08/11/12 平成20年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第5回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年11月12日(金)9:30〜12:00 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、相川直樹委員、        池上直己委員、伊藤澄信委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、        齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、辻村信正委員、        難波貞夫委員、松田晋哉委員、山口俊晴委員、吉田英機委員、        邉見公雄オブザーバー、西澤寛俊オブザーバー代理        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 医療機関へのヒアリングについて        2 その他 (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは、ただいまから平成20年度第5回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科 会)を開催させていただきます。  本日の委員の出欠状況でございますが、木下委員、嶋森委員、山口直人委員より御欠 席との連絡をいただいております。  次に、本日御出席いただいております病院の各代表の方々の御紹介をお願いいたしま す。 ○佐々木補佐  それでは御紹介させていただきます。  財団法人脳血管研究所附属美原記念病院病院長の美原盤さんです。 ○美原院長(美原記念病院)  美原です。よろしくお願いいたします。 ○佐々木補佐  株式会社日立製作所多賀総合病院病院長の堀田総一さんです。 ○堀田院長(多賀総合病院)  堀田です。よろしくお願いいたします。 ○佐々木補佐  社団法人慈恵会青森慈恵会病院病院長の丹野雅彦さんです。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  丹野です。よろしくお願いします。 ○佐々木補佐  医療法人社団永生会永生病院病院長の飯田達能さんです。 ○飯田院長(永生病院)  飯田です。よろしくどうぞお願いいたします。 ○佐々木補佐  武蔵野赤十字病院病院長の富田博樹さんです。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  富田です。よろしくお願いします。 ○佐々木補佐  医療法人医仁会武田総合病院病院長の森田陸司さんです。 ○森田院長(武田総合病院)  森田でございます。よろしくお願いいたします。 ○佐々木補佐  医療法人社団木下会千葉西総合病院副院長の倉持雄彦さんです。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  倉持です。よろしくお願いいたします。 ○佐々木補佐  東京大学医学部附属病院病院長の武谷雄二さんです。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  武谷でございます。よろしくお願いいたします。 ○佐々木補佐  東海大学医学部付属病院病院長の猪口貞樹さんです。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  猪口です。よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  お忙しい中、当分科会に御出席いただきましてありがとうございます。本日はどうぞ よろしくお願いいたします。  それではまず、事務局のほうから報告事項と資料の確認をお願いいたします。 ○佐々木補佐  まず、報告事項が1点ございます。  前回11月7日に開催されました当分科会第4回の資料につきまして、既に会議資料 としては配付済みでありますが、ホームページに掲載する際に資料番号の訂正をさせて いただきたいと考えております。当日に小山委員より御発表いただいた資料が資料D− 1となっておりましたが、それを参考資料とさせていただき、事務局のほうで提出させ ていただいた資料を資料D−2から資料D−1に変更させていただきたいと考えており ます。  報告は以上でございます。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。  議事次第、委員名簿がございます。それから、資料D−1「平成20年度のDPC評 価分科会におけるヒアリングについて」、資料D−2「平成20年度DPC評価分科会 における特別調査(1)について」がございます。  そのほか参考資料でございます。参考資料1といたしまして各ヒアリング医療機関の データ、参考資料2といたしまして各ヒアリング医療機関から提出された資料、参考資 料3といたしましてヒアリングの論点整理、参考資料4といたしまして平成19年度D PC分科会におけるヒアリング概要がございます。  なお、参考資料につきましては、患者個人が特定されるおそれのある情報も含んでお りますので、各委員の机上にのみ配付をしております。また、机上のみ配付資料につき ましては会議終了後、回収させていただきます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  資料についてはよろしいでしょうか。  それでは、議事に移りたいと思います。まず、事務局から資料の御説明をお願いいた します。 ○佐々木補佐  では、事務局より御説明をいたします。  資料D−1をお願いいたします。こちらが本日のヒアリングの関連の資料、1番目の 資料でございますが、平成20年度DPC評価分科会におけるヒアリングについてとい うことで、これは7月30日の分科会におきまして御議論いただきました今年度におけ る特別調査の内容というものでございます。  簡単に御説明しますと、ヒアリングを行う項目としまして第1に再入院について、第 2に適切な診療報酬の請求について、第3に、その他がございます。  本日につきましては、これらのヒアリング事項のうち第2のア、イ、ウ、エとござい ますが、その内のウ、正しく診断群分類が選択されていない症例の割合が高い医療機関、 それからエの平成20年度より導入されたがん化学療法に主要な標準レジメンによる診 断群分類の分岐の効果の検証というもの、それから、その他の必要に応じてデータの質 が適切でないと考えられる医療機関というもの、ケアミックス型病院についての4点に つきましてヒアリングを、特別調査を実施するものでございます。  本日実施する特別調査の内容につきましては、資料D−2のほうに概要を記載させて いただいております。本日出席をいただいております病院を含めまして、先ほど申し上 げた4点につきましてアンケート調査を実施しております。このアンケート調査に関し ましては60の医療機関、これは別紙1をごらんいただきたいんですが、アンケート調 査を60の医療機関に行いまして、その結果を踏まえまして、ヒアリングする対象とす る医療機関を事務局のほうで選定をさせていただいたという結果でございます。結果と して、4ページでございますが、ヒアリング対象医療機関として本日来ていただいてお ります9つの医療機関ということが対象ということとされております。  また、その60病院に対するアンケートの結果でございますが、(1)ケアミックス 型病院について、(2)データの質の適切さについて、これは今回治癒・軽快の割合に ついて非常に高いというところを対象としております。(3)部位不明コードについて、 (4)標準レジメンについて、アンケートの結果を本日御出席いただいている医療機関 も含めまして主な回答をまとめさせていただいておりますので、御参考にしていただけ ればと思います。  その他に、別紙3ございますが、ケアミックス型の病院ということで4病院の関連す るデータとして、病床数等を記載させていただいております。それから、データの質の 適切さということで2病院、詳細不明ICD10の割合が高い病院ということで2病院、 標準レジメンということで東京大学医学部附属病院と東海大学医学部付属病院の2病院 のデータをまとめております。  関連する資料等の説明は以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それでは、資料についてはよろしいでしょうか。  議事に移りたいと思います。  本日御出席いただきました各病院に対するヒアリングを開始いたしたいと思います。 今回の開催に当たりまして、事前に事務局より各委員へ資料が送付されており、既にお 目通しだと思います。時間も限られておりますので、まず各病院から3分以内で御説明 をいただきまして、その後各委員からの御質問をお願いしたいと思いますので、よろし くお願いします。本日はたくさんの病院に来ていただいておりますので、時間も限られ ますので、できるだけ3分以内での御説明をお願いできたらありがたいと思いますので、 どうぞよろしく御協力のほどをお願いします。  それではまず初めに、ケアミックス型病院について議論をしたいと思います。最初に 財団法人脳血管研究所附属美原記念病院から御説明をお願いいたします。 ○美原院長(美原記念病院)  美原でございます。よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  どうぞ、マイクのスイッチを押していただけますでしょうか。 ○美原院長(美原記念病院)  美原でございます。よろしくお願いします。こういうことは学生時代の口頭試問以来 で非常に緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。  私どもの病院は、DPC算定病床が非常に少ないということでヒアリングを受けたわ けですが、詳しくはもう既に資料の中に書いてありますが、添付資料をごらんになって いただければよろしいと思うんですが、我々の病院というのは急性期から慢性期まで、 施設完結型の医療を行っております。こういうような形になったのは、今までの保険制 度に沿って当初急性期病棟と慢性期病棟が3対1の割合だったのを、制度の変化に伴い ながらだんだん減らしてきたと、要は急性期病棟を少なくしてきた。  これはやはり疾患の特異性、すなわち脳血管障害をはじめとする脳卒中の場合には急 性期医療と慢性期と回復期の時間というのは全然違いますので、そのまま考えていけば 必然的に急性期病床数は減るというふうに思われます。参考資料の22ページを見てい ただければよろしいかと思いますが、我々の病院はMDC01が60%以上、脳疾患と いう範疇で外傷を入れれば4分の3がこの疾患に特化した専門病院であります。  そして、平均在院日数を見ていただくんですが、参考資料の20ページ、回復期リハ 病棟、特殊疾患療養病棟、現在は障害者病棟ですが、急性期病棟においてもいずれも平 均在院日数は全国平均と比べて極めて短く、すなわち効率的な医療が行われていると言 えます。  そうした中で、地域においてこういう脳血管障害を中心とした専門病院としての在り 方を見た場合、参考資料の24ページを見ていただければよろしいかと思うんですが、 地域の50%以上、脳神経疾患の50%以上が当院に搬送されているという事実があり ます。  さらに、それに対しての治療ですが、現在非常に注目されてある脳卒中の急性期のt −PAに関してですが、全国の平均が10万人当たり3.1人なのですが、当院におい ては全国平均の10万人当たりの8.6人というふうに非常に多くなっています。すな わち、地域の中で専門病院としての在り方が認められて、多くの患者様、脳血管障害の 患者様を含めた方々が運ばれ、かつt−PAも実施されている。さらに、そのアウトカ ムを見ましても、これまでの治験データが図7に載っておりますが、それと比較しても 極めて高い良好な成績を得ております。  さらに、もう一つこのケアミックスというか専門病院、一貫した治療というのを考え た場合に、今非常に推進されている地域医療、急性期病院から回復期リハ病棟に送ると いうのが推進されていますが、現実的にそれが本当に効果があるんだろうか、一貫した 治療とどちらがいいんだろうかというのを検証したので図9であります。これを見ます と、当院で一貫した治療と、それから急性期から当院の回復期リハ病棟に回ってきた症 例を比較いたしますと、アウトカムのFIMは退院時では全く同じです。ほとんど差は ございません。しかしながら、総入院数というのは明らかに一貫した当院で急性期から 慢性期まで診たほうが短くなっております。  これの大きな要因というのは、参考資料の20ページ及び21ページに置いてありま すが、急性期病棟においてたくさんのリハビリテーションのスタッフがいて、大きなマ ンパワーがそこで発揮されているというようなことが言えると思います。すなわち、専 門病院として急性期からリハビリテーションを特化することによって、質の高い医療と 効率的な医療が実践されているというふうに思われます。  このような病院が我々の病院だけなのかということを考えてみますと、参考資料の1 0ページですが、これは群馬県における脳神経疾患の上位施設を挙げているんですが、 5つの病院が上から、日赤病院、当院、それから幾つかと並んでおりますが、そのうち 実に上から5番目のうち3つの病院が脳神経疾患の専門病院です。すなわち、これらの 病院というのは、病床数は少ないにもかかわらず多くの地域からの脳神経疾患を受け入 れているということが言えます。  以上、専門病院としては質、効率性、あるいは地域に対する貢献度という面では十分 にその役割を果たしておると思います。これらのデータから考えると、病床規模だとか あるいは病床数だとかというのではなくて、専門病院というものが急性期医療において 果たす役割というのを十分御認識いただければいいかと思っております。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  続きまして、株式会社日立製作所多賀総合病院から御説明をお願いいたします。 ○堀田院長(多賀総合病院)  多賀総合病院の堀田と申します。よろしくお願いいたします。  まず最初の御質問で、今回、病床数に占めるDPC算定病床の割合が非常に低いこと につきまして精査いたしましてお答えしたいと思います。  当院は茨城県北にありまして、別紙調査票にも記載しましたが、全148床の病床の うち一般病棟入院基本料の算定は36床、これがいわゆるDPC算定している病床であ ります。それ以外に関節リウマチ及び膠原病等の難病の障害者施設の患者様がほとんど の入院患者さんを占めます障害者施設等入院基本料の算定病床が36床、それとあと回 復期リハビリテーション病棟が76床となっておりまして、いわゆるケアミックス型の 病院に位置づけられると思います。  DPCを算定しております病床は急性期医療をやっておるわけですが、当院の急性期 の特徴といたしまして、外来や当院で積極的に行っております在宅医療、往診、訪問看 護、訪問介護からの急性増悪に陥った患者様の入院に加えまして、近隣にございます老 健施設や老人介護施設からの肺炎、尿路感染、心不全などの疾患を併発いたしました超 高齢者の入院が多くありまして、これらの方々への急性期治療を担当することが非常に 多いということが特徴であります。また、当院の中にある回復リハビリテーション病棟 の急性増悪に対してもこの病棟で対応しております。  また、近隣において在宅医療を行っている医療機関で一般病床、一般病棟入院基本料 を算定している病院が非常に少ないために、必然的に重症度の高い超高齢者を多く診療 することになり、急変や重症を来した際の急性期治療が必要となっております。今のは 56ページです。  次に、今度は97ページを御参照ください。2番目のご質問ですが、部位不明または 詳細不明とされる分類コードの……。 ○西岡分科会長  それに関してはまた次のときにまたお願いいたしますので。 ○堀田院長(多賀総合病院)  そうですか。失礼しました。  以上です。 ○西岡分科会長  以上でよろしいでしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  以上です、はい。 ○西岡分科会長  どうもありがとうございました。  それでは、次に慈恵会青森慈恵会病院からの御説明をお願いいたします。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  よろしくお願いします。  当院の場合は青森市ということの特徴をまずお話ししたいと思いますが、青森市の場 合は人口が30万人に対して急性期の一般の、急性期をやっている病院が県立病院と市 民病院が中心になって行っております。約1,100か1,200ぐらいだと思うんで すが、病床数に対して。それ以外に民間で急性期の患者さんを受け入れている病院とし ては、我々の病院ともう一つ協立病院というものが主に請け負っているような状況です。  確かにケアミックス型で330床に対して40床と非常に割合は少ないんですが、な るべく地域の方々が、例えば県立病院、市民病院に行くほどでもないような患者さんを 受け入れたり、いわゆる駆け込み寺的な要素を保ちながら急性期を受けて、そして在宅 に帰していくというふうな仕事をしています。  ただ、資料にも提示しましたが、救急患者の受け入れに対してはそれほど多くはない んですが、やはり医師不足とか医師の高齢化に伴いまして全部が全部、受けているとい うわけじゃなくて、やはりある程度急性期病院と、県立病院とか市民病院とかとの役割 を、機能を分担するような形で話し合いをしながら、我々で受け入れる分に関して特化 して受け入れているというような状況です。  DPCに関しては、今後やはりこういう機能をどうしても残していかなきゃいけない ということで、将来的なことを考えて手挙げをさせていただきました。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  では、最後に医療法人社団永生会永生病院からのご説明をお願いいたします。 ○飯田院長(永生病院)  永生病院の院長の飯田と申します。よろしくどうぞお願いいたします。  八王子市にございます永生病院は、八王子市の人口57万人、そして八王子めじろ台、 永生病院がある地区、高齢化比率が何と33%を超えている状況でございます。そうい う地域性の中で、高齢者の特有な疾患、転んで骨折する、また認知症が出てくる、また 脳血管疾患の合併症が出てくる、こういった方々の合併症が多い治療をお受けしていく というところ、総病床数は628床、そのうちのDPC準備としては42床の整形外科 メインの病棟を出させていただいております。  なぜそんな小さい病床なのにDPCを残すのかということで、今日は問い詰められる のかなと思って、首を洗ってきたわけでございますけれども、必死にお話をさせていた だこうと思っております。  高齢者の方々、やはり認知症やそれから合併症を多く持っている方、近くに、八王子 には2つの急性期の大学病院がございます。そういったところで認知症の方の合併症の ある方をお受けして、骨折の治療をなかなか受けてくれないようなところがございます。 そういった方々をこちらは拒まずにお受けしているところがございます。年間320症 例の手術件数ではございますけれども、42床のところに整形外科のドクター、今後ふ えて6人が常勤になる。精鋭を集めて高齢者の治療に当たろうと、そして、永生会全体 で言うとリハビリのスタッフが150名ほどございます。在宅にお帰ししていく、また 地域の施設にお帰ししていくというシームレスな連携を図っていこうという法人でござ います。  ぜひともこういう小さなDPCの準備病棟、大きな病院の中に小さな病院があるとい うようなことでご理解いただきたいなと思います。こういう病院がなくなってしまうと、 経営が成り立たなくしてしまうよということであると地域の医療は崩壊していく。急性 期の病院になかなか、入院期間が長くなってしまうような患者さんがふえていってしま うということになっていきますので、どうぞご理解いただければなというふうに思いま す。  必死な感じでお話しさせていただいたんですが、伝わったでしょうか。よろしくどう ぞ。ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。このヒアリングというのは何かとっちめる会のように話が、 ニュースが行き渡っているみたいですが、決してそうではございませんで、実際の現状 を我々お伺いして、またいろんなところに反映させたいというのがこれは基本でござい ますので、どうぞ御心配なく御自由に御発言いただいたら結構かと思いますので、よろ しくお願いします。  それでは、今御説明いただきました件に関しまして、御質問等ございましたら。齊藤 委員、どうぞ。 ○齊藤委員  4病院とも大変適切に御説明いただいて、状況はよく理解いたしました。  代表として美原先生のところにお伺いしたいのですが、脳卒中を中心にした大変適切 な医療を地域に対して提供しておられるということで、感銘深く拝見したんですが、確 かにパーセンテージで言うとDPC病棟のパーセンテージは少ないと。仮にここをDP Cでなくした場合にどういう不都合が起こってくるのか。あるいは、DPCであるがゆ えのメリットはどういうことなのか。  つまり、非常にパーセンテージが少ないけれども、DPCを適用していくことのメリ ット、デメリット、やめたときの不都合、そういうものを先生なんかはどういうふうに 考えておられるか。これはほかの病院にも関係したことですので、後でご意見があれば 伺いたいなと思っているんです。お願いいたします。 ○美原院長(美原記念病院)  まず、DPCにとって何がメリットなのかということだろうと思うのですが、我々は どういうふうにこのDPCというのをとらえているかというと、急性期医療をやるには DPCでなくてはならないというメッセージが厚生省からあったと僕は考えております、 それが本当かどうかは分かりません。  ですから、実際に収益性のことを考えたらば、今DPCとそれから出来高を考えたと きの収益を見たならば、実は出来高のほうがいいんです。例えば、あるいはうちはDP Cを非常に短くしていますが、それでそれをさらに平均在院日数を短くして、例えばD PCの出来高を上回るには14日間の入院をしていないと脳梗塞にはならないです。そ れでもうちはもっと短くしています。  なぜなのか。これはやはり効率的な医療が求められているからだろうと思います。そ ういうふうに真剣に、これからの医療がどういう方向に向かっていくかということをま じめに考えたらば、やはりDPCにやっていかなくてはならないと努力しています。  では、メリットは何でしょうか。メリットは何かというと、一つはやはりレセプトが すごく楽になりました。これはとても大きいです。それからもう一つは、自分たちの医 療はこのベンチマークすることの資料が回ってまいりますので、うちの病院が世の中に おいてどのあたりにいるのか、そして自分たちの病院が、例えば平均在院日数がDPC 病院の中で一番短かったぞと、こう言うとみんなスタッフは「よし、やった」と、こう 思うわけです。あるいは、データがほかのところと比較できることによって、うちの医 療はいい医療をやっているということがスタッフのモチベーションにつながることは確 かです。  そういう意味で、収益だけではなくていい医療を考えようという意味では、僕はやは りDPCというのはやっていきたいと思います。しかしながら、これで厳しくなったら やめたいかなとも思うこともないわけではないです。 ○齊藤委員  DPCの良いところを大変適切に掌握しておられるなということなのですが、パーセ ンテージがこういうふうに低くてもDPCをやり続けることの苦しさというかデメリッ トというか、恐らく病院のいろんな会計とか、会計準則であるとか、機能そのものは病 院全体として考えておられるんだろうと思うんですよね。その中に介護、療養、リハが 入ってきて、ほんのわずかDPCがあるということのその不都合さというか、そういう ものは余り発生しないんですか。 ○美原院長(美原記念病院)  その少ないことによって。 ○齊藤委員  少ないことによる不適切さですね。ちょっと違った請求対応になりますし、職員の意 識とか、いろんなこともDPCというのはちょっと別の世界の、別のシステムが機能す る診療報酬体系であり、評価システムであるわけです。でもそういうことは、一つの病 院の中に一国二制度みたいなものがあっても、そんなに不都合は発生しないんでしょう か。 ○美原院長(美原記念病院)  現実的には余りないと思います。恐らく質問の意図に再入院だとか、病棟間を行った り来たりするというようなことを考えてらっしゃるのかもしれないですが、そうでない かもしれないですが、うちの場合再入院率というのは平成19年度で何例中何例だっけ。 ○随行者(美原記念病院)  随行者でございます。19年度に1,500例、急性期病院に入院があったんですけ れども、いわゆる入院期間が通算される入院が30例、しかも3日以内の入院は5例で した。ですから0.3%です。 ○齊藤委員  なるほど。 ○美原院長(美原記念病院)  したがって、そのときに行ったり来たりというか、慢性期病棟に移る、回復期リハ病 棟に移るときにはそれは制度が変わりますが、一般病棟ではそれで完結してしまいます ので、実際の維持管理に関してはほとんど問題ないと思います。 ○齊藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  山口委員、どうぞ。 ○山口(俊)委員  専門病院としてのあり方について、聞いていて大変参考になりました。ありがとうご ざいました。  ただ一つ、事務が楽になったとおっしゃいましたけども、今細かいデータを出させら れていますが、こういうことずっと続くとしてもやっぱり楽でしょうか。実際には、事 務の作業量はふえているんじゃないでしょうか。 ○美原院長(美原記念病院)  これは、僕らは何のためにやっているかというと、私どもの病院は文部省管轄の病院 で、データをとらないといけません。そういうことで、例えばDPCのコーディングが、 きっちりつけることによって後で臨床研究に非常に役立っています。実際にDPCのコ ーダーというか、診療録管理士、うち全部で8名おります。実際に診療録管理室にいる のは3名なんですが、ナースだとかそういう人たちも全部そのコーディングの意味とい うものを分かってもらっているわけです。そうすることによってまたドクターにもそれ が分かりますので、例えば脳梗塞をきっちり分けたときに、後でデータをとるときにす ごくいいんです。それは医療というか、医学的な研究、臨床研究にすごく役立っていま す。 ○山口(俊)委員  もともとそういう体制であるということは理解できましたけれども、DPCになるこ とで簡略化はされていないわけですよね、つまり。 ○美原院長(美原記念病院)  それは簡略化はされていないです。 ○山口(俊)委員  ですから、そこのところを誤解するような発言はされないほうがいいんじゃないかな と思ったので発言いたしました。 ○美原院長(美原記念病院)  はい。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○原分科会長代理  美原記念病院が非常に脳血管障害の専門病院として、いろんな試みをされていること に敬服いたしておりますけれど、多分この在院日数を短くした理由の一つには早期のリ ハビリテーションをやっているということが大きな要件だろうと思うんですけれど、先 生の内申書と申しますが、これの中に画像診断とか病理とか、こういうことが不適切で あるというようなことを書かれておりますけれど、これはやはり先生も本当に思ってい るかどうか知りませんけれど、例えばt−PAが、今、神の治療とか言われているんで すけれど、例えば3時間と言われているけれど、あれは本当に3時間が適切かどうかの きちんとした検証もされていないんです、本当は。  そうしますと、先生、病理解剖なんかをやって本当に適切にやったかどうかを先生の ような施設で検証をぜひしていただきたいと。だから、先生のおっしゃることは、やら れていることは非常によろしいと思いますけれど、ぜひこういう機能係数を入れること によって、より脳卒中疾患のエビデンスを出していただきたい。ちょっとこの内申書は、 そういう意味で誤解を招くんじゃないかと思います。  ぜひ、横浜にも同じような施設がございますけれど、脳卒中の専門病院では早期リハ と、それからこういうt−PAなんかの検証をする義務があるんじゃないかと思います ので、ぜひお願いをしたいと思います。 ○美原院長(美原記念病院)  ありがとうございます。 ○西岡分科会長  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  大変すばらしい診療をなさっているということを見て、大変感銘深く聞きましたけど も、ちょっと教えていただきたいんですけど、先生のところに急性期で入る患者さんの うち、その後の入院が同じ自院の中の回復期リハビリ病棟のほうに入る率というのはほ ぼ全部なんですか。 ○美原院長(美原記念病院)  ほとんどそうです。 ○小山委員  100%と考えていい。 ○美原院長(美原記念病院)  ほとんどそうだろうと思います。 ○小山委員  わかりました。さっき戻る率は少ないというお話でしたけど、3日以内は少ないけれ どもというお話ですけども、例えばタームが1カ月とかという話になってきた場合はど うなんですか。 ○美原院長(美原記念病院)  先ほどもお話ししましたけれども、3カ月、その1,500例のうちに3カ月以内に 入院してきたのが。 ○随行者(美原記念病院)  そのあたり説明させていただきますと、19年度のデータで19年度内に2回、同一 患者で2回入院があった症例、その症例に関して急性期治療、前回入院における急性期 治療終了から次の入院の急性期治療開始まで、その期間の平均を調べましたら65日と いう数値が出ております。 ○小山委員  大変すばらしいデータで、それから先ほどの在院日数も非常に短いんですけれども、 ここら辺のところは退院の決定する容体というのは、どんなような状況で退院という… … ○美原院長(美原記念病院)  基本的には在宅復帰率は70%以上ですが、それに関しては在宅ADLがほぼ自立す る、ないし介護保険等々のことができるようになった時点で帰しております。実は、こ れすごくうち、短いです。回復期リハ病棟。これはやはりそのリハビリテーションの部 長の考え方があります。当初非常に短くするといったときに、ナースとかPT、OTか らは短すぎる、もう少し置いてあげたらいい、患者様はもっといたいんだというふうに 言っていたんです。しかしながら、そのままずっと病院に置いておくと、頼ってしまっ て自立できなくなってしまうということを強くリハの部長が話をしまして、そして十分 でなかったら訪問リハビリテーション等々、そういう方向に転換していって在宅復帰を 目指そうということを進めてまいりました。  その結果、現在、当初はリハのスタッフ、すごく、もっと長く置いてあげたほうがい いというふうになっていた、もう思想が変わってきて洗脳されて、ある程度おうちに帰 れるようになってきたら帰そう、そしてそこでは訪問リハビリテーション等々、あるい は地域の訪問リハのセンター等々に任せてやっていこうというふうにしております。実 際けっこう広い地域から患者様は来ておりますので、当院でずっと退院後も診ていると いうケースはそれほど多くありません。ほとんどもとに帰しております。 ○小山委員  最後に参考のためにちょっとお聞きしたいんですけど、先生のところ、今DPCの適 用病院ですよね。 ○美原院長(美原記念病院)  はい、そうです。 ○小山委員  調整係数はどのぐらいですか。 ○美原院長(美原記念病院)  調整係数幾つ。 ○随行者(美原記念病院)  1.2495です。 ○小山委員  わかりました。ありがとうございました。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  4つの病院の先生方に同じ質問をしたいと思うんですけれども、一つは、先ほど美原 記念病院から戻ってくる率がどの程度であるかというご説明をいただきましたけれども、 ほかの病院ではどの程度の率なのかということ。それからもう一点は、DPCですと第 2期を終了するというのがちょうど全国の平均在院日数になるんですけれども、その2 期を超えて入院している患者さんはどの程度いらっしゃるのか、この2点をお聞きした いと思いますけれども。 ○西岡分科会長  よろしいですか。 ○酒巻委員  お分かりになるところからで。 ○西岡分科会長  お分かりになるところからで結構でございます。はい、どうぞ。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  慈恵会の丹野ですけど、実際のところ詳しいパーセンテージははっきり把握しており ません。ただ、美原記念病院さんみたいに非常に細かいデータも出しておりません。た だ、先ほども言いましたが、地域の特性としてやはり高齢者の方を受ける率が非常に高 くて、独居の方もいますし、経済的に生活環境も整っている方もそれほどいるわけじゃ なくて、ちょっとしたことで再入院する方が多いです。これは事実です。ですから、そ ういう意味でDPCと再入院率とか、その辺の基準に合致しない部分も多々あるのでは ないかと私自身は思っています。 ○西岡分科会長  ほかの施設はよろしいでしょうか。どうぞ。 ○飯田院長(永生病院)  まず、再入院のことですけれども、永生病院では再入院、整形外科の病棟に再び入院 するということはないということです。それからすみません、2つ目の質問、もう一度。 ○酒巻委員  MDCじゃなくてDPCのコードごとに平均在院日数というのが存在していますよね。 その平均在院日数より超えた人数はどのくらいなのかということです。これは要するに DPCの2期の終了日という質問ですが。 ○飯田院長(永生病院)  わかりました。今ちょっと調べます。 ○堀田院長(多賀総合病院)  多賀総合病院ですが、よろしいでしょうか。詳しいデータはちょっと御提示できない んですけども、再入院率のほうは1カ月以内ということでよろしいですよね。1カ月以 内の再入院率というのは大体月に1例か2例ということで、ほとんどない状態です。第 2期を超える率は、10%未満だと思います。  以上です。 ○飯田院長(永生病院)  すみません、永生病院ですが、第2期のデータとしては持ち合わせておりませんので お話しできないと、申しわけございません。 ○西岡分科会長  よろしいですか、じゃ、どうぞ、熊本委員。 ○熊本委員  関連したことですけども、それぞれ美原記念病院のことはよくわかったのですけど、 ほかの3病院に今の酒巻先生の質問に関連したことですけども、再入院率はそれぞれ1 0%ぐらいでそんなに大きくないという数字が去年出ておりますが、いわゆる転棟する、 ほかの病院に退院じゃなくて転棟の場合の基準が退院の基準と同じなのか。そのあたり が退院の場合と転棟で違うのかどうかということをちょっとお伺したいのですけれども、 つまり回復期病棟へ行って、退院と違うという形で行かれるという基準が違って簡単に、 簡単にと言うと語弊がありますけど、行きやすくて行かれて、それで急性増悪とか何か で戻ってくるとか、そういうことがあり得るのかどうか、ちょっとそのあたりをお話を 聞かせてもらいたいのですが。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○堀田院長(多賀総合病院)  回復期リハビリテーション病棟に入院する前に、いろいろ合併症の精査とかでこちら のDPC病棟に一応1泊だけ入院というのをやっております。そういうのと、あとは、 それが大体週に二、三例です。あと、急性期で超高齢者の方で急性期の治療をして落ち ついた状態でまた老健とか老人ホームに戻す患者さん、ちょっと数は今ご提示できませ んけども、そういう患者さんは結構いらっしゃいます。  以上です。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  やはり先ほどおっしゃったように急性期まで、手術、術後とか、例えば入院して脳血 管でも、ある程度状態が落ちつきましたら回復期リハビリ病棟に移りまして、リハビリ をやってある程度在宅の整備がついた時点で退院ということになります。ただ、入院中 にやはりいろんな合併症を起こしたらまた急性期、その40床のほうに移してまた治療 を行い、また回復期に戻すという形態をとっています。 ○飯田院長(永生病院)  永生病院で自宅に退院される方、それから回復期に移られる方、これはやはりADL 自立レベルであればもうおうちに帰られます。そういうのでない、また回復期の適用だ という方は回復期のほうに移られて治療されます。その中でまた合併症が出たり、そし て戻るというような方は月に一、二名というところでございます。 ○西岡分科会長  わかりました。よろしいですか。じゃ、松田委員、どうぞ。 ○松田委員  多賀病院さんのほうから回復病棟に行く前に1泊、一般病棟で1泊入院をされるとい うことなんですけども、その1泊ということになるとその時点で検査したものは多分、 その急性期の病院での入院中には帰ってこないと思うんです。例えばそういう検査であ れば外来で行うということも可能であるだろうと思うんですが、なぜそれが1泊入院に されているのかということについてちょっとお聞きしたいんですけど。 ○堀田院長(多賀総合病院)  当院はほとんど、近隣の脳卒中の専門病院とか急性期の病院から来る患者さんがほぼ 100%でありまして、かなり急性期で脳卒中でかなり早期の、1カ月以内でこちらに 転院されますので、その時点で外来でというのは非常に後遺症が重い患者さんも多うご ざいまして、ちょっと難しいということで一応入院してやっております。 ○松田委員  すると、多分その地域で連携なんかもされていると思うんですけども、その紹介元の 病院からもかなりいろんなデータが一緒にやってくると思うんですけど、それでは不足 だということですか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  やはりけっこう急性期の脳外科の専門の先生のことが多くて、内科の合併症の管理と か、血糖の管理とか、血圧の管理とか、ほかいろいろな合併症をもつ高齢者の方が結構 多いもので、やっぱり内科医の目で1回診察と検査で、それで本当にリハビリして耐え られるのかとか、そういうのを一応チェックする意味でそういうふうにしております。 ○西岡分科会長  よろしいですか、どうぞ。 ○齊藤委員  永生病院さんにちょっとお伺いしたいんですが、先ほど最初のご説明のときに先生方 のところ、連携を非常に重視して合併症の多いすごい高齢者の人たちが入ってくるけれ ども、拒まないで積極的に入院させているんだというお話があったんです。いろいろ地 域の医師会などでDPCのお話をすると、高齢者の入院について長引くのではないかと いうことで入院許可にたじろぎを感ずるというご意見も、逆には出されている局面もあ るわけですよね。先生のところは療養病床が非常にしっかりしているという事実が一つ あるわけです。  拒まないでいられるのは、その療養病床がしっかりしているからなのでしょうか。あ るいは、先生のところで療養病床が仮になかったとして、急性期部分だけだったらやっ ぱり拒まざるを得ないような状況に置かれておられるのでしょうか。 ○飯田院長(永生病院)  先生、いい質問です。そのとおりでバックに、当院は13病棟あります。そのうちの 1病棟がどんどん回しているという。そのバックがしっかりしているからということは 先生、そのとおりだと思います。 ○齊藤委員  なるほどね。わかりました。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  やはり4つの病院の先生方にお伺いしたいんですけれども、DPC病床ではなくて他 の病床に初期に入院をして、それからDPC病棟に入ってくる患者さんというのはどの 程度いらっしゃるのでしょうか。それはあり得ないということでしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  多賀総合病院ですけども、それはゼロです。ありません。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  我々の病院は、やはり転院する場合は事前に患者情報をある程度把握しまして、それ で一般病床に入れるか直接回復期病棟に入れるかを考えてやっています。ただ、ほとん どは直接回復期病棟のほうに入院することになりますが、そこで問題があればやはり一 般病床のほうに戻して治療するわけですけど、ただそのパーセンテージはちょっと今の ところ把握していません。 ○飯田院長(永生病院)  先生、退院のときの、失礼、入院ですね、わかりました。永生病院の中でほかの病棟 12病棟あります。そういう中でやはり転ぶ方が中にはいらっしゃいます。そういう方 がDPCの中の病棟に移られることはございます。それで治療するということはござい ます。それ以外の理由でというのはないかと思いますが。 ○美原院長(美原記念病院)  ありません。 ○西岡分科会長  松田委員、どうぞ。 ○松田委員  美原先生にお聞きしたいんですけども、私も先生の病院は非常にすばらしいと思いま す。私も身内が実は脳梗塞になりまして、先生の病院のようないわゆる急性期からリハ ビリまでを全部やってくれる病院に入院している。非常に患者の家族として安心感は非 常に高かったんですけども、そういう意味でこういう先生の病院のように、急性期から 回復期まですべて持っているようなケアミックス病院について、どのような観点で機能 を評価したらいいのか、何かその機能を評価する係数に関して何か先生が、もしご意見 といいますか、示唆していただければ、よかったら教えていただきたいと思います。 ○美原院長(美原記念病院)  まず、やはり専門病院の在り方として脳卒中に関して言えば、急性期病棟でいかにリ ハビリテーションが重視されるかということはすごく大きな問題だろうと思います。当 院では急性期病棟45床に10名の専属のPT、OTがおります。そこで1日平均が7 単位以上のリハビリテーションを行っています。ですから、急性期というのは状態が許 せば、手術当日からリハビリテーションを行うと。それは大きな意味があると思います。  あともう一つは、救急搬送の面というのは、僕は非常にやはり重要なポイントだろう と思います。いかに地域に貢献しているかということは、どれだけ地域の脳梗塞が集ま るか。ある意味ではいろいろな病院で、実は我々の地域でもt−PAをやる病院という のは、手挙げをしている病院は幾つかあるんですが、実際にはほとんどうちに集まって きています。それがほかのところに行ってしまうと24時間対応ではないのでできなく て、せっかくのt−PAのチャンスを逸することというのがありますので、やはり24 時間検査、放射線、全部そろっているということは脳卒中の急性期病院というか、専門 病院としては絶対に必要なことだろうと思います。  そのようなところでしょうか。 ○松田委員  ありがとうございます。  今度は多賀総合病院の先生にお聞きしたいんですけども、やっぱり地域で今いわゆる ケア対応住宅とか、それから老人保健施設とか、いろんな施設、介護保険の施設ができ てきて、そういうところからの救急搬送体制が、受け入れる病院があるということは非 常に重要なことだと思うんですけども、例えばそういう機能もやはりDPC病院として 評価すべき、何か係数として評価されるべきようなものなんでしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  やっぱり個人的にはそういうふうにしていただければと思います。茨城県北の日立地 区から県北にかけて非常に急性期病院が少のうございまして、日立総合病院という関連 病院が5キロ北にあるんですが、そこもかなり医師不足で厳しい状態で、30万人の医 療圏にそれ一つしかないんです。手術とか、高度医療を必要としないような、こういう ことを言うと失礼かもしれませんが、超高齢者の方とか合併症があって非常に高度医療 の難しい患者さんを、なかなか受け入れてくれない病院もありまして、そういうのを積 極的に受け入れているところがあります。そういう、どういうふうな係数かわかりませ んけども、そういう考慮いただければありがたいなと思っています。 ○西岡分科会長  どうぞ、相川委員。 ○相川委員  美原先生にお聞きしたいんですが、先生のところは、先ほどから言われておりますよ うに、急性期からリハビリまで完結型だということで、これは大学病院にとってはとて もうらやましいというんですか、特に脳血管疾患を扱う医師にとっては理想的なスタイ ルだと思うんです。統計をとるためにも、それから患者のその後の状況をとるためにも いいと思うんです。  お聞きしたいことは急性期、特に先生のところではt−PAの施行率も非常に高い、 それによって救命につながっているというデータをお示しいただいたんですが、救急外 来に来た患者さんの場合にはCTRIあるいはMRIによって失血性梗塞などの可能性 も否定しなければいけないと。しかしながら、結果的にはそのような検査をしてもt− PAなどにつながらなくて、そのまま入院になるというような患者さんもいると思いま す。そのような場合に外来でのそのような高度の画像検査ですか、そのようなところも 現在は入院してしまうと当日DPCになって、丸められてしまうということに関しての ご意見はいかがでございましょうか。 ○美原院長(美原記念病院)  それは制度ですからしようがないかなというふうに思っています。実際に今回t−P Aに関してはそれで12万点でしたっけ、つけていただきましたので、ただ基本的には 我々は適切な治療ができて、そしてかつ運営ができていればそんなにもうけるという感 じではないので、それだけは担保していただければ僕は十分かなというふうに思ってい ます。  今先生がおっしゃったように、すぐ検査できるというのはとても重要なことで、うち はMRに、45床しか急性期はないんですが、2台MRがありましてほとんどフル稼働 です。24時間やりますし、救急隊の人も一緒にそれを見てくれるわけです。そうする と、救急隊の人も「あ、これはt−PAの適用になるかもしれない」と言って運んでき てくれて、実際にMRを一緒に見るわけです。そういう意味で、地域と非常に救急隊と つながりが深くなることによって、その結果、救急搬送がどんどんふえているというの が現状です。  先生のお答えになっていないかもしれないですが、確かにDPCと出来高を比べると、 それだけを比べていけば出来高算定のほうが収益が多くなるのは事実です。ただ、だか らといってそれをDPCから外れて、またもとの出来高に戻すのかというと、一番最初 に申しましたように、これからの医療で急性期医療をやっていくにはDPCしかないん だと、それは一つのブランドというか、ラベルだというふうに理解しておりますので、 何とかそれを守っていきたいというふうに考えております。 ○相川委員  大変御立派な認識で、ありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうぞ、辻村委員。 ○辻村委員  少し観点が変わるんですが、4つの病院にお聞きしたいんですが、看護師さん、DP C対象病床とそれから療養病床、交流はあるのかどうかという点と、少し聞き方がアバ ウトかもしれませんが、DPC対象病床の看護師さんのほうがモチベーションが高いの か、あるいは人気があるのかどうか、逆にDPC、非常にいろいろな労働が負荷されて いると思うんですが、そういう負担感が大きいのかどうか、感触で結構ですので、お聞 かせいただければと思います。 ○美原院長(美原記念病院)  よろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○美原院長(美原記念病院)  まず、看護師さんに関して、うちは7対1看護をとっております。急性期。それで、 モチベーションが変わるかというとそれは全然違う、対象となる、ケアする対象が異な りますので、それぞれの適性に合わせてやっておりますので、それは全然、どっちがい いとか、モチベーションが下がるということはないと思います。  それから、看護師さんは必ずローテートをします。つまり脳血管障害あるいは神経難 病というようなものが対象疾患ですので、その全過程をやはりナースは知らないといけ ません。ですから当初、一番最初は大体急性期病棟に入っていただいて、それから回復 期リハ病棟だとか特殊疾患療養病棟にいます。まず、基本的なことというのは急性期病 棟でナースのテクニックとして覚えてもらわないといけません。ですから、そういう意 味では関連はあります。あるいは病棟、シームレスな医療をするときに回復期と急性期 の病棟のカンファレンスというのは常々行われていますので、それは十分な連携ができ ていると思います。  よろしいでしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  看護師さんのモチベーションの差は余りないというふうに感じております。ただ、や っぱりDPC病棟はかなり入退院が多うございますので、かなり忙しいということで、 若い人が必然的に、肉体的にきついので、多くてやっぱりやめるという方は結構いらっ しゃって、回転が速いというところはあります。病棟は、美原病院の先生と同じで、な るべくローテーションするようにしていますが、若干労働はハードだという印象は受け ます。  以上です。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  やはり同じようにローテートしながら、いわゆる急性期も慢性期も診れるようなナー スの育成に努めています。ただ、うちは7対1はとっていませんし、看護師は十分な数 で運営しているわけではなくて、そういう意味で、先ほど回復期に直接入院させると言 ったのも、なるべく業務内容をちょっと減らしてあげようという配慮でやっています。 できればもう少し一般病床をふやしたり、もしくは看護師の数を充足させた上で皆さん と同じような感じで、急性期に何日か入院させて回復期には流したいと、そういうふう には思っていますが、なかなかできないのが現状です。  モチベーションに関しては、非常にどの病棟も高く保てるようにいろんな努力はして います。 ○飯田院長(永生病院)  DPCの準備している病棟42床は10対1看護が基準でございます。そこの看護師 さんと他の療養病棟の看護師さん、これは少しずつですけれどもローテーションしてお りますので、もう分離しているという状況ではございません。  また、ただモチベーションなんですが、これはDPCを準備している、また急性期の ところをということで看護師さん、新人の看護師さんが入ってくるときはそこで研修を していくというようにはしてございます。また、忙しい部分については療養の病棟も忙 しい部分もありまして、質がちょっと違う部分がございます。お互いに病棟病棟で病院 の中に衛生推進や療養、それから回復期、一般というふうな幾つかの機能を持っており ます。あそこの病棟はうちより何か早く帰るなとか、何か病院の中では多少そういうひ ずみは実際には肌では私も感じておりますけれども、モチベーションを維持していくと いうことについては、それぞれの病棟の機能の重要性をそれぞれの職員が把握しており ますので、そこは大丈夫かと思います。 ○美原院長(美原記念病院)  よろしいでしょうか、つけ加えて。 ○西岡分科会長  はい、どうぞ。 ○美原院長(美原記念病院)  当院では一般病棟、それから特殊疾患療養病棟、現在障害者病棟ですが、それから回 復期リハ病棟における看護料、タイムスタディーで全部検討しております。その結果、 一番看護料が多いのは特殊疾患療養病棟、神経難病を扱っている病棟です。だから、ど の病棟がナースが忙しいということはうちに関してはありません。つまり、ナースはそ れだけの関与、ケアをやっているからです。  僕は一番、これは直接DPCとは関係ないんですが、障害者病棟で国立病院は7対1 が認められたんですが、一般病院では10対1しか認めていただけなかったんです、今 回の改定で。つまり、神経難病を扱うというのは非常に看護料としては多いのに、うち は当然7対1が認められると思ってそれだけの人数を用意していたんですが、結局そこ のところは10対1しか認めていただけなかったのは、今回のDPCと関係ないですが、 非常に痛かったと思います。何が言いたいのかというと、やはり病気によって看護の、 ケアの質は違うけれども、看護料は十分やればそれだけのことは必要だろうと思うんで す。 ○西岡分科会長  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  時間をとって恐縮です。美原病院について、先ほど相川委員から救急でやった場合の MRIなどを撮った場合に、それは、結局入院となった場合にフォーカスの中での対応 となって、それに対する費用保障は調整係数が1.2495ということであったので、 ある程度現状ではカバーされていると思うんです。しかし、ここで調整係数がなくなっ た場合にはどのように、DPCは使命であるので守られるということでございましたけ ど、仮に調整係数がなくなった場合にもこれはそのように継続されるかどうかという点 と、もう一点は、そういう調整係数にかわる機能評価としては、どのような客観的な数 値が適切とお考えか教えていただければと存じます。 ○西岡分科会長  どうぞ、難しい質問ですが。 ○美原院長(美原記念病院)  非常に難しい問題で、これは先生方が決めていただけることだろうと思っているんで すが、実際に我々の医療をやっていくときに、今、池上先生がおっしゃったとおり、調 整係数って非常に今までの医療を担保する意味ではとても必要です。それがぱんとなく なっていくと、恐らく今の病院では運営は厳しくなると思います。そうした場合どうす るんですかというと、先ほどちょっと議論があったようにDPCやっていけないよと、 これでは病院運営が成り立たないよというような可能性が出てくるかもしれません。で は、それにかわる、調整係数にかわる機能係数というのをどういうふうに求めたらいい のかというのを今先生方が御検討いただいていることだろうと僕は思っております。そ うしたときに今の現状、我々のような病院というか、専門病院の在り方というのに御配 慮いただいて御検討されていただけることを期待しております。  よろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  どうぞ、企画官。 ○企画官  先ほど、ちょっとナースの話が出ましたけれども、医師についてのまず人員配置なん ですけれども、こういった急性期の病棟とそれから療養病棟などが並列していると思う んですけれども、その体制というものは完全に分けているのか、あるいはけっこう兼務 みたくしてやっているのかというその辺が1点、それはそれぞれ4つの病院にお聞きし たいんですが。  それから2点目は、慈恵会病院と永生病院さんにお聞きしたいんですけども、救急車 の搬送がどちらもなかったようなんですけれども、ただ、永生病院のほうは緊急入院と いうのは一応あるようなんですが、DPCというのは急性期医療ということを考えます と、こういった緊急入院あるいは救急車の搬送ということは一つ大きな要素だと思うん ですが、それに対するお考えはどうかということが2点目。  それから3点目なんですけれども、これは永生病院さん、最初の御説明のときにたし か大学病院は2つあるけれども、認知症の骨折は診てもらえないからうちで診るという ふうにおっしゃったような気がしたんですが、そうしますと急性期ということに加えて というか、精神科をむしろ併設させていることによって、何かよそでカバーできないも のをカバーするというそういう特徴というか、何かそういうものを持っているという、 そういう理解でよろしいのか、それが3点目です。  以上です。 ○西岡分科会長  お願いいたします。 ○美原院長(美原記念病院)  ドクターに関してですが、地域においては医師不足というのは非常に大きな問題で、 我々の病院においても医師はもう少し欲しいなと思っているところです。  回復期リハ病棟に関しては基本的にはリハビリテーションの専門医がおりますので、 それが主となっております。ただ、我々が急性期を持った患者様が回復期リハ病棟に上 がった場合には、当然ながら主治医としてはシームレスでそのまま継続していくという ことです。ですが、回復期リハ病棟に関しては、外から病病連携で入ってくる患者様は 最初からリハの先生が主治医になりますので。  ですから、先生の御質問に答えるならば、各病棟間で病棟の担当といってその先生が 専属であるわけではなくて、患者様にくっついて医者は動いているというのが現状です。  よろしいでしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  多賀病院ですけども、ドクターは基本的には全部別でございまして、内科病棟は今現 在内科医、全員内科医です。5人、急性期で対応しておりまして、回復期は3人、リハ ビリの専門医がいます。あと障害者一般の病棟はリウマチ、膠原病がほとんどですので、 リウマチ、膠原病の専門医が2人という体制でやっておりまして、お互いの移行という かあれはありません。  以上です。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  当院も現在のところは兼務という形をとらせてもらっています。やはりうちも整形外 科が中心でやっていますが、手術の患者とかは主治医が回復期のほうもずっと退院まで、 最後まで面倒を見ると。一応回復期のほうは担当医というものを置いていますが、それ 以外にも主治医が最後まで診るというふうな形をうちではとっています。  それと、救急車の受け入れに関してはちょっと資料の出すのを間違えまして、改めて 出させていただいたんですが、19年度、20年度とも、救急患者のうちの3割程度は 救急車を受けております。 ○飯田院長(永生病院)  まず、DPCの整形外科の病棟ですので、整形のドクターがメインでございます。そ のドクターは手術を終わり、在宅ではない方、回復期の適用の方はその主治医がそのま ま回復期で拝見させていただいております。  それから、救急搬送でございますが、救急、夜間も含めて日中も救急対応で訪問、在 宅をしておりますので、そういう方だとかが来られることがたまにございますという程 度でございます。そういうことで対応してございます。  それから、認知症の方の手術を一手に引き受けているというようにお話を先ほどさせ ていただきましたが、そのノウハウというのは、精神科病棟70床ございます。そちら の病棟は認知症の方がメインでございます。認知症の方の高齢者化が進んでおります。 高齢化した認知症の方の対応、とにかく抑制をすると大変なことになるということが看 護師の中、またドクターの中でも教育がだんだん行き届いてきたのが、受け入れるアレ ルギーがなくなってきたことかなというふうに感じております。  以上です。 ○西岡分科会長  ついでに青森慈恵会の病院ですが、緊急入院もゼロというふうな形で資料をいただい ております。これも変化するんですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  ええ、大変申しわけないんです。改めて資料を提出させていただいたんですが、そん なことはありませんので、ちゃんと。 ○西岡分科会長  どのぐらいの数値ですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  19年度で救急入院の例ですが、19年度で144例です。20年度がこれまで74 例ということで、約3割程度。 ○西岡分科会長  3割、30%ですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  はい。大変申しわけありませんでした。 ○西岡分科会長  ほかに、どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  青森の慈恵会病院にちょっとお伺いしたいんですが、先生の県下あるいは周辺でも同 じような立場で急性期を、パーセンテージは余り高くないけど受け入れていて、療養病 床等でフォローしているという病院がたくさんあって、DPCに参入しようかと考えて いるけれども、療養病床じゃ長期化する方が多いのでうちは違うということでためらっ ておられるところもたくさんあると思うんです。そういう病院が今後、急性期病棟とい うものを切り離してDPCに手挙げしていくという現象が広がっていくとしたら、これ は日本の急性期の病院医療政策として妥当な方向だとお考えになりますか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  DPC、急性期を切っていくということですか。 ○齊藤委員  そうです。先生のところは、一つの病院だけど、急性期病棟は切り離しているわけで すよね。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  はい。 ○齊藤委員  そういう現象に踏み込まないがために、DPCに全く手を挙げない病院というのは非 常に多いと思うんですよね。先生方の病院に変容していく可能性が否定できないわけな んですが、そういうトレンドというか、急性期病院医療、そしてほかの療養病床を含む 病院医療の在り方というものは適切な日本の病院医療政策の姿だと思いますか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  いや、決してそうは思いませんが、何度も申し上げますが、地域の方々というのは非 常にやはりそういうことは、全く制度のことは知らない方が多いので、ただやはり直接 来られる方もいますし、救急隊、青森市自体も全病院、全医療機関がそれを把握してい るわけじゃないので、やはり周辺の整備がなかなか追いついていかないというのが現状 だと思いますので、こういった機能は今後も何とか存続しながら受け入れていきたいと 思っていますが。 ○齊藤委員  いや、言葉じりをとらえるようだけど、決してそうは思いませんがと先生おっしゃっ たけれども、それはなぜなんですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  というのは、やはりどうしても長く、ほかの病院も歴史がある病院とか、長くありま すけど、やはりいわゆる今のDPCを導入できるかどうかというと、また非常に労力も エネルギーもいろんな設備投資も考えなきゃいけないということであれば、なかなか難 しいんじゃないかなと。 ○齊藤委員  なるほど。だから、だれにも勧められるものでもないと。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  かなりエネルギーが私は要ると思いますけれども。 ○齊藤委員  エネルギーを要するからね。わかりました。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  ですから、どっちかというと立ち去り型というか、もうDPCに手を挙げないで、我 々は慢性期に特化するといった形の病院さんのほうが多いんじゃないかなと思います。 ○齊藤委員  なるほどね。ありがとうございます。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  今の齊藤委員ともちょっと関係があるんですけれども、青森の慈恵会病院で、半期で 手術が122件ですよね。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  はい。 ○山口(俊)委員  32床あって、年間250件程度の手術というのは少なすぎると思います。主に整形 をやっておられるということですけども、要するに整形の先生は何人ぐらいいて、どれ ぐらい年間手術するかということを考えると、医療資源の使い方からいえば余り効率が よくないので、やっぱり将来的にはどっちかを選ばれたほうがいいんじゃないかと思い ますけど、いかがですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  確かに先生のおっしゃるとおりなんですが、今現在整形外科は4人いまして、全員認 定医、専門医も持っている方なんですが、麻酔科も1人常勤で確保できまして、ただ余 り負担のかからないように、やはり少しずつ我々の病院も変わってきまして、だんだん 整形外科の数もふえてきているんですが、なかなか周りがそれに追いついていない状況 がありまして、もう少し時間をかけて、またほかの周辺の病院とか、もしくは大学とか、 いろんな連携をとりながら、少しずつまた我々の病院も認知していただけるように努力 していこうとは考えています。 ○西岡分科会長  どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員  余り皆さん聞きにくいことを聞かれないので聞いてみたいと思うんですけど、急性期 だけをやっている病院で、例えば高齢者の方の転院先って探すのを大変苦労していて、 そういう点ではケアミックス病院さんというのは比較的楽に、その患者さんをある一定 のところから別のところに移すことができるというふうに、メリットがあるんだろうと いうふうに思うんですが、そうすると懸念されるのはある一定の、特にDPCは退院日 数がある一定のところは多分経済的には効率がいいという話になるんだろうと思うんで すが、ということは逆に先生方の病院で特定のDPCの退院患者さんの、退院というか、 転院・転棟されるときの日数が集中しているということはないかどうかということを教 えていただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  やっぱり今ご質問あったように非常に頭の痛い問題でして、また我々の病院は非常に 超高齢の方で、在宅で診ていたけど、やっぱり今度は在宅で診れなくなったとかいう方 で、受け入れ先を探すのに非常に難渋しております。そういう患者さんが、やっぱり時 間がかかる方はもうしようがないと言っちゃ失礼なんですけども、うちでDPCの病棟 で少し診ているという状況ですけども、なるたけ全力を挙げて受け入れ先を探して、あ とできればうちは訪問、往診、訪問看護、訪問介護もやっておりますので、なるべく在 宅に持っていって、また急性増悪したら入院、そういう繰り返しのような患者さんもけ っこうおられます。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○美原院長(美原記念病院)  よろしいでしょうか。うちは回復期リハ病床も非常に在院日数は短くなっています。 それの一つの要因というのは、一緒に併設機関として老健を持っているからです。こち らの老健も基本的には在宅復帰がメインの老健でして、在宅復帰率がうちの併設老健は 80%近くいっています。そして、月の入退所の数は約200です。すなわち、ずっと 老健というのも入れっ放しにしておくところではなくて、老健としての本当の機能を重 視しているというか、そういうつもりで運営しております。  したがって、まず一般の急性期病院が次の受け入れ先がない、実を言うと我々もこの 病棟編成をするときに急性期病棟の受け入れとして回復期があり、回復期の受け入れと して老健があり、その老健の受け入れとして在宅があるわけで、そこのところを全部一 貫して目を配っていかないとどこかで行き詰まってしまうわけです。そういう意味で、 それぞれの持っている機能、施設の中にある機能というのを本当にがっちりやっていく、 つまり回復期は50日ぐらいだ、老健は3カ月以内で必ず出すんだ、そしてあとは在宅 に持っていくんだということをきっちりやっていけばそれほど困難なことではありませ ん。  一番ここのところで重要なのは、やはりMSWの役割だろうと思います。うちはMS Wが入院したときから入ります。すなわち、帰るときではないんです。入ってからこの 人は一体どういうふうになるだろう、入ったときから次の先行きを考えてやるというよ うなことをやっていると非常にスムーズにいきます。ですから、回復期リハ病棟に移っ たときにはもう在宅を考えて、いろいろな次の介護保険を使いましょうとか、在宅のネ ットワークはどういうふうに使いましょうという話ができていますので、それほど、そ の在宅医療の環境を整えるために時間が必要で、そのための入院というのはあり得ませ ん。それはなぜかというと、入院時からMSWが入っているからです。ちなみに、MS Wは各病棟に1名ずつ専属で配置されております。 ○西岡分科会長  青森はいかがですか。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  そうですね、なるべく患者さんはいろんな状況があっても受け入れるようにはしてい ます。中には刑務所に入っている方とかも打診されることもあるんですけども、そうい う場合はなるべく公立病院にお願いしていますが、退院までこぎつけるのに病状だけじ ゃないという、社会的な背景が非常に大きな部分もありまして、やはり美原記念病院の 先生がおっしゃったように、MSWの貢献度というのは非常に高いんじゃないかと思い ます。いろんなところと結びつきを持ちながら、たまには後見人になったり、そんな形 でやはり何とか施設に入れたり、もしくは特養、在宅に持っていったりという、いろん なことをやっていますので、先ほど先生、どなたか委員の方から質問がありましたが、 そういったことも係数のほうに何か加えていただければと思っています。 ○飯田院長(永生病院)  永生病院では、DPCの一番おいしいところの点数のところという意味だと思うんで すけれども、そういう在院日数に絞ってそれで退院なりしているかということについて は、そこまではまだいっていないと思います。何とかぎりぎりで平均在院日数をクリア できるように調整しておうちに帰るなり、回復期に移動しているというのが実情です。 高齢者の方の治療、非常にやはり難儀する部分もございます。  あと、美原記念病院さんと同じように療養病棟との連携、これはスムーズに行うとい うところを連携を図っておりますので、そこの点についてはスムーズに、内部にやはり 療養病棟がある病院というメリットかなというふうには感じております。  以上です。 ○西岡分科会長  4病院の先生方、どうもありがとうございました。貴重なご意見ありがとうございま した。  それでは続きまして、データの質の適切さの例といたしまして、今回は治癒・軽快の 割合について議論したいと思います。  最初に武蔵野赤十字病院から御説明をお願いいたします。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  武蔵野赤十字病院の院長の富田でございます。このたびは我々のデータの処理のソフ トの不具合によって、このような数値を出してしまいました。我々の不手際をおわび申 し上げます。  御説明申し上げます。配付した資料の別紙1のところですが、そこのところにまず参 考データというのが我々が提出した資料です。このことに関してヒアリングの調査票を いただきまして、当院の中で再調査いたしました。DPCのこの調査票を一応出したと きにきちっとすべてを我々がチェックしなかったのが大きな誤りでした。まことに申し わけございません。  当院では一応DPC導入の評価にかかわる調査の一部を手作業で行っていましたが、 本年7月よりシステムを導入いたしました。これは医師、看護師、事務の労力を軽減す るためにソフトを導入しました。そのソフトでこの調査票を出力しておりましたので、 不具合が生じました。ご指摘の点について再度レセプトの転帰区分と合わせ、実施しま したところ運用の不備が発覚し、正確には下記のとおりでございます。下に書いてある のがレセプトでの転帰をもう一度見直したときの治癒の割合です。  具体的なことを申し上げます。次のページを見てください。この内容、我々のほうの DPCに関する調査様式1の出力の今までのやり方ですが、今年の6月まではすべて手 で書いておりました。転帰に関しては医師が退院証明書に記載するということで、その 記載内容を維持システムがDPC調査様式1に記入して、それを報告のほうに入力する という形をとっておりましたが、今年の7月からDPC支援システムの一応ソフトを使 い始めました。これは様式1の出力がオートマチックにできるということで、あと医師、 それから看護師の業務の非常に軽減になるということで使い始めたんですが、そこの支 援システムの中に転帰のところの入力をしないでいた、その内容が出力のときに治癒で 出てしまったんです。そういう不具合があったために、70%というとんでもない数字 を出してしまいました。早速それを調査いたしまして、全部点検をレセプト、紙運用し ているレセプトで転帰を再度確認いたしまして、そして転帰の内容を再度調べ直して御 報告を申し上げた次第です。  全く私どもの監督不行き届きのところをおわび申し上げます。  次のページが、最後のページが再度転帰を、レセプトでの転帰の内容をここに書かせ ていただきました。治癒の絶対数が大きく下がっております。  以上が御説明です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  では、続きまして武田総合病院からの御説明をお願いします。 ○森田院長(武田総合病院)  武田総合病院の病院長の森田です。今回治癒・軽快の中で治癒の率が非常に高いとい うご指摘を受けましたんですが、我々、入院時医学管理加算を得るまでは治癒と軽快と の区別というのは必ずしも厳密にはやっておりませんでした。お手元の資料にもござい ますが、平成19年度は治癒は約10%以下ということになっています。入院時の医学 管理加算を取得して以降は、治癒の判定は原則的には主治医の意見をもとにして決めて おります。つまり、入院の目的である主疾患が改善して、主疾患の治療が必要と認めら れないもの、それを治癒といたしました。  今回の報告書で、治癒・軽快における治癒の割合が非常に高いということの御指摘を 受けておりますが、我々が治癒と考えましたのは、この資料にもございますけども、治 癒の定義が退院時、退院後に外来通院治療の必要が全くない、またはそれに準ずると判 定されたものというふうになっております。  我々が考えましたのは、主治医が退院時に治癒というふうに考えて、かつ、1番目は 以後受診のない症例、受診が全くない症例、それから、退院時に診療情報提供書を発行 して、本院の受診が以後ないものというものを治癒と考えました。それから、退院後に 1回だけ受診しているという、受診していますが、それは面談だけで検査・治療を全く 行っていない症例。例えばこれは本人が、もう来なくてもいいよと言っても本人が心配 で来る、来られる場合がかなりあります。または、胆石なんかの腹腔鏡の手術をやった 後は治癒であっても、主治医の先生が1回は見せに来なさいよというふうな指示を出し ている場合もあります。そういうのが1回だけ受診して、それは面談だけで検査も治療 も全く行っていないというもの、それも治癒というふうに考えました。  それからその際、患者さんが診療情報提供書を、ほかのところに行ってかかりたいん だけどと言って来られる方、それも1回だけ受診をするという形になりますので、それ も治癒というふうに考えました。それから、ほかの疾患で治療する場合があります。例 えば、痔の痔核の手術をした方が便秘で下剤を下さいというふうに来られる方、あるい は風邪を引いたからといって受診をされる方、そういう方も含めて1回だけ受診されて いるという方は、それも治癒というふうに考えました。  それから、1回以上複数の受診がある場合ですが、その場合はこれはちょっと疑問な のかもしれませんが、経過観察の検査、つまりこれは私の病院は腎臓結石の破砕の症例 が非常に多いんですが、それはこの腎臓結石というのは本来完治するものじゃありませ んので、石がなくなった段階で退院していただいて、それは治癒としています。しかし、 それはしばしば再発するものですから、そのチェックに来るというのを、エコーでチェ ックに来るというのも、それを退院時に石が全くなければ治癒というふうに考える、こ れは主治医の判断ですけど、そういうふうに考えています。  それから、原疾患はもう治癒しているが、その後遺症といったらいいんでしょうか、 例えば骨折して、もう骨折が接合しているが、その後のリハビリをする、これはなかな か微妙なところじゃないかなと思うんです。それから、例えば外傷性の脳出血でもうよ くなっているんだけども、症状は多少は残っているけれども、社会復帰が可能であって 退院をしていったという場合、そういう場合、これはちょっとクエスチョンマークなの かもしれませんが、それも主治医の判断では治癒というふうにやっています。  それから、合併症で通ってくる場合がある。例えば、心臓弁膜で手術した後ワーファ リンを続けて飲むというような、そういうようなことです。あるいは、閉塞性の動脈硬 化症でワーファリンを続けて飲むというような、そういうようなむしろ他の疾患でとい うか、そういう治療を行っているという場合があります。これもクエスチョンマークか なと思いますけども、これは治癒の定義のそれに準ずるというふうな中に考えてこうい うような数字になったということでございます。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。ただいまの御説明でございますが、何か御質問、どうぞ、 齊藤委員。 ○齊藤委員  今、武田病院のほうにお伺いしたいんですが、DPCを導入しますと、全国的な傾向 としては退院時の転帰が、治癒が減って軽快がふえているという傾向が顕著でございま して、これは外部から見るとむしろ退院を早まりすぎているんじゃないかとか、そうい うような指摘もあるのですけれども、先生方の病院はDPCを導入する前とDPC導入 後に、治癒と軽快の割合というのは何か変化があったんでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  DPC導入前ですとやっぱり治癒・軽快両方合わせると約70%になりますけども、 その前ですと治癒では10%弱だったんです。 ○齊藤委員  だから、治癒の割合がふえた。 ○森田院長(武田総合病院)  割合がふえたんですね、はい。 ○齊藤委員  それはなぜだとお考えですか。 ○森田院長(武田総合病院)  それは、先ほどもちょっと申しましたけど、治癒と軽快との判定の基準というものは 余り厳密に考えていなかったわけです、前は。それで、この20年にこういう指針が出 て外来でのというか、治療が全く必要のない、あるいはそれに準ずるものというふうな 文章になりまして、それで、それをどういうふうに解釈するのかということで、私のと ころは割にそういう腹腔鏡の手術なんかも多いんですけども、そういう場合はちょっと 入院期間を長くして、それで合併症なんかもないような状態、リスクが低い状態にして 帰そうというふうなことにいたしました。 ○齊藤委員  なるほど。 ○森田院長(武田総合病院)  それで、そういう点で主治医がまずこれは治癒であるというふうに判定をしたものに ついて、その意見をもとにして決めています。 ○齊藤委員  そうすると、医療内容としても治癒まで腹腔鏡手術など、少し長くなっても治癒を求 めるということと、もう一つは判断基準が前は治癒としていなかったものを今は新しい 基準などに照らすとあれは軽快だとしていたけども、今になって考えれば治癒なんだと、 そういうふうな視点の変更と、そういうものもあったのでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  あります。私のところは割に腎臓結石の体外破砕が多いんですが、だいたい結石など というのはこれはしょっちゅう再発するし、完全な治癒というのはないものですから、 これは担当の主治医に聞いたんですけれども、以前は結石の治癒というのはあり得ない から常に軽快にしていたと。だけど、これは石がなくなった段階で治癒としてもいいん じゃないかと考えたと。 ○齊藤委員  なるほど。むしろ指針に照らして、今まで軽快だったのが実は治癒だったんだと、そ ういう視点なんですね。 ○森田院長(武田総合病院)  はい。それで、結石の場合はすべてそういうふうにいたしましたし、それから結石の 場合というのはまた再発のおそれがありますので、退院後1回来なさいよということで エコーなんかするというふうなことになっています。 ○齊藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  多分解釈の違いにすぎないんであって、その内容が変わったわけじゃないように思い ます。武田病院の先生にちょっとお伺いしたいんですけども、この胆石症は当日日帰り で行っているということですが、これは必ず再診で来ると思います。例えば抜糸とか抜 鈎とか。ですから、そのあたり担当医の先生にきちっと徹底すれば、ルールを教えれば やはりそこで治癒という判定はなくなるのではないでしょうか。これをきっちり守って いただければ多分正確な数字は出ると思います。 ○森田院長(武田総合病院)  そうですね。 ○西岡分科会長  DPCの評価を出していたんですが、今まで指摘されましたように治癒率がぐっと下 がったので、医療の質が下がったのではないかということを御指摘いただいていました。 それに対しまして、今の医療の中で治癒というのはなかなか難しい、非常に限られた疾 患でしか起こり得ないのではないかということで、私のほうから御説明させていただい ていたんですが、今先生の御解釈からいきますと、治癒がものすごく広がってしまった ようなところがあるんですが、そこのところはちょっと一般に使われている、医学的に 使われている治癒あるいは軽快というものとだいぶニュアンスが違ってくるようにも思 うんですが、そのあたりは病院の中で特別なディスカッションとかはされることはない んでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  病院の中では、それに準ずるものという説明がございますよね。それで、そこのとこ ろが皆さん大変迷いまして、例えば骨折した場合は、その骨折して運動機能がすぐに回 復するものでもない、あとリハビリに行かなきゃいけないということもあるかもしれな いけども、それはどうしようということで、骨折はそこが接合が完全に起こったらばそ れでいいんじゃないかという意見もあって、それで前腕の骨折などは接合の起きて、そ こで退院した段階で治癒とする。その後リハビリに通いますけども、これは、ですから そのリハビリに行くときこれをそのまま主疾患の継続として見るのか、あるいは別に考 え、例えば回復期リハに行けるような段階だったらば、もうそれはそこで切ってしまっ てもいいんじゃないだろうかというふうな議論を随分いたしました。  それで、骨折なんかに関してはそういうふうに一応社会復帰ができる、接合が起こっ て社会復帰ができたらいいだろうかとか、あるいはほかの場合でも退院して日常生活が できる、積極的な治療が必要がなくて日常生活ができればもう治癒でいいんじゃないだ ろうかというような、そういうような相談をいろいろいたしました。それでそういうこ とになったんですが、これはやはりDPCというのは全国共通でスタンダードでやって いくものですから、そこでこの治癒の定義というものはきちんと決めて、はっきりさせ て、恐らくどこの病院でも迷っていると思うんですけれども、それがはっきり決まらな いと正確なデータが出てこないんじゃないかなというふうな危惧を大変持っています。 ○西岡分科会長  小山委員、どうぞ。 ○小山委員  先生のところでそのいろいろな検討されて、治癒が多くなったというんですけども、 先ほど山口委員がおっしゃったみたいに、まだ抜糸が残っているのに治癒というところ までやらなきゃならない、そういう動機づけは何でそういう形になったんでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  この胆石の場合は、胆石の手術が終わって、それで帰るときにもう一回いらっしゃい よというふうには、見に来なさいよというふうに主治医は指導してというか、患者さん にそういうふうに言っているというふうに申しているんです。ですから、そのときに実 際に抜糸が行われたかどうかというのは私はちょっと知らないんですけれども、ちょっ とそのあたりはよくわかりません。 ○小山委員  僕が聞きたいのは、動機づけとして、なぜ軽快ではだめで治癒にするような話し合い になった、何かそういうインセンティブなものが何か働いたんでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  いや、特にそういう治癒をふやさなきゃいけないとか、治癒をふやしましょうという、 そういうことは何もないんです。それはほとんど意味がありませんから、医療上から考 えても。そういうことはやっていなくて、ただ外科の担当の方に聞くと、胆石で退院す る段階ではもう治癒と考えて問題ないというふうに考えていると。それで、治癒と判定 しても退院後に一度は来るようにという、そういう指示はしているという話なんですが。 ○小山委員  DPCが始まる前は、それまでは軽快だったわけですよね。それがDPCが始まった ら治癒になったという、何か物が働いたのかなというふうに感じがしたので、そういう ことじゃない。 ○森田院長(武田総合病院)  いや、そういうことじゃなくて、20年に治癒の定義というのが出てまいりましたよ ね。それを、じゃこれに従ってやりましょうというふうで、それに準ずるものというの はどういうふうに考えるかというのは、我々がさっき子細に述べたようなことになった んです。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  伺っていると、我々も実際現場で治癒にするか寛解にするか、あるいは軽快にするか 悩むので、こういう数字だけでDPCを施行してよくなったとか悪かったというのを判 定するのはまずかったかなと思いました。むしろDPC分類ごとに、術後2カ月の間に 何回通院したかとか、そういう指標をやっぱり評価のもととして、ぜひこれから検討し ていただければありがたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかにございませんでしょうか。  武蔵野赤十字病院にお伺いしたいんですが、ソフトが悪かったので非常に高い値が出 たということなんですが、前年度あるいは前々年度の治癒率に比べましても、修正して もやはり少し高めにはなっているようなところがあるんですが、そのあたりはやはり武 田病院と同じような形の治癒の基準とかをお使いになられたとか、そういうことはござ いますでしょうか。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  治癒の基準については、先ほど武田病院の先生がおっしゃったように、ここに書いて ある外来での治療継続を入れなくなったものを治癒としてよいという指導があったので、 それを一応みんなにアナウンスをしました。ですから、外来治療が要らないという人は 治癒でいいですよというアナウンスはしております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それと、武田病院で先ほど一つだけちょっと気になったことがあるんですけども、診 療情報提供書をつけて退院させた場合をすべて治癒にしたというふうなことにされてい るんですが、病気はなかなか治っていないので、それも治癒に入るのかなと思ったんで すが、そのあたりの御議論はいかがだったんでしょうか。 ○森田院長(武田総合病院)  退院情報、これは近くの地域の方からの紹介が多いので、その方にまだ病気が治らな いけども治してくださいよという、そういうことじゃなくて、地域医療との連携のため にこの患者さんを御紹介くださいましてありがとうございました、こうこうこうで治り ましたからお帰しいただきますというふうな、そういうような意味合いでございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほか、よろしいですか。  企画官、何かありますか。どうぞ、企画官。 ○企画官  武蔵野赤十字病院さんにお聞きしたいんですが、生じたシステムエラーというのはそ ちらの病院独自のものなのか、あるいはそれとも導入したベンダーの関係でよその病院 にも起こり得るようなものなのか、その辺のところについてはどのようにお考えですか。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  ちょっとお待ちください、担当に聞きますので。  当院独自のものです。よその病院には影響しないということでよろしいと思います。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。どうぞ、松田委員。 ○松田委員  私は臨床家でないのであれなんですけれども、そもそも治癒と軽快というのを明確に 区分するということ自体が非常に難しいように思うんですけれども、何かそこに今回の いろんな評価の無理があるように思うんですが、お2人の先生にお聞きしたいんですけ れども、やっぱり現場の感覚としていかがでしょうか。治癒と軽快というのは本当にき れいに分けられるものなんでしょうか。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  私でよろしいでしょうか。医師の心理としては、治癒と書くのはすごく抵抗があるん です。私、現実には自分もそうなんですが、ただ、この保険の定義で外来診療の継続を 入れなくなった、入院で治療が完結したと考えたものは治癒と表現しなさいということ があったので、そう私はアナウンスをいたしました。  ただ、病態としてよく、私なんかは自分でも思うんですが、肺炎になって、熱もなく なって、CRPもなくなって、ホスピスも要らなくなっても、熱もCRPも正常になっ たといっても、恐らく病理学的には治癒過程がまだ続いていると思うんです。そういう ものを我々は、今まで私は従来それを軽快という表現をしてきましたけれども、病理で 習ったときはそういう表現だったんですが、一応保険診療上はこういう定義なので定義 にしてあげましょうというような、定義に従った一応情報を出しております。 ○森田院長(武田総合病院)  ですから、私も同じ、全く同じですけども、ある疾患がずっと続いていて、そこで急 性に悪くなった。急に悪くなって入院してくるという場合があります。そういう場合は、 そういった慢性の疾患自体全部治すところまでいかなくて、それでその急性に増悪した 部分だけを治して、それからまたもとの外来治療に戻していくというのも入ってくるわ けです。ですから、本当に治癒の判定というのはかなりあいまいなところがあるので、 そこはやっぱりこういうDPCで医療をすべて標準化していこうという、データを集め ていくためにやはり余り病院によって解釈の差のないようにしておくことが必要かなと 思いますけど、これは大変難しいんだと思います。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  2病院の先生方、どうもありがとうございました。非常に参考になる御意見だと思い ます。ありがとうございました。  では、続きまして部位不明コードについて議論したいと思います。  最初に、医療法人社団木下会千葉西総合病院からの御説明をお願いします。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  千葉西総合病院の倉持です。今回の御指摘の点でありました医療資源を最も投入した 傷病名、ICD10コードにおいて部位不明、または詳細不明として分類されるコード の入力割合が平均に比べ高いということだったんですけども、まず当院の診療科の特徴 として循環器科及び心臓外科の症例数が突出して多く、調査該当月の7月から8月にお ける入院患者の内訳でも全体のほぼ4割に達する状況にあります。  このような中で傷病名、ICD10コードにおきましても同様の傾向にあり、追加資 料として提出しております医療資源を最も投入した傷病名についての詳細不明コード内 訳の表の中で、狭心症が325件、閉塞性動脈硬化症104件、急性心筋梗塞が30件 と、突出が多い状況にあります。3疾患の割合の合計が24.8%となっております。  今回の当院の指摘事項の原因がこの点にあると考えております。この3疾患について のコードづけについてですけれども、本年より旧コードについての扱いが変わったこと を一応認識しておりましたけれども、病名自体が日常的に用いられている疾患名という ことと、それから当院、循環器科が非常にPTCAなどの治療において緊急患者を含め 夜間に及ぶこともしばしばありまして、日常業務の多忙さ、煩雑さがありまして取り組 み不十分という点がございました。  それからまた、医事課との連携もちょっと不十分な点もございまして、このように不 明な疾患がちょっと多くなってしまったということで、今後につきましては今回の件を 踏まえて、循環器科のみならず他の診療科も含めて早急な取り組みを行って、不明コー ドというのを減らしていこうと思っております。  今回の御指摘、どうもありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  続きまして多賀総合病院、お願いします。 ○堀田院長(多賀総合病院)  多賀病院です。今回、部位不明、詳細不明として分類されるコード入力の割合が高い ということについて精査いたしましたところ、97ページを参照していただければいい と思いますが、提出させていただいた参考データ、症例数234件にはDPC対象外病 棟である回復期リハビリテーション病棟、障害者入院基本料の算定患者様も含んでおり ました。  背景といたしまして、準備病院としてデータの提出を開始する際にDPC対象外病棟 のデータを提出することの可否を確認させていただいたところ、提出することは問題な いという回答をいただいておりましたので、DPC算定開始後も同様に行ってしまった ということでした。  詳細不明ICD件数136件を精査しましたところ以下のとおりでありまして、関節 リウマチが63%、肺炎が13%、関節リウマチというのはほぼ100%障害者病床に 入っておりますので、実際DPCの対象病床では詳細不明ICD件数30件で37%と いうことでありました。それでも全国平均より高い数字であり、反省いたしております。  代表的なものは、心不全6件、肺炎7件、あと尿路感染3件といったところでありま した。あとは1件程度ということでありまして、原因といたしましては、当院は4月か ら算定を開始しましたが、DPC対象病棟のコーディングを最重要視しておりまして、 DPC対象外病棟のコーディングまで手が回らなかったということでありました。  そのほかにちょっとDPCの対象病床でも詳細不明コードが多いですので、今後はD PC連絡票を提出後に医療、医事部門、診療管理部門、担当者で精査いたしまして、要 するにこの9番のコードに該当する場合には医師に確認を密に行うと。それから、医事 部門や診療所ほかの部門のスキルアップと診療部門との連携を強化するということで、 ちょっと対応していきたいと思います。  どうもすみませんでした。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。では、この件に関しましてご質問等、お願いいたします。 どうぞ、小山委員。 ○小山委員  千葉西病院の先生にお伺いしたいんですけども、急性心筋梗塞がこのように多いから 不明になるというんですけど、具体的にはどういう形になると不明になるんでしょうか。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  こちらに関しては、不明というようよりは医師側のやっぱり意識不足がありまして、 例えば部位別全壁心筋梗塞であるとか回帰心筋梗塞といった分類をせずに、ただ心筋梗 塞という形でDPCに記入していたことが一つ問題でありまして、その辺のことが今回 不明コード、もちろん心筋梗塞のみならず狭心症につきましてもそういった点で不明に なってしまったことがありました。 ○小山委員  すみません、ちょっとよくわからないんですけど、心筋梗塞だったら部位不明にはな りませんよね。それが部位不明になるというのは、細かく分けていったところで部位不 明になっちゃうということですか。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  それではなくて、急性心筋梗塞としか記入していなかったために部位不明になってし まったということで。 ○小山委員  そうすると、最初のコーディングが違っていたということ。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  そうです、はい。そういうことです。 ○小山委員  じゃ、コーディングを知らなかったということになるわけですか。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  そこまでちょっと、認識不足がちょっとありまして、もう急性心筋梗塞しか…。 ○小山委員  失礼しました。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  はい。すみません。 ○西岡分科会長  どうぞ、辻村委員。 ○辻村委員  少し失礼な聞き方になるかもしれませんが、コーディングの問題なのか、あるいは診 療録、カルテそのものの記載から起こせばコーディングができるのか、その辺はいかが でしょうか。 ○堀田院長(多賀総合病院)  当院の場合には心不全と肺炎が多かったわけですけども、心不全の場合にはやっぱり 右心不全か左心不全かという、そういうようなことの問題でちょっと事務部門ではどっ ちか判別がつかなかった。心不全という病名はついているわけですけども、そのどっち かというのがわからなかったということで、カルテを見てもちょっとわからなかったの で、医師に聞かないとわからない。  それから、肺炎に関してはその起炎菌がちょっとわからないということで、こういう 部位不明になってしまったということを聞いております。必ずしも培養をとって、それ で診断してから見切り発車で治療しなきゃいけない場合もあるので、起炎菌がわからな いということで部位不明というふうになってしまったのが多かったようであります。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  当院におきましては狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症が非常に多かったわけです けども、こちらに関してはカルテを一応見直せばほぼコーディング可能と考えておりま す。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○小山委員  ちょっと危険な質問になってしまうかもしれないんですけども、そうするとコーディ ングは事務方がやっているということなんですか。ここが非常に大きな問題になっちゃ うと思うんですけど。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  いや、医師がやっております。 ○小山委員  やっているんですよね、そうですよね。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  はい。 ○西岡分科会長  なかなか聞きにくい質問で、皆さん、いじいじされていたんだと思いますが、ほかに 御質問等ございませんでしょうか。この問題というのは医療の質そのものにかかわりま すので、正確なコーディングをしていただかなければいけないということと、お聞きし にくいことだったことですが、事務の方だけでやってしまって、カルテを見てやってし まっているというときにはこういうことがしばしば起こりやすいということでもあると 思いますので、DPCの基本は医師が関与するということですので、そのあたりどうぞ よろしくお願いしたいと思います。  どうぞ、企画官。 ○企画官  コーディングに関しては、今年度から病院としてコーディング委員会を立ち上げてい ただくことになっているんですけれども、その実際の運営状況を両方の病院にそれぞれ 伺いたいんですが。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○堀田院長(多賀総合病院)  4月から開始しまして、やらなきゃいけないと思って、まだやっておりません。早急 にやる予定であります。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  当院におきましては、一応6月に一度開催いたしました。ただ、この点に関しまして は今回御指摘を受けまして、DPC委員会でも検討を今後行う予定にしております。 ○西岡分科会長  ほか、よろしいでしょうか。どうも、2病院の先生方、ありがとうございました。  では、最後に標準レジメンについて議論したいと思います。  最初に、東京大学医学部附属病院からの御説明をお願いします。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  御説明させていただきます。  現在、大腸がんで特に再発性、転移性で、手術的には根治し得ない例に対しまして種 々の化学療法がなされているわけでございますが、昨今はイリノテカンを中心とするF OLFIRIと、オキサリプラチン、これは白金製剤ですが、FOLFOX、これが主 体になっているということでございます。  今回御質問の件は、本院におきましてはFOLFOXの使用された例が80%を超え ていて、全国平均の56%を上回っている事由はいかなるものかということかと思いま す。  まず、化学療法は私どもにおきましてレジメンというのは非常に厳正にチェックされ ておりまして、内科医、外科医、薬剤師、看護師等で構成いたしますキャンサーボード 委員会で、ここにレジメンをチェックしているということでございまして、今回の私ど もが使用したレジメンも当然こういうプロセスを経て使われたものと、このように御理 解いただきたいと思います。  それで、東大病院でなぜ突出しているのかどうか、ちょっとそれは私もわからないん ですけども、2つ理由が考えられると思います。1つは東大病院では大変安全に外来で 化学療法を行うことができる化学療法の外来の治療部というのがございまして、十分な 人手、あるいは救急時の対応もできるということになっております。それから2番目は、 私ども合併症の多い方が来られまして、がんセンターなんかからもかなりそういう方を 送られてくると。この2つでございます。  まず、なぜ外来で化学療法をやるとFOLFOXの比率が高まるかということですが、 まず大腸がんで先ほど申し上げたような対象に関しまして、ファーストライン、最初の コースとしてFOLFOXを選んでおります。これは国内外の最新の文献、あるいは当 該診療科が十分に吟味してこのような判断をしているということでございます。ただ、 実際にFOLFOXを使いますと副作用が出るとか、効果が薄れてくるという場合には FOLFIRIのほうに移行するということでございます。  したがいまして、入院は最初はFOLFOXのほうでありますので、今回の質問にあ ります50例というのは、ちょうどこの4月から8月、5カ月間の入院の化学療法を受 けた患者さんでございまして、それの7倍350件が同時期に外来で治療を受けている ということでございます。7倍外来で治療を受けている。  入院治療に関しましては、先ほど申し上げましたように、スターティングのコースと してFOLFOXを使っているのでほとんどFOLFOXになると。ただ、外来では先 ほど申し上げました理由にてFOLFIRIに移行するケースがあるので、外来ではF OLFIRIが比較的、相対的に多く使われており、外来の350件はほぼFOLFO XとFOLFIRIが1対1になっております。ですから、仮に十分な外来の化学療法 部がなくて、例えば外来対入院の比率が300対100になると、このFOLFOXの 比率は約65%になるということが第1の事由でございます。  それから第2番目は、糖尿病とか、循環器疾患とか、膠原病とか、かなりインセンテ ィブなケアを要するハイリスクの症例が私ども治療いたしておりますので、こういう方 は入院してFOLFOXの治療が長引くと、選択的にFOLFOXで治療せざるを得な いということになりまして、相対的にこの8割の中でもこういう合併症ゆえに外来等で いろんな理由でFOLFIRIに移せない、FOLFOXで治療せざるを得ないような 患者さんが選択的にふえていると、このように考えられるんじゃないかと思います。  ただ、化学療法は2週間ごとに入院を要するレジメンになりまして、当然ベッド等、 外来のキャパシティーがありますから、地域医療施設と月ごとにいろいろ、例えば交互 に入院していただくとか、努めて地域医療病院にお願いすると、このようなことをやっ ている次第でございます。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  それでは、東海大学のほうから御説明をお願いします。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  御説明させていただきます。  当院は東大病院さんと逆で、いわゆる大腸がんの進行、再発の大腸がんに対する化学 療法のうち、標準的なレジメンの占める割合が18.9%になっていて、平均の56% より低いのはなぜかという御質問でございます。  これは2つ理由がございまして、1つは今御説明がございましたように、もともと標 準的な大腸がんの再発、進行がんに対する治療法としてFOLFOXというのとFOL FIRIというのがございまして、そのうちの、当院につきましては、もともとFOL FIRIを選択する率が高かったというのがまず第1点でございます。  これは特に両者、抗腫瘍作用に関しては大きな差はなくて、副作用の種類が違うとい う点が差でございますので、これは患者さんの病態、あるいは主治医が患者さんをフォ ローしていける体制等によって、FOLFIRIを選択しても別段問題はないものとい うふうに考えております。  それから第2番目の理由は、このベバシズマブという薬が昨年認可されて、カテゴリ ー5というのが平成20年度に追加されたということで、FOLFOXを使っている方 々の中でFOLFOXとこのベバシズマブの併用療法に移行した方がかなりいたという のが2番目の理由でございます。これはVEGFの作用を阻害する抗体でございまして、 併用しますと、全生存期間でありますとか、プログレッションフリーの生存期間が延び るということがもう臨床研究によってわかっておりますので、抗腫瘍効果という点につ きましては併用したもののほうが今国際的には既に標準になっております。ただ、消化 管穿孔とか脳梗塞等の重大な副作用がございますので、これも副作用について十分管理 できる、あるいは患者さんの病態的に耐えられる方が対象ということになります。  今申し上げましたFOLFOX、FOLFIRI、それからそれぞれに対するベバシ ズマブの併用療法はいずれも、したがって標準的な治療であって、このうちどれを選択 するかというのは患者さんの状況、特に副作用の管理等に関する主治医の判断によるも のでございますので、たまたまその中でこのFOLFOX+ベバシズマブという比率が、 この薬剤が承認されたことによって増えたということであって、全体の状況が変わって いるわけではないと理解しております。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。どうぞ、御質問お願いします。どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  ちょっと武谷先生と猪口先生、それぞれにお伺いしたいんですが、私、その診断、D PCで診断群分類、MDC分科会をお世話している者なんですけれども、化学療法、悪 性腫瘍の化学療法は非常に価格が高いので、初めそのDPC包括化の中から外出しとい うことで、非常に価格の高い化学療法を保護するというようなことがあって、その次の 改定等で、これが診断群分類の病名、傷病名の中にこれを使ったものはというような形 がとられてくる傾向があるわけです。  それは今の時点ではいいんですが、将来その化学療法が非常に多岐な新しいものがど んどん出てくると、診断群分類のコードというものが化学療法の羅列になって変容して いくという可能性も、本来、診断群の分類というのは医学的な教科書であるとかエビデ ンスによってつくっていくべきものなんですが、医療資源がそこで突出してくると、診 断群分類が薬の名前の羅列になって、いびつなものになっていかないかなと、そういう 危惧も持つわけなんですが、武谷先生と、今のような在り方でよいのかどうか、武谷先 生や猪口先生のお考え、ちょっと伺いたいなと思っていますが。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  御質問の趣旨は大変ごもっともかと思います。化学療法というのは病巣そのものに対 して直接たたくものと、やっぱり全身状態を考えながらうまく患者さんのQOL等をい ろいろ考慮しながらやらなきゃいけないので、必ずしも客観的な病態像あるいは病巣の 病理診断あるいはその広がりのみでは単純には評価できないということで、全体的な判 断が必要になるということでございまして、なかなかそこが大変難しい問題かと思って おります。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  やはり選択肢が増えてまいりますと、どうしても非常に標準的なものが多岐にわたっ て複雑になってまいりますので、あまり複雑になってしまいますと非常に使いにくいと いうようなこともございますので、その段階でそれをDPCに包含するのがよいのか、 薬剤を別に考えたほうかいいのかということは検討する余地があろうかなと思います。 ○齊藤委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口先生。 ○山口(俊)委員  ちょっと武谷先生にお伺いしたいんですが、50例入院してやっておられますけども、 今原則としてFOLFIRIもFOLFOXも外来治療だと思うんです。ただ、最初の 1回はリザーバーを入れたりするので入院してやるところが多いと思いますが、この5 0例のうち初回というか、そういうリザーバーを入れたりすることが理由で入院されて いる方がどれぐらいあって、本来、外来でもできたんだけども、ほかの理由で入院させ たというのは、その割合はどれぐらいあるでしょうか。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  直接治療に当たっている者に説明させますので。 ○随行者(東京大学医学部附属病院)  すみません、ちょっと正確な数ではないんですが、ほとんどの方……。 ○西岡分科会長  もし可能でしたら、マイクをお使いいただけますでしょうか。 ○随行者(東京大学医学部附属病院)  何らかの事由と、具体的には副作用の問題が多いんですが、その方が恐らく3名程度 で、あとの方は導入もしくはそれに準ずるものと考えられます。 ○山口(俊)委員  がん研でも担当者に聞いてみたんですけど、やっぱり同じような状況でした。合併症 とかそういう副作用のことでというのはほんの数名しかいないそうで、初回はどうして もリザーバーをどうせ入れるので1回は入院してやるということだそうです。  それから、東海大学のほうにちょっとお伺いします。理由は2つあって分かりました けども、その他のレジメン77あります。これは具体的にはどういうことをやられてい るのでしょうか。つまり、担当医が独自の判断で勝手なことをやっているのじゃなくて、 もしも標準的なものから外れたことをやる場合に、これは正しいよと、やってもいいと いうことがちゃんと組織として承認されるような、そういう体制がとられているかどう かということをちょっとお伺いしたいんですけど。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  レジメンの管理につきましてはレジメンの管理委員会で管理してございまして、勝手 にやっているということはございません。具体的な内容は今担当の者から説明いたしま す。 ○随行者(東海大学医学部付属病院)  消化器外科のサダヒロですが、お答えします。  3番に、FOLFIRIはそこのツリーでは3番に入れざるを得ないので、すべてF OLFIRIでございます。 ○山口(俊)委員  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ほかにございますでしょうか。どうぞ、邉見委員。 ○邉見委員  お2人の大学病院のを聞きますと、我々田舎の病院にとっては非常に興味深いことが 分かりました。標準化して一つに特化していくのと、新しいいろんなレジメンをいろい ろやるという、そこの大学の中のいろんな意見、この会で一度、余りガイドラインとか 標準化をやってしまうと新しい研究とか学問が進まなくなるのではないかというふうな 御意見をどなたかが言われたことがありますけれども、そういうふうなせめぎ合いだな というふうな感じがいたしました。これは質問でなく感想です。  我々のような田舎の中核病院的なところはそれが出た後の、これが一番かなというふ うなところをやっていくんじゃないかなというふうな感じがしています。これは感想で す。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  ちょっと今の御発言に対して、ガイドラインとかができて標準化されると新しい治療 は進まないんじゃないかということは間違いだと思います。むしろ今まで何で進まなか ったかというと、スタンダードが決まらないので、ちゃんとしたコントロールスタディ が行われなかったためです。そのために、各個人が根拠もなく感覚的にやったりとか、 そういうことが行われていたのであって、むしろ標準化したりガイドラインが出ること で新しい研究が進むという具合に理解するのが正しいと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○邉見委員  ちょっと弁解になりますけど、そういうのではなくて、そこへいくのはいいんですけ ど、そこへいくまでのところが妨げられてはいけないという意見をどなたかがおっしゃ ったという意味です。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。どうぞ。 ○企画官  今回2つの大学病院に来ていただいたんですけれども、我々としては2点あります。 1点は、例えば今度、調整係数を廃止して機能評価係数をつくるという話のときに、例 えば特定機能病院の係数をつくってほしいというようなお話があるんですけれども、同 じ特定機能病院といっても、今回見られたように、かなり診療内容が異なるというよう な状況が今出てきているわけです。それぞれの病院のやり方とか、いろいろあると思う んですけれども、特定機能病院として診療に当たるときに、ある程度もう少し集約化し ていくようなものなのか、あるいはなかなかそれは難しいものなのかという、これは先 生方だけじゃなくて委員の先生にも伺ったほうがいいかもしれないんですけども、それ が1点。それからもう一点は、やはりDPCを活用してある程度治療の標準化というも のを進める支援をしたいということから、今回4つのレジメンについて学会と相談しな がらこういうツリーをつくらせていただいて、そのうちの1つがこの大腸がんについて なんですけれども、こういった試みについて実際現場でなさっていて、これからもこう いうものを進めていったほうがいいと思われるか、あるいは何かもうちょっとほかの手 段が、考えられるのかとか、その辺についてちょっと御意見を伺いたいと思うんですが。 ○西岡分科会長  どうぞ、武谷先生、お願いします。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  非常に難しい問題かと思いますけども、私たちの病院は、先ほど御説明いたしました ように、化学療法のレジメンというのは中央のキャンサーボードで非常に学際的に議論 して、そこで決めるということでございますが、ただ一方では、私どもの大学と東海大 さんとでは実際は少し異なった化学療法の傾向が見られたということもございますが、 私どもに関しましては、当然ですけど、これはやはり今利用し得るありとあらゆるデー タを患者さんに御説明して、それでインフォームドチョイスということでやっているわ けでございます。  それから、当該医師もそれなりに学術活動とかいろいろ最近のデータに触れて、これ が適切かと、そういう判断をしてやっているわけでございまして、ただある程度、余り これをランダムにやってもデータも出なくなると。今どっちかに決めろといったら、こ れはもうさいころを投げるようなものなので、だからだれもが決めがたいと。  ただ、一定期間ある同じ方向で治療しないと解析もできないということもありますの で、大学病院の特殊性としてどちらに傾いてもある程度患者さんに十分了解を得た上で 一定の治療法をやると、そういうことも大事じゃないかと。それを通じてきちっとした、 どちらが適否というようなこともおのずと明らかになるんじゃないかと、このように考 えております。ただ、一定期間ですからある程度複数の機関で少し独自の考えに沿って やっていただくということも必要ではないかと、そういうことでございます。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  やはりバランスの問題かなというふうには考えております。とても標準的とは言えな いレジメンでありますとか、エビデンスのないものを排除するというのがまず必要かと 思いますけども、国際的に一応アプルーブされたような標準的な治療法が複数種類あっ た場合に、それを制限するというのはちょっとやりすぎなのかなというふうに思います ので、適正な範囲で標準化を図るということで、一つに、例えばこの場合、それを一つ にしてしまうのはちょっと無理があったということだろうと思います。  以上でございます。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○山口(俊)委員  宇都宮さんの御質問は恐らく、ちゃんとAとBを比較していけば一つが残るはずだと、 それに集約されないのかという御意見だと思いますけれども、例えば今出てきたFOL FIRIとFOLFOXは比較してみると余り大きな差はありません。ただ、副作用の プロフィールとか異なりますし、やっぱり抗がん剤の使い方というのは手術と一緒で、 ある程度技術や施設の慣れが必要です。ですから、いろんなこの副作用についても自分 がなれているものをやっぱり使いたいということがあって、一つに絞るのは大変難しく て、やっぱり複数のものにならざるを得ないのです。ですから、こういうばらつきがあ っても当然だと思います。先ほど齊藤委員が、これで無限にふえていくのじゃ困るんじ ゃないかと、DPCが美しくなくなるという御意見だと思うんですけども、そうじゃな いと思います。恐らくはやはり4つか5つぐらいのところでおさまって、それを定期的 に検討してどれが妥当かということを決めていけば、そんなおかしなことにはならない と思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、相川委員。 ○相川委員  今の件ですけども、山口先生御専門のところで私も確かにそう思います。もう一つは、 プロトコルというんですか、標準なレジメンを幾つかに決めていくということの中には、 医療の安全という意味でもかなり重要なファクターが入っていると思うんです。それで、 余りレジメンが多くなったり、あるいはそれぞれの医師の好み等でいきますと、それが また誤投与というんですか、誤った投与等につながるということがあります。  たまたま私どもの病院でも、レジメンを決めた以外のオーダーが出た場合には、そこ で薬剤師がオーダーをした医師とその理由を話し合って、それが解決しない場合には処 方、薬を提供しないというようなことで安全にも寄与していると思いますので、その辺 のところも考慮するべきだと思っています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。やはり今齊藤委員が危惧されていたんですが、ツリーとして は今はFOLFOXだけがツリーに出ておりますが、FOLFIRIのほうもやはりツ リーとして入っていくほうが望ましいというふうにお考えなんでしょうか。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  そのほうがわかりやすいと思います。 ○西岡分科会長  専門の先生方がいらっしゃいますのでお伺いしたいんですが、そのあたりが幾つぐら いのところで、30も40も出ると大変なんですが、ある程度これが代表的だというふ うなものが、最初のこのFOLFOXを出すときには学会のほうからの御意見を聞いて つけ加えさせていただいたんですが、学会のレベルで何か代表として出すとしたらこの あたりであるとかというふうな御意見はまとまる可能性はないんでしょうか。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  担当のほうからお答えします。 ○随行者(東海大学医学部付属病院)  私からお答えします。  標準レジメンはFOLFIRIとFOLFOXだけだったんですが、それに今、先ほ ど猪口が申しましたようにベバシズマブが出てきて、今アービタックスが出てきました。 2つの分子標的薬はアービタックスでも一月200万円ぐらいのお金がかかりますので、 今は標準レジメンプラスその分子標的薬2種類をどう使っていくかというそのツリーが あれば十分な状況です。 ○西岡分科会長  そうですか。ありがとうございます。まだ美しさを保てそうなところだと思いますが、 ありがとうございます。ほかにどなたか、どうぞ、齊藤委員。 ○齊藤委員  これ、がんの化学療法の現在の時点に特化したお話をいろいろ伺ったわけなんですが、 必ずしもがんに限らずいろんな高額医薬品、あるいは検査なんかでも高額のものが緊急 に出てきて、それを使ったものを診断群分類の病名の一つにするというようなことで、 だんだん雑多な姿に変容していくのではないかと、学生なんかにも容易に説明できない ような雑多なものになっていくことを危惧するのですが、そのことと、それから、例え ばがんの化学療法に特化したときに、これはしばらくするともっと新しくてもっと高額 なものが出てくる可能性が非常にあるわけですよね。その場合、やがて今のFOLFO Xとかそういうものが姿を消していくと。要するに、新陳代謝によって一定の姿に収斂 する見込みなんでしょうか。ちょっと武谷先生と猪口先生に今後の長期展望を、武谷先 生も婦人科で非常にいろんな化学療法をやっていらっしゃいますが。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  保険診療でやる限りは、やはり何らかのインターナショナルに認められたエビデンス が必要じゃないかと、そのように考えております。それで、ただ今回の場合にはFOL FOXとFOLFIRI、どちらがすぐれているかと、これに対しての最終的なまだ決 着がついていなかったと。今のところ、だれかが話されましたけども、副作用のスペク トラムが違うと、そのようなこと、それから耐性が出た場合に、作用が落ちた場合にオ ルタナティブとして使うと、そんなようなところが一般にやられているあれじゃないか と思うんです。ただ、収斂するというのが、収斂というのが治癒率100%という形で 収斂するのは極めて難しいんじゃないかと。 ○齊藤委員  なるほど。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  ただ、非常にステップ・バイ・ステップで、もうかなりプラトーに近くはなっている んです。このがんのシスプラチンとかタキソールとか、こういうエポックメーキングな 薬が出るごとにかなり長足、進歩するんですけど、今少し僅差でもって勝負しなきゃい けないというところなので、そのあたりの医療財源をどうするかと、これは皆さんで考 えていただかなきゃいけない問題だと思います。 ○齊藤委員  なるほど。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  オール・オア・ナッシングという形での収斂は、ちょっと今のところは期待できない と思います。 ○齊藤委員  猪口先生、新しい全く違った分子標的薬とか、そういうものがどんどん出て、そうす ると今あるものもやがては姿を消していって、一定数のところに物事は落ちつくんです か。とめどもなくここが10だ20だ30だとふえてくると、もう何だか薬の名前の中 に診断群分類が埋もれていくようなおそれをぬぐい切れないんです。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  化学療法を含め、それ以外のものにつきましても、どんどん加算されていって発散し てしまうようなことはないと思いますし、一定の範囲内に収斂はすると思うんですけど も、ただ全体として数量が増えないのかと言われると、それはゆっくり増えるのかなと いう認識でございます。 ○齊藤委員  なるほど。ありがとうございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。他にどなたかございませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、時間が予定より少し余っておりますので、もし全体を通じましてまた御質 問等残っておりましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 〔発言する者なし〕 ○西岡分科会長  そうしましたら、各病院の先生方にたった3分しかお時間を差し上げられなかったと 思いますので、どうぞここでDPCの評価分科会に対して御注文等ございましたら、ぜ ひともいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。美原病院の院長先生、いっぱい あると思いますが、どうぞ。 ○美原院長(美原記念病院)  すごくたくさんあったんですが、胸がいっぱいで、ともかく僕は今までのDPCの委 員会の中で、個人的な感想ですが、どうもやはり大病院の視点しかというか、専門病院 としての在り方というものに御配慮が少しいただけなかったかなというのが本当のとこ ろの気持ちです。そうした中で、地域においてやはり本当に住民のために一生懸命やっ ている専門病院の在り方というのをぜひ御配慮いただきたいと。  それからもう一つは、そんなところなんですけれども、ぜひ専門病院ということをわ かっていただきたいというふうに思っておりますけれども。 ○堀田院長(多賀総合病院)  今日は非常に勉強になりました。私も非常に勉強不足だということを本当に痛感いた しました。私は内科医なんですけれども、今、心不全とかそういったもの、コーディン グの問題を非常に勉強し直して、医者にハッパをかけてやりたいと思いますので、今後 ともよろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○丹野院長(青森慈恵会病院)  本当に勉強になりました。いろいろ考えることはいっぱいあるんですが、まずDPC に関してですが、やはり制度ですので、本当にメリットがあるのかどうかと言われると、 なかなか私どもからは明確な答えが出せないのが現状です。ただ、やはり医師不足とか 高齢化社会において、自院で医者を信用していくしかないというのが現状でして、点数 をつけて短所を是正していくよりは、なるべく長所を伸ばしていくような方向で考えて はいます。  先ほど、いろんながんの化学療法のお話とかいろいろあるんですが、人間というのは いつか死んでいくわけで、どこまでやればいいのかとかいろんな議論も、我々緩和ケア もやっていますが、いろんなところでいろんな情報交換をしながら、こういった会をよ り充実したものにしていっていただければと思っております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○飯田院長(永生病院)  よろしいでしょうか。永生病院です。急性期の大学病院、大きな病院の機能が維持で きるように民間病院もケアミックスを、特にケアミックス、療養病棟を持っている病院 がいかに機能を発揮しているかというところも御理解いただきまして、生き残れるよう にしていただきたいなと思います。よろしくどうぞお願いいたします。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○富田院長(武蔵野赤十字病院)  今日は本当に我々の不手際をおわびに参ったのが趣旨でございます。ただ、DPCに 関しては本当によその病院とのベンチマークをするためにとてもいいシステムで、我々 も非常に活用しております。このシステムは、私としましてはとても役に立っておりま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。 ○森田院長(武田総合病院)  今日はいろいろありがとうございました。それで、私どもの病院はやっぱり急性期で、 主に救急を集中にやっておりますけれども、やはり今一番の私たちの問題というのは、 ちまたに言われておりますように、医療の崩壊と医師の立ち去りということがあります。 ですから、我々は地域としての砦という意識でやっておりますけども、これは本当にい つまでこの努力が続くかということは不安です。ですから、やはりもう少し入院の診療 費用というものにてこ入れをして、病院の診療医療というものを少し安心できるような ものにしていただきたいと、ぜひそんなふうにお願いしたいと思います。 ○倉持副院長(千葉西総合病院)  今日は当院でのコーディングの不勉強というのはよく痛感させられました。そのほか の点としては、こちらでのいろいろなお話を聞かせていただきまして、コーディングの 意味合いというのを、DPCの意味合いを再認識させていただきましたので、これから 病院のほうでももう一度持ち帰って、いろいろ医師を含めて病院スタッフ一同にもう一 度DPCの意味合いの話をしたいと思っております。  今日はありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。 ○武谷院長(東京大学医学部附属病院)  東大病院の武谷です。DPCに関しましては、それぞれの立場で、皆さん、もうとて つもなくいろいろおっしゃりたいことがあるんじゃないかと思うんですけども、ただ私 は産婦人科でして、今回いろいろ、図らずも渦中の科になったわけでございますけれど も、まず産科関係の例えばDPCというのは産科特有の救急を対象としているものが多 くて、今回のように脳出血等を想定した、そういう診療報酬の評価がなされていないと。  御存じのように私どもも同じような脳出血も最近また受け入れておりまして、これは 麻酔、脳外科、産科、小児科、複数の5科ぐらいが集まりまして、はらはらどきどきの、 それから実際の労力と、産科固有の救急の5倍か10倍ぐらい人もストレスもかかると。 このようなことは何も産科だけではございませんで、先ほど申し上げましたように、大 学病院というのはいろんな合併症の方が来られますので、そういう治療を行えば行うほ ど、私も経営者の立場でもありますので、病院の不採算の部分がふえてくると、この辺 が非常に良心の葛藤に悩んでいることをぜひ御理解いただきたいということでございま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、猪口先生。 ○猪口院長(東海大学医学部付属病院)  本日は発言の機会を与えていただいて、大変ありがとうございます。私ども特定機能 病院で、DPCの中でも平均から多少ずれたようなこともいろいろしていると思います ので、化学療法に限らず、何か問題がございましたら意見をできるだけ聴取していただ いて、DPCをよりよいものにしていっていただければと考えております。  ありがとうございました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。  事務局から何か連絡事項等はございますでしょうか。 ○佐々木補佐  次回の開催につきましては未定でございます。正式に日時等が決まり次第、追って事 務局から御連絡させていただきます。あらかじめ会議終了後回収する旨お願いしていた 資料につきましては、各委員の先生方におかれましては、机上にそのまま残しておいて いただければと思います。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第5回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を終了さ せていただきます。  9病院の先生方、本当に今日はお忙しいところをおいでいただきまして、ありがとう ございました。本日は、委員の先生方、どうもありがとうございました。 −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)