08/10/30 第57回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第57回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年10月30日(木)午後2時00分から午後5時00分まで   航空会館7階 大ホール 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大森、沖藤、小島、勝田、川合、神田(代理: 小島参考人)、木村、久保田、齊藤、武久、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、中田、  三上、村川、矢田(代理:森田参考人)、山本の各委員、堀田専門委員 3 議題  <審議事項>  1.平成21年度介護報酬改定について(居宅系サービス)  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、時間より若干早いが、委員の先生方おそろいのようなので、第57回「社会保障審議 会介護給付費分科会」を開催させていただく。  初めに、本日の委員の御出欠の状況だが、大島委員が御欠席との御連絡をいただいている。また、 石川委員からは所用により遅れて到着される。  本日は、神田委員に代わり小島参考人、矢田委員に代わり森田参考人に御出席いただいている。 したがって、23名の委員の先生方に御出席いただいているので、過半数に達するということを御報 告させていただく。  また、堀田専門委員には前回に引き続き御出席いただいている。  それでは、以降の進行を大森分科会長の方でお願する。 (大森分科会長)  それでは、始めさせていただく。 資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料の確認をさせていただく。  議事次第、委員名簿、座席表などの後に資料となっている。  資料1は、資料1−1と資料1−2がある。  資料1−1が「介護保険サービスの動向に関する資料」。これは概略をまとめた資料である。  資料1−2は、従来から示している「平成21年度介護報酬改定の視点(例)」。以前と比べ、若 干加えた部分がある。  資料2の部分が、今日御議論いただく個別のサービスについての議論である。  資料2−1が「訪問介護について」。これには別とじで別紙という縦長の紙がある。  資料2−2が「訪問入浴介護について」。  資料2−3が「通所介護について」。  資料2−4が「療養通所介護について」。  資料2−5が「通所リハビリテーションについて」。  資料2−6が「訪問リハビリテーションについて」。  資料2−7が「訪問看護について」。  資料2−8が「事業所評価加算について」ということで、資料2のところが事務局から提出させ ていただいた個別サービスの資料である。  これに参考資料があり、参考資料1。これは未定稿であるが、前回、前々回で先生方から御議論 いただいた御意見を事務局の方でまとめさせていただいたものである。まだ未定稿なので、ここが 足りない、もしくはここが間違っているということであれば、また事務局の方にお知らせいただけ ればと思う。  参考資料2。これは前回、田中雅子委員の方から御要望のあった、介護福祉士資格の習得過程の 細かい事業数のコマ割りである。  参考資料3。これは社会保障国民会議のシミュレーションの資料で、これも後でお時間のあると きにごらんいただきたいと思うが、そこの9ページをごらんいただくと、現段階、2007年で家庭 と一般病床、それから、その他の施設の関係でどのぐらい出入りがあるのかということがこの中に 書かれている。  そのほか、配付のみということでだが、委員の先生方から出していただいている。  まず、石川委員から「介護報酬に関する意見」と、市長会の方でまとめていただいた調査がある。  稲葉委員の方から「介護報酬見直しに係る要望事項」ということで、民間介護事業推進委員会か ら。  3番目は、沖藤委員の方から「介護報酬改定について 住み慣れた我が家で人生を全うするため に」。これは前回提出いただいた資料の改編版である。  勝田委員から、認知症の人と家族の会の「提言・私たちが期待する介護保険 認知症があっても 安心して暮らせる社会に向けて」である。  部数の制限があり、このオレンジ色の冊子と緑色の冊子は机上配付のみとさせていただく。  最後は池主委員から「次期介護報酬改定に向けた意見書」ということで、意見書をいただいてい る。  以上が資料である。もし過不足等があれば、事務局の方にお願いする。 (大森分科会長)  よろしいか。  資料が大部であるが、前回と同じように一括して、今日は居宅サービスのその1であり、次回が その2である。今日、お手元にある資料に即して、現状と幾つかについてお話し申し上げて御意見 を交わしていただくということになっている。  全体を通じて、報告は約1時間程度かかるだろう。恐縮だが、辛抱してお聞きいただき、そして、 休憩をして、その後、約2時間、例のように質疑をいたしたいと思う。  それでは、早速お願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料1−1及び資料1−2について説明    ○土生振興課長より資料2−1、資料2−2、資料2−3について説明    ○ 鈴木老人保健課長より資料2−4、資料2−5、資料2−6、資料2−7、資料2−8につい  て説明 (大森分科会長)  全般の説明は終わりである。  それでは、間もなく15時であるので、10分程度休憩して再開する。 (休 憩) (大森分科会長)  それでは、そろそろ再開するので、よろしくお願いする。  お聞き取りいただいたように、個別サービスについて、これから順次、こういうふうにして、全 体がどうなっていて、今までどういう視点が出ていて、それから、どういうことを私どもとしては 論点として検討しなければいけないかという、全体がそういう整理になっていまして、主として皆 さん方から御意見を伺いたいのは、論点として出ていて、来年度に向かい改定するときに、こうい う点が検討事項になるものではないかというようなことが示唆され、そういうようなことについて お気づきの点があれば出していただくということだろうと思うし、それから、膨大なものであるの で、いろいろ資料的なことで御意見や御注文があるかもしれない。何なりと結構である。  いつものとおり、全員が発言しないと、この会議は終わらないので、前からお願いしているが、 その後に発言する人がおいでになることを念頭に置きつつ御発言いただければ幸いであると思う。  どのサービス項目からでも結構なので、御発言を求める。どうぞ。  それでは、三上さんからお願いする。 (三上委員)  個別の問題を申し上げる前に、今日の『読売新聞』にリハビリ強化の問題、本日、ここで審議を する内容がまたリークをされて掲載されていた。既成事実のような形になるということで、前回も 一度、申し上げたが、今後、そういうことがないように事務局には留意していただきたいと申し上 げたい。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  これは、事務局以外からは漏れないだろう。 (鈴木老人保健課長)  予断を与えることがないように、重々、我々の方も情報を管理したいと思う。 (大森分科会長)  新聞は1日前に抜きたいとねらっているので、私どもも含めて注意していただきたい。この会議 でこそ今日のようなことが出されて御意見を伺うことになっているものであるから、重々、お気を つけていただきたいと思う。よろしくお願いする。  それでは、稲葉さん、お願いする。 (稲葉委員)  本日は資料を用意させていただいた。先ほどまで御説明いただきましたものと関連するようなも のである。「介護報酬見直しに係る要望事項」というタイトルでまとめている。そちらをごらんい ただきたいと思う。  まず、これは「1.総論」と、2ページ以降の「2.民間介護事業者に共通した要望事項」の2 項から成り立っている。  「1.総論」についてだが、これはさきの介護事業経営実態調査の結果から見ても、過去2回に わたる介護報酬改定の結果として、現在の経営状況の厳しい実態は、既に経営努力だけでは限界に 達しつつあるし、介護報酬の引き上げを強く求めるところであるが、処遇改善を介護報酬の引き上 げだけに求めることには限界があると思う。そこで、介護報酬の上昇は給付額の増加に直結し、国 民の保険料負担の増、サービス利用料負担の増としてはね返ってしまうことになる。  そこで「介護報酬」の引き上げによる事業収支バランスの確保は、対症的対処方法であるという ことだが、生産性の向上による収支バランスの確保は、事業者が自らの効率化努力によって持続的 に獲得していく長期的・抜本的対処方法と言える。このような事業者の効率化努力を促進する発想 を持った制度運用こそが、政府の推進する財政再建の視点からも、今、求められているのではない かと思う。  事業者の活力とコストコントロール機能が働く、事業の効率的運営による収支バランスの確保が、 今、重要なことであると感じている。  それでは、2ページ目以降をごらんいただきたい。この中では「(1)各サービス共通の事項」、 「(2)訪問介護サービスに関する要望事項」及び「(3)居宅介護支援サービスに関する要望事項」 の3点から成っている。  まず「(1)各サービス共通の事項」だが、良質なサービスを安定的に提供できるように、専門 性の高い人材の確保及びサービスの提供に必要なコストを適正に評価した介護報酬としていただ きたいと思う。  「理由」としては、この制度では、人員、設備及び運営に関する基準に定められたサービスを国 民に提供することを保障しており、事業者はその提供体制を維持するとともに、質の向上に努める ことが責務となっている。そのために、専門性の高い人材の確保やスキルアップ及び事業運営の効 率化が求められるのであり、こうした人材の確保・育成に係るコストを適正に評価し、これに見合 う介護報酬の水準となるように見直していただきたいと思う。  もう一つが、介護サービスの提供に当たっては、給与水準の差及び中山間地域等でのサービス提 供の非効率性など、これらを介護報酬に反映していただきたいと考えている。  次に「(2)訪問介護サービスに関する要望事項」だが、まず(1)、サービス提供責任者の業務の 重要性に鑑み、その介護報酬上の評価をしていただきたいこと及び効率的な運用や非常勤職員の登 用ができるような配置基準等を見直していただきたいと考える。  サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成し、利用申し込みの調整、サービス担当者会議への 出席、訪問介護員等の管理などその責務は重く、人材配置基準も厳しくなっている。しかし、現在 の報酬体系の中ではその確保が難しいということで、サービス提供責任者の十分な配置が可能にな るような報酬の引き上げを図っていただきたい。これが1点。  また、サービス提供責任者は、今、要件として、常勤であることが規定されている。優秀な人材 であれば非常勤職員であってもサービス提供責任者の責務を十分に担えると考える。現在、訪問介 護員の6割が非常勤であることから、その優秀な人材の選択肢は広がると思う。  例えば、ケアマネジャーの人員配置基準は必ずしも常勤とはなっていない。担当する件数に応じ て、週に40時間働く方がいたり、20時間の方がいたり、それで質を落とさずに十分にできている という現状もある。このサービス提供責任者であっても、限られた労働時間の中で必要な、十分な 件数を担うということで、サービス提供責任者となり得るのではないかと思うので、現行の人員配 置基準の緩和を図られることを要望する。  もう一点、特定事業所加算の算定要件を緩和していただきたい。そして、利用者の負担軽減策を 講じていただきたい。  先ほどの資料の御説明の中にも特定事業所加算の説明があった。やはり、この要件を満たしてい れば質が高いということに対して共感が得られていないことが一つ、一番大きいのではないか。そ れから、加算が発生すると利用者の負担が増え、利用限度額にも抵触する可能性もあること。価格 の競争力が事業者に低下してしまうということ。そして、要件のハードルが高く、まだ一部の事業 所しか実現できていないこと。これらの原因が考えられる。これらの原因によって、ほとんどの事 業所が、せっかく設けられた、この加算制度であるが、その恩恵を受けられずに事業を行っている という現状なので、これらの原因に対応できる見直しが図られるべきと考える。  最後に「(3)居宅介護支援サービスに関する要望事項」で2点申し上げる。  まず、介護報酬を大幅に引き上げていただきたい。これは実態調査でも明らかになったように、 収支差率は大幅なマイナスとなっている。他の介護サービスと比較しても突出している。健全な事 業所運営が図られるように介護報酬の大幅な引き上げを是非検討していただきたいというところ が1点である。  もう一点は、特定事業所集中減算について、これは廃止を含めて見直しをしていただきたいとい うことである。これは居宅介護支援事業所の公正中立性を確保するため特定事業所に集中すること を回避することが目的でつくられた制度であるが、現行制度の運用では、良質な事業所の利用にも 制限がかかることになり、努力をした事業所が報われない現象も起きている。  また、利用者がサービス水準の高い良質な事業所を求めることは当然のことであり、こうした介 護保険の基本理念である利用者の選択を損ないかねない。したがって、廃止を含めて見直していた だきたいと思う。  本日の要望としては以上である。  ただ、今後、この分科会での審議が進み、具体的に給付額及び基準の見直し等、骨子が検討され ていく段階で、また具体的な数値を含めた要望やあるべき提言を再度提出させていただきたいとも 考えている。どうぞよろしくお願いする。   (大森分科会長)  それでは、田中雅子委員、お願いする。 (田中(雅)委員)  訪問介護についてお話をさせていただきたいと思う。  まず1点目、3級訪問介護員の継続に対して、更に3年間延長の経過措置を設けてはどうかとい うような論点があるが、3級訪問介護員の就労については、これまで、この分科会において減算と いう対応を取ってきた。1割〜3割という形にしたが、しかし、そのときも既に期限を切っており、 平成21年3月までというのは周知の事実だったと思う。  そういう意味において、600人余りの方々が今もなお就労されているから、その方々の生活権の 保障は、当然、私は働いている人たちの生活権の保障は当たり前だと思うが、これまでそういった、 この分科会で決められたことに対する周知徹底を国の方としてきちんとやらなかった、あるいは事 業者自身がそのことについて真剣に取り組まなかった結果であろうと思っている。勿論、働いてい る方々の生活権の保障という問題は大変重要であるが、今の時点で申し上げたいのは、少なくとも 来年3月まで2級の訪問介護員の講習会を修了していただくという措置を取ることも可能であっ て、そういった方々が減算されることなく働くような環境をつくることの方が大事ではないかと思 う。  それから、サービス提供責任者の方に対する、これも常勤ではない方たちの緩和ということも提 案されているが、サービス提供責任者は、これまで常勤であることによって訪問介護計画の作成や、 あるいはサービス予定表の作成、業務管理、そして、何よりも訪問介護員の方々の指導・教育とい った重要かつ大量の業務をこなしてきた。勿論、そのことはサービス提供責任者の方々の労働の過 重という問題にもつながっているが、常勤であることによって円滑に進めている。また、利用者に とっても、常勤で進めたことによって、いつでも相談できる、あるいはいつでも、何かあったとき に来ていただけるという安心が提供できたと思っているが、これは、今、このように提案されてい る形の、常勤ではない方たちが就労することによって、これまでの利用者の方々の安心の保障、す なわち、在宅で暮らし続ける、あるいはだれかに相談できる安心というものは本当に確保できるの かについては大変懸念するところである。  併せて、質の確保ということを前提とされているが、具体的にはどのような形で質を確保してい るのかという点について、これは見解を示していただきたい。  もう一点であるが、これも資料2−1「訪問介護について」の18ページにある「(2)特定事業 所加算の見直しについて」であるが、この加算の見直しの一つの視点として「利用者側の視点に立 った要件の見直し」という形が示しているが、具体的にはどのようなものをお考えなのかについて、 是非、お聞かせ願いたいと思っている。  今のところは以上である。 (大森分科会長)  それでは、前の2つは御意見だが、最後のところでお答えをお願いしたい。 (土生振興課長)  まだ私ども、いろいろな角度から検討をしていきたいと思うが、今もお話に出ましたように、サ ービス提供責任者の方が常におられることでいつでも連絡が取れることが利用者の安心につなが っているというお話もあった。そうしたことで、例えば緊急時にもそうした連絡対応ができるよう なことを何らかの形で要件にすることが考えられるのではないかということであるが、更に検討を 進めたいと思うし、また、この場でもさまざまな御意見を賜りたいと考えている。 (大森分科会長)  それでは、川合さん、お願いする。 (川合委員)  数点お話しさせていただきたいと思う。  まず、資料にのっとっていくと、資料1−2の「視点」、毎回出していただいている、かなり行 が増えてきたが、最終的の5番のアンダーラインの引いている下から3行目「要介護状態の維持・ 改善を評価する事業所評価加算について」というものが、殊更、アンダーラインを付けていただい ている。私は、本当にありがたい。昔日の感があると思っている。今まで成功報酬じみたものは出 さないというふうな論評だった。あるいは医療側から、成功報酬というものは、よくして当たり前 なんだというふうな評価だった。  しかし、高齢で生理的にも衰えてきている人たちを、あるエピソードが起こって障害になった状 態で、ましてや今では医療も含まれているような状態で老健に入ってこられた方々が大変である。 我々は、この介護保険ができる以前から主張してきたが、ほうっておいても悪くなる人たちをほう っておけ。その方が要介護度が高くなり、療養費が高くなって収入が上がるのだというふうな仕組 みはおかしいということをずっと主張してきた。その点について、維持でも評価するということは さすがだというふうに感謝している。それがまず、総論の1点目である。  2点目で、資料2−4。皆さん、資料2−4を見ていただきたい。一番最後のページである。こ れは少しおかしいと思われないか。前々から我々が主張していたところだが、通所介護の6時間以 上8時間未満が、要介護4、要介護5で1,013単位、1,125単位あるにもかかわらず、老人保健施 設の短期入所のフルタイム、24時間で987単位、1,040単位しかないというふうなことをよく勇気 を出して資料として出していただいたと感謝している。こういう矛盾がある。  その次が、通所リハビリテーション。資料2−5である。  これは、まず総論的に担当課長もおっしゃったように、医療保険でできているところと、介護保 険でできているところが、今、複雑にかみ合っているので、これを整理するという論点に立ってい ただいた。そういう趣旨で発言していただいたということは、細かいことは申さないが、本当に感 謝している。  だが、9ページを見ていただきたい。大規模減算で、900回以上は平成18年の介護報酬改定で、 ほら、ごらん、これだけ下がっただろう。手を付けていない751回〜900回までのところが突出し て上がっている。これはまさか、だから、ここを削るのだという論法になるのではないか。それは 少しおかしい。出っ張っているところを平均化するなら、最初からまっ平らになる様な仕組みにし ておいたらいい。  当然のこととして、900回をしようと思ったら、人員要件があるわけだから、厚く配置しておる わけである。もし、これを削るというのであるならば、なだらかなカーブにしていただけないかと 思う。それが通所リハの2点目である。  もう一度、資料2−4の療養通所介護のところで、3ページの、これも杞憂であることを祈るが、 先ほどの説明で、5人のところで待機者が2.8人もいるから、正確にはおっしゃられなかったが、 ここを少し拡大してはどうか。今から10年前、本庁は保険医1人が1年間に1億円の保険需要を 喚起するんだ。だから、医者を減らさなければならないというふうな論法があったと聞いておりま す。それで、今、医者がいない。小児科、産婦人科を中心にして、今、救急医がいないという論法 であるならば、こういうデータでもって、だから、8人にするんだというふうな同じ論法でないこ とを保証していただきたい。  いろんなところで言いたいことは山ほどあるが、控えさせていただく。   (大森分科会長)  鈴木課長、今のことでわかりやすくお願する。 (鈴木老人保健課長)  最後のところだと思うが、療養通所介護について、例えば3ページで、5名の定員のところで約 2.8名待機しておる方がおられるということだが、ページ数が書いていなくて恐縮だが、後ろの参 考資料の1つ目「平成18年介護報酬改定」と書いてあるが、ここをごらんいただくと、従事者が 1.5対1になっている。だから、当然、関わる人が増えれば従事していただく方は増えることにな るので、川合会長がおっしゃった医師不足との関係がよくわからなかった。 (川合委員)  わからないのは当然のことで、申し訳なかった。いろいろ説明されるときに、だから、こうなん だという説明は、10年後にはかなり違っている。そういうところを御理解いただいて資料をお願い したいという趣旨だけであり、全般的には、今日はよくこういうものを、しかも、先ほど言った点 数が、ショートの方がデイよりも短いというのを勇気を持って出していただいたことは感謝する。 (大森分科会長)  人も変わり、世の中も変わり、厚労省も変わる、政府も変わるということだと私は理解している。  それでは、小島さん、お願いする。 (小島委員)  私も3点ほど、資料を基に意見を述べさせていただく。  まず、今回の居宅系のサービスについて、これまでも言ってきたが、やはり今回の介護報酬改定 に当たっての視点としては、2つぐらいの視点から見直しが必要だろうと思う。  1つは、これまでも何回も言っているが、この前の通常国会で、国会の意思として示された介護 従事者処遇改善法の趣旨に沿った報酬改定、言わば介護従事者の賃金、処遇の改善という視点が必 要だろう。それと、介護医療サービスの切れ目ない提供ということで、訪問介護、訪問看護、通所 リハビリ、あるいは訪問リハビリといったような居住系サービスの充実に資するような改定が必要 だと思っている。  具体的には、資料2−1の訪問介護18ページの「具体的な論点」で書かれている、訪問介護の 短時間、頻回訪問、あるいは夜間訪問介護といったような観点を踏まえた検討という指摘であるが、 これは経営の安定化を図る必要があるというような、経営の安定化という視点もあるが、やはり、 そこで働いているヘルパー、従事者等の処遇改善といったような視点も含めて、この短時間介護の 在り方も検討すべきではないかと思っている。  前の方に出ているデータの中では、30分未満の訪問介護が中・重度者のところで増えているとい うデータがある。その30分未満のサービスの具体的内容については、もう少し分析が必要である と思っているが、そういう観点から言った場合に、この短時間のサービス提供について設定してい くということ。これは利用者のニーズから出てくるか、あるいはサービス事業者の報酬の観点から 出るかというのは、その辺はもう少し分析の必要があると思う。利用者のニーズということであれ ば、そこを十分に対応できるような手当てがつくれるような、短時間の訪問介護といったようなこ とも検討するべきではないかと思っている。それが1点である。  それと、次の19ページでのサービス提供責任者の配置基準の見直しについて、これは常勤の要 件を緩和してはどうかということであるが、基本原則は常勤だろうと思う。やはり、そこの原則・ 原理は崩すべきではない。サービス提供責任者の役割をもう一度確認しておく必要がある。サービ スの質の確保なり、利用者の安心の確保という観点から責任者が配置されているということをもう 一度確認をして、その役割に対応した報酬の評価というものが可能かどうかも検討すべきではない かと思う。  だから、事業所のサービス量が増えていくと、複数の提供責任者を配置することになるので、複 数の責任者がいた場合に、それらを統括するような主任サービス提供責任者といったものを少し検 討することで、そこに報酬を評価する。そういうものを少し検討したらどうかと思う。それが訪問 介護についてである。  あと、これは資料2−4の療養通所介護のところで、これは現在、サービスを提供してくれる事 業者数は49ぐらいしかない、少ないということで、データでは待機者が出ているということで、 7ページの論点にある、定員要件の5名という要件の見直しを言っている。ここは先ほども議論に なったが、人員配置基準をきちっと前提にした上での定数の見直し、5人以上増やすということは、 当面の、待機者対策としては必要。そういうことも検討するべきではないかと思う。  もう一つは、面積基準の見直しである。現在の基準と、参考に介護療養型医療施設の面積基準が 1人当たり6.4平方メートルということが書かれているが、現在の1人8.0平方メートルを引き下げるということはどう かなと思う。間もなく、介護療養病床が廃止されるということなので、そのなくなるものを基準に するのはいかがなものかと思う。確かに通所とあるので、ずっとそこに生活する場ではないという ことはあるが、やはり療養環境の点も含めて、ここは利用者の、環境というか、療養というものを 踏まえた点が必要ではないかと思う。  最後にもう一つ、これは資料2−8である。事業所評価加算についての考え方である。先ほど課 長から説明があったように、これは介護予防通所介護、あるいは介護予防通所リハビリの状態改善 に対する評価ということだが、実際にこれができるというのは極めて少ないということだ。論点に もあるように、状態維持も評価したらどうかということなので、この1ページにあるような数式の 中に維持というものをどういうぐらい比重を置くかということはあると思うが、状態維持について も一定評価ができるような評価加算についても検討をすべきではないかと思う。  とりあえず、ここは今回新しく入れたところなので、当面、これは継続していくという形で、今、 言ったような維持状態についての評価の在り方についても検討をすべきではないかと思う。  とりあえず、以上である。   (大森分科会長)  療養通所介護は、私の理解と違っていたが、なくなることはないであろう。 (鈴木老人保健課長)  なくなるという意味ではない。 (大森分科会長)  面積のことはわかりにくかったようだから、もう一度お願いする。 (鈴木老人保健課長)  今の御指摘もあったが、療養通所介護の資料2−4の中で、面積の関係が4ページにあるが、療 養通所介護、色が付いているところ、1人当たり面積要件が8平方メートル以上になっている。療養通所介護 に来てもらえる方は、平均的な要介護が4.3ということで、非常に重い方が多い。翻って参考とさ せていただいたのは、療養型の病床と老人保健施設だが、6.4平方メートル以上、8平方メートル以上とそれぞれなって いるが、平均要介護度は療養型で4.25、老人保健施設で3.18ということであるから、他の施設の サービスの面積要件も参考にすると、8平方メートルが妥当であるか。それとも2ページ目、基本的に4、5 の人が中心になって、特に61.8%が要介護5であるということを考えると、御自分で歩き回られる とか、そこで生活をされるわけではないので、8平方メートルということよりは療養病床で今、求めている6.4 平方メートルということも考えていいのではないかということで提案させていただいている。 (大森分科会長)  そういうことである。 (小島委員)  わかった。 (大森分科会長)  今のことか。どうぞ。 (川合委員)  今、座長がうまくとりなしていただいたので、私がこれ以上発言するべきではないということを 理解しているが、私、経営者の方々とも労働組合ともけんかをするつもりはまるっきりない。しか し、笑いながら療養病床がなくなることを、6.4平方メートルで例に出されるのは、不謹慎極まりないと思う。 (大森分科会長)  まあ、抑えていただきたい。小島さんがおっしゃったことがないと思うので。 (小島委員)  誤解がないように言っておくと、別にすぐになくなるというわけではなくて、既に介護保険の前 回の改正の中で、介護適用の療養病床について、平成23年度には介護保険からは適用を外すとい うことになっている。そのことを言っているので、今すぐなくすとか、なくなるという話ではなく て、一応法律ではそうなっているということを言っている。 (大森分科会長)  武久先生、どうぞ。 (武久委員)  介護療養型医療施設を病院でなくして、介護保険施設の方へ、いわゆる老健的な施設に移行する ということは、法律である程度ばたばたと強制的に決められて、それを既成事実のように喧騒宣伝 されているが、現実の状態として、前にもお出ししたように、介護療養型医療施設では、かなり重 い患者さんを診ているので、これをそのまま介護療養型老健へ移すことは不可能だということをお 話ししたように、これからまだ紆余曲折あると思っているし、平成17年度の暮れにばたばたと慌 てて唐突に、拙速に決まったいろんな高齢者施策が、このままずっと続くとは思っていない。  そういうことで、法律が通ったことから、もうこういうふうになっているのだという考え方をし ていないので、やはりこれは国民がそのときの、先ほど分科会長が言ったように、人も変われば状 況も変わるのだから、そういうときには、我々としてはこういうことを誠実にやっているから、こ ういう病床は必要だということを認めてもらうために毎日頑張っているところである。 (大森分科会長)  施設のことは、また別途日を改めて議論する。  申し訳ないが、山本会長がどうしてもおっしゃって、御退席なので、会長から御発言いただきた い。 (山本委員)  最初に、今日、私どもが町村会で会議をした。介護報酬が上がることに対しては、余り皆さん賛 成しない。これが同時に保険料が上がっていくようになると、全く賛成できないという意向なので、 この前も私が申し上げたように、町村長は1,000人しかいないから、一人ひとりのところに回って 説得していただきたい。それだけ最初に申し上げておく。  だからといって、この資料に基づいたことについての意見は言っておく必要があるということで すので、何枚かあるから聞いていただきたい。  訪問介護のところだが、これについては夜間の訪問介護を推進するということはコストアップに なる。もう御承知のとおりだから、その辺りは余り歓迎できないやり方ではないかと思う。だから といって夜間をやめろというわけではなくて、これを多くすることには問題があると思う。  短時間の訪問介護で、1時間半あるならば、それを3回に分けて行くというやり方をすることは、 これもかえってサービスの低下になってしまうので、そこら辺りも検討しておく必要があると思う。  特定事業所のところは、私どもは余り関係ないから申し上げない。  サービス提供責任者の評価についてということで、重要な業務の評価というのはわかるが、その 重要性を考えると、非常勤としてよいのかという疑問が残る。それは提案されているところですか ら検討していただきたい。非常勤の人でいいのかということが懸念される。  3級ヘルパーの経過措置について今日説明があった。これも前からわかっているのに、何で今ご ろ出すのか。これは理解できない。言っていることとやっていることが違う。これは何で言うのか。 言い間違いというのか。あなた方の方で言ったことであろう。3級はだめですよと言ったにもかか わらず、3級の経過措置はかくのごとくであると言って、これはどうかと思う。もう少し検討して いただきたい。  次に訪問入浴である。私も経験がある。最初に私の町で導入したときに、自分でやったことがあ る。私もそれに付いていって、どういうものかと思っていたが、かなり費用がかかる。人手がたく さんかかる。慣れると早くなるが、余り慣れ過ぎて台の上に乗せた人を下に落とした。これは犯罪 であり、それは処罰された。人の手がたくさん要るということである。だから、3人も4人もかか ったらもったいないじゃないかと、1人でやったらどうだということを考えるものだから事故を起 こす。事故の責任は取らなければならない。それは見逃せないので、これは十分検討して、上は何 人、下は何人、そこから何人までということをきちんと決めてやっていただいた方がかえって安全 ではないか。事故を起こしたのでは責任を取っていただけないと思う。そこをお願いする。  次に訪問看護だが、褥瘡は介護特有のものでするが、それを介護保険で対応すべきサービスなの か、医療保険で対応すべきものなのかがよくわからない。利用者の方がわからない、我々がわかる のではない。これをもう少し明確にしてあげる方がいいのではないか。我々が実施しているうちに こういうものがあると、何だろうと、相手の人、いわゆる患者さんや介護を受ける方たちが疑問に 思うようなことがある。だから、この辺ははっきりした方がいいと思う。  あと2つぐらい聞いていただきたい。リハビリテーションだが、医療保険と訪問看護と同じよう に、営業時間に合わせた評価方法を検討するということである。だから、1日を1単位と設定した 方が、実際にやるところはやりやすい。単位を検討して、できなければそれで構わないが、いずれ にしても1日を1単位と考えていただければと思う。  通所介護のことだが、これは報酬体系については、経営の実態に即した見直しが必要だと思う。 訪問系のサービスとして比較した場合、人員確保が容易であることなどを考慮すれば、このキャリ アアップ等に対する特段の配慮はなくてもいいのではと思う。どう思うか検討してみていただきた い。  通所リハビリテーションのことだが、これは経営実態に合った報酬改定が必要である。  最後になるが、事業所の評価加算であるが、加算の設定の継続についてだが、他の加算もそうで あるが、加算したために支給限度額を超えるケースが発生している。特に介護予防の通所介護、介 護予防の通所リハビリテーションについては、月の定額の料金設定のために調整がやりにくいとい うことである。だから、そこら辺りを検討しておいていただきたい。  町村長の皆さんは、代表の人たちばかりだが、今回の介護報酬が上がり、これが保険料に跳ね返 ってきた場合は、私どもは承知できないということを言われたので、これが一番大事なことだと思 うので、十分配慮していただきたい。  ただ、では当該年度だけ、何らかの形で国の方が負担しようと言っていただくのはありがたいこ とだが、しかし、その年だけはそのようにしても、その翌年がある。その翌年もある。その分を負 担することはとてもできないと思うので、そこら辺りを十分考えておいていただきたい。どうして も実施するなら、町村長は1,000人しかいないから、その一人ひとりに説明して納得させていただ きたい。それを申し上げるために私は今日は出てきたので、ひとつよろしくお願いする。 (大森分科会長)  勝田委員、どうぞ。 (勝田委員)  本日、委員の方々には、ピンク色の調査報告書、認知症があっても安心して暮らせる社会の提言 に向けてということで、これは私どもの介護中の家族の生の声、959件の生の声を集めたものであ る。  そして、この集めたものを、私どもの提言としてまとめさせていただいた。委員以外の方々につ いては、今日、4ページの用紙を配付させていただいた。  その中で、特に具体的な提案については、この緑色の冊子に、これは具体的な提案について、全 国の事例をまとめたものがこの冊子である。  私どもは、このように具体的提案も出して、みんなの声を出しているわけだが、認知症があって も何とかしっかり介護しながら、皆さんのお力を借りながら在宅でも、施設も利用しながら頑張っ ていきたと思っている。  先ごろ認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告が発表されているが、これが私ど もにとっても、また全体にとっても、是非これを実現できるように財務省に、できればこの委員会 の名前で後押しをしていただけないかと思う。その改善を求めるアピールは、今日お配りした一番 後ろに、10月18日に、私ども全国の代議員会を開き決めたものである。是非お願いしたいと思う。  よい介護サービスとは何なのかということを論点整理の中でも言われているが、私たちは居宅介 護で安心するために、切れ目のないサービスがどうしても必要である。サービスを受ける本人も、 介護家族も安心感こそ大事だと思っている。いざというときに緊急的に対応できる医療との連携、 そういうことがよいサービスの条件になると思う。  在宅介護を推進するために、今回出されました訪問介護と訪問入浴を中心に提案したいと思うが、 私どもが特に最近目にすることは、連日介護殺人とか介護心中ということで、在宅介護の中で疲労 がたまって、経済的な負担などが原因で、介護殺人というのは最大の虐待、虐待の最たるものだと 思っている。  そういう中で、認知症は軽度のときほどしっかり対応していただきたい。家族が認知症になった とき、家族はとても混乱する。そういう初期にきちっとした対応、できれば介護報酬の面でも、例 えば医療では初診料があるが、ケアマネなどに初期的な加算を付けられないか、そのときにきちっ とした対応や相談に乗るということが、在宅介護で頑張れる一つのきっかけではないかと思ってい る。  あと訪問介護や訪問入浴については、受給者数、費用面とも緩やかに減少しているという現実が ある。その前提、前回の改定の中で、例えば同居家族がいる場合に、生活援助が受けられないとい うことが、厚労省が2回にわたって通知を出したけれども、現実問題としてそれはなかなか改正さ れていない。介護サービスの抑制がこういうことにつながっているのではないかと思っている。  また、例えば介護サービスを受けたい、入浴サービスを受けたいと思っても、介護事業者の方で 人材不足ということで、それに応じられないという現実もある。  例えば入浴サービスの場合に、看護師さんも行く、介護士も行くわけであるから、こういうとき に褥瘡の措置とか、シーツ交換とか、そういうものを一緒にやって併給できるようなシステムは考 えられないのか。今だと別々に行かざるを得ない。これをやれば、単なるそれぞれのプラスの加算 ではなくて、効率的な運用になるのではないかと思う。  やはり人材不足という中で、もう一つどうしても触れたいのは、キャリアアップについてである。 500時間、600時間のキャリアアップについてのことが出されているが、最近介護士の養成、地元 でも3つある養成校のうち、この新しい社会福祉士・介護福祉士法の改正によって、例えば浴槽だ とか、新たな設備をしなければならない。それに耐えられないということで、募集停止が報じられ ている。これは私どもの住んでいるところだけではなくて、全国的な傾向ではないかと思う。  例えばそういう設備面を別枠で補助するとか、できないか。介護福祉士等人材が不足する中で、 一方では勿論キャリアアップで介護の質の保証というのはとても大切である。だけれども、人材を 養成する高校が、そういう設備ができないということを理由に、募集停止に踏み切っている。今、 人材不足なのに、ますますそういうことに拍車がかかるのではないかと心配している。そういう点 での、別枠での御配慮がいただけないかということを思っている。以上である。   (大森分科会長)  今日お出しになったうち、今日のテーマに関係していることについてもちょっと触れているが、 よろしいか。今日の事柄についてはよろしいのか。全体のことについてお聞きすればよろしいか。 (勝田委員)  また後から。 (大森分科会長)  承知した。  では、池主委員、どうぞ。   (池主委員)  今日は意見書を提出させていただいているが、基本的には通所サービスに関して、今後加算が継 続されるという大枠の意向がわかったので安心しているが、大きな課題として今日説明があった介 護保険サービスの動向に関する問題が、私の出した意見書の細目の要望にほぼ合致している部分が あるので、それらの細かい問題については、今後また発言させていただく。基本的にここで一点だ け申し上げたいのは、要するに口腔機能向上という課題が、介護保険の中で位置づけられたという ことを非常に大きく評価している。特に歯科は医療で対応するように位置づけられている部分が多 いわけだが、介護の部分で口腔機能向上、あるいは予防的な課題として位置づけられたということ が、非常に大きい意味を持つと思う。  要するに、介護保険というは基本的にはその人が生きてきた日常の生活に戻りながら高齢期を過 ごすことに最終的な目的があるのだろうと思うが、まさに日常的な活動の最たるものが、口腔機能 における食という問題であろうと思う。それがいわゆる高齢による機能低下、あるいは介護が必要 という状況の中で、非常に問題が多様化する。それがアンケート等で調べたときには、非常に困っ ているというデータ反映されるが、こういう場面でサービスの具体的な利用という意味ではなかな か跳ね返ってこない。そういう欲求が表に出てこないということに基本的な問題があると思う。  その最大の原因としては、例えば口腔の問題が介護予防の段階で対応されたとしても、それが必 然的に少しずつ悪化していく中で、その後も口腔機能の予防のサービスを継続して受けられるとい うことを、一般の人がまだ認識していないのではないかと思う。  先程から入浴の問題とか褥瘡の問題があるが、入浴は体全体の清潔を保つわけだが、口腔内の清 潔というのはどうしても見過ごされる。あるいは口腔内での義歯による褥瘡は、これは本当に重度 になった方の悩みの最たるものの一つである。口腔内も褥瘡が起こる。義歯が入っていれば、それ が原因で唾液分泌が少なくなってくると、本当に何も食べられなくなって、義歯を使わなくなる原 因になる。  説明のするために、資料の中に写真を入れてあるが、今、出せる方は見ていただきたいが、要す るに自立と判断されていながら、半身麻痺があって磨けないために、こういう状況になることが結 構たくさんある。この方は、当然、日常誤嚥性肺炎や何かの危険にさらされていることになる。認 知度の全体の評価が自立となっていても、磨き残しや何かがたくさんあるということを一応写真で 御理解いただきたい。  専門的な衛生士などが介入して、口腔内を清掃すると、これだけ改善されることが写真で示して あるで、こういうサービスをできるだけ一般的にだれもが受けられる状況をまずつくっていただき たいということを、総合的な要求としたい。 (大森分科会長) では、沖藤委員、お願いする。 (沖藤委員)  今回の改訂について、一般の人たちが何を一番期待して見ているかというと、資料1−2の報酬 改定の視点のところに挙がっている、介護従事者の人材確保対策の部分ではないかと思う。今回は、 前回よりも更に深めていただいて、大変ありがたいことに、アンダーライン付きの文章が入った。 その中で、地域格差や小規模事業所への対応というのがある。その括弧内に例えばという例示があ って、手厚い人員配置への評価や介護福祉士等の技術格差の多い事業所への評価というのが書かれ ており、これは大変ありがたいことだと思っている。  一方、手厚い人員配置といった場合、これは施設の人員配置を考えるのが普通ではないかと思う。 居宅介護サービスの場合は、私なりの考えで言えば、各サービス事業所が常勤の人たちをどのぐら い手厚く配置してくれているか。そういうことが非常に関心の的になっている。  だから、これは加算とすればまた利用料に跳ね返ってくるという苦い思いがあるので、なかなか 言いにくいが、居宅介護サービスにあっても常勤比率をアップさせていくことが可能かどうかとい うことも、議論の視点に入れていただきたいと思う。  ここにどのような対応が可能かとなっているので、もしこういうことに対して事務局の腹案があ れば、お伺いしたいと思う。それが第1点である。全部で3点ある。  2点目は、資料2−1の訪問介護についての4ページのところで、生活援助についての短時間化 というのが指摘されている。これは、1ページの右肩下がりの図表をそのまま証明しているものだ と思うが、これは結局、平成18年度改正において、生活援助の利用抑制がサービス適正化計画の 名の下に、非常に厳しく行われて、それは再三、厚労省が事務連絡を出しているにもかかわらず、 各保険者には徹底していない。その結果の短時間化であって、これは利用者が希望して短時間化に なったのではないということを、この場で確認しておきたいと思う。  短時間化によって、私が見聞きしている範囲でも、利用者のQOLが非常に落ちている例がたく さんある。例えば生活援助を切られたがために喘息がひどくなったとか、そういう例とか、語り出 せば切りがない。だから、生活援助については短時間化という傾向が見られることについて、今後 生活援助はどのような内容を含ませていくのかということを、併せてこの分科会で議論してほしい と思う。  例えば通院の場合に、院内介助の問題、散歩の問題、年末年始とか土日などの特別な日の介護サ ービスの出し方、そういうものも含めて議論をお願いしたいと思う。そのことについて、また事務 局に意見があればここでお伺いしたいと思う。  3点目は、先ほど来の介護サービス提供責任者の問題だが、居宅介護サービスにおいては、非常 勤が非常に多い。事業所によっては9割が登録とかパートタイムで行われているという現実があり、 その人たちは常勤になりたくてもなれないという不満を抱えている。だからこそ私たちは社会の嫁 かという言葉も出てくる状況を生んでいる。  だから、まず介護サービス提供責任者を非常勤にするということは、非常に冒険であるというこ とを申し上げたいと思うし、いろいろな方々が反対意見を述べられたので、私はこれ以上申し上げ ないが、なぜ居宅介護サービス事業者においては、非常勤比率が高いのか。それは働く人たちの、 働く思いにかなっているのかどうか。つまりホームヘルパーさんたちの意識調査、そういうものを きちんと提示していただいた上で、その上での議論にしていただかないと、何か非常勤でもいいの よということに流れていってしまうと、利用者として非常に将来が不安だと言わざるを得ないと思 う。  以上、3点申し上げた。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  前の2つについて、事務局で何かお答えできることがあるか。 (土生振興課長)  生活援助については、今、お述べいただいたような、さまざまな御意見をいただいているところ である。ただ一つ、前回改定時の議論ということがあったが、私なりに前回改定時の議論を改めて 振り返ってみたところ、生活援助については、いろいろなばらつき、あるいは利用の実態という中 で、一定の、特に長時間利用についての適正化を図るという考え方で、1時間以上というところで 単位設定を終了することになっている。  勿論、一律機械的な同居家族の問題であるとか、そうしたところは実態に即した運用がなされる よう、私ども努力をすべきというところはあるが、基本のところはまさに介護保険で、どういう点 を見るのかということは、この給付費分科会で、そうした議論を踏まえた改定の結果、それが現実 に反映されている部分もあるので、そこについては更に実態等もこちらも努力したいと思うが、改 めましてこの分科会で御議論をいただくべき事柄かなと思う。 (大森分科会長)  それでは、村川先生、どうぞ。 (村川委員)  4点ほど申し上げたいと思う。今、沖藤委員、先ほど小島委員からもあったが、訪問介護におけ るサービス提供責任者の加算ないしは基準上の盛り込みということは、今回の人材確保の趣旨、国 会決議あるいは昨年のワーキングチーム等の検討、さまざまな要因から見て、これは明確に位置づ けるべきであろう。  その際の要件は、先ほど沖藤委員からもあったが、やはり常勤のサービス提供責任者であるとい うことは、やはり明確にしていかなければならない。つまりこれは名ばかり責任者のようなものは だめなので、利用者である国民からも信頼されない。ただ、あえて言うと、4期目、数年間それで やってみて、例えば私もたまたま団塊の世代の人間の一人だが、経験10年の介護福祉士資格を持 ったベテランのサービス提供責任者の方が、雇用契約上ある事業所でリタイヤでもないけれども、 雇用契約を変えて常勤嘱託になるようなことが仮にあれば、それは次の段階でそういうことがある のであって、パートでも安易になれるという論理は誤りであって、そういうような事業所に対して、 私は厚生労働省や都道府県が、報酬の問題ではないけれども、徹底した監査などをやっていただき たいという気がする。  2点目としては、今回の御説明・提案の中では、新規の要素として短期集中、短時間の集中リハ ビリテーションという新しいサービス類型が出されているので、是非これは制度化にこぎ着けるよ う、方向づけをしていくべきであろう。そういっためり張りのある改定を進めるべきだという見解 である。  3点目としては、特定事業所や事業所評価加算であるが、基本的な趣旨としては継続すべきだろ うと思っている。複数の委員の方からの御意見、資料にもあったとおり、利用者への一定の配慮と いうことが考えられるとすれば、これは事務局で十分練っていただきたいと思うが、その上乗せ分 をゼロ円にするわけにはいかないと思うが、その部分について95%給付ということが、この計算式 がややこしくなるので、そういうことができるのかどうか。あるいはよりよいサービスを利用した 場合、定額で100円ぐらいは負担していただくとか、全部利用者ではない、非常に微妙な、利用者 にも一定のバランスの取れた利用方式があるのかどうかということは、一つの検討していただきた い材料かなという気もしている。  また併せて、川合委員がおっしゃった継続、これは資料にもあったとおり、状態の維持というこ とは意味のあるところでもある。ただ、この維持の要素と改善の要素、やはりそこを両にらみとい うか、そのミックスということでいかないと、全部維持ということで評価ということにはならない のであって、改善の要素と維持の要素のバランスの取れた一定基準の弾力化は視野に入ってよいの ではないかと思う。  最後になるが、訪問看護の関係について、私もこのサービスは是非欲しいと思っている。ただ、 利用者周辺から聞くのは、勿論サービスの種類、やり方は違うけれども、訪問看護などと介護と対 比した場合の利用者における一定の割高感等もある。しかし、そこは内容のあるところを十分御理 解いただきながら、さまざまな方策によって利用の促進、サテライト方式など、いろいろと環境整 備ということも重要であるが、今日御提出いただいたペーパーの2−7であるが、その13ページ の最後に、この訪問介護と訪問看護の役割分担関係ということも書かれているところであるが、こ れは施設系も含めて、介護と看護のよい関係をつくり出していくということも含めて、この辺のと ころはもう少し多角的に検討していただいてよいのではないか。訪問看護がよい意味で力を発揮し ていただくという面もあるし、しかし、訪問看護ステーションが及ばない地域等、さまざまな要因 を考えた場合に、ある部分のサービス要素について、訪問介護として行われることなど、サービス の柔軟な展開ということも今後考えてよいのではないかという問題提起である。  以上である。 (大森分科会長)  木村さん、どうぞ。 (木村委員)  全部で6点あるが、簡単に説明する。  まず前半の方は、日本介護支援専門員協会の都道府県支部経由で、現場の介護支援専門員にいろ いろ意見を求めて出てきた内容で、今日の論点のところを触れてみたいと思う。  まず1に、訪問介護のサービス提供責任者についての評価は、一緒に仕事をしていて、もっと評 価するべきである。特にマネジメントの点に対しての評価をするべきだということが1点出てきて いる。  2点目に、訪問入浴介護のことが出たが、先ほど勝田委員からもお話が出たとおり、訪問入浴に 行く際、看護師が必ず行っている。そのときに、バイタルチェック等をし入浴してもOKと、それ だけではなく、これは訪問看護とどういう見合いをするかということは考えなければいけないが、 やはりその時点で医療処置等が必要な場合には、どういうふうにするか。要するに人材をうまく回 していくところをやるべきではないかということが1点。  3点目に、通所介護事業所である。今日、提案のあった資料2−3の7ページにあるが、現行の 個別機能訓練を含めて、在宅での生活が維持改善される機能の評価の在り方について、どう考える かということだが、現場感覚では、そもそも今の個別機能訓練というものが明確ではない。何を指 して個別機能訓練と言っているのか明確ではなく、わかりにくいということがあるので、個別機能 訓練というものを具体的にどういうことをやればということを含めて、当然生活機能の維持改善に 資することにつながっていくため、もっと明確に出してもらえないかという意見があった。  また、訪問リハビリテーションと訪問看護ステーションから提供されるリハビリの、さっきの半 分を超えないとか超えるの話だが、やはり全国広いと、リハビリテーションにこの制限が入ってい て、必要な人にリハビリを入れるときに、リハビリの量というか、地域での量が制限されてしまっ て困るので、その辺の配慮を願いたいということがあった。  5点目に、今日の訪問看護のところでは、後で井部委員から話があると思うが、2−7の資料の 中で、先ほど説明があった11ページの訪問看護支援事業の中の医療材料等供給支援事業に関して は、今、日本薬剤師会が、この医療材料等の提供について、看護協会さんほか、訪問看護事業協会 等々と連携を取りながらモデル事業をやって、医療材料、衛生材料の供給をどういうふうにするか ということが、今年度ある程度見えてくると思うので、それは日本薬剤師会として全面的に協力を していきたいと考えている。  2−7の13ページに、先ほど来出ている、ワーキングチームで出ました訪問通所系事業につい てのサービス提供について、福祉系サービスと医療系サービスのうまい役割分担云々というところ の最後に、その際、利用者及びケアマネジャーに対するサービスの周知徹底についても、考慮され る必要があるのではないかというところで、ここをうまく進めるために提案を1つしたいと思う。  この資料の後ろから6ページのところに、この4月からの介護保険・医療保険の訪問看護の報酬 体系についての加算部分がある。現場でも声が出ているが、退院時の共同指導加算というのは、医 療保険適用の場合のみ算定できて、介護保険の場合は算定できないということで、逆にいうとこの 単位調整のときに介護保険の利用者さんの担当者会議、退院時のところが連携がうまくいかない。 むしろここにも介護保険側に退院時共同指導加算を付けて、退院時に患者さん、利用者さん、家族、 ケアマネジャー、訪問看護師等々とその場で、こういうことだから訪問看護が必要なのだと、だか らこのサービスを使ったらいかがかということを具体的にやらなければ進まないと考える。  最後だが、これからのことで、事業所評価加算はこのまま今日御意見があったとおり進めていた だきたいが、今後のこととして、先ほど維持とあったし、改善という話があったが、この事業所さ んのみのサービスで、維持または改善ということは、今回は介護予防だから一点に絞っているかも しれないが、今後、予防ではなくて介護サービスの方に広げるとすれば、チームでケアマネジメン トをやり、評価がされていくという形になっていくと思う。  だから、今回の事業所評価加算をこの先考えていくときには、一人ひとりの利用者に対して関わ ったサービスの一つひとつの総合力で、維持改善できるという見方をしていくような調査研究も今 後していくべきではないかということを今後お願いしたいと思う。  長くなったが、以上である。 (大森分科会長)  対馬さん、どうぞ。 (対馬委員)  まず、全体的に非常にわかりやすい資料で、わかりやすい説明をしていただいたことについては、 お礼を申し上げたいと思う。また、今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思う。  2点ほど意見を申し上げたいが、1つは医療と介護で、特にここ数年来、リハビリの問題が議論 されるわけだが、これで言うと資料2−6の10ページ、やはり地域、居宅でのリハというのは必 ずしも十分ではないという状況があるので、ここに書かれているとおり、例えば(3)辺りだと、 5割制限というところがあるようだが、こういったことの改善を是非やっていただきたいというこ とが1点である。  もう一点は、先ほど来出ているが、事業所加算等々については、なかなか難しい部分があるのだ と思うが、医療の方でも、例えば回復期リハの重度の患者さん辺りが、3割ぐらい改善された場合 には、1日50点の加算を付ける。こういったことも20年度改定で試みているので、介護の分野で も是非努力した事業所が報われるということについては、試行しながらでも拡大の方向でやってい ただければと思う。  以上である。 (大森分科会長)  井部さん、どうぞ。 (井部委員)  看護の立場から、訪問看護と療養通所介護について発言したいと思う。まず、訪問看護について だが、先ほど村川委員や木村委員から御指摘があったように、今日だけではなくて以前にも出して いただいているが、この訪問看護についての資料2−7の4ページの図は、非常に重要な図である と思っており、これは是非委員の方々には目に焼き付けておいていただきたいと思うが、在宅で訪 問看護利用が高い都道府県では、在宅で死亡する者の割合が高い傾向にあるということが、相関係 数が0.57という高い相関を示しているのであり、したがって、訪問看護がいかに拡充されていく かということが、家で死にたいという方たちのためには大いに役に立つと思う。  村川委員御指摘のように、訪問看護と訪問介護の割高感というものがあって、訪問看護を利用す ることが、どのぐらい価値があるのかという説明を私たちももう少しやらなければならないと思う が、仕組みとして訪問看護が利用しやすいようにしていただくために、先ほど木村委員から御指摘 があったように、医療保険では退院時共同指導加算6,000円、退院支援指導加算6,000円、在宅患 者連携指導加算3,000円というのが訪問看護ステーションと医療機関の訪問看護に認められている わけだが、介護保険においては特別管理加算の対象者に退院当日の訪問看護の報酬のみが算定可能 ということであり、医療保険のように訪問看護ステーションとうまく連携するような仕組みが整っ ていないということもあるので、訪問看護師の努力とともに、こうした制度上の整備をしていただ くということをお願いしたいと思っている。  訪問看護ステーションの中には、訪問看護師だけではなくて、口腔ケアの専門家やリハビリの専 門家や、さまざまな在宅で必要なサービスが提供できるような大規模化ということが、訪問看護師 だけの大規模化ではなくて、地域のサービスの提供の拠点としての大規模化ということも考えてい くとよいのではないかと思っている。  それから、今日、訪問看護支援事業の案が11ページに示されており、医療材料の供給に関して も、薬剤師会の協力なバックアップがあるということだが、こうした訪問看護支援事業の案が実現 できるように是非お願いしたいと思っている。それが訪問看護についてである。  もう一点は、療養通所介護、これは資料2−4であるが、これは平成18年に創設されたサービ スであり、認知度が非常に低いのが残念だが、まだ事業所の数が49ということで、知らない方が たくさんいると思うが、これは非常に重要であり、めくっていただいて、資料の説明にもあったが 2ページに、赤いところが非常に多い。  赤いところというのは、つまり要介護5の人がこのように多く外に出る機会があるということで ある。これはとても重要であり、介護保険の精神である尊厳の保持といったようなことを真っ向か ら支えているサービスだと私は思っているが、何せ費用がかかる。送迎にも人手がかかるし、お連 れして入浴するということや、一定の処置をするということが訪問看護ステーションと併設してい るところで行われるわけであるので、これをどのようにしたらいいか、今回の提案は5人までとい うのを拡大したらどうかということと、面積をもう少し緩和したらどうかということだが、そもそ もこの本体に中核的なサービスにかかる費用が高いわけで、今の9割が赤字という状況であり、療 養通所介護というサービスを、今後どのようにして伸ばしていくかということ、これは18年度の サービスの評価をするというのが、今年度の改定の中にもあるので、私としては今ごらんになって いただいている5ページにあるように、特にレスパイト、介護者の介護負担が軽減下ということが 非常に高い割合であることと、利用者の心身の状態の改善がかなり見られているわけであり、これ をつぶすことなく伸ばすような対策を是非とっていただきたい。訪問看護ステーションの方から持 ち出しで補てんするということではなくて、できるだけこの療養通所介護サービスで大幅な赤字を 出さないような仕組みを考えていただきたいと思う。この療養通所介護というのは、介護保険の精 神に真っ向から応えるものであると思っているので、是非御存じのなかった方は知っていただいて、 知恵を絞っていただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  齊藤さん、どうぞ。 (齊藤委員)  私も3点意見を申し上げたいと思う。  1つは、事業所評価加算の件である。18年度から試行的に取り組んだということだが、なかなか まだ数字が上がっていない。方向性としてはよく理解をできるものであるし、3ページに利用者の 声があって、肯定的な意見が多いという評価をしているが、絶対数が少ないので、果たして肯定的 と言えるかどうかは、疑問に思う点もある。前回もお話ししたが、この中で加算を知らないという 方々が一定数いらっしゃる。  加算の問題は、ここだけではなくてほかにもあり、利用者が加算を知っているのかということは、 前回も申し上げたが、知らないで利用して自己負担があると、それは不満につながる。高いサービ スを得て、そして改善するということは本人にとっては大変喜ばしい、一部負担があっても喜ばし いことであるが、入口の部分で加算を理解していないと、恐らくこういう数字のところに何かしら そういう影響が出てくる可能性があるので、事業者側、ケアマネの関係者の方々に、是非ここは加 算の部分についての周知をお願い申し上げたい。  更に付け加えると、単純にそれを利用者に負担を転嫁するのがいいかどうかということは、1つ の課題として申し上げておきたいと思う。  それから、加算・減算というものが、このところ何かさじ加減としていろいろ出てくるが、本来 の姿としては余り望ましいことではないと思うので、大きく制度改正をするような段階では、それ らが整理されていく方向でなければ、利用者にとってもますますわかりにくくなって、複雑多岐に わたる感じがするので、インセンティブを働かせるという意味も理解できるが、方向性としては余 りいい方向ではないと考えている。  2点目だが、井部委員からおっしゃった療養通所介護、私もこれは大変興味があって、伸ばして いただきたい制度だと思う。特に重度の方々が利用されており、ある意味では特養や老健の待機組 みと言ってもいいのではないかと思ったりする。こういう方々が利用できることが、意味としては 大きいものがあり、今、49というのはまだ始まったばかりだということがあるが、是非伸ばしてい ただくようにお願いしたい。  その意味では、今これは事業所数を拡大することが急がれるべきことの優先課題ではないかと思 うので、小島委員から面積要件のことで、本来あるべき姿のお話があり、私もそこは同感だが、急 ぐという視点からいくと、少し面積が小さくても広げる努力の方に向けていただくようにお願いし たいと思っている。  3点目で、もう皆様からお話があって、全く同感であるが、サービス提供責任者のことに関して は、やはり非常勤の方向というのはあるべき姿ではない。それから、目指してきた方向とは全く逆 の方向に走って行っているような気がするし、資料をいただいても、この方々はそちらの方を望ん でいるというよりも、業務に見合う評価をしていただきたいと言っているわけであり、これはまさ しく今回の議論の中隔となるサービスの質をどう担保するか、キャリアアップをどう図っていくか ということに関連した話であるので、これは事業を運営されている経営の方々のお立場とは若干違 う視点があるのかもしれないが、これは非常に大事な点と理解しており、是非そのようにしっかり と責任を持っていただけるような処遇を図るべきが筋だと理解をしているし、そのように申し上げ ておきたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  堀田さん、どうぞ。 (堀田委員)  全体で1点と訪問介護について3点申し上げる。  全体の資料1−2、人材確保対策として処遇改善をはかる措置の例として、介護福祉士などの有 資格者が多い事業所への評価などとある。資格取得を含めキャリアアップが図れること、その仕事 ぶりに応じた処遇を可能とする介護報酬の水準全体の検討は、非常に意味があると思っているが、 個別の事業所を評価するときに、職員の保有資格や経験年数、常勤比率といったものを用いるべき ではないと思う。  というのは、例えば他事業所で経験を重ね、能力を身につけて資格を取った人を中途採用しても 評価されることになってしまったり、逆に非常勤か常勤かにかかわらず、能力発揮を促して質の高 いサービスを提供している事業所が評価されないということになり、結果的に各事業所の処遇改善 やサービスの質向上に向けた自由な取組みを阻害しかねないからだ。各事業所の工夫を深めていく ためにも、事業所の評価として職員の資格や経験年数といったことを考えるべきではないのではな いか。  もしキャリアアップを考えるのであれば、それを可能にする、仕事ぶりに応じた処遇が得られる 全体の水準の検討を前提として、確か前回、私も、それから田中滋先生からも御指摘があったと思 うが、介護報酬の枠組みだけで考えるのではなくて、例えば教育訓練費の助成であるとか、事業主 団体、事業者、個人に対する様々なサポートであるとか、報酬以外の対策も考えていく必要がある と思う。  訪問介護について、主に資料2−1だが、3点ある。1点目は特定事業所加算についてである。 18ページのところ、田中雅子委員からも御指摘があったところだが、利用者側の視点に立った要件 の見直しとあり、これは非常に重要な視点だと思うが、まずこれと下にある3点というのが、そも そも整合性があるのか。利用者側の視点に立ったというときに、この下にあるような視点が、利用 者から見てよい事業所ということに果たしてつながるのかということを含めて、今後議論を深める 必要があると思う。あるいは案を出していただければ。  2点目、3点目は、サービス提供責任者に関するものである。まず、サービス提供責任者の評価 について、今の19ページの案では、なんとなく加算の中で何らか評価しようという仕掛けになっ ていると思う。実際、サービス提供責任者の報酬上の評価について、具体的な案があるわけではな いが、加算で整理ということではなくて、今、サービス提供責任者も含めた形で単価が決められて いるというが、実際はサービス管理とヘルパー管理をやりながら、自分もサービスに出なければな らない。ヘルパーさんに食べさせてもらっているという思いを持ちながらやらざるを得ない人たち も少なくないということで、何らかサービス提供責任者という重要な役割の人たちを配置すること を組み込んだ単価の水準、その人件費が担保される水準について、モデル的な事業所をおいて試算 してみるといった検討が必要ではないかと思っている。  最後に、サービス提供責任者の配置基準について、多くの委員が常勤でなければならないとおっ しゃったが、常勤か非常勤かという働き方の違いは、それほど大きな問題ではなく、非常勤でもよ い、人数ではなく配置時間で定めてもよいのではないかと思っている。  ただし、その条件としては、ここにも書かれているが、質の担保が重要となる。例えば一事業所 のサービス提供責任者全員が非常勤というのは、難しいだろうし、非常勤でも極めて労働時間が短 い人までなれるとするのも問題かもしれない。こういった常勤・非常勤の組み合わせ、それから例 えばサービス提供責任者は今は資格がないが、資格を新設するとか、新任・現任研修の機会を充実 するとかいったこともあるだろうし、非常勤をよしとするならば、事業所としての仕事の進め方、 情報共有の徹底に向けた仕組みであるとか、さまざまな形で質の担保が図られるのであれば、常勤 という働き方だけに固執する必要はないと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  森田さん、お願いする。   (森田参考人)  私も堀田先生の意見に同感である。今回加算がいろいろ付けられて、それによってインセンティ ブを付けようということだが、事務的には複雑になり、保険者の立場からはできるだけ簡素化して いただきたい。これによってケアマネの給付管理とか、報酬請求の手間も変わってくる。加算で付 けようとしている財源は、基本部分の増額という形で付けていただく方がいいのではないかと思っ ている。  サービスの質の確保を図ると、過重労働に一方でなるのではないかという懸念もあるが、その辺 についてもしも厚労省で何かお考えがあれば教えていただけたらと思う。  ホームヘルプが人手不足になっているのではないかという気がする。特に要支援の方だと、なか なか曜日も時間帯も利用者の希望通り言えないという状況があるのではないかと、地域包括支援セ ンターの方からも聞いているので、できるだけホームヘルパーの人材不足というところをどう改善 するかということが必要ではないか。統計を見ても、デイサービスに比べるとホームヘルプの利用 ニーズの割合がどんどん減っているというのは、やはりヘルパー不足からきているのではないかと いう感じがするので、そういったところについてよく検討していただけたらと思う。  あと人材確保対策がどう盛り込まれているかというのは、余り今回の加算の中ではよくわからな いが、給与アップというのは勿論ベースとして必要なのだろうが、それと併せて雇用管理の改善だ とか、労働環境の整備だとか、そういうのは車の両輪ではないかと思うので、何かそういった点に も留意していただけたらと思う。  以上である。 (大森分科会長)  過剰労働って、そこに並んでいる課長たちは毎日過剰労働をやっているのではないかと。何か発 言あるか。私もよくわからなかったが。 (鈴木老人保健課長)  質の向上を図ると過重労働になるということがよくわからなかったので、もう少し御説明いただ ければと思う。 (森田参考人)  例えば加算がいろいろ付くと、経営者の方は加算の要件を満たそうとする。しかし、従業者にと ってはそれが仕事上いろいろプラスαをしなければいけなくなり、結果として過重労働につながる のではないかということである。ならなければいいのだが。 (大森分科会長)  それでは、池田さん、どうぞ。 (池田委員)  3点ほど述べさせていただく。  1つは総論的な問題で、何人かからの御意見もあった。悪化すれば収入が増えて、改善すれば収 入が下がるというのは、非常にまずいので、ここに全体として手を付ける時期に来たのではないか。  厚生労働省の統計情報部で、介護給付費実態調査というものをずっと公表しているが、1年間継 続して介護サービスを使った人が、その1年後に改善されたのか、維持されたのか、悪化したのか、 これは毎年データが出ている。それを見ると、平成14年の4月に認定システムが変更になり、認 知症というものが要介護認定に反映するにようになって、より重く認定される。それがあって、そ こで悪化率は1回上がっている。サービス事業者の皆さんの努力だと思うが、悪化度はどんどん減 っていった。  ところが、平成18年になって、逆転して一挙に悪化度がどの要介護度においても上がっている。 これは、簡単に言えば介護報酬が下がった分要介護度を上げて取り返したとしか思えないような形 である。  悪貨は良貨を駆逐するというグレシャムの法則が働いてしまうのは避けられないことである。と するならば、成功報酬という言葉がつまづきの元だったかもしれないが、やはりアウトカムという ものに対する評価、それを介護報酬に反映することを本格的に考えるべきだ。それが総論的な1つ の意見である。  その関係で、介護予防の事業者評価加算というのがあり、これをどうやって広げるかということ を考えた方がいい。ただし、介護予防の事業者評価加算というのは評価するが、実は1回改善する とそれ以上改善はできない。ということは、最初の年次で評価加算を取っても翌年は必ず外れてし まう。つまり、継続して使っている方は、それ以上よくならない。それで年齢の関係もあって悪く なる。これは技術的な問題だが、そこのところを考える必要がある。  2点目は訪問介護についてだが、資料2−1の訪問介護の4ページに、要介護度別に訪問介護回 数が、身体介護と生活援助、それぞれ出ている。これを見て私は慄然とする。要介護5においては 訪問介護の回数は増えてはいるが、月に使っているのは24回である。つまり毎日受けてないとい うことだ。勿論、通所サービスその他がある程度補完しているのはわかるが、要介護5の方が毎日 受けているとは限らないし、受けているとしても1日1回30分か1時間がほとんどだということ である。どうしてこれで要介護5の方の生活が支えられるのか。これは、ほとんど家族の負担もし くは本人の我慢というものに転嫁されていることがはっきり見える。少なくとも介護保険は家族介 護の補完物としてつくったつもりはない。しかし、実態的にこうなってしまう。  そうであるならば、18ページに書いてあるので、これを特に評価したいが、短時間の頻回訪問や 夜間訪問介護の推進等の観点も踏まえて、とある。これは大変重要なことだと思う。実は身体介護 そのものを取り上げれば、1つの介護は大体10分以内で収まるものがほとんどある。長いのは食 事介助ぐらい。  デンマーク、スウェーデンのような北欧の訪問介護・訪問看護というのは、極めて短い巡回型で あるということは、皆さん御承知のとおりだと思う。  例えばデンマークは地方分権の国であるから、自治体によってさまざまではあるが、手元にある リュンビュー・トアベックコムーネの行政データによれば、要介護5に相当する極度の介護の方の 訪問時間は1日112分である。2時間ない。つまり小刻みな巡回で回っているということである。  ちなみに日本の要支援に相当する基準0というのがあるが、これは1日何分だと皆さん思われる か。1日0.9分である。1分ない。つまり1週間に6分だということである。  デンマークってそうだったのかと私もびっくりしたが、実は、要介護5の方で120分ないという のは、日本でも同じなのだ。介護保険をつくるときに要介護認定システムを構築するために、1分 化タイムスタディというものをやって、特別養護老人ホームを始めとするケアの質の高い施設の調 査があった。その調査結果を見ると、要介護5相当のケアを受けている時間は120分である。ほと んど同じだということである。いきなり現在巡回介護を全面的に展開するというのは、日本の風土 から見て困難ではあると思うが、少なくとも団塊の世代が要介護世代になる時代を考えれば、今か ら巡回型の介護というものを定着していく、それが極めて必要になっているのではないか。  ところが、巡回型の介護は今、死滅寸前である。だから、これを立て直さなければならない。実 は巡回型というのは、介護保険以前はかなり重視されていた。介護保険以前の措置の時代、最後は 事業補助方式という形でお金が出ていたが、身体介護は1時間2,800円だった。家事援助は1時間 2,100円だった。そして巡回介護は20分未満で1,430円の値段が付いていた。更に介護保険の費用 推計をするときに、新しい単価で計算しているが、そのときの巡回介護の費用単価は1,570円であ る。つまり15分未満のような類型をつくって、そこに1,600円を付ける。これをすると何が起き るかというと、実は現在の滞在型のホームヘルプというのは、ほとんど食事時に集中する。したが って、非常勤の人間を使ってそこに集中的に配置するしかない。真ん中は手待ち時間である。だか ら、65.4%がパートという状況になっている。本気になって常勤を考えるのだったら、そういう小 刻みな巡回をすることによって、シフトがきちんと組めるようにしていく。そのことが常勤につな がっていくということである。勿論すべてのホームヘルパーが常勤である必要はないわけであって、 そこは使い分けがあればいい。時間給において同等であればいいわけであるから、そこのところを 非常に重視していただきたいという感じがする。  滞在型介護というのははっきり言って非効率、ハイコストである。私は口が悪いから、レンタル 家族の時間貸しのようなホームヘルプはもうやめなければいけないと言っているが、それが2点目 である。  3点目は、特定事業所加算、加算の問題は皆さんがおっしゃるとおり、本筋ではないが、今、イ ンセンティブを付けるために使わなければいけない。例えば特定事業所加算10%、20%あって、 それが利用者負担に跳ね返るから使いにくいとか、使えないというのは、私はどうしても納得でき ない。  例えば訪問介護の3ページを見ていただくと、要介護1の方は訪問介護を3万7,900円使ってい らっしゃる。ということは、1割自己負担は3,790円である。10%上がったら毎月379円上がるだ けである。それがどうしてネックになるのか。要介護5の方で11万9,500円使っている。という ことは、この方は1万1,950円の利用料を払っていらっしゃる。それが10%加算したら1,195円毎 月増えるということである。それでサービスを控えるのか。はっきり言って、それはフィクション である。横並びじゃないと価格的に競争できない。つまり自分のサービスに対して自信がないから 価格的競争をすることを怯えているだけであって、自分のサービスに自信があれば、その問題はほ とんどクリアされると思う。  ただ、特定事業所加算については、要介護度4・5が20%以上、これは確かにきつい。なぜかと いうと、4・5の方はかなりの部分が施設に入っていて、残っている在宅の人は少ない。少ないと ころに20%というのはなかなか難しい。3、4、5だと、在宅サービスの35%ぐらい占める。そ れを基準にして考えた方が現実的ではないか。これも技術論の問題であるが、考える必要はある。  もう一つ、巡回介護について、これは議論の場所が違うと言われると困るが、巡回介護をすると きに、例えば福祉用具をどうやって使うとか、食事サービスをどうするかということを考えると、 ほかの介護報酬の問題にもつながっていく。例えばテレビ電話付きの携帯電話を使って巡回してい るところが既にある。テレビ電話そのものは事業者が買えばいいが、利用者の方に据付のテレビ電 話を置くことについて、例えばこれを福祉用具にしたら大変使いでがある。そういったものに介護 報酬を付けてみたらどうか。あるいは、1時間未満2,080円の調理コストはどう考えても高い。つ まりヘルパーが調理するということは、非常にハイコストなのだ。これを食事の宅配方式に変えて、 その配達費用に介護報酬を付ける。ドイツは付けている。これは恐らく300円ぐらいでいけるだろ う。そうすると回っていく。  そういう形で、少しダイナミックな介護報酬の在り方を考える。そのときに中心になるのは、ア ウトカム評価の問題と滞在型から本当の巡回型に変わっていく。そういったところを考えていただ ければありがたいと思う。   (大森分科会長)  武久さん、お願いする。 (武久委員)  先ほどは会長の指名で発言したので、先ほどの小島委員の発言は、現状をおっしゃっただけで、 別に恣意的ではないと思っているので、念のため。  それから、2−8の事業所評価加算だが、具体的に公費を含めた介護保険料を配分するときに、 よくやっているところに配分したくなるのは人情だと思うので、これは診療の質についても、そう いう方向になってきているので、これは質というものを何とかして評価しないといけない。しかし、 会社でボーナスのときに人事評価するときに、恣意的に評価すると後で問題があるように、問題は 評価の仕方だと思う。  とりあえず、具体的な話をするが、この要支援認定から1度、2度ランクが上がったら評価する というが、御存じのように認定審査会では要介護1という要介護時間のときに、要支援2にするか 要介護1にするかというときに、認知症がある場合及び病状が不安定ということで、要介護1にす る。そうでない場合は、要支援2にするということですから、結局要支援2と要支援1の間には、 深い谷があると思う。だから、要介護1から要支援2になる。また、要介護1になるというふうに、 要支援認定ということに、余りこだわらないで、要介護認定1から要支援2になるということを評 価する。また要支援1と非該当が非常によく似ているので、この辺のところをもう少し具体的に。  それと、初回有効期限6か月で、次は大体12か月になるので、その辺のタイムラグがこの結果 に反映するのではないかと思うので、御一考のほどお願いしたいと思う。 (大森分科会長)  小島さん、どうぞ。 (小島参考人)  何度も議論があって、繰り返しになってしまうかもしれないが、療養通所介護、これは非常に重 要であるということが先ほどらいあった。重要なサービスであるわけだが、なかなか普及は進まな い。私ども愛知県でも2か所しかなく、なかなか増えないが、訪問看護ステーションとか病院が併 設して実施してらっしゃる。赤字補てんをして実施しているというのが実情であり、非常に困って みえるという話は聞いている。  したがって、これの見直しとして、定員の上限規定の見直し、居室床面積の基準の見直しという 2点が挙がっているが、こういう見直しだけで本当に重要なサービスが今後提供されていくかどう かというのが、若干心配であり、介護報酬も含めて見直しの議論を進めていくべきではないかと思 ったので、付け加えさせていただきたいと思う。  もう一点触れさせていただきたいと思う。前回、介護報酬の地域差を反映させる仕組みの問題で 議論があり、報酬単価の地域区分別の割増率というものを見直していくと聞いているが、市町村の 地域割りは変更しないと事務局の方から伺っている。現行の地域区分は5区分で、国家公務員の給 与の調整手当を根拠に決められているが、これが現在、新しくは7区分に地域手当というのが変更 されて、市町村の地域割りも見直されたところである。  そういう新しい市町村の地域割りというものを含めて、今回の介護報酬の地域区分も見直すべき ではないかと思うが、それは今回はやらないという説明を受けた。  幾ら割増率を見直して報酬単価に格差をつけても、地域の実状に沿えるものとはなかなかいえな いのではないかと思う。  例を挙げてみると、愛知県では特甲地として名古屋市が位置づけられているが、それ以外の市町 村は全部その他地域ということになっている。新しい地域手当で見ますと、名古屋市と同ランクに なるのは刈谷市と豊田市のような市が出てくるが、豊田市というのは御存じのとおりトヨタ自動車 の本拠地である。刈谷市はデンソーの本社があるところで、非常に求人が厳しい、介護人材が確保 しづらい地域である。名古屋市と同等に豊田市とか刈谷市のようなところも、介護人材が本当に集 まらない地域であるので、新しい地域手当の地域区分であれば、その辺を反映できるのではないか と思ったわけであり、できればそういう辺りも検討していただけるとありがたいと思う。   (大森分科会長)  三上さん、どうぞ。 (三上委員)  療養通所介護が出されていたので申すが、療養通所介護は一番最後のページの各種の単価参考の ところがあるが、この中に特定介護老人保健施設短期入所療養介護費というものがある。760単位、 これも療養通所介護と同じように、難病の方を日中ショート、日帰りショートでやるという点数だ が、この点数の差と療養通所介護と特定介護老人保健施設短期入所療法介護の中身はどうなってい るのか、実際にはどういうことが行われているのかということを伺いたいと思う。  特に難病、重度要介護度の方なので、医療の提供できない療法通所介護というのは、医療ができ ないし、医師もいないから、そこで5人から8人に増やすとか、いろんなことが言われているが、 それが果たしていいのかということはよく考えていただきたいと思う。  訪問看護の2−7の資料の6〜8ページに褥瘡に対することが書いてあるが、実際に褥瘡患者、 3度、4度の人が42%ほどいらっしゃるということだが、7ページにあるタイムスタディを見ると、 体位変換で1日2〜3分、清潔整容で4分ぐらいのもので、実際に在宅で重度の褥瘡がよくなると は考えられない。  8ページに、特別管理加算が介護保険上はないということが出ているが、これを加算を付けて訪 問看護で重度の褥瘡を見ていこうというインセンティブを付けるということは、果たしていかがな ものか。こういったものは入院をさせて、集中的に治療することが本当は必要ではないかと感じる。  先ほど川合委員が言われた、通リハの大規模減算の件だが、これは通所介護の大規模減算、資料 2−3の5ページにも同じような問題がある。これは前回でていた実態調査で、居宅介護支援事業 所に対する35人以上の減算という問題もあり、同じような形で、ある一定を超えると元から減算 していくということで、例えば900人と901人で、901人の方がはるかに収入が少なくなるという 矛盾があるので、これは是非考えていただきたいと思う。  前に話していたが、大阪のタクシーは5,000円を超えると半額になるが、元からではなくて7,000 円あれば6,000になるというだけの話であるので、7,000円になったら3,500円になるというわけ ではないので、その辺をよく考えていただきたいと思う。  先ほど村川先生が言われたが、短期集中リハの問題が、訪問リハの方で論じられているが、短期 集中リハは本当に在宅の患者さんが落ち込んだときにやるのは非常に大切なことだが、これはショ ートステイの中で短期集中リハをやる方がはるかに有効ではないかと考えるので、こちらの方も重 点的に考えていただきたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  最後にお二人、まずは石川委員、お願いする。 (石川委員)  今日は全国市長会の方で資料を出させていただいた。調査資料と意見ということである。それに 関連して意見を述べさせていただきたいと思う。  この全国市長会の資料については、今年の4月〜5月にかけて実施した、全国市長会の社会文教 委員会と介護保険対策特別委員会に属する市へのアンケート調査の結果を踏まえて、今年6月に介 護報酬に関する9項目の意見ということでとりまとめ、この中でさまざまな課題を挙げているので、 後ほどお目通しをいただければありがたいと思う。  特に全国市長会の介護報酬の意見の一番上だが、介護報酬の水準についてでも、人材の確保が図 られるよう、保険料の水準に留意しつつ、適切な介護報酬を設定することを求めており、今回の介 護報酬の見直しは、介護労働者問題の解決という重要かつ明確な目的があることから、早期にこの 問題解決を図らなければならないというふうに認識している。  既に長寿医療保険、後期高齢者医療制度の導入などにより、高齢者には社会保障費に対する保険 料などの負担感が強まっており、私としては、次にお話をする具体的な事項を講じないまま介護報 酬の見直しがなされて、その結果高齢者の新たな介護保険料の負担が生じることは、容認できない と思っている。  第1に、今回の改訂では、介護労働者問題への対応が必要となるが、国が単純に介護報酬を上げ るのではなくて、介護報酬の適正化も同時に行うとともに、保険料や利用料を払う側の納得を得る ような改正の透明性を確保すること、介護報酬の適正化と改定の透明性の確保が非常に重要である。  第2に、仮に介護報酬の見直しによって高齢者の新たな介護保険料負担が必要となった場合には、 国の責任において、国民に対して十分な説明を行うことが国の説明責任だと思う。  第3に、介護事業者や施設の管理者も含めた介護労働者の給与の水準を公表し、処遇改善のため の幅広い議論を行うことが不可欠であるという共通認識に立った上で、介護事業者や施設に対して 給与水準の公表が円滑に実施されるよう、必要な措置を講ずること。給与水準公表制度の創設と、 以前にも発言したとおり、見直された介護報酬がきちっと介護労働者への給与へ行き渡ったことを 国民の前に見える形で検証できる仕組みを導入することが前提条件であり、これにはこの分科会で も反対意見はないようであるので、是非進めていただきたい。このことを改めて要望したいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  田中さん、最後にどうぞ。 (田中(滋)委員)  個別の事柄については、皆さんが言われたので、私の考え方についてである。堀田委員も言われ たように、介護報酬や介護の基準のうち、経営者が意思決定することに政府は立ち入ってはいけな いと思う。  幾つか堀田委員も言われたが、例えば規模と経営成果についてお話しする。小規模事業者が赤字 だという統計が幾つかあった。確かにそうだと思うが、小規模である理由は、やむを得ず、制度や 環境で決まっている場合、例えば人口の少ない僻地にあるとか、そもそも制度上小さくならざるを 得ない場合、例えば小規模、多機能、居宅介護は当然配慮すべきだが、経営上の選択を反映した結 果小規模になることもある。  例えばつくったばかりの事業所は、小規模であるし、お客様もまだついてないし、最初の1年間 は赤字かもしれない。事業者としては、いろいろなビジネスラインを持っていて、トータルで収支 を図ればよいので、すべてのビジネスラインが黒字というのは、なかなか一般の企業でもない。あ る事業はたまたま小さいけれども、必要だから持っているときは、見かけ上そのビジネスだけが赤 字に見えることがある。  3番目に、もっと悪いのは、要はお客様がつかないケースである。本当は地域にお客様がいるは ずなのに、たまたま他の事業者に負けてしまって、働く人もうまく採用できないし、利用者もつか ない、それで小規模で赤字の事態もあり得る。これを支援する意味は全くない。小規模だからとい う理由だけではなくて、経営者の判断に基づくところを国家が云々してはいけないことが1つであ る。  もう一つは、基本的な考え方として、今、緊急避難的に対応が求められている事柄への対処は当 然である。それは別として、やはり私たち委員として考えるのは、長期的に見て、あるべき方向に 合致しているかどうか。合致している項目を重視する視点も忘れてはならないと思う。医療との連 携の話とか、幾つか出ていたが、短期集中リハビリとか、池田委員も強調されていた短時間頻回訪 問や夜間訪問介護、これは技術革新であるので、こういうものを支援することは長期の方向である。   (大森分科会長)  時間が延びてしまったが、皆さん方のお手元に、参考資料3というのがあり、それの9ページを 見ていただきたい。私としては思い入れのある表であるので、本邦初めて病院から始まって在宅に 至るまで、どういうやり取りになっているかという一覧表であるので、後刻この表をじっと見てい ただいて、全体がどうなっているか、どういうふうに受け渡しが行われているかということをよく 見ていただくと、いろんなことがわかるものと思っているので、お願いしたいと思う。  次回のアナウンスメントをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  次回は、11月14日、同じく14時〜17時まで、居宅関係でもう一回させていただければと思う。 場所等は、また御連絡したいと思う。 (大森分科会長)  それでは、以上である。  ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)