08/08/26 第1回サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会議事録 第1回「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」 議事録 日時 平成20年8月26日(火)    15:00〜17:00 場所 中央合同庁舎5号館共用第8会議室 ○安全対策課長(森) 時間もまいりましたし、ご出席予定の方が揃っておられますの で、「第1回サリドマイド被害再発防止のための安全管理に関する検討会」を開催いた します。私は本日事務局を務めさせていただきます、医薬食品局安全対策課の森でござ います。本日ご出席の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠に ありがとうございます。本日の検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮り につきましては議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係の皆 様におかれましては、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。また、傍聴なさっ ておられる皆様につきましては、傍聴に当たっての留意事項がございますので、これに ついて、守っていただきますよう、よろしくお願いいたします。開催に際しまして、大 臣官房審議官の黒川よりご挨拶を申し上げます。 ○大臣官房審議官(黒川) 大臣官房審議官として医薬品を担当している黒川です。本 日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、常日頃から 医薬行政に対しましてご協力、ご指導を賜りまして心よりお礼を申し上げます。  さて、本日お集まりいただきましたのは、現在承認申請がなされているサリドマイド 製剤の安全管理のための方策についてご議論をいただくためでございます。ご承知のと おり、サリドマイドは、かつて催眠鎮静薬あるいは胃腸薬として販売された医薬品です が、四肢への重度の先天性障害や胎児の死亡等重篤な副作用を引き起こしたことから、 販売中止及び回収が行われております。厚生労働省といたしましては、「誓いの碑」にも ありますとおり、このような薬害を再び発生させることのないよう、医薬品の安全性、 有効性の確保に最善の努力を行いたいと考えているところでございます。  一方、サリドマイドにつきましては、近年、多発性骨髄腫の治療薬として、米国や欧 州連合を含むいくつかの国や地域ですでに承認されております。我が国においても2006 年8月に、希少疾病用医薬品として承認申請がなされております。以上を踏まえますと、 サリドマイドを承認審査するに当たっては、このような被害が再び起こらないようにす るための厳格な安全管理の方策を検討することが重要であると考えております。これま で承認申請者は、関係者からの意見を踏まえつつ、サリドマイドの安全管理のための方 策を構築し、また、その方策の試運転も実施するなど時間をかけて改善を繰り返してき ております。厚生労働省といたしましても、米国における安全管理のシステムを参考に しながら、承認申請者と協議を重ねてまいりました。委員の皆様におかれましては、こ のようにして検討を重ねられてきた安全管理の方策をより良いものとするための建設的 なご議論をいただければと考えております。お力添えのほど、何卒よろしくお願い申し 上げます。 ○安全対策課長 続きまして、本検討会の委員及び参考人としてご出席いただいている 方々を五十音順に紹介させていただきます。社団法人日本病院薬剤師会副会長の遠藤一 司委員。社団法人日本医薬品卸業連合会理事の木俣博文委員。東京大学大学院医学系研 究科薬剤疫学講座特任教授の久保田潔委員。財団法人いしずえ理事長の佐藤嗣道委員。 日本骨髄腫患者の会副代表の上甲恭子委員。東京大学医学部附属病院長の武谷雄二委員。 社団法人日本薬剤師会常務理事の七海朗委員。日本骨髄腫患者の会代表の堀之内みどり 委員。財団法人いしずえ常務理事の増山ゆかり委員。群馬大学医学部保健学科長の村上 博和委員。日本大学法学部教授の山口斉昭委員。なお、社団法人日本医師会常任理事の 木下勝之委員からは、本日欠席のご連絡をいただいております。  続いて、参考人としてご出席いただいている方を紹介させていただきます。帝京平成 大学現代ライフ学部児童学科教授の木田盈四郎先生。国立国際医療センター戸山病院薬 剤部/治験管理室治験主任の川崎敏克先生。藤本製薬株式会社執行役員部長の長谷雅史 様。藤本製薬株式会社医薬情報部次長の中尾智佳子様。大阪大学大学院薬学研究科教授 の那須正夫先生です。  次に、事務局側の出席者を紹介させていただきます。大臣官房審議官の黒川達夫。安 全対策課長の森和彦。安全使用推進室長の倉持憲路。監視指導・麻薬対策課長の熊本宣 晴。監視指導室長の山本史。なお、審査管理課長の中垣俊郎が出席予定ですが、所用の ため少し遅れております。  これは事務局からのご提案ですが、本検討会の座長につきまして、武谷先生にお願い したいと考えておりますが、いかがでしょうか。 (異議なし) ○安全対策課長 それでは武谷先生、座長席にご移動ください。以降の議事進行につき ましては武谷座長にお願いいたします。また、報道関係者の方々には、申し訳ございま せんが、頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくご協力をお願いいたします。 ○武谷座長 ただいま座長をご指名いただきました武谷です。本日は、サリドマイド被 害の再発防止のための安全管理という大変重要なことを議論する委員会の座長を仰せつ かりまして、大変身に余る大役と存じている次第です。今回それぞれの領域の専門の方 あるいは造詣深い方にお集まりいただいているわけですが、本剤の問題点は胎児に対す る影響ということであります。私の立場は産婦人科で、日常胎児を患者の1人として扱 っています。そういうことでこのような役を仰せつかったかと思っている次第です。皆 様方のご協力、ご指導を得まして、この会が実り多い成果のあがる会にいたしたいと思 います。  さて、先ほど審議官からもご説明がございましたように、いかなる薬も良い作用とマ イナスの作用がある、薬というのはそういう二面性があるわけです。不幸にして、当時 は本剤の特性といいますか、薬理作用がわかっていなかった。それから、妊娠における 胎児への影響が、どのような時期にどういう薬物を使えば起こるかということについて、 あまり研究が進んでいない時代でした。本剤の被害は薬物療法の歴史に残る、非常に悲 劇的な、私ども医療に従事する者にとって二度と起こしてはならないような事例である と思っている次第です。  ただ、昨今の医学の進歩に伴いまして、本剤の作用について、だいぶ詳しいことが分 かってまいりました。また、今回の議論の対象となる多発性骨髄腫の病態あるいは治療 法に対しても、いろいろな光が当てられてきました。医療というのは、実際に病気で悩 んでおられる患者がおられて、それを救済する術があったら1人でも多くの方に援助の 手を差し延べたいというのが大原則であります。ただ、その結果予期せぬ不幸な結果を 1例でも生じてはいけない。医療は常にこのような二面的な視点が必要です。このよう な大前提に立って、サリドマイドをどのようにして安全に使えるか、そして1人でも多 くの福音になるか、こういうことをみんなで議論していけたらと思う次第です。  議事に従いまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。まず会場図に続いて議事次第。続い て資料1「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」開催要綱、 別紙として、本検討会の委員名簿がございます。資料2は木田参考人より提出いただい たもの。資料3が藤本製薬株式会社より提出していただいたもの。また、資料番号は振 ってありませんが、遵守状況等確認冊子を配付しております。資料4が那須参考人より 提出いただいたもの。資料5は「サリドマイド製剤安全管理基準書(案)」に関する意 見募集について。  続いて参考資料です。参考資料1は、米国におけるサリドマイドの安全管理システム。 参考資料2は、本年8月22日に日本骨髄腫患者の会よりご提出いただいた、多発性骨 髄腫治療薬サリドマイドに関する要望書です。参考資料3は、8月26日に財団法人いし ずえ様よりご提出いただいた「医薬品の催奇形性による被害の再発防止のための要望書 −サリドマイド製造販売承認申請の審査、及びレナリドマイドの催奇形性をめぐって−」 です。また、参考資料4として、薬害オンブズパーソン会議様、自由人権協会様よりご 提出いただいた要望書を、以前の提出分も含めて参考として配付させていただきました。 資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。 ○武谷座長 皆さん、資料はお手元に全部渡っているでしょうか。  続きまして事務局から、今回の検討会の趣旨等の説明をお願いできればと思います。 ○安全対策課長 すでに黒川審議官のご挨拶、それから、座長の冒頭のご挨拶にもかな りございまして、この検討会がどのようなことを議論する場であるかということをだい ぶご紹介いただいてはいるのですが、この検討会を開かせていただいた事務局として、 どのような経緯で開くに至ったか、それから、この検討会でどのような議論をしていた だきたいのかということについて簡単に説明させていただきたいと思います。  ご案内のように、この検討会でいま議論しようとしておりますサリドマイドにつきま しては、藤本製薬株式会社から、今から2年前の2006年8月、多発性骨髄腫の治療薬 としての承認申請がされております。これについては明日、薬事食品衛生審議会の医薬 品第二部会において審議される予定にもなっております。現在そういう状況にあるとい うことです。  一方、これは極めてよく知られていることでありますが、サリドマイドという薬は、 1950年代後半に催眠鎮静薬としてドイツで開発され、1960年代初頭にかけて世界中で 販売された医薬品であります。我が国におきましても、1958年から1962年にかけて、 不眠症、手術前の鎮静などに広く使われ、また胃腸薬としても販売されたものです。  しかし、それが大変な問題を引き起こして、妊娠中に服用した場合には、四肢への重 度の先天性障害あるいは胎児の死亡を引き起こすというようなことが明らかになりまし て、世界各国で販売中止・回収ということになったわけであります。被害に遭われた方 の数は世界で、死産のケースも含めますと5,800人という報告がございます。日本では 309人が認定されていると伺っております。こういう大変な被害を引き起こした薬です ので、この薬を改めて使おうという段にあっては、胎児へのサリドマイドばく露を絶対 に防止しなければいけない。そのためには、厳重な管理と適正な使用の推進を図ること が必要であるということ、誰が考えても、そうなるわけです。多発性骨髄腫の治療薬等 としてすでに承認されている米国等海外におきましても、その使用は、厳格に管理する ための管理システムの下で使用される、ということになっているのが現状であります。  これに鑑みまして、我が国におきましても同様の安全管理システムを構築することは、 サリドマイド承認の絶対の前提になると考えられますので、それにつきまして、申請を している藤本製薬株式会社でも、サリドマイドの教育と安全使用に関する管理システム (Thalidomide Education and Risk Management Systemの頭を取ってTERMSと呼 ぶ)を構築してまいりました。このTERMSの構築に当たりましては厚生労働省でも、 米国のシステムを参考にしながら藤本製薬と協議をしてまいりました。さらに、それだ けではなく、このシステムが本当に役に立つようなシステムになるために、いろいろな 方にお力をいただきました。ここまでのシステムの構築に当たりましては、藤本製薬は 当然のこととして、いしずえの皆様、それから多発性骨髄腫患者の会の皆様、そして医 療現場の医師あるいは薬剤師の方々等さまざまな方にご意見をいただいて、それを自由 討議あるいは四者会議といった、さまざまなご苦労の中で、ここまで詰めてまいりまし た。  これは、厳格でありながら、日本の医療の現場にちゃんと順応するようなものでなけ ればならないという、ある面で相反する2つの要請をきちんと両立させるための最善の 努力をしてきたということではあると思いますが、それでも、このシステムが本当に動 くのだろうかということに関して更に試運転をしようということになりました。これは 多発性骨髄腫の患者の皆様のご協力を得まして試運転を行いました。そういう実際の試 運転の経験も踏まえた更なる改善も行われております。これだけの多大なご苦労をいた だいて作られてきているTERMSでありますが、これを整理し、「サリドマイド製剤安 全管理基準書」という形の文書を作り、これについて厚生労働省のホームページに掲載 し、さらにたくさんの方々からご意見をいただく、お知恵をいただく、あるいは、いろ いろなご要望、ご注文をいただくということを今もやっております。  こうしたことを重ねて本日に至っているわけではございますが、ここでもまた、でき る限りのお知恵をいただいて良いシステムにしていきたい、そういうことのために開か せていただいた会でございます。これだけ詰めてきたからと言っても、実際に動かすと なりますと、まだまだ分からないこと、不十分な点、あるいは、現実に患者にとっても 非常につらい点、そういったものがいろいろあると思われます。それを少しでも改善で きることがありましたら最善の努力をしたいと私どもも思っておりますし、おそらく、 ここに来ている藤本製薬の方々も、やぶさかではないと信じております。そうした、い ろいろ思いのこもっている安全管理のシステムでありますので、どうか、今日ご参加の 委員の皆様に是非ご協力をいただきまして、良いまとめにしていただければと思ってお ります。よろしくお願いいたします。 ○武谷座長 ありがとうございました。ご説明のように、サリドマイドは世界の複数国 で多発性骨髄腫に対して承認されているわけです。ただ、いずれも、本剤に伴う過去の 不幸の事例を1例も出さないという大変厳重な安全管理が保証されているという前提で あります。我が国でも、いまTERMSという言葉が課長から出ましたが、一応試案とい たしまして、我が国の実情を考えた安全管理策をいま考案中でございますが、この安全 管理に太鼓判が押せないと、この薬の承認は困難であるということをご理解いただきた いと思います。  この検討会の背景といいますか開催の趣旨を、皆様方、ご理解いただけましたでしょ うか。本剤を使用するに当たっての安全管理が完璧で、万全であるか、それをご議論い ただくということです。  それでは議事次第に則りまして、サリドマイドがどのようにして胎児の障害を引き起 こすか。これは胎児の病気ですので「胎芽病」と呼ばれておりますが、サリドマイドと 胎芽病に関して、この領域のご専門であります木田盈四郎先生から解説を賜りたいと思 います。 ○木田参考人 帝京平成大学の木田と申します。サリドマイド胎芽病と、サリドマイド が原因ではなく一定の割合で発生している先天異常の違いについてですが、そういうこ とが私に対する宿題でございました。私は75歳のときから「障害児の心と体」という 講座を作ったので、それで講義をしてほしいということで、帝京平成大学が千葉にあり ましたときに頼まれまして、生命倫理の話だとか、いろいろな話をしてきました。ちょ うど肢体不自由児の心理、生理、病理のテキストを書いておりまして、それが講義でや っと上梓しましたので、その中のサリドマイドについての問題点、それからサリドマイ ド以外の問題点を、講義でございますから非常に杜撰でありますし、皆様ご存じのこと がたくさんあると思いますが、私の個人的な体験を踏まえてお話いたします。  私にとっても、1960年ごろ、サリドマイドがドイツで話題になったときにちょうど札 幌医大の学生でありまして、ワイカー教授からもらってきたスライドを見せられて驚い たことがありますので、その辺のことを、お話させていただきます。  これは教科書ですから「9.サリドマイド事件」というのは、第9回目の講義のときに お話をしたものです。10回目の講義のときには「先天性四肢障害」という題でお話をし ました。それが5頁目です。細かいことは飛ばしまして、13回目に「先天性四肢障害を 持つ子どもたち」という題でお話をいたしました。  ちょうど今年、43回目の「先天性四肢障害児父母の会」の総会がありました。私はそ の総会に最初のときから出席しておりまして、今年も8月の第1土曜日と日曜日に静岡 県でありまして、そのときの話をここに書いておきました。  まず9回目のところで、サリドマイド事件のことをお話いたします。サリドマイド剤 は、ヨーロッパ諸国では「コンテルガン」として1957年10月1日に発売され、1961 年11月27日に発売が停止された。我が国では「イソミン」として1958年1月から発 売され、1962年9月18日に販売停止された、とあります。  私のサリドマイド事件のまとめが、小松左京の短編集「戦争はなかった」の中に「公 害を消す国、日本」として載っています。「事件」が起こってから40年、人々が忘れた ころ、我が国では「サリドマイド事件そのものが消されて」います。そして、その薬は 意外なところでまた使われています。  我が国の「医師」は、医学部で学んでいません。「医師国家試験出題基準」に採用され たことはありません。「発売を許可しなかった」アメリカで、1998年、「多発性骨髄腫」 の治験が始まりました。これが第9回目の話です。  資料としては10回目に「本章のまとめ」があります。四肢障害には、指の数、大き さあるいは形態の異常。多指症、合指症、欠指症、巨指症、短指症、屈指症、裂手症、 斜指症などがある。かつては手指奇形と呼ばれていたが、奇形という用語は差別的な意 味があるために現在用いられなくなっている。これはスワンソンの分類である。そして、 頻度は5,000人に1人。我が国では毎年240人ぐらい生まれている。サリドマイド事件 を契機として、厚生省の非認定の患者の親たちが作った「父母の会」が活躍している。  「先天異常の発生頻度」と全体の頻度が5頁にあります。その中で、胎児障害が2.5% ですが、これの資料として『原爆放射線の影響に関する国連科学委員会報告』が6頁の 1行目にあります。(2)として、国際放射線防護委員会の『放射線診断における被爆の 管理』、(3)『国連科学委員会報告』(1972年)、それから(4)トリンブルの調査が5頁 にあります。サリドマイドは胎芽病でありますから、100人の中の2.5%、トリンブル の報告によると4〜5%ぐらい生まれていると言われています。国際的には、国際手の外 科学会のスワンソンの分類が用いられていますが、我が国では日本手の外科学会の「修 飾分類法」が用いられています。細かいことは、ここに書いておきました。  第13回目の講義は「先天性四肢障害を持つ子どもたち」です。父母の会の会員の疾 患別分類としましては、いろいろなものがあります。しかし、平成9年度医師国家試験 出題基準、また厚生省の平成8年度版で採用されている用語には載っていません。×は 掲載されていない用語です。四肢減形成、海豹指症(アザラシ指症)、絞扼輪症候群、四 肢末端低形成、裂手裂足、橈骨欠損、またサリドマイド胎芽病もない(×)です。これ らはいま日本の医師国家試験出題基準にありませんから、こういう疾患は、日本ではな かったことになっているということです。  先天性四肢障害の分類としては、遺伝障害と胎児障害の2つがある。遺伝障害として、 常染色体の優性遺伝病、常染色体劣性遺伝病、X連鎖遺伝病、ミトコンドリア遺伝病。 また胎児障害として、奇形、破壊、変形があります。その最後のところに、いろいろ症 状を書いておきました。  表1は、常識の7つの「誤り」です。1.すべての「先天異常」は、なくすことができ る。2.我が国では、「和」を重んずる理想的な「民主国家」である。3.医学教育は「良い 臨床家を育てる」ことを理想としていると。しかし、そんなことはありませんで、医学 教育では、医師が医師に「医学」を教えていて、医師になってから、自分で臨床医学を 勉強するのです。「良い臨床家」を育てるのではなくて「良い医師」を育てる。「良い医 師」を育てるということは、患者についての知識を教えることであって、それを達成す るのが「医学」です。けれども、医師になってから臨床医学、医療ということを勉強す るのだ、ということは医者になってみて初めて分かった常識のことであります。  それから「父母の会の子どもたち」の「存在理由」です。1.親は子どもの誕生を喜び、 驚き、嘆き、その意味に気づき、子から学び、育てられる。2.子は、最初は自分の障害 に気づかぬが、やがて気づき、それに慣れ(堪え)て育っていく。(封建国家の我が国の 差別教育の社会の中で)3.障害は、1つの個性だが、同時に医学的に見れば「疾患」で ある。つまり、診断名は個性である。  医学知識のまとめとして、1.「先天性四肢障害児」の発生頻度は、おおよそ5,000人 に1人である。(この総数は少ないが、その数は、会の創立以来あまり変わらない。我 が国では年間250人ぐらい生まれている。)2.ヒトは障害者で生まれ、障害者で死ぬ。 これがヒトの一生である。  3.「障害」は、1)眼が見えない(視力障害)、2)耳が聞こえない(難聴)、3)体の 動きが不自由(肢体不自由)、4)知能と運動が未熟(精神発達遅滞)、5)言葉がしゃべ れない(言語障害)、の5つと定義され、学校教育法に、そう規定されています。  4.「先天性四肢障害」の多くは「四肢の部分的欠損」だから、この中(学校教育法の 定義)にも入らない。(だから、サリドマイド被害児の多くは普通教育を受けている。) 日本が非常に差別教育をしていたので、その差別から逃れている。小学校で手足の障害 のある子どもは、学校教育法では「障害者」ではないのです。  5.障害に対する認識です。まず親が受け止め、子どもに接する。障害を持った子は、 発達とともにその認識が変わり、やがて、「自己の個性の一部」としてこれを認め、「親 から離れ」、自立をする。1つの大人の人格となってくる。そこまでが私の言いたいとこ ろです。  もう少し時間がありますので、1頁目の「サリドマイド事件のまとめ」というところ をお話します。「私の最初の出合。」私は札幌医大の学生のとき(1960年)、加藤寿一助 教授(故人)が小児科の講義で提示した1枚のスライドを忘れない。  これはボン大学人類遺伝学研究所のワイカー教授からもらったと言われています。 1957年10月に、西ドイツのグルネンタール社が「コンテルガン」を発表して1958年、 非常に早い時期に、大日本製薬が「イソミン」を発売しています。これにも、いろいろ 問題があったと言われています。1960年8月に、大日本製薬では「プロバンM」を発 売します。  1960年ごろから西ドイツで、「重症の四肢奇形」が多発しています。1961年11月15 日、当時講師だったレンツ先生が、グルネンタール社と州の薬務局に電話をしています。 これが「レンツ警告」と呼ばれているものです。そして、1週間後に三者会談が行われ た。レンツ先生の所に、グルネンタール社の人と州薬務局の人が来まして三者会談をし まして、すぐにそこでレンツ教授だけが外されて、グルネンタール社と州薬務局、国と 会社が対立していた。これが日本とは全く違うところです。そして11月27日、1週間 後に、グルネンタール社の販売停止決定としてUPIが全世界に報道したのですが、こ れは日本では報道されませんでした。日本は非常に報道管理が行き届いている国だと思 われております。  1962年の8月26日、10カ月経ってから、北大の梶井講師が『ランセット』に7例 報告して、それが日本に届いたころ小児科地方会でこれを報告しているのを読売新聞が スクープした。そして9月18日に大日本製薬が回収を決定しています。これも、報道 されると非常に速い対応をしています。  私の二度目の出合い、それはレンツ先生のところに留学したときです。この疾患を見 つけたのは「臨床遺伝学者」である。「遺伝子突然変異」が1人生まれる「発生頻度」 は10万人に1人(10の-5乗)である。2人生まれる確率は10の-10乗であって10億 人に1人なので、絶対あり得ない数ではない。しかし3人生まれると、この10の-15 乗はあり得ない。  ドイツの人口6000名のメンデンという町で、フォコメリー患者、(ホルトオラム症候 群の患者)が5人生まれたと聞いて、これはあり得ない、何か特別なものがあったので はないかと考えた。  次はサリドマイド裁判の記録から。サリドマイド被害は、先天性の「四肢奇形」、先天 異常(生まれる前の疾患)であると。ここにホルトオラム症候群のお母さんと子どもの 写真を載せておきました。  「サリドマイド」は「公害」である。放射線や公害、「環境問題のまとめ」についてで す。サリドマイド被害をもたらしたのは医薬品である。妊婦が飲んだ薬が胎児の手足の 発達を障害した。このほかダイオキシン(遷延性致死毒性)、農薬。農薬は、農産物を虫、 細菌、鼠などから守り、除草、成長促進に使われる化学物質で、ヒトの先天異常の大部 分を占め、「残留農薬の被害」は、個人防衛しかできない。  サリドマイド胎芽病は、数年前に調べたところ患者が40歳あるいは42歳、いちばん 若い患者が36歳。1961年にドイツで亡くなったとき、それはドイツの誤報で、それが 日本で報道されていたら、そこでなくなったわけですから、その前に生まれた95人に とどまり、その後の214名はいなかったことになります。これが日本の問題点です。  サリドマイド胎芽病の症状には、聴力障害と四肢障害があります。聴力障害と四肢障 害が合併している人もあります。そこにサリドマイド胎芽病の写真がありますが、それ は30年以上前の、当時の皆さんの写真で、目隠しをされております。  そのときサリドマイドで何が起こったか。耳介欠損、顔面神経の不全麻痺、それから 海豹肢症。奇肢症としては、橈骨欠損、内反手等。  現在のサリドマイド被害者は、2004年3月の報告ですが、これは遺伝病ではないの で、学業に就いている人、また、普通の社会人として働いている人もいます。  10頁。先天性の障害を持つサリドマイド以外の患者にはどのようなものがあるかとい うと、四肢末端低形成症という指の障害が25.7%、これは指の先が破壊されて起こった と考えられます。それから、絞扼輪症候群、これも指の先が破壊されたもので、絞扼輪 があるもの。中央裂欠損の10%ぐらいが遺伝病であって、親子例があります。それから 裂手裂足という病気。ポーランド症候群という疾患も見つけられております。これは胎 児障害で、手の指の変形と大胸筋の欠損があります。  サリドマイドと似ていて違うものには、尺骨欠損症という低形成がありまして、12頁 にそれの写真を載せておきました。サリドマイドでは、こういう子どもは生まれており ません。親指が残っています。サリドマイドでは、橈骨欠損症です。以上です。 ○武谷座長 大変詳細にサリドマイド胎芽病に関する説明をいただきまして、ありがと うございました。私は産婦人科ですので、木田先生ほど詳しい知識はないのですが、主 として胎児に影響を与える薬というのは、妊娠の4〜7週ぐらいが臨界期(critical)で あります。そのどの時期に投与したかによって、さまざまな形態異状を呈するというこ とになろうかと思います。  当時、妊娠の診断というのは、なかなか確実な診断はできませんでした。赤ちゃんが 動き出す妊娠20週ぐらい、あるいは心音が聞こえる時期でないと、できなかった。現 在では、妊娠診断試薬で、妊娠の約4週で診断がつきます。妊娠診断試薬が出てきたの が、これから約5〜10年後ですが、当時の妊娠試薬ですと、妊娠5週以後でないと分か りませんでした。それから、いま使っている超音波では妊娠のほぼ確実な診断がつくの ですが、これは妊娠の4〜5週の間ぐらいです。当時妊娠の4〜7週の間に、この薬は妊 娠に伴う不眠症や、つわり等に用いられたと思うので、多くの方は、妊娠と分からずに この薬を服用してしまった、それがこのような大きな不幸を招いたということが言える と思います。我々は、そういうことを学びましたので、これを十分に踏まえて、本剤の 安全性をみんなで考えていきたい。何かご質問はございますか。よろしければ、議事1 の(1)は一旦これで終わらせていただきます。  続いて議事1(2)「サリドマイドの教育と安全使用に関する管理システム」、先ほど来 TERMSと呼んでいるものですが、これについて議論を進めていきたいと思います。ま ず藤本製薬から、TERMSについて、一体これはどういうことなのかという説明をお願 いいたしたいと思います。 ○中尾参考人(藤本製薬) 藤本製薬の中尾でございます。本日は、このような時間を いただき、ありがとうございます。なお、カプセルシートの現物を2人に1つずつ程度 ですが、配らせていただきますので参考にしていただきたいと思います。  私どもが申請いたしておりますサリドマイド製剤につきましては、十分説明していた だきました。有効性、安全性については別途明日ご審議ということですので、本日は、 適正に使用するための安全管理基準についての説明をさせていただきます。  資料3と冊子をご覧ください。時間も限られておりますので、いくつかのスライドを 割愛させていただくことをご了承ください。  まず、スライド1に示されておりますように、本基準はThalidomide Education and Risk Management Systemの頭文字を取ってTERMSとも呼んでおります。  スライド3、4に示されておりますように、本基準は、製造販売承認申請時に原案を 添付した後に、各方面の方々の多くのご意見を反映させて、合意を得ながら構築してま いりました。その間2度にわたり8施設の医療機関及び多発性骨髄腫の患者たちにご協 力を得ながら試運転を行い、漸くこのような段階まで進むことができたことに、心より 感謝を申し上げます。試運転の結果につきましては、後ほど説明させていただきます。  それでは本基準の説明に入らせていただきます。スライド5に示されているように、 本基準の目的は、本剤の胎児への曝露防止です。そのための重要な構成要素として、ス ライド6のように4つの項目がございます。まず、「情報提供及び教育」をしっかり行 い、その内容に同意していただいて、理解された方のみを「登録」させていただきます。 そして、登録された方々だけによって本剤が使用され、その使用状況等を「中央一元管 理」する、具体的には「薬剤管理及び妊娠回避の徹底等の情報を一元的に管理する」、と いうことがございます。さらに、より良きシステムに改善すべき「評価」を行うことも 非常に重要ですので、これらを重要要素としており、それらをまとめたものがスライド 7になります。そして、その中の関連組織のみを示したものがスライド8です。スライ ド7は少し字が小さいので、後ろから2枚目に拡大したものもございますので、そちら もご参照いただければと思います。  医療機関及び特約店については、スライド9〜11に示すような限定でスタートさせて いただきたいと思っております。医療機関は、原則日本血液学会研修施設で、院内処方 をしていただける所。特約店のほうは、麻薬卸売業者の免許を有する先に限定で開始さ せていただくことをご理解いただければと存じます。  スライド15〜35にわたって、登録までの流れを説明しております。この中に、情報 提供や登録の条件について示しております。登録は、スライド13に示すように、処方 される医師、調剤をする薬剤師の責任者を1人、そして、本剤を服用する患者、そして 特約店の薬剤師の中で責任者を1人登録させていただきます。ですので、情報提供及び 教育は、その方々を含めた関係者に対して行うことになります。  登録までの作業の中で特にご理解いただきたい点といたしまして、まず、医師の先生 方に対しては、スライド19のいちばん上に示しておりますように、医籍登録番号をい ただく点、また後半にかけて記載している条件を満たしていることを証明するような書 類をいただくことにしております。そして、産科婦人科の医師と連携していただくこと も条件になっております。  さらに、患者教育を先生方に行っていただくのですが、スライド23に示しますよう な「患者」の定義に則って、特に女性患者に対し、妊娠する可能性の有無をまずご確認 いただいた上で、その患者に合った教育をしていただきたいという点がございます。そ して、妊娠する可能性のある女性患者に関しましては、他の治療法がない場合のみ登録 対象としていただきたいと存じます。  続きまして、患者に対してご理解いただきたい点です。スライド25に示しましたよ うに、患者の個人情報をいただく。これは今までの医療現場ではなかったことだと思い ますが、そういうことをさせていただくということ。また、患者の薬剤管理者となって いただく方を必須としておりまして、その方の個人情報もいただくということがござい ます。さらに、パートナーがいらっしゃる場合には、そのパートナーの方の個人情報も いただくという点をご理解いただきたく存じます。  医療機関及び特約店の薬剤師の先生方に関しましては、スライド30、34に示すよう に、薬剤師名簿登録番号をいただくこと。さらに、特約店に関しては、麻薬卸売業者の 免許番号もいただくという点をご理解いただければと存じます。スライド36に記載さ れているように、登録対象者の方々には、状況に応じては登録の取消しということもあ ることをご了承いただきたいと思います。  続いて中央一元管理に関して説明いたします。中央一元管理で行うことは、スライド 38に書いてあるように、「すべての情報を藤本製薬で管理させていただく」ということ と、「流通、処方、調剤前にリアルタイムで、それらの行為の適否について、藤本製薬も 一緒に確認させていただく」ということがございます。  流通管理に関してですが、スライド41〜43に示しますように、使用量に応じた適正 な在庫量となるように、藤本製薬のほうでも確認して調整させていただきます。ですの で、特約店は、スライド43にあるように、医療機関から注文を受けた場合に、藤本製 薬に問合せをしていただいて確認後納品していただくことになります。そして、これは スライド42と43、両方ですが、薬の受渡しの際には、譲受書・譲渡書といいまして、 麻薬の受け渡しの際の書類にほぼ似た書類を交わしていただきます。  処方・調剤に関しても、医療現場の行為ではありますが、スライド46に示しますよ うに、処方・調剤前に、患者の遵守状況等を医師や薬剤師に確認していただきますが、 その際に藤本製薬のほうもリアルタイムで一緒に確認させていただきます。具体的な方 法ですが、まず、スライド47、この現物がお手元のオレンジ色の冊子です。これは患者 群ごとに少し違うのですが、本日は妊娠する可能性のある女性患者向けのものを、いち ばん質問事項も多く、煩雑なものということでお手元に用意いたしました。  スライドに様式番号を書いていますが、様式番号は、いま意見募集を行っている資料 5の後ろにある様式番号に合わせております。  この冊子には、処方前に医師と患者が診察室で相互確認する内容が書かれております。 左頁が毎回の同意や確認内容です。そして右頁の上半分に、その記録を書いていただく という用紙になっております。この記録用紙は4枚複写になっております。最後の裏表 紙にはさらに、調剤前に薬剤師と患者が確認していただく確認内容が含まれております。 このような冊子を毎回の処方・調剤に利用します。  もう1つ、いま皆様にお配りしたカプセルシートを使用します。スライドでは、スラ イド48〜49にかけて示してあります。水色でマスキングしているのは商品名になる部 分です。  用法用量について説明いたします。スライド50に書いてありますように、1日100 〜400mgで承認申請させていただいております。1カプセルが100mgです。1日1〜4 カプセルの予定ですので、カプセルシートはこのようなデザインになっております。要 するに、カプセルを入れる穴が1日分、4カプセルまで入るようなデザインになってお ります。このようなPTPシートに薬が入っておりますが、この穴に入れて閉じていただ くというツールになっております。PTPシートも、数が少ないのですが、いくつか回さ せていただきます。  このカプセルシートには、服用状況の記載欄があります。スライド49を見ていただ くと分かるかと思いますが、服用記録を書く所がありまして、こちらには患者に服用状 況を記録していただきます。スライド51を見てください。これは、1日1カプセルの処 方を受けた患者が、とある日に1日飲み忘れたという例を図で示しております。2月23 日、24日はちゃんと1カプセル飲んでいます。25日のように飲み忘れた場合は、飲み 忘れたことを書いていただくようなシートになっております。このシートを用いて、患 者の服用状況を医師の先生、薬剤師の先生に毎回確認していただきますので、このカプ セルシートはたとえすべて飲み終えて空になったとしても、もちろん飲み忘れがあった らそれを置いた状態で、必ず診察時、調剤時に持参していただきたいというカプセルシ ートになっております。  実際の処方・調剤の流れについて説明します。処方・調剤の実際の流れについては、 スライド53に図で示しております。こちらのスライドも少し字が小さくなりますので、 いちばん後ろに拡大したものも入れております。まず、診察する前に、スライド53で いうと水色の部分の「診察前調査票」を藤本製薬にFAXしてから、診察を受けていただ くことになります。スライド54に内容説明をしております。この用紙は処方医師、薬 剤師には見せてはいけない、見せないでくださいという趣旨の様式になります。ですの で、医師や薬剤師が見ないような状況で、診察前にどちらかから、基本的にはご自宅に なるかと思いますが、まずは送っていただくことになります。これは処方を受ける診察 の当日に送っていただきます。この作業、スライド53の水色の部分を終了した患者は、 先ほどのカプセルシートを持参の上、診察を受けていただきます。  今度はスライド53の緑の部分に入っていきますが、診察室の中で医師と患者が行っ ていくことを図に示したものになります。先ほどの冊子やカプセルシートを用いて、診 察室の中で診察前に確認する内容の記録部分を完成していただきます。それらがスライ ド55からスライド57にかけて説明してあります。  まず、先ほどの冊子を開いて、確認内容など、上半分を記載していただきます。真ん 中辺りに処方医師に書いていただく欄があります。拡大したものがスライド57になり ます。処方量については、本剤は今回新薬という扱いになりますので、薬価収載1年間 は14日分が1回の最大処方になります。スライド57の見本は、先ほどのカプセルシー トの見本と同じく、1日1カプセルの患者の記入見本を書いております。先ほどと同じ ように、未服用薬、飲み忘れが1カプセルあった場合、そしてこの患者が1カプセルで 14日分の処方を受けるような患者であった場合、スライド56に戻って、処方前に服用 状況を確認して、前回のカプセルシートに未服用薬がある場合は、その数量を確認の上、 次回来院日までの不足分を処方していただきます。ですので、スライド57の医師記入 欄の所は、「未服用薬数量」の所に1カプセル、そしてこの患者が必要な薬の量、必要 数量として1カプセル/日×14日分となっております。飲み忘れの1カプセルは、医師 が確認したのち、患者にこの1カプセルをそのままお戻しいただいて、医師が新たに処 方する量は、その隣に「今回処方数量13カプセル」と書かれておりますが、この13カ プセルを今回の処方量として、飲み忘れはそのまま患者にお返しいただくという形にな ります。その記録をこの「遵守状況等確認票(A)」に記載していただきます。(A)のい ちばん下のほうは患者が確認して、署名などをいただく欄になります。先ほどもこの用 紙は4枚複写と申しましたが、この用紙の2枚目がFAX送信用の用紙になっておりま す。実物を見ていただくと分かるかと思いますが、患者の署名欄にカーボンが写らない ような加工をした用紙になっております。このFAX用紙は厚めになっており、これも試 運転のときにいろいろありまして、FAXの機械に詰まらないように工夫した用紙になっ ておりますが、これを藤本製薬にFAXしていただくということになります。  先ほどのスライド53の緑の真ん中辺りにオレンジで「藤本製薬へFAX」という矢印 があるかと思います。これはこの作業になります。この作業をしていただくと、今度は スライド58に移るのですが、藤本製薬では届いたFAXと患者が診察前に送っている診 察前の調査票の2つのデータがありますので、この2つのデータを見て問題があった場 合には、問題がありますというお返事をさせていただきますが、問題がなかった場合は スライド59のような様式を処方医師にお返しします。これが「遵守状況等確認票(B)」 になります。先ほど言いましたように、資料5の様式27、28が実物になっております。 この様式は、ほとんど先ほどの(A)票と同じような様式なのですが、「遵守状況等確認 票(A)」、医師からいただいた内容を「確かに確認しました」というお返事が、「問題ご ざいません」ということを伝えるために上のほうに書いてあります。残りの下3分の2 ほどのスペースは、次に調剤を受けるときの確認内容の記録をする用紙となっておりま す。これが届いたら、処方医師に処方をしていただいて、処方せんとともにこの用紙を 患者にお渡しいただくことになります。スライド60に患者に渡していただく書類など を書いております。  先ほどの冊子の4枚複写の、2枚目がFAXをするための用紙で、3枚目が医師の控え となっておりますので、3枚目をカルテに保存していただきます。その後、藤本製薬控 えと患者様控えが残った状態で、患者に渡していただきます。この冊子にはいちばん後 ろに薬剤師とのチェック項目もありますので、この冊子と(B)票も一緒に渡します。 処方せんに関しては、そのままネットワークで飛んでおりましたら紙ベースはないかと 思いますが、紙ベースがありましたらそれに処方せんを加えて、前回のカプセルシート は服用状況を確認済みですので、これを患者に返していただいて、患者はこれらを持っ て薬剤部に行っていただくことになります。スライド53でいうと、処方前の緑からピ ンクに移る間の紫の矢印の部分になります。この紫の矢印の部分は、スライド60の書 類を持って患者に移動していただいて、次に調剤の所、スライド53のピンクの部分に 移っていただきます。  薬剤部では、スライド61に示していますように、先ほどの冊子のいちばん後ろの頁 を見ながら、患者が持参した(B)票の記録欄を完成させてただきます。その際に、再 度、薬剤師の先生方にも服用状況を確認していただいて、医師が「未服用薬」と書いた 量と間違いなく、処方せんが13カプセルになっていることを確認して、スライド62の ように記載していただきます。  その下に、患者の署名欄があります。こちらも試運転でこれをマスキングするような マスキングシートを使ったりしていたのですが、それがずれることがありましたので、 患者の署名欄は裏面に記載していただいた状態で、またこの(B)票を藤本製薬のほう に送っていただくという流れになっております。これが先ほどのスライド53のピンク の部分の「藤本製薬へFAX」という、オレンジで囲った部分になります。  これを藤本製薬に送っていただくと、我々のほうではスライド63、スライド64に示 してありますように、まずその(B)票の内容を確認して、もちろんそれが先ほど来た (A)票の内容と合致することを確認した後に、問題がなければ「遵守状況等確認票(C)」 を送らせていただきます。これがスライド53の「薬剤師へのFAX」の流れになります。 この(C)票が届いて、薬剤師には調剤していただきたいと思います。調剤はカプセル シートをご利用いただいて、行っていただきたいと思います。  その際に、薬剤師には非常にお手数をおかけすることになって申し訳ないのですが、 患者にお渡しするもの、薬剤部で保存していただくもの、それと藤本製薬の控えを一時 期預かっていただくという行為をしていただきたいと思います。それらをまとめたもの がスライド65になります。患者の飲み忘れがあった場合は、新たなカプセルシートと 飲み忘れがあったものをお渡しすることになります。先ほど言いましたように、カプセ ルシートには服用記録が記載されておりますので、空になったカプセルシートの廃棄は 患者が行っても薬剤師が行ってもいいのですが、服用記録は必ず患者のお手元に届くよ うに、切り取ってお渡しするか、そのままお渡ししていただきたいと思います。いま説 明した流れは、スライド53のほかにも、資料5の14頁にも同様の流れを別の図で説明 しておりますので、ご参照いただければと思います。  このように中央一元管理という、いままでの医療現場ではない行為を行っていただく わけですが、どういうことを遵守すべきか、その内容について次に説明させていただき ます。まずは、薬剤管理の徹底について、スライド67からスライド72にわたって示し ております。特に重要なこととしては、不要薬の返却をしていただくという点がありま す。毎回の飲み忘れは次回の不足分だけ処方することで、その飲み忘れから飲んでいた だくのですが、最後に治療方針が変わった等で不要になった場合の不要薬という扱いで す。これは患者の手元に残らないように、必ず返却していただくことをお願いします。 このことは患者の登録前に十分説明して、ご納得していただいて、回収させていただく ことにしております。また、数量管理を徹底するために、医療機関で不要になった薬に 関しても、医療機関で廃棄されることなく回収させていただきたいと思っております。 医療機関に納品した数量、その医療機関で調剤した数量、返却していただいた不要薬の 数量、紛失などをされた数量すべてを把握して、数量管理をさせていただきたいと思っ ております。  次に、禁止事項がいくつかあります。スライド73、スライド74に示しております。 禁止事項は服薬中のみではなく、中止後も確認させていただくことになっております。 続きまして、妊娠回避を徹底していただく。目的が胎児のばく露防止ということですの で、妊娠回避の徹底は非常に重要です。最良の策は、言うまでもなく性交渉をしないと いうことなのですが、性交渉を行う場合についてはその取決めをスライド77からスラ イド80にかけて示しております。この中に「緊急避妊」というあまり聞き慣れない言 葉がありますが、この措置が必要になった場合のために、登録で説明しましたように、 処方医師は産科婦人科医師と連携していただく必要があります。  続いて、「妊娠検査の実施」という項目があります。スライド82に示すような時期に、 必ず病院内で妊娠検査を実施して、陰性であることを確認後、処方していただくことに なります。これは、妊娠する可能性のある女性患者が対象となります。性交渉の有無に かかわらず、この妊娠検査は必ず受けていただかなくてはならないと取り決めさせてい ただいておりますので、ご了承いただきたいと思います。  4つ目の評価に関しては、スライド83以降です。スライド85、スライド86に示しま すように、第三者評価機関が直接患者や医師、医療機関の薬剤師から情報を得た上で、 第三者的に評価していただきます。藤本製薬においても、社外の有識者の先生方からな る委員会を設置して、遵守状況や登録の妥当性についても評価はしてまいります。第三 者評価機関の評価については、後ほど大阪大学の那須教授よりご説明がありますが、藤 本製薬としてはスライド86に示してある選定条件が3つありますが、この条件を満た す先として、大阪大学の那須教授の下へ評価を委託しております。  そのほか、スライド88以降です。情報開示については、弊社のホームページを利用 して行う予定です。また、スライド89に示すように、薬事法に基づくどの薬でも行う 副作用情報等の報告とは別に、本基準に関する報告ということだけで、定期報告や緊急 報告などを行ってまいります。また、情報については、スライド90からスライド92に 示すように、情報管理はきちんとし、個人情報の保護にも努めてまいりますし、記録の 保管も、製造販売期間中は永久的に保存させていただきます。  最後に、適応外使用に関してですが、本剤の適用は多発性骨髄腫ということで、その 他の疾患に関しては、原則提供はいたしません。ただし、スライド93に示しているよ うな場合に当たっては、提供させていただくということも考えております。以上が本基 準についての説明です。  続きまして、試運転について簡単に説明いたします。試運転はスライド94以降にな るのですが、スライド95からスライド98に示してありますように、いま説明した TERMSの情報提供、教育、登録、処方、調剤の部分を実際の医療現場に持ち込んで、 大きな影響がないかということと、弊社の社内の対応がスムーズに行えるかどうかとい うことを検討するために行いました。2回にわたって行いましたが、2回目の試運転で は患者にも可能な範囲でご協力いただいております。ご協力いただいた医療機関は、ス ライド100に示しております8施設、この中には非常に多くの多発性骨髄腫患者を治療 しておられるという施設も含まれております。2回目の試運転では、スライド102に示 してありますように、30代から70代までの5名の患者が、闘病中にもかかわらず本試 験の趣旨にご賛同いただいて、ご協力してくださいました。どの患者もTERMSを理解 してくださって、問題なく実施することができました。  スライド103には、実際の医療機関での試運転に要した時間などがまとめられており ます。まず、医師ですが、MRによる情報提供、同意、理解度確認、登録申請という作 業に90分かかっております。その後、患者に対しての情報提供、教育、登録作業まで 行っていただいて、これが1時間ほどかかっております。それから、初回処方、2回目 処方という形で、試運転は行っていただきました。  薬剤師も同様にMRからの情報提供、情報提供は説明会のような形でさせていただい たところが多かったです。多くの方に聞いていただいて、その中からお一人、責任薬剤 師の方に同意いただき、理解度確認させていただいて登録しました。これも80分ほど かかっております。それから、初回調剤、2回目調剤をしていただいて、それぞれやは り20分強、25分ぐらいかかっております。この中で、多くのコメントをいただいて対 応してまいりました。その対応させていただいた主な改善点をスライド105、たくさん いただいた中の代表的なコメントをスライド106に記載しております。先ほども説明し ましたように、医師が患者を登録されるまでに約1時間の時間を要しましたので、協力 していただいたすべての医師から、「これは通常の外来中にはできなくて、別途、時間を 設ける必要があるな」というお話はありました。ただ、がん治療において治療方針を変 更するような際には、別途時間を設けて、ご家族の方も含めて、新たな治療方針につい て説明をすることは一般的であるということのお話がありました。かかる時間は他の薬 よりも少し長いかもしれませんが、サリドマイドだから特別というわけではないという ご意見もいただいております。  この試運転の結論としては、もちろん他の薬剤と同様というわけにはまいりませんが、 実施は可能というご判断をいただいております。最後に、TERMSでは毎回の処方・調 剤時にFAXを使用するため、日本血液学会研修施設のFAX設置状況を調査した結果、 FAXはすべての施設に設置されていたということも確認しております。以上で説明を終 わります。  総合して本基準、TERMSに関しては、安全管理の観点及び実施の可能性という観点 からも問題ないとは考えておりますが、医療機関の方々、患者の方々、患者のご家族の 方々、特約店の方々のご協力がなくては達成できませんので、この場をお借りいたしま して、ご理解のほうを賜れればと存じております。さらに、改善点などがありましたら、 ご意見をいただければと思っております。どうもありがとうございました。 ○武谷座長 TERMSは、教育並びに安全な薬の処方を目指すものであるということで、 ひとえに胎児がばく露することがないことに焦点を当てた安全策と言えるわけです。骨 子は、関係者一同の啓発・教育、あるいは薬剤の一元管理・登録制、あるいは処方医は 血液学会の指定する医師、あるいは薬剤師は指定の者、すべてそういうガラス張りの中 で治療を行うというものです。これまでは女性が服用した事例しか知られていなかった のですが、万が一、男性が服用した場合でも、精液を介して妊婦がばく露するようなこ との影響も配慮して、男性の投与に対しても、一応、性器が女性に接触しないような策 を講ずるということも規定に入っているというわけです。それから、妊娠検査をかなり 頻回にいたすことも条件付けております。1製薬会社にこのようなことで多大なご尽力 をいただくことは、私個人としては大変敬意を表したいと思います。  これまでの説明は、大変詳細にわたりますので、直ちに全貌を把握しがたいかもしれ ませんが、何かご質問はありますか。いかがでしょうか。 ○事務局 参考までに、先に参考資料1、「米国におけるサリドマイドの安全管理システ ム−サリドマイド教育及び処方上の安全システムの基準S.T.E.P.S.−」と言われている ものについて、ごく簡単に説明します。ご覧になって分かりますとおり、全体的な構造 はいま藤本製薬さんよりご紹介いただいたものと非常に似ているものです。処方者、患 者、薬局の方といった方々を登録して、またそういった方々に対してセルジーン社より 教育を行うというものです。申し遅れましたが、このセルジーン社が構築したシステム です。また、毎回の処方ごとに電話サーベイということで、その処方が適切かどうか、 遵守状況が必ず守られているかどうかといったことについて調査を行い、それが問題な ければ許可番号の発行ということで、処方に対してゴーサインが出ると。もし何かあれ ば、どういう状況なのですかということで介入が行われるというシステムになっており ます。  患者は、入手した処方せんを薬局に持っていき、また薬局においても電話サーベイと いうことで、最終的な確認を行ったあと調剤を行うというものになっております。また、 コバンス社はセルジーン社と契約関係にありまして、コバンス社において第三者的に外 部評価を行っているという状況で、セルジーン社に置かれている監視委員会と合わせて、 その評価結果、報告等を米国の規制当局であるFDAに報告しているという状況になっ ております。非常に簡単ですが、以上です。 ○武谷座長 藤本製薬さんからご説明いただいたスライドの81「妊娠検査の実施」の2 番目、「妊娠検査(尿)には、hCGの感度が50IU/L以上のキットを使用し」というと、 何か感度がいくらでも悪くてもいいというようにとられてしまうので、「50IU/Lより高 い感度のキットを使用する」ということを意図されているのではないでしょうか。 ○中尾参考人 そうです。50とか25という意味です。言葉が適正ではなかったかと存 じます。 ○武谷座長 そのほか、治療を受けている方は血液等の献血とか、いろいろな生体材料 を提供することも禁ずるということです。ここまでで何かありますか。いまのこの TERMSについての議論は大変重要かと思いますが、大阪大学大学院薬学研究科の那須 教授に、さらにこの安全性に関して補足していただくようなご説明をお願いできればと 思います。 ○那須参考人 資料4です。今回、我々は医薬品の新たなリスク管理、またリスクコミ ュニケーションに関する研究プロジェクトの一環として、このTERMSの安全性評価を 行うことにしました。その目的なのですが、この研究過程を通じて、第三者評価必要な データを集積して解析する。そして、その知見を行政および藤本製薬にフィードバック して、このシステムをより良いものにしていこうというものです。  具体的には、以下の調査方法です。まず、大きく対象は2つあります。1つは処方医 師及び責任薬剤師、もう1つは患者ご自身です。まず、処方医師及び責任薬剤師に関し ては、現時点では調査用紙を処方医師及び責任薬剤師に郵送することを考えております。 調査票をお受け取りになった医師、また薬剤師の先生は、遵守状況等を記入していただ いて、本研究プロジェクト宛に郵送していただきます。そして、我々のほうでデータ解 析して、後述いたします評価委員の席にその集計されたデータをお持ちして、そこで評 価するということです。調査は、1年間に1回以上実施する。また、このような調査を 行うに当たり、患者、または処方医師、または責任薬剤師のデータを集計して、緊急の 対策、また何らかの早急な対策、また評価委員の先生方からも、現場に関してもう少し 具体的な情報提供が必要であるという判断が得られた場合には、必要に応じて医療現場 の医師、また薬剤師の方に具体的にインタビュー等のご協力をいただいて、それをシス テム改善にフィードバックしていくというように考えております。  患者に対しては、「調査依頼に関する通知書」を藤本製薬様のほうから患者に郵送して いただく、というように現在考えております。なお、患者の希望により郵送ができない 場合には、処方医師を通じて通知をお願いするというように考えております。通知を受 けられた患者は、患者のほうから本プロジェクトに電話をしていただいて、専任の者が それに対してインタビューして、その結果を集計してデータベース化し、評価委員会に 対して具体的な資料を提供し、また解析するというように考えております。  担当者は患者からの遵守状況等を聞き取るわけですが、その結果を記録して、その際 には患者の登録番号、生年月日、患者群の基本的な情報以外の患者個人を特定できるよ うな情報は、我々は入手しないように考えております。また、患者が聴覚障害や電話調 査を受けるに対して少し困難があるという場合には、電話調査の代わりに紙面調査を行 う、またはご本人が何らかの理由でどうしても調査が難しい場合には、薬剤の管理者が 代行するようなことも考えております。調査は、服用の開始時及びその後、半年に1回 程度を考えております。  我々が第三者評価を行うにあたり、現在このような仕事をしようと考えているわけで すが、その中に評価委員会を作って、システムの遵守状況等をきちんと評価していきた いと思います。評価委員会のメンバーに関しては、必要な知識または経験をお持ちの専 門の方々を中心に構築していきたいと考えております。委員会は定期的に、具体的には 現在のところ3カ月に1回程度を目安にして開催して、その結果に関しては行政および 藤本製薬株式会社に対して定期的に報告する、というように計画しております。以上で す。 ○武谷座長 サリドマイドを安全に使用するに当たり、第三者の評価機関が必要である ということで、那須先生を中心として第三者委員会を立ち上げる予定です。ただいまの 那須先生のご説明を含めて、TERMS全体、安全管理システム、どのポイントでもよろ しいのですが、ご発言、あるいはご質問いただけますでしょうか。 ○七海委員 薬剤師会の七海と申します。9頁で院内処方に限るということです。これ に異を唱えるわけではないのですが、いまの分業の時代に当たって、いわゆる骨髄腫の 患者がそれ以外の薬を飲まれている場合には、院内ですべて出されると、保険上はその ようになってきます。そうすると、薬価基準に掲載されるとなるとなおのこと、院内で 同日にサリドマイドだけ、それでほかの薬は院外というのは認められていませんので、 その辺は保険上どのように考えればいいのかなと。決して院内で管理するのに反対では ないのですよ。ただ、骨髄腫の患者もほかの医院にも行かれるだろうし、そういう総合 的なものに対して、どのような対策ができるのかなというところです。 ○武谷座長 現在、病院では医薬分業といいまして、原則として処方せんは病院外、院 外処方で調達していただくと。ただ、医学的事由がある場合にはその限りでないという ことなのですが、それが医学的正当な事由とみなされればよいわけですね。そうでない と、保険診療上、混乱が生じるおそれがあるかということですが、これは厚生労働省の 方にお答えいただいたほうがいいのでしょうかね。 ○安全対策課長 ご指摘の点については、この会議を開催するに当たり、事前にお伺い した際もご指摘いただいている点です。これについて、保険のサイドにもどのような手 立てがあるのかということも検討いただいておりますが、基本的にはルールはルールで きちんと守れという話がベースにありますので、現実に本当に同日付で両方出すことが できないのは、これは原則として変えられないというお話と聞いております。その中で、 患者のご不自由は相当出てくるケースがあるということも考えなければならないという ことですので、実際に院内での対応で、日にちを変えて薬剤を出していただくというこ となど、工夫の道を探っていくということが現状とれる方法ではないかとは考えており ますが、著しく患者にとって不都合な場合について、またさらなるお知恵がないかとい うこともご検討いただければとは考えております。現状で、なかなかこうすれば大丈夫 という名案がすぐ出てくるという状況ではありませんが、これまでも実際にそういう複 雑な薬剤の処方調剤をやっていただいている実績もありますので、その中でのやり方を できる限り使っていくということも1つの道ではないかなとは考えています。 ○武谷座長 七海委員のご発言はもっともだと思いますが、いまのお答えだと患者の身 体的な医学的事情に応じて、個別的に担当医が患者とも相談して判断いたすということ で、いかがなのでしょうか。 ○七海委員 それはよく理解しております。やはり安全性がいちばん大事です。しかし ながら、TERMSとS.T.E.P.S.の説明もしていただきましたが、大きく似ていると言わ れますが、相当違うのではないかと我々は認識しているわけなのです。院内に限るとい うのが永遠に続くのか、FAXでなしに電子的にうまく安全を確保する方法はないのか、 引き続き検討していっていただきたいなという気持を込めて、骨髄腫の患者がほかの科 とかサリドマイドを飲んでいるということで、また重複した投薬が院外で出た場合に、 薬剤師もちゃんと「妊娠したら駄目なんですよ」ということを言わなければいけないの です。これはそのように何とか頑張っていきたいとは思いますが、院内にとどまるから といって、薬局は無視はできない。発売できますよと。薬剤師・薬局にも全部こういう 情報は流さなければいけないと考えております。 ○武谷座長 やはり本来の安全性、安全管理を旨とするわけですが、一方でこれによっ て恩恵を受ける患者に治療を妨げるような著しい不都合を与えてもいけない。この両方 を考えながら、この薬を用いていただくことになるのではないかと思います。 ○上甲委員 先ほど課長がおっしゃいましたが、例えば日を変えて薬を処方するという ことは、2回病院に行かないといけないということで患者に非常に不都合が起きること は、重々ご承知のことだと思いますので、分かっておられるとは思うのですが、試運転 をされたときに8つの施設でやられていますが、こういう問題は出てこなかったのでし ょうか。院外処方、院内処方という問題は、薬剤師の先生であるとか、血液の先生から は何か出てこなかったのでしょうか。 ○中尾参考人 今回、協力いただいた先に関しましては、特に問題としては出てこなか ったのですが、院内処方ということに対して、「すべての薬を全部こちらで用意しないと いけないですね」というコメントなどはありました。 ○上甲委員 武谷先生、そうしましたら先ほどおっしゃいましたように、医療上で必要 なことはということを、こういうことに決まったら、それはどういう格好で指導してい ただけるのかわかりませんが、そういうご配慮はいただきたいと思います。それは個々 の病院で判断しなさいねということではなくて、ご配慮いただきたいと思います。お願 いいたします。 ○久保田委員 東京大学の久保田でございます。リスク管理の問題というか、リスクマ ネージメントをして、いままで使えなかったような薬を使えるようにするというのは世 界的な動きだと思うのですが、その中でいつも言われているのは、リスクを最小限に押 さえ込むことが非常に重要なのだけれども、同時にその薬を必要とする人の薬へのアク セスを妨げることがあってはならない。簡単に両立しないことをいかにして両立させる か、ということがいちばん重要であると言われています。  細かいところを全部言うと、とても時間がありませんが、どうも私はこのTERMSを 見ているときに、アクセスを妨げないためにどうしたらいいかという観点が若干欠けて いるのではないかという気が、どうしてもして仕方がありません。特にいちばん大きな 問題と思うのは、処方の際にFAXの受信と送信が都合5回は絶対に必要であるという のが、いまのTERMSです。まず、患者から藤本に行く。それから、医者と患者が一緒 になって、また藤本に行って、そこから今度、藤本から処方医に対してFAXが行く。今 度、薬剤師からFAXが藤本に行く。藤本からまた薬剤師に行く。都合5回の受授が行 われるというのは、はっきり言って極めて煩雑です。これはS.T.E.P.S.には全くないほ どの煩雑さであって、患者のリスクを最小化するという意味で、これほどの煩雑さが本 当に必要なのかということに関しては疑問があると思います。  もう1つは、第三者機関などで評価に当たっては、そういう煩雑さがないか、あるい はこの部分は必ずしも必要のない煩雑なものであるというところが、きちんとピックア ップできるような、単に守られているかどうかだけではなくて、それによってアクセス が妨げられることがないか、あるいはあまりにも複雑なので、うちの病院はサリドマイ ドの納入はできないと、そのようなことが出てくることはないのか。その辺をきちんと やっていただければと思います。 ○武谷座長 久保田委員のご発言も、至極もっともかと思うのです。ただ、一方で未曾 有の不幸を引き起こした薬剤ではありますので、万全の安全策を講ずるべきというお気 持、議論もよく理解できます。そういう薬がもう一度世に出るというのは画期的なこと かと思います。そういう意味で、ここのスタンスとしては慎重の上にも慎重というよう にいたしたいと思います。具体的に、いまのFAX5回を4回とか3回にできるかどうか というのは、検討の余地はあるのでしょうか。担当者にお答えいただけますか。これは このシステムの骨格にかかわるので、そこはもう変えられないのか、そこは省力化でき るのか、その辺はいかがなのでしょうか。 ○安全対策課長 これまでの試運転等で、そういうご指摘が出ていることは、今日のご 説明にも出ているところです。それは紛れもない事実です。ただ、多大なご苦労の中で、 ようやくここまで来ている仕組みですし、これを動かしたときに本当にちゃんと動ける、 守れるものなのかという視点での話が確かにあります。それだからこそ、久保田先生が ご指摘のように、第三者評価委員会のほうで守れているのか、あるいは守る上での障害 は何なのかということについてもお調べいただくというご提案は、非常に重要なポイン トではないかと思っております。現時点において、私どもとしてはまずこれでスタート して、これをきちんと動かしていく中で、適切な改善ができる余地は、当然あって然る べきだとは考えております。ただ、あまりにも困難で、このままでは動かないというご 指摘が、もっともなご指摘としてあるのであれば、その点について検討することは、お そらく吝かではないのだと思います。いまのところFAX5回という非常に手間のかかる 形でやるというところで、ここまで話が来ていることも事実です。スタートはそこでい ってはどうかなというように、私どもとしてはいま考えています。 ○武谷座長 ご説明のように、FAX5回か4回か、あまり細かいことをそこまで言うの もどうかと思うのですが、それを大前提としてここまで話が進んできたということで、 いまここでその根底を揺るがしてもいかがかと思いますので、当面はこれで進めていた だいて、どうしても実際にこれでは患者の治療に役立たないということがあれば、いろ いろな方に加わっていただいて、広範な議論をいたすということにしたいと思いますが、 ご了解いただけますでしょうか。 ○上甲委員 FAX5回は多いです。5回とひと括りで言ってしまうとすごく多いのです が、患者が病院に行く前に1回、医者が1回、薬剤師が1回、あと2回は藤本製薬さん からだという説明は、実はうちの会員にも私どものメーリングリストでしています。と いうのは、5回は多い、何で5回なのだという質問が患者からも出ているのです。「それ は理由があるんですよ。1回目はこうこう、こうなのですよ。それにはこう必要なので すよ。でも、将来的にもずっとこうではないですよ。それは第三者評価委員会がありま すから」と、私たちもずっと繰り返し患者に説明をして、「とりあえずこれで始めてみな ければ、机の上でいくら一生懸命やっても」というのは、私たちもずっと患者に伝えて います。この遵守状況と確認冊子の中身は、だいぶスリムになっているのです。同じこ とを何回も何回も聞くなということが試運転の中でも出てきていますので、これでもと 言うと藤本製薬さんに申し訳ないですけれども、随分必要なことだけ網羅されていると 私たちは思っています。 ○武谷座長 世間一般からすれば、確かに5回というのは法外な回数かと思います。た だ、繰り返して申しますが、この薬の過去の出来事に鑑みますと、そこは当面目を瞑っ ていただいて、ご協力いただき、この薬を利用できるようにすると。そちらのほうを優 先いたすほうがよろしいのではないかと思いますが。 ○佐藤委員 いしずえの佐藤です。いまのことに関連して、資料5の「サリドマイド製 剤安全管理基準書(案)」の中の後ろのほうに、FAXをするときの様式が出ています。 とくに様式23について藤本製薬さんにお聞きしたいのですが、患者さんは毎回の診察 の前にこの用紙に記入して自宅からFAXをすることになっています。このチェック項目 というか、質問項目を見ますと、知識を問う部分と実際に避妊をしたかどうかという部 分が混在しています。1番と3番は知識を問うているのですが、2番と4番は避妊に関 する実際のことを聞いているのですね。どうしてこういう項目を選ばれたのか、意図と いうか、考えを教えていただきたいのです。また、その後の医師と患者が確認してFAX を送る様式24や、薬剤師と患者が確認してFAXをする様式27の項目についても、何 を重視して、この項目は医師と確認する項目の中に入れて、この項目は薬剤師と確認す る項目に入れるとしたのか。どのようにしてこういう項目を選ばれたのか、お考えをを お聞きしたいのですが。 ○中尾参考人 まず様式23の患者に送っていただく様式については、患者に必ず分か っていただかないといけないこととして、1番、3番。あと先ほど言いましたように、 実際のところが2番、4番にしています。これもいろいろ社内でも検討はしたのですが、 なるべく答えやすいように工夫はしたつもりではあります。ですから、聞かれることと 答えること、聞かれることと答えることと、あえてそういう順番にしているところはあ ります。  そのあとの医師の部分と薬剤師の部分になりますが、様式24、25、26と様式27、28 の2グループあります。これに関しては、まず毎回の処方・調剤において、患者に必ず 確認したり、知っているかどうかを聞かなければならない項目をすべて挙げて、その中 から毎回必要であるだろうという項目を選んで、それを医師に確認してもらうのがよろ しいのか、薬剤師に確認してもらう内容でいいのかということで振り分けました。先ほ ど上甲委員からもありましたように、初めのころは質問内容が、重要だから、両方に確 認してもらおうということもあったのですが、これは基本的にはどちらか一方にお願い しようということで、それを答えるにふさわしい方のほうに質問をしていただくという ように分けました。  その中でも、どうしても医師にも薬剤師にも確認していただきたいことについてだけ、 1項目ずつですが、催奇形性に関する部分と、妊娠する可能性のある女性患者の妊娠検 査についてだけは、医師と薬剤師で二重確認していただいておりますが、それ以外は質 問の内容で、医師に聞いたほうがよいだろう、薬剤師に聞いたほうがよいだろうという ような形で分けさせていただいております。 ○佐藤委員 いまの点も含めて、TERMSの詳細など、いろいろ疑問や意見があるので すが、今日はもう時間がないようです。この点に関して、次回までに意見を紙の形でお 出しすることは可能でしょうか。 ○安全対策課長 もちろん可能ですし、細かな点も含めて改善のためのご提案をいただ くのは、大変助かると思います。 ○佐藤委員 それは、パブリックコメントという形とは別の形でよろしいのですか。 ○安全対策課長 現状、パブリックコメントというか、ご意見募集ということでホーム ページに載せているものにもいろいろご意見をいただいていますし、これもまたご披露 しようと考えております。それに加えて、むしろご意見募集の場合は細部にわたるとこ ろについて、出すのにふさわしくないとお考えになっている場合もあると思いますし、 かなりテクニカルな部分についていろいろご指摘いただくというのもあるのであれば、 それもできるだけ漏らさず入れて、この場で検討することは十分可能かと思います。 ○佐藤委員 パブリックコメントではなくて、この検討会の委員からの意見書という形 で、よろしいですか。 ○安全対策課長 形は全然こだわりません。 ○佐藤委員 分かりました。 ○武谷座長 どちらでも、差別して取り上げるつもりはないので、同等に扱うという姿 勢で、当然臨みたいと思います。 ○佐藤委員 もう1点、第三者評価機関のことについてお聞きしたいのですが、評価委 員会の委員の構成を具体的にどのようにお考えでしょうか。いしずえとしては、ここに いしずえの代表者と骨髄腫患者の会の代表者が当然入るべきだということを以前申し上 げたのですが、いかがでしょうか。 ○安全対策課長 我々行政はもちろんのこと、被害者の代表の方、また患者の代表の方 を考えております。 ○増山委員 いしずえの増山です。よろしくお願いします。私もこのTERMSの中に小 さいものも含めるといくつか質問があって、今日はもう時間がないので、例えば次回ま で、こういったことが分からないということで、それはまとめるか何かしてお出しする という形をとったほうがいいのかなと思っていました。いま申し上げたいのは、被害者 という立場で、1つここは念を押したいというところがあります。サリドマイドは、い ま今日の検討会の中で、その副作用について何度かいろいろな方からご説明がありまし たが、ただ1つ私の気持として確認したいのは、副作用の中でも、もちろん催奇形性に よる四肢の欠損というのが代表的な副作用と言われるところです。ただ、いちばん大事 なのは、胎児だったので被害者数には入っていませんが、サリドマイドの場合は手足な どのものだけではなく、当然、心臓とかいろいろな内臓にも、手足に起こったことが起 こるので、いちばん大きな副作用はやはり死亡で、大体1,000人以上被害に遭って、約 300人が生き残ったと言われている日本で最初の薬害事件です。  当時、もちろん未知の副作用だったということはいちばんの問題ではあったと思いま す。ただ、この未知から既知に移行する段階で十分に対応ができなかった。薬の回収が 行われなかった。海外に比べて、明らかに対応が不十分だったことによって、被害が増 大したという経過は明らかだと思うのです。そういったことで、もちろん副作用そのも のも問題だったけれども、副作用情報が十分に提供されなかったということが、当時か なり問題で、本当に死亡が多かった、あるいは十分な対応がされなかったということで、 これは副作用という被害を超えているので薬害と呼ぼうではないかということで、最初 に薬害と呼ばれた医薬品による副作用の健康被害であるということを、いま一度ご確認 いただきたいということです。  それから、このように申し上げると恐縮ですが、例えば昨年、肝炎などでも命のリス トがあって、それが十分公表されなかったという問題があったりして、サリドマイドは 被害が起きてから50年遡るわけです。だけど、日本ではいまでも副作用が起きたとき に、十分に情報が伝わらないことによって被害が拡大するということを、十分に回避し ていないという問題を抱えていると思うのですね。ですので、被害者側からすると、リ スクをマネージメントしてもらうということももちろん大事ですし、それがきちんと実 行されているかということを確認するという視点を持って検討していただきたいという ことです。  それから、私はここで今いちばん最後に言いたいところは、いま検討しているのは TERMSの安全管理システムがどうなっているかです。でも、この検討会はあくまでも 「再発防止のための安全管理に関する検討会」と銘打っているので、是非、次回の検討 会で厚生労働省、国としてサリドマイドの安全管理をどう考え、国はどのように再発防 止に努めるかというお考え、あるいは具体的にこういうことを考えているといったこと を是非表明していただければと思います。サリドマイドだけがこういった重篤な副作用 を持っているわけではないという話もあります。ただ、実際、現在はいろいろな治療法 ができて、リスクの高い医薬品が以前よりも求められるという現状もあるので、是非こ のサリドマイドの安全管理システムを考えるときに、ほかの副作用の強い薬もどう扱わ れるべきかという、そういう足掛かりになるような、試金石とまではたぶんこれだけで はいかないと思いますが、そういう眼差しの中で議論していただければと思います。以 上です。 ○安全対策課長 大変大事なご指摘・ご意見、ありがとうございました。TERMSを中 心として検討していただいている場ではありますが、全体として、トータルとして、ど うやって被害を繰り返すことがないようにするのかということについての考えをよく詰 めさせていただいて、いまの時点で考えている我々としてのできそうだと思っているこ とも含めて、次回ご説明させていただきたいと考えています。 ○上甲委員 時間がないところ、すみません。短く話します。増山さんがいま言われた こと、私たちは非常に重く受け止めています。でも、ずっと膝を付き合わせて、いしず えさんとやっていますから、私たちはとてもよく分かっています。副作用ではない、薬 害である、情報も共有されなかったことによって、薬害を受けられたことが多いという ことを重々知っています。だから、普通の薬剤だったらあり得ない、個人情報を製薬メ ーカーに持っていただく。それが患者だけでなくて、パートナーの個人情報まで持って いただく。基準書を読まれた患者の中で、涙が出たという方がいらっしゃいました。で も、「これはサリドマイドだからなんですよ」と、私たちも一生懸命私どもの会員さんに は伝えていますし、そういう気持でここまでやってきましたし、これからもやっていき たいと思っていますので、それは知っていてください。 ○増山委員 私自身は、この安全管理システムは誰でもが患者のためにあると、本当に そう思っていますので、患者の安全を担保するための大事なシステムだと思っています ので、そういう気持で私も議論に参加したいと思います。 ○武谷座長 増山委員の言われたこと、非常に重要なことだと思います。我々の善意で やっている行為ではありますが、医療というのは全知全能のものではないので、結果と していろいろな不幸な事態、予期せぬ事態を引き起こすこともある。我々のやらなけれ ばいけないことは、過去のいろいろな苦い事例を謙虚に反省して、そこから学んだこと をこれからの医療、薬物治療に活かすと。そこに人類の知恵を働かす意味があるのでは ないかということです。これは何もサリドマイドに限らず、すべての医療に言えること で、すべて増山さんの指摘されたような思いで、日々医療に励んではいるわけです。そ れは私たちの基本的なスタンスでもあります。TERMSを作ってこれで事足りるとは決 して思ってはいないのです。ただ、具体的に何か可能なステップを模索しなければいけ ないということで、このTERMSの善し悪しを考えていただきたいということになるわ けです。  資料5の様式23で、アンケート調査について、佐藤委員からちょっとご指摘があり ましたね。確かに順番が、まずサリドマイドのジェネラルな知識を、2つでいいのかど うかわかりませんが、ここで基礎知識を学んでもらう。次に、妊娠に関することが2と 4に飛んでいますよね。これはまとめたほうがいいのではないですか。それで、最後に 3の実際、薬を使う際にこのように注意してくださいというほうが、読みやすいのでは ないかと思います。佐藤委員の指摘も、そのような意図もあったのではないかと思いま すが、そうしたほうがアンケートを書くほうはわかりやすいと思います。 ○中尾参考人 はい、承知しました。この辺については試運転のときの意見も取り込ん でいますし、今後も患者ですとか、さまざまな方の目を通していただいて、ご意見は随 時反映させて、どんどんレベルアップはしていきたいと思っております。 ○武谷座長 予定された時間をこれでほぼ消費してしまったのですが、最後に皆様から 全体的なことで何か是非この場でご発言なさりたい方があったら、お受けしたいと思い ます。また、パブリックオピニオンという形で、皆さんに広く、さまざまな立場でご意 見を賜るようになっておりますので、委員という立場、あるいはそれを外れて、ご自由 に発言させていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。予定さ れた議事はこれで終了して、今日、貴重な意見をたくさんいただきましたので、今後の 議論の参考にいたしたいと思います。本日はいろいろご協力いただきまして、ありがと うございました。最後に、事務局のほうからご報告をお願いします。 ○安全対策課長 皆様、長時間ご苦労さまでございました。本日の議事録については、 ご出席の皆様のご了解を得た上で公表させていただきたいと考えておりますので、よろ しくお願いいたします。次回に向けて、先ほど来TERMSについてのいろいろな指摘、 注文、ご意見、これをお出しいただけるというお話がありました。これについては、私 どもはなるだけその対応とかお答えも準備をしたいと考えておりますので、できました ら今週中に事務局のほうにいただけますと、対応が速やかにできるかなと思いますので、 ご協力よろしくお願いいたします。  次回の検討会ですが、9月4日(木)16時から2時間、予定をしております。場所等 の詳細については、追ってご連絡を差し上げたいと思います。 ○事務局 大変申し訳なかったのですが、参考資料4について印刷ミスがありましたの で、再度、印刷したものを入口に置いておきますので、お帰りの際に適宜お持ちいただ ければと思います。委員の方にはお配りいたします。 ○安全対策課長 事務局からは以上です。 ○武谷座長 これで終わらせていただきます。皆様方、どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局安全対策課     03−5253−1111