08/08/20 第37回社会保障審議会障害者部会議事録 第37回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年8月20日(水)14:00〜17:02  場  所:金融庁共用第1特別会議室  出席委員:潮谷部会長、高橋委員、嵐谷委員、安藤委員、井伊委員、伊藤委員、       岩谷委員、川崎委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、佐藤委員、新保委員、       副島委員、鶴田委員、堂本委員、長尾委員、広田委員、星野委員、三上委員、       大濱委員、福島委員、箕輪委員、宮崎委員、山岡委員、小澤委員       林参考人 ○潮谷部会長  皆様、それでは、定刻になりましたので、ただいまから第37回社会保障審議会障害者部 会を開催いたします。  委員の皆様方には、お忙しい中にお集まりいただきましてありがとうございます。  本日も引き続き関係団体の方々からご意見を賜りたいと思っております。今回も前回と 同様ですけれども、前半、後半に分けさせていただきたいと思いますし、その途中で休憩 を挟ませていただきます。  それでは、事務局のほうから関係団体の方々のご出席のご紹介と委員の方々の出席状況、 資料の確認等をお願いいたします。 ○蒲原企画課長  それでは、本日ご出席をいただいております関係団体の皆様をご紹介をさせていただき ます。  日本重症児福祉協会より常務理事の末光茂様でございます。  全国重症心身障害児(者)を守る会より副会長の秋山勝喜様でございます。  日本精神科病院協会より副会長で本部会の委員でもいらっしゃいます長尾卓夫様でござ います。  全国精神障害者社会復帰施設協会より会長の高野修次様であります。  常務理事の尾上義和様でございます。  全国精神保健福祉会連合会より理事長で本部会の委員でもいらっしゃいます川崎洋子様 でございます。  全国精神保健福祉士協会より常務理事の大塚淳子様でございます。  冒頭話がございましたとおり、前半、後半に分かれるということでございます。会議の 後半には自治体関係の3団体から出席を予定しておりますので、その際ご出席の皆様のご 紹介をさせていただくことにいたしております。  続きまして、本日の委員の出欠状況でございます。数名の方から欠席の連絡をいただい ております。欠席の連絡をいただいている方々でございますが、坂本委員、櫻井委員、竹 下委員、仲野委員、野沢委員、生川委員、浜井委員から都合により欠席という連絡をいた だいております。  それから、君塚委員でございますけど、出席の予定でございますが、少し遅れるという 連絡をいただいてございます。  なお、坂本委員の代理として、東松山市健康福祉部長の林参考人にご出席ということに なってございます。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元の議事次第を見てもらいますと、右肩に資料番号がついてございます。資料ナン バー1から始まって、1が重症児福祉協会からの提出資料。資料ナンバー2、全国重症心 身障害児(者)を守る会から。資料ナンバー3、精神科病院協会から。資料ナンバー4、 精神障害者社会復帰施設協会のほうから。資料ナンバー5、全国精神保健福祉会連合会か ら。資料ナンバー6、日本精神保健福祉士協会から。資料ナンバー7のほうは、少し大き な資料が別刷りに大きなものがございます。これは後半の部分になりますけれども、全国 知事会からの資料ということになってございます。  そのほか、また資料ナンバー8として、これはまた小さいほうに戻りますけれども、全 国市長会のほうからの資料です。  なお、一番後ろに番号が振っておらない1枚ペーパーが入ってございます。全国町村会 長からの資料でございます。これもお手元に配布されていると思います。最後に後半部分 で使うということでございますので、よろしくお願いいたします。  あわせまして障害者部会第35回の議事録についてもお手元に配布しているということで ございます。  以上、資料についてご確認をいただければというふうに思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、本日の議事に入らせていただきます。  本日は、障害者自立支援法の見直しに関して関係団体からご意見を賜りたいと思います。  まず、前半ということで、末光様、秋山様、長尾様、高野様、尾上様、川崎様、大塚様、 それぞれご意見をこの順番で伺うこととしたいと思います。  前半の議事の終了は、意見交換を交えまして、概ね15時30分ごろまでを考えております けれど、少し延びるということもあるかと思います。大変申しわけないことでございます けれど、1団体から10分程度を目安にご意見を賜りたいと思いますので、どうぞご協力方 よろしくお願いいたします。  それでは、まず日本重症児福祉協会の末光様にご意見を伺いたいと思います。 ○末光日本重症児福祉協会常務理事  それでは、資料1をご覧いただきながら、お耳を傾けていただけたらと思います。  公・法人立の重症心身障害児施設119施設で構成されます日本重症児福祉協会を代表し て、重症心身障害児(者)とそのご家族を支える取組の歴史と現状、そして課題、要望に ついて説明をさせていただきます。  まず、重症心身障害者に対する的確なご理解をお願いしたいと思います。  重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態にある小児を重症心身障害児、成 人した人を含めて重症心身障害者と呼んでおります。これは、医学的診断名ではなく、児 童福祉法上の定義であります。  その細かな判定基準を国は示しておりませんが、現在のところ、大島の分類で判定する のが一般的であります。その大島の分類を示しております。  大きな枠の中の1、2、3、4が定義どおりの重症心身障害児(者)に該当し、日本で はおよそ3万8,000人いるものと推計されます。  さらに、周辺の5、6、7、8、9で絶えず医学的管理下に置くべき者、あるいは障害 の状態が進行的、進んでいくと思われる者、その他、合併症が多くある者のうち、結果と して重症児施設での受け入れを余儀なくされている方々、その人たちを「周辺児」と呼ん でおります。  次に、「超重症児」「準超重症児」という用語について説明をさせていただきます。  「超重症児」とは、従来の重症心身障害児(者)と比較して、人工呼吸器を含む呼吸管 理を中心とした継続的な濃厚医療、濃厚ケアを必要とし、モニタリングや細やかな観察を 要する、人手がかかる、病状が急変しやすいなどから、診療報酬上、入院費の加算を設け ていただいております。  その「超重症児」判定基準は、2ページの2行目に挙げておりますように、運動機能は、 座位、お座りまでで、(2)呼吸管理、食事機能、胃・食道逆流の有無、補足項目として、定 期導尿、人工肛門などのおのおのの項目のスコアの合計が25点以上で、それが6カ月以上 続く場合を「超重症児」、それに準じた10点以上24点以下を「準超重症児」と判定します。  実態につきましては、(3)に紹介しておりますように、国立を含む重症児施設入所中 の方々のうち「超重症児」「準超重症児」合わせて3,384名、全入所者の約18%に達して おります。  その他、NICU等に1年以上長期入院しておられる方が約300名、在宅が約1,300名と推計 され、これらを合計しますと約5,000名となります。  なお、杉本氏の調査によると、20歳未満の人だけでも7,350名という推計数を示してお られます。  3ページの医療・福祉法上の課題について申し上げます。  まず、入所部門につきましては、重症児施設が児童福祉法上の生活施設であり、かつ医 療法上の病院として位置づけられておりますが、公・法人立の重症児施設、国立病院機構 を合計しますと、193カ所、約1万9,000ベッドが用意されております。そのいずれもが96 から97%の入所率を占めております。  そこでの課題は、まず1、医師、看護師等の確保の困難さが挙げられます。2、右上の 表のように、30年前と比べますと、「周辺児」が相対的に減少し、定義どおりの重症心身 障害児(者)が実数、比率とも大幅に増加し、73%を占めるようになっています。そして、 その中でも「超重症児」「準超重症児」が顕著に増えているわけであります。  そして、3番目として、常時ほぼ満床状態にあるため、短期入所への対応に苦慮してお ります。在宅志向の中でのご家族の切実な要望に対応し切れていない事態は、特に東京等、 大都市圏で深刻であります。  4として、入所待機者がかりなの数に上っております。アンケート調査を先ごろいたし ました。その結果、公・法人立重症児施設のうち、大都市圏以外の82施設のみに限っても、 925名の待機者がおられます。下の表のように、1施設当たり40名以上の待機者を抱えて いるところも5施設あります。  その上、東京都、神奈川県、大阪府等の大都市圏では、待機者が余りにも多くあり過ぎ るため、施設側で把握できておりません。その数を勘案しますと全国で約5,000名の入所 待機者が現在おられるものと推計されます。  中でも、繰り返しになりますが、「超重症児」「準超重症児」、それも病院での入所待 機者が増え続けているわけであります。  次に、「超重症児」「準超重症児」の措置入所の年次推移を一番下の表に示しておりま す。  七、八年前と比較しますと、全体では2倍増になっておりますが、特に、医療ニードの 高い「超重症児」が3倍に増えております。  その理由として、一般病院の在院日数の縛りにより、長期入院が困難になったのを積極 的に受け入れた結果であります。しかし、それも限界に来ております。  受け入れ条件の厳しさの一端を申し上げますと、NICUでの診療報酬が1人1日約8万円 であるのに対し、重症児施設で同じ人を受け入れても1人1日2万5,000円程度しかいた だけません。3分の1程度の費用で頑張っているわけでありますが、それも限界に来てい るということであります。  4ページ目をご覧いただきます。  在宅の重症児は約2万5,000人と推計されます。そのうち、5分の1、20%の5,000名程 度が「重症児通園事業」をご利用です。その他は、養護学校等に通っておられるか、全く の在宅で、家族の世話にゆだねられております。その重症児通園のうち、「準・超重症 児」が1,300名に達しているのが真ん中の図のとおりです。ここでも、このような人を受 け入れている15名定員のA型通園では、年間1,000万円以上の持ち出しで頑張っておりま す。  そのようなことから、1、「重症児通園事業」の維持・改善をお願いしたい。特に、医 療機能を持つ通園事業で「超重症児」を安心、安全に受け入れられるように条件整備を願 いたい。  また、2の「障害者自立支援法」に移行しなければならない場合には、在宅ということ のみで、生活介護施設に位置づけられるのではなく、療養介護型の重症児通園施設として 設定していただくことを希望いたします。  次に、(3)の「短期入所」で宿泊を伴うものだけを見ても、平成19年1年間で、8,949人 が、延べ11万8,570日、公・法人立重症児施設を利用しておられます。国立を加えますと この約1.5倍以上になります。そこでも「超重症児」「準超重症児」の方が増えておりま す。  ご家族にとってはレスパイトであっても、「超重症児」にとっては、この短期入所は命 がけのことが少なくありません。そのような方を安心して受け入れられるように、「超重 症児」「準超重症児」加算などの条件整備をお願いしたい。  5ページをご覧いただきます。  最後に「児童福祉法」上の課題としては、重症児の生命が守られ、寿命の延長をもたら すことができたのは、何よりも児・者一貫できめ細やかな医療、看護、リハビリ、そして 生活支援を生涯にわたって提供できる体制にしていただいたおかげであります。  これに関連して、国立生育医療センターの対象とする医療の中に、小林登先生のご指摘 のように、成人に達した小児難病患者等に対する医療もとあります。同じように、重症心 身障害児(者)も生育医療の視点から、ぜひ児・者一貫での支援が続けられるよう強く要望 します。  そのことを理解していただく一助として、公・法人立重症児施設の職員の総括表を載せ ております。  まず、医師のうち、小児科医が約3分の2を占め、特に小児神経科医が主力になってお ります。看護部門は、入所者2人に1人の体制であり、さらにリハビリテーションスタッ フに保育士、指導員等の育成部門を合わせた人数は看護部門とほぼ同数の2対1体制であ ります。  なお、障害者自立支援法下での療養介護施設へ移行した重症児施設は193カ所中2カ所 にとどまっております。  それは40年間で築き上げた療育、特に生涯にわたる発達支援という視点の欠如への不安 の声が強く反映しているものと受け止められます。  以上、背景説明をさせていただきました。  最後に、要望として4点挙げさせていただきます。  1、入所を必要としない、あるいは重症心身障害の状態を脱したいわゆる元重症児の適 正処遇の推進のために関連施設への円滑な移行策をとっていただきたい。その一環として、 最重度肢体不自由グループホームの整備を進めていただきたい。  2、生育医療の立場で、ライフサイクルを通じての一貫した医療体制の維持を児童福祉 法の下でお願いしたい。  3、地域医療の立場から、「超重症児」「準超重症児」の積極的受け入れの可能な条件 整備をいただきたい。そのためには、本日ここでは説明の時間がとれませんでしたが、 「超重症児」入院診療加算の大幅増額と7対1看護の条件緩和を願いたい。  4、在宅重症児と家族のトータルケアの充実のために、重症児通園事業を法定施設とし て位置づけていただきたい。その際、「超重症児」「準超重症児」のための医療を確保し た通園、そして短期入所の条件整備を特にお願いしたい。  以上であります。ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、引き続いて、全国重症心身障害児(者)を守る会の秋山様、よろしくお願い いたします。 ○秋山全国重症心身障害児(者)を守る会副会長  このような意見を述べる機会をいただきまして、深く感謝申し上げます。  本日は、私どもの会長のキタウラが出席を実は予定いたしておりましたんですが、ちょ っと体調を崩しまして、かわって私からご説明申し上げることをお許しいただきたいと存 じます。  昭和39年に私どもは会を結成して、重症心身障害児(者)の福祉を求めて運動を始めま したが、当時は、障害が重く社会の役に立たない者には国の金は使えませんと言われまし た。  そんな中で、社会の一番弱い者を切り捨てることは、いずれその次に弱い者が切り捨て られることになり、決して幸せな社会とは言えないのではないですかと訴え、理解を深め る運動を行ってまいりました。私たちが運動を進めるに当たって、会の3原則というのを つくっております。  決して争ってはいけない。争いの中に弱い者の生きる場はない。親個人がいかなる主義 主張があっても重症児運動に参加する者は党派を超えること。最も弱い者を1人も漏れな く守るというものでございます。  こうした基本姿勢の下に、今まで重症心身障害者の福祉を願って、私どもの会がどのよ うに関わってきたのか、皆様にご理解いただきたくあえてここに掲げさせていただいた次 第でございます。  そして、国会議員の先生方や厚生省、大蔵省へお母さんたちが障害の子供を背負い、足 を棒のようにして陳情を繰り返し、運動を始めて3年後の昭和42年に、この資料に記載し ておりますように、重症心身障害児施設が児童福祉法で認められ、あわせて18歳以上の場 合でも入所できる児・者一貫の制度の実現を見たのでございます。  以来、40年余にわたって、この制度のおかげで、重症児(者)の命が守られてきたこと に深く感謝申し上げているものでございます。  しかし、今、見直しによりまして、児童福祉法は18歳未満まで、18歳以上は自立支援法 の適用ということで、18歳を境にしてその体系が分断されるとともに、職員配置基準も変 更されて、処遇水準が低下するのではないかと危惧しているところでございます。  そこで、次の重症心身障害者の一貫した処遇制度がなぜ必要なのか、その理由について 述べさせていただきます。  先ほど、日本重症児福祉協会の末光先生から重症心身障害者の定義並びに実態について お話をいただきました。  重症心身障害者は、乳幼児期の発達段階で脳神経に損傷を受けたことによって、てんか ん、麻痺、変形、緊張などの疾患、知的障害という諸症状を持っている人たちでございま す。  これを受け止める重症心身障害児施設では、子供から大人へと年齢に関係なく、継続し てこうした障害による諸症状を治療、コントロールする医療的な関わりとともに、保育士 などによる福祉的な関わりが行われているところでございます。  これらの諸症状は、年齢が17歳から18歳になったところで急に変わるものではありませ んので、18歳で切り離し、施設体制や関わり方、処遇環境を変えてしまうということは、 長年にわたって継続してきた療育方法、生活リズムが崩れることになってしまいます。こ のことは、環境の変化に弱い重症児者にとって心身に与える影響が極めて大きく、時には 生命の危機に直面することにもなります。  私どもの法人では現在、3カ所の重症児施設を運営いたしております。この環境の変化 に敏感に影響されやすいということを身をもって経験しております。  したがいまして、継続的な療育体制による関わりこそが、重症児者の特性に真に適合し ているものと考えるものでございます。  しかし、一方で、児・者一貫体制については、成人に達した人の人権を侵すものである という指摘がございます。ごもっともな意見であると思います。  しかしながら、ここで行われている児・者一貫支援というのは、成人を子供扱いすると いうものではなくて、年齢を通じて、連続、継続した療育体制を続けるということでござ います。  もちろん日常的な支援にあっては、成人としての人権、尊厳を守る配慮や加齢に伴う成 人病などの疾患への対応は当然に講じられるべきものでありますし、現在も実施されてお ります。  私どもは、今日まで、児・者一貫の支援体制が行われてきた実績から、重症児者にとっ て最も望ましいものであるとこの制度の維持、継続を強く望んでいるところでございます。  次に、3のできるだけ身近な地域における支援についてでございます。  親の人たちは、どんなに障害が重くても、可能な限り地域でともに暮らしたいというふ うに願っています。したがって、次の在宅支援施策の充実が強く要望されているわけでご ざいます。  1つは、短期入所の拡充でございます。  短期入所につきましては、在宅での生活を続ける上で、特に重要な役割を果たしていま す。しかし、重症児者には医療的ケアが必要なこともありまして、利用できる施設が少な い状況にございます。そして、折しも看護師不足の状況と重なって受け入れ枠が狭められ、 利用したくてもできないので大変困っているのが実情でございます。抜本的な拡充策をお 願いするものでございます。  2つ目のホームヘルパーの確保、3つ目の医療的支援につきましては、それぞれの対応 するご配慮をお願いしたいということでございます。  次に、4ページにまいりまして、重症児者の日中活動の場の確保でございます。  親の人たちは、重症児者が日中利用できる場所があれば、ある時期までは施設入所を選 択しなくてもよいと考えています。したがって、日中活動の場所の確保は短期入所制度と ともに、在宅支援の重要な施策でございます。  しかし、特別支援学校を出ても、利用できる場所が少なくて困っているのが実情でござ います。  現在、通園の場所として、重症心身障害者通園事業というのがございますが、予算補助 事業ということでありますし、1カ所当たりの補助金の額が低いこともありまして、なか なか設置が進みません。これを法定の事業として制度化していただきたいというのが私ど もの切なる願いでございます。  次に、4の「共に生きる」を支援する体制についてでございます。  ライフステージに応じた支援体制として、身近な地域で気軽に利用できるように、早期 発見、早期療育支援体制を整備していただきたいということでございます。  次に、5ページの家族への支援についてでございます。  障害児者本人への支援の充実は大変ありがたいことですが、家族を含めたトータルな支 援が必要でありまして、親の苦悩を受け止める相談支援や利用料の負担軽減、また特別児 童扶養手当制度の改善などについて配慮されることを願っております。  次に、共生社会に向けた取組でございます。  共生社会の実現には、ハード面だけでなく、心の面においてもバリアのない社会になる ことが必要でございます。  私どもは、重症児者に理解を深めるため、パンフレットをつくって、いろいろな機会を 通じて理解を深める運動を行っているところでございます。本日、先生方のお手元にもお 配りさせていただいておりますので、後ほどご覧いただければ幸いでございます。  何と申しましても、小さいときから障害がある人、ない人が不断に交流する機会を持つ ことがとても大事なことであると思います。  私どもの世田谷の通園施設には、小学生から中学生、高校生、中には修学旅行での訪問 もありまして、多くの学生たちと交流をしていますが、交流を通じて、お互いが何かを得 ている様子が感じられ、とてもほほ笑ましく温かい幸せな気持ちをもらっております。  その人たちが、時に感想文を寄せてくれます。その1つ、小学校6年生の男の子の作文 をここに紹介させていただきます。  私は、お世話や車いすの体験を通して、障害を持った方の大変さ、命の大切さを学びま した。最近は、殺人や自殺のニュースがテレビをつけるといつもやっています。私はこん なニュースを聞くととても悲しくなります。障害を持った人も頑張って生きているのに、 人を殺してしまったり、自分で命を絶ってしまうなんて考えられません。もし私がこの先 つらいことがあって死にたくなったら、一生懸命生きているあけぼの学園の皆さんを思い 出して、精いっぱい頑張ろうと思います。周りの人たちにも命の大切さを伝えていけるよ うな大人になりたいですというものでございますが、重症児者の無心に生きる姿に触れ合 う中で、お互いの感性が共鳴し合い、生きることの大切さ、社会福祉の原点を学んでいる ように思いますし、こうした人たちが1人でも多くなるように、私たちは取り組んでまい りたいと思っています。  どうぞご理解を賜りますようによろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  引き続き、日本精神科病院協会の長尾様、よろしくお願いいたします。 ○長尾日本精神科病院協会副会長  資料3をご覧いただきたいと思います。  精神障害者福祉というのは、そもそも立ち遅れが指摘されていたわけですけれども、自 立支援法というものがその立ち遅れをカバーするものかという思いが強かったわけですけ ども、その抜本的な対策はやはり放置されたままでありますし、また精神障害者特性への 配慮を欠いているということから、精神障害者の地域移行はほとんど不可能な現状と思わ れます。  精神障害者にとっての自立支援法が入院中心から地域中心の生活へということを実現す る法になるために、以下のような抜本的な改正を求めるものです。  1番目ですが、精神障害者福祉で立ち遅れに関わる特別対策を求める。  知的・身体障害は、それぞれ福祉法があったわけですけれども、精神障害者福祉法とい うのはこれまで整備されてきませんでした。そのために、精神病床に「更生保護」的な役 割が課せられてきた経過があります。  精神障害者家族にとっての「安住・安心の場」を病院ベッドから地域社会へ移行できる 施設・事業体系への見直しが必要である。  1番目ですが、精神科病院を経営する医療法人等が、精神障害者支援施設、現在、障害 者支援施設は、精神はございませんし、第一種社会福祉事業に位置づけられています障害 者支援施設は医療法人が行うことは不可能です。そういう精神障害者支援施設または居住 サービスと日中活動サービスを一体的に提供できる施設を設置できるように見直すことを 求めます。  また、比較的障害の重い精神障害者の地域生活支援は24時間、365日のケアを要するこ とから、少人数単位で分散する現事業体系ではリスク管理を含む責任あるケア体制を確保 できないところがあります。  ある程度の規模の20人から30人規模のケアホームが都道府県知事の認可で設置できると されていますけれども、設置要件の緩和及び施設整備費の設置など、促進策を特別対策と して実施することが必要である。  2番、精神障害者特性に十分配慮した福祉サービス体系の見直しを求める。  障害程度区分方式については、精神障害者特性を反映するものへの見直しを図ることが 必要である。  精神障害者は、その疾病特性から病状及び生活障害の程度は固定しておらず、支援の質 及び量は不確定性を持ちます。身体介護のように、目に見えるサービスを時間ではかる手 法では、必要な支援の強度ははかれません。実際に支援を行っている精神保健福祉士、看 護職員等の実務経験者による支援必要度判断を一次判定で評価する方式を導入する必要が あります。  2番、精神障害者の相談支援・ケアマネジメントは、精神科医療機関が設置する「地域 生活支援室」、これは日精協が提案しているものですが、精神保健福祉士、看護職員等の 専門職がここに関わる仕組みを確立することが必要である。  精神障害者が安定した地域生活を送るためには、医療と福祉の総合的なサービスが不可 欠であります。精神障害を理解し利用者の状態に精通する精神保健福祉士、看護職員等の 専門職が携わることが最もふさわしいと思います。  また、現在の相談支援施設が非常に限定された中で行われるということは、利用者が非 常にそこを利用することが非常に困難を極めることがあります。  そういうことから、「地域生活支援室」が利用者にとって利用しやすさということだけ でなくて、入院から退院・地域生活支援へと一貫した支援が可能であり、利用者に安心を 提供できるということから、広範に指定することが求められます。  また、3番目、精神障害者の精神症状の変動に早期に対応し、入院に至らない危機介入 の一助となるショートステイが介護給付認定を受ける以前にも利用できるようにすべきで ある。これは、精神障害者の症状が変動したときに、入院に至らないまでも、こういう施 設でのショートステイをすることによって、危機介入で入院を防げることができるわけで、 その場合に、介護給付のために、障害認定を受けなければならないということでは遅くて、 緊急の場合に即利用できるような形を求めるものです。そして、福祉ホーム等にも可能と すべきだと思います。  3番、居住支援サービス事業が単独でも可能となるサービス費体系を確立するとともに、 低所得者利用に対する「居住費補助」を求める。  これは、グループホーム・ケアホームだけでは現在の給付の体系から赤字になるという ことが分かっております。そういうサービス給付費を改善することを求めたいと思います。  それから、2番目、基礎年金2級の人である場合に、障害者支援施設等の水光熱費は5 万8,000円というのが決められていますが、そういったものを含めると、グループホーム、 ケアホームでは、様々な諸費用から手元には3,000円ぐらいしか残らない。障害者支援施 設では、2万5,000円から3万円程度の補足給付が認められている。グループホーム、ケ アホーム等の利用者にもそれぐらいの費用が残る程度の補助を求めます。  こういう現状のような状況が改善されない状況では、旧来の精神保健福祉法下で規定さ れていた社会復帰施設の経過措置延長をするべきであると思います。  それから、4番目、自立支援医療費に係る自己負担の軽減措置を求めます。  自立支援医療費と自立支援法の福祉サービス費の上限額については、両者について、そ れぞれの負担軽減が行われていますけれども、自立支援医療費と福祉サービス費の両者の 合算の上、負担上限額の軽減措置を図るべきであるというふうに思います。  また、自立支援医療費の上限設定についても、世帯所得については、障害者本人の所得 とすべきであるということです。  それから2番目、自立支援医療の再申請にかかる診断書有効期限を旧来どおり2年間と することとし、障害者福祉手帳と同時申請できるようにすべきである。  以前は、障害者福祉手帳と自立支援医療の診断書が1枚でよかったわけですけれども、 現在は、自立支援医療は、所得確認をするということから、毎年行われるということで、 2年ごとの福祉手帳と自立支援医療が毎年行われるという、こういう負担が起こっており ます。  これについては、所得の問題はありますけれども、自立支援医療の申請も2年ごととし て、軽減を図るべきだというふうに思います。  5番目、障害者所得保障の抜本的な改善を求める。  そこにありますように、精神障害者は特に無年金者が結構多いということから、抜本的 な所得保障というものを考えるべきであるというふうに求めます。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  では、全国精神障害者社会復帰施設協会の高野様、尾上様、お願いいたします。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  まず、精神障害者の社会復帰施設は、今まで精神科医療の退院者を地域への生活に移行 させていくという非常に中間的な役割を担ってきております。  特に、社会的入院者の解消に向けて、退院促進事業等が現在も展開されておりますけれ ども、まだまだ不十分で、新規の再入院者が増えているという現状を踏まえても、早急に 手厚いサービスを展開すべきだというふうなことから、今日は意見を述べさせてもらいた いというふうに考えております。  特に、現状の私どもの施設事業の中間施設的機能、要するに手厚いサービスに基づく支 援を行うことによって、安定した地域生活を送らせる、こういうふうな部分が現行法上の 障害福祉サービスではやや薄れているという感が否めないというふうに感じております。  ですので、その辺において、本日もご意見を述べさせてもらいたいと思います。  では、お手元の2枚目、事業経営の基盤強化になります。  1、介護給付、訓練等給付事業の報酬単価を引き上げてください。  就労支援については、精神障害者は特に疾病や障害の変化幅というのが非常に多く、そ れぞれ障害特性が固有であります。ですので、一人一人に合った支援というものが常に求 められています。  これは、他障害においても同様の状況があるわけですけども、特に精神障害者の場合は 多様な対応が求められているというふうな中で、やはりそうしますと現状の支援員の配置 では非常に極めて脆弱なサービスしか提供できないというのが現状であります。  むしろもっと小規模でも手厚いサービスが提供できるような状況になるためには、やは り報酬単価を引き上げるということが必要になってくるだろう。  また、各事業の職員配置は、3分の2以内は非常勤でもよいということになっておりま すけども、やはり就労支援員とか相談支援に関わるものというのは、やはり極めて高度な 専門的な職種であるというふうに考えておりますので、OPやPSW等の廃止というものがや はりなされるべきであると。それがサービスの質の低下を底支えするということになって くるということになりますので、やはりその辺の部分においても反映されるべきであろう と。  また、非常に新体系事業においては事務量が膨大になってきております。やはりその中 で、極めて重大なものとして、個々のサービス記録、またそのサービスに関する記録とい うものが重要な意味合いを持ってくると思っております。そういう意味では、一人一人の 職員にかかる負担というのは極めて増えてきております。この点においても、やはり見直 しを求めることの理由になっております。  また、夜間の居住の場、グループホームやケアホームですけども、そういう場の中で、 やはり夜間の支援体制というのは非常に重要なものであります。特に、退院直後の方とか、 環境になじみづらいという特性がありますので、やはり退院直後の方々とか、ある程度日 中活動においても状況や環境の変化が夜間にあらわれてくるというようなことがあります ので、やはりそういうものに備える十分な支援体制が必要であると。  あと、現在、市町村事業とされています地域生活支援事業ですけども、今後、市町村の 合併や広域化が進んでいきますと、非常に我々が危惧するところというのは、特に相談支 援事業ですとか地活事業、こういうものが非常に薄くなっていくだろうと。やはり現在の 交付金だけではなく、義務的経費との2階建て方式等が必要になってくるんではないかと いうふうに考えております。  そういう意味では、現状においても非常に地域間格差が広がっている事業が相談支援事 業と地活事業ではないかというふうに思いますので、その辺のところの改善も必要であろ うというふうに考えます。  3ページ目に入ります。  施設内支援が、現在報酬単価が180日で算定されておりますけども、やはり180日算定で はなくて、施設内支援というものを新たに報酬単価の中にきちんと設定すべきではないか というふうに思っております。  先ほど精神科病院協会さんのほうからもございましたけれども、グループホームやケア ホームの事業というのが非常に苦しい経営状況にあります。そういう意味では、現実的に は質の低下というものがそこでは明らかにあるだろうというふうに思います。  その中でやはり居住の場の確保というものについては、報酬単価を引き上げていくべき だというふうに考えております。  次に、相談支援事業の人材を確保できるようにしてくださいと。先ほども申し上げまし たけども、相談支援員の配置というのは極めて脆弱な部分があります。ただ、現状の相談 支援事業の中では、サービス計画作成に伴うものとその他の相談に関するものと分けられ ると思いますけれども、その他の相談に関するものというのは極めて幅広く、深いものが あります。  また、1人の職員が単に電話連絡だけではなくて訪問をしたりとか、様々な支援をした りとかというようなことをしなければなりません。そういう意味においては、現状の支援 員の配置基準というのは極めて脆弱ではないか。そういう意味では、特に精神障害者の場 合は、このサービスとか相談に結びつけるまでが非常に時間がかかります。  それは、生活のしづらさや困難さを持っているという特性に基づいたものということに なりますが、やはりそういう部分を勘案しても相談支援事業そのものを見直すべき配置を していただきたいというふうに思います。  次に、障害福祉サービスの利用対象者の範囲を拡大していただきたいと思います。  特に、精神科病院から退院に向けて体験利用をされるという方は極めて多くございます。  この現行法の中では、そのような理由は定められておりませんが、やはり障害特性から 環境になじむまで非常に時間をかけなければならないというケースがございます。人によ っては、何カ月もかけてなじませてから利用に結びつけるという方もございます。  そうしますと、やはりそういう方々に対する利用というものについても、サービス体系 の中に位置づけるべきではないかというふうに考えております。  現在、B型事業等、利用者の対象範囲について、平成23年度までは市町村の判断によっ て就労経験等がない者でも利用できるというふうにされております。  しかし、このような就労経験のない者というものは、精神に限らず他障害の分野でも非 常に多くいらっしゃいます。  そういう方々が自主的に本人さんにニーズがあったとしても、利用をできないという現 状が生まれてきてしまいますので、やはりこれは制度として撤廃されるか、もしくは24年 度以降も引き続きそのような判断がなされるべき形をとっていただきたいというふうに考 えております。  次のページに入ります。  在宅就業障害者支援制度というものがございますけども、対象となる就業場所としては、 現在移行支援事業、就労継続支援B型事業とされていますが、A型については含まれてお りません。  このA型事業というものもいわゆる障害者福祉事業では、就業事業所というふうな規定 でございますので、やはり同じようにA型事業も含まれるべきであろうというふうに考え ますし、また、このような事業所以外を利用する、極めて数は少ないと思いますけども、 いわゆる在宅のみでそれを行い、またそこに対して、このような事業者の方が間接的な支 援を行いますよということも可能になるような制度としていただければというふうに考え ております。  また、4ページの下のほうに行きますが、特別対策における事業を恒久的なものとして 政策化していただきたい。  現在、22年度までの経過措置として特別対策等が盛られておるわけですけれども、やは り現状の精神障害者の社会福祉施設、特に生活訓練施設と呼ばれている現在のほとんどの 事業が移行しておりません。  その最大の理由というのは、先ほど申し上げましたけども、事業経営が成り立たない。 また、現行のサービスを維持できないという状況にあります。  やはりこれらを解消された上で、支援事業体系に移行できるような形をつくっていただ くためには、現行の経過措置の延長もしくは新たな体系整備への転換というものを求めて いきたいというふうに考えております。 ○潮谷部会長  大変申しわけございませんが、少しまとめを急いでください。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  次に、5ページに入ります。  精神科救急医療について、精神科救急医療体制のさらなる充実をしていただきたいと思 います。  精神科救急医療制度は広域圏に設定されており、やはり身近な利用しやすい制度という ふうにはまだ言えていないというふうに思っております。  また、本人さんたちがやはりいつでも利用できるというふうな形をとるためには、一般 の救急医療にも同様な措置がとれるような制度が必要であろうというふうに考えておりま す。  次に、自立支援医療のさらなる充実を図っていただきたいと思います。  精神障害者のもう一つの特性として、本人が病気というものを自覚しづらいという点が ございます。その点において、医療が中断するというふうなことがございますので、現在、 やはりそういうふうな中断を防ぐためには、重度かつ継続の範囲というものを経過措置を 撤廃していただきたいというふうに考えております。  最後に6ページに入ります。  障害当事者の参画及びニーズの反映について、1、制度・政策決定の場に障害当事者の 参画を位置づけてください。  各地域に自立支援協議会が現在設けられておりますが、まだ4割程度というふうに聞い ておりますけども、やはりほとんどの自立支援協議会等において障害当事者が参画してお りません。やはり当事者のニーズを反映するという形がきちんと規定されるべきであろう というふうに考えておりますので、そのような法的な位置づけを明確にしていただきたい というふうな希望がございます。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  尾上様のほうからはありませんですね。  それでは、引き続きまして、全国精神保健福祉会連合会の川崎様、よろしくお願いいた します。 ○川崎全国精神保健福祉会連合会理事長  私どもは精神障害者の家族会でございます。  精神障害者の家族、当事者の立場から今回の見直しについての発言をさせていただきた いと思います。  しかし、今病院協会の先生や社会福祉施設の方からいろいろと精神障害に関するお話が ありまして、かなり重なっていくところもあると思いますが、よろしくお願いしたいと思 います。  まず最初に私どもが申し上げたいのは医療費の問題です。  入院と通院の医療費の軽減は大変重要な問題だと思っておりまして、この自立支援医療 費に関しての見直しを今強く要望したいと思っております。  本年7月に実施されました利用者負担は、福祉サービスには軽減策が出ましたけれども、 自立支援医療は含まれておりませんでした。私たちは自立支援医療の負担額を福祉制度と 同様に軽減して、利用しやすい制度にすることを希望いたしております。  まず、精神障害者にとりまして、医療というのは一生関わるものと思っております。こ の医療費の負担が厳しいゆえに、医療の中断はこれは絶対に避けなければならないことだ と考えております。  また、精神科の治療におきましては早期治療が重要ですが、現在の制度、この医療の制 度ですけれども、住民税を基準として負担上限額で決められておりまして、実は、今職を 失っている人は2年前の収入で判断されるということで、高額の医療費を支払っていると いうのが現状でございます。  現在増加していると言われておりますうつ病の人などが、大体高額ですと月2万円ぐら いになると思いますが、それを支払えないために受診をためらって、そのために自殺とい う不幸な事態を私どもはぜひとも防がなくてはいけないと思いまして、この通院医療費に できる限り負担を軽減するようなことを考えていただきたいと思っております。  また、今申し上げましたのは通院医療費ですけれども、入院医療費に関しましては、実 は障害者医療助成の対象となっている県は、一部にはございますけれども、多くは現在一 般医療の3割負担になっております。  精神疾患の方は、入院をせざるを得ないこともありますし、また、入院も数カ月を要す るということで、この3割の負担は大変に当事者、家族にとっては大きな負担になってお りまして、このことによりまして、やはり先ほど申し上げましたように、入院をさせられ ない、そういうご家庭も出ているのではないかということを危惧いたしております。  地方自治体が行っております他障害と同等の医療費助成の対象、マル障ですが、それが 今精神は対象外となっておりますので、国のほうからも精神も対象になるような強い働き かけを希望いたします。  また、この医療費の制度、先ほどからお話がありますように、大変に手続が複雑です。 書類がたくさんありまして、いろいろと窓口に行って、利用者が自分はどこの区分に該当 するのかを行政の窓口に行って聞いたりとか、あと書類も多種類書くようになっておりま して、これはほとんど1人ではできない。家族とか支援者がこれを手助けしているという 状態でございます。  また、先ほどもお話がありましたように、自立支援医療が1年の更新ということになり まして、実は私も経験しておりますけれども、ついこの前、診断書を先生にお願いしたの かなと思いましたら、また診断書をお願いするというように、私たちは大変に煩雑な思い になっておりますし、この診断書の診断書料は、1000円から高いところでは1万 5,000円にもなっておりまして、これを毎年毎年更新するということは大変に負担が大き く、当事者からは、これだったらもう更新しなくてもいいよということは、医療の中断に つながることでございますので、この辺も更新の問題と診断書の費用についてもご配慮い ただきたいと思っております。  それで、どうしても住民税をベースにしてこの上限額を決めるという今システムになっ ておりますので、それならば、以前の精神の人に公費負担制度というのがありましたよう に、定率5%としたほうが、大変に本人にとりましても分かりやすく、負担も少なくなる のではないかと思っております。  福祉制度の利用に関しましても、先ほどからありますように、大変に手続が複雑である。 ですから、複雑さゆえになかなか利用していないという方も多いのではないかと、その辺 のことも懸念しておりまして、利用者に分かりやすい、そして簡略な手続でお願いしたい と思います。  3番目の障害程度区分の改善です。  これは、先ほど来から出ていると思いますが、やはり精神の障害特性が的確に認定され ておりませんで、かなり低い区分になりやすいということです。そのために、行動援護と かホームヘルプは精神障害者に極めて重要な支援ですけども、区分が低いために利用でき ないという事態が現在起きております。  精神の障害が的確に把握できる障害程度区分のあり方とサービス提供の改善には、精神 障害の特性をよく分かった方を配置していただき、障害程度区分の在り方を改善するよう にお願いしたいと思っております。  また、精神障害は、先ほどからお話がありますように症状が固定できないという障害で ありまして、変化する障害でございますので、支援の必要性も変化するわけです。固定し た障害でありませんので、それに応じたきめ細かな対応が必要となってきておりますので、 そのためにもケアマネジメントをしっかり行っていただきたいということを求めます。  相談支援事業です。これも精神にとりましては大変に大切な支援の一つで、当事者と家 族の生活支援の基本は相談、つまり人的支援と言っても過言ではないと思っております。  その相談が支援の柱になってきておりますが、現状の相談支援事業者の基準や定数では 精神障害者の家族や当事者のニーズに十分にこたえられておりません。十分に機能してい ないと思っております。  常勤者を大幅に増やすと同時に、やはり精神の特性を理解した人材の育成を行っていた だきたいと思っております。  また、ひきこもりがちな精神障害者がかなり多いです。その精神障害者とその家族を支 援する支援といたしまして、私どもは訪問型の相談支援を希望いたします。ひきこもりの ご家族はなかなか外に出られない。当事者も出られませんし、ご家族も出られないという 状態で、訪問の場にまで行かれないという状態でございますので、やはり訪問によりまし て家族が安心すれば、それによって当事者の症状も安定しているという報告もされており ますので、この訪問型の相談支援をぜひともお願いしたいと思っております。  それと5番目ですけれども、自立支援法におきましては、就労支援が施設体系の基本と なっておりますけれども、実際精神障害者にとりまして、一足飛びに家庭から就労へ、ま たはデイケアから就労へ移行するということは大変に困難な状態であります。就労訓練の 前に徐々に地域の人間関係に親しんだり、共同作業のプログラムに少しずつ慣れていくよ うな、そのような緩やかな活動の場、以前ありました生活支援センターのような、そのよ うな活動の場が必要であると思っております。  そういうところから、人間関係から就労への意欲も高まっていきますし、またとてもひ きこもりがちだった人も外に出やすい、そういうことになると思いますので、そのような 場を自立支援法の中に位置づけていただきたいと切望するところであります。  それと、1つつけ加えさせていただきますが、精神障害者の家族会は、作業所などを立 ち上げてきまして、従来作業所の運営にかかわってきました家族会もあります。今回、自 立支援法によりまして、自立支援法における運営の問題とか、利用者が作業所を利用する 場合の利用者負担が出ているということに対して、幾つか私どものほうにもそういうお話 が来ておりますけれども、実は余り大きな声になっておりません。  特に、精神障害者家族会としての要望という形にもなっておりませんので、今回、その 件に関しましては、この資料に載せておりませんことをご理解いただきたいと思っており ます。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、前半の最後になりますけれど、日本精神保健福祉士協会の大塚様、よろしく お願いいたします。 ○大塚日本精神保健福祉士協会理事長  本日は、職能団体の私どもに貴重な機会をいただき感謝しております。資料6に沿いま して、主要な点を発言させていただきたいと思います。  まず、障害者自立支援法の見直しに当たってなんですが、ことしの5月に国連の障害者 権利条約が発効しております。合理的配慮とかユニバーサルデザインの定義もなされまし た。ぜひ今回の自立支援法の見直し及び今後の条約批准に向けた国内法整備の取組のいず れもが、国際的基準に照らして我が国の障害者の支援策の推進につながるように切望する 次第です。  また、具体的な見直しの意見の前に前提としてぜひともお願いしたいことがございます。  これは法制定時にも大変大きな声が上がりました。私たちのことは私たちを抜きに決め ないでという当事者の皆さんの声が大変大きくあったわけですが、こういう当事者主体の 障害者福祉制度というのをきちんと構築していくために、ぜひとも地域自立支援協議会の 設置を義務化するとともに、そこに当事者の参加ということの原則を盛り込んでいただき たいというふうにお願いしたいと思います。  次のページに移りまして、見直しの内容に関する具体的な項目を11項目挙げております が、幾つか申し上げたいと思います。  まず、障害者の範囲についてですが、我が国の障害の範囲というのは、環境要因との相 互作用で生じる生活上の困難やしづらさということが余り含まれておりません。サービス の利用申請におきましては、手帳の所持ということが要件としてあるわけですが、実際に 現場を見ますと、地域から相談支援事業者に上がってくる内容というのは、手帳の有無と か年齢を問わないものが多く、ニーズがある場合というのは大変多岐にわたるものがござ います。  したがって、障害者手帳所持という申請要件を見直していただいて、本当にサービスが 必要な方に迅速にそれが届くようなシステムの在り方をぜひとも検討いただきたいという ことです。  続きまして、障害程度区分についてですが、精神障害者については、大変二次判定の変 更率が高いというデータは皆さんご承知のとおりだと思います。そのために信頼性の高い 判定方法の検討を改めてお願いしたいというふうに思いますが、生活課題を見ていく、そ れを中心に据えた支援ニーズの評価を必要とするときに、生活の一連の流れの中で測定で きるような評価基準、また障害特性に応じた指標というのが大事になってくるというふう に考えます。  現在、多くの自治体がサービス料を決定していく際に、障害程度の重いとか軽いという ことを材料に考えるところが大変多くありますが、いかにすれば生活が成立するかという ことのほうが重要だというふうに私どもは考えております。  それから、先ほど長尾先生からも出ましたが、ぜひ本人やご家族、また私ども支援者の 申し立てや意見書みたいなものが添付できるようなことも考えていただけるとありがたい と思います。  3番目、障害福祉政策の財源保障についての見直しですが、もう既にICF等もございま して、障害はご本人の要因だけではない、いわゆる環境要因も大きく、社会構造的な課題 であるというふうに認識されているわけですが、にもかかわらず障害のある方々が事業を 利用する際には、ご本人に対する負担が非常に重く課せられるという現状があります。随 分多くの負担軽減策をとっていただきましたが、やはりまだまだ生活水準の後退というよ うな実態があるわけです。この辺の実態把握に努めながら、今後も見直しを引き続き検討 していただき、そもそもの障害福祉施策に必要な財源の保障について、社会保障全般の在 り方とあわせたしっかりした検討を望みたいというふうに思います。  附帯決議にもありましたことを4番に挙げておりますが、所得保障に関しても早急な検 討と対応をお願いしたいというふうに思います。  5番目のサービス体系と報酬についてですが、先ほど来、高野さんのほうからも出てい たと思いますが、どうしても法制度に規定されるサービスに偏るところがあります。個別 給付事業に規定されていない間接的な支援というのが従来からあったわけですが、法施行 後、これが大変やりにくくなっております。ぜひともこうした個別給付以外の報酬の仕組 みというのを検討いただきたいというふうに思います。  また、給付申請事務の問題につきましても先ほど来出ましたが、大変少ない少数職場で 専門職等がこうした事務に負担が割かれているということで、支援のほうに手が回らない ということがございます。ぜひともここの軽減策を講じていただきたいというふうに思い ます。  6番目、就労支援についてですが、これは自立支援法の柱の一つというふうに据えられ ており、大変重要な課題だというふうに認識しております。現行では就労移行支援と就労 継続支援が内容が変わらなくても利用料は差があるという、そういう実態もあります。  ぜひとも就労移行支援事業の推進ということを行うには、特別プログラムの実施である とか専門職の配置といったようなことを要件にしていただきたいというふうに思います。  7番目の自立支援医療につきましては、もう既にお3方から出ておりますが、通院回数 が減ったですとか中断をしたという実態も見聞きしております。精神障害者にとって医療 は不可欠です。ぜひともこの自立支援医療の利用手続の簡素化を図っていただきたいとい うふうに思います。  8番目の基盤整備についてです。これは特に地域生活支援事業について申し上げたいと いうふうに考えております。地方分権化を考えて、地域性の重視、それから市町村が独自 性を持った取組を行えるようになった、それは大変重要なことだというふうに考えており ますが、裁量的経費であるということも含めて、各市町村によってこの地域生活支援事業 の理解や協力、取組に大変格差があります。そういうことを考えますと、ここは国として 障害者の社会参加の促進への責任を示すという、そういう観点から明確な目的を記した指 針を打ち出していただきたいと思います。  また、一定期間、これは有期限でいいと思うのですが、地域生活支援事業における財政 的な責任というのを明確にお示しいただきたいというふうに思います。特に、全ての障害 の分野において、地域移行というのが大変政策的に重要視されておりますが、居住支援に 関する社会資源の不備はもう致命的と言えると思います。ここにつきましては、国や都道 府県が公的責任において有期限、目標値を決めた整備を行っていただきたいと強く望むも のであります。  また、各市町村が障害者基本計画、障害福祉計画を着実に実施するよう計画をつくりま した、でもやっていませんということにならないように、国や都道府県には指導や助言を 行っていただきたいというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、地域自立支援協議会の設置の義務化、それからそこに障害 福祉計画の実施状況をきちんとモニタリングしていくことということの義務化を求めたい と思います。  また、地域を耕すということがとても大事になるわけで、一方、川崎さんもおっしゃい ました集うということ、憩うというようなこともとても大事になってくる場としては、地 域活動支援センターの役割に期待が大きいわけですが、こうしたコミュニティーワークを 行えるような専門職の配置をぜひ保障していただきたいと思います。  10番の相談支援事業についてです。これが自立支援法のかなめだというふうに認識して おります。結論から申し上げますと、相談支援事業の拠点の設置を義務化していただきた い。また、そこに、これは仮称ですが、例えば障害者相談支援専門員といったものを配置 していただくことをぜひ検討していただきたいというふうに思います。  介護保険の地域包括支援センターの整備状況を横で見ながら思うことなわけですが、や はり相談に来れる人だけが相談できているというところから、川崎さんがおっしゃいまし たように、訪問型、アウトリーチを主体とした柔軟な相談支援事業の運営ができるような ものを望みたいと思います。  各市町村によって随分ここは地域生活支援事業の中にあるということがあって、格差が ございます。質の担保と地域格差を解消すべく基準の見直しが必要だと思っています。  具体的には、人口10万人に1カ所程度、名称はまだ何でもいいと思っているんですが、 障害者総合相談支援センターとか障害者包括相談支援センターといったものを設置し、ぜ ひ精神保健福祉士、社会福祉士、保健師を必置していただきたく、そのうちの1名以上は この障害者相談支援を専門にできる者を配置していただきたいというふうに考えます。  また、この地域移行支援事業がなかなか進んでいない現状を考えるときに、ぜひ個別給 付事業にしていただけたらというふうに考える次第です。  最後のページです。  専門職能団体としてはここが一番強調したいところとなりますが、こうしたもろもろの ことを推進していくためには、やはり何といっても人材の育成と人材の確保が重要だとい うふうに考えております。  実際に、基盤整備がないまま自立支援法が始まった状況の中で、大変事業運営が厳しい という状況で、福祉労働者が不安定な雇用状態に陥っております。専門職の十分な配置が できない、必要な関わりを保障できない、福祉の現場がますます貧困なものとなっている という悪循環が生まれているというふうに認識しております。ぜひスタッフの専門性の向 上に関する対応が重要かつ喫緊だというふうに考えます。  また、実際に自立支援法の施行後、専門職が不在であるとか非常勤のみで運営されてい るといったところがあって、サービスの質の担保ということがどういうふうになされてい るのか大変心配されるわけです。  以前、必置となっていたような精神保健福祉士等の配置を改めて明記していただきたい というふうに思うところです。  障害種別間の格差解消と障害特性の配慮は別次元だというふうに考えております。ぜひ ともよろしくお願いいたします。  最後に、唐突ではございますが、私ども精神保健福祉士の資格に関する見直しの必要性 についてお願いをしたく思います。  実は、精神障害者はこの自立支援法におきまして、ようやく市町村でサービス提供体制 の整備が進むということになりました。これまでの立ち遅れを取り戻すべく、今後精神障 害者の相談支援、地域移行支援、地域生活支援、就労支援など、様々に展開推進していく ためには、専門職が必要不可欠だというふうに考えます。  私ども精神保健福祉士もその1人として認識されていると思いますが、質、量ともに不 足しているというふうに考えております。精神保健福祉士法が制定されて10年たちました が、介護保険法や自立支援法など、随分大きな変化がございました。ぜひともこの点を勘 案して、見直しを検討いただきたくお願いする次第です。既に、昨年12月から厚生労働省 におきましては、精神保健福祉士の養成等のあり方に関する検討会が設置されて、検討し ていただいているところですが、本部会でも、その必要性について改めて認識をお持ちい ただけたら幸いに存じます。  ありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それぞれのお立場からの発表、ありがとうございます。  それでは、これから今までお聞き及びになられたことに関しまして、質問あるいはご意 見等がございましたらお寄せいただきたいと思います。  どなたからでも結構ですが。  高橋委員。 ○高橋委員  重症児福祉協会とそれから守る会の方にお伺いしますが、この中に盛られている重症児 の中には、いわゆる動く重心というのがありますね。行動障害を伴う重症心身障害児の方 々ですが、今のお話には殆ど触れられておられませんでしたが、これはあまり検討の対象 にはされていないというふうに考えてよろしいのでしょうか。 ○潮谷部会長  どうぞ。 ○末光日本重症児福祉協会常務理事  私の資料1の1枚目をご覧いただけたらと思っております。  先ほどもちょっと定義のところでご紹介申し上げましたように、大島の分類の1、2、 3、4が、先生がおっしゃられるいわゆる動く重症児に対して寝たきり重症児でございま す。この方々が、当初は半分ぐらいだったのが今は73%に増えているということを申し上 げました。  周辺の方々が5、6、7、8、9でございますけれども、3ページ目をご覧いただきま すと、今申し上げた1、2、3、4が、右の重症児施設入所児(者)内訳の中の区分Iと いうのが定義どおりの大島の分類1、2、3、4ということでございます。これが今申し 上げた半分ぐらいだったのが73%に増えております。  それに対して、周辺が、2、3、4でございます。そのうちの大きな区分2が、先生が おっしゃられますいわゆる動く重症心身障害児でございます。この方々の数は余り増えて おりません。全体が増えている中で、特に区分Iが増えている、相対的にこの方々の比率 が減っているということでございます。現在もこの方々は、重症心身障害児施設、公・法 人立、そして国立にも2割程度おいでになるということであります。この方については、 私ども今回は余り十分検討するところまでいっておりません。いわゆる寝たきり重症心身 障害児のことをまずしっかり守っていただきたいということで、それに限ったご要望、ご 説明をさせていただいたということでございます。 ○潮谷部会長  秋山様のほうから何かございますか。 ○秋山全国重症心身障害児(者)を守る会副会長  今のお話のように、強度行動障害と言われるような人たちも重症児施設に入っているの も事実でございます。  こういう人たちについては、また今、末光先生がおっしゃったように、寝たきりの本当 に動けない本来の重症児と分けてやはり考えていただかなければならない。そういう人た ちについては、またそれなりの特別な施策といいますか、こういうものを充実していただ かないと、その人たちが救われないのではないかと、このように思っております。 ○潮谷部会長  高橋委員、よろしゅうございますでしょうか。 ○高橋委員  実際に動く重心に対する福祉サービスというのは、また別なところで検討されていると いうふうに理解してよろしいですか。 ○潮谷部会長  いかがでございますでしょうか。 ○末光日本重症児福祉協会常務理事  ちょっと私どもとしては詳細は分からないんですが、私どもとしては、施設サイドとし ては、この方々について適切な場所で今まで守ってきた部分を維持、そしてさらに充実も していただきたいという要望をいたしておりますが、行政のほうで、この分についてどの ように取り組んでいただいているかというのは十分把握でき切っておりません。 ○潮谷部会長  ただいまのことに関しまして、行政側から何かございますか。動く重心に対しての行政 施策の検討は何かなされているかどうか、提供できるものがありましたら。 ○蒲原企画課長  また全体のいろいろな議論のところで、子供の議論をするときにあわせて提供したいと 思っていますけれども、やはりそういう行動障害を伴うといった意味では、障害という形 で何らのサポートが当然必要だということを思っております。重心の施設の中では、確か に今、一定のサポートをしながらもまだまだそのほかのいろいろな体系の中でやっている ところもありますし、足りないところもそこはやっていきたいと思っています。  少し全体の、恐らく障害児に対するサポート全体の議論のところでその辺のところをも う少しお示ししたいというふうに思っております。 ○潮谷部会長  高橋委員、よろしゅうございますでしょうか。今、岩谷委員のほうから手が挙がってい るようですが。 ○岩谷委員  岩谷です。一つだけお聞きします。年をいった重心の方々についても療育という言葉を 使っておられますけれども、これは子供の療育も、30、40歳になった方の療育も同じよう にお考えになっておられるんでしょうか。 ○潮谷部会長  末光理事、どうぞお願いいたします。 ○末光日本重症児福祉協会常務理事  この部分につきましては、一つは重症心身障害児は、他の障害児(者)も同様でござい ますけれども、成長がやや晩熟でございます。そしてまた、成人になった後の安定期も大 変短いという、そういう意味で、一つはやはり成長、発達の時期が健常な人に比べると、 また障害の程度の軽い人に比べますと重症心身障害児の方々の成長、成熟はかなり晩熟傾 向はより顕著であるというご理解をしていただけたらと思っております。  その一番端的な例、本日はご欠席ですけれども、重症心身障害児を守る会の会長のキタ ウラ会長のご令息は7カ月のときに種痘になられて寝たきりの状態、言語はほとんどない という状態でありますけれども、30歳を過ぎて初めて寝返りをうたれた。40歳を過ぎて初 めて筆を握り、いわゆる自発的な絵と言っていいんでしょうか、それを描くに至っており ます。  この人が唯一ではなくて、同様の体験をあっちこっちの施設あるいは重心に関わる方々 は持っておりますので、その辺りにつきましてぜひ発達支援をより長くという視点で私ど も取り組んでおります。 ○潮谷部会長  岩谷委員、よろしゅうございますか。  ほかに。どうぞ、お願いいたします。 ○広田委員  広田です。  精神関係の4団体、お話を伺って、陳情合戦のような感じで、これはまるでスウェーデ ンのような高負担高医療高福祉にしてというのかなと、私は厚生労働省の人間ではないけ れど、この要望を全て言っていたらお金がパンクしちゃってどうなっちゃうのかと、まず 率直な感想です。  それから、日精協さんの、1の1でしたか、二、三十人規模のケアホームと、たしかこ れはかつて患者が反対したような記憶がありますので、これは慎重であってほしいという ことです。  それから、その下の2の1、下のほうで、必要な支援の強度は図れない。実際に支援を 行っている精神保健福祉士、看護職員などの実務経験者による支援必要度判断を一次判定 で評価する方式を導入する必要があるということですけれど、これを具体的に教えていた だきたいことと、それから最後のほうの、自立支援医療の申請は、2年に1度というのは 大賛成です。  それから、最後のところの障害者所得保障の抜本的改善を求める、これも大賛成です。  全精社協さん、2ページ目、真ん中辺です。事務量が膨大であり、特に居住の場に関す る事業の報酬単価が低いというのは、率直に伺って本音でお話ししていただきたいんです けど、事務量を減らせという話なのか、事務を多くしたままで診療報酬を上げてほしいと いう話なのかをお伺いしたい。 ○潮谷部会長  それぞれのお立場に質問がございましたけれども…… ○広田委員  まだあるんです。 ○潮谷部会長  失礼しました。 ○広田委員  4ページ目、上から4行目、通所されないときや、入所中の利用者の対応として、電話、 訪問・同行、いろいろ書いてあるんですけど、実際に私もいろいろな社会資源の職員の相 談に乗ったり、社会資源の職員がやり切れなかったところをお手伝いしたり、サポートさ せていただいています、当事者として。これ、4つの団体のお話を伺っていて、全精社協 さんやPSW協会さんは、盛んに当事者の参画と自立支援協議会というお話をされながら、 全く当事者の影が見えない。当事者がピアサポートセンターとかを立ち上げて、頑張って 活動している姿が全く見えない状況のご意見なんです。  それから、5ページ目。  精神科救急医療、精神科医療全体を一般医療と同じようにしていただきたいということ で、当然のことながら一般救急と同じようにしていただきたいんですけど、真ん中の辺で す。精神科通院は重要であるが、病気によることを本人が自覚しにくいため、医療中断を 引き起こしやすいと。  これは、私、20年間のカルテを開示したんですけれど、25年前に通院したときに全く医 者が何のインフォームド・コンセントも行わないで、いきなり薬を出して、それでカルテ 上には、病識がないために薬を飲まなかった。これが精神医療の実態だったし実態です。 そういうふうにインフォームド・コンセントを行わない医療が厳然として存在しているの に、いつも病気であることを本人が自覚しにくいためということを医療関係者も言えば、 福祉関係者も言えば、家族までもがうちの子どもは病識がないということで、全て当事者 に責任を転嫁し過ぎている。  こういう文章は、外に出ていったときに、理解どころか偏見をまき散らしますので、私 が内科等に行ったときに、医者に、あなたはインフルエンザですね、あなたは盲腸ですね、 あなたは何々ですね、ですからこういう治療を行いますというのに、精神科はそういうこ とが行われないで、精神分裂病が統合失調症に名前は変わったけれど、本人に病名を告知 しないで、家族に言っているという現状が存在しています。  そういう中で、こういう言い方は私は文章として出ていくことに対してとても残念です。  それから次、川崎さんです。  医療費の負担が厳しいがゆえの医療の中断は絶対に避けなければならないというのは、 精神科だけではないと思います。精神疾患だけが医療を中断しちゃいけないんじゃないん ですよね。いろいろな病気があると思います。  それから、他障害と同じように重度医療費をだしてというのを、つまり3障害になるま でのときには全く要望してこなかった人たちが、私自身が衆議院で、精神障害者の福祉が 遅れているために、社会的責任が存在している。こんなせつないことがあっていいのか、 これは国の隔離収容施策だ、謝罪してほしい、と発言したんですけど、そういう状況の中 で、自立支援法には物すごい課題があることは承知していながら、反対をせずに国会の場 で前向きに検討していただきたいとも発言したんです。  ところが、ふたをあけてみたら、みなさん重度医療費助成制度とか、今まで何も言って いないことを急に言い出したわけですよ。  私は入院費がないために家族は入院させることができない。これはまさに当事者不在で、 社会防衛上ではなくて、家族防衛上だと思います。昔、社会防衛上、経済措置といって、 入院患者の5分の1は国がお金を出して入院させた時代がありました。それをほうふつさ せるんです、ある意味で。  入院費がただになったために、家族は負担がなくなり、そして病院は入院費が入るから 入院させておけるということで、そういう危惧を感じていますので、そこのところのご意 見をちょっとお伺いしたいということと、ちょっと長くなって申しわけないですが、家族 が不安だとかおっしゃいますが、当事者同士のピアサポート、それから家族同士のピアサ ポートで解決できることはいっぱいあると思うんです。これを見ていると、いろいろな団 体全て専門家とか国家資格とか、そればかり言っていて、当事者はただサービスを受ける だけの人なのかと。  それで、次はPSWさんです。  私、全国的にPSWさんご存じですけど、そんなに立派な方がたくさんいらっしゃるわけ じゃなくて、国家資格、国家資格って、10年たったけど、恥ずかしいんじゃないかなと思 うぐらいの方もたくさんいらっしゃるんですけど。  3ページ目の6です。就労支援について、1の2、労働行政とのさらなる連携強化なん ですけど、ハローワークにおける障害者相談や障害者職業相談センターなどへの精神保健 福祉士、専門職を設置することとあわせ、労働局の施策とのさらなる連携強化を図ること、 ここに精神保健福祉士が、私、必要かどうかよく分からないんですけど、むしろ就労体験 のある当事者のほうがいいと思います。 ○潮谷部会長  それでは、それぞれの団体に対してのご意見でございますので、お答えをよろしくお願 いいたします。  長尾委員からお願いいたします。 ○長尾日本精神科病院協会副会長  一つは、二、三十人規模のケアホームという、それに反対するというお話でしたけども、 一つは、小規模でもそれに対して夜間の人員配置とか、そういうものがきちんとできる体 制がとれれば、それも一番望ましいわけですけども、実際問題として、四、五人規模のグ ループホーム、ケアホームに夜間の体制を組めるということはまず困難であるということ から、実際に夜間も常時職員が常駐するような体制をとるためには、二、三十人規模のレ ベルのものもあってもいいんではないかという、いろいろなタイプの、私はそういうグル ープホームなりケアホームなり他の施設なりというものがあって、順次移行できていくと いうことが望ましいということで出しております。  それから、障害程度区分については、やはりこれは本来は介護保険のタイムスタディー によって行われたということで、なかなか精神には反映しないということは、これはもう 歴然としています。  そういう面で、生活障害であるとか能力障害、それからケアの程度等々のものをある程 度軸とした判定方法というものを我々も今検討中でございますし、そこに実際に当事者に かかわっている精神保健福祉士、介護職員等の判断をそこへ盛り込めるような形というも のを考えたいというふうに思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  どうぞ次々に、高野様、川崎様、大塚様、それぞれお願いいたします。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  まず、ご指摘の事務量というものについてですけども、日々の個別記録、またそれに伴 うサービス利用計画等の見直しとか、また毎月の報酬単価に伴う請求事務、それ以外に決 算、予算に関する事務、またそれ以外の家族とか外部との連絡調整等に伴う事務、様々な 事務を指して、この場合は事務量を事務というふうな表現をさせてもらっております。  そういうものが、私が言っているのは、現行の支援法と精神保健福祉法の中における精 神障害者社会復帰施設の中での職員の配置基準というものが異なっているんだと。精神保 健福祉法の中にある精神障害者社会復帰施設の授産施設とか援護寮等には、事務職員の配 置というものも認められていました。ですので、やはりその辺の部分を指しているものと いうふうにご理解いただきたいと思います。  また次に、通所されないときや入所中の利用者の対応としてということの部分ですけど も、要するに、現行では、通所されてきて、仮に何時に来ても構わないわけですけども、 来たということが証明されないと報酬単価に反映されないということなんです。  でも、我々としては、通わせるということの問題よりも、なぜ来ないのか、なぜ通って これないのかという問題に対して対応するということから、我々は出かけていったりとか、 また関係機関とそのことについての対応策を練ったりするわけです。そういう部分もやは り生活支援の中の一部として位置づけていただきたいというふうな考え方であるというこ とです。  病識の問題ですけども、確かに広田先生のおっしゃる部分は正しい部分もあるというふ うに思います。また、一概にそうではないという部分もあるということです。  私たちは、精神障害者の社会復帰施設として事業者団体であるという一方の当事者の立 場を持っています。  ただ、当事者というのは、事業者団体であるという部分において、今日の立場としては その当事者の部分があっての部分というのは薄めさせて実は発言させてもらっております。  要するに、事業者の経営基盤を確保するというふうな立場のみにおいて、主にまとめさ せてもらったというふうにご理解いただきたいと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  もう一点、5ページのところの精神科通院にかかわっての広田さんからのご意見がござ いましたが、ここはいかがでしょうか。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  医療中断の部分でしょうか。 ○潮谷部会長  はい、そうです。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  医療中断を引き起こしやすいという中で、現在はどうなのか私はよく分かりませんが、 十分なインフォームド・コンセントがなされていないという中で、病識というものが問題 になる方もいらっしゃいます。  また、インフォームド・コンセントもきちんと行われている中で、何度か確認してもや はり自分の診断名さえ不確かな方もいらっしゃる。そういうふうな中で、非常に医療中断 が多いという現状、これが要するに単純に例えばお金の問題であるとか、いろいろな問題 が重層的に重なって医療中断が起こっているんだというふうに考えておりまして、単純に 病識だけがないというだけで医療中断が行っているというふうには私どもは認識しており ません。  ただ、表現として、どのような表現があるかという中で、このような表現をさせてもら ったというふうにご理解をお願いしたいと思います。 ○潮谷部会長  川崎さまに移りたいんですが、その前に、高野さまのただいまのお話の中で、先ほど広 田委員は、この医療中断を引き起こしやすいというこのフレーズの前段からの、できれば こういう表現というのはしないでほしいというようなご要望もあっておりますけれども、 その点について何かコメントございますか。 ○高野全国精神障害者社会復帰施設協会会長  ご指摘を受けて、もっと適切な表現にされるべきであったなというふうに考えておりま すので、そういうふうに今後もしていきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  それでは、川崎さま、お願いいたします。 ○川崎全国精神保健福祉会連合会理事長  今の入院をしないということに対して、家族というような家族サイドでの考え方じゃな いかということで、ちょっと説明を足します。  実は、これは当事者が、お母さん、お父さん、そんなにお金がかかるんだったらいいよ というような、そういう精神の人がとても優しいといいますか、そういう気持ちが私は出 ていることもあるのではないかと思います。  それと、当事者不在ですけれども、私はちょっとこの文面からそうとられたことは大変 に申しわけないと思っていますけれども、実は生活支援センターなどをやっておりまして、 やはりピアサポート、それがかなりここのところ充実されているかなと思います。ピアカ ウンセリングとかピアホームヘルパーさんがかなり出ておりまして、そういう方をこれか らも活躍していただきながら、本当にピアサポートで支えていけるような、そういう形に はしていきたいと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  大塚さま、お願いいたします。 ○大塚日本精神保健福祉士協会理事長  いつも広田さんには厳しいご指摘をいただいておりますこともあって、10年たってその 程度かと言われるような実態があることも十分認識をして反省をしているがために、先ほ どちょっと張り切り過ぎまして、やや陳情に聞こえた向きもあるかもしれませんが、ご容 赦ください。  就労支援のところでいただいたご意見でしたが、専門職の配置もいいけれども、就労体 験を持っている当事者のほうが適切なんじゃないかというお話でしたが、それは本当にそ ういうことで活躍できる場がどんどんつくられるといいなというふうに思っています。  私ども、やはり一番最初に当事者参画の話を載せさせていただいたのは、本当に心から そう思っている次第で、でも一方で広田さんがおっしゃるように、今まだ当事者不在とい うか当事者の顔が本当に見えないわけで、広田さんのような方がもっとたくさん本当に各 都道府県に満遍なくいらっしゃるという状況が欲しいわけです。  残念ながら、自立支援法だと個別の給付のサービスが大変多く規定されていて、そこに 当てはめるようなサービス提供になってしまうと、やはり皆さんが集って、そこでエンパ ワーメントされて、力をつけていって、私どもに叱咤激励をいただくというような機会が 今ないわけですから、そういう意味でも、そこのところを最初にぜひ規定として盛り込ん でいただいて、私たちにそういう学ぶ場を提供していただきたいということをぜひともこ の自立支援法の中で入れていただきたいというふうにお願いした次第です。 ○潮谷部会長  広田委員、それぞれにご発言いただいたんですが、よろしゅうございますか。 ○広田委員  私は、昼間はボーッとしている人間で、学力もないから先生と言われるほどのことでは ないんですけど、率直に、国民に向かって、精神障害者に正しい理解と言っている方たち がお出になった。大塚さんが、広田さんみたいな人が都道府県に1人ずついればいいと言 ったけど、そんなにいたら大変になっちゃう、うるさくて。私1人だってたたかれている わけです。  そういう精神障害者同士の仲を裂くのも関係者だし、精神障害者同士に足を引っ張り合 わせるのも関係者なわけです。高野さんは率直でしたね。私たちは自分たちのあれを言い に来ましたと言っているんだけど、やはりこういう文章を出すときには、本当に自覚され て活字化されないと。  この文章を私がフィットネスクラブなどに持っていったら、病気であることを本人が自 覚しない人が精神科の患者なんだ、これでもう啓発は終わっちゃうんです。ここで、まし てや自立支援法のさらなる充実に、これは全然関係ないから不思議な話だなと思ってお聞 きしたんです。  川崎さんのその重度のところのお話があったけど、とにかく自立支援法ができたから、 3障害なんだから、ほかの障害に乗り遅れたら損だみたいな考え方が精神の世界にあって、 そうじゃなくて、国の借金はもう833兆円から846兆円に増えているんですよ、この 前私が委員会に出たときから。  増えている中で、OECDの比較をよくしているんだけど、私この間どこかから送られてき たのを見ると、税の比率でいっても日本はOECDの中で低いんですね。求めるものはスウェ ーデンのように高医療、高福祉、払っているものは低負担だから中負担ということです、 そういうことを私は考えながら発言しているんですね。だから、ちょっときつい言い方に なりましたけど、お答えに私が了解したということじゃなくて、4団体のお答えを伺がい ました。 ○潮谷部会長  それぞれのお立場の中からお答えをちょうだいいたしまして、さらに論点としてこれは 整理をいたしますので、委員の皆様方は、ただいまの発表に対しまして、何かまだ発言し たいとか思われる方もおいでと思いますけれど、とりあえずは、前段はこれで終わりとさ せていただきまして、これから約10分間休憩に入って、後段にと思っておりますので、ど うぞよろしくお願いいたします。 〔休  憩〕 ○潮谷部会長  時間が来ておりますけれども、実はマイクの調子が、よくない状況です。それで、それ ぞれのお立場の皆様方は、私語をしばらくやめていただきまして、発表者のことに耳を傾 けていただきたいと、思います。  それでは後半の部分をただいまから再開させていただきます。  事務局から、関係団体の方々のご出席の紹介、資料の確認等をお願いいたします。 ○蒲原企画課長  それでは、会議の後半におきます自治体関係の団体の出席者をご紹介いたします。  ご出席をいただいておりますのは、まず全国知事会より鳥取県知事の平井伸治様でいら っしゃいます。  全国市長会より磐田市長の鈴木望様でございます。  全国町村会より添田町長の山本文男様でございます。  続きまして、後半の資料でございます。一度ご説明いたしましたけれども、お手元の資 料の資料7、この横紙つきの大きな資料でございますけども、これが全国知事会からの資 料ということになってございます。資料8、これが全国市長会からの資料です。冒頭申し ましたとおり、1枚紙が一番最後についてございます。これが全国町村会からの資料とい うことになってございます。  それぞれに資料がございますので、よろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、障害者自立支援法の見直しに関しまして、前半に引き続いて関係団体からご 意見を賜りたいと思います。  後半の順番でございますけれど、平井知事、鈴木市長、山本町長からそれぞれご意見を お伺いしたいと存じます。後半の議事の終了ですけれど、意見交換を含めて、概ね16時30 分ぐらいを予定しておりますので、皆様方、ご協力方よろしくお願いいたします。  なお、それぞれの団体の方々に、1団体10分程度でお願いしたいと思いますので、ご協 力よろしくお願いいたします。  それでは、まず冒頭に知事会のほうからお願いをいたします。 ○平井鳥取県知事  鳥取県の知事をしております平井と申します。  今日は、先輩知事の潮谷会長さんや堂本知事さんがおられる中で、新米知事が非常に緊 張しながらやっておりますので、どうかお手やわらかに聞いていただければと思います。  鳥取県は鳥取砂丘で有名でございますけれども、今月は我々、霊在月と呼んでいまして、 実は「ゲゲゲの鬼太郎」のふるさとが鳥取県でございます。水木しげる先生の生まれふる さとでございまして、今の季節は、鳥取にいらっしゃいますとたくさんの妖怪たちがみん なのところまでまいります。もうこの会に飽きたら、飛行機に乗って鳥取のほうまで来て いただければと思う次第でございます。  今日は、地方団体のご意見を聴取していただくことに感謝を申し上げます。  後ほど、鈴木市長、山本会長のほうからもお話があると思いますが、知事会のほうから の問題意識をここで披露させていただきたいと思います。  少し大き目の横長の資料7というのがございまして、ここにポイントが書いてございま すから、またゆっくりと読んでいただければと思いますが、障害者自立支援法、施行され たその意気はよし、テーマはよしだと思います。障害者の方の自立をして、そして地域へ 移行して、みんなと同じように、ノーマライゼーションの考え方で生きていこう。それを 支えられるように、障害者の方もちゃんと仕事ができる、普通に暮らせる、それを目指そ うじゃないか、その理念はいいと思うんです。問題は、ただその理念を実行するための仕 掛けが細部にわたってできているかどうか。また、全国を通じて妥当し得る仕組みになっ ているかどうか。私たちは、これについてぜひ皆様のご高見で点検をしていただきたいと 思います。そして、正すべきところは正していただければ、私は日本型の世界に誇れる障 害者福祉という世界ができるんじゃないかと思います。ただ、現在は残念ながら不備な点 がいろいろあろうかと思います。  1つ目に書いておりますのは利用者負担のことでございますが、負担軽減対策について、 与党の考え方もあって、現在、緊急措置、特別措置が出されておりますが、こうしたこと はぜひ継続をしていただきたいと思います。  ただ、現在でも、障害者の方々などは、比較的所得の低い層の方が多いということもあ りまして、そんなに苦労はないんですけども、意外に障害児のほうは、親御さんのほうと か世帯のほうでの負担感がなお強いかなという声もまだございます。ぜひ点検をしていた だければと思います。  利用者負担の問題につきましては、もちろん収入構造のほうも問題でありまして、年金 の検討とか、あるいは職業の問題なども含めて一体的に考えていただきたいというのが1 番目であります。  それから、2つ目でありますが、事業者の経営基盤について、これも正直、いろいろと 問題が残されているだろうと思います。  21年4月の改定の中で、ぜひ全国レベルでの経営実態調査を踏まえて、サービスの質の 向上だとか、現在介護人材などが職場離れを起こしておりますけれども、その根本にはや はり待遇の問題があろうかと思います。  良質な人材の確保などにぜひ留意をしていただきたい。報酬改定に当たっては、十分な 収入が確保されるようにしていただきたいと考えます。  私は、これについてひとつ申し上げたいんですけれども、今、地域間格差がいろいろと 叫ばれるようになってきました。これは、経済の問題でよく言われるわけでありますけど も、福祉でも新たな地域間格差が起こりかけている。それが障害者自立支援法の仕組みが その引き金を引いているということを申し上げたいと思います。  それは大都市、例えばこの霞が関で議論をしていて、この霞が関を中心とした首都圏で 妥当する制度が例えば山陰の山の中で妥当するかどうか。それは必ずしもそうでないわけ です。  例えば、小規模な作業所などがあります。20人からが対象となるようなことが、10人か ら知事特認で認めますよというふうに制度が変わりました。しかし、考えていただければ いいと思うんですが、高齢者の介護制度であれば、高齢者の数は田舎に行くほど多い、山 の中ほど多いということもありまして、それなりに対象者はいたわけでありますけども、 障害のある方ということになりますと、例えば確率論で考えていただければ、ある一定の 確率で起こるとすれば、人口の希薄なところにはそれだけの人を集めて、例えば10人集め てサービスを提供するというのが本当にできるのかどうかということなんです。  これはやはりもう一度考える必要があると思うんです。このままいきますと、そうした 人口規模がないところでは、障害者福祉ができなくなるということになりかねないわけで ありまして、人数基準が余りにも厳格過ぎると問題を起こすのではないかと思います。  ですから、10人未満のところの小規模作業所も鳥取県でいきますと大体6割ぐらいは実 は現在でもそういう作業所にならざるを得ないんです。一生懸命今取りまとめをして大き くしようとしていますけれども、それでも現状はなかなか困難だという声があります。  中山間地域に大都市と同じ基準を押しつけるのは、私はちょっと無理があるのではない かなと思いますので、そういうところも工夫の余地があるのではないかと思います。  障害者の程度の区分認定についてぜひ特性を知的障害、精神障害についても反映するよ うにしていただきたい。  一次、二次で判定が狂うことが多いのが現場の混乱のもとにもなっています。この辺も 判定基準をぜひ考えていただきたいと思います。  そして、サービスの制限について、ケアマネジメントが介護保険では大幅に導入されて いますが、障害者福祉の観点では、退院をしてこれから家のほうに帰る、地域に移行する として、一定期間しかケアマネジメントが使えないということになっています。しかし、 考えていただければいいと思うんですが、長く地域で生活をしようということを考えた場 合に、やはり定期的にあなたはこういうサービスのほうがいいですよ。また、自分が受け ているサービスに不満がある、疑問があるというときに、相談する相手がいない、ケアマ ネジメントが受けられないというのは、やや制度の中で不備があると思います。  ですから、指定相談支援事業者によるサービス利用計画作成費が広く利用できるように すべきではないかというのがございます。  右のほうにまいりまして、4番目、施設入所と地域移行という観点です。  グループホームなどの充実をぜひ図っていただきたい。  それとあわせて、先般、私どもで子供さんの議会を開きまして、そのときに、養護学校 の生徒さんが訴えるんですね。この方は身体障害の方でした。かなり重度でありました。 この子は、ただ弁は立つものですからしっかりしゃべります。意見は言います。意見を言 う中で、彼女が言ったことは、私だってひとり暮らしはしたい、このことです。ですから、 グループホームとかケアホームがなぜ身体障害者に認められないんでしょうか、私は疑問 がありますと。ぜひこういうことも考えていただければと思います。  それから、重症の心身障害者の地域移行の支援措置としての報酬加算、またケアホーム なんかも、グループホームもそうなんですが、夜間の支援員、介護保険では、例えば痴呆 性の場合など、広くやられるわけでありますが、夜間、支援員が置けるだけの報酬が用意 されていないわけであります。ですから、安心してグループホームとかケアホームを運営 できないという実態があります。こんな現場の声も考えていただきたいと思います。  5番目に精神障害者の支援対策でありますけども、例えばJRに乗るとかいうこと。身 体障害者であれば、手帳で割引があるのに、なぜ精神の方は自由に行動できないんでしょ う。これはおかしいと思います。こういうことも関係者に働きかけを行っていただきたい と思います。  精神障害者が利用できる事業所を拡大して、社会復帰施設の新体系への移行、この辺は 堂本知事が常に持論でおっしゃっていますけども、こうしたことも考えていただく必要が あると思いますし、地域生活の支援事業について、これは国庫事業で補充的に市町村や都 府県の裁量の幅の広い障害者支援の事業ができるようになっていますけども、地域生活支 援事業国家補助金、これは今年度も途中でどうもガソリンが切れるということになってい るようでございまして、木倉部長にはぜひ予算を確保していただきたいと思うんですが、 このたび補正予算を大型で組もうというんでしたら、この辺もしっかりと補正をしていた だければありがたいと思いますが、この辺も毎年のようにその予算枠に不足を来して市町 村や県が苦しんでおります。この辺も考えていただきたいと思います。  このほかにも、例えば障害者差別の法的支援とか、そういうことも必要だと思うんです。 先般も別の養護学校の生徒さんが言っていましたけども、養護学校という言葉を出しただ けで差別をされる世の中はおかしくないですか、こういうふうにおっしゃいます。私もそ うだと思うんです。  やはり世の中の仕組みとして、障害者に対する目というもの、これに疑問を感じざるを 得ません。千葉のように、それについて一定の条例の施策をとっているところもあります。 鳥取県もそれを考えようかという検討も始まっていますけれども、本来は国全体で考える べき施策ではないかと思います。  そのほか、就労支援として3点、福祉部門と労働部門の連携を強化してほしい、就労支 援の人材育成を行ってほしい、発達障害者の就労支援を行ってほしいという点を示してお ります。  例えば、ハローワークでも障害者の就労支援を行う人、ハローワークで1人しかいませ ん。できるわけがありません。ですから、何が起こっているかといいますと、鳥取県の場 合、鳥取県で支援員を雇って、その人たちが回って補充をしていくというのが実態です。 これが労働行政なのかと思います。その辺も考えていただきたいと思います。  その他の障害者支援施策として、右側に書いてありますが、障害児のサービス体系、そ れから発達障害者の支援施策ということがあります。  例えば、児童デイサービスなんかもございます。先ほどと同じようなことがやはり人口 希薄地域では起こります。10人をそろえれば児童デイサービスができます。しかし、10人 そろえるのは結構大変です。少子化が進んでいる地域、過疎化が進んでいるところは少子 化も進んでいます。子供を集めるのさえ大変なところで障害のある子供を10人そろえる。 しかも、未就学児が7割以上いればこれだけの単価を出しますとなっております。2,000 円も違うんですね。  その未就学児を10人の中7人そろえるというのは無理です。むちゃなことを地方で強い るというのは私はおかしいと思います。  こういうことが障害者福祉についても地域間格差を生じるというところがありますから、 制度に内在する問題ですので、手直しをしていただきたいと思います。  2枚目として、具体例を鳥取県の場合こうですよというのを示させていただきました。  時間になりましたので、ここで終わらせていただきます。後ほど、意見交換の中で補足 があれば申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  鳥取県の実態をぜひおっしゃりたかっただろうと思いますが、割愛していただきまして、 お礼を申し上げます。  引き続いて、鈴木市長からお願いいたします。 ○鈴木磐田市長  全国市長会の社会文教委員長を務めております磐田市長の鈴木望と申します。  都道府県と相当言いたいことがダブる面がありますので、なるべく簡単に言わせていた だきたいなと。私のほうとしては、基礎自治体の立場から意見を言わせていただきたいと いうふうに思います。  障害者自立支援法の見直し等についてというペーパーに基づいて言わせていただきます。  まず、地域生活支援事業についてでありますけども、地域生活支援事業にかかる予算、 今、鳥取県知事のほうからご意見が出されましたけれども、これが予算措置であるという ことで、ぜひサービス利用者の公平性、継続性を確保するため、超過負担が生じないよう、 地域の実態を踏まえ、十分な予算額を確保していただきたいということであります。  ご承知のことでありますけれども、市町村が実施主体となって行う地域生活支援事業に 対しては、2分の1の補助率が定められております。しかし、予算補助であることから、 実質的な補助率はこれよりも低くなっております。  地域生活支援事業を拡充すればするほど、市の負担が大きくなる、そういう現実であり ます。  これをほっておきますと、いわゆる財政力のある地域、市はどんどん厚くなる。そうじ ゃないところは薄くなるという地域におけるサービスに格差が生じるという点もあるわけ でありまして、実態、私どもの磐田市を見てみましたら、平成19年度の国庫補助は45.2% の補助率ということで、2分の1は切っておりまして、どこが問題なんだということで、 担当に聞いてみましたら、要するに、県が国庫補助金の配分調整を県で行う。県のほうで 少ない補助金を何とか工面しなければいけないということで、比較的私どもの市は恵まれ ているので、その分、割を食っているんだということでありました。  ここら辺をぜひきちんとやってもらいたいということでありますけれども、そういう中 で、一つ、制度の確実な実施のために、地域生活支援事業のうち、5事業ほど必須事業と いうことになっているわけですけれども、これについては負担金制度というようなことに できないかどうか。そこら辺を検討してもらえたらというふうに思っております。  2番目の施設整備に対する財政措置でありますけども、障害者(児)の多様なニーズに 適応した福祉施設の整備について、さらなる財政措置を講じていただきたいということで あります。  特に、私どものところで、障害児支援につきましては、発達障害児支援法が17年4月1 日から施行に伴いまして、発達障害児の支援が、いろいろと市民の方々から声高に、もう 少し重要視しろというような声が出てきているというところであります。  そういった意味で、専門的な療育機能を持つ障害児通園施設や児童デイサービス施設の 充実とともに、保育園等における障害児の受け入れの促進、また早期発見、早期療育の充 実等について、ぜひご配慮いただければなというふうに思うわけであります。  施設の整備ということでありますけれども、施設入所者や精神障害者のうち、退院可能 者の地域移行が計画をされているわけでありますけれども、地域での生活を支えるための 一層の在宅サービスの充実強化が前提とされているわけですけれども、障害者の自己選択 権が制限されることのないように、障害者施設の設備、運営に係る経費をぜひ充実をして いただきたい、そのように言わせていただきます。  次に、報酬の見直しについてでありますが、報酬についてはもう私があれこれ言うまで もございません。マスコミ等でもいろいろ指摘もされておりますように、ぜひ事業所の安 定的な運営が確保されるよう、地域における利用者の公平性や利用実態を十分踏まえ、適 切な内容となるように配慮をしていただきたいということであります。  施設、グループホーム等の事業者は報酬単価が低いため、大幅な減収による経営破綻が 危惧されるなど、大変厳しい状況に置かれております。  また、居宅介護事業においても事業者からは、報酬単価が低く、ホームヘルパーが確保 できないため、サービスが提供できないという声が上がっております。さらに、山間部の 事業所では、サービスエリアが広域にわたり移動に時間がかかるため、現在の報酬単価で は経営が成り立たないところも存在するわけであります。  その当然の帰結として、各事業所では、人件費削減等で対応しているために、福祉人材 不足等を招くとともに、障害者に対するサービスの質の低下や安全性の確保が困難になる など、地域移行を掲げる障害者自立支援法の趣旨に反し、基盤整備に大きな影響が出てい る、このことを指摘せざるを得ないと思っております。  次に、足早で申しわけありません、自立支援法施行後、3年目の見直しということで、 4点ほど掲げさせていただきました。  まず、今後の制度変更につきましては、地方の意見や実情を十分踏まえるとともに、国 民の理解と信頼が得られるよう周知の徹底に必要な準備期間を十分に確保していただきた いということであります。  また、制度変更に伴う経費やシステムの改修経費等に対して、十分な財政措置を講じて いただきたいということであります。  特に、国の都合による制度変更については、地方に負担転嫁することなく、国の責任に おいて万全の財政措置を講じていただきたいということを強く訴えたいと思います。  これまでの福祉政策の見直しに共通する点としましては、制度設計から実施に至るまで の期間が非常に短い傾向にある。さらに、国からの情報提供、周知が大変に遅いというこ とであります。このことによりまして、地方がしっかりと準備する期間が持てないために、 制度の周知、対象者のご理解、そしてその延長線上にある実施に私ども大変苦慮している ところであります。  このことは、後期高齢者医療制度事業のときに顕著であったわけでありますが、障害者 自立支援法も例外ではございません。円滑施行特別対策、2006年12月、緊急措置、2007年 12月で、そのことについては私ども非常にありがたいという面もあるわけでありますが、 これらの対策措置等につきまして十分な準備期間がなかったことから、大変苦慮したとこ ろでございます。  このようなことが、結果的に国民に対し無用の混乱や不安を与えることとなりましたの で、ぜひともよろしくお願いしたいなというふうに思います。  また、障害者自立支援法は、他の福祉制度と同様、たび重なる制度変更等に伴い、地方 はシステム改修や事務処理等に多大な労力と経費が費やされたわけでありますけども、今 後、国の都合による制度変更については、地方に負担転嫁することなく、国の責任におい て万全の財政措置を講じることを強く求めます。  これが大体、全国共通の市長会の意見ということでありますが、私もここの場に出させ てもらうということで、職員を集めて、今何に一番問題意識を抱いているのかということ でヒアリングをしてみましたところ、この知事会の中で、障害程度区分認定に関わること でありますが、一部負担についてはほとんど問題がなくなったという認識です。  一方で、どの程度のサービスを提供していいのかどうか、これが非常に人によって差が ある。また、親御さんによって言い分に違いがあるということで、そこら辺に非常に苦慮 しておる。  場合によっては、どんどんサービスの提供量が多くなって、行く行くは制度の崩壊につ ながっちゃうんじゃないのかなというような危惧感を覚えるというふうに言った職員もお りました。  そういうことで、私ども、障害程度区分5、6の方に対するサービスの提供ということ については、ケアマネジャーにケアプランをつくってもらって、それに基づいてどの程度 のサービスを出すかというようなことを市単でやっております。ぜひ、利用者負担の問題 と一つ対になる問題じゃないのかなと思うんですけれども、ケアマネジメントの制度の中 に組み入れるというようなことも検討してみたらどうかなというのが1点私としては職員 のほうから言われてまいりました。  また、私自身も実際ちょっと見て回ろうということで、磐田市に小規模作業所が7カ所 あるわけですけれども、7カ所を全て訪問してみたわけですけれども、この障害者自立支 援法の自立支援とか就労移行支援とかという法律の理念はよしとするものでありますけれ ども、改めて実態と実情の乖離を痛感せざるを得ないということであります。  実態は、私どもいろいろ行かせてもらいましたけれども、例えば、何々ちゃんはまだ来 ていないよとか、来ても、どうも今日は余り作業をやる気がないから、隣の部屋で寝てい るよとか、そんな感じなわけです。  ですから、作業所であっても、実態は障害者の居場所、指導員さんも障害者の心のケア というか、優しく励まし合って、ともに暮らしていこうと、そういう意味での指導員の役 割は立派に果たされているわけですけれども、果たして就労移行支援だとか、効率的な作 業の手順を教えるだとか、そういうことに適しているのかどうかという観点からすると、 そういう感じは受けないということであります。  また、そういった小規模作業所とか、そういうもので親御さんが何を期待しているかと いうと、そういうところで自分が年老いても、自分の子供がちゃんと地域の中で守られて 暮らしていける、そういう将来に対する不安感の払拭みたいなものが大きいのではないの かなというふうに思うわけでありまして、自立支援法の趣旨やよし、理念はいいわけです けれども、しかしながら実態とはこういうものですから、こういう実態を十分に配慮して いただきながら、自立支援法の見直しというものをゆっくりと実態にちゃんと配慮しなが らやっていくということが極めて重要じゃないのかなというふうに思った次第です。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、山本町長のほうからよろしくお願いいたします。 ○山本添田町長  もう知事さんと市長さんが詳しくお話をしましたので、いつも町村は最後ですから、申 し上げるところは全部前の方が話していただくものですから、ある意味では、損をしたり 得をしたりするんです。  それで、私のほうは、そういうことを考えて、項目ごとに書いてありますことを提出し ておりますから、もうああいう長たらしい話は私はいたしません。結論を先に申し上げま す。  今のこの支援法は十分なものとは言えません。これは町村の立場から申し上げるんです。 ですから、この子供のことなんですが、それぞれの発展段階に応じた支援の必要性の判断 とか、それから利用機関をどうするのかとか、それから虐待を受けている児童のそういう 世帯の人たちへの対応など、現在の町村の体制ではそういうことはできません。町村のや るだけの力がありません。それを最初に申し上げておきますので、非常に難しいんです。 難しいけれども、決められてありますから皆さん努力をしているところでございます。  また、専門的な知識を有している人材の確保、これがまた難しいんです。これはもうご 承知のとおりだと思いますが、これらの問題は、どうこれから解決していくかということ が大きな課題になっております。  ですから、これから町村の意見をよく聞いてください。こういうようなところで、代表 が来て言ったから、町村の意見は十分聞きましたというのが委員会のいつもの在り方なん ですよ。私はいつも委員会に自分が出ておるときに、そんなことで代表の意見を聞いたか らそれでいいというふうに思ったことは一度もありません。ここが私は抜けている、言う ならば、法制度をつくるときの大きな欠点になっていると思いますので、どうぞひとつ弱 者は一体だれなのかというのを検討していただいて、弱者の意見を十分聞く、こういうや り方をしていただければなと、そういうふうに思います。  嫌なことを最初に申し上げます。  それで、あと、差し上げておりますので、文書を見ていただければいいと思いますが、 要するにどういうことが問題なのかということを私なりにまとめました。  結局、障害者に負担をさせることそのものが間違っていると思いますよ。だから、負担 をしなさいというのはいいかもしれません。それは当然そういうことを言いたくなること は分からないでもありませんけれども、障害者の人たちに負担をしなさい、これをこの今 の3年前につくった法律のときも、この負担はきちんと書いてあるんですね。だんだん変 わってきて、ああでもない、こうでもないで、少しそれが軽減されてまいったようですけ れども、障害者の人たちをああいう意味では、一般社会人と同じような生活をしていただ かなきゃならんわけですから、それを負担しろということそのものが難しいと思うんです。  立ち上がってから、そしてその収入を得るということであって、後に負担をするという ことであればいいんですが、しかしこういう支援を行う間にその負担をしろというのは少 し考え過ぎじゃないかなと、そういうふうに思いますんで、これらについてまず考えてい ただくことが1点目です。  それから、事業をやる、こういう障害者の皆さんでいろいろなことをやっていきますが、 これらのことをやらなければならないのは十分わかっておりますが、その場合、この貧乏 な、しかも小さな力しか持っておらない町村に負担をかけてまで実施をするというのは間 違っていると思いますよ。  町村というのは、そんな、言い換えますと、満足し得るような事業をやれるだけの力は ありません。あるところもありますよ。全体の1,000からあります町村の数の中で、それ はそれだけの力のあるところもあります。これは全体の3割ぐらいはあるんじゃないかと 私はいつも思うんですけども、あとの7割強のそういう町村はその力がありません。  ですから、そういう町村に負担をかけるようなことで、事業費を持て、そしてやれとい うようなやり方はやめるべきだと思います。ぜひひとつそういう点については改正をして ください。お願いをしておきたいと思います。  それからもう一つは、施設がありますが、施設の職員が専門家でなければなりません。 専門家がだんだん先細りで少なくなっていっているんですね。職員の確保というものを、 これは町村がやるという、とてもそれはできるものではありません。  ですから、そこら辺りはどういうふうにしたら確保できるのか、あるいはどういうふう にして養成をしていくのかということなどを考えることが必要じゃないでしょうか。そう いう点が抜けているような気が私はしますので、ぜひひとつ委員会のほうでご検討を願い たいと思います。  それから、次でございますが、この制度を見てみますと、確かにあれもこれもという中 途半端なものばかりなんです。厚労省の人が来ておらんからいいようなものですけれども、 ほとんど抜けているんです。ですから、きちんとした制度、対策をつくることが必要じゃ ないですか。だから、中途半端なものでございまして、障害者のほうの人たちは決して満 足していないと思います。満足していないけれども、じっと我慢をしているというのが実 態じゃないでしょうか。  ですから、満足されるようなそういう制度をつくることが必要じゃないかと、そういう ふうに思います。  その次でございますけども、町村は、先ほど申し上げたように、これには十分な対応を するだけの力がありません。もちろん私の町もできません。ですから、これを検討すると きに、係が全部読んだんです。それで、聞いてみましたところが、いや、とても私どもで はできませんと、こう言うんですね。そういう言い方をすることは、考えた上で言ったん だろうと私は思いますけれども、私にしてみると、何でそういうことを言うんだと言いた くなるんですけども、事情を聞いてみると、まさに彼らが言うような制度になっているん ですね。  そして、やらなければ、ふるい落としてきて、幾つかふるい落とされたもの、そういう ものがございます。それらについてはどうしようとも、何とも決めていないわけです。だ から、それは町村なら町村が拾って、それをやらなきゃならんということなんです。  ところが、さっき申し上げたとおり、それだけの、やるだけの技術者もいなければ専門 家もいない。ですから、ふるい落とされてきたようなものは、それこそ専門家が一生懸命 に努力をして解決をしていくことが大事じゃないでしょうか。それをやれるような仕組み になっていない。全部で106ぐらいあるんですね、施策を含めて。決め過ぎるんですよ。 だから、これをまとめて簡略化をして、やれるようにすることこそ大事じゃないでしょう か。106もあって、じゃ何と何が何ですかと覚えろといったって覚えるだけでも時間がか かりますよ。その間やれないじゃないですか、職員が。自分が覚えていないですから、今 私にやれと言うのと同じことなんです。  ですから、これを簡略化して、そして実効性の高い、そういう制度にすることが一番大 事なことではないかと私は思います。  ですから、今日、私、せっかくこういう機会をいただきましたので、委員の先生方にお 願いを申し上げますが、十分ひとつそれらを検討していただいて、小さな町村でも十分こ の施策ができるように考えていただくことが一番大事なことじゃないかと思います。  私の町でも120人くらいの障害者がいます。その120人のうち、さっき言ったように、全 部全て同じように平等に取り扱うことができないんです、今の制度は。  ですから、それらを考えて、小さな町村でも十分こういう障害者の皆さんたちに手当て ができるようなことを考えてやることこそ大事じゃないでしょうか。そういうふうに私は 思いましたので、率直にそれを申し上げましたので、よろしくひとつご配慮をいただきま すようにお願いしたいと思います。  時間の関係で、私は、出している文章のことについては一切申し上げませんので、ダブ ったところもあるかもしれませんが、それは文章ですから、ぜひひとつ見ていただければ と思いますので、ご了承いただいて、私の発言を終わらせていただきます。どうもありが とうございました。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それぞれ行政のお立場からの発言でございました。委員の皆様方の中で、ご質問、ご意 見等がありますならば。  福島委員、お願いいたします。 ○福島委員  お3方のお話、いずれも私自身ももっともだなと思いながら伺っていました。とても重 いご意見、ご要望もあって、この部会でも重く受け止めるべきだと思います。  それで、1点確認させていただきたいことがありまして、鈴木市長にお伺いしたいんで すが、作業所の実態についてのお話がございましたが、普通、就労への支援をやるとか、 効率的な作業という目標を掲げても、実際、生きる場のような状態になっているというお 話がございましたが、その発言の趣旨、市長としてはどうすればいいとお考えなのか、そ こがちょっと分からなかったので、どういうニュアンスの発言なのか、補足いただければ と思います。 ○潮谷部会長  鈴木市長、よろしくお願いいたします。 ○鈴木磐田市長  多分、小規模作業所の実態について、私、意見を言わせてもらったところじゃないのか なというふうに思うんですが、ひとつ例を出させてもらいまして、はっきり言いまして、 一部負担の点等々、障害者が自立していくという一つの方向性、就業するというような方 向性については、これはいいし、そういう方向でひとついくべきなんでしょうが、実態は どうなんだろうかということで実態を言わせてもらいました。  一事が万事、私はそうだと思うんですけど、やはり私ども、地域で親御さんの考え、心 配、実態はどうなっているのかということを考えると、まずは地域で足りないところを支 え、支援してあげて、ともに地域で仲よく暮らしていける。また、その見通しが親御さん のほうでも一つの確信として持っていけるような、そういったところが一番重要じゃない のかなと。そこら辺をきちんと対応していくというのが、まず地域で行政をつかさどって おります私どもとしては重要じゃないのかなというふうに思うわけでありまして、その中 で、理念等々、また方向性というものがうまく現実とマッチして進んでいければなと、そ のように考えて言わせていただきました。 ○潮谷部会長  福島委員、よろしゅうございますでしょうか。  ありがとうございました。  ほかに。大濱委員、お願いいたします。 ○大濱委員  お3方の、知事会の方、お話を聞きました。本当は、自立支援法の地域間格差、本当に これ広がっているという実態が深く浮き彫りになっていると思うんです。逆にこれ自立支 援法になって、本当にお金のある市町村、ない市町村、その格差が本当に広がっていると 思います。  例えば、最後にお話しいただいた山本町長のところは、添田町の場合ですと、1万 1,000人ぐらいしか人口がないわけで、そこに120人ぐらいの障害者がいるということにな ると、当然できないわけで、そこに地域生活支援事業、5事業全部やりなさいとか、そう いうことになりますと、絶対これ予算足りないんです。  ですから、そこら辺の解決の方法を今後どうするか、恐らくこの中の重要な議題だと思 います。  それからあと、鈴木市長の言われた、鈴木市長の場合は、磐田はヤマハがあるんですか ね。若干ちょっと収入がいいのかと思うので、ある程度いろいろな事業が回せるんだと思 いますが、その中でお聞きしたかったのは、障害程度区分6の場合に、ケアマネを導入し て、その地域での生活をどうするかという居宅サービスについて、内容を決められると思 うんですが、具体的にどのような形でケアマネを導入して、障害程度区分の6の人たちを どの程度の時間数、どの程度の対応になったかという具体的なことをお話しいただければ ありがたいんですが。  それで、私たちが今後の改善の仕方として考えているのは、これも提案しているんです が、やはり地域間格差が非常に大きくなったのを回避するためには、やはり基金とか何か 別途のものを置いて、本当に小さな市町村に対しては国が全部責任を持つ、場合によって は10分の10を補助するんだというようなことがないと、これはもう小さな市町村は本当に やっていけないと思います。  やはりこの辺を今後この委員会の中できちんと議論していきたいというふうに思ってい ますので、特に山本町長並びに鈴木市長、またよろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  それでは、鈴木市長、お願いいたします。 ○鈴木磐田市長  まず、ケアマネの関係ですけれども、私どものところでは、障害程度区分の5と6の場 合、また、区分の基準値を超えて支給料を希望された場合には、ケアマネジャーによるケ アプランの作成を必ず実施をさせてもらいまして、これはケアマネに1件1万円で試算で お願いしております。それをサービス提供時間の根拠資料として使わせてもらっていると、 そういうやり方でやっているわけです。  こういうサービスが必要だというご本人ないし親御さんの気持ちというのに偽りはない とは思うんですけども、非常に主観的になりがちじゃないのかなという、また一部負担と いう一つの歯止めがある意味実質なくなってきましたので、これはそれにかわるものとし てきちんとしておかないと、全体としてどんどん費用が大きくなっていくということにな ると、制度そのものに、大げさな言い方ですけれども、つながりかねないという危惧感を 現場が既に何となく覚えているということでありますので、ご検討していただければと思 います。これは知事会のところでも同じような趣旨でやっております。  あと、地域間格差という話でありますけれども、地域間格差、このまま予算補助という 格好でもって、お金がないからできないというようなことで放置していきますとどんどん 広がる、そういう危惧感は私ども持っております。磐田市の場合は、ヤマハ発動機、ブリ ジストンとかありまして、2兆5,000億ほど年間あるので、実態は非常に裕福な団体です。  でも、私どものところでも将来このまま同じようにどんどん膨らみ続けていっていいの かどうかという危惧感は非常に持っておりますので、つけ加えさせていただきます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかに、どうぞ、小板委員、お願いいたします。 ○小板委員  知事会の関係なんですけども、自立支援法が施行されてから、実際には様々な事務系統 が市町村におりていったと思います。  県のほうではどうなっているかというと、個々にはアンケート調査だとかという、そう いうものとか、もちろんこれは研修はしなければいけないということで、そういったこと からどんどん大きくなってきておりまして、実際には、例えば障害程度区分でいけば、専 門家と言われている各種相談所、そういったところはほとんど機能していないという。  そういった意味でいくと、今のような市町村に対する事務というのを、これを何らかの 形で受け持ちを変えていただかないと、これから難しいのではないかという感じがいたし ます。  特に児童の関係でいきますれば、障害児童なんていうのは、市町村にはほとんど言えな いというか、二、三人だということがあるわけですが、これはやはり県のほうで統括をし ていただくということも必要だろうというふうに思うわけです。  将来的な部分についても、やはりかなり大規模に集約をしていきながらやっていかなけ ればとてもできるものじゃないし、また専門的な分野を活用していただくという、そうい うことが大切じゃないかなということですから、もう少し県と市町村との積み上げですか、 そういったものを整理していただくといいのではないかなという感じがいたしますが、い かがでしょう。 ○潮谷部会長  ただいまの、論点は論点として後の委員会でも論議をいたしますが、でき得ましたら基 礎自治体と県との役割等々も含めて少しお話しくださればと思います、実態的なものを踏 まえて。 ○平井鳥取県知事 今回、障害者自立支援法が導入されるのとあわせて、大幅におっしゃ るように市町村に権限が移譲されました。私どもは、正直戸惑いがあります。  正直申し上げて、先ほど来議論がありますが、山本町長のところでは人材がない。ただ、 県にはあります。ですから、何が起こっているかといいますと、まだ今、跛行的といいま すか、まだら模様で移譲されているというのが現状ではないかと思います。  現実問題、発達障害のお子さんたちを市町村が全部面倒を見るのは無理だと思います。 そんなわけで、鳥取県の場合、県全体で、県の中部に発達障害のセンターをつくりまして、 そこに人材を招致して、市町村の事務か県の事務かはともかく、我々のほうで受け入れる というようなこともやっています。  また、山間部の郡部では、市町村の保健師さんがいるとしても、それも限界があります ので、現実問題、私ども、福祉スタッフが事実上一緒になってやったりしています。これ が特に地域人口が少ないところで、人材を集めにくい地域での実情だと思います。幅広く こういうことが認められると思うんです。  ですから、本来は、基礎的自治体という理念で、市町村が財政的窓口になるべきだとい う論はあると思うんですけども、現実に即して考えると、障害者の場合は、高齢者とか児 童福祉サービスほど市町村のほうに人がいづらい、つまり対象者もいないし、人材もいな いという状態でありますので、県との役割分担をこの際見直そうかというのは、私は議論 に値するんだろうと思います。  その際、現実に即して、例えば障害といってもいろいろな形態、特に精神なんかは難し いです。ですから、町村の役場に来られてもらってはどうしようかというのは最初にはあ りました。  そういうのを考えていただく余地が私は十分にあるだろうと思います。その中で、第一 義的に福祉の現場としては、できるだけ住民に近いところにあるほうがいいだろうという ことで、市町村という立場を活用しながら、人材サービスの供給とかあるいはいろいろな 観点で市町村と県で合同して事務組合をつくるだとか、私はいろいろなアイデアがあり得 るのではないかと思いますので、審議会のほうでも、今、小板さんがおっしゃった問題意 識を持って検討していただければと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  小板委員、よろしゅうございますでしょうか。  ただいまの点については今後の論点の中で、委員の皆様方はそれぞれ深めていくことに なろうかと思います。  ほかにございませんでしょうか。  堂本委員、お願いいたします。 ○堂本委員  私も、県の役割と市町村の役割、これが明確になっていないと思います。  これははっきり申し上げておきたいことは、確かに基礎自治体で一番生活に近いところ で福祉の問題は担うことが理想だと思います。そして、そこへ移行していくことが大事な んですけれども、先ほどからご意見が出ていたように、制度が変革されて十分準備の時間 もないままそれがおりてくるというようなときに、本当に市町村ではそれを受け応えられ ないような事態もあります。  一番大事なことは、余りにも市町村には、それじゃ力がないのかといったら、決してそ うは思っていません。今回、合併をしていない市町村が、まだ人口3,000人とか7,000人あ るいは1万人程度の市町村が全国にはありますけれども、そういった市町村で専門的な難 しい相談なんかを受けることは確かに難しいんですけれども、そういったプロセスの中で 今どういうことが起きているかというと、余りにも細かいことなど、一方で市町村を信用 しない。そのため国が非常に細かいことを決めてしまう。県にも裁量権が十分にないし、 市町村等にも十分に裁量権がない。  先ほどから鳥取の知事さんからもお話が出ていましたように、千葉にも過疎地がありま す。密集地もあるんです。両方ございます。そうしたときに、過疎地ではとてもじゃない けれども、10人、20人という人数のものができない。したがって、私たちは高齢者とそれ から障害者と子供、そういったことで一緒のサービスをしたいということを何度も何度も 厚生労働省にお願いしていますけども、それは縦割りの制度の中で認めていただけない。  したがって、介護保険と障害のほうと、財政的なからくりが違うがゆえに、それをやっ てはいけないということなんですけれども、もう少しそれを県にも、それから市町村にも 裁量権をいただければ、そこのところはそれぞれの市町村に向いたやり方で行政サービス を設計することが可能だと思います。  余りにも制度がかっちりできていて、そして補助金の制度で国がどのぐらい、それから まだ県、市町村に下がっていくものもあれば、それから直接市町村に行くものもあるわけ ですけれども、そこで一番市町村が困っていることは、そういった裁量権がないことだと いうふうに思います。  今度、この法律の見直しをするときには、ぜひそういった地域の裁量権、そして皆さん から出ている報酬の問題などでは、これではやっていけないというような施設あるいは地 域移行、両方に関して財政的な負担を来そうというような経営の状況もございますけれど も、そういった場合でも、もう少しそこに余裕を持たせてくだされば、そしてなおかつ裁 量権もあれば、もっとその地域でもって伸び伸びとできると思うんですけれども、そこが 難しいんだと思うんですが、その辺のところについてもできれば今日は市町村、町長さん がいらしているので、どのようなお考えかということも伺わせていただきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  今、堂本知事からそれぞれの知事あるいは市長、町長の立場から、裁量権の問題を含め て伺いたいということでございますが、一言ずつお願いいたします。 ○平井鳥取県知事  鳥取でも今模索をしておりますのは、共生型、すなわち児童、障害、高齢者、ソウマモ リガ設定、設置ができないかどうか、こういうようなことを考えておりますが、こうした 裁量権のことをぜひ考えていただきたい。  また、あとそれぞれの施設に細かい施設基準がございます。私はやり過ぎだと思います。 総体的に緩和をしていただいて、単に財政的な包括支援を国が行っていく形がいいと思い ます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  では、鈴木市長、お願いいたします。 ○鈴木磐田市長  裁量権については、当然そういう方向でもって拡大する方向でもってやっていくほうが 私どもにとってはうれしいし、またうまく障害者行政もいくんじゃないのかなというふう に思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  山本町長、何かございますでしょうか。 ○山本添田町長  この裁量権は町村は無理じゃないですか。ですから、例えば障害児などは区分している んですね。別々に分けているんですね。分けないで同じようにすれば、それは裁量権もや れるかもしれませんよ。しかし、今、区分が多過ぎますよ、これは。  だから、そういうものを整理した上で、そして裁量権はどうだと、こう言われると、町 村側もやれるかもしれません。今の状況では、とてもそれは町村は無理だと思います。  それから、会長さん、ひとつ県がこういうのに入ってくれれば一番いいんですよ。日本 国は一遍も入ったことがないんです。だから、高齢者医療保険でもお分かりでしょう。県 は入っていないんですよ。県を入れなければうまくいかないよというのは何回も私ども言 いました。  けれども、結局最後は、県は抜いているんですね。それと同じですよ。県を入れましょ うとだれかさっきご発言しておりましたけども、いいことを言っているなと思いましたけ ども、恐らく実現不可能でしょう。そうしたら、どうしたらいいかということをもう一つ ここの委員会で検討することが必要じゃないでしょうか。要らんことだと思いますけども。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  安藤委員が先ほど手を挙げていらっしゃいましたので、安藤委員、ご発言ございますで しょうか。 ○安藤委員  安藤です。  知事会の平井知事さんにお伺いしたいんですけれど、知事会の意見は私たちの願いと基 本的に一致しているわけなんだと思います。ただ、この見直す中で、2つの問題があると 思うんです。  1つは、財源でいろいろ課題が出ていますけれど、財源をどう活用するかということで すね。その辺は地方分権というような理論の中で市町村に権限を与えていますね。私たち の就労とか、いろいろな問題を、そのような問題は、地方分権の中で、市町村で決めるこ とだと言われているわけですね。  したがって、知事会としてこのような問題について、実務レベルではなくて、政治的な 判断や行動が必要ではないかと思うんです。  障害者としての財源をどう確保していくか、知事会としても非常に大事な課題だと思う んですけどね。  以前の知事会は、戦う知事会と言われていましたけど、最近は戦わない知事会になって しまった感じがあるんですけれど、そのところはわからないし、地方分権自体も知事会に とってどう判断していくのか。この自立支援法を根本的に見直す中で、知事会としての役 割というか方向というものは基本的に持つ必要があるんではないかと思うんですけれど、 いかがでしょうか。ちょっと難しい質問になりましたけど、よろしくお願いします。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  制度設計と財源負担という1点についてお答えいただければと思います。よろしくお願 いいたします。 ○平井鳥取県知事  これについて、財源については、私ども、十分必要な額を確保すべきだということ。ま た、障害者自立支援の仕組みについていろいろと問題があるということをこれまでも厚生 労働大臣に直接何度も申し入れをしたり、協議の場もつくってもらったりしております。 そういう意味では戦いは続けていこうと考えております。  あと、実際の権限関係について、市町村との役割分担、先ほど来議論がありますが、こ れはよく私は率直にこれから実情に応じた議論が必要ではないかと思います。  知事会がその障害者福祉について市町村に移すべきだと主張したことは私は恐らくない と思います。むしろ国のほうの方針として、福祉は市町村だという固定観念があって移っ てきたんではないかと思いますが、現実問題としては、障害者行政だとか、あるいは支援 の仕組みについて、専門的なスタッフを市町村という小さな単位で集めることが可能かど うか、私は個人的には疑問があります。  ですから、私のイメージは、鳥取県だったらば県と市町村で一緒に事務組合をつくって やるかというような思いがあったんですが、そういうような仕組みづくりが今後は議論の 対象になってもいいのではないかと思います。  例えば、聾唖者の皆さんの場合だと、地域に移行するんだということを言います。そう したら、じゃその際に手話通訳をどうやって確保するのか。これを小さな町や村で頑張れ と言ったって私は無理だと思います。ある程度広域性がないとできないと思います。  そこに財源的な支援、今ここは欠けていると思います。この部分をきちんと手当てをす ることが本当の意味の障害者行政だと思います。  県だ、市町村だ、国だということではなくて、障害者の視点に立った制度設計が必要だ と思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  最後に、広田委員がどうしてもということでございますから、よろしくお願いいたしま す。 ○広田委員  すみません。簡単なことです。知事さん、文章を読んでいきまして、程度区分のところ に精神の特性を反映する項目を入れるということでありがとうございます。  それから、5番目の身体障害者、知的障害者の労働の支援となるよう、精神障害者の自 立及び社会参加を促進するため、公共交通機関の運賃の割引などとおっしったんですけど、 これというのは、JRの場合は、100キロ以上が半額で、あとはいわゆる1級が介添人が いたら2人で1人ということをご存じで入れていらっしゃるのか、例えば横浜市とかいろ いろな、地方自治体がお金を出して、交通のパスを出しているんですけど、そういう。地 方自治体の負担を含めて考えていらっしゃるのか。 ○潮谷部会長  お願いいたします。 ○平井鳥取県知事  スローガンとして、障害者自立支援法、3障害一体といいますけども、一体になってい ないじゃないかということを言っているんです。本当に一体ということをスローガンとし て掲げるんであれば、こうした民間による支援のことも呼びかけて統一するんではないか という趣旨です。 ○広田委員  そういうスローガンが危ないんですよね。  精神障害者はうれしいんですけど、今、町長さんにしろ、市長さんにしろ、お金がない と言っているわけじゃないですか。だから、お金が100あるならば100の中で使い分けなき ゃなんないんだけど、200も300も必要な話がいっぱい今日出ているわけですよ。  こういうスローガンがどういうところにお金を重点的に使うかということで、私もかつ て国土交通省にJRのことを話しに行ったことありますけど、今振り返ってみると、100 キロ以上半額といったって、100キロ以上そんなに行く精神障害者はいないしという感じ で、最近は行かなくなっているんですが、スローガンは怖いこともありますので、中身を よく知ってからやっていただきたいと思います。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  今日は、行政三団体のほうから現状を踏まえたご意見をちょうだいいたしました。時間 もまいりましたし、このあたりで本日の会議を終了させていただきたいと思います。これ まで3回ヒアリングを実施いたしました。それぞれの会で論点が出てまいりましたので、 事務局のほうでは、論点を整理していただき、次回から、委員の方々とともにその論点に 対しての論議を深めてまいりたいと、このように考えておりますので、事務局、よろしく お願いいたします。  また、次回の部会の日程等について、事務局のほうからお話がございますならば、よろ しくお願いいたします。 ○蒲原企画課長  本日は大変ご熱心にご議論いただきましてありがとうございました。  ただいまお話がありましたとおり、これまでのいろいろな議論あるいは団体からのいろ いろなご意見を踏まえまして、少し整理をしていって、いろいろな議論をこれからもお願 いしたいと思ってございます。  次回でございますが、第38回でございます。9月10日水曜日2時からという予定でござ います。  正式には追って場所等を含めましてきちんとご連絡いたしたいと思いますので、よろし くお願いいたします。  あと、先ほど山本町長のご発言の関係で、少し資料を改めて別途お配りをしてほしいと いうお話がございましたので、配布をしたいと思っております。よろしくお願いいたしま す。 ○潮谷部会長  資料配布は今日ということですか。それとも後日、委員会の中で。 ○蒲原企画課長  後日、きちんとコピーをして送付をしたいというふうに思ってございます。よろしくお 願いいたします。 ○潮谷部会長、  それでは、皆様、お疲れでございました。  ありがとうございました。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022)