08/11/07 第4回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所   平成20年11月7日(金) 16:00〜 厚生労働省 共用第8会議室 2.出席委員(5名)五十音順 神 山 美智子、 桐 野 高 明、 杉 浦 幸 雄、 ◎樋 口 範 雄、     日比野 守 男 (注) ◎座長   欠席委員(1名) 花 井 十 伍 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)   岸 田 修 一(大臣官房審議官)    川 尻 良 夫(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 ただいまから第4回「審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会」 を開催させていただきます。本日も、先生方におかれましては、御多忙のところ御出席 いただきましてどうもありがとうございます。  会議に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。まず、議事 次第がございます。議事次第の次に資料1がございまして、資料1が「検討事項とこれ までの議論等について」で、横長のA4のものでございます。資料2が「今後の方向に ついての意見」ということで、桐野委員から御提出していただいた資料でございまして、 これは前回も資料として出させていただいてございます。  そのほか、今回は参考資料が1〜9まで数多くございますが、すべて前回までの会議 で提出させていただいたものでございます。参考資料1が、一枚紙で、「本委員会の基 本的な論点の再整理」、参考資料2が「医薬品第一部会及び医薬品第二部会における審 議参加の状況について」、参考資料3が「薬事・食品衛生審議会における「審議参加に 関する遵守事項」の運用上の課題に関する研究班アンケート調査結果(暫定集計版)」、 参考資料4が「米国FDAにおける最近の動向について」、参考資料5が「FDA改革 法第701条」、ここまでが前回、第3回の会議で提出した資料でございます。参考資料 6が「薬事・食品衛生審議会関係規程」、これが第2回の会議の資料でございます。そ れから、参考資料7といたしまして、遵守事項そのもの、参考資料8といたしまして、 遵守事項の参考資料、参考資料9といたしまして、第1回会議で御検討いただきました 「検討すべき事項及びその検討方法」となってございます。  そのほか、別置きで、座席表と、当日配付といたしまして、本日御欠席の花井委員か ら、昨日の夕方にメールで事前の御意見をいただいてございますので、こちらも配付さ せていただいてございます。  それでは議事の進行を樋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○樋口座長 今日は第4回の審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会というわけ ですが、今、事務局から御説明いただいたように、今日は何を行うか、それから、ロー ドマップというほどではないのですが、今日を含めて今後はどのような感じでこの会が 進行していくのだろうか、ということを考えてみました。もちろん、私が考えたとおり になるわけでもなく、ということだとは思いますが。  それで、まず再確認ですが、この検証・検討委員会で何をアジェンダにして、つまり 何を我々はやらないといけないかということの確認をいたします。そうすると、大きく 分けて三つ。一つは、利益相反に関するルールがとりあえずできて、それが一定の会議 に適用されている。それが、実際に適用してどうであったかということの検証・検討委 員会となっているわけで、その検証を、追跡調査等を含めてやっていくというのが第1 の作業。  第二番目は、一応のルールは作られているのですが、そのときの会議でも、そのとき と継続して委員をしておられる方ももちろんいらっしゃるのですが、そうでない方もい らっしゃいますが、やはり幾つかの点が残されていて、ルールに取り込まれない、ある いは十分な議論がまだという話になっている部分がある。例えば、奨学寄附金の扱いに ついて、一定の取扱いはもちろんルールで今やっているのですが、議論がし足りない部 分があったとか、あるいは、組織に関する利益相反が個人に対してどういう影響を与え るかとか、幾つかの論点がありましたので、それについて引き続き、この検証・検討委 員会で、宿題として残っているものの回答が出せるものは出そうと、それが第2だった と思います。  第3は、その他。その他というのは、一体この検証・検討委員会でどこまでのことが やれるかというのが本当はあると思いますが、これに関連して、せっかくいろいろな方 にいらっしゃっていただいているので、委員の方から、こういう点はどうなのだ、とい うことがあれば、それはそれで今後の課題としてまた考えていく。それはこの会議にな らないのかもしれませんが、宿題を作っていくという作業もあるかもしれません。  これまでやってきたのは、まだルールが施行されて何か月も経っているわけではない けれども、それまでの状況について、この前も御説明をいただきました。では、実際に 適用してどうだったのかという話ですね。  それから、もう一つ、全国の医学系の大学、その他のところへ、アンケート調査を研 究班の方でやっていただいて、その報告が前回出てきて、こういう利益相反の問題につ いて、私などは何も知らないものですから、そういうことがあるのか、ということで、 背景となる事情が相当程度、明らかになった部分もあります。そういうことを踏まえて、 先ほど申し上げたような宿題について、何らかの回答が出せるかどうかということを考 えていく段階になったと思うのです。  今日は花井先生がいらっしゃらないので、花井先生抜きで、我々だけで全部決めてし まうことはできないので、ただ、スケジュール感としては、今日、このように議論を始 めていって、特に第一点、第二点について大まかな方向性が出て、それで、もちろん花 井先生も含めて、もう一回、次回でそれをたたいていただいて、いつまでもこの検証・ 検討委員会が続くというものでもないので、今回の検証・検討委員会としてはこういう ことです、という形になるといいなと考えております。  それでは、それに関連して幾つかの資料がありますので、それについて事務局から御 説明いただきたいと思います。 ○総務課長補佐 資料1といたしまして、「検討事項とこれまでの議論等について」と いう資料があるかと思いますが、これまでの議論や委員からいただいた御指摘、それか ら本委員会に報告させていただきました調査等の内容について、検討課題ごとに取りま とめた資料でございますので、こちらをまず事務局から御説明させていただきます。  まず、この資料ですが、一番左が「検討事項」。これは、検証も含めて「検討事項」 という形にさせていただいてございますが、今、樋口座長から確認がございました、ア ジェンダについての事項です。真ん中が「これまでの主な議論等」ということで、本委 員会で、主に前回、第3回の委員会でございますが、委員の方々から御指摘いただいた 事項について、この欄に記載してございます。一番右側は「報告された調査等の内容」 となってございますが、これは、委員会に提出させていただきましたアンケート調査結 果や運用状況、これらの資料の関係する部分の概要について、まとめさせていただいた ものでございます。  なお、表の一番上ですが、「これまでの主な議論等」につきまして、※1として、本 委員会で本来検討すべき議論、アジェンダについては「○」で示しまして、本委員会に おける直接の検討事項ではないのですが、関連する議論でいろいろ御意見をいただいた ものについては「*」で示させていただいてございます。「報告された調査等の内容」 の方につきましては、これまで御説明をしていないのですが、今回、参考として示させ ていただいたものは「※」で示しているという注釈がございますので、御留意いただけ ればと思います。  それでは、内容の説明に入らせていただきます。1ページ目、「1.審議不参加等の基 準や運用状況の評価について」。こちらは検証に係る部分でございますが、これまで御 議論いただいた中では、「運用状況から見て、申し合わせは一定の機能を果たしている と考えてよいか」というところが御意見としてあったかと思います。前回の会議におき ましては、樋口座長から、一定の存在感は示しているという御指摘等もございましたの で、一定の機能を果たしていると考えてよいかという形にまとめさせていただいてござ います。  二つ目の議論といたしましては、「競合企業を対象として追加したため、審議会の運 営において、困難な場面が見られるのではないか」という点でございます。  それぞれ「報告された調査等の内容」のところを御覧いただきますと、運用状況とい たしましては、5月から8月までに開催されました医薬品第一部会、医薬品第二部会の 審議参加の状況としましては、延べ376人の委員が出席して、13人の方が退室、54人の 方が議決不参加であり、それから、定足数確保のため議題順の変更を行った事例がござ いました。また、全32の議題のうち、4議題におきましては出席委員数が定足数と同じ、 14議題におきましては出席委員数が定足数+1名の状況で議論がなされたということ でございます。  競合企業に関しては、競合企業を対象としたことによりまして、申請企業+3社の競 合企業、最大4社に関して申告を求めることから、審議不参加等の基準に該当する委員 が暫定の申し合わせ運用時に比較して増加している状況でございます。なお、米国にお きましては、関連する組織への寄附金等も対象とされておりますが、申告対象とすべき 寄附金等について、個別品目ベースとしていることから、我が国の現行の申し合わせは 企業ベースの取扱いでございますので、そこは少し違うということを示させていただい てございます。  続きまして、2ページ目でございますが、「2.残された課題について」ということで、 大きく分けて四つの課題がございます。まず、「(1)対象とする寄附金・契約金等の範 囲」ということで、「(1)奨学寄附金を「寄附金等」に含めるかどうか」という点でござ います。  いただいた御意見といたしまして、「奨学寄附金の経理方法や使途が明確ではない大 学もあり、奨学寄附金の透明性が十分確保されているとは言えないのではないか」とい うことで、該当する調査につきましては、奨学寄附金については、取扱いの規程を定め、 機関経理されているところが多いが、必ずしもすべての大学においてそのようには取り 扱われていないという結果でございました。  二つ目といたしましては、「退室された委員数等の運用状況等も勘案すると、奨学寄 附金を引き続き「寄附金等」に含めることが適当ではないか」という御意見でございま す。運用状況といたしましては、先ほども申し上げたとおりでございますが、追加いた しまして、退室した委員の数に着目しますと、退室した委員が2名、つまり複数であっ た議題は一つでございまして、他の議題における退室委員はすべて1名若しくは0名と いうことで、1名以下であったというところでございます。  「(2)その他」でございますが、関連することといたしまして、「奨学寄附金について は、大学側における情報公開や機関経理などの整備が必要ではないか」という御意見が あったかと思います。基となりました根拠の資料といたしましては、奨学寄附金の受領 に関する情報公開については、国公私立で傾向は異なるものの、学外へ情報を積極的に 公開しているところはなく、情報公開請求時にもすべてを公開していないという状況で ございます。今回新たに説明させていただく事項といたしまして、国立大学法人につき ましては、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」というものが適用さ れているという状況がございます。  次のページでございますが、「(2)組織の取扱い」でございます。「(1)委員本人あて ではなく同じ学部あてに対するものとして受け取った寄附金等の取扱い」、組織として どう考えるかというところですが、前回かなりいろいろと御意見をいただいたところで ございます。  一つ目といたしまして、「学部等組織に対する寄附金等については、その額を把握し ていないので、自己申告を求めるのは不可能ではないか」ということで、学部、大学に 対する寄附金等の受領については、半数以上の方が把握されていないという回答が、ア ンケート調査結果で出てきてございます。  二つ目といたしまして、「大学における管理実態を踏まえると、学部等組織に対する 寄附金を実際上個人に割り当てるのは難しいのではないか」ということです。米国にお きましては、関連する組織への寄附金等も対象とされておりますが、これは先ほど申し 述べたように、個別品目ベースと企業ベースという違いがあるということでございます。  三つ目の御指摘といたしまして、「実態調査等を踏まえると、部下(若手研究者)あて への寄附金等について、その額を把握しているケースも多いことをどう考えるか」。調 査結果といたしましては、講座内の関係者(准教授、助教など)の寄附金等の受領につき ましては約9割の方が把握しているという回答でございました。  一方、「今後は、若手研究者も独立した研究者とする方向なので、准教授、助教等に 対する寄附金等まで対象とする必要はないのではないか」という御意見もいただいてご ざいます。  こちらは今回初めて御説明いたしますが、平成17年改正の学校教育法によりまして、 教育研究の活性化、それから国際的な通用性の観点から、助教授を廃止して「准教授」、 助手のうち主として教育研究を行う者のために「助教」というポストをそれぞれ設けま して、教授から、研究の立場からは独立させて教育・研究面での役割を明確化したとい う経緯がございます。  その他、「他の講座の関係者への寄附金等については、その額を把握していないので、 自己申告を求めるのは困難ではないか」、また、関連する議論といたしまして、「これ 以上、退出、議決不参加の委員が増えると、審議が成立しなくなる恐れがあるのではな いか」という御意見もあったかと思います。  次のページでございますが、「(3)申告の方法」でございます。今は50万円、500万 円で区切って、チェック方式で申告をしていただいてございますが、それについての御 意見でございます。「金額の区分を細かくすればするほど運用が困難になるのではない か」という御意見、また、「現行の申告方法は、簡単明瞭な方法と言えるのではないか」 という御意見があったかと思います。  調査結果でございますが、申告フォーマットの記入に要した日数は1日以内という委 員が大半であり、記入内容についても「評価できる」、「やむを得ない」という回答を 合わせると9割を超えているというのが研究班の結果でございました。  「(4)「申し合わせ」という位置付け」ということで、まず、「(1)位置付け」につい てでございますが、一つ目といたしまして、「国民への説明という観点からきちんと位 置付けるべきではないか」、それから、「形式より、実質を重視すべきではないか」と いう御意見がございました。また、「分科会規程で規定することは可能ではないか」、 「分科会規程に企業の役員等に就任した場合は、委員を辞任しなければならないとある ので、審議会全体のルールの体系からすると、今回議論している利益相反の内容が分科 会規程の上位に定められることはないのではないか」という御意見をいただいてござい ます。それから、最後でございますが、「「申し合わせ」という名称は見直した方がい いのではないか」という御意見があったかと思います。  これらの根拠の規定でございますが、薬事・食品衛生審議会令、こちらは政令でござ いますが、その第12条におきまして、「この政令に定めるもののほか、議事の手続その 他審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める」こととされてござ います。上記の規定に基づきまして、薬事・食品衛生審議会規程第5条におきまして、 「分科会の議事運営に関し必要な事項は、分科会長が当該分科会に諮って定める」こと とされてございまして、この規定に基づきまして、分科会規程や申し合わせが定められ ているという、全体の体系になってございます。また、企業の役員等に就任した場合は 委員を辞任する、という規定につきましては、薬事分科会規程第11条にその旨の記載が ございます。  最後のページ、「(2)その他」でございますが、「国立大学法人の例を参考に、利益相 反マネジメントの実務を行う組織をつくる必要があるのではないか」という御意見をい ただいたところでございます。また、議論の中におきましては、「大学の利益相反マネ ジメントが常勤の職員を対象としているのに対し、審議会は非常勤の委員が対象なので、 組織をつくって利益相反マネジメントを行うことまでは必要ないのではないか」という 御意見もいただいてございます。  右側、現状でございますが、※のところですけれども、薬事・食品衛生審議会薬事分 科会及び部会等の事務に関しましては、当省の医薬食品局総務課の審議会係が担当させ ていただいてございまして、申し合わせの運用におきましては、委員への申請企業・競 合企業の連絡や、委員からの申告の収受、また、ホームページ掲載等の実務はこちらで 担当させていただいてございます。  「3.その他の指摘等について」でございますが、いろいろと御議論があった中で、二 つにまとめさせていただきました。一つ目といたしまして、「国民に分かりやすく受け 入れられるルールであることが必要ではないか」という点、二つ目といたしまして、「国 民向けに、本申し合わせは、審議の中立性、公平性及び透明性をより一層担保するため のシステム、ルールであると説明することが必要ではないか」という御意見があったか と思います。  樋口先生から、今回の検討の進め方について、冒頭に方向性がございましたが、これ につきまして、検討事項ごとに、本日はいろいろと御議論いただければと思います。  大変申し訳ないのですが、最後のページで、右側のカラムでございますけれども、「米 国においては、本人、その配偶者及び未成年の子供が有する不適格な金銭的利益の総額 が5万ドル以下の場合」と書いてございますが、これは。 ○審査管理課長 正確に申し上げますと、FDAが裁量権を持っている、特に専門的な 知識が不可欠だというのは、5万ドル以上の場合にも認められていて、5万ドル以下で あることが必ずしも条件ではないということですので、そういう意味で言うと、少し誤 解を生む表現であるかなと考えております。もちろん5万ドル以下の場合も適用されま すが、必ずしも5万ドルを超えたらこのようなことが適用されないというわけでもない ということでございます。 ○総務課長補佐 以上でございます。 ○樋口座長 ありがとうございました。事務局から説明していただいたように、資料1 で、いわゆる検証と検討事項の概略がこのように整理してあるというわけですので、こ れに従って一つ一つ御意見をいただきたいと思っているのですが、そうすると、順番で、 資料1の1ページ目ですね。まず、1.は、いわゆる検証。まだ数か月のところなのです が、結局、これを見てどうだろうかということです。とりあえずこういう形で取りまと められていますが、後でこの委員会の報告書というか、何らかのものができるときには、 図表というわけにもいかないので、文章化するのだと思いますが、文章化の骨みたいな ものは、今のような説明になっているわけです。順番に1、2(1)、(2)という形で、 分けて議論をいただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。本当は、結論を 出すには拙速というか、まだ早いような感じなので、現時点での認識を幾つか、場合に よってはその認識が相互に矛盾したものであっても、いろいろな見方ができるというよ うなことをとりあえず並べておくほかないのかなと思っているのですが。 ○神山委員 少なくとも、このまとめはよくできていると思います。 ○樋口座長 お褒めにあずかったようですね。 ○神山委員 こういう議論があったというまとめですからね。 ○樋口座長 そうですね。大まかに言うと、今のところは、まず一定の機能は果たして いる。何の役割も果たしていないとは言えない。それで、過剰に審議会の運営等を阻害 しているかというと、それほどではないが、困難な場面も見られるのではないかという、 兆しというか、そのような点もあるので、今後とも注意は必要だという感じでしょうか。 いいですか。 ○日比野委員 議題によっては、確かに定足数ぎりぎりの場面があるけれども、全体的 に見れば、やはり一定の効果は出ているということではないでしょうか。 ○樋口座長 分かりました。それに、数か月の話なので、検証はずっと続けておいて、 どのような感じかということがもっと明らかになってくるものだろうということで、取 りまとめをしていただくという形にして。 ○神山委員 先ほどの課長の説明が間違っているのではないかと思うのですが、5万ド ル以上であったら、審議参加不可なのではないですか。FDAの法律は、原則として、 お金をもらっていたら駄目、けれども、こういう場合には参加していいと、そういうガ イドラインが決まっていて、5万ドル以下で、しかも不可欠な専門知識を持っていれば、 参加していいという話で、5万ドルを超えていたら、原則、駄目なのではないですか。 ○審査管理課長 原本を基に説明すべきだと思いますが、今、原本を持っていないので、 参考資料4の範囲で申し上げますと、4ページでございますが、ステップ8に、その5 万ドルという話が出てまいります。この「いいえ」のところで、「通常参加不可」とな っているわけでございます。この「通常」のところに裁量権があったというふうに覚え ているわけでございますが、その点について、今、確たることを申し上げられる状況で はございませんので、資料を基に、後で送らせていただきたいと思います。恐縮でござ います。 ○樋口座長 ありがとうございます。それでは、2ページ目の、従来から残された課題 の幾つかについて、宿題が解けるかどうか、書けるかどうかということを議論していた だきたいと思います。(1)が、奨学寄附金の取扱いです。現在は、いろいろ議論があっ て、この前、二転三転したのです。奨学寄附金はこのルールから完全に外したらどうか という意見もあったのですが、ちょっとそれはという話になり、最後はやはり奨学寄附 金を含めて、現在行っているわけです。奨学寄附金等に関するアンケート調査等も踏ま えて、いかがでしょうかというのが、(1)の奨学寄附金の問題なのですが、いかがでし ょうか。 ○桐野委員 調査の結果では、いろいろな経理処理がされていて、研究に使う経費とし てしっかり管理されている所もあれば、場合によっては少し分かりにくい所もある実情 がよく分かりました。おしなべて前者のような状態であるのではないわけです。しかも、 後者のような状態にある機関に薬事の評価をしていただくために大変優れた方がおいで になる場合はあるので、そういう経理をしている所であれば、こういう形で奨学寄附金 を含めていただかないと、しっかりした利益相反の管理にならない気がするのです。  私個人が知っている所では、奨学寄附金は非常にクリアに経理されていて、しかもそ れはかなり研究費的なもので、何でも自由に使えるものとは違います。しかも非常に大 きな教室、例えば内科の大きな教室で、教室の方も多いし、研究に関する雇用をしてい る方も多いし、大学院生も非常に多いという所は、自然に奨学寄附金が相当な額になる のです。外から御覧になれば異常ではないかと思われるかもしれないですが、実態は、 そういう大きな。臨床系の教授は中小企業の社長のようなものですから、そこで人件費 のために奨学寄附金をもらっているわけです。しかし、先ほど申し上げたような、いろ いろなばらつきがある奨学寄附金というものを、一部では透明にきちんと管理されてい るから除外できるという説明はつかないことはよく分かりましたので、これはやむを得 ないなというふうに感じました。 ○樋口座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。これは、その後の問題、 多分、桐野先生がおっしゃったような、ここでもまとめられているような、まず現状を 基礎にしてルールを考えないと、雲の上にルールを作っても意味がないので、そうする と、とりあえず、ルールとしては、やはり奨学寄附金を寄附金等に含めて今後とも考え ていこうという話かなと私も思います。  将来的にはどう考えるべきかというのは、そういう意味では先送りしてもいいのです が、どう考えるべきなのでしょうか。一方では、桐野先生もおっしゃったように、アン ケート調査などをやると、これは経済情勢、その他もあるので、今後変わっていくかも しれませんが、奨学寄附金は相当大きなパーセンテージを占めているので、利益相反ル ールで、しかも金額ルールなどを作っている場合には、奨学寄附金を外してしまうと、 実際にはルールの適用例がほとんどなくなるという話もあるのです。  そうだとすると、それは、奨学寄附金をどんなに透明化して、つまり、私立大学も含 めて、情報公開も進められて、大学で機関経理をして、非常にきちんとした形の奨学寄 附金制度というものが、あまねくまでいかなくても、ほとんどそういうことなのだとい う状態になったときに、それとこの利益相反ルールをどう考えたらいいかという宿題は、 ある意味で残っていると思うのです。ですから、不透明なところもたくさんあるので、 奨学寄附金だからといって簡単に外してはいけないという話は、方向性としてはどうも、 不透明でなくなれば、場合によっては外していいという考え方があり得るような議論だ と私は思うのですが、本当にそうなのかどうか。  私自身は、前の会ではそういう方向での議論に賛成したのです。それで、キャッチフ レーズは、そのとき言ったかどうかは分からないですが、「明るい産学連携」。そうい うものが本当にあればいいと思っているのです。その形として、奨学寄附金という形が 増えていくというものが、奨学寄附金というものの性格があるのですが、いずれ、それ が増えていくような方向性がとれるといいのではないかと単純に思ったものですから。  まとまらない話になりましたが、今、私がぐずぐず言ったようなことについては、今 議論をしても始まらないことですから、樋口がぐずぐず言ったというだけで終わっても いいのですが、いかがなものでしょうか。何か、反論か、あるいは、こうだよ、という 形で教えていただけるようなことがあるかどうか。 ○神山委員 花井先生の意見の中でも、「可能であれば、もう少し踏み込んだ調査が必 要だと思います」と書いてあるのですが、これ以上のことは、可能ではないのではない かと思うのです。それから、大学側に、きちんと機関経理をしなさいとか、あるいは管 理方法の規程を作りなさいとか、情報公開しなさいなどと、私たちに言う権限は何もな いと思うのです。 ○樋口座長 権限がないから、言っておくという手はあるのですけれどもね。 ○神山委員 そういうことを、付帯的にお願いみたいな、是非そうしてほしいみたいな ことを書くのはいいと思いますが、そういうことになったときには、どうするかまでは 踏み込めないのではないでしょうか。規程もないというところもあるわけですから。 ○桐野委員 最初のときに申し上げたと思うのですが、研究者個人のポケットに入るお 金と、奨学寄附金のようなお金は、相当性格が違うことは事実だと思うのです。ただ、 だから奨学寄附金は除外していいということを申し上げているわけではなくて、本来、 利益相反というのは、利益相反の可能性のある状況であるにもかかわらず、それを隠し てこういう会に参加されるということがあると、一番まずいわけであります。しかも、 薬事審議会の利益相反というのは、国の事業である薬の承認ということに対する義務と、 自分が、大学なら大学の研究者としての利益とが、相反するということでありますから、 それは当然、国の薬の審査ということを最大の優先項目にしない限り、薬事審議会とい うのは成立しないわけです。  そこを担保するためにはどのようにすればいいかというのは、実際、とても難しいと 思うのは、国際標準の5万ドル、500万円で切れば、500万円を超えた人はグレーか黒で あって、500万円以下であったら突如としてきれいになるという、そのような問題でも ないわけでありまして、それはやはり個人の倫理意識に反映されると思います。しかし、 実際問題として、こういう形で切らざるを得ないというのは、国際的にどこもやってい ることでありますので、私自身は、少し矛盾は感じますが、現在のような状態であれば、 当面、奨学寄附金を一様に含めてやらざるを得ないのではないかと最近思うようになり ました。 ○樋口座長 私もそれはそうなのです。奨学寄附金を将来的にどうするかを考える際に、 情報公開等が進んでいない部分があるとして、だから、どのように進めるのだ、そのよ うな権限はこの委員会にはないではないかというのが神山先生からの御注意なのです が、仮にそういうものができたときにどういうことを考えるかというと、完全に外すの ではなくて、この前の議論でも私が申し上げたのは、奨学寄附金は完全にディスクロー ジャーだけをするということです。ですから、審議参加から外すとか、そういう話では なくて、まさに桐野先生がおっしゃったように、隠しておいて何かこそこそというのは いかがなものかということで利益相反ルールを作っているので、奨学寄附金がきちんと したものであるならば隠す必要はないでしょうという話ですから、奨学寄附金は幾らも らおうが審議から外せるという話は、また違う話なので、ディスクロージャーだけとい うルールにするという意味なのです。もちろん、外すという意味は、そういう意味では あるのですが。しかし、今、実現もしていないことに余り時間をとるのも、座長の趣味 でやっているのではないかという話にもなりかねないのですが。 ○杉浦委員 奨学寄附金も、時代とともに、かなり適用の範囲なども変わってきている と思うのです。例えば私たちが若いころなどは、とても自由度が大きかった。それがだ んだんと、こういうところは良くないですよ、こういうところは良いですよという感じ になってきた。それとともに、管理面も非常にはっきりしてきて、非常にきっちりして きた。特に国立大学などでは、とてもはっきりしてきた。そういう経過があります。現 状では、奨学寄附金をまだ外すべきではないと私は思うのです。ただ、将来的に、使い 道も管理面も、すべてクリアになっていけば、こういうものを外すということも考えて いいときが来るかもしれませんが、現状では、私はまだ外すべきではないという気はい たします。 ○日比野委員 前のワーキンググループのときから、既にある意味では分かっていたこ とというか、ぎりぎり詰めれば詰めるほど、かえって難しくなります。ですから、グレ ーゾーンは必ず残るだろうし、それはそのときに応じて考えていかなければいけないと 思います。それで、奨学寄附金は、あれだけ取扱いの格差があったら、現状では外せな いだろうと思います。ただし、きちんとやっている所からすると不満だろうというのは 分かります。ですから、言い方は別として、きちんとやっている所からそういう声もあ るから、将来的にどうするかということは、またその場によって考えましょうという形 で収めておいた方がいいのではないですか。どこをどうやっても、多分、グレーゾーン は残ってくるから、最初からかなり試行錯誤的に直していかざるを得ないと思います。 ですから、そういう記述で止めておいた方がよくないですか。そう思いますが。 ○樋口座長 私も日比野先生のおっしゃるとおりだと思いますが、神山先生がおっしゃ ったように、こちらの委員会であれ、ほかのところであれ、すべての医学研究機関、大 学等に、こういう形にしろと言えるのかというと、それは言えないでしょうということ と絡めてなのですが、我々がやれることの範囲でそちらに誘導するようなことを考える と、すべての川がきれいになってからこうしましょうというのはやめまして、つまり、 きちんとした所が仮にあるとすると、その所からは外してあげるということをやるとど うなるかというと、あなたの所は外れていないねということが明らかになるわけです。 一律ルールではなくてね。それで、ある大学の背中を後押しするというか、プレッシャ ーというほどにはならないかもしれませんが、微力かもしれないけれども、そういうこ とも考えてみるというのもあるかとは思っているのです。 ○日比野委員 例えば、前回報告された調査をもっと頻回にやるとかね。 ○樋口座長 ほかにも方法はあるだろうということですね。 ○日比野委員 あるいは、ストレートに名前を出すとかね。これが可能かどうかは別と して。それを出すというと答えないのかも分からないけれども、それも一つの促進して いくものなので。 ○樋口座長 いろいろな方法はあり得るということですね。奨学寄附金のこういう実態 も、本当は多分、私だけではなくて、余り知られていなくて、今回、こういう経緯で研 究班の方が調査をやってくださって、一定のデータが出てきたということなのでしょう からね。 ○日比野委員 調査をやって、もし名前を公表するというときに答えなかったら、そこ は最初から外してしまうという、今度は逆の選択ができるのではないですか。 ○神山委員 もし言うとしたら、委員を委嘱するときに、ディスクロージャーができて いる所から委嘱したらどうかみたいな意見であれば、言えるのかもしれないですが。 ○樋口座長 私よりもっときついですね。そうすると、いろいろな方法はあり得るとい うことですかね。 ○神山委員 これは次の話だとは思うのですが、花井先生の意見の二番目のように、情 報公開している所は本人が自己申告して、していない所は事務局がというのも、ここに 「委嘱する段階で」と書いてありますね。やはり、1回ごとにそのようなことはとても やっていられないと思うので、やるとしたら、委嘱する段階ということしかあり得ない と思います。年に何回もあるときに、ディスクロージャーしているかどうかとか、それ は事実上、不可能だと思います。 ○樋口座長 資料の中のこの花井先生からの意見というのは、どうしますか。これは、 メールで来たものをこうしてここへ入れてもらっているのですが、やはり、書かれたも のと御本人が説明するのは違うので、改めて次回、御説明いただく方がいいでしょうね。 ○総務課長補佐 かなり急いで書いたのでとおっしゃられていましたので、次回、誤解 がないようにきちんと説明はしたいということでございます。 ○樋口座長 以上のようなことで、とりあえず奨学寄附金の取扱いは、現状維持という 方向でよろしいですか。  それでは、3ページ目の組織の問題ですが、そこに幾つかのことが書かれております けれども、いかがでしょうか。 ○桐野委員 前回欠席をしたので、座長に意見として1枚紙のものを出させていただい たので、お読みいただいているかもしれませんが、私自身は大学がやっている利益相反 しかよく知らないのです。大学の場合は、民間資金を積極的に導入せよということが言 われております。国から大学に入ってくる資金が徐々に減っていくので、民間から資金 を獲得して、大学の活力を上げていきなさいということが、文科省も含めて基本方針に なってきたように思います。それがいいかどうかは置いておいて。  そうすると、例えば大学発ベンチャーをやろうという場合は、利益相反だらけになっ てしまう。それをどう合理的に解決するかという大学の利益相反の問題は、大学が本来 果たすべき任務を果たさずに、それとは別の方向の任務を果たそうとするという問題で す。したがって、この審議会の利益相反とは少し性質が違うと思います。こちらの任務 と大学で果たすべき任務という場合は、薬事審議会で果たすべき任務の方が一方的に重 くなってしまうので、少し作り方をお考えいただいた方がいいかと思って書いたのです。  というのは、申合わせでやるというやり方は大学のような所でも全くやっていません。 大学は、アメリカの真似だと思いますが、利益相反ポリシーというものを作って、それ に従ってマネジメントのガイドラインのような規約を作って、それに対して実務を行う 部署があって、その説明責任は大学が最終的には負う。その情報公開に関しては、個人 情報のマネジメントを委員会が行うという形になっていると思います。  それと同じ必要は全くないのですが、大学などで行われている利益相反の管理よりは、 むしろこちらの方が重い可能性があるので、こういう審議会にふさわしいかどうかは私 にはよく分からないのですが、審議会にフィットするような、しかも申し合わせのよう なものではない仕組みをつくっていただいた方がいいと思ったものですから、前回は欠 席でしたので、こういう意見を述べたということでございます。 ○樋口座長 今のお話は、むしろ次のページの「(4)「申し合わせ」という位置付け」 というところについての御意見だと理解していいですか。 ○桐野委員 そうですね。申し上げるのが少し早過ぎましたね。 ○樋口座長 組織の取扱いについては、委員が属している組織あてに、どこかの製薬会 社から何らかの寄附金があっても、それはカウントしないというのが今のルールで、そ れはどうでしょうかということで、アンケート調査でも、それに関係するようなことも 聞いていただいたということだと思いますが、それを踏まえて、とりあえずは現状のま まで、今すぐ変えるということでなくてもいいかどうかということだと思います。 ○杉浦委員 この前にも議論があったと思うのですが、大学や学部などに入ってくるも のは、例えば建物を改修するとか、そういうものが非常に多いと思うのです。ですから、 個人に割り当てるとか、あるいは個人に還元されてくるということは、非常に少ないと 思うのです。それは、ここにも書いてあると思うのですが、実際上、全体から個人にど のくらいとか、そういうことは難しいと思うのです。ですから、やはり現状のように、 これはカウントしないというのが現実的ではないでしょうか。 ○樋口座長 ここに関係したことも花井先生はおっしゃっているようにも見えますが、 それは次回、来ていただいた上でということで、ここもこのくらいでよろしいですか。 ○神山委員 部下の問題をどうするかということだと思うのです。組織はほとんど把握 しておられないわけですから。組織に来たものを把握していないのに、自己申告しろと 言っても、無理ですね。しかし、准教授や助教などの分は9割くらいが把握しておられ る。ですから、あとは、ここに書いてあるように、「独立させて教育・研究面での役割 を明確化した」というのは、そのとおりかもしれないのですが、性悪説に立って、教授 を目当てにしてこちらというような、「将を射んと欲すればまず馬を」というようなと ころに行くのかということを考えて、結局、部下はどうするかということでしょう。家 族を入れたということと同じように、部下も家族に入れるのかということが、議論が尽 きていない気がします。 ○樋口座長 ほかの先生方、いかがでしょうか。 ○杉浦委員 現在ではそういうものは非常に少なくなっているのではないですか。准教 授でも、助教でも、できるだけ別個のものとして、多分、出される方も考えて出されて いるのが圧倒的に多いと思います。昔なら一括して教授が受け取っていたということは あり得ますが、今は非常に少なくなっていますし、私は、准教授や助教のものを教授に 含めて、それまでカウントして、それで申告させるというのは、ちょっとどうかなとい う気は非常にします。 ○桐野委員 確かに、昔の「白い巨塔」くらいの時代の教授であれば、これは号令一下 でいろいろなことが行われたのだろうと思いますが、少なくとも、准教授という名前を 採用して、助手が助教になったということは、シンボリックには、それぞれの教員は、 PIと言いますが、独立した研究者を目指すということに概念上はなっているのです。 その概念から言えば、基本的には、研究に関してはそれぞれが独立して費用を獲得して、 独立で大学院生を指導しながら研究をしていくという仕組みを一応採用しているので す。  では、教授は一切の影響力はないかというと、そのようなことはなくて、やはり指導 をする場合とか、特に管理運営に関しては、教授が、部下になる准教授、助教に、一種 の命令のようなことをすることはあり得ます。例えば、この講義は誰が担当するとか、 そういうことはやるわけです。  しかし、研究については、かなりPIとしての立場を尊重する方向に行っているので、 それを含めてこういうことをやるというのは、何となく時代を逆行するような考えのよ うな気がします。現実的に、例えば、私の奨学寄附金が500万円を超えそうだから、お 前、これをもらっとけ、などという話が起こり得るという感じが、私は全然しないので す。そうしたら、ありがとうございました、と言って、准教授が全部使います。 ○樋口座長 性悪説に立つというのも、もちろん利益相反というのは、それこそ性善説 に立つと、利益相反があろうがなかろうが、気にしなくていいという話になるので、性 善説に立って考えているわけでもない。しかし、完全に性悪説に立つと、小手先でこう して範囲を広げても、いたちごっこですね。相手が本当に性悪なら、それを更に上回る 策を絶対考えるわけですから。そういういたちごっこを繰り返していっても余り意味が なくて、多分、委員の方も、あるいは、本当は、それは、メディアの方を含めて、国民 の方も分かってもらいたいと、私などは思っています。分かってもらいたいというのは、 自分の考えが正しいということを前提にしているので、それ自体が問題かもしれません が。  やはりピンポイントで、つまり、性善説、性悪説で言えば、中には変な人もいるかも しれませんが、みんなが変な人であれば、制度がそもそも成り立つわけはないので、と んでもないものをとにかくピンポイントで捕まえる。この人にこういう審議に参加させ たり、あるいは議決にまで入るのを認めると、立派な薬を作っていこうという大きな目 的を汚すことになるということなのですが、そのピンポイントルールというのは本当に 難しくて、それでこういうルールを仮に作っているのですが、ピンポイントではないの です。  英語を使うと、一方ではover-inclusiveですし、片方ではunder-inclusiveというこ とになります。英語の説明だけすると、本当は全然悪くない者まで審議に参加できない、 きちんとした発言を専門家としてできる人まで排除してしまっている。他方で、本当に 悪い者はそのようなことは気にしないで、このようなルールではうまくピンポイントで とらえられていないので、そういう人たちが審議に参加したり、議決にも参加している 可能性もあるわけです。そういう限界のあるルールなので、その限界のあるルールを少 しでもピンポイントに近付けるようにしようというときに、今のような過剰規制という 言葉がいいかどうか分からないのですが、こういうことをやったらどうなるのだろうと いう話で一生懸命やっていくと何かにたどり着くかというと、余りそういう感じもない かなと私は思っています。 ○神山委員 この間のアンケート調査で、バイアスが生じますかということを聞いてい ます。私立の薬学部では、26.9%が「ややバイアスが生じる」、7.7%が「バイアスが生 じる」と考えておられる。つまり、30%を超える方が、ややバイアスが生じる。3.8%は 「分からない」ということなので、「バイアスは生じない」と言っている方は57.7%し かいらっしゃらない。日比野先生がおっしゃるように、はい、と言って、全部、准教授 か助教が使ってしまうとしても、それでもバイアスが生じると感じておられる方がこれ だけいらっしゃるということを考えると、性悪説に立とうが、性善説に立とうが、難し いところではないかと思います。 ○樋口座長 神山先生、もう少し御発言はいかがですか。この組織のところで神山先生 が提起したのは、真ん中の、若手研究者等、同じ講座という概念がどこまで生きている か分かりませんけれども、あるいは同じ研究室の中の若手研究者あての問題をどうする かという形で問題を提起されたのですが。 ○神山委員 とても煩雑になるかもしれないのですが、90%くらいが把握しておられる とすると、申告していただいて、ルールを適用して、アメリカのような、この方の専門 知識が必要だということで、外さないというふうにすることが可能か、あるいは、案外、 外れる人はいつも同じ方になるのかもしれないとか、そういうことをやっても外れない のかもしれない。そこまで申告してもらっていないと思うので分からないのですが、審 議会の委員にアンケートをするというのはどうなのですかね。准教授や助教まで入れて しまうと、外れてしまうようになる可能性がどれくらいあるのかということを聞いても らう。この間は、どれくらい申告に時間が掛かるかとか、そういうことはやっておられ るのですが。 ○樋口座長 次に花井先生が来られて、一堂に会して議論した上で方向性を出せばいい と思うのですが、今の感じでは、いきなり今度、今までこういうアンケートが出たので、 これで少し拡張してルールを、というところにまでいかないような気がするのです。 ○神山委員 ただ、前回の積み残しで、組織をどうするかというのが。 ○樋口座長 組織かどうかは何でもいい。アフィリエーションの問題だから。 ○神山委員 そうなのですが、組織をどうするかという話をしていて、組織はちょっと 難しいでしょう、分かってもいないのに、ということで、大体いいのではないかという か、まとまりそうな気がすると思うのですが、その組織の中で、同じ講座の中や同じ研 究室の中の若手の人はどうするのかという話も、組織に付随して出てきてしまって、調 べてみたら、かなり把握しておられることが分かったら、それはいいでしょうといって、 単純に切って捨てられる問題ではないと思います。 ○樋口座長 ですから、申し訳ないですが、それを先送りというのか、後回しというの かよく分かりませんけれども、宿題として残すことはあっていいと思うのですが、いき なり、これがあるからということには、私はならないような気がします。配偶者とは少 し違うのではないでしょうか。この時代ですから、配偶者も独立しているかもしれませ んが。それから、神山先生もおっしゃったのですが、今、実際に審議会の委員をされて いる方のところで、どの程度の把握をしているかとか、そもそもこういうことについて どうお考えかということも聞いてもいいと思うのです。そういう資料がもう少しあった 上でないと、今のルールを変更というような話は、この前のアンケートだけでは、一足 飛びかなという感じがするのです。強引に座長が取りまとめていいのかよく分からない のですが、よろしいでしょうか。  次は申告の方法ですが、これは一番短かくて、今の申告のフォーマットについては、 とりあえずはこんなものかなという感じの取りまとめになっているのですが、これはよ ろしいですか。  そうすると、次の、「申し合わせ」という形ではなくて、もう少しきちんとした形に するという、いろいろな御意見がここで出ているわけですから、今日も桐野先生から出 ていますので、この点についてはいかがですか。 ○神山委員 桐野先生に質問ですが、利益相反マネジメントポリシーは誰が作るのです か。 ○桐野委員 多分、外国の真似だと思うのですが、大学があらかじめ利益相反のマネジ メントを大体このようにやりますというものを、それほど長々とは書かないのですが、 書いて、それに従って利益相反のマネジメントのガイドラインという形でやります。た だし、例えば病院の利益相反と工学部の利益相反はかなり違ってきますので、病院は別 の利益相反のマネジメントのガイドラインを作ることが多いように思います。ですから、 自ら決めています。 ○神山委員 大学の学長が決めるのか、病院長が決めるのか。 ○桐野委員 理事会が決めるのだと思います。 ○神山委員 理事会が決めて、大学であれば法人の名前で文書化されているとか、そう いうものですか。 ○桐野委員 そうです。 ○樋口座長 この第四点、「「申し合わせ」という位置付け」についてはいかがでしょ うか。 ○神山委員 もし可能ならば、分科会規程というのは、分科会で審議して、分科会の会 長が決めるという形なので、分科会規程と同じレベルのものにするというのが最もいい のではないかと思います。 ○桐野委員 本当は、この会の全体は薬事審議会なので、審議会が見て、この分科会は どのようにやるべきかということをお考えいただいて、という形にした方が、形はいい ように思います。 ○神山委員 審議会は食品も入っており、薬事・食品衛生審議会なので、昔の薬事審議 会が今の薬事分科会ですね。ですから、医薬品メーカーからの寄附などということが、 食品の方にまで同じに当てはまるということはないと思います。薬事分科会規程という のは、昔の薬事審議会規程ですから。 ○桐野委員 先ほど申し上げたように、大学の場合、工学部と医学部は違うので、具体 的なガイドラインはそれぞれの所でお決めになればいいと思うのですが、基本的に大学 は、例えば東北大学は非常に分かりやすいのですが、マネジメントポリシーを決めて、 これできちんと管理する、そして、利益相反に関する説明責任は国立大学法人東北大学 が負うと書いてあるわけです。しかし、具体的なマネジメントの仕方については、病院 は別でしょうから、病院は病院でおやりください、工学部はこのようにやりますと、そ ういう感じです。ただ、そのやり方を踏襲しなければできないと私は申し上げているわ けではなくて、それはいろいろなやり方があると思いますが、「申し合わせ」というよ うな軽いものは変えた方がいいのではないかというのが意見です。やはり薬事分科会の 利益相反については、かなり重く考えてきちんと仕組みをつくっていると見えた方がい いのではないかと思います。 ○神山委員 私は全く同じなのですが、例えば薬事・食品衛生審議会規程という、5条 しかないものが、参考資料6の5〜6ページにあるのですが、ここに入れるのはおかし いのではないかと思うのです。薬事・食品衛生審議会として、分科会の議決をもって審 議会の議決にするというようなことがここに書いてあって、次の7ページから薬事分科 会規程があって、この中に、先ほど事務局が説明してくださったような、医薬品メーカ ーの役員になった人は辞任しなければならないというようなものが入っているという、 そのレベル以上にはなり得ないのではないかと思うのです。ですから、このレベルにす ることが、大学が作っているマネジメントポリシーのレベルになるのではないかと、私 は思っています。 ○日比野委員 今は、委員を引き受ける人にこの申し合わせを渡して、読んでください という感じなのですか。 ○総務課長 今の申し合わせも、分科会として御決定いただいたということであります ので、もちろん新しく委員になっていただく方には、一連のものとして御説明はすると 思いますが、いずれにしましても、分科会規程も申し合わせも同じように、新規の委員 には、当然のことながら適用されると、一連のものとして御説明はするようにしており ます。 ○日比野委員 よく分からないのですが、例えば委員を引き受ける承諾書の中に、申し 合わせ事項を守りますとか、何か一筆が入るのですか。 ○総務課長 それは入りません。当然適用されるものということで理解をしています。 ここで御議論いただいておりますように、規程より少し軽いような形での「申し合わせ」 という言葉が使われておりますが、分科会として御決定いただいたことなので、それは、 新しく入ってこられた委員がその適用を受ける、受けないを選択できるようなものでは なくて、自動的に適用されるものと、事務局としては理解をしています。  それから、神山先生に、事務局に代わり御説明いただいたのですが、一つだけ補足説 明いたしますと、余りいい説明ではないかもしれませんが、中央省庁再編と同時に審議 会についてもかなり再編を行いまして、審議会の数が減りました。そういう中で、分科 会という名前と部会という名前が付いておりますが、分科会というのは、基本的には昔 の審議会ということでありますので、よほどのことがない限りは、分科会の決定がその まま審議会の決定になるという意味で、分科会というのは一見、軽いような形でありま すが、まさに神山先生がおっしゃったような、重みのある組織と、役人の世界の中では、 分科会というのはそれくらいのものとして受け止めているという補足説明をさせていた だきます。 ○神山委員 最初はタイトルも「申し合わせ」だったのです。それが軽いということで 「審議参加に関する遵守事項」というものになって、なおかつまだ「申し合わせ」とい うのが残っているという、それが前のワーキンググループのときからずっと引っ掛かっ ています。これは自分たちだけの申し合わせでは駄目なのではないかと。樋口先生はそ れでいいのだ、自分たちの身を潔白であると言うことのために、自分たちで申し合わせ をしたということ、このことこそ重大なのだとおっしゃっているのですが、ずっとこの ことが引っ掛かっているということは、少なくとも薬事分科会規程程度の重さのあるも のにしないと、この議論は最後まで引っ掛かっていくのではないかと思います。 ○日比野委員 これを分科会の規程に入れると、事務方としては何か不都合が生じるの ですか。分科会の規程にこの申し合わせを入れて格上げしてしまうと、手続が面倒くさ いのですか。 ○総務課長 分科会規程に入れるか、別の規程という形にするか、最終的にはまさに分 科会としてお決めいただくことになります。 ○日比野委員 不都合は生じるのですか。 ○総務課長 私としては不都合は生じないと思いますが、分科会がまさに自主ルールを お作りいただいているという仕組みでありますので、あとは分科会の中で御議論いただ くことだと思います。 ○日比野委員 分科会にとって不都合が生じるのですか。 ○樋口座長 私は、規程という名前になっても、申し合わせという名前でも、効果は同 じではないかと思っているのですが、イメージは大事なのかもしれませんね。規程とい うことできちんとしているというのが。利益相反ルール自体がそのように見えることが 非常に重要であるとしたら、神山先生はずっと前から申し合わせなどでは足りないとい うことをおっしゃっていたわけで、それは、これを見ている国民一人一人にとっても、 申し合わせというものではなくて、規程という方が望ましいのではないかという、感覚 の問題かと私などは思ったりもするのですが、感覚こそが重要な話なのかもしれません。 桐野先生もそういうことを強くおっしゃっている。 ○審査管理課長 先ほど御質問があったのでお答えしておきますが、委員就任のお願い と、その承諾書でございますが、お願いの中で、注意事項及び審議参加の遵守事項を御 了解の上、御承諾いただきたいということをお願いし、承諾書の中では、委員に委嘱さ れることを、審議参加に関する遵守事項等を了解の上、承諾しますということで、遵守 事項というのはそういう形で、我々としては徹底させていただいている状況でございま す。 ○樋口座長 一点だけ、ここの二つ目の「形式より、実質を重視すべきではないか」と いうのは、私が言ったのかもしれない、自分で覚えていなくて申し訳ないのですが、申 し合わせであれ、遵守事項であれという形で、参考資料7で、このように定めてありま す。これを分科会の規程という形で位置付けると、検証を続けていって、このルールで、 つまり、誰が考えても完璧なルールではなくて、どこかに完璧なルールがあるかという と、アメリカに行ってもないし、ヨーロッパに行ってもない、どこに行ってもないので すが、それぞれの国の実情に応じて少しずつ、現場の状況に応じて改善を図っていくよ うな形のルールだと思うのです。今日の部下の話もありますが、それで非常に大きな問 題が生じたら、やはり部下に関するルールも入れておかなければいけないという話にな りますね。何らかの大きな不祥事のようなものがそれに関連して起これば。そうすると、 当然変わっていくものだということを考えると、変えていき方というのは同じですか。 これは質問ですが、変更の仕方、改正の仕方は大して違いがないかどうかということで す。 ○審査管理課長 参考資料6の10ページを御覧いただきたいと思います。第5条の4 項、5項に、いわゆる臨床試験に関与した方々の規定がございます。広く言うと、そう いう意味では利益相反の一形態、典型的な形態だろうと思いますが、規程で言っている のは、著者と、コントローラーという割り付けをする方、すなわち試験の中心人物を規 程で定めております。遵守事項の申し合わせの中で、より広く治験に関与した方、ある いは分担して関与した方という、周辺部分を定めております。すなわち、この二つの項 は、中心部分を規程で定めた上で、周辺部分を遵守事項で定めているというような役割 になっているかと思います。手続論から申し上げますと、どちらも分科会において議決 していただくわけでございますから、そういう意味では、手続論的には同じだと思いま す。 ○樋口座長 同じなのですね。そうすると、例えば今、課長がおっしゃっていただいた ように、今おっしゃったのは、薬事分科会規程なのですよね。薬事分科会の規程がまず 一つあって、先ほどの総務課長の方の説明の中にあったかと思いますが、今までの仕分 けは、この規程にこれがあって、しかし、もう少し広く網の目をかけないといけないと いうことで、遵守事項という形で、ある意味では綺麗だったわけです。綺麗なのですが、 やはり申し合わせというのではなくて、この規程にあるような形で、上へ上げると言い ますか、そういう形の方が望ましいという場合に、分科会規程というのは、複数あって もいいのですね。つまり、ここが一つの分科会規程で、とりわけ、審議参加に関する、 あるいは利益相反に関する規程というのが別にもう一つあって、ここの規程よりも少し 広めにもう一つの規程で定めてあるというようなことがあっても、別に構わないわけで すね。 ○総務課長補佐 参考資料6の5ページですが、これは親の薬事・食品衛生審議会の規 程でございます。この第5条でございますが、「この規程に定めるもののほか、分科会 の議事運営に関し必要な事項は、分科会長が当該分科会に諮って定める」としか規定が ございませんので、分科会規程が一つでなければいけないとか、定めるものが分科会規 程という名前でなければ駄目とか、そういう制約はこの審議会規程上はないということ でございます。ですので、分科会の中で同列のものとして作った方がいいということで あれば、分科会としてそういうものを定められるということになるでしょうし、そうで はない方がいいということであれば、今の分科会規程と申し合わせという関係のような 形で規程を定めることもできると思います。 ○樋口座長 そういう形もあるのではないかということをサジェスチョンするような、 何らかの文書を作るかどうかなのですが、もう1回重ねてですけれども、この「「申し 合わせ」という位置付け」の三つ目、「分科会規程で規定することは可能ではないか」 と聞かれたときには、可能ですということですね。 ○総務課長補佐 そうです。 ○神山委員 ただ、この遵守事項は、座長もおっしゃったとおり、見直しのワーキング グループをつくって、足りないとは思いますが、少なくとも年に一度は見直していこう ということを入れているということは、非常に改正しやすくなっているわけです。しか も、かなりボリュームがあります。このボリュームがあるものを、今の分科会規程にそ のまま入れてしまうよりも、分科会規程の中に、審議参加に関する遵守事項は何々に定 める、というような一条を入れて、この審議参加に関する遵守事項の「申し合わせ」と いうのを取ってしまうことはできないのですか。つまり、薬事・食品衛生審議会薬事分 科会が責任をもって遵守事項を定めたということが分かるようにして、それは薬事分科 会規程に根拠があるということがつながっていればいいのではないかという気がするの ですが。 ○総務課長 我々も法令を作る場合に、例えば薬事法に基づきます厚生労働省令を作る 場合も、薬事法施行規則という省令以外に、例えば薬局の設備に関する基準というのも 省令であったりしますが、幾つかの、法令レベルで同じレベルですけれども、別々の省 令を作ったりいたします。そういう意味で言いますと、分科会規程と同じレベルの別の 規程を作ることも可能だと思いますし、神山先生がおっしゃったように、基本的な分科 会規程というところに根拠を置いて、別の、申し合わせ以外の分科会決定事項というこ とでやることも、すべて、分科会で御判断いただければ可能だと思います。 ○樋口座長 分科会で最終的には御判断いただくので、この検証・検討委員会としては、 このような方法もあるのではないかと記すことになります。その表現は、どういう形で 取りまとめるかは、これから案文を作っていただいた上でということでしょう。 ○桐野委員 同じようなことを申し上げるだけなのですが、神山先生がおっしゃったこ とに基本的に賛成です。細部にわたって規程を定めるのは全然現実的ではありませんの で、どういう名前がいいか私はよく分かりませんが、別途に遵守事項を定めて、そちら は、必要があれば分科会が責任をもって変えていくことができるようにしておけばいい と思います。一番大事なのは、遵守事項というものが割に分かりやすく表に見えるよう にしておくことではないかと思います。 ○日比野委員 海外ではどのレベルで決めているのですか。 ○総務課長補佐 アメリカにおきましては、法律で一般的な事項が定められていて、そ の詳細な運用は、FDAが作ったガイダンス指針という形で定められております。 ○日比野委員 EUは。 ○総務課長補佐 EUにつきましては、欧州医薬品審査庁の方から、管理委員会及び科 学諮問委員会の委員並びにEMEA専門委員のための利益相反に関する方針という形 で、EMEAの文書として出しています。法律などではないのですが、ガイダンスとか、 そういうことは書いていなくて、日本で言うと通知のような形で、EMEAから番号が 振られて出ているという形になっています。 ○日比野委員 明確な法律はアメリカだけということですか。 ○総務課長補佐 アメリカも、USコードで、基本的に金銭的な利益をもらっては駄目 だとされていますが、特例として、審議会の委員はどうだという、本当に骨組みだけが 法令に規定されていて、実際の、5万ドルですとか、そういったところの運用は全部ガ イダンスという形になっています。 ○樋口座長 それでは、一応のこの場での方向性は出たという形にして、最後のページ ですが、「その他」あるいは「その他の指摘等について」という部分はいかがでしょう か。桐野先生の御指摘もあり、利益相反というのは、医学関係だけを考えても、本当は それだけではないのですが、いろいろなところで今問題になっていて、ここで問題にな っているような場面だけではないですね。それで、大学でも利益相反委員会というもの ができていますが、私は、自分の所の大学の利益相反委員会が一体どういうことをどう いう形でやっているのか、必ずしも知らないのです。ですから、今回はなかなか、これ も宿題かもしれませんが、今日、桐野先生からも、大学における利益相反の課題と、審 議会の委員の方が抱えるところの利益相反というものが、性格が違うので、一概に同じ ようなことは言えない。しかし、いろいろなところで利益相反が問題になっていて、そ の利益相反をどのように、解消はなかなかできなくて、対処だと思いますが、どういう 形で対処するかについて、いろいろなところで工夫もし、苦労もしている。ですから、 この会がいいのかどうかもよく分かりませんが、その現場の、やっておられる利益相反 委員会の委員長であれ、誰であれ、そういうことをヒアリング等で聞かせていただく機 会も将来的にはあった方が、そこから何かのヒントが得られるということもあるのかな と思います。いろいろなアンケートをしたり、今後とも検証を続けていくということも 重要なのですが、そのようにして、ここの場面とは違うところで、しかし、関連もあり そうなところの利益相反のマネジメントの在り方についても、勉強していくということ もあっていいのかなとは思いました。 ○神山委員 桐野先生に質問ですが、こういう組織をつくるというときに、例えば委員 の任命のときみたいなのであれば、2年に1回とか、1年に1回とかで済むと思うので すが、1年に何回も開催される部会とか、審議会とか、分科会とか、開催される都度、 審議をしていくというイメージで言っておられるのですか。 ○桐野委員 大学ですか。 ○神山委員 この審議会の問題について、先生が、このような利益相反マネジメントの 実務を行う組織をつくる必要がありますと書いておられるので、その組織を分科会の中 につくるのか、外につくるのか知りませんが、厚労省につくったとして、その組織はど のように働くことをイメージしておられるのかが、よく分からないのです。 ○桐野委員 それもここに書いてあると思うのですが、実際は、この審議会を担当する 事務局が行うことになるのではないでしょうか。それは、かなり事務的な、結構煩雑な 仕事ですね。1回1回に、寄附金が幾らで何が幾らだと、委員から、競合企業を含めて、 かなり煩雑なデータをやり取りされて、それを適正に扱うのは、委員自身にはできるわ けがないので、どこかがやるということを決めてもらわないといけないという、ただそ れだけのことで、それほど深い意味はありません。  大学の利益相反の場合は、特に工学部で、例えばベンチャー企業とか、そういうこと で関係する場合は、利益相反が起きることが常態なので、むしろ、利益相反であるにも かかわらず、この業務を大学として認可するかどうかを審議することが多いわけです。 ここではそうではなくて、利益相反状態になってしまったら、なってしまったという認 定はこの規定でやるわけですが、そうなると自動的に入らないわけですから、事務的な 仕事がとても多くなるという感じがしたので、そう書いただけです。深い意味は何もあ りません。 ○神山委員 今、事務局がやっていることを、新しく委員会をつくってやらせるという 意味ではないのですね。 ○桐野委員 その必要はないのではないでしょうか。それは、一定のルールに従って、 どこかがおやりになればいいと思います。 ○日比野委員 利益相反マネジメントの実務を行う組織というのは、仮に総合大学であ れば、薬のことだけではなくなるわけです。そうすると、みんな全然レベルが違います ね。例えば、原子力安全委員会でも利益相反をやっています。あそこの場合ですと、専 門家は薬事以上にもっと限定されてしまうのです。例えば原子炉の設計とか、立地とか、 いろいろなことを安全審査でやっていく中で、もしも厳しくやったら、本当にゼロにな るような状態なのです。ですから、ここほど厳格にはできないのです。そこのバランス をどうとるかということが議論になるし、薬事とは線の引き方が全然違ってくるのです。 それを全部込みにした組織というのが、どういう組織になるのかなと思うのです。医学 ・薬学系と工学系と合わさった組織は、どのように考えたらいいのかなと思ってしまう のですが。 ○樋口座長 ともかく、この最後のところ、右のところで5万ドル以下うんぬんについ ては、先ほど宿題もありますが、最後のページについて何か御発言があれば、伺いたい と思います。 ○桐野委員 薬事分科会のホームページはあるのでしたか。 ○総務課長 分科会自体はございませんが、厚生労働省のホームページを見れば、審議 会資料や議事録はすべて出てきます。 ○桐野委員 そこからたどり着けるのですね。多分、そこに、薬事分科会の利益相反に 関する基本的ポリシーを表示することになるのかなと思いますが。 ○樋口座長 既に表示はしてあるのですよね。 ○総務課長 基本的な規定は表示していると思います。 ○桐野委員 先ほどの申し合わせ事項が表示されているということですか。 ○総務課長 はい。 ○桐野委員 それがより分かりやすくなっているかだけの問題ですね。 ○神山委員 「その他の指摘等について」の最後は、現在の申し合わせの「国民の皆様 へ」というところを、もっとしっかり書けという意見でしたか。どういう趣旨の意見か、 記憶にないのですが。 ○桐野委員 委員に就任するときに、例えば守秘義務に関することや、個人情報に関す ることなどと同時に、これは一種の公務員的な仕事になるので、公正な立場で任務を行 うというような宣誓や、例えば利益相反に関することについては、ありのままに申告し ますというようなことなどは、先ほど少し課長が言われましたが、誓約書のようなもの は書くのですか。 ○審査管理課長 誓約書という名前ではありませんが、承諾書という様式がございまし て、この審議参加に関する遵守事項を了解の上というふうに、現段階では書いていただ いているわけでございます。したがいまして、審議会の委員は来年の1月に改選の予定 でございますが、その際には当然のごとく、今回のルールを遵守していただくというこ とを、再度確認していくことになるのだろうと考えております。 ○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。 ○総務課長補佐 先ほどの神山先生の御質問ですが、趣旨といたしましては、そこまで 端的に御発言があったわけではございませんが、そもそもこういう申し合わせ自体は何 のために作っているのかということで、そのシステムとルールの意義や位置付けなどを、 きちんと国民の方々に分かっていただくことが重要だという趣旨で、こういう公開の会 議の場で行って、その議事録も全部公開されている、オープンなところでやっているの だから、このシステムとルールについても、その趣旨をきちんと国民の方々に伝えてい くことが重要だという御指摘であったかと思います。ですので、「国民の皆様へ」のよ うなものを広げると言いましょうか、もっとメッセージ色を出すという方向もあるでし ょうし、ほかにこういうことを達成するために必要な方策等があれば、御意見をいただ ければと思います。 ○樋口座長 全体を通してでも結構ですが、ほかに何か御意見、コメントがあれば、お 受けしたいと思います。 ○神山委員 この委員会でまとめるものは、例えば意見書とか、報告書とか、タイトル は知りませんが、何かをまとめて文書を作るわけですね。前のワーキンググループでは、 遵守事項を作っていたわけです。今回は、遵守事項を作るわけではなくて、この遵守事 項の検討と検証をやった報告書を作るわけですね。そうすると、国民向けに、審議の中 立性、公平性及び透明性をより一層担保するためのシステムというようなことも、報告 書の中に盛り込みやすいということですね。この審議参加に関する遵守事項の最後に「国 民の皆様へ」というのが入っているのは、何となくおかしいのです。今度、分科会規程 にするとなると、分科会規程に「国民の皆様へ」というのが入るのも、何か違和感があ るので、この部分はもっと膨らませてこの報告書に入れるということにしたらどうかと 思いますが。報告書であれば、どれだけ踏み込んで書いてもいいのではないかと思うの です。 ○樋口座長 おっしゃるように、もし規程に入れるということになったら、「国民の皆 様へ」というのを規程に入れるというのは、多分ないのでしょうからね。それは、申し 合わせという形で、こういう申し合わせをしたのはこういう趣旨なのですよということ を、最後に書いておこうということだったので、ある意味では入れやすかったのだと思 います。ですから、それは、神山先生がおっしゃるような形で、少し工夫も必要なのだ ろうと思います。 ○総務課長補佐 あくまでも分科会が決めるという前提ではございますが、法的な技術 論の話でございますので、そこは、これができる、できないというところの議論ではな くて、どうあるべきかという形で言っていただけましたら、例えば前文のような形でそ ういうメッセージを規程の中に入れ込むことも可能でしょうし、いろいろな方策がある と思いますので。 ○樋口座長 ほかに御意見がないようであれば、今日はこのくらいでと思っています。 今日は花井先生がいらっしゃらなくて、しかし、次にまた同じような形で議論をという わけにもいかないと思っておりますので、一歩進めるために、今日の議論を含めて、こ の検証・検討委員会の報告書という形なのだと思いますが、そうすると、案文を作ると いう作業が絶対必要なので、第1次案というか、たたき台を事務局に作成していただき、 次回はそれを基に、花井先生も含めて、作り上げる作業を行うということでよろしいで しょうか。  それでは、事務局から何かあれば、お願いします。 ○総務課長補佐 今、座長から御指示がございましたので、次回、報告書のようなもの の第1次たたき台のようなものをこちらで作成させていただければと思います。議論で すが、検証の部分については、数か月間という短い間ではありますが、一定の機能は果 たしていて、過剰に厳しいかというと、それほどでもないけれども、困難な場面も見ら れるだろうと。奨学寄附金については、現状では外すことは難しいけれども、将来的な 検討の余地も残すような形での記述ぶりにするのかなと考えてございます。組織につき ましても、組織全体の寄附金については、そもそも認知されていないので、申告は難し い。ただ、部下について、今の学校教育法の規定等もありますが、実際、性善説、性悪 説にかかわらず、バイアスの問題ですとか、あと、実態としてまだ不明な部分もあると いう形でまとめさせていただくのかなと考えてございます。申告の方式については、今 の程度で良かろうという御意見であったかと思います。最後の「「申し合わせ」という 位置付け」ですが、様々な議論がございましたけれども、規程のレベルに何らかの形で 置くべきだと。薬事分科会規程の中に一文、遵守事項についての項を設けて、「申し合 わせ」という名前を取るという方法ですとか、今の申し合わせ自体を同レベルの規程に するというような、いろいろな方法について御示唆いただいたところかと思います。そ の他、いろいろ御議論がございますが、そういったものをまとめて、事務局の方で次回、 たたき台を提示させていただければと思います。  次回の委員会でございますが、期限が迫っておりまして、11月20日の午後2時から となってございます。 ○樋口座長 それでは、また次回に議論を継続することにいたしましょう。今日はどう もありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)