08/08/25 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第31回議事録 第31回労働政策審議会 労働条件分科会 労災保険部会          日時 平成20年8月25日(月)          17:00〜18:30          場所 中央合同庁舎第4号館108号会議室 ○平野部会長  ただいまから、第31回労災保険部会を開催いたします。本日は金城委員、内藤委員、中 窪委員、那須委員がご欠席でございます。  まず前回以降、委員の交替がありましたのでご紹介いたします。  使用者側委員として、松井博志委員に代わりまして日本経済団体連合会、労働基準グル ープ長 兼 安全衛生グループ長の輪島忍委員がご就任されています。 ○輪島委員  輪島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○平野部会長  また、議事に入ります前に、事務局に人事異動があったとのことですので、自己紹介を お願いいたします。 ○補償課長  4月11日付で補償課長に就任いたしました新宅です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○労災保険業務室長  7月1日付で労災保険業務室長になりました藤井と申します。よろしくお願いいたしま す。 ○労災保険審理室長  7月11日付で労災保険審理室長に転任して参りました藤永と申します。よろしくお願い いたします。 ○労災管理課調査官  7月20日付で労災管理課調査官に就任いたしました瀧原と申します。 ○平野部会長  では、議事に入らせていていただきます。  第1の議題は、「派遣労働者に係る労働者災害補償の在り方について」です。事務局から ご説明をお願いいたします。 ○労災管理課長  労働者派遣制度の在り方については職業安定分科会労働力需給制度部会で議論がされて おり、昨年度は派遣制度そのものについては意見の隔たりも大きいということで、昨年末 に中間報告がまとめられ、その後、学識者からなる研究会を設けさらに検討がなされ、報 告がまとまったところです。その中で労働者派遣事業における労働者災害補償の在り方が テーマになっていますので、ご議論いただきたいと考えております。  まず資料1−1ですが、「労働者派遣事業に対する労働者災害補償保険の適用等について (現状)」を整理したものです。  1頁の1ですが、「労働者派遣」は、派遣元事業主と派遣労働者に雇用関係があり、派遣 先と派遣元事業主に労働者派遣契約があり、それに基づいて派遣労働者を派遣先に派遣し、 派遣先が具体的な指揮命令を行うという労働形態です。  2「派遣労働者に対する労働基準法等の適用」についてですが、昭和60年に労働者派遣 法が制定され、派遣労働者の就業条件の整備等を図るために必要な措置を講ずることとさ れました。労働基準法は、本来、労働者と労働契約関係のある事業に適用されるため、原 則として派遣元事業主が責任を負うということになるわけですが、派遣労働者については 派遣先が業務遂行上の指揮命令を行うという特殊な労働関係にあることから、労働者派遣 法において、派遣労働者の法定労働条件を確保をする観点から、労働基準法、労働安全衛 生法等について特例を設けております。資料1−1の4頁以下で、派遣元、派遣先の責任分 担の関係を示しております。  2頁です。基本的には派遣労働者と労働契約関係のある派遣元事業主が責任を負うとい う原則で、ただ派遣の実態から、派遣元に責任を問い得ない事項や派遣労働者の保護の実 効を期する上から派遣先に責任を負わせることが適当な事項について派遣先に責任を負わ せることになっております。  3「労働基準法の災害補償責任の所在」についてです。基本的には労働者派遣事業におい ては派遣元事業主が災害補償責任を負っており、その理由は、(1)派遣元事業主は派遣労働 者の派遣先事業場を任意に選択できる立場にあり、派遣先と派遣契約を締結したことに基 づいて労働者を派遣したことに責任があること。  (2)派遣労働者を雇用して、自らの業務命令で派遣先の事業場において就労させているた め、派遣先の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう配慮する責任もある こと。  (3)労働基準法上、業務上の負傷・疾病にある場合の解雇制限、あるいは補償を受ける権 利は退職によって変らないといった規定がありますが、これらの規定は雇用関係の当事者 である派遣元に災害補償責任があるということを前提としていると考えられることから、 労働基準法の災害補償責任については派遣元事業主に負わせることになっているところで す。  さらに、災害補償の内容は賃金に代替する性格を有するということもあり、派遣元事業 主が責任を負っているということです。  4「労働者災害補償保険法の適用」についてですが、これも「労災保険法」においては「労 働者を使用する事業を適用事業とする」であり、この「使用する」というのは労働契約関 係にあるという意味で、労働基準法上の災害補償責任も派遣元事業主にあるということか ら、「派遣元事業主を労災保険の適用事業とする」という取扱いをしているところです。  3頁の5「労災保険率の適用」についてですが、労災保険率についてはその作業の態様に よって料率が異なり、労働者派遣事業に限らず、ある事業場で様々な事業を行っている場 合は主たる作業の態様に基づき労災保険率を適用しており、何が主たる事業かによって決 めています。  労働者派遣事業についても同様で、派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場 合には、主たる作業実態に基づきその事業の種類を決定しており、派遣労働者の数や派遣 労働者に係る賃金総額等で主なる作業実態を判断しているところです。  この図の例で、金属製品製造業と輸送用機械器具製造業あるいは、金融業、小売業等に 派遣している場合、金属製品製造業が最も派遣労働者の数が多いため、金属製品製造業の 1,000分の14という労災保険率が、すべてについて派遣元事業場で適用されます。  資料1−2ですが、「派遣労働者の労働災害の現状」で、安全衛生部において労働者死傷 病報告から集計したものですが、1は派遣労働者の休業4日以上の死傷者数です。これは 派遣元から提出された労働者死傷病報告で休業4日以上の者を集計したものです。下に全 労働者と記載しておりますが、休業4日以上の死傷者数は大体13万人強で推移しておりま すが、派遣労働者については平成16年が667人であったものが、毎年かなり増えてきてお り、平成19年では5,885人という状況です。その下の2は、休業4日以上の「死傷災害に 被災した派遣労働者の派遣先業種割合」で、製造業の割合が高まってきているのが現状で す。  次に、2頁の3は、製造業の中でどういった業種が多いかを示したものですが、(1)業種 別では平成19年では食料品製造業が21.6%で最も多く、輸送機械製造が18.5%、金属 製品、一般機械器具が10%を超えているという状況です。  さらに、3頁(2)事故の型別にまとめたものですが、平成19年では、はさまれ、巻き込ま れが最も多く3割強、動作の反動、無理な動作、転倒が1割強という状況です。  次に資料1−3です。職業安定局において学識者からなる研究会が開催され、2頁に開催 要綱、3頁に参集者の名簿をつけておりますが、その中で個別の制度の在り方ということ で災害補償についても報告書がまとめられ、一定の提言がなされております。  1頁の下の部分ですが、災害補償の責任については、派遣元事業主が、派遣労働者の雇 用者として労働災害を発生させるような派遣先の業務に派遣した責任があり、災害補償の 責任を派遣先に負わせることは適当ではないということです。しかしながら、派遣労働者 の安全衛生の確保のために必要な措置のうち、危険防止のために事業者が講ずべき措置な ど派遣先に責任を負わせることが適切な事項については、派遣先に義務が課せられており、 それを遵守する義務は派遣先にありますが、派遣先がこれらに違反する等、故意又は重大 な過失によって労働災害を生じさせた場合であっても、現行の労災保険制度においては、 被災者の保険給付に係る費用を派遣先から徴収できないことになっており、派遣先の法律 上の災害防止責任が反映されるよう見直しを行うことを検討すべきであり、派遣先の故意 又は重大な過失によって労働災害を生じた場合、派遣先から費用徴収を行うことができる ように見直しを行うことを検討すべきというのが報告書の内容です。  資料1−4で「費用徴収制度」について現状を説明いたします。まず、1頁で、労災保険 法第31条第1項第3号、事業主の故意又は重大な過失によって発生した業務災害について 保険給付を行った場合、事業主に注意を促し、災害防止責任を自覚させ、災害が発生した ことに対し制裁を科す意味で、政府は保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一 部を徴収することができると規定しております。  2頁が条文です。労災保険法第31条第1項第3号において、事業主が故意又は重大な過 失によって生じさせた業務災害の原因である事故について事業主から費用を徴収すること ができるということです。  1頁に戻って、具体的にどのような場合に故意又は重大な過失により生じた業務災害に なるかですが、現在(1)〜(3)の類型があります。  まず、(1)法令に危害防止のための直接的かつ具体的な措置が規定されている場合に、事 業主が当該規定に明白に違反したため事故を発生させたと認められるとき。  (2)法令に危害防止のための直接的措置が規定されているが、その規定する措置が具体性 に欠けている場合に、事業主が監督行政庁より具体的措置について指示を受け、その措置 を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるとき。  (3)法令に危害防止のための措置は規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫 であるため、事業主が監督行政庁より直接的かつ具体的な措置について指示を受け、その 措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるとき。  この3つの類型の場合に現在費用徴収を行っており、このような事故について保険給付 を行った場合に労働基準監督署長から都道府県労働局長に通知を行い、都道府県労働局長 が徴収の決定を行っております。徴収については保険給付の支給の都度行っておりますが、 法律上、労働基準法の災害補償の価額の限度となっており、療養開始日の翌日から3年以 内の期間において支給事由が生じたものについて費用の徴収を行っているというのが現状 です。  3頁で、現在どの程度費用徴収の決定を行っているかを示しております、大体毎年5〜600 件、決定金額は1億円強という状況です。その下に具体的な事例で最近費用徴収を行った ものについて地方労働局から収集した事例を整理したものです。  まず類型(1)の「法令に危害防止のための、直接的かつ具体的な措置が規定されている場 合に、事業主が当該規定に明白に違反したため、事故を発生させたと認められるとき」の 具体的事例です。  1つ目が、天井近くのつり足場で梁に堆積した粉じんを取り除く作業を行っていたとこ ろ、墜落防止用ネットを張る等の措置が講じられておらず、墜落して亡くなったものです。  2つ目が、大根皮剥機を移動させるため、フォークリフトに乗せて、それを押さえるた めに爪を跨いで乗っていた被災者が、墜落して死亡したものです。  3つ目が、商品を圧縮梱包する機械で作業中、コンベヤーに落ちたビニール袋等を拾お うとしてコンベヤーの下に入ったのですが、コンベヤープーリーに囲いや覆いが設けられ ていなかったためにコンベヤーに体が引き込まれたという状況です。  また、無資格で不整地運搬車を運転していて事故に遭ったというもの、フォークリフト を無資格で運転して事故に遭ったというものがあります。  4頁は、電気工事の作業を行っていて、トロリ線に絶縁用防具が装着されていなかった ため接触して感電したという事例です。  その次にベルトコンベヤーのプーリー付近で作業を行わせるにあたり、非常停止装置が 備わっていなかったため、コンベヤーに巻き込まれたという事例です。  さらに、解体工事で、安全帯や歩み板、防網の設置等の危険防止措置が講じられておら ず、墜落したという事例です。  ここまでが法令に危害防止のために直接的具体的措置が規定されていて、事業主がその 規定に明白に違反したという事例です。  類型(2)「法令に危害防止のための直接的措置が規定されているが、その規定する措置が 具体性に欠けている場合に、事業主が監督行政庁より具体的措置について指示を受け、そ の措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるとき」は、プレス機械 について、安全装置の切替えスイッチの配線を改変し、安全装置が働らかないようにして いたことについて、労働基準監督署から使用停止命令を受けていたにもかかわらず、それ を無視して労働者に作業をさせ、指を切断したという事例です。説明は以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明についてご意見、ご質問等お願いいたしま す。 ○長谷川委員  意見というより、質問を何点かしたいと思います。研究会報告の内容だとこの程度なの かなという感想はもっています。ですから、今日ここで提起されたことは、研究会報告を 尊重したことなのだろうと私は受け止めています。  その中でいくつか質問ですが、今日の資料の中にもありますが、派遣先と派遣元から提 出される労働者死傷病報告書ですが、これは、派遣元と派遣先から報告書が出されるのが 一致するのかどうか、派遣先と派遣元で違っているのかどうなのか、適合するのかどうな のかを聞きたいのです。  派遣労働者の場合、労災かくしが起きていると言われています。派遣先で労災、怪我し たりとか手を巻き込まれたりとかの時に、派遣先がかくすこともあると言われているので すが、派遣元と派遣先が報告書を出してきて、それを突合してぴたっと合えばですが、合 わない時は、どういうふうにしているのか聞きたいと思います。もう1つは、派遣先と派 遣元の数が合わないということは、労災かくしが行われていると受け止めていいのかどう なのかです。  2つ目は、今日の報告書にもありましたが、各業種の資料1-2で、「派遣労働者の労災の 現状」が出ていますが、ちょっと聞きたいのは、食料品製造業と輸送機械製造業があって、 その割合が高いのですが、ちょっとイメージがつかないのです。食料品製造業というのは、 どういう所で、どのように起きているのか、輸送機械製造業となっていますが、どういう 事業なのか、もうちょっと具体的に教えてほしいのです。私は勝手にイメージすることは できるのですが、それではちょっと駄目なので、もし分かっていたら、それを教えてほし いと思います。  今回の「事業主による故意又は重大な過失」というのは、事例なども出ているわけです が、その「故意又は重大な過失」というのは、安全配慮義務違反と考えているのかどうな のかを教えてほしいと思います。  今回、派遣先から費用徴収を行うとなった場合、派遣元はどうペナルティーがあるのか 聞きたいのです。派遣先にはペナルティーをこれで課することができるのですが、派遣元 はどういうペナルティーがあるのですか。  今日の〈費用徴収事案の具体的な事例〉の(1)のところに、「法令に危害防止のための直接 的かつ具体的な措置が規定されている場合」と書いてあるのですが、この「法令」は何を 指すのですか。私が勝手に解釈すると、労働基準法とか労働安全衛生法だけでなくて、消 防法、電気事業法、建築基準法とかも含まれるのかどうなのですか。  製造業での派遣労働者の被災が突出しているわけですが、このうち危険有害業務の割合 はどの程度あるのですか聞かせてください。製造業への派遣労働者の数と被災者数の割合 はどうなっているのかも聞かせてください。それだけです。 ○労災管理課長  まず、労働者死傷病報告については、ご案内のように、法律上、派遣労働者については、 派遣先、派遣元双方からの提出が義務づけられています。この事例でいくと、1番の派遣 労働者の5,885件は、派遣元から出されたものです。実は、平成19年に派遣先から報告さ れた件数は、この約3分の2の4,000件弱という状況です。  これについては安全衛生部の所管になりますが、厚生労働省においては、昨年、派遣先、 派遣元双方の事業主団体に、労働者死傷病報告の提出の徹底を要請しました。実際に労働 基準監督署の窓口において、派遣元から労働者死傷病報告があった場合に、その派遣先か ら提出されているか確認し、仮に、派遣先からの提出が確認できない場合には、その派遣 元の報告において派遣先の事業場、災害発生場所を確認し、派遣先事業場を管轄する労働 基準監督署にその情報を送って、派遣先を所管する労働基準監督署で労働者死傷病報告を 提出するよう指導することとしていると聞いています。  次の、製造業の中分類の中で、食品製造業の中でさらにどういったものが多いかですが、 これも安全衛生部に聞いたところ、パン・菓子製造、水産食料品製造業などの業種で災害 が多く発生しているようです。輸送機械等については、自動車、その付属品の製造業で多 く発生しています。  3つ目、費用徴収について、「事業主の故意又は重大な過失」とは、法令に危害防止のた めの直接的かつ具体的な措置が規定されている場合に、その規定に明白に違反したなど類 型(1)から(3)ですが、一方で安全配慮義務は、一般的には、労働関係に基づき、特別な関係 に入った当事者間において、その法律関係の付随的な義務とした相方に対して信義則上負 う義務として判例などで確立されたもので、先般、労働契約法でも、「使用者は、労働契約 に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要 な配慮をするものとする」と規定されており、安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求を 行うことができるということです。費用徴収の対象については、「事業主の故意又は重大な 過失において生じた業務災害」ですので、それは安全配慮義務違反にもあたることではあ ると思いますが、逆に、安全配慮義務違反のものすべてが対象になるということではなく、 いまの「故意又は重大な過失」ということからいくと、やや広くなり過ぎるかなと思いま す。  派遣先から費用徴収を行う場合に、というのは、基本的には、「派遣先の故意又は重大な 過失により生じたもの」です。派遣元事業主は、もともと労働者の災害補償責任を負って いるので、その部分の災害補償責任を負わなければならず、当然、派遣元事業主の保険関 係に基づき労災保険給付が行われます。派遣先で故意又は重大な過失によって生じた災害 については、派遣元に故意又は重大な過失がなければ派遣元に対してそれ以上のペナルテ ィーは働かないものと考えています。  5つ目、この法令に危害防止のために直接的かつ具体的な措置が規定されている場合と いうことで、法令については、先ほどご指摘がありましたように、労働基準法や労働安全 衛生法は当然含まれると思いますが、それに限らず他省庁所管の法律でも、その法律の中 で危害防止のための直接的かつ具体的な措置が規定されているものについては、そこに含 まれると考えています。  6つ目、製造業の中で危険有害業務の割合がどの程度かについてですが、その点はいま 把握しておりません。安全衛生部にも聞いてみましたが、把握していないということでし た。  あと、製造業の派遣労働者と被災者の関係で、製造業の派遣労働者がどの程度いるかに ついて、「労働者派遣事業報告」、これは職業安定局で集計したものですが、平成18年度は 24万179人で、それに対して休業4日以上の死傷者数が1,395人ですので、24万人に対し て1,400人ぐらいの割合です。以上です。 ○平野部会長  長谷川委員、よろしいでしょうか。 ○長谷川委員  はい。 ○平野部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○輪島委員  いまの長谷川委員と重なる部分もあるかと思いますが、資料1-2で何点かお伺いしたい と思います。まず1で、平成16年から19年の派遣元の数が出ていて、先週でしたか、こ の数字が発表されて新聞記事になっているようですが、確かに平成16年から19年の派遣 労働者の数が増えているというのはよく分かるのですが、この数字ではなくて、例えば基 本的に普通の労働者の労働災害に関する休業4日以上の死傷者の発生率と派遣労働者につ いてのこの資料1-1にあるような三者間雇用関係の中での労働災害の発生率が高いのか低 いのか、つまり、その中で労働者保護が図られていないという特徴的なものが出てくるの かどうかということが、むしろ数字としては必要なのではないかと思いますので、その点、 分かれば教えていただきたいと思います。  1頁目の2ですが、よく分からないので教えていただきたいと思います。基本的に派遣 労働者については、2の2つ目の業種の建設業については、禁止業務になっていると思う のですがどうしてこういう数字が建設業で出てくるのかが分かれば教えていただきたいと 思います。  2頁目ですが、長谷川委員がおっしゃったとおり、食料品製造業と輸送機械製造業の中 で、例えば3頁目の「はさまれ、巻き込まれ、動作の反動、転倒」ここの因果関係が、や はり私も分かりにくいと思います。  先ほど長谷川委員がご質問になった5番目の、派遣先から今度費用徴収をするようにな った点で、元のペナルティーの点ですが、ご説明が今一、私は理解できなかったので、も う一度ご説明いただきたいのです。基本的には、労災は派遣元にかかっているので、発生 について、派遣元で費用負担ないし、それ以降発生があるということですが、派遣先につ いては今後、制度改正の議論をすることによって、プラスアルファで徴収をするというこ とになる、という理解でよろしいのかどうかという点をお聞かせいただきたいと思います。 以上です。 ○労災管理課長  まず1番目ですが、単純な比較は難しいところがあります。例えば全労働者についての 休業4日以上の死傷者数が、平成19年ですと13万1,478人あるわけですが、適用労働者 全体で見ますと、約5,000万人ですので、単純に5,000万人を母数にして、その13万人を 分子にすると、0.26%の割合になろうかと思います。  一方、派遣労働者について、平成18年度の数字しかありませんが、職業安定局の集計に おいて派遣労働者の数が、平成18年度で321万人、それを常用換算すると152万人という 数字がその派遣事業の報告の中でありますので、派遣労働者のその3,686人を、仮に派遣 労働者全体321万人を母数にすると、0.11%、常用換算で152万人を母数にすると0.24% ぐらいで、全労働者を常用換算した場合に、ほぼ同じぐらいというのが平成18年で、平成 17年以前はそれよりも若干低い率になるかもしれません。単純な比較は難しいですが、労 働者数との単純な割合で見ると、そういう状況かと思います。  2つ目、派遣労働者の労働災害発生事業として、建設業が1%強ありますが、建設業の場 合に2種類あろうかと思います。1つは、事務とか施工管理については、派遣が禁止され ていないので、それが含まれていること。もう1つは、違法である建設業に派遣されて災 害が起きた事例があります。ちなみに、平成19年については、休業4日以上が建設業で 41件ありましたが、施工管理、事務が24件で、それ以外が17件で、半分強は施工管理等 に入っています。  3つ目、食料品などが多いことについては、いますぐには分からないところもあります ので、さらに安全衛生部等に聞いて、次回にでもご報告いたします。  4つ目、先ほど申し上げた派遣元の問題ですが、もともと労災保険は派遣労働者につい ても、派遣元で適用しておりますので、派遣労働者の分も含めて、保険料は派遣元が負担 しており、事故が起きた場合には派遣元の労災保険から保険給付が行われます。事業主は、 災害補償責任ということで、例えば休業3日目までの補償は、労働基準法上行うというこ ととなっております。  それと別に、派遣先で故意又は重大な過失で業務災害が起きた場合には、プラスアルフ ァで派遣先から費用徴収をしてはどうかというのが、この議論です。 ○輪島委員  その関係でもう一点教えていただきたいのですが、資料1-4ですが、3頁目に、平成18 年度、現行の法律31条第1項3号の関係で、1億2,000万円費用を徴収しているわけです が、今度の制度改正によると、プラスアルファで費用徴収が行われることになるのですか、 それとも、いま派遣先と言いますと、事業はやっていて、労災で事故が起きていて、徴収 はしているわけですから、派遣先とか何とかと言わずに、費用徴収は現在も行われている わけですので、それは制度改正によっても費用徴収は増えないのか、それとも、制度改正 によって派遣先からプラスアルファ徴収されるので、その1億2,000万円はある程度増え るということをイメージするのか、どちらですか。 ○労災管理課長  現在は、派遣先の故意とか重大な過失で業務災害が起きても、費用徴収はできないので、 現在はこの中には入っておりません。今後、仮に派遣先の故意又は重大な過失によって業 務災害が起きた場合に費用徴収することになれば、概念的には、これにプラスアルファで 決定件数や金額が出てくることになると思います。 ○輪島委員  どれぐらい増えるのかは分かりますか。 ○労災管理課長  それは災害の件数とかによるので、直ちにいくらぐらいというのはなかなか難しいと思 います。 ○輪島委員  どうもありがとうございました。 ○田中委員  いまのところに少し関係してくるのですが、今後の推測ができないとして、資料1-2の 1の派遣労働者の数字、例えば平成19年であれば5,885という数字があるのですが、この 件数の中で、もし制度が変わっていたとしたら、いまおっしゃった重大災害にあたるのは この平成17年、18年、19年について、何件ぐらいが、本来この制度であったら、派遣先 に課して然るべき件数だったのかを教えていただきたいのが1つです。  長谷川委員、輪島委員がおっしゃったことを、違うところで伺っているのかもしれませ んが、派遣労働者の被災率が上がっている要因分析と言うのですか、どういうふうに事務 局方としては分析をされているのか、派遣労働者数の母数が増えたのか、それとも危険な 作業に従事している人の数が増えたのか、あるいは派遣先のその周知徹底なりの不工合が あると、すべてがオールではないと思いますので、どのぐらいの構成でそれが増えてきた という分析をされているのか、その2点を教えていただけないでしょうか。 ○労災管理課長  1点目については、この資料1-2にあるもののうち、個別にその事案を見ないと、「事業 主の故意又は重大な過失により生じたもの」かどうかが分からないので、いま直ちに、そ のうちどれだけがというのはなかなか難しいところがあります。それは、個別に一件一件 事例ごとに見ていかないと具体的な発動ができません。  派遣労働者の災害が増えていることについては、派遣労働者の数が増えていることと、 特に製造業への派遣が解禁されて、その製造業の派遣労働者の数が増えていることが一つ あろうかと思いますが、さらに、増えている要因については、もう少し安全衛生部とも詰 めて、またあらためてご報告します。 ○田中委員  質問させていただいた趣旨は、今回の制度の新たな改定案が何らかの派遣労働者の方の 労働災害の増加を食い止める有効な手段になるという判断で制度改定をうかがえないかな と考えているものですから、そうすると、例えば過去の件数、やってみたら5,885件のう ち、これにあたるのがほとんどありませんということであれば、ほかにもっと有効な手段 があるかもしれないですよね。  派遣先に課料すると言いますか、ペナルティー的な費用徴収をするのが有効であること が、何かエビデンスで分かると理解しやすいなと思ったので、質問させていただきました。 もし個別に見るのは無理ということかもしれませんが、そうですと、折角やってもあまり 意味がなかったということでは、ちょっともったいないという気がします。そのあたりも 数字が分かれば、次回でも結構ですので、教えていただければと思います。 ○長谷川委員  派遣の検討会でもやらなければいけないのでしょうが、例えば、いま田中委員もおっし ゃっているのですが、やはりこの表の作り方でいうと、派遣労働者の労働災害は、平成18 年、19年と数が大きくなってくるのですが、それはなぜなのかと、やはり、そこは必要だ と思います。ですから、通常の労働災害が一般労働者の場合と、派遣の場合の発生率はど うなのかとか、業種別でいうと、その派遣労働者のそういう労災事故が多いのが、通常の 労働者と比べた場合に、どこで起きているのか、やはりその分析は必要だと思います。今 日のは、そこに触れていないので、皆、何かもう少しすっきりしない感じです。  事故の形ですが、例えば3頁の(2)の事故のところで、「はさまれ、巻き込まれ、転倒、動 作の反動、無理な動作」とか、その「はさまれ、巻き込まれ」というのは、よく私も聞い ています。私も、労働相談でもされたことがあるのですが、製造業のところで、直雇用の 正規の労働者と直雇用の契約社員と、請負と派遣が混在している時に、ベルトコンベヤー の合図がうまくいかなくて、はさまれたとかいう話は私どもも聞いているのですが、そう いうのが見えないのです。  結局、どういう形でどういう所で事故が起きたかは、結果から見ていくわけなので、そ ういう意味では、もう少し、安全衛生部と意見交換して、この「はさまれ、巻き込まれ」 が通常の所よりも派遣の所でもし起きているとすれば、起きていることが分かるようなも のが欲しいなと思います。「はさまれ、巻き込まれ」ですと、全体の平成16年がいちばん 高いわけです。平成17年、18年、19年と下がってくるのです。全体の平成19年の割合で 言えば31%と大きいのですが、でも、年度で見てると、下がっているのは、どうしてなの かがもうちょっと分かるといいなという感じです。  さっきも言いましたが、私は今回のこの措置は、もともと派遣先も共同責任もあり、こ こはいろいろな意見があると思いますが、派遣労働者に対して派遣先と派遣元が使用者と しての共同責任を負う必要があるのではないかと思います。「共同」と言っていいかどうか、 そこは私も言い方に気をつけなければいけないのですが、派遣元も派遣先もやはり責任を 負わなければいけないということで、そういう意味では、派遣先にもペナルティーをかけ ようということですが、本当に派遣先に有効かどうなのかが、まだ、ちょっと私には見え ないのです。ですから、もう少し説明して欲しいと思うのです。ないよりは、あったほう がいいのです。ペナルティーになることはなると思いますが、でも、ここのところがもう 少しすっきりしないなという感じです。 ○筧委員  先ほどの資料1-2の2番目の死傷災害の統計ですが、これはパーセンテージで出されて いますが、なかなか頭で整理できないのです。実数で出していただければと思います。一 つ心配なのは、平成16年に法が改正になって、製造業も派遣労働者を受け入れるとなって います。それが原因でこのパーセンテージが増えてきたのかどうか。これが我々にはちょ っとよく見えないのです。  派遣労働者が増えることによって、その事故が増えてきたのか、あるいは全体の事故数 が増えてきたのか、あるいは事故が増えてもいないのか、製造業は少しずつ減ってきてい ると聞いているのですが、これだと何か誤解を与えるような数字になっているので、是非、 実績で派遣とそれ以外と、いうことで出していただきたいなという点だけです。 ○平野部会長  ほかにはございませんか。よろしいですね。  座長をやっていると、いろいろなことを感じるのですが、特に派遣労働者というのは、 労働者の中の特別な人たちをひと括りにしているわけです。ですから、ほかといろいろな ことが違って当然だ、という感じがないわけではなくて、それが反社会的なことでそれが 起ってくるのであれば、何か手を打たなければいけないですね。そういうのりで考えては いるのですが、これは今日、結論を出すということではなくて、あと1、2回議論していた だいて、報告書に近付けるということです。  そういうことですので、今日、皆さんからいただいたご意見を踏まえて、事務局で仕上 げをしていくことになります。そういう観点から、もう一言ここは言っておいたほうがい いということがあれば聞いておきたいのですが、よろしいでしょうか。いろいろ社会的な 背景があって、難しい問題だと思いますので、もし、あとでお気付きの点がありましたら、 事務局に声をかけていただければありがたいと思います。  それでは、次の議題に移りたいと思います。第2の議題は、「社会復帰促進等事業に係る 平成19年度成果目標の実績評価及び平成20年度成果目標について」をお諮りします。事 務局から、この件についてご説明いただきたいと思います。 ○労災管理課長  資料の2-1と2-2をご覧ください。まず資料2-2ですが、平成17年度からこの社会復帰 促進等事業は、従来は労働福祉事業でしたが、その効率的・効果的な事業運営を図るため、 各事業の性格に応じて成果目標を設定しており、昨年度も目標を設定しました。それを踏 まえて今回、実績評価を行い、さらにそれぞれについて平成20年度の成果目標を設定いた しました。これまでもそうでしたが、特にアウトカム指標化に努めました。  資料2-2の2頁目【評価の概要】ですが、全体で55事業です。見直しが必要な事業は 18事業です。評価類型ごとには、そこにあるとおりですが、個別には数が多いので資料2-1 をご覧ください。非常に数が多いので、特に今年度は重点目標管理事業を新たに設けてお ります。1頁の1から4が重点目標管理事業です。  1が「労働者のメンタルヘルスの関係」、2が「化学物質管理の支援体制の整備」、3が「労 働時間等の設定改善に向けた取組の推進」、4が「建設業における総合的な労働災害防止対 策等の推進」で、それぞれ平成19年度の目標を設定して、その達成度合を見たということ です。   1頁の4「建設業における総合的な労働災害防止対策等の推進」について、(1)の改善措置 を講じた事業場の割合は84.6%以上の目標にしていたのですが、実績は63.2%で、この点 はこの事業においてきめ細かな指導が不十分であったということで、今後はよりきめ細か く研修会を開くといった見直しが必要であろうと思います。目標を達成したものは、平成 20年度の目標は、数値をより高く目標にするという形で、目標の見直しなども行っており ます。  2頁の5から8は平成19年度の新規事業ですが、これはいずれも目標達成しましたので、 目標をより高い数値にするなどの見直しをしています。  2.「社会復帰促進事業及び被災労働者等援護事業」の9の「労災診療費審査体制等充実 強化対策費」は、レセプト等の点検事務ですが、誤請求率8.34%で目標を設定しましたが、 実績は8.85%です。これは審査の範囲拡大により審査の精度が上がったためで、やや目標 の立て方に問題があったと考えておりますので、平成20年度は査定率を1.38%以上とす る目標に改めております。査定率とは、医療機関からの請求の中で査定によって減った金 額です。  12は振動障害の有所見率7.7%以下という目標に対し、実績は7.8%で目標を達成でき ませんでした。特に振動障害の有所見率が全体として上がっているとか、健康管理意識が 希薄な事業場があったということで、さらにきめ細かく指導していきます。  13の「中小地場総合工事業者指導力向上事業」についても、改善措置を講じた事業場の 割合を80%以上とするという目標に対し、実績は79.2%で目標を達成できていません。こ れもきめ細かな指導が不十分ということで、より分かりやすいテキストを作るなど、事業 内容を見直すという内容です。  3頁の安全衛生の関係の情報提供について、利用者数が若干下回りました。交通労働災 害も、改善措置を実施した事業場が95%以上という目標だったのですが、過去に事故を起 こした事業場が中心であったということもあって、割合が90.8%にとどまったということ です。これについては再度指導するとか、フォローアップを労働局あるいは労働基準監督 署とも連携して行うということで、より高い割合を目指すことを考えています。  19で「快適職場形成促進事業」は対象事業場の認定件数を3,210件としていましたが、 実績は3,028件で、目標は達成できていません。対象となる有期の事業場がそもそも減少 していることがあるわけですが、継続事業場の取組などを中心に実施していきます。  20.地域産業保健センターについて、事業者からの相談が若干目標を下回ったこと、(2)の 健康管理に取り組む割合も、86.5%という目標には達していないということで、事業者に 対する周知をさらに工夫するとともに、特に地域によってばらつきが大きいということで、 実績の低いセンターについて、セミナー等の見直しを行いたいと考えています。  21で、労働災害の発生件数50%以下という目標が達成できなかったのですが、もともと 災害がなかったところも対象にしたということと、50人規模で一般的には減少率5%程度 ということですが、必ずしも成果が定着していない面もあるので、その辺の見直しも考え ています。  4頁26の、中小企業勤労者福祉サービスセンターについては、人間ドックの件数が目標 を下回っており、ややPRが不足していたのではないかということがありますので、一層の 周知を行いたいと思います。  5頁31の技能実習生については、災害発生率0.4%以下という目標が達成できませんで したが、輸送用機械や鉄鋼業でやや増加したということで、職種や地域の特徴を踏まえた、 さらに効果的な事業を展開したいと考えています。  32の家内労働者の特殊健康診断は、従来からご指摘をいただいているところで、健康診 断の予定数の80%の目標を達成しなかったということですが、そもそも、これについては、 平成19年度限りで廃止するということで、平成20年度は別の個別指導における改善とい う目標を設定しております。  6頁は、平成19年度限りで廃止の事業です。  7頁からが独立行政法人の事業ですが、これは労働者健康福祉機構の労災病院の運営や、 9頁は労働安全衛生総合研究所あるいはJILPTの関係で、それぞれ、設定した目標につい ては達成して、目標の見直し等も行っていますが、独立行政評価委員会における評価が最 終的にありますので、現時点での状況報告とさせていただきます。  最後の9頁の実績集計中の事業です。55「短時間労働者の安全衛生対策推進費」につい ては、パートタイム労働者に対して正社員との均衡を考慮した健康診断を実施するという 事業ですが、この助成金は健診制度の導入時と継続が確認できたときの2回に分けて支給 し、その2回目の支給を受けた事業所において、さらに半年後においてその制度が継続さ れているということを目標にしているわけですが、助成金自体が平成19年7月から始まり 10月が最初の支給ですので、2回目の支給が半年後の平成20年4月、実績が集計できるの はその半年後の平成20年10月であり、現時点で集計ができていません。平年度化した平 成20年度は4月から6月に既に100件を支給していますので、来年度はこの時期にきちん と評価できると思います。  56「小規模事業場の産業保健活動推進事業」については、事業終了後、一定の期間の経 過を把握すべきと総務省の勧告を受けたことを踏まえ、アンケート時期、内容を改めたと いう経緯があり、現在集計中です。  障害者の「職業能力開発校経費」については、就職率60%以上という目標について集計 中になっておりますが、暫定の集計で60.2%となっております。最終的な集計は8月末に なるような状況です。説明は以上です。 ○平野部会長  ただいまの説明について、ご質問がございましたらお願いいたします。 ○長谷川委員  ちょっとお聞きしますが、31の技能実習制度のことなのですが、これは△になっていま す。それで、労災事故発生率を0.4%以下にするということは、平成19年の実績で労災事 故発生率0.52%を0.4%以下にするということなのですか。それで、この技能実習生の、 いまいろいろ言われているのは、派遣労働者の労災事故も多くなっているのではないかと 言われているのですが、もう1つ、技能実習生の労災事故も結構多く起きているのではな いかとも言われています。それで、この0.52%の中身は、どのようなものなのでしょうか。 それからストレス、メンタルヘルスの話もここに出てくるのですが、これは、母国との生 活習慣の相違から、心身のストレスによる問題が起きているということは、件数としても 増加しているとみていいのかどうかということをお聞きします。このような技能実習生に 対して、安全衛生アドバイザーによる実地指導の実施と書いてありますが、具体的にはど のようにしてやるのでしょうか。  32の、家内労働者の安全衛生対策事業なのですが、家内労働者の災害防止状況や健康管 理、作業環境など、個別訪問をして適切な指導を行うとありますが、家内労働者の個別訪 問は、どのように行うのですか。最近、在宅勤務というか、テレワークが結構話題になっ ていますが、例えば、この費用を使ってテレワーカーなども調査するというように考えて いいのかどうなのかということも教えていただきたいと思います。 ○外国人研修推進室長補佐  技能実習生に関しては、技能実習生を雇っている企業に対してアンケートを取り、それ に基づきアドバイザーの方が個別訪問をして、災害防止に努めていただいております。災 害の発生の中身ですが、鉄鋼業と輸送用機械製造業で多いという傾向ですので、感覚的で すが、派遣事業と同じような傾向であるととらえています。  それから、メンタルヘルスの関係で増えているのではないかと、どのようなものが実際 に発生しているのですかという質問かと思いますが、この個別的な事例については、まだ つかんでおりませんので、追って報告したいと思っております。 ○平野部会長  長谷川委員、ただいまの解答でよろしいでしょうか。 ○長谷川委員  家内労働者の安全性を確保するという32のこの事業というものは、テレワーカーもやる のですか。 ○短時間・在宅労働課長補佐  家内労働者の個別訪問の中には、テレワーカーは入っておりません。家内労働者につい ては物の製造・加工というものをやっている者が対象になっており、テレワーカーは、こ の製造・加工をやっていないと整理していますので、対象とはしていません。 ○平野部会長  よろしいでしょうか。よろしければ、次の議案に移ります。「石綿による健康被害の救済 に関する法律の一部を改正する法律」について、事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  「石綿による健康被害の救済に関する法律」については、平成18年3月に施行されたも のであります。特に石綿については、石綿による疾患が、石綿によるばく露から相当潜伏 期間があって発症するということで、石綿と疾患との関連やその業務起因性について医師 等も含めて気づきにくいということで、労災申請をしないままに亡くなられたという方も いらっしゃいます。この特別措置法において、特別遺族給付金ということで労災保険法に 基づく遺族補償給付が時効になった方について、特別に救済給付を行う形で、平成18年に 制定、施行されたものですが、先の通常国会において、与野党の協議を経て議員立法で改 正が行われましたので報告させていただきます。  資料3-1の1、2については、環境省の所管の部分で、労災の対象にならない一般住民等 に係る部分であります。労災関係は、3の特別遺族給付金の請求期限の延長です。  特別遺族給付金については、先ほど申し上げた労災の遺族補償給付が時効になった方が 対象で、この法律が施行されたのは平成18年3月27日ですので、4の図を見ていただく と、平成13年3月26日以前に亡くなった方は5年以上ということで時効になっていたと いうことです。その方について特別遺族給付金を支給するものですが、請求期限について は法施行から3年で、平成21年3月27日までとなっていたのですが、それについて、環 境省の特別遺族弔慰金と併せて、3年間請求期限を延長して、平成24年3月27日までと することが1点目です。  2つ目、4の特別遺族給付金の支給対象の拡大ですが、先ほども申し上げたように、平成 18年3月27日にこの法律が施行されて、その時点で労災の遺族補償給付が時効になって いた方に対して特別遺族給付金を支給するもので、平成13年3月26日以前に亡くなった 方が対象です。その後については、まだ労災の消滅時効がきておりませんでしたので、基 本的には労災保険給付を請求していただくということで、大部分はそのようなことで請求 していただいているわけですが、この法律ができて施行までの期間が非常に短かく必ずし も周知期間が十分でなかったということもあり、法施行後に時効にかかった方がいらっし ゃるというのが、この上にある「隙間」という部分です。時効は刻々と進行しており、現 在だと平成20年8月ですので、平成15年8月前に亡くなった方の一部に時効になった方 がいらっしゃるため、新たに特別遺族支給金の対象を拡大するものです。平成18年3月 26日まで新たに時効が成立した場合に拡大するということですが、もともと法律ができた ときに、制度全体について5年以内に見直しをするということが規定されていますので、 与野党協議の結果、そのような改正が行われたということであります。  それから「その他」ですが、国による石綿を使用した事業所の調査あるいはその結果の 公表等の徹底を図るという規定が新たに設けられております。それから、施行期日につい ては、公布の日から起算して6月を超えない範囲内によって政令を定める日から施行する ということで、政令は現在のところまだ公布されておりませんが、今年の12月1日施行予 定で準備を行っているところです。説明は以上です。 ○平野部会長  ただいま、議員立法で、どのようなことが決まったかというご説明をいただいたのです が、何か質問がありましたら承ります。 ○長谷川委員  資料3-2の79条の2、事業所の調査等とあるのですが、ここに書いてあるところで、国 による、石綿を使用した事業所の調査及びその結果の公表等となっていますが、この等と いうのは何なのか、厚労省の所轄ではないので答えにくいかもしれませんが、等というの は何なのかということが1つです。  それから、ここで言う事業所というのは、石綿もしくは石綿をある程度以上含する製品 の製造・加工を行なう事業所のみを対象としているのか、建設現場だとか解体現場に起こ るばく露もあると思うのだけれども、それは調査するのかどうか、それをお聞かせいただ きたいと思います。もし答えられなかったら答えないでいいですので、次のときまでに環 境省から聞いてください。 ○労災管理課長  必ずしも環境省のみの所管ではありません。まず、「等」については第79条の2第1項 で、「事業所の調査等」となっており、結果の公表並びに石綿による健康被害の救済に関す る制度の周知を含んでいるものです。  事業所については、石綿を使用していた事業所ですので、先ほどあった一定以上石綿を 含有する製品の製造・加工を行う事業所のみが対象になるものではないと理解しています。 ただ、建設現場などについても、これまで労災認定事業場で公表はしているわけですが、 建設業の場合には、労働者はいろんな事業場を転々としており、最終事業場を公表してい るにすぎないということと、所在地と異なる現場で作業をしている場合もあるため、労災 認定事業所の公表について申し上げると、建設業の場合は公表する内容に限界があること をご理解いただきたいと思います。 ○平野部会長  ほかに何かありませんか。ありがとうございました。それでは、資料4、5について説明 をお願いいたします。 ○職業病認定対策室長  私から資料4、5について説明させていただきます。資料4は、平成19年度における石 綿による疾病にかかる労災補償ならびに救済状況についてです。  1頁の1が、労災保険給付の請求決定状況です。平成19年度1年間における肺がんなら びに中皮腫にかかる請求件数は1,129件です。前年に比べて34%減少したという状況であ ります。平成17、8年度はご承知のとおり、石綿による健康被害が社会問題化したという 関係で、大変急増したという構図になっています。ちなみに、その平成17年度に社会問題 化する以前の平成16年度に比べると、平成19年度は約5倍程度の増加になっています。 次に支給決定件数ですが、1年間の支給決定件数が995件です。  下のほうの石綿救済法に基づく特別遺族給付金にかかる請求・支給決定状況であります。 救済法にかかる特別遺族給付金については、ただいま労災管理課長から新法の改正法の関 係でご説明いただきましたので、省かせていただきたいと思います。平成19年度1年間に おける特別遺族給付金にかかる請求件数113件、前年に比べて大幅に減少しております。 支給決定件数が94件となっております。  詳細を簡潔に説明いたします。  2頁は、給付状況、労災保険法に基づく請求・決定状況5年分について、肺がん、中皮 腫別にまとめたものであります。疾病別の内訳としては、平成19年度は肺がんの請求件数 592件、支給決定件数501件ということになっています。中皮腫が同じく請求537件、支 給決定件数494件であります。  3頁は都道府県別の請求ならびに支給決定状況をまとめたものであります。これも平成 19年度ですが、平成18年度と大体同じような傾向を示しております。東京、神奈川、大 阪、兵庫などが多いという状況です。アスベストを原料として使用する工場ならびにアス ベスト製品を使用する事業が盛んであったことを裏付けるものだと思っております。  4頁は特別遺族給付金の状況を、法施行以降の2年分についてまとめたものです。疾病 別の内訳として、肺がんの支給決定件数が47件、中皮腫の支給決定件数が43件、石綿肺 の支給決定件数が4件、合わせて94件という状況であります。  同じく5頁ですが、これは数は少ないですが、平成19年度の都道府県別を見た表であり ます。やはり神奈川、大阪、兵庫が、若干ですが多いという状況です。  6頁は業種別の状況です。これは労災の給付の関係で最終ばく露事業場の業種で分類し た結果を示しております。製造業、建設業がそれぞれ多いという状況であります。以上が 資料4の説明であります。 ○平野部会長  ありがとうございました。ただいまのご説明に対して、何か質問がございましたらお願 いいたします。なければ、次の説明をお願いいたします。 ○職業病認定対策室長  つづきまして、資料5であります。これは脳・心臓疾患ならびに精神障害等に係る労災 補償状況(平成19年度)が同じくまとまりましたので報告をさせていただきます。脳・心 臓疾患及び精神障害の労災請求件数は、実は昨年の平成18年度が過去最高ということにな っておりました。平成19年度は精神障害が引き続き増加しているのに対して、脳・心臓疾 患は大変わずかですが減少しているという状況です。この結果、従来脳・心臓疾患が精神 障害を上回る請求件数があったわけですが、今年度平成19年度は逆転したという状況であ ります。  まず、脳・心臓疾患について概略を説明いたします。2頁は脳・心臓疾患にかかる労災 請求件数ですが931件、平成18年度に比べて、ただいま申し上げましたように、わずかで すが7件の減少ということになりました。支給決定件数については、392件、前年度に比 べて37件の増加になっております。  3頁は脳・心臓疾患にかかる業種別の請求・支給決定件数をみたものであります。運輸 業、卸売小売業、製造業、建設業の4業種が、いずれも100件を超える請求という状況に なっています。これも大体例年と同じくこの4業種が多いという状況です。支給決定件数 ですが、運輸業が最も多いということで、前年度比4件増えて101件で全体の25.8%を占 めている状況です。それから製造業が前年比35件、建設業13件の支給決定件数が増加し ております。請求の多い4業種で全体の74%を占めている状況であります。  4頁は職種別に脳・心臓疾患の状況を取りまとめたものであります。運輸・通信従事者 ならびに生産工程・労務作業者の請求が多い状況であります。次いで専門的・技術的職業 従事者という順になっております。その他はサービス職業従事者、事務従事者、販売従事 者の順で、100件にちかい請求件数が大変幅広い職種に分布していることがおわかりにな るかと思います。それから、支給決定件数ですが、運輸・通信従事者が93件、先ほどの請 求も多かったと思いますが、全体の約23.7%を占めている状況であります。  5頁は年齢階層別で脳・心臓疾患の発生状況をみたものであります。50代、40代の層で 多い状況であります。支給決定件数も同じく50代、40代層ということになります。  6頁は都道府県別でみたものであります。やはり大都市部である東京、大阪が請求・決 定件数とも多い状況であります。  7頁は、脳・心臓疾患、特に長期間の過重業務によって認定されたものが、どの程度の 労働時間分布というものにあるかということをみたものです。支給決定件数総数392件で す。そのうち、労働時間とは関係のない、いわゆるPTSDなどの急性ストレス障害を除くと、 362件が長期間の過重業務、いわゆる疲労の蓄積ということで認定されているわけであり ます。これを労働時間別にみたものであります。全体で362件ありましたが、1カ月平均 の時間外労働時間が最も分布として多いのは80〜100時間未満、次いで100〜120時間未満 というのが1カ月当りの時間外労働数であったという表であります。これが脳・心臓疾患 の関係であります。  つづいて、精神障害が8頁にあります。精神障害にかかる労災請求件数は952件で、平 成18年度に比べて133件の増加となっています。支給決定件数も268件で63件の増加と いう状況であります。  9頁は、先ほどと同じく業種別でみたものであります。業種別では製造業が175件、卸 売・小売業が143件、医療、福祉が121件が多い業種になっております。  10頁も先ほどと同じように、職種別にこの精神障害の精求・支給決定件数をみたもので あります。専門的・技術的職業従事者、事務従事者の2業種の請求が、ともに200件を上 回る状況になっております。支給決定状況は、専門的・技術的職業従事者が最も多い状況 であります。  11頁は年齢階層別に請求・支給決定件数をみたものであります。先ほど、脳・心臓疾患 は50代がメインと説明しましたが、精神障害は脳疾患と異なり、30代の請求が前年度比 57件増加して340件、次いで40代という状況であります。  12頁は都道府件別であります。これも先ほどの脳・心臓疾患とあまり変わりないのです が、東京、大阪の大都市部での請求件数が多い状況であります。  13頁は精神障害で支給決定したもので、231件のうち労働時間がどのような分布にあっ たかをみたものであります。いわゆる労働時間分布では、それほど大きな分布はないと思 います。20時間未満でも72件の時間外時間数で、業務上というように決定しております。 精神障害の場合には、出来事の性質をみてまいりますので、量のほかにいじめとか、質も 重要視する観点から、労働時間分布とは直接的には関係ないというような、一般的な精神 学会の知見に合致する結果が得られたものと考えています。以上でございます。 ○平野部会長  ただいまの説明について、何か質問はございますか。 ○佐野委員  いちばん最後にご説明いただいた1カ月平均の時間外労働時間数別というのは、実際に 精神障害になる何か月前ぐらいの平均なのですか。 ○職業病認定対策室長  発症前6カ月間に起きた出来事を評価の対象にしております。  ○佐野委員  この1カ月平均の時間外労働時間というのは、発症前6カ月間ですか。 ○職業病認定対策室長  はい、出来事がいつ起きたかによるわけです。例えば2カ月前に単身赴任をさせられた というのが精神ストレスということになりますと、2カ月間の労働時間を取ったものであ ります。 ○佐野委員  はい、わかりました。 ○平野部会長  ありがとうございます。質問がなければ、最後の6-1、2の説明をお願いいたします。 ○労働保険徴収課長  労働保険徴収課長の小鹿でございます。資料6-1に沿いまして、平成20年度の労働保険 の概算保険料の延納、分割納付ですが、それにかかる納期限の特例に関する省令について 説明させていただきます。 趣旨のところですが、労働保険料については、原則年1回年度更新の時期に一括してお払 いしていただくというのが原則であります。年度更新の時期は、4月1日から5月20日ま でですが、その時期に一括してお払いいただくというのが原則でありますが、保険料の額 が高額にのぼる事業主と一定の事業主については、その申出により延納、分割納付を認め ているところであります。  今般、今年度の第2期の概算保険料でありますが、納付書の作成手続上、当方にミスが あり、納付書を事業主に送付できる時期が大幅に遅れるといった事態が生じ、結果的に今 年度の納期限である8月31日、土日をはさみますので、今年度は9月1日になるわけです が、その納期限までに事実上、事業主の方々が納付できないといった事態が生じました。 それを踏まえて、今年度に限り第2期の保険料の納期限を1カ月延長して、9月30日とす る省令を出させていただいたところであります。この件については、一刻も早く事業主の 方々に、こうした事態が生じたといったことをお知らせすることが適切であると考え、先 週の水曜日に、本部会で報告する前ですが、プレス発表させていただいたところでありま す。プレス発表の資料が6-2であります。こちらの1の事案の経緯及び概要の一番最後の パラグラフですが、手前どもで起こした納付書作成手続のミスでありますが、事業主に対 しては納期限の約2週間前に納付書を送付するということで手続を今年度も進めておりま したところ、その納付書については光学式読取り装置で読み込んでいただき、振り込んで いただくということでありますが、その読み取りができないということが日本銀行の規格 審査を受けた結果、判明いたしまして、結果として事業主の方々に納付書を送付する時期 が8月31日の納期限をまたぐといったことになりました。現在、納付書の再発送の手続を はじめており、9月の中旬ぐらいには事業主の方々にお届けすることができるだろうと見 込んでいるところであります。  対処策ですが、いま申しました納期限を本年度は9月1日でありますが、9月30日まで に延長するといったこと、そして、保険料を納付するという手続を進めておられた事業主 の方々に対して、一刻も早くお知らせをする必要があるということから、第1弾、第2弾 分けてお知らせの手続を取っているところであります。3の再発防止策としては、こうし た規格審査、日本銀行への規格審査を出すこと、この手続を怠っていたことがそもそもの 原因であるので、納付書の作成手続上、いろいろな手順の再徹底を図り、また、手続にか かるチェックリスト化するなど、再発防止に努めていきたいと考えています。以上です。 ○平野部会長  ありがとうございます。何かご質問がございましたらお願いいたします。何もないよう でしたら、本日の部会はこれで終了いたします。  次回は9月17日(水)を予定しておりますが、詳細は事務局から連絡していただきます。  本日の議事録の署名委員は労働者代表の長谷川委員、使用者代表の筧委員にお願いいた します。よろしくお願いいたします。では、本日は、皆さん、お忙しい中、どうもありが とうございました。これで終了いたします。