08/11/11 第17回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 日時:2008年11月11日(火) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、大石委員、清原委員、駒村委員、篠原委員、   庄司委員、福島委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   三重県健康福祉部総括室長(こども分野) 速水 恒夫参考人(野呂委員代理)  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、朝川少子化対策企画室長、   杉上虐待防止対策室長、藤原家庭福祉課長、田中育成環境課長、中村児童手当管理室   長、今里保育課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   1.放課後児童クラブについて   2.地域の保育機能の維持向上について   3.情報公表・第三者評価等について   4.これまでの議論の項目と保育サービス全体について 配付資料:  資料1 少子化対策特別部会委員名簿  資料2 放課後児童クラブについて(第16回少子化対策特別部会 資料1)  資料3 地域の保育機能の維持向上について  資料4 情報公表・第三者評価等について  資料5 これまでの議論の項目と保育サービス全体について  参考資料1 「生活対策」における出産・子育て支援の拡充について  参考資料2 社会保障国民会議関係資料  参考資料3 杉山委員提出資料  参考資料4 山縣委員提出資料  参考資料5 遠山参考人(第16回少子化対策特別部会 参考人)提出資料  参考資料6 委員からお求めのあった資料  議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第17回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開 催いたします。委員の皆様方には、ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にあり がとうございます。  会議に先立ちまして、事務局より本少子化対策特別部会における委員の交代についてご 報告お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  資料1をご覧いただければと思います。社会保障審議会少子化対策特別部会委員名簿を 配付させていただいております。これまでご議論いただいておりました日本労働組合連合 会総合政策局長の小島茂委員が連合の中における人事異動に伴いまして委員を辞任され、 新たに日本労働組合連合会総合政策局生活福祉局局長の篠原淳子委員が就任されましたの で、ご紹介いたします。 ○篠原委員  篠原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、事務局より資料確認と委員の出席状況に関する 報告をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に、議事次第がございます。それから、資料1としまして「少子化対策特別部会委員 名簿」、資料2としまして前回配付しました「放課後児童クラブについて」の資料、資料3 といたしまして「地域の保育機能の維持向上について」という資料、資料4としまして「情 報公表・第三者評価等について」という資料、資料5としまして「これまでの議論の項目 と保育サービス全体について」という資料。 それから、参考資料1としまして「生活対 策における出産・子育て支援の拡充について」という資料、参考資料2といたしまして「社 会保障国民会議関係資料」、参考資料3としまして「杉山委員提出資料」、参考資料4とし まして「山縣委員提出資料」、参考資料5としまして、前回お越しいただきました遠山先生 の発言の補足資料、参考資料6としまして「委員からお求めのあった資料」。それから委員 の机上には、今回の議論に関連しますWebのコピーを2部置かせていただきました。  もし不足等がありましたら、事務局の方にお声を掛けていただければと思います。  委員の出席状況についてでございますが、本日は岩村委員、内海委員、佐藤委員、杉山 委員、野呂委員、山本委員からご都合により欠席とのご連絡をいただいております。なお、 本日ご欠席の野呂委員の代理としまして、三重県健康福祉部総括室長の速水恒夫参考人に ご出席いただいております。  ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成立し ております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に、本日ご欠席の野呂委員の代 理として出席いただいております三重県健康福祉部総括室長の速水恒夫参考人の出席につ いてお諮りいたします。ご異議はありませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入ります。本日はまず、先般発表されました 生活対策及び社会保障国民会議の最終報告に関して事務局よりご報告いただきます。併せ て、お手元の議事次第にありますように、前回に引き続きまして、「放課後児童クラブ」に ついて、確認的な意味合いを含めまして事務局からご説明をいただきました後、一度皆様 にご議論いただきたいと存じます。  その次に、地域の保育機能の維持向、情報公表・第三者評価、これまでの議論の項目と 保育サービス全体について事務局からご説明いただき、皆様にご議論いただきたいと思い ます。  それでは事務局より、先般発表されました生活対策及び社会保障国民会議の最終報告に 関する説明をお願いいたしますとともに、前回の議論の続きといたしまして、前回資料で ある資料2「放課後児童クラブについて」につきまして、確認的な意味合いを含めまして、 説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、参考資料1をご覧いただければと思います。1ページ目に「生活対策(抜粋)」と書 いてありますが、先月末に関係機関で決定された概要でございます。子育て支援の分野に つきまして4点ほど内容がございますので、簡単にご紹介します。1点目は2ページ目にご ざいますが、「安心こども基金(仮称)の創設」ということで、1,000億円の規模で各都道府県 に基金を設置していただいて基盤整備の取組を進めるということで、「新待機児童ゼロ作 戦」の前倒しをして、平成22年度までの集中重点期間において15万人分の保育所等の整 備を推進するなどの内容でございます。中身としては内容として書いてありますような「保 育所の緊急整備」、あるいは「認定こども園の拡充」、「放課後児童クラブの設置等の促進」、 あるいは「保育の質の向上のための研修の実施」といった内容が含まれております。  3ページ目の「子育て応援特別手当(仮称)について」でございますが、真ん中辺りに書い ておりますが、幼児教育期の子育てを支援するため、平成20年度の緊急措置としてという ことで、第2子から年間3.6万円の「子育て応援特別手当」を出すという内容でございます。  4ページ目は「妊婦健診の公費負担の拡充について」でございます。現状は下の左側の図 にあります通り、5回分までは地方財政措置を講じていますが、通常平均的に14回必要だ とされておりますので、残りの9回分につきまして、平成22年度までの間、国が2分の1 を新たに補助をするというものでございます。  さらに、5ページ、6ページ目は中小企業に対する助成でございますが、5ページは、中 小企業について育児休業の取得者あるいは短時間勤務制度の利用者が出た場合に、現状は1 人目及び2人目について助成していますが、その支給対象を5人目まで拡大するというも の。  6ページ目は、同じく中小企業が、左下にありますようなベビーシッターなどの育児サー ビスを従業員に対して支援した場合に助成する仕組みが現状でもありますが、右側に支給 額を書いてありますように助成限度額を引き上げるというものでございます。「生活対策」 につきましてのご紹介は以上でございます。  次に参考資料2をご覧いただきたいと思います。先般、社会保障国民会議の最終報告が 取りまとめられました。その中で、少子化対策に関連する部分がございますので簡単に触 れます。  12ページをお開きください。夏に取りまとめられた「中間取りまとめ」以降の整理とし まして、(4)、(5)の辺りが関係する部分でございます。(4)の最後の3行で「大胆かつ効率的 な財政投入を行って、新たな制度体系を構築することが必要不可欠」ということを触れた 後、(5)の(1)で、「仕事と子育ての両立を支えるサービスの質と量の確保等」ということで、 13ページ目には、サービスの量の抜本的拡充のためにも、まず保育の必要性の判断の仕組 み、あるいは安心して利用できるような保障の強化を図り、保育所と利用者が向き合いな がら、良質で柔軟なサービス提供を行う仕組み、あるいは多様な提供主体の参入、一定の 質が保たれるための公的責任のあり方といった見直しの視点を踏まえつつ、専門の審議会、 これは当部会を指しておりますが、において議論を深めていく必要があるとまとめられて います。併せて、放課後児童対策についても拡充の必要性、あるいは身近な地域における 社会的な子育て支援機能の強化が必要としております。  もう一つ、このページの一番下の(3)で、昨年から1.5兆円〜2.4兆円と、この分野の拡充 の必要性が再度触れられておりまして、ちなみにこの試算の中には社会的養護やサービス の質の維持・向上といったものは入っていないので、別途対応を検討していくことが必要 であるということが触れられております。  次に、16ページの「5.おわりに」の直前の2パラグラフのところですが、「社会保障制度 を将来にわたって持続可能なものとし、必要な機能の強化を実現していくために、改革の 全体像を明らかにしながら、必要な財源を安定的に確保していくための改革に真剣に取り 組むべき時期が到来している。速やかに社会保障に対する国・地方を通じた安定的な財源 確保のための改革の道筋を示し、国民の理解を得ながら具体的な取組に着手すべきである とまとめられております。  次に、20ページをお開きください。これは夏の段階で既に取りまとめられていますが、 お金をかけて取組を進めていくということと並行して、運用改善などで取り組んでいくも のもあるだろうということで、保育サービスの分野、放課後児童クラブ、あるいはすべて の子育て家庭対策というそれぞれの分野ごとに右から二つ目の「解決の方向性」という欄 に、それぞれの方向性が整理されております。  次の21ページからは、この社会保障国民会議の議論に並行して、インターネットで国民 意識調査をした結果が紹介されています。少子化対策分野では、27ページをお開きいただ くと、「社会保障の中で緊急に取り組むべき分野は何ですか」ということについて整理をす ると、「年金制度」「医療制度」「介護制度」がまず緊急度大できて、「少子化対策」は 全体としては少し後ろの方にあるというアンケート結果です。ただし、20代・30代を見ま すと、「年金制度」の次には「少子化対策」だという結果になっています。  38ページ目には少子化対策について特別に聞いている項目がありますが、右上の「少子 化対策(子育て支援)の負担のあり方」というところでは、「拡充を図るべきであり、そのた めに多少の負担増となることについてはやむを得ない」と考える人が最も多くて42%。「少 子化対策のための負担増について、容認する人が過半数を超えて55%で、反対する人を25 ポイント上回っているという結果になっております。左下の方に「問題点・改善点」とし まして、二つ目の矢印で「支援の拡充」については、保育・託児施設あるいは子育て手当 てなど、ハード面・経済面での支援拡充の意見があるという結果になっております。  次に46ページをお開きください。この社会保障国民会議の最終まとめでは、社会保障の 機能強化をしていくための追加所要額の試算が出されています。年金、医療、介護、少子 化対策のそれぞれの分野について、全体像も併せて示されているということですが、46ペ ージは2025年の段階で、それぞれの分野でどれぐらいのお金が必要なのかという試算です。 少子化対策の分野についていいますと、必要額では1.6〜2.5兆円で消費税率換算すると0.4 〜0.6%となっています。この数字は、昨年の重点戦略でまとめられた少子化対策分野につ いては1.5〜2.4兆円という追加所要額の試算がございますが、それに相当するものでござ います。数字が違う要素としては、これは公費分だけを挙げていて、いわゆる少子化対策 分野に投入されている財源として事業主財源等がありますが、そういったものは除かれて いるということ。それから、このままでいきますと2025年には児童人口の減少が見込まれ ますので、その分が少し反映されているということ。また、この1.6〜2.5兆円には経済成 長の分が反映されていまして、足元の価値とは少し別の数字になっているといったところ が、1.5〜2.4兆円と違う数字になっている理由です。社会保障国民会議関係は以上でござ います。  次に、参考資料の5を見ていただきたいと思います。これは、前回遠山先生にお越しい ただいた後、駒村委員から若干のご質問があったということで、その補足のご説明がされ ておりますので、ご参照いただければと思います。  それから参考資料3は、本日ご欠席の杉山委員から、前回コーディネート機能について の議論があった際に昔からコーディネート機能については既に議論されているというご紹 介があったことに関連して、昔杉山委員がかかわられたプロジェクトでのまとめを参考と してご提供いただいたものです。  次は、資料2と参考資料6をご用意いただきまして、まず参考資料6の方ですが、「委員 からお求めのあった資料」ということで、6ページをお開きください。これは山縣委員から お求めのあった資料かと思いますが、日本地域子育て支援拠点事業について、市町村ごと の実施率、市町村ベースでの実施率を出してほしいということで、都道府県別に実施率を 出したものでございます。7ページ目は、同じようなグラフを前回も出しているのですが、 その内訳としてセンター型、児童館型、ひろば型がどういう内訳になっているかというこ とを都道府県別に見てみたものでございますが、総じてセンター型が大勢を占めていると いう状況でございます。  次に、1ページ目にお戻りいただいて、前回お出しした資料でこの資料でいきますと4ペ ージ目・5ページ目ですが、放課後児童クラブの指導員の処遇について、平均勤続年数と月 給の平均についての資料をお出ししました。これは独立行政法人国民生活センターの資料 から引用させていただいたものですが、以前9月の末の会に全国学童保育連絡協議会の真 田先生にお越しいただいてご発表いただいたものとの関係を少し整理してというお話でご ざいました。1ページ目を見ていただきますと、こちらの左側の調査はすべての市町村を対 象にアンケートされていること。右側の国民生活センターの方は、大都市中心に調査され ていて、市町村を相手にではなくて施設長を相手に依頼されております。その違いと、あ とは一番下の欄を見ていただくと、左側の方が若干公立公営の割合が高くて、右側の方は 公立民営の割合が高いということ。  それから、この国民生活センターの方の表の見方ですが、これは施設数を挙げているわ けですが、施設ごとの平均がここに挙がっていて、従業員ごとの割合ではないということ に留意する必要があるということ。それに関連しまして、3ページ目にありますように、公 立と民営で、右側は前回出した資料ですが、右側を見ていただくと、正規と非正規の分布 がだいぶ違うのです。公営で見ると、かなり非正規に分布が偏っていますので、そういう ことに留意して4ページ目・5ページは見る必要ありまして、要するに常勤と非常勤の欄を 分けてありますが、この比率が全然違うということに留意しながら見る必要があるという 性格のものでございます。これが補足説明です。  その上で、資料2を振り返っていただきます。25ページ目でございます。放課後児童ク ラブについては、両立支援系のサービスとして保育と並んで不可欠なものですが、課題が 幾つかあるということで、一つ目の課題は場所と人材の確保の問題です。場所については 小学校の活用など。人材については、やはり処遇の改善をどう図っていくかといったこと が課題であるということ。  26ページ目の二つ目のところでは、現行の制度上は放課後児童クラブ全体としては市町 村の努力義務となっていまして、利用方式についても法律上の規定はございません。いろ いろな利用方式が混在しているということでございます。それを今後法制度上どのように 位置づけていくかという論点が二つ目です。  三つ目は、制度の対象年齢をどうしていくか。  四つ目は、質の確保を図っていくに際して、現行はガイドラインと補助基準ということ になっていますが、その基準をどういう内容でどういう方法で担保していくかという論点 です。  五つ目としては27ページ目で、財源については現行は事業主財源で全て賄っています。 さらに裁量的な補助金という位置づけになっていますが、その財源保障を強化していくに 当たってどうしていくか。あるいは、事業主財源だけでやっていくことについての限界を どう考えていくか。一方で、財源保障を強化する場合の財政規律の観点からルールを設け ることについて論点というものがあります。  六つ目としては、放課後子どもプランとして一緒にやっています放課後子ども教室、こ れが両事業が一体的に行われている場合は、どのように新しい制度で位置づけていくかと いう論点がございます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。山縣委員から、前回の議論に対して文書でご意見をいただい ておりますので、コメントお願いできますでしょうか。 ○山縣委員  はい。参考資料4を見ていただきますと、一番お願いしたかったのは、先ほど事務局か ら説明がありました資料の提出という部分でした。  もう1点は、前回のお話を聞きながら、少し図式化してみた2の「意見」と書いてある ものでございます。読んでいただければ大体おわかりになると思いますけれども、五つの 中身と拠点で見たときに大きく四つぐらいのグループになります。真ん中にある(4)と(3)と いうのは、(5)の拠点でもできるし、(2)の方の拠点でもできるというイメージで書いたもの でございます。  もし、それ以上の説明の必要があれば説明しますけれども、あまり個人的な時間を取っ てもと思いますので。見ていただければ、ありがたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの説明に基づきまして議論を お願いしたいと思います。資料2の26ページ、27ページをお手元に開いていただきなが ら、どうぞ放課後児童クラブに関して、ご意見をお願いいたします。約20分ほど予定して おりますので、よろしくお願いいたします。  清原委員、お願いいたします。 ○清原委員  ありがとうございます。放課後児童クラブについて、幾つか意見を申し上げたいと思い ます。まず、25ページの「検討の視点」の冒頭に場所の確保の問題、人材の確保の問題を どうしていくかということの1点目としまして、小学校等の活用をいかに進めるかという ことが記されています。最後のテーマにも挙がっておりますけれども、27ページの(6)のと ころで、留守家庭の子どもの健全育成を目的とした「放課後児童クラブ」と、さらにすべ ての子どもを対象とした「放課後子ども教室」とを一体的に進める「放課後子どもプラン」 を推進していく場所としては、私たちも、やはり小学校等といいましょうか、小学校その ものが有効ではないかという認識があります。  その中で、三鷹市の場合ですと、今までは大方が小学校とは別の所に放課後児童クラブ があったわけですが、毎年度のように努力をして、小学校の中に放課後児童クラブを開設 する。あるいは、どうしても待機児が多い場合には教室の一部をお借りして対応するとい う取組を進める中で、この放課後子どもプランといわれる一体的なものに向けて取り組ん できました。  地域によっては教育委員会あるいは小学校等の校長の考え方もあって、なかなか場所を 確保しにくい所もあるようですが、子どもたちが移動時に事故に遭遇しない、あるいは都 市では最近、不審者の出没も懸念されておりまして、そういう安全性のことから考えます と、総合的な放課後子どもプランを進めていく上で、積極的に小学校の活用ができるよう な条件整備が有用ではないかということが1点です。  それから、2点目に申し上げたいのは、先ほどありました財源の問題についてです。27 ページの(5)等にかかわることになってくるかと思いますが、例えば、東京都の市町村の学 童クラブ事業予算に占める学童クラブ事業運営費補助金の割合というのは保護者負担金等 を除いて、平均で約21%という状況です。約79%が市町村の負担となっているため、実態 に見合った補助基準額となっていないという現状があります。そこで、東京都にも加算分 をお願いしているわけですけれども、それぞれの都道府県によって実態は異なるとは思い ますが、東京都の場合ですと平成18年度から子育て推進交付金に都の加算分が算入される ことにもなりました。財源についても実質的に、国の負担と都道府県の負担、そして市町 村の負担のより適正化が図られる必要があると思います。  3点目に、実はこれはやはり東京都のような都市部の特殊な傾向といえるかもしれません ので、放課後児童クラブを進めていくときには、全国的な視野をもって、地域特性に合っ た対応というのも望ましいと思いますが、東京都のとりわけ三多摩26市の動向を申し上げ ますと、人口の伸び率にかかわりなく、人口が減っている所であろうとも、学童クラブへ 入所する児童の割合には増加傾向が見られます。入所希望者の増加に伴いまして、大規模 学童クラブが増加している実情があります。ところが、国は平成19年度に創設された放課 後子どもプランにおいて、学童クラブ運営補助のうち、在籍児童71人以上の大規模学童ク ラブに対しては、その運営費補助を平成21年度をもって打ち切ることを明確にされている わけです。そこで、多摩の26市としては、都に現行の71人以上の大規模学童クラブに対 する運営費補助について、国庫補助相当分も含めた財政措置を求めるという要望もして、 国の方針が変わらなければ、それに適合するような都と市町村との財源的な対応というこ とを指摘しているところです。つまり、70人、71人というこの区分けというのは、大規模 放課後児童クラブがある地域にとっては、かなり厳しいこれからの運営が懸念されるとい うことです。  最後に申し上げます。現場では、既存のいわゆる学童クラブ事業と放課後子ども教室を 包括する放課後子どもプランは、やはり非常に重要であるし、意義があるというように認 識が深まりつつあります。その際に、放課後児童クラブの場合は、専門の保育士等の指導 員が対応するのですが、総合的な地域の子どもたちの活動を支援するには、いわゆる市民 ボランティアといいましょうか、住民のボランティアの方に運営をお願いすることも大変 重要になってきます。従いまして、ADHDやLDなどの障害のある児童もいらっしゃいま すので、いわゆる職員研修だけではなくて、より一体的・総合的な取組を進めていくとき には、市民ボランティアの方にも、そうした事業を円滑に活用していただく上での児童に 関する研修機会などの条件整備が大変有用であり、そのことによって幅広い方がかかわる 放課後の子どもたち本位の取組が充実されるものと考えます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。  それでは、篠原委員お願いします。 ○篠原委員  ありがとうございます。前回、放課後児童クラブの件ではあまり意見交換ができなかっ たということで、質問もかねて意見を言わせていただきたいと思います。  先ほど事務局の方からお話がありましたように、社会保障国民会議の最終報告の中でも、 小1の壁とか4歳の壁、小4の壁というようなことを解消するなど、利用者の視点に立っ たきめ細かな改善が必要だということで示されているのはご案内の通りかと思います。や はり子どもが小学生になっても保護者が働いている間は大人の目が行き届いた、安全に安 心してすごせる生活の場を確保することが喫緊の課題だと思っております。 そこで、学童保育の公費負担について、意見と質問をさせていただきたいと思います。今 日は説明がございませんでしたけれども、学童保育の部分の19ページに、運営費が450万 円で全体で運営費が481.7万円ということで、その半分の240万円を国と都道府県、市町 村がそれぞれ3分の1ずつ補助するということになっております。一方、今回は配付がご ざいませんでしたけれども、前回いただいた全国学童保育連絡協議会の資料の11ページに 実際の運営費はその2倍の1,000万円程度かかると示されております。ちょうどその上の ところに2003年度の補助金の算定根拠が示されておりますけれども、その中で、非常勤の 方で平日1日で4,500円、年収で135万6,000円という数字が示されていて、非常に低位 というか、低すぎるのではないかと思います。  質問になりますが、今年度の国庫補助基準額の根拠となっている、19ページにところに あります481万7,000円という金額は、人件費を何人で幾らということで算定しているの かということが1点目の質問になります。  2点目は、国としては人件費以外の経費も考慮して、その補助額でも十分に運営していけ るのかどうかという認識に立たれているのか、それとも地方がそれぞれの補助額に上乗せ することを前提にしているのかどうかをお聞きしたいのです。  3点目は、一番下のところに平成21年度の概算要求額ということで、91億6,000万円増 になっておりますけれども、これは量的な拡大だけを見込んだものなのか、それとも補助 単価を上げることも想定をしているのか。要は、この増加分は何に充てるのかを教えてい ただきたいということです。  保育と同様に学童の質を確保するためには、やはり質の高い人材を確保するのが非常に 必要であると思いますし、母親の叫び声もよく聞かれるということです。5月20日付でこ の部会の中で示されました基本的考え方の中でも、どこに住んでいても必要なサービスを 受けられるということが強調されておりました。そのためには国民の負担も含めて、公費 負担を大幅に増大する必要があるのではないかと思います。以上、ご質問と意見を述べさ せていただきました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。これは事務局のどちらにでしょうか。田中育成環境課長でよろ しいですか。お願いいたします。 ○田中育成環境課長  育成環境課長でございます。放課後児童クラブの運営費481万円の中の人件費は何人分 かというご質問ですけれども、予算積算上の基準ですが、非常勤職員3名分の積算になっ ております。基準額はあくまで予算上の基準額でありまして、現実とかけ離れているとい うお話ですが、実態を把握したものではありませんので、本日の「検討の視点」に記載さ れております通り、現在は裁量的な補助金ということですので、これを拡充するのは、財 源としてはなかなか厳しい状況にあります。  それから、もう1点です。放課後児童クラブの平成21年度概算要求のプラス91億6,000 万円増の内訳というお尋ねにつきましては、「新待機児童ゼロ作戦」に向けて、10年後に 145万人を増やすということになっておりますので、14万5,000人の3,600か所の運営費 と、施設整備につきましても過去の整備実績に基づきまして、3,600か所分の施設整備を含 んでいるものです。以上です。 ○篠原委員  ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に。それでは速水参考人、お願いいたします。 ○速水参考人  放課後児童クラブについては、やはり都市と地方で随分と事情が違うような気がしてお ります。地方の方に行きますと、こちらで見せていただきますと土曜日に開設している所 が多いですけれども、土日は需要が少なく、町によっては幾つかの放課後児童クラブを集 めて、一つの所にまとめて土曜日に開設するといったこともしております。そういったこ とで、やはり都市と地方を分けて議論していただきたい気持ちがあります。私どもは開設 日数が国の基準に達しないところにつきましては、助成制度を持っており、そういったも ので補っております。  それから、私どもは放課後児童クラブを伸ばしていこうと非常に頑張っておりますけれ ども、ここに来て三位一体改革の影響や、地方交付税が5兆1,000億円減らされたという ことで、非常に財政が厳しくなってきております。伸ばしていきたい気持ちは非常に強く 持っておりますけれども、財政的になかなか耐え難いところまできておりますので、こう いった制度をぜひとも伸ばしていけるような財政制度についても、ご検討いただければと 思っております。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。福島委員。 ○福島委員  一つは、朝川少子化対策企画室長からご報告をいただきました27ページの(6)の「放課後 児童クラブ」と「放課後子ども教室」です。これはずっとご説明いただいて、少しずつ違 うと思いますけれども、これは確か横浜でも一緒にやっているご説明を聞いたと思います けれども、私の意見としては、やはり、こういうものはぜひ積極的に推進していくと。こ れは予算も合わせますと、現在でも200数十億円で300億円弱になると思いますので、こ の両者を合わせることによって、いろいろと課題があるかもしれませんけれども、ぜひ、 こういうものをできない理由ではなく、どうしたらできるのだということを、一度現場レ ベルもあるかと思いますけれども、ぜひ一体化していくということは進めていただきたい という要望です。  それから、この放課後児童クラブにつきましても、26ページの(4)で、今回、「質の確保」 についてのお話があります。私は、質の確保は非常に重要であると思いますけれども、こ れは非常に厳格な基準を設けますと、担い手、人材の確保や設置が困難となる場合も出て こないとは限らないと思います。まず、やはり現状はまずきちんと量を確保するというこ とで、仮に基準を設ける場合も、あるべき論は大事だと思います。やはり今の実態に即し た柔軟性というのでしょうか、フレキシビリティにやるべきではないかと思っております。  それから、先ほど清原委員も言われましたが、やはりこの放課後児童クラブの人材の確 保におきましては、いろいろな処遇の面もあると思いますけれども、私が思いますのは、 少し視点を変えましてNPO法人や地域住民のボランティア、それから定年退職者です。今、 団塊の世代がたくさん出てきておりますので、そういう方も含めまして、まさに国全体、 地域全体で、いろいろな人が参画できるような仕組みをつくっていくことが大事ではない かと思っています。  最後に財源の話ですけれども、これはまさに今、社会保障国民会議でもやはり年金、そ れから医療・介護、子育ては国がやることだということで消費税を充てる議論になってい ますので、ここにつきましても、やはり安定財源の確保という視点から、消費税を財源と しまして公費を投入するということを、やはりいろいろと厳しくなると思いますけれども、 やはりそういうことをやっていくべきではないかと思っています。意見として3点ほど申 し上げました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。宮島委員。 ○宮島委員  かなり似通った意見にはなってしまうのですけれども、まず大前提として、今の段階で 市町村の努力義務ということであれば、やはり、ここは確実に受け皿が必要だということ は確認しておきたいと思います。やはり子どもが6歳で小学校に上がって、そこで突然状 況が変わってしまうということができるだけないようにということは、まず大前提だと思 います。  そして小学校の活用も非常にいいと思います。私はいわゆる学童保育と呼ばれる厚生労 働省の施策の地域から、文部科学省が今やっていらっしゃる放課後児童クラブがある地域 に引っ越しましたので、両方をじっくりと比べることができているのですけれども、やは り小学校だと非常に安心なのは、移動がないということと、校庭を開放している時間はい ろいろな人が遊びに来て、そこで他の子どもたちとも接触が持てることが非常に良いと思 っておりますので、小学校の活用を。もしそこに何かハードルがあるのであれば、何とか そこを解決していただきたいと思います。  それから、私の住んでいる地域では、地域の方々がかなり小学校を拠点にいろいろな活 動をされています。それはもう小学校とは関係ないかなり高齢の方々のクラブや、小学生 を持っていない人たちのバドミントンのクラブなどをやっていらっしゃいます。そうした 地域の方々と放課後児童クラブがもう少しきちんとシステム的に協力できたらありがたい ということを指導員の方々が言っていらっしゃいました。ファミリーサポートなのか、ど のようなシステムがよいのかはわかりませんけれども、人手が明らかに足りない中では、 小学生だと気を付けなくてはいけないところも乳幼児に比べれば多くないので、地域の人 たちと一緒にやっていける、地域の大人の手を借りられるというシステムを構築するのが よいのではないかと思います。  今の放課後児童クラブと、厚生労働省型と文部科学省型の違いを私なりに考えてみます と、まず、小学生は難しいと思いますのは、どちらが合うかは子どもによると思います。 それは親がいない時間に家庭的な状況で、少人数で過ごした方が安心する子どももいるけ れども、一方で、1〜3年生であっても、いろいろな子どもたちと遊びたい、自由にしたい という気持ちが芽生えてきまして、どうしても親が皆働いている保育所と違いまして、小 学校では母親が自宅にいる子どもたちとも遊びたいのです。ですから、途中で学童クラブ へ行くのを嫌がるというか、縛りの部分で嫌がる側面も出てきます。待機児童が多い地域 ですと、週5日のうち4日は通わないと学童クラブにはもう来ないでくださいといわれる 地域もあるのですけれども、そうすると本人も親も、もう少し自由に放課後に活動させた いというところとの間でどうしても悩みが出ます。実際にそこで悩んで、3年生の段階で辞 めてしまう方もいまして、どんな形がよいかは、悩みどころだと思っておりました。  文部科学省型の良いところは、まず一つは学校でやっているから、いろいろな子どもと 混ざって遊べる。私の子どもは割と高学年の子どもと遊ぶことが好きなのですけれども、 文部科学省型は6年生までいますので、大きな子どもたちと一緒に遊ぶ経験ができるとい うことは非常に良いと思います。一方で自分の居場所として多少不安定になってしまう子 どもがいるのであれば、そこは別のというか、同じ組織内で少しケアをすることが必要な のかと思いますし、もともとのスタートが違いますので、文部科学省型は必ずしも共働き の家庭ということを意識の上で前提としていないのです。ですから、開所日も地域によっ ては少ない所も多いですし、自分で帰るのであれば17時まで、夏休みは17時までなど、 保育園の延長の感覚でいくと、働く方への支援という意識が少し違うかと思うところもあ りますので、両方の型の良い部分を何とか取り入れるような形にできないかと思っていま す。この前、両方の型を平行してやっている横浜市の話をその悩みを考えながら聞いてい まして、もちろん自治体に余裕があれば、どちらを選んでもよいというのは、一つの理想 かもしれないのですけれども、この財政的な状況の中では、できるだけ両方をいい形で一 体化していく方向が良いのではないかと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。放課後の児童対策は働く親への支援と、もう一つは地域のす べての子どもたちの健やかな成長を保障するという2点から大変重要である。そのために も拡充が必要であるという点で、委員の皆様にはほぼ一致したご意見をいただけたかと思 います。拡充の方向で積極的なご意見をいただきましたことを記録にとどめまして、この 議題はとりあえずこの辺りでよろしいでしょうか。  それでは、次の議題に進めさせていただきます。次は3点です。「地域の保育機能の維持 向上ついて」と「情報公表・第三者評価等について」それから「これまでの議論の項目と 保育サービス全体について」。この3点について、まず事務局からご説明をお願いいたしま す。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、まず資料3をお開きいただければと思います。2ページ目をお開きください。 地域の保育機能維持向上ということで、一般的な過疎地域の現状の資料を幾つか用意しま した。2ページ目は、人口数で見ますと、過疎地域に住んでいらっしゃる人口は8%ぐらい ですが、市町村数で見ると4割ぐらい、面積でいくと5割以上という状況です。ちなみに 「過疎地域」の定義は下の方に小さい字でありますが、人口減少率が一定以上であるとい うこと、財政力が一定以下という条件が提示されております。  3ページ目は「人口の動向」ですが、横軸は年代です。少し消えて見づらい昭和から平成 にかけての年代で、一番下の丸印の折れ線グラフが「過疎地域」ですが、過疎地域は一貫 して減少傾向にあり、近年は減少幅が少し高くなっている傾向が見て取れます。それ以外 の「東京圏」「三大都市圏」は微増ではあるけれども、増え続けています。それ以外の「地 方圏」は、足元は若干減少に転じている状況です。  4ページは、0〜14歳の児童人口の状況です。左側の棒グラフを見ていただくと、過疎地 域の0〜14歳の割合は12.6%、全国では13.7%で、それほど大きい割合の差があるという ことでもありません。ただ、一方で、その一つ上の年齢層を見ますと、かなり少なくなっ ておりますので、大きくなると過疎地域から外へ出て行ってしまう傾向が少し見て取れる のと、あと過疎地域は何といっても高齢者が多い状況です。右側の方の折れ線グラフを見 ていただくと、0〜14歳人口の推移ですが、一番上の青いラインが全国です。全国の方が減 少のカーブはきつくなっていますが、一番下の赤いところの過疎地域は、絶対数がかなり 少ないので緩やかですが減少傾向にあります。真ん中辺りにラインが引いてありますが、 足元の人数は100万人と少しですので、絶対数が少ない中で対策を講じていく必要がある ことが課題です。左下を見ていただくと、この0〜14歳の児童人口がどのような分布にな っているかを見てみたものです。過疎地域は括弧書きに書いてありますが、7.7%です。一 方、三大都市圏だけで、5割ぐらいいらっしゃる状況です。  次に5ページ目は、過疎地域は財政力が非常に厳しい、弱いというデータです。右側の 方の円グラフを見ていただくと、これは一般の全国市町村ですが、地方税収が約4割弱、 一方で左側の円グラフの過疎地域を見ると地方税収は15%ですので、かなり交付税に頼っ た、財政的にはかなり厳しい状況です。右側の財政力指数を見ましても、表の一番下の辺 りに、全国平均値がありますが、財政力指数は0.54%ですが、過疎地域の平均値が0.25% ですので、厳しい状況あるという状況です。  次に6ページ目ですが、今度は保育所側から見ています。まず、認可保育所の体系の中 に小規模保育所があります。これは従来から何回か出てきていますが、原則は定員60人以 上ですけれども、20人まで下げられる特例があります。それは(2)にありますように、要保 育児童が多い地域、あるいは過疎地域といった所は20人まで定員を下げてよいということ になっています。実態は下の表です。一番右側の「構成比」の欄を見ていただくと、30人 未満の定員の所が全体の5%程度を占めている。60人未満見ると、全体を足すと35%ぐら いが60人未満の保育所である状況です。これは全国の数値です。  1ページおめくりいただいて、7ページ目です。今のは認可施設ですが、別の類型として、 へき地保育所という認可外保育施設の類型があります。一番上の丸の2行目のところで、 これは次世代育成支援対策交付金、いわゆるソフト交付金の助成の対象になっているもの です。「20ポイント」と書いてありますが、おおむね年間200万円ぐらいの国費の助成が されています。若干実態を見ますと、運営費として毎年1,000万円を超える規模の経費が かかっている所がありますので、それと比べると支援額は少し低いという気はします。(1) の場所はへき地で、今まで紹介した過疎とは少し概念が別ですが、へき地について認めら れております。(2)のところで基準は平均入所児童数が10人以上と緩和されているのと、あ と(2)で既存の建物でもよいということ。(3)で保育室などを設けるということですが、調理 室は不要とされているということ。(5)のところで、保育士は2名以上配置ということです が、やむを得ない事情があるときは、1人は保育士以外でよいという基準の緩和がされてお ります。その下の丸ですが、入所決定は認可と同じように市町村長が行いますが、対象児 童としては保育を要する児童の他に特に必要があるときは、その他の児童でも構わないと いう形になっております。下が円グラフですが、実施か所数としては800か所ぐらいあり まして、8割以上は公立公営です。右側の方で、実際に入所している子どもの数は全国で1 万3,000人ぐらいいて、1か所当たり平均17人という状況です。  1枚おめくりいただいて、8ページ目です。また過疎という概念に戻りますが、過疎地域 を含む市町村における定員、あるいは在所児童数の状況です。青い方が定員で、定員の山 を見ると、51〜60人のところと、81〜90人の辺りに一つ山があります。やはり全国と比べ ると、恐らく小規模だということが見て取れます。さらに緑の方を見ていただくと、在所 児童数はさらに30人以下という所が多くなるということで、やはり在所児童数が少ないの が見て取れます。  9ページ目です。へき地保育所で見ますと、オレンジ色が定員ですが、定員は21〜30人 ぐらいのところで半数を占めていますが、黄色の在所児童数でいきますと、10人以下が3 分の1ぐらいありまして、11〜20人は4割ぐらいと、ほぼ大勢を占めている状況です。  次に10ページ目です。小学校に入る前の幼児教育の経験をしている割合を、総務省の資 料で見たものです。まず、昭和45年の欄を見ていただきますと、幼児教育、幼稚園か保育 所のどちらかを経験している子どもの数は全国で76%、過疎地で57.4%でしたが、一番右 が、平成18年の直近で見ますと、全国も過疎のいずれも96〜97%ということで、ほぼ格 差なく、ほぼ全ての子どもが幼児教育を経験されている。一方で内訳を見ますと、一番下 の欄の「保育所在籍率」を見ますと全国では38.8%ですが、過疎地域では61%ということ で、かなりここの割合が高くなっているということです。恐らく近くに幼稚園がない場合 は保育所に通っていらっしゃるのではないかというような傾向が少し考えます。  次に11ページ目です。保育所の多機能化に関連して、これは保育事業者検討会の方で、 全国私立保育園連盟から提出いただいた資料です。右側の方に「マイ保育園(かかりつけ保 育園)」とあります。これは全国私立保育園連盟からの提案ですが、参考に掲げさせていた だいております。これは妊娠時から、あるいは幼児期から、ある保育所を定めておいて親 子支援をやっていきましょうという保育所の機能を多機能化する一つの提案として、参考 として挙げさせていただいております。  次に12ページです。「検討の視点」としまして、まず一つ目は一般的な話ですが、「すべ ての子どもに地域の子ども集団の中での成長を保障する」という観点からしますと、やは り地域の保育機能の維持向上は重要であろうというのが一つ目です。  二つ目は具体的な話としまして、今見ていただいたような小規模保育所は20人以上、へ き地保育所でもおおむね10人以上ということになっておりまして、一方で家庭的保育は5 人以下ということになっています。こういう現行制度と集団での成長を保障するという観 点を踏まえて、児童人口が著しく減少した地域における、例えば定員規模の問題、小規模 型を認めていくかどうか、あるいは事業運営方式、例えば送迎のようなものをどうするか、 財政支援の在り方といったことをどう考えていくかという論点です。  三つ目の丸は、児童人口が著しく少ない地域では、地域の子育て支援拠点や児童館、放 課後児童クラブなどのそれぞれの施設を設置するのはなかなか難しい地域もあろうかと思 います。関係者からも保育所が中核的な役割を果たしていくことに意義があるのではない かと指摘もされておりまして、こういう指摘を踏まえて、地域の子育て支援の拠点として、 あるいは地域社会の核として、保育所の多機能化を支援する仕組みをどう考えていくかと いう論点です。  四つ目の丸は、先ほど見ていただきましたように、過疎地域では保育所利用率が全国と 比べると高い傾向があります。さらにへき地保育所については、保育に欠けない子どもも 対象にしているということを踏まえて、児童人口は著しく減少した地域で周辺に幼稚園が ない地域では、やはり一般的には就労を条件としています保育所の機能をどうしているか、 あるいは保育の必要性の判断基準、就労要件との関係でどう考えるかという論点がありま す。  最後のところは、こういう地域でも活用可能なものとして、認定こども園制度ができて おりますが、新しい制度の中でその制度をどのように位置付けていくかという論点があり ます。資料3は以上です。  次に資料4です。情報公表に関するものです。ページが右下にありますので見づらいで すが、1ページ目です。まず、現行の制度ですが、市町村に対して認可保育所の運営状況に 関する情報提供義務が課されています。これは法律上課されています。内容については、 この下の方の「児童福祉法施行規則」に書いてあるような内容が提供義務の対象になって います。もう一つは、保育所に対しても地域の住民に対して情報提供をするようにという 努力義務が課されているのが現行制度です。  今のは認可保育所ですが、3ページをお開きいただきますと、認可外保育施設についても、 利用料、保育士の配置数などについて施設側から都道府県に対して報告するようにという 義務が課されています。それを受けて都道府県は市町村に内容を通知するとともに公表す るという仕組みになっています。  4ページ目は認定こども園についてです。これは認可保育所、認可外保育所の今の情報提 供の義務に上乗せして、施設の名称、所在地等を周知する義務が都道府県に課されており ます。  5ページ目です。保育所以外の子育て支援事業につきましては、市町村に対して必要な情 報提供の義務が課せられている現状です。  6ページ以降は、金沢市と静岡市の情報提供の例を参考に付けさせていただいております。 例えば、9ページを見ていただくと、金沢市の例で「保育所(園)一覧」というページがあり まして、名称、所在地、延長時間、どのような特別保育をやっているか、一時保育をやっ ているかやっていないかなどの基本的な情報はこのような冊子などでも提供されている状 況です。  次に14ページ目をお開きいただきまして、他の制度の例です。まず、医療については、 最近の平成18年の改正で新たに創設された仕組みがありまして、それを解説したものです。 右側の「現行制度」の箱の中を見ていただくと「医療機関」と書いてありますが、医療機 関からまず都道府県に対して一定の情報について報告義務を課すということになっており ます。その報告を受けた都道府県は、住民に対して集約した形で一括してインターネット 等で分かりやすく情報提供しなさいという仕組みが新しく構築されています。併せて医療 機関もその同じ情報については、医療機関の中で閲覧可能にしておくようにというような 仕組みが新たに導入されています。  実際に開示されている情報の内容は、15ページ以降に項目を挙げさせていただいており ます。基本的な情報から始まりまして、16ページ目の真ん中辺りでは診療内容についても、 結構具体的な内容が開示対象となっているのと、17ページのところでいきますと、医師の 人数や看護師の配置状況など、そういったことも開示の対象になっています。 18ページ、19ページ目以降が介護の例です。19ページ目をお開きいただきますと、介護 も最近改正で、こういう公表の制度の仕組みが導入されておりまして、まず左側の「基本 情報」については、年に1回都道府県知事に報告をするようにという義務が課せられてい ます。もう一つ、右側の方に、よりサービスの中身に踏み込んだものについて調査情報と して、年1回の報告義務を課しているのは一緒ですが、これについては実際に都道府県、 あるいは指定機関が施設側に対して調査をする。その上で公表する仕組みになっていまし て、この基本情報と調査情報を併せて都道府県あるいは指定情報公表センターで公表する 仕組みが構築されております。  20ページ目は、その左側にあった報告事項の報告内容ですが、真ん中辺りにアンダーラ インを引いているところがありますが、この報告事項の中にはサービスに従事する従事者、 従業者についてその従業者の数や労働時間、勤務形態、経験年数なども含めて報告して開 示の対象になっているということです。21ページ22ページ目はより踏み込んだ調査事項に ついての内容です。  次に23ページですが、第三者評価に関するものです。まず、法律上は社会福祉法という 福祉一般の法律がありまして、その法律の中で自らその提供するサービスの質の評価を行 うこと、その他の措置を講じることによって質の確保を図るよう努めなさいという努力義 務が事業者にかかっています。保育の分野について24ページで保育所保育指針の中でも、 この保育所の保育内容について自己評価を行って、その結果を公表するようにという努力 義務が課されています。これらを受けて25ページ目ですが、第三者評価事業というものが 行われていまして、一番目の二つ目の丸の「目的」というところを見ていただきますと、 この第三者評価事業の目的は個々の事業者が第三者から評価を受けることによって、事業 運営における問題点を把握してそのサービスの質の向上に結びつけるというものが主たる 目的になっています。その結果として利用者の適切なサービス選択に資するための情報と もするということです。  「実施体制・推進体制」については26ページ目ですが、全国組織全社協の方でこのガイ ドラインを策定しまして、都道府県の推進組織の方で実際の第三者評価機関を認証すると いう形になっていまして、実際第三者評価をするのに一番右側の第三者評価機関というと ころが事業者に出向いて評価を行う。この第三者評価機関には現在いろいろな機関があり ます。実際の受審状況は27ページ目です。徐々に増えてきていますが、まだ受審率として は福祉施設全体としても3%台、保育所についても4%台ですので、まだまだこれからとい う状況です。28、29ページ目は介護の参考の例を付けていますが、介護保険でも第三者評 価については基本的に努力義務ということになっていますが、ここに掲げています小規模 多機能型と認知症対応型、共同生活介護、グループホームについては、認知症の方が入ら れる施設ということで、自己評価、外部評価が義務付けの対象となっています。一応参考 です。  次に30ページの「検討の視点」です。まず、情報提供につきましては、現行制度でも市 町村に対して法律で義務付けがされています。それに基づいた取組として例えば広報、パ ンフレット、ホームページ、マップ作成などいろいろな方法で市町村情報提供に取り組ん でいます。これをできるだけ早い段階ですべての家庭にまず情報を届けていくことが重要 だと思いますので、全戸訪問事業や乳幼児健診、母親学級、あるいは拠点事業といったも のを通じながら、早く情報を届けるのが重要ではないかというのが一つ目の論点です。二 つ目は、届けるだけではなくて、実際に何か困ったとき、必要なときに容易に入手できる 環境整備も重要で、それはかねてから課題になっていますコーディネートの仕組みの検討 と併せて進めていく必要があるのではないかというのが二つ目です。三つ目は、その上で 多数への例のように、利用者のよりよい選択、あるいは情報の公表を通じた質の確保・向 上に向けて事業者自身による公表の仕組み、あるいは公的主体が情報集約して一括して情 報提供する仕組みが必要ではないかということ。その場合制度的な位置付けとか内容をど うしていくかという論点です。制度的に検討すべき内容としては実施主体、集約する主体、 都道府県なのか市町村なのかという問題。あるいは情報集約の仕組みをどうするか。情報 提供の仕組みをどうするか。そして何よりも情報の内容をどういった範囲で情報提供の対 象にするか。あるいはその対象となるサービス、保育は対象にするとして、それ以外のい ろいろな子育て支援サービスをどこまで対象にするかといった論点があります。  最後のページ31ページですが、第三者評価につきましては先ほどもありましたように、 まずは個々の事業者がサービス提供における問題点を把握して質の向上を図っていただく ものとして重要だということだと思います。併せて、結果の公表でサービス選択に資する ものとしても充実していく必要があるということで第三者評価のあり方、受審の促進方策 をどうしていくかという論点です。ちなみに一番下の※印にありますように、医療・介護 の方では先ほどの情報提供の仕組みの中で、第三者評価の受審の有無も情報開示の対象と なっているということです。資料4は以上です。  最後に資料5です。これはこれまで2か月ほどいろいろな各論のご議論をいただいてき ていますが、保育についてそれぞれご議論いただいた個別事項の見出しだけを整理した資 料をとりあえず作成しました。その上で、4ページ目を開いていただくと、例えば三つ目の 丸のところに斜体字でアンダーラインを引いていますが、保育サービスの必要性の判断の ところで論点として「同居親族要件のあり方」という論点を提示してあるのですが、これ は祖父母がいる場合は、今は保育に欠けないというのが原則になっているのですが、それ を見直した方がよいのではないかという論点ですが、ここについてはこの部会でまだ議論 がされていないものを斜体字にしています。今日は時間の関係もあるので議論をいただく 時間がないかもしれませんが、こういう議論をしてきてまだ議論をし残されている部分も あるということで、総ざらえという意味で資料を用意したのが9ページまでです。  10ページ目を開いていただいて、改めて保育サ−ビスの全体像を見ていただくと、これ は何度か出させていただいている資料ですが、今までの議論は上の方にあります「通常保 育」というところと、下の方にあります「認可外保育施設」というところは比較的個々に 議論をしていただいています。残されている一番上の「病児・病後児保育」や右側に出っ 張っている「延長保育」、その下にある「休日・夜間保育」といったところは、必ずしもこ ちらからも論点の提示をしてきていない部分です。通常保育本体のところの議論がまだ十 分こなされていないところがありまして、その簡単な論点提示をさせていただいているも のです。  その前に11ページ目で、こういったいろいろな特別な保育事業について、今の基盤整備 の状況を整理しています。特に休日・夜間保育事業、病児・病後児保育事業については、 今の国のプランでいきますと子育て応援プランがありますが、そのプランの目標と比べて も、まだ箇所数は到達していない状況にあります。例えば病児・病後児保育事業を見てい ただくと、一番右の欄で認可保育所利用児童の2,714人当たり1か所という状況ですので、 まだまだ利用できる環境にはないというのが現状だと思います。  その上で、12ページ目の「検討の視点」を見ていただきますと、まず延長保育について ですが、これは一度9月30日の第12回に提示させていただいているものを書いています が、通常保育について仮に、就労の量に応じて利用を保障するという仕組みにした場合、 その必要なサービス量を認定する仕組みが必要になるのではないか。併せて、3行目のとこ ろでその場合に保障すべき上限量をどこまで保障するのかという論点があります。ちなみ に、ここはまだ議論が出ていないところです。仮に、例えばこの上限量を1当たりに換算 して例えば11時間とした場合、それを超えて13時間利用したい、預けたいというような 家庭があった場合に、その二つ目の丸でその上限量を超えた利用について、まずは残業を 減らしていくという意味で働き方の見直しが必要だと思いますが、一方で、長時間労働を せざるを得ない家庭もありますので、その場合にそれを超えた利用の部分をどうするか。 括弧書きでありますように、全額利用者負担にするのか、一定の支援をするのかといった 論点があります。二つ目としましては、休日・夜間保育のサービスですが、現行制度は開 所日数は月曜日から土曜日まで。開所時間については朝の7時から夕方6時までというこ とで11時間。そういう時間帯に着目して通常保育として区分しています。こういう通常保 育の枠にはまりきらない特別な需要として休日保育や夜間保育が位置付けられていまして、 これらのサービスは市町村が自らやるか、どこかにやってもらうか。そうした場合に国庫 補助がされるという仕組みになっています。従って、まず市町村が実施すると判断しない と、その市町村の住民はこういう休日や夜間に利用できない仕組みになっていますが、今 後仮に下から2行目にありますように就労時間帯ではなくて就労量に応じた利用の保障と いう形にしていけば、休日・夜間のサービスも通常保育から連続的に利用サービスを保障 しやすい仕組みになるのではないかというのが一つ目の論点です。  しかしながら、13ページ目ですが、こういう休日・夜間保育といったサービスは利用者 が限られていて需要が分散しているという問題があります。そうしますと、放っておくと サービスをする実施事業者が出てこないこともあり得ますので、市町村に対する計画的な 基盤整備の仕組みを併せて考えておく必要があるのではないかというのが二つ目の論点で す。次に病児・病後児保育ですが、必ずしもこれだけの論点ではないと思いますけれども、 代表的な論点を挙げあげていますが、就業継続のためには非常に重要なサービスである一 方で、まだまだ実施箇所数が少ない状況にあります。これについても春の段階でご議論い ただきましたように働き方の見直しをして、子どもが風邪を引いたらちゃんと休めるよう にするのが第一だという議論もあるわけですが、しかしながら現実問題としてなかなか休 めない親もいますので、実施箇所数の拡充は不可欠な課題であろうと。その際に、このサ ービスについて利用者数の季節変動も大きいので運営が安定し難いという特質もあります。 一方で、下の欄に書きましたが、社会保障国民会議の議論では右側の「解決の方向性」の 二つ目の丸の2行目にあります通り、実績を評価した補助にした方がよいのではないかと いう議論がされています。これは現行の病児・病後児保育への補助金が子どもを何人預か っても同じ補助金額だということをとらえてそういう意見が出されているのですが、そう いうことで一番下のアンダーラインのところですが、実績をある程度評価しながらも一方 で安定的な運営ということも配慮して補助のあり方や促進方策を考えていく必要があるの ではないかという論点です。以上です。 ○大日向部会長  以上、事務局からご説明いただきました。毎回のことですが、質・量ともに大部な資料 をご用意いただきましてありがとうございます。  それでは、ここから残った時間が45分ほどありますが、皆様のご議論をお願いしたいと 思います。資料3、4、5、と三つあるのですが、少し分けてご議論をお願いしたいと思いま す。最初は資料3の「地域の保育機能の維持向上」に関してですが、お手元の資料3のペ ージ12をお開きいただければありがたいと思います。それでは、どうぞご意見をお願いし ます。 ○山縣委員  意見ではなく、確認をさせていただきたいのです。私は若干誤解をしていたようで、地 域の保育機能というのは過疎地や地方を指しているということでよいのですか。違うもの を勝手に想像していたのですが。 ○大日向部会長  どういうものをご想像くださいましたか。 ○山縣委員  私は住民の主体性とか、いわゆる地域主体・住民主体の活動をどうするかという議論を ある程度するのかと思ったのですが、どちらにしてくださいということではなくて、ここ では過疎地と使うのですねという確認だけです。であるならば、後々もおそらく私のよう な誤解をする人が世の中にいらっしゃるのではないかと思いますので、明確にされたらど うですかということにつながります。 ○大日向部会長  事務局、どうぞ。 ○朝川少子化対策企画室長  すみません。確かに基本的考え方の整理のときに、いろいろなものがオーバーラップし て地域の保育機能と書かれているので、私どももうまく整理しきれていないと思いますが、 今回は少なくとも過疎地とかそういったところを中心に、保育機能をいかに維持していく かという論点も重要ですので、そういうことに絞って出させていただいていまして、まさ に今、山縣委員がおっしゃいましたように住民の主体性といったところも非常に重要な論 点だと思いますが、今回は用意していませんので、今回はここに絞ってということです。 ○山縣委員  意見を言わせていただきたいと思います。そういう前提で絞らせていただいて、資料の 中でも既に事務局から説明があったのですが、過疎地の中で例えば人口1万人以下の市町 村は500くらいあると思いますが、その中の今数値は思い出せないのですが、かなりの数、 1割とか2割という単位で幼稚園未設置の自治体があるのです。保育所が設置されていない 市町村というのは非常に少ない。あることはありますが決して多くないし、さらに今日の 説明にもありましたように、へき地保育所という制度を加えますと、一定の保育政策は届 く仕組みにはなっています。へき地保育所がたとえ「保育に欠ける」要件を強制していな いとはいえ、幼稚園との関係といいますか、特に過疎地にいきますとそこを含めた議論を きちんとすべきではないかということを感じています。1年前くらいに資料をいただいたよ うな記憶があり、その数値を探してみたのですが出てきません。幼稚園と保育所の未設置 の市町村の状況のデータをいただいて、そういう地域のことをきちんと議論した方がよい のではないか。それは恐らく保育施策だけで考えられない、就学前施策の子ども全体の発 達を考えた施策を作らなければいけないという方向のイメージになると思いますが。よろ しくお願いします。 ○大日向部会長  わかりました。それでは検討していただければと思います。他にいかがでしょうか。清 原委員お願いします。 ○清原委員  今回過疎地域に絞って、詳細な情報をいただいて思ったのですが、確かにこの資料でわ かりますように、過疎地とされる市町村の数は多いですが人口が少ない。ですから、人口 が非常に少ない地域で、しかも急速に高齢化している地域だからこそ、保育の問題に焦点 を絞ってもこのような特徴が出ていると思います。その中で具体的な事例として把握され ているかどうかお聞きします。つまり、例えばこうした過疎化の動向を食い止めるために、 より若い層にも地域回帰を求めて、意識して保育施設等を充実して子育て世代を誘致する というのでしょうか、呼び戻すというのでしょうか、そういう取組を産業振興とともにし ていることによって活力が出てきている自治体の事例があると思うのですが、そういうこ とを把握されているかどうか。併せて、先ほども問題提起がありましたように、このよう な過疎地域で現在厳しい状況の中、環境整備をしながら守っている保育園を子育て支援の 拠点として、いわゆる先ほど議論がありました放課後子どもクラブ等子育ての総合的な取 組を考える総合化というか包括化というか、そういうことをこういう地域だからこそ先取 りして出来るというメリットもあるかと思うのです。ですから、良い意味では、こうした 過疎的な状況にある地域は、はっきり申し上げれば少子化が急速に進んでいて、防ぎたい と思っているけれども、将来ひょっとしたらそういった状況になるかもしれないような子 どもが大変少ない状況の地域では、どのような対応をすることが望ましいかということを、 私たち都市とは違って最初に経験していただいている地域だということもできると思いま す。そういう中で少子化だけではない過疎化傾向阻止というのでしょうか、そういう取組 との連動や総合的な子育て支援のあり方の例というものを把握できれば、今後私たちが検 討していくときの大いなるヒントをいただけるのではないかと思いました。つまり、過疎 的な地域の保育の状況をマイナスとか負ととらえて何か支援しなければいけないという視 点だけで見るのではなくて、何かそこにある問題の所在が明らかになれば、全国的な対応 策にもヒントとなるようなものが隠されているのではないかという思いで報告を聞かせて いただきました。事務局が資料を整理される中で解決に向けて「兆し的な面」など、お感 じのところがありましたら一つでも教えていただければありがたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。委員の皆様も、そういう先行事例や好事例をご存じでいらっし ゃいましたら、どうぞ事務局にお届けいただければと思います。他に、いかがでしょうか。 駒村委員お願いします。 ○駒村委員  私は今の清原委員の話と逆のとらえ方をしていて、私の見方は経済学ですから過疎化は ある程度食い止めにくいのが現状であると。保育政策で過疎化を食い止めることは非常に できない話だろうと。しかし過疎化が進んだ地域であっても、子どもたちに基礎的な社会 サービスは提供しなければいけない。しかし、医療だけではなくて介護も含めて教育も含 めて対人社会サービスというのは人工集積地であればあるほど集積の規模の経済がはたら いて非常に効率的に提供できるのです。しかしながら、過疎化の中では効率性というのは どうしても維持できなくなる。そういう中でもいかにして基礎的な社会保障、対人サービ スの提供をするのかと、その工夫を考えなければならない。そのためには、どこまで工夫 できるのかをこのセッションでは考えるのかなと私は聞いていたのです。もちろん食い止 められればよいのですが、むしろ非常に危機的な状況になっているのを、どこまで最低限 抑えていくのかなと私は感じていたのです。 ○清原委員  一言だけ申し上げます。私は後段申し上げましたように、こういうところでどのように 保育サービスあるいは子育て支援を、経費がなかなかかけられない中、人口集積がない中 で取り組んでいらっしゃるかという工夫の中に、学べるものがあるのではないかと思った 点では、まさに駒村委員がおっしゃった後半とは同じような問題意識でした。簡単に食い 止められるものではないということもよくよく承知しているのですが、何か工夫すること によって少しでも都会からUターン、Jターン組が来ているような例があれば幸いだと思 った次第でした。ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございます。おそらく駒村委員と清原委員がおっしゃったことは両輪として 進めていかなくてはいけないと思いますが、基本部分は多分駒村委員がおっしゃったこと を先に議論しつつ、先行事例を探していくことも絶えずやっていくことなのでしょうか。 どなたかお手を挙げられましたか。福島委員ですか。よろしくお願いします。 ○福島委員  へき地と過疎地は同じと理解してよいのですか。 ○朝川少子化対策企画室長  違います。過疎とかいろいろな類型があるのですが、過疎というのは、ここでは人口減 少に着目していて、へき地というのはどちらかというと絶対数も少なくてという感じです。 ○福島委員  「限界集落」という感じですか。過疎地よりももっと厳しいという。 ○朝川少子化対策企画室長  どちらかというとそうですね。狭い概念に近いです。 ○福島委員  少子化対策は都会と地方で大分違うということで、9ページを見ましても、ある意味では ミスマッチが起こっていると。ここでは21人〜30人の大きい保育所はあるけれども実際に いる人は少ないという見方をしています。ですから、今日の提案は検討の視点では、保育 所を活用するという意味におきましては検討の視点の四つ目の丸にありますが、これはグ ッドアイデアかなと。いわれているように過疎化はなかなか避けられないですから、本当 は少子化対策の前に、清原委員が言われたように新しい産業をもってくる等でもっと人口 を増やせと。これをやることも要ると思いますが、現実はミスマッチがありまして、せっ かくある保育所をここに書かれているように多機能化して、その地域の子育てのコア拠点 にすることにしまして、総論で申し上げますと、まさに保育所も幼稚園も先ほどから言っ ているように放課後プラン等も含めまして、せっかくこれだけのものがあるわけですから、 そういうものをもっとやるべきだと思います。これは小さいことかもしれませんが、こう いう地域の子育ての支援とか活性化の一助になる可能性があるのではないかと思いまして、 この提案は非常に良いと思いましたので、ぜひ具体的にモデルのように取り上げて進めて いってはどうかと思います。全国のへき地でやっても大変なので、どこかを少し選びなが ら具体的にやる。どのような課題があるのか。皆様方は課題を把握されているかどうかわ かりませんが、個人的にはこのアイデアはグッドアイデアで、ひょっとしたら一つのモデ ルにならないかなという感想ですが、そういう感想だけ申し上げておきたいです。  それから、もう一つへき地とか過疎地と言っていますが、これはぜひ一度地方都市でも こういうビジネスモデルがひょっとしたら適用できるのではないかという気がしたので、 過疎地というか人口が5万とか小さい地方都市がありますね。そういう所も一度先ほどの データでもしあるのでしたら、例えば人口5万とか10万くらいの小さい市町村があります ね。これが9ページと同じようになっているのではないかという気がしたのですが、これ は何かデータがありますか。 ○朝川少子化対策企画室長  8ページは過疎地域なので、少し広いエリアです。 ○福島委員  これは過疎地域だけですか。 ○朝川少子化対策企画室長  これでも同じような傾向が見られます。 ○福島委員  これもミスマッチを起こしていますね。だから、へき地ではなくて過疎地域においても 今提案されるようなことはチャレンジしたらどうかなと思うのです。 ○大日向部会長  よろしいですか。ありがとうございます。大石委員、庄司委員の順でお願いします。 ○大石委員  ありがとうございます。事務局に少しおたずねしたいのは、以前に保育団体の方にヒア リングさせていただいたときに、地方の保育所、特に私立保育所などの経営が大変だとい う話を伺ったと思うのですが、その方々がおっしゃっている「地域」とこの「過疎地」や 「へき地」は少しずれているのではないでしょうか。「過疎地」、「へき地」というほど ではないけれども、地方部においてやや厳しい状況にあるという所の資料も頂戴できれば と思います。それからいろいろ適切にダウンサイジングできるような施策を既に講じられ ているようではありますが、1か所平均でみると定員割れをしており、定員の半分くらい しか埋まっていないという現状を考えれば、もう少しより効率的にダウンサイジングしな がら良い保育を提供できる仕組みを進めていただくのがよろしいかと思います。  最後に、11ページのホーム保育やマイ保育園のご提案は、以前の保育ママ制度の導入の ときに話題にのぼった、保育所の適切な連携との位置付けで出てきたのでしょうか。 ○大日向部会長  室長、お願いできますか。地方と都市の格差の問題を議論しようということはずっと言 っていたのですが、いきなり過疎とへき地になったので戸惑われた方も多いと思います。 その点も含めて、ご説明をお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  今回過疎地域に限定した資料にしましたのは、それほど明確なものはありませんが、端 的に問題が出てきているのは過疎地域・へき地なので、まずはその資料を用意させていた だいたということで、例えば地方の都市部でいろいろな課題があるのではないかという点 については、もしかしたらあるのかもしれませんし、それは東京などとそれほど変わらな いのかもしれませんので、もう少しよく見てみる必要があるのかもしれません。そういう 意味で、今回出している資料はこの限りですが議論を膨らませていただければと思います。 このマイ保育園などを出しているのは、どちらかというと、この右側の2)に着目して今回 は出しておりまして、左側の訪問保育も関係なくはないし、過疎地域ではまさに家庭的保 育での対応もあり得るので、それでもぴったりくると思いますが、保育の機能の多機能化 という意味ではこういう提案もあるということで参考に出させていただいたということで、 それ以上の意味はございません。 ○大日向部会長  よろしいですか。それでは、庄司委員お願いいたします。 ○庄司委員  ありがとうございます。この過疎地域に関しては、私が知っている限りで、例えば東北 の例です。秋田県南部などの非常に人口が減少していくことに苦しんできた地域、具体的 にはある一つの村で人口3,000人規模ぐらいになっている所で、幼稚園と保育所が一つず つ行政上はある形でずっとやってきておりましたけれども、3歳未満児に関しては保育園、 3歳以上児に関しては幼稚園という制度の下で一つの施設でやっている。それで興味を持っ て時々伺っていたのですが、やはり昔から言っているいわゆる幼保一元というものの一つ の理想形があるように常々感じていました。ですから、そういう意味では先ほど清原委員 がおっしゃったことに基本的に賛成です。例えばほとんどすべての子どもが乳幼児期に非 常にほどよい規模で共同生活をしながら、一種のきょうだい関係、大きな家族のような生 活をしながら育っていまして、かつ保育士がそれぞれの家族状況とか何か起こってはいな いかということに関しても非常によく把握ができていて、私が見る限りでは保育士の方々 の力量も相当あったので、いつもそこは興味深く勉強の場にさせてきていただいていまし た。ですから、これは私が知っている秋田県南部の村の例だけでは全然なくて、全国的に そういう例はたくさん聞きますので、そういう例を幾つか集めて一つのモデルとして、例 えば人口規模の少ない所だとこういうことも可能であるとか、それをたとえ都市部であっ ても一定の条件設定の中ではこういうことも学べるのではないかという議論をしないと。 今日出てきたものですと、12ページには例えば認定こども園制度の活用も考えられるとい うぐらいに書いてあるのですけれども、もう少し積極的に踏み込んだ議論があって良いと いう気がいたします。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは次回ぐらいまでに庄司委員がご存じのものもどんどん 事務局にお知らせいただいて、ケース研究のものも見せていただければと思います。あり がとうございます。 吉田委員は随分全国をまわっていらっしゃると思いますが、いかがですか。 ○吉田委員  大変難しい問題だと思いますが、2、3か月前に愛媛県のかなり辺ぴな所に行ったときに 5、6人の保育所がありまして、人数だけではなくてたまたま全員女子ということで少し驚 いたのですけれども、男子と女子のバランスさえ取れないという地域があって、その周辺 は場合によっては3人、4人という所もありました。そうすると、いわゆる通常の保育施設、 保育所という発想そのものを変えた方が良いのではないかと思います。まさに保育所の機 能、子どもを健やかに育むための機能をどうするかという視点から逆に組み換えるべきで しょうし、それも多分人数によってグラデーションがかかると思いますので、変な言葉で すが小規模型認定こども園をもう少し可能にしていくとか、そこまでいかない場合はやは り家庭的保育をファミリーホーム的な組合せでカバーできるようにするとか、恐らくそう いう発想でいかなければいけないだろうという気がしています。あとは基本的には「限界 集落」という言葉があるように、町の存続そのものが問われている話ですから、保育だけ で何とかできる部分も当然限界があるわけで、その辺の視点も総合的に加味した上で、し かし可能な範囲で、保育の機能を柔軟なシステムで多様に保障していくということで考え るしかないのではないかと思います。  それから、もう一つは過疎・へき地ということで、今いろいろ議論がありましたが、逆 に大都市のど真ん中でも起こり得る話でありまして、そういう意味では言葉は過疎・へき 地になっておりますけれども、日本中どこでも、それこそ東京でもあり得る話だという視 点は、どこかでしっかり押さえていただく必要があると思います。そうしますと、極端な 場合は保育所の撤退ということもあり得るかもしれませんし、その辺も含めて日本中を見 渡した、ある特定の地域という意味ではなくて、日本中どこでも起こり得るという視点の 中でもう少しとらえていただくとよいのではないかと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。この議題はそろそろこの辺りでよろしいでしょうか。過疎・ へき地の問題は大変特殊な事例でありますが、同時に今、最後に吉田委員が言ってくださ いましたように大都市でも起こり得る課題だという広い視点を持ちながら、先行事例を拾 いつつ、保育機能の抜本的な見直しも含めてということで、この議題に関しましては、ま た次回に先送りするということで、次の「情報公表・第三者評価等について」のご議論を お願いいたします。資料4の30ページをお手元に置きながら、よろしくお願いいたします。  清原委員お願いいたします。 ○清原委員  具体的な例をお話ししたいと思います。「検討の視点」の最初に明確に示されていますよ うに、私たちはすべての子育て家庭に早期に市内の情報をお届けする責務があると認識し ています。どうしても一番読みやすいのは冊子形式ですので、保育園入園案内という形で 紙ベースのものは一番広く行き渡り、また何度も繰り返し読んでいただけるということで 出しております。併せて三鷹市の場合はホームページで「子育てネット」というものを、 子育て世代を担い手の中核とするNPO法人に専用のコーナーの運営をお願いして、むしろ こちら側がお知らせしたいということだけではなくて、子育て世代が知りたいことを起点 にした編集あるいは行政や助産師会等の相談窓口を紹介していただいたりしています。多 くの自治体でもこうした取組が増えていますので、より一層標準化していければ望ましい と思います。  次に第三者評価について、お話しいたします。三鷹市においては、平成13年度から第三 者評価の必要性というものが全国的にも示唆され、東京都でも取組が進んでいく中で、平 成14年度から準備的に試行的に始めて、公設公営の12園では既に終了して、今年度から 2巡目に入っています。公設民営の7園については、いわゆるカスタマー・サティスファク ション調査や市としての利用者アンケートということで、株式会社であれ、あるいは社会 福祉法人であれ、順に行っています。そのことが今後も公設民営委託をする上で必要な条 件になっているわけですが、課題は第三者評価を公設公営がする場合には東京都の補助金 が全額でなく、半分は自前でやっていくということから、東京都内の保育園であっても公 立のものすべてが必ずしも第三者評価を受けていないという自治体による違いがあるとい うこともあります。また、私立保育園については東京都の場合ですと補助金が出ますので、 すべての保育園が積極的に3年に1度の計画でそうした評価を行い、結果を公表して信頼 を得るための取組をしています。特に東京都の場合ですと、この第三者評価については東 京福祉ナビゲーションというホームページですべて公表していますので、最近の子育て世 代の保護者はこうした第三者評価を参考にしながら、私たちが示しているこうした基本的 な情報と連動させて入園の判断もされるということにもなってきています。先ほど申し上 げましたように、第三者評価を受けるには経費が掛かりますので、私たちは毎年するわけ にもいきませんので、公設公営の場合などはこうした第三者評価の経験を踏まえて、むし ろ自己点検・自己評価を毎年行うものとし、特に保護者を対象としたアンケート調査に象 徴される質的な評価については、必ず毎年行うようにしています。このように第三者評価 をするから良いというだけではなくて、第三者評価の取組プロセスをどう日常化していく か、常に保育の質を評価する仕組みを日常的な保育の取組の中に落とし込んでいくかとい うことが重要と考えます。  その意味でも、それを支える意味でも第三者評価を受けた場合には必ずその結果は公表 し、そして併せて取組を改善していくといういわゆる一般的にはPDCAサイクルといわれ るものを保育園のサービスにも反映していくということが極めて重要だと思います。ここ で他の社会保障制度と比較して保育にもこのような取組をさらに進めるべきであるという 検討の視点が示されていますが、これは実際のサービスの質の向上・改善に反映すること を共有して進めていくことが大事で、第三者評価を受けることが負担感だけを増すような ものであってはいけません。もう一つこれは答えがまだ出ておりませんので問題提起だけ させていただきますが、「子ども本位の保育サービス」の評価をするときに、子どもの視点 を、どのような調査をすれば、どのようなことを重視すれば把握できるのかということに ついては、まだ混乱があると思います。年長の5歳児であれば、この取組が楽しいとか、 これはつまらないとか、これは少し嫌だとか、このようなとき困るというような表現はし ていただけると思うのですけれども、より客観性のある子どもの視点から見た評価を、ど のように保育サービスの第三者評価に位置付け、反映していけるかという手法について先 行事例があれば学びたいと思いますし、それが子ども本位の保育を考えていく上で、第三 者評価の正当性を考えていく上でも重要ではないかと思います。まだ少し迷いつつ取り組 んでおりますので、問題提起だけさせていただきます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。大石委員、駒村委員、吉田委員の順でお願いいたします。 ○大石委員  今、清原委員がおっしゃったことに全く賛成です。アメリカにおける研究などでも、保 護者は自分が選択している保育をどうしても良い方に評価しがちなバイアスがあるといわ れております。やはりプロの目から見て子どもの視点に立った保育の評価方法、第三者評 価方法というものも考えていく必要があると思います。  それから、第三者評価が最も必要なのは、実は認可園ではなくて認可外保育施設ではな いかと思います。例えば親の側からすれば認可保育所であるというだけで一応最低基準を クリアしているということが明らかなわけですから、ある程度の質についての見通しはつ きます。しかし認可外については全くわからないので、自分の努力によって情報を集める しかない状況です。認可外保育施設が第三者評価を受けるのに必要な経費などをどのよう にして保障し、率先して受けてもらえるような仕組みをつくっていけば良いのか、そこの 保障の仕方をぜひ公的に考えていく必要があるのではないかと思います。  それから3番目として、第三者評価の今の位置付けは、個々の事業者が自分で問題を見 つけて自主的に改善していくためのものという位置付けなのですが、利用者が適切なサー ビスを選択できることの重要性とのバランスを、もう少し考える必要もあると思います。 以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、駒村委員お願いいたします。 ○駒村委員  清原委員、大石委員の意見にかなり重なるのですが、第三者評価の話は、見ていると多 分三つぐらい情報の形式があって、一つは最初の情報公開の中にあって外見上といいます か量的な情報の部分がまず一つある。もう一つは、保育所の自己評価です。平成20年から 入ってきたこの部分はある意味、質や内容について自らの主観的な評価というかメッセー ジです。これは今どれぐらいまで出ているのかわかりませんけれども、あとでもし数字が あれば教えてもらいたいのですが、主観的な評価。それから第三者評価という客観的に第 三者に見てもらった質的評価とこの三つがあるわけです。この新しい仕組みを考えていく に当たっても、やはり情報というのは極めて重要な役割を果たしていきますし、いろいろ な仕組みを考えても情報の不足というのは、さまざまな制度の失敗や結果として問題点を もたらしていくと思います。そういう意味では、情報というのは非常に公共的な性格を持 ったものであるわけですので、第三者評価は情報の生産ですね。具体的には第三者評価に よる情報の生産に何らかの補助、公的補助を行っていくことによって、このシステムが機 能するようにしていくのだと、今の状況を見るとやっている事業所があまりにも少な過ぎ る。  それからもう一つ、行っている事業所が少な過ぎる要因の中に、評価そのものに対する 問題もあるのかと。やはり評価機関の質も高めていくような仕組みを考えていかなければ いけないのだろうと思います。  それから、これは質問ですけれども、第三者評価の中に一つだけ義務付けがあるのが、 小規模多機能型居宅介護事業及び認知症対応型共同生活介護事業ですけれども、どうして これだけが義務化されているのか、確認させていただきたいと思います。以上です。 ○朝川少子化対策企画室長  詳しくは知らないのですが、電話で聞いていますのは認知症の方が入っていらっしゃる 施設では、より外部のチェックをしっかりしておかないと危険だという趣旨と理解してい ます。 ○吉田委員  少し違う視点からお話をしたいと思います。現在、保育の実施主体は市町村ということ でいえば、制度的には個々の保育所に第三者評価を義務付けるという方向は本来少し違う のではないかと思います。今後、制度を見直すことが前提になりますから、またそれは変 わってくるのですが、現在は恐らく保育の質を向上させるためのインセンティブという意 味合いに過ぎないのではないかと思います。ただ、それであっても現実には東京は独自の 第三者評価ですが、全国では都道府県社会福祉協議会が中心になって第三者評価を推進し ていますが、実際にはかなりサーベイヤーの質にばらつきがあり、あるいは第三者評価機 関そのものが本来評価を受けなければいけないぐらいのところがあるのではないかと思い ます。具体的なケースは差し控えますが、かなり信じ難いような評価レベルが実際にあり ますし、あるいは東京都であっても例の認証保育所が取消しを受けましたが、第三者評価 を受けていましたので、何のための第三者評価だったのかというようなこともあります。 それが1点です。  それからもう一つ、忙しいときに事務局には申し訳ないのですが、可能な範囲でご用意 いただければと思います。そもそも社会福祉の世界では基礎構造改革ということで利用者 と向かい合って対等な関係をつくるという、社会的弱者である利用者が不利益を被らない ように徹底した情報提供、情報の非対称性を越える。それから何かあったときの苦情解決 の仕組み、常に質の向上のインセンティブにし、あるいは利用者の選択に資するための第 三者評価を入れるという3点セットだったと私は理解しているのですが、そういう意味で 社会福祉基礎構造改革における情報公開や苦情解決、第三者評価というのは、簡単図式の ようなものを以前見たことがありますので、それをご用意いただければというのが一つで す。  それから、もし参考になればということでこれも可能な範囲で結構ですが、日本の場合 は日本医療機能評価機構がありますので、簡単なものがあるとそれはそれで良いかなとい うことと、外国の例では、先ほども少し出ましたが、全米幼児教育協会が全米保育プログ ララムアカデミーという形で第三者評価を幼稚園、保育園を問わずにやっています。これ は全く民間のレベルでやっている第三者評価の仕組みです。一方でイギリスが例の 「OFSTED」が政府レベルで監査を兼ねたような第三者評価をやっていますので、性格は かなりアメリカとイギリスでは違いますので、その辺のもし何か簡単な資料があると参考 になると思いますので、可能な範囲でお願いできればと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。山縣委員、お願いいたします。 ○山縣委員  情報公開に関して1点と第三者評価に関して1点ですが、今日ご提示をいただいた静岡 と金沢のモデルがありますね。これは比較的事務局的にはお薦めという前提ですか。 ○朝川少子化対策企画室長  すみません。たまたま手元にあったので。良い例だと思いますが。 ○山縣委員  実は、このことには非常に関心がありまして、先ほども吉田委員も少し言われましたけ れども、東京の方々は認証保育所をむしろ認める方向でというお話もあったわけです。し かし非常に重大なことが起こり、なおかつそこは横浜保育施設も受けておられて、ここで ヒアリングをしたあの対策がいずれも非常に厳しいということが、少し明らかになったの ではないかと個人的には思っています。この静岡の例を見ますと、ほぼ同じようなレベル でページが違うというだけでベビーホテルまで紹介をしておられるという形なのです。児 童福祉法の精神でいうと、各市町村が責任を持っている範囲内の保育について選択に資す ることと、質の向上に資するという二つの大きな目的をもって情報を提供するということ ですから、やってはいけないことはどこにも書いていないのですけれども、1997年に情報 提供の制度ができたときに結構認可外で同じようなレベルでやられて、そこでトラブルが 起きている話を幾つか聞いたことがあるのです。その辺について私たちがどう考えていく のか、情報の中立性というのは一体何なのだろうかと、すべてを出すのが中立なのか、そ こにある問題を含めて出すのが中立なのかという辺りを、子どもの視点で考えていく必要 があるのかというのが1点です。  それから第三者評価につきましては、データのお願いばかりで申し訳ないのですが、も し可能であればという前提でお願いします。吉田委員が先ほどおっしゃっていましたけれ ども、第三者評価機関が結構あるのですが、都道府県によっては高齢者部門、障害者部門、 子ども部門で個々に評価機関として認証を与える仕組みになっていますので、評価機関の 全体数と、もしその中で子どもがどれぐらい対象になっているのかを調べていただくと、 実施数は出ていますので、実際平均的な評価数はいくらになるのかということがわかると 思いまして。もし可能であれば、お願いします。 ○大日向部会長  次回はいつでしたでしょうか。たくさん宿題をいただいて。でも私たちは決して拙速な 議論しているわけではありませんので。可能な限りで結構ですが、ぜひ貴重な情報提供を いただいておりますので、ご準備いただければと思います。他にありますか。 ○清原委員  少し紹介させていただきます。先ほど認証機関の質の問題についても問題提起がござい まして、三鷹市でも実はせっかく第三者機関の評価を受けるのであれば、そうした機関に ついてもこちらも信頼して受けたいということで、平成20年度から保育施設評価経験があ るなどの条件付の入札で評価機関を選ばせていただきました。それは競争環境下で、どの ような評価をするから自分たちの機関が良いということをやはり言っていただいて、私た ちもそれを納得して評価を受けようということで、実は今年度からさせていただきました。 評価を受ける側も評価をする側も、やはり良い意味でパートナーでなければいけないと思 いますので、私たちも受審する際にはやはり意識を持たなければいけないということを、 この間の経験で学んだものですから、現場の声を聞きながら、そのようにさせていただい ています。ご参考になれば幸いです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。あと5分ほどありますが、今日三つあった資料3、4、5のう ちの資料5に関しましては、時間がもう切れておりますので、次回に送るということでよ ろしいでしょうか。あと5分ほどで今までのところで何かご意見があればいただけると思 います。では駒村委員、お願いします。 ○駒村委員  評価機関の評価の話ですよね、本来は○とか×のない評価ですから、厳しい評価機関で あればあるほど高く評価されると、要するにあそこの評価を受かった、あそこの評価機関 からこれだけ高く評価されているのだから良いであろうというような意味では、そういう 評価のシステムの充実というのは今後求められると思います。「評価のカリスマ」の厳しい 評価に受かったのだから良い保育所だろうというように仕組みができれば、本来は良いの かなと思って聞いておりました。厳しい評価機関の方は社会から高く評価されるという仕 組みがあれば良いだろうと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、この辺りでとりあえず本日のご議論は閉めさせて いただきたいと思います。数々の貴重なご意見・ご質問・情報提供をありがとうございま した。なお、ご意見また言い足りないところがおわりかと思いますので、いつも通り文書 で事務局にお寄せいただければと思います。  それでは、最後に次回の日程について事務局からお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、11月21日金曜日の 10時から、経済産業省別館10階の1028号会議室で予定しております。引き続き「新たな 制度設計の検討について」ご議論をお願いしたいと考えております。お忙しいところを恐 縮でございますが、ご出席いただきますようよろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは本日これで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)