08/10/03 平成20年10月3日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成20年10月3日(金) 14:00〜   厚生労働省専用第21会議室 2.出席委員(22名)五十音順 赤 堀 文 昭、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 大 野 泰 雄、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、 佐 藤 光 源、 竹 嶋 康 弘、 土 屋 文 人、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、 本 田 佳 子、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子 ◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹  ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   他 参考人2名   欠席委員(2名)   井 部 俊 子、 岩 田   誠、          3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長) 岸 田 修 一(大臣官房審議官) 川 尻 良 夫(総務課長)、田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 山 本 順 二(化学物質安全対策室長) 森   和 彦(安全対策課長) 熊 本 宣 晴(監視指導・麻薬対策課長)  林   憲 一(血液対策企画官) 他 4.備考   この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 それでは定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会薬事分科 会を開催いたします。開会に当たりまして、まず高井医薬食品局長から、ごあいさつ申し 上げます。 ○医薬食品局長 去る7月に就任いたしました医薬食品局長の高井でございます。よろし くお願いいたします。審議に先立ちまして一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。  薬事行政においては医薬品、医療機器の品質、有効性・安全性の確保を図り、国民のニ ーズに応えて迅速かつ安定的に供給する。このことによって国民の生命と健康に資するこ とを使命といたしております。  委員の皆様方におかれましては、引き続きそれぞれの専門分野におきます最新の科学的 知見や豊かな御経験を基に、厳正な御審議をいただきまして、この審議会に対する国民の 期待に応えていけますようにお願い申し上げる次第でございます。  厚生労働省といたしましては、いわゆるドラッグラグ、あるいはデバイスラグの解消に 向けまして、承認申請の迅速化と質の向上、また、そのための体制の充実強化を図ること が課題となっております。「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」というも のを政府において作っておりますが、これに基づきまして独立行政法人の医薬品医療機器 総合機構の新薬審査官の倍増、国際共同治験の推進などの施策を進めていきたいと考えて おります。  また、一方、先般の薬害肝炎事件の反省に立ちまして、医薬品・医療機器による健康被 害の防止に最善の努力をしていかなければならないと考えております。この5月に「薬害 肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」を発足いたしまし て、御議論をいただいております。この点から安全対策の充実、強化に取り組んでまいり たいと考えております。  本日の分科会では審議事項3件、報告事項13件が予定されております。どうぞよろし くお願いいたします。 ○総務課長 それでは、今ごあいさつ申し上げました局長のほか、7月11日、9月1日 付けで事務局の幹部の人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。まず、 岸田大臣官房審議官でございます。申し遅れましたが、私総務課長の川尻でございます。 森安全対策課長でございます。林血液対策企画官でございます。  次に、本日の出席状況について御報告いたします。当分科会の委員数は24名ですが、 井部委員、岩田委員、お二人を除きました22名の委員から御出席という御連絡をいただ いております。したがいまして定足数に達しておりますことを、御報告いたします。それ ではカメラ撮りはこれまでということですので、カメラの方はよろしくお願いします。  それでは望月分科会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 それでは本日の薬事分科会を始めたいと思います。最初に事務局から配 付資料の確認をお願いいたします。 ○総務課長補佐 資料の確認をお願いいたします。審議事項については、資料1〜資料 3-1〜3-6、参考資料等となっております。報告事項については、資料4〜16となってお ります。当日配付資料ですが、資料3-3と3-5が当日差し替え資料となっております。ま た、本日追加資料3-6、参考資料、サレドカプセル100添付文書、安全管理手順ポンチ絵 及び資料17の競合品目・競合企業リスト、コメ由来原材料を使用した医薬品等の品質及 び安全性確保について、さらに議事次第、座席表、委員名簿をお配りしております。また、 文書報告の資料は既に先生方に送付しておりますが、お手元には参考までに「文書報告一 覧」を配付しております。  続きまして「本年3月24日の薬事分科会申合せ」審議参加に関する遵守事項について 御報告します。  申請資料作成に関与した委員ですが、該当委員はいらっしゃいません。また、本日の審 議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、資料17として配付させていただい ておりますが、その選定理由等を説明させていただきます。いずれも関係部会で報告した 内容となっております。資料17に沿って説明させていただきます。  1ページです。部会の時点で品目の名称が変更されていますが、申請時の名称は「サイ ロゲン筋注用0.9mg」です。本品目の申請会社は佐藤製薬株式会社です。本剤の予定され ている薬の効能・効果は分化型甲状腺癌で甲状腺摘出術を受けた患者の経過観察におけ る、放射性ヨウ素シンチグラフィーと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又は、Tg 試験単独による診断の補助です。効能・効果、薬理作用、化学構造等の観点から、競合す る品目はないとされております。  2ページです。塩野義製薬株式会社からの申請で、これも品目の名称が変更されており ますが、申請時の名称は「グラスピア錠200mg」です。本剤の申請効能・効果である「特 発性肺線維症」を有する既承認医薬品はなく、類似する効能・効果である「びまん性間質 性肺炎」を有するステロイド製剤はありますが、その作用機序は異なっております。競合 品目としては特発性間質性肺炎を対象に、第II相試験を終了しているレシチン修飾型SO D製剤であるLLTバイオファーマのPC-SODを、また、特発性肺線維症の効能追加を目 的として、治験準備中のエンドセリン受容体拮抗薬であるアクテリオン・ファーマシュー ティカルズ・ジャパン株式会社のトラクリア錠62.5mgを挙げております。この2品目以 外に現時点では、国内企業は関与していないと考えられ、これらが競合品目として選定さ れています。  最後のページです。藤本製薬株式会社から申請されている「サレドカプセル100」です。 本剤の予定されている効能・効果は再発又は、難治性の多発性骨髄腫です。競合品目とし ては作用機序等を勘案して、サリドマイド類縁物質であるCC-5013が挙げられています。 なお、同じ効能・効果であるヤンセンファーマ株式会社のベルケイドについては、薬理作 用に一部異なる部分があること、本申請品目が他剤無効時に用いられる予定で、ベルケイ ドとは併用される場合があることなどから、臨床現場で直接競合する品目ではないと判断 されております。競合品目の選定に係る説明は以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明について、特段の 御意見はございますでしょうか。よろしいですか。それでは本分科会における審議の際の 申合せ事項については、競合品目及び競合企業の妥当性も含めて了解を得たものといたし ます。  続いて委員からの申出状況について報告をお願いします。 ○総務課長補佐 各委員からの申出状況について報告させていただきます。議題1「医薬 品タイロゲン」については、退室委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議 題2「医薬品ピレスパ錠」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しな い委員は永井委員でございます。議題3「医薬品サレドカプセル」については、退室委員、 議決に参加しない委員はいらっしゃいません。以上です。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。それでは早速、議事1に入りたいと思います。議 題1について、資料1とありますが「医薬品タイロゲン筋注用0.9mgの生物由来製品及び 特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は、 劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有す る医薬品に係わる事項ですので、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬 品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。  初めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思い ます。なお、本日は千葉県立東金病院長平井愛山先生に参考人として御出席いただいてお ります。それでは、医薬品第一部会長の永井委員から御説明をいただきたいと思います。 ○永井委員 資料1、「タイロゲン筋注用0.9mg」について概要の説明をさせていただき ます。詳細は後ほど事務局審査管理課から説明させていただきます。この薬剤はヒトチロ トロピン アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤です。甲状腺摘出患者の甲状 腺癌の再発、転移の診断補助薬として、1999年に米国、2000年にEUにおいて承認され、 2008年7月現在、米国、欧州等の51か国で承認されています。  なお、本邦では1996年に希少疾病用医薬品に指定されております。この本体はリコン ビナントのTSHでありまして、分化型の甲状腺癌で、術後甲状腺ホルモンを投与してお りますと、TSHが低下するわけですが、ヨード取り込みを見るためにはTSHを補充し てあげる方法が優れているということが、最近言われているわけです。  甲状腺摘出患者の再発、転移の診断法としては、今申し上げましたように放射性のヨウ 素画像診断、いわゆるシンチグラフィー、あるいはサイログロブリン試験、Tg試験とい うものがありますが、先ほどお話したように術後甲状腺ホルモンを投与しますと、TSH が低下して、検査の感度が下がってしまう。そこで検査の感度を高めるために合成甲状腺 ホルモンの服用を2週間くらい中断して、あえてTSHの分泌を促進して、甲状腺癌細胞 を刺激するという必要があるわけです。  しかしながら、甲状腺ホルモンの中断によりまして、体感性の低下、動作緩慢、異常感 覚等のいろいろな甲状腺機能低下症状が出現するということで、患者にとっては苦痛を来 すということ、特にQOLの低下を来すことが問題であると言われています。  そこで甲状腺ホルモン剤の服用を中止せずにシンチグラフィー、あるいはTg試験を実 施できる補助診断薬として、リコンビナントのTSHが有用であるということで開発され ました。  本剤を用いた方法と甲状腺ホルモンの中断を必要とする現行法を比較した評価におい ては、国内第III相試験10例のうち、7例で本剤法で同等以上、あるいは優れているとい うことで、安全性については大きな問題は認められていません。本剤については8月29 日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、投与全症例を対象とした使用成績 調査の実施を条件に、承認して差し支えないという判断に至りました。  部会の中では過敏症であるとか、アレルギー副作用等について議論が行われましたが、 特に問題ないということでした。以上、本剤の概要について御説明いたしましたが、事務 局からもう少し、追加をお願いしたいと思います。 ○望月分科会長 それでは事務局の方から補足等の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料1、「タイロゲン筋注用0.9mg」の審査の概略について、臨床 試験の成績を中心に御説明申し上げます。有効性について、本剤を用いた方法と、甲状腺 ホルモンの中断を必要とする現行法を比較した全身シンチグラフィーの評価において、本 剤法で同等以上とされた症例は、国内第III相試験において70.0%、10例中7例であり、 海外第III相試験、2試験でそれぞれ85.8%、127例中109例及び92.0%、113例中104例 と高い割合を示し、Tg試験の診断成績も良好であったことから、本剤による全身シンチ グラム及びTg試験の有効性が示されたと考えました。  また、安全性について、国内第III相試験における有害事象は、本剤診断期で10例35件、 現行法診断期で10例90件に認めたものの、本剤投与による特段問題となる有害事象は認 められておらず、海外の臨床試験及び使用成績調査においても、本剤の安全性に特段の問 題は認められなかったことから、専門医により適切な注意喚起の下で使用されれば、大き な問題はないと考えました。  これらの成績により、本剤の有効性及び安全性は確認されていると考えられ、日本人に 対する一定の有効性は期待でき、安全性の特段の問題も少なく、海外の臨床試験では本剤 法によるQOLの有意な改善が示されていることから、本剤は新規の診断補助薬として、 臨床現場に供する意義はあるものと判断いたしました。  なお、本剤は希少疾病用医薬品に該当し、国内治験症例が極めて少ないことから、製造 販売後、一定症例数に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査 を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び 有効性に関するデータを収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずることを承認条件と する必要があると判断いたしました。  以上、総合機構での審査及び医薬品第一部会での審議の結果、全症例の使用成績調査を 承認条件として付した上で、本剤を分化型甲状腺癌で甲状腺全摘、又は、準全摘術を施行 された患者における、放射性ヨウ素シンチグラフィーと血清サイログロブリン(Tg)試験 の併用又は、Tg試験単独による診断の補助の効能・効果で承認して差し支えないとの結 論に達し、薬事分科会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  なお、再審査期間は10年、原体、製剤ともに毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、生物 由来製品に該当すると判断しております。なお、事前に委員から御質問をいただいており ます。それについて回答させていただきます。  黒木委員より、添付文書(案)の11ページの1.8.4、「使用上の注意(案)及びその設定 根拠」の7.「過量投与」のところですが、その根拠とする文献の記載ミスについて御指 摘いただきました。申請者に対し、この部分の記載を訂正するよう指示しております。ま た、神山委員から1.8の添付文書(案)のについて、「効能・効果」欄の記載が「甲状腺全 摘又は、準全摘術を施行された以外の患者における」との記載がなされておりますが、そ れに合わせて「効能・効果に関連する使用上の注意」の文言について、「甲状腺全摘又は、 準全摘術を施行された以外の患者には」を「甲状腺全摘又は、準全摘術を施行された患者 以外の患者には」と、修正すべきではないかという御指摘をいただきました。御指摘を踏 まえ適切に訂正することといたします。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い いたします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは参考人の平井先生の方から補足がご ざいましたらお願いいたします。 ○平井参考人 東金病院の平井でございます。補足説明の機会をいただきありがとうござ います。内分泌代謝内科の専門医の1人として、先ほどの永井部会長からの説明に補足す る形で、若干説明を行いたいと思います。  我が国での甲状腺癌のうちの分化型の患者は、毎年約8,000人いらっしゃいまして、そ のうちの90%が手術になるわけです。そのうちの3%ですので大体毎年200名の甲状腺 の分化型の患者が甲状腺を全部手術で取る、もしくはほとんど取るというような形になり ます。こういった患者のその後のリンパ節転移、あるいは再発等を年に一度、あるいは半 年に一度診ていかなくてはいけないわけですが、その再発あるいは転移の診断は、先ほど 永井部会長からございましたように、甲状腺細胞の特徴的な機能である放射性ヨードの取 り込み、もしくは甲状腺細胞に特有な蛋白であるサイログロブリンの変動、これがほかの がんですと、腫瘍マーカーという形になるわけです。いずれにしてもこの放射性ヨードの 取り込みやサイログロブリンの産生というのは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激下に ありまして、それを用いて検査をするわけです。  このサイロゲンは診断補助薬で、年間で新規200人の方々が全摘出、定期的な検査を必 要とする方が年間約1,000人ほどいらっしゃいまして、こういった患者では従来どのよう な検査をしていたかというと、甲状腺を全部取っていらっしゃるわけですので、甲状腺ホ ルモンを補充しないといけない。その補充している結果、フィードバックがかかりまして、 下垂体から出る内因性のTSHはほとんど出ていないわけです。そうなりますと、先ほど 申し上げた転移しているがん組織のヨードの取り込みやサイログロブリンの産生という のは極めて分かりにくい状態である。そこで、患者には誠に申し訳ないのですが、2週間 ほど補充している甲状腺ホルモンをお休みいただいて、あえて人為的に診断目的のために 甲状腺機能低下の状態になっていただく。それによって下垂体から大量のTSHが出てき て、初めて検査が可能になるわけですが、甲状腺ホルモンが大幅に不足する結果、寒がり になったり、非常に患者がだるい状態になる。そのようなことは検査のためだということ で、従来患者に甘受していただいていたものですが、なかなかこれでは申し訳ないという ことで、海外で開発された遺伝子組換えのTSHというのは、甲状腺ホルモンの投与を中 断することなしにお飲みいただいて、ホルモンの低下を来さずに、外からTSHを投与い たしますと、今申し上げた転移巣あるいは再発巣のがん細胞が投与した放射性ヨードを取 り込んだり、あるいはサイログロブリンが増えることで再発か、もしくは転移ということ が分かるわけです。  大体年間でこういった検査の必要な方が約1,000人いらっしゃいますので、こういった 方々にとっては、甲状腺機能低下という人為的な具合の悪い状態を起こさずに、再発等の 検査ができるようになり、福音になるのではないかということで、臨床の内分泌の専門医 としては、非常に有り難い薬です。委員の皆様方の御高配を賜れば幸いでございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それではこれまでの御説明について、御意見、 御質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。説明で 十分に御理解いただけたと思います。それでは特段の御異議がないということですので、 議決に入りたいと思います。参考人で来ていただきました平井先生、どうもありがとうご ざいました。以上です。 ── 平井参考人退席 ── ○望月分科会長 それでは部会の報告を踏まえまして、当分科会としても本品目につい て、製造販売承認を可、再審査期間は10年、原体、製剤ともに毒薬又は、劇薬の指定は 不要とし、生物由来製品に指定することが適当であると認める旨、議決したいと思います が、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは御異議なしと認めます。薬事・食品衛生審議会規程第 3条第1項の規定に基づきまして、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働 大臣に答申することといたします。答申案の文案その他の取扱いについては、私に御一任 いただいてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。次の議題に入りた いと思います。議題2、資料2です。「医薬品ピレスパ錠200mgの生物由来製品及び特定 生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬 の指定の要否について」です。本品目は既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬 品に係る事項ですので、「薬事分科会において確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部 会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。  初めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思い ます。本来なら医薬品第一部会長の永井委員から御説明ですが、本日は医薬品第一部会委 員の村勢委員に参考人として出席いただいておりますので、御説明いただきたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○村勢参考人 村勢です。永井部会長に代わりまして、資料2の「ピレスパ錠200mg」、 ピルフェニドンについて、その概要を御説明いたします。この薬剤は特発性肺線維症の治 療薬として申請されたものですが、特殊な疾患ですので、少々その説明をしておきたいと 思います。  特発性肺線維症は慢性かつ進行性の経過をたどり、高度な線維化が進行して、不可逆的 な蜂巣肺、蜂の巣状の肺の形成を来す予後不良の難治性の疾患です。特発性肺線維症の原 因は、現在のところ不明ですが、種々の刺激により肺胞上皮又は、基底膜が障害され、そ の障害部位の修復過程で、線維芽細胞の増殖や細胞外マトリックスが増加する。そして、 肺胞構造の再構築や線維芽病変が形成されるなどの病理組織学的な変化を来して、機能障 害を引き起こすと考えられています。  この疾病の治療には、現在副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤などが用いられています が、十分に有効性は実証されておりません。したがって、標準的な治療法はまだ確立され ていない段階です。  本剤の有効成分であるピルフェニドンは線維化抑制作用を有する低分子化合物であり、 種々の増殖因子の産生抑制、あるいは線維芽細胞の増殖抑制やコラーゲンの産生抑制など により、線維化作用を阻止する、あるいは抗線維化作用を発現するものと考えられていま す。  海外においては本剤はまだ承認されておらず、現在米国及び欧州において第III相試験が 実施されているとのことです。去る8月29日に開催された医薬品第一部会の審査におい ては、作用機序が不明であるということに議論が集中しましたが、この後、事務局から説 明していただくようなことで、承認して差し支えないとの結論に至りました。以上、本剤 の概要について説明いたしましたが、事務局からもう少し詳しい説明をお願いいたしま す。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から補足等の説明をお願いいた します。 ○事務局 それでは資料2、「ピレスパ錠200mg」の審査の概略について御説明申し上げ ます。有効性については薬理試験成績から、本薬は病体モデル動物において、TGF-β1等 の増殖因子の産生抑制、線維芽細胞増殖抑制、コラーゲン産生抑制等を示すことが確認さ れておりますが、直接的な作用機序は解明されておらず、今後とも引き続き検討が行われ る予定とされております。  臨床試験成績については特発性肺線維症患者271例を対象とした第III相プラセボ対照 二重盲検群間比較試験において、有効性主要評価項目である投与全治に対する投与52週 後、又は、最終評価時点の肺活量の変化量は、本剤1日1,800mg群で、-0.09L、本剤1 日1,200mg群で-0.08L、プラセボ群で-0.16Lであり、本剤投与による肺活量の有意な低 下抑制が認められております。本剤での肺活量の変化については、プラセボを対照とした 第II相試験でも同様の結果が得られており、これらの結果から一定の有効性は示されたも のと判断しております。  安全性については毒性試験において、本薬は皮膚光毒性を惹起し、光毒性と近接する濃 度で光遺伝毒性も惹起することが示されており、臨床試験においても光線過敏症が約 50%の発現率で認められていることから、本剤の臨床使用に際しては、光曝露に伴う皮膚 での発がんに、十分な注意が必要と考えられます。  本疾患の重篤性、治療の現状を考慮すると、当該リスクは認容可能なものと判断してい ますが、患者にそのリスクを説明し、理解を得た上で投与を開始すること、適切な紫外線 予防対策を講じた上で使用することなどを、添付文書の警告、重要な基本的注意等に記載 し、注意喚起することとしております。また、臨床試験においては食欲不振、胃不快感等 の胃腸障害、γ-GTP上昇等の肝機能検査値異常等もそれぞれ15〜20%程度認められてい ることから、製造販売後調査において、長期使用時における皮膚癌の発現の可能性等も含 め、使用実態下での安全性が引き続き検討される予定です。  以上、総合機構の審査資料を基にした医薬品第一部会の審議においては、主に本薬の作 用機序の点に関して論議がなされました。本薬の作用機序が解明されていないという点に ついては、専門協議においても指摘があり、機構においては今後も引き続き作用機序の解 明を行うよう指導しています。  海外でも作用機序を解明する研究が実施されています。用法、用量の設定についても議 論がなされたところですが、特発性肺線維症は非常にまれな病気で、しかも非常にコント ロールすることが難しいものであり、個々の症例に応じて医療の現場で御対応いただくこ とが必要であろうと考えています。  本邦では1998年9月に希少疾病用医薬品に指定されており、特発性肺線維症の治療の ための臨床要望が強くあります。現在ほかに有効な治療薬がなく、安全性については光線 過敏症等が認められるものの、認容可能であり、十分な注意喚起を行うことで、特発性肺 線維症を効能・効果として承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されること が妥当と判断しました。  なお、再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、特定生物由来製品又は、生 物由来製品には該当しないとされました。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願 い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について御意見、御質問等をい ただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○赤堀委員 総合機構の考えとして副作用への配慮は重要であると書かれていますが、副 作用を推察していく上で安全性薬理試験は非常に重要な試験であると思うのです。その安 全性薬理試験の中で、無作用量が確認されていない幾つかの試験があるのですが、それら については調査会なり部会で、なぜ無作用量が確認されていなかったのかというような議 論は出たのですか。 ○事務局 説明させていただきます。本品目については安全性薬理試験として一般薬理試 験の用量が言われているのですが、無作用量というよりも、臨床で用いられている用量よ りもさらに高用量において、特に問題となるような作用は認められないということで、特 に問題はないと考えています。 ○望月分科会長 今の説明でよろしいですか。 ○赤堀委員 ちょっと聞きとれにくくて分からないのですが。 ○事務局 もう一度、事務局より説明させていただきます。本品目の安全性薬理試験につ いては、一般薬理試験と言われるものが広汎に実施されていますが、臨床用量で確認され ている曝露量よりも、かなり高い曝露量の用量において、それほど大きな懸念がされるよ うな薬理作用が認められないということで、安全性薬理試験については、特に問題ないと 考えています。薬理試験については全く正試験とは違い、特に無作用量のようなものは求 めるということはしておりません。 ○望月分科会長 質問に適正に答えているでしょうか。 ○赤堀委員 ちょっと質問に対する答えではなかったかなという気がしたのですが、例え ばページ数でいくと12ページ(3)に「安全性薬理試験」の報告がありますが、これを見 てみますと、1)「中枢神経系に対する作用」で、無作用量が確認おりません。あと[5]、 あるいは[7],[8]のところでも用量依存性の変化が見られたとありますが、無作用量が確認 されていない。すなわち急性毒性よりも、極めて少ない量で出てくる作用は、用量が多く なる、あるいはオーバードーズになったとき副作用として出現してくる可能性がある。で すから、安全性薬理試験でその点を把握しておきたいというのが目的だと思うのです。そ ういう意味ではどのレベルでもって、作用が出てこないかというのは非常に重要な情報だ と私は考えているのですが、それらについて調査会や部会で議論されたかどうかというこ とを伺っております。されていなければそれで結構です。 ○望月分科会長 事務局からお答えいただけますでしょうか。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。残念ながらその点については部会、専門協議等 では特に議論されていません。 ○赤堀委員 もう一点お伺いしたいのは、8ページになると思いますが、ブレオマイシン 誘発肺線維症をモデル動物として使っている。このブレオマイシン誘発の肺線維症は、か なり個体によってばらつきがあると理解しているのです。そうすると、このモデルを作成 する方法では、急性死あるいは亜急性死したマウスが何匹で、生き残って肺線維症に進行 していったものがどのくらいの割合で、あるいは全く急性死もなかった、あるいは肺線維 症にも進行しなかった、いわゆる抵抗性を示したというものの割合がどのくらいである か。そういうデータをバックグラウンドにして、有効性を確認したかどうかということが、 非常に重要になってくるのですが、このデータではそれが伺えないということで、その辺 の議論があったとすればお教えいただきたいと思います。 ○望月分科会長 事務局からお答えいただけますか。 ○審査管理課長 詳細なデータは今持ち合わせておりませんので、申し訳ございません が、後で届けさせていただきたいと思います。なお、このモデルは先生も御存じのとおり、 ブレオマイシンを投与して作ったモデルですから、そういう意味で申し上げますと、臨床 の対象となっている特発性肺線維症の的確なモデルと言えるのかという議論が部会にお いてもかなり交わされて、そうかといって、では特発性肺線維症のモデルがほかに確立さ れたようなものもない。そういう意味で申し上げますと、あくまでも参考としてこの資料 は見た方がよいのではないかという議論が部会において交わされたことを御紹介申し上 げておきます。 ○赤堀委員 ありがとうございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかの委員、溝口委員お願いします。 ○溝口委員 少し細かいことになりますが、本剤による副作用である光線過敏症につい て、コメントと質問を三つさせていただきます。人での発症頻度が高いですし、動物のデ ータからも、先ほど御説明いただきましたように、光毒性の反応であることは間違いない と思います。そうなりますと、光アレルギー性の光線過敏症と違いまして、光線量を抑え れば症状の予防あるいは軽症化が可能と思います。  添付文書ですが、せっかくモルモットできれいなデータが出ていますので、「重要な基 本的注意」の(1)には、効果が高いサンスクリーンの使用しか書いてありませんが、恐ら く皮膚科医でないドクターが指導されると思いますので、ここに動物実験で得られたSP F50+、PA+++と括弧付きでも入れておいていただけると、分かりやすいのではないかと 思います。それから、「帽子等」と書いてありますが、日傘も効果がありますので、はっ きり日傘も入れていただけると有り難いと思います。  モルモットの実験ですが、UVA照射で出なくて、すぐUVAとUVBの同時照射で検 査しているのです。もちろん光毒反応はUVAで生じることが多いのですが、本剤の紫外 線吸収スペクトルを見ますと、大体□と□くらいのところにピークがあります。光毒反応 ですと、吸収スペクトルに近いところで紫外線の作用波長がありますので、もしかしたら 本剤はUVAは大丈夫で、UVBだけがこういう副作用を出してしまう可能性があるので す。ですから、もしやっていないのであれば、承認後でも結構です。簡単な検査ですので、 UVB単独で出るかどうか、動物実験をしていただきたいと思います。なぜかと申します と、UVAはガラス窓を通しますし、曇りの日も結構降り注ぐのですが、UVBですとガ ラスも通しませんし、曇りの日は非常に量が少ないので、それが分かれば晴れた日だけ気 を付ければよいということで、患者のQOLが上がるのではないかと思います。  それから先ほどのブレオマイシンによる線維症の予防の件ですが、マウスモデルとして 使われただけではありますが、御存じのようにブレオマイシンとかペプロマイシンは扁平 上皮癌、特に皮膚科領域ですと、有棘細胞癌に非常に有効で、骨髄抑制もありません。た だ、肺線維症を出現しやすいので、特に高齢者では使うことができないのです。もう進行 している患者はほかに適当なものがないものですから、ただただ亡くなるのを見ているこ としかできない状態ですので、将来ブレオマイシンの副作用を予防するために、この薬を 使うようなことをさせていただけると、大変有り難いのですが、そういうお考えはないで しょうか。それを是非お願いしたいのですが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございました。三点ありましたがいかがでしょうか。 ○審査管理課長 まず一点目、御示唆いただきました添付文書の記載ですが、御示唆を基 に、再度調整をしてみたいと思います。ありがとうございました。二点目のUVA、UV Bの件ですが、今このUVBだけを調べた試験があるのかどうかというのは、申し訳ござ いませんが持ち合わせておりませんので、後で確認させていただくとともに、今先生から 御示唆がございましたとおり、場合によっては承認後にでも試験を行って、追加情報とい う形ででも供給するようにしたいと思います。三点目の今後の開発についてですが、今国 外において特発性について試験が行われていることを聞いています。国内においてどのよ うな開発を行うかというのは、まだ私どもも確かめていないところですが、今先生から御 示唆があった点も含めて、企業に聞いてみたいと思います。ありがとうございました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ほかの先生方はよろしいでしょうか。池田委 員お願いいたします。 ○池田委員 この薬は、日本で初めて承認するということで、重篤な患者を対象にした非 常に有用な薬であると思うのですが、現在の海外の開発状況をもう少し詳しく知らせてい ただけますでしょうか。かなり前に一度やっているわけです。それで現在も治験中だと。 ここには7月現在、アメリカ、欧州等で実施中だということなのですが、どんなステージ に入っていて、どのくらいのデータが出るのか、いつだったらそれがディスクローズされ るのかということによって、非常に未知数なところが多いものですから、日本で先駆けて やるというのは、非常にそれなりに意味はあると思うのですが、安全性という面で先ほど も赤堀先生から少しconcernがあったように、もしその辺のことがかなり近いうちに分か るのであれば、情報も入れてもいいのではないかという考えはあるのだろうと思います。 その辺はどうでしょうか。 ○望月分科会長 今の池田委員の御質問に対して、いかがでしょうか。 ○事務局 海外の試験の状況について御説明させていただきます。海外では今、欧州と米 国で第III相試験が実施されているところで、20□年度中には終了して、20□年□月ごろに は速報が得られるのではないかという情報を聞いています。この治験に関しての中間成績 等はまだ得られておりませんので、どういう成績になっているかは現在は不明です。 ○池田委員 どれくらいの規模の臨床試験をされているのですか。 ○事務局 一つの試験はプラセボとの二重盲検試験ですが、本剤群の症例数が□例で、低 用量群がこの試験でも設けられており、それに関しては半数の□例、プラセボに関しては □例の症例数が予定されています。 もう一つの試験の方は本剤とプラセボの2アームでの試験が実施されており、症例数は各 群□例です。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。ほかには御意見ございますか。望月委員お願いし ます。 ○望月(眞)委員 池田委員の御意見とも関連するのですが、とても大切な薬だとは思いま すが、悪化をしないということが最低限この薬に求められているところかなというような 感じもしまして、本当にはっきり治療効果という形では、明確なデータにはなっていない ような気がしました。そういう意味では池田委員がおっしゃられたような、国外の今現在 行われている臨床試験で、どのような効果が得られることが証明されるのかは、できるだ け向こうのデータが集まって解析が終わった時点で、日本にきちんと公表していただきた いということが一点です。  そういう意味では臨床的な位置付けが重症度をどの程度で使っていったらいいのか、あ るいは中にも記述があったのですが、ステロイドとの併用等々を含めて、まだまだどのよ うに使っていいのかというのが明確でないと思います。「製造販売後調査等」という項目 が61ページにあるのですが、こちらの方では安全性に関する部分、特に先ほど溝口委員 の御指摘にもありました光毒性も含めた部分は、かなりきちんと細かく記述されているの ですが、どういう形でこの症例が少ない対象疾患の有効性の部分を、市販後で見ていける のかは分からないのですが、そういう部分の製造販売後調査等の「等」の中に含めていた だくような形で、きちんとどういう位置付けで使っていくのか、どれくらいの効果なのか というのを、市販後にきちんと明確にしていっていただく必要がある薬剤ではないかと思 います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。お願いします。 ○審査管理課長 先生、御指摘の点については、部会においてもかなり議論がなされたと ころです。先ほど来、参考人で来ていただいている村勢先生からも御紹介いただきました ように、作用機序も余り明確ではない。さらには臨床効果を見ても肺活量の低下もそんな に極めて明らかというものでもないということから、かなり議論があったところです。  一方において、第III相の比較試験、あるいは第II相における比較試験、両方とも同じよ うな結果が得られていること。さらには難病として位置付けられていることから、今、望 月先生御指摘の海外でのデータが得られた段階で、それらも合わせて解析をして報告をす るとか、さらには使用成績調査で市販後にも国内でも、安全性に限らず、有効性について も調査をしていただくとか、そのようなことを条件に承認をしようということになったも のだということで、我々としても今後そのような対応をしていきたいと考えているところ です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。板倉委員お願いします。 ○板倉委員 一つ教えていただきたいのですが、光線過敏症は目には出てこない症状なの でしょうか。皮膚のことについての御説明はあるのですが、目に対して光線過敏というの は出ないと考えてよろしいのでしょうか。資料が多いので全部読み切れていないので、見 落としている部分があるかとは思うのですが、もし、目に出てくるとすれば、目への防御 というのも必要になると思いましたものですから、お尋ねしたいと思います。 ○望月分科会長 事務局からお願いいたします。 ○事務局 お答えさせていただきます。臨床試験で確認されている光線過敏症の症状は皮 膚で発現しているもので、目という形では特段報告はないようです。紫外線の予防対策と いうことで、やはり目への防御というのも必要かと思いますので、サングラス等による防 御も行うような形で、患者への配付資料には記載されることが予定されています。 ○望月分科会長 ほかにはどなたか御意見はございますか。皆さんからの御意見で難しい 問題はあるのですが、難治性疾患で有効な治療に乏しいことで、いろいろな問題点として、 薬理機構は分かっていない、あるいは光毒性に対しても十分な注意をしなければいけない などが指摘されました。しかしながら、海外のデータについても収集の途中であるとのこ とですが、患者のことを考えると、一応この分科会としても承認という方向にして、今日、 委員の方からたくさん出た御意見を宿題として、申請者にもう一度、内容を再検討するこ とを条件に、ここで議決したいという考えを私は持っていますが、いかがでしょうか。 ○赤堀委員 この場合は有効であったかどうか、あるいは副作用も踏まえて有用であった かどうかという結果は、何らかの形で御報告いただけるのでしょうか。 ○審査管理課長 今の御指摘はこの分科会に、いわゆる再審査の前段階で、何らかの段階 で報告をもらいたいということでしょうか。通常は再審査の段階まで、あるいはもちろん その間に何か大きな問題があって例えば措置をするというようなときには報告はさせて いただいていますが、そうではなくて、何もないという場合には、事務局で処理をさせて いただいているわけです。今の先生の御指摘が、例えば2年後、1年後というときに、分 科会にも報告しろという御意見で、分科会の中でそういう御結論になれば、私どもは当然 それに対応させていただきたいと思います。 ○赤堀委員 症例数が少ないですから、1、2年では多分出てこないかという気がするの です。ただ、メカニズムがはっきりしていない、本当に効いているのかどうかという疑問 がどうしても委員の中に残っているとすると、10年ではなく、できるだけ早い時期で本 当に効いているかどうか、有用性があるかどうかという報告はあった方がいいのではない かと思ったのですが。 ○望月分科会長 いかがですか。そのような条件を付けることは可能でしょうか。 ○審査管理課長 時期的にどれくらいがいいのかが、先生がおっしゃったようにそんなに 症例数の多い疾患ではございませんし、むしろ難病という形で症例数は極めて限られてい ますので、短期間でということになると、なかなかまとまったデータが出てこないのだろ うと思いますが、例えば3年とか、5年というようなことをめどに、分科会に報告させて いただくということで、やらせていただきたいと思います。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。分科会への報告を義務付けると言ったら大げさで すが、それを条件として現段階では認めたいという方向で考えたいのですが、よろしいで しょうか。では、ただ今のような考えの下に議決に入りたいと思います。永井委員におい ては申し訳ありませんが、寄附金等に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮 いただくことといたします。  それでは部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、 再審査期間は一応10年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由 来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろ しいでしょうか。  異議なしと認めます。薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科 会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することにいたします。どうも ありがとうございました。参考人として出席いただきました村勢委員が御発言されたいそ うです。 ○村勢委員 最後に一言だけ追加させていただきたいと思います。ここで委員の先生方に いろいろ御審議いただきましたが、ちょうど第一部会でも同じような議論があり、2回同 じような議論をしたという感じがしますが、おっしゃるとおりいろいろ問題があります。 一番問題となったのは、先ほど申しましたように作用機序が分かっていないということで す。少しでも分かっていれば使えるのにということで、そこがかなり議論の焦点になった のであります。光線過敏症についてももちろんそうです。そのような過程を通して、でも 対象疾患が非常に難治性であるということであり、患者さんからの要望も強いというバッ クグラウンドがあるのでしょうか、そういうことでこの際、ここでは承認しようというよ うな議論になったと思います。  いろいろな先生がいろいろなことをおっしゃってくださいましたが、例えばステロイド とのコンビネーションとか、いろいろなことが考えうるかと思いますけれども、多くの宿 題をいただき、それはそれとして、取りあえずは承認しようということになったわけです。 ここで御審議いただいて大変有り難いと思っています。一言だけ付け加えさせていただき ました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは先ほど申し上げた形で議決したいと 思います。薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をも って審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案、その 他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございま す。それではそのようにさせていただきます。ありがとうございました。永井委員は席に お戻りください。  次の議題に入りたいと思います。議題3、資料3「サレドカプセル100」の生物由来製 品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒 薬又は、劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分 を含有する医薬品に係わる事項ですので、「薬事分科会における確認事項第3項」に基づ き、医薬品第二部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっていま す。始めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思いま す。それでは、医薬品第二部会長の池田委員から御説明いただき、続いて医薬品等安全対 策部会長の松本委員からも御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○池田委員 池田でございます。よろしくお願いします。資料3の「サレドカプセル100」 について概要を説明したいと思います。審査の詳細については後ほど事務局の審査管理課 から説明をお願いしたいと思います。  御承知のように多発性骨髄腫というのは、完治することがなかなか望みにくい、難しい 造血器腫瘍の一つです。我が国では年間、大体3,000人が罹患していると推定されていま す。これまで初発時としてどんな治療をしているかを説明しますと、デキサメタゾンとか メルファラン、あるいはそのほかの抗がん剤を組み合わせて、併用療法を行ったりします。 この疾患は比較的高齢の方に発症しやすいのでなかなか難しい点もありますが、年齢が若 い場合、55〜60歳までですけれども、若い患者さんの場合には自家末梢血造血幹細胞移 植というのをやる場合があります。ある程度の効果が得られるのですが、一時的な効果で あり、いずれはまた、再発してくるという状況があります。  再発した場合にどうするかということで、これも、これまで国内外でいろいろなサルベ ージ療法というのが工夫されているわけですが、いずれも満足する十分な効果が得られて いないということです。本日、御審査いただくサレドカプセル、サリドマイドですけれど も、御承知のように催奇形性があるということで、発売が我が国で中止になったわけです が、その後、この薬物には血管新生抑制があるとか、あるいは骨髄腫細胞にも効くのでは ないかと、幾つかの国内外のデータが出て、例えば個人輸入の形で使われる、あるいは海 外では承認されて使われているということです。  この薬については、8月27日に開催された医薬品第二部会において、その点について 十分に審議をさせていただきました。実はその結果ですが、別途、検討されているサリド マイド製剤の安全管理の方策を徹底するということを前提として、この薬剤の治療効果が 認められていることを踏まえ、第二部会では承認して差し支えないのでないかという判断 に至ったということを、御説明させていただきたいと思います。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。続いて松本委員から御説明をお願いします。 ○松本委員 松本でございます。9月30日に開催された医薬品等安全対策部会において、 サリドマイドの安全管理のための方策について、検討を行った結果を報告させていただき ます。  サリドマイドはかつて催眠鎮静薬あるいは胃腸薬として販売された医薬品ですが、先ほ ど池田委員の説明の中にもありましたように、四肢への重度の先天性障害や胎児の死亡な ど重篤な副作用を引き起こしたことから、販売停止及び回収が行われています。そのため にサリドマイドを承認審査するに当たっては、このような被害が再び起こらないようにす るための厳重な安全管理の方策を検討することが、重要であろうと考えられるわけです。 このような観点から藤本製薬株式会社が、外国で実績のあるサリドマイドの管理方法を参 考にした「サリドマイド製剤安全管理手順」を作成し、「サリドマイド被害の再発防止の ための安全管理に関する検討会」等において議論が行われています。  医薬品等安全対策部会に先立って開催された検討会では、サリドマイド被害者の方や骨 髄腫の患者の方等関係者の切実な意見に基づきまして、厳格な管理と実行可能性の観点か ら真摯に議論が行われ修正されました。関係者の果たす役割についても確認をされていま す。  9月30日の安全対策部会においては、この検討会での議論を踏まえ、「サリドマイド 製剤の安全管理手順(案)」、「TERMS第三者評価骨子(案)」及び「サリドマイド製剤の安 全管理に関する確認事項について」の内容について、部会として確認をしました。また、 安全管理のための方策は、承認後においては医薬品等安全対策部会において、その実施状 況に関する報告を受けるものとしています。これらの具体的な内容については事務局より 説明をお願いしたいと思います。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から補足等をお願いします。 ○審査管理課長 最初に本日、お手元にお配りしている「サリドマイド製剤の承認審査に ついて」という1枚紙の参考資料を御覧ください。このサリドマイド製剤については、大 きく申し上げて有効性・安全性の評価という面での検討と、例えば医師、患者の登録、一 元管理、教育、第三者評価といった安全管理方策の検討と、二つの側面があります。有効 性・安全性の評価においては、機構による審査が8月11日付けで報告され、これを基に 8月27日の医薬品第二部会で御議論いただいたところです。  その医薬品機構の審査報告あるいは提出資料を公開した上で、意見募集を8月27日〜 9月18日に行ったところです。この意見募集というのは、この分科会の確認事項の中に あって、平成10年に経口避妊薬を承認する際に行ったことがあるというもので、社会的 に極めて関心が高い事項について、こういった報告書や資料を公開した上で意見を募集す るという手続で、これを部会の意見を聞いて実施させていただいたところです。  一方、参考資料の右側の安全管理方策の検討については、先ほど医薬品等安全対策部会 長から御説明がありましたように手順書の案を公開した上で意見募集を行い、それとほぼ 並行する形で関係者、有識者、企業にも御参加いただいて、検討会を都合3回開催させて いただいたところです。この検討会で一定の結論を見たことから、医薬品等安全対策部会 で御議論いただいたという経緯です。本日は、この有効性・安全性の評価と、安全管理方 策の検討の二つの側面の各部会における審議が終わったことから、分科会において総合的 な取りまとめの御議論をお願いするところです。審査管理課の方から有効性・安全性につ いて、安全対策課の方から安全管理について、引き続き御説明させていただきます。 ○事務局 資料3「医薬品サレドカプセルの審査の概略について」、御説明申し上げます。 本薬の有効成分であるサリドマイドについては、催奇形性が国内外で報告されたため発売 が中止されました。しかし、その後、本薬の血管新生抑制など、新規の薬理作用機序に関 する知見などが蓄積されるとともに、骨髄腫細胞への増殖抑制効果が着目されるようにな り、多発性骨髄腫の治療薬として開発が行われてきました。海外では今回申請されたもの とは異なるサリドマイド製剤が、多発性骨髄腫の治療薬として2003年10月にオーストラ リアで承認されて以来、米国、EU等で承認されています。  本邦では、本薬は2005年2月に希少疾病用医薬品に指定されています。その後、2005 年7月より国内臨床試験が開始され、再発又は、難治性の多発性骨髄腫に対する本薬の有 効性及び安全性が確認されたとして、2006年8月に製造販売承認申請が行われました。 本申請に対して、評価資料として再発又は、難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした、一 つの国内多施設共同非盲検用量漸増試験の成績が提出されています。  本薬の有効性については、国内臨床試験で血清M蛋白の増減を評価する寛解度が主要評 価項目として設定され、寛解度は32.4%でした。海外市販製剤を用いた公表論文のM蛋 白減少効果と顕著な差異は認められないとのことから、本薬の有効性は期待できるものと 判断しました。  安全性については、本薬の使用について特に注意すべき有害事象として催奇形性があ り、本薬の製造販売後には、本薬の胎児への曝露を防止するために厳格な安全管理が必要 であると判断しています。なお、安全管理方策については別途検討が行われていますので、 検討結果については後ほど安全対策課の方から御説明申し上げます。  その他、有害事象として海外市販製剤においては神経障害、静脈血栓塞栓症、骨髄抑制 など、様々な臓器での有害事象が出現しており、本薬においても注意を要するものと判断 しています。本薬については再審査期間は10年、原薬及び製剤は毒薬に該当し、特定生 物由来製品又は、生物由来製品に該当しないとされました。なお、安全管理方策の適正な 実施等の承認条件については、後ほど御説明申し上げます。  資料3-2を御覧ください。本品は先ほど審査管理課長より説明がありましたように、社 会的関心が極めて高い医薬品ですので、「薬事分科会における確認事項」に基づき分科会 審議の参考とすべく、医薬品第二部会の審議結果について一般からの意見募集を8月27 日〜9月18日まで行っています。資料はいただいた意見を取りまとめたものです。早期 承認の要望のほか、一つずつは御確認いただきたいのですが、例えば20番は他の抗がん 剤との併用は禁止しないでほしいとの意見です。それについては、今回提出された国内臨 床試験は本薬の単独投与のものであり、他の抗がん剤との併用は検討されていませんの で、現段階では併用禁止は推奨できないと考えています。また、市販後の調査において併 用療法の実施状況や、併用時の安全性を確認する予定となっています。  27番には承認条件についての意見をいただいています。これについては後ほど説明さ せていただきますが、安全管理方策の実施を承認条件に盛り込み、当該方策の変更の際に はあらかじめ厚生労働省の了承を得るようにするなど、具体的な内容を条件として付加す ることを考えています。また、市販後の試験については、製造販売後、一定期間経過後に 得られた情報の分析を行い、関係学会等の意見を聞きながら適切な臨床試験を実施するよ うに指示しています。  29番の意見については、13番染色体異常等、すなわち患者背景や予後因子についての 意見をいただいていますが、国内臨床試験の症例は限られており、今後も引き続き情報を 収集し検討を行う必要があると考えています。  34番は「いしずえ」からいただいた御意見で、安全管理の方策の検討を行っている最 中に、医薬品第二部会の審議が行われたことに抗議するとのことです。本薬については「医 薬品としての有効性・安全性」と「安全管理方策」とは、どちらも欠かすことができない 両輪のようなものと認識しています。そこで医薬品第二部会にて医薬品としての有効性・ 安全性を御審議いただき、安全管理方策については医薬品等安全対策部会にて御検討いた だき、その両方の御結論をいただいた後に、本分科会に上程しています。 ○事務局 今の説明で一点訂正させていただきたいのですが、意見募集の結果の20番、 他の抗がん剤との併用を禁止しないでほしいとの御意見に関して、ただ今説明の中で、現 段階で「併用禁止は推奨できない」と発言しましたが、これは「併用使用は推奨できない」 の誤りですので、おわびして訂正いたします。よろしくお願いします。 ○事務局 続きまして安全対策課より、安全管理の方策について御説明いたします。資料 は3-3〜3-5になります。サリドマイド製剤安全管理手順、「TERMS」と呼ばれていますけ れども、これについては別途配布している1枚の図にて説明させていただきたいと思いま す。  本手順については、本剤の適正な使用を推進し、胎児への曝露を防止することを目的と して作成されたものです。本手順の流れですが、まず青色と黄色の矢印を御覧ください。 本製剤を取り扱う医師、病院薬剤師、卸売販売業の薬剤師に対し、藤本製薬より本手順に 関わる情報提供を行った後、事前に登録をすることとされています。また、患者に対して は医師より教育を行っていただき、医師経由で登録が行われます。なお医師についてです が、日本血液学会認定の血液専門医の方などを登録することとしており、また、本剤は院 内調剤に限定することとされています。  次に毎回の処方の流れですが、赤あるいは緑色などで示している矢印を[4]〜[12]まで順に 追っていただければと思います。簡単に説明させていただきますと、患者本人は診察前日 までに、医師はその処方の前、薬剤師については調剤前に専用の様式を利用していただき、 本手順の遵守状況等を確認の上、記載していただき藤本製薬にFAXを送付していただき ます。藤本製薬においては、このFAXの情報に基づき、遵守状況等について問題がない かといった観点から確認を行い、医師、薬剤師にそれぞれFAXを返送します。医師、薬 剤師の方におかれましては、このFAXを受け取った後に処方あるいは調剤を行うことと されています。  今、申し上げた具体的な遵守事項ですが、薬剤の管理を徹底するという観点から専用の カプセルシートを使っていただく。不要薬については回収する。譲渡の禁止といったこと が定められています。患者によっては、定められた時期における妊娠検査や避妊の徹底な どを行うことが求められているところです。  また、本手順の評価等については、藤本製薬社内に設置されるTERMS委員会で行うこと に加え、さらに第三者評価機関に委託することとされており、こういった評価結果に基づ く本手順の変更については、厚生労働省の指示に従うこととされているところです。  この第三者評価の具体的な方法ですが、資料3-4を御覧ください。これは現在、第三者 評価機関の候補となっている、大阪大学薬学研究科の那須教授に作成していただいた「第 三者評価骨子(案)」です。TERMSを改善することを目的として、患者や医師等に対する調 査を行います。そして調査結果に基づき有識者から構成される第三者評価委員会で議論 し、必要に応じて改善点について提言することとされています。また、調査に当たりまし ては、患者に過度の負担がかからないよう配慮するなど、患者の視点が重要視されている というところです。  資料3-5を御覧ください。これは部会に先立って開催された検討会において、安全管理 のための方策を議論した際の基本的な考え方に加え、行政における取組が重要であるとい うことから、その具体的な取組について確認事項として取りまとめたものです。これにつ いては医薬品等安全対策部会においても御確認いただいています。  例えば1ページで基本的考え方として、関係者がその役割を認識し、それぞれの役割を 果たすべきものであることや、継続的に適切な改善が行われるものとすること。また、2 番目に行政の取組としては、安全管理の方策の実施を承認条件とすること。第三者評価委 員会に関与及び支援すること。先天異常に関する副作用等の評価体制を充実することなど が挙げられています。本分科会においても、これらの事項を御確認いただければと考えて います。安全対策課からは以上です。 ○事務局 最後に、本薬の承認条件について御説明させていただきます。お手元に本日配 布した資料3-6、「サレドカプセル100の承認条件について(案)」をお配りしています。 本薬の承認条件については、1.安全管理方策の適正な実施、2.文書による患者等への説 明・同意の取得、3.全症例を対象とした、使用成績調査及び製造販売後臨床試験による 安全性及び有効性に関するデータの収集を予定しています。説明は以上です。御審議のほ どよろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問等を いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○神山委員 意見の34番の「いしずえ」の方の[2]のところに、「安全管理方策の適正な 実施について、プログラムの変更については厚生労働省の許可を要件とすべきである」と なっていますが、この資料3-6の1.では「厚生労働省の了解を受けなければならない」 となっています。了解というのは一体何なのかが非常に不明確だと思いますが、ここは、 管理手順を変更するについては厚生労働省の許可を受ける、ということにするわけにはい かないのでしょうか。 ○望月分科会長 了解の意味について、いかがですか。 ○審査管理課長 神山委員の前で技術屋である私が言うものでもないのですが、許可とい う言葉を使えるのかという点から了解という言葉を使いましたけれども、実質上、「いし ずえ」がおっしゃっていることは、すなわち藤本製薬が勝手に、あるいは第三者機関の意 見を入れたにしても、自分たちで改正するということがないようにということです。それ は我々としても今後、当然のことながら一つずつチェックをしていくということで、こう いった承認条件にさせていただいているところです。 ○望月分科会長 よろしいですか。実質的には許可ということですね。ほかには御意見が ございますか。 ○黒木委員 一点教えていただきたいのですが、第二部会が終わった後の意見募集に対す る回答が、どういった考え方であるというのは今日いただきましたけれども、意見を寄せ られた方々にこの回答はもう返されているのでしょうか。それともこれから返すとか、こ の意見とともに公表するとか、もうされているとか、その点について教えてください。 ○望月分科会長 お答え願います。 ○審査管理課長 この意見は、ここでの議論の参考にする目的で募集をしたものです。し たがって、一つずつ答えるような性格ではないのだろうと考えています。したがって、い ただいた60件の御意見のうち50数件は、主に早く承認してくれというような御意見です けれども、それ以外の主な点についての今の事務局としての考えは御紹介しながら、説明 をさせていただいたと解釈しているところです。 ○黒木委員 今後、例えば「いしずえ」様とかから、御質問が出た事項に対する考え方に ついて、答えを返すという予定はあるのでしょうか。 ○審査管理課長 「いしずえ」をはじめとする関係団体とは、本件申請が出る前から議論 をさせていただいておりますし、各種要望もいただいていますし、我々としての考え方も 伝えさせていただいています。そういう意味で申し上げますと、この点についても今まで もお話してきましたし、今後ともお話をさせていただきたいと考えています。 ○黒木委員 医薬品第二部会で医薬品として審査し、医薬品等安全対策部会でこの手順を よく検討して、ここで議論するといったことに関して、今回十分御理解をされているとい うことでよろしいですね。それを確認したいのです。 ○審査管理課長 先ほど、1枚図で御説明申し上げましたけれども、この図の右側にある 検討会には、「いしずえ」の方も御参加いただいたところです。もちろん御満足いただい ているということを言うのは慎みたいと思いますけれども、我々は申請が出る前、すなわ ち個人輸入のときから「いしずえ」の方々には御意見を賜り、また、こちら側の考え方を 説明し、あるいは「いしずえ」の方も要望書あるいは意見書という形で意思表示をされ、 我々はそれに対する答えをしてという手続を、少なくとも私が承知している限りでも2 年、あるいはその前からやってきたのだろうと考えています。 ○黒木委員 ありがとうございます。 ○望月分科会長 ほかに御意見はございますか。 ○板倉委員 質問ですが、43番の薬害オンブズパーソン会議のところで、適応の再発、 難治性の範囲条件をより明確にすべきと書いてありますが、これは拡大解釈ができるとい うことなのですか。この質問の意味がよく分からないので、お尋ねしているのですけれど も。 ○望月分科会長 いかがですか。事務局からお答えください。 ○事務局 事務局からお答えします。いただいた意見の真意というところまでは我々も明 確ではない一方で、難治性もしくは再発という定義に関しては、今日、お配りしている添 付文書の最新版を御覧ください。「効能・効果の下に関連するの使用上の注意」のところ に、再発又は、難治性の多発性骨髄腫というのは、具体的にどういうものを指すのかとい う考え方を示しているところです。 ○望月分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。 ○笠貫委員 安全管理手順「TERMS」はよくできていると思いますが、問題はこれをどう 実際に運用できるかというところだと思います。そこについて質問したいのですが、安全 管理基準の概要の[1]「情報提供」というときに実際にこの藤本製薬がそれだけのMRを備 えているのかどうか。そういう実際のところから入らないと運用できないと思います。  [2]「登録」のところで、二重登録というのは処方医師からと責任薬剤師になっています が、ここの二重登録というのは安全の意味では大事なのかどうなのかについて知りたいと 思いました。  患者と処方医師のところで、文書では「文書による同意書」と書いてありましたし、患 者と処方医師の間では文書による同意書というのは非常に大事だと思いますから、入れて いただいた方がいいと感じました。  第三者機関と評価機関の位置付けですが、この手順の説明では、藤本製薬が第三者評価 機関に委託することになっています。そうすると経済的基盤、組織的基盤は、藤本製薬に 依存することになり過ぎないかなというのは、少し気になります。そのときに第三者評価 機関が、果たして独自調査で、どれだけ会社との関係で独立性を維持できるのかという感 じはします。  第三者評価機関の中で非常に大事な役割というのは、透明性の問題だと思いますけれど も、情報公開というところが、この図の中では、どこが責任を持って情報公開の判断をす るのか分からないのです。もしこれを第三者評価機関でするならば、第三者評価機関がこ の管理手順の中では最も大事な役割なので、その役割をきちんと書くことと、業務を委託 した藤本製薬との独立性をどう担保するのかについてお考えをお聞きできたらと思いま す。 ○望月分科会長 五つほど質問があったようですが、よろしくお願いします。 ○安全対策課長 ありがとうございました。御質問の一番目、情報提供が藤本製薬として どのようにできるのかということについては、この管理システムに非常に人手がかかると いうことで、現在、既にMRの増員を準備していて、その教育訓練等についても取り掛か っていると会社から説明を受けています。100人という話も聞いていますが、これは具体 的には段階的に人を雇い、養成するということだと我々は理解しています。  登録を二重に行うということに関して、これは処方するドクターが確認できることと、 薬剤師の方が確認できることがそれぞれありますし、患者がドクターには言いにくいよう なことがあった場合に、それぞれの持ち場の専門性でお話を聞いていくことが有効ではな いかという趣旨と、現在はこれは院内に限定していますが、欧米のシステムでは院外の調 剤薬局に処方が出ていることもあり、その場合はどうしても医師と薬剤師を別々に確認す る必要が生じるといったことがあります。現時点ではこのような限定をしていますが、将 来、患者の利便性等を考えたとき、あるいはこの管理システムがどのくらいきちんと機能 するかを評価しつつ、院外の薬局に処方が出ることも想定すると、このような形をとって いくのは移行がスムーズであろうということも考えて、このような仕組みになっていると いうことです。  この図の説明は、図そのものはシステムのできるだけ簡潔な要約ということで作ったも のですので、確かに患者と医師の間で文書による同意ということが書かれていた方が明確 というのは、御指摘のとおりですので、より説明としての正確性を期すという意味では修 正をさせていただきたいと思います。  第三者評価機関は非常に重要な役割をする所ですが、これについては、委員会のメンバ ーとしてサリドマイドの被害に遭われた「いしずえ」の代表の方、日本骨髄腫患者の会の 代表の方、行政からも人が参加する予定になっています。これが一つは、この委員会が独 立した機能を発揮する上では非常に重要だと考えています。もちろん、それに加えて専門 家としてリスクマネジメント、リスクコミュニケーション、あるいは医薬品情報といった ところの専門家等、かなり充実したメンバーを備えることが予定されています。  それから、この図の中で、第三者評価機関から行政の方に「定期報告 提言」というふ うに上に矢印が行っていますが、この第三者評価機関の中での議論は、実際には様々な患 者の情報等も取り扱うことを考えると、ここを完全に公開にすることはすぐにはできない と思います。したがって、そこで検討されている内容について行政に報告をいただく。こ れは医薬品等安全対策部会を想定していると冒頭に御説明申し上げましたが、医薬品等安 全対策部会は公開で議論されていますから、こちらで公開性、透明性を担保できるのでは ないかと考えています。運営資金については藤本製薬に全面的に依存するのではなく、で きるだけ行政からも支援をしろという要望をいただいていますので、その方法についても 私どもは工夫をしたいと考えているところです。いずれにしましても、第三者評価機関が 透明かつ公正な運営がされることは非常に重要と考えていますので、御指摘も踏まえ、で きる限り改善の工夫をしてまいりたいと考えています。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。 ○竹嶋委員 この前の薬剤、ピレスパ錠のときに委員の皆さんから議論がありました。作 用機序がまだはっきりしないし、できてから初めて日本で使うということで、私は医療の 現場にいる者ですが、まさに医療の現場サイドから大変不安を持ちながら発言を聞いてい ました。これについては、きちんと意見を吸い上げてやっていくということでしたね。  このサリドマイド製剤で、一番問題になるのは安全管理のところだと思います。患者と 医師、医療機関がしっかり確認し合ってやっていくということで、それについては資料 3-5に基本的な考え方ということで、医療関係者、患者、藤本製薬、行政が安全管理をし っかり守っていくことを明確に出してあります。万が一、極めて残念な副作用を起こした 場合には、それに対しても救済に努めるということが(4)にありますので、ここのところ で私どもは、きちんと対応していきたいと思います。  一つだけ具体的にお伺いしたいのですが、資料3-6の2に、「あらかじめ患者又はその 家族に有効性及び危険性が文書をもって説明され、文書による同意を得てから始めて投与 される」とあります。この「文書で説明する」というのは何かサンプルが用意されるわけ ですね。もう一つ、私どもが手術等で承諾書というのを、いろいろ説明して御納得いただ くのですが、これは必ずしも法的に有効とか有効でないという議論があります。「文書に よる同意」と書いてありますが、これもどういう形なのか。何かサンプルみたいなのは出 していただけるのでしょうか。具体的な現場サイドからの質問です。 ○望月分科会長 いかがですか。 ○審査管理課長 患者への説明の資料に及ばず、ドクターあるいは薬剤師あるいは卸等へ の説明の資料を、それぞれ用意するということで準備を行っています。また、今、委員が 御指摘の同意書のサンプルについても、資料3-3の後ろに様式の4と5という形で、様式 が定められているところです。 ○笠貫委員 大分理解できました。第三者評価機関のところで患者を含めた委員で構成さ れることが、一つの大きなポイントだというお話だったと思います。そこにどういうふう に科学性を持たせるかということが非常に大事な問題だと思います。そこで承認条件の3 のところで、「適切な臨床試験を実施する」と書いてありますが、この臨床試験というの は医師主導型臨床試験という意味なのでしょうか。あるいは企業主導型臨床試験なのか。 ここが実際に実行するときに、日本の場合には多くの困難性を伴っていると思います。こ れについて具体的に、例えば製剤の場合の臨床試験を、どういうふうに実施していくか検 討されているのでしょうか。あるいはこれから検討するということなのか、教えていただ ければと思います。 ○望月分科会長 事務局、お願いします。 ○審査管理課長 第三者機関の専門性については、資料3-3の21ページを御覧ください。 583行のところですが、第三者委員会にも医学・薬学の有識者として骨髄腫あるいは産婦 人科の専門家、あるいは人文・社会科学の専門家にも入っていただきたいというふうに考 えています。また、市販後の臨床試験の承認条件との関係ですが、これについては今まで のこのサリドマイドの臨床試験そのものが、臨床血液学会といった学会に御努力をいただ いたところです。今後、市販後においても、使用成績調査、全数調査を義務付けるわけで すが、そのデータを見ながら、どういった試験がいいのかを学会等とまた、議論していた だくということで考えています。治験の段階においては藤本製薬主導の治験という形にな っていますので、市販後、もし学会主導の治験ということが行われるようであれば、それ は我々として歓迎すべきものですけれども、承認条件として書いているのは企業が行うこ とを前提に書いているところです。 ○望月分科会長 他には、御意見はございますか。 ○赤堀委員 長くなって恐縮ですが、承認条件のところです。まず資料3-6の2.のとこ ろの先ほど少し触れておられた「文書による同意を得てから始めて投与されるよう」は、 文書による同意を得ることから始めるという意味でしょうか。それとも「文書による同意 を得てから」で切って、初めて投与されるという意味なのでしょうか。  もう一つは3.ですが、「データを集積されるまでの間」、あるいは「製造販売後の一 定期間の経過後」、あるいは「本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し」 と、どこかに書いてあったかと思いますけれども、具体的にどの程度の期間なのか。ある いはいつまでのことなのか、少しお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。 ○審査管理課長 承認条件、資料3-6の2.の上から4行目の末尾、「文書による同意を 得てから始めて」というところです。そういう意味で申し上げると、文書による同意を得 て、その後、投与を始めるのだという意味です。一番最初に同意を得るというためには、 当然のことながら情報を提供し、患者に御説明し、お考えいただいて、それから同意とい う手続になるだろうと思います。 ○赤堀委員 そうしますと、この「始めて」という字でよろしいですか。 ○審査管理課長 そういう意味ではこれは誤字です。「始めて」を最初の「初」に変えさ せていただきます。申し訳ございません。3.の「一定数の症例」あるいは「一定期間」 というところですが、これは多発性骨髄腫ということ自体が極めてまれな疾患ですし、そ ういう意味で申し上げるとなかなか予測がつかない。例えば高血圧とかそういう広い病気 ですと、症例数を確保するのに何年と言うことができるわけですが、そういう意味でこう いう表現になっているわけです。一方において、得られたデータをいつまでも解析しない ということは、有効性・安全性を確保するための適正使用のための情報提供という意味で も、問題があるだろうと思います。今我々が考えているのは、1年あるいは2年をめどに 解析をしていき、その結果を情報として提供していくのだろうと考えています。  ではどこまでそれをやっていくのかと考えると、例えば0.1%程度の副作用を調べよう と思うと、2,000〜3,000例の例数が必要となってきますし、こういったまれな病気で、 そういった症例数が現実として可能なのかも考えなければなりません。解析をしていきな がら、その辺りの判断を部会でもお願いすることになっていくと思っています。 ○望月(眞)委員 二点あるのですが、一点目は薬剤師が調剤を担当しますので、いつもで すと包装がどんな包装かとか、パッケージにどんな注意書きがあるかなど、そういうのを 見せていただけるのですが、今回、全く登場していません。外国などでは妊婦の絵があっ て×が付いているとか、そういう形のパッケージになっていたりする工夫があるものです から、私がきちんと資料を見ていなかったら申し訳ないですけれども、そのような形にな っているかどうかというのを、確認させていただきたかったのです。  それと、ここで調剤の仕方がカプセルシートという形で調剤されていて、患者さんがき ちんと飲んだとかも、確認できるようなシートが付いていることになっているように読ん だのですが、そこもどういう形になっているかを現物を確認できればよかったのですけれ ども、今はないですよね。 ○望月分科会長 事務局、お願いします。 ○審査管理課長 先ほど申し上げましたが、安全管理方策について安全対策部会をやって 間もないということもあり、使用上の注意というか、添付文書そのものは安全対策部会の 御意見を踏まえて訂正をしたところですし、手順書も直したわけですが、まだ直しきれて いない部分もあります。そういう意味で申し上げると、今審査の骨組みと申しますか、承 認する、承認しないという一番大事なところというのは、準備できたと思って我々は審議 していただいているところですけれども、パッケージ等々については今整理していますの で、先生方にできるだけ早く何らかの形でお送りさせていただきたいと思います。申し訳 ございません。 ○望月分科会長 よろしいですか。 ○望月(眞)委員 もう一点は、先ほど来、かなりきちんとした市販後の安全管理が行われ ていくということをお聞きして、安心している部分もあるのですが、妊娠検査などがかな り頻回行われるように、この安全管理の手順の中でなっています。そうしたときの検査の 検査料をどういった形で患者さんが負担する形になるのか、ならないのか。これは、この 薬を処方するがためのものと考えたときに、どこにそれを吸収していくのか。  それから、これだけの仕組みを作ると企業は相当お金を使うことになると思います。先 ほどもMRを相当増やすということがありました。そうすると薬価を決めるときに、そこ をどう入れ込んだ決め方にするのか。なおかつ、資料3-2の意見の30番に、個人輸入は 経済的な負担や通院の負担が大きいという意見があります。患者側に対する配慮と、これ をきちんと実行性を持って、この安全管理の仕組みを動かしていくことを考えたときの薬 価の有り様というものも、どんなふうに考えているのかをお聞かせいただきたいと思いま す。 ○望月分科会長 いかがですか。 ○審査管理課長 いずれも私ども、いわゆる薬事法の世界からお答え申し上げますと非常 につらい質問です。ざっくばらんに申し上げると、有効性・安全性の評価とは異なるとい うこと、さらに責任を持った部局ということではないことを前提にお話したいと思いま す。妊娠検査等に限らず、こういう医薬品の投与あるいは医療の一環として必要なものに ついては、恐らく医療保険の中でカバーされていくのだろうと考えています。また、薬価 の点ですが、安全管理に必要な費用も当然のことながら内包されないと、企業としてはそ れを供給する責任、あるいは安全管理を適正に果たしていくことが難しいということにな ります。当然のことながらコストがかかりますから、必要なコスト、適正なコストという のはカバーされることになるのではないかと思うわけです。  一方において、個人輸入で今やられているものは、ざっくばらんに申し上げると例えば 骨髄腫患者の会からいただいた要望書には、今、イギリスから輸入すると1,500円程度と 書いてあったかと思います。これは安全管理対策がのっていないわけです。アメリカの雑 誌に載っている価格は10,000円を超えると聞いています。これは、そういう意味で申し 上げると、安全管理対策のコストを含んだものだと思います。  さらには患者の自己負担が、例えば3割と考えると、10,000円の3割でも大変な金額 になってきます。先ほど申し上げたイギリスからの個人輸入の価格よりも、かなり高いと いう問題もあるわけです。最後は保険局が中医協の意見を聞きながら決めていくことにな るわけで、仮にこの分科会で薬事法上、承認として差し支えないということになれば、今 度はそういった議論に移っていくことになっていくのだろうと思います。 ○佐藤委員 承認条件でこれでほぼ良いと私は思っていますが、確認だけいたします。サ リドマイドはもともと睡眠導入剤というか、睡眠誘導剤、あるいは安定剤として過去に使 われたことがあるわけです。つまり、向精神薬に相当する薬理作用があるわけです。過去 に乱用実態があったかとか、依存性は心配ないという点だけは一応確認しておく必要があ るのではないか。そのことだけ申し上げたいと思います、確認なさっているなら教えてい ただきたいと思います。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。事務局、お答えください。 ○審査管理課長 いわゆる諸外国の規制等において、そういう規制を受けていないという ように承知しております。例えば、薬理作用の実験等においてそのような作用が見られて いるのか。あるいは昭和30年代、市販したときにそういう作用が現れているのか。今一 度、チェックをさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○望月分科会長 お願いいたします。他にはいかがでしょうか。 ○木津委員 簡単に発言します。資料3-5、「行政の取組み」の(4)のところですが聞き 逃していたら申し訳ありません。「副作用被害救済制度による救済が可能となるよう対応 に努めるとともに」という形になっています。患者の方の御意見の中にも副作用被害のこ とが書かれてあったと思いますが、「対応に努める」ということの「対応」は、具体的に どのような意味なのか、分からなかったので教えてください。 ○安全対策課長 本来、このサリドマイドという薬が、医薬品副作用被害救済制度で適用 になる薬剤とされるかどうかという判断が一つあります。これについて、まず、抗がん剤 等ですとか免疫抑制剤とか、そういったものは適応の対象外になっているという制度的な 取決めがあります。このものがそれに当たるか、当たらないかという判断が一つあります。 できれば、適用除外にならない薬剤として扱うことができればその意味では救済制度の枠 の中に入るという点が一つあります。  もう一つは、本来、救済制度は正しい薬の使い方をした上で起きた副作用に対して救済 するという制度ですので、ある意味、この薬は正しく使うことを絶対の条件にするような 方向でやっているということからすると、適用になるケースが極めて限定されるのではな いか。このようなおそれも考えられるわけです。その点についても、制度の運用上、でき る限り患者の救済に向けて判断をするということは必要なのだろう。そういう考え方を持 っているということをここに込めています。  ただ、制度の中でできることとできないことがあります。その外でも、仮に被害が発生 した場合は、できる限りの知恵を絞っていこうということも、検討会における御議論の中 でも出ています。私どもの方も行政としてできることと、できなくても協力を呼びかける などの手立てを何とか講じられないかということで、知恵を絞っていこうという話をして おりました。それが一応、ここまでの経緯ですので御紹介させていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。 ○土屋委員 二点質問します。一つはTERMSの概要の図ですが、責任薬剤師から藤本製薬 のところに行っている「不要薬回収(患者等から)」というのは、「患者から責任薬剤師の ところに「...」と矢印を付けて、そこに「患者等から」が入り、恐らく責任薬剤師か ら今度は藤本製薬の方に回収した不要薬が行くという説明になるかと思います。そこは少 し気を付けた方がいいかと思います。  こういう管理体制をきちんと取るということが非常に大事だと思います。その中で、個 人輸入がまだ依然としてあり、個人輸入を禁止することはなくていいと思っています。た だ、そうしたときに、先ほどの望月委員ではありませんが、例えば薬価がどうなるのか、 あるいは管理の仕組みが非常に複雑というか手間であります。そういったことを考えたと きに、個人輸入の方が簡単だということで個人輸入の方にいってしまうということを避け る手立てをきちんとしなければいけないと思います。資料3-5「サリドマイド製剤の安全 管理に関する確認事項」の2.「行政の取組み」の(5)で「電子的な登録管理の仕組みづ くりを進める」ということが書いてあります。やはり、どちらかというとこの仕組みの中 に入れる方向で、この管理の体制が維持できるような運用をきちんとしていくということ が大事であります。そうすると、資料3-3の24ページ、10.5.の「適応外使用」に「原則 として本剤は、適応外使用には提供しない」とあります。これは言葉としてそれでいいと 思います。ただし書のところの運用をやることによって、結局、ダブルスタンダードにな らないように持っていくと、適応外使用であっても医師主導型の治験という位置付けはあ ると思います。そういうような形で、このTERMSの管理手順になるべく移行できるように、 移行できるような運用をきちんとしていくことが大切ではないかと思います。 ○望月分科会長 いかがでしょうか、事務局からお答えいただけますでしょうか。 ○安全対策課長 この点については、資料3-5の「行政の取組み」の(5)で挙げています のは、TERMSという管理手順をできる限り実行性のあるものとして運用されるように、努 力し、工夫していくことが大事だということを前提にしています。それでもどうしてもこ のTERMSに入り切らない、多発性骨髄腫以外の適応でお使いになる、希少疾患でサリドマ イドが有効であるというお話は、これまでの検討の中でも出ています。そうしたもので、 現在治療している方々の治療の手立てが途絶えないようにするためにも、続けざるを得な いというのがわずかながらあると認識しています。それに対する目が届くように、登録シ ステムを用意しようということが(5)の趣旨です。  したがって、あくまで基本は多発性骨髄腫の患者の治療に関して言うと、このTERMSで 全部対応することを前提にしています。TERMSの運用上の困難さによってこぼれてしまう ことがないように、というのが検討会における御議論でも、安全対策部会での御議論でも なされています。それを困難にするような要因については、第三者評価機関が患者、ある いは医療機関にアンケートを行い、実際に現場で起きている困難な問題についてきちんと 目を届かせることも予定しています。継続的にシステムの改善をしていくことを盛り込ん でいます。こうしたことも含めて、実効性のある形で運用されるようにしてまいりたいと 考えています。 ○土屋委員 適応内の話はもちろんこれに載っているのですが、私が言いたかったのは適 応外使用であって、(5)というものを作る考え方もあるかもしれない。過渡期は仕方がな いとしても、適応外使用も24ページの10.5.の「適応外使用のただし書」の運用によっ て、こちらに載せられるのではないかという気がします。そういう運用を含めてお考えに なった方がいいのではないかということでございます。 ○安全対策課長 御指摘はそのとおりです。適応外での使用の状況についてもしっかり見 守っていきたいと考えています。そこに適切な運用がなされていないような事態が万一あ れば、それは早期に是正をするということも含めて見守ってまいりたいと考えています。 ○望月分科会長 よろしいですか、他にはいかがでしょうか。 ○黒木委員 教育用の資材について教えてください。登録申請書の処方医師、又は責任薬 剤師の方が教育補助ビデオを見たというチェックはありますが、医師から患者に行うよう な教育の資材の準備は、メーカー側の方はされていらっしゃらないのでしょうか。こちら で今、拝見できるものというのはありますでしょうか。 ○安全対策課長 現在、随時修正をしています。一応、手元に一部持っていますので、後 ほど御覧いただけると思います。 ○黒木委員 この薬に関しては安全管理手順が一番重要です。安全管理がよくされて、よ く情報提供され、よく教育され、それも含めて承認するというのが承認する側の気持ちで もあります。できれば、完成したものを委員の皆さんにも配付するといったことはいかが でしょうか。 ○安全対策課長 準備が出来次第、皆様にお送りし、御覧いただけるようにしたいと思い ます。 ○黒木委員 是非、よろしくお願いします。それから、今後そういった教育や情報提供に 改定がある場合は、第三者評価機関の方々がされていくということになりますでしょう か。 ○安全対策課長 手順としては、まず藤本製薬のTERMS委員会に御意見を求め、その上で さらに第三者評価機関でも評価いただき、改善提案をいただくということを考えていま す。 ○黒木委員 情報提供と教育というのはとても重要なことになってきます。是非、よろし くお願いします。 ○望月分科会長 他にはどなたか、御意見はございますか。多くの貴重な御意見をいただ いたと思いますが、いずれも承認への反対という御意見ではないと理解しました。今まで の御意見を申請者に戻すのは当然ですが、この段階でもし御異議がなければ議決に入りた いと思います。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について製造販売承認を可、 再審査期間は10年、原体、製剤ともに毒薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製 品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしい でしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます、御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品 衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決と し、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案、その他の取扱いについて は私に御一任いただいてよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  大分、時間を取ってしまいましたが、これから報告事項に入りたいと思います。御担当 の部会ごとに区切って報告をしていただくこととしますが、なるべく短くお願いしたいと 思います。まずは「副作用・感染等被害判定第一部会」、及び「副作用感染等被害判定第 二部会」の関係の議題4から簡単に説明をお願いします。 ○事務局 資料4を御覧ください。平成20年6月ないし8月に開催された「判定第一部 会」及び「第二部会」の結果について御報告いたします。資料はまず3回分をまとめまし たものをお示しし、その後ろに各部会の判定結果をお示ししています。資料の1ページ、 「判定結果(まとめ)」に沿って御報告いたします。  まず、副作用被害判定については新規237件、継続23件、現況49件の計309件につい て御審議いただきました。審議結果については、支給決定とすることが適当と考えられる ものが269件あり、その内訳は請求どおり支給決定するもの143件等となっています。ま た、不支給決定することが適当と考えられるものは34件あり、その内訳は医薬品の使用 が適正であったと認められないもの9件等となっています。  次に、感染被害判定については、第二部会で1事例について御審議いただきました。審 議結果については、支給決定することが適当と考えるもの1件でした。以上、副作用感染 等被害判定第一及び第二部会の結果の報告です。  次に、神山委員より事前に御質問をいただいています。御質問は「不適正使用と判定さ れている8事例につき、不適正使用とした理由について」でございます。以下、各事例に つき、簡潔に回答させていただきます。  資料の12ページを御覧ください。101番は行うべき検査が実施されておらず、不適正 とされています。102番は本人以外に処方されたロブ錠をもらい受け、自己判断で服用し ていることなどから不適正使用とされています。103番は高齢者に対し、オイグルコン錠 を通常用量を超えて投与し、またセイブル錠を減量することなく併用投与しており不適正 とされています。108番は副作用の発現が認められているにもかかわらず、適時に中止し ておらず、不適正とされています。117番は原因医薬品の使用前より、腎機能検査値に異 常が認められており、その後さらに悪化したにもかかわらず適時に中止しておらず不適正 とされています。  次に、資料の20ページを御覧ください。69番は副作用の発現が認められているにもか かわらず、適時に中止しておらず、不適正とされています。71番は予防的投与が必要な 状態であったとは考えられないにもかかわらず、予防的投与が行われていること、また、 過量な投与であったと考えられ、不適正とされています。72番は原因医薬品が本事例の 疾病治療に不可欠ではないのに、薬剤投与前検査に用いられたものであり、不適正とされ ています。  なお、いただいている御質問には含まれていませんが、不適正使用とされた事例があと 2事例ございます。資料の19ページを御覧ください。60番は1回目の薬物性肝障害の後、 2度、3度と原因医薬品が投与されており、2回目及び3回目の副作用の発現に関し不適 正とされています。最後に、資料20ページを御覧ください。73番は原因医薬品を効能以 外の目的で使用したと考えられること、十二指腸潰瘍の既往があるにもかかわらず、医師 ・薬剤師等に相談せずに服用しており不適正とされています。事前にいただいた御質問に ついては以上です。  次に、前回の薬事分科会において、佐藤委員からカルバマゼピンによるスティーブンス ・ジョンソン症候群等の副作用の発現に対する対応について、御質問をいただいていまし たので回答申し上げます。カルバマゼピンによるものも含め、スティーブンス・ジョンソ ンズ症候群等の重篤な皮膚障害については、その重篤化を予防するためには早期発見と早 期対応が大切であることから、これまでも「医薬品医療機器等安全性情報(平成12年11 月、平成14年5月、平成16年7月及び平成17年10月)」に「医薬品による重篤な皮膚 障害について」を掲載し、情報提供を行ってきています。また、「重篤副作用疾患別対応 マニュアル」をスティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症 候群について作成し、医薬関係者に広くその対応について周知を図っているところです。  さらに本年、平成20年4月25日には、カルバマゼピンの関連企業に対し、添付文書の 「使用上の注意」の改訂を指示したところです。具体的には、「重大な副作用」の項に皮 膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、紅皮症に関する記載についてその具体的な症状、異 常が認められた場合には直ちに投与を中止する旨を追記しました。また、これらの症状の ほとんどは、本剤の投与開始から3か月以内に発症することから、特に投与初期には観察 を十分行う旨を記載しました。さらに、「その他の注意」の項に、HLA-B遺伝子の変異型 対立遺伝子であるHLA-B*1502と、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症との関連性につ いて記載するよう指示しました。今後も引き続き、副作用報告の状況等を踏まえ、所要の 措置を講じていきたいと考えています。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に御意見、御質問等あります でしょうか。よろしいですか。それでは、本件について御確認いただいたものとします。 続いて、医薬品第一、第二部会の関係の議題5〜8についての説明をお願いします。 ○事務局 お手元の資料5を御覧ください。議題5、「医薬品ラミクタール錠小児用2 mg他」です。本剤は一般名ラモトリギン、効能・効果については1ページの一番下を御 覧ください。「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に 対する抗てんかん薬との併用療法」部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、 Lennox-Gastaut症候群における全般発作でございます。本品目は本年7月25日に開催さ れた医薬品第一部会において御審議いただき、提出された資料から見て、承認して差し支 えない旨の御審議をいただいたところです。  続いて議題6、「タプロス点眼液0.0015%」であります。本剤は一般名タフルプロス ト、効能・効果は緑内障及び高眼圧症でございます。本品目も本年7月25日に開催され た医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいた ところです。  議題7、「ホスレノールチュアブル錠250mg他」でございます。本剤の一般名は炭酸ラ ンタン水和物です。本剤の効能・効果は透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改 善で、本品目は本年8月29日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承 認して差し支えない旨の御結論をいただいたところです。  議題8、「希少疾病用医薬品の指定について」です。資料8を御覧ください。2品目ご ざいますが、1品目はグラクソ・スミスクライン株式会社のGSK1557484A(AS03アジ ュバント添加(プレ)パンデミック(H5N1)インフルエンザウイルスワクチン)でありま す。 本剤で予定される効能又は効果は新型インフルエンザ(H5N1)の予防で、本年8月27 日に開催された医薬品第二部会において、希少疾病用医薬品として指定して差し支えない 旨の御結論をいただき、本年9月12日に希少疾病用医薬品として指定しました。  2品目目のフェニル酪酸ナトリウムですが、本剤で予定される効能又は効果は尿素サイ クル異常症であります。本品目については、本年8月29日に開催された医薬品第一部会 において御審議いただき、希少疾病用医薬品として指定して差し支えない旨の御結論をい ただき、本年9月12日に希少疾病用医薬品として指定したものです。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品第一部会長の永井委員から追加はありま すでしょうか。 ○永井委員 議題5に関しては添付文書の記載とか、他の抗てんかん薬との併用療法、あ るいは副作用の防止策等について質疑がされました。議題6については外国での申請状 況、剤型、含量の表記等について質問が出ておりました。特に問題なく承認されています。 以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品第二部会長、池田委員から追加がありま すか。 ○池田委員 私から、特に追加することはございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の方々から御意見、御質問等はありますで しょうか。特にないということですので、本件について御確認いただいたものとします。 続いて、「医療機器・体外診断薬部会」の関係の、議題9〜11について説明をお願いし ます。 ○事務局 医療機器・体外診断薬部会で御審議いただいた結果について、議題9から御説 明申し上げます。「エタンブトール25.6μg」です。臨床用量より非常に低い容量で、体 外診断用医薬品として用いられるということであります。こちらは劇薬の指定から除外し て差し支えないという結果でした。  議題10ですが、視力補正のない、いわゆる「おしゃれ用カラーコンタクトレンズ」に ついてです。これまで薬事法の対象外で、雑品扱いでしたが、例えば角膜びらんなどの例 が167例報告されるなどがあり、こちらを高度管理医療機器として指定することについて 御審議いただき、御了承いただいたというものです。今後、パブリックコメントなどを踏 まえ、薬事法の規制の対象とする予定となっています。  議題11ですが、「ONYX液体塞栓システムLD」です。こちらの品目はニーズ検討 会の選定品目となっており、優先審査されています。効能としては、外科手術以外では治 療困難な脳動静脈奇形の外科的摘出手術前に、血管塞栓が必要な場合に使用ということで す。非常に高度な技法ということもありますし、2年間のフォローなど、3つの承認条件 が付されています。再審査は3年です。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医療機器・体外診断薬部会長、笠貫委員から追 加はありますでしょうか。 ○笠貫委員 議題10、いわゆるおしゃれ用カラーコンタクトに関しては、これまでは医 療機器には含まれておりませんでした。しかし、眼表面の病態ということからいくと、コ ンタクトレンズと同様に考えられ、そういう意味での安全性の面と、診断治療という医療 機器の目的以外に、構造機能から、虹彩の色を変えることは医療機器として取り扱ってい いのではないかという解釈によって、高度管理医療機器ということに意見がまとまりまし た。  次の議題11、これは脳動静脈瘤という先天的奇形に対する放射線療法と手術療法が非 常に困難な対象例として、手術の前処置としての動脈塞栓ということで、新たな治療法と して認められたということです。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の方々から御意見、御質問等はありますで しょうか。よろしいですか。それでは、本件についても御確認いただいたものとします。  続いて、「日本薬局方部会」の関係、議題12について説明をお願いします。 ○事務局 本件については、平成20年7月1日開催の「日本薬局方部会」において御審 議いただいたものであります。日本薬局方は薬事法第41条の規定に基づき、医薬品の性 状及び品質の適正化を図るために作成されている規格基準であります。  今回の一部改正は、既に医薬品各条に収載されていますヘパリンナトリウムの純度試験 に、過硫酸化コンドロイチン硫酸の規定を追加するものです。その経緯についてですが、 昨年12月以降、アメリカにおいてヘパリンナトリウム製剤投与後にアレルギー反応等の 発生の増加が見られ、その年の1月〜3月までの間、771件の副作用報告がありました。 そのうち、346件が重篤、81名が死亡とされています。その後、FDAの分析により、こ のヘパリンナトリウム製剤に使用された原薬から、不純物として過硫酸化コンドロイチン 硫酸が検出されています。  日本国内においては同種の副作用報告はなく、またこれまでに出荷された製剤の原薬か らの当該不純物は検出された事例が報告されておりません。ただ、製造販売業者に対し、 本年3月にヘパリンナトリウム製剤等の品質管理の徹底を図るよう指示し、引き続きヘパ リンナトリウム製剤等に関する国内外の品質、安全性に関する情報の収集に努め、必要に 応じ迅速かつ適切に対応を取るようにしているところです。  我が国でも国立医薬品食品衛生研究所において、過硫酸化コンドロイチン硫酸に関する 局方改正について調査研究を進めていただき、医薬品等の国際的な流通が進んだ今日にお いて、このような事態の再発を防ぐこと、及び安全性を確保するためのチェック体制の強 化を図るために、我が国においてもヘパリンナトリウムについて欧米並みの規制を設ける ことといたしました。  本件について「日本薬局方部会」において御審議いただいた結果、日本薬局方の一部を 改正することについて御了承をいただいており、本年7月31日に告示し、改正手続を終 えております。通常の追補改正とは別枠の部分改正として、迅速に改正を行いました。以 上、「日本薬局方」の一部改正について御報告させていただきます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。日本薬局方部会長の早川委員から追加はありま すか。 ○早川委員 特にありません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生方から御意見、御質問等はあります でしょうか。よろしいですか。それでは、本件について御確認いただいたものとします。  続いて「一般用医薬品部会」の関係、議題13について説明をお願いします。 ○事務局 資料13を御覧ください。「医薬品リアップ5及びリアップX5の毒薬及び劇 薬指定の要否について」御説明させていただきます。 1.概要ですが、ミノキシジル及びその製剤については、現在1%以下を除き、劇薬に指 定されているところでございます。今般、新たに一般用医薬品として申請された1mL中 にミノキシジル50mg、5%以下を含有する外用液剤については急性毒性、亜急性毒性、 慢性毒性及び副作用等の資料により、劇薬に該当しないと判断されたところです。  2.に医薬品の概要が書いてありますが、省略させていただきます。3.を御覧ください。 毒劇の指定として、今般、一般用医薬品として申請されたミノキシジル5%含有の外用液 剤を劇薬から除外することといたします。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長である私からは補足する点は特にござい ません。委員の先生方から御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。そ れでは、本件について御確認いただいたものとします。  続いて、「医薬品等安全対策部会」の関係、議題14について説明をお願いいたします。 ○事務局 資料14、「第一類医薬品及び第二類医薬品の指定について」を御覧ください。 本年8月1日、薬事・食品衛生審議会よりいただいた答申の写しと、平成19年3月30日 に第一類医薬品及び第二類医薬品の指定を行ったときの官報の写しを添付しています。  一般用医薬品の販売に関しては、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提 供等がなされる実効ある制度の構築を目的とし、平成18年6月に薬事法の一部を改正す る法律が公布されました。その後リスクの程度に応じた情報提供の整備のため、一般用医 薬品をリスクに応じて第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬品の三つのグループに区 分し、お手元の官報にありますとおり、平成19年3月30日に告示を行ったところです。  このリスク区分について関係機関等、広く意見を聞いた結果、新たに追加等が必要な成 分の把握ができたため、その成分の区分について本年1月31日に安全対策部会において 御審議いただき、その後パブリックコメントを行い、その結果を基に、再度本年7月 24日の安全対策部会で御審議いただき、資料にありますとおり答申をいただきました。 現在、本答申を踏まえ、成分の追加等について告示の改正手続を進めているところです。 説明は以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品等安全対策部会長の松本委員から追加は ございますか。 ○松本委員 特にありません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生方から御意見、御質問等はございま すでしょうか。それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、指定薬 物部会の関係、議題15について説明をお願いします。 ○事務局 資料15について説明いたします。麻薬類似の有害性が疑われる物質で、イン ターネット等で販売されています違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグについては平成 18年の薬事法改正により、指定薬物制度が設けられています。「指定薬物」とは薬事法 において、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ人 の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れがあるものとして、厚生労働 大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するものとされているものです。  8月29日に開催された「指定薬物部会」において、指定薬物の該当性について御審議 いただいたところです。部会において審議された物質は、資料の1〜3ページの7物質で す。いずれも販売が確認されており、構造活性、動物を用いた試験、in vitroの試験等 の結果から、幻覚など中枢神経系への作用を有する蓋然性は高く、かつ人に使用された場 合に、保健衛生上危害が発生するおそれがあるという判断をいただいています。それに基 づいて、現在パブリックコメント作業を行っています。  なお、3ページに示しています物質については、その後、依存性薬物検討会において依 存性について御審議いただいた結果、麻薬相当との判断をいただきましたので、現在指定 薬物としてではなく、麻薬の指定のための手続を行っているところです。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。指定薬物部会長の佐藤委員から追加はございま すか。 ○佐藤委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生からの御意見を伺いたいのですが、 いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、本件について御確認いただいたものとし ます。続いて、「化学物質安全対策部会」の関係、議題16についての説明をお願いしま す。 ○事務局 資料16を御覧ください。特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の 改善の促進に関する法律、「化管法」と呼んでおりますが、こちらの対象物質である。第 一種・第二種指定化学物質の見直しを行いましたので報告いたします。  化管法については、平成12年に対象物質が選定されたところですが、その後の化学物 質有害性に関する新たな知見や化管法運用開始後の国内外の状況の変化を踏まえ、所要の 見直しを行ったものです。見直しの結果は資料の一番最後にあります。答申の9ページ以 降に具体的な化学物質、対象物質について示しています。  見直しの結果、第一種指定化学物質として現在350物質指定されていますが、それを新 しく462物質に、第二種指定化学物質として現在81物質指定されていますが、こちらを 100物質新たに対象物質として選定することとしています。説明は以上です。よろしくお 願いします。 ○望月分科会長 ありがとうございます。化学物質安全対策部会長の西島委員から追加は ございますでしょうか。 ○西島委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見等ありますで しょうか。よろしいですか。それでは、本件について御確認いただいたものとします。本 日の議題はすべて終了いたしましたが、事務局よりほかに何かございますでしょうか。 ○事務局 事故米関係の対応状況等について御説明申し上げたいと思います。お手元に当 日配付資料として、「コメ由来原材料を使用した医薬品等の品質及び安全性確保につい て」ということで、監視指導・麻薬対策課長、安全対策課長の連名通知を配付しています。 これは先月、9月18日に都道府県に対して通知したものです。  通知の中の下の二つにありますように、コメ由来原材料について、非食用の事故米から 製造されたコメ由来原材料を使用されていないかどうかを確認するということが一つで す。その結果、使用したことが判明した場合については都道府県に報告すること。また、 品質及び安全性の確保を図るための適切な措置を講ずることということであります。今ま で、2件ほど報告がありましたが、結果的にはその後の調査において事故米が使われてい なかったということで、当初回収をしていましたが、回収は中止ということが今まで2件 ほどありました。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の説明に対し、何か御質問等ありますか。 よろしいですか。それでは、以上、すべて終了しました。次回の薬事分科会の予定は12 月19日(金)14時からを予定していますのでよろしくお願いいたします。  以上で薬事分科会を閉会させていただきます。本日は長時間にわたり、どうもありがと うございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)