08/08/27 「「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会」第7回会議議事録 「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会 第7回会議    日時 平成20年8月27日(水)       17:30〜    場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○高久座長   ただいまから、第7回「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会を開催させていた  だきます。本日はご多忙のところご参集いただきましてありがとうございました。また、遠方から  お集まりいただきましてありがとうございました。事務局から委員の出欠状況と、本日お越しいた  だいている先生方のご紹介をよろしくお願いします。 ○ 間企画官  本日は、委員の皆様全員にご出席いただいております。ありがとうございます。また、本日は参考  人として、井上教授、葛西教授、山田教授にお越しをいただいております。  お手元に配付しております資料は、次第にあるとおりございます。時間の関係上説明を省かせてい  ただきたいと思いますが、事務局から参考資料として、第4回におきまして小川委員からご要望が  ありました資料を提出させていただいています。事務局からは以上です。 ○高久座長  それでは、議事を進めます。最初に大臣のほうからお言葉をいただく予定でしたが、少し遅れてい  らっしゃるということですので、お見えになりましたら、一言ご挨拶をいただきたいと思います。  本日、多くの委員の方々から資料を提出いただいております。時間の関係もありますので、恐縮で  すが、5分ぐらいで説明をよろしくお願いたします。最初に、海野委員からよろしくお願いいたし  ます。 ○ 海野委員  この資料の中で、「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会の提言がございます。  こちらをご覧いただければと思います。今日は「中間取りまとめ」が出るタイミングでということ  ですが、いままで検討会に参加して議論を続けてまいりましたその内容、あるいは議論の中で私ど  もが考えている、コンセンサスが得られている部分を中心に、今回提言をまとめさせていただきま  した。いままでの議論の内容が非常に複雑で、専門的な部分が相当多いと思います。それから時間  が限られている部分もありまして、いきなり数字が出てきたりというような形で、なかなか理解を  促進するのが難しいような議論が続いていたこともありまして、第3回のときに論点整理案、第5回  以降は報告書骨子案という形で、私が勝手にまとめさせていただいた文書を出させていただいてお  ります。その後の検討会の中で、検討の材料としてご活用いただきまして、そういうことを含めて、  いままでの検討会での議論の内容を参加している委員の中で、これは提言としてまとめられるので  はないかという部分をまとめさせていただいたものが、本日の文書です。  今回、「中間取りまとめ」ということで、大臣からもこの検討会はまだ続けていただけるというこ  とですので、今後、この提言をまた検討の材料に加えていただいて、さらにより充実した検討を行  っていければと考えています。内容は非常に細かいものになっていますので、読んでいただければ、  いままでの議論を反映しているということをご理解いただけると思います。  舛添大臣が第5回のときに、医師養成の定員を増やした場合に、どういう形で診療従事医師数が変  動するか、具体的な数字がほしいというお話がありましたので、この提言の6、7、8頁に、こうい  った場合の将来の推計をもう少しわかりやすい図を作らせていただいておりますので、ご参照して  いただければと思います。提言については以上です。 ○高久座長  舛添大臣が来られましたので、恐縮ですが、一言お願いいたします。 ○厚生労働大臣  皆様方、先週末も大変お忙しい中お集まりいただき、精力的なご議論をいただきましてありがとう  ございました。今日は、中間的な取りまとめということで、皆様方のコンセンサスを得た形での1  つの取りまとめが高久座長のほうから出されると聞いております。今後とも日本の医療体制をどう  再構築するかという課題は続いていきますので、必要に応じてお集まりいただき、またいろいろと  検討していただければと思いますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。ありがとうござ  いました。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは、カメラのほうは一旦退室していただきます。  引き続きまして、大熊委員のほうからご説明をお願いします。 ○ 大熊委員  土日に国立がんセンターの会議室で熱心な議論が展開されましたが、そのときに1つのハプニング  がありました。土曜日の夜は懇親会があって、参加の先生方が交流したのですが、そこに参加をし  ていた中で、私だけが抜かされているという形で、いま海野委員がご説明になった提言の原案が日  曜の朝、出てきました。  「国民の目線から」という私のペーパーに書いてありますように、これまでの医療の論議といいま  すと、医療費をいかに安くするか、いかに開業医と病院が分け合うかというようなことに終始して  おりました。そこで、「料理の味や安全性にまるで関心を示さず、誰が支払うかとか、どれだけ値  切るかを言い争っている人がいたら、そのはしたなさに、みんなあきれることでしょう」という表  現をいたしました。それがこれまでの論議でして、医療の質とか、そこで働いている大切な宝とも  言うべき方たちのことが論議されてこなかったと書きました。  今回、そういう人々に焦点を当てたというところは大変よい審議だと思うのです。  もう1つ、日本の医療に欠けておりましたのは、患者さんと医療関係者がお互いにパートナーシッ  プ、上下関係ではない、パターナリズムではなくて、お互いに真実を共有しあってという文化です。  私はこの検討会では、医療関係者も、そうでない私も一緒のテーブルで一緒に考えるということが  行われていると思っていました。ところが、その前の晩、私もおりましたのに私だけが抜けている、  委員でないお医者さんは加わっている骨子案が出てまいりましたので、これはこの日本の医療を覆  っている閉鎖性がここに象調的に現われたなと感じた次第です。  私が言うだけでは説得力がないので、今日ここに見えているメディアの方たちの感想をご紹介しま  す。名刺を交換したりしていますので、いろんなメールをくださいます。それを読んでみます。  「医師が、皆さんの現状を何とかしなくてはと一生懸命なのはよくわかります。でも、行き過ぎな  のではないかと、議論を聞けば聞くほどそう思います。自分たちに都合のよい部分に予算をいかに  付けてもらうか。これほど欲望がむき出しになった検討会はめったにないのではないでしょうか。  もう1つ思うことは、医療界のことは医師が考えないと、という意識が強くなり過ぎているように  思います。自浄作用が働くのであればと思いますが、いまの検討会の流れは国民の排除の色合いが  濃いように感じられてなりません」「個々の論点について頷ける点が多くありますけれども、全体  的に医師の方たちの大陳情大会というような感じがして、そのことを記者クラブなどでも話をして  おります」というようなメールをいただきました。  そこで、私はそれを補う意味で、「国民の目線から」という短い紙を出させていただいたという次  第です。骨子案に何が欠けているかというと、「患者の安心と希望の医療確保」ではなくて、「医  療関係者の安心と希望とキャリアアップ」というように進みかねないと思いました。患者や国民が  何を望んでいるかといいますと、ここに6つほど挙げましたけれども、1番目は、助産婦さんと医師  が連携して、安心して子どもを産める体制と医療保険でのバックアップ。とりあえず大臣が緊急に  予算を組んでくださったのは結構なことだと思うのですが、いずれはそれを健康保険の中に入れる  ということも視野に入れたほうが、少子化問題、出産にまつわる医療費の不払いであるとか、不妊  治療で財産がなくなってしまうとか、そういうようなことも防げるのではないかと思います。それ  から、不妊治療のほうに産婦人科医がどんどん行ってしまうということも防げるのではないかと思  います。  2番目は、安心して子どもを育てられる小児科医療の確保。3番目は、頼りになる救急医療システム  の構築。4番目は、安心し、信頼して闘病できる医療の質の確立。5番目は、福祉と医療の安定した  連携による在宅ケアシステムの確立。川越先生が実践していらっしゃることですが、第1回目のと  きから申し上げていますように、医政局長さんの範囲では解決できない、老健局長さんや社会局長  さんの職掌範囲の方たちも含め、在宅ケアシステムを確立すること。6番目は、医療事故の再発防  止・真相究明体制の確立。今日大臣が事故調について、非常に前向きなことを医療被害者の方々に  おっしゃったのは、被害者の皆さんは非常に心強く思われたことだと思います。  しばしば誤解されていますのは、「モンスター患者」が確かに増えているらしいです。「モンスタ  ーペアレント」も増えていますし、「モンスターお客」も増えていて、どこにもモンスターはいる  わけですけれども、「モンスター患者」は、めったに裁判を起こさないということです。医療訴訟  をした方たちは、非常に辛いときのことを思い出さなければいけないわけですから、そういう辛さ  に耐えている遺族たちは何のために訴訟をしているかというと、お医者さんや看護師さんをいじめ  ようということでは全くなく、「真実を知りたい」、「自身の経験を次の悲劇をなくすために生か  さなくては」という思いにつき動かされているということです。  いま傍聴席に永井裕之さんがおられますけれども、広尾病院事件で看護師である奥様が消毒薬を点  滴されて、お亡くなりになりました。にもかかわらず、実際に手を下した看護師さんについて、「  どうか不利益なことにしないでください」と、永井さんは都庁に願い出たりしておられます。個々  の人を恨むというのではなくて、システムとしてそういうことが起こらないようにと願っているの  が医療被害者の方たちです。  今日は大野病院事件で娘さんをなくされた、お父様の渡辺さんも傍聴席にいらっしゃいます。「あ  の大野病院事件のせいで医療が崩壊した」としばしば言われますけれども、私の目から見ますと、  医療が崩壊していた。そして1人医長、報道によりますと、本当は小児科医が行くからペアだとい  うことで安心して、医局が派遣したら、それは県が嘘をついたということで、お医者さんも被害者  かもしれません。ただ、何度も何度も大きな病院に移したらという助産婦さんの助言も聞かなかっ  たという意味では、悲劇を防ぐことができたのではないかと思います。  たびたびお医者さんが「信頼」という言葉を使いますけれども、そのときは俺を信頼しろという感  じで、俺はあなたのことをちゃんと面倒みているのだから信頼しろというニュアンスです。けれど  も、そのためには、本当のことを話すという文化が医療者と患者の間に共有されているという基盤  がないと、信頼は起きませんし、同様に国と国民の関係でも同じだと思います。医療者と患者がパ  ートナーになるという文化の上に、この新しい報告書が作られていくことを願っています。 ○高久座長  それでは、次に岡井委員のほうからお願いいたします。 ○岡井委員  「安心と希望のビジョン」ということですから、医療安全の問題と医療事故の防止の問題等々は、  たぶん重要な課題だと思って、これまで医師不足の問題、コメディカルなどが出てきて、そろそろ  この話かと思って披露したのです。今日はこれは別に中心にならなくても、またいつかそういう議  論があったときにということで一応出しました。 ○高久座長  それでは、次に嘉山委員のほうからお願いします。 ○ 嘉山委員  大臣から前にどのぐらい大学で医師を増員できるのかということで、各大学間のアンケート結果で  すので、新木さんが全部ご存じだと思いますが、推定をしてみました。とりあえず来年で、再来年  はまだ別の問題ですが、21年度になりますと、歯学のほうは小川理事長のほうから320人というこ  とで、緊急医師対策で10大学が10人プラス5人で、これが150人になります。あと国公立で今回閣議  決定で外れたあとに要望したものには50大学で大体5人ずつで、250人プラスして720人です。  720人のままでいきますと、次の頁にありますが、大臣がご指摘されて需給と医師の人数は、長谷  川先生のデータを使いましたが、これは変わる可能性もあります。これはもっと悪くなる可能性が  ある、よくなる可能性はないのですが、これで見ますと、720人で毎年いくと、7年目からちょっと  増えますが、30年かかってやっとOECDの平均値になるという悲惨な状況です。この中で強調したい  のは、年齢の高いお医者さんも含めてですので、前回の土曜、日曜で会ったような若い医者はいま  せん。720人でいくと、なかなか大変だと。ですから大臣が適宜措置するとおっしゃったので、再  来年からの医師の人数、定員増を決めないといけません。これは、大臣からのご要望ですので、こ  のようなスケジュールです。以上です。 ○高久座長  ありがとうございました。次に、土屋委員からお願いします。 ○土屋委員  1枚紙の資料を追加させていただきました。カラーになっている下です。これは全米の医科大学協  会が2006年の6月の一般教書で、これは2015年までにアメリカの医学部の入学定員を30%増加させ  るということが謳われております。また、したがって、いま嘉山委員が言われたとおりの赤い線は、  8年後にアメリカに追い付きそうですけれども、実はその点では、アメリカはもっと上を行ってい  るということで、それを示しました。以上です。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。実は私も資料4を出していまして、前にご紹介しましたが、平成  16年に出した女医会の調査ですが、少し古くなりましたけれども、あとでご覧になっていただけれ  ばと思います。ご参考のために出させていただきました。  以上の各委員の方々からご提出していただいた資料について簡単にご説明いただきました。お手元  にあると思いますけれども、平成20年8月27日付「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関す  る検討会の中間取りまとめ(案)というのを出させていただきました。それは、いままでの委員あ  るいは参考人としてご意見いただいた方からの意見を聞いて、一応まとめさせていただいたもので  あります。  1.「医師養成数」に関しましては、ここにありますように、来年度においては医学教育・地域医療  に支障を来さない範囲で、少なくとも過去最大の医学部定員(8,360人)程度を目指すべきである。  次に、OECDの人口10万対の平均指数が我が国の約1.5倍であることも考慮し、医学部教育・地域医  療に支障を来さないよう配慮しつつ、将来的には50%程度医師養成数を増加させることを目指すべ  きである。その後医師の需要をみながら適切に養成数を調整する必要がある、ということを書いて  います。  次に2.「医師の偏在と教育」に関しましても、現下の医師の不足の問題は、診療科の偏在と地域の  偏在の「2つの偏在」によって深刻さを増している。国民が地域において確実に必要な医療が受け  られるようにするためには、医師の数を増やすだけではなく、こうした偏在の問題に的確に取り組  む必要があるということです。特に病院に勤務する医師が減少傾向にある診療科や救急医療におい  ては、時間内でも時間外でも厳しい勤務を求められることが多いことを踏まえて、その働きを評価  し、医師が魅力あると思うようなインセンティブを付与することが重要である。特に外科をはじめ、  医師の技術を適切に評価するため、ドクターフィーについても検討する必要があるのではないかと、  こういう意見も出たと思います。  「地域の偏在」につきましても、へき地などに派遣された医師を様々な面でサポートする体制の整  備が必要である。また、専門医としての総合医・家庭医の養成とともに、他の専門医が総合医・家  庭医となって地域医療を担うようなキャリアパスあるいは再教育のプログラムも必要だという意見  も出たと思います。  通常の勤務に加えて、当直やオンコール対応など、厳しい状況におかれた勤務医の勤務条件を改善  すべきであるということ。あるいは医師の偏在の問題と医療の質を高めていくために、初期臨床研  修制度や専門医トレーニング(後期研修制度)のあり方も見直すべきである。このことに関しては  あとで報告書に出てまいりますけれども、臨床研修のあり方について、特に医師の卒前・卒後教育  の連携のあり方について、文部科学省と厚生労働省との合同の検討会を早急に立ち上げる。これは  大臣からもお話があったとおりであります。  次に3頁には、3.「コメディカル等の専門性の発揮とチーム医療」ということで、これは山田先生  からもお話がありましたけれども、チーム医療を構成するということが、コメディカルの人との協  働のスキルミックスのときに非常に必要であるということをここに書かれていると思います。同時  にコメディカルの数を増加させることについても、具体的に検討することが必要であるということ  です。コメディカルの方が専門性を持ち、キャリアアップができる仕組みが必要であるということ  もご議論されたと思います。  また和田委員のほうからも、医療における院内メディエーターの活用も今後の検討課題としてすべ  きであるということも述べられてあります。当然、外国のことなどを参考にしながら、あるいは、  管理者の姿勢も重要であるということも書かれております。4.「地域医療・救急医療体制支援」に  つきましても参考人の先生方にもいろいろご意見をいただきましたし、地域医療の担い手として、  専門医としての総合医・家庭医のあり方等について今後検討する必要があると。いろいろなところ  で検討されていますけれども、重要な課題であると思います。  在宅医療や看取りまで行う在宅医療・在宅期の専門性を評価すべきであると。在宅医療につきまし  ては川越委員からいろいろご意見をいただきました。その中で特に医師の標準的訪問看護について  は、医師の標準的指示書や個別的約束指示のもとで看護師の裁量性を認めるということ。これもス  キルミックスの1つだと思います。そういうご提案をいただきました。  将来の問題については重要な問題がありますけれども、地域全体の病院医師や診療所医師の連携を  円滑に進める。診療所医師が病院での診療に携わることを進めるためには、病院における医療に対  する診療報酬をホスピタルフィーとドクターフィーに区別することを検討する必要がある。これも  重要な課題だと思います。「地域医療連携」ということで、地域全体の病院医師や診療所医師の連  携を円滑に進めるということも重要であると、皆さんご存じのとおりであります。  「救急医療」のことが4頁目にありますけれども、もっとも重症の者を第三次救急の体制を堅固な  ものとすると同時に、軽症者も含め多くを受け入れている第二次救急を支える体制を構築する必要  があると。救急についても、いろいろご意見がありました。最後に、消防防災ヘリコプターなどの  ことも書いています。  一番最後の5.「患者・住民の参画」ということで、「子どもを守ろう、お医者さんを守ろう」「コ  ンビニ受診を控えよう」といった地域住民への呼びかけや、「病院に行く、その前に」というフロ  ーチャートを作成・配付するなどの取組みが行われていると、丹生委員のご意見がありました。各  地のこうした取組みを支援し、住民とともに地域医療を守ることが重要である。患者・住民にかか  わることを決める場合には患者・住民とともに議論し、考えるという視点が重要であるということ  を書かさせていただきました。非常にざっくでありますけれども、「中間取りまとめ(案)」を出  させていただきましたので、これにつきまして、皆様方にご議論をいただきたいと思いますので、  よろしくお願いします。 ○ 岡井委員  内容に関しては問題ないとは思いますが、これをこの検討会からの公式の結論として出すのであれ  ば、少し検討してきたことがあるのです。  いくつかあるのですが、重要な所というと、「医師養成数については」といきなり来るのですが、  その前に、「現在、医師の需要に対して供給が不足している」という現実をまず書いて、それから  「産科や救急・・・・増加させるべきである」の前に、「医師養成数」というふうにしたほうが、  いきなり「医師養成数」が来るよりは理解してもらいやすいと。いま現在、需給バランスが大きく  くずれているのだという現実を書いたほうがいいなと思ったことが1つです。  もう1つは、最後の5「患者・住民の参画」の所です。少し前後するのですが、「子どもを守ろう、  お医者さんを守ろう」、このキャッチフレーズはものすごくわかりやすくて本当にいいのですが、  検討会の結論で、ほかの部分の書き方と比べて、こういうキャッチフレーズがいきなり出てきてい  るので、少しこれは一般化した文章にしたほうがいいかと思ったのです。私が少し考えたのは、「  地域住民が限られた医療資源の有効利用のあり方を考えることも重要で、現在、各地で行われてい  る受診構造改善への取組みを支援し」、そのあとは同じで、「住民とともに地域医療を守ることは  重要である」と、何か一般的な文章になるかな思ったことが1つ。  もう1つ、これは触れられてないのですが、ディスカッションにはこれまで挙がったのですが、医  師を養成するから増やさなくてはいけない。医学部の定員を増やしても、増えた分がみんな東京や  大阪の大都会へ行ってしまったら、地方の医師不足の解消にならないので、医学部定員の増加した  部分が地方に行くように、そこの対策も検討しないといけない。  具体的に私個人で提案するのは、例えば、「地方に定着する医師を増加するために、医学部定員数  の増加に際して、当該地方出身者の入学を促進させるなどの対策を検討すべきである」と入れたい  のですが、これは場合によっては同意していただけないこともあるから、いずれにしてもそういう、  「地方に医師が定着するようなことに対する何らかの検討は必要である」というのを入れたほうが  いいかと、ただ、「医学部の定員を増やす」だけではなく。  その他細かい所で言いますと、もう一回、「医師養成数」の所に戻るのですが、「来年度において  は、医学部教育・地域医療に支障を来さない範囲で」、これは「医学部教育に支障を来さない範囲  で」はよくわかるのですが、「地域医療に支障を来さない範囲で」ということの意味がわかりにく  いのです。少し細かいことになりますが、私はそれはなくてもいいかと思うのです。 ○嘉山委員  これは私がこの前お話をしたのですが、「範囲で」というよりは、「医学部教育・地域医療に支障  を来さないように」ですね。「範囲で」というと何となくリミットになってしまうのですが、地域  医療を賄うような、要するに過去最大の医学部定員よりも多目にしてほしいという意味です、その  心は。 ○高久座長  そうですよね。 ○嘉山委員  そういうことです。だから、「地域医療の支障を来さないためには過去最大よりも少し多目にしな  いと補いきれません」ということを入れてくださいということをお話をしたので、この文書をそう  いう意味で変えていただけたらと思います。 ○高久座長  そうですね、このままでは少しわかりにくいですね。 ○嘉山委員  少しわかりにくいです。たしか大臣からお願いされた700何人をここに放り込みますと、8,364人よ  りも少し増えるのです。そうすると、大体救急医療もとりあえず当面少し補えるかと思います。こ  れは文部科学省も希望していると思います。 ○高久座長  これは「程度」という言葉になっていますから、「医学部教育地域医療に支障を来さない範囲で」  という言葉を入れなくてもいいのではないですかね。あるいはその前に岡井委員がおっしゃった枕  言葉が少し入りますので。 ○嘉山委員  要するに、リミットにしてほしくないという気持があるからです。要するに、リミットは設けない  です、せっかく各大学はやるよといま言っていますので。 ○小川座長代理  一寸追加しつつまとめたいのですが、基本的には高久座長のご意見に賛成です。各論的には岡井委  員始め委員の言われた主旨は入れて良いと思います。本委員会として大切なことは国民と社会の理  解を得るために、問題点を明らかにするにあたって、国際社会における現象をよくよく検証して、  それと対比しつつ論述していくことが肝要と思います。大臣は国際学者ですので、そういう対比の  もとに現在日本のおかれている医療現場の声を聴取・検討した上で、提言に国際指標との対比をさ  せつつ反映してという感じにしたいのです。初めの所はエビデンスで、ここに入れて、そしていま  高久座長がおっしゃられたように各論の所ではあまり余計な言葉を入れないでよいと思います。「  程度」を生かすとすれば、「上回る程度に」くらいがよいと思います。とりあえずこうして、内容  をよくよく検証していきながらということだと思うのです。 ○吉村委員  2の「医師の偏在と教育」の所ですが、確かに現在、外科系の志望者の比率が減ってきているわけ  です。それに対してのインセンティブを付けること、それから再教育あるいは研修制度を見直すこ  と、これは大事です。たぶん議論に出たのですが、触れられてないこととして訴訟のリスクという  か、不安が大きいと思うのです。ですから、できれば「訴訟」という言葉はともかくとして、リス  クの高い診療に従事する医師が、安心して診療に従事できる環境の確保をすることが必要であると。  インセンティブと教育だけではなかなか難しいのではないかと思うのですが、いかがですか。 ○高久座長  その議論はいままであまりやってなかったのですね。 ○吉村委員  ただ、不安は安心と希望の逆ですから、確かに大熊委員は別のご意見があるとは思いますが。 ○岡井委員  その議論が必要だと思って一応用意してきたのです。今日はやらないで、もちろんまだ意見であれ  ば、そこはここで絶対やっておかないといけないところだと思うのです。インセンティブよりも何  か不安がある。 ○小川座長代理  少しうまい言い方を考えてもらえれば安心ですね。 ○吉村委員  安心して診療に専念できる体制も必要だと。 ○小川座長代理  いまの2頁の所の「2つの偏在の問題に対応し、また、医療の質を高めていくため、患者の声も聞き  ながら」の「も」は大変失礼な言い方だと思うのです。大熊委員の「患者の声を聞きながら」とす  べきと思います。一方、そうはいっても医療の現場を担う人が現況についての詳細を報告すること  が大切です。即ち、患者と現場の人の意見はその双方を十二分に聴取して、それを検証するという  姿勢がフェアだと思います。この辺の表現法を私は先ほど考えていたのですが、「この2つの偏在  の問題に対応し、今後の医療の質を高めていくためには、医療現場の意見を十分に聴取・検証し、」  とします。そして「国際云々」というのが3頁の4の少し上に、「諸外国の例を参考にしながら」と  いう言葉がありますね。これもここに入れて、インターナショナルなスタンダードを対比・検証す  るを入れるべきかと思います。私が申し上げたいのはアメリカがいい、カナダがいい、ドイツがい  いとか悪いなど、そのようなのではなくて、それらを十分に参考にしながらという、これはいい言  葉ですので、ここに入れていただきたいと思います。「患者の声を」の前に「国民・社会、特に患  者の声を十二分に検証し」ぐらいの表現でいいと思います。 ○高久座長  吉村委員、これは前のほうの「厳しいインセンティブ」は、前のほうで外科が出てきたのはむしろ  ドクターフィーに関連して外科が出てきたのだと思うので、その点をご了解いただきたいと思いま  す。 ○和田委員  先ほど岡井委員が指摘された「患者・住民の参画」という所ですが、「受診行動の改善」と言って  しまうと何か患者側が悪いことをしているような印象を与えます。中にはそういう場合もあるので  しょうが、基本的に不安があってということが多いと思います。客観的な文章にするのであればも  う少し練って、例えば「医療の供給システムに関して患者も主体的に貢献していくような活動につ  いて支援する」といった形にしたほうがよろしいかと思います。 ○丹生委員  初めに岡井委員がおっしゃったように、「子どもを守ろう、お医者さんを守ろう」というのは、私  たち、守る会のスローガンでして、それはわかりやすいですが、この提言にまで盛り込んでいただ  くのはあまりにも恐れ多いというか、もう少し一般的な形で一般的な表現でしていただきたいと思  います。それと併せて、私たちはフローチャートなどをつくって、住民としてできる、とりあえず  というか、医者の負担を減らすために地域医療を住民のほうから守っていくためにという形で活動  しています。  もう1つ、守る会の取組みとして紹介したいのが、「ママのおしゃべり救急箱」という住民主体で  私たちが若いお母さん方に向けて、いま勉強会を企画して開催しているのです。「子育て学習セン  ター」などで出前講座の形で、お母さんが知っておいてほしい子どもの病気のことなどの資料を取  り寄せたりして私たちからお母さんへ伝えるという形で、医療、どのような手当をしたらよいか、  あと丹波市の地域医療の現状を伝えて、住民としていろいろ考えてもらうきっかけになればと思い、  そういうことを開催しています。  座談会の中で、お母さん方からいろいろ医療に関する質問がよく出るのです。そのようなときに私  たちもただの住民というか、ただのお母さん、医療的な知識もほとんどない者なので、そのような  ときに地元の開業医の先生や保健師、そのような方々とタイアップしてそのような勉強会をどんど  ん開いていきたいと、この頃考えています。ですから、住民主体・主催、住民が主催する勉強会な  どでもよいので、そのようなことを開く行政など、そういう支援というか、バックアップのような  もの、例えば自治体がそういう活動の補助金を出す、呼びかけをするなど、そういうことを支援し  ていただきたいと思っていますので、この提言、取りまとめ案などに入れていただくとしたら、ど  のような文章になればいいのかは私にはいますぐ言えないのですが、皆さんで考えていただきたい  と思います。 ○高久座長  この中に、「各地のこうした取組みを支援し」という言葉が入っていますので、これは生かしたい  と思います。 ○土屋委員  いまの部分の続きですが、丹生委員が遠慮されて言われなかったので追加したいのですが、このス  ローガンが引っ込むとすると、「コンビニ受診を控えよう」というのは、丹生委員の真意としては、  「病院外来、夜間救急のコンビニ受診を控えよう」ということであって、むしろ診療所の先生、い  わゆるかかりつけ医には気楽に相談をしようということが裏にあったと思うのです。それには家庭  医・総合医を育てていかないといけない。したがって、葛西教授は、「むしろ家庭医にとってはコ  ンビニ受診は歓迎である」とおっしゃった言葉に通じると思いますので、是非、その趣旨はここへ  盛り込んでおいていただきたいと思います。 ○嘉山委員  最初に細かいことからお話をしたいのですが、2頁の下から2番目の○の「専門医トレーニング(後  期研修制度)」というのがあるのですが、私も厚生労働省の病院にいたものですから、後期研修制  度は大臣が一番最初に、「若い医師を丁稚のように使うのではない。医療職として、きちんとした  職業にしなさい」ということをおっしゃったのでお話しますと「後期研修」というとまだ非常勤な  のです。これでも30何歳です。医学の場合は30何歳でまだ非常勤なのです。ですから、ここは「後  期研修」ではなくて、もし「後期」ということを使いたいのであれば、「後期専門医研修」です。  でなければ、これは要らないと。「専門医トレーニング」だけで。これは全国医学部長・病院長会  議の教育問題の検討委員会でも問題になりまして、「後期研修制度」という言葉を外しました。で  すから、ここは言葉の問題ですが、言葉はあと実態を伴いますので、ここは何とか変えていただけ  れば。委員の先生方のご意見を伺いたいと思います。要するに、30何歳になってもまだ非常勤でい  るということは、私は日本の社会の中では異常だと思っていますので。 ○高久座長  これは「初期研修制度」というのがあって、そのあとに引き継ぐものとして「後期研修制度」と言  ったのですね。その中身は必ずしも専門医トレーニングと一致しないのは、「専門後期研修制度」  と言った場合に年限が様々で、専門医のトレーニングがまた様々ですね。だから、ここのところを  むしろ、「初期臨床研修制度と後期研修制度」にしたほうが、「専門医トレーニング」というのが  必ずしも一緒ではない気もするのですが、どうですか。 ○嘉山委員  でも座長がおっしゃった総合医も専門医として認めるということは出ましたので、かえって私は総  合医も専門医だということをきちっと入れるとすれば、ここで位置づけが明確になると思うし、若  い人も職業上の天職感も出るのではないかと思いますが、いかがですか。 ○高久座長  委員、そうすると、両方書いていたほうがわかりやすいのではないですか。 ○ 土屋委員  研修をどう解釈するかということ、雇用体制がどうかということの問題と2つが重なっていると思  うのです。第2回のときに申し上げたように、医師が大学を卒業して医師として研修と呼ばれよう  が何であろうが、医師等の資格を持って働く以上、常勤でないとおかしいわけです。それがいま嘉  山委員が言われたときに、非常勤が当たり前という国の姿勢がおかしかったわけです。一般の社会  では4年制の大学を出て会社に就職すれば、全員常勤です。仮雇いということは何カ月かあるかも  しれませんが、少なくとも常勤として扱われるわけです。  自衛隊を考えても、これは特別国家公務員で期限付の正規の公務員で雇っているわけです。しかも  彼らは夜間のオンコールがありますから、その拘束料まで払われているということが実際にあるわ  けです。我々医者も国民の安心を守るという、言わば兵隊と同じですので、そのことをよく考えて  給与体系、雇用関係を考えるべきではないかと思います。したがって、研修という呼び方はあまり  私個人としてはこだわらない。むしろ研修であっても常勤でやるべきだ、ということをどこかに表  すべきであると。 ○ 嘉山委員  言葉にこだわらないということですが、それは言葉は一人歩きするので、私が厚生労働省の病院に  7年いたわけですが、例えばそのときに外科の医員として入った場合には常勤なのです。ところが、  一般的な内科全般を回る後期研修医ですと、非常勤で雇われている。同じ医師がそういう違う処遇  を受けていましたので、言葉の意味は大きいと思います。総合医のことも、これから入ってくる場  合でしたら、例えば明記していただければ、誤解はないのでいいと私は思うのですが、明記しない  と、やはり非常勤になる可能性がありますから、土屋委員がおっしゃることを具現化するのであれ  ば、明記していただければと思います。  次ですが、大熊委員がお書きになったように、患者が要求していることを具体的にある程度ここに、  例えば3分間診療で3時間待たされてということを、実現するためには何が必要かを考えるべきです。  業務をやるには社会では当然のことながら、そこに資源を投入するのは自然なことであって、予算  の獲得合戦ではないということを明記したほうがいいと思うのです。大熊委員がおっしゃったよう  に、ただ単なる医療側の予算のぶんどり合戦だというイメージは、私は違うと思うのです。そうで  はなくて、国民の要求をきちんと実行するためには、どの社会でもそうですが、予算を付けるのは  当然です。それを現地調達でいままではやってきたということは問題だと思うのです。  あと、最初の所が一番大事なのですが、そこに先ほど海野委員がつくっていただいた「安心と希望  の医療確保ビジョンの具体化」に関する検討会の提言の一番最後に、舛添大臣がおっしゃった「こ  れは、教育は文部科学省とも一緒にやっていかないといけない」ということですので、先ほど小川  委員がおっしゃったように、海外との具体的な数字、それをここに挙げて、そして総合教育費と総  合医療費をそこに投入しなければ、患者や国民が要望するような、WHOの委員が逃げていくような  医療ではない、国民のための医療ができることをここに書いていただいたらいいのではないかと考  えたのです。大幅な書換えになるかもしれません、難しいかもしれませんが、実はそこが一番眼目  ではないかと思うのです。  国民の要求を満たすためには、なぜ国民の要求が満たせてなかったかと言えば、国際的には、例え  ばOECDで27位とか29位など、教育費も26位であるとか、そういうことをここに盛り込めば、それを  乗り越えるためには総合的な医療費、教育費を、抜本的にいままでの考え方を変えなければいけな  い、そこが一番の眼目なので、そこを考えていただければ、次のことは全部スーッといくのではな  いかと思います。それが1つの提案です。 ○高久座長  その点はこの最初の出だしの最後に、「医療費は対GDP比がOECDの中でも低い水準にあることを踏  まえ、必要な医療費のあり方について国民的な議論が行われることの期待をする」ということで表  現されているのではないでしょうか。 ○ 嘉山委員  医療費だけではなくて、医師の増員のときには、教育費もちょうど文部科学省と大臣が、卒後研修  制度のことでも部会を置くことになるということなので、教育費のことも入れておいておかないと。  なぜかというと、医療の根幹はどのような教育をするかで、そこの医療の質が決まってくるのです、  看護のことも。無理であれば結構ですが、私としては入れたほうが文部科学省に対しても、非常に  協力体制が取れるのではないかと考えたわけです。もしその辺を入れていただければと思います。  2頁目の2「医師の偏在と教育」に関しては、これはまさに大臣が先週の土曜日に、「よし、つくり  ましょう」ということで初期研修制度の見直しをされましたので、これでもって私は実は、大幅に  地域に医師が行くと思っています。なぜかというと、現在は卒業生よりも募集人数のほうが多いの  です。つまり変な言葉ですが、売手市場になりますから。そうなりますと、子どもたちが自分の希  望というか、大都会に行きたいなどということにはなってしまうのです。いまの若者はやっぱりそ  うなります。そこを大幅に変えると、地域に医師が、まあ少ない医師でもディストリビューション  が変わってくると考えていますので、大臣の「文部科学省とつくるよ」というところで大幅に変わ  ると思っています。 ○海野委員  内容的に問題があるというのではないのですが、確認をしたいのですが、1頁の下から4行目、「こ  うした医師需要を検証する観点から厚生労働省において必要な医師数について推計し直すべきであ  る」と、これは第4回検討会のときに大臣からすでに指示が出ているように思うのです。ですから、  これはむしろどちらかというと、この検討会の中で数字を早急に出していただいて、それに基づい  て今後の議論を進めていくことではないかと思うのですが、そういう理解でよろしいのですか。 ○高久座長  この文章のままだと、「厚生労働省において」ということになって、この検討会ということではな  いと思うのです。これは実際に専門の人が綿密に計算をする必要があると思うのですが、最終的な  結論はこちらで出すにしても、そのプロセスの過程は、この検討会では無理ではないかと私は思っ  ています。また、誰に頼んでいいかということも問題になると思うのです。 ○岡井委員  ここの文章の流れからすると、現在は足りないから増やすという話は来てしまっていて、そのあと  に、「その後医師需要を見ながら適切に養成数を調整する」、このあと、いま増やして、その将来  の話だから、そこでもう一回やっておいてくださいと解釈すれば、これでおかしくない。 ○海野委員  ただ、第4回検討会のときの議論は、その辺の基盤となるデータに関して十分なデータの提供がな  かったというところがあって、まずそれをつくれということがあったと思うのです。ですから、そ  ういう意味では、いまの段階でつくれる数字を出すということがまず必要だと思うのです。さらに  今後の医療事情など、そういうことは、またそれは時々刻々変わっていくことになりますから、そ  れはその次のステップということなので、それも含めて書かれているのかどうか、そこが曖昧だと  思ったので、これを取り上げたのです。 ○高久座長  それを含めているのだと思います。この前の長谷川先生のデータに対して皆さんはいろいろな疑問  を出されたから、もう一回幅広く検討して、「推計し直すべきである」というのは、皆さんのご意  見だと思ったのです。 ○岡井委員  ここは、「し直すべきである」とか何かするだけでいまの目安になってしまう。これから1回決め  たらそのまま行くのではなくて、適宜合わせていくのだという言い方にしてしまえば、先生の疑問  には答えられる。 ○海野委員  私の理解は、要するにこの間のをもう一回試算し直してくださいというのは、もっと短期的に数字  を出して、もう一度それを議論の基盤にしたいというお考えだったのかと理解していたものですか  ら、そこはどうなのかということですが。 ○高久座長  私はそんなに簡単には出てこないと思っていたのです。長谷川先生など専門家の方があれだけ出さ  れても、それだけ皆さんからクレームがたくさん付いたと、これは本当に将来の医師数を皆さんが  納得していただける形で出すのは、なかなか大変な作業ではないかと私は思っているのですが。 ○吉村委員  長谷川先生のデータにつきましては、前回の医師需給の検討会で、たしか大学病院・一般病院・診  療所の先生方のタイムスタディをやって出された、ある程度の根拠に基づいたものです。ただ、い  ろいろな前提があります。たしか女医は1.0で考えてやっているのではないですか。3割は女医とい  うことでやっているのですが、それからスキルミックスは考慮にいれていないなど、これはもちろ  んもう一回やり直す必要があると思います。ただ、簡単に1カ月で出るものでもない気もします。 ○嘉山委員  それに関連するのですが、私は文部科学省がタイムスタディをやったのではないかということを言  いましたが、あれはどうも私の勘違いというか、会計検査院がちょっと調べただけで、全国的には  やってないでしょう。 ○新木医学教育課長  コストを積算するときに、病院の診療にかかわる分か、研究にかかわる分か、教育にかかわる分を  振り分けるときの目安として、一部の大学で行われていまして、やる方法、やっている大学、やっ  ていない大学、いろいろありまして、集めて何とかということを、やっていませんし、おそらく集  めても比較できるデータになりそうもないという感じがしています。いま嘉山委員がおっしゃった  とおりです。 ○高久座長  ほかにどなたか。よろしいですか。今日はいろいろなご意見をいただきまして、このご意見をまた  参考にしながら、私のほうで事務局とも逐次相談をして、なるべく皆さん方のご意見を入れる形で、  「中間取りまとめ」をしたいと思います。また、あとでも結構ですから、もし思い付いたことがあ  れば、私でも結構ですし、事務局でも、これについてのまた付帯するご意見など、これに付け加え  て訂正をしていただければと思います。特にこの最後の所の表現は岡井委員からいろいろご意見が  ありますが、岡井委員、うまい言葉を少し考えて。 ○岡井委員  「受診構造の改善」というのは、そこを読むとちょっと。そこは別の表現に変えます。 ○ 川越委員  高久座長が締められたあとに発言するのは恐縮ですが、このビジョンのまとめ云々がどうこうとい  うことではありません。すごくよくまとめてあるし、いまはいろいろな委員の方が発言される中で  さらにいいものになったということを私は嬉しく思っています。ただ、検討会は大熊委員がおっし  ゃられたように、医者の視点からどうするかということがあまりにも強かったのかなと。国民的視  点ということも考えなくてはいけない。今回のこういう議論がそもそも起こったのは、「安心と希  望」の実現。これを引っくり返しますと「不安と絶望」です。そういう中にいま医療があるのです。  大臣もそのためにどうするかということで本当にご尽力されていると思うのですが、考え方として、  プラクティカルに考えていかないといけないということ、エビデンスに基づいた議論を絶対にしな  くてはいけないということは、本当にそのとおりだと思います。数を増やすということ、インセン  ティブを付ける、そういうことによって人が動くだろうということで状況が変わっていくだろうと  いうことが根本にあると思うのです。  医師の減少、現場から医事者がいなくなって、それから病床数が減っていった、病院が閉鎖してい  ったと、こういう現状があることは間違いない。ですから、これは単純に考えますと、確かに医者  を増やせばいいではないかと。もっともっとインセンティブを付けて現場に帰ることをやっていけ  ばいいではないか、私はそのとおりだと思うのです。  ただ、そういう問題だけで国民の不安が本当に解決するのかどうかということを根本的に踏み込ん  で考えなくてはいけない。これは今回のまとめに盛れ、という意味ではないのですが。最後に私か  ら言いたいことは、国がこれまで進めてきた「在宅医療の推進」について、私は十分なデータを出  せなかったのことを本当に申し訳なく思っています。  最近、気になることがあります。これは長崎県保険医協会によるデータで、在宅での最期までの療  養を望んでいる人は1割しかいないのだということです。ですから、病院をもっともっと増やせと  いう議論が実は現実に起きているのです。そうだとすると、これまでの方向自体がそもそも間違っ  ていたのではないかということになります。この検討会自体のトーンが、病院をいかに充実させる  か、医者をいかに増やすか、それに医者をいかに振り分けるかということに向いている。これは医  療供給者側の、大熊委員の言葉を借りますと、パターナリズムに則った解決策ではないかという気  がします。これは決して否定しているという意味ではありません。そういうのがないといけないこ  とは間違いないのですが。  あまり偉そうなことを言って恐縮ですが、そういう中でプラクティカルなことと同時にフィロソフ  ィーのことも根本的に考えなくてはいけないのではないかと思うのです。つまり、在宅医療を推進  してきたことは、一般的には医療費を削減するという方向で議論がされることが多いのですが、実  はクオリティが一番高いという、ある意味での確信のもとにそういうことを進めてきて整備されて  きたわけです。  ですから、そういうことにもう一度立ち返って、いまの時代に、在宅医療を進めるということの根  底を考えなければいけない。高齢化・老々世帯・独居世帯がどんどん増えて、不安と将来に対して  の絶望を持つという中で、どうすればよいかということ。このビジョンに関しての議論がもっと進  むということであれば、そういうところから根本的に考える必要がある。  患者さんのクオリティといいますか、生活クオリティを考えて、私は在宅医療を実践してきたので  すが、その考え方自体が間違っているのかということ。非常に自虐的な考え方を持つようになった  のです。そういう点はもう一度整理しなくてはいけないのではないか。本当の国民の声がどういう  ことなのかということに立ち返らねばと考えています。 ○高久座長  3頁に在宅医療のことを書いていますが、この頃のインターネットでいろいろな情報がどんどん流  れて、しかもそれがあまりエビデンスがなくて流れているので、川越委員、あまり気にされる必要  はないのではないかと。 ○ 大熊委員  もしも1割だとしたら、いろいろな条件が付いていると思うのです。特に、ここになぜ老健局長は  来ないのかと最初のときから言っているわけですが、2005年改定、2006年改定などというのがあっ  て、厚労省だけが悪いというわけではなくて、財務省やら、いまの政治上、政策がそうだと思いま  すが、介護保険の予算を削れ、削れ、削れということになった。最初の介護保険の考え方では、家  族が仮にいたとしても、それに頼らずにというのだったのが、改定で、「家族がいたらそれは家族  にやらせればいい」というように、哲学も変わってしまった。それは、社会保障費抑制から起こっ  てきています。家族に迷惑をかけるのが辛いからと在宅を選ぶ人が1割であるとすれば、それは固  定的なものではないと思います。  厚労省が在宅を進めたのも、例えば退官された辻哲夫次官などの場合は20年来、その問題を現場に  行って佐藤智先生の往診の後を付いて回って、在宅医療・在宅ケアがいいと思っていた。やっと技  官になって実現したという背景があります。世の中で言われているように、「安上がりのための在  宅」という思惑の方もいたかもしれませんが、厚労省は非常にきちんとした考え方でやっていたけ  れども、お金の圧力でそうなってしまった。長いほうのバージョンの骨子案には2,200億円抑制を  批判することばがあったと思います。それを、ここに書き込んだほうがいい。舛添大臣が別途頑張  っておられるので、財務省や国全体の考え方を変えることまで踏み込んで報告書に書くかどうかは、  私はどちらがいいかわかりません。 ○土屋委員  私も癌の在宅緩和に絡んでいるのですが、いまおっしゃったのは、実際に癌で在宅で看取られるの  は6%ぐらいです。ところが、データを取ると、6割ぐらいの方が可能なら自宅で亡くなりたいと。  しかしながら、これを10%に上げるのは大変なことだと思うのです。というのは多くの方が、特に  ご高齢の方は施設に入っていらっしゃるわけです。施設に入っていると、これは何かがあると病院  にすぐ運ばれてしまうわけです。ご本人たちに聞くと、そこを自分の自宅として、そこで最後を迎  えたいと答えるのですが、その準備ができてない。ですから、いわゆる「在宅」の「宅」を自宅だ  けではなくて病院とは違った中間的なものを考えていかないと、在宅の推進は無理ではないかと思  います。 ○ 和田委員  先ほど川越委員がおっしゃったのと同じく、フィロソフィーの問題が希薄であったと感じています。  今回のテーマが主として、専門合理的に、効率的にいかなる医療供給システムを組み上げていくか  という課題だったので、専門家中心に考えざるを得ない部分はあったと思うのです。  今回、議論の中心にならなかった、フィロソフィーの問題ですが、川越委員が在宅の問題に敷衍し  ておっしゃいましたが。もう1つ、まさに不安と絶望、それにかかわって国民が心配するのは事故  ないし医療安全の問題であろうと思うのです。  先ほどから、「訴訟リスク」という言葉も出ていますが、日本では裁判は非常に起こしにくい。そ  の中で裁判を起こすことは、患者側にとってものすごく大変な決意を要することです。そこで医療  側が、訴訟リスクをいかに低減するかという視点で問題を捉えるのは、本末転倒だと思うのです。  まず、患者に向き合う真摯な対応の在り方、それを医療機関がフィロソフィーとして持ち、どう仕  組みを作っていくのか。それが大切な一歩です。その結果として訴訟のリスクも自然と低減してい  くという構図で考えるのが妥当ではないかと思うのです。フィロソフィーの問題の1つとして、そ  ういう議論ができる場があればと思います。 ○高久座長  大臣がそろそろ退室されます。恐れ入りますが、一言お願いいたします。 ○厚生労働大臣  これは高久座長のもとで皆さんのご意見を入れて、もう少しブラッシュアップされるのだと思いま  すが、いただいたものをこれからの予算編成、さらには政策づくりに反映させていきたいと思いま  す。先ほどのノーフォルトの問題や医療事故調査委員会の問題はここには書かれておりませんが、  そういう問題について哲学の問題も含めてまだまだいろいろ検討課題が残っておりますので、高久  座長とご相談しながらまた今後適宜開催をお願いすると思いますが、今後とも引き続きよろしくお  願いいたします。皆さん、どうもありがとうございました。 ○高久座長  一応、「中間取りまとめ」ということで今日出しまして、皆さん方からいろいろなご意見をいただ  きました。そのご意見を十分に参照しながら、なるべく皆さん方の納得していただける形でまとめ  たいと思います。 ○ 嘉山委員  私はこういう委員会にも文部科学省も含めて何回か入っていたのですが、今回のように高久座長の  もと、大臣の指導のもとで、いわゆる思惑がなく、日本の医療を語った会はそれほどないのではな  いかと思うのです。こういう委員会は大体が思惑を持った人が出てきて、ドゥー・ザ・ライト・シ  ング「正しい事をしよう」ではなくて、自分の思惑で大体ものを言う人が多かったのですが、今度  は本当にいろいろなホット・ディスカッションもあったのですが、最終的に思うことは、これで「  中間取りまとめ」を高久座長、小川座長代理のもとで出れば、まず医療界が、医療を担っている若  い人たちが非常にモチベーションが高くなると私は思います。例えば、ここに「インセンティブ」  「ドクターズフィー」など言葉が盛り込まれたことは、これは歴史的に革命だと思っています。  ただ、一方、これをきちっとやるためには、我々医療界の、特にトップが自浄作用をきちっと自覚  して、先生と私は全く同じ意見ですが、事故に対しても情報をすべて開示してしまうと。そうすれ  ば、ここにいらっしゃるマスコミメディアの方々もいかに大変だということもわかるでしょう。全  員が全国一律意識が、医療界・大学で意識が変わっているわけではないので、そういう凸凹がある  こともわかっていただけると思います。ただし、一番真剣にやっている所ほど、例えば患者の思い  違いのグループとはぶつかってしまうのです、かえって一番真面目にやっている所のほうが。こう  いう所に出てこないでスッスッスッとやっているほうが人生いきやすいというかですが、いずれに  しても今回これが出れば医療界の元気が出るだろうし、ただし、一方、高久座長が日本医学学会の  トップなので、高久座長をはじめ、日本医師会は別に置いておいて、日本の医療のレベルを保って  きたのは大学を含めた勤務医だと思っていますので、勤務医の人たちが、もちろん在宅の川越委員  もそうですが、本当にモチベーションが上がってくるのではないかと思います。ただし、そのとき  には自分を律することが一番大事だと。特にトップ、病院長。大学であれば学部長・学長・理事長、  小川座長代理は理事長ですから、高久座長は学長なので、自浄作用と決断を持って行くことが大切  です。また、外口医政局長も我々に対していい場をつくっていただいたので、本当に私としては気  持よく、実はすごく大変だったのですが、大熊委員にもいろいろなことを教えていただきましたし、  これからもこういう機会を続けて、本当にドゥー・ザ・ライト・シングで高久座長のもとでやって  いきたいと感じました。どうもありがとうございました。 ○ 高久座長  私ももともと気が短いものですから、最後だけは少し早目に終わらせていただきたいと思っていま  す。大臣のお話にもありましたように、今後もこういう形のものを引き続くということになると思  います。そのときにはまた誰が座長になるかわかりませんが、皆さん方、いろいろと頑張っていた  だきたいと思います。7回ということで、特に土・日の場合には非常に長時間にわたってご議論い  ただきまして、お互いにかなりフランクなディスカッションができたと思います。  「中間取りまとめ」の中でも宿題がたくさん残っていまして、これを本当に実現するのはなかなか  大変なことだと思います。しかし、せっかく皆さん方がお集まりいただきまして長時間にわたって  議論したことでありますから、できることから少しずつ実現をしていくようにしたいと考えていま  すし、ここにおられる厚生労働省・文部科学省の方々もよろしくご尽力をお願いしたいと思います。  大臣もおられなくなりましたので、できればこれで第7回を終わりたいと思います。どうもありが  とうございました。 (照会先)  厚生労働省医政局総務課  松淵、丸茂 (代)03−5253−1111(内線2516、2771)