08/10/03 第55回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第55回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年10月3日(金)午後2時00分から午後5時00分まで   ホテルグランドヒル市ヶ谷3階「瑠璃」 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大島、大森、沖藤、小島、勝田、川合、神 田(代理:長屋参考人)、木村、久保田、齊藤、武久、田中(滋)、田中(雅)、 池主(代理:青柳参考人)、対馬、中田、三上、村川、矢田(代理:森田参考人)、 山本の各委員 3 議題  <審議事項>  1.平成20年度介護事業者経営実態調査結果等について  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻より若干早いが、委員の先生方おそろいであるので、第55回「社会保障審議会 介護給付費分科会」を開催させていただく。  まず初めに本日の委員の先生方の御出欠の状況だが、御欠席の委員は本日おられない。  なお、本日は神田委員にかわり長屋参考人、池主委員にかわり青柳参考人、矢田委員にかわり森 田参考人が出席されている。  したがって、24名の委員に御出席いただいているので、過半数に達し、会として成立することを 報告させていただく。  なお、山本委員においては、所用のため、途中で退席されるという御連絡をいただいている。  それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  それでは、早速議事に入りたいと思うが、まず資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料の確認をさせていただく。  議事次第、名簿、座席表の後、資料である。  資料1関係は、平成20年の介護事業経営実態調査関係である。  資料1−1は、結果、縦版の2枚紙になっている。  資料1−2は、横版になっているが、8ページのものである。説明は主に資料1−2を中心に申 し上げる。  資料1−3は、それぞれのサービスの詳細分析ということで、表として載せている。規模ごと、 地域ごとを載せているので、必要があればこれに言及するが、今回、細かい説明はしない。  資料2は、平成21年度介護報酬改定についてということで、これは先生方よく御承知のことと 思うが、現行までの資料、推移も含めて載せていただいているものである。最後に次回の改定に向 けて、どういうことが柱になり得るのかということを少し例示で示させていただいている。  資料3−1は、介護従事者等関係資料になっている。  資料3−2は、田中先生に座長を務めていただいた介護サービス事業の実態把握のためのワーキ ングチームの報告のポイントということで、これは以前御報告を申し上げたものである。  今日は御説明を申し上げないが、参考資料の一番最初のところで、介護報酬の算定構造、介護サ ービスという少し厚めの資料がある。これはどういうことかというと、今、介護報酬を算定してい ただくときに、各サービスごとに、例えば要介護度に応じて、加算等々にどういうものがあるかと いうことで、ちょっと厚くなっているが、一覧でわかるようになっている。  この中で、色が付いている部分があるが、黄色い部分が前回新設をしたり、変えたものである。 色がピンクになっていたり、オレンジになっていたりするのは、それぞれ若干改定の時期が違うと いうもので、ごらんいただくと、前回大幅に変えたり、新しく設けたということだと思う。  別紙1は、18年の介護報酬の概要について。  別紙2は、療養病床について経過型を設けた際のものである。  別紙3は、療養病床再編で介護療養型老人保健施設を設けた際、諮問の際のペーパーとなってい る。  大変申し訳ない。次は資料番号がないが、介護サービス算定実績、これは数字の集積になってい るが、それぞれのサービスについて、どういう単位で算定をされているかという生の数字を書いて ある。  以上が事務局提出資料であり、そのほか机上には、沖藤委員からケアマネジメントについて。  三上委員から平成21年4月介護報酬改定について。  黄色い冊子がお手元にあるかと思うが、日本慢性期医療協会から集計結果報告というものがある。  以上であるが、過不足があれば、お知らせいただければと思う。 (大森分科会長)  進め方について、今、資料の御説明があったが、最初に経営実態調査の結果について御報告いた だき、その次に介護従事者等に関係する資料の御説明をいただき、3番目に平成21年度報酬改定 についてという資料の説明をしていただく。そうすると、私の手元のこれですと、大体2時55分 には説明が終わる。山本委員がよんどころない用事で退席されるので、御発言いただいて休憩をす る。その後、残っている時間を皆さん方の質疑に当てたいと思っているので、よろしくお願いする。  それでは、早速お願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料1−1、1−2、1−3について説明   (大森分科会長)  それでは、引き続いてお願いする。 ○ 土生振興課長より資料3−1、3−2について説明。  ○鈴木老人保健課長より資料2について説明。   ○土生振興課長より資料3−1の16ページについて説明。   (大森分科会長)  休憩する前に、山本委員が御退席するので、御発言があれば承る。山本さん、どうぞ。 (山本委員)  説明を聞いているうちに考えたが、確かに今の実態がよく把握されているとは思うが、これにつ いて、私どもが心配している点があるので、それを申し上げて、是非心配が新たに起こらないよう に配慮してほしいと思う。  実態調査は田舎の方はやっていない。田舎の方には行きたくないからやらなかったのだろうが、 町中ばかりである。それと都市である。だから、もう少し田舎の方の実態も調査をする必要がある のではないだろうか。都市ばかり調査をするものだから、都市辺りでいくと人手が足らないという のは、当然起こり得る。それをわかりながら、そういうふうにしたのかわからないが、都市部の収 支が悪いからといって、全体が悪いと決めるということは、決してやり方として適当ではないと私 は思う。  例えば山間地域や離島地域をよく調査をされたらいかがと思う。離島などはやったことはない。 だから、そこら辺りを考えていくとするならば、もっと違った数値が出てくるのではないかと思う。  そこで、理解をしていただきたいのは、都市部だからこういうものが出て、離島や山間部はこの 反対だという理解をしているとするならば、少し間違っていると思うので、そこら辺りはよく把握 をしておいていただきたい。都市だからこれがある、離島や山間部ではこういうことは起こらない という単純な判断はしないようにしていただきたい。そう変わるものではない。そういう点もひと つお願いを申し上げておきたいと思う。  その次であるが、先ほどからお話のように給料が高くなってきている。高くなったというのは、 一口にいうと、安いから来なくなった。そういう説明があった。経営が悪化したから、従業員の処 遇が悪くなったという単純なものなのだろうか。そこら辺りの説明は、数字の上でそういうことを 言っても簡単にはいかないのではないだろうか。処遇の悪化というのは、一体何が最大の原因なの かというところを、もう少し突っ込んだ検討が必要ではないか。人手不足だから、給料を上げれば 人は集まるというような単純なものではないような気がする。  わからないでもないが、その財源を見つけるために、施設等についての介護報酬を引き上げてい き、財源を確保させる。そして、そういう人たちに対する処遇をよくしていくという単純な考え方 でやられますと、今度は介護に直接関係のある人たちはいいのだが、言うなら保険料だけ納めてい る人たちの方が多い。そこら辺についてお考えを願いたいと思う。  そのために保険料が上がっていくことになると、高齢者の皆さんは御存じだと思うが、高齢者の 医療保険制度も、今、かなり問題化されている。一番大きな問題ではないかと言われている。だか ら、高齢者医療と同じような道をたどっていくのではないかという心配がある。だから、そこら辺 りも考えた上で処遇をどういうふうしたらいいかということについて、もう少し突っ込んだ検討が 必要ではないだろうか。  具体的にどうするかということは、今日は時間がないから申し上げないが、いずれにしても、そ こら辺りの検討をお願いしたい。  例えば介護報酬を上げれば収支の改善が行われるというような極めて悠長な考え方は、あなた方 の方にはないと思うので、もう少し突っ込んだ、しかも、被保険者の人たちから苦情が出ないよう に、保険料が上がらなければいい。しかし、必ず上がるから、そこら辺りの御検討を願いたい。そ ういうことである。  もし上げた場合はそれなりの理由を説明されるのだろうが、私が今日申し上げておきたいのは、 被保険者の皆さんに負担をしてくださいというのは、なかなか言いづらい。第2の高齢者医療保険 制度になってしまう。ついては、そこら辺りを考えて、国が負担していただきたい。厚労省が出す ようにしていただきたい。それならいつ上げても結構だが、そういうことはできない。だから、被 保険者の皆さんたちに負担いただくということだけは、余り考えない方がいいのではないか。  今、国庫負担は25%ぐらいである。できればそれを30%に引き上げていくというやり方をする のであればいい。先ほど私が申し上げたように、そこら辺りは十分考えておいていただきたい。お 願いをしておきたいと思う。  それから、必ず施設に対して増収できる場合は、国の方が施設で働いている人たちに対しては俸 給表はかくのごとくですというものをつくったらどうだろうか。公務員の俸給表と同じようなこと をやったらどうだろうか。そうしないと、施設ごとでみんなばらばらに勝手に決めるから、安いと ころは人がいなくなり、高いところは残るということになる。せっかく今回そういう検討をなさる のならば、給与の表ぐらいはつくってもいいのではないか。  それが無理であるとするならば、それにかわるようなものを1つつくって、できればそこで働い ているヘルパーの人たちが、ある意味で増収、給与が上がったということが感じられるように、あ るいはそれが実現するようにしてあげることが必要ではないか。施設も大事だが、施設は人間が支 えているわけであるから、そこで働いている人たちが力いっぱいその力を発揮できるようにしてあ げることこそ大事ではないか。そういう点を是非ひとつお願いをしておきたいと思う。  最後にもう一度申し上げるが、絶対に保険料を簡単に上げることはやめていただきたい。我々保 険者としては、はい、そうですかというわけにはいかない。そこをどういうふうに技術的に考えて いくかということをもう一回繰り返してお願いを申し上げておく。  しかし、どうしても、介護報酬を上げざるを得ないというなら、それを納得させる、説得できる だけの力のある改良の仕方をしてくださるようお願いを申し上げる。もし私が申し上げたことに対 して、耳を傾けることなしにやったら、必ず何かが起こるから、それだけは覚悟の上でやっていた だきたい。それだけは申し上げておく。  是非ひとつ考えておいていただきたい。お願いする。 (大森分科会長)  それでは、これから10分間、休憩とする。 (休  憩) (大森分科会長)  そろそろ再開をさせていただく。  今まで、事務方から調査結果等について説明があり、それから、この資料2は、今後、私どもが 改定に向けて議論をするときに、例としてはこういうことが検討の項目になるかもしれないという 趣旨の発言があり、この後、時間までオープンでいろいろ議論をしたいと思う。今日出たデータに 即して結構であるし、それから、これからの改定の考え方についてでも結構であるので、どなたか らでも結構である。  恐縮だが、今日は資料の扱いについて提案があり、これから具体的な改定に入るので、恐らくは いろんな方々がこうやって資料をお出しくださることは歓迎すべきことだと思うが、資料を出され ると、必ず、その人に何分か差し上げて説明をいただくやり方を取りますと会議全体が大変なので、 御意見に即して資料について触れていただく形を取らせていただければと思っているが、今日はお 二人から出ているので、優先的にいたしたいと思う。  三上さん、どうぞ。 (三上委員)  まず最初に、今日の実態調査の結果が昨日の新聞に、この分科会より前に出たことに対して少し 遺憾の意を表させていただく。ここで一応、検証した上で一般報道されるのが本来の筋だが、今ま で、ときどきそういったことがあったので、この辺のところをよろしくお願いしたいと思う。  今日の実態調査の結果だが、抽出率が20%ぐらいということもあり、回収率を考えると、かなり データにばらつきがあるように思う。基本的に、介護報酬改定に向けては、この収支差を目途に指 標として考えるわけだが、これについても以前から言っているように、定点での比較をしていただ きたいということを申し上げてきた。今、やっていただいているというふうに話を伺っているので、 1か月ぐらいの間には定点調査の比較データも出していただきたいと思う。例えば資料1−3の1 ページにあるような、特養の看護師の給与が39万対45万とか、あるいは資料3−1の8ページに あるような、サービス別地域別の看護などについてもかなり折れ線グラフにばらつきがあり、こう いったものを指標にいろんなことを言うことはなかなか難しいのではないかと思う。  一番大切なところは、介護従事者の処遇改善、給与水準を引き上げるために介護報酬を上げてい くのだということであるが、どれぐらいの給与水準が妥当なのかという目安がよくわからない。ま た、データの出し方にしましても、資料1−3のデータはボーナス込みであるし、資料3−1のデ ータについてはボーナスなしの月給ということなので、数字が少し比較しにくいということがある。 また、他の産業の職種との比較ということも大切だが、基本的には同じ職種同士でどうかというこ とで、先ほど山本委員の方からもあったが、公務員たる看護師、公務員たる准看護師、公務員たる 介護福祉士の給与水準がどれぐらいかということを一つの目安としてここに出していただければ 参考になるのではないかと思う。  また、資料2に今回の改定についての姿勢が書いてあり、特に最後の13ページに、人材の確保 とか、高齢者が自宅や多様な住まいで療養・介護できる環境の整備ということが書いてあるが、基 本的には財源の伴うものであるということと、もう一つは、高齢者が自宅や多様な住まいという在 宅だけで介護ができる環境の整備というよりは、本来は高齢者が必要な医療や介護サービスをきっ ちり受けることのできるような環境の整備をすることが大切で、医療難民、介護難民を生まないた めの在宅と施設サービスの適切な組み合わせをすることが、本来、一番大切なことではないかと思 っている。特に、今回の療養病床の再編問題により、介護療養型医療施設におられる、特に医療療 養に当てはめますと、医療区分1、ADL区分3の方々が難民化するということをどこの受け皿で 受けるのだということを十分に今回、検討することが必要ではないかとも思う。  それを受けて、日本医師会として、今日、資料を提出させていただいたが、今回の改定に向けて の姿勢、考え方をお示しする。  少し読ませていただくが、最初に「1.介護サービス提供体制の充実と環境整備」ということで、 介護従事者の離職率の高さや賃金水準の低さなど、介護従事者の処遇改善や人員確保についての問 題があること。  サービス現場においては、適切にこういった機能をするために、実情は、人員を手厚く配置して いること、加配しているところが今回の実態調査でも明らかとなっているわけだが、こういったこ とで適切なケアマネジメントを実施する上で、施設サービス費の引き上げは考える必要がある。加 配している人員加算や、あるいは夜間体制における加算を、実態に即して算定するなどの対応を図 るべきで、原資の確保を図る観点から、介護報酬の引き上げを図っていただきたい。  めくっていただき「2.補足給付の見直し」ということで、制度の持続可能性、特に介護保険料 の上昇を抑える目的で食費と居住費が利用者負担となったが、これに対して低所得者のために設定 された基準費用額のために、介護保健施設の経営が非常に苦しくなったという実態がある。特に、 低所得者対策としての補足給付については、介護保険料から充当されるのは、本来の保険料の上昇 を抑えるというところからは不整合であり、本来、食費、居住費という部分は生活保護で対応すべ きものだと私は考えているが、こういったことも含め、介護保険制度内で低所得者対策の在り方を 速やかに再検討すべきであると思っている。  「3.適切な医療サービスの提供」ということで、介護老人福祉施設の配置医師の役割を明確化 する必要があると考えている。入所前のかかりつけの医師と十分に連携できる介護報酬や診療報酬 の適切な仕組みを構築すべきであると考える。  また、介護老人保健施設で実施可能な診療行為についても再検討し、入所者にとって最良の医療 サービスが提供できるように、併設あるいは併設以外の外部の保険医療機関からの医療サービス提 供が可能となるような診療報酬上の評価をすべきであると考える。  また、在宅サービスにおける、医療の必要性のある在宅要介護者への対応として地域の有床診療 所や中小病院を中心に検討すべきと考えている。「医療の担保」と「家族の緊急時対応・レスパイ ト」に対して、地域に密着した有床診療所や中小病院等が直接・間接的に介護サービスに関わり「在 宅での生活を継続するため」のサービス提供体制の中核になるべきだと思っている。このため、そ のための制度上の対応を含めた所要な見直しを図るべきだと申し上げる。  それから、療養病床再編の問題で、施設の基盤整備について申し上げる。  療養病床再編に伴う介護保険施設等の基盤整備に関して、介護療養型医療施設の入院患者が不利 を被らないよう、更には、介護保険施設の本来の機能分担を考慮し、地域格差や質の問題も含めて、 十分な検討を要すると考えている。つまり、保険料の上昇を抑える目的で、安易に居宅系施設等へ の転換を図ることは、高齢者の心身の特性、今後の人口動態、在宅療養サービスの整備状況を踏ま え、再考すべきであると思う。  また、個室、ユニットケアが推進されてきた。これについては検証を十分行うべきだと思う。現 在の介護保険財源の状況や入所者の重度化、介護従事者の充足率などの課題を踏まえ、その費用対 効果を精査し、整備方針の転換を含めて全体整備を検討することも必要だと考える。  認知症の問題だが、認知症に関しては、認知障害保健は疾病であるという認識を、広く国民に啓 発する必要があり、そのために「(1)本人の気づきも含めた家族等への認知症症状の早期発見を促す ツールの開発と早期受診の勧め」「(2)かかりつけの医師のための認知症鑑別診断の標準化並びに相 談機能の評価」、また「(3)かかりつけの医師と認知症対応専門医(機関)との連携の評価」が重要 と考えている。  認知症サポート医等を十分に活用し、連携を裏付けるだけの診療報酬、介護報酬での評価を制度 上構築する必要があると思う。  また、高度のBPSDや身体合併症を有する認知症患者に対応可能な受け皿を整備する必要があ る。これは、現在「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」でも議論をしているが、 精神科病床を減少させようとする動きがあるが、実際にはこの精神科病床を受け皿として利用する 方が新たな施設を整備するより、資源の有効活用を図る上で得策と考えている。  リハビリの問題は、リハビリ自体は、必要な時期に十分なサービスを提供して、要介護・要支援 者の現存能力の活用や機能向上を図って、その人の自立支援を目指すものと考えるが、在宅・施設 において、生活機能の低下が予見される場合には、速やかに、適切に介入する必要があって、現行 のサービス内容の見直しが必要である。  訪問リハや通所リハについては、ここに書いてあるような仕組みを講ずるべきであると私は考え る。  このように申し上げているが、先ほどの資料2の最後のページの「5.サービスの質の確保、効 率化等」というものが挙げられており、ここの文章では効率化について書いてあるが、財源を必要 とする質の確保という部分が言及されていないことについても、ここは是非、質の確保のための介 護報酬の引き上げを要望したいと思う。 (大森分科会長)  資料、データみたいなことについて最初に御発言があったが、事務方から何かあるか。 (鈴木老人保健課長)  1点、定点とばらつきについて御指摘があった。まさに三上委員からも御指摘があったように、 どうしても標本抽出調査ということになると、等しく皆様にお答えいただけなければ、やはり一定 程度ばらつくリスクはあり、実は来年度の予算要求でこうした改定の結果、どういうふうに従事者 の方の給与や経営に影響を与えているかを調べるような調査をしようとしている。  この実態調査と併せて、全部はなかなか定点にはできないが、一部、きちっと定点でつなげて、 同じ事業所の同じ従事者の方が改定をある程度またいできちんと調査が、給与がどうなったか、も しくは経営状態がどうなったかを調べていくことを我々としても予定しているが、今後とも、なる べくばらつきを少なくして、より調査の精度を高くすることについては努めたいと思っている。   (大森分科会長)  それでは、沖藤さん、お願いする。 (沖藤委員)  まず最初に確認させていただきたいことは、この介護給付費分科会というものは、保険料とか利 用料の問題まで踏み込んで議論するのか。あるべき報酬というものに、一応、力点を置いて議論す るのか。その負担と給付の綱引きの問題で議論していくのか。その辺の立ち位置を教えていただき たいと思うことが1点である。  2点目に、資料2の3ページを見ていただきたいが、これにはサービス受給者の数が367万人。 ところが、認定を受けている人は450万人ということで、100万人利用していない人がいる。この 利用していない100万人というのは、要介護はどのぐらいで、地域性があるのかどうなのか、どう いうところにいるのか。家族がいるとか、独居であるとか、そういう家族性。それから、理由等々 について何か分析したものがあるのかどうか。それで、この平成20年度予算の7.4兆円という数 字は、この100万人というものをどのようにとらまえた上での7.4兆円なのか。それを教えていた だきたいことが第2点である。  それから、これが最後だが、今日、私がケアマネジメントについての利用者の側からの意見書を 出させていただいた。  ここに書いてあることは、居宅の介護支援専門員たちの危機的な状況である。その危機的な状況 を反映するがごとくに、資料1−2の2ページに収支差率が−17.0%という極めて大変ひどい数字 が提示されている。  それで、これまでさまざま、介護支援専門員に関しては言われてきているが、介護支援専門員に しろ、訪問介護にしろ、収支差率が非常に悪いところに対してどういう経営の仕方が大事だとか、 どういうふうにすれば運営はうまくいきますというような最低の収支モデルみたいなようなもの の提示を各事業所にしているのかどうか。しているとしたら、その効果が一体どうなのかというこ とを知りたいと思う。  というのは、この状態では在宅の、特に軽度で過ごしている要支援1・2、要介護1・2ぐらい の人たちが非常に不安で、いつ訪問介護事業所がつぶれるか、いつ居宅介護支援専門員が辞めてし まうかという不安にさらされている状態をお汲み取りいただいて、この問題について回答をお願い する。 (大森分科会長)  御意見にわたる部分のお答えは今日はやめるので、データに即して質問があったから、それは答 えていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  それでは、私の方から2点ほど。  まず、この介護給付費分科会が保険料そのもの等々についても議論するのか、それとも、報酬に ついてなのかということですが、所掌上、サービスの価格、それから、基準について議論をするの が、この介護給付費分科会の所掌になっている。  資料2の2ページ目をごらんいただければと思うが、下のところである。保険料が第2期〜第3 期に3,293円から4,090円となっている。これは平均的な額であるから、勿論、保険者によって違 うが、実は第3期に向けての報酬改定があった。これは全体的には−0.5%。その前の年の10月の 食費・居住費の外出しを入れて−2.4%だったので、実は保険料を決めるというのは、特に高齢者 の数が増えたり、パイが大きくなるという自然増の部分と、こちらで議論をする、政策による増減 の部分と両方あるので、こと介護給付費分科会では、むしろ後者の政策による増減をどうするかに ついて議論していただく。勿論、そのときに前者について全く考慮しなくていいということではな いと思うが、そこが若干異なるものだと思う。  2点目について、同じ資料の3ページ目で、実は450万人認定を受けているが、給付を受けてい るのは367万人で、少ないではないかということだが、実は、やはり2割近くの方が実際にサービ スを利用していない。  これは、手元に具体的なデータがないが、かなりの程度、軽い方が多い。勿論、重くなればサー ビスを利用せざるを得ないので、当然、利用されることになるが、軽いのになぜ認定だけ受けられ るかというと、理由としては幾つかあると思うが、1つの理由は市町村による地域支援事業等の独 自サービスで、例えば認定を受けていることが、この給付サービスの中にはない配食サービスの条 件になっていたりするような場合があるので、サービスそのもの自体を受ける必要はないと考えて いるが、そういうサービスは受けたいという方は、認定だけを受けられて、サービスは要らないと 言われる場合がある。そのほか、手は挙げてみたけれども、やはり受けるのをやめられた方もおら れるとは思う。 (土生振興課長)  3点目の経営モデルであるが、先ほど全体を御説明した資料の中に経営モデルの研究ということ で、今、研究をしているところであり、現時点で何かお示しできるものはない。  今後、事業者の方々のいろんなお知恵もいただきながら、どういうものがお示しできるか、今、 研究をしているということであるが、やはり勤続年数の違いとか、資格の違い、さまざまな要因が あるので、何か一律のものでこれでということはなかなか難しいかもしれないが、引き続き、研究 をしているという状況である。 (大森分科会長)  よろしいか。 (沖藤委員)  遠慮する。 (大森分科会長)  それでは、未利用者のことについては池田さんが調べているから、一言付け加えていただきたい。 (池田委員)  認定されている人の約2割は未利用ということは事実である。私、これは変だなと思って詳しく 調べてみた。  一番未利用が多いのは要支援1・2と経過的要介護で、37%の人が未利用である。ところが、要 介護5もかなり未利用が19.6%と多い。グラフを書くと真ん中がへこむという両極化現象を起こし ている。  まず、重度の方が大変重大なものなので、幾つかの自治体に依頼をして、実際に調べていただい た。すると、話は極めて簡単だった。病院に入院している方は医療保険適用だから介護保険を使わ ないというものと、その月の途中で死亡されたということで、データは残っているが、サービスの 利用のしようがないということで、重度については、私はかなりほっとした。  次に軽度の方であるが、これは課長の言われたことでほとんど尽きていると思うが、心配なのは 所得水準の問題と、サービス利用の手控えみたいなものとの関係である。これが一番怖いというこ とがあって、これもかなりしつこく調べてみた。  結果的に言うと、利用控えというものはほとんどない。問題は何かというと、さっき課長の言わ れたように、介護保険以外のサービスを使うときの一つのライセンスという形で欲しいのと、それ から、念のため取っておこうという人は、はっきりいってかなり多い。これは九州の方でも実際に 問題になったが、自立という認定を受けると、私は元気だというのは結構はやったところもあり、 これは認定事務が煩雑になって困るという話もあったが、将来的に備えて念のため取っておこうと いうケースが非常に多い。  ちなみに、2005年改正、2006年の介護報酬改定で、軽度については包括払いということで、あ る意味で利用に一つの枠がかかったことは間違いない。それでの関係で調べてみて、軽度の人が使 っている在宅サービスの利用額に変化があるかというと、ほとんどない。  そういった意味では、いろんな要素を分析すると、重度は病院に入っているし、軽度は実際上、 介護保険サービスを欲していないという事実がかなり明確に見えてきたことを付け加えたいと思 う。   (大森分科会長)  それでは、こちら側へ行こうか。どうぞ。 (武久委員)  資料を出させていただいている。  先ほど山本委員が御退席になられたが、最後の方は少し恫喝のような感じもあったが、考えてみ れば、その前に川合委員も勝負するかというふうなことをお話しになったし、ここはやはり闘いの 場であるというように再認識したところであるが、やはり利害関係が異なる市町村とサービス提供 側が、お互いのそういう利害を表に出して話をする場ではないのではないかと思う。やはり、国民 にとってよりよい介護の場をつくるにはどうしたらよいかということをまず第一に考えていかな いと、そのためにはやはり負担も要るでしょうということだろうと思う。  それから、今回の収支差の調査も、これは何のためにするかというと、マイナスだったら上げて くれる。収支差が非常に高ければ下げるというような資料にするのであろうと思うが、前にも言っ たが、そうすると、一体、どのぐらいが適切な収支差かということをお示しいただかないと、少し でもプラスだったら、赤字よりましだから下げるのだと言われても整合性がないのではないかとい うこと。  それから、ここの資料を開けていただくと「人は誰でもいつかは病気になる。そして、残念なが らすべての人が急性期治療のみで自宅に退院できるとは限らない。重度の後遺症や数多くの難治性 の合併症を併発し、更なる治療のため、慢性期医療を受けなければならない場合も少なくない。こ れらの患者をいつまでも急性期病院で治療すれば、医療費は莫大となり、急性期病院の平均在院日 数はとてつもなく長くなる」。  それで、これから高齢化はどんどん増えるので、しかも、医療の進歩は昔なら死亡していた症状 も救命し得ることになったということで、慢性期医療が必要な患者を増やしている。これらの患者 は増えることはあっても決して減ることはないだろう。いろんな重症の処置をするときに、そうい う患者さんが医師や看護師の少ない施設で治療することを望むことはないだろうと思う。  このようなデータは、介護療養型医療施設でも非常に救急病院からの照会が多い。こういうこと で、まさか療養病床を減らしたら、救急難民が増えるとか、救命・救急センターが困るとか、こん なふうになるとは私自身も思っていなかったが、今日お示ししたデータをまた一回読んでいただけ ればと思う。  それから、介護福祉士、介護職員のことだが、この間のニュースで、大阪の個室ビデオ店で15 人が亡くなったが、その中に、テレビを見ていたら、介護職員に転職して介護福祉士になるのだと いうような、あれを見たら本当に切なくなったが、やはり上昇志向として、介護職をやって、3年 したら介護福祉士の試験が受けられる。受けたら、その次にはケアマネがあるとか、そういう上昇 志向で考えると、職員は残る。ところが、介護福祉士になっても待遇に大きな差が出ないとモチベ ーションが上がらない。施設で介護職員のうち3割が介護福祉士とか、5割が介護福祉士とかとい う場合には何らかの加算があるとかをすると、その分を介護福祉士に向けることができるが、そう いうインセンティブが全くないことも問題ではないかと思う。大体、介護福祉士からケアマネにな って、ケアマネから施設長になるとか、平社員から上がって社長になれるような道筋が示されると、 頑張ってやるかという気にもなるのではないか。  もう一つ、診療所の療養病床についてお伺いしたいが、6床とか8床の療養病床が、介護療養型 にしろ、医療療養にしろ、例えば今度、転換するとなったときに、老健で6床とか8床とかにでき るわけがないと思う。例えば、これは地方に、三上委員とも同じような考えではないかと思うが、 医療資源として確実にある。それを使わない手はないと思うが、我々の慢性期医療協会でも診療所 の会員もいらっしゃるので、その療養病床を何らかの形で残すことはできないかということもお考 えいただけたらと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  御意見として承ったということでよろしいか。 (武久委員)  先ほど申したのは、適正な収支差はどのぐらいかというのは前に御質問して、それはわからない というお答えであったが、調査をするからには何らか、こういうふうだからこうするという、大体 の理念みたいなものがもしあったらお聞かせ願いたいと思う。 (大森分科会長)  あるか。 (鈴木老人保健課長)  前回のお答えとかなり重なってしまうかもしれないが、先ほど振興課長の方から申し上げたよう に、経営モデルの中には、例えばどういう労務管理なり給与分配をやることが適切なのかというこ とも若干含まれてくるので、それが一部、お答えになるかもしれない。  また、実はやはり各サービスによってどのぐらいの、例えば給与の占める割合、もしくは収支の 占める割合が適切なのかというのは異なっていると考えて、例えば施設系だと、やはり固定費のと ころが相当大きい場合があるし、居宅系だとそうではない部分もあると思う。  また、地域によっても固定費の占める割合が違ったり、規模によっても違うということなので、 大変申し訳ないが、一概に、例えば全体のサービスとして何%というような言い方は、全体として は適切ではないと思う。ただ、一定程度、議論をしていく中で、全産業の利益率との比較ではこう だとか、全体の事業モデルとしてはこういうことも考えられるのではないかというのは、また我々 の方でも、今、とりあえずの詳細調査の結果が出たところだが、分析ができ次第、また御報告・御 議論をいただきたいと思う。 (大森分科会長)  そういう回答である。  それでは、稲葉さん、お願いする。 (稲葉委員)  資料1−2の収支差率のところであるが、人材を確保するという課題に対して処遇改善をすると いうことで、その解決を図ることが方向として一つにあるということになっていると思うが、例え ばここの表で収支差率だけを見ていくと、認知症対応型共同生活介護が9.7%。また、通所介護が 7.3%。ほかに比べると少し高いような気がするが、併せて1人当たりの給与の額を見てみると、 ほかのサービスに比べて、その水準は比較的低い。  それで、収入における給与費の割合、人件費の割合が非常に高い業種であるために、この1人当 たりの給与をもっと改善をしていくと、ここの収支差率は大分悪化することになると思うので、こ の給与水準の引き上げを前提に考えて、この収支差率が決して高いということでもなく、ここは、 報酬については余り下げてしまうことがないように、その辺だけは気をつけていただきたい。そう いう議論を進めていただきたいと思うことが1点。  それから、離職の理由として、待遇について挙げている方が多いが、人間関係によって離職する という結果も出ている。これは職場のリーダーとなるような管理職の方、主任であったり、施設長 であったり、こういう方々が比較的しっかりとリーダーシップを発揮する職場では離職率が低いと いう実感を私は持っている。そう考えると、介護職に対する処遇の改善ということもさることなが ら、その中間で管理する立場の方たちの待遇面も考えてアップさえすれば、介護職の待遇アップと 併せて離職を減らせる、一つのいい効果は出るのではないかと思っているので、お考えいただきた いと思う。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、中田さん、お願いする。 (中田委員)  資料3−1の16ページに「6.介護従事者対策の論点と介護報酬改定等の位置付け(例)」があ り、その中で幾つかの論点整理がされている。そうした中で、例えばここに出ている「夜間・深夜 時間帯の不安への対応」ということで、これは当然、そういったことも介護報酬上で評価いただき たいと思うが、それ以上に、今、例えば私どものような特養で離職が多いのは、いわゆる軽易な医 的行為、家庭でも家族ができるような行為について、やはり介護職が行われるように、私は緊急に これをやっていただかないと本当に困ると思う。  それはどういうことかというと、いわゆる入所者が極めて重度化、病弱化している実態がある。 これは私どもの方の平成18年の調査であるが、要介護度も勿論アップしているが、医療処置の必 要な利用者ということで、経管栄養とかが全体の12%、たんの吸引が10.2%という数字が出てく る。  実態としては、これらについて器具の準備及び具体的処置に3〜4割関わっているという調査結 果も出ている。これは前に私から資料を出したことがあると思うが、そういう状況の中で、無理に、 これは受けなければいいと思うが、実態としては療養病床がいわゆる廃止転換になったということ で、そういう方の受け皿施設としての役割もあるということが1点。  それから、特養で入所していて病気になって入院する。それで、病状が安定したから退院すると いうときに、我々は拒否できない。  もう一点は、やはり特養の場合は地域に偏在しており、過疎地とか、あるいは僻地の場合は、顔 見知りの関係とか、家庭の事情がよくわかるということで受けざるを得ないような実態も確かにあ り、そういう意味で、この「夜間・深夜時間帯の不安への対応」ということは、この資料の12ペ ージにも、介護従事者の労働条件等の悩み、不安・不満の中で「夜間や深夜時間帯に何か起きるの ではないかと不安がある」というのが47.5%ある。それから「精神的にきつい」というのが40.5% あるので、是非、この辺の対応を早くやっていただきたいということを要望する。  あと2点ある。  1点は、先ほど三上委員からもお話があったが、いわゆる国の特養整備に対する個室、ユニット 型一辺倒の考えを是非見直していただきたい。先週も、私、静岡へ行ってきたが、静岡市長さんも これを何とかしてもらいたいという要請も実は受けてきた。このことについては、個室、ユニット の場合は低所得者、いわゆる生活保護が入れないというような基本的な問題があるが、それ以外に、 職員の離職の問題とも非常に深い関わりがある。  それはどういうことかというと、私どもの昨年の調査で、看護職の離職率は、全体では19.2%で あったが、個室、ユニットについては25.9%。それから、看護職に至っては41.5%、倍以上の離 職率であり、そういう実態があって、これはどういうことかというと、やはり1ユニット、2ユニ ットというような少人数のケア展開のために一人ひとりにかかる責任の度合いが非常に大きい。こ れがプレッシャーになって、ストレスになって、辞めていくというようなケースが非常に多く、今、 国でユニットリーダー研修会というものをやっているが、これはせっかく資格を取っても辞めてい くものだから、全然間に合わないという実態があると私は聞いているが、こういう実態も踏まえて、 是非、この一辺倒の見直しをお願いしたい。  最後であるが、この資料の16ページにもあるように「(1)介護人材を確保するための多様な人 材の参入促進」というものがうたわれているが、是非、私がお願いしたいのは、今、EPA、経済 連携協定の関係で、インドネシアの方から介護職員の受け入れがあるが、この受け入れについて、 職員配置基準定数にカウントできないという問題がある。これは少なくとも、来年2月ぐらいから 各施設に配置されると思うが、3か月あるいは半年ぐらいの実務経験を踏めば、是非、カウントす るように見直しをお願いしたいと思う。  今、都市部も地方も、本当に介護従事者の確保というものは深刻な問題であり、先般、業界紙の 報道によると、東京都あるいは付近県の3県で、595ベッドが介護従事者が確保できないために未 稼動になっているという状況もあるし、地方へ行くと、ヘルパーステーションをやめて、その職員 を本体の方、特養へ持ってこなければいけないのだという話も実は聞いている。  そういった状況の中で、国も今般、介護人材対策について、平成21年度予算の概算要求の中で、 介護経験未経験者に対して助成を出すというような対策も講じられるように聞いているが、一方で、 介護経験未経験者を採用して、それを基準定数にカウントしておきながら、他方では、やはりそれ なりの勉強をしてきている方をカウントしないのは、私は絶対おかしいと思う。この辺を是非、深 刻な状況を勘案して見直していただきたい。  この3点を要望する。以上である。   (大森分科会長)  小島さん、どうぞ。   (小島委員)  今日出されていた経営実態調査についての質問をしたいと思う。  まず初めに、資料1−2に全体的な概要についての調査結果が記載されており、1ページの方に は、施設系のところは、収支差としてはおおむね、みんなプラスだということになっているが、こ れは地域別、規模別のところまで検証すべきではないかと思う。介護報酬の見直しに当たっての視 点(例)にも触れられている規模別あるいは地域別についてどう見直すかに関わると思う。  例えば、資料1−3の2ページに介護老人福祉施設の地域別の収支差が下のグラフに出ている。 これは総括表にも出ていたが、2ページの下のグラフを見ると、特別区のところは全体としてはマ イナスとなっているが、やはりマイナスの収支施設が多い。その下の乙地も全体的には平均すると マイナスとなっているが、ほかはプラスになっており、地域別の差が出ている。  次の3ページ目で、同じ介護老人福祉施設の規模別のところを見ると、30人規模のグラフでは全 体的にばらついているということだが、その次の31〜50人規模ではマイナスの施設が多くなって いる。  これは、特別区の方に小規模の施設が多いのか、規模別・地域別にクロスをかけて検討する必要 があるのではないかと思う。今後の検討課題の中で、これをどう見ていくかということが一つであ るので、今の時点で、この規模別あるいは地域差による収支の違いについてどのような見解かとい うのが1つ目の質問である。  2つ目が、資料3−1「介護従事者等関係資料」である。その中で、特に3ページ目に介護従事 者の賃金の正規、非正規、あるいは男女の1か月の実質賃金のデータが出ているが、これを見ると、 勤続年数はそれほど大きな差はない。それから、年齢的にもそれほど男女差はないが、やはり実質 的に1か月の賃金を見ると、男女の賃金格差が出ていることになる。  介護職員の方でも、正規職員、それから、非正規ともに男女の賃金差がある。男性の母数が少な いので、これだけで女性の賃金との比較が妥当かどうかということはあるが、訪問介護職を見ても、 正規でも非正規でも男女賃金差がある。年齢、勤続年数にあまり差はないのに、なぜ、この差があ るのか。特に考えられるようなことがあればということが質問の2つ目である。  もう一つ、同じ資料の7ページの離職率について、離職率が10%未満と30%未満と、言わば両 極に分かれているということだが、これも、なぜ両極に分かれるのか。10%未満の事業所がある一 方で、30%を超えるというところに大きく二極化するのかについて、これも規模別の差が出ている のか、あるいは地域別の差が出ているのか。例えば、1法人1事業所といったような小規模のとこ ろですと、ひとたび人間関係が崩れるとやめてしまうというような指摘もあるので、そういうよう な影響が出ているのか。  それから、地域差の方では、都市部だと他産業の求人倍率が高いということなので、賃金が余り よくなければそちらに流れてしまうが、そういうような影響が考えられるのかどうか。この辺も、 今後の介護報酬の見直しに当たってはそういうことも勘案することになるので、現時点で何か特段 の理由として考えられるものは何かということが3つ目の質問である。  最後に1つ、今度の介護報酬の見直しに当たっては、やはり前回の平成17年度の介護報酬の結 果について検証・評価をきちんと行うべきである。これは医療保険の方の診療報酬についても検証 部会というところで、主なものについては検証を踏まえて新たな診療報酬改定をやっているので、 同じように介護報酬についても、前回の改定の検証・評価をきちっとやった上で次の改定を行うこ とが必要だと思っている。  最後は意見であった。   (大森分科会長)  最後のことは、先ほどおっしゃっているので。  前半の方で、事務局から何かあればお願いする。 (鈴木老人保健課長)  第1点については、私の方から申し上げる。  地域差、規模ごとの差はまさに委員の御指摘のとおりで、地域別に見ると、若干サービスによっ て違う場合もあるが、やはり大都市部の方が厳しい。その理由は、やはり賃金が高いことが大きく 影響していると思う。それから、規模で見ても、当然ながらオーバーヘッドコストが、規模が小さ いところは高くなってしまって、結果としてはコストが高止まりしてしまうということである。  具体的には、もう少し詳細な分析、それから、これをどうとらえるべきなのかということについ ては、次回以降、資料を再度お出しして、また御検討いただきたいと思う。 (大森分科会長)  振興課長さんからお願いする。 (土生振興課長)  2点目と3点目で、まず資料3−1の3ページの男女差であるが、あと一つ考えられることは、 労働時間がどの程度の差があるかということなので、その辺はもとのデータに当たり分析をしてみ たいと思う。  それから、離職率について、地域別、規模別の分類ができるか。なかなか難しそうな気がするが、 それももとのデータに当たり、そういうことが可能かどうか、検討して回答させていただきたいと 思う。 (大森分科会長)  それでは、対馬さん、お願いする。 (対馬委員)  実態調査の関係だが、大変、このデータが気になる。といいますのは、前回6月のときの概況調 査のときにも申し上げて、是非、回答をいただけるようにというお願いもして、若干の議論、質疑 応答等もあった。しかし、今回、改めて、大変期待しながら見たが、資料1−2をごらんになって いただきたいが、全く改善されていないというか、むしろ大幅に後退しているのではないか。  特に介護三施設ですと、資料1−2の一番左上、いわゆる特養だが、前回991施設に協力いただ いたのが、今回は174施設ということだから、5分の1以下である。老健については3分の1ぐら いだろうか。それから、介護療養型病院も3分の1ぐらいで、特に、私の隣に委員がおられるので 少し申し上げにくいこともあるが、特養については、調査の客体に対してお答えいただけたのが恐 らく1割強ぐらいしかないのではないかと思う。  だから、そういったデータを基にして、例えば特養だと13.6%の収支差があったのが、3.4%に 下がった。10%も下がったというが、前回よりも調査の客対数が1割か2割に下がった。しかも、 お願いすると言った調査に対しても1割か2割しか答えがないという中で、本当にどういう状況か ということはよく吟味をする必要があるだろうと思う。  今後のこともあるので、やはりそういったデータの実態ないしは調査の実態があるのであれば、 事務局としてどうお考えになられたのかというのが1つ。  あと、特にお答えいただかなくても結構だが、私には信じられないのは、例えば中医協などで調 査を実施すると、やはり5割か6割は間違いなくお答えいただけている。だから、特養等には、特 に国の税金などが随分投入もされているはずだから、当然、こういった非常に重要な調査について は協力するのが筋だろうと思うが、その点、今回の調査はどうしても私には理解できない。そこを もし、お答えいただけるのであればお答えいただければと思う。 (大森分科会長)  関連することか。それでは、御発言いただきたい。 (齊藤委員)  私も全く同意見である。6月のときの概況はサンプルということで、これは大事な介護報酬改定 の基礎資料になるものであるから、今回はしっかりしたものが出るのだろうと誠に期待をしていた。 2万4,300の施設・事業所の抽出率が20%。これは、下にある分析で数が上がってきたのは約7,200 である。20%のうちの3割弱の回答でしかない。  更に事務局の方にお願いをしたいのは、15サービスにそれぞれ、どれだけ調査の依頼をして、全 体の回答はどうあって、そのうち、有効な回答はどうあったのか。その基礎的な資料もお出しいた だいていないのは、実は非常に残念な思いがする。しかも、今回は地域別でも見てみよう。更に、 規模別でも見てみよう。非常にそういう意味では細かな調査が入っていて、これは関係者にとりま しては大変大きな意味を持っているものだと私も理解しており、先ほどの詳細のデータの部分が今 後議論されると思うが、どう読み取っていいのかがわからない。しかも地域別で分けると、1けた 台の資料しか出てこないものもある。それをもって、この中で判断でき得るものなのかどうか、大 変不安に思っている。  これだけではなくて、先ほど三上委員からも定点調査のお話があったが、本当にこれが今回の報 酬にそれが間に合って、追加資料として出していただけるのかどうか。これも大変気がかりな点で ある。こういうものがそろわない限りは、この介護給付費分科会ではなくて、多くの関係者になか なか御理解をいただけないのではないか。そのことが今後のことについて大きな影響を及ぼすので はないか。この中で大変皆さん、それぞれのお立場で御出席されているので、しっかりと、まず共 通して出していただく必要のあるものはしっかりと責任を持って出していただく。そういうことを していただかないと、議論に入れないのではないか。そんなふうに感じているので、特にお願いを いたしたいと思う。  更に、今後の調査の在り方で、今回は間に合わないのかもしれないが、本当にこのサンプル数、 20%抽出で実態が反映されるのかどうかということも少し疑問な点がある。Aグループ、Bグルー プがあるとすれば、非常にいい形のものと、たまたま、今回は前回と重なっていないだろうという ことを想定すると、この差も大きいのではないかという気がするから、調査の取り方の問題も、も う一回、これが合理的なものなのかどうか。そういったことも、今後に当たっては、是非、専門の 方々と御協議いただければありがたいと思う。  以上である。   (大森分科会長)  私も危機感を感じて、私の名前で要請したが、この結果だから、私どもはこの結果で判断するこ とになるものと私も承知しているが、なお事務局から何かお答えがあればお願いする。 (鈴木老人保健課長)  今、座長の方から御発言があったように、実は概況調査について、今、委員の先生方から御発言 いただいたようなコメントがあったので、あの後、2回、1回は我々の課長連名で、それから、も う一つは大森分科会長のお名前で、各団体に調査に対して再協力をよろしくお願いするということ をした。  その結果もあると思うが、実は、あの調査は何段階のプロセスに分解できるが、一番最初の返信 の数、こちらから配付をして、事業者側から送り返していただく率は、前回の平成17年は62.9% だったが、今回は67.1%に上がった。ということで、勿論、一番最初の調査の返信については各団 体の御努力もあって、非常によくなったということだと思う。  ただ、対馬委員からもあった、施設についての数が減っているのではないかということについて 1点説明をしたいが、実は前回の17年の調査は、一部例外があるが、すべてのサービス、すべて のものについて同じ率で抽出をした。  この結果、何が起こったかというと、やはり誤差率が、かなり会計がしっかりしておられる施設 と、非常に事業所が小さい在宅系の事業所では誤差率が非常にばらばらで、ある意味で言うと、同 じようにサービスを評価していいのかという観点もあったので、今回は標準誤差率に皆さんが収ま るように、抽出の仕方を少し、層化無作為抽出をした。  ということで、統計学的専門用語で申し訳ないが、平たく言ってしまえば、しっかりしていて、 ある程度、誤差が小さいところはサンプル数が小さい。逆に、誤差率が大きいところは少し多目に 取って、なるべく誤差を小さく収めることをしたので、絶対数の違いはある意味でそこで説明でき るということが1点である。  もう一つは、実は先ほども前回との改定の差異でお示ししたが、前回に比べて圧倒的にサービス の数が増えた。例えば予防サービスという新しいサービスが増えたし、サービスの類型として新し いサービスが増えて、当然ながら、そういうサービスについても調査をしなければいけないという ことがあったので、今回は、施設の方も勿論だが、在宅系も新しいサービス。それから、地域密着 型サービスのような新しいものも含めてやらせていただいたので、サービスの抽出、それから、総 数の比率が若干変わっている。  もう一つは、施設の場合には余り休廃止というものはない。勿論、絶対ないとは言わないが、特 に三施設のような場合にはサービスが一旦開始されて休廃止ということは余り考えにくいが、在宅 系の場合には比較的ターンオーバーをしているので、こちらから配付をしても、サービス事業所自 体が既に廃止になっているというようなところがあって、そういう意味で数が少なくなってきた場 合もある。  ただ、各委員から御指摘になっていたように、一旦、返信をしていただいた後に、勿論、こちら から全部を見させていただいて、この数値がどうなんだろうかという、特に再度、問い合わせをす るが、それに対してなかなかお答えがいただけなかったということがあるので、今回をどう評価す るかというのもあるし、それから、齊藤委員が特におっしゃった、次回に向けて、どのようにきち っと精度を高めるために、例えば抽出のやり方、それから、実際に規模をどうするのかということ を、我々事務局は勿論だが、少し専門家の方も含めて検討していただいて、できれば幾つかの団体 の方にもお入りいただいて、きちっとこういうやり方であれば皆の納得できるやり方でできるので はないかというのをしていきたいと思う。  それから、1点だけ。さっき定点の話があったが、今回、定点は実は間に合わない。来年の概算 要求に向けて定点ではかるというやり方を我々は予算要求をしているので、申し訳ないが、今回の 改定には定点のデータは間に合わないが、次回以降、幾つかの点については定点で追えるというこ とをさせていただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  一応、そういう回答である。  それでは、勝田さん、どうぞ。   (勝田委員)  今ほどのことについては、私もどうしてこんな結果になるのだろうと、本当に不思議でならなか った。この調査が介護報酬の基礎調査だということがわかっていて、例えば訪問介護や居宅介護支 援はほとんど変わらない。どうして、こんなに差があるのかというところをもう少し検討していか ないと、これではやはりばらつきがあり過ぎるのではないかということを思っている。  私が今回、皆さんに是非、基本的な考え方として、利用者として、この中にいろいろ出てくるが、 常勤換算という考え方はやめてほしいと思う。本来ならば正職であるべきだと思う。2回の介護報 酬の引き下げで、やはり経営者側としてはどうしても常勤では雇えないということでの、施設系で は常勤が89%から、平成12年度から、今回は84%に5ポイントほど下がっているし、居宅介護支 援では、特にホームヘルパーさんについては47%が49%になったとしても、やはり2人に1人は 非常勤だという考え方である。  私たちは、やはり介護の質や、特に認知症の介護につきましても個別対応が求められる中で、常 勤換算という考え方はやはりやめてほしい。今後、介護報酬を考える基本的には、正職員できちっ と雇うことを前提にやってほしい。これは、いろいろお考えはあるかと思うが、今後はそういう中 途半端なやり方ではなくて、そして、やはり前に辞めた方たちの理由の中で、正職員になれなかっ たからという方たちも結構いる。そういう点では、きちっとした対応をしていくことが大事なので はないかと思う。  2つ目であるが、やはり今後、17年度の制度改定についての検証もするということを、先ほど小 島委員もおっしゃれたが、特に、これはここでやるべきかどうかわからないが、介護保険の財政が 黒字だということを、次回でも次々回でもいいが、是非データを出していただきたい。勿論、介護 保険の保険料にもするのだが、ひょっとして前回の改定で軽度に対する、締め付け、振り分け、要 支援という考え方、新介護予防という名前の下にされたわけだが、私ども特に認知症に関しては、 軽度のときこそしっかり対応することで重度化しないということがある。  その中で、認知症でも要支援に振り分けられたために、要介護度1や2の方が要支援に回った。 その結果として、今まで受けられていたサービスの回数が減ったりということで、結局悪化したと いうことがある。  また、もう一つの中では、例えばこれから高齢者世帯が増えていく、老老介護や認認介護という 言葉もありますけれども、一人暮らしや、そして老老の場合に、特に現在起きている問題では、生 活援助に対する同居家族がいる場合には受けられないという問題があるが、それこそ厚生労働省が 2度も通達を出したにもかかわらず、現場では余り変わってないという状況がある。  先ほどのアンケート結果といい、そういう通達を出してもなかなか響かないというのは、一体ど ういうふうにお考えなのかということを是非示してほしい。ひょっとして、やはりサービスを抑制 したために黒字なのではないかという、そういうことであれば、私どもは喜ぶべきではないのでは ないかと思っている。  そういうことについて、もしお考えをお聞かせいただけたらと思っている。 (大森分科会長)  何か今お答えできることあるか。 (土生振興課長)  最後のホームヘルプサービスの生活援助の件だが、同居家族の問題で、一律、機械的にそのサー ビスを提供しないことがないようにというのは、委員御指摘のとおりであり、その旨、私ども文書 は勿論であるが、会議の場でも各自治体にはお願いしているところである。  今回は、単なる事務連絡ではなく、1つの取り組みの事例も添えて、具体的にこういうやり方も あるのではないかということも合わせて示しているところであり、ただいまの御指摘を踏まえ、更 にそうした努力を続けていくということではないかと思っている。とりあえずのお答えとさせてい ただく。 (大森分科会長)  どうぞ。 (勝田委員)  全国の介護保険財政のデータは出ないか。今でなくても結構だ。 (大森分科会長)  それはどうか。 (吉野介護保険課長)  来季に向けて、今、市町村で保険料の算定を進めているところであり、次回、次々回にというの はわからないが、ある程度まとまった段階で、またこちらの方にも御報告させていただきたいと思 う。 (勝田委員)  よろしくお願いする。 (大森分科会長)  田中さん、どうぞ。 (田中(雅)委員)  質問が1点と、あとは意見だが、まず資料3‐1の7ページにあるが、これまでもこの中で、介 護労働市場の現状ということで、離職率の高い事業所と低い事業所の二極化が見られる。これは、 これまでのさまざまなデータで御指摘があったところであるが、私どもとして知りたいのは、多分 無理だと思うのが、事業者の経営状況の中で、二極化の状況をお知らせしてほしいというのは、デ ータの出し方が違うのでなかなか出しにくいのかと思うが、同じように、介護労働安定センターの 調査の中で出ている、介護従事者のアンケート調査の結果から、満足度と親、あるいは実際の労働 条件の悩み、不安等をお持ちだから、それぞれ10%、30%の二極化の違いについてと、アンケー ト調査のことについてクロスして評価できないかどうか。これがまず1点質問である。  あとは意見であるが、先ほどから介護の現場に対する定着率の悪さということについて、ずっと 意見があったり、実際現場におきましても、ベテランや中堅の職員が不在となっている、その結果、 経験年数が少なく若い人が中心とならざるを得ないという状況が生まれてきているのは事実であ る。  しかし、一方では、そういった若い人たちが生きがい、資料にもあるように、介護という仕事に、 人としてのやりがい、生きがいを求めてこの仕事に就いてきた、そういう人たちがたくさんいらっ しゃる。  そういった若い介護福祉士さんなどの専門職を評価する仕組みが必要だと思うので、そのために は、今後、介護福祉士の配置を運営基準の中で明記していくことも検討するべきではないかと思っ ている。  それに合わせて、一定の経験だとか、特定の研修の修了者、資格を持った方への評価、あるいは キャリアアップの仕組みを構築するのであれば、それに対する報酬体系、キャリアアップの仕組み について構築するということについては、それは資料3‐1の16ページに明らかになっているが、 その構築を検討するのであれば、具体的に報酬体系においても、それを明確にすべきではないかと 考えている。  具体的には、介護人材の定着のためには、チームリーダーの養成というのは不可欠だが、既に全 社協等がその事業を推進し、また日本介護士会などでも行っている、チームリーダー養成のための ファーストステップ研修修了者の配置についても、運営基準上で明確にしていくことも大事ではな いかと思っている。  合わせて、ホームヘルパーさんの質の向上について、平成18年から国の方は介護職員基礎研修 といったものを制度化、導入を図ったが、一方では基礎研修を受講する人たちが少ない、それは勿 論お金がかかるという問題があるが、一方では、そういった基礎研修をやった後の介護福祉士の道 のりが明確ではないということも実態だと考えている。  そういう意味において、そういった基礎研修を推進し、なおかつ介護福祉士への道ができるよう なことについても、国として検討されるべきではないかと思っている。  もう一点、介護の職場というのは、これまでのデータが示したように、女性が多い職場だ。当然、 結婚、出産、また育児など、家庭と仕事の両立ができるような支援策を図るべきであり、例えば職 場の労働環境を整備するために、当初の説明の中で、労働市場関係の局とも連携して、この対策を 練っていくということをおっしゃったから、当然、職場環境の整備のことも十分検討しなければな らないと思っている。  合わせて、夜勤や変則勤務を少なくするといったことに対する配慮、あるいはパート的な働き方 も行いやすいようにするなど、多様な働き方を望む方に対する働きやすい労働環境の整備が必要で はないかと思っている。  具体的にいうと、例えば非正規労働であったとしても、同一労働については雇用形態に違いがあ ったとしても同じ処遇をするといった雇用の仕方を、今後改善するべきではないかと思っている。  また、介護福祉士の配置基準を、今後明記すべきことと合わせて、私どもとしては既に医療の中 で基準看護ということになっているわけだが、介護の世界においても、そういった基準看護に匹敵 するような基準介護についても、頭を柔軟にしていただいて、そういった新しいことも検討してい ただいた方がいいと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  川合さん、どうぞ。 (川合委員)  概論、各論、これからの課題、御意見に対する反論、4つに分けてそれぞれお話しさせていただ きたいと思う。  まず、概論について、これは質問にもなるが、資料3‐1の15ページ、まず真ん中の箱、付則 の前である。施策の在り方について検討を加え、「必要があるときは、その結果に基づいて必要な 措置を講ずるものとする」とある。事務局は「必要があるとき」と、今、お認めか、お認めでない のか。  2つ目、一番下の箱、一番最後の行である。今、田中委員もおっしゃられたが、介護福祉士等の 専門性を重視し、有資格者の評価の在り方について検討を行うところであるが、老人保健施設が他 の類型サービスよりも介護福祉士のパーセントが一番高いと自負している。この2つの国会決議と 付帯決議について、どうお考えなのかということを、まず概論の1としてお聞きしたい。  概論の2は、武久委員がおっしゃられたが、勝負という言葉が誤解されていると思った。勝負は、 何もこの場で勝負しようということではなくて、n数が208である。6月にも申したように、ダブ りもあるかもしれないが、昨年度は9回、経営調表に関する研修会を開いた。その施設も含めて、 951施設の回答がある。私が申し上げた勝負というのは208とダブりがあるかもしれないが、この 951を足して1,000ぐらいだったら評価に耐えられるのではないかと思い、合計約1,000のn数と して評価をいただこうという意味である。  なぜか、同じ調票を使っているからである。我々独自のデータではない。同じ調表を使って、昨 年度研修会をして、その合計が951あるということである。その中で、利益率いろいろ3.4、7.3、 3.2という3施設の類型が出ているが、私ども前々から指摘していたように、今回の調査は定員規 模が多いところに偏っているのではないかという懸念は前々からしている。  この資料3‐1の6ページ、7ページの辺りから見ていくと、まず定員規模でいくと100床以下 は、全国老人保健施設協会は、3,300、組織率95%の中で11%である。この表でいくと27%であ る。利益率8.6、一番多い定員規模81〜100、全老健3,300のうち53%である。この調表からいく と79施設、38%ぐらいである。これは、どういう数字になるかというと7.3というのは、8.6が現 実より多くて、6.3の利益率のところが現実より少ない、これが本当に6月の段階で、座長の方か ら、もうこういう議論は9月からはしないでおきましょうねとおっしゃられたので、これはあくま でも意見であるが、実態を反映していないのではないかとの懸念もある。  資料2を見ていただきたいと思う。改めて見たが、もう胸を張って言う。我田引水だが、1ペー ジ、介護保険制度の理念について(1)(2)(3)。  (1)症状の軽減や悪化の防止に資する。老人保健施設は、20年間これに取り組んできた。  (2)利用者の選択、まさしくそのとおりである。  そういう総論的なお話をしたが、5ページを見ていただきたい。このグラフ、一時、老健施設は 要介護度が低いとおっしゃられたが、要介護度が低いところの廃用症候群に対する老健の、ここは リハビリを主にしてきたわけだから、私は寄与度、貢献度は高いと思うし、要介護度の高い認知症 のところに全老健にエールを送っていただいているのか知れないが、○が付いているが、これは前 回もお話ししたように、舛添大臣緊急プロジェクトチームの報告書にもある。極めて特異なありが たい報告書であるが、あそこに平成18年4月から始まった老健における、軽度認知症のリハビリ テーションは、EBMとして価値があるという趣旨の報告書が、舛添大臣の直轄のプロジェクトチ ームで記載されている。そういう意味で、そういうところにも今後御配慮いただきたいと思う。  各論に入る。組織の小さい身の歯ぎしりと思っていただきたいと思うが、類型3施設でたとえて 考えてみると、3.4、7.3、3.2、資料1−2に数字が出ているが、資料1‐3の1ページと5ページ と8ページを見ていただきたい。何を申し上げたいか。介護福祉士の給与の水準である。1ページ を見ると、特養さんは34万、5ページを見ると我々は30万、療養型は28万、介護職員、項目で は23、24番目だが、特養さんは29万、老健は25万、療養型は25万、何を申し上げたいか。利 益率が7.3というのは、誠に申し訳ないが、介護職員の給与を、税金も払わなければいけないから、 これぐらいにしかできない。でも、これも下げてきた値ではなくて、年々上げてきた数字である。 これは、前回か前々回か口頭で申し上げた。12月の老健の各論のところに入ってきたら、資料とし て提出したいと思っている。この収支差4万というのを、仮に特養さんと同じように税金を払わな くてよろしいとおっしゃるのであるならば、利益率は7.3ではなくてもっと下がる。  資料3−1を見ていただきたい。16ページ、前回も出たが、(2)介護報酬の在り方、黒ポツを 付けているが、そのポツの4つ目、夜間・深夜時間帯の不安への対応、私どもは前々から何度も申 し上げているように、8割の施設が夜勤看護も付けている。そういうことも御配慮いただけるのか どうかというのが12月に行われるであろう各論の重要な論点である。  総論としては、資料3−2の5ページである。今後の課題、施設系の事業についてということで あるが、○の2つ目、施設系の事業者については、将来の施設の建て替え等に備えた資金の積み立 てにより、人件費等の必要な運営コストを過度に圧迫することのないよう、ということは、過度に 圧迫していると事務局はお考えなのかどうか。そういう実態もきちっと、踏まえて考えていただき たい。誠にスタッフには申し訳ないが、年々1%ぐらいしか給与アップができないところである。  資料2の13ページ、最後であるが、この視点のところで、1〜5まで、まるきり同意である。 そういう意味で、この資料をつくられた事務局には敬意を表すと、こういう数字を出していただい た。あるいはその方向性を出していただいたというところで敬意を表したいと思う。その方向で御 議論を願いたい。  最後に、反論というよりも、これは知っていただきたいと思うが、隣の勝田さんに申し訳ないが、 常勤換算はやめていただきたいというのは、御利用の方はそうであろう。でも、事業主からすると、 今、労働マーケットのことを考えた場合に、その中で常勤換算をしないことには、組織がつぶれて しまう。病院がつぶれてしまうということが、今までいろいろあったので、医系のところから常勤 換算というのが出てきたのだと思うが、常勤換算は今のところ、それこそ予算の組み替えがあって、 バラ色の介護報酬、診療報酬があるのであるならば、我々はもう喜んで常勤換算でやりたいと思っ ている。   (大森分科会長)  御質問があったが、お答えになるか。どうぞ。 (土生振興課長)  最初に法律と付帯決議についての御質問をいただいた。今、委員からも御紹介があった、資料2 の13ページの1に、私ども事務局としても、介護従事者の人材確保対策ということで、今、言わ れているような給与水準、その他の問題も含めて検討を行う必要があるのではないかということで、 私どもとしても、そういう必要性を認めて、こういう資料をお出ししているわけであり、具体的な 対策については、専門的な立場からこの審議会で十分御意見を賜りたい。  付帯決議の方の整合性の評価についても同様であり、そうした課題があるということは、事務局 としても認めているからこそ、今日のようないろんな資料をお出ししているわけであり、具体的な 対策が必要かどうか、必要であるとすればどういったことをやるかについては、この審議会で十分 に御議論いただくべき問題であると思っている。 (川合委員)  三上委員がおっしゃったように、数字のリーケージとか、不満のある問題はいろいろあったが、 今のお答えで、事務局としては「必要な時期なんだ」と認識しておられると推察した。それと有資 格者に対してはきちっと見るんだという決意表明だと思うので、諾として受け取らせていただく。 (大森分科会長)  石川さん、どうぞ。 (石川委員)  何点か事務局の方にお伺いしたいと思う。平成20年度の介護事業経営実態調査結果は、先ほど 伺ったが、1人当たりの給与が、全体として増えている傾向にあるが、これは事業を確保するため に、新規採用の職員部分に限っての給与の引き上げが行われたということで上がったのか、それと も介護労働者全体の給与ベースの引き上げが進んでいたということなのか、ちょっと細かいことだ が、よくベースアップでも、新規の採用を高めるためには、若い世代の給与を上げる手法を、公務 員制度などでも取るが、そういったことの反映があってのことなのか、そういう細かい中身までわ かるのかどうか教えていただきたいと思う。  2点目については、介護従事者の対策については、私ども保険者としても、強力に進めていかな ければならないと認識しているが、一昨日、安心と希望の介護ビジョン会議の中で、舛添大臣から 介護報酬の見直し以外の方法も講じて、大胆な対策を講じなければならないと、時間がないから効 果のあるものをやっていかなければいけないという発言があったが、この介護報酬の見直し以外の 方法ということで、具体的にどのようなことがあるのか、もし現段階で説明ができることがあれば お話をいただきたいと思う。  3点目として、今回の調査結果からは、小規模の事業者は全体的に赤字基調であるということが、 改めて明らかになったが、事業者の規模の拡大を図りながら、スケールメリットを生かすようにす ることが、効率性の面からも非常に重要ではないかと思っている。  介護サービスの質の向上や、サービス供給の安定化を図る観点からも、規模の拡大が極めて重要 ではないかと思うが、今後、事業者への規模の拡大のインセンティブを、どのように図っていくの か、これは最後の今後の考え方の中でも、是非きちっと位置づけをして、協議していただきたいと 思うが、事務局の考え方を伺っておきたいと思う。  4点目として、今回の介護報酬改定に際しては、介護従事者の人材確保対策が大きな柱になるこ とは、先ほどのお話のように、もう間違いない。介護従事者の給与水準の引き上げは、非常に重要 であるし、また必要であると思っている。このためには、次の2点が必要だと思っている。  1つは、山本委員からも指摘があったが、保険料の負担をしていただいている高齢者に向けて、 今回、介護報酬改定の目的が、介護従事者への給与の引き上げである。このことが非常に重要なん だということを、わかりやすく、丁寧に説明してほしいと思う。これは、後期高齢者の反省からも 当然そういうことが言え、例えば介護従事者の給料を幾ら上げて、その結果として現在4,090円の 保険料が幾らになるという相対関係をきちっと国民に説明する必要があると思う。これは国の責務 として、きちっと対応する必要があると思うが、その辺の考え方を伺いたいと思う。  2つ目は、介護報酬がきちっと介護労働者への給与へ行き渡ったことを国民の目に見える形で検 証できる仕組みの導入である。介護報酬は、税と保険料で成り立っているわけであるので、これは もう管理者の給与も含めて、介護労働者の給与を公表するなどの仕組みが当然必要であると思って いる。  これらの点について、先ほど来、既にこの点については指摘があるわけだが、視点の中にしっか りと加えて議論をしていただきたいと思う。  5点目として、介護報酬の見直しに際しては、従来からの宿題となっている、福祉用具の問題の 整理を同時に行っていただきたいと思う。具体的には、同じ福祉用具でレンタル価格が極めて高額 なものなど、いわゆる外れ値の問題が既に指摘されているが、これらに対しまして、何らかの対応 が必要だと思っている。  また、2点目として、比較的安価な福祉用具については、貸与から販売へ移行してもよいのでは ないか、この点も既に指摘している。この点については、平成21年度の介護報酬改定の視点の5 つの例の中に具体的に入れて、是非しっかりとした位置づけをしていただきたいと思うが、事務局 の考え方を伺いたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  お答えをお願いする。 (大澤総務課長)  2点目の御質問から、まずお答えをさせていただきたいと思う。石川委員お尋ねのように、一昨 日、介護ビジョン会議において、大臣の方から、介護報酬以外の方法をという問題提起があった。 現時点で、私どもとして、具体的な腹案があるわけではない。先ほど資料3−1の16ページに沿 って、振興課長の方から御説明をしたように、介護従事者対策については、総合的な対策を幅広い 観点から議論する必要があるだろうと思う。  こういったことの中で、私どもとしても幅広い観点から検討をこれから始めたいと思う。 (大森分科会長)  そちらで何かお答えできることはあるか。 (鈴木老人保健課長)  私の方から、1番目と3番目を答えさせていただく。まず、給与について、初任の給与が増えて いるのか、全体が上がっているのかというお話があった。資料3−1をごらんいただきたいと思う が、4ページ、5ページの右側のグラフである。4ページ目が女性、5ページ目が男性になってい るが、いずれもこれは勤続年数が横軸、縦軸が給与の絶対額になっている。勿論、例外もあるかも しれないが、基本的にはやはり勤続年数が上がれば、給与は上がっていく。初めての人だけが高い というわけではないというのが、このグラフからはわる。  恐らく施設なり、同じ事業所の中で、新しく雇った人だけが同じ労働でも給与が高いというのは、 なかなか難しいと思うので、恐らく全体的に給与が、ある意味で手当なり、基本給なりが上がって、 全体を押し上げているという姿の方が正しいかと思う。  3点目はスケールメリットであったが、確かに小規模の方が経営が苦しくて、大規模の方が逆に なっているということがあると思うが、ある意味で言うと大規模ほど収支が高いということ自体が スケールメリットを促すインセンティブになっていると考えている。  ただ、例えば一部訪問看護のように、非常に規模が小さくて、規模の拡大を図らなければいけな いというものについては、別途、来年の一般会計の方で予算上、今、要求しているが、何とか大規 模化を支援できるような仕組みがないかということを考えている。  また、どうしてもある理由によって、例えば中山間地等でお客さんの数が少なくて、どうしよう もない、規模が大きくできないという事業所については、また別途考える必要があると思う。それ は次回以降また議論の際に資料を提出させていただきたいと思っている。 (大森分科会長)  木村さん、お願いする。 (木村委員)  4点意見を述べさせていただく。  まず1点目は、先ほど齊藤委員がリクエストしたこととダブるが、15サービスのそれぞれの調査 数と回答数と有効回答数を、次回以降、データを出していただきたいと思う。  2つ目に、資料1−2であるが、概況調査に継ぎ、実態調査の数字が出たが、居宅介護支援のと ころで少し意見を述べさせていただく。この数字を見て、そもそも今日確認があった介護保険制度 の理念を本当に動かせる状態なのかどうかというところまで問題がある数字だと感じている。なぜ か、必要な人に必要なサービスが、まさに保健医療福祉のサービスが総合的、効率的に提供される ということでケアマネジメントを導入したはずだ。その中の在宅側の居宅介護支援、つまり在宅側 のケアマネジメントをきっちりやっていくということで、その中心にいるのが介護支援専門員であ る。  また、今日出た約7兆円の中の、在宅側の介護給付費の給付管理をやっている、恐らく総額で4 兆円ほどのお金を居宅介護支援事業者にいる介護支援専門員がケアプランを通して、サービスを提 供しながらも、給付管理をし、その制度の中枢で重責をになっている。  その介護支援専門員がいる、居宅介護支援事業者が、こんな赤字状態である。過去にさかのぼっ て申し上げると、平成14年の実態調査ではマイナス17%、17年がここにあるがマイナス14.4%、 今回も20年度でマイナス17%、これを分析していったときに、今回の調査に限って申し上げると、 2年前の制度改正で、地域包括支援センター、もっと正確に言うと、介護予防支援事業者、そこに 要支援1、2の人たち、それから要介護1の一部の人たちが、制度上自動的に、持っていかれてし まったわけである。  そのことによって、担当件数が37.6から26.9に下がってしまっているという現状である。  それと、給与は高い、安いということはあるかもしれないが、やはり常勤専従で、家族ときちっ と生活できて、そのことが担保された形で介護支援専門員のケアマネジメントという仕事を専従で、 やっていける。そういう給与体系が大事だと思う。  今、事業所経営は、給与はごらんいただいたとおり出ているが、事業所を運営する間接経費が全 く出ていない。それがこの赤字幅だ。  だから、今回の改訂で、ここを絶対プラスにしなければ、在宅側の介護保険制度が崩れてしまう というぐらい危惧を感じている。  だから、事務局だけではなくて、ここの委員の皆さんほか、関係者の皆さんに、もっと言うなら 国民に理解していただいて、この居宅介護支援のところの改善を強く要望したいと思う。  あと2つある。先ほど資料2の13ページで説明があった医療との連携であるが、この春から診 療報酬、調剤報酬が改定になって、いわゆる居宅療養管理指導のところで見たときに、特に薬剤師 のところは、訪問薬剤管理指導と居宅療養管理指導が、ほとんど同じサービスで提供されているが、 利用者から見ると同じようなサービスだけれども、片や医療保険、片や介護保険で負担が違う。  だから、先ほど説明があったとおり、きちんと医療保険並び、そういうことで利用者側から見た、 何でこうなってしまうのかという質問が出ないような形で、そういう調整を来年春からしていただ ければと思う。  また最後に、4番目であるが、先ほど説明があった、資料3−1の16ページの中に、介護従事 者の処遇の改善に資するための施策、その中に介護報酬の在り方で小規模事業所への対応というこ とがあった。この中で、確かに小規模事業所への対応ということは、この介護従事者の処遇の改善 ということがあるかもしれないが、利用者から見たときに、やはり一連申し上げたとおり、事業者 が安定した運営経営ができる。そういうビジネスモデルを提案していただいて、こうだから安心し てこの地域で暮らせる、こういうサービスを受けられる、そういうビジネスモデルを小規模事業所 に示して、提案していただいて、利用者が安心できる形の改定も視点に入れていただけないかと思 う。  以上、4点である。   (大森分科会長)  井部さん、どうぞ。   (井部委員)  3点申し上げたいと思う。  まず1点目は、資料2の5ページだが、私は中央区の要介護認定審査会の委員であり、毎月審査 をしていると、特に廃用症候群で要介護になる高齢者がいると思う。特に都会は、高層住宅の上の 方に住んでいる人がほとんど下りてこないという状況があって、住まいと廃用症候群が関係がある のではないかと直感的に思っている。聞くところによると、ある国では高齢者は3階以上に住んで はいけないというような話を聞いたことがあるので、住まいと高齢者の廃用症候群の関係について、 何かデータがありましたら教えていただきたい。そういう研究はされているのかどうかということ を教えていただきたい。  2点目は、さっき田中委員がおっしゃった基準看護ですけれども、基準看護はもう死語であり、 今は入院基本料という。その中に看護職の人員配置基準が入っているということで、田中委員の基 準看護的に言うと、「入所基本料」のような状況になると思う。「基準看護」はもう使われていない ということをお伝えしたかった。  3点目は、この介護報酬の改定の方針が今も議論されており、13ページに平成21年度介護報酬 改定の視点がまとめられており、私もこの視点をきちんと押さえて、特に高齢者の尊厳の保持と自 立した日常生活の支援ということを、きちんと踏まえて、改定をしていく必要があると思っている。  1〜5番までまとめてくださっているので、わかりやすいが、特に2番の医療と介護の連携とい う点において、できるだけ医療から介護へ、介護から医療へというところを、シームレスなケアと 言っているが、こうしたシームレスなケアを促進する意味で、ここのところが促進できるような仕 組みを新たに考えていただきたい。高齢者はとかく医療を必要とする方が多いので、医療と介護の 連携の強化のための仕組みの導入を是非検討していただきたいと思っている。  以上である。   (大森分科会長)  お答えを、どうぞ。 (鈴木老人保健課長)  1点だけ、住まいと廃用症候群の関係だが、また後で調べてお答えする。 (大森分科会長)  田中先生、どうぞ。 (田中(滋)委員)  今日は全体像で、介護報酬改定の大きい図柄を話していると思うので、そういう視点から意見を 言わせていただく。  先ほど来出ていた収支差の水準は、確かに有効回答数と母集団との関係で決まる以上、個別にど こがいいとか悪いかについては、必ずしもあてにはならないのかもしれない。  ただし、全体として区分けしてみると、ある程度の傾向が見られて、そこからは次のことが言え ると思う。  まず、介護システムをそもそも崩壊させないためにという目標からすると、どこが崩壊しそうか が見える。第一に、人材確保の話があった。これは間違いない。キャリアアップとか、専門性の評 価を通じて、人材確保を図ることが、私たちのこれからの議論の中心の課題であると、このデータ から見ることができる。  絶滅危惧種とまでは言わないが、危ないところが大都市系と小規模へとケアマネ事業所であるこ とも、これは見えるとおりである。小規模については、特別な取り組みがなされていると、先ほど 課長から説明があった。  大都市については、特に議論がなかった。皆様おわかりのとおり、山間部については前回のヒア リングもあったが、大都市については何らかの配慮が必要であると読み取ることができる。  ケアマネ事業所については、ほかの直接サービスを提供する事業所と同じ経営モデルでいいかど うかは大変疑問である。やはりケアマネ事業所はちょっと性格が違うので、単に利用者1人につき 幾らというだけではなくて、払い方そのもの、また、経営の持続のさせ方も含めて、別扱いをする ような検討を急いでする。単に報酬を何%上げて、それで立ち直らせるだけでは、カンフル注射に すぎない、カンフル注射がないと死んでしまうと言われるかもしれないが、それだけではない。  それから、崩壊させないためだけでは、この検討会の役割としては不十分で、前向きな話もして おきたい。前向きとしては、サービスの質の向上に役立つものが何か、人員配置の評価とか、そう いうことも是非どこかで議論したい。  今日は余り出なかったが、地域密着型という、介護の在り方としては非常に優れた方式が、まだ 特にデータはなくて、大変な赤字としかわからない。ここを伸ばしていくような、せっかく前回つ くったので、地域密着型を巡る議論も、この検討会で行いたいと思う。  3番目のテーマは、保険料を払っていただく方に納得していただかなければいけないという視点 である。それは保険者の方々が言われた。  1つは、先ほど三上委員の言われた補足給付である。補足給付が必要なことは認めるが、介護保 険料から出すべきではないと私も思う。これは保険料を払っていただく方の納得のために論じてお きたい。  それから、小島委員も言われた、報酬改定の評価をするような仕組み、これも今回すぐという意 味ではないが、私たちが取り組む姿勢を見せるべきだと考えた。  以上である。 (大森分科会長)  今、私の時計で、5時まであと7分ぐらいしかないが、再度、どうしても御発言したい方、まだ 初めての方がそちらにおいでになった。早くお手を挙げてくだされば。どうぞ。 (村川委員)  資料2の13ページ、大勢の委員が御指摘いただいているが、21年度介護報酬改定の視点という ことで、大変重要な方向が出されているので、私もこういったことを軸に深めるべきと思っている。  今日いただいている資料の中では、今、田中委員からもお話があったが、4番の新サービスの検 証といった辺りでは、20年4月審査分のデータなどはいただいているが、こういった新しい地域密 着型サービスなどを伸ばす観点、あるいはまた小規模多機能の位置づけなどを伸ばしていく観点か らも、もう少し、この審査ベースも大事でだが、実際にどれぐらいの事業所、あるいはまた利用人 員がいるのかという、とりあえずの到達段階なり、そういったことも含めた資料を改めてお出しい ただく必要もあると思っている。  13ページの2項目目にあるような、多様な住まいという観点も出ている。これも比較的最近始ま った、高齢者の優良賃貸住宅、その他、いろいろな資源も出てきているわけであり、これは以前、 資料を若干いただいたわけであるが、医療と介護の連携ということもあり、すべてが入所施設で完 結する時代ではないわけであるから、この多様な住まいということは、中長期の観点からは非常に 重要な要素であるので、こういった辺りを検討していく関連データ等をもう少し出していただいて よいのかなと思っている。  最後になるが、複数の委員から補足的給付について御意見が出ているが、先ほど池田委員始め、 幾つか未利用者の問題等もあったが、私がこれまで関わってきました首都圏の幾つかの自治体のデ ータを見ていると、未利用者のうちの約10%前後は、やはり利用料負担ということを考えて御利用 を少し手控えておられる。全く利用しない方もいれば、利用者の中にも利用料を手控えておられる、 つまり言い換えると、低所得者の事柄について、介護保険は差別的な制度であってはならない。そ ういう意味では、補足的給付を何らかの形で維持、継続しないと、低所得の方にとっては、保険料 の方はいろいろ収入段階等、御配慮のある方策が練られているが、利用料の負担ということはどう であるか。  確かにこの保険システムの一つの考え方としては、応益負担ということもあるが、現実の国民の 所得格差のある格差社会の中では、どうであるべきか。これは法的なこともあるから、簡単にはい かないわけであるが、中長期で考えると、負担可能な方は2割、3割負担するという医療保険に見 られるやり方もある。低所得の方について、別の分野である、例えば生活保護法の介護扶助という ようなやり方で、補足給付相当が確実に確保されるのであれば考え直していいが、そうでない以上、 私は福祉的な観点からは、補足的給付についてはやはり配慮ある方策として、経過的には継続され てよいのではないか。今日はちょっと時間的には早い発言かもしれないが、補足的給付について、 複数の委員から御意見もあり、私は困難なお立場にある方を配慮した仕組みとして、この介護保険 の中で存続してほしいと考えている。以上である。 (大森分科会長)  森田さん、どうぞ。   (森田参考人)  1点だけ質問だが、これから高齢化が進んで、高齢者の住まいの問題が言われている。国土交通 省でも高齢者ケア付き住宅の整備の話が出ているが、ケアの内容や報酬について、この場で議論さ れるような見通しが今後あるのかどうか、その辺がわかったらお願いする。 (大森分科会長)  お願いする。 (土生振興課長)  国土交通省では、来年度に向けて、今、御指摘があったケア付き住宅の整備を、どのようにして いくかということを、専門の審議会を開いて御議論される予定と聞いている。  私どももそこに連携して参画しているので、また必要に応じて状況などを御報告させていただき たいと思う。 (大森分科会長)  長屋さん、どうぞ。 (長屋参考人)  先ほど市長会、全国町村会の方からもいろいろ要望があったが、全国知事会の方も、現在、各県 に問いかけて、今、介護報酬の在り方の中で、地域差だとか、有資格者の雇用を評価した報酬設定 だとか、待遇改善を含めて、調査している。これがまとまりましたら、この場で御報告する形にな ろうかと思う。全国知事会としては、その動きがある。  愛知県としては、平成16年2月から、有効求人倍率が全国一になって、今、50数か月になって いるが、やはり愛知県の方も非常に困難な場面があるということもあるので、まとまり次第、全国 知事会の部分、愛知県の部分という形で御報告させていただきたいと思う。 (大森分科会長)  これで終わりにしたいが、どうしても今日の議論で一言言わないと帰れないという方に限ってお 認めして終わりにしたいと思う。お二人、三人、簡単にお願いする。 (沖藤委員)  先ほど木村委員、田中委員からエールをいただいた、居宅介護支援の問題である。資料に見ると おり、居宅介護支援はスケールメリットがない。どの規模の事業所も対応に苦慮して働いている。 ちょうど今日、私が意見書を出させていただいたものも、そういう苦情の言葉が並んでいるので、 1つ、2つ申し上げる。  やはり要介護度とケアマネジメントの大変さが一致していない。ここのところを何とか改善して いただきたい。また、要介護度に関係なく、基本単位を一律、私は1,800単位と書いたが、これが 妥当かどうかも含めて御検討いただきたいと思う。  また、給付管理がなければ支払われないという現在のケアマネジメントの報酬の出し方にも問題 があると思うし、要介護者と要支援者との間を行き来する人たちの対応も考慮していただきたいと 思う。  何よりも、今後、居宅介護支援専門員に関する議論の中には、必ず利用者の代表を含めて議論し ていただきたいということを申し上げたいと思う。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  稲葉さん、どうぞ。 (稲葉委員)  手短に申し上げる。常勤換算の件で、先ほどお話があったが、勝田委員がおっしゃられたのは、 介護サービスの質を保つためには常勤、正社員であることが望ましい。また、介護の労働者のこと も考えると、その安定した就労のためには望ましいとおっしゃったことであって、経営をしている 者としましても、そこはきちんとその意味をわからなければいけないと思う。  ただ、働く側としまして、勤務時間、都合のよい時間に働けるとか、そういった家庭との両立等 も考えたときに、短時間、あるいは非常勤の労働を自ら希望する。どちらかというと、今、人材が 不足しているので、正社員としてでも欲しいと言っても、なかなか集まらない状況がある。  ただ、非常勤であるばかりに、これが、例えば人員の基準の中で、常勤でなければこういった役 職には就けないということがかえって、能力はあるけれども、なかなか短時間でしか働けない人が、 そういう役に就けないでいるということもあるので、そこはむしろ緩和をできれば、優秀な非常勤 の方であっても、例えばサービス提供責任者の一部を担うということも可能であると思う。  また、労働者を保護するということについては、別の観点からきちんとやれば、問題は別として 考えることができるのではないかと思うので、今後、生かしていただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  最後に、池田さん、どうぞ。 (池田委員)  財源というものを確保していく方向を片方で考えておかないと、幾らきれいごとをつくってみて も、最終的に財源のところでぶつかって元へ戻ってしまうのではどうにもならない。財源の問題に は必ず目を配る必要があるのではないかという観点から申し上げる。  先ほど勝田委員の方から、どのぐらいの黒字になっているのだという話があり、これは市町村に よっていろいろ違うが、全国ベースは簡単に計算できる。つまり給付の19%を第1号被保険者が負 担することになっているから、給付の19%を被保険者数で割ればいいということになる。  そうすると、実際は今、8%ぐらいの余裕がある。ところが、来年の4月以降、第4期に入るが、 高齢者の負担は19%が20%に上がるから、高齢者の負担は自動的に5%強上がる。そうすると、 実際上使える金は3%ぐらいしかないということで、バッファにしか使えないだろう。  そうすると、当然のことながら、全般的に介護報酬を上げれば、介護給付がふくらむのは当たり 前であり、一体その財源をどこから見るか、これを本当にまじめに考えなければいけないのではな いかと思う。  そこで、例えば、先ほど村川委員がおっしゃられたが、補足給付というのは必要だが非常に問題 である。今、大体給付の4%、年間で2,500億円ぐらい使っていると思うが、施設に入所して、そ こに住所を移せば、単独世帯になるに決まっている。そして収入は年金しかないから、ほとんど住 民税非課税になる。したがって、補足給付を受けることになる。  ところが、自宅に住んでいたときは、お子さんが1億円の年収があっても、その施設に入って、 世帯分離すれば補足給付がうけられる。親子の関係は別な関係だから、それは無視していいかもし れないが、その方が銀行に10億の預金をしていても、この補足給付というのはかかる。こんなば かな話があっていいはずがない。しかも、食事や居住費の補助だから、在宅で生活している人だっ て、食事も、居住費も払っている。どう考えてアンバランスである。  基本的には、これは介護保険の保険給付ではなくて、横断的な低所得者施策のようなものでカバ ーすることが必要なのであって、今の補足給付というのは、何らかの形で手を付けて、そこで一定 の財源を確保するということは必要なのではないかという気がする。  もう一つ、ケアマネジャー、居宅介護は本当に危機的な状況で、ほっておけば、確かに絶滅する 可能性がある。  ただ、簡単にケアマネジャーの報酬を11%引き上げる、そして介護保険財政に何の影響も与えな いという簡単な方法がある。それは何かというと、居宅介護支援を9割9分にすればいい。そうす ると、利用者は1,000円から1,300の負担が増えるかもしれないが、もともと区分支給限度額の枠 外であるので、給付の利用料には変わらない。ただし、これは法律改正が必要であるので、法律改 正を前提としなければできないが、逆の手もあるだろうと、つまりそれを先にやっておいて、後で 法律改正をすることによって、最終的にバランスを取っていくやり方もある。  そういう現実的な、言ってしまえば財源確保とセットにされた議論を少しこれから冷静にやって いただけるとありがたいというのが、私の願いである。  以上である。   (大森分科会長)  本日はこれで終わりにするが、いずれにしても、これから皆さん方がこうやって議論していただ いて、まとめていかなければならない。  次回についてのアナウンスメントをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  次回は10月9日の午前中である。また、場所、中身等は追って報告したいと思う。  よろしくお願いする。 (大森分科会長)  どうもありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)