08/09/08 第1回臨床研修制度のあり方等に関する検討会議事録 第1回 臨床研修制度のあり方等に関する検討会             平成20年9月8日(月)             16:00〜17:00           文部科学省3階 3F1特別会議室 【田原医師臨床研修推進室長】  それでは、ただいまより第1回「臨床研修制度のあり 方等に関する検討会」を開催いたします。  本日は、ご多忙のところ、ご参集いただきましてありがとうございます。  本日は第1回目の会合でございますので、まず委員の皆様をご紹介いたします。名簿は お手元の資料1の2枚目にございますので、ご参照ください。  まず飯沼雅朗・蒲郡深志病院長、社団法人日本医師会常任理事でございます。  大熊由紀子・国際医療福祉大学大学院教授です。  小川彰・岩手医科大学学長です。  小川秀興・学校法人順天堂理事長です。  嘉山孝正・山形大学医学部長です。  齊藤英彦・名古屋セントラル病院長です。  高久史麿・自治医科大学学長です。  辻本好子・NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長です。  永井雅巳・徳島県立中央病院長です。  西澤寛俊・特別医療法人恵和会西岡病院理事長です。  能勢隆之・鳥取大学学長です。  福井次矢・聖路加国際病院長です。  武藤徹一郎・財団法人癌研究会理事、名誉院長です。  矢崎義雄・独立行政法人国立病院機構理事長です。  吉村博邦・学校法人北里研究所理事、社団法人地域医療振興協会顧問です。  以上でございます。  それでは、まず鈴木文部科学大臣からごあいさつをお願いいたします。 【鈴木文部科学大臣】  文部科学大臣を拝命いたしております鈴木恒夫でございます。  今日は委員の皆様方、特に地方から遠路、急な開催にもかかわりませず、駆けつけてく ださいました方をはじめとして、ご出席を賜りましたことに心から御礼を申し上げたく存 じます。ご苦労さまでございます。ありがとうございます。  昨今、産科、小児科をはじめとする診療科や、地域における深刻な医師不足によりまし て、地域医療が成り立たなくなる事態も生じるなど、地域で必要とされる医師の養成と確 保は、喫緊の課題であると痛感をいたしております。既に政府全体として「経済財政改革 の基本方針2008」及び「5つの安心プラン」が策定をされまして、文部科学省といた しましては来年度の医学部入学定員の増員を図るなどの対策に取り組んでいるところでご ざいます。  一方、平成16年度に必修化された医師臨床研修制度につきましては、すべての医師に 幅広い診療能力を身につけさせるという目的で導入されたものと認識しておりますけれど も、結果的に大学病院の研修医が減少し、大学病院が担ってきた地域の医療機関への医師 派遣機能を低下させ、今日の医師不足の契機となったとの指摘もございますのは、ご存じ のとおりであります。  私は医師として備えるべき診療能力を効果的に身につけ、医師不足が深刻な地域や診療 科で活躍できる医師を養成するためには、学部教育と卒後研修を一体的に捉えた上で、臨 床研修制度を見直すことが必要だと考えております。本検討会がこうした趣旨から、文部 科学省と厚生労働省が共同で設置を考えたものでございまして、委員の皆様にはこのよう な設置の趣旨を踏まえていただきまして、それぞれの省の施策の枠を超えた、忌憚のない ご意見をいただきますよう、私からお願い申し上げる次第でございます。  文部科学省といたしましては、本検討会の結論を踏まえ、厚生労働省と連携をいたしま して、必要な対策を可能な限り速やかに講じていきたいと考えております。委員の先生方 のお力添えを心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございます。終わります。 【田原医師臨床研修推進室長】  次に、舛添厚生労働大臣からごあいさつをお願いいた します。 【舛添厚生労働大臣】  どうも皆さんご多忙の中、また遠路はるばるこの会議に参集い ただきましてありがとうございます。  今、鈴木文部科学大臣からごあいさついただいたとおりでございますけれども、先般、 医療崩壊と言われている現状をどうするかということで、「安心と希望の医療確保ビジョ ン」を矢崎先生中心におまとめいただきまして、その具体化の作業をここにおられる小川 先生はじめ皆さん方でやっていただいたその中で、文部科学省と厚生労働省と共同してこ の臨床研修制度について検討したらどうかというご提案をいただき、今日こういう会合を 行えるようになった次第であります。  2つの点を強調しておきたいと思います。1つは、これは鈴木大臣ともよくお話しして、 2つの省が合同でやるということです。大学医学部に入学して一人前のお医者さんになる まで、そのプロセスは両方の省がかかわり合っているわけです。これまでこういう合同で きちんとした会議がなかったほうがおかしいんで、やっとそれができることになったのは 意義があると思います。そういう中で、6年とか8年とかいう医師の養成の期間を見てみ ると、本当にこれでいいのか、卒前・卒後の研修を見たときにダブって無駄があるのでは ないか。それから、2年間の研修と言うけれども、自分が興味のない診療科だとお客さん で来ているだけで、例えば3カ月診ただけで分娩できますかと、こういうような問題もあ ります。  そして先ほど鈴木大臣もおっしゃったように、医師の派遣機能が大学で落ちているので はないか。、それはこの研修制度に問題があるのではないという意見もありますが、もとも と新しい研修制度というのは水準を上げる、いろんなプライマリーケアについてやれる医 者を育てるということで、水準は上がっているので決して悪いことばかりではありません。 その評価もきちんとした上で、しかしどこに問題があるかということをやはり考えてない といけないと思いますし、それから、私は鈴木大臣が目の前におられて恐縮なんですけれ ども、私も大学で教えていた立場ですから、魅力のある授業をして、魅力のある講義をし て研修をやらなきゃ、まともな学生は来ません。  つまり、ここに先生がおられるので恐縮ですけど、私、はっきり物を言う癖があるんで 言いますと、それはプロフェッサーに魅力がなかったら学生は来ないでしょうということ なんです。研究者としての能力と教育者としての能力は違う。そうすると、もし研究者と しての能力ばかりを重視する、文部科学省の方針があるならば、教える能力のある先生は あほらしくて行かない。つまり、論文の数だけが問題じゃありませんよということを申し 上げたいので、こういう声が現場から上がっている。大学も崩壊しつつある。何でほかの 拠点病院にみんな行くんだと、何で大学病院に残らないんだと、大学病院に魅力がないか らじゃないですかという声に、皆さん方はどう答えますか。  大臣でこういう勝手なこと言うのは私しかいないので申し上げますけれども、そういう 問題意識を持っております。私は片一方に偏っちゃいけないと思っております。ですから、 大学人も反省しないといけないところもあるし、大学病院も反省しないといけないところ がある。そして何よりも大事なのはやっぱり国民の目線で見たときに、どこが問題かとい うことだと思いますので、こういう政治的には何か落ちつかない状況でありますけれども、 まさにこういうときだからこそ2つの省が、そして今日お忙しい中お集まりいただいてい る先生方が、じっくり腰を据えて日本国民のための新しい医療教育制度、研修制度と名を 打っていますけど、1人の医師を一人前に育てるまでの養成をどうするか、これにメスを 入れない限り、日本の医療崩壊に歯止めをかけることはできないと思いますので、そうい うことをお願い申し上げまして、みんなでいい制度を考えたいと思います。  以上でございます。ありがとうございます。 【田原医師臨床研修推進室長】  それでは、カメラ撮りはここまででございますので、 退室をお願いしたいと思います。 (報道関係者退室) 【田原医師臨床研修推進室長】  この間を利用いたしまして、お手元の資料の確認をお 願いしたいと思います。  まず「議事次第」1枚がございまして、資料1から資料7まで、それぞれ別葉にとじて おります。そのほか参考資料といたしまして、別添の報告書がございますので、ご確認い ただきたいと思います。もし不足等がございましたら、事務局のほうにお知らせいただき たいと思います。  よろしゅうございますでしょうか。  次に、お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。本検討会の趣旨につきまして は、ただいまの両大臣のあいさつのとおりでございますので、説明は省略をいたします。  また、本会議の議事は公開とさせていただきます。  続きまして、座長の選出をいたします。  事務局といたしましては、高久委員にお願いしてはどうか存じますが、いかがでしょう か。 (「異議なし」の声あり) 【田原医師臨床研修推進室長】  それでは、高久委員に座長をお願いしたいと思います。  続きまして、座長代理の選出をさせていただきます。  事務局といたしましては、小川秀興委員にお願いしてはどうかと存じますが、いかがで しょうか。 (「異議なし」の声あり)  それでは、小川秀興委員に座長代理をお願いしたいと思います。  高久委員、小川委員におかれましては、座長席、座長代理席へお移りいただけますでし ょうか。 (高久座長、座長席へ、小川座長代理、座長代理席へ移動) 【高久座長】  先ほど大臣からお話しありました「安心と希望の医療確保ビジョン」の、 具体化の委員会の委員長を務めさせていただきました。これでもう終わったと思っていた のですが、委員会で提案したこの会の座長をまたやることになりました。このような会を 持つべきだと以前から思っていたのですが、これを機会に委員の皆さん方から有益なご意 見をいただきたいと思います。そういうことで、今後ともよろしくお願いいたします。  時間の関係がありますので、早速、資料の1から6まで、事務局より簡単に説明してい ただけますか。お願いします。 【田原医師臨床研修推進室長】  それでは、ここで鈴木文部科学大臣のほうには、所用 により退席をいたします。 【鈴木文部科学大臣】  ご無礼します。ありがとうございました。 (鈴木文部科学大臣退席) 【高久座長】  それでは、説明していただけますか。 【田原医師臨床研修推進室長】  それでは、私のほう、事務局のほうから資料をご説明 をしたいと思います。  資料1につきましては、先ほどご説明したとおりでございます。  続きまして、資料2でございますけれども、これは今年の6月に厚生労働省におきまし て「安心と希望の医療確保ビジョン」を取りまとめておりますが、これの臨床研修制度に 関する部分の抜粋でございます。  続きまして、資料3でございます。これは今年の7月に政府として取りまとめました「社 会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」のうち、臨床研修制度に関す るところを抜粋したものでございます。  続きまして、資料4でございます。これはこの「医療確保ビジョン」の具体化に関する 検討会におきまして、8月27日の検討会で提出をされました中間取りまとめの案の中で、 臨床研修制度に関する部分を抜粋したものでございます。  資料5でございますけれども、同じくその具体化に関する検討会で、これまでの主な意 見として取りまとめたものでございますが、臨床研修制度に関する部分を抜粋したもので ございます。  資料6は事務局が用意した資料でございますけれども、臨床研修制度に関する経緯が1 枚目にございます。裏の2枚目のところには臨床研修制度の概要、これが3ページほど続 いております。内容については省略をさせていただきます。また、5ページは都道府県別 の研修医の在籍状況の推移、制度ができる平成15年度と、平成20年度の実績を比較し たものでございます。次の6ページは、都道府県別の研修医の定着率でございます。国家 試験の合格者に対する研修医の比率をあらわしたものでございます。7ページは、臨床研 修制度全体の主な課題と現在の取り組みを整理したものでございます。  続きまして、資料7でございます。これは大学医学部・附属病院の状況といたしまして、 医学部の現状や大学病院数、病床規模別大学病院数、そして臨床研修医の在籍状況の推移 をまとめたものでございます  このほか、昨年の12月に医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で取りまとめをいた しました報告書を別添に用意しております。  資料に関しましては以上でございます。 【高久座長】  どうもありがとうございました。  皆さんのところに資料が整っていると思います。一応5時に終わる予定になっていまし て、ちょうど40分位ディスカッションの時間があります。最初ですので、臨床研修制度 について委員の皆様方から、ご忌憚のないご意見を伺いたいと思います。どなたでも結構 ですからご意見おありでしょうか。  正確には把握してないのですが、今年厚労省のほうから各大学病院には、臨床研修にフ レキシビリティーを持たすようにという通達が出たと思うのですけれども、説明していた だけますか。 【田原医師臨床研修推進室長】  今のお尋ねの件は資料6にございます。資料6の3ペ ージをごらんください。臨床研修のプログラムにつきましては、(1)、(2)のように基本研修 科目、そして必修科目、全部で7科目ございますけれども、これを必ず研修をし、原則と して当初の12月は基本研修科目を研修するというようなことで進めておりますが、その 下の点線の枠で囲ってあるところでございますが、大学病院におきましては豊富な教育資 源を持っていること、また、医師不足地域の地域医療を担っていること等を踏まえまして、 モデル的に大学病院の研修プログラムを弾力化する取り組みをしております。  大学病院のうち40大学が募集定員397名で、現在プログラムを用意しております。 そのプログラムの弾力化の内容でございますけれども、内科、外科など著しい医師不足を 生じ、地域医療に影響している診療科を中心とした特別コースを設定をするということで ございます。また、臨床研修の基本理念に基づいて、臨床研修の到達目標を達成する内容 とするということでございまして、来年の4月から臨床研修を行う方に適用するというこ とで、プログラム自体は既に厚生労働省のほうで受け付けて、内容を確認をしているとこ ろでございます。  以上でございます。 【高久座長】  どうもありがとうございました。  それでは、このことも含めまして、どなたでも結構ですからご意見おありでしたら、ど うぞ。どうぞ、大熊委員。 【大熊委員】  だれか言い出さないといけないので。私はここに4つほどの立場で参加 しております。1つは、祖父の祖父ぐらいから医者しかいない家に育ちまして、医局講座 制の頂点に立っていたような叔父とか、祖父がおりまして、内側からそれを見てまいりま した。2つ目は、ジャーナリストといたしまして、資料6の昭和43年臨床研修制度創設 のころ、後に医務局長になった大谷藤郎さんが、まだ課長補佐で紫のふろしき包みを持っ て走り回っておられたころからフォローしてまいりました。インターン制度反対という若 者とも接してまいりました。  もう一つは、千葉県の健康福祉政策の担当の参与をしております。その経験から申しま すと、今お話に出た新臨床研修制度が地域の医師不足を招いたと言われておりますことの 信憑性を疑わざるを得ないわけでございます。千葉県では8つの県立病院がネットワーク を組みまして、この夏には15人の初期研修医の定員に35人の応募があるというふうで す。一生懸命きちんとやれば若いお医者さんは集まるということを実証しつつございます。  ただ、それはただ黙っていてできたわけではなく、まず、県立病院群が魅力ある後期レ ジデント制度を立ち上げたことが重要です。専門医の育成に携わる指導医という資格をと るようにそれぞれの病院の方が頑張ったこと。それから、各学会の教育病院の資格をとる べく頑張られたということ。それから、県からレシデント育成の費用として大体3億ぐら いのお金を補助しまして、それがうまくいくようにしたとか、それから、まだ若いお医者 さんたちに「九十九里で合宿しながら、地域医療を経験してみませんか」というような呼 びかけをして、そこに医学生や若いお医者さんたちが集まって非常に燃えていったと。そ こに地域の患者さんとか、市民の方も加わって「私たちと地域に医療を育てましょう」と 呼びかけるという、そういうようなことが実って、実際に新臨床研修制度がいいぐあいに 動いているということを、実際にこの目で見ております。  千葉は東京に近いから、できるんじゃないかとも思いまして、調べてみたんですけれど も、同じ千葉に亀田総合病院というのがあります。まことに辺ぴなところにありますが、 たくさんの研修生が押すな押すなという感じでございます。ですので、先ほど舛添大臣が おっしゃいましたように、すぐれた指導医と研修体制・研修プログラムがあれば、そこに 人が集まるのであって、それをやっているところは実際に実績が上がっているという県の 例を、私はほかにも挙げることができます。  4つ目の立場として、私は「志のネットワーク」の縁結び係というのをやっておりまし て、約3,000人ぐらいの志が高い福祉、医療関係の方々とネットをしています。金曜日 にこのことについて「ご意見がある方は」とメールしましたらば、ただいままでに40通 ほど、現役の教授とか、若い人とか、添付ファイルとかいろいろつけて送ってくださいま した。それの大半は「新臨床研修制度を後退させるのは時代に逆行している」という意見 でございました。これはまた時間があったときにご紹介したいと思います。 【高久座長】  どうもありがとうございました。  亀田総合病院には家庭医のコースがあって、研修医には非常に人気がありますね。どう ぞ、福井委員。 【福井委員】  私もこの委員会でどのような方向にディスカッションが進むかわかりま せんが、幾つか申し上げたいことがあります。  1つは、医師不足という話がすぐに出てまいりますけれども、それを考える上で必須の データとして、どのような専門分野の先生が、どこにどれぐらい足りないかを示していた だかなければ、医師が足りないかどうかさえわからないのではないかと思っています。単 に開業されている先生と病院の医師の偏在かもしれませんし、専門分野の偏在が労働条件 だとか、若い人の価値観の変化によって起こっているのかもしれませんので、医師不足と いうときにはどれくらいどの分野の医師が、どこに足りないのかというデータを出して、 それをたたき台にしていただけないかと思っています。  それから、舛添大臣もおっしゃいましたけれども、新臨床研修制度自体の最大の目的は、 私は達成しつつあると考えております。幅広い臨床能力を持つ医師、それから経験症例数 を増やそうという2つの大きな目的は、私たちの調べたデータでもそのようになっており ますので、最大の目的は達しつつあるのに、ほかにもいろんな要因がある中でおそらく1 つの要因として、医師不足と見える現象の原因になっているのかもしれません。新臨床研 修制度が、あたかも医師不足の最大の原因ととらえるには、私はデータ不足ではないかと 考えています。  それから、確かに研修医が少なくなった大学もありますが、大臣もおっしゃいましたよ うに、大学病院の中に、どれくらいすぐれた臨床研修病院を参考にして、それに追いつこ うとしたところがあるかを私はぜひ知りたい。私もかつて大学におりましたので、大学に は卒前教育、卒後教育、診療、研究という4つのミッションがあって、その中の最大のミ ッションといいますか、一人ひとりの教員の人生を決めるのは研究ですので、それに最大 の精力を費やそうとします。したがって、卒後研修は大学の先生方にとっては4分の1以 下の勢力しか注げないんです。  臨床研修病院、例えば私たちのいる病院などは診療と研修という2つのミッションだけ ですので、それらに最大のエネルギーを費やせば、大学の先生方がやっていることよりも おそらくクオリティーがよくなるというのは、構造的な問題だと思います。特に欧米のよ うに非常にたくさんの教員、医師を抱えられるような診療報酬制度ではありませんので、 今のようなわずかな数の医療者でやっていかなくてはならない病院や大学病院の状況を構 造的な問題ととらえて、そこにメスを入れることをぜひ考えていただきたい。  今のままでは教育も研究も中途半端で、欧米の一流国と全く戦えない状況ですので、そ このところを頭に置いていただきたい。表面的に医師不足イコール研修制度というレベル の話ではないと私は思っております。ぜひそのような方向に話を少しでも進めていただけ ればありがたいと思っています。 【高久座長】  どうもありがとうございました。どうぞ。 【嘉山委員】  よろしいですか。この制度が始まるときに、私、当時の厚生副大臣の木 村先生に呼ばれまして、ちょうど僕は病院長だったんですけれども、今、学部長ですが、 これを実行したらどうなるかということを聞かれました。そのときの医事課長はたしか中 島さんだったと思いますが、これを実行すれば日本のまず地域の医療は崩壊するだろうと、 田舎から医者がいなくなるだろうと。もう一つは、科の偏在も起きるだろうと。これはパ ンドラの箱をあけるようなものだと。  つまり、従来、非常に問題があると言われていた新聞社で言えばデスク制度ですね。医 局制度がよくないよくないというけれども、チーム医療をやるときの1つの柱になってい たことは確かです。もちろん非常に負の面も、負の遺産もあったんですが、新聞社で例え ばここへ行ってこいということを、デスクがないで全部フリージャーナリストだったら、 新聞の紙面は成り立ちません。どこかがやはりコントロールしなければ成り立ちません。 それは医局が今後いいのかどうかは別の問題として、あの制度で一番の問題は若い医師、 もちろん志のある医師もたくさんいます。ただし、そうでない医師もやっぱりどの社会で もいるんですね。あの制度はもちろんいい面もあったと思います。  例えばすぐに専門的なところに進んでしまって、全身状態が見れないようなものが見れ るようになったとか、そういういい点はあったと思いますが、やはり今ここで文部科学省 と厚生労働省が同一の会をつくったということは、あれを全面的に悪いと言っているんじ ゃなくて、何とかいいようにしていこうということでこの会が始まったと思いますので、 スタンスとしてはやっぱりあの制度をどういうふうに補完して、あるいは変革して、今、 医師は福井先生は足りないとか、足りなくないとかおっしゃいましたが、エビデンスとし て医療ディマンドに対してOECDで、医師の数はもう下から何番なんですから、これは だれが小学生が考えてもわかることだと思います。それでなければ地域の勤務医が、これ ほど急激に減る理由がないと思うんですね、これはエビデンスです。ですから、そこをや っぱりこの委員会でどういうふうにこの臨床研修制度を変えていったらいいんだろうとい うスタンスでやったほうがいいと思います。 【高久座長】  能勢委員、どうぞ。 【能勢委員】  大学の話がありますので……。 【舛添厚生労働大臣】  勝手なことを言って済みません。 【能勢委員】  まずこの委員会で大変いいなと思ったのが、文部科学省と厚生労働省、 両方が一緒に、今までなかったというと語弊がありますけど、当然担当課レベルでやって おられましたけれども、最近は医事課長と医学教育課長の人事交流が行われていますので、 話は大学としてはしやすくなりました。  今まで医学部の学生の数の抑制がずっと続いて、これは当然医療費の問題がありました ので、増やせないということがあったんですけれども、今日増やすということで急に起こ ったんでありますが、この時期に起こるのがまた非常に問題なのが「2008の財政改革」 で、実際には大学の人件費を減らされているわけです。これ学部全体、医学部だけの問題 ではなく大学全体の問題としてかかっております。この中で医学部をどうするかといいま すと、医学部だけを定員を増やしておりますけれども、教員の数について、あるいはいろ んな施設な問題もあって、急に増えたところで「さて、どうするか」というのが、私ども にかけられた問題であります。ですから、人件費の枠はかかっておりますので、養成する ということについては質の問題もありますし、数の問題もありますし、地域の医療での医 師不足という問題はありますけれども、これらは個別の問題として、この委員会では基本 的には枠組みだろうという気がいたします。枠組みをどのようにつくっていくのかという ことを根本的に考えておかないと、これからの医療供給はうまくいかないという気がしま す。  教育するところとそれを実践する医療の場とが、省がまたがっておりますのでなかなか うまくいかないし、国の予算もそう連動してうまく使うことができないだろうなという気 がします。そういう意味で、この委員会で両方とが合同して、連携しながら検討できたら いいなと思っております。 【高久座長】  永井委員、どうぞ。 【永井委員】  地域の公立病院勤務医の代表として、ぜひ申し上げたいことがあります。 冒頭、大臣がおっしゃられたように、1つこの制度改革というものの理解として、もちろ ん研修医あるいは指導医側の理解も重要だろうと思いますが、やはり国民の共感や理解が ないと進んでいけない。国民の理解や共感のもとに医師を志す者がやはり自信と誇りを持 って働いていける、これはもう大前提であるだろうと思います。それから、この研修制度 の一番の理念のところにかかってくるんですけれども、どのような医師を国民が望んでい るのかというのが、非常に重要なことだと思うんですが、もう一つ重要なのが、どのよう な医療体制を国民の方が今望んでいるのか。これは先の冒頭のことともつながってきます けれども、今皆さんおっしゃられましたように、地域の医療はひょっとしたら崩壊しつつ あるかもしれないという中で、その地域を含めた医療をどういうふうにしていくのか。  これは、私、徳島のほうから来ましたけれども、今、総務省で公立病院ガイドラインと して、ある意味での集中と選択という形で統合が進んでおりますが、その中でもやはり研 修医のトレーニングというのは、オンジョブがほとんどですから、そのオンジョブのトレ ーニングの中で、地域を巻き込んだ部分をぜひ大学、それから、大きな研修病院の方々も 含めて考えていただかないと、やはり国民の理解や共感が得られないんではないかなと。 そうすると、やはりますます研修医が都市部に集中するんではないかなと。細かいいろん な研修制度の問題点、それから責任体制等の部分につきましては、また追って私の考えを お話しするとして、前提としてその部分はぜひご理解いただければと思っております。 【高久座長】  それでは、小川委員、先ほど手を挙げられた。 【小川彰委員】  両大臣ともお話しになったわけですが、医療崩壊というお話をされた わけですけれども、この6月からの行政の流れとして、医師養成増にしたということにつ きましては大英断だと思いますが、ただ、医師養成増を今始めたとして、この医師が現場 に出てくるというのは10年後、15年後ですから、今の医療崩壊に歯どめをかけること には絶対ならないわけです。その中で非常に不本意だったのは、大熊先生と福井先生のご 意見が、この研修制度が医師不足に何で関係しているのかというお話があったわけですけ れども、この医師養成削減政策が長く続いてきたわけですけれども、毎年、医師総員は少 しずつですが増えてきました。これは事実です。ところが、この増えてきたのにここ数年 の間に、医療崩壊というのが社会問題化したのは何でかと、ここの間に何か制度が変わっ たものは何かというと、臨床研修制度以外にないわけですね。  現在、毎年医師養削減はされているとはいっても、年間に約7,500名から8,000 名の新医師が誕生しています。毎年ですから医籍で登録されて医師となっているわけです。 一方で、厚生労働省の三師調査によれば、日本の医師数は現在26万6,000名とされて おりますけれども、65歳までの医師ということからいたしますと、22万名しかいらっ しゃいません。それで臨床研修制度は研修医は研修病院で研修に専念することとなってい るわけですから、したがって、各耳鼻科だとか、眼科だとか、あるいは、小児科、産婦人 科、内科、外科のマンパワーにはなっていないわけです。研修病院には存在して、医師と して医籍は登録されていて、そして医師にはなっていてカウントはされているわけですが、 各診療科のマンパワーにはなっていない。となりますと、2年間ですから約1万5,000 名から1万6,000名の医師が突然消えたというのと同じ状況になっているわけです。  となりますと、当然のことながら、22万名の一万五、六千名というのは、何%に相当 するかといいますと7%です。7%というのは約1割に近いわけですから、突然10人に 1人の医者がいなくなったんです。ですから、医療が崩壊するのは当然で、医師不足にな るのは当然なわけですね。それがまた地域偏在を生んで、それで全国医学部長病院長会議 にデータによれば、50万以上の大きな都市がある都道府県と、それから、50万未満の 都府県では圧倒的に全然差がございまして、小さな都市しかない都道府県では30%しか 残っていないということですから、したがって、先ほどお話にありましたように、大学の 医師派遣機能の大幅な低下を招いて、今の地域医療の崩壊を招いているということを、や っぱり認識すべきだと私は思います。地方におきましてはほんとうに病院がつぶれるか、 つぶれないかというもうぎりぎりの状態にありますから、これはもう待ったなしの状態で、 もう数カ月あるいは1年でばたばたつぶれていくような病院が、地方にはたくさんあると いうことをご認識いただきたいと思っています。 【高久座長】  どうもありがとうございました。どうぞ、西澤委員。 【西澤委員】  私は北海道から来ていますので、やっぱり医師不足、医療崩壊の最たる 地域なんですが、医療崩壊の原因ですが臨床研修との関係から見ると、もちろん影響は若 干あったと思いますが、これが大きな要因だとは私は思っておりません。この研修制度が 始まる前から北海道では、実は特に産婦人科の集約化などが始まっておりました。これは やはり国民の意識の変化があって、少ない人数で医療をやることに対しての不安というこ とで、人数を集めようということで、例えば産婦人科がある医局から出したときに、1病 院2人ずつ3病院に出しているのをまとめて、2病院から引きあげて1病院6人にすると いうことが、実はこの研修制度の前から行われていました。  当然のことながら北海道の僻地の病院は、ほとんどが100床未満の病院です。そうい うところには、内科医が1人か2人、外科医も同じということになっております。しかし ながら、今の専門医教育の中では例えば内科医であっても、呼吸器の専門医が小さな病院 に行っていたときには、極端なことを言えば、消化器の内視鏡はできないということで、 果たしてそこで内科医としての十分な機能を果たしていたかというと果たしていない。そ ういうことでは、なかなか若い先生方、専門教育を受けた先生方は地方に行きたがらない、 行っても自分が十分なことができないという意識から、そういうふうになっておりました。 ということで.この臨床研修の影響あったと思いますが、もっとほかにところに原因があ った。逆にこの臨床研修制度がなければ、、医療崩壊は今以上にあったかもしれないと私は 思っております。そういうことで、やはりいろんな視点で見て解決していかなければなら ないと考えております。ほんとうにこのような機会は、非常にいい場だと思っております ので、よろしくお願いしたいと思っています。  以上です。 【高久座長】  どうぞ、齊藤委員。 【齊藤委員】  この検討会の趣旨はよい医師、質の高い医師を養成する観点から、「臨床 研修制度及び関連する諸制度の」と書いてある。この「諸制度の」というところが一番大 事だと思います。先ほどから伺っていますように、質の高いよい医師を育成する、研修の 質を高めるということと、医師の偏在を是正するというのは、どこかでつながっているか もしれませんけれども、2つの別の課題なんですね。私が、たまたま臨床研修制度部会で、 見直しの議論を昨年したときの経験からいいますと、やはり見直しの議論一生懸命しまし たが、この研修制度の部分だけを幾ら見直そうと思っても、全体の先ほどからお話あるよ うに、卒前・卒後の医師の生涯教育の一環なので、一部分だけを直すことはできないんで すね。したがって、先ほど何度も言われましたように、卒前・卒後の一貫した医師養成シ ステムの構築を、この際考えるのは非常にいいことだと思います。  ただ、これは中長期的な目標でありまして、すぐ医師の偏在あるいは不足は是正できな いので、そのためにはどうしたらいいかという案を申し上げます。現在の臨床研修制度の 精神を尊重しつつ少し変えることによって、その一環として先ほどモデル事業の説明もあ りましたけれども、これでかなりよくなると思いますが、さらに言えば、もっと学生の数 と病院の募集数を近づけるということと、地域枠を設定したらどうかということを思って います。地域枠を設定すれば偏在がなくなると思います。ただ、この地域枠の設定という 議論をしますと、常に言われるのは、研修医の選択の自由を阻害するのではないかという のですが、そんなことは全くなくて、大学の入学定員でも枠がありますし、企業の入社定 員でも枠があるので、みんなが東京の大学、東京の会社に行きたいと思っても行けないわ けです。それと同じことだと思います。  それから、もう一つ言えば、研修医の処遇にある程度上限を決める。現在は下限のほう は決まっていますけれども、上は自由です。例えば全国平均の1.5倍以上はもうだめだと、 そういう研修病院にはもう補助金を出さないということにすれば、かなり本質的な研修プ ログラムの面で、各病院が競争して質の高い研修をできるようになると思うんですね。し たがって、そういうやや小手先めいてはおりますけれども、かなり偏在、不足は是正でき ると思います。ただ、そのためには、例えば各県の枠を決めるときは、これはもう蛮勇を 持ってやらないと決まらないと思います。  以上です。 【高久座長】  どうもありがとうございます。どうぞ、吉村先生。 【吉村委員】  吉村ですが、、先ほど大臣がおっしゃったように、どういう医師を育てる かということが基本だと思います。今回の研修制度が導入された背景は、確かに最近、医 療が専門分化していて、少しでも自分の専門外の患者さんが来るとあれは診ない、これは 診ないということが起こっていました。もう少し幅広く診てほしいと、これは正しいと思 うんです。ただ、プライマリーケアが2年の研修でできるかというと、必ずしもそうでは ない、これはやはり四、五年かかります。プライマリーケアに対応できるることは当然必 要なこととしても、それと専門医療というものと両方のバランスがないといけないと思う んですね。医師の養成を考える場合、初期研修は1つのプロセス、すなわち養成の過程の 1つですから、その前段階の医学教育と、かなめの位置付けにある初期臨床研修と、それ に引き続く後期の臨床研修、この一貫性がないといけないことは当然だと思うんです。従 来、大学の研修制度が悪いということだったんですけれども、実は大学は全科の医師を育 てているわけです。  先ほど初期研修がうまくいっているといういろんな例が出ましたけれども、定員が15 人とか5人とか少人数で、大変すばらしい研修の指導をしていらっしゃる方がおられるわ けですが、それで例えば泌尿器科から放射線科から、病理から全部の診療科の医師をきち っと育てていただけるかというと、必ずしもそれは容易ではない、難しいと思うんです。 ですから、すべての診療科の医師をバランス良く育てるということを考えると、例えば、 教育施設である大学が全体をコントロールしながら、大学と地域の基幹病院の連携したプ ログラムをつくっていくことが必要だと思います。大学はだめだから大学ぬきで研修を行 うとか、あるいは一般病院の方がいいとかという議論ではなくて、せっかくの大学の豊富 な人材や教育機能を生かしつつ、なおかつ基幹病院と連携したプログラムをつくること、 これをぜひお願いしたいと思います。 【高久座長】  どうぞ、能勢委員。 【能勢委員】  どうも大学が悪者になるのか、どうかよくわからないんですけれども、 医学教育というのは全科の教育をやっています。地域の中で現在求められる医療というの は、例えばプライマリーケアをやる医者であるとか、救急医療やる医者いろんなこと、あ るいは診療科の偏在出ますけれども、養成と、それから、病院に設置する診療科で多少差 があって、今まではそれを大学の中で教育して出したんですが、それをすぐ出しちゃうも のですから、だんだんややこしくなって理解が難しくなりました。ただ、受診する側の患 者さんは昔は内科、小児科でやっていたんですよ。ところが「あなたは小児科医ですか」 と聞くようになりまして、内科の先生は「違います」と言って、だから、どう対応してい いかわからないという問題で、医師不足が相対的に起こっている。ですから、先ほどから 皆さんおっしゃるように、根底的にあるのがやっぱりいろんなものの意識改革が行われて いる。それから、それがまた制度疲労を起こしていて、医学教育は全科、当然、医師は全 員診れるんですけれども。  それから、もう一つ、地域に行かないということは、地域に行かれる人は相当レベルの 高いお医者さんでないと行けません。その年齢が大体40代ぐらいになったときに、自分 の生活の問題もいろいろあって、なかなか行けないという状況があるのでして、その辺の ことを十分に検討していかないと、この問題がなかなか解決できないので、やっぱり医師 を養成する側と、それから、先ほどおっしゃいました厚生労働省の医療の体制をつくる側 とが、一緒になってどのようにしていけばいいかということを考えたり、あるいは、大学 によっては機能別の教育があり得るかもしれませんので、もちろん大学がそれぞれ使命が 違うようなところがありますから、地方にある大学、都会にある大学といろいろな形で進 めていくのがいいということで、やっぱり枠組みも新しい概念でやらないといけないんじ ゃないと思っていますし、地域医療は自治医大がつくってやったんです。ところが、それ がうまくいかなった。張本人おられますので聞いたら一番いい。 【小川座長代理】  よろしいですか。 【高久座長】  私は比較的うまくいったと思っているんですけれども、どうぞ。 【小川座長代理】  高久座長が危機に陥っておりますので、私、代理として救援をした いと思います。ただいま伺っておりますと、舛添厚労大臣のもとに第1回の諮問委員会と いうのが、大変な長時間、短期間の中で頻度高く行われて、たくさんの論点がまとまって きたと思います。それを今回新しく加わって戴いた委員の方々に、論点をきっちりと提示 するということから始めないと具合が悪いと思います。この会はやはり文科省と厚労省が 一堂に会して、そして意見を交換する。大変重要な記念すべき会です。そしてその究極の 目的は国民、社会の理解をいかに得るかということでありまして、これは得るためにはこ れは舛添大臣もおっしゃっていましたが、国民、社会に理解してもらうためには客観性の ある、国際的に通用するエビデンス・データを提示しなければならない。そして現状をお 知らせることによって医療現場の意見を的確に伝え、それを社会、国民がいかに判定する かということが肝要だと思います。  それでエビデンスだけを、私一応申し上げます。第1点は、医師不足の問題ですが、こ れはOECDのデータで30カ国中27位なんですね。対1,000人の国民に対する医師 の数が、日本は約2名ということになっていまして、OECDの平均値が3人ということ で、これは相対的にいろんなデータの解釈がありますが、27位ということは極めて低い、 つまり医師が少ないということは、事務局でぜひ国別に調べたデータを次に提示してほし いと思います。  それから、2番目のエビデンスは、医師の育成に関して高等教育の予算の中で、医学部 がとってしまうのではないかという、不毛の論争を来すおそれもあるわけです。高等教育 全体の、文科省のこれ応援ではありませんが、私ども国民として高等教育の予算というの は、30カ国中、何と29位である。対GDP比ですが、29位の教育費しかない。そし てこれをけしからんから文科省の乏しい予算の中から、高等教育によこせということにな りますと、初等・中等教育のほうがおろそかになるということになります。高等・初等・ 中等を含めた教育費が全体として低いということを認識することは重要です。  3番目のデータは、医療費は先ほども委員からご発言ありましたが、30位中22位で ありまして、サミット主要国の中で日本は最下位にあるという認識をしなけらばならない と思います。こういう国際的視点からの客観的なデータに基づいて、日本では医師不足と いうものはやはりある。そして専門別の分布というのは、今、福井先生のほうからお話し ありました。これもデータとして厚労省で2006年にまとめた官房統計情報部のデータ が既にあるんですね。それをやはりこの次提示していただかないと、このディスカッショ ンが始まらないと思います。  それから、地域的変動もこの臨床研修制度が日本の医療が危機的状況にあるということ を社会にしらしめたノックスになったのは確かなんですが、医師の大都市偏在を増強させ てはいけないのです。地域的変動はむしろこの臨床研修医制度ができて、東京とか京都と か大阪とか福岡とか、そのような主要重点都市の研修医の数は、必須体制になって以降む しろ減っているという事実もあります。そのような客観的なデータに基づいて、その減る ことがほんとうにいいことなのか、悪いことかということも踏まえて、やはりこの国を世 界に伍して先進的な医療を、国民の幸せのための高等教育を行って、世界に情報を発信し ていくために、ある意味では集中ということも必要だという考えもあります。人的、経費 的にある程度の余裕がなければ、新しい情報は国際的には発信できないということもある でしょう。私はぜひそういうディスカッションが出来るようなデータを事務局で用意して いただいて、次の会合をやるべきだと思います。  それから、自治医大のことは建学の精神に則って、ほんとうにグッドジョブをおやりに なっているとの印象をもっています。このような医療危機の厳しい中で頑張っておやりに なっているということを、一言最後につけ加えさせていただきます。 【高久座長】  小川先生、どうもありがとうございました。  もうそろそろ時間になりましたが、私も最後にちょっと言わせていただきますと、臨床 研修評価機構がありまして、私はその理事長をやらせられているんですが、そこで研修医 にアンケートをとりますと、研修病院のほうが評価高い。1つは、大学病院は福井委員が おっしゃったように、学生の教育もありますし、研究もありますし、もちろん診療もあり ます。研修医の教育は大学にとってワン・オブ・ゼムなんですが、研修指定病院の場合は まさしくオン・ザ・ジョブトレイニングでワン・ツー・ワンで指導をしている。  それから、先ほど齊藤委員がおっしゃったように、特定の研修病院は非常に高い給料出 している。北海道で有名な病院があります、非常に高い給料を出す。そこは例外だと思う んですが。現在、中小病院があまり手術や救急をやらないものですから、大学病院に患者 さんが殺到している。その結果、臨床はますます忙しくなって、研修医に手がなかなか回 せないという現状があります。大学の病院のスタッフが少ないということも原因だと思い ます。この問題は日本の医学教育、それから医療提供体制など、すべてにかかわる問題で して、そういう意味で、大変な委員会の座長をひきうけたと今さら後悔をしています。そ ろそろ時間になりました。、最後に大臣。 【舛添厚生労働大臣】  辻本さん、矢崎先生、それから武藤先生、まだご発言なさって ないんですが、また次回に是非お願いしたいと思いますし、メモでも後で事務局にいただ ければ、また参考にさせていただきたいと思っております。今日さまざまなご意見いただ きましてありがとうございます。医療制度をきちんと再構築して、本当に国民が安心でき る医療制度を構築するためには、やはり医師の養成というところから始まらないといけな いと思いますので、ぜひ皆さん方にいろいろお知恵を拝借してというふうに思っておりま す。  冒頭申し上げましたけれども、こういう大事な国民的課題はだれが大臣になろうと、だ れが総理になろうと続けないといけないと思いますから、それは解散・総選挙まであると どうなるか、先まで見通しつきませんが、みんな同じ国会議員ですから、一国会議員とし て次になる人にきちんとバトンタッチをしてやることが義務だと思いますし、私はこうい う問題について正面から取り組まない政権はだめだと思っていますので、総裁選において もそういうことを取り組む人を支援するし、そして次なる大臣がどの政党であれ、だれで あれ、これはきちんとバトンタッチをしていきたいと思いますから、あと3週間で終わる 委員会ではございませんので、腰を落ちつけて国民のために、政治の世界はこういうもの でありますけど、そういうことにかかわらずやらないといけないことがあるんだというこ とを示すためにも、この検討委員会はきちんと前に進めたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。  ありがとうございました。 【高久座長】  どうもありがとうございました。  それでは、事務局のほうから連絡ありますか。 【田原医師臨床研修推進室長】  次回の日程でございますけれども、委員の先生方と調 整をいたしまして、追ってご連絡をしたいと考えております。  以上でございます。 【高久座長】  では、どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。 (照会先)                   厚生労働省医政局医事課                      医師臨床研修推進室                    (代表)03−5253−1111                   (内線4123)