08/09/22 第35回労働政策審議会安全衛生分科会議事録 第35回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録 1 日時 平成20年9月22日(月)15:00〜16:05 2 場所 厚生労働省 省議室 3 出席者 (委 員) 公益代表  平野委員、相澤委員、今田委員、露木委員、内藤委員、中原委員、名古屋委員 労働者代表  高橋委員、谷口委員、中桐委員、古市委員、眞部委員 使用者代表 伊藤委員、高橋委員、豊田委員、中村委員、三浦委員、山崎委員、輪島委員 (事務局) 金子労働基準局長、尾澤安全衛生部長、木暮計画課長、平野安全課長、鈴木労働衛生課 長、榎本化学物質対策課長、半田環境改善室長、島田化学物質評価室長 4 議事録 ○分科会長 ただいまから、第35回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。鈴 木委員、芳野委員は所用のため欠席されております。  本日は、労働政策審議会令第9条に規定する定足数を満たしておりますので、当分科会が 成立していることをまず申し上げます。  また、議事に入ります前に、委員の交替がございましたので紹介させていただきます。 名簿の順にご紹介いたしますが、労働者代表の仲田委員が退任されまして、「全国ガス労 働組合連合会中央執行委員長」の谷口元委員が就任されました。また、使用者代表の松井 委員が退任されまして、「(社)日本経済団体連合会労政第二本部労働基準グループ長兼安 全・衛生グループ長」の輪島忍委員が就任されました。一言ずつ自己紹介をお願いいたし ます。 ○谷口委員 こんにちは、全国ガスの谷口と申します。前任の仲田同様、どうぞよろしく お願いいたします。 ○輪島委員 ただいまご紹介をいただきました、日本経団連の輪島でございます。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○分科会長 また、この度、労働基準局長をはじめ事務局に異動がございましたので、紹 介をお願いいたします。 ○労働基準局長 ただいまご紹介いただきましたが、7月11日に幹部の人事異動がございま した。私、大臣官房長から労働基準局長に異動になりまして、就任をいたしました金子と 申します。安全衛生の分野、大変多くの課題を抱えておりますので、諸先生方のご指導を 得ながら的確に行政を進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いをいた します。以下、交替のあった職員から自己紹介をさせていただきますので、よろしくお願 いを申し上げます。 ○安全衛生部長 安全衛生部長の尾澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○計画課長 計画課長の木暮でございます。よろしくお願いいたします。 ○労働衛生課長 労働衛生課長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。 ○分科会長 議事に移りたいと思います。本日の1つ目の議題は、「労働安全衛生法施行令 等の一部を改正する政令案要綱について」及び「労働安全衛生規則等の一部を改正する省 令案要綱について」です。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問案件 であり、当分科会において審議を行うこととしたいと思います。  では、事務局からご説明いただきます。 ○安全衛生部長 本日は政令案及び省令案要綱について諮問をいたしているところです。 ご審議いただく案件は、3点でございます。  1つ目は、「石綿等の適用除外製品の見直し」についてです。平成18年9月1日から、石綿 等の製造等は全面禁止いたしておりますが、特殊な用途に用いるガスケット等について は、国民の安全確保上の観点から、ポジティブリストとして掲げ、例外的に禁止を猶予す るとともに、その非アスベスト製品への早急な代替化を指導しているところです。その結 果、今般、その一部について代替化が可能となったことから、これらの製造等を禁止する ための所要の改正を行うものです。  2つ目ですが、「石綿作業に係る特殊健康診断の実施等」についてです。石綿作業に係る 特殊健康診断及び健康管理手帳の交付について、石綿等を直接取り扱う業務だけではな く、その周辺における業務に従事している者も対象とすることとし、労働安全衛生法施行 令及び労働安全衛生規則について所要の改正を行うものです。  3つ目ですが、「ニッケル化合物並びに砒素化合物等による健康障害防止対策」について です。今般、化学物質のリスク評価検討会におけるリスク評価の結果に基づき、ニッケル 化合物及び砒素化合物等による健康障害防止対策を充実させるために、労働安全衛生法施 行令及び特定化学物質障害予防規則等の省令について所要の改正を行うものです。  以上、詳細は担当からそれぞれ説明させますので、よろしくご審議のほどお願いいたし ます。 ○分科会長 化学物質対策課長から、どうぞ。 ○化学物質対策課長 化学物質対策課長の榎本です。関係のところについて説明いたしま す。まず資料No.1−1、ポジティブリストの関係についてです。該当部分については、資料 No.1−1の3頁の最後のところ、第二「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部改 正」から6頁にかけて第1点目としてご審議いただきたいと思います。内容については、こ れですとわかりにくいので、別に資料を用意しています。  資料No.1−2「石綿等の全面禁止等に係る『労働安全衛生法施行令の一部を改正する政 令』の改正について」、この資料に基づいて説明いたします。石綿含有製品については、 労働安全衛生法施行令の一部を改正して、平成18年9月1日から、その製造等を全面禁止し ています。ただ、そのときに国民の安全上の観点から代替化には実証試験が必要な一部の 特殊な製品については、当該改正政令の附則にポジティブリストとして列記し、当分の 間、製造等の禁止の規定の適用を猶予しているところです。これらのポジティブリスト製 品についても、早期の非石綿製品への代替化が求められていることから、昨年11月に学識 経験者から成る検討会を開催し、代替化の可能性等について検討を行ってまいりました。 この結果、本年4月にすべてのポジティブリスト製品について代替化が可能となる時期が明 らかとなったところです。  その結果については、この資料No.1−2の5頁、6頁に、参考資料として添付しています。 左側に対象となる製品、中ほどに検討結果、いちばん右に代替化等可能時期ということで 示しています。  この検討会の報告を受け、我々といたしまして代替化が可能となったものから順次、ポ ジティブリスト製品を削除していきたいと考えており、今回諮問いたします政令案におい ては、平成20年中に代替化等可能と判断された製品について、改正政令の一部を改正し、 ポジティブリスト製品から削除することとしているところです。  具体的には、資料No.1−2の3頁、4頁に一覧表で掲げています。いちばん左が、そのポジ ティブリスト製品の名前です。いちばん右が、現行の規定です。中ほどは、今回の検討結 果を受けて政令の改正を行った後の姿です。従いまして、このような形で今後対処したい ということでございます。  なお、ポジティブリスト製品ですが、検討結果において最も遅いもので、平成23年中に 代替化が可能となると判断されているものがあります。すべてのポジティブリスト製品の 代替化が可能となるまでの間、関係団体に対し、代替化の進捗状況等について報告を求め るなど、引き続き早期の代替化を指導していくとともに、代替化が可能となった製品につ いて速やかにポジティブリスト製品から削除するよう、対応してまいりたいと考えている ところです。  私どもからの説明は以上です。どうぞご審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○分科会長 次に、労働衛生課長、お願いいたします。 ○労働衛生課長 私どもの関係は、資料No.1−1では2頁の施行令、これの第一の二「健康診 断を行うべき有害な業務の範囲の拡大」、3頁の三「健康管理手帳を交付する業務の範囲の 拡大」です。また、6頁の後に別紙2がついていますが、施行規則の第一の一です。それ と、この資料の最後、第四「石綿障害予防規則の一部改正」、この一の部分です。これに ついて、資料No.1−3で説明いたします。  改正の趣旨ですが、現在、石綿に係る特殊健康診断及び健康管理手帳交付の対象業務 は、石綿等を取り扱う業務に限られていますが、その周辺における業務に従事していた者 にも胸膜プラークや石綿関連疾患を認めるという報告があることから、専門家を集め最新 の医学的知見に基づいて、当該業務に対する健康管理の考え方を検討したところです。  資料No.1−3の3頁をご覧ください。添付しております資料1がございます。この「職業性 間接ばく露者に係る健康管理についての検討委員会」、これの報告書の概要が付いていま す。この下のほうの2「報告書において示された方向性」、ここが該当する根拠になるとこ ろです。  まず(1)の「周辺における業務」に従事する労働者に対する健康診断のあり方についてと いうことですが、この検討委員会の委員から提出された症例や、これまでの労災認定事例 に鑑みますと、「常時『周辺における業務』に従事する労働者及び常時『周辺における業 務』に従事したことのある労働者」、現在と過去の労働者ですが、特に、過去の労働者で も、「現に同じ事業者に使用されている者に対し、石綿健康診断を実施することが必要で ある」と。健診の頻度・項目は現行と同様です。最後のポツにありますが、「周辺におけ る業務」については、じん肺法施行規則における粉じん作業の、ここにあります「場所に おける作業」とほぼ同等であるという報告をいただいています。これは健康診断のあり方 です。  次の4頁、「周辺における業務」に従事した離職者に関しての健康管理、いわゆる手帳の 交付に関してです。先ほどと同様、「周辺における業務」に従事していた離職者がいるこ と、また、石綿等については、肺がんや悪性中皮腫を発症するまでに十〜数十年の潜伏期 間があることを考慮すると、この「周辺における業務」に従事した離職者についても石綿 健康診断を実施することが望ましく、「健康管理手帳の交付対象とすることが適当であ る」ということです。  その際の交付要件については、次のポツに、現時点において、「周辺における業務」に どの程度の期間従事することにより、肺がん・悪性中皮腫を発症するリスクが上昇するか 疫学的知見がないため、従事期間で交付することは難しい。このため、アンダーラインに あるように、「石綿等にばく露したことを示す客観的な指標である両肺野の石綿等による 不整形陰影、又は胸膜肥厚を交付要件とすることが適当である」というご報告をいただい ています。  1頁に戻り、関係する施行令等の改正としては、2番の「改正内容」にありますように、 安衛令の一部改正として、特殊健康診断の対象業務の見直し、これは22条関係です。先ほ ど申し上げましたような改正内容、(ア)は、現在、常時従事する労働者、(イ)は、過 去の労働者で現に使用している者です。イについては、健康管理手帳の交付対象業務の見 直しということで、23条関係です。先ほどと同様に、周辺業務に従事した方について所見 があれば交付するということです。(2)(3)については、これに関連した所要の規定の 整理を行うというものです。  2頁、(4)その他です。「石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所 における業務」の範囲については、今の報告書で述べられたように、従来の対象範囲に加 え、当該業務によって発散する石綿の粉じんにばく露することで、重篤な石綿関連疾患に 罹患するおそれがある場所における業務ということです。その参照にあるものとほぼ同等 とする、先ほどの報告書を踏まえた内容の施行通達を発出し、明示する予定としていま す。施行期日は、来年4月1日ということで予定しています。以上です。 ○分科会長 もう1件、化学物質評価室長、説明をお願いいたします。 ○化学物質評価室長 化学物質評価室長の島田です。資料No.1−1については、特に別紙1の 政令要綱案の第一の一、二、第四、それから別紙の2ですが、省令案要綱について第一の 二、第二の一〜八、第三の作業環境測定法の施行規則の一部改正、これに関するご審議を いただきたいと思います。多岐にわたるものですので、別途用意しました資料No.1−4に基 づいて説明申し上げます。  1頁の「改正の趣旨」です。厚生労働省においては、平成18年度から、発がん性等労働者 に重篤な健康障害を及ぼすおそれのある化学物質について、労働者の健康障害防止に係る リスク評価を実施しています。これを基に、必要な規制を行っているところです。  具体的内容については、8頁のフローチャートをご覧ください。「国による化学物質のリ スク評価とそれに基づく措置」として示しています。安衛法の化学物質のリスク評価につ いては、内外のリスク評価資料、学術論文、こういったものに基づいて有害性の情報を集 めています。また、安衛則の第95条の6に基づき、事業者から有害物のばく露作業報告とい うものを求め、ばく露情報を収集しています。これら2つを基に、リスク評価を実施してい ます。平成18年度については、そこにありますようにホルムアルデヒド等について5物質、 平成19年度についてはニッケル、砒素を含め10物質、平成20年度についてはアルファ・ア ルファージクロロトルエン等44物質の評価を行っているところです。本年3月、平成19年度 のリスク評価検討会報告において、特にニッケル化合物並びに砒素及びその化合物につい て規制を強化するため、労働安全衛生法の関連法令の整備を検討すべき旨が指摘されてい ます。このことから事務局において、労働安全衛生法施行令、それから特定化学物質障害 予防規則等、労働安全衛生規則、作業環境測定法施行規則についての改正の検討を行い、 本日お示しする改正を行うこととなった次第です。  また、平成18年度のリスク評価結果を踏まえ、安衛令及び特化則を改正したホルムアル デヒドについては、輸入検疫等のため毛皮、羽毛、飼料等の動物性のものの消毒燻蒸作業 にホルムアルデヒドが使われていることが確認されました。このため、これらに関係する 健康障害防止措置を強化するほか、既存よりありましたシアン化水素等、植物性のものの 検疫に使用するその他の化学物質の濃度基準を見直すための特化則の改正を行うこととし ます。  次に、2番に基づき、「改正の内容」を個々にご説明申し上げます。  (1)(1)として、労働安全衛生法第57条の規定に基づく名称等の表示、即ち容器・梱包等 へのラベリングをすべき有害物です。安衛令の第18条に「ニッケル化合物」及び「砒素及 びその化合物」を追加することとしたいと思います。その際、ニッケル化合物については 吸入による発がんが指摘されたものですので、粉状のものに限定しています。また、既に 特化則の第2類物質として規制されているニッケルカルボニルについては、従前のとおりの 規制です。同様に、従前より規制を行っています「三酸化砒素」、別名亜砒酸ですが、こ れらについては関連の規定を削除し、今回、砒素及びその化合物に統合して規制をされる ことになります。  (2)の安衛令の別表第3の第2類物質に「ニッケル化合物」並びに「砒素及びその化合物」 を追加することとします。  特定化学物質の区分及びそれぞれの区分に該当する物質について、取るべき主な措置を 添付しています。これについては、ニッケル化合物並びに砒素及びその化合物について は、がん等の慢性障害を引き起こす第2類物質として、それを製造し又は取り扱う作業場に ついては、作業主任者の選任、作業環境測定等を行わなければならないことになります。  (3)です。安衛令の第22条についても、これを改正し、ニッケル化合物並びに砒素及びそ の化合物を取り扱う業務を新たに健康診断を行うべき有害業務に追加することとしまし た。健康診断の具体的な内容については、特化則の改正についての部分で説明したいと思 います。  (2)特化則の一部改正の部分です。(1)特化則の第2条第5号に規定する管理第2類物質 に、ニッケル化合物及びニッケル化合物をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の 物、それから砒素及び砒素化合物並びにこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他 の物を追加することとしています。これに伴い、これらの物質のガス、蒸気、粉じんが発 散する屋内作業場については、局所排気装置の設置等の発散抑制措置が義務づけられるこ とになります。  併せて(2)として、ニッケル化合物等及び砒素等に係る作業環境測定の記録及び作業環境 測定結果の評価の記録については、30年間保存することが必要となります。  さらに(3)です。「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」において取 りまとめられた内容を踏まえ、特化則第39条に基づく特殊健康診断の項目を定めることと しました。特殊健康診断が求められるニッケル化合物並びに砒素及びその化合物を含有す る製剤その他の物については、特化則で規制されている他のがん原性物質と同様に、含有 率1%を超えるものを扱う労働者に特殊健康診断が求められることとなります。  特殊健康診断に係る診断項目については4頁に別添していますので、お開きください。第 1に粉状のニッケル化合物については一次健診項目として、そこにありますような業務の経 歴の調査、作業条件の簡易な調査、ニッケル化合物により生ずる皮膚、気道等に係る既往 歴の調査、皮膚、気道等の自覚症状及び他覚症状の検査、皮膚炎等の有無の検査が実施さ れます。また、第一次健診において何らかの病理所見が認められた場合にあっては、二次 健診として、そこにあります作業者のばく露状況の詳細な調査、あるいは医師が必要と認 める検査の実施が必要となります。  5頁は、砒素及びその化合物です。現行の三酸化砒素について適用されている健康診断項 目を踏襲し、健診の現状を踏まえて健診の項目の改正をすることとしています。  新しい検査項目については、この表の左側になります。一次健診として業務歴の調査、 作業条件の簡易な調査、三、四番目は砒素又はその化合物による他覚症状又は自覚症状の 有無の検査、鼻粘膜の異常等の鼻腔の所見の有無の検査、皮膚炎等の皮膚所見の有無の検 査、一定の業務にもし五年以上従事した経験を有する場合にあっては、胸部のエックス線 直接撮影による検査が求められます。  また、二次健診については、一番目として、作業条件の調査、二番目として、医師が必 要と認める場合には、胸部のエックス線撮影の検査、それから尿中の砒素化合物の量の測 定、喀痰の細胞診、気管支鏡検査又は皮膚の病理学検査が求められることとなります。  変更の内容については、下の枠外にありますが、一次健診の作業条件の簡易な調査につ いては、特にニッケルにおける作業がどのようなものであったかを確認するための、ばく 露状況の概要を聴取することにより、的確な診断ができるように追加しています。2番目の 尿中のウロビリノーゲンの検査については、医療現場で当該検査の機会が減っているとい うことですので、現場の実態に合わせてこれを廃止し、二次健診での肝機能検査で対応す ることとしました。3番目として、6頁ですが、尿中の砒素化合物の量の測定については、 特に食品由来の砒素化合物による影響を排除するために、この項目を廃止し、尿中の砒素 化合物についても測定対象を砒酸、亜砒酸、メチルアルソン酸に限定することとしていま す。以上が健康診断です。  2頁に戻りまして、中段の(2)(4)です。特化則第38条の3に規定する特別管理物質に、ニ ッケル化合物及び砒素等の追加をします。これによって、先ほどの特殊健康診断の結果の 記録及び作業の記録については、30年間保存することが義務づけられることになります。  (5)は、先ほどの燻蒸作業の関係です。燻蒸作業の関係の規制の強化をすることになりま す。特化則第38条の14に規定しています燻蒸作業に係る措置の対象物質としては、ホルム アルデヒドを追加することとします。その際に、労働者が当該場所に立ち入る場合の濃度 基準については、0.1mg/m3又は0.1ppmとしています。この濃度基準を超える場合には、基 本的にその場所への立入りが禁止されることとなります。また、併せて、シアン化水素、 それから臭化メチルを用いて燻蒸した場所に、労働者が立ち入る場合の濃度基準値です が、規制を強化することとしています。シアン化水素については、現行10ppmを3ppmに、臭 化メチルについては現行の15ppmから1ppmに、それぞれ強化することとしています。なお、 併せて、当該基準値以下とすることが著しく困難な場合において燻蒸倉庫内の換気等のた めに立ち入る場合にあっては防護具の使用等の条件のもとで、これを認めることとしたい と思います。  (3)安衛則の一部改正の関係です。安衛法の第57条に基づく名称等の表示をすべき有害 物として、安衛則の別表第2にニッケル化合物をその重量の0.1%以上含有する製剤その他 の物、並びに砒素及びその化合物をその重量の0.1%以上含有する製剤その他の物、を追加 することとしたいと思います。  併せて(4)作環則の一部改正を行うこととしています。ニッケル化合物及び砒素等を 「作業場の種類を定める」作環則別表の第4号の対象物質として追加することとしていま す。以上が改正の内容です。  併せて最後に、施行等についての説明についてです。本改正は、平成21年4月1日から施 行することとなります。ただ、この政令及び省令の施行に関して、例えば、局所排気装置 等の整備には時間的な猶予が必要であることもあり、必要な経過措置を定めることとして います。以上で説明を終わります。 ○分科会長 一通り説明をしていただいたのですが、ただいまの説明についてご意見、ご 質問がありましたらよろしくお願いします。 ○古市委員 ただいまご説明いただいたことに直接関係する話ではないのですが、石綿の 規制について発言をしたいのですが、よろしいですか。実は、今日の議題にもありますよ うに、石綿の規制を少しずつ強めていくということがずっと行われているわけですが、建 設の現場では、新たな石綿による健康被害を毎日つくり出しているのではないかというよ うに大変心配をしておりまして、そのことについていくつか事例を申し上げたいと思いま す。  石綿の解体に関係するところなのですが、それにいく前に建設の現場での解体、廃棄物 のことについて一言、ご紹介したいと思います。委員として三浦さんがいらっしゃるの で、三浦さんの会社はそういうことはないという前提で、建設の実態について一言お話を したいと思います。  建設の廃棄物については、いわゆる「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という法律 で、発注者にその責任が課されています。そのため発注者は、廃棄物の処理費用を積算い たしまして、請負金額に含めて元請業者に支払うということになっています。ところが、 国土交通省が専門工事業の下請取引実態調査というものをやっておりまして、これにより ますと、この処理の費用を下請代金から元請が一方的に差し引いているという実態が非常 に多数みられる、というように報告をしています。ということは、下請から処理費用を徴 収しているということですので、積算でお金は発注者からきますので、元請業者は発注者 と下請業者から廃棄物の処理費用を二重取りしている、というように言えるのだと思いま す。全体の請負金額はどんどん低くなっていくものですから、そういう所から少しでも帳 尻を合わせるといいますか、全体の請負金額が安くなったところを、そういったところで 帳尻を合わせている、ということだと思います。国土交通省は「建設業の法令遵守ガイド ライン」というものを出しており、そこで、そういうことをしてはいけませんよ、そうい うことは違法行為ですよということを指摘して、しないようにという指導をしているので ありますが、残念ながら非常に広く行われているというのが実態であります。  もう1つ事例を申し上げます。公共工事ではすべての発注件数の約1割に相当する公共工 事を対象にしまして、毎年、工事竣工後に、間接費の諸経費の動向調査を行っています。 これはどういうものかといいますと、現場で働く技能労働者にかかる交通費ですとか、安 全や訓練の費用ですとか、法定福利費ですとか、下請業者の一般管理費などは、予定価格 の積算上では「現場管理費」と計上されておりまして、その調査をしているわけです。こ の調査をするための調査票がありまして、国土交通省から委託を受けた財団が、地方整備 局とか出先の工事事務所を経由して、元請業者に配付をして下請に行って、逆のルートで 回収をする。こういうことで行われているわけです。  下請調査票は元請から下請に配付をされていく、ということになっているわけですが、 実は建設業は皆さんご承知のとおり、大変な重層下請構造になっておりますので、下請業 者にかかる現場管理費については、一次の下請業者が取りまとめをして、自分の傘下の下 請に調査票を配ったり、聞き取りをして記入をして、元請業者に提出をしている。こうい うように行われているのだそうです。しかし、下請の調査票が配付されなかったり、実態 を記入して提出したにもかかわらず、元請業者が調整を行う場合がある、といったことが 指摘をされておりまして、下請の現場管理費が正確にこの調査に反映をされていないおそ れがある。こういったことを一次下請の会社の団体が、最近、報告書にまとめておりま す。その報告書によりますと、現場の管理費は、発注者が元請業者に一括して支払ってい るにもかかわらず、下請の現場管理費を元請が認めない。元請と下請の関係で、元請が認 めない。元請の現場管理費として、大半を消費している。こういうように述べておりま す。  こういう現状がございまして、建築物の解体における石綿のばく露防止対策ということ について、より厳しくすべきではないか。厳しくなったのですが、入札でありますので、 どうしても安い札を入れた人が落札をする。このためにいろいろ仕組を厳しくしても、そ の実効が担保されていないというようなことについて申し上げたいと思います。  実は、私どもが大変石綿の疾病についての権威だというように考えて、20年ほど前から 組合員の健康管理をお願いしている先生の大学病院で、この夏、石綿を撤去するための工 事が行われたのだそうです。先生はお休みで、たまたま研究室に行ったら、そういうのが 行われていた。写真を見せていただきましたが、ルールどおりに施工されていない。大学 病院でさえも、そういう実態であります。石綿対策をしっかりやりますと大変お金がかか るので、それでは入札で負けてしまう。落札できる金額で入札をしますので、したがっ て、石綿対策をしっかりやる費用が用意できない。こういう実態だと思います。  石綿解体作業に従事するためには、そこに従事する労働者は特別教育を受ける必要があ り、事業者は、石綿の特別教育を受けていない労働者をそこで働かせてはいけません、と いう決まりになっております。私どもも5万人ほど、この特別教育を実施して、特別教育を 受けさせたのですが、あるときからこの講習会にパタッと組合員が来なくなりました。ど うして来なくなったか、よくよく調べてみますと、要するに石綿解体の作業に従事してい るけれど、特別教育を受けたかなんて1回も聞かれたことがないということでありまして、 特別教育なんか受けなくたっていいんだという話が、広く私たちの中に伝わって、今石綿 の特別教育をやってもほとんど人が集まりません。そういう実態であります。規則を厳し くしても、その履行を担保するための仕組を一方で用意しないと、同時に備わっていない と、せっかく石綿の規制を厳しくしても、絵に描いた餅に現在は既になっているのではな いかということであります。  今年、東京労働局が建設現場の一斉監督指導を行って、安衛法違反事例が多数指摘をさ れることがありました。全国的に、こういうような履行を担保するための一斉監督指導と いうようなものを合わせて行わないと、実際上は履行が確保できていないのではないかと 思いますので、基準局長がいらっしゃいますので、是非、労働局でしっかり合わせ技で、 東京労働局だけではなく全国的に、石綿の解体の作業についてはしっかりとした監督指導 を行っていただいて、履行をしっかり確保して、これ以上石綿の被害者を生み出さない取 組を是非進めていただきたいと思います。  少し余計ですが、最近、東京都の下水道工事で豪雨による大事故が起こったり、鉄塔が 折れて落ちて死んだり、私どもの組合員がたくさん亡くなっております。要するに、労働 災害防止計画ができているにもかかわらず、こうやって仲間が次々に亡くなっていくこと について、大変危機感が表明されております。ここは、それこそ労働災害防止対策を現場 で行いつつ、一方で、労働局がしっかり指導監督をして、そういうものの履行確保が上が るような取組を、労働局の人員も減らされて大変だとは思うのですが、是非頑張って、合 わせ技で行っていただくよう、改めてお願いをしたいと思います。 ○分科会長 本日の審議の主軸からちょっとずれているかもしれませんが、非常に大事な ことですので、ご提案ということで承っておきます。場合によっては、別の審議時間を取 っていただきたいと思います。 ○三浦委員 今特別教育の一環という形でと言われたと思うのですが、我々、打合せや何 かの機会に、解体などで必ず事前に特別教育を受けているかどうか、それを必ず確認し て、掲示板や何かに貼って、それから作業をさせているという自負を持っているつもりな のです。それで監督署の臨検が来られたときも、その辺を必ず確認されますので、そうい うことがあるのかなと、私はちょっと不思議に思いました。  それと、石綿の処分ですが、それについては元請と処分業者が契約しなさいよという形 になっていると思うのです。専門業者が契約するのではなくて、元請として処分業者と契 約して、責任を持ってしなさいよという形になっているので、その処分費用は、我々建設 業界としてちょっとわからないところです。だから専門業者さんと処分業者さんが契約す るのではなくて、元請と処分業者が必ず契約して、責任を持って処分しなさいよという形 になっています。その辺だけ、言わせていただきます。 ○分科会長 どうもありがとうございます。これも実態調査をしてみないとわからないよ うなところがあるかもしれませんが、私どもの大学のときも、石綿除去では随分苦労いた しましたので、いろいろわかるところはわかる。ただ、本日のそういう議論をするのは、 とても時間が足りません。また改めて場を設けていただくようにしたいと思います。今日 のご説明について、皆さん何かご意見があったらお願いしたいということなのですが、よ ろしいですか。今日は随分丁寧に説明していただきました。 ○高橋(信)委員 資料No.1−3に関係して、確認と質問をさせてください。資料No.1−3の2 の(1)のイです。そこに、「健康管理手帳の交付対象業務の見直し」という安衛令第23条 関係があります。その黒ポツ1のところで、「石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じん を発散する場所における業務」ということで、これは、直接作業をしていなくても、間接 的にばく露した方も手帳の交付要件に含めていくということだと思いますので、この方向 は大変評価できると思います。  そこで確認点の1つですが、直接その製造取扱いをしていなくとも、周辺から、例えば石 綿繊維が浮遊してきてばく露したと。こういう場合も含めるというように理解してよろし いのですか。ちょっと言い方を変えますと、例えば、多くの製造業での事業場ですと、大 きなクレーンが入っていたり、あるいは大型の重機が入っています。そこのブレーキシュ ーですとか、あるいはクラッチ盤ですね、そこに石綿が使われていた経過がありまして、 意図せず事業場に浮遊していたというケースがございます。したがって、それを取り扱 い、あるいは製造していた作業者ではなくても、いろいろな症状を出している方がいらっ しゃると思いますので、そこを救済する措置であると、こういうように解していいかとい うことです。 ○分科会長 労働衛生課長さん、それでよろしいですね。 ○労働衛生課長 これは、鶏と卵みたいな言い方になるかもしれませんが、先ほど引用し ています、石綿に係るじん肺健康診断のこれまでの対象範囲、直接ばく露、あるいは間接 であっても、従来、じん肺法のじん肺健診の対象になっていた周辺作業者の方がいらっし ゃいますので、その場所であれば、今回、石綿則に基づく健康診断の対象にしようという ことですので、個別の事例はそれぞれ、明確に文書では言えないかもしれませんが、従来 扱っていたその定義といいますか、それで確立してきた範囲がありますので、繰り返しに なりますが、じん肺健診で言われていた間接で、一定程度ばく露があるとこれまでも認め られてきた方については、対象になると思います。もちろん過去において、どこまで飛ん でいったかといいますと、なかなかこれは現在の知見においてはどこまで広げるかは難し いと思うのですが、おそらく今言いましたような、かなりばく露のあるおそれで、今後、 健康診断なり手帳を出していかなければいけない人については、今回ほぼ含まれていると いうように理解しています。 ○高橋(信)委員 ありがとうございました。今のご説明で了解させていただきます。  2番目は質問なのですが、これの手帳の申請となりますと、必ず「事業者証明」というの が私どもに求められるわけですが、その事業者証明というのは、最終職場に勤めた所の事 業者と言われたり、あるいはそういうばく露のおそれのいちばん大きかった所という運用 がされていると思いますが、これはどのように考えたらよろしいのですか。例えば、複数 証明を求めることもあるというように理解してよろしいのですか。 ○労働衛生課長 最終の職場ということで、ご理解いただければと思います。 ○高橋(信)委員 わかりました。ありがとうございます。 ○分科会長 他にどなたかご意見ございますか。 ○豊田委員 資料No.1−4について、意見を述べさせて戴きます。労働安全衛生法でのリス ク評価に基づく行政措置については、労働者の健康障害の防止のための重要な措置である と認識しておりまして、本労働安全衛生法施行令改正案も、それに沿ったものであると、 基本的には、私どももそのように認識しております。ただ、昨今の資源の高騰や米国に端 を発します金融・信用不安に伴いまして、今世界的に景況が悪化している中、対応する事 業所側では、設備投資が伴う改正の場合、仮に小額投資でも、特に中小企業では緊急に対 応することが困難な面もあります。つきましては、設備投資が伴う場合に、事業者側の対 応をできるだけ円滑にする意味でも、2点ほど、以下に述べますところをご配慮願えればと 思います。  1点は、行政措置に関する周知徹底期間の確保及び十分な経過措置の設置をお願いいたし ます。これには、先ほど厚生労働省からも若干コメントのありました投資困難な場合の行 政支援をも含めた経過措置の設置を是非ともお願いいたします。特に、砒素及びその化合 物に関しましては、そのばく露管理濃度基準が、他の物質に比べて非常に厳しいため、既 に規制されている三酸化砒素などの事例も勘案いたしまして、どこまで発散抑制措置等を 講ずるべきか、適切なガイドラインのようなものを作成して周知徹底をお願いいたした い。以上の2点をお願いいたします。 ○化学物質評価室長 1点目については、特に設備の投資というようなものに鑑みまして、 周知徹底の期間を取っていただきたいということと、それに対するサポートに関するご指 摘だったと思います。周知徹底の期間については、私どもとしても十分周知の努力をさせ ていただきたいと思います。  それからサポートについては、特に中小企業にとっては負担の増になることである、と 理解しています。ご紹介させていただきますと、例えば、小規模の事業場を対象としまし ては、厚生労働省の事業で、職場改善用機械整備事業というものがありまして、局所排気 装置等の作業環境改善のための機器の整備について、サポートをさせていただいていると ころです。また、小規模の事業場が集団で安全衛生活動を行う場合については、技術的な 指導あるいは援助というものを合わせて、「たんぽぽ計画」というものに基づく支援事業 を実施していますので、こういったものについてご紹介いただければと思います。  2点目の問題ですが、特に砒素について厳しい基準が決まっているということに関して、 どうやってそれを抑制していくのか、あるいは対応していくのかということに関する技術 的な指導、特にガイドラインを作成して欲しいというようなお話をいただきましたので、 私どもとしてもできるだけその対策を周知をさせていただくとともに、その辺りの努力を させていただくつもりです。 ○分科会長 よろしいですか。もし、他にご発言等がなければ、「労働安全衛生法施行令 等の一部を改正する政令案要綱」及び「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要 綱」については、当分科会として妥当であると認めることとして、よろしいですか。 (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。  以上の審議の結果、「労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令案要綱」及び「労 働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」について、それぞれ当分科会として妥当 であると認めることとなりましたので、その旨の報告を私から労政審議会会長あてに行う ことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。なお、 報告文については一任させていただくということで、よろしいですか。 (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。  それでは、労働基準局長から挨拶がございますので、よろしくお願いします。 ○労働基準局長 ただいま政令案、省令案につきまして妥当と認める旨のご報告をいただ いたことにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。これを踏まえまして、速やかに 政省令の改正作業を行い、その円滑な施行に努めてまいります。  なお、議題と直接関連しないということではありましたが、古市委員のほうからご指摘 がございました点、分科会長からのご指示もございますので、よく実態を把握させていた だき、今後検討させていただきたいと思います。併せまして、石綿の解体工事についての 履行確保についての措置についてのご要望をいただきました。これは事の性質からしても 当然のことですので、十分意を配しまして進めてまいりたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。以上です。 ○分科会長 ありがとうございました。次の議題は、「新規化学物質の有害性の調査結果 に関する学識経験者の意見」についての報告です。本件は、労働安全衛生規則第34条17に 基づく報告になります。  では、事務局からよろしくお願いいたします。 ○化学物質評価室長 資料No.2に基づき説明いたします。報告に先立ち、安衛法に基づきま す新規化学物質の有害性調査の制度の概要についてご説明しますので、4頁の参考1をお開 きください。  上の四角から順に説明いたします。新規化学物質を製造又は輸入しようとする事業者に ついては、有害性の調査の結果を厚生労働大臣に届け出ることとされています。有害性調 査の内容については、この頁のいちばん下の(1)です。注釈をしていますが、有害性調査 の中身は、微生物を用いる変異原性試験、あるいはがん原性試験とさせていただいており まして、これらに基づく調査結果については、厚生大臣より任命された学識経験者から意 見を聴取することとなっており、その結果について報告するのが、本日の報告です。  調査の結果については、必要に応じて追加試験が要請できることとなっており、具体的 な試験の内容について、同じく注釈の(2)に示しています。具体的には、ほ乳類の培養細 胞を用いる染色体異常試験ということです。  また、右のほうの四角に入っているものですが、届出のあった物質の扱いということで ご説明いたします。官報への名称の公表がなされたものについては、当該物質は、既存化 学物質となり、以後、事業者間での届出は不要となります。また、調査の結果必要な場合 には、安衛法第57条の3の第4項に基づく健康障害防止措置の勧告、それから労働基準局長 通達に基づく健康障害防止に係る指針に基づく対応を事業者に要請することとなっていま す。本件については、特に安衛則の第34条の17に基づき、この席で報告させていただくこ ととなっています。  報告の内容は1頁です。この報告については、昨年12月27日から今年の6月27日までの官 報に名称が公表された新規化学物質です。該当する化学物質については、そこにあります ように1,039物質でした。これらの物質については、先ほど申し上げましたように学識経験 者の方々に、物質ごとに意見を聴取することになっております。学識経験者のリストにつ いては、6頁の別紙3に添付しています。  今回「微生物を用いる変異原性試験の結果、強い変異原性が認められる」と判定された 物質については、53物質ございました。この物質の内訳については、2頁及び3頁に一覧表 を添付しています。この表ですが、左上から、官報の通し番号、官報の公表年月日、公表 名称(物質名)、それから用途、措置状況ということです。この措置状況については、そ の下に指針対象ということになっていますので、今回の物質についてはすべて指針対応と いうことで、労働基準局長名の平成5年に出した指針で対応を求めているところです。  本件については定期的に報告させていただいているものですので、指針自体は割愛して おりますが、その内容については設備の密閉化、あるいは作業工程の改善、それから局所 排気装置の設置、保護具の着用などのばく露対策を講じること、作業環境測定、労働者に 対する教育を実施すること、それから作業記録の保存などが求められることになっていま す。これらが今回の53物質に対する対応です。  最後に説明しますのは、5頁の参考2です。これは安衛法に基づく新規化学物質の届出の 累計です。今回の1,039物質を加えて、合計で1万6,646物質という届出があります。この新 規化学物質の届出のうち、今回の53物質を加えて、713物質が学識経験者から意見を聴取し た物質で、指針に基づく措置を求めているものは580物質です。これが、今回の説明及び過 去の累計です。以上で報告を終わります。 ○分科会長 この件について、ご質問等ありましたらお願いいたします。  ご意見等がございませんようでしたら、当分科会として、新規化学物質の有害性の調査 結果に関する学識経験者の意見についての報告を承ったということといたします。  それでは、本日の会議は以上をもって終了いたします。議事録への署名は、眞部委員と 伊藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  皆さん、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。 照会先: 労働基準局安全衛生部計画課企画係            電話03-5253-1111(内線5476)