08/11/11 第7回薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会議事録 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会(第7回)                日 時:平成20年11月11日(火) 15:01〜17:26                場 所:専用第18〜20会議室 ○寺野座長 それでは、お待たせしました。定刻になりましたので、ただいまから、 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会、今回第 7回ということになりますが、開会いたします。  委員の皆様には、大変お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。  本日は、研究班員の津谷喜一郎東京大学特任教授に御参加いただいております。 津谷先生、よろしくお願いいたします。  それでは、まず、事務局から、配付しております資料の確認をお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 配付資料でございますけれども、議事次第、座席表、 名簿のほか、資料1、2、3、4の4つでございます。  なお、あと、委員からいただきました意見書、坂田委員の分と、今日御欠席の山 口委員の分は綴じてございます。あと、水口委員から本日いただきましたので、追 加でお配りしております。  あと、資料2に関連するものですけれども、この後の議題の中に出てまいります 昭和39年の承認申請の際に添付された臨床試験資料のコピーを、委員の皆さんにだ けですけれども、お配りしてございます。資料2の中に抜粋したポイントは記載し てあるんですけれども、研究班の方から委員の方には現物を見ていただいた方がい いのではないかということがありましたので、お配りさせていただいております。  不足しているものがありましたらお申し付けくださいませ。落丁等ありましたら、 御指示いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○寺野座長 それでは、議事に入りたいと思います。  本日は、検証3と4を議題とするのですが、検証3に関しましては「薬害肝炎の 発生・拡大に関する薬務行政の動き」、検証4は「薬害肝炎の発生・拡大に関する 医薬品供給業者の動き」を議題として御意見をいただきたいと思っております。  前回御議論いただきましたように、堀内先生の研究班で検証の作業を進めていた だいておりまして、この検証の中から論点を抽出し、その論点についてこの委員会 で議論を行いまして、それをまた検証にフィードバックしていくと。そして、この 委員会で年度内に提言を作り上げるという形で進みたいと思っておりますが、なか なか予定どおりにいくかどうかわかりません。御協力をお願いしたいと思います。  そこで、最初に、前々回、10月2日に御提示いただきました検証項目案について、 現在どのような進捗状況になっているかということを、まず、堀内委員から御報告 いただきます。そして、それに続きまして、検証3と検証4は相互に関係する面が 非常に多く、また、論点も共通していますから、御用意いただいた資料を一通り御 説明いただきまして、その後一括して審議を行いたいと思いますので、まず最初に、 堀内委員、野村総研の方からそれぞれ資料1、2について御説明をお願いしたいと 思います。堀内先生よろしくお願いします。 ○堀内委員 それでは、簡単に御説明申し上げますが、資料1は、前回も御希望が ございましたように、検証項目をきちんと出しておいて、どこをやっているかとい うことを明確にしながら審議を進めていくということで、毎回出すべきであるとい うことで、内容も、御意見をいただいて、それに基づいて少しずつ変わってきたり しますので、新しいものをお示しするということでございます。ここには既に前回 のこの会議、あるいは文書で御意見をいただいた内容についても、すべてとは申し ませんけれども、大体入っていると思いますので、御覧になっていただいて、是非 こういう項目を入れるべきであるということがございましたら、またお示しいただ きたいと思います。  それで、この中で今回は、今、座長からお話しがありましたように、検証3「薬 害肝炎の発生・拡大に関する薬務行政の動き」と、検証4「薬害肝炎の発生・拡大 に関する医薬品供給事業者の動き」ということで、これもまだ各々すべてではござ いませんが、御提示をしたいと思います。  資料2は、まとめると大体こんな感じになるのではないかということを提示して ほしいという要望がありましたので、作ったものであります。例えば、検証3です と、1枚めくったところに目次があって、それから全体像、その後にこういう観点 でやるという話、いろいろな資料がそれに加わっているということ、それから、中 にいろいろな評価も加えていくという形を考えております。  これについては、概略については、野村総研から説明をして、資料2については 片平研究員、資料3については田口研究員にと考えています。これは大体こんな形 でということで、これがファイナルのものでは当然ながらございません。  それから、資料4につきましては、今日、どういう形で議論をしていただいたら いいか、3と4に含めて論点を少し班の方でまとめてみましたので、資料2、3を 説明した後、概略説明をして、今日はできればここにあるような問題点について、 委員の御意見がいただければありがたいというのが資料4でございます。そんな形 でできればいいかなと思っております。  当然のことながら、研究班、かなり夜と昼ととり違えたようなことをやりながら やっておりますけれども、資料もたくさんで、また議論しなければいけない内容も たくさんありまして、まだ進んでおりません。例えば、今日やる検証3については、 資料2でございますが、承認審査を中心にという話になります。  それから、資料3について、これは、どういうようにまとめてあるか、後で野村 総研の方から説明をしてもらいます。  それで、研究班だけでは、力量の問題もありますので、資料だとか、情報を各委 員がもしお持ちでしたら、これは厚労省も弁護団もそうですけど、いただければ、 それを参考にもしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたい と思います。 ○寺野座長 ありがとうございました。  それでは、資料2と3に関しまして、野村総研の方から御報告をお願いします。 ○野村総研(片平研究員) では、最初に、資料2に関しまして御説明をさせてい ただきます。  お手元の資料2「薬害肝炎の発生・拡大に関する薬務行政の動き アウトプッ ト・イメージ」という資料をごらんください。  まず、こちらの資料の位置づけについてですが、現時点での研究班での検証過程 をまとめたアウトプット・イメージという位置づけになっております。研究班では、 継続的に調査及びその内容の評価の検討をしてまいりますので、書いてある内容に つきましても、随時改訂、バージョンアップが進んでいくとお考えください。  早速こちらの中身をごらんいただきまして、3ページ目をご覧いただけますでし ょうか。こちらに一覧表の形式で、検証3において検証する項目を載せております。 こちらを見ていただきますと、大きな項目といたしましては、「医薬品の承認審査 について」という部分と、「医薬品の市販後対策について」、及び「個別・集団感 染について当時の感染状況の把握と、感染判明後の対応について」という、この大 きく3つの分類について検証していくこととしております。  こちらに記載してある項目につきましては、先ほど堀内委員から御説明いただい た検証項目案、こちらの内容をすべて含むものとなっております。  この委員会の場で、こちらの項目すべてを見ていけるのが本来は望ましいのです が、時間の制約もございますので、本日は、この中でもこれまでの委員会の場で出 てきた御意見、あるいは研究班で検証過程を行っていく中で出てきた御意見等を踏 まえまして、項目といたしましては、(2)の1)「製造承認時の承認審査につい て」という項目と、中段あたり、医薬品の市販後対策についての1)の部分です。 「厚生省における副作用情報収集・分析・評価の実態」という部分をまず取り上げ て、皆様に御議論をいただきたいと考えております。  併せて、こちらの資料の中には、(3)の3)再評価の実態という部分に関しま しても、事実経過だけ簡単にまとめたものを参考資料としてお付けしております。  詳しい内容につきましては、お手元の資料の5ページ目以降、内容を記載してお りますが、こちらに関しましては時間もございますので、詳しい説明は割愛させて いただきたいと思います。  なお、こちらに書いてある内容につきましては、事前に委員の皆様に配付させて いただいたものとほぼ同じものになっております。一部改訂した部分もございます が、ほぼ皆様に御覧いただいているものと同じですので、そちらを前提に御議論を いただければと思っております。  この中で幾つか論点が出てまいりますが、そちらの論点に関しましては、後ほど 資料4の中で研究班の方から御説明いただくという形にしたいと思います。  以上が資料2に関する御説明となります。 ○野村総研(田口研究員) 続きまして、資料3の御説明をさせていただきます。  資料3の検証4「薬害肝炎の発生・拡大に関する医薬品供給事業者の動き アウ トプット・イメージ」という表紙の資料をごらんください。  めくっていただきまして、3ページの以降なんですけれども、資料3では、検証 4の項目ということで、企業の動きというのを検証することになっております。  位置付けとしては、今回お持ちした資料は、先ほどの資料2と同じでして、アウ トプット・イメージということで御提示しております。この中で、検証4の中では、 企業の動きということで、3ページ上の方に書いてございますが、大きく分けて3 つの視点ということで、開発・製造段階における問題点という点と、2番目、当該 医薬品の市販段階における問題点、動き、3番目、肝炎感染発生に対する企業の対 応と問題点という視点で検証項目を割り振っております。その中で各検証項目、資 料1で御提示いたしましたが、先ほどの検証項目すべてを含んだものとして検証を 進めていきたいと思います。  検証項目の全体像に関しては、4ページに図表4−1ということで、検証4に関 する検証項目の全体像というのが書いてございます。  1)、2)、3)が、先ほど説明差し上げました開発・製造段階、市販段階、肝 炎感染発生における段階ということに対応してございます。  それぞれについて、例えば開発・製造段階においては、原材料ですとか、不活化 処理ですとか、製造工程に関して検証を行っていこうと思っております。  また、2)の市販段階における検証としては、例えば、医療関係者との関わりで すとか、市販後の危険性情報の収集、国内・国外における情報収集、それから、収 集した情報に関して市販後危険性情報といったものを医療機関にどのような形で提 供していったかという問題点を中心に検証していこうと思っております。  それから、3)で肝炎感染発生の段階における検証ということで、例えば、被害 実態の把握に関する検証ですとか、国への報告若しくは医療機関、医療現場への報 告ということに関して検証を行っていこうと思っております。  こちら、先ほど申し上げましたが、資料1で御提示した検証項目の中の検証4の 項目を全体的に含んだものとなっております。  本日お示しした全体像なんですが、この中で、本日お持ちしたアウトプット・イ メージの中には、4ページの表の中の点線の枠で囲んであるところですけれども、 1)の開発・製造段階における問題点ということで、原材料の問題ですとか、不活 化処理の問題等について検証、これがすべてではなく、先ほど申し上げましたとお り、バージョンアップ、これから進んでいくと思いますが、とりあえず現時点の検 証のものをお持ちしております。   それから、真ん中の方に2)のiii)の(1)ということで、医療機関及び医療従事者 への添付文書による情報提供ということで、添付文書に関した検証を今回現時点の ものをお持ちしております。  今回、この内容に関しては、先ほど申し上げましたような細かい説明は割愛させ ていただきますので、こういった検証作業を進めていく中で出てきた論点について 御議論いただければと思います。   資料3に関しては以上です。 ○堀内委員 本来ならば、細かいところまで御説明をして、それに基づいて議論を していただければいいんですけれども、そうしますと議論している時間がないとい うこともございますので、できるだけ早く資料は配付したいとは考えておりますが、 今回も間近になってからの配付ということで、大変申しわけありませんけれども、 お目通しいただいたということを前提にして、資料4にあります今日の論点をお示 ししたいと思います。  今日は、津谷班員に御出席いただきました。班会議の中でいろいろな検証項目を 班員が分担して行っております。議論はみんなでやっておりますけれども、分担し ておりますので、中心的にやっている班員に出席していただいて、一緒に議論に参 加をしてもらうという形にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたし ます。  それで、資料4をごらんいただきたいんですが、今日は、検証3「行政の動き」 を担当している津谷班員に、Aの1.製造承認の際の審査内容、それから、3ペー ジの再評価について、ここの点について説明をしていただいて議論をしていただく と。それから、4のところ、これも情報収集分析伝達体制というのがありますけれ ども、これも津谷先生の御専門のところですので、やっていただくということで、 3の添付文書についてという項目について、これは製薬企業の方の問題ですので、 私から提案をして議論をしていただくという形にしたいと思いますので、どうぞよ ろしくお願いします。  できるだけフォーカスを絞った議論をしていただいた方がよろしいかと思いまし て、こういうことを考えてみましたので、また御意見をいただければ、それに従っ てやっていきたいと思います。  では、津谷先生。 ○津谷研究班員 津谷です。この会に初めて参加させていただきます。堀内先生の 下で班員として研究しています。はじめにこの班の活動の進め方に対する私の考え を少し述べたいと思います。事実認定が一番大切だと思いますが、班の性格として 若干問題があるのは、第1に、我々には、強制権がないということです。いろいろ な人にインタビューしたり、これからもインタビューしようかと思っているのです が、裁判所と違って、例えば偽証罪がない。本当にバイアスのない情報を我々は得 ているのかということが保証ができないという問題があると私は思っています。第 2に、サイエンスとしてじっくり時間をかけて行いたいわけですが、時間が限られお り、未熟な段階で報告しないといけないということです。  先ほど堀内先生からもお話がありましたように、事前にお送りした資料と、今日 配付されたものとは若干違っているところがあります。そこで違ったところを含め てお話しします。  資料2が薬務行政の動きに関するアウトプット・イメージです。先ほど説明があ りましたが、この39ページ、考察のところですね。我々が事実認定をした上で、ど う考えるかを書いてあるのですが、これが事前に送ったものとやや異なっています。  資料4に戻っていただいて、まず、Aの1.製造承認の際の審査内容とところで す。新薬の製造承認です。これは項目が3つほどに分かれます。1番目に、その当時 の承認条件を満たしたのか。2番目に、その承認条件は妥当なものであったのか。 3番目に、実態はどうなのか、です。我々としては、当時の条件は満たしていたも の、現在の水準で見ると不十分だったのではないか。ここで「・・・ないか」とい う疑問形になっていますのは、これは62年に申請されて、64年に承認された薬です が、この薬以外の薬についてはどうだったのか。それらの申請書類とそれがどうい う具合に審査されて承認されたか、見てみよう考えています。厚生労働省に資料提 供をお願いしました。  ただしこの申請資料というのは40年以上前のものですが、知的財産権があるとい うことです。フィブリノゲンに関しましては、今日の委員の方には配付され、当時 の申請資料のコピーがここにあるわけです。これは以前すでに厚労省から公表され その際には企業の了解を得ていたというものです。他についてもそれを外に出す場 合には企業からの了解を得ないといけないということで、時間がかかるかもしれな い。そこでまず、承認されたリストだけ提供していただいて、そこからピックアッ プしてレビューすべき薬を選ぶ。企業の了解が得られない場合には、次善の策とし て厚労省の中でそれをレビューしていただいて、それを提供していただく。  承認条件そのものが妥当かどうかとは、よくアメリカは、薬事行政について先進 国と言われます。フィブリノゲンと同効の生物学的製剤が一体どのような資料に基 づいて、どのように承認されたのかということを日米比較をしたいと思っています。 フィブリノゲンは補充療法なので、通常の薬とは違うという考えもあります。そこ で補充療法の薬と、通常の薬の双方のレビューが必要になります。当時の前後数年 間、これはFDAが出してくれるかどうかという問題もありますが、したいと思っ ております。  参考資料2に申請書類のコピーがありますが、全部で60症例分入っています。こ の37ページを見ていただけますか。ここに「副本」と判子が押してあって、「フィ ブリノーゲンBBANKの使用経験」という、これが当時必要とされた6施設のうちの 1施設からのものです。ここに「宮○武○」から始まり、全部で22例が書いてあり ます。、これが60症例のうちの22例。3分の1はこの状態ですね。  私は将来、薬事行政の薬効評価の歴史の本を書くときには是非これを使いたいと 思っていますが、何と表現していいかわからないような表ですね。そこで、先に述 べましたように日米比較で果たしてこういうものがアメリカでも使われていたのか 見てみたいと思っています。  資料4については、事前に送ったものから、この1週間ほどで変更した点につい てお話しします。Bの欄を見ていただいて、2)に「承認の際に用いられた安全性 に関する情報の記載は、現在の水準から見ると不十分であった。また審査において 安全性を系統的に評価する手法もできていなかった」。ここまでは事前資料にあり ますが、そこに、ワンセンテンス加えました。「特に、売血による血漿由来の血液 製剤に対する感染の危険性に対する認識、情報収集監督体制が不十分であった」と。 これは、63年にライシャワー事件が起き社会的には関心は高まったわけですが、社 会的関心だけではなくて、審査する人というのはこういうことを考えていないとい けないということで、その監督体制が不十分であったということを書きました。  Cの段の現在の状況で、事前に送ったものは2つ目のポイント、生物由来製剤に 対してから始めましたが、順番を入れ替えまして、今日のバージョンでは、生物製 剤に限らず、医薬品一般において承認時の症例数は限られたものであって、頻度の 小さい副作用を見つけるには十分でない、それに対して再審査制度が始まり、また、 2001年からの市販直後調査が始まったということ、これを最初に持ってきました。  ついで、これは抜けてしまって大変申しわけないんですが、3)のCの欄の現在 の状況。ここに実はもう1行あったんですが、今、口頭で申し上げますと、対策案 として、班として今後こういったこともあり得るのではないかということで、新薬 承認時と承認要件が変わっている場合には、新たに必要となった資料、情報などを 提出させる、というものです。  この製剤は3回名前が変わっています。1回目は会社の名前が変わった時。これ は最初の承認から4カ月弱ぐらいで変わった。次には、フィブリノーゲンがフィブ リノゲンに変わった時。これがBの3)に書いてあるものですね。これは最初の承 認から12年ぐらいたってから起きたものなんです。3回目が、次のページをめくっ ていただいて、5)で、加熱製剤ができたときですね。これは、当時、青森の集団 感染事件後の緊急時であった。不十分なデータを補うために必要な追加調査が承認 条件に加えられていなかったと。ところがたかだか7例の1つの臨床試験ですね。 ただし、これは、現在の定義から言うと、臨床試験とは言えなくて、症例集積とか ケースシリーズという研究デザインです。右のCのところには「現在は、市販後に 調査や研究を行うことを条件に承認する『条件付承認』があり、希少疾患用医薬品 を除いて約20%がこうなっている」。これはたまたま先週末11月7-8日に東京で第 14回日本薬剤疫学会学術総会がありまして、そこで条件付き承認に関する発表があ りました。大体5つに1つは条件付承認になっているということです。そして「緊 急時等承認が急がれた場合にもその仕組みを活用することがありえるが、可及的速 やかに承認条件を実施し、提出することを厳格化する必要がある」。この文章を今 日のバージョンでは付け加えてあります。  次に、Bの段の7)ですね。「薬事行政の基本精神、基本方針に、薬害を繰り返 す要因があるのではないか」。事前にお送りしたものは、その他ということでCの 段にだけ書いてあったのですが、ヘッディングを明確に「基本精神、基本方針」と して記しました。世界的にはquality、safety、efficacyと称するのですが、日本 では「品質、有効性、安全性」と称されます。つまり、有効性、安全性の順番が、 世界で日本だけ、異なっています。すべての文書において、品質、安全性、有効性 という順番にした方がよいということです。すべての国を調べているわけではない ので、他の国もあるかもしれませんが。  もう一つこの下に、前に送ったバージョンにあったものとして、日本には薬の数 が多過ぎるのではないと。それと、審査や安全性対策に携わるスタッフの数との比 ですね。薬の数がもっと少なければ、いろいろな見逃しとかがなくて、もっと質の 高い市販後の対策がとれるのではないかということです。薬の数を制限することで す。ただ、薬事行政のもっと広い全般の話になりますので、本日の論点ではなくて、 資料2の50から52ページあたりに移してあります。  ちなみに、資料2の50、51ページを見ていただくと、次の項目の再評価にも関係 しますが、日本の再評価は1971年からスタートしていますが、最初に再評価の対象 となったのは、1967年9月30日以前に承認された薬ですね。今考えると驚くことで すが、約10万種類の薬が承認されていたんですね。ところが再評価をやろうと言う と、企業の方で7万がこれではだめだということで自主的に撤退したわけですね。 3万残った。また実際の再評価の作業が始まると、そのうちの1万がプロセスの中 で撤退したわけです。2万残って、それが第1次再評価の対象になって、50ページ の左下の図になりますが、一番右にトータルで1万9,849、これが約2万というもの です。これで「そのまま」というカラムがありますが、これが約2万が1万1,000 になったという具合に読んでいくわけです。これがどんどん続くというわけです。  資料4に戻りまして、再評価。これは事前に配付したものと違っているところは、 再評価についても、今いろいろ調べているんですが、Cのカラムの2つ目に、1997 年に厚生労働省の検討会で、再評価制度のあり方、これは4回議論されて、その議 事録が今ウェブで読めますが、途中で中断してそのままになっているんですね。11 年ほど前です。そこの下に書いてありますように、「従来の薬害事件をみると承認 された段階では想定されなかった意外な領域から大きな事件が起きていることもあ る」ということで、再評価の枠組みも何か使えるのではないかということです。  5ページ、これに情報収集分析伝達体制があります。ここは、前に送ったバージ ョンは、対策案のところに現状に関することが書いてありましたので、もっと明確 に現状と対策とに分けました。日本は副作用自発報告、ADRレポートと言うんで すけれども、約3万集まって、今、日本の厚労省がPMDAのデータベースが約26 万件、これは2〜3年前の値なんですが、今は30万件近くあるのではないかと思い ますが、そこに蓄積されたデータをもとに行うのがマイニング。鉱山を掘るという 意味ですが、そういった巨大なものから何かシグナルを見出そうというものです。 ただ、それがまだ十分にできていない。  一方、日本も参加している、これはもともとWHO自体がやっていたんですが、 70年代後半にWHOはもっと途上国の仕事をしようということでつぶれかかったの を、スウェーデン政府が引き受け継続した国際医薬品モニタリングを言うプロジェ クトがあります。現在はウプサラモニタリングセンターとして行っています。そこ には約400万件のデータが入っているんですが、これもどうも余り活用されていな い。  また、日本で年間約3万件副作用報告があるうちの20%ぐらいしか日本はこのセ ンターに送っていないんですね。つまり、利用もしていないし、貢献もしていない ということを書きました。対策案としては、PMDAのスタッフと体制を整えるという ことで、個々の副作用報告をレビューする人ももちろん大切です。また、シグナル 検出というと、何かオートマチックにコンピュータからパッと答えが出るのではな いかと取られられがちですすが、最終的にはこれは人が判断するとものですので、 判断する人の訓練と品質管理も重要でしょうとしました。  ただ、シグナル検出というのは分母がないんですね。何人中何人に副作用が起き たかの分母。この委員会でも以前に議論されたと思いますが、ナショナルデータベ ースというのは、医薬品使用状況と疾病の発生情報の、両方入りますので、この分 母がわかります。ただし今計画されているものが、本当に薬害をまた起こさないた めに活用されるような技術的なシステムでないといけない。例えば薬の名前がきち んと全部入っているとか、ここに「粒度」という見慣れない言葉が書いてあります が、そういったものがきちんとシステムとしてシグナル検出ができるようなものに なってもらいたいと書きました。  最後に、ファーマコゲノミクスは、これは特に修正がないですが、ちょっと説明 しておきますと、遺伝子を検査するといろいろな副作用が予測できるとか、過大評 価されがちです。分析的妥当性というのは、遺伝子検査とそれ以外の検査法との関 係の妥当性です。しかしそれだけでなくて、薬を使った後の臨床的妥当性、さらに 臨床的有用性、これは単純には、こういった遺伝子型を持っている人は、ある薬を のむと血圧が下がりますよいっても、本当に長生きするか、true endpointを用い 比較試験によってその妥当性、エビデンスを検証するする。またそうした検査の価 格が高いと実際に使えませんので、そういった経済的な妥当性なども含めて臨床的 有用性と言っているわけです。ここで、有効性と安全性とは若干意義が異なり、安 全性の場合には、エビデンスのレベルが低くても、ファーマコゲノミクスは早めに 使うべきであろうということです。  最後のページ、6ページは、特に事前に送ったものと違いはないと思います。  7ページに付いていますのは、添付文書の方でたしか引用しています。というこ とで、3番の添付文書の方は堀内班長の方から。 ○堀内委員 それでは、添付文書のところの問題点について報告いたしますが、こ れは資料3の7ページにフィブリノゲン製剤の原材料というのがあります。どこか ら輸入したか。日本のものがどう使われたか、有償採血による国内とかなんとか。 有償というのは、いわゆる売血ということになりますが、その辺、経時的にどのよ うに変化したかというのが7ページにございます。  それから、10ページに、ウイルスの不活化の経時変化がございます。あとは、18 ページに、処理方法、経年的にどのくらいフィブリノゲン製剤を使っているかとい う表と、それのグラフがございます。  それと、製造工程の変遷の特に20ページのところですが、製造方法、これは、ど のくらいの原材料を集めてプールして、そこから作ってきたかというのが書いてあ りますが、承認された最初から、溶融した血漿は、500リットルないし1,000リット ルのプールに混入して云々というようになっています。  27ページに、原材料及びウイルス不活化処理の妥当性に関する考察というのが書 いてありまして、これは、これから変わり得ることなんですけれども、500から 1,000リットルにプールしてやっているんだから、これ、2,500人から5,000人分を プールしてやっているんだということになりますので、どのロットについてもコン タミネーションをしている可能性があるのではないかということが書いてあります。  それから、30ページのところには、29ページからですけれども、添付文書の問題 になっておりまして、添付文書、具体的にどういう記載のされようがしているかと いうのが30、31、ここに具体例が示されておりまして、特にその中で製剤について の問題点を抜き出したのが36ページから39ページまでとなっておりまして、一番 最後に、添付文書に関する考察というのが書いてあります。この考察は既に大幅に 変わっておりますが、今日は特に添付文書に関する考察ということを中心にお話を させていただきたいと思います。  それで、先ほどの資料4の4ページ、「添付文書について」というところを御覧 いただきたいと思いますが、主として4つ問題点がございます。1つは、リスク情 報について、最小限の表示をしなかったために、医療現場が感染リスクを十分に認 識できなかった。重要性を認識していなかったとはいえ、添付文書のリスク情報の 記載は不十分であった。  それから、原材料に関しては「健康人由来の血漿」とのみ表現されており、売血 であることが明確に記載されていなかった。  製造工程に関した記載が不十分ということが書いてあります。  それから、適応外使用の問題。  それと、現在ではどのように改善がされているかというのが右側に書いてありま す。ここでの議論は主として、当時の問題点から、これから再発を防ぐためにどう したらいいかということが大きな論点でありますので、そちらを見ていただきたい と思います。  もう少し具体的に考察をしてみますと、添付文書というのは、その薬の基本情報 を医療関係者とか、医療機関に提供する。これは今は公的な文書になっているわけ ですけれども、添付文書の変遷を少し先ほど示しましたけれども、フィブリノゲン による薬害肝炎の発生については、安全性に関する情報が過度に強調されていると いうのはどうしても指摘せざるを得ないと思います。危険性に関する情報の提供が 不十分である。 その中で、特に問題点は、1968年の改訂から1972年まで、添付文書には、市販後 調査と言いまして、アンケートはがきを各バイアルのパッケージの中に入れて、そ れにもし問題点があれば、それを書いて送ってほしいということをやっています。 ですから、市販後調査というのはそれしかやっていないんですね。そのデータを添 付文書に書いてあります。  1968年の添付文書に書いてある文章ですけれども、「各包装ごとにアンケート回 収はがきを同封し、使用医師の調査協力を求め、1967年10月まで、22カ月間に3 万330瓶を供給したところ、わずかに2例の黄疸(肝炎)発生の報告を受けただけ であった。フィブリノーゲン−ミドリを使用された多くの医師において、本品の使 用による肝炎発生は経験されていない」と書いています。1972年版には、「1971年 末まで14万5,990瓶を供給しているが、わずか2例」。だから、それ以降増えてい ないわけですね。「2例の黄疸(肝炎)の発生の告知を受けただけであった」とい うようになっています。  要するに、年がたてばたつほど、いかにも安全性が増しているような記載になっ ているということがあります。これは、1つは、市販後調査をアンケートはがきだ けでやっていたという問題点。これは当然のことながら、必ずしも医師のところに はがきが、パッケージからみんな出しているケースもあるわけですから、届いてい ないこともある。もう一つは、自発報告だけで市販後調査の結果を判定していると いうことで、メーカーとしての積極的に安全性についての情報を得るということが 行われないで、安全性のみが強調されている。  それから、血清肝炎の予防に関しては、同年の添付文書、1972年版を見ますと、 グロブリン−ミドリを初回25〜30mg/kg、1カ月後に同量再注射をすることにより、 ほぼ完全な予防手段と認められる。そのように書いてあります。  それから、加熱製剤の添付文書でも、本加熱処理によりマーカーとして用いまし た各種病原ウイルスは、いずれも検出限界以下になっているという記載がされてい ます。  一方で、完全には不活化されていない可能性があると言いながら、どちらかとい うと安全性を強調した文書になっていたということがあると思います。  発売当初から肝炎の発症の危険性というのは予測されていたにもかかわらず、安 全性を強調し、感染の危険性があるにもかかわらず、その情報を収集する努力を、 当時としても十分していないということに関しては、で、その情報を適切に医療現 場へ提供していなかったということは言わざるを得ないと思います。  もう一つは、添付文書の中に、ウイルスの不活化が十分だったかどうかというこ とが問題になるわけですけれども、先ほど言いましたように、大体500リットルか ら1,000リットルの血漿をプールして、そこから分画しているということはやって いるわけですから、1人200ミリリットル採血をするとすると、2,500人から5,000 人分をプールしているということを考えますと、ほとんどのロットのフィブリノゲ ンが感染をしている可能性があるということになるわけですけれども、それについ ての記載は、本剤の使用により、まれに血清肝炎に罹患することがある。アメリカ において、本剤の使用により15〜20%の急性肝炎の発症があるとの報告があり、使 用の決定に際して患者のリスク負担と投与によって受ける治療の利益を秤量すべき であるとされている。これは大分後の話で、要するに、米国でフィブリノゲンの製 造承認の取消しが行われた後の話です。1977年に取り消されておりますけれども、 1985年でも同じような記載になっている。  ところが、先ほどの承認取消しをしたFDAのフェデラルレジスタという連邦広 報と言うんでしょうか、その中には、肝炎感染の頻度は明らかではないが、少なく とも25%はあるだろう。他の血液凝固剤と同等に75%に及ぶ可能性もあるというよ うに記載をされている。だから、そういう情報があり、12月にフェデラルレジスタ というのが出て、1カ月後にはミドリ十字ではそれを取り寄せて回覧をしているわ けですけれども、それに対して十分な対応をしていないということがあります。  こういうように、添付文書の中にも当時からの知識に基づいても危険性を十分伝 えるという努力が不十分であったというのではないかと思います。  大体添付文書の問題点というのはそんなことかと思います。 ○寺野座長 どうもありがとうございました。  資料1、2、検証3、4、さらに資料4について、これらの検証の整理をしてい ただいておりまして、これがA、B、Cの枠組みで御議論いただきたい点と、Bで 薬害肝炎関連時点での実態と問題点、Cで、現在の状況と対策の可能性ということ で、製造承認の際の審査内容について、再評価について、添付文書について、さら に、情報収集の分析伝達体制についてということでしょうか。それらに分けて整理 していただいています。  資料が非常にたくさんありますので、しかも、かなり直前に送られてきているの で、それを皆さんお読みになったことを前提に議論しなければいけないんですけれ ども、かなり無理もあるかもしれません。がしかし、一番整理されているのは資料 4のこの表でありますので、これに従って、そのほかの資料を参考にしながら議論 をしていただきたいと思います。1時間ちょっとです。4時半くらいに大臣がお見 えになるというお話ですが、淡々と進めていけばよろしいかと思います。  議論をしていただくんですが、その議論の仕方ですけれども、一括して議論をし ていただきたいと最初にお願いをしたわけですけれども、4つの大きな論点があり ますので、できれば、1、2、3、4それぞれについて、順番にできればやってい きたいんですけれども、どうしても順番どおりにはいかないかもしれませんので、 随時質問していただきたいと思います。  ただ、どなたか質問されますと、あちこち飛んでいくわけにいかないので、その 議論に関連した質問を簡潔にしていただいて、回答していただくという形で進めた いと思うんですね。これだけのことを1時間ちょっとで議論するというのは大変は 大変なんですけれども、できるだけ多くの方に発言していただきたいと思いますか ら、できるだけ発言を短く簡潔にお願いしたいと思います。  それでは、この資料4をもとにしていろいろ問題点があると思いますので、御議 論いただきたいと思います。できたら1、2、3、4の順番がいいんですが、そう でなくても結構ですので、どなたからでも御発言ください。泉委員どうぞ。 ○泉委員 資料4のB、一番上です。「1964(昭和39)年の承認申請の際に臨床研究 の資料は、当時の承認条件は満たしていたものの」と書かれていますが、満たした かどうかという実態はどういうふうに判断されたのでしょうか。 ○寺野座長 順番という一番最初から質問していただいてありがとうございます。 この当時の承認条件を満たしていたと言えるかどうか、その証拠はどうかというこ とですね。 ○泉委員 そうです。ほかの資料を見ると、ずさんであるということとか、基準を 満たしていたかどうかは疑問を生じるというところが出てくるはずなので、そうす ると、ここで「条件を満たしていたものの」というふうに決められたそれが。 ○堀内委員 特に臨床試験の症例については、当時の条件というのは、2カ所以上 の十分な施設がある医療機関において、経験ある医師により原則として合計60症以 上について効果判定が行われていること。なお、2カ所以上の専門の学会に発表し、 又は学会雑誌、あるいはこれに準ずる雑誌に掲載され、もしくは掲載されることが 明らかになったものであることを要するとなっています。  ですから、それは、先ほどの表にあったのを、計算を入れると60症例を満たして いますし、論文等も、先ほど委員の方にはお配りしてあると思いますけれども、臨 床、参考資料がありましたけれども、それを御覧いただくと、一応満たしていると いうことになってしまいます。 ○泉委員 しかしながら、この事実は、ここは司法の判断ではあれなんですけれども、 裁判ではこれを否定されているわけですよね。ずさんであると。それから、当時の 臨床試験についての添付文書としては基準を満たしているのか疑問を生じかねない という判断が出ていることもあって、この検証会議で「そこを満たしていたもの の」という決定で位置付けるのは、いささか疑問を感じるんですが。 ○堀内委員 今の基準ではなくて、当時の基準ですね。 ○泉委員 そうです。 ○堀内委員 当時の基準だと、満たしていると言わざるを得なかった。それが妥当 かどうかは別ですけれども、ですから、それについては十分ではないと。先ほど津 谷班員が示しましたように、典型例が表1枚で示しただけだということで、だから、 表1枚のが1症例として勘定するのが妥当かどうかという議論はあると思います。 ○泉委員 あったわけですね。ですから、ここで「満たしていたものの」という決 定をはずしてもらいたい。 ○寺野座長 どうぞ、花井委員。 ○花井委員 効果判定という意味ですよね。つまり、60症例あるけれども、効果判定 がなしたというのをどういうものをもって効果判定とするかというのは若干論点が あるかなと。当時のずさんさというのはよくわかっているので、当時、形式で基準 を満たしていたのではないかという言い方も一方では理解するところなんですが、 当時の基準からしても、効果判定からという考え方も一方ではあるかと思います。 その辺はどうですか。ある種効果判定していなければ、60集まっていてもだめなわ けなんですが。 ○堀内委員 これ、私が賛成しているということではなくて、一般的に言えば、論 文に載っているということは、審査をする人がいるような論文であれば、そこで評 価をされていると考えるのが普通かなと思いますけれども。 ○津谷研究班員 少し補足しますと、60例以上というか、ぴったり60例なんですね。 だから、最低限満たしたということとです。また補充療法ということでコントロー ルがない。ただし補充療法だからといって、コントロール、比較群がなくてもいい とは言えないとは思います。具体的な申請資料を見ると、驚くぐらいずさん。今の 時点から見ればずさんなんですが、ただ、このずさんさが、これに限らず、62年申 請、64年承認のもの全体がこのレベルであれば、これが特に問題とは言えない。し たがって、厚労省に依頼して、当時のほかの承認された薬の資料はどうかを調べよ うと思ったわけです。一方、承認されなかったものもあるかもしれませんが、承認 されなかった薬の資料は企業に戻しているということで、それはもう厚労省には存 在しないということです。 ○堀内委員 泉委員がおっしゃったように、ここでもって結論を出したというのに対 しては、比較をしてから最終的な結論を出すということです。 ○泉委員 そうしていただきたいということです。 ○寺野座長 そうですね。科学的というか、論文等の判断と裁判所の判断と、そこに ずれがあることは確かですから、その表現は、これを外すか、表現を変えるか、何ら かの形に変えさせてもらった方がいいですね。 ○泉委員 変えていただきたい。 ○寺野座長 これは事務局よろしいですね。 ○堀内委員 ですから、それは厚労省にお願いして、当時の審査資料を見せていただ きます。よろしくお願いいたします。 ○医薬品副作用被害対策室長 資料の宿題をいただいていますので、その作業は進め ています。 ○寺野座長 資料が出ているんでしたっけ。これに関しての資料ではないでしょう。 ○医薬品副作用被害対策室長 研究班の方からいただいているのは、この当時に承認 されている他の医薬品についての承認申請資料を確認して比較したいということです ので、その資料を出すよう依頼されているということでございます。 ○寺野座長 わかりました。清水先生。 ○清水委員 今の問題ですけれども、これは表現の問題だと思うので、後で訂正して いだたければいいことで、余り議論してみても始まらないと思います。私見だけ申し 上げますと、こんなずさんなことでよく世の中通ったなというのが今の判断でござ います。 ○寺野座長 何か補足を。 ○堀内委員 これについては、研究班もびっくりはしているところでございます。 ○寺野座長 泉委員の御指摘は、訂正していただくということで。  そのほかに御質問ございますか。  それから、意見書を坂田委員、水口委員、山口委員、山口委員は今日欠席なんで すけれども、いただいておりまして、それを添付しております。それを御参照くだ さい。坂田委員、どうぞ。 ○坂田委員 済みません。検証に入る前に、以前からの課題というか、それを質問 させてください。  10月27日にお願いしたつもりなんですけれども、研究班のメンバーに、私たちの 原告団が推薦する方を入れていただきたいとお願いしていますけれども、どのよう になるのでしょうか。済みません。一気に5項目行かせていただきます。  それと、10月27日に、平成13年ごろに肝炎対策に関する有識者会議や、その前 後に肝炎プロジェクトチームを設置したり、その会議を開催されたり、肝炎絡みの 委員会等を開催されていると思いますけれども、何が話し合われたのか、ポイント を押さえた資料を提示してほしいと以前お願いしていますけれども、資料提出はい つになるのでしょうか。 ○堀内委員 一度に5つやるとわからないので、一つずついきます。先ほどの原告 団を委員にするという話。これは、今、班員にするというのは、手続上は書類を出 してありますので難しい。ただ、協力者というのを依頼して、お金については旅費 だとか、そういうのを準備してありますので、必要なときに議論をする。その前とか、 そういうときにできるだけ参加していただくようにしたいとこの前の会の時にお話 をしたつもりですけれども、それではまずいですか。この前、予算とかいろいろお 話をしたときに、そういう形で。余り差がないんですけれども、いつも出てきてい るかどうかということだけの話なので。今のところ、それを、手続的には予算をい ただく都合上で早めにやらないといけなかったものですから、班員をかためて書類 を提出したので、協力者という形でいろいろやっていただければありがたいと思っ ています。 ○坂田委員 済みません。まだ全然把握していなかったもので、また検討させてくだ さい。 ○医薬品副作用被害対策室長 2点目の平成13年の調査の話、この前御質問がありま したので、今日に間に合わせたいと考えて準備したんですけれども、ちょっと間に 合わなかったんですが、次回には報告できると思っています。 ○寺野座長 じゃ、3つ目いきましょう。 ○坂田委員 3つ目ですけれども、今日の意見書の2枚目に書いていますけれども、 フィブリノゲン糊の研究会向け配付資料が第6回検討会資料に添付されていません。 そしてまた、その印刷物も明確にされていません。さらに、その研究会そのものの 発足の経緯を示していただきたいと思います。 ○医薬品副作用被害対策室長 今の御質問は、平成13年に三菱ウェルファーマ社が報 告をしたもので、フィブリン糊研究会というのはミドリ十字社のもので、そこの資 料に書いてある配付部数というのは、そこでミドリ十字が使ったパンフレットの部 数とか、という資料です。なので、とりあえずその平成13年当時は会社からはもう 残っていないという報告があったというのをそのままの資料で出したということで すので、その当時の発足の経過とか、そのときのパンフレットが何部あったかとか いうのは、我々の手元にありません。今後の作業の中で出てくるかどうかという話 ですので、すぐに出せと言われても出せる性格のものではございません。以上です。 ○坂田委員 わかりました。では、わかり次第に是非よろしくお願いします。  あとは、今回の質問事項に入れているんですけれども、第6回資料でフィブリノ ゲン製剤の製造量などが、平成13年3月26日のウェルファーマ社からの報告では、 54年以前が不明、記録がないとなっていますが、その記録の確認を厚労省はされた のでしょうか。行っていないとすれば、その理由を明らかにしていただきたいし、 また、報告全体についても詳細な確認作業はされたのでしょうか。今日の資料でい けば、資料3の7ページと18ページに該当すると思うんですけれども、39年から 48年の5月までがないと思います。 ○堀内委員 これについては、今、班会議の方からメーカーに問い合わせをすること になっています。 ○坂田委員 では、済みません。あと1つです。  今回の委員会資料としては、前回よりもわかりやすくまとめていただきまして感 謝しております。検証1は、概要となることからともかく、検証2の部分について は、今回のようなものは再度提示できないのかということをお尋ねしたいです。検 証2の被害の実態を明確にすることが、本来これがあって次に進むものと考えてお りますけれども、いかがでしょうか。 ○堀内委員 これはあくまで、こういうような形で出したいということで今回検証 3と4を出したわけですけれども、すべてのものについて同じような形で可及的に 早くやりますけれども、一度に全部できませんので、担当して今それをやっている 最中ですので、だんだん出したいと思っています。 ○寺野座長 いいですか。 ○坂田委員 ありがとうございました。 ○寺野座長 非常にこの整理はわかりやすいので、ほかのパートでもやっていただ ければありがたいという話ですね。  どうぞどなたか御質問。水口委員。 ○水口委員 今、被害実態のことに戻ったので、検証項目について一言だけ忘れな いうちに。  今回、改定された検証項目が出ているんですが、私が2008年の10月9日付でこ の検証会議に意見書を出させていただいて、特に今話題になった被害の実態に関す る検証項目として、被害者の視点を入れた検証をお願いしたいということで、被害 者が感染の事実を知った時期とか、投与の時期とか、そういった観点からの検討と いうものも項目に入れていただきたいということをお願いしました。たしか堀内先 生、前回は、その視点を入れていただけるというお話があったように思うんですけ れども、今回いただいたものに入っていないので、是非それはお願いしたいと思っ ておりますが、いかがでしょうか。 ○堀内委員 それは、お話を伺ったのを入れるということはお約束したんですが、 どういうような形で入れたらいいかというのを後で教えてください。 ○水口委員 はい。よろしくお願いします。 ○寺野座長 そのほかどうぞ。小野委員どうぞ。 ○小野委員 まず、1点は、さっきの「承認条件」という言葉ですけれども、こん な言葉はどこにもない言葉をその概念として使っているんだと思いますが、先ほど 来の議論のあるとおり、形式的な要件と、実際何を承認するのか、非常に難しくて、 今だって答えは1つもない。薬事行政上すっぽり空いている空白ですから、こうい う言葉ははっきり使わない方がいいんじゃないか。違う形でやんわり書いた方が、 むしろ議論が皆さんのコンセンサスが得られるのではないかというのが1点。  2点目は、これは当時は1979年の前ですから、リスクベネフィットということを 言っているのはないわけですね。津谷先生、ないですよね。 ○津谷研究班員 ないですし、当時の承認条件というか、リクワイアメントとして、 臨床的安全性というのが要求されていなかった時代ですね。 ○小野委員 しかし、物を承認するときに、当然、お医者さんであろうと薬剤師で あろうと、リスクとベネフィットを考えて、この物を承認していいかというのを考 えるのはある意味常識だと思うんですけれども、書いてあろうとなかろうと。それ に関して、何か突っ込むことは。つまり、そこが何回も承認一部変更申請だとか、 役所の方、企業の方の目を通る機会が何十年もあったにもかかわらず、これは、世 の中にあった方がいいものだ、簡単に言うとそうだと思うんですけれども、世の中 にあった方がいいものだ、そういうリスクベネフィットを持ったものだという、そ の判断に関する証拠ですとか、過去の検証すべき事項という形での抽出はできない んでしょうか。 ○堀内委員 トータルとしては、検証5を踏まえないとなかなか難しいと思ってお りますので、またそこへ戻って議論をしていただければ。当然これだけでやっても 議論できないものは幾らでもありますので、今の安全性の問題について言えば、そ れが要求されているということはなかったということを申し上げているので。ただ、 医療のそのときの、例えば肝炎の認識だとか、これについて言えば、フィブリノゲン について言えば、それと見てどうだったかとか、そういうのは当然議論になると思 いますけれども、それはもう少しデータを出したいと思っていますので、その後で 議論をやっていただければと思います。 ○小野委員 当時の部会の記録とか、そういうのは残ってなさそうなわけですね。 要は、人の生の声で、この薬は有用性があると。以前の厚生省の報告なんかは、有 用性があったと当時考えられていたと受け身形で書いてあるんですけれども、そう いう議論が裏付けられるようなものというのはなかなか出てこないわけですか。 ○津谷研究班員 今日の資料2、検証3に、当時の厚生省の中のスタッフの数の変 遷が、37ページあたりに書いてあります。いわゆる審査というのは内部審査と外部 審査とあって、日本はずっと外部審査、中央薬事審議会というのが一時あったと思 います。今でもPMDAは必要に応じて頼む外部の人のリストを1,000人近く持っている のではないかと思います。今、小野委員がおっしゃられた部会というのはこの中央 薬事審議会の議事録だと思います。御指摘ありがとうございました。それも調べて みるとよいと思いますが、ただ、それ、どこでどうやって探していいのか、いまの とことわからなりません。 ○小野委員 最後、1点だけ短くやります。最後もう一つだけ確認したいのは、7 番として、「薬事行政の基本精神、基本方針に、薬害を繰り返す要因があるのでは ないか」。これは私もそういう印象を持っているわけですけれども、これは、中で 働いている方の話も含めてということでしょうか。何かここに書いてあるのは形式 的な理念みたいな話はわかるんですけれども、当時の方だって苦労をされて審査を していたんだと思うんですけれども、その大変さが今回の中では一つも読み取れない。 私はどっちに味方する意味合いでもなく、当時、仮にすごく大変で、これはどうに もならんような状況で審査をしていたのなら、その状況もはっきり書いておかなけ ればいけないし、そうではなくて、ボーッとしていたというのだったら、ボーッと していたということを書かなければいけないと思うんですが、7番については、そ ういうところまでスコープに含めることはお考えになっていますか。 ○津谷研究班員 37ページの表に戻りますが、62年に申請されて64年に承認されたと。 当時は製薬課と言っていた時代らしいんですが、人の数は今のところわかりません。 当時、先ほどお話ししましたように、10万ほど薬があった時代で、すごく大変とい うか、オーバーワークの状況で、当時の人を責めることはできないんじゃないかと 思います。むしろ、そういう安全性、先ほどリスクベネフィットの話も出て、当然 のことながら、審査に当たっていた人はリスクも考えていたとは思うんですが、む しろ個人の審査官の思いというか、正義感というか、正しく業務をやろうというこ とよりも、そういうスタッフの数と質を含めて、システムの問題じゃないかと私は 思っています。 ○寺野座長 いいですか。どこでもいいですよ。時間の関係もありますのでね。水 口委員どうぞ。 ○水口委員 今、津谷先生からシステムの問題という御指摘があったんですけれども、 そういう意味では、そういう問題があるのかどうかということの検証もここでは非 常に重要です。その意味では、「事前送付資料」には「その他」ということで、要 するに「審査すべき対象の薬はもっと絞れる」とありました。薬の数の問題と審査 人員の問題です。それは単純に審査する人を増やせばいいというだけじゃなくて、 「本当に意味のある薬が審査対象になっているのか」という観点からの非常に本質 的なです。要するに審査している人も、「この薬って既に市場にある薬に比べてど こが一体優れているんだ。」と首を傾げながら審査しなければならないという現状 があるとすれば、それがまた、本来きちっと十分に審査しなければいけない部分を 圧迫しているということがあるのではないかと。それは昔も今も変わらないとすれ ば、そこはそれに対する対応も考えていかなければいけないということです。(事 前配布資料の)「その他」の項目にあって、今回削られた部分というのは、ある意 味で本質的な問題提起で、ここはきちっと検討の対象に残すということをされたら どうかと私は思っております。 ○堀内委員 削ったのは私なんですが、最後の段階では、まとめの段階では、当然もっ と先の段階で議論して、方向性を示すという意味では入れないと思っていたんです が、一度にここでもって先のことまで一緒に議論すると複雑になり過ぎるかなと思 ったものですから、それは私の責任ですから、やらないということではなく、当然 議論をして、後ではやりましょうという、ここで議論してもらいましょうという話 にはなっています。 ○寺野座長 清水委員どうぞ。 ○清水委員 今の水口委員の言われたことは非常に大事なことだと思いますので、 是非将来検討していただきたいと思う。  それから、小野委員が言われましたフィブリノゲン製剤の適応の問題だろうと思 うんですね。この問題は、臨床医学に携わっている立場から申しますと、非常に専 門性というものが壁になるというか、重石になると言うべきか。ですから、あるそ のことについて非常に積極的に研究し、診療に当たっている医師が、これはいける んだと言いますと、その壁を突き破るというのは非常に難しいことだと思うんです ね。したがいまして、効果がある、あるという情報は幾らでも集められると思うん です。それに対して、本当か? という疑義をさしはさむような情報というのは極 めて得にくい。しかも、そういうものはほとんどペーパーになりにくいのではない かという状況があるということは、これは医学の世界だけではないんじゃないかな という気もちょっとするんですけれども、そういう条件がありますので、小野委員 の言われることは非常に大事で、是非知りたいところではあるんですけれども、情 報を得るのは極めて難しいのではないかなと思います。  したがって、効果がある、あるという情報を今回提示されました検証資料の中の この程度の内容で承認が下りちゃったというそこのところに、医学界、私自身も医 師ですけれども、含めての自省があるのではないかと思うわけでございまして、そ の辺は1つの大きなテーマだと思うんです。今回ここで議論すべきかどうかはわか りませんけれども、そういう問題があることは知っておいていただいた方が議論は 進むのではないかなと思うことが1点でございます。  それから、もう一つ、今もちょっと議論がありましたが、青森県のような事件が あったにもかかわらず、そういうことが実際には上がってこなかったといった場合 に、それから、第IX因子のコーナイン等につきましても、「先天性」というように 初めに名前が付いていたのが、実際には後で「先天性」が取れちゃった承認申請の 変更があるんですね。ということは、それだけ適応が拡大されたということで、そ れについての議論はほとんど行われていないのではないか。行われることがなくて 承認になってしまった、これが大きな問題点の1点だと思うんですが、そういうこ とを踏まえていきますと、よくあることは、これはオーファンドラッグだから早く 出そうといったようなものもあるんですけれども、緊急性があるから早く許可を出 そうといったときに、じゃ、市販後で、これからも続けて情報を得ていきましょう といったときに、そういう情報がちゃんと上がってきたかどうか。それがちゃんと 審議されたかどうかという仕組みが欠落していたと思うんですね。今は多分そうい うことはないような状況になっているのではないかと思うんですけれども、最近の 汚染米の問題にありますように、幾ら立入調査をやっても、メーカーサイドがいろ いろな隠し方をしますと、いろいろな調査をやってもなかなか発見できない。です から、そうなりますと、医薬品の場合には、再審査という網を、期間がいろいろあ るんですけれども、網をかけることによって、その問題を浮き彫りにさせるという ような仕組みが対策としては必要となってくるのではないかなということを将来の 検討課題の中に入れていただければと思うんですけれども。 ○寺野座長 小野委員、何かそれに関するものはあるんですか。簡単に。 ○小野委員 先生のおっしゃることは確かにそのとおりだと思うんですけれども、 しかし、そこを、世の中、この世界はこういうものだからこうですと言ってしまう と、多少だれかが気持ち悪い思いをして過去、こういうことだったよねと言い出さ ないと、何となくこのまま10年、20年また同じことが、という心配を私は感じるので、 できるだけ。  もう一つ言っておきたいことは、ここは裁判の場じゃないわけですよね。役所の 方が一言二言何か言って、それで今後の刑事責任を追求してやろうなんて、そんな 了見の狭いことを言う弁護団の方々ではないと思いますし、薬害の方々ではないと 思います。将来のためにということでしょうから、それも踏まえて、そのとき、ど ういうことを考えていたのかだとか、今これを見て当局の方々がどう思うのか、も うこういうことは我々はやりませんと思うのだったら、あるいは、これを見ていた ら、やっぱりこれはやりますね、私どもは、この状況だったらやると思いますとい うのか、そこのところの印象を少しは突き詰めていくこともできればやった方がい いのではないかというのが私の感想なんですけれども。 ○清水委員 それは、今思うことであれば、幾らでも言えることだと思うんですね。 ですから、当時そういう証拠があったかどうかということをほじくり出していくこと は非常に難しいということを申し上げたわけです。ですから、私自身の経験もない わけじゃないんですね。例えば第IX因子、私は、あるとき調査会のメンバーだった んですが、第IX因子の肝疾患に対する出血傾向に対する適応があるかどうかという、 これは調査会に薬務局の方から非公式に意見を求められるということがありまして、 そういうような意見があって、私も別に確信があって、データがあって言っている わけじゃないんですが、本当に効くのかなということを言った記憶はあるんですね。  それから、フィブリノゲンにつきましても、いろいろなことについて、これは輸 血をやっている立場もありますけれども、本当にフィブリノゲンだけで効くのだろ うかという疑問は呈していることはあるんです。ですけれども、産科の出血に対し て、産科の実際の出血を治療している臨床医師が、これは効果があるんですよと言 われますと、専門性の門外漢である私には、反論の余地はないと。ですから、例え ばエイズのときにおいても、第VIII因子、非加熱は効くが、加熱だったらだめだとも し言われたとするならば、第VIII因子を本当に使っている血友病の専門医に対して、 門外漢の専門性の連中では、十分な反論はできないという事実は、現実の問題とし てあると思うんですね。  ですから、その当時のそういうデータをほじくり出すのは極めて困難であって、 ほとんどゼロに近いのではないかと。ですから、それ以外に、効くよ、効くよと言 ったことに対して、本当にそうだったのか、こういう考えで今度は臨むべきじゃな いか、そういう議論は、幾らでもできると思いますので、そこのところを私は申し 上げているわけです。 ○寺野座長 いいですね。  清澤委員、手を挙げておられました。大平委員ちょっと待ってくださいね。 ○清澤委員 添付文書のところで、先ほど堀内先生から説明があって、私もびっく りしたんですが、アンケートはがきが付いていたということですけれども、多分、 私ども当時の医師のところにそんなはがきは届いていなかったんじゃないかと。薬 局には行っていただろうけれども、実際に使う医師のところにはそんなものは行っ ていなかったんじゃないかなと僕は想像します。私、これを使った経験がないもの でわからないんですけれども。  それともう一つ、この添付文書にある14万5,990瓶を供給しているが、わずか2 例の黄疸の発生だとか、そういうことが本当だったかどうかということですね。多 分はがきではそういう回答があったということですけれども、多分会社は、メーカ ーは、ちゃんとその当時から肝炎の発生をかなり把握していたんじゃないかと思う んですが、是非その辺のところも調査していただければと思いますけれども。 ○寺野座長 なかなか難しい調査ではあるんですけれども、可能かどうか検討して いただきますかね。なかなか難しいかなと思う。 ○堀内委員 今の点については、実際にどのくらい掌握していたかというのは質問 しますけれども、どれだけ回答が得られるかというのはなかなか難しいかなとは思 っていますが、できるだけやりたいと思います。  それから、検証の5と関係するんですけれども、医師がどういう認識であったか、 あるいはどれだけ危険性について認識していたか、特にその点については、アンケ ート、あるいはヒアリングをやりたいと思っているんですけれども、これもある程 度の人数をやらないときちんとしたデータが出てこないので、その辺、どうしたら いいのかなと思って頭を痛めています。例えば、5人や6人やっても、偏ったバイ アスがかかったデータになってしまうと思って、当時の人の、例えば医師をそれだ け今の段階で確認をし、そこへ行って、ヒアリングをし、というのがどれだけでき るのかなという不安はありますけれども、試みてみたいと思っております。 ○寺野座長 大平委員どうぞ。 ○大平委員 この論点の整理については、大変紳士的に大変わかりやすく作られて いるんですけれども、1つ裁判でもいろいろ出てきている問題だろうと思うんです けれども、製薬会社と行政とか、こういう製造承認の際の中で、言葉としては適切 じゃないかもしれないんですけれども、癒着があった問題とか、いろいろな見えて こない問題というのが本来はある程度表面化しなければ、何の改善点にもつながら ないのではないかなと思うんですね。こういったところにはなかなかそういう点は 出てこないというところで、せっかく企業サイド、そしてまた行政サイドにいろい ろと聴取していただいているところで、その辺がなぜ出てこないのかなというのが、 私は大変不思議なところがあって、そこはきっちりと、今後の問題点としても大き な問題点としてあると思いますので、是非検証の中に入れていただきたいなと思い ました。  あと、もうほかの委員の方から御指摘がありましたけれども、医師の認識ですと か、本来、企業、行政、そしてまた病院当局とか医師の問題というのが大変極めて 今後検証では大きなウエートを占めるのではないかなと思っておりましたけれども、 ここ自体が薬事に関しての問題なので、なかなかそこは取り上げられてこないのか なと思いますので、せめて小野委員が指摘されたように、中央薬事審議会の議事録 とか、そういうところで専門家の方たち、専門性を持った方たち以外の方たちから、 どういう何か示唆があったものか、それからまた問題点が提起されたかというとこ ろは、今後の委員のそういう審査する、それからまた、委員会を構成するにしても、 委員の資質とかそういうのも含めて、今後の検討課題になるのではないかなと思い ますので、是非その辺も加味していただけたらありがたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。よろしいですね。  間宮委員どうぞ。 ○間宮委員 1964年とか、この当時に被害を受けた者としては、サリドマイドの場合、 海外で使われている有名な薬については、審査を簡単にしようということをやって いた時代で、サリドマイドについても30分ぐらいの審査で通ったというようなこと が当時あったわけですね。そういった審査体制、ずさんな審査システムというのが あって、しかも、そのすぐ直後に、被害が外国であって、その警告が出ていて、そ れをキャッチしているのにもかかわらず、10カ月間も日本は回収までに時間がかか っているわけですね。さらに、10カ月間もかかったけれども、回収、発売中止に至 っているのにもかかわらず、それにもかかわらず64年ぐらいのときにこういうずさ んなことをやっているというところは非常に許せないところであって、そういった 部分でも、サリドマイドのようなことがあったんだから、もっとすぐさま当時の行 政官の方々が、行政官だけではないと思うんですけれども、審査をする人たちがも っと気を付けるべき時期だったと思うんですけれども、そのあたりをサリドマイド 被害者としては、肝炎、フィブリノゲンだけの話ではなくて、ちょっと表現が難し いんですけれども、結構気を付ければ気をつけられる時期だったと思うんですね。 大きく体制を変えられる時期だったはずなのに、それができなかったのは何でなの かというのが非常に疑問というか、知りたいところなので、そのあたりというのは 何か、調べられるのであれば調べてほしいなというのがあるんですけれども。 ○寺野座長 堀内委員どうぞ。 ○堀内委員 その点についてはおっしゃるとおりだと思うんですね。ですから、極力、 お約束はできないですけれども、資料等については探してみたいとは思いますが、 大事な点だと思いますね。再発防止という観点から考えても、これはいつも言われ ることなんですけれども、サリドマイドという大きな事件が起こった直後であると いう、同じくらいの時期ですので、どういうことだったのかというのは、今後の行 政のあり方を考える上でも大事だと思います。 ○寺野座長 Bに関しての実態と問題点、当時のですね。について随分質問がある んですけれども、Cの状況と対策の可能性というのが非常に重要なので、この点も 踏まえて議論に入れていただきたいなと思うんですけれども、泉委員どうぞ。 ○泉委員 私もBのところからCに入りますので。  今の間宮委員のお話で言えば、このフィブリノゲンというのは、1977年、アメリ カでFDAが製造承認取消しされているわけですよね。そして、1978年、翌年、ア メリカのミドリの当時の子会社から輸入されているわけですよね。この会社は、現 実には新しい会社を作ったような形ではありますが、現存している血液分画製剤の 会社の一部門をミドリが買収して、そしてこの会社にしているわけですね。そして、 当然として、そこに社長として就任されたのは、もしインタビューができるのであ ればしてもらいたいんですが、当時の分画製剤の責任者だった方がミドリのアメリ カの会社の社長に就任されています。ということは、先ほどほかの委員の方が言わ れたように、この事実を知っていたはずだと。肝炎の危険性が非常に大きいという ことと、プール血漿ですから、大きくすれば、それだけ危険性があるというのは知 っていたはずだと。そこのところに企業の利益優先。その利益優先というのは、今 後も、これからもあるとしたら、どういうふうに、次からCに変わりますけれども、 それを行政でやっていくことができるのだろうか。当然として企業は利益を優先し たいから、そういうふうにやっていくと。そこを見極められるような何かの行政的 なストップをかけられるようなものを作っておかなければ、Cのところでは是非そ ういうものも必要ではないかと。ですから、一応Bのところで事実を検証していた だいて、そしてCの方で、企業の利益優先だけを通さないようなストップの方法を 是非提案していきたいと思っています。 ○寺野座長 ありがとうございます。非常に重要なところなんですけれども、これ の対策を具体的にどうするかというところはかなり難しいんですけれども、問題点 として取り上げていただくということですね。泉さんにもしこうしたらどうかとい うのが具体的にあれば一番いいんだけれども、今、具体的にないですよね。だけど、 問題意識としては持っておく必要があるだろうと思うんですね。  坂田さん。 ○坂田委員 この薬は、1964(39年)の承認申請ですけれども、私が疑問なんですけ れども、血液対策課長に質問なんですけれども、なぜ1964年ころにフィブリノゲン 製剤が求められるようになったのでしょうか。たしか同じ年に献血の閣議決定があ ったと聞いていますけれども、時期がちょうど合いますし、何か関係があるんでし ょうか。 ○寺野座長 わかりますか。 ○血液対策課長 先ほどどなたかの御発言があったように、ライシャワー事件が昭和 39年にありまして、国内での献血体制を確立する必要があるということで閣議決定 が翌年にありまして、それで献血体制に持っていったというのが1つございます。  ただ、フィブリノゲン自体の承認とそれが直接関連しているとは私は理解してお りませんけれども、またほかの情報が何かありましたら、調べてみたいと思います し、委員の方からも何か御意見、御知見があればいただきたいと思います。 ○坂田委員 献血の話を出しましたけれども、輸血用の血液を売血から献血に移行 させたのは、売血、いわゆる黄色い血の肝炎の危険性があったからと理解しています。 たしかその発端はライシャワー事件でしたよね。でも、今回、資料3の7ページの 表にありますように、ミドリ十字の有償採血という売血からの血漿も外国のと混じ ってフィブリノゲンの原料となっていることが前回の資料に続き明らかにされてお り、とてもびっくりしました。なぜ輸血用血液が献血に切り替わったときに、フィ ブリノゲンやクリスマシンなどの血漿分画製剤の原料もすべて献血由来にできなか ったのでしょうか。その理由をお答えしていただきたいのと、お答えいただく前に 確認いたしますけれども、ミドリ十字の国内売血は1990(平成2)年まであったと 聞いていますが、一体どこにあったのか。どういう人たちが集まって血を売ってい たのか、詳細を知りたいです。そして、その血漿はどう使われたのかもよかったら 教えてください。 ○寺野座長 今即答できるかどうか。 ○血液対策課長 今答えられませんので、企業に確認する必要があると思います。 また調べてみたいと思います。また、研究班の方でお調べいただけることがあれば、 お願いしたいと思います。 ○寺野座長 90年までですか。 ○坂田委員 たしかそうだと思います。 ○寺野座長 清水先生、それに関してコメント。 ○清水委員 簡単にコメントしますと、39年の献血の閣議決定は2つ理由がありまし た。1つは、ライシャワー大使事件が象徴的ですけれども、全国的に輸血による肝 炎が起こっておりました。主に売血ですね。それから、もう一つは、採血基準とい うのは一応あったんですけれども、それを無視した頻回採血が行われまして、1月 に循環血液量以上の採血をしたという記録が当時出ているんですね。したがいまし て、供血者貧血という妙な言葉がありまして、それで同じ人が何回も供血やってい る。鉄剤を飲むとか静注するとか、そういうことによって、どうも鉄剤の静注によ って肝炎ウイルスが広がったんじゃないかということがさらに肝炎を起こす悪循環 に陥ったのではないかということがいわれています。  それから、ミドリ十字などの3社ですけれども、売血をやっていたというのは90 年か92年までだと思っているんですが、これは輸血用血液ではなくて血漿分画用の 原料血漿を確保するという意味でやっておりました。それで、84年、85年にかけて、 成分採血の基準を作ったときに、そういう売血をやっている製造業者の人たちに一 緒に混ざってやったんですが、その実態というのは、同じ人が1日に向こうでの売 血、こちらでの売血というように渡り歩くということもあったりしました。血漿は わりあいと早くたんぱくが回復しますので、そういうことが可能だったんですけれ ども、実質的には、結局、山谷とか、ああいう要するに経済的な弱者の方たちが血 を売って、血漿を売って生活の糧を得ているという、売血時代と実態はほとんど変 わらないような形で行われていたというのが事実でございます。  分画につきましては、私も39年にフィブリノゲン製剤が出たというのは、今初め て知ったような状況、今回のことでわかったような状態なんですが、昭和50年に血 液問題研究会という、これも厚生省の研究会ですが、そこにはミドリ十字の当時の 社長も加わって、分画用の原料血漿も献血によって確保すべきだということが提言 されています。ところが、なぜか翌年、外国、主にアメリカから原料血漿の輸入が 開始されたということがございますけれども、そういうのが大雑把な状況でござい ます。 ○寺野座長 椿委員どうぞ。 ○椿委員 1の(1)の1964年の承認申請の件でございますけれども、まず、この段 階で、今日ありましたように、エビデンスという面では非常に不十分だということ は周知のことかと思うんですけれども、現在、例えば、先ほど津谷先生がいみじく も指摘された徳沢レポートのようなものが出てきたときに、これがある意味で本当 の、これ、承認申請で出たドキュメントとしてはこのとおりだと思いますけれども、 これが事実であって、これが本当の症例であるという担保は何らないわけです。こ この分野というのは、今日的には恐らくフィブリノゲンが投与されている症例とは 相当違う症例群が適用されたのではないかという危惧もあるんですが、この種のこ とが今日、例えばある1例1例の症例に対して、もちろんトレイサビリティという 形で確保できているということがなければならないことは当然であるということで す。もちろん、今となってはこれが事実であるかどうかすら判断ができないという ことを先ほどから言われているものですから、これをあえて指摘せざるを得ないん ですが。  第2に、先ほど当時のお医者さんというか、このフィブリノゲンに関してどうい う印象を持たれたかということが非常に議論になっていますけれども、私は、1964 年に厚生省が承認し、しかも、そのエビデンスには、産科領域に使われたものとい うのが論文として添付されて、それが、言葉は悪いですけれども、マーケティング として使われたということがあるのではないかと思うんですね。承認をしてしまっ て、それに一定のエビデンスをやる。国がそれなりのことをしてしまうということ に関しては、非常に大きな問題が。特に、私、この承認のときに使われた数少ない 論文の中には、既に肝炎の発症リスクのことがきちんと記載されているわけですね。 それにもかかわらず、先ほど堀内先生がまさに御指摘されたように、添付資料には 全く、ほぼその種の危険性ということが指摘されていないわけです。今日でも恐ら く、私はフィブリノゲンが有効性ということに関して検証が行われたかどうかとい うことに関しては全く疑問を持っておりますけれども、今日においても、もし安全 性に非常に大きな問題があるが、有効性上、いわゆる有用性という観点から承認し ようと思ったときに、例えば、肝炎を覚悟しなければならないけれども、有効性の 観点から、有効性のエビデンスないしはそれが非常にトータルで見た有用性で承認 すべき薬であったとしたら承認するというような事態に追い込まれたときに、一体 どのくらいのレベルの副作用があったときに、どの有用性、どの部分の有効性を 我々承認として認めるかということに関して、こういう基準が確立しているかどう かというのは大変疑問です。  この部分に関して、もちろん今日の状況の中で何をするかというときに、ある程 度の安全性上の問題があるというときの有効性というものの判断をどうするのかと いうことに関しては、それなりの立場というのを、当局、認可する立場が整備して おかなければならない問題なのではないかと考えます。  以上です。 ○寺野座長 ありがとうございます。今の点も非常に重要なところなんですが、な かなか具体的に検証というか、それになじむかどうかわからないんですけれども、 一応テーマとしては考えてほしいんですが。津谷先生。 ○津谷研究班員 今、椿先生がおっしゃった第1点のトレーサビリティの件です。 同じ資料4のCのところに書いてありますように、96年の改正薬事法に基づく医薬 品の臨床試験の実施基準、新GCPは98年から全面施行されてます。以前のGCPと の改正点は、大きく2点、倫理的、科学的とあります。第1の倫理的な質の方は、 書面による同意が必要になったことです。旧GCPは、1983年に専門家会議が設立 され、1985年にGCP案、1989年10月に通知、1990年10月に施行になったものですが、 当時は口頭同意でもいいというものでした。それ以前は、同意も何もなかった時代 です。  第2の科学的な質ですが、ソース・データ・ベリフィケーション(SDP)と称します が、治験のスポンサーである製薬会社が病院なり診療所へ行って、カルテとか検査 データをモニターします。実際に企業に届いた症例報告書とそれらとが同じかどう かということを確認します。また会社の別部門がそれをオーディットにいく。さら に、承認申請後に、PMDAの人が、GCP適合性調査に病院なり診療所へいく、このよ うなシステムが現在はありますので、今はトレーサビリティに関しては保証されて いると考えてもよいともいます。ただし、カルテにうそが書いてある、あるいは検 査データが間違えたことが書いてあると、そこまでは、検証できないことにはなり ます。  別の点として、厚労省から承認されたことがマーケティングに使われる。今だと 当然承認されなければマーケティングできませんが、昔は、先ほどお話ましように 同意もない時代ですので、ずるずると使ってしまっている。承認されていないもの をですね。治験届も、これは確認しないといけないですが、いわゆる明確に治験と いうシステムがない時代に、ずるずる使って、先ほどのような60例集めて出せば承 認されて、承認されると、おっしゃるようなお墨付きができてという時代ですね。  また、検証3の資料2の52ページに入れたのですが、前回第6回の会議の後、坂 田委員からの書面(2008.10.31付)による意見のなかに、MR人員の推移を調べても らいたいとのリクエストがありました。当時はプロパーと言っていた時代ですね。 いわゆる医薬品の販売に当たっての倫理基準は、WHOが1968年にだした決議が元 祖です。その後おそらくIFMPA(国際製薬団体連合会)あたりが業界版をつくり、 その日本版を、1976年に日本製薬協が「医療用医薬品のプロモーションに関する倫 理コード」をつくったのが始めです。60年代、70年代はプロパーの活躍時代だった ということですね。  以上です。 ○寺野座長 高橋委員どうぞ。 ○高橋委員 添付文書のところで、2番目の2)に適応外使用のことが書かれてい るんですけれども、通常、添付文書に適応外使用のことを記述するというのは余り ないんじゃないかなと思うんですけれども、具体的にこの記述がないなり、不十分 だったという指摘が一部にあるということを書かれているんですけれども、具体的 にどういうことがここで議論されて、記述がないということが指摘されているんで しょうか。 ○堀内委員 添付文書のところに入れるのは問題があるかもしれません。確かに添 付文書のところに適応外処方のことは一般的にはなかなか書かないですよね。ただ、 実際上は、この薬についてはかなり使われていたということがあるので、それをど う表現するかということで、これは改めたいと思います。 ○寺野座長 清水先生。 ○清水委員 添付文書の話が出ましたので、追加的な発言をさせてもらいたいんです が、添付文書というのは確かに重要な情報ではあるんですが、これは保険の契約書と 同じようなもので、細かい字でいっぱい書いてあるんですね。ですから、あんなのを、 あんなと言うと失礼ですけれども、ああいうものをきっちりと使う前に全部読んで 頭に入れて、さて、どうしようかなんていうことを考える医師はいないわけじゃな いでしょうけれども、多くの医師は、まず、そこまでやる気にはならないだろうと。 したがいまして、添付文書は、今のものは今のままでいいんですけれども、その中 から、ここが肝要だというものをピックアップするとか、何かちょっと工夫をして もらう必要があるのではないかなと。要するに、ここだけは見逃してもらっては困 るというようなところを書いておくと。要するに、読んで理解してもらわなくては 困るんだという視点がないのではないかというのが私の偽らざる感想でございます。  それから、もう一つ、清澤委員からも出ましたが、例えば輸血の領域ですと、日 赤から、この血液は肝炎に感染する危険性がありますという添付文書が来ます。で すけれども、そういうのは輸血部で全部捨てちゃいますね。病棟までは上げません。 ですから、それは毎日、毎日やっていることですので、むしろそういう文書は邪魔 なんですね。ごみの種にしかならないという問題もあります。したがって、どうや ってそういう危険性を知らせるかということは、もっと別なPRというか周知の方 法が必要ではないかなと。  それから、ついでに申し上げますと、講演なんかに呼ばれて地方に行きますと、 医師会の幹部なんかと話すんですが、こういう研究会に出てくる医師はまだいい。 だけど、出て来ない医師がいる。医師会雑誌を配布するんだけれども、読んでくれ る医師はいいけれども、読まない医師もいるといったときに、そういう人たちに対 してどういうように問題意識を伝達するのかということは、意外と難しい問題では ないかなと思うんですね。さっきアンケート調査のお話がありましたけれども、あ のアンケートというのは、多分薬局で全部捨てられていて上がっていかないだろう と思うし、ごく少数の医師がいるところでは、医師にも相談があったかもしれませ ん。したがって、そういうやり方はナンセンスだというのは、今、我々、はっきり と言い切ることができると思いますものですから、添付文書を含めてPRのあり方 というのはどうあるかということは1つの大きな課題だと思うんですね。  その中で一番重要なのはMR、昔はプロパーと言っていたんですが、このプロパ ーの人たちがどういうように臨床医にアプローチするのかというあり方だと思うん ですね。そのときにどういう話をするのか。どういう話をすればいいかということ を会社がどのようにMRに教育していたのかということ、あるいは教育しているの か、今、WHOのガイドラインがあったというような話がありましたけれども、そ ういうようなところが極めて重要な問題であって、当時はどうであったかというこ とが意外と重要なポイントではないかと思っております。 ○寺野座長 ありがとうございます。  まだ議論しなければいけないことが、情報の収集分析伝達体制と今関係あると思 うんですね。MRから医師への情報の伝達等々、問題があるんだろうと思うんです ね。今もそれはあると思います。  それから、先ほどの有用性と安全性のバランスの問題、椿委員が言われたことに 関しても、私も、それはすごく難しいことですけれども、逆に今度、これは安全性 の会なので、そんなことを言ったら怒られるんだけれども、安全性に余り力点を置 くと、今度は責任逃れ、責任回避になってしまって、実際の有用性があるにもかか わらず、いつまでも承認できない。これはPMDAの問題点なんですけれども、そ ういう問題もあります。そのバランスをどういうふうにとっていくか。これも我々 が考えていかなければいけないことだと思いますけれども、その辺も何らかの資料 があればお願いしたいと思います。  それから、時間が5時になるんですが、10分か15分ぐらいは、今日はそれぐらい を限度にしてやりますが、大臣が5時までということのようですので、厚労大臣の 方から一言お願いしたいと思います。 ○厚生労働大臣 最初から皆さんの御意見やディスカッションをフォローできなかっ たので、申しわけございません。皆さん方がお持ちになっている疑問点とか、今日出 されている問題点というのは、私も全く同じような感じがしています。私自身は医 者でも何でもないんですけれども、むしろ産科、今大きな問題になっていますけれ ども、そっちの医療の方から入ってきたものですから、フィブリノゲンというのを 聞いたときに、これは止血剤として非常に有効だというのは、昔の、今でもそうで しょうけれども、マニュアルに書いていることがまず頭にありました。  したがって、ああいう血液製剤を承認するときの経過、今、いろいろ御議論出て いましたけれども、1つは、メーカーというか、薬のメーカーでどういう議論があ り、どういう企業倫理があったのか。それから、もう一つは、厚生労働省がそれを 承認するときに、先ほど椿先生でしたか、清水先生でしたか、論文が既にあって、 十分そこは反映されていなかったというようなことをおっしゃいましたけれども、 その承認のときに、例えば1960年代、再現できたらなというか、全く悪気ばかりで やったのか。一番悪いケースは、まさに企業と癒着して、企業にお金をもらって、 極端な例ですよ。架空の話なんですけれども、それで認めたと。官と業の癒着みた いなことで、安全性よりもそういうことでいったというのが極論のケース、そうい うのがある。  しかし、片一方ではそうではなくて、まさに有効性と安全性、そのジレンマの中 で、役人の一つの正しい方のモラルとしては、安全性の問題はあるんだけれども、 有効性の方が勝つという判断をどこかでしたのかなということも片一方の極端で、 どこにあるんだろうというのが実は知りたいんですね。今から思えば、何だという ことになるけれども。  それから、あと、今、PRの問題、これは高橋先生や清水先生や椿先生もおっし ゃいました。私たちが普通薬を飲むときも、そんなに細かく副作用というのは見な くて飲んじゃっている。だけど、血液製剤のものについて、ごみの山になるだけだ と添付書類をおっしゃいましたけれども、そうすると、そういうところでどうすれ ば、MRを含めてなんですけれども、きちんと情報が伝達できるんだろうか。だか ら、反省すべき点は多々あるので、時代が今から振り返ってどうだということもあ りますけれども、その当時の感覚はどうだったんだというのが何か再現できればと いう気もするんです。  そういう中で、是非議論を深めていただきたいのは、これで再発防止にどうつな げていくかということが一番大事だと思います。サリドマイドについて特定の疾患 に有効であるということで、今度、そちらにさらに承認しましたけれども、そのと きは厳しい条件を付けてやりました。これは過去の薬害の経験の上に立ってやった ことですけれども、今はそういうことがきちんとできるようになった。これを今後 もっとさらに安全性ということを確保するためにどうすればいいんだろうか。  私は今、難病の対策、難病対策費を、今、25億円しか付いていませんけれども、 なんとか100億にしようと思ってやっていますが、本当に個々の難病患者の方にお 会いすると、何とかしてあげたいな。そうすると、治験が足りない。早く承認した いんだけれども、アメリカの治験だけではだめだということがあって、そのジレン マの中で何とか助けたい。それは副作用もあるかもしれない。しかし、有効性を考 えてこの人たちを助けたいなと、私自身も非常にジレンマがありますので、是非こ れからも少しこれをもとに議論を詰めていただいて、いろいろないい提案をいただ ければ、これからの行政に活かしていきたいと思っています。  本当にいつも御熱心な御議論ありがとうございます。 ○寺野座長 どうもありがとうございます。  何か要望があるの。泉委員どうぞ。 ○泉委員 大臣がいらっしゃっているので、是非聞いておきたいことがあります。今、 安全性のお話をされました。医薬品の安全性というのは本当に後で副作用が出てど うしようもなくなるということがあります。  質問は、本日の日経新聞に、一般用医薬品のインターネットによる販売の話が出 ていました。これは、薬害の防止だけではなくて、安全性、あるいはこれからはも うこんなことは起きては困るよという立場の行政としては、ちぐはぐな対応はして もらいたくないんですね。幾ら内閣府で行革でそれをするとしても、薬事だったり、 安全性の監視システムができていない段階で、利便性が、必要だからということで メンバーからはそういう話がでているということを言っていますが、じゃ、先ほど 言ったスモンとか、あとはサリドマイドも一般市販薬の中でこういう被害が出てい るわけですよ。だれが責任をとるんですかということをきちっとする前に、なあな あで厚労省の方は、それは一回決めたことだけどということにならないように、こ の委員会の何で再発防止を今考えているかということにつながります。是非そこの ところは頑張っていただきたいと思います。 ○厚生労働大臣 ありがとうございます。これ、本当にいろいろな方にヒアリングを しています。私のところにもいろんな方がメールをくれたりして、それぞれ賛否両論 あって、ああ、なるほどなと。賛成の方の意見もなるほどなと思うところもあり、 しかし、今、泉さんおっしゃったように、非常に慎重に、これは国民的な議論をき ちんとやってやるべきだと思っていますから、私は拙速主義ではいけないと思って います。何でもかんでも規制緩和すればいいというのではなくて、国民の命をどう 守るかという観点からきちんと議論をすべきだと思いますので、今の泉さんの意見 もきちんと踏まえて、厚生労働省としてしかるべき意見は申し上げていくというこ とでやりたいと思います。 ○泉委員 ありがとうございます。お約束していただいたということで。 ○寺野座長 間宮委員どうぞ。 ○間宮委員 今の問題、非常に大事なんですね。サリドマイドというのは市販薬で被 害が出ました。市販薬の恐ろしさというのは、結構皆さん知らないんですよね。国民 の皆さん。物すごい被害が出るわけですよ。薬害だけじゃなくても、薬疹で、もち ろん御存じだと思いますけれども、スティーブンス・ジョンソン症候群というのが ありますよね。いろいろな薬でなるわけですから、ああいうことというのはあるわ けで、それが顔の見えない状態で販売されて、手元に届いてしまうというのは非常 に問題であって、一時かかりつけ薬剤師が必要だという議論があった時代もあった じゃないですか。それが今度、登録販売者とかそういう形になってくるんですけれ ども、それは、いわゆる薬剤師の代わりに登録販売者がその役割を担うというふう になると思うんですけれども、インターネット販売ではそれがないわけですから、 メールとかで文書でやりとりできると言ったとしても、対面の原則というのは崩さ ないでいただきたいと思います。  もう一つ、先ほど大臣がおっしゃっていた、企業と行政の癒着というのは、これ は大問題ですよね。あとは、行政官が有効性というのを考えてとめられないという のがあるんじゃないかとおっしゃっていたんですけれども、もう一つ、私はあると 思うんです。承認してしまったと。承認してしまったからには、あの薬はだめでし たということが言えないというメンツというのがあるんじゃないかと思うんですね。 それがあったのか、なかったのか。そのあたりというのも検証していただきたいと 思います。  以上です。 ○厚生労働大臣 ありがとうございました。当時を再現してみたいというのはそう いう意味でもあります。  済みません。次は今度、年金の会議に出ないといけなくて、いろいろな分野をや らないといけない。大変恐縮で、ずっとここにいたいんですけれども、済みません。 中座します。ありがとうございました。引き続きお願いします。 ○寺野座長 年金の問題も、僕も身をもって大切さを感ずる年になってきたので、 そっちの方も力を入れてもらわなければいけないことですが。  時間が大分過ぎてきたんですけれども、さっき言いましたように、今日の資料4 の4番目の情報収集分析伝達体制という難しい名前が書いてありますけれども、収 集も大事でしょうし、分析も大事ですが、伝達が本当にうまくいっていたのかとい う問題、そして今は大丈夫なのかという問題があると思うんですね。MRの諸君が いろいろやってくれていますけれども、そこの辺、今の状態で過去の昔のものをそ のまま批判はできませんけれども、これも非常に重要なことです。それと、分析方 法に関しては、山口委員が出してくれているように、データベースをどういうよう に構築するかという問題も非常に重要なことなんだろうと思うんですね。これも相 当な費用のかかることなんですけれども。その辺に関して、最後に御意見がある方、 お願いしたいと思いますが。ほかにもあればいいですよ。ただあと10分くらい。ど うぞ、堀内委員。 ○堀内委員 情報の伝達、先ほど添付文書は余り医師が読まないという。それは十分 にわかっていることなんですけれども、やはりこれは公文書というか、薬についての 唯一の公文書だと思います。したがって、これをどういうようにきちんとした内容 にしてそれを徹底するかというのは大事ではないかと。数年前に厚労省でもその辺 は十分に認識をしていて、たしか情報伝達の検討会をやったと思いますが、それで、 添付文書のハイライトを作ろうとか、いろいろ議論がされたと思いますが、余り具 体化されていないような気がいたしますが、パンフレットというのは、宣伝用とい うか、会社が作るもので、営業的な側面がある。これも最近は少しチェックがかか るようになってきていますけれども。したがって、情報伝達をきちんとやる。医師 のところまで徹底をするというのは、具体的にどうしたらいいかというのは大事な ことではないかと思います。これからどんどんもっと難しい薬が出てくるので、分 子標的薬みたいなものが。そうしたら、やはりきちんと薬のことの細かいところま で知って使ってもらわないといけないということになると思いますので、今後の問 題としては必要だと思います。 ○寺野座長 どうぞ水口委員。 ○水口委員 今の情報伝達という堀内先生の御指摘に関連して。添付文書をいかに工 夫してわかりやすく書いたとしても、並行して行われる広告宣伝で添付文書の意味を 没却するような安全宣伝というのが行われてしまえば、恐らく医師にとってのイン パクトは、添付文書以上に「宣伝」の方が効果を持ってくるのではないかと。現状 においても、実際、いろいろなプレスリリースとか、医師の対談記事とか、いわゆ る広告という感じはしないけれども、実質上は広告の役割を果たすものが非常に医 師の処方行動に影響を与えているという現状があるわけですね。ですから、「情報 伝達」を検討するときは、公文書である添付文書のあり方だけではなくて、それと 一緒に流れている、その周辺の情報、特に「宣伝広告の問題」についても検証の対 象にしていただきたい。今、堀内先生が言及された、行政がそういう広告に対して どういうふうにアプローチして、どう指導していくかという観点も重要です。これ からの時代は添付文書だけ指導していればいいという時代ではないと思うのですね。 今までは明らかな薬事法違反で、薬でないものを薬として売ったとか、そういった ものしか規制しないというところがあったわけですが。そのあたりのところも今後 の課題として、それを意識した上で検証の対象に加えていただきたいと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。現場の医師として見ると、そうですよね。添付 文書を全部読むというのは、だんだん年をとってくるとますます読めないんだけれど も、あれは本当に問題はあると思います。それから、それの副作用情報の中に、例 えばこのフィブリノゲンの中に肝障害というのが出ていたとしても、まず、肝障害 がない薬というのはないと言っていいぐらいなんですよ。ほとんどのものに肝障害。 だから、それの添付文書に従って、副作用の何かの情報を得ようという発想が、現 場の医師として少ないですよね。清澤先生どうですか。 ○清澤委員 添付文書の問題は、先ほど清水先生、あるいは座長からも指摘されていま すが、非常に小さな字で、実は今日も私、ある薬の添付文書を見てきたんですが、 わかりにくくて、老眼になると、ルーペがないとまず読めないという類のものです。 ですから、私は、今大事なのは、今で言うMRさんの教育というか、そういうネガ ティブなところもしっかり医師に伝達する役割というのは非常に大切だと思います。  さかのぼって昔はどうかというと、むしろ、ふたをするような風潮が昔はあった んじゃないかなと思うので、今はそういう考えはかなり改善されていると思います が、そういうところは再認識して、MRの活動というのは非常に私は重要だと思っ ております。 ○寺野座長 どうぞ、高橋委員。 ○高橋委員 添付文書については、先生方に見ていただくように、できるだけ工夫を して、必要な情報については、例えば警告については、できるだけ早く、1番目に書 くとか。先生方にわかりやすく新様式を作ってやっています。それ以外にも、今、 添付文書のあり方をまた検討しているというところもありますので、できるだけ先 生方に見ていただけるような添付文書を作っていくというところは業界でも努力し ているところです。  それ以外に、水口委員の言われた、製品概要とか、そういったパンフレット類の 審査ですけれども、製品概要の審査会というのを業界で作っていまして、そういっ た配布資料について、直すところは直してもらうというような検討をしています。 ですから、できるだけ添付文書に合うような形のパンフレット類を作成するように 努力をしています。 ○寺野座長 森嶌委員どうぞ。 ○森嶌座長代理 確かに添付文書を読まれないということは確かですけれども、やは り薬害発生防止を考える場合には、プロフェッションとしての医師の責任というもの を同時に考えておかなければいけないので、アメリカなんかの場合ですと、私は忘 れましたけれども、こんな厚いので、医師が処方したりする場合には、必ずそれを 見て処方するわけですね。ですから、確かに老眼だったり何かで難しいとは思いま すけれども、医者はそのためにきちっとした資格を持って、そのためのプロなんで すから、製薬会社で添付文書でなるべくわかりやすくするのは結構ですけれども、 同時に、考えられる後遺症とか、考えられる対処方針は全部きっちり書いておいて、 それを読めないような医者は医者をやめればいいわけで、私はインフォームドコン セントの委員会をやったときに、医者はなるべく自分たちの責任を逃れようとする。 それは医療事故とか薬害の発生を防止するためには、医者は医者としての責任を同 時にシェアしなければいけないわけで、それは現実にはわかるんです。現実には大 変だということはわかるんですけれども、それは同時に製薬会社も大変なんですか ら、医師も国民の安全を預かっているプロフェッションとして、同時にやらなけれ ばならない。ただ、そのことは私は、添付文書がわかりやすいとか、あるいはほか の、私がやっていたころはプロパー、プロパーと言うんですけれども、プロパーの 教育をどうするとか、そういうことをもっと考えろというのは、それはそれでいい と思うんですけれども、そのことと、医者が添付文書はよくわからないから、医者 は余り当てにするなじゃなくて、医者にはちゃんと責任を負わせろと。それを前提 として我々は薬害発生防止を考えなければいけないと思います。 ○寺野座長 ありがとうございます。添付文書が重要だということはもちろん認識し ていて、裁判になっても、添付文書をよく読んだか、どういう読み方をしたかで、そ こが論点になるので、その点は認識しているんですけれども、現実の現場の状況を さっきお話ししたと思うんですが、添付文書の重要性は、森嶌委員がおっしゃると おりだと、これは反論がないことです。   大平委員どうぞ。 ○大平委員 添付文書なんですけれども、大変重要な事項というのが書かれていて、 最終的には、患者へのインフォームドコンセントの資料として大変貴重な存在になる と思うんですね。ですから、そこは、今お話がありましたように、お医者さんの方 もしっかりとそこは読み込んで患者に説明できるような形になっていなければ、何 のためのインフォームドコンセントというのが今後きちっと確立させていくために も、そこはきちっとやっていただきたいなと思います。  あと、血液製剤なんかですと、パッケージとかそういうのがあって、なかなか患 者が目にしないから、パッケージについて余りデザインとかそういうのについては 余りこだわっていないということも言われましたけれども、今、私たちが使ってい る血液製剤とかそういうのは、国内の献血で使われているか、それ以外のものか。 それ以外というのは、海外での売血なんですけれども、そういうものがきちっと表 示されるようになっております。それは最初は患者が見てもわからないように、そ れが判断の基準になるかどうかというところは疑問だということが審議会とかいろ いろ言われましたけれども、結局は、お医者さんも国内の献血をきちっと使ってい ただきたい。そしてまた、患者の方もそういう献血表示というのはあったことにつ いて理解して、大切な献血製剤を使おうということも、安全性も含めてですけれど も、そういうのがあるということで、できるだけパッケージとかそういうところで も、リスクも含めてきちっと公正な評価ができるようにしていただきたいなと思い ます。  あとは、MRについては、私たち、よく病院で、午後3時を過ぎると、MRの人 たちがいっぱいぞろぞろと医局周辺を鞄を持って、これは営業も含めて大切なお仕 事かもしれませんけれども、そこのMRの人たちの教育と言えば教育なんですけれ ども、倫理観とかそういうのも含めてのことがきちっと情報伝達としては大切なの ではないか。そこはMRの数がいい、それから、またMRの質がいいというところ で売上が伸びている。そこが営業の問題にすごくつながってしまっているというと ころが、それは企業側としては大切な問題かもしれませんけれども、それと、患者 を、それから、また医療の安全というものをきちっとそこで教育されていくという ことが、再三これが一番大きなところなのではないかなと思います。 ○寺野座長 ありがとうございました。時間がきましたから、あと一、二の質問に したいと思います。堀委員どうぞ。 ○堀委員 今の議論が既にわかっているリスクをどういうふうに現場に広めるかとい う話と、あとは、ある程度は想定していたかもしれないけれども、想定範囲外に予期 しないリスクが広まってきた場合の伝達と2つ本当は分けて考えなければいけない と思うんですね。前者の方は、添付文書、医者は読んでいない、読んでいないと言 われ続けていますが、読んでいる人は読んでいるんです。さっき先生もおっしゃっ たように、学会誌も学会に参加している人は読んでいるけれども、問題は、学会に 参加していない人まではいかないと。そういうところは確かに日本の場合、MRさ んがしょっているところはあるんですが、今のご時世、別にMRだけじゃなくて、 ほとんどの情報は、例えばネットとかから論文で、まともに勉強しようと思えば、 やってくるわけですね。ところが、MRの説明に限らず、論文を見ても、何しても、 確かに世の中の情報が有効性に偏っているというのは事実だと思います。MRさん の説明会を見ても、この薬がいかに有効かという、生存曲線か何かを出して立派な 説明をするんですが、この薬を実際に患者さんに使うときは、どういうところに注 意して、どういう観察をしてくださいという説明をしているMRは、私は少なくと も現場へ戻ってからただの一度も見たことがなくて、いつも怒っているんですけれ ども、なので、そういうところのMR教育というのがもしこういう会議の力をかり て少しでも変わっていけば、そのためにMRさん、非常に若手の人とかも来ていて、 多分会社さんが組織立って教育していただくことが必要かなと思います。  それと別に、想定範囲外に出てきたリスクが出てきた場合に、どういうふうにし てそれを拾い上げて、どうやって伝達するか。それが添文改訂だけでは間に合わな い場合もあるだろうし、そこの議論というのが別途必要なのではないかなと思いま す。前者に関しては、そういう意見を持ちます。  以上です。 ○寺野座長 坂田委員、これを最後の質問にします。 ○坂田委員 済みません、時間がないので。  資料4に関してですけれども、まず、1ページですけれども、承認申請のところ で先ほどから議論されていますけれども、元締めのところなのですね。ここはきち んとやってほしいということ。  次、2ページ目、青森の集団感染事件ですね。ここはもっと深くきちんと検証を やっていただきたい。  あと、6番目の有害事象に対するところですけれども、企業の対応について、こ こもお願いします。  それと、4ページ目の2番、適応外使用を防ぐための記述がないということで、 適応症の設定自体の問題ですね。設定がとても不明確ということです。  それと、5ページの1、副作用情報の自発報告制度。これは企業の収集体制が抜 け落ちていると思います。  それと、厚労省にお願いですけれども、血液製剤の国家検定のデータを資料2の 中に入れていただきたいことと、この2ページにもありますけれども、定期的にG MP査察を現地に行っているとありますけれども、国がやってきたGMPの査察の 実績を示していただきたい。これも資料2の中に入れていただきたいと思います。  以上です。 ○寺野座長 ありがとうございました。  堀内委員、よろしいですか。可能なものそうでないもの、あると思いますけれど も、よろしくお願いします。  それでは、予定の時間を大分過ぎましたけれども、これはいつもそうなっちゃう んですけれども、誠に申しわけないんですが、本日の議論はこの辺で終わりたいと 思います。  今日は、検証3、4について、堀内委員会の方から資料4としてまとめていただ きましたので、非常に議論をしやすかったので、またこういう形でやっていただけ ればありがたいなと思います。  それで、まだ言い足りないところがあると思いますので、これはいつものとおり ですが、メールあるいはファクスで18日火曜日までに厚労省事務局まで御提出いた だきますと、堀内研究班に厚労省側がしていただくということになっておりますの で、できるだけ早めに、資料が遅いので、早めになんて言えた義理じゃないんだけ れども、今日の議論をしてみて、そこで感じられた疑問点等々を出していただけれ ばいいと思います。  次回は、検証5についてやりたいと思っております。  それでは、事務局の方からのアナウンスをお願いします。 ○医薬品副作用被害対策室長 次回の会議でございますけれども、12月5日の金曜日 の3時から5時、まだ会議室は決まっておりませんが、省内の会議室を予定してお りますけれども、決まり次第御連絡をいたします。  以上です。 ○寺野座長 それでは、長い間ありがとうございました。御苦労さまでした。御協力 ありがとうございます。これで終わります。                                    (了) 連絡先: 厚生労働省医薬食品局総務課 医薬品副作用被害対策室 TEL 03-5253-1111