夜勤時間帯というのは午後10時から翌日の午前5時までを含めたも のだから、前に出たり、後ろに出たり、各施設であると思うが、16時間帯ということで、逆に言う と8時間は昼間の時間帯で、あとは各施設の状況で前後にずれるということだと思う。 (大森分科会長)  そういうことだそうだが、どこかにそれは定まっているのか。それは何か。 (鈴木老人保健課長)  報酬の告示である。 (大森分科会長)  そういうことである。 (田中(雅)委員)  そうであれば、資料のアンケートにあるように4.9人を配置していたら不安という言葉は出てこ ないのではないか。先ほど言ったように看護職員がいないから不安が解消されるものではなくて、 老健のデータが出ていないから何とも言えないが、特養に関しては資料には看護職員がいないから 不安につながるという明確な説明ではあるが。  この資料からは、夜勤帯の不安の原因、看護職員がいないからだ。だから、その配置についてで 考えようということもおっしゃることはわかるが、先ほど言ったような実状と介護職員の不安につ いて今回の議論の中で全然触れられなくて、看護職員を配置した場合には加算という形で対応すれ ばいいだろうという特養の方の具体的な論点が示されているが、介護職員の不安の解消にはつなが らないのではないか。  要するに、仮に看護職員の方が夜勤に入られたとしたら、看護の方々の数は老健と同じくらい必 要になってくるのではないかと私は思うし、一方では生活介護というものは当然ついて回るから、 介護職員は当然いなければならない、介護老人福祉施設における介護職員の夜勤の困難性に関する 評価の問題だろうが。夜勤に関することが一切触れられていないこと自体、ちょっと理解し難い。 それは実際に働いている介護職員にとっても、夜勤帯に対して見直しをということを言っているわ けだから、その辺りを少し考えていただければと思っている。 (大森分科会長)  施設の最大の特色は、そこでずっとおられるのだから、普通に考えたら夜にこんなに不安が起こ るというのは変である。当たり前のことで、何が起こるかわからないから施設で皆サービスを受け ている。  だから、そのことについて今の問題提起だが、こういう不安が出てくるというのは、もともとこ ういう不安がないように施設に入っていなきゃいけないのにと私などは思うので、議論がやや空中 戦ではないかと思っているので、少し整理をしていただくということにしよう。  では、今のことならば一言お願いする。 (小川参考人)  今のことで、夜間の問題もそうだが、特別養護老人ホームは医師が勤務していないので、看護職 員も実は不安である。どういうところで医師の診察を必要とするのかどうかというところとか、看 取りをやっていて、いわゆる看取りであるのか、あるいは肺炎で実は急性期の病気で、これは医療 機関に受診しなければいけないのか。その判断をきちんとするのは看護職員も不安だと、我々の調 査ではそういう結果が出ている。  そういう意味では、准看ではなくてやはり看護師の人、あるいは複数で対応することが必要だと 思っている。 (大森分科会長)  その看護師さんあるいは准看護師さんの関係についてどういうふうに体制を整えればいいかとい う話なので、必ずしも看護師さんと准看護師さんの区別の問題だけではないのではないでないか。 皆さん方が御主張されるのは、私はよく理解した上なのだが、全体が連携の仕組みの話にどこかに なるのではないかと思う。  では、村川さんどうぞ。 (村川委員)  3点申し上げたいと思う。  事務局からの説明、各委員の御意見を踏まえて、まず第1点は特別養護老人ホームにおける重度 化対応、そして介護福祉士の多数の配置といったことを踏まえた質の高い介護体制を軸とした加算 などの整備ということは極めて重要であると思っている。  2点目としては、介護老人保健施設におけるリハビリテーション関係等の加算など、適切な見直 しと、更に失語症のある方などへの言語聴覚士の配置などである。これは医療施設にも関連するが、 そうしたことは是非進めるべきことではないかと思っている。  また、御意見もあったような医療施設における救急病院からの紹介ケースへの対応など、やはり 総合的に考えてみて対応すべきところでないかという気がしているが、最後に概括的にこうした今 後の施設サービスに関わる改定ということをとらえていった場合、実は私は先ほどの神田知事さん の御発言というか、おまとめいだいた全国知事会の御提言というのは非常に今回の報酬改定、取り 分け介護人材確保に係る全般的な踏まえるべき事柄をよくおまとめいただいているなという感想を 持ちつつ、特にこれは都道府県というお立場が国とともに施設給付における非常に重要な役割があ るということもあるから、それだけに私は重視すべきではないかと思っているところである。  その中には、有資格者の雇用を評価した報酬改定を始めとする非常に重要な御提言が含まれてい るので、是非こういった流れというものを国の方でも受け止めていただくということは非常に重要 ではないかと思っているところである。  そういう意味では、都道府県がこれだけの大きな御提言をまとめているわけであるが、私もこの 介護保険制度がスタートした時点で、たしか国はゴールドプラン21というものの明確なメッセージ を出された。それは、基本的に第1期から第2期にかけての2004年度でひと区切りとなり、改めて 私は国としては人材ということも含めて介護サービス、そして人材確保21と、これはちょっと私の 思い付きではあるが、何かそういうようなメッセージを発信しつつ、今回の施設、更に居宅の報酬 改定を進めていただきたいという気がする。  先ほど、小川参考人からの御発言もあったが、改めて今日御提示いただいた資料の中の、特に資 料1の4ページである。これは直接的には介護老人福祉施設の関係であるが、今日ユニット型のケ アが推進される中で、実質的におおむね2対1という配置状況があり、また現場の御努力の中で従 来型においてもおおむね2.4対1という配置があり、また川合委員からも度々御紹介があったが、 介護老人保健施設においても実情に沿った運用をなさっているという時代でもある。  そういったところをのみ込むとすれば、一つの検討課題として現行の3対1という基準について はおおむね2.5対1というような事柄も含めて検討すべき段階に入りつつあるのではないか。これ は介護保険法が施行されて間もなく10年という大きな節目にかかるときでもあるので、そういう事 柄について考え方をまとめて、またそれを新たに発信していただくことが重要ではないかと思って いる。  たとえ言葉というのは誤解を生むおそれもあるが、昔から「衣食足りて礼節を知る」ということ があるが、この介護サービスにおいてはやはり介護職員の賃金水準の確保と人的な確保、これを固 めてこそやはり質の高い介護ということが現実化するというふうに総論的にはとらえているので、 非常に詳細部分では事務局として御努力いただいているわけであり、そうした方向を是非推進して いただきたいと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、小島さんどうぞ。 (小島委員)  私も、2点ほど発言させていただく。  まず、今回の介護報酬改定の大きな目的、ポイントとしては人材確保にあるのだろうと思ってい る。そういう意味では、この3施設とも論点の中にはキャリアアップにつながる仕組み、それに対 する評価ということが記載されている。やはりそこが一つの大きなポイントになっている。介護福 祉士あるいはOT、PTの配置、介護士、看護師の配置、一定の基準を上回るようなところについ ての評価をするというようなことも共通の課題ではないかと思っている。  2つ目は今、村川委員の方からも指摘されたが、人員配置問題の見直しである。従事者の労働条 件の改善につながれば、結果的にサービスの質の向上につながるということで、やはり大きなポイ ントだろうと思う。  3施設の状況と、利用者の方について今は中重度者の比率が高まっている。これは、在宅サービ スの充実と相まって、施設入居者の中重度者が増えてくるということは当然の話である。そういう 意味では、当初想定した現行の配置基準でいいかどうか。これはやはり見直しの時期にきているの ではないかと思う。  そういう意味では、現実的にも各施設とも現在の配置基準以上の人員配置をしているということ なので、これは現在の配置基準そのものを一律に引き上げるかどうかという検討課題、あるいはそ れが難しいとすれば医療保険にあるような、看護師の配置基準によって複数の人員配置基準といっ たことを考えるかどうかということも検討する必要があるのではないかと思っている。  そこまでいかないということであれば、現実的な話では、現在の基準を上回っているところに対 して加算という形で考えるというようなことも合わせて、3つくらい今、選択肢があるのではない かと思っているので、できればそこは一律に引き上げる、あるいは複数の配置基準という形での評 価とするということが必要ではないかと思っている。  それと、これは川合委員も指摘したが、老健施設は当初在宅への中間的な施設という位置付けで あったが、病院等の入院日数が短縮するという状況の中で、医療処置の必要な利用者が増えている ということもあるので、そういう意味では看護職の配置の充実というのは必要だろう。特に夜間の 看護師の義務付けというようなこともやはり必要ではないか。それに対する評価も合わせてここは 検討すべきではないかと思う。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、対馬さんどうぞ。 (対馬委員)  2点ほど申し上げたいと思う。  1点は、前回3%のアップに対して1,200億円、国の方がお出しいただけるということで、初年 度については保険料は出さなくて済むのかなと思ったら、必ずしも我々についてはそうではないと いうことであった。そのこと自体ちょっと理解しかねるが、仮にそうであればなおのことだが、先 ほど神田委員、村川委員、小島委員等が言われた人材、処遇改善についての介護報酬上もできるだ けそういった方向が見えるような形でやっていただければありがたいし、また施設の関係者につい ても格段の御努力をお願いしたいというのが1点である。  それからもう一点は、個別で申し訳ないが、口腔機能の向上の関係で資料4の7ページ目である。 これについても何人かの方からの発言があり、口腔機能の向上というものは極めて重要だというこ とだが、私どもも全くそのこと自体には異論はない。そのとおりだと思う。  ただ、それで今回、左側の方で介護保険についても口腔ケア等については虫歯とか歯周病の治療 とは別途に評価する、ということは、これは私は問題ではないかと思う。今、御承知のとおり、虫 歯なり歯周病の場合、診療所であれ、施設等に行った場合でもこれは単身でやるということは余り ない。清掃、いわゆるブラッシングでありますとか歯石除去、こういったものは一体的に何度かに 分けて、行われることが通常で、これはそういうことだろうと思う。  同じ場所で、サービスをする人もされる人も同じで、しかも同様の行為で、医療保険と介護保険 の両方に請求できるというのは私の理解ではちょっと違うのではと思うが、前回申し上げました居 宅療養管理指導と在宅患者訪問診療料、この関係が一番わかりにくくて、患者さんから問合せが来 て我々は説明するが、「本当か、どうして医療保険と介護保険と両方から請求がくるのか」となる。  今回の歯科疾患についても、虫歯の治療をして、そのときにブラッシングなり、歯石除去なり、 いろいろな助言、アドバイスなりをするとした場合に、両方から請求できるということは、やはり 患者さんは不当請求ではないかと思う。仮にこういったことで、そうではないのだと言ってもなか なか理解が得難いというのは、やや無理からぬところがあるのではないかと思う。  特に歯科診療については、池主さんがおられるが、最近余り虫歯がどうかとか、歯周病がどうか ということではなくて口腔全体を見ていくのだという感じが非常に強く出ており、20年度の改定の ときにもそういった方向でもって整理がなされた。  だから、余り分断化していって虫歯、歯周病、これは医療保険だ。そうではなくて、指導とか口 腔ケアの支援は介護保険だ。これは、ないだろうと思う。医療保険の方も、当然ながら今は計画を つくりながらやっていくということになっている。  したがって、私としては口腔機能向上について異論はないので、そういった医療と介護と同じ行 為をして両方から請求できるという形ではなくて、まさに口腔機能向上で先ほど来、ご意見が出て いることについては単価を上げていくということであるならば全く反対しない。それはそうかと思 うが、今回の整理はちょっと問題であろうと思う。 (鈴木老人保健課長)  ちょっと私の説明が舌足らずだったかもしれない。今、御指摘があった資料4の7ページである が、私どもの方も介護保険と医療保険で同じ行為を同じ場所でされて、ダブルで算定できる。これ は重複算定になってしまう。これは絶対避けるべきだということは間違いない話である。  それで、今回御議論させていただいている口腔機能向上加算というのは、あくまでも歯科クリニ ックの話ではなくて、むしろこの資料で言うと2ページ目にあるようなデイサービスとか、もしく は通リハを行っているところでやった場合にどうかという話が1つある。だから、場所が違うとい うことが1つである。  それからもう一つは、もちろん歯科診療にかかった場合に、その場で口腔機能の清掃をされると いうことはあると思うが、今回の口腔機能向上加算はその場できれいにするということではなくて、 むしろ御自分で歯をきれいにしていただく。口腔内を清掃していただくというところに向けた指導 をきちんとやっていただくということについて評価をさせていただく場合には、これはちょっと医 療保険とは重ならないのではないかということである。  ただ、対馬委員のおっしゃるように、もし重ねがあるとすれば、それは重複があってはならない ということはおっしゃるとおりであるので、そこのところはきちんと整理をした上で考えていきた いと思う。 (対馬委員)  もちろんこれは診療所ではないということは前提の上でのお話であろう。  それから、ブラッシングとか、そういったものは我々が行ってもよく指導をされる。それはそれ で医療保険の中でされているから、やはり今のお話を伺っても少なくとも利用されている方、ない しは患者さんたちにとってはよくわからないなということになるのだろうと私は思う。 (池主委員)  基本的には今、課長のお答えに近似した考え方で、10月30日に意見書を出させていただいてい るが、その中で我々の要望として出した内容をほぼ正面からとらえていただいたことについては感 謝している。  問題は歯科医療の概念の問題なのだが、介護施設で行われるサービスは、歯科医療に直結しない。 施設での口腔機能向上加算、専門職としては衛生士がいくわけである。だからこそ、先ほど勝田委 員がおっしゃったような、口腔のケアに関するが介護保険の中に入っているということに意味があ るのだろうと思う。  要するに、どちらかというと生活の基盤である食というような問題について、本当に多くの方が 悩んでおられることは皆さんもおっしゃって、今日本当に私はこういう御意見が出るとは思わなか ったが、知事会の中田先生、あるいは勝田先生、それから武久先生からもそういう御意見があった。  それは、要するに口腔の問題というのは非常に人間が生きていく上でのベーシックな部分で、ベ ーシックであるからこそ日常生活の中では隠蔽されてしまってその問題が表に出てこない。それは、 やはり医療ではなかなか引き出せないわけで、そこにいくときに何か主訴があって我々は行くわけ である。  だから、介護保険の中でそういう総合的な課題としてとらえてもらうということは、本当に今ま で悩んで、しかもなかなか表に要求として出せない国民の方々がその場で出して、いわゆる対象者 が支援1、2なので、かなり軽いうちにこういう問題に気がつかれて、それが最終的には重度にな ってくれば医療の対応になっていくのだろうが、それが医療の段階において、もう少し重度になっ た段階においても口腔のケアというのは受けられるのだという認識をまず多くの方に持っていただ くのがこの介護施設、リハビリテーション施設における口腔機能向上の一番の役割だと私は思う。  そこが、医療と全く同一視されてカットされてしまうということは、今後の口腔保健の全体から 言っても非常に大きな意味があると思うので、その辺をもう少し御理解いただきたいと考える。 (対馬委員)  カットするのではなくて、今の体系でいいのではないかと思う。 (池主委員)  問題は、重複の部分の解釈である。そこは、検討させていただくことになるのだろうと思うが、 先生のおっしゃるような紛れがないような形を取っていく方向は私たちも全く異存ない。 (大森分科会長)  老人保健課長、もう一言お願いする。 (鈴木老人保健課長)  少なくとも現場の御意見なり、委員の先生方の御意見をお伺いしていると、口腔機能の維持のた めの支援は必要だ。これは多分、合意が得られていると思う。  それからもう一つは、対馬委員がおっしゃったように、医療保険部分と介護保険部分で重なりが あっては絶対だめだ。両方から同じことでお金をもらうというのはだめである。これも間違いない ことである。  その上で、これは給付調整の細かい部分になってしまうので、ここで延々と議論するというより は、むしろ具体的に重なってしまうところがどこで、そこはだめで、重ならないところはどこで、 ここだったらいいだろうという議論を具体的に給付調整の中でやっていくということで、また対馬 委員には個別のことでは御相談したいと思っているが、方向としてはそういうことで整理をさせて いただければと思っている。 (大森分科会長)  では、稲葉さんどうぞ。 (稲葉委員)  口腔機能向上及び栄養改善サービスについてと、それから老健退所後の受け入れ在宅復帰等につ いて、2点お話をさせていただく。  口腔機能向上や栄養改善サービスについては、資料4の5ページの下になかなかサービスの利用 提供が進まない。加算を取る事業所が増えていない理由として幾つか挙げられているが、事業所が 実施しない理由として成功事例の少なさというものも少なからず入っている。  これは、もともと自立支援目的で行われることなので、どのぐらい介護度改善の効果があるのか ということは余り知られていないのではないかと思うので、これについては改善をした事業所に対 する評価と合わせて、もう少し情報の提供などをすればモチベーションが上がるのではないかと考 えている。それが1点である。  それから、老健を退所する際の受け入れ先はさまざまにあるが、なかなか在宅での受け入れに困 難しているというお話も伺う。それで、老健そのものは特養などの入所施設と在宅との中間的な役 割であるが、更に在宅との役割、中間的な機能として、前回までの議論にあった小規模多機能型居 宅介護施設などがある。小規模多機能型居宅介護は、利用率が安定をしなくて収支比率がなかなか 改善しないという話があったので、ここはもう少し積極的な活用を、連携ルートが確立されてくる ともう少し利用される側も無理なく在宅に復帰できるのではないかと思う。  そして、入所系のサービスを除いては唯一、小規模多機能型居宅サービスはケアマネージャーが 内部にいる。在宅に復帰をし、在宅のケアマネージャーが各種のサービスを組み合わせるというこ とではないので、老健の担当者から直接小規模多機能型のケアマネージャーへの連携が今はとりに くい状況なのではないかと思う。  また、活用がうまくいっていない理由として、退所したばかりの方は医療ニーズが高い方と考え られる。つまり、在宅では通院のニーズが高い方であろうということであれば、小規模多機能型居 宅サービスを利用しながら訪問介護の通院等乗降介助などを合わせて利用できるようにすると利用 がしやすくなり、在宅の復帰が安心してできるようになるのではないかと思う。つまり、小規模多 機能型居宅介護の利用率を上げること、そして老健を退所した場合の在宅復帰の安定と、一石二鳥 ではないかと考える。  以上である。   (大森分科会長)  三上さん、どうぞ。 (三上委員)  今回の資料で、それぞれ介護保険3施設の加配の状況を明らかにしていただいたことに感謝する。 そして、これに対して加算なりで評価をする。あるいは、先ほどから出ているように2.5対1なり 2対1という形での新しい類型での評価の仕方をするというようなことで、いずれも人件費に対す る評価ということだが、この人件費の根拠になる数字というのは持っておられるのかどうかをまず 伺いたいと思う。  それから、勝田委員が先ほど利用者の立場で言われたことに賛同するが、老人保健施設での医療 が非常に受けにくいという状況は以前から指摘をされていた。今回、次回に検討される転換老健で は少しそれが緩和されたようだが、どの施設においても適切な医療サービスが受けられるという制 度設計をすべきであると考えるし、この辺についても包括の範囲を考え直していただくということ もひとつお願いしたいと思う。  それから、老人福祉施設で夜勤の間は非常に不安があるといったことがあった。確かに医師が当 直をしていてメディカルコントロール下にあるということで、夜勤の方の安心感というのは大分違 うと思うし、そういう意味では介護療養型医療施設、病院ということで当直医がいるので、そちら の介護療養型医療施設の存在価値ということについても、また見直していただきたいと思う。  それから、介護療養型医療施設が3年後に廃止をされるということで介護難民が起こるのではな いかという勝田委員のお話もあった。基本的には療養病床に対する介護保険給付がなくなるという だけであって療養病床がなくなるわけではないので、これはそのままいけば医療保険で療養病床の 給付がされるのだろうと思うが、そういう意味では介護療養型医療施設の中のリハビリの部分、4 ページくらいだったか。医療保険と整合性をとった形に評価の仕方を変えていくのだということに ついては、私は合理性があると考える。  そういう意味で、介護と医療というものを将来的に同じ目線で評価をしていくということは大切 だと思うが、そうであればひとつ申し上げたいのは今日の議題ではないが、介護サービスの情報の 公表制度というものがある。  医療についても、既に公表制度がある。これは大森先生が非常に力を入れてつくられたというこ とで、この趣旨については非常に賛同するが、利用者自身が公表された情報から事業所を選ぶ目的 でこういう公表措置ができ、実際に毎月十数万件アクセスがあるが、そのうちのほとんどはケアマ ネージャーが利用しているということ、また利用者が事業所を選ぶ際に求めている情報と、現在公 表が義務付けられて調査されている調査情報との間にかなりギャップがあると考える。  基本的には基本情報と言われる行政に報告する事業所指定時の資料とか、あるいは毎年行われる 指導監査で調査した情報を公表すれば代用できるのではないかと思う。医療保険において、これは 事業所、医療機関が費用を負担するのではないが、介護保険についてのみ手数料、調査手数料ある いは公表手数料を事業所が負担するということは非常に違和感を覚えるし、会員からもこれに対す る不満は非常に多い。  更に言えば、情報公表制度自身をやるということは決まったが、これを事業所から徴収するとい うことは介護保険部会あるいはこの介護給付費分科会等で議論された形跡がないと思う。  その辺のところも含めて、今回この介護報酬改定とは直接関係ないかもしれないが、是非一度議 論していただきたい。財源的には1事業所5万円くらいということなので、50数億の財源というこ とだが、小さな事業所にとっては非常に重い負担ということなので、是非これを議論して考え直し ていただきたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  最後の点は、ちょっと別のところで少し検討しているように聞いているが。 (土生振興課長)  ただいま御指摘のあった介護サービスの情報公表制度である。確かに御指摘があったように、医 療制度と費用負担は取扱いが違う。  ただ、その点については、この情報制度は医療機能情報に比べ御指摘があったように、調査情報 を含めた非常に多岐にわたる情報を公表するという仕組みになっているし、そうした事務量を踏ま え情報調査機関等に指定制度を採用している。  ただし、手数料負担が適正ではないのではないかというような御指摘もるるいただいているとこ ろであり、私どもこれまで軽減措置を講じてまいったし、また21年度に向けてもさまざまな手段を 講じていくということである。  いずれにしても、制度のそもそも論については、費用負担については今回経営実態調査でもその 手数料負担も介護サービスの支出の一つということで含まれているので、制度的には介護報酬等で 回り負担しているということにはなるが、制度の在り方についても必要があればさまざまに御意見 をいただければということで考えている。 (川合委員)  今、課長がおっしゃった介護保険で負担しているというのならば、5万円、3万円のことを本当 に負担しているのか。発言は丁寧にしていただきたい。 (土生振興課長)  説明が雑駁であり大変申し訳ない。私が申し上げたかったのは、経営実態調査上の支出項目とし てその手数料の支出を計上しているということである。 (川合委員)  それであるならば、お偉い方が言われた3%では当然足りない。 (大森分科会長)  この話はそういうことにする。  では、今井さんからどうぞ。 (今井参考人)  総論的なポイントで恐縮であるが、財源に限りがあるという中で質の高いサービスを加算してい くということは確かに一つの対応だと考えているが、一方で一定の方向に向かうべき、あるいは拡 充を図っていくということで、インセンティブとしての加算ということもあるかと思っている。  こういったものをある程度一般化しましたら、その加算分を取り込んで全体としての設定を行う ということになると、結果として全体の水準が高目になっていくということであろうかと思うので、 同時にその効率的な運用を目指していくという方向での工夫も考えていく必要があるのではないか と思う。  また、報酬体系全体としては、基本的にはシンプルであることが望ましいと私どもも理解してい るので、そういった点についての御留意もお願いできればと思う。 (大森分科会長)  それでは、堀田さんどうぞ。 (堀田専門委員)  職員の配置について、2点申し上げたい。  1点目は、特に資料1の13ページの(3)番のところ、職員の配置の中でも夜勤ではなくて日中の介 護、看護職員の配置について。(3)で質の高い介護のための手厚い配置とあるのだが、まず手厚い配 置があれば質が高くて、配置基準ぎりぎりであれば質が低いと言えるのかどうかという観点を持つ 必要があるのではないか。こういう総論的な書き方というのは慎重にすべきではないかと思う。と いうのは、配置基準ぎりぎりで、限られた人数であっても、効率的に効果的なサービスを提供する ために、仕事の進め方や分担の仕方など様々な工夫や努力をしているところがある。単純に手厚け れば質が高く、少なければ質が低いといった見方につながるような書き方には、注意したほうがよ いのではないか。  合わせて、単に手厚いかどうかといった総論的なやり方よりも、介護保険3施設のそれぞれ、そ の特性に合わせた看取りであるとか、短期集中リハなど様々な効果的な機能を持っているはずで、 それぞれの施設のウリであるところの効果的な機能に応じて、それを発揮するために必要な体制な どを、機能とセットで評価するというやり方・考え方のほうが理解しやすいし意義があるのではな いかと思う。  2点目、何人かの委員から御指摘があった点で、反対するわけではないが、前半とも関連するが、 配置基準でどこまで求めるかということを考えていく必要があると思う。入居者、利用者の側から 見ても、職員の側から見ても、職員が多ければ多いだけ安心で、負担が減る、ストレスも減るとい う認識は、一般論としても実態としてもよく承知しているつもりだが、他方で配置基準というのは ミニマムを決めるものであり、これを高めていくというのは基本的にサービス費に跳ね返ってくる、 押し上げることにつながりうる。 介護保険サービスとして、どこまで求めるのか。今3対1のものを2対1にするのか。いずれ1対 1にするのか。限りないものだと思う。もちろん実態を踏まえて、あるいはさまざまな機能に応じ た加算というものはあっていいと思うが、配置基準というミニマムを見直すということであれば、 本来、介護保険で目指すべきサービス、あるいは賄われるレベルについて慎重に議論を重ねた上で 検討していくべきことではないか。  以上である。   (木村委員)  今日のテーマについて2つと、それから前回のことでわからないところがあったので、そのお答 えは来週で結構であるのでお願いする。  1点は、今日の資料2の「介護老人保健施設について」の7ページにある一連の退所時指導等加 算のところである。先ほど川合会長の方からの御提言で入所前、入所中、退所時、退所後の一貫し たケアマネジメントということで、これは退所時の評価というか、施設側の評価であるが、施設内 には介護支援専門員と支援相談員がいるが、入所時のところも在宅側の居宅介護支援事業者の介護 支援専門員と、単なる書類のやり取りではなくて入所者さんの生活環境、状況、生活機能というも のをきちんとお知らせして入所したあと在宅復帰側に向かって施設の中できちんとやって、今度は 退所時にまた逆の連携ができるような加算は当然必要である。この評価がされる仕組みを工夫して いただけないかということが1つである。それには、人手が必要になってくると思うので、先ほど あったように施設の介護支援専門員の加配等をしているところの評価をいただきたい。  もう一点は、資料4の口腔機能向上加算と栄養改善加算についてである。5ページをごらんいた だきたい。私も少しこれに関わったものだから、お願いと、提案をしたいと思う。  そもそも高齢者になって食べたいもの、おいしいものを本当にちゃんと自分の口から食べられる。 これは最大の尊厳だと思う。そこをきちんとやるということでこれは進めてきたわけであるが、今 日報告があったとおりで、口腔機能向上と栄養改善の算定がほとんどされていないということであ る。  これは、このサービスを徹底的にやっていかなければいけないということでこれからお話をさせ ていただくが、5ページにデータが出ているが、ケアプランに取り入れられない理由に提供事業者 の数が少ないということが出てきているが、ここの給付費分科会でこのサービスに対しての評価を 高くして、いわゆる介護報酬を上げて管理栄養士ほか歯科衛生士さんの雇用というか、採用がきち んとできるような形にまずしなければいけないということが1点である。  それから、ここからは、課題分析者とあえて言わせていただく。地域包括支援センターは介護予 防支援事業者の二枚看板を持っている。このデータのところは、いわゆる要支援1と要支援2の人 たちが対象のデータであるので、あえてサービスというが、課題分析者による、運動機能向上と口 腔機能向上と栄養改善のアセスメントの義務化をする必要である。イコールサービスを提供すると いうことではない。必ずこの3つのアセスメントはやらなければいけないということである。  というのは、現場での実態は、運動機能向上は見えやすい。わかりやすい。それで、高齢者の方々 は、友達も行ったから私も行って運動するという形である。しかし、先ほど報告があったとおり、 口の中のこととか栄養のことは全然わからない。これは専門家がきっちり見てあげないとだめであ る。だから、専門家が口の中、それから栄養、そこをきちんとアセスメントするということを義務 化するべきだと思う。  そして、その調査をかけたときにわかってきたことであるが、提案にもある対象者の基準、どう いう状態がこのサービスが必要な人なのかということがわからないということが1つ浮かび上がっ てきた。そのことをはっきりしていただきたいということである。  それから、ここのサービスにつながっていくのは、市町村会の皆さんにはっきりお願いしたいが、 地域支援事業との関連がものすごく大きい。だから、地域支援事業の中で今のアセスメントのこと をきっちりやっていただいた上で、要支援1、2、要介護状態になってこういうことが必要だとい うことを地域住民にきっちり啓発することをやっていただきたいということが1つである。  それから、もっとわかったことは、今日出ているデータは地域包括支援センターの職員に聞いた 話だが、市町村に対しても調査をかけている。がっかりした。この3サービス、もっと言うならば 介護予防のことに対して、市町村の一部の方は大変理解を示しているが、ほとんどの方は理解でき ていないのではないかという口腔機能向上、栄養改善サービスの実態が出てきた。  だから、市町村を挙げて地域住民にきっちりこのことが大事だということの啓発、それから専門 家たちにわかるものをつくってあげて、高齢者の方のお口の中、それから栄養のことをきちんとや っていただくような仕組みにしなければ、きっとこのサービスの利用は上がらないと思う。だから、 その辺の改善をよろしくお願いする。  それから、宿題であるが、前回小規模多機能の提案で資料3の8というのがあって、「事業所経営 の安定について」というところの中に、ちょっとゆっくり読む。「居宅介護支援事業者による情報提 供や、小規模多機能型居宅介護計画の作成にかかる協力など、在宅サービスからの円滑な移行が可 能となるような方策」と書いてある。これをこのまま読むと、居宅介護事業者がきっちりそういう 情報提供をしたら居宅介護支援事業者が評価されると私は読めると思ったので、この辺の真意はど うなのかというのは次回で結構なのでお知らせいただければと思う。  以上である。 (大森分科会長)  今日はこれで終わりにいたしたいと思うが、よろしいか。  それでは、次回についてのアナウンスメントをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  次回であるが、来週11月28日金曜日、14時から17時までである。  場所等については、また追って御連絡を差し上げる。 (大森分科会長)  また次回よろしくお願いする。  申し訳ないが、次回は何を主として議論するか、アナウンスしていただけるか。 (鈴木老人保健課長)  まだ調整中のところもありますが、1つは転換老健、療養病床から老人保健施設に転換した場合、 それからキャリアアップについて御議論をいただきいたが、もう少し具体的に考えたい。あとは、 認知症をやる。 (大森分科会長)  この大きく3つである。  では、どうもありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)