08/11/20 第5回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所    平成20年11月20日(木) 14:00〜 厚生労働省 専用第18〜20会議室 2.出席委員(5名)五十音順     神 山 美智子、 桐 野 高 明、 杉 浦 幸 雄、 花 井 十 伍、   ◎樋 口 範 雄、 日比野 守 男 (注) ◎座長   欠席委員(0名) 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)    岸 田 修 一(大臣官房審議官)     川 尻 良 夫(総務課長)    中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 それでは、第5回「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会」 を開催させていただきます。傍聴の皆様におかれましては、既に御案内しております注 意事項をお守りいただくようお願いいたします。本日、先生方におかれましては、御多 忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。  会議に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第と、 一緒にとじてありますが、「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会報告書(案)」 がございます。それから、座席表がございます。また、委員の先生方におかれましては、 机上に前回の委員会資料を一式、確認が必要になったときのためということで置かせて いただいてございます。なお、本日、神山委員におかれましては、所用によりまして30 分〜1時間ほど遅れるという連絡を事前にいただいてございます。  それでは、議事進行を樋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○樋口座長 今、事務局からも御紹介がありましたが、今日は第5回ということです。 先回は、花井先生がいらっしゃらなくて、そのほかの委員の方たちと議論を深めてまい ったのですが、最後の報告書を作る過程では、たたき台があった方がいいだろうという ことで、ある程度の方向付けはできているというふうに皆さんでお考えになって、事務 局を含めてこちらの方でたたき台を作っていただくことにしました。そこで、これはあ らかじめ委員の方には送っていただいたのですが、それを検討する作業に入りたいと思 います。今、御紹介があったように、神山先生が遅れて来られますが、後でいらっしゃ ると思うので、全員参加という形で議事を進めたいと思っております。  この報告書の案を検討していくことになるのですが、それほど長いページでもないの で、これを事務局の方に読んでいただくような形で、それについて後で一点一点項目ご とに、これでいいだろうかという形で議論を伺う形にしようと思っています。ともかく、 現在行われているルールについての先回の復習のようなものですが、検証と、そもそも ルールを作る際にも残された課題が幾つかあったので、それに対してこの委員会として はどのようなことを考えたかということを、この報告書の中で反映させたいということ だと思います。  それでは、報告書(案)の説明を事務局からお願いいたします。 ○総務課長補佐 ただいま樋口座長から御説明いただきましたとおり、これまでの4回 の議論の中で、特に前回、第4回の会議におきまして、「検討事項とこれまでの議論等 について」という資料を基に、これまでの主な議論、またその報告された調査等の内容 を基に、全体的な方向付けの議論を行っていただいたところでございます。そういった 議論の内容を盛り込んで、座長から前回委員会におきまして、報告書の案のようなもの を作るように御指示いただきましたので、今回、報告書の案として提示させていただい たものでございます。  まず、2枚目に報告書(案)としての鏡がございまして、1枚めくっていただきますと 目次がございます。報告書の構成ですが、1といたしまして「はじめに」。2といたし まして「現行の基準に関する検証等」ということで、細項目として「(1)本委員会の基 本的な論点について」、「(2)審議不参加等の基準や運用状況の評価について(検証事 項)」、「(3)残された課題について」以下四つの課題を述べるという形になっておりま す。3といたしまして「薬事分科会への提言」ということで、「(1)「審議参加に関す る遵守事項」の位置付け」、「(2)評価・検討の継続的な実施」。そして、4といたし まして「おわりに」という構成になってございます。  先ほど座長から御指示がございましたので、次の1ページ、「はじめに」から事務局 で報告書(案)を読ませていただきます。 1 はじめに  薬事・食品衛生審議会薬事分科会においては、分科会運営のより一層の中立性・公平 性の確保を図るとともに、更なる透明性の確保を図るため、平成20年3月24日に申し 合わせとして「審議参加に関する遵守事項」(以下「申し合わせ」という。)を決定し、 同年5月から運用を開始した。  申し合わせにおいては、外部有識者及び寄附金・契約金等の受取実績が過去3年度の いずれの年度も50万円以下の委員等のみをもって構成されるワーキンググループを設 置し、必要な改善方策の検討を行うこととされており、これを受けて本委員会が設置さ れた。  本委員会においては、平成20年7月から5回にわたり、申し合わせの運用状況や、医 学部・薬学部等に対する寄附金・契約金等の実態調査、諸外国における同種ルールの状 況等を踏まえ、申し合わせの検証と必要な改善方策の検討を行ってきたところである。  今般、薬事分科会への提言等を取りまとめたので、以下のとおり報告する。 2 現行の基準に関する検証等 (1)本委員会の基本的な論点について  検証等に先立ち、本委員会において検討すべき基本的な論点は、製薬企業等から教授 が寄附金・契約金等を受けることを、教授が所属している大学としてどのように評価す るかではなく、寄附金等を受けた教授等が合議体である薬事分科会に委員として参画(審 議・識決)することを、分科会としてどのように評価するかということであること、また、 その評価の基準として、以下(2)及び(3)に掲げる事項についてどう考えるかという点 であることを確認した。 (2)審議不参加等の基準や運用状況の評価について(検証事項)  (1)論点  申し合わせについては、平成20年5月から運用が開始されたところである。申し合わ せの運用状況の検証は、申し合わせ適用後の部会等における審議参加状況、医学部、薬 学部等に対する寄附金・契約金等の実態に関するアンケート調査結果、最新の諸外国の 基準情報等を基に行った。  (2)検証結果  部会等における審議参加状況について、開催回数が比較的多い、医薬品第一部会及び 医薬品第二部会について検証した。  平成20年5月から8月までに開催された医薬品第一部会及び医薬品第二部会におけ る審議参加の状況は、延べ376人の委員が出席し、そのうち、13人が退室、54人が議決 不参加であった。  また、全32の議題のうち、4議題においては出席委員数(注)が定足数と同数、14議題 においては出席委員数が定足数+1名であった。((注) 申し合わせでは、議決不参加の基 準に基づき委員等が議決に加わらない場合においては、当該委員等はあらかじめ議決権 の行使を部会長に一任する旨の書状を提出することにより部会等に出席したものとみな し、当該委員等の議決権は、議決に加わった委員等の可否に関する議決結果に従って部 会長により行使されたものとすることとされている。)また、定足数確保のために議題順 の変更を行った事例があった。  現行の申し合わせとなる前の「暫定申し合わせ(平成19年4月23日薬事・食品衛生審 議会薬事分科会申し合わせ)」運用時と比較すると、競合企業を申告対象として追加した ことにより、最大4社に関して申告を求めるようになったことから、審議不参加等の基 準に該当する委員数が増加した。  次に、申し合わせの内容を踏まえた寄附金・契約金等の実態調査について、平成20 年度厚生労働科学研究として「薬事・食品衛生審議会における「審議参加に関する遵守 事項」の運用上の課題に関する研究(研究代表者:国立医薬品食品衛生研究所長谷川医薬 安全科学部長)」(以下「厚生労働科学研究(長谷川班)」という。)において、全国の医学 ・薬学部(研究科)の教授等を対象とするアンケート調査が行われた(調査対象として、全 国の医学・薬学部のおよそ3分の1に対して行われた。学部名・個人名を特定できない 形の匿名による回答が求められた)。  当該アンケート調査の暫定集計結果によると、企業毎に、医学部・薬学部の教授が直 近1年間に受け取った寄附金・契約金等(奨学寄附金、不動産、動産を含む寄附金、治験 や共同研究・受託研究に係る研究契約金)及びコンサルタント料等の個人的な報酬(コン サルタント料・指導料、特許権・特許権使用料・商標等による報酬、講演・原稿執筆そ の他これに類する行為による報酬)の総額は、回答のあった107人中、(1)500万円を超え る額を受領した教授は1人、(2)50万円を超えて500万円以下の額を受領した教授は61 人、(3)50万円以下の額を受領した教授は21人、(4)受領なしの教授は24人であった。  さらに諸外国の基準の一例として米国の事情が検討された。米国においては、FDA 諮問委員会の決定によって影響を受ける組織(企業等)から過去1年以内に5万ドル以上 の不適格な経済的利益を受けている場合は、原則としてFDA諮問委員会へ参加できな いことなどを定めた「利益相反およびFDA諮問委員会への参加の適格性を判断するた めの手順に関するガイダンス(案)」が平成19年3月に示されており、現在の申し合わせ はその内容も参考にして決定されたところである。  その後、当該ガイダンス(案)は、一部修正の上、平成20年8月に正式なガイダンスと して制定されたが、不適格な経済的利益の目安としての「5万ドル」という金額は変更 されなかった。  なお、米国においては、関連する組織への寄附金・契約金等も対象とされる一方、申 告対象とすべき寄附金・契約金等は、個別品目ベースとされている(我が国の申し合わせ では、個別品目によるのではなく、およそどのような審議対象であれ、それに関連する 企業からの寄附金・契約金等の金額をすべて申告対象としている点で厳しいルールとな っている)。  (3)現時点における考え方  上記の申し合わせの運用状況から見て、申し合わせは分科会運営の中立性・公平性の 確保のために一定の機能を果たしていると考えられる。ただし、退室された委員数や、 出席委員数と定足数の関係等から見て、部会等の運営が困難な事例も見られたことも踏 まえ、今後も運用状況を注意深く見守る必要がある。  今回の検証は、申し合わせの運用開始から1年を経過しない短期間で行ったものであ ることから、今後も引き続き運用状況の評価を行っていくことが適当である。 (3)残された課題について  委員会では、申し合わせを策定する際に、将来的に検討すべき課題として残されたも のを検討するとともに、何らかの新たな課題があるか否かについても検討を行った。以 下は、それら論点ごとの検討結果の要約である。 1)対象とする寄附金・契約金等の範囲  (1)現状と論点  申し合わせでは、教育研究の奨励を目的として大学等に寄附されるいわゆる奨学寄附 金についても、寄附金・契約金等に含まれ、申告対象とすることとしている。  奨学寄附金の意味合い等から見て、他の受託研究費と同様に取り扱う必要があるかと いう点について再検討を行った。  (2)報告された調査等の内容  厚生労働科学研究(長谷川班)において、全国の医学・薬学部(研究科)の会計担当者を 対象に、奨学寄附金の大学における制度的な位置付けや取扱い、奨学寄附金と他の寄附 金・契約金等との区別の有無等についてアンケート調査が行われた。  当該アンケート調査の暫定集計結果によると、奨学寄附金については、取扱いの規程 を定め、機関経理されているところが多いが、必ずしもすべての大学においてそのよう な取扱いはなされていなかった。また、奨学寄附金と他の寄附金・契約金等の区別につ いても、すべての大学において明確に区別されてはいなかった。また、奨学寄附金毎に 企業名、金額及び受取人が対応できる形で管理されていない大学も見られた。  (3)現時点における考え方  当該アンケート調査の暫定集計結果によると、奨学寄附金の経理方法や使途が明確で はない大学も少なくなく、現時点で奨学寄附金の透明性は十分確保されているとはいえ ない。  また、一般に、申告対象とされている寄附金・契約金等の中に占める奨学寄附金の割 合は小さくないこと、医薬品第一部会及び医薬品第二部会における申し合わせの運用状 況においては、退室した委員数が2名であった議題が1つあったが、他の議題における 退室委員はすべて1名以下であったことも勘案すると、奨学寄附金は引き続き申し合わ せにおける「寄附金・契約金等」に含めることが適当である。 2)組織の取扱い  (1)現状と論点  申し合わせにおいては、実質的に委員等個人宛の寄附金とみなせる範囲を申告対象と し、本人名義であっても学部長あるいは施設長の立場で学部や施設などの組織に対する 寄附金を受け取っていることが明確なものは除いている。  大学内において、委員本人宛ではなく同じ学部宛に対するものとして受け取った寄附 金・契約金等について、客観的根拠(書面等)に基づいて識別できるかどうか、委員等個 人がこれら寄附金・契約金等の状況について認識できるかどうかなどを踏まえ、これら 寄附金・契約金等をどのように取り扱うべきかについて検討を行った。  (2)報告された調査等の内容  厚生労働科学研究(長谷川班)によるアンケート調査の暫定集計結果によると、医学・ 薬学部の教授は、学部、大学など組織に対する寄附金・契約金等の受領については、半 数以上が把握していなかった。他方、講座内の関係者(准教授、助教など)の寄附金・契 約金等の受領については、「概ね」又は「一部」把握している者も含めると約9割が把 握していた。  なお、米国においては、関連する組織への寄附金・契約金等も対象とされるが、申告 対象とすべき寄附金・契約金等は個別品目ベースで判断されており、我が国の現行の申 し合わせのように、審議対象となる品目ばかりでなく、当該企業および競合品目に係る 企業からの寄附金・契約金等の全てを申告対象とする取扱いとは、自ずと影響が異なっ ているところである。  (3)現時点における考え方  学部等組織や、他の講座の関係者に対する寄附金・契約金等については、それぞれの 委員がその額を把握することのできるような制度的裏付けや実態が存在するとはいえな いため、現行の申告対象外とする取扱いを見直す必要はないと考えられる。  なお、前述の暫定集計結果を踏まえると、講座内の関係者宛への寄附金・契約金等に ついては、実際にはその額を把握している者も多いことから、申告対象に加えるべきと いう指摘があった。  他方、平成17年の改正学校教育法により、教育研究の活性化及び国際的な通用性の観 点から、助教授を廃止して「准教授」を、助手のうち主として教育研究を行う者のため に「助教」をそれぞれ設け、教授から独立させて教育・研究面での役割が明確化された ところである。今後、これら若手研究者は独立した研究者とする方向が示されており、 准教授、助教等に対する寄附金・契約金等まで対象とすることは必ずしも適当ではない という指摘もあった。  本論点についても、申し合わせの運用開始から1年内という短い期間しか経っていな いことを考慮すると、今後とも、引き続き運用状況の検証を行いつつ、必要に応じて見 直しを検討していく必要がある。 3)申告の方法  (1)現状と論点  申し合わせでは、欧米においても具体的な金額の申告は求められていないこと、部会 等に出席する度に必要となる委員等の事務的負担等を勘案し、50万円又は500万円の段 階ごとのチェック方式による申告としている。また、申告書については、競合品目の妥 当性を部会で審議した後、部会等終了後速やかに公開することとしている。  基準となる金額(50万円・500万円)及びその申告方法はどうあるべきかについて検討 を行った。  (2)報告された調査等の内容  厚生労働科学研究(長谷川班)において、薬事・食品衛生審議会薬事分科会委員等を対 象に、申告書の様式について、記入に要する時間、内容の確認方法等についてのアンケ ート調査が行われた。  当該アンケート調査の暫定集計結果によると、申告書の記入に要した日数(実際の作業 着手から返送に要した日数)は1日以内とする委員が大半であり、記入内容についても 「評価できる」と「やむを得ない」という回答を合わせて9割が肯定的な回答であった。  (3)現時点における考え方  当該アンケート調査の暫定集計結果によると、現行の申告方法は、簡単明瞭な方法と して評価すべきものと考えられる。また、金額の区分をより細かくすると、申告書等の 作成に時間を要し、部会等の開催当日における運営が困難になるおそれがあることも勘 案すると、現行の申告の方法を見直す必要はないものと考えられる。 4)申し合わせという位置付け  (1)現状と論点  「審議参加に関する遵守事項」は、薬事分科会の申し合わせとして決定されたもので ある。  この薬事分科会が審議ルールの一つとして「申し合わせ」を行うという位置付けで良 いかどうかについて検討を行った。   (2)報告された調査等の内容  薬事・食品衛生審議会令第12条においては、「この政令に定めるもののほか、議事の 手続その他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める」こととさ れている。  同政令の規定に基づく薬事・食品衛生審議会規程第5条においては、「分科会の議事 運営に関し必要な事項は、分科会長が当該分科会に諮って定める」こととされており、 同規程に基づき、薬事分科会規程や申し合わせが定められるという仕組みになっている。  (3)現時点における考え方  「申し合わせ」という位置付けや名称については、外部の者から見た場合、曖昧な印 象を与えることは否めない。「審議参加に関する遵守事項」については、国民への説明 責任を果たすという観点から、より規範性の高いものとして位置付けることが適当であ り、その名称も「審議参加規程」などに改めることが適当である。 (【その他、委員会として現時点における考え方を示す必要がある事項を記載】) 5 薬事分科会への提言 (1)「審議参加に関する遵守事項」の位置付け  2(3)4)(3)で示したとおり、「審議参加に関する遵守事項」は、国民への説明責任を 果たすという観点からより規範性の高いものとして位置付けることが適当であり、その 名称も「審議参加規程」などに改めることが適当である。 (2)評価・検討の継続的な実施  上記(1)以外については、その運用状況や残された課題に係る検討の結果から見ると、 現時点において直ちに見直す必要はないと考えられるものの、今回の検証及び検討は、 運用開始から1年内という短い期間で行ったものであることも踏まえ、今後とも引き続 き運用状況の評価を行うことが適当である。  なお、その方法としては、現行の申し合わせ4.(8)に示されているとおり、分科会に 評価ワーキンググループを設置し、原則、年1回、運用状況の評価、必要な改善方策の 検討を継続的に行うことが適当である。 (上記の検討に当たっては、以下の点について留意すべきである。 【今後の検討に当たって上記以外に留意すべき事項を記載】 【その他、全体として留意すべき事項を記載】) 4 おわりに  薬事分科会におかれては、本提言を踏まえ、申し合わせの見直しを検討していただく とともに、今後とも、分科会運営の一層の中立性、公平性及び透明性の確保に努めてい ただくよう希望する。  公開で行った本委員会の議論などを通じて、「審議参加に関する遵守事項」の内容が より多くの国民に周知されるとともに、薬事分科会の審議の中立性、公平性及び透明性 を高める不断の努力が継続されることを期待したい。  なお、2(3)1)(2)で示されたアンケート調査の暫定集計結果によると、奨学寄附金の 受領に関する情報公開については、国公立・私立での別や大学ごとに違いはあるものの、 学外へこれらの情報を広報しているところはなく、情報公開請求時にもすべては公開し ていない実態が明らかになったが、今後、奨学寄附金について大学側における情報公開 等の取組が進むことを望みたい。 以上  本文はここまででございまして、9ページに「審議参加に関する遵守事項の検証・検 討委員会 構成員名簿」、10ページに「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会 の検討経緯」を付けてございます。以上が報告書(案)の内容でございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。こうやって読んでいただきましたが、この文言、 文案について、項目ごとにこれから委員の方々に検討していただくことにしたいと思い ます。  まず、1ページ、「1 はじめに」という序言ですが、ここはいかがでしょうか。これ は経緯が書いてあるというだけのことではありますが、文言等で何か問題があれば御指 摘をいただきたいと思います。これはまた最後に戻ってきますので、後で何かお気付き になられたら、後でも結構です。  それでは、中身へ入って、「2 現行の基準に関する検証等」です。検証と残された課 題の検討という話になっていて、(1)、(2)が現行の基準に関する検証です。(1)はこ ういう構成になっていますということが書いてあるだけですので、実際は(2)を御覧い ただいて、このような表現でよろしいかどうかということです。これに書かれてあるこ とが、後で薬事分科会への提言という形になるわけですが、いかがでしょうか。 ○桐野委員 文言だけの問題ですけれども、(1)で「教授」と「大学」というふうに限 定されているのですが、薬事分科会は大学の教授のみがメンバーになると定められてい るのですか。例えば国立病院機構の部長、あるいはナショナルセンターの研究者などが 入ってくる可能性があるので、「教授」ではなくて「研究者」とするかよく分かりませ んけれども、お役所用語では「教授等」とするのか分からないですが、所属している「大 学」ではなくて「機関」と、そこは変えないといけないと思います。 ○総務課長補佐 桐野先生の御指摘は、まさにおっしゃられるとおりでございますので、 「教授等が所属している機関」と、そこはすべてを網羅できる形に訂正させていただき ます。ありがとうございます。 ○樋口座長 「研究者」より「教授等」の方がいいのですね。 ○神山委員 「教授・研究者等」とした方が。 ○樋口座長 折衷案が出ました。 ○総務課長補佐 そのようにさせていただきます。 ○樋口座長 確認すると、「等」がどんどん多くなりますが、しょうがないのでしょう ね。例えば最初の行で「検証等に先立ち」で、「製薬企業等から」の後に「教授・研究 者等が寄附金・契約金等を受けることを」と、気にし始めると何だかという感じはしま すが、そういうことで、「教授」を「研究者・教授等」、それから「大学」を「機関」 にする。これはきっとほかの所にも影響するでしょうね。そうでもないですか。 ○総務課長補佐 アンケート調査等については大学の教授に直接お伺いしていますの で、影響する所としない所があると思いますので、そこはまた事務局でチェックをさせ ていただければと思います。 ○樋口座長 気が付いた範囲でとは思いますが、つまり、今、1ページの(1)でその御 指摘があって、今、(2)までやっているのですが、アンケート調査はそのままでいいの だとすると、ぱっと見たところでは、ほかにはこの部分ではないような気がします。そ うですね。ほかにいかがでしょうか。 ○桐野委員 もちろん、私自身はこれで、ほかの委員の先生がいいということであれば 特別にということはありませんが、前にも言いましたけれども、分科会がどのように評 価するかということであると(1)に書いてあって、要するに、これは利益相反について のマネージメントをどうするかということであって、分科会に発生する利益相反を分科 会が評価するという構造であると。そういう方向で行くということですね。  私は、利益相反マネージメントというのは、本当は自分自身がするものではなくて、 外部が利益相反のマネージメントをする。利益相反というのは、別に悪事を働こうとし ているわけではなくて、利益相反が生じた場合にそれをどう考えるかということですか ら、前にも申しましたが、自分自身が自分の利益相反について評価するということに、 少し抵抗があります。そのようにするやり方もあるのかなとは思いますから、そのよう に決めるのがよろしいということであれば、それで構わないと思いますが。 ○樋口座長 今の点を含めて、いかがでしょうか。 ○桐野委員 これは前からずっと同じことを言っていて、ずっと来ているので、別にこ だわりませんが。 ○神山委員 最後の結論で、「審議参加規程」みたいなものにしろと言っているわけで す。これは分科会長が決めるというものですが、現在行われている申し合わせの中の「特 例」という所を見ると、基準には当たるけれども、この審議に参加したいという申出が あって部会等が認めた場合、あるいは当該委員等の発言が特に必要であると部会等が認 めた場合においてはということで、結局、部会長や分科会長が特例を認めるのではなく て、部会に諮ったり分科会に諮ったりして特例を認めるかどうかを決めることになると、 やはり分科会として評価するという性格は抜けていかないのかなと思います。 ○樋口座長 私も、○か×かのような話ではなくて、ある意味では中間的なのだと思い ます。私自身は、利益相反の問題というのはそうたやすい解決の得られる性質のもので もないと思っています。やはり一番大事なのは、関係者に自覚的に利益相反の問題を意 識してもらいたい。ですから、利益相反の関係も意識しながら責任を持った発言を薬事 審議会等の委員の方に行ってもらいたいということであり、基本的に、それを自主規制 と言うのかどうか分かりませんが、自主的に何らかのルールを定めてきちんとやってい るところを、外部に対しても、国民に対しても示していこうというのが、本筋ではない かと思っています。  しかし、桐野先生もおっしゃったように、自分たちだけで自分たちをマネージメント しているというのでは、本当にそれが信頼できるかという、ガバナンスのつくり方のよ うな問題があって、多分、それが一部考慮されて、例えばこういう検証委員会のような ものは、分科会の委員の方だけではなくて、私のような者も入った上で、あるいはメデ ィアの方も入った上で、実施状況を見ているという、そういうところがある。そういう 複合形態になっているのだと私は思います。 ○神山委員 (1)は基本的な論点についてということですから、この文章は、大学がど のように評価するではなくて、この薬事分科会に委員として参加することをどのように 評価することである、というふうに、「分科会として」というのを取ってしまうわけに はいかないのですか。この検討会が評価するということではないかと思うのですが。 ○桐野委員 すべて分科会が自主的に評価するということであれば、現在の委員会自体、 もともと原理的に要らないと論理的になりますので、確かに「分科会として」というの は取らないと、論理的におかしいです。しかし、作っているルール自体はかなり杓子定 規的ルールですから、ルールをきちんと定めた上はもう余り審議することはなくて、神 山先生が言われた、例外的な場合だけは少しどうかなとは思いますが、ほとんどは機械 的に行われるので、余り問題はないのかなという気はします。  利益相反というのは、利益相反状態にあるにもかかわらず、明らかに利益相反だけれ ども、その人はこれをしていいよというデシジョンをするのがマネージメントであって、 利益相反があったら、要するに500万円ルールでほとんど機械的に決めて、これは利益 相反状態有り・無しというふうに外形的にやってしまうわけですから、そういう意味で は少し違います。しかし、そういうやり方をやるということですから、そうなのかなと いうふうには思います。 ○花井委員 これは、そもそもこの委員会が、申し合わせをした、つまり、分科会によ って設置されているのが本委員会ですね。その形式を踏襲して「分科会として」という 文章になっていると思うのですが、今の議論にあったように、実質的にはそうではない というところは結構重要で、本来その実質に形式も沿うべきだという桐野委員の主張は 正しいと思うのです。しかし、この位置付けからいくと、整理の仕方の問題があるわけ ですから、最終的にはここでは決められないにせよ、本来は設置規程、その他の中にこ ういうことが定められるべきだというレコメンドは、上に上げてもいいのではないかと 思います。もちろん、越権の話ですから、こちらはそういう形が望ましいということし か言えないと思うのですが、薬事分科会としてもそれを。  私がなぜそれを言いたいかというと、とても意地悪な言い方をすれば、政府の諮問機 関であるこういうボードが自主的にやっているということであれば、国が任命責任から 逃げているとも言えるのです。そこで委員が不始末をした場合は委員が責任をとるとい う構造になっており、そのような利益相反があって、もしそれで何か間違いが起こると いうことが生じたときに、このままのルールであれば、その委員の自己責任でしょうと いう話になるわけです。しかし、本来、そういう人を委員に任命した任命者がいるわけ です。これは厚生労働大臣だと思うのですが、大臣の任命責任がどこかへ逃げていると いう印象を全体の形式、構造の中に私は感じるのです。  アドバイザリーボードというのは官僚の隠れみのだなどという批判も歴史的にある中 で、今回こういう問題系が整理されるときに、そこのニュアンスを逃げてしまうと、こ の委員会としては少し牙をもがれた感じがするのです。ですから、形式的整理は確かに そうなのですが、そこの意味、つまり、新しい時代が国民の理解を必要としているとい う意味を打ち出す書き振りというのはあり得るのではないかと思います。  最後のは、結局、名称が変わっているだけですね。位置付けは変わらないわけですね。 規程にしようが申し合わせにしようが、内部で、決めている人がそのグループであれば 同じことですから、それは単に説明のしやすさだけの問題ですが、本来はその外にこの ようなものをマネージメントする、国としての責任を持つ体制が必要なのだろうという ことをレコメンドするのは、別に構わないのではないか。それを薬事分科会が、越権な ことをこちらが言ったと言うか知りませんが、そのくらいは書き込んでも構わないので はないかと私は思います。 ○樋口座長 それは、2の(1)の問題であると同時に、最後のところにも関係しますね。 ○花井委員 ですから、(1)に関して言えば、分科会としてどう評価するかというより も、評価の在り方をどうあるべきかとか、もっと広げる書き振りにするか、「分科会と して」を取るというのも一つの考え方だと私は思います。 ○樋口座長 これは最後のところへ、先ほど事務局の方で読んでくださった中で、例え ば7ページのところですが、今日これからの、あるいは今既に行われている議論で付け 加えることがあればというところへ結び付いていく話ですので、そこへ問題を先送りし たいと思います。  とりあえず、私の頭で十分理解できているかどうか分からないですが、少し先取りし て言うと、申し合わせという位置付けでは足りないのではないかという議論が、今回も やはり再燃しており、方向性としては、もう少し格上のというか、法律論から見ると同 じことなのかもしれないですが、やはり規程という形できちんとしておいた方がいいと いうお話で、これからまた議論をいただきますが、そういう方向になりつつある。  そうすると、規程という名前にしただけではなくて、私の頭の中の構造では、上に薬 事分科会がある。分科会の方だけでこれに関するルールを全部、自分たちで全部決めて いるのではなくて、初めからですが、ここから飛び出して、と言っても、この下に一つ ワーキンググループというものを付けて、この委員の方も一部入るけれども、そのほか の人たちも入って、利益相反に関するルール作りをやった。しかし、形式は、この薬事 分科会の下に属していて、そこへ提言をしたり、あるいは検証結果を報告するような構 造になっているわけです。  これは、形の上では下部組織という形になっているわけですから、桐野先生がおっし ゃっているのは、こういう形式でルール作りをしている場合には本当の意味でマネージ メントがあるのかどうかということが問題なので、そこまでやる必要があるのかどうか については桐野先生も留保されていると思うのですが、形の上で、薬事分科会の下では なくて、横へ一つ付けておいて、薬事分科会と対等というか、利益相反についてはここ がきちんと横から見ているという形にする方がいいのではなかろうかという、理解の仕 方としては、そういう御趣旨だと思ってよろしいのですか。 ○桐野委員 そういう形式にした方が普通です。今のやり方が全く良いとか悪いという ことではなくて、利益相反のルールは利益相反委員会が決めて、実際に具体的なマネー ジメントは事務当局などがやるのですが、大きなルールの変更などを分科会が自分でし ないで、利益相反委員会のようなものをつくって、そこが検討して、これがいいですよ というふうにするやり方の方が普通です。実際にそういう役割は負わされてはいないで すが、この委員会がそういう役割に比較的近い。 ○樋口座長 そうだと思います。検証、検討をこれからも続けていって、これはどうな のだということを言えるような役割を担っているわけですからね。その論点については もう1回、後でという話にしておいて、ほかの点ではどうでしょうか。まず、検証です。 検証した結果は大体このようなことでしたというのが2〜3ページで、長谷川班の研究 報告、調査報告等が一番大きな柱になっているわけです。これは、今までの議論の中で 事務局が苦労して要約してくれたことを、非常に簡単な形ではありますが、ここへ書き 込んであると考えてよろしいでしょうか。かつ、3ページの(3)で、現時点における考え 方としては、ともかくまだ半年なものですから、検証といっても、この半年の何回かの 結果で、新たにこれはとんでもないということがすぐ出てくるようであれば、さすがに ということですが、そこまでのことはまだ出ていないので、今後とも運用状況を注意深 く見守っていくということですね。ここはこれくらいの表現でよろしいでしょうか。 ○審査管理課長 余り重大な話ではないのですが、3ページの6行目〜7行目に書かれ ていることですけれども、今回の報告書自体が、アメリカにおいてガイダンス(案)から ガイダンスに変わったと、正式なガイダンスができたということで、アメリカのことを 書かれていて、ヨーロッパについて一言も言及がされていないことに気が付いたところ です。  さらに、この6行目〜7行目の「現在の申し合わせは」という所ですが、前回、議論 をするワーキンググループに御参加されていた先生方も多いのですが、ヨーロッパとア メリカと並行してやっていたという事実もございますので、そういう点を考えると、6 行目の末尾、「現在の申し合わせは」の後に、「欧州の基準とともに、その内容も参考 にして決定されたところである」というように、ヨーロッパも少なくとも前は見ていた のだということを明記していた方がよろしいのではないかと考えたのですが、いかがで ございましょうか。 ○樋口座長 それが正確ですからね。「欧州の基準とともに」というのを、「現在の申 し合わせは」の後へ入れ込むということです。きちんとヨーロッパについても、前はも う少し丁寧に議論がありましたので。ほかにはいかがでしょうか。 ○花井委員 アメリカとの比較の記述ですけれども、特に11行目以降の書き方ですが、 我が国の場合では「関連する企業からの寄附金・契約金等の金額をすべて申告対象とし ている点で厳しいルールとなっている」という記述が、あたかも、アメリカでは個別品 目ごとだから、組織的なものは対象としているけれども、我が国では企業ごとにしてい るから、より厳しいのだという、言い訳のように響くのです。  厳しいというのは、そこだけを切り出せば厳しいですが、そもそもアメリカがそれを できるのは、お金の使途が明確だからできるのであって、今議論としているのは、奨学 寄附金の使途が非常に不明であいまいだからせざるを得ないわけですから、だからとい ってこちらが厳しいわけではない。これは、何となく主観的にアメリカよりもここは厳 しくやっているのだというふうに読めてしまうというか、多分、書き手がそういう感じ で書いているなというのが見えてしまうので、厳しいという評価は外した方がいいので はないかと私は思います。  これを受けて、4ページの「2)組織の取扱い」について、実質的に委員等個人あての 寄附金とみなせる範囲を申告対象として、組織の立場でもらったものは除くという日本 の基準は問題だということに対して、そうは言うけれども、アメリカはこうだというの は、少しあざといのではないかと思います。  ですから、やめて、先ほど少し出ましたが、アメリカのこの部分だけを取り上げて、 そこを比較して、まさにアメリカの基準と比べても遜色はないということを一生懸命書 いている文章のようになってしまっているので、もう少しヨーロッパと合わせてフラッ トな記述にした方がいいかなと思います。 ○樋口座長 私は本当に記憶が定かではなくて、ヨーロッパも個別品目ということはな かったですか。 ○審査管理課長 私も記憶が定かではないのですが、この「なお、」の所は、「米国に おいては」を「欧米においては」と変えても、同じ文章でいけると思います。 ○花井委員 「厳しい」は。 ○審査管理課長 「厳しい」は、確かに委員のおっしゃるとおりかなと思います。 ○花井委員 言いたい気持ちは分かるのです。 ○樋口座長 それは、「すべて申告対象としている」で切ればいいわけですね。 ○花井委員 そうですね。評価する必要はないのでね。ここだけを見て、我が国の方が 厳しいという評価はできないのではないかと思います。 ○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。それでは、続いて、今度は従来からですが、 残された課題についてどういうことが話し合われたかということと、何らかの新たな論 点が出てきたかという話で、3ページの(3)です。対象が、まず、いわゆる奨学寄附金 はどうであったかという話。それから、今のお話が関係しますが、組織についてはどう かという話が4ページです。6ページの3)申告の方法、それから4)申し合わせという 位置付けはどうだったのだろうという、ここまで一括でも構いません。あるいは、ある ところで議論が続くようであれば、そこのところだけという形でもいいのですが、いか がでしょうか。  私が口火を切るのも恐縮ですが、4ページで表現についてだけ指摘させてください。。 このように改めて文章化されると、しかも読んでいただいたから、それで私も、送られ てきたものを読んでいたときは気が付かなかったのですが、これから申し上げるのはあ くまでも言葉だけの問題です。意味合いだけなのですが、4ページの11行目〜12行目 で、「奨学寄附金と他の寄附金・契約金等の区別についても、すべての大学において明 確に区別されてはいなかった」というのが、例によってnot allというのが、これは、 すべて駄目だったという意味なのか、明確に区別する大学がすべてではなかったという ことなのか、ということですが、日本語としてはどちらにも取れるので。 ○総務課長補佐 全否定と部分否定ですね。 ○樋口座長 これは幾ら何でも、全否定ではないということでしょうね。しかし、どち らが普通か分かりませんが、すべての大学で明確に区別がなかったというようにも読み かねないので。これはそうではないのでしょうね。 ○総務課長 違うと思います。ですから、部分否定であれば、すべての大学において区 別されているわけではなかったとか、そこは正確に表現しないと。 ○樋口座長 難しいのですけれどもね。わけではなかったというのでも、全否定に取ろ うと思えば取れるのですから。 ○総務課長補佐 参考資料3のアンケート調査の6ページになりますが、全体の結果で、 寄附金として一括して取り扱っている所が42.4%、奨学寄附金とその他を区別している 所が48.5%で、大体、半々というイメージになります。 ○樋口座長 半数近くの大学においては明確に区別していなかったというくらいの表現 ですかね。少しページ数がありますが、この部分はいかがでしょうか。 ○日比野委員 4ページの8行目、9行目の辺りですが、「機関経理されているところ が多いが、必ずしもすべての大学において」というところは、例えば大学でも国公立、 私立、あるいは薬学部、医学部と違いますね。そこをもっとはっきり区別すべきではな いでしょうか。座長が言っているような、もし将来グレードを付けるときのためにも、 一般的な傾向として私立の医学部では低かったとか、どうのこうのというのは、はっき り言っていいのではないかと思いますが、どうでしょうか。 ○樋口座長 参考資料との対比で、どういう表現が可能かを事務局の方に調べてもらっ ている間に、桐野先生どうですか。 ○桐野委員 後で多分、議論になるのですが、「奨学寄附金の透明性」というのがよく 分からないのです。例えば、奨学寄附金の使途について管理規程があって、それに従っ て執行されていて、かつ機関経理になっている大学法人などは、その情報について要求 されれば、一定のルールに従ってそれを開示するわけですね。一定のルールに従ってそ れを開示しない部分もあるわけで、それをもって透明性がないと言われても、これは情 報公開法に従って行っているのです。そうすると、法令違反であると言って出すしかほ かに方法はないわけです。そういうレベルの問題と、もともと奨学寄附金について開示 するメカニズムがない、機関経理もやっていなくて、規程もなくて、どういうことかよ く分からないというレベルとが一緒になっていて透明性がないと言われても、これは問 題ではないかと思うのです。どちらのことをおっしゃっているのでしょうか。  つまり、独立行政法人等の情報公開に関する法律、難しい法律に従って大学で規程を 定めて、それに従って情報公開委員会の審議の結果、開示をする、しない、する場合で も一部は黒塗りにするというようなことを決定している所に関しても、「奨学寄附金の 透明性は十分確保されているとはいえない」という表現で当委員会の意見を言うのでし ょうか。それとも、そうではなくて、奨学寄附金についてよく分からない、あるいは一 般の手に情報が届かない状態になっている所に関して、それをもっと分かりやすくして もらいたいと言うのでしょうか。もしそのようにおっしゃるのであれば、これは(1)に 書いてある、大学における利益相反の問題ではなくて薬事分科会の利益相反の問題であ るということを越えて、大学におけるいろいろな問題に意見を言うという形になってい るので、それは言ってもいいのですけれども、あるいはそのように要望されるのは悪い とは思いませんが、意味がよく分かりません。 ○樋口座長 どちらもなかなか難しい話ですね。 ○総務課長補佐 まず、日比野先生の御指摘ですが、大学でも国公立、私立、それから 医学部、薬学部で違うというのは、どちらかと言うと機関経理や取扱いの規程の方では なくて、情報公開請求時の開示の対応。開示についての対応は、国公立、私立、特に私 立の医学部でというお話を前回もいただきました。そちらは違うのですが、こちらの取 扱いの規程や機関経理の状況に関しては、国公立、私立でほぼ同じ傾向になっておりま すので、ここの書き振りとしてはこれでいいのかなと考えてございます。  桐野先生がおっしゃられた、「透明性」という言葉が広くとらえられてしまうという 点ですが、ここは、そもそもここで何を議論するかというところですけれども、3ペー ジの「(1)現状と論点」の一番下の行ですが、「奨学寄附金の意味合い等から見て、他の 受託研究費と同様に取り扱う必要があるかという点について」ということで、奨学寄附 金がどのような性格のもので、どのように切り分けができているか、そのようなところ が明確になるかならないかという意味で、「透明性」という言葉を使っています。「透 明性」という言葉が適切かどうか、今の御意見もございますので、ここは語句を変えた 方がよろしいと考えております。 ○樋口座長 桐野先生の御意見は、8ページの「4 おわりに」の最後の4、5行の所と 密接に関連する話で、その上で、結局、情報公開請求時にもすべてを公開していない実 態を、問題ですよとここに書いてあるわけです。しかし、それは、情報公開法で請求が 来たときに、法律の解釈により。 ○桐野委員 これは法律なのだと言っているわけですよね。 ○樋口座長 そうとは限らないと思いますが。 ○桐野委員 逆に言えば、大学が定めた内規が問題であるということを言っているわけ ですよね。内規に従って公開しているわけですから。恣意的にやっているわけではなく て、一定のルールでやっているわけですから。それで、多分、ルールの中で、例えば奨 学寄附をした法人、会社が開示に同意しなければ開示をしないと決めている所はあるわ けです。それは不当であるといった場合は、法令の解釈の問題になってくる。 ○樋口座長 そうとは限らないと思います。つまり、法令遵守、コンプライアンスとい う言葉がありますね。一方で、余りコンプライアンスとだけ言っているのもどうなのか ということがある。つまり、法律さえ守っていればいいのかという話があります。です から、その機関として最低限ここまでの情報公開が法律上は求められているけれども、 我々としては最低限ではなくて、この法の趣旨からすると、法律ではこの程度でいいと いうことになっているけれども、情報公開がいいものだとして、情報公開だけでなくて もいいのですけれども、いろいろなルールの在り方として、もう1段上のルールを自ら 課していくということもあっていいわけです。実際、幾らでもあるのですから。 ○桐野委員 それは、(1)の趣旨に反して、大学等の利益相反の在り方にまで入る議論 になってしまいます。大学がこの委員会に来る委員の利益相反に関連する情報を開示し なければ、それは問題なわけです。ここにおいでになる委員がどういう企業からどうい う奨学寄附金をもらっているか示してくださいといったときに、大学は開示しないと言 ったら、それはその委員の責任でもあるのですが、それは問題ですけれども、大学が独 自の判断で自分の原則に基づいて行っていることについて、ここで言ってもいいのです が、おっしゃるのですか。 ○樋口座長 それは、どこまでの範囲がこの委員会の問題であるかということをおっし ゃっているわけですよね。奨学寄附金の取扱いについて簡単に行かないねというのは、 先ほど花井先生もおっしゃいましたが、奨学寄附金の性格が大学によっても違うし、そ もそもそれが明らかにされていないということがあるので、我々のルールも、奨学寄附 金も全部、寄附金等に入れざるを得ない。 ○桐野委員 そこは分かりましたが、本来言うべきことは、奨学寄附金の経理の方法と か、そういうことが全然はっきりしないようなところをまずしっかりしていただいて。 それなりにきちんとしたルールを定めてやっているところが当面の問題ではないはずな ので。しかし、例えば、私立大学に対してそれをやれと言っても、法的な規定はないわ けですから、今、先生がおっしゃったように、社会通念上、そういうものはある程度の 基準で公開される、あるいはきちんとした経理をされるのが当たり前ですよということ は、言ってもいいと思います。 ○樋口座長 ただ、4ページの文言だけで言うと、私の読み方が足りないのかもしれま せんが、ここでは、奨学寄附金の経理方法や使途が明確ではない大学も少なくないので、 透明性は十分確保されているとは言えないという趣旨かと思います。ですから、前段と いうか、第1段階だけが問題になっていて、8ページへ行って広がっているということ で、むしろ8ページのところの表現について、ここまで書くのかどうかについて議論を いただくことはあっても、ここだけで、中身は、我々の事務局の案でも、本当は桐野先 生の指摘の方が正しくて、厳密に1段階、2段階という区別をしないで、ぱっと「透明 性」というキャッチワードで、ごちゃごちゃと入れ込んでいるようなことがあると思い ますが、反省はしないといけないですけれども、この文言だけで言えば、そうでないよ うに、善解していただいてもいい。 ○桐野委員 奨学寄附金を、寄附者を含めて全公開しろという場合、そうされてもいい のですが、例えば匿名の寄附者とか、氏名を出すことを嫌がる人がいるものですから、 そういうものも全部含めて全公開となってしまうので、それではやれないです。 ○神山委員 (2)と(3)の両方について、アンケート調査の内容が、先ほど事務局が言った ことと違うような気がします。公開だけではなくて、経理方法についても、国立と私立、 医学部と薬学部で結構違う、奨学寄附金とそれ以外の寄附金を分けているかどうかとい うアンケート調査の6ページなどを見ると、違うように思われます。せっかくこのよう ないいアンケートがあるわけですから、アンケートの状況をもう少し細かく入れ込んで、 (3)のところもそのように、奨学寄附金とそれ以外の寄附金を分けていないとか、使途を 定めていないとか、全体としてのルールが決まっていないとか、そういう客観的な事実 と思われる事実を書いて、「透明性」という言葉がいいのかどうかというのは問題があ るのだと思いますが、全体として奨学寄附金についての、何て言うのですかね。 ○樋口座長 取扱いがまだ一様でないというだけで。 ○神山委員 規範性が希薄とか、そのような評価を、(3)は「現時点における考え方」な ので、考え方を入れないわけにはいかないわけですから、何らかの形で評価を入れて、 透明性だけではない、そもそもやり方自体が不十分なのではないかということが(3)のと ころに考え方として入ってくれば、後に引き継がれるのではないかと思います。 ○樋口座長 飛ばしてしまったような形になったのですが、日比野先生のところはどう なのですか。先ほどのようなことでよろしいのでしょうか。 ○日比野委員 データとして、この機関経理のところについてはそうなのですか。 ○総務課長補佐 8行目から10行目にかけての、取扱いの規程を定めるというところ は、例えば5ページや7ページになります。7ページで私立の薬学部が違いますけれど も、さほど大きな違いはないのですが、神山先生がおっしゃった11〜13のところは、確 かに取扱いは異なります。 ○日比野委員 機関経理がそういうふうならそれでいいのですが、ほかの所ももう少し 設置主体別にやや詳しく書いた方が、性格がよく分かると思います。 ○樋口座長 せっかく長谷川班のアンケート調査というデータがあるのですから、もう 少しこの報告書の中に、神山先生の意見もそうで、客観的に、客観的にというのは、デ ータが出ていることについて、一番のポイントだけをもう少しこの中に書き込んだらど うかという話ですね。暫定的な結果ということでもあるのですが、ある程度は何とかな りますか。事務局の今の感触はどうですか。 ○審査管理課長 これは3分の1の抽出ということになっておりますので、5ページを 御覧いただいても6ページも基本的に一緒なのですが、全体として見るとn=33という 数字が出ていますけれども、設置主体別で見ると、一番少ないのが国公立の薬学部で、 n=5という数字になっているところでございます。そういう意味では、今回の数字をも って細分化して書いていく上で、少し数字が少ないのかなと思います。仮に書くとして も、そういう傾向がうかがわれたとか、かなり落として書かないと、全体を見ていただ く分にはn=33となりますから、ある程度のものが言えると思うのですが、設置主体別 に細分化した場合には、少し表現を工夫して書く必要があるかなと思ったところでござ います。 ○樋口座長 4ページのところで、国公立の薬学部は5校ですし、私立も8校ですもの ね。この部分でほかにはいかがでしょうか。 ○神山委員 結局、書き方の問題だと思うのです。考え方の結論で、「「寄附金・契約 金等」に含めることが適当である」という点は動かないと思いますから、その根拠を何 と見るかということですね。 ○審査管理課長 もしよろしければ、先ほど来議論のあります5ページ〜12ページくら いまでの全体像について、一つずつ、3分の1程度とか、5分の1程度とか、例えば5 ページで言うと、奨学寄附金について6割強の所は明文化した規程があると回答があっ たとか、6ページで言うと、約4割は寄附金として一括して取り扱っていると回答があ ったという形で全体像を書いていくことにさせていただいて、(3)の「現時点における考 え方」については、先ほど座長がおっしゃられたような、奨学寄附金の取扱いについて はまだ一様の取扱いとされるようなところまで至っていないというような評価にしたら いかがでございましょうか。 ○樋口座長 殊更、例えば私立の薬学部はひどいということをはっきり言えるかという と、そこまでは言えないということですね。全体としてまだ一様でないということさえ 根拠としてあれば、今のところ奨学寄附金等は別個に扱うことはできないという、結論 に必要なデータだけはもう少し詳しくはっきり書いておくのはいいかもしれないが、細 分化するところまではリスクが大きいということではないでしょうか。何しろ対象が3 分の1だけということでは。まだ過半数あるとか。それはそうなのではないでしょうか。  これは全く余計なことですが、私はこういうデータの調査などを自分でやったことが ないものですから、そういう苦労が私自身は分からないので、他人の仕事なものですか ら簡単に言ってしまう傾向があるのですが、その上で、せっかく何か調査をやるのであ れば、全国で何百、何千と学校があるのであれば大変だと思うのですが、3分の1では なくて、全部やられたらどうなのだろうかと思ったのです。ですから、将来的な課題と して、これは時間や経費の問題もあるので、どうしても3分の1でないといけないとい う根拠があれば、これはこれでということですが。  それから、私のところにいろいろなアンケート調査が来ますが、なかなか面倒で、お 互いに大変だなということはあるのですが、毎年このような調査をやるという、1回や ってしまうと継続的に調査をやらざるを得なくなるから、1回全部でやると、こういう 調査のやり方としては、ずっと全部でやるという話になるのですかね。しかし、何年か に1回は全部についてやってみようというぐらいの感じでもいいのかなと思いました。 ○神山委員 長谷川班の研究を紹介するところに、今言われたような、母数はこれくら いだということも入れて、全国の3分の1と。 ○樋口座長 それはどこかに入れたのですが。 ○神山委員 あるのでしたか。もう一つ、先ほど課長が言われたような、全体として見 ても4割とか3割という数字が出てくるので、全体として、一括にしている所が4割と か、使途についての制限がない所は4割とか、そのような数字を入れていただければ、 もっとはっきりしますね。 ○樋口座長 そうですね。せっかくデータがあるのですから。42%とか書かなくても、 4割程度とか、そのくらいの数字はあった方が、はっきりするかもしれないですね。 ○神山委員 3分の1というのは2ページに書いてありました。 ○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、もう1回細かく見ていきますが、ま ず、奨学寄附金の取扱い等について、今言ったような問題点はありますが、現時点にお ける考え方としてはこうだという点では、委員の間で一致が見られたと考えているわけ です。組織についても、そもそも組織についての認識が余りないというデータがあるこ ともあって、組織に、あるいは機関に対していろいろな寄附が行われているものを、全 部個人、委員に対する寄附金の中に入れるわけにはいかないだろうという現状の取扱い を、とりあえずは良しとする。これは全部、「現時点における」ということですが、た だし書を付けて、そのような方向にしているわけです。ただ、神山先生その他の委員か ら出てきましたが、講座内の関係者の問題が新たにアンケート調査で浮かび上がってき たので、今後ともそれについては注視していくという内容が、5ページに書いてある。 6ページの申告の方法は、簡便な方法だというふうに評価もしていただいているので、 とりあえずこのまま。申し合わせという位置付けについては、少しレベルアップという か、ネームアップを図ったらどうかということです。ここまでよろしいですか。 ○花井委員 一番肝心な所だと思うのですが、委員個人あてでも、組織であれば良いと いう話ですね。これが現状で、4ページの(1)に書いてあって、これに対する回答として、 5ページの(3)の書き方、「学部等組織や、他の講座の関係者に対する寄附金・契約金等 については、それぞれの委員がその額を把握することのできるような制度的裏付けや実 態が存在するとはいえない」というのを理由にするには、4ページの、本人の名義でも らっているものは、その人が把握できないということはまずないのだから、それも一緒 くたに理由にすると、整合しない気がするのです。つまり、学部長名義で組織にもらっ ているけれども、本人の名前だけれども、私がもらっているのではないということを容 認する理由に、(3)はなっていない。ですから、もしそうするのであれば、そこには何ら かの説明を加える必要があるのではないかと思います。ほかの学部でもらっているもの は分からない、これはアンケートで出て明らかですし、それを何に使用しているかも分 からないし、大学がどこからもらっているか知りません、それは申告できないでしょう ということは(3)に書いていますが、4ページの2)の(1)を容認する理由に、5ページの(3) は弱いと思います。 ○樋口座長 理解が違うと思っているのですけれども、私の間違いであれば事務局の方 で訂正してもらいたいと思いますが、組織という名前で来ても、実質が例えば樋口の所 へ来ているものは、当然入るのです。ですから、実は樋口とは関係がなくて、しかし、 問題になったのは、私が所属している機関に、私の所の研究費にはならないのだけれど も、いろいろな多額の寄附をある企業がしてくださっていると、私が有り難いと思うと いうか、自分が属している組織に対してそのようにして教育費等で出してくれるのだか らというようなことが、影響があるのではないかという話のところなのです。それで、 そちらの部分については気にもしていないというアンケート結果なのです。 ○花井委員 気にもしていない。 ○樋口座長 分かっていないということですから。 ○花井委員 自分の名前で入っていても。 ○樋口座長 自分の名前であれば、初めから入っているのです。 ○神山委員 そうではないですよね。 ○樋口座長 学部長は別ですよ。 ○神山委員 学部長の話です。 ○樋口座長 学部長の話をしているのですか。学部長も、自分のもので来ているものは、 これは学部長だけに取っているものではないからですが。 ○花井委員 今おっしゃった話は、私もそう理解しています。ただ、名前が学部長等、 学長でもいいですが、そういう場合に、それは組織に入っていて、実質的にその人が自 分の研究に使っているお金ではないからということの説明には、(3)ではなっていないと いうことです。 ○樋口座長 そうすると、学部長だけ例外ルールを作ろうという提案になりますか。 ○花井委員 書き方だと思います。(3)で、要は、現行の申告対象外とする取扱いを見直 す必要はない理由として、これだけでは、そこは説明できないという意味です。 ○樋口座長 影響を与えていないのですから。 ○神山委員 もともとある申し合わせの注6で、「委員等個人宛の寄附金等とみなせる 範囲を申告対象とし、本人名義であっても学部長あるいは施設長等の立場で、学部や施 設などの組織に対する寄附金等を受け取っていることが明確なものは除く」とあります。 つまり、これは組織のお金ですね。組織がもらっているお金だから、これは個人がもら っているお金にはしないというのが注6なのですが、花井先生は、自分の名前で来てい るのだから、これは分かっているはずだろうと言っているわけです。ですから、把握で きていないから除くのだ、当然申告できないだろうという理由だけでは不足なのではな いか、つまり、注6に対する考え方が何も示されていないと、花井先生の意見はそうい う趣旨だと受け取ります。 ○花井委員 (3)でそれを正当化する論理的整合はないという趣旨です。 ○桐野委員 実際問題として、奨学寄附金については、大学などによってルールが違う と思いますが、例えば500万円くらいの所に線を設けて、それを超えるような寄附につ いては全学の教育研究評議会のような所、そうでない場合は学部・研究科の教授会など で承認を得ているわけです。場合によっては、このような紙にダーッと書いてあるもの が回ってきて、いかがですかという感じになるのですが、学部長は職責上それを知るこ とになるのです。教授会メンバーも、メンバーとして知ることになるのです。ぱらぱら とは見ますが、それはそういうところを通っていくということであって、例えば、その ようなことはあり得ないですが、軍事研究に関係するようなものとか、明らかに不適切 なものについては、事前のところで、事務レベルでチェックがついてはねられます。実 際は、もちろん審査はしますが、こういうものにダーッと並んだものが出てくる感じで すから、それは知り得たという意味では、すべての教授が知り得ているわけです。出て くるのですから。オープンですから。誰がどこからどういう奨学寄附金をもらったとい うのは見えるわけですから、それをもってすべていけないというのであれば、ほとんど の方はどこにも出られない。 ○神山委員 それをいけないと言っている話ではないと思いますが。 ○桐野委員 そういうものまで範囲に入れるのは現実的ではないのです。 ○花井委員 いけないということではなくて、(1)を容認する説明には(3)では弱いのでは ないかと言っているだけです。説明になっていないでしょう、もう少しきちんと書かな いと、ということです。例えば、今言った、教授は本当は形式的には見ているけれども、 ぱらぱらと見ていたら、それ自体で本人は分かっていないのだから仕方ないのではない かというのは、余りにも変ではないですか。それを見ているという建前があるのだから、 本人は本来把握しているのだけれども、このお金は組織的なものだからという説明でな いと、(3)では、本人はそれを把握し得ないからいいのだという説明になっているから、 それでは整合しないでしょうと言っているわけです。 ○桐野委員 そういう意味ですか。分かりました。 ○審査管理課長 花井委員から御指摘のある、4ページの29行〜32行、先ほど神山委 員から御指摘のあった、現行の規則の注のところでございますが、この基本にある考え 方は、恐らく二つあるのだろうと思っております。一つには、組織に対する寄附金であ っても、例えば○○医学部への寄附金ということはできなくて、医学部長 ○○という形 で寄附するのが慣例なのだろうと思います。寄附の仕方のルールの問題だろうと思いま す。もう一つには、それを使おうとするときに、これは通例と言った方がいいと思いま すが、組織の中の教授会であるとか、そのような組織体としての合議の下で決められて、 本人が動かせる部分が非常に限られているという、二つの理由があるのだろうと思いま す。  したがって、もしそういうことでよろしければ、5ページの(3)の17行〜19行までの ところ、「存在するとはいえないこと、また、寄附するときには組織の長宛とすること が慣例であって、通例、それは組織体としての一定のルールの下で使われることとなる ことなどから」とか、そのようなことを入れるのかなと考えております。文章上はもう 少し考えさせていただきたいと思いますが、恐らくその二つかなと思います。 ○花井委員 そのお金を、委員が応分の支配権を持って、例えば自分の好みの研究に使 えるとか、そういう構造がなければ、本来そのお金はそうではないわけですから、それ が理由だと思うのです。今のような理由が書いてあれば、そうだと思います。これでは、 分からないのだから仕方ないではないかと書いたにすぎなくて、それは、書き振りとし ては余りにもおかしい。手続としては、本人は分かっているだろう。しかし、これは私 の名前でやっているお金でしょう、私が自由に使えるお金ではないですよ、ということ を本人が言うことによって、関係ありませんと言えるわけです。  前回意見を出した趣旨は、そういうことが分かってきたら、今度は、そうは言っても、 ここは結構自分が使っているということを本人が意識していれば、これは自分の中で利 益相反になると思えば、自己申告しなさい、立派な人たちなのだからということです。 そうしないと、どこまで行ってもお金の支配権は、必ずしも手続にのっとったものでは ないというのは政治資金でも実態ですから、そこは選ばれた委員の見識において自己申 告するというのが基本ではないかという趣旨です。その意味では、ここの書き振りはそ れで、今、課長がおっしゃったような趣旨です。 ○桐野委員 これは、アメリカの基準に、自分で知り得るもの、知り得ないものという のが入っていて、その影響でこういうことを言われたのかなと思います。 ○総務課長補佐 これは、議論が「組織の取扱い」と一つにくくってありますが、今ま での申し合わせの注6にあった、4ページの29行目〜32行目の話については、今回の 委員会で突っ込んだ議論をしていただいているかというと、実はしていただいていませ ん。今回の委員会のミッションとしての課題については、全体、組織を考えた場合に、 大学や学部にあてられた契約金・寄附金をどうとらえるべきかという課題でずっと検討 していただいていたので、今まで注6の所がすっかり抜けていました。今、花井委員か らその点について御指摘があって、御議論があって、審査課長の方からの提案があり、 全部まとめて、今までの議論と併せて、結論としてはそのように考えられるというふう になったと理解しております。 ○樋口座長 私も、事務局と一体化して申し上げるなら、今まで、ここでの議論の中で、 今日のようなこの問題についての議論はほとんどなかったのです。それは前々の話であ ったことではありますが、今回は、新たなデータとしては、現場の人たちも組織に対し て幾らなどということは意識していないということが、補強証拠として出てきたという ことなのです。それで、このデータが出てきたのであれば、一層今のルールを変えない といけないという話ではないと書いてあるだけなのです。花井先生のように見ることも できるかもしれないのですが、これだけではということですけれども、これは、前々か らのルールを変えるほどの必要はないと考えられるという意味なのです。 ○花井委員 そうなのですが、そこは積極的に説明しないと、一番疑惑というか、どう なっているのかというところがここなわけですから。 ○樋口座長 組織の中でということでしょうね。 ○花井委員 ですから、そこに対して正当性をきちんと書いて、委員の方々も、それは こういう意味において正当であるということは、明確な方が。確かにそれはそうかもし れないですが、この書き方では、把握できないからということしか書いていないから、 必ずしもその正当性が担保されていないと思います。 ○神山委員 まさしく事務局が言われたように、議論していなかったのです。注6は注 6のままでいいのですかということが、組織をどう考えるかということそのものだった のに、その議論を実は忘れていたというところが一番の問題なのです。 ○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。時間の関係もありますし、それに、少し記述 を増やす可能性もなくはないわけですから。申告の方法や、申し合わせが規程にという 話は結構ですね。これはかなりいろいろ議論が行われたところなので。  それでは、現時点における考え方を示す必要がある事項と「3 薬事分科会への提言」 とをリンクさせて、今日お話があった所を議論していただきましょう。薬事分科会への 提言ということで、まず、(1)は基本的にいいですね。文言については、遵守事項を申 し合わせではなくてうんぬんということについては、また何かあれば御注意いただきた いと思います。「(2)評価・検討の継続的な実施」も、これは当たり前というか、今ま でどおりのことをきちんとここで確認しておこうという話なので。  それから、「4 おわりに」の最後の5行のところも、桐野先生からお話があったので、 これも含めると二点ですね。  一つは、基本的な構造ですね。どのように利益相反について問題が起きないような仕 組みを、モニタリングの仕組みをどういうところへ位置付けて考えていったらいいかと いう点について、ここで議論が行われているわけですから、それは何らかの形で報告書 に反映させて、こういう論点が残っていることを書き込む可能性はあると思うのです。 それで、どう書き込むかということかなと思っています。とりあえず、こういう議論が ありましたというだけで、文書に残さないというのもあるかもしれません。しかし、何 回かそういう話があったので、それを何とか、残された課題という話に今後ともなると 思うのですが、ここでどうのこうのという形には結局ならないと思うのですけれども、 薬事分科会への提言の中にまで入れるか、7ページの(3)のところで、現時点における考 え方というか、新たな課題みたいな、こういう点もありますというところへ書くにとど めるか、というのもあるかもしれません。これが一つです。  二つ目が、最後の「おわりに」で、奨学寄附金等の情報公開の在り方について、大学 への要望のようなものをどこまで書くか、あるいは書けるかという議論です。  まず、第一点について、いかがですか。火付け役は桐野先生ですから、桐野先生、ど う思いますか。どういう形でこの報告書に反映するのがいいと思われますか。マネージ メントの仕組みというか、ガバナンスの在り方ですね。 ○桐野委員 仕組みの問題は、普通の意味の利益相反マネージメントをするのであれば、 利益相反に関する大きなルールを決める利益相反委員会というものがあって、それに従 って利益相反のマネージメントのガイドラインやルールがあって、それに従って境界の ケースなどをどうするか、例えば組織に対する寄附なのか、個人に対する寄附なのか、 非常に判断に迷う場合に、一応それを出して、これは利益相反状態ですとか、利益相反 ではありませんと判断するものをつくるのが普通なのです。つまり、境界でどう判断し ていいか分からない例が出てくるので。それを判断した後には、利益相反に関する説明 責任を、個人ではなくて、利益相反委員会の親元の機関が負うのが普通なのです。  そのつくり方が少し違っているのです。だからと言って、前者のようなつくり方をし なければならないという議論をしているわけではなくて、しかし、自分が自分の利益相 反をマネージするやり方は、普通では余りしませんということを、私はずっと何回も言 っているのです。分科会の委員が自分で、自分の利益相反はいいのか、悪いのか、これ は利益相反に当てはまる、当てはまらないと議論するのも、変な感じがしないではない ということです。  一番いいのは、こういうアドホックのもっと権威のある委員会をつくって、そこで利 益相反に関するルールのひな形を作って、それを上位機関である分科会ではなくて審議 会全体で承認をして、分科会もそれを認めて、マネージメントの実務を背負う所をどこ かがつくって、事務局が迷った場合はそこに相談するという仕組みが一番普通かなと思 いますが、大変だろうと思います。ですから、外形標準的に誰が見ても問題はないとい う非常にクリーンなルールを作れば、そのルールの内と外で分ければ話は簡単で、あと は事務局の書類の処理で済むわけです。後者でいくやり方は十分あり得ると思います。 ○総務課長 一つだけ、事務局として、7ページの最後のなお書きのところですけれど も、非常に簡単に今の申し合わせを引いてワーキンググループと書かせていただいたの ですが、申し合わせで言うと、まさにこの委員会自体がワーキンググループという位置 付けなのです。その構成は、当然、外部委員も入っていただいた上でのワーキンググル ープを設けると書いてある。なお書きで書かせていただいた評価ワーキンググループも、 当然、私どもの気持ちとすると、外部委員も入っていただいた上でのワーキンググルー プというつもりでした。そういう意味で言うと、ある程度、分科会からは独立性がある ところで評価をいただくということです。  また、ワーキンググループというネーミングの問題が、いかにも分科会の下にあると いう印象を与えるのかもしれませんので、全く別に御提言として書いていただくやり方 もそうですし、なお書きのところを、私どもは現在の申し合わせにこだわって書いてお りますが、もう少しここで御議論いただいたような形で、格上のというか、あるいは外 部の方が入っていることを明記して御提言をいただくとか、そういうやり方もあるかと 思います。 ○神山委員 今のお話に続けてですが、ワーキンググループは、このワーキンググルー プと、常設的なというか、年1回行うワーキンググループと、2種類あるわけです。そ のワーキンググループで必要な改善方策の検討を継続的に行うことになっているところ に、更に加えて、桐野先生がおっしゃったような、分科会の中に利益相反部会みたいな、 利益相反のルール、あるいは特例のルール適用に関する問題や、組織の利益なのか個人 の利益なのかみたいな、そういう微妙なことを判定する部会のようなものをつくること も、このワーキンググループで検討してほしいというようなことを意見として付け加え るくらいのことなら、できるのではないかと思います。大変だからつくらないというこ とになるかもしれませんが。  結局、今までの問題で、500万円と50万円という明確な線引きがあるわけです。それ ではねていて、判断しなければならないのは、特例に当たるかどうかというところと、 学部長名で来ているものは個人なのか組織なのか、学部長名で来ていても組織であれば いいことになっているわけですが、その辺りがあいまいなことがもしあったとしたら、 御本人が判断しなければならないことになります。申告するかしないかは御本人ですか ら。その辺りを相談する所があった方がいいということだとすれば、そういうものも必 要かもしれませんが、それを入れろということまでこの報告書には書けないと思います。 ○日比野委員 思い付きですが、今言った、ボーダーラインをどうするかというときに、 先ほど桐野先生がおっしゃったように、それぞれの所属機関の認定書のようなものを添 付するという形はとれないものですか。それで、委員になるときの申告のときに、参考 資料扱いか何かでそういうものを添付していくことは可能ですか。そこのマネージメン トがしっかりしている所の認定書をもって、同時に出すという形はどうでしょうか。 ○樋口座長 それは、各委員の所属機関がということですか。 ○日比野委員 そうです。桐野先生がおっしゃったようなしっかりしている所であれば、 これは本学で検討した結果、問題ないと判断したというような、証明書のようなものを 添付するとか、そういう形は考えられないものですか。 ○樋口座長 ただ、これは一つ一つの議題について問題になっているのです。 ○日比野委員 問題になりそうなときに。ボーダーラインのようなときに。 ○審査管理課長 論理的にはいい案のような気がするのですが、実務的に回そうとする と、例えば今、新薬の第一部会は基本的に毎月やっておりまして、その中に議題が三つ 〜五つくらいある状況ですから、毎月それを申告していただいているというのが一点。 二点目には、問題がありそう、問題がなさそうというのは、委員本人に責任を帰するこ ととなってしまって、先ほど来、任命権者の責任のような話があったのですが、そうい う意味から言うと、また委員に責任を押し付けているようなところがどうしても出てく るのかなと思います。証明書を持ってこなかったこと自体が、また後で問題となってし まうようなところがあるのかなと思います。 ○日比野委員 実務上、無理ですかね。 ○杉浦委員 組織によって事情もありますし。もう一つ、先ほど神山先生が言われたよ うに、分科会の中に利益相反の検討をする部会のようなものをつくっておくことは必要 だと思います。というのは、第2回でヒアリングをしたときに、新たに病院などにおい て医薬品を購入したり、その担当されている責任者や購入者に対してどうするかという ことも、将来、検討したらどうかという指摘をされたと思うのです。そういうことも含 めて、何か新しいことが出てくる可能性もありますから、やはりそういうものをつくっ ておくことが必要かなという気はします。 ○樋口座長 今日の議論の最初の方で桐野先生がおっしゃったように、それは私も全く 同感なのですが、利益相反状態があるというだけで悪人だという話はないのです。この 問題だけではなくて、利害関係がある中でみんな生きているのです。しかし、それが、 完全に放任されて、一人一人で考えてやってくださいというだけでは済まない場面があ り、この薬事に関する問題はそういう種類の一つなのだろうと思うのです。  それで、何らかの形のルールを作って、そのルールですが、前にも少し言ったのです が、はっきりピンポイントで、ここに問題がある、この人が問題だから、この人を排除 することができるかというと、できない話だと思っているのです。ですから、極めて形 式的で、当たってもいないようなルールをとりあえず作っておくことを、どう評価する かということなのです。それは全然ピンポイントではないので、あえて言えば、ばかげ たルールかもしれないと私は思うこともあるのですが、何らかのルールを作ってやって いるということが一定の影響はあって、薬事審議会等の委員になれば、そういう問題を 意識せざるを得ない。それが大事なのです。それ以上のものでもそれ以下のものでもな いと思っているので、そうだとすると、基本的にはその委員会の自主ルールでいいので はないかと思うのです。これは前からしつこく言っているので、どうしても樋口は考え が分からないと桐野先生におっしゃられそうですが、まず自主ルールがあってしかるべ き、そういう人たちの集まりですから、我々で自戒しようという話で、何らかのルール を作っておくという方が第1の筋だと思っているのです。  しかし、それだけでは大丈夫ではないのではないかという話になれば、何らかの形で 外部の人を入れて、外部の人が入っても、我々はきちんとやっていると言えるようにと いうことですね。それがこの委員会なのではないかと思っているのですが、自分たちが 委員で、私たちがそうですと見えを切れるかというと、もう少し何らかの、形の上でも 別のものがあり得るのではないかということを、桐野先生が示唆してくださっているの だと思うのです。  しかし、一方では、桐野先生も、それを本気になってつくったら大変だということも おっしゃるし、今回のルールは比較的裁量の少ないものですから、そうすると、とりあ えず1件1件について必ずどこかに相談するというマネージメントの話はなくてもよく て、何らかの形で定期的にこういうルールで本当にうまくいっているのかということを 検証し、問題があれば諮問をいただき、この委員会は、形式上は分科会の下なのかもし れませんが、実際は良くしたもので、分科会は、これで何かの提言をすれば、形の上で は100%とは言えないのでしょうけれども、聞いてくださるシステムになっているわけ です。そうすると、下に置くのか、横に置くのか、中に置くのかは、形の問題であって、 実質がきちんとしていれば、それでいいのではないかと思ったりもするのです。  しかし、今日のような議論もあるということを上の分科会に伝えることは意味のある ことで、分科会の委員の方がそれはそれで別に考えてくださることもあるだろうし、こ ういうワーキンググループか委員会はこれからも継続してつくられますので、その中で もう少し考えが成熟していくか、まとまっていくか、あるいはこういうものがあった方 がいいという話が経験と検証の中から出てくるかもしれない。ですから、そういう萌芽 をこの文章の中に、今日せっかく議論いただいたので、どういう表現にするかは難しい 気もしますが、入れておくことはあっていいのではないかと思っております。とりあえ ずは、そういうまとめ方でよろしいですか。 ○神山委員 このまとめは、今日で終わりにするのですか。もう1回やるのでしょうか。 もう1回やるのであれば、まだやっていればいいと思うのですが、今日で終わりにした いということであれば、組織の考え方について意思を統一するなどしておかないと、時 間切れになってしまうと思います。言葉の問題、ワーキンググループという言葉でいい かとか、上か下か中かというのは、それほど大きな問題ではないように思うのですが。 ○樋口座長 今の神山先生の御意見をどうとらえたらいいか、よく分からないのですが。 ○神山委員 先ほど花井先生がおっしゃったように、組織の問題について、4ページの 「(1)現状と論点」に、本人名義であっても学部長や施設長の立場でもらっているものは 除いているとしか書いていないのです。 ○樋口座長 今はその話ではないのです。 ○神山委員 違うのです。そのことを何も検討していなくて、それで今日でおしまいと いうことはできないのではないかと言っているのです。もし今日でおしまいにするので あれば、時間を延長してでもその部分をやっておかないと、私は、ワーキンググループ をどうするかとか、桐野先生がおっしゃったようなことは、そういう考え方もあったと いうことで、何かの形で座長と事務局で相談して入れていただければいいのではないか と思うのですが、組織のことについては、実質的な議論を1回はしなければいけないの ではないかと思うのです。これも書き方の問題ですが。 ○樋口座長 もう一点、「おわりに」の最後の情報公開の文章ですが。 ○神山委員 これも誤解を招く文章ですね。すべてが情報公開していないというふうに 読めるので。 ○桐野委員 情報公開を要求しても、情報公開法に基づいて一部は公開するけれども、 全部は公開しない実態が問題なのか、それとも、奨学寄附金の使い方のルールもなく、 どのように使っているかよく分からないことが問題なのかというと、後者の方に問題が あるからこそ、奨学寄附金を500万円の勘定の中に入れることに、私は賛成したつもり なのです。決して、一般的に大学が、情報公開法に基づいて公開しているけれども、そ れが全部でないから、奨学寄附金を500万円に入れるか入れないかという話ではありま せん。奨学寄附金が公開されない大学の委員の方であっても、この委員会に参加するに 関しては奨学寄附金を明らかにしてくるわけですから。むしろこの問題は、ここにおけ る利益相反問題というよりは、大学の情報公開について問題にしている感じがして、場 違いな感じがします。 ○樋口座長 必ずしも場違いではないと、私は思っていますが。 ○桐野委員 しかし、すべての情報は公開しないのです。例えば、新しい発見をした研 究者は、それがいかに公費で行われた研究であっても、ネイチャーやサイエンスなどに アクセプトされた場合は、出版される日の朝まで一切口をつぐんで、何も言えないので す。それから、特許に関するようなことで、企業と共同研究をしているようなものは、 国の機関であっても公開しないのです。そのようなことがたくさんあって、すべてを公 開していないから問題だという議論は、必ずしも成立しないのです。はっきり言えば、 これは乱暴な議論です。これは、社会に対して公正であって透明であるということとは 無関係にそういうことがあるので、こういうことをおっしゃるのは乱暴であって、むし ろ使途の規程もなく経理もよく分からないところが一番問題なので、そこについていろ いろ問題があるから引っくるめて含めざるを得ないということについては、そうかなと 思います。しかし、一方で、最初のころに申し上げたように、機関経理をしていて、評 議会及び教授会で審議をして、すべてオープンになっているものまで含めるのは、問題 ではないかという気はずっとしています。 ○樋口座長 予定された時間になってしまいました。先ほどの神山先生の御意見もある のですが、委員の方々も、これで座長に一任はできないでしょうね。これは次回という ことで議論を継続させましょう。ただ、組織についてのところは、もう1回あるからや ろうということだと思いますが、今まで議論していただかなかったのは、本当は委員の 方の責任でもあると思っています。ここで今日たたき台としてまとめられたのは、これ までの議論の概要を事務局としては誠実にまとめているので、その点だけを余り言われ るとアンフェアな気がするものですから、それだけは申し上げておきます。しかし、も う1回ありますので、組織についてのところと、こういうグループの在り方の問題と、 桐野先生がおっしゃった、情報公開の在り方をどこまで書き込むかということですね。 「おわりに」の部分は重要ですからね。 ○花井委員 これは、公立でも出さないということを指摘しているのではないですね。 情報公開請求をしても、私立などは義務がないから出していないということを書いてい るので、恐らく桐野先生は誤解されていて、余りにも出さないところがある所について 言っているのではないかと思うのです。そういう趣旨ですね。 ○樋口座長 その点も含めて、少し。 ○桐野委員 しかし、それは、委員でありながらこの委員会に対して全然開示しないと いうことであれば大問題ですが、一般の大学が自分の判断で出したり出さなかったり濃 淡があることについては、要するに、大学が自主的判断をすることについて、それは良 くない、もっと出せということをここで言うのですか。それは薬事と関係ないではない ですか。おっしゃってもいいのです。私自身はもっと公開してもいいと思っています。 参加する委員がひた隠しにしながら参加したら、それは大変な問題です。ここに来る委 員はすべてオープンにして、私はこういう企業からこれだけもらっていますといってや ってくるわけですね。それについては当然示さないといけないわけですから。 ○花井委員 文脈はこうではないですか。参加する委員が身の潔白を全部証明するのは 当たり前なのだけれども、それを委員にいちいちやらせることが非常に負担になるでし ょうという議論があって、ある程度組織的にきちんとした経理をしている分にあっては それを見れば分かるのだから、委員にいちいち申告させなくてもいいという議論があっ て、ですから、委員が身の潔白を全部証明するのであれば、別に組織は問題ないと思う のです。ただ、それは難しいのではないかというところからスタートしたような気がす るのです。そうすると、これは、委員が身の潔白を全部証明して、それを客観的に証明 すればいいだけの話になりますから、桐野委員がおっしゃったとおり、大学の情報公開 は全く関係ない話です。 ○樋口座長 「おわりに」を読んでいただくと、「奨学寄附金の受領に関する情報公開 については」という話なので、何でもかんでもという話ではないのですが、表現の仕方 が大ざっぱ過ぎるかもしれません。ですから、そこも含めてもう少し冷静になって考え て、今日はまさにたたき台なので、十分にたたかれたと思いますので、これはもう1回 やらせていただいて、今日の主要な論点をもう1回議論していただいた上で、文面を改 めたものをあらかじめ先生方にお送りして、これではなくて、新たな案文で議論をして いただき、次回は提言としてまとめることにしたいと思います。 ○日比野委員 すべてを公開していないという、これで引っ掛かってくるわけでしょう。 ですから、利益相反を判断するに必要な情報を公開していないとか、そういうふうに。 ○樋口座長 文章が少し荒っぽいということですね。 ○日比野委員 限定すれば、桐野先生、よくないですか。 ○樋口座長 こちらも、もう1回考えてみて、新たな案を提示して、文言について御判 断いただきます。 ○総務課長 「おわりに」のなお書きは、桐野先生から冒頭の方で、本委員会のミッシ ョンと関係があるのかないのかという議論がありましたが、1ページの2の(1)の基本 的な論点でないことは確かであるということで、提言には入れずに、最後の「おわりに」 ということで整理をさせていただいています。ですから、基本的なミッションから外れ ていることは我々も承知していたのですが、情報公開についてこの委員会でかなり御議 論いただいたので、どこかに形を残したいということで、文言は非常にラフだったかも しれませんが、入れさせていただいたという、そういう整理だということです。事務局 の方で更に案文を練って、また御議論をいただきたいと思います。 ○樋口座長 桐野先生や日比野先生や私の考え方が違っているという話ではないので す。そのように理解しておりますが、今日は時間も過ぎましたので、ここまでにして、 次回を楽しみにということにしたいと思います。事務局から何かありますか。 ○総務課長補佐 今おっしゃられた形で、再度まとめ直しまして、事前にお送りさせて いただきます。次回の検討会は12月5日(金)午前10時からを予定しております。 ○樋口座長 それでは、今日はここまでにいたします。長時間にわたってどうもありが とうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)