08/09/22 第9回新型インフルエンザ専門家会議議事録 新型インフルエンザ専門家会議第9回議事録 厚生労働省健康局結核感染症課 第9回新型インフルエンザ専門家会議 議事次第              日時:平成20年9月22日(月)10:00 〜12:09              場所:厚生労働省専用第18会議室(17階) 1.開 会 2.議 題   1)新型インフルエンザ対策における基本方針について   2)新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方について   3)今後の予定・各部門毎の検討状況について 3.閉 会 ○江浪補佐 それでは、定刻となりましたので、これより第9回「新型インフルエンザ専門家会 議」を開催いたします。  本日の委員の出欠状況でございますけれども、荒田先生、押谷先生、相楽先生、染谷先生、小 田切先生、田代先生、田中先生、飯沼先生、笹井先生、吉川先生から御欠席との御連絡をいただ いております。また、丸井先生が少し遅れられていらっしゃるという状況でございます。  それでは、開会に当たりまして、上田健康局長よりごあいさつを申し上げます。 ○健康局長 おはようございます。健康局長でございます。  鳥インフルエンザについては、つい先日、これは9月10日になりますけれども、WHOへの 感染事例報告数が更新されるなど、ヒトの感染は依然として続いておりまして、新型インフルエ ンザがいつ発生してもおかしくない状況と考えております。このため、国としましても、この一 刻の猶予も許されない状況におきまして新型インフルエンザ対策の抜本的な強化を行っている ところでございます。  まず、6月20日の与党プロジェクトチームの提言を踏まえ、平成21年度の概算要求におき ましては関係省庁合わせて686億円を計上いたしました。これは本年度の88億円から見ますと、 7.8倍に当たる水準となっているところでございます。このうち、厚生労働省におきましても地 域の医療提供体制の整備や検疫体制の強化、抗インフルエンザウイルス薬やプレパンデミックワ クチンの備蓄、更には研究開発を推進するため、598億円を計上しているところでございます。  先週になりますが、9月18日に内閣官房により関係省庁対策会議が開催されまして、新型イ ンフルエンザワクチン接種の進め方について、政府としての第1次案が公表されました。今後、 パブリック・コメントなどの手続が進められることになります。これは社会機能を維持するため に、先行してワクチンを接種する業種・職種を定めていこうとするものでございまして、今後、 国民的な議論を経て最終的に決定をしていきたいと考えているところでございます。  行動計画の見直しにつきましては、本年末ごろまでに政府が行う作業の中で最も重要なものと して位置づけられなければならないと考えています。そのような中で、前回、7月30日の会議 におきましては新型インフルエンザ対策の基本方針の策定を御提言いただきました。その後、公 衆衛生部門のみならず、各部門の委員の方々にも御参加をいただきながら検討がされているとこ ろでございます。本日最初の議題で、この基本方針について本会議の御意見を集約いただければ と考えております。基本方針が策定されますと、手続を経まして、すべての関係省庁はここで示 されました戦略及び発生段階に即して対策を見直し、それが集約されて行動計画の改定につなが っていく。このようになっているわけでございます。  また、本日はマスク使用の考え方についても御議論いただきたいと思っております。これは政 府というより各個人、各企業、各家庭において大変重要な手引書になるものと考えております。 このため、本日の決定をいただきまして、私どもとしましては国民に対するさらなる普及啓発に 万全を尽くしていきたいと考えています。  以上、本日は新型インフルエンザ対策の確立に向け、専門的・大局的見地から御討論いただき ますようによろしくお願いをいたしまして、御礼とごあいさつに代えさせていただきます。  どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○江浪補佐 それでは、以降の進行につきまして、岡部議長の方でお願いいたします。 ○岡部議長 おはようございます。これから議事の進行をします、感染研情報センターの岡部で す。よろしくお願いいたします。  何回か新型インフルエンザ専門家会議を行って、これで9回目になるんですけれども、今回は 今まで行っていたワーキンググループの進捗状況。それから、できるものについてはなるべく早 く、オープンといいますか、決まった形のものにしていくという趣旨なので、今日の会議が開か れていると思います。  いろいろ膨大な資料の整理であったり、事務作業が大変なわけですけれども、各委員の方、い ろいろなところで検討をいただき、ワーキンググループも重ねて行われておりますけれども、特 に事務局側としては対策推進室というものができて、その中で随分、今までと違って整理の仕方 が速くなってきて、また、議論も進んできたと思います。これからも進めていかなくてはいけな いわけですけれども、今日の会議である程度のものが決められるものなら決められ、それから、 次の問題点があるならば、それについて議論をしていくというふうにしたいと思います。  それでは、時間も限られていますので、資料の確認からよろしくお願いします。 ○江浪補佐 既に御退席を始めていただいていますが、カメラ撮りはここで終了でございますの で、よろしくお願いいたします。 (報道関係者退室) ○江浪補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料でございますが、本日の座席表と本会議の委員のリストのほかに、会議資料とい たしまして3種類のものがお手元にあるかと思います。  まず「議事次第」というふうに表紙に書いております資料の方でございますけれども、おめく りいただきますと「配付資料一覧」になってございまして、更に1枚めくっていただきますと、 右上に「資料1−(1)」というふうに付いた「対策の基本方針」という表題の資料がまずございま す。これが6ページ目までございます。  次に資料1−(2)は、カラーである関係上、別とじとなっておりまして、お手元の資料の右上に 「資料1−(2)」というふうに書きました「発生段階と方針(案)」というふうに書きましたカラ ーの資料がお手元にあるかと思います。  また一括とじの方に戻っていただきまして、資料2といたしまして「新型インフルエンザ流行 時の日常生活におけるマスク使用の考え方」という資料がございまして、これが10ページまで ある形になっております。  また、御参考資料といたしまして、右上に「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関す る関係省庁対策会議【資料1】」というふうに書きました「新型インフルエンザワクチン接種の 進め方について(第1次案)<概要>」というものをお配りしております。  資料の不足・乱丁がございましたら、事務局の方までお申し出いただきますようお願いいたし ます。 ○岡部議長 ありがとうございました。途中で資料の不足等々がありましたら、どうぞ、おっし ゃってください。  それで、今日は公衆衛生対策部門の議論や何かが中心といいますか、最初の大きいテーマにな っていますので、公衆衛生対策部門の部門長を仰せ付かっている私の方から報告をいたしたいと 思います。  一番最初は基本方針というものがあるんですけれども、これが資料1−(1)です。「対策の基本 方針」というふうに書いてありますけれども、これは今までも基本方針がなかったわけではない んですけれども、きちっとした形で明確に表すことがないとなかなか、例えば地域で行ったり、 ほかの省庁に話が出ていったときにどの辺を目標に設定していいのか、あるいは対応について何 が基本的であるのかというところの議論がしばしば起きてきたので、何となくわかっている部分 でも明記しておこうというところからスタートしたものです。コンセプトペーパーといったよう な形になりますけれども、これについて少し御説明をしていきたいと思います。  一番最初は「目的」でありますけれども、ここの1、2というふうに枠で囲ってありますよう に、出現時期を正確に予知することは困難であり、また、その出現そのものを阻止することは不 可能であるので、1番としては感染拡大をできるだけ抑制し、健康被害を最小限にとどめる。2 番目としては、その結果として、社会・経済をできるだけ破綻に至らせないことが最大の目的で、 これについて対策を行っていくことになります。  「基本的考え方」ですけれども、幾つかの要素で対策をやっていかなくてはいけないんですけ れども、あるものをやれば絶対に大丈夫というわけではない一方、幾つかの方法があるわけです から、余り一つのところに偏重して準備を行うよりは、いろいろな方法を有効に組み合わせてで きるだけバランスの取れた戦略、また、実際的なことも考えなくてはいけないので、一連の流れ をもって、その戦略を確立するというのがあります。  この「基本的考え方」のパラグラフの3番目になりますけれども、恐らく多くの国では、我が 国を含めて、欧米諸国が一番最初にこの新型インフルエンザが発生するというよりは、むしろ海 外での発生が持ち込まれることが強く想像されているわけですけれども、できるだけ国内侵入を 遅らせる。これは今までの対策でも検討されていたことですけれども、それでできるだけ遅らせ ることは、その状況も検知しなくてはいけないので、発生前の状況からほかの国々と我が国との 協力というようなことがあります。しかし、この国内侵入を完全に防ぐことが決して前提ではな いので、できるだけの努力はするけれども、入ってきたときの対策を策定する必要があるという ことがあります。  特に発生の早期の段階の場合と、それから、国内に侵入して次第に増えてきたとき、あるいは 本当にいわゆる蔓延となったときでは作戦の考え方も違うでしょうから、それぞれについて具体 的な戦略を考えていくということがあります。  ただし、これは今までの委員会のところでも言われておりましたけれども、2ページの真ん中 の下のところ「各段階の概要」の手前のところに書いてありますけれども、必ずしもシナリオど おりにいかないというものはこういうものの常でありますけれども、しかし、それにしても、い ろいろな情報が入ってきたり、新しい科学的な知見が入ってくるので、行動計画、各種ガイドラ インについては、適時適切に修正を行っていく。これを恐れることなく直していこうというのが、 この委員会の最初からのコンセプトになります。  「各段階の概要」というものが2ページ目の途中から書いてあるんですけれども、WHOは今 まで1、2、3、4、5、6という分類をし、しかし、これについても実際的にどういうふうに 運用していくかというような考え方については、今年の年内にWHOの方も、1、2、3、4、 5、6という基本的なところは変えていませんけれども、その内容や動き等々については現在改 定の段階に入っています。そういうようなことも踏まえて、WHOがつくっている6つの段階は、 世界中どこかに起きても1か所に起きれば全世界に向けて共通というような言い方をしている ので、必ずしも我が国にそれがぴたっと当てはまるわけではないというところで、今までA、B という考え方を国外発生、国内発生という形での分け方をしていましたけれども、もう少し具体 的に国内の状況を表した方がいいのではないか。これは既に地域の中では、例えばA県に入って きた場合、A県にまだ入っていない場合といったような分類の仕方をしているところがあります ので、そういうようなことも踏まえて、段階ということについて一つの提言を行っています。そ れが3ページ目のところに書いてあります。  一覧表で、発生段階としては前段階から一、二、三、四。前段階というものは、新型インフル エンザは発生していない状態。第一段階は海外で発生している状態。第二段階は国内発生の早期 の段階で、第三段階に入って感染拡大、蔓延。そして、これは回復するわけですから、回復期。 そして、第四段階として小康期というふうな分け方にしてあります。  3ページの真ん中のところから書いてあるんですけれども、それぞれについて、その段階では 現在取っている行動計画のどこに相当するのか。それから「目的」「主な対策」というふうに分 けてあります。  現行の行動計画との対応については、6ページに一覧表として、今までのフェーズ分類と、現 在提案しようとしている未発生期、海外発生期ということの対応表というようなことで書いてあ ります。  それから、それぞれの時期については、先ほどカラーページという説明がありましたけれども、 資料1−(2)に2枚とじて、それぞれの発生段階と方針、あるいはその発生段階の基準といったよ うなことでここに示してあります。  これは公衆衛生部門で検討していますけれども、公衆衛生部門だから公衆衛生担当者しか話さ ないということではなくて、この委員は関連性がありそうだと思ったときはいつでもその会議に 出ることが可能であるという形で、いろいろな方に参加していただき、また、このアイデアはす べてのワーキンググループに関係があるので、それぞれのところで話していただいているので、 大体の概要はおつかみいただいているのではないかと思います。  それで、簡単に御紹介すると、一つは前段階、未発生期のところでは、まだ発生はしていない、 つまり、今の状況なわけですけれども、その段階で幾つかのことを整備し、備蓄を進めたり、あ るいは対策に関する計画を練っていくところが未発生期の前段階であります。  これが海外で発生した第一段階に入ると、これはやはり国内流入をできるだけ阻止して、国内 発生に備えての体制の整備を行うわけで、情報共有とか、在外邦人に対する情報伝達。あるいは 渡航の自粛、航空機の運航自粛などといったようなことも出てくると思います。  そして、この水際作戦といったようなことで、検疫所での行動というものが非常に重要になり、 どこかからウイルス株が出現しているわけですから、それをできるだけ早く入手して、パンデミ ックワクチンの開発・製造をするということと、問い合わせに対しては相談窓口を設置するとい ったようなものがあります。  それから、第二段階に入ってきますと、これは国内での感染拡大をできるだけ抑えるというこ とですから、患者さんが発生した場合に、その周辺の調査、あるいは入院。患者さんが軽かろう が、重かろうが、この場合は入院をしていただいて、治療はもちろんですけれども、周辺へのイ ンフルエンザウイルス薬の予防投与ということも十分考えられるわけであります。  そして、これが流行してきた、感染拡大、蔓延、回復というふうにしてありますけれども、こ れが第三段階であります。この時点になりますと、今までは指定医療機関への入院ということが 中心になっていたわけですけれども、患者さんの発生が町の中で起きてくるわけですから、そう すると、入院をして隔離すること自体が、意味が非常に薄くなってくる。病床も際限なく、全部、 いわゆる陰圧であったり、隔離病棟を使うということは実際上も不可能であるということで、対 策がここで作戦としても非常に変わってきます。  勿論、公衆衛生対策は継続してやるわけですけれども、予防投薬といったような考え方もこの 時点で縮小になります。これは従来の感染の非常に早期の段階ですと、少しでも感染の拡大を減 らすという意味で感染の疑いのある人にも予防投与をやるわけですけれども、患者さんが増えて くると、これはどうしても治療ということに少なくてもそこはストックアウトすべきではないと いうことが必要な、公衆衛生部門でのコンセンサスの得られているところだと思いますけれども、 ただ、予防が本当に治療を上回る効果があるというようなエビデンスが出てきた場合には作戦の 変更もあり得るので、この辺についてはまだ議論を続けるところはありますけれども、原則はス トックアウトしないような治療の抗インフルエンザ薬というものは必要であることになります。  そして、当然、患者さんの数としては軽症者の方が圧倒的に多くなるわけですけれども、でき るだけそういう中から広がりを防ぎ、あるいは症状をよく見ていただくという意味でも、軽症者 は原則として自宅療養とし、ただし、重症者は、先ほどの厳重な隔離というものは意味をなさな くなってきますので、入院可能な医療機関でそれを見ていただくというような形になります。  小康期に入っていきますと第四段階になりますが、この時点では少し落ち着いてくるわけで、 社会機能の回復を図るわけですが、今までのパンデミックの起こり方といいますと、規則的な波 ではないので、第一波がいちばん最大であったり、あるいは次に来る第二波が大きいというよう なこともあるので、そこの状況というのはかなりフレックスにやらなくてはいけないんですけれ ども、少なくとも第二波があることを考えて、これについての備えをこの小康期に行うというよ うなことが主な、基本的な戦略となります。  この発生段階の基準、資料1−(2)、カラーページのところに、その波の動きとそれぞれの段階 のことが書いてあるので、特に下のところがわかりやすいのではないかと思いますが、左から右 に向けて海外発生、国内発生、そして、疫学調査で発生患者の接触歴が追えないような状況。こ うなると感染の拡大になります。入院措置による効果の低下から多数の外来患者が出てくるとい うことでありますけれども、このときは重症者を中心にした入院対応というふうに大きく作戦が 切り替わりますけれども、患者発生が減少傾向になってくるところで、これはサーベイランスで 動きを見ていくわけですけれども、次第に回復期に向かって次の波に備えるといったようなこと になろうかと思います。  ざっとお話しすると今のような状況で、公衆衛生部門を中心にして話されたことですけれども、 まずはこれについて御質問あるいは御意見がありましたら、どうぞ、お願いいたします。特にそ れぞれのところで討議に参加されていない委員の方がおられましたら、先にどうぞ、おっしゃっ てください。  なかなか、最初は発言しにくいかもしれません。  永井先生、どうぞ。 ○永井委員 5ページ目の上の四角に囲まれた4)のところなんですけれども「新型インフルエ ンザの免疫を獲得した者は業務に復帰させる」という、その獲得したことの確認はどういうふう にされるんでしょうか。 ○岡部議長 当然、全部の方に検査をやっていくわけではないと思うんですけれども、これを書 いた意味というのは、パンデミックの期間が2か月だとすると、その間、すべてストップして全 員が休んでいる状況ではなくて、病気には回復者がいますから、回復者については順次復帰をす る。その意味の裏には、逆に病気かもしれないという方はできるだけ早く休んでいただきたいと いう意味合いも込められているのではないかと思います。 ○永井委員 それでは、回復者ということでしょうか。 ○岡部議長 そうです。  大久保先生、どうぞ。 ○大久保委員 細かいことですけれども、4ページの第二段階の国内発生早期における項目の中 の2)ですけれども、接触者に対して、ある程度、外出等を規制する中で、診察等に当たった医 療関係者はどういう立場になるんでしょうか。例えば家庭に帰ることができないとか、その辺の 発熱外来等で従事した医療従事者はどういう扱いにするかということです。 ○岡部議長 これは私から答えてもいいんですか。  一応、基本的には無防備で接触した場合にということになって、医療者の場合はその分、あら かじめプロテクションをちゃんとやるというようなことが前提だと思うんですけれども、この辺 は事務局あるいは安井委員ですか、積極的疫学調査及びこの辺の調査についてアイデアを出して いただいたと思うんですけれどもね。 ○安井委員 積極的疫学調査は、ガイドラインを作成しましたけれども、基本的には予防衣をき ちんと着ていない人たちに対しての措置ですので、これに該当はしないということになると思い ます。  ただ、医療機関の方々にいろいろ話を聞いていますと、例えば入院施設等において患者さんを 見ている間というのは家に帰らないのではないかとか、そういったことがこの中では勿論、議論 はされているというのは承知しておりますけれども、患者さんに予防衣をきちんと着て接触した 人もすべて接触者というふうにはみなすべきではないと考えています。  あと、ついでに質問なんですけれども「健康監視」というふうに書いていますけれども、疫学 調査ガイドラインでは「健康観察」と書いているものなんですけれども、より強まっていますけ れども、これで統一するということなんでしょうか。 ○岡部議長 そこは、事務局の方から御返事をお願いします。 ○感染症対策企画調整官 先般、法律の改正を行ったときに、一応、自宅にいていただいて健康 監視下に置くことにしていますので、今後、用語はすべてこれに統一するかどうかというのはま だ検討していませんけれども、とりあえず、そういったこともありましたので「健康監視」とい う用語を使っています。 ○安井委員 場合によってはガイドラインを全部書き換えますけれども、それはまた相談ですね。 ○岡部議長 それでは、どちらの言葉が適当かは最終的なまとめのところにして、そういう問題 があったということはノートしておく必要があると思います。  ほかにも遠慮なくどうぞ。  谷口委員、どうぞ。 ○谷口委員 戦略ペーパーですので、多分、このペーパーは、これを基に各ワーキンググループ が細かいところを書いていくもとになるものだろうと思います。  そうしますと、まず「目的」が一番トップに来るものだろうと思いますが、この点で、1番、 2番は国内のもののみを想定しておりますので、在外邦人もおりますので、ここは「日本国民を パンデミックより守る」という言葉をどこかに入れていただけないかということはワーキンググ ループで出たと思いますが、それがまずあって、それを2つに分かち合ったものが、この1と2 だと思いますので、まず「日本国民をパンデミックより守る」という言葉を入れていただきたい というのが1点です。  これは、後につながってくるのは、例えばその次に「基本的考え方」というものがあります。 これは時系列に従ってまとめとそれ以外のものとが混乱していますが、時系列のものはその次の 段階の「各段階の概要」というところで書いてありますので、この基本的考え方というものは時 系列にこだわらずに、ステージごとではなくて戦略ごとに記載していただいた方がわかりやすい のではないかと思います。  例えば3つ目のパラグラフは、海外情報戦略及び海外の在留邦人、あるいは国際協力に関する ことですので、そこをおまとめいただいて、その次の段落は早期対応戦略ですね。その次の段落 はコミュニティー・ミティゲーション戦略ですから、そこを書いていただくとともに、コミュニ ティー・ミティゲーションは、その後にワクチンの開発によって国民全体を守るという戦略があ って初めてコミュニティー・ミティゲーション戦略が成り立つものですので、それを記載いただ きたいということ。  もう一点は、治療戦略というものがここには抜けていると思います。例えば諸外国は、基本的 に罹患した国民、発症した国民全員を治療するという戦略を立てて、その上で何%かということ をしてタミフルの備蓄量を決めているわけですので、この大戦略として、例えばここに発症全国 民を治療するということは入れていただきたいと思います。さもなくば、しないと書いていただ ければいいと思います。  その次の「各段階の概要」ですけれども、これは余り微に入り細にわたる必要はないだろうと いうお話でしたが、少なくとも各ワーキンググループにわたるようなことは、ここで具体性を持 って書いていただくということだったと思います。さもなければ、それぞれのワーキンググルー プが、また、これはどうなるんだということで先に進めない状況になりますので、ここで各ワー キンググループそれぞれに関与するようなことは具体的にもう少し書いていただきたいと思い ます。  以上です。 ○岡部議長 これについてはいかがでしょうか。  一番最初から言いますと、途中にもそういうものがありましたが「目的」の中に「国民を新型 インフルエンザから守る」。その一文を入れるかどうかというのはワーキンググループでも検討 のあったところなんですけれども、私は非常に微妙な問題を含んでいるとも思うんです。基本的 考え方はそうですけれども、余り「国民」という言葉が入ってしまうと国籍問題について討議し なくてはいけないというようなものが出てくるので、余り「国民」と書くよりも、それでは日本 在住の人かというと、先ほどの在外邦人の問題もあるわけですね。ですから、そこは、例えばア メリカのガイドラインなどはピープルUSAとかUSAシチズンとかと書いてあるんですか。 ○谷口委員 書いてあります。 ○岡部議長 そこら辺の考え方にもよると思うんですけれども、いかがでしょうか。  事務局の方から何か意見はありますか。 ○感染症対策企画調整官 今の点については私どもも意識して、恐らく谷口委員の最大の関心事 は、日本人でありながら外国に住んでいる人たちが見捨てられないようにという意味だと思うん です。ここに「日本国民」と書いてしまうと、確かに国内で発生したときに、それでは、国内の 外国人を見殺しにするのかという議論が起きてしまうので、あえて入れていません。逆に谷口委 員の御指摘も踏まえて、1ページの「基本的な考え方」の第3パラグラフで「在外邦人に対する 必要な支援を行いつつ」。ここをあえて追記しております。 ○岡部議長 どうぞ。 ○谷口委員 そういう場合であれば「外国に居住する日本国民の生命を守るために必要な支援」 というふうにすべきだろうと思います。 ○岡部議長 どうでしょうか。  内田(幸)先生、どうぞ。 ○内田(幸)委員 基本的には谷口先生の考え方にほとんど一緒なんですけれども、先ほどから 言われている日本に住む外国籍の人をどうするかということも言われることはわかりますけれ ども、やはりそうであることは当然、いろんな意味ではヒューマン・ビーイングを守っていくこ とは必要になる部分もありますし、そういう形でどんどん議論が大きくなっていくのもいろいろ とややこしくなりますので、先ほど谷口委員が言われた、何と言ったのか、少しあれだったんで すが、ここは「在外邦人の保護に必要な支援を行いつつ」というところで何かうまく収まらない のかなという思いがあります。  ただ、やはり在中国、在インドネシアの日本人の方々の不安感はかなり増しているようですし、 もう一つ、私としてわからないのは、厚労省の中でこうやってディスカッションしていますけれ ども、この話が関係省庁対策連絡会議の中では外務省等からいろんな形で話がどういうふうに出 てきているのか、もしよろしければ、ここでお知らせ願った上で語句の調整もできるのではない かなと思うんですが、いかがでしょうか。 ○岡部議長 正林調整官、お願いします。 ○感染症対策企画調整官 関係省庁対策連絡会議では、これについてちゃんとした議論はしてい ないんですが、少なくとも意見照会はかけています。  ただ、これがあくまでも、まだ専門家会議でおまとめいただく段階なので、それほどたくさん の意見は出てきておりません。できれば、今日、この場で、この基本方針をおまとめいただいた ら、それをこちらで引き取って、関係省庁との間でしっかりと議論はしていきたいと思っていま す。 ○岡部議長 この会議は厚生労働省の会議ですけれども、ここで提言していることが政府に対す る提言になってくるんだろうと思っているんです。ただ、勿論、その中にはいろんな議論がまた その先の方で行われることがありますけれども、そのきっかけはやはりこちらでつくらなくては いけないということだと思います。  それから、先ほどの内田(幸)委員の提案と、谷口委員の話との接点としては、在外邦人の保 護というような言葉でまとめられれば、これで納得ができますね。 ○谷口委員 わかりました。 ○岡部議長 そういうことではないかと思います。  それから、時系列ではなくて戦略別に分けていった方がいいだろうということは、今、全部、 具体的にはできないので、谷口委員の意見を参考に、少し順番や何かを入れ替えていく可能性が あるということだと思います。  それから、治療を前提にすべきではないかというのは、説明の最中に私は言葉では言っていた んですけれども、医療ワーキンググループの方の検討がまだ最終的なところまで詰まっていない というところで、基本戦略のここのところもややあいまいさは残してはいるんですけれども、基 本的な公衆衛生ワーキンググループの考え方としては、少なくとも治療はストックアウトすべき ではない。ただ、それにはどうするかというのは次の点になるわけですけれども、戦略としては そんなことがありましたけれども、もし、この辺で御意見がありましたら、文章として挿入をす べきなのかということも含めてお願いいたします。  庵原先生、どうぞ。 ○庵原委員 先ほどの治療という概念が、抗インフルエンザ薬という意味なのか、それとも、そ うではなくて、広い意味での医療の治療というニュアンスなのかというところを詰めておく必要 があります。何でもかんでも抗インフルエンザ薬でいくという、そういうことはずれるような気 がするんですけれども、その辺のお考えをお聞かせください。 ○岡部議長 谷口先生、どうでしょうか。 ○谷口委員 欧米のガイドラインを見ると、抗ウイルス薬でと書いてあります。 ○岡部議長 恐らく一般的な医療を行うのが前提であって、それは確保しなくてはいけない部分 ですけれども、商品名で言いますとタミフルを前提にしたり、当然、タミフルだけに限らないわ けです。抗インフルエンザウイルス薬による治療、あるいは抗インフルエンザ薬による予防をス トラテジーとしてどう考えるかということだと思うんです。  医療部門では、この辺はどうですか。川名先生、御意見がありましたら、お願いします。 ○川名委員 治療の定義については、特に今のところはまだ詰められておりません。 ○岡部議長 公衆衛生ワーキンググループの中で非常に大きい議論があったのは、ある一部の国 ではやはり予防が大前提であって、これは抗インフルエンザウイルス薬による予防を前提として、 それの分をストックすべきであるというような国があるので、我が国も予防を前提にするべきで はないかという議論は随分行いました。  しかし、その中での議論では予防に関するエビデンスは十分に出ているわけではないんです。 治療に関しても、パンデミックウイルスに対する治療というものは勿論不明なわけですけれども、 A型インフルエンザウイルスというものに対する治療の前提であるならば治療の効果というも のは期待できるので、ここは薬が全部潤沢に、あふれるほどあればいいんですけれども、そうで はないところでは、予防を中心にして行った結果として治療がストックアウトする方が恐らく不 安は強くなり、また実際面でも困るだろうという議論が行われたわけですけれども、谷口委員は 治療は確実に行うべきであるということを基本戦略の中に入れるべきであるという意見ですね。 ○谷口委員 はい。一応、これが基本戦略であって、患者さんを全員、適正に治療するためにど うするかというのは戦術レベルで医療ワーキンググループがやっていただくものだと思います。 それがやはり戦略として、ここで書いておかねばならないのではないか。  例えば、先生方御存じのように、日本の今のanti-viralのストックの割合は人口の20%です。 世界のパーセンテージを見れば、日本は先進工業国から見れば後ろから数番目です。60%を備蓄 しているような国の人に言わせれば、日本は面白い、セルフリミティングな、季節性のインフル エンザについては物すごい量の抗ウイルス薬を使って足りないと言っているのに、どうなるかわ からないパンデミックについては20%しか備蓄していないというふうに言われましたが、これ は勿論、ここでの議論であって、戦略として国民を抗ウイルス薬によって治療するかどうかとい うのはきちっと決めておかないと、後々、いろんなところで1年後に改定の際にまた議論になる。 それは新しい知見が出ればまた議論すればいいんですが、現時点の知見で最良は何かということ で決定しておかないと、その下のワーキンググループ部門が動かないことになるのではないかと 思います。 ○岡部議長 川名委員、どうぞ。 ○川名委員 3点ばかりまとめて申し上げます。  1点はコメントです。今回の発生段階分けで、これまではどちらかというとWHOのパンデミ ックフェーズ分類に従って計画が立てられていたわけですけれども、医療ワーキンググループで は現場の対応ということで、できるだけ実践的な対策を考えようということで、比較的、患者さ んの数に連携した段階分けというものを採用していましたけれども、今回のものはそれに非常に 近い形で、より実践的な形になったと思います。非常に新しいフェーズ分け、実践的なものにな ってきたと思います。  2番目は内容についての御質問ですけれども、5ページ目になります。これは第三段階で感染 拡大期、蔓延期、回復期という時期のことが書かれている部分ですけれども、このちょうど真ん 中辺りの感染拡大期の「1)感染の疑いのある者が受診する医療機関を特定し」というようなこ とが書いてあります。それから「患者に対し協力医療機関への入院措置を行う」ということが書 かれています。ここの部分なんですけれども、私の認識としましては、感染拡大期、蔓延期に入 りましたら、これは基本的にはすべての医療機関が対応する。そして、措置入院に関しては解除 されるというような理解をしておったんですけれども、ここでは「医療機関を特定し」。それか ら「協力医療機関への入院措置を行う」というふうに書かれているので、ここの御説明をいただ きたいと思いました。  第3点は、先ほどの谷口委員のお話ですけれども、やはり医療の立場から言いますと、何より も重要なのは重症患者さんに対する適切な治療がきちっと行われることですので、治療のための 薬がなくなってしまうようなことは是非避ける必要がある。治療が非常に重要であるということ を強調していただくことについては賛成です。  以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。  3点目にポイントしていただいたものは続きの部分なので、これを先にやっておきたいと思う んですけれども、私も治療はやはり大優先だろうと思うものなので、できれば文章としても、書 き方はともかくとしても、治療に十分な薬剤の備蓄は基本的方針として必要であるといったよう なことは本当は書き入れていただきたいと思うんですけれども、事務局の方はいかがですか。 ○感染症対策企画調整官 治療は勿論、大事なのですが、具体的にどう書いたらいいか、もう少 し御示唆をいただけるとありがたいんです。 ○岡部議長 「治療薬のストックアウトにならないように備蓄を進めるべきである」。 ○感染症対策企画調整官 例えば、備蓄のことはあちこちで出てきているんですけれども「十分 に」とか、そういう表現を入れるということですか。 ○岡部議長 そうですね。  それでは、文章の表現は少し後で相談するにしても、今の基本的な部分はよろしいでしょうか。  多屋委員、どうぞ。 ○多屋委員 先ほどの谷口先生のお話を伺っていて「目的」のところをもう一度読み直してみま すと、日本に住んでいる人のみの対策。 ○岡部議長 ちょっと待ってください。治療に関する必要な薬剤の方を先にやってしまうので、 治療に関する必要な薬剤ということでは今の考え方でよろしいでしょうか。  それでは、砂川委員、庵原委員の順番でお願いします。 ○砂川委員 手短に言います。  1ページ目の発生早期の段階のところで、一番下に「抗インフルエンザ薬による治療」という ものが明記されているわけなんですが、私は医療に関するところのワーキンググループにはいな いので発言するのが適切かどうかわかりませんが、今、話し合われているいろんな議論の中で、 恐らく新型インフルエンザの病態がまだよくわからないというところもあって、例えばいわゆる 抗菌薬とかそういった辺りのものも踏まえて言及をしていた方がいいのではないか。抗インフル エンザウイルス薬のみが強調されているような気がするのが少し心配であるというところ。  それと、2ページ目に行きまして、今度は第2パラグラフのところでは、恐らく健康被害を最 小限にとどめるというのが治療について述べているところなんだろうと思うんですが、やはり、 ここで谷口先生がさっきお話をしていたような、薬剤のストックパイルも含めて、感染した人に は適切な治療があまねく行き渡るようにするみたいな感じの文言が入るとよりいいのではない かと感じました。 ○岡部議長 それから、庵原先生、いかがでしょうか。 ○庵原委員 先ほどの岡部先生の御提案だと「抗インフルエンザ薬」という言葉が抜けていまし たので「抗インフルエンザ薬などの」とか、それを強調した方がいいという印象を受けましたの で、それだけ追加です。 ○岡部議長 谷口先生、いかがですか。 ○谷口委員 「あまねく」とか、あるいは「すべて」とか、要するにそういう基本的な思いが入 っていれば結構です。 ○岡部議長 治療に関して十分な備えを行うというようなことで、一部、具体的なものだと、抗 インフルエンザ薬ということがなってくると思います。抗菌薬等に関しては、まだ、その重要性 も勿論あるんですけれども、そこはワーキンググループで話し合って、戦術的なものとしてやっ ていただければいいのではないかと思います。  それでは、この部分は一応、このぐらいにしておいて、川名先生から2点出てきたのと、それ から、多屋先生、御意見をどうぞ。 ○多屋委員 済みません、失礼いたしました。  先ほどの谷口先生のお話を伺っていて感じたんですが「目的」のところの文章ですと、やはり 国内に住んでいる人のみの対応というふうに読めてしまうように思いますので、やはり3行目の 「世界中のどこかで新型インフルエンザが出現すれば、在外邦人が感染するリスクがあり、そし て、国内に侵入することも避けられない」というふうに入れておくと、国内に住んでいる人すべ てと、在外邦人の方も一緒に守るんだというような目的があるんだということがわかるのではな いかと感じたんです。 ○岡部議長 今のは大目的のところなので、もう少し議論があった方がいいと思うんですけれど も、ほかに御意見があったらいかがでしょうか。  私は「目的」のところに余り特定の、日本人というのは強調しない方がいいように思うんです。 ほかの法律の場合でも「国民は」と振り出しで出てくるのと、そのことは別に触れないで書いて あるのと、触れないで書いてある方が、あまねく日本に住んでいる人とか、あるいは在外にいる 日本人というようなことのニュアンスは含めて、その下の方で書いてくれば、例えば「基本的考 え方」でもこれには在外の人のことも書いてあるので、その方がいいのではないかなと私自身は 思うんですけれども、余り私の意見だけではいけないので、どうぞ、次の意見をおっしゃってく ださい。  どうぞ。 ○谷口委員 多分、ほとんどの国は国民という言葉を使っていると思います。ただ、その中でイ ンターナショナル・コラボレーションとかそういった項を設けて、そこで議論されているだろう と思います。  大きな一番最初の目的としては、うまい言い方は、我々の地域と国民と、ひいては世界を守る というふうな書き方がうまい言い方をしてあると思うんですが、そういうふうに書くか、あるい は別に国民と書いてもそれはいいんだろうと思いますし、逆に、それだったら、みんな日本に行 ったら治療してもらえるかといって東南アジアの人がみんな事前に日本に来てしまうという冗 談もありますので、強いて日本国としていただいても結構ですし、別に書くのは問題ないのでは ないかなとは思います。 ○岡部議長 事務局、いかがですか。  感染症法には「国民」と入っていないんです。あれは日本にいる人すべてというような意味合 いがあるんですが、確かに国内で発生した場合のことになっているというようなものがあるんで す。  それから、ほかのことで私が感染症関係で思い付くのは、予防接種法にも国民に対してという ことではなくて、日本に住んでいる人すべてということになっているのが前提だと思うんですけ れども、そこでわざわざ「国民」という言葉を書かないんだというのを前に聞いたことがありま す。  在外というのを指定するためには、ここの「基本的考え方」でも入っているし、仮に言葉を入 れるかどうか、もう一回、御意見をいただきたいんですが、入らないとしても、ここで対象にな っているのは、国の中にいて、別に国籍が違うから排除するという問題でもないし、それから、 国外に行っている日本人。この場合は日本人でいいと思うんですけれども、それについては当然、 保護の対象になっている。これはパスポートに書いてあることと同じだと思うんですけれども、 この辺の考えは基本的に置いておくべきだと思うんですが、意見があったらどうぞ。  内田(幸)先生、どうぞ。 ○内田(幸)委員 私としては、とにかく日本国民は守りたいという思いがあるんですけれども、 SARSのときに、SARS観光旅行みたいな変なネーミングのパック旅行があって、かなりの 東南アジアの裕福層の人たちが日本へ来たという、これはうわさ話なんですが、だから、日本に 行ったらタミフルをもらえるとか、そんなうわさが立ってもらっても困るので、何かその辺をか わせる表現がないのかなと思うんです。  さっきも言いましたけれども、ただ、基本的には当然、どういう人でもやはり治療するなりし てあげなければいけないんですけれども、そういう少し変な目的の旅行が始まってもらっても困 る。幾ら勧告を出しても、そういうグループが発生することがSARSのときにはあったようで す。 ○岡部議長 前田委員、どうぞ。 ○前田委員 内田(幸)先生がSARSのことを言われたので、私もSARSのときのことを思 い出したんですが、逆に言いますと、SARSの発生のときに非常に外国人の方の医療というも のが阻害された現実があります。結局、一見、中国人のように見える方であれば、それでかぜ症 状があると、ほとんど医療機関で診てもらえない。救急車が乗り付けても中に入れてもらえない という問題が起こってきたことを考えると、余り国民ということを強調し過ぎて、外国人に対す る医療あるいは予防対策というものが変な方向に向くのは危険だと考えます。  先ほど岡部先生が、感染症法あるいは予防接種法に「国民」という言葉が書かれていないとい うお話がありましたが、私の記憶では、なぜ書かないかといえば、感染の拡大というときに、そ こにいる方が日本人であろうと、外国人であろうと、感染拡大を抑制するためには必要な予防措 置を取らなければいけないので、そこで日本人と外国人を分けるべきではないということがあり ますので、今回においてもそういう考え方で、今、内田(幸)委員が言われたように、治療目的 で来るというのは論外ですけれども、日本国内にいらっしゃる方はやはり、あまねく対策の対象 にするという考え方は確実に明記しておかなければいけないと思っています。  また、自治体の立場から言っても、これは非常にセンシティブな問題ですので、この場という よりはもう少ししっかり議論して、その辺のことについては御決定いただければと思います。 ○岡部議長 どうぞ。 ○谷口委員 日本国民という議論に行ってしまったんですが、私が一番最初に申し上げたかった のは、最終的なゴールは命を守ることですということを書いてほしかったということなんです。 別に主語が日本国民かどうかという話になったもので、少し前後しましたけれども、それがゴー ルですということを書いてほしかったということです。 ○岡部議長 その辺で大体、意見は一致をするのではないかと思いますから、それでは、そこは 含めて、前文の書き方の部分で「生命」という言葉を入れるかどうかですね。 ○谷口委員 プロテクト・ピープルでもいいです。 ○岡部議長 人々を守る。基本的にはそういう考え方ですね。  それでは、それについては、言葉を挿入するのをどういうふうにするかは工夫するにしても、 プロテクト・ピープル、人々を守る、保護する。 ○谷口委員 基本的には個人個人を守ることであって、最小限にとどめるというのはそれの延長 線上にあるわけです。 ○岡部議長 それでは、ニュアンスの部分は後で少し検討させてください。しかし「基本的考え 方」と、それから、仮に文章に全部表れなくても、考え方としては、この委員会としては今まで 申し上げたようなことが背景にあるということは議事録等々に見てわかるようにしておきたい と思います。  もう一つは、川名先生が質問されていた5ページの感染拡大期のところで「患者に対し協力医 療機関への入院措置を行う」。蔓延期の方では「すべての入院医療機関で受け入れて治療する」 というところにあるんですけれども、感染拡大期のところで特定医療機関を示すのはどうかとい うことだと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。  川名先生、そういう意味でいいですね。 ○川名委員 そうですね。 ○岡部議長 この感染拡大のこうなっていくレベルをどこでとらえるかということにもなると 思うんです。  どうぞ。 ○川名委員 済みません、蔓延期には「すべての医療機関」という文言は入っていますか。 ○岡部議長 入っています。 ○川名委員 それにしても、この段階になると、恐らくすべての医療機関で入院措置は解除とい うような理解をしておったんですけれども、そこをはっきりと御説明いただきたいと思うんです。 ○岡部議長 ここら辺は事務局の方で御説明できますか。 ○感染症対策企画調整官 川名班で昨年まとめていただいた医療対策ガイドラインの中では、確 かに第一段階、第二段階という言い方をしていまして、この医療対策ガイドラインの中での第二 段階では、まだ入院勧告を行う段階になっています。  第二段階から第三段階に移る段階について、第三段階というのはすべての医療機関がというこ とになっているんですけれども、その境目が、入院勧告による感染拡大防止及び抑制する効果が 得られなくなった場合、または感染症指定医療機関が満床となった場合というような書きぶりに なっています。  何が言いたいかといいますと、この新しい基本方針の感染拡大期というものが、医療対策ガイ ドラインで言う第二段階と第三段階の間にあるような感じになっているので、ここで書いてある 感染拡大期は、まだまだ、一応、入院措置によって効果がある段階ですので、その段階ではまだ 特定の医療機関で入院措置を行うといった書きぶりにしてあります。 ○川名委員 一つは、この段階では感染患者の接触歴が疫学調査で追えないということになって いるわけですね。それで、この段階になっても、まだ特定の感染症指定医療機関に患者さんを集 めることが一つは現実的なのかということですね。  あと、恐らく、この段階になってくると、患者さんは真性の患者さんと疑いの患者さんも含め てかなりの数になってくると思いますので、恐らく、すべての医療機関が日常診療の中で新型イ ンフルエンザというものをかなり意識しなくてはいけなくなってくると思いますから、この段階 まで協力医療機関への措置入院とか、医療機関を特定し云々というような書き方がマッチするの かなという気がいたします。 ○岡部議長 安井先生、どうぞ。 ○安井委員 川名先生の意見に賛成なんですけれども、ただ、疫学調査で疫学的リンクの喪失、 あるいは明らかではなくなった時点で措置入院をすべて解除してしまうということは、私はその 方がいいとは思っていますけれども、ただ、現実的にできるかどうかという問題は多分残るかな というふうには思われます。例えば、ある県で、ある1か所で、ある特定の保健所管内で疫学的 リンクが喪失したとしても、その他の地域においてはまだまだ患者さんが出ていないとか、そう いった状況等もあると思われますので、これは総合的に勘案をしないといけないだろうと思いま す。  ただ、感染拡大期というのは、このグラフで見ると非常にかなり流行のたけなわになる直前ま でそうなのかなというふうにイメージとして見えるんですけれども、あらかじめ準備された医療 機関で満床になってしまった段階でこれを解除したとしても、その後に重症患者が発生しても入 院できるかという問題が大きく生じてくると思うので、比較的早期に措置入院はやはり解除すべ きではないか。  勝手に考えた場合、例えば有症状者がある時期に1,000万人いるとして、すべての病床へ導入 したとしても6分の1ぐらいしか診られないし、10%の稼働率であれば、更に、その10分の1 になってしまうと思いますので、場合によっては100人に1人、あるいは70人に1人しか、発 病者でも入院できないのが現実だと思うので、ここのところは現実を踏まえて考えていかないと いけないかなと思います。 ○岡部議長 このカラーページの2枚目のところを見ていただくとわかると思うんですけれど も、第三段階の感染拡大期から蔓延期に移っていく一つの事象としては、入院措置ですから、措 置入院をする効果、隔離の意味がなさなくなった状態が切替えのときなので、恐らく4ページの 感染拡大期に含まれているのは、この効果がまだ期待している段階では協力医療機関への入院を 求めるという意味に私は思ったんですけれども、引き続き、あと、お一人、お二人ぐらい御意見 があればお願いします。  森兼先生、どうぞ。 ○森兼委員 この資料1−(2)の図、第三段階の感染拡大期の終わりが、この図で言えばピーク時 の患者数の半分ぐらいになっているんですけれども、実際には恐らくこんなことはなくて、もっ と早い段階で感染拡大期というものは終わりになって、入院措置が解除されて蔓延期に入ってい くということだと思います。  ですから、場合によっては感染拡大期というものが数日しか存在しないとか、そういうことだ と思いますので、さすがにその期間ぐらいは原則として、新型インフルエンザに対応しますとい って手を挙げてきた協力医療機関をまず使おう。いわゆる確保してあると言われるベッドをまず 使って、それでも足りなければ、都道府県単位ではそれ以外の病院にも入れざるを得ないのかも しれませんけれども、それはオペレーションの問題であって、基本戦略としては感染拡大期に入 って、エピリンクは切れても、まだ入院措置の効果はある程度見込めると判断した場合には、協 力医療機関に入院していただく。ただ、あくまでこれは原則であって、例外的なことも地方によ ってはあり得る。そういうことではないかと思うんです。 ○岡部議長 丸井先生、どうぞ。 ○丸井委員 この基本方針はメーリングリストなどで議論が重ねられて非常にわかりやすくな ってきたと思いますが、今の議論と関連して1つだけありますのは、発生段階と方針という時間 軸の話だけは、今、かなり進んできていると思いますけれども、先ほどの医療機関の特定の話も 含めて、これは勿論、国の方針ですから、これはこれでいいといえばいいんですが、地域によっ て非常に状況が異なってくると思うんです。  どこからどういうふうにというのはあれですが、例えば九州で蔓延しつつあって、あるいは飽 和状態になっても東北、北海道ではまだそれほどでないというような、ある程度、コンテインメ ントがうまくいけば、そういう事態がある。そうすると、地域による進展の具合が非常に違う。 そういう中で、国全体としてどのような方針でいくかということと同時に、国とそれぞれの地域 での対策の時間差というものが非常に大きくなるのではないかと思うので、その辺りのところを 国としてどの段階でという話と、それぞれの地域でのある程度の自由裁量といいますか、それを 組み込んでおかないと、国が決めたら、先ほどのように既に飽和状態になったところであっても、 まだそうでなくて予防段階にあるような地域と、その辺りの地域差と時間差と、その辺のところ をある程度、基本方針の中ではそれも考慮するというようなことを入れておくと、先ほどのよう な時間の話と場所の動きの2つが少し考慮した形で、地域で次の段階がつくりやすくなるように 国としては用意しておく必要があるのではないかと思います。 ○岡部議長 ありがとうございました。今のことも、たしか公衆衛生ワーキンググループで話さ れていて、そこの基本的な考え方では、国が決めたものについて、例えばサーベイランスなどは 一斉にやらなければいけないけれども、医療の状況は、それこそ北海道と九州で違うかもしれな いというような地域差は考慮すべきであるということは基本的な考え方としては入っているの で、もし、それが入れば今の川名先生の疑問も解けてくるのではないかと思うんですけれども、 そこら辺の言葉は何か入れられますか。あるいはどこかに入っていますか。  正林さん、どうぞ。 ○感染症対策企画調整官 配られている資料1−(2)の中の2ページ目でありますけれども「発生 段階の基準(案)」ということで、一番下をごらんください。「◇ 都道府県等単位における判 断」というふうに示していまして、まさに感染拡大期と蔓延期の間とか、蔓延期と回復期の間と いうのは、この◇で示してあります。  この辺については、丸井先生がおっしゃるように、まさに地域性が出る部分ですので、そこの 判断はあくまで都道府県等で判断していただくというふうに整理をしています。 ○岡部議長 それでは、今のところで明確にしているということでよろしいでしょうか。 ○丸井委員 はい。 ○岡部議長 川名先生も、それでよろしいでしょうか。  それでは、最後に一言お願いします。 ○川名委員 基本戦略に関わってくる部分なんですけれども、恐らく感染症指定医療機関の役割 というものがやはりかなり強調されていると思うんですが、私はできるだけ感染症指定医療機関 に患者さんを送るというようなシステムはできるだけ早目にピリオドを打って、できるだけ早く すべての医療機関が新型インフルエンザを受け入れられる体制に持っていくことがやはり何と しても必要だと思います。  ですから、この基本戦略の中にも、感染症指定医療機関の役割を強調し過ぎるのではなくて、 すべての医療機関が関わっていくし、その準備をしなくてはいけないというところをやはり強調 し、また、戦略の中にも取り込んでいくべきではないかなと思っております。 ○岡部議長 それでは、庵原委員と谷口委員、一言ずつでお願いします。 ○庵原委員 先ほどからすべての医療機関と言われていますけれども、ガイドラインの中には透 析とかがんとか、日ごろの重症とか特殊な医療は継続するということが書かれていますので、そ のすべてというところにそういうところも入れてしまいますと、そういうところの機能がしなく なる、ないしは院内感染を起こして、重たい人が感染するというリスクが高まると思いますので、 すべてという言葉のニュアンスをもう少しやわらかい、何かいい言葉を考えていただく必要があ ると思います。 ○川名委員 勿論、そういうものは除外しています。 ○岡部議長 その辺の考え方は十分に入れるようにしましょう。  谷口先生、最後にお願いします。 ○谷口委員 この蔓延期に「医療機関における感染の可能性を少なくするため、発症者のうち軽 症者は原則として自宅療養とし」というふうに書いてありますが、これは要するに感染伝播を抑 えるために自宅療養とするということですね。つまり、それはひいては医療機関の負担を減らす ことにもつながるわけですが、これはどちらかというと感染拡大期の少し前ぐらいからやらない と効果がないですね。蔓延してからやっても効果はないですね。  だから、これは上に持っていくべきであって、先ほどの川名先生の措置入院というものは、あ くまでいわゆるアイソレーションの一形態ですね。病院にアイソレーションするというだけの話 で、ホームアイソレーションという手もあるわけです。そのホームアイソレーションがこの蔓延 期の1)ですね。だから、それが感染拡大期のときにもやっていないと拡大すると思いますので、 これはもう少し前倒しにしていただいた方がいい。  つまり、医療と大きく関わってきますけれども、その医療へ受診することと、いわゆるコミュ ニティー・ミティゲーションで感染者を減らすことは非常に密接にリンクしていますので、この 場所をもう少し上に移動していただきたい。そうすると、先生の言われるような、医療機関に持 っていく時期がもっと早くなります。 ○岡部議長 今のは正解だと思います。  それでは、森兼委員、最後にお願いします。 ○森兼委員 感染拡大期までは、どんなに軽症であっても措置入院をするのが基本戦略ではない でしょうか。といいますのは、疫学的リンクが切れた。そうすると、その時点で入院させる意味 はないということだったらば、入院措置は解除して、軽症者は自宅で診るということだと思うん です。  ただ、感染拡大期の少しずつ患者が増えてくる段階にそれを放棄してしまうのかというと、必 ずしもそうでもないということで、感染拡大期という経過措置みたいな時期が設けられているん だと思うんです。この時期に入院させるのか、させないのかというのは、今の谷口先生のお話だ とはっきりしなくなると思うんです。 ○谷口委員 私は、この時期の入院適用は医学的適用だと思います。つまり、必要かどうかです。 アイソレーションのためであれば入院させる必要はないのではないか。あるいはわざわざ病院に 来させる必要はないのではないかと思っています。 ○森兼委員 だとすると、感染拡大期はもう要らないということになりますね。 ○谷口委員 いいえ、感染拡大期というものは、既に疫学調査でこれ以上、サーチ・アンド・コ ンテインメントができなくなった時期ですから、そうすると、コミュニティー・トランスミッシ ョンが起こった時期ですね。コミュニティー・トランスミッションが起こっている時期にホスピ タル・アイソレーションをする意義がどうですかということです。コミュニティー・トランスミ ッションが起こっているということは、コミュニティーにいっぱいウイルスがあるということで す。 ○森兼委員 それでも、病院にアイソレートすることがある程度、流行を遅延させるというふう に考えているのではないでしょうか。 ○岡部議長 少し議論を切り離していきたいと思うんですけれども、今の意見は、拡大期と蔓延 期が結局、あるところで不連続的にすぱんと切れるわけではなくて、両方にオーバーラップして くるときをどういうふうにとらえるかということだと思うんです。  ですから、もっと細かくやってしまうと、感染拡大早期と後期とか、非常に判断のしにくいと ころになりますけれども、感染拡大期の中に、前段階では入院措置を行うけれども、協力医療機 関だけれども、そこの判断のところをだれが決めるかというのもまた議論があったところですけ れども、そこと、流れとしてすべての医療機関に入ってくるんだというような書き方について、 もう少しまとめておくというような形にすることができるのではないかと思うんですけれども、 事務局の方もそれでよろしいですか。 ○感染症対策企画調整官 はい。  繰り返しの説明になるかと思いますけれども、この感染拡大期というものが、確かにこの図だ と非常に長く書いてあるんですが、実際は疫学的リンクが切れる段階と、入院措置による効果が 低下する段階と、ほとんどニアリーイコールだと我々も思っています。  なおかつ、入院措置による効果が低下するという判断は都道府県でしていただくことになって いますので、それはかなり地域によって実情が異なってくるとは思います。リンクが切れても、 直ちに措置を全くしないという判断を、勿論、そういう判断をされる県もあれば、まだまだ、も う少しやろうという判断をされる県も中には出てくると思うんです。そこを意識してこういう感 染拡大期というものを書いてありますので、その辺を御理解いただければいいかなと思うんです。 ○岡部議長 砂川委員、どうぞ。これで最後にします。 ○砂川委員 いろんな議論があるかと思うんですけれども、少なくとも言えることは、先ほどの 正林さんの意見と全く一緒なんですが、要はこの期間は非常に短く経緯することが考えられると いうのをここにばしっと書いておけば、地域によっての対応もいろいろ柔軟にできるというふう なニュアンスも含めて、いいのではないかと思います。  以上です。 ○岡部議長 御意見ありがとうございます。このぐらい極めて難しいところではあると思うんで すけれども、基本的なところは随分、考え方は一致をしてきているようには思うんです。  それでは、書き方の表現を少し、今、意見を言ったような人たちと少し調整をしながら進めて いきたいと思いますけれども、委員の中では考え方に大きなずれはないと思うんですが、いかが ですか。 (「はい」と声あり) ○岡部議長 それでは、そういったような形で進めさせてください。議長一任というような形で はなくて、今、意見を言った人たちと調整を進めていきたいと思います。  全体的で、あと、もう一方ぐらい、もし何かあればお願いいたします。  よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○岡部議長 それでは、一応、今、幾つかの議論のところを踏まえて調整しなくてはいけないと ころ、修正しなくてはいけないところがあると思うんですけれども、それをもって、一応、最終 というふうにしていきたいと思います。勿論、リバイスしたものは委員の先生方に見ていただく ことになります。  それで、先ほども冒頭のところで内田先生からの御質問もあったと思うんですけれども、ここ はこの専門家会議としてコメントをするわけですけれども、これについて基本方針ということで、 今度、厚生労働省の方からもう少し上の段階といいますか、各省あるいは総合会議みたいなとこ ろに持っていっていただいて、国としてどうするんだという次の議論になっていくのではないか と思います。  したがって、例えば農林水産省、環境省、国土交通省、いろいろなところにこの議論をもう一 回していただいて、ここでやった基本方針を踏まえて政府全体の行動計画というふうに結び付け ていただければと思いますので、委員の先生方もそこら辺をウォッチングしておいていただけれ ばと思います。  それでは、次に行きたいと思うんですけれども、次は資料2の方に用意してあるものです。こ れはパンデミックのときの日常生活におけるマスク使用の考え方というところで、非常に日常生 活に密着していると思うんですが、医療とは切り離しての、医療という特殊な場面と、一般の方 が使う部分というところで違いが出てくる。ただ、非常に質問が多かったり、あるいは既にいろ いろキットとかグッズとかという形で準備されているところもあると思いますので、そういうと ころも背景に置きながらつくられたものだと思います。  この資料2の2ページ目に「要約」がありますけれども、1番目は症状のある人がせき・くし ゃみによる飛まつの飛散を防ぐために「不織布製マスク」と書いてありますけれども、これはい わゆるサージカルマスクというふうにお考えになっていいと思うんですが、サージカルマスクと いうものは一つの医療側から見たマスクであるということで、わざわざ言葉を変えてあるという ことですけれども、(サージカルマスク)というような形で読み取っていただければと思います が、これを積極的に着用することが推奨される。これは広がりを防ぐためのマスクである。せき エチケットということになります。  それから、サージカルマスクというものは飛まつ感染の防止に使われるわけですけれども、環 境中のウイルスを含んだ飛まつがある程度は捕捉されているけれども、感染をしていない健康な 人が、このマスクを使うことによってパーフェクトにこれを防げるということはできない。した がって、幾つかの手を組み合わせなくてはいけないんですけれども、そこがせきや発熱等の症状 のある人との近寄りを避ける。これが1〜2mのうちの大きい方を取って2m以内ということ ですけれども、したがって、流行時には人込みの多い場所に行かない、手指の清潔といったよう な感染予防策を優先して実施することが推奨される。  3番目は、こういったようなマスクのほとんどは諸外国で生産されて、輸入されています。し たがって、流行期間に応じたある程度のこういったようなサージカルマスクの備蓄は推奨すると いうことが基本的な考え方として書いてあります。  4ページ目から行きますと、マスクの種類であったり、その効能と今の限界について説明があ り、5ページ目のところでマスクの分類とその性能ということがあります。一般的には、家庭用 マスク、医療用マスク、産業用マスク等々があるわけです。  5ページ目の第2パラグラフから、より高い密閉性が得られるマスクとしては、N95、あるい はDS2と呼ばれるものがあるわけですけれども、これはあくまで医療用や産業用として用いら れるものであって、使用に当たっては、使用方法に関する十分な教育、装着後のフィット、ぴち っと当たっているかどうかということの確認が必要であり、これがうまくできない場合には期待 された効果が得られないので、これらのマスクは、日常生活において使用することは想定されて いないとしている。  その次の1)、あるいは2)というように、マスクの性能について説明がしてあります。  そして、6ページ目からは実際の使用方法。  1つは、感染の拡大防止という意味で、早目に症状のある人に着けてもらう分。これが(1)。  それから、全然そういうような状態でない、健康な人がこれを着けて防ごうというような場合 が(2)になるわけで、このマスクと同時に、距離を空ける。これは後の社会的な問題の方に関 わってくると思うんですけれども、それを、距離を空けるといったようなことも含めた、そのほ かの予防策も必要であるということになります。  (3)の小児でありますけれども、小児はマスクを着けるとかえって呼吸ができなくなるとい ったような危険な面もあるので、この辺は小児に対して、そこの状況に応じてということが一項 書いてあります。  そして、7ページ目以降で取扱い、あるいは廃棄。廃棄もきちんと捨てていただきたいけれど も、この廃棄の部分は、一般に使う場合は一般ごみであるというような考え方ではないかと思い ます。  それから、8ページ目に「5.家庭における備蓄について」。これは一つの目安ですけれども、 先ほど申し上げましたように、これはほとんど諸外国で生産されているということがありますの で、流行前にこれはやはり備蓄しておいた方がいいだろう。  ただ、それにしても幾つかの目安がないといけないということで、流行期間を8週間というふ うにして、いわゆるサージカルマスクをせきエチケット用に使う場合、それから、健康なときの 外出用に使うようなとき、できるだけ外には出ていただかない方がいいというのがあるんですけ れども、やはりやむを得ず出ることはあるでしょうから、その分というふうな考え方で、併せて 一人当たり20〜25枚程度備蓄することが一つの目安として考えられるといったようなことが書 いてあります。  「6.付録」としては、特殊なマスクとしてのDS2とか、N95についての説明。それから、 それをきちっとぴちっと着けられるためには密着性の確認が要るんだというようなことについ て、ここに説明をしてあります。  これも公衆衛生部門のワーキンググループで検討された結論ですけれども、これについてほか の部門も含めて御意見がありましたらお願いします。  森兼先生、お願いします。 ○森兼委員 N95マスクをどういうふうに取り扱うかというところは非常に難しいと思うんで すが、結論として、このガイドラインで国民には勧めないことになっていますので、それでした ら、8ページ目、それから、9ページ目にあるN95の説明は基本的に削除すべきだと思います。 これはたしか、前田先生がメーリングリストで発言されていたかと思います。 ○岡部議長 ごめんなさい、付録部分を削除すべきだということでしょうか。 ○森兼委員 はい。8ページの「6.付録」の(1)、それから、(2)と(3)をすべて削除 すべき。あえて残すとしても、(1)の一番下のパラグラフの特殊な状況。家で看病するような ときに使うことを検討してもいい。これだけは残してもいいかと思いますけれども、ほかは要ら ないと思います。  それに付随して、文献(1)と文献(2)というのはアメリカのパンデミックの一般人が使う マスクの話ですけれども、私が聞いている範囲では、メーカーは消費者連盟の政治的な圧力で、 一般人にもN95を使わせろというような話になっているというふうに聞いていますので、日本 のガイドラインと根本的に方針が合わないと思うので、これも参考にならないので削除した方が いいと思います。  以上です。 ○岡部議長 ほかに御意見をどうぞ。  谷口委員、どうぞ。 ○谷口委員 実は逆の意見で、N95の説明は入れておいた方がいいのではないかと思うのは、 一般の方からN95をどうやったら買えるかという電話がよくあるんです。その際に、N95はこ ういうもので、フィットがこのぐらい難しくて、このぐらいフィットテストをしてという話をす ると、それではいいです。つまり、みんなN95を普通のマスクみたいに思っているんです。要 するに皆さん御存じないから、そんなものではなくて、これぐらいきちっとしないとできないも のですという話はしておいていいのではないかなという気はするんです。  ただ、これは別に必ずしも、この文書ではなくても、ほかのリスクコミュニケーション・チャ ンネルでもいいとは思うんですが、とにかく、N95を国民に使っていただく必要はないという ことを言うのに、その情報を全部抜くのではなくて、それをちゃんと提供した方が納得していた だけるのではないかなと思うんです。 ○岡部議長 大久保先生、どうぞ。 ○大久保委員 2つ意見があります。  1つは、今のN95に関して、もし記載するのであれば、ここに書いてある程度ではなくて、 もっと、マスクの表面にさわらないようにするとか、バルブつきのものもあるから、それは患者 さんには禁忌だとか、その辺のことをきちっと説明しておかないと、ただ性能のいいマスクとい う概念だけでは非常に間違いが生ずると思います。  もう一ついいですか。 ○岡部議長 どうぞ。 ○大久保委員 6ページの真ん中辺りの(2)の下線の部分ですけれども「ある程度の飛沫等は 捕捉される」ということですが、飛沫を5ミクロン以上とCDCの定義に当てはめれば、これは 95%以上ろ過できるものがサージカルマスクですから、ここでは「飛沫及び病原体」と書かない と、飛沫だけ書きますと、これは5ミクロン以上ですので、これはかなり防御できるはずです。 ただ、はめ方が悪くて漏れたりすれば、これは勿論、論外だと思うんですけれども、その辺を検 討いただきたいと思います。 ○岡部議長 ありがとうございました。今の大久保委員の御意見は反映して、きちっと入れてお いた方がいいと思うんです。  それから、8ページの「6.付録」の部分ですけれども、これは感染した者を世話する等、感 染者と濃厚な接触が避けられない場合というものをもう少し前の方に持ってきて強調するよう な形にして、以下の付録を説明として付けて、それで大久保委員がおっしゃったような、これは 非常に一般にすぐに使えるものではないといったようなもの、場合によっては危険性を伴うこと もあるといったようなことも含めて、もう少し、逆に説明を書いておいた方がいいだろうと思う んですけれども、いかがでしょうか。  川名先生、どうぞ。 ○川名委員 今、大久保先生がさらっと言われましたけれども、N95マスクは、マスクのメー カーなどに聞くと、既にいろいろな企業などでも備蓄をしているところもかなりあるということ で、一般の方でN95マスクを使うポテンシャルはかなり高まってきていると私は個人的には思 っております。特にバルブつきのN95マスクは非常に楽であるということで、非常にニーズが 高まっているようなんですけれども、これはメーカーに伺っても、呼気に関しては全くフリーに なってしまいますので、インフルエンザ、もしくはインフルエンザの疑いの患者さんがバルブつ きのN95マスクを着けて会社に出勤するとか、そういったようなことが起こると、これはマス クをしていないのと一緒ですから、むしろ危険なことになり得る。それであればサージカルマス クを着けてもらった方がはるかにいいわけですから、その辺のことは社会に広がりつつあること を認識した上で、やはり、ある程度の説明は必要ではないかという気がいたします。 ○岡部議長 その辺のニュアンスはもう少し含めて書いておいた方がいいだろうということに なると思います。むしろ付録が丁寧になってきますけれどもね。  それから、ここは強調するところがゴチックになった上にアンダーラインまで引いてあるんで すけれども、そこまでやらなくてもいいのではないかと思うんです。決してマスクはパーフェク トではないけれども、やはり必要なもので、医療機関などではきちっと装着することが感染予防 の一つのツールとして使っているわけなので、余りこれも、ゴチックの上にアンダーラインまで 引いてしまうと、こちらの方が独り歩きしてしまうというような危険性も少し心配されるので、 よろしくお願いします。  丸井先生、どうぞ。 ○丸井委員 私も、今のところは感じたところです。それに関連して2つあります。  1つは、不織布製のマスクの取扱方法、7ページの一番上の方ですが、原則使い捨てで、毎日 同じマスクを使わないということは非常に重要なことで、この辺りこそゴチックでアンダーライ ンにした方がよいのではないかと思います。  それから、8ページの「5.家庭における備蓄について」のゴチックのアンダーラインのとこ ろですが「ほとんどは諸外国で生産され、輸入されているため」というものが前提となって、家 庭で準備しておくことが推奨されるというのは少しセンテンスとして誤解を招く、あるいは消費 者行動を考えると非常にパニックを起こしかねないということがありますので、2つのことは別 だと思います。輸入されていることと備蓄を推奨することは別のことなので、これは別のセンテ ンスで書かれて、特に前半はゴチックのアンダーラインにしない方がよいのではないかというこ とを思いましたので、特に使い捨てであることを強調する必要があると思いました。 ○岡部議長 ありがとうございます。  そのほかについてはいかがでしょうか。  森兼委員、どうぞ。 ○森兼委員 今、気がついたんですが、これは読者は一般国民になりますか。もし、そうだとし たら、言葉はかなり難しいかと思うんですけれども、例えば鼻の筋のことを鼻梁というようなこ とを書いて、今日、私はこのことは知らなかったんですが、こういった点です。むしろ事務局に お伺いしたいというところです。 ○岡部議長 その辺は伝わっていくときに、これが全部、簡単な言葉で書いてあるわけではない ので、例えば「捕集効率」とか「ナトリウム結晶」とか、いろんな技術的な言葉が出てきますか ら、それはもう一段階、本当にやさしいパンフレットとか、そういうようなところで考慮してい ただければいいのではないかとは思うんですけれども、できるだけわかりやすい言葉を使うとい うことは配慮しておく必要があると思います。  どうぞ。それでは、全く違う意見ということで、これで最後でお願いします。 ○谷口委員 これは基本的に健康な人に対するマスクのことがメインだと思うんですが、いわゆ るせきエチケットについて、最初の「1.はじめに」のところに「科学的根拠が得られていない」 と書いてあるんですけれども、少なくともせきエチケットについては推奨すべきことですので、 この後に、例えば「しかしながら、かかった人はかかっていない人にうつさないようにするため のせきエチケットというものは極めて重要であるので」というようなことを、今からやっていか ないと、パンデミックになっていきなりはできないので、そういったことを日常的に子どもに教 育していくとか、そういったことは多分、ここの文章の趣旨ではないんですが、これを見ると、 そちらも一緒に余り科学的根拠はないんだみたいになってしまうと困るものですから、せきエチ ケットはエンカレッジするような一文を入れていただきたいと思うんです。 ○岡部議長 それは重要だと思いますので、日常できることとして強調すべきであるということ だと思います。その辺は是非入れてください。  そろそろ、ほかの話題もありますので、これも先ほどと同じように引き続き、もし御意見があ るなら、もう少し時間のある間にコメントを寄せていただければ、今の関連の方々と議論した上 で最終的な結論に持っていきたいと思います。  それでは、資料1、資料2については、一応、今のところ、大まかなところでは御了承いただ いていると思いますので、微細な点、基本に関わるようなところですけれども、そこについても 担当者の話ということで調整していきたいと思います。  今後のワーキンググループでのいろいろな話し合いの進捗状況とか、これからのスケジュール というものがあると思いますので、各部門についての状況を御説明いただきたいと思うんですけ れども、この会議は今日で終わりではなくて、また11月ぐらいに親会議として開催されること は予定されていますので、それでは、調整官の方からよろしくお願いします。 ○感染症対策企画調整官 前回の親会議以降、今日に至るまで、それぞれのワーキンググループ で大体1回から2回、あるいはそれ以上、お集まりいただいて、いろいろ御議論をいただきまし た。各部門について、ざっと私の方から説明させていただいて、部門長の方から補足をしていた だけたらと思います。  まず、サーベイランス部門について、サーベイランスシステム改善の課題について、いろいろ 御議論をいただきました。特に冒頭の基本方針について御議論いただいて、段階・分類変更の際 の基準とか、段階・分類変更に伴う各サーベイランスシステムの切替えといったことについて御 議論をいただきました。  それから、サーベイランスシステム改善の課題について、今、9つのサーベイランスがガイド ラインで示されていますけれども、早期探知や発生状況の把握、それから、目的別の整理を行っ ていくこと。更に、短期のプラン、長期のプランに分けて、優先順位を付けながら改善していく というようなことが提案されました。  こうしたことを踏まえて、今、ガイドラインの改定も含めて、今後も整理・検討していただく 予定になっています。  公衆衛生部門です。先ほど御議論いただいた基本方針を中心に御議論いただきました。  そのほか、早期対応戦略ガイドライン、検疫ガイドライン、停留ガイドライン、積極的疫学調 査のガイドライン、学校休業に対する考え方、新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマ スクの使用。それから、国、都道府県、市町村の役割分担といったことについて御検討をいただ きました。  検疫のガイドラインについては、集約の空港・海港の実務担当者の意見も反映させた改定案全 文について、今、御検討をいただいております。特に、例えば1回目のPCRの検査が陰性であ った場合、その患者と濃厚接触者はどのように扱うかといったようなことについても御議論いた だいております。  停留ガイドライン。法改正を踏まえて、濃厚接触者については停留措置が可能となりましたが、 宿泊施設等で停留の具体的なガイドラインを示す必要がありますということで、今、ガイドライ ンの素案について御検討をいただいております。  早期対応戦略ガイドライン。かねてから、国と都道府県と市町村のそれぞれの役割を簡単に書 いてあるんですけれども、まだ地方自治体からは、自分たちが何をしたらいいのかよくわからな いという御指摘をいただいていますので、もう少し、国が何をやり、都道府県が何をやり、市町 村が何をやりというような役割の明確化を図るべく、今、このガイドラインについてもいろいろ 御検討をいただいております。  積極的疫学調査ガイドライン。従来、フェーズ3のガイドラインと、フェーズ4以降のガイド ラインと2つありましたが、これも地方自治体からは、大体、書いてあることはほとんど同じで、 2つもあると非常に面倒くさい、一本化できないかという御指摘をいただいていますので、今、 この2つのガイドラインを一本化すべく、いろいろ御検討をいただいております。  事業者ガイドライン。これは先般の専門家会議で大体とりまとめていただきましたので、パ ブ・コメにかけたところです。多数、御意見をいただいておりますが、今、いただいている意見 を整理しているところであります。  国と都道府県、市町村の役割分担。先ほど、早期対応戦略ガイドラインについてもいろいろ御 議論をいただいていますが、そもそも、今回、全部で13本あるガイドライン、今、ほかにもつ くりつつありますけれども、全体的について、国と都道府県と市町村の役割分担をもう少し明確 にしてほしいという地方自治体の御意見をいただいていますので、今までいろいろガイドライン を書いてあることを、そういった実施主体別に、今、役割分担をもう少し明確にしようというこ とで作業をしているところであります。  ワクチン及び抗インフルエンザウイルス薬部門。これについては、行動計画の改定とか、それ から、今、臨床研究を行っていただいていますので、そういったことを踏まえて、将来的に適宜 改定する方向でというふうにしております。  ワーキンググループでは、今、さまざまなワクチンあるいは抗インフルエンザウイルス薬につ いて、いろんな薬の開発の状況とか、そういった情報が入ってきていますので、それについてワ ーキンググループでいろいろ御意見をいただいたりしております。  医療部門。診断検査の対応のガイドライン。今、医療機関内でのどのように検体を搬送するか とかといったガイドラインは13本の一つでございますけれども、発生時にもっと全体的に検査 についてどのように対応するのか。そういったことについて、一つ、1回まとめておく必要があ るだろうということで、そのための作業班を設けて、鋭意、そういったことを行うガイドライン についても、今、作業に着手したところであります。  医療部門で一番熱心に御検討いただいているのは発熱外来についてで、この発熱外来で、場合 によってはそこを介して感染が拡大する可能性もありますので、いかにして発熱外来で感染を拡 大しないのか。そこで感染を受けないようにするか。そのためにはどういう発熱外来の形態なり があるかというようなことを、今、御検討いただいております。  それから、病床の確保についても、都道府県によってはまだ十分に病床の確保が進んでいない 県がございます。そういったところについて、今後、どのように病床の確保を進めていくのか。 これについても、今、ワーキンググループでいろいろ御検討いただいております。  情報提供・共有部門についてでありますけれども、先ほど御議論いただいた基本方針について もいろいろ御議論をいただきました。  それから、新型インフルエンザの対策というものは、段階が進めば進むほど、一般の国民が自 分の責任で、自分でやらなければいけないことが増えていくと思いますが、そういった国内での 感染が進めば進むほど、ややもすると、対策が手薄になっていくような印象を与えかねない、誤 解を与えかねないということもありますので、その辺についてどのように一般国民に対してメッ セージを伝えていくのか。特に、コアメッセージの開発といったことについていろいろ御検討を いただいております。  私の方からは、とりあえず以上であります。もし補足がありましたら、部門長の方からお願い をいたします。 ○岡部議長 ありがとうございました。それでは、それぞれの部門長の方から補足あるいはその ほかの説明があったらお願いします。  最初に、サーベイランス部門は谷口委員、お願いします。 ○谷口委員 先ほどの議論でも、患者数が増えてくると医療機関に来ない患者さんは自宅待機と いうふうなことも想定しておりますので、そうしますと、どのぐらい患者が出ているかというの は少なくとも通常の医療機関でのサーベイランスではとらえられないことになりますので、例え ばOTCとか、処方せん、あるいはそれ以外の電子データを使ったようなものも準備をしておか ないと、いざというときに、今、患者がどのぐらいなのか全くわからないという状況になります ので、そちらの方でも、今、検討をしているところです。  以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。  公衆衛生の方は先ほど御説明しているので、主なところは話してありますが、ワクチン・抗ウ イルスといったようなところでは、田代先生が今日はお休みなので、庵原先生、いいですか。お 願いします。 ○庵原委員 先ほどの正林さんからの報告のとおりで、今、進んでいます研究班のデータを見て、 今後、どういうような対策を取るかということを決めていきたいと考えています。  それから、抗インフルエンザ薬に関しましては、最近、新しいものが幾つか出かかっていると いう情報を得ておりますので、開発の進み具合によって今後検討していく必要があるだろうと思 います。  以上です。 ○岡部議長 医療部門は、川名先生、お願いします。 ○川名委員 いろいろありますけれども、発熱外来の件に絞ってお話しさせていただきたいと思 います。  発熱外来というものを前回のガイドラインで提案させていただいていますけれども、これは本 来、パンデミック期に一般の患者さんと新型インフルエンザの患者さんが病院に殺到して、院内 感染が起こる可能性がある。何とか、それの交通整理をしなくてはいけないということで提案し たものなわけですけれども、イメージ的に、例えば公民館とかテントでやらなくてはいけないと か、あるいは新型インフルエンザになったら発熱外来を受診しましょうといったようなイメージ が先行してしまっていて、いろいろ誤解が発生していると思うんですけれども、発熱外来という ものはあくまでも患者さん、感染者の交通整理をする機関であるというところに立ち返って、ど ういう効率のよい運用ができるかということを考えてみたいと思います。  現在、医療機関を受診するよりも、むしろ自宅待機の方が感染拡大を抑えるという意味では効 率がいいということが一般的に言われているのは十分承知しておりますので、それをできるだけ 支えるような医療体制ということで、例えばタミフルの事前処方の問題とか、あるいは自宅で療 養している患者さんにいかにして遠隔医療を行うかといったようなことについても、現在、検討 しております。 ○岡部議長 ありがとうございました。  それでは、情報提供というところの丸井先生、お願いします。 ○丸井委員 先ほど概略を説明していただきましたけれども、情報提供・共有というものはいわ ゆるリスクコミュニケーションということで、これはこういったところでの決定・判断を国民に 知らせて納得してもらうためのものではないです。それは単なる情報操作になってしまうわけで すが、そうでなくて、やはりあらかじめきちんと説明をして、納得してもらって、そして、それ で一緒に行動してもらう必要があるということで、非常に大事なことは、ここで何を決めるか、 どのようにするかということの言わば内容そのもの。それも非常に大事ですけれども、それを、 受け手がだれなのか。実際に行動するのはだれか。その情報を受け取るのはだれか。先ほど、国 民なのか、専門家あてなのかというようなことがありましたけれども、そういった受け手が一体 だれなのか。その受け手がどのように我々が出すメッセージを受け取るのかということをきちん と把握しておく、あるいはあらかじめ承知しておく必要があるということで、我々の部門は単に 結果を、言わばそれぞれの部門の専門家の委員が決めたことをどう流すかというだけでなくて、 むしろ情報あるいは決定の内容そのものがだれに向けて、その人たちが、受け止め手がどういう ふうに受け止めるかということをあらかじめ、言わば承知していただくという役割も持っている と考えております。  そういうわけで、改めて、だれに向けてのメッセージで、どのような行動を期待しているのか。 それが実際、どれだけ現実に実現可能なのかということを我々の部門は少し、この専門家会議の 中、そして、いわゆる地域の専門家の役割の重要性というようなところももう一度考え直してい く。それがある意味では、先ほど調整官からお話がありました、コアメッセージとしてどういう ふうに伝えられるか。そのための一つのツールとして、先ほどの基本方針というものも考えてい きたいと思って、まだ、これからそういう形で議論していきたいと思っています。 ○岡部議長 ありがとうございます。  幾つかのワーキンググループが走っていて、その中でもかなりたくさんのことが話し合われて いるんですけれども、今の中でそれぞれのところ、自分と違うところの部門の動き等々でもし御 意見がありましたら、どうぞ、お願いします。  内田(健)先生、どうぞ。 ○内田(健)委員 今、お話を聞いていて気になったんですけれども、都道府県でそれぞれ計画 を立ててきている、会議を持っていると思うんですが、そこへのこの専門家会議の方からのメッ セージと、逆に都道府県での取組みの進捗状況というものについて、どのように把握されている のかということを、もし情報があればお願いします。 ○岡部議長 調整官、どうぞ。 ○感染症対策企画調整官 少なくとも、各47都道府県、すべての県で新型インフルエンザの行 動計画は既に策定はされています。専門家会議で13本のガイドラインを昨年つくっていただき ましたが、今は各都道府県、それを踏まえていろいろ、行動計画そのものの見直しとか、あるい は行動計画を更に詳細に書いたガイドライン、マニュアルといったものを、今、まさに、現在進 行形でつくりつつあるというような状況かと思います。 ○内田(健)委員 やはり、この専門家会議での議論の進行状況を逐次情報提供していった方が いいのではないかという印象を持っているんです。 ○感染症対策企画調整官 それは今までもやってきていますし、今後もきちんと、この会議の様 子は各都道府県・地方自治体には伝えていきたいと思っています。 ○岡部議長 ほかに御意見はございますか。  森兼先生、どうぞ。 ○森兼委員 今日、参考資料として配られている新型インフルエンザワクチン接種の進め方につ いては。 ○岡部議長 それは後でやります。これが終わってから、事務局の方から説明があります。 ○森兼委員 済みません。 ○岡部議長 山口先生、どうぞ。 ○山口委員 発生段階の基準(案)の図のところで、都道府県単位等における判断というところ がまん延期に入るところと終わるところで2つありますので、これは当然、都道府県等で判断し ていくことになりますが、それぞれの県等で実情は違うんですけれども、判断するためのある程 度のツールが必要だと思います。判断には、細かい所など国と協力して検討してゆかねばならな いですが、県等自体で検討して判断できる基準等が明確化されていくことも大事ではないかと私 は思っています。 ○岡部議長 手を挙げられたのは内田(幸)先生でしたか。 ○内田(幸)委員 都道府県の話が出ていたので再確認なんですけれども、要するにいろんな基 本方針などでも政令市という言葉が出てきたり、消えていたりするんですが、一括、都道府県単 位ですべていろいろ、いわゆる現場の対策本部をつくる格好に持っていこうとしているのか、政 令市は政令市でまた独立してという格好なのか。その辺はどうなっているんでしょうか。 ○感染症対策企画調整官 少なくとも、もう地方自治の時代ですので、一括してということは余 りないんですが、まさにその自治体の実情でいろんな対応が取られています。特に政令指定都市 のようなところは、ほとんど都道府県とイコールの権限なり義務を持っていますので、この新型 インフルエンザ対策についても、政令指定都市などはかなり熱心に、自ら行動計画を立てている ところもございます。  実は、先ほど来、国と都道府県と市町村の役割が十分に明確になっていないということ等を申 し上げていますけれども、特に都道府県と政令市・特別区との間とか、その辺が確かに、従来も ややあいまいな書きぶりだったので、今、現場でその辺をもう少し整理できないかということは 御指摘をいただいております。 ○岡部議長 よろしいですか。そのほかにもどうぞ。  藤井先生、どうぞ。 ○藤井委員 基本計画と別に、さらに詳細な計画等が都道府県等で現在検討されていると思いま すが、例えば、非常にマイナーなことで恐縮ですが、成田空港検疫所が集約港に指定をされてい て、そこの成田空港検疫所の所在する千葉県とは連携を取っていかなければならない部分が多く あると思います。例えば検疫の現場で隔離措置をする医療機関を契約するときに、どうしても千 葉県内の医療機関が中心になりますが、千葉県側としては自分のところで発生をした患者さんの ための医療機関を確保するのは当然だと思いますから、そこはお互いに競合関係をするのではな くて、協調関係でやっていきたいということで検疫所の現場では臨んでいますが、そういう趣旨 も含めて、都道府県で細かい計画を策定する際には、検疫所とも十分に連携をとるようにという ことを何らかの機会に本省の方から都道府県等に情報提供等をしていただければありがたいと 思います。 ○岡部議長 ありがとうございます。  それでは、そろそろ時間にもなってきていますので、最後は森兼委員からも質問が出そうにな った「新型インフルエンザワクチン接種の進め方について(第1次案)<概要>」、関係省庁対 策会議で出された資料1ということで、調整官の方から説明をお願いします。 ○感染症対策企画調整官 13本のガイドラインの一つ、ワクチンのガイドラインの中でも社会 機能維持者について、こういった方々が社会機能維持者ということは御提言をいただいておりま した。その後、あのガイドラインを受けて、政府部内において関係省庁対策会議で、このワクチ ンの接種を具体的にどう進めていったらいいかについて、かなり長期間、議論をしてきたところ です。  お配りしているものは、内容は御説明いたしませんが、こういった一つの第1次案としてまと めをさせていただいて、社会機能維持者というものは具体的にはこういう方々で、特に社会機能 維持者についてもこんな順番で考えていったらいいとか、そういったことをざっとまとめてあり ます。  先週、この対策会議が開かれて、とりあえず、1次案としてはこんなものでいいだろうという ふうにまとまりましたので、今後、これをパブリック・コメントにかける予定になっております。  とりあえず、以上です。 ○岡部議長 これに関わる人の人口といいますか、それぞれ、部門別でそういうようなものの数 字も出てくるんですか。 ○感染症対策企画調整官 はい。さきにおまとめいただいたガイドラインの中でも、ちゃんと調 査をしてということが指摘されていましたので、今後、これがある程度まとまった段階で調査を する必要はあるかなと思います。その調査結果が出れば、ある程度、大体、どの職種は何人とい うものは出てくるかなと思います。 ○岡部議長 ありがとうございました。  森兼委員、今の説明で先ほどの関連で何か質問があればお願いします。 ○森兼委員 私がお伺いしたかったのは、ワクチン・抗ウイルス薬部門の委員の方々がこの関係 省庁会議のディスカッションに加わっておられたのか、あるいはそういった議論の内容が逐次フ ィードバックされていたのかということだったんですが、恐らく全く別だったということですね。 ○岡部議長 どうぞ。 ○健康対策調整官 この検討は政府部内で行われまして、各省庁さんと協議をして進めました。 いただきましたガイドラインを基に、国会等からこういうことをやるべしということで進めてま いりまして、内閣官房で進めました。したがいまして、その時点では逐次、専門家会議のワーキ ンググループの皆様に御連絡ということはしておりませんが、むしろ、今回、政府としての第1 次案を公表したということで御意見を賜ればと思います。 ○岡部議長 河岡先生、どうぞ。 ○河岡委員 今のに関連してなんですけれども、これでパブ・コメをするということだったんで すけれども、これはワクチン・抗ウイルス薬の方では、具体的には、議論したところもあります けれども、議論していないところもあるわけですね。それでパブ・コメというのはどうなのかと 思ったんです。 ○岡部議長 事務局の方ではいかがですか。  一応、私もこれは突然新聞に出てびっくりした方の一人ではあるんですけれども、確かに、こ の会議では幾つかの提言をして、詳細な部分については検討をすべしであるということで投げか けたことを具体的に政府の方で考えているんだというような意味では納得ができるんですけれ ども、これは最終案がまとまるまでにワクチン部門や何かでもやはり議論はしてもらった方がい いと思うんです。 ○河岡委員 特にプレパンデミックワクチンをするか、しないかというのは一般国民の中で大き な議論になっているわけで、我々の部門で議論をせずにパブ・コメに行くのは少し早いのではな いかと思ったんです。 ○岡部議長 プランといいますか、この後の時間的な予定はどういうふうに考えられていますか。  どうぞ、お願いします。 ○健康対策調整官 まず河岡先生のお話ですが、もう一度確認いたしますと、こういった資料を つくることにつきましては、国会の方からつくって、そして、国民的な議論をしてくれというこ とでございました。したがいまして、内閣官房を中心にやりましたけれども、こういう形式を取 っているというふうに理解をしております。  今後の進め方なんですが、まず、これはかなり国民的な議論を喚起して、その議論を巻き起こ してやっていくべきだということが、申し上げましたように、ずっと国会でも言われております ので、早急に進めるというよりは、まずは政府としての1次案を出したというのが今回の感じで ございます。  したがいまして、進め方につきましては、今後、どうやっていくかというのを、まずパブリッ ク・コメントに付すということは、基本的には国会から言われていることですので必要だと思っ ておりますが、その後、どうやってとりまとめていくかについてはよく考えていきたいと思いま す。  基本的に、来年度に事前の接種ということをもししていくということであれば、それなりに、 今年度にはある程度、決めなければいけないということ。そういうスケジュール感はあるという ことでございます。 ○岡部議長 そうすると、専門家会議でも原則論を出しておいて、これについては専門家だけで 決められることではないのだから、一般の人を含めて広い議論が必要だという結論は今まで出し ていたと思うんです。ですから、それで一つのところで動いているんですけれども、やはり専門 家としての意見というものもこの中に当然反映されていかなくてはいけないので、時間的にはま だ少しあるようですので、パブリック・コメントは勿論、やり方として取っていただくと同時に、 ワーキンググループの方、特にワクチン部門の方でも、まだ何回か、次の本会議まで予定されて いると思うので、その中の議題には上せておいていただきたいと思うんです。  河岡先生、どうぞ。 ○河岡委員 今、少しひっかかったんですけれども、来年度接種するのであればという接種あり きというのはまずいと思うんです。やはり十分に議論をして、それで接種するかどうかを決める べきであって、そこはやはり考え方としてはあれで。 ○岡部議長 私がこの会議で言ったのはプライオリティーに関して言っているので、接種を本当 にするか、しないかということは、そこではなくて、かなり専門的な見地からも言わなければい けないというのがありますので、やはり全員に接種することありきではない。それについてはま だ議論が専門的にもきちっと熟していない部分ですし、それから、臨床研究の結果も尊重しなく てはいけないので、先の部分についての完全な結論は出ないということだと思うんです。  河岡先生、それでよろしいですか。 ○河岡委員 はい。 ○岡部議長 谷口先生、どうぞ。 ○谷口委員 そうしますと、今の理解では、これは省庁が行政的に原案をつくりました。それは 国民で議論をして、ここの専門家会議でも議論をして意見を出していけばいいということだと理 解しましたが、それでよろしいかというのが1点です。  あと、国民的議論という言葉が何度も出てまいりますが、一般的にはこれはコンセンサスミー ティング、あるいはアメリカではいろんな地域で人々を招いて、500人、数千人でやっています が、そういったものを国民的議論というのであって、パブリック・コメントというものは国民的 議論には当たらないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○岡部議長 事務局、お願いします。 ○健康対策調整官 まず1点目につきましては、そういう理解でよろしいかと思います。今後、 よく御相談させていただきたいと思います。  それから、国民的議論につきましては、確かに私ども、パブリック・コメントだけではないと 思っています。まず、実は関係省庁さんでそれぞれ業界団体さんというものを持っておりまして、 それぞれの省庁は、実はそれぞれの団体さんと、この案を持って、今後、オープンな場で議論を していくということが想定されております。厚生労働省といたしましても、当然、そのような何 らかのオープンの場というものは必要ではないかということで考えているところでございます。 ○岡部議長 よろしいでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。いろいろ議論をいただいて、提案に対する修正の 部分とか、御意見とか、あるいは建設的な御意見があったと思います。それから、ワクチン接種 の最後のところについても、今度は逆に専門家会議のワーキンググループの中でも検討されると いうことですので、全体としてはそういったような形で進めたいと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、次回、11月に親会議が開かれるまでにワーキン ググループというものが、これは相当、活発にいろんな意見を言いますので、これはクローズド ですけれども、委員はそれぞれの会議にいつでも出席できるという形を取っていますので、もし 必要な部分、あるいは御意見のあるところは、そこのワーキンググループでも発言あるいは提言 を是非お願いいたします。幾つかの予定は既に行っていると思います。  それでは、一応、これで今日の部分は終わりにして、事務局の方からお伝えすることがありま したら、よろしくお願いします。 ○感染症対策企画調整官 特にありませんが、次回は11月を予定しております。詳細について は、また別途、御連絡はしたいと思います。 ○岡部議長 それでは、以上で終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課特定感染症係(内線2379,2386)