08/10/23 第86回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第86回労働政策審議会雇用均等分科会 第86回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年10月23日(木) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、樋口委員  労働者代表委員   鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、山崎委員、佐藤代理人  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井総務課調査官 定塚職業家庭両立課長、安藤雇用均等政策課長、大地均等業務指導室長 松本育児・介護休業推進室長、代田短時間・在宅労働課長 藤原大臣官房企画官(老健局併任) 議題:   育児・介護休業制度の見直しについて 配付資料:   資料No.1  本日の検討項目   資料No.2  参考資料   資料No.3  両立支援制度の実効性の確保   資料No.4  都道府県労働局への相談事例等 議事: ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から「第86回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催 いたします。本日は、田島委員、岡本委員、山本委員および吉川委員がご欠席との連絡 をいただいております。吉川委員の代理として日本商工会議所産業政策部の佐藤健志副 部長にご出席いただいております。  それでは早速議事に入ります。本日の議題は、「育児・介護休業制度の見直しについ て」です。前回の分科会において労働者の子育て・介護に応じた両立支援制度の整理に ついてご議論いただきましたが、その際、介護サービスの整備状況等について、委員か らご質問がありましたので、本日はそれについて資料が用意されているようです。その 点について、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、本日の資料No.2をご覧いただきたいと思います。前回の会議でご質問いた だきました介護サービスの整備状況と待機がどれくらいあるのかというご質問に対応す る資料をご用意していますので、簡単にご紹介いたします。  まず、1ページでございます。「介護保険制度の実施状況」ということで、被保険者 数はこの7年間で約517万人増加し、2007年4月末で2,682万人となっております。要介護 認定を受けた方の数は約223万人増加しまして、441万人となっております。  次のページをご覧いただきたいと思います。介護保険のサービスを実際に受けている 受給者の数でございます。約207万人増加いたしまして、2007年4月で356万人です。こ のグラフ上は下の黒い部分が施設サービスで、上が居宅サービスということで、居宅サ ービスの伸びが大きくなっております。  次の3ページをご覧いただきたいと思います。実際に介護保険のサービスを提供して いる側の状況でございます。まず、居宅サービスの事業者数の推移をご紹介しておりま す。各サービスの種別ごとに2000年〜2007年の推移を掲げていまして、サービスによっ て多少の違いはございますけれども、概ね増加している状況かと存じます。  次の4ページでは、施設サービスの状況をご紹介しています。まず、介護老人福祉施 設(特別養護老人ホーム)でございますが、2007年5月末で5,988(34.0%)の増。介護 老人保健施設については、3.472(37.1%)の増。介護療養型医療施設では、減少して いる傾向になっております。このうち、特別養護老人ホームの入所申込者の状況という ことで、入所を申し込んで入所していない方の数を把握しているものです。各都道府県 で把握している数を集計いたしますと、平成18年3月の集計で約38.5万人という数字が ございます。  最後に、介護保険の費用と保険料の状況でございます。総費用はご覧いただいていま すとおり、急速な伸びを示しておりまして、2008年度の予算では7.4兆円となっており ます。これに伴いまして、保険料の方も現在では4,090円ということで、制度当初に比 べると、費用、保険料ともかなりの伸びを示しているという状況でございます。介護保 険制度でございますので、今後、費用のことも考えながらどのようなサービスを提供し ていくかということになると思います。資料のご紹介は以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明を踏まえまして、ご意見・ご質問 等がありましたらお願いいたします。山崎委員。 ○山崎委員  3点ほどお聞きしたいのですが。2ページの右側のグラフですが、地域密着型サービス が17万人とあるのですが、これは地域の協力を得ていろいろやるということだと思うの ですが、居宅サービスの方たちも当然こういうサービスは受けるということですよね。 区分けの仕方がどういうことなのか。それが1点です。  それから、3ページに認知症対応型共同生活介護とあるのですが、これはグループホ ームのことだと思います。これは9人以下くらいの範囲でやっていると思いますが、認 知症以外の方たちもグループホームに入っている例が多いと聞いています。それは、こ このどの部分の当てはまるのかということ。  それから4ページの施設のサービスですが、介護を受ける方と介護をする方、ケアワ ーカーというのでしょうか、そういう方の昼と夜の人数が違うと思うのですが、38.5万 人とありますのは、そういうケアワーカーの人数との兼ね合いで、ケアワーカーが少な くて入所できない方がいるということもあるのでしょうか。この3点をお聞きしたいと 思います。 ○林分科会長  では、藤原老健局総務課企画官から説明をお願いします。 ○藤原老健局総務課企画官  介護保険を担当している老健局総務課企画官の藤原と申します。今、山崎委員から3 点のご質問がございましたけれども、まず第1点の地域密着型のサービスにつきまして は、前回の法律改正で新しく作られたサービスの類型でございますので、利用者数はま だ少ないですけれども、多種多様な地域に密着したサービスがここに含まれておりまし て、一つは認知症対応のグループホームもここに含まれておりますし、市町村単位でシ ョートステイやデイサービスを別々に行うのではなくて、ホームヘルプやショートステ イのようなものを一つのパッケージで一つの事業所で臨機応変にサービスを提供してい ただくというような、小規模多機能サービスというような新しい類型も作っております。 こういったサービスがここに含まれているということになると思います。まだできたば かりの制度ですので、数的にはこれからまだまだ拡充が必要なサービスとなっておりま す。  2点目のグループホームについては、基本的には認知症対応のサービスということで すので、認知症の方々を対象としたサービスでございますけれども、地域密着型の一環 として小規模な特別養護老人ホームのような類型もございますので、そういったところ で認知症以外の方々については対応するということになると思います。あるいは、特定 施設入居者ということが下に書いてありますけれども、いわゆる有料老人ホームなどが ここに含まれますので、高齢者の住まいのニーズの対応として、そういったものも活用 されているのかと思います。  それから、特養の待機者は約38.5万人と資料にもありますが、この中には重複してカ ウントされているものがあったり、在宅ではなくて既に施設に入っておられる方で別の ところに移りたいと手を挙げている方が含まれていたり、比較的軽度な方も一定数入っ ているというようなことを含んでの38.5万人という数字でございますので、この方々が すべて今すぐに特別養護老人ホームに入らなければいけない方かどうかというのは、す ぐには申し上げられないかもしれません。一応把握している数字ではこれだけの方がお られるという事実でございます。 その上で、委員御指摘のように、介護職員の方を確保できないがゆえに、ワンフロアー がオープンできないとか、2階部分だけはオープンできるというようなことが地域によ ってはあると聞いておりますので、私どもは、今まさに来年度の介護報酬の改正を所管 の分科会では議論しているところなのですが、そこでもやはり人材確保や、介護職員の 処遇改善のために報酬をどうすべきかということを、ご議論いただいているところでご ざいます。 ○山崎委員  ありがとうございました。 ○林分科会長  その他に、ございますか。佐藤委員。 ○佐藤委員  育児・介護休業法上の要介護状態にあるという認定や、要介護状態ごとに93日ですか ら要介護状態の変化の認定と、介護保険上の認定が対応するかどうかなのですが。黄色 い冊子の20ページに「常時介護を必要とする状態の判定基準」がありますけれども、そ れと介護保険で認定を受けるのに「この段階以上だと」というような、つまり働いてい る人からすると、親の状態が、自分が介護休業を請求できる状態であるかというのは、 一つは介護保険の認定がわかりやすいと思うのです。20ページに書いてあるこの判定と、 これは認定を受けるわけですから介護保険でどうなっているかわかるのですが、それが リンクしているのかどうかということ。  もう一つは、親が倒れてから施設に入れるまで3週間くらい看護休業を取って、その 後施設で安定したから復帰して在宅に戻ってきたときに、例えばまた初めの2〜3週間の 看護休業を取りたいといったときに、要介護状態が変わったかどうかというのは、何で 見れば良いのかということです。その辺がおわかりであれば。つまり、どういう状態で あれば要介護状態なのかということと、異なる要介護状態になったというのはどこで判 定するのかということです。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  佐藤委員からご紹介いただきましたとおり、黄色いパンフレットの20ページの表が育 児・介護休業法上の要介護に当たるかどうかという基準としております。こちらは介護 保険の認定の基準とは若干異なっておりまして、介護保険法以前から基準がございまし たので、こちらの基準で運用してきているという状況でございます。要介護状態の変化 というのは、基本的にはここの表に書いてある状態について判断することを考えており ます。 ○佐藤委員  そうすると、介護保険の認定で、例えばいくつであれば要介護状態であると単純には 言えないわけですね。介護休業を取ろうとする場合は、別に考えなければいけないわけ ですね。 ○定塚職業家庭両立課長  そのとおりでございます。 ○佐藤委員  その辺は、うまく整理できると良いと思います。ご検討ください。 ○林分科会長 他には、ございませんか。 では、続きまして、本日の検討項目の「両立支援制度の実効性の確保」について事務局 から説明をお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、まず資料No.1に戻っていただきまして、本日の検討項目をご紹介させてい ただきます。本日は、「両立支援制度の実効性の確保」ということで3点です。1点目が、 「不利益取扱いの規定について」。均等法における取扱いと比較し、必要な見直しを行 うべきか。短時間勤務等の申出又は取得を理由とする不利益取扱いについて、法制的な 位置付けを見直すことや基準を明確化すべきかという点。 2点目が、「苦情・紛争の解決の仕組みについて」。均等法に基づく不利益取扱いが 「調停」制度に基づいて紛争の解決が図られていることなどを踏まえまして、育児休業 の申出による不利益取扱い等についても、こうした「調停」制度等による紛争解決援助 の仕組を設けるべきかという点。 3点目が、「広報、周知・指導等について」でございます。それぞれ、資料No.3に基づい てご説明いたします。  資料No.3の1ページ以降は1点目の課題でございます。2ページ目をお開きいただくと、 研究会報告書の該当部分の抜粋でございます。均等法における取扱いと比較し、必要な 見直しを行うよう検討するべきであるということ。また、育児・介護休業、子の介護休 業の不利益取扱いについては、法律上禁止されている一方で、時間外労働の制限、深夜 業の制限、勤務時間短縮等の措置等の不利益取扱いについては、指針(告示)を根拠と して禁止されているという点について、法制的な位置付けを見直すことや基準を明確化 することを検討するべきであるとされております。 このような指摘がございましたので、次の3ページには、「不利益取扱いに関しての指 針」の左側に均等法の指針、右側に育児・介護休業法の指針という対比でご紹介してい ます。ご承知のとおり、均等法の前回改正の際には、まず育児・介護休業法の指針がご ざいましたので、この右側の指針を基にしまして、均等法の指針をどのように定めるべ きかという議論が審議会で行われ、その結果として定められたものが左側のものでござ います。均等法の部分について、育児・介護休業法に定めがない部分が幾つかございま すので、その部分については下線を付しております。 具体的には、まず均等法の方のラインで見ていただきますと、「ト 自宅待機を命ずる こと」というところで、例示の説明書きとして5行目以降に「女性労働者が軽易業務転 換を請求した場合」という例示を加えてございます。これは、労働基準法第65条3項に 妊娠中の女性が軽易業務転換を請求した場合に対応しなくてはいけないという規定がご ざいまして、これに対応した指針でございますので、均等法特有の事情と承知しており ます。次の欄でございますが、「減給、賞与等において不利益な算定を行うこと」。こ の柱書き自体は均等法と育児・介護休業法は同じでございます。ただ、均等法にはさら に具体的な例示という形で、まず(1)ということで「労務の不提供や労働能率の低下が生 じていないにもかかわらず、妊娠、出産、産休の請求等をしたことのみをもって、賃金、 賞与、退職金を減額すること」という記述がございます。次のページをご覧いただきま すと、さらに具体的な例示ということで、均等法について2点付いておりますが、この 部分については若干順序は違いますけれども、右側の育児・介護休業法の欄の内容と対 応するものでございます。内容としては、働かなかった日の分を働かなかったものとし て取扱うことは不利益な取扱いには該当しないが、その日数を超えて働かなかったもの として取扱うということは該当するという内容でございます。次の(3)でございますが、 こちらは均等法の改正のときに追加された例示でございまして「賞与又は退職金の支給 額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、同 じ期間を休業した疾病等と比較をする」ということが入っております。次の欄の「リ  昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」という例示。この例示につき ましては、育児・介護休業法については記述をされておりませんので、均等法の方に明 示されているという取扱いになっております。次の「ヌ 不利益な配置の変更を行うこ と」。こちらも4ページの方は同じ記述でございますが、5ページには均等法にさらに例 示が付け加わっております。具体的には、「妊娠した女性労働者の業務を遂行する能力 があるにもかかわらず、配置の変更を行うこと」といったもの。また、「業務を遂行す ることが困難であり配置を変更する必要がある場合において、他に適当な職務があるに もかかわらず、特別の理由もなく賃金その他が劣ることとなる配置の変更を行うこと」 という例示をさらに加えているという違いがございます。また、最後の欄でございます が、均等法の方は「産前産後休業からの復帰に当たって、原職または原職相当職に就け ないこと」という記述がございます。これに類似の記述といたしましては、育児・介護 休業法の右側の「参考」というところで「育児休業・介護休業後においては、原則とし て原職または原職相当職に復帰させることが多く行われていることに配慮すること」と いう記述になっております。  次に7ページをご覧いただきたいと思います。こちらは、不利益取扱いの禁止が規定 されているかどうか、あるいはその規定の根拠が法律であるか、指針であるかというこ とについて整理をした表でございます。育児・介護休業法に基づいて法律上の権利・義 務となっております規定については、すべて左側の欄でございますが不利益取扱い禁止 という規定がございます。その根拠につきましては、育児休業、介護休業、子の介護休 暇、こちらは法律を考慮しております。一方、時間外労働の制限、深夜業の制限、勤務 時間の短縮等の措置については、法律上の根拠ではなくて、指針を禁止の根拠としてい るというものでございます。なお、この内容については欄外に書いていますが、「全て 同様」とされております。一方、努力義務につきましては、法律の第24条で不利益取扱 いを規定していないという取扱いになっております。  次の8ページ以降はデータのご紹介でございます。育児休業期間中の定期昇給の取扱 いを見ますと、定期昇給制度がある事業所のうち、約半数が「休業期間中の定期昇給は 行わずに復職後に持ち越す」としております。その他、「復職後に昇給する」、「定期 昇給時期に昇給する」という回答も一定数ございます。また、賞与の算定の際の育児休 業期間の取扱いも下に書いてあるとおり、出勤日又は休業期間に応じて支給するという ものが最も多くなっています。  次のページは「育児休業復職後の取扱い」などについてです。復職後の職場・職種に ついて、「原則として原職又は原職相当職」としているものが66.6%となっております。 また、育児休業を取得した場合の定期昇給に対してどのような影響があるか、あるいは 昇格・昇給に対してどのような影響があるかというデータを下でご紹介しております。 休業期間が1、2か月の場合には影響は少ないが、6か月を超える場合は影響が大きくな ってくるということがございます。しかしながら、「影響がない」あるいは「復帰直後 は遅れるが、いずれ同じ水準になり得る」という回答を合わせると、どちらも60%以上 となっております。  次のページのデータをご覧いただきたいと思います。短時間勤務を利用している際の 人事考課や賃金の設定等の業績評価でございます。「短時間勤務に配慮した目標設定を 行い、その達成度で評価する」というものが36%。「フルタイムと同じ基準の目標設定 を行い、達成度で評価している」というものが28.6%などとなっております。また、短 時間勤務利用時の業務量・職責範囲、昇給・昇格については、下に示しているとおりで ございます。  次に、論点の2点目の「苦情・紛争の解決の仕組みについて」の資料をご紹介いたし ます。まず、最初のページは研究会報告書でございます。均等法に基づく妊娠、出産等 を理由とする不利益取扱いが「調停」制度に基づいて紛争の解決が図られている。一方、 育児休業の申出に係る不利益取扱いについては、「調停」制度ではなくて、別の制度と して取り扱われているという違いがございまして、こうしたことに鑑みれば、「調停」 制度等による紛争解決援助の仕組みを設けることを育児・介護休業法でも検討すべきで あるという提言となっております。 次の13ページでは、現行の「均等法・パート法に基づく紛争解決援助制度等の概要」を ご紹介しております。まず、企業内で紛争があった場合には、事業所内での苦情の自主 的な解決をしていただくということが第一弾でございます。これで解決しない場合には、 雇用均等室で相談を受け付けて対応するということになりますけれども、左側の矢印の 流れといたしまして、紛争解決の援助及び調停に関する制度でございます。具体的には、 紛争解決の援助ということで都道府県労働局長による助言、指導、勧告という流れ。そ れから調停会議による調停という流れがあります。これは助言、指導、勧告から調停に いく場合もあれば、助言、指導、勧告を経ずに調停にいく場合もあります。一方で、個 別紛争の解決の援助ということでは、ごく一般的な指導の流れとして右側の流れがあり ます。こちらは厚生労働大臣(都道府県労働局長)による報告徴収と助言、指導、勧告と いう手続きです。この部分については均等法、パート法、それから後ほど資料でご紹介 しますけれども育児・介護休業法においても同じ手続きがあります。一方、左側の紛争 解決の援助、調停については均等法、パート法のみで育児・介護休業法については規定 がないという違いがあります。また、均等法については、助言、指導、勧告に従わない 場合に厚生労働大臣による公表という仕組みも整備させていただいております。左側の 紛争解決援助制度の対象としては均等法、パート法について下に掲げたものとしており ます。  次に、3点目の「広報、周知・指導等について」です。15ページでは研究会報告書の 結論をご紹介しております。都道府県労働局や雇用均等室による制度の周知徹底、適切 な助言、指導等。さらには男性の育児休業について社会的なムーブメントを起こしてい くような広報活動等について検討すべきものという提言をしております。  次の16ページでは、周知等の活動について行政として何を行っているかという取組を ご紹介しております。大きく分けて、まずポスター、パンフレットなど各種資料の作成、 配布による周知があります。事業所、事業主にお配りするための資料。また女性労働者 ご本人向けのパンフレットの作成、配布等があります。また関連するものとしては、フ ァミリーフレンドリー企業表彰制度というものを設けまして、ファミリーフレンドリー 企業を増やしていくという取組に資するための取組を行っています。さらには、法律は 違いますが、次世代育成支援対策推進法に基づく認定マークである「くるみん」の普及 活動等を行っております。  大きな2番目としては「都道府県労働局における説明会、集団指導等」ということで、 さまざまな説明会や事業主を集めての集団指導会等を行っております。こうした取組に ついては、最近では特に地域の関係機関との連携を保ちながら、さまざまな方法で取組 を進めていくこととしております。その他に報道機関への情報提供やインターネットの 活用、助成金の広報、その他の普及啓発事業、委託事業等も含めて、さまざまな取組を 進めているところです。  次の17ページは、先ほどの均等法、パート法の制度の中でもご紹介しましたが「育児 ・介護休業法違反事案の指導の流れ」です。育児・介護休業法に違反しているという事 案を均等室で把握した場合には、まず報告徴収をし、法違反の事実が本当にあるのかど うかということを把握した上で、助言をし、従わない場合には指導する。指導しても従 っていただけない場合には勧告をするという手続きが整理されています。  次ページ以降は、こうした制度に則りまして、相談、指導等をどれぐらい行っている かという件数のご紹介です。まず、平成19年度の相談件数です。18ページには制度に関 する相談、19ページには労働者の権利等に関する相談件数をご紹介しています。18ペー ジの「制度」の相談件数につきましては合計で4万2,582件となっております。また、19 ページの「労働者の権利等に関する事案」のご相談につきましては合計で6,194件とな っております。次に20ページですが、こちらは指導などの件数ということで、報告の徴 収と助言、指導、勧告をどの程度実施しているかという件数です。こちらも「制度」と 「労働者の権利等に関する事案」で分けてご紹介しております。まず「制度」の指導等 件数につきましては、「助言」「指導」「勧告」という欄を見ていただきますと、一番 下に合計があります。「助言」については4万4,387件、「指導」が3,132件、「勧告」 が合計17件となっております。また、21ページの「労働者の権利等に関する事案」は個 別具体的に、労働者から休業を取得できない、短時間勤務を取得できないといったご相 談があったケースですけれども、こちらの「助言」が99件、「指導」が9件、「勧告」 が0件となっております。この件数を見ていただきますと、おわかりいただけるかと思 いますけれども、多くの企業は助言の段階で、その助言を受け入れて制度を直し、ある いは労働者の権利等に関する事案に対応していただいているということが言えますけれ ども、一部の企業によっては指導の段階に進んでいる。さらには勧告の段階に進んでい る企業も全体から見ると割合は非常に少ないですけれども存在するということがわかり ます。そうしたことで是正、改善された件数と次年度への繰り越しとなっている件数も 併せて列挙してあります。  最後に資料No.4をご覧いただきたいと思います。こちらは今ご紹介したような指導、 相談の件数の中で、具体的にどのような事例が取り扱われているのかのイメージを知っ ていただくための資料です。  まず1番目の案件は、育児休業の取得を申し出たけれども、男性であるため拒否され た事案です。こちらは最終的には雇用均等室の指導によりまして育児休業を取得する経 緯になっております。  2番目の事案については、育児休業取得を拒否し、都道府県労働局雇用均等室におい て、助言、指導、勧告まで行いましたけれども、結局従っていただいていない事例です。 次の2ページの最後のところにありますけれども、最終的には育児休業を取得した後、 パートでの復職しか認めなかったということで、相談者は民事訴訟を提起している状況 になっています。こうした事例は先ほどの件数でも見ていただいたとおり、件数的には 非常に少ないというものですけれども、こうした事例もあるということでご紹介させて いただきました。  3番目は育児休業終了後、自宅待機を命じられた事案で、雇用均等室の指導によりま して復職している事案です。  4番目は休業終了後の配置転換を会社側が命じて、その配置転換に応じなかったため に自宅待機、雇止めの予告があった事例です。こちらも雇用均等室の指導によりまして 休業前の職場に復帰させております。  5番目は短時間勤務の利用を申し出たけれども、拒否されまして、フルタイムでの復 職か退職をすべきだと言われた事案です。こちらも雇用均等室の指導によりまして相談 者は育児短時間勤務制度を利用したという事案になっております。この案件の場合には、 会社の方で短時間勤務制度が就業規則に規定されていたということがありまして、これ に従いまして雇用均等室で指導を行った事案です。  次の6番は短時間勤務制度を利用し続けるならば、非常勤職員に身分変更すると言わ れた事案です。こちらは会社に報告徴収を行ったところ、会社からそのような取扱いは していないというお話がありました。調べたところでは、社内に短時間勤務制度とその 取扱いが十分に周知されていないということで、会社の人事担当部局が考えていること と現場での言動に食い違いがあったということで、両立支援制度について社内に周知徹 底し、また相談者の方も引き続き短時間勤務制度を利用する結果となっております。  次の事例は所定外労働免除を申し出たことによる身分変更を迫られた事案で、こちら も雇用均等室の指導によりまして解決しています。  8番目は短時間勤務の利用に際して、育児休業中に代替要員を補充した結果、原職の ポストに空きがないということで配転となりました。配転については了承したけれども、 給与が大幅に減額で4割カットとなってしまうことに納得ができないという相談事例で す。こちらは短時間勤務で時間数が減っているということ、それから給与の4割カット ということについて不利益取扱いといえるのかどうかということでしたけれども、雇用 均等室の方でさまざまな資料を基に判断したところ、不利益取扱いに当たるということ で処遇の見直しを指導した事案です。  9番目の事例は短時間勤務の申出に対して、遠方の事業所に配置転換すると言われた 事案で、こちらの方は、雇用均等室では配置転換命令を撤回するように指導したという ものです。会社側の対応としては、会社は今後法に則した運用をするということは方針 として示していただいたのですが、当該相談者の異動は通常の人事異動ルール内のもの であるということで撤回しなかったという状況になっています。相談者は結局退職され ております。  次の事例は深夜業の免除の申出の事案で、雇用均等室の指導によりまして深夜業免除 を適用するということになりました。ただ、相談者は退職しております。  最後の事例は、こちらは相談事例ではありませんので、計画的な事業所訪問による報 告徴収において、育児・介護休業制度が就業規則に定められていないことがわかりまし たので、就業規則に規定すべきであるという点を助言し、指導、勧告をした。しかしな がら、勧告から2年近く経過した現在も、まだ規定を置いていただいていない事案です。 こういった事案は大抵根気よく雇用均等室で助言、指導を行っていけば規定していただ いている事業主が多い中で、数は少ないですけれどもこうした事案があるということで ご紹介させていただきました。資料の説明は以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。ただ今、事務局から三つの論点についてご説明いただきま した。それぞれ内容も多岐にわたりますので、資料No.1に基づき、相談事例も踏まえな がら、今、事務局からご説明のあった三つの論点を一つずつ議論したいと思います。 まず、「不利益取扱いの規定について」について議論したいと思います。資料No.1にあ るように、論点としましては均等法における取扱いとの比較、それからもう1点としま して短時間勤務等の申出または取得を理由とする不利益取扱いについて、法制的な位置 付けを見直すことや基準を明確化すべきかという点についてです。この不利益取扱いの 規定について、ご意見・ご質問がありましたらお願いいたします。川崎委員。 ○川崎委員  質問ですけれども、よろしいでしょうか。育児・介護休業法の不利益取扱いに関して ですけれども、時間外労働の制限に関しての不利益的な取扱いについて質問をさせてく ださい。この黄色の冊子を拝見しますと、82ページの一番下の4項になるかと思います けれども、ここでも時間外労働制限に関する事項というところで、「労働者が時間外労 働の制限を請求したことによって解雇その他の不利益な扱いをしてはならないという規 定がある」となっていますけれども、ここは指針で規定されているということだと思い ますが、解雇はここに書かれていますけれども、その他の不利益な取扱いというところ に関しては、どのような規定がされているのかご紹介してもらうことはできないでしょ うか。 ○林分科会長 定塚職業家庭両立課長、お願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  恐れ入りますが、お手元の解釈便覧の209ページをご覧いただきたいと思います。今、 ご質問いただきました時間外労働の制限の不利益取扱いにつきまして、不利益解雇その 他の不利益な取扱いをしてはならないという点については指針に規定されております。 さらに、どのような内容、考え方とするかということについては、209ページの中の通 知におきまして、具体的には一番上の段から2段目にかけて、不利益な取扱いをしては ならないと明示したものであるということ。それから、不利益な取扱いについての基本 的な考え方は育児休業の場合と同様であることとしまして、育児休業等の場合の指針と 考え方が同様であるということを示し、現場においてもそのように取扱っています。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 ただ今のお答えに関連してお尋ねさせていただきたいのですが、資料No.3の7ページです。 先ほど不利益取扱いを禁じる規定がどこに書かれているのかということで、法律上のも のなのか、指針上のものなのかということのご説明で使われた資料ですけれども、今の 川崎委員の質問との兼ね合いでお尋ねさせていただきたいのですが、この資料の左側で 点線の囲みの下の部分の「禁止の根拠が指針(告示)のもの」で、時間外労働の制限、深 夜業の制限、それから法第23条にかかわる部分の三つが今のご説明にあったような取扱 いという理解でよろしいのでしょうか。 ○林分科会長 定塚職業家庭両立課長、お願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  遠藤委員のご指摘のとおりで、この下の三つについては、まず指針で今の時間外労働 の制限と同じような規定、つまり「解雇その他の不利益取扱いをしてはならない」とい うことを記載した上で、通達で育児休業等の指針と考え方が同じであるということを示 しているものです。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  そうしますと、今の7ページのところを見ますと、上の方の点線の囲みの中は、休業 なり休暇ということで、いわゆる労務の提供がない形のものだとくくることができると 思います。それに対して、下の方の囲みは何らかの労務の提供があるけれども、制度の 適用があった場合には、これまでの働き方とは違う働き方になるというくくりができる かと思います。そうすると、下の方の囲みのこれまでとは違う働き方をするという方々 のグループを、上の方と違う形で規定しているということの背景のようなものは何かあ るのでしょうか。 ○林分科会長 定塚職業家庭両立課長、お願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  この辺りの背景についてということですが、最初に時間外労働の制限と深夜業の制限 について育児・介護休業法上規定した際に、不利益取扱いは法定化されていなかったと いう理由について、当時、いろいろな場面でお尋ねがありました。これについては、深 夜業の規定がもともと労働基準法から移ってきた規定で、もともと不利益取扱いという 法律上の規定がなかった。従いまして時間外労働の制限を入れたときにも、深夜業と同 様にあえて法律に規定することはしなかったという回答を当時はしております。ただ、 不利益取扱いはあってはならないものですので、法律に規定がなくても適切な助言、指 導を行うということで不利益取扱いのないようにしてもらいたい、このような取扱いと しております。 従いまして、特に時間外労働、深夜業等について法定化されていないのは従来の規定の 経緯からと承知しております。なお、勤務時間の短縮等の措置について規定されていな い理由は、特段どこかで議論されたという経緯が見当たりませんので、当方としても承 知しておりません。 ○山崎委員  よろしいですか。比較表がありますけれども、前は育児・介護休業法の方を参考にし て均等法というお話でしたけれども、元の物をまた再度考えるということもありますが 法律の目的も違うということもありまして、やはり育児・介護休業法ならば育児・介護 休業法の中での動きはよいと思いますけれども、若干目的の違うような法律のことを、 また法律それぞれの規定があればよいのであって、何もあまり比較してやるようなこと はなく、育児・介護休業法の枠といいますか、そういう法律の中で独自に考えればよい という気がします。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今のご意見は、一部は男女雇用機会均等法が妊娠・出産などを定めているものという 独特な男女がというところで、育児・介護休業法にそぐわないというところはおっしゃ るとおりだと思いますけれども、不利益取扱いに関するところは、基本的にいろいろな 法律ごとに不利益の解釈が異なってくるというのは、非常に会社側の担当方たちも労働 基準局の担当の方たちも、この法律はこれが不利益、これはこの不利益というのでは、 とても煩雑になってしまうのではないかと思います。 また、労働者側も法律を日常的に意識しておりませんので、均等法や育児・介護休業法 ではこういうものが不利益になっているということを労働組合としても周知をしていく こと。できるだけ可能な限り同じような取扱いにしていただくことが、このようなもの が不利益になるという認識合わせができるということでは、今の事務局の原案で出して いただいているように、均等法で改正してきた経過のあるものについては、育児・介護 休業法にも不利益と合わせられるものは合わせていくという考え方でよいのではないか と感じています。 ○林分科会長 遠藤委員 ○遠藤委員  今のご意見に対してですけれども、私ども使用者側としましては、今、山崎委員がお っしゃったように、やはり育児・介護休業法の枠の中で判断していくものだと考えてお ります。その場合の最大の根拠は、今、斉藤千秋委員からご指摘がありましたところを 見ますと、ご存じのとおり、育児・介護休業法の部分でいうと、妊娠・出産、それから 妊産婦という取扱いですから、産後1年間という期間にとどまっているわけです。それ に対して育児・介護休業法の部分がどこまでのスパンを持っているかということを考え ていけば、それはかなり長期にわたる場合があり得る。そういうことを考えると、やは り横並びであって当然だといったような議論は決してないと思っております。  どうやって考えていくのかということについて、何点か申し上げたいと思います。ま ず、この不利益取扱いの見直しに関してですけれども、報告書の中でいろいろとご指摘 がありましたように、そもそも不利益取扱いといったようなものを立てる必要性はわか るのですけれども、では網羅的に書けるかというと、決してそういうことではないとい うことが、まず1点あろうかと思います。  それから次に申し上げたいのは、この期間の問題です。繰り返しで恐縮なのですが、 期間が長期にわたるということ。それから期間が長期にわたるというだけではなくて、 先ほどのご質問との兼ね合いで申し上げますと、休業・休暇のパターンと、働くけれど も適用前と適用後では異なる働き方をするという大きなグループがあるわけですから、 そのグループをごちゃごちゃにしたような議論をすることは難しいと思っております。  それから、最後ですが、もともと企業側からすれば、限られた人材を有効活用すると いう中において、人事権や賃金の決定権につきましては当然正当な権限があるわけです から、そういった正当な権限を行使することを委縮させてしまうような規定ぶりがもし 出てくるのだとすれば、これは使用者側としては断固反対してまいりたいと思っており ます。以上です。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員  斉藤千秋委員がおっしゃっていたように、法律の対象や法律の目的はそれぞれ違いま すので、全く同一というのは不可能だと思いますが、私も斉藤千秋委員の意見に賛同し ています。均等法もそうですけれども、育児休業あるいは介護休業を利用しなければ働 き続けられない状況の中で、やはり今回のテーマである両立支援制度の実効性の確保と いう視点であれば、より効果的な法律を使うことによって保護されるということをきち んと明記することが必要ではないかと思います。すべて具体的に同じに、例えば、この 表にある左側と右側を一致させるということではなくて、基本的なところである不利益 が何であるかというところはそれほど差がないと思います。多くがこの両立支援制度の 実効性の部分で問題があるとしたら権利行使をする。それが認められていることを権利 行使しようとしてもなかなか理解されない、あるいはきちんと行使しても問題ないとい うことで保護されないということに、大きな権利行使に対して躊躇するということにつ ながっていくと思いますので、そういう同じような視点での不利益と不利益取扱いの規 定が必要だと思います。  それから、後は期間のことも非常に重要だとおっしゃっていたのですが、対象期間が 短ければ対象を明確にして、期間が長くなるとこれが分散するのかというと、やはりそ の期間において不利益取扱いになるかどうかということはきちんと測れると思いますの で、それについても一律にということではないですけれども、検討するべきだと思いま す。以上です。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員  私も斉藤千秋委員、山口委員と基本的には同じ考えですけれども、遠藤委員から使用 者側の正当な権限の行使ができなくなるというお話もありましたけれども、それは労働 者側から言えば、労働者側の正常な権利を行使するということが現状の中でもまだまだ 妨げられている。それ故に育児休職を取ることについて労働者側が積極的になれない理 由は、まだまだ実際問題としてあると思います。そして、この改正均等法の中での不利 益取扱いの禁止の中身について、これ自体が全くこのままでよいのかということも、こ れ以外の問題としてはあると思いますけれども、その中身そのものを、やはり現段階で は育児休職または介護休職を労働者が取る方向性を確保するという意味においては最低 限この改正法の中身まですべきではないかと考えます。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  教えていただきたいのですけれども、例えば資料No.3を拝見して左と比べたときに、 機械的に左が何々、右が何々と破線で囲まれているわけですけれども、具体的でなくて もよいのですが、それをどういう形で育児・介護休業法の中に持ってくることの必要性 をご指摘されているのか教えていただければと思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 回答になるかどうかわからないのですけれども、育児・介護休業法の中で、妊娠・出産 というのは女性にかかわる事項ですので、今回男性が育児介護休業法を取りたいと思っ たときに、ここでいう4ページの例えばDの昇進・昇格の人事考課において不利益な評価 を行うことと、男性が育児休業を取れない理由として経済的な理由と次いで同じくらい の理由で挙がってくるのが、査定や評価が下がるのではないかということを気にしてい る。この辺を育児・介護休業法の新たな不利益取扱いの中に織り込んでいかなければ、 今、育児・介護休業法の審議の中で別で検討している男性の育児への参画というところ にもつながっていかないのではないかと思います。先ほど遠藤委員が言っていた長期と いう意味からすると、育児・介護休業法の現行法でいけば、育児については1年、事由 があれば1年半、介護については93日という規定ですので、均等法でいわれる女性が出 産・妊娠の一連のところからすると、決して長いとは感じていませんので、そこを含め てこの昇進・昇格の人事考課においての不利益の評価を行うというところを織り込んで いく必要があると思います。もっといいますと、5ページの原職または原職相当職に就 けないというところについても、産前産後休業からの復帰というのが均等法ですが、育 児・介護休業法で休業からの復帰についても同様の原職または原職相当職というのも明 確に法律の中で不利益取扱いと定めていくことも必要だと感じています。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  先ほども申し上げておりますように、育児・介護休業法の枠組みの中は休業や休暇だ けの枠ではなくて、働きながら適用前と違う形での働き方についても同様の中身と書い てあるわけですから、そうであれば斉藤委員もご存じのように、そういう働きながらの 方については小学校に入る前までと長期にわたっているわけですから、そういうところ の部分も含めて長期にわたっていると申し上げているのが一点。休業の部分についても 1年とご指摘されましたが、23条の規定に準ずる措置を講じれば3歳まで伸びてくるわけ ですから、そうなると3年間といえば育児・介護休業法の期間も長いといえるかと思い ます。 昇進・昇格の部分ですが、何度もいろいろな方とお話もしましたし、この文章を読んだ のですが、昇進・昇格の中において不利益な評価を行ってはいけないという部分におい て、どういう行為が行われたときに、それが不利益かということを、どういう形で書い ていくのかということについては、そもそもできるのかという気がしています。少なく とも適用前と適用後では適用後の形が違うわけです。ですから違う形のものをどう評価 するのかというのがあってよいと思います。ですから、これは例えばその部分をマイナ スに評価するけれども、それはリカバリーを受けるのだとおっしゃるのかもしれません。 その場合リカバリーというのは何年でリカバリーすればそれが不利益ではなくて、どう なのかという基準を出すこと自体難しいと思っていますし、そもそも昇進・昇格という ことを考えていきますと、例えば先ほど事例集の中にありましたように、ポストに限り がある場合にあっては、もともと昇進できるという状況が、その場合にはタイミングと してないということもあり得るわけですので、そうするとリカバリーを打ちたくても打 てないという状況もあるということはいえると思います。  長くなって申し訳ないの ですが最後に、資料No.3の4ページ、例えばリの「昇進・昇格の人事考課において不利益 な評価を行うこと」の(1)ですが、実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていな いにもかかわらず、女性労働者が妊娠し出産し、飛ばしますが、それをもって人事考課 において以下を不利に扱うことということが書いてあるのですが、少なくとも育児・介 護休業法の場合においては、申請があって適用されるということを前提に物事が進んで いくと思いますので、そうなると「〜していないにもかかわらず」という部分は、全然 生きてこない話になってくると思うのですが、そういったところを含めて、どういうも のを書くのかということと、それが本当に書ききれるのか。各社各様の社内基準の中で 昇進・昇格を持っているので、そういったものを全部一律でこのような場合は駄目だと いったことが本当に出せるのかということについては、大いに疑問だと思っています。 ○林分科会長  斉藤委員。 ○斉藤千秋委員  昇進・昇格の件については、例えば休業ということについては均等法で既に妊娠出産 の休業ということで不利益取扱いが定められていますので、それを適用するということ はご理解いただけるかと思っています。問題は、短時間勤務で働く、あるいは時間短縮、 時間外を免除することに対してどういうことかということですが、そこについてはそう いう形で働き方の選択肢として選んで働いているという事象だけをとらえてマイナスの 評価をする、短時間を選択して働いているというだけで評価をしないと。例えば6時間 働いていて6時間分の生産性は上げているのですが、短時間勤務で働いているというだ け。あるいは時間外労働をできないので免除してもらうということを本人が使用者側に 申し出て、そういう働き方を選んでいるということだけで評価をしないとなることは不 利益取扱いになるのではないかと思いますので、その人が働いている時間に生産性を必 ず上げているので、そこの部分を働き方を選択したというだけで査定から外す、査定の 評価を低くするということについては不利益な取扱いだと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  働き方に応じた評価を社内基準に則ってするということであって、そういう短時間行 為をしたからということのみをもってその評価をしたわけではなくて、その働き方に応 じた基準に基づいて評価しているわけですから、それを良いとか悪いとか不利益取扱い だとかどうだとかという基準で裁くこと自体が無理なのではないかということを申し上 げています。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  ここのところでは基本的に育児休業や短時間勤務等の制度を必要な人が使いやすいよ うにする。「使いやすいように」という制度の仕組みがあるのですが、利用したことに よって企業の中でいろいろな処遇等にどう影響するかについて、不安なく取得できるよ うにすることは大事だと思うのです。もちろん休業を取るとノーワークですから相当期 間給与がない。これは多分働く人も納得できると思うのですが、休業を取って復帰した 後、例えば昇進表にどうかかわるのかとか、あるいは短時間勤務を利用したときに、そ の時間分は給与が減るのはそうだろうけれども、残業していたら残業免除になったとき に、当然残業はないのですが、8時間分の評価はどうかかわるのか。多分不安に思って いる方は実際上結構多いです。そうするときに両方の考え方が非常に食い違っているわ けです。会社とすればこういう基準で評価しているから不利益ではないと。でも、そう ではないという人もあるわけです。逆にいえば、合意されていないということは不安に なるということだと思いますので、例えば会社によっては育児休業から復帰して最初の 評価のときに、例えば一律全員Cを付けるということもあるのです。これは明らかに不 利益取扱いだと思うのですが、これは不利益取扱いではないという人もいるわけです。 かなり評価が分かれている部分について、確かに不利益取扱いだと思うことも不利益取 扱いでないというのもあるとすれば、これについては少し議論をして、不利益取扱いに ついての考え方も整理しておかないと、特にこれから議論をしていきますが、短時間勤 務等を入れ込んでいくときに、より休業よりも難しいので、不利益取扱いが何かという ことを明記しないと、制度を入れたけれども利用が進まないということになるのではな いかと思います。 特に眺めてみますと、均等法と同じにせよというのではなくて、昇進・昇格の人事評価 は大事な点ですが、これが落ちているというのは、なくても公正な評価が行われている という、多分遠藤委員の意見はそうだと思うのですが、ではそうであれば公正な評価が どういうものかということを逆にいえば書くということです。不利益取扱いが何かとい うことですから、それは公正にやっているということであれば、それをきちんと書けば よいということであって、一部そうでないところは駄目ですよということをいうわけで すので、私は公正なやり方についてはいろいろあって、すべて公正ですというわけにい かないと思いますので、公正な考え方、逆にいえば不利益取扱いは何かを書けるという ことは、企業にとってもプラス。逆にいえばこういうことがないと、働く人にすれば不 利益ではないかということが出てきます。企業にとってもこういうやり方、つまり育児 休業を取った、取らないではなくて、復帰後の働きぶりをきちんと評価しています、あ なたはBですよ、これは不利益取扱いではないです。そういうことは会社としてもきち んと取得者に説明できる点でも不利益取扱いということはきちんと書いておく方が、働 く側にとっても企業側にとっても紛争回避という点でも望ましいのではないか。きちん とルールでどういうものが不利益か不利益取扱いではないかを明らかにすることによっ て、取りやすさにもつながるのではないかと思います。 ○林分科会長  佐藤委員がおっしゃったように、それを書くことによって、双方に明示されるという ことですが、遠藤委員の方で先ほどから果たしてそれを書ききれるのかという指摘もあ ったと思うのですが、そのところについて議論をしていただけますでしょうか。 ○遠藤委員  これはもう繰り返し申し上げることでもないのですが、こと処遇にかかわる部分につ いて、こういう形のものは例えば望ましいといったようなものについては、私どももい ろいろな形で提言したり、あるいは考え方といったようなことで示すことはこれまでも 続けていますし、これからも続けたいと思っています。ただ、問題は今回の法律、指針 の中に書かれる中身は、ある種お国としてこういうものだと、あるいはこういうことを やったら駄目だという形の決め打ちする話で、そうなってくると個々の企業のいろいろ 制約がある中でこういう処遇でいきましょうとやっているところの努力というか取組が、 ある部分でいうとハードルを上げてしまったり、ある部分でいうとそういうことに柔軟 な対応ができなくなってしまうことになりはしないかといったような危惧を持ところで す。 ○佐藤委員  確認です。具体的な不利益取扱いに何を書くかということが難しいという議論と、不 利益な扱いを禁止すべきこと、それは大事だということとは違うと思うのです。不利益 は存在しないといっても実際に不利益取扱いはあるので、それはない方が望ましいとい うことと、もう一つは望ましいけれども具体的に指針に書くのは結構難しいという二つ 議論があると思います。後者はわかる部分はわかる。前者は不利益取扱いは極端にいえ ば「ない」のだから書く必要はないのだという主張なのかどうかなのです。不利益取扱 いをなくすことは望ましいということは認められるのかどうか。そこはどうでしょうか。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、佐藤委員がおっしゃいましたように、不利益な取扱いがあってもよいということ は到底思っている話ではなくて、当然不利益とは何だということで理解を進めていかな ければいけないということは異論のないところです。ただ、繰り返しですが、その不利 益がといったようなものの色付けをすることについては報告書の中に書いているように 慎重を期してする作業が求められるということがあると思います。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員  佐藤委員におっしゃっていただいたように、労働者が不安なくこの制度を利用して、 自分のライフスタイルを思うように実現するという意味での、そういう視点に立った不 利益というものはどういうものなのかを議論することが労働者の不安を払しょくするこ とになると思うのです。現在、実際に権利行使をしたことによって多くの不利益を被っ たというところがあるわけで、まさしくおっしゃるように国の法律でそれを色付けしよ うというところです。従って、現在高い水準で私どもには不利益取扱いはないという企 業の中では、その企業の代表のところではこれ以上高くされたらという気持ちはあるか もしれませんが、実際に全体のベースで見ると、小さいといえるか大きいといえるか不 利益取扱いがあるわけで、それを表面化することによって、こういう議論をすることに よって労働者の不満というものを払しょくするということを手続き的にこの場でやって いかなければいけないと思います。書き込めるか、書き込めないかではなくて、私たち 働く者としては安心して新たな制度自体の内容も問題ですが、新たに変えようとしてい る法律が、変えた意義がもてるかもてないかというところが不利益取扱いの部分に直結 するところがあると思いますので、議論を続けてほしいという佐藤委員の意見には賛同 します。 ○林分科会長  先ほど、事務局から具体的な相談事例等が出たわけですが、こういうものを踏まえま して、例えばこういう点については、こう解説する部分はぜひ、というような具体的な 意見がありましたら出していただければと思います。鴨委員。 ○鴨委員  企業の中で労使の関係の良好にいっているということであればよいと思いますが、多 くが圧倒的にそうではないからこそ、女性労働者もなかなか働き続けられないという問 題が生まれていますし、それと同時に今回の中でも項目に入れていただきましたが非正 規労働者が圧倒的に増えている中で、その人たちは育児・介護休業になかなかたどりつ かないし、取得したとしてもという問題もあるわけです。特にこの均等法の中で原職ま たは原職相当職に就けないことということでいえば、この問題は今もって私たちの方に も相談としては多く寄せられている問題です。私の抱えている具体的な事例で簡単にい いますと、課長職にあった女性ですが、育児休業したということで1か月以上前からど この職場に復帰するのかという話合いを人事担当者と行ってきて、それが確認されてい たにもかかわらず、復職の2週間ほど前に白紙に戻すという状態が出てきて、そしてそ れ以降は自宅待機を命じられてしまっていて、後から触れようと思ったのですが、そこ に労働局の相談も含めて入って、その中で結果的には自宅待機から自宅勤務を命じたと いう事例もあります。 もう一つ、6ページに派遣労働者についてのことが入っています。非正規労働者、特に 派遣労働者の現状でいいますと、派遣労働者は今やっと何人かが育児休職の取得までこ ぎつけている。けれども取得から原職に復帰するというときに、多くが待たされてしま うという現状です。待たされるというのは、今までの派遣先の仕事が与えられないとい うことだけではなくて、そういう状態で待たされてしまって、それこそ待たされる期間 が6か月にわたって待っていて結果的には紹介できる仕事がありませんということで辞 めざるを得ない現状になっているケースがあります。その間、派遣元からも何らの保証 もないという中で待つということは、ある意味で本人に対して結果的には退職勧奨を迫 っているような状態になっているということで、派遣労働者についてというところ、そ れから原職または原職相当職に就けるということ。これについて育児休業の中でもきち んとそういった取扱いをすることは不利益取扱いであるということを入れていただきた いと思います。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  まず復帰後原職または原職相当職に就けないということが、不利益取扱いの禁止の事 項であるという意見だったと思いますが、先ほどから議論があるように、例えば介護休 業であれば93日ということで比較的短い。これは産前産後の休業とほぼ期間的に見ても それほど変わらないというところでは同じ扱いということもあるかもしれませんが、今 回の育児・介護休業法案の枠の中で考えると、例えば短時間勤務を長期にわたって取り ましたというようなところにおいて、原職または原職相当職の現在の規定であれば、そ ういう復帰を配慮することは企業としても実務としてやっていくべきだと思いますけれ ども、さらにそれを一歩踏み込んで不利益取扱いであるということまでいって扱いきれ るのかというものに関していうと、かなりそこはハードルが高い。実際にそういう業務 があるのか。あるいは人事的な措置ができるのかといったところで、これだけ変化が早 い経営環境の中では、ここまで不利益な扱いとしての禁止事項を入れるということ自体 は、逆に働きにくい環境ができかねないという気がしますので、現状の「配慮する」と いう位置付けで運用していく方が良いと考えます。 ○林分科会長  佐藤健志代理人。 ○佐藤代理人  吉川委員の代理で日本商工会議所の佐藤と申します。今の話と関連しますので若干申 し上げたいと思います。短時間勤務、今の所定外労働免除が導入される場合についてで すが、必ずしもすべての企業、あるいはすべての同じ企業の中でもすべての部署で対応 ができるわけではないと私どもは見ています。そこで、もしそういった今いる部署では 短時間勤務が難しいという場所で働いている方に対して、短時間勤務あるいは所定外労 働の免除を実施するために、他の部署あるいは他の職種に配置換えをしたことがあった とすると、そういった場合にもし本人の希望しない部署や職種の移動だからということ で、もしそれが不利益ということになってしまうと、先ほどの遠藤委員の話とも少し関 連するのですが、事業主に対して人事権の行使をためらわせてしまうような懸念がある と思っています。短時間勤務については研究会報告でも人事考課や賃金設定の方法が企 業によって異なることが挙げられて、不利益取扱いの基準の明確化を慎重に行う必要が あるとされています。不利益取扱いの基準を検討する場合には、こうした企業の実態に 配慮しながら慎重に行っていただきたいと思います。もう1点だけ、念のためですが、 短時間勤務や所定外労働免除、今回の審議会の冒頭でも議論がありましたが、現行制度 における扱いを変えるのかどうかというところは議論の途中ですので、変更されるとい う前提の議論ではないと考えていますので、その点を併せて申し上げたいと思います。 以上です。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  今のお話の中で短時間勤務を申し出たときに、今の部署ではできなくて他の部署でで きるということであれば、他の部署に行くことについては不利益な取扱いではないと私 は理解していまして、行った場所でどういう対応をするかでそれが不利益取扱いかどう かは出てくるのではないかと考えています。あくまでも同じ部署に原職相当職とすべき ということは、短時間勤務まで考えてそこに戻せということを言っているわけではなく て、通常そこの原職に戻ってそこで短時間勤務を申請した場合、そこでは仕事ができな いとかその部署では難しいので短時間勤務ができる部署に異動という相談をすること自 体は不利益取扱いではないと考えていますので、そこのところは認識が違うと思ってい ます。それで、実際に不利益取扱いというのは短時間勤務を申請して申請したことによ って仕事を辞めざるを得ない状況にもっていくとか、短時間勤務をとっても迎えに行く 時間がないような遠方に配置するとか、そういう部分については不利益取扱いだと思わ れますので、その辺の不利益取扱いの考え方がずれているのかと思いますので、その辺 はきちんと考えていきたいと思います。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  こちらと向こうの不利益取扱いの考え方がこれだけでもかなり違うわけでして、まし て労働者になれば適切な労務管理をやっていると思いますし、企業によっていろいろな ケースがあるのでいろいろな答えが出てくると思います。それによってケース・バイ・ ケースで労働者に対して伝えても、受け取り方がその場その場で個人によっても違うと 思うのです。ですから不利益取扱いとは何ぞやといっても、規定するまでもなく非常に 難しい面もあるので、受け取り方によっても大分違うので、そこは弾力的なものを出さ ないと、これがこうだから、あれがああだからという事例は出ないと思います。極端な ものは必ずわかりますが、どちらだろうというのもかなり出てくると思います。その判 断がどうだといったときに、例えば労働者の方にも、自分はそう思わないけれどもとか、 そういうことが出てくると思うので、不利益取扱いについて画一的に規定することはか なり難しいと思います。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  ですから、誰もがわかる不利益な扱いというのは指針か何かに記載できると思うので す。片方が不利益だと思っていても片方が違うと思っている部分については、指針でそ こまで書けるかどうかはわかりませんので、あくまでもどちらから見てもこれはおかし いという部分は、こちらの相談事例を見てもわかると思いますので、そういう部分につ いてはそういうことは不利益取扱いに当たるということを記載していくことについては、 何ら問題はないと思います。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  ただ、両方が納得するか。常識の範囲でやっているわけですから、何もあえて書くこ とはないです。 ○林分科会長  先ほど川崎委員からは育児休業後の短時間勤務等についての原職復帰の問題が指摘さ れましたが、育児休業そのものの原職復帰についての双方のお考えはどのようになって いるのか、お伺いしたいと思います。遠藤委員。 ○遠藤委員  現行法で、繰り返して申し訳ないのですが、法律で規定されている部分と23条の部分 と法律を上回って取り組んでいる企業もありますので、そういういろいろな制度が進ん でいる中で、今までは「配慮」でよかったものが配慮では駄目だとなってしまうと、で は先に進んでいる企業の労務管理上はどうなのかという大きな問題があると思いますの で、もしこの議論を続けるのであれば、法律があって法律に則ってやっている企業と法 律を上回ってやっている企業の両面を見ての議論をすることをぜひお願いしたいと思い ます。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員 法律を上回っている企業は、それこそモデルケースとしてどんどんこうやっていますと いうことをアピールできる優良企業だと思います。先ほどからの話でいうと、原職また は原職相当への復帰ということでいえば、基本的に育児休職明けについては原職または 原職相当職に復帰ということを原則としていただきたいと思うのです。というのは、そ うしなければ安心して育児休職を取ることができなくなってしまいますから。育児休職 を取っている間に、自分はどこの職場に戻るのかという不安を抱えていたらそれこそ育 児についても、それではなくても産休後の母親は大変な精神状態の中にいるわけですか ら、父親も含めていろいろな意味で大変な中にいるわけですから、そういった不安を残 すようなことについては禁止とすべきではないかと思っております。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  今の育児休業後の原職復帰と、労働基準法の産前産後休業からの復帰の場合の原職復 帰は理論というと大げさですが少し違うかと思います。もともとは育児・介護休業法の 方に先に不利益取扱いがあって、均等法はそれを後追いするような形で、解雇以外の不 利益取扱いというものの中身を設定してきたわけです。そういう点では、やはり後から の立法の方が、より詳細に、かつその時々の社会・経済状況や労使環境を取り巻く状況 の中で少しずつ不利益の中身も増えているし、また、言葉が厳密ではないかもしれませ んけれども、対象も厳格に書かれているところがあるのです。それは当然のことだと思 います。今の点に限っていえば、育児・介護休業法の下での休業明けの職場復帰につい ては、例えば育児休業を取ったときでも、もともとは1年ですよね。今は例外的に1年半 もありますけれども、やはり産休の期間と比べて非常に長いということが前提にあって、 長い間その仕事を放置しているわけにはいかないですから、例えば企業の外から代替要 員を臨時的に確保してくる。そして休業が明けても、その臨時要員をそのまますぐまた 外に出せればよいですけれども、やはり企業にとって、その人に非常に能力があるなど、 やはり確保しておきたいという問題が多分実際上は出てくると思います。ですから、そ ういう点ではなかなか育児・介護休業法の場合の休業明けのところで、直ちに原職復帰 という形のものを権利化することが少し難しい状況もあったのではないか。ただし、均 等法においては、そういった休業は短いものですから、そういう点についての配慮は育 児休業明けのような場合よりも割合と対応しやすい。  ただ、問題はここからですが、公益委員として労使の皆さまに考えていただきたいの は、そういう違いというものを、この書きぶりのところで「配慮」という形で現行のま まで置いてよいのか、それともやはり均等法のような書きぶりに平仄を少し合わせるよ うな形で進んでいくべきだと考えるのか。仮にそう考えたとしても、均等法の中の原職 への復帰は原職または原職相当と書いてあり、必ずしも元の地位、元の職場への復帰と まで限っているわけではないのです。ですから、この辺のところの幅を、もし今回その ように考えるのならば、どう見るのかということをお互いに議論していただくことがよ いと思っています。不利益取扱いに当たる、当たらないというのは、そこだけではなく て全般にあるのですが、私は普段法律をやっているものですから、法律の中で書くか指 針の中で書くかは別にしても、不利益取扱いに当たるかどうかという問題は最終的には そういうものを行使した人間に対して、人事管理上処遇を前とは異なる取扱いにしたと きに、それが法的に正当な理由のないものとして救済をするかどうかというところ、そ のための枠組みを設定するわけですね。その枠組みを設定するときに、すべてのケース について、これは不合理ですとは書けないですから、通常職場の中で起きてくるような 代表的なモデルについて例示する。ですから、これまで出てきている指針の中でも、や はりこのように異動させる場合でも、こういう所があるのに勤務ができないような遠隔 地に配置してしまうというような、要は、書きぶりとしては、客観的に見ればそういう 所に動かせる正当な理由があるものにも、そういうことを無視してやっているというよ うな形で、指針はやはり書かざるを得ないと思います。いちいちこれは不合理ですと書 けないわけですから、その枠組みの中で、不合理に当たるかどうかを基本的に考えてい く、いわば基準を立てているだけですから、最終的には争いになって裁判所が個々人の 労働者の置かれている状況とそれに対する会社の業務上の取扱いについて、業務上の必 要性があるかないかということを判断してそれは正当な理由がないから不合理です、従 って、それは違法な不利益取扱いになります、ということで結果的に判断をせざるを得 ない。 ただ、ここでの議論はその前の、いわば枠組み設定、その枠組みを判断する基準設定で すから、聞いていますと、それほど意見が対立することはないと思いますけれども。こ れは別に使用者側だけにお願いしていることではなく、労働者側の委員の方にもやはり お願いしたいのです。 ○林分科会長  奥山委員から今後の議論の方向性のようなものを今ご指摘いただいきました。この件 につきましては、本日は時間がないので、もう一度別の回で議論する機会もあると思い ますので、次の「苦情・紛争の解決の仕組みについて」という議論に移っていただきた いと思います。調停制度の仕組みを設けるべきかどうかということですが、この点につ いてのご意見・ご質問をいただければと思います。山口委員。 ○山口委員  質問です。前回の均等法の改正の中では、この紛争解決に対する支援というか、仕組 みが強化されたと認識していますが、均等法の改正前後で、例えば個別紛争の解決の申 し立てがどのように変化したか。増えたのかどうか。それから調停についても件数が増 えたのか減ったのか。その辺のデータがあったらお知らせいただきたい。  また、改正パート法についてもこの辺が強化されたと思います。これはまだ半年ぐら いしか経過していないですけれども、その辺でも同じようなデータがありましたら教え ていただければと思います。 ○林分科会長  では、安藤雇用政策課長からお願いいたします。 ○安藤雇用政策課長  均等法の関連についての紛争解決の状況についておたずねがありましたので、お答え 申し上げますが、確かに中身がだいぶ強化されたということもありまして、かなりの 増加を見ております。平成18年度と平成19年度を比較しますと、紛争解決の援助申立受 理件数につきましては、平成19年度は546件、これは平成18年度は166件でした。調停に つきましても平成18年度は5件でしたが、平成19年度は62件です。これはセクシュアル ・ハラスメントと母性健康管理について、これまでは個別紛争解決援助の斡旋の方で扱 っておりましたものを、均等法で取扱いができるように法制度が改正されましたので、 その影響がかなり大きいと思われます。その他紛争解決の援助の増加も、やはり不利益 取扱いの関係でかなり強化がされたこと、解雇以外の部分についての不利益取扱いを争 うことができるようになったというところも影響しているかと思われます。件数として はセクシュアル・ハラスメントが、傾向的なものですが、これも制度改正によりまして 個別紛争解決援助の対象に入ってきましたので、かなりの増加要因になっているところ です。 ○林分科会長  パート法について。 ○代田短時間・在宅労働課長  短時間・在宅労働課長です。ご質問の中にもありましたが、この4月から施行された 状況で、直接的にはならないのですけれども、法に関するものでの相談の件数で見ます と、平成18年度までに比べますと、10倍の1万件を超えるような相談があり、平成20年 度四半期でも5,000件を超える相談があるのですけれども、その後の紛争解決という観 点では、まだ具体的な最近の数字を集計していないのです。そうしますと、非常に少な い状況で数件という状況にとどまっているというのは、まだ法の周知、それから事業者 内での取組の状況にあって、という状況かと考えています。均等法改正の前後という対 比では今回の議論の参考にはなってこない面があるということです。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  質問ですけれども、均等法は事情がよくわかっているのですが、パート法は今回新し く解決援助の下で調停などを入れて施行後で時間がまだ少ないということはよくわかる のですが、挙がっている例で具体的にはどういう内容のものがあるのか。今の時点でお わかりでしたら、簡単で結構ですから教えていただけますか。 ○林分科会長  代田短時間・在宅労働課長。 ○代田短時間・在宅労働課長  今、調停として出てきているのは、進行中ですので事情を聞いたりというところがあ りますけれども、差別的取扱い禁止の8条に関する部分であったと承知しております。 ○林分科会長  その他に「苦情・紛争の解決の仕組みについて」のご意見をお願いいたします。川崎 委員。 ○川崎委員  質問ですけれども。ページ数でいいますと、20ページ、21ページで、件数が表示され ていますけれども、ここの指導した結果として、「是正・改善」「指導等打ち切り」そ れから「次年度への繰り越し」ということで、それぞれ件数を載せていますが、それぞ れの違いはどういったものになるのでしょうか。つまり「是正・改善」というのは指導 した内容について企業が行ったと。「指導等打ち切り」に関していうと、これはどうい うときに打ち切りになっているのですか。「次年度への繰り越し」というのは、解決し ていないために延長されているのか、たまたま申請があったタイミングが年度の後半だ ったために繰り越しになっているのか、その辺のデータの解説を少しお願いしたいと思 います。 ○定塚職業家庭両立課長  ご質問の「是正・改善」については、ご質問にありましたとおり、助言、指導、勧告 を行った結果、企業側が受け入れて改善されたというもの。「指導等打ち切り」につき ましては、例えば相談者の方が途中であきらめて退職する、これ以上の相談は要らない といったような事案。それから、中には企業がなくなったというような事案です。  それから「次年度への繰り越し」ですけれども、「是正・改善」「指導等打ち切り」 に該当しないものということで、その中には、助言、指導、勧告をしても、なかなか聞 いていただけないという案件もありますし、もちろん年度後半から事案が生じて、まだ 取り掛かったばかりという案件も多数含まれております。従いまして、例えば、制度の 指導が9,625件という中の大半は年度途中からのもので引き続き行っている最中のもの という件数だと思います。 ○川崎委員  そうしましたら、データの見方とすると、今回いろいろと申告があったものに関して は、時期ずれはありながらもほぼ解決しているというデータの見方をしてよいのでしょ うか。何を言っているかというと、本年度新たに発生したものについての合計が約4万 4,000件あって、「是正・改善」で解決しているものも大体2割の数字のものが解決され ているということを見ると、次年度への繰り越しがあっても大体ほぼ大部分の。 ○定塚職業家庭両立課長  そういう観点から見ますと、むしろ助言、指導、勧告の比率で見ていただいた方が適 切かと思います。先ほどご紹介したように、まず助言をして、一定期間置いて、やって いただけない場合に指導書を文書で交付し是正報告を求める。それでもやっていただけ ない場合に勧告書を交付しているという段階を追った手続きとしておりますので、助言 で聞いていただいている場合は「助言」というケース。指導まで行った場合には「指導」 、指導でも聞いていただけなかった場合には「勧告」、さらに勧告で聞いていただけな かった事例もごくわずかですけれどもあるというのが先ほどの事例のご紹介です。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  また質問ですが、「指導等件数」のところにあります「計画的事業所訪問」ですけれ ども、これが大変件数も多いということで多分重なっているということかと思いますけ れども、計画的ということですので、具体的に年間何件ぐらいの事業所を訪問する計画 になっているのか。  また、多くは助言というところだと見られますが、具体的にどういう形で事業所を訪 問して助言をするという、若干その辺のイメージができるようなことを教えていただけ ればと思います。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  「計画的事業所訪問」につきましては、公称として何件という数では示していません けれども、各雇用均等室の方で年間計画を立てて事業所に行きまして、調査票を持って いって調査票に記入をしていただいて、そこで休業制度がきちんと規定されているかど うか。あるいは介護休業制度が導入されているかという事実と、それに基づく就業規則 を見せていただくというようなことをしています。件数的には、平成19年度は全国で 8,500件近くの事業所訪問を行っております。この件数に表れているのは、個別また項 目別に集計をしているので、これを足すと何万件という数字になっておりますけれども、 事業所訪問の数としては8,500件程度です。 ○林分科会長  佐藤代理人。 ○佐藤代理人  質問ですけれども。今、育児休業申出等に係る不利益についても調停制度等による紛 争解決援助の仕組みを設けるべきかについての議論ですが、そもそも設けるべきとお考 えになる場合には、なぜ均等法と同じような仕組みにしなければいけないのか。もう少 しわかりやすく教えていただけないかということです。最初のご説明で資料No.3の最後 の20ページ、21ページのご説明もいただいたのですが、最終的にほとんどのケースは改 善に至っているとお話を伺って思っていました。これは仮に制度がもしこのように変わ りましたということを、私どもですと全国の商工会議所を通じて、地域ごとの中小企業 の経営者に説明するわけですが、なぜこういう実態で今ここの仕組みを変える必要があ るのか。なかなか説明しづらいと思っています。現行制度ではなぜいけないのかという 辺りを、もう少しご説明いただけないでしょうか。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  まず、研究会の議論のご紹介をさせていただきますが、研究会の議論の中では一つの きっかけとして、均等法に基づく妊娠・出産の不利益取扱いは調停制度に基づいて解決 が図られる一方で、妊娠・出産、産休とつながる育児休業の申出の不利益取扱いは同じ 制度ではなくて、別の制度で対応するということになっているという違いがあります。 従いまして、13ページの図を見ていただきますと、具体的にいうと、均等法に基づいて 妊娠・出産、産休等の取得での不利益取扱い案件があった場合には、この13ページの左 側のところで調停に行くなり、あるいは苦情の申し立てと解決の個別紛争解決援助制度 を規定した条文に基づきまして、労働局長が助言、指導、勧告をするという流れになり ますけれども、育児・介護休業法の場合はこのような仕組みがありませんので、欄外に ありますとおり、一般法である個別労働関係紛争解決促進法に基づき解決するか、ある いは紛争解決のための規定ではありませんけれども、指導の規定ということで設けられ ております右側の報告徴収、助言、指導、勧告。これは紛争解決というのはもともと計 画的事業所訪問をして事業所での法違反が見つかった場合には助言、指導、勧告の手続 きですけれども、これに則って助言、指導、勧告をするという流れになっております。 先ほどご紹介したデータは育児・介護休業法の左側の制度はありませんので、あくまで も一般的な指導の根拠であるこの右側の助言、指導、勧告。育児・介護休業法でいうと 56条という条文ですが、これに基づいて行っている件数です。一方で、均等法の場合に は、この両方の流れがありますので、一般的な指導の規定に基づく報告徴収、助言、指 導、勧告、公表という流れと、そうではなくて個別の紛争が出た場合の申し立てに基づ く助言、指導、勧告と調停という仕組みが別々にあるという違いだと思っております。 ○林分科会長  これについては、特にありませんか。 ○鴨委員  私は紛争解決の援助を男女雇用機会均等法と同様の仕組みに持っていくべきだろうと 思います。この数字からいえば、改善指導ということでそれなりに結果が出ていると思 いますけれども、現実にこういった形で労働局に事案を持っていったケースにおいても、 結果的には会社ともう一度話合いを持った方がよいのではないかと戻されてしまってい るケースも幾つかあるわけです。そういう意味で、その後結果的には本人はどうしたら よいかわからなくなって、労働組合の方に来るというケースも実際にありますので、こ れ以降さらにこれから育児休業をもっとみんなで取りましょうということになっていく わけですから、そういった中においては、現場はもっといろいろなケースが具体的なと ころでいろいろな事例が出てくると思いますので、紛争解決の仕組みというのは、やは りきちんと形として作っておいた方がよいと思います。 ○林分科会長  では、この議論については一応この辺りでやめて、次に「広報、周知・指導等につい て」の議論をしたいと思います。この点について、ご意見・ご質問がありましたらお願 いいたします。山崎委員。 ○山崎委員  小さいことで恐縮ですが、ここの「広報、周知・指導等」の「等」にはどのようなも のが含まれるのか。またその報告書の中の最後に「広報活動等」という言い方がありま すので、それがどのような内容かと。項目の中にはどの程度制度が普及しているか、あ るいは法制度が実態とどの程度合っているかという状況の調査のようなものは、「等」 の中に入っているのかもしれませんが、この項目に入っているのかどうかです。やる必 要があると思いますが、これはいかがでしょうか。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  一応この「広報、周知・指導等」というのは、研究会の報告書の見出しをそのまま付 けただけで、あまり深い意味はないのですが。「等」と付けた場合に、念頭にありまし たのは、指導といっても助言、指導、勧告といった流れがありますので「等」と示して おります。その他に何をするべきかといったことなどについてはご意見をいただきたい と思います。 ○山崎委員  先ほど言いました調査のような、その法制度の実態は本当にその時々に合っているか どうか。あるいは浸透具合は。浸透具合は数値でよいでしょう。そのような何か具体的 な企業への調査のようなものを掛けて、「この制度は本当にうまくいっていますか」、 逆に「役に立っていますか」「実際にやっていますか」と、そのような実態の調査のよ うなことをこの中でおやりになると理解してよろしいでしょうか。 ○林分科会長  はい、定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  この項目に仕訳をするかどうかというのは、よくわからないのですけれども、もちろ ん調査、研究等については非常に重要で、研究会報告の中には、ここにご紹介していな いのですが、「その他」という項目がありまして、冊子をご覧いただくと、冊子の17ペ ージに調査、研究の推進は大変重要であるということも掲げております。もちろん行政 としても従来から毎年雇用均等関係の調査を定期的に実証しておりますし、その他の調 査も組み合わせながら、実態の把握を引き続ききちんと行ってまいりたいと思っており ます。 ○林分科会長  特に他にご質問・ご意見がなければ。 ○奥山委員  これは確認というか、教えていただきたいことと、できればお願いしたいことなので すが、先ほどの助言、指導、勧告を56条に基づく関連でご説明いただきました。それに 関連して、資料No.3の18ページ辺りでしょうか。制度不備の場合のような助言、指導や、 個別のものについての指導等があります。それからいただきました資料で、育児休業、 介護休業制度の規定整備率という表もいただきました。これを見ますと依然として企業 の中で、こういう介護・育児に関する制度を就業規則上定めているものが非常に少ない ように感じるのです。 しかし他方で、労働基準法では休業に関する仕組みとして、必要記載事項になっている はずなのです。こういうものがなぜ進んでいかないのか。例えば労働局でこういう調査 をされたときに、先ほどアンケート調査を事業所別で行うというお話も伺いました。そ ういうところで「御社では、育児・介護休業についての制度自体がありますか」と聞い たときに、ないとなればその時点で指導のようなことをなされるのでしょうが、一方で、 基準局との連動でそういう連絡をして基準局の方からも労働基準法をはじめ9条の問題 として監督行政をされるというようなことはあるのでしょうか。現実として労働局と基 準局との連動でやっていらっしゃるのでしょうか。これは各都道府県の労働局の主張の ようなものが強くあると思いますので、ここですぐにわかるかどうかわかりませんが、 もし、そういうことで情報がありましたら。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  例えば、他部局で調査に行った場合に育児休業規定がないということが発見されれば、 その場で指導していると思いますし、それから雇用均等室にご連絡をいただくという場 合もあります。しかしながら、やはり育児・介護休業法上の規定をきちんと整備しても らうということは、基本的には雇用均等室で行っておりますので、雇用均等室も企業に 行きまして、規定していないのは育児・介護休業法違反でもあるし、もちろん奥山委員 がおっしゃったように、労働基準法違反でもあるということで指導しているところです。 ただ、この規定整備率についてですが、特に規定整備率が低いのが小規模企業で、小規 模企業の中にも就業規則の届出の義務がかかっていないというものも含まれた数字です ので、その辺りも含めて雇用均等室では取り組んでいるということです。 ○奥山委員  わかりました。ありがとうございます。 ○樋口委員  よろしいですか。役所の文章というのは、「等々」や「などなど」がたくさんあるの ですが、ここのところについては各都道府県労働局や雇用均等室と、逆に「等」が入っ ていないですね。むしろ、ここのところはここがやると報告書に書いてあるように思え るのですが、まさに他の政府部内の連携や、いろいろな所との連携が必要だろうと思う のですが、それは排除するという意味ですか。むしろ入れた方がよいのではないかと思 いますが。15ページです。 ○定塚職業家庭両立課長 特に周知につきましては、先ほどの周知もどのように行っているかということをご紹介 しました資料の中で、関係機関との連携を最近重視しているとご説明したとおり、必ず しも労働局だけではなくて、県等とも連携して進めていくということが重要かと理解し ております。特に最近では、次世代育成支援対策推進法の施行に対しまして都道府県等 にもかなり大きなご協力をいただいていますので、次世代育成支援対策推進法の次世代 計画を作っていただく際にも、こうした育児・介護休業法の規定と法律上の規定はきち んと整備しているということ確認しながら進めていくことを重視してまいりたいと思い ます。 ○林分科会長  佐藤代理人。 ○佐藤代理人  広報、周知については非常に大事なことですし、商工会議所としても今後も全国の商 工会議所を通じて、それぞれの地元の事業主にいろいろな情報は伝えていきたいと思い ますけれども、1点だけ申し上げたかったのは、その際に事業主の誤解を招くことがな いように、事実を正確にお知らせいただきたいということです。例えば、今日のご説明 の中で、資料No.4で相談事例についてのお話をいただきました。本日のように直接ご説 明をいただければ、例えばこういう事例がある、ただしこういうケースは非常に少ない だろうということもご説明いただきながら伺ったのですけれども、例えばこれが文章で そのまま来ますと、そういうこともなかなか伝わらないこともあろうかと思います。そ ういう意味も含めまして申し上げた次第です。 ○林分科会長  他には、ご質問・ご意見はないということでよろしいですか。 ○奥山委員  最後に一言だけ。先ほどの規定の整備について、今、ここにおられる労働局、あるい は基準局の連携のことについてお聞きしたのですが、最後に使用者側に出ていらっしゃ る方々についても、ぜひともそれぞれの所で、このような育児・介護休業法というもの は強行法規のものですから、できるだけ労働基準法の義務の履行ということではなくて も、そういうことでどんどん規定に整備していただくように、皆さまからも進めていた だきたいということを公益委員の立場としてぜひこの場を借りてお願いしておきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  他にご質問等がなければ、本日の分科会はこれで終了といたします。次回につきまし ては、9月、10月で一応一とおりすべてのテーマについて議論をいただいたものを事務 局で整理し、それを基にさらにご議論をいただきたいと思います。本日の署名委員は山 口委員と山崎委員にお願いいたします。  最後に事務局から連絡があるとのことなので、お願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  次回の会議は11月7日午後3時からとしたいので、よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  それでは、これで終わりといたします。お忙しい中、ありがとうございました。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)