08/09/03 第1回献血推進のあり方に関する検討会議事録 平成20年度第1回献血推進のあり方に関する検討会議事録 日時 平成20年9月3日(水) 13:00〜15:00 場所 九段会館(鳳凰) ○血液対策企画官(林) それでは定刻となりましたので、ただいまより「平成20年度 第1回献血推進のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。本検討会は公開 で行なうこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までにしておりますので、 マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解、ご協力をよろしくお願いします。 本 日ご出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。私は医薬食品局血液対策課血液対策企画官の林と申します。  本検討会の座長が選任されますまでの間、事務的な進行をさせていただきますのでよ ろしくお願いいたします。  まず検討会の開催に当たりまして、新村血液対策課長よりご挨拶申し上げます。 ○血液対策課長(新村) 血液対策課長の新村です。本日はお忙しい中、委員の皆さま 方にはご出席いただきましてまことにありがとうございます。また、このたび「献血推 進のあり方に関する検討会」の委員をお引き受けいただきまして心からお礼申し上げま す。  わが国の血液事業につきましては、昭和39年に、献血の推進について閣議決定がなさ れて以来、売血から献血へと移行し、昭和49年以降は輸血用血液製剤のすべてを国内の 献血で確保しております。昨年の献血者数は494万人となっておりまして、多くの方々 から善意による献血を行っていただいておりますが、少子高齢化の進展による献血者の 人口の減少等に伴いまして、年々献血者数は減少している状況です。取分け10代、20 代の若年層の献血者数がめだって減少しています。このような傾向が続けば、将来的に は献血による血液の安定供給に支障が出るおそれもあるという状況と考えております。 また、平成17年に行いました若年層の献血意識調査の結果によりますと、献血未経験者 の4人に1人が献血について知らないと回答をしている状況でして、若年層が献血に触 れる機会自体が減少してしまっているのではないかと懸念されております。  こうした状況を踏まえて、本年度予算におきまして、若年層の献血者確保の検討にか かる経費を計上させていただきました。具体的には、若年層の献血にかかる意識調査を 実施いたしますとともに、現在の献血推進の取組について再検討して、本年度内に一定 の成果を得たいと考えているところでございます。本検討会では、献血を取り巻く諸課 題や若年層献血者の減少の要因について、検証を行っていただきまして、今後の啓発普 及のあり方をはじめとした献血推進のあり方について、各委員の皆さま方のご経験など を基に幅広い観点からご議論をいただきたいと思っております。  最後に、本検討会におきまして建設的な議論が積極的になされますようにお願い申し 上げまして、開会にあたっての挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございま した。 ○血液対策企画官 続きまして本検討会の委員の先生方をご紹介させていただきます。 本日配付しております資料2のほうに名簿がありますのでご覧いただければと存じます。 それでは五十音順にご紹介させていただきます。最初に日本医師会常任理事の飯沼雅朗 委員、東海大学法科大学院教授の宇都木伸委員、東京大学大学院教授の衞藤隆委員、は ばたき福祉事業団理事長の大平勝美委員、日本赤十字社血液事業副本部長の掛川裕通委 員、高知県健康福祉部医療薬務課長の川内敦文委員、東京医科歯科大学大学院教授の河 原和夫委員、医療法人西城病院理事の清水勝委員、東京都福祉保健局保健政策部長の住 友眞佐美委員、株式会社エフエム大阪専務取締役の田辺善仁委員、東京都赤十字血液セ ンター所長の中島一格委員、次の全国学生献血推進協議会委員長の羽田真由香委員は本 日ご欠席です。ネットワーク<医療と人権>理事の花井十伍委員、埼玉県立浦和西高等 学校養護教諭の堀田美枝子委員、最後に株式会社アミューズ所属ラジオ番組パーソナリ ティーの山本シュウ委員です。  次に本日出席しております厚生労働省の職員を紹介いたします。ご挨拶いたしました 新村課長の右隣が血液対策課課長補佐の秋野です。私の左隣が血液対策課需給専門官の 秋山です。少し後ろの席になりますが日本赤十字社血液事業本部の保坂献血推進課長で す。  次にこの検討会の座長についてお諮りいたしたいと存じます。お手元の資料1、「献血 推進のあり方に関する検討会開催要綱」をご覧ください。この要綱につきましては後ほ どまた改めて説明をさせていただきますが、この要綱の3.委員構成(2)のところにあ りますように「検討会は、委員のうち1人を座長として選出すること」としております。 本検討会の座長につきましては、互選により選出をお願いしたいと考えております。ど なたかご推薦をいただければと思いますがいかがでしょうか。 ○河原委員 いままでいろいろな委員会で重要な役割を果たしてこられた清水委員が適 任だと思います。 ○血液対策企画官 どうもありがとうございました。清水委員に座長をお願いすること で他の委員の方々もご異存がなければそのようにお願いをしたいと思いますがいかがで しょうか。ご了承いただけますでしょうか。                 (了承) ○血液対策企画官 どうもありがとうございます。それでは清水委員座長席のほうに申 しわけありませんが移動をお願いします。  それでは清水委員に以降の議事の進行をお願いいたします。 ○座長(清水) ただいまご指名いただきました清水です。座長をさせていただきます。 いままで厚労省ではこの1年間大分いろんなことがありまして、他の懸案事項が先延ば しになっていたのですが、その一つとしてこの「献血推進」並びに「採血基準」の問題 が1年あるいはもう少し長い間放置されていた、放置と言うと怒られるかも知れません がそのような状況があったということで、今回こういった問題が取上げられる段取りに なりました。ぜひ皆さま方のご協力を得ていい方向づけが得られることを期待しており ますので、どうぞよろしくお願いします。  さっそく議事に入ります。配付資料の確認をお願いします。 ○血液対策課需給専門官 事務局より資料の確認をいたします。お手元に資料がござい ます。資料の表紙は本日の座席図です。2枚目に議事次第、3枚目に資料一覧。次の先ほ どご覧いただきました資料1が「献血推進のあり方に関する検討会」の開催要綱です。 ここで簡単に説明をいたします。1.「目的」ですが、近年、わが国の献血者数は減少傾 向にありまして、特に若年層の献血離れが深刻なものとなっていることから、将来の安 定的な血液確保に懸念が生じている。こうした状況を踏まえまして、この検討会は若年 層に対する効果的な啓発方法をはじめとした今後の献血推進方策について広く検討し、 検討結果をわが国の血液事業に反映させることを目的としております。  2.「検討事項」は、(1)若年層を対象とした献血に関する意識調査の実施について、 (2)今後の若年層に対する献血推進方策のあり方について、(3)その他となっておりま す。 3.「委員構成」については、(1)医学、法律等の有識者の他、患者団体、採血事 業関係者、学校関係者、報道機関関係者及び地方自治体関係者等により構成するとして おります。(2)については先ほど申し上げたとおりです。  4.「運営」については、(1)この検討会は、知的財産・個人情報等に係る事項を除き、 原則公開するとともに、議事録を作成し、公表することとしております。(2)検討会は、 必要に応じ、参考人として、献血啓発に関係する機関や民間会社等の代表者の参加を求 めることができるとしております。  5.「庶務」について、検討会の庶務は、私ども医薬食品局血液対策課が行うこととな っております。以上が開催要綱です。  資料2は、「委員名簿」、資料3は、「献血者数の推移〔年代別〕」を示したグラフ、資 料4は、「人口変動と献血率の推移〔年代別〕」を示したグラフで、5頁まであります。 資料5は、「高校生の献血者数・献血率推移」のグラフ、資料6-1は、「献血受入施設別 の献血者数」のグラフ、資料6-2は、同じく「献血受入施設別の血液確保量」のグラフ、 資料7-1は、「献血種類別の献血者数の推移」のグラフ、資料7-2は「献血種類別の血液 確保量の推移」のグラフ、資料8は「献血に係る普及啓発事業」の説明資料。その後に 構造改革の目標という紙が1枚入っております。資料9は、平成17年度に実施をいたし ました「若年層献血意識調査結果の概要」の資料で、これは5頁のものです。資料10-1 は、今回実施を予定をしている「若年層献血意識調査の要綱」、資料10-2は、「若年層献 血意識調査 調査票」の案です。  参考資料1は、関連の新聞報道記事が表・裏となっておりますが、1件ずつあります。 参考資料2は、国及び都道府県が中心に行った普及啓発活動の実績、参考資料3、4は日 本赤十字社が行った普及啓発活動の実績に係る資料です。  なお、委員の先生方の机上には、参考としまして高校生向け普及啓発用テキストの「献 血ホップ・ステップ・ジャンプ」という冊子をお配りしております。以上が本日の資料 です。 ○座長 資料がお手元にないとか、そういったことはございませんか、よろしいですか。 それでは資料の説明をお願いします。 ○血液対策課需給専門官 それでは事務局より資料3から7-2まで、献血の現状につい て説明をいたします。  資料3、こちらのグラフは、献血者数そのものの推移を年代別の折れ線グラフで示し たものです。棒グラフの方はすべての人数になりますが、平成19年度が494万人です。 この総献血者数は右の軸が単位になります。年代別に見ますとご覧いただいてすぐわか るとおり、減少が目立っているのが20代と10代になります。20代は赤の折れ線ですが、 平成14年から平成19年のところを見ますと、この5、6年間で3割の減となっておりま す。数字にしますと50万人弱が減っている。10代に至りましては、この平成14年以降 で4割の減、24万人ぐらいの減少になっています。他の30代、40代ならびに50代以上 という年代は、概ね横這いないしは微増になっております。ただしこのグラフは、少子 高齢化の人口構造変化、この変動も要素として含んでいます。そこで各年代ごとにどう いう動きになっているかを示したものが資料4です。  資料4はそれぞれ年代ごとに1枚づつのシートになっています。16歳から19歳まで は、この棒グラフの緑色の棒、これがこの16歳から19歳の年代の総人口を示していま す。そのうち献血をしていただいた方がオレンジ色の棒です。これは延べ人数ですので 例えば1年間に2回献血をしていただいた方については2名とカウントされることにな ります。この緑色の棒とオレンジ色の棒との関係で献血した方の率を求めまして、それ を示したものがこの青の折れ線です。こちらは右軸の%を見ていただきたいと思います。 昭和60年当時で見ますと、大体25%ぐらい、すなわち4人に1人ぐらいの勘定で献血 をしていただいたことになります。それが現在では、平成19年度、7%程度まで落ち込 んでいます。この折れ線が右のほうに傾斜しているということは人口構造の 変化よりも早いスピードで献血率が減っていることを示しているものかと思います。  次の頁は20代です。こちらも折れ線を見ますとやはり相応のスピードで減少が進んで いて、17%ぐらいあった昭和60年のものが平成19年には10ポイントぐらい落ちている 状況です。次の30歳から39歳、40歳から49歳は似通っていますが、かなり減少の率 が緩やかになっています。  最後の5頁の50歳から69歳では、こちらは人口そのものがだんだん増えています。 ご覧いただくとおり緑の棒がだんだん増えています。ただ献血者数の率につきましては、 大体一貫して3%ぐらいで推移しています。比較的年齢が高い方ということで、様々な 制約があって献血ができる方が少ないといえると思いますが、率自体が3%で変わって いない。そこで全体の人口が増えているということで献血者数自体は微増の傾向である といえるかと思います。以上が資料の4です。  資料5では、先ほど年代別の推移をご覧いただきましたが、10代の16歳から19歳の うち高校生に着目したものがこの資料です。先ほどの資料4とまったく同じような構造 のグラフです。エンジ色の棒が高校在学者数の全体の数です。淡いブルーの棒が高校生 で献血をしていただいた数で、こちらも延べ人数です。その率を示したものがこの赤の 折れ線、右軸の%を参照をしていただきたいと思いますが、赤の折れ線になります。こ ちらもご覧いただいてわかるとおり、やはり10代と同じようなカーブで減少している、 非常に早いスピードで減少して今、4%ぐらいまでに落ちています。  資料6-1は「献血受入施設別の献血者数」を示したものです。献血受入施設の中心と なるものは、移動採血車、すなわち献血バスと、献血ルーム、この2つが中心になろう かと思います。この移動採血車の数、これによって献血をしていただいた数を見ますと、 この薄いブルーの棒グラフになりますが、相当な減少になっています。大体この10年で 単純にこれを見ますと100万人程度減っている。献血ルームの方ですが、こちらは横這 いないしは微増傾向にあると言えると思います。  資料6-2では、同じく献血受入施設別の血液の確保量です。献血していただいた結果、 確保した血液の量ですがL単位で示しています。やはり移動採血車と献血ルームを比較 しますと、移動採血車は人数が減っていることもあり漸減していることになります。一 方で献血ルームの方は若干増えていることになります。これは400mL献血の推進のこと もありまして、1人当たりの確保量が増えたのが要因ではないかと推測されます。  資料7-1では、このグラフは献血種類別すなわち200mL献血、400mL献血、成分献血 と3つの区分で示したグラフです。昭和61年に400mL献血、成分献血が初めて行われま した。それ以降の推移を示したものです。ご覧いただいているグラフのピンクの部分で すがこれが200mL献血。黄色が400mL献血、ブルーが成分献血の献血をした方の数です。 ご覧いただきますように昭和の終わりから、平成7年ぐらいまでにかけて、200mLから 400mLに相当の方が入れ変わった状態になっています。400mL献血の黄色の帯を見ますと 平成7年以降は、ほぼ横這いになっていまして、一方で成分献血の方は年によって多少 の多い少ないはありますが、やはり平成7年ごろまでは急激に置き変わっている。その 後もだんだん増えているような状況です。  これに伴いまして、200mL献血、ピンクの部分ですが大幅に減っていまして、特に平 成18年、19年を比べていただきますと、ここでも急激に減っており、非常に少なくな っています。こちらが献血者数に着目した推移のグラフです。資料7-2の方では、こち らは「血液確保量の推移」で只今と同じような区分で推移を見たものです。こちらでも やはり平成7年頃までに置き換えがかなりのスピードで進んでいまして、200mL献血に よる血液確保量がかなり減っている。400mLの方は平成7年以降はかなり安定した形で 推移している。成分献血の方も年によって多少バラツキがありますが相当増えている。 血液の量自体を見ましても、やはり200mLは相当減っているということで、平成18年、 19年を見ましても、やはりここでも相当の率で減っていると見てとれると思います。以 上がグラフの説明です。  次に献血に係るこれまでの「普及啓発事業」につきまして簡単に説明をいたします。 資料8をご覧ください。この資料8の左下に「献血構造改革」(平成17から)と書いて あります。実はこの献血構造改革ですが、平成17年にクロイツフェルト・ヤコブ病の関 係で献血制限が新にかけられ、例えば海外渡航歴で、96年までに英国に1日でも渡航さ れた方については、献血を遠慮していただかなくてはならない事態になりまして、ドナ ーの確保が非常に厳しい状況に陥りました。  そこで平成17年度から普及啓発の対象を明確にした、効果的な活動や重点的な献血者 の募集を行うこととし、(1)、(2)、(3)とありますが、この3つを柱としました事業を開始 しています。(1)は、若年層の献血者数の増加、(2)は、安定的な集団献血の確保、この集 団献血とは、企業の協力により安定的な献血者の確保を行うというものです。(3)が複数 回献血者の増加というテーマでやっていまして、この次のペーパーでは、この3つの事 業の目標とこれまでの実績を示しています。5年間程度の達成目標をそれぞれ掲げてお り、一つ目の若年者層の献血者数の増加については、10代、20代の方の割合を献血者全 体の40%まで上昇させるという達成目標を掲げています。しかしながら平成17年度か ら19年度にかけて、逆に実績としてはこの割合が下がってしまっているという厳しい状 況です。  二つ目は、安定的な集団献血の確保ですが、集団献血等に協力する企業数を倍増する という達成目標を立てています。平成17年度に24,000社余りだったものが、平成19 年度では34,000社以上と1万社程度も増えて、こちらは着実に増えています。  三つ目の複数回献血の増加。こちらでは複数回献血者を献血者全体の35%まで上昇さ せるという目標ですが、こちらも平成17年度27.5%であったものが平成19年度には 29.5%。今年度には30%を突破するものと思われ、採血事業の関係者の努力もあり、着 実に上昇しているところです。ただ1つ、若年層の献血者数の増加が悪化の一途を辿っ ているということで、ここは何とか歯止めをかけたいところです。  資料8に戻りますが、そこでどのような普及啓発の事業を実施しているかということ ですが、献血推進キャペーン等の実施と最初に書いてあります。やはり血液が非常に不 足する時期、毎年逼迫する時期が大体決っていまして、1月、2月の冬場、夏休みに入る 7月、この辺りがいちばん不足するということで、この時期を中心に普及啓発活動を行 っている。右側にありますポスター、あるいは平成16年から「けんけつちゃん」という、 本日入口のほうにも、ぬいぐるみを飾らせていただいておりますが、こちらのキャラク ターを活用したパンフレット等の配布等を行っています。また、高校生向けの普及啓発 用のテキスト、本日委員の机の上には参考までにお配りしておりますが、こういったも のを使っています。  この普及啓発事業ですが、地方自治体、血液センターが中心になって、特に血液が不 足するところで、様々な活動を行っていますが、それは参考資料としては後ろのほうの 参考資料2、3、4にまとめています。ちょっと時間の関係ですべてを紹介することがで きませんが、例えば、ポスター、パンフレット、リーフレットの配布ですとか、雑誌で の広告掲載、成人の日、クリスマス、バレンタインデーとか、血液の不足する時期で一 定の祝日、祭日の際のイベント、街頭キャンペーン、コンサート、中には親子を対象と した絵本の読み聞かせなども行っています。  地域におけるメディア、ラジオ、テレビ、地域のFM局とか、そういった媒体を使って CMの放送とか放映、あるいは番組の中で取上げていただく活動、ポスターのコンクール、 俳句のコンテストといったようなものを行う一種のイべント、小学校を訪問する献血出 前講座、施設見学、これは血液センターとか献血ルーム施設の見学です。あるいは献血 ボランティアといった体験学習等様々です。  また日本赤十字社のほうを見ますといわゆる集団献血に協賛していただいた企業、先 ほどの3つの事業の柱の二つ目ですが、この集団献血に協賛していただいた企業への献 血サポーターというロゴマークの発行をしています。あるいは複数回献血クラブに加入 をしていただいた方へのメールでの情報発信を行っています。真新しいところでは、一 部の献血ルームにおいて低比重者つまり比重が基準値に足りなくて献血をすることがで きなかった方に対して栄養指導等も行っています。具体的な事例については、参考資料 の2、3、4にまとめてありますので、後ほどご覧いただければと思います。以上で説明 を終わります。 ○座長 どうもありがとうございました。ただいまのいろいろな資料の説明についてご 意見がございましたらお願いします。 ○宇都木委員 高校生の献血者数の推移で、いちばん顕著に表われているのですが、平 成3年に上がって、平成11年まで波を打っているのですが、これは何か原因はわかるの ですか。 ○座長 日赤の関係の方から何か、見通し、お考えがあれば。 ○掛川委員 具体的に、何年に増えたりしたかというのはなかなか説明が難しい状況が あると思うのですけれども、高校生献血という取組には体制の問題が若干あると思いま す。先ほどもご説明がありましたが、献血には、200mL、400mL、成分とありまして、200mL については16歳から献血ができます。ところが、400mLあるいは成分献血は18歳から です。そういう最大のハードルがそこにあるのです。したがいまして、全員同じ条件で、 需要に対して同じように献血できるということには必ずしもなっていないという状況が あるのです。これは、昭和61年より前は200mLだけの献血だったのですけれども、昭和 61年以降、200mL、400mL、成分という採血の方法に変わりました。当初は200mL、400mL、 成分という献血方式が導入されたのですけど、医療機関に周知などが十分できなかった のですが、医療側としてもやはり高単位の輸血が理想であるということで、200mL献血 から、400mL由来の製剤あるいは、成分献血由来の製剤に移っていったということで、 必然的に200mL献血が減少し右肩下がりの傾向になったということです。  合わせて、平成3年ですが、分画製剤用の原料血漿の確保ということもありまして、 成分献血をどう採血するかということがポイントになってきます。これもやはり18歳か らの献血になりますので、必然的に16歳、17歳を中心とした高校献血というのが、好 むと好まざるとにかかわらず減ってくるという傾向になります。400mL由来の製剤とい うのは、医療機関側からの需要、これは、18年度に日赤で調査したところによると、需 要そのものが赤血球製剤で85%ぐらいの需要がきています。また、それについては、再 度調査をする予定ですけれども、おそらく最近の需要動向としては、もっと400mL由来 の需要が増えているのではないかと思います。全体としては資料5の高校生献血は右肩 下がりの傾向が顕著になってきているというところです。 ○座長 ほかに何か。 ○花井委員 いまご説明のあった資料からもしかしたら読み取れるのかもしれませんが、 いま掛川委員からご説明があった話で、ニーズがないから200mLは採りに行かないとい う感じはあるのかもしれないのですが、例えば献血ルームであれば、来た方にお断りす るというのはあまりないと思うのです。そうすると移動献血車でどうしても200mLの献 血をしに学校に出かけていくということが少なくなったということが、ダイレクトに反 映しているという、そういう意味ですか。即ち、移動採血車のほうが200mLを採る量は 減っていて、献血ルームやいわゆる献血センターにおいては、例えば200mLはいらない んだよというメッセージが強く出過ぎているという、そういうこともあるという理解で いいのですか。16歳の方が来れば200mLしかできないわけで、そうするとお断わりする という件数も増えていると、そういう理解ですか。 ○掛川委員 若干誤解等はあるかもしれませんが、基本的に日赤としては、医療機関か らの需要に対応して、献血の種別をお願いをできればというスタンスであるのは事実で す。だからといって200mLはいりませんよということではないです。結果的にそういう 数字になってきているのではないかなと思います。成分献血を採血するには、バスより は固定施設のほうが受け入れやすいということです。自動車に乗りながら、30分、1時 間、腕を出したまま献血するというのは、献血者に非常に負担がかかるという経緯もあ りまして、移動採血バスがだんだん減ってきているという状況にはあります。資料を後 ほど見ていただければわかると思いますが、そういいつつも若年者の方を含め、献血者 を受け入れやすい環境をつくり、少しでもいい環境にしようということで、献血ルーム をだんだん大きく寛げるスペースを取ってきたということです。あるいはいろいろなサ ービスといいますか、献血者に好まれるようなサービスの提供を行っており、決して若 い方を拒否するということは全くございません。それはむしろ若い方を積極的に受け入 れていきたいという趣旨であります。 ○花井委員 ということは、固定施設に16歳の高校生と、18歳の高校生が来れば、そ れは全く同じように献血をしていただいているという理解でいいですよね。ということ は来た若い献血者を断わるということは、あえてしていないという、こういう理解でい いですよね。ありがとうございました。 ○大平委員 掛川委員からの説明だと、資料5について宇都木先生のご質問とかみ合っ ていないというところがあるのですけれども、それはこのグラフが波を打っていると言 われたところなのですが、昔集団献血などのあり方によって、高校生の献血者の確保と いうのが、かなり率としては高くここに現われているのかどうか、それはあとで教えて いただきたいと思います。それから、その後、高校生の献血者が減っていく理由としま して、いろいろあると思うのですが、花井委員からもありましたが、意識調査などを通 じて、高校生の献血者が献血の施設はどういうところを好んで利用されているかどうか。 そういうところをきちんと捕捉して、それに対応するような形を打っていくということ も大切なのかなと思いました。  市町村合併などの理由が要因の背景にはあるのだろうと思うのですけれども、バスな どの移動採血車の利用がかなり昔は高かったわけですが、それが下がっているというこ と。高校生との関係というのはどういうものなのか。今日はいちばん最初なので、いろ いろ問題点を出していただいて、日赤の方からもつかんでいる問題点とか、そういうの を出していただいて、それを少し検討しないと表面的によいところばかりを話しても、 なかなか問題解決につながらないと思いますので、いろいろな点を日赤のほうからも現 場を通じて、こういう点が困っているとか、こういう点は将来に希望を持てる点という のを出していただけたらありがたいと思います。 ○座長 ありがとうございました。簡潔に。 ○掛川委員 簡潔にとなると非常に難しいのですが、後で中島委員の方からの補足もあ ると思いますので。 ○座長 あとで議論をする必要があると思うからです。 ○掛川委員 ではポイントだけ。グラフとは別の話なのですが、先ほども出ましたよう に、まず原料血漿の確保は平成3年から始まりました。先ほども申し上げましたように、 バスでの成分献血は非常に現実的には難しいということで、いままでは採血バスによる 献血は非常に多かったのですが、献血ルームを作って、成分献血を採血するという方法 にスタンスを変えてきたのは事実です。したがって職員数など医療機関からの需要にあ わせた規模の中で、献血ルームを作ればバスは減ります。原料血漿の確保量が上がって くればくるほど、献血ルームを増やしてくるという構図になってきます。そうしますと、 自動的に街頭、あるいは地域、学校も含めた職域などを回るバスの数が減ってくるとい う状況になります。したがいまして移動採血はその部分では減ってきます。合わせて血 小板も、以前は200mL、400mLを中心に採血をしていたのですが、これも医療側の需要か ら高単位の血小板が求められるようになったことで、成分献血を推進したわけです。原 料血漿の確保と血小板の成分献血の推進によって、こういう形になったのです。  先ほどもちょっとお話しましたが、医療側の要請が400mL献血由来の赤血球製剤を強 く要望されてきて、これが最近では85%以上の需要があるということで、この辺からも、 200mL献血よりは400mL献血を推進する方向にならざるを得ない。少なくなってきてい る移動採血バスの中でどうやって運営していくかということで400mLの採血が可能なと ころに出向き、医療需要に合わせた方向に推進していくと言わざるを得ない状況にあり ます。  それ以外にあるとすれば、少子高齢化ということもあって、地方にいきますと、若い 方を中心に多くの献血者を集めることが非常に難しくなってきたということもあって、 移動採血バスの確保も、難しくなってきています。したがって街頭、地域、学域、職域 での献血というのが、だんだん減ってくる傾向にあるということになると思います。  また地域そのものも、いままでは献血者を集めていただけるような方が、高齢化して きたりしてなかなか活動が難しくなってきています。合わせてマンションなどの集合住 宅などによって、人間関係といいますか、コミュニティが取りにくく、集団献血を実施 しにくいという環境にきていることもあると思います。  最近出てきているのが大型ショッピングセンターです。以前は駅前を中心に商店街が あったのですけれども、最近は郊外に出ています。そうしますと献血ルームの位置取り も変わってきます。駅前にあった献血ルームを移動させなければいけないとか、採血バ スの行き場所を変えないといけないとか、社会環境によって、相当動きが出てきている のも事実だと思います。さらに、企業献血も、以前は職員の方を、時間を振り分けて献 血していただきました。最近は合理化ということもありまして、献血者を集めていただ くことが厳しくなるというようなことで、職場献血も非常に難しい状況になってきてい ます。市町村の方はわかるかもしれませんが、市町村合併等で、いままで2つの町でや っていたのが1つになり、そうなると担当者の方が半分になってしまうとか、非常に確 保が難しいというような問題もあります。一方で、献血のスタイルも以前は団体とか、 あるいは集団というイメージからだんだん個、いわゆる一人ひとり、個の時代に向かっ ているのではないか。ということは広域的に網を掛けるような広報だと、なかなかうま く確保ができないのではないかと、最近の広報も非常に難しいと思っています。  併わせて学校内での献血の普及です。実際に採血をするしないは別にして、若年者の 時からいかに学校の授業の中で、取り入れることができるかどうか、そういう基盤整備 のようなものも、今後必要ではないかなと感じております。問題点としてはそういうよ うな感じだと思っています。ちょっと長くなりました。 ○座長 そのほかありますか。 ○河原委員 いま、若年者の献血のことが話題になっていますが、資料の4の最初の頁 と資料5。資料4が10代です。平成19年で見ると、献血率が6%。資料5のほうが高校 生。これが4%を切っているということで、同じ10代でも職域にいる方の献血の割合が、 高校生よりも高いということが1つ言えると思います。もう1つ論点を絞るとしたら、 資料4の10代のグラフですが、平成19年で平均は6ぐらいになっています。これを見 ていきますと、実は日本の献血者全体の平成18年度の献血率が5.4%なのです。16歳は 3.4%、17歳が4.7%、18、19はむしろ平均より高くて9.2%と9.9%なのです。そうす ると16、17がターゲットなのです。問題の3.4%と4.7%。これは全国平均の献血者の 平均より高い18、19がむしろ引き上げて、5、6%の10代の献血率になっているわけで す。だからなぜ16、17が献血率が低いのか。これは例えばバスによる方式、あるいは献 血ルームによる方式も絡むと思いますが、採血基準やいろいろな要素が絡んでくると思 います。ですから、この会議の献血の推進を効果的に議論していくためには、どこをタ ーゲットにするかということを考えていく必要があると思いますが、10代に関しては、 そういう形で16、17がターゲットであると私はデータ的には考えています。 ○座長 ほかにあれば。 ○堀田委員 すみません。学校現場ということでお話させていただきます。私は平成6、 7年度頃から高校生の献血率が、減少しだしたという頃、小学校に勤務しておりました。 当時の高校勤務の養護教諭等に聞いたわけですが、問診票の中にエイズ、C型肝炎の問 題から、不特定多数との性的接触、性行為があったかどうかというような問診の中の文 言がありまして、その辺りは、学校教育の場には、ふさわしくないのではないかという ようなことが議論されたということがありました。何校かで止めていくと周りも止めて いったということが1つあるのかなと思います。献血車が学校に来る場合に、高校です と文化祭は土曜、日曜にやっていました。その中で土曜日に献血をというあたりに、土 曜日は休みということが入ってきまして、看護師さんや従事者の方たちが勤務の関係で、 土曜日に学校にバスが配車できないというような現状が出てまいりました。平成14年度 から学校が完全5日制になりまして、内容は同じで、学校現場が忙しくなった状況とい うのはあります。そういう問題点も出された中で、埼玉県の献血センター、薬務課、保 健体育課等で話し合い、また養護教諭、学校長も交えて話し合った中で、何とかクリア していく方法はないだろうかということになりました。献血ができない学校は、なぜで きない状況なのかというようなアンケートも取ったりしたのです。本校は今年で創立74 年になるのですけれども、一度も献血をしておりませんでした。3年前に、自主自立の もと生徒の意向というのが大事であろうということで、アンケートを取りました。生徒 の意向としては、学校献血する機会があれば進んでしたいというような意見がありまし た。でも、実際、いまの子たちというのは、予防接種が学校では集団接種されていませ んので、いざやるとなると、注射器等の取扱いでというようなことで、躊躇する子もい るわけですが、3年前に本校では実施するようになりました。高校生ですと、やはり、 200mLが献血の機会のスタートになるというふうに考えているのですけれども、学校で 忙しい中到底できないというような、学校での声も多々ございます。以上です。 ○座長 高校生献血についてはご存じと思いますが、いまお話もありましたように、学 校での集団献血と、ちまたの献血ルームとかその他の所で高校生が献血するのとは、一 応区別してお考えいただきたいと思います。学校の集団献血の話がありましたように、 学校もいろいろな授業の都合等がかなり大きな影響を及ぼすものですから、それもまた 高校生の献血の指向性に対する影響というのはいろいろあると思うのですが、一応議論 のあり方としては区別して考え、議論していただければと思います。ほかに何かありま すか。 ○山本委員 ラジオDJをやりながら、大学の非常勤をやったり、小学校のPTAの会長を 5年、顧問3年で8年やっています。ど素人の立場から今日は参加させてもらっている のですけれども、まず心の中に充満していることを率直に言いたいのです。国の機関で 話をさせてもらうということで、今日来させてもらっているのですが、残り時間がもう 半分なのです。あと1時間。1時間で皆さん言いたいことはいっぱいあると思うのです けれども、この会議自体が、掛川委員の話を聞いて、すごくいろいろな問題があるのだ なと思いました。だだだっと並べられたのですが、宇都木委員が言ったのは、この波は どうしてなのかというポイントだけでしたのでしゃべり過ぎだったと思うのです。でも 問題提起は見えたので、それは問題だなと思いました。堀田委員も学校は僕も近いから、 いろいろな問題があるのだと思いました。それは区別しないといけないと。これはすご い数の問題がありますでしょう。不安になっているのは、まず一言、僕はどこのタイミ ングでしゃべったらいいのだろうということです。ちょっと見えるようにしたほうがい いのではないか、そちらを先に皆さんで話したほうがいいのではないか。先ほど、河原 委員が16、17のポイントを絞ったほうがいいのではないかというのも、それだけでも議 論がたくさん出ると思います。しかし、その辺が個人的に見えてこないので不安なので す。座長、その辺はどうでしょうか。 ○座長 いま、おっしゃったことについては、こういう委員会はいつも資料が膨大で、 今日は事務局からの説明が30分ぐらいで終わって、まだ良い傾向だと思っています。普 通ですと、大体1時間ぐらい資料の説明がありまして、残りの1時間ぐらいが議論とい う状況です。はじめの2、3回というのはいつも議論が生煮えという状況で経緯して行く のが過去の例であります。今回は割合と焦点が絞られている問題ではないかと思ってい ます。私には私なりのある程度の考えはあるのですが、いまおっしゃっている事は私も 十分承知しているつもりです。日赤の掛川委員にも「簡単に」と言ったのはそういうこ ともあるのです。あらいざらいぶちまけておきませんと、どこで取り上げてもらえるか わからないという思いもあるかもしれません。その辺はまた、徐々にやっていこうと思 っています。  そういうことで、議論はもう少し整理されたポイントがあったほうがいいと思われま す。私の方で、進め方についてポイントをお話しようかと思っています。私がいちばん 問題と思っているのは、先ほど各年代別の献血率というお話がありました。10代の献血 率、高校生の献血率の低下ということも非常に大きなポイントで、今回のこの委員会の 最大のポイントの1つではないかと思います。最も現実的に大きな問題は、むしろ20 代の献血率が下がっているということなのです。かなり顕著に下がっているということ が、今後の我が国の献血者を確保していく上でこれがいちばん大きなポイントではない かと思います。  なぜ、そうなってしまったのかということが大きなポイントとなります。これは10 代と関係しておりまして、高校生献血等の集団献血がだんだんと行われなくなることに よって、その影響が20代に引きずり込まれてきているのではないか。もし、そういう事 が大きな原因であるということになると、10代、特に高校生献血をどう位置づけるかと いうことが、我が国の将来の献血者確保、血液事業の推進、輸血療法のあり方等につい て非常に大きな影響を及ぼすのではないかと思われます。まず、そこの点を究明するこ とが大事ではないか。  それについては、既に一部お話がありました。あとで実はお話しようかと思ったので すが、いまお話しようと思います。1986年、先ほどお話がありました400mL採血と成分 採血の導入が行われました。ところが、今日は資料がありませんけれども、1964年に献 血への閣議決定が行われてから1974年までは、献血者が対前年度比10%増加を示して きておりました。1974年、全部の日赤からの輸血用血液は献血によって賄われるように なった。それ以降も、さらに献血率は増加し、1985年がピークで約7.2%でした。  ところが、1986年に400mLと成分献血が導入されたその年から献血者が減り出したの です。献血率もだんだん減っていき、去年が3.9%ぐらいというところまで来たのです。 その間にはいろいろな経緯がある。これもおかしな話ですが、当初、400mLが採血され たとき、医療機関は400mLなど使えるかといって、使うことを拒否した医療機関が結構 多かったのです。赤十字も、いまは「東京都センター」ですが、その頃は中央血液セン ター、私がいました東京女子医大は中央血液センターの管内だったのですが、400mL採 血を使ってくれる所がなくて困るというわけです。  ならば、私のところに全部持ってこいと言って、それにより私のところでは交差試験 数も減りますし、輸血本数も減りますから輸血の安全対策にもなるということで、良い 事ずくめだからということでやり始めたことがあります。ところが、ここ10年ぐらいの 間にだんだんと様相が変わってきました。それが逆転してしまった。医療機関が「200mL など要らないから、400mLを持ってきてくれ」という話になってしまい、どう対応した らいいかという問題があります。  ただ、400mLと成分が導入された1985年前後、200mL全血採血しかできなかったとき は、新鮮凍結血漿の使用量が赤血球よりも30%以上多かったのです。ですから、新鮮凍 結血漿を供給するために全血つまり、赤血球も一緒に採ってしまっていたのです。とこ ろが、この赤血球は30%ぐらいは使い道がなかったものですから捨てざるを得なかった。 そういうような矛盾があったということがあります。  女子医大の隣、いまは移ってしまいましたがフジテレビがありました。テレビの画面 に「愛の献血が捨てられている」というようなことが出たりしたこともあります。その インパクトというか、どこまで一般の方が受け取められたかというのはわかりません。 そういう矛盾を乗り越えるためには、400mLと成分献血というのは我が国のその後の血 液事業の基本的な路線を確立したことにおいて非常に意味があったと思います。  そういうようなことで、いまは400mLが主体になってしまった。16、17歳というのは 200mLしかいまの採血基準では採血できません。ですから、血液センターで200mLを採 ったとしても、血漿は分画原料に使われますが、赤血球は使い道がないものですから、 全部とは言いませんが、かなりのものは使い道がないために捨てざるを得ない。これは やはり血液事業を運営する赤十字としては、心苦しい対応を迫られるという問題があり ます。これをどのように乗り越えていくべきなのかということになろうかと思います。  次回、テーマにしようと思っていますが、16、17歳の採血基準をどうするか。200mL を全部やめてしまって、18歳以上で今の採血基準で全部行こうという方式を取るのか。 あるいは16、17歳も今の18歳以上と同じように400mLも成分も採血できるようにして しまうのか。あるいは、最初は誰でも200mL採血をして、2回目以降は400mLを採血す るというように中間的な政策を取るべきなのか。あるいは、第4、第5の方策があるの かというようなことを議論していただきたいというのが今回のこの委員会の大きなポイ ントの1つだと思います。そういうことを踏まえて、献血のキャンペーンはどうあるべ きなのか。それがすべてとは言いませんが、そういうように思っております。  献血推進の参考資料ということで、だいぶ分厚い資料が出されています。これも一見 すると、前から申し上げていることなのですが、キャンペーンをやることはいいのです。 だけど、キャンペーンをやったことがどれだけ献血者を確保するのに効果的であったの か。そのような定量的評価というのはほとんど行われていないのです。この資料でも東 京都か、高知県でしたか、あるいはほかの数県では以前にはどのぐらいの人がいたとか、 キャンペーンをやったらこれだけ人数が増えたというようなデータはありますが、昨年 度やったときの効果と比較したらどうなのかという評価が行われていないのです。もし、 そういうことが行われれば、いま行われているキャンペーン等がどれだけ有効であるか、 どういう点を改良していくか。それこそ、まさに今お話された方々のご協力を得るべき 方針が出されることを期待しています。  整理すると、医療機関が400mLへの指向性を非常に強めてきている。そのために、200mL 採血を血液センターとしては抑制せざるを得ない。原料血漿は血漿の成分採血で賄える ようになってきたものですから、今やその必要性も薄らいできた。だけど、そのために、 結果として高校生献血が減ってしまった。それが20代の減少に結びついていると言って いいのか。多分、その可能性は大きいのではないかと思います。  また若年者、10代における献血の実体験、あるいは体験的見聞ということがほとんど 行われなくなってしまった。今回もまたアンケートを取りますが、献血を知らないとい う若年者が結構いるのです。これは我々にとって非常に大きな驚きであるとともに、何 とかしなくてはならないということになろうかと思います。そのための対策をどうして いくのかということが、今回のこの委員会に課せられたテーマではないかと思う次第で す。大体、おわかりいただけましたでしょうか。 ○山本委員 すっきりしました。 ○衞藤委員 いまのように整理していただくと、子供たちは学校で何を教わってきてい るのかということになります。確かに、いまの高校生献血というのは実体験で、そこか ら献血というのはこうなのだということを理解する機会になるわけです。そうではなく て、通常の座学なり、学校教育の中で何が行われているか。学習指導要領というものが ほぼ10年に1回できて、その中で例えば中学校で言ったら保健体育、高校でも体育の保 健というところで学ぶわけです。例えば今、臓器移植などに関しても触れることになっ ていますし、日本赤十字社の活動についても国際緊急援助隊とか、ボランティア活動と して例に挙げることは示されているのですが、献血ということは出てきていないのです。  こういった現状があって、なおかつ将来的に献血を担う人たちが育っていくというこ とを意図していかなくてはいけない。今、それに関して必ずしも十分ではないというこ とで、今日の会を持つ前の段階の打ち合わせなどのときに、今だったら次の平成24年か な、それぐらいから始まる次の指導要領、高等学校はいま解説書を作っている最中だか ら、そこに書いてもらうことはできないだろうかということを文部科学省の方と話し合 っていただいたりして、少しそちらは進み始めたらしいという段階です。学校教育のと ころで基礎をきちんとやっておくことが大事だろうと思います。  それ以外には、一般の人向けには生涯教育という場面でもこういった問題を持続的に やっていく。キャンペーン以外に基盤を作っていくという意味では、そういったところ が必要なのではないかと思います。 ○田辺委員 献血するという行為は他人のためになる、それは基本であります。若い人 が人のためになるということをきちんと認識しないといけないだろう。今、おっしゃっ た、成分がどうだとか難しい話ではなくて、今、こういう行為がとても困っている人の ためになる。それが基本の精神だと思うのです。今日、うちを出るときに娘に聞いたら、 うちは高校3年生と大学1年生なのですが、全く献血に対する認識というか教育がなさ れていなくて、やった事もないし、どうしていいかわからない。行くきっかけもない。 それから、会社の若い子に聞いたら「検査センターが汚ない」とか、「血液製剤でうつる のではないか」という悪いイメージがある。これからのテーマになっていくと思うので すが、心の中に悪いイメージがあって進んでいかないのではないか。身近な人間では献 血に堂々と行っている人も少ない。そういったことをメッセージしていかなければいけ ないし、やはりいつもメッセージを投げかけていかないとなかなか進んでいかないので はないかという気がしました。成分の話とか、実態の話をしても最終的には献血する行 為ですから、愛の献血とかボランティアの精神を向上させることがとても必要なのでは ないかと思っています。 ○座長 献血についての悪いイメージというのに対してどういう対応をしていくか、あ るいはどういう悪いイメージを一般の方たちが抱いているかということを掘り起こして、 それに対する対策を講じることの可能性はどうでしょうか。 ○田辺委員 きちんとしたメッセージを伝えていけば、十分伝わっていくと思います。 十分伝えることが必要なのです。たまさか、当社はラジオ放送局で、言葉で人に伝えて いくことが我々の仕事でもあります。今、山本シュウさんというDJは、非常に強いメッ セージを発信していつも同じメッセージかもしれませんが、いつも言い続けて、それに よって人が動いている。自殺しようという人でも彼が食い止めたり、常に何度も何度も メッセージを伝えることによって人は変わっていくと思うのです。これは学校教育でも 同じだと思います。言い続けて、初めて人が変わっていくというように認識しています。 ○座長 言い続けることによって、悪いイメージというのは自然に消滅していくという 考えですね。 ○田辺委員 そうですね。 ○座長 そうすると、いま、献血確保のために献血ルームとか採血バスで、周辺に声を 枯らして呼びかけていますよね。あのようなものをいま、田辺委員が言われている立場 から見ての効果、言い続けることの効果というのはどういうように評価できますか。 ○田辺委員 いろいろあると思います。パブリックな場所で、大声を出して呼ぶという ことにおいて、人が見て逆に引いてしまうかもしれない。我々のメディアというのは1 対1のメディアだったりして、兄貴から言われるように、お姉さんから言われるように、 母から子に伝わるように、マンツーマンのコミュニケーションが非常に深く刺さるので す。だから、あのようなところで外に呼びかけることが、逆にそういう人もいますよね、 人間というのは、逆に引いてしまうとか。やはり、心の何かを動かすときに、そのメッ セージの伝え方というのがあると思います。 ○座長 中島委員、現場を預かる立場としていかがですか。いまのお話について。 ○中島委員 おっしゃる点はよくわかります。ただ、受け止めるほうの人は様々でして、 一様ではありません。私たちもできれば、もう少しスマートな献血の呼びかけをしたい と思い、またそれをどうしたものかと悩んでいるところです。  いまご指摘の点、必死の呼びかけに対して反応してくださる方も多いことも事実です。 「お前が必死で呼びかけていたから来てあげた」という方もいらっしゃいますので、一 般の市民の方々の受け止め方というのは両面あると思っています。もちろんスマートに、 必死な形相の呼びかけでない、一般の方に対する働きかけもしたいと思いますが、ある 面では血液センターの職員が必死になって一般の市民の方にお願いしているという姿も、 それなりに効果があると思っています。ただ、どちらかといえば、そのような姿は少し ずつ減らしていきたいと思っているのも事実でございます。 ○田辺委員 もちろん、それは当然重要なことでもあります。引いてしまう人もいるで しょう。いろいろな形でコミュニケーションを作って醸成していく必要がある。決して それが悪いというわけではありません。 ○山本委員 いま、ここで出ている話、全部よくわかります。おっしゃることは2人と も正しいし、別に否定する必要はないと思います。それよりも根本的な話をさせてもら いたいのですが、私がいま大学に勝手に呼ばれて、ラジオでも相談ラジオ、毎週死ぬ・ 生きるの話をしていました。気がつけばPTA会長を5年、おせっかいなものでやりまし たら本が出て、それもチャリティー本にして講演で全国を回って、今日も声が枯れてい ますが、しゃべり倒していま死にそうなのです。気がつけばここにも来てくれ、とまた おせっかいですが来ましてフラフラなのです。  要するに、私がリアルに感じていることを根本的に言わせていただくと、個人的には 長屋で育ち、近所のおっちゃんとかおばちゃんに育てられたのです。「おせっかい」とい うものがいかに大切かを身を持って知っているわけです。だからこそ、いま、大人にな って、44歳ですけれども、めちゃくちゃおせっかいしています。また、おせっかいが必 要な場面がめちゃくちゃ多いです。  厚生労働省AIDS予防財団主催、AIDSの啓発イベントももう3年目になって、算出し たら3億5,000万ぐらいかかるであろうイベントを微々たる、何十分の1、何百分の1 ぐらいの予算で、全員ノーギャラでステージに上がってくれています。ラジオでも言っ ていますが”We are シンセキ!”を展開しています。数がないや、FM大阪から送って もらわなければいけないな。こういうステッカーを作るぐらいに血の話をしています。 裏に説明が書いてあります。26世代、27世代遡って計算したら誰でも1億3,000万人の 人間が関わってここに生命が宿っているということはすぐに誰でも計算できる。つまり、 全員の生命は、実は同じ血液が一滴ぐらい流れているんだよという感覚的な話です。つ まり全員親戚なのだ、それを忘れているという話をしています。根本的なわかりやすい 話です。  現に、腹立った人に「こらっ」と言ったあと、語尾に「シンセキ!」と付けてみなよ と強制的に言っています。そうしたら、「こらっ、シンセキ!!」と言った瞬間にやさし い気持になります。これは全員持っている愛なのです。要するに、愛を強制的に呼び起 こすワークショップです。  つまり、何が言いたいかというと、どの問題に関しても、エイズだろうが、厚生労働 省が抱えているほかの何百とある問題であろうが、この献血の問題であろうが、すべて つながっている話だというのは皆さんお気づきだと思います。先ほどおっしゃいました ように、文部科学省と厚生労働省との間、環境省などいろいろなものがあります。そこ の間の連結がうまく行っていないという、大きな問題を多分皆さんどこかで感じている と思います。それがすぐ変わるわけではない。だけど、出来ることを出来る範囲で、あ きらめないでやるというのがいつの時代も私らの使命だと思います。  ならば、その中で文部科学省と新しいつながりを持って、学校の検討会でこういうこ とも入れられるのだったら未来のために足腰を鍛えるために、これを良い機会に文部科 学省に持っていく話があればここで話すべきだと思います。  さらに、400mLの話だって、私は根本的に「国は啓発が下手だな」とずっと思ってい ます。それはなぜかというと、コミュニケーションが下手だと思います。それはなぜか といったら誰も悪くない。私たちはコミュニケーションが下手なように、歴史の流れで そうなっているというところがあります。先ほど、ぽっとキーワードが出ましたが、私 も今、講演をやっている中で「孤独の時代がやってきました、コミュニケーション崩壊 の時代がやってきました。原因は誰が悪いか、その答えは歴史の流れです」、つまり誰も 悪くないです。先輩たちも200%リスペクトしています。いつの時代も、すべての人が 必死に、命がけで時代を作ってこられました。ならば、先輩方の話もしっかり聞いて、 いま私たちが司どっている人間たちが親戚だと思って話し合わないとならない。私はニ ューヨークにも住んでいましたけれども、日本人はディベートが下手というのはすぐ感 情的になったりして、白黒をはっきりさせようとする。今、出ている話は全部必要な話 だと思います。ただ、さっきから言うように、すべてつながった話にしてほしいと思い ます。  具体的に言うと、街頭でワーッと啓発している子供たちがいます。私はあれは美しい 姿だと思います。あれをし続けないと、ラジオで「なぜ献血をしなければいけないか」、 これはおせっかいなのだ。つまり愛なのだ。愛を相手に与えると返ってくるという、愛 のお話があまりにも教育界でできていないので、これをワークショップとしてどこの切 り口からでもいい。献血からでもいい、環境問題の「マイ箸」からでもいい。エイズの 問題からでもいいから、そこから入って最終的には全部おせっかいな、つまり「情けは 人のためならず」の話をそちらの方向に向いてまとめて話し合っていかなければいけな い話、根本的にそちらを向いて話してほしいと思っています。長々とすみません。 ○宇都木委員 性格として非常に似ているのは、骨髄移植と臓器移植の問題だと思いま す。文部科学省のほうも問題なのですが、厚生労働省の中でももっともっと協力をする 可能性がいっぱいあると思っています。複植用臓器提供については、登録の制度を一昨 年に設けたのですが、イギリスでは200万人登録しているのが日本では数万人ぐらいの 登録しかないのです。  こういうキャンペーンというのはいろいろなところが責任を持つ必要があるのですが、 やはりどこか中心的に全体を見渡すところがきちんとあって、きちんと資金を付けてや っていかないといけないのではないかと思います。  たとえば、骨髄移植財団の場合も患者のグループがあって、核になってキャンペーン をしていくわけですが、輸血の場合はその核になる部分がないのだと思います。その辺 を少し構造的に考えなければいけないのではないかと思いました。 ○座長 どうもありがとうございました。いま、いろいろ意見が出ました。この献血キ ャンペーン、特に高校生をターゲットにした場合、いろいろ出てきた議論を事務局で整 理し、次回にまた改めて議論したいと思います。よろしくお願いします。それ以外のこ とで何かありますでしょうか。  特にご意見がなければ次に移りたいと思います。議事3、「若年層を対象にした献血の 意識調査」、これも今年やろうということになって、既にご意見等も伺っている部分があ るかと思います。これについていかがでしょうか。 ○河原委員 3時から会議がありますので途中で失礼します。「献血推進のあり方」とい うタイトルで検討されていると思うのですが、やはり背後には血液の確保と量的な、あ るいは人的な確保ということがあると思います。そのとき、先ほど申しましたように、1 つはいまの基準ではカバーされていない方を献血者のグループに引き入れる。もう1つ は、既存の献血者の献血率をいかに高めていくか。それはいままで議論のあったPRの方 法とかいろいろあると思います。それからもう1つ、これはこの議論にあまりなじまな いかもわかりませんが、量的な確保としたらいまの採血基準で落とされている問診とか、 採血基準で落とされている方をどう拾い上げるかという点があると思います。  いちばん最初の新たな献血者の発掘に対しては採血基準と非常にからんでくるかと思 います。先ほどの10代に関しては、いまは16歳から19歳が献血可能年齢層ですが、18 歳や19歳が400mL採れる。16歳とか17歳が200mLしか採れない。後期高齢者ではない ですが、前期10代と後期10代とすると、前期10代で果たして400mL採れないかどうか を平成17年度の研究でやっています。その研究結果から言うと、後期の10代の健康面 での影響というのはほとんど差がないということが結果として出ています。また、必要 に応じて、採血基準の検討をするときにご説明させていただきたいと思います。以上で す。 ○座長 いまの採血基準については、厚生労働省の研究班でも7、8年前から検討が続け られてきており、ある程度の成果は出ています。したがって、それに関係する資料等も 次回のために事前に配付して、検討しておいていただきたいと思います。また、次回、 改めて議論をきちんとやりたいと思います。どうもありがとうございます。 ○山本委員 偉そうなこと言うわけではないのですが、いちばん懸念しているのは精神 的に病んでいる子がものすごく増えているのです。その子らは「人のためになりたい」 といって献血に行って倒れるのです。ご存じだと思うのですが、そういう人たちも研究 の対象、要するに精神面と血というのは研究されているのですか。 ○河原委員 一応、献血の現場に来られた方で、もちろんインフォームド・コンセント を取って、どれぐらい気分が悪くなって倒れたかも調べました。そうすると、17歳、18 歳と前期の16歳、17歳で差がなかった。むしろ、若いほうが倒れるのが率にすると少 なかったです。若いほうが1.何パーセント、18歳、19歳では2.2%が気分悪くなったり 倒れたりということがありました。 ○山本委員 睡眠剤とか、よく飲んでいる子がいるのです。そういう子はよく「他人の ためになりたい」とか。 ○河原委員 それは多分、問診の段階でいろいろ排除されると思います。もし、それを 隠して献血に行くとそれこそ問題だと思います。その血液というのは、薬が入った血液 が輸血されるわけですから。 ○山本委員 わかりました。 ○座長 そのことについては、また次回、詳細に検討したいと思います。あとは特によ ろしいですか。それでは議題3、「意識調査」についての説明をお願いします。 ○血液対策課需給専門官 議題3のご説明をしたいと思います。資料9から資料10-2 を用いてご説明します。まず、資料9ですが、平成17年度に「若年層献血意識に関する 調査」というものを行っています。過去の資料ですが、調査結果の概要をまとめたもの が資料9です。調査の目的等ありますが、大まかに申し上げますとインターネット調査、 客体1万で行っています。献血経験者が5,000人、未経験者5,000人ということで、16 歳から29歳の方を対象にインターネットでの調査を行っています。  ごく大まかなことを申しますと、3頁以降、設問に対する回答、そのパーセンテージ 等が書いてあります。まず、先ほどもご紹介しましたが、献血未経験者の方のうち26.2%、 すなわち4人に1人に当たる方が「献血を知らない」というように回答しています。ど の程度知らないということは、設問がざっくりしたものですので濃淡あるかもしれませ んが、献血自体を知らないということかもしれません。これが4人に1人いたというこ とで、かなりショッキングな内容となっています。  今回も同様の調査をやろうとしています。今回の調査についてまとめたものがまず資 料10-1、こちらは調査の要綱になります。前回同様、インターネット調査という手法を 使い、調査対象が1万客体、経験者・未経験者がそれぞれ5,000客体ということで、全 国で偏りがないように若年層に対して調査を行うということであります。大体、調査に 1カ月ぐらいは要するということですので、このあとすぐ行い、第2回目は10月下旬を 予定していますが、それまでにまとめて結果をご報告したいと思っています。  実際の調査票ですが、資料10-2をご覧ください。こちらは献血未経験者用から始まっ ています。  まず、前回と同じ設問がかなりあります。これらを比較が行えるということで活かし ています。その問については問の下、問1がそうですが、太いアンダーラインが引いて あります。これに関しては、前回のものと結果の比較ができることになります。それか ら未経験者、経験者、相互の比較も可能です。前後しますが、資料9の最後の頁に参考 として未経験者、経験者のうち、同一の設問について比較をした一覧があります。この ような比較も可能であると考えています。  アンダーラインが引いてある資料10-2の問については比較を行うということなので すが、今回の調査から設定した問もございます。それがアンダーラインが引いていない 問2、問3に始まるものでございます。今回、例えば頁で言うと3頁目、未経験者の3 頁目、問の17、18あたり、「ご家族が献血している姿を見たことがありますか」、あるい は「あなたのお友だちに献血をしている人がいますか」という設問を設けています。本 日の議論の中でも何回か出てきましたが、若年層が献血に触れる機会が減ってしまって いるのではないかということが伺い知れるデータになるかもしれないということで設け ています。  献血経験者用のものが5頁目から同様にあります。内容は似かよったところがかなり あります。ただ、経験者については6頁目のいちばん下、問17があります。実は前回も やっている問ですが、「いままでの献血回数は合計で何回ですか」という問です。答えが 「1回」と答える方、「2回」の方、それ以上の方とございます。2の「2回」、あるいは 「それ以上」の方々がいわゆる複数回献血者ということになろうかと思います。ほかの 問とからめ、右側に注釈がありますけれども、例えば問13に「初めて献血した場所はど こですか」という問があります。1の「高校」と答えた方、おそらくは高校の集団献血 で初めて献血したという方だと思います。こうした方が複数回献血者になっているか、 育っているかが伺い知れるような内容になるのではないかということで、いくつかの問 を関連づけて集計しています。先ほど、新たに設問を設けました7頁の問20、「ご家族 が献血している姿を見たことがありますか」とあります。この辺も関連づけて調べてみ たいと思っています。ごく雑駁ですが、そのような内容で調査を行いたいと思っていま す。  この調査については入札によって行う予定です。既に落札業者は決まっていますが、 この内容でよろしいということであれば早速調査を開始し、次回の検討会でご報告した いと思います。以上です。 ○座長 これはこれから項目を追加したりなどできるのですか。 ○血液対策課需給専門官 本日、ご指摘いただければ可能であると考えます。 ○座長 ということでございます。ちょっと量が多いので、パッと見るのは難しいかも しれません。何かお気づきの点、あるいはこういう項目を入れたらどうか、これは要ら ないのではないかということがあればお願いします。 ○山本委員 先ほども言いましたが、私が現場にいて痛感しているのは心の教育を置き 去りにしたことで、いま心が死んでいる世の中が来てしまったということを本当に訴え ています。つまり、どういうことかというと、国がやることの中にいままでいちばん排 除されてきた、例えばこういうことはあなたにとってなぜすることでしょうか、愛につ いての、心についての質問を載せられないかと率直に思います。 ○座長 関連項目か、何かありますか。 ○山本委員 ありますか、見ずに言っていますが。 ○血液対策課需給専門官 心ということなのですが、単純に「関心がありますか」とい う設問は前からあります。 ○座長 「関心がある」というのは何番になるのでしょうか。 ○血液対策課需給専門官 未経験者で言うと問4であります。「非常に関心がある」、「関 心がある」、「特に関心がない」、「全く関心がない」となっています。 ○山本委員 「何を言っているのだ」と思われるかもしれませんが、私たちラジオDJ は毎年、「シュウさん、なぜ生きなければいけないの」、「シュウさん、なぜリストカット したらいけないの」、「シュウさん、なぜ勉強しなければいけないの」、「なぜ学校行かな ければいけないの」、国立大学でも教えていますけれども、まず授業を始める前に必ず聞 いていることは「自分に自信のある人、手を挙げてください」と言ったら誰も手を挙げ ません。「自分に自信がない人」と言ったら自信持って手を挙げる人がいます。  先ほどから言いますが、私は先輩方を200%リスペクトしています。それだけわかっ ていてほしいのです。その時代、その時代に必要な教育があったと思いますが、今、大 人たちに「なぜ学校行かないといけないですか」と聞いたときに答えを考えてもらいた い。もっとシンプルに言います。「なぜ、挨拶をしなければいけないの」と小学生に聞か れたら何と答えますか。「なぜ生きなければいけないの」と聞かれたらどう答えますか。 残念ながら、そういうことが私も含めうまく説明できない年代です。  いま、子供たちには大声で「意味わからん」という言葉がはやっています。「意味わか らん」というのは、私たち大人が残念ながら子供たちの腹の中に落ちるような答えを説 明できない。なぜならば、私らはそのような説明を受けずに学校に通い、勉強し、大学 に向かっていった。挨拶も「挨拶しなさい」と言われてしてきた。でも、そのワークシ ョップ的なことで、何となく心の中には答えがあるのです。  ところが、いま、なぜこのようなことになっているかというと、私が思うに全てが生 命につながっていないからです。すべての理由が生命につながって説明できないことに なった頭ごなし教育、それでも私たちは「何くそ」とやってきた年代ですが、社会背景 が変わったがために遂に生命が死んでしまっているわけです。去年1年間の殺人事件の 半分は、家の中で行われていた。皆さんご存じのとおり、毎日90人が自殺しています。 この委員会だからこそ言いたいのは、血の話なので、減っているということが全部つな がって当然減るのです、みんな意識低いですから。個人、「自分さえよかったらいい」と いう世の中が来てしまった。誰も悪くない。来てしまったから、いろんなところで私は 1つのエイズを選んで、「みんな、家族の話なのだ。あなたの話なのだ」ということを心 から訴えていかないと。人は心を揺さぶられないと行動を起こさない動物ですから、心 の話がすっぽり抜けているようではどんどん遠いものになるのです。  現に、私はエイズの啓発教育をやっています。ちゃんと数字もあげています。心に響 くお話をし続けているので、アーティストは全員心で動くのでギャラは欲しない。  そして、子供たちも、心から訴えた人間の話は心で受けるので行動に移します。そう いう経験をもとに、ここにいらっしゃる方全員が愛があるというのは百も承知、熱さが あるというのも百も承知、ピュアな心があるのも百も承知なので、そこを何とか同時に 盛り込んでいっていただきたいと思います。 ○血液対策課需給専門官 質問ということではないのですが、実はこの調査の中で添付 をする資料があります。この調査をインターネットに載せたときに見やすくご覧いただ けるような形を考えています。  この資料の10-2の一番最後の2枚をご覧ください。「けんけつちゃん」を使った「献 血にご協力を、若い皆さんの熱い友情を」というメッセージなのですが、1頁目の下、「献 血はなぜ必要なのか」ということで簡単に触れています。3つ目のカラムで、「献血は病 気や怪我で血液を必要としている他人のために、見返りを求めず血液を提供することで す。健康な人のボランティアによって、多くの人の生命が救われているのです」とご紹 介をしています。いまの状態では、これが答えになるかと思います。 ○座長 その程度のことで、山本委員が言われていることはカバーできそうですか。 ○衞藤委員 この3月まで、付属の中学校・高校の校長を兼務していました。やはり、 子供たちがリストカットをしたりとか、自分自身を大切にできないと思っているのでは ないか。「自分に自信がない」と先ほどおっしゃいましたが、自分自身を大切に思う気持 が育っていない子供が予想以上に多い現状が確かにある。そこに届くような質問という のは確かにない、いきなり献血の話から始まってしまう。例えば、「あなたがいちばん大 切に思っていることは何ですか」とか、そういったところから入っていくことは1つの やり方ではないか。それは結局、他人のために役立ちたいという気持があるのかという ところから入っていって、献血のほうに行く。そこでちょっと補助の階段を付けてあげ ないと答えにくいところがあるのではないか。完璧なお答えになっているかどうかわか りませんが、私の感じていることはそういうことです。 ○山本委員 いまおっしゃることもベリー・グッド、「いいな」と思います。一言、それ こそワン・フレーズに実は子供たちはビビッとするのです。例えば、「いまから質問に答 えてもらいます」のような文言の中に、一言心が震える、あるいはこれを書いた大人の 人たちの愛情のこもった一言が入るだけで向き合い方が違うのです。それがそれこそ設 問の中に入らなくても、「ご協力ありがとうございました」というよりは、人と人とが愛 で結ばれていて、その愛に参加してくれてありがとう。わからないですよ。そこに愛と か、人間は助け合っていかなければいけないとか、そのようなことは学校で言っている けれども上滑りしないような、大切な言葉を入れてほしい。それが私たち、ここで話し 合っているメンバーの人間としての、真剣な未来を考えている大人としての愛の仕事だ と思います。  ここで「愛」とか言うとぶっ飛ぶと思います。しかし、私たち大人が奥さんに「愛し ています」ということを見せられないから、子供たちは「愛しています」と言えないの です。先ほどもちらっと出ていましたが、私たちが家の中で献血の話をしないと、当然、 献血は近くはないのです。といって、しない人が悪いのではないのです。伝わるように、 うまくプレゼンテーションをしなくてはいけない人たちができていないというだけで。 ならばそういう人たちを、私もいっぱいおせっかいしていますが、それが必要だなと痛 感しています。もちろん昔の先輩など、後ろ姿でその愛を届けてくれていたので良かっ た。いろいろなものが変わりました。背中を見ながら「嘘つくな」と教育した人が「ピ ンポン」、「お父ちゃん、いる?」と言ったら、「お父ちゃん、いないと言え」と言ってし まう。言っていることとやっている事が違うことを子供たちは私に訴えてき続けてきて いるのです。こういうことこそ、心込めてそういう文言も入れて、何だったら専門の人、 コピーライターの人でもここに入ってもらって表現すべきだと思います。 ○血液対策課需給専門官 ご指摘ありがとうございます。かなり薄いかもしれませんが 関連している問で言うと、未経験者の問5、「どういう用途に使われているか知っている か」という内容、あるいは問25、「若い方が献血に協力する気持を高めるためにはどう いうことをすればよいと思うか」というように、間接的に答えとして現れることは期待 しているのですが、いまおっしゃられたようなことは、どちらかというとメッセージと して入れなければいけないということはよくわかります。先ほど申し上げた資料の中で の工夫もできるかと思いますので、そこは検討させていただきたいと思います。よろし いでしょうか。 ○座長 まず、山本委員にもう少しこれをきちんと読んでいただき、こういう設問を具 体的にしたほうがいいのか。いま、事務局からあった話を入れることでいいのか。ある いは、もうちょっとこういう考え方があるのかということを具体的に、早急に事務局に 伝えていただけませんか。そして、事務局と私とで検討させていただいて、一任いただ いてアンケートをやるということでご了解いただけるとよろしいかと思うのですが、い かがでしょうか。 ○山本委員 いかがですか。 ○堀田委員 とても必要なことだと思います、心のことを入れるというのは。 ○大平委員 山本委員のお話を聞いて大変感銘させられたところがあります。私も薬害 エイズ被害の問題で、血液事業のほうに関与させていただきました。最初のころは心の 問題、愛の問題ということで、血液を通して良いイメージを世の中に伝えていく。それ が皆さんに共有できるような形にしていきたい。血液からの感染の問題とか、いろいろ な問題が社会に対してあまり良いイメージで伝わっていなくて、逆に輸血とか、血液事 業に対してのイメージがあまりにも、病院関係者の方はどうかわかりませんが、一般的 には良いイメージで伝わっていなかったなというところがある。小さい子を通じてでも、 また若年層を通じてでも、血液という問題を通して人を助け合う。それを社会の中で定 着させていくことで、生命を大切にしていく問題とかにつながるのではないかと思い、 参加しています。こういう委員会に慣れてきてしまったせいか、発言の場がだんだん少 なくなってきているのかもしれません。今日は改めて、初心に返るような思いでお話を 伺わせていただきました。  今回のアンケートの中でも、日本が献血で血液を国内需給を行っているというのは世 界でも稀な国なのです。そこを何とか世の中にメッセージとして、国が本当は伝えてい いのではないかと思っています。それは厚生労働省だけではなくて文部科学省も当然、 また、内閣府等でも、国が全体としてこの血液の問題を皆で考えているというメッセー ジを国民全体に伝えるには、やはりそのくらいの規模で伝えていかないと、山本委員の 言われるような、血液のいいイメージとしての社会への定着がなかなか進んでいかない と思います。ここのメッセージの中に日本の希有な世界でのシステム、血液の助合いの あり方というのを是非盛り込んでいただけたらと思うのです。それがもし不可能だとし たら、日赤とかそういうところも大々的にキャンペーンをして、日本のいいところ、ま た、これが本当に患者さんたちを救っていること、そして、企業としても社会貢献とし て大変立派な活動であることをわかっていただけるような、そういうことにつながれば と思うので、可能であれば是非盛り込んでいただきたいです。 ○宇都木委員 これは意識調査ですので、あまり最初に操作をしてしまうと国民一般の 意識の調査にならないと思います。ですから、これは難しいかもしれませんが、積極的 に働きかけた後にするアンケートとこのままのアンケートをやってみて、その比較でも ってどのようにしたら社会を動かせるかという調査も考えられるかと思います。 ○山本委員 いまおっしゃるのはよくわかるのですが、やはりそこのバランスですね。 私は表現が下手くそなもので、例えば、具体的に設問だったとしたら、何故今日は受け ようと思われましたかとか、その中に、Aは暇だった、Bは前から興味があった、Cは普 通の。最後の1つに人のためになりたかったか、あるいは、何か心に引っかかったよう な薄めのものがあると、私が言っているのはそういうことですね。そんな極端にメッセ ージするようなことではありません。つまり、私たち自体が、献血は何のために必要か というのは、先ほど言ったように、すべての理由は命につながっている、愛につながっ ているという意識があるはずです。もしなかったら、えらいことだと思います。その中 で、問19番に自分の献血が役に立ってほしいから、輸血用の血液が不足していると聞い たから、健康管理のためになるから、輸血を受けることがあるかもしれないから、過去 に家族や友人らが輸血を受けたとあります。  この中に、役に立ってほしいというのが、これは薄めですが、もう1個、例えば愛の ためと入っていてもいいですね。つまり、先ほど大平委員も言ったように、私はどこを 切っても、要するにワークショップ的に、みんなが何か気づいていく。それは何かとい うと、私の言い方だと、つながっていかなければいけない、支えていかなければいけな い、みんな大切な親戚だと、そういうものに意識が低いことが大問題なので、その意識 を上げるためにはそれに気づいてもらわなければならないと思います。つまり、献血が 低いのも、人のこと知らんとか、要するに情報が入らないのですね。それで心を揺さぶ らない。ところが、人間は心が動いたら、献血の意味がわかれば誰でも献血しますよ。 だって格好いいことなのだから。自分の生き様として格好いいし、自分が嬉しいし、最 終的にはそういう当たり前のことを何となく意識が上がるようなものにして欲しいなと 思います。 ○座長 いま宇都木委員の言われたことは、そういうような、心的なことがアンケート に対してある方向づけをしてしまうのではないかという指摘ですね。 ○山本委員 いや。だから、チョイスがあるわけですよ。 ○座長 ですから、今回はこの調査について、そういう項目を入れるべきか、あるいは、 もしやるならば、そういうことを含めた別の調査をやるほうがいいのか、ということだ と思います。その辺についてはどうでしょうか。それから、アンケートの取り方につい ても、同じテーマでも、設問が最初にあったのと後にあったのでは回答の内容がかなり 変わってくるという調査結果もあります。いま事務局から指摘がありましたが、もし入 れるのならば、文章的なものとして関係しているところに、いま山本委員が言ったこと を設問として最後に入れるかとなると、宇都木委員の言っているような懸念は、0とは 言わないまでも大分薄まる可能性はあるかと思いますが、その辺についてはどうお考え ですか。 ○山本委員 そうですね。バランスだと思います。ただ1つだけ、勘違いしてほしくな いのは、私に言わせると、例えばこういうもののアンケート調査に、愛が盛り込まれな かったからこそ問題が大きくなっていると、はっきり言っておきます。つまり、愛は別、 こういう意識調査はそういうものを排除したものにしなければいけないという、私から すればそういう考え方が既にナンセンスなのです。すべては愛につながっているもので す。先ほど言ったように、私は無宗教です。 ○宇都木委員 普段から愛とか助合いとかに意識を持っている人間はどう動き、そうい うことについてあまり関心のない人間はどう動くか、というような調査ができたらいち ばんいいと思っているんです。 ○山本委員 そういう調査ですか。 ○宇都木委員 そういうことだと思います。 ○山本委員 つまり、愛に意識がないと、愛について意識が薄い人を調べるのですか。 ○宇都木委員 そうではなくて、献血に対する意識の調査としてです。そうすると、ど ういうところにキャンペーンをしていったら数値が上がっていくか、そういうための調 査で、これ自体はキャンペーンではないから、キャンペーンの資料だと思います。だか ら、これがキャンペーンの資料となるのに適切かどうかについて、まだ議論の余地が十 分あると思いますが、これ自体でキャンペーンをしてしまうと結果が動いてしまうと、 そういうことです。 ○山本委員 わかります。難しいですね。 ○花井委員 1つは山本委員、こういう形でラジオで話していただけると思うと心強い です。バイアスの問題ですが、やはりどんなアンケートも観察者が必要な時点で必ず文 脈に依存するので、完全に排除できません。宇都木委員が言ったように、観察者の視点 でそれをある程度分析できるアンケートをするのと、観察者が観察者然としてることに よって駄目だという山本委員の意見は、実は本質的な問題に立ち入っていると思うので すが、今回は具体的な話なので、あまりそこに立ち入らず、いま聞いていて思ったのは、 献血における愛というものは、やはりそれをいただける贈り物のもらい手がいるのです ね。もらい手は、例えば大平委員と私が常にユーザーであるわけですけど、ユーザーの 姿が見えない。今回のアンケートでも、自由記載欄の最後のところで、どうやったら若 い人に献血をしてもらえるようになりますかと、直接こちらの本音を聞いてますね。そ れと同時に、例えば、献血によって治療をしてる患者さんに対する、献血した人のメッ セージをいただいてもいいかと思います。そういうのが1つあってもいいかと。輸血す る側というのはやはりどこか見えてないのが、献血ではずっとあって、骨髄移植とか臓 器移植の場合だったら、もらってる患者さんがCMの画面に出て来たりしますね。献血だ けは患者さんの姿は出てこないのです。私たちは集団なわけですが、やはり血液をもら ってるという、私の血液を渡してこれを受け取る、贈与されてるわけですね。贈与され た命の宝物を受け取る側と、この伝達の感覚が献血のイメージの中にないのかな、いや、 あるのかもしれませんが、そこのところ、ドナーとレシピエントがどうつながってるか の意識というところの質問項目があればいいかと思いました。今回はこういう形になっ ているので、自由記載欄に、私の個人的好みとしては、一度献血によって治療を受けて いる患者さんに、何かご意見等がありましたらお書きくださいと、問29の後に1つつけ ていただくのはどうですか。そのことによって、献血者がもらい手、レシピエントを人 間としてどう見てるのかという意識がわかり、キャンペーンに役立つかという点が1点 です。  それから、もう1点は細かいことなのですが。今日田辺委員もいて、ふと思ったので すが、キャンペーンを知った媒体、ラジオと書いてあります。実はFMとAMはいまやメ ディアとして全然違うのですね。だからFMと言ったほうがいいのではないですか。ラジ オというメディアと、中波とFMは完全に違うメディアなのですね。そういう意味では、 それを分けたほうがFMも協力しやすくなるかと思います。それが2点目です。  それから、業者に委託するようですが、これは調査した厚生労働省が出るのですか。 出るのであれば、むしろ調査の内容よりも、調査主体の厚生労働省の調査にかける思い が出ていないと。最初に何かコピーを入れたりすればいいのかもしれません。厚生労働 省、献血のために愛をかけて調査するのにご協力くださいという立派な。それはわかり ませんが、そういうことも可能かと思いました。以上、3点目です。 ○座長 他の委員の方々、いまのことについて。 ○川内委員 発言の機会をうかがっていまして、最後になって恐縮です。このアンケー トについては、設問自体は大体こんなものでいいかと思います。これまでに数々の委員 からご意見が出ているように、でき得ればこの設問を終えた後に、これまで献血を受け た方々のメッセージとか、また、ここでも最後ですが、献血者のプロフィールへのリン クを張ってますから、献血に対する国としてのキャンペーンのリンクを張るとか、そう いったところで、すべての説問の後にいろいろな普及、啓発を図る素材を載せていけば いいかと思います。そうすれば、座長もおっしゃられるように、アンケート自体のバイ アスも減少するのではないかと思います。  それと、意識調査とは直接関係ないですけども。私の課は血液事業と臓器移植対策を 所管しております。そこに入って感じるのは、臓器移植や骨髄移植であれば、レシピエ ントの方々のメッセージが強力に国民の方々に映ることから、ドナー側の意識の啓発に 非常に役立ってるのではないかと思います。一方、実は献血というのは、通常の献血も 日常の医療の中で粛々淡々と行われているので、なかなかメッセージ性が薄いところが あります。ここは地道にやっていくしかないのですが、やはり山本委員が言うような、 善意、愛というものを繰り返し訴えていくことが必要ではないかと感じました。 ○座長 他に。 ○住友委員 まず、この調査についてですが、まさかこの「若年層献血意識調査」とい うスタートで入るわけではないですね。実際に調査するときには、厚生労働省のお願い として入って答えていただくのだと思いますが、そこを丁寧に説明して調査に協力して いただくスタイルをとったらいいと思います。あと、あまりそこにメッセージを入れて しまうのはどうかと思いますが、この調査の目的と、こういうことが問題なのでいま調 査してますと入れていくと思うので、そこでもある程度メッセージを入れられるかとい うのが1つあります。それと、特に未経験者用の調査の中で、設問5で、いきなり「献 血は患者さんに対する輸血だけでなく」と入ってるのですが、そもそも輸血の血液が献 血でしか確保できない日本の状況を知っているのかどうか、おそらく献血そのものさえ 知らないという方が多いと思いますので、もう少し基本のところから聞いたほうがいい のではないかというのが率直な印象でした。逆にそういうことを質問として入れること で、この調査が知らない方に教示していくというか、教育的内容になるかと思いますの で、盛り込んでいただいてはいかがかと思いました。以上です。 ○座長 大体よろしいですか。では、簡単にお願いいたします。 ○山本委員 1つ聞いてて、ああそうか、私はメッセージを盛り込もうと思われている と思ったのですね。私はメッセージを盛り込むつもりはないです。つまり、ここに書い てあるけど、献血に関してどのような広報媒体を見たことがあるかというところに、テ レビ、ラジオ、新聞、街頭での呼びかけとありますね。この中にラジオという項目がな かったとしたら、ラジオできたやつは落ち込みますね。少ないのだ、相手にされてない のだ。つまり、どういうことかというと、項目の中に、もちろん役に立つと思ったから とか、そういう表現はありますが、はっきりと、愛だと思いましたというのが入ってい い時代ではないかということです。つまり、いまの若い子は愛についてものすごく意識 が上がってきているというか、愛がないからですよ。全然届いてないから。だから、い ま子供たちがどんな大人が響くかといったら、愛を訴える大人です。愛を表現できる人 です。ベタベタな、関西人だからベタと言いますけど。「お前を愛してる」という言葉を 聞きたがっているのです。わからないから、背中では伝わらないから。だから、最後で いいから、項目の中に「愛のため」と入っている、大人たちが作った若年層献血意識調 査なのか、そういうのが入ってないのならば、やはり若年層が見たらそこで距離を感じ ます。入ってない「その他」になってる。そこの他の中に「愛のため」と書かなければ いけないと。この感覚は伝わらなかったら伝わらないのですが、メッセージではないの です。 ○宇都木委員 むしろ問うほうの側にそれがあるかと、そういう問題なのでしょうね。 ○山本委員 愛の云々というキャンペーンを張るでしょう。そこには愛のとか調子よく 出てきますが、こういうところになると突然消えるとか、つながってなかったり、なに かお飾り餅みたいにこちらへ伝わらない、キーワードとしての愛という感じがします。 作ってる物すべてに、作ってる側の大人たちのものが欲しいと、率直に思います。それ を言う立場で来てるし。 ○座長 意識を込めるのではないと、メッセージを込めるのではないという意味ですね。 ○山本委員 メッセージではないです。だって、これは愛でしょう。 ○座長 わかります。 ○宇都木委員 例えば、自殺を考えたことがあるかとか、助けられた記憶があるかとか、 人を助けた記憶があるかと、そういう事柄を持っている人間かどうかで答えが大分動く ことがあるのかもしれませんね。何か確かにそういう事柄をアンケートの中に入れられ ると分析が効くかもしれません。 ○座長 それでは、後半で議論が大分盛り上がったのですが、そろそろ議論も出尽くし てきたのではと。いずれにしてもこの調査はやるべきだと思います。したがって、山本 委員をはじめとして、江藤委員、あるいは住友委員ですか、こういう問題があるのでは ないかという発言をされた方々にいま一度お願いしたいのです。具体的に、どの部分に こういう設問を入れるかということを事務局に、今週中でもいいですか。間に合いませ んか。 ○血液対策課需給専門官 明日中にいただければ大変助かりますが。 ○座長 是非明日中にお送り下さい。 ○山本委員 問18に、愛のためと入れておいてください。 ○座長 それをどこの部分に、どういう設問で、どういう選択項目として入れるかを具 体的に指示してください。 ○山本委員 いま場所がわかりました。問18と問19です。 ○座長 設問だけはできるだけ早く決めて、調査に入りたいと思います。そうでないと 次回に間に合いませんね。 ○山本委員 そうですね。 ○座長 そういうことでよろしいでしょうか。是非ご協力いただきたいと思います。具 体的に設問という形で、そのまま場合によっては印刷できるような形でお願いしたいと 思います。それは事務局と私で検討して、最終案にさせていただきます。よろしいです か。ご了解いただけますか。では、是非そういうことでお願いしたいと思います。  本日用意した議題はこれで終わりました。あと、この会の次回以降の運営等について、 事務局より日程等の案があればお話しいただきたいと思います。 ○血液対策企画官 本日は熱心なご討議をいただき、本当にありがとうございました。 次回の日程ですが、事前の調整の結果、10月29日水曜日の午後1時半からお願いした いと思います。会場については、現在探していますので、決まり次第ご連絡申し上げま す。次回ですが、本日ご議論いただいた意識調査を実際に行いまして、できましたらそ の結果をまとめて、次回10月29日に資料と共にご報告したいと思います。  それから、本日途中でご退席になりましたが、河原委員のほうで、採血基準のあり方 に関する研究を行っていただいておりますので、そちらの状況について河原委員から詳 しくご報告いただきたいと考えています。また、採血基準のご議論をいただくときには、 欧米等の基準、あるいは、献血の状況がどうなっているのかというのも重要な情報かと 思いますので、その辺の情報をお持ちの方も、参考人として出席をお願いし、ご説明を いただければと思っております。事務局からは以上でございます。 ○座長 次回は、本日議論した、献血の推進に関するいろいろな問題、それからもう1 つ、先ほどご説明申し上げたように、若年者、特に16、17歳の採血基準のあり方が若年 者献血に大きな影響を及ぼしているのではないかと思われることから、非常に重要なポ イントだと思います。これについては既にいろいろなデータが厚生労働省の研究班等で 出されてますので、その資料は事前に配付できると思います。事務局と相談する必要も あるかもしれませんが、できるだけ事前にその資料をお送りしたいと思いますので、是 非目を通していただいて、コンパクトな議論ができるようにご協力いただきたいと思い ます。それから、世界の状況がどうなっているか、これも大きな意味のあることと思い ますので、適当な参考人に来ていただいて、お話を伺いたいとも考えます。そういうこ とで、次回は10月29日の予定のようですので、是非またご参集して、ご尽力をいただ きたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。 紹介先:医薬食品局 血液対策課     03-5253-1111(内線 2917,2904)