08/09/18 第53回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第53回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年9月18日(木)午前9時00分から午後0時15分 まで   ホテルフロラシオン青山1階「ふじ」 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大森、沖藤、小島、勝田、川合、神 田(代理:長屋参考人)、木村、久保田(代理:今井参考人)、齊藤、武久、 田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬、中田、三上、村川の各委員 3 議題 <審議事項> 1.事業者等団体ヒアリング 2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻になったので「第53回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させて いただく。  初めに、社会保障審議会令第2条に基づき、新たな委員の任命があり、稲葉委員が新し い委員となられたので、御報告を申し上げる。  次に、武久委員が会長をされておられる日本療養病床協会の名称が日本慢性期医療協会 と変更されたので、御報告をする。  次に、本日の委員の御出欠の状況であるが、大島分科会長代理、矢田委員、山本委員が 御欠席との御連絡をいただいている。  なお、本日は、神田委員に代わり長屋参考人、久保田委員に代わり今井参考人が出席さ れている。  村川委員はちょっと遅れられるとのことである。  したがって、定足数である過半数に達しているので、分科会として成立することを御報 告させていただく。  また、前回開催した7月以降、事務局に人事異動があった。介護保険課長の吉野である が、ちょっと遅れているので、また後でごあいさつ申し上げる。  それでは、大森先生、以降、よろしくお願いする。 (大森分科会長)  これから来年度の改定に向かい集中検討に入るので、よろしくお願いしたいと思う。  今、御紹介あったように、稲葉委員が加わっていただいたので、最初にごあいさつをお 願いする。 (稲葉委員)  本日から御一緒させていただくことになった。日ごろは静岡県は伊豆半島の方で民間の 在宅介護事業を営んでいる有限会社伊豆介護センター代表の稲葉と申します。在宅介護の 現場で今、どういったことが起きているのかということを正確にお伝えすることにより、 この会にできるだけ貢献してまいりたいと考えている。何とぞ御指導のほど、よろしくお 願いする。 (大森分科会長)  よろしくお願いする。  それでは、資料について紹介願う。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料の確認をさせていただく。  議事次第、座席表、名簿があり、その後、資料1が「介護給付費分科会における今後の 検討の進め方について(案)」という2枚紙である。  それから、資料2は1〜5まであり、ヒアリングに陳述していただく方の参考資料にな っている。  資料2−1が東京都福祉保健局の狩野高齢社会対策部長の資料である。  資料2−2が高知県の中山間地域に関係する資料である。  資料2−3は日本リハビリテーション病院・施設協会の浜村先生の資料である。  資料2−4が日本福祉用具・生活支援用具協会の資料である。  資料2−5が日本福祉用具供給協会の資料である。  最後に、説明は省こうと思うが、「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」で、こ れは前回の給付費分科会で御議論いただいた中の研究会について、1日違いでこの報告書 が間に合わなかったので、参考として付けさせていただく。  以上である。もし落丁、不足等があれば、お申し出いただければと思う。 (大森分科会長)  よろしいか。  それでは、議事に沿いまして進めるが、最初に、平成21年4月に介護報酬改定があるの で、それに向けて、本分科会が今後どういうふうに検討を進めるかということについて、 まず事務局から説明していただき、若干意見の交換をしたいと思う。それでは、よろしく お願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料1について説明 (大森分科会長)  スケジュールを中心にした説明で、大体こんな運び方になるものと思っているが、何か お気づきの点があるか。どうぞ。 (勝田委員)  これから集中的に審議をするわけだが、事務局が大変なことはよくわかるが、せっかく の委員会なので、やはり資料を読み込んで参加したいと思う。是非1週間前には手元に資 料が届くようにお願いしたい。今回のように、勿論、ヒアリングのことだが、ここに来て どんと積まれても、やはりなかなか理解しにくいこともあるので、大変だが、よろしくお 願いしたいと思う。 (大森分科会長)  これは事務方の準備具合によるが、どうぞ。 (鈴木老人保健課長)  前回までも勝田委員から御指摘あったが、我々の方としても、なるべく早く資料を整理 して、また御説明も併せてさせていただいて、先生方に十分に準備をしていただいた上で 御議論をしていただけるように努力はしたいと思っている。 (大森分科会長)  よろしいか。 (勝田委員)  はい。 (大森分科会長)  ほかにあるか。  私から数点にわたって、あらかじめ確認させていただきたいと思う。全体のことについ て、どういうふうなスタンスでやるかということが重要でございまして、個別問題につい ては皆さん方の御意見が出ると思うが、幾つか気になる点があるので、私から事務方に、 現時点でどう考えているかということをお聞きいたしておきたいと思う。  前回の平成18年の改定のときもそうであったが、21年の改定に際して、どんな基本的 な考え、理念に基づいて検討するかということは非常に重要であるし、最近の介護サービ スの実情、状況を踏まえて、改定率をどの程度まで、どういうふうに想定するかというこ とも非常に大事なので、これについて、現時点でお答えできる範囲で答えていただきたい と思う。それが1つである。  2番目に、繰り返し言われていることだが、今日のスケジュールでいくと、最終的な答 申・諮問が1月下旬ということになると、再び市町村が大わらわになり、準備に手間がか かることは承知の上だが、市町村の方から、一刻も早くここの諮問・答申を出して準備に 入りたいと言っているので、できるだけ早く私としても、ここで結論を見たいと思うので、 そういう段取りについて、少しでも早められるかどうかということである。私の希望は、 正月明けには全部答申・諮問してしまいたいなと思っているぐらいだが、そういうことは 可能かということを伺っておきたいと思う。  それから、皆さん方もお気づきですけれども、9月5日に総務省から介護保険事業に関 する行政評価観察結果についての勧告が出ており、これについても、私どもの議論と関係 があるので、この勧告に対して、現在のところ、どういうふうに対応を考えているかとい うことについて。  まず、この3点について、簡単で結構なので、事務方から答えてほしい。 (宮島老健局長)  第1点については私の方からお答えさせていただきたい。  介護報酬改定の基本的な考え方、理念ということだが、これは介護保険法の中で、介護 保険は、要介護者について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した 日常生活を営むことができるようにということで、この制度を設けたということ。  それから、介護保険の定義の中では、保険給付は、多様な事業者、または施設から総合 的かつ効率的に提供されるよう配慮して行わなければならない。また、その保険給付の内 容及び水準は、要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、そ の有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならな いというふうになっている。  今の介護保険の状態がどうかということをこれに照らして見ると、今、介護労働力の確 保の問題、あるいは地域差の問題、事業所別によっては、経営の問題等々抱えているとい うような状況の中で、介護保険の目的、あるいは理念に照らしてどうかということになる と、今後の超高齢化社会に向けて、今回の改定というのは非常に大事な時期を迎えている という認識をしている。  ずばり改定率ということで大森会長の方から御質問があったが、財政当局に対しては、 今の介護保険を取り巻く実情について、説明もしている。そして、今回は、これまでとは 違ったプラスの改定の方向でお願いしたいということで折衝をしている。ただ、これは年 末の話なので、私どもは今後ともこの委員会での御意見をいただきながら、そういう形で の対応をしてまいりたいと思っているところである。 (鈴木老人保健課長)  それでは、2点目、3点目の件について、私の方からお答えしたいと思う。  まず、市町村の方から見ても、なるべく早く諮問・答申をしてほしいという意見である が、先ほどちょっと御説明申し上げたように、改定率自身が12月末の政府予算の決定と同 時にされるということなので、これが1つのターニングポイントになるので、これより前 にというのはなかなか難しいと思う。  ただし、先ほどちょっと説明をさせていただいたような議論の進展が12月の前までにあ る程度こなせているということであれば、年末年始の調整等の具合にもよるが、1月下旬 を可能なかぎり早くするということは、できる可能性はあるのではないかと思う。  また、なるべく市町村、もしくは県の方に御迷惑をかけないように、具体的な諮問・答 申事項は勿論であるが、例えば、直接関係するような、もし再検討するんであれば、地域 の係数であるとか、そういう関係するところについてはなるべく早目に結論を出すという ことも考えられるのではないかと思う。  3点目であるが、御指摘のあったように、総務省から9月5日に厚生労働大臣に対して 勧告があった。中身は、特にヘルパーさんの離職、それから未就業等について、原因を深 く検証すべきではないかということと、従事者の賃金をもう少し多面的に見るべきではな いかということである。これについて我々も、まさにそのとおりだと思っており、10月に 報告する経営実態の詳細調査の中でも、各サービスの各職種の平均給与をきちっと出すこ ととしている。  それから、現在、概算要求として、21年度新規の事業としてお願いをしているが、ある 事業所について、例えば、改定があった前後で、同じ人の給与がどう変わっていくのかと いうこともきちっと見られるような検証も併せてしていきたいということで、これについ ては厚生労働省としても真摯に受け止めたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  今の事柄について、どうぞ。 (木村委員)  介護報酬を上げてもらうのは、本当に上げてもらわなければ困るが、大事なことは、報 酬を上げるイコール保険料を上げる方向にどんどんいくわけである。この春の後期高齢者 医療制度の問題にしても、ふたを開けて、これだけ年金天引きの額が上がるということで、 マスコミがものすごく騒いで、だめな制度だと、そういう方向に行くわけである。  よって、今、プラス改定の方向でということは、是非それでお願いしたいが、今の仕組 みからいけば、65歳以上の方々の保険料が同時に上がると思う。それが上がらない方法で やれるのであれば、その工夫もしていただきたいし、もし本当に上がるという方向であれ ば、今から国民に対してメッセージをきっちり出していかないと、また大混乱で、介護事 業者の報酬が上がったという評価はあったとしても、利用する被保険者の方々、またはサ ービスを利用しない、保険料だけ払っている方々がどう考えるか。きっちりしたメッセー ジをここから出しながらやっていかなければいけないと思うので、国民側の負担というと ころもきっちり言って議論していくべきではないかと思うので、よろしくお願いする。 (大森分科会長)  今の点は、当然、保険者の市町村の方は非常に気になる点であり、実は、そのことと市 町村の介護保険の特別会計、財政状況がどうなっているかということとも関係があり、こ の点、池田委員から説明願う。 (池田委員)  第3期事業計画の中間地点は去年の10月。この10月の時点で給付と保険料がぴったり 合えば計画通りということになる。全国ベースで見ると、給付総額の19%が高齢者の負担 になり、それを高齢者数で割り落とせば必要保険料は試算できる。そうすると、実は8% ぐらい黒字である。現在の介護保険の財政は、全体として見れば、かなり安定して黒字基 調に入っている。  もう一つ、私は地域ケア政策ネットワークというところで研究主幹をしているが、各自 治体の御協力を得て、調整交付金率を教えていただき、9割の市町村について試算をして みた。そうすると、10%以上黒字幅があるというのが半分近くあり、非常に安定している。  ただ、第1号被保険者の負担割合は今、19%だが、これは人口構成によって変わるので、 第4期は20%になる。とすると、19%が20%に上がるから、第1号保険料は大体5%増え るということになる。それと相殺すると、現状のままでいくと、うまくいけば、保険料を 上げなくて済むという自治体がかなり出てくるだろうということがあり、その辺を片方で 見ながら、介護報酬の改定率は考えられるのではないかなと思う。  なぜこんなに安定的になったかというと、前の介護報酬の改定がぎりぎりだったものだ から、結局、それを織り込むことができなかった。そうすると、施設のホテルコストが、 これは結構大きいから、それが反映していると考えられる。最近の流れを見ると、一番大 きいのは療養病床である。療養病床は今、一般病棟に転換しつつあるということがあって、 給付がどんどん減っている。老人保健施設に転換するかというと、まだその傾向は余り現 れていないので、どちらかというと、療養病床の多い地域が財政が安定化してきている、 そういう傾向に立っているということである。  関連して言うと、これは厚生労働省は言いにくいだろうと思うので私の方から言ってし まうが、介護報酬改定には、例の2,200億円の抑制が大きな影響を与えることになる。介 護保険というのは25%が国庫負担である。25%の国庫負担を増やすことができないという ことは、給付そのものを増やすことができないということになってしまう。お分かりいた だけると思うが、そこで抑制がかかってしまうのは非常に危険である。  だから、そこのところをどうやってうまく膨らませていくかということと、現在の介護 保険財政がかなり安定的なので、その剰余を引き継ぐような形でどう配分するか。純粋に 国庫負担25%、2,200億円の関係でこれは増やせませんと言った途端、給付は増やせなく なる。給付が増やせなくなるということは、介護報酬は上げられないということになる。 上げるとすれば、ゼロサムになって、どこかを上げて、どこかを下げるしかないというこ とになる。  そこのところがこれから、思いとは違って、財政的状況の中で、片方で見ておかなけれ ばいけない事情ではないか。できれば厚生労働省の方も、各自治体の状況を少し分析した ものを御報告いただければ、私の議論よりはもっと信頼いただける議論だと思う。それも お願いしたい。 (大森分科会長)  今日でなくて結構なので、どこかで市町村レベルの財政状況について資料をお願いする。 (宮島老健局長)  市町村で今、第4期の事業計画を見積もって、保険料について作業をしているという状 況なので、ある程度見通しついた段階でお話しできたらと思う。池田委員のおっしゃって いるようなことについて、市町村の御理解が得られればということを私どもも期待してい る。  それから、2,200億円の話だが、これは若干例年と違うのは、2,200億については別途の 財源措置が講じられた場合には、必ずしも2,200億を削減しなくてもいいというような条 項が今年の夏のシーリングでは入っている。具体的には、例えば、たばこ税の財源などが 入ってきた場合どうなるのかということがシーリング上も入っているので、そこは例年と 違うと私どもも思っている。 (大森分科会長)  小島委員、お手が挙がった。この後、ヒアリングがあるので、今日、これをここで議論 するということではなく、今後、全体としてどのように考えるかということである。 (小島委員)  分科会長が幾つか冒頭に話されたことに関連して、介護報酬の改定率の問題について、 気になる大臣発言があった。前回の通常国会厚生労働委員会で舛添厚生労働大臣は、この 間の2回の介護報酬改定のマイナス改定は介護給付費分科会において専門家の先生方が様 々なデータにもとづき引き下げの方向を打ち出したことによるものと答弁された。  ということは、この介護給付分科会がマイナス改定を決めたという認識で大臣は答弁さ れているのであるが、それはちょっと違うのではないか。先ほど課長が言ったように、最 終的には年末の政府の予算編成の中で、プラスにするか、マイナスにするかということか ら出てきている。それを踏まえて介護給付費分科会は、点数配分をどうするかというよう な役割だろうと思っているが、この前の大臣の発言を聞いていると、専門的に審議会等で 議論いただいて、それに基づいてマイナス改定を行ったという趣旨の発言をしているので、 それは認識が違うと思うので、是非そこは改めていただきたいと思っている。  大臣は、次の改定については表ではプラス改定だと発言しているが、この間のマイナス 改定についての政府と分科会の位置づけと役割の関係はきちっととらえておく必要がある と思う。 (大森分科会長)  では、石川委員。 (石川委員)  保険者としてお話をさせていただきたい。介護保険の現状については、先ほど池田先生 がお話ししたとおりだと思う。ただ、私どもは、現場では、当然ここは介護保険、介護報 酬についての検討をするわけだが、実際の予算編成ということになると、医療、国民健康 保険、あるいは後期高齢者も一体であって、特に後期高齢者などについては、今もまだい ろいろと問題を抱えているし、大騒ぎになったわけである。  例えば、東京都の場合は、調整交付金が58%しかこないということがあらかじめ分かっ ており、そのままいったら大変なことになる、大騒ぎになるということを事前に察知して、 そのために東京都の市区町村全体で約100億円、一般会計から繰り入れることによって、 東京ではそんなに大きな騒ぎには、実際のところならなかった。だから、それだけ被保険 者の負担を減らしてきたという経緯がある。もしそれをやっていなかったとすれば、首都 東京でも後期高齢者の医療問題はもっと大きな問題になって、今、茨城の医師会などが反 対するということも出ているが、大きな問題になっていただろうと思う。  だから、国保、後期高齢者の問題も含めた、介護も医療も総体での負担をどうしていく のかということについては、いずれにしろ、後期高齢者は改定を2年ごとにしていかなけ ればいけないということもあるので、介護保険の負担をどうしていくのかということだけ ではなくて、総合的な視点で、事務局においてはきちっとした資料をつくって提示をして ほしい。 (大森分科会長)   今までいろいろ御議論があったし、これから私どもは検討に入るので、どこかの段階で 論点をまとめさせていただいたり、改定に向けて基本的な考え方を整理するということに なるので、そんなときに今日の議論を念頭に置いてもらい、事務方も財政当局との交渉は 大変だと承知しているが、もともと私どもの方から改定率を下げろなどという答申が出る はずがないので、その認識だけはちゃんと正してほしいと私は思っている。  それでは、ヒアリングに入らせていただく。よろしいか。お手元に別紙があり、今回と 次回2回で約10団体からヒアリングをさせていただく。いろいろ事業者団体の皆さん方が 御苦労されており、それぞれどのようにお考えになっているかをまずお聞きするというこ とである。恐縮だが、各団体の概要の御紹介を含め、10分程度で御説明いただき、今日は 5団体すべての意見陳述が終わった後、総括的に皆さん方と質疑をしていただくという段 取りでいきたい。  それでは、最初に東京都からお願いする。 ○狩野意見陳述人(東京都福祉保険局高齢社会対策部長)より意見陳述 (大森分科会長)  引き続き、高知県からお願いする。 ○山本意見陳述人(高知県健康福祉部高齢者福祉課長)より意見陳述   (大森分科会長)  引き続き、浜村さんからお願いする。 ○浜村意見陳述人(日本リハビリテーション病院・施設協会長)より意見陳述 (大森分科会長)  次に、福祉用具が2団体ございまして、最初は、日本福祉用具・生活支援用具協会さん、 お願いする。 ○木村意見陳述人(日本福祉用具・生活支援用具協会会長)より意見陳述   (大森分科会長)  それでは、供給協会の方からお願いする。 ○池田意見陳述人(日本福祉用具供給協会理事長)より意見陳述 (大森分科会長)  1時間半超えたので、10分ほど休憩させていただいて、その後、質疑に入りたいと思う。 ( 休 憩 ) (大森分科会長)  それでは、再開させていただく。  東京都と高知県の御報告があったので、これを2つまず質疑に乗せて、リハビリテーシ ョンは単独でさせていただいて、福祉用具をまとめてやることにする。3つに分けるので、 15分程度御質疑いただき、できれば45分ぐらいで閉めたいなと思う。皆さん方の御案内 は一応12時まで取っているが、必ず12時までやらなければいけないということではない ので、その辺の見当でさせていただければと思う。  まず、東京都と高知県は相当実情が違い、それぞれ課題を抱えているが、せっかくおい でになっているので、皆さん方の方から御質問なり御意見いただければと思う。よろしく お願いする。 (村川委員)  東京都の狩野さんから御報告があったが、人件費の算定の基礎として、現行制度におい ては40%程度のとらえ方であるなど、この制度が抱える構造的な問題についての御指摘に ついては、私としても同感すべき点が多い、今後に向かって検討すべき課題がある認識し た次第である。  介護保険のいわば全国一律的な制度の中で、介護報酬の調整、工夫、改善として行われ るべき側面と、もう一方では、地方自治体独自の対応という見方もあるわけで、例えば、 東京都の場合には、以前の制度ではあるが、独自の加算制度を設けられていたことなども あり、そういった辺りを含めてどうお考えなのかということを補足説明していただければ と思う。  また、高知県のご報告、いわゆる限界集落の問題など、大変深刻な状況についてはよく わかったが、具体的には、保険者という市町村の立場において、広域連合的な手法なり、 改善努力、対応というものがどういうものであるか。また、事業者において、確かに一定 の中山間地域や離島などの条件整備、支援方法ということは考えていくべき課題であるが、 僻地診療所並みということになるのかどうか。いきなり3分の2程度の補助を求めている わけであるが、国の役割と都道府県の役割の双方があり、県としての貢献をどのようにお 考えであるのか、それぞれ補足説明いただければと思う。 (大森分科会長)  一渡り御質問いただく。対馬さん。 (対馬委員)  特に高知県に伺いたいのだが、都会も厳しい、中山間地も厳しい、こういうことで、確 かに深刻であるし、その辺りは資料もよく整理されてわかった。しかし、一方では、山間 地域ということになると、長野県とか岩手県、こういったところとの比較でどうかという こともあると思う。  2つほど質問したい。1つは、医療療養病床等も高知県等は非常に多いと思う。それと の関係で、各都道府県ごとの計画を策定したばかりということではないかと思うが、その 辺りをどういうふうに持っていこうと思っているのか。  それから、それと重なり合うだろうが、高知県民の中での議論というのは私どもは余り よく知らないが、どういう方向に持っていけばいいかという議論を高知県の中でのやって いるのか、その辺りを聞かせていただければと思う。 (大森分科会長)  沖藤委員。 (沖藤委員)  まず、東京都の狩野先生にお願いする。3つほどお尋ねしたいことがあるが、1つは、 東京都が人件費問題で大変苦しんでおられ、この比率を上げていかなければ、とても今の 介護人材不足に対応できないというのはよくわかった。しかしながら、それは介護報酬を 上げることと同時に、人件費比率の内容を明確にしていかなければならないのではないか。 現場の人にどのぐらいお金が渡るのが適切なのか。はっきり言うと、申し訳ないが、施設 長、理事長を除いた現場の人件費である。そういうものはどのぐらいの比率として考えら れるのかということを1点お伺いする。  2点目に、御説明はほとんど施設介護のお話に終始していたと思う。東京都は、施設の 数が老健・特養ともに少ない分だけ、在宅介護の充実ということを非常に言われていると 思うが、在宅介護の現実というのはどのようになっているのか。現状と、それから、将来 どのように取り組むつもりでおられるのか。そこにはまた当然人件費の問題等々、事業者 が閉所しないような、経営が成り立つような報酬とはどのようなものとお考えなのかとい うことをお聞きしたいということが2点目である。  3点目は、これは東京都に限らないが、生活援助の抑制ということが介護している家族 たちに非常に打撃を与え、介護保険への不信感がこの2、3年、非常に強まったと思う。 特に要軽度介護者に集中した要抑制が、多くの場合、家族を崩壊させてきているという現 実について、生活援助の抑制をどのように考えておられるのか、この3点お伺いいたした いと思う。  高知県の方にもお尋ねしたいが、ちょっと長くなったので、一旦ここで切らせていただ き、また後ほどにさせていただく。 (大森分科会長)  とりあえず3人出たので、東京都さんの方からお願いする。 (狩野意見陳述人)  今回の介護報酬の改定を考える際のポイントは幾つかあると思うが、基本的にはエビデ ンスに基づいて議論をすべきだと思う。国が今、経営の詳細調査をしているので、それを 踏まえた議論が必要だと思う。それから、やはり合理的な改定でなければいけないという ことと、めり張りの効いた改定をすべきだというのが私の基本的な立場である。  その上に立って、先ほど先生の方から御質問があったが、東京都は平成12年の介護保険 の創設前に、いわゆる措置制度の時代に、措置費に上乗せをする形で都加算という制度を やっていたが、措置費時代の措置費の基準というのは国が定めた最低基準であって、利用 者の健康で文化的な生活を維持するのに十分でないということで東京都が独自に上乗せを してきた制度だったというふうに私は理解をしている。  介護保険が創設をされて、まさに低所得、要は利用者を選別をしないで普遍的にサービ スの利用を希望する人がだれでも利用できるような介護保険制度に移行したわけですので、 基本的に私は介護事業の運営については、介護報酬や利用者の1割負担、あるいは居住費 や食費の負担で賄われるべきものだと考えている。直接運営費補助をする考えはないが、 今の人材不足の中で、人材の確保ですとか、あるいは育成、そういった面ではやはり都と しても事業の支援をしなければいけないなと今、考えているところである。  沖藤先生の質問は非常に難しいが、介護報酬改定をして、要は、それが職員の方の人件 費にきちんと渡るかどうかという問題である。国の方も来年度の予算要求の中で調査をす ると言っているが、私は、それを解決する1つの方法としては、介護サービス事業者に対 して、役員や職員の給与をきちんと、予算、決算書と同様に公開をする制度を義務づける べきだと思う。これは、公費50%、1号被保険者、2被保険者の保険料、すべて公費で、 利用者自己負担1割あるが、9割がいわば公的なお金で賄われている事業なので、役員や 職員の給与は基本的に情報公開をすべきだと、そういうことで市民のチェックを入れてい くべきだと考えている。  もう一つは、今回の提案は実は特養・老健の経営実態調査を踏まえた提案になっている が、在宅を無視しているわけではない。特養・老健については、いろんな会計基準も統一 されているので、非常に比較がしやすいという状況があるので、特養・老健を使った。居 宅サービスについては、居宅介護支援と居宅サービスを合わせると1万事業所を超えてい るので、私どもの能力ではとても調査をするのは困難だということで、短期間に調査に協 力をしていただけるということで特養・老健を使っている。  在宅の方の現状はどうかということだが、施設以上に今、厳しい状況にある。ピーク時 に比べると、居宅介護支援、訪問介護事業所は減り始めてきている。ピーク時より大体50 0減っている。明らかに事業から撤退をする事業者が増え始めてきている。これは一面で 淘汰されてきて、いい側面もあるわけだが、一方では、今までサービスを利用していた方 々に影響が出るわけなので、適正な規模というのはどれぐらいの事業者数なのかはよくよ く吟味しなければいけないが、今、そういう状況にある。  それ以上に厳しいのは、18年に始まった地域密着型サービスでして、例えば、小規模多 機能居宅介護とか夜間対応型訪問介護は、事業がまさに成り立たない、存続できないとい う危機に今、立っている。小規模多機能居宅介護は東京でわずか32か所しかないが、1事 業者は事業廃止をするという申し出も聞いている。  2005年の高齢者介護研究会で報告をしていただいた方向で、私どもも基本的には在宅中 心で進めたいと思っているが、その切り札であったはずの小規模多機能居宅介護や夜間対 応型訪問介護が非常に伸びない、あるいは訪問介護についても、滞在型の訪問介護は一定 伸びているが、いわゆる巡回型の、早朝ですとか夜間巡回をして訪問する、いわゆる身体 介護中心の訪問介護から撤退をする事業者は非常に増えてきて、在宅で重度の方が生活を する条件がなかなか整わない。この辺にもうちょっとめり張りの効いた報酬のつけ方が必 要ではないかなと思う。施設以上に危機感を持っている。  それから、生活援助の必要性については、私は基本的には介護保険の中でどこまでやる のかという問題だろうと思う。身体介護も生活援助も基本的に必要だし、利用者の自立、 あるいはお元気で生活をしていただくためには生活援助は不可欠であることは間違いない わけだが、これから限られた財源の中で、すべて介護保険の中でやるのか、あるいはほか の手だてを講じるのかという問題はあろうかと思うが、生活援助について、必要だという ことについては私どもも同様の認識である。 (沖藤委員)  小規模多機能の話が出たので、追加的に発言させていただけないか。 (大森分科会長)  どうぞ。 (沖藤委員)  今、小規模多機能のことが出て、これは特に東京都のようなところには非常に重要な、 いい制度ではないかと思うが、報酬基準が矛盾に満ちていると思う。25人の定員とか、15 人の枠とか、非常に使いにくい状況がある。本来、ああいう地域密着型を利用できる人は 軽度の人である。にもかかわらず、軽度が非常に安くて、重度に高い、よくわからない報 酬基準になっている。そういう報酬基準の設定の仕方も、東京都とか、大都市の小規模多 機能が進んでいかない理由ではないか。軽度の人に手厚い報酬改定をしなければやってい けないと思うが、お考えはいかがか。 (狩野意見陳述人)  おっしゃるとおりで、私ども、6月の提言の中にも同じような内容で、小規模多機能の 要介護1、2の報酬単価を見直していただきたいという提言をしている。ほかの通所介護 と比較して、要介護度別の単価設定に著しく不合理な面があると思っている。別に要介護 1、2を高くしろというのではなくて、ほかのサービスと同じような傾斜で単価設定をし ていただきたいということで要望しているところである。 (沖藤委員)  是非そのようにお願いする。 (大森分科会長)  あれをつくったときに、これをやるためには推進会議みたいなものをつくれという話に なっているだろう。実際に伺ってみると、小規模多機能全体をうまく運営する人がなかな かおいでになりにくいということも伺っていて、できるだけ地域で全体を支えるような推 進会議をつくった上で、それを上手にマネージメントするような人がいるという話になっ ている、その辺のところはどうか。今後重要になると思う。 (狩野意見陳述人)  報酬の問題もあるが、小規模多機能居宅介護を地域の高齢者や家族の方がどう利用して 在宅の生活を組み立てていくのかというイメージを発信をしていくだけの人材が小規模多 機能に残念ながらまだ不足をしているのではないか。それがまさに運営推進会議、地域の 民生委員さん等々に参加をしていただいて、そういう会議を通じて、小規模多機能居宅介 護というのはこういうサービスで、これを利用すれば在宅でいつまでも生活がし続けられ るんだということを事業者自身が、そういう人をそこに据えて、そういうことを発信をし ていかないと、なかなか利用が進まないのかなと思う。それは事業者の問題であると同時 に、我々行政も、都道府県も区市町村も、都民や区民の方にもっとこの事業のよさとかを PRしていかなければいけないなと私は思っている。 (大森分科会長)  では、高知県さん、お願いする。 (山本意見陳述人)  まず、広域連合とか合併の話に絡むのかもしれないが、効率化を図るためにそういう対 応がないのかというお話があったと思う。広域連合で介護保険事業をやっているところも ある。小さい市町村で、面積も小さいところが広域でやる場合には集約が図れて効率化す る。仁淀川町という、池川、吾川、仁淀という、高齢化率が4割超えているところが合併 して1つの町ができている。そこは大豊町よりもまだ面積が広くて、結局、分散して広い ものが1つになっても、訪問介護とか通所介護の効率性は上がらない。結局、3つが一緒 になって合併した社協が請け負ってやっている。赤字は3つ分がそのまま加算されている。 だから、事務の効率を図るという部分で広域連合にするとか、地域支援事業を少ない保健 師さんでなかなかできないので、人材を集めて役割分担をしてやるとか、そういう効率化 は一定図れると思うが、介護保険事業の訪問とか通所の場合はちょっと難しいかなと考え ている。  それから、いきなり国の補助が3分の2かというお話は確かに議論があろうかと思う。 ただ、私どもとしては、僻地医療への補助制度があり、今度、僻地介護がなぜないのかな というところから考えている。実際、在宅がなかなかサービスができなくなって、皆さん ほとんど施設に入って、特養とか老健がますます要る、でも保険料が高くなるからつくれ ない、そういうジレンマに陥っていく。だから、保険者も都道府県も応分の負担があるべ きではないかという議論はごもっともな部分もある。だから、それぞれ3分の1にすべき ではないか、そういう議論もあろうかと思うが、介護保険の報酬加算ではない、補助制度 としてそういう議論を是非お願いしたいということである。  それから、療養病床の話が出ました。高知県は御存じのように断トツの全国1位である。 全国平均が高齢者1,000人当たり14.0の中で、39.7なので、非常に多い状況にある。今、 半減するという計画に基づいて進めているが、うちの県の計画自体は、数値から割り出し たのではなくて、入院患者さんの本来ふさわしい施設はどこなのかというのを医療機関に 聞取調査をしたものに基づいてやっている。  やはり特別養護老人ホームが圧倒的にいいのではないかというお話があるが、実際は特 養への転換を考えている医療機関がない。経営の問題であるとか、施設がそのまま使えな いであるとか、なかなか問題があって進んでいない状況にはあるが、今、一番の転換を進 める決め手というのは、あっさり言って、医療区分とか診療報酬の今のインセンティブと いうか、経営状況がそのままであれば、今度の新型老健の報酬がどうなるかわからないが、 一定老健へ進むと思う。しかし、これが介護療養から医療療養に移って、医療区分1でそ のまま残ることができるよねというような期待も医師会なり、地元にはまだあると思うの で、その辺の状況がどうなるのかによって、大きく進み具合は変わっていくだろうと思う。  ちょっと話がずれてきたが、療養病床の転換ということで考えれば、当然、今回の在宅 医療もそうであるし、この転換に合わせて地域ケア構想ということで、何とか在宅を進め ていくための医療と介護の連携ということで取組みをやっているが、正直まだ始まったば かりでして、これをいかに定着させていくかというのが大きな課題という、まだそういう 段階である。 (大森分科会長)  池田委員。 (池田委員)  高知の方にお聞きしたいが、先ほどの、訪問の分布を見ていると大変であるし、赤字に なるのは当たり前だろう。介護保険が始まる直前も起きたことであるが、たしか鏡村だっ たと思うが、とんでもない介護保険料になってしまうことが予想され、その原因は療養病 床と施設依存だったが、そのとき、たしか鏡村は住宅の問題にかなり焦点を当てて取り組 んだことがあると記憶している。  つまり、かつて安心ハウスとか、そういうのが結構あって、最近すたれてしまったが、 中山間地にばらまかれたような形で住んでいらっしゃる方一人ひとりを訪問するというの が一番いいのだろうが、それは将来的に困難であるとするならば、新しい住まいみたいな ものを用意して、より効率的な介護サービスが提供できる、そのための住宅政策を考える 必要がある。例えば、長野県の泰阜村なども安心ハウスをつくって、山から下りてきてい ただいたというケースもあるので、その辺はどんな展望があるのかなということを1つお 聞きしたい。  東京の狩野さんの話で特に気になったのは、巡回サービスが確かに撤退し始めている。 これは危険な構造だと私は思う。とりわけ東京のような集中した人口であるならば、巡回 というのは非常に可能性のあるところで、私は個人的な意見としては、今、30分未満とい うのが大きなくくりになっているが、あれは20分以上いなければいけないという変な通知 がくっついており、いっそ10分、15分というようなものに、ある意味で大胆な値段をつ けて、それで誘導していく。そういうことで大都市は巡回をもう一回復帰させることがで きるかなという気があるが、その辺、どんなお考えなのかをお聞きしたい。  最近のマスコミの報道はいらいらするところがある。今、介護職は絶望的な職種のよう な形で宣伝されて、それが増幅して、また人が来ないという悪循環に陥っている。  ところが、経営概況調査をどう読むかということになるが、これは詳細調査を見てから 言った方が確実なのかもしれないが、少なくとも概況調査を見ると、施設は人員は増えて いる。だから、人手が増えているということは、その分、労働負荷は減っているであろう ということで改善されている。更に、賃金の推移を見ても、訪問系は別にして、施設系の 賃金は上がっている。そうすると、人手は増えた、賃金は上がった。勿論、私は今の状態 がいいとは言うつもりはない。絶対改善すべきだと思っている。しかし、あたかも今まで より悪くなって、更に人が減っているというような宣伝がされているというのは、ちょっ と耐えられないところがある。  それを突き詰めていくと、最近、私が考えなければいけないなと思うのは、狩野さんか ら率直な御意見を聞きたいのだが、3対1という人員配置が現実に合っていないというの はそのとおりだと思う。どこまで増やせばいいのかということをまじめに考えなければい けないのではないかと思う。24時間対応するためには、逆3対1になる。利用者1人に対 して3人の配置が要る。それは不可能なことである。1対1がいいかというと、それは社 会保険サービスとして成立するだろうか。  そうすると、これは厚生労働省の方にもお願いしたのだが、ケアの先進国ということで あれば、スウェーデン、デンマーク、オランダ、あるいはオーストラリア、こういったと ころに集中的に、標準的な調査をかけていただいて、いわゆる施設サービスというのは、 職員と利用者の比率は何対何なのか、これは、職員の労働時間の総計で計算した方が早い かもしれない。それと、そこで行われている業務というのは一体何なのかということをき ちんと調べて、それをすぐ日本に当てはめるというのは無理があると思うが、そういった 形で、適正な人員とは何なのかということを研究しないとまずいのではないかなという気 がしている。  介護保険以前にデンマークの施設の方が大分の特養に1年間滞在して徹底的に指導した ことがあって、その人がデンマークに帰ってからの文章は、日本人は手を出し過ぎるとい う書き方がしてあり、その辺、考えると、これはすぐ出てくる問題ではないと思うが、狩 野さんの個人的な意見で結構なので、施設の配置基準3対1が不合理であるとするならば、 今の時点では何対何ぐらいが想定されるだろうか。今のサービスを前提にするかどうかは 別にして、その辺を教えていただければありがたいなと思う。 (大森分科会長)  沖藤さん、お手が挙がったが、関係しているか。 (沖藤委員)  いえ、今のには関係していない。池田さんには絡んでいないが、高知県の方に1つお聞 きしたいことがある。 (大森分科会長)  わかった。小島さんと石川さん、関係していれば、まとめていきたい。 (小島委員)  東京都の提言の内容について、池田委員の意見と関連したことであるが、20ページの提 言1、あるいは提言2、3のところである。  提言1は、制度創設時に人件費比率を施設系が40%で、訪問系が60%という基本的な設 計にしたが、それが果たして妥当かどうかというところは、まさに検証するべきだと思う。 当時は、全国平均で大体このような数字だったということだったが、それが現実的に東京 都の調査から見て、人件費の実態はそんなものではないということであれば、全国平均と 大都市との関係を調査する必要があるのではないかと思っている。  今、池田委員が言われた関係で言うと、提言6に、人員配置に応じて介護報酬の評価と いうことであるが、これは、人件費比率をどう見ると、その際に配置基準の手厚いところ をどう評価するかということとの関係なので、配置基準が手厚いところについては評価す ることは1つの選択肢として検討して良いのではないかと私は思っている。  それと、提言2、3の地域差のところで、これも一番初めに介護報酬の地域差をつくる ときに議論し、国家公務員の調整手当をベースにしたが、例えば、地域別最低賃金という 考え方もあるのではないか、あるいは生活保護基準というのもあるのではないか。生活保 護では6区分になる。地域別最低賃金だと、ABCDランクがあるが、47都道府県ごとに 最低賃金が決まっている。そのときに、理論としては、最低賃金は都道府県単位に決まっ てしまう。そうすると、きめ細かな、例えば、東京都の23区とか、そういう仕分けにでき ないからという理由で、とりあえず国家公務員の調整手当をベースにしたということだっ たと思う。それが妥当かどうかということがある。あるいは生活保護であれば、もっとき め細かな、都市別の区分というのがあるので、そういうものを考えるということもあると 思うが、この東京都の提言2、3のところでは、賃金、あるいは物価水準を勘案したとい うことで、具体的な指標としてどういうものが必要かということまで検討されたのか。  あとは、30ページの提言7のところで指摘をされているが、有資格者に応じて介護報酬 の評価をすべきだということである。このときの有資格者は国家資格ということで、具体 的にはどのような資格を考えているのか。 (大森分科会長)  石川さん。 (石川委員)  療養病床のことにつきましてお伺いしたいと思う。先ほど高知県の現状につきましては お聞かせいただき、できるならば特養に転換できれば、しかし、報酬の問題があって、な かなかそうはいかないという御見解だった。  東京都については、今、療養病床35万床あるわけだが、それを15万床にするという方 針が示されたが、都道府県を積み上げていくと、今のところ22万床ということで、23万 床ということだから、実情では1万床しか減らないということになる。その大きな部分は、 東京都が、7千床だったか、必要であるというような報道があったと思うが、これはどう いうような積み上げで、医療圏の療養病床ということで持ち上がってきているのかという ことと、いわば在宅の考え方、あるいはまた特養の考え方、どのような判断をされてそう いった数字が厚労省の方に出されてきたのか。仮にそれが必要であり、実現されるとする ならば、どういう方法で実現をしようとされておられるのか、この点、伺いたいと思う。 (大森分科会長)  沖藤さん、高知県に何か御意見ありますか。次に行かなくてはいけないので、これで打 ち切りたいと思う。 (川合委員)  包括的なことで東京都さんと先生方の御意見の中でちょっと発言を求めたいと思う。 (沖藤委員)  私の質問は簡単である。先ほど、療養病床群から特養に展開したいけれども、なかなか 思うようにいかないということであるが、そこに住まっているお年寄りたちの思いという のはどのように考えておられるのかということである。当然相当の高齢で、要介護度もそ う低くはない、結構高くなっておられる方々が山間僻地に点在しておられるというのは想 像がつくが、その方々は療養病床群に行きたいのではないか、特養がいいのか、それとも 高専賃のような集合住宅系がいいと思っておられるのか、住民の意向というものはどのよ うに押さえておられるのか、その辺、お聞きしたいと思った。 (大森分科会長)  幾つか出たので、高知県さんの方からお願いしたい。 (山本意見陳述人)  集合住宅というか、一定集めて効率化を図る考えはどうかというお話があった。実は、 平成の初めあたりだったか、集落移転そのもの、要は行政の効率化を考えると、道路とか 水道維持すべて考えると、便利のいいところに出てきていただければ一番ありがたいとい う、当然そういう考えは昔からあるし、そういう取組みも実際やってみて、やはり地元の 方々の御理解がいただけずに頓挫したという事例もある。  今、75歳以上の方々は、やはり家とか土地とか、わずかであっても田畑を守ろうという ことで、元気なうちは、元気なというか、在宅でやれる間はいたいという方が圧倒的に多 くて、なかなか進まない。  ただ、今の65歳とか、団塊の世代の方になると、また意識がちょっと違うのかなと思う。 だから、県としても、今後10年を考えたときに、実際どうするのかの議論が要るねという 話はしている。  現状では、今、言ったように、なかなか難しいですし、今は自宅で住まわれている方に 新たなところに来ていただいたときに、家賃なのか、その負担をだれがするのか。家賃の 負担といっても、年金生活の方が、保険料だけでも大変な中に、プラス家賃を払うとなる と難しいので、その辺が大きなネックかなというふうには思っている。  それから、高齢者の方のニーズをどう把握されているのかということだが、今、言った ように、施設にはできるだけ入りたくないという思いは強いので、御自宅にいたいという 方は多いが、そうは言っても、老老介護ですので、重くなると、どうしても施設に移る。  高知県は、特別養護老人ホームへの入所待機者が2,000人ぐらいいる。その中で、病院 から特別養護老人ホームに移りたいという方が4割、在宅から移りたいという方が25%で ある。だから、当然医療の必要な方は療養病床だが、終のすみかというか、住まいという ことからいくと、病院にいても、特別養護老人ホームにそのぐらいの方が希望を出されて いるという実態があるので、やはりそちらの方の転換が大事ではないかなと考えている。 (大森分科会長)  それでは、東京都さん、幾つかあったので、まとめてお願いする。 (狩野意見陳述人)  巡回訪問介護の意義だが、私も全く同感であり、訪問看護と同じように20分未満という ような制度を是非つくっていただきたいと思う。今、訪問介護の給付費に占める夜間・早 朝の訪問介護の量を調べているが、1割に満たない。いわゆる昼間の滞在型の訪問介護が ほとんどを占めているという状況なので、今、本当に問題になっている療養病床から在宅 に戻った、医療も重介護も必要な人の在宅生活をきちんと維持するために、巡回訪問介護、 訪問看護をきちんと整備していく必要があるなと思っている。訪問介護については、是非 そういった見直しをしてほしいと思う。  それから、施設系の人員の加算をどこまでやるかという話は非常に難しい話である。施 設介護職員の業務量、業務の内容をもう少しきちんと分析をする必要があるのではないか。 仕事のやり方は、それこそ措置時代と余り変わっていない。利用者の方は非常に重度化し てきているが、仕事のやり方自体、変わっていない。もう少し科学的に業務量と質をきち んと分析をする必要があると思う。  では、3対1をどこまでやるのかという話だが、問題なのは、人を増やしたら国民の負 担も増えるわけだが、良質な人材が集まって、サービスの質がちゃんと向上するというス トーリーを事業者も我々も描いて介護報酬を上げるという仕掛けをしないと、国民は納得 しないだろうと思う。だから、我々も単純に3対1を2対1にした方がいいと言っている わけではなく、そこの中身を、2対1にしたら、診療報酬で言う、例えば、7対1入院基 本料の病院で提供される医療と、10対1とか15対1は違うというのと同じように、2対 1の基準の施設で提供されるサービスと3対1は違うということをきちんと発信をしなけ ればいけないと思う。その辺で、今は実質2対1にはなっているが、2対1を基準にする のではなくて、それぞれあっていいのだろうと思う。そこでどういうサービスを提供する かということをきちんとしていく必要があるのではないかなと思う。  それから、賃金の地域差の指標に何を取るかというのは非常に難しい話で、とりあえず 私どもは国の賃金構造基本調査を引いてくるやり方でいくしかないのではないかなと思う。 ただ、賃金というのは当然、年齢や経験年数をそろえて比較をしなければ意味がないので、 きちんとした手順を踏んだ上で、基本的には賃金構造基本調査を使いながら賃金の地域差 というのを見ていただければありがたいなと思っている。  難しい問題は、賃金の地域差よりも、地域区分をどう設定をするか。結局、最後はきめ の問題ですので、いろいろな方法があるが、一番きめ細かいのは生活保護の級地区分かな と、個人的には考えている。  それから、有資格者を多く配置している場合の評価についてだが、基本的には介護につ いてはヘルパーの方が介護福祉士の取得をしている人がどれぐらいいるか、あるいは看護 で言えば、准看から看護師の資格を取得している人がどれぐらいいるのかというのを評価 の指標にしてはどうかと考えている。  それから、稲城の市長さんからあった医療療養病床の東京都の考え方だが、東京都は今、 医療療養病床が1万4,000、介護療養が約7,000、合わせて2万1,000強ある。これを医療 費適正化計画の中で、介護療養病床は基本的に廃止ということなので、医療療養病床を2 万8,000に増やすという計画を出している。  この根拠はいろいろあるが、基本的に高齢者人口は東京はこれから急激に伸びるという ことで、当然、国が言う医療区分2、3の高齢者もこれからますます増えるのは明らかで ある。東京の場合には交通の利便がいいということで、例えば、埼玉県の療養病床に入っ ている方は、埼玉県の方の発言によると5,000人いると言われているので、そういった数 値も勘案をして2万8,000という数値を出した。  基本的にはこれをどう増やすかは、一般病床から医療療養病床に転換をしていただくと いうことで、転換の促進のための補助金を今年度から実施をしているところである。  私は、療養病床の再編の一番の課題は、そこの問題もあるが、今まで介護療養病床で生 活をしていた方や、あるいは医療療養病床にいる医療区分1程度の方をどこで受け止める かということの方針、方向がはっきりしない。介護療養型老健で受けられるという議論も あるが、今の介護療養型老健の医療提供体制で本当に十分なのかどうかということと、あ るいは、介護療養型老健に転換するかどうかは医療機関の判断によるので、場合によって は介護療養型老健がゼロということもあり得る。  東京の場合だと、半分以上は医療療養に転換をして、介護療養型老健には転換をしない というふうになる。そうすると、医療区分1程度の人をどこで受け止めるのかという方針 が全く見えない。もし本当に医療区分1程度の人の受け皿として介護療養型老健を想定し ているのであれば、介護療養型老健というのは、介護療養病床や医療療養病床から転換し たものを認めるだけではなくて、新たな創設を認めるべきだというのが私どもの立場であ る。要は、医療区分1であって、要介護度が4や5の医療が一定必要な人をどこで受け止 めるかというのをきちんと議論をして、来春の特に介護療養型老健の報酬設定を御検討い ただければなというふうに思う。  以上である。 (大森分科会長)  川合さん、一言どうぞ。 (川合委員)  実は、私、最後に、質問ではなくてお話しさせていただこうと思っていたことである。 それは、沖藤委員、あるいは池田委員から東京都の方に質問、あるいは東京都の方の今の 答弁も含めてのとこであるが、沖藤委員がこうおっしゃった。介護給付費を上げたら、介 護職員の待遇が本当に改善されるのかということに対して、東京都の方は、そうであると、 かいつまんで話しているが、施設側の情報開示が非常に必要ですというお話と、もう一つ、 経営職、医療職の給与をきちっと出すことが情報開示の1つの条件だということをおっし ゃった。  これは私の話の前段であるが、田中先生がよく御存じのように、去年の10月に当分科会 のワーキングチームがなさったときの資料として私どもが提出しているが、私ども、去年、 全職種の悉皆調査をした。そのときも申したが、役員と管理医師の給与は下がってる。ほ かは上げるのが非常に苦しい。が、0%〜1%の範囲内で上げている。我々の悉皆調査で は、80数%の施設がそうしている。  ただ、後段の役員の給与ということになると、今、厚生労働省の担当課と押したり引い たりしているところであるが、案分が非常に難しい。法人で数か所、あるいは違う形態の 施設、病院をしているところの案分が非常に難しい。私どもの悉皆調査は役員については 案分がなかなか困難である。でも、管理医師については下がっているという状況を把握し ている。  そういうことの情報発信が少ないではないかとおっしゃるのであれば、おっしゃるとお り、東京都まで行っていなかった。この介護給付費分科会で公式に出た資料なので、WA MNETか何かでごらんいただきたいと思う。全老健は批判に耐えるような数字を出して いる。  それと、もう一つ、最後の方に重要なことを2つおっしゃった。ヘルパーが介護福祉士 とか専門職になる道がないではないか、おっしゃるとおりだ。今回の介護福祉士の国家資 格に当たっての、ヘルパーからのものがない。ましては我々のところで今まで3年間働い ていたら受験資格があったのが、600時間の座学が必要になった。これは時代に逆行して いるという東京都の御意見に私は半ば賛同したいと思う。  それと、もう一つ、転換型老健の医療はどうなるのか。老健は介護給付費が認められて いないにもかかわらず、現実的な医療をしているという主張をずっとしている。早いこと ダブルスタンダードを解消してくれ、その上に、これは全体のことを考慮しなければなら ないが、我々の現状を認めてほしいという主張をしているので、お互いシェイクハンドを して国民に訴えかけていきたいと思っている。 (大森分科会長)  ここで終わりたいと思うが、お2人いるか。では、申し訳ないが、12時に終わらないの で。 (田中(雅)委員)  一言だけ。今、川合先生が、訪問介護員が介護福祉士になるための600時間の時間につ いて、時代に逆行しているとおっしゃったが、皆様から何度も御意見があったように、良 質な人材による良質なサービスを提供することによって、本当の意味においてこれから議 論される報酬の中で、利用者の方々が利用料負担が妥当だと思っていただけるようなシス テムをつくることが大事だと私は思っている。新しい制度の実務経験3年の中で600時間 に対する意見についてはいささか異なる意見だということをお伝えしたい。  もう一点、東京都の方にどうしても聞きたいのは、東京都は地方と違い、高齢者の実態 も単身独居の方が多いと伺っている。しかし、一方では、先ほど説明あったように、施設 系のサービスが充実できないさまざまな要因があると聞いている。であるならば、巡回型 の訪問サービスの在り方について見直しをしたらどうかということを先ほどおっしゃって いる。さきの法律改正のときに新たなサービスとして夜間対応型の訪問介護があるが、あ れは夜間のみ限定されている。そういったことも併せて、どのような見直しがあればよい か伺いたいが、いかがでしょうか。 (大森分科会長)  武久さん。 (武久委員)  療養病床の話が大分出ておりますので、まず高知県だが、対人口比、全国で一番数が多 い。山形県は対人口比、非常に少ないと言われている。現実問題として、同じ人口で、同 じ高齢化率であれば、医療の必要な慢性期の患者さんの割合は、数はほとんど一緒だと思 う。そうすると、高知県の療養病床にいる患者さん、山形県では少ない療養病床で、一体 どこにその患者さんは入っているのかということが一番問題ではないか。  先ほど言ったように、介護と医療の両方がありますから、介護療養型は特養へ行きたい という希望がある人もいると思うが、医療療養は18年7月から非常に重度の方を診るよう に要請されているし、現実問題として、24年からは、医療行為2、3が80%以上のところ だけが医療療養だとなっている。  山形県のような療養病床が少ないところは、多分、一般病床の90日以上の入院患者で特 定患者になるものの除外規定で入院されているのではないか。これは介護給付とちょっと 違うが、関連するので言うが、そういうのはレセプトで全部わかる。山形県で特定除外の 患者さんが一体どのくらいいるのか、高知県ではどうなのか。ただ単に療養病床が多いか らけしからんのではないかというのはおかしな話であって、療養病床は一般病床より広い わけだから、増築、改築をしてきれいにしている。そういうことから考えると、そういう ハードのいいところを減らして、ハードの狭い、4.3でもいいわけですから、そういうと ころを温存するということ自身もおかしいと思う。  各県によって療養病床群に非常に大きな差がある。特に高知県は突出しているが、これ は坂本龍馬のように進取の気性に富んで、十何年前に療養環境をよくしろと厚労省から言 われて、どんどんやったら、おまえのところはけしからんというような感じに見える。現 実問題として、半分とか4割を減らすという高知県の対策は、ケア計画は、患者の中身を よく調べていかないと、現実に医療の余り必要ない慢性期患者は当然、医療療養にいる人 は全くないし、また介護療養型医療施設にいる必要もないと思うので、介護保険施設やシ ニアリビングの方に移るのが当然であるが、今後、どなたかおっしゃったように、どんど ん高齢者が増えて、医療はどんどん進んで、従来であれば亡くなるような方が助かって、 それが重度の後遺症になって、一体どこが診るのか。重度の後遺症の方、いろんな合併症 を持った方は医療療養が診ないと、急性期病院にずっといつまでもいれば医療費は莫大に なる。そういう意味からして、常識的に考えて、医療療養の必要性は増すことはあっても 減ることはない。  例えば、今、東京都の狩野さんがおっしゃったように、東京都は人口比に比べて非常に 少ない。一番少ない方の部類に入る。高知県は一番多い。そうすると、高知の療養病床に 入っている入院患者さんの妥当性ということをまずお調べいただかないといけないし、現 実に東京都では、高度急性期病院がある割に、その後を診る医療療養が非常に少ないとい うことで、これは東京都としては非常に賢明な選択をしたと私は思うが、その件について お2人の御意見を聞きたい。  厚労省の方では、いわゆる慢性期の長期の患者さんが一般病床の中に埋もれている。本 来であれば、こういう方は介護保険施設やシニアリビングの方に行くべき人も含まれてい るということは、老健局とは別の観点ですけれども、関連するので、どういうお考えかと いうことをお聞きしたいと思う。 (大森分科会長)  今日はヒアリングなので、老健局の話だけにいたしたい。では、高知県からお願いする。 (山本意見陳述人)  療養病床の関係のお話でしたが、高知県の療養病床は、今、言ったように全国一多いが、 これは昭和40年代の老人医療の無料化以前から、いわゆる病院の病床数の割合が一番多い。 戦後すぐはまだ少なかったが、40年代からずっと多いという状況がある。  今回、療養病床の転換をするために、おっしゃるように、医療区分1だから、2だから、 だけではなくて、入院されている患者さんの状況として、ふさわしい施設はどこなのかと いうのを、先ほども言ったが、私どもは医療機関にアンケート調査で答えていただいた。 その数字を基に転換計画をつくっている。ただ、結果として、国の標準と余り変わらない、 ちょっと多いぐらいの数に落ち着いているところである。  ただし、先ほど言われたように、人口当たりに多い。悪い方がそんなにいるはずないの にどうしてというのは素朴な疑問だが、高知県の療養病床に入られている方の医療区分の 割合と全国の割合はほぼ一緒である。だから、入院されていると、そういう部分は出てく るのかなというところはあると思う。医療の必要な方は本当にいるが、やはり適正な廃止 ではなくて、転換というのは必要ではないかと思っている。 (大森分科会長)  東京都さん。 (狩野意見陳述人)  巡回型の訪問介護と夜間対応型訪問介護についての御質問だが、全く私見だが、訪問介 護も定時サービスでやるのか、あるいは随時サービスで提供するのか、特に医療や重介護 が必要な重度の人に対しては、夜間対応型訪問介護は定時サービスのほかに随時サービス が提供できるようになっているので、重度の身体介護についてはそういった制度を新たに 導入するなどして、もう少し身体介護の提供を、初めからケアプランに位置づけた定時サ ービスだけではなくて、随時訪問介護ができる制度を訪問介護にもやはり導入すべきだろ うと思っている。  私は一度、夜間対応型訪問介護のヘルパーさんの車に乗せていただいて回ったが、非常 にリーズナブルだし、利用者にとって非常に有益なサービスだと思うので、訪問介護につ いても、特に巡回型訪問介護について、そういった見直しが必要ではないかなと思う。  それから、療養病床の問題については、医療機関の役割分担をどうしていくかというこ とだろうと思う。確かに今まで、特に介護療養病床が果たしてきた、医療も重介護も必要 な人をどこで受け入れるのか。確かに老健も看取りまでやっていただくし、特養も非常に 重い方を今、受け入れていただいて、医療の方も、喀痰吸引しなければいけない方もたく さんいるが、医療や重介護が必要な方をどこに入れていくのかという中で、今の介護療養 型、老健が、まさにダブルスタンダードなわけだが、そういう人をどこで受けていくべき かということをきちっと整理をして、報酬単価に反映をさせていただきたいなと思う。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、リハビリの方に議論を移したいと思う。リハビリについて御質問あるか。川 合さん。 (川合委員)  大先輩である浜村先生にお越しいただいて、どうもありがとうございます。私はかつて は浜村先生と一緒に仕事をしていた身なので、この理念はおっしゃるとおりである。こう いうことをおっしゃっていただけるのは本当に胸のすく思いをしている。ただ、会長とい う肩書がついてしまうと、ちょっとお尋ねしたい点がある。  6ページである。理念的にはよくわかるが、下段の?のところが、点線が全部なくなっ た上で?をどかんとつけろとおっしゃっているのであるならば、私は3,300の会員を代表 する者として、これはいかがなものかと思う。というのが、通所リハビリテーション、全 老健に関していくと、概況調査でも出ているが、我々の調査でももっと悲惨だ。通所リハ ビリが10%ぐらいあったものが、今、1.6%しかない。しかも、この図にあるように、? の人もかなり多い。それをぽこっとこういうふうにせいということになってくると、収入 が激減してしまう。かつて御一緒させていただいた身なので、救済策は当然お考えいただ けていると思うが、その救済策をお教えいただきたい。  8ページも、毎日20単位あるものを、これは図のいたずらだと思うが、橙色がほかの棒 と同じ高さというのは、これも収入が激減してしまう。ぴゅーっと、この紙の幅からはみ 出るぐらいにしていただいたら、ああ、やはりと思うが、その点のポンチ絵の処理の具合 だ。  10ページの?だが、先生も御案内のように、私ども現場は帳票が非常に煩雑である。今 ある帳票のどこかのコピーを使えとおっしゃる主張なのか、新たに帳票をつくれという御 主張なのか、その点のお話をお伺いしたい。  それと、12ページの?適用の明確化と?連携強化の具体的な方法をお教え願えたら、総 論としては大賛成だ。そうなってくるときに、現場を預かっている人間として、またぞろ 帳票が増えるのかなというふうな気持ちがなくもない。この4点についてお願いする。 (大森分科会長)  木村さん。 (木村委員)  まず、15ページに記載されていて、真ん中ほどに、まさに「市民に期待されるリハビリ テーションとは」というところで、なるべく早く元の生活へ戻れること、身体機能から生 活機能の回復、特にこのキーワードの「生活機能の回復」というところ、その下に、在宅 生活上の諸問題を考慮して、安心して生活できる環境づくりのために、効率的に効果的に 実践するにはどうするかという、今日、プレゼンがあった。  その中で、11ページのところの今日の御提案であるが、ケアマネージャーが退院前訪問 指導とカンファレンスを合同でやるというのには当然私は賛成だが、今、問題なのは、今 日は回復期リハビリテーションの関係かもしれないが、一般病床に入院する、急性期で、 回復期ではないところに入院する、そしてそこから在宅に帰ってくるということの流れが 多い。この流れの検討も必要。  いわゆる住まいでの対応ですけれども、利用者が居宅で病気になって入院するタイミン グのときに、ふだんから要介護状態だとすれば、契約している居宅介護支援事業所のケア マネージャーがいる。ケアマネージャーが、入院時、さっき言った生活機能の情報を持っ て情報提供するということが私は非常に大事だと思っている。  そして、当然、提案のとおり、退院時も大事で、帰るときはカンファレンスでいいと思 う。今度は居宅でずっと暮らしていく中で、介護支援専門員、ケアマネージャー主催のサ ービス担当者会議はあるが、そこにリハビリテーションチームがどうかかわっているかが 重要である。今、申し上げたところが全部連続的にならないと、提案のあったことができ ないと思うが、先生の御意見をいただきたいと思っている。 (大森分科会長)  村川さん。 (村川委員)  浜村先生の御報告は大変感銘を受ける点が多かったが、1つは、認知症のリハビリテー ションという事柄を明確に提起され、これが直ちに来年4月から制度化されるのかどうか、 新しい種類のサービスが、設定はされたけれども、持続性、普及性という点で困難を抱え る場合もあるので、これは私の意見になるが、いましばらくモデル事業的な展開も含めた 熟成ということを図りながら制度化にこぎ着ける。そういった場合に、早期の診断を行う ことと並んで、専門的なリハビリテーションというものが、作業療法士が担い手の中心で あるのか、神経心理の専門職等であるのか、どういう展開を具体的にお考えかを補足説明 していただければありがたいと思っている。  2点目は、通所リハビリテーションをベースとしながら、短時間の集中リハビリテーシ ョンという、これも極めて注目すべき御提案である。そうした場合に、従来型の通所リハ ビリテーションと短時間の集中リハビリテーションと訪問リハビリテーション、その相互 の関連ということも問われてくるので、そういった辺りについても補足説明をいただけれ ばと思う。  以上である。 (大森分科会長)  恐縮だが、今の御質問について、お願いする。 (浜村意見陳述人)  まず、川合先生の御質問に対して私の考えを言わせていただく。1番目は、短期集中リ ハビリテーションの場合に、?の現在最も利用が多い方に対する対応はどうするのかとい うことである。データだと、加算を取っておられる方の50%ぐらいがこの部類に入る。短 期集中的になぜやらなければいけないかということについては、今日は時間がないが、退 院・退所直後、生活が安定していく、例えば、病院でリハビリテーションを行って、それ 以上に在宅で生活機能が上がる方もいるが、その時期が大体2か月、3か月。また、別の データを見ると、生活機能が落ちる方もいるが、落ちるも上がるも2〜3か月が非常に大 事であるということで、こういう言葉が生まれて、そこに集中的なサービスの導入がよい のではなかろうかというのが前回の話だったと思う。  ところが、安定された方も途中でレベル低下するが、今の制度だと、レベル低下してし まわないとサービスが提供できないことになる。これはケアもリハビリテーションも医療 も一緒だと思うが、必要な方になるべく早く手を出していくということが非常に大事なこ とである。したがって、レベル低下時というよりも、レベル低下が予測されるときにサー ビスを早目に提供するということがもし可能であれば、これが一番いいのではないかと思 う。それには、例えば、生活機能の予後をどのように読み取るか、医療的なことも含むし、 介護の問題もあるから、実は非常に難しい問題ではあるが、理屈ではそうだと思う。  したがって、短期集中を、退院・退所直後と、レベルが落ちそうなとき、あるいは落ち るときに集中的に使うということを今回は1つ提案するということで、この辺は書いてい るが、先生おっしゃるように、実際の表を見ると、50%の方がこの80単位を毎回使ってい るので、これは別途、基本的なリハビリテーションの中で、通所リハビリテーションだか ら、短期集中リハビリテーション加算のほかに基本があるので、そういうところで対応し ていくようなことを、老健のリハビリテーションもそうだと思うが、通所リハビリテーシ ョンの場合も考えていく方がいいのではなかろうかというのが私の意見である。  2番目のリハビリテーションマネジメント、8ページであるが、実は、4表のリハビリ テーションマネジメント加算の20単位は1cmぐらいになっているが、下は3cmぐらいにな っているので、それで思いを御理解いただければと思う。1日20単位ということは200 円ということだが、リハビリテーションマネジメントというのは、評価をして、計画を立 て、実施する目的がある。少し期間をあけて、慢性期であるから、毎日というのはいかが なものかなということで、このような絵にしている。その高さがどの程度かということは 私では回答しかねるので、また担当の方と今後ということで御理解いただければと思う。  それから、レベル低下しそうなとき、したときに、プログラムを立ててサービスを組み 替えるということは非常に大事であるので、そういった意味で新たに、ただ漫然と1か月 置きにやればいいということにならない方がいいのではないかなということで、オレンジ 色であるが、そういうものを示している。  それから、もう一つ、訪問リハビリテーションの、資料10ページのところの、新たに指 示書とか計画書、報告書が必要ということで、従来とかぶったりしはしないかという御心 配だと思うが、私も、職員がいろんな頑張りを示してくれている中で、どうも書類が多過 ぎるなというのは実際現場で感じることである。  ただ、新たなシステムも整合性を取っていくということでは、今あるものもあるものを 参考にしながら、形は少し変わるかもしれないが、どこでも基本的には同じものが使われ る。しかも、非常に負担になるようなことは避ける意味では、ケアプラン、従来のリハビ リテーション計画書を参考にしながら整理していくことで、大体ここは統一できるのでは ないかと現場の立場から感じるところである。  それから、もう一つ、老健の最後の12ページのショートステイ、短期入所の問題で、適 用の明確化ということはどういうことかということだが、短期入所を1か月未満、2〜3 週間と限定すると、2〜3週間で生活機能の改善が見込めるという予測が立たなければ、 慢性期の方なので、そこはプロとして厳しい目を持って対応していくということは大原則 になると思う。ただむやみに希望を持って短期入所に来ていただいて、失望につながるの もよろしくないし、やはりお金を伴うことだから、科学的な目で判断をしていくという意 味で、ここは適用をしっかり見定めないと、慢性期に簡単に生活機能が、期待は多くの方 がされるが、結果を出すのは容易ではないので、今後検討は要ると思うが、限定的な対応 になる可能性もあるだろうと思っている。  そういうことをやる上でも、かかりつけの先生、在宅主治医の先生方が見ておられるの で、浜村、頼むよ、この2〜3週間おかしいんだと、こういう判断というものが、もうち ょっと老健側と綿密に連絡できるような体制が期待される。ただ入所を希望する、ショー トステイでと、ケアマネージャーの方からお願いする形でやっていくよりも、これからは、 在宅の生活を支える老健というポリシーから考えても、かかりつけの先生、ケアマネージ ャーと在宅のグループとの連携というものを大事にしながら、その中で適用ということも 考えていくことがよろしいのではなかろうかという思いを込めて、短い文章だったので失 礼したかと思うが、私は大きな期待を持ってここは書かせていただいたつもりである。  それから、木村先生に対してである。一般病床とか、急性期病院から在宅に帰られる方 もおられるので、それはどうなのかということで、まさしくそのとおりで、実は、ここに 書いているつなぎの、リレーゾーンの絵は、研究事業で行ったものを、このように政策提 言ということでさせていただいているが、ここの前段のところは、700例ぐらいの症例を 調べたが、ほとんど回復期から在宅へという流れで対象を絞ったものなので、そういった 意味では、急性期から、それから、診療所にも入院されている方もおられるので、そうい う方々に対しては、どういうバリエーションで連携をやっていくかということは、実は詳 しく私は研究しなかったということもある。  これは是非ともわかりやすくということでリレーの話をしたが、退院が計画される時期 に次の走者が走り出さないことには、退院・退所した、はい、次、バトンお願いすると言 っても、これはうまくいかない。そういった意味で、普通に急性期、回復期、維持期、在 宅へと流れてきたときには、こんなイメージでいいのではなかろうか。ただし、これでは、 すべての方々に対応できないので、先生おっしゃるとおり、ほかのケースについてもパタ ーンを考えるべきではないかと思っている。  もう一つ、入所のリハビリテーションで専門職の内容を尋ねられたように思うが、私が 全老健の方でモデル事業をさせてもらったときには、OTと臨床心理の方の対応が非常に いいようなデータであった。それから、個別のリハビリテーションとグループによるリハ ビリテーションの両方を兼ねてモデル事業のときはさせていただき、ここに書いたように、 少し効果があるのではないか。しかし、それはかなり限定的なものであるということも前 提にまとめさせていただいたと思うので、そういうイメージでいる。  それから、短時間の話として、どんな内容だったか。 (村川委員)  川合委員からの御質問とほとんど重なっているが、浜村先生から御提案があった短期集 中リハビリテーションの意味は私も少し理解しつつあるわけだが、現行の通所リハビリテ ーションと、新しく登場する短期集中リハビリテーションと、さらに訪問リハビリテーシ ョンといった、サービスの構造連関というか、役割関係について、もう少し補足していた だきたい。先ほどのリレーのお話のように、医療保険、介護保険の接合をうまくというこ とは論点としては非常によくわかるが、介護保険の中でのサービス区分の展開として、今 後どうなっていくのかという辺りを補足説明いただくといいと思う。 (浜村意見陳述人)  非常に難しい話だと思うが、この短時間型のリハビリテーションの提案は、現在、通所 リハビリテーションが3時間以上という縛りの中なので、どちらかというと生活機能を上 げるためのリハビリテーションを中心に御希望されている方がかなりおられるということ が1つ。また、医療保険の算定日数の制限で、その後の対応がスムーズにされていないと いう介護保険の受け皿的な問題もある。そういうことで、診療所等を前提にし、病院も含 まれると思うが、現在、医療保険のリハビリテーションを行っているようなところで短時 間型のリハビリテーションを想定して、どちらかというとリハビリテーションに特化した というか、集中して通っていく通所のリハビリテーションというイメージである。ただ訓 練すればいいという形にならないような、生活機能全般にかかわるという姿勢は、私ども リハビリテーションにかかわる立場から欠かせないのではないかという指摘である。  それから、従来の通所リハビリテーションだが、通常、デイケアという言葉で言われて いるように、通ってきて、生活機能を維持向上させるためのリハビリテーションをやって いるということも大きな目的であるが、同じような仲間の方と交流をしたり、スタッフの さまざまな支援、これはリハビリテーションだけではない、看護の支援もあるし、介護の 立場からも支援している。また、通所リハビリテーションで地域に出られるというサービ スもやったりしているので、目的は幅広くなっていると思う。  それから、今回、訪問リハビリテーションを充実しようではないかということだが、こ れは退院・退所直後の方に、あるいは生活機能が低下した方に、通所も効果があるが、訪 問リハビリテーションというのは、実際の生活の中で、その人の生活に合わせながらリハ ビリテーションを提供していくので、ある意味で非常にその人に合ったことができやすい という利点もある。したがって、軽くても、その人の生活状況を見ながら、その人に合わ せてサービスを提供するという意味では、また通所リハビリテーションの持ち味と違うも のがあるので、そういうことがいいのではないかということである。  もう一つは、訪問リハビリテーションは障害の非常に重い方も、進行性の疾患の方も利 用されているので、そういう方々の生活機能の維持という側面でも、現在機能しているの ではないかと考えている。したがって、そこのすみ分けはうまくいくと思うが、将来的に は、通所、訪問、あるいは相談とか、そういうものが総合的に提供できるような拠点があ るといいのではないかというのが私どもの協会の考えであり、そういう幾つかのサービス を必要な人に適切に提供できるような、在宅のケアセンターというか、在宅のリハビリテ ーションセンターというか、将来的にはそういうこともあってもいいのかなと考えている ところである。 (大森分科会長)  私は知らなかったが、ここはホテルだから、10分に終わらせなければいけないそうだ。 私の一存で決められないので、福祉用具について御説明あったので、1、2の方から伺う。 勝田さん。 (勝田委員)  福祉用具については、前回の改定で、特に軽度の方々が利用できないということで、例 えば、車いすが利用できなくなった、ベッドが利用できなくなったということで、家に閉 じ込もったりということで、一気に認知症が悪くなったという事例が随分ある。そういう 点では、今、御指摘のとおりだと思うし、30万床のベッドがそのままにされたということ では、私たち利用者の側としては、一部買取りとか、そういうことで対処したということ もある。そういう点では、このような混乱を起こすような改定というのは、今、おっしゃ ったとおりかと思う。  ただ、もう一つ、早目に利用するということと、最近、認知症などでのひとり暮らしと か、高齢の方々の老老介護の中での、例えば、ベッドなどの使い方だとか、そういうこと についての、特に認知症に対するしっかりとした認識を持って、介護ベッドでの死亡例も 出ているが、安全性も含めたことをやっていただきたい。  もう一つ、これは一部かもしれないが、事業者の中には、ひとり暮らしのお年寄りとか、 老老の認知症の方々に対して、ベッドなどの貸付けについて、不正といったらおかしいが、 適正でないことが一部行われている事実がある。そういう点では、事業者として、自浄作 業もしっかりしていただきたい。そういう適正化をしっかりやった上で、きちんと利用で きるものは利用できるようなシステムにしていただきたいと思っている。そこのところを、 今後、経営者の皆さんの認識ある対応をしていただきたいと思う。 (大森分科会長)  井部さん、どうぞ。 (井部委員)  ちょっと夢のある質問をしたいと思う。日本福祉用具・生活支援用具協会が福祉用具の 新しい製品の開発に取り組んでいるという報告があり、興味深い。介護労働者の負担軽減 という機能を持つ用具と、もう一つは、介護サービスの代替機能を要する用具という2つ があると伺った。介護労働者の負担軽減に資するような福祉用具の開発がどのように進歩 しているのか。それから、マンパワーの介護サービスの代替機能を有するような福祉用具 はどこまで開発されているのか、もしおわかりでしたら教えていただきたいことと、開発 のための費用はどのように捻出されているのかについても教えていただきたい。 (大森分科会長)  恐縮だが、簡潔に、本日お答えできるところで結構である。 (池田意見陳述人)  最近は介護ロボットみたいなものもできてきており、まだ実用化していないが、そのう ち実用化になると思う。最近実用化されたのは、尿とか便を自動的に取る機械とか、いろ いろなところでいろいろな商品を今、開発しているので、そういう機械が本当によければ、 さっきのマンパワーの軽減につながるのではないかと思っている。 (木村意見陳述人)  私の方からもお答え申し上げると、今、池田さんがおっしゃったように、介護負担の軽 減ということになると、先ほども申し上げたような、リフトの利用とか、既存の福祉用具 をもっと有効に使っていただくということが一番基本的なところにあると思う。  次に、マンパワーの代替機能ということになると、市場には、食べ物をフォークで運ん で口の中に入れてあげられるような食事介護ロボットとか、現実にもあるわけで、その精 度とか安全性について現在進行中なのかもしれないが、いろんな開発は進んでいるところ である。そういう状況をごらんいただくためには、国際福祉機器展という福祉用具を中心 とした展示会が有明のビッグサイトで近々開かれるので、是非そこで現物をごらんいただ きたいと思っている。  それから、最初の御意見の中にベッドにまつわる死亡事故というお話があったが、昨年 の5月に経済産業省の方で消費生活用製品安全法という法律を改正して、重大事故があっ たときにはメーカーからすぐに報告しなければいけない。その報告を受けた経済産業省は、 製品起因が疑われる事故の場合にはメーカー名まで公表するというような対策が講じられ た。  事実、福祉用具の事故は出ている。特に私が専門でありますベッドについても、ベッド の柵に挟まって不幸にして亡くなった方もいらっしゃる。これに対しては、業界団体であ るJASPAとしては、挟まれ事故の起きないような安全寸法とか、そういうことについ て協議をして、近々、非常にスピードアップしてJISの基準をつくる。4月1日にはJ ISマークが張られた製品が上市されるように、今、作業が進んでいる。  また、業界団体としては、やはりハードだけではなかなか事故を防ぐことは難しい。御 利用者のところでどのように使っていただけるかということについての注意事項等につい ても、業界団体のホームページとか、我々メーカーのホームページとか、あるいはベッド については、安全普及協議会という団体をつくって、そちらからパンフレットを無償で提 供したり、そのような活動はいろいろやっている。最近の朝日新聞の報道にも、その辺の ことは非常に冷静に報道してもらっていると理解しているので、御理解いただきたいと思 う。 (大森分科会長)  5人の方々がおいでくださり、大変貴重な御意見をいただいた。私どもの今後の議論に 十分参考にさせていただきたいと思う。本日はありがとうございました。  事務方から何かあるか。 (菱田計画課長)  本年の3月25日に開催された第50回の給付費分科会で、介護老人福祉施設、特別養護 老人ホームの重度化対応加算等の算定に当たっての看護師の配置に係る経過措置について、 今年の9月30日まで延長いただいたところである。  その際に、重度化対応加算等の実態について速やかに調査を行い、その結果を踏まえ、 介護老人福祉施設等における重度化対応加算の在り方等について、本年9月末までに結論 を得るというふうに答申をいただいている。その調査を行ってまいったが、ほぼとりまと めできたので、次回の9月25日に報告をさせていただいて、御議論していただければと思 っている。  以上である。 (大森分科会長)  今、話にあったように、次回、懸案問題について、25日に、私どもとしては結論を見た いと思っているので、よろしくお願いする。  それでは、今後のことについて。 (鈴木老人保健課長)  次回は25日14時から17時までの予定である。場所はこれからセットさせていただく。 内容は、5団体からのヒアリングと、今の重度化対応加算ということで、よろしくお願い する。 (大森分科会長)  またよろしくお願いする。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)