08/10/22 第124回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録 08/10/22 中央社会保険医療協議会          第124回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成20年10月22日(水)11:24〜12:40 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 前田雅英委員       対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 高橋健二委員 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本すが専門委員        <参考人>       西岡清DPC評価分科会長       <事務局>       榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官  三宅医療指導監査室長 他 (4)議題  ○DPCの在り方について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤小委員長  ただいまより第124回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催いた します。  まず、本日の出席状況でございますけれども、本日は全員の方がお見えになっておられ ます。  なお、保険局長は公務のため、御欠席されております。また、審議官も11時40分ぐ らいに途中退席される旨、承っております。  それでは、初めに、DPCの在り方についてを議題としたいと思います。  DPCの議論につきましては、診療報酬調査専門組織のDPC分科会と連携をしながら 議論を進めていくということになっておりますので、本日は西岡DPC分科会長にも御出 席をいただいております。また、前回の議論を踏まえた上で議論を進めていきたいと思い ますので、事務局より前回提出された資料について簡単に説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  それでは、資料、中医協診−1をごらんいただきたいと思います。これは7月16日に 提出された資料でございまして、簡単におさらいをさせていただきたいと思います。  まず、このDPC、経緯ですけれども、1ページ目の上のほうにある四角で囲まれてお ります平成15年3月28日の閣議決定、これに沿いまして、順次、中医協で御議論をい ただきながら拡大をしてきたというところでございます。  2ページ目でございますが、平成19年度中医協の取りまとめ事項第2としてございま すけれども、これまでのDPCを進めてきた上で、よい点あるいは課題等もございまして、 そういうものについてある程度見直しをして、20年度改定を行ったということでござい ます。それが資料の14ページ、15ページにございますが、DPCに係る制度運用の改 善ということで、幾つかのルール化などをしたところでございますけれども、ただ、その 一方で、調整係数の廃止の問題あるいはまだ残された課題等がございました。また、DP Cの在り方についてきちんと議論をすべきであるというような委員の御指摘もございまし て、今回の在り方の議論ということになったわけでございます。  こういうことを踏まえまして、資料2ページに戻っていただきたいと思いますが、第3、 今後の検討課題についてということで、論点を整理させていただきまして、1つ目は、第 3の(1)のところにいろいろ書いてございますが、その隣、3ページの下のほうにござ います論点の1として、まず「これまでのDPCの評価についてどのように考えるべき か」と、改めてその評価について議論しましょうということでございます。これにつきま しては、この資料の後ろのほうの別紙の5、これは16ページ以降でございますが、DP C分科会のほうでいただいた評価がございますけれども、その評価も考慮しながら改めて 評価をしようということでございます。  それから、2番目といたしまして、次の4ページでございますが、論点の2として、さ まざまな病院が入ってくる中で、いわゆるケアミックス型の病院などがだんだん対象ある いは準備病院として入ってきていますが、DPCの適用がふさわしい病院についてどのよ うに考えるべきかということが論点の2として挙げられております。  それから論点の3は、制度運用に係る見直しということでございますが、これは調整係 数の廃止に伴う課題ということで、3−1としては新たな機能評価係数の設定についてど のように行うかということ、それから3−2は調整係数の廃止というものを一遍に行うの か、あるいは段階的に行うのかというようなそういう課題でございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  また、本日は2号側委員から資料が提出されておりますけれども、引き続きまして、こ れについて簡単に説明をお願いしたいと思います。 ○藤原委員  これからDPCの議論に入る前に、2号側を代表いたしまして、DPCに関する方向性 について、資料を用意しておりますけれども、以下のような提案をさせていただきたいと 思います。これは中医協委員の診療側7人の連名でございます。  DPCに関する方向性について、平成15年3月28日の閣議決定において、「急性期 入院医療については、平成15年度より特定機能病院について包括評価を実施する。また、 その影響を検証しつつ、出来高払いとの適切な組合せの下に、疾病の特性及び重症度を反 映した包括評価の実施に向けて検討を進める。」とされました。  これを踏まえまして、DPC対象病院は拡大されてきたところであります。  診療側として、DPCにおける包括評価の関し、出来高払いとの適切な組み合せについ て検討してきた結果、下記のとおり提案いたします。 記  1.急性期病院に対する診療報酬上の評価は、DPC、出来高払いの二本柱である。  2.急性期病院に対するコストを適切に反映した診療報酬の在り方について検討する。  3.DPC、出来高払いを採用する急性期病院それぞれについて、適切に評価していく。  4.DPC準備病院、DPC対象病院ともに、個々の医療機関が一定のルールのもとに、 自主的にDPCを辞退することができるようにする。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、資料についてはまだ事務局からの資料があるようですけど、何か事務局は資 料の説明は必要でしょうか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それはこの後の評価のお話でしょうか。よろしいですか。現時点で御意見とか伺わなく てよろしいんですか。 ○遠藤小委員長  議論をしてからということですね。わかりました。  それでは、ただいま事務局とそれから2号側から資料が出ておりましたけれども、それ に関しまして御意見、御質問ございますでしょうか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  この「DPCに関する方向性について」という資料について、確認させていただきたい と思うのですけれども、提案をしたいということですね。ですから、これは会長あてに出 していますから、できれば1号側も共通認識に立っていただければと、こういう思いで出 されたのだろうというふうに思うのですが、1点目については、二本柱であると書いてい ますが、これは現状としてはそうだということですね。将来こうあるべきだということに なると、私どもとしては二本柱ではなくて、ここにまさに書いてある閣議決定も包括評価 を示唆し、方向性を打ち出しているというふうに認識していますし、支払側としましても DPCの拡大ということを主張していますので、今現在がこの二本になっていますという 確認であれば、特段異論があるわけではありません。  それから2と3については、おのおの急性期については在り方を検討して、適切に評価 すべきだということで、ここにつきましては、1号側としましても全く異論のないところ であります。特にコストにつきましては、今まさにコスト分科会で検討もしているわけで すから、その検討結果を踏まえてと、こういうことになるのだろうというふうに思います。  4のところですが、一定のルールのもとにということですから、ルールを議論していく ということ、それはそれでよろしいのですけれども、ルールのもとに自主的に辞退するこ とができるようにと書いてあります。ルールをつくってその結果に基づいてという中には、 それが結果的に自主的になるのか、それともこういったケースについてはある意味自動的、 強制的に除外するといったケースもあり得る。といいますのは、例えば、今日の資料の診 −1、10月22日の15ページの真ん中の下、4と書いてあるところに留意事項という のが書いてあって、そこにいろいろ書いています。(1)のところだと、基準を満たさな い場合についてはDPCの対象病院としないとあるように、今のルールでも自主的云々の 問題以前にこういった条件もあります。いずれにせよ、これはあくまでルールをつくるの だと、こういうことの理解であれば特段問題ないと思いますけれども、ルールのもとに自 主的にしか認めないのだと、強制的なルールはもう一切なしだと、こういうことになると ちょっと問題かなと、こういうふうに思います。 ○遠藤小委員長  それでは、今御質問と御意見が出ましたので、藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  まず1点でございますけれども、共通認識かどうかということでございますけれども、 これは現在もちろん共通認識でございますけれども、今後ともこういった在り方でやりた い、やっていただきたいというふうに考えて、現在だけを言っているわけではありません。 先ほど閣議決定の中で、これはもうDPC包括の方向でいくのだと、そういうことを言わ れましたけれども、これはこの文言を見てみますと、あくまでもこれ特定機能病院から始 めていって、その影響を検証しつつとあるわけであります。つまり、急性期病院イコール DPCという言い方では、これはこの点線枠で囲まれている範囲を見ますと、そういう理 解はとても私どもにはできません。だから、結局急性期病院においてDPCは要件でもな いという認識であるわけです。ただ、現状からいいますと、このDPCが広がっていって、 出来高の病院はもうだめなんじゃないかという雰囲気がでてきており、病院側からもそう いった悲鳴といいますか、やめてくれというような意見も上がっている中で、この提案を しているところであります。  それから、2、3については了解いただきました。  それから、4の件についてでございますけれども、これにつきましては、今の一定のル ールのもとにということでございますけれども、それは結果に基づいて、そういったルー ルを決めて、あくまでもその中でという意味合いであります。  それから、自主的にという文言を加えましたけれども、一つには強制的に辞退させる方 法もこれまでどおり残っていると。あとは、その医療機関がみずからもうこのルールの中 ではやっていけないというような状況の中で、自主的に退出ということも認めていただき たいということでございます。 ○遠藤小委員長  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  1点目のところは、もうずっと診療側と支払側ないしは診療側の中でも時には必ずしも 意見一致ということにならないケースもあったかというふうに思います。いずれにせよ、 そこはもうお互いに申し上げていますから、そこの議事録をもとにしながら議論を続けて いくということしかないのだろうと思います。  それから、4点目のところですけれども、御承知のとおり、これはある種の支払い方式 ですから、自主的に病院がDPCに出たり入ったりということはやはり一定のルールのも とでなければ、問題があると思います。例えば2年間はDPC、今回はDPCのほうが結 果的には収入がふえそうだとか、それを2年たったら、今度は、出来高のほうがふえそう だから出来高へ行って、また2年たったらDPCに戻すということでありますとか、極端 なケースで言うと今月と来月で変えるとか、そういったことはやはりできないのだろうと 思います。ですから、あくまでやはり一定のルールを議論していって、その結果に基づい てというように、ルールについて議論するのはやぶさかじゃありませんから、そこはぜひ その中でということにさせていただければと思います。 ○遠藤小委員長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  対馬委員のおっしゃるとおりで、私どももそんなに出たり入ったりという自分勝手な形 の行動というのはとても容認できるとは思っておりません。あくまでもこれから一定のル ールというのは御議論いただきたいと思いますけれども、そのルールのもとに自主的な退 場、退出というのを認めていただきたいということでございます。 ○遠藤小委員長  ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。  それでは、DPCの議論は当然これからも本格的な議論が始まるわけでありますので、 その中において今回御提出いただいた内容も一つの材料として扱わせていただくという形 で対応させていただきたいと思います。  それでは、特に御質問、御意見がないようであれば、本日ただいま説明のあったことも 踏まえて、事務局からさらに詳しい資料が出ているようなので、説明をお願いしたいと思 います。 ○事務局(三宅医療指導監査室長)  医療指導監査室長でございます。  診−2の資料をお願いいたします。  「DPCに係る(特定)共同指導の実施状況及び制度運用の改善について」という資料 でございます。昨年8月に一度御説明をしておりますけれども、もう少し具体的な内容を ということで御要望がこの7月にもございまして、それに基づきまして取りまとめさせて いただいております。「はじめに」のところにもちょっと書かせていただいておりますけ れども、平成20年度改定においても適切な算定ルール等を導入して、改善を図ったとこ ろでございまして、そのことも含めてまとめさせていただいております。2番のところに ございますように、DPCの導入に基づきまして、15年度から18年度、指導をしまし た医療機関数のうち、DPCの対象病院をかなり中心的に、重点的に指導を行っている。 特に15、16、17と行ったところでございます。その結果ですけれども、監査に移行 したような医療機関はございませんでした。  その具体的な事案でございますけれども、3からですけれども、四角で囲っております (1)、大きな問題点としましては、DPCのコーディング、診断名のつけ方というとこ ろでいろいろな問題があってございます。これは大きな原因としてはDPCに関しての理 解不足ということもあったかと思います。不適切なコーディングということで、診断名に よって単価が決まってきますので、ここの部分、大きな部分というところでございます。  具体的には(1)、(2)、(3)、(4)とありますけれども、例えば内軟骨腫とすべきところを 骨腫瘍と選択したり、あるいは医療資源を最も投入した病名というものをコーディングし ていただくことになっておりますけれども、例えば(2)番のところにありますように、不安 定狭心症とすべきところを慢性腎不全と選択したり、あるいは(3)のように、副傷病名があ るにもかかわらず選択されていなかったというような例。これはアップコーディング、い わゆる単価が上がる場合もありますし、逆に下がるようなケースも見られております。そ れから(4)のように、手術・処置等の選択を誤ってコーディングがされている。例えば対外 ペースメーキングを行っているにもかかわらずそれがないというような選択がされていた りということでございます。大きな原因としては理解不足というものがあったかと思いま す。  それから、もう一つの丸のところにありますけれども、手術ありというコーディングを されて、特定入院期間を過ぎたにもかかわらず、その後でその手術をした場合には出来高 で算定していただくということになっておりますけれども、それがコーディングをされた 形で組み入れられていたというようなケースもございます。  裏のページ、2ページ目のほうに行っていただきますと、2)番でございますけれども、 本来は包括評価の中に含まれて請求すべきものを別途出来高請求をしているというケース も見られております。例えば、入院期間中にほかの病院でMRIですとかPETですとか、 そういった検査をした場合に、本来はDPCの中で含まれて、別院でやった場合にもそこ と協議の上でそのDPCの評価の中から払っていただくということになっておりますけれ ども、その別院で出来高請求で請求が出ているといったようなケースが見られております。 それから、Cのところでございますけれども、出来高評価で算定され、本来はこれも包括 評価で請求されるべきものが出来高請求でされていた。手術に関連したようなものでそう いうようなものが挙げられております。  それから、大きなもう一つのポイントとしまして、(2)番のところですけれども、再 入院のリセットという問題がございます。DPCによって入院をしていた後に、一遍退院 した後にまた入院してこられるというような形で、高い入院期間料を取っているというよ うなケースが見られております。具体的には、ここにありますように、手術前の血糖コン トロールで入院して、一端退院された後、また手術のために入院しているというようなケ ースですとか、あるいはパーキンソン病での療養病棟入院中に尿路感染症を発生したとき に、ほかのところに移って、また療養病床に転棟して、また一般病棟に転棟するといった ようなものですとか、そういったものが見られております。また、医育機関と関連病院、 本院と分院との間でそういったその転院を繰り返している例ということが見られておりま す。  こういったような問題点も踏まえまして、この20年度の診療報酬の改定で、4番にご ざいますように、(1)から(4)までの対策が講じられているところでございます。1点目は、 診療報酬明細書の提出時に、診療行為の内容が分かる情報も出していただく。これは来年 の1月より実施予定であります。それから2点目としましては、そのコーディングに関す る委員会を設置していただいて、周知、理解を普及していただく。あるいはしっかりした 診断名をつけていただくということであります。それから3点目は、同一疾患での3日以 内の再入院については1入院として取り扱うというようなこと、それから4から7日以内 の再入院については引き続き調査・検討を継続するということでございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。じゃ、引き続き事務局からお願いいたします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  続きまして、評価について御説明させていただきます。  評価の資料の前に、先ほど説明しました診−1、DPCの在り方についての資料の16 ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、今年 の5月9日、西岡分科会長のほうから出していただきました分科会としての評価というこ とでございます。中身、いろいろ表などがございますけれども、飛ばしていただいて、2 4ページをごらんいただきたいと思いますが、そちらに第6まとめとして、今回の評価の まとめが書いてございます。その中でかいつまんで申し上げますと、平均在院日数は減少 傾向にありますけれども、例えば救急搬送とかそういうデータを見ますと、重症度の高い 患者を避けるような、そういう患者選別の傾向は見られていないというようなことで、効 率的な医療が行われているのではないかというようなことでございます。  また、退院時転帰につきましては、治癒が減少傾向でございますけれども、治癒と軽快 を合計した割合が一定であるということで、これはむしろその不十分な状態で出すという よりは、急性期としてある程度病態が安定した時点までの入院医療を反映しているものと いうふうに考えられ、急性期として適切な医療が提供されているものと考えられるという ような、こういう評価をいただいているところでございます。  そして、本日提出させていただきました診−3の資料のほうをごらんいただきたいと思 いますが、こういったその分科会の評価に補足するようなもの、あるいは新たなものをこ ちらに示させていただいております。この診−3のまず1点目、平均在院日数についてで すが、1枚おめくりいただきまして、スライドの3枚目、小さい字で書いてございますけ れども。これはだんだんにそれぞれのカテゴリーの在院日数が短くなっているということ で、これは先ほどの分科会の資料の中にもございます。DPC病院についてのみ、こうい った包括が在院日数短縮のインセンティブとなって、短くなり過ぎるんではないかという ような御指摘もございましたけれども、その下の4枚目のスライドでございますが、この グラフの一番上の四角が結ばれている線が、これが患者調査のほうからとりました全国平 均のデータでございます。これをごらんいただきますと分かりますように、DPC対象病 院に限らず、全体として一般病床の在院日数というものが減少傾向にあると。もちろん、 DPC対象病院のほうが低い傾向にはございますが、その下がり方というものが特にDP C病院のほうが極端に下がり方が早いとか、そのようなことは余り見てとれないというこ とでございます。  続きまして、右側のスライドの5枚目でございますが、こういったその在院日数の傾向 につきまして、我が国内だけではなくて、OECD諸国のデータと比べてみたものがこれ でございまして、一番右側が日本でございますが、ほかの国に比べて非常に長い状況があ ります。それがだんだん短くなっているということですけれども、他の諸外国をごらんい ただいても、それぞれやはり平均在院日数が短くなる傾向にあるということでございまし て、とりたてて我が国だけが在院日数が短くなっているというわけではない。やはり世界 的な傾向にあるということではないかということでございます。  そして、6枚目のスライドでございますが、特に手術後について取り出したものでござ いますけれども、このグラフも一番上の四角に実線が患者調査からとった全国平均でござ いますけれども、手術後の在院日数、以前であれば手術した後、抜糸まで入院させるとい うようなものが多かったように伺っていますが、最近は特に軽い手術であれば、先に退院 させて、その後、外来で抜糸をするとかいうふうに聞いておりますけれども、例えばそう いうものも影響しているのかと思われます。やはり全国と比べて、DPC病院がとりたて て激しく減少しているというような様子ではないということがお分かりいただけると思い ます。  続きまして、次のページ、スライドの7枚目と8枚目でございますが、これは特定機能 病院についての平均在院日数の変化でございます。上のほうが平成14年、下のほうが平 成19年ということで、平成14年はDPCの導入の前年でございますけれども、このと きはトータルの平均として21.1日、標準偏差として22.5日というようになってご ざいましたけれども、この四角で囲っているのが最小、最長をあらわしているんですけれ ども、この枠が平成19年になりますと小さくなっている。平均としては16.7日で、 全体として在院日数も短くなっていますし、標準偏差も18.9ということでばらつきも 少なくなっているということでございます。在院日数が短くなるとともに、ある程度標準 化というか、そういうものが進んできている一つのあらわれかというふうに思われます。  続きまして、再入院率についてでございます。右側のほう、スライドの10枚目でござ いますが、これがDPC病院における再入院率が増加傾向にあるという図でありまして、 15年度、16年度、18年度対象病院それぞれ増加しているということがお分かりにな ると思います。この中で先ほど三宅室長のほうからお話ししましたような不適切なものも あったようではございますが、次のページ、スライドをごらんいただきたいと思いますけ れども、この再入院率を内訳を見ますと、これは同一病名か異なる病名か、それから計画 的な入院か、あるいは予期せぬ入院か、そういったもので分類しますと、同一病名で計画 的な再入院というものが非常に伸びていると。それ以外のものについては余り変化がない という状況がお分かりになると思います。  続きまして、この同一病名、計画的再入院について、さらに細かく分析したものがスラ イドの12枚目でございまして、そうしますと、こちらにお示ししましたように、特に化 学療法あるいは放射線療法というものが非常に伸びているということでございます。さら にそれを細かく分けまして、それがスライドの13枚目でございますが、一番左の図です と、ちょっと黒丸と四角が重なってございますが、基本的にこの四角を結んだ線のほうを ごらんいただきたいんですが、これは肺の悪性腫瘍、肺がんでありますけれども、特に肺 がんで増加の割合が大きい。一番左の15年度対象病院、つまり特定機能病院であれば、 子宮がんについてもそういう傾向がありますけれども、こういった肺がん等でそういう傾 向が強いということであります。  それから、これを日数によって分けてみたものが14枚目のスライドでありまして、こ れをごらんいただきますと、特に15日から28日以内、あるいは8日から14日以内の 再入院が多いというような状況が見てとれます。これらのことを頭に入れた上で、次以降、 15、16、17枚目のスライドをごらんいただきたいんですが、15枚目は化学療法に よる治療の一例として、肺がんの場合というのが示されてございます。シスプラチンある いはカルボプラチンの投与で、3週間以上の間隔をあけて投与する、こういったものがガ イドラインに示されている。16枚目では卵巣がんについてカルボプラチン4週間以上の 間隔で投与、それから17枚目がFOLFOX療法ですね。これが13日以上ということ で、それぞれガイドラインのほうでこのように示されておりまして、これが例えば入院初 日に投与して、例えば3日間とか5日間入院して、それで退院して、次の投与が3週間目 ということですと、その入院期間を引き算しますと、例えば3週間で投与した場合、21 日引く3日とか5日ということで、16日とか18日という日数の再入院になります。そ れが14枚目のスライドに戻っていただきますと、ちょうどその8日から14日以内とか、 あるいは15日から28日以内というこの辺の日数とほぼ合致するということで、こうい ったものをごらんいただきますと、この再入院、もちろん先ほど示されたように好ましく ないものもあったとは思うんですが、こういった化学療法のガイドラインに治療が準拠さ れるようになった。つまり標準化が進んできたという一つのあらわれとしての再入院の増 加というものもあるのではないかというふうに見てとれるわけでございます。  続きまして、18枚目ですが、これは再入院ではございませんが、参考ということで、 この入院化学療法以外に、さらに進んで1日入院、2日入院とかそういう短期入院をしな いで、もう外来で化学療法を済ますというようなものも最近ふえてきているということで ございます。  続きまして、治癒、軽快といった転帰についてでございます。スライドの20枚目でご ざいますが、今お示ししましたように、外来化学療法が増加してきているということでご ざいまして、つまり例えばがんについて言えば、退院をして、つまりずっと入院させて化 学療法をするんではなくて、退院をして、つまり治癒という状態で退院するんではなくて、 軽快という状態で退院して、そのまま引き続き化学療法をするというような例も出てきて いるんでないかというのがここで一つ示されております。  スライドの21枚目ですが、これがDPCの分科会のほうでもお示しされた資料なんで すけれども、そのグラフの一番左側が治癒、左から2番目が軽快ということでございます。 濃淡でちょっと分かりにくいかもしれないんですが、一番左側の治癒について見ると、そ れぞれ15年度、16年度、18年度、それぞれの対象病院で年を追って減少する傾向に あるということで、それが見てとれると思います。その一方で、軽快については増加をし ておりまして、トータルとして見ると、軽快プラス治療、それがちょうど80%ぐらいの 感じで、どの年度も余り変化がないというような状況が分かると思います。具体的な数値 についてはその下の22枚目のスライドのほうに書いてあるということであります。  続きまして、23枚目のスライドでありますけれども、特にそのがんについて取り出し たものでありますが、ごらんいただきますと分かりますように、がんについては治癒の割 合が減ってきている。それに対して、軽快の割合が増加する傾向にあるということで、こ れは先ほど申しましたように、いつまでも入院させておくというんではなくて、ある程度 まで治ったところで退院していただいて、外来化学療法に移る、あるいは外来放射線療法 に移るというような傾向があるのではないかということ。あと専門家などに聞いたお話で は、例えば手術でがんを切除した、それで退院した患者さんを以前は治癒とみなしていた ものが、最近は必ずしも全部とり切ったかどうか分からないということで、治癒という診 断というか、そういうことを言わなくなってきたというような傾向があるとも伺っており ます。この辺については後ほど西岡分科会長から補足いただければありがたいと思います けれども。  それ以外、4番ですが、診療状況についてということで、スライドの25枚目でござい ますが、これは日本病院会のほうで公表されたデータをこちらに示させていただきました。 「DPCの導入で患者に提供する医療の質は全体としてどう変化したと思いますか」とい うことでございますが、一番多かったのは、「何とも言えない」という回答でございまし て、64.8%。続きまして、「どちらかと言えば向上した」、あるいは「向上した」を あわせますと、大体3分の1ぐらいの方々がそのように答えているということでございま す。その一方で、低下したというようなお答えは、「どちらかと言えば低下した」という 施設が1施設あるのみでございまして、トータルとしてはその質が低下したというような 評価はほとんどないということでいいんではないかというふうに思われます。  それから、その下の26枚目のスライドでございますが、DPC病院になったというこ とで効率的な医療を目指すという観点から、後発薬がより使われるようになっているとい う傾向もあるのではないかということでございます。  そして最後、27枚目のスライドでございますが、今お示ししたようなことについて簡 単にまとめてございます。この辺については今御説明したとおりですので、あえて読み上 げませんが、以上でございます。もし分科会長のほうから補足がございましたら、お願い したいと思います。 ○西岡DPC評価分科会長  今の御説明でかなり大部分網羅されていると思いますので、私からつけ加えることは特 にございませんが、一番問題になっております治癒につきまして、治癒に関しては今お話 がありましたように、比較的簡単に治癒をつけていたというのも一つあるかもしれません。 それからもう一つは、今急性期病院で扱われております疾病の種類が大きく変わってきた。 疾病構造が変わってきたということです。例えばその一例ががんなどでございますが、そ ういった形で決して治癒には至らない病気が、一部患者はちゃんとした治療で治癒するん ですが、1回の入院医療では治癒に至らないようなケースが多くなってきているといった 現状があるんじゃないかと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  ただいま事務局からDPCの評価という資料、これは主として専門組織のDPC評価分 科会の調査資料をまとめたものが中心になったわけでありますけれども、そういう資料が 提出されて御報告いただいたわけでありますし、あと資料の内容についても御報告いただ いたわけでありますが、本日はこれからDPCの在り方について議論を始めたいわけであ りますが、先ほど御説明がありましたように、DPCの在り方につきましては3つの観点 から議論するということになっておりまして、まず第1がこれまでのDPCの評価をどう するかということ、2つ目がDPCの適用がふさわしい病院はどのようにして考えるべき かということと、3つ目が新たな機能評価係数をどのように設定するか、あるいは調整係 数廃止についてどう考えるか、この大きく分けて3つのことがあるわけですが、本日は時 間の関係もありますので、最初のこれまでのDPCをどう評価するかということで、DP C定額制の評価ということを議論していきたいと思います。また、そのための材料が先ほ ど来御説明があったかと思いますけれども、先ほど御提出いただいたものに対する御意見、 御質問も含めて、これまでのDPCをどのように評価するか。御意見をちょうだいしたい と思います。御自由にどうぞ。  竹嶋委員、どうぞ ○竹嶋委員  今、御説明いただきましたが、要するにこの評価をまとめて一体どう評価するのか、こ のDPC。もうそこがよく分からないですね。一つは御説明の中に、患者さんにとって治 療の中で質の低下がないということを今おっしゃいましたが、それで私は3つあると思う んですね、このDPCをやっていくことに。一つは、患者さんにとってこのDPCという、 こういう形をとっていくのがどういうふうにいいのか悪いのか。  それからもう一つは、医療提供者、はっきり言えば私ども治療させていただく側ですが、 これについてどうか。そして、最後にというか、これがどうも前面に出てきていると思う んですが、国民の皆さん、国民ということは国、それから保険者の皆さん方にとって、こ のDPCという仕組みがどうなのだということを私は自分なりに、今御説明を聞きながら、 3つを頭の中でずっと考えていったのですが、よく分からないというのが一つですね。こ の次でもまたそのあたり御説明いただきたいのですが、具体的には一つお願いしたいと思 います。貴重な資料を出していただき感謝いたします。6ページの上のほう、諸外国の平 均在院日数の推移ということで、これは今の御説明ではDPCも、それから要するに急性 期、これは余り変わらないというお話がありましたが、この国々が今言われたどういう保 険の仕組みといいますか、DPCを含めまして、はっきり分からないので、このあたりが 分かるところがあれば出していただきたいということ。それからDPCを取り上げた平成 15年、そのときの恐らく根幹になったのは、今後日本の国の医療費を考えていくときに、 将来大変大きな歳出額になるんじゃないかというようなことから始まったと、そういうふ うに理解しています。これは大事なことだと思うのですね。そうなりますと、実際今さっ き言いました入院、再入院がふえたとか、あるいは入院が早くなったとか、退院になった ところで、すぐまた再入院するとまたその費用がかかるわけですね。そうしますと、その あたりがはっきり言いまして実際どうなのだと。これはどういうふうに変わってきている のだという、もう少し明快に答えを出していただきたいと思うのです。分科会で西岡先生 におまとめいただいていますが、もうそういうところでは専門医の先生方からDPCの治 療の在り方、診療の在り方、そういうことについての御議論があったかと思いますが、こ れは違ったところでもいいのですが、何かそういうデータをぜひ出していただきたいと思 うのです。  それは先ほど私どもが1号側の皆さん方にも御理解を求めたように、急性期を扱うとい うところに、DPCを採択していなくてもそれなりの実績を上げているというところが実 際にあり、二本柱で行っているわけですから、そういう中からDPCにずっと行く、その ことがいいのかなと。国民の間にもう少しそのあたりを明らかにする必要があるんじゃな いか。大変総論的な話で申しわけないのですが、今御説明を聞きながらそういうのを感じ ました。  それからもう一つだけ。これも主観的な意見で申しわけないのですが、質の低下はない ということですが、外来がふえましたね。悪性新生物、がん等との腫瘍ですね。外来受診 がふえてきた。しかし、利便性のいい地域はいいんですよ。がんの拠点病院もたくさんで きています。ところが、地方に行きますと本当に離れたところへは通院するのに大変です。 副作用をお持ちになった方もおられるし、そういうあたりところも、私たちはこういうと ころで議論するときには十分その質の中に一つ入れておく必要がある。ここで決まったこ とがそのまま日本の医療の中に、保険診療に限っては全部そのまま進んでいくわけですか ら、極めて私ども責任が重いと思います。そういうことで、そのあたりももう少し分かる ようなデータを出していただきたいと思います。満足度はあるのかと、患者さんにですね。 ぜひお願いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  ただいまのは事務局への要望というふうに考えてよろしいでしょうか。そうではなくて。 はい、わかりました。それでは、その患者、医療従事者、国民にとってのベネフィットと いう点からの影響ということを考慮するということと、ロスの違い、平均在院日数の違い については、国情というか、保険の制度の違いなども考慮して考えるべきだということと、 あと再入院等々がある意味でマクロの医療費にどう影響を及ぼしているかというような意 味だと解釈しましたけれども、そのようなことだったと思います。それから、質の中には、 患者の便益の中には、外来がふえるということで、そのアクセスの問題が不便になるとい うことまでも入れるべきではないかというお考えだというふうに承りました。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  25枚目のスライドになりますが、26ページでございますけれども、このDPC対象 病院で、もうDPC自体、まさにこの医療の質ということが問われていると思います。こ れは国民にとりましても我々医療提供者側にとりましても重大な関心事でございますけれ ども、ここで医療の質を考える場合に、管理者、経営者から見た医療の質の考え方と、あ るいはその勤務医の立場と、医療の質というのは若干ニュアンスが違うんかなというふう にも思います。それで、ここで日本病院会の調べでアンケート調査をされておりますけれ ども、これは経営者の立場でのアンケートになるんでしょうか。 ○遠藤小委員長  これは事務局がお答えできますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  はっきりと経営者かどうかというのは分かりませんが、一応この調査は病院に対する調 査だというふうに理解しておりますので、そういう意味では一介の医師なり看護師が答え たというよりは、何らか管理的な部門にある方がまとめて回答されたのではないかという ふうに推測しております。 ○藤原委員  それで、ちょっと疑問を感じるんですが、ここだけ日本病院会の調べというふうになっ ております。DPCの評価分科会でもこういったことは当然調査されていると思いますけ れども、そういったところでの調査はあるんでしょうか。もしあればお示しいただきたい と思うんですけれども。 ○遠藤小委員長  事務局、お願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  これは前回も少し御議論になっていました。平成18年に、これはDPC分科会に依頼 した調査でしたかね、平成17年に実施した調査結果というものが平成18年に出されて ございます。ただ、この調査は15年に導入されて間もないころの調査でございましたの で、今回はその調査を出さずに非常に新しい病院会の調査のほうをお示しさせていただい たということでございます。 ○遠藤小委員長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  18年、若干古いと言われますけれども、そのときのデータも見比べながら、この評価 をするというのも我々としては非常に参考になるかと思うんですが、それはお示しいただ けますかね。 ○遠藤小委員長  事務局、どうぞ。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  お示しすることは全く問題ございません。それは可能でございます。 ○遠藤小委員長  では、そのように次回お願いいたしたいと思います。  ほかにございますか。資料の質問だけではなく。  高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員  同じ25で、この調査の中で、過半数の177施設が「何とも言えない」というような 回答を出しているんですが、この「何とも言えない」というのはどちらにとれる何ともな いのか、ちょっと事務局のほうでもし分かれば教えていただければと思います。 ○遠藤小委員長  分かる範囲でお答えいただければと思いますが。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  調査票の回答の項目を見ますと、そこで「向上した」「どちらかと言えば向上した」 「何とも言えない」「どちらかと言えば低下した」「低下した」の5種類になっておりま すので、ですから「何とも言えない」というのは、「本当にどう言っていいか分からな い」という場合と、「余り変わらなかった」というのが入っているのではないかなという ふうに推測されると思います。先ほど藤原委員のほうからもお話がございましたその17 年の調査においても、そこでも「医療内容が変化したか」ということを実は聞いておりま す。やはり一番多かった回答が「どちらとも言えない」というのが37.8%ということ で、やっぱり余り変化というものが、DPCが入ったからといって、特段よくなったとか、 悪くなったとか、余りそういうことは感じられないということが出ているのかなと、あく まで推測ですけれども、そういうことでございます。 ○遠藤小委員長  高橋委員、よろしいでしょうか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  今日、また改めて資料をもとに説明していただきましたけれども、再三、西岡先生から 分科会としての御報告をいただいていますけれども、今回またさらに補強して説明いただ いて、全体的にやはり支払側としては、DPCを推進してきたことは間違っていないのだ ろうと、こういうふうに思います。今回の資料の中で特に久しぶりに見たというのが、ス ライドの7と8ですけれども、平均在院日数について平均値だけの数字がよく出てきてい たわけですけれども、これを見ますとそうではなくて、全体的に標準偏差としてというこ とで、標準化も進んでいるのではないかと、こういったお話もありました。やはり私ども としては患者さんの立場ということを考えますと、入院期間が長いほうがいいというケー スも例外的にあるのかもしれませんが、基本的にはやはり早く帰れるということはいいこ とだというふうに思います。入院して、それから通院してということで、不便さというの は、先ほどお話がございましたけれども、一部あるのかもしれませんけれども、全体とし ては医療機能の分化と連携ということじゃないとなかなか難しいのだろうと思います。私 どもとしてはすべてがすべていいということではありませんけれども、支払い方式として 推進してきたことには間違いなかったのだろうと思いますし、またぜひ病院のほうとして は手を挙げていっていただければというふうに思います。また、ここには特に書いていま せんけれども、医療機関がお互いに比較できる、透明化が図れていくと、こういったこと も非常に意味のあることだと思いますので、そういうふうにしていければと思っています。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  小島委員、どうぞ。 ○小島委員  DPCを導入して5年たちますので、この時点で改めてこの評価をしておくのは当然だ と思います。その際、評価に当たっては、1号側からしますと、3点ぐらいの視点がある と思います。先ほど竹嶋委員も指摘していましたけど、1つは、医療の効率化という視点 からです。2つ目は、医療の透明性、標準化がどれだけ図れたかどうか。3つ目がまさに 患者の視点です。患者の視点から、医療の質が上がったのかどうかいろいろなデータを見 て評価をすべきだろう。初めの効率化の視点から見た場合に、確かに在院日数は下がって いる。そういう意味では、効率化が図れたと言える。これは単にその医療費が抑制された ということではなく、平均在院日数が短くなれば、貴重な医療資源の有効活用ということ になるので、そこはプラス評価できると思います。  2つ目の医療内容の透明化あるいは標準化ということについては、DPCを入れること によって初めて、DPC対象病院の平均在院日数というのが表に出てきた。あるいは再入 院率も、DPCを入れることによって、データとして見られるようになった。いわば情報 の透明化というようなことでは前進したんではないか。あとは、それに伴って、医療の標 準化は本当に進んだのかどうかということです。先ほどがんの化学療法について、標準的 な薬の投与が進んだ結果、再入院が増加している。そういう関係ではないかという説明が ありますので、確かにデータからそういうことを読み取れると思います。しかし、その評 価は本当に有意性があるのかどうか。DPC以外の一般病床と比較して、本当にDPCの ほうがそういうことが言えるのかどうか。その有意性を検証する必要があるのだろうと思 います。  それから、3つ目のところは、ここは先ほど2号側の方も言われましたけれども、患者 の視点からみて、医療の質の向上というのは本当に図れたのかどうか。ここを検証する必 要があるのだろうと思います。総体的にはDPCを入れたことの効果というか、評価とし てはプラスに評価すべきだろうと思います。以上の視点から、検証・分析した上で、これ からの在り方について検討し、さらに進めていくことが必要だと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  今、対馬委員と小島委員が、大体共通の御認識でお話しになられたのですが、私は3つ の視点からということで、医療の提供があるということ、そこは先ほどあえて申しません でした、詳しくは。これは今、藤原委員が質問の中に、病院会から出したデータは管理者 が、あるいは働いておられる勤務医師か、どちらかと聞いたところにも関連があるのです が、平均在院日数を短縮すると、医療は生きていますので、これはその中で看護職あるい はほかの医療職、技師、こういうもう当たり前のことを私は言っているのですが、本当に 動いているわけですね。そういう中でDPCになって、平均在院日数、今みたいに、はい、 何日経った、何日経った、と競争みたいにやっていまして、そこでやっていますと、新し く患者さんが入ってこられれば、本当にその患者さんのいろいろな受診のときの診断から ざあっとかかるわけですね。  だから、非常にそこには時間もかかり、またいろいろな中身を使わなければいかんので すが、一方で今言われているように、ここは中医協の話じゃないと言われるかもしれませ んが、一方では医師あるいは看護師も少ないのですよ、今。現在、18年ですか、厚労省 のデータで今3.7万人看護師が少ないと言われるぐらいですね。そういう状況の中で進 んでいますので、やっぱりそこの医師もだが、従業員。そういうところへそのしわ寄せが 来ている面がある。だから、一方ではそういうことにきちっと対応しながら行くのならい いけど、片一方ばかり進めて行くというのでは大変現場は苦しい。データによりますと、 本当に週1回あるいは2回宿直して、医師が翌日朝からそのまま勤務するというのが九十 四、五%出ているというデータもありますし、看護職の方も例えば夜通し働いて、ついこ の間過労死が出たということもあります。こういう現実を見ながら進めていっていただき たい。もうとにかくどんどんDPC、DPC行っているようなので、そこら辺は1回立ち どまって考えてみたらどうかと、次の評価のためにあえて意見を申し上げておきたいと思 います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  始まって5年たって、かなりいろいろなデータが出てきて、今もう一度立ちどまってこ こで考えるというのは非常にいいことだと思いますが、DPCはどうしても支払い方式と してしか見ないような傾向もあると思います。それはそれでそのとおりなんですけれども、 もう一つ、やっぱりDPCというのはケースミックス手法の一つでございますので、ケー スミックス手法を用いたら何ができるかというと、データをもとにした質の評価、向上に 役に立つということと、また病院の経営管理からいうと、やはりそういうデータがその上 で非常に役に立つんですね。病院経営というのはもうかったか損したかという意味じゃな くて、本当の、一般では経営管理です。そういう面で今回これ入った病院がどうだったか というようなことも、これからちょっと検証していただければなと思っています。  特に、今回のデータのこのスライドの8、9あたりで、これは全体でございますけれど も、平均在院日数の変化ということで、病院によってこれだけ差があるんだなと。これが 一つのDPCにおいてもいろいろなことに非常に差はあります。例えばそういうのを私た ち入っている病院が見ると、自分たちがどこにあるのかなと見ると、どうしてうちはこれ だけ長いんだろうということで、そこできちっといろいろ検討することによって、アウト カムは同じなまま、例えば縮めることができる。そういうふうな面でも活用できると思う んですね。そういうふうな面での効果というのはどうだったかということをどこかで検証 していただければありがたいと思っております。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかに何か。藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  先ほど御説明がありましたけれども、DPC導入と平均在院日数とは余り関係ない。標 準化が進んでいるのだということ、それは今の状況ではそのとおりかも分かりませんし、 そういう理解でもいいのかも分からないと思っておりますけれども、この制度自体は入院 期間を短縮すれば、それだけ経営的にも利益があがるというか、そういうふうなシステム になっていると認識しておりますけれども、先ほど竹嶋委員が言いましたように、医療提 供体制に直に関係してくると思いますけれども、これからDPCを見直す場合、そういっ た議論を進める中で、急性期病院をどういうふうにしていくのか。そういう医療提供体制 をまず考えながらこのDPCを考えていく、そういうことの方が大切ではないか。急性期 のあるべき姿を、ビジョンを描きながら、青写真を示しながら、こういった議論を進めて いくべきではないんでしょうか。そういった意味では、もう少し厚労省がそういった青写 真をある程度示していただいて、その中でDPCをどう位置付けるかということを考える ほうが、本当の支払い方式の一つだと私、認識しておりますけども、在り方ではないかと いうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。 ○遠藤小委員長  まさに機能評価係数をどう決めるかということは、急性期病院はどう評価するかという ことでありますから、その議論は避けて通れない話になるというふうに思ってはおります。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  今までの議論をお聞きしまして、非常に重要な視点を幾つかいただきました。例えば竹 嶋委員から、DPCが患者にとって、医療供給者にとって、国民にとって、そういう視点 から見るべきだ。小島委員から、効率化、透明化、標準化です。西澤委員から、病院管理 といいますか、もうかるということでなく、病院経営というか、そういう視点からも見る ことができるということ。いずれも重要な視点だと思います。  DPCが導入されたとき、私はよく分かりませんが、当然導入されたときにはそれなり の理念といいますか、意図があったと思います。それが果たして実現されたかどうか。こ ういう評価をするときには、その評価基準というのが一番重要とまります。今まで指摘さ れたような事柄がその評価基準に入っているかどうか。それを生かしているかは分かりま せんが、結果的に今日いただいた在院日数、再入院率、転帰、質、それから後発の利用状 況です。これらがそれらにどう関係しているか。改めて事務局あるいは西岡分科会長にお 伺いしたいです。今日の御説明の最初のところで、DPCの導入のときの閣議決定等の御 説明がありました。どういう意図で入ったかというある種の目的です。まずその目的がこ の実施において実現したのかどうかという、そこが評価されるべきだと思います。そのと きどういう評価基準に立って評価したのか。抽象的なものであるとすると、かなり難しい ところがあると思いますけれども、それらが今日の幾つかの結果につながっているかもし れません。その辺はいかがでしょうか。 ○遠藤小委員長  では事務局、あるいはどちらでしょうか。では、事務局で分かる範囲で。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  私のほうから説明するよりも、そのときの経緯をよく御存じの委員も何人かいらっしゃ るので、その先生方からお話しいただいたほうがいいかもしれませんが、もともとその導 入の背景としては、それまでは出来高払いで来たわけですが、この出来高払いがどうして も検査あるいは投薬の量的拡大のインセンティブが働くとか、いわゆる検査漬け、薬漬け の話とか、あるいはこういった出来高制度というものが必ずしも医療の質や効率性の向上 について評価が十分できるようなものではないとか、医療技術の評価や医療機関の運営コ スト等の適切な反映が必ずしも十分ではない。こういったことから包括の導入というもの の必要性が言われたと。また、先ほど出てまいりましたその透明化、標準化を進める面で どういうふうにしたらよいかとか、そういった議論がなされて、こういうものが導入され てきたというように伺っております。  また、平成10年からはDRGの試行的なものが始まっていて、そういうものを踏まえ ながら、DRGじゃなくて、結果的にこういった1日当たり包括のDPCになったという ようなことも伺っているところでございます。  あと西岡分科会長のほうから説明をいただければと思います。 ○西岡DPC評価分科会長  実際にこの平成15年の閣議決定がされたとき、私は特定機能病院におりましたので、 その立場で、当時、DPCは一般病院に導入されるべきで、特定機能病院にDPCが入っ てくるのは非常に似つかわしくないんじゃないかというのをこの中医協の場でお話しさせ ていただいた経緯がございます。しかし、実際にDPCを導入するということが決定して おりましたので、私たちとしてはその中で医療の透明化、標準化といったような、あるい は効率化といった面で、どういった形でいい医療を国民の皆様方に提供できるかというこ とを目標として取り組んでまいりました。  その結果として、いつも問題にされるのですが、質が落ちたかよくなったかということ で、これは質が上がったというのはなかなか評価として出すのは難しいところでございま すが、今まで私たちのもとでチェックしております質が低下したという部分は全く見られ ていないというのが現状でございます。  もう一つは、特に大学病院などの医療はやみの中であるというふうな御批判をいただい ていたんですが、それに対してこのDPCを導入することによって、一つ一つの医療行為 が全部表に出る。しかも、患者さんにもよく分かるというふうな形で進めてきております。 そういった意味で、一つには効率化ができたということと、透明化ができたということで ございます。  それからもう一つ、標準化ということに関しては、これは出てまいりましたデータをベ ンチマークいたしまして、各特定機能病院は特定機能病院で、また一般病院は一般病院で ベンチマークのそれぞれの比較がなされてきております。そんな中で、いろいろな施設が クリニカルパスを作成して、効率的なよい医療を提供するというふうな形で取り組んでく ださっておりますので、そういった意味でDPCを導入したことによる効果は大きかった のではないかというふうに考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  そうしますと、今日提出していただいた在院日数とか、こういう数字も今のと関係しま すが、これだけでなく、こういう数字が出てくる、そして議論になる、そういうこと自体 に意味があると思います。そういうものも評価対象になる。数字があらわすことももちろ ん重要ですが、それだけでなく、そういうことを踏まえて議論できるというのでしょうか。 従来は隠れてしまって、よく分からないところがあったのをはっきりさせるということで す。 ○西岡DPC評価分科会長  前回のときにもここで報告させていただきましたが、平成18年3月に出した医療従事 者、それから患者さんの満足度調査などもやったのですが、それから以後は我々としては やっておりません。大がかりなものはやっておりませんが、実際にはこのDPCに参加さ れた病院のかなり多くの施設が患者満足度調査をほぼ毎年おやりになっています。毎年あ るいは2年に1度やられるという状況が出てきております。そういった意味で、それを反 映して、病院の中の改善等を行われているのが実情ではないかと思います。もしこういっ た面というものの調査というのがぜひともやるべきであるということで御下命いただける ようでしたら、我々もそれは喜んでやらせていただきたいというふうに思っております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。先ほどの順番からいうと、北村委員のほうが先ですね。  北村委員、どうぞ。 ○北村委員  大変初歩的な質問を事務局に一つだけさせていただきます。  世界経済、大変な状況にこれからいよいよなりますが、さらに落ち込むと思います。医 療経営にとりましてもやはりそういう点にお考えを持っていただいて臨んでおられると思 いますが、このDPC、私も幾つかDPCの病院を見学させていただいたりしております けど、大変皆さん一生懸命なさっておられて、いろいろな問題点も指摘されておりますけ れど、これだけ増えてきているということにはやっぱりそれなりのメリットとかいいとこ ろもあるんだろうと思います。企業経営にとってもやはり透明性とか包括性とか、それか ら効率性というのは避けて通れない。ますます避けて通れないわけで、医療経営にとって も大変重要なことだと思います。  だからこそDPCの病院がこれだけ増加しているんだろうと思うんですが、最後にちょ っと事務局にお伺いしたいのは、このDPCを採用した病院数の増加傾向は厚労省がお考 えになっているペースに比べると考えていかがなのか。それから、今後どんなふうになる というふうに考えておられるのか。それだけでございます。 ○遠藤小委員長  事務局、お願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  我々が考えているペースというか、それは昨年の5月に、医療・介護サービスの質向上 ・効率化プログラムというものを、あれは経済財政諮問会議でしたか、提出させていただ いております、当時の厚生労働大臣が。その中で、平成20年度から24年度までの5年 間で、DPC対象病院を当時の3倍増だったと思いますが、1,000病院にするという 目標を立ててございました。それに対しまして、準備病院になるという病院が非常に多く 手を挙げてこられまして、現在既に対象病院が718病院になっている。そういうことか ら見ると、その目標を立てたときよりはちょっと早いペースで今は来ているかなというこ とはございます。  今後については、まさにそれが今後のDPCの在り方についてこちらで議論いただくこ とですので、私どものほうは特にコメントはしません。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本(す)専門委員  評価の仕方というのがいろいろあると思うんですが、私は、竹嶋委員がおっしゃったよ うに、働く人たちがどのようになっていったかというのもぜひ評価していただきたいとい うふうに思います。平均在院日数が大体五、六年で半分になってきた状況になれば、ベッ ドが埋まっていけば、患者さんを倍診ているということです。だから、ドクターもナース も恐らく今まで診ていた数の患者さんの倍を診ていく状況になってきて、もっとこれから 短くなればもっとさらに多く診ていくということになれば、働く人たちの満足度というの もきちっと見ていかないといけない。やっぱり疲労してきたというのはこれは事実。何ら かの形で在院日数が短くなってきたことにおいての違った意味での仕事の仕方とか、恐ら く診療報酬の中ではいろいろな加算をつけて、チームとかいろいろなところに加算をつけ ていっている方向が見えていますけれども、ただDPCで効率化になったという評価だけ ではいけないんじゃないかなという気がします。 ○遠藤小委員長  大体御意見はよろしゅうございますか。  そうしますと、できればこの第1番の課題でありますこれまでDPCの評価ということ につきまして、基本問題小委として一通りの意見の集約を得たいかと思いますけれども、 ただいまのお話を伺っておりますと、このDPCの包括化の導入によりまして、医療の効 率化、医療の透明化につきましては一定の効果が認められたと考えられるけれども、医療 の標準化あるいは医療の質の向上など、より総合的な視点からの検証、分析が今後また必 要である、こういうようなまとめでよろしゅうございますでしょうか。大体こういう形で 御意見は集約できるかと思いますが、よろしゅうございますか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤小委員長  では、そのような形で基本問題小委としてはこれまでのDPCを評価したいと思います。 もう一度申しますと、DPC定額制の評価でありますけれども、医療の効率化、透明化に ついては一定の効果が認められたと考えられるが、医療の標準化や医療の質の向上など、 より総合的な視点からの検証、分析が必要であるということで、意見のおおむねの一致を 得たということにさせていただきたいと思います。  それでは、2、3の議論があるんですけれども、本日、時間がございませんので、それ はまた次回の基本問題小委で御議論させていただきたいと思っております。  それでは、本日の議論はこのあたりにしたいと思います。  本日の小委員会はこれにて閉会したいと思いますが、次回の日程等につきまして、事務 局から何かございますでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  11月中旬を予定しておりますが、改めて正確な日時等決まり次第、また御報告をさせ ていただきます。 ○遠藤小委員長  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。  どうもありがとうございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)