08/08/06 第9回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会議事録 第9回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会 1.日  時:平成20年8月6日(水)10:01〜11:53 2.開催場所:はあといん乃木坂 地下1階「フルール」 3.議事次第:   (1) 開会   (2) 議題        これまでの議論の整理について   (3) 閉会 4.出席委員等   (委員)    池上秀樹委員、稲垣明弘委員、岩月 進委員、大江和彦委員、大山永昭座長、    後藤省二委員、高山憲之委員、田中 滋委員、辻本好子委員、中川俊男委員    堀部政男委員、南  砂委員、山本隆一委員、 (五十音順、敬称略)   (オブザーバー)    山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官    井上知義 総務省自治行政局地域政策課地域情報政策室長    望月明雄 総務省自治行政局市町村課住民台帳企画官   (厚生労働省)    間杉 純 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)    香取照幸 厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長)    黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室長 5.議事内容 ○大山座長  おはようございます。ただ今から「第9回社会保障カード(仮称)の在り方に関する検 討会」を開催いたします。最初に委員の出欠の状況について報告いたします。本日は駒村 委員及び樋口委員がご欠席です。  また、事務局に人事異動がございましたので、事務局からご紹介いただきたいと思いま す。お願いします。 ○事務局  7月11日付けで社会保障担当の政策統括官の異動がございましたので、ご紹介申し上げ ます。政策統括官の間杉でございます。 ○間杉政策統括官  間杉でございます。 ○大山座長  それでは、議事に入りますが、その前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思いま す。お願いいたします。 ○事務局  本日、資料を2点お配りしておりまして、資料1「社会保障カード(仮称)の在り方に 関する検討会 議論のための検討メモ(案)」というものが1つでございます。2つ目が その参考資料ということでございます。以上2点でございます。ご確認をお願いたします。 ○大山座長  資料は大丈夫でしょうか。  それでは、議事に入らせていただきます。前回・前々回では「カードの発行・交付方 法」や「カードをどのように利用するか」について、作業班から検討状況の報告をいただ きました。そしてまた、皆さん方に議論いただきました。これらを踏まえまして、現時点 では検討会として一定の結論を得ているものではないので、今後も検討会や作業班での検 討を進めていくものと考えていますが、節目節目で検討状況を整理し、公表していくこと が重要と思います。このことからそろそろ1月の報告書以降これまでの検討結果をまとめ ることとし、少し整理をしておきたいと思います。そのため、今回はいわばその中間的な 取りまとめに向けて、これまでの検討状況全体を通した議論をお願いします。全体像を改 めて把握するための議論をいただきたいと思います。  作業班において「議論のための検討メモ」を作成しているので、こちらに関しまして、 また作業班の方々にはいつも大変なご苦労をいただきまして、厚く御礼を申し上げますが、 まずは資料の説明を班長からお願いしたいと思います。お願いします。 ○山本委員  それでは、資料1、資料2に基づいて説明をさせていただきます。資料2は大部分前回 もお見せした資料を1冊にまとめたものですので、主に資料1の方でご説明を申し上げま す。  資料1は幾つかの項に分かれておりますけれども、まず最初が基本的考え方ということ で、本検討会が本年1月に取りまとめた「社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関す る報告書」の中で、点線の四角に囲まれているようなことが述べられています。  人口減少と急速な少子高齢化により生産年齢人口の減少や年金・医療・介護といった社 会保障サービスの利用者の増加が見込まれている中で、質の高いサービスを効率的かつ効 果的かつ安全に提供していくことが求められている。  このような要件に対してめざましく進歩する情報通信技術を活用し、社会保障分野のよ り良いサービスを安心して利用できる社会を実現し、持続的で利用者に信頼される社会保 障制度を構築することが必要である。  その下のマルで、まずIT化の全体像ですけれども、本来、IT化とは国民の生活に密 接に関連する各種の事務手続きの多くが統合的に情報化されてこそ最大の効果を発現する、 つまり部分最適化ではいけないということが書かれております。  その次のマルですけれども、社会保障分野においては年金・医療・介護、それぞれの分 野で情報化が一定の進歩をしており、それぞれの分野でICカードの導入が検討されてき た経緯があります。しかしながら分野ごとのIT化を進め、別々のICカード及び発行の 仕組みを作ることは極めて効率が悪い。このため社会保障カード(仮称)は将来にわたる 社会保障制度全体を通じたIT化の共通基盤として位置づけられるという認識を示してお ります。  国民生活に密着する社会保障の分野ではこのような基盤が整備されれば、ひいては社会 的な合意を得た上でより広い用途で利用することができる可能性もある。これは前回の報 告書にも記載されているとおりであります。ただし用途を拡大するということは、それに 伴ってリスクが高まることを示しますので、より広い範囲の用途に対応できることと、プ ライバシー侵害等の不安が極力解消されることの両立できる仕組みを工夫することが重要 である。この仕組みの内容は用途の範囲を検討する上で非常に重要な要素である。  次のページに移りまして、効果ですけれども、社会保障カード導入の効果ですけれども、 基本構想でも述べられてもいますが、この案の第3章以下の仕組みとすることで実現され る社会保障の見える化、それから見える化による国民の信頼・利便性の向上、それから効 率化による事務コストの軽減、更にはきめ細かいサービスの提供という2つの観点から本 メモは整理をしております。  なお、この「検討メモ(案)」ではより広い用途で利用することができる可能性に関し ては具体的には検討されておらず、差し当たり現行制度における運用を基に検討しており ます。  続きまして2章に入りまして、「社会保障カード(仮称)の導入による効果」です。先 ほど申しましたように見える化による信頼性、利便性の向上と、それから効率化による事 務コストの軽減やきめ細やかなサービスの提供の2つに分けて記載しておりますが、まず 見える化による国民の信頼・利便性の向上を更に2つに分けていて、1番が信頼の向上、 2番が利便性の向上というふうに分けて記載しております。  信頼の向上に関しましては、現状、年金記録をはじめ、自分の社会保障に関する情報が 適切に管理されているかという不安がある。不正アクセスによる盗み見、記録間違いの可 能性があり、また適切に管理されているか確認する手段がない。  年金記録については、標準報酬の誤りや虚偽の届出がされてもすぐに確認する手段がな い。健康保険証、年金手帳等の偽造・悪用の可能性があり、例えば知らない間にクレジッ トカード、銀行口座、携帯電話等の契約をされ、それが犯罪に使われる可能性があります。 これらの点につき、個々の保険者には偽造対策を求めるのは困難である。このような現状 がありまして、社会保障カード(仮称)を導入することにより次のことが期待されます。  自分のデータへのアクセス記録は自分で確認可能とすることで不正アクセスによる盗み 見等の不安を払拭するとともに、不正を抑止する。  年金記録については常時確認可能とすることで標準報酬月額の誤りの修正、虚偽の届出 等の抑止が期待できる。  確実に1人に1枚発行することにより就職の際に正しい基礎年金番号が申告されない等 の理由による基礎年金番号の重複付番も防止できる。  ICカード自体の機能ですが、ICカード化することにより偽造・悪用を防止すること ができる。ICカード化については、各制度・保険者ごとに進めるよりは1つの社会保障 カードとすることがはるかにコストを下げる。  それから、見える化の2番ですけれども、「利便性」の向上。現状、利用者にとって年 金情報、レセプト情報、特定健診情報等、自分が欲しい情報にアクセスしにくい紙の申請 書のやりとりが多くの場合必要で、別々の保険者、行政機関からそれぞれ取得しなければ ならず、一括して情報を取得することができないといった現状がございますが、ページを 次に進めまして社会保障カードの導入により利用者は年金記録、レセプト情報、特定健診 情報について保険者等における環境が整うことを前提として、いつでも自宅等からオンラ インで確認入手することが可能。  それから、社会保障ポータル、これもこの社会保障カードの中で検討されている仕組み ですけれども、社会保障ポータル(仮称)を通じてワンストップで様々な社会保障に関す る情報にアクセスできるとともに、利用者が保険給付適用の手続きを忘れていても、保険 者等から情報を伝えることで手続き漏れを防ぐことも可能になります。  将来的には本人の希望を前提とした上で地域の医療機関間や医療機関と介護事業者等の 情報連携にも活用することが可能となる。  その他、住んでいる自治体や年齢に応じた社会保障に関する様々な情報をきめ細やかに 提供することも可能となる。  (2)ですが、効率化による事務コスト軽減やきめ細やかなサービスの提供で、現状は 利用者は転居や転職等に伴い保険者が替わるごとに健康保険証を保険者に返却する必要が あり、加入申請漏れ、手続き漏れも生じ得ます。保険者から見れば被保険者の異動のたび に毎回保険証を交付する必要があります。  それから、制度や保険者をまたがって本人を同定することが現状難しいことから、保険 の取得手続だけでなく、高額療養費の申請、併給調整のための書類提出等、制度や手続き が複雑なものが存在するために、煩雑な申請手続きが必要であったり、申請漏れが生じた りします。そのため高額療養費等についても本来、もらえるはずの給付をもらえない。ま た、加入手続き漏れ等により払わなければならないはずの保険料等が発生する等、利用者 への負担や事務面での負担が発生しています。  各種給付における負担の軽減措置は保険者や制度ごとに設定・適用されるのが原則であ りまして、事務面においてレセプトへの資格情報の転記ミス、医療保険の未加入状態での 受診や資格喪失後の受診等により、保険者、医療機関、審査支払機関に医療費請求におけ る過誤調整事務が現状発生しております。こういった現状がありますけれども、社会保障 カード(仮称)を導入することにより期待される効果として保険者変更等の際でもカード を返却する必要はない。1人1枚のカードで年金・医療・介護サービスの様々な保険証等 の役割を果たし得ます。保険者等からの情報提供と併せてカードを使って生涯を通じて切 れ目・漏れのない年金・医療・介護サービスが可能となります。  それから、IT化と保険者間の情報連携の仕組みが整うことにより、例えば高額医療、 高額介護合算制度といった制度をまたがる事務、それから同一制度内でも保険者をまたが る事務が効率化され、手続きのワンストップ化や必要な添付書類を削減することが可能に なります。利用者にとって便利になるとともに保険者の事務コストも削減されることが期 待できます。  上記により保険者が正確な情報の把握ができるようになることから、申請漏れを防ぐた めに利用者に情報提供するなど、よりきめ細かいサービスを提供することが可能になりま す。例えば高額療養費の申請を促す。それから、被用者保険から脱退した後の国民健康保 険への加入手続を管掌する。その他、社会保障に関する情報の提供ができる。  それから、将来的には保険者・制度をまたがった場合でも自己負担額の調整を行うなど、 社会保障制度において制度や保険者をまたがった、よりきめ細やかなサービスを提供でき る可能性があります。  保険者から被保険者への各種通知の送付にかかる経費を削減できる可能性があります。 更に医療機関の窓口でオンラインによる保険資格の確認、資格情報のレセプトへの自動転 記により医療費の過誤・調整事務を削減できる可能性があります。ひいては他の社会保障 制度への将来的な利用拡大が可能な基盤として期待できます。以上が社会保障カード(仮 称)導入による期待される効果です。  3章は前回、ここでご説明を申し上げました具体化の手段として作業班で検討してきた 内容で重複する部分がありますので、要約をお話し申し上げたいと思います。  まず、本人を特定する鍵となる情報、本人識別情報、これは前回の報告書でも4つ、細 かく挙げると5つ挙げて、その中をそれぞれ作業班で検討してきたところでありますけれ ども、見える化それから利便性の向上、事務コストの削減、きめ細やかなサービスの提供 等を実現するためには制度内・制度間での加入者特定が避けられない必要なことでありま す。  基本構想に関する報告書で5案をお示しいただきましたが、作業班で5案の比較検討を 行った上で、差し当たり制度共通の統一的な番号またはカード識別子、これを基本として 検討してまいりました。それから、更に公開鍵暗号の仕組みを用いる方法についても検討 をしてまいりました。  それから、なぜICカード化ということですけれども、ICカードはICチップ内に情 報を収録することで視覚的に情報を隠すことができることに加え、耐タンパ性を有すると いった不正にICカード内の情報にアクセスすることを防ぐ能力に優れているといった点 から偽造や不正使用が難しく、安全性が高いという特徴があります。  それから、統一的な番号やカードの識別子を、ICチップに収録して個人の識別に用い る場合は仮に暗号化等の措置をとったとしても、現在、住基カードが運用されているよう に専用端末を用いるなど、適切な保護を講じなければ情報を不正に読み出されるおそれを 完全には否定できない。  それから、専用端末を用いるということは住基カードと違い社会保障カードは一般の医 療機関等で利用されることから専用端末を用いることが考えにくい場面が存在します。そ のような場合は情報を読み出す端末を無条件に信頼することはできませんので、統一的な 番号等そのものを本人識別子として用いるよりもICチップ内の演算機能を活用した公開 鍵暗号の仕組みを利用する方が安全性においては若干優れているのではないかという議論 がございました。  それから、一気にICカードが全員に配られるわけでもなく、また利用をする施設機関 がICカードを利用できるわけでもございませんので、当分の間はIT化が進んでいない 手続き等と併存する期間が一定程度存在する。仮にそれらの設備が整ったとしても様々な 理由でICカードの機能を利用できないといった事態も考えられることから、ICカード の機能に依存しない方法も併せて検討してまいりました。これは6章で詳細に述べられて おります。  それから、ICカードの機能に依存しない場合における手続き等の利便性や正確性につ いては可視的な番号を情報連携のキーに利用することで担保することが可能になることが 検討されました。  本人識別情報をカードの券面等に記載した場合、制度・本人の意図しないところで名寄 せに使われるリスクなどが高まる可能性が考えられる。しかしながら、その一方でシステ ム全体としてはより簡便な仕組みにすることができることが期待されます。この2つのト レードオフがあることに留意する必要があります。  それから、本人識別の方法としては安全性に優れた公開鍵暗号の利用を基本としつつ、 必要に応じて可視的な番号等を用いることも検討の範囲からは除外しないこととし、その 適切な在り方についても併せて今後も検討する必要があるであろう。  それから、少し前回分かりにくいというご指摘があったかもしれませんけれども中継デ ータベースの活用についてご説明申し上げます。  プライバシーの侵害、情報の一元的管理に対する不安を極力解消しつつ、費用対効果に も優れた仕組みを作るという観点からカードのICチップ内には医療保険の資格情報その もの、それから年金記録の情報そのものは収録しない。ICチップ内の情報は書き換えの 機会を極力減らし、ICカードのセキュリティを確保するし、必要な情報はICチップ内 の本人識別情報を用いて外部のデータベースにアクセスすることによって実現するという ことを基本に考えております。  現在、各保険者が給付情報等を保有するデータベースを集約または集積して、個人の社 会保障情報を一元管理するということを行いますとプライバシーが侵害されるのではない かという不安を惹起する。それから、サイバー攻撃等の格好の標的にされるおそれがある ということがあります。したがって年金・医療・介護に関する様々な情報を一括して保有 するメガデータベースは設けないということを想定しております。これらを前提するとI Cチップ内に収録された本人識別情報をキーにして、各保険者に分散して保存されている 情報に確実にアクセスする仕組みが必要になり、そのアクセスを中継するためリンクのみ を保持する機能を持つデータベース、これを中継データベースと呼んでおりますけれども、 これが必要になります。  現在、各制度内で個別に付番されている被保険者番号等については、これを制度共通の 統一番号に置き換えるという意見もありますが、そのような場合にあっても同様のアクセ スを中継する仕組みが必要になります。  それから、オンラインによる保険資格の確認については、医療機関等から資格確認の要 求を中継データベースを経由して各保険者のデータベースにアクセスすることで行う。こ うしないと医療機関はそれぞれの保険者にアクセスしなければいけなくなって、極めて煩 雑になるということがあります。  それから、年金記録やレセプト等の情報を閲覧する際も各保険者が有する情報にアクセ スすることに結果的になりますが、各保険者のデータベースに個人が直接アクセスするこ とを許しますと、1つは見る側の利用者にとって非常に不便である。それから、データベ ース側から見てもセキュリティ上の脅威が高まる。こういったことから中継データベース の仕組みを利用することにより閲覧要求を中継する機能を持たせることが可能になります。  以上、述べましたような機能を果たす中継データベースに様々な情報を持たせることは 情報の一元的管理が行われるとの懸念が生じることから中継データベースが持つ情報は必 要最小限度の情報とする。具体的には本人識別情報、各制度の被保険者番号と各制度内の 個人を識別する情報。それから、公費負担等も対象とする場合には公費負担者番号、公費 負担医療受給者番号、これらを最低限持つ。  現在と同様、各保険者が資格や給付情報等を保有する。中継データベースにはそれらの 情報は置かないということを想定しております。  また、中継データベースにおける自分のデータへのアクセス記録を保存することとし、 そのログを自分自身で確認できる仕組みとすることで自分自身の各種保険者の記録のアク セスの記録を確認することができますので、不正アクセスによる盗み見等の不安を払拭す るとともに不正を抑止する仕組みとすることが可能になる。  中継データベースを利用することで各制度における保険者間や制度をまたがる保険者間 の情報連携を円滑に安全に行うことができ、事務効率化が可能になる。  更に、カードを使って新たなサービスを使えるようにする際にはカードそのものに手を 加えることなく中継データベースに新たな機能を持たせることによって可能になる。した がって中継データベースは将来的なカードの用途拡大に対応しやすい仕組みと言えます。  その次に4章ですけれども、これは年金記録等の情報閲覧に関する記載をしております。 年金記録等の情報閲覧というのは自宅のパソコンと、自宅とは限りませんけれども自宅の パソコン等の端末と社会保障カード(仮称)を使ってオンラインで保険者のデータベース の情報にアクセスし、自分の情報を端末の画面に表示して確認すること。それから、当該 情報を取得すること等を言っております。  要件と対策ですけれども、セキュリティが最も心配されるわけですけれども、正しいカ ードが正しい所有者によって利用されることが担保できること。それから、正しい閲覧情 報であることが確認できること。悪意のある者や不正な機器からの攻撃に堪えられること。 こういった要件があって、対策として1番の正しいカードの場合は暗証番号の入力であり ますとか、端末システム側からの正当性確認が行われる。  それから、情報の登録、更新等の正当性の確保、それからアクセス履歴の保存ですね。 悪意のある者の攻撃ですけれども、カードによるシステムの確認、暗号化、ウイルス対策 等が考えられます。  そのうち正しいカードが正しい所有者によって利用されることが担保できることに関し ましては年金記録やレセプト情報等は保険資格情報と比べて特に機微な情報であるために 自宅等の端末においてオンラインで本人確認を経て情報閲覧を可能とするならば暗証番号、 PINと呼んでいますけれども入力等による正当なカード所有者であることの確認を行う ことが望ましい。  一方で既存の仕組みを最大限に活用し、費用対効果に優れた仕組みとする観点から現在、 ネットワーク上での厳格な本人確認の仕組みとして電子申請において安全性と信頼性が確 保された方法として認められている公的個人認証サービスの電子証明書を用いる方法等も 検討する必要がございます。  それから、閲覧に関しての2つ目の要素として社会保障ポータルというのを考えており ますけれども、利用者が情報閲覧を行うときに情報の種類により年金保険者、医療保険者、 介護保険者に個別の直接アクセスすることは利用者にとって不便である。それから、直接 アクセスすることによって保険者のデータベースのセキュリティ上の脅威を増大させる可 能性があるということから、利用者と保険者の間に例えば中継データベースの機能を利用 することで利用者の閲覧要求を中継する機能を持つ仕組み、これを社会保障ポータルと呼 んでおりますが、これが必要であるということになります。  その次のページ、10ページに社会保障の閲覧の仕組みのイメージがございます。当然で すが、情報閲覧の仕組みを実現するためには情報を提供する各保険者の環境整備、閲覧用 データベースの整備、情報の標準化、可視化等が必要になります。それから、今まで当然 として述べておりませんでしたが、レセプトの開示については現行制度の下では非開示と なるレセプトもあることから具体的な開示の仕組みについては今後更に検討する必要がご ざいます。  それから、5章は医療保険事務等の効率化で、これはオンラインによる医療保険資格の 確認ということで、ここは前回説明を申し上げておりますので、11ページの絵を見ていた だければいいと思うのですが、中継データベースを用いることによって利用者が持ってこ られた社会保障カードが示す保険者、健康保険、医療保健の資格を確認することができる ということになります。  この場合、医療機関では住基カードのように専用の端末を用いるということが非現実的 でありますので、持参者のなりすましを防止すると同時に、それにアクセスする医療機関 の職員の確認が必要となります。  それから、13ページの医療保険資格情報のレセプトへの自動転記でありますけれども、 今回、以下の要件を満たすように医療保険資格情報のレセプトの自動転記の仕組みについ て検討をしました。検討の前提として四角の中にございますようにレセプトに自動転記さ れる情報については診療報酬の請求に必要となる最低限の情報を転記する。それから、受 診のつど、毎回カードを提示して資格確認を行うが、システムへの負荷を軽減する観点か ら自動転記される情報の取得は原則、初診時及び再診時に前回からの情報に変更があった 場合のみに行うものとする。変更がなかった場合は情報の取得は行われないというふうな 前提で議論をしております。  この仕組みが機能するためには、医療機関の窓口業務への影響軽減、特に典型的には月 曜日の午前中で外来患者が集中するような場合とか、そういった場合に窓口業務の影響を できるだけ与えないようにする。それから、転記情報のフォーマット等のルール設定につ いては今後検討する必要がある。  それから、オンラインによる医療保険資格の確認と医療保険資格情報のレセプトへの自 動転記を実現するためには、保険者、医療機関のシステムの整備・改修、それから安全な ネットワークの構築等にかかる費用等の課題が確かに存在することから、この点について も今後更に検討する必要がある。  それから、3番目に年金介護保険の資格確認ですけれども、医療保険と同様、またそれ に準じた仕組みを行うことが考えられますけれども、これについては更に関係者の意見を 聞きながら、今後更に検討をする。  それから、4番目に保険者間の情報連携でありますけれども、現在、併給調整を行うに 当たっては各保険者は加入者保険に対し、他の制度での給付内容等に関する添付書類の提 出を求めたり、氏名等の情報を基に他の保険者等に電話で問い合わせたりする事務が発生 しています。加入者本人にも保険者にも不便である。また、結果的に本来もらえるはずの 給付金がもらえなかったり、払わなければならないはずの保険料が払われなかったりする 事例が発生しています。  こうした併給調整事務を中継データベースを使った保険者間の情報連携により安全に軽 減する仕組みについて作業班では検討をいたしました。  これも前回、ざっと説明させていただいたように14ページの図をご覧いただきたい。こ れはかなり徹底した情報の保護を行いつつ連携を行う仕組みということで、中継DB各保 険者はそういった併給調整が生じた場合に、そのご本人が他のどの保険に入っているか。 それから、それに問い合わせて答えを得るだけの情報しか持たない。各保険者内部の情報 にはアクセスしないで併給調整ができるというふうな仕組みが実現可能であることを示し ております。  それから、15ページに進みまして6章、社会保障カードが使用できない場合。これは移 行期間、それから社会保障カードがあまねく行き渡った状態であってもIT機器ですので 停電、ネットワークのトラブル、カード自体が破損した場合ということでカードが使用で きない場合が存在します。それぞれについて対応を検討しております。これも前回、比較 的詳しくご説明申し上げましたが、カード券面裏面に最低限必要な情報を記載する、ない しは別紙ないしはカードホルダー、そういったところに最低限必要な情報を記載する等に より運用が可能であるということを記載しております。  それから、17ページのカードの発行・交付方法ですが、これも一応前回説明したと思い ますけれども、参考資料16ページ以下で発行のスキーム等について触れております。  カードの発行主体は前回ご報告を申し上げましたように、年金手帳、健康保険証、介護 保険証といった複数制度にまたがる機能を持つことから各制度における調整に関すること 等を行うとされている厚生労働大臣が発行主体であると仮定をして検討しております。交 付主体に関しましては、住民基本台帳カード、公的個人認証サービスの発行の仕組み、基 盤、運用の実績を有していること。更に国民から見て最も身近な行政主体であり、一般に 利便性が高い等を踏まえて市町村であると仮定をしております。  交付方法ですけれども、カード対象者が市町村や保険者の窓口に行く必要があるかどう かといった交付対象者の利便性、それからカード交付までに必要となる手続きや、それに 必要となる期間といった交付者の事務負担、それからどの程度確実に本人同定ができるか といった技術的実現可能性、これらを踏まえる必要があります。その際、交付対象者が窓 口に行く必要があるかどうかやカードの交付を郵送で行うことができるかについては、社 会保障カード(仮称)の機能に鑑み、カード交付時にどの程度厳格な本人確認を必要とす るか等を検討する必要があり、厳格な本人確認による信頼確保と交付対象者の利便性、こ れがトレードオフの関係にあることに留意する必要があります。  それから、カード発行・交付の検討をする際に発行されたカードが広く利用されること が重要であり、そのような観点も含めて今回、出生後初めてカードを交付する場合として、 健康保険証として利用できるカードを発行する案、それから先にカードを発行して、後か ら健康保険証として利用できる案について検討を行っております。そのそれぞれについて 一定年齢以下の者には扶養者や世帯主カードでのサービスを利用することも考え、検討に 含まれております。  それから、検討した内容としては最初に発行するだけではなくて、利用者が転居した場 合、氏名が変更された場合、それから保険者を異動した場合、カードを紛失した場合、カ ードは永久に使えるものではありませんので、一定期間で更新が必要になりますが、その 際の手続き、これを資料2の16ページ以下で検討しております。  これらの検討の際にカード発行日に合わせて交付対象者からの申請に基づきオンライン 認証の用途を持たせた公的な個人認証サービスの電子証明書の発行を受ける場合として資 料を作成しておりますけれども、カード交付後に必要に応じ電子証明書の発行を申請する 場合や、そもそも電子証明書を用いない場合ももちろん可能ではあります。  これらの案について、そもそも被扶養者届を市町村で受け付けることができるか。関係 者間でどのように交付対象者の情報をやりとりし、本人を同定するかといった課題もある ことから、上記でこれまで述べたような交付対象者から見た利便性や交付にかかわる事務 負担といった観点から今後更に市町村等の関係者の意見を踏まえて精査していく必要があ ります。その際にも出生時からカードを交付する必要があるのかどうかといったことも留 意して議論をしていく必要があります。  ここで作業班で検討したことは、地方自治体や関係省庁に了解を得たものではないとい うことをお断り申し上げます。  それから、最後の8章で関連し得る他の仕組み等の活用のための課題ということです。 費用対効果を高めるといった観点から社会保障カード(仮称)で必要とするICチップを 含む媒体や認証基盤、医療機関等におけるネットワーク基盤等につき、関連し得る他の仕 組み等を可能な限り活用することで社会保障カードのためだけに新たな投資を行うことを 極力避けることが重要であります。  検討の1番目として、既存のICカード、ICチップを含む媒体の利用、その最初のも のとして住民基本台帳カードを用いる場合を検討しております。現在、市町村から交付さ れている住民基本台帳カードの利用については、既存のICカードや市町村が有するカー ドの発行基盤を利用することで費用対効果に優れた仕組みとすることが可能であります。  平成20年6月11日にIT戦略本部でまとめられたIT政策ロードマップにおいては、 住民基本台帳カードの普及に当たっては社会保障カード(仮称)の議論と一体的に検討を 進めるとされているところであり、今後、更に検討を進めていく必要があります。その際 に現在の住民基本台帳カードの仕組みを前提とすると、市町村をまたがる住所変更の際に は住民基本台帳カードの再発行が必要となります。それから、住民基本台帳カードは現在 は希望者のみに交付することになっております。現在の住民基本台帳カードは自治事務と して市町村長が発行責任者となっている。こういった点が社会保障カードの検討の前提と 多少異なるところがあり留意する必要があります。  それ以外のICカードとしては金融機関等による発行されたカード、そのほか既に民間 で発行されているICカードを媒体として利用できるかについては、これは技術的には可 能と考えられるものの、媒体の提供主体ごとに媒体管理システムが異なり、サービスの相 互運用性が確保されておりません。一般に民間カードにおいてはカード発行者がカード所 有者となっており、利用者の状況によってはカード発行者がカードを回収する場合があり、 このとき社会保障サービスが受けられなくなることが考えられる等の問題があり、更に検 討をする必要がある。  それから、その他外国人に対して発行することが検討されている在留カードと他の分野 のICカードの動向についても留意する必要がある。  それから、カードではなくて携帯電話等を用いる場合ですけれども、携帯電話を媒体と して利用できるかについては、これも技術的には可能と考えられるものの、媒体の提供主 体ごとに管理システムが異なり、サービスの相互運用性が確保されていない。それから、 携帯電話等については、現在の手続きを前提とした場合、媒体と本人の結びつきの厳格さ に欠ける。他人になりすまして携帯電話を購入することがあり得るという問題があり、更 に検討をする必要がある。  それから、ICチップではなくて仕組みとして2つ目に認証基盤の活用ということで、 公的個人認証の活用、情報の閲覧等を行う際にネットワーク上での厳格な本人確認を行う ことによりなりすましなどを防ぐ必要がありますが、その具体的な仕組みとして現在、電 子申請において安全と信頼性が確保された方法として認められている公的個人認証サービ スの電子証明書を用いる方法等を今後更に検討する必要がある。  それから、厚生労働省が構築している保健・医療・福祉分野の公開鍵基盤、HPKIと 呼んでおりますけれども、HPKIを資格確認等における医療関係者の資格を有すること の確認に用いることも今後更に検討をする必要がある。  現在、HPKIは電子署名基盤でありまして、署名にしか用いることができない公開鍵 基盤となっておりますが、署名をしなくてもそれが医療機関の職員である、ないしは医療 機関の国家資格を持つものであるということを示すだけの認証用の証明書の発行について も今後検討をする必要があります。これが認証基盤の活用について。  3番はネットワーク基盤です。レセプトオンラインネットワークの活用ということで、 平成18年4月から開始された医療機関、薬局から審査支払機関へのレセプトの送付のオ ンライン化は規模による段階的整備が今後進捗する予定であります。今後、医療機関等と 審査支払機関とのネットワークが整備されていくことが見込まれる。これらの動きを踏ま えて医療機関等のIT基盤が整備されることが想定される。  医療機関等におけるオンライン資格確認を可能とするための環境整備については、新た な投資を極力避けるためにこういったレセプトオンラインのネットワークを活用すること が有効というふうに考えております。  それから、情報閲覧の仕組みとしては電子政府関連施策等の連携が検討に入りまして、 現在、内閣官房で検討が行われている電子私書箱(仮称)及びオンライン利用拡大策等の 電子政府への取り組みの動向、社会保障分野の周辺で進捗する他の情報化政策に注意を払 いつつ、今後、更に検討をする必要がある。  以上が作業班でまとめました「検討会の議論のためのメモ」の概略であります。 ○大山座長  ありがとうございました。最初に申し上げましたように、今日は全体を見た議論をして いただければと思っています。その目的は中間的な取りまとめを次回以降行いたいという ことでして、中間取りまとめといってもまだ議論をしなければならないもの、あるいは残 されているものが当然あるとは思いますが、節目、節目で整理をすることも必要ではない かと事務局と相談したところです。その観点から今日はご自由に全体を通じたご議論をい ただければと思います。  それでは、ご自由にご発言等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○大江委員  口火を切るために幾つか質問と確認です。まず、従来から制度共通の識別番号というこ とが言われてきたわけですが、一方でなぜ年金の番号、これは既に現時点では同一番号が あるわけですね。この番号と、それとは別に今回、カードに同時に整備される医療・介護 の番号等を同じにしなければいけないのか。なぜ全制度を共通にしないといけないのかと いうことが十分は議論されていないと思うのです。  私は個人的な意見としては、年金は既に統一されていて、それはそれでよしとして、あ と医療と介護が共通に使われることは当然連続性を持って管理される必要があると思うの で、この間で共通の識別番号というのが必要だと思うのですが、年金と医療・介護が制度 共通番号にしなければいけないのかというのは、もう少しいろいろなメリット、デメリッ トを考えて、選択肢として別にすることも残して議論してはいいのではないかと思ってい ます。  例えばそれに関連してですが、この資料の15ページですね。この医療保険の資格確認 がその時点でできない状況にある場合というのは、これは過渡期でもあり得ますし、それ から救急医療の場合だとか、あるいはシステムのトラブルとか、いろいろなことで想定す るわけです。現在の保険証ですととりあえず後でファックスしてもらう、持ってきてもら う、あるいはそもそも今の保険証にはいろいろな情報が書かれていますから、コピーをと っておいて、あとで確認をするとか、いろいろなことができるわけですが、今回のこのI Cカードの場合はICカードはご本人が持って帰ってしまうわけですから、今度システム が復旧したりしたときに再確認しようとすると、これはICカードをもう一度持ってきて もらわないと確認できないのでしょうか。多分、そうだろうと思うのです。それではかえ って今よりも不便になるわけで、そうするとこの15ページの(1)(2)の中の方法の1つに書 いてあるようにカード券面に本人を識別して、後で問い合わせができる情報、つまり番号 だと思いますが、これを書いておかないと極めて医療機関は不便になるのではないかと思 います。  一方で、同じように15ページのその下には、「しかしながら」の後段で「カードに本 人を識別する情報を記載することについては、制度共通の統一的な番号を記載する場合に はリスクが高まる」とあるわけです。こういう議論を読むと現実にはカードに医療保険、 介護としての制度共通の識別番号は書いておかないと、医療保険は極めて不便になる。し かし、それを書くと制度共通なのでいろいろリスクは高まるということであれば、あえて 年金と医療・介護を一緒にしないで切り離すことによってリスクを減少させるというよう な議論もやはりなされるべきではないかと思うわけです。それが1点です。  それから、もう1点は関連することでありますが、そもそも識別番号を本人に教えない のか、教えるのかということについても、まだ十分方向性が見えていないわけでして曖昧 ですが、私は本人識別情報というものがシステムの中に書かれている、あるいはカードの 中にも書かれているにもかかわらず、ご本人は知らされていないというのはおかしいと思 うのですね。これはやはり何らかの方法で知らせるべきですし、交付時に多分知らせると いうことが必須だろうと思います。  それから、それをうまく使いこなすことが今回のIT化の技術も含めた効率運用という ことと直結しているわけですから、ご本人が特別な理由で拒否される場合は記載しないこ とを容認するとしても、通常はカードにそれをきちんと書いて、先ほどのように医療機関 の場合でも必要なときには使えるということにしないと、極めて使い勝手が悪いというこ とであろうと思います。  3つ目は、中継DBのことで、これは質問ですが、私が勘違いしているのかもしれませ んが、8ページの一番上に書かれているのを読みますと、8ページの一番上のマルには 「オンラインによる保険資格の確認については、医療機関等からの資格確認の要求を中継 DBを経由してこれこれにアクセスすることで行う」とあります。ということは、つまり 医療機関に初めて患者さんが来たときに資格確認をしようとすると、これは中継DBを読 むだけではなくて、更にその先のそれぞれの保険者のデータベースにその場でアクセスす るという、そういうことだろうと思うわけです。  中小保険者の数の多さを考えますと、このようなことが現実的に整備可能なのか。つま り各保険者では24時間ではなく昼間だけでもいいのかもしれませんが、平日、昼間の時 間帯に常にアクセス可能な状態を問い合わせればすぐにリアルタイムで返答ができるよう なサーバーを各保険者が安全な形でネットワーク上に用意されるということは本当に可能 なのかというのは、ちょっと疑問なわけです。おそらく中小保険者の多さを考えますと、 こういったことは自前では安全にできる自信がないので、民間のどこかに結局は委託する ということが起こるのではないか。そういう民間のデータセンター業者ができて、そこが 100の小さな保険者の問い合わせを代行するなんていうことを現実にしないと実現できな いようなことがあるとすれば、必ずしもこういう仕組みが安全かどうか、あるいは適切か どうかということは疑問があります。最低限の情報は中継データベースに置いて、そこだ けで資格の有無、少なくとも医療に関しては情報が手に入るというふうにしないとまずい のではないかなというふうな印象を受けました。当面まとめて言いましたが、以上であり ます。 ○大山座長  ありがとうございました。どうしましょうか、3つありますが。では、室長から。 ○社会保障カード推進室長  まず、そもそも全体の話として申し上げると、今後検討ということですが、とりあえず 現時点で整理されていることだけ3点それぞれ申し上げたいと思います。  まず、共通番号の話です。仮に共通番号を導入する際に年金・医療・介護、それぞれ今 は別々にある番号を全部共通番号に置き換えるかどうかという話で申し上げると、それは とりあえず現状別々の番号なので、仮に共通番号を導入する場合であっても、当面は各制 度の番号がそれぞれ併存するというか、そういうことを想定しておりまして、例えば中継 データベースに何を持つかというところで本人識別情報と各制度の被保険者番号というふ うに書いてあるように別々という想定になっています。  ただ、置き換えの話も一部触れておりまして、それは中継DBの活用のところに、7ペ ージの下のところに制度共通の統一的番号に置き換えるという意見もあるが、そのような 場合であっても同様のアクセスを中継する仕組みが必要という形で整理されています。  それと、ご指摘があった移行期というか、カードを読み取ることができない場合の対応 については、その15ページのところでいろいろ整理されているところですが、正直申し 上げてカードが使用できない場合の対応というのは、現時点ではこれだという解までは検 討が至っておりませんで、引き続き検討するしかないという状況ではないかと考えていま す。  ただ、カードが使用できない場合の対応については、15ページの一番上に書いてあり ますように現行の被保険者証等からの移行期間、それから訪問介護、往診の場合等、カー ドが使用できない状況、それから停電、ネットワークのトラブルでカードが一時的に使用 できない状況。これは3つの場合に分けて考える必要があるということで、それぞれの状 況に対応することについては、やり方がそれぞれ変わってくるのではないかということで、 今後、検討するということを想定しております。  それで、若干おっしゃった券面に番号みたいなものを書いていないと不都合だというお 話については、15ページの一番下のマルのところに本人を識別し、資格情報やレセプト 請求が可能な情報を記載しておくといった措置が必要というようなことが書かれておりま すが、その下のところにカードに本人識別情報を記載することについては名寄せに使われ るなどのリスクが高まるというふうに書いてありまして、ここも意識的に本人識別情報と いう言葉と本人を識別し、資格確認やレセプト請求が可能な情報という形で書き分けてい まして、いわゆる本人識別情報と違う何らかの、それはおっしゃったように医療保険の番 号かもしれませんが、そうものを書くということも考えられるのではないかということで、 書き分けをしています。  2点目で、本人識別情報をご本人に教えるかどうかというお話ですが、仮に共通番号の ようなものを導入するということになれば、本人にお知らせするということになってくる のではないかというのは考えています。ただ、本人識別情報として6ページに案1また案 2とありまして、本人識別情報の候補として制度共通の統一的な番号、それからカードの 識別子、公開鍵暗号と3つ書いてあります。例えば公開鍵暗号であれば、これは暗号なの で、これはお知らせしようがないことになるわけですが、7ページの3つ目のマルで安全 性に優れた公開鍵暗号の利用を基本としつつということで、公開鍵暗号が安全性において は有利ということを言っているのですが、同時に必要に応じて可視的な番号、可視的な番 号ということは多分、本人が当然お知りになるということだと思いますが、そういう番号 を用いることも検討の範囲から除かないというように整理をしていただいているところで ございます。  それから、最後に中継DBのご質問がございました。中継DBについては、小規模保険 者が対応できるのかというお話については、11ページのイメージの絵のところに各保険 者の資格情報DBというところの一番下の米印ですが、複数の保険者が共同して資格情報 DBを運営する場合もあり得るというふうに記載しておりまして、当然のことながらこれ のセキュリティ対策というのも検討していかなければいけないのですが、いろいろなプラ イバシー侵害とか攻撃のターゲットにされるということを避ける意味では、やはりこうい う中継の仕組みというものがあった方がいいのではないかという整理をしていただいてい るということでご理解いただきたいと思います。 ○大江委員  今のお答えは論点がほとんどずれているのではないかと私は思いました。まず中継デー タベースの最後のお答えからですが、中継データベースが不要だとは私は申し上げていな いわけでして、むしろ中継データベースに最低限、もう少し情報を持たせて、中継データ ベースから各末端の別の医療保険者にもう一度アクセスに行くという仕組みは必要最小限 にした方が、むしろ全体としてはスムーズに進むし安全なのではないか。11ページの左 側の資格情報データベースを共同で運用するという、この共同で運用する主体が本当に安 全な主体がきちんと整備され得るのかということを考えたときに、その辺りも含めて検討 が必要だろうということを申し上げているわけで、中継データベースが要らないという視 点で申し上げているのではないということです。  それから、少し戻らせていただいて、制度共通の番号というのは、私はこれは制度の共 通番号というのは必要だというのは思っているわけです。ただ、年金の番号と医療・介護 の番号を両方それぞれ制度共通番号が必要で、これを全体で1つの制度共通番号にすれば 非常に便利ではあるのですが、そのために様々な、例えば医療保険保険証として使うとき のカードに識別番号が書けないために医療上不便が起こるというような制約が起こるので あれば、この2つは分けてもいいのではないか。そういう検討も必要ではないかというこ とを言いたかったわけです。  それから、ご説明いただいたようにカード券面に書く医療保険識別番号が必ずしもイコ ール全体の制度共通番号である必要はないということはあり得ると思いますので、それは 言い換えればしかし医療保険制度共通の別の番号を可視的に用意するということと同じ意 味になるわけです。その辺りがこれから重要な検討事項であろうと思います。  ただ、申し上げたいのはやはりカードに何も書かないというのは医療機関にとっては極 めて不便ではないか。患者さんがいないときに後で保険情報を問い合わせたいときにカー ドがないとできませんというのでは、今よりも非常に不便になることは明らかですので、 その点は十分今後の検討で考慮していく必要があるなということを申し上げました。 ○大山座長  では。 ○山本委員  班長としてではなく委員として。ここで本人を識別子として公開鍵暗号の仕組みを用い るというのが、まるで魔法の手段のように書かれていますが、これに関しては少し誤解が ある可能性があると思います。  一般に公開鍵暗号の仕組みを用いてある人を、ないしはあるものを識別する場合はいわ ゆるPKIといわれている公開鍵証明書を使う手段を用いることが多いわけですけれども、 この場合の一意性、つまり識別性というのは暗号ではなくて公開鍵証明書のシリアルナン バー、つまりただの番号です。これはPKIのルールから言って誰にでも見ることができ る番号であって、したがってその仕組みを使った瞬間に誰にでも見ることができる統一番 号を用いるということと同じ意味になってしまうのですね。したがって、公開鍵暗号の仕 組みを用いるというのがPKIを用いるという意味であれば、番号を隠すということには 全くならない。ご本人にも分かるし、使う人みんなに分かってしまう。  そうではなくて、本当に公開鍵暗号の鍵ペアを本人の識別子に使うということであれば、 ものすごく技術的な話になって申し訳ないのですけれども、公開鍵というのは非常に大き な数字の列と考えていただければいいのですが、その数字の列の組み合わせ、2つの組み 合わせをそれぞれ全く独立に発行するという方法を考えないといけないのですね。これは 現状非常に難しい。技術的には非常に難しいことで、一般には乱数を用いて公開鍵ペアの 組み合わせを作ってしまって、Aという人とBという人が同じである可能性は極めて低い のですけれども、同じであっても構わないという前提で運用されているものですので、そ ういう意味では人に見えない番号として公開鍵暗号を使うというのは不可能ではないにし てもかなり難しいということは言えると思います。  したがってセキュリティを確保しやすいというのは違う面で確かにそのとおりでありま して、外に出すときにその番号を容易に読まれないようにするということは、公開鍵暗号 の仕組みプラス、それ以外に統一的な番号を用いた場合とか、そういった場合には仕組み としてはセキュリティを確保しやすいという表現はここに書かれていることは正しいので すが、こうだから本人に見えないという、そういったことはもっともっと更に技術的な検 討が必要であるだろうということを一言付け加えておきたいと思います。  それから、保険確認で中継データベースの役割と各保険者、これはまるでプレーヤーが 中継データベースと保険者しかないというような書き方をしておりますけれども、これも 作業班でかなり議論のあったところで、当然ながら中小の保険者さんが24時間対応でき る、即答できるレスポンスを持つことはほとんど不可能だというのは予想されることであ りますし、これはたしか厚生労働省の保険局が行った厚労科研の研究で幾かの研究班がこ の仕組みを実証的な実験まで含めて提案されているのですが、その場合もそれなりの規模 を持った保険者様は自分たちのところでその情報を管理して、答える方が望ましいという こと。それから、そうではないところは個々の中継データベースかないしは例えばそれぞ れのこの建物に入っているところとか、そういったところが集約をして答えるような仕組 みとか、そういったことは厚労科研の報告書としては提案されていて、それは多分現実的 にはそうせざるを得なくなってくる。それが集約するところが中継データベースであるの か、それとも保険連合であるのか、それ以外であるのかというのは具体的には検討されて いませんけれども、そういう検討をせざるを得ないのだろうというふうに考えております。 ○大山座長  池上委員、どうぞ。 ○池上委員  先ほどの大江先生のご意見に大分重複するところがあるのかもしれないのですが、大江 先生は年金と医療・介護についての番号という視点でおっしゃったのですが、私自身も今 回、社会保障カードの機能を年金・医療・介護の3つの共通するカードという大前提でス タートする関係で、報告書も含めて常にその3つがセットで語られている感が強いのです が、実際にこの社会保障カードが果たす役割という視点で考えたときに、年金のために使 われるカードと医療・介護に使われるカードは大きな違いがあると思っています。年金は どちらかというと年金記録というデータベースにアクセスするキーという役割が主たる役 割になって、医療の方はもちろんこの中に書いてあるレセプト情報だとか、特定健診の情 報に対するアクセスというキーはあるのですが、それよりもむしろ今、健康保険証として 全国数十万の医療機関で提示をされて、その後の医療費の請求につながる、そこに対して 一定の情報を与えてやるという、そちらの方がはるかに頻度もケースも多い使われ方。だ から、それを常にセットで考えているので、多分この報告書についてもあるときは年金の ことを意識した記述が書かれ、あるときは医療・介護のことを意識した記述が書かれみた いなところはあるのかな。  そうすると、先ほどの番号の切り分けというのはどちらかというと私も賛成派ですが、 ほかにも少し年金のカードとして見たときはどう、医療・介護のカードとして見たときは どうということで整理をしながら常にこれからの作業班をお考えになると、もう少しすっ きりするのかなという、どちらかというと感想めいたあれで申し訳ないですが、そういう 思いが1個ありました。  それと、先ほど中継データベースを経由して、それを各保険者にという話で、今、班長 から話が出ましたけれども、我々被用者健保だけでも全国に1,500健保がある。規模も本 当に数十名ぐらいの健保から何十万人健保という健保組合の体制も含めて、ものすごい較 差のある体制で、かつそこで使われている、今回必要となる個人の基本情報というのは、 我々は適用情報という言い方をしていますけれども、そこを扱っているシステムも全国の 健保組合のこういった日常の業務システムを手がけている会社そのものは数十社あるわけ ですけれども、そのシステムが使われてくる歴史のなかでそれぞれの健保の実務の状況に 応じてカスタマイズされているところは相当あるわけです。  そうすると、ちょっと極端な言い方をすると1,500の全国の健保組合で1,500のシステ ムが動いているというぐらいのイメージで物事を考えてもいいぐらいの状況で、そこに対 して1つのアクセスの仕方でいくというのは到底不可能な話で、どうしてもそこでデータ の集約というのが、この報告書でいいますと10ページにこれからの大きな課題という形 で位置づけられていますけれども、そこで先ほどちょっとお話があった小さいところの健 保さんなんかは場合によっては我々の健保連がデータを集約するというのも1つの案とし て十分成立している案だなとは思っています。  ただ一方で、ここからはお願い事みたいになるのですが、前回も似たようなことを申し 上げのですが、電子私書箱の検討が別の事務局サイドで進んでいるわけですけれども、電 子私書箱の機能というのも十分今のところで果たし得る領域を持っているのかなと思って います。電子私書箱の方の構想がどういうふうにでき上がっていくかによるのですが。要 するに、今のようなことを果たし得る可能性を十分秘めている。  そういう意味で言いますと、どのタイミングがいいのかどうか分からないのですが、事 務局が全然違うところなので、現実難しいのかどうか分からないのですが、やはりどこか でこの社会保障カードの委員会と電子私書箱の委員会の合同委員会みたいなものがいいの か、それともこの委員会として電子私書箱委員会に対して最低限電子私書箱の方の検討の 中でこういう機能とこういう機能というか、こういう役割は大前提に置いてほしいといい うことをきちっとまとめるとか、この前も申し上げたように国民視点で考えたときに電子 私書箱と社会保障カードを別々に説明されるのは極めてナンセンスだと私は思っているの です。最終的には完全につながる世界なので、そこはセットでお話をしなければいけない。 その2つの委員会をどううまくつなげるかというのをそろそろ両方の事務局で是非お考え いただきたいというのが私の今の要望です。  例えば電子私書箱の方でいくと、8月から委員会がスタートするように聞いております けれども、この委員会が大きく違う面として公的セクターと民間セクターの役割みたいな ものが出ているのですけれども、ではどことどこまでが公的セクターが果たしてというと ころは、まさにこれからの議論なのですね。そこの決着によっては今回のこの構想につい ては相当影響するところがある。  それと、電子私書箱に対する情報保有者がデータを出すやり方もプッシュ型、プル型と いう2通りありますねということは向こうの委員会では報告書の中に入っているのですけ れども、果たしてどの情報はプル型にし、どの情報はプッシュ型にするのかという議論も まさにこれから。そういうところにかなりこれが関わってくるという意味でタイミング的 にどのタイミングがいいのかちょっとあれですけれども、この2つの委員会の連携をいか にうまくやっていくかということについて是非お考えいただきたいというのが、これは要 望です。 ○大山座長  ありがとうございます。何かありますか。 ○山内内閣参事官  今、池上委員からご要望をいただきまして、電子私書箱の検討と、それから社会保障カ ードの検討についての連携についてですが、当然ながら以前よりそういうことは政府の中 として考えてきておりまして、事務局としては違うというご指摘があったのですが、多分、 半年ぐらい前の検討会のときにもお答えしたのですが、厚生労働省の社会保障カード推進 室の皆さんや総務省の事務局の皆さんも含めて内閣官房の方に併任をかけていまして、そ れで一緒にこの社会保障分野のITについて検討していく体制をとっておりまして、定期 的に会合を開いておりますので、事務局が全く別ということではないということです。  その連携を進めながら、今の社会保障分野におきまして、電子私書箱という構想をどの ように実現していくかをこれから検討することになっています。ただ、電子私書箱の検討 を今年度どのようにしていくのかというのはまだ公表していない状況にありますので、中 味については、今日は申し上げることはできないのですが、当然ながらその検討が進んで いきましたら、社会保障カードのこの検討会におきましてもそういう状況をご説明するよ うなことも前向きに検討させていただきたいと思います。まだ今年度の検討は始まってお りませんので、内容については差し控えさせていただきたいと思います。 ○大山座長  ありがとうございました。田中委員、どうぞ。 ○田中委員  毎回、作業班の作業については敬意を表します。社会保障カードのような話をするとき に、気を付けなければいけない点は、過剰にバラ色の事柄が含まれていると、それゆえに 信用を失ってしまったりする恐れがあることです。できることがたくさんあるのに、もし かしたらできないことまで書きすぎると、せっかく大部分はちゃんとしているにもかかわ らず、1個だけの書きすぎによって信用を失う恐れがある。その例を指摘させてください。  5ページの一番上の黒ポツです。3行目、4行目ですが、「カードがあると生涯を通じ 切れ目・漏れのない年金・医療・介護サービス提供は可能」と書かれています。年金につ いてはそうかもしれませんが、社会保障カードがあっても医療・介護サービスが切れ目が ないかどうかは全く関係がないと思うのです。そもそも医療提供体制が崩壊した地域では カードがあっても医療を受けられないですし、介護事業者が撤退してしまったらカードが あったって介護はない。それから、切れ目のない医療・介護のためには、特に医療のため にはカルテが必要です。レセプトでは切れ目のない医療はできません。この社会保障カー ドではカルテの話は全く出てきていませんので、カードがあると切れ目のない医療ができ るとの記述はうそです。年金の話はそうかもしれません。これはこういう書きすぎがある と、せっかくの全体のすばらしさが消えてしまうと感じました。  もう1箇所だけ。4ページの左側の上から二つ目の社会保障ポータルがあるというとこ ろです。社会保障ポータルがあると、真ん中を飛ばして、「保険給付適用の手続きを忘れ ていても保険者等からお知らせする」。これは別に社会保障カードがなくても今でもでき るので、何が社会保障あるいはポータルによる新たなお知らせなのでしょうか。あなたは 手続きしていませんよとのお知らせは今でもできると思うのです。別にカードがなくても。 これは何を言いたいのかがよく分からない。その2つです。  今は95%いいのに、ちょっと書きすぎがあることによって信用を失う恐れがあるので 気をつけましょう。そういう趣旨でございます。 ○大山座長  ありがとうございます。今の2つの質問に対する答えがあればですが、ありますか。 ○社会保障カード推進室長  最初の方はおっしゃるとおりだと思います。表現を工夫させていただきます。  それから、2点目の趣旨は、資格確認が容易になるとか、ポータルというか、こういっ たものができれば今よりはお知らせしやすい環境になるという趣旨でこういうふうに書か せていただいています。ここもまた誤解のないように表現を工夫させていただきたいと思 います。 ○大山座長  後の方ですが、例えば中継データベースにあるリンク情報を失効した時点でなくしてし まう、例えば消してしまうというやり方をすると、そこからお知らせすることもできます。 今までは、次の保険者がどこか分からないので伝えられないこともありましたが、そうい うことが可能になる可能性を持っているのではないでしょうか。たしか退職ポータルの検 討か何かでそういう議論を行った記憶があります。例えば民間の健保組合から国保に入る ときに、国保側はいつ辞められたか分からないので知るチャンスがなかったということで す。本人にまず今のような連絡が入れば、国保側で住所が分かっているというような幾つ かの前提はありますが。  すみません、お待たせしました。高山委員。 ○高山委員  今のお知らせに関連するところですが、行政の在り方を見直すためのきっかけとして社 会保障カードはあると理解しておりまして、サービス提供型、情報提供型の行政に変える のだということなのですね。当然、本人からの閲覧という形で本人がアクセスするのもあ るのですが、逆に行政サイドからそれぞれ各個人に働きかけるということがこれからもっ と大事になっていく。  本人にどうやって伝達するかというときに、正しい現住所情報を持っていることは極め て大事なのですね。本人に連絡しようと思っても現住所が分からないために連絡ができな いということがこれまでしばしば起こっていた。現住所管理という点で言えば、やはり住 基ネットが日本では一番整備されている。一番信頼できるところだと思います。それと一 体になること、そういう住基カードと一体になっていくことは社会保障カードの利便性と いうか、本来、期待されたものを実現するために非常に重要なことだと思っています。そ ういう意味では最後の方に書いてありますけれども、まだどうするかという結論は出して いないのですが、一応前提にしてという書き方でいろいろな検討は進むということですが、 この社会保障カードと住基カードを一体化する方向でぜひ検討を更に促進していただきた い。それが1点目です。  それから、もう1つ、そうは言っても転居の届出等を国民のすべてが例外なくやるかと いうと、これもやはり現実的にはそうでない人がどうしても残ってしまう。社会保障カー ドを利用する頻度はそれなりにありまして、特に医療機関の窓口には普通の人だったら年 に数回といくかもしれない。今必ずしもやっていないのですが、将来の検討課題として医 療機関でカードを利用するときに現住所確認をやってもらえないかということなのです。  変更があった場合に直ちにそこで手続きするということは医療機関にとって煩雑で仕事 が増えるわけですから、そこまでは求めません。せめて現住所が正しいかという確認だけ でも医療機関の窓口でやってもらえないか。変わりましたということであれば、住所変更 の届出用紙等を医療機関の窓口に置いておいて、それをしかるべき形で市役所とか地方自 治体の窓口に出してもらう。そのような協力を医療機関にしてもらえないかということも 併せて検討していただきたい。  それから、いずれにしても今話した話はみんな現住所で、連絡をする手段はすべて紙ベ ースで郵便物です。ただ、最近の我々のいろいろな連絡の仕方を見ますと、メールでやり とりする例がものすごく増えています。政府から、あるいは行政の主体から本人にいろい ろな情報を提供する際になぜ郵便を使わなければいけないのか。電子政府の実現というこ ともあり、いろいろなものがこれから検討されると思います。特に電子私書箱という話も あります。  社会保障カードを離れる話になるかもしれませんけれども、国民全員が少なくとも1つ のGメール(グーグルメール)アドレスを持つというようなことをすれば、本人がEメー ルアドレスを申告しておけば、郵便を使わなくても行政からメールで本人に連絡すること ができます。そういうものとカード等を含めて電子政府の実現という方向に向けて更に検 討を進めてほしいと思っております。  最後に、個別の内容に入りますが、読んでいて私自身理解が十分できなかったところが あります。9ページの4の(1)に要件と対策(2)というのがありまして、「正しい閲覧情 報が確認できること」という表現になっているのですが、これは何を意味しているのか、 この言葉だけでは私はよく分からなかった。「正しい」という形容詞があるのですが、こ れはどの言葉にかかってくるのか。閲覧にかかってくるのか。情報にかかってくるのか、 よく分からない。表現としては、閲覧情報の正当性とか、非正当性が確認できることとい う意味なのかなと私は勝手に理解したのですが、このままではどうもよく分からないもの ですから、もうちょっと分かりやすくしていただければと思っています。以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。多分、分けて書けばそうなるのだろうと思いますが、用語を 作ってしまったのですかね。 ○山本委員  多分、2つ以上のファクターをくっつけて正しい閲覧情報と書いてしまっているので分 かりにくいということがあるのだろうと思います。1つは、そもそも画面に表示されてい る情報が正当な情報であることが確認できるということ。つまり保険者のデータベースか ら自分のPCに来るまでの間に書き換えられていないということが確認されることと、も う1つはそれに正しくアクセスされた履歴が確認できること、この2つの意味が入ってい るので少し分かりにくくなったのだと思います。ですから、これは次の機会に修正をいた します。 ○大山座長  ほかにございませんか。どうぞ。 ○稲垣委員  これは質問ですが、20ページの(3)ですが、いわゆるレセプトオンラインについて ですが、23年度からとされているレセプトオンラインですが、これはいわゆる代行請求 というシステムが省令上残るわけです。その医療機関は基本的にはネットワークを介して は請求しないという形で、このようなネットワークがない機関、この方たちがいわゆる手 書きレセで出す方がどのようにして資格情報、その方が医療保険の資格があるかどうかと いうことを窓口で確認するのかということです。  それから、いわゆる保険者番号、患者番号をどうやって入手するのかということ、この 辺を教えていただきたいと思います。 ○山本委員  6章の社会保障カードが使用できない場合の対応の中に記載されているように、仮にネ ットワークを常時使っていてもある時点で使えない医療機関というのは当然存在するわけ ですし、それから導入後、これが例えば社会保障カードを使えますと言ってから実際に社 会保障カードが国民に行き渡るにも数年以上かかるわけですし、もちろん各医療機関の設 備に関しても一気に整備されるわけではなく、おそらくかなり長期間使えないところが残 るということで、その場合の対応を6章にまとめておりますので、今、稲垣先生からご質 問の内容もこれに準じて、つまりオンラインでICカードの機能を使えない場合の保険証 としての利用というのをすることに、具体的には例えばカードホルダーの中に保険証情報 が入っている状況を想定するとか、ないしは作業班で検討しただけで現実性がどれぐらい あるか分かりませんけれども、それ以外の識別子を付けておいて、例えば全く違う方法で 保険証情報を取得できるようにするというふうなことが検討されていますが、現実的には 別紙ないしはカードホルダーを使って社会保障カードは肉眼的にこれが社会保障カードで あるということを確認した上で、そのホルダーの内容を肉眼で見るというふうな形になる のだろうと思います。 ○稲垣委員  今、2つありまして、資格があるかないかというのは現物のいわゆる資格証を持ってい るかいないかという形です。ですから、資格がなくなると回収する。ですから、窓口にそ れをお持ちになった方は基本的には資格があるという形。それから、その上に番号が書い てあるという形で分かるという形です。この2つが今度の場合、例えば社会保障カードが あるから、その患者さんが私は資格があると勘違いされても困りますし、その辺がなかな かまだまだ検討する余地があるのかなと考えております。よろしくお願いします。 ○大山座長  他はいかがですか。どうぞ。 ○岩月委員  こういった議論は、何を一緒にして何を別々にするかという一番最初の部分で、ここに 書いてあるめざましく進歩する情報通信技術を活用し、よりよいサービスを安心して利用 できるようにすることになりますが、今議論がありましたように年金の問題と医療・介護 の問題はやはり別々の側面があると思います。 一緒にしたらもっといいことがありますよというならば、一緒にした方がいいと思います が、是非の議論をしている今の段階においても介護保険と医療保険とでオンライン請求に 使う回線が違ったりしているという現実があります。現に医療機関なり介護保険事業者な りが、別々の回線を用意しなければいけないということが起きています。そのため、こう いう議論をするときには必ず今やっていることを把握し、さらにこの会議の担当は政策統 括でもありますから、局をまたがって、あるいは他省庁もまたがっていても、是非今やっ ていることをもう一度検証していただき、足元から固めた上で、まとめていっていただき たく思います。一番最後の20ページには、新たな投資を極力避けるため、これらの基盤 を活用することが有効であると書いてありますが、現状では難しいという感がぬぐえない ところでありますから、細かいところにもぜひ目を配っていただく必要があるともいます。 そういったことがきれいにまとまったとき、最初のページにありますように、みんなが安 心して使えるようになると思います。  みんなというのは、これは当然関係者も含めてでありますので、ぜひそのように細かい 議論をこれから詰めていっていただきたいと思います。 ○大山座長  ありがとうございます。では、室長から。 ○社会保障カード推進室長  まさにご指摘のとおりというか、そういう問題認識を持っておりまして、冒頭、班長か らご説明をいただいたように、要するに全体最適を目指していこうということで、確かに いろいろ制度ごとの事情があって、こういう仕組みができたとして使い方についてはそれ ぞれの事情に応じてということになると思いますが、こういう仕組みを作る上では全体最 適の姿を見据えた上でいろいろ検討していく必要があるだろうということで現時点の検討 結果をまとめているということで、ご指摘のようなことを踏まえて今後検討を進めていき たいと思います。 ○大山座長  どうぞ、堀部委員。 ○堀部委員  作業班にはいつもながら大変よくまとめていただきましてありがとうございます。改め て御礼を申し上げたいと思います。  今回の検討メモ案でかなり全体像が明確になってきたと思います。まだ検討というとこ ろがいろいろあるので、そこをどっちにしていくのかということはある程度方向性を出し ていく必要があるのではないか。もう少し議論してみないとなかなかすぐに結論が出てこ ないかと思いますが、そういう点で今回の取りまとめというのは中間取りまとめをするに 当たっては大変重要な意味を持っていると思います。  そういう中でプライバシーについて、今まで何回も言ってきていますので、改めて申し 上げるのはどうかと思いますが、いずれにしてもここまでまとまってきますとプライバシ ー、個人情報をどう保護していくのか。これがどういう法的な仕組みとして保護していく のかということが明確になっていかないと、国民、利用者の信頼を得ることは困難ではな いかと思います。そういう点、今後どうするのかということもぜひ議論していただきいと 思います。  今日の中で特に具体化の手法、6ページのところの本人確認ですが、プライバシーも個 人情報も国際的にずいぶん議論になっていますけれども、この本人確認といいますか、ア イデンティティ・マネジメントといいますか、デジタル・アイデンティティ・マネジメン トというのは国際的にもかなり大きな議論になっていまして、私はそれを専門にしている わけではないのですが、実際に議論にもある程度かかわっている立場からしますと、国際 機関でもいろいろなところで議論をしていますし、どれがいいのか、なかなかまだ明確に これだというのはないようですし、この検討メモで出ているのでもかなりのところ本人確 認は可能のように思いますが、幾つか意見が出ていますように、どれがいいのかというの はまだこの段階でなかなかこれでというふうには意見を申し上げる立場にはありません。  いずれにしましても、そういう国際的な動向も踏まえていく必要があるのではないか。 これについて申し上げることはいろいろありますけれども、そういうことで進めていく必 要があろうかと思います。  もう1つ、先ほども高山委員からも出ましたが、19ページ以下の既存の制度との関係 で、これもときどき言っていることですけれども、住基カードとの関係はここで従来より も明確になってきたかと思いますし、2回前だったでしょうか、そもそも目的が違うので どうするのかということで、この検討になると総務省の方でやることになると思いますが、 今回も19ページの中ほど、(1)の2つ目のマルのところに現在の仕組みとの関係で住 基の場合はこうなっているというのがありますので、そこをどうするのか。これも総務省 としても決断の時期ではないかと思うので、そこが検討されないといつになってもここで どうするのかというのがはっきりしないままになります。大山座長と一緒にかかわってい るところなものですから、是非そこはできるだけ早い時期に検討をして、こういうことも 総務省として、住基カードについては考えられるのだということを明確にしないと、なか なかこちらの議論がそこのところと一緒にならないということになると思います。是非そ の辺りは検討をしていただきたいと思います。以上です。 ○大山座長  ありがとうございます。さっきの山内さんのお話からすると相思相愛に聞こえますね。 望月さんから何かあればどうぞ。 ○望月住民台帳企画官  総務省の望月でございます。今、ご指摘がございましたが、19ページのところで住基 カードにつきまして幾つかの課題があるというご指摘をいただいておりますので、総務省 としましても例えば市町村がICカードを発給する。社会保障カードと住基カードを2つ 別々に発給するということは国民経済的に極めて無駄が多いという認識でおりますので、 できるだけ積極的に検討してまいりたいと思っております。  あと、個別の議論になりますが、今、課題の中で一番上のところ、市町村をまたがる住 所変更の際には住基カードの再発行が必要になる、この点につきましては社会保障カード どうこうというよりも、その住基カードそのもののメリットとしまして転出転入手続きが 簡素になりますと打ち出しております一方で、転出してしまうと失効してしまうというこ とになりますので、結局、メリットが今1回きりだということになっております。ここは 住基カード固有の問題として是非改正をしていきたいというふうに考えているというとい うところでございます。 ○大山座長  ありがとうございました。何かほかにございますか。それでは、後藤委員どうぞ。 ○後藤委員  何点か気が付いたこと、あるいは質問も含めて申し上げたいと思います。まず最初に山 本先生をはじめ作業班の皆様には大変精力的に取りまとめていただいてありがとうござい ました。  おそらく作業班の中でのご検討の中では見えておられるところなのでしょうが、例え ば現状の中での問題点を幾つか指摘されておられますが、この辺りについても数字でお示 しいただきますと、もう少し国民全体が分かりやすくなるのかなと。細かい話で恐縮でご ざいますが、膨大なレセプトの処理がされているわけですけれども、その中で保険者から 医療機関にその資格とぶつからないということで返戻されるレセプトが年間でどのぐらい あるのかということが明らかになりますと、そこの部分が今回の社会保障カードの仕組み で改善されるということの効果も見えてくるのかなと感じたりしております。この辺りご 検討いただければと思います。  2点目でございますが、社会保障カードの実施に伴ってほかにも関連する制度の改正と いいますか、改革といいますか、そういうことが必要があるのかどうかということも併せ て触れておく必要があるのかなと考えます。例えば年金の番号は1人1番号でございます けれども、健康保険の番号というのは基本的にはまだ世帯単位であったかという認識をし てございます。この辺りについて、例えば健康保険の番号も1人1番号にすることが望ま しいのかどうかということの議論、検討が実際にされているのでしょうか。そういうこと が1つございます。  大きな制度の前提を変えるところがあるのかないのか。これは今後の議論のところで、 ここを変えないで議論をするのだというところを明らかにしておくことも必要ではないの かなと思っております。  それから、やや細かな話になるのですけれども、社会保障カードの中で年金と健康保険 を中心にした機能の統合ということですが、例えば年金に入っていなくて健康保険に入っ ている方が外国人の方などでいらっしゃるわけです。そういう方はどうするのか。  それから、公的個人認証の利用ということを1つ前提にしようかという案で検討してお られるわけですが、これも公的個人認証というのは現行ですと、制度的にはいろいろなカ ードが使えるという枠組みにはなっているのですが、実際には住基カードでということに なっていますね。そういう意味でいいますと、住基カードを持てる人というのは日本に住 んでいるすべての人ではないということが1つございます。  あるいは、住民基本台帳の制度として、そこのところにお住まいでいらっしゃらないこ とを自治体が確認をすると住民基本台帳の記録を抹消するという仕組みもあるわけで、そ こが戸籍の人口と住民基本台帳の人口でかなり大きな差、100万人のオーダーでたしか違 っているわけですけれども、そういう問題をどこかで認識しておく必要があるのかと思っ ております。  それから、これも先ほど池上委員がおっしゃったことですが、市町村にとってもシステ ムの改修は必ず伴うわけです。これは約1,800の自治体でそれぞれほぼ個別のシステムだ という状況がございます。この辺りを含めてのコスト的な見通しということも議論のどこ かでは必ず必要になってくるのかなと思っております。  最後に資料の9ページでいわゆるアクセス記録の保存とか開示の問題が触れられていま す。これは大変重要な問題だというふうに認識はしているわけでございますが、一方でこ れをシステム的に実現するのは、システムを作る側、自治体のシステムのことを考えます と、大変負担が生じる取組みです。実際に手間やコストがかなりかかるというところで、 これもバランスの問題も1つあるのかなと考えます。あるいはアクセス記録といいまして も、例えばいわゆるオンラインでのアクセス記録だけになるのか。バッチ的な処理をした ときのデータのアクセスの記録は技術的にも非常に難しい部分があろうかなと思っており ます。この辺りの認識をした上で議論をしていくべきではなかろうかなと思っております。 長くなりましたが、以上でございます。 ○大山座長  今後引き続き検討する中で忘れてはならない大事な点をいろいろ指摘いただいたと思い ます。幾つか答えられるところはありますか。 ○社会保障カード推進室長  各論というか、若干ずれたお答えになるかもしれませんが、まず最初に申し上げたいの は、今いろいろご指摘いただいた点は今後の検討に反映させていきたいと考えております。  とりあえずは現状ということで申し上げますと、今日の議論でもいろいろなご指摘がご ましたが、要するにカード構想ではどういうことができるのか。あれもできるのか。これ もできるのではないかというようなご意見もある一方で、もう一方で非常に漠然としたプ ライバシー侵害というものに対する不安というのがある。そういう中でこの議論はだんだ ん詰めていって、具体化に近づけていくためには、やはり仕組みを見せないといけないだ ろう。仕組みを見せることによって、要するに何ができるかというのは仕組みに当然依存 するわけでありますし、その仕組みを見たときにそれが本当に安心、安全なのかどうかと いう課題も見えてくるということで、今回、仮定であり、かつ大まかではありますが一定 の姿を整理していただくことで、それを見ていただいて、いろいろな方々からご指摘なり ご提案をいただくことができるのではないか。そういうことを踏まえながら、先ほどご指 摘いただいたような点も含めて議論を深めていただきたいと考えているところでございま す。  あと、医療保険の番号の話はご指摘のように枝番のような形になっているようですが、 制度内の番号についてはとりあえず現時点の検討としては、まずは制度内、制度間での加 入者特定が必要だと。社会保障制度をまたがった形で本人を同定しないとこういう仕組み は成り立たないということで、その部分についてまず検討しているということで、その先 をどうするのかというところについては、今後検討していきたいと考えております。 ○大山座長  ありがとうございました。もう少し時間がございますが、いかがでしょうか。どうぞ、 中川委員。 ○中川委員  途中から委員に加わった立場から申し上げますと、まずこの検討は年金記録問題から始 まったということを再認識しなければいけないと思います。今の議論は年金・医療・介護 一体化して社会保障カードとしてやるのだというふうになっていますが、技術論に終始し ているような気がしてなりません。大江先生がさっき指摘されたようにこの社会保障カー ドを導入したときのマイナスといいますか、問題点ですが、これは想定されることを徹底 的に全て出して、そこでどうかという議論が必要だと思います。社会保障カードを導入し たときの利点ばかりが目立っていて、省庁横断でやっているという形ですが、主たる省庁 の厚生労働省は少し失敗を恐れてほしいのです。いいことばかりを強調して急いで前に進 んで失敗しましたでは取り返しがつかないと思うのです。新たな混乱を現場で起こす可能 性もあるのですから。やはり技術論に終始しないで想定されるマイナス面をぜひ整理して 出していただきたい。特に現場に即したものを出していただきたいなと思っています。 ○大山座長  ありがとうございます。辻本委員。 ○辻本委員  同じ趣旨の意見になるかもしれませんけれども、まず1つは作業班の方がこうしてまと めてくださったことで、私でも本当によく理解できるようになったということで、心から お礼を申し上げます。しかし、それでもやはり専門用語がまだまだたくさん入っています。 例えば「耐タンパ性を有するから安全性が高い」と言われても、どうしてなのかよくわか りません。メガデータベースといわれてすぐに分かる人が国民の何割なのか。あるいは、 アクセスログという言葉など、まだまだ専門用語が羅列されておりますので、その辺りを もう少し解説するぐらいの丁寧さをしていただけるとありがたいと思います。これは作業 班へのお願いでいいのか、今後これを国民への中間報告として発表する厚労省へのお願い ということでいいのかはご判断願いたいと思います。  まずはお礼を申し上げたかったこと。それから、今の中川委員のご意見にもございまし たけれど、広報についてです。後期高齢者の議論の途中でなぜ国民への情報を提供しない のかということを聞くと、まだ中味が煮詰まっておりませんからということをよくよくお っしゃっていました。でも、この社会保障カードもおそらく100%とは言わないまでも頓 挫することはないであろう。進んでいくであろうという新たな社会システムであることを 考えると、やはり国民としては心の準備ということも必要になるわけです。  先ほど仕組みを見せることが必要だということをおっしゃっていただいたのですが、1 つはこの中間報告的なものをメディアに投げるときに、もう1つ加えていただきたいのは 国民ヘのメッセージ、国から国民にメッセージがあるはずだと思います。そういったもの を付記していただきたいことと、こういう予算があるのかないのか分かりませんけれども、 市町村役場に行った私たち地域住民が、3年後にこういうものが始まるのねということが、 それこそ見える化です。可視的にポスター等があったりとか、そういったことがもうそろ そろ始まっていいのではないかという時期に来ているように私には思えてなりません。そ の辺もぜひご考慮いただきたいということをお願いしたいと思います。 ○大山座長  ありがとうございます。非常に重要な点をご指摘いただいたと思います。今の件につい ては何かございますか。 ○社会保障カード推進室長  ご指摘のように用語の解説ですとか、国民に幅広く説明をするとか、知っていただく機 会を増やしていくことは必要だと認識しておりますので、そのとおり取り組んでいきたい と思います。 ○大山座長  予定の時刻まであと10分ほどですが、もう一方ぐらい、もしご意見があればお受けし たいと思いますが、いかがでしょうか。  よろしいですか。  それでは、予定の時刻が近づいてまいりましたので、もし追加のご意見等があれば事務 局までメール等でご提出願えればと思います。  最初に申し上げた件で繰り返しになりますが、今日の議論をしていただいた目的は、現 時点で検討会として一定の結論を得ているものではありませんが、節目、節目で検討状況 を整理し、公表していくことが必要と考え、全体像を粗々でもお見せしご議論いただきこ とでした。次回以降は、本年1月の報告書以降のこれまでの検討結果をまとめることとし たいと考えています。いただいた皆様のご意見を踏まえまして、今回の資料を文章化して いく作業をお願いしたいと思います。  それでは、次回の予定につきまして事務局から説明をお願いします。 ○事務局  本日の議論を踏まえて資料の文章化等を行っていきたいと思いますけれども、近いうち、 今月中を目途に次回の検討会を開催させていただきたく、日程の調整をさせていただきま すので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○大山座長  今の事務局からの説明にご意見、ご質問はございますか。  事務局からあと何かございますか。  よろしいですか。  委員の先生方はいかがでしょうか。よろしいですか。  統括官、何かございますか。よろしいですか。  それでは、これで第9回社会保障カードの在り方に関する検討会を終了いたします。本 日はお忙しい中をありがとうございました。閉会いたします。     (以上) 【照会先】   厚生労働省    政策統括官付社会保障担当参事官室    社会保障カード推進室      電話番号 03−5253−1111(内線2244)