08/11/05 平成20年度第1回薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 器具・容器包装部会 平成20年度第1回 議事録 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 平成20年度第1回 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具・容器包装部会 議事次第 日 時:平成20年11月5日(水)10:00〜11:30 場 所:中央合同庁舎第5号館6階 共用第8会議室 出席委員(五十音順):阿南委員、井口委員、河村委員、菅野委員、品川委員、棚元委員、土屋 委員、西島委員(器具・容器包装部会長)、早川委員、望月委員、鰐渕委員 事務局:石塚食品安全部長、牛尾大臣官房参事官、國枝基準審査課長、光岡課長補佐、吉田課長 補佐、束野課長補佐、今井専門官 議 題  (1)フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて  (2)器具・容器包装等規格基準国際整合化検討事業について  (3)その他 ○吉田補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛 生分科会 器具・容器包装部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、御 多忙のところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  開催に先立ちまして、石塚食品安全部長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 7月11日付で前任の藤崎の後を受けまして食品安全部長を拝命いたしました、 石塚でございます。前任者同様、よろしくお願い申し上げます。  当部会は、本年第1回目ということでございます。委員の先生方には、日ごろから食品安全行 政には格別の御理解と御支援を賜っているところでございまして、この場をお借りいたしまして、 御礼を申し上げる次第でございます。  御案内のように、食品安全をめぐる話題としましては、ギョウザ事件がまだ完全に解決を見て いない段階で、新たにメラミン事件、そしてインゲン事件と立て続けに起こりまして、これは容 器包装にも関わることでございますが、カップラーメンの問題ですとか、最近ではトルエンの事 件も相次いで起こっております。  これらの話題には事欠かないという状況でございますけれども、それだけ国民の皆様の食品安 全というものに対する関心も更に高まっているということでございます。  私どもも気を引き締めて今後対応に当たってまいる所存でございますけれども、先生方におか れましても、格別の御指導、御協力を賜りますように、重ねてお願いを申し上げる次第でござい ます。  本日の部会でございますが、議事次第にもございますように、大きく2つのテーマを用意させ ていただいております。1つ目がフタル酸エステル含有おもちゃの取扱いでございます。もう一 点は、今年度から始まりました器具・容器包装の規格基準の国際整合化というものの検討につい てでございます。  1点目のフタル酸エステル含有おもちゃにつきましては、この8月に米国において販売を禁止 する法令が成立したところでございますので、我が国においても現行規制の見直しが必要かどう かということについての御審議を賜りたいと存じます。  2点目の規格基準の整合化の問題につきましては、欧米において使用が認められる化学物質リ スト、いわゆるポジティブリスト制度による規制というものが進んでおりまして、例えばEUに おいては、2010年1月より暫定リストから完全リストに切り替わるということになっておりま すし、またアジア諸国でもこういった方向が進んでいるやに聞いております。  我が国は、今までネガティブリスト規制というものを行っているところでございますけれども、 こうした国際的な動向を踏まえまして、今後、我が国の規制の在り方をどうすべきかということ について、是非とも積極的な御審議を賜りたいと考えております。委員の先生方の忌憚のない御 意見をお聞かせいただきまして、本日の部会が実り多いものとなりますことを期待いたしまして、 冒頭のあいさつに代えさせていただきます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○吉田補佐 ありがとうございました。  それでは、初めに事務局から幾つか事務的な連絡をさせていただきます。まず、本日は、堀江 委員が御欠席で、当部会総数12名のうち11名の御出席をいただいております。したがいまして、 出席委員が過半数に達しておりますので、本日の部会が成立いたすことを御報告申し上げます。  また、本日の議題につきましては「フタル酸エステル含有おもちゃ等の取り扱いについて」と 「器具・容器包装等規格基準国際整合化検討事業について」の2題について御議論いただきます。  本日の部会は公開で行われます。議事録につきましては、後日速記録を各委員に御確認いただ いた後、最終化したものを遅滞なく厚生労働省のホームページ上に公開いたします。  次に配布資料の確認をいたします。  まずお手元にある資料でございますけれども、委員の皆様には、事前に開催案内を送付したと きに資料を送付しておりますけれども、今日配布してある資料をごらんください。  まず、議事次第がございます。この議事次第の「配布資料等」に沿って紹介させていただきま す。  次に委員名簿の1枚紙がございます。  そして今日の座席表があります。  次に配布資料でございます。  まず資料1−1「日本・EU・米国におけるフタル酸エステル含有おもちゃ等禁止措置の相違 比較表」、A4縦の1枚紙でございます。  資料1−2「日本・EU・米国におけるフタル酸エステル含有おもちゃ等に係る規制の概要」、 A4横の両面コピーの資料でございます。  資料2「日本、EU、米国における合成樹脂製器具又は容器包装に係る規制の構成」という、 A4縦の4ページ組みの資料でございます。  ここまでの資料は、傍聴者の方にも配布しております。  また、これとは別に委員限り配布ということで、参考資料が4種類ございます。  まず、参考(1)「食品、添加物等の規格基準(抜粋)」。  参考(2)「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・器具容器包装合同部会報告について(平 成14年5月29日)」。  参考(3)でございますが「Directive 2005/84/EC」というタイトルのもので、これは欧州が出し ている英語の文章をそのままコピーしております。  参考(4)でございますが「Consumer Product Safety Improvement Act of 2008」、これはアメ リカでパブリックローとして成立しました法律の関係する部分のコピーでございます。  配布資料は以上でございますが、不備等がございましたら、挙手をお願いいたします。よろし いでしょうか。  なお、傍聴者におかれましては、もし資料に不備等がございましたら、後で受付まで申し出て ください。よろしくお願いいたします。  それでは、以下の進行につきましては、西島部会長にお願いいたします。 ○西島部会長 部会長の西島でございます。よろしくお願いいたします。  それでは、本日2つ議題がございますけれども、議事次第の第1番目の「フタル酸エステル含 有おもちゃ等の取り扱いについて」、これにつきまして事務局から最初に御説明をお願いしたい と思います。よろしくお願いします。 ○吉田補佐 それでは、まず事務局の方から説明いたします。  まず、本議題の概要についてですけれども、フタル酸エステル自体はポリ塩化ビニルを主成分 としたプラスチックの可塑剤として汎用されている化学物質でございます。フタル酸エステルの 一部の誘導体につきましては、乳幼児が多量の暴露を受けたときの毒性が疑われたため、我が国 では2002年、平成14年の食品衛生法に基づくおもちゃの規格基準の改正によりまして、厚生 労働大臣が指定する乳幼児用のおもちゃのうち、ポリ塩化ビニル製のものに対してフタル酸ビス (2−エチルヘキシル)の使用を禁止し、また口に接することを本質とする、歯固め、おしゃぶ りなどに対しては、フタル酸ジイソノニルというものに関しても使用を禁止いたしました。  他方、EUですけれども、2005年におもちゃ及び育児用品について、フタル酸ビス(2−エ チルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジブチル(DBP)及びフタル酸ブチルベンジル(BBP)の3 物質を使用禁止とし、更におもちゃ及び育児用品のうち、口に入るものについては、フタル酸ジ イソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)及びフタル酸ジノルマルオクチル(DNOP) の3物質についても使用禁止といたしました。  また、本年8月、米国におきましても、EUと同様の規制が成立しまして、来年2月から実施 される予定となっております。今回の議題におきましては、この部会におきまして、おもちゃ等 に対するフタル酸エステルの規制の拡大が世界的な傾向にあるため、我が国においても、現在の 規制を見直す必要があるかどうかを検討いただくものでございます。  本日は、その最初の議論する機会でありますので、まず日本とEUとアメリカの3極の規制の 違いについて説明して、その中でどういうことに関して検討が必要かということも踏まえて、事 務局の方から説明したいと考えております。  まず、資料1−2、A4横の資料をごらんください。「日本、EU、米国におけるフタル酸エ ステル含有おもちゃ等に係る規制の概要」をまとめております。  1ページ目は、関係法令等についてです。  まず一番左のカラムの日本でございますけれども、食品衛生法の第62条で、おもちゃへの準 用規定ということで、これが法律の根拠条文となっております。また、施行規則において、乳幼 児の接触により健康を損なうおそれのあるおもちゃということで規定がございます。  また、これらに基づきまして、食品添加物等の規格基準の第4おもちゃの部におきまして、所 要の規格基準を定めてございます。これにつきましては、平成14年の厚生労働省告示において、 一部改正して、一部のフタル酸エステルに関して使用の禁止を行ったところでございます。  また、真ん中のカラムのEUでございます。EUに関しては、根拠となる法令が主に4つござ います。  まず、最初に「Council Directive 1976/769/EEC」、1976年の欧州指令でございますけれども、 これは危険な物質及び調製品の市販に関する制限について加盟国間の関係法令を近接化するた めの指令でございます。ここでは、PCB等の、いわゆる有害物質に関して、欧州域内でそうい った物質に指定するという規制が行われているところでございます。  ただし、この時点ではフタル酸エステルは、まだ物質としては入っておりません。  2つ目「Council Directive 1988/378/EEC」、1988年の欧州指令でございますが、これはおも ちゃの安全性に関して、加盟国間の関係法令に関して近接を図るための指令でございまして、こ こでおもちゃのさまざまな安全性に関する規定が定められております。  ただし、この中では、まだ育児用品などに関しての定義等が定められておりません。  3つ目「Commission Decision 1999/815/EEC」、これは1999年の欧州委員会決定でございま すけれども、これが初めて欧州におきまして、ここに示しましたフタル酸エステル6物質、DI NP、DEHP、DBP、DIDP、DNOP、BBPに関して、おもちゃと育児用品であって、 3歳以下の子どもの口に入るものであって、更にポリ塩化ビニル製のもので、今、説明しました 6種類のフタレートのうち1種類以上を含むものに関して、販売を禁止するという決定をしたも のでございます。これは、3か月間の暫定規制でございまして、以後20回以上更新を繰り返し まして、これが最終的に次の○の最終規制につながっております。  「Directive 2005/84/EC」、これが2005年の12月に出されました欧州指令でございまして、 これにつきましては、先ほど最初に説明した「Council Directive 1976/769/EEC」の改正指令と いうことで、具体的にはおもちゃ及び育児用品に使われるフタル酸エステルに関して制限をかけ るということでございます。  一番右側は米国でございます。米国に関しては、今年の8月14日にパブリックローとして Consumer Product Safety Improvement Actというものが成立いたしまして、その中のセクシ ョン108というところで、ある種のフタル酸エステルを含む製品の販売の禁止というものが規定 されております。これにつきましては、180日経ったときから実施というふうになっております。  1枚めくっていただきまして、2ページ目でございます。まず、規制のかかるおもちゃ等製品 の範囲でございますけれども、一番左側のカラム、日本でございます。日本の場合は、乳幼児が 接触することにより、その健康を損なうおそれのあるおもちゃとして、厚生労働大臣が指定する おもちゃということで、まず第1号として乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃ、2 番目としまして、アクセサリーがん具、うつし絵、起きあがり、おめん、折り紙、がらがら、知 育がん具、つみき、電話がん具、動物がん具、人形、粘土、乗物がん具、風船、ブロックがん具、 ボール、ままごと用具となっております。  また3号といたしまして、今、説明した前号のおもちゃと組み合わせて遊ぶおもちゃが対象に なっております。  真ん中のカラムですが、EUにおきましては、おもちゃ及び育児用品というものが対象になっ ております。おもちゃについては、14歳未満の子どもが遊びに使うことを明確に意図した、ま たはそのために設計されたいかなる製品と定義づけられており、育児用品については、子どもの 側において、睡眠、娯楽、衛生、哺乳・捕食又は吸綴を促進することを意図した製品となってお ります。  一番右側が米国でございますが、やはり子ども用のおもちゃ及び育児用品が対象となっており まして、また子ども用のおもちゃについては、12歳以下の子どもの使用向けに設計または意図 された消費者製品。  育児用品につきましては、3歳以下の子どもの睡眠や哺乳・捕食を促進したり、吸綴や噛む行 為を手助けする目的で設計または意図された消費者製品と規定されているところです。  次におもちゃ等に使用が禁止される物質または素材と基準値についてでございます。いずれも 使用禁止ということでございますが、その定義の仕方がこのようになっております。  まず日本でございますが、DEHP、すなわちフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)につきま しては、DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料として 用いてはならないということで、定量規格として0.1%と規定してございます。  フタル酸ジイソノニルにつきましては、乳幼児が口に接触することを、その本質とするおもち ゃに対して、DINPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を、原材料 として用いてはならないと規定しております。  同じく定量規格が0.1%以下となっております。  真ん中のカラム、EUですけれども、まずEUにおきましては、フタル酸ビス(2−エチルヘ キシル):DEHP、フタル酸ジブチル:DBPまたはフタル酸ブチルベンジル:BBP、この 3物質につきましては、おもちゃ及び育児用品において、対可塑化された材全量比で0.1%を超 える濃度で使用してはならない。また、この制限を超える濃度のこれらのフタル酸エステルを含 有するおもちゃ及び育児用品を販売してはならないという規定になっております。  また、フタル酸ジイソノニル:DINP、フタル酸ジイソデシル:DIDPまたはフタル酸ジ ノルマルオクチル:DNOP、この3物質につきましては、おもちゃ及び育児用品であって、子 どもの口に入るものにおいて、対可塑化された材全量比で0.1%を超える濃度で使用してはなら ない。また、この制限を超える濃度のこれらのフタル酸エステルを含有するおもちゃ及び育児用 品を販売してはならないという規定になっております。  一番右側のカラム、米国でございます。米国の場合も2つに分かれておりまして、まず、フタ ル酸エステルを含有するある種製品の販売の禁止ということで、子ども用のおもちゃまたは育児 用品であって、DEHP、DBPまたはBBPを0.1%を超える濃度で含有するものは、販売目 的で製造、授与、流通または輸入してはならない。  また、ある種のフタル酸エステルを含有する追加製品の販売の暫定禁止ということで、子ども 用のおもちゃで子どもの口に入るもの、または育児用品であってDINP、DIDPまたはDN OPを0.1%を超える濃度で含有するものについては、販売目的で製造、授与、流通または輸入 してはならないというふうに規定してございます。  米国におきましては、この後半の部分は暫定禁止という扱いになっておりまして、これにつき ましては、その下のカラムに書いてありますように、今後、委員会を設置して、具体的な毒性等 の評価を行って、規制の見直しを含必要な措置を行うというふうになってございます。  次に資料1−1、A4縦の資料をごらんください。ただいま、日本、EU、アメリカのそれぞ れ対象製品の範囲と使用禁止物質等に関して説明をしてまいりましたが、これの相違がどのよう になるかということを比較したのがこの表でございます。  まず、一部繰り返しになりますけれども、まずおもちゃ等の規制となる対象製品の範囲という ものを考えたときに、対象物品としては日本の場合、おもちゃということで乳幼児が口に接触す ることを本質とするおもちゃ、またアクセサリーがん具等、具体的に個別製品を規定しておりま す。また、それらと組み合わせて遊ぶおもちゃ、こういったものが規制の対象になっております。  EUにおきましては、おもちゃ及び育児用品、またアメリカにおきましては、やはり同じよう に子ども用のおもちゃと育児用品が対象なっておりまして、ただ、その定義につきましては微妙 に違っておりまして、例えばEUではおもちゃの場合、14歳未満の子どもが遊びに使うことを 明確に意図した、またはそのために設計された製品ということになります。  一方、アメリカの方では、12歳以下の子ども向けに設計、または意図された製品ということ で、年齢に少し差がございます。  また育児用品の場合、EUの場合では、子ども側において睡眠、娯楽、衛生、哺乳、哺食、ま たは吸綴を促進することを意図した製品となるのに対して、米国の方は3歳以下の子どもの睡眠 や哺乳、捕食を促進したり、吸綴や噛む行為を手助けする目的で設計または意図された製品とい うふうに、少し違いがございます。  材質の問題でございますけれども、対象材料というカラムがございます。日本の場合には、ポ リ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂部分が規制の対象になります。これに対して、EUとアメ リカにおきましては、材質に関する規定がございません。  使用禁止物質の種類でございますけれども、日本の場合にはDEHPとDINPという2物質 に関して規制をかけておりますが、EUとアメリカの場合には、それ以外のDBPとBBP、ま たはDIDPとDNOPの4物質を加えた6物質に関して規制の対象としております。  次に、規制の範囲というものを考えたときに、日本の場合はDEHPとDINPで規制の範囲 が異なります。まず、乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃにつきましては、DEH PとDINPの両方について規制がかかります。それ以外の乳幼児の接触により健康を損なうお それがあるおもちゃについては、DEHPのみが使用禁止となります。  また、EUにおきましては、おもちゃ及び育児用品であって、子どもの口に入るものについて は、6物質、すべて規制の対象となり、それ以外のおもちゃ及び育児用品に関しては、DEHP とDBPとBBPの3物質だけが規制の対象となります。  また、米国におきましては、子ども用のおもちゃであって、子どもの口に入るもの、または育 児用品に関しては、6物質すべて規制の対象となりますが、そのうちDINPとDIDPとDN OPは暫定の扱いでございます。  それ以外の子ども用のおもちゃにつきましては、DEHPとDBPとBBPの3物質だけの規 制がかかることになります。  これらについては、欧州で規制が行われたときの背景を読みますと、いわゆるリスクの程度に よって規制の範囲を分けたというふうに整理されます。  次に5番目として、使用禁止の基準の設定の仕方でございます。基準値という項がございます けれども、これは日本、EU、アメリカとも、含量規格として0.1%以下という数字を用いてお ります。これは、故意にフタル酸エステルが使用されることを禁止するということで、本来は検 出されないはずなんですけれども、当然ながら環境等に存在するフタル酸エステルが、不純物と して混入する可能性がありますので、それらが0.1%以下であれば、それらは人の健康に影響を 与えることのない、非意図的不純物として扱うという考え方に沿って、この0.1%以下という数 字が規定されております。この考え方は、日本もEUもアメリカも同じです。  ただ、違うのは、基準値の規制のかけ方でございまして、日本の場合にはDEHPとDINP それぞれに関して、個別物質ごとに0.1%以下という基準をかけておりますけれども、EUとア メリカにおきましては、まずDEHPとDBP、BBPの3物質の合計に関して0.1%以下。ま た、DINP、DIDP、DNOPの3物質の合計について、0.1%以下というかけ方をしてお ります。  以上が日本とEUと米国における、フタル酸エステル含有おもちゃとの禁止措置の相違点でご ざいまして、これらについてどういう取扱いをしたらいいかということを、これから検討してい ただくことになるかと思います。  資料1−2に戻っていただきまして、4ページを開けてください。その他の関連規制というこ とで、まず食品用器具及び容器包装に係るフタル酸エステル使用規制というものがございます。 これは、日本におきまして、先ほど2002年におもちゃ等にDEHP、DINPの使用を禁止し たときに、同時に油脂または脂肪性食品を含有する食品に接触する器具または容器包装の原材料 に関しても規制をかけております。  具体的には、DEHPを原材料として用いたポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を原材料 として用いてはならない。ただし、DEHPが溶出または浸出して、食品に混和するおそれがな いように加工されている場合は、前述の限りではないということであります。  これに対してEUでは、別の指令「Directive 2002/72/EC」、食品接触プラスチック材料及び 物品に関する指令というものがございまして、いわゆるポジティブリストということで、その中 にフタル酸エステルの誘導体が収載されておりまして、具体的な制限が課されております。例え ばBBPにつきましては、反復使用材料及び物品の可塑剤、非脂肪性食品と接触する単回使用材 料及び物品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.1%以下の助剤。また、移行制限量として 30mg/kgという規定が設けてあります。また、DEHPに関して言うと、非脂肪性食品と接触す る反復使用材料及び物品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.1%以下の助剤で、移行制限 量として1.5mg/kg。また、DBPに関して言うと、非脂肪性食品と接触する反復使用材料及び 物品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.05%以下のポリオレフィン類助剤で、移行制限 量として0.3mg/kgとなっております。  次に、フタル酸とエステル結合する2つのアルコールが第1級、飽和・炭素数8-10・分岐型 のものであって、炭素数9の割合が60%を超えるもの。これは、具体的には、DINPのこと を指しております。DINP自体は、混合物として流通しておりますので、これはこのように表 現されているわけであります。  これにつきましては、5ページ、反復使用材料及び物品の可塑剤、もしくは非脂肪性食品と接 触する単回使用材料及び物品の可塑剤、もしくは最終製品中の濃度が0.1%以下の助剤というこ とで、移行制限量は9mg/kgという規定がございます。  また同様に、フタル酸とエステル結合する2つのアルコールが、第1級・飽和・炭素数9-11 のものであって、炭素数10のものの割合が90%を超えるもの。これは具体的にはDIDPを指 します。これについても、DINPと同じ制限が課されているところでございます。  6ページ、その他の関連規制の2番目としまして、おもちゃ等に含まれる鉛の規制について概 要を示してございます。これを示しましたのは、一番右側でございますが、アメリカでConsumer Product Safety Improvement Actが成立したときに、フタル酸エステルの規制と一緒に、子ど もの製品に含まれる鉛に関しても規制が設けられてございます。  具体的には、鉛含有量が次の上限を超える子ども用品は、連邦有害物質法の禁止有害物質とし て扱うということで、これは法の発効日から時間が経つごとにより厳しくなる形を取っているん ですが、最終的には法の発効から3年後に製品中100 ppmというものを達成したいというふう になっております。  また、一番下の方に書いてありますけれども、これは法発効1年後からになりますが、塗料・ 塗装中の鉛の含有量に関しましては、現行は0.06%という規制がアメリカではございますが、 これを0.009%、具体的には90 ppmとより規制を厳しくしたというのがございます。  これに対して、真ん中のカラム、EUでございますけれども、EUの場合には「Directive 88/378/EEC」おもちゃの安全性に関して加盟国の法令を近接化させることに関する指令の中で、 鉛の1日当たりの生物学的利用能を設定してございまして、具体的には子どもの健康を守るため には、おもちゃの使用による鉛の1日当たりの生物学的利用能が0.7μgを超えてはならないと 規定しております。  参考としまして、EN、これは欧州規格といわれているもので、日本でいうJIS規格に該当 するものでございます。EN71はおもちゃの安全性というものに関して、そのPart3で特定元 素の移行量に関して制限を設けております。  具体的には、複数の重金属が対象になっておりますけれども、鉛に関してその数値はどうなっ ているかといいますと、6歳以下の子ども用として設計されたおもちゃのうち、吸い込んだり、 なめたり、飲み込んだりする可能性のある部品における溶出限度値ということで、90 mg/kg、 即ち90 ppmという規定がございます。  EN自体は、強制規格ではありませんけれども、これが実態として指令を守るために必要な規 格と解されますので、事実上の強制規格となるというのが現状でございます。  一番左のカラム、日本でございますけれども、これにつきましては、平成20年、今年の3月 31日に、おもちゃまたはその原材料の規格を改正いたしまして、ここに示したように、鉛の溶 出試験規格に関して幾つか規定をしております。  例えば上から4番目、おもちゃの塗膜の部分に関しましては、鉛が90μg/g以下。また、その 下のポリ塩化ビニルを用いて塗装された塗膜に関しては、鉛が90μg/g以下。また、一番下です けれども、金属製のアクセサリーがん具のうち、乳幼児が飲み込むおそれがあるものに関しては、 鉛が90μg/g以下という規定を設けてございます。  以上、その他の関連規制として、食品の器具・容器包装と、おもちゃの鉛規制に関して簡単に 御紹介いたしました。  事務局からの説明は以上でございますけれども、初めに説明いたしましたように、今回はこの 議題に関しての最初に議論する機会でございますので、今、説明しました日本とEUとアメリカ の3極の違いを御理解いただいて、どのような規制が可能かということに関して、御意見をいた だければと考えております。  よろしくお願いいたします。 ○西島部会長 ありがとうございました。ただいま、日本とEUと米国における、フタル酸エス テル含有おもちゃ等の禁止措置並びにおもちゃ等に含まれる鉛の規制の相互比較ということで、 大変詳しい説明をいただきましたが、本日は最初の議論になりますので、ただ今、御説明いただ いたことに関しまして、御質問あるいは御意見をいただくことが趣旨になるかと思います。  それでは、先生方から、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、よ ろしくお願いいたします。  どうぞ。 ○菅野委員 今日の説明の中に、大きく欠落している情報があると思います。この資料だけで判 断しろと言われれば、もうEU、アメリカの数値をただ輸入すればいいという話で終わると思う んですが、もし科学的にやるのであるとすれば、この6種類で、日本が規制していない残りの5 種類が、どのぐらい大人に悪くて、子どもに悪くて、その差が大人と子どもでどのぐらい違うの か。あるいは3つを合わせて規制していますね。3つはある共通の有害性、毒性があるから一緒 にしているか、製品からは常に混合して出てくるから3つ合わせているのかとか、物の側の都合 なのか、有害性が似通っていて、これは1つで扱うべきだという科学的判断なのか、要するに人 間に何が起こるから、特に子ども、乳幼児に何が起こるからこういう規制になったのかという情 報が、今回全くないんです。ですから、この場では、EUがそうしているんですからいいんじゃ ないですかというコメントぐらいしか、この資料からは出てこない。 ○西島部会長 ありがとうございました。今、2点の御指摘がございましたが、後半については 今お答えいただけるかと思うんですが。 ○吉田補佐 ありがとうございます。まず、後半から御回答いたしますが、参考資料2をごらん ください。これは、日本でDEHPとDINPの規制をかけたときに、当時の薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会毒性、器具・容器包装合同部会において検討したときの資料でございます。  この中で、検討の対象としたDEHPとDINPの毒性と人に対するリスクに関して報告がご ざいます。もし簡単に結論を見るのであれば、具体的にはまず8ページでございます。真ん中の ウのところですが、DEHPの精巣毒性評価ということで、DEHPに関しては、ラットを使っ た実験で、精巣毒性が認められて、そこで無毒性量が設定されております。これは、1997年の Poonらが行った実験でございます。  また、その下の生殖・発生毒性でございますけれども、1987年のLambらが行った実験で、 同じようにNOAELが設定されておりまして、この2つの結果から、右側の9ページでござい ますけれども、耐容一日摂取量ということで、この精巣毒性と生殖・発生毒性に関する無毒性量 を踏まえて、40〜140μg/kg/dayと設定した経緯がございます。  一方、DINPにつきましては、その下から次のページにかけまして、やはり同じような評価 が行われております。ただ、こちらの方に関しては、いわゆる精巣毒性とか生殖・発生毒性に関 しては、先ほどDEHPで見られた程度のものでは観察されませんで、むしろ全身毒性のところ で、肝臓と腎臓への影響があったことに関して、具体的には14ページの(7)というところで、 動物を使った2年の混餌投与試験において設定された無毒性量を踏まえて、150μg/kg/dayとい うものを耐容一日摂取量という形で算出しているところでございます。  日本の場合には、この2つの物質に関して、このように評価を行ったわけなんですけれども、 EUとかアメリカにおきましては、それぞれ関係する評価機関において、これは複数の機関でリ スク評価が行われております。ただ、評価の内容に関しましては、事務局の方で既に報告されて いるレポートを見た限り、非常にばらつきがあって、整合性が取れていません。  一番直近のもので、2005年までに欧州の食品安全庁というところが、食品からの健康影響を 評価するという点で、その中で一部ハザード評価を含むリスク評価をしておりまして、それが一 番直近の評価に当たります。  ただ、実際にEUが規制を出したときには、その機関(食品安全庁)とは違う、毒性、生態毒 性と環境に関する科学委員会というところで評価を行っております。そこでの結果が、実は指令 の前文の方にある程度まとめられておりまして、具体的にはDEHPとDBPとBBPの3物質 につきましては、いわゆる生殖・発生毒性物質のカテゴリー2、カテゴリー2というのは、具体 的には人に対して生殖・発生毒性を有すると考えられる物質でございます。そういうふうに分類 して、これに関しては所要の規制をかけるべしと、ただ、DINPとDIDPとDNOPについ ては、生殖・発生毒性はないんだけれども、一般毒性があるか、もしくはデータが不足している ので、規制をかけるのであれば、先ほど申したDEHP等の3物質よりは規制の範囲を変えるべ きという結論がされて、先ほど説明したような規制の違いに反映されているという事情がござい ます。  これにつきましては、今日は第1回目の議論ですので、この後事務局の方で専門家の先生も含 めまして、詳細の検討を行った上で、指摘された部分も含めて御報告できればと考えております。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございました。ただいま菅野先生の2つ目の御質問について御説明い ただきましたが、菅野先生、そのほかの先生、今の点について更に御質問・御意見等がございま すでしょうか。  どうぞ。 ○菅野委員 この当時のDEHPは、たしかお弁当をつくるときの手袋からの食品への溶出がメ インでしたね。それと子どものおもちゃというところのギャップに関しては、日本はどう考える のかというところを論議するのかしないのか。  それと、欧州の方でカテゴリー2という用語が出ましたけれども、このカテゴリー2に入れる か入れないかを決める判定基準というのは、わかっているはずだと思うんですが、そこはどのよ うにやられているか。それが非常に重要になるのではないかと思います。  その2点です。 ○吉田補佐 追加の2つの御質問がありましたが、まず最初の質問でございますが、日本でDE HPを規制したときにつきましては、その数年前に塩化ビニル製の手袋を使って、たしか揚げ物 をつくって、それをお弁当に入れるという作業をする中で、手袋から揚げ物を介して、お弁当の 方にDEHPが移行するという結果が得られて、そこで移行する量が実際1食分に相当する暴露 量にほぼ等しい量であったので、これに関しては何らかの規制を講じるべきということで、まず 自主的にそういった手袋の使用を自粛するような要請を、行政の方から関係各界の方に行って、 対策を取り始めたというのがきっかけでございます。  その後、今、説明しました部会において、おもちゃも含めて必要な規制をかけたということで ございます。  その際に、おもちゃに関しましては、子どもがおもちゃをなめるという行為、具体的にはマウ シングといいますけれども、具体的にマウシングというものが、どのように行われているかとい うことを観察して、また、ある特定のフタル酸エステルを含有した試験材料があるんですが、そ れを人のボランティアを使って、実際になめて唾液中に溶出される量、そういったものを測定し て、そういったものを掛け合わせて、具体的にどれだけの暴露量が想定されるかということを評 価した上で規制をかけております。  これにつきましては、欧州の方で行われているやり方と同じです。  あと今、御指摘のありました、実際に食品の方で起きた話と、おもちゃ、この間の相関に関し ては、どのように考えるかという点と、欧州で生殖・発生毒性物質のカテゴリー2に分類されて いる判定基準の中身ですが、これについては課題ということで、今後の検討の中で明らかにした いと考えております。 ○菅野委員 確認ですが、私が主に申し上げたかったのは、TDI、ADIをここで出たのが大 人用なのか、子ども用なのか、あるいは大人用・子ども用で安全係数を変えるのか、変えないの か、そこのポリシーが知りたいんです。  というのは、いわゆる生殖・毒性試験ですけれども、子どものための試験というわけでは厳密 にはないわけです。生まれるか生まれないかの話であって、子どもがちゃんと育つか育たないか ということではないので。 ○西島部会長 その点は、いかがでしょうか。 ○吉田補佐 評価書を見る限り、特に大人と子どもで安全係数を変えていることはございません が、その意味では子どもの評価も含めた形でのTDIが設定されていると理解しております。  ただ、今後検討する中で、そういった区別化についても詳細に検討することができればと思い ます。 ○西島部会長 よろしいでしょうか。今の点は、今後の課題になるかと思いますので、引き続き 検討する中に入れていただきたいと思います。  それと、菅野先生の最初の御質問、大人のものに対する毒性、子どものものに対する毒性とい うことの御質問でしたけれども、今、手袋とおもちゃとの関係ということで、そのような内容と 同様と考えてよろしいんですか。  御質問の意図されるところは。 ○菅野委員 体に何が起こるかという違いということで、同じです。 ○西島部会長 そのほか、土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 1点、今の菅野先生の話と関係があるんですが、欧州でこれまでにいろいろ試験さ れたデータがあって、それにかなりばらつきがあるというふうにおっしゃっていますが、そうい ったものはやはりそれぞれ条件が違っていて、そういったものの中に子どもに対する影響が見ら れるデータがないかとか、あるいはフタル酸の場合には、代謝物の毒性がありますので、そうい った代謝の違いによるものとか、そういったものも過去のデータにおいて精査していただきたい と思います。  それから、おもちゃの場合には材料が存在するわけですが、材料によって医療用具の場合には 添加されたものの溶出量は違ってきます。また、コーティングのされ方、塗り込まれ方、DEH Pがどのような状態で含有されているのか、それによってDEHPの最適な抽出方法を考えてお く必要があると思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。今の点につきまして、お願いいたします。 ○吉田補佐 ありがとうございます。順番に回答いたしますが、まず、欧州の試験データにばら つきがあると申しましたのは、例えば指標を1つ取るにしても、それを評価する機関と、その評 価に対する諮問委員会というのがあるんですが、それぞれによって採用しているデータが違って いるという現状がございます。  また、いろんな暴露評価等を行うに当たって、実データを使う場合と、ある物質のデータに別 の物質を当てはめて使う場合と、いろいろな方法を組み合わせておりますので、物質によってそ のやり方がばらばらで統一が取れていないという現状がございますので、簡単に紹介いたしまし た。この点につきましても、今後、行う検討の中で明らかにしていきたいと思っております。  また、もともとフタル酸エステルに関しましては、背景として齧歯動物で精巣毒性が起こりや すいという毒性データがあった中で、齧歯動物に対する影響を見る実験というのが、幾つか行わ れておりまして、そういった試験系の中で具体的な評価が行われてきていると理解しております。  また、代謝物ですけれども、ここでいうフタル酸エステルはジエステル体なんですが、実際に 体に入るときには、モノエステル体に代謝されて体の中に入ります。ですので、実際に毒性を持 つ物質に関しては、モノエステルの毒性というものが大きく影響しますので、それについてのプ ロファイルについての検証が、EUなりアメリカなり、また日本でもそうですけれども、そうい う検証が行われているところでございます。  あと医療用具の話でございますが、DEHPなど一部のフタル酸エステルに関しては、塩ビ製 の医療用具等に使われている可能性がまだあると思うんですけれども、これにつきましては、例 えば海外の評価書等を見た場合には、おもちゃ等に比べると非常に暴露が大きいのは事実です。 ただ、その際に、医療用具の場合には医療上のメリット、そちらの方がはるかにリスクを超える、 子どもに対するリスクより、医療上のメリットの方がはるかに超えるということで、それ以上の 議論はされていないというのが現状でございます。  あと最後におっしゃいました抽出物の測定法、これは非常に問題というか重要な点でございま して、最初に欧州で暫定規制をかけたときに、実はその前に各加盟国に対しておもちゃからの溶 出量をモニタリングする勧告を各国に出しております。  ところが、その間にイギリスなりオランダなり、あるいはアメリカなり、いろんな各地で行わ れているフタル酸エステルの移行量測定法、具体的にはなめたときに唾液移行する量、あるいは それをin vitroの形式にした測定法があるんですけれども、そういったものに関して、何らかの 標準化ができないかという検討が並行して行われておりました。  ところが、それに関しては、標準化された方法が結局はできず、これに関しては統一された方 法ができないということで、統一された方法ができないということは、同じような形でモニタリ ングができないということになりますので、それが具体的な制限値を設定してモニタリングする ということではなくて、むしろ使用を禁止して管理する方法になったという原因の一旦になって いるということが、暫定規制の決定の前文に書かれております。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございました。土屋先生の今の御説明でよろしいでしょうか。 ○土屋委員 はい。 ○西島部会長 ほかに、先生方から御質問・御意見等、ございますでしょうか。  それでは、私の方から、対象物質の定義なんですけれども、資料1−1に日本とEUと米国、 それぞれございますが、乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃと、次にそれ以外のも のがございますが、それについて下におもちゃ1と2と3ありますが、直接接触するものは1と いうことで、2が上記以外の物質ということで、よろしいんでしょうか。 ○吉田補佐 日本のDEHPとDINPが使用禁止となっている、乳幼児が口に接触することを 本質とするおもちゃというものは、下に書いたおもちゃの第1号に書いてあるものに相当いたし ます。 ○西島部会長 第2号については、上記以外のということになるわけですか。 ○吉田補佐 はい。 ○西島部会長 あとEU、米国では、年齢についていろいろ記載がございますが、日本について は、その辺は、今後何か考えていく必要がある点でしょうか。 ○吉田補佐 現状では乳幼児ということで規定しておりますので、一般的に乳幼児の場合には6 歳未満が対象になると思います。  ですから、もしEUとアメリカとの整合性を考えると、今の規制の範囲を広げるか、広げない かという議論に直結しますので、その辺も含めて今後の検討の中で明らかにしたいと思っており ます。 ○西島部会長 ほかに、御質問、御意見はいかがでしょうか。  どうぞ。 ○土屋委員 実際に規制をつくられる場合に、おもちゃも輸入品がございますので、そういった ものに関してもできるならば、まず安全性が第一ですけれども、相互に輸出入がある時代ですの で、各国ともに、同じような調和をとれた規制にした方が、相互に負担が少なく望ましいと思っ ています。 ○西島部会長 いかがですか。 ○吉田補佐 御指摘のとおりだと思います。このような形で、EUとアメリカの方で、同じよう な規制ができますと、来年の2月以降で足並みがそろうわけですけれども、2つの可能性があり ます。  1つは、一番世界的に大きな市場の2つについてこういう規制がかかると、全体的に使用が減 る可能性と、もう一つは、規制のかからないところで生産されたものが、規制の緩い日本に入っ てくる。そういう可能性もありますので、特に後者に対して何らかの対策を取らないといけない と思いますので、その辺も踏まえて検討したいと考えております。 ○基準審査課長 追加ですけれども、今回、米国で夏に成立した鉛、およびフタル酸エステルの 規制については、昨年の米国における中国産のおもちゃの大きな回収騒ぎを受けたものです。先 ほど御説明がありましたように、既にEUでは1990年から3か月ごとに暫定ということでやっ て、2005年にEUは正式にしました。日本はEUの暫定を参考にしながら、2002年に2物質だ け規制したわけですけれども、米国は実はそのときには全く動いていませんでした。しかし、中 国産のおもちゃの回収の話がありまして、それで本年8月にEUとほぼ同様の規制を導入したと いう経緯がございす。日本のおもちゃも、ほとんどが中国に依存している部分がありますので、 そういう意味でいうと、世界的に見て、中国を中心としたところからおもちゃが海外に出ている というのが大きいと思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。  河村先生、どうぞ。 ○河村委員 2002年の規制の改正のときは、実際的にはDEHPとDINPの2種類が規制さ れましたけれども、そのとき、実は6種類のフタル酸エステルについてEUが暫定規制をしてい たということで検討をしたわけですけれども、当時の状況としては、毒性データが不十分である ということですとか、使用実態からいってDEHPやDINPは使用されていましたけれども、 それ以外のものの使用実態がほとんどなかったという状況、それから、日本は正式に禁止すると いう、本当に世界に先駆けての規制だったために非常に慎重を期したということで、DEHPと DINPの2種類だけを規制しました。当時もできることならば、それ以外のものも使用される 可能性があるので、禁止した方がいいだろうと考えていました。ただ、EUは、予防的措置とい うことで暫定禁止していたけれど、日本は予防的措置という形では規制しにくい、毒性データが 十分なければできないということで、当時踏み切れなかったということがあります。米国は当時、 フタル酸エステルの規制に反対する多くの意見を送ってきていました。その米国がこういう形で フタル酸エステルの規制を実施したということであるならば、是非日本の方でも残り4種類を含 めた6種類の規制を検討していただきたいと思います。  それから、毒性データについてもし検討していただくのであれば、残りの4種類だけでなく、 DEHPに関してもご検討していただきたいと思います。DEHPのTDIは現在、40〜140μ g/kg/dayという不自然なTDIが設定されています。当時、毒性データ等が不十分であった ことと、時間的にもできるだけ早く規制したいということで、40〜140という幅のあるTDIに なっておりますけれども、これも含めて是非御検討いただきたいと思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。2002年当時の状況を詳しく御説明いただきました。  どうぞ。 ○土屋委員 最初に菅野先生からも御質問がありましたが、EUや米国での2つのグループに分 けて、3化合物の和が0.1%以下という、科学的な根拠を、明確にしていただきたいと思います。  例えば材料でもいろいろな化合物が入っているのですが、やはり化学物質同士の相互作用とい うこともありますし、このDEHPとDBPとBBPの中では、やはりそれぞれ毒性強度が違う と思いますので、もしこれが100%DBPであった場合でも大丈夫なのかとか、この辺りもEU、 米国では決められていますが、科学的に説明できるような調査を目指していただきたいと思いま す。 ○西島部会長 ありがとうございます。  菅野先生、どうぞ。 ○菅野委員 2点、コメントなんですが、欧米の評価が非常にばらけているとおっしゃったんで すけれども、それは同じデータを見ても違う人が見ると違う解釈をするということだと思います が、今、典型的にはビスフェノールAがFDAの中ですら、メインコミッティとサブコミッティ で違う評価が出るような状態ですので、そういうことはフタル酸の場合も、見る人に立場によっ てかなりずれるんだと思うんです。そういう内容を含んでいる化合物だからこそ問題になってい るんだと思うんです。  ですから、結果がこんなにばらけているから信用ならぬという単純なことでは、決してないと 思います。この中に内分泌関係の先生方もたくさんおられるわけで、そういう先生方の判断も重 要になると思います。それが第一点です。  もう一点は、私のところによく直接消費者の方から電話が来るんですけれども、子どもおもち ゃをアルコールを拭いた後になめてしまうんですけれども、それによって余計溶け出はしません かとか、お尻を拭くようなものを子どものおもちゃを拭くのに流用するとか、その場合はpHが 恐らく酸性ではないかとか、いろいろ細かいことを聞いてこられるお母さんがおられるのです。  ですから、抽出法も、ただ、唾液だけではなくて、例えばアルコールでよく拭いて、表面が白 くにごってきたときに、どのぐらい出やすくなるかとか、むしろ業界さんの方が詳しいのかもし れませんけれども、現場に即した抽出状況というのも考慮していただくと、多分、実際のお母さ んたちに返事するときに、非常に役に立つと思います。 ○西島部会長 2つのコメント、データの評価に関するコメントと、実際の使用に当たって、昔 と今とでは状況が違っているということですね。そういうことも含めた議論が必要だという、大 変重要なコメントだと思います。  今後の検討課題にしていただきたいと思います。  どうぞ。 ○土屋委員 もう一点、抽出のことが出ましたので、実際の使用実態の暴露量の抽出と、実際に 含量が幾らそこに入っているのか、入ってないかを測定する抽出法と2種類ございますので、い わゆる有機溶媒での徹底した抽出法を1つ入れていただければ、入っているか、入っていないか ということには、一番役立つと思います。  一応、使用は禁止されるわけですから、それと通常の空気から来る、環境から来る分析上のコ ントロールというものを抑えれば、実際そこに意図して入っているか、入っていないか、原料に 汚染がないことをチェックされたものを使用しているかどうかということは区別できると思い ます。  だけれども、何らかの形で紛れてきたものに対して、赤ちゃんの実際の使用実態での評価とい うのは、さまざまな、先ほど菅野委員が言われたような状況のものが、そういうものの説明に役 に立つということだと思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。  どうぞ。 ○河村委員 土屋先生がおっしゃるとおりだと思いますが、現在行っているDEHPとDINP の規制に関しましては、がん具は材質中の含有量で規制しています。この場合は、溶媒を使って ほぼ100%に近い形で抽出することで、使っているか、使っていないかを判定しています。  器具・容器包装の方は、この0.1%の材質規制のほかに、溶出しなければいいというただし書 き規制があって、ヘプタンで溶出してこなければ使ってもいいと定めているのですけれども、が ん具に関しては、先ほどの事務局からのお話にもありましたように、溶出試験が非常にばらつき やすくて、それで規制するのは難しいということで、溶出量の規制は一切入れないで、材質含有 量の規制のみを採用しています。  ○西島部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。既にいろんな意見がた くさん出てきましたが、今日は最初の話にもありましたように、最初の相違に関する御説明と、 それに対する御意見、御質問ということでしたが、本日につきましては、大体御意見が出尽くし たという感じがいたします。  事務局の方で、今後の検討の進め方について、何か御提案がございましたらお願いいたします。 ○吉田補佐 本日は、いろいろ貴重な意見をありがとうございました。今日、各先生方からさま ざまな課題等をいただきましたので、それらを材料にして、別途、こちらの基準審査課の方で検 討する場をつくって、専門家の方々も交えて具体的な検討を進めたいと考えております。  その際には、本部会の委員の先生方の一部の方にも御協力をお願いできればと考えております。  そしてその検討の結果を後日、この部会に御紹介して、本部会ではそれを材料にしてまた御審 議を行っていただくと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○西島部会長 ただいま、事務局の方から今後の進め方について、別途この部会の委員も含めて 検討会をつくって、更に検討するという御提案がございましたが、これにつきまして、先生方か ら御意見がございましたらお願いいたします。  よろしいでしょうか。  それでは、事務局の提案のとおり、今度、検討会をつくって、更に検討を進めることにさせて いただきたいと思います。  以上で本日の最初の議題を終了ということにさせていただいて、次の議題に移りたいと思いま す。  次は「器具・容器包装等規格基準国際整合化検討事業について」です。これにつきまして、事 務局の方からまず御説明をお願いいたします。 ○吉田補佐 それでは、事務局の方から説明いたします。本議題につきましては、まず日本にお きましては、食品用の器具・容器包装において、食品衛生法による規格基準によって規制されて いるところでありますが、その使用される化学物質の管理については、ネガティブリストの考え 方、具体的にはすべてが使えるという条件の中で、使えないものだけを禁止するという考え方に 基づいております。  一方、海外では、米国やEUで導入されているポジティブリストの考え方に基づく化学物質管 理、具体的にはすべてが禁止という条件の中で、使えるものだけを認める。もしくはリスト化す るということでございますが、そういう化学物質管理が事実上の国際基準となりつつあります。  この議題におきましては、本部会において、我が国においても、海外で行われているポジティ ブリストの考え方に基づく制度の導入が可能かどうか、今年度より必要な検討を開始することを 御報告するものでございます。  まず資料2をごらんください。1ページ目に、日本とEUと米国における、合成樹脂製器具ま たは容器包装に係る規制の構成について簡単に表で示してございます。日本の場合には、食品衛 生法という法律の中で、第16条で有毒有害な器具または容器包装の禁止、第18条で器具また は容器包装の規格・基準の設定とそれに適合しないものの禁止という規定がございまして、これ に基づきまして、食品、添加物等の規格基準の第3が器具・容器包装の規格基準となっておりま す。この中で、原材料の材質別比較ということで、例えば合成樹脂製の器具または容器包装につ きましては、一般規格と個別規格が設けられているところでございます。  一般規格に関しては、すべての合成樹脂に該当するもので、いわゆるカドミウムや鉛の材質試 験や一部の重金属の溶出試験、こういったものが規定されており、また個別規格については、こ れまで13種類の合成樹脂につきまして、具体的な規格が材質試験、溶出試験等が定められてお ります。  これに対して、まず真ん中EUでございますけれども、EUでは食品接触材料及び物品に関す る欧州規則、Regulation EC No 1935/2004というものが基本原則の法律としてございまして、 この中で特別措置を採用すると規定されています。  具体的には、製造使用認可物質リスト、認可物質の品質基準、移行制限量及び総移行制限量を 設けることが規定されておりまして、これを受けて具体的な欧州指令が出されております。  食品接触プラスチック材料及び物品に関する欧州指令というものでございますけれども、この 中で製造使用認可、モノマー及びその他の出発原料、また製造使用認可添加剤リストが添付され てございます。また、これらの物質に関して、移行性制限量、もしくは最大許容残留量が規定さ れておりまして、またこれら添加剤の総移行制限量も規定されております。  また、日本の場合には、規格基準の中で、いわゆる試験法等も一緒に設けられておりますけれ ども、欧州の場合には別の指令によって移行試験に必要な原則と、それに使用されるよう溶媒に 関して規定がございます。  一番下のカラム、米国でございますが、米国の場合は、連邦食品医薬品化粧品法という法律が あるんですが、この中で食品添加物については上市前にFDAの認可取得が必要とされておりま す。  ここでいう食品添加物は、いわゆる直接・間接を両方含みます。直接というのは、いわゆる日 本でいう食品添加物。間接というのは、いわゆる食品の容器包装に使われる添加物のことで、こ れらが食品を経由して体に入るという観点から、間接食品添加物という取扱いがされております。  また、一番下の○にありますが、これについては1997年ですが、FDA近代化法によって改 正されまして、食品接触物質の上市前届出制度、Food Contact Notificationという制度ができ まして、現在では食品用の器具・容器に使われる化学物質に関しましては、ほとんどこのFCN の制度を使って、事前の個別登録が行われております。  具体的には、一定の条件を満たす物質に関しましては、FCN申請を行って、90日間の期間 をおいて、特に規制当局からアクションがなければ、自動的に承認とみなす。また、承認された 物質に関しては、告示がされることによって対応がされております。  現在では、ほとんどの物質がこのFCN申請で行われているところでございます。  このように、EUの場合は使用してもよい物質のリストを出して、また米国の場合には個別製 品ごとの審査ということで、基本的には認めていいものだけを選択するという方法に基づいてお ります。これが、日本と欧米の違いです。  2枚めくっていただきまして、パワーポイントの資料がございまして、その1ページ目の下側 の部分のスライドをごらんください。ここに現在の日本の食品用器具または容器包装の規制の骨 格と、現行制度の課題を示してございます。  結局、日本の場合はネガティブ制度に基づいた制度を取っている関係上、どうしても規格基準 更新が遅れるという問題が生じます。それによって、例えば発がん性であるとか、変異原性であ るとか、生殖毒性物質のリスク管理がどうしても課題となってきて、場合によってはそういった ものに関しての規格基準の設定が遅れてしまうこともあり得るという問題がおきます。  また、輸入品が非常に汎用されて流通する中で、実際には現地での製造が不明という状況がご ざいます。また、最近では再生原料を使ったものも流通しておりまして、その品質が課題となっ ております。  いわゆる総溶出量の把握という意味では、日本の場合、総溶出量という定義での規格がござい ませんので、これに関しても課題が残ります。  これだけ見ると、EUとアメリカの状況から比べたときに、非常に差があるように見えるんで すが、実は次のカラムに業界自主規制というものがございます。日本の場合は、公的な規制の中 で、ネガティブリスト制度の考え方に基づいた規制を行っておりますけれども、それに上乗せす る形で業界の自主規制がそれを補うという形を取っております。  具体的には、次のページの上のスライドをごらんください。合成樹脂につきましては、いわゆ る業界団体が主に3衛生協議会がございまして、まず、1967年に塩ビ食品衛生協議会、1973年 にポリオレフィン等衛生協議会、1977年に塩化ビニル衛生協議会、これらがそれぞれ発足いた しまして、業界の実施基準と確認証明を行っております。  具体的には、先ほど説明したポジティブリストというものを業界の自主基準の中で設定して、 このポジティブリストに収載された物質と、記された制限について遵守する形で加盟各社が製品 を流通させているということでございます。  また、同時にそういった基準に見合った製品を使っているということで、それに対する確認証 明も行っております。  このように、日本の場合には、公的規制に上乗せする形で業界の自主基準と確認証明制度があ って、これらがセットになった形でEUとアメリカの制度と比較するという形になります。  ただ、この場合はあくまで加盟している会社であれば、当然業界の自主基準を遵守いたします ので問題は起きないんですけれども、これだけ輸入品がたくさん汎用されて流通する状況になり ますと、当然ながら業界の自主基準を満たさない物質が当然出回っていることになる。ですから、 そういったものに対して、今の制度では何ら十分な規制がかけられておりませんので、それに対 してどういう対応を取るかということが、1つの課題となります。  それを踏まえまして、下半分のスライドですけれども、今年度から必要な検討を始めるに当た って、まず実態を知るということで、実際はどのような添加剤等が器具・容器包装に使われてい るのかということを調査いたしまして、そういうものに対して、例えばアメリカなりEUなりで、 それが実際に登録されている物質なのかどうか、そういった情報を整理した上で、具体的に流通 している物質に関して、安全なのか、安全じゃないのか、そういったことを明らかにしていきた いと考えております。  こういった調査をする中で、例えば毒性情報等が欠落している場合に、では新しく試験をする のか、あるいはその試験は国がやるのか、企業がやるのか、そういった問題も発生しますし、ま た業界自主基準の中で行われている制度の中では、当然企業秘密情報も取り扱われますので、も しこれに公的な関与が入った場合には、そういった情報をどのように扱うのかということも当然 検討が必要となります。  また、こういった業界自主基準を運営している産業界の役割が、今後どのようにあるべきか、 また行政側とどういう協力体制を築くべきか、そういったことも1つの課題となるかと思います。  こういった検討課題も整理しながら、今後の検討を進めていきたいと考えているところでござ います。  今日は、この部会が開催される機会がありましたので、本年度の事業ということで簡単に説明 をいたしました。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございました。第2の議題も日本とEU、米国における、合成樹脂等 の規制に関する違いということで、我が国はネガティブリスト、欧米はポジティブリストという、 非常に大きな違いがあるという御説明でしたが、これについて厚労省の方で検討を開始したとい うことですね。  本日は、これにつきまして、先生方から今後の検討に向けて御質問、御意見等をお受けしたい と思いますが、いかがでしょうか。  今の御説明で、検討課題がたくさんありますね。いろいろ大変な課題かと思いますが、具体的 にはこの作業はタイムスケジュールとしては、どういうことで進められるんでしょうか。 ○吉田補佐 この検討自身は、今年度から始まりまして、事務局の予定では、まず5か年計画で 必要な調査等をすべて終了して、その中で必要な検討課題を洗い出して、可能であればその中で 具体的な検討に入っていくということを想定しております。  ただ、これにつきましては、まず実態を把握した上で、どのような課題があって、それに関し てどういうスケジュールで検討していくかということも決めなければいけませんので、それにつ いては状況を見ながら判断したいと考えております。 ○西島部会長 どうぞ。 ○土屋委員 日本で業界自主規制とされているところを、今後、強制力のある方向へ考えておら れるのでしょうか。 ○基準審査課長 海外はポジティブリストということですけれども、まずは実態を把握すること が重要ですので、特に一番最初のところから言うと40年ぐらいの長い歴史があるなかで業界の 方でやられていますので、特に3衛生協議会を中心に御協力いただいて、まずは実態を把握して、 それを踏まえてどういう制度にしたらいいか、検討していきたいと考えております。 ○西島部会長 どうぞ。 ○菅野委員 EUと米国のポジティブリストをやっているところでの業界の自主規制とか対応 は、今どうなっているんですか。あるいは外国も恐らくネガティブからポジティブにどこかで切 り替わったんじゃないかと思うんですが、そのときに業界との関係がどうだったかでもよろしい んですが、現状の方がわかりやすいかもしれません。現状ではどうなんですか。 ○吉田補佐 その辺詳しい情報は持ち合わせていないんですが、もしよろしければ、河村先生に 補足いただければお願いいたします。 ○西島部会長 どうぞ。 ○河村委員 米国の方は、戦後ずっとポジティブリスト制を導入しておりまして、業界の自主基 準というのは聞いたことがありません。長い間、FDAが規制するという形でやってきていると 思います。  EUの方は、もともとは国によって様々で、業界の自主基準のところもあれば国の推奨基準の ところもあり、また、国がポジティブリストをつくっているところもありました。  20年ぐらい前、欧州の統合に合わせてヨーロッパ全体として統一したポジティブリストをつ くろうということになり、ほぼ20年がかりで毒性データ等の収集をしてポジティブリストを作 成してきました。そして昨年、ほぼ最終のポジティブリストが出ました。それで、再来年の1月 からポジティブリスト制に移行すると言うことを表明しました。20年かけてリストをつくって くる中で、業界は非常に協力してきたようです。EUのポジティブリスト作成の委員会やグルー プには業界の方もたくさん入って、そういう中でリストが作成されてきたと聞いております。  これは、相当に時間がかかるものです。特に毒性データに関しては、十分にあるものもありま すけれども、昔から使われているものに関しては、必ずしも毒性データが十分ではないけれども、 長い間使ってきて、特に問題も生じていないというものも多くあります。ただ、EUはかなり厳 しくチェックを行い、毒性データがきちんとそろわないものはリストから外しております。これ から先、実際にポジティブリスト制が実施されるまで、業界とEUの間の話し合いも、更に進め られるのではないかと思っています。 ○西島部会長 ありがとうございました。  どうぞ。 ○阿南委員 ちょっと頓珍漢なことを言うかもしれませんけれども、器具・容器包装の規格基準 を設定するということで、その準備が始まるということですが、今、問題になっておりますカッ プめんがありますね。あれは紙を使ってカップをつくって、環境に配慮した商品ということで進 められてきたわけですけれども、防虫剤などの香りが移行することがわかったということで、今、 注意喚起がなされているわけです。このような成分の浸透についての浸透規制のようなものを早 急に、検討を始めた方がいいのではないかと思います。  消費者の扱い方の問題ではあるわけですけれども、今回の事件はとても意外で、まさかと思っ ていたことが起こっているわけです。消費者がそれをどう保管するのかということについては、 家庭内でのいろいろなやり方があると思いますので、これから先、いつ何時これが非常に大きな 事件につながらないとも限らないと思います。  こうしたことについても、もしこういうところで検討できるならば、していただきたいと思っ ているのですが、いかがでしょうか。 ○西島部会長 ただいまのカップめんの容器につきまして、事務局の方からお考えが何かありま したら、お願いいたします。 ○吉田補佐 貴重な御意見をありがとうございます。現状の食品衛生法の規制でいきますと、い わゆる食品との接触面に対する規制になるんですけれども、御指摘のありました、こういった成 分が浸透してくるということに関して、これは具体的にどのように規制の対象となる範囲を設定 するか。具体的には、対象となる部分もしくは材質になるんですけれども、そこの範囲の設定の 仕方の定義をどうするかという議論に直結すると思いますので、その辺も含めて、こういった課 題についても議論できるものと考えております。  今、具体的にどういう方法が可能かと聞かれてしまうと、こちらの方としては回答しにくいん ですが、ただ、新しい制度を議論する中で、当然そういった材質の範囲というものを考えるとき に、もしかしたら議論が可能ではないかという印象は持っております。 ○西島部会長 どうぞ。 ○河村委員 先ほどの御質問についてなんですけれども、密封性、バリアー性を非常に上げるの がいいのかどうか、これは非常に難しい問題があって、中に入ってくる食品によって、完全に密 封されることが必要なものと、そうするとかえって中の食品にとってはまずいものがあって、若 干の流通性を残しておかないといけない食品もあるわけなんです。  今回のようなことが起こって、すべて完全密封でなければいけないということになると、例え ばお米など少し穴を開けて空気を通すという形包装されています。そういった容器が使えなくな ってしまう。 やはりこれは中の製品によって、たとえばカップめんの場合は揚げたものにおそ らく揮発性の物質を吸着しやすい性質があるのではないかと思いますので、そういったものにつ いては業界の中できちんと検討していただいて、その製品を守るためにどういう包装が必要かそ れぞれの企業で努力していただくことが重要だと思われます。国が一律に規制をかけて、一切透 過しない容器しか使ってはいけないといった規制は、非常に難しいのではないかという気がしま す。 ○西島部会長 ありがとうございました。  阿南委員、今のようなお答えに対して、更に御意見ございますか。 ○阿南委員 食品によって規制をどうかけるか、確かにお米などはそうですね。通気性がないと いけないので、その包材についての消費者への情報開示というか、そういうところをはっきりす る。消費者が、それを自分の責任で管理できるといったことが大事だと思うので、その検討はき ちんと示されるべきではないかと思います。 ○西島部会長 ありがとうございます。貴重な御意見だと思いますので、是非厚労省の方でも、 その点考慮していただきたいと思います。  ほかに、どうぞ。 ○土屋委員 もう一点ですが、先ほどおもちゃでも出ましたけれども、できましたら、やはり国 際調和ということも重要だと思います。  そこに欧州、米国、日本以外から漏れて、日本に間違えて入ってくるようなものを排除できる ような仕組みをつくっておいていただきたいということと、食品の量は多量ですので、やはり同 じ安全性であれば、環境の負荷が少ないような方向性も考えていただきたいし、経済的にも同じ 安全性を保てるのであれば、より低コストな方向も考えるべきではないかと思います。 ○西島部会長 ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。  この議題につきましては、本日は御説明いただいて、今後の検討のために参考にしていただく ということが趣旨だと思います。そういうことですので、本日の御意見は以上のようなことでご ざいますが、今後、委員の先生方におかれましては、今のことにつきまして、この場で言い足り なかったことがございましたら、後日、積極的に事務局の方に御意見をお寄せいただきたいと思 います。よろしくお願いいたします。  それでは、今日の2つの議題は以上で終了いたしますが、その他として事務局の方から連絡事 項がございましたらお願いいたします。 ○吉田補佐 事務局の方から伝達事項が2点ございます。  まず、次回の本部会でございますが、開催日時と議題等につきましては、後日調整の上お知ら せいたしますので、よろしくお願いいたします。今のところ、来年2月ごろの開催を予定してお ります。  また、次回開催までの間、審議会の委員の改選がありますので、関係する委員の先生方には、 事務局から個別に連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  以上です。 ○西島部会長 どうもありがとうございました。次回は、2月ということでございますので、新 しい委員になられた先生方は、またよろしくお願いいたします。  本日は、以上で終わりにいたしたいと思います。本当に活発な御意見、御質問等、ありがとう ございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線4283、4284)