08/08/29 第1回全国肝炎総合対策推進懇談会議事録 第1回全国肝炎総合対策推進懇談会 厚生労働省健康局疾病対策肝炎対策推進室 日時:平成20年8月29日(金)13:00〜15:00 場所:東海大学校友会館「富士の間」 1、開会 2、議事   (1)懇談会の趣旨及び今後の進め方について   (2)座長及び座長代理の選任について   (3)肝炎対策の現状について   (4)意見交換   (5)その他 3、閉会 (議事内容) ○肝炎対策推進室長 それでは、定刻でございますので、ただいまより「全国肝炎総合対策推進 懇談会」を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、懇談会の事務局 を担当しております、健康局疾病対策課肝炎対策推進室長の正林でございます。本日、座長が選 任されるまでの間、司会を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。  最初に、本日の進め方について御説明をしたいと思います。  今日、舛添厚生労働大臣に御出席いただいております。ただ、大臣は大変公務がお忙しく、今 日は1時半までしかこの会議に出席することができません。しかし、大臣は皆様方の御意見をで きるだけお聞きしたいという御要望がありますので、やや変則的ではありますが、この後委員の 御紹介をさせていただいて、その後に大臣にごあいさついただき、すぐに皆様方から大臣に対す る御要望なり御意見をいただく時間を取りたいと思います。最後、大臣にコメントをいただいて、 それを1時半までと考えております。  その後に、座長、座長代理、この会議の設置要項等について御承認をいただき、更に事務局か ら、これまでの肝炎対策の現状を御説明し、更に林先生から、今の研究の状況についても御説明 していただいて、総合的な御議論をと考えております。  それでは、まず、委員の御紹介をしたいと思います。「あいうえお」順で申し上げます。  日本看護協会常任理事の井伊久美子様です。  日本医師会常任理事の飯沼雅朗様です。  東京大学大学院の小俣教授は、今日は御欠席と聞いております。  保健師長会副会長の川又協子様です。  栃木県保健福祉部保健医療監の北澤潤様です。  日本肝臓病患者団体協議会事務局長の高畠譲二様です。  広島大学大学院医歯薬総合研究科准教授の田中純子様です。  日本肝臓病患者団体協議会常任幹事の西村慎太郎様です。  大阪大学消化器内科学教授の林紀夫様です。  宮城県対がん協会会長の久道茂様です。  国立国際医療センター国府台病院長の松枝啓様です。  読売新聞東京本社編集員の南砂様です。  国立感染症研究所長の宮村達男様です。  国立病院機構長崎医療センター治療研究部長の八橋弘様です。  それでは、議事に先立ち、舛添厚生労働大臣からごあいさつを申し上げます。 ○厚生労働大臣 皆さん、今日は御多忙中のところ、お集まり賜りまして、ありがとうございま す。第1回の全国肝炎総合対策推進懇談会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げたい と思います。  皆さん御承知のように、今年の1月、議員立法によりまして、C型肝炎訴訟の和解にこぎつけ られました。これまでも厚生労働省は、さまざまな肝炎対策を行ってきましたけれども、昨年度 来の訴訟の解決を含めて、本年度からインターフェロン治療に対する医療費助成制度を柱としま す肝炎治療7か年計画を進めます。林先生には、いろいろお世話になり、ありがとうございまし た。新しい肝炎総合対策を開始いたしました。6月には、専門家の方々に御議論いただきまして、 肝炎研究7か年戦略をとりまとめることができました。  ただ問題は、各都道府県によって取組みの差がございます。そこで、肝炎で苦しんでおられる 方々は、やはりさまざまな望みを持っておられる。まさに地域によって差がありますので、今日 はそういうところも皆さん方の忌憚のない御意見を賜りたいと思います。総務省、各都道府県、 市町村と連携をとりながら、診療、治療体制を更によいものにしていきたいと思っています。  今日は、本当に肝炎の御専門の方々、そして肝炎の患者の方々の代表を含めて、大所高所から こういう問題について御議論できる皆さん方にお集まりいただきましたので、今日は緊急経済対 策の策定の作業をどうしてもやらないといけないので、30分ぐらいしか時間はございませんけ れども、私の方でお答えできることはできるだけお答えし、むしろ皆様方の御意見をいただいて、 今後の施策に生かしたいという思いでございますので、どうかよろしくお願いします。  ありがとうございます。 ○肝炎対策推進室長 それでは、冒頭カメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思いま す。どうもありがとうございます。 (報道関係者退室) ○肝炎対策推進室長 それでは、先ほど御説明いたしましたとおり、せっかくの機会ですので、 大臣に対して、何か御要望なり、御意見なりがございましたら、御遠慮なく、忌憚のない御意見 をいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。  西村様、どうぞ。 ○西村委員 日本肝臓病患者団体協議会の西村です。よろしくお願いします。  本日は、私ども患者の意見を述べる場に御出席をいただきまして、ありがとうございます。冒 頭に肝炎研究7か年戦略は多くの成果が得られ、私たち患者への一般医療に早期に導入されるこ とを願っています。  B、C型ウイルス肝炎は、患者、キャリアが350万人と言われ、毎年4万5,000人もの患者が 命を失い、非常に長期間闘病を余儀なくされる国内最大の悲惨な感染症です。その多くの原因は、 針や筒を変えない注射や、止血因子製剤の投与などの過去の不衛生な医療行為によるもので、医 原病です。戦後、WHOや欧米諸国から、その危険性の情報が寄せられていましたが、迅速に対 応せず、漫然たる厚生行政の結果が、日本におけるこのような感染症による被害を生み出してい ます。  その反省がきちんとなされないままに、厚生労働省が業務を行ってきた結果、最近でも、微量 採血用穿刺器具、真空採血管用ホルダー、歯周病の治療器具などの使いまわしが明らかになるな ど、日常医療行為でのB型、C型肝炎ウイルスに感染する危険性が全国各地に存在することも明 らかになっています。  このように、厚生行政の不備から、国内最大の感染症を生み出した国が、私たち肝炎患者の治 療や療養に責任を持って支援し、健康を取り戻す次のような施策を行われるように切望いたしま す。  1、すべての都道府県、政令市で、一般医療機関での肝炎ウイルス検査を無料で行う体制を確 実に整備し、気づかないウイルス肝炎患者の発見に全力を尽くしてください。また、この事業を 平成21年度も継続させて、実施してください。  2、慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者は、非常に長期の療養を余儀なくされ、検査や治療に高額 な医療費負担を強いられています。また、治療や療養による就労制限も受けています。これら患 者の療養に公費による医療費支援を行ってください。  3、内部障害者としての認定について、心臓、腎臓、肺、呼吸器、免疫機能障害患者に身体障 害者福祉法による身体障害者手帳の交付など、福祉施策が行われています。肝疾患患者にも同様 の施策が提供され、療養支援がなされることを切望いたします。  4、この会議の前身である全国C型肝炎診療懇談会の報告書での提起では、肝疾患診療連携拠 点病院の設置と、そこでの肝炎患者相談支援業務を行うことを定めています。専任、専門職を置 いた相談支援センター業務が早急に実行されるようにしてください。  5、今年から実施された後期高齢者医療制度によって、75歳以上の肝炎、肝硬変、肝がん患 者が、年齢によって利用できる医療施設や検査、治療が制限されることのないようにしてくださ い。  以上でございます。よろしくお願いします。 ○厚生労働大臣 それでは、時間の制約もございますので、私の方から答えさせていただいてよ ろしゅうございますか。  西村さん、ありがとうございました。全肝炎の皆様方は、いろんな機会で個々の会員の皆様か らお手紙をいただいたり、日ごろから皆様方の御意見はよく聞いております。そういう中で、最 初の検査をしっかり無料でやるという体制でありますけれども、先ほど私が冒頭申しましたよう に、都道府県によって熱意の差と言うとおかしいんですけれども、差がありまして、十分ではあ りません。  そこで先般もブロック会議等の機会を通じまして、早急に実施するように働きかけてきたとこ ろでありますし、今のところ、残念ながら、まだ半分の都道府県ぐらいしかやっていないので、 やっていないところは、個々催促する形でやりたいと思います。  それから、おっしゃるように、21年度も無料で行う体制を続けていきたいと思っていますの で、今、財務省に対して、その予算の概算要求を出しているところでございます。なかなか財務 省に対して十分力を持っていないものですから、皆さん方も声を一緒に上げていただければ、こ の体制を継続していくことが可能になると思います。  公費による医療費支援ですが、インターフェロンを使って治療する医療費助成については、今、 実施しているところですけれども、先般、48週を72週にできないかということも既に申し上げ たとおりでありますし、新しい研究、治療法の開発等についても、今から努力をしていきたいと 思っております。  それから、例の身体障害者手帳の問題は、8月1日に薬害肝炎の全国原告団、弁護団の皆さん と第2回目の協議をしたときに私が申し上げましたように、ほかの疾患との絡みということもあ るんですけれども、身体障害として位置づけることは可能かどうかを検討させるということで、 既に検討に入っています。  4番目の拠点病院、その他支援センターの問題でありますけれども、これはまず各都道府県か ら拠点病院を指定してもらわないといけないので、まだやはり未指定の自治体もあるものですか ら、これも先ほどの件と同じように、担当者が直接行って、拠点病院の指定をしてくれというこ とを申し上げております。それで1日も早く、今、おっしゃったような相談支援業務が実行され るようにしたいと思います。  私が大臣になりましてから、知事さんたちとの直接の協議の場をつくりました。次回、全国の 知事さんたちが集まったときに、この問題についても、また知事さんたちの協力を直接お願いし ようと思っています。  最後に後期高齢者医療制度の問題ですけれども、これは肝炎ということではなくて、一般にい ろんな誤解があって、今までかかっていた治療が受けられない、今まで通っていたお医者さんに かかれないというのは全く正しくなくて、すべてそういうことはできるようになって、必要な医 療が制限されることはないということであります。  また、肝炎などの患者さんに対しましては、療養病棟とか老建などに入所されている方に対し て、インターフェロン注射に関する医療が別途算定できるようにしておりますし、在宅の自己注 射が認められる薬剤の範囲を拡大するようなことも、今、やっておりますので、肝炎の患者さん が新しい後期高齢者医療制度が入ったから医療が制限されるということは絶対にありませんし、 また、そういうことがないように、きちんとやってまいりたいと思います。  以上でございます。あとまた時間が許せば、御意見を賜ると思いますけれども、とりあえず西 村さんに対しては、そういうお答えでございます。 ○肝炎対策推進室長 それでは、ほかの方はいかがでしょうか。  林様、どうぞ。 ○林委員 大阪大学の林でございます。肝炎の治療をさせていただいているということで要望な んですけれども、実はC型肝炎は、現在の最新治療で50%の方はうまくウイルスの排除を起こ せるレベルまでまいりましたけれども、現在の日本の肝がんの発症率はピークにきておりまして、 この肝がん発症率を抑制しようと思いますと、C型肝炎患者さんのウイルスの排除率を更に上げ る以外に手がないということが明らかになっています。  現在、欧米を中心に、いろいろな新しい薬剤の開発が行われておりまして、残り50%の方の ウイルスの排除を起こそうといろんな努力を国際的に行っているわけでございます。日本でも最 近、プロテアーゼインヒビターという新しい薬剤の臨床試験も始めようとしているところでござ いますけれども、最近気がつきましたことは、欧米の患者さんと日本の患者さんの薬の対する反 応性が少し違っているということがわかってきています。  欧米では、プロテアーゼインヒビターを従来の治療法に付け加えますと有効率がかなり上がり ますが、どうも日本の患者さんは副作用の問題から、欧米で行われているとおりにはなかなか治 療が行われないのではないかということがわかってきています。  現在、新薬の開発は欧米がほぼ主導で、日本が遅れている最大の理由というのは、研究開発費 の差でございまして、アメリカではエイズの患者さんに使っていた研究費をC型肝炎の患者さん の研究費に大幅にシフトしている。それから、欧米の大きな製薬メーカーがかなり大きな研究費 を支出しているんですが、日本はそういうことが行われていないということで、新薬剤の開発が ほぼ欧米で出てまいります。  そういうことで、是非日本でも、研究開発費をかなり増額していただいていますが、更に増額 をしていただきたい。これは基礎的な研究をなさる研究者の数も日本では非常に少ない状況でご ざいますので、そういう研究者を増やすためにも、是非お願いしたいと思っております。  既に開発が行われている製剤についても、どうも欧米と同じような投与方法ではうまくいかな いということがわかっていますので、やはり日本で独自の治療方法を開発する必要がございます ので、そういう面からも、是非研究費の増額をお願いしたいと思っています。  もう一点、B型肝炎の方につきましても、かなり新薬の開発が行われておりますけれども、現 在、日本に入ってきている新薬というのは3剤だけでございまして、それ以外の薬剤は、今のと ころ日本の保険診療で治療できません。  そのことも、実は先ほど申し上げました新薬の開発が日本は遅れているという点にもリンクし ているわけでございますけれども、是非研究開発費を増額していかないと、欧米で新薬の開発が 行われたとしても、日本でそれがうまく使われないような状況になるのではないかと思っており ます。  昨年来、研究費をかなり増額していただいていますが、更に増額をしていただかないと、今、 肝がんの発症がピークにきており、その対策が非常に緊急を要しますので、是非日本でも患者さ んの治療効果を上げるために、更に研究を広めていきたいと思っております。是非よろしくお願 いしたいと思っております。 ○厚生労働大臣 林先生、お答えする前に、私は専門家ではないので、今のお話でちょっとわか らないところがございましたので、また御説明いただきたいんですが、欧米で開発された薬が、 例えば日本人に効かないというとき、それは日本人の体質とか、そういうものなのか、それが1 つ。  それから、同じものでも投与方法が違うとおっしゃいましたね。例えばリバビリンと併用した ときに、最近非常によくなるというのは私も知っているんですけれども、先ほど新たなお薬の名 前をおっしゃいました。そこのところを簡単に私にわかるように説明いただけますか。  なぜかと言ったら、治験の問題や何かが入ってきて、今、ドラッグラグを埋めようということ で、アメリカ並みに4年待つのも1年半ぐらいで済まそうということで、5か年計画でもう進め ていますので、そういうときに、今のようなことを簡単に説明いただくと、更にいい政策ができ ると思います。まずはそれを聞かせてください。 ○林委員 リバビリンの副作用で一番困りますのは、薬を投与しますと、赤血球がつぶれて、貧 血が起こるということで、患者さんが途中で投与を中断するという事態になります。それがどう も欧米の方よりも日本人の方が起こりやすいということで、欧米の投与量よりも日本の投与量の 方が少なくしないと成果が得られません。そういうことは、有効率が少し下がるということを意 味します。  同じように、プロテアーゼインヒビターという新薬も貧血が起こるということが最近わかって まいりまして、それも欧米人よりは日本人の方が貧血が起こる程度が強いということがわかって まいりました。  ですから、欧米では、かなりいい成績が出ておりますけれども、その投与量を日本人に投与す ることができないので、恐らく日本では投与量を減らすなりの対策を考えますと、恐らく有効率 が下がることがございます。勿論、感染しているウイルスの遺伝子の型が少し違うこともありま すが、やはり欧米人と日本人との間に人種差がありますので、当然のことながら、薬に対する反 応性が少し違ってきています。  ですから、欧米とは違った治療のプロトコールをつくらざるを得ないかもわからないし、日本 人により合う薬剤を開発する必要があるのではないかと思っております。 ○厚生労働大臣 ありがとうございました。林先生を中心に、この7か年戦略を御立案いただい て、本当に助かっています。  先ほどの予算の話ですけれども、これは是非研究を更に進めていただきたいと思いまして、平 成20年度は16億円でした。今年度は10億円アップで26億円ということで、今週決めました 概算要求を今、財務省に出しているところでありまして、今のようなことを含めて、強力に予算 的にも御支援していきたいと思いますので、是非日本人に合った形での薬の開発、そして治療方 法の確立をやっていただきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。  まだあと5分ぐらい大丈夫ですので、これは大臣に聞いておけということがありましたら、御 自由に、一人でも多くの委員の方の御意見をいただければと思います。 ○肝炎対策推進室長 せっかくの機会ですので、どなたかいらっしゃいますか。 ○厚生労働大臣 きちんとメモしていきますからね。 ○肝炎対策推進室長 飯沼様、どうぞ。 ○飯沼委員 どなたもないようですので、私が申し上げます。  先ほど西村さんから、今年1年の議員立法で検証をやられるのを延ばしてほしいというお話が ありましたが、話は違いますが、はしかと風しんのワクチンも、3期、4期というのを新しくつ くっていただきました。これは非常にいい政策だと思います。それから、無料の肝炎検査も非常 にいいことでありますが、大臣がおっしゃったみたいに、各都道府県の温度差が非常にあります。 医師会の方も、これは何とかしなければいかぬと思って、来週ぐらいから動くつもりではおりま すけれども、行政単位でもっといいお話を実行していただけるように、各都道府県に発信をして いただきたいと思います。こんないいことが全く使われずに進んでいるというのは、非常に残念 なことでありますので、ひとつよろしくお願いいたします。 ○厚生労働大臣 今、そういうこともあって、増田総務大臣とも連携をいろんな面で深めていま す。  逆に、先ほどありました後期高齢者医療制度は、今までの医療を制限するつもりではないんで すけれども、例えばそういう誤解が出てくるというのは、きちんと各地域レベルにまで話が通じ ていないんですね。ですから、それを反省して、9月1日から総務省から直属に私の下に1人置 きまして、そういうことをやらせようと思っています。  今、厚生労働省改革を一生懸命やっているんですけれども、余りに通達行政で、これをやりな さいと言っても、受け取った方がやらなかったら終わりなんです。その検証をやっていない。で すから、きちんとこちらがやれといったことを中央レベルでやるためには、総務省の協力も必要 なんです。今、飯沼さんがおっしゃったことは、増田総務大臣とも協力をしながら、実効性のあ る形で中央がどうして動くか。  やはり、知事さんと直接話すことが非常に有効なので、今まで四隅で各都道府県の知事さんを 含めて、市町村の首長さんが厚生労働省に物すごく恨みを持っているのは、恨みと言ったらあれ ですが、これをやれ、あれをやれと言って、金の面倒は見ないわ、言うことだけ言うわというの で、もう不満たらたらで爆発寸前だったので、それなら私が直接聞きましょうといって皆さんに 聞いた。  しかし、例えばこちらからも、このことはおたくの県はやっていないからやってくださいよと いうので、次にいつやるかわかりませんけれども、今の御意見もしっかり受け止めて、知事さん に直接申し上げたいと思っています。  私や知事さんは時間がなかなか取れないので、その下のレベル、事務次官と向こうのそれのカ ウンターパートでの会議もつくっていますので、それも指示をしておきますので、きちんとやり たいと思います。  まだあと1つぐらい答えられます。 ○肝炎対策推進室長 いかがでしょうか。 ○厚生労働大臣 南さん、何かメディアの立場からあればお願いします。 ○南委員 私から申し上げることといっても、余り急なので、まとまったことは申し上げられま せんが、今回、肝炎総合対策ということで、肝炎ということをひとくくりにしますと、B型、C 型、ほかのいろいろな原因による慢性肝炎も含めまして、非常に広範なものが含まれております ので、私どもメディアの立場ですと、やはりどうしても、昨年ですとC型肝炎、その都度スポッ トの当たるところというのは、非常に広範な中の一部のことになってしまう。ただ、そこの一部 の方を救済なり対応することで、ほかの方のところにもきちんと光が当たるようにしていただく ということを同時に考えていきませんと、この広範な全体の方の中での、それこそ対応に格差が 生じることになってしまいますので、それがまず1つ、是非御検討いただきたいということです。  それから、やはりこの問題は、先ほど患者の西村さんのお話にもありましたように、やはり過 去の非常に不衛生を余儀なくされた時代のツケという部分が非常に多くあるようです。ですから、 そこの責任とか、そういった問題も当然生じてくるとは思うんですけれども、それもまた同時に、 今、起こっていることへの対応をきちんとするということを優先にというとちょっと語弊がある かもしれませんが、やはりどういう理由であれ、現在、肝炎ということで、生活に制限を加えら れたり、困っていらっしゃる方のことを非常に優先に考えていただきたいということがあります。 よろしくお願いいたします。 ○厚生労働大臣 どうもありがとうございました。 ○肝炎推進対策室長 田中様、どうぞ。 ○田中委員 肝炎の疫学班をこの4月から預かっています。先ほど皆さんがおっしゃったように、 都道府県で肝炎対策への取組み方がまちまちです。今、班の中で全国調査をしておりますので、 それがまとまり、各都道府県での問題点が上がった時点で、都道府県ごとの問題に対応できるよ うな体制をとっていただくようお願いしたいと思っております。その県独自の医療ネットワーク なり、公費補助なりの体制がとれるよう、その県に応じた柔軟な対応をお願いしたいと思ってお ります。 ○厚生労働大臣 是非その調査結果をいただいて、そういう方向で努力をしたいと思います。あ りがとうございます。  では、もっともっと皆様方の御意見をいただきたいんですけれども、あとは事務局の方にしっ かりと対応するように申し上げておりますので、御意見を賜って、後ほどまた読ませていただき ます。早退いたしますけれども、どうかあとはよろしくお願いいたします。ありがとうございま す。 (厚生労働大臣退室) ○肝炎対策推進室長 それでは、議事に入りたいと思います。  その前に、事務局の御紹介をまだしておりませんので、御紹介したいと思います。  上田健康局長でございます。 ○健康局長 上田です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○肝炎対策推進室長 私は、先ほど申し上げました正林でございます。よろしくお願いします。  宮崎健康対策推進官でございます。 ○健康対策推進官 宮崎と申します。どうぞよろしくお願いします。 ○肝炎医療専門官 私は、肝炎対策推進室の医療専門官をしております岩田と申します。よろし くお願いいたします。 ○肝炎対策推進室長 それでは、最初に資料1−1の開催要領をごらんください。  目的は、厚生労働省健康局長が参集する有識者により、総合的な肝炎対策について専門的な協 議を行うことを目的として開催する。  構成は、学識経験を有する者。  座長は、座長及び座長代理を置く。座長は互選で選出し、座長代理は座長が欠席の場合に座長 としての業務を行う。  必要に応じて外部専門家を交えた作業班を開催することができる。  会議は公開とする。  あと、個人情報保護のことがうたってあります。  議事録は、そこに書いてあるとおりです。  庶務は、肝炎対策推進室で行います。  このほかについては、座長が別途定める。  以上のような開催要領ですけれども、これについて何か御質問はございますでしょうか。  それでは、この開催要領をお認めいただくということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○肝炎対策推進室長 ありがとうございます。  では、まず座長について、互選により選出するとしております。どなたか座長を御推薦いただ けますでしょうか。  林委員、どうぞ。 ○林委員 いつもやっていただいています、久道先生にお願いするのがいいのではないかと思い ます。 ○肝炎対策推進室長 座長に久道先生をという御意見をいただきまたが、いかがでしょうか。 (拍手起こる) ○肝炎対策推進室長 ありがとうございます。  そうしたら、久道先生、座長席にお移りいただけますでしょうか。 (久道委員、座長席へ移動) ○肝炎対策推進室長 先生、そうしたら何かごあいさつをいただけたらと思います。 ○久道座長 いつもやっていると言われましたけれども、確かにいつもやっているんですが、前 回は全国C型肝炎診療懇談会の座長をさせていただきました。それは終わったわけですが、新た に今回の肝炎全部の総合対策推進懇談会の座長ということで御推挙いただきました。よろしくお 願いしたいと思います。  それでは、議事に座長代理の選任というのがございますので、私の方から御指名させていただ いてよろしいでしょうか。  それでは、林先生にお願いしたいと思いますが、また、いつもやっていただいている林先生で すので、よろしくお願いいたします。御了承いただけますね。 ○林座長代理 はい。 ○久道座長 どうもありがとうございます。(拍手) (林委員、座長代理席へ移動) ○久道座長 一言お願いします。 ○林座長代理 肝炎の方では、まだまだ多くの問題が残っておりますので、こういう場でいろん な問題が解決できればと思っております。少し座長のサポートができればいいと思っていますの で、どうぞよろしくお願いします。 ○久道座長 議事に入りますけれども、まだ資料の確認を事務局はやっていませんので、それを 先にしてください。 ○肝炎対策推進室長 それでは、資料の確認をしたいと思います。  資料1−1は、先ほどの「全国肝炎総合対策推進懇談会 開催要領」でございます。  資料1−2は「全国肝炎総合対策推進懇談会 名簿」でございます。  資料2−1は「肝炎対策をめぐる近年の動きについて」でございます。  資料2−2は「肝炎対策予算の推移」でございます。  資料2−3は「肝炎等克服緊急対策研究について」でございます。  資料2−4は「肝炎対策の推進(平成21年度予算概算要求)」でございます。  資料2−5は「肝炎治療特別促進事業について」でございます。  資料2−6は「肝炎ウイルス検査の実績」でございます。  資料2−7は「各自治体における肝炎対策の現状について」でございます。  資料2−8は「肝疾患診療連携拠点病院一覧」でございます。  資料2−9は「肝炎に関する普及啓発について」でございます。  資料2−10は「肝炎研究7カ年戦略(概要)」でございます。  参考資料1は「肝炎対策における総合的施策の推進に関する決議」でございます。  参考資料2は「新しい肝炎総合対策の推進について(与党PT)」でございます。  参考資料3は、この会議の前身であります全国C型肝炎診療懇談会の報告書である「都道府県 における肝炎検査後肝疾患新利用体制に関するガイドライン」でございます。  参考資料4は「肝炎研究7カ年戦略(本文)」でございます。  参考資料5は「肝炎等克服緊急対策研究事業採択課題表」でございます。  参考資料6は「肝炎に関する普及啓発について(パンフレット、HP)」でございます。  更に、林委員から委員提出資料として、パワーポイントのコピーが付けてあります。  以上であります。 ○久道座長 資料の不足の方は、事務局に申し出ていただきたいと思います。  それでは、議事に入ります。  3番目の「肝炎対策の現状について」であります。事務局から説明をお願いいたします。 ○肝炎対策推進室長 それでは、御説明したいと思います。  最初に、現状に入る前に、この会に至った経緯を簡単に説明したいと思います。  もともとは、平成18年度にC型肝炎の診療懇談会という組織がございました。今日いらっし ゃるほとんどの方は、その懇談会の当時のメンバーでございます。  そのときに、先ほどの参考資料にありますガイドラインとか、普及啓発のためのリーフレット 等をおつくりいただきました。そのときはC型肝炎だったわけですが、全国は全国なんですけれ ども、Cだけではなく、Bも含めた総合的な肝炎についての懇談会をこのたび設置いたしました。  特に参考資料1は、先ほどの大臣のごあいさつにもありましたフィブリノゲンの裁判の関係で、 救済法という法律が今年の1月に制定されましたが、その附帯決議を付けてあります。その2ペ ージ目の十番のところに「肝炎に関する総合的な対策を推進するため、早急に『肝炎対策推進協 議会』(仮称)を設立すること」という附帯決議をいただいております。  こうした附帯決議を受ける形で、今回全国肝炎総合対策推進懇談会を設置したところでありま す。この懇談会では、肝炎の総合対策についていろいろ御意見をいただく。私ども行政としては、 その御意見を踏まえながら、肝炎対策をより一層推進していくといった趣旨でございます。  そうしましたら、順次、資料に基づいて、肝炎の現状等について御説明したいと思います。  まず、資料2−1です。肝炎対策をめぐる近年の動きについて、簡単にまとめてあります。  平成12年に、肝炎対策に関する有識者会議というものが設置されて、翌年には報告書がまと まっています。  その報告書に基づいて、平成14年度から「C型肝炎等緊急総合対策」というものが実施され ています。中身は御存じのとおり、肝炎のウイルス検査、厚生労働科学研究による「肝炎等克服 緊急対策研究」といったものが開始されております。  その後、何回か専門家会議、あるいは先ほど申し上げましたC型肝炎診療懇談会といった専門 家のお集まりの場でいろんな御提言をいただき、随時、肝炎対策をバージョンアップしてまいり ました。  18年4月、例えば保健所で実施している肝炎ウイルス検査について、それまでは性病の検査 と一緒でないと肝炎検査は受けられなかったものを、肝炎ウイルス検査だけでも補助するとか、 あるいはそれまであった年齢制限を撤廃するとか、肝疾患診療連携拠点病院というのは、まさに この懇談会の前身であります全国C型肝炎診療懇談会の報告書で記されたものを具現化、予算化 したものであります。  更に昨年は、与党肝炎対策プロジェクトチームに、先ほどの参考資料にありました「新しい肝 炎総合対策の推進」というものをとりまとめていただきました。  20年に入って、今年の1月からは、先ほど西村委員から御要望がありましたが、緊急肝炎ウ イルス検査事業の実施。保健所のウイルス検査を医療機関に委託した場合、保健所はもともと無 料で、医療機関に委託した場合は有料だったんですが、それをまた無料化するというのを今年の 1月から実施しています。  そして、今年の4月から、インターフェロン治療に対する医療費の助成というものが開始され ました。それを含めて「新しい肝炎総合対策」が開始されたところであります。  更に直近では、先般、林先生に中心になっていただいて「肝炎研究7カ年戦略」というものを とりまとめていただきました。  資料2−2「肝炎対策の予算の推移」でありますが、特に19年度、20年度に大幅な増額を図 っているところであります。  資料2−3「肝炎等克服緊急対策研究について」であります。  これまで平成14年度から、この研究事業をスタートしているわけでございますが、さまざま な研究が行われてまいりました。そこにお示ししておりますのは、ごくごく一部の例であります けれども、例えば肝炎治療の現状と治療薬の開発のところでは、B型及びC型肝炎ウイルスの感 染者に対する治療の標準化に関する臨床的な研究、遺伝子技術を用いたようなウイルス性の肝炎 に対する新規診断・治療法の開発。  2番目として、更に肝硬変治療ということで、末期の肝硬変に対する治療に関する研究とか、 あるいはインターフェロンの抗肝線維化分子機構の解明とその応用といったテーマの研究も現 在実施されています。  3番目の肝がん関係では、肝がんの患者のQOL向上に関する研究とか、肝がんの早期発見を 目的とした分子マーカー、画像診断システムの開発。  4番目として、基礎研究について、ウイルスによる色素細胞、がん化メカニズムの解明とか、 感染における宿主応答の分子機構の解析と新規創薬標的の探索。  5番目の疫学関係について、B型肝炎、C型肝炎の疫学及び検診を含む肝炎対策、それから長 期予後の疫学像の解明といった研究についてこれまで取り組んでいただき、更に現在も進行中で あります。  資料2−4は、来年度に向けての概算要求であります。  今年度207億円のところを更に5億円増で213億を要求しようというところです。  1.インターフェロン療法の促進のための環境整備、これはいわゆる医療費助成であります。  2.肝炎ウイルス検査の促進  3.健康管理の推進と安全・安心の肝炎治療の推進、肝硬変・肝がん患者への対応、これは主 に診療体制、肝疾患、診療連携拠点病院関係の予算であります。  4.国民に対する正しい知識の普及と理解  5.研究の推進  特にこの研究の推進は、先ほど大臣の御発言にもありましたが、今年度16億円、これまでも 大分増やしてまいりましたが、来年度は更に大幅なアップを図るために、10億円追加して、1.6 倍の26億円を概算要求しているところでございます。  資料2−5は、医療費助成についてであります。  インターフェロン治療というのは、奏効すれば、肝硬変、肝がんといった重篤な病態を防ぐこ とができる。ただ、インターフェロンというのは高いお薬ですので、ここに公費を投入して、医 療費を助成しようというものです。  実施主体は、都道府県です。  自己負担の上限額を所得の低い方から、1万円、3万円、5万円と月額の金額を設定して、そ れを超える分については、公費で助成するというものです。  国と地方が1対1で、年間10万人、7年間を目指しております。  資料2−6は、肝炎ウイルス検査の実績であります。  まず、さまざまな検査の場、機会が設けられていますが、最初に老人保健事業です。  平成14年度〜18年度にかけて5か年間、いわゆる節目検診、節目外検診というものを実施し てまいりました。C型肝炎については、B型も同じですけれども、大体例年節目と節目外を合わ せて200万弱の方が受診をされてきました。節目というのは、大体5歳刻みで、40歳とか45 歳、50歳の年齢に達した方については、通知等で御案内して、この肝炎ウイルス検査を受けて いただくというものであります。感染者率は一番右端にありますが、おおむね1%を超えるぐら いの感染率でありました。  2番目は、保健所における検査であります。これも最初はやはり余りよく使っていただけなか ったんですが、18年度になって、やはり年齢の制限とか、先ほどの性病とセットでないといけ ないという制限を取っ払うことによって、18年度は飛躍的に伸びています。19年度以降は、ま だデータができておりません。  あとは政府管掌健康保険とか、健康組合、労働安全衛生法に基づく検診等でも行われてはいま す。これらについては、十分な数字は把握できておりません。  資料2−7は、先般、春に各自治体における肝炎の対策の現状について調査いたしました。先 ほど来、大臣あるいは西村様からも、都道府県によって取組みに差がある。飯沼先生からも御指 摘がありましたが、まず、肝炎ウイルス検査について、保健所における検査を無料にするという のは91%、委託医療機関というのも、先ほど申し上げました昨年度から委託してもいいですよ という予算措置を講じ、更に1月からは、委託した場合、従来は有料だったわけですけれども、 それの無料化を今年の1月から措置しておりますが、今のところ、65%の自治体が一応委託医療 機関における無料化というものを行っています。  これは一応時限でありまして、今年の1月から今年度いっぱいということで始めましたが、先 ほどの大臣の御発言にもありましたように、概算要求では、来年度もこれを継続すべく予算要求 をしているところであります。  ただ、いかんせん、65%というのは、まだまだかなと思っておりまして、先ほどの大臣の御発 言にもありましたが、今、ブロック会議等で個別に働きかけはしているところであります。いず れにしても、検査については、見つかれば、インターフェロン治療という優れた治療法がありま すので、できるだけ多くの方に検査を受けていただいて、治療も受けていただきたいと思ってお ります。  後ほどでよろしいのですが、どうやってこの検査をもっともっと普及して、より多くの方に受 けていただくか、その辺についていろいろアイデア、御意見をいただけたらと思います。  肝疾患診療連携拠点病院ですが、ここに書いてある21というのは、数字が6月の段階であり まして、資料2−8をごらんください。  こちらは、8月28日現在での拠点病院の指定状況であります。  毎月のように指定はどんどん上がってきていまして、どんどん増えてきております。ただ、現 在は28府県、37施設にまだまだとどまっています。予算的には47か所分ありますので、是非 これは全都道府県で指定していただいて、この拠点病院を中心に、各都道府県で診療ネットワー クを構築して、各都道府県の肝疾患に対する診療レベルの向上を図っていただけたらと思ってお ります。  ページをお戻りいただいて、専門医療機関、主に専門医がいらっしゃるところですけれども、 都道府県にその確保をお願いしているところですが、47都道府県のうち25か所。  肝炎対策協議会という、こういう懇談会組織の都道府県版でありますけれども、それについて は、今、47都道府県中40県が設置済み。更に5件については、今年度内に設置予定という調査 結果が出ております。  11ページ目以降は、その内訳が都道府県別に示してありますので、後ほどごらんいただけた らと思います。  資料2−9は「肝炎に関する普及啓発について」です。  教育、職場、地域あらゆる方面への正しい知識の普及ということをうたって、厚生労働省では さまざまな取組みを行ってまいりました。  1つの例として、リーフレット等の配付です。「肝炎ウイルス検査のお知らせ」とか「ウイル ス性肝炎の治療に関するお知らせ」「事業主の皆さまへのお知らせ」とか、これは前身のC型肝 炎診療懇談会でつくっていただいたものですけれども「ウイルス肝炎について(一般向け)」「肝 炎ウイルスキャリア診療の手引き(医療機関向け)」といったものをおつくりいただきましたの で、それを各都道府県に配付して、各都道府県でまたオリジナルのものをつくっていただく。そ のための予算措置も講じてあります。  厚生労働省のホームページ、あるいは肝炎の財団のホームページにいろいろ肝炎についての基 本的な情報なども載せて、適宜バージョンアップをしております。  自治体に対しては補助事業を設けて、自治体が実施する際に、国としては補助を行っていると ころです。  資料2−10は、林先生が中心になって、肝炎の専門家の方にお集まりいただいて、今後7年 かけて、研究についてどのような方向で進めていくかをおまとめいただいたものであります。  「B型肝炎」「C型肝炎」「肝硬変」「肝がん」「基礎」「疫学」と分けて、それぞれ重点的な課 題は何かというものを挙げてあります。戦略の目標として、7年後には、B型肝炎の臨床的治癒 率を今の30%から40%にとか、C型肝炎については50%から70%にとか、それぞれ7年後の 目標を掲げて、一番下に研究費の重点化とか、国立感染症研究所の体制の整備とか、人材の育成、 国際交流といったものを図っていきながら、この目標を7年後には達成しようといった戦略ペー パーを林先生にとりまとめていただきました。  今、私どもとしては、この戦略ペーパーをいただきましたので、まず1つは、とにかく研究費 を増やす。先ほど申し上げました1.6倍の予算を来年度は要求しようと思っています。  また、課題の選択に当たっては、この研究戦略を踏まえながら、課題の選択も行っていこうと 考えています。  あと付けている資料は、その戦略ペーパーの概要であります。  参考資料関係ですが、参考資料2は、与党PTのとりまとめです。昨年このとりまとめを受け て、医療費助成なども予算要求して、この4月から始まっています。  最後の方に、もろもろリーフレット、パンフレット等を付けてございます。後ほどごらんいた だけたらと思います。  私からは、以上であります。 ○久道座長 どうもありがとうございます。今、説明がありました中で、質問したいところはご ざいますか。  宮村委員、どうぞ。 ○宮村委員 資料2−8に現在着々と整理中の拠点病院の一覧があります。ここでは28都道府 県が決まっていて、決まっていないところ、例えば東京都とかでは、複数の拠点病院が指定され ると思いますが、それは全部が決まって発表になるんですか。それとも決まったものから発表さ れていく形ですか。現在あるものは、各府県で増えていく可能性があるのでしょうか。 ○久道座長 どうぞ。 ○肝炎対策推進室長 御指摘のとおり、府県ごとに徐々に増えていくと思います。通常これは都 道府県知事が指定しますので、先ほどの肝炎対策協議会というものを各都道府県で設置して、そ こで話し合っていただいて、どこを拠点にするかという案を大体つくって、厚生労働省に相談に 来られます。大体この拠点病院にふさわしいということであれば、国が予算の補助をしますので、 いいですよということになれば、各知事がこれを指定していく。  先ほども申し上げましたが、順次増えてきていますので、今後も増えていくと思われます。同 じ県内で何か所にするかというのは、みんな都道府県の判断によりますので、大阪などは、先般 全部で5か所を一遍に持って来られましたので、5か所ともどうぞということで指定がなされて います。何か所持って来られるかは、みんな都道府県の判断でという形になっています。これが 順次増えていくと思っています。 ○久道座長 関連してですけれども、拠点病院に対する予算補助というのは、1病院幾らという あれですか。1県当たりですか。 ○肝炎対策推進室長 今のところ1県当たり幾らと決めています。 ○久道座長 今、幾らですか。 ○肝炎対策推進室長 約1,000万円だったと思います。 ○久道座長 国が1,000万。県は2分の1ですか、10分の10ですか。 ○肝炎対策推進室長 ちょっと調べて、後で御報告します。 ○久道座長 実は、がん対策の均てん化を図るために、各県にがん診療連携拠点病院をつくって いますね。それも大体1病院に対して1,500万円なんですよ。そういうことであれば、恐らく拠 点病院が肝炎対策の均てん化のために、いろんなことをやってくれると思うんだけれども、その メリットというか、余りPRしていないこともあるんではないでしょうか。どうなんですか。 ○肝炎対策推進室長 PRはしていて、恐らくどこの都道府県も御存じだと思います。  ちょうどがんの拠点病院も十分関わりましたので、先生も御存じだと思いますけれども、がん 診療連携拠点病院も最初の年とか、2、3年は全然伸びなかったんですね。徐々に増えていって、 今や100か所以上だと思いますけれども、同じようなペースで増えていくのではないかとは予想 しています。  昨年度から始まったばかりの制度ですので、私は、これはどんどん伸びていくと予想していま す。 ○久道座長 ほかに関連した質問はございませんか。  西村委員、どうぞ。 ○西村委員 西村ですけれども、説明について何点かお尋ねします。  予算の件なんですけれども、概算要求で約5億円増やしましたということなんですけれども、 先ほど舛添大臣が、研究で10億円と言っていますから、どこかで減らされているわけです。そ れが1点。  それと、検査の実情が悪いという中で、60%ぐらいという話がありましたけれども、100%に したら、検査の対策費も増えるわけですね。  同じく、今日の説明にはありませんでしたけれども、インターフェロンの治療費助成の状況が どうなのかという報告もなかったものですから、関連して後で御報告をお願いしたいと思います。 これも大阪の保健所のお話では、十分ではない。思っていたより伸びないというお話をしておら れました。その原因は何かわかりませんけれども、医療機関からの申請も少ないというお話があ りますので、その辺のこともあるんだと思いますけれども、これも伸ばしますと、当然予算が増 えて当たり前のことなんですね。研究費は増えるんですけれども、10億円増えて、研究費の増 える分が担保されるわけですが、逆に5億円しか増えていなかったら、ほかのところで軒並み減 らされるということになってしまいますね。その辺の矛盾が出てくるのではないかと思います。  それともう一点は、前身の懇談会から引き継いだというお話の中で、前身のガイドラインの中 では、国の中核的役割を果たす施設をつくるんだということが書かれているわけですけれども、 それは今、どういう状況に置かれているのかということについても追加の説明をお願いしたいと 思います。  もう一点、検査のことなんですけれども、医療機関での無料検査ということですが、先ほどの 資料の中で、例えば大阪府は4,000か所ぐらい指定しているわけですね。人口的な問題もありま すけれども、近隣の県では、医療機関の中でも中核的な医療機関だけを指定して、一般医療機関 といいますか、診療所まで指定していない県もたくさんあるように思います。その辺のことにつ いて、どうお考えになっているのかということについても、患者側から言ったら、やはり診療所、 クリニックにまで指定を増やしていただきたいと思います。そうでないと、仕事を休んで検査に 行かなければいけないというはめになりますから、その辺のことをお願いしたいと思います。  以上です。 ○久道座長 どうぞ、お願いします。 ○肝炎対策推進室長 まず1点目のどこが削られたかという点ですけれども、検査であります。 検査は、実はこの春の診療報酬改定で、検査料自体がかなり下がっているんです。それで自動的 に検査の単価が下がりますので、その分が減になっています。 ○西村委員 幾らぐらいですか。 ○肝炎対策推進室長 もともと去年が53億だったものが46億になっていますので、単価の比 率としては、そのぐらい下がったんではないかと推測します。済みません、細かな数字を持って いません。 ○健康局長 要するに、ほかは下がっていないんですね。 ○肝炎対策推進室長 ほかは下げていません。  あとは、インターフェロンの状況は、まだ実績が上がってきていませんので、十分に把握でき ていません。聞いているところでは、順調にいっている県もあれば、いっていない県もあるとい うことはちらちら聞いていますけれども、まだ実績が上がってくるのを待っているところであり ます。  国の中核については、今、鋭意検討を進めているところでして、いわゆる肝炎の情報センター という形で、例えば全国の肝疾患診療連携拠点病院がどんどん指定してされていけば、その方々 に一堂に会して、お互いの情報交換の場を設けるとか、そういった拠点病院の先生方に対する研 修を行うとか、そこの中核の施設が国内外のいろんな肝炎に関する情報を集めて、情報発信をし ていくとか、そういった機能を持たせるようなものをイメージしておりまして、予算は今年度付 いておりますので、それをどこで行うのか、いろいろ準備等を進めているところであります。  検査の無料化、委託先の医療機関については、各都道府県がお考えになって、ベストだと思っ ておられるところを恐らく委託されていると思っていますので、国の方から、こういうところと 委託契約を結びなさいとか、そういう指示は特段しておりません。  先ほどの拠点病院の予算の関係ですけれども、国の補助額が約700万です。したがって、全体 経費はその倍になります。 ○久道座長 どうもありがとうございました。事務局の説明と関連して、質疑応答の形で意見交 換に入っているんですが、議事4の「意見交換」に入ります。  その前に、肝炎の最近の治療、研究に造詣が深い林委員から「C型肝炎に対する今後の新しい 治療」について御発表をお願いしたいと思っております。先生、どうぞよろしくお願いします。 ○林座長代理 この領域は、新しい薬剤が非常に早く入ってまいりますので、大体半年ぐらいで 情報がかなり変わってまいります。  先ほど少し申し上げましたが、新しい薬剤のプロテアーゼインヒビターのデータが大体出そろ ってきましたので、そのことを中心に少しお話をさせていただきたいと思います。 (PP)  先ほども申し上げましたように、肝がんの発生数を見ますと、大体今がピークではないかと思 っています。  ブルーの方が男性の肝がんの発症数ですけれども、1975年から増加しておりまして、大体少 しピークかピークを超えたぐらいでございます。女性は現在増加してきて、大体男性の2分の1 程度の発生数になっています。 (PP)  これは今の治療を昨年、肝炎を専門にしている医療機関のデータを私どもがまとめたものでご ざいます。  1型のウイルスで高ウイルス量という、日本で一番多いタイプのものでございますけれども、 最初の1990年ごろのインターフェロン治療では、著効率は14%でございましたが、現在の標準 治療のペグインターフェロンとリバビリンで48週間治療すると、52%ぐらいということで、か なり上がってきていますが、残り50%をどうするかというのが大きな問題になっています。  1型の高ウイルス量以外は、従来の方法でも59%、現在では84%の方がウイルスの排除を起 こせます。 (PP)  こちらが年齢、こちらが性別でございますけれども、問題は65歳以上の女性の方の有効率が 非常に悪いので、ここをどのように考えるかというのが我々専門家の間では一番大きな問題にな っています。  どちらにしても、今の標準治療に新しい薬剤を追加していかなければ、更に有効率を上げるこ とはできないということになります。 (PP)  現在、世界中で30種程度の薬剤の開発が進んでいます。最初に日本に入ってまいりますのは、 ここに書いてございますウイルスのプロテアーゼを阻害して、ウイルスの増殖を抑制するお薬で ございます。もう一つは、ポリメラーゼという場所を阻害するお薬でございます。これが日本に 一番最初に入ってまいります。  その後に入ってくるのが、ここに書いてあるNitazoxanideという、最近特に新聞載っており ますけれども、肝に副作用がないということで、今、世界的に非常に注目されている薬剤です。  恐らく、その後に入ってくるかどうかは不明なんですが、免疫系を賦活する薬剤がここに3種 類ございますが、こういうものが国際的にはかなり開発が進んできています。 (PP)  ここに書いてあるプロテアーゼ阻害剤のTelaprevirというものでございますけれども、これ は3か月間、従来のペグインターフェロンとリバビリンを併用します。 (PP)  これがアメリカの成績でございます。これが現在の日本の標準治療でペグインターフェロンと リバビリンで有効率が41%ですけれども、先ほどのプロテアーゼ阻害剤を併用すると、著効率 が67%になります。 (PP)  これはヨーロッパの成績でございます。これが日本の標準治療で、プロテアーゼ阻害剤を追加 すると、68%ぐらいまでウイルスの排除率が上がるということになります。 (PP)  一番重要なのが、従来のインターフェロン治療で無効だった方にこのお薬を追加すると、どの ぐらいの有効率が得られるかということです。  これはNon-respondersで最初のインターフェロン治療で全く反応が起こらなかった方。  これはbreakthroughで治療中に一度ウイルスが消えたんだけれども、治療中にウイルスが陽 性になった方。  これは治療終了時にはウイルスが陰性になったんだけれども、治療をやめるともう一度ウイル スが陽性になった方にこのプロテアーゼインヒビターを使うと有効率がかなり期待できるとい うことで、特に再燃例については、プロテアーゼインヒビターを使うと73%の方でウイルスの 排除ができるということで、かなり期待が持てる薬剤だということになってきています。 (PP)  ただ問題は副作用でございまして、欧米では皮膚の発疹というのが大きな問題になっています が、日本ではこれよりも貧血の方が問題になるだろうと思われています。 (PP)  これが最初にこの薬を使ったときに、どのぐらい貧血が起こるかというのをヘモグロビンの値 で見たものであります。  これが現在日本で使われている標準治療であります。これも勿論貧血がリバビリンのために起 こるんですが、これにプロテアーゼインヒビターを加えると更に貧血が増えてまいります。  欧米では、貧血を緩和するために、赤血球を増やすような薬剤を追加しているんですが、今の ところ、日本ではそれが認められておらず、使えないという弱点がありまして、この貧血のため に、恐らく欧米で出たような数字を日本で得ることは、かなり難しいかもわからないと危惧して います。  今のところ、貧血の程度も欧米よりも日本人の方が少し強くなりそうだというデータを持って おりますので、そこのところが一番の問題だと思います。 (PP)  もう一つのプロテアーゼインヒビターは、Boceprevirというものでございます。 (PP)  これが現在の日本の標準治療で38%の著効率ですが、このプロテアーゼインヒビターを1年 間併用すると、うまく使うと74%ウイルスが排除できたということで、かなり有効な薬ですが、 この薬剤の問題は、やはり貧血でございまして、恐らく日本人に使うときに、欧米で使っている 用量を使えないだろうと思われます。 (PP)  これは3つをまとめてあります。  どちらにしても、赤が現在の日本の標準治療であります。プロテアーゼインヒビターを加えま すと、有効率はかなり上がってくることは間違いございませんが、恐らく日本人で一番困るのは、 貧血に対する対策をうまく考えないと、現在欧米で出ているような数字を日本で得ることは難し いだろうと思っています。 (PP)  もう一つ、ポリメラーゼ阻害剤という薬剤が出てきておりますが、これは大体データが出てき ておりまして、プロテアーゼインヒビターを投与しますとウイルスに突然変異が起こってくるん ですが、このポリメラーゼ阻害剤はそういう変異型のウイルスが起こらないということが現在確 認されています。ですから、これはかなり有効な治療方法になるだろうと思います。これも恐ら く日本で臨床試験が始まる予定でございます。 (PP)  もう一個、先ほど免疫賦活をするお薬と申し上げましたが、複雑な図で申し訳ないんですが、 実はウイルスが感染しますと、その感染情報をここに書いてございます樹状細胞というものが認 識します。それをレセプターがウイルスを認識しますが、先ほどお示ししました3種の薬剤は、 このレセプターを活性化するような薬剤でございまして、いわゆるウイルスの感染の認識を上げ るということで、治療しようという新たな薬剤でございます。  これは単剤で投与することで、既にC型肝炎ウイルスは下がるというところまで確認がとれて きていますので、先ほどとは少し作用機序が違いますので、こういう薬剤も恐らく追加していか なければならないだろうと言われています。 (PP)  もう一つ、今、国際的に非常に注目されていますのは、先ほど申し上げましたが、Nitazoxanide というお薬でございまして、このお薬は、今のところ作用点はよくわかっていませんが、細胞の 中でインターフェロンの効果が出てくるためにシグナルというのが動きますが、そこを活性化す ると言われております。  これは従来のペクインターフェロンとリバビリンにこのお薬を追加して使うということで、そ の有効性を出します。 (PP)  どのぐらい有効率が上がるかといいますと、これはエジプトのデータですが、この白いところ が、今、我々が使っているペグインターフェロン、リバビリンの著効率です。それに先ほどの薬 剤を上乗せしますと、79%とかなりウイルスの排除率が上がります。  この薬剤が一番優れているところは、今のところ、我々が経験している主だった副作用がない ということで、併用を行うのが非常に楽な薬剤だということで、今、国際的に非常に注目されて います。  ただ、この成績は、感染ウイルスやグループが問題で、いわゆる4型のウイルスを対象にして 治験をしていますが、日本人は1型のウイルスに感染していますので、もう少し下がった数値の 有効率が出せるのではないかと言われています。  こちらは従来のインターフェロンでうまくウイルスの排除が起こらなかった方に、このお薬を 更に使いますと、25%の方でうまくウイルスの排除が起こったということで、従来のインターフ ェロンで無効だった方にも、この薬は使えるのではないかということで、非常に期待されていま す。  どちらにしましても、先ほど少し大臣に申し上げましたが、国際的にいろんな新しい薬剤の開 発が次々に行われてきていますが、欧米と日本で感染しているウイルスの遺伝子の型が違うとい うことと、副作用の出方が少し違うということで、恐らく日本人を対象にした臨床等は行います が、少し欧米とは違う投与の方法を考える必要が出てくる可能性が高いと思っております。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。今、林先生から最新の治療状況についてお話があ りました。このことについて御質問がありましたら、どうぞ。また、なければ全般についての意 見交換をしたいと思いますので、何でも結構ですから、御発言いただきたいと思います。いかが でしょうか。  西村委員、どうぞ。 ○西村委員 新しいお薬の副作用で、貧血の説明がありましたけれども、患者の立場からすると、 アレルギーがひどかったり、今のインターフェロンでも、アレルギーで薬疹みたいな話で出て、 非常に困っていて、治療が終わってからも数か月続くということの御相談がままありますもので すから、その辺の皮膚のじんま疹といいますか、アレルギーの方の副作用はひどいものなんです か。 ○林座長代理 実は欧米では、かなり発疹が強いと言われていましたが、日本では臨床試験の途 中なので、まだ最終の結果ではございませんが、恐らく欧米ほどは起こらないだろうと今のとこ ろは考えられています。それよりは、貧血の程度の方が逆に強くなるのではないかと言われてい ます。  ただ、これは途中でございますので、実際に日本の方で臨床試験をやってみないと、最終の成 績はわからないと思います。 ○西村委員 ありがとうございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。  先生の説明で、大阪府の登録資料で、ピークが過ぎて下がってきたというグラフがありました ね。これはやはり肝炎対策の効果と考えていいんでしょうか。それとも何かたまたまなのか、あ るいはこの傾向はどんどん下がっていくような感じもするんですがね。 ○林座長代理 それ以上の検証ができませんので、この減少の理由が何かと明確に答えることが できませんけれども、実は今年それに関する論文が出ていますけれども、各年代層で発がん率を 見ていきますと、C型肝炎患者さんが多いもともとの高齢者の一番人口の多いところが、少しピ ークが右にずれてきて、一番肝がんが起こるところに、その次の層、いわゆるもう少し人口の少 ない層がきていることによるものだと我々は思っています。ですから、今のところ、既にインタ ーフェロン治療をして、ウイルスの排除を起こしたために、肝がんの減少が起こっているのでは ないと思っています。 ○久道座長 高齢者で肝がん発生率の高い方々が亡くなっているということでもないんですか。 ○林座長代理 肝がんの治療法はかなり進んでまいりましたので、肝がんが見つかったとしても、 生存率が確実に伸びてきています。  これは死亡率ではなくて、発生率で見ています。死亡率で見ますと、治療方法が進んでいます ので、横ばいになるんですが、これは発生率で見ていますので、恐らく一番肝がんの発生する年 代層の人口が少し減って、もともと肝がんが少ない層に発がん年齢がきているところに起因して いるのではないかと思っています。 ○久道座長 ほかにございませんか。何でも結構です。いかがでしょうか。  高畠委員、どうぞ。 ○高畠委員 肝炎ウイルス検査の医療機関委託の問題ですが、実施自治体(134)の割合が6 5%程度で今後も限りなく100%になるよう努力したい、との説明がありました。医療機関委 託が導入された経緯は、利便性を図ることでどこでも検査が受けられ、受診率がアップすること を期待して取り入れられました。私ども患者会は現在、各自治体の肝炎対策について調査してい ます。その中で、医療機関委託は実施されているが、実際に検査を受けるのに、保健所に行き、 問診を受けてから受診券をもらって指定された医療機関で検査が受けられる、という手続き上の 問題があります。保健所もそうたくさんはありません。その上、保健所では受け付の曜日が決ま っていて、働いている方々が気軽に医療機関で検査が受けられない状態だとする報告が届いてい ます。したがって、検査を受けたい方々が実際に受けやすい受診の方法について、ブロック会議 とか情報交換の場で取り上げていただきたい。まだ、全国には未受診の方が70万人位と推定さ れていますから、ここ1〜2年が勝負だと思いますので、この点だけは特に要望いたします。 ○久道座長 これは厚労省に対する要望ですね。 ○高畠委員 はい。 ○久道座長 ほかにございませんか。宮村委員、どうぞ。 ○宮村委員 今度の懇談会について、新しい肝炎総合対策が提言されて、それが実施されていく ことになるわけですが、この懇談会の母体であった全国C型肝炎診療懇談会のときから比べて、 B型肝炎のことが一緒に検討されているところが特徴です。今、西村さんが言われたとおり、日 本の肝炎対策の喫緊の課題は、350万人いると言われるB、Cのキャリアからの発症を阻止する ことだと思うんですけれども、B型肝炎のことについて思うと、1980年代からスタートしてい ます日本の母児感染阻止事業というのが、本当にうまくいったと思います。日本における母児感 染によるキャリアの発症というのは、本当に見事に阻止されていっていると思います。  一方、B型肝炎ウイルスの日本におけるジェノタイプの違いが大幅に変わりつつあるというこ とを考えたときに、B型肝炎の感染を阻止するためのワクチンのストラテジーというのが、今ま でメインルートであった母児感染を阻止するという点では奏効をきたしたのだから、これから先、 中長期的に広い視野で考える対策ということも、この7か年計画の中に考えていくことについて は、林先生はどうお考えですか。 ○久道座長 林先生、どうぞ。 ○林委員 ジェノタイプのA型が増えてきているということでございまして、もともと日本人は ジェノタイプのA型はおられなかったんですけれども、最近の急性肝炎はジェノタイプのA型が 日本でも非常に増えてきています。このタイプは慢性化するということで、それに対する対策を どうするかということが、今後重要な課題だと思っています。  肝炎の専門家の間では、ウイルスのチェックをしてからワクチンを打つ従来の方法がいいのか、 他の国のようにすべての層にワクチンを打つのがいいのかというのがいつも議論になるところ でございまして、これは少し検討していただいた方が我々もいいと思っています。実際、我々の 病院でも、そういうジェノタイプのA型の急性肝炎というのは最近非常に増えてきていますので、 それに対する対策が非常に重要だと思います。 ○久道座長 事務局、今の件で何かありますか。 ○肝炎対策推進室長 参考資料の26ページの一番上に「(3) 疫学研究」とあります。B型肝炎 ジェノタイプAの感染様式及び地理的分布に関する研究といった研究テーマが戦略として、今後 も継続して取組み、早急に成果を得るための研究課題として挙げられているのと、「(4) 行政研 究」の中の5つ目の○で「B型肝炎ワクチンの在り方に関する研究」というのがありますが、B 型肝炎のジェノタイプAを御存じない方のために申し上げますと、従来の日本の場合は、ジェノ タイプはBとCが多かったわけですが、欧米タイプのAという、いわゆる性行為でうつるような B型肝炎のタイプですが、それが日本に入り込んできているということがいろいろ言われており ます。そのための研究を今も行っていて、今後も継続すると思われますけれども、その結果が出 たところで、こういうB型肝炎のワクチンの在り方についても研究していくことになるのではな いかというのが、当時の戦略でうたわれたものであります。 ○久道座長 この7か年というのは、何で7か年になったんですか。 ○肝炎対策推進室長 昨年、与党のプロジェクトチームで肝炎治療7か年計画というのを策定さ れまして、今年度からスタートなんですけれども、ちょうどタイミング的にもいいので、一緒に そろえた方がいいということで、研究も7か年ということにしております。 ○久道座長 そうですか。何か7年後にターゲットとなる国際的な比較とかは特にないんですね。 ○肝炎対策推進室長 そういう特別なものはありません。 ○久道座長 ほかにございませんか。  ちょっと私から質問なんですが、資料2−6です。ウイルス検査結果のところで、節目の場合 と節目外の感染者率が、B型肝炎ウイルス検査結果では大した差がないのに、C型肝炎では倍以 上の差がありますね。感染者率、節目が例えば平成14年だと1.10、節目外が2.7と、普通理屈 から言うと、節目も節目外も感染者率が変わる理由はないと思うんだけれども、これは何か理由 があるんでしょうかね。先生、お願いします。 ○林座長代理 これは節目と節目外のところはC型肝炎で分かれていますので、手術をしたとか、 そういうC型肝炎ウイルスに感染する可能性の高い人が節目外に来ていますので、C型肝炎は高 くなるんですが、その方でもB型肝炎はウイルスは感染しませんので、B型肝炎の方はどちらも 同じ感染率になってしまったということです。 ○久道座長 わかりました。  ほかに何かございませんでしょうか。八橋委員、どうぞ。 ○八橋委員 2、3、コメントを述べさせていただきます。  林先生が言われましたように、これからの肝炎の治療戦略を考える上で、海外と日本の間で、 治療成績とか薬の効き方が違う大きな要因として、肝炎患者さんの年齢層が海外と日本では違う ことを念頭に置かないといけないと思います。海外は50歳以下の治療対象者が多いのに比して、 日本では60歳前後の方が治療対象者となります。高齢の方に対する治療では、お薬の副作用も 強く出ますので、このことをやはり念頭に置いて、日本での臨床の治験、薬剤開発をしないとい けないと思います。やはりそういう前提に立ってというか、そういう物の考え方が必要だと思い ます。  この会議では今まで全般的にC型肝炎のことを議論してきましたが、C型肝炎に比較してB型 肝炎に関する取り上げ方が少ないという個人的な印象を持っています。B型肝炎の感染者数も、 C型肝炎感染者数と変わらないぐらい多数おられます。  確かにB型肝炎では、C型肝炎に比較して肝がんになる方は少ないのですが、B型肝炎感染者 でのフォロー体制が確立できてないこともありまして、今も40歳代で進行肝がんの状態で見つ かる方が、少なくありません。C型肝炎の方は、どちらかというとしっかり医療機関でフォロー されて、肝がんも早期に発見されることが多いのですが、B型肝炎の方は、HBVキャリアは病 気でないという一般の医療機関での認識もあり、HBVキャリアからの肝がん発生に対する対策 が確立できていません。B型肝炎の方では、若い働き盛りの方にも肝がんが出ることがあると念 頭に考えて、これから、しっかり対策を立てないといけないのではないかと思います。  B型肝炎ワクチンのあり方に関しては、肝臓学会の方でもいろいろな議論があります。海外の 状況をご紹介しますと、先進諸国の中でユニバーサルワクチンをおこなっていないのは日本とイ ギリスの2カ国だけです。ほかの諸外国は、全国民に打つという考えでユニバーサルワクチンが 実行されています。日本が今後ワクチン対策をどうするか、十分検討すべき議題と思います。ま た研究成果も含めて、後日別の機会に議論をしたいと思います。  あと、C型肝炎感染のハイリスク者について、一言申し上げます。厚労省のホームページでも、 肝炎検査受診勧奨のいろいろなキャンペーンがおこなわれていますが、私がフィブリノゲン投与 を受けた患者さんの調査をして気がついたことは、いわゆる血液製剤とか、輸血とか、大きな手 術を受けられた方の多くの方は、現時点では、既に検査や検診を受けられていて、C型肝炎に感 染しているかどうか確認されています。一方、私の肝臓外来で、ここ2-3年、新たにC型肝炎感 染が判明された方のほとんどが、検診で発見された方がほとんどでした。職場検診で見つかった とか、全く身に覚えがないとか、従来のハイリスク群に該当しない方での新たな感染者が増えて います。今までは、輸血とか血液製剤投与の既往のある方をハイリスクとしてキャンペーンをお こなってきましたが、逆の見方をすると、それらに該当しない場合には感染リスクが低いと受け 止めてしまうわけです。これから新たな感染者を見つける方法としては、全く身に覚えのない方 も対象にすべきではないか。高齢者に感染率が高いことがわかっていますので、40歳以上の方 は全員、一度検査を受けていただくというふうに少しストラテジーを変えるべきではないかと思 いました。一方、感染率が一般的に低い40歳以下の方では、子どものときに大きな病気をされ た方とか、タトゥー(刺青)をしている方とか、男性のピアス例などをハイリスク群として定義し てはどうかと思います。  15年ぐらい前から、C型肝炎感染のハイリスク者の定義、C型肝炎の検診を受けてほしい方 の表示方法は変わっていません。その内容、表記自体は間違いではないのですが、これから、新 たなC型肝炎感染者を見つける為には、ハイリスク感染者の定義を再考する時期に来ているので はないかと思います。  以上です。 ○久道座長 どうもありがとうございました。ほかにございませんか。  田中委員、先ほど大臣にお話しのときに、先生が加わっている研究班の話をしましたね。どう いう研究をやっているんですか。 ○田中委員 それは林先生もよく御存じのウイルス肝炎・肝がんに関する疫学研究班でございま す。全国のC型とB型のキャリア率の地理的分布と年齢分布などを供血者資料を基に分析調査し たり、肝炎ウイルス検診5カ年の成績の分析や、各地域の肝炎対策の取組みなどについて、まと めてもらっているところであります。  それから、追加ですけれども、B型の感染についても、献血時のNATスクリーニングで捉え られたジェノタイプAの地理的分布とかから、感染予防対策を立てるための基礎資料を出そうと していますし、急性B型肝炎患者のジェノタイプ別にみた背景特性などを挙げて、どういうこと がハイリスクなのかということを明らかにし、ワクチンなど予防対策を立てる際の対象者の選定 に参考となる資料を出そうとしています。 ○久道座長 B型肝炎患者の長期のフォローアップのことは、研究対象に入っていますか。 ○田中委員 それは自然経過を明らかにするという意味では、B型とC型の両方についてやって おります。 ○久道座長 ほかにございませんでしょうか。  西村委員、どうぞ。 ○西村委員 座長さんと事務局の両方に基本的なことをお尋ねしたいんですけれども、この会議 の目的と検討事項ということで、総合的な肝炎対策について専門的な協議を行うことを目的にす るとありますが、その中身は具体的にどういうことなんですか。 ○久道座長 座長も質問対象者だったので、ちょっと発言します。  要項に書いてあるとおりのことなんですが、今日はフリートーキングのような形にしているわ けです。意見交換をして、また新しい治験を林先生からお話いただいて、どういう状況なのかと いうことを共通認識した上で、問題点を皆さんから出してもらう。そうすれば、恐らく問題とす べき、あるいは議論すべき課題が出てくると思うんです。それを恐らく事務局は、次回をいつに するか、あるいは状況を見てテーマを決めて、第2回の懇談会の開催をするということになるん だろうと思いますが、まだ具体的な構想は練っていないと思うんですよ。どうですか。 ○肝炎対策推進室長 質問の意図は、肝炎については総合的な対策とは。 ○西村委員 質問は、具体的にどういう事項を検討するのかという御質問ではないかと思うんで すがね。 ○肝炎対策推進室長 今日は、今、久道先生がおっしゃられたように、本当にジェネラルに、こ れまでまさに14年度からずっと研究総合対策をやってきて、検査事業だとか普及啓発とかをや ってきて、先ほど私がプレゼンテーションしましたけれども、これに対して皆様方の御意見をと にかくいただくというところに主眼を置いています。 ○久道座長 西村委員、どうぞ。 ○西村委員 そういうことですので、大臣にもお願いをしましたけれども、私が冒頭お話ししま した5つの項目については、是非テーマに挙げていただきたいとお願いしたいと思います。  以上です。 ○久道座長 ほかにございませんか。  南委員、どうぞ。 ○南委員 恐れ入ります。先ほど八橋先生が御指摘になった点は、非常に重要な点だと思います。 と申しますのは、どういう人が検査から漏れているのかということを国民に広く伝えていくこと が非常に必要であるということを実感しておりまして、私は余り詳細にわたってここで申し上げ る材料を持っていないんですが、フィブリノゲンのことが報道たびたび出ているんですけれども、 フィブリノゲンを投与した可能性がある病院というのが、最近も一覧で各紙が伝えたりしている んですが、もう何年も前に一度一覧でお示ししたものを改めて示すような、示さざるを得ないよ うな、つまり何年も前に示したものが全く国民に正しく受け止められていないという事態が最近 もありました。  ですから、自分自身に大きな手術を受けたとか、家族が大きな手術を受けたということは忘れ るはずもないわけで、繰り返してテレビや何かでも訴えるわけですけれども、そうではない、こ ういうこともリスクなんですよという国民に余り認識されていないところをきちんと伝えてい くことが片側では非常に検査漏れを拾っていくために大切な戦略であると思いますので、その点 を是非御検討いただきたいと思います。 ○久道座長 どうもありがとうございます。  川又委員、何かございますか。 ○川又委員 特にございません。 ○久道座長 北澤委員はいかがですか。 ○北澤委員 結構です。 ○久道座長 井伊委員はいかがですか。 ○井伊委員 ございません。 ○久道座長 飯沼委員は何かございませんか。 ○飯沼委員 先ほど申し上げましたけれども、そのほかには、やはり機会があるために国民に見 聞するということですが、やさしい言葉で話しかけることが非常に大事ではないかと思いますの で、そこら辺のところも考慮していただければと思います。 ○久道座長 松枝先生はどうですか。特にないですか。 ○松枝委員 はい。 ○久道座長 今日は大臣に来ていただきまして、冒頭からごあいさつと要望を聞いていただく機 会がありました。いつもの会議のやり方とはちょっと違うやり方で入ってしまったので、勝手が 違ったかもしれませんが、今日は肝炎対策全般についての意見交換ということで、具体的な議題 は定めていなかったと思いますけれども、先ほど西村さんから意見がありましたように、必要な ことが起こったときに事務局と相談して、この会を開くということをしたいと思います。  今日は御意見が尽きたようですので、予定の時間より早めなんですが、そろそろ終了にしてよ ろしいでしょうか。  西村委員、どうぞ。 ○西村委員 1つだけ。八橋先生からもお話がありましたように、無料の検査のターゲットをき ちっと明確にすることが大事だと思うんです。今までの厚生労働省を始め、マスコミ関係者とか 医師会の先生方とか、いろんなところでお勧めになられているのは、先ほどありましたように輸 血だとか、大きな手術をした人とか、出産とか、出血のあった人とかいう話になっていますけれ ども、私が冒頭申し上げましたように、過去の医療行為を受けた方は、すべて感染の機会がある んだというふうに、そうマスコミを使って宣伝できるかどうかはわかりませんが、そういう立場 で検査を受けていただくように進めるような啓発活動を是非やっていただきたいなと思います。  それと予算の説明がありましたけれども、確かに診療報酬が減った分だけ研究費が増えたとい うことで、肝心の肝炎対策の恒久対策といいますか、患者支援の部分でいいますと、拠点病院の 予算が都道府県で1,400万円。それも700万円は都道府県ですから、大阪の場合は、知事さんが 代わりまして、新規施策については2年ほど見送るんだという宣言をされていますので、その中 でも700万円で1,400万円で5か所の拠点病院の費用を賄うというのは、専門職を置いて、相談 事業すらできないという状況になるのではないか。そこら辺を危惧しておりますので、もう一度 予算の組み方も含めまして、大臣に強くお願いしていただきたいなと思っております。 ○久道座長 よろしいでしょうか。ただいまのは強い要望ということで、是非お願いいたします。  それでは、御意見がないようですので、今日の懇談会は終了させていただきますが、事務局で 何か連絡事項がございましたら、お願いします。 ○肝炎対策推進室長 最後の上田局長からごあいさつ申し上げます。 ○久道座長 どうぞ、お願いします。 ○健康局長 本日は第1回でございますけれども、本当に貴重な意見をありがとうございました。  特に西村さんが御要望いただきました点につきましては、大臣からも一部お答えいたしました が、足りないものにつきましては、我々も今後とも考えていきたいと思っております。更に今、 我々が一番関心がありますのは、やはりいかにして早く多くの感染されている方を見出して、そ れを適切な治療に乗せていくかということだと思っておりますので、先ほどの検診の在り方、あ るいは治療の在り方について、研究班とか各予算を使いながら、一生懸命頑張っていきたいと思 っています。  それから、やはりインターフェロン治療を始められる方に聞きますと、一番障害があるのは、 当初1週間〜2週間の貧血などの副作用だと聞いています。この辺をいかに軽減するか。あるい は入院をせずに、もしそこが切り抜けられるのであれば、非常に治療に入る方の恩恵になるので はないかということも含めて、非常に我々はいろいろ関心を持っておりますので、また改めまし て、皆さん方の御意見を聞きつつ、政策を充実していきたいと考えておりますので、今後ともど うぞよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  それでは、本日の懇談会はこれで終了いたします。委員の方々、ありがとうございました。 以上 (紹介先)                厚生労働省健康局疾病対策課肝炎対策推進室 03−5253−1111(2949)