08/08/29 第10回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会議事録 第10回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 1.日  時:平成20年8月29日(金)17:00〜18:59 2.開催場所:KKRホテル東京 10階「瑞宝の間」 3.議事次第:   (1) 開会   (2) 議題        これまでの議論の整理について   (3) 閉会 4.出席委員等    池上秀樹委員、稲垣明弘委員、大江和彦委員、大山永昭座長、後藤省二委員、    駒村康平委員、辻本好子委員、中川俊男委員、樋口範雄委員、堀部政男委員、    南  砂委員、山本隆一委員 (五十音順、敬称略)   (オブザーバー)    小宮義則 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    藤井信英 総務省自治行政局地域政策課地域情報政策室課長補佐    望月明雄 総務省自治行政局市町村課住民台帳企画官   (厚生労働省)    間杉 純 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)    黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室長 5.議事内容 ○大山座長  ただ今より、「第10回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会」を開催いたし ます。  最初に委員の出欠状況について報告いたします。  本日は、岩月委員、高山委員、田中委員がご欠席です。また、大江委員が5分から10分 ぐらいというふうに連絡が入っておりますが、遅れるということでございます。さらに、 稲垣委員及び樋口委員も同じように遅れるという連絡が入っております。  まだ遅れている方がいらっしゃいますが、定刻になりましたので、議事を進めさせてい ただきたいと思います。  それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。  お願いします。 ○事務局  本日の配布資料でございますけれども、3点ございます。まず資料1、これまでの議論 の整理(案)というものでして、前回の資料に基づいて文章化したもの、こちらが48ペー ジまでございます。資料2としまして、社会保障カード(仮称)に関するこれまでの議論 のポイント(案)ということでして、5枚の横紙がついています。続いて、資料3、これ までの議論の整理(案)参考資料ということで、これまでの検討会に提出させていただい た作業班での検討資料をつけております。  以上、3点、ご確認をお願いいたします。 ○大山座長  資料はいかがでしょうか。不足はございませんでしょうか。  それでは、議事に入らせていただきます。  前回も申し上げましたとおり、現時点では検討会として一定の結論をまだ得ているもの ではありません。今後も検討会及び作業班での検討を進めるというふうに考えています。  前にも申し上げましたとおり、節目、節目で検討状況を整理し、公表するということが 重要と考え、今回は事務局に前回議論した議論のための検討メモを作成いただきました。 それが、社会保障カードの在り方に関する検討会、これまでの議論の整理(案)です。こ の案を基に、今日は、取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。  まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。  お願いします。 ○事務局  資料についてご説明させていただきます。  着席して失礼いたします。  資料1と2についてご説明させていただきます。  まず、資料1ですけれども、前回8月6日の資料を前回のご議論を踏まえまして文章化 したものです。また、資料2はそのポイントです。  資料1の構成ですけれども、大きく変わったところとしては、前回の議論を踏まえて、 25ページ、26ページに、「おわりに」という形で第9章というものを追加させていただい ております。  また、3ページの第2章「社会保障カード(仮称)による効果」につきましても、整理 をしなおしたほうがよいのではないかというご指摘をいただきましたので、再整理を行っ ております。  以上の点も含め、主な修正点を中心にご説明させていただきます。  まず、1ページ、第1章ですけれども、情報化とは国民の生活に密接に関連する各種手 続といったものが統合的に情報化されてこそ最大の効果を発現するというもので、そうい う意味で、時間軸的に情報化が部分的である時点においては、費用対効果が得にくい側面 がある。また、全体最適の観点からは、分野ごとに情報化を進め、別々のICカード及び 発行の仕組みをつくるというのは非効率であろうということで、社会保障カードというも のは、将来を見据えた社会保障制度全体を通じた情報化の共通基盤として位置付けられる べきものである、ということでして、また社会的な合意が得られれば、より広い用途で利 用することができる可能性もあるということです。  続いて、2ページですけれども、そうは申しましても用途の拡大に伴ってリスクも高ま る可能性がありますので、より広い範囲の用途に対応できることと、プライバシー侵害と いった不安が極力解消されることが両立できる仕組みが重要であろうということでして、 また、その仕組みの内容が将来的な用途の範囲を検討する上でも重要な要素であり、どの ような仕組みにするかによってできることも変わってきますので、一定の仮置きをした上 で仕組みの検討を行い、その仕組みに基づいてどのような利活用ができるのかについてさ らにアイデアをいただく、検討していくということで、いずれにしましても全体の共通基 盤となり得るものとして検討していくということです。  続きまして、第2章ですけれども、この社会保障カードは社会保障制度全体を通じた情 報化の共通基盤として位置付けられるべきものであり、このような基盤が整備されること によって社会保障制度における自らの情報や、もしくはその社会保障制度そのものに関す る情報というものが可視化、透明化がされる、また、効率的にきめ細かなサービスを提供 することが一層進むことが見込まれる。そういったことがなされることによって、紙媒体 を基本とした手続に比べて利便性が向上するとともに、ひいては社会保障制度に対する国 民の信頼向上にもつながることが期待されるということです。  この社会保障カードによる効果というものを整理するに当たって、情報の可視化や自 己情報のコントロールが一層進むという情報アクセスの基盤という役割と、効率的できめ 細かなサービスを可能とするという情報連携の基盤という形で整理をしなおして、その上 で、さしあたり年金手帳、健康保険証、介護保険証の役割を果たし、また年金記録等を簡 便に確認できるものとして検討しておりますので、年金、医療、介護、3分野における具 体的な効果について述べるということで、以下整理をしております。  1点目が情報アクセスの基盤としての効果でして、自己情報の容易な入手・活用という ことで、利用者は年金情報、レセプト・医療費情報、特定健診情報等の情報を得るために、 現在は別々の保険者や行政機関から取得しなければならないということも含めて、自分が 欲しい情報にアクセスしにくい。そういったものが保険者といったところの環境が整うこ とが前提でございますけども、いつでも自宅などからオンラインで確認・入手して、生活 設計、健康管理のために活用することが可能となるということです。  また、あとで詳しく述べますけれども、社会保障ポータルというものを利用することで、 ワンストップで様々な社会保障に関する情報にアクセスできるということです。  また、利用者への情報提供ということで、利用者の方が保険給付・適用の手続を忘れて いても、保険者などからお知らせすることで、手続漏れを防ぐといったことであったり、 もしくは社会保障制度の説明といったものを提供することであったり、もしくは自治体ご とでその自治体に応じた施策が行われておりますので、そういった様々な情報を提供する ということも簡便に実現することになるだろうということです。  続きまして、4ページですけれども、自己情報の管理・安全性確保ということで、現状 では年金記録等について、標準報酬の誤りや虚偽の届出がされても、すぐに確認する手段 がない。この点につき、自分の情報を管理し、活用することが可能となり、正しい情報へ の修正、手続漏れや虚偽報告の抑止も可能となる。将来的には年金記録の誤り防止にも資 する。  また、いろいろな情報の確認手段として、ねんきん定期便や、保険者、市町村からいろ いろな通知などがなされておりますけれども、そういったものの郵送費等のコストを削減 することもできるだろうということです。  また、自分の社会保障に関する情報について、不正アクセスによる盗み見といったもの に関して、適切に管理できているかどうか直接確認する手段がない。こういったものが不 正アクセスの監視が可能となって、抑止力としても働くだろうということです。  続いての○ですけれども、健康保険証や年金手帳というものが偽造・悪用されるという 場合がございまして、知らない間にクレジットカードといったものの契約がされるという ことが起こっている。こういったことについて、ICカード化されることにより偽造・悪 用を一定程度防止することが可能となるだろうということです。  続いて、5ページです。  情報連携の基盤としての効果ということですけれども、利用者や保険者の負担軽減とい うところで、現在、利用者の方は、保険者が変わるごとに保険証等を保険者に返却する必 要がある。また、加入申請漏れなどが起こっている。逆に、保険者においては、被保険者 の異動のたびごとに保険証を発行しているということで、こういった点につき、保険者異 動があっても、カードを返却する必要がなく、1人1枚のカードで年金、医療、介護サー ビスの保険証であったり、食事の減額をするような認定証、こういったものの役割を果た すということで、裏を返せば、保険者においてもそういった保険証であったり、その他の 証明証を発行する事務が不要となるということです。  続いて、医療機関等における事務負担軽減ということで、現在レセプトへの資格情報の 転記ミスや未加入状態での受診というもので、過誤調節事務が発生していますけども、こ の点につきまして、オンラインでの資格確認やレセプトへの自動転記が可能となることで、 医療費の過誤調整事務が軽減され事務コストの削減が期待できるということでございます。  また、制度や保険者等をまたがる手続の効率化ということで、現在、制度や保険者をま たがって本人を同定することが難しいということですが、こういったものについて、保険 者をまたがる場合であっても、事務が効率化されることや、利用者の方にとっても手続が 簡略化されるとか、必要な添付書類が削減されるということが考えられるだろうというこ とです。さらには申請漏れを防ぐために、利用者に情報を提供することもできるというこ とで、例といたしまして、高額療養費の申請であったり、その他国民健康保険の加入手続 勧奨というものが書いてございますけども、こういったことが可能となるだろうというこ とです。  続いて、6ページでございますけども、続きでございますが、各種給付における負担軽 減措置というものが保険者や制度毎で設定、適用されるというのが原則となっていますが、 将来的には、保険者や制度をまたがった場合でも、自己負担額の調整を行うということも 考えられるだろうということです。  また、将来的には、ご本人の希望というものが前提ですけれども、地域の医療機関間や、 医療機関と介護事業者との間での情報連携にも活用できるだろうということで、以上挙げ たもののほかにも、電子申請が行いやすくなることや、希望者の方については、身分証明 書として利用するようにすることも含めまして、1月の基本構想に関する報告書で挙げら れた効果が考えられるということです。  続きまして、7ページ、第3章ですけれども、具体的な仕組みの中でも、特に中心とな る部分について述べております。  まず、1つ目、本人を特定する鍵となる情報、本人識別情報ですが、1月の基本構想に 関する報告書では、以下の5案が提示されています。1、各制度共通の統一的な番号を利 用する。2、カードの識別子を利用する。3、各制度の現在の被保険者番号を利用する。 3−2、各制度内で不変的な番号を創設し利用する。また、4、基本4情報を利用する、 という提示された5案に基づきまして、比較検討をさらに行い、案3、案3−2、案4に つきましては、それぞれ問題点もあり、さしあたりは案1の各制度共通の統一的な番号、 もしくは案2のカードの識別子、と仮置きをして、さらに検討を進めていくということに しております。  また、この2案に加えまして、公開鍵暗号の仕組みというものを用いれば、国際的にも 技術が確立しておりますし、セキュリティの面で安心だということで、併せて検討すると いうことが書かれてございます。  続きまして、8ページ、ICカードの活用ということで、ICカードの安全性という図 を入れてございますけれども、ICチップ内に情報を収録することで、視覚的に情報を隠 すことができる。また、不正な解析等に対する防御対策がなされているという「耐タンパ 性」という性質がICチップにはございますので、最近、一般的に広く利用されていると いうことです。  その一方で、統一的な番号やカードの識別子をそのままICチップに入れますと、IC チップから送り出される情報を不正に読み出される恐れというものを完全に否定すること ができないということで、現在想定している医療機関等での利用を考えれば、統一的な番 号のように、情報の送り手と受け手で同じものを持ち合うことで本人を認証する方法より も、情報の送り手と受け手とで別の情報を持ち、ICチップの演算機能を活用して、膨大 な桁数の乱数といったものの演算を行ってその演算の結果が合致することによって本人を 認証する方法というものを活用するほうが、国際標準技術も確立し広く利用されており、 安全性において優位であろうということを書いてございます。  その一方で、9ページですけれども、将来的なことを考えつつも、当分の間は情報化が 進んでない手続も併存するだろうということを考えますと、ICカードの機能に依存しな い場合を考える必要があるだろうということで、その際、本人識別情報を可視化した場合 には、制度や本人の意図しないところで、名寄せに使われるといったリスクが高まる可能 性があるということです。  だからこそ住民票コードや基礎年金番号では、第三者告知制限であったり、データベー スの構築禁止といった厳格な利用制限が設けられていますけれども、そういったリスクを 高める可能性がある一方で、何らかの可視的な番号を使えば、より簡便な仕組みにするこ とができるというご意見もあるということが書いています。  こういったことを踏まえ、本人識別の方法としては、安全性の面で優れた公開鍵暗号の 仕組みを基本としつつも、必要に応じて可視的な番号等を利用するということも検討の範 囲とするということで、その適切な在り方についても併せて検討していくということです。  続いて、10ページでございます。  中継データベースの活用についてということで、先ほど申し上げたとおり、プライバシ ー侵害や情報の一元的管理というものに対する不安を極力解消する。また、費用対効果に も優れた仕組みにしていく必要があるということが1月の基本構想に関する報告書でも述 べられておりますけれども、そういった意味でも、カードのICチップにいろいろな情報 を収録すると、ICチップ内の情報の書き換えの機会が増え、またいくら安全であっても いろいろな情報をICカードに入れると不安が高まるということもございますので、基本 的にはICチップ内の本人識別情報を用いて外部のデータベースにアクセスするという形 を考えるということです。  その一方で、外部のデータベースというものに関して、いろいろな情報を一括して保有 する大規模なデータベースをつくりますと、プライバシーが侵害されるのではないかとい う不安を惹起いたしますし、サイバー攻撃といったものの標的にされる恐れがありますの で、こういったことを前提としますと、ICチップ内に収録された本人識別情報をキーに して、現在と同様各保険者に分散して保存されている情報に確実にアクセスできるような 仕組みとして、そのアクセスを中継するためのリンクのみを保持する機能をもった中継デ ータベースというものが必要となるだろうということです。  また、この中継データベースというものは、現在の各制度の番号を制度共通の統一的な 番号に置き換えていく場合であっても、より確実に各保険者へのアクセスを中継するとい う意味で必要となってくるであろうということが書いてございます。  続きまして、11ページでございますけれども、この中継データベースについても、様々 な情報を持たせますと、情報の一元的管理が行われるという懸念が生じることから、中継 データベースについても必要最小限の情報を持たせるようにするということで、具体的に は本人識別情報であったり、各制度の被保険者記号番号を保有するということを基本とす るということで、資格情報であったり給付情報というものは現在と同様各保険者が保有す るということを想定し、その一方で、各保険者は本人識別情報や他の保険者が管理してい る番号は保有しないことを想定したということです。また、各保険者におけるデータベー スの整備状況やセキュリティ対策の状況を踏まえて、複数の保険者が共同してデータベー スを運用することや、また、中継データベースで情報を保持すべきというご意見もいただ きましたけれども、そういったものもさらに検討を行っていくということです。  また、(2)、中継データベースの具体的な機能についてということで、オンラインによる 保険資格確認や、年金記録やレセプト情報の閲覧という場合でも、この中継データベース の仕組みを用いれば、より安全な形で、また利便性の高い形で利用することができるので はないかということと、最後の段落になりますけれども、新たなサービスを使えるように する際においても、この中継データベースというものに新たなサービスへのリンクを持た せることで、その機能を拡張することが可能であるということで、ICチップの中に新た なアプリケーションを書き込むよりは、より将来的なカードの用途拡大に対応しやすいと いうことができるであろうということです。不安の解消というものと用途拡大の対応とい うものの両立をいかに図っていくかということでございますけれども、不安が解消されな ければ、用途拡大への合意というものも得ることがなかなか難しいだろうということで、 このような仕組みを検討しているということでございます。  続きまして、12ページでございます。  年金記録等の情報閲覧の方法ということで、(1)ですが、社会保障に関する情報は非 常にプライバシー性の高いものが多いということですので、セキュリティ確保のための措 置を講じるということや、オンライン上で厳格な本人確認を行うということが必要不可欠 であろうということで、オンライン上で厳格な本人確認を行う仕組みとしては、現在、電 子申請において安全性や信頼性が確保された方法として、公的個人認証サービスというも のがございますので、そういったものを含めて検討していくということです。  また、その他セキュリティ確保のための要件というものも枠に囲ってあるところに書い てございますように、正しいカードが正しい所有者によって利用されていることの確認や、 改ざんなどがなされていない状態で、正しい情報が確認できるかどうか、また、悪意のあ る者や不正な機器からの攻撃に耐えられるという要件を満たす必要があるだろうというこ とで、例えば(1)であれば、本人確認の観点からはカードの所有者の方に暗証番号(PIN) の入力等をお願いして、本人確認を行う、そういったセキュリティ上の条件を満たすよう な仕組みとしていくことが必要であろうということでございます。  続きまして、13ページ、社会保障ポータルの活用ということですが、情報閲覧のために 各保険者のデータベースへ直接アクセスするということはセキュリティ上の脅威が増大す るということや、各保険者がデータベースのセキュリティ対策を行う必要があるというこ とでコスト的にも増大する可能性があるということで、先ほど申し上げた中継データベー スの機能を利用して、社会保障ポータルというものを置くという方法が考えられるのでは ないかということで、そういったものを利用することでセキュリティ上の不安が小さくな ることや、利用者の方にとっても各保険者にそれぞれアクセスするのではなくて、ワンス トップで様々な情報にアクセスできるようになるという意味で、利便性の向上が図れるで あろうということです。  続きまして、14ページ、第5章医療保険事務等の効率化ということで、オンラインによ る医療保険資格の確認等について述べています。  イメージとしては、14ページに書いてある図のとおりでして、医療機関でカードを利用 し、中継データベースを経由して各被保険者の情報を確認するということです。  続きまして、15ページになりますけれども、こちらにつきましてもセキュリティ上の要 件と対策を適切に行う必要があるだろうということで、先ほどの閲覧の状況と同じように、 正しいカードが正しい所有者によって利用されていることの確認や、改ざんなどがない状 態で正しい情報が確認できることといった要件と対策というものを行う必要があるだろう ということです。  その一方で、医療機関での利用に関しては、例えば成りすまし受診の防止といった観点 から、医療機関の窓口で暗証番号を入力していただくということも考えられますけれども、 利用者本人の意識のない場合や医療機関の窓口業務への支障を考えますと、現行以上の措 置はなかなか難しいのではないかということです。暗証番号の入力を求めないのであれば、 医療機関の職員が正当な権限を持っていることの確認を行うことや医療機関におけるカー ド読み取り端末の認証を行う等の措置を検討する必要があり、また、それに加えまして、 医療機関において必要とされている情報以外の情報、例えばその方の年金情報といったも のが見られないような仕組みというものが必要だろうということが書いてあります。  続きまして、(2)レセプトへの自動転記ということで、レセプトへの自動転記の具体 的な仕組みとして、(1)レセプトに自動転記される情報は、診療報酬の請求に必要な最低限 の情報とすること、(2)として、受診のたびに保険資格確認を行うということは必要ですが、 レセプトへの自動転記を受診のたびに行いますと、システム的に大きな負担がかかります ので、16ページに続きますけれども、こちらについては初診時と、再診時で前回の診療時 から情報に変更があった場合に関してのみ行うということを仮置きしているということで す。  なお、こういった仕組みが機能するためには、導入によって医療機関の窓口業務に混乱 が生じないようにするということも必要ですし、レセプトに自動転記される情報のフォー マットに関するルール設定を行う必要があるということですので、こういった点をさらに 今後検討を行っていく必要があるということです。  また、オンラインによる保険資格確認やレセプトへの自動転記を実現するに当たっては、 保険者、医療機関等のシステムの整備・改修や安全なネットワークの構築といったものに 対する費用がかかるという課題もありますので、こういった点につきましても今後検討を 行う必要があるということです。  次に、(3)年金、介護保険の資格確認につきましては、医療保険と同様、もしくはそ れに準じた仕組みで行うことが考えられますけれども、これらにつきましては、さらに関 係者の方の意見を伺いつつ、今後さらに検討を行っていくということです。  続いて、17ページ、保険者間の情報連携ということで、高額介護合算療養費のように、 制度や保険者をまたがった調整が必要となる事務がございます。そういったものが適切に より簡便に行われる仕組みというものを検討したということですが、情報連携といっても、 適切な情報連携に限定する必要があるだろうということで、アクセス履歴を残し、自分で 確認できるものとするといった、プライバシー侵害や情報の一元管理というものに対する 不安が極力解消されるようにするための情報連携の仕組みを今後さらに検討していくとい うことです。  続きまして、第6章、ICカードが利用できない場合の対応ということで、カード導入 後、現行の被保険者証等からの移行期間や、訪問看護や往診の場合というようにカードが 使用できない状況、また停電やネットワークのトラブル、カードの破損等といったように 一時的にICカードの機能が使用できない場合というものが想定されますので、このよう な期間や状況について、どのような対応をするかという検討を行ったということです。  18ページ、下のほうに移りますけれども、医療保険の資格確認について、資格情報を記 載した別紙を交付しておくといったことや、カードの券面に資格確認やレセプト請求が可 能な情報を記載しておくということが考えられるということですけれども、例えば、別紙 を交付するということであれば、利便性を損なうという面もございますし、またカードの 券面にレセプト請求ができるような情報を記載しておくことについては、本人識別情報そ のもの、例えば制度共通の統一的な番号というものを記載すると、名寄せに使われるリス クが高まるということです。  そうは言っても、医療保険や介護保険における共通番号を導入すれば、そういったとこ ろはクリアできるのではないかというご意見もいただきました。そういった点を踏まえま して、さらに今後、現行の被保険者証からの移行期間などのICカードが使用できない場 合の対応について、さらに具体的な対応策というものを検討していくということです。  続きまして、20ページ、第7章でございます。カードの発行・交付方法ということで、 これまで述べてきた社会保障カードの仕組みというものは、カードが確実にご本人さんに 交付されたという信頼が存在することが前提となるということで、具体的なカードの交付 方法を検討するに当たりましては、交付の対象者が市町村や窓口に行く必要があるかどう かといったことや、カードの交付に必要となる事務負担といったことを踏まえる必要があ るということです。  また、留意点として、その交付を受ける方が窓口に行く必要があるかどうか、もしくは 郵送を可能とするかどうかにつきましては、そのカード交付時にどの程度厳格な本人確認 を必要とするかということを検討する必要があるということで、厳格な本人確認による信 頼性というものと交付対象者の利便性、つまりいちいち窓口に行く必要があるかどうかと いうところの利便性というものはトレードオフの関係にあるということで、一方を重視す れば一方が不十分となるという関係にあるということに留意する必要があるということで す。  また、(2)検討に当たっての仮定ということで、枠の中で囲ってございますけども、 カードの発行主体につきましては、年金、医療、介護という制度にまたがった仕組みです ので、厚生労働大臣であると仮定。また、カードの交付主体については、住民基本台帳カ ードや公的個人認証サービスの発行の仕組み、基盤、運用の実績というものを有している ということや、最も身近な行政主体であり一般的に利便性が高いということを考えまして、 市町村と仮定しているということです。  また、続いて、21ページですけれども、カードを出生時にどう発行するかということや、 現在既に保険証といったものをお持ちの方についてそれをどう切り替えていくかというこ と、もしくは住所変更の手続をどうするかということを作業班で検討いたしましたけれど も、こちらにつきまして、今後さらに検討を行っていくということです。22ページ、今後 の検討方針ということで、留意点もございますけども、今後さらに市町村といった関係者 の方の意見を踏まえながら、より精査していこうということです。  また、続きまして、23ページ、第8章、関連しうる他の仕組みの活用ということで、 (1)既存のICカードやICチップを含む媒体の利用など、関連しうる他の仕組みを活 用すれば、社会保障カードのためだけに新たな投資を行うことは極力避けることができる ということで、そのためにもそういったものの利用を検討するということです。  1つ目に、住民基本台帳カードについて、既存のICカードや市町村が有するカードの 発行基盤を利用することで、費用対効果に優れた仕組みとすることが可能であろう、また、 既に発行された住民基本台帳カードを社会保障カードとして活用できれば、新たなカード の発行というものは不要となるだろうということです。  今後は、「IT政策ロードマップ」におきましても、住民基本台帳カードと社会保障カ ードの議論と一体的に検討を進めるということにもなっておりますので、今後さらに検討 していくということです。その際には、現在の仕組みを前提といたしますと、市町村をま たがる住所変更の際には、住基カードの再発行が必要となるといった点も含め、留意点が あるということを述べています。  また、続いて、その他のICカードの活用ということで、金融機関などで発行されてい るカードというものも活用することは技術的には可能であろうということですけれども、 留意点もあるということで、今後さらに検討するということです。  また、外国人に対して発行することが検討されている在留カードも含めまして、他の分 野におきましてもICカード化の流れというものがございますので、そういったものの動 向についても留意するということです。  続きまして、携帯電話についてもICチップを活用していますので、そういったものも 利用できるかどうか検討していこうということですが、技術的には可能ですけれども、シ ステムが異なるといった問題点もございますので、今後さらに検討する必要があるという ことです。  また、(2)認証基盤の活用ということで、先ほど申し上げたような公的個人認証の活 用や、(2)の保険医療福祉分野でのHPKIという、医療関係者の資格を有することの確認 に用いることができるという仕組みもございますので、そういった認証基盤を活用してい こうということでございます。  また、(3)として、ネットワーク基盤としてのレセプトオンラインネットワークの活 用ということで、医療機関や薬局から審査支払機関へのレセプトの送付のオンライン化と いうものが進んでございますけども、医療機関でのオンライン資格確認を可能とするため の環境整備については、新たな投資を極力避けるために、これらの基盤を活用していくこ とが有効と考えられるということです。  また、電子政府関連施策との関係ということで、現在、検討が行われています電子私書 箱や、オンライン利用拡大策といった電子政府への取組というものとも連携して検討して いくということです。  こちらの関係しうる仕組みについての資料は、27ページ以降に参考資料としてつけてお りますので、ご参考にしていただければと思います。  また、25ページ、第9章、おわりに、ということですけれども、前回いただいたご意見 も踏まえまして、この取りまとめの意義や今後の課題というものを整理しまして、第9章 という形で新たに付け足してございます。  社会保障カードの在り方につきまして、現段階で本検討会として一定の結論を得たもの ではなく、本とりまとめは様々な仮定をおいた上で、これまでの議論を整理したものであ ります。  社会保障カードについては、カードによって実現可能なことについての様々な期待があ る一方で、情報化や制度横断的な取組に対しては、漠然とした不安の声があるのも事実で ある。  こうした中で、具体化に向けた議論を丁寧に積み重ねていくためには、一定の仕組みの イメージを仮置きし、その仕組みによって実現可能となること、その仕組みのコスト、想 定されるリスクを具体的に示すことが不可欠であること。その仕組みや仮置きに至った検 討内容を示すことで、別案の検討を進めることも可能となること。  逆に、何らかの仕組みを整理した上でなければ、実現可能なこと、コスト、リスクの整 理は不可能であり、丁寧な議論ができないから、本検討会においては、これまで社会保障 カードの仕組みの検討を先行させてきたということで、こういった仕組みの仮置きがなけ れば、コストの試算やリスク分析ができないであろうということで、以下、今回の仮定の 上ではございますけれども、ポイントというものを枠内で囲ってございます。  本人識別情報の保有をICチップと中継データベース内に限定することなどによりその 流出リスクを極力回避する。  また、現在各保険者が保有している様々な情報というものを一括して保有するのでなく、 中継データベースを経由して、各保険者が保有する情報へアクセスを行う。また、同時に 中継データベースへのアクセスを監視するということで、個人情報の流失リスクを効率的 かつ効果的に回避する。  また、こういった仕組みを考えることが、社会保障カードの将来の用途拡大に対応する 場合のコストを抑えることになるということです。  続きまして、最後、26ページになりますけれども、こういった仮置きではございますが イメージをお示しすることで、今後さらに様々なご意見であったり、コストやリスクを抑 えつつメリットを高めるアイデアというものをいただけるのではないかということで、国 民の皆様のご理解を深めていただくことにも資するのであろうということです。  また、こういった仕組みのイメージをお示しすることで、並行している他の分野での検 討につきましても、全体最適を実現するためのものになるということです。  その一方で、さらに検討すべき課題も多いということで、これまでに1章から8章まで の各章で述べてきたような個々の課題というものに加えまして、例えばということで、例 示でございますけども、次に挙げるような課題があるということで、こういった課題をさ らに検証しながら検討を進めていくことが重要であろうということです。各制度や現場の 状況を踏まえた対応。医療機関や保険者といったものの環境整備をどう進めるか。また、 現行の保険証等からの切り替えに伴うリスクの分析。社会保障カードの仕組みに要するコ ストの試算。受益と負担の関係も踏まえた費用負担の在り方。ITの利用に不慣れな方等、 様々な利用者への配慮、というものが今後の検討課題の例でして、こういったことを踏ま えつつ、検討状況を中間的に整理して様々なご意見をいただき、またそれを踏まえてさら に検討を掘り下げていくということが重要であろうということです。  以上が、資料1でして、これをポイントとしたものが資料2の5枚紙です。  簡単に構成だけご説明させていただきます。  確認でございますけど、社会保障カード(仮称)は社会保障制度全体を通じた情報化の 基盤となるということ、また、年金手帳、健康保険証、介護保険証としての役割や年金記 録等の確認を可能とするものとして検討しているということで、現時点で一定の結論が得 られたものではございませんけれども、これまでの議論を整理したイメージをお示しして、 今後、各方面でのご意見を踏まえ、年度内を目途に基本計画を策定するということです。  また、その効果として、情報アクセスの基盤と情報連携の基盤という2つの視点で整理 をしまして、こういったものが整備されれば、情報の可視化や、効率的できめ細やかなサ ービス提供というものが一層進むことが見込まれるということです。  続きまして、2ページ目で、社会保障カードの仕組みのイメージということで、先ほど ご説明申し上げたとおり、中継データベースというものを活用して、ICチップ内には保 険資格情報といったものを収録せずに本人識別情報のみを収録する。また、中継データベ ースについても必要最小限の情報のみを持ち、保険資格情報や閲覧情報を保有しない。ま た、そのアクセス記録を保有することで、不正アクセスによる盗み見といった不正を抑止 して、情報連携についても制御するということで、情報の一元的管理に対する不安を極力 解消する仕組みとする一方で、利便性も高いであろうということで、社会的合意が前提で はございますけども、より広い範囲での用途に対応できる仕組みということです。  続きまして、3ページ目が、情報閲覧の仕組みでございます。  また、4ページ目が医療保険資格の確認やレセプト自動転記の仕組みのイメージです。  また、最後、5ページですけれども、ICカードが利用できない場合の対応や、カード 発行の場合の発行交付方法、また関連し得る仕組みの活用といったものにつきまして、今 後の検討課題も含め記載をしているというものが、これまでの議論のポイントという形で 資料2としてまとめさせていただいたものです。以上でございます。 ○大山座長  ありがとうございました。  全体を通して説明をいただきました。  これから皆様方にご議論およびご意見をいただきたいと思いますが、堀部委員が途中で 退席ということですので、先に申し訳ありませんが、きっかけをつくっていただければと 思います。 ○堀部委員  これまでの議論を大変よくまとめていただきましたので、全体のイメージがかなりはっ きりしてきたと思います。  それをもとに資料1の20ページのところに検討すべき課題も明示されていますので、そ れらについてできるだけ早い時期に検討していただいて、基本計画策定をする必要があろ うかと思います。  そういうことを踏まえて、いつも言っていることで、なかなかここではそういうところ まで議論が進んでいないので非常に残念に思うのですが、先ほど資料2のほうに、簡潔に まとめられている、2ページ、そこの点線の中にあります、本人を特定する鍵となる情報、 本人識別情報と中継データベース(仮称)の活用により、プライバシー侵害・情報の一元 的管理に対する不安が極力解消される仕組みというのは、このとおりなのですが、技術的 な側面ばかりではなくて、制度的にもこうした不安、恐れ、そういうものが解消される仕 組みを併せて考えていく必要があります。  住民基本台帳ネットワークシステムの議論に長い間かかわってきていますが、これもよ く言っていることですけれども、住民基本台帳法を1999年に改正しますときに、その前か らずっと議論があるのは、ここに出てますようなプライバシー侵害情報の一元的管理とい う、こういう言葉で表現できるものがありまして、それについては全国で30数件の訴訟も 提起され、今年3月6日には最高裁判決で、住民基本台帳ネットワークシステムの適用性 は認められました。  しかし、そういうものに対する不安というのは、かなり根強くいろいろなところにある わけでして、この社会保障カードにつきましても、そうしたことがあるからこそ、こうい う指摘をしているわけでして、それを制度的にどういうふうに解消していくのかというこ ともできるだけ早い時期に検討して、この検討会とすると、全体としてこういう基本構想 であるということを提示していく必要があるのではないかと思います。  ということで、これまでも何回か発言しておりますが、なかなかそういうところに議論 が行ってないということを大変残念に思います。  例えば、これだけの仕組みをつくるとなりますと、社会保障カード法、これもいつも仮 称とつけて言っていますけど、そういうものを制定することによって、これまでに議論し てきたような内容を入れていくと同時に、制度的な仕組みというか、特にプライバシー侵 害情報の一元的管理に対する不安というものを解消するような制度的仕組みをどうするの かということも併せて規定していく必要があるのではないかというふうに考えています。  いろいろほかにもありますけれども、ほかの会議と重なっていまして、そちらに行かな ければならないので、それだけ発言させていただきました。以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。  それでは皆様方からご自由にご意見等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  これの取扱いをちょっと申し上げておくほうが、皆様方にこのあとのイメージが分かり やすいと思うので、事務局側からの説明をお願いします。  今日、皆様のご意見をいただき、それを基に修正して、公表していくということだと思 いますが、パブコメにかけるとか、そういうことはまだないわけですね。 ○社会保障カード推進室長  従来から、1月に報告書をまとめていただいて以来、ずっとホームページで意見募集を していますので、それを引き続きやっていくということになると思います。  ただ、今回は少し具体的なイメージが明確になってきたので、さらにもうちょっと、皆 様から意見が出しやすくなるような工夫を考えてみたいと思っています。 ○大山座長  その意味では、公開するための資料と言いますか、中間報告をまとめるということにな りますので、皆様方からこういうことにもっと配慮しろとか、書き直せとかいうのがあれ ばと思います。  まず、大江委員、どうぞ。 ○大江委員  今日、出てきた資料1のタイトルは、これまでの議論の整理と書いてあるわけですね。 決して、議論のまとめであって、中間報告というわけではないというふうに思って読んで いたのですが、今の座長のおっしゃり方ですと、まるでここに書いてある基本的なことに ついては、この検討会で合意ができた報告案であるというような取扱いにされるように聞 こえたのですけれども、そこはどうなっているのでしょうか。 ○大山座長  確かに、中間報告という言葉の位置付けがあるかとは思いますが、節目、節目でまとめ るという観点から、これまでの議論の整理の案という中に、両論併記も含めていろいろま だ書いてあるわけで、事実関係をまとめたということだろうと思います。  それを中間報告というのは、この時点でまとめるということはお認めいただいたとして も、内容的に不十分であるのか、あるいはこの時点でまとめるべきではないということな のでしょうか。  中間報告というは、答申をする意味での中間報告で、あくまでも整理という位置付けで あると思います。 ○社会保障カード推進室長  おっしゃるとおりと言いますか、タイトルもこれまでの議論の整理ですし、第1章の最 後に書いてありますように、議論を中間的に整理したという位置付けのものと考えていま す。 ○大江委員  分かりました。  そうすると、両論併記とおっしゃいますが、まず主たることが書いてあって、付け足し のように書いてあるところが結構散見されるわけです。しかし、実際にはどちらがよいの かまだ議論をしていない状況にあるし、一見、読む人が見れば、付け足しのように書いて あるかのように見えてしまう意見も、実際にはそれに対して反対があったわけでもなし、 そういう意味で、少し書き方をウエイトをもう少し均等にしないと、読む人は誤解をする のではないかというところが多々あると思います。  例えば、私が申し上げた意見のところで、1つ取り上げますと、19ページの一番上の3 行目です。これは、前のページの終わりのところからつながっている部分ですけれども、 要するにカード券面に何を書くのか書かないのかというようなことです。  基本的な発想は、6章以前の部分では、制度共通的な番号を記載することは今後の名寄 せにつながりかねない、そういうリスクがあるので、書かないということが記載されてい るわけですけれども、それであれば逆に最も利用頻度の高い医療保険証、介護保険証とし て使うときに、何も番号を書かなくてよいのかということは最初から何度も申し上げてい るわけです。  やはり例えば、2行目のところにこの点につき、こういう意見もあるというふうな書き 方になっていますが、私が申し上げたことは、もう少しはっきり申し上げたはずで、例え ば年金番号とそれから医療、保険、介護とは別の番号であっても構わないのではないかと。 その上で、医療保険、介護保険についてはその券面に番号を書いて活用できるようにする という、そういうことを申し上げたつもりで、その申し上げ方がこれまで弱かったのかも しれませんけれども、そういったことをやはり取り上げて書かないと、基本的には付け足 しのようなウエイトに読まれると思います。  その辺は少し書き方を考えていただく必要があるのではないかと思います。  それから、同じように、これは座長にも申し上げたいことなのですけれども、前回の検 討会の翌日にある新聞に、この検討会では、社会保障カードは住民基本カードと一体して 使う、そのカードを使うことが委員の中で、まるで合意されたかのような記事が載ったわ けです。各報道がどのように書くかについて、いちいち委員が言うことはできないとは思 いますけれども、国民に対して必ずしも前回の検討会ではそういう合意がなされたわけで はないにもかかわらず、あたかもそういう合意がなされたかのように伝わるような報道が あった場合に、こういう検討会の座長として、何らかのメッセージを逆に出さないと、い けないのではないかと、誤解を招くのではないかというふうに思うわけですね。  そういう意味で、これが報告書ではなくて、議論の整理だとおっしゃるのであれば、こ の議論の中では、社会保障カードと同じ媒体を使うという議論もあったけれども、それで 合意ができているわけではないと。今後それは議論すべきであって、メリット、デメリッ トは何であるかということをきちんと分かるように書くのが、むしろ国民から見たときに、 議論がはっきり見えてよいというふうに思うのです。  その辺り、座長としてはどのようにお考えでしょうか。 ○大山座長  あのときの話は、あくまでもここでの議論しか正式なものはなくて、メッセージは何も 出していません。その後、どう書かれるかと言うのは、逆に言うと、我々がコントロール できる話ではなく、もちろん表現の自由がそもそも保証されている話ですから、マスコミ に関する今のお話に関しては、私自身はああいう書き方をされるという言い方をすべきで はないと思いますが、ああいうふうに書かれた新聞があるということに対しては、それは 事実として受け止めるだけだろうと考えます。 ○大江委員  私が、言いたいのは、そのようなふうに書かれるということは、誤解を招くような、つ まり理解が間違って伝わるような、検討会の報告になっていたのかもしれない。あるいは、 そういう議論に聞こえたのかもしれないというふうに私は思ったのですね。  だから、もしもそれがそういう議論をしたわけではないということであれば、やはりそ ういうメッセージがきちんとこの議論の整理を読んだ人がわかるように書くのが議論の整 理の仕方としては適切ではないかというふうに私は思うのです。 ○大山座長  皆様方のご意見も伺いたいところでありますが、大江委員の今のお話は分かりますが、 少なくとも前回から今日までの話なので、今日この場で何かメッセージを出すという話を しろということなのかどうかにかかると思います。あくまで検討会という場でお話をした 中ですが、私が逆に何かを言うとすれば、皆様方の了解をとらなくてはならないというこ とであると思います。  したがって、そこについては、もしそれが大江委員からの動議として出るのであれば、 ここでちゃんと議論すべきと思いますが、ちょっと内容が私は違うのではないか思います。 ○大江委員  私の言いたいことは、これまでの議論の整理をどのように書くかによって、読む側はど こが決まった部分で、どこは決まってないけど、そういう意見もあったなというふうに読 み取ってしまうような、そういう整理の仕方をすべきではないというふうなことを言いた いわけです。  例えば、そうすると23ページの既存のICカード、ICチップを含む媒体の利用という ところで、住民基本台帳カードの利用のメリット、デメリットが書いてあるわけですね。  ところがこれをこういう形で出したときに、基本的には基本台帳カードをそのまま使っ ても、特段差し支えないのだなというふうに読み取る人がもし多いのであれば、ここでは そういう議論は十分していないわけですから、もう少し丁寧に両論を書かないと、結果的 には誤解を招く可能性があるのではないかと。その証拠としては、ああいう十分議論され ていなかったにもかかわらず、あのように書かれたようなことが起こっているのではない かと。そういうことを申し上げたかったのです。 ○社会保障カード推進室長  今のご指摘については、そもそも全体が結論を得たものではないということをはっきり 書いてあるわけです。それで、あくまでもこれまでの議論を整理したに過ぎないというこ とが書いてあって、また各場面で、随所に仮定したとか、さしあたりとか、そういうこと を書いてあるわけで、それは今の住基カードのところについてもとりあえず住基カードを 活用できないかということが書いてあるだけで、これを活用するともしないとも書いてな いわけですよね。  メリット、デメリットとおっしゃいましたけれども、その住基カードの活用については、 まだ突き詰めて検討がされてないわけで、現在書くことができる話というのは、ここに書 いてあるように、発行基盤を使えないかとか、ICチップを格納する媒体というか、格納 するものとして何かもし使えるとしたら、新しくカードを発行することが不要になるんじ ゃないかと。その期待めいたことが書いてあるだけで、ただ、いろいろ留意点もあるよと。  今、考えられる留意点をここに挙げているということ。そういう整理になっているわけ でございまして、一応我々としてはできるだけの工夫をしているつもりですけれども。 ○大江委員  つまり私の言いたいのは、全般的にいろいろな意見は出ていますけれども、まだそれぞ れについて十分議論がされていないと思うのです。この検討会で。されていないことも多 いと思うのです。  例えば、今まさに室長がおっしゃったように、住民基本台帳カードを使う、使わないに ついては十分議論されてないと今はっきりおっしゃったわけです。  つまり議論されてないのであれば、これについては議論されていないと。現時点で、こ こまではということを書かないと、何が議論されて整理として書かれていて、何がまだ議 論されていない。単にいろいろな案が出ているだけであるというものとの区別がつきにく いというふうに私は思います。 ○中川委員  大江委員の発言に対して、報道に対して、何かアナウンスするかどうかは別にして、こ の場で、あの報道の内容は事実と違うということは座長おっしゃっていただいて。 ○大山座長  ああ、そういうことですね。 ○中川委員  ここで、言ってください。 ○大山座長  それは、先ほど申し上げたとおり、そういう印象を与える会話が、議事録をご覧いただ ければ分かりますが、なかったと思っています。ですから、それについては、私自身が何 かコメントを言って決まったとかいうことは一切ないということは事実です。 ○中川委員  それと年金、医療、介護を一体化して、全体として社会保障カードでやるのだというこ とも決まってないですよね。  決まりましたか。その報道もあったと思いますが。 ○大山座長  すみません。それはちょっと、室長のほうから言っていただいたほうがいいかもしれま せんが、私の認識は、与党合意から来ている最初のメッセージにあるだけで、ここで決め ているとかという話はないと理解しています。 ○中川委員  それと前回の委員会で、こういうことを進めることの光と影。影の部分を明確に具体的 に出して、徹底的に出して、失敗を恐れてほしいのだと申し上げたと思いますが、そのと きからの報告、整理ですか、議論の整理の中で、最後の9章をつけたことでお答えいただ いたということですか。 ○社会保障カード推進室長  これまでの検討の過程で、課題として明らかになったことについては、各章については それぞれ記述してあって、まだ検討されてないことについては、9章の「おわりに」のま とめのところに、まだいろいろ検討しなければいけない課題はいろいろあるのだというこ とを記述しているつもりでございます。  ただ、おっしゃるように、もうちょっと掘り下げた具体的な課題ということについて申 し上げますと、それはやはりいろいろ仕組みを仮置きした上で、さらにいろいろ議論をし ていって、こんな課題がある、あんな課題があるということが明らかになってくるという ことで、現時点ではまだそこまで検討がされていないので、具体的に書くことはちょっと 現時点ではできなかったということでございます。 ○中川委員  この時点では、お答えいただいてないということですね。  もう一つ、しつこい言い方のように聞こえて恐縮ですが、仮置きというのはどういう位 置付けですか。具体的に。 ○社会保障カード推進室長  仮置きといいますか、一応作業班で検討していただいたときに、いろいろな各方面との 調整もついてないし、まだ議論も、課題が残されているので不十分な点もあるのだけれど も、一応検討したところによると、これが1つの選択肢として考えられるのではないかと いうことで整理をしていただいているというふうに理解しております。 ○大山座長  ちょっと今の件に補足しますが、前回取りまとめた1月に公表したものですが、あの 時点では、もう少し社会保障カードというものに対するイメージを多くの方にお持ちいた だけるかなと期待しましたが、内容的に十分でなかったこともあり、あまり議論になりま せんでした。  今回は仮置きとあくまでも言っていますが、イメージを持っていただきたいというこ とでまとめてあります。そのための作業を、作業班にやっていただいたと考えています。 ○中川委員  仮置きということを書けば、議論の整理だからということも含めて、きちんと決定して もいないことをこういうふうに整理すると、やっぱり報道としては決まったかのように捉 えると思います。一般の国民にも、ただの逃げと映ると思います。その辺のことを注意し てほしいなということと、それから座長、覚えていますか。今年の1月の18日付で、日本 医師会長名で座長に見解を出しています。そのときに、社会保障番号の導入、これは住基 ネットを利用する、ネットワーク化するということも含めて、国家が個人情報を管理する 国民背番号制の実施につながる危険性を我々は指摘しています。そして医療分野で、財政 的な目的のみで、医療の内容に制限を加える管理医療の導入につながる危険性を孕んでい るのだということを強く申し上げて、さらには、それによって社会保障個人会計の導入、 それに伴って社会保障の公的社会保障給付の範囲の縮小だとか、それからその縮小部分の 民間保険の移行といったことが垣間見えるということを申し上げているわけです。  その流れの中で、7ページの案の1、2の1、各制度の統一的な番号利用と、これは仮 置きにしてもこういうことを議論せずに堂々と書かれると私としては、容認することがで きません。議論がないので断固反対でございます。  各制度、統一的な番号というのは、社会保障番号ということになると思いますが、これ は保険証の番号とか、基礎年金番号はいわゆる給付を受けるための申請番号です。ところ が社会保障番号となると、これは本人の保障ですから、これは全然意味が違うわけですね。  個人が番号そのもので、商取引できたりする可能性が出てくるわけです。こうなると、 やはり全く意味が違う。そういうことの議論もほとんどしてないわけですから、それでこ こに各制度統一の番号を利用、1案、有力の案の1つがこれだと書かれると、非常に問題 が大きいと言わざるを得ません。 ○社会保障カード推進室長  まず最初の管理医療とか、日本医師会からいただいているご意見を考えて、今回そうい ったことにつながりにくい仕組みということで、こういう情報を集約しないし、いろいろ なところに必要最小限の情報を持ってもらうというような仕組みを検討していただいてい るというふうにご理解いただきたいと思います。  それから、本人識別情報として、その候補として統一的な番号というのは残っています が、これは1月の検討会にあったものがそのまま残っているということが1つと、それか らここにございますように、仮に本人識別情報として、共通番号みたいなものを選択肢と して考える場合においても、おっしゃられるように、その番号で何でもできるということ ではなくて、10ページの絵にあるように、本人識別情報というのは、ICチップの中と中 継データベースの中にしかないと。各保険者というのは、本人識別情報を持たないという ような仕組みを工夫しているでありますとか、公開鍵暗号の仕組みを使うことによって、 仮にICチップが使えない場合などにおいて、何か番号のようなものが必要だということ があったとしても、例えば補完的なものとして使うということを検討するというような感 じの記述にしてありまして、これは先ほど大江先生からご指摘いただいたお話と逆の話に なるわけですけれども、我々としては、いろいろ表現を工夫して、誤解のないようにして いるつもりでございますが、ここをこう直せというご指摘があれば承りたいと思います。 ○大山座長  まさしくこういう議論になるための紙であると思いますが、ちょっとここでどういう形 をとるかについて皆様方のご意見を伺いたいと思います。私には中川委員と大江委員が言 っていることは逆ではないかとの印象を持つのですが、私の認識が間違っていたら、そこ を正していただきたいと思います。 ○大江委員  まず、7ページをもう一度見ていただくといいと思うのですが、7ページに本人を特定 する鍵となる本人識別情報について案が提示されているわけですね。  これは、よく読むとカードのICチップに収録する本人識別情報ということとして案が 提示されているわけです。  室長からもさっきご説明ありましたように、私の理解では、このICチップの中に書き 込まれているこの制度共通番号というのは、名寄せとかいろいろなリスクもあるので、見 せない形にして、なるべく情報も分散的に管理して、安全にしたいというご説明だと思い ますし、私はそれは差し支えないというか、むしろこれまでもそういう議論がされてきま したし、受け入れられるものだと思っています。  ただ、一方で、こういう各制度、つまり年金、医療、介護、全部を共通にした番号を見 えない形でチップに入れるのであれば、現実問題、医療、介護では見える形の番号がやは りないと、非常に現場は困ると思うのですね。  例えば、患者さんが何かまだ電子化されていない書類手続をしようとした途端に、保険 証の番号、どこ見れば載っているのですか。書類に何を書けばいいのですかというような ことが起こると思うのです。その番号がないと、結局、生年月日や氏名や住所を書かない といけない。そうするとやはりそういう記載ミスが起こるような情報で名寄せをしないと いけなくなる。そういう非常に事務の煩雑なと言いますか、本来解決しないといけなかっ た問題が解決できないまま残ってしまうだろうと思うのですね。  この問題を解決するには、やはりICチップの中には、見えない制度共通番号があって もいいですけれども、一方で、現実的なものとして、一番使用頻度が高い医療、介護の共 通の何か見える番号というのは券面にないと、極めて不便だろうと思います。  その両者を1対1でリンクさせるのは今の技術でいろいろな方法を工夫をしていただけ れば十分ある程度に安全にできるだろうと思いますので、私はそういうことを提案してい るわけです。  これは中川委員がおっしゃる見える番号は年金も含めて制度共通にしなくてもいいでは ないかということと基本的には私は同じことなのではないかなというふうに思っているの ですけれども。 ○大山座長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  作業班で検討してきた中身にも触れますので、申し上げますけれども、中川委員がおっ しゃられた要するに制度共通の統一的な番号利用、これはこういうICカードを使う以上、 その使う人が誰であるかという識別する記号というのはどうしても必要になります。  それを組み合わせでやるか、1つでやるかという違いだけで、いずれにしても、例えば 最後の基本4情報にしても、様々な問題はあるものの一部の例外を除けば、誰かを特定で きる情報にはなるわけです。コンピューターで扱う以上は、それが番号であろうが、4つ の情報であろうが、名寄せに使われることはまず間違いなく可能なわけです。  そういったそれぞれの検討をどうやって行ったかと言いますと、そもそも識別子として 不適切なものがないかどうかというのをまず検討したわけで、そういう意味では、基本4 情報の場合は、下宿に住んでいる大学生さんの場合で、しかも同姓同名であれば同じにな ってしまう可能性があるとか。各制度の番号の場合は、制度内で矛盾のある付番があった り、制度を変わった場合、保険者を変更した場合に、頻繁にそれが変更されるということ で、利用者に対して非常な不便をおかけすると。  そういう意味で、ここでは、案1、2を仮置きをした。さらにその上で、こう言った識 別子が他の用途に用いられないための工夫ということで、券面にその識別子をなるべく書 かないようにすることを前提として検討するとか、8ページに前回ちょっと私はここの書 き方が少し分かりにくいと申し上げたのですけれども、あまり直っていないので、もう一 度申し上げますけれども、ここは要するに公開鍵暗号とか、難しい技術を使って書いてあ りますけれども、要は、ICカードの中には識別子は存在するのですね。その識別子が他 の用途に用いられない、ないしは例えば自分で自分の年金記録を見るときにあってさえ、 その識別子が外に露出することがない。  つまりのぞいても見えない状態にするということを目的にこの部分はつくられているわ けです。  したがって、今のここに書かれている中で唯一それらしくまとまってきているのは、公 開鍵暗号の仕組みを前提としてというふうに書かれているわけですけど、これは何を意味 するかというと、ICカード内、ないしはICカードと中継データベースの組み合わせに よる識別子を社会保障と言いますか、例えば自分の年金を見る、それから医療で保険確認 をする、そういった以外には使えないようにする。  それから、もう一つは、その場合であっても、よそからは絶対にその中身の識別子が分 からないということを実現するための方策として工夫をしてきたということで、そういう 意味では、現在、ここで検討されている制度以外に用いられるということはまずあり得な い仕組みを一応は提案ができていると思うのですね。  それとは別にカードが使えない場合という6章以降の検討も作業班でかなり綿密にして きたわけですけど、この場合、やはり年金の場合というのは、それほど使えないというこ とが大きな問題になることはないかと思うのですけど、医療、介護の場合は、このカード がないと医療、介護が受けられないというのは絶対あってはならないことでありまして、 その場合は、券面ないしはカードに附属するカードホルダー等に何らかの情報を書かざる を得ない。そういう意味では、先ほど大江委員が言われたように、医療、介護だけに通用 する記号を書く、ないしは今の保険の記号番号、この場合は仕事が変わって保険者が変わ るたびにそれは全部書き直さないといけないという不便さを生じますけれども、そうでも しないと、カードを配布する途中、ないしはカードが全部配布し終わっても、例えば停電 であるとか、何とかの理由でカードが使えないときに、医療ができないというわけではな いのですけれども、その適切な保険診療を円滑に行うことに障害が起こるというふうなこ とがあってはいけないということで、検討しております。  したがって、随分、この8ページは識別と認証を一緒に書いてしまっているので、非常 に分かりにくいのですけども、ここはもう少しきちんと記載することによって、このIC カード内に封入された識別情報というのは他の用途に流用されるとか、名寄せに使われる 可能性は技術的には著しく低くしてある。  ただ、とは言うものの、先ほどの堀部委員の言われた制度的な担保と言うのは、やはり 必要だとは思われますけれども、その制度に依存する割合をできるだけ下げたというふう な案になっているというふうにご承知いただければと思います。  ですから、8ページのところはまるで識別子がないような読み方をされますので、識別 と認証のところは少し整理をつけるべきだと思いますけれども、そういう趣旨で検討して きたということでございます。 ○大山座長  ありがとうございました。  室長のほうから何かございますか。 ○社会保障カード推進室長  先ほど大江先生の、確認と言いますか、19ページのところなのですけども、ご指摘があ ったように、本人識別情報そのものを使うとなかなか問題があるということで、医療制度 なり介護制度の中での番号を活用する、それを表面に書くという意見があったということ を19ページでは記述しておりまして、意見もあるという語尾が不適切だということであれ ば、これは修正したいと思いますけれども、一応、そのご指摘を踏まえて記述しているつ もりではございます。 ○大江委員  こういうふうな書き方にしていただくことは可能でしょうか。この点につきのところな のですけれども、この点につき、医療保険、介護保険における、この導入しというのが恐 らく誤解を招くので、共通番号を券面に表記し、活用できるようにすることが考えられる とか。  そういうことによってリスクを高めずに、利便性を高めることができる。というような 書き方をちょっと後で座長も含めて検討いただきたいと思います。 ○大山座長  はい、どうぞ。 ○社会保障カード推進室長  1点だけ確認なのですが、現在の番号というのは、保険者が変われば変わる番号なわけ ですけども、保険者が変わっても変わらない番号、医療保険制度の中で。そういう番号を 導入するというお話と、そうでなくて、今の医療保険の番号のままという話とまたちょっ と扱いが違ってくるのではないかという気がしていまして、なぜならば仮に医療保険制度 だけに使われる番号だとしても、それが例えば生涯基本的には変わらない番号であるとす ると、やはり年金番号と同じような議論にもなるので、そこはちょっと確認をさせていた だきたいと思います。 ○大江委員  私が、提案しているのは、その医療、介護の制度の中では、原則として不変の番号であ るという新たなそういう共通の番号を1つつくるということです。  ただもちろん、これは住民基本台帳番号もそうかもしれませんけれども、本人が何らか の理由で申し出て、変更したいということがあったときには、その申出は受け入れて変更 するということはもちろん運用としてあってもいいと思いますけれども、原則としては、 変更しない。保険者が変わったくらいでは変更しないという、そういう番号を導入すると。 それを券面に表記するということです。 ○社会保障カード推進室長  だとすると、例えば住民票コードであれば表面には書いてない、見せないようにされて いるということもあり、表面に書くことが、当然、書くことは考えられるわけですけども、 書いていいというところまではなかなか結論づけられない。現時点ではですね。というふ うにちょっと考えているのですが。 ○大山座長  どうぞ、ご意見を。 ○大江委員  もちろん、ですから今結論づけないとおっしゃったわけで、最初から、この今日の議論 はですね。そういう考え方であれば、こういう問題が回避できるということを書いていた だきたいというふうに思っているわけです。  私のスタンスは、医療、介護に関する情報がそれに伴って例えばレセプトにも書かれる とか、将来そういういろいろな用途のことを考えると、何の番号が自分についているのか 分からないもので、どこか何かICの中に書かれているもので、そういう医療、介護にか かわる情報がひもづけられているというほうがよほど印象としては気持ち悪いわけで、自 分でも番号が書ける、書きたいときにはかけるというふうにしたほうが、私はいいと思い ます。  現に、制度は非常に狭いかもしれませんけれども、自動車免許証だと、最近はもうIC カードになってますけれども、ちゃんと運転免許番号はついてますし、免許証を交付され るときには、自分のパスワードを入れると、交付所で書き込まれている番号も自分で見る ことができるわけですね。  それはむしろ重要なこととして自分で見てチェックしてくださいと説明を受ける、そう いうカードもあるわけです。  そういう意味で、私は医療保険、介護に関する番号というのは、保険者が変わったぐら いでは変わらないということは非常に継続的な医療情報の管理という意味では重要なこと である一方で、名寄せを恐れるあまり、その番号さえも見せない。何の番号で自分がひも づけられているかも分からないという方が、私はより不安な状況を引き起こすのではない か。そういうふうに思っています。 ○社会保障カード推進室長  ご指摘はごもっともなのですが、ちょっとだけ誤解のないように1つだけ申し上げてお きたいのは、さっき山本先生も識別子云々、必ずあるというお話がございましたけれども、 本人識別情報というのは、この仕組みの中では、あくまでもリンクさせるためのものであ って、要するに各制度は、この仕組みの中では、それぞれ制度内で、番号というのは現に 存在していて、その番号をもってサービスが受けられるという仕掛けについては基本的に 維持するということなので、その医療保険制度においては、今現在ある医療保険の番号が そのまま医療保険の世界では通用する番号になるということをご理解いただきたいと思い ます。  ただ、こういうリンクの仕組みを使うことによって、現行の医療保険制度の場合ですと、 二重加入とか、そういった問題が生じているところが、解消されることが期待されるんじ ゃないかということが考えられるというふうに思っております。 ○大江委員  私は事務局と議論したいわけではなくて、検討会でこういうことは議論すべきだと思い ますので、ほかの委員がどう考えておられるかということを今日でなくても、今後まだも っと議論する必要があると思います。 ○大山座長  ここで何か意見を求めなくていいですかね。いろいろあると思いますが、いかがでしょ うか。 ○大江委員  いや、それはもう座長の進行にお任せいたします。十分お考えいただく時間が必要かも しれません。 ○大山座長  どうぞ。 ○中川委員  そもそも私途中からこの検討会に加わったので、既に議論したのかもしれませんが、ま ず何のためにこの社会保障カードを導入するかということを考えると、やはり国民が安心 して将来に向けて生活できる、社会保障に安心感を持つという、そのためですよね。  そこで、これは年金記録問題から始まったと思うのですが、これをつくるということは。 そのときに、なぜこのリスクのある3制度を一体化して、かつ名寄せの危険性まであると いうこともご認識いただいている上で、なぜ3制度を一体化するのか。  例えば、年金だけに特化してまず始めてみようじゃないかという考えもあってもいいと 思うのですよ。  先ほど申し上げましたように、社会保障番号というものをつくって、かつ住基カードを 利用して、そのカード自体はもちろん番号がつくわけですけど、それが発展しないのかど うかという保障もないわけですね。  例えば、納税者番号であるとか、最終的には国民背番号だとか。そういうふうに発展し ないのか。そうはならない、もしくは目的外使用をしないとか、そういう制度設計もない ままに、どんどんこれが走ってしまうという恐れがあると言いたいわけです。  そのことも十分に議論しないし、かつ医療、介護で言えば、現場の混乱、例えばスケジ ュール的にはそんなにゆったりしてないと思うのですけども、医療、介護にむりやり急い で、3制度一体化したこういうものをつくって、かつ番号を本人には見えないようなもの をつくって、現場の混乱がどれだけ起きるか計り知れないと私は思っているのです。だか ら私は失敗を恐れてほしいと言っているのです。 ○大山座長  どうぞ。 ○稲垣委員  日本歯科医師会の稲垣でございます。今回の議論の整理について少し意見を述べさせて いただきたいと思います。  この社会保障カードにつきましては、高度に医療がIT化された将来においては多分一 定の必要性があるというような形で認識しております。ただ、現在検討中の社会保障カー ドの基本構想、これについての検討の方法とその課題については、一部異論があります。 ただし、逆に同意をする部分もあるという形です。ただ、この今の構想を基にして今後基 本計画をこれから立案し、その具現化を図っていく際には、やはり一番大事なのは、国民 生活を混乱させないようにすることということで、慎重な対応とこれから述べるような普 及段階を経ることが望ましいのではないかと考えております。  今日の検討会に提示されましたこれまでの議論の整理に社会保障カードの大きな役割と して情報のアクセス基盤、それから情報の連携の基盤という2つの基盤が挙げられており ます。現在、この検討されている社会保障カードに付与されている役割というのは、その 機能とか、それにより受けられるサービスの国民生活における必要性や緊急度、社会全般 のIT基盤整備状況等を総合的に勘案し、社会状況を確認しつつ、これは順次段階的に始 められるべきであると思っております。  それから、また社会へのこのカードの普及に当たっては、国民のこれはライフサイクル、 年齢、選択権、いろいろな手段の中からの提供の中から選択する自由。それから、ITリ テラシー等を考慮し、サービスの利用とカード発行を希望する者から段階的に行っていく というべきであると思います。  つまり既存制度において実行されている資格確認や種々のサービス利用へのカードの導 入に当たっては、一定期間、既存制度との共存を図り、新制度実現化による既存制度受容 者の利便性の低下やサービス内容の低下というものを極力避ける必要があると思います。  したがって、カードの使用と運用方法等を考える場合は、その利活用における自由性、 それから順次機能追加の可能性、広範な拡張性とをフレキシブルに対応できるシステムを 考慮すべきであると思っております。  そして、当面の目標としては、喫緊の課題であります、これは年金問題を対象とした年 金閲覧の新サービスというものを順次社会保障カードの導入を図り、IT基盤の進捗に応 じて、様々な閲覧機能というものをその有用性を検証しつつ、情報アクセスの基盤として 社会保障カードの普及を図っていくべきであると思っております。  もう一つの基盤として、情報連携の基盤ですが、その役割については、現在、対象とす る制度において、非常に未確定の要素のある検討事項も多いということで、現行の保険証、 または保険カードにQRコードを付与したという自動転記、あるいは資格確認というそう いうシステムは別として、それ以外は現段階においては必ずしも必要不可欠なものではな いと考えております。  これらの制度への社会保障カードの導入を急ぐよりも、これらの制度内に存在する様々 な社会資本間のIT化による情報連携のシステム化、これは極めて未整備でありますが、 それを構築し、その成熟化をまず図ることが先決問題であると思っております。  その後、一定の環境整備が整った段階で、今検討、構想となっております社会保障カー ドの導入が図られるものと想像しております。  今後、この社会保障カードの実現に際しては、適宜国民に対して十分に説明がされる必 要があると思っています。  今回検討されていますようなメリット、デメリットを分かりやすく国民に具体的に示し、 カードの使用、運用方法、付与すべき機能、様々な民間開発機関における活用等について 十分に時間をかけ、国民的コンセンサスを得る必要があると思います。  この際には、やはり高齢者や低所得者といったIT弱者への配慮が十分に必要だと思っ ています。  1つだけ質問なのですが、私は一番大事なのは、全く具体的に構想もないところで国民 に対して、これについての意見というのは、確かに聞くことができないと思います。  ある程度、漠然とした構想なり何かのときに、やはりきちんとこれは国民にこのことを 問う必要がありまして、今回の段階でやはり国民に対して、先ほどホームページというこ とがあったのですが、ホームページはITに対して、ある程度の一定の理解の人しかでき ませんので、より広く一般に、先ほど言いましたように、ITの弱者であります高齢者や 低所得者といった者も含めて、一度ここで国民の社会保障カードに関する考え方というも のをとってこれから先へ進めるというのが必要だと思うのですが、その辺について少しお 聞かせいただきたいと思います。以上でございます。 ○大山座長  ありがとうございました。  納得できるお話をいろいろいただきまして、ありがとうございます。  ただ、1点だけ確認させてください。今のお話の中で、確かに3つの機能というのは将 来的にあり、それがさらに雇用保険まで含めたような、社会保障全般に展開される可能性 も持っているということが想定されると思います。この順次導入について考えると、例え ば、最初に発行されたカードは例えば年金カードで、それにその後例えば、年金・介護が 載って、結果として社会保障カードになるのを順次導入と言っているのでしょうか。  それとも、名前としては、最初から社会保障カードだけど、載っているサービスはまだ 1つです。準備ができたら2個目が載ります。さらに3つ目が載りますという言い方をす るのを意味しているのでしょうか。どちらにしても、社会保障カードの発行には時間がか かるので、順次導入になると思います。特に、本人確認の手間等を考えると、短時間で行 うのは極めて困難であると思います。  最初から社会保障カードとして導入しますという言い方をすることに関して、ちょっと 混乱したので、教えていただけますか。 ○稲垣委員  それはやはりICカードの利点だと思うのですね。そういう意味では、非常にその辺で 幅広いあれがあるということで、その辺の拡張性というものをやはり今この場所で検討し て、一度配ったものは、基盤としてそれを利用して、それを将来的に多角的に拡張しなが ら、それを使っていくと、その中で、今検討されていますどのようにして識別をするのか しないのか。券面の情報はどうするのか。券面の情報の中で、変わらないものを付与すれ ば、確かにそれは極端に言えば、一生で1枚でいいのかもしれませんけど、逆に言えば、 変わる情報というのは、非常に必要な情報でもある。  さっきの、ちょっとすみません、戻っちゃいますと、券面に記載する情報というのも医 療機関においては、一番やはり大事なことは、資格の確認でもあるかもしれませんけれど も、一番大事なのは、そのカードの持ち主を明確に限定しなければいけない。カードが何 枚も受付で並んでいるとき、違うカードを持っていってしまったら、とんでもないことに なってしまいます。  あるいは、非常に立て込んでいるとき、あるいはそのカードが将来的に、治療サイドで 何かの識別のために使われるとも限りません。そのときには、やはり氏名等の確認という のをきちんとやらなければいけない。そういう利用のシーンも考えなければいけないとい うことで、そのカードというものをより広く、広範に、多機能に使うためにやはりきちん とした論議を今の段階でしておく必要があると思っています。以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。  ほかにはいかがですか。  どうぞ。 ○池上委員  先ほど来出ている、今回のこの資料の位置付けの問題で、私自身は、第9章に追記され たところを見て、まさに作業班における検討の経過記録的な書類という受け止めだったも のですから、2回ほど前に例のICカードが使用できない場合の対応で、別紙の配布なん ていうのも相変わらず載っているわけですけれども、少なくとも今より不便になるような 案というのは私はあり得ないなという思いがあるのですけど、作業班でそういうことが検 討されたという事実はありますので、それを否定するつもりもないので、読んだ上で、記 録としてはこうかなと思います。  ただ、さっき先生の方から具体的なマスコミ報道の1つの事実がありましたけど、事務 局なり我々のこの委員会の思いと読まれる方の思いが多分にズレるケースがあるというこ とで、幸か不幸かやはり国民の方々が目にする資料というのは、この資料よりも圧倒的に 新聞記事のほうが多いという現実を考えると、よくよくこの紙を出すときの注意が必要な のかなと、そういう思いで見まして、1つの案といったらあれですけど、今回つくられた 第9章「おわりに」、というやつなのですけど、まさにこれは「おわりに」ではなくて、 「はじめに」ではないかなという気がするのですね。  第9章「おわりに」というのを「はじめに」と変えたときに、多少書きぶりは変わるの かもしれないのですけれども、これだけの議論があったら、1つの案ですけれども、第1 章に持っていくのか、それとももっと言えば、表紙に持っていくのか。この資料はこうい う資料なのですという、今日議論になったような危険性みたいなものをきちんと全部書い て、私自身もこの委員会には途中から寄せていただいたメンバーなのであれですけれども、 過去の資料なんかも一応目を通させていただいて、率直に言って決まっていることという のは、当面医療、介護、年金の3つをターゲットに1つの便利なカードをつくっていこう かなというところが決まっているぐらいで、それこそ発行主体も仮置きであるし、どこが お金を負担するのかも仮置きであるし、まだ全部これからの検討課題ということです。  先ほどの券面に書くのか書かないのという話もありますし、前回私も年金と医療、介護 って、どうもカードの使われ方に大分差があるので、常に3つセットで考えて本当によろ しいのでしょうかと申し上げたはずなのですけども、そんなことを含めるとまだまだこの 委員会で決めていかなきゃいけないことがいっぱいある。  それがやっぱり決まったかのごとき報道をされるというのはやはりこの資料の出し方の 責任という面もあると思いますので、今回の資料、こういう位置付けの資料なのだという のを明確に1枚目に書いていただいたらいいのかなというふうに思います。 ○大山座長  ありがとうございました。  今のご意見は、十分に踏まえさせていただきたいと思います。  中川委員が、先ほどお話しになられたことに関係しますが、3つのアプリケーションが 載れる可能性を追いかけているということで、最終的には、載せない方が良いという結論 もあると思います。  だからこそ、前回のまとめから今回のものまで、制度間での話、制度内での話を分けて 書いていると思います。  その意味では、作業班の方でも制度間における連携の仕方がどういう価値を持つのかを 含めて、これまで検討いただいているところであると思います。このところは、今、池上 委員が言われたことと中川委員が最初に指摘いただいたことは、矛盾しているわけではな く、合っていると思います。  このことも含めて、何かまた皆様方からあればご意見いただきたいと思います。 ○山本委員  細かいことなのですけれども、作業班で検討したことの中で、別紙をつけることが現状 より不便であるというふうに池上委員の方から言われたのですけれども、作業班では必ず しもそうは考えてなくて、例えば、預金通帳に銀行カードが加わったときに、決してみん な不便になったとは思わなくて、保管するものが2つ増えたのですけれども、それが銀行 カードとして機能するチャンスが増えれば増えるほど、2つあることに違和感もなく、便 利になったと思われるでしょうし、逆に通帳の方が要らなくていいというふうなことに移 行していくというのは、それほど私は不自然だと考えていません。  したがって、ホルダーにいろいろな情報を書いたカードが存在するというのは、少なく ともこういったカードが自然に普及するという過程の中では、発行する方の手間は確かに 増えると思うのですけれども、それを除けば、かなりアクセプタブルな意見で、という意 味で、作業班では書いております。したがって、確かに発行の手間は今までよりも少し増 えるとは思いますけれども、利用者がそれほど不便になるとは私は思っていないというこ とです。 ○池上委員  あまりその件で深くここで議論するつもりはないのですけど、私はやはり単純に、今1 枚のものがなぜか2枚になるという、それも常に、別紙の方は、よほどの事態でないと使 わないのだけど、結果的にいつも持って来なさいというトーンでしか読めていないので、 それはやはり国民、使う側からしたら、絶対不便かなと。  先ほどのカードと通帳とはちょっと違うのかなと思うのですね。2つは持っているのだ けれども、カードだけを持って使いに行くというケースの話とほとんど使わないのだけど、 常に2つセットで持ってきなさいという、その違いというのは私はかなり使う側としては 非常に大きいのかなというふうに思っております。  それとその話が出たので、ちょっとついでみたいになりますけれども、今後また作業班 で、ちょっとご検討いただいた方がいいのかなと思っているのは、保険証の絡みなのです けども、保険証の使われ方というのは、現実には大体初診のときと月初めなのですよね。 ほとんどの医療、私が言う話じゃないのかもしれませんが、ほとんどの医療機関というの は診察券というのを出してやっていて、そうすると資格確認という感じになったときには、 行く都度このカードを出しなさいという運用に変わっていくと、別紙とこの社会保障カー ドと場合によっては診察券と3つを持っていくみたいな話につながっていきやしないかな というちょっと思いがありまして、そうすると多分医療機関さんの診察券がだんだん消え ていく流れになる。  今は、要するに月に1回行ってもらって、普段は診察券。常に、このカードを持って来 なさいということになると、今度、患者の立場からするとこの診察券の意義は何みたいな 話になっていくと、それが消えていく可能性があると思うのですよね。そうしたときに、 医療機関のシステムとか何かで対応が可能なのか、どうなのかみたいなことって結構大き な問題なのかなと思って、ここで議論する話じゃないのですけど、作業班の1つのテーマ になり得るのかなというふうに思っています。 ○山本委員  検討していないわけではないですね。その大きなポイントがこの識別子を誰が利用でき るのかということで、現状は中川委員が言われたような危惧がありますので、この識別子 は医療機関は利用できないという前提でやっています。そうすると、このカードを診察券 に使うことはできないということになります。  だから、それ以外に例えば大江委員が提案されたような医療、介護で統一の番号が別に あって、これは医療、介護でしか使わないということであれば、それを医療機関が利用で きるのであれば、当然患者さんを一意に識別することが可能で、そのことがこの社会保障 カード導入の医療面での非常に大きなメリットだと私は思うのですね。  それが、可能であれば、診察券は要らなくなるだろうというふうには考えておりますけ れども。  そこは、その立て付けの問題が、まだ仮定と言いますか、結論が出ておりません。が、 しかし、医療において、保険者が変わったから患者が分からなくなるという状況はあまり にも不幸な状況だと思いますので、社会保障カード導入を検討する中で、その不便さは解 消すべきだと個人的には考えております。 ○大山座長  ありがとうございました。  大江委員、どうぞ。 ○大江委員  先ほど池上委員からご提案のあった、「おわりに」というところに書いてある、この書 類の位置付け、それはやはり私も前の方に持ってくることによって、読み出すときに、こ の書類をどういう位置付けで読むのかということが分かりやすくなるので、そうしていた だく方がよいと思います。  それから、もう一つは、まだ十分議論はできていませんが、この券面に何を書くかとい うことは、それなりにこれまでのこの何回かの中で、何度も出てきたことですから、例え ば第3章の中に、1つ項を起こして、例えば、第3章は、1が、本人識別情報ですね。こ れはチップの中に書かれること。2が、ICカードの活用、この中にちょっと券面が出て くるのですけれども、ここに3を1つ起こしていただいて、カードの券面表記についてと いうことで、券面にかかわることがあっちこっちに分散して少しずつ書いてあるのですけ れども、そこに1つまとめていただくということがいいのではないか。そうすることによ ってまだ今後もその作業班でも券面についてどうするのかということをもう少し並行して 議論いただきやすくなるのではないかと思います。 ○大山座長  時間的には、予定まであと10分ぐらいですが、ほかにご意見をまだお出しいただいてな い方で、この場でというのがあれば受けたいと思いますがいかがでしょうか。  どうぞ。 ○後藤委員  先ほど来、各委員の皆様からご議論のあった、議論の整理の位置付けについて、これは 先ほど池上委員がおっしゃったように、私もこの第9章のところ、「おわりに」と書いて あるところの中で、触れられているこの位置付けについては、まず最初に持ってきていた だければと、皆様のご議論を伺いながら感じております。  それから、その上での話なのですが、これも池上委員がおっしゃりましたように、幾つ かの条件を固定しないと具体的なイメージができない。具体的なイメージができないので、 きちんとした議論がしにくいということがあったというふうに理解しております。  別の言い方をしますと、この検討会でこういうふうに決まったとか、これを前提とする ということではないのだという理解の上で、この整理の位置付けを理解したいと思ってお ります。  それから、もう1点だけ。  堀部委員が退席されたので、実は堀部先生にお伺いをしたかったことではあるのですが、 個人情報の保護という観点からしっかりとした仕組みをつくるということは、大変大事で ございますけれども、これまで国、あるいは地方自治体が考えている個人情報保護の仕組 みというのは、ある時点でどこかに情報がきちんと管理をするところがあって、その管理 がきちんと適切にされるかどうかということを前提とした仕組みだと理解しているのです が、これが今回のような、仮にこのような仕組みが実現をしたときに、例えば医療機関で その当該患者さんの情報を見ているときに、その経路の途中で情報が漏れたときには一体 どこにどういう責任が及ぶのかということも含めて、この辺りはネットワーク時代は特に この個人情報保護の仕組みなり、責任の分解点と言いましょうか、こういうところの位置 付けが難しい問題があるのかなと思ったりしておりまして、この辺りも含めて広く議論、 あるいは広く意見をいただくことも必要なのかなと思っております。  全体として、これを公表することで、またさらに多くの方面の関係者から意見、提案が いただけると思っておりますので、そういう意味で、これで前提にして進めていただけれ ばと思っております。以上でございます。 ○大山座長  ありがとうございました。  ほかの委員の先生方、いかがですか。  どうぞ、辻本委員。 ○辻本委員  何度も何度も国民の心の準備のために、こういう作業が始まっている、検討が始まって いるということを報告してほしいと申し上げていた1人として、中間報告の出し方の難し さということを今議論をお聞きしながら改めて胸が痛むような思いもしております。しか し、やはり必要なことだと確証もしております。  先ほどの池上委員のご提案、私もこちらの5枚には頭に出ているものですから、どこに あるのだろうと思いながら、あっ、一番最後だったのだと気づきました。やはりそういう 意味では、「はじめに」というところにこの部分を明確に出していただくことと、これを 出すことに当たって、座長の役割なのか室長の役割になるのか分かりませんけれど、記者 会見をしていただき、記者の方に、間違った情報を決して報道しないということを十分過 ぎるぐらいのご説明を尽くしていただきたいと思います。  それから、もう1点、これが中間報告をすることで上がってくるのか。あるいはこの委 員会ということでお願いで挙げていただくことがいいのか。  例えば、今も幾つか出ていますけれども、私たち国民は利用する側ですけれど、それを システムとして導入しなければならない病院とかクリニックとか、あるいは年金を管理す る部署や自治体ですよね。そういったところがどういう懸念を持つのか。いや、できない よという意見になっていくのか。  そういった現場の具体的なそれぞれの立場から見たプラスとマイナス、そういったこと もむしろ作業としてこの段階で出していただくことでさらに議論、検討ということを進め ていただけたら、私たち国民にとっても分かりやすい内容になるのではないかと改めて思 いました。 ○大山座長  ありがとうございました。  ほかはよろしいですか。  まだ、この先のご意見もおありと思いますが、なにしろこの話は、皆様からご指摘いた だいているとおり、非常に大事な、世の中に対する影響も大きい課題であると認識してい ます。  その意味で、確実に1つ1つ、議論を積み重ねて、着実に進めたいと思います。私とし ては、拙速に云々するつもりはないということを、まず明確に申し上げたいと思います。  今日いろいろいただいたご意見、非常に参考になる大切なことを言っていただいたので、 例えばですが、今日いただいた内容に追加するものについては、文章で意見をお出しいた だきたいと思います。  1つ1つ確実にやるには、勘違いがあるといけないので、やはり文章でいただきたいと 思います。  今日の議論は、全部録音されているので、聞き直すことはできますが、それでもひょっ とすると解釈で分からなくなることがあるかと思いますので、そのときには改めて皆様方 にご発言いただいた方に、確認をさせていただくことがあると思いますので、そのときは よろしくお願いしたいと思います。  ご意見を頂いた後に、事務局と私のほうで案を修正させていただきます。それを皆様方 にお渡して、ご覧いただき、意見をもう一回もらうというような形で進めるのはいかがで しょうか。  辻本委員が言われたとおり、説明の仕方や出すタイミング等、いろいろ考えるべきこと はありますが、やはり出すべき時期であると考えます。記者レクについては、私の一存で 決められるわけではないので、今日いただいたご意見を十分に考慮させていただき、事務 局と相談したいと思います。  今申し上げたとおり、まず紙で追加の意見をいただき、修正作業を事務局と一緒にした 後に皆様に配布させていただきたいと思います。その後、修正版に対するご意見をいただ きたいと思います。あくまでも議論の整理ですので、結論を得ているものではないという ことを明確にするために「おわりに」を前に出すという提案もいただいているので、体裁 を整えたものをもう一回ご覧いただく必要があると思います。  以上のような進め方をさせていただきたいと思います。まずは粗々の進め方について、 ご意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。  ご了解いただけるようであれば、次に追加のご意見の期限をきめたいと思います。事務 局側から、後ろの制限に関して、何か差し迫ったものがありますか。 ○社会保障カード推進室長  あくまで中間的な整理ですので。 ○大山座長  であれば、いかがでしょうか。1週間ぐらいではいかがでしょうか。ご了解いただけま すか。  それでは、1週間後、来週の金曜日までに追加の意見を事務局側にお出しください。そ れを見せていただき、事務局と一緒に、この今の案を「おわりに」を前に出すことも含め て、体裁を整えた案をつくらせていただきます。  目標としては、9月20日ぐらいまでに、皆様方に修正版をお戻ししたいと思います。  このことに関して、何かご意見等ございますか。ご了承いただけますか。  ありがとうございます。  予定の時刻になりますので、終了したいと思いますが、最後に何か皆様方のほうからご 発言等ございますか。  事務局はいかがですか。  よろしいですか。  ありがとうございました。  今日は、非常に有益なご意見をいただきまして、ありがとうございました。  今日のような議論になるのも、やはりこの紙が出てくることで、起こったのではないか と考えます。感謝申し上げます。  それでは、これで第10回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会を終了させて いただきます。  本日は、お忙しい中、ありがとうございました。  閉会いたします。 【照会先】   厚生労働省    政策統括官付社会保障担当参事官室    社会保障カード推進室      電話番号 03−5253−1111(内線2244)