08/08/08 第5回管理濃度等検討会議事録 第5回管理濃度等検討会                   日時 平成20年8月8日(金)                      13:30〜                   場所 中央合同庁舎第5号館(18階)                      共用第9会議室 ○奥村副主任 定刻前ですが、皆さんお揃いですので、ただいまから第5回管理濃度等検討会を 開催させていただきたいと思います。私、7月から改善室に参りました副主任の奥村と申しま す。どうぞよろしくお願いいたします。  議事に入ります前に、今日の配付資料について確認をさせていただきたいと思います。お手元 の「配付資料一覧(第5回)」を基に確認させていただきます。まず、資料4から資料22は、前回 の検討会までに既に配付済みの資料です。資料番号-24と資料番号-25は、菅野委員からご提供い ただいたIOMサンプラーの特性に関する2つの論文です。資料番号-26は、第1回から本日の検討会 までの検討結果を事務局でとりまとめた報告書の案です。ただし、ニッケルについては事務局と して提示する内容ですので、後でご審議いただきたいと思います。  次に、本日の議事進行について説明申し上げます。「第5回管理濃度等検討会会議次第」に沿 って説明いたします。まず、会議次第(1)に先立ち、前回検討対象物質でありましたニッケル化 合物について、改めて管理濃度に関するご検討をいただきたいと思います。前回、6月10日の検 討において、ニッケル化合物の管理濃度の数値については最終的な結論は保留とさせていただき ました。今回は、菅野委員からご提供いただいた2つの論文の内容と前回の内容を検討の材料に 新たに加えて、再度ご検討いただければと考えております。次に、会議次第(1)の管理濃度等検 討会報告書案については、事務局より第1回から前回の検討会までのものをまとめたものですの で、内容のご検証をいただきたいと思います。以降の進行については、櫻井座長、よろしくお願 いいたします。 ○櫻井座長 それでは議事進行を務めますので、よろしくお願いいたします。まず、議事次第 (1)の前に、ニッケル化合物の管理濃度について追加的な検討を行うということでございます。 この問題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○杉山係長 事務局から説明させていただきます。本日のニッケル化合物に関する検討の資料と しては、資料番号-22、24、25と、松村委員作成の参考ペーパーを新たに用意させていただいて います。  初めに、事務局より、ニッケル化合物の許容濃度等に関する説明を再度させていただきます。 まず資料番号-21をご覧ください。日本産衛学会の許容濃度1mg/m3の提案は、1967年、いまから 41年前のもので、現在産衛学会においてもその改正作業にとりかかられていることもあり、前回 の検討会においてもACGIHの提案理由書を中心にご議論いただいたところです。今回、菅野委員 より「IOMサンプラーの特性」に関する資料番号-24、25の2つの論文をご提供いただき、同論文 について予め各委員に配付しているところです。同論文では、IOM吸入性サンプラーによるイン ハラブルエアロゾルは、37mmフィルターホルダーサンプラーの総ニッケルエアロゾルよりも一貫 して多くのエアロゾルを捕集測定できるとされています。この点に関して、1998年のACGIHの提 案理由書の「TLV勧告値」について、今回検討に必要と思われる箇所についてのみ、再度朗読さ せていただきたいと考えています。まずは資料番号-21の17頁、上から14行目からご覧くださ い。  本文献で引用されている空気中のニッケル濃度モニタリングデータのほとんどすべては、クロ ーズドフェース型の37mmフィルターホルダーを用いる、いわゆる総ニッケル粒子に基づくもので ある。そのなかにはNTP試験の空気中ニッケル濃度の測定が含まれている。これらの試験に基づ いて、1996年に総ニッケル粒子として以下のTLV-TWA勧告値が設定されている。  元素ニッケル/金属、0.5mgNi/m3;不溶性化合物0.1mgNi/m3、A1、ヒトに対して発がん性が確認 された物質。可溶性化合物0.05mgNi/m3、A4、ヒトに対して発がん性が分類できない物質。亜硫 化ニッケル、0.05mgNi/m3、A1、ヒトに対して発がん性が確認された物質。これらの勧告値は肺 癌および鼻腔癌の危険性増大、および肺の炎症性変化発現の可能性を最小限に抑えるために設定 された。  しかしながら、ACGIHは、特にある種のニッケルと鼻腔癌の間に関連性が認められていること から、ニッケルおよび無機ニッケル化合物のTLV-TWAの総ニッケルではなく、吸入性ニッケルと 表現すべきであると考えている。しかしながら残念なことに、総粉じん濃度測定値と吸入性粉じ ん濃度測定値の相関性に関するデータはこれまでにほとんど発表されていない。現在得られてい る研究から、吸入性ニッケル粉じん濃度測定値は非常にプロセス特異的であることが明らかとな っている。  クローズドフェース型の37mmフィルターホルダーを用いる総ニッケルエアロゾル濃度測定法 と、IOM吸入性エアロゾルサンプラーを用いるニッケルを含む吸入性エアロゾルの測定方法を比 較した試験がいくつか発表されている。IOM吸入性エアロゾルサンプラーを用いたこれらの試験 の1つで得られたデータを用いて、ニッケルおよび無機ニッケル化合物に関して、吸入性ニッケ ル粒子状物質として以下のTLV-TWA勧告値が設定されている。元素/金属、1.5mg/m3、A5、ヒトに 対して発がん性物質として疑えない物質。不溶性ニッケル化合物、0.2mg/m3、A1、ヒトに対して 発がん性が確認された物質。可溶性ニッケル化合物、0.1mg/m3、A4、ヒトに対して発がん性が分 類できない物質。亜硫化ニッケル、0.1mg/m3、A1、ヒトに対して発がん性が確認された物質。  ACGIHは、吸入性ニッケルばく露ともっぱら総ニッケルに基づく初期データを関連づけるため にさらに試験を実施することを奨励している。以上です。 ○櫻井座長 いまACGIHの提案理由をご説明いただいたのですが、それで議論の方向は。   ○杉山係長 いま問題となっているのが、IOMサンプラー、それから37mmホルダーの総ニッケ ル、こちらとの関係において、ACGIHでは2つの比較により前回提案の0.05から0.1という形で数 値を2倍にしている流れがございます。そちらの関連性を、菅野委員より提供いただいた論文に ついて少しご説明いただければと考えております。 ○櫻井座長 では、菅野委員からご提供いただいた資料番号-24と資料番号-25の内容について、 ご説明をお願いいたします。 ○菅野委員 資料番号-24の文献は、ニッケルの工場においてマネキンに、IOMサンプラーと37mm のフィルターホルダーを用いたサンプラーをつけて、その測定値を比較したものです。5頁の Table2に、Worker-pairedとMannequin-pairedがあり、そこに違いは3.64±0.50、2.11±0.65と あります。これは、IOMサンプラーの測定値を37mmのフィルターホルダーの測定値で割ったもの です。この値が、どの例についても1より大きいということで、総粉じんと吸入性粉じんのその 文字から得る印象とは別で、吸入性粉じんをサンプリングするサンプラーのほうがコンスタント に高い値が出ている。つまり、総粉じんというのは非常に大きな粒子は採られていないという形 になっています。  資料番号-25も同様です。IOMサンプラーというのは非常に風速が低い所で使うように作られた ものではないそうですが、この25番のものは、空気の流れが非常に緩やかな環境でどのようにな るかを、3種類のサンプラーについて比較しています。端的には、資料番号-25の12頁の図の4番 で、実線はインハラブルサンプラの捕集効率を示すものです。破線は、風速が低いときのインハ ラブルサンプラの向きというのがあるらしくて、それを示しています。四角で示したものがIOM サンプラーで、黒丸印●がボタンサンプラー、これもインハラブルのサンプラーです。C25は、 フランスではインハラブルのサンプラーとして使われているそうですが、一般的には総粉じんの サンプラーとして使われている。これでも△三角印、C25は20μm辺りで極端に捕集効率が下が っていまして、30gとほとんど採れていないということです。トータルサンプラーというものが トータルではなく、実際には吸入性サンプラーよりも大きい粒子に対して効率が低いことが示さ れています。  もう一言だけ申し上げますと、日本の作業環境測定ではローボリュームサンプラーが使われて いますが、この場合、フィルターホルダーの捕集口径が72mmで、採気流量が20Lから30Lまで換え たとき、その面速で8.2cm/秒から12.3cm/秒になるそうです。面速が捕集効率の確かなパラメー ターになるわけではなく、非常に大雑把な目安です。IOMサンプラーというのは面速が19cm/秒程 度だそうです。従いまして、日本で行われている粉じんのサンプリングは中間的な度合のところ にあって、どのような捕集効率になっているのか、私にはわかりませんでした。  先ほどのニッケルの規制値がインハラブルにしたときに高くなっているのは、インハラブルサ ンプラーのほうが大きな粒子まで捕集できるからということだそうです。以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。ついでに、松村委員からご提供いただいた資料につい て、ご説明を。 ○松村委員 いま菅野さんが丁寧に説明してくださったのですが、少し追加させていただきま す。私は粉じんの専門家ではないですが、ACGIHのTLVのハンドブックを見ますと、粒子状の有害 物質の基準値を決めるときに3つの区分、インハラブルと、ソラシックとレスピラブルの3段階で 定義をしていて、トータルという定義はもう採用していないようです。それでインハラブルとい うのは質量濃度で、粒径が100μmの粒子が50%捕集されるということです。  この参考資料の表紙をめくったところに、ACGIHのTLV表の抜粋と、解説を書きましたけれど も、各粒子区分の定義の細かい数値は非常に複雑な関数が入っており、一々それを検証しており ません。ただ、その意味としてインハラブル、吸入性粒子というのは100μmの粒子の捕集効率が 50%ですから、100μmより大きい粒子もある程度は捕集されるが、それより小さい粒子は殆ど捕 集されるような特性の捕集を考えているということです。それからソラシックというのは10μm の粒子の捕集効率が50%である。だから、10μmよりも小さい粒子はほとんど捕集されるが大き い粒子はわずかしか捕集されないようなサンプリングということです。レスピラブルというのは 4μm、改正前は3.5μmで50%としていたものを、4μmで50%というふうに最近はなっておりま す。4μmの粒子の捕集効率が50%で、それより小さいフラクションは殆ど捕集されるということ です。それでインハラブルというのは、鼻孔から中に取り込まれるもの、ソラシックは気道とか 気管、気管支及び肺。レスピラブルというのは、本当に肺のガス交換を行えるような所まで、肺 胞内まで入っていくような細かい粒子という定義になっています。  私は防じんマスクの試験などをしているわけですが、それは0.06μm程度のところに中央値が ある粒子ですから、ものすごい微粒子です。ここで問題になっているものより1000分の1ぐらい の小さい粒子なのですけれども、花粉の試験をやったときに、花粉というのは20〜30μmぐらい なのですが、非常に沈降しやすいのです。ですから100μmより大きい粒子というのは本当に発生 源から遠くには飛ばないと思います。実際にIOMの研究所でVincentが前に使用していた装置を見 に行ったことがあるのですけれども、アルミナ粉とかドロマイト粉とか石炭粉とかを吹き飛ばす ためにダクトの中をゴーッと音がするぐらいの風量で空気を飛ばす。もう風洞実験みたいなんで すね。すごい流速で飛ばして、ある程度の距離のところで捕集をしているような装置を見たこと があります。そのことが、この論文にも書いてあると思うのです。この24番目の試験も、発生源 の近くでのサンプリングということに集中しているようですから、100μmの粒子というのは、発 生源のごく近傍でないと意味がないようなところの問題です。  ただ、この捕集効率がなぜトータルで低いのかというのはわからないのですが、私の直感とし ては、低く出るサンプラーのほうが何かロスがあるのではないかと。高く出るほうにあまり嘘は ないのではないかという気はするのですね。日本の作業環境測定でやっているような、場の管理 のための測定では、この100μmぐらいの粒子を対象にしていることは非常に少ないのではないか という気はします。 ○櫻井座長 一通り資料についての説明は終わりましたが、いかがでしょうか。 ○大前委員 すみません、いくつかお伺いしたい。50%ばく露というのは、重さで総重量といっ た基準ですか。 ○松村委員 ええ、この場合はばく露濃度がみんなmg/m3とかの質量濃度ですよね。ですから、 捕集特性は粒径で区分していますけれども、粒子の空気中濃度としては重量で表しています。 ○名古屋委員 試験は、4μmの粒子を単分散させて、そこでとったときに100個あったときに、 50個は通るよ、50個は通らないよという試験の方法してますから、単に単分散粒子があの線の上 に乗っかっているかということですから、粒子とは関係なくて透過率だけです。粒子径が決めら れたものを出して、これが、どのぐらい透過するかを示したのです。重さとかそれは関係なく、 本当に粒子だけをやっているものだということです。だから、1μmの粒子をやると、例えば97% は通過するけれども、3%は残りますよ。100個あって3個取れませんねということ。あとは日本 の場合はそれを重さでやっている部分と、単分散粒子の場合はかける部分と小さな粒子、大きな 粒子はなかなか発生できませんから重さでやっています。小さな粒子については一応ラテックス を飛ばして顕微鏡で観察して、そのカーブのラインに乗っけてますというやり方をしています。 ○大前委員 もう1つはIOMのそのサンプラーですが、先ほど面速テストが19cmですか。その辺、 さっきおっしゃいましたが、いままでの僕の感覚だと、当然トータルはたくさん採れるものだ と。 ○菅野委員 はい、私もそう思いました。 ○大前委員 それでサイズが小さくなれば重量としては当然下回るものだというのは、常識的だ ったのですけれども、これはいまの、それから面速が違うから、サンプラーによって面速が違う からということで、十分説明できるのですか。 ○管野委員 いえ、それだけでは説明できないようなのです。ただ、同じサンプルを使って面速 を上げれば、より大きな粒子まで採れるというのは間違いないと思うのですけれども。そのサン プラーのデザインが違いますと、面速が同じだからというようなことによって同じ捕集効率にな るとは言えないということのようです。 ○名古屋委員 日本のはこういう形でフィルターですが、IOMは筒が付いてます。だからIOM、要 するに筒型のやつに対して、ここで採ると言ったら、ここの部分は日本のオープンとは若干違っ て、面速だけの違いとはちょっと違うかもしれない。たぶん思うに、100μmですと、大体1秒間 に30cm落ちますね。そうすると、例えば発散源見たときに、当然その面速が違うと拡散してくる 粒子の量が違いますから、当然吸入粒量のほうが大きければ多く採ってくる。だから、要するに 同じものが入ってくれば面速によって濃度の違いが出てくるかもしれないけれど、この実験だ と、そこまで入ってくる粒子の拡散の違いがいっぱい出てくるので、そこはたぶん面速の低いほ うが取り切れない。同じものが入ったら違うかどうか、ちょっと実験は違うかなと思いますが。 ○大前委員 それから3つ目は100μmだと、落っこっちゃうというお話でしたけれども、結構現 場では風が吹いているわけですよね。そこら辺、いまのお話ですと無風の場合というお話です か。 ○名古屋委員 無風の場合、例えばエアロゾルの沈降速度ですが、空気力学的に直径見ると、普 通に単純計算すると、10μm粒子というのは、大体100μm粒子だと大体30cm落ちます。落下スピ ードを考えると、10μm粒子というのはなかなか飛散してこないのではないかな。だから通常の 作業環境でやると、当然発生源から遠い所で採っていますから、粒子が来るまでには違うだろ う。 ○大前委員 そういうことですか。 ○名古屋委員 向こうの場合は個人ばく露で測っていますから、当然その場合は飛散のところで 慣性力がある程度あれば、入ってきます。日本の場合というのは、個人ばく露ではありませんか ら、かなり遠い位置ですから、そうすると当然小さくなってくるということはあるのかなという 気がします。 ○大前委員 そうすると、同じ、例えば100μmでカットする3L/minを使った場合と、オープンを 使った場合と同じと考えてみた場合に、同じ数値、同じ濃度になっても、実際はオープンのまま たくさん出ているんだと。要するに、リスクは大きくなるんだというふうに考えていいわけです よね。同じその実験の結果から推測すると。 ○名古屋委員 実験してみないとわからないと思います。面速が違うので、捕集はたぶん違って くるのかなというように思いますが。 ○櫻井座長 いずれにしても、いままでトータルサンプラーと言っていたのは、決して真実では なくて、大きいのはサンプリングしていない、それは条件の設定によってサンプリングし損ねて いる部分というのはいろいろ変わる。IOMはインハラブルというふうに限定しているけれども、 実際はいままで通常トータルサンプラーと言われていたものよりは、たくさんサンプリングす る。 ○名古屋委員 でも、それはサンプリング位置の問題じゃないかな。 ○櫻井座長 それと、その風速の問題。 ○名古屋委員 そう、風速の距離とか、そこの問題じゃないかなと思いますね。 ○櫻井座長 なるほど、位置がどうであろうと、そこにある粒子と、その移動速度の問題です ね。 ○名古屋委員 はい、移動距離と移動速度です。 ○管野委員 確かにその発生源から遠ざかれば大きいのは沈降してしまいますので、相対的にそ の量、比率は少なくなるわけです。それはそうなのですが、少なくなるからこのままでいいだろ うというのも、ちょっとまずいかなと。 ○名古屋委員 いや、違います。だから、そこを修正しないとまずいのかなと思います。ただ、 いままでそういうデータはないので、もともとそのインハラブルとかそういう形のを想定しない で、日本語版の総粉じんという言い方もなく、要するに20Lから30Lで採りなさいとなっていて、 そこのところは曖昧になっている部分があるので、今度は総粉じん的な、あるいはインハラブル 的なものが入ってきたら、いままでは20L、30Lという採り方をしなさいと言っているのだけれど も、今後これからはやはりある程度こうオープンにしても、何リッターで採りなさい。これは面 速で決めるというのはわかります。そういう決め方をこれからしていかないとまずい時代に入っ てきているのかなと思います。いままではそのインハラブルという形のものは何もありませんで した。だから、総粉じんで採れば、イレギュラーないけれど、採れているものすべてそれを分析 しておけば、吸入性粉じんのところに対応しなくともいいという考え方できたのです。でも、こ ういう論文が出てくると、私たちはいままで20又は、30で採っていたものが、本当は20と30では 違ったものかどうか検証してないので、例えば、大きい粒子をやるときには何リッターで採った らいいのか、あるいは面速で決めたほうがいいのかといったことを、議論してきちんと決めてお かないといけないと思います。だから我々の情報として入ってくるのは、許容濃度委員会の中で 総粉じんの定義とかありますが、そこでは面速で「80から50」とはっきり決めている。今度は我 々もオープンで採るときには、どういう形にするのか決めていかなければならない。またそもそ もオープンでいいのかと。それはいままでどおりとするのなら吸入性粉じんについても考えなけ ればならないのか。粒子の議論がこういうふうに出ているので、そこのところはやはり、今後の 検討事項にしておいたほうがいいのかなとは思います。 ○櫻井座長 そういう状況を踏まえて、当面の管理濃度をどうするかという議論になるわけです が。 ○杉山係長 事務局として、前回議事録を再度確認したところ、管理濃度の決定は保留にはさせ ていただいていておりますが、0.2という話が出ておりました。イメージとして、インハラブル より総粉じんのほうがやはり多く採るだろう。だから0.1は厳しすぎるので、0.2ぐらいは最低な いと合わないのではないか。というご議論もあったと思われます。ただ、その議論について、今 回それでいいのかどうか少し確認をさせていただきたいのと、あとデータとしてはACGIHは0.1mg /m3、それからリスク評価の検討会で出していただいた評価値のほうも0.1mgという数値になって おりますので、それを参考に管理濃度のほうも決定等のご議論していただければと思っておりま す。 ○櫻井座長 前回、インハラブル粒子のサンプリングは日本ではいますぐ対応できないというこ とで、通常いままで総粉じんとして定義していた方法でいくという結論だったと思いますが、そ れはそれでよろしい。 ○名古屋委員 思うのは、例えば総粉じんというのは管理濃度で考えると、当然A測定を考えま すね。そうしたときに、当然飛散に対してものすごく濃度が下がってくるわけです。そのときに 0.2で緩くすると、イレギュラー起こる可能性になっちゃう。すると0.1にしておいたほうが、そ の落ちた部分のところの補填ができるので、合わしておいたほうがいいのかな。この論文を読む とそう思いますが、個人的には。 ○大前委員 その0.1にしてもどちらにしても、ACGIHの数字が基になっていると思うのですけれ ども、ACGIHがこの数字を使うのに使った基のデータというのは、これは動物実験ですよね。動 物実験で実際にどのくらいのサイズの粒子を吸入しているのかというところがクリアーにならな いと、0.1でいいのか、0.2になってまずいのかということはちょっと難しいのではないかという 気がするのです。 ○名古屋委員 そういう問題点ですか。 ○大前委員 要するに、たぶん動物ですから、一般的には数μmレスピラブル使っていると思う のですよね。 ○名古屋委員 そうですね。 ○大前委員 レスピラブル使ったデータを、そのインハラブルの数字、もしくはトータルの数字 で決めていいのかというのは、やはり少し考えないといけないのではないですか。 ○櫻井座長 それはありますね。 ○大前委員 ACGIHの提案理由書には、実際のデータ、基のデータのものの粒径について、ちょ っと記載を見つけることができないです。少なくともそんなに大きな粒子を発生させた実験とい うのはあり得ないですね。 ○名古屋委員 あり得ない、発生できませんよ。 ○松村委員 これはもう粉体として何メッシュといって読んだほうがいいくらいですね。100マ イクロメーターって、0.1ミリですから。 ○櫻井座長 そういった非常に難しい粒径上の問題というのはこのニッケルに限らず、ほかの金 属その他の粒子でも存在するわけで、今後精度を上げていかなければならない課題だろうと思う のです。当面、高精度で対応を図るのは難しいから、いま決めるというわけにはいかないと思い ますので、やはりいまの段階では0.1という数値かなと。前回では、0.2という方向の意見が私も 含めてありましたが、今回考え直すという過程では、サンプリングの実態を考えますと0.2では なくて、0.1という事務局案は妥当なのではないかというふうに思いますが、どうでしょう。 ○中明委員 やはり0.2にする根拠もないと言えばないですね。一応ACGIHもインハラブル0.1で 出しているから。でもいま櫻井座長おっしゃったように、これ全部ほかの金属にもいろいろ考え ていかなければならない問題なのだけれども、当面0.1ぐらいにしておいて、産業衛生学会の数 値が変われば、あ、もう変わったのかな。 ○大前委員 いま検討中です。 ○中明委員 検討中であれば、当面0.1にしておいたらどうかなというふうには思いますけど。 ○櫻井座長 産業衛生学会は、私の予想ではかなり厳しい数値を出すかもしれない。 ○大前委員 前回、1回会議をやったのですけれども、やはりいま言いました動物についてのデ ータを、使わざるを得ない。それは相当、粒径の小さいところでやっているので、出すにした ら、やはりトータルとかインハラブルではもともと根拠がないですから、たぶんレスピラブルで 出ているのではないかと思うのですが。 ○名古屋委員 そのとき、例えばいまの許容濃度委員会では、総粉じんと、あれは大体4倍ぐら いにしていますね。 ○大前委員 ええ。それは関係なくですね。 ○名古屋委員 それは関係なく。 ○大前委員 ええ。例えば、ニッケルに関してはレスピラブルで何ミリグラム/m3みたいな。そ んな定義の仕方はいままでやっているので。 ○櫻井座長 マンガンがそうでしたね。 ○大前委員 マンガンがそうですね、はい。今年はマンガン変わってしまって、なくなってしま いましたが、去年までマンガンはレスピラブルで。 ○管野委員 この24番の文献は、実際にニッケルの工場で測って、インハラブルとトータルで差 があるということですから、大きな違いが出ていることは出ているわけです。その分布はわかり ませんが、要するに、この提案理由書で、鼻腔癌の起きる可能性があるということですので、可 溶性だったら入ってしまう恐れがありますよね。ですから、やはりインハラブルのほうのという か、インハラブルを無視した決め方はできないと思うのです。それで、現時点でインハラブルの サンプリングができないということでしたら、少な目に出ているほうの値で0.05とか0.1という ものにしないと、理由が使えない。 ○櫻井座長 できないとしたら0.1。 ○菅野委員 ええ、このもともとの。 ○櫻井座長 あるいは0.05。 ○菅野委員 ええ。 ○櫻井座長 産業衛生学会のあれを待って、判断しますか。0.1というところで。では皆さん、 大体0.1ということでご異存がないようですので、当面0.1ということに。 ○杉山課長 ニッケルは0.1mg/m3。金属粉じんについては、再度今後もいろいろと研究をしてい って高めていくと、そういうご指摘ということで受けとめさせていただきます。 ○櫻井座長 それでは、次にいよいよ「第5回管理濃度等検討会報告書案」について、包括的に ご議論いただくということになろうかと思います。  では、事務局のほう、よろしくお願いします。 ○杉山係長 資料番号-26を開いていただきますようお願いいたします。前回ないしは今回のニ ッケルを含めて各論的に個別の粒子、化学物質について、ご議論・ご検討をいただいてきたその 最終的なまとめとしまして、「管理濃度検討会報告書8月8日付」を作成しております。今回の内 容、前回の議論の内容を、数値それから検討部分の概要という形で、ある程度の概要という形 で、一覧表でまとめさせていただいております。文字のほうは、横書きの表の部分が報告書の本 体部分になっております。こちらの本体部分につきまして、それぞれ物質ごと確認させていただ きたいと思っております。特に、そちらのほうの書き振りないしちょっとこれではおかしいので はないかというご意見等がございましたら、1頁ごとに確認していただきたいと思っております ので、ご議論・ご検討等いただければと考えております。  まず1.管理濃度、こちらの表のほうから、ご説明させていただきたいと思っています。ホルム アルデヒド、現行なし、改正案0.1ppm、こちらのほうはすでに告示改正済みです。産衛学会 0.1ppm、ACGIH天井値として0.3ppm定量下限が可能、検討概要としましてはACGIHは天井値として 0.3ppmを勧告し、産衛学会は許容濃度として0.1ppmを勧告したところです。管理濃度は、天井値 の2分の1程度とすることが適当で、産衛学会の提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可 能ですので、管理濃度は0.1ppmとすることが適当です。  次、エチレングリコ−ルモノメチルエーテル。現行管理濃度は5ppm、改正案5ppm、産衛学会許 容濃度5ppm、ACGIH0.1ppm、定量下限測定可能、検討概要、産衛学会は、許容濃度として5ppmを 勧告し、ACGIHはばく露限界値を0.1ppmに改訂したところですが、その根拠や定量下限までの測 定の可能性について、引き続き検討が必要であり、当面、管理濃度は現行のままとする。クロロ ホルム現行10ppm、改正案3ppm、産衛学会許容濃度3ppm、ACGIH10ppm、定量下限の測定可能。検 討概要、ACGIHはばく露限界値として10ppmを勧告し、産衛学会は許容濃度を3ppmに改訂したとこ ろです。産衛学会の提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃度は 3ppmに引き下げることが適当です。シクロヘキサノン現行25ppm、改正案20ppm、産衛学会 25ppm、ACGIH20ppm、定量下限測定可能、検討概要、産衛学会は許容濃度として、25ppmを勧告 し、ACGIHはばく露限界値を20ppmに改訂したところです。ACGIHの提案理由は妥当であり、定量 下限までの測定が可能ですので、管理濃度は20ppmに引き下げることが適当です。 ○櫻井座長 はい、菅野委員、ご意見ありますか。 ○菅野委員 「定量下限までの測定が可能である」という表現はあまりよろしくないので、「管 理濃度は10分の1まで測定できる」として下さい。 ○櫻井座長 管理濃度は、10分の1まで測定が可能です。これは、全部そうですね。同じ表現 で。 ○杉山係長 「10分の1まで測定可能」という表現に書き換えるということですね。 ○櫻井座長 ほかにありますか。 ○杉山係長 次の頁にいきます。次の頁も、案のほうでは、定量下限までという表現になってい ますが、これはそのまま読まさせていただいて、いまのご指摘の所は、すべて直させていただき たいと思っております。テトラヒドロフラン、現行200ppm、改正50ppm、産衛学会200ppm、 ACGIH50ppm、定量下限測定可能、産衛学会は許容濃度として200ppmを勧告し、ACGIHはばく露限 界値を50ppmに改訂したところです。ACGIHの提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可能 ですので、管理濃度は50ppmに引き下げることが適当です。トリクロルエチレン現行25ppm、改正 10ppm、産衛学会25ppm、ACGIH10ppm、定量下限測定可能、検討概要、産衛学会は許容濃度として 25ppmを勧告し、ACGIHはばく露限界値を10ppmに改訂したところです。ACGIHの提案理由は妥当で あり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃度は10ppmに引き下げることが適当です。  次、トルエンにいきます。現行50ppm、改正20ppm、産衛学会50ppm、ACGIH20ppm、定量下限測 定可能。産衛学会は許容濃度として50ppmを勧告、ACGIHはばく露限界値を20ppmに改訂したとこ ろです。ACGIHの提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃度は20ppm に引き下げることが適当です。  次、二硫化炭素。現行10ppm、改正1ppm、産衛学会10ppm、ACGIH1ppm、定量下限10分の1の測定 につきましては、測定方法を改正すれば10分の1まで測定可能。検討概要、産衛学会は許容濃度 として、10ppmを勧告し、ACGIHはばく露限界値を1ppmに改訂したところです。ACGIHの提案理由 は妥当であり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃度は1ppmに引き下げることが適当で す。  次、アクリルアミド。現行0.3mg/m3、改正0.1mg/m3、産衛学会0.1mg/m3、ACGIH0.03mg/m3(イ ンハラブル粒子及び蒸気に対して)。定量下限測定可能、産衛学会は許容濃度を0.1mg/m3に改訂 し、ACGIHは、ばく露限界値を0.03mg/m3に改訂したところです。産衛学会の提案理由は妥当であ り、定量下限までの測定は可能ですので、管理濃度は0.1mg/m3に引き下げることが適当です。塩 素化ビフェニル(別名PCB)、現行0.1mg/m3、改正0.01mg/m3、産衛学会0.01mg/m3、ACGIH1.0mgm3 (C142) ○杉山係長 すみません。塩素として42%、0.5mg/m3(塩素54%)、定量下限測定可能、検討概 要、産衛学会は許容濃度を0.01mg/m3に改訂し、ACGIHはばく露限界値として塩素42%では0.1mg /m3、塩素57%では0.5mg/m3を勧告したところです。産衛学会の提案理由は妥当であり、定量下限 までの測定が可能ですので、管理濃度は0.01mg/m3に引き下げることが適当です。 ○櫻井座長 それでは、この頁の内容について、ご意見ございましたらどうぞ。 ○名古屋委員 前の頁も同じなのですが、ちょっと事務局が大変だと思うのですが、できたら産 衛等の勧告値について勧告の年度を書いてほしいのです。それから、改正されたのがいつか、古 いものよりも、改正されたほうがいいのだなということがわかりやすい。なぜ、改正された方を 採ったのか、例えば「年度が開いていたら新しいほうを採ったんだよ」といったことがわかるの で、できたら勧告値の数値を全部入れてもらえるとわかりやすいのです。採ったところの改正さ れたのいつ。いつの勧告値かがわかるとわかりやすいかなということです。 ○杉山係長 はい、わかりました。 ○櫻井座長 ほかには、何かありますか。では、先に進めてください。 ○杉山係長 次の頁にいきます。臭化メチル、現行5ppm、改正1ppm、産衛学会1ppm、 ACGIH1ppm、定量下限測定方法を考慮することにより可能。検討概要、産衛学会は許容濃度1ppm に改正し、ACGIHはばく露限界値として、1ppmを勧告したところです。産衛学会の提案理由は妥 当であり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃度は1ppmに引き下げることが適当です。  弗化水素。現行2ppm、改正0.5ppm、産衛学会天井値3ppm、ACGIH0.5ppm、定量下限可能、検討 概要、産衛学会は許容濃度の天井値として3ppmを勧告し、ACGIHはばく露限界値を0.5ppmに改訂 したところです。ACGIHの提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可能ですので、管理濃 度は0.5ppmに引き下げることが適当です。  粉じん、現行、E=(0.59Q+1)分の3.0、改正E=(1.19Q+1)分の3.0、産衛学会「吸入性結晶質 シリカ0.03mg/m3に各種粉じん、第1種粉じん(滑石、ろう石、アルミナ等)、吸入性粉じん0.5 mg/m3、総粉じん2mg/m3、第2種粉じん(遊離珪酸10%未満の鉱物性粉じん酸化鉄、カーボンブラ ック等)、吸入性粉じん1mg/m3、総粉じん4mg/m3、第3種粉じん(石灰石、その他の無機及び有機 粉じん)、吸入性粉じん2mg/m3、総粉じん8mg/m3」ACGIH「シリカ−結晶質−α−石英及びクリス トバライト0.025mg/m3、「他に分類できない非水溶性又は難溶性粒子状物質の勧告値は3mg/m3 (レスピラブル粒子)」」。定量下限可能、検討概要、(1)吸入性総粉じんの濃度を測定し、その 中でもっとも有害性がある結晶質シリカについて、管理濃度を定める方法が適当であること。(2) 産衛学会は許容濃度を吸入性結晶質シリカとして、0.03mg/m3に改訂し、ACGIHはばく露限界値を 結晶性シリカとして0.025mg/m3に改訂した。このうちACGIHの提案理由は妥当であること。(3)従 来より管理濃度に用いてきた分数式は、シリカ以外の混合物質があったときの評価方法として合 理的であり維持することが適当であること。以上を踏まえ、管理濃度は従来の分数式の考え方に ACGIHの勧告値3mg/m3を採用し、以下のものとすることが適当である。E=(1.19Q+1)分の3.0。 ○櫻井座長 はい、この頁についてお伺いします。 ○名古屋委員 粉じんの所の(1)について吸入性のところで「総」は要らないのです。 ○杉山係長 はい。 ○名古屋委員 それから最後の所で、「以上を踏まえ、管理濃度は従来の分数式の考え方には ACGIHの勧告値0.025とらないと。0.3は変わっていないから。ここは0.025でいい。 ○杉山係長 わかりました。 ○櫻井座長 今回、0.025を採用して式が変わったので、ここは0.025のほうがいいのではないで すか。 ○菅野委員 理由のところの(2)ですが、産衛学会とACGIHが書いてあって、このうちACGIHの提案 理由は妥当であるというと、産衛学会が妥当でないように読めてしまう。 ○杉山係長 「このうち」という表現はとったほうがよろしいということでしょうか。 ○櫻井座長 総粉じんの総をとる、それから、このうちをとる。3を0.025にする。ほかに。 ○大前委員 Qを……ではないのではないですか。 ○櫻井座長 Qとは何かということを一応説明を。 ○杉山係長 検討概要のいちばん下で括弧という形で理由を説明します。 ○名古屋委員 Qは何ですか、遊離珪酸ですか、結晶質ですか。 ○杉山係長 遊離珪酸です。 ○名古屋委員 遊離珪酸でいまは実際測定はこれを、遊離珪酸の値を見ています。 ○半田室長 いまのところ、おっしゃっていることは理解したつもりですが、先生がいまその点 を検討して欲しいとおっしゃる真意といいますか、それはどのようなことですか。 ○名古屋委員 遊離珪酸というのは、たしかになじみのある言葉なのですが、なかなか意を得て ないというのか、結晶質シリカと遊離珪酸とは違っている。やはり結晶質シリカが問題なので す。産衛学会では結晶質シリカと書いてあり、よそでもみんな結晶質シリカとなっているので、 フリーシリカの略は遊離珪酸ですけれど、その時代は過ぎているので、できたら、結晶質シリカ にしてほしいなということです。前回、たぶんお願いしたときには、「なかなかそれはむずかし いよ」と言われて、遊離珪酸は残ったのだけれど、できたら結晶質シリカにしてほしいと思いま す。希望です。 ○半田室長 わかりました。 ○櫻井座長 ほかにはよろしいでしょうか。では、先へ進みます。 ○杉山係長 管理濃度はあと2つの物質を説明して、終わりたいと思います。ニッケル化合物 (ニッケルカルボニルを除き、粉状のものに限る)。現行なし。新設です。0.1mg/m3、産衛学会 1mg/m3、ACGIHニッケルとして、可溶性ニッケル0.1mg/m3、不溶性ニッケル0.2mg/m3、亜硫化ニッ ケル0.1mg/m3、定量下限測定可能。検討概要、産衛学会は、許容濃度として暫定的に1mg/m3を勧 告し、ACGIHは吸入性ニッケル粒子状物質のばく露限界値として、可溶性ニッケル化合物0.1mg /m3、不溶性ニッケル化合物0.2mg/m3、亜硫化ニッケル0.1mg/m3を勧告したところです。吸入性ニ ッケル粒子の測定方法は十分に確立していないため、測定は総粉じん濃度とし、ACGIHのばく露 限界値定量下限までの測定の可能性等を考慮して、管理濃度は0.1mg/m3とすることが適当であ る。砒素及びその化合物(アルシン及びガリウム−砒素を除く)。現行なし。新設で0.003mg /m3。産衛学会、「生涯リスクレベルRL(10-3)3μg/m3、RL(10-4)0.3μg/m3」。ACGIH、「砒素 として0.01mg/m3」定量下限可能。検討概要、産衛学会は、許容濃度として過剰死亡リスク10-3に 対して3μg /m3。10-4に対して0.3μg/m3を勧告し、ACGIHはばく露限界値として、砒素として 0.01mg/m3を勧告したところです。産衛学会の提案理由は妥当であり、定量下限までの測定が可 能ですので、管理濃度は0.003mg/m3とすることが適当です。 ○櫻井座長 はい、この2つの物質について、いかがでしょうか。 ○大前委員 ニッケルの所で、まず産衛学会は許容濃度として暫定的にというのを消してくださ い。  それから、砒素の所ですが、アルシンのあとガリウムと砒素の間にハイフンが入っています が、これはいらないです。 ○杉山係長 これが公式の名称といいますか、今度の告示改正案で今のところこれが正式名称と 考えられていましたので。 ○大前委員 ああそうなのですか。 ○大淵補佐 こちらのほうは、その後いろいろ審査をして、いまの段階では、ちょっと語順も変 わりまして、「砒化ガリウム」というのが正式な名前ということで、学術用語集にも載っており ますし、毒劇法等でも砒化ガリウムという言葉が使われているということで、最終的に砒化ガリ ウムという言葉でさせていただく可能性が高いと思っております。 ○名古屋委員 砒化ガリウムは、通用しているということですか。 ○大淵補佐 砒化ガリウムというのが、通常の化学物質の名称法です。ガリウム砒素は元素の名 前をただ、つなげただけの名前ですがガリウムが金属なので、それに砒素をつけて「塩化」なん とかと同じように、「砒化」の下にガリウムをつけるというのが通常の化学物質命名法でいく と、正式な名前となるようです。 ○名古屋委員 では、ここもそれにするということですか。 ○大淵補佐 最終的に合わせる形になると思います。 ○杉山係長 正式名称に合わせるようにいたします。 ○菅野委員 今までどちらかをとるという原則でしたよね。いろいろなところで総粉じんとして 合わせるとしたら、低い値になると思うのですが、そうではないのですか。いままで、どちらか を取るということが原則です。それで、インハラブルの測定を勧めるということで現状はインハ ラブルではないので。 ○櫻井座長 そうすると。 ○菅野委員 ですから、可溶性と不溶性、どれを取って訂正されたのかはわからないのですけれ ども、もともと総粉じんのときには、可溶性は0.05mg/m3ですよね。 ○櫻井座長 総粉じんと言っているときの前の勧告では0.05だったということですね。 ○菅野委員 ACGIHで高くしたのは、インハラブルを測るから高くしたわけですよね。ですか ら、高くしたほうの値を取る理由はないと思います。ですからこの0.1というのが、可溶性なの か不溶性なのか、明瞭ではない。 ○名古屋委員 21のところは0.05じゃないのですか。前はあって、今回ないですよね。21。 ○中明委員 ACGIHの21の資料、大元のところには0.05ではないです。1.5と0.1と0.2しかないで すよね。この2頁に。たぶん表の図というのはこれからきているから、0.05という数値はないで すよね。 ○菅野委員 資料21の17頁の中央部で1996年に総ニッケル粒子としてと書いてある値は。 ○名古屋委員 1996年ですよね。こちらは2001年だから、こっちのほうが新しいのではないです か。 ○菅野委員 それはインハラブルにしたから新しくしたのだと思います。 ○名古屋委員 確かにここは違いますね。ここは書き直さなければいけないですね。菅野委員、 0.05にしたらいいのではないかという話ですか。 ○菅野委員 そういうことです。数値自体はいいのですが、このどちらに決めるかは社会的判断 でしょうから。ただ、理由がここに書いてあって、これだと間違った記載になっていると思うの です。そういう理由で文書を出してしまうと、誤解を生むと思うのです。ただ、日本では総粉じ んとしてしばらくはやっていくということですよね。そうすると、インハラブルよりも、実際に は濃度が低く出るわけですから、規制値を緩和する理由はないでしょう。 ○松村委員 すみません、砒素の化合物で、ACGIHではイン・オーガニックコンパウンドと断わ ってあるのですよね。砒素は、例えば海草の中に有機砒素はある。これはたぶん体の中で全然代 謝が違うのだと思うので、あまり影響はないと思うのですが、ただ化合物ではなくて、無機化合 物と17頁の文章には書いてあるのですけれども、それも断わったほうがいいのではないでしょう か。 ○櫻井座長 砒素の話ですね。 ○松村委員 砒素の話です。ニッケルの場合もACGIHはイン・オーガニックと断わってありま す。可溶性も不溶性も。 ○櫻井座長 そうですか。 ○松村委員 硫化ニッケルだけはまた別に規定されていますが。 ○櫻井座長 有機のニッケル化合物は結構ありますか。 ○松村委員 ニッケルカルボニルはまた別ですよね。ニッケルはどうでしょう。調べればなくは ないと思います。 ○櫻井座長 なくはないけれども、でも、鉛とか水銀ほどには出てこないからいいかなと思った のですが、入れるにこしたことはないですね。その問題と当面の最大の問題はこの数値。 ○中明委員 数値ね。 ○櫻井座長 数値は当面0.1でも、たぶん再検討する時期がわりあい早く来る可能性があるわけ で。当面0.1を採用するとして、先ほどそのような合意になりましたので、それでいいかどうか ということは、もう一度考えていただきたいのですが。吸入性ニッケル粒子の測定、ここのとこ ろに、表現に齟齬を来たす部分がありますね。 ○中明委員 資料21の17頁の、いま名古屋先生とも話をしたのですが、先ほどご指摘のあった 0.05、可溶性ニッケルについて、0.05で、不溶性ニッケルで0.1で、「ヒトに対して発がん性が 確認された」というところがあったのです。それでいったらどうかなという気がしたのです。先 ほどは、0.1でもいいのではないかと言ったのですが、これは可溶性と不溶性の問題で、不溶性 でなおかつヒトに対して発がん作用が確認されたということで言えば、0.1と思ったのですが、 説明としてはあまり、苦しいのだけど、理由としてここにそういうことを書いてもらうかどうか です。ヒトに対して発がん性の可能性がA1だから、低くすべきだというほうが、通りやすいこと は通りやすいのですけれども。そうすると、先ほど0.1になったのですが、櫻井座長ご指摘のと おり、0.05も気になるよというところもあるのです。ニッケルの発がん性が不溶性のものでA1だ ということで言えば、可溶性のものが入ってしまって、あまり対応しない部分があるのですが、 たぶん鼻腔癌の問題ですよね、不溶性の問題というのは。そうすると必ず発がん性の問題がある からということで言うと、実際に管理ができるかどうかは別として、0.05にしたほうがいいのか もしれないですね。先ほどのあれで見ると、測るほうのサンプリングの問題は、かなり大きいよ うな気がして、あまりシビアに出していっても、それでどうなのかなと少し気になったんです。 それで0.1でということだったのですが。 ○島田室長 ニッケルが規制される段階で、櫻井先生が同じく座長をされているリスク評価検討 会で昨年度評価していただきました。その際には、有害物質のばく露作業報告に基づいてばく露 調査をさせていただいた経緯があります。そのときに使ったサンプラーとしては、IOMサンプラ ーを使っています。ACGIHでもIOMを使っており、その数値を超えている事業所があったことから 規制を掛けていただきたいとお願いをしたものです。当該事業所のばく露作業は、不溶性と可溶 性ニッケル化合物が混在することがわかりましたので、2つの物(不溶性と可溶性)を分けるよ りは、1つの数値にしたほうがよろしいという結論になり、評価値を一つにさせていただきまし た。 ○中明委員 そこではいくつにしたのですか。0.1ですか。 ○島田室長 そのときには0.1でした。 ○中明委員 整合性を取るということで。しょうがないか。 ○櫻井座長 そのとき、いわゆる総粉じんの測定だったら引っかからなかったという話になるか というと微妙なところです。 ○中明委員 でも0.05を使ったら引っかかったかもしれないので、非常に微妙なところですね。 ○大淵補佐 いまの関連で、少し申し上げますと、ニッケル測定するときも私どもは個人サンプ ラーでの測定と定点のA測定と両方させていただいておりまして、基準となる0.1mg/m3を超えた ものは個人サンプラーでの測定だけのほうで、定点測定のA測定のほうは、基準値を超えたとい う事業場はありませんでした。 ○杉山係長 もし0.1という形で検討概要を修文する場合には、総粉じん濃度というのは、誤解 を呼ぶということでお話いただいておりますので抜本的に概要の書きぶりを見直したほうがよい ということで、考えれば良いのか、それとも一部削除という内容か。 ○名古屋委員 総粉じん濃度というと、総粉じんの定義がないので、総粉じんになっていますよ ね。そこを何とか変えて、オープンフェースで取るとか、そういうふうにすれば、まだいいのか なと。総粉じんとここに書かれていると、では総粉じんの定義は国が決めているのかといった ら、総粉じんの定義は決めていませんよね。国は。産業衛生学会の粉じんで決めているだけの話 であって、決めていないです。それよりは、オープンフェースで取ったときにどうかとしたほう が、そのほうが誤解を招かないなという気はします。 ○櫻井座長 動物実験のデータは覚えていらっしゃいますか。 ○名古屋委員 粒径ですか。 ○櫻井座長 いや、粒径ではなくて、データそのものが。 ○大前委員 それはたぶんこのACGIHの。 ○櫻井座長 そうです、あれと同じです。粒径は書いてありませんけれども、データそのもの は、NOAELがはっきりわからないですね。 ○大前委員 13頁のラットには濃度0.12、ここのところがたぶんなかったかと思いますけれど。 ○櫻井座長 13頁の。 ○大前委員 いちばん下の段だと思うのですけれども。 ○櫻井座長 0.11及び0.22で炎症性変化。 ○大前委員 0.11でも、既に出ているので。 ○櫻井座長 0.06がマイルドという感じ。 ○大前委員 0.6で出ているので、これで0.1というふうに決まっては、どうなのかなと思って。 ○櫻井座長 0.1になる可能性は非常に低いと。 ○大前委員 いやそうなのです。これを読んで何でACGIHのデータはA1なのだろうと。 ○櫻井座長 このデータを使わざるを得ない。 ○松村委員 これはどういう発生方法しているかわからないのですけれども、硫酸ニッケル水和 物というのは、ものすごく水溶性が強くて、空気中でもベタベタしてくるような緑色の塩ですよ ね。それを細かい吸入性粒子にすると、たぶん水に溶かしてから噴霧している可能性もあります よね。固体粉じんというよりは。 ○櫻井座長 もう1つは、これはこういう濃度だけれども、レスピラブルの粒子である。これを トータルではないにしても、いま通常測っている方法で、その濃度というよりはやはりもうちょ っと高い数値になる可能性はありますね。レスピラブルなら、例えば0.05。 ○大前委員 そうですね。 ○櫻井座長 そうですよね。管理濃度をレスピラブルとして勧告するなら0.05。だから、0.1 で、絶対いかんということはないわけですね。当面0.1でいいのではないですか。 ○名古屋委員 説明文を少し考えて。 ○半田室長 先生、ご説明させていただいてよろしいでしょうか。お話を伺っていて、ニッケル 化合物の粉じんに対する考え方、測定法等も含めまして、かなり課題があるということが明らか になってきましたので、その課題は、今後誠実に研究をしていく必要があろうかと考えます。し かしながら、私ども現実に行政を担うものとしまして、空欄のままということはなかなか難しい です。それと、他の様々な政策等の整合性も重要な観点です。当面はただいま委員方のご議論を 拝聴していまして、これまでの技術評価での検討でのお話、あるいは総合的に勘案すると櫻井座 長がおまとめいただいたように、0.1というところを採用させていただくと。ただ、なお必要な 部分については、例えばサンプリングのやり方とか、こういうところは引き続き、何らの方法で 研究を続けていって、できるだけ早い時期に見直しを行っていくようにしたいと思います。そし て、今の議論の発端は、そもそもの理由のところで、検討概要の部分ですが、その検討概要は、 ほかの部分もそうですけれども、委員方に長時間真摯にご議論いただいたことを、非常にコンパ クトにまとめていますので、いずれにしても書き切れていない部分も多々あります。その中で言 葉が足りなかったり、あるいは多過ぎたりという部分がありますが、いま一度事務局で検討させ ていただきまして、委員方にはご覧いただく、あるいは櫻井座長とご相談させていただくことで よろしいでしょうか。基本的に櫻井座長とご相談させていただきながら、委員方にも必要に応じ てご覧をいただいて、まとめたいと思います。ここで考えていますと、時間を労しますので、そ ういうことでやらせていただきたいと思いますがよろしいですか。 ○櫻井座長 そういう方向で。なお、無機を入れるかどうかという話はどうしますか。入れます か。当面このままでよろしいですか。 ○松村委員 有機と無機と全然体の中の許容が違ってくるのではないかなと思うのです。ニッケ ルの有機化合物がどのぐらいあるかわかりませんけれども、ACGIHでは全部、インオーガニック と書いてあります。 ○大前委員 有機は野放しになってしまいます。情報が出てくれば別ですが、いま情報がない状 態なのでこのままのほうがいいのではないですか。 ○櫻井座長 このまま。 ○松村委員 でも例えば砒素というのは、土壌成分としては実は結構濃度が高いのですけれど も、食品の中にも結構自然に入っているのです。 ○大前委員 でもその関係しか出てこないので。 ○松村委員 そうですか。 ○櫻井座長 そうですね。有機砒素化合物はたくさん、強毒性のものもありますから。当面あま り齟齬はないと。あと砒素及びその化合物のいちばん右の説明のところで、ACGIHのほうだけ砒 素としてと書いてあって、産衛のほうも砒素として3μg、それも入れておいたほうがいいです ね。ほかにないですか。以上で管理濃度の部分は終わります。次は測定方法に移ります。 ○杉山係長 では引き続き測定方法につきまして、説明させていただきます。ホルムアルデヒド につきましては、既に告示改正済みでございますが、再度申し上げます。採取方法としまして は、固体捕集方法、分析方法は、高速液体、クロマトグラフ分析方法、検知管も使えるという扱 いです。エチレングリコールモノメチルエーテルにつきましては、現行どおりで、固体捕集方 法、ガスクロマトグラフ分析方法、直接捕集方法の場合も、ガスクロマトグラフ分析方法、こち らは検知管は使えないという扱いにしています。  クロロホルム、液体捕集方法の場合吸光光度分析方法、固体捕集方法の場合ガスクロマトグラ フ分析方法、直接捕集方法の場合ガスクロマトグラフ分析方法、こちらも現行どおりとなってお ります。検知管はいずれも使えないという扱いになっております。こちらの方は量の関係で、最 後まで読まさせていただきます。  シクロヘキサノン。採取方法。液体捕集方法の場合は、吸光光度分析方法で、固体捕集方法で はガスクロマトグラフ分析方法、検知管がオーケー。こちらも現行のとおりです。  テトラヒドロフラン。採取方法は固体捕集方法の場合ガスクロマトグラフ分析方法で、直接捕 集方法の場合はガスクロマトグラフ分析方法。こちらは検知管は使えない。こちらも現行どおり です。  トリクロルエチレン。液体捕集方法の採取方法の場合は吸光光度分析方法、固体捕集方法の場 合はガスクロマトグラフ分析方法、直接捕集方法の場合ガスクロマトグラフ分析方法、検知管が 使えます。こちらも現行どおりです。  トルエンにつきまして、液体捕集方法の場合は、吸光光度分析方法、固体捕集方法の場合は、 ガスクロマトグラフ分析方法、直接捕集方法の場合、ガスクロマトグラフ分析方法、こちらは検 知管が使えます。分析方法、採取方法は現行どおりです。  二硫化炭素。液体捕集方法は吸光光度分析方法、固体捕集方法は現行は吸光光度分析方法だけ でしたが、新たに、又はガスクロマトグラフ分析方法を追加しています。直接捕集方法はガスク ロマトグラフ分析方法、こちらは現行どうりです。  アクリルアミド。こちらは、ろ過捕集方法と現行はなっておりましたが、及び固体捕集方法 で、セットで採取方法をするという形にしております。分析方法はガスクロマトグラフ分析方 法、検知管は使えないという扱いになっています。  PCB。こちらも現行どうりで、液体捕集方法はガスクロマトグラフ分析方法、固体捕集方法も ガスクロマトグラフ分析方法で、検知管は使わないという形です。  臭化メチル。液体捕集方法は吸光光度分析方法。こちらは従来どうりです。新たに(2)固体捕集 方法の採取方法を追加いたしまして、こちらの分析方法としましては、ガスクロマトグラフ分析 方法で、直接捕集方法はガスクロマトグラフ分析方法。こちらの(3)は現行どうりです。検知管は 使えないという扱いです。  弗化水素。こちらも現行どうりで、液体捕集方法のみ吸光光度分析方法で、検知管が使えま す。  粉じん。ろ過捕集方法の場合は重量分析方法、相対濃度指示方法。こちらも重量分析方法。検 知管は使えない。こちらは現行どうりです。  新規物質のニッケル化合物ですが、こちらにつきましては、採取方法をろ過捕集方法、分析方 法は原子吸光分析方法、こちらのほうで0.01まで測れるということを、小西委員から作っていた だいた資料で確認をしております。分析方法は原子吸光分析方法とさせていただいております。 検知管は使えないという扱いです。  砒素です。砒素及びその化合物。採取方法は同じくろ過捕集方法で、分析方法につきましては 吸光光度分析方法又は原子吸光分析方法。こちらは三酸化砒素の採取方法、分析方法と同じ扱い になっております。検知管は使えません。以上です。 ○松村委員 文章上は細かいことですので現われないと思うのですけれども、いくつかの物質が 普通のFID付きガスクロマトグラフでは非常に検出が困難な低濃度になっているので、その場合 にはECDや、FPDとか、特殊なガスクロを使うことを前提にして、ガスクロと書かれていると思う のですけれども、実際に作業環境測定機関によっては、ガスマスを直接使ってしまったほうが、 簡単だという設備状況が整っているところもあると思うのです。 ○杉山係長 ICP-MSですか。 ○松村委員 いや、ICPではなくてガスクロマスです。質量分析計を使っているものです。いま のところガスクロマトグラフ分析方法の中にマスは入っていないと小西委員が前に言っておられ たのですけれども、なるべく早い機会にそれが可能なようにしていただきたいと思います。 ○名古屋委員 入ってます ○松村委員 入っているのですか。 ○名古屋委員 要するにマスクロの分析方法のところだから、例えば二硫化の場合は、ガスクロ を入れているけれども、それは熱脱着のガスクロだから、原理を変えなくても物持ちの検査では いらない。ICPになってくると違ってしまうので駄目だけれども、ガスクロのときはガスマスが 入っているということです。そうしないと塩化ビフェニールの場合ECDは使わないでいまはもう ガスマスのほうが透析がいいので、ガスマスにしておけばそれは使えますから大丈夫ということ になっています。ICPだけはちょっと原理が違うので、書けるかどうかということになるのです けれども、ガスマスは加熱脱着だろうがマスであろうがガスクロという1つの大きな括りの中に 入ってくるので、この表現でも大丈夫だろうと。 ○松村委員 大丈夫なのですか。 ○名古屋委員 はい。 ○松村委員 そうですか。 ○櫻井座長 備考のところにPCBだけ。ただしガスクロは。 ○松村委員 そうですね。 ○名古屋委員 普通のガスクロでは、もともとこれはECDしかできなかったものが、ECDよりは、 ガスマスのほうが精度がいいということがわかったのでガスマスと書かれているので、まあどち らでも。 ○櫻井座長 一応このままでよろしいですか。 ○大前委員 よくわからないのですが、例えば二硫化はppmがありますけど、液体捕集で吸光光 度分析方法で大丈夫なのですか。 ○名古屋委員 時間が長ければ何とかなるけれど。例えば管理濃度の10分の1を10分間でやると なると加熱脱着方法になりますが、1時間引いてもよいのであれば固体捕集で。直接は全体駄目 で難しいですけれども、それだったら大丈夫だろうということで。 ○中明委員 違和感があるのは、液体捕集方法、吸光光度分析方法なのです。例えばトルエンを いまどき吸光光度分析法でやる人はいるかというのが、ちょっとあります。もうそれこそ僕らが 30年前か40年前にやっていた方法がいまも残っているわけだから、そこは、スパっとできないに しても。もちろん吸光光度分析ではないとできないようなもの、二硫酸もあったほうがいいもの もあるから、そうではないものは切っていったらどうかなという気がします。ほとんど使われて いないものが、わざわざガイドブックを厚くする必要はないので、切っていったらどうかなと思 います。前から思っているのですが、なかなか言う機会がなかったので、今日たまたま言わせて もらいました。名古屋委員もそう思っているとは思うのですが、吸光光度分析法は、残しておい ても悪くないといえば悪くないのですけれども、ほとんど使わないものを残していてもしょうが ないのではないのかなという気がするので、そこら辺の検討を。いま、この段階で、すぐという ことはできないにしても、これから少し考え方を変えていく、改正できるものは改正していくと いう方向で考えていかないと、まずいような気がするのですが、そこら辺はもう少し考えてほし いなと思います。 ○半田室長 よろしいですか。一連の管理濃度等検討委員会は、ご承知のとおり、かなりの間を 置いての再開でしたので、そういったこともあろうかと思います。今後の化学物質対策課の検討 状況などを踏まえますと、この検討会は引き続き来年度も、場合によっては、後ほど申し上げま すが、今年度ももう1、2回お願いすることになるかもしれませんので、そういった中でもご検討 いただいて、ご指摘の点も検討していきたいと存じます。 ○櫻井座長 他に何かありますか。では、具体的には特段の修正はなしということで、抑制濃度 のほうに移りたいと思います。事務局のほうから説明をお願いします。 ○杉山係長 3.抑制濃度についてご説明します。こちらにつきましては、前回第4回の検討会に おきましてご議論いただき今後のあり方につきましては第3回のほうからご検討いただいている ところです。現在特化物、石綿、鉛34物質へ抑制濃度が設定されておりますが、このうちの23物 質につきまして、資料9を見ていただきたいと思います。一欄表の●が右の欄についている表で す。この●が付いている部分が、現在抑制濃度と管理濃度が乖離している物質です。こちらにつ きまして、今後このような性能要件をどうしていくのかという議論については今後の課題です が、濃度としてどう合わせるかということについて、前回のご議論の中で濃度としては管理濃度 に揃えるということで合意をいただいていると判断しております。それに基づきこちらの表を作 成しております。いちばん右にある、参考(管理濃度)、こちらの値を抑制濃度の改正案の値と してすべて揃えさせていただいております。  基本的には数値を揃えているものですので、読み上げるのは省略させていただきます。 ○櫻井座長 全部揃えてあるということですね。いかがでしょうか。 ○松村委員 すみません。抑制濃度を管理濃度に一致させるということの、理論的な根拠は何で したでしょうか。普通、作業環境管理というのは、管理濃度と同じ濃度にしたら、良い評価にな らないのですよね。相当悪いクラスになってしまうのです。そういうことを考えると、発生源の ところで、管理濃度と同じで大丈夫ですか。 ○名古屋委員 抑制濃度は、濃度だけではなくて、測り方でもリンクしなければいけないと思い ます。濃度はそのまま放っておくのはよくない、いま参考になるのが管理濃度しかないのでこれ にしましょうよという形にしているだけであって、測り方をどうするかによって、運用ができて くるのではないかなと思います。例えば管理濃度のところで、漏洩濃度を測って抑制濃度という 形にすれば、当然オープンになる。いままでの測り方していると、たぶんイレギュラーする可能 性があります。やはりそこはたまたま濃度があまりにも離れ過ぎているので、管理にあわせると いうことは1つの方法で、管理濃度と同じにしておけば、管理濃度が下がってきても、置き去り にされないという部分ではいいのかなと思います。ただ、あくまでも抑制濃度が必要かどうかと いう議論が前提ですから、やるのだとしたら、どう測定するかということをこのあと検討してい ただけるという形でいいのかなと。濃度としては管理濃度を使うのは妥当かなと思います。 ○松村委員 それ以外に濃度がないからですね。いまは新しく工場を稼動させたときに、抑制濃 度を満たしていればいいということで、排気装置の性能のオーケーを出すわけです。作業環境測 定はそれから半年以内にすればいいのですよね。私が考えているのは、抑制濃度を満たす局排の 状態で、作業環境測定をしない状態で、半年経過するということがいいのかというのが、前から の疑問としてあるのですけれども。 ○名古屋委員 それもひっくるめて例えば設置時に直近ですぐ測りなさいという形にする、考え 方もある。 ○松村委員 作業環境測定も一緒にやる。そのほうがいいような気もします。 ○半田室長 前回のときも申し上げたと思いますが、まさにそういったところの見直しが次の大 きな課題でして、今年度の残った時間で、もしくは来年度、またメンバーに新しい委員方にも入 っていただく必要もあるかと考えているところです。そういったこともご検討をお願いしたいと 思います。そういった問題意識は承知していますので、またよろしくご協力お願いします。 ○櫻井座長 当面、抑制濃度を管理濃度に合わせるという、当面の課題はよろしいですね。  それでは最後に制御風速です。 ○杉山係長 制御風速です。こちらの硫酸ジエチル、1.3−ブタジエン、第1回検討会で制御風速 をご検討いただいたところをまとめたものです。こちらは告示改正済みです。こちらの2つにつ きましては、測定義務を課さない、管理濃度を定めないという扱いになっておりましたので、抑 制濃度方式ではなく、性能要件は、制御風速方式という形で、従来どうりの0.5m/秒という形の 制御風速で揃えさせていただいています。こちらの制御風速につきましても、今後の課題として 考えております。 ○櫻井座長 これは既に改正済みですので、報告ということですね。 ○杉山係長 はい、そうです。 ○櫻井座長 以上で今日の課題はおよそ終了したと思います。追加のご発言はありますでしょう か。ないようでしたら、その他ということですが、これは今後のスケジュールでしょうか。 ○杉山係長 今後のスケジュール等、事務局のほうからご説明させていただきたいと思います。 まずは、資料の第4番の検討スケジュールでもう一度確認をしていただければと思います。前回 までは第5回までという形で、検討委員会の締めとさせていただいておりましたが、管理濃度以 外の問題もあり、改正通達を出すにおいて、ご議論、検証していただきたいこともありますの で、できれば第6回は10月中ごろに開催いたしまして、少しご検討していただければと考えてい ます。検討内容は、もう少し事務局のほうで詰めさせていただきたいと思います。例えば先ほど 委員方からご指摘があった部分、ないしは抑制濃度を残す場合の測り方。いま通達での抑制濃度 の測り方というのは、昭和58年7月18日付け基発383号通達に書いていますが、こちらのほうの見 直しも必要かどうか、こういうことも合わせて事務局で案を練ったものを提示できればと考えて います。こちらの日付ですが、できれば10月中ぐらいの週で、委員のご都合のいい日を調整でき ればと考えています。本日、小西委員、田中委員が欠席されておりますので、事務局のほうでま た通知を出し、候補日を挙げさせていただき、調整するという形にさせていただきたいと思いま す。 ○櫻井座長 今日の予定はすべて終了いたしました。どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 環境改善室      電話03-5253-1111(内線5501)