08/10/31 第42回社会保障審議会障害者部会議事録 第42回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年10月31日(金)14:00〜16:57  場  所:都道府県会館 101大会議室  出席委員:潮谷部会長、高橋部会長代理、嵐谷委員、安藤委員、井伊委員、       伊藤委員、岩谷委員、梅田委員、大濱委員、川崎委員、君塚委員、       小板委員、新保委員、副島委員、竹下委員、長尾委員、仲野委員、       野沢委員、広田委員、星野委員、箕輪委員、山岡委員、小澤委員、       生川委員、浜井委員 ○潮谷部会長  定刻になりましたので、ただ今から第42回社会保障審議会障害者部会を開催いたします。  委員の皆様方にはお忙しい中にお集まりをいただきまして、ありがとうございます。  議事に入ります前に事務局のほうから委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。 ○蒲原企画課長  それでは、委員の出欠状況でございます。本日、何人かの先生から欠席ということでご 連絡をいただいております。ご欠席の先生方でございます。北岡委員、坂本委員、櫻井委 員、佐藤委員、堂本委員、福島委員、三上委員、宮崎委員、以上の各委員からご欠席とい う連絡をいただいております。  それから、数名の委員の先生が遅れておられますけれども、後ほど参られると思います。  なお、坂本委員の代理といたしまして、東松山市健康福祉部長の林参考人に、また堂本 委員の代理といたしまして、千葉県健康福祉部次長の戸谷参考人にご出席をいただいてお ります。  また、本日所得保障がテーマになってございます。この関係で年金局年金課の内山企画 官、そのほか関係の部局からのものの参加をお願いしております。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第をとってもら いますと、最初に資料1といたしまして、これまでにも出しております主要な論点という 数枚のペーパーがございます。続きまして、資料2として(1)、(2)と2つセットでございま す。本日の議題の一つの所得保障についての資料、前回お出しした資料でございますけれ ども、これが資料2−(1)、(2)ということでございます。続いて、障害者の範囲について、 資料3−(1)、資料3−(2)がその参考資料というものでございます。続きまして、資料4− (1)として利用者負担、そして資料4−(2)として利用者負担の参考資料、これがセットもの の資料でございます。  なお、そのほか委員のほうから提出資料がございます。本日は堂本委員より資料の提出 がございます。お手元に配布をいたしております。  また、前回議論できませんでした所得保障について、前回資料が出てございました。前 回に引き続きまして副島委員からの資料、そして星野委員からの資料をお手元に前回に続 いて配布いたしております。  なお、その後、前回の議題でありました就労支援に関しまして、君塚委員と長尾委員の ほうから就労支援に関して追加意見というのが出てございますので、お手元にご配布をし ております。  以上、資料についてご確認をお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事に入りたいと思います。  本日は地域における自立した生活のための支援、所得保障、障害者の範囲、利用者負担、 これが議題になっております。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○鈴木企画官  企画官、鈴木でございます。  お手元の資料、まず1でございます。本日の論点は、この全体の論点の中の前回残りま した所得保障と、それから右側の障害者の範囲、利用者負担ということになっております。  おめくりいただきまして、所得保障の部分については前回ご説明しましたとおり、年金、 手当、その他ということでご議論いただきたいと思います。  それから、もう一枚おめくりいただきまして、今回障害者の範囲につきましては、障害 者の定義、それから手帳制度、利用者負担については考え方とか今後の在り方ということ で資料のほうを準備させていただきました。  お手元の資料2−(1)、これ所得保障につきましては、前回ご説明を申し上げましたので、 今回は省略をさせていただきます。  お手元、資料3−(1)、まずこちらをお願いいたします。障害者の範囲につきまして今回 準備させていただいた資料です。  おめくりいただきまして、まず障害者の範囲の1点目が障害者の定義ということでござ います。まず、その基本的な考え方ということでございますけれども、そこの現状の欄に ございますように、障害者の定義は自立支援法におきましては、各個別法を引用する形と いうことで、下の枠囲みの中にございますけれども、障害者とは身体障害者福祉法に規定 する身体障害者、知的障害者福祉法に言う知的障害者のうち18歳以上であるもの、それか ら精神保健福祉法に規定する精神障害者のうち18歳以上であるものと。それから、障害児 は児童福祉法の障害児と、それから精神障害者のうち18歳未満のであるものというふうに なっております。  それから、障害者基本法のほうでございますけれども、鍵括弧にございますけれども、 身体障害、知的障害または精神障害があるため継続的に日常生活または社会生活に相当な 制限を受けるものと。それから、権利条約のほうでは目的規定で障害者には、その鍵括弧 にございますように、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有するものであ って、様々な障壁との相互作用により他のものと平等に社会に完全かつ効果的に参加する ことを妨げられることのあるものを含むと、こういうふうにされてございます。  おめくりください。  ただ今申し上げました自立支援法の定義概念をポンチ絵に落としたものでございますが、 3障害について、その年齢によって18歳未満が障害児、18歳以上が障害者ということで3 障害をくくった概念ということになっております。  下の3ページでございますが、それぞれの各個別法の定義をここに書かせていただきま した。身体障害者福祉法では、まず身体障害者とは別表に掲げる身体上の障害がある18歳 以上のものであって、知事から手帳の交付を受けたものと。それから、知的障害者福祉法 では定義規定がございません。それから、精神保健福祉法では、精神障害者とは統合失調 症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患 を有するものというふうに定義されてございます。障害者基本法、それから権利条約につ いては、先ほどご説明したとおりでございます。  おめくりいただきまして、4ページで課題のところでございますけれども、権利条約批 准の動きも踏まえまして、自立支援法による障害者の定義について、個別法を引用するの ではなくて、支援の必要性によって対象者を判断すべきと、こういうご意見がございます。 一方で、こういった考え方につきましては、そこに1から3ございますけれども、1点目 が支援の必要性のみで対象者を判断することになれば、障害者だけでなく加齢や一時的な 疾病により支援を要する必要などあらゆる福祉的支援を要するものを対象とする法律とな ること。それから、2点目で障害者基本法における障害者の定義も何らかの障害があるた め、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるものとしており、支援の必要性 のみによって対象者を定めていない。それから、3点目で訓練等給付などは障害程度区分 のような客観的なニーズ判定がなく、だれを対象とするのか市町村において適切に判断す ることが難しいと、こういった課題があると認識しております。  それで、論点のほうでございますけれども、支援の必要性によって障害者自立支援法の 対象者を判断することについて、他制度への影響など多くの課題があることを踏まえ、ど のように考えるかと、このように提案させていただいております。  それから、2点目で発達障害、高次脳障害などと障害者の定義ということで、まず発達 障害、高次脳機能障害につきましてが6ページでございます。  現状の1つ目の丸にございますけれども、発達障害につきましては、知的障害に該当す る場合は知的障害、該当しない場合には精神障害として自立支援法の対象になっておりま すが、このことが明確になっていないということでございます。一方、発達障害者支援法 におきましては、その下の枠囲みにございますように、定義規定が置かれておりまして、 また、その2つ目の丸の最後に括弧でございますけれども、各般の施策が講じられている 中で、そのうち発達障害者支援センターと、これは自立支援法に基づく地域生活支援事業 に位置づけられておりまして、こういう意味でも自立支援法の対象となるということは形 の上でもあらわれているという状況にございます。  おめくりいただきまして、6ページ、現状のこちら高次脳機能障害のほうでありますけ れども、概念的には精神障害に含まれておりますが、やはり自立支援法の対象となってい ることが明確にされていないと。一方、高次脳機能障害につきましても、いろんな支援普 及事業というのが行われていまして、その中でそうした事業は自立支援法に基づく地域生 活支援事業として推進をされているという状況でございます。  課題の欄でございますけれども、発達障害、それから高次脳機能障害いずれにつきまし ても、自立支援法のサービスをより受けやすくするために法律上の位置づけを明確にすべ きという声があるところでございます。こういったところで、論点のほうは次の7ページ でございますけれども、自立支援法上のサービスをより受けやすくするため、発達障害者 及び高次脳機能障害者が自立支援法上の障害者に含まれることを何らかの形で明確化する 必要があるのではないか。この際、特に発達障害については、発達障害者支援法が整備さ れ、発達障害者の定義規定も置かれていることを踏まえ、検討すべきではないかというふ うにさせていただいております。  おめくりいただきまして、8ページ、続いて難病についてでございます。  現状の欄の1つ目の丸にございますけれども、難病患者のうち難病に起因する肢体不自 由あるいは内部障害がある方については、身体障害者の要件に合致するということであれ ば、身体障害者として認定をされ、自立支援法上のサービスを使われていると、こういう 状況でございます。  それから、次の丸で介護保険については65歳以上の患者の方あるいは40歳以上65歳未満 の特定疾病の方、こういった方で要介護認定などを受けられれば、介護保険のサービスを 使われているということでございます。  それから、一番下の丸で、加えまして自立支援法のサービスあるいは介護保険のサービ スの対象にならない方については、難病患者さんのためのサービスとしてホームヘルプサ ービスあるいは短期入所、こういったサービスが実施されているところでございます。こ ういう状況でございますが、下の課題の欄、9ページの課題でございますけれども、身体 障害者として認定されない難病患者について、自立支援法の対象に加えるべきと、こうい うご意見があるところでございます。  次の丸で、このためには自立支援法の対象者を支援の必要性によって判断する方法、そ れからもう一つ、身体障害者福祉法の障害認定で難病を身体障害に含めると、こういう2 つの方法が考えられるところでございます。このうち後者の方法については、次の丸にご ざいますけれども、これまで身体障害者の認定ということでは、(1)身体機能に一定以上の 障害があると、こういうこと、それから(2)その障害が固定または永続していること、(3)と して日常の生活に著しい制限を受けていると、こういう考え方でやってきているところで ございまして、具体的にはそこに書いてございますように、検討対象となった障害ごとに 審議会あるいは審査会、こういったところで医学的あるいは専門的見地から審議いただい て、診断基準を検討した上で決定をしてきていると、こういう状況でございまして、難病 を身体障害に含めることについては、こういった経緯や現行制度の考え方を踏まえて検討 する必要があると、こういうふうに考えております。  おめくりいただきまして、10ページで、したがいまして、論点のほうは身体障害の認定 については、身体機能に一定以上の障害が存在していることやその障害が固定または永続 していることなど、これまで一定の考え方に基づいて行ってきているところであり、難病 を身体障害に含めることは慎重に検討すべきではないかと、こういうふうにさせていただ いております。  次に、大きな論点の2つ目で手帳制度などについてでございます。  11ページですけれども、身体障害者と身体障害者手帳との関係ということで現状の欄に ございますけれども、3障害のうち身体障害が手帳の交付を受けていると、こういうこと が要件になっております。このため、自立支援法のサービスを受けるに当たって、身体障 害者のみが手帳を所持することが前提となっております。定義規定については先ほどご説 明したとおりでございます。  おめくりいただきまして、12ページですけれども、課題でございますけれども、身体障 害者について知的障害あるいは精神障害と同様に、手帳を所持しなくても別表に該当する ことがそういう障害に該当することが確認できれば認定をして、自立支援法のサービスの 対象とすべきではないかと、こういう考え方があるところでございます。一方で、身体障 害者の定義から手帳所持の要件を外すということになれば、市町村窓口で判定をしなけれ ばなりませんが、それが困難であるとか、あるいは手帳が自立支援法以外の各種公共サー ビスの割引などに広く活用されていると、こういう実態を踏まえますと、多くの混乱が懸 念されるというふうに考えております。そういうことで論点といたしましては、身体障害 者手帳を所持しなくとも身体障害者福祉法別表に該当することが確認できれば、自立支援 法のサービスを受けることを可能とすることが考えられるが、これを行うことにより、市 町村窓口などでの様々な混乱が懸念されることから慎重な検討が必要ではないかと、この ようにさせていただいております。  それから、2つ目で知的障害の定義規定についてでございます。  先ほど申し上げましたが、知的障害については個別法で定義規定がございません。そう いう中で、国のほうでは知的障害の程度に関して、重度それからそれ以外と、それについ ての判断基準ということを示しておりまして、児童相談所あるいは知的障害者更生相談所 において判定が行われていると、そういう状況でございます。  おめくりください。  課題の欄でございますけれども、知的障害の程度の判定について、その運用が自治体の 裁量ということになっておりまして、自治体ごとに取り扱いが異なっている状況です。そ ういう中で、統一した定義規定、認定基準を置くべきではないかという指摘があります。 一方で、新たな定義規定、認定基準を置くことについて、これまでサービスを受けてきた 人が認定から外れる可能性があるため、慎重に行うべきという意見が従来からございまし て、このため他の障害のような定義規定を置かれてこなかったと、こういう経緯がござい ます。  論点といたしましては、知的障害者に係る定義規定の設定については、従来の制度の運 用の影響に対しても配慮しつつ、知的障害者の判定方法などについて十分な知見を収集し た上で、引き続き検討を行う必要があるのではないかと、このようにさせていただいてい ます。  以上が障害者の範囲についての資料でございます。  続きまして、資料4−(1)をお願いいたします。  続きまして、利用者負担についてでございます。  おめくりいただきまして、1ページ、まず現行制度の説明の1つ目でございますけれど も、最初の丸でございますけれども、自立支援法におきましては、費用を広く国民全体で 分かち合う観点から、各サービスに係る費用の9割以上を公費で負担する一方で、利用者 にも所得に応じて最大でも1割までのご負担をお願いしている状況でございます。  最初に、障害福祉サービスの利用者負担についてでございますけれども、障害福祉サー ビスにつきましては、サービスの利用料に応じて最大で1割という負担をお願いしている と。そういう中で利用者の負担が過重にならないよう、所得に応じた負担上限額を設定し ております。それから、障害児、それから通所、在宅サービスを利用する方については、 この負担上限額というものを2度にわたり特別対策あるいは緊急措置ということで低減を してきているところでございます。  おめくりいただきまして、今申し上げたことをポンチ絵に示したもので、上の2ページ が障害者、下の3ページが障害児ということになっております。一番左にグラフのような ものがございますけれども、定率負担というのはサービス量に応じて負担額が増えていく と、1割ということでございますけれども、これを原則としつつも、月額の負担上限額を まず所得に応じ設けているということで、その上限額は(1)のところにございますように、 介護保険制度と同様の額で、例えば低所得の1という区分になりますと、月に1万5,000 円、一般ですと3万7,200円、こういった上限額を設定しております。これを19年4月か らの特別対策では、その上限額を引き上げております。低所得1の場合ですと3,750円と。 それからさらにこの20年7月からの緊急措置におきましては、それをさらに引き下げまし て、低所得1であれば月額の上限額が1,500円ということ、それから、併せて所得段階区 分の個人単位化ということで、ご本人と配偶者の所得のみで判断をするというようなこと にしてきているところでございます。  その下の3ページの障害児のほうは、概ね障害者のものと同じでございますけれども、 1つ大きな違いは、一番右の緊急措置のところで、その一般の2段目に米印があって、所 得割28万円未満という方について4,600円ということがございますけれども、これは特別 対策から緊急措置を追加するときに、その所得割の上限額を引き上げたということで、対 象者を増やしたということになっております。  おめくりください。  4ページ、5ページがこういったきめ細かく軽減措置を行っておりますけれども、それ を順を追っていろんな対策がございますので、文章で書いたものでございますけれども、 同じ内容が6ページ、7ページの図のほうでもございますので、6ページ、7ページを使 ってご説明させていただきます。  この利用者負担の全体図と緊急措置後とございますけれども、対象者の状況が一番上に ございまして、施設に入所している場合とかグループホームなどを利用されている場合、 それから20歳未満で施設入所の場合、通所サービスを使う場合、ホームヘルプサービスを 使う場合、こういったものがございまして、(1)のところで先ほど申し上げました原則は1 割負担がございますが、上限額を設定していると。所得の低い方にはより低い上限を設定 しています。これは共通でございます。それに加えまして、施設に入所している20歳以上 の方あるいはグループホームなどを使われている方には、(2)のところにございますけれど も、収入に応じて個別に減免するという施策がございます。それから、施設に入所してい る20歳未満の方については、また所得区分に応じて上限額を引き下げるというものがござ います。  それから、通所サービス、ホームヘルプサービスを使う方については、やはり上限額を 引き下げると。この3番と4番は特別対策・緊急措置ということで行っているものでござ います。この2番、3番、4番はいずれも経過措置というか、期限を設けた措置というふ うに現時点ではなっているところでございます。  それから、次のページで5番目に、さらに利用者負担を行うことによって生活保護世帯 に該当する場合には、生活保護に該当しなくなるまで負担額を引き下げると。さらに6番 目で同じ世帯でほかに福祉サービスを使われている方あるいは介護保険のサービスを使わ れている方がいれば、合算して負担上限額を超えないようにすると、これが高額障害福祉 サービス費というものです。  さらに食費、光熱水費の負担に関しましては、実費全額の自己負担を原則としておりま すが、その対象者の状況に応じて施設入所者については手元金という2万5,000円が手元 に残るように実費負担額を軽減するとか、児童の入所者の場合は保護者の収入に応じて軽 減する、あるいは通所サービスを使われている方については、食材相当額のみにこれは特 別対策でそうするというのがございます。こういった負担軽減策を講じているところでご ざいます。  おめくりいただきまして、8ページで、高額障害福祉サービス費と先ほど申し上げまし たけれども、これはそこに(1)、(2)、(3)とございますが、同一の世帯の他の人が利用する障 害福祉サービス費、それからそのご本人が介護保険のサービスを使われた費用、それから 同一世帯の児童が使われた障害児支援のサービス費用と、こういったものを合算して最初 の上限額、基準額に合算しても超えないようにと。超えた場合はそれを償還するという制 度でございます。こういった軽減策を講じているところでございます。  それから、次の9ページの現行制度の4のところでありますけれども、これは支援費制 度との比較でございまして、支援費制度におきましては、サービス利用の多寡に関わらず、 サービス利用者、それからその扶養義務者の所得に応じて月の負担額を設定ということで ございました。一方、自立支援法におきましては、先ほど来申し上げておりますが、サー ビス利用量に応じた負担を原則としつつ、所得に応じた負担上限額を設定すると。これは 定率負担を原則としつつも、応能負担の考え方を取り込んだ仕組みというふうにも言える と思います。そういったことで、今この負担上限額については減額措置というのを2度に わたり講じてきておりますので、緊急措置後のサービス利用者の負担額は平均3%という ふうになっております。  下の表にございます負担率は、これは予算上の数値で、全体で3%と。それから、その 下に書いてございます、これは実績値をとってみたものでありますけれども、20年7月の 実績で見れば、緊急措置後は2.86%ということで、概ね3%という実負担率ということに なってございます。  おめくりください。  10ページでございますけれども、続きまして、自立支援医療の利用者負担の概要という ことで、自立支援医療は(1)のところにございますけれども、医療保険制度の自己負担につ いて最大でも1割になるような軽減措置を講じるというものが自立支援医療ということに なります。(2)でございますけれども、1割負担に対しましては、負担上限額を設定してお ります。それから、(3)でございますが、高額な治療を長期間にわたり継続しなければなら ない方については、さらに低い負担上限額を設定しているということでございます。それ から、(4)でございますけれども、育成医療につきましては、中間所得層についてさらに軽 減する経過措置がございます。  自立支援医療の負担について、ポンチ絵にまとめたものが11ページでございます。そこ に書いてございますように、所得の区分に応じて幾つかの仕組みになっておりまして、一 定所得以下の方は先ほど申し上げました負担上限額というのがきっちり設定をされており ます。それから、中間所得層については原則1割負担で、医療保険の負担上限額に到達す る場合は医療保険の負担上限額というのがその上限額になっておりますけれども、このう ちその下半分にございます重度かつ継続、これは下のほうに米印でございますけれども、 統合失調症の方であるとか、あるいは腎機能の障害であるとか、あるいは過去一番下にあ ります12カ月以内に4回以上、高額療養費の支給があった方とか、こういった要件に該当 する方については重度かつ継続ということで負担の上限額を下げているということがござ います。このうち一定所得以上の方も重度かつ継続というのがかかっているんですけれど も、一定所得以上の方については今年度の経過措置ということで引き下げている状況にご ざいます。  それから、その絵の真ん中の辺りに育成医療の経過措置というのが先ほどございまして、 中間所得層については負担上限額をそれぞれ引き下げているということでございます。  おめくりください。  12ページは今申し上げたものを上限額の絵でお示ししたものでございまして、重複しま すので省略をさせていただきます。  それから、現行制度6で、次に補装具の利用者負担でございますけれども、補装具につ きましては、購入・修理に要した費用の最大でも1割を利用者にご負担いただくと。高所 得の方は除きますけれども、こういう形になっております。利用料の負担が過重にならな いように、所得に応じた負担上限額を設定しているということで、先ほど申し上げました ものと同額の上限額をそこの表にございますように、所得に応じて設置をしている状況で ございます。  おめくりください。  続きまして課題でございますけれども、まずは利用者負担についての原則的考え方につ きましては、まず応能負担につきましては、障害者の所得に応じた負担になると、こうい う特徴がございます。一方、定率負担については以下のような特徴があるということで3 点掲げさせていただいておりますけれども、1つ目で今後とも必要なサービス量の拡大が 予想される中、利用者本人も応分の負担を行うことで、障害者制度の安定的な運営のため に皆で支えると、こういう考え方があります。  それから、2つ目の丸で利用者が事業者にサービス費用を支払うことによって、利用者 と事業者が対等な関係に立つことができる。ひいてはサービスの質の向上につながるとい うふうに考えております。  それから、3点目で所得に応じた軽減措置を講じることによって、実質的に応能負担の 要素も取り入れることができるということでございます。  15ページは障害福祉サービスの予算の伸びをグラフにしたものでございます。  おめくりください。  16ページでございます。  続きまして、課題の2つ目で21年4月以降、来年度以降の利用者負担の在り方でござい ますけれども、利用者負担の軽減措置につきましては、先ほど申し上げました個別減免と か上限額の軽減措置あるいは食費の軽減措置、自立支援医療に係る上限額の軽減措置とい うことは、新法移行に対する激変緩和という観点から21年3月末までと、こういうことに されております。この期限に関しては、軽減措置を実質的に継続すべきと、こういうご指 摘がございます。また、自立支援医療のうち、育成医療につきましては、他の更生医療な どに比べまして、中間所得層の割合が顕著に大きくなっていると。それは下のほうにグラ フでございますけれども、中間所得が黒っぽい育成医療に関しては非常に多いということ になっております。育成医療の中間所得層のほとんどはいわゆる重度かつ継続の対象にな っておりませんで、他の医療に比べ負担感が強いことからさらなる負担軽減ができないか と、こういうご意見がございます。  おめくりください。  18ページ、課題3でございますけれども、合算制度など利用者負担に関する諸制度の在 り方についてということで、先ほどご説明しました高額障害福祉サービス費というものを いろんなサービスを使われたという方については準備をしておりますけれども、矢印のと ころにございますけれども、補装具・自立支援医療については、現在この合算の対象外と なっております。  最初に、次の19ページ、1点目で補装具に係る自己負担との合算ということでございま すけれども、補装具につきましては、実施主体が市町村ということで福祉サービスと同一 でございまして、自己負担額を合算することに伴う事務負担は比較的少ないというふうに 考えております。  2点目で自立支援医療の自己負担との合算についてですけれども、まず、最初の丸で医 療保険制度に係る一般的な軽減措置として、医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に は高額療養費という制度がございますし、医療保険と介護保険の両者を利用した方につい ては、高額介護合算療養費などのそういう償還制度がございます。  次の丸ですけれども、自立支援医療についての自己負担について、まず、その先ほど申 し上げました医療保険の中での合算による軽減措置ということを受けることになっており まして、障害福祉サービスの自己負担額との合算制度を検討する場合には、他の医療分の 自己負担額まで含めた合算制度を検討することが必要となってまいります。さらに医療に 係る自己負担額は、先ほど申し上げましたように、合算制度が既にありますので、障害福 祉サービスの自己負担額と合算制度を検討する場合には、医療、それから介護保険、障害 福祉サービス、これらの自己負担額の全てを含めた合算制度を検討することが必要になっ てまいります。  おめくりください。  そういう3、医療・介護サービスを含めた事故負担額との合算ということでございまし て、そういう全ての合算を検討する場合には、以下のような検討課題があるということで、 まず1点目、黒い丸でございますけれども、実施主体が下の表にございますように、保険 者あるいは市町村、都道府県ということで、各制度で異なっておりますので、各実施主体 ごとで負担する割合あるいはどの実施主体が取りまとめとなって合算後の自己負担額、償 還額を計算するかなど新しい仕組みを検討することが必要になってまいります。  それから、次の丸で世帯の範囲の違いということで、そこに表にございますように、世 帯の範囲が障害福祉サービスは本人及び同一世帯に属する配偶者ということになってござ いますけれども、そのほかは被保険者、被扶養者であったり住民票上の世帯であったりと いうことで違っております。  次の21ページ、矢印のところですけれども、各制度でそれぞれ世帯の概念が異なるため、 同一世帯とは何か、そして、その世帯が負担する限度額の設定方法をどうするか。それか ら、具体的な限度額をどうするか。こういったことについての検討が必要ということにな ってまいります。こうした制度の検討に加えまして、実際にそれぞれ個人あるいは世帯が どのサービスを利用され、あるいは利用者負担をどれだけ支払われたかということにつき まして、世帯ごと、制度ごとに正確に把握して合算する必要がありますけれども、実際に それを制度として運用するためには複雑な仕組みの構築が必要となってまいります。この ためITの活用あるいは社会保障番号の導入などにより、各制度の実施主体を横断するよ うなシステムを構築することが必要というふうに考えております。  次の丸で、また保育などそのほかの社会保障制度に係る自己負担との合算についてどの ように考えるかと、こういう課題もございます。そこで、矢印のところにございますけれ ども、社会保障制度全体における議論が必要ということでございます。なお書きにござい ますけれども、社会保障国民会議の中間報告でも低所得者の負担軽減策については、IT の活用あるいは社会保障番号制度の導入などを積極的に推進すべきというようなことで、 それを給付負担を明らかにするという中で進めるべきというふうにされておるところでご ざいます。  おめくりいただきまして、22ページの論点でございますけれども、まず1点目、利用者 負担についての考え方につきましては、サービスの利用に応じ、最大でも1割の負担とし つつ、低所得者などに配慮した所得に応じたきめ細やかな負担軽減措置を行っているとこ ろでありますけれども、利用者負担の在り方についてどのように考えるか。それから、21 年4月以降の利用者負担の在り方については、現在の特別対策などによる利用者負担の軽 減措置は21年3月までの措置とされているが、21年4月以降についてどう考えるか。  それから、合算制度などにつきましては、現在合算対象となっていない補装具の自己負 担と障害福祉サービスの自己負担の合算についてどのように考えるか。また、自立支援医 療の自己負担については、他の医療費などの自己負担と合算した上での償還制度があるた め、他の医療費などの自己負担全体と障害福祉サービスの自己負担との合算制度の検討の 必要があると。その際、実施主体の違いや世帯の考え方の違いなどの整理の具体的な方策 や社会保障制度全体の低所得者対策に係る議論などを踏まえて検討する必要があるのでは ないかと、このようにさせていただいているところでございます。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。皆様お聞き及びのとおり、今回も論点が非常に多岐にわたっ ております。それで、資料2−(1)の所得保障、それから資料4−(1)の利用者負担について を前半に置きまして、後半を障害者の範囲、こういうふうに分けて論議を進めさせていた だこうと思っております。  なお、時間的な目安でございますけれども、皆様方の賛同が得られますならば、前半を 15時45分ぐらいに置きたいと、このように思っておりますので、どうぞよろしくお願いい たします。  それでは、ただ今の説明も踏まえていただきまして、各委員の方々からご意見をちょう だいしたいと思います。どなたからでも結構でございます。  はい、どうぞ。 ○竹下委員  2点、まず所得保障の関係でずっと今資料説明でもそうなんですが、現実に所得保障を 少なくとも今度の見直しにおいて考えていこうということが前提になっているとすれば、 まず前提となるのは今の所得保障で何が問題なのか。すなわち分かりやすく言えば低過ぎ るのか、あるいは偏っているのか、何かに矛盾を含んでいるのか、そのことはどこでとら えたらいいのかが1点。  したがって、その所得保障との関係ではそういう矛盾を前提、矛盾と言い切っていいか どうか知りませんが、そうした問題点を前提にどの方向で、少なくとも現時点で困難な点 がいっぱいあって、単純に答えが出ないということがあっても仕方ないかもしれませんが、 どの方向でその問題点を解決しようとしているこの資料提供なのかがちょっと分からない ので、この点を質問したいのが1点目。  それから、利用者負担のところで、これはちょっと私、自分の意見も入りそうですけれ ども、課題1のところで、資料の課題1、ページで言うと45ページなんやけれども、それ を言ってもしゃあないです。課題1のところでこのような記載があるんですね。支援費制 度においては応能負担をとっていたということを紹介した上で、利用者負担が0.6%であ ったと。このことをわざわざ指摘している意味は何なのか。すなわち先ほど鈴木さんのま さに紹介にも、あるいは資料にもあるように、現在軽減措置をとった結果、実質的な利用 者負担が0.28%、概ね3%内におさまっていると、こういう説明があったことの対比で言 うと、要するに応能負担のときよりは今の定率負担にしたほうが、かつ軽減措置をとった ら軽くなっているんだということを示すための資料であり、指摘なんでしょうか。この2 点をお願いします。 ○潮谷部会長  皆様方の資料では9ページのところの資料に基づくご意見です、後半のところは。  それでは、所得保障に関わって分析の結果について事務局からお願いします。 ○蒲原企画課長  1つ、所得保障の関係でございます。ここのところは付則に検討せよということがあっ て、恐らくこれはやはり障害者の所得の保障ということを生活という面から見たときに、 今これで十分なのかという問題意識がもともとこの付則のところにあったんだというふう に認識をいたしております。その意味で言うと、今後所得保障というのが今のままでいい のか。むしろやっぱりきちっと対応すべきなのかというどちらかというと、やはり充実が できるかどうかということの方向性で考えていくんだと思いますけれども、一方で、これ は財源の問題とも関係すると思うので、そこのところは皆さんの意見を聞きながら、そう いう財源全体の中でどうしようかということで考えていくということだと思っております。  なお、方向性のところで少し申し上げますと、年金手当というまさに今やっている部分 が一つございますけれども、論点のところに資料のところでは4ページのところの基本的 視点というのがございます。年金手当などの現行制度の在り方に加えまして、これまで住 宅費についていろんな意見がございました。それを踏まえまして、住宅費など地域移行推 進のための新たな課題への対応というのを一つ挙げておるわけでございます。その意味で 言うと、所得保障の観点で年金手当全般論が一つございますけれども、こういった意味で は地域移行推進のために、やはり足りないところがどういうところなのか、そこのところ の充実方策はどういうことがあるのかといったことをひとつ皆さんにご議論いただきたい というふうに思ってございます。 ○藤井障害福祉課長  2つ目の利用者負担についてでございます。少し数字が入り組んでおりましてややこし かったかも分かりませんけれども、ご指摘の数字のうち、3%あるいは2.86%といったと ころは、現行の緊急措置後の負担の仕組みにおける全体の中の当事者の皆さんにご負担を いただいている分の割合ということになるわけでございます。したがいまして、こちらは 金額ベースの数字でございますけれども、一方で課題の1のところに書かせていただいて おります支援費制度においては、通所サービス利用者やホームヘルプサービス利用者の約 95%は利用者負担がゼロ円であったというところは、これは既に利用者の数でこの支援費 の当時は利用者の95%の方が利用者負担ゼロであったということ、これはもう事実として 書いているだけでございまして、特に両者を比較してどうこうというような議論をしてお るわけではございません。 ○潮谷部会長  竹下委員、よろしゅうございますか。 ○竹下委員  2点目は分かりました。1点目はちょっとすみません、しつこく言いませんが、申しわ けない。今の説明が理解できたかどうか、僕は申しわけありませんが、全く理解できませ んでした。この議論をするために言うんですが、例えば利用者負担が導入されたこととの 対比において、関連において所得保障が不十分であることは問題とされて、厳密な言い方 をすると、所得保障が不十分なままでの利用者負担には矛盾があるということから、所得 保障についての見直しまたは改善について検討をしろということではなかったんですか。 それは違うんでしょうか。 ○潮谷部会長  事務局お願いいたします。 ○蒲原企画課長  この問題は自立支援法の議論のときに所得保障と利用者負担との関係で、おっしゃって いる点もあって所得保障の在り方を検討しろということだと思います。ですから、ただ、 おっしゃっている点も含めていろんな障害者の方にとっては利用者負担もあれば、いろん な生活上の支出もあります。在宅であれば例えば住宅の費用だとかいろんな費用があると 思います。そうした支出項目との関係で委員おっしゃっている利用者負担も含めて、そう いう支出があるときに障害者側のいわば収入といった場合に、一つは就労の収入、もう一 つは年金手当、こういう所得保障の在り方をどういうふうに考えるべきかと、こういうふ うなご指摘だというふうに認識をしております。その意味で言うと、竹下委員がおっしゃ ったところもちゃんと入っているというふうに考えてございます。 ○潮谷部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、皆様方の中からまずは事務局の説明について質問等がございましたら、そっ ちのほうを先に受けたいと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。  高橋委員。 ○高橋委員  今の竹下委員の質問と関連してちょっと教えていただきたいんですけれども、応能負担 にもし仮にすると、それは支援費制度のほうに戻るということになるかと思いますけれど も、支援費制度のときの自己負担と今の定率の負担の自己負担約3%とどっちが大きかっ たですか。そういうデータはあるんでしょうか。 ○潮谷部会長  事務局お願いいたします。 ○藤井障害福祉課長  失礼いたしました。支援費制度の際に全体のこれは給付費ですね。給付費全体の中でこ の7%が自己負担が賄われております。したがいまして、その7%に相当する数字といた しまして、その緊急措置後の自立支援法で申しますと、先ほど申しました約3%というこ とになりますし、ただ、この3%につきましては、注意書きもございましたが、食費を加 えてございません。この食費等を含めますと約10%というような、そういう数字になって おります。 ○潮谷部会長  安藤委員。 ○安藤委員  障害者の範囲と利用者負担の両面でちょっとお伺いしたいんですけれども、この障害者 の範囲の1ページの下のほうですけれども、ここには障害者権利条約の条項が引用されて いますね。利用者負担は権利条約の引用が全くないわけなんです。この利用者負担につい ても権利条約の引用というものが非常に大事ではないかと思うのですが、一番大きな問題 が利用者の負担の問題です。見てみますと権利条約の合理的な配慮とか第5条の平等に差 別されないこととか第10条の生命に対する権利とか、第14条の身体の自由及び安全等を含 むような権利条約の条項等と利用者負担の整合性を議論することが非常に大事だと思うの です。  私が3年前の障害者部会で利用者負担の問題が出たときに、障害者全体や施設または家 族の全体的な理解や合意が必要ではないかと何度も意見を出したんですけれども、それが なされないままに見切り発車的にスタートしたいきさつがあるんです。したがって、この 利用者負担については改めて障害者当事者の理解というか全体の合意を求めるかというこ とを含めて検討する必要があるのではないかと思うんですが、その辺で障害者の範囲には 権利条約は引用され、利用者負担には全く触れられていないということとの一貫性がない ような感じがするんですけれども、いかがでしょうか。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。後段のほうにも関わってきますけれども、しかし、利用者負担 という全体像をとらえていくときに権利条約をどのように考えていくのかという点が非常 に関連性が深いところでありますということでございまして、権利条約のこの扱いそのも のも含めて事務局のほうで何か思いがございますなら、少し触れていただきたいと思いま すが。 ○蒲原企画課長  全体的に言いますと、これ今回の審議会でそれぞれいろんな項目がございます。いろん な項目ごとにいろんな観点から検討することになると思いますけれども、検討する際には 今、安藤委員お話がありましたとおり、障害者権利条約という新しい動きの中で、この条 項との関係というのを踏まえてそれぞれの項目を検討していくというべきであるというふ うに考えてございます。その意味で言うと、今回のところもいろんな検討の今回の項目に ついても、そういったことを頭に置きながら検討していくということになると思います。  なお、今、政府部内でどういうふうな状況になっているかといいますと、もちろんこの 権利条約と各法の関係について言うと、それぞれ担当省庁が整理をして、その上で外務省、 そしてまた法律的・条約的な関係を専門的な観点から審査すると、こういう手順になると 思いますけれども、それぞれの各法律が合っているかどうかということを今、最終的にい ろんなチェック作業を担当の役所と外務省と関係のところで今やっていると、こういう全 体的な動きになってございます。  安藤委員のおっしゃった利用者負担のところは、確かにその意味で言うと資料としてあ ったほうがいいのかなというふうには思いましたけれども、もともと障害者の範囲のとこ ろがどこに今回障害者の権利条約のところで範囲の問題というのが割と大きく出てきたと いうことがありまして、ちょっとこちらのほうについては重点的に入っていたという経緯 があって、こちらのほうには入っておらないということですけれども、おっしゃったよう に、権利条約の項目の中でいろんな権利がそれぞれ書かれているわけで、あとまた合理的 範囲についても書かれているわけでございますので、そうした権利条約の状況をちゃんと 頭に入れてこれからきちっと議論していきたいし、そういうふうな観点からも先生方から ご意見をいただければというふうに思っております。 ○潮谷部会長  安藤委員、よろしゅうございますでしょうか。  どうぞ。 ○安藤委員  現実的な問題ですけれども、今政治が非常に混迷していますね。消費税を3年後に上げ るとか、または障害者福祉とか医療とか介護とか年金など全部に対応するには消費税を20 %ぐらいにしないと対応できないとかいろいろ言われていますね。この予算はどうなるか 分からないわけですので、そのような状態の中で障害者自立支援法の見直しをどのように 論議してどのように合意に持っていけばいいのか私分からないのです。それで障害者福祉 や支援のあり方とかの事務局の見通しなどをお伺いしたいと思うんです。非常にむなしい 感じがするんですけれども、今の現状の中で論議していくことがむなしい感じがするんで すけれども、どうでしょうか。 ○潮谷部会長  安藤委員から何か大変むなしい現状の中に我々は立っているのではないかと、そういう ことで指摘がございましたけれども、私の全く個人的な見解ですが、与党プロジェクトに より付帯事項ということで出されていることであります。私は真剣にここで論議をして、 そして事務局とそれから委員の皆様たちと力を合わせて、与党プロジェクトが出したもの に対しての答えをきちっと出していく、その意欲もとても大事だと私個人は思っておりま す。事務局、いかがでございましょうか。 ○蒲原企画課長  全くそういうふうに思ってございます。我々この場で委員の皆様方の意見を聞いて、一 緒になってこの方向性を出していって、並行してそれが実現するように、これは我々とし てはいろんな財務省を初め、関係省庁もございますし、今話が出ましたように、最終的に は法律改正になれば国会の先生方もあると思います。いろんな関係者の皆さんの力を結集 して実現できるようにやっていきたいと思っています。ぜひこの場で本当にいい方向を取 りまとめられればというふうに思っております。 ○潮谷部会長  ほかに質問。君塚委員、川崎委員、続けてお願いいたします。 ○君塚委員  質問ではありません。今の安藤委員の話の続きという形で、我が国も批准していますこ ども権利条約、たしか23条だと思うんですけれども、障害児は可能な限り無償で国によっ て保護されなければならないと明記されていますことをこの中にも加えられたと考えてい ます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  資料2−(1)の5ページのところの年金の受給者の実績についてのお尋ねなんですけれど も、実は精神障害者は大変に無年金者が多いと言われておりまして、この数字は障害別に 公表されておりませんので、実は実数が分からないんですが、こちらのいろいろ推測デー タでいきますと、受給されている人は2割なんです。8割の精神障害者が無年金者である というのが今の実態です。そこで、どうして精神の人がなかなか年金をもらえないかとい うようなことは再三申し上げているところですけれども、障害特性で障害が発生するのが 20歳前後ということで、当事者も家族も発症時のたいへんな混乱の中で、その給付の手続 が行われずに、実際年金受給するときに納付期限を満たしていないというのが一つの問題 です。それから、今までは精神障害者の就労といえば福祉的就労だったんですけれども、 今回の事業移行で就労支援継続などになりまして、精神の人も頑張って就労移行のほうに 行くんですが、つかれやすい特性のために継続が困難で、挫折してしまって、そしてまた しばらくして就労にトライする、その場合にやはり先ほどからおっしゃいました生活をし っかり支える保障というのはこの所得保障ではないかと思います。そこでこの精神の人の 無年金、それを何とかしたいという思いがありまして、ここにあります実績の中で、細か く私どもは実態を把握したく、実数を提示していただきたいと思います。  まず、障害基礎年金の受給者の精神障害者の実数と、またその中に無拠出制の年金受給 者がいると思いますので、その数と、ちょっと細かくなるかもしれませんけれども、それ とやはり今、2階建てと言われております障害厚生年金、これの精神障害者の受給の実数 を私どもとしては把握したいなと思っております。  それともう一つ、その下にあります特別障害者手当なんですが、実はこれは著しく重度 の障害者という対象になっておりまして、なかなか精神障害者の障害状態をあらわせない ということで、実はこれ精神では受給している人はいないと思います。その辺のところも 精神の人に手当が受給できるような方向性を何とかお願いしたいと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。今、事務局すぐ出ますか。障害年金の受給の内訳。 ○蒲原企画課長 ちょっと今相談しますが、恐らくこれいろいろ障害の区別のところまで年金の支給のとこ ろでとっているかどうかという関係がありますので、少しお待ちください。 ○潮谷部会長  それでは、検討していただいて、今会議で出せるか、あるいは出せないかも含めてあと でご返事をいただきます。  どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員  ありがとうございます。今、川崎委員のほうからお話があったとおりでございます。ま さしくこの障害者の自立の生活を支えていくと、こういう観点で当然我々も議論している わけでございますが、そういった意味ではこの所得の確保というのがまさしく大前提であ ると、このように思っております。この所得保障のペーパーを見ましても、今この年金の 未受給者のことが全く触れられておりません。この所得保障については、この年金の未受 給者への対応も含めて具体的な施策を高ずる必要があるのではないかと、このように考え ております。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  長尾委員、お願いいたします。 ○長尾委員  先ほど川崎委員が言われた無年金の問題については、やはり私も同じように思っており ますし、ふだんの我々の診療の場においても結構障害年金をもらえんかということで診断 書という話が結構あるんですけれども、やはり書いてもこれは条件に合わなければもらえ ないんだということで返すことが結構多いんですね。ですから、これはやはり何らかの形 で考えていただきたいと思います。  それから、利用者負担のことについて、これは合算制度がいろいろ難しいということで ここには書かれて、これでは合算できないということになっているようですけれども、や はり例えば介護保険と医療保険との合算はされているからというようなこともありました しするので、この障害福祉の部分と自立支援医療の部分だけを合算するということは、こ れはやはり不可能なのかどうかということと、それから例えば今、所得世帯の分について もこの自立支援法の負担限度額は緊急措置のほうから所得区分の個人を基本とするという ことになったわけですけれども、自立支援医療はこの課税世帯の部分、各医療保険上の世 帯ということになっているわけで、これは自立支援医療の申請するときに同じように障害 者本人及び配偶者を入れた世帯として出すことは不可能なのかどうか。そういうことをち ょっとお聞きしたいと思います。 ○潮谷部会長  事務局のほう、1つは伊藤委員がおっしゃいました未年金受給者の問題を含めて論議を するべきということでございましたが、これはぜひ皆様方からもご意見をちょうだいして 論議を進めていきたいというふうに思います。事務局のほうからただ今の長尾委員のほう から出されました合算の方法、それからもう一つ診断書を書いても受給対象にならないと いうそこのいきさつは…… ○長尾委員  年金の条件が設定されていて、以前の人であれば20歳以上であって無年金をかけていな ければかからないんですね。そういう人が結構多いんですね、精神の場合は。 ○潮谷部会長  その部分は一応伊藤委員が言われました未年金受給者の問題ということで私どもも少し 続けてご意見を伺いたいと思いますが、事務局のほうから前段の合算について何かござい ますなら。 ○藤井障害福祉課長  お答えいたします。これ本当にちょっと本当にややこしいお話で恐縮なんですけれども、 自立支援医療と申しますのは、もともとこれはご案内のように、いわゆる保険優先の原則 で、例えば被用者保険の本人ですと7割の部分が、また国民健康保険もそうですが、7割 の部分が医療保険で出て、残りの3割の自己負担のうちの2割を実支援で見るというのが 基本になっているものですから、その医療保険の中で高額療養費も含めて、あるいは介護 との合算も含めて、合算制度がございますので、そこで調整をされた、自立支援法だけじ ゃなくて本来の根っこの医療保険の部分等も高額療養費なりが合算制度で調整をされた自 己負担というのがそこに出てきております。したがいまして、私どもの障害福祉サービス と合算をするときに、またその中で自己負担、自立支援医療の部分だけを抜き出して合算 するということは、これ意味がないと言いますか、合算された本体の医療保険のほうと、 あるいは介護のほうと合算された額と合算しないと意味がないと、そういうことになるん じゃないかということでございます。世帯の範囲につきましては、これはもういずれ各制 度でもって世帯の範囲がいろいろ違ってございます。資料にもございましたけれども、例 えば健康保険と国民健康保険、同じ医療保険の中でもそれぞれ違っておりますし、それか ら、私も障害福祉サービスのほうは、これご案内のように、先般の緊急措置の際の利用者 負担の所得区分を考える際の世帯の単位といたしまして、ご本人とその同居の配偶者だけ というような小さな単位をつくったものですから、仮にその医療保険のほうに世帯の範囲 を合わせるとすると、今度そちらのほうをこの合算制度については、そちらに崩して同じ 医療保険の範囲でもってまた負担の計算の仕方を変えなきゃいけないと、そういうことに なると、そういうことをここで書かせていただいているわけでございます。 ○長尾委員  分かりました。その合算のややこしさがちょっと分かりましたと言ったらいいのか、今 後検討してやっていただきたいと思うんですけれども、世帯の範囲については、これはそ の一つ一つの抜き出しだから、自立支援医療の部分でそれを出すときには、この世帯の範 囲をこれにしますということで出せば問題ないんじゃないですか。  合算はできないというとらえなのか、合算は今のところは今後の検討でいいと思います けれども、合算しないで自立支援医療の部分だけの所得の範囲というものをするときには、 同じような各障害者本人もしくは配偶者とそれだけに限定するという方法はとれるのでは ないですか。 ○藤井障害福祉課長  ですから、あくまで各制度を世帯ごとに合算をした額というのがあって、それぞれにそ もそも世帯合算というのがございますから、それぞれで世帯ごとに合算した額があるわけ でございまして、その合算している世帯の単位というのが違っておりますから。 ○長尾委員  医療保険の部分は別ですやん。これは自立支援の国が出すお金の範囲でしょう。だから、 それは別でいいんじゃないですか。 ○福島精神・障害保健課長  自立支援医療につきましては、健康保険の自己負担分の軽減という制度でもともと構成 されておるということがございまして、医療保険では自己負担をどの範囲で考えるかとい うと、結局保険者ごとといいますか、まず医療保険の世帯の範囲があって、そこで自己負 担が決定されていくということがございますので、ですから、そこの世帯の範囲を自立支 援医療だけ、健康保険制度と無関係に設定するということは今の仕組み上は非常に困難で あるということでございます。 ○長尾委員  それは精神で言えば、これ入院はかからないんです。それは世帯の範囲で言うのは高額 の部分についてそれは言われるわけでしょう。精神なんかは通院だけですやん。入院のそ んな高額にはまずかからないということになりますよね。そしたら、何もこの精神につい て世帯の範囲というのをここまでに限定するということやったらできるんじゃないんです か。医療保険の入院で高額をどこまでにするかというのは、これは世帯の全体の医療保険 の世界ですけれども、自立支援医療の世界でやったら、通院だけやったらそんなになるこ とはまずないですよね。 ○潮谷部会長  今のやり取りを聞いていますと、事務局側の説明では実施主体がそれぞれ違っていると いうことと、その実施主体が障害者の範囲のとり方、対象のとり方で、世帯でとっている ところ、個人でとっているところ、そういった状況があって単純に合算というところに行 くのには非常に他の領域との関連があって、今の時点では難しいと、こういうような理解 でよろしゅうございますか。  それで、長尾委員が今おっしゃっていらっしゃる中身につきましては、今後とも他の領 域との関連の中で何か方法があるのかどうか、内側のほうで少し他の領域ともやり取りを していただいてと思います。  それから、皆様方のただ今までの状況を聞いていますと、質問というよりもむしろ疑問 あるいは論議に入っているというふうにとらえることができますので、皆様たちからこの まま論議をちょうだいしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員  私は先ほど安藤委員が申し上げた大前提がすごい重要だと思っていまして、それでちょ っと要するに実現の可能性ということをどのぐらい認識するのかという問題でして、資料 2−(1)の10ページにちょっとこの読み取りなんですけれども、参考という枠を読みますと、 結論を言うとやっぱり私の個人的な思いは基礎年金の水準を根本的には上げるべきだろう という思いは持っているんですが、これを見ると、つまり老齢基礎年金2級が老齢基礎年 金とほぼ同額だということを留意というのは、これどう留意するかという話なんですけれ ども、つまり2級の議論を、つまり障害基礎年金の議論をするに当たっては、老齢基礎年 金も議論の視野に入れなきゃいけないという意味なのか、あるいはもう関係なく議論をす べきなのか。  それから、2点目のところなんですが、これはいろいろ4,000億とか4.5兆と出てきて、 仮に1.25ですね、25%引き上げと。今のこの8万と6万の水準を考えると、果たしてその 金額はいかがかということでいえば、当然引き上げが必要だといろいろと考えるんですね。 そのときにこの4,000億と4.5兆という数字の意味なんですけれども、これができるという 意味合いで出しているのか、困難であるという意味合いで出しているのか。もう一つはこ の下に要するに国庫負担、要求額が五千七、八百億というのは、この数字から見ると極め て困難と考えるのか、あるいはこの数字から勘案して不可能ではないと考えるのか。基本 的なところがやっぱり定まらないと、これをぱっと見たときにどのぐらいできることがあ るのかと。それから、やっぱり極めつきに困難なのかと。あるいはもう現時点ではほとん ど不可能に近い議論をするのかと、この辺りがちょっと見通しが何らかの形であったほう がいいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○潮谷部会長  事務局、お願いいたします。 ○蒲原企画課長  この問題は冒頭申し上しましたけれども、やっぱりここの委員会の場でいろんな意見を もらった上で、いろんな関係方面と調整しなきゃいけないし、とりわけ年金の問題になる と、費用負担で国庫負担の関係と出てくるということであります。先ほどの話でありまし た一つは、障害基礎年金の額が2級の場合は満額の老齢基礎年金と同額となってくること に留意という言葉ですけれども、ここは年金、今日は関係部局がいますけれども、年金制 度の中でそこは額が同額に設定されてきておると。やっぱりそれぞれの趣旨からそこが同 額だという整理がされてきている関係上、やっぱりその年金の側の理屈というか考え方も 頭に置いて、ここで考えていかないといけなという意味でこういうふうに書かせてもらい ました。年金側からはやっぱりそこはセットで考えたいというのが基本的な考え方だとい うふうに我々は認識しております。  一方で額のところであります。4,000億だとか4.5兆、ここはこれまでいろんなところで 関係局も年金局当局もいろんなところで聞かれていて、こういう数字を出しているという ことでございます。やはり資料としてここで議論するに当たっても、やっぱりどのくらい の額なのかということが整理して資料として出していないと、逆にまた議論もしにくいだ ろうということでお出ししたわけです。おっしゃっているように、障害福祉関係の概算要 求額が5,700億で、給付費ベースでは約1兆円になっていることでありまして、それとの 関係でいくと、確かに4,000億なり特に全部まとめて上げる場合の4.5兆というのは相当な 額になっているということは事実としてあるということでございます。  ただ、あとは冒頭申しましたとおり、この審議会での意見を踏まえた上でいろんなとこ ろとどういう形でできるのかということで、この場であれするのはあれにしても、与党の PTのほうでは確かに政治的な考え方で引き上げるということを検討するということも書 いておるので、事実関係の数字をここに出した上で最後いろんなところとこれから議論い ただいた上で調整をしていくと、こういう趣旨でございまして、今の段階で何か困難とか どうだということを価値判断としてはちょっと今入れているということではないというこ とでございます。 ○潮谷部会長  今日は幸い年金局のほうからもおいででございますので、年金のほうで何かございまし たらお願いいたします。 ○内山企画官  先ほど蒲原課長から申し上げたとおりでございます。障害基礎年金の2級は老齢基礎年 金と同じ水準で今までは設定してきておりますので、そこを議論の際には十分に考える必 要があるということでございます。年金は基本的にはこれから公費負担2分の1、それか ら保険料が2分の1という構成ですので、そうした中で当然公費もあるいは保険料も限ら れた中でどういうふうに重点化していくか、どこに振り向けていくかという議論かと思っ ております。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  小澤委員、いかがでございますでしょうか。論議の意欲がさっきはどうもこの返答次第 ではみたいな感じがしましたので。 ○小澤委員  1点、この年金の額とは一体どういう意味合いなのかということがここで老齢基礎年金 というのを意識するというような意味合いで答えられていたので、かなりこれ大変な問題 になるだろうなということは想像にかたくないです。  以上です。 ○潮谷部会長  はい、どうぞ。 ○竹下委員  この留意という意味が今の説明を聞いていてもよく分からないですね。簡単に言えば、 同額でなかったらあかんという決めつけというか、そういう根拠があるならやっぱり言っ てもらわないと駄目だと思うんです。すなわち老齢加算と障害基礎年金2級というのが同 額であることがどういう理由から同額なのか。別の言い方をすれば、現に与党プロジェク トが言っているように、例えば2級を1級並みに、1級を10万円でしたかね、ちょっと数 字間違ったらごめんなさいね。と言っていることが老齢基礎年金と切り離して考えること ができれば、別に乱暴な言い方をすれば老齢年金のほうで考えていいわけですね。ですか ら、そこはこの留意という意味を明確にしていかないと議論が前に進まないと思うんです。 少なくとも私の意見も含めて言えば、老齢基礎年金と障害基礎年金の2級を同額でなけれ ばならないというイデオロギー的根拠は全くないと思うんです。とりわけ国において考え 方としても、現時点で言っても老齢者に対する生活費の需要ということと、障害がゆえの 生活における需要というものは同額だとは考えていないはずであります。したがって、障 害基礎年金を無拠出であったとしても、それを老齢基礎年金と切り離して増額したからと いって、そこに矛盾は全く起こらないと思っておりますが、それが間違いであれば否定し ていただければと思っています。  併せて所得保障で考えるからには、無年金あるいは、一応大きく無年金と。無年金の問 題はやっぱり解決すべきだと思うんです。その最高裁の判決を見ていると分かると思うん です。あれは僕は最高裁に怒られる覚悟で、あれほど小手先の判決はないですよ。2つの 最高裁の精神障害者の判決で、片一方は初診日が20歳前になかったからということでアウ ト、もう片一方は胃が痛いと言って病院に行っていたから、あれは多分精神障害が原因で おなかが痛かったんだろうと。それでオーケーになっているわけですよ。あれはもう救済 のための判決でしかないですよ。そう考えれば、現在の障害基礎年金の抱えているそうい う矛盾、本来は無年金の類型が5つか6つあると思うので、そこはちょっと今日はもうは っきり言って、少なくとも障害者に対する所得保障という観点から言えば、無年金者をな くする制度化、現に無拠出年金制度というものがそういう福祉的な見地から設立されてい るわけでありますから、無年金障害者をなくする最低生活保障給付としての年金制度をや はり確立することが提言として必要だと思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。年金制度そのものに対してのバランスというのが一体どうい うような感覚の中で扱われていっているのかということでございますが。 ○内山企画官  10ページにも書いていますように、年金制度は基本的には稼得能力が低下した方に対す る給付として給付されています。そういう意味で、老齢基礎年金は高齢になったことによ る稼得能力の低下ということであり、障害基礎年金についても、稼得能力の喪失、高齢に なったことによる稼得能力の喪失が障害によってある意味若い年代から来たという考え方 で基礎年金を給付しております。そうしたことからこれまでの考え方は額を同額にしてご ざいます。  もちろんその障害基礎年金と老齢基礎年金、必ず同額でなければいけないかについては、 議論はあるところかと思いますけれども、当然障害基礎年金だけを上げるということにな れば高齢者側のほうにも逆に高齢者側はなぜそのままの額なんだという議論もあるかと思 いますし、そこは十分な議論が必要かと思っています。  もう一つ、障害無年金につきましては、この最近最高裁でも2つの判決が出てございま すけれども、私どもとしてはやはり最高裁で司法の最高判断が示されておりますので、現 在のところは司法の判断に従って進めるという形をとっています。  あともう一つ、この資料にはございませんけれども、無年金障害の方につきましては、 ご案内かと思いますけれども、平成15年、16年の時代に論議がございまして、平成17年4 月から特別障害給付金というものが給付をされています。もちろんその時点でございます けれども、無年金障害の方についてはいったんの議論の整理というのは、そういう形でさ れていると認識をしています。もちろんその後の事情の変化というのもあるかもしれませ んが、特別障害給付金というのは一つの対応としてできたものだというふうに受け止めて います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。現行までの年金制度、ここで考えられていることは稼得能力 ということをベースにこれまでの年金制度は制度設計をされているということで皆様方、 ご了解をしていただきまして、今後そのことがどういうような形で障害基礎年金あるいは 老齢の方々に対してのリンクしていく部分等々も含めて課題があるということでとらえて いただければというふうに思います。  嵐谷委員。 ○嵐谷委員  どうもすみません。稼得能力は障害者にはないんですよ、正直。これが低下したという ような考え方は実におかしいと思います。それよりはプロジェクトのいわゆる付帯決議の 中で障害者の基礎年金の2級を1級に、1級はそれ以上にという付帯決議がある中で、老 齢年金等を比較すれば先ほどの話の中で、いわゆる理解が得られないという話がございま すが、だから障害者であればその部分を年金という言葉を使わずに何か手当とか別立てで それ上乗せできるような制度というのか、方法があるのではないかと。そうすれば付帯決 議に十分こたえられる状況が出てくると私は思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  星野委員。 ○星野委員  ちょっとすみません、出だしのところに戻りますが、今日所得保障と利用料の問題がそ の順番で資料として出されて原点に戻ったという感じがするんですが、自立支援法の始ま りのときの大問題は、所得保障の議論が全くなしで利用料から始まったというところが一 番の問題だったということをもう一度思い出したいと思います。利用料の話はお金のない 障害者が払うんだから、国民もお金を出すことを理解するというような言い方がそこにあ りました。もう一度そういう話から考えるんでが、当時あるいは今も、多くの委員の皆さ んがいろんなところで書かれている文章を見ても利用料問題について、自立支援法の障害 福祉サービスの基本にある生きるための支援、生きるベースをつくるための支援、という 生きるための土台づくりに利用料が本当に合っているのか合っていないのかという議論は どこに行ってしまったのかというのが一つです。  また、利用料についてはいろんな矛盾があって、資産要件の話もそうですし、知的障害 の皆さんたちは500万以上の貯金があるといっても、それは本人が掛けたわけじゃなくて、 お父さん、お母さんが自分がいなくなったときのためにその子供の名前でずっと積み立て ていたものが500万を超えたら軽減措置にならない。これはたくさんいらっしゃる。そう いう話も含めて、資産要件の問題もやっぱり見直さなきゃいけないし、加算にまで利用料 がつくとか、もう本当にいろんな意味でおかしなことが利用料にはあります。  そういう意味で、そのスタートのところからもう一度議論というのをきちんとしてほし いということと、所得保障のことについて絡んで言えば、障害者の75%が働いて収入を得 ることを望んでいると書いてありますが、今の委員の話や無拠出年金という竹下委員の話 もそうですが、働けない障害者、そして稼げない障害者に年金がついた所得保障の一助と して始まったのが障害基礎年金のスタートです。確かに75%、の人は働いて稼ぎたいと希 望はしていても現実にそこにたどりついていない。ここのところ福祉就労の工賃向上とか 倍増計画とかという話で、何かそっちに流れていますが、働いて収入を得る、そのことは 別に否定はしないし、追求すべきだとは思いながらですが、そこの強調がこの資料の中に もすごく感じますし、障害が重くて就労が難しい方、そこの部分も含めた所得保障、いわ ゆる働いて収入を得るということを中心に所得保障の議論の中で強調するのではなくて、 きちんと働けないあるいは働いても充分な稼得収入が得られない障害の重い人たちの所得 保障もきちんと踏まえた上で行くべきだろうと考えます。  私ども要望の文章の中にも出しておりますが、中国残留邦人の生活支援給付、これが現 実に実行されているわけで、年金プラス8万円という良例があります。何故これが生まれ たかといえば、日本の国家責任というところがあるにしても、中国から帰ってきてもコミ ュニケーションがうまくいかなくてなかなか働けない、あるいは暮らすことが難しい。そ の方々に生活支援給付として8万円をつけたという意味合いを更に言えば、社会でなかな か暮らせない、なかなか働けない人たちに対する生活保障の最低ラインをちゃんと国会が 決めたというふうに思っていますから、ぜひこういう流れに沿ってつくっていただきたい というふうに思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  副島委員。 ○副島委員  先ほどまで、すごく大きな器で話がされていましたので、ちょっと話しにくかったんで すけれど、我々が所得保障に対する意見書を出していますので、ここのところと、あと少 し追加して意見を言わせて下さい。  この意見書の中に争点を書いております。利用者負担金での問題が発生するということ は、それに対する所得保障について何の手立てもなかったことで問題になったと我々は理 解しております。  それで、1点目については、所得保障の確立の問題です。地域で暮らす知的障害のある 方たちの所得保障が甚だ不十分です。特に多くを占める低所得の知的障害のある人たちに とっては、日々の生活に不安を抱いております。障害者自立支援法の附則である国会の附 帯決議を踏まえ、与党のプロジェクトチームの報告書にあるとおり、障害者年金の増額、 これはぜひ進めるべきだと思います。  2点目が、地域で生活を考えるときに住む場所の確保が重要な条件です。この住む場所 として地域のグループホーム、ケアホームやアパートで暮らしている知的障害の人たちに とって、家賃が大きな負担になっています。この家賃については与党プロジェクトが言う とおり、住宅手当の創設です。ぜひ早期に確立していただきたいと思います。  それから、もう1点、所得保障の一環で考えていることです。在宅の重度の障害者に対 する所得保障の一部となっている特別障害者手当の対象者は、を障害者支援施設利用者、 すなわち入所施設利用者となっていますが、そこの程度区分と同じような方々の在宅者に 対して均衡を図る意味からも対象となるべく、利用拡大をすることが必要だと思っており ます。  それから、年金の所得の問題です。実は我々のところに全国から数例起こってきている 件です。年金と4万、5万の稼得収入を得ながらやっと地域の生活ができるようになった 人の事例です。この状態のところに年金の受給の再判定時期がきた。それで再判定をする ときにその状況の報告とか、医師の診断書とか、このときの収入が1日4時間の月当たり 4万の収入なんですね、稼得収入が。その状況を社会保険事務所に提出したら社会保険事 務所から年金がストップさせられました。  どういうことかというと、この状況の中で社会保険事務所が判定したのは、この人は一 般就労ができたわけだから、働ける人であるという判断とか、社会性がついたということ で年金は受給する必要はないんだという判定をされたというんですね。ちょっとそこら辺 のところは我々も調べてみたら、年金とは、稼得収入の年額で、税を引かない前ですけれ ども、565万5,000円未満までは年金は減額されないというルールがあることが分かりまし た。  たった月当たり4万円の収入で、年金をなくしてこれからの地域での生活がができると いう判定になるのかどうかです。社会保険事務所が年金はいらないと判定した事は、すご く疑問に思ったわけです。もちろん医者の診断書ですが、ここにも問題があることが分か りました。特に、本人はこの4万円の給料だけでも大変嬉しくて、医者のいろんな質問に 対してちょっとしかできないことでもできると言ってしまった。これがこの判定を覆すこ とになったとは思うんですけれども、この4万円の収入が年金を止めなければならないと いう判定になったことに関しては、判断の仕方が余りにも厳し過ぎるか、もしくは常識が ないのかと疑ったところです。ぜひそういうところは正しく判定するために、十分なる状 況を把握して判定をしていただきたいと思います。  それから、長くなりますけれども、利用者負担のところです。この利用者負担の問題と いうのは、私どもは所得保障の問題と深い関係があることと思っております。利用者負担 だと言っても払えない人がいます。特に我々知的障害のある人の中には多くの方が払えて おりません。それは所得保障が確立されていないからなんです。しかし、福祉サービスは 税金で賄っているということを考えれば、税金を使うことに関しては国民の理解が大切で あると思っております。だから、払える人は払うべきだという考え方は持っております。  しかし、そういう中で少し改善をしていただきたいという意見を数点挙げさせてもらい ます。  まず、減免をするための個別減免を実施する際の収入認定から心身扶養共済の給付金を 外していただきたいと思うんです。この心身扶養共済というのは、親が親亡き後の本人の ために努力してかけて、親が亡くなった後に本人にもらえる所得補助の一部として考えて いるものです。これは本人の手元にしっかり残すようにすべきだと思います。  2点目が収入に応じて個別減免するときに、単身では500万円、配偶者同居の場合には 1,000万円という資産要件がついていますが、これも私どもはおかしいと思います。親は 本人のために自分の生活を始末してでも、お金を我が子のために残したいと考えています。  しかし、残した結果が資産要件に引っかかって減免されない。つまり利用者負担のほう にどんどん取られてしまうということになると、何のために残したのかということになる。 それから、そういうことになると親はもう本人のためにはお金は残せない、残さんでいい んだ。では、本当にそれで本人は幸せな生活が保障されるのかということに対して疑問に なりますので、この要件は取っ払うべきだと思います。  それから、今の軽減措置ですけれども、現状では21年度以降はどうするかまだ決まって おりません。最低限でもこの今の軽減措置は継続して、21年度以降はも継続すべきだと思 っております。ぜひそうならないと、我々の子供たちの将来の姿、生活というのは描けま せん。  それから、もう一つは利用者負担のところで合算制度というのが出ました。実は我々の 子供達の中には重度、最重度な人ほど大変多くの福祉サービスなり、医療なり、補装具な りを使っております。ところが、それぞれに負担金が発生します。この福祉サービスの利 用負担、補装具の利用負担、医療の利用負担については、重度、最重度の利用者が多いと いうことを考えれば、それを一体にして合算し、負担上限額を決めるべきだと思っており ますので、その点も意見として言わせていただきます。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  広田委員。 ○広田委員  広田です。  きのう友人が今日の厚労省前の日比谷公園で集会に出た友人が、これまでの精神障害者 の施策の永久戦犯が厚労省だというから、政治家じゃないのという話をして、盛り上がっ て夜中の2時半まで話を聞いて、今日は相手が先に起きて日比谷に行く約束でしたが、私 が起き出すまで待っていて、また1時間ぐらい話をして、そのくらいストレスがたまって いると言っていました。自分の意志で何万円もかけて日比谷に来たのです。私は遅れまし て12時から日比谷に行ってまいりました。各党いろんな方がお話をされて、自民党さんは 遅れてきて、報酬を上げるということで、民主党さんは政権交代で抜本的見直しだという ふうに私には聞こえたんですけれども、隣の人は「いや、廃案だ」というふうに聞こえた ということで、そういうことです。それから、公明党の方は介護保険と統合しないと。抜 本的改革、頑張るということで年金も上げるとお話になって、あとの野党の方はやめよう ということで、いろんな方たちが壇上でお話になったんです。後で木倉さんにこの資料を お渡しします。いろんな人に意見を聞いたんですけれども、いろんな人の意見があって。 ただ、はっきり言えることはテレビ局4台のカメラが来ていましたから、今日のニュース に大きく取り上げて、マスコミの動き方によっては政局を動かすだろうと。マスコミが判 断しなければ動かないだろうというふうな感想を持って、タクシーに乗ってここにやって まいりました。これは前置きです。  その私、所得保障ということで前回申し上げたように、3年前の10月25日、衆議員で参 考人に出まして、前向きに検討していただきたいと。精神障害が入るわけですし。所得保 障のことを申し上げたんですね。所得保障というと、確かにお金がないと安藤さんは心配 されていましたけれども、壇上に上がった国会議員の方はそうじゃないと。イージス艦を 6艦買わなければ障害者の自立支援法はみんながただなんだという言い方をしていた人も いましたけれども、そこをどうするかは国民の代表である国会議員のいろんな判断と厚生 労働省の頑張り、財務省かもしれませんけれども、私が最初にその自立支援法で所得の保 障と言ったのは、精神障害の私たちの立場で。精神障害者が少なくとも自分たちが使うサ ービスを自分でお金を払う。払うんだけれども、その元手がないと、さっきから話が出て いる。元手をくださいという話で、元手をくださいといったときに川崎さんと個人的にと っても親しいです。ただ、家族会という立場では対峙していますし、長尾さんも個人的に は親しいけれども、当然対立し難い感じのものもあります。  ただ、この話は同じ無年金の話です。無年金は、いわゆる統合失調症が若いころに発病 するからということもありますけれども、それだけではなくて、初診時に年金を払えない 状況の人が多い。今日IBMさんと横河電機さんがおみえになっていますが、私新幹線に 乗ったときにたまたま総務部長と総務課長と乗り合わせたんです、ある会社の。おたくの 会社に休職している人いると言ったら「います」というから、ではぜひ精神科に行ってく ださいと、休職中に。そういう指導をしてくださいと。精神科のハードルが高かったら心 療内科でもいいと思いますと言ったんです。それはなぜかというと、厚生年金とか共済年 金とかかかっているときに精神科とか心療内科に行っておけば3級までもらえる権利があ るわけですよ。1級、2級、3級、精神の場合ですよ。ところが、国民年金の場合には1 級と2級しかないんですね。2級がもらえるということはかなりのハードルがあるんです。 3級の場合だとちょっと金額は忘れましたが、年収何百万まではいいというふうに何年か 前は私、福祉事務所で聞きました。3級の厚生年金だったらもらいやすくて、3級の厚生 年金をもらいながら、パート勤めをしたりして、そこで自分が税を納める、タックスペイ ヤーになる、そういうふうな生き方をしている方もたくさんいます。ところが、これが国 民年金になってしまうと、3級がないから安藤さんとは全く反対の話で、私はちょっとむ しろこの委員会をやるのが遅過ぎたんじゃないかと。3年の見直しといったときに、何か がたがたと階段を上がるのか、エスカレーターがどんどん上がっていくのか分かりません けれども、少し時間をかけながら日比谷にせっつかれながらやるのではなくて、もう少し 早くやるべきだったんじゃないかなというふうに思います。やり出した方たちにはお疲れ さまですと言っておきますけれども、そういう形で無年金の問題が1つある。それは経団 連さんだとか連合さんとか全労連さん、どこの職域でも、今日いろんなところに言えるこ とですけれども、うつの方がいらっしゃるから。厚生労働省を初めとした今就労している 全ての人が仕事ができなくなって休職のような状態で、それが精神疾患的だったら、当て にはならないけれども、治療上は。保険のつもりで精神科を受診する。そうすると、将来 3級までもらえる可能性がある。もらわないで働き出せば、それはその人の人生にとって も国の財政にとってもラッキーというふうに思います。  それと、そういうふうな整合性を考えると、年金局から若い方がみえていますが、そん なおばさん言っても無理だよというふうに内心思うと思いますが、国民年金の3級を出し ていただければ精神障害者も働きながら、それで自分らしく生きられる生き方が1つある ということで、それが1点です。  それから、いわゆるこれは2−(1)ですかね。きのうきちんと精神のほうの野崎さんから 説明を受けたんですけれども、ぼけ中年ということと、友人が遠くから来て自立支援法の 話があるということで忘れてしまったんですけれども、2−(1)の4ページの住宅費など地 域移行推進のための新たな課題への対応ということなんですね。これはとっても大事なこ とで、現在7万人とも10万人とも15万人とも言われる社会的入院の仲間がいます、鍵と鉄 格子の中にいる人もいて。そういう仲間が地域に出てくるときに、いわゆる住宅手当とい う家賃1カ月分ではなくて、退院するためのお金がないんです。たまたま入院している人 が生活保護制度で入院していれば全額出ます、引っ越し料金も。だけれども、それがそう ではない場合にはお金がない。これが1点です。病院からでる場合。もう一つ家族と一緒 にいる。川崎さんみたいな素敵なお母さんが家ではどうか知りません。私は私自身思いま すが、全く相性の合わない母親でした。だからここにいられるということである意味で反 面教師として感謝しなきゃいけないんですけれども、そういう中にいて、いわゆる精神障 害者の犯罪の殺人で一番多い被害者は家族です。家族を図らずも殺さずにはいられないほ どの関係になってしまっている。そして、親が悲観して子供をあやめることもある。そう いうことを無くすために自立のためのお金がいる。親なき後というふうに家族会の講演会 なんかは盛んに言うんですよ。でも、親なき後じゃなくて、今500万とか1,000万という話 が副島さんから出ていたんですが、こっちは5万とか10万という話なんですけれども、若 い親が私から見れば妹や娘になるような30代、40代の親が広田さん、親なき後と言ってく る。親なき後じゃないと思う。キャッチフレーズを変えようと。親ある今ですよ。親ある 今、健全な一人の市民として、国民として精神障害、精神疾患があってもきちんと暮らせ るために住宅費などの地域移行推進のための新たな課題の対策、ここにぜひ入らないと事 件は減らないし、不幸なことは起こるし、不幸な事件が起きると、精神科に通院している とか入院したことがあるということをマスコミが報道することによって、幾ら精神障害者 で広田さんみたいに明るい人がたくさんいますよと言ったところで、一つの事件がおきた ら怖い人だということで消えちゃうんですね。そういう意味で、本当に家族も心配して子 供を残しながら死ななくてもいいですよ。一緒に旅行でも行ってもらって、お互いに尊重 して、個性を。そして、楽しく生きることが日本に生まれてよかったということになりま すので、そういうことでちょっと長い話になりましたが、私の考え方です。  それと、いわゆる利用者負担でしたっけ。利用者負担というのは今日日比谷の皆さんが つけていたゼッケンには応益負担をやめようと出ていました。それは、なぜ支援費が応能 で自立支援法が応益になったのか私知らないんですけれども、要するに応益負担をやめよ うというんだけれども、人によっては、応能にしちゃうと今までよりお金が増えるから嫌 だという意見もあって、なかなか難しいんですけれども、今日のゼッケンは圧倒的に応益 負担をやめようというゼッケンでした。  以上、日比谷を交えて中継しました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。大変幅広い観点からの提言も含んでいたように思います。1 つは無年金者、これに対しての対応をきちっとやっていくべきだと。それともう一点は、 現行の制度の中でも方法論を通して就労中に精神科の治療を受けているということによっ て、基礎年金に関わってくる部分が3級が受給資格として将来的に生ずると。その一方で、 国民年金のほうにない3級、これを制度として考えていけばどうかというような問題、そ れから、社会的入院について準備金がない。社会に出ていくための準備金がない。さらに は、受け入れてくれる住宅がない。そういうことを考えたときに、地域移行推進という観 点から非常にここは大事な要素があると。社会的入院の解消という点からも考えていく必 要があるのではないかということ。それから、今日は事務局のほうでは応益負担という使 い方はしていなくて、むしろ定率負担という言い方をしていますが、日比谷のほうではそ うではないというようなことで、支援費と自立支援費の中での負担の在り方について違い があるというような大変多くの示唆に富むご意見をちょうだいいたしました。事務局のほ うは別に答えることはないと思いますので、ぜひ。  はい、どうぞ。竹下委員。 ○竹下委員  今の受益者負担で、定率負担でも応益負担でも言葉はいいんですが、この問題をちょう ど本当に真剣に考えるために、まず安藤委員がおっしゃった障害者権利条約との関係はち ょっと事務局の答えがよく分からなかったんですね。というのは、条文はうかつにも今日 私持ってきませんでしたけれども、たしか障害者権利条約では費用負担の関係では、福祉 サービスを利用することの妨げとなる負担をさせてはあかんというたしか言い回しだった と思うんですね。その見地から定率負担が矛盾していないかどうかということを考えるべ きだと思うんです。そういう意味では障害者権利条約とは極めて深い関係にあるというこ とを指摘しておきたいと思います。  それから、2点目には付則の3条3項でしたかね。あるいは付帯決議の関係で言います と、現実の問題として財源の問題も含めまして、現在の所得保障が前進しないのであれば、 それとの関連でまさに最初に僕が指摘というか事務局から答えていただいたように、現在 の定率負担は少なくともそのままでは抜本改正にならなくて、いわば付則3条違反の状態 をこの改正時に当たって放置することになるといういわば本当に法律的な問題にまでなっ てしまうということでありますから、この所得保障が改善できないのであれば、この定率 負担の現在の制度をこのままで引き続きやることにならないのではないかというのが2点 目です。  それから、所得保障の関係では、ずっと僕が全体をくっつけるべきだと思うのは、就労 支援との関係でこれまで議論があったはずであります。そうであれば、まさに就労を通じ ての所得保障をどうすれば実現するかということをもう少し前向きに考えるべきで、その 中で一つの方策として保護雇用も出ていたわけですから、そういう就労を実現化し、企業 も可能な範囲での負担をしながら障害者の自己実現を図る。そして、さらにそこに所得保 障というものも実現する制度というものを前向きに考えるべきだろうと思います。  最後に現在の費用負担の在り方は、非常に制度内で矛盾を抱えていることをやっぱり明 確にしておく必要があるんだろうと思うんです。時間がないので項目的だけにしますけれ ども、あくまでもやっぱり質に合った一律であろうが、定率であろうが、あるいは言葉が 応益であろうが、負担を指すべきだろうと思うんですね。私自身は、個人的には負担はな くすべきだと思いますが、それはともかくとしましても、例えばここで問題になっている ように、一生懸命働こうと思ったら、その工賃よりも高い利用者負担をされる。あるいは 障害者が社会参加のために外へ出たらお金をとられる。それはどう考えても質に合わない 利用者負担ですよね。そういう質に合わない利用者負担というものをそのままにして、こ れを21年度に続けていいのかという問題。それから、この資料では盛んにいわば軽減を図 っているというんですけれども、実は軽減を図っている中身を見れば、定率負担は崩れて いるわけですよ。崩れているにもかかわらず、定率負担に固執するのはなぜか私よく分か りません。根本的にはその応能負担というものが私個人的には好きではないですけれども、 応能負担が何も否定される理由はないわけでありますから、そうであればこの所得保障が 現実には前に進まないときに、応能負担という形での考えでやる限りにおいては、その矛 盾もある意味では解決できるわけであります。  最後に障害者自立という観点から言えば、その地域生活支援事業であろうが自立支援給 付であろうが同じでありますが、現時点では地域生活支援事業は基本的には定率負担は崩 れているわけであります。にもかかわらず、この障害者自立支援法全体の中で定率負担に 固執するというのは、やはりどこか間違っているところがあるだろうと思うんです。そう いう法律内に抱えている自己矛盾を解消するためにも、少なくとも現在の利用者負担の在 り方を根本的に見直して、最低でも一定の合理性、整合性の持ち得る応能負担にまで戻す べきだろうと思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ただ今の竹下委員の意見として、きちっと傾聴していただき考えていただきます。1点 やはり先ほど安藤委員が出された権利条約に絡んでの問題がもう一度明確に伝えていただ くほうがいいかなと思いますので、そこは事務局のほうからお願いをいたします。 ○蒲原企画課長  また改めてちゃんと整理しますけれども、権利条約の中でいろんな関係する状況がある と思います。例えば合理的配慮ということで障害者が頼むのと同様に基本的な人権及び自 由を共有しているということ。あるいはそのためにそれをそうした権力を行使するために きちっと必要な調整といったものがなされる必要があるといったこと。さらには均衡を失 したまたは過度な負担を課さないものをいうと、こういうことで権利条約上は入っている ところでございます。ここのところについては、まさにそうした権利条約との整合性がと れるようにやはり我々の制度というのは一般論としてなっていかなきゃいけないというふ うに思っております。そこのところについて現在、現行の法律の立て方というのがこの条 約とどういう関係にあるかということについては、冒頭申しましたとおり、今関係のとこ ろとよく整理をいたしておりますけれども、結論はまだですけれども、今の制度自体が即 これに何か反しているということではないということで私は今考えていますけれども、そ このところはまたこれからよく関係省庁とさらに法制的な面も含めてきちっと整理をして いきたいというふうに思っております。 ○潮谷部会長  確認をさせていただきますけれども、今それぞれで権利条約について外務省等々含めて 検討されている。その結果が出てきたところでこの障害者自立支援法の皆様たちからの意 見が出て、まず多分制度設計がされると思いますけれども、その制度設計がその後権利条 約の中でいろいろと論議されたものと非常にドッキングさせていかなければならないとか、 見直さなければならないとか、そういうようなところが出た場合にはきちっと柔軟に対応 していくという腹構えですよと、そういうふうに理解してよろしゅうございますでしょう か。 ○蒲原企画課長  そういうふうなことでやりたいと思います。恐らくこの権利条約との整合性のところは、 今外務省なり内閣府と相当整理をしておりますので、恐らくそんなに何かこちらの結論と 時期がそんなにずれるということでは多分ないんじゃないかというふうに思っていますの で、できるだけ早く関係省庁とそういうことをやっていって、この審議会での検討とうま く合うような形でお願いをしていきたいというふうに思っております。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。既に皆様方、当初お約束をいたしました時間は過ぎております けれども、この項目についてもう少し皆様たちからご意見ございますでしょうか。  箕輪委員。 ○箕輪委員  すみません、いろんな情報をいただいてありがとうございます。  この話を進めていく上で確認したいことがあります。生活の保障について考えるときに、 どの地域でどのような環境でどう生活をしていくかによって、かかる費用に違いがあって、 その費用を考慮して保障の内容を考えることになると思うのですが、この所得保障の参考 資料の2ページにあるように、実際にプラスして「現金で支払う」内容と、「払わずに済 む」というように助成をする内容と、物や建物などの「物品支給」による内容などそれぞ れの制度があるというご説明ですが、そういった中で、「だれにでも必要なこと」「状況 によって必要なこと」「特定の人にだけ必要なこと」とがあると思います。例えば障害が 重くて困難なことが多くても、いろいろな訓練を受け、一生懸命働き、そして稼いでため たお金で家を買っている人もいると思います。そのような人に対する手当はどうなのでし ょうか?実際にあった話ですが「仕事にやりがいはあるけれども、贅沢さえしなければ年 金で暮らせるので、退職します」と、障害のある社員に言われた企業があります。ほかに は「これ以上年収が増えると困るのでボーナスは辞退します」とか「年収が増えてしまう と年金に影響があるのでお給料を上げないでほしい」と障害のある社員から言われた企業 もあります。く「働きたくても働くことができず収入を得られない方」にとっての保障で であるにもかかわらず、自分の意思で働かない方や、本来得られるはずの収入を辞退して でも年金をほしいという方がいる状況から、所得保障の趣旨が正しく伝わっていない方も いらっしゃるのではないかなと思います。例えば、住宅に関する保障についてですが、 「お金を支給されても建物なく、自分で建てることは難しい方」、「建物はあるけど入居 させてもらえない方」、そして「入居はできるけれど家賃を払えない方」など事情は様々 ではないでしょうか。限りある財源なのですから、保障の方法を一律ではなく、選択でき るしくみの方がよいのではないでしょうか。移動手段についても、都内のように交通の便 が良い地域と、自家用車なしでは生活できない地域とがありますので、それぞれの地域や 事情で生活に必要な保障を選択をしていけるというしくみができないものかと思います。  1点確認したいのですが、参考資料の2に現行のいろいろな施策策が記載してあります が、一番下の各種割引制度というのは、国の施策でしょうか?民間の取り組みが混ざって いるような気がします。民間の取り組みを挙げるならば、手帳を見せると割引になる取り 組みは他にもたくさんありますし、どんどん増えています。国の施策と民間の取り組みは 分けていただいた方が良いのではないでしょうか。最初にお話ししたように「支給される 内容」「支払わなくて済んでいる内容」「助成されるために少ない負担で済む内容」をそ れぞれに分けてトータルでお示しいただければ、過剰な部分と不足している部分が把握で きて、より建設的な議論ができると思います。今度、整理した資料を見せていただけない でしょうか。 ○潮谷部会長  整理したものを資料として出せますか。ここに出されているものは多分法律に基づくも のだと思いますけれども、今、箕輪さんが触れられたのは、例えば各行政主体が美術館だ とかそういったところも含めてということになるので、相当大変ではないかなとは思いま すけれども。 ○蒲原企画課長  これ大体、今ここに書いているJRを含めるものは基本的にはその主体がやっているの で、政府が何か制度で持っているというよりも、まさにここは民間のものであります。た だ、おっしゃるようにほかにいろんな民間のものもあると思いますので、むしろそれはち ゃんと伝わるようにきちっといろんな、今日の資料はここでの議論のようなのでこうなっ ていますけれども、本来たくさんあるものについては、いろんな形での広報というのは非 常に大事かなというふうに思って、今受け止めました。 ○潮谷部会長  何か関連してでございましょうか。嵐谷委員。そのあと安藤委員、お願いいたします。 ○嵐谷委員  お答えする意味ではないんですけれども、各地方によって自治体、それによって全部違 うので、ここで一律に書き上げるというのは恐らく不可能です。いろいろと民間で優遇措 置それぞれございます。だから、ここで恐らく書き上げるということは不可能だろうと思 います。自治体によっても変わりますので、申し伝えておきます。  以上です。 ○潮谷部会長  厚生労働省に代わって嵐谷委員が答えてくださいました。  それでは、安藤委員、お願いいたします。 ○安藤委員  安藤です。  先ほどは失礼しました。まともな質問をしたと思うんですけれども、所得保障の11ペー ジですけれども、先ほど企画課長さんが皆さんの意見とか論議を踏まえてというお話があ りましたけれども、どうも最近の資料の課題や論点を見ていますと、非常に厳しいなと思 うんですね。例えば11ページでも様々な制約の中でどのように考えるかというような言い 回しがあるんですけれども、さまざまな制約についてですが、この制約については、事務 局の皆さんは福祉的にも行政的にも専門家でありますし、皆さんが制約があるというもの を私たちがそれを越えた意見を出していくことはちょっと難しい感じがします。私が意見 を述べるとかは出しにくいと思うのです。そのような制約論が多い感じがするのです。そ のところの論点の整理の仕方をもっと工夫していただければと思うので1点です。  2つ目ですけれども、この利用者負担ですけれども、利用者負担の14ページです。14ペ ージ、基本的なことがここにあるのではないかと思うんですが、一番上の応能負担につい てですが、所得に応じた負担となるので、利用者の95%が利用者負担はゼロと書いてあり ます。これについてですが、今の障害者の生活実態から見て応能負担に戻して欲しいとの 気持ちが大部分です。一方、定率負担についての特徴ですが、利用者と事業者が対等な関 係に立つことができるとか、サービスの質の向上につながると言うことですけど、利用者 と事業者の対等な関係というものが実際にできているでしょうか。そうではなく、定率負 担の影響で不信感が増幅している感じがします。また、自治体も経営が非常に厳しくなっ ていますし、サービスの質の向上につながっていると障害者自身が実感しているでしょう か。このような点を踏まえて論議する必要があると思うのです。  以上です。よろしくお願いします。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。今のことに関連、この11ページですが、様々な制約がある中で という論点のまとめ方について、その制約がある中で我々に対して意見を求めているとい うことなのか、あるいは様々な制約がありますよということなのか、その論点の出し方の 事務局側のニュアンスはどうなんですかということが1点と、もう一つは事業者と利用者 との関係の中で対等関係ということが果たして現実にきちっとなされているのかどうか。 そしてまた、それが望めることであるのかどうか、そういった点についていかがかという ことでございますけれども、この点について何かございますか、事務局のほうで。この様 々な制約だけはちょっときちっと答えていただいたほうがいいかなと思います。 ○蒲原企画課長  では、そちらのほうについて。確かにこれ議論するときにこの論点の前にありますとお り、やっぱり事実関係でこういう状況になっていると。制度の仕組みだとかあるいはたま たまここではいろんな給付の額、そういう事実関係をやっぱりきちっと事実関係としてお 示しするということがやはり大事なので、そこはそこでやっていく必要があると思います。  あと、論点の立て方ですけれども、やはりそういういろいろと事実関係がある中で、だ けれども、やはりこの場でどういうふうにしていきたいかといったことをぜひ委員の先生 方からお出しいただいて、その上で我々としてもそこをうまくいろんな制約をクリアでき るのかどうかということを先生方と一緒に考えていきたいなというふうに思っています。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。もし皆様よろしければ障害者の範囲については今回積み残す わけにはいかないと思っておりますので、伊藤委員、よろしゅうございますか。どうして も言いたい。  はい、分かりました。では、どうぞ。君塚委員までで次に移ります。 ○伊藤委員  ありがとうございます。前回控えておりましたので、今回はどうしてもということでご 無理を言って申しわけございません。実はこの利用者負担の6ページ、7ページなんでご ざいますが、この利用者負担は再三にわたっての減額措置をしてくださいました。現実に 私ども入所施設でございますが、当初から言っている手元に2万5,000円でしたでしょう か。残りますよという強いご説明があったわけですが、現実は一般の方と生活保護の方、 上と下を比較しますと、生活保護の方はほとんどちょうだいするものはございません。よ ほど自分で何かをほしいと、あるいはオプションで何かをやる。ところが、もちろん一般 の人は全てにかかってくるわけです。2万5,000円残っているのは、一般の人に以外と残 らないんですよ。残らなくて生活保護の方のほうが施設は私どもがお金の管理をさせてい ただいているんですが、生活保護の方のほうが残っていると。これは負担の問題、利用者 負担の中でもう少しきめ細かく精査していただいて、検討していただいて本当に上も下も ご納得いただけるようなこの制度を改めていただければなと。また、その必要があるだろ うと、このように思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。君塚委員、お願いいたします。 ○君塚委員  資料2−(2)の8ページ、障害児の利用負担の件です。この表に沿って3点ほどカタイを したいと思います。  これは所得階層とサービス別に表になっておりますけれども、最初にその所得階層の中 で課税世帯では措置に比べると、多くは横並びか明らかに減っています。しかし、非課税 世帯では大きく負担が増えています。これは最初にこの障害者自立支援法が発足したとき に、高収入の人たちは減額しなくていいんじゃないかということを強調したんですけれど も、それは実現せずに非課税世帯の低所得者が例えば入所サービスのところで措置では 2,200円であったのが特別対策法にも6,000円とか3,500円であるという形の収入の低い人 ほど負担が大きくなっているということをまず指摘したいと思います。  それから、2番目に横の方向のサービスの事業費経費というのが14.4万円とか4万円、 18.6万円というのがありますけれども、このこと自体の書いてあるものが応益負担をもろ にあらわしているという考え方に沿った発想だと思います。しかも、一律にしていますけ れども、児童の入所サービスでも施設形態によって福祉の負担というのが大きく異なって います。前にも言いましたけれども、重症心身障害施設が25万ぐらい、肢体不自由施設で は7万弱だと思います。平均して18.6万という数値が上がっています。それが2番目です。  それから、3番目に前々からの在宅と入所との差という話があります。その中で特別児 童扶養手当、2級3万5,000円なり5万円、あるいは一部の人が6万5,000円もらっている わけですけれども、その入所すると特別児童扶養手当が支給されなくなると、逆に入所の ほうの負担のほうが大きくなるということが明らかになって、バランスを逆の方向までと ってしまっているのではないかと。そこで、こども保健条約、先ほども話ししましたよう なことと、少子化社会への対策ということで、非課税世帯のいわゆるこのサービスを全て ゼロにしてかけたらというふうに要望したいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  それでは、次のところに移ってまいりたいと思いますが、皆様方の中で障害者の範囲、 これについてどなたからでも。  山岡委員。 ○山岡委員  山岡でございます。発達障害の団体を代表して出てきておりますので、その辺を中心に お話したいと思っております。  障害者自立支援法における障害者の範囲につきましては、先ほどから出ています附帯決 議がございまして、その1番目に発達障害、難病などを含めサービスを必要とする全ての 障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと、とうたわれており ます。それから、先ほどからお話が出ております与党PTの報告書の中でも障害者の範囲 の見直しとして、発達障害をはじめとする障害者の範囲については、引き続き検討という ふうにうたわれているところでございます。本日、資料の中で事務局からご紹介がありま したように、現行の障害者施策とか、あるいは障害者自立支援法ではカバーされていない 狭間の障害がたくさんございます。今回の資料の中でいきますと、発達障害だけではなく 高次脳機能障害あるいは難病等、特に目に見えにくい障害、その中で困難を抱えて苦しん でいる人がたくさんいるということであります。ただ、その方たちというのは3障害と同 等あるいはそれ以上の困難を抱えているということをぜひ心の中に入れていただきたいと いうふうに思っております。  現在の障害施策の中でいきますと、障害種を限定列挙的に対象を決めておりますので、 どうしても狭間の障害が生じるというふうに考えています。障害者施策の範疇では扱いに くい障害があったり、対象の問題でいろいろ問題が生じてくるということでございます。 私はもともと発達障害の団体を代表してこの場で発言をさせていただいているわけであり ますけれども、決して発達障害だけよければいいというようなふうには考えたことは一度 もありません。これは多分団体を代表されるレベルの方であれば恐らくみんな共通の思い ということだというふうに信じておりますけれども、どのような障害であれ、あるいは困 難であれ、困っている人がいたら支援をするというのが国とか国民のあるべき姿だという ふうに思っています。また、それは障害を持つ本人とか保護者とかの共通の願いだという ふうに私は思っています。現在すぐにできなくても将来的には全ての障害、困難を持つ人 たちが支援の対象になるように、どこかの団体がご提案されていましたけれども、総合福 祉法のような形にして狭間が起きないような形にしていただきたいというふうに思ってい るところであります。  今回の障害の範囲につきましては、先ほど申しましたように、発達障害や高次脳機能障 害や難病の皆様と要望などをしてきたところでありますけれども、今回の障害者自立支援 法の見直しの検討においては、施策的、体系的にちょっとやや難しい面があったり、全て の障害をこの中に入れることが難しいというようなことがあるかもしれません。今回、形 をとるか実をとるかは別にいたしまして、いずれにいたしましても、その狭間に置かれて いる障害について、何らかの形で支援が行き渡るようにこの検討会の中でご配慮いただき たいというふうに思っています。  いずれにしましても、その狭間にある障害に対して、ぜひご配慮いただきたいというこ とをまずは申し上げておきたいと思います。  ここからちょっと発達障害に絞った話をさせていただきます。  発達障害につきましては、平成17年に発達障害者支援法が施行となっておりまして、発 達障害に対する支援は、国と地方公共団体の責務というふうに定められているところであ ります。発達障害者支援法施行以来、国の各種事業に取り組んでいただきましたし、発達 障害のある人を対象とした支援体制の整備なども進めていただいております。実態面とし ては、各種支援事業の中で、あるいは各種の制度におきましても、例外措置とか通知の方 式で支援の対象に含めていただいているケースも増えております。しかし、発達障害は障 害者として位置づけられていながら、現行の障害者自立支援法の中では明確に位置づけら れておりません。それから、障害者自立支援法によるサービスを受けられそうにちょっと 表面的に見えながら、実は受けられていない状況にあることが多いわけでございます。こ の際、障害者自立支援法において自閉症、ADHD、学習障害等の発達障害のある人が支 援サービスをきちっと受けられるようにするために障害者自立支援法の対象として位置づ けて明記をいただきたいということを重ねてお願い申し上げます。  それから、その現行法の関係と発達障害をどう位置づけるかというところについて一言 申し上げます。  発達障害は、医学的に見て中枢神経系、いわゆる脳の機能障害でありまして、広い意味 でこの事務局案のところにもうたってございますが、精神疾患の一種であるというふうに 理解をしております。一方、精神保健福祉法の定義には、第5条におきまして統合失調症、 精神作用物質による急性中毒または依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有す るものを言うというふうになってございます。もともと広い範囲でいきますと、精神疾患 を広くカバーする法律でございます。したがいまして、事務局の説明にもございましたが、 発達障害につきましては、この精神保健福祉法の範囲に入っているというふうに私どもは 理解しております。この精神保健福祉法を広く精神疾患をカバーする法律ととらえていた だいて、現行の法律の枠組みの中で発達障害に対する支援を例えば例外措置だとか通知に よって行うとか、特例で行うとかということではなく、本則の中で明文化をしていただき たいというふうに考えております。  今回は、障害の範囲の見直しといういい機会でありますし、発達障害については発達障 害者支援法で支援が国の責務として定められております。しつこいようでございますけれ ども、実態的は各種の支援事業が行われているというところでございますので、もう一歩 この検討会の中で進めていただき文明化いただくことを重ねてお願い申し上げます。  以上でございます。 ○潮谷部会長  今の点について、何か福島課長のほうからございますか。よろしゅうございますか。  ほかにございませんでしょうか。  岩谷委員、お願いいたします。そのあと生川委員、お願いします。 ○岩谷委員  岩谷です。  実際に障害認定について、3つの点を指摘させていただきます。一つ目は身体障害認定 では、今いろいろな問題が出てきているということです。2つ目は、障害の範囲を決めよ うと議論を始めますと、障害者権利条約との扱いをどうするのかと、ここの整合性をどう とるのかという問題がございます。3つ目は、自立支援法の枠内で3障害を同じように考 えていこうということになりますと、知的障害、精神障害、身体障害の間での障害の定義 の原則的なところで違いがあります。大きく分けると3つの問題があるということをまず 皆さんにご理解いただきたいと思います。  身体障害の認定上、どのような不都合が生じているかということを1つ、2つ例を挙げ てご紹介いたします。先日、私たちの病院に、ご高齢でもう1年以上にわたって寝たきり の方が身体障害者の手帳の取得を希望されて来られました。身体障害者手帳の制度は、身 体障害者福祉法に基づいております。身体障害者福祉法では機能の回復を目的に等級認定 をするということが原則であります。しかしながら、この方はそういうことではなくて、 私のところの施設がある埼玉県では、重度の身体障害者手帳を持つ方には医療補助、入院 の費用を出していただけるという制度の利用を目的で手帳を申請してこられたわけです。 決められている身体障害者福祉法の目的と手帳をおとりになりたいという希望する目的が 明らかに食い違っている。このような例はよくございます。税金を安くしていただきたい ために手帳がほしいという方はたくさんおられるように思います。それから、大変ご高齢 の方で遷延性意識障害のような方がやはり同じようにして手帳を申請してこられます。例 えばこれ90歳でも身体障害者福祉法の手帳を申請してこられます。これも我々としては拒 否するわけにはまいらないわけであります。何かこの辺は介護保険、その他の制度との整 合性をつけなければ、いけないのではないかと思っております。もう一つの問題は、医療 が非常に進歩しましたので、治療により障害が軽くなる。自立支援医療によって以前の障 害程度よりも障害が非常に軽くなる場合がたくさん出ております。このような問題があり ますので、再認定制度というのがどうしても必要になるのではないかと私たちは考えてお ります。これらのことは身体障害の認定上の私たちが直面している問題の一部分でござい ます。視覚障害についても聴覚障害についても同じような問題が指摘されております。  それから、法律上、知的障害には障害の定義がございません。障害者基本条約の中では 障害者とはインペアメントを持って、機能障害を持ってその機能障害がゆえに社会のバリ アとの関係で社会参加に制約が生じることがある人々と言っているわけです。従いまして、 インペアメントをちゃんと証明しなければならない状況になってくると思います。知的障 害の場合どうなるのかということをしっかり議論していくことは避けて通れない問題じゃ ないかと思います。  それから、障害者として認められるためには、インペアメントの診断と社会参加の制約 という2つの条件が満たされなければならないことになります。インペアメントの診断は 医師がするわけであります。社会におけるバリアとの関係によって生じる社会参加上の制 約をどのように、誰が判断するのかということをしっかり議論して、はっきりさせていか なければ、制度が矛盾を抱えたままになってしまうと思います。一朝一夕でこれができる とは思いませんけれども、ぜひこの辺のことについてはこれを機会に問題点として大きな 議論に発展させていただきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。生川委員にさっきお願いしました。そのあと大濱委員、お願 いいたします。 ○生川委員  生川です。  ちょっと質問なんですけれども、障害者の範囲のところの参考資料のところの4ページ、 5ページのところなんですが、こちらの表というか図ですか、これ。こちらには身体障害 者児と、それから知的障害者児ですか。それとあと精神障害者の数はきちんと出ているん ですね、これ。ただ、ちょっと知的障害者の54.7万人というのは、これ実態と比べて少な いかと思うんですけれども、これはちょっと置いておきまして、いわゆる私教育学部に在 籍しているんですけれども、いわゆる発達障害児あるいは発達障害者ということで先ほど 言われましたけれども、発達障害児のほうですね。こちらのほうにつきましては、文科省 がいわゆる発達の気になる子供といいますか、医師の診断をきちっと受けているわけでは ないんだけれども、発達が気になるいわゆる注意欠陥、多動だとかあるいは自閉症だとか、 あるいは学習障害とかそういう子供さんが6.3%というんですかね。大体いそうだと。大 体6%ぐらいいるということなんですけれども、実際のところ大人の方、いわゆる成人で 例えば自閉症で困っているというか、自閉症の人でそういう支援を求めている方がどれぐ らいいるのかということを厚生労働省のほうで把握されているというか、そういう実態調 査なんかをされたことがあるんでしょうか。ちょっと私不勉強で、その辺りよく分かって いないんですけれども、子供につきましては、文科省のほうで大体6%ぐらいが気になる 子供だというふうに言われているんですけれども、大人の方につきまして、これいわゆる 自立支援法とかということで予算ということも考えますと、どれぐらいの数がいて、どれ ぐらいの人に対して支援をするんだということになりますと、ある程度実態把握というと ころまで踏み込んでいただかないといけないんじゃないかとちょっと思ったんですけれど も、その辺りいかがでしょうか。 ○潮谷部会長  いかがでございましょうか。事務局、即答できますか。  はい、どうぞ。 ○蒲原企画課長  失礼いたしました。6.3%です。これは確かに文科省がやったデータだというふうに認 識しております。一方で大人について現時点で明確なこういうパーセントというのは、確 かにこれ持ち合わせていないんですけれども、現在厚生労働省が持っています研究費の中 で、これは平成20年から22年度までのものではありますけれども、いろんな後発性発達障 害の出現とその変化の状況といった調査をやっていまして、そうしたところで地域別の横 断的あるいは縦断的な状況を何とか把握したいということで今やっておるところでござい ます。ですから、我々がよく問われるときは確かに子供のところでありますけれども、 6.3%という数字をひとつよく使っているというのが実態でございます。 ○潮谷部会長  生川委員、よろしゅうございましょうでしょうか。 ○生川委員  現実にはもう少し6.3%となりますと、発達障害の中でも注意欠陥、多動の子供さんと かが含まれていますが、そういう方はある程度年齢が上がっていくとおさまるという部分 もあるでしょうから、実際はもっと6%以下だとは思うんですけれども、ありがとうござ いました。 ○潮谷部会長  大濱委員に先ほど続けてと申し上げましたけれども、今の件について高橋委員のほうか らちょっとあるそうです。 ○高橋委員  今のデータということですけれども、私は実際発達障害者のパーセントというのはなか なか出しにくいと思うんですね。その一部はこの4ページの精神障害者のこの中に入って いるだろうと思います。このデータは医療施設を訪れた、精神障害は精神障害を持った方 の数ですから、その中に発達障害でいろいろ精神的な問題、自分の問題であり周りの問題 を抱えている人は受診していると思いますので、もちろん全員じゃないですけれども、だ から一部はこの中にあります。  発達障害者がどのくらいいるかということは、まず調査不能だと思いますね。 ○小板委員  すみません、関連で。いいですか。 ○潮谷部会長  関連でございますか。はい。 ○小板委員  知的障害を持った人たちは、例えば精神障害の病院に入っている人たちもいると思いま すし、それから、養護の施設と言われるところにもたくさんみえるだろうなというふうに 思っていますし、それから、特に刑務所なんかにも何千人という人たちがみえて、今回、 刑務所を新しくつくるに当たって、知的障害専門のというようなところがあるんですわ。 これなんかでいくと、実際にはそこの建設をする会社がそこの運営まで民間移管してもら ってやる。だから、おたくの協会にも協力してほしいなんていう話が出てきているんです けれども、この辺のところの何かだと、やっぱりどの程度まで分かってみえるかどうかと いうことを聞きたいと思いますし、それから、今の例えば世界的な統計的な話なんかの中 で、知的障害の人たちは人口の2%ぐらいはいるだろうというふうに言われていると、も うそれだけで二百数十万という数字が出てくるわけなんですね。  そういうことがあって、やはりそういう出現率と、この療養手帳をとるということにつ いても申請時にですから、どこにもそう簡単にはほいほいと自分の子供に対して出してい かないと厳密にあったわけなんですね。ところが、今は結構その数字が出てきているんで すけれども、そういった全てのいろんなサービスを受けられるような、あるいは療養手帳 の範囲というか、65じゃなくてもう少し上のほうの状況なんかもやっぱり加味しながら、 そういった手帳なんかの交付ができるといいなというふうに思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。事務局のほうで出せますか、今の知的障害の部分。小板さん のほうではある程度ということですが。 ○蒲原企画課長  今例示に出ました特に刑務所のところの話というのは、我々も非常に問題関心を強く持 っているところでございます。これについては、厚生科学研究費を使っていろんな事業を やっておりますし、一方で来年度からこれは障害分野だけではございませんけれども、刑 務所に入所されている高齢者、障害者の方々が円滑に地域に行くためにいろんな事業をや っていこうということで、厚生労働省の担当部局で今やっております。恐らくそうした事 業をだんだん進める中で刑務所の中にいる間からいろんなサポートをしようということで できると思いますので、そうした中で、その中にどのくらいの割合の方でそういう方がい るのかといったことをできるだけつかめるようにしていければなというふうに思っており ます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。それでは、大濱委員、お願いいたします。 ○浜井委員  すみません、さきほどの関連で発言してよろしいですか。触法障害者の問題は、私の専 門ですので。 ○潮谷部会長  すみません。 ○浜井委員  刑務所にどのぐらい知的障害の方が入っておられるかということについてですが、正確 な数字は確かに分からないところがございます。というのは正確な診断をするためには、 ご承知のとおり、知的障害の疑いがある受刑者に対して、何らかの個別的な心理検査をし なくてはなりません。これを全員に行うことは業務量から困難なところがあります。刑務 所では、定型的な行動が求められるので、知的障害が目立ちにいく傾向があります。ただ、 刑務所で入所者全員にいわゆるスクリーニングテストを行っています。キャパスと申しま すけれども、その結果を見る限りにおいてはIQが70未満のものが全受刑者の約23%程度 います。このほかにかなり知的障害の進んでいる方又は認知症の方で、テスト不能という 方がまた別にいます。そのほか少年院にも知的障害を持つ人が多く収容されていますし、 発達障害についても、これも正確な調査を行っているわけではありませんが、処遇経験か ら考えると少年院にはかなり多くの発達障害の少年が収容されていると思われます。刑務 所のほうにも発達障害が疑われるケースというのを私たくさん見てまいりました。ただ、 診断をつけるということになりますと、現在の症状が必ずしも発達障害と完全にマッチす るというわけではないので、その人の生育歴でありますとか詳しく聞く必要があり、これ も正確なところはわかりませんが、潜在的にはかなりいるのではないかと思われます。い ずれにしも、法務省としても、現在、こうした知的障害等障害を持つ受刑者の問題に目を 向け、取組を始めているところだというところだと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、大濱委員、よろしくお願いいたします。 ○大濱委員  障害の範囲のことですが、先ほど岩谷委員からICFの考え方について言及がありまし た。本来でしたらそのICFに基づいて社会モデル的にどうあるべきかという視点から検 討すべき問題だと思っています。この中で具体的に難病の取り扱いをどうするか、すなわ ち資料3−(1)の10ページのところです。難病については資料3−(2)の21ページに特定疾患 治療研究事業の対象疾病名が列挙されています。また、LDや発達障害の方々が潜在的な ニーズを持っておられます。このような疾病名もない方々と、はっきりと疾病名がある難 病の方々について、今後どういう取り扱いになっていくかということです。  資料3−(1)の10ページには継続的であるもしくは継続的でないということがかなり重要 だと書かれています。しかし、継続的でなくても断続的に介護を要するような人たちがい るわけです。さまざまな考え方があると思いますが、一つの整理の仕方として、手帳がな くては支給が受けられないということではなくて、退院して自宅に戻ってもこの人は断続 的に介護が必要であろうというであれば、医師の意見書や医師の判断に基づいて、自立支 援法の中できちんと面倒を見るべきではないかと思います。特に病院の療養型病床が削減 されていく中で、病院がずっと抱えられない状況が生じているわけですから、手帳を要件 としたままですと、では難病の方々を退院させるときに介護はどうなるんだということで す。実際に退院できないということでは困りますから、退院後も本当に介護が必要だとい うことであれば、医師に意見書を出していただいて、きちんと審査会にかけて、必要であ ればちゃんと介護サービスが受けられるという仕組みが不可避であろうと思います。です から、手帳という入り口ではなくて、もう少し幅の広い何らかの枠組みを考えて、難病の 方たちを包含していかないと、いつまで経っても取り残されていくと思います。  私たちが聞いている中では、たとえば多発性硬化症や重症筋無力症などの自己免疫疾患 では、断続的に症状が出て、断続的に介護が必要になるわけです。たとえば訪問系サービ スでは支給決定期間が通常は1年間で、1年後に見直しがあるわけですが、症状が断続的 な難病患者であれば2カ月や3カ月で見直すなど、新たな工夫を凝らせばやっていけるの ではないかと思いまして、今回はこのような提案をさせていただきたいと思います。 ○潮谷部会長  確認させていただいてよろしゅうございますか。難病を身体、このたびの障害者自立支 援法の中に加えるべきということでの条件。 ○大濱委員  難病の方々全員がなかなか手帳の交付対象にならないとしても、必要であれば自立支援 法の中できちんと介護が受けられることが必要ではないかと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。  どうぞ、長尾委員。 ○長尾委員  ちょうど今日、年金局の方が来られているのでちょっとお聞きしたいんですけれども、 発達障害の人の場合には、これは精神障害年金は当たるのか当たらないのか。ちょっと先 だって私のほうにお母さんとこの発達障害の方が来られて、前は書いてもらったんだけれ ども、当たらなかったということで来られて、もう一度何とかならないかという話で来ら れたんですけれども、それをずっと書かれたのを見ましたら、私らが書くよりはるかにき ちっと書いてその障害程度の部分もきちっと書かれているので、これでは普通なら当たる だろうなと。ただ、はねられたとしたら量目ではねられたしかないのかなということがあ ったので、その辺はちょっと教えてほしいのと、それから、もう一つ、これも直接の手帳 の問題ではないんですけれども、精神障害者の手帳は写真も貼付されるようになったとい うことで、身体・知的と同じようにいろんなメリットが生じるだろうというふうに期待さ れていたんですけれども、交通機関とかそういったもののメリットが全然今のところは図 られていない。こういういろんなJRの問題とか様々民営化で問題はあるにしても、そう いったことはやはりできるだけそういう方向で働きかけをしていただきたいというふうに 思います。 ○潮谷部会長  それでは、よろしくお願いいたします。年金課のほうで。 ○社会保険庁  発達障害について障害基礎年金等に該当するかということなんですけれども、今、年金 の請求を確かに何件もお出しいただいており、審査等をしております。傷病名だけで該当 しないという拒否をすることはなく、病歴とか、それからやはり診断書の内容を見て判断 をさせていただいているところでして、内容によって障害の等級に該当するということで あれば、障害基礎年金等を裁定させていただいております。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。 それでは、竹下委員、お願いいたします。 ○竹下委員  すぐ終わります。結論から言えば、この障害者自立支援法の定義はもうなくすべきだろ うと思うんですね。仮に置くとすれば障害者権利条約あるいは先ほどから指摘されている ような広い範囲で定義をするしかないんだろうと思います。  理由は1つだけ申し上げると、今の障害者自立支援法が障害程度区分制度を取り入れて いる以上は、明らかにその二重基準なわけですよね。しかし、その二重基準であるがため に矛盾を起こすことがあり得ます。例えばどう見ても身体障害者手帳の1級や2級であっ ても、それが障害程度区分で自立になりかねないし、逆に身体障害者手帳の等級表には該 当しない方であっても、多分障害程度区分では該当する方が何人も私自身は相談を受けて います。しかし、現実には対象になりません。そういうことを考えていきますと、この二 重基準というものが非常に無駄だし、矛盾も起こすと。したがって、廃止するか仮に設け るとすれば障害者権利条約の定義に見習った形のものにするべきだろうと。  長くなるので、以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  広田委員、そして小澤委員ということで、できれば……事務局何か、よろしゅうござい ますか、その後で。 ○広田委員  ごめんなさい、竹下委員の格調高い話の後でまた話が下がりますけれども、難病の方の さっき大濱委員が丁寧なお話をされたんですけれども、例えば精神障害者だと精神疾患を 持ち、私が学校などで講演するときに5つの生活上のしづらさがあると言っているんです けれども、その難病という病気なのに何で9ページを見ると身体機能に一定以上の障害が 存在し、その障害が固定または永続していること。日常の生活に著しい制限を受けている ことという考え方になるのかなと、よく分からないんですけれども、ほかのことが。だか らぜひ事務局で前にDPIのほうから山本さんという方がみえたんですけれども、時間が なくて余り質疑の時間がなかったと思うんですね。だから、ぜひその辺お考えを伺ってあ げていただいたほうがよろしいと思います。よろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  事務局お願いいたします。 ○蒲原企画課長  ここの点は、また我々これからいろんな整理をする中で非常にまた皆さんの意見を聞か ないと整理できないということなので、先ほどの竹下委員の話、広田委員の話を含めても う一回頭の整理、論立てをちょっと整理したいと思います。  実は難病についてよくこういう形で障害者自立支援法の対象にしてほしいと。定義に入 れてサービスを受けられるようにしてほしいという要望があります。これは先ほどの冒頭 の説明であったとおり、少し今の自立支援法の枠組みを大きく変えて、竹下委員がさっき おっしゃった趣旨はそうだと思うんですけれども、いわば認定区分という方法が今回入っ た以上、支援の必要性というのをきちっとチェックすれば、あと障害者の定義というとこ ろはそんなにこだわらないというか、場合によっては今話があったようになくてもいいと。 ただ、手法として支援の必要性だけ判断すればいいじゃないかと、そういう立て方をする と、確かにいろんなものが入り得る形になります。こういう方向で難病を入れるという方 法が一つあるというのと、もう一つは現行法の枠組みを前提にして、すなわち身体障害者 福祉法などに代表される個別の法体制の定義をまず持ってきて、その定義に当たるかどう かを一個一個判断すると、大きく2つの方法があるということになっています。  広田さんさっきおっしゃった部分は、いわば2番目の点について、2番目の方法の中で 難病が入るかどうかというのを検討する過程のところが文章のところ。現行の身体障害者 福祉法で言えば、先ほど話がありましたとおり、障害がいわば固定して永続しているだと か、生活支援上のいろんな支障があると、こういうことが要件になっているというのが一 般的な考え方の整理。そうすると、では難病をそこに入るかどうかという観点で整理しよ うとすると、なかなか全て入るということにはならないんじゃないだろうかという整理を 先ほどのところでしていると。先ほどのその意味で言うと、竹下委員の話にまた戻るんで すけれども、いわば難病を入れようとした場合に1番目のルートで入れようとしたときに は、この論点ペーパーで言いますと、資料でいえばちょうど4ページのところ、竹下委員 はもう完全にご理解されると思いますけれども、4ページの課題のところ、基本的な障害 者の範囲についての考え方に関係してくる問題だというふうに認識しています。  先ほど我々の企画官が説明いたしましたけれども、例えば4ページの課題のところで支 援の必要性によって判断すべきという声に対して、3つ(1)から(3)までありますけれども、 一番関係するところは(1)だと思います。先ほど竹下委員がおっしゃったように、支援の必 要性だけで判断するということになると、対象は今の障害者のみならず、先ほど難病の話 が出ましたけれども、恐らく難病に限らず割と幅広く疾病全体あるいは疾病以外にも何か あるかもしれない。いずれにしても、どういう状態であっても認定区分さえ出れば対象に するということで、そうするとここの(1)にあるように、その立て方をやっていくと、考え てみると、今の障害者だけではなくて一時的な疾病、難病も含む疾病も全部含めて非常に 認定区分が出た支援が必要な人に対する支援をする法律と、こういう法体系に恐らく論理 的にはなってくるであろうと。そうすると、今ここで前提にされている現行の障害者の法 制度と相当色合いが違ってきて、我々のこれからここのルートで検討するとすると、その ときにでは介護保険制度との関係をどうするんだとか、あるいは分かりません、母子家庭 でもいろんな支援もしていると思います。いろんな他分野の支援全体との関係をよくよく 考えていかなきゃいけないと。そういった意味で言うと、ここのところは単に難病を入れ るための拡大というよりも制度の立て方自体を全ての支援が必要に対する支援法にするか どうかと、そういうことになるんだという論点をここには申し上げているわけです。その 意味で、これがどうなるかは皆さん方の意見だと思いますけれども、そういう非常に大事 な広範囲の問題だということを頭にぜひ共通理解した上で、少し時間もないんでしょうけ れども、ご議論してみたらと。恐らく竹下さんのおっしゃっていることはそういうことだ というふうに私は理解しています。 ○潮谷部会長  それでは、小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員  ただ今の議論と重なるんですけれども、4ページの結局のところ、どこまで見直すかと いう問題になるんですが、私はいろんな問題のやっぱり根本に4ページの論点にある支援 の必要性によって対象者を判断するということによって、様々な問題性は以下書かれてい る論点はほとんどその問題なんですね。したがって、すぐにということかどうかは別とし ても、少なくとも支援の必要性とは一体何かとか、あるいは支援の必要性を判断すること に関してはどう考えるかというやっぱり準備作業は何としてでも必要じゃないかと。それ なきには今後も同じ問題が繰り返される、それが1点目です。  2点目は私、自立支援法は多分時間がなくて、過去の法律を引用した形で使っています けれども、過去の法律自体が先ほどご指摘のとおり、身体障害者福祉法にはそれなりの目 的があって提示しているわけです。知的障害者福祉法は目的を持って定義したのと、それ から時代がその当時の時代の影響を強く受けているんですね。身体障害者福祉法に至って は、昭和24年の法律ですから、できたのが。それから知的障害者福祉法も昭和35年ですし、 このようなもともとこの領域でももはや旧態化したというんでしょうか、相当に問題性の はらんだ法律だというふうにずっと指摘されていたものをそのまま引用したんですよね、 定義の部分だけ。したがって、この問題に関しては抜本的というんでしたら、かなり大胆 に検討しないと本当に何か過去でき上がった昭和20年代からの延々とした課題を引きずっ たまま、もう一遍それをいろいろ取組ながら議論しても、多分同じ問題が繰り返し、繰り 返し出てくるんじゃないかというふうに思っている次第です。  あと一点、根本的な問題はこういうばらばらなスタイルにしておくと対象規定で必ず論 争が起こるんです。例えば一例を挙げますと、1970年に心身障害者対策基本法が障害者基 本法に変わるときに1970年の法律が93年ですね、変わるときに心身障害者対策基本法の最 大の問題は病名とか障害名列挙方式だったんですね。つまり入るか入らないかというのは 永遠に続く論争だと私は思うんですね。これを決めたら次これは入るのか、入らないのか。 したがって、やっぱり抜本的という議論をするんだったら多少時間はかかるかもしれない んですけれども、支援の必要性というのは一体何かというのをそれぞれかなり英知を結集 して検討しないと多分同じ問題が繰り返し、繰り返し出てくると私は思います。  以上です。 ○潮谷部会長  小澤委員、1点確認させていただきますが、ここで論議している障害者自立支援法は与 党プロジェクトに付託されたものを受けているんですが、やはり障害者全般的に見直して いく中長期的なところの中で課題として考えていくべきではないかと、そういうとらえ方 でよろしゅうございますか。 ○小澤委員  基本的には例えば障害程度区分というのがまたその後議論されると思うんですけれども、 基本的には非常に短時間で悪いんですけれども、かなり付け焼刃的な作業ででき上がった 法律の節もあります。さっき言った既存の法律自体にそもそも問題を抱えていたんですね。 それを取り込んでしまったのだから、逆に言うと今どうこうということは別としても、基 礎作業としては例えば定義区分にとって代わるような支援の必要性をどうすれば詰められ るかとか、そういった基礎作業は並行作業として、これは別に政策議論じゃないですので、 基礎作業は並行作業としてきちっと学術的にやっていただいたほうがいいと思いますね。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それでは、副島委員。あとお一人ぐらいでできればと思いますので、よろしくお願いい たします。 ○副島委員  障害の範囲のところで、知的障害の定義の規定が、知的障害にはないという問題です。 これは我々、知的障害者の団体としていろいろな議論はしておりまして、決めるべきだと いう議論はあります。今回のデータの中で障害者の範囲のところの4ページ目に知的障害 者の数が54万7,000人というふうに数値が載っています。これは、この自立支援法が施行 されてる前後から数字がどんどん増えました。最初35万人、次45万人、そして55万人と、 一体どういうところにその根拠があるかということですごく不安になりました。  実は、世界的な統計ではもう2%。人口の2%とか1%という数字がありますから、少 なくとも100万人以上、知的障害者は国内にいると思っているんです。そうすると、この 定義を決めていないということから、この100万人以上という数字が54万7,000人になって いるのかという問題もある。  しかし、その定義を決めるのにすごく技術的な難しさがあるのではないかと思っていま す。それは、知的障害というのは医学的な問題ではなくて、社会性とか生活する上での問 題、こういうところに絡む問題でして、病気ではなくて、状態像だというふうに考えてお ります。  そうすると、定義を決めることによって、今せっかくサービスを利用できている方の利 用ができなくなる人も出てくるかも分からない。そういうようなところも心配です。この 定義を決める必要があるとは思いますが、そのためにはいろんな角度から検討をして、十 分な検討をした上でのその定義決めをしていかないと大きな問題が残るんじゃないかとい うふうに思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  大濱委員。 ○大濱委員  先ほどからの小澤先生や竹下委員の話全体を含めての話ですが、今後の支援の在り方の 問題については、やはり権利条約との整合性が基本であろうと思います。資料3−(1)の3 ページに政府仮訳が載っていますが、障害者権利条約の第1条が一つの大きな基本的な障 害者の定義となっていく、支援の範囲となっていくのではないかと思っています。長期的 な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害というのが、先ほど岩谷先生の言われたインペ アメントですね。それで、このインペアメントを有する者であって、様々な障壁との相互 作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられるものを含む、 とされています。ですから、将来批准する権利条約との整合性を考えて、真に必要な人た ちであれば支援をするんだということを、今後は自立支援法の基本的な考え方として定義 づけていく、そういう方向づけで考えていくべきだと思います。そして、先ほど課長が言 われたように、だれにでも支援する法律というのではなくて、やはり権利条約との整合性 を考えた上で、継続的な場合と断続的な場合を含めた長期的なインペアメントを持つ人た ちへの支援という考え方ではいかがでしょうか。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。最後にしたいと思いますが、小板委員、お願いいたします。 ○小板委員  ちょっと戻りますけれども、所得保障という話の中身で、私としては所得の保障という のは、第一義的にはやはり公的年金というのが第一だろうというふうに思っています。た だ、そうは言っても働いて稼ぐということもこれは一つ大切なことだというふうに思って いますよね。ところが、その公的な部分の中で、これが今のところ揺らいでいるというこ とですから、やはりこれはもうきちっと消費税を対象にして考えていかないかんだろうと いうふうに思います。  それから、もう一つ今回ずっと議論をしてきているんですけれども、かなり論点の中、 一つ一つやっていくと、非常にそうか、そうかと思うんですけれども、残念ながらいろい ろこの論点を重ね合わせていくと、矛盾がたくさん出てきているということですので、前 回のこの障害者部会については、そこのところをやらずに尻切れトンボみたいな形で終わ ってしまった感じがします。ですから、これはやっぱり全体を考えて、その整合性をきち っとして、我々がやっぱり納得をしたら法律を変えていただくような方向でいってもらわ ないといかんのやないかなという感じがしますので、この個別論点のそのあとに総合的な 議論をすべきだというふうに思いますが、よろしくお願いします。 ○潮谷部会長  ただ今、小板委員からありました個別論議を経て体系的にどのような姿で出てくるかと いうこれをぜひ事務局のほうにはしてくださいということを私のほうからも要望をいたし ましたので、その点については論点が深まった後、必ず事務局のほうでは提出してくださ る。それをまた私どもがここで論議をしていくと、そういうスタイルをとっていきたいと 座長のほうでは考えております。  それでは、皆様方の中でほかにございませんようでしたら、時刻も過ぎておりますので、 一応今日はこれで終わりとさせていただきたいと思います。本当に熱心にご論議ください まして、ありがとうございました。  事務局にバトンタッチいたします。 ○蒲原企画課長  どうもありがとうございました。事務局のほうから事務的なご連絡をいたします。  本日は本当にありがとうございました。次回の日程でございます。11月6日木曜日、10 時からでございます。現在のところ、幾つか残っております個別の論点、例えばサービス 体系等についての資料を用意いたしまして、またご議論いただきたいというふうに思って おります。  どうもありがとうございました。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                    厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022)