08/08/25 第50回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第50回) 開催日時:平成20年8月25日(月)13:30〜 開催場所:厚生労働省共用第7会議室 出 席 者:井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、川端委員、小畑委員、今村委 員、宮本委員、本寺委員、松田委員、寺山委員、谷川委員 ○井原部会長  ただ今から独立行政法人評価委員会第50回の労働部会を開催させていただきま す。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にあり がとうございます。今日は全員がご出席でございます。  それでは、初めに事務局から本日の議事について説明をお願いいたしたいと思 います。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事につきましては、対象法人の暫定評価または最終評価を中心に各法 人ごとに審議を進めていきたいと思います。これに伴い、本日の部会の途中で事 務局の入れ替えを行いますが、ご容赦くださいますようお願いいたします。  まず、労働者健康福祉機構、勤労者退職金共済機構及び高齢・障害者雇用支援 機構についてですが、中期目標期間の暫定評価または最終評価についてご審議い ただきます。  まず、暫定評価の対象法人ですが、今年度で中期目標期間が終了する労働者健 康福祉機構となっております。お手元の独立行政法人評価関係資料集の19ページ をご覧ください。ピンクの冊子でございます。よろしいでしょうか。  厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準というものがござ います。19ページになりますが、3、中期目標に係る業務の実績に関する評価の (3)の(1)に評価結果を次期中期目標策定等へ反映させる観点から、次の手順に より中期目標期間最終年度において暫定評価を行うこととするとされております。 そして、暫定評価に当たっては、各部会において法人からヒアリングを実施し、 本基準に基づき中期目標期間に係る1次評価を行った上で、総会において暫定評 価を決定するとされております。つきましては、これまでの各年度の業務実績の 評価等を基に起草委員の先生に暫定評価結果案を作成していただきましたので、 これについてご審議いただきます。  なお、今回の暫定評価結果案のご審議を踏まえて、今週27日水曜日に開催され る総会において最終的に暫定評価結果を決定することとなっておりますので、よ ろしくお願いします。  次に、最終評価の対象法人ですが、勤労者退職金共済機構と高齢・障害者雇用 支援機構の2法人となっております。これらの2法人につきましては、昨年度で中 期目標期間が終了しており、これに伴い、暫定評価、そしてこの暫定評価の結果 を踏まえた組織業務全般の見直しを既に実施しております。  それでは、お手元の資料集の309ページをご覧ください。  独立行政法人通則法第34条第1項において、独立行政法人は主務省令で定める ところにより、中期目標の期間における業務の実績について評価委員会の評価を 受けなければならないとされており、これを根拠に行われるものとなっておりま す。  そしてまた、次にお手元の資料集の19ページをご覧ください。  ページなかごろの(3)の(2)になります。中期目標期間終了後、(1)の暫定評価 結果を踏まえつつ、次の手順により最終評価を行うこととするとされております。 そして、最終評価に当たっては、必要に応じ、各部会において法人からヒアリン グを実施し、本基準に基づき中期目標期間に係る1次評価を行った上で総会にお いて最終評価を決定するとされております。つきましては、これまでの各年度の 業務実績の評価等を基に起草委員の先生に最終評価結果案を作成していただきま したので、これにつきましてご審議いただきます。  なお、先ほど資料集に沿ってご説明申し上げたとおり、最終評価につきまして も、暫定評価と同様に部会で案をご審議いただいた後に総会にて最終的に最終評 価結果を決定することとなっておりますので、よろしくお願いします。  次に、これに加え各法人個別の議題ですが、労働者健康福祉機構、高齢・障害 者雇用支援機構、雇用・能力開発機構、労働政策研究・研修機構につきましては 役員の退職金に係る業績勘案率の決定についてご審議いただきます。  議事については以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、最初の議題に入りたいと思います。まずは暫定評価案、最終評価案 の作成につきましては、起草委員の先生方にお忙しい中ご尽力いただきまして、 どうもありがとうございました。初めに、労働者健康福祉機構に関する議事につ いて審議いたします。  まずは中期目標期間の暫定評価案についての審議です。最初に、法人から中期 目標期間の業務実績について15分ほど説明をいただき、次に起草委員から10分程 度の暫定評価案についてのご説明をいただきます。そして、最後に質疑応答とい う流れにしたいと思います。  それでは、法人から暫定評価書別紙、暫定評価シートに沿って業務実績のポイ ントについて15分程度の説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  労働者健康福祉機構総務部長の谷中でございます。それでは、よろしくお願い いたしたいと思います。  資料1−1の8枚目から評価シートになっていますが、それでご説明してまいり たいと思います。  まず、1ページ目をご覧いただきたいと思いますが、実績報告というところの 部分を説明してまいりたいと思います。1ページ目はマネジメントの強化のとこ ろでございます。経営基盤の確立に向けて16年度から19年度まで実施したことを 載せております。(1)のところをご覧いただきたいと思いますが、各年度理事長か らの取組指示文書を毎年度全ての職員に対して配布しているほか、(3)のところに なりますが、院長会議、技師会総会等各種会議で経営基盤の確立に向けた指示を 行っております。  それから、(3)の19年度のところをご覧いただきたいと思います。個別評価でも ご説明したように、医師・看護師の確保、それから医療機器の整備、先行投資に 重点的に19年度は取り組んでおります。このことについて繰り返し院長会議を初 めとした各種会議を開催いたしまして、経営方針を理解させております。  2ページをお開きいただきたいと思います。  (4)のところをご覧いただきたいと思いますが、各年度の終わりごろ、予算のた めの病院協議というものを毎年度実施しております。そして、経営状況の改善の ために18年度、19年度は上半期の実績に基づきました各病院の当初計画の見直し を行っております。それから、(5)のところでございますが、各病院の体制整備と いたしまして、経営企画課を設置しているところでございます。それからまた、 (6)のところでございます。経費の節減のために本部主導の下、診療材料、それか ら高度医療機器の共同購入を始めているところでございます。  それから、2ページ(2)のところでございます。人事給与制度の関係でござい ますが、平成17年度は医師以外の職員給与2.5%カットしたところでございます。 それから、18年度につきましては、個人別役割確認制度の導入、それから勤勉手 当につきましては、施設別業務実績の反映を導入しております。それから、管理 職手当の定額支給というのを18年度実施しているところでございます。  次に、3ページの2の一般管理費・事業費等の効率化でございますが、2の(1) の表のところをご覧いただきたいと思いますが、一般管理費については15%削減 が中期期間の目標でございました。これにつきましては、19年度12.1%まで削減 を進めているというところでございます。  それから、4ページをお開きいただきたいと思います。事業費のほうでござい ます。上のほうの表でございますが、こちらのほうは5%削減という目標でござ いましたが、19年度で既に9.3%の削減という形になっております。それから、4 ページの下のほうでございます。医療リハビリテーションセンター、総合せき損 センターの交付金率の削減ですが、これを5ポイント低下させるということにな っております。15年度が5.6%でしたが、19年度は4.6ポイント下げているところ でございます。  それから、5ページの(2)でございます。人件費の削減関係でございますが、 医療の質や安全の確保の観点から医師・看護師の増員を図らざるを得なかったと いうこともございまして、17年度に比べると人件費の増加というものが見られる わけでございますが、労災病院の事務職、技能業務職を中心にアウトソーシング による人員削減を行ったほか、給与につきましても18年度のところに出ています ように、期末手当の支給月数の削減、それから管理職加算の削減、こういった期 末手当の削減等を行っております。それから、19年度につきましては、人事院勧 告における給与引き上げ改定、こういったものは未実施ということで進めており ます。こういった削減努力、今後も行革推進法の趣旨を踏まえて縮減に努めてま いりたいと考えております。  続きまして、6ページをお開きいただきたいと思います。  労災病院の再編でございますが、これにつきましては、中期目標どおり5病院 を廃止いたしまして、4病院を2病院に統合しております。そのほか休養施設、労 災保険会館の運営業務の廃止を行っております。  それから、7ページ、業績評価関係でございますが、BSCにつきましては17年度 から1,000の部門にわたって本格実施をしております。さらに個人別役割確認制 度、SWOT分析なども取り入れまして定着に努めているところでございます。それ から、業績評価委員会を設置いたしまして、評価結果の公表を行っているところ でございます。  次に、飛びまして10ページをお開きいただきたいと思います。  勤労者医療の関係でございますが、予防、研究、地域連携3分野をまとめまし た勤労者医療総合センターを設置して取り組んでまいりました。研究の関係でご ざいますが、(1)の(1)のところをご覧いただきたいと思いますが、平成16年度 に労災疾病研究センターを設置しまして、研究計画を策定し、平成19年度のとこ ろでございますが、報告書をまとめているところでございます。そして、個別の 研究につきましては、これはご覧いただければと思いますが、アスベストだけち ょっとご説明いたしますと、17年度にアスベスト問題が発生したわけでございま すが、研究分野をそれまで12分野だったわけですが、新たに立ち上げまして、早 期診断法の確立の研究を行ってまいりました。そして、19年度までにアスベスト 関連疾患の臨床像を明らかにしているところでございます。  次に、16ページをお開きいただきたいと思います。  一番下のアのところでございます。研究関係でございますが、労災疾病等研究 開発普及ネットワークを構築いたしまして、臨床データ等を集積するなどととも に、イのところになりますが、普及を図っているところでございます。そして、 イのところでございますが、20年度から普及ということもございまして、19年度 に普及計画検討委員会を設置いたしまして、普及計画の承認を行っております。 それから、その下のデータベースのほうでございますが、アクセス件数が13万件 を超えておりまして、中期計画の10万件の目標を超えているところでございます。  18ページをお開きいただきたいと思います。  アスベストを中心に労災病院、医師等に研修を行ったほか、それからiiiのとこ ろでございますが、学会発表も中期目標を超えて実施したところでございます。  すみません、20ページをお開きいただきたいと思います。  過労死予防等の推進の項目でございます。(2)のところをご覧いただきたいと思 います。相談指導件数でございますが、実施時間帯の配慮とか満足度調査の結果 を反映させ、工夫を行うことによりまして、相談指導件数、19年度で中期目標を 超えたところでございます。それから、利用者からの満足度調査のほうも3年連 続で90%を超えているところでございます。  次に、22ページをお開きいただきたいと思います。  地域医療支援の関係でございます。(3)の一番上の表をご覧いただきたいと思い ますが、利用者からの有用であったという評価でございますが、これは4年間70 %を超えた実績になっております。それから、その下の地域医療支援病院、地域 がん診療連携拠点病院、これも毎年度着実に増やしてきているところでございま す。  それから、その下のアのところでございますが、紹介率でございますが、19年 度は50%近くまで持ってきたということでございます。それから、症例検討会・ 講習会の参加人数、受託件数でございますが、症例検討会のほうは中期計画を大 幅に上回っておりまして、受託件数のほうも6万件が目標でございましたが、10 万件を超える検査件数の実績を残しているところでございます。  次に、24ページをお開きいただきたいと思います。  高度専門医療の提供ということでございます。私ども労災病院グループ、急性 期化を進めてまいりました。在院日数のほう、右の(4)のところでございますが、 16.1日まで縮めてきております。それから、7対1の導入も5施設導入をしている ところでございます。救急搬送患者数につきましても、19年度は6万8,000人を超 えるという状況でございます。それから、地域医療連携パス、それから急性リハ ビリテーションの推進にも努めてまいりました。それから、25ページになります が、専門センターの数も19年度129施設まで増やしてきているところでございま す。  続いて、26ページをお開きいただきたいと思いますが、労災看護専門学校でご ざいますけれども、こちらでは勤労者医療に関する特別講義を含む新カリキュラ ムの導入を図っているところでございます。それから、その下の医師の確保の関 係でございますが、臨床研修指導医の育成、指導力の強化のための指導医講習会 を19年度から開催いたしておりまして、採用者数、それから後期研修制度の採用 者数はご覧のとおり増えてきているという状況でございます。  続きまして、28ページをお開きいただきたいと思います。  患者満足度調査の関係でございますが、こちらは70%以上の目標でございます が、19年度は80.6%という状況でございます。それから、病院機能評価の受審も 進めているところでございます。また、医療の標準化ということでDPCの導入も ご覧のように進めているということでございます。それから、安全面では平成16 年に医療安全チェックシートというものを作成しております。  それから、29ページになりますが、平成18年度から労災病院をグループ分けい たしまして、グループ間で相互チェックを行うという仕組みを導入しております。 それから、平成19年度には労災病院における医療事故の発生状況をホームページ 上、一括公表しているところでございます。  続きまして、30ページをお開きいただきたいと思います。  行政機関等への貢献ということでございますが、アスベスト関係ではアスベス ト疾患センターにおきまして検診、それから相談、アスベスト小体計測検査、こ ういったものを精力的に実施してきております。アスベスト以外でも国の設置す る各種委員会へ出席しているほか、労災認定に関する意見書の提出も迅速化に努 めたところでございます。  それから、31ページ、医療リハ、総合せき損センター関係でございますが、社 会復帰率が80%以上の目標を超えているところでございます。  続きまして、32ページをお開きいただきたいと思います。  海外勤務健康管理センターでございます。33ページをご覧いただきたいと思い ますが、センター利用者が指標となっております。各種広報、それから電子メー ルによる相談など工夫をいたしまして、中期期間の目標が6万5,000人ということ でございましたが、19年度で6万3,000人を超える利用者を得ていると。それから、 4年間有用であった旨の評価が90%を超えているという状況でございます。  続きまして、34ページをお開きいただきたいと思いますが、海外巡回健康相談 ですが、こちらも4年間90%以上の有用度を得ているところでございます。  続きまして、36ページをお開きいただきたいと思います。  産業保健推進センターでございます。こちらのほうですが、アスベスト問題、 それから鳥・新型インフルエンザ等時宜を得た研修を行いまして、研修方法も実 践的研修を積極的に導入しております。こういった取組をいたしまして、37ペー ジの上のほうにございますが、19年度で中期目標に示された件数を超えている状 況になっております。それから、3番目、4番目の表になりますけれども、研修相 談の有益であった旨の評価も4年間とも90%を超える状況になっております。  続いて、39ページをお開きいただきたいと思いますが、産業保健推進センター の情報提供でございます。ホームページのアクセスが指標になっておりますが、 こちらのほうも19年度まで合計で313万件を超えております。大幅に中期目標を 超えている状況でございます。  続きまして、42ページ、43ページをお開きいただきたいと思います。  産業保健推進センターが取り扱う助成金の関係でございますが、43ページの上 の表でございます。助成金の手続の迅速化に努めまして、支給までの期間につい て目標を達成したところでございます。  続きまして、44ページをお開きいただきたいと思います。  未払賃金の立替払事業の関係でございます。これは平均30日以内というのが中 期目標でございましたが、事務処理方法の見直し、支払い回数の拡大、ホームペ ージ等を活用した情報提供の充実の取組を行いまして、19年度は25.6日まで短縮 をしているところでございます。そして、求償にも力を入れているところでござ いまして、それは45ページのほうに記載させていただいております。  続きまして、46ページをご覧いただきたいと思います。  リハビリテーション作業所の関係でございますが、こちらは社会復帰率が指標 になっておりまして、18年度に26.0%ということで目標の25%を超えておりまし て、19年度は30.4%ということになっております。また、作業所につきましては 合理化を図りまして、平成19年度2カ所の作業所を閉鎖しているということでご ざいます。  それから、47ページ、納骨堂の運営業務でございますが、表のほうをご覧いた だければと思いますけれども、17、18、19年度90%を超えた評価を得ているとい うことでございます。  続いて、48ページをご覧いただきたいと思います。  財務の関係でございますが、1の(1)のところでございます。平成16年度から 18年度におきまして当期損益でございますが、収支相償に向けまして欠損額を着 実に縮小させてまいりました。ただ、これは個別評価でもご説明したとおり、平 成19年度でございますけれども、診療報酬のマイナス改定の影響が抜け切らなか ったということと、中長期的な観点から診療体制の整備、強化を行う必要があっ たということもございまして、経常損益の改善幅が10億円にとどまらざるを得な かったと。当期損益につきましては、臨時の損益がございました関係から平成18 年度に比べると5億円の悪化になったということでございます。そして、これに ついては20年度につきましては、診療体制の整備、強化による成果があらわれる ものというふうに考えているところでございます。  次に、52ページをお開きいただきたいと思います。  第7の(2)人員に関する計画でございますが、運営費交付金を充当した常勤職 員でございますが、720人というのが中期目標になっておりますが、19年度745人 まで削減をしているところでございます。  それから、53ページ、営繕関係でございますが、施設別の保全台帳の整備によ りまして、建物機能向上、それから長寿命化を図ったほか、省エネルギー対策も 実施しているところでございます。  以上で4年間のご説明を終わらせていただきます。 ○井原部会長  それでは、引き続きまして、労働者健康福祉機構の起草委員を代表いたしまし て、堺委員から10分程度で説明をお願いいたします。 ○堺委員  それでは、暫定評価結果案のご説明をいたします。資料1−1に沿って申し上げ ます。  まず、この暫定評価では労働者健康福祉機構の平成16年から19年の中期目標期 間4年間の業務実績を評価したものでございます。全般的な評価につきましては、 この資料1−1の1ページから2ページにかけて記載してございますが、順に申し上 げますけれども、当法人は労働者の業務上の負傷または疾病に関する療養の向上 及び労働者の健康の保持増進に関する措置の有効な実施を図ることなどにより、 労働者の福祉の増進に寄与することを目的としておりますが、この目的を達成す るため、中期目標が4年経過した中でいかに効率的かつ適正に業務を実施したか を評価いたします。  まず、労災病院等の研究開発については、平成16年度に研究開発体制を整備し、 計画に沿って研究開発を行ってまいりました。さらにアスベスト問題に即応し、 労災病院グループの蓄積された知見の下、アスベスト関連疾病分野を新たに立ち 上げるなど社会情勢への対応をしつつ、平成19年度においては労災疾病等13分野 の全ての研究成果を取りまとめました。これらの研究成果につきましては、学会、 学術等への発表や行政機関等への情報提供により広く普及に努めるなど当該分野 における我が国のモデル医療等の発展に貢献していると言えます。  次に、産業保健関係者への取組として、産業保健推進センターにおいて事業効 果を把握する実態調査に基づき、研修、相談の質と利便性の向上に努め、また、 ニーズに応じた新たなテーマの研修を積極的に実施するなど産業保健関係者の知 識向上を図る努力を行っております。また、新潟県中越地震や能登半島地震など の災害発生時、アスベスト問題発生時に相談体制を整備するなど社会情勢に適切 に対応したことは高く評価できます。その他労災病院につきましては、4年間で 144億円の損益改善が行われたものの、平成19年度は平成18年4月の診療報酬の大 幅なマイナス改定の影響や経済環境の悪化に伴う資金運用環境のマイナス圧力、 医師・看護師不足の急速な進展の中、診療体制の整備、強化を行ったこともあり、 損益改善にペースダウンが見られたところであります。これらを踏まえまして、 当法人の業務実績全般を評価いたしますと、中期目標、中期計画を達成した項目 も見受けられ、全般的には適正に業務を実施したとして評価できるものと考えま すが、留意事項として2点指摘いたしたいと存じます。  まず、第1に労災病院事業は勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であ りますとともに、地域医療の中核的医療機関である場合が多いため、地域の医療 機関等に研究成果の普及を図りつつ、地域連携を強化し、事業を進めていくよう 期待いたしたいと思います。第2に労災病院の財務内容についてさらなる損益改 善を図るため、収入確保、支出削減についてこれまで以上の改善と工夫を行うこ とが必要であります。  続きまして、具体的な評価について2ページの最下段から6ページにかけてでご ざいます。  組織運用体制の見直しにつきましては、職員への経営方針の浸透を図る取組と ともに、各施設への経営指標と継続的なフォローアップなど経営改善に努めてい ることは評価できます。また、医師を除く職員給与カットの継続や施設別業務実 績による勤勉手当の増減など職員給与の見直しを図っていることも評価できます。 一般管理費については、対15年度比で12.1%節減し、事業費については対15年度 比で9.3%節減するなど効率化が図られ、取組が着実に進んでおります。労災病 院の再編については、地域医療の確保、受診患者の診療、療養先の確保、職員の 雇用の確保等に配慮しつつ、円滑に処理を行い、労災病院の再編計画における廃 止統合を完了したことは評価できます。労災疾病に関わる研究開発については、 さきに述べたとおり、労災疾病等13分野の全てについて研究成果が取りまとめら れましたところから、今後の国内外に対する効率的かつ効果的な成果の普及が期 待されます。勤労者に対する過労死予防、メンタルヘルス不全予防、勤労女性の 健康管理対策については利用者のニーズにこたえるため勤労者の利用しやすい時 間帯に相談を実施するなどの取組を行った結果、中期目標期間4年目にして中期 目標を達成するなど大きな成果を上げております。今後も引き続き効果の検証を 行いつつ、積極的な取組を期待いたします。  高度・専門的医療の提供については、初期研修医の集合研修や労災看護専門学 校における新カリキュラムの導入等の取組により、優秀な人材の確保・育成に努 めております。また、高度医療機器の計画的整備による専門的治療の積極的推進、 医療安全確保のための改善計画書の策定、労災病院間医療安全相互チェック、医 療事故・インシデント事例のデータの収集・公表など良質で安全な医療の提供に 資する取組を実施していることを評価できます。  行政機関等への貢献につきましては、アスベストによる健康被害に対し、アス ベスト健診や相談対応に取り組んだほか、医師に対する研修の実施、労災認定に 必要な石綿小体の計測等、要請に応じて積極的に取り組んだ点は大いに評価でき ます。また、労災疾病研究開発普及事業等を通じて得られました医学的知見に関 する行政機関等への情報提供につきましては、今後ともより積極的に行うことを 期待いたします。  産業保健関係者に対する取組につきましては、産業保健推進センターにおいて 事業効果を把握するための実態調査を行い、利便性の向上を図るなどにより中期 目標に掲げられた数値を上回る実績を上げました。また、災害アスベスト問題な どの社会情勢に対し、迅速かつ適切に対応したことも評価できます。今後は勤労 者に対する情報提供に努めるとともに、業務の一層の効率化等を図ることを期待 いたします。  助成金事業については、助成金の効果的・効率的な支給のため、申請受付期間 の延長、支給回数の増加、申請様式のプレプリント化などの実施により、事務処 理期間の短縮が図られ、中期目標期間4年目にして中期目標に掲げられた数値目 標を上回る実績を上げました。また、支給対象事業場に対する実態調査、不正受 給が発覚した場合の事業所名公表など不正受給の防止に努めていることも評価で きます。今後は効果の把握に努めつつ、さらなる業務の迅速化を図ることを期待 いたします。  最後に6ページの財務内容の改善についてでございます。  労災病院については、さきに述べましたとおり、平成16年度から19年度までの 4年間で144億円の損益改善が行われたものの、平成18年4月の診療報酬の大幅な マイナス改定の影響や経済環境の悪化に伴う資金運用環境のマイナス圧力に加え、 医師・看護師不足の急速な進展の中、医療の質の向上と安全の確保のための診療 体制の整備・強化を行った結果、損益改善にペースダウンが見られたところであ ります。今後良質な医療サービスの提供に十分配慮しつつも、経営基盤の確立に 向けた取組を一層強力に実施することが必要であります。  ご説明は以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今のご説明いただきました業務実績の報告につきましてご質問、 また地域目標期間の暫定評価結果につきましてご意見等がございましたらお願い したいと思います。 ○篠原部会長代理  財務を担当しているから数値のほうでちょっと質問したいんですけど、一般的 にこういう評価で前から感じているのは、コストが出てこないというんですかね。 いろんなやったということは分かるんですけど、そろそろその事業をやったこと に対するコストとか時間というのは次のキーというんですかね。そろそろその辺 の必要性が出てきたんじゃないかなということと、バランススコアカードを例え ば導入しているということは、かなりあれ細かいことで、たしかコスト把握も要 求しているんじゃないかなと。それで、バランススコアカード自体の効果はある んですけど、それにどのぐらい時間がかかったとか、その辺のコストを全然出て こないんですよね。やっぱりそろそろ病院事業については、当然したコストと効 果と比較しなくちゃいけない。いわゆる公の仕事はそこまでやる必要はないと思 うんですが、ある部分は要るんです。  次に質問したいのは、前から僕、財務の関係で言っている労災病院と運営費交 付金でやっているところで私どもに見せていただくのは一体になっているので分 からない。だから、ここでいろんな業績を言っているんですが、これは運営費交 付金でやった事業なのか、どっちなのかよく分かんないんですね。労災病院の収 益でやっているのか。だから、その辺もより厳密な評価をしようとしたらば、そ ういう情報もいただけないだろうかという気がするんですが、ちょっとこの評価 と関係ないから、それを書いてもらうのは難しいかもしれない。ちょっとその辺 お願い。 ○労働者健康福祉機構理事長  ただ今ご指摘いただきましたように、病院事業につきまして私ども目下の医療 環境を考えますと、やはり効率的な医療の推進、結局はコスト管理もしっかりや っていかないと診療報酬等が抑制にこれからも推移していく中で、病院事業、地 域の医療ニーズにこたえることは大変厳しい環境になってきていると思っていま す。そうしたことから部門別に原価計算等々実施して、各診療科ごとにいろんな コスト管理も行ってきておりまして、幸い今までバランススコアカード等々の活 用実績がありますので、また5年の節目を迎えまして、その辺の実績を振り返り ながらコスト管理についてより本質的な管理ができるよう工夫してまいりたいと 思っています。  それから、労災病院等他の交付金事業との峻別でございますが、確かに私ども の事業実績をご説明する中で労災病院はもう九十五、六%が自前収入でございま すけれども、産業保健推進センター等は交付金によって運営されて、その辺の峻 別をしっかり分かりやすい形で示していかなくちゃいかんと思っています。その 辺はまた資料の整備に当たって留意させていただきたいと存じます。 ○堺委員  ちょっと補足をさせていただきます。このコストの把握というのは非常に重要 でございまして、ただ、正確に把握しようといたしますと、病院の場合ですが、 どうしてもタイムスタディをやらないと個々の疾病別あるいは部門別のコストが 正確には出てまいりません。そこが時間、費用、手間のことがあるので按分で行 いますと、どうしても誤差が大きくなってまいりますが、ただ、私の経験でもタ イムスタディは大変時間とお金がかかりますが、これをやりますと、全体の赤字 が大きなときにはやっぱりよく分からない、全体が赤字ですと。ですから、黒字 化できたときに行いますと大変効果が高いということを経験しておりますので、 本機構も大分今は収支を改善してきておられますので、そろそろそういうことも お考えいただいてもいいかなというふうに考えます。 ○川端委員  この評価の人事で、今後の留意事項で優秀な人材の確保に一層努力することを 期待するということをうたっていますが、今、素人目に見ても新聞等で医者や看 護師、確保が非常に難しくなっているというふうに聞きましたけれども、この機 構のほうではそのためにどういう方向性で考えられているのか、ちょっと今後の ところをお聞かせいただければと思います。 ○労働者健康福祉機構総務部長  医師の確保は非常に悩ましい問題でありまして、最も力を入れている部分でご ざいます。私どものほうとしては、いろいろ各種採用のためのセミナーに出席し たり、あるいは各大学の医局に働きかけたりとかそういうことはもう常々やって いますし、それから、先ほどもちょっとご説明しましたけれども、臨床研修です ね。そのやり方の充実を図ったり、あるいは後期臨床研修のプログラムといいま すか、その点もいろいろ魅力あるものにしていきたいと、そういったことで医師 の確保を図っていきたいというように考えております。  それから、ぼつぼつ出てきているところもあるんですが、医師確保が厳しいと ころではインターネットの活用なんかも始めているところもございます。非常に 厳しい中ですが、そこは一生懸命やっていきたいと思っております。 ○労働者健康福祉機構理事長  ちょっと補足させていただきますと、目下の情勢の中で医師の確保というのは 最大課題でございますけれども、やはり病院の魅力、医師から見た魅力をつけて いかなければならないということが大変重要な課題になっています。やはり特定 の有名病院に医師が集中するというようなことがよく報道で言われていますけれ ども、やはり計画的な医療機器の整備をして、やっぱり最新の医療、質の高い医 療を展開できるという形をつくっていくこととか、その病院の理念に魅力のある 理念を提示していくとか、やっぱりそういった基本的な取組が医師から見ても評 価されるものをつくり上げていかなくちゃいかんと思うんですね。私ども幸い勤 労者医療の中核的役割を果たすと、こういう理念を持っておりますけれども、や はりこれもより常に時代に合った形の中身をもって理念を裏づけていかないと、 古い典型的な職業病だけが労災病院のイメージに定着しちゃいますと、なかなか ドクターから見た魅力というものが出てこない、そういう問題を抱えながら努力 を重ねているところでございます。 ○松田委員  労災病院33カ所ありますよね。33カ所全てが中核病院ではないと思うんですよ。 だから今後の四、五年で再編成があるのか、あるいは民間の総合病院と一体とな るのか、その辺はどうですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  目下この中期目標期間中にいわば統廃合、廃止も含めまして7病院の整理を行 ってまいりました。その結果、目下残っております病院、30病院になりますけれ ども、これらについてはそれぞれの地域で中核的な役割を果たす立場に立たされ ている。地域の医療ニーズをある意味では受け止めてそれを基盤にして機能を整 理し、展開するという仕組みを負わされていると思います。  ただ一つ例外がございますのは、今回の統合の中で美唄労災病院と岩見沢労災 病院、これは新しく統合して北海道中央労災病院という形にしたんですけれども、 やはりこれは近接していますので、そういうところはもう美唄労災病院を北海道 のいわばせき損医療の中核になってきていましたので、せき損医療に特化する形 に再編成して、ヘリコプターなんかが美唄労災に集中する、こういう形でいわば 地域の総合的な病院というものから抜け出してせき損医療に特化して効率的な運 営を図るというような工夫をしてきています。今そういう形で特定部門に特化で きる労災病院というのは、美唄労災病院以外にはちょっとなかなか地域の医療ニ ーズから見て難しいかなというふうに受け止めております。 ○松田委員  こんなことを言っちゃうとおかしいと思うんですけど、一般の総合病院は内科 とか外科とかありますよね。労災病院の最も特徴とするものは一体何なんですか。 基本的なことですけど。 ○労働者健康福祉機構理事長  それは個々の病院ごとに特徴を申し上げていかなくちゃいけませんけれども、 ひとくくりで申し上げれば今まで働く人、職業と疾病との関係等について豊富な データを蓄積しながら、それに基づくいろんな知見を根っこに置いて勤労者の疾 病の予防、治療、そしてリハビリテーションを通じた職場復帰と、こういう医療 全体を通じて勤労者と関わっていこうと、こういうことを最大の特徴にしている わけですね。だから、そういう意味では特にこの診療科ということはそれぞれの 病院によって、生い立ちによって違います。例えばさっき例で申し上げました岩 見沢、北海道中央病院ですと呼吸器が極めて強い。北海道の中でいわばじん肺等 の問題については一手に引き受ける形を展開しているわけですね。あるいは北九 州にあります九州労災病院のようになりますと、伝統的に整形外科が極めて強い。 外傷センター等を設けてかなり地域のそういった整形の高度な医療を展開すると、 そういうそれぞれの病院が特徴は持ちつつありますが、基本的にはもちろんほか の医療機関と機能分担、連携を図りながら労災病院の持つ強みをその地域の中で は生かしていくわけでございますので、ある意味では先生おっしゃるような、今 はもう総合病院とは余り言いませんけれども、総合病院に近い運営がされている 形になっております。ただ、個々に見ると特徴がそれぞれ皆ここは何に強いとい う特徴を明快に持っております。 ○谷川委員  むしろ事業年度評価のときに申し上げる点だったのかもしれないんですけれど も、今の議論ですと、総合病院ですとか地域の中核病院というような位置づけも 設けておられるということになりますと、逆にリスクとか心配とかという世界で 申し上げると、ちょっと変になるかもしれませんが、最近やっぱり医療過誤をめ ぐる問題とかいろいろ出てきていますので、この辺の対応はやっぱりしっかりと やっていかないといけないんじゃないかなというふうに思っておりまして、もち ろん本来医療でミスがあったときの補償等々は、これはしっかりすべきだろうと 思いますけども、聞いております範囲では必ずしもそうとも思えないケースもご ざいますので、こういった体制についても今後一つのテーマになるんじゃなかろ うかというふうに思っておりますので、ぜひその点はご留意いただきたいという ふうに思います。 ○今村委員  これは中期計画期間の暫定評価ですよね。ということは5年間ぐらいの中期的 な視野で見るということだと思うんですが、これは資料1−1の暫定評価結果の4 ページの(2)の勤労者医療の中核的役割の推進というところで、13分野というのが 決められていると思うんですが、その13分野については当面それについての評価 というんですか、このままでよろしいとか今後どうするべきかということについ て、すみません、ちょっと触れられているかどうかというのを確認していただき たいのと、というのは先ほどの松田委員の発言とも関係するんですが、中核とい うことの裏づけには、やはりその分野での研究の積み重ね、それによる高度な医 療ということが関係すると思うんですが、はっきり申し上げてどちらかというと ブルーカラーというか、現場の職場での疾病に関する強みはおありになるんでし ょうけども、心理的な部分とかメンタルヘルスの部分でどの程度の研究実績とい うか人材を確保していらっしゃるのか。長期雇用を前提とした組織の中で、変化 をしていくというのはなかなか難しいかもしれませんが、どれだけ新しいニーズ に対応していくことができるのかということは重要な問題ですので、お答えいた だければと思うんですが。 ○労働者健康福祉機構理事長  勤労者医療の中核的役割を果たすというときにおっしゃるとおりだと思います。 勤労者医療というものの定義は医療の予防から治療、リハビリ、社会復帰、そう した全段階で勤労者の職業生活を守るというふうに私ども理念を掲げているわけ ですけれども、これは時代とともに背景が変化していくものでございまして、や っぱりおっしゃるとおりで疾病構造が大きく変わってきている。働く人の考えて いる健康問題も物すごく変わってきていますので、今13疾病の中でももちろん伝 統的なまだじん肺等も過去のものでは決してなくて、数多く新規発生もしていま すけれども、やっぱり一方で私どもメンタルヘルスの問題は横浜労災病院がメン タルヘルスセンターを設置して、全労災病院の中核になって、インターネットで の早期発見の仕組みを医師が関与しながら開発したり、あるいは脳血流の変化に よるうつ病のいわば早期発見とか、そういう形でメンタルヘルスのほうも重点研 究の一つになっています。また、働く女性の健康問題についてもこの中で母性管 理の研修等出ておりますけれども、同時に働く女性の専門外来等もかなり広めて きていまして、ここもやはりもうかなり先まで予約が埋まるような感じの展開を していまして、やっぱりそういうものをこれから時代の変化に合わせて勤労者医 療というものの在り方を考えていかないといけないんだろうと思います。特に労 働力人口が大きく減少していくことが目に見えている中で、働く人たちが治療と 疾病とのジレンマを抱えているんですね。やっぱり職場でなかなか治療しづらい、 治療に通っている間に職場にいづらくなる、企業のほうも何となくやめてもらう、 そういう人たちを何とか医師の的確な治療計画を前提に支えていけたらなという 思いはございますけれど、まだその辺まで行けるかどうかというのは、今もこう いう情勢のなかでドクター自身になかなか予測のつかない状況でもありますので 難しいんですけれども、ただ、そういう理念に対するあこがれは現場の先生方が 大分持ち始めていることは事実でございます。 ○井原部会長  ちょっと1つ教えていただきたいんですけど、聞くところによりますと、国立 病院のほうは黒字化したというふうに聞いているんですが、それで労災病院の場 合はそこまで行っていない、それの理由ですね。どういうふうにお考えなのか教 えていただきたいんです。 ○労働者健康福祉機構理事長  個々の病院ごとにご覧いただくと活発さにおいては労災病院は決して引けはと らないと思っています。幾つかの理由、収支相償という意味ではもう果たした形 になっていますが、幾つかの理由がございます。例えば一つは減価償却費が労災 病院の場合、国立病院よりもかなり高い形になっています。これは過去つくられ てきた労災病院の施設、建物等がかなり一病院当たりの病床数が多い形で、旧産 炭地区、工業地帯に使われてきた。それがその後の産業構造の変化の中である程 度施設は残っているという意味で何ポイントかずつ減価償却比率が医業収入に対 してある程度高くなってきているという問題が一つあります。これが一つござい ます。  それから、もう一つは退職金の問題です。積み立て方が独立行政法人移行前は 国家公務員で来て、今も身分は国家公務員でございますが、その積み立ては過去 の分は国の負担、我々は過去の分から積んでいる、そういう部分がございます。 それから、今回サブプライムの影響等で退職金の問題が出てきていますし、特に 厚生年金基金の資産の目減り、我々費用計上しなくちゃいけませんけれども、こ れが国立病院の場合は共済組合、国家公務員の共済組合のほうの問題ですから、 そういう費用計上は一切やらないとか、いろんな違いで私どもの費用計上額が多 くなるという宿命にございます。その辺をならしていくと多分私どももほぼ収支 相償のところのラインに来ているんじゃないかと思うぐらいの状況にございます。 ○井原部会長  そこは数字でちゃんと素人でも分かるように整理しておいてくださったほうが いろいろ質問が出るんじゃないかと思うので、そういうふうになさったほうがよ ろしいかと思いますよ。 ○篠原部会長代理  先ほど理事長がいわゆる医者とか病院の魅力あるということと、谷川委員の医 療事故の関係をちょっと質問したいんですが、かなり病院事業以外に労災病院は 研究をやったりいろんなこと、学会へ出たりということでちょっと我々興味があ って、一切報告されていないのが医者の就業状況ですかね。残業がどのくらいと か、その辺でこんなことを言うと怒られるけど、事務方の場合は今一時的に大変 だけど、将来見れば楽だなと。医者の場合は長期的に大変になっちゃうので、厚 生労働省がワーク・アンド・ライフバランスと言っていますよね。そういう部分 で今医療関係はかなりきついなということがあるので、そういう調査はやられて いるんですか。この費用は削減するわ、それぞれ働けと、そういう方法が我々に 来ていて、すばらしいなと感じているけど、ではその労働環境はどうなのかとい う部分が報告にないんですよね。ここに報告する必要があるかどうかとあるんで すが、その辺今どんな状況。 ○労働者健康福祉機構理事長  これは大変痛いところでございます。正直申し上げて、決してほめられる実態 にはございません。各医師、もちろん看護部門等々を含めて全体の残業超過勤務 の状況というのは把握しております。大変危惧すべきラインにあることは、また データ等は整理しましてご覧いただきたいと思いますが、大変危惧すべき状況に ございます。特に救急等に熱心な病院にあっては、かなり。ですから、経営基盤 強化主体ということで、この経営基盤を強化するというのはある意味では患者数 を確保するか、手術件数を増やしていくかとか、そういう対応になるわけですけ れども、ある意味では独立行政法人移行後、間もなくそういった経営基盤を強化 して、その上で使命を支えていくんだということに同調してくれて、あとで正式 に述べるんですけれども、勤務状況がそういう状況ですから、ゴムの伸びきった ところの姿にだんだん近づいてきて、引っ張ってもそうは伸びない領域に入って きつつあることは事実です。だから、これが先生おっしゃるような医療の安全確 保に悪い影響を与えないようにしていかなくちゃいかん。これは大きい課題でご ざいまして、私ども病院同士で自分の目でなくて、他の病院の目も入れてチェッ ク体制を強化したり、いろいろ工夫していますけれども、これは今後も医療の安 全には最大注意していかなくちゃいかんところだと思っています。 ○寺山委員  4ページの中核的役割の推進のところで何人かの先生方もご指摘ですけれども、 この5年の間にアスベスト以外にメンタルヘルス、勤労女性の健康管理、いろい ろと取り組んだということは理解して非常に重要なことだと思いますけど、この 書きぶりですね。たしか今回は、19年度はご説明いただかなかったんですけど、 障害者の中に企業の中で働いていてうつになるという精神障害者が非常に多くて、 それが非常に大変だということで、労災病院と提携して、それでその問題を解決 するということを伺っておりますので、そういうアスベスト以外にここではメン タルヘルス不全の予防しか書いてありませんけれども、横浜労災での取組、疾患 そのものについての取組ですね。それから研究開発、治療、そういう面での取組 について、ここでもう一書きするということはいかがなものでしょうかとご提案 ですけれども。ちょっとご検討いただきたい。 ○井原部会長  具体的にはどこに入ると。 ○寺山委員  勤労者に対する過労死予防というところ。 ○井原部会長  5ページですか、5ページの何行目でしょう。 ○寺山委員  4ページ(2)のところで、労災疾患に関わる研究開発ですか、13分野となってい ますけれども、そこに具体的にアスベストとか。  4行目ですか。13分野の全てについて研究成果を取りまとめと書いてあります ね。13分野の中のイグザンプルとして労災疾病、何ですかね。文章はまた考えて いただいて、例えばアスベストの障害、それから企業の中でのブーツなどですか。 ですよね。 ○堺委員  よろしゅうございますか。今のご質問は第2段落の勤労者に対する過労死予防、 メンタルヘルス不全予防、勤労女性の健康管理対策等のことが挙げてございます が、これに加えてもう少し13分野全部を網羅したほうがよろしゅうございますん でしょうか。 ○寺山委員  いや、網羅ではなくて、ポイントとして特に今問題になっているうつとか、そ れから。 ○堺委員  このメンタルヘルス不全予防ということで、これ一応挙げてはいるかなとは思 いましたが、さらにそこを強調するということですか。 ○寺山委員  メンタルヘルス不全に対する治療予防とか、治療が入っていない。それから、 研究開発と治療が入っていないと具体的には思います。 ○堺委員  分かりました。先ほど機構のほうからのご答弁でも治療のことにも触れておら れたと思います。不全及び予防及び治療ということで、それでは。 ○寺山委員  不全に対する予防及び治療。 ○井原部会長  不全予防及び治療でいいんですか。それを入れればいいんですか。 ○寺山委員  はい。それを入れていただいて。 ○井原部会長  メンタルヘルス不全予防及び治療。では、そういう修正。  そのほかによろしゅうございますか。  それでは、ちょっと一部だけ修正がございます。もう一度申し上げますと、4 ページの(2)のところの第2パラグラフの最初、勤労者に対する過労死予防、それ からメンタルヘルス不全予防及び治療というふうに直しますということでござい ます。ということで、これは了承したいと思いますけども、よろしゅうございま すでしょうか。  それでは、そうしたいと思います。  それでは、最後に法人からコメントをいただければと思います。 ○労働者健康福祉機構理事長  大変ありがとうございました。私ども独立行政法人に移行しましてからの4年 間の業務実績、ご精査いただきまして、もろもろの課題を含めながら私どものこ れからのあるべき方向をいろいろとご示唆いただきまして、大変ありがたく思っ ております。これから先々に向けましてもご指摘いただいた方向に沿いまして労 働者健康福祉機構、独立行政法人としていい姿を実現させてまいりたいと思って おります。とりわけ労災病院が私どもの主軸事業になりますし、また環境が大変 厳しい中にございます。独立行政法人に移行しました際に収入のほとんどが診療 活動、自前でやっていくと、こういうことでいわば裸一貫、海へ飛び出したよう な状況の中からスタートいたしました。おかげさまで財務内容につきましては15 年度に191億というような欠損を抱えていましたものが19年度47億まで圧縮をい たしてまいりました。ただ、こうした経営努力と、一方では医療をめぐりますこ の診療報酬のマイナス改定、制度のたび重なる改変、そして医師・看護師等の需 給関係の極めて逼迫した状況という逆風もありまして、その両方を調和させてい くということが大変難しい、現場にも相当過酷な状況を生んでいる中にございま す。その辺十分留意しながら努力していきたいと思いますが、幸い各現場は頑張 っていただきまして、地域医療支援病院あるいはがん拠点病院等も独立行政法人 発足当時はまだ二、三カ所だったものがそれぞれもう10カ所を超えるところまで 伸びてきておりまして、皆地域の中で医療ニーズを受け止めていこうと、こうい うムードにございますので、示された方向に沿って努力いたしたいと思います。 20年度ご指摘いただいた中で財務内容、19年度がちょっとペースダウン、経常損 益は改善しておりますけれども、ペースダウンしたということもございますけれ ども、何とか20年度は、19年度に発生させた47億という欠損につきまして、ゼロ に近づけるべく最大限の努力をいたしたいと思っています。  ただ、1つご理解いただきたいのは20年度はこれにサブプライムの影響により ます厚生年金基金の資産運用の目減り分が我々は国立病院と先ほど違うというま さにそこで他の交付金によって運営されている独立行政法人とも違う自前財源で やっている分のつらさでもございますけれども、費用計上していなくちゃいかん という課題がございます。これを一気に医療現場の医療行為を通じて埋めろとい うことは、現場のモラール低下に著しくつながることもございますので、その辺 につきましては、ぜひ先生方のご配慮をいただきたい。47億については、これは もう限りなくゼロに近づける努力をいたしたいというふうに思っております。そ の辺ご理解をいただきながら、御礼に代えさせていただきたいと思います。本当 にありがとうございました。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、次に役員の退職に関わる業績勘案率についての審議に入ります。  まずは事務局から試算結果について説明をしていただきます。 ○政策評価官室長補佐  今般、労働者健康福祉機構より独立行政法人評価委員会宛てに役員の退職に係 る業績勘案率の算定について依頼がございました。この依頼に基づき、まずは事 務局において業績勘案率を試算させていただきましたので、その結果につきまし てご説明させていただき、次に皆様方にこの試算結果についてご審議いただきま す。今回皆様方にご審議いただき、決定した数値につきましては、その後、総務 省政策評価独立行政法人評価委員会に通知し、同委員会から意見があれば厚生労 働省独立行政法人評価委員会で改めてご審議いただきます。  それでは、お手元にございます資料1−2に沿って説明をさせていただきます。  労働者健康福祉機構からいただいた退職役員ですが、坂本理事となります。在 職期間は平成16年4月1日から平成20年7月31日までです。その業績勘案率につき ましては、法人の業績勘案率を次ページ、別添1の評価結果に基づいて計算しま すと、平成16年度は1.29となりまして、平均値の分類で言いますとY、対行うす る率は1.0となります。平成17年度につきましては、1.50となりまして、平均値 の分類はX、対応する率は1.5となります。平成18年度につきましては、1.50とな りまして、平均値の分類はX、対応する率は1.5となります。平成19年度につきま しては、業績勘案率が1.47、平均値の分類で言いますとYとなりまして、対応す る率は1.0となります。  次に、役員の在職期間のうちまだ評価が未実施の期間、つまり平成20年4月か ら7月までの間につきましては、その期間というものが平成16年度から平成19年 度までの実績と比較考量して同水準とみなすのが適当と考えておりまして、そう なりますと、平均値の分類がY、分類に対応する率としては1.0となります。そう しますと、業績の勘案率の計算式は(3)にございますように、1.23となります が、(4)にございますように、目的積立金を積んでいない等がございまして、 1.0を超える業績勘案率の決定は適切でないことから政策評価官室での試算は1.0 となっております。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございます。それでは、続きまして、この退職役員について在任期 間中の理事の担当職務等につきまして、法人から簡単に説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは、ご説明いたします。  退職役員は先ほどもお話にありましたように、坂本理事でございます。役職は 総括総務、職員、再編整備、業績評価担当ということで、総務は人事、組織等で ございます。職員は給与関係、それから組合関係の担当でございます。再編整備 は労災病院の再編整備ということでやっております。業績評価の担当期間は資料 にもございますように、16年4月1日から17年3月31日と20年4月1日から20年7月31 日という形で分かれております。在職期間は4年4カ月ということでございますの で、よろしくご審議をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは、ただ今の説明に関しまして、ご質問等がありましたらお願いいたし ます。 ○篠原部会長代理  この理事は運営費交付金で給与を払われているんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  そうでございます。 ○篠原部会長代理  今後の問題なんですが、先ほどの理事長の説明で全体の種類の95%は病院事業 と言っているんですが、そうすると、そちらの努力というものがうまく評価のほ うですけど、目的積立金と対応する赤字を減らしたとか圧縮したとか黒字にした とか、そういう部分の評価が実はここにないような気がするんですが、その辺は 評価では余り考えたことないんでしょうか。いわゆる病院事業を担当している理 事に対する評価じゃなくて、運営費交付金が主体ならば目的積立金を積んであれ ばそれを考慮するよということになっているんですが、それ以外をやっている人 はその部分考慮する分、赤字を減らしたとか黒字をこうやったとか、評価するも のがないような気がするんですが、その辺は検討されたことない、あるいはそん なの必要ないということで今まで来たんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  今までもご説明しているかと思いますが、目的積立金の関係、あと進行基準の 関係あるかと思いますけれども、やはりそういった形で総括なものですから、病 院、交付金両方関わってくるわけでございますけれども、ちょっと分けた形でと か、それで交付金の成績がどう、病院の成績がどうという形で考えていたという ことはちょっと今までやっておりませんでした。 ○篠原部会長代理  やっぱり赤字を大幅に減らすとか今後黒字にするというのもある意味での目的 積み立てに相当するようなところで何らかの配慮を僕はしたほうがいいような気 がするんですが、これは法律上のあれでないと思うんですけど、できないのかな という気もするけど。 ○労働者健康福祉機構理事長  ご指摘大変ありがたいとは思っているんですけれども、ただ、こういう独立行 政法人、公務員の場合も同じかもしれませんが、例えば独立行政法人で中期目標 で目標が決められている。何かそれを達成して当たり前、達成しなければ減ると いうことしか今まで頭になかったことも事実でございまして、その辺がどういう ふうになるのか、これは国のほうと相談していかなければならないことだろうと は基本的に思っていますので、またちょっと検討させてください。 ○井原部会長  ほかはよろしゅうございますでしょうか。 ○今村委員  これはほとんど質問なんですけども、計算方法はもちろんこれ16年3月30日に 決定されていまして、そのときに議論されていたでしょうし、この委員会で既に 議論は何回かされていると思うんですが、この方はこのX、Y、Zという軸を使わ ずに単純平均すると1.44なんですね。ということは、かなり1.5に近い1.44とい う評価なんですが、これを0.51というかなり低い平均値を達成しても同じ勘案率 1というのはあえて言葉をざっくばらんに申し上げれば、ほどほどに頑張って、 ほどほどに業績を残せばいいというインセンティブにならないかという心配が非 常にありまして、これは単なる質問でありますけども、余りインセンティブにな らないんじゃないかということをちょっとご質問です。 ○政策評価審議官  今の勘案率の問題を議論していただいておりますが、非常に難しい問題がある と思います。ちょっと個別の話は避けますけど、最近やはり勘案率の問題で計算 上1.5を今度超えてしまう問題がございまして、他方では今の総務省の独法法人 の委員会のほうでは逆に今まで最大認めた勘案率が1.1ということでございます。 この問題についてはまだ十分に全体的な整合性がとれていない可能性があります し、私どものやり方がいいのかということも問題として出てきてございまして、 これはもうちょっと大きな立場で見直す必要があるのかなと思っています。これ は宿題にさせていただきたいと思います。  他方、そういったことに関わらずにもし仮に今回の勘案率をどうするかという 場合につきましては、独法法人からの申出と、もしくはここの委員会の議論の場 で例えば推定として1.0が出てもそれを別の形にすることは可能になっておりま す。それは制度的にできる形になってございます。したがって、ここでのご議論 を踏まえて上げることは可能でございます。他方、先ほども申しましたように、 総務省の委員会のほうでは過去に1.1が最高の数字だったということもございま して、その辺の問題が非常に悩ましい問題としてあったということをご認識いた だきたいと思います。  以上でございます。 ○井原部会長  ということで今後の議論をしていただくということにしたいと思います。 ○谷川委員  実は退職金で理事さんといいますと、もう経営そのものに携わる方だろうと思 うんですが、世の中の一般的傾向というか、民間の一般的傾向なんですけど、ど んどん退職慰労金という形で払わないのが一般的になっておりまして、理由は幾 つかあるんですが、基本的には受け取る側から言いますと、調子が悪いともらえ ないことがあると。会社の業績が悪いと退職慰労金というのは株主総会の決議事 項になっているものですから、もらえない可能性があるというのもありまして、 それよりもやっぱり退職慰労金そのものの持つ経営と今いろんな形で評価をされ ようとしているんですけど、退職慰労金の持つちょっとどちらかというと、長い 間かけてという意味よりも1年ごとに承服してもらいたいということから、もち ろん慰労金を賞与の中に組み込むという形が一般的になっておりますので、なか なか既にこの独立行政法人の場合はいろんな前提条件がついていますので、例え ば理事さんあるいは理事長さんの収入については何か申し合わせみたいにあるレ ベルから超えないとかなっているんですけども、バランススコアカードを入れて きちっとした場合には思い切ったことをやらないとだんだんいい人もいなくなる と思いますので、将来に向けてぜひ、これは事務局にお願いなんですけど、やっ ぱりきちっと仕事をしてくれた人は退職慰労金という形にこだわらずにちゃんと 報酬で支払いを設けるというのがよろしいんじゃないかというふうに私は思いま すので、ぜひご検討いただきたいというふうに思います。 ○政策評価審議官  独法法人の絡みでは基本的にはその考え方は評価委員会もしくは総務省の委員 会などでいろいろ決めていくという最近の流れになってございます。事務局とし て私ども検討しますし、また総務省のほうにもそういう考え方、意見が出たこと についてはっきりと申したいというふうに思います。検討いただくこともお願い したいと思います。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、申請のあった業績勘案率につきましては原案のとおり1.0と決定す ることにいたします。  なお、先ほど事務局から説明がありましたとおり、この決定しました業績勘案 率につきましては、総務省の政策評価・独立行政法人委員会に通知をいたしまし て、意見の有無の確認を行います。それから、総務省政策評価・独立行政法人委 員会から意見がない旨、当委員会に通知された後ではこの1.0を当委員会として 厚生労働大臣に通知するということといたします。  では、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆様少々お待ちいただきたい と思います。 (事務局(所管課及び法人)入替え) ○井原部会長  それでは、再開したいと思います。  堺委員はちょっと緊急の電話が入っていますので、ちょっと時間に遅れます。  次は勤労者退職金共済機構の最終評価案について審議いたします。先ほどと同 様に法人から最終評価書別紙最終評価シートに沿いまして、業務実績のポイント について15分程度説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  勤労者退職金共済機構総務部長の清川でございます。  それでは、私のほうからご説明させていただきます。  それでは、お手元の資料の最終評価結果案の後についてございます評価シート に沿いましてご説明させていただきたいというふうに思っております。  では、まず第1ページでございますけれども、業務運営の効率化に関する目標 を達成するためにとるべき措置といたしまして、効率的な業務運営体制の確立と いうことで、各種変化に対応して効率的な業務を推進するために組織体制を整備 したところでございます。例えば15年度、適格退職年金の円滑な移行促進を強化 するための適格年金移行課を設置し、また17年度は業務システムの最適化に向け てプロジェクトチームを設置すると併せて、CIO補佐官を配置、また翌18年度に は総務部に最適化推進室を設置したところでございます。また、19年度は退職金 未請求者の縮減に取り組むために給付推進室を設置することを決定したところで ございます。  続きまして、2ページでございますけれども、ハの職員の資質向上を図るため ということで16年度に能力開発プログラムを策定いたしまして、それに基づきま して積極的に研修を実施しているところでございます。特に当評価委員会の指摘 を受けて中核的な人材の育成に力を入れてきたところでございます。また、下の ニのところにございますけれども、人事評価制度につきまして、17年度に導入し、 勤勉手当の策定あるいは人事異動等にその結果を活用したところでございます。 また、資金運用に係る人材育成の一環といたしまして、年金積立金管理運用独立 行政法人へ職員を執行させる等の取組を行ったところでございます。  3ページでございますけれども、内部進行管理の充実といたしまして、私ども 機構はPDSサイクルによって仕事を的確に進めているところでございますが、ポ イントとしてはロのところにございますように、役員等で構成いたします業務推 進委員会を開催いたしまして、そこで各事業本部の進捗状況の報告を受け、検証 するとともに、必要な措置を講じたところでございます。例えば予算執行状況を 見て経費削減を指示するあるいは加入促進についての強化を行うというようなこ とでございます。  それから、資産運用におきましては、ニのところにございますように、外部の 専門家で構成されます資産運用評価委員会を開催いたしまして、各毎年の結果に つきまして報告し、評価を受けて評価結果を公表しているところでございます。  4ページ一番下のところでございますけれども、いわゆる未請求・長期未更新 対策といたしまして、19年7月に関係役員、部長等で検討委員会を設けまして、 対応策の検討あるいは実施状況の検討を行ったところでございます。内容といた しましては、9月から退職金未請求者につきまして、事業主を通じて住所情報を 入手し、機構から直接請求を要請するあるいはフリーコールを設置して退職者か らの照会に対応するというような取組を進めたところでございます。  5ページでございますけれども、事務の効率的な処理ということで事務処理に つきまして点検を行って、必要に応じその見直しを行ったところでございます。 これによりまして、具体的には後ほどそれぞれの項で申し上げますが、経費の削 減あるいは業務処理期間の短縮等の事務の効率化等を図ったところでございます。  それから、6ページの下でございますけれども、システムコストの削減あるい は調達における透明化の確保等を図るためにシステムの監査、刷新可能性調査を 実施し、この調査結果を踏まえまして20年3月31日、最終年度でございますが、 業務システムの最適化計画を策定し、公表したところでございます。  それから、1枚めくって次の8ページをご覧いただけますでしょうか。  業務運営の効率化に伴います経費削減でございますけれども、随契の見直しあ るいは単価の見直し等を通じまして経費の削減を図ったところでございます。14 年度の基準額50億9,400万に対しまして、19年度決算額43億4,600万ということで、 そこの表にございますように、対基準額の比べた削減率14.70%ということで中 期目標あるいは中期計画において掲げております13%の削減を上回ったところで ございます。また、下のところでございますけれども、人件費につきましても俸 給表の見直し等を行いまして、17年度比3%以上削減を上回ります5.89%の削減 を行ったところでございます。  続きまして、9ページでございますけれども、サービスの向上といたしまして、 まず(1)の加入者負担の軽減でございますけれども、緒手続あるいは提出書類 の合理化を図るということで点検を行い、各種の見直しを行ったところでござい ます。また、10ページに書いておりますが、ハのところでホームページ等を活用 いたしまして情報の提供と併せまして、各種情報につきましてダウンロードして 使用できるように整理を行ったというところでございます。  それから、11ページでございますけれども、(2)の意思決定、事務処理の迅 速化といたしまして、機構のそれぞれの事業におきまして退職金の支給あるいは 契約審査の業務におきまして、それぞれ目標にしていた期間につきまして短縮を 期間中に達成したところでございます。なお、清退、林退につきましてはこの期 間中に45日から39日という形で削減を行ったわけでございますけれども、さらに これを建退と同様に削減するべきではないかというような当委員会のご指摘も踏 まえまして、それにつきましては、最適化計画の中で建退、清退、林退のシステ ム機能を集約し、帳票類を統一するということで次期期間中には39日を30日とい うことで、建退と併せての削減を図るというような枠組みを整備したところでご ざいます。  それから、13ページでございますけれども、情報提供の充実、それから加入者 からの要望等への適切な対応でございますけれども、まず1つはホームページに つきましては、より見やすく、かつ分かりやすいホームページにするということ でいろいろ工夫させていただきまして、表の8−1に掲げておりますように、アク セス数はかなり年々増加するということと併せまして、私どもの機構のホームペ ージにつきましては、日経BPコンサルティングが行った調査でも法人の中では上 位に選ばれるというふうになっているところでございます。また、ホームページ 上にご意見、ご要望等のフォームを新設し、寄せられた意見につきましては全て 当日または翌日に回答するというふうな取組をしているところでございます。  また、相談業務につきましても、的確な顧客対応に努め、また窓口にアンケー トはがきなどを設置いたしまして利用者の声を受け止める仕組みを充実させたと ころでございます。  それから、14ページでございますけれども、法人の業務の大きな課題といたし まして、加入促進対策を積極的に進めたところでございます。まず、加入目標数、 表9ということで表に掲げさせていただいておりますけれども、機構全体の被共 済者加入実績につきましては、加入目標の235万9,000人に比べまして、実績では 253万4,000人ということで達成率107.4%ということで目標を超える実績を上げ ているところでございます。特に9−2でございますけれども、中退共制度につき ましては、適年からの移行者が堅調だったこと、あるいは追加加入勧奨の効果等 もありまして112.2%ということで目標を上回る実績が出ているところでござい ます。  一方、建退共制度につきましては、期間中の目標につきましては概ね97.9%と いうことで若干下回るところになったところでございますが、そこに書いており ますように、公共工事がかなり減少傾向が続いたということ、あるいは建設業界 を取り巻く厳しい環境の中で、17、18、19でかなり厳しい状況であったというふ うになっているところでございます。また、清退、林退につきましては、それぞ れ厳しい状況が続いている中ではございますけれども、例えば清退におきまして は19年度初めて期間中加入目標を超える実績を上げることができたということ、 また林退につきましても、17年度に比べまして18年度、19年度と加入実績が上が っている状況でございます。  具体的な取組は15ページ以下に書かせていただいております。かなり長くなり ますので、ポイントだけご紹介いたしますと、広報資料による周知広報や各種会 議における加入勧奨に加えまして、17ページに書いておりますように、個別事業 主に対する加入勧奨といたしまして、普及推進委員による個別事業主に対する加 入勧奨を実施したところでございます。また、18ページの下のところでございま すけれども、建退共におきましては、関係事業主団体のみならず、工事の発注者 あるいは大手の元請け事業所と事業者等に対しまして未加入の事業所に対する加 入勧奨、制度周知等を要請し、また、清退、林退におきましては関係の団体の協 力を得まして、未加入事業所名簿を作成し、ダイレクトメール等に加入勧奨を実 施したところでございます。  25ページをご覧いただけますでしょうか。  財務内容の改善に関する事項でございますけれども、累積欠損金を承継いたし ました私ども機構といたしましては、これの早期の着実な解消というのが大きな 課題でございます。このため、17年度に累積欠損金の解消計画を策定し、これに 基づきまして解消に努めてきたところでございます。その各年度の解消状況につ きましては、表10−1で掲げさせていただいておりますけれども、中退共につき ましては承継額3,229億円余りが19年度1,563億円ということで、この期間中に 1,665億の解消を見たところでございます。また、中退共につきましては解消計 画によりまして、各年度ごとの目安、大体180億円というふうになっております ので、この第1期中におきましては、この解消目安額を上回る解消が進んだとこ ろでございます。林退共につきましても、21億継承計画後でございますけれども、 19年度では13億5700万ということで期間解消額7億8,000万ということで、対象目 安額それぞれの9,200万を超えた実績が出ているところでございます。ただ、19 年度につきまして資産運用において金銭信託の大幅な評価損ということもありま して、解消額が膨らんだというところでございますけれども、今後さらに収益の 改善あるいは経費の削減等を通じまして、計画の着実な実施に努めてまいりたい というふうに考えているところでございます。  それから、28ページでございますけれども、健全な資産運用でございます。各 共済事業の資産事業につきましては、中期計画にありますように、資産運用の目 標あるいは基本ポートフォリオ等を定めた資産運用の基本方針に基づき安全かつ 効率を基本として実施するということで努めてきたところでございます。その各 事業ごとのパフォーマンスにつきましては、29ページにそれぞれの給付経費ごと に、また自家運用、委託運用ごとにそれぞれの実績とそれから参考指標あるいは ベンチマークを表にさせていただいているところでございます。例えば29ページ の表11−7は中退共事業の給付経費についてのパフォーマンス状況をまとめさせ ていただいておりますけれども、これを見ますと、自家運用につきましては概ね 参考指標を上回ると。委託運用につきましては、17年度につきましては大体ベン チマークを6.5ポイント上回るということで実績を上げたところでございますが、 逆に19年につきましてはベンチマーク1.5%、2.5ポイント下回るというような結 果になっております。それから、建退共事業も同様でございます。それぞれ特退 共につきましては、注のところに書いておりますように、自家運用につきまして、 独法化に際して有価証券等の資産を評定したわけでございますけれども、これは 時価と額面との差額を毎年度運用収入から償却しているということから参考指標 より劣後する傾向があるということでございまして、例えば11−8の一番右側の 建退におきまして自家運用の利回りが1.36%ということで参考指標1.53%を0.17 %下回っておりますが、これも例えば参考指標に準じまして額面から加重平均収 益率で見ると1.58%ということで参考指標を上回るというような傾向になってい るところでございます。このように概ねそれぞれの経緯ともちょっとでこぼこは ございますが、ほぼベンチマークと同等の成果を上げているところでございます。  なお、これにつきましては、ロのところにございますように、各年度に30ペー ジのロ、下のところにございますように、各事業年度ごとに事業本部の資産運用 結果について資産運用評価委員会での審査、評価を受けているところでございま す。この評価結果といたしましては、4共済事業ともに市場の状況を踏まえて資 産運用の基本方針に沿って適正に行われたという旨の評価を受けているところで ございますが、さらに留意が必要ということで幾つかの指摘を受けてございます。 これは下のひし形のところで、ここから次のページにかけまして書かせていただ いておりますが、この指摘を受けまして例えばリバランスルールの策定でござい ますとか、あるいは次のページの最初に書いておりますが、委託運用のパフォー マンス改善に向けた努力等々に努めてきたところでございます。  それから、32ページの第4でございますけれども、その他業務運営に関する事 項といたしまして、積極的な情報の収集及び活用ということで、事業主団体ある いは労働組合の有識者を参与に委嘱いたしまして、参与会を開き、各種要望等を 受けたところでございます。例えばこの要望の中で適年管理移行における引き継 ぎ額の上限の撤廃というような要望につきましては、これを厚生労働省へ要請い たしまして、17年度に制度が開設されるというような結果が出ているところでご ざいます。また、各共済の加入状況等についての統計を整備し、ホームページに 掲載する等々情報提供の充実に努めたところでございます。  それから、33ページでございますが、建設業退職金共済事業の適正化というこ とで、33ページの下のほうの(2)に書いておりますが、就労日数に応じた掛金 の納付確保のための改善策の実施ということで、長期未更新者に対する退職金の 確実な支給を行うという観点から、34ページの(3)に書いておりますように、1つ は証紙購入高にかかわらず共済手帳の更新を2年間行っていない共済契約者につ きまして、把握できるようなシステムを開発し、それを活用いたしまして2年間 手帳の更新をしていない共済契約者に対しまして手帳の更新等の適切の処置をと るよう要請し、それから2年後に必要なフォローアップを行うというような取組 を進めているところでございます。  また、一番下のところに書いておりますが、ロといたしまして被共済者に対す る要請ということで、3年間手帳の更新のない被共済者につきまして、この住居 等は事業主を通じた把握をいたしまして、また無回答の事業所に対しては電話等 で2次調査をいたしまして、手帳の更新あるいは退職金請求等の手続をとるよう 要請したところでございます。  それから、35ページでございますけれども、上から3分の1のところのハのとこ ろにございますように、被共済者の重複加入のチェックということで、期間雇用 者でございますので、幾つか複数の手帳を持っているという方でございますので、 そういった方々に対しまして、実際の就労日数に見合った退職金を確保されるよ うにそういった重複加入につきましてチェックするシステムを構築したところで ございます。  以上、時間が余りございませんので、かなり駆け足で説明させていただきまし た。以上でございます。 ○井原部会長  それでは、続きまして、勤労者退職金共済機構の起草委員を代表いたしまして、 今村委員から10分程度で説明をお願いいたします。 ○今村委員  それでは、お手元の資料2、中期目標期間の業務実績の最終評価結果案をご覧 いただきたいと思います。  勤労者退職金共済機構の第1期中期目標期間は平成15年10月から平成20年3月で ありまして、その間の業務実績の最終評価案を申し上げます。  まず、1の(2)でございますが、中期目標期間の業務実績全般の評価でござい ます。機構は中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済 制度を確立し、もって中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与す ることを目的とする中小企業退職金共済制度の運営主体として設立されたもので あるから、その設置目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成 果が退職金制度への着実な加入及び将来にわたる確実な退職金給付にどの程度寄 与するかという視点が評価の中心となります。  さて、中期目標期間の業務実績につきましては、全体としては機構の目的であ る繰り返しますが、退職金制度への確実な加入及び将来にわたる確実な退職金給 付に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できます。ただし、以下5 点ほど留意すべき点を予め申し上げさせていただきます。  まず、(1)でございますが、加入促進につきましては、制度の安定的な運営のた め、第2期中期計画の達成に向けて平成20年度以降もさらに効果的な取組が求め られます。特に第1期中期目標期間中、全ての年度において目標が達成できなか った林業退職金共済事業については、事業活動の低迷等業界固有の問題はあるも のの、より一層の効率的かつ効果的な取組が求められます。  次、2番目に制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入でき るものであるためには、累積欠損金を解消することが重要であり、引き続き累積 欠損金解消計画の着実な実施が求められます。  次、(3)でございますが、中退共事業における退職金未請求者、特定業種退職金 共済事業における共済手帳の長期未更新者に対しては、被共済者への直接の要請 等を実施することにより、より一層の縮減を図ることが求められます。  次、(4)ですが、退職金共済業務に係る業務システムの最適化計画の実施と併せ た4事業本部一体となったさらなる事務処理期間短縮方策を検討するほか、区分 経緯、4事業別々の区分経緯となっているわけですが、それを前提として効率的 かつ柔軟な資産運用体制の構築、それから、競争契約の不断の導入による経費節 減などの業務運用のより一層の効率化に努めることが重要です。  最後に(5)ですが、職員の研修の充実や人事評価制度の活用など効率的かつ柔軟 な組織人員体制の確立は当委員会の指摘に基づいて、積極的に進めていただいて いるところでございますが、今後もより高い成果を得るために体制やその運用に ついて不断の見直しを引き続き行うとともに、それを具体的な成果につなげるこ とが重要と考えます。  以下具体的な評価内容について述べさせていただきます。  2ページの2ですね、具体的な評価内容でございますが、ポイントをかいつまん で申し上げます。まず、(1)業務運営の効率化についてでございます。  (1)効率的な業務運営体制の確立に関しましては、情勢の変化に対応した組織体 制整備や職員の資質向上のための積極的な研修の実施、資産運用の中核人材の育 成のための年金積立金管理運用独立行政法人への出向人事などを実施しているこ とが評価できますので、各種対策を引き続き見直していかれることを期待いたし ます。他方、業務方法の見直し等を通じて、必ずしも機構職員が実施する必要の ない業務等については、費用対効果を踏まえつつ、外部委託を拡大することを期 待いたします。  次に、(2)業務運営の効率化に伴う経費節減に関してでございますが、業務運営 全体を通じて、経費節減に向けた様々な取組を実施した結果、個人情報保護や業 務システムの最適化等、当初予定になかった必要経費を捻出したにもかかわらず、 一般管理費及び契約締結退職金給付等の運営費交付金を充当する退職金共済事業 経費に係る決算額は予算額を下回るものとなっており、中期計画の削減目標を達 成しておられます。今後ともさらなる競争契約の導入により、一層の経費の節減 に努めるとともに、職員の労働インセンティブの低下につながることがないよう 留意しつつ、人件費の削減に引き続き努めることを期待いたします。また、随意 契約の見直しにつきましては、計画に沿った競争契約の移行が行われているとこ ろでございますけれども、退職金共済業務に係る業務システム最適化計画の実施 状況等を踏まえつつ、随意契約によることが真にやむを得ないか否かを不断に点 検し、今後の取組を行うことが重要と考えます。  次、4ページのほうですが、(2)国民に対して提供するサービスその他の業務 の質の向上についてでございます。  (1)サービスの向上として加入者の負担軽減、医師決定、事務処理の迅速化につ いて中期計画の目標を達成したことは評価できます。今後業務システム最適化計 画策定に併せ、4事業本部一体となった確実な処理期間の短縮を期待いたします。 情報提供の充実等については、当委員会の指摘を受け、ホームページの見やすさ、 分かりやすさを改善したことや相談業務について訪問者の声を職員にフィードバ ックする体制の整備に取り組んだことは評価できます。今後も引き続き相談サー ビスの向上に向けてホームページ等を活用することにより、被共済者が直接情報 を入手できる仕組みを検討することを含め、取組の一層の拡充を期待いたします。  次、(2)加入促進対策の効果的実施につきましては、理事長を初めとする役職員 等による訪問活動、他制度と連携した加入促進対策等の積極的な取組により、第 1期中期目標期間における機構全体の加入者数の目標達成率が107.4%となったこ とは評価できますが、第1期中期目標期間における目標達成率を見ると、建退共 事業は97.9%、清退共事業は92.2%、林退共事業に至っては71.4%と目標を達成 できていないことから、これは各事業の産業・雇用状況と制度・政策の背景等ご ざいますが、なお一層の取組、努力を求められるところでございます。  次、5ページの3、財務内容の改善についてでございますが、累積欠損金の処理 につきましては、累積欠損金の具体的な解消年限、中期目標期間中の解消目的額 及び年度ごとに解消すべき累積欠損金の額としては目安額を設定した累積欠損金 解消計画、これを平成17年に策定し、これに基づいて経費の節減や収益の確保に 努めるなど累積欠損金の解消に積極的に取り組んだ結果、機構発足時に承継した 累積欠損金のうち、中退共事業に係るものは約3,230億円から平成19年度末の約 1,564億円に、林退共事業に係るものは約21億円から平成19年度末には約14億円 に減少し、中期目標期間中の解消目標額を達成したことは評価できます。今後と も引き続き資産運用に安全かつ効率的な運用を基本としつつ、累積欠損金解消計 画の着実な実施を努めていただくことを期待するところでございます。  次、(2)、6ページになります。健全な資産運用等につきましては、安全かつ効 率的な運用を実施する体制を活用し、各年度においては各共済事業ともに概ねベ ンチマーク並みの収益は確保してこられるところでございますが、今後はより高 い成果を得るために区分経理という制約を前提としつつも、より効率的かつ柔軟 な資産運用体制の構築を期待いたします。  次、(4)その他の業務運営についてですが、積極的な情報の収集及び活用、 建退共事業の適正化に関して、着実な取組が行われておりますし、中期計画の定 期的な進行管理に関しても、適正に実施しておられます。今後も計画の進捗状況 について入念な検証を行いつつ、着実な業務運営の遂行を期待いたします。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今ご説明いただきました業務実績の報告についてのご質問、そ れから中期目標期間の最終評価結果についてのご意見等ございましたらお願いい たします。 ○篠原部会長代理  先ほどの今村委員の報告で中退共以外が産業・雇用状況の状況がいろいろとあ って達成できないということなんですが、この関係を見ると、農林水産とか国土 交通とかいろいろと関係すると思うんですが、その事業を管轄しているところと しては。そことの将来の見通しの情報交換というんですかね、これはやられてお るんでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長  建退共でございますが、公共事業の所管省庁、主だったところは国土交通省で ございますけれども、その国土交通省との関係につきましては、掛金収納書とい うものを発注者からとっていただくと。公共事業の発注額の中には建退共の証紙 の交付費も入っているわけですね。確実にその購入費用が証紙の購入に使われて いるかどうか、それを確認するために掛金収納書を徴収していただいております。 それを今もかなり幅広く行っていただいておるわけですが、一部まだやっておら れないところもあります。国のレベルでは、あるいは都道府県レベルまではほと んど全てやっていただいておりますけれども、市町村になるとそれがまだ発注者 として必ずしも100%までは行っておりません。したがいまして、今後の対策と してはその掛金収納書の徴収をまだ徴収していない市町村に対しまして、確実に やっていただくようにお願いするとか、発注者と連携しながら確実に制度の普及 を図っていきたいと考えております。 ○篠原部会長代理  17ページのこれ普及推進の関係なんですが、清退共はずっと7人ということな んですが、僕は日本酒が好きですからいろいろと調べていると、蔵元は減ってい ることと、それからいわゆる杜氏の方が自由に生かしていると。恐らくこれは職 場移動型、労働者移動型の対象にしていると思うんですけど、そういう意味では、 もうそろそろここは清酒業自体は非常に重要で海外にも輸出しているということ なんですが、やっぱり全体の規模が少なくなっていることを考えると、この7人 が妥当かと、そういう検討はされたことはありますか。 ○勤労者退職金共済機構清退共事業本部清酒製造業事業部長  ただ今おっしゃったのは相談員でございましょうか。相談員につきましては、 全国の統治組合でございますけれども、全国の7ブロックの代表者が相談員とし て就任していただいておりまして、それで様々な清退共の加入促進についての活 動ですとか、そういうことをしていただいております。それを増やすということ は可能であるとは思いますけれども、今私どもはとにかく事業所数がほとんど 100%入っているような状況でございまして、統治組合の代表さんは皆さん各地 区の代表者でございますので、その主導の自分たちの持っていただいているテリ トリーのところの状況というのはもう十分に承知していただいている方でござい ますので、今やっていただいている方々にやっていただくということでも十分に その私どもの相談業務といいますか、そういう業務については十分にやっていた だいているというふうに認識はしております。 ○井原部会長  どうぞ。 ○谷川委員  この会合に理事長さんは出てこられないんですか。特段メンバーになっておら れないんですか。何かこの後、全部最終評価と書いてあるんですけど、理事長さ んが出てこられないので、何かルールがあるのかなと思ったんですけど。 ○政策評価官室長補佐  原則出ていただきたかったんですが、ちょっと何か所用のため来られなかった と聞いております。 ○井原部会長  何かございますでしょうか。  どうぞ。 ○篠原部会長代理  制度そのものの質問かなという気がしているんですが、中退共事業以外を屋内 売り貸しすると職場も移動して労働者も正規雇用になっていないという感じだと 思うんですが、今実は僕なんかが得ている情報だと、外食産業の非正規雇用がい わゆるこういうものに入れないというんでしょうかね。と考えると、僕制度はい わゆる非正規雇用対象の退職制度と、中小企業のそれと分けてやったほうが今実 はこれで外れているのが外食産業とはこの3つ以外のところでいろんな問題があ ると僕は思うんですけど、その辺の検討というんですか、より今問題になってい る魅力あるパートというんですかね、向けての退職金というのはどんなものです か。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  まず、非正規雇用労働者についての退職金をどういうふうな形で確保していく のかというのは、まさに委員おっしゃるとおり重要な課題であろうというふうに 思っております。そういう意味ではパート労働者についての加入促進を進めるた めに、掛金についてパート労働者用の低い額でもかけられるようにするとともに、 助成額については一般の労働者よりもパート労働者に対して、高い助成が行くよ うな仕組みを持っているところでございます。  あと、期間労働者、つまり転々とする方に関しましては、これ特定産業につき ましては、例えば建退、清退、林退とのそれぞれ業界の方々とかなり話し合って 過去の経緯等を踏み重ねながら、こういった業界としての共済事業というものを 築き上げてきたというような経緯がございますので、それらにつきまして、全部 他の産業にも広げるというのはなかなか難しいところはあろうかと思いますが、 ただ、重要な課題であろうというふうに思っておりますので、今後厚生労働省と もいろいろご相談させていただきながら検討、まさに勉強課題だろうというふう に思っております。 ○松田委員  事務処理の期間ですけど、それぞれ業種とも全部違うんですけども、これ中期 計画を達成したからと、もうその後やっていませんね。例えば中退共は17年に23 日、それから建退共も18年7月ですね、30日。それから、清退共、18年7月に39日。 林退共は19年2月に39日。これ私前にも提案しましたよ。全部一緒にやってくれ と。4つは一本化しなきゃいけないと申しましたけど、これ期間があるじゃない ですか、1年、2年。これ中期計画を達成してからもうやっていませんね。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  特に清退、林退につきましては退職金支給につきまして39日ということで、各 種事務手続の見直しなどを行ってここまで短縮したわけでございますが、まだ長 くなっているということでここを何とかしなければいけないというのはまさにこ れまでもご指摘いただいているところでございますし、私たちも問題意識として 強く持っているところでございます。ただ、これを短くするためにはやはりシス テム面を何とかしていくということが大きな課題となっているところでございま すので、18年、19年と清退、林退も含めましてシステムの刷新可能性調査という ものを行いまして、それに基づきまして業務最適化計画もつくったところでござ います。この業務最適化計画、20年3月にできまして、まさに第2の中期計画期間 中にこの最適化を行っていくわけでございますけれども、先ほどもご説明いたし ましたように、この業務最適化計画の中で林退、清退につきましても、システム 化を進めることによりまして、処理期間につきましては30日に短縮していくとい う方向を打ち出して、それに向けて最適化の努力をしているところでございます。 ○松田委員  いや、その努力は分かりますけど、期間が1年になって、もうそれで中期計画 を達成したからやらないわけじゃないんでしょう。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  ですから、まさに今、システム最適化計画に基づきまして、システム面の整備 を進めているところでございまして、これは20年、今年度からシステム面の整備 を始めるところでございますが、22年にシステムの最適化が完了した段階では清 退、林退についても30日に処理期間を短縮できるという見込みで現在システムの 改修作業を進めるということで取り組んでいるところでございます。 ○松田委員  遅いですね。ちょっとスピードが遅いですよ。 ○井原部会長  そのほかに。  よろしゅうございますでしょうか。今、松田委員のご意見はそういうご意見が ありましたというのがここに残ります。ということで、この中期目標期間の業務 実績の最終評価案といたしましては、原案どおりでよろしゅうございますでしょ うか。  それでは、そのようにさせていただきます。それから、万が一誤字、脱字、事 実誤認などに修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任をいた だきたいと思います。  それでは、最後に法人からコメントをいただけたらお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  本日、委員会でいただきました評価あるいは貴重なご意見については、これか らしっかり踏まえさせていただきまして、また本日たまたま所用で来られなかっ た理事長以下理事にもきちんと伝えまして、これから一層国民に対して役に立つ 事業を展開してまいりますので、今後とも引き続きご指導よろしくお願いいたし ます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、ここで事務局の入れ替えがありますので、 10分程度休憩といたします。 (事務局(所管課及び法人)入替え) ○井原部会長  それでは、再開したいと思います。  次に、高齢・障害者雇用支援機構の最終評価についての審議でございます。  先ほど同様に法人から最終評価書別紙、最終評価シートに沿いまして業務実績 のポイントについて15分程度の説明をお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長の増田でございます。本日はよろしく お願いいたします。  本来であれば理事長からご説明申し上げるところでございますが、本日、理事 長は平成24年度のアビリンピックの開催の関係で、公務出張しておりますので、 私のほうからご説明を申し上げたいと思います。  当機構、第1期中期計画期間中、平成15年10月から19年度の業務実績につきま してご説明を申し上げます。  平成15年10月の機構設立後、19年度までの4年半の業務実績の概要でございま すが、当機構におきましては、中期目標であります業務運営の効率化、国民に対 して提供するサービスその他の業務の質の向上、財務内容の改善について、(1)障 害者、高齢者、事業主といった利用者の皆様の立場に立ったサービスを提供する こと。(2)当機構の使命と中期計画の目標、課題を全員が正確に理解、認識し、そ の実現に向けてそれぞれの職務において積極的に取り組むこと。また、(3)リアル タイムでの事業の進捗状況の管理に努め、PDCAサイクルにより効果的な業務運営 を実現すること。この3点を重点といたしまして、役職員を挙げて取り組んでま いりました。この間の業務実績につきましては、毎年度当評価委員会の評価をい ただきまして、その際、委員の皆様から様々な観点からのご指摘、ご意見をいた だきました。そのご意見等を踏まえ、毎年度改善を重ねてまいったところでござ います。その結果、平成15年度の評価につきましては、A評価が7、B評価が13と いう状況でしたが、先週いただきました19年度につきましては、S評価が2、A評 価が15、B評価が2と年度を重ねるごとに高い評価をいただくことができるように なりました。この場をお借りして御礼を申し上げます。これからその実績につき まして、資料3−1の評価シートの横表に沿って概要をご報告申し上げたいと思い ます。  まず、1ページをご覧下さい。  「第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」につい てでございます。  「1 効果的な業務運営体制の確立」については、高齢者事業本部の移転、ま た駐在事務所等の廃止・統合、地方高齢法人及び地方障害法人の統合、整理合理 化計画の前倒し実施によります地域センターの管理部門の集約化、せき損センタ ーの課の統合等に取り組んでまいりました。  次に、下の「2 業務運営の効率化に伴う経費節減等」についてでございます が、1ページおめくりいただき3ページをお願いしたいと思います。  3ページに年度ごとの推移についての表がございます。表にありますとおり、 一般管理費及び業務経費とも目標を上回る水準で予算を節減するとともに、執行 面でも一般競争入札の拡大、仕様書の見直し等によるさらなる節減を図ったとこ ろでございます。平成19年度決算額で見ますと、一般管理費では平成14年度予算 に比べ19.5%、業務経費では15年度予算に比べて16.6%の節減となったところで ございます。  次に、4ページをお願いします。  一番上の「給付金及び助成金業務の効率化」についてでございます。これにつ きましては、添付書類の一部廃止・簡素化あるいは処理能力を向上させたシステ ムの更改等によりまして、これも下の表のとおり平均処理期間を44.4%短縮し、 目標の14年度比10%の短縮を大幅に上回って達成をしているところでございます。  次に、めくっていただきまして6ページをお願いします。  大きな「第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関す る目標を達成するためにとるべき措置」についてでございます。  まず、評議委員会の開催等によるニーズの把握、また内部評価委員会、外部評 価委員会による業績評価の実施、ホームページの公表等を適切に実施しておりま す。  次に、7ページに移っていただきまして、「4 高年齢者等の雇用に関する給付 金の支給」でございます。これにつきましても、ホームページ、新聞広告等によ る周知広報を積極的に行うとともに、不正受給事案の原因究明を行いまして、審 査点検要領の作成、労働保険データとの照合による事業所実在の確認、無予告の 事業所訪問による調査、こういうものを不正受給防止対策として強化に取り組ん だところでございます。  次、1ページめくっていただきまして、9ページをお願いします。  「5 高年齢者等の雇用に関する相談その他の援助」のうち、「(1)高年齢者 雇用アドバイザー等による相談・援助等の実施」のところでございます。9ペー ジの下の表にありますように、毎年度目標の3万件を超える相談・援助を実施い たしまして、その下の表にありますように、利用者満足度も90%を超える評価を 得ているところでございます。  次に、13ページをお願いします。  「5の(3)調査研究の実施」についてでございます。ここでは「中高齢従業員 の仕事能力把握ツールの開発」、それから「『70歳まで働ける』企業推進プロジ ェクト会議及び基盤づくり推進委員会の開催」といった実践的調査研究、企業と の共同による先進事例の構築等に積極的に取り組んでおります。  次に、15ページをお願いします。  15ページ、「5の(4)啓発広報活動等の実施」についてでございます。高年齢 者雇用安定法の改正あるいは2007年問題に焦点を当てまして、高齢者雇用フェス タを開催するなど効果的な啓発活動を進めました。(2)のフェスタの実施状況にご ざいますように、来場者数は平成15年度1,215人でございましたけれども、次の ページにまいりまして、19年度は2,692人ということで中期目標期間を通じまし て、来場者数が倍増したところでございます。また、同じ16ページでございます けれども、「理解度が増加した参加者の割合」につきましては、毎年度90%を上 回る評価を得たところでございます。また、啓発誌の「エルダー」の発行あるい は新聞等による広報活動も毎年度実施をしたところでございます。  次に、17ページ、「6 高齢期の職業生活設計に関する助言または指導」につ いてでございます。これも真ん中下の表にございますように、相談件数、それか ら利用者満足度とも、相談件数については3万6,000件、また満足度についても70 %という目標を大きく上回って実施をしたところでございます。  18ページに移っていただきまして、セミナー講習会の開催についてでございま すけれども、19年度は4,507回開催をしております。このうちその下にあります 土日・夜間あるいは出張セミナーを合わせますと、2,708回という数字になりま して、半数以上を土日・夜間あるいは出張セミナーで実施をしております。これ については満足度のほうも毎年度95%以上の評価を得ているところでございます。  次に、19ページに移らせていただきます。  こちらからは障害者の事業ということになります。「7 障害者職業センター の設置運営業務の実施」の中の「(1)の(1)障害者の個々の特性に応じた職業リ ハビリテーション計画の策定」についてでございます。これも下の表がございま すけれども、利用者数は毎年増加をしておりまして、中期目標に掲げます累計で 10万人以上という目標を上回りまして、11万7,019人の方にサービスを提供させ ていただいたところでございます。また、その下の「(2)障害者の就労の可能性を 高めるための支援」についてでございますけれども、個別カリキュラム方式の導 入により、効果的な支援を実施いたしまして、1ページめくっていただき、20ペ ージの中段に表がございますけれども、就職等に向かう次の段階への移行率につ きましては、75%以上、また就職率につきましては50%以上とそれぞれ目標を上 回る実績を上げているところでございます。また、その下の「(3)障害者の職場適 応に関する支援の実施」についてでございますけれども、これもその下からの表 にございますように、年々ジョブコーチを利用する障害者は増加傾向にございま して、支援対象者は合わせますと1万3,709人と中期計画に掲げる目標であります 期間中1万500人を上回ったところでございます。また、中でも精神障害者等、職 場適応が困難な障害者が増加する中で、21ページ、その下の表にございますよう に、定着率は概ね80%以上と目標を上回る実績を上げているところです。  次に「(4) 精神障害者の体系的支援プログラムの実施」についてでございます が、地域における精神障害者の雇用支援ネットワークの構築・整備あるいはサー ビスの質の向上に取り組みました結果、これも表にございますように、対象障害 者数、事業所数とも中期計画に掲げる目標を上回るとともに、復職・雇用継続率 につきましても80%程度と目標を大きく上回る結果を残すことができました。  さらに22ページ、「(5)障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」につい てでございます。これも表がございますけれども、支援対象事業所は年々増加を しておりまして、中期計画に掲げます目標延べ3万2,000事業所に対しまして、こ れも足し上げますと5万2,742事業所ということで大きく支援を行うことができま した。  次に、「7 障害者職業センターの設置運営業務の実施」に関する事項の中で、 「(1)の(6)職業リハビリテーションの人材育成等」についてでございます。こ れにつきましては、「福祉から雇用へという施策の流れの促進」あるいは「地域 の職業リハビリテーションネットワークの整備」といった観点から、総合センタ ー及び地域センターにおきまして医療、福祉等関係者に対する様々な研修を実施 しております。受講者アンケートを踏まえまして、研修内容、日程等、工夫を毎 年重ねました結果、研修の受講者数は増加傾向で推移いたしますとともに、24ペ ージにありますように、19年度に所属長アンケートを実施しておりますけれども、 これにつきましても、95%以上が「研修は職員にとって有用であった」という結 果を得ているところでございます。  次に、26ページをお願いします。「(2)職業リハビリテーションに係る調査 ・研究の実施」についてでございます。こちらにつきましては、発達障害、精神 障害者等に関する先駆的な研究あるいは地域センター等現場での課題解決に役立 つ研究に重点を置きまして、表にありますとおり、毎年度目標の12テーマ以上の 研究に取り組んでおります。いずれの研究につきましても、3分の2以上の研究評 価委員の方から4段階中、上から2段階以上の評価を得るという目標を達成したと ころでございます。  また、27ページの中段にございますように、研究結果の積極的な普及活用とし て、職業リハビリテーション研究発表会の開催あるいはマニュアル・教材・ツー ル等の作成、研究報告書のホームページへの掲載などによりまして、研究成果の 普及促進にも積極的に取り組んだところでございます。  次に、29ページ、「8 障害者職業能力開発校の業務運営の実施」についてで ございます。職業的重度障害者の訓練ニーズに対応しまして、訓練定員の拡大、 訓練コースの新設等を行いまして、平成18年度はその表にございますように、受 講者285人と中期計画に定める目標の30%増を達成しております。就職率は次の 30ページの表にありますように、目標の60%に対しまして、概ね90%程度という ことで高い水準を維持しております。さらには精神障害者、発達障害者等に対し ます先導的な職業訓練による技法開発を進めまして、その成果を指導者交流集会 等を通じて関係者の普及促進を図っております。  次に、31ページからが障害者事業のうち、障害者の雇用納付金関係業務に係る 事項でございます。  「9の(1)障害者雇用納付金の徴収等」でございますけれども、事業主説明会 の開催、電話や文書によります納付督励を積極的に実施しました結果、これも下 の表にございますように、収納率は99%台後半の水準で推移をしているところで ございます。  次に、33ページ、「9の(2)障害者雇用納付金に基づく助成金業務」について でございます。これにつきましては、支給要件等のホームページでの公開、様式 のダウンロードファイルのホームページ掲載等によりまして、事業主の利便性向 上を図るとともに、「不正受給・不適正受給防止マニュアルの策定」、審査・点 検チェックリストの作成などによりまして、不正受給防止対策の強化に取り組ん だところでございます。  次に、35ページ、「(3)障害者雇用の研究、調査、講習、啓発等の事業」の うちの「(1)調査研究の実施」でございます。こちらにつきましては、精神障害者 等特別な雇用管理が必要な障害者の雇用事例の収集・分析、ノウハウの開発に重 点を置きまして、これも目標件数以上の調査研究を行ったところでございます。 また、サマリーの掲載あるいは写真や図表の活用など、企業にとって理解しやす い内容となりますよう工夫を行いますとともに、報告書のPDF化等によりまして 研究成果の普及にも取組を進めたところでございます。  次は、「(3)の(3)相談・援助業務の実施」についてでございます。障害者雇 用アドバイザー1人当たりの相談件数につきましては、表にありますように、年 々増加をいたしまして、19年度までの累計は863.0件ということで中期目標に掲 げます目標の750件を上回ったところでございます。また、利用者満足度につき ましても、90%程度、次のページの上のほうにございますが、目標を上回る結果 を得たところでございます。  次は、40ページをお願いします。  「(3)の(7)障害者雇用に係る啓発事業の実施」についてでございます。障害 者の就業実態の紹介あるいは展示を行います「障害者ワークフェア」の開催をは じめといたしまして、障害者雇用優良事業所等表彰、啓発用テレビ番組の放映、 地方アビリンピックの開催、啓発誌「働く広場」の発行等、様々なツールを用い て啓発活動に取り組んだところでございます。  次に、42ページ、「10 障害者の技能に関する競技大会」についてでございま す。これにつきましても、種目数あるいは参加選手者数、来場者数とも年々増加 をいたしまして、参加者選手数は18年度時点で延べ812人となりまして、中期目 標の600人を大幅に上回ったところでございます。また、19年11月には国際アビ リンピックが静岡県で開催されました。この大会はユニバーサル技能五輪大会と して史上初めて若者の技能五輪国際大会と同時開催をしたところでございますけ れども、きめ細かな開催運営準備を関係者一体となって取り組み、一番下に来場 者アンケートの結果がありますけれども、来場された方の93.3%から「競技を見 て感動した」など「良かった」との回答をいただいたところでございます。この 大会を通じまして、事業主をはじめとする一般の方々へ「ユニバーサル社会の実 現」などテーマの発信と浸透、障害者の技能の高さ、障害者雇用の理解を深めま した。また、我が国の雇用制度、企業取組及び海外の状況を直接情報交換するこ とによりまして、相互理解を深めております。  さらに、国際アビリンピック及び技能五輪参加者、地域住民の皆様方が活発に 交流する機会を提供することができました。また、障害の有無にかかわらず、共 に参加・運営する大会となり、大会開催のコンセプトとして成果は十分に果たし たのではないかというように考えているところでございます。  最後になりますが、45ページ、「第7 その他の業務運営に関する事項」でご ざいます。  「1の(2)人員に係る計画」でございますが、17年度創設の精神障害者の体系 的支援プログラムによります人員増を除きまして、目標14名の職員の削減を大幅 に上回る69名の削減を実現しております。一番下にあります「行政改革の重要方 針」によります人件費削減の取組につきましては、18年度以降、5年間で5%以上 削減するという目標に対しまして、19年度において基準額と比較として6.2%の 削減を実施しているところでございます。さらに同じページのところにございま すように、給与制度改革の取組としまして、毎年度俸給あるいは各種手当の引き 下げ等を実施しております。  また、その下にございますように、業務の効率的・効果的な実施あるいは職員 のモチベーションの維持向上を図るために職場単位の改善運動でございます「E サービス運動」を展開いたしまして、職員一人ひとりの創意工夫を生かしました 職場の活性化、その取組の共有化というところに努めてきたところでございます。  以上、簡略化して大変恐縮ですけれども、当機構の中期計画期間中の最終業務 実績報告とさせていただきます。ありがとうございました。 ○井原部会長  それでは、続きまして高齢・障害者雇用支援機構の起草委員を代表いたしまし て、寺山委員からご説明をお願いいたします。 ○寺山委員  資料3−1の前半でございます。高齢・障害者雇用支援機構の第1期中期目標期 間、平成15年10月から20年の3月までですが、この期間の業務実績の最終評価の 概要を申し上げます。  まず、1の(2)にあります全般的な評価でございますが、この第1期中期目標 期間におきましては、機構組織の合理化及び都道府県協会の組織体制の見直しあ るいは人件費削減、一般管理費節減などを中心とした経費節減、また、利用者本 位のサービスの向上などについて本機構が主体的に改革に取り組んだ結果、中期 目標期間の全ての年度におきまして、中期目標等に掲げる数値目標をほとんど全 ての項目において上回っておりまして、特に近年、18年度、19年度でございます が、業績実績には顕著な向上が見られるなど高い実績を上げております。このよ うに、第1期中期目標期間の業務実績につきましては、機構の設立目標に資する べく、適切に業務を実施したと評価できますけれども、今後の業務運営に当たっ ては3点ですが、これから申し上げますが、留意しながら今後推進していくこと を望みます。  まず1点目ですけれども、今後とも高齢者関係の業務と障害者関係の業務の統 合効果が一層発揮されますよう、業務の効率的推進に引き続き努める必要がある という点でございます。  第2点は、今後の数値目標の設置に当たりましては、これまでの達成状況など を伺いましたところ、より適切な指標、水準の設定に努めていただきたい。それ とともに、成果内容などを的確に把握するためのさらなる工夫、質的な改善を図 ることが必要であるということです。  さらに3点目ですけれども、高齢者や障害者の雇用支援がますます重要になる わけですけれども、それに伴い、大変業務が増大しているわけですが、給与以外 の面で、こういう中で業績改革が進みますが、給与以外で職員のモチベーション、 これを維持向上させるための取組の推進が必要であるということ、以上の3点で ございます。  次に、具体的な評価内容について(2)ですね。ポイントを何点か申し上げま す。  まず、最終評価の2ページになりますが、(1)の業務運営の効率化に関する評 価でございます。業務運営体制につきましては、中期目標期間を通じて高齢者と 障害者の雇用支援の一体的実施に努めたことによりまして、組織体制、人員面に おける合理化、効率化が進められましたとともに、業務内容の面においても高齢 者と障害者の支援に関わる技法あるいは情報等の共有化や相互活用などによりま す業務の効率的・効果的実施が図られたことは評価できます。本部事務所の統合 とともに、都道府県協会において高齢法人と障害法人の47都道府県全てにおける 統合を実現し、その組織体制の効率化、顧客・利用者本意のサービスの向上が図 られました。また、経費節減におきましては、人件費及び一般管理費、業務経費 において目標を上回る節減を実現しておりますし、都道府県協会への業務委託に おいても、委託額の適正化が推進されました。  一方、給付金、助成金の1件当たりの平均処理期間につきましては、毎年度、 前年度実績を大幅に短縮するとともに、職業リハビリテーション業務に関わるシ ステム化については、最適化計画を策定いたしまして、効率化が図られるなど業 務運営の効率化の取組を評価でき、今後とも引き続きの努力が期待されます。  次に、3ページからでございますが、(2)の(1)です。関係者のニーズの把握や 雇用情報等の提供についてに関する評価です。  関係者のニーズ等の把握や雇用等の提供につきましては、外部評価委員会の活 用などによって、PDCAサイクルの徹底を図り、また業務の改善に着実に取り組ん できたことは評価できます。ホームページにつきましては、内容の充実、利便性 の向上などによってアクセス件数が毎年度目標を大幅に上回って増加しておりま すが、今後はホームページ以外の広報手段についても一層の充実が期待されます。  ここからは高年齢者雇用支援業務に関する評価ですが、(2)の(2)ですが、事 業主に対する給付金の支給につきましては、制度改正等に対して迅速な情報提供 を行うとともに、不正受給防止策の強化を着実に進めてきたと評価できます。ま た、事業主に対する相談援助に関しましては、高年齢者雇用アドバイザーなどに よる相談援助の利用者の満足度は非常に高く、受講者に対する追跡調査の実施な どによって、実践的な研修、講習を行うなど、サービスの向上が図られています。 今後はこの高年齢者雇用アドバイザーについてですが、的確な評価を行っていた だき、その質の向上を図るための方法を検討していただくことが期待されます。  また、高齢者雇用に関する調査研究ですが、これは中期目標に沿って高齢者の 能力活用のための企業との共同による先駆的モデルの構築など質の高い取組がな されております。今後ともスローガンであります「70歳まで働ける企業の実現」 などに向けてより実践的な調査研究に力を入れ、その成果の業務への活用、また 事業主への普及を図ることが期待されます。  また、在職者を中心とした中高年齢者への支援に関してでございますが、これ は平成18年度から土日・夜間の相談を新規に実施し、平成19年度にはその実施回 数をほぼ倍増させたほか、平成19年度から団塊の世代向けの相談会を実施し、新 規に立ち上げるなど高齢期雇用就労支援がきめ細かく行われており、評価できま す。また、中高年齢者に対するセミナーについても、アンケート調査の結果を業 務の見直しに活用して、毎年度実施回数が中期目標に掲げる目標を上回っている ことは評価できます。  次に、障害者雇用支援業務についてでございますが、4ページの前半ぐらいの ところですが、職業リハビリテーションサービスの実施につきましては、中期目 標であります10万人を上回る11万7,000人の障害者に対して、きめ細かく体系的 なサービスを提供したことは評価できます。中でも職業準備支援事業などの修了 者の就職率、またジョブコーチ支援事業修了者の6カ月を経過した時点での定着 率が毎年度目標を大幅に上回ったことは高く評価できます。また、平成17年度か らは精神障害者の雇用の段階に応じた体系的支援プログラムが実施されておりま すが、平成19年度からはさらに発達障害者に対する専門的支援を新たに試行する など目下の重点課題であります精神障害者、発達障害者などの就職困難性の高い 障害者の雇用支援に精力的に取り組んでいることやジョブコーチによる支援など につきましては、目標を大きく上回る成果を上げていることは評価できます。今 後ですが、支援ニーズの的確な把握に一層努め、その充実を図っていくことが期 待されます。  職業リハビリテーションの4ページになりますか、職業リハビリテーションの 専門的な知識を有する人材の育成についてですが、受講ニーズの増大に対応する とともに、地域における職業リハビリテーションネットワークの形成、整備の取 組を推進しており、評価できます。受講者の満足度は高く、また研修の評価にも 工夫が見られます。今後とも発達障害者の就労支援に関するノウハウの提供や地 域における就労支援ネットワーク構築のための人材育成を推進するなど一層の取 組が期待されます。  次に、職業リハビリテーションに関わる調査研究についてですが、外部、内部 から高い評価を受けるとともに、インターネットの活用等を通じて成果の共有、 活用が着々と進められております。今後は開発された支援ツールの有効性の研修、 これが必要だと思いますので、取組に期待します。  障害者職業能力開発校につきましては、職業的重度障害者の受け入れがここの 学校の任務ですが、それを積極的に進めるとともに、修了者等の就職率につきま しても、中期目標期間中を通じて数値目標を大幅に上回る成果を上げており、評 価できます。引き続きこのような発達障害者など就職困難性の高い障害者につい て積極的な訓練の実施に努めるとともに、より有効な訓練技法、開発に向けた取 組に大いに期待します。  納付金関係業務につきましては、納付金の収納率等について中期目標期間を通 じて高水準の数値目標が達成されていますが、今後とも事業主の利便性の向上を 図りながら、収納業務の高水準維持に努める必要があります。  障害者の技能競技大会についてですが、アビリンピックについては来場者が毎 年増加するなど障害者の雇用促進の事業として成果を上げています。特に平成19 年度は史上初めて技能五輪国際大会と同時開催して、比類なき成功をおさめ、ユ ニバーサル社会の実現の重要性について広く国内外に訴える上で極めて有意義で あったと大いに評価できます。今後はこうした成果を活用して、海外とのネット ワークを維持、拡大するとともに、大会の一層の質的な充実が期待されます。  最後に5ページ下の財務内容ですけれども、財務内容の改善については、予算 と執行については、中期目標に沿って適切に実施されています。なお、累積欠損 金3億500万円は平成16年度決算における勘定間の帳簿上の処理により発生したも のでありまして、新たな国庫負担を生じるものではなく、平成19年度決算におい て適切に処理され、解消されておると判断いたします。  以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今ご説明いただきました業務実績の報告についてのご質問、ま たは中期目標期間の最終評価結果につきましてご意見等がありましたら、お願い したいと思います。 ○篠原部会長代理  高齢者等雇用支援業務についてお伺いしますが、私の知り合いで若い社長なん ですが、3Kの業務をやっているんですが、彼がいわく、今団塊の世代がどんど んやめていくと思うんですけど、いわゆる労働者はほぼ働いていると。事務職の 人たちはそういう職場もなくて、やっぱりなかなか働けなくて、そういう人たち というのは意外と財産もあるので働く意欲をなくしているということで、そのア ンマッチというのが今後大きな問題になっていくだろうと彼は予想していたんで すが、その辺を把握して、いわゆる事務職というんですかね、管理職という人た ちがなかなか汚い3K職場には行かないのかなという気もするけど、ボランティ アとかいろんな有意義をやれば働くかなと、その辺の工夫というか検討というの はされているんでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  先生おっしゃるように、非常に難しい問題だというふうに思います。やはり3 Kとは言いませんけれども、製造現場とかそういういわゆるブルーカラー的な職 場というのは非常に人手不足の状況でもございますし、また外国人労働者の受入 も議論される中で、非常にニーズも高いと思いますが、管理職となると、そこま でなのかという問題はあろうかと思います。やはり先ほど実績の報告の中でも高 齢期雇用就業支援コーナーで定年後といいますか、いわゆる第2の人生といいま すか、リタイアしてからの人生設計についてもいろいろご相談を承っており、多 くの方々に利用していただいています。先ほどボランティアというお話もござい ましたけれども、自らの事務職で培われた様々な技能みたいなものを地域貢献活 動ですとか、様々な活躍できる分野というのはあると思いますので、そういった ところにできるだけニーズに合わせた形でご紹介するあるいはご相談するという ふうな手だてがあるんじゃないかというのが1点ございます。  また、ご承知のように、2007年問題云々、これから少子高齢化で事務職といえ どもだんだん労働需給というのは逼迫してくることが予想されるわけですが、そ ういった中でこういった方々が十分技能を活用されて事務職なりその周辺の分野 で十分にご活躍できるように様々な支援をしていくというのは当機構の大きな役 割だというふうに思っておりまして、また努力をしていきたいと思います。 ○谷川委員  障害者の雇用そのものではないんですけど、実は最近の傾向として障害の害の 字が害毒の毒であるので、平仮名を使うということで、まずはその意識を変えよ うよというような動きがございまして、ご存じだと思うんですけども、国の機関 の中に害毒の害を使った組織体があるのも余りすっきりしないなという感じはす るんですが、ねらいはそういう格好のよさといいますよりも、障害といって定義 がはっきりしないと、これは皆さん専門家ですからよくご存じだろうと思うんで すけど、本当に障害は何なんだろうという議論を突き詰めていくと、みんな障害 者じゃないかと、いろんな意味で。私ももう上がらなくなった肩を持ったりいろ いろしていますから、そんなことを言いますと、やっぱり意識を変えるためにも そういうことをやるという動きがあるんですが、機構としてはどんなふうに、こ れから今まではどちらかというと、ちょっと言葉は悪いんですけど、とりあえず 雇用の場を確保するということが目的だったんだろうと思うんですけど、これか ら先はいよいよもって個人に焦点を当てて、その人が最も能力の出せるような働 く場を何とかうまく持っていかなきゃいけないんじゃないかというのが多分害を 平仮名にする意味合いだと思うんですけど、その辺について機構の中で中期計画 みたいな、この次の中期計画にどういうふうにされていくのか、もし話し合われ ているような実績があるとしたら、ぜひご披露いただきたいと思いますけど。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  後ほど機構のほうからもお答えいただければと思いますが、今、害の字のお話 が出ましたので、今の政府の考え方についてご説明させていただきますと、現在 の文字は法令上、なるべく平易な漢字を使うということで石偏のガイの字から今 の形に置き換えられたものでございまして、これについて平仮名表記するとか、 場合によっては障害者という単語そのものを別の用語に置き換えるとか、様々な ご意見があることは私どもとしても承知していますし、機構のほうでも承知して いるところですが、実際のところ、平仮名書きすることについては、必ずしもま だ国民全般の合意が得られておらず、立場によっては、むしろそういう形式的な 用語の問題を議論するよりも実態の改善を図るべきだというご指摘をされる方も おられまして、まだもう少しそこについては議論していただいたほうがいいので はないかと、そういう議論の趨勢を踏まえた上で、よりそういう表記が望ましい ということであれば見直しをしていくべきと思うのですが、国レベルにおいては もう少しそういう議論を見る必要があるというのが今の政府の認識として内閣府 等でお答えしているところでございます。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  機構のほうは基本的に国の方に準じた形で言葉を使っていくというのがどうし ても必要ではないかというふうに思っていますけれども、先生おっしゃるように、 確かに各自治体とかあるいは各種のNPOの法人ですとか、特に市役所、そういっ たレベルでは平仮名で「がい」というものを使っているところも結構増えており ます。そういったものも我々注視しながら対応していかなくてはいけないという ふうには思っております。  また、先生非常にいい点をご指摘いただいたんですけれども、やはり雇用の場 の確保に加え、障害者個人に焦点を当てて、その方の能力を最大限発揮させてい くことは重要だということは、まさにそのとおりだというふうに思っています。 国の方でも雇用の場という意味では障害者雇用促進法の改正案というのを国会に 提出して、中小企業に対して納付金制度を適用していくという形で、中小企業に も幅広く雇用の場を広げていくという取組がなされております。私どもも職業リ ハビリテーション、先ほど業績評価のところでもお話をされていましたけれども、 そういった特にこれから就職困難度が高い発達障害の方とか精神障害の方あるい は重度の知的障害の方、そういった方々の能力発揮といいますか、これは職業訓 練も含めて職業リハビリテーションという形になりますけれども、より重点的に 積極的に今後とも進めていきたいと思います。 ○川端委員  最近ある県の社会福祉協議会があったところがあるんですが、そこが障害者の 雇用率が何か46位とかでワーストワンに近いということを残念がっていましたけ れども、地域性というのはあるのか、ちょっと私意外だったんですが、それ地域 性があるとすれば、そういう研究であるとかあるいはそういう地域にどういうア プローチを、何か特別なアプローチをされているのかそこら辺りをお伺いしたい なと思います。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  法定雇用率のお話があったのですが、これについては機構での取組というより は、私ども国のほうで毎年6月1日現在で障害者の雇用率をとりまして、その結果 を公表し、改善を図っていっているところでございますが、まさに今ご指摘があ りましたように、そういう数字を出す場合に当たっては、最近の私どもの取組と しましては、地域別でありますとか、具体的には都道府県単位で労働局がござい ますので、都道府県ごとの取組状況あるいは業種別の取組状況、さらには今回国 会に法改正を提出していますことに関わりますが、企業の規模別の取組状況、そ ういうある程度属性に着目した現状分析をした上で指導に取り組んでいるところ でございます。  機構との関係では、機構のほうで障害者の雇用管理に関します調査研究に取り 組んでいただいているわけでございますが、そういう中で例えば中小企業での取 組が遅れている部分についての取組の推進のための方策等について、こちらの行 政のほうでの取組を踏まえた研究を進めていただくという形でお互いに連携を図 っていきたいと思っております。 ○川端委員  特に何かそういう地域に重点的に厚生労働省あるいは機構が何かされていると いうことではないんですか。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  率が低い都道府県については、当然1位から47位まで順位がつき、各労働局、 それからその労働局の管下にありますハローワークについては、それぞれの地域 ごとの数字が出ますから、それを踏まえて私どものほうから個別かつ重点的に指 導を行っておりますし、また、数字が悪いところについては、例えば労働局長が、 そういう地域の公的機関でありますとか、それから、主要企業というのがござい ますが、そういう公的機関、主要企業で取組が遅れているところがございます場 合には、そこに重点的に当たって、指導を強化するとか、そういう個別の対応を させていただいております。 ○篠原部会長代理  独法もできて7年ぐらいたって、いわゆる中期目標というのを所管の官庁が出 して、それを中期計画に機構が落として、それで毎年年度計画という形で行って いるわけですね。一方、特に当法人の場合はかなり重要な恐らく政府の施策であ って、範囲も広がってきていると思うんですが、その際、この評価委員でよく質 問が出るのは、目標達成はしているけども、全体のニーズからどの程度というこ とで、やはりこの独法の評価で僕入れなきゃならないなというのは、社会の状況 に合わせてやっぱり全体の母集団の変わり具合ということからを検討して、目標 とか何かを変更していかなきゃいけないんじゃないかと。それも僕は評価の対象 にしたほうがいいのかなという気もしているんですが、その辺の当然所管課と機 構と検討しながら、中期計画も変更可能ですので、そういうことの取組状況とい うのはどうなんですか。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  機構のほうで今取り組んでいる施策はかなり高い水準の成果を上げているわけ ですが、それが例えば全体のニーズのカバー率で見たときに、本当に必要とする ニーズに十分こたえているかと、そういうご指摘が過去の委員会でもあったかと 思います。正直申しまして、障害のある方のニーズを正確に把握するというのは 非常に難しい点がございます。というのは、最近は、かなり広報活動も行って障 害があるということについての世の中の意識が変わってきてはおりますが、まだ 個々人の方にとっての情報という観点で見た場合には、障害があるということは、 必ずしも公にしたくないという立場の方もかなりおられます。ですから、障害者 の実態調査というものがある程度できるようになったのは比較的最近のことで、 そういう難しさがあると思います。それから、先ほど谷川委員からも定義のお話 がございましたが、障害のある方のとらえ方として、1つは障害者手帳の交付を 受けている方というとらえ方が行政のほうで施策を行う場合にございます。しか しながら、私ども高齢・障害者雇用対策部あるいは高障機構のほうで取り組んで おります取組は、必ずしも手帳の所持者に限定しない、むしろその職業上の困難 ということに着目して対象を幅広くとらえて取組をさせていただいているところ があります。その結果、例えば精神障害でも手帳を持たない方も対象にしており ますし、発達障害の方、さらには高次脳機能障害の方、そういう従来の障害者の 枠組みにおさまらない方々も対象にしておるということがあります。ですから、 そういう中で、早々に具体的なニーズの全体像をお示しするということはなかな か難しいかと思いますが、今後の施策を実際するに当たっては、障害保健福祉部 等とも連携しながら実態把握に努めていくという視点を持って取り組んでいきた いと思いますし、それをまた踏まえた取組を機構のほうで実施していただくよう にお願いしていきたいと思っております。 ○篠原部会長代理  広報についてちょっとあれなんですが、テレビ等を見ていると、独法全体を否 定するような報道というんでしょうか。我々ここに関わっていると、当然様々な 努力をして効率化とか有効とやっているんですが、それも報道されていないと。 例えば当機構に関しては、やっぱり弱者の高齢・障害者ということに対していろ んな施策をやっているんですが、世間の認知度からいくと、そんなに高くないん じゃないかと。やっぱり真剣に取り組んでいる部分をもうちょっと広報というか、 なかなかマスコミは取り上げてくれないのかという気もするけど、意外とこれは 今いろいろと叩かれている中で、きちっとやっているのはやっぱりきちっと知っ てもらうというのは、これは機構よりは私の管轄かなという気もしないではない んですけど、どんな。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  先生、本当にいい点をご指摘いただいたというふうに思うんですけれども、私 ども機構といいますか独法の広報戦略というのは大きな課題だというふうに思っ ています。今はどういう広報戦略をやっているかというのはこの評価の中でもお 話しましたけれども、機構そのものの業務の発信については様々なパンフレット、 リーフレット、そういったもの、あるいは新しい施策をや事業をやったりといっ たようなときに機構ニュースというものを発行しまして、各メディアの担当の方 とかあるいは特例子会社の方とかあるいは関係団体の方とか、そういった方々に 逐一情報提供しながら仕事も進めているわけですが、なかなか食いつきが悪いと いうのもございます。  ただ、先生おっしゃるように、メディアのほうでも例えばジョブコーチの事業 ですとか、あるいは精神障害者のいわゆるリワーク、復職支援の関係で非常に関 心が高いところで、私ども地域センターのレベルではよく取材なんかもしていた だいているところがございます。ですから、そういったところも活用しつつ、で きるだけ機構の良さといいますか、こういうこともやっているんですというよう なことを発信できるような業務の仕方を研究をしてやっていきたいというふうに 思っております。 ○政策評価審議官  関連ですけども、私どもの大臣からも厚生労働省は非常に広報はうまくない、 広報できちんと言わないこともあって、国民に正しく評価されていないんじゃな いかという問題意識が常に指摘されております。私どもそれに対して、様々な努 力をしたいと思っております。抽象的な話で申しわけありませんけれども、省内 には広報員制度をつくったり、その中でいろいろ勉強会をやったり、広報の成功 事例、それから失敗事例を研究したり他省庁もしくは民間の危機管理の問題など 検討しながら私どもの将来につなげていきたいということで考えています。独法 法人に関しましては、ご指摘のとおりですけれども、例えば今審査をいただいて います高齢・障害者機構の場合には今まで悪い報道がされていなかったというこ とが逆に言えば大きな問題点もなくしっかりとした仕事をやっていたのかなと思 います。  それから、地方の感覚からいきますと、障害者施策でいうと必ずしも一般の皆 様方には機構の名が知られていない場合でも障害者の関係の施設もしくは関係者 の皆様方に結構知られております。私どももちょっとこの議論をするときに多少 工夫しなきゃいけないなと思ったのは、国の仕事と、それからこの独法法人の役 割を十分にこの場合、ご説明してから議論すればもっとスムーズにいくのかもし れませんが、障害者の雇用にしても、高齢者の雇用にしても、まずもって国がイ ニシヤチブをとって、例えば雇用指導をやったり、定年もしくは雇用の延長とい ろんな働きかけ、具体的には法律に基づくいろんな手続を行い、その中で様々な 問題を抱えた企業がこの機構に行っていろいろ相談したり、また資金面の援助を 得たりジョブコーチで助けてもらったりと、そういうものを提供してもらったり と、そういう役割分担で仕事が行われています。そういう意味でいきますと、地 方においては国が動くときに必ず独法を巻き込んでここに相談してくれとか、一 応いろんな指導をした後、細かいところはこっちでやってくれという形で動いて います。関係者の間においては、それなりに名前は十分知られているものだと思 います。  ただ、今までの対策の対象になっていなかった方々で、今後私たちがもっとや っていかなきゃいけない。例えば発達障害みたいな方々の場合は、今まである意 味では隠れていて、家庭内の努力で問題が処理されていたケースだと思いますけ れども、こういったケースなどについてはやはりいろいろ機構でもやれることが あると思いますので、そういう意味で、きちんとこういうことをやっていますと いうことを伝えるということはやっぱり重要だと思いますので、私どもとしても、 そういう観点からまた評価をしていきたいと思っています。 ○井原部会長  それでは、修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価 結果としまして、この原案どおり8月末に開催される総会に報告したいと思いま す。ただ、万が一誤字・脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合には、 私にご一任いただきたく存じます。  それでは、最後に法人からコメントをいただきます。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  本日は業務実績の最終評価につきましてご審議いただきまして、ありがとうご ざいます。本日のご意見、それからこれまでいただきましたご意見等を踏まえま して、さらに一層の改善に努めてまいる所存でございます。引き続きご指導のほ どよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○井原部会長  ありがとうございました。  次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。  まずは事務局から試算決算についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  高齢・障害者雇用支援機構より独立行政法人評価委員会宛てに役員の退職に係 る業績勘案率の算定について依頼がございました。流れについては先ほどご説明 させていただきましたので省略させていただきます。  それでは、資料は資料3−2になります。  退職役員は江上理事と星理事となります。まず、江上理事からご説明いたしま す。在職期間は平成16年7月1日から平成20年6月30日までです。その期間の業績 勘案率については、法人の業績勘案率が次ページの評価結果、別添1に基づいて 計算いたしますと、平成16年度は1.23となりまして平均値の分類はY、対応する 率は1.0となります。平成17年度については1.42となりまして、平均値の分類はY、 対応する率は1.0となります。平成18年度につきましては1.47となりまして、平 均値の分類はY、対応する率は1.0となります。平成19年度につきましては1.50と なりまして、平均値の分類はX、対応する率は1.5となります。なお、まだ評価が 未実施の平成20年4月から7月までの間については、これにつきましてはこの期間 の当該期間の実績と平成16年度から平成19年度までの実績を比較考量すると、ほ ぼ同水準とみなすことが適当と考えまして、平均値の分類、すみません、Xとな っておりますが、こちらはYといたしまして、対応する率は1.0でございます。  以上、(1)、(2)に基づいて業績勘案率の平均値を出しますと、1.13となり ます。ただし、(4)にございます目的積立金を積んでいないこと等から、政策 評価官室の試算は1.0となっております。  すみません、めくりまして星理事のほうに移りたいと思います。  在職期間は平成19年7月1月から平成20年6月30日まででございます。その期間 の業績勘案率については法人の業績勘案率に基づきまして、平成19年度は1.50と なりまして、平均値の分類はX、対応する率といたしましては1.5となります。平 成20年4月から7月までの間はまだ評価が未実施でございますが、当該期間の実績 と平成19年度の実績を比較考量しますと、平成19年度とほぼ同水準とみなすこと が適当と考えまして、平均値の分類はX、対応する率は1.5となります。これに基 づきまして、業績勘案率を計算いたしますと、1.5となりますけれども、(4)に ございますように、この機構については目的積立金を積んでいないこと等から 1.5を超える業績勘案率の決定は適切でないと考えまして、政策評価官室の試算 は1.0となっております。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、続いてこの退職役員につきまして、在職 期間中の理事の担当業務等につきまして、法人から説明をお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  江上理事のほうでございますけれども、先ほどご説明ございましたように、16 年7月1日から20年6月30日まで3年間の在職という形になりますけれども、主に納 付金の関係の業務、それから雇用開発推進ということで、業績評価のところでも 国際アビリンピックのお話がありましたけれども、アビリンピックの関係の仕事 等に従事をされたということになっております。  それから、星理事、平成19年7月1日から20年6月30日ということで約1年の在職 ということでございますけれども、総務、経理の担当ということで人事あるいは 給与制度改革、あるいは予算等々の節減、そういった業務にご尽力をされたとい うことでございます。  以上でございます。 ○井原部会長  それでは、ただ今の説明に対しまして、何かご意見がありましたらお願いいた します。 ○篠原部会長代理  私、厚生労働省以外の省の独法にちょっと関わったことがあるんですが、その ときの意見として役員をこういう評価するんだったら、職員も評価する制度がな いとおかしいんじゃないかと。今恐らく賞与とか退職金で一生懸命頑張ったとき にプラスになる退職金になっていないと思うんですよね。その辺が入れば役員に 対しても多少プラマイが違うといったらあれですが、今はちょっとそういう面か らもプラスとかマイナスをしづらい状況じゃないかなという気がするんですが、 どんなものなんでしょうか。 ○職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課長  機構のほうの取組については後ほど総務部長から補足があるかと思いますが、 私自身、実は別の独法に関わったことがありまして、そこでは職員についても成 果主義、一頃民間企業で比較的採用されました目標管理による成果主義が一部導 入されていたのですが、独立行政法人が置かれている状況下では、なかなか難し い面がありました。民間企業ですと、業績が上がれば全体の財源が膨らむという ことがありますが、全体の予算に縛りがある独立行政法人等の場合には成果に応 じて優秀なものに応えようとすると、財源を出すためにその分誰かを低く評価し なければいけないとか、もしくは全体の給与水準を下げて財源をつくるとか、そ ういう制約があったりするものですから、なかなか成果に見合った配分をするの が難しい面があります。その辺りのところをどのように取り組むかをよく考えさ せていただいて、また機構のほうでも検討いただいた上で考えていく必要がある のではないかと思います。それから、この場でも機構の職員の士気の向上という ご指摘が前回の年度評価の際も含めてございましたが、機構では今、E運動とい ういわゆる一種の改善運動ですが、職員が自主的に業務について細部にわたって 様々な創意工夫で改善を図り、その効率化を図る、そして、そのことが仕事に当 たっての張り、やり甲斐を生むというような取組を現にされており、優秀者につ いては表彰制度も実施されています。こうしたことをうまく活用して給与面以外 の士気向上策を検討いただき、さらに進めていただくことが必要かと思っており ます。 ○川端委員  この星さんという方は1年ですよね。任期は多分こういう理事さんは2年あるん じゃないかと。1年でその人が来てもなかなか実際にフィードバックできないで すよね。こういう何か特別なケースなのか、あるいはこういうことはよくあるの か、その辺りはどうなんでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  星理事の場合は一身上の都合でおやめになるということですから、何とも申し 上げられないんですけれども、一般的には任期2年ということですし、一般的に はやはり1年を超えて従事されるというのが一般的ではないかというふうに思い ます。たまたまこの方の場合は1年で都合でおやめになったということでござい ます。 ○川端委員  先ほど評価1.5と、あれがもし積立金があって1.5出しましょうというのが1年 で、全体の業績がたまたまいいからちょっと1年入っただけでそういうのは、や っぱり何となく納得できないなと。そこら辺りもその役員の実績と。全体の業績 だけじゃなくて、やっぱりそういう考え方というのはもう少し工夫されたほうが いいんじゃないでしょうかね。 ○寺山委員  すみません、素朴な質問ですが、お二人ともお年はお幾つなんでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  江上理事はやめられたときの年齢ですけれども61歳、それから星理事でござい ますけれども、60歳でございます。 ○寺山委員  分かりました。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、審査のありました業績勘案率につきましては、原案のとおり1.0と 決定することにいたします。なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定 した業績勘案率につきましては、総務省の政策評価独立行政法人委員会に通知を いたしまして、意見の有無の確認を行います。総務省政策評価独立行政法人評価 委員会から意見がない旨、委員会に通知された後にこの1.0を当委員会として厚 生労働大臣に通知するということといたします。  では、ここで事務局の入れ替えを行いますので、しばらくお待ちいただきたい と思います。 (事務局(所管課及び法人)入替え) ○井原部会長  次に、雇用・能力開発機構の役員の退職に係る業績勘案率について、これの審 議に入ります。  まず、事務局から試算結果について説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今般、雇用・能力開発機構より独立行政法人評価委員会宛てに役員の退職に係 る業績勘案率の算定について依頼がございました。流れについては先ほどと重複 いたしますので、省略させていただきます。  それでは、資料4に沿って説明をさせていただきます。  退職役員は岡田理事長と長谷川理事の2名になります。まず、岡田理事長から ご説明いたします。  在職期間は平成16年6月1日から平成20年2月29日までです。その期間の業績勘 案率ですが、法人の業績勘案率を別添1の評価結果に基づいて計算いたしますと、 平成16年度は1.06となり、平均値の分類はY、対応する率は1.0となります。平成 17年度の業績勘案率は1.17となり、平均値の分類はY、対応する率は1.0となりま す。平成18年度は1.17となり、平均値の分類はY、対応する率は1.0となります。 平成19年度は1.22となり、平均値の分類はY、対応する率は1.0となります。これ らに基づきまして、業績勘案率の平均値を計算いたしますと、(2)にございま すように、1.0となります。以上のことから、政策評価官室の試算としては1.0と いたしております。  1ページおめくりいただきまして、長谷川理事となります。  在職期間は平成18年3月1日から平成20年2月29日まででございます。その期間 の業績勘案率について、先ほどの岡田理事長と同じように計算いたしますと、平 成17年度につきましては1.17となりまして、平均値の分類はY、対応する率は1.0 となります。平成18年度につきましては1.19となりまして、平均値の分類はY、 対応する率は1.0でございます。平成19年度につきましては1.22となりまして、 平均値の分類はY、対応する率は1.0でございます。以上から業績勘案率の平均値 を計算いたしますと、(2)にございますように1.0となります。  以上のことから、政策評価官室の試算は1.0となっております。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。続いて、この退職役員につきまして、在籍期間中の 理事の担当職務等について法人から説明をお願いいたします。 ○雇用・能力開発機構総務部長  総務部長の川口でございます。よろしくお願いいたします。  まず、岡田明久前理事長でございます。資料にありますように、平成16年6月1 日に理事長に就任いたしまして、平成20年2月29日までの3年9カ月間の在任期間 でございます。この間、第1期の中期計画の目標達成を理事長としまして陣頭指 揮をいたしまして、これを1年繰り上げて完了し、第2期中期計画をスタートさせ るというような取組をいたしました。また、組織の効率化など業務改革を積極的 に推進したということでございます。  続きまして、1枚おめくりいただきまして、長谷川前理事でございます。平成 18年3月1日から平成20年2月29日までの2年間の在任期間でございます。企画業務 を担当いたしました。企画担当といたしまして、第2期中期計画の策定、また、 その中期計画に基づく年度計画の策定あるいは実績管理、その他の機構全体の企 画関係業務を担当し、これを推進したということでございます。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、この説明に関しましてご質問等がありま したらお願いいたします。 ○篠原部会長代理  岡田前理事長について質問していきたいんですが、まず、たしか理事長は任期 4年だったと思うんですが、この方はほぼ4年。 ○雇用・能力開発機構総務部長  3年9カ月でございます。 ○篠原部会長代理  だけど2月29日に辞任されたという何か特別な理由はあるんですかね。 ○雇用・能力開発機構総務部長  2月29日は任期末でございます。それで、平成16年6月1日に就任されているわ けでございますけれども、平成16年6月1日に就任しました事情につきましては、 任命権者は大臣でございますので、詳細は法人のほうでは承知いたしておりませ んけれども、人選に時間がかかったということで聞いております。本来は16年3 月1日に任期がスタートしておりまして、6月1日までの間、空席ということで任 命が遅れたということでございまして、本来ならば4年間ということであったわ けでございます。 ○篠原部会長代理  もう一点岡田前理事長について質問しますが、これ2月末で今これ出てきて約 半年で他省庁にすると、実は下げたいという意見を出したらば仮払いしているか ら無理で回収できないという話を聞いたんですが、当法人についてはこの退職金 について仮払いとかその辺、どのような状況になっていますか。 ○雇用・能力開発機構総務部長  全く支払いは現時点でいたしておりません。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、申請のあった業績勘案率につい て、原案のとおり1.0と決定いたします。  また、先ほど事務局から説明があったとおり、決定した業績勘案率につきまし ては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知いたしまして、意見の 有無の確認を行います。そして、総務省政策評価・独立行政法人委員会から意見 がない旨、当委員会に通知された後にこの1.0を当委員会として厚生労働大臣に 通知するということにいたします。  では、ここで事務局の入れ替えを行いますので、しばらくお待ちいただきたい と思います。 (事務局(所管課及び法人)入替え) ○井原部会長  それでは、次に労働政策研究・研修機構の役員の退職に係る業績勘案率につい ての審議に入ります。  まずは、事務局から試算結果についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今般、労働政策研究・研修機構より独立行政法人評価委員会宛てに役員の退職 に係る業績勘案率の算定について依頼がございました。流れについては先ほど説 明させていただきましたので省略させていただきます。  それでは、資料5に沿って説明をさせていただきます。  資料5をご覧ください。  退職役員は吉田理事となります。在職期間は平成15年10月1日から平成20年6月 30日までとなっております。その期間の業績勘案率については、法人の業績勘案 率を別添の1に基づいて計算いたしますと、ちょっと第1期中期目標期間について はまとめて既に計算しておりますので、そちらを基に計算いたしますと、1.40と なりまして、平均値の分類はY、対応する率は1.0となります。平成19年度におき ましては1.32となりまして、平均値の分類はY、対応する率は1.0となります。平 成20年4月から6月につきましては、評価未実施の期間でございますが、これにつ きましては、当該期間の実績、別添2とこれまでの実績を比較考量しますと、ほ ぼ同水準とみなすことが適当であると考えておりまして、その場合、平均値の分 類はY、対応する率は1.0となります。これらを踏まえて、業績勘案率の平均値を 計算いたしますと、(3)にございますように、1.0となります。  以上のことから政策評価官室の試算は1.0とさせていただきました。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございます。続いて、この退職役員につきまして、在職期間中の理 事の担当職務等について法人から説明をお願いいたします。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  吉田理事の担当の職務でございますが、吉田理事は研究担当理事としまして、 機構の主要事業であります労働政策研究業務、この労働政策研究についての管理 運営、それからまた、研究成果の普及ということをご担当していただきました。 それからまた、理事の一人としまして、ほかの理事とともに理事長を補佐しまし て、それ以外のJILPTの業務であります管理業務、それからまた、研修業務、こ れらについても幅広く理事長を補佐する立場で参画いたしまして、機構全体の業 務の推進に尽力してきたところであります。 ○井原部会長  ありがとうございます。それでは、ご質問等がありましたらお願いいたします。   ○谷川委員  幾つかこういう事例が出ていてよく分からなくなって。こういう機構は理事の 任期の期間は余りそろえておられないんですか。6月末までとか2月末まで、先ほ ど伺ったのは2月末で3月1日で交代するんだとかおっしゃられているんですけど、 普通は会計年度に合わせるとかということで出てくるんですけど、何か6月末で あったりということなんですけど。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  それぞれの機構でも形で色々な事情があるのかと思いますが、吉田理事の場合 には、一応3年半の第1期の基盤強化の時期にありましたけれども、この間しっか りと理事として勤められまして、さらに19年度から新しい第2期がスタートして からちょうど1年、20年3月で第2期の1年目が過ぎまして、ほぼ第2期も大体いい 軌道に乗ってきたということを思われと思います。一つの区切りとしまして、本 来の任期ということであれば、来年9月30日までというのが正規の2年間の任期と いうことになりますが、一応区切りのいい今年の6月に退任の意思を表明された という状況があります。 ○谷川委員  ちょっと質問がまずかったようで、通常組織体なものですから、この1年間は どういう執行部体制でいくかということで、例えば3月でも6月でもいいんですけ れども、ある期間で1年とか2年とか、それから、その理事さんというのはあくま でも執行部ですので、理解するところはある意味で有期限と。職員さんは無期限 といいますか、60歳まで所定の定年年齢までなんですが、理事さんになられた瞬 間にそういう意味では雇用上は非常に不安定にはなるんですけれども、というの が一般的な理解なものですから、吉田理事さんの別に個人的な業績ということで はなくて、機構においては、例えば6月末まであるいは7月、6月で人事体制、あ るいは6月末でそろえておられるのか。通常といいますか、株式会社の場合なん かですと、その人の任期を引き継ぐということをやって必ず6月末に見直し時期 が来るとかというような形になるものですから、そういうことはやっておられな いんですねという質問を申し上げたんですけど。 ○井原部会長  一般的制度としてどうなっていますかということです。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  一般的な制度というのはちょっと私のほうで答えるのがいいのかどうかわかり ませんが、2年の任期というのが私どもの場合決まっておりまして、ちょうど15 年10月1日に第1期がスタートしまして、そこから吉田理事の場合は2年ずつの区 切りで来ておりまして、後任者の場合には前任の期間を一応引き継ぐような形に なります。 ○谷川委員  確認したかったのは、任期というのがある特定の人、個人で決まっているんで しょうかと。それとも組織的にこの期になれば全員が見直し体制になるとか、そ ういうことになっているんでしょうかという意味なんですが。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  個人ごとになっております。 ○政策評価審議官  この役員の人事は個人になりますので、正確なことは言えませんけれども、必 ずしもいついつを期日にしてちゃんとそろえるという一元的な形での制度にはな っていないように私どもは理解しております。  あと、具体的な個別の話としていけば、どういうところから役員を採用するか 等々の関係もありまして、例えば早めにとろうと思っても民間の方からとる場合 にはいろんな問題があってちょっと遅れてしまうようなケースもありますし、あ と、公務員のOBからとる場合には、今度は退職との関係でかなり制約があったり してきて、必ずしもいついつでやるという明確な、もしくは会計年度に併せて全 部入れ替えるという形には多分なっていないんだと思います。 ○篠原部会長代理  理事長と幹事は大臣任命になって、やっぱり身分保障をする上で独自性を出し てくれと。ある意味で官庁の意に反してでもきちっとやれということだと思うん ですよね。ただ、理事は理事長任命ですよね。やっぱり形態をつくったときによ ほどの個人の理由がない限りは、その期間を補償すると。民間では先ほど谷川委 員が言っているように、そういう形にしていったほうがより経営ということの方 針の上で何かをやるということでは、こんなことを言うと変なんですが、まだ役 所的と言ったら変かな。何か違う法則で任命されているなと。もっとやっぱり独 法をつくった趣旨を考えれば、もっと経営陣を大事にするというか、その人たち の方針の基にやらせて、それでその結果がここに出てきて評価するんだよと。や っぱりそういう努力が要るんじゃないかと思うんですが、どんなもんでしょう。 ○政策評価審議官  もともとの独法法人の業務というのは、出発点から言えばイギリスのエージェ ンシーの勉強から始まって、独立して責任を負わせると。そのかわりそのやり方 についてはできるだけ自由な形でやってもらおうといって、その成果を見るとい うことですから、そういう意味でいくと、例えば毎年、毎年役員を変えるような 仕組みは、それは適当だとは言えないでしょうし、一定の期間を見た上で一定の 責任を負ってもらう、もしくはその成果を個人もしくはそのときの役員全体に負 わせると、多分そういう議論がベースになると思うので、おっしゃることはよく 理解できます。  ちょっと私も正確にはここで明言できる立場ではありませんが、役員というの は非常に重要なポストであり、独法法人をどうしていきたいか、何をしていたい かを語るべき立場のものですから、その方に一定の任期を与え、その間に成果を 得ることだと思います。  ちなみにあなたは1年ですよという形での任期をとるところはないだろうと思 います。大体2年ぐらいのタイムで回していって、多くの場合には2年で少なくと も2回目までやってもらうというイメージでお願いしているんだろうと思います が、当面は2年間でということで話をご了解いただくというか、そういう形で運 用されているんだと聞いております。 ○松田委員  いいですか。役員の任期は2年とか言っているのは一般企業でしょう。独法に は1年も2年も何も書いていないんですよね。だからそれでやるしかないんでしょ う。そういう決まりがないんだから。 ○篠原部会長代理  理事長というのは2年。 ○松田委員  今、民間でも2年じゃないですよ。1年でぶった切ると。民間はもう1年ですよ。 役員の任期は2年以内だから。法律は2年ですよ、民間では2年以内。だから1年で ぶった切るんですよ。もう増えていますよ。 ○今村委員  すみません、お答えいただける範囲で結構なんですが、この方は現職は今どこ に、別のところにいらっしゃるんですか。それで、大体年齢に関しては65歳まで とか、役員に関しては。70歳ぐらいとかいわゆる定年みたいなイメージではなく て、年齢が大体アバウトで決まっていますよね。そうすると、それまでは各独法 とか政府組織を2年単位ないしは4年ぐらいの単位で回っていくというふうに考え てよろしいんでしょうか。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  吉田理事の場合は、今現在は嘱託として当機構にそのままいていただいており ます。年齢的には退任されたときは61歳でして、吉田理事の場合は日本労働協会 時代からプロパーの職員として在任されております。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、申請のあったこの業績勘案率につきましては、原案のとおり1.0と 決定することにいたします。なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定 した業績勘案率につきましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に 通知をいたしまして、意見の有無を確認いたします。総務省政策評価・独立行政 法人委員会から意見がない旨、当委員会に通知された後にこの1.0を当委員会と して厚生労働大臣に通知するという手続をとります。  それでは、本日の議事は以上でございます。事務局より今後の日程等について 説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日でこの夏の労働部会の審議は終了となります。暑い日が続く中、連日の審 議等においてご協力いただいたことに感謝申し上げます。  それでは、今後の予定等についてご連絡させていただきます。明後日の27日水 曜日、13時から総会の開催が予定されております。場所は17階専用第21会議室で、 議題は暫定評価と最終評価になっております。  また、次回の労働部会につきましては未定でございますが、秋以降の開催にな るかと思います。議事日程等が決まりましたら、委員の皆様方には改めてご連絡 いたします。  以上でございます。 ○篠原部会長代理  理事長及び経営陣のここの出席についてちょっとお願いというか、この独法評 価自体ができたときに評価の最初のときには理事長の方針を聞きたいということ で全部理事長に出ていただくんですが、この中期期間終了の評価においても非常 に経営に関わることの問題を議論するので、理事長あるいはその代理の人が出席 いただく方針で今後お願いできないかと。ただ、今日ここをやるので非常に日程 の調整は難しいかもしれないんですが、やはり基本的には経営陣のだれかが出て いただくということでお願いできれば思います。 ○政策評価審議官  今のお話は独法評価の4年目の評価、それから5年目の評価に関しての話だと思 います。 ○篠原部会長代理  そうです。 ○政策評価審議官  私のほうもそういう観点で、少なくともここでお会いするのは経営者としての 視点での答え方を求められていたりしますので、少なくとも意思決定の立場にあ る理事以上で、できれば理事長にということで私どももお願いしてきましたので、 それを今後徹底させるためにこの会議の開催日を独法のほうとも調整をしながら 今のお話が担保されるようにしていきたいというふうに思います。 ○政策評価官室長補佐  こちらのほうもまた改めて調整したいと思います。すみませんでした。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。  それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりまして熱心なご 審議、どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)