08/10/06 第47回厚生科学審議会科学技術部会議事録 第47回厚生科学審議会科学技術部会 議 事 録 ○ 日  時 平成20年10月6日(月)15:00〜17:00 ○ 場  所 厚生労働省 専用第21会議室(17階) ○ 出 席 者   【委  員】垣添部会長         石井委員   今井委員   岩谷委員   川越委員         木下委員   笹月委員   竹中委員   福井委員         松本委員   宮田委員   宮村委員   望月委員 【議  題】  1.平成21年度科学技術関係予算の概算要求について  2.平成21年度厚生労働科学研究費補助金公募研究事業について  3.遺伝子治療臨床研究について  4.ヒト幹細胞臨床研究について  5.「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の見直しに関する専門委員    会の設置について  6.その他 【配布資料】  資料1.平成21年度科学技術関係予算の概算要求について  資料2.平成21年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(案)  資料3.遺伝子治療臨床研究実施計画の申請について(京都府立医科大      学附属病院)  資料4.ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について  資料5.「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の見直しに関する専      門委員会の設置について(案)  資料6−1.厚生労働科学研究費のあらまし  資料6−2.e-Radを利用した厚生労働科学研究費補助金の公募について  参考資料1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿  参考資料2.遺伝子治療臨床研究実施計画の申請に関する参考資料  参考資料3.ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料  参考資料4.厚生労働省の平成21年度研究事業に関する評価(概算要求前の        評価) ○坂本研究企画官  傍聴の皆様にお知らせします。傍聴にあたっては、既にお配りしています注 意事項をお守りくださいますようお願いします。  それでは定刻を過ぎましたので、ただいまから「第47回厚生科学審議会科学 技術部会」を開催いたします。委員の皆様にはご多忙の折、お集まりをいただ き御礼申し上げます。本日は金澤委員、菊川委員、北村委員、佐藤委員、末松 委員、永井委員、西島委員、南裕子委員、南砂委員からご欠席の連絡をいただ いております。委員22名のうち出席の委員は過半数を超えておりますので、会 議が成立いたしますことを報告いたします。  続きまして、本日の会議資料の確認をお願いいたします。資料の欠落等がご ざいましたらご指摘くださいますようお願いします。議事次第をご覧ください。 半ば以降に配布資料一覧がございます。資料1が「平成21年度科学技術関係予 算の概算要求について」、資料2が「平成21年度厚生労働科学研究費補助金公 募要項(案)」、資料3が「遺伝子治療臨床研究実施計画の申請について(京都府 立医科大学附属病院)」、資料4が「ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請につい て」、資料5が「『ヒト幹細胞に用いる臨床研究に関する指針』の見直しに関す る専門委員会の設置について(案)」、資料6-1が「厚生労働科学研究費のあらま し」の色刷りの資料になっています。資料6-2が「e-Radを利用した厚生労働 科学研究費補助金の公募について」。参考資料といたしまして4点、「委員名簿」、 「遺伝子治療臨床研究実施計画の申請に関する参考資料」、「ヒト幹細胞を用い る臨床研究実施計画の申請に関する参考資料」、「厚生労働省の平成21年度研究 事業に関する評価(概算要求前の評価)」、以上4点を参考資料としてお配りして おります。資料についてはよろしいでしょうか。  それでは部会長、議事の進行をよろしくお願いします。 ○垣添部会長  皆さんこんにちは、お忙しい中を第47回の厚生科学審議会の科学技術部会に お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。お手元の議題でまいり たいと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事に入ります。最初に「平成21年度科学技術関係予算の概算要求について」 事務局から説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  それでは資料1「平成21年度科学技術関係予算の概算要求について」という 資料について説明をいたします。1頁、平成21年度の厚生労働省の科学技術研 究の推進の基本的考え方となっております。平成21年度の概算要求額に関して はこの頁の右上の枠の中にございますが、下の方の厚生労働科学研究費補助金 につきましては、昨年度の428億円に対し、31%増の559億円を要求しており ます。科学技術関係予算全体につきましては、昨年度の1,364億円に対して28% 増の1,740億円の要求となっております。  厚生労働科学研究につきましては、キーワードとして、「健康安心の推進(健 康寿命の延伸)」、「先端医療の実現」、「健康安全の確保」、こういった三つの分 野を図に示しておりますが、ここにありますように各分野ごとに主要な課題と 概算要求額と今年度の予算額をこの図の中に記載しております。厚生労働科学 研究は、第3期科学技術基本計画が示しております理念の実現、戦略の推進に 貢献して、安全・安心で質の高い健康生活を実現しようという取組で、それを 図示したものです。平成21年度は健康安心の推進関係、それからいわゆるスー パー特区の関係もありまして、先端医療の実現の(2)臨床研究(治験)基盤の整備 の推進といったところの要求額が大きくなっております。  2頁は「平成21年度厚生労働省科学技術関係予算概算要求の概要」の資料で す。厚生労働科学研究費補助金に関しましては、新型インフルエンザ、肝炎対 策、難病対策、認知症対策等に重点をおいております。この難病の関係のとこ ろと、3.先端医療の実現の関係、この中には、スーパー特区向けの予算要求も 含まれています。  3頁は、厚生労働科学研究費補助金に関しまして、その概要を示したもので す。平成21年度要求に関しましては、かなりメリハリを付けた予算要求となっ ております。厚生労働科学研究は、国民の健康や安全に直結することが多い研 究でありますことから、厚生労働科学研究全般につきまして来年度以降も着実 に推進を図っていきたいと考えており、今後も努力する所存です。資料1の説 明につきましては以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございます。「平成21年度科学技術関係予算の概算要求」の説明 をいただきました。何かご発言はございますか。はい、笹月委員。 ○笹月委員  医療特区の予算も含まれているとのお話でしたが、あれは文科省、経産省等 も含まれているわけです。そうするとこの厚労省側の要求というのはどのくら いの額になるのですか。 ○坂本研究企画官  要求段階の内数としては、一応55億円ということになっております。これは あくまで要求段階でして、予算はかなり厳しい状況があり、実際にどのくらい になるかは今後の状況によりまして、要求をしたからそれがどのくらいという ようなことは言える状況ではございません。 ○笹月委員  他の省との取り合いは他の省と大体同等ですか。 ○坂本研究企画官  他の省の状況の詳細なところについてまでは、今、この場で申し上げられま せん。特区そのものにつきましても、現在公募をしてその選考過程ですので、 特区に関しては、正直まだ走りながら考えているようなところもあります。特 区が出来上がったあと、これをどのように特区事業を加速するために使えるか という話になってくるところもあり、その辺も含めて予算編成過程で議論があ るところです。 ○宮田委員  これはとてもいいことなのですが、難病の予算を4倍増にしていらっしゃい ますが、そこら辺の背景をもう少し教えていただけますか。 ○矢島厚生科学課長  これにつきましては、大臣の指示で、難病の患者さんたちとの話の中で、難 病の方々は数が少ないとのことでなかなか大きな声を出すことができなかった こともあり、大臣から直接指示をいただきました。いまがんばっているところ です。 ○福井委員  常々感じていることですが、医療行政のための研究、例えば本当に医師が不 足しているのか、専門医がどこにどれだけ足りないのか、研修制度の評価など、 私が知る範囲ではあまりにも資金が少なくて、しっかりした根拠に基づいた医 療政策が、あまりにもデータが乏しいので行いにくいのではないかと思います。 そういうことから、医療体制を考える上でもうすこし恒常的研究資金が投入さ れるべきだと感じているのですが。いまここで伺っていいかわかりませんが。 ○垣添部会長  はい、大事な話ですのでどうぞ。 ○矢島厚生科学課長  いま委員からご指摘いただきました点も、私たちも重要だと思っています。 今回もあとでご審議をいただきます。厚生労働科学研究費補助金の枠もあるの ですが、それとは別にいまご指摘がありましたいろんな臨床研修のあり方も含 め、いろんな体制については、また別の枠組みも使いながら対応を適宜に、例 えば国会のいろんな審議の中でも問題が出てきてたときに合わせて、調査研究 をさせていただく枠組みがありますので、それについては世の中の動きに応じ て対応させていただけると考えております。 ○今井委員  タイトルを忘れてしまったのですが、平成17年から26年までの10年間の数 値目標を決めて、「健康安全戦略21」でしたか、働き盛りの人々の生活習慣病 とこころの健康、高齢者の介護予防ともうひとつ女性のがんがあったと思いま す。ここで拝見をしたところ女性のがんだけ抜けているような気がするのです が、ここ女性の場合には、子どもの健全な成長と発達及び女性の健康向上に関 するというところだけになっています。 ○健康局総務課がん対策推進室  はい、がん対策推進室です。女性のがんにつきましては、第3次対がん戦略 研究事業の中でもちろん含まれていますし、それらの取組み、また事業のほう でもしっかり取り組んでいくことになっております。 ○垣添部会長  まだ意見があるかとは思いますが、一応時間の関係がありますので、「平成 21年度科学技術関係予算の概算要求について」はここまでにしたいと思います。 ありがとうございました。  議事2.「平成21年度厚生労働科学研究費補助金公募研究事業について」事 務局から説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  それでは資料2をご覧ください。「平成21年度厚生労働科学研究費補助金公 募要項(案)」です。こちらにつきましては大部の資料ですので、少し要点をし ぼる形で全体の説明をさせていただきます。資料2の1頁の1.「厚生労働科学 研究費補助金の目的及び性格」のところでは、まず研究費の目的等を最初に記 載をいたしまして、また、厚生労働科学研究費補助金はいわゆる補助金適正化 法等の適用を受けるといったことを記載し、注意喚起等も1頁の四角の枠の上 のほうでしております。1頁の四角の枠の中に平成21年度公募研究事業の一覧 を記載しております。予算成立前でもありますので組み替えも含めて新規なも のについては(仮称)として四角の枠囲みの下の※のところで、この仮称につ いては予算成立後に削除する予定であることを書いており、この※のところに は早期に補助金を交付するため予算成立前に公募を行っており、予算の成立状 況によっては新規採択予定課題数を下回る場合などもあると留意事項を記載し ております。  2頁からがII.「応募に関する諸条件等」です。まず応募資格者について書い ています。3頁以降に(3)「対象経費」関係の記載があり、4頁の下のほうに学 会参加費等の記載があります。今回この辺りを修正しておりまして、5頁の上 のほうに国内学会や国内で開催される国際学会の学会参加費についても、補助 できる場合がある旨追記しております。5頁のいちばん下の※ですが、対象経 費の取扱いにつきましては、他の研究事業の研究費の規定等も参考に、できる だけ研究しやすいように、見直しできるところを検討中でして、種々の要因に よってなかなか簡単にいかないところもありますが、見直しを行いその結果は、 今後公表することとしておりまして、そのような予定があることをこちらのほ うに記載しております。  キ.の間接経費につきまして、それまで3千万円以上の課題について間接経費 を交付していたところを、平成20年度から2千万円以上としております。現在 2千万円以上ですが、平成21年度はこれにつきましてもう一度見直しを予定を しております。本日の段階では、まだいろいろと検討をするところがあります ので数字を記載できるまで詰め切れておりませんが、この○○のところが2千 万円よりも大きな数になることはございません。○がよけいに付いておりまし て申し訳ありません。これは今気がつきましたが単なる記載ミスです。できる だけ数字が下げるように検討をしています。  6頁(4)の「応募に当たっての留意事項」では、補助金の管理及び経理の事務 につきましては、ア.で、研究代表者等の所属機関の長に必ず委任をしてくださ いと書いています。これは昨年度もそうでしたが、機関経理事務の徹底でこの ような形になっております。その他に不正等に対する対応に関する留意事項を いくつか記載をしております。8頁の下のほうの※のところでは、利益相反の 管理に関しての記載もしております。  9頁のキ.「府省共通研究開発管理システムについて」、これはe-Radについ ての記載です。後ほど別途、今年度の二次募集でe-Radを用いてますので、そ の報告もさせていただきますが、この1月からe-Radが稼動しておりますので この公募でe-Radを用いることになっています。システムの使用に当たっての 留意事項とか、利用可能の時間帯、研究機関の登録が必要である旨の注意喚起、 研究者情報の登録、個人情報の取り扱い、システム上で提出するに当たっての 注意事項等についての説明も記載しております。操作方法に関するマニュアル は、e-Radのポータルサイドから入手できるようになっておりますが、公募要 項のほうでも、あらあらとした説明は書いてあります。  12頁(9)の「その他」のところでは、研究の成果の行政効果報告WEB登録等 につきまして記載をしています。13頁のエ.のところでは先ほどのe-Radの関 係でもありますが、政府研究開発データベースへの入力ということで、補助金 で行う研究についての情報は、e-Radを通じて政府研究開発データベースに提 供されること、14頁のオ.の「競争的研究資金の不合理な重複及び過度の集中 の排除について」のところでも、e-Radを活用することを記載しています。14 頁ク.「個人情報の取扱いに」ついて実際の記載は15頁ですが、こちらの情報 は内閣府に提供され、分析結果が公表される場合があるといった旨も今回明記 しております。16頁からはIII.「照会先の一覧」です。  20頁のV.「公募研究事業の概要等」です。補助金のうち本公募要項におい て公募を行う研究類型についてで、この公募要項は一般公募型と若手育成型の 公募要項であるとの説明を最初に書いております。  20頁の中段から〈各研究事業の概要及び新規課題採択方針等〉ということで、 1.行政政策研究事業があり、ア.政策科学推進研究事業では21頁の(1)社会・経 済構造の変化と社会保障に関する研究で、人口構造の変化と社会保障制度の相 互関係に関する研究など四つのテーマについて公募を行うことになっておりま す。(2)は22頁に(3)が23頁にありますが、三つの分野で公募を行います。23頁 にありますように若手育成型の公募も行うことになっております。若手育成型 に関しまして現在年齢制限の見直しを行っております。例えば、24頁の若手育 成型のところで、満○○歳以下の者となっております。平成20年度につきまし ては満37歳以下との規定でしたが、他の研究事業等では年齢制限がもう少し上 になっているものもあり、この対象年齢を少し引上げられないかとのことで現 在検討をしているところです。ここに37より小さい数字が入ることはありませ んが、現在検討中ということで○○との形にしております。  23頁の下のイ.統計情報総合研究事業では厚生労働統計調査の調査手法及び 精度の向上に関する研究等、若手育成型も含め六つのテーマを示しております。          25頁に移りまして(2)地球規模保健課題推進研究事業(仮称)です。新規の事 業でありますから予算の関係もありまして個別に、25頁の下のほうの※で研究 領域の内容や研究費の規模、採択件数等の変更がありうる旨注釈を記載してお ります。他にもこのような留意事項をあえて再度書いている事業があります。 こちらのほうでは25頁の下のところにありますように、技術移転に関する研究、 気候変動に伴う健康影響に関する研究、地球規模での保健課題に対応する人材 養成に係る研究につきまして若手育成型も含めて公募するものです。  28頁に2.先端的基盤開発研究事業があります。(1)の再生医療実用化研究事 業では28頁の下にありますように(1)各分野(神経・運動器、肝臓・膵臓、皮膚・ 感覚器あるいは歯等)における再生医療技術の早期臨床応用を目標としたエビ デンス創出のための研究、(2)再生医療を活用する新規治療技術の実用化に関連 した、細胞・組織等を用いる治療技術の安全性・品質の確保に関する技術開発、 若手育成型として(3)再生医療における革新的治療技術開発を目指した研究を公 募しようというものです。  30頁(2)の創薬基盤推進研究事業の中の(ヒトゲノムテーラーメード研究)で すが、(1)ヒトゲノムテーラーメード医療の実用化に関する研究を公募いたしま す。31頁には(次世代ワクチン開発研究)がありますが、(1)ワクチン基礎生産技 術の向上に関する研究、(2)ワクチン臨床評価に関する研究、(3)ワクチンの免疫 増強剤に関する研究の公募を行う予定になっております。  32頁に(生物資源・創薬モデル動物研究)があります。(1)がん、心筋梗塞、脳 卒中、認知症等の領域で開発が望まれる新規の疾患モデル動物(細胞等の評価系 を含む)の開発に関する研究、(2)自然発生病態動物の開発法・システムに関する 研究について一般公募をする予定です。  34頁の(3)医療機器開発推進研究事業の中の(ナノメディシン研究)では、(1) 超微細技術(ナノテクノロジー)を活用をした疾患の超早期診断・治療システム 等に係る医療機器等の開発に関する研究を一般公募し、若手育成型のほうでも 公募を行うことを予定しております。  35頁に(活動領域拡張医療機器開発研究)がありますが、こちらでは一般公募 型として36頁の(1)低侵襲診断・治療機器開発分野と(2)社会復帰型治療機器開発 分野での公募を行うことを予定しております。  37頁3.臨症応用基盤研究事業です。(1)医療技術実用化総合研究事業の(基 礎研究成果の臨床応用推進研究)は、(1)基礎研究の成果を適切に臨床応用するた めに実施する研究であって、薬理試験や用量探索試験に関する研究(がん及び再 生医療研究に基づくものを除く)の公募を行うこととしております。  38頁に(臨床研究基盤整備推進研究)があります。こちらの内容につきまして は39頁をご覧いただければと思います。(1)医療機関における治験・臨床研究基 盤整備研究、(2)治験・臨床研究基盤をつくる教育プログラムの開発研究、この 二つの公募を行います。  41頁の(臨床研究・予防・治療技術開発研究)では、(1)臨床研究のプロトコー ル作成研究、(2)既に作成したプロトコールに基づいて実施する臨床研究、(3)適 応外使用を含む技術に関する臨床研究、(4)統合医療分野の評価技術の開発に関 する研究、これらの公募を行うことを予定しております。  42頁(臨床疫学基盤整備研究)では、疾患別患者背景及び処方・診療実態デー タベースを構築するための仕様等の作成に関する研究の公募を行うことを予定 しております。  43頁の4.子ども家庭総合研究事業では、(1)妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原 因究明と予防策に関する研究、(2)地域における周産期医療システムの充実のた めの研究、(3)ライフスタイルの変化に伴う妊娠希望時の妊孕性減弱に対する病 態解明、新規診断法と治療法の開発のための研究等の六つのテーマの公募を行 うことになっております。  45頁の5.第3次対がん総合戦略研究事業です。46頁の(1)第3次対がん総合 戦略研究事業で、幹細胞制御によるがん治療法開発のための基礎研究のテーマ があり、それから、生活習慣とがん予防に関する研究、標準的検診法と精度管 理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究、がん検診に有用な腫瘍マー カーの開発に関する研究、高齢者に適したがん治療のアルゴリズムの開発に関 する研究やがん性疼痛等に関する生理学的機構を踏まえた新たな治療法の開発 等について公募することになっております。  50頁から(2)のがん臨床研究事業があります。こちらの分野は二つあります が、51頁にありますように、悪性胸膜中皮腫の病態の把握、診断法と治療法の 確立、登録システムの開発に関する研究等、若手育成型も含めまして全部で14 のテーマに関しての公募を行う予定になっております。  55頁の6.生活習慣病・難治性疾患克服総合研究事業です。これは(仮称)が付 くものです。その中の(1)循環器疾患生活習慣病対策総合研究事業につきまして は、循環器疾患等の生活習慣病の予防から診断、治療に至るまでの生活習慣病 対策に関する研究を体系的に実施しているもので、四つの分野があります。(健 康づくり分野)が10テーマ、57頁からの(健診・保健指導分野)で3テーマ、58 頁の(循環器疾患分野)では5テーマ、59頁の糖尿病戦略等研究事業では若手育 成型も含めまして4テーマの公募を行うことを予定しております。  61頁、新規なものですが、(2)腎疾患対策研究事業(仮称)です。こちらでは 診療のエビデンス確立及び実践に関する研究、並びに病態の解明及び治療法開 発に関する研究等三つのテーマについて公募することを予定しております。62 頁に(3)免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業があります。63頁(免疫アレ ルギー疾患分野)につきましては、若手育成型も含めまして63、64頁に示して あります8テーマ、64頁の(移植医療分野)につきましては、1テーマ公募する ことを予定しております。  65頁の(4)難治性疾患克服研究事業では、(1)横断的基盤研究分野の(1)生体試 料等の収集に関する研究、これは(仮称)が付くもので、(2)の研究奨励分野も(仮 称)が付くものです。67頁の(2)疾病の診断基準等作成のための奨励研究(仮称)、 (3)疾病の実態把握のための奨励研究(仮称)、こちらのテーマで公募することと しております。  68頁から7.長寿・障害総合研究事業(仮称)です。(1)の長寿科学総合研究事 業では、次の頁の69頁から公募の内容がありますが、(1)老年病等長寿科学技術 分野及び(2)介護予防・高齢者保健福祉分野で3テーマを示しております。  70頁に(3)運動器疾患総合研究分野があります。こちらでは、要件を二つ示し ています。比較的短期間(5年以内)に効果が見込まれる調査研究であること。 介護予防に資する研究内容であり、かつ実際に要介護高齢者を減らすことので きる一定の根拠が示せるような調査研究であることです。この二つの要件を満 たす研究課題の公募ということで、71頁以降に一般公募型で四つ、若手育成型 で三つのテーマを示しております。72頁(2)認知症対策総合研究事業です。今 回研究事業を再編して立ち上げたものです。こちらにつきましては、73頁にあ りますが、公募研究課題としては、アルツハイマー病の根本的治療薬開発に関 する研究、認知症の鑑別診断と治療に関する研究等、一般公募型で六つのテー マを示して公募を行っております。若手育成型の公募も行うこととしておりま す。  74頁の(3)障害保健福祉総合研究事業です。障害者の総合的な保健福祉施策 に関する研究開発を推進することとしておりまして、研究のテーマといたしま しては、(1)障害保健福祉施策推進のための基盤的政策研究、(2)福祉用具の適切 な流通の促進に関する研究等八つのテーマにつきまして一般公募をし、これら につきましては若手育成型の公募も行うこととしております。  77頁の(4)感覚器障害研究事業では、(1)感覚器障害を有する者の活動領域の 拡張や就労・日常生活の自立支援に係る福祉機器の開発研究、(2)感覚器障害の 原因疾患に着目した発症予防・早期発見及び治療法に関する研究、(3)感覚器障 害を有する者のリハビリテーション及び自立支援に関する研究、この三つのテ ーマについて一般公募し、これらについては若手育成型も公募することになっ ております。  78頁の8.感染症対策総合研究事業(仮称)です。(1)の新型インフルエンザ等 新興・再興感染症研究事業(仮称)では、79頁から公募研究課題がありますが、 (1)新型インフルエンザへの対応に関する研究分野、(2)感染症の新たな脅威へ の対応及び感染症対策の再構築に関する研究分野、82頁(3)国際的な感染症ネ ットワークを活用した対策に関する研究分野、(4)感染症対策にかかる基盤整備 に関する研究分野という各テーマを示して一般公募型の公募を行い、若手育成 型として1テーマで公募を行うこととしております。  84頁では(2)エイズ対策研究事業を示しております。一般公募型として、臨 床医学、基礎医学、社会医学の各分野で計4テーマを示し、また若手育成型に つきましても、一つのテーマで公募を行うこととしております。  86頁(3)の肝炎等克服緊急対策研究事業です。一般公募型としましては、86 頁の下からになりますが、(1)B型肝炎に関する臨床研究分野、(2)C型肝炎に関 する臨床研究分野、(3)肝硬変及び肝がんに関する臨床研究分野、(4)肝炎に関 する基礎研究分野、(5)肝炎に関する社会医学的研究分野、(6)肝炎に関する疫 学的研究、(7)肝再生に関する研究分野、89頁(8)肝がんの新規治療に関する研 究分野と大きく八つの研究分野を示しまして、それぞれについて研究テーマを 示して公募を行うこととしております。また、若手育成型のテーマも別に89 頁に示しています。  89頁の9.こころの健康科学研究事業の(精神疾患分野)は、90頁に[診断・ 治療法の開発及び確立に向けた研究]、91頁から大きな項目として[精神疾患 等に関する支援方法の確立に関する研究]、[精神保健医療施策の推進に関する 研究]、[緊急案件への効果的な対応のための研究]、という各分野で合わせて 10のテーマを示しております。  92頁からは(神経・筋疾患分野)で、こちらのほうでは[病態の解明に向けた 研究]と[診断・治療法の確立に関する研究]で合わせて5テーマを示してお り、これらの研究課題について若手育成型の公募も行います。  93頁から10.地域医療基盤開発推進研究事業です。こちらのほうでは公募研 究課題として94頁から(1)生命・健康のセーフティネット確保に関する研究、(2) 医療情報のセキュリティ確保及び利活用に関する研究、(3)地域医療の基盤確保 と医療のアクセス確保に関する研究、(4)医療現場の安全確保のための研究、96 頁(5)地域医療で活躍が期待される人材の育成・確保に関する研究という各分野 でテーマを示し、一般公募型の公募を行っています。これらについては若手育 成型としても公募をすることを予定しています。  98頁から11.労働安全衛生総合研究事業です。今なお年間55万人が労働災害 に被災されている状況で、職業性疾病も依然としてある状況で、一般公募型と しては98頁の下のほうから(1)事業場におけるメンタルヘルス対策を促進させ るための研究、(2)事業場における職業性疾病予防対策を促進するための研究、 (3)石綿による健康障害の予防等に資する研究、101頁、(4)労働者の心身の特 性、就業形態等に応じた安全衛生対策に関する研究という各分野で合わせて8 テーマでの一般公募型の公募を行って、若手育成型の公募を行うことも予定を しております。  102頁から12.食品医薬品等リスク分析研究事業となっております。こちらの (1)は食品の安心安全確保推進研究事業となっておりまして、一般公募型としま しては、(1)食品の安心・安全推進研究分野、103頁の(2)食品リスク分析調査研 究分野、(3)バイオテクノロジー応用食品対策研究分野、(4)健康食品等の安全性・ 有効性評価研究分野、(5)添加物及び汚染物質に関する研究分野、(6)食品中の微 生物対策分野、(7)食品中の化学物質対策分野、この各分野でテーマを示して公 募を行い、若手育成型のテーマも一つ示しているところです。  108頁から(2)医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業で す。こちらにつきましては、「革新的医薬品・医療機器創出のための5ヵ年計画」 等にも関連する研究事業でありまして、(1)医薬品、医療機器等の品質、安全性 及び有効性の評価及びそれらの管理等に関する研究、(2)改良型ワクチン・血液 製剤等の安全性、品質向上及び安定供給に関する研究、(3)医薬品・医療機器等 の市販後安全対策に関する研究、(4)医薬品・医療機器等の適正な提供等に関す る研究、(5)麻薬・向精神薬・指定薬物等の乱用防止に関する研究の各分野でそ れぞれテーマを示して公募を行います。  113頁の(3)化学物質リスク研究事業です。(1)化学物質の有害性評価手法の迅 速化、高度化に関する研究、(2)化学物質の子どもへの影響評価に関する研究、 (3)ナノマテリアルのヒト健康影響の評価手方に関する総合研究、(4)家庭用品の 安全対策に関する総合研究、(5)化学物質の情動・認知行動に対する影響の評価 方法に関する研究、に関して、公募テーマを示しております。  116頁から13.健康安全・危機管理対策総合研究事業です。こちらのほうでは、 (1)地域健康安全の基盤形成に関する研究分野、(2)水安全対策研究分野、(3)生活 環境安全対策研究分野、(4)健康危機管理・テロリズム対策システム研究分野の 各分野がありますが、それぞれにつきましてテーマを示して公募を行います。  121頁から公募研究事業計画表で、年間どういうスケジュールであるかとい う計画表です。122頁以降は、VI「補助対象経費の単価基準額の一覧表」です。 133頁からは研究計画書の様式及び記入例です。少し駆け足になりましたが説 明は以上です。どうぞよろしくお願いします。 ○垣添部会長  ありがとうございました。膨大な資料を一気に説明を受けましたので、少し ついて行くのが難しいところもあったかと思いますが、何かご質問等、ご発言 がありましたら、お聞きしたいと思います。 ○望月委員  先ほども意見が出ましたけれども、厚生労働省でなければできないと言いま すか、ほかの省庁からあまり補助が期待できないような、特に難治性疾患の克 服に非常に大きな額を割いていただくというのは歓迎すべきことだと思うので すが、そのほかにも医薬品・医療機器等レギュラートリーサイエンス、108頁 にあるような事業についても、やはり良い薬を早く造るということで、非常に 大切な点でありますので、こういうことも是非、厚生労働省独自の補助金とい うことで考えていただきたいと思います。  112頁には、特に薬剤師国家試験、ご存じのように、薬剤師の新制度が始ま ってちょうど3年でありまして、これが4年生、5年生、6年生を過ぎると、薬 剤師国家試験を受けるわけですが、新たな制度としては、いかに、良い薬剤師 を試験で合格させるかです。ただ、暗記だけで済むのではなくて、きっちりと した医療人という心をもった薬剤師の技能と態度と知識とすべてを測るための 良い国家試験を、どうやって作るかというための研究にも出させていただいて いますので、是非、こういうところも評価していただいて、適切に補助してい ただけるとありがたいと思います。以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○今井委員  行政政策研究事業ですが、多分、行政政策研究事業の(1)政策科学総合研究 事業のア.政策科学推進研究事業が、総論的にいちばん網羅している事業だと 思うのですが、その中で、個々それぞれの、3行目ぐらいから、「人文・社会科 学系を中心とした人口・少子化問題云々かんぬん」とありますが、厚生労働省 としては、「保健」という言葉を入れていただけないかなと思います。要は、医 療はあるのですが、予防医学的なところがあまり入っていないような気がする のです。  なぜ、そういう話になるかと言いますと、25頁に(2)地球規模保健課題推 進研究事業がありますが、こういうものはどちらかと言いますと、日本が優位 に立った、いわゆる発展途上国とか新興国向けに何かをしてあげるような、立 場的なことになっているような気がするのです。確かに、2000年のWHOのデー タなどを見ると、日本は健康システム第1番になっていますので、そういうこ とも非常に大切かとは思うのですが、一方で、昨今の輸入されてしまう、いま 中国のメタミドホス、メラニンの問題がありますが、それだけではなくて、例 えばの話ですが、化学物質や何かに対しても、先ほど望月委員からもお話があ ったように、かなり国内ではしっかりとした研究課題を取り上げてくださって いるのですが、対海外になると、そこの部分は、厚生労働省は扱えないのかな みたいな形で、対応する研究があまり見受けられないのです。  例えばEUの場合には、1967年ぐらいから化学物質の規制法ができていまし て、いわゆる輸出国は輸入側の許可を得なければならないという法律をずっと 改正しながらきて、去年の2007年6月1日にEU新化学物質規制法改正みたい な形で、ちょこちょこした改正ではなくて、がらっと変えたというような、多 分ご承知とは思いますがそういうことがなされています。  今回のいろいろな問題を見ていますと、行政が今の法律のままでは何ができ るということにならない、入って来てしまうものは拒まないみたいな法律的な 形になっているので、そうでなくてやはりEUの新化学物質規制法みたいなもの を研究していくこと自身が、自国民を守る上で本来大切で、元を断つような研 究は今化学物質の話でしていますが、ほかのこともそうですが、もうちょっと 海外との対応の部分に関しての研究を増やせると、それも健康、医療でなくて、 行政政策研究事業で、保健に対してなされるといいかなと思います。以上です。 ○垣添部会長  ありがとうございます。 ○矢島厚生科学課長  今井委員のいまのご指摘は20頁の政策科学推進研究事業のア.上から3行目、 人口・少子化問題、年金・医療のあとに、ヘルスの保健が入るようなことがで きないかということですが、これはちょっと検討させていただければと思いま す。  ただ、国際的なところに関しては、26〜27頁をご覧いただきたいと思います。 実は、25頁(2)地球規模保健課題推進研究事業は新しくやることとしていま して、その中でも、ヘルスに関しては例えば母子保健ですと、27頁のいちばん 上ですが、国際保健課題としての母子保健、特に、先ほどありました国際的に 貢献できる分野で、母子保健で、国際保健の課題として、どういうふうに対応 できるか、特に途上国です。水も衛生も含めて、アフリカ、アジアをターゲッ トにしたようなものを行うこととしております。  化学物質に関しても、113頁のところから、先ほどのようなテーマについて、 委員のご指摘のもの、116頁から健康安全・危機管理の課題というようなもの を、世界的な規模でなるべく対応できるような方向で調整をさせていただきた いと思います。 ○医薬食品局食品安全部企画情報課  もう一点補足させていただきます。先ほど今井委員から、メラミンとかメタ ミドホスの例が出ましたので、食品安全部の関係の103頁をご覧ください。103 頁のイ.食品防御の具体的な対策というあたりは、まさに先生ご指摘のとおり、 国際的なフードディフェンスの概念をどう取り込むかということでやろうとし ておりますので、ここのガイドラインの成果については、例えば中国の工場に も当てはまることができますし、そのほか諸外国に工場を持つような所にも応 用できることを前提としての研究です。 ○木下委員  研究費は今年度限りなのか、ずっとなのか、とにかく増やすということが、 大臣の方向でこうやるということが一つの考え方だと思いますが、それに相応 しいようなものであるのかどうかです。つまり、研究ですから、例えば難病で あれ、非常に大事な研究が進んでいますから、それに相応しいものとして相応 しい研究だから、それだけ付けろという話は分かります。そうでない人は、全 体像の中でやはりほかのところで、本当は大事な研究があってしたいのだと、 お金をつけてほしいのだというところがあるのです。お金があるから研究が進 むと、張り付けていくのだというのもちょっと変な話で、その考え方の基本を、 是非お伺いしたいことがあります。  と申しますのは、現在、先ほど福井委員の話がありましたように、臨床研修 医制度が始まって以来、本当に研究はどんどん積極的に進められるような環境 があるかと言いますと、極めて難しい状況の中で、難病であれ何であれ、それ だけのことをしても本当に人がいるのかなと、どれだけ本格的な研究ができる のかという状況になりつつある時に、ただ、巨額のお金をあげればそれができ るかと言うと、その成果も含めて検証していかなければならない時代がきてい るのではないかと思います。やはり、その辺は仮に大臣が言おうとも、本当に 相応しいものであるならばとにかく、そうでないのだったら、それだけの額を 出せるならもっと大事なところがあるかもしれないのです。現場の先生方が、 これは本当に大事な研究で、国の全体の方向性として、是非やらなくてはいけ ないというものがあるのだったらそちらに付けていくこと。大臣に持って行け ば何でもやってくれるのかとなりますと、極めておかしな話になりますので、 その辺の基本的なお考えを是非伺いたいと思います。 ○矢島厚生科学課長  木下委員からご指摘いただいた点は大変重要な点です。私どもも、中身を見 させていただいて、その研究のテーマとかが研究の内容に相応しいものだと考 えています。  そもそも対象とする疾患が、今回の私どもが持ってます厚生労働省の研究費 でも、百数十の疾患しか対象にしていませんが、世の中には何千という難病が あるわけで、そういう意味では、決して十分かどうかに関しては、まだこれか ら議論があるところだと認識していますが、少なくとも、いままで難病に対し て対応が遅れていたことは間違いないと認識していますので、その中身につい ても相応しいものにしていきたいと考えています。  委員のご懸念は、それだけのお金があるのだったら、もっと他の研究にも配 分しろというご趣旨であると理解しています。我々も、研究費全体を伸ばそう という方向で、ここ数年、一生懸命研究費をなるべく減らないように、少なく ても伸びるようにいろいろと工夫させていただいています。なるべく研究費を しっかり確保していく方向にもっていきたいと考えています。 ○岩谷委員  障害に関連する研究についてですが、2006年に国連で障害者権利条約が採択 されて、障害の定義そのものがだんだん社会モデルに変わってきています。こ れに対して、医療サイドは、障害を社会的に捉えることには、まだ慣れてない と思います。  一方、自立支援法の3年後の見直しが行われており、障害認定をどうしたら いいのかについては、かなりいろいろなご指摘を受けております。そのあたり について、研究が必要と思われますが、この研究費のどこかに含まれるのかに ついてお聞きしたいのです。 ○矢島厚生科学課長  いま、ご指摘がありました、例えば法律制度改正とかで必要な見直しを、先 ほどの臨床研修の件もそうですが、それらについては、また別途、この公募型 とは別の政策を遂行するため、研究費が設けられておりますので、そちらで対 応することは可能です。あくまでも、これは一般公募で、いろいろとやってい ただくための研究ですので、委員からご指摘いただいた制度改正のための研究 は、また別に制度を遂行するためのいろいろな調査とか、その制度改正のため の取組みは、別途違う枠組みで対応させていただければと考えています。 ○笹月委員  先ほどの難病ですが、4倍ぐらいの増加の要求がしてあると。難病のゲノム 解析の中でも、特にHLAの解析が20年来行われて、例えば患者では100%、コ ントロールでは60%と非常に圧倒的な差のあるマーカーが国際的に明らかに されました。  ところが、そのメカニズムとかがどのように発生に寄与し、どのように治療 のターゲットになるかという大事なところは全く放てきされているままなので す。一つだけ厚生労働省からHLAと難病のテーマが公募されて、一つだけいま 走っていると思いますが、もし、こういう予算要求がかなりの部分認められる とすると、突っかかりとして、そのHLAをマーカーとした診断、予防あるいは 治療法開発が非常に意味があると私は思いますので、是非、その辺をご検討い ただければと思います。 ○矢島厚生科学課長  66頁をご覧いただきたいと思います。先ほどの難病との関係ですが、ちょっ と幅広くはなっているのですが、「生体試料等の収集に関する研究」が66頁の (1)にありまして、難病のところですが、はっきりと「HLA」とは書いていません が、いろいろな意味で情報を取れるような研究のテーマもこの中に入れていま すので、HLAまで明確にはなっていませんが、考え方としてはそういうレベル の研究も大事だと考えています。 ○宮田委員  これは確認ですが、一般公募型以外に制度設計のための政策的な研究を応募 することを前提に伺いますが、例えば日本で医師が足りているのか足りてない のかという議論が、あれほどみんながきちっとコンセンサスを得るのに時間が かかる、つまりこういった根拠がなくてみんなが自分の肉体感覚だけで話して いる、あるいは立場で話しているという状況は、不健全です。そういう意味で は、EBMは保健政策、厚労省の政策においてもEBMを進めるべきだと考えてい まして、ここにおける諸統計以外に、例えば本当の意味で政策に必要な統計を 整備する事業、もう一つここに決定的に欠けているのは、英国のナイスのよう な医療経済学的な評価の仕組みをどこかに入れなければいけない。それを公募 でやるのがいいのか、あるいは政策研究でやるのがいいのかわかりませんが、 厚労省の研究基盤としてはそれは絶対欠くことができないと思っていますので、 是非ともその確認をさせてください。ここには載ってないようですが、厚労省 はやるのだと、あるいはいまのところその準備はないということを教えていた だきたいと思います。 ○矢島厚生科学課長  いま委員がご指摘いただいたレベルまで対応できるかどうかは別にですが、 私どもは制度設計のために指定研究なり特別研究という別の枠組を持っていま すので、例えばそういう所で制度設計のための研究をすることは可能ですが、 それは公募ではなくて私どもでやるという形ですので、そういう意味では公募 のものはこの形の研究でやるという仕組みになっています。 ○宮田委員  いま申し上げたのは、そういう中のアイテムの中に私が申し上げた厚生労働 省の政策をEBMに基づいて議論するような、いまいくつか欠けていますよね。 あるいは医療経済学的な側面からいまの医療行為、新薬を評価する仕組みは入 るのかということです。 ○矢島厚生科学課長  委員のご指摘の公募型ではないのですが、どういうふうにやるかはまだ議論 があるところでして、これからどのような形でつくっていくかは大事な点だと は認識しています。 ○垣添部会長  そのことは、退席された福井委員も冒頭ご指摘だったと思いますが、課長が 言われる別な枠組はトータルでどのぐらいの額があるのですか。 ○矢島厚生科学課長  これは正直言いまして全体の枠の中の調整になりますので、金額をはっきり 申し上げることはいまの段階ではできません。 ○宮村委員  今回の研究事業は一般公募型と若手育成型と分かれています。若手育成のた めにこういう枠をつくられたことを評価したいと思います。厚労省の科研費の 中でどうしても研究費が多くなってくると、大きなボスの所でグループの一員 となって若手が働き、それであればこそいい業績も上がってくるわけですが、 一方で今回つくられた研究事業の中では、本当に萌芽的な提案がとりあげられ るようにしてほしいと思います。1年、2年で成果を上げなくとも、ここで実際 に若手育成型というふうに定義をしたその趣旨が反映されるような採択がされ てほしい。全体の課題について若手育成型の課題は数がもう少し多くてもいい と思いますし、こういう形で申請されるものについて大らかに選択していくと いう発想も必要ではないかと思います。 ○垣添部会長  ほかにご意見はありますか。たくさん貴重なご意見をありがとうございまし た。平成21年度厚生労働科学研究補助金の公募研究事業については、資料のと おり進めることにしますが、いまご指摘の点に関して字句等の修正は事務局で 行いまして、私が確認させていただくということで進めたいと思いますが、よ ろしいですか。                  (異議なし) ○垣添部会長  ありがとうございました。議事の3.にまいります。「遺伝子治療臨床研究実 施計画の申請について」。これは審議事項ですが、まず京都府立医科大学附属病 院からの遺伝子治療研究について、ご審議いただきたいと思います。これは8 月22日に厚生労働大臣から諮問されて、同日付で当部会に付議されています。 事務局からご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  資料3に基きまして、京都府立医科大学附属病院から申請がありました遺伝 子治療臨床研究実施計画につきましてご説明します。臨床研究を行う実施施設 から遺伝子治療臨床研究の実施につきまして意見を求められた場合、遺伝子治 療臨床研究に関する指針に基づきまして、複数の有識者のご意見を踏まえまし て新規性等の有無の判断をしています。今回の件につきましても3名の先生の ご意見を伺いましたが、各先生とも新規性ありというご判断で、厚生科学審議 会に諮問させていただいたものです。  資料3の1頁が諮問書となっています。2頁が当部会への付議となっていま す。3頁が遺伝子治療臨床研究実施計画の申請書です。申請は7月30日で、遺 伝子治療臨床研究の課題名は「ヒトβ型インターフェロン発現プラスミド包埋 正電荷リポソーム製剤を用いる進行期腎細胞癌の遺伝子治療臨床研究」です。  4頁以降は、臨床研究実施計画概要書です。研究実施期間は、厚生労働大臣 による了承の日より8年間が計画されています。5頁の「研究の目的」ですが、 この研究は、手術により原発腫瘍病巣を摘除した後、病理組織学的に腎細胞癌 の診断が確定しており、転移巣に対して行ったインターフェロン、インターロ イキン2を含む免疫療法が無効であった進行期の腎細胞癌を対象としています。 その転移腫瘍病巣内にヒトβ型インターフェロン発現プラスミド包埋正電荷リ ポソーム製剤を投与するというものです。この治療法の安全性の評価を主要な 目的として、副次的な目的はこの治療法の有効性の評価となっています。  「対象疾患及びその選定理由」の項目ですが、対象疾患は腎細胞癌で進行期 のものです。遠隔転移等を生じた進行期腎細胞癌患者の5年生存率は10%程度 であるといった記載、生存期間中央値は約6〜12ヶ月といった記載もここにあ ります。進行期の腎細胞癌に対しては、インターフェロンに代表される免疫療 法が最も有効とされているということですが、本邦で一般的に使用されるα型 インターフェロンの単独療法での奏効率は約15〜20%といった記載もありま す。いくつかの治療法は試みられているということですが、明らかにこれまで のインターフェロンの単独療法の奏効率を上回る治療法は認められていないの が現状といった記載もここにあります。腎細胞癌細胞株をヒトβ型インターフ ェロン発現プラスミド包埋正電荷リポソームで処理した場合に、ヒトβ型イン ターフェロン蛋白で処理した場合に比べても、はるかに高い細胞障害活性が見 られたとのことです。この研究では、6頁の上のほうの記載ですが、ヒトβ型 インターフェロン発現プラスミド包埋正電荷リポソームの腎細胞癌病巣への直 接投与が、進行期腎細胞癌に対する有効な治療法となり得るか否かを検討する ということです。  6頁の「遺伝子の種類及びその導入方法」ですが、使用する遺伝子製剤の調 製法につきましては、名古屋大学においてグリオーマを対象疾患として臨床研 究がなされたもの、また信州大学において悪性黒色腫を対象疾患として実施し た臨床研究で使用されたものと同じです。  「安全性についての評価」の項目、実際の記載は7頁ですが、今回の投与量 について、遺伝子製剤の1回当たりの最大投与量はDNA量として250μgでして、 これまでの臨床研究での実績、最大投与量150μg、あるいは30μgを上回る量 を投与することになりますが、過去、2大学における臨床研究においては特に 問題となる副作用は認められなかったということです。  10頁、この研究の「実施期間及び目標症例数」ですが、実施期間は臨床研究 に関する登録が終了するまでの3年間、治療開始後5年間観察して、8年間の 実施期間で、5症例を予定しているということです。「遺伝子治療臨床研究の実 施方法」としては、投与、注入は週2回、合計6回を予定しています。  今後、がん遺伝子治療臨床研究作業委員会、この資料の78頁に名簿を載せて いますが、そちらでご検討をいただく予定ですので、本日のご審議でご意見を いただいた場合には作業委員会にお伝えして、そちらでのご審議に反映させて いただこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。資料の説明は 以上です。 ○垣添部会長  何かご発言はありますか。これはいまご説明がありましたように、ここでご 議論いただいて、作業委員会で検討いただき、改めてここに上がってくるとい うことですが、いまの時点で伺うことがありましたら。しかし、3年かけて5 例登録して5年見て、つまり8年先に結果がわかる遺伝子治療で、一方でスニ チニブ、イマチニブなど、新しい分子標的薬が腎細胞癌を対象にしてできてき ていますね。これで大丈夫なのかという気がします。つまり、次々と新しいあ れが出てくるときに、8年も経って仮に結果が得られたときには、ものすごく 時代遅れで臨床的な意味がないということにならないかという心配です。笹月 委員、いかがですか、委員にお尋ねして申し訳ないけれども。 ○笹月委員  申請者は一応こういう形で申請してきていますので、いまの部会長のご意見 も伝えながら、これに限らず必ず目的の所には安全性をテストします、副産物 として有効性も知りたいということを述べるのですが、本当に安全性を確認し たというためには何例すればいいのか、有効であるということを言うためには 何例やればいいのかと、この辺が実はまだ全体としての遺伝子治療臨床研究の コンセンサスは得られてないと私は思いますので、この数を5例やってこれで 安全だったと言ってよろしいかどうかも含めて検討をしたいと思います。 ○垣添部会長  よろしいですか。それでは、いずれまたこの会議に話がまいります。そうし たらご議論いただければと思います。  議事の4.「ヒト幹細胞臨床研究について」ですが、札幌北楡病院、他2機関 からのヒト幹細胞臨床研究についてご審議ください。まず、事務局からご説明 をお願いします。 ○研究開発振興課  ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について、事務局よりご報告を申し上げ ます。この項に関しましては、資料4、適宜参考資料3、こちらには指針の本文、 委員名簿等が掲載されていますので、主に資料4を用いましてご説明を申し上 げます。今回ご審議いただきますのは、新たな申請である3件です。1、3頁、 こちらが今回新たに申請された臨床研究実施計画に関する諮問書です。今回、 三つともすべて同じプロトコールで行われる同一の多施設共同研究の参加施設 からの申請となっていることをまず申し上げます。  1頁、平成20年9月17日付の諮問書です。平成20年9月4日に札幌北楡病 院病院長から提出された「末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単 核球細胞移植治療のランダム化比較試験」計画ということで、2頁がその付議 書になっています。さらに、3頁にあるのが平成20年9月26日付で諮問書が 出されています。平成20年9月19日に湘南鎌倉総合病院病院長から提出され た同じ計画、また同日ですが平成20年9月19日に国家公務員共済組合連合会 虎の門病院病院長から同じ計画が同時に出されています。4頁はその付議書に なっています。これらは、前回の科学技術部会ですでにご審議をいただいてい る大阪の北野病院の申請と同一の研究でして、プロトコール以外のヒト幹細胞 臨床研究を行う上での施設基準、施設ごとの倫理審査委員会の承認状況などを 中心に専門委員会でご審議いただければと存じています。  5頁からは、まず札幌北楡病院の申請書となっていまして、研究責任者は外 科部長の堀江卓先生です。  6頁、こちらが実施計画の概要です。対象は、既存の治療に抵抗性の末梢動 脈疾患、いわゆる慢性閉塞性動脈硬化症・バージャー病です。実施予定期間は 3年間。治療研究の概要は、G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、ア フェレシスによりCD34陽性細胞を採取し、末梢動脈疾患患肢に直接筋肉内注射 をし末梢血管再生効果を見るということです。こちらは、先ほど申しました北 野病院等を含む計19施設による多施設共同研究を予定しているということで す。一つ戻りますが、対象症例は144例(推奨療法治療群72例、推奨療法+細 胞移植群72例)となっています。実施計画書に関しては7頁からありまして、 適宜ご参照いただければと存じます。  さらに18頁をご覧ください。こちらが愛心会湘南鎌倉総合病院からの申請書 でして、研究責任者は副院長の小林修三先生です。実施計画書に関しては、先 ほどの北楡病院とほぼ同じです。31頁をご覧いただきますと、こちらが虎の門 病院の申請書になっていまして、研究責任者は腎センター内科部長の高市先生 です。以下の実施計画書も内容的にはほぼ同一ですので、省略いたします。  これらの申請に関しては、継続審議対象になりました北野病院の申請等とと もに来る10月14日に開催を予定している第6回ヒト幹細胞臨床研究に関する 審査委員会で議論をさせていただければと存じています。 ○垣添部会長  幹細胞臨床研究に関して何かご発言はありますか。そうすると、これは19 施設による多施設共同研究ということで、いま、北野病院、北楡会、鎌倉、虎 の門、四つ議論されているわけですが、今後、15施設からまた同じ形で出てく るのですか。 ○研究開発振興課  各施設のこの指針の申請がまず各施設で倫理審査委員会をとおっている、承 認されているのが前提になっていますので、その承認が得られ次第申請を上げ ていただくということになっています。 ○垣添部会長  特にご発言はありませんか。いま事務局から説明されたヒト幹細胞臨床研究 については、作業委員会で論点整理を行っていただき、その結果を当部会にご 報告していただくということでよろしいですか。                  (異議なし) ○垣添部会長  ありがとうございました。続きまして、議事の5.「ヒト幹細胞を用いる臨床 研究に関する指針」の見直しに関する専門委員会の設置について、審議をお願 いします。 ○研究開発振興課佐藤治験推進室長  議事の5.「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の見直しに関する専 門委員会の設置につきまして、医政局よりご説明を申し上げます。資料につき ましては、資料5、議事4と同様に参考資料3をお手元にご用意いただければ と存じます。ヒト幹細胞を用いる臨床研究につきましては、平成18年7月に「ヒ ト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を策定しています。参考資料3をご 覧ください。4頁です。4頁の右側に「総則」の目的ということで、ヒト幹細胞 を用いる臨床研究につきましては、臓器機能再生等を通じて、国民の健康の維 持並びに疾病の予防、診断及び治療に重要な役割を果たすものであると。こう いう役割にかんがみ、ヒト幹細胞臨床研究が社会の理解を得て、適正に実施・ 推進されるよう、個人の尊厳と人権を尊重し、かつ、科学的知見に基づいた有 効性及び安全性を確保するために、ヒト幹細胞臨床研究にかかわるすべての者 が遵守すべき事項を定める、ということでこの指針ができているわけです。  15頁、この右側の第6章「雑則」と書いてある所です。第1で見直しという 規定があります。この指針は、科学技術の進歩、ヒト幹細胞の取扱いに関する 社会的情勢の変化等を勘案して、必要に応じ、又は施行後5年を目途として検 討を加えた上で、見直しを行うものとするという見直しの規定があります。  資料5にお戻りください。こういう様々な新たな幹細胞技術の出現、既存の 幹細胞の前臨床研究の進展が見られていることから、この見直しを図るために 厚生科学審議会科学技術部会に本委員会を設置し、検討を行うというものです。  具体的にどのような検討を行うかということですが、2.です。この指針がで きた平成18年7月以降に改正等が行われた以下の関係法令との整合性を図ると、 このような検討を行う予定です。1点目としては、本年7月31日に臨床研究に 関する倫理指針が全部改正をされ、来年4月1日から施行ということですので、 この指針との整合性を図るための検討を行う予定です。さらに、平成12年の「ヒ ト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保に ついて」と、この通知に基づきまして平成20年2月8日付でヒト自己由来製品、 また平成20年9月12日付けでヒト同種由来製品にかかる通知が出ています。 この通知との整合性を図る検討を行う予定です。さらに、現在、除外されてい るヒト胚性幹細胞等の臨床研究における取扱いをどうすべきかということにつ きましても、検討する予定です。さらに、その他として、海外制度等との比較 検討を行い、ハーモナイズができるかどうかと、以上3点を検討する予定です。  今後の進め方ですが、委員につきましては、部会長との相談の上決定したい と思います。再生医療研究者を中心に、現在の審査委員会メンバー、法律家、 生命倫理学者を交じえて選定予定です。文科省が作成しているヒトES細胞の樹 立及び使用に関する指針との整合性にも留意しながら議論を取りまとめるもの としたいと思います。 ○垣添部会長  いまのご説明に関して何かご発言はありますか。 ○石井委員  見直しされること、委員会を設けることについては異議はないのですが、検 討課題の1と2ではかかる時間もかなり違うのではないかと思うので、これら の課題全部を一まとめで結論を出すのはなかなか難しいのではないでしょうか。  2点目は、今朝の日経新聞に載っていましたが、iPSの問題という形で書かれ ていたと思います。その問題も視野に入れた検討が必要ではないでしょうか。  3点目は、ここに書いてある2点目の問題にかかわるのですが、いま総合科 学技術会議の生命倫理調査会で、ESの指針の使用に関する指針の再検討が議論 になっています。臨床は使用の一歩先になりますので、その議論も考慮する必 要があると思います。  4点目は瑣末なことですが、先ほどの申請の内容を見ますと、同じ一つの研 究の一部をばらばらに申請しているようです。そのようないまのあり方がいい のかどうか。これは1の臨床研究に関する倫理指針との整合性の議論の関係で も出てくるのかもしれませんが、現実にいまある問題点の見直しは早急に必要 なのではないでしょうか。 ○垣添部会長  大変重要なご指摘だと思います。 ○研究開発振興課佐藤治験推進室長  ご指摘ありがとうございました。委員のご指摘につきましては、ここの専門 委員会の検討として十分反映していきます。この手の技術は非常にスピードが 速いということもありまして、先ほどスピードのご指摘があったかと思います。 そこにつきましても十分認識のうえ検討したいと思います。 ○宮田委員  いまのご指摘の延長線上ですが、いちいち二つ、三つなど、指針の存在して いること自体が、この技術の発展に遅れていることを一目にして理解させてし まうものだと思っていますので、統合的にヒトのESも含めて、iPSも含めてで すが、幹細胞に関する、特に臨床研究、基礎研究も含めてでしょうが、そうい ったものを統合的にやる枠組をそろそろ検討したほうがいいのではないかと思 います。というのは、なぜかと言うと、すべての指針が改定されるタイミング が少しずつずれているために、相互に整合性を取ろうとすると、どうしても古 くさい指針に足を取られる構造になっていますので、そこら辺を少し開放しな いと本当の意味でスピードに付いていけないのではないかと私は懸念していま す。 ○垣添部会長  これも大変重要なご指摘だと思いますが。 ○研究開発振興課佐藤治験推進室長  原局だけではなかなか片づかない問題ですが、いまの貴重なご意見につきま しては、今後、どういう形になるかを含めて検討させていただければと思いま す。 ○矢島厚生科学課長  全体にかかわる大事な問題のご指摘をいただいたと思っています。我々もそ ういう問題意識は持っています。また、そういう意味でいろいろとご指摘の点 も踏まえてそういうものを少し整理し、どうやっていったらいいのかはすごく 大事な点だという認識をしています。 ○垣添部会長  そうすると、これはヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関 する専門委員会で議論するということになりますか。そうではないでしょう。 ○矢島厚生科学課長  これにつきましては、いまの分につきましてはそこで作業としてはさせてい ただきませんと遅れてしまいますので、まずはさせていただきますが、先ほど のご指摘は、ほかの大きなものとの整合性も含めてどうするかとまた全体の話 があったと認識していますので、そういうことも含めてまたそれはこれからの 課題だと我々も認識をしています。 ○垣添部会長  わかりました。幹細胞に関する臨床指針の見直しに関する専門委員会に関し ては、ご了承をいただけますか。                  (異議なし) ○垣添部会長  ありがとうございました。専門委員会に加わる委員の指名に関しては、事務 局といろいろ話して、決定次第皆さま方にご報告申し上げたいと思います。  続きまして、議事の6「厚生科学研究費のあらまし」について、事務局から ご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  右肩に資料6-1とありますパンフレットにつきまして、ご説明します。「厚生 労働科学研究」につきましては、この研究費の概要についてよく知っていただ くことも課題であると我々は思っていまして、「厚生労働科学研究費のあらま し」というものを作っているものです。このパンフレットは、広く一般の方々 も含めて厚生労働科学研究費がどのようなものであるのかをわかりやすいよう にということで作っており、毎年改訂したものを出しています。本年度は昨年 度に比べてご報告が遅くなりましたが、このようにパンフレットが出来上がり ましたので、ご報告いたします。  1頁は、「厚生労働科学研究費の概要」について、こういうものであるという 説明、下のほうでは「厚生労働科学研究費の特徴」について記載しています。  2頁には、予算及び採択件数の推移といった情報もお示しして、2頁の下のほ うではマネージメントのフローを記載し、こういう形で研究の採択等、研究事 業が進むことをお示しています。フローの中にはe-Radによる公募への移行に ついても記載しています。  3頁からは、各研究事業の内容として、一言でどういう研究をやっているか ということ、各研究事業の担当課・室の連絡先なども書いています。  5頁では事業の1年間の流れ、6頁では研究課題評価の仕組みをできるだけわ かりやすいように心がけたつもりですが、記載していまして、7頁以降は厚生 労働科学研究の具体例について、イメージしてもらえそうな具体例の紹介をい くつか載せているものです。このパンフレットにつきましては、厚生労働科学 研究費についてご説明、ご紹介をするときに、適宜、関係者などに配付する資 料としていますので、今後、いろいろな機会に活用していきたいと考えている ものです。 ○垣添部会長   資料6-1をご覧になって、何かご発言はありますか。これはどのぐらい印刷 するのですか。 ○坂本研究企画官  1,500部印刷しております。 ○垣添部会長  これはホームページにも内容は載るのですか。 ○坂本研究企画官  この内容については、例えば、後ろのほうにある具体例につきましては、ホ ームページでも紹介したことのあるものを活用していますので、この内容につ いてはホームページでも見ていただけるところがありますが、紙媒体はまだあ ったほうがいろいろなときに便利なところがありますので、こういう形で作成 しています。 ○宮田委員  これはケチを決して付けることではないのですが、改良のための一助として いただきたいと思います。10頁、これはたぶんアルツハイマー病のエイベータ ーのポリゴマー、ポリマーのイメージングという意味だと思うのですが、これ を渡されても普通の人はわからないです。蛋白コンフォメーションのインビボ 画像診断は難し過ぎますので、これをサブタイトルにすればいいと思います。 そういう意味ではアルツハイマー病のより精密な画像診断というよりは、もう 少し普通の人の目線で書かないと、厚生労働科学研究費は難しいことをやって いるなという情報の伝達には役に立ちますが、本当にこのようにお金を使って 私たちの健康に役に立つのかという疑問は伴ってしまうのではないかと思いま す。 ○矢島厚生科学課長  大変大事なご指摘をいただきました、どうもありがとうございました。 ○竹中委員  これはどなたを対象に作ったということを私はその前に率直に。 ○矢島厚生科学課長  私どもの課の中では、研究者目線だったと思います。 ○竹中委員  研究者ですよね。 ○矢島厚生科学課長  はい。 ○竹中委員  私は応募をする方々に出した資料かと理解したのですが。 ○矢島厚生科学課長  そうは言っても、大臣も日ごろから国民目線でということで、我々も反省を し、まずは国民目線が大事だと思いますので、そういう点で研究者の人ももち ろんご覧いただいてもわかることですが、厚生労働省の施策について国民の 方々にわかっていただくこともすごく大事な視点だと思いますので、そういう ことも含まえてわかりやすい行政を心がけたいと思います。 ○垣添部会長  続きまして、「e-Radを利用した厚生労働科学研究補助金の公募」について、 事務局からご説明をお願いします。 ○坂本研究企画官  資料6-2をご覧ください。「e-Radを利用した厚生労働科学研究費補助金の公 募について」です。こちらについてご説明します。公募要綱のご説明でも少し 触れましたが、これからはe-Radを用いて公募して、研究者の方にもこのシス テムで応募していただくのが、政府全体の方向です。  厚生労働科学研究費補助金につきましても、平成20年度の二次募集から e-Radを用いて公募を開始していますので、そのご報告を行います。1頁の「現 況」について、平成20年1月よりe-Radが稼働しており、すでにe-Radを用い た公募を行っております。公募事業名等は、こちらの1頁に書いてあるとおり です。  2頁に、「e-Radでの応募のながれ」があります。e-Radの操作のマニュアル につきましては、e-Radのポータルサイトから入手できるようになっています が、本日はごく簡単にどのようなものであるかご説明します。e-Radでの応募 のながれということで、e-Radの画面上の表示を少し模式的に書いています。 インターネットでe-Radにアクセスしていただきますが、その前に研究者情報 を登録して、システムログインIDとパスワードを取得してないと、研究者の頁 に入っていけないのですが、それがあったということで、e-Radに入りますと、 次の頁の別紙1に行けて、受付中の公募の一覧を見ることができます。こちら でどういう内容があるか見ていただいて、別紙1の応募情報入力をクリックし ていただくと、別紙2「応募条件」で公募要綱を確認していますねという確認 のページがでます。戻っていただいて公募要綱を確認する、あるいは確認して いるということで承諾して次に進むと、入力画面に移っていく形になっていま す。  2頁に戻っていただきますが、こちらの真ん中辺りにある「応募情報登録」 のページに入っていきまして、研究者情報、これはすでに登録されている研究 者情報を確認して、間違いがなければ先に進むことになるのですが、まず研究 者情報の確認といった作業をして、研究共通情報で新規課題かどうか、研究開 発課題名、研究期間、研究目的、研究概要等、入力できる項目が出てまいりま すので、そちらに対して入力していただいて先に進むと、「研究組織情報」に入 っていって、エフォート等の入力を行う画面が出てくることになっています。 応募・受入状況で入力情報を確認していただいて、それが済むと最後に「応募 情報登録確認」ということで、これは別紙3としていちばん最後に付けていま すが、こういうページに出てまいりまして、不備があれば応募状況の修正ボタ ンに入っていって、修正すべき所を修正していただいて、確認完了・提出をク リックしていただいて、こちらを提出することになります。  マニュアルは大部になりますので、e-Radの画面から一部を抜き出して、こ ういう感じでやるというイメージのご説明用にこの資料を作成しています。今 後は、厚労省の研究費はこちらのシステムを用いていきますし、他省の研究費 についてもすでにこれでやっていくということになっていますので、これの説 明等を必要に応じてやっていかないといけないと考えていますが、こういう形 になるということのご報告をさせていただきました。 ○垣添部会長  e-Radを使った厚生労働科学研究補助金の公募について、ご説明いただきま した。他省庁はすでに動いているということで、これが間違いなく流れになる かと思いますが、何かご発言はありますか。 ○松本委員  私は文科省の科研費しか申請したことがないのでよくわからないのですが、 各省共通で、しかも最初に研究者番号か何かを登録しておかないと駄目だとい うことで、ということは、どの省の研究費でも共通の研究者番号がすでに存在 するということで理解してよろしいのですか。 ○坂本研究企画官  はい、研究者番号は共通であるはずです。 ○松本委員  それは最初にどこに申請したかによって決まってくるのですか、それとも自 動的にすべての研究者が知らない間に割り当てられているのですか。 ○坂本研究企画官  たしか文科省の番号がそのまま使えることになっているはずですが、それぞ れの研究機関から番号を取っていただく形になっています。研究機関に所属し ている研究者の情報は所属研究機関が登録するということで、なお、文部科学 省の科学研究費補助金制度で登録されている研究者情報は、すでにこのシステ ムに登録されているということで、その辺もマニュアル等には書いてあると聞 いています。 ○宮田委員  これは前にも皆さんとご議論した覚えがありますが、これをメカニカルに使 ってしまうことがいいかどうかはご配慮いただきたくて、同じテーマとは言い ませんが類似したテーマでワーッと並べて、ほら、重複があるではないかと、 そういう単純なものではないと、研究はたぶんそう思っているのです。  もう一つ嫌みを言わせていただければ、十分な資金が一つの省から一つのプ ログラムに供給されれば、皆さんはそれほど努力をする必要はないと思うので すが、そうではない場合に、例えば基礎研究、トランスレーショナルな研究、 もう少し臨床的な研究という形で、研究の性格をスライスにしていろいろなプ ロジェクトに応募したがるのは、たぶん科学研究者の実態だと思うので、それ を単にこのような所にも重複して同じ所に出てるという議論だけは、是非、こ のデータベースを活用して悪用しないでいただきたいと考えました。むしろ私 たちは、このデータベースできちっと日本全体で整合性が取れる形で科学研究 を進め、その成果を逸速く国民に返すためにこのデータベースを使うのだ、と いうことを是非お約束していただきたい。 ○坂本研究企画官  総合科学技術会議と文科省が音頭を取って各省連携してやっていますので、 今後の打合会等では我々からもいま言われたことを適宜出していく必要はある とは思っています。いままでのやり方ですと、よその省との情報交換がうまく 行われていないのではないかというご批判もあり、それは確かに一つのご批判 として対応せざるを得ませんが、実際の運用に当たって特にいま言われたよう なことがないようにしたいと思っております。また、もう一つは、研究者側も、 言い方は悪いのですが同じタイトルで複数出すのではなくて、厚生労働科学研 究費補助金の性格に合わせた内容として誤解を避けるなど、そういうところの PRといいますか、考え方を示すことも今後は必要かと思っているところもあり ますが、どうするのがいちばん効果的かこれからよく考えてみたいと思ってい ます。 ○垣添部会長  よろしいですか。報告事項、その他ありますか。 ○坂本研究企画官  7月23日の科学技術部会におきましてご審議いただきました「厚生労働省の 平成21年度研究事業に関する評価(概算要求前の評価)」に関しては、部会で ご議論いただきましたご意見、部会終了後いただいたご意見を踏まえた修正、 それから誤字修正、誤記の修正などがありまして、修正したものを垣添部会長 にご承認いただきまして、本日参考資料4としてお配りしていることをご報告 します。 ○垣添部会長  何か委員の皆さんからご発言いただくことはありますか。これで予定された 議題はすべて終わりましたが、よろしいですか。若干、予定より早いですが、 本日の第47回厚生科学審議会技術部会をこれで閉会します。どうもありがとう ございました。 ○坂本研究企画官  次回については、別途日程調整をさせていただきますので、どうぞよろしく お願いいたします。                               −了− 【問い合わせ先】 厚生労働省大臣官房厚生科学課 担当:情報企画係(内線3808) 電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171