08/10/22 第135回中央社会保険医療協議会総会議事録 08/10/22 中央社会保険医療協議会          第135回総会議事録 (1)日時  平成20年10月22日(水)9:31〜11:20 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 前田雅英委員       小林剛委員 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 北村光一委員          高橋健二委員 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       大島伸一専門委員 坂本すが専門委員 黒崎紀正専門委員       <事務局>       水田保険局長 榮畑審議官 神田総務課長 佐藤医療課長 田河保険課長 宇都宮医療課企画官 小野保険医療企画調査室長 上條歯科医療管理官  佐原医政局総務課医療安全推進室長 他 (4)議題  ○医療機器の保険適用について       ○臨床検査の保険適用について       ○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について       ○産科医療補償制度創設に係る診療報酬上の対応について       ○医療経済実態調査の実施について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、ただいまより第135回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の選任について御報告をいたします。  石井博史委員におかれましては、10月22日付で退任されまして、後任としまして、 10月22日付で、小林剛委員が発令されております。  なお、事務局より今回発令された小林委員から「みずからが公務員であり、高い倫理を 保って行動する旨の宣誓をいただいている」旨の報告を受けております。  それでは、小林委員より一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○小林(剛)委員  ただいま御紹介いただきました全国健康保険協会、小林でございます。  全国健康保険協会、この10月1日に、これまで国が運営してまいりました政府管掌健 康保険を引き継ぎ、新たな保険者としてスタートいたしました。協会といたしましては、 保険者機能の強化を図り、事業主、被保険者の皆様の利益の実現を図ってまいりたいとい うふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  次に、本日の出欠状況につきまして御報告いたします。本日は、坂本昭文専門委員が御 欠席です。  それでは、議事に入りたいと思います。  初めに、医療機器の保険適用につきまして議題といたします。医療区分A2(特定包 括)及びB(個別評価)について資料が提出されておりますので、事務局から御報告をお 願いしたいと思います。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  それでは資料総−1をごらんいただきたいと思います。  10月1日付で保険適用を開始されたものでございますが、まず1ページ目、区分Aに、 (特定包括)、(特定の診療報酬項目において包括的に評価されている区分)ということ で、ごらんのように16件ございます。  続きまして、2ページ、それから3ページにわたりまして、区分B(個別評価)(材料 価格として個別に評価されている部分)ということで29件ございます。医科は、A2、 B合わせまして45件でございます。  ここで、Bのほうの2ページの上から6番目の血管内OCTイメージワイヤーというの がございますが、これは5月21日に中医協で承認されましたものが今回収載されたとい うことでございます。補足でございます。  続きまして、4ページ、歯科でございますが、区分Aにごらんのように3件ございます。 そして、5ページ、6ページ、区分Bが55件。歯科は合計で58件ということで、医科、 歯科合わせまして103件ということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいまの御報告につきまして何か御質問、御意見ございますでしょうか。  特に御意見、御質問がないようでありましたらば、本件につきましては中医協として承 認するということにしたいと思いますけど、よろしゅうございますか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長   ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、臨床検査の保険適用について、また引き続きまして事務局 から御報告をお願いしたいと思います。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それでは、資料総−2をごらんいただきたいと思います。  臨床検査の保険適用についてということで、今回3件ございます。まず1件目でござい ますが、区分E3(新項目)(測定項目が新しい項目)としまして、サイトケラチン19 mRNA、測定方法としてOSNA法でございます。主な測定目的は、摘出された乳がん所属 リンパ節中のサイトケラチン19mRNAの検出ということで、乳がんにおけるリンパ節転移 診断の補助に用いるということでございます。点数は2,000点、それからその下に希 望業者、参考点数、判断料がございます。  1枚おめくりいただきまして、2ページ目に概要説明がございます。こちらに書いてご ざいますように、有用性のところをごらんいただきたいと思いますが、サイトケラチン1 9というのは乳がんリンパ節の転移マーカーとして有用なたんぱく質の一種でございます。 乳がんに対する手術を行う際に、乳がん患者の所属リンパ節中のサイトケラチン19mRNA を測定することによって、病理学的診断と同等の精度でこの転移の有無を迅速に判断でき るということで、非常に精度の高い検査であるということでございます。これによりまし て、リンパ節の転移の有無、それによって治療方針が変わるということで重要な検査だと いうことでございます。  参考としまして、OSNA法について書いてございますが、これは検体の可溶化から遺 伝子増幅反応までをワンステップ、一遍に行うことを特徴とした新しい技術ということで ございます。  続きまして、3ページでございますが、これもE3の2つ目でございます。UDPグル クロン酸転移酵素遺伝子多型の測定項目ということで、インベーダー法という方法でござ います。主な測定目的としては、全血より抽出したゲノムDNA中のUDPグルクロン酸 転移酵素遺伝子多型の判定ということで、2,000点ということでございます。  次のページに概要の説明がございます。  この検査は、主な対象というところに書いてございますが、塩酸イリノテカンという抗 がん剤の投与患者さんを対象として測定するということでございます。有用性に書いてご ざいますが、UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型を判定することにより、UDPグル クロン酸転移酵素活性が減少している患者の鑑別を補助するということで、どういうこと かと申しますと、この塩酸イリノテカンという抗がん剤が人によっては非常に重篤な副作 用を起こすことがある。この検査を行うことによって、そういった副作用を発現する可能 性の高い患者さんが分かるということで、抗がん剤の安全で効率的な投与というものが可 能になるということでございます。  続きまして、5ページ、今度は区分E2(新項目)ということでございますが、1,2 5ジヒドロキシビタミンD3、ELISA法でございます。主な測定目的としては、血清 または血漿中の1,25ジヒドロキシビタミンD3の測定ということで、400点となっ てございます。  次のページ、6ページに概要の説明がございます。  主な対象としては、慢性腎不全、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、 ビタミンD依存症I型もしくは低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病ということです。こ の1,25ジヒドロキシビタミンD3の測定は、ラジオレセプターアッセイ法またはRI A法によるものが保険適用となっていますが、今回はそれに加えてELISA法の承認が 得られたということで、この測定自体はあったわけでございますが、今回ELISA法が 新たに承認されたということでございます。  参考のところに書いてございますが、1,25ジヒドロキシビタミンD3は骨代謝の関 係が分かるということで、そういった疾患の判定に使われるということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御意見、御質問ございますでしょうか。  特に御質問もないようであれば、本件につきましても中医協として承認することにした いと思いますけど、よろしゅうございますか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長   ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応についてを 議題としたいと思います。資料につきまして事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それでは、資料総−3をごらんいただきたいと思います。  DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応についてということで、今回も前回と同 様、新規の医薬品ではなくて、2番に書いてございますが、効能追加の薬事承認がなされ たということで、その薬についてということでございます。献血グロベニン-I-ニチヤク という薬でございますが、これにつきまして、天疱瘡という自己免疫疾患の皮膚病でござ いますが、それに対しても新たに適用が承認されたということで、この薬につきましてル ールに基づいて計算したところ、このページの一番下のほうにございますが、標準的な費 用として108万円かかるということでございます。一番下の行に書いてございますが、 この薬を使用していない場合には平均プラス1SDが3万5,067点、すなわち35万 円ちょっとということでございまして、この薬を使った場合にこの平均プラス1SDをは るかに超えるということで、今回は包括の対象外として出来高算定としたいということで ございます。  以上でございます。 ○遠藤会長   ありがとうございます。  高額な医薬品の効能追加に伴って、ルールどおり適用するとこのような形になるという ことの御説明でしたけど、何か御質問、御意見ございますか。  特に御質問もないようですので、本件につきましては中医協として承認したいと思いま すけれども、よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長   ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、産科医療補償制度創設に係る診療報酬上の対応についてを 議題といたします。資料について事務局から説明をお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。  資料は中医協の総−4という資料になります。  産科医療補償制度の創設でございますが、この件に関しましては社会保障審議会の医療 部会あるいは保険部会で説明があったかと思いまして、お聞き及びの委員の方も多いかと 存じます。本日はこれに伴います診療報酬上の対応について御説明、御相談をいたします。  まず総−4の1ページ目ですが、簡単に産科医療補償制度の概要を改めて御説明してお きたいと思います。  この制度は、分娩機関と妊産婦との契約に基づきまして、通常の妊娠・分娩にもかかわ らず脳性麻痺となられた方に対して補償金を支払う制度であり、単純に補償金を支払うだ けではなくて、あわせまして紛争の防止や早期解決のために、事例の分析あるいはその結 果を当事者にフィードバックをするということでございまして、ひいては同種の医療事故 の再発防止などを図るものでございまして、現時点では21年1月1日実施を予定してい るようでございます。  課題ですが、これもそこに書いてございますように、この制度に加入している分娩機関 における分娩のみが補償の対象となる。つまり、制度への加入が義務ではないために、加 入を事前に表明したところだけが補償の対象となりますので、一人でも多くの妊産婦さん がこの制度の対象になるように、ともかく加入をしていただくということが非常に重要に なってまいります。そういう中で、社会保障審議会の関係部会、先ほど申し上げましたが、 そういう関係部会においても診療報酬上の対応を求める意見があったと承知をしておりま す。  そこで、今回の論点でございますけれども、この制度への加入促進という観点が一番大 きいわけですけれども、こういうことで特にここ何回かの診療報酬改定においてリスクの 高い分娩を取り扱うことの多い医療機関については、特別にそのハイリスク分娩あるいは ハイリスク妊娠ということで診療報酬の項目を設けて評価をしてきているわけですけれど も、こうした医療機関における加算の算定要件にこの制度に加入していることを加えては どうかということで提示をする次第でございます。  1ページめくっていただきまして、下のページで言うと2ページになるわけですけれど も、具体的にはどういうふうに対応しようとしているかを表にしたものです。左側に「改 正前」とございまして、ハイリスク妊娠管理加算ということで、これ1,000点、それ に対しましてハイリスク分娩管理加算、2,000点とあります。ここではハイリスク妊 娠管理加算や分娩管理加算のそれぞれの点数の意味づけは書いておりませんで、施設基準 だけを取り出してお示しをしております。もう読み上げることはしませんが、こういう施 設基準に該当して、しかもいわゆるハイリスクと言われる方の妊娠管理や分娩管理をした 場合に加算がとれる、こういう仕組みにしております。その施設基準のところを右側にあ りますような形に改正したいというものでございます。それぞれハとホになっておりまし て、ハもホも同じ内容ですので、ハのほうをちょっと読み上げさせていただきます。「財 団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の産科医療補 償約款に基づく補償を実施していること。」ハとホを要件にするということで御提案を申 し上げる次第です。  以下、資料の形でつけております。るる読み上げることはいたしませんが、御考案くだ さい。3ページ目は、産科医療補償制度創設に向けてどういう経緯があったかということ でございます。  それから4ページ目は、先ほども申し上げましたが、平成21年1月1日を目指して進 んでいる現時点における産科医療補償制度の概要でございます。読み上げることはいたし ませんが、補償の仕組みは先ほど申し上げましたとおりです。補償の対象は、先ほどは説 明をいたしませんでしたけれども、これまで御議論いただいたところでは、こういう形で 対象者をある程度限定をするというふうに聞いております。また、補償金額、保険金につ いてはそこにごらんいただくとおりでございます。それから、加入促進策につきましては、 ホームページや広告や、あるいは日本医療機能評価機構のホームページを通じて加入分娩 機関を公表ということのようです。そういう意味では、今回御提案する内容というのはこ の加入促進策だとかに該当するのかもしれません。  それから、これも先ほどお話ししましたが、その他といたしまして、単に保険を掛けて いただいて保険金を支払うというだけではなくて、紛争の防止、早期解決のための事例の 分析だとかフィードバックだとかをやるという仕組みになっております。  それから、5ページもおおよそ見ていただければお分かりいただけるかと思いますけれ ども、妊産婦、それから実際に分娩を行われる機関、それから運営組織、ここでは先ほど から何度も名前を出してきておりますけれども、財団法人日本医療機能評価機構を念頭に 置いて書いておりますが、そこ、それから一般の民間の保険会社という形でお金のやりと りのようなものはこういう流れになっているというものでございます。  6ページ、7ページは今申し上げましたこと、それから8ページは今申し上げました内 容が文章になったものです。9ページ、10ページも参考でございますので見ていただけ ればと思います。  現時点では以上でございます。 ○遠藤会長  事務局、よろしいですか、説明はとりあえず。  ということでありまして、産科医療補償制度が創設されるわけですけれども、その促進 のために診療報酬上手当てをしたらどうかということで、具体的にはハイリスク妊婦管理 加算、ハイリスク分娩管理加算の要件の中にここの補償制度に入っているということを入 れたらどうかという提案だということだと思いますけれども、いかがでございましょうか、 御質問、御意見。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  私たちの団体もこの制度を推進する立場にはございますが、ちょっと現状についてまず 幾つか教えていただきたいと思います。  今、要するに対象となる医療機関がどの程度の数あって、現在のその加入状況、それか らこのハイリスク妊娠管理加算、ハイリスク分娩管理加算それぞれの現在そこの点数をと っている医療機関数、さらにその医療機関数でこの制度に既に入っている医療機関数、入 っていない医療機関数を教えていただければと思います。 ○遠藤会長  事務局、すぐ答え出ますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  はい。 ○遠藤会長  じゃ、事務局、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  平成20年7月1日現在というちょっと少し古い数字かもしれませんが、まず妊娠管理 加算のほうですけれども、全国で1,722という届け出があっております。一方、分娩 管理加算のほうは623というふうに聞いております。それから一方で、今御質問のあり ました産科医療補償制度の未加入医療機関数はそれぞれ61、14と聞いております。冒 頭に申し上げましたように、1,722と623に対して、61と14が未加入というこ とで、未加入の割合はそれぞれ3.5%と2.3%程度と、そういうふうに承知をしてお ります。 ○遠藤会長  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今、もう一つの質問があったんですが、この管理加算をとっていることでなくて。 ○遠藤会長  質問の残りがまだ、事務局、ありますので、お願いいたします。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  医政局の医療安全推進室長でございます。  現在の全般の加入状況について御報告を申し上げます。  まず、病院、診療所につきましては、これは日本産科医会の調べでございますけれども、 分娩医療機関が2,839ございまして、このうち加入をするというふうに言っていただ いたところが2,704施設ございます。現在のところ、加入率としては95.2%とい うふうになっております。助産所につきましては、427施設のうち367施設で、加入 率は85.9%、全体では94.0%の加入率となっております。 ○遠藤会長  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  もう一つ質問ですが、この施設基準の今の新しく追加する文章の中に、途中で「同一 の」という言葉がございますが、これはどういうことでございましょうか。 ○遠藤会長  「同一の」の中身になりますけれども。  では、事務局、どなたでも結構です。 ○事務局(佐藤医療課長)  この文章は、もともと医政局のほうで制度を検討しているわけですが、その医政局のほ うの制度設計の中で使われている言葉を使ったものでございまして、約款と同一のという ことでございまして、財団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度の中で標 準補償約款というのを決めているわけですが、その約款と同一の内容の約款で補償を実施 していること、こういう説明になります。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、よろしいですか。内容が同一だということだという御説明だったと思います けども。 ○西澤委員  ということは、この機能評価機構でなくても、ほかのでもこういう同じ約款があるもし 組織ができたとしたら、あるいはあったとしたら、それでも構わないということでしょう か。 ○事務局(佐藤医療課長)  私どもが医政局から聞いているところではそうだと聞いております。 ○遠藤会長  よろしいですか。それとも、その辺はもう少し後日明確なあれしますか。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  幾つの今整理しますと、まず例えばこの点数を入れたことによって、このハイリスク妊 娠管理加算は61がもしかしたら点数をとるために入るかもしれない。あるいは管理加算 は14入るかもしれない。また、この2つはダブっていると思います。そうすると、合わ せたところで60か70。今全部で入っていないのがまだ135とすると、これがあるこ とによって100%にはなり得ないということが一つの事実だと思っております。  それともう一つ、その同一のということで、今回の制度はある意味で私から見ますと、 これは民間の医療保険に加入することというものがこの公的医療保険の加算の施設基準の 条件になっているということでは、ちょっと在り方としておかしいのではないかなと考え ております。正直言いまして、私たちもこの制度は、昔、補償というのは大事だから進め るということをやってきたんですが、そういう立場は変わりません。100%にするため にあらゆる努力をしようと思っていますが、片方で中医協委員として、診療報酬制度の在 り方あるいは公的保険の在り方というものを考えたときに、この民間保険に入っていると いうことを条件にするということはどう考えても私自身は違和感を感じるんですが、その あたりはいかがでしょうか。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  今日の総−4の資料の1ページ目の第2の課題の最後のほうにありますように、この話 の発端は、そもそも社会保障審議会の関係部会において、委員の中から診療報酬上の対応 を求める意見があったということが発端だと承知をしておりまして、その委員の皆様方の ある程度御理解の上にこのアイデアが乗っかっているということをまず御承知おきをいた だきたいと思っておりまして、例えば医療課でありますとか、この中医協をつかさどって いる担当分野である私どもの発案で御準備をしているというわけではないというのがまず 第1点でございます。  それから、診療報酬になじむかどうかという点では、直接的に患者さんの病気への対応、 治療あるいは健康の保持増進につながるということであれば、一般的には診療報酬上の項 目になり得るんでしょうが、直接的に患者さんの病気の治癒に関係しないものであっても、 これ一概に診療報酬の項目にならないということでもないし、これまで項目になってきた ものもあるんだろうと思います。それから、これは3つ目は医療課が言う話ではないかも しれませんけれども、昨今の産科をめぐる事件、事例あるいは世論、こういったことを勘 案しますと、産科の中で特にトラブルというわけでもないんですが、重篤な障害に悩んで いらっしゃる、あるいは産科の処置をめぐってさまざまな議論が沸き起こっているという 中で、非常に社会的な意義が深いという観点からこういう制度が発案され、また、まさに 西澤委員からお話がありましたように、100%でないというのはむしろそういう意味で は患者さんや国民の立場に立てば、それでいいのかという御懸念もありましょうから、そ ういうことでこれがすべてとは言いませんが、ホームページで御努力をいただくとかいう ようなことがある中の一つとして、診療報酬上もそうした形で支援なり応援なり後押しが できるのであればという考えだろうと思いまして、今日は提案をさせていただいた次第で す。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  事務局、続けてどうぞ。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  医政局から若干補足させていただきたいんですが、佐藤課長からも最後の点で御説明が ありましたとおり、この産科医療補償制度につきましては、現在の産科医療のさまざまな 状況を改善すべくつくられたものでございまして、先ほどの説明の中にもありましたが、 ポイントとしては、お金を払うだけではなくて、原因究明あるいは再発防止の仕組みを入 れていくということでございます。そして、お手元の資料の5ページをおあけいただきま すと、この原因究明、再発防止の部分につきましては、国からの支援といったようなこと もしていくということでありますし、またこれまでこの制度設計に当たりましては国とし ても支援をさせていただきましたので、民間の保険を使うものでありますけれども、これ まで役所として、また国としてバックアップしてきた特別なものというふうにお考えいた だければと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。 ○対馬委員  2つほど質問、意見がございます。  一つは、21年の1月1日から実施されるということで、先ほど説明の中でも、予定で あると、こう説明されましたが、先般、確かに医療保険部会、私らも出ていましたけれど も、そのときにもいろいろな意見が出ました。例えば、全体の財源と実際に発生する補償 金との差額が出たときにどうするのかなどについては各委員に対して考え方の資料を提出 いただけるということですけど、まだ出ていないということもあります。また、パブコメ にかけるという話もありますが、まだかけていないんじゃないかと思います。ですから、 そういう意味では今回ここで決めるというのがどうなのだろうかということが一つござい ます。方向性としては必ずしも私もこれに反対するわけでもないのですけれども、本体の ほうがまだ確定していない段階で、診療報酬上の対応だけを決めるというのはちょっと早 計ではないかなと、こういうふうに思います。  それともう一点、今の話に関連するのですけれども、私どもとしましては、これをやる ことによって、出産、妊娠等にかかわる医療機関が100%加入することになると思った のですが、今の質疑応答を聞いていますと必ずしも全部ではないようです。そうしますと、 例えば、私もよく分からないところがあるんですけども、ハイリスク妊娠共同管理料とい う項目もございます。そういった項目も対象にすれば100%になるのかならないのかと か、そういった議論も若干必要じゃないかなと、こういうふうにも思います。いずれにし ろ今日は方向性だけにとどめてはどうか。これから中医協もかなりの頻度で開催されると 思います。1月1日の実施にはまだちょっと時間があるので、そのように提案したいと思 います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。御提案として承っておきます。  先ほどの順番でいきますと、高橋委員が先ほど手を挙げておられました。どうぞ。 ○高橋委員  ちょっと1点だけ確認をしておきたいんですが、これの6ページの当該機関から当該児 に補償金を支払うという形になって、いわゆる分娩機関から直接その被害者のほうに支払 うということになっているんですが、この5ページのこの図から見ると、直接保険会社か ら妊産婦のほうに補償金が支払われるという形になっているんで、これどちらが正しいの かちょっと教えてほしいと思います。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  まず、実施の時期につきましては、対馬委員からの御質問ですが、これは来年の1月1 日に生まれた児から補償を開始するという予定で今準備を進めております。予定というの は、そういうことでやるということでございます。  それから、この5ページ目についての御質問ですけれども、この補償金につきまして保 険会社から妊産婦のほうへ直接というふうに線が出ておりますけれども、これは実際には こういうふうになりますけれども、契約上の流れといたしましては、分娩機関が妊産婦さ んに万が一の場合にこの補償金をお支払いする。そこで生じた損害を保険会社が補てんす ると、そういうような仕組みになっております。 ○事務局(田河保険課長)  続きまして、出産一時金の関係でございますけれども、医療保険部会での議論を踏まえ まして、私ども政令のパブリックコメントの作業も今急いでいるところでございます。当 然、来年1月からの産科医療補償制度の施行ということでございますので、私ども急いで おるところでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  今、個別の事実関係を各関係課からお話をしましたので、対馬委員からありました話、 ちょっと全体的な話についてお話をしたいと思います。  まず、21年1月1日は予定になっていて、そういう中で少し急ぎすぎじゃないのかと いうようなニュアンスに近いことを御質問になったと思います。  まず、予定とは申しましたけれども、私どもの医療課の理解では、先ほどから話があっ ておりますように、ほぼ予定どおり進むんだろうと思いますが、今日この時点で制度全体 が法令的な手続も含めてすべて終了しているということではなさそうだったので、予定と いう言葉を使わせていただいたというのが一つです。恐らく予定どおり決着するんだろう という理解でおります。  それから2つ目は、仮に1月1日実施だとすると、今年じゅうにもまだ何回も総会なり があるだろうというお話かもしれませんが、私どもが各病院の状況を聞き取りのような形 で聞いてみますと、公立病院のようなところは、掛金の支払いということについて、それ 相当の事務手続が必要なところがあるようです。これは先ほど資料で御説明いたしました 中にありますが、5ページ目でございますけれども、5ページ目の掛金というところを見 ていただきますと、分娩機関が運営組織に支払いをすると、こういうことになっておりま して、例えば公立病院を例にとりますと、公立病院が運営組織に掛金を払う、こうなりま すと、病院やその市町村の、県のお考えにもよるでしょうけれども、あらかじめその歳出 に関する費目みたいなものを準備しておかなければならないと考えているところがあるよ うです。そうしますと、通常ですと、12月議会だとか、例えばそういうところで議会に お諮りをしてというかなり丁寧な手続までする自治体あるいは病院があるんじゃないかと いうふうに考えます。そういう意味では、ある程度の余裕を持って、こういう制度を導入 しようとしているということをお伝えをしないといけないのかなというふうに考えた次第 です。そういう意味では、今日は相当もうぎりぎりに近いタイミングでお話をしていると いうことになります。  いずれにしましても、仮にこの場で御了承いただければ、この内容で都道府県、市町村 も含めて全国の医療機関にお伝えをして、そして特に公立の場合は、繰り返しになります けれども、議会の承認を得る等の必要があればやっていただくという時間的余裕を与えた いということです。  それから、さらに参考までに申しますと、仮にですけれども、本当にもう1月1日が、 こういうのもなんですが、医政局や保険課の都合で1月1日実施不可能になるようなこと があれば、これはそれに合わせて時期をずらすということは、最悪の場合にはそれは考え てもいいのかなと思っております。それが1つ目です。  それから、2つ目は恐らくこういう御質問かと思います。ハイリスクという言葉がつい ている診療報酬の項目はこれだけじゃないだろうというお話だろうと思います。例えばと いうことで、ハイリスク妊娠共同管理料みたいな管理料を取っているところがあるんだか ら、この2つさえとらまえれば、ハイリスク分娩をやっているところが全部包含されると いうわけでもないんじゃないかという御質問だと理解をいたします。  結論から申しますと、恐らくこの2つをとらまえれば、今御質問のあったような共同管 理料のようなものも包含される形で把握できるだろうと承知しております。純理論的に考 えれば、絶対すべてそうかと言われるとちょっと難しいんですけれども、ほぼ間違いなく この2つの項目の中で対応しておけば、ハイリスクにかかわる妊娠とそれからその医療機 関というものはこの中に包含されるだろう。代表選手として入れるということで対応でき るだろうと、こういうふうに理解をしております。 ○遠藤会長  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  どうも今制度の話になったんですけれども、どうも議論が制度の議論になっていると思 いますが、私は制度は推進する立場で、それはいいんですけれども、そうじゃなくて、あ くまでも診療報酬の話を言っているんで、言い方を変えますと、分娩というものは基本的 には私は自由診療だと思っています、一部例外はありますが。その自由診療である分娩に おける民間保険を使った補償制度ですね、今回は。それへの加入というものを公的医療保 険の加算点数の施設基準とするということはおかしいんじゃないか、そのことを申し上げ ております。この制度自体のことを言っているんではなくて、そういうことがおかしいん ではないか。診療報酬の在り方としてどうかという質問でございます。 ○遠藤会長  医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  分娩は、西澤委員がおっしゃるように、通常は自由診療なんですけれども、自由診療で 経過していて、突然異常が、異常といいますか、ちょっとなかなか言いづらい言葉なんで すけれども、帝王切開が必要になるとか、特別な処置が必要になる場合には、そこから保 険診療に移行をしているわけで、その保険診療の中でも特に大変な障害や異常が生じてい る場合には、これがハイリスク分娩やハイリスク妊娠という管理加算がとれるような対象 にまで発展していくというか、段階が進んでいくということになるんでしょう。したがい まして、ここで言っているその保険上の追加事項といいますか、ハだとかホだとかいうの は、正常分娩の方について何かその保険診療上特別な施設基準の縛りをつけようというも のではなくて、正常な妊娠過程だったかもしれないけれども、途中で、あるいは最初から 非常に大変な妊娠、つまり保険が使えるような、保険を使うような状態になり、しかもそ の中でも特にハイリスクと呼ばれるような状態になり、そういう方に限定をして、ハとホ という基準をつけておりますので、必ずしも先生がおっしゃるように正常分娩の方を最初 から念頭に置いて、その方に保険上の縛りをつけるという構成にはなっていないと承知し ております。 ○西澤委員  ちょっと私の質問と違うと思うんですけれども、縛りというのは今回のこの施設基準が 正常分娩の方の縛りになっていない、そのとおりでございます。ただ、今私が言っている のは、今回のこの民間保険に加入するということですね。そのこととの関係をこの加算と の関係がどう見ても、私には結びつける根拠というのが理解できないということでござい ます。まあ、それだけにしておきます。 ○遠藤会長  よくわかります、おっしゃっていることは。  先ほど事務局から高橋委員と対馬委員の御意見に対する返答があったわけですけれども、 高橋委員、何か。先ほどのでよろしいですか。 ○高橋委員  そうしますと、分娩機関にフィードバックされるということでは、通過をして、妊産婦 の方に支払われるということではなくて、直接保険会社から妊産婦のほうに補償金が支払 われるという理解でよろしいんですか。 ○遠藤会長  事務局、お願いします。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  はい。便宜的にそういうことになると思います。繰り返しますと、契約上は分娩機関が 妊産婦さんに対して補償金をお支払いする。そこに生じた損害を損保会社が補てんをする という形になりますけれども、費用が行って、またもう一回行ってということですので、 より簡便にするためにこの5ページで言いますジャンプの仕組みで患者さんのところへ直 接お支払いをするという形になります。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  簡単明瞭で結構なんですが、保険会社から妊婦さんに直接支払われるという理解でよろ しいんですか。 ○遠藤会長  事務局、お願いします。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  はい。費用についてはそう、実際の流れはそうなります。 ○遠藤会長  よろしいですか。 ○邉見委員  先ほど課長さんが言いました公立病院の現状と私の意見を述べたいと思います。  私どもは制度自体には賛成です。議会とか審議会では、なぜ民間だと、公立病院なのに なぜ民間保険に入るのかというふうな意見もございましたけれども、とにかく今早くやら なくてはいけないということ。直近のデータを見ますと、我々の属している自治体病院で は手続上まだ入っていないのは1施設のみで、ほとんどの病院が入っています。ただ、保 険料を払うというのが12月議会とか、あるいは補正予算とかいろいろ。松浦委員みたい に医療に理解のある市長とか知事がおるところは簡単なんですけれども、そうではないと ころはなかなかこれは難しい。やはり予算的措置がありますので、私どもも審議会は通り ましたが、まだ議会は通っておりません。そのような、ちょうど分娩料の値上げとかいろ いろなのが重なりましたので、非常にややこしい状況にございます。  ただ、一つだけ。西澤委員も心配されておるのは、民間保険に入るのが今後この診療報 酬の加算のルールにいろいろ影響を与えてこないかと。例えば麻酔医は民間保険に入って います。麻酔の事故もどう注意しても起こることがありますので、保険に入っています。 内視鏡、例えば胃カメラとか大腸ファイバーなども入っています。そういうのが入らなか ったら、麻酔管理料がもらえないとか、内視鏡の点数がもらえないというふうに言ってい くとちょっと困るんじゃないかなということもありますので、私は今回は特例というか、 非常に緊急避難的な、スペシャルなものだというふうに思って賛成したいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。御意見ということでございますね。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  まず質問なんですけれども、この制度自体は1月1日からということなんですけど、こ の施設基準を改正する場合、それが実際に運用されるのはいつからなんですか。 ○遠藤会長  事務局、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  制度の創設に合わせまして、1月1日を同様に予定しております。 ○遠藤会長  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  今、制度を後押しすることに賛成とか反対とかいう意見が出ているんですけど、対馬委 員からもありましたけど、私の認識では、まだこの制度がどんな制度なのか、はっきりし ていないという認識でいますので、ちょっとやっぱり時期が迫ってはいますけれども、は っきりできていない部分があり、この場での議論は時期尚早じゃないかと思うわけです。 その理由は、ここに書かれてあるように、この制度自体は2年前に産婦人科医会が自民党、 公明党との関係でこの制度をつくるということが決まって、その上で、じゃどういうふう にしていくかということの議論がこの間進んできたという理解なんですけど、私もこんな 話はしたくはありませんが、子供を二人、産科の事故で亡くしていまして、1人は9日間、 2人目は2歳半、2人とも重度の脳性麻痺で結局死亡しておる関係から、多くの脳性麻痺 の子供を抱える親とか、実際に産科の医療裁判をした知り合いが多いわけですけど、2年 前にこの制度が発表したときにはその両者からそれぞれ大きな危惧が出されていて、この 危惧がこの2年間で払拭されるかということが議論になってきたと僕は思っていますし、 その結論がまだ出ていないというふうに思っています。  一つ目は、実際に脳性麻痺の子供を抱えている親の意見は、この制度の対象が、極めて 産婦人科医が訴えられる可能性のある内容に限られていて、脳性麻痺になる子供が多い未 熟児は対象外ですし、先天性というのも対象外と。それはやっぱり実際に脳性麻痺の子供 を抱えている親からすると、自分たちが一緒に育児等をしている脳性麻痺の子供を抱える 親たちのコミュニティーの中に差ができてしまう。それよりももっと一人あたりの額を減 らしてでもいいから、広く薄く全体にやってほしいという声が一様に出ている。それが実 現できないのかということ。  さらに、お金の支払い方に関しては、子供が死亡したら、支払総額3,000万円のう ちの残りのお金を一気にというか、死亡した場合には、残りの残金を全部親に支払ってし まう。そういうことが幼児虐待とかが問題になっている時代の中でモラルハザードを起こ さないのかとか、そういうお金の支払い方に関して、非常に原案に対して危惧が出されて いたと思います。ただ、それらに関してはもう結論が出されていて、それは変えられない ことになった。ただし、5年後に見直しするかもしれないという結論が出ているというふ うに理解しています。  もう一つの危惧は、実際に医療裁判をしてきた人たちからすると、産科の医療裁判とい うのは、ここにも書かれていますが、原因の究明と再発防止を求めてみんな被害者たちは 裁判をしてきたというふうに認識しているわけです。にもかかわらず、一部の裁判では原 因やそういうものを隠そうとしてきたところがあって、それに対して本当のことをきちん と知りたいという訴えこそが医療裁判だったというふうに僕は認識しているんですけど、 そうするとこういうふうに過失があろうとなかろうとお金を払ってしまうということにな ると、なおのこと原因究明がいいかげんになってしまわないのか。そうすると、ますます 再発防止に生かされないんじゃないかという危惧が2年前の制度の原案公表時から出され ていたわけです。それに関しては、この制度の中で原因究明委員会、再発防止委員会等を つくってきちんとやっていくとなってはきましたが、それらがどんな規約でされ、どんな 内容でやられていくのかということに関しては先送り、先送りで、12月になってようや くその原案が出されるのではないかというタイミングだと理解しています。  なので、このタイミングで制度の後押しに賛成できるかと聞かれると、ちょっと本気で その制度を考えてきた人たちからするとちょっと時期尚早じゃないかということになるの では、というのが僕の認識です。対馬委員もおっしゃったように、ほかにもいろいろとば たばた慌てておられる中での御苦労もあるのかもしれませんが、ちょっとこの段階でこの 案に賛成、反対とか、制度を推進すべきかどうかというと、やはり、特に原因究明、再発 防止がどのようにされていくのかという具体案がまだ一切出されていないわけですから、 それが出てからということのほうが僕は筋が通るんじゃないかというふうに考えておりま す。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今、いろいろな意見が出ましたので、ここで一遍に決めてしまうのは難しいんじゃない かなと。私、先ほど賛成と申し上げましたけれども、こんなに多くの意見が、違った意見 が出ると、今日1回ではちょっと難しいんじゃないかなという感じがいたします。先ほど 賛成という意見を言いました者からして。 ○遠藤会長  わかりました。  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  明らかにしておかなきゃいけないと思うのですが、実はこの中医協の委員の中で、準備 委員会ですね、2年前からやってきた。そのメンバーがここにいます。私と勝村委員です ね、最初から。勝村委員、御存じのように相当激しい議論が交じわらせられましたね。そ して、制度の設計、そういう中でまさに勝村委員が御指摘になったような再発防止、原因 追求、それからもう一つは産科医会から出たということは、言うまでもなく、地域医療の 現場で産科医が大変萎縮診療といいますか、そういう厳しい状況になっているというよう な中から何とかしなければということで出てきて、しかも、患者さんを含めて御家族も委 員会に直接出てこられて訴えられた。そういう経緯がある。家族の方たち御一緒に議論し たと思うのです。したがいまして、その制度に関しての議論はこれはもう十分そこで闘わ されている。ですから、勝村委員の認識と私の認識がここは違うという、そこは一つだけ 申し上げておかなければいかない。ここで議論するつもりはありません。と申し上げます のは、そういうきちっとした、オーソライズされた委員会で決めましたことを今からどう それを徹底させていくかということが、まさに中医協の中で今度は診療報酬でそれを手当 てするということが議論されるわけですから、そこのところは分けてやらないと、これは もうごたごたしてくるようになる。そこだけは私、準備委員会に出ていた委員の一人とし てはっきり申し上げておきます。 ○遠藤会長  手短に、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  認識は一緒だと思うんですけれども、竹嶋委員に御理解いただきたいのは、準備委員会 の中では、原因究明、再発防止が非常に大事だということで認識は一致したという理解で いいかと思うんですけれども、ただ具体的にそれをどうしていくのか、どんな規約で、ど んな手続きをとって委員会が開かれるのかというような具体策はまだ一切出されていない。 12月に出る予定だということなんですよね。だから、それを受けてから、こういう議論 が始まるほうが筋じゃないかということのみを、今、意見として申し上げているつもりな んですけど。 ○遠藤会長  大島専門委員、どうぞ。 ○大島専門委員  産科医療問題が大変な問題だということはだれもがよく理解されていると思うんですが、 そのことの問題と、制度そのものの在り方の問題とは随分違う話です。問題を分けてきち んと整理をしていただいて、例えば制度の在り方の問題については、こういったことを受 け入れていくということになれば、一体どういうメリットとどういうデメリット、あるい はどういう問題が生ずるのかというようなことについて整理をしていただく。例えば、無 過失補償問題というのは産科問題だけに限った話ではなく、医療全般の中で起こっていま す。これを認めた場合に、他のところからこういったたぐいの似たような話が申請されて、 こういう前例があるからこの分野においても制度の中に組み込んでいくのは当然じゃない かというような議論につながるようなことはないのかどうか、それはそれで別に問題ない と言い切っていいのかどうかというようなことが分かりません。  したがって、議論を産科医療の問題と、それから西澤委員が指摘されたように、制度そ のものの在り方の問題と分けて整理をしていただきたいなと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、安全管理室長、どうぞ。 ○事務局(佐原医療安全推進室長)  すみません。今までの検討の状況なんですが、資料の3ページをごらんいただきまして、 このことについては平成19年2月から医療機能評価機構におきまして委員会をつくりま して議論をしてまいりました。その中に今、竹嶋委員、勝村委員も入っていただいたとい うところでございます。そして、今年の1月23日に報告書を取りまとめまして、その後 保険商品としての認可、また実際、10月からは妊産婦さんの登録といったものも始まっ ておりまして、1月1日からスタートするということになっております。そういうような 状況の中で、原因究明と再発防止については、評価機構のほうに設けられました運営委員 会できちっとその点については議論をしてまいりたいというふうに考えております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  社会保障審議会の医療保険部会に出た委員として一言申し上げますけれども、その場で も大変異論が出ました。1号側のほうからも出ました。しかし、これは基本的に了解と。 今日出たと同じような意見が交わされて、結局了解ということになったと私は理解してお ります。それで、先ほどからいろいろ意見が出ている中で、診療報酬とは関係のない項目 を要件としている。ここについてはどなたもやはり少しひっかかるところがあるのではな いかと思いますけれども、先ほど厚労省からも説明がありましたように、中医協に関係し ないもの、そういったことが要件とされると今後の悪しき前例になる。  しかしながら、今世論なんかも後押ししている状況の中で、私どもとしてはさっき一つ の意見として出ましたけれども、特例中の特例にしてというようなことがありましたので、 まずこれはあくまでも特例中の特例で、前例にならないというふうな位置付けで、私はこ の会でまとめていただきたいと思っております。  それから、またこの件に関しましては、制度のあるべき形としては少し疑問に感じられ ているという方が多いと思いますので、また別の財源をということも、これは少し緊急避 難的な状況でありますので、そういったことも考えながら対応していただきたいというふ うに考えております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。御意見を一通りお聞きしたいと思います。  小島委員、どうぞ。 ○小島委員  私も一言意見を。基本的にこの産科補償制度の趣旨については賛成です。あとは診療報 酬上の算定要件にすることについては、西澤委員が指摘されたように違和感を私も持って いる。ここが今日の議論のポイントだと思います。そこについて課長からも説明がありま したけれども、私的な民間の損保商品に加入することについて、それを診療報酬を算定す る条件にするということが最大のポイントだと思う。それでいいのかという違和感は持っ ているところです。その際に、特例中の特例だという藤原委員の指摘もありましたけれど も、そういう意味では最終的な判断としてはやむを得ないかと思います。さらにやはりこ こは公的な医療保険、診療報酬の算定の要件とする根拠としては、単にその支払い補償だ けじゃなくて、勝村委員が指摘された原因分析、再発防止をきちっとやるということだ。 これが利用者、国民にとってもプラスになる。この配付されている資料の7ページの3に ある原因分析・再発防止委員会の運営がきちっと担保されるということがあって初めて診 療報酬上対応することの根拠になるのだろうと思います。ですので、そこがきちっと担保 されれば、今回提案されたような内容でやむを得ないと思います。本当にきちんと担保さ れるかどうかというところが判断だと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  順番からいいますと、松浦委員、どうぞ。 ○松浦委員  私、3年ぐらい前ですか、2年前でしたか、ここで私フランスにちょうど行ったときに 産科、それから小児科、それから外科系のお医者さんがストをやっておったと。そのスト の理由は、やはりこれの保険料というのが非常に高くなってきて、フランスで、医療事故 に対するね。それで診療報酬か何かで上げてくれなきゃもうやれないと、こういう状況が あってストに入った。無期限のストに入っておったと、こういう状況があって、そのこと をちょっと私ここで申し上げたことがあるんですが、それが今日本では産婦人科の医者に、 医局へ入ろうとする人がもうほとんどいなくなる、そういう形で出てきたのかなという私 は今気がしております。  私は、この原因究明、再発防止というのはこれは非常に必要なことなんですが、これは まさに非常に産婦人科を希望していくお医者さんが、学生が希望するかしないかという問 題も絡めて、非常にこれ複雑な問題を含んでくると思います。私は今、このハとホが産婦 人科、産科のお医者さんの負担を軽くするという方向に働くのであれば、私は急いですべ きだろう、そういうふうに思いますね。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  ちょうど勝村委員とそれから小島委員のお2人から徹底した原因分析、そういう委員会 みたいなもの、それから再発防止委員会みたいなものをちゃんとつくってやっていくよう になっているかということでございますが、私どもも、産科医師あるいは産科医会、そう いうところからこの問題に対しては大変熱心だというか御要望がございまして、まず第1 はお生まれになってくるお子様ですよね、それから御家族、また実際に出産に立ち会う医 療機関ができるだけ円滑にいくようにというようなことから、これは私は委員としても、 医師会を代表した立場でもお話し申し上げますが、何とかうまく進めたいということで各 方面に努力をいろいろさせていただきました。  そういう中から、今御説明ございましたように、これは財団法人医療機能評価機構に運 営を委ねました。これは勝村先生、御存じですね。どこに任せるかというときに十分な議 論があって、ここが国民が見た視線の中で一番公平で、公正にやるところであろうという ことで委ねましたね。私の持っている情報では、もう既にその中にまず審査委員会という のが一つできている。それから、原因分析委員会、それから、再発防止委員会もできて、 それぞれその運営の具体案が、原因分析委員会は例えばこういう問題が起こったときに、 ドクターはドクターにいろいろまた調査しますが、既に10ページにわたるしっかりした 案、質問の要綱とか、それから再発防止委員会のほうも6ページにわたるそういう案も今 つくられつつあるんです。ですから、そういうことが医療機能評価機構の中で今進められ ているということは、この16日の理事会の議事録で確かめておりますので、私はその情 報だけをここで申し上げておきたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本(す)専門委員  私は、中医協のメンバーになっていないときに、この話を聞いたときは大変うれしいと いうふうに思いました。30年近く助産師をずっとやってきました中では、きちっと本当 に過失がある状況と、本当に過失がよく分からない状況で脳性麻痺の患者さんが生まれた りすることというのを経験してきました。そのときにどちらもお互いに敵対関係になって 戦っていくというのは大変忍びない状況があって、私はドクターのことを考えなくちゃい けないというのもありますけども、やはり生まれてくるお子さんとお母さん、御夫婦、そ のことに対して大変早く私はこの制度をきちっと整えて出していってほしいというふうに 思っております。  過失であるか過失でないかということの判断をして、そしてさらに過失であったならば、 それを改善していくというようなところはもちろんそれは仕組みとしてつけていかなくて はいけないのは当然でありますけれども、どちらかよく分からなくて延々と戦っていくと いうような状況を沢山見てきましたので、それについては早く手を打っていただきたいな というふうに思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  どうも議論がこの制度に賛成か反対かみたいなほうに行っているんですが、おかしいと 思うんですよね。先ほど大島委員が言ったとおり、そうじゃなくて、私はこの制度は私た ちも推進しています。どうも私が制度に反対しているみたいに思われがちなんですけど、 賛成しています。ですから、100%にしたいからいろいろな努力する。ただ、診療報酬 の在り方という観点からどうですかというんですけど、なかなかそういう意見が出てこな いで制度ばっかり言っている。ちょっとそういうことで議論が本当の議論になっていない んじゃないかなと思っています。  それともう一つは機能評価だからどうこうですが、先ほど言いましたように同一という ところで、機能評価機構だけではなくて、もしほかにできればそちらも対象となるという ことですので、機能評価だからいいということは今回の根拠にはならないということです。 ですから、そのことをもう一回踏まえて、やはり民間保険に入っているというふうな施設 基準が診療報酬の加算条件として合うのかどうかという議論をしていただきたいというこ とで申し上げたと思うんで、そのあたりはちょっと誤解のないように。  それから、私は今回いろいろな意見が出て、やはりこの点数が診療報酬に入ることによ っていろいろな議論が起きる。どうも診療報酬の点数上は若干おかしいけども、この制度 を進めるために賛成みたいな意見があるんですけれども、それを特例中の特例と言っても、 特例という前例というのは明らかに前例になるわけですから、もっと診療報酬のほうから いってどうかというものにしていただきたい。この制度を推進するということでは、私た ちも100%加入の努力は、入っていないところの名簿でもいただいて、一件一件私たち 口説いて何とかそれを達成したい、そういう努力はもうするつもりでおります。だから、 そういう意味ではこの中に入れることはもう一回考えていただきたいという、そういう意 見でございますのでよろしく。 ○遠藤会長  承知しております。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  この場が、西澤委員がおっしゃるような論点で議論すべき場だということは僕もそのと おりだと思いますけども、その前提としてこの制度、この制度という、その制度の詳細が 決まっていない段階なので、ちょっと筋としてきっちり本当の原因究明、再発防止も次回 にはどういう形でやるのかという具体案が出てくるので、それよりも先にここの中医協の 場で何か結論を出してしまうということはどうかという意見を言ったまでで、西澤先生が おっしゃるような議論をしていただいて全くよいと思うんですけれども、結論を出す時期 がちょっと今のでよいのかということの趣旨だったということと、それからもう一つは、 その原因究明、再発防止というのは、それはきちんとできるようになれば、医療費とかそ ういうことを考える上でも非常にやっぱりいい方向になっていくということ、小島委員の おっしゃるとおりだと思うんですけれども、実は産婦人科医会はこれまでも医陪責という 保険に入っていて、そこで原因究明や再発防止をしようと思ったらできたはずなんだけれ ども、これまで特に産科医療として反省すべきとかいうところを出してきたということが なかったというのがあるわけですよね。だからこそ、この制度がきっかけで本当に個々の 事故の原因を究明して、個々の事故を再発防止に生かしていこうという流れができれば、 非常に僕もよいことだと思っておりますが、逆に今までと同じように、事故があっても産 科医会がその事故を把握するけれども、外にうまく出てこないために再発防止に生かせな いということになっては困るということで、じゃ、実際だからそこをどうやってやってい くのかというところに非常に注目が集まっている。そこはやっぱりぜひ中医協としてもそ この議論の結果を見極めて、そういうことならば非常によいから後押ししていく、とかい うような感じで進めていってもらうことができたらいいと思っているわけです。 ○遠藤会長  先ほどから事務局から手が挙がっておりますので、お願いいたします。 ○事務局(神田総務課長)  1点、先ほどから診療報酬の要件に、西澤委員のほうから、民間の保険に加入すること を要件にするのはどうかという御指摘がありますけども、その例になるのかどうかは分か りませんけれども、基本的には診療報酬というのはその保険者と診療側との契約、公法上 の契約だと。療養担当規則を守って診療した場合に、診療報酬点数表に基づく報酬が払わ れる。介護保険の介護報酬というのも基本的には療養担当規則に相当する運営基準を守っ てサービスを提供すれば報酬が払われる。同じ関係だと思いますけれども、介護保険の介 護療養型医療施設、例えば介護療養病床の中の運営基準には、事故発生の防止とか発生時 の対応ということで、入院患者に対して賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を 速やかに行わなければならないということが運営基準に決まっていて、その運営基準の解 釈では、そのために損害賠償保険に加入しておくか、もしくは賠償資力を有することが望 ましいということが言われているわけです。これはやはり保険診療として何かサービスを 提供した場合に事故が起こった場合には、速やかな賠償がされるべきだということが、運 営基準というのはいわば公法上の保険者との契約内容としてそれが定まっているというこ とがございます。当然この保険というのは公的保険ではなくて、民間保険も含めた保険に 入っておくことが望ましいということになっているわけです。  今回のこの産科医療補償制度というのは、むしろ国がその先ほどからのお話にあります ように、事故の再発防止ですとか、あるいは究極的には地域における産科医療の確保とい うような観点から、国が検討段階から関与して、公的な枠組みを今回できることになった わけでございます。実施としては速やかな実施ということで民間保険になったわけであり ますけれども、そういう半ば公的にかかわった仕組みとしてこういうものができて、なお かつ先ほどの例は一般的な介護療養病床ですらみんな保険に入ることが望ましいと言われ ている中で、公的な仕組みができて、なおかつ非常にそのリスクの高い患者さんを扱うと いう中で、それを条件にすることが本質的には保険契約の内容ということで、値段表のほ うのその要件、報酬点数表の要件として書かれるのか、療養担当規則とか運営基準に書か れるのかという問題はございますけれども、本質論として言うと、契約内容にそのような ことが入っているという例は現にあるんだというふうには認識しております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  じゃ、直接関係しますので、西澤委員、先に。 ○西澤委員  今の説明で、それは介護保険のほうは私も承知しておりますが、違うのは、何らかの保 険に入っている、あるいは賠償するだけの能力を持つと書いてあります。今回は、能力が あっても保険に入るです。実は、ある私たちの会員から来ました、年間500例以上はあ るそうですが、保険料として500例だったら、1,500万円払うんだろうと。うち、 ここ数年間、こういう例ないよと。だったら自分のところでためてやったほうがいいんだ けどなということを言われたけど、いや、先生、これは大事な施設ですから入ってくださ いと言いました。ですから、今の説明であれば、そのとおりのことを入れるんであれば、 入る、入らない、自由でいいと思います。能力さえあればいいということです。今回は能 力があっても入らなきゃならない。そういうことではこれは強制しているんですよね。だ から、全く違うと私は考えております。  ですから、今言ったようなことがあるんであれば、そういう例を全部出していただいて、 じゃ、本当に診療報酬上、今まで民間保険に加入が条件としたものがあったかないかとい うものを出していただいて、さらにこれが条件として入った場合には、じゃ今後どういう ことが考えられるかという中で、総合的にもう一度考えていただくんならよろしいかと思 います。すみません。 ○遠藤会長  先ほど渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  私自身、この医療保険部会にも出ておりましたが、やはりこの中でもこの制度そのもの がまだあやふやな部分がかなりありましたですね。そういう意味では、もう少し私たちも その中身が知りたいというのが事実です。それから、勝村委員や坂本専門委員のほうから 話もありましたけども、お子さんにとって、あるいはお母さんにとって、親御さんにとっ ては本当に微妙な境目の中で区別をされるのは大変不幸せなことだと思うんですね。そう いう意味では、この正常とかいう、正常という言葉で私非常にひっかかっているので、先 ほど帝王切開等もありましたけれども、その場合には、じゃ正常じゃないんですかという 形になってしまうとどうなんでしょうか。  それからあと、本当に微妙なところで、そこの正常という形で大きくくくられてしまう と、少し問題があったときに、外れてしまう。お子さんやお母さんにとって、大変な境目 になってしまうというところが、私は非常にこの制度上心配しています。それの見直しも 行われるんでしょうが、それが1点です。  それからもう1点は、西澤委員のほうからもよくおっしゃられておりますが、私自身も このハの条件をつけるということ、そういうことだけがこの課題に挙げられた診療報酬上 の対応を求めるという中身なのかなというのがちょっと疑問に思いますので、もう少しほ かの方法はないものかと。ほかの方法で診療、私たち中医協として、この制度をバックア ップする考えがほかにないのかというのはもう少し、今日の意見はいろいろ出ております ので、検討してもう少しそこの方法論を考えられないかなというのが私の考えでございま す。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、松浦委員、どうぞ。 ○松浦委員  私のところの病院は、産婦人科の医者がいなくなっちゃったんです。私はそのことを頭 に置きながら、これはハ、ホがお産に携わる人たちを多少でも楽にする、基本的にも楽に するということであれば、私は早急に急がないと、現に産婦人科のお医者さんのいないと ころというのはどんどんふえているわけですから、そのことも頭に置いて、私は時々筋の 外れた議論をするということをこの前に会長さんも言われたんですけれども、私はあらゆ る角度からやはり少しでもお産に携わる人たちの負担を軽くしてあげると、こういうこと に役立つんなら、どんなことでも私は取り入れていくべきだと思います。原因究明、再発 防止はこれはまた別問題です。これは非常にまた難しい問題を含んでいると思いますから、 それは別の議論として、特に産婦人科、お産ができなくなった病院を抱えている者として はそういうふうに申し上げたいと思います。 ○遠藤会長  わかりました。  それでは、勝村委員、本当に短くお願いします。 ○勝村委員  一般的にそういうことが言われているかと思うのですけれども、臨床研修のマッチング なんか見ても、産婦人科の希望はいつも高い方だということもあって、できるだけきちん と分析していく方向が大切だと思います。それから、ちょっと話が変わるかもしれないの ですけど、僕はこれを機にぜひ厚労省にお願いしておきたいと思うのは、自由診療じゃな しに、産科医療そのものをもう現物の保険適用をするという検討を始めることはできない のかとふうに思うわけです。 ○遠藤会長  勝村委員、ちょっと話が外れていますので。 ○勝村委員  はい。すみません。そうなのですけど、今、この制度に加入していない医療機関、全部 は僕が直接聞いたわけではないのですけど、そういった医療機関に取材をしたというマス コミの人からちょっと聞いた話によると、やはり出産一時金を値上げしても、出産費が払 えない家族の分があって、その分のお金も医療機関が3万円出さなきゃいけないというこ とが嫌だ、とか問題だという話があってこの制度への加入を拒んでいたりすることがある ようです。また、医療というのを考える場合には、妊婦健診を受けない人たちの分がハイ リスクになっていることが多いとかいうこともあるので、今、ここに出てきている制度は、 助産所も含めてこういうことを全部やっていこうという話なので、ちょっと課長さんには 申しわけないですけど、僕はもうお産全体を保険給付の対象にするということをきちんと やっていかないと、いつまでたっても産科医療の議論というのは、何か外側の議論ばっか りになってしまって中身の議論に入れないんじゃないかと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  いろいろな御意見をいただきました。そもそもが診療報酬に民間保険に入っていること を診療報酬の加算要件にすること自体が適正ではないという御意見から、損保の制度その ものがまだ完成していないのではないかと。にもかかわらず診療報酬の手当てを先行する ことに対してはもう少し審議を続けたらいいんじゃないかという考え方と、さらには早急 にやるべきだろうというような御意見であったかと思います。  本日ここでこの加算要件をお認めいただけますかというと、合意の一致ができるかどう かということですが、本日このような原案どおりに合意を賛成するということに対して、 それに対しては反対の方がまだいらっしゃると思うんですけれども、いかがでしょうか。 対馬委員は先ほどもう少し検討というふうにおっしゃいましたが。 ○対馬委員  かなり急がなくてはいけないということは事務局の説明でよく分かりました。12月ま ではとても待てないと、こういうことだというふうに思いますが、ただ、やっぱりいろい ろな意見がありまして、私はもう一回ぐらい今月中にでも、ちょっと日程がタイトだと思 いますけれども、議論すべきだと思います。特に先ほど来お話が出ている診療報酬上どう なのだろうかというのは、我々も確かに民間保険と公的な保険をどういった形でというの は基本中の基本の問題と言えばそういうことだと思います。ですから、そのあたりの問題 やほかの方策はないのかということも含めて、もう一回議論して、最終的にやっぱり喫緊 の課題で早急にということになれば、それはそれでやむを得ないと思いますが、現時点で 消化不良のまま、ここで一気にというのはちょっとどうかなと、こういう感じがします。 ○遠藤会長  わかりました。同じような御意見だった渡辺委員もそうだと思います。お2人とも社保 審の保険部会の委員だということでありますので、御意見はいかがでしょう。 ○渡辺委員  私も今の対馬委員と同じような意味合いで先ほど発言しました。ほかにここの表現一つ にしても違うと思うんですね。その表現の仕方によって、後でこれはこういう意味合いで すという説明があるのと、きちっとこの中でもう基準として入った場合と、その意味合い が大分違うと思うんです。それはそういう形でやっぱり対応すべきじゃないかと思うこと と、この補償制度そのものを推進するというのは基本的にこの中医協の中での合意という 形で考えていいんじゃないかというふうなその2つの考え方を持っています。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、そういうことでまだ意見の一致が十分見られないというふうに理解いたしま すので、本件につきましては継続審議ということで、早急に次回の総会で議論をするとい う形にしたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。  じゃ、事務局、そのように手配をお願いしたいと思います。  はい、どうぞ、牛丸委員。 ○牛丸委員  今の決定に関しては賛成いたします。次回がいつになるかわかりませんけれども、今お 話がありましたように、共通認識としてはこの制度自体に関しては推進ということで合意 が得られたと思いますが、原則論というか、そのところはしっかり最終的な議論をしたほ うがいいと思います。  ここで議論すべき事とここの領域を外れるところを分けなければいけないと思いますが、 実は私、この制度を聞いたときに、その運営組織の在り方といいますか、そこがよく分か らないのです。今日、お話の中で特定のところの名前が出てきています。原因分析、再発 防止、そこが一番重要なところでしょう。それがここの議論とどうかかわるかということ もありますが、それだけでなく、お金が流れていく、その中間に位置する組織ですので、 どんな組織を考えていらっしゃるのか。別の部会で当然議論されて、ある程度の骨格がで きていると思いますが、その情報をいただきたいのです。それがここの議論にかかわって くるかどうかは分かりませんが、一応議論する者としてはそういう情報を得ておきたいも のですから、次回までか、もっと先でも結構ですが、事務局にお願いいたします。  以上です。 ○遠藤会長  確かにこの制度自体は社保審で十分にもまれているわけですけど、中医協に上がってき たのは初めてですので、今のような特に社保審と関係のない委員の方々はその辺十分御理 解されているかどうかという問題もありますので、次回議論するときにその辺のところも 簡潔に御説明いただければと思いますので、御準備のほどよろしくお願いいたします。  それでは、そういうことで本日の議論はこれで終了したいと思います。  それでは、まだ残っておりまして、次の議題は、第17回医療経済実態調査の実施につ いてを議題といたします。  資料について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局(小野保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室長でございます。  中医協総−5でございますが、第17回医療経済実態調査についてでございます。  第17回調査の実施に向けました調査設計に係る議論を始めていただく必要が出てきて ございます。調査実施の小委員会を開催いたしまして、平成20年度中に調査内容、方法 等、その調査設計に係る議論の結論を得ていただきたいというふうに御提案を申し上げて おるところでございます。黒ポツの3つはそうした調査実施小委員会の流れを大まかに書 いたものでございますが、事務局のほうより第17回調査に係る主な論点を提示した上で、 論点に沿った議論を行っていただきまして、議論を踏まえまして、事務局より第17回調 査の実施案などを提示して結論を得ていく方向でお願いしたいというふうに考えてござい ます。  丸の2つ目は、仮に前回同様、調査を平成21年6月の1カ月について実施をするとし た場合の大まかなスケジュールのイメージでございます。今回が平成20年10月でござ いますが、総会で調査実施に向けた検討についてまず議論いただきまして、11月から2 月にかけまして、調査実施小委を月1回程度ずつ開催する。その上で2月から3月ごろの 総会で調査内容の御了承をいただきまして、21年度に入りまして、6月を調査月とした 場合であれば7月が回答期限となり、調査票の集計・分析というのを10月までにかけて 行いまして、10月の下旬に調査実施小委、総会それぞれで速報値を報告するという段取 りでいかがかと考えてございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいま御説明がありました内容につきまして御質問、御意見ございますでしょうか。  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  本日資料を提出させていただきましたので、簡単に説明をさせていただきます。よろし いでしょうか。  「医療経済実態調査の問題点」と書いた横書きのものです。  医療経済実態調査、実調は診療報酬改定の重要なデータであるというのは皆さん共通の 認識だと思います。改定率、それから改定内容はこれに基づいて行われると言ってもいい と思いますが、これ自体の問題点を昨年来私ども指摘してまいりました。本日はこれまで の整理と改善案を提案したいと思います。  まず1枚開いていただいて、右下の1ページをお願いします。  これは昨年の10月31日の総会に提出した資料から抜粋したものです。TKC医業経 営指標と実調の比較を示しました。TKCのほうは客体数が多く、診療所が5,400、 病院700、実調のほうは介護保険収入のある、ないで分かれていますが、このようにな っております。またさらに、TKCのほうは定点観測であること、実調は非定点であるこ と、それからTKCは決算データであること、実調は6月の単月のアンケート調査である こと、TKCは毎年の調査であることに対して、実調は隔年調査だという問題点を指摘し てまいりました。  2ページをお願いします。  まず、定点調査ではないことの弊害でありますが、調査年によって病床数、従業者数の 平均が異なります。規模の違いが医業収入の増減に影響することは、関係の方はお分かり だと思います。例えば一般診療所の個人・有床、その他・無床では、1施設当たりの医業 収入が前回比プラスになっていますが、今回の調査対象施設では前回に比べて規模が大き いためではないかと推察されます。従業者1人当たり医業収入はいずれも前回比マイナス に逆転します。  3ページをお願いします。  定点調査も行われていますが、一般病院では70施設と少ないです。その上、定点と非 定点では結果も異なります。この表にありますように、例えば一般病院、医療法人の医業 収支差は非定点では増益、プラス71.5%でありますが、定点では減益、マイナス5. 7%と逆転いたします。  次に4ページをお願いいたします。  結果の示し方の問題点についてです。個人と法人を合わせた全体の費用や収支差額も掲 載されています。しかし、個人の費用には院長報酬は含まれておらず、個人と法人の収支 差は全く意味が違います。  5ページをお願いいたします。  特殊なケースの処理について。今回の調査では、前回ですが、有床診療所(個人)にか なり特殊なケースがありました。この黄色いところです。精神科。有床診療所(個人)が 全体を底上げしていました。外れ値を除外するなどの処理が必要です。  次に、(4)ですが、6月の単月の調査である問題点です。6月に発生しない費用につ いては、年間発生額を推計して記入します。しかし、特に小規模の診療所などでは推計し て記入することが困難で、費用が小さく出やすく、逆に収支差額が大きく出やすいという 傾向があります。  そこで、6ページをお願いします。  医療経営をできるだけ正確に把握するための調査の改善案を提案したいと思います。ま ず、改善案の1として、医療経済実態調査を決算ベースで把握してはどうかと思います。 法人の場合は医療経済実態調査を決算書から転記するものにする。損益計算書、貸借対照 表、キャシュフロー計算書が正確に把握できると思います。決算期は1月から12月とま ちまちでしょうが、当該年度に決算期を迎えたものは全体を平均して当該年度の傾向とみ なすというふうにしてはどうでしょう。また、個人の場合もできるだけ確定申告書に添付 される決算書の内容を転記できるものにすると。ただし、医療機関の属性や職員数などは 別途フェイスシートに記入するとしてはどうか。  改善案の2ですが、医療経済実態調査、TKC医業経営指標等を同じ土俵で議論するも のです。国立病院機構については、財務諸表の作成が義務付けられていますので、これを 用い、医療機関の属性や職員数などは別途フェイスシートに記入する。また、都道府県・ 市町村立病院については、総務省が地方公営企業年鑑のために集計する財務諸表、経営指 標を用いる。その他、公的団体等にも協力を求めるというのが2案です。  改善案3は定点調査を基本とするもの。少なくとも定点調査のデータをベースに議論す るという、この3つの改善案を提案させていただきます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいま2号側から、1ページから5ページまではこれまでに御報告いただいた内容と 同じものだと思いますけれども、6ページのところが新たな改善案という提案が出たわけ であります。  いかがでございましょうか。この前も審議に時間が大分かかっておりますので、実はこ の新しいことを検討するというようなまさにこの調査実施小委員会があるわけであります ので、調査実施小委員会で専門的に、集中的に議論していきたいというふうに思っており まして、本日はこれは一つの議論のたたき台をいただいたという形でお認めいただけると いうふうに理解してよろしいかどうか。これ、皆様の御意見をいただきたいと思いますけ ど、どうでしょうか。  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  基本的にはそれで結構なんですが、全く委員の方から御意見をいただかないというのも。 ○遠藤会長  そうですか。わかりました。そうですね。  それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  TKCについては、何度かお出しいただいて、それは診療報酬改定の一つの材料として 使わせていただいたというふうに思っています。ですから、そういう意味ではTKCも非 常に意味合いがあるのだろうと思っています。ただ、おのおののデータは、その目的や性 格などからして、おのずと利害得失というのでしょうか、そのあたりがあります。例えば、 TKCは年度だからいいじゃないかという、確かに年度は非常に分かりやすいというのが あるんですけれども、一方で、私どもとしては改定のときにはできるだけ近いタイミング でのデータを用いたいということもあります。そうしますと、例えば20年度改定ですと、 医療経済実態調査は19年6月が対象だが、それに対してTKCは18年度だというよう なこともあります。また、定点観測的な必要性というのは私どもも認識していますし、そ ういった方向での努力もやってきたのだろうと思います。特にTKCの場合、国公立が含 まれていないということで、複式簿記対応というんでしょうか、そういうことになってい るんだというふうに思いますが、このあたりも、やはり国公立を全く除外して議論してい いかという問題があると思います。そういう意味では、おのおのの調査が意味合いがない ということは決してないし、今のままがすべていいというわけではありませんので、まさ におっしゃられたようにこの実施小委員会でもって議論していくということでよろしいの かなと、こういうふうに思っています。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ほかにこの場でおっしゃっておきたいという方があれば。  どうぞ。 ○松浦委員  これ、決算書からひとつ入っていこうという視点は、私は大いにけっこうだと思います ね。個人の場合も確定申告をもとにすると、こういうことから調査を始めていくというの は私は原則的にはこれは大賛成です。ただ、TKCをどうするか。これは別問題として、 そういうきちっと税務上の今の日本の法体系で決められたものから入っていく。そうすれ ばデータが大変信頼性をより帯びてくると思うんで、その点では賛成です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  じゃ、中川委員、手短にどうぞ。 ○中川委員  直近のデータという対馬委員の御意見、そのとおりで、私がイメージしているのは、決 算データでも、例えば次の改定のときには19年度決算と20年度決算の両方をいただく ということで直近ということについては対応できるのではないかと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、手短に勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ちょっと時間がない中、恐縮なのですが、ちょっと中川委員が出されたペーパーとはち ょっと別の話なのですが、このタイミングかなと思ったのでちょっと事務局にお聞きした いんですけども、1年ほど前だったかと思いますけども、ある報道で、薬局の経済実態調 査で、ある薬局が地方の薬剤師会かどこかから、あなたのところが実態調査に当たってい るからというような電話がかかってきたということが、ちょっとよく分からないのですが、 そういう実態調査に関して何かいろいろ言われている薬局というのがあるとされるような 報道がされていて、実態調査の非常にいいところは客観的なデータだと僕は思っているの で、そういうことがあってはいけないと思って見ていたんですが、ただそういうことは真 偽が分からないので、そのこと自体に関して言及するつもりはないのですけども、そうい う話が出てくるような前提として、経済実態調査の対象となる医療機関とかそういうとこ ろのリストみたいなものが厚労省から、医師会さんとか歯科医師会さんとか、そういうと ころに伝えられるという手続きがあるのかどうかお聞きしたいなと思います。 ○遠藤会長  それでは、事務局、お答えできる範囲でお願いしたいと思いますが。 ○事務局(小野保険医療企画調査室長)  そういったリストの件につきましては、過去には確かにそういった事実があったようで ございますけれども、今後はそういうことはしないということで考えております。 ○遠藤会長  よろしいでしょうか。  それでは、渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  こちらの日本医師会からの提案、問題点は私たちも共通するところがあります。そうい う意味で、例えば6月調査というと、歯の衛生週間で一生懸命キャンペーンをしていると きなんで、それをもって1年間を推測されるのも大変問題点があるんですね。それから、 そういう意味で提案の中でいろいろな調査、医師会さんのこのTKCという問題を考えて おりますけれども、そういうものを同じ土俵でやるということは非常にいいと思いますの で、今後また調査委員会等の検討で十分に検討していただきたいと思います。 ○遠藤会長  それでは手短に、山本委員、お願いいたします。 ○山本委員  勝村委員からの御指摘でありますけれども、その件につきまして昨年そうしたうわさが あったようでありますが、当会のほうでもきちんと中身を調べまして、そうした事実はつ かまえておりませんので、こうした場での例としてはなかなか分かりやすい話なんでしょ うけども、実態調査の今議論をしている最中でありますので、できましたらそうした議論 につきましてはここでお出しいただきたくないなと思っておりますので、よろしくお願い いたします。 ○遠藤会長  それでは、既に議論になっておりますけれども、この問題につきましては調査実施小委 員会で詰めていくという形にしたいと思います。  それと、事務局からスケジュールが出ておりますけれども、スケジュールにつきまして はこのような形で進めていくというふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。  では、お認めいただいたと考えさせていただきます。  それでは、次にその他でございますけれども、前回の9月24日のこの会におきまして、 老人保健施設入所者に対する医療に関しまして、事務局より資料が提出されておりますの で、解説のほうをお願いいたします。 ○事務局(佐藤医療課長)  資料総−6です。いきなりその総−6をごらんいただくとちょっとどういう経緯だった かというお考えをお持ちになる委員もいらっしゃると思いますが、簡単に経緯だけ申しま すと、先般、介護老人保健施設入所者に対して処方せんを交付する、他の医療機関の医師 が処方せんを交付する場合の取り扱いについてということを御説明いたしまして、その中 で医療保険から算定できる薬剤は抗悪性腫瘍剤を含めまして、数え方にもよるんですが、 大体7項目ぐらいは算定をしていいということなんですけれども、しかし算定をすると同 時にこれに対して処方せんが交付できるかどうかということを療養担当規則第20条の4 のロに書き込んでおかなければならなかったんですが、平成20年4月に所要の措置が講 じられていなかったので、事務的にはやや問題があるんじゃないかという御指摘を受けて、 御提案をし、中身そのものは御理解をいただいたものを承知をしております。ただ、その 過程で委員の何人かから御質問がありまして、まず一つはその総−6にありますようなも のです。そもそも介護老人保健施設入所者に対して、他の医療機関からお医者さんが往診 のような形ででもおいでになって診療が行われた場合に、医療保険からどういうものが別 途に算定できるのかという御質問がありましたので、今般改めて整理をして御提示をする 次第です。  1ページ目ですけれども、ごらんいただけますように、併設している病院・診療所かそ うでないかに区分されるんですが、結論は簡単でして、その差は初・再診料、外来診療料、 往診料、診療情報提供料の一部が取れるかどうかだけの違いになります。以下は共通をし ておりまして、検査料から注射薬まで共通に取れる、取れないが決まっているというわけ です。検査薬から注射薬まで書いておりまして、例示の形で羅列をしておりますが、これ だけではちょっと分かりづらいかもしれませんので、もっと詳しいものを2ページ目、3 ページ目におつけをいたしました。  繰り返しになりますが、1ページで書きました検査料から注射薬までをもうちょっと細 かく取れる、取れない、算定できる、できない、保険診療で算定できる、できないについ て分類して整理したものがこれです。2ページ目からごらんいただきますと、基本診療料 から始まりましてリハビリテーション、それから3ページにかかりまして、処置から病理 診断までバツ・マルをつけまして、併設保険医療機関かそうでないかの区分ごとに並べて おります。  せっかくの機会ですから少しお話をしますと、たまたまなんでしょうけれども、2ペー ジ目のほうはどちらかというと取ってもいい。言葉が適切かどうか分かりませんけれども、 ポジティブ風に書いてあります。例えば投薬を見ていただきますと、以下の内服薬及び外 用薬の費用は抗悪性腫瘍剤とかこういうものは取っていいよとなって丸になっています。 その他のものはバツ、つまり介護報酬の中に含まれていますよと、こういう整理をしてい ます。以下、注射も同様でして、注射薬の費用はこれとこれとこんなものは保険診療から 別途とっていいよ。しかし、その他のものはだめよと、こういう構造になっています。そ れから右側の3ページに行きますと、処置、手術については、これも適切な言い回しかど うか分かりませんけれども、ネガティブリスト風に羅列をしておりまして、基本的に処置 はとっていいんだと。しかし、例えば一般処置のうちの創傷処置のこれこれに該当するも のはだめよとか、救急処置のうちこれこれのものはとってはだめよとなっています。以下、 手術もそういう形になっています。たまたまなんですけれども、ページごとにポジティブ リスト風に挙げたもの、ネガティブリスト風になっているものということで、これをごら んいただければ、非常に複雑ですけれども、保険診療で別途とれる、とれないというとこ ろは御理解をいただけるんだと思います。  もう一度、2ページ目に戻っていただきまして、在宅医療のカラムのところですね。上 のほうにありますけれども、上から4つ目のカラムで在宅医療というカラムがありまして、 往診料は併設では取れない。併設保険医療機関以外の保険医療機関なら取れるとした上で、 その下に、在宅自己腹膜灌流の薬剤料、在宅療養指導管理の特定保険医療材料及び材料加 算をとってもいいよ、こうした上でとっても可能ですよとした上で、米印の6を参照とな っています。これはどういうことかということで、(4)ページに書いておりますけれども、 もともとの前回の提案に関係するところで言いますと、腹膜透析液交換セットあるいは在 宅血液透析用特定保険医療材料、こういったものは特にとってもいいよ、差し支えないよ、 こういうことになっています。このほか、介護老人保健施設入所者に対して、医療保険か ら算定できる在宅療養指導管理料についてもこういう形で、管理の材料加算についてもこ ういうものはとってもいいよという形で羅列をしております。  以上が、宿題でいただいたものでございます。  それから、さらに参考になるんですけれども、先般、こういう形で介護老人保健施設に おいて透析を受けていらっしゃる方、どのくらいなんですかという御質問が追加的にござ いました。そのときに推計をいたしますと恐らくは120とか110、正確ではないんで すが、推計値で117ぐらいでしょう、つまり120前後でしょうと申しましたら、その 120について実態はどうなんだ。例えば確かに往診を受けてやっていらっしゃるのかど うか。あるいは処方せんを交付しなければいけないような事態が生じているのに、処方せ んが交付できないままになったのか。それとも何となく処方せんが交付されていたのか。 実態は調べられないのかという御下問があったと思います。それに関連しまして、恐らく 松浦委員だったかと思いますけれども、120とか117程度なのであれば、個別に当た れば何とか調査ができるんじゃないかという御質問があったと思います。そのとき私自身 が、この場ですぐできますと言えるかどうか分かりませんので、調べて次回にお答えをし ますと申し上げました。  その件に関してですが、結論から申し上げますと、大変恐縮ではございますが、現時点 ではやっぱり調査ができないという結論になりました。それはどういうことかといいます と、この調査自体は、この間も御説明しましたが、平成18年介護サービス施設事業所調 査ということで、全国の3,393の介護老人保健施設から抽出調査をして実施をしてい るんですが、仮にこの調査から人工透析が現に行われている患者を調べるとなりますと、 個票紙に当たるということになります。この個票が当たれるかどうかということを省内に おいて統計法に関する事務を行っております統計情報部と相談をしたんですが、結論は、 統計法上の承認統計ということで個票に当たるということは現時点ではだめだろうと、そ れからもちろん個人情報保護の観点ということもあるということでございました。  そういうことですので、今後の中医協の議論の過程で、老人保健施設内における人工透 析機器の設置の状況あるいはそこにおける人工透析の実態というものを特別に調査するこ とが必要だ。特別に調査することが必要だということであれば、やっぱりこれは別途調査 をするということになりますし、また、そういう方向についても改めて御下問があれば検 討するという、今日のところはそういう言い方しかできないと思います。  また、なお、私どももそれだけじゃちょっと余りにも紋切り型ですので、私どもの知り 得る範囲で非公式に幾つかの老健施設に当たってはみましたけれども、私どもが当たった 限りでは、例えば処方せんを交付しなければいけない状態にあるとか、そういう状況が、 あるいは処方せんを交付しちゃいけないんだけど、してしまったみたいなそういう事例が 聞き取れませんでしたので、そういう非公式な聞き取りでもちょっと現時点では確認をで きなかったということを申し添えておきます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  その実態調査のほうは、先になかなか調べるのは難しいという話だったんですけれども、 松浦委員、いかがでしょうか。松浦委員の御発言だったと思いますので。 ○松浦委員  もう何ともよう言いません。これはもう何とも判断のしようがないです。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  この資料が出ましたので、この介護保険の算定と医療保険の算定ですね。その併算が給 付調整という部分が歯科においてはこの居宅療養指導管理費とそれから歯科の医療のほう では医学管理と在宅医療にかかわるところしかないんですが、その給付の調整がちょっと 非常に不明確なところもあるんですよ。実は20年度改定のときに、この在宅療養管理指 導費と競合するような医療の部分、すなわち老人訪問指導管理料を廃止しましょうという ことで消えて、その後に新しくできた連携指導料とか、あるいは共同のカンファレンスと か、新しくできた医療を推進するための、まさにこの医療機関同士の連携部分が管理指導、 在宅のほうの算定があると、それがどうもだめなように見えてくる通知があるので、その 部分は介護は、その介護の要介護状態の改善のための介護支援者に対する私たちの情報提 供なんですが、全く別の内容のものでありながら、ちょっと今はっきり私たちは認識しに くい部分があります、その併算定が難しいというところが。その部分もひとつ明らかにし ていただきたいし、在宅医療を推進するという意味でもその部分は非常に重要ですので、 その部分の評価がきちっとされなければいけないだろうと思いますので、改めてお願いし たいなと思います。 ○遠藤会長  それでは、事務局、今のことにつきましてお願いします。 ○事務局(上條歯科医療管理官)  今の介護とそれから医療保険、こことの実際、給付調整の件でございますが、実際、介 護のほうで今まで行っていた居宅療養管理指導というところで歯科のところは位置付けを させていただいております。そのため、医学管理の部分についてはある程度調整が要ると いうことで、今の対応をさせていただいているというところでございます。それで、個々 の事例につきましては、また詳細を見た上で整理が必要なところがあれば、またその機会 に見直しをするという考えでおります。 ○遠藤会長  渡辺委員、よろしいですか。 ○渡辺委員  今のお話、ちょっと分かりにくい部分もありますので、見直しをされるということなの で、多分介護保険については今年度その検討がされると思いますので、その場においてで も調整をお願いしたいというふうに思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、総−6の資料につきましては、これについて何か御意見ございますか。  小島委員、どうぞ。 ○小島委員  質問です。この介護報酬と診療報酬の併用の議論は、今回のその診療報酬改定のときも 議論があったところです。今日示されているこの2ページ、3ページのところで、今回の 20年度改定に伴っていわば算定できる、丸になったというのはどこなのか。従来からこ れは認められていたのか。 ○事務局(佐藤医療課長)  結論から申しますと、新たに算定できるようになったもの、あるいはできなくなったも のというのはありません。唯一、先ほど申しました、前回御提示をいたしました薬品、薬 剤に関する部分のみです。 ○遠藤会長  よろしいでしょうか。  西澤委員、よろしいですか、これは。  では、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。  それでは、本日の総会はこれにて閉会としたいと思います。  次回の日程等につきまして事務局から何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  今日の時点で日時等正確に決めておりませんので、改めて御連絡を申し上げます。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。  それでは、本日の総会はこれにて閉会としたいと思います。  引き続きまして基本問題小委員会がございますので、関係の委員はお残りいただきたい と思います。ありがとうございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)