08/10/31 第9回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会議事録 第9回 ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する 労働者ばく露の予防的対策に関する検討会                     日時 平成20年10月31日(金)                        17:00〜                     場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○化学物質対策課企画官 ただいまから、第9回「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質 に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を開催します。本日の検討会は公開で行い たいと考えていますので、よろしくお願いします。本日は大前委員、菅野委員、明星委員がご欠 席です。また庄野委員、高田委員が少し遅れるということです。  配布資料の確認をさせていただきます。お手元に配布しているのは座席表、議事次第、資料1 として報告書(案)、参考資料1として、報告書(案)に対して委員の先生方からいただいてい る意見を集約したものを付けています。資料としては以上です。議事録が公開されますので前回 の会議の議事要旨は作成していません。なお本会合の開催案内にも記載しましたとおり、会議中 に写真撮影、ビデオ撮影及び録音をすることは禁止させていただいていますので、ご協力のほど よろしくお願いします。以降の議事進行について座長にお願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○福島座長 それでは、これから私が進行を務めさせていただきます。報告書(案)につきまし て、これから検討を進めてまいりますが、事前に各委員からご意見をいただきました。その意見 を事務局でまとめて、今日、報告書の(案)という形で出ています。それについてこれから検討 していきたいと思います。今日を最後にこの検討会を終了、要するに今回でもって最終回にした いと思っていますので、是非、ご協力をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。  資料1、参考資料1を見ながら進めていきたいと思います。参考資料についてはそれぞれの意見 がリストアップしてあります。それを基に先程言ったこの報告書の(案)というのができていま す。この参考資料の出された意見を基に検討していくということです。また、この出された意見 以外にも細かい「てにをは」などで気が付いたことがありましたらば、それは事務局に別途言っ ていただくということにしたいと思います。是非、そのような方針でいきますので、ご協力をお 願いしたいと思います。それでよろしいですか。  参考資料を見ていただくとたくさんの意見をいただいています。今日の方針としましては、そ れぞれの項目をある程度まとめて、やっていきたい。要するにどういうことかと言いますと、全 部まとめて1からすべてについてディスカッションすると、時間的なことを考えると無駄が出て くると思います。ですから、ここからここまでご議論願いたいという形で私が申し上げます。各 委員から事務局に意見の形で出ていますので、事務局で重要なポイントのことについてまず説明 していただき、それについてディスカッションして、それぞれの項について解決していくという 形にしたいと思います。そういう方針でいきたいと思いますのでよろしくお願いします。  3頁の「はじめに」から4頁、そして5頁の「検討会開催状況」までについては、よろしいです ね。所属変更とかです。事務局、ここはいいですね。 ○化学物質対策課企画官 この辺についてお聞きして、訂正が必要であれば直させていただきた いと思います。 ○福島座長 わかりました。6頁から入りたいと思います。第2部 ナノマテリアルの用途・生産 量及び性状についてです。ここのところで1の我が国におけるナノマテリアルの用途・生産量か ら、10頁の2のナノマテリアルの性状まで、事務局から説明をお願いできますか。 ○化学物質対策課企画官 6頁の8行目ですが、「フラーレンでは粒子径が」という文章につい て、「フラーレンでは分子径が」に直したらどうかというご意見をいただいています。この文章 は主語が「粒子径は」となっているものですから、フラーレンについても「粒子径が」のほうが よろしいのではないかと思いまして、粒子径にしています。  10頁の2行目で表題のところです。「ナノマテリアルの物性」の「物性」について、出典の記 載をしてほしいということで意見が出されています。これについては検討会で、物質・材料研究 機構の宮澤先生にご発表いただいた内容を基に取りまとめたもので、出典というのは特にありま せん。書いてある内容については宮澤先生に確認をとっていますので間違いないかと思います。  10頁の28〜32行目で、「生体へは、有害な影響を与えない等の報告がなされる一方で、これま でに、カーボンブラック、カーボンナノファイバー」等が列挙されていますが、「ナノマテリア ルについて生体外の試験で、一部の物質に細胞毒性や細胞に対する増殖抑制等があることが報告 されている」ということで、この例示を取ったらどうかというご意見です。これも検討会の中の いろいろな研究発表の情報を整理した資料があり、そこから例として挙げたのですが、わかりや すいと思って挙げただけですので、もし必要なければ削除してもよろしいかと思います。  10頁の35〜36行目、「さらに、多層カーボンナノチューブのマウスへの腹腔内注入試験やラッ トの陰嚢腔内投与試験により、腹膜中皮腫が発生したとの研究報告もなされている」という文章 について、研究論文を列挙するということですが、これについては、この検討会の報告書自体が 研究論文というわけではありませんので、研究の概要を記述するだけでいいのではないかと思い ます。ここまでの詳しい文献の紹介は必要ないのではないかと考えています。  11頁の2〜3行目ですが、「小型の実験動物を用いた長期の吸入ばく露試験等はまだ実施されて いない」という文章について、「ヒトに対する健康影響については、ばく露評価やリスク評価も 含めた、更なる研究が必要である」ということを入れたらどうかということです。この記述の箇 所ですが、ここは現在の状況について書いてあるところで、今後の検討課題ということについて は後半のほうで、更なる研究検討課題ということで記述していますから、追加ということで提案 されている文章の内容については、後半のほうに反映されているものと理解しています。  11頁の3行目、「ただし、アスベストを始めとする繊維状粒子の中皮腫発がん性については、 齧歯類の吸入ばく露試験が人での発がん性を適切に反映しない可能性が過去に議論されているこ とも参照する必要がある」という文章を追加という意見が出されています。これについては管野 先生が今日はご欠席ですので、菅野先生のご意見もお聞きしつつ、記述場所と内容について検討 させていただきたいと思っています。と申しますのは、先程も申しましたけれども、ここの場所 は現在の状況について記述しているところですので、今後の研究課題のやり方等については、ま た後半のほうで記述したほうがいいのではないかと考えているところです。 ○福島座長 ありがとうございました。今、説明を受けましたが、一つご議論いただきたいのは 10頁の28行目から32行目で、カーボンブラックとかカーボンナノファイバーという固有名詞が入 っています。これについて削除するのか入れていくのか。この検討会ではこういうことを前もっ てリストされて、そこから取ってきたということですけれども、いかがでしょうか。このまま入 れておいていいですか。なお、今、篠崎さんが言われましたけれども、ここのところまでは簡単 に現状を記述してということなのです。ですから、この検討会の委員の先生方の意思というの は、ここには全く入っていません。淡々と記述してあるということです。 ○小川(順)委員 これを提案させていただいたのですが、そもそもナノマテリアル21種類につ いて調査研究を始めているとの説明で、さらに8つの物質を取り上げて、もう少し詳細に説明さ れています。この部分で、この7種類だけ挙げているということが、特にこれらの材料に対して ネガティブなデータがあるという様に読み取れるように思われます。前段に21種類なり8種類の ナノマテリアルを、例示してありますので、ここではこれらの材料の例示は必要なく削除をお願 いしたいと思います。 ○福島座長 どうでしょうか。いま小川先生からご意見をいただきました。要するにこれだけ挙 げると、これだけが強調されてしまうということですね。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 他の先生方、そこら辺はどうでしょうか。むしろ淡々というのだと、それでは28種 類全部挙げろということになるわけですが、それでは削除しますか。先生方、どうですか。私は そういう違和感はなくとったのですが、そういうふうな解釈もできるということでしたらば、こ れは削除しても別にどうという問題はないと思います。いいでしょうか。むしろ削除にしましょ うか。                   (了承) ○福島座長 それでは、ここの固有名詞に関しては削除します。あと事務局のほうで修文してい ただきます。あと、ここでいただいているのは10頁の35〜36行目のところで、これも小川先生か らいただいていますけれども、報告書には基本的に文献は記載しないことになっていますので、 せっかく調べていただきましたけれども、ここは文献は載せないという形でいきたいと思いま す。よろしいですね。 ○小川(順)委員 文献は記載しないということも、それはそれでこの文章の構成上、了解でき るのですが、もう1つ追加したかった項目は、更なる研究の論議もされているということです。 具体的には(3)(4)の文献に載っている内容ですが、腹膜中皮腫が発症したという研究報告と同時 に、更なる論議もされているということも一つの事実だろうと思います。 ○福島座長 どうなのでしょうか。そこまで入れる必要がありますか。ここは淡々と、こういう 事実がありますね、こういう事実がありますねということなのです。その後のディスカッション があるということまで、あくまでここのところには書かなくてもいいのではないか。そこまで書 くと、ほかにこういう事実もありますねということにまたなっていくと思います。いかがでしょ うか。 ○蒲生委員 それで提案ではあるのですが、こういういろいろな議論がある中で28行目のところ です。調査研究は進められているけれども十分解明されていないということが、むしろ結論的に 見えるような文章構成にしていただければ、両論あるのだという小川委員のことも反映されるの ではないでしょうか。今、埋もれてしまっていて、最後がどっちにいくかで印象が振れてしまう ような文章になっていると思います。そのぐらいの修正であればいいのではないかと思います。 ○福島座長 そうすると、27行目、28行目に書いてあることを、むしろ最後のほうに持ってくる という意味ですか。 ○蒲生委員 例えばそういう構成であれば、いろいろな議論があって、だけれども今のところま だ明らかでないのだというのが結論ということになります。その認識はおそらく皆さん共有して いるのではないかと思います。 ○福島座長 わかりました。それではそうしましょうか。事務局、よろしいですか。 ○化学物質対策課企画官 はい、わかりました。 ○福島座長 27行目から28行目のあたりに書いてあるのを、最後のほうに持っていくという形に します。小川先生、よろしいですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 ほかにはよろしいですか。 ○蒲生委員 フラーレンの粒子径の話ですが、フラーレン分子をそのまま粒子と言ってしまって いいかというのは、ちょっと躊躇があるので、文章のところに「フラーレン粒子径(分子径)」 とか、そういう書き方ではどうかという、これも細かいですけれども提案です。 ○福島座長 いま6頁の8行目のところです。専門の先生、どうでしょうか。報告書としては正確 を期したほうがいいでしょうね。 ○蒲生委員 フラーレンの単分子のことをナノ粒子と言いますか。 ○甲田委員 ナノ粒子径の中には、CNTみたいなものを入れて言っているではないですか。だか らCNTみたいなものが分子、粒子という区別では言わないので、粒子径でいいのではないかとい う気がします。 ○蒲生委員 むしろそうですか。 ○甲田委員 うん。 ○蒲生委員 なるほど。 ○甲田委員 形がいろいろあっても、粒子径というような形の解釈です。集合体というか、その 大きさだとかいろいろあって、そう解釈していたのですが。 ○福島座長 蒲生先生、いいですね。 ○蒲生委員 はい。個人的にはあれですけど、ここではそういうふうに粒子径という言葉を使っ ているのだということで。 ○福島座長 では粒子径という、そのままにします。もう1つ小川先生から11頁の2〜3行目で、 更なる研究が必要であるという、ここについては淡々ということで。 ○小川(順)委員 ご説明いただきましたので結構です。 ○福島座長 それから同じように11頁の3行目で、菅野先生からご意見をいただいています。こ こも、このようなことをもう少しいい表現と言ったらおかしいですが、この報告書にマッチする ような表現で、後の検討課題のほうに入れたいと思います。あくまでこれも検討課題のことです から、そちらのほうに入れる形にしたいと思います。ここのところについては淡々と記載すると いう形にしたいと思いますが、よろしいですか。 ○庄野委員 枝葉末節なことでコメントしようかどうか迷ったのですが、10頁の31行目でin vitroのところです。普通、こういうところのin vitroという表現は本来ならイタリックで斜め に書くのですが、私は報告書の書き方というのはよくわかりませんので、ちょっと訂正を。 ○化学物質対策課企画官 イタリックですね、わかりました。 ○福島座長 11頁までは終了という形にさせていただきます。よろしいですね。次は12頁の第3 部 ばく露防止対策の検討の視点、範囲等についてです。ここのことにつきましては1の規制及び 対策の現状、2の検討の範囲、3の検討の視点までについて、ご議論いただきたいと思います。篠 崎さんからまず説明をお願いします。 ○化学物質対策課企画官 12頁の7行目ですが、「じん肺法及び労働安全衛生法に基づく粉じん 障害防止規則が適用され」という文章を手直しするということです。これについては厳密に記述 すると提案された意見のような文章になろうかと思いますので、これはご指摘のとおり直そうと 思っています。  12頁の12〜19行目の文章ですが、この段落を削除したらどうかというご指摘です。ここで書い ているのは、労働安全衛生法第28条の2に定められた事業者の行うべき調査等ということで、ま さしく参考資料の3頁の上から2行目に書いてあるようなことが法律に規定されています。これは ナノマテリアルに適用されるばかりでなく、労働現場に導入される原材料、作業に使用する機械 等もそうですけれども、そういったものについての危険性、健康への有害性といったものについ て導入時に調査をして、必要な対策を講じてくださいということになっています。  その必要な対策については法令に書いてあることはもちろんですが、法令に書いていないこと についても、危険、有害性がある場合には対策を講じるように努めなければならないということ で、努力義務になっており、いわゆるリスクアセスメントの条文です。ですから、ここは削除す る、しないにかかわらず、法令上は事業場として適用されてきます。その適用について若干、業 種によって違いがあるのですが、適用されてくる状況があります。その上で、この文章をここに 記述することにより、こういったリスクアセスメントの条文があるのだということで法令の周知 になりますから、事業場としても、そういったことに気をつけてやらなければいけないことがわ かるようになると思いますので、事務局としては載せておいたほうがいいのではないかと思って いるところです。以上です。 ○福島座長 12頁の3行目の1で規制及び対策の現状、ここのところでご意見をいただいていま す。今、篠崎さんから説明がありましたが、いかがでしょうか。12頁の7行目のご意見に関して は修文をするということです。12頁の12〜19行目のご意見については、現在の適用ということか ら見ると、むしろ入れておいたほうがいいということです。ここに関して蒲生先生、いかがです か。 ○蒲生委員 確認ですが、これはナノマテリアルであろうとなかろうと、極端に言えば、今のご 説明ですと物質だけでなく作業環境にあらゆるものに対して、こういう努力すべしというのが根 底にある。そのことの周知だと、そういう理解でしょうか。この辺の実際の運用といったところ が私はよくわかっていなかったものですから、このような提案をしました。おっしゃるような趣 旨だということであれば、よろしいかと思います。 ○化学物質対策課企画官 いま言われましたように、原材料をはじめとして労働環境に導入され てくる機械とか材料、化学物質もそうですが、そういったもの全般について事前にリスクアセス メントしてくださいという条文ですから、一般的に適用されているということです。 ○福島座長 よろしいですか。次に検討の範囲と、13頁の検討の視点のところについてはご意見 をいただいていません。このままでいきたいと思います。細かなことがありましたら事務局にお 願いします。次は14頁で第4部のばく露防止対策に係る検討結果についてです。1の基本的事項に 係る検討結果の(1)対策の対象とするナノマテリアルの範囲について、ここのところについて篠 崎さんから説明をお願いします。 ○化学物質対策課企画官 14頁の10行目で、「自然界」という単語を使っていますが、自然界に 存在するものとして何らかの例示が必要ではないかというご指摘です。例示することはやぶさか ではありませんので、具体的に何か適当なものがあれば教えていただけたらと思います。  14頁の27行目ですが、「マクロファージ等による作用や酸化還元作用によって分離する可能性 がフラーレン等の試験において報告されていることから」という文章について、「フラーレン 等」というのを削除したほうがいいというご意見です。これは菅野先生のご発言で入ってきた文 章です。菅野先生に確認したところ、今年2月に発表されたカーボンナノチューブのマウスの腹 腔内注入試験の論文の中で、副所見としてフラーレンを対象群として使っていて、その論文の中 でこのようなことが記載してあるというお話でしたから、フラーレン等というのを残しておい て、元のままのほうがよろしいのではないかと思っています。以上です。 ○福島座長 ありがとうございました。庄野先生、自然界のところで何か例示がありますか。 ○庄野委員 いろいろ自然界にありまして、何を例に持ってきたらいいのかいろいろ迷っていた のですが、黄砂とか火山灰の一種では非常に小さなものがあるそうです。ちょっとそこはもう少 しお時間をいただければ、具体的なナノレベルの粒子ということでご提示できるのではないかと 思っています。 ○福島座長 庄野先生、そこを調べて事務局のほうに連絡していただけますか。 ○庄野委員 はい、そうします。 ○福島座長 ほかに、これについて何かご意見はございますか。 ○名古屋委員 これは、例えば2次生成粒子は入るのですか。要するにガス状物質が2次生成する のは、結構今、発がん性の多いものがありますね。今言われた火山灰は1次生成粒子ですから、 どう頑張ってもナノまで落ちていかないと思うのです。ナノの領域まで入っていくというのは、 ガス状物質がたぶん粒子状物質になっていて、今健康に影響を及ぼしたりしています。もしかし たらガソリン自動車から出てくる粒子だとかディーゼル粒子だと、細かいものがいっぱいありま す。そういう形に書くのか、自然の定義がよくわからないのです。発生源が自然界から出てくる のか、そうでなくて、要するに大気中にあるものすべてを入れるのかどうかによって、定義が違 ってくるのではないかという気がします。だから自然界と言われてしまうと、木から出てくるあ あいうガス状物質も入ってくるし、これはどうなのか。その範囲がよくわからないので何とも答 えようがないので。 ○福島座長 そういう意味からすると、むしろ例示をしないほうがいい。 ○名古屋委員 製造現場で測定していると、窓が開いていたときには、そこから出てくるもので なくてほかの粒子が入ったときに、それを排除して測定しなければいけないということで、多分 分析なんか変わってくるのだと思うので、逆にないほうがいいのかなという気はします。 ○福島座長 ここはこのとおりでいくということで、よろしいですか。 ○化学物質対策課企画官 わかりました。結構です。 ○福島座長 次のマクロファージのところのフラーレンですが、ここのところは文献でそういう 報告があるということで、入れるということですけれども、これについていかがですか。ここも 報告があるから淡々と入れたのだということになります。 ○小川(順)委員 文献をもう一度見せていただいて、また必要があればコンタクトさせていた だきます。 ○福島座長 わかりました。チェックしてください。事務局、対応をお願いします。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○福島座長 ほかのところは、よろしいですね。次の15頁で(2)の対象とする労働者について、 まずそれだけでお願いできますか。15頁の1行目から15行目までのところです。 ○化学物質対策課企画官 15頁の10行目ですが、「ばく露する可能性はほとんどないと考えてよ い」は、「製品の使用時においては、ばく露する可能性はほとんどないと考えてよい」に変更と いうご意見です。8行目に「製品を取り扱う場合」と書いてありますので、ここで限定している ことから、改めて10行目で「製品の使用時においては」と入れなくてもいいのではないかと思っ ています。  15頁の11行目ですが、「当該製品を廃棄する際等には」の前に「しかしながら」と入れたらど うかということです。これは文章の流れとしてそのほうがよろしいかと思いますので、入れさせ ていただきたいと思っています。  15頁の12〜15行目、「そのため、ナノマテリアルを製造し、又は取り扱う作業に加えナノマテ リアルを含む製品の廃棄やリサイクル作業に従事する労働者等も対象とすることが適当である」 という文章について、「そのため本検討会での対象として必ずしも廃棄やリサイクル作業への従 事者を対象とはしないが、ナノマテリアルの利用状況や廃棄物量、廃棄やリサイクル時のナノマ テリアルの飛散に関する科学的知見などを随時調査し、時期を失することなく、検討を開始する ことが寛容である」に変更してはという提案です。ここのところは対象とする労働者ということ で書いていますので、労働者としては対策の対象に加えなければいけないのではないかと思って います。と申しますのは、対策の対象とする労働者から除いてしまうということは、つまりリサ イクルや廃棄をする労働者に対しては、ナノマテリアルに対しての対策を講じなくていいのだと 言っていることになってしまいますので、働く人の健康を確保する立場からは、そういった所で 働く労働者の方も対象にしておくのが適当ではないかと思います。  一方、どういった対策を講ずるかということについては、後ほどまた出てきますけれども、講 ずる対策の内容については、ばく露状況、作業方法等に鑑みて選定していく必要があると思いま すが、この場所は先程申しましたように対象とするかどうかということですので、あくまでも労 働者は対象としておくことが必要ではないかと思っているところです。以上です。 ○福島座長 最初の15頁の10行目と11行目のことについて、これはよろしいですか。最初のほう は「製品の使用時においては」というのを加えてはどうかという、蒲生先生のご意見です。一番 最初に「製品を取り扱う場合」とあり、1つの文章の中にまた同じようなことを入れるのはどう かということで、それでいいのではないかと思います。次のところは「しかしながら」というの を入れるということです。  問題は15頁の12行目から15行目のところです。事務局としては、ナノマテリアルを含む製品の 廃棄やリサイクル作業に従事する労働者も対象にするのが、基本的な姿だろうということで、こ れは入れたいということです。そこについて蒲生先生、いかがですか。 ○蒲生委員 もし対象にしないことが、将来にわたって対策を講じなくていいという御墨付を与 えていることを意味するのだとすると、おっしゃるように入れておくべきだろうと思いますが、 私が提案した文案中にも、知見が蓄積してきて必要性があればちゃんと議論していく必要がある ということを明記しております。マテリアルにもよりますけれども、上の段落に私が書いたよう に、現在のところナノマテリアルが使われる分野や量が限られていることとか、ここで議論して きた内容が、必ずしも廃棄物処理を想定したプロセスについての検討をしていないことから、こ の報告書案に書かれている対策を念頭に置くとすれば、対象とするのは相当無理があるのではな いかと思うのです。対象としなくていいということは決してなくて、ばく露の可能性が否定でき ないという文言も、ちゃんと残すことを前提とした上での改定提案なので、事務局側の趣旨から も外れずにあるのではないかと思います。 ○福島座長 ということは必要だと。 ○蒲生委員 対象としなくてよいということは決してないけれども、現時点で、後ろに述べるよ うな対策を考慮しなければいけないような対象であるかと言われれば、現時点では否ではないか という。 ○福島座長 いや、どうなのでしょう。現実的に見て後ろのほうのいろいろな検討課題のときの 対象に、このナノの全体のことを考えると私は検討会の対象になると思います。我々としても実 際にここでやってきたと思います。 ○蒲生委員 これについてですか。 ○福島座長 ええ、そうです。こういう廃棄やリサイクル作業に従事する労働者に対する対応 を、どうするかということについてですね。これは実際に後ろのほうにも入っているわけです。 ○蒲生委員 ただ、実際に想定されるプロセスなどのところで挙がっている項目というのは、基 本的にはナノ材料の製造及び、せいぜいユーザーメーカーと言いますか、そういうところが主だ ったのでしょう。その他という形で確かに入ってはいますけれども。例えば密閉化すべき箇所と いうところで想定されているような、例えばそこでイメージされていた装置が廃棄物処理装置で あったとは、とても思えないというところもあって、廃棄物のことを入れるのであれば、それは ちょっとまた別途、範囲とか対策の面について議論しなければ、ここでこういうふうに書いてし まうには、大ざっぱすぎるのではないかと思ったのです。 ○唐沢委員 蒲生委員のご心配がいまひとつよくわからないのですが、廃棄物としてナノマテリ アルが使用されている製品等が、出される可能性というのは現実にあると思います。そうする と、それをばらす作業に従事する労働者は調査研究をするまでもなく、一応、あるだろうと思い ます。そうすると、この検討会でそういった方々を仮にご提案のようにさらに調べて、ある程度 はっきりした段階まではという書きぶりにするのは、私は得策でないと思います。 ○蒲生委員 そもそも含める必要がないということは決してないと思うのですが、ただ、実際に 廃棄物処理に入ってくる製品の広さというか量というか、そういうことを考えたときに、そこで 出てくるものの中のナノマテリアル密度というか、ナノマテリアル濃度と言いますか、少なくと もそれは現状において相当小さいわけです。全く除外するというのは、もちろんいけないと思い ますが、重要性をちゃんと指摘した上で、現時点として含めないというのは十分ありうる選択肢 だと思います。 ○福島座長 どうなのでしょう。ナノマテリアルのばく露のことに関して、先生は少ないという 意味だと思いますけれども。 ○蒲生委員 個人的に少ないのではないかと思っているだけですが。 ○福島座長 しかし、全体にここでは「予防的アプローチ」という言葉で一貫してきています。 原則ということから見ますと、まずここでこういうことを我々としては書いていく。きちっと喚 起するということがむしろ重要であって、何か少ないから今置いておいて、それから何か起こっ たときに、それから検討しようという姿勢は私はちょっと。 ○蒲生委員 起こったときというのが、何か健康被害が出たときというつもりは、私には全然な くて、製品の廃棄とかリサイクルにおいてナノマテリアルへのばく露がどうだろうかということ は、当然、今の段階から研究調査していくべきだと思います。ただ、それがある程度明らかにな ってからでも、いいのではないかということなのです。 ○福島座長 どうなのでしょう。 ○名古屋委員 労働者を考えると、たぶん入れておいたほうが私もいいと思います。というのは 何かというと、リサイクルをしているときに後のところを見ると、プロセス工程の中にはリサイ クルが入っていないから、要するに論拠が弱いということだと思いますが、しかしながら応用さ れるものがいっぱい入っているわけだから、今のうちに入れておいたほうがいいのかなと思いま す。後で入れるというのは何か起こってから入れるのではなく、ある程度包含しておいて、絶対 その中で対策できないものを書いているわけではないし、工程の中でもリサイクルでやっている 中で応用できるものがあるから、今のうちに適用して入れておいたほうが得策ではないかと思い ます。網を広く掛けておくのは全然問題ないのではないか。あと逆に絞って、下のところだとな かなか適用されるものもないからと絞るのではなく、ある程度広げておいて、その中でも応用で きるものがあるから、そこは広げておいたほうが私はいいと思います。ここで絞る必要は何もな いと思います。 ○蒲生委員 そうですか。仮に広げたままだとしても、それは後ろで議論してきたような項目と か書きぶりというのは、廃棄やリサイクルのプロセスとしてそのまま読めますか。具体的にどれ というわけではないですけれども。 ○名古屋委員 だからリサイクルといっても、密閉化ができるかどうか、局所排気を付けるかど うか、あるいは排気をする、それは全部応用できることです。作業工程がどうかは別にしても、 要するにそういうものを付けなければいけないよということで、その書きぶりは後ろに書いてあ って、それが100パーセント合致しているかどうかは別の話ですが、そういう工程ができたとき に、そこに書かれていることが応用できればいいわけです。漏れていたらいけないですが、そう するとそれは入れておいたほうがいい。ここに書かれていることが、リサイクルのものに全然応 用できないのだったら問題なのですが、そうでなくて応用できるものがいっぱいあるわけだか ら、それは、その工程ができたときに自分でそれを見て応用していけばいいことで、漏れていた らおかしいけれど漏れている部分はないかもしれない。そこまではわかりません。出てこないか らわからないけど、でも今から心配することはちゃんとここに書かれているので、たぶん大丈夫 ではないか。私はそう思います。 ○小西委員 現実にここに入れておきませんと、この後ろにも書いてありますけど、その中でば く露の可能性がある場合に、逆にこういう密閉化とかを考えなさいと書いてあるわけです。入れ ているから、そのばく露の可能性があるかどうかというのは、基本的には調査をして調べていく ことになります。入っていなければ、現場のところでは一切入っていないから何も調査もしない し、という方向にいく可能性があります。これは今のところ、すべてに100パーセント知見がな くても、一応、そういう可能性があるのであれば入れておいて、将来的にはその知見が集まって きたときに、逆に言うと、こういうところは全くないよということが出てくるのかもしれません し、そういう考え方もあるのではないか。ですから、入れておかないより入れておいて、ばく露 の可能性というのは、いずれにしても計測器などがきちんと揃ってきたときに、そういう場所は みんな測られていくことになると思います。そのためには最初に入れておくべきではないかと思 います。 ○蒲生委員 そちらのほうの声が大きそうなので、わかりました。 ○福島座長 それではこのままということにします。よろしいですか。次にいきます。次は(3) から(4)のところです。15頁から16頁まで、篠崎さん、お願いします。 ○化学物質対策課企画官 16頁の1行目ですが、この「(ナノマテリアル含有製品の廃棄、リサ イクル等)」の削除というところで、これも今と同じ議論になりますから、ここは残しておきた いと思います。  16頁の11行目ですが、「蒸発」は「飛沫」や「飛散」のほうが適当ではないかというご意見で す。ここで蒸発するとは気化することですし、それに伴ってナノ物質が一緒に気化するというこ とは確かに考えられないので、何らかの訂正文章にしたほうがいいと思います。以上です。 ○福島座長 1行目のは、そのままでよろしいですね。2つ目のほうですが、11行目を修文したら どうかということですけれど、これはどうなのでしょうか。これそのものがパッと舞うことはあ りませんか。そういう意味には取れないですか。気化するとか何とかというより、「液体の蒸発 等に伴い気中に放出される」、この「放出される」という意味がちょっとわからないですけれど も、ナノだけが残ってしまって、それがフワッと舞うというか、放出という意味にそれも入れる のかなと私は思ったのです。 ○蒲生委員 「蒸発に伴い」という表現が、液体が蒸発して、残って乾燥してしまったナノマテ リアルが舞うという意味と思わずに、液体が蒸発するのに連れて一緒に飛散するという意味だと 思いましたので、言葉の使い方がおかしいのではないかというコメントをしました。液体が蒸発 してしまえば放出される可能性があるという指摘であれば、それはそれで構わないと思います。 ○福島座長 私はむしろ、そこまでも考えず、そうかなと思ったのです。 ○蒲生委員 表現の問題だけですので。 ○福島座長 では次にいきます。次は16頁の2で個別対策に係る検討事項及び検討結果です。こ このところに関して(1)から18頁の3行目のアまでいきたいと思います。説明をお願いします。 ○化学物質対策課企画官 16頁の18〜19行目ですが、「事業場では以下に示す個別対策の内容を 参考に、材料やプロセスの実態等に合わせて、ばく露低減に努めるべきである」という文章の下 に、「大規模な生産設備と小規模の研究試作設備では、ナノマテリアルの取扱い量が大きく異な る。装置の違いにより、また、取扱い量・回数の違いにより、ナノマテリアルのばく露の可能性 も異なる。従って、それぞれの装置・取扱いにおけるばく露評価に合わせて、ばく露防止対策を 選択することが必要である」という文章を追加するというご意見です。後半の対策の考え方です が、まず密閉化していく。それが困難な場合には局所排気装置を設ける。局所排気装置も困難な 場合には呼吸保護具のみになってしまうことになろうかと思いますが、そういった形で対策を挙 げてきていますので、ここに書かれているように、ばく露評価に合わせて対策を選択する形には なっていませんから、具体的にそこまで記述していないということで、ここの文章は入れないほ うがいいのではないかと思っています。  16頁の19行目ですが、「ばく露低減に努めるべきである」という文章を、「ばく露低減に努め ることが望まれる」という文章に変えるということです。もちろん、今ご検討いただいているの は法令にするということを前提にご議論いただいているわけではありませんから、対策そのもの が望まれる対策ということになりますが、ご検討いただいた結果としてここに載せる場合には、 望まれるということを書いてしまいますと、やらなくてもいいのではないかという措置になって しまいますので、あくまでも検討した結果として、こういったばく露低減対策に努めるべきであ るということは、「べきである」というのはきつい表現にはなりますが、検討した結果、これを 講じていただくということは示しておかないといけないと思います。  あるいは、もしどうしても「べきである」というのが強く響くということであれば、例えば19 行目のところで「合わせて」のところですが、「実態等に合わせたばく露低減対策が必要であ る」という形でも、よろしいかなと思います。  16頁の22行目ですが、「標準的な措置」を「極めて高い水準の措置」に変えたらどうかという ことで、事業場にとっては決して標準的ではありませんということです。これも先程と似たよう な点になりますが、事業場にとっては確かに今までやってきていないことをお願いするわけです から、標準的というわけではないのですが、検討の結果、このようにするということを求めたも のですから、事業場が対策を講ずるにあたって参考としてもらうということで、対策を示してい くというスタンスですし、そういった意味で標準的なということを書いています。ですから「極 めて高い」というのは、やらなくてもいいのかなというふうに取られてしまう恐れがありますの で、元のままのほうがよろしいのではないかと思います。  (1)の作業環境管理についてですが、17頁の14行目です。「ナノサイズの粒子の測定にあたっ ての」の「あたって」を漢字にするということです。これはそのように直したいと思います。  17頁の19行目、「成分の分析等が必要となる」という文章を、「成分の分析等が有効である場 合がある」と直したらどうかということです。これについて、成分の分析が現在の技術では限界 があるということは事実なのだろうと思いますが、有効である場合があると書くと、有効でない 場合もあると読めますから、読む人にある意味の誤解を与える懸念があるのではないかと思いま す。分析等の「等」という言葉も入っていますし、ここでは分析等が必要となるということで、 簡単に触れておくのがよろしいのではないかと思います。以上です。 ○福島座長 16頁の18〜19行目で、この書出しのところですが、先程の篠崎さんの説明ですと、 このままのほうが素直ではないだろうかということです。小川先生、どうですか。 ○小川(順)委員 評価に合わせた対策を、ここで書いていくことではないのだというご説明 は、よくわかりました。ただ、「材料やプロセスの実態等に合わせて」の「実態等に合わせて」 とは一体何かというところを具体的に説明する必要は無いでしょうか。大規模な生産設備と研究 設備は、これは実態が違うでしょうし、取扱い量によっても異なると思います。これをよりわか りやすく書き下したという趣旨ですので、その辺りはもう一度考慮していただきたいと思いま す。 ○福島座長 そこはもう少し考えていただけますか。 ○化学物質対策課企画官 提案ですけれども、16頁の18行目のところですが、「事業場では以下 に示す個別対策の内容を参考に、材料やプロセスの実態等に合わせて」と。その「材料やプロセ スの実態等」のところに「取扱い」というのを入れたらどうかと思います。「材料・プロセス・ 取扱い等の実態に合わせて」と入れて、取扱いの状況に合わせて対策を講じていくということが 読めるのではないかと思います。 ○福島座長 プロセス・取扱いですか。 ○化学物質対策課企画官 「材料・プロセス・取扱い等」ではおかしいですか。 ○福島座長 プロセスと取扱いは。乱暴ですけれども、いっそのこと「材料やプロセスの実態等 に合わせ」を削除したら駄目なのですか。「以下に示す個別対策の内容を参考にばく露低減に努 めるべきである」としては。「以下に示す」というのも言っていますよね。 ○蒲生委員 「プロセスの実態等」ではなくて、「プロセス等の実態」であれば。 ○甲田委員 小川委員のお話では、「プロセス等」のところをもうちょっとわかりやすくという 話なのだろうと思うのです。 ○蒲生委員 わかりやすくという話ですか。 ○甲田委員 だから細かく文章にしなくても、先程の話だと生産工程だとか、生産量という話を どこかでわかるような例示で入れたほうがいいということではないのですか。 ○小川(順)委員 それぞれいろいろなケースがあるだろうけれども、もちろんこの前提として ばく露防止に努めるということは大切だけれども、そのケースに応じて選択肢がきちんとあり、 考慮する特徴があるということをわかりやすく表現したいという趣旨です。 ○化学物質対策課企画官 更なる提案なのですが、ご意見の趣旨を踏まえて、「材料・プロセス ・取扱い量等」というのはいかがでしょうか。 ○福島座長 「材料・プロセス・取扱い量等の実態に合わせて」ですね。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○甲田委員 今まで現場を見ていて思うのですけれども、生産性とかであれば、設備の実態とい うか、クローズドなのかそうでないのか。生産設備の取扱いの設備です。そういうものが1つは 影響するのかと思います。 ○福島座長 わかりました。今いただいたご意見で一度作っていただいて、ここのところはメー ルでやり取りして最終にするという形にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。 (了承) ○福島座長 それでは次に行きます。16頁の19行目です。 ○庄野委員 先程のところの「ばく露低減に努めるべきである」という話については、私がコメ ントしたところに異存はありません。「必要である」という表現のほうがきついという方もいま すので、いまのままで結構だと思います。  2つ目の標準的なところなのですが、今のニュアンスでしたら、「参考的な措置を示した」と いう表現でもよろしいですよね。我々が一番気にしたのは、「標準」とは一体何だと。何をもっ て標準としているのかが我々としてはよくわからなかった、という意味でのカウンター意見だっ たのです。むしろ「参考的な措置」という表現のほうが素直に私には聞こえましたけれどもいか がでしょうか。22行目です。 ○福島座長 「参考」もいいですけれども、もう少しいい言葉ありませんか。 ○化学物質対策課企画官 また提案ですけれども、「標準的な」というのを削るという提案はど うでしょうか。 ○福島座長 「講ずべき措置を示したものである」ですか。 ○甲田委員 同意させていただきます。 ○福島座長 それではそうします。(1)に関して唐沢先生、蒲生先生はいかがですか。唐沢先生 からいただいた意見については了解しましたということですが、蒲生先生のほうはいかがです か。 ○蒲生委員 この文面だと、成分の分析をすれば必ずわかるという誤解を与えそうです。有効で ない場合もあるということになってしまうというコメントでしたけれども、まさに有効でない場 合があるというか、測れない場合もあるというのは事実なので、科学的にはこの記述は必ずしも 正確ではないというだけであって、特にはこだわりません。 ○福島座長 それではこのままにしておきます。次は、18頁の6行目のイの「密閉構造とすべき 箇所」。それからウとエのところまでについてお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 18頁の25行目から27行目までです。「さらに廃棄物の処理やリサイク ルの作業においても、ナノマテリアルにばく露するおそれがある場合には、原則として密閉化等 により対策を講ずる必要がある」を削除するということです。その理由として、検討会で検討し ていない内容を記述することはできないということです。廃棄物処理についても話題にはなって いたかと思います。具体的な細かなところまでは議論していないとしても、方向性については書 いておく必要があるのではないかと思います。  提案として、この書きぶりが強いということであれば、「原則として」というのを取って、 「ばく露するおそれがある場合には密閉化等により対策を講ずる必要がある」ということでどう かと思っております。この「密閉化等」の「等」の中には、呼吸用保護具は入っておりません。  20頁の11行目の「電気集塵機」の「塵」を平仮名の「じん」に直すということですが、これは このとおり直させていただきます。 ○福島座長 大きな問題は、18頁の25行目から27行目のところになりますが、小川先生いかがで すか。「原則として」を削除するということでどうでしょうかということです。 ○小川(順)委員 それでいいのですが、「密閉化等」というのが、防じんマスクも含めた対策 ということを含むのであれば、応用範囲ということではかなり広く考えられると思いますが、密 閉化は、「密閉化・無人化・自動化」と定義されていますので、具体的な対策として産業界とし ては苦しいように感じます。 ○化学物質対策課長 こちらの説明不足のところもあったのですが、確かにおっしゃるように 「密閉化等」を20行目で定義しておりますので、設備対策としてしか定義できないのですが、た だ28行目に「なお」書きで、「密閉化等が困難な場合には、局所排気装置等」ということで、そ のあと29行目に「設置すること等により」ということで、この「等」の中には幅広い対策を含め ております。行が変わっておりますのであれなのですが、全体として25行目から30行目まで読ん でいただければ、実態に応じて、状況に応じて、いろいろな対策をとれるというふうに読めます ので、対応できているのではないかと思っております。 ○福島座長 密閉化ということが現実的に可能かどうかという趣旨ですけれども、「なお」書き のところでいろいろな対処方法がありますし、それをする必要があるということになりますけれ どもよろしいですか。 ○小川(順)委員 はい。 ○福島座長 それではそうします。唐沢先生のご意見はそのまま生きということです。20頁の14 行目の(2)のところのアから22頁のケまでの説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 21頁の脚注のところになりますが、図1から図4まで、ご意見のほうは 3と書いてありますけれども、「参考に示す」ということで図を挿入するというご意見です。今 般提出させていただいております資料の一番後ろのところに図を付けております。 ○福島座長 21頁の脚注のところの図1から図3を参考に示すということで、図を挿入するという ことでよろしいですか。 ○小西委員 それも含めてなのですが、21頁の4行目のエのところに「呼吸用保護具を使用すべ き場合」と書いてあります。ここのところに文章として、「ナノマテリアルによるばく露の可能 性が無い場合を除き」というのが最初に来ています。無い場合を除いて、あとはすべてナノマテ リアルの製造については有効な呼吸用の保護具を使用させる必要があるということになると、無 いこと以外のものはすべてこれを使わせなければいけないという文章になっているように思いま す。  実はその前のところで、まず密閉化等をやって、それができなければ局所排気装置等をやりま すよと。それでも、なおかつばく露の可能性がある場合にマスクをきちんと付けなさいという形 の文章に直していただいたほうがいいような気がするのです。  それから、下のところの防護係数などの図のところですが、せっかく後ろにこれだけの図をき ちんと作っていただいているので、オの文章のところの「なお呼吸用保護具の使用に当たって は」のところは、下の欄外のところとその後の図などをひっくるめてこれができるかどうかわか りませんけれども、そこのところはもっと詳細に書かれているので、きちんと使っていただくの であれば、「別紙に示すとおり」とかという形にして、それを全部まとめて別紙にしていただい たほうがいいのではないかという気がするのです。この下の欄外にずっと入れていくというのは 形の上ではあれかなという気がするので、それだったらせっかく作っていただいたのを活かすの であれば、別紙という形で取り扱っていただいたほうがより見やすいのかという気がするので す。 ○福島座長 ここの内容的なことではなくてですね。 ○小西委員 そうではなくて、位置の問題です。 ○福島座長 わかりました。いま小西先生からそのようなご意見をいただきました。田中先生か ら、脚注で「図1から図3を参考に示す」という言葉を付け足したいということですがそれはよろ しいですか。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○福島座長 そうすると、ここの内容は変えないで、小西先生は別紙というような形で言われま したけれども、もう少し実際にわかりやすくするというご意見です。それについてはいかがでし ょうか。わかりやすくしたほうがいいに決まっていますので、それでいいですよね。篠崎さんと 田中先生と小西先生の3人で相談していただいて直していただけますか。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○化学物質対策課企画官 田中先生の資料ですと、全然ばく露の可能性が無い場合は別としてマ スクは付けなければいけないことになっています。設備的対策を講じてある場合には、防護係数 の低いものでいいけれども、設備的対策が講じられていない場合は防護係数の高いものを選定す るという趣旨のフローチャートになっているかと思います。  小西委員の趣旨を踏まえると、必ず呼吸用保護具は使わなければいけないのだけれども、まず 優先すべきは設備的対策ですよと。その設備的対策を優先して実施してもらうけれども、設備的 対策が講じられない場合はマスクだけになってしまうけれども、その場合は防護係数の高いもの を選んでいただくという趣旨でよろしいでしょうか。 ○小西委員 もう1つは、設備的対策で密閉だとか局所排気装置が工程上いろいろな場合に全く できない場合もあります。設備そのものが全くそういう形にはできない場合には防護係数が高い ものを使わなければいけない。それしか対策の取りようがない場合だって製造工程ではあると思 うのです。ですから、そういう形でまとめ直してもらったほうがいいのかという気がするので す。 ○田中委員 現状で自動化、密閉化等が行われても、それのばく露がないということの確認が取 れていない段階で、今のばく露がないということを認めていいのかどうかというところが問題点 としてありうるのではないかということで、密閉していても最低限の防護はしておきましょう、 という考え方がチャートの趣旨なのですけれども、小西先生どうですか。 ○小西委員 私が言ったのは、この文章の一番最初の「無い場合」というのは現実には証明でき ないわけです。私が言いたかったのは、密閉構造の製造装置を作るとか、局所排気装置の設置を しても、なおそれに対してばく露の可能性がある場合にはという捉え方のほうがいいのではない かということなのです。無いということは、今おっしゃるとおり説明できないので、無いことを 証明するためには計測しなければいけないですから、それもまだ完全なものではないので、書き ぶりとしては、基本的な管理の対策の順番としてはそういうことなのではないかということで す。密閉だから全く無い、ということの保証がどこまで取れるかというのは別の話かということ なのです。 ○甲田委員 今の話に関連しているのだろうと思うのだけれども、そういう形でわかりやすくフ ローチャートに載せるというのは非常によくわかります。田中先生が再三再四心配された根拠は どこにあるのだと。こういうフローチャートの流れの中で設備をやりました、またこういう形で やりましたと。それが、ばく露が予想されるレベルなのか、少ないのか、ほとんどないのかとい うように3つにきれいに分かれていますねと言われたときに、何ですかこの根拠はという話にな ったときに、非常に誤解のないようにフローチャートを現場で活用してくださいというような形 で、釘を打つというのはおかしいですけれども、そういうことが必要なのではないかと思うので す。  なぜこのようなことを言うのかと言うと、いろいろな測定計を持って入っても、わかる場合と わからない場合が実際にはあって、ナノよりかなり大きいレベルでは今の話は適用できるのだけ れども、本当にナノの話ということになってくると、確実なのかと言われると、そんなのはわか らないという話に現状ではならざるを得ないです。その辺のところをわかりやすくするという か、理屈としてこういう形でやって、保護具の選択をやって、参考の例としてフローチャートを 活用しなさいみたいな形での受け取られ方のほうが間違いなくていいだろうと思います。 ○福島座長 確認しますけれども、田中先生、それから小西先生からご意見を聞いていますと、 21頁の5行目で小西先生が言われました「無い場合を除き」のところは削除したほうがいいとい うことでよろしいわけですか。 ○小西委員 無いという証明はなかなかできません。 ○福島座長 「無い場合を除き」という。 ○小西委員 逆に言うと、製造設備だとか、そういうものを設置してもばく露の可能性が考えら れるということであった場合には。 ○福島座長 前提としてですね。 ○小西委員 ええ、前提としてです。ただ、対策のやり方としては、普通計測ができれば最初に 測ってくるというのが多いのです。そのことによって、それに応じた対策を立てることもありま す。ですから、そこはもう少し柔軟な対応ができるようにしておいてもらったほうがいいのかと いう気もします。 ○名古屋委員 現状では、ある場合の判断基準は何もないのです。だから、曖昧な表現しか使え ないということです。原則が早くできてこないとなかなか難しいのかという気がいたします。だ から、「無い」と書くよりは今のほうがいいのかと思います。無いということを証明できない。 ○福島座長 そういうことにして、あとはフローチャートとの関連で25行目のところも含めて 「別紙」という表現でいいのですか。甲田先生、このフローチャートそのものは。 ○甲田委員 それは、あったほうがわかりやすいです。 ○小西委員 別紙にしていただいて、フローチャートの使い方を少し文章で、いま甲田先生が言 われたようなことを加味して書いていただくといいのかもしれないです。本編だと書ききれない と思うので、そこをうまく別紙にして解説を書いていただくといいかなと思います。 ○福島座長 事務局はよろしいですか。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○福島座長 相談して作っていただきたいと思います。また見ていただきますが、お願いいたし ます。22頁の33行目の(3)の健康管理からずうっとご意見をいただいておりません。23頁の(6)、 (7)のその他のところまでですから、24頁の22行目の更なる研究・検討課題の前までについて何 かありますか。特別ご意見はいただいておりませんがよろしいですね。 (了承) ○福島座長 24頁の22行目の3の更なる研究・検討課題の(1)生体への影響に関する研究、25頁の (2)までで審議いたします。(1)(2)の説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 25頁の5行目、6行目で、「職業上のばく露限界基準を明らかにするこ とが必要である」ということについて、その「基準」という言葉が従来の基準値設定を連想させ るということで、ナノマテリアルのリスク管理としては多様なアプローチが議論されており、 「職業上のばく露限界の目安を得ることが重要である」といった表現を希望しますというご意見 です。  これについては、同じ基準という言葉を使いましても、法令に基づく基準もあれば、通知に基 づく基準もありますので、その強弱はいろいろかと思います。「目安を得る」というところの、 「目安」という言葉は、ばく露限界の数値を表すに当たり、言葉として弱い、あるいは曖昧さが 出てくるのではないかと思いますので、できたら「基準」のほうがいいかと思っています。  25頁の7行目の「フォローすることが重要である」というのを、「フォローして、ナノマテリ アルの職業上のばく露限界に関する基準が策定できるように努める必要がある」の部分です。こ れについては、5行目のこの段落の最初のところで「作業環境管理を適切に行うためには、職業 上のばく露限界基準を明らかにすることが必要であることから」と書いてあります。ここで「ば く露限界基準を明らかにすることが必要」ということを謳っていますので、ご提案の記述を加え ると、記述がダブってしまい、循環して説明していることになってしまいますので、25頁の7行 目の「フォローして」のところは、元の案のほうがよろしいのではないかと思います。 ○福島座長 25頁の5行目から6行目の「基準」ということについて今説明がありましたけれど も、蒲生先生、何かいい言葉ありませんか。先生は、「目安」という表現をしていますが。 ○蒲生委員 表現が曖昧だというのは、まさに曖昧がいいと思うのです。たとえば、自主的にリ スクアセスメントを行い自主的に管理の方法を模索していくというアプローチのこともあるでし ょうし、また、多種多様なナノマテリアルがどんどん出てくる状況に応じて、どんどん基準値を 作っていくというのは現実的でないこともあります。現在の文案では、ナノマテリアルの管理 は、基本的に基準値を設定するという従前のアプローチでやるのだという非常に強いメッセージ のように受け取れてしまいます。それに対しては、現在の状況からすれば違和感があるというこ とです。  ただ、一方で、こういうものが全くなければ、管理を適切に行うこともできないというのも事 実だと思うので、何らかそういうものが必要だということはわかるので、あくまで表現上のこと だと言えば表現上のことではあります。 ○福島座長 それで、いい言葉はありますか。 ○蒲生委員 私のボキャブラリーですとこのぐらいです。 ○甲田委員 今みたいなニュアンスの話でのばく露限界基準という意味なのですか。よくわから ないのですけれども、ぶっちゃけた話をすれば管理濃度なのか、許容濃度なのか、基本的にそう いうところの情報がない限り、ばく露限界がない限り作業環境管理をするというのは、現実的に は非常に難しいのだろうと思います。  ただ、毒性の曖昧なものに関して、非常にわからないのであればわからないなりの管理をしな ければいけない。ただしその基準は必要だろうということはあるのだろうと思います。例えば、 10分の1を掛けたようなものを現場の管理として活用する、というようなところはかなり要るの だろうと思うのです。  言葉として、事務局は「職業上のばく露管理基準」というのをどういう意味合いで使っている のかもうちょっと説明していただければありがたいです。 ○化学物質対策課企画官 これは、まだ許容濃度とも管理濃度とも明記しておりませんので、作 業環境を管理するに当たって必要となる基準が示せればいいかと思って使っている言葉です。ま だ、厳密にどの言葉と意図して使っているわけではありません。 ○名古屋委員 基準濃度とは違うのですか。基準濃度だったら、管理濃度とは関係なく、要する に有害物だったら設定できます。要するに、第65条の測定のときには管理濃度なのだけれども、 そうではないところで労働安全衛生法でやっているときにはなかなかできないから、対策課は別 に委員会に求めて、基準濃度を作っています。それだったら、別にこれでできるわけではないで すか。そういう考え方だったら、基準濃度で問題ないのではないかという気がします。  設定されないものについては、基準濃度を使って環境管理をしなさいと指針や行政指導通達に 書いてある。その基準濃度を使うのだったら、ナノマテリアルについても基準というのとは違う のですか。化学物質なのだけれどもそれはちょっとよくわからないです。そういう意味ではおか しくないような気もします。 ○福島座長 そういうときに使うデータは何を基にしているのですか。 ○名古屋委員 やはりACGIHとかですね。 ○甲田委員 国際的な許容濃度の基準などを横目でにらみながらばく露限界を考えるということ です。 ○福島座長 そうすると、これについてはまだそういうデータは何もないですね。 ○甲田委員 ですから、そういう形でのトキシコロジカルなデータなどは早めに収集して、そう いう基準を今後の課題としては作っていくべきだろう。これは、更なる検討の課題ということな ので、そういう情報を収集して、先程言った許容基準などをみんなで考えていこうということだ ろうと私は解釈して、この文章ですんなり呑み込みました。 ○庄野委員 あえてそこはあまりこだわる必要はないと思います。今の当局からのお話では、コ ードなのか、基準値なのか、これは今おっしゃっていませんよね。ですから、あえてここでは目 標値とか基準値とはしたくないと思いますので、「ばく露限界の何らかの基準」という表現のほ うがまだ適切なのではないかと思います。要するに、ここで「基準」という言葉をあえていじる 必要はないのではないかという気がいたします。 ○福島座長 この前、この件について唐沢先生は発言されましたけれどもどうですか。 ○唐沢委員 現時点では、確かに明確な毒性的なデータは十分にないので、クリアカッティング に基準値は作れないだろう、というのは皆さんがおっしゃっているとおりだと思います。ただ、 現場の作業環境管理をしていく場合には、そのような基準値が非常に重要な意味を持っているわ けです。  「目安」ということにしてしまうと、現場で密閉装置なり、局所排気装置の性能要件を考え る、設計する場合に1桁違ったら大変コストの相違が出てまいりますから、もし示すのであれば 目安ということではなくて、やはり基準なのだろうと思うのです。今直ちにはできないでしょう けれども、そういう問題意識を持って、引き続きフォローしていくという意味で、「更なる研究 ・検討課題」と挙げているので、これを挙げていないレポートを考えるよりは、挙げてあるレポ ートのほうがいいと思います。本検討会のレポートの中で、このように記述することはやはり必 要なのではないかと思います。 ○福島座長 確かに6行目に書いてあるように、「今後とも」ということで、「フォローするこ とが重要」と言っておりますので、その意味からすると「ばく露限界基準を明らかにすることが 必要であることから」という、このままの言葉のほうがいいと思いますがよろしいですか。 (了承) ○福島座長 そうさせていただきます。25頁の7行目の唐沢先生のご意見ですが、これはちょっ とくどくなるかなということで。 ○唐沢委員 まあ趣味の問題かもしれませんが、別にこだわりません。 ○福島座長 はい、わかりました。私からの提案ですが、最初に菅野先生からいただいた、「は じめに」のところのことですが、それを24頁の(1)の生体への影響に関する研究のセカンドパラ グラフの「また」のところと、その上のパラグラフとの間に入れたいと思います。確かに今後の 検討課題ということで、菅野先生に見ていただきたいのです。  菅野先生からいただいたコメントを、私なりに解釈して考えましたのは、きちんとした形は修 文なりが必要だと思いますが、そこに「なお、ヒトへの外挿に当たってのリスク評価に際して、 アスベスト等の繊維状、粒子状物質のデータを参考にする必要がある」ということで、ナノマテ リアルに関しても従来の繊維状・粒子状物質のデータも参考にして将来リスク評価する必要があ るというような形の文章を入れたいと思います。  ですから、ここのところにリスク評価は将来重要ですよと。そのときのリスク評価に当たって は、今はアスベストを主として繊維状・粒子状物質のデータがありますので、そういうことも参 考にしてリスク評価しましょうというふうにしたいと思います。きちんとした文章は、篠崎さん から皆さんにメールで送っていただくことにしたいと思いますがよろしいですか。 (了承) ○福島座長 ありがとうございます。お蔭さまで順調に進んでいます。次は25頁の9行目の(3)の ところで、26頁の22行目まで説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 26頁の19行目のコメントですが、「また、漏れ率についても」の漏れ 率は、マスク着用時の漏れ率(防護係数の逆数)のことにも、フィルターの捕集効率の残り (=100-捕集効率)にも読めます。前者なら保護具着用時の漏れ率又は防護係数とする、後者な ら捕集効率とする、という明星委員からのご意見です。事務局としては、前者の保護具着用時の 面体と顔面との漏れ率のことではないかと思っておりますがそれでよろしいでしょうか。 ○田中委員 今のは、前者ということでよろしいかと思います。ただもう1つ付け加えるとすれ ば、とりわけ防じんマスク装着時の問題をここで取り上げているということですので、防じんマ スクの保護具着用時の漏れ率についても、通常の粉じんと、ナノマテリアルで異なる可能性があ るということで読めます。 ○福島座長 「防じんマスクの」というようなことを入れるほうがよりクリアになるということ ですね。 ○田中委員 わかりやすいと思います。 ○福島座長 よろしいのではないですか。ほかによろしければ次は、26頁の24行目の(4)です。 そこのところに関しては、27頁の(4)と(5)について説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 26頁の24行目の表題になりますけれども、「ナノマテリアルの譲渡提 供時の情報伝達の仕組みの整備」の「譲渡提供時の」というのを、「サプライチェーンでの」と 変えたらどうかというご意見です。「譲渡提供」というのは違和感があるということです。  実は、この「譲渡提供」という用語ですが、法律の第57条の2の条文で、譲渡するときとその 提供をするときということで、法令用語で使っておりますので、そういう関係でちょっと固い表 現ではありますが、「譲渡提供時の」ということで書かせていただいております。できましたら 「譲渡提供時の」のままのほうが正確な理解につながるのではないかと思っております。  27頁の1行目から4行目までのところですが、「同様に情報が伝達されることが必要であること から、ナノマテリアルについては事業者による自主的な対応を含め、MSDSへの反映などにより、 このような情報が確実に伝達されるよう仕組みを整備する必要がある」というところについて、 「同様に情報が伝達されることが望ましい」、それから「どのような情報を、どのように伝えて いくのが望ましいか、事業者による自主的な対応を含め、そのあり方や促進させる仕組みを検討 する必要がある」というふうに直すというご提案です。  ナノマテリアルに限らず、その物質の有害性等を鑑みて対策を講ずるに当たっては、どういう 物質であるかということがわからないと対策が講じられないわけです。川下のユーザーに、その 物質がこの場合であればナノ物質がどのぐらいのパーセンテージで含まれているかといったこと が伝わらないといけないということは、検討する余地のないことではないかと思うわけです。で すから、元のとおり「伝達される仕組みを整備することが必要である」ということでよろしいの ではないかと思います。  付け加えまして、MSDSの反映については「等」ということで入れておりますので、この「等」 というのはMSDSに限らず表示も含んでいます。ですから容器への表示、それからMSDSといったこ とにより、その物質がどういう物質であるか、ナノ物質を含んでいるのかいないのか、あるいは 全体がナノ物質なのかといったことが伝わることが必要であるということです。ですから、元の ままにしたいと思っています。  27頁の3行目から4行目にかけて、「MSDSへの反映等により、このような情報が確実に伝達され るよう仕組みを整備する必要がある」というのも、「検討する必要がある」に変えるということ ですけれども、これも今説明させていただいたことと同じで、予防的対策を円滑に講ずるに当た りましては、やはりその物質がどういうものであるかという情報が必要ですので、これは「検討 する」ということではなくて、「そういうことを整備する必要がある」ということでよろしいの ではないかと思います。  27頁の8行目の「全く新規の物質から成る場合」のところの文章ですが、「全く新規の物質か らなるナノサイズのものである場合」ということですが、7行目で「ナノマテリアル」と言って おりますので、「ナノサイズ」と言わなくてもいいと思っております。ご提案の括弧のところ で、「下記表現と合わせた」と書いてありますので、そちらの表現との整合を図る必要もあろう かと思いますので、どちらの書きぶりでもよろしいかと思います。 ○福島座長 (4)では何人かからご意見をいただいております。「譲渡提供時の」というのは法 律用語ということで、このまま使いたいということですがよろしいですか。これをいただいた庄 野委員からお願いいたします。 ○庄野委員 いま、我々は第57条の2を結構意識してその対応をしているわけでは必ずしもなく て、ご存じのようにMSDSが必要であれば、我々はボランティアにも出す必要があります。必ずし も法律を念頭に置いていなかったものですから、「譲渡提供」という言葉にはちょっと違和感を 感じた部分があります。  それから国際的に見てもそうですけれども、サプライチェーン全般にこういう情報伝達が必要 だというご時勢の中で、ここだけに「譲渡提供」というのは非常に違和感を感じます。我々のビ ジネスの範疇から見ますと、提供という言葉は売るということなのです。作業現場ということで 議論していくとそのようになるかもしれないのですが、もう少し広く見てもいいかなという意見 があります。必ずしもこだわるわけではないですから、それはそういう意見の中で議論させてい ただいているということだけご理解いただきたいと思います。 ○福島座長 ここに関しては、この言葉ということでいきたいと思います。27頁の1行目から4行 目に関してもいろいろご意見をいただいております。先程説明がありましたように、「検討す る」ということではなくて、「必要である」ということで書いておいたほうがいいだろうという ことです。蒲生先生、小川先生からいただいておりますけれども、その辺りはいかがですか。 ○蒲生委員 この報告書が、そもそも予防的にしろナノマテリアルの管理の取組みをしようとい う趣旨の話なので、そもそもそれが伝わらないというのは、意味がわからないというのはまさに おっしゃるとおりと思います。この報告書の趣旨としては当然「仕組みを整備していく必要があ る」という書き方だろうと思いました。  ただ、「MSDS」という話が非常に強くこの項目では出ています。確かに「等」とか、「自主的 な対応も含め」とか柔らかくは書いてあったのですが、私が読んだときに非常に固定的な対応が 要求されているのかというふうに受け止めましたのでこのコメントをしました。今の説明で表示 等も含め、幅広い対応があり得る、要は伝わればいいのだということでしたので、特には構わな いです。 ○福島座長 小川先生はいかがでしょうか。 ○小川(順)委員 同じです。 ○福島座長 そうしましたら、この記載でいきたいと思います。次は、27頁の(6)、28頁の(7)関 係府省等との連携のところまでの説明をお願いいたします。 ○庄野委員 恐縮ですがちょっと戻らせていただきます。27頁の8行目なのですが、今のお話で すと下記の表現に合わせていただいても結構かという表現をしていただいたのですが、そこは下 記の表現と合わせていただいたほうがよろしいかと思います。ご異存がなければそうしていただ ければと思います。 ○福島座長 すみません、忘れていました。わかりやすくするということで、庄野委員からあっ たような形にしたいと思いますので、事務局のほうでよろしくお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○福島座長 27頁の(6)ナノマテリアルに関する情報の収集及び提供、(7)関係府省等との連携の 説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 27頁の32行目から35行目までです。リスクアセスメントについて適切 に行われるよう、「国は好事例の収集、公表に努め、本規定の周知徹底を一層図る必要がある」 と書いてあります。いただいたご意見は、先程ご検討いただいたこととダブリますけれども、第 28条の2で、リスクアセスメントについては広く徹底されることが書かれていますので、それに ついてはよろしいかと思います。  「好事例の収集等」については、事業場のご協力がなければできないものですので、ご協力を いただいて実施することになります。そういう意味で、必ず実施できるという記述ができるわけ ではありません。現在の記述内容で、リスクアセスメントが一般的に求められていることから鑑 みるとよろしいのではないかと思います。 ○福島座長 事務局から説明がありましたが、コメントされた蒲生先生はいかがですか。 ○蒲生委員 先程と同じですので構わないです。 ○福島座長 ほかの先生もよろしければ、このままの表現にしたいと思います。(7)については ご意見はいただいておりません。最後に28頁の第5部「おわりに」の説明をお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 28頁の15行目の「未知の部分が多く、従来から実施されている労働災 害防止の対策だけでは対処が難しい面がある」という文章を、「未知の部分が多く、その製造、 取扱い等に従事する労働者の健康障害の未然防止については十分に検討する必要がある。従来か ら実施されている労働災害防止の対策だけでは対処が難しい面がある」(従来から実施されてい る労働災害防止の対策だけでは対処が難しい面があるの部分はできれば削除願いたいが、「対処 はこんなことが考えられる」のほうがリーズナブル)というご意見です。  ここで「対処がこんなことが考えられる」という書きぶりがどんなふうに反映したらいいのか わからない部分があります。ここで示していただいた文章ですと、なんとなく文章が途切れてし まうような感触を受けるところです。元の文章のままでもいいのではないかと思いますけれど も、もし差し支えがあるのであれば、元の文章の15行目の途中からですけれども、「従来から実 施されている労働災害防止の対策だけでは対処が難しい面がある」というところを削除して、 「その特性をはじめとして未知の部分が多い」で切り、「本報告書ではナノマテリアルに関する 知見が十分でない状況の下で」ということで続けていってもいいかと思っていますのでよろしく お願いいたします。 ○福島座長 このご意見をいただいた庄野委員から、説明に対するコメントをいただけますか。 ○庄野委員 基本的にはそれで結構だと思います。 ○福島座長 それで結構かと思うというのは、最後に言われたことですか。 ○庄野委員 そうです。 ○福島座長 15行目の「未知の部分が多く」というところと、それから「従来から」云々のとこ ろを削除して、「その特性」云々というところですか。 ○庄野委員 そうです。それで結構かと思います。別にここはこだわるわけではありません。こ れは「おわりに」の部分ですし、基本的には今の考え方で特に異存はありません。 ○福島座長 「おわりに」というところは、ある面では非常に重要でありますので、最後に今の ご提案をもう一度確認させてください。 ○化学物質対策課企画官 28頁の14行目から読みます。「人に対する有害性が明らかでない化学 物質であるナノマテリアルは、その特性を始めとして未知の部分が多い。本報告書では、ナノマ テリアルに関する知見が十分でない状況の下で、予防的アプローチから検討を行い」で続けてい きます。 ○福島座長 はい、結構です、これでよろしいですね。ありがとうございました。全体を通して ここはというところはありますか。 (特に発言なし) ○福島座長 この報告書(案)についてご議論していただきました。本日いただきましたご意見 をもう一度事務局で整理していただきます。内容的にはこれでフィックス、後は言葉の問題にな ると思います。作っていただいたものをメールで先生方にお送りしていただいて、チェックして いただいて、また返送していただきます。申し上げますけれども、本報告書の内容に関してはこ れで決定にいたします。これからの予定を事務局からお願いいたします。 ○化学物質対策課企画官 先程の議論の中で検討課題になりました、例えばマスクのところの書 きぶりでありますとか、菅野先生ご提案の書きぶりであるとか、その辺も気をつけて直します。 今、座長が言われましたように、一度直したものを先生方にお送りいたしますので、そこで書き ぶりをもう一度チェックしていただきます。そのご意見を踏まえて座長にもう一度見ていただい て確定版とさせていただきたいと思いますがそれでよろしいですか。 ○福島座長 それでよろしいですね。 ○化学物質対策課企画官 ありがとうございました。活発なご議論をいただきまして大変助かり ました。本日の議事録は毎回同じように、委員にご確認いただいた上で、後日公開させていただ きますのでよろしくお願いいたします。報告書のほうは、取りまとまった段階で記者発表といい ますか、公表することになります。  その後の予定といたしましては、検討会の報告書の内容を、2月に発出いたしました通達に反 映させていきたいと思っております。最後に、事務局を代表いたしまして、金子労働基準局長よ りご挨拶を申し上げます。 ○労働基準局長 労働基準局長の金子です。本日は途中から出席させていただきまして大変恐縮 でございました。委員の先生方には大変ご熱心にご討議いただきまして、おまとめいただきまし たことにつきまして一言御礼を申し上げます。  ナノマテリアルの健康影響に関しましては、この2月に通達を発出させていただきました。こ れは、まさに予防的アプローチということで、さらに具体的な管理方法等についてご検討いただ くということで、この3月から9回にわたって大変ご熱心なご検討をいただきました。我々といた しましては、この報告書を受け、さらにナノマテリアルに関します対策の推進を進めてまいりた いと思っております。今後ともご指導、ご協力を賜りますよう御礼を申し上げまして、これまで の先生方のご労苦につきまして重ねて御礼申し上げまして挨拶とさせていただきます。ありがと うございました。 ○化学物質対策課企画官 以上です。どうもありがとうございました。 ○福島座長 9回の検討会をこれで終了いたしますが、私からも先生方に御礼申し上げます。こ の報告書がさらに活かせるようになればと思っております。どうもありがとうございました。 照会先                                     厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課                電話03-5253-1111(内線5510・5514)