08/11/07 第87回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第87回労働政策審議会雇用均等分科会 第87回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年11月7日(金) 15:00〜17:00 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、山本委員  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長   堀井総務課調査官、定塚職業家庭両立課長   安藤雇用均等政策課長、代田短時間・在宅労働課長   松本育児・介護休業推進室長、大地均等業務指導室長     議題:   育児・介護休業制度の見直しについて 配付資料:   資料No.1  雇用均等分科会における主な意見 議事: ○林分科会長  ただ今から「第87回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。2名ほど、 まだおみえになっていませんが、追っておみえになると思いますので、始めさせていた だきます。  それでは、早速議事に入ります。議題は「育児・介護休業制度の見直し」についてで す。本日は、9、10月の分科会で一とおりご議論いただいた際のご意見を論点ごとに整 理したものを事務局が用意していますので、事務局から簡単に説明をお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  資料1をご覧いただきたいと思います。雇用均等分科会における主な意見ということ で、この分科会で議論の最初に提示されました論点に従いまして、労側委員・使側委員 ・公 益委員各側の意見を整理したものです。意見の整理に当たりましては、極力ご発言のと おりに、あるいはご発言の趣旨を損なわないように、ご発言を使いながら、まとめたつ もりです。全部ご紹介してもよいのですが時間がかかりますので、ご覧いただくという ことで、省略したいと思います。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、早速審議に入りたいと思います。大きく分けて 資料1の丸の付いた四つのテーマがあります。それぞれの大きなテーマごとにご意見を いただきたいと思います。まず、「育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保が できる働き方の実現」という点についてですが、ここは少しテーマが大きいものですか ら、この部分は最初に「短時間勤務及び所定外労働の免除」についてと、それ以外に分 けて進めたいと思っています。  それでは、「短時間勤務及び所定外労働の免除」について、このまとめられた資料の 段階で、ご主張できなかったことやその後のご意見等も踏まえて、ご意見をお願いした いと思います。いかがですか。岡本委員、どうぞ。 ○岡本委員  短時間労働については、これまでも議論されていましたので、改めてということでは ありませんけれども、経営側が非常に困難であるということをおっしゃっていました。 例えば、経理の決算の時期や総会などの特殊な事情のときをとらえて、短時間労働の導 入が厳しいということは、いささか主張に困難があるかと思います。特にこういった場 合については、別の形で特例にといいますか、適用除外にするというようなやり方もで きると思いますので、それはそれぞれの工夫の中でされたらいかがかと思います。  それから、確かに中小企業の場合は、なかなか人の措置などで難しいと思うのですけ れども、私たちも連合の加盟の所を幾つか調べてきました。中には、交代制勤務、いわ ゆる工場のような所でも、短時間勤務を導入して工夫している所がありますので、そう いった意味では、さまざまな事情に合わせた工夫の仕方で対応することはできるのでは ないかと思います。  いずれにしても、50%近くが短時間勤務制度を導入しているわけですから、そういっ たところの事例なども見ながら、積極的にこれを導入していくということが必要だろう と思います。それから、短時間勤務の特に育児の場合、母性保護としても既に短時間勤 務が導入されているわけですし、それから産前産後休暇を取って、多くは育児休業を取 って、その次の手段ということで、ある程度その方の勤務のフォローなどといったこと は長期的にも検討することができるのではないかと思います。いきなり降って湧いたよ うに短時間勤務になるということではないのではないかと思いますので、ぜひここはも う一つ進めていく意味でも、きちんとした形で短時間勤務制度が請求権として使えると いうことを主張しておきたいと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、お話がありましたように、制度を事情に合った形で進めていくというご指摘は、 大変重要なものだと思っています。まさに、今回はそこの部分であるということで、私 どもは現行の選択的な措置義務で幾つかメニューはあるけれども、その中で事業所の実 情に合った形での施策展開ということが合理的な枠組みではないかと申し上げてきたわ けです。それぞれの工夫があってもよいのではないだろうか、そして請求権化といった お話になりますと、これはなかなか今の法律の枠組みの中で、請求権化しておいて事情 に合った形での工夫ができるのかというのは法技術的にどうなのかといったところは、 専門的な見地からご意見をいただければと思っています。以上です。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  事情に合わせてというのは、働き方を工夫したらどうですかということです。短時間 勤務する上で、例えばラインの問題やそこの職場に大勢のそういう人たちが出た場合と いうことをおっしゃっていたので、それは働き方を工夫することで対応している所もあ るのではないかと思って発言しています。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  私もそういうことで受け取ったつもりでいましたので、短時間勤務がなじまないよう な仕事や勤務形態であるのだとすれば、それは例えばフレックスで対応していくなど幾 つかの組み合わせの中で対応できるものだと認識しています。  それから、先ほど50%というお話がありましたけれども、幾つかあるメニューを含め た形での数値が50%ということであって、今回ターゲットになっている短時間勤務や所 定外労働免除に限っていえば、平成19年度の数値はありませんので、平成17年度の数値 になりますけれども、三十数%あるいは二十数%といったことで、全体からすると導入 割合がまだまだ低いです。そういうものを今回、ある意味では100%に近いような形で の新たな枠組みを設けるということそのものが、現実からすると難しい対応ではないだ ろうかということです。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  先ほど、岡本委員からも報告がありましたように、短時間勤務等の議論のときに、な かなか具体的な事例が少ないといいますか、この別表の中には具体的な内容が書いてい ないのですけれども、実際に進めている所ではどういう感じなのかということです。実 際の短縮時間や期間などを調べました。その調べたプロセスの中で非常に感じたのは、 この場で議論していると、この短時間勤務をすべてに導入ということは非常に難しいと いうこと。要は労側と使用者側の意見の差が大変大きいと思っているのですが、進んで いる所ということかもしれませんけれども、現場に行きますと、何とか労使で、すべて の労働者が就業継続できるために知恵を寄せ合って、その結果で企業の規模にかかわら ず、取り組んでいるということがわかりました。そういう所だけが進めていればという 少しネガティブな言い方ですが、使用者側は進んでいる所は進んでいるのだから、何も 一律的に法律を改正する必要はないというご主張なのですが、逆に例えば30%ぐらいの 所で取り組んでいるかもしれませんけれども、ニーズが多いということを受けて、中小 企業でも、それからもちろん大企業でも取り組んでいるということ。ましてや今の少子 化社会の中で、この育児や家族ケアのために就業を中断することがないようにというこ とで議論している中では、3割あったらこれをどうやって広げられるかということを、 ぜひ議論したいと思うのです。 一歩進めて現在は選択的な措置であると半数がかかっていないというところを、どうや って広げられるかということをぜひ議論していきたいのです。理解されていなかったり 重要性が認識されていないから、それが浸透すればもっと導入する企業が多いというと ころを、私たちとしてはそれほど待っていられないということです。現下の状況を考え ると待っていられないという中で、この育児・介護休業法の見直しで後押しができるか ということを、ぜひ議論していきたいと思います。イメージだけで議論してはいけない と思いまして、本当にいろいろなところでヒアリングさせていただきましたし、必要で あれば具体的な事例もご披露させていただく用意はありますけれども、前段のところで 少しそういうことを申し上げたいと思います。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  ご案内のとおり、中小企業はいつの時代においても、大変厳しい経営を強いられてい るわけで、特に今のような景気が非常に悪いときには、今まで以上に大変厳しい状況に あるわけです。そういう中においても、中小企業は少ない人材で、どうにかいろいろな 事象に柔軟に対応してきているという現状があります。同時に、労働者の方々との協調 の中において、自らの裁量でいろいろと経営を行っている現状だと思います。こういう ときにおいて、制度を盾にいろいろと主張されますと、本当の問題として経営は成り立 たなくなっていくような、そして代替要員も確保できないようなぎりぎりの状況に今あ るというのは事実だと思います。もっとも、小さい企業の従業員の方だと経営者とコン タクトがなかなかよく取れていますから、あまりそのような変な主張はしないと思いま す。逆にいうと、そういう制度に縛られないような経営の状態にしていただくことが、 非常に大事ではないかと思います。この間も言いましたけれども、下請関係で仕事をと ても急がせてくるときもありますし、逆に全く仕事のないときもあります。そういうと きによって、それぞれいろいろと違うので、その辺はやはりそのときどきの事業者の判 断、経営姿勢というものがありますから、そういうものを重要なものとして認識する必 要があるかと思います。そういう意味でいきますと、現状の措置義務を基本にして、そ れ以上のことは労使で話合いながらやっていくことが、現状のこの厳しい時代の中にお いては、ベターではないかと思います。以上です。 ○林分科会長  山本委員。 ○山本委員  少し重複するような形になるかもわかりませんけれども、昨今の経済状況のことにつ いては、一言だけ言っておかないといけないという気もしまして、この審議の経過中に サブプライムから始まり今朝もトヨタの問題があり、そういったものが波及してきます と、今、端的には何とか物事が進んでいるように拝見できますが、中長期的なパターン で見ますと、なかなかこれは急速に回復していくという見通しがどうも立たないような 世界的現状の中に今、日本があるということは、認識できるような気がします。基本の ものの考え方に私は反対しているということではないのですが、そのことに鑑みると、 しかも中小企業の中には大小取り混ぜてあるということもあります。そう考えますと、 これらの短時間勤務や所定外労働免除等が法制化されてくるということになりますと、 今、山崎委員がおっしゃったような形のことで、これまでも既に労使の話合いの中で解 消されている問題点も多々あったと思います。それから、例えば定年延長の問題などで も、極力、国の施策に肯んじていこうという姿勢もあって、これも企業は負担をしなが らですが、それに向かっていくという方向性を、今取っているということもあります。 これらの諸々のことを参酌しますと、企業の背負っていく負担の可能領域というのは、 ある程度限界があるわけで、その範囲の中でやれることをやっていくことかと思います ので、そう考えますと、この選択的な現在の状況の範囲の中で、ものを考えていただく というのが、企業をしていますと直感的に感じる部分です。  それから、先ほども少しお話がありました、もう少しプライオリティを高めるという ようなやり方の宣伝の仕方、あるいはそういうことを喧伝しながら、インフォメーショ ンを強めていくというようなことで、企業側のプライオリティとしては、この二つのこ とを優先的に考えていったらどうだろうかと指導されるなども段階的にはあり得るのか という気がしました。以上です。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  遅れて申し訳ありません。今、短時間勤務あるいは所定外労働免除の「困難な事情」 のところで、使側の委員の意見として三つほど書かれているところに対して、私なりの 考えや実態的なお話をさせていただくと、交代制勤務のところは非常に難しい課題だと 思っていますが、実態として、既にこのような対象の方が出てきたときには、同じ建屋 の中の違う部署に配置換えをしながら、それは労使の工夫の範囲で、短時間勤務で対応 している企業というのは、非常に多いのではないかと思っています。それは、多分共通 の認識だと思っています。  それから、二つ目の経理のお話などは、1年中総会があるわけでもありませんので、 突発的にこういうものが発生したときに、現実的に総務部門で短時間勤務を取りながら 対応されているということも実態としてあると思いますので、これを困難な事由という ことで挙げられると、非常に働き方が狭まるのではないかとも思っています。  また、三つ目の下請けの場合というのは、非常に状況としてはわかるのですけれども、 これは短時間勤務という問題よりも、今、取引関係の問題というようなところにかかわ ってくる話で、この育児・介護の働き方というところの課題ではないのではないかと思 いますし、もともとこういう取引関係が続く以上は、長時間労働が問題になってくるわ けですから、それは働き方、働かせ方の課題で、直結して短時間勤務の問題あるいは時 間外の免除という問題ではないのではないかということからすると、使側の委員の皆さ まがおっしゃっているような、短時間勤務や所定外労働の免除というようなことで、直 接本当に困難な外出しにするような事情というのは、今の労使の取組でやっているとこ ろをやっていくという範囲で、特段難しい問題ではないと思っています。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  山崎委員と山本委員もお話しくださり、重なる部分もありますが、現在の「100年に 1度」むしろそれ以上という厳しい現実というのは、そう簡単に改善されることは、多 分ないであろうと思います。今までの価値観そのものを、根本的に考え直さなければな らないぐらいの、大きな時代の変革に来ていると思いますので、そうした観点からこう した議論においても、そのことも含めながら議論していただくことは大事ではないかと 思います。  そして、既に労使両方から出ていると思いますが、現行制度の中でそれぞれの企業で 最大限工夫して、できることは応えていけるように話合いして、既にやっているところ が多々ありますので、むしろそういう良い例やこういう工夫をしている、こういうこと ができたという例の周知や皆さまに例を提供するなどの広報活動のようなことをやって いただくと、こういうことができるのかということで、いろいろな逆の意味で対応性が できるのではないかと思います。短時間や所定外労働免除というのは、周りの方々との 協調的なものも十分必要なことですから、ある意味で感情的な部分もないわけではあり ませんので、法律で決めるというよりも話合いでやっていけるというのが一番理想的だ と思いますので、ぜひ良い例をもっと周知徹底していただくような広報活動をお願いし たいと思います。  もう1点は、何度も申し上げますけれども、インフラの整備が大きなウエートを占め ると思いますので、併せてその件もお願いしたいと思います。以上です。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  今、お話を聞いていまして、この間の厳しい、特にいろいろな意味において経営が厳 しくなっているということを前提条件として、今、使側の委員の方からお話が出ている わけですけれども、それを前提にしてしまったら、そもそもこういった今までしてきた 議論が何であったのかというところに、戻らざるを得なくなるのではないかと思ってし まいます。  もう一つは、いろいろな現場の中で、それぞれ短時間勤務の在り方等も含めて工夫を されているところはところで、それはそれで、より進めていくべきであると思います。 ただ、そもそもこの問題が起きたときに、4人のうち3人は働き続けることができていな いという現実があって、この問題の出発が始まっているわけで、この審議会で議論され ているわけですから、そこのところは、4人のうち3人のところについて、もっとそこを どう底上げして就業継続させていくのかという観点で考えれば、きちんと「短時間勤務 及び所定外労働の免除」というところについても、法制化すべきではないかと考えます。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  私どもは、多くの中小の組合があるところですが、企業と組合で話し合って制度化す ればよいということは理解できます。私どもも制度化している中で、複数になりますが 勤務時間の短縮というのが80%以上です。これは、実際の組合員の要望と企業の合意に よってつくられているものですが、ただ、今、組合がどれぐらい組織化されているかと いうことを考えれば、組合と企業で議論すればよいのではないかというところで、収ま っていくべきものではないと思います。  それから、中小で大変だというお話もされていますし、実際にそれも理解できます。 しかし、短時間勤務をした場合、その部分の賃金を保証してくれという話は一切してい ませんので、その部分について他の人を入れるのにコストがかかるなどというのであれ ば、仕事の見直しも含めて、そのことをしたことによってプラスになるものもあるので はないかという考えを持っていただければ、非常にありがたいと思います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員 先ほど、100年に1度の金融危機というようなことをおっしゃっていますので、中小企業 だけではないのかもしれませんけれども、置かれている状況というのは私たち労働組合 としても、全く別のところではなくて、共に同じような環境をどうこなしていくかとい うところで、立場的には同じだと思います。まして、収まるには1〜2年を要するという ような、いまだかつてないような危機の中でという状況もよくわかっています。また、 私たち労働組合の中でも、雇用労働者の大半、7割以上は中小企業で働くという状況で ありますので、中小企業の実態なくしてはさまざまなことを議論できないわけですけれ ども、だからこそここで議論したいのだということを、何度も申し上げているのです。 先進的な大企業等では、おっしゃるとおり、それは最低限の法律でカバーするというと ころではなく、進めて、それこそグッド・プラクティスを作っていくというような役割 を果たしていただいているのですが、先ほどそういうグッド・プラクティスの周知とい うことでお話もありましたが、実際、それを進めているところについても、厚生労働省 を中心として広報しているけれども広がっていないという現実があるわけです。その差 が何なのだろうと思うと、裁量的に進めるというものの限界があるのではないかと思わ ざるを得ないわけです。私たちも状況は全く同じところにいますので、大きく高いハー ドルを越えてあるべきところといいますか、かなり高い水準のところで、この法律をど うするべきかということを議論しているわけではなく、本当に土壇場にあるといいます か、これ以上下がりようがないような少子化の状況や、多くの働く、特に女性の能力発 揮ができない現状などを解決していくためには、例えば、裁量的な労使の話合いだけで は進めないのだという認識を持って言っているのです。このギャップがどうしてこのよ うに大きいのかと思わざるを得ないのですけれども、具体的にどのようなことが、例え ばコストとして大変である、あるいは制度として大変であるということをおっしゃって いただくと、もう少しイメージしやすいのかと。今までもおっしゃっていただいている のかもしれませんが、どうしてもそこが少し近づけないところなのです。こういう経済 危機の中で、むしろここで議論しているような制度はぜいたくなものなのか。賃金が払 えるかどうか、あるいは雇用が維持できるかどうかという状況にきているときに、子育 てのための就業継続を何とかしようという話は、非常にぜいたくな話なのか。決してそ のようには思っていらっしゃらないと思いますけれども、どうも私たちからすると、そ ういう次元の話をしているかのように思えてしまうのです。その辺は、もう少しお話を 伺えればと思います。ギャップは大きいですか。いかがでしょうか。 ○林分科会長 山本委員。 ○山本委員 今のお話もよくわかります。私どもは流通関係の仕事をやっておりますが、そうなりま すと、消費者が目前に来てしまうというビジネスをやっている場合に、要するに申し上 げたいのは、企業によって特質もそれぞれ違うので、なかなかこういうことになじみや すい企業とそうでない企業、規模によっても大小で、とても自分たちの所では無理だと いう所、あるいはまだ私どもは中ぐらいの中小企業というか、零細企業の少し上ぐらい ですけれども、まだ少しは動ける範ちゅうを持っているのかもしれませんが、さらに零 細になってくると本当に動けないという、規模による適、不適という問題もまた出てく る可能性があると思います。そういう中で、たまたま流通業などをやっていますと、店 を開けなければいけないという問題が出てきたときに、この短時間勤務が法制化されま すと、やはりそこで代替要員を絶対に入れなくてはいけない。その日はやめておいて、 次の日にやればよいという式のことができないような業態もあります。そのようなこと を考えたときには、そこへ臨時を入れるので、その臨時を雇っていくコスト、それから 今の労働環境の中でなかなかすぐに代替要員を雇えないという厳しさがあるのが現実だ ろうと思います。ですから、実はこれは前から何回かお話し申し上げているのですが、 そういうところに人的なバックアップをしていただけるシステムを強化していただく、 あるいはそのときに、こういうことに協力した場合に出てきた過負担に対して、全額を 援助してくれということではなくても、なにがしかそこにインセンティブとして与えら れるような何かやりようのようなことをご提案いただくようなことも併せて、総合的に 考えていかなければいけないことかという気がいたしました。 ○林分科会長  この部分は、双方それぞれ原則論という形で、なかなかこの段階では、議論がお互い にすれ違っているような感じですので、これは本日の最後にもう一度議論をすることと して、時間の関係もありますので、次の論点に移っていきたいと思います。 続きまして、「在宅勤務」「子の看護休暇」および「継続就業しながら子育ての時間確 保ができる措置の対象となる子の年齢」について、議論したいと思います。この点につ いてご意見がありましたら、お願いいたします。従前の議論で、在宅勤務については双 方とも特にご要望もご指摘もなかったように思いますので、「子の看護休暇」および 「対象となる子の年齢」について、前に発言をしていないところがありましたら、どう ぞおっしゃってください。山崎委員。 ○山崎委員 「子の看護休暇」につきましては、子どもの休暇ということですけれども、親の病気の ときは年次有給休暇を使っているということで、そういうことを見るとバランスを失し ているような感じがしないでもないのですけれども。これは何回も繰り返しになります けれども、まず年次有給休暇は権利として認めていながら、ほとんどの企業で余ってい る。ほとんどという言い方ではないかもしれませんが、余っていることが多いというデ ータがあるわけですから、そこをきちんと取る。せっかく年次有給休暇はお金が出る権 利ですから、やはりそこを取るのが先決だと思いますし、そういうものを社会的な運動 として、年次有給休暇を取りましょうと。どこの企業でも年次有給休暇を取ろう取ろう と言って、なかなか取れない実情がありますので、そこは完璧に取るようなものをお互 いに理解し合ってやっていくという一つの流れをつくっていくことが、やはり先決では ないかと思います。以上です。 ○林分科会長 では、斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 年次有給休暇があれば、皆さん年次有給休暇を取っていると思いますけれども、実際に 子どもを持ちながら働いている方は、例えば子の看護の休暇が所得保障されていない実 態からすると、皆さん現実は年次有給休暇から100%取っていっていると思います。結 局年次有給休暇がなくなってしまって、子どもが病気のときに子の看護休暇を使ってい るケースが多い実態からすると、子どもが2人、3人いる方は、年次有給休暇も取り切っ て、しかも子の看護休暇の5日も取り切って、欠勤にもなっている。それでも、お休み をしないと子の看護をする人がいない実態であって、年次有給休暇を取らずに余らせて いる方と、切迫して子の看護休暇を必要としている人という対象は違うのではないかと 思います。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員 今の斉藤委員と同じなのですけれども、私たちは親の介護・看護でも、やはり相当年次 有給休暇を使い切って、今は年次有給休暇しかないので使っているという事情がありま すので、これについても特別な休暇が必要ではないかということを、これまでも申し上 げてきましたし、全体的な家族介護・看護休暇というようなものがあらためて必要なの ではないかと思います。本当に、特に子どもを持っている方たちはぎりぎりの状況で、 確かデータにも出ていたと思いますけれども、欠勤を何日もしている、または早退をし ているなど、そういった事情がありますので、ぜひここはやはり子どもの数に応じた形 での休暇の付与を検討していただきたいと。必要だとあらためて申し上げておきます。 ○林分科会長 基本的に短時間勤務と所定外労働免除のところの議論がまだ終わっていないので、さら に問題の子どもの年齢は、確かに議論はしにくいのですけれども。子どもの年齢につい て、前提は少し置いておいて、何かご意見はありますか。川崎委員。 ○川崎委員 特に短時間勤務に関して発言したいと思いますが、子どもの年齢を上げていく。つまり 長期にわたって短時間勤務の形を取っていく選択肢を増やしたいということが今回の趣 旨かと思います。ただ、働き方というところで考えていくと、やはり短時間の部分の賃 金がカットされる、ないしは業務上の経験を経た上での個人の成長もやはり限られたも のになってくるということを思うと、単純に延ばすのではなくて、保育サービスやその 他の社会的な基盤を充実させていくことで、延ばさなくても職場に復帰できる、通常勤 務ができるというようなもののメニュー立ても充実していることとセットにした検討が 必要だと考えています。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  私どもは、やはり小学校卒業まで、こういった子育ての時間が確保できる措置は絶対 に必要だと思います。本当に今の世の中の状況を見ていると、子どもたちがそれこそ1 人で、または数人で親の目の届かない所にいさせるということの危険さは、10数年前か ら比べればはるかに大きいと思いますし、いろいろな誘惑もたくさんあります。そうい った中で親が見るということがまず一つは大事なことなのだろうと思っています。 それから、キャリアの話がよく出ますが、確かに短時間勤務であるが故に、それなりの 仕事の与えられ方というのでしょうか、もしかしたら就く仕事が限られるということは あるかもしれませんけれども、子どもを持ちながら働いている女性たち、短時間勤務の 女性たちの仕事の仕方を見ますと、それはその時間内で本当に普通の時間帯で働いてい る人以上の働き方の密度でやっていらっしゃる方が多いと思うのです。そういったこと を私たちも隣で見ながら実感していますし、その方たちのキャリアがそのことで損なわ れることは決してないし、逆に育児などをやることによってプラスになる面はどの企業 においてもあると思いますので、私は短時間勤務などによって、そういったことがある 程度阻害されるということは、働く仕事の中身を変えさせられているのであれば多少あ るのかもしれませんけれども、それ以外であれば、それほどそこは心配する必要はない のではないかと。むしろものすごくやっていらっしゃる方が多いということを反論とい う意味で言わせていただきます。 ○林分科会長 はい、斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 インフラの整備は、労側も同じ認識だと思いますけれども、法律の改正をその整備をし ていけばよいということで待っていて、就業の機会を逸する女性がどんどん増えていく のは、日本の国にとって労働力という観点から見たときにどうかと。それであれば、ま ず労使というところで、できるところからやっていこうという背中を押す法律の改正だ と思っております。もちろんインフラの整備は使側の委員もおっしゃっているように、 労側も同じ思いで、それは重要だと思いますけれども、それを待っていたら、女性の就 業率を上げていくのは難しいと言わざるを得ないと思います。 ○林分科会長 はい、遠藤委員。 ○遠藤委員 今、議論されているのは、一つは現行ある制度をどこまで延ばしていくのかという議論 と、仮に新制度といったようなものが入ってきた場合に、それをどうするのかの議論が あると思いますけれども、ここで今書いてあるのは、現行制度ということで考えていけ ばよろしいのか、それとも新制度との兼ね合いについても議論を重ね合わせながらして いくということのどちらになるのでしょうか。 ○林分科会長 特段こだわりませんけれども、現制度だけに限らないで、新制度との組み合わせでもご 発言いただければと思います。 ○遠藤委員  ありがとうございました。そういうことで申し上げますと、やはり働き方としては、 当然その働き方に合った形での仕事の見直し、責任の与え方などが当然あると思ってい ます。やはり今回はどこまで延ばすのか、あるいは現行でよいのかということで言うの であれば、やはり現行の小学校に入るまでの6年間という期間の中でやりくりを何とか していただいて、6年後についてはフルタイムに復帰してもらって、これまで持ってい らっしゃったキャリアを有効活用していただくといったことが私どもが期待する労働者 像だということで申し上げたいと思っております。 それから、6歳までのところで、いわゆる制限的な働き方が終わって、今度はフルタイ ムに入ってしまうから辞めていかれる人の割合がそんなにいらっしゃるのでしょうか。 私はそう思っていないのです。必要か必要でないかの議論と、それがないから、この仕 事を辞めてしまう人がいるということは、必ずしもそうとは言えないと思っております ので、そういうことで言うと、今の6歳までの対応がどこまで行き届いていて、ここの 部分で足りないものがどうなのかというところを、例えば皆さま方で思っている実情が あるとすれば、そこが延びていないがために辞めざるを得ないということがあるとすれ ば、そこのところをもう少し教えていただけますでしょうか。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 退職をしているかどうかというところからすると、そのようなデータは、私自身は持ち 合わせていませんけれども、私の知っている例からすると、小学校1年生に入る前に第 2子を妊娠したり、第2子を持つことで、短時間勤務の継続を選択していこうとする女性 は非常に多いのではないかと。ですから、実態として就業している女性で、専業主婦の 方よりも子どもを産みたいといって出産している方が増えているデータがある裏という のは、短時間勤務を継続するためには、次の子どもを産むことによって短時間勤務を継 続するということで、社会のインフラ整備、そして社会の法律の改定を待っているとい うことが現実にあるのではないか。それは社会だけではなくて、労使の自治の間で短時 間勤務を延ばしてもらえるのではないかという期待も込めて、2人目、3人目を妊娠して、 短時間勤務を続けているケースは、私は身近では非常に多いと感じています。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 別に今は事例としてお伺いをして、第2子の部分。一つの家庭で2人を産んで、どれだけ 負担が高まるかというようなことは容易に想定できる話だと思います。ただ、今の事例 だけを取ってみると、第2子が生まれた時点で、その子どもに対する現行枠で十分に使 い切るものがあるわけですから、それで言うのであれば、第1子の部分を延ばす話には ならないのではないかと思いますけれども。第2子がもう生まれたわけですから、第2子 にかかわるところで対応していけばよいのではないかと思いますけれども、違うのでし ょうか。 ○斉藤千秋委員  データもないので、退職されている方は多いというか、いらっしゃると思いますけれ ども、継続をしようとして第2子、第3子という形で、妊娠・出産をしている女性がいる という事例を紹介させていただきました。 第1子に必要ないかということではなくて、それはそれとして、少し日本語としておか しいですけれども。必要だと労使で延ばしてくださいという声は非常に多いです。今は 労使ですね。普通の組合員が言える所は労働組合ですから、そこに対して要望してきて、 けれども、労使ではできないから法律の改正をしてほしいという声を私どもの産別に挙 げてきているのは非常に多いです。行き詰まっている所はどこかというと、電機連合の 実態からすると、小学校3年生までは大手の組合を中心に非常に上がってきております が、小学校卒業までというところが非常に厳しい実態で、そこは大手の中でもやはりハ ードルがあると。ただ、そうは言っても現実的に組合員の方のニーズが高いということ で、この春の春闘の中で延ばしてきている組合が出てきている。マスコミなどの報道で も、他の産業でも大手を中心に小学校卒業まで延びてきているというのは報道されてお りますので、そういう意味では大手中心なのかもしれませんけれども、小学校卒業まで の短時間勤務の延長、あるいは時間外労働の免除は、実態としてあり得ないことではな くなってきているのではないかと。それはそれぞれの労使の中でニーズをくんで、労働 力として必要だということを会社側も認めていただいて、延ばしてきていただいている のではないかという実態からすると、それが全く現実的ではないということではないと 思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 ですから、繰り返し申し上げているように、そういう取組が労使の中で話合いがついて、 対応できるところをやっていこうというのは、こちらのスタンスとしても同じなのです けれども、それを今議論されているのは、法律で一律にどこまで基準を上げていこうか という話になっているので、そうではないのではないですかと申し上げているというこ とでご理解いただければと思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 大手は労使でできてきている。ただし大手ですので、私の加盟の産別の中でも二極化が 起きています。これは最初のときにも言ったと思います。非常に大手は延びてきていま すけれども、3歳の法律でとまっている所は、中小のところで非常に多い。この状況の 中を解消するためには、法律を改正して延ばしていく必要があるのではないかと。それ であればニーズの高い大手の組合員の声が実態としてニーズが高くて、労使の中で延ば してきている小学校卒業までというのは、働く側のニーズとしては望ましい姿であると 思っています。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 ですから、その「望ましい姿」であるかどうかという議論と、法律で一律にどこまで最 低基準を上げるかという議論は、やはり峻別して議論していく必要があると思っており ます。先ほどから、使側の経営者の皆さま方がおっしゃっているように、今後ますます 景気の後退が見えてくる中で、どこまでやり切れるのかといったところについても、や はりこれは十分にご配慮賜りたいと思っております。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員  ずっと同じような議論になってしまうのですが、そういう企業の状況は配慮しますけ れども、分けますと、やはり継続就業するためには、小1の壁といいますか、今の法律 ではなかなかクリアできないというのは、この場ではなくて他の労使などが入っている、 例えば、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議、あるいは社会保障国民会 議など、さまざまな所で具体的な事例があって、単発ではいろいろな制度があって、企 業の制度もあるし、法律的なところもあるというところで、しかしなぜ、少子化が止ま らないのかといったときに、遠藤委員はデータを求められるかもしれませんが、ずっと 散々出されたのです。やはり小学校を超えての対応が必要だというところ。まず、それ がおっしゃるように、そこを議論することは重要だと思います。使用者側は今のままで よいのではないか。ところが私たち働く側、あるいは働く多くの母親は、そこでは足り ないと思っている。  もう一方、短時間労働をどこまで延長できるかというところで、なかなか短時間労働 をずっと長く続けると、キャリアにも問題があるなど、そういうご意見もありますけれ ども、少しそこは整理しないといけないと思います。特に先進企業、大手などでは、既 に労働時間の長短ではなくて、働いている中での成果や評価ということで、きちんと評 価をして、これは新聞報道でしか情報がないわけですけれども、既にラインマネジャー でも育児休業を取っている、短時間労働者の人がラインマネジメントをして、そこの企 業が問題ないという、まさしくグッド・プラクティスがあるわけです。それは一方のと ころで、ここと育児・介護休業法と関連するのか、あるいは別の所で、本当に労働時間 の長短ではない労働者の評価、あるいは配置といったものをきちんと議論していかない と、現在の経済環境だけではなくて、企業の存続のためにもそういうことを議論しなく てはいけないのではないかということが働く者としてあります。少し二つが一緒になっ てしまっているのではないかと思います。 今、ここで短時間勤務というのも、先ほども具体的に何時間なのかという議論もしてい ないで、今それぞれの実態で、私たちが調べたところでも1.5時間から4時間ぐらいまで、 さまざまなパターンがあるのです。1.5時間と4時間では、短時間労働を延長することが 違うのかどうかというところがあると思いますけれども、評価の部分と働く者として必 要だという部分と少し議論は分けた方がよいかと思います。 ○林分科会長  一応、議論としては、お互いなかなかかみ合った議論にはなりませんけれども、この 点についての議論は終わりにしまして、次の論点に移っていきたいと思います。 次は、「父親も子育てにかかわることができる働き方の実現」という問題で、この点に ついてご議論いただければと思います。三つの論点が資料の5〜6ページに出ております けれども、どの論点からでも結構です。ご意見をいただければ。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 「専業主婦(夫)の除外規定」のところですけれども、使側の意見として、8週間以内は 現行でも取れるし、では8週間以降のところがなぜ必要なのかというような意見が、非 常に多いのかと思いますけれども、その辺りのニーズなどを考えますと、専業主婦の場 合、面倒を見る人がいるから子どもは基本的には保育所に入れないと。そのときに子ど もを出産した後の第1子のときは、自分自身の出産の不安ということ。それは前回にも 言っていますけれども、そのためにメンタルな部分、あるいは健康的な部分のサポート という意味で休業の必要性があるのではないかと。第2子、第3子の専業主婦の出産とい う意味からすると、保育所にも預けられないような状況で、産褥が終わった後の専業主 婦で、まだ就学前の子ども2人の面倒を見ていく、あるいは3人目の子どもの面倒を見て いく実態は、今の社会の中で核家族が多い中では負担が掛かっていると思っています。 実態として感じるのは、例えば専業主婦の家庭ですと保育所に預けておりませんので、 幼稚園に預けていると思いますが、出産したばかりの子どもを、幼稚園の会合あるいは 送迎に連れてくる母親が非常に多くて、その後に買い物にも行くという実態が多いので はないかと。そうしますと、やはりそういうところに精神的にも肉体的にも負担がある 部分を少しでも軽減するために、男性が休業を取ることによって、子育ての負担を分か ち合うということで、この専業主婦規定を法律的に取っていくことも必要ではないかと 思っています。 ○林分科会長 現実には、かなり多くの職場で、この除外の労使協定があるということで、その辺を踏 まえまして、何かご意見がありましたら。山本委員。 ○山本委員 今、この「父親も子育てにかかわることができる働き方の実現」が、やはり女性の負担 を和らげることによって、就業の継続が可能になるというところで意義があるかと思い ます。しかし、実情的に考えてみると、男性・女性という言い方はいけないかもしれま せんが、男性が育児休業を取ろうとすることが、今社会的あるいは会社的な中で価値観 として判断したときに、なかなか言い出しづらい環境が現実的にはあるかもしれないと 思いますので、制度的な問題も必要かもしれないのですが、むしろ、そういうことの価 値概念をこれからの時代に向けた方向へ変えていくというのか、より理想的な方向へ持 っていくような全体理解度の向上。このようなものも併せて図っていきませんと、例え ば年次有給休暇の中でこれをまずは処理しようと考えたとしても、なかなか言い出せな いまま、そのことは埋没してしまうこともあり得るのかという気がします。非常に抽象 的意見で申し訳ないのですが、そういう価値概念を変えていくための努力といったこと も併せて行っていかないと、なかなかこのように進んで行きづらい現状があるのではな いかという意見です。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  意識改革はぜひやっていただきたいと切に願うわけですけれども、実は管理職を含め た意識改革で一番効果があるのは、そこの職場で男性が育児休業を取ることだと思って います。実際に私どものところでも何人か男性が取っていますが、子育てというのは自 分の人生においてごく普通のことなのです。その普通のことを自分も取ってみようとい うことで取った後の周りの意識は明らかに変わっているのです。では自分も取ってみよ うかという声が出てきたり、管理職もこういう形でも仕事的にはやっていけるというこ とで周りにももっと取る人間がいてもよいのではないかと言ってくれたり、私どもの連 合のメンバーでも実際いえると思うのですが、一番それが意識改革につながっていくと 思います。このままいけば企業トップがサインまでしたワーク・ライフ・バランスの行 動指針が進まないと実感していますので、ぜひここは男性が優先的にきちんと育児休業 を取れることの必要性を理解もしていただきたいと思いますし、私も8週間だとそのく らい取ってくれたらよいのかなと若干思ったりしたのですが、実際に育児真っ最中の方 たちから聞くと、夫が8週間取ったということで自慢しないでほしいと言われました。 8週間というのは自分の体力が何とかもつまでの期間でしかないと。特に最近では高齢 出産が非常に増えていますから、ますますそういう状況の中でその後が大事なのだとい うことをいわれます。厚生労働省も表彰する企業で何週間か取ったということで表彰な どもされているようですが、本来はもう少しきちんとした何か月間ということで、どの 人もかかわるということがあってはじめて育児休業といえるのではないかと、余談です がそう思いました。 ○林分科会長 山崎委員。 ○山崎委員 ここに、「パパ・ママ育休プラス」とか「パパ休暇」とか8週間とか出ていますが、休 暇がたくさん増えることによって中小は対応が大変なのです。ですから、考えてみる と今の制度でさえ取得率が0.5から1.56と徐々に上がってきている状態があるのですが、 本当にこういうことをして、これが原因になって本当に取得率は増えるものなのですか ね。そこが非常に疑問です。もし増えなかったらこの制度はどうなるのですか。元に戻 すのですか。そういうことを考えると、先ほど事例があればよいという話も確かにその とおりだと思いますが、制度だけを作るのではなくてその前提となる意識改革というも のを、もう少し徹底的にやる必要がある。それは経営者の努力も必要だと思いますが、 制度の枠組みを作るのではなくて実質的に何かをやるようなシステムを作るのが先決だ と思います。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員 そういう意味では、例えば父親の育児休業の取得率が全体では1.5ですが、中小企業で は8.幾つという大変高い実績をあげておられる。それだけ意識改革はむしろ中小の方 で進んでいるのかなと認識しているのです。今はちょうど端境期といいますか、職場の 中でも上司、部課長、いわゆる管理職の方たちというのは当然のように専業主婦世帯で あって、男性はすべての時間を仕事に協力することができる。そのかわり企業は家族も 含めて面倒を見てくれるという中で、ずっと企業生活を送ってきて、今そういう層が上 司として指導した部下がまだ残っているという言い方はおかしいですが、いらっしゃる のです。その次が逆に家庭をかえりみることもできなくて企業のためにすべての時間を 投げ出してきた父親に育てられたというか、そういう父親は育てていないと思うのです が、そういう父親の世帯にいた子どもたちが、あんなに一生懸命やっているのに家族か らは疎まれていて、リタイアした後に例えば妻が今までいなかったのがずっといること によって定年退職後うつのようになったりと非常に望むべきことではない状況が起きて いるというところで、あのようにはなりたくないという世代が増えてきているという、 今はちょうどそういう意味で端境期だと思います。別に昔でいう猛烈社員で会社のため に働いてきた方たちを決して卑下しているわけではなくて、むしろそういう方たちが企 業を支えてきてくれて家族を支えてきていただいたのですが、結果的に不幸になってい るのではないかということを考えると、そうなりたくないという人たちが、ただ今長々 と申しましたように職場の管理職では、そういう先ほど山本委員がおっしゃった価値概 念が違う方たちが上司だと、とてもそういう中で自分の父親と違うライフパターン、ラ イフステージを迎えたいといっても言いづらいです。そういうことに対して後押しでき るというか、そういうところが最初に言いづらい人たちが何人か出てきたら、その後は それほど苦ではなくなるのではないかと思いますし、本当に自分たちが要求することを 達成するという目的だけではなくて、先ほど岡本委員も言われましたように、職場の中 でも変わるのです。職場が変わるということは企業にとってもプラスになるという視点 でぜひ再考していただきたいというか、この父親の参画は重要なものととらえていただ いていると思うのですが、とらえるにはハードルが高すぎるということだと思いますが、 もう一度そういう視点で考えていただきたいと思います。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員 ワーク・ライフ・バランスの検証、行動指針にかかわってきたものとして、これは客観 的な事実として申し上げたいのですが、先ほど制度の枠組みの用意の方が先なのか、そ れとも社員の意識の改革が先なのか。これについては実効性を上げるために両方がなけ れば駄目だというのが結論です。片方だけが先行するということでは実効性は上がって こないということでありまして、その点についてはいろいろなところで、最近、検証が なされてきているということで、片方だけであれば育児休業、例えば父親も取れますと いう話ではないということを確認しておきたいということです。もう1点は専業主婦の 場合は除外規定を労使の協定で行えるかどうかというところについて考えますと、要は 妻の方は別の会社で働いているか、あるいは専業主婦で働いていないわけです。それに 応じて夫の方の例えば会社において扱いが違ってくるというような、要は妻が専業主婦 であれば権利を与えなくてもよくて、逆に妻が働いていれば権利を与えなくてはいけな いというやり方は、果たして今後を考えたときに合理的な制度であるのかどうかという ところについても検討していかなければならない問題ではないか。これは配偶者控除あ るいは配偶者手当の問題とも関連してくる問題で、妻の状況によって夫の給料が違って くるという状況です。二人とも同じ会社であれば議論は違うのですが、別のところで働 いている人が圧倒的に多い。そうした場合に、妻が例えば103万円を超えていれば夫の 会社の方は配偶者手当を払わなくてもよいというやり方とか、ある意味では妻の状況に 応じて権利あるいは手当てが変わっていくというやり方というものをどう考えていくの かもぜひ議論していただきたいと思います。 ○林分科会長 意識改革の必要性については双方合致しているわけで、それを推し進めるためにどこま で何が必要かということで意見が分かれる訳ですが、今、樋口委員がおっしゃるように 両方ないと実効性が難しいという議論が出ましたので、一応ここは今日の段階ではこの 議論は終わりということでよろしいでしょうか。何か他にご議論は、では吉川委員。 ○吉川委員 正式なアンケートではなかったので、発言をするのを控えていたのですが、一部女性の 方々に自分が出産した時にご主人に休んでほしいですかという質問を女性側20人くらい のいろいろな方にしました。アンケートというのは質問する方の進め方によって結果は ある程度変わってきますので、正しいという意味ではないのですが比較的多かったのは、 時間どおり逆に帰ってきてくれれば休んでくれなくてもよいという方が結構多かったの です。それは裏返せば逆にそれをすることによって自分のご主人の昇進が遅れてしまう という不安感ということもあるかと思いますが、逆に意外と時間どおりとかあるいはお 休みの日に一緒に過ごしてくれることで休暇をわざわざ取ってくれなくてもよいという 意見が意外に多かったことに私自身もはっとしたということを報告として発言させてい ただきました。 ○林分科会長 では、次の議論に進みたいと思います。次は「労働者の子育て・介護の状況に応じた両 立支援制度の整備」について議論したいと思います。本日の資料の7ページから9ページ の前半までですが、再度の取得それから1年6か月まで延長できる特別事情、それから介 護の休暇制度等についてです。ご意見がございましたら、お願いします。遠藤委員。 ○遠藤委員 使用者側委員のペーパーを見ますと、空欄のところがありますので、この部分について 意見を申し上げたいと思います。まず1歳6か月まで延長できる特別な事情として追加す べきかどうかということについてですが、長期にわたる子どもの疾病が発覚したような 場合ということですが、これは考え方としてその時点で当然疾病が発覚しているわけで すから保育所に預けることができないという解釈が成り立つわけであって、そうだとす れば現行の特別な事情の枠組みの中で十分取り扱える事情ではないかと考えますので、 この部分については変える必要はないと申し上げたいと思います。二つ目の介護休業の 部分につきましては現行の考え方、介護休業期間というのは対応方針を決定するのだと いう原則で私は十分ではないかと思っていますので、介護休業についても変える必要は ないと思っています。以上です。 ○林分科会長 他に、ご意見はございますか。 ○岡本委員 以前のパンフレットですが、もしそういう現行の考え方の背景に、入れないことの背後 に病気ということが入るのであれば、それを括弧付けでも入れておくというか、それを 書き加えることは逆に問題はないと思います。多分今の書きぶりだと、そういう子ども の病気の場合ということが入らない、該当しないと理解を私たちとしては実感している ということですから、そこは法律をそういう部分を明確にすることが必要なのかなと今、 感じました。それから介護も、これまでもずっと労側が言っていますけれども、基本的 には介護方針を立てるということは基本で、原則でよいとは思いますが、実態として介 護方針を立てるのにこれだけの期間で対応しきれないということが多々ある。だからこ そ6か月間は休まざるを得なかったり、欠勤をする方たちが非常に多いという実態があ るわけです。特に今、特養はどんどん特養から、今名前を忘れましたが、違う機関にシ フトしていっている。つまり特養に対する自治体の交付金がなくなってしまったからで すが、そういう事情もあって、待機をしている方たちがものすごい人数いるわけです。 そういった実態などを考えると、待機している間は家族が面倒をみる以外にはないわけ です。それと介護保険でやっていくわけですが、この介護保険についてはいろいろな問 題がいわれていますから、この分科会ではなく違うところでもっとしっかりとやっても らいたいと思いますが、実際に今の介護保険では家族がある程度介護することが前提で あると思います。つまりホームヘルパーの方たちだけがすべて介護をするということは 実際にはできないです。1日30分しかホームヘルパーの方を保険で来てもらえないわけ ですから、また、その要件も大分違います。そうなってくると、どうしても病院に入れ るか、そういう施設に入れる以外は家族介護とならざるを得ないという実態があると思 います。そういった場合では特例としてきちんと見ることは必要ではないかと思ってい ますし、その特例の期間が私どもは1年という言い方をしていますが、これは実際に企 業的には1年間の介護休職制度を取り入れているところもありますし、逆にいうと中小 零細の方はもっと長い期間というか、その期間を定めていない所も確か大企業と比較し て多かったということが数字を見た限りではありましたので、そういうことを考えると 特例の期間としても、そういう基本的には介護方針を決めるということがあった上で、 1年間ということがあってもよいのではないか。介護の場合は育児などと違ってという 言い方はおかしいかもしれませんが、できるかぎり家族は労働者は仕事に戻りたいと思 うと思うのです。非常に大変ですから世間とのかかわりということも含めて、社会復帰 をしたいと、なるべくしたいという人たちが多いと思います。そういったことでいえば、 あくまでもそれは最長期間が例えば1年ということであって、1年間丸々取れましたよか ったですねということでも多分ないと思います。ここはぜひ、現行制度をより今の実情 に合う形で変更してほしいと思います。 ○林分科会長 ご意見がないということで、次のテーマに移ってよろしいですか。では「非正規の労働 者の両立支援」という問題について、ご意見をいただければと思います。鴨委員。 ○鴨委員 ここのところについて、ずっと発言をさせていただいているのですが、現状のいわゆる 以下の要件を満たすと、その要件についてあまりにこれではということでずっと問題提 起をさせていただいてきたわけです。例えば現実の中で有期契約労働者の育休の問題で 相談を持ち込まれたときに今の要件の中ではなかなか育児休業をクリアすることができ ないわけです。それでは何の要件をもって会社との関係でクリアしているのかというと、 厚生労働省が出している指針があります。その指針というのは形式的に期間を定めてい ても特別の事情がない限り更新を予定しているケースなど自主的に期間の定めのない雇 用契約と判断される場合は育児休業の対象とするという指針があるわけです。この指針 をもって一つの相談事例に対して育児休業取得を実現しているというのが実態なのです。 それからいうと今のままの条件では、いくらこの中身をわかりやすく周知徹底をしたと しても、有期契約労働者の取得は進まないということを改めて言っておきたいと思いま す。 それでもう一つ、そういう中でいうならば、この指針を私自身は法律に格上げするべき ではないかというのが一つの意見です。雇用が継続することが見込まれるというところ がとてもわかりにくいという意味で、この指針をきちんと法律化するべきではないかと いうことで、もっといえばこの間使側から業務がなくなってしまった場合はといろいろ な意見が出されているわけですから、ある意味では見込まれないものはどういうものが 見込まれないのかを明らかにすることが大事ではないかと思います。 ○林分科会長 山崎委員。 ○山崎委員 繰り返しになるかもしれませんけれども、もともと短期雇用者に長期の休暇は馴染まな いということがあったのですが、それを取り入れて前回の改正のときも労使で合意した ということがありました。その3項目が設定されたということです。幾つか取った方が よいという意見が前回出たようです。元に戻すことになるということで、そのときの合 意は何だったのかということもありますし、そういうことでありますと、それは都合が よいことには差し支えがないのですが、それを取ることによって都合の悪い側も当然出 てくるので、この報告書にあるようなお互いに周知を徹底してそういうことを図る。あ るいは調査をしてそういう結果を見てやっていくということでよいのではないかと思い ます。 ○林分科会長 齊藤恵子委員。 ○齊藤惠子委員 私どもの組合にも中小の流通関係の組合が多くありまして、そちらにはパート労働者が おりますので、パート労働者は大体有期契約がほとんどです。ですから、私たちは育児 休業の中で有期契約労働者への適用ということで、期間の定めのある労働契約者であっ て1年を超えて継続勤務している組合員は育児介護休業の対象とするという要求をして いまして、実際に48組合はきちんとそれを明記した労働契約を結んでいます。有期雇用 ということで短期とおっしゃいますけれども、契約自体は短期ですが、それが更新更新 で実際的には長期で働いているという実態がありまして、本当に短期の有期契約なのか、 見せかけの短期で実際は長いのかということをきちんと区別しなければいけない。区別 するためにはどうしたらよいかということを考えていく必要があるのではないかと思い ます。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 それでこのような要件で労使が合意したということではないのですか。それぞれ繰り返 しになりますが、就業を継続していくという前提に立つのであれば、では継続雇用期間 はどれぐらいなのかということで、それぞれ繰り返しで申し訳ございませんが、労側が 1年、使側が2年ということを言っていて、そういった中で今回こういう合意があったと いうことですので、就業継続をどうやってみるのかというところの中での合意だと理解 していますけれども。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 こちらも繰り返しになりますけれども、この条件の下に有期契約労働者がどれだけ取得 が進んだのかの実態をもとに今回の審議会の中でこのところは審議されているであろう と認識しています。その意味からいって前回の審議会の中においても結果的には厚生労 働省のいわゆる見込みの人数までにも達していないということでいうならば、この条件 そのものが有期契約労働者にとって育児休業取得を進めるものではなくて、そこでとど めているというか、より促進するものではないという中身であるということが実態から も明らかです。その意味において今回この条件について周知徹底するだけではまた同じ 繰り返しをしていくと考えるわけです。この間の先ほど言いましたように、見込まれる ということがあまりにもわかりにくいわけです。なぜわかりにくいのかといったら、日 本の有期契約労働者はある意味において仕事は全く関係ない。恒常的なものであるにも かかわらず、そこに働く労働者の方になぜか契約期間が付けられているというような形 で有期契約労働者が実態的にあるからわかりにくくなっているのではないかと思います。 きちんとわかりやすくするという意味においては、業務が有期で更新を重ねているとい うことは業務が継続しているととらえてよいのではないかと思うわけです。そういうと ころから先ほどから言っているように、業務が継続している更新を重ねているわけです から、そうでない場合の人、取れない場合はどういう状態の人を取れないとするのかと いうことを明らかにした方が、より労働者側にとっても有期契約労働者が育児休業取得 ができるかできないかということを自分にとってもより判断の材料がきちんと作れるの ではないだろうかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 確認させていただいてよろしいですか。今の鴨委員のご提案は今のこの3要件はそのま まにしておいて、指針の中身について何かを加えていく。今おっしゃったような形のこ ういう場合は見込まれないのだというものを加えていくような工夫をすればよいのでは ないかというご提案でしょうか。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 文言自体も見込まれることを対象とするということではなくて、文言は今すぐこういう 文言にすればよいのではないかということは浮かばないのですが、基本的には指針の趣 旨を生かすということにすべきではないかと考えています。 ○林分科会長 では、この点について双方のご主張は大体尽きたかと思いますので、次に「両立支援制 度の実効性の確保」について議論していきたいと思います。資料の10〜11ページです。 使側委員のところで「苦情・紛争の解決の仕組み」について、ご意見が載っていないの ですけれども何かありますか。遠藤委員。 ○遠藤委員 恐らく、前回発言は使用者側からしておりまして、そこが恐らく質問という形でとらえ られたということで意見という整理ではなかったのではないかと理解いたしております。 そこで申し上げたのは、データとして幾つかお示しいただいた内容を見ると、助言・指 導・勧告といったような中で解決しているものが幾つも見られたということで、現行の 枠組みの対応で十分こなし得るのではないだろうかという意味で発言があったとご理解 いただければと思います。 ○林分科会長 均等法と同様の仕組みの必要性というのは不要という趣旨で承るのですか。 ○遠藤委員 今の枠組みの中で、例えばこの部分をこのように変えていかなければいけないから、こ の仕組みが今ないから採るとは、今は認識ができていませんので、この間お示しいただ いたデータを見る限りにおいては、十分こなし得るのではないかということです。 ○林分科会長 他にご意見はありますか。鴨委員。 ○鴨委員 原職または原職相当職に復帰させるということと、その考え方の下にいわゆる派遣労働 者についても、きちんと原職または原職相当職に復帰させることが基本的には確認され なければいけないと思うわけです。均等法の中においても、派遣契約に定められた役務 の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、当該派遣 労働者の派遣を拒むことについては、不利益取扱いということで入っているわけです。 育児休業ではなく、産休にかかわってということですけれども、この考え方は育児休業 においても同じであると考えますので、育児休業においても、派遣労働者が原職または 原職相当職に復帰するということが原則としてあらねばならないというところを、きち んとこの中に入れておくべきだと考えます。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 私の理解不足なのかもしれませんが、今のご発言の趣旨が全く理解できません。均等法 に書かれているのは、役務の提供ができるにもかかわらず、妊娠した状況になったとい うことだけをもって、お引き取りいただくようなことは不利益取扱いになりますと書い てあると私は理解しておりますので、そのことと、原職または原職相当職に復帰させな ければならないということの理論的なつながりが全く見えないのですけれども。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 原職または原職相当職に復帰をさせるということが、この育児・介護休業法の中できち んと前提としてあるわけですよね。 ○遠藤委員 努めなければならないということですね。 ○鴨委員 そこはよろしいですよね。 ○遠藤委員 努めなければならないということはありますけれども。 ○鴨委員 努めなければならないというのがありますよね。そうであるならば、派遣労働者も原職 または原職相当職に復帰させるべきであるということを、きちんと明記すべきではない だろうかと言っているわけです。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 今、ポイントが二つあって、努めなければならないというところが、いつの間にか、し なければならないという言葉に置き換わっていること自体、発言の意図がわからないと いうことが一つと、それから派遣の場合には、派遣先との兼ね合いがあるわけですから、 その場合にどうして今おっしゃるような事例がはまってくるのかどうか。現実問題とし ては難しいのではないかと思います。 ○定塚職業家庭両立課長 先ほどのの遠藤委員のご発言に関して、事実関係の補足というか、若干修正したいので すが、「努めなければならない」ではなくて、指針の中で「原職又は原職相当職に復帰 させることが多く行われているものであることに配慮すること」という規定になってお りますので、念のため。 ○遠藤委員 では、そのように置き換えてください。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 ですから、派遣労働者が育児休業を取った。そして今度復帰するときに、多くが復帰で きないで待機させられてしまっている現状があるわけです。しかも、その待機期間が6 か月にも及んだり、6か月に及んだ時点で、結果的にはやはり復帰ができなくて辞めざ るを得ない現状が多々あるということです。そういった現状があるということを踏まえ たときに、原職または原職相当職に復帰させることについて、派遣元および派遣先が双 方で努めなければいけないということをきちんとしないと、派遣労働者が育児休業を取 ることに対しての安心感はないということで言っているわけです。 ○佐藤委員  今の派遣のことだけ、実態はどうなっているかということを、よろしいですか。まず 一つは、派遣は有期が多いので、今の規定に当てはまるかどうかがあります。当てはま る場合でも、派遣元との契約は継続していても、派遣先は今行っている所だけ6か月と ありますね。派遣先は続いているわけではなくて、今言っている派遣先は今ちょうど6 か月目です。そこで育児休業をとった場合に、そこの派遣先に復帰させろというのは、 そういう意味では基本的になかなか難しいところです。 現状はどうなっているかというと、派遣会社もいろいろとあるわけですけれども、いろ いろなスタッフを確保したいということですから、基本的には育児休業契約を派遣元と 結ぶのです。その期間は雇う。けれども、休業ですから無給になります。復帰したとき に可能な限り派遣先を探す形でやっているわけです。そのときに、もちろん以前の派遣 先に派遣できればよいかもわかりませんけれども、先ほどお話ししましたように、ある 一定期間派遣を活用していた場合もあるわけですから、そこに受け入れろとは、なかな か難しいですから、基本的には運用としてそのときにその人が希望する派遣先を探す形 になります。ですから、鴨委員が、その派遣先が受け入れなければいけないというのは、 今言ったようなことからするとなかなか難しいだろうと思います。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員 確かに、派遣先の方で、いわゆる派遣の仕事の期間が決められている場合は致し方ない と思います。けれども、例えばAさんがある企業に派遣されていて、Aさんが育児休業を 取りました。例えば、代替でBさんがそこに派遣として派遣元から派遣されていたとい うことであるならば、Aさんは当然育児休業明けに元のA会社だったらA会社に戻るとい うことを派遣元なり、派遣先がお互いに配慮するということはあるべきではないだろう かと言っているわけです。それは派遣労働者にとっても、原職または原職相当職復帰を というのは、それは正社員が原職または原職相当職復帰をするということと、それから 派遣労働者が原職または原職相当職を望むということにおいては、雇用形態の違いはあ っても、一労働者が安心して働き続けたいという意味での原職または原職相当職という ことが復帰の条件に出てきているわけですから、その時点においては同じであると考え ておりますので、それでこだわっているということです。 ○林分科会長 派遣先の問題が、この規定と直結するということではないものですから、そこは一応派 遣元と派遣労働者との関係で、まずどのように考えるか。それから派遣先はまた別の要 請ですので、そこまで議論できるのかどうかという問題はあるとは思いますが、使用者 側で何かご意見はありますか。はい、遠藤委員。 ○遠藤委員 一部法律の中で、雇用主ではないような形で派遣先との関係を規定されている条文があ ることは存じ上げておりますけれども、この今の1回ごとのかかわりの中で、休業明け などの部分に特化されたお話をされているようですけれども、今後のいろいろな局面等 を考えたときに、休業のお話と、休業でない場合で勤務するようなお話、それから派遣 先との関係でいえば契約期間との兼ね合いなど、いろいろな組み合わせがある中で、今 おっしゃったようなことについてどうかと言われると、なかなか難しい状況があるとい うことは繰り返し申し上げておきたいと思います。 ○林分科会長 吉川委員。 ○吉川委員 佐藤委員がおっしゃいましたように、派遣先と派遣元がありますので、やはり派遣元の 方は、派遣者がそこで1年経ったときに復帰したいと言ったら、同じ職場でなくて、同 じ業種の別の所を紹介する形を取っているのが派遣業者の実態です。ですから、同じ会 社にというと、今まで逆に後から入った方に辞めていただかなければならないという現 実も出てきますので、やはり後から入った方は継続してやっていただき、お休みした方 は別の会社になりますけれども、本人の希望に沿った業種で、再度派遣という形を取っ ているのが現実の姿です。 ○林分科会長  では、この「両立支援制度の実効性の確保」については一応議論を終えたいと思いま す。 まだ、時間が少し残っておりますけれども、短時間勤務と所定外労働の免除のところに ついて、何かもう少し意見を述べておきたいところがありましたら、お願いいたします。 佐藤委員。 ○佐藤委員  議論していただくのは賛成なのですが、これまでの議論を伺いますと、それぞれ労使 で意見の幅があるのですけれども、伺ってみると、短時間勤務と所定外労働の免除が、 労使での支障の隔たりが非常に大きいかと思っております。他方で、研究会報告をまと めた議論の中でも、やはり育児休業を取った後にさらに仕事と子育てを両立しながら、 女性だけではありませんけれども、働き続けられる点では、今回の短時間勤務と所定外 労働の免除は重要だと思います。ただ、今お話ししたように、非常に距離がある。経営 側は、一つは例えば一律に措置義務なり、請求権化することは業務上やはり難しい。そ のために、現状の選択的措置義務という枠内で、労使が自主的に進めていくことが、合 理性があるという主張だろうと思います。確かに業務上難しい面がある。これは全く否 定されているわけではなくて、そういう面があるのは重々わかるけれども、では選択的 措置義務という形で、現状維持で済むのかというと、重要な制度にかかわらず、現状で はこれ以上はなかなか難しいのではないのか。そういう意味で、選択的措置義務から取 り出して、措置義務化するか、請求権化するか。労働者側は請求権化という主張が強か ったようですけれども、そうすることが大事だという主張だろうと思います。  報告書の資料部分の37ページを見ていただくと、選択的措置義務でかなり進むのでは ないかということなのですけれども、確かに全体として見ると、選択的措置義務が現状 で入っているのは4割。もちろん30人以上だと6割ですけれども、そういう意味では、労 働者側が有利で選択的措置義務ではなかなか進まないのではないかというのは多分4割 というところにあるのだと思います。資料編の37ページの下です。他方で、選択的措置 義務を入れている所は、全体でも4分の3は短時間勤務が入っているのです。特に30人以 上では8割が短時間勤務。そういう意味では、選択的措置義務を入れている所は短時間 勤務が入っているということもあって、そういう意味では読み方だと思いますけれども、 選択的措置義務だとなかなか進まないのではないかという面が読めるのです。 もう一つは、それが要らない所は少なくとも、短時間勤務は相当入っているのでないか という部分もあるかと思いますので、今のままだと、なかなか議論がこれ以上進まない と思いますので、短時間勤務なり、所定外労働の免除の仕組みを入れるとすれば、具体 的にどのようなものを、例えば時間や、確かに入れられない場合があるときにどうする のか。これも労働者側も必ず入れよと言っているわけではないので、合理的な理由があ れば、それはもちろん配慮する必要性が認められていると思いますので、現行制度でも 入っているわけですから、どういう制度設計を考えたら入れ得るのかということを議論 できるような資料を事務局で用意していただいて、その上でもう一度経営側のご意見な り、労働側のご意見なりを伺う方が先に進むかと伺っていて思いましたので、ご検討い ただければと思います。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員 労使の間で、すべての職種について短時間勤務制度を導入することが難しいということ は、多分合意されているのかと思います。しかし、ここのところは今回の改正でハイラ イトになる点で、何もやらないということにはなかなかいかないのではないかと思いま すので、よくご検討いただいて考えていただきたいと思います。以上です。 ○林分科会長  困難な事情がある点は、双方認識は共通の面があるわけですけれども、困難があるか ら現状のままということではなくて、その中でどのようなものが可能であるかというこ とについて、むしろご議論いただきたいということです。 次回の分科会で、むしろ難しいなら、難しいけれども可能なものはどこかというような 視点から、対象者の範囲や何時間ぐらい短縮するのかなどといった議論ができればあり がたいと思っております。そういう意味での前向きな議論をぜひお願いしたいと思いま す。いろいろまだまだ煮詰めていないところがたくさんあるのですけれども、本日の分 科会での議論はここまでとして。岡本委員、どうぞ。 ○岡本委員  前回の議論では時間がなかったので、「その他」について、多分発言がなかったと思 うのです。もともと管轄が違うので、この論点整理に入れてほしいということではあり ませんけれども、一言、所得保障について申し上げておきたいのです。私どもとしては 育児休業給付について、連合の要求としては6割と申し上げているのですけれども、少 なくとも今ある暫定措置については、ぜひ継続してほしいということ。それから介護休 業中の社会保険料の本人負担の免除。これは育児休業と違って、ないわけですけれども、 これについてもぜひ免除をしてもらいたいと。 それから使用者側の発言の中で、「パパ休暇」のところで出ていたかと思いますが、い わゆるひとり親の方たちの問題です。多分非常にひとり親の方たちも増えてきていると 思いますが、やはりこの方たちは経済的な負担がより一層強いと思います。むしろ休業 をしていくと無給ですから、実際に休業期間を長く取るよりは、なるべく早く働きたい ということもあるかと思います。この方たちの部分は、休暇の問題というよりは、やは り経済的な負担をどのように緩和していくのか。何らかの別の手当的なことが必要なの ではないかと思います。この所得保障の問題は、現行は雇用保険の部分から出ています けれども、もっと全体的な育児であったり、介護の給付のあり方を、ぜひ他の分科会に なりますけれども、議論をしていただきたいと思いますし、この分科会でこういった意 見があったということを、議事録等で残して伝えていただきたいと思います。 ○林分科会長  ご意見としてあったということでお伝えする形になると思います。  では、次回の分科会におきましては、「短時間勤務および所定外労働の免除」につい て、事務局に資料をご準備いただいた上で、そこについてさらに議論をしたいと思いま す。それでよろしいでしょうか。 それでは、他にご質問等がなければ、本日の分科会はこれで終了といたします。本日の 署名委員は、岡本委員と山本委員にお願いいたします。 最後に事務局から連絡があるということなのでお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 次回は11月13日午前10時からですので、よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  皆さま、お忙しい中、ありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)