08/10/17 第11回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第11回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成20年10月17日(金) 15:00〜17:30 2.場 所:全国都市会館2階 大ホール 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、尾上構成員、小川構成員、門屋構成員、 坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、谷畑構成員、寺谷構成員、 長尾構成員、中島構成員、長野構成員、広田構成員、三上構成員、安田構成員、山根構成員、 良田構成員 厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、蒲原障害保健福祉部企画課長、藤井障害福祉課長、福島精神・障害 保健課長、塚本障害保健対策指導官、林課長補佐、野崎課長補佐、矢田貝課長補佐 4.議 事   ○ 相談支援について 5.議事内容 ○樋口座長  それでは、定刻でございますので、ただいまより第11回の検討会を開催させていただきます。  構成委員の皆様におかれましては、本日も御多忙のところを御参集いただきましてありがとう ございます。  初めに1ついいニュースとして、お隣におられる谷畑構成員が市長に再選されましたので、お めでとうございます。引き続き、構成員として、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは、まず本日の構成員の出欠状況等について、事務局よりお願いいたします。 ○林課長補佐  それでは、本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。本日、町野構成員より御欠席 との御連絡をいただいております。  以上でございます。 ○樋口座長  今日は、町野構成員以外全員御出席ということでございますので、十分なディスカッションを いただけるものと思っております。  本日の議題は、お手元にございますように「相談支援について」という1つの議題でございま す。  いつものように資料につきまして、事務局の方から説明をしていただきました後に、質疑の時 間を設けさせていただいております。  なお、障害者自立支援法の見直しということで議論のスケジュールがございまして、本検討会 において、本議題を御議論いただく機会、すなわち、相談支援について御議論いただく機会は今 回のみとなる予定でございまして、障害者自立支援法の審議会の進捗に合わせて、こちらとして も意見出しをしていくことになっております。  そのため、皆さんの御意見を今日はできるだけ多くいただきたいと思っておりますので、いつ もお願いしておることでございますが、多くの構成員に御意見をいただくということから、簡潔 な御意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○野崎課長補佐  それでは、資料に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。  資料の説明の前に「相談支援について」という議題とさせていただいておりますが、過日おま とめいただきました論点整理の中でも、例えば保健所、市町村といった相談支援体制をどうする のかということを掲げさせていただいております。  今回の資料にはそこは含んでおりませんが、今、実際に市町村、保健所における相談支援体制 がどうなっているのか実態調査を集計中でございまして、それがまとまり次第、そちらの議題に ついては資料を提示の上で御議論いただきたいと思っております。  ということで、今回は障害者自立支援法に基づく相談支援を中心に、御議論をお願いしたいと 思っております。  また、前回、地域移行をどう進めるかという観点で御議論いただきましたけれども、今回の相 談支援と地域移行を進める中で、相談支援機能というのは勿論含まれておりますので、一部概念 としては重複している部分がございますが、今回はいわゆる相談支援の体制とか、あるいはその 相談支援に基づく中でのケアマネジメントの仕組みとかそういう制度上のことを御議論いただ きたいと思っておりまして、そういった資料の構成とさせていただいておりますので、御了解い ただければと思います。  それでは、資料に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。  1ページ目が、9月3日にまとめていただきました論点整理から、関係する論点を抜粋したも のでございます。  1つ目の○でございますが、病院や施設からの退院・退所時の支援に加え、民間住宅への入居 時あるいは地域生活における緊急時の支援等について、その評価や地域における体制の在り方も 含め、自立支援法に基づく相談支援の充実について検討すべきではないか。  2つ目といたしまして、ケアマネジメントに関するものですが、サービス利用計画作成費につ いて、対象者の拡大や、現在、支給決定後に作成することとなっている取扱いの見直しなど、相 談支援におけるケアマネジメント機能の拡充について検討すべきではないか。  3つ目といたしまして、地域自立支援協議会について、今後その設置を促し機能の強化を図っ ていく観点から、法制度的な位置づけの明確化を含め、機能の充実について検討すべきではない か。  4つ目、民間賃貸住宅等において地域生活を営む精神障害者の方に対する継続的な相談支援の 充実、あるいはその精神障害者の家族に対する支援、ピアサポートの活用など、必ずしも障害者 自立支援法に基づくものではないものについても、相談機能の充実について検討すべきであると いうことでおまとめいただいているところでございます。  2ページが、こうした論点整理を踏まえまして、それに対応するように資料をまとめさせてい ただいております。2ページは相談支援についての全体像ということで、最初の点でございます けれども、ここは個別支援の部分を書かせていただいておりますが、必要な情報の提供や助言を 障害者に対して行うとともに、さまざまな地域の資源や障害福祉サービスを組み合わせて利用す ることを継続的に支援するということです。  次の点は体制の話でございますけれども、個々の障害者への支援を通じて明らかとなった地域 の課題への対応について、地域全体で連携して検討し支援体制を整えていくということが必要で あって、こうした相談支援の充実を図るため、今回は以下の3つの観点から施策の充実について 検討していただくということでございます。  1つ目が、地域における相談支援体制。 2つ目が、ケアマネジメントの在り方。 3つ目が、自立支援協議会の在り方という形となっております。 まず最初の相談支援体制について、説明をさせていただきたいと思います。中には細かい資料が 入っておりますので、適宜割愛させていただきたいと思います。 3ページ「相談支援事業の現状」といたしまして、左側を見ていただきますと、一般的な相談支 援といたしまして、市町村が行うものでございますけれども、上の障害者相談支援事業について は、いわゆる一般的な相談支援であって、これは一般財源交付税措置をされているものだという ことでございます。 また、その市町村の一般的な相談支援に加えて、特別なニーズに対して応えていくということで、 例えば専門職員を配置する事業であるとか、あるいは居住サポート事業、成年後見制度利用支援 事業といったものについて、自立支援法に基づく地域生活支援事業費補助金の中で手当をしてい るということです。また、相談支援充実・強化事業といったものについても、20年度までの基金 事業の中で対応しているということでございます。 右側の都道府県でございますが、こうした市町村における相談支援を広域的・専門的に支援をし ていくのが都道府県の役割ということで位置づけられております。これが一般的な相談支援でご ざいまして、下が、いわゆるケアマネジメントに当たるサービス利用計画でございますけれども、 サービス利用のあっせん・調整を行うことにつきまして、サービス利用計画作成費というものを 支給し、それらの財源は自立支援給付費、いわゆる個別給付の中で手当をされているということ でございます。これが全体像でございます。 4ページから「1.地域における相談支援体制」の部分でございますが、まず現状といたしまし て、簡単にざっと概観したいと思いますが、市町村については、今、申し上げましたように、一 般的な相談支援、一般財源に手当されているもの、あるいは機能強化ということで補助金で手当 されているものに分けられるということです。 一般的な相談支援の中身としては、福祉サービスの利用援助あるいは社会資源を活用するための 支援、ピアカウンセリング、専門機関の紹介等が含まれるということです。機能強化については 先ほど説明させていただいたとおりでございます。 下の○でございますが、相談支援体制については、地域の実情に応じて次のような形で組んでい ただくことが想定されているということです。 1つは、3障害に対応できる総合的拠点を設置する。これは63%の市町村が設置をしているとい うことでございます。 また、障害種別に応じて複数の拠点を設置して、相互に連携をするという形もあり得るだろうと いうことです。 介護保険法に基づく地域包括支援センターと一体的に総合的な相談窓口を設置するといった形 も、想定されているところでございます。 以上が市町村の現状になります。 5ページでございますが、現状(2)となっているところが都道府県の現状でございます。都道府県 におきましても、一般財源、交付税措置されている部分と、地域生活支援事業費補助金の中で手 当されている部分とございまして、例えば主に専門性の高い相談支援、発達障害支援センター運 営事業等、広域的な支援、あるいはその相談支援者の育成といったものは、補助金の中で手当を されているものでございます。 下の現状(3)という部分が、指定相談支援事業者に関するものでございますが、どういう機能を担 うかというと、サービス利用計画の作成、事業者との連絡調整等の支援を行うこととされている、 それを都道府県知事の指定を受けて行うということでございます。 こうした指定相談支援事業者は、市町村の行う相談支援事業の実施の委託を受けることが可能と なっている。また、その事業者には一定の研修を受けた相談支援専門員を配置するとされてござ います。 6ページ以降が、今、概観しましたそれぞれの事業に関する説明になりますので、ここは割愛さ せていただきまして、11ページまで飛んでいただければと思います。 11ページは、それぞれの相談支援事業の状況をデータにしたものでございますが、例えば市町村 相談支援事業の状況を今年度当初現在で見たものでございますけれども、右側の相談支援事業の 運営方法としては、3障害を一元化して実施している市町村が63%。障害種別ごとに実施してい る市町村が32%となっているということでございます。 下でございますが、地域生活支援事業の実施状況として、まず専門職員の配置等を行う市町村相 談支援機能強化事業については40%が実施しているということです。 真ん中でございますが、居住サポート事業については、前回もお示ししたかもしれませんが11% の実施状況にとどまっているということです。 成年後見制度についても、31%といった利用実施状況になっているということでございます。 12ページが、市町村相談支援機能強化事業の実施状況でございますが、いわゆる専門職員を配置 するといった事業の内容でございます。簡単にですが、右下を見ていただきますと、業務内容と しては、専門職員が困難ケースへの対応を行うとか、相談支援事業者等に対する専門的な指導、 助言等を専門職員が行うとなっているということでございます。 以上が市町村に関する現状説明となります。 13ページは都道府県による支援体制といたしまして、概観したものが13ページの資料でござい ます。大きく申しまして3つございまして、支援・連携といったところで、専門的・広域的な事 業を行う。市町村、県域を越えるようなものです。都道府県相談支援体制整備事業として、地域 のネットワーク構築に向けてアドバイザー派遣等によって支援を行う。あるいは県全体の人材育 成を行っていく研修事業のようなものがあるということでございます。 14、15ページはそれぞれの事業概要になりますので、ここは省略をさせていただきます。  済みません。16ページも割愛させていただきます。 17ページは、指定相談支援事業者に関する現状となってございます。指定相談支援事業者数は、 20年4月1日現在で2,735事業者。右側を見ていただきますと、そこに配置されている相談支援 専門員数は4,000人強となっているということでございます。 その下は、相談支援従事者養成研修ということで、こうした形で各年度実施してきているという 状況をお示ししたものでございます。 18ページは、相談支援専門員の要件に関する資料を添付しておりますが、説明は省略をさせてい ただきたいと思います。 以上のような現状を踏まえまして、19ページ以降が課題となりますけれども、まず課題(1)といた しまして「市町村ごとの取組状況」というところでございます。先ほどから申し上げているよう に、一般的な相談支援は、市町村の一般財源(交付税)による取組みでやるので、そういったこ ともあって、取組み状況に差があるという指摘があるということです。 具体的に市町村の主な意見を見ると財源確保が課題である。3障害まとめて相談することができ る人材確保、体制整備が課題となっている。あるいは相談支援専門員の資質向上が課題となって いるといったような意見があるところでございます。 また、一般財源によるもの以外の地域生活支援事業費補助金よる相談支援についても、先ほどか らデータを見ていただいているように、取組み状況に差があって、特に居住サポート事業のよう なものは、実施市町村が11%にとどまっているという状況にあるということでございます。 20ページでございますが、課題(2)といたしまして、ここはまず最初に「相談支援の質の確保」で ございますが、相談支援において直営のみで行っている市町村は22%となっており、また相談支 援事業者に全部また一部を委託している市町村は78%となっているという状況でございますが、 それぞれについて課題があるということでございます。  市町村直営で行っている場合には、ケースワーカー等を配置しているけれども、人事異動など で人が変わるので、質の維持・向上が課題となっているということです。 あるいは相談支援事業者が行っている場合については、事業者によって相談支援の取組み状況や 支援内容に差があって、そこが標準化されていないという指摘があるということでございます。 2つ目の○は、質の確保のもう一つの側面でございますが、障害者当事者同士によるピアカウン セリングなどを活用することにより、厚みのある相談支援を行うべきといった指摘もあるという ことが、相談支援の質の確保に関する主な課題でございます。 その下の「総合的な相談支援を行う体制」というところにつきましては、最初の○でございます が、障害者の相談支援というものにつきましては、一般的な相談支援からサービス利用の支援、 地域移行の支援、地域生活における24時間支援など、相談支援の機能が多様になっているとい うことでございますが、そういった支援を提供し、またそれぞれのライフステージに応じて一貫 して支援していけるような総合的な相談支援の体制を、今後それぞれの地域で充実させていくこ とが必要となっているということでございます。 もう一つといたしまして、地域における相談支援体制の整備を図るという目的と、あるいは相談 支援に専門的に対応する人材を確保する、ノウハウを蓄積するということを通じて質の向上を図 っていくために、総合的な相談支援を行う拠点的な機関を設置することを検討すべきといった御 意見もあるところでございます。 以上を踏まえまして、検討内容といたしましては、21ページでございます。 まず最初でございますけれども、地域における相談支援体制について、市町村による相談支援の 充実や地域生活支援事業費補助金の活用を促すことなどにより、全国的に必要な相談支援の事業 が実施されるよう強化を図っていくべきではないか。 2つ目といたしまして、人材の質の向上等に係る部分でございますが、人材について研修事業の 充実を図るなど、質の向上を図っていくべきではないか。 また、先ほど課題のところでも申し上げましたけれども、障害者同士のピアカウンセリングなど の活用を図っていくべきではないかということで、検討内容として掲げさせていていただいてお ります。 3つ目といたしまして、総合的な相談支援を行う体制として、地域における相談支援体制の整備 を図るとともに、質の向上を図っていくために総合的な相談支援を行う拠点的な機関を設置する など、総合的な相談支援体制を充実させていくことについて、どのように考えるかという形で検 討内容として挙げさせていただいてございます。 以上が相談支援体制全般に係るものでございます。 22ページからは、ケアマネジメントに関するものでございます。  まずサービス利用計画作成費について現状を説明させていただきますと、1つ目の○でござい ますが、支給決定を受けた障害者であって一定の要件を満たす者に対して、サービス利用計画作 成費を支給し、その計画を作成するとともに、それに基づくサービス提供が確保されるよう連絡 調整を行う等の支援を受けられるように、自立支援法の枠組みではしているということでござい ます。 サービス利用計画の内容は下の四角の中に書いてございますけれども、精神障害者という意味で は、単に福祉サービスだけではなくて、医療の提供の部分をどう組み込んだサービス利用計画と することかが求められているということでございます。 2つ目の○でございますけれども、一方でサービス利用計画作成費の対象者は、現行の制度上は 1〜3の3つ、主に次の場合に限定されているということで、1つは精神科病院からの退院や障 害者支援施設からの退所等に伴って、一定期間、集中的に支援を行うことが必要である方。 2つ目といたしまして、単身世帯の方など、自ら指定障害福祉サービス事業者等とも連絡調整を 行うことが困難である方。 3つ目といたしまして、重度障害者等包括支援に係る支給決定を受けることができる方が対象と なっているということでございます。 23、24ページが、実際のサービス利用計画の例でございます。 23ページを見ていただきますと、先ほども申しましたが医療・健康といったところで、例えば本 人の役割として、デイケアに参加するといった医療の内容も含んだものとなっているということ です。 24ページを見ていただきましても、こちらはウィークリープランになってございますが、ここに は例えば火曜日を見ていただきますと、デイケアに参加するといったような医療への関わりとい うものもウィークリープランの中に盛り込まれているということで、こうしたことをサービス利 用計画では定めることが念頭に置かれているということでございます。 25、26ページにつきましては、今、申し上げましたサービス利用計画作成費の対象者について 詳細をお示ししたものでございますので、割愛をさせていただきます。  27ページをごらんいただきますと、現在のサービス利用計画作成費の実績をお示ししてござい ます。20年4月1日現在で、支給者決定者数は約2,270人です。実際にその利用者数としては、 4月分でございますが、1,920人にとどまっているという状況になっております。  また、参考として下に付けてございますが、更に利用者数もまだまだ少ない数字にとどまって いるんですが、支給決定者数を地域別に見ても、かなりばらつきが見られているところでありま して、中には0件という県も複数見られるという状況になってございます。 28ページは、サービス利用計画作成費の支給状況についてお示ししたものでございます。下でご ざいますけれども、支給決定事由を見ていただきますと、真ん中でございますが、単身の世帯に 属するためなど、自ら連絡調整を行うことが困難な方に対する支給決定というのが一番多くなっ ておりまして、一方で上でございますが、障害者施設あるいは退院後に伴う環境の変化といった もので対象となっている方は、250件程度にとどまっているという状況でございます。 以上のような現状を踏まえまして、29ページ以降に課題を整理させていただいております。  まず最初でございますが、サービス利用計画作成費の制度というのは、障害者の方に対してケ アマネジメントを提供するために導入したものでございますが、20年4月時点の利用者数は、全 国で1,920人程度にとどまっているという状況となっているということです。 また、先ほど見ていただきましたように、利用状況に地域ごとの差があるということでございま す。  矢印の部分でございますが、利用が少ない要因の1つとして、後ほど出てきますけれども、サ ービス利用計画の作成が実際の支給決定の後になっている。この検討会でも御指摘あったところ でございますが、市町村やサービス事業者が一般的な相談支援の中で可能な範囲で対応している ということが考えられ、そういう状況でございますので、サービス利用手続の在り方についても 併せて検討していくことが必要ではないかということでございます。 次のところでございますが、同時に対象者を限定しておりますけれども、対象者について拡大を 検討していくことが必要ではないかということで、1つは精神科病院・障害者施設から退院・退 所した後に、地域で継続して安心して生活していけるよう、あるいは地域で住まれている方も、 例えば家族から独立して生活を目指していくといった場合など、自立した支援を支えていけるよ うに定期的なケアマネジメントを実施する。あるいは継続して課題の解決や適切なサービス利用 を支援していく必要があるのではないかということが、検討の視点として、まず1つ目に掲げさ せていただいております。 2つ目といたしましては、ケアマネジメントにより専門的な者からのアドバイスを活用して、地 域におけるサービスを幅広く組み合わせて利用できるようにすることは、障害者御本人にとって 選択肢の拡大につながるのではないか。 30ページは、もう一つ視点といたしまして、施設入所者についても、新体系において日中活動を 適切に組み合わせて利用していくことや、地域移行に向けたコーディネートを行っていくために、 ケアマネジメントの対象としていくことが考えられるのではないか。また、特に精神科病院の入 院者についても、退院に向けてケアマネジメントの対象としていくことが考えられるのではない かという視点でございます。 それを受けて検討内容といたしましては、障害者の自立した生活を支えていくため、ケアマネジ メントによりきめ細かく支援していけるよう、サービス利用計画作成費について、精神科病院に 入院し、地域生活への移行を目指している方、あるいは施設入所者を含めて対象者を拡大してい くことについて検討していくべきではないかという検討内容を掲げさせていただいております。 31ページでございますが、ここからがもう一つ、先ほど申しましたサービス利用手続の在り方に 関するものでございます。現状の2つ目の○でございますが、先ほど申し上げましたように、サ ービス利用計画の作成手続というのは、支給決定後、要は利用できるサービスが決まった後に、 初めてその作成が認められているという手続になっているという状況でございます。 32ページをごらんいただきますと、課題といたしまして、利用実績が低いことの要因の1つとし て、先ほども申しましたが、サービス利用計画の作成が市町村による支給決定の後になっている ことが指摘されているということです。また、現在のサービス利用手続について、障害者におけ るサービスが適切なものとなるよう利用手続のプロセスにケアマネジメントの仕組みを導入し て、支給決定の参考とすべきという指摘もあるということです。 もう一つでございますが、サービス支給決定を行うとき以外にも、実際のサービス利用計画に基 づくサービスの利用が、その後のいろんな変化であるとか障害者のニーズや課題の解消に適合し ているかを確認するために、一定期間ごとにモニタリングを実施すべきであるという指摘もある ということでございます。 下が見直した場合のイメージ例として書かせていただいておりますが、支給決定の前に、計画案 を作成する。あるいはサービス利用が始まった後に一定期間ごとのモニタリングを導入するとい うことが考えられるのではないか。 33ページがモニタリングのイメージ例となっております。下の見直し例を見ていただきますと、 一般的なケースでも定期的に算定をするということです。また、特に施設退所による環境の変化 の場合などにおいては、例えば重点的に半年間毎月算定するような仕組みとし、その後も必要に 応じて延長できるような枠組みとすることが考えられるのではないかということでございます。 34ページも課題の続きでございますけれども、現行の制度においては、市町村が個々人ごとに、 その責任において統一的かつ総合的な判断により支給決定を行う仕組みとなっているというこ とです。 一方で、サービス利用計画の作成というのは、現行制度上、民間の指定相談支援事業者が行うこ ととされておりますので、現行制度のまま支給決定のプロセスにケアマネジメントを導入した場 合には、市町村が支給決定を行うという仕組みと整合性がとれないことになるおそれがある。し たがって、市町村がその責任において、統一的かつ総合的な判断により支給決定を行うという仕 組みを維持しながら、どのように支給決定のプロセスにケアマネジメントの仕組みを導入するか が課題となるのではないか。 また、そういったことを踏まえまして、支給決定時におけるケアマネジメントについては、支給 決定を行う市町村が関わっていくなどの工夫が必要ではないかということとさせていただいて います。 2つ目の○として、ケアマネジメントについて、対象者の見直しと合わせて質の向上を図ってい くべきとの指摘があることを受けまして、ケアマネジメントについて専門的に対応する人材の確 保を図るなど、適切なケアマネジメントを実施できるような体制について検討が必要である。  以上が課題でございます。 それを受けて、検討内容といたしまして「サービス利用の手続」の部分でございますが、サービ ス利用の手続のプロセスにケアマネジメントの仕組みを導入することについて、どのように考え るか。その際、市町村がその責任において統一的かつ総合的な判断により支給決定を行うという 現行の仕組みとの整合性を確保するための工夫が考えられないか。 「モニタリングの実施」としては、サービス利用計画の作成後についても、一定期間後にサービ ス利用計画作成費を活用することによって、一定期間ごとにモニタリングを実施することとすべ きではないか。 研修の実施などによる質の確保を含め、ケアマネジメントを実施する者、あるいは体制について どのように考えるかという検討内容を掲げさせていただいております。 以上がケアマネジメントに係る部分でございます。 最後に、自立支援協議会に係る部分の説明をさせていただきたいと思います。  36ページに現状をお示ししておりますが、地域自立支援協議会につきましては、市町村が相談 支援事業を始めとする地域の障害福祉に関するシステムづくりに関し、中核的役割を果たす協議 の場として、一般財源により設置をされているということでございます。また、都道府県自立支 援協議会については、都道府県が都道府県全体でのシステムづくりに関する指導的役割を担う協 議の場として、設置をしているということでございます。 37、38ページは、それぞれの協議会の概要となりますので省略をさせていただきます。  39ページは、今の設置状況をお示ししているものでございます。都道府県自立支援協議会につ きましては、本年4月1日現在で95.7%。平成20年度中には、すべての都道府県で設置が予定 されているということです。 一方で、地域自立支援協議会については、4月1日現在では65%強で、20年度中に設置予定を 合わせても85%ということで、すべての市町村で設置というところまで至らないということでご ざいます。 40ページは、地域自立支援協議会の詳細なデータとさせていただいております。  41ページは、課題として2つ掲げさせていただいております。  1つは、大きくは自立支援協議会の活性化ということでございますが、自立支援協議会の設置 状況は先ほどお示ししたとおりとなっており、地域の支援体制の構築のため、設置を促進してい くことが必要となっている。また、現在は自立支援協議会設置の法律上の根拠が明確ではない状 況があるということです。 2つ目といたしまして、自立支援協議会については、運営マニュアルの作成あるいはアドバイザ ーに対する研修などにより、協議会の立ち上げや運営支援を行っているところでありますが、運 営状況に市町村等ごとに差があり、更に活性化を図っていくべきとの指摘があるという課題があ るのではないかということです。 42ページでございますが、これを受けた検討内容といたしましては、まず1つ目といたしまして、 自立支援協議会について設置の促進や運用の活性化を図るため、法律上の位置づけを明確にする べきではないか。 2つ目といたしまして、併せて運営マニュアルや運営の好事例の周知など、国や都道府県におい て設置・運営の支援を図っていくべきではないかという形で検討内容とさせていただいておりま す。 以上で資料の説明を終わらせていただきたいと思います。大分資料が多くなっておりますが、御 議論のほどよろしくお願いいたします。 ○樋口座長  ありがとうございました。  かなりボリュームのある資料の説明をしていただきましたが、相談支援ということで、大きく 3つに分けて資料が構成されていて、地域における相談支援体制が1つ。ケアマネジメントの在 り方が1つ。3つ目が自立支援協議会ということでございます。  今、説明がありましたように、それぞれの項目について現状が整理されていて、その上で課題 というページと検討内容というページがございます。主に課題及び検討内容に沿って御発言をい ただき、更にここに加えるべきもの、あるいはほかの要素があるのではないかという御指摘等々 をいただいて、できれば具体的な形での御提案なり検討をいただければと思います。  3つございますけれども、特に順序立てていくことはいたしませんので、どの項目、話題につ いてでも御発言いただいていって結構でございます。そのときに、どの項目のどの検討内容につ いてということを明確にしていただければありがたいと思います。  それでは、どうぞ御自由に御発言ください。上ノ山構成員からいきましょう。 ○上ノ山構成員  最初に相談支援に関してお話を進めていくときに、この会ではどうしても自立支援法の改正に 合わせて議論が進んでいきがちですけれども、やはり全体的な相談支援をいつも視野に入れなが ら、議論をしていきたいということを最初に確認していただいてありがたかったと思います。  私もそういう意味で、自立支援法に沿って話を進めさせていただきたいと思います。相談支援 に関しては一般財源で行われる市町村必須事業ということなんですが、それを支える地域生活支 援事業として、専門員などを配置する市町村相談支援機能強化事業や住宅入居等支援事業、いわ ゆる居住サポート事業や成年後見制度利用支援事業などの補助金事業がありますけれども、これ らが必須事業となっていないために、その実施率は極めて低い状況になっています。 11ページを見てみますと、強化事業が40%であり、成年後見制度に関しては31%、市町村住宅 入居等に関しては11%ということになっています。ですから、地域生活支援事業の予算の総額が 限られているという状況の中で、結局、市町村の優先順位がここに反映されていると考えられる と思うんですけれども、私は7万2,000人の地域移行を推進するということをうたっているわけ ですから、居住サポート事業に関しては必須事業にすべきではないかと思うんです。 例えば障害者雇用率の算定に精神障害者が加わりましたけれども、それと同様な考えで、市町村 の公営住宅に関しては、何%障害者に開放する。あるいは精神障害者に開放するということを必 須事業として制度的に決めてしまったらどうかと思うんです。地域移行をうたっていながら、そ ういう制度を必須に設定していないということが、怠慢であったのではないかという気がします。 今、相談支援に関して議論しなければならないんですけれども、そういう社会資源の乏しい状況 で相談支援のあれこれを工夫していかなければならないというのが我々にとっても非常につら いところでありまして、まず社会資源の充実ということをそういう意味で図っていただきたいと いうのが1つです。  ついでに言いますけれども、そういうお金がない状況の中で、10ページには相談支援充実・強 化事業などとかいうことで、1市町村当たり170万円も予算を組まれていますけれども、どこに どう使われたかわからないような予算が組まれて、こういう無駄遣いに関してはできたらやめて いただきたいと、全く余談ですけれども思います。 都道府県の相談支援に関して触れてみますけれども、16ページにアドバイザーの資格を調べたグ ラフがあります。社会福祉士が48ポイントあります。精神保健福祉士が38ポイント。それに対 して、相談支援専門員が99ポイントあります。アドバイザーというのは、経験とか豊かな見識 を持って地域をコーディネートしていく、あるいは困難事例に対してアドバイスをしていくなど の役割を果たしている人と考えられますが、無資格者が多いということです。つまり、99ポイン トの相談支援専門員というのは、いわゆる実務経験と講習だけによって、そういうことを名乗る ことを許された人のことを言うと思われます。ですから、そういう人が都道府県のアドバイザー となって地域を指導している現状があるとしたら、これは不安を感じざるを得ません。  相談支援専門員の資格に関しては、18ページに載せていただきましたが、後でまた言いますけ れども、介護保険のケアマネジャーの資格要件と比べても、講習内容等がはるかに貧弱ですし、 1日程度あるいは5日程度の講習であったり、実務経験が3年でも取れるという資格なわけです。 その意味で、障害者あるいは精神障害者のケアマネジャーが非常に軽く扱われている。結果、そ ういう人が相談支援専門員を名乗ることができて活動することができる。ひょっとすると、そう いう人が都道府県のアドバイザーになって地域を駆け回っているということであるとすれば、相 談支援体制というのを少し考え直さなければならないのではないかと思います。 あと、指定相談支援事業者が2,735事業者のうち1,805事業者が市町村の委託を受けているとい うことですけれども、3障害が統合されていますので、障害種別の事業所の数とかあるいはPS Wがどのくらい配置されているかというのがわかりません。  例えば11ページのグラフを見ますと、3障害が一元で実施されているのが63%。障害種別に 実施が32%です。包括支援センターと一体的に実施が5%ということになっています。この中で、 包括支援センターに関して精神障害を担当する職員がいるどうかは疑問がありますけれども、と にかく合わせて95%以上が精神障害に対応する体制をとっているということのようです。 12ページを見ますと、専門職員の資格に関しては、PSWが34%あるということで、一応3障 害のバランスをとって専門職員をうまく配置されているようには見えます。  16ページを見ますと、全体が4,005人ですので、1か所当たり1.5人ぐらいの相談支援専門員 がいるということです。  それに対して、12ページを見ますと、市町村強化事業の専門職員が1〜3人が67%。その他 がいっぱいあるんですけれども、かなりばらつきがあります。このような体制で3障害に対応し ているとすると、必ずしも精神障害担当の専門職員がいないところで精神障害の相談支援が行わ れている可能性が否定できないと思います。それは私の懸念ですけれども、一応述べさせてくだ さい。 一応、話を簡単にまとめます。 ○山根構成員  議長、済みません。焦点を絞って話をお聞きできませんか。一度にたくさんおっしゃられると よくわからなくなります。 ○樋口座長  簡潔にお願いします。資料の説明は既に先ほどしていただいていますので、構成委員のコメン ト、意見だけを簡潔にまとめてください。 ○上ノ山構成員  21ページには、ケアマネジメント、相談支援を行う人材の質の向上を図るということを書いて いますけれども、先ほども言いましたように、介護保険のケアマネジャーさえもっと厳しい研修 が行われています。認定調査やケアプランの作成などの実習を求められているようです。  介護保険におけるケアマネジャーの仕事は、区分によって決定された給付限度の管理をする仕 事ですけれども、これに対して精神障害者のケアマネジメントというのは、病気と障害を抱えな がら生活しておられる利用者が、さまざまなサービスを選択しながら社会参画、自己実現をして いく過程の伴奏者となっていく必要があるということで、より一層の専門性が要求されると思い ます。 以前の検討会で、滋賀県では発達障害者支援のためのケアマネジャーの認証制度をつくろうとし ているということを申し上げました。このカリキュラムはかなり厳しいもので、相当長期の実習 とプレゼンテーションなどによる評価が行われます。そのような形でケアマネジャーの質を担保 しようとしているわけです。  遅れてきた障害病気でのケアマネジメントはこのように真剣に質の保証を考えている時代に あって、精神障害者のケアマネジメントも安易な養成はやめて、認証制度あるいは国家試験など で、質、専門性を高めていく必要があるのではないかと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  田尾構成員、どうぞ。 ○田尾構成員  全国に300万以上いると言われている精神障害者なんですが、三十何万かは入院しているとし て、この障害福祉サービスに結び付いている人というのは大体何十万ぐらいですか。今、私も数 字はすぐに浮かばないんですけれども、恐らく結び付いていない人の方が何百万人かいるわけで して、その人たちの全部がサービスに結び付く必要があると決して思わないですけれども、本当 にサービスが欲しい、もしくは客観的に必要であるにもかかわらず、そこに到達していない人が 物すごくたくさんいる。データで示せなくて申し訳ないんですけれども、私は体で感じるんです。 相談支援事業というのは、利用者とそのサービスをつなげるための物すごく大切な事業なんだと 思うんです。  ところが、これは恐らく診療所協会の方向から後日報告があるかと思いますけれども、従事者 のうちで日中活動の場とか何もなくて支援を必要としている人がどのぐらいいるかということ を調べたそうで、何十万といるというデータがあるんだそうです。それは後日の報告になるかと 思います。 そういう人たちをどうやってサービスに結び付けられるか。まず、相談支援事業というのは待っ ているだけではだめなんです。来た人だけに行うものではなくて、困っている本人、家族の下へ 出かけていって支援を行うということも当然実現すべきことだと思っています。そのぐらいしな いと、最初に困っている状況というのは解決しないんです。ただ私はここに座っています。それ こそ広田構成員ではないですけれども、来た人の話を傾聴したで終わってしまう。行って一緒に 何かやってくるということが必要なときがあるんです。 ところが、今の自立支援相談所となっているところのほとんどは、かつての生活支援センターで、 今で言う地活の1型にほとんどが移行しているんです。前も言いましたけれども、通所者のプロ グラムを持っているところが多くて、それに追われていて本来の相談支援を充実させることがで きないという現状があるように思います。だから、これは切り離すべきだと思っているんです。 原則切り離した上で、そこの事業所がまたその機能を付加してやるということならそれは構わな いんですけれども、今、元の生活支援センターに出ていたお金をそのまま維持するために、両方 くっ付けた形でお金が出るような形になってきているような経過があるような気がしますので、 そこは考え直していただきたい。 通所者に追われて目の前にいない人の支援までは、イメージも、活動領域を広げていこうという 意欲も出ないという状況があると思いますので、充実させるためにはとにかく分けてほしい。  それから、今も言いましたように、利用ニーズは限りなくあると思うんです。その掘り出しを していくということも相談支援事業の重要な仕事だと思うんです。何件相談を受けても、何件訪 問をしても委託料が同じということでは、仕事をすればするほど人が増やせるという仕組みにな ればするかいもあるんですけれども、すればするほど残業が増えて、もらう給料は変わらないと いう仕組みだと、ニーズを本当に掘り起こしていこうという動機づけに結び付いていきにくいと 思いますので、業務に応じた委託費、報酬などをきちんと考えて、業務評価もきちんと行ってい くべきではないかと思います。 同時に、利用者の満足度、利用者もそうですし、周りの関係機関もあります。そこの相談支援事 業者は何もやってくれないというようなことを思っているような状況があったりするわけです。 そういうことも含めた利用する側とか関係機関の満足度調査なども同時に行っていって、きちん と業務評価をしていってほしい。現在は地域生活支援事業ということで国の直接の手を離れてい ますけれども、こうした内容について国としても区市町村に指導していってもらいたいと思って います。 地域によってサービスの格差がばらばらにあるのではなくて、ある程度均一のサービスが、同じ ようなサービスが全国で行われるような指導とか研修を継続的に国で考えていってほしいと思 っています。 もう一つ、いいですか。あとピアカウンセリングという言葉があるんですけれども、これは勿論 相談支援という意味でカウンセリングという流れだと思うんですけれども、ピアカウンセリング は実際にやってみると、1対1のカウンセリングにとどまらないんです。ピアカウンセリングは、 もっと集団で集団を支え合うような支援の在り方のことだと理解している。そうだとすると、も っと広い意味を持っているので、例えば地域活動センターの2型とか3型とかというようなもの を活用して、ピアセンターのようなものをつくれないかと思います。場としてお互いに支援し合 う、支え合う、相談し合うというような場をつくっていくという形で全国展開していけないかと 考えたりしています。 もう一つだけ、ごめんなさい。相談支援事業の委託を受けている事業所はいいんですけれども、 私どもみたいに委託を受けていない事業所に関しては、ケアマネをやることによって、事業所と して成り立つような報酬体系の仕組みにしてほしい。高齢で起こったようなサービス誘導をした りとかそういうことが起こらなくても、本来のケアマネをきちんとやることによって、事業者と して成立するような、これはお金のことになると思いますけれども、報酬体系と仕組みをつくっ てほしいと思います。 以上です。 ○樋口座長  皆様たくさん御意見おありだと思いますが、できるだけ大勢の方に御発言いただきたいと思い ますので、お一人の持ち時間はできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。  それでは、門屋構成委員、どうぞ。 ○門屋構成員  今日の会議の当初に、自立支援法の中の相談支援体制ということが中心であるということをお 聞きしましたので、そこに限定して少しお話をしたいと思っています。  自立支援法ができてから、市町村が相談体制をつくる。ここで精神の領域は後発組と言ってい いかと思います。それぞれ精神は今のお話のように、生活支援センターがやったり保健所がやっ たりということで長い歴史があったために、市町村レベルに相談体制が下りているということに は、かなりばらつきがあるということも事実でありますし、質的な問題も十分に担保されていな いということも現状だろうと思っています。  基本は、どの市町村で地域生活支援を受けられても、ちゃんと相談が受けられるんだという体 制をつくることが、今、求められている。私たちも地域で相談支援をやっていますと、市町村ご とのばらつきあるいは都会にはそれなりのものはあっても、量的には十分に満たされていない部 分も含めて、相談支援体制の原型はどうするのかという問題について、少し意見を申し上げたい と思っています。  私は、総合的な総合相談支援センターが原型だろうと思います。障害はそれぞれいろいろとあ ろうけれども、しかし、生活相談ということに関して言えば、それは1か所で満たされるような 状況があるべきだと思ってはいます。  しかし、障害種別によって専門的な相談が必要であるという構造をそれぞれの地域でつくって いくべきである。今、田尾構成員の話からもありましたが、相談というのと日常生活支援という ことをきちんと分けるべきであって、地活と一緒にやることの弊害を私たちはたくさん見てきた ために、原則的にはその相談を独立型にしていくべきであると考えています。  そういう体制を原則としてつくられることをまず望みますし、そうなると、実は市町村に直営 でやっているところ、北海道は別とか全国と少々違った状況がありまして、全国は75%が委託を しておりますけれども、北海道は実は70%を超えて直営でやっております。直営の弊害というの は、窓口相談は大変強くても、継続相談に大変弱いところがある。スタッフが異動してしまえば 継続性に問題が起こりますし、より専門的な領域についても、評価事業があったとしても、実は 大変遅れているところがたくさんあります。  そういう意味では、やはり官民共同でつくられる総合相談体制というものが、私は望ましい、 あるいはそれは原型にすべきだという考え方を1つ持っています。相談に行く人たちはどこに行 っても構わないんですけれども、やはり相談に行くべきところ、サービスを受けようとすれば、 よけいに市町村に行く可能性は高くて、そこから委託のところに紹介されたいということが、総 合的に結び付くべき、結び付きやすくするべきということを考えていますので、そこのところは、 官民共同の総合相談支援体制がつくられるべきだと思っています。  いずれにしても、体制ができなければ、その体制が経済的にも維持されなければいけないので、 私は基本的な総合相談の一般相談という機能と、言わばケアマネジメントという機能とを分けて、 お金がちゃんと出るような形をつくるべきである。今、交付税で一般相談がなされていますけれ ども、あの交付税の中身は、私からすれば十分なものではない。そこの部分に何かの工夫をなさ るべきだということが1点。  ケアマネジメントに関して言えば、ケアマネジメントの単価等については、もっと高くしなけ れば維持ができない。マンパワーが確保できないことがありますので、そこのところについて、 体制という意味では、財政的な側面について、改正のときには十分に考えていただきたいと思っ ています。  ケアマネジメント等々については、後でまたお話をしますし、自立支援協議会との絡みも当然 出てきますので、それについては、後でお話をしたいと思います。一旦終わります。 ○樋口座長  どこから手が挙がっていましたか。順番が見えないんですが、どうぞ。 ○長尾構成員  今、相談支援事業について、3障害一元化ということで包括的なところがあるべきだというお 話も出ましたけれども、ある部分、そこの窓口が一本化して、すべてのものに対応できるという 体制は非常に望ましい。  ただ、3障害ともにきちっと内容がわかっている人材を確保できるか。1人でそれをすべてや るということは、それだけの知識を持つことは非常に困難なわけです。ですから、我々精神の部 分の人たちが、知的の人の部分とか身体の部分はほとんどわからない中で一元化されて対応する ことになっているわけです。ですから、それぞれの分野にたけた人をきちっとそろえていくとい うことが、まずなければいけない。それで十分な相談体制がとれるということが、まず第一だろ うということが言えると思います。  もう一つは、包括的に全体的にやれる部分と、いろんなアクセスの面で利用者がちゃんとアク セスしやすい、そういう部分で相談支援事業者がもう少し地域に何か所かあるということは必要 なわけで、そういう面でいえば、指定相談支援事業者というものが私はもう少し増えるべきだろ うと思います。  それから、相談事業については、先ほど田尾構成員も言われたように、それに対してお金がき ちっとつくような体制が何らかでできないと、このケアプランをつくっていくだけにしかお金が つかないことになると、これはなかなか難しいだろうと思うわけです。ですから、その辺のこと をどうするのかということがあると思います。  できたときの話をしても仕方がないかもしれませんけれども、最初は相談支援事業者への委託 と指定という2つをつくる状況ではなかったと思います。精神でいえば、地域生活支援センター とか知的のそれぞれのセンターを指定するということで、そこが委託されるような構図を持たれ ていたと思いますけれども、その中で、いろいろなアクセスのところがもっとできるべきだとい うことを主張した中で、こういう形でつくられてきたいということはあると思います。ですから、 何か二重構造になってしまっているということで、委託の部分しか相談に対してはお金がおりな いということでは、相談支援というものがきちっとできないだろうと思います。精神については 医療を抜きに語れないと思いますし、やはり福祉のいろいろな部分との両方がきちっとわかって いる人の人材の確保、養成が非常に大事だと言えると思います。  それから、ある部分で、精神障害者というICD10で、ディスオーダーという言葉が入ったた めに、疾患と障害、いわゆるディスアビリティーとディスオーダーというのが混在した概念で一 緒くたになってしまったような議論もありますけれども、やはり疾患だけの部分の人がトータル として303万という話であって、それがすべて、ここでいうといったらおかしいですけれども、 いわゆる自立支援法に絡んだということではないと思います。  もう一点、保健所の相談はここでは抜きだという話があったんですけれども、いわゆる疾患に 対しての相談であるとか、いろんな窓口があってしかるべきだと思うので、私はその相談内容が その疾患だけのことになるかどうかは別としても、保健所であるとか医療機関であるとか、さま ざまなところでの相談体制はきちっと残しておくべきだと思います。  ケアマネジメントの件で、サービス利用計画書の対象者の拡大ということがもう一つの検討内 容で入っていますけれども、これは是非とも広げるべきだと思います。今でいえば、訓練等給付 なり介護給付を受けている人は、まずこれから外されるわけです。ほとんどはこれに該当する人 はいないんです。恐らくケアマネジメントの数が2,000ほど出ていましたけれども、この中で実 際に3障害一緒ですね。ですから、実際に精神の人でこれを受けている人たちがどれだけあるの かということがもしわかれば、教えていただきたいと思います。  先ほどの相談支援事業については、包括の部分と障害種別というものを両方やるべきだと思い ます。  その点で終わりたいと思います。 ○樋口座長  それでは、山根構成員さん、どうぞ。 ○山根構成員  ただいまの長尾構成員と門屋構成員のものでほぼ形が見えてきましたが、相談支援事業に関わ っていまして、長尾構成員がおっしゃったように、三障害一緒は、できる人もいらっしゃるんで しょうが、基本的には障害に応じてきちんと相談ができる人がいないと、就労もそうですが、難 しいと思います。  それと事業所がそれぞれにやっていますと、機能に差があります。従って窓口は、可能なら診 療所ですとか病院ですとかいろいろなところに広く設けて、センターで統括するようなシステム をつくる。そういう形のものを法的にきちんと決めていただかないと、努力義務や手挙げ方式に なると、どうしても機能的に整わないのではないかと思います。  それからこういう事業所をつくるにあたっては、病床の見積もりとは違って難しいでしょうが、 大体どのぐらいの人数を対象にするかの見積もりをしないと、相談員にしても、どれぐらいの人 数を育成すればいいかということがわからないまま努力目標として取り組むことになります。市 町村によっては、随分しっかり取り組んでいるところと、言われたから一応形を残すという程度 のところがあるので、法的に位置づけることと、数値や期間も示さないと意味がないと思います。  それから、ケアマネジメントもそうですが、事例を通した研修をちゃんと義務づけないと、本 来の相談ができる人は育たないような気がします。研修をしても、その内の6〜7割は実際に機 能するぐらいにしないといけないのではないかと思います。 ○樋口座長  ありがとうございました。  ちょっとお待ちください。先に坂元構成員が手を挙げておられました。 ○坂元構成員  先ほどから予算、お金の話が出ておりますが、自治体として、ここには市長さんもおられます が、一般交付税というのは、お金をもらっているといっても、実際にはいろいろな事業との間で の分捕り合戦になってしまいます。福祉だけに使えるわけではないので、それぞれの自治体が何 を重点的にやっているかによって使い道も違ってくる。  福祉も単にこの精神障害の問題だけではなく、保育所の待機児童問題、特別養護老人ホームの 整備などの問題も自治体としては日々ニーズが高まっている中で、国から一般交付税の中に入っ ていますと言われても、それをどう使うかは、はっきり言えば自治体の裁量に任されてしまうと いうことで、先ほどから議論になっている使い道に関して一定の制限が必要ではないかというこ とは、それがないと、自治体としても声が大きいところにお金がいってしまうところもあるので ないかと懸念しております。  それから、1つは、市町村相談支援の強化事業で補助金を出しているというんですが、例えば 私もいろいろな自治体から意見を聞いたりしておりますが、川崎市の例でいうと、38か所障害者 支援センターがあって、今まで意見が出たように、3障害を一括に扱うのは非常に難しいことも あるということで、そのうち9か所を精神障害に特化させております。  更に特化について、先ほど以来出ている専門性の非常に高い訓練を受けた人というのは、やは り一定の費用を払わなければ確保できないということです。国から出ている補助を頭数で割って しまうと1人50万ぐらいにしかならないんですけれども、川崎市では実際に1人600万払って 確保しております。9箇所のうち、2箇所では2人配置しておりますが、これは非常に財政的に 負担であります。それに補助事業というのは期間が限られてしまいますので、優秀でやる気のあ る人は、一定の期間の雇用保障をしなければ集まらないのです。補助事業が切られてしまったら、 そういう人はどうなるのかということで、非常に難しい部分があるということです。  あと、市町村が直営でやっているといっても、やっている担当者が幾つも業務を兼務している のが実態で、一体この精神の問題に時間的にどれだけ専心できているかというところの実態調査 がされないと、やっていますと言っても、実際の業務のうち1割しか精神相談の業務をやってい ないというところがあると伺っております。  例えば我々の保健所でも実際に自立支援法ができてから、非常に行政事務煩多、つまり、書類 の事務が非常に複雑になって、かつての精神のワーカーさんが、相談よりも書類業務の方に多大 な時間を取られるということも出てきてしまって、相談業務に専念できないということもありま す。1人の人がどれぐらいの時間を割いて、相談業務に専念しているかというような踏み込んだ 調査、そして、それに見合った予算の確保が必要ではないかと思っております。  以上でございます。 ○樋口座長  それでは、三上構成員、どうぞ。 ○三上構成員  幾分重なる部分と違う意見のところがあるんですけれども、相談支援事業体制の中で、介護保 険法に基づく地域包括支援センターと一体的に総合的相談窓口を設置したというのが、市町村の 5%あったということなんですが、身体障害、精神障害については、自立支援法だけではなくて 介護保険の対象になる方もたくさんいらっしゃいます。  実際に精神障害者の範疇に入るというような認知症の対応力を強化する、地域包括支援センタ ーを全国に150か所つくるということで、老健局を中心に予算も請求されているわけですけれど も、また別の形では、自殺予防対策として、対うつということで、会議の中では精神科を含めた、 精神科医がいるような相談センターをつくってはどうかというようなことがあるわけです。  ここの会議では、ほとんど統合失調症の地域移行に対しての相談ということですけれども、も う少し広い視野で、これは局がまたがるのでなかなか大変かもしれないんですけれども、認知症 も、うつも、統合失調症も、いろんなものがすべて相談できるような、窓口の広い相談センター、 ここでは地域包括支援センターを利用するのが一番有効ではないかと思いますけれども、ただ、 それにはそれぞれ障害別に相談に乗れる人たちの人件費なりをちゃんと計上する必要がある。老 健局の方は、一応認知症用には、サポート医は非常勤として、PSWなどは常勤として雇用でき るような予算を要望しているということですけれども、こういった相談支援については、PSW なり精神科医なり、そういった人たちを常勤なり非常勤なりで雇用して相談ができるという体制 にする。そういうことをやっていただければと思います。  そういう意味では、5%の市町村の総合的にやっておられるところ、地域包括支援センターを 使ってやっておられるところの実態をお聞きしたいと思います。 ○樋口座長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○佐藤構成員  門屋構成員の意見を支持させていただきますけれども、小さな自治体においては相談支援を指 定事業者に丸投げをしてしまうところがあるんです。丸投げしたところがきっちりやってくれれ ばいいんですけれども、形式的にしかやらない。あるいはある関連の病院や関連の施設にしか紹 介しないということになりますと、その地域の相談支援の質は大きく低下してしまうわけですか ら、まず丸投げはやめていただいて、市町村あるいは市町村に関連した施設で、一時的な相談支 援を受けるわけです。  その上で、更に専門的な相談支援に関しては、専門の指定業者に委ねるということで、その場 合には複数あって、複数の相談支援事業者が競争して、いい相談支援を提供するところには、よ り多くの補助金が流れるというふうな、民を活用する場合には競合的なシステムにしませんと民 が独占してしまうんです。ですから、今、世界情勢的にも公から民へではなくて、民から公へと いう、公の役割が見直されている時代ではありますけれども、そういう意味で、相談事業におい ても公といいましょうか、市町村の役割をもう一度見直すべきではないかと思います。  以上です。 ○樋口座長  長野構成員、どうぞ。 ○長野構成員  ここまで出ていた話に更に追加なんですけれども、相談支援とケアマネジメントというのはす べてにつながる根幹の事業として、長期的に大切な事業だと思います。  その中で人材確保という視点からいくと、きちんとある程度期間をとるという意見がありまし たが、制度として、例えば10年ぐらいは続かないと、まず初期研修をして、事例を積んで、使 えるようになるまで、感覚的なものですが、最低10年はかかるんだろうと思います。介護保険 のケアマネジャーさんたちと一緒に仕事をしていて、やっと真の通った人たちが何人か見えてき たという現状を考えたりすると、一番大切な事業が中期戦略、10年戦略、20年戦略というとこ ろが見えないと、そろそろ使えるようになってきたころに効果が上がらないということで、予算 がなくなってしまうという心配をしています。やはり単年度でしっかりした予算が取れることと、 期間的なものは最低10年は続けるとか15年は続けるというような戦略をきちんとここで明示を していかないと、効果が出るまでに中途半端に終わってしまうだろうと心配をします。これが1 点です。  もう一つは、専門性を上げるという点はとても大事なことなんですが、まず量の確保、すそ野 を広げないと、田尾構成員のおっしゃったように全くつながっていない方が、地域に余りにたく さんいらっしゃる。  私たちのように、小さな地域で限定して隅から隅までを見て、ここにいらっしゃるということ をキャッチしながらやっていると、つながっていない方がまだまだたくさんいらっしゃる。そこ に、例えば未治療で、サービスにも当然つながっていないところに、2週間に1回ずつ御用聞き にお伺いして、何とか治療しませんかとか、何とか出てきませんか、相談に乗りますということ を言い続けたりするサービスはとても大切だと思いますし、それを実践してきたんですけれども、 そこには全く担保が今ないわけで、そういうところにもきちんと予算がつくような、実施ができ るような仕組みができないものか。  サービス利用計画ということでは、自立支援法サービスが全く整っていない地域もいっぱいあ るわけですので、そこの掘り起こしも含めたところに予算がつくような仕組みが、現時点では要 るのではないかと思います。  この2点です。量が全く足りないとうことと、期間も十分必要なのではないかということを意 見として言わせていただきます。  以上です。 ○樋口座長  どうぞ。 ○品川構成員  相談事業に関しましては、実際に指定相談事業者とやってきましたこの1年間、なかなか見え なくて、動きがなくて、焦った気持ちでいたんですが、この資料をいただいたときに、何か安心 したところがありました。  先ほど門屋構成員からのお話でようやく見えてきたんですけれども、指定相談事業者としてサ ービス利用計画書が余りできなかったというのは、単価が低いという問題ではなくて、サービス 利用計画の作成に至る道順がまだついていなかったように思うんです。サービス利用計画を必要 とする方は大勢いらっしゃるんですけれども、相談の窓口、入り口の部分、先ほど山根構成員が おっしゃった相談の入り口の部分から、門屋構成員のおっしゃったことに結び付いて、なおかつ、 サービス利用計画に至る。その筋道、ルートみたいなものがこの資料の中にはまだ不足している ように思いますので、その点だけは、皆さんにもう一度お考えいただいたらと思います。 ○樋口座長  それでは、小川構成員から順番にいきましょう。 ○小川構成員  11ページの資料なんですけれども、速報値ということでございますが、市町村の規模によって、 どういう状況になるのかという資料があればお示しをしていただきたいと思います。  私は三上先生と少し共通する部分があるんですけれども、介護保険制度の制定からの状況を教 訓にすべきだと思うんです。介護保険制度のいいところ、悪いところをきちっと考えて、障害者 施策にもいいところは反映をする、悪いところはやらないということで考えるべきだと思ってい ます。  まず1ついいところというのは、今は非常に厳しい状況があって、なかなかいいとは言えない んですけれども、制定当時はNPOとかマスコミの皆さんなどを含めて、国民全体が世論として 介護保険制度が必要なんだ。審議会の中では、市長会などは反対派で、保険者になるのは困ると いうようなことを言っておられたんですが、そういう抵抗を抑えつけるような国民的な議論があ ったと思います。  一方で、障害者の問題については、なかなかそうはならない。逆にユーザーの側からいろいろ 反発がきたりしている。  今日、谷畑市長が当選されて来たことを非常にうれしく思っているんですけれども、やはり福 祉に熱心でない市長は落選をするみたいな、そういう世の中にならないといけないのではないか と思っています。これは地方自治の在り方なんだと思いますけれども、そういう介護保険法制定 当時は国民世論が盛り上がったということがあるわけです。これは我々の側もそういう雰囲気づ くりに取り組まないといけない。  そこは、今日、安田構成員もいらっしゃるので、一緒に連携をとりながら、福祉を熱心にやる 自治体が市民から支持をされるとか、そういう世界にしないといけない。それは多分、厚生労働 省だけではなくて、我々の役割だと思っています。  介護保険制度の悪い部分というか、見習うべきではないところに1つはケアマネがあると思い ます。これは皆さんわかっていることだと思いますけれども、介護保険の世界の中だけのケアマ ネジメントなわけです。本来、ケアマネジメントというのは、社会資源をつくるところから始ま って、いろんな介護保険制度以外の制度も利用していく、活用していく。そこが本来のあるべき ケアマネの姿だと思いますので、そこはきちっと障害者自立支援法以外も見渡せるケアマネでな いといけないんだと思います。  よく介護保険の世界では、以前もお話したことがありますけれども、寝たきりあるいは認知症 の当事者のところにサービスを届けに行くときに、統合失調症の息子さんのお話をまず聞いて、 その上で行かないといけないという問題があって、地域包括支援センターでは精神の問題が非常 に大きな問題になっているとお話をしたことがありますけれども、そこは、統合失調症の福祉サ ービスのことしかわからないでは済まされないんだと思います。3障害や認知症の理解も含めて、 ある一定レベルをわかった上で、専門的なケアマネジメントができることが望ましいんだと思っ ています。  私は個人的には介護保険制度と障害者自立支援の制度の中で、利用できる制度については一体 的にきちっとやっていてもいいのではないかと思います。余りこういうことを言うと、今はたた かれるんですけれども、いわゆる社会参加とか就労支援以外のところは結構介護保険で、財源の 確保という意味からもあってもいい話だと思っています。それは今の議論ではないですけれども、 そういう介護保険の教訓をきちっと踏まえて、介護保険のケアマネみたいな形にはならないよう な形をとっていただきたいと思いますし、地域包括支援センターの話は、私は十分に活用できる と思っています。  地域包括支援センターは、1か所は直営でやって、あとは委託でやっているようなところが結 構多いんです。そこの役割分担というんでしょうか、市町村の責任においてきちっとやる部分は 市町村でやって、民間の活力を使う部分は民間でやっている。あるいはより専門的なところは都 道府県なり保健所なり精神保健福祉センターなりが担っていくという役割分担です。そこはきち っと考えていく必要性があると思っています。  介護保険の制定当時、国民的な支持が得られたのは理念があったからなんです。この理念、い わゆる制度自体は財源の問題だったり、ファイナンスの問題だったりするんですけれども、理念 がきちっと先行して議論がされていった。その理念がなぜ皆さんにわかったかというと、老老介 護の実態とか、縛りつけの老人医療の実態が国民の前に明らかにされたからなんです。そういう 徹底的な情報開示や情報公開あるいはいろんな国民が目にしたくない部分も目にしたからこそ、 これまでは寝たきりの人がいると家族の皆さんは隠していたわけですが、そういう実態があるん だということをきちっとオープンにされて、初めて国民が介護保険制度が必要なんだということ がわかったわけです。  そこは安田構成員もいらっしゃるので、マスコミのお力とか、あるいは我々自身が一緒になっ て取り組んでいけるようなことをして、障害者施策が必要なんだということをPRすべきではな いかと思っています。  具体的な話ではなくて済みません。 ○樋口座長  尾上構成員、どうぞ。 ○尾上構成員  先ほどの門屋構成員の総合性を持った相談センターというところは、支持したいと思います。  それと国の中でも言われているように、中立性、公平性というのが相談支援の上では大事な部 分だと思います。そういった意味では、それを確保、担保されたような形の体制、システム、支 援体制を構築していっていただきたいと思います。  あと、検討内容です。21ページにあります相談の「検討内容」の2の部分、相談支援を担う人 という部分、最終的にここの人をどう確保していくかということが非常に大事になってくると思 います。  相談支援専門員の研修をやっていますが、先ほどの専門職となった場合とか、更にこういう人 を確保したい場合には、人件費であるとか、そういうところでなかなか確保できない状況という のは喫緊の問題であります。  更にいうと、専門学校にしろ、福祉系の学校にしろ、今、福祉の人材を確保する上では厳しい 状況ではあります。そこは喫緊の課題だと思いまして、地域を担う人を確保していくことが大事 だと思いますので、できれば検討内容のところは、人材の質の向上以外にも確保ということを1 つつけ加えていただきたいと思います。  あと、先ほどの総合相談の拠点の部分では、財源的なあるいは地域生活支援事業というところ では、先ほど坂元構成員が言われたように裁量的な経費という部分になってくるので、市町村裁 量というものが大きく左右されてくるところでは、本当に声の大きいところしか上がってこない というのは非常に悲しい現実としてありますので、すそ野を広げるという意味では、地域生活支 援事業の部分に関して、裁量という部分をいろいろ検討し、工夫が必要だと思います。  以上です。 ○樋口座長  大塚構成員、どうぞ。 ○大塚構成員  門屋構成員、長野構成員の意見を支持したいと思うんですが、いつも検討会に参加していて葛 藤がありましす。理想の話をしつつ、やはりどこかで財源や従事者の問題などの現状と距離をは かりながら発言をしてしまうところがあります。  できれば原型として、理想のありようを、長野構成員もおっしゃったように10年とか20年と いうスパンで考えながら、一度皆さんで共有して、その上で現状との距離をどう埋めるかという 方法論については、また別途検討できればいいと思います。  そういう理想を考えるときに、今、小川構成員もおっしゃいましたが、介護保険で、例えば地 域包括支援センターを全市町村に設置されるということになりました。それも格差があるとは思 いますが、きちっと相談の拠点があるという形になっていく中で、より住民に身近なところで相 談ができるという体制が図られたということがあります。そこを考えますと、障害者においても 全市町村でそういう窓口が必要だということを考えたときに、独立型の相談支援ということを専 門に行う機関がほしいと思いますし、その中に一般相談支援ができる拠点型のところがあるとい いと思っています。  3障害につきましては、確かに人材の確保は厳しいと思います。そこはこれからの計画の中で どうやって人材を育成するかということと、山根委員がおっしゃったように、各関係機関との連 携の在り方を模索するということで何とかなるのではないかと思います。むしろ、今、単独の障 害種別ではない重複の方もいっぱいいらっしゃるわけで、そこは拠点型の総合的なものがほしい と考えます。  連携の在り方につきましても、今回、認知症疾患医療センターと包括支援センターなどのとこ ろの結び付き、例えば職種を配置するとかそういう機能を持たせるという連携の在り方がきちっ と示されておりますので、そういう介護施策を学びながら考えていければいいと思っています。  一般相談支援の中には、田尾構成員もおっしゃったんですが、サービスにたどり着いていない 方々で、もしかすると、まだ障害だとか手帳以前の方がたくさんいらっしゃることも事実だと思 います。私はときどきサービス利用の根拠が手帳であったり、医師の診断書であるという最初の 入り口に疑問を感じる立場をとっているものなんですが、診断も受けられていない方々、でも、 何か生活のしづらさを抱えている方々、そこにきちっと訪問なりアウトリーチなり何らかの形で 相談が入ることによって、最初にもしかしたらガイドヘルパーかもしれない、ホームヘルパーか もしれない。そういう生活を整えていく中で、やっと外に出る気になって、医師のところにたど り着く、医療機関にたどり着くということもあると思います。  そういう意味では、生活のしづらさを抱えていらっしゃる、あいまいというか、まだはっきり していない方々のところにも、何らかの形で相談が入るということは、でき得ればすばらしいこ とだと思っています。そういう意味では、独立型の相談支援ということでの拠点を整備していく 方向で考えられるといいと思っています。  その際に、地域包括支援センターと一緒にやっているところは、今、5%という数字を見て思 うのは、もしかしたら特区ではないか。資源がないところでそういうありようで始まっていると 考えますが、一緒になってもいいとは思いますが、原型としての障害者総合相談体制と高齢者の ものが、それぞれちゃんと確立した上で一緒になる分にはいいのですが、そのままの形で一緒に されてしまうと、かえって体制が厳しいと思ったりします。  それから、相談支援の一番重要なところは、ケアマネジメントだと思っているのですが、検討 課題の中に1か所、市町村のサービス支給決定の仕組みとの整合性が保たれるだろうかというこ とが書いてあるわけですけれども、私自身、障害者のケアマネジメントの場合は、その中にサー ビス支給決定の仕組みが一部入っているんだと思います。サービス支給決定の仕組みのためにケ アマネジメントがあるのではない。先ほど小川構成員もおっしゃったように、介護保険の方はや やそういう感じになっているやに思いますが、ですので、障害をお持ちの方々、個々がどういう ふうに生活したいかという夢や希望を聞きながら、生活支援を一緒にお手伝いする中にはサービ ス支給決定の仕組みにつながる人たちもいるのだろうと思っているので、そこの整合性を保つた めにこそ、人材は大変高い質で必要なんだろうと思う次第です。  併せて、地域移行、居住サポートといった辺りは、是非ともその中に個別給付化の形で入れて いただくといいのではないかと思っていますが、それらを含めて、田尾構成員がおっしゃったよ うに、そうとなれば事業評価の仕組みをしっかりとつくり上げ、どのような形でその体制が実施 されているかということを検証する仕組みが必要と思っております。  最後に1ページ目のところに、コミュニティーワークの話があります。今回は自立支援協議会 の方ともつながるのかもしれませんが、コミュニティーワークはとても大事だと思うんですけれ ども、残念ながら、相談支援事業の中のみではなかなか厳しいと思っていまして、相談支援及び 相談支援事業と自立支援協議会と障害福祉計画とが一体になりながらコミュニティーワークを 推し進めていく仕組みというのが、自立支援協議会の検討の辺りで図られるといいと考えます。  以上です。 ○樋口座長  伊澤構成員、どうぞ。 ○伊澤構成員  田尾構成員、大塚構成員もお話をされたことなので、ちょっとくどい議論になるかもしれませ んけれども、精神の方々に対する地域生活支援の相談支援を考えたときに、現状の地域活動支援 センターと相談支援事業の合わせというところは、きちっととらえ直しをしていく必要性がある のではないか。一定の総括とともに、今後の方向性を切り開いていくような、そういう議論が必 要ではないかと強く思うんです。  旧来の生活支援センターが地活が相談支援事業の方に移行を遂げた。しかし、いわゆる日中活 動、生活場面を提供しながら、相談支援活動に併せてそれを実践として取り組むというのは、非 常に無理があると思います。エネルギーの配分が非常に難しいです。私も現場を預かっています けれども、人員のやりくり、時間の配分、その辺りが非常に悩ましい問題として出ております。 どちらの場面も重要なんですけれども、どちらも片手間になってしまうおそれがあるということ で、非常に急迫した状態に現状あるという認識を持って、大きく見直す必要性があるのではない かと思います。  地域活動支援センターが持っているフリースペースとか、あるいはドロップインセンターとい う言い方もしますけれども、そういう場面は場面でとても大事だと思います。というのも、自立 支援法が就労というところに非常に大きな意味を持たせている法律なり、制度の構成だったりも するし、ある意味では、就労自立が自立の王道ではないですけれども、そういう風潮が非常に大 きく書き立てられている中で、それに沿えない人たち、疲れてしまっている人たち、お休みが必 要な人たち、暮らしの見直しをいろいろと必要としている人たちが居場所として使う機能は、非 常に大事だと思います。だから、旧来の生活支援センターが持っていた、いわゆるドロップイン の部分も踏襲しながら、併せて相談支援機能に関しては、そこから分離をしながら、距離感は密 接な関係をとりながらも、場所的には分離をして、独立した相談支援機能を持った事業所として 進めていくのがよろしいのではないかと思っております。  資料の27ページで、サービス利用計画作成費のことについて触れられております。各自治体 での取組み状況がありますけれども、東京でも最近聞いた話だと、82件しか件数が上がっていな いということで、非常に低調であるということです。これは御指摘もあるように、支給決定後の 支援の開始という辺りでは、確かに遅いと思います。もろもろのサービスの内容とかサービスの 機能の把握も含めて、事前に情報提供がとても必要であり、もっと早目の支援対応が当然必要だ と思います。ファーストコンタクトあるいはインテグ時点での関わりも含めまして、市町村と共 同でこの支援のスタートを図るこができないのだろうかと思っております。  21ページあるいは25ページにもありますけれども、対象者の限定についても思うところがご ざいまして、退院、退所に伴い支援の開始という限定的な形で現在あるわけですけれども、入院 中から地域生活を想定したケアマネの活動を導入して、現在の地域移行支援との連結を図りなが ら、円滑な地域移行と定着支援を総合的に実施していくという活動に向けて進むべきではないか と思っております。  28ページにございますけれども、現在、単身あるいは同居家族の支援力の低下による生活形態 の変化への対応、その支援対応に関しましては、かなり件数も上がっておるということです。  先ほど田尾構成員もおっしゃいましたが、やはりサービスにまだつながっていない。まだ私た ちが出会えていない社会的無支援とか、孤立状態にある方々の支援を考えた場合には、強大なニ ーズがまだまだ地域にはあると推察されますので、そういう人たちの支援をどういうふうに掘り 起こしていくのかということが非常に大きな眼目になると思います。  その際に、先ほどもちょっとありましたけれども、情報や制度の仕組みも含めてですけれども、 情報の流通がまだまだ不十分ではないかと思われます。ですから、今回の議論とは直接関係がな いかもしれませんけれども、圧倒的な宣伝といいましょうか、PRといいましょうか、そういう 情報の発信というのは併せて強力に展開する必要性があるのではないかと思っております。  以上です。 ○樋口座長  お待たせしました。谷畑構成員、どうぞ。 ○谷畑構成員  先ほど来、座長や小川構成員から過分なお言葉をいただいておりますが、特に小川構成員から は福祉に熱心な市長というレッテルをはられましたけれども、第2回目で申しましたように、で きれば福祉は触りたくなかった。そして、自分自身では福祉に冷たい市長だろうと思っておりま す。特に障害者団体に対しては、大企業や公共事業は敵ではないということを申し上げまして、 逆に企業の方にはきちんと就労支援、地域貢献してほしい。公共事業ではバリアフリーなりをし ていくということで、やはり政治の役割というのは、そういった中で調整をして、資源配分をし ていくということだろうと思っておりますので、それをしているだけということですので、御理 解いただきたいと思うわけです。  先ほど坂元構成員や小川構成員からお話がありましたように、一般財源で見ているところが非 常に多うございまして、特定財源というと目的があってお金が入ってきて、それを出していくと いうことでありますけれども、そういった中で、先ほど来のお話は、かなり市町村に仕事がたく さん増える、負担が増えるというお話があったと思っております。  実際、私自身も就任以来、夜8時、9時まで仕事はしておりまして、それから市役所を出よう といたしますと、この間も台風が来る前に福祉の職員が残っているので、「何をしているんだ」 と聞きますと、「精神障害を持っている方で、親から虐待を受けているけれども、自立をしろと 言われて家から出たんだ。橋の下に朝もいたし、『困ったら電話をしろ』と言ったけれども、ま だ電話がかかってこない。台風も近づいているし、今日、来なかったら、明日でも見に行こうか」 と。現場はこういう状態で動いているわけです。  昨日、一昨日とずっと東京にいるわけですけれども、その中で県にも言っているんですが、1 つは福祉医療費というものを滋賀県が持っていて、それを今回切ろうとしています。それはきち んと確保していくべきであろうというところと、外国人集住都市会議というものに一昨日こちら の東京で出ておりますが、そういった人を扱う部分の根幹、特に憲法上でいいますと、基本的人 権に関わる、いわゆる人の尊厳に関わる部分の根幹については国がきちんと担保をしていただか ないと、現場での自由裁量、それぞれの自治体での競争という形になりますと、どうしてもこぼ れるところが出てくる。  坂元構成員がおっしゃられるように、一般財源の中で、優先順位、それぞれの自治体で決める ことになりますので、それは公共事業の優先順位を決めるとかそういう話では全くないというこ とですので、そこのところは地方分権ということで、地方自治体の側も、性急に国に対して自由 度がほしいということで、言っていたところもあろうかと思いますけれども、やはりもう一度、 憲法の根幹に立ち返る必要もあるのではないかと思ったしりしております。  それから、上ノ山構成員が居住サポートのお話をしておられました。思っておりましたのは、 実は財源は厚生労働省だけではないということがありまして、例えば国土交通省も住まいづくり の交付金という形でパッケージでいただける部分もございます。そういったものに気がついて、 それで、例えばグループホームをつくっていくというようなことは、実は過去よりも楽にできる ようになっているわけです。そういったところを見つけていただいて、厚生労働省と国土交通省 とが共管でそういったものを誘導的に示していくということも必要なことなのではないかと思 っております。  それぞれの市町村によっては、住宅のストック計画でありますとか、また公営住宅の建設計画 を持ってはおりますけれども、実際、今、公営住宅については、これ以上増やすというのも非常 に難しいというところと、それから、民間の建てた住宅がたくさん余っているという実態もあり ますので、そういったところを実際に見ながらやっていくためには、厚生労働省だけでは非常に 難しい部分もあるんだろうということで、省を越えての対応も考えられるのではないかと思うわ けです。  それから、省を越えてということで申しますと、成年後見制度、権利擁護の部分につきまして も、実態として、多分、家族が後見をしているという場合が多いのではないか。そういった中で、 先ほど申しましたように家庭内でのDVに近いような状況も考えられるわけでありますので、そ の部分で、後見制度自体が本当にきちんと動いているのかどうかというところについても、法務 省の所管になるんだろうと思いますけれども、そういったところの対応も考えていただけたらあ りがたいと思って、先ほどから聞いておりました。  ケアマネのお話でございますけれども、サービス利用決定の中にケアマネを入れるということ で、今の流れはケアマネが決定後に入っているということだろうと思っております。  実際うちのまちにおきましても、個別支援会議等々については、当然ケアマネさんに入ってい ただいて、サービス支給決定後にそういう議論をしていただいておりますけれども、それを前に 倒すということであります。それは恐らく可能なことではないのか。整合性について気にしてお られたと思いますけれども、例えば「審査会の会長が特別に認めた場合」という形で、困難事例 や緊急事例についてはケアマネさんに審査会に入っていただいて、意見を述べていただく中で決 めていくという形であれば、制度的には整合性がとれるのではないかと思っております。  そういうことですので、先ほど大塚構成員が言われたような全体の流れの中で、ケアマネさん が出たり入ったり、顔を出したり、出さなかったりという形で、できる限り現場では柔軟に対応 していますので、それを制度の中に盛り込んでいくという形で、整合性がとれるのではないかと 思っております。  自立支援協議会につきましては、先ほども小川構成員や坂元構成員がおっしゃっておられたよ うに、自治体の規模にばらつきがあります。特に政令市から村までいきますと、大きさに違いが ありますので、小さいところは複数設置を進めていく。複数自治体での共同設置を進めていくと いうような形で、まずは取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。  それから、人材育成の部分につきましては、システムやサービスも定型的なものとか、こうい ったものを扱おうとすると、技術で対応できる、またマニュアルで対応できるんですけれども、 最終的には人を扱うという形になってまいりますので、感性をどう磨くのか。磨ける感性をどう やって人に伝えていくのかというところは、非常に難しいところだと思っております。ですから、 人だけ増えても仕方がない部分もありますので、そこのところは、どうしたらいいのかという答 えは持ってはいないんですけれども、非常に難しい話だと思っております。  もう一点、官と民の役割分担のお話がありましたが、官が最終的に責任を持つということであ りますけれども、それは民に委ねていても、丸投げではなくて、発注者側としての責任、監視と いうことは大事だろうと思っておりますし、そういった面でいいますと、地方分権においても、 国がしっかりと地方自治体がでこぼこになっている部分、それを共有できるところと、恐らく憲 法上すべての国民が押しなべて必要としているところと区別しながら対応していかなければな らないところがあるのではないかと思っております。  最後は感想じみたことで申し訳ございませんでしたけれども、以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  広田構成員、どうぞ。 ○広田構成員  今日のお話を伺っていて、この国はどのぐらいお金をかければいいのか。私たまたま先月、鹿 児島に講演に招かれまして、特攻隊の知覧に行ってきました。一昨日も京都にいましたから、夜 中にカラオケに行って1時間550円で海うかばを歌っていたんです。日本の平和を願って死んで いった特攻隊員のような、ああいう人たちの犠牲の上に成り立って私たちがいる。  戦後、何を人間はしたんだろうと思ったら、まずバラック建ての家を建てて、御飯が食べたか ったという話なんです。着るものも必要だろう。精神障害者でいえば、医食住。  今日の話は全然それとは関係なくて、ある意味、豊かな国の日本の話。相談するところ、相談 相談と言うんですけれども、例えば私は寝ているときに、自宅の電話は切って、携帯はマナーモ ードにしているんです。そうすると、着信履歴が残るんですけれども、起き出したころまたなっ て、今日は雨が降っている。人によっては、雨が降っているからせつないという人もいれば、雨 が降っているから心が落ち着く。雨が降っているから寂しいとか、いろいろな人がいるわけです。 これも専門家に言わせれば相談だそうです。それを聞いたときに、雨が降ったときにそういう感 情を持てることが心の健康ねと言うと、そうですかで終わりです。そういう相談はいっぱいあり ます。  いろいろな方が入っているわけだから、いわゆる午前会議みたいなもので、私がみんなが突き 進んでいく相談事業のところや自立支援協議会やケアマネジメントに反対を唱えても、体制はそ ちらへいくんでしょうから、どうぞという感じですけれども、率直な感想だけ言わせていただき ます。  303万人いるからニーズはあるはずだ。あると思います。でも、それは別に1億2,700万人い るこの国の人に聞きに行けば、どこにでもニーズはある。私はしょっちゅう近所のタクシー乗り 場に行って運転手さんに話を聞いていますけれども、本当に3人家族以上は生活保護以下です。 手取りお年収200万代というのが圧倒的に多い。そういう中で、今、この時代に悩んでいない人 はいませんということです。悩みを探しに行くのかというのが、まずは1つ感想です。  それから、掘り起こしにいって、医療につなげるというんですけれども、私は精神医療サバイ バーです。20年間のカルテを開示して、近郊病院に行かなくてよかった。樋口先生に会っていれ ばよかったかもしれない、安田君に話を聞いてもらえばよかったかもしれないということで、今、 11時過ぎはほとんどマスコミの記者に話をしています。なぜそういうことが起きてくるかという と、忙しいということがあって、伊澤さんも大変なんでしょうが、私も生活保護で社会貢献をし て、夜中の2時までパトロールしています。  そういう中で、今日のお話はただ単に精神障害者がどうしたではなくて、この国の社会が問わ れている。コミュニティーワークとかやたら横文字が多いんですけれども、要するに話せればい いわけです。話せないんです。何を話しているかということを、受け手のいわゆる相談員、PS Wだか何だかよく知りませんけれども、今日の話を聞いていると、PSWの職場開拓というよう な感じがして、それほど職場開拓するほどの人材がいるのかといつも言っています。  隣の長野先生は10年間かかるとおっしゃいました。かかると思います。いわゆる福祉の学校 を出たからといって、私は福祉に就かなくていい。社会体験を積んで、福祉に戻りたければ戻っ てきてくれればいい。またはいっぱいいろんな学校へ行かせていただきますけれども、社会人で もう一回福祉の勉強をしようと思ってやってくる人もいる。そういうふうにトラバーユしたり方 向転換できる人生があれば、もしかしたら、自分を追い込まずその人は自殺に至っていない。  孤立をつくらないと伊澤さんが先ほど言っていましたけれども。作業所に行った中で孤立を感 じる。作業所という言い方がいいかどうか、今、いろんな形態が出ていますけれども、作業所に 行っていて問題を起こした人を辞めされるんです。作業所の側が辞めさせてしまうんです。行く 前よりも孤立させるんです。そういう現状がある。  それから、医療につなげよう。 夜中の1時にしみじみ言うんです。泣きながらです。広田さん、彼女がホテルに行こうと言って いる。それで、どうしたのと言ったら、行けないんだ。愛が深まっていないの、結婚してからそ うするのと言ったら、そうではない。薬の影響で性的不能なんです。そういう仲間がいっぱいい ます。そういうところで人間として尊厳を奪われ、男性としてのプライドを持てない仲間がいっ ぱいいてせつない気持ちです。  そういう精神医療、薬の開発が遅れている。幾らヤンセンファーマでリスパダールができたと いって、イーライリリーでジプレキサができたといって、副作用があるわけです。そういう中で、 何でもかんでも医療につなげていければ、その人の生活が豊かになるか。佐藤先生に会ったから といって、アカシジアが止まるかといったら、止まらない。そういうことなんなんです。その人 にとってどういう生活がいいか。これは単なる部長の諮問会議ではなくて、地域社会が問われて いて舛添さんの会議みたいです。  私は町内会の方たちとパトロールしています。今の時代4分の1が自治会に入っていないそう です。これは大変だろうということで、神奈川新聞のある支局の記者に電話したら、何を言って いるんですか、広田さん。ここは半分入っていません。関東大震災がきたらどうするのかといろ んな人にいったら、自治会に入っていない人は避難所に入れない。そういう笑い話のような時代 の中で、相談と言うけれども、本当に相談に耐え得るだけの相談員はどれだけいるのかというこ とをお聞きしたいし、それが人間が生きていく中でそれで一番大事なのか。  日本の憲法はいわゆる戦後できて、それから、もう60年ぐらい経って変わっていないわけで す。これからどうかわかりませんけれども、恒久化しているわけです。イギリスは憲法を変えて いっているわけです。  この相談事業や自立支援協議会とか、ケアマネジメントといろいろとお金がかかる事業は恒久 化なのか、いわゆる一時的なものなのか。そうしないと、一旦つくって、麻生さんが解散総選挙 をやらないで景気をよくすると言っているけれども、日本の国は誰が総理になってもこれ以上景 気はよくならない。世界同時不況だろうといろんな人が言っています。それが当たるか当たらな いかはともかく、これ以上税収が伸びると私は思いません。少なくとも国も846兆円の赤字、神 奈川県も、そして、横浜市も税収が落ちています。そういう状況の中で、つくる話ばかりするの はどうか。  確かに小川さんが言ったように、谷畑市長は福祉に手厚いから当選した。そんなことはないと 思います。イケメンだし、あの人に勝てると思わないから、だれも対抗馬がでなくて無投票で当 選しているんです。そういう状態だと滋賀県在住の人に聞きました。そういうことを把握しなが ら話をしないと、今日は相談の面だから、みんなで太平洋戦争を突っ切っているようで、私はそ れが感想です。  だから、自立支援協議会というのは、既に障害者施策推進協議会がある中で、新たにそこの事 務局に仕事を委ね、そして、公務員だって口には出せないけれども、厚労省もこの前、そこにい る事務局の胡内君たちが朝の4時まで仕事をしていたそうです。それだって、マスコミには居酒 屋タクシーと書かれて、肩身の狭い思いをして、多分、帰っていると思います。みんながこの日 本を大変にしてしまっているんです。そういうがんじがらめの中で、せめて精神科医が、経済効 率最優先の日本の国の今のありようが問われているぐらいの話をしてもらいたいのに、相談がど うしたとかこうしたとか。これは感想です。  次は意見です。  6ページ目です。田尾構成員に言っていただく前から思っていたんですけれども、ピアカウン セリングと入っているんですけれども、ピアサポート活動の中のピアカウンセリングだと思いま す。ピアセンターを全国的にというけれども、それは言っていただかなくても、患者がそういう 気持ちになって立ち上がったときに、行政にきちんとお金をつけていただく。何度も言っていま すが、既に立ち上がっているピアサポートセンターやセルフヘルプセンターをここの相談事業に 入れるのか、地活に入れるのかはその人たちの判断だし、またそういう項目を立ててくれと言っ たら、それを取り上げてほしい。そういう時代に入っています。  14ページ目です。都道府県相談支援体制整備事業の中に、これが上か下かわかりませんけれど も、事業の具体的内容に是非ピアサポート活動を入れていただきたい。現在、私は神奈川県の患 者会の事務局長をやっていますが、89万円の予算で事業をやっています。ですから、そういうこ とを入れていただきたい。  それと、私、神奈川人権センターの人権ケースワーカー、横浜市障害者110番相談員とかいろ いろやっているんですけれども、いろんな相談を受けている中で、本当に家族の相談が多いんで す。良田さんは全く発言なさらないんだけれども、昨日も京都に行っていたら、本人不在で家族 が気の毒だと言っていました。ここの大方も確かに良田さんの静けさに比べて、広田和子はうる さい、しゃべりまくり、これでは我々だって迷惑だ。さぞかし家族は大変だろう。でも、私がこ こでしゃべっていられるのも、母が亡くなったからです。7年前にや亡くなって、ほっとしたと 言ったら、家族の人が親が亡くなってほっとしたと言っていることに罪悪感はないのと。でも、 ほっとできないような親であってほしかった。もしそういう親だったら、私も医療ミスの注射を 打たれなかった。そういうふうに家族が医者に愚痴を言いに行って遅れている精神医療の中で、 本人が不利益を受けている。そういう意味で、家族のピアサポートなどいろんなところでやって いますね。家族のピアカウンセリングです。そういうものはここに入れなくていいんですか。  そういうことで、感想と意見でした。 ○樋口座長  良田構成員、手を挙げておられましたね。どうぞ。 ○良田構成員  私の感想ですけれども、先ほど長野構成員がおっしゃいましたように、相談はとりあえず幅広 く受けられる体制をつくっていただきたいというのが、私の現実的な要望です。というのは、余 りにも家族も、多分、当事者も、相談をする場所がないんです。  今、保健所と市町村の相談体制については実態調査中とおっしゃいましたけれども、私はほと んど当てになっていないと思っております。保健所は減ってしまいましたし、市町村は歴史があ りませんから、やれと言われても、なかなかできないというのが現実だと思います。これから勿 論期待したいところですけれども、実際はさまよっているのが現状ではないかと思います。  私、身体と知的の障害者相談員の方の研修などに関わらせていただいているんですけれども、 障害者110番でも何でも精神の人は増えたと言われるんです。そのたびに何となくお願いします という言葉が出ながら、でも、やはりちゃんと本気で聞いてあげてください。私は障害の違いよ りも、まず聞くということをしっかりしていただきたい。障害種別というのは、例えば肢体不自 由の人が、聴覚障害の人の問題というのはわからないというんです。ですから、専門性を突き詰 めていくと、極めて難しい問題になっていくだろうと思います。それは将来的な課題としてはあ ると思います。専門性の追求というのは、絶対にあると思います。  でも、まずは初期相談です。しっかりと聞いて、その問題というのは何なんだ、何に悩んでい るのか、何が困っているのか、どうすればいいのかということをしっかり受け止められるような 相談体制、現実的な面からいうと、私はそれを望んでおります。  それから、広田さんがおっしゃったように、その中に家族同士、当事者同士のピアカウンセリ ングというものをしっかり組み入れていくことも必要だと思っています。家族会では、家族相談 員の研修を既にしております。精神障害者は身体、知的のような相談員制度がございません。自 立支援協議会の構成の中にも、障害者相談員というものが入っております。それは知的と身体の 障害者相談員のことで、精神障害者の相談員というのは、行政の方であって、当事者制が全くな いものです。ですから、本当は相談員制度を平等につくってほしいんですけれども、今、急につ くれといってもそうはいかないかもしれませんので、もう少し当事者の相談に乗れるような、た だ、きちんとしたシステムづくりも必要だと思いますし、私たちもそういう人材、家族の人材を つくっていく努力をするつもりでいますので、そういったものの活用もしっかりと考えていただ きたいと思っております。  私の感想と意見です。終わります。 ○樋口座長  ありがとうございました。  中島構成員、どうぞ。 ○中島構成員  物静かな私ですから、今日も静かに過ごそうと思いましたが、実は相談支援についてございま す。私としては、書いてあることは非常にいいと思います。ただ、本当にうまくいくんだろうか という不安がぬぐえなくて、ずっと黙っていたんですけれども、やっと思いつきました。  これは厚労省の課題ではなくて、内閣府の課題にすればいいと思います。その理由は、要する に予算をどれだけ投下できるか。地方自治体をどれだけ元気にすることができるかというところ にかかっているわけです。今のままの地方自治体へこの課題を下ろしていっても、実現する力は ないと思います。ですから、消費税を上げようが、埋蔵金を掘り出そうが、赤字国債を大増発し ようが構いませんから、ここで十分過ぎる予算を地方へ投下する。国家として投下する。投下し た以上はきちっと監視もし、モニタリングもする。そして、予算をまず洪水のようにあふれさせ ておいてから、さっと引く。こういうことをやったら、きっとうまくいくのではないかと私は思 いました。  それから、これは話が違うんですけれども、昨日の『読売新聞』に大々的なキャンペーンをや っていただいて、本当にありがとうございました。 ○樋口座長  お待たせいたしました。末安構成員、どうぞ。 ○末安構成員  明るい話の後に暗い話になってしまうんですけれども、そういうふうになったらいいと私もお りますけれども、今ここで議論していることは、赤坂見附の駅の辺りの人にどうだと言ったら、 多分だれも何もわからないのではないかと、先ほどからずっと聞いていて思っていました。  今日、分厚い資料をつくっていただきましたものを、私なりのとらえ方としては29ページ、 30ページ、特に29ページなんですけれども「検討の視点」のところで、障害者が精神科病院、 障害者施設から退院・退所した場合に、地域で継続して安心して生活できるようにするためには、 あるいは家族から独立した生活を目指していくためにはというところだと思っているんですけ れども、その前提が25ページで、このような設計をしてきた。  しかし、設計どおりいかない。つまり、車の設計図を書いたけれども、正しかったはずなんだ けれども、すきなくやったつもりなんだけれども、動かない。それは中島先生のお話ではガソリ ンが足りない。ガソリンが入っていないのではないかという話だったと思うんですけれども、私 はそれだけなのかと思うわけです。エコだからガソリンのない車をつくろうとか、そういうこと ではなくて、今、我々にとって何が一番必要なのか。  そういうふうに考えいきますと、一つひとつの制度の問題あるいは今、実施されている体制の 問題も確かにあると思うんですけれども、国民の側にも一緒にやってもらうには何か一番いいの か。細い線でも、確実に前に進めるのは何かということを、こういう場所は考えなければいけな いと思います。  私が思うのは、今は地域移行支援という言葉に変わりましたけれども、退院促進支援事業がい ろんな地域の意識を変えたということは、多分、担当課の人たち把握していると思います。それ に関わったこの中の方たちもわかっていると思います。つまり、乱暴な言い方ですけれども、精 神病院の中からは出せない。外から入っていって連れ出そう。誤解のある言い方かもしれません けれども、そういう作戦だったと思います。それは精神病院だけではないです。知的障害の施設 もそうですし、そういう意味では身体障害施設の方たちも同じことが言えるかもしれないし、介 護保険の関係の施設もそうかもしれない。しかし、それは、相当綿密な仕込みが必要なのではな いかと思います。  退院促進支援事業はまだ5年ぐらいです。その成果をどういうふうに分析されているかわから ないし、ここでは聞いたことがないんですけれども、私が関わっているところで聞く限りでは、 例えば70歳の自立支援員さんが68歳の人の退院支援をしている例とか、よく言うと老老介護で す。悪くそういうことを言う人もいるけれども、現実にはそれによって物すごく、でも、その方 が地域で暮らしていくために手を携えてやっていくことは可能になっている。30年も40年も50 年も入院している人たちを出してくるということが可能になっているわけです。  25ページの下の「ライフステージの変化」、車の図面の書き方のところですけれども、30年、 40年、50年と入っている人に、この図面でハンドルを握ってくださいと言えるかといったら言 えないんです。これでは歩き出せないわけです。  それに対して、今までの精神病院の閉鎖性がとか、精神病院のやってきたことの暴力性とかそ ういうことを言うことは簡単なんですけれども、しかし、現に32万人入院されているわけです し、その40%以上が65歳になろうとしているわけだから、その人たちを少なくともどうするの かということを設計としてちゃんと出すべきではないかと思います。位置づけるということをや るべきではないか。それがないと、幾らこういうことをやっていても、それはそこで救われる方 はいると思います。あるいは新しく医療にうまく結び付く、あるいは医療をうまく使わないでや っていくこともやっていくことができるかもしれない。  しかし、実際に、今、我々の背中に課せられているのは32万人入院している方で、それをま た更に支えている残りの3万人、35万のベッドがあって、そこに精神障害者の方たちがいらっし ゃるということをどうするかということなんです。それが最大のポイントだと思います。そのた めには、これでいけるか。この利用計画作成費で本当にできるのか。もしできるとしたら、それ はだれがやってくれるのかと考えないと、話は全く前に進まない。  結局、ここでいろんな案をつくって、あとは社保審の方でまとめてくださいといっても、そこ には届かないです。32万人の人が入院したままという現実は、入院している人の入れ替わりはあ るかもしれないけれども、あるいは何年以上の人を長期在院と呼ぶのかというところの変化はあ るかもしれないけれども、でも、そこで命が終わる人たちがいるということをどう考えるかのと いうことがないと前に進めないのではないか。それを是非議論していただきたい。それはここと いうよりは、もっと別な場所なのかもしれないけれども、今まで精神医療に関わってきた、精神 科の福祉に関わってきたという人たちがそれを考える義務はあると思います。だから、こういう 場があるのではないかと思っています。  そういうことで、1つだけ具体的に言うと、今の設計では、医療をうまく使ってやっていこう とは言えないんです。自立支援法でいえば、自立支援医療費のところに関しては自立支援法の中 に入っているんですけれども、しかし、実際に入院されている方の部分までどうするかとか、そ れは医療だからという。あるいは診療報酬でというわけですけれども、でも、ここで考える意味 は何だ。ここではどこまで考えられるのかと位置づけないといけないと思います。  自立支援医療費を、つまり、退院した後は自立支援法で見ていくというのであれば、当然、退 院を促進していくような機能についても、自立支援法の中で見ていいのではないか。それは法的 には併給にはならないのではないかと私は理解するんですけれども、それも併給だ、だめだとい うことであれば、議論は平行線なんですけれども、そこまでやっていいのではないか。そうでな いと、逆に自立支援医療費を自立支援法の中で見ているということに矛盾が生じるのではないか と私は思います。  以上です。 ○樋口座長  大分時間が迫ってまいりましたので、まだ一度も御発言されていない方で、御発言予定者はい らっしゃいますか。もしあれば、その方を先にしていただいて、2ラウンド目の方に短い御発言 をしていただければと思います。 ○山根構成員  資料の紹介を最後に2〜3分だけお時間をいただけますでしょうか。 ○樋口座長  わかりました。ちょっと待ってください。  寺谷構成員、どうぞ。 ○寺谷構成員  最後に発言していない構成員というところで、貴重な存在として残ってもいいと思っていたん ですが、私は少し相談支援体制といったときに、あらかじめ決まった人が相談をして、そして、 相談される人と二極に分けてシナリオを描いたからということを考えてしまいました。  そうではなくて、今日、私40年ぐらいになるんですが、精神保健、医療、福祉の歴史の中で 一番変わってきているのは、だれもが参加して共同していくというような相談支援に関しても、 リハビリテーションに関しても、そういった観点が一番変わってきて、すばらしいと私は思って います。日本も捨てたものではないと思っています。  そうした社会福祉の中で、公私共同の福祉社会の実現ということがよく言われていまして、3 年ぐらい前ですか、公私があるんです。公がやる、民がやる、私がやるということではなくて、 両方あって、それが共同するんです。そういう考え方に立つということを私は基本と考えており ましたし、このあり方検討委員会もその方向性でいっていると思いました。ですから、医療の中 に一定程度の問題の所在があるというような考え方も一方ではございましょうかけれども、実際 に私たち自身が問われているんだという視点を少しは持たないと、この問題はなかなか解決して いかないと認識します。  伊藤順一郎さんという精神科のお医者さんがいらっしゃいますが、その方がよく提唱していら っしゃることですが、心理教育的な視点、心理教育アプローチと言っているんですが、精神疾患 を経験なさった人は、課題に挑戦してきた経験の蓄積の中から、どのような対処とどのような環 境が必要なのかを一番よくわかっていらして、私たちに教えてくださる人なんです。広田さん、 いつもどうもありがとうございます。 ○広田構成員  お互い様です。 ○寺谷構成員  家族はそういう精神疾患を経験なさった人と24時間御一緒に過ごしていらして、そして、ど のような対処が必要で、どのようなサポートが必要なのかを一番経験して、学習なさっている存 在として尊重されて、そして、その他の市民や専門家はどういう立場なのか。こういう専門家の 方たちの中でわかり切ったことを言うのは申し訳ないんですけれども、自分の学習のために申し 上げますけれども、要はそういう人たちから学んで、学習してきた経験をもって、そして、対応 してきた臨床の経験をわずかながらでも積み重ねてきたものとして尊重される。この3者が尊重 し合う関係の中で相談支援体制というものを展開して、実施していければ、それが包括的だと私 は考えておりました。  お隣で市長さんがいらして、こんな市長さんが私の生まれ育った町にいらしたら、きっと一番 乗りになると思います。私の暮らしている板橋区もとてもすてきな区長さんなので、そんなに心 配していないんですけれども、それはさておき、相談支援事業というのは精神障害者のためとい うことは勿論なんですけれども、私たち自身の社会、地域のための相談支援事業と考え直して一 緒にやっていく。私の言っているのは確認です。別に新しい提言でも何でもないです。そんなふ うに認識しておりました。だれもそういうことを発言していないからね。そう認識しながら、こ こにおりました。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、あと御発言が3人いらっしゃって、残り時間が10分でございます。山根構成員が 一番短いとおっしゃいましたので、まず、どうぞ。 ○山根構成員  今、二極分化が進んでいる中で、末安構成員は高齢者とか長期在院について話されましたが、 机上配付資料をごらんください。これは精神科急性期の早期リハビリテーションの臨床データで す。、早期リハは、要安静期が終わった、亜急性期から始めています。  入院患者の7割以上の方が統合失調症と言われていますが、病状に応じて早く安定して退院し ていただくと、統合失調症の比率は資料のように3〜4割になります。これは社会的入院で長期 入院している多くが統合失調症の方たちだということを表しています。また年齢では、20代から 30代ぐらいが中心ですが、50代後半から60代にかけて気分障害と認知症の方が増えていること がわかります。  精神科急性期リハでは、1週間目までに3割ぐらい、2週までには6割ぐらい開始しています。  右の図は、早期リハを開始してどのぐらいで退院しているかを示したものですが、4〜5割が 1か月ぐらいです。半年から1年を超える人は、1、2名しかいません。  落ち着いたらリハビリテーションをといっている間に長期化する。早い時期に開始することが、 退院促進にいかに必要かということが、この結果からわかると思います。  17頁の図は、早期リハでは平均40日ぐらいで退院されますが、その帰り先を示したものです。 基本的には元住んでいた場所に9割以上の方が帰られています。入院が1年を超えると住む場所 などいろんなことを調整しなければいけなくなります。自宅に帰られるのがいいというわけでは ありませんが、早期にリハビリテーションを行えば、大変な調整をしなくても元住んでいたとこ ろに帰ることができるということです。  18頁は早期リハのシステムですが、精神科早期リハが精神病症状の早期軽減や精神疾患への発 展の防止になり、ひいては、入院費用を含めてマネジメントコストの減少になります。病床数の 削減もありますが、いかに機能分化を図って病床配分をするか、費用も大きな増額は望めないの で、配分も考えた新たな診療報酬体制を考えなければいけないと思います。  退院後いかに地域で支えるか、地域で支えるためには、入院医療をきちんと整備しないと、地 域で支えるといっても難しいのではないかと思います。 ○樋口座長  門屋構成員、どうぞ。 ○門屋構成員  相談支援体制が全国的にばらつきができた理由はいろいろとあろうかと思います。今日の議論 の中にもたくさん、その理由となるべきものが見つかったかに思います。  1つの大きなものは、実はこれは相談支援事業が始まる前に、1995年には7か年戦略が立て られたわけですが、そのときに、なかなか市町村が計画を立てられなかった。このことに象徴さ れているかと思うんですが、先ほど末安構成員の話にもつながるところでもあります。  要するに、どういうことかといいますと、相談するべき人が地域にいない。そういう地域がた くさんある。こういう現状であります。今の末安さんの話については、いずれできるだろうと思 っていますので、それはまた年を明けたこの会に私は大変期待をしております。  それとは別に、今日の資料に基づく相談体制の充実と考えていただく部分で、自立支援協議会 との関係について少し希望を申し上げたいと思います。  まず1点は、自立支援協議会というもの何をやるところかということについては、るる書かれ ていますしマニュアルも出ているわけですが、実はそれでもなおかつなかなかできないというと ころの1つは、具体的に自立支援協議会が行うべき業務として、考え方としては、その地域にい る相談を受けている人たち、相談を受けた人たち、このことをきっとそこに報告をする。なおか つ、そこで大変困難という言葉が正しいかどうかわかりませんが、みんなで検討した方がいいと いうことについて、検討をするといったさまざまな仕事、自立支援協議会で必ずやるんだという ことをちゃんと決めていければ、おのずからこの部分から積み上がってくるものがある。あるい は地域課題が見えてくる。  個人のニードを明確にするということは、Aさん、Bさん、Cさんに共通したニードがあれば、 それは地域のニードということになっていきますので、そういうことが自立支援協議会のもとも との目的だったと思っています。  それをきちっとできる体制は、ケアマネジメント体制ができて、その報告をちゃんとする場所 という形をとっていくべきである。  それから、マネジャーの研修のことも少し出ていましたが、私は都道府県の自立支援協議会も さることながら、市町村、それは広域でも構わないんですけれども、自立支援協議会も当然継続 研修の機能を持っていると考えています。それは事例検討も含めて、あるいはそこに新しく加え てほしいと思っているのは、グループスーパービジョンとか、そういうことも可能であるという、 そういったシステムを考えていくべきだと思っています。  研修に関してのケアマネジャーをどのように育てるかについては、私なりに考え方は持ってい ますが、そこのことは、今日はもう時間がありませんので申し上げられないんですけれども、い ずれにしましても、国がやっているマネジャーの指導者養成研修を受けた方々が都道府県に帰っ て、都道府県の研修をその人たちが中心になり、きちっと組み立てる。それを自立支援協議会の 中の機能として、業務として位置づけていくとか、そういった現実具体的な業務をもう少し入れ 込むということを、今後、特に改正のときには考えてもらいたい。それが幾つか私どもの方には、 考えているものがあるということを申し上げて、ちょっと時間がありませんので、具体的なこと は避けたいと思います。 ○樋口座長  それでは、最後3分残りました。上ノ山構成員、お願いします。 ○上ノ山構成員  サービス利用計画の作成のことがケアマネジメントと混同されて議論されているようで、それ は残念です。これは違うものであるということを確認したいということが1つ。  それから、サービス利用計画作成が非常に少なかったということ。これはさまざまな原因が考 えられますけれども、最初に対象者を3種類に、地域移行とか単身者とか、その他に限定しまし たけれども、そういうこともありますが、自立支援法では支給決定のプロセスの透明化、平等化 ということがうたわれていますけれども、このことは、必ずしも実現されていなくて、市町村の 担当者の恣意性によって、支給決定が決められるということが非常に多いわけです。それで、そ こにケアマネジャーが入っていけないという体制が、現在、あると思います。  ですから、サービス利用計画作成の対象者を設定し、支給決定するのは、現在は市町村の恣意 性に委ねられているという現状がありますので、これを相談支援専門員の質を高めることと同時 並行に、相談支援専門員と共同で作成するという形をつくっていただけたらと思います。  それから、サービス利用計画を作成するのは、簡単そうで非常に難しい。つまり、ケアマネジ メントに入ること自体が非常に難しい。例えばそのことに関して、同意書をとろうとするだけで、 患者さんは自分のことに対して何か悪だくみを周りの人が仕組んでいるのではないかというこ とで悪くとってしまったりすることがあります。そういうことで、そういう支給決定のプロセス のもっと前の段階から、非常に丁寧な長いやりとりがあるわけです。そういうものを含めたもの もケアマネジメントと当然呼ぶべきであって、その段階ではサービスは提供されていませんけれ ども、そういうものも含めて認めていくケアマネジメント体制というものをお願いしたいと思い ます。  もう一点は、22ページに単なるサービスの組み合わせだけではなくて、生活全般に関わる援助 の目標や計画を作成と書かれていますので、サービスを組み合わせるだけではなくてもケアマネ ジメントということを認めているかのように書かれているわけです。実際は、現在の自立支援法 のサービスを使わないとケアマネジメントとして認めてもらえないという現状があります。  例えばたまたまその方がデイケアと訪問看護だけで生活支援を受けている場合であれば、ケア マネジメントの結果、そういうふうになっていたとしても、それはサービス利用計画作成には当 たらないという事態になっていると思います。ですから、医療サービスも福祉サービスも含めて、 さまざまなサービスを組み合わせて支援体制を組んでいくことがケアマネジメントであるとす るならば、たまたま結果的に福祉サービスが入っていなくても、当然これはケアマネジメントと いってしかるべきではないかと思います。  それと、入院中から地域移行に向けて行う在り方もケアマネジメントと呼ぼうという提案を今 日されていましたので、これは非常にいいと思います。その場合は、明らかに入院中だから福祉 サービスを受けていません。そういう医療サービスのみ受けておられる方に対して、ケアマネジ メントを行っていくということですから、これは当然、先ほど私が言いましたように、医療サー ビスに偏ったサービスになっているのかもしれないけれども、その段階から既に、ケアマネジメ ントを行っていると認めるということになるのではないかと思います。そういう形で、もう少し 幅広くケアマネジメントをとらえていただけたらと思います。  以上です。 ○広田構成員  座長、済みません。資料が出ていますから、ちょっと訂正だけです。 ○樋口座長  どうぞ。 ○広田構成員  読んでいただければ、私が脳梗塞になったことで、精神の業界ではない病気のことを知って、 今年書かせていただいたものが出ています。今日なぜか議題とは全然関係ないんですけれども出 ていますから、訂正をさせていただきます。  こちらのB4の方です。『偏見と差別、一般社会は流れている』の17ページです。一番上の段 の上から3行目、私はイベントで精神医療関係者なんですけれども、実際は精神医療福祉行政関 係者なんです。そこを加筆してください。  それから、末安さんが先ほどおっしゃった社会的入院の話を明確におっしゃっていただいて、 お元気そうなので安心しました。社会的に入院は、もう一つの拉致ですから、これからも頑張っ てやっていきましょう。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  司会の進行の手際が大変悪くて大分超過してしまいました。これで本日の検討会を終了させて いただきます。  あとは、事務局から今後の日程等のついての御連絡をいただきます。 ○林課長補佐  どうもありがとうございました。  次回、第12回は10月29日水曜日15時から17時半でございます。場所は航空会館でござい ます。本日と場所が異なりますので、御注意をお願いいたします。 ○樋口座長  それでは、どうもお疲れ様でございました。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)