08/07/30 第6回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会議事録 第6回 ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する 労働者ばく露の予防的対策に関する検討会          日時 平成20年7月30日(水)          10:00〜12:15          場所 三田共用会議所大会議室 ○化学物質対策課企画官 定刻になりましたので、ただいまから、第6回ヒトに対する 有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会を開 催します。本日の検討会は、公開で行いたいと考えています。よろしくお願いします。  本日は小西委員と大前委員がご欠席です。まず、配付資料の確認をさせていただきま す。配付資料の一番上が本日の座席表になっています。1枚めくりますと本日の議事次 第です。資料1は前回も出している資料ですが、さらに検討会における検討課題として 取りまとめたものです。資料2は前回の検討内容について取りまとめたものです。6頁 のイ「密閉構造とすべき箇所及び要件」まで議論が進んでいました。本日は、7頁のウ 「局所排気装置を設置すべき場所及び要件」、これ以降についてご検討いただきます。説 明が重複しますが、イ「密閉構造とすべき箇所及び要件」のところまで、前回の委員方 のご議論を項目として取りまとめたものです。  参考資料1は、今年2月の厚生労働省の通達です。参考資料2は、前回出していて、 これを参考にしてご検討していただいたところですが、各検討課題ごとに外国のガイド ライン等の内容を参考として取りまとめています。参考資料3は、検討課題の中にあり ます労働安全衛生法上の取扱いでのご議論の参考にと作っています。化学物質の概念等 について労働安全衛生法上の取扱いをまとめています。  以上、資料のご説明をさせていただきました。  本日は資料1の検討課題に基づいて、前回に引き続き、各項目ごとに順次ご検討をお 願いします。前回と同様にご検討の参考として、外国のガイドライン等の内容を記述し た参考資料2を用意していますので、取り上げたほうがよい内容、要らない内容、参考 資料には書いていないが必要な内容等を挙げていただければよろしいのではないかと思 います。では、以降の議事進行については、座長によろしくお願いしたいと思います。 ○福島座長 おはようございます。それでは、私がこれから進行を務めさせていただき ます。前回に引き続いて、労働現場におけるナノマテリアルに関する対策について、今 日は検討していきます。委員の皆様から貴重なご意見をいただいて、充実した内容にし たいと思いますので、よろしくお願いします。  先ほど、化学物質対策課企画官から資料2について説明がありました。本日は、7頁 のウ「局所排気装置を設置すべき場所及び要件」以下について検討しますが、4頁の3 「検討すべき対策事項」(1)「作業環境管理」ア「ばく露状況の計測評価」、ここの作業 環境管理がペンディングになっていたと思います。これに関して内容を見てみると、測 定の項目としてサイズなのか重量なのか、いろいろなことが出てまいります。したがっ て、このペンディングしたところは後に回します。今日は後にやはり、サイズや重量、 測定項目などが出てきます。その辺りで一括してやりたいと思います。したがって、今 日は資料2の7頁、ウからまず始めます。  それともう1つは、前回議論していただきました内容を化学物質対策課企画官にまと めていただきましたが、これに関しても、全部終わってから、全て揃った時点でもう一 度検討することにします。そのような順序でいきたいと思います。化学物質対策課企画 官から追加の説明があったらお願いします。 ○化学物質対策課企画官 追加ということではないのですが、資料2の7頁、「局所排 気装置を設置すべき場所及び要件」のところから本日の検討に入ることになるかと思い ます。検討に当たっては、参考資料2の7頁、ウ「局所排気装置を設置する場所及び要 件」として、NIOSH等の記述事項を前回と同じように挙げていますので、参考資料2 の7頁からご覧いただきながらご検討してもらうのがよろしいのではないかと思います。 ○福島座長 前回と同じように、参考資料2を見ながらご議論していきたいと思います。 必要な内容、盛り込むべき内容、さらに参考資料に書いてありませんが、こういう内容 については盛り込んでもらいたいという意見をお願いしたいと思います。それをまとめ まして、先ほど言いましたように、もう一度議論ないし事務局の案づくりにして、また 最終的にそれを議論していただくという形になります。  これから入りたいと思います。ウ「局所排気装置を設置すべき場所及び要件」です。 ○化学物質対策課企画官 その前に前回の宿題事項についてご説明したいと思います。 前回、事務局で検討するようにと宿題事項になっていたのが、製造作業工程にはどうい った工程があるかと、その工程ごとにどういうところがばく露の可能性があるのか。そ れから、懸濁液と混ぜる混練作業が製造・加工装置への投入に含まれるのかどうかを、 ご専門の委員にお聞きしてまとめるようにということでしたので、その作業を行ったと ころです。甲田委員と小川(順)委員にお聞きして、取りまとめています。資料2の2 頁、上から2つ目の○からです。ナノマテリアルの製造・作業工程は、製造、荷受け、 原材料や製造の秤量、装置への投入(樹脂等との混練や原材料等の投入等)、それから製 造・加工装置からの回収、容器などの移し替え(原材料の投入、中間品の移し替え等)、 装置や容器の清掃・メンテナンス、その他となる。  それから次がナノマテリアルの混練作業(懸濁液と混ぜる)は、製造・加工装置への 投入に含まれる。次が、各作業工程において労働者のばく露の可能性がないとは言えな い。(独)労働安全衛生総合研究所によるアンケート結果においても、製造及び荷受けの 工程では若干低くなっているが、全ての工程でばく露の可能性を感じているところであ るとなっています。  (2)「ばく露発生の可能性の評価に基づく対策のランク分け」の2番目の○です。ナ ノマテリアルの状態(液体、液体中の分散状態、樹脂等の固体に練り込まれた状態等) によりばく露の状況がどのように異なるかについては、ばく露量の測定方法にも関連し、 又、個々の作業内容にもよるため、具体的な数値を提示することは困難であるが、液体 に分散され、かつ、蒸発して気中に放出される可能性を抑えた場合や樹脂等に練り込ま れバルク材料に固定化された状態では、その取扱いにおけるばく露リスクは極めて小さ くなるものと考えられる。ばく露リスクの高いと考えられる粉体の取扱いとの対策の区 別等については、以降の検討課題として議論されることを希望する。  3頁上の○、ナノマテリアルの取扱量による対策の選択については、取扱いの内容に よって、ばく露量が異なるため、取扱量、あるいは、取扱量×取扱回数だけをもって対 策を選定することは困難と考える。一方、大規模なナノマテリアルの生産プラントと実 験室レベルの取扱いを同一の基準で運用することも困難が伴うと考える。例えば、欧州 のREACHが設定しているガイドライン、「新規物質登録:1トン/1年以上は、technical dossier、10トン以上はchemical safety report」などを参考にしながら、今後の検討課 題として議論されることを希望する。  次の○は、ナノマテリアルの取扱量による労働衛生対策の差別化については、議論の あるところだと思う。1つの考え方として、(1)年間の生産量が1トン以上の企業、(2)年 間の生産量が10キログラム〜数百キログラムの企業、(3)年間の生産量が数キログラム 以下の企業、という分け方もあると思う。(1)はナノマテリアル専用の巨大な生産プラン トを設置している企業、(3)は実験室レベルの企業、(2)はその中間であろうか、というよ うなご意見でした。  混練作業は製造・加工装置への投入に含まれていることと、各作業工程で、強弱があ るとしてもばく露の可能性があるので、どこが一番危険だとは一概に言えません。ナノ マテリアルの取扱いについては、取扱いの内容によっていろいろばく露量も変わってく るので、一概には言えないことも、やはり取扱量の多寡によって、対策については強弱 を考える必要があるということです。以上です。 ○福島座長 ありがとうございました。甲田委員と小川(順)委員からこのようなご意 見をいただきましたが、何か追加はありますか。 ○小川(順)委員 大丈夫です。 ○福島座長 いいですか。ほかの委員方いかがでしょうか。 ○庄野委員 今の説明のナノマテリアルの取扱いによる対策の選択云々の話の中で、例 えば欧州のREACHが設定しているガイドライン、1トン以上、10トン以上云々の記載 があります。しかし、REACHにおける、1トン、10トン、100トン、1,000トンとい ういわゆるトンネージバンドですが基本的にはこのトンネージに基づきデータの要求項 目が異なってくることとしています。すなわち10トン以上はリスクアセスメントに関 わるレポート、保護策が必要になっており、トンネージによってリスクが高くなること を一応想定し情報要求項目を増やしていく考え方になっていると思います。ここでのナ ノマテリアル取扱量における対策というのはこの観点から見ますと、REACHに関して は、製造量の増加がリスクとリンクしこれにもとないデータの要求事項を増やしていく ことによって、詳細化していく部分がありますから、これがナノマテリアルの安全衛生 対策の差別化とリンクできるのかというと、必ずしもそうではないのではないかと思い ます。むしろ、REACHのこのトンネージバンドの設定については、化学物質に関して の基本的な情報の要求のベースですから、ナノマテリアルもう少し枠を広げて、OSHA のスタンダードなども踏まえて考えてみたらどうかという気がします。 ○福島座長 そうしますと、その下のナノマテリアルの取扱い量による労働衛生対策の 差別化についてはということで、1トン、10トン、などという分け方をしたのですが、 これとの関連はどうなのですか。 ○庄野委員 実はそこのところが、いわゆる化学物質の管理と同じでいいのかどうかで 若干疑問があるのです。あくまでもこのREACH等のいわゆるトンネージバンドの考え 方というのは、データ、インフォメーション項目を増やしていこうという考え方がベー スにありますので、それとこれが必ずしもリンクするのかどうかは、確かにわからない。 ただ、生産量が増える。あるいは、流通量が増えるということでのリスクが拡大すると いうのは事実ですから、その考え方をいかに労働作業環境の設定の中で、対策の中で具 現化できるかが1つのポイントだと思います。 ○福島座長 わかりました。甲田委員いかがですか。 ○甲田委員 いまのところは私が書いた気がするので補足させていただきますと、 REACHの考え方をストレートに具現してこういう形で、トンとかキロという形でやっ ているわけではなく、これはあくまでも生産現場の中での製造設備の架体というか大き さといいますか、そういうものを前提にした労働衛生対策ということです。例えば、ダ クトチャンバーの中で非常に小さい荷を作っているのと、非常に大きいのとは当然違っ てくるだろうと。そういう後々製品が流通して、社会的に例えばどういうところで消費 され、廃棄されていくかを考えているわけではありません。あくまでかなり小さい所が 非常に労働衛生対策と、安全対策を含めてですが、そういう中でのやはり考え方ですの で、あまり混同されるとかえってわかりにくくなるような感じがします。 ○福島座長 そういう意味でいうと、この下のほうの量によって1、2、3と分けてあり ますが、そのような考え方で対応していくのでよろしいですか。 ○甲田委員 同じ労働衛生管理はそれでいいのではないか。 ○福島座長 ほかの委員方いかがでしょうか。 ○庄野委員 今の考え方は、決して間違っていないと思います。我々は、常にリスクは 量×ハザードのポテンシャル、そういう考え方を相対的に考えますので、私はもちろん 数量的なメルクマールも1つのポイントだろうとは思います。しかし、これだけではな くてという部分もあるのではないかと私は思いますので、それを考えるようなシステム が一番本来は望ましいのではないかという気がします。 ○福島座長 確かにそうだと思います。そうだとは思いますが、現実問題としてどうし てもやはり量というものがまず一番大きく出てくるのは事実だと思います。そしてさら に、そこにどういうαのファクターを掛けていくかになってくると思います。ほかにご 意見ありますか。 ○明星委員 単に質問ですが、そこの部分で、量で差別化をするという話の展開で、最 後にコントロールバンディングは簡易的なリスク評価手法であり、あまり推薦できない という、何かずうっと積み上げてきて否定しているように感じるのです。そのように読 み取れます。 ○福島座長 ここのところは加わったのですか。前からあったことですか。 ○化学物質対策課企画官 これは前回の議論にもあったのですが、リスクアセスメント は必要だろうというご意見がありまして、それは、その1つ前のところの対策に当たっ ては、当然リスクアセスメントを踏まえて実施することになるのではないかというお話 がありました。  下のコントロールバンディングについては、簡易的な手法であるということ。それか ら、専門的な人がいない、中小企業ですから。そういうところで行われるのに適した方 法である。そのような理由から、本来的にはリスクアセスメントを実施すべきであって、 簡易的なコントロールバンディングを推奨するのはいかがなものかというご発言があり ました。 ○福島座長 明星委員どうぞ。そして次に唐沢委員どうぞ。 ○明星委員 それはそのとおりですが、ここの話の流れでは、最後の部分は矛盾を来す かなと思いました。 ○唐沢委員 確かにこれは私が発言したので。ここにパッと出てくると違和感があるの だろうと思います。先ほどの企画官のご説明のような趣旨で申し上げたわけですから、 この位置におくのが最適かどうかは、また全体をご覧になっていただいて、整理してい ただければと思います。 ○福島座長 またほかのところに、これが適するところがあったら、そちらで採用して 入れてもらうことにしたいと思います。ほかにはよろしいでしょうか。 ○名古屋委員 前回、休んでわからなかったのですが、ナノマテリアルの製造工程の中 に荷受けという作業が入っています。荷受けというのは、材料をそのまま、梱包された まま入っているのは荷受け、この作業でばく露の可能性は、たぶんこれは購入するとか、 パイプラインで排水する。荷受け作業はここに入ってくるものなのですか。どの製造業 でも入ってくるのですが、荷受け作業という一般製造工程の中に入ってくるのとはちょ っと違う概念かなと思いました。 ○甲田委員 基本的に荷受けの作業は、1つは事業所の調査するときに、ナノマテリア ルを製造しているメーカーも入ってきますし、ナノマテリアルを購入して、それを使っ て加工しているメーカーも入っています。ですから、後者においては、外から買ってき たり、ナノマテリアルを自分のところで買ってきて荷受けをしている。それを製造工程 の中でセッティングしていくという工程がありますので、そういう意味でこれを入れて います。 ○名古屋委員 普通の原材料と同じ扱いですか。 ○甲田委員 そうですね。 ○福島座長 ほかによろしいでしょうか。そうしますと、ここのところは議論を終えま して、先ほど申しましたようにペンディングにした項目については、後回しにさせてい ただきます。7頁のウ「局所排気装置を設置すべき場所及び要件」について検討してい きたいと思います。盛り込むべき内容、それから必要な内容、またここに書いていない が、こういう内容は、やはり検討の結論として盛り込みたいというのがあったら、ご発 言をお願いしたいと思います。比較的盛りだくさんあります。できるだけ濃縮したディ スカッションをしていただきます。積極的にご発言をお願いします。  設置すべき工程、場所ということで、こういう内容、この文章そのものを取るわけで はありませんが、こういう内容について検討してもらいたいと事務局で出してもらいま した。6項目くらい書いてありますが、いかがでしょうか。唐沢委員か、名古屋委員、 その辺でご意見がもしありましたらお願いします。ここのところは、現在の通達では、 現製造設備は原則として密閉構造とすること、ただしこれが困難な場合においては局所 排気装置を設置する。こういう2つのキーワード、密閉構造、それから局所排気装置の 設置と2つあります。 ○名古屋委員 ちょっとお聞きしたいのですが設置すべき工程と場所というのは、先ほ ど2で議論になりましたナノマテリアル製造・作業工程で取り上げられていますので、 そこに局所排気装置を設置するという考え方からきているのですか、それとも設置すべ き場所はどういう所に設置しなければいけないかを議論するか。それとも、ここに書か れている、工程の中でどういうものを設置したらいいかと。理論的な根底はどこですか。 ○化学物質対策課企画官 通達を作るときの考えは、製造装置についても、加工装置に ついても、基本的には密閉化していただくと。ただ、密閉化できない箇所については局 所排気装置を設置していただくという考え方でいちいち接しております。 ○名古屋委員 たぶん、密閉するのが一番理想的で、何の問題もないのですが、逆に、 密閉されない場所はどこかを詰めていったほうが早いと思いますが、そこはどうなので すか。 ○化学物質対策課企画官 そこは具体的には挙げておりません。 ○名古屋委員 今日はそこを議論すればいいのですか。 ○化学物質対策課企画官 はい、そういうことになります。あと、基本的な考えとして、 先ほど申し上げたような感じでよろしいかということです。 ○名古屋委員 いや。だから、局所排気というのは、ばく露されないために密閉するこ とは一番いいことで、間違いないですね。それに関して何の異論もないのだけど、そう ではない工程はどこにあるのか、そのときは外付けに掛けるのか、要するに外付けの局 所排気装置で間に合うかどうかです。そうすると、密閉できない所は工程的にどういう 所なのか、いまここで、現場を知っている方々が議論されて、ここはやはり密閉できな いと、そこについては局所排気装置は何をつけましょうか、ということでよろしいです ね。 ○化学物質対策課企画官 はい。 ○福島座長 先ほど名古屋委員からも質問を受けましたが、資料2の2頁の(2)「作業工 程が云々」とありますが、名古屋委員が言われるのは、これ以外にも、さらにどこにあ るかということで書いてあるわけですか。 ○名古屋委員 いや。例えば製造している所は、たぶん医療機器の製造をしていれば問 題ないのですね。荷受けだったら、荷受けの所は、どういう形で持って来るかで全然違 いますね。要するに、袋詰めを持って来て、完全に密閉されて、パイプラインとか、そ ういうものも密閉されていれば、そこは……とは言いませんね。あとは原材料の秤量の ときは、個別に秤量するときは秤量者がいますから、そこで、例えばするのか、あるい はコンデンスそのものでも自動秤量できますから、そのときは設備は密閉化されている から被災しません。そうすると、どういう所でやるのかは、やはり現場を調べて、向こ うへ行ったときに、密閉ができない所がある。具体的にどういう所があるか、場所を指 示していただいたほうが。 ○福島座長 そしたら、それは事務局へ一遍相談していただいて、そこを加えることで お願いできませんか。今日いちいち挙げていると時間を取ってしまいますので。ここの 困難な場合においてはという、困難な場所はどこか一遍調べておいていただきたいと思 います。お願いします。 ○化学物質対策課企画官 わかりました。 ○福島座長 それと関連することですが、8頁目の一番トップに、いろいろな材料を扱 う所はそこに書いてありますね。そうすると、ここら辺の所もやはりきちっとしておく ことが必要ではないかと思います。  いま名古屋委員から提言があったことは、8頁目の1番目の○のそこにも引っかかっ てくることだと思います。ここにも細かく書いてありますが、何か他に追加事項はない かということにもなってきます。 ○唐沢委員 ただいまの所、「局所排気装置を設置すべき場所及び要件」です。ここに書 かれているのは、局所排気装置はできるだけ囲い式フードが望ましいということで、こ れはこれで結構だと私は思います。プッシュプルタイプの局所排気装置ですが、これは NIOSHの資料でも言及はされていなかったので、現時点ではナノマテリアルについて プッシュプルタイプの局所排気装置の1つとして位置づけるとしても、それは一応考え なくてもいいということでしょうか。その点を教えていただければと思います。 ○福島座長 専門の委員。 ○名古屋委員 確かに囲い式のほうが良いのですが、装置そのものを囲い式にするのは 大変です。経費はかかるが、プッシュプルのほうが、当然作業性が良いと言われている。 囲い式なら年寄りにも向いている気がします。だから、費用の点で難しいですが、作業 者に良い、作業性を阻害しない形から考えると、囲いシールはどうしても囲いの中に入 ってしまいます。そうすると、装置が大きいとなかなか囲い式そのものにできないかも しれない。でも、プッシュプルだと、ある意味小型でも大型でも対応できる可能性があ った。その可能性を残すという意味で、プッシュプルにできるかどうかです。 ○福島座長 私は知りませんが、費用的に、もちろん密閉構造とはまた別ですけど、そ のプッシュプルにするのは相当コストがかかるのですか。例えば企業に負担がかかると か、そういうものですか。メリットとリスクの関係で、どのように考えていったらいい かということになるかと思います。 ○名古屋委員 大きさによるのではないかな。わかりませんけど、囲い式でも高いもの もあるし、プッシュプルでも流量比だけだから安く上がるかもしれないです。逆転する ことだってあります。費用の点は何とも言えません。ただ、やはり排除するのではなく て、良い方法があるのだったら、そこへ入れておいたほうがいい。 ○福島座長 わかりました。甲田委員、どうぞ。 ○甲田委員 実際は、結果からですが、この中では利用されていないのです。囲い式、 プッシュプル、いくつか出てきたのですけど、現実的には全体換気装置のみで対応して いる。そういう所がかなりあります。これは先ほど言った、いろいろな設備によるのか もしれません。もしくは物質によるのかもしれません。その辺の所をどこかで議論して おく必要があるかという感じがします。ですから、先ほど、作業の洗い直しとかいうよ うな形、どういう所でそういうものが必要なのかという議論をするときに並行して、オ ルタナティブとしての全体換気装置は有効かどうか、また、それをどうやって確認する のかという議論も必要だと思います。 ○名古屋委員 ここは先ほどペンディングになった測定法が出てこない。測定法が出て こないと無理ではないかと思います。要するに、局所排気装置に必要な評価をするため に測定法が出てこないといけませんね。全体換気でオーケーなのか。では、局所排気装 置は何を使うかというと、有効手段としては測定法をどうするかによって、このときは 局所排気装置の輸送部付式でも十分ですというのはどのレベルなのか、それで駄目だっ たらプッシュプルがあるという形になるから、そこの所の確認は、やはり測定法がきち んとついてこないと評価ができないのではないかと私は思います。 ○福島座長 わかりました。そしたら、ここの所のいまいただいた意見は、これはこれ として、後のほうでまた出てきますので、そこの所とまとめて議論したいと思います。 よろしいですか。  いま、設置する工程と場所等ということで議論していただきました。あと、8頁の10 行目ぐらいの所に「維持管理」という項目があります。そこに2つ、事務局のほうで用 意していただきましたが、ここについては、やはりこれはこれで。通達では「局所排気 装置を設置した後は定期的な保守点検を行う」ということですが、先ほどの、いろいろ なオルタナティブな方法、それも含めてここの所も後に回したほうがいいですか。どう ですか。名古屋委員、そこら辺はどうですか。 ○名古屋委員 いや、これは。 ○福島座長 これはこれでいいですか。 ○名古屋委員 局所排気装置の設置の後の保守点検は、当然ついて回りますから。 ○福島座長 わかりました。他にはよろしいですか。  エの「排気における除じん措置の方法」についてご意見をいただきたいと思います。 基本方針ですが、通達では、局所排気装置の屋外への排気口には高性能フィルターを設 けること、という構図になっております。その他、Baua、NIOSHと、意見を書いたも のがここに記載されております。甲田委員、名古屋委員、それから、明星委員、他の委 員方、いかがでしょうか。唐沢委員、どうぞ。 ○唐沢委員 HEPAフィルターについて、NIOSHとかBauaと、ニュアンスが違って いる部分があるので、現時点で結論が完全に出せないにしても、性能限界としてはこう いうことがあるので、それを念頭に置くことを書いておいたほうがいいかという気がし ます。 ○福島座長 すみません。もう一度ご説明してください。理解できなかったのですが。 申し訳ありません。 ○唐沢委員 HEPAフィルターについて、1桁のナノ粒子についてはむしろ熱反発が起 きて、透過率がよくなるという記述が部分的にあるのです。それはまだ定説にはなって ないのですが、その意味で、HEPAフィルターならば絶対安全だと受け取られるのは警 戒したほうがいいという感じがしているので、その辺のコメントを入れておいたらいい かと思います。 ○福島座長 そうすると、通達のときの「高性能フィルター」の高性能とはどういう意 味のフィルターですか。 ○名古屋委員 実際に現場へ行って測ってみると、HEPAがついていると、例えば、ナ ノ粒子が漏れているか測るときに、1時間測ればいいのかといったときに、24時間取っ ても見えないときがあると思いますが、その時間があるので、だから、ここは難しいの かと。HEPAではなくて、他の高性能の成分、普通の所でも十分。捕集の所、バグの0.3 ぐらいはいちばん取れませんから、それより低い粒子だとたくさん取れる可能性がある から、どうなのだろう。単体の粒子でくる場合はそうだけど、ほとんど凝集してくる場 合は24時間で結構取れます。そうすると、やはりその高性能の所というのは、何を使 えばいいのか、どの粒子に対してどのぐらいの捕集率があるかが必要ではないか。そう いう所で、その高性能はなかなかしんどい。HEPAと限定するのもなかなかしんどいし、 ちょっと難しいという感じです。 ○福島座長 明星委員、いかがですか。 ○明星委員 2つ、考えなければいけないと思います。1つは、実験室レベルでHEPA フィルターをつける。これはうちでもやっていますが、可能なのです。それで、その HEPAフィルターの性能については、私は信じています。ナノ粒子に対しても捕集効率 は十分出ると思いますが、問題は、もっと大きい生産設備になった場合、企業の方もお られますけど、HEPAフィルターはついていないと思います。普通はバグフィルターが ついています。それがナノ粒子をどうかという問題はまるっきりわからないです。では、 その下流なりにHEPAフィルターをつけることもかなり新しい話です。HEPAフィルタ ーは性能は高いが使い捨てで、値段も高いです。ここでHEPAフィルターをボンボン捨 てることになると、クリーンルームを維持するよりも高い話になってきます。それが現 実的に可能か。例えば、実験室でグローブボックスでやることはすぐにできますが、生 産ラインになった場合にこれができるかという、その2つが問題になっています。HEPA フィルターの性能は、私は信じています。 ○福島座長 ちょっとお聞きします。そうすると、孔の議論していますが、例えば粒子 状のものを扱っている企業、そういう所もやはりいまバグフィルターですか。 ○明星委員 普通はバグフィルターだと思います。 ○福島座長 普通はバグフィルターを使っているわけですね。 ○明星委員 はい。バグフィルターの場合は、溜まったら落とすという繰返しをします ので、かなり長い間使えるわけです。HEPAフィルターの場合、どんどんひたすら溜ま っていく一方なので、どこかでフィルターを捨てるという考え方です。だから、連続的 には使えない。 ○福島座長 そうすると、コストと予防の問題ですね。 ○明星委員 あとは環境です。この場合は環境に対して排出ということになるので、そ れをどう思うかということですね。だから、高性能という意味とどういうタイプのフィ ルターのをつけるかは悩ましいところです。 ○名古屋委員 でも、HEPAは現実的ではないですね。例えば、局所排気に制御風速を 守らなければならないときに、HEPAをつける。ものすごく投資が必要になってくると 思います。だから、高性能でとられるというよりも、リスクを考えたとき、HEPAは確 実にとれるのですけども。では、ゼロリスクを求めることを考えたときに、高性能であ る程度取れる部分で、どのぐらい粒子を取るのかを考えたら、普通のバグフィルターを 使ってて、そこである程度濃度を監視する形で、少し環元してあげないと。HEPAが出 ること自体もそうなのです。それを導入し、保守管理するところでものすごくコストが 高くなってくるから、個人的にはやはり普通のバグで十分対応できるかと。 ○明星委員 私もできるのではないかと思いますが、バグフィルターの下流でナノ粒子 がどれぐらい出るかということに関しては、むしろ研究対象のようなことです。現実に はバグフィルターの下流を測ればいい。一般的な粒子の測定をして、どれだけ出るかと いうことになると思うのです。 ○名古屋委員 いまのバグでも、セラミック繊維など意外と粒子はバグフィルター100 枚分を抜けていきますから。ナノが本当にバグで捕集出来るかの分析事例がないので、 ……メカニズムで若干、もしかしたら、繊維が違うけれども、バグもあるから、それを 考えると、繊維の違いとか同じようにナノもそれらのことも考えて、たぶん。単体でこ られるよりも凝集していると、凝集体で考えてしまうからまずいのですね。 ○福島座長 現実問題として、凝集と、それから、まったくそのもの、イットセルフを 考えるのですね。それでは、そのイットセルフのものがどれだけあるかということにな るのですね。  話は変わりますけど。私が気になることで、ゼロリスクを求めるかどうかです。、例え ば、アスベストでもゼロリスク論がとられていると思います。しかし、ゼロリスクでは なくて、閾値があるというのが私の考えです。ナノの場合には、どういった有害性があ るかといったら、はっきりしておりませんし、勿論リスク評価ということもされていま せんが、私は、特に遺伝毒性の発がん物質の閾値はないということに管理上なっていま すが、実際的に閾値はあるという考え方が妥当というのが私の考えです。ちょっと余談 になりましたが、将来的に発がん性が問題となる場合、どれ位、どのサイズのものまで を捕集するかという問題を考えたとき、そこの所をまた皆さん考えていただきたいと思 います。 ○環境改善室長 環境改善室の半田でございます。いくつかお尋ねしたいと思います。 まず、フィルターの話に関しましては、HEPAにすべきかどうかという話を含めて、フ ァクトとして、ちゃんと捕集できるのか、リスクは許容される範囲内で収まっているの かどうかが、私どもとしては最終的に大事なこととなってきます。何かそのあたり、既 に知見があるのならば教えていただきたいと思いますし、それがないのであれば、どう やってそれを入手するのか。ここでご議論いただくのか、別途研究をやるのか、そうい うことを考えていかなければならないと思いますので、その辺、現実はどうなのか、ち ょっと教えていただきたいです。  それから、ただいまの議論では出てきていませんが、私が粉じん分野で少しにわか勉 強している中で、電気集じんを勉強していますが、ここで電気集じん機は可能なのかど うなのか。私が勉強したところでは、低濃度で粒径の小さい粒子に対しては、比較的効 率よく、かつ低廉な運転コストで集じんできるという記述を読んだことがありまして、 まさにナノマテリアルの関係だとそれが有効なのかと、素人的に考えています。そのあ たり、いかがなのか教えていただきたいと思います。 ○福島座長 1点目の問題ですが、例えば、甲田委員、いろいろ調査されて、各工場の ところでいかがでしょうか。 ○甲田委員 先ほどから議論が出ている所かと思いますが、こちらにとって一番いやな 質問ですが、「どんなフィルターが効果的か」と聞かれることです。で、勇猛果敢にHEPA フィルターをつけている所はいくつかあります。ただし、逆に、何年に1回交換したら いいのですか。やはり非常に能力が落ちて、どのくらいという形で集じんの風量を上げ なければいけないので、それは非常にコストがかかって、逆に困っているという形が見 られます。ですから、そういう所からいうと、先ほどから出ているように、なかなかそ ういう、本当に助かり過ぎているとか、HEPAはどのくらい効果的で、何がどのくらい 取れているか。その辺の所、実際問題、信頼に足るような形でのデータはあまりないの ではないかという印象も残っています。一部いろいろな所で実験をされていると思いま すが、現行あるナノマテリアルは、その種類と形、そんなものが非常に多くて、それが ……と思っております。  あともう1つは、局排の点検という形で除じんの方法を検討されているのですが、事 業所などはもう少し日常的に相談されれば、掃除機を使っているのだが、フィルターを つけているのだけど、高性能と言われて買ったのだけど、いいのですか、どうなのです かと聞いているわけです。逆にその辺の日常のメンテナンスがかき回す原因となる可能 性があるので、その除じん装置だけではなくて、フィルターの問題というのは、どこか できちっと集中的に議論するなり研究するなりして、データを出さないと混乱の元だろ うとは思います。 ○福島座長 結局は、この所についてどれだけ捕集されるかについての研究が、実際に は必要となってくるのですか。いかがですか。 ○名古屋委員 いや。たぶん先ほど明星委員が言われたように、HEPAのものを性能テ ストしたことがあるのですが、HEPAは出てこないのです。単体の粒子しか作れないの で何とも言えませんが、普通の粒子を作ったら光学計で測れるぐらいの粒子で、1回で 十分取れるので、HEPAは間違いなく……いますから。それから、我々もチタンの実験 をやっていますが、そのチタンの粒子の中で、漏れてくるかというと、それは漏れてこ ないよ、実験のデータはありますよ、そのときの集じん率はどうなのか、要するに出て くるよ、計測はできないことがあって。だけど、光学計だとチタンで出てくるだけなの で、我々はどうしても電子顕微鏡でしか見ませんから。そうすると、いまHEPAを使っ ているグローブボックスでやっているものを、例えば実験している、かなり高い濃度の ものを実験している。それでは、12時間引いて電子顕微鏡を見て、見えたかというと、 実質、量は何もありません。こういうのを24時間やってみても、本当に漏れてきてい ないのか、見えないとわからない。HEPAはわからない、効いていることは実感的に思 っています。 ○福島座長 明星委員、どうぞ。 ○明星委員 正確ではないかもしれませんが、HEPAフィルターは全数をたぶん0.3ミ クロンぐらいの粒子で、試験して売っているはずです。それより小さいほうに対しては たぶんもっと性能がよくなるので、もっと測りにくくなるのではないかと思います。改 めてこれを研究するかと言われたら、そんなことはないかと思います。先ほど私が言っ ていたのは、バグフィルターでナノ粒子が取れるかどうかは、調査研究する必要がある のではないかということです。  2つ目の電気集じん機ですけども、電気集じん機も専門ではないのですが、いろいろ なケースによって、よく取れる場合と取れない場合があると思います。これも学生の頃 に読んだ本なので、正確ではないかもしれませんが、導電性の粒子とそうでない粒子に よってかなり捕集の仕方が違って、どちらかというと導電性の粒子、例えばカーボン系 の粒子の場合のほうが難しいと理解しています。 ○福島座長 よろしいですか。維持管理の報告はこれでいいでしょうが、この辺と、あ と、ここに書いてないことで何か追加することはありますか。ないようでしたら、また、 もしあれば、後日事務局に連絡していただきたいと思います。  エの所はいかがでしょうか。「排気における除じん措置の方法」、ここですか。「フィル ターの捕集効率」の所にBauaやNIOSHの記載がありますが、この辺はいかがですか。 こういう記載をする必要がありますか。フィルターの捕集効率についてもう少し、こう いうことを注意するとかいう記載はできませんか。その辺についていかがでしょうか。 これも甲田委員や名古屋委員、いろいろな委員にお聞きするのですけれども。 ○名古屋委員 除去したと。これは今の法律ではできないと思いますが、これは管理で きないし、利用できないから、排気しなければいけないので、たぶん問題ないと、当然 それに書かれていることは事実なのでいいのではないでしょうか。 ○福島座長 いま名古屋委員が言われたように、Bauaの除去した空気を浄化すること なしに再利用してはならないと、法律で決められているのですか。ああ、そうですか。 わかりました。他についてはありますか。よろしいですね。  次に(2)の「作業管理」に入ります。まず、アとして「作業規程の内容」とありま す。通達では、いちばん最初の○で、「作業規程を作成し、労働者がナノマテリアルにば く露しないようにすること」とあります。あとは大体同じようなことが書いてあります。 8頁のいちばん下の○で、「実験者、作業者を十分に教育し、遵守させなければならない」 と。確かにそうだと思います。これは後で教育の所に出てきますね。14頁に「労働(安 全)衛生教育」とあります。そことダブっているようです。そちらにしたほうがいいの か、作業規程の内容の所である程度これを盛り込んでいったほうがいいのか、そこら辺 はどうでしょうか。教育のほうにも入れておいたら、それはそれでいいのではないかと 思います。これは何か違った意味でリストアップしたと、そういう意図的なものはあり ませんか。 ○化学物質対策課企画官 はい。記述されているので、ここに適するかと思って入れた だけです。 ○福島座長 それはまた整理していただくことにしたいと思います。 ○名古屋委員 ここに書いてある中で、有害情報について、これは完全にできるのです が、その次の「作業環境測定結果などを知らせる」ですが、作業環境測定結果をどうい う形で知らせるのかがよくわからないのですね。経産省はどういうふうに測定して結果 を出すか、よくわからないのに、書かれているからよくわからないのです。有害性の情 報は間違いなくできるし、研究は進んでいるのですが、作業環境測定結果は知らせる。 この作業環境測定結果はどうなのでしょうか。よくわからないのですね。ちょっと疑問 に思っただけですけど。 ○福島座長 そうすると、要するに作業者に対していろいろな定期検査をするわけです ね。そういう定期検査のデータを作業者に明らかにするという単純な意味では駄目なの ですか。 ○名古屋委員 これが作業環境測定と書いてありますから、労働安全衛生法第65条の 測定でしょう。作業環境測定基準に従った測定なのか、あるいは、ばく露のことはよく わかりません。ただ、何を意図しておっしゃっているのかわからない。ただ、測定結果 を出しなさいというぐらいの軽い感じでいいのではないかと思っています。 ○福島座長 そうですね。深い意味で考えなくて、わからないし、単に測ったものは見 せましょうというぐらいに理解したのですけどね。この辺は現実問題として難しいので すか、明星委員。甲田委員、どうなのでしょうか。 ○甲田委員 そもそも測れませんから。 ○福島座長 そういうことですか。 ○甲田委員 はい。 ○福島座長 その、測るというのは相当大量ですか。 ○甲田委員 何らかの形でそれを管理するということを職場で奨励するという形で、そ うするために、そういう方法もある程度しないといけないと思いますが、まず結果を提 示しなければいけないと。そういうのを事業所に認識していただかなくてはいけない。 これが1つ、ハードルとして高いのではないか。 ○福島座長 そのように、いろいろな企業、いろいろな種類があって、全部きちっと準 備できるかということですね。 ○甲田委員 通達の中で測定しなさいと、確かに書いてあるはずですけど。 ○名古屋委員 だから、先ほどペンディングになっている条項だから。そのペンディン グになっている条項がここに盛り込まれているから、どうなのだろうと、疑問です。 ○福島座長 なるほど。庄野委員、そこら辺の所はどうですか。 ○庄野委員 先ほどのご議論からして、これを実際に測らせるのかというところから始 まるし、コストを考えた場合にどうかというのがあるのですが、私もこれ、放射線取扱 施設にいたときに、いわゆる室内の状況はある程度作業者に知らせたことはあるのです が、知らせることによって本当に意味があるのかどうかが問題で、むしろ提言するため の対策をどうやって取るかというところで、本来使うべきデータかなという気がするの です。作業者がそのデータを知ったとしても、結局それを作業に活かすとか改善に活か すことがあればいいのでしょうけれど、ただ単にデータが出ただけでは問題なのかなと。 結果をやるにしても、どういう目的でやるかを明確にしたほうがいいような気がします。 ○名古屋委員 ただ1点思うのは、日本の測定というのは、測定した結果を事業主には 知らせるのですが、作業者に知らせないことが多いのです。だから、屋外のガイドライ ンを作ったときに、委員会で議論したときには、測定結果は本人に知らせないと、自分 は今どういう状態であるかを知らないとまずいということで、ガイドラインを作るとき には、1つの画期的なこととして、測定した作業者に対して情報を必ず知らせなさいと 付けてあるのです。それは同時に、事業主もそうなのですが、作業者もどういう状況で こうなっているか、その工場全体で環境改善しなければいけないのか、対策をしなけれ ばいけないのかと。ここがものすごく大切なことではないかと。情報を提供することは、 ものすごく大切なことではないかと私自身思うのです。  いままでは作業者を置き去りにして、事業主は衛生委員会の中でやっていたけれど、 そうではないのだと、自分たちがどういう状況に置かれて作業しているのか。もう1つ は、それと自分が健診したときの結果がリンクしているかどうかも、作業者がわかるこ とです。だから、作業者に伝えることはものすごく大切なことではないかと、私個人は 思っています。 ○福島座長 それは共通現象として、いま我々はナノについてディスカッションしてい ますが、粒子状物質についても、現在は一般の作業者に対しては連絡はいっていないと。 ○名古屋委員 企業によって違います。測定したものを企業に届けるので、企業者がち ゃんとしていれば作業者に対して知らせるかもしれないけれど、知らせましょうという 事項が書いてあれば違うかなと。 ○庄野委員 ここの文章をよく読むと、有害性についての情報は必要ですね。我々も MSDSのレベルでもこういうことは言わないといけないのですが、「作業環境測定結果 など」という表現なのです。測定結果でなくても必ずしもよくて、作業環境に関わる情 報とか、「等」を使っている限りにおいては、あまりここに限定する必要はないのではな いかという気がします。 ○福島座長 ここに限定というのは、作業環境測定結果だけですか。 ○庄野委員 作業環境に関わる情報とはどういう情報か、ぼかしてしまいますが、それ でもいいのではないかと思っています。 ○福島座長 いずれにしても、作業者に何らかの情報を提供することは必要でしょうね。 ここは表現を1回考えてもらいます。ほかによろしいですか。  イ「床等の清掃方法」についていかがでしょうか。たくさんありますが、基本的には 掃除機による吸引とか、湿った布による拭き取りとか書いてあるのですが、現実問題と してどういう方法を取ったらいいかです。 ○明星委員 3番目に書いてあることでよろしいのではないかと思います。3番目とい うのは通達の案で、高性能のフィルターを備えた掃除機なり湿った布で拭く。それがで きればそれでよろしいと思うのですが、普通の掃除機や、極端な場合ほうきで掃くと、 むしろ発生してしまうのです。ナノ粒子を発生させることになりますので、その辺の区 別をきっちりしてもらえればいいと思います。 ○福島座長 ここを読んでいて素人の質問ですが、確かに高性能フィルターのついた掃 除機による吸じんですが、排気を出して、残ったものが舞いませんか。 ○明星委員 高性能のフィルターのついた掃除機は、その前は何に使っていたかという と、アスベストやクリーンルームで使っていて、排気口にHEPAフィルターがついてい て、一方から吹き出すような格好はしていないのです。フィルターから一様に漏れるよ うな形になっているのでいいのですが、普通の掃除機は、座長がおっしゃるように、中 で激しく攪拌して、大きな粒子を取って、小さな粒子を排気口からバッと出すのです。 ですから、微粒子を発生させている状態になるのです。 ○福島座長 あと、5つ目の○で、これはNIOSHのものですが、粉を濡らして拭き取 る方法です。これはいかがでしょうか。極端なことを言うと、水か何かを振りかけて下 に沈殿させるという意味ですか。ここには、通達とは別にもう1つ別の項目が入ってい るのですが。甲田委員、いかがですか。 ○甲田委員 それは平均的なアプローチで、こんなのもある、あんなのもあるという記 述だから。 ○福島座長 それは舞いますね。 ○甲田委員 はい。ですから、あらかじめ濡らしておいてもいいし、湿った布で拭き取 ってもいいしという記述ではないですか。 ○名古屋委員 たぶん、予湿ということだと思います。粉じんは舞い上がったのはそん なに水をかけても取れませんから、その前に予湿しておきましょうと。要するに水をか けて湿らせておくということ。そしてあとで拭き取ると。 ○福島座長 そうすると、湿らせたということをやるということですか。そういうこと ですか。 ○甲田委員 たぶん、そういうことが可能な現場とそうでない現場もあるので、基本的 には舞わないようにするための方法をいくつかここで紹介しているのだろうと思うので す。 ○福島座長 あと、ここには細かいことがいろいろ書いてあります。掃除布はきちんと 廃棄されなければならないと、NIOSHのいろいろな意見が。実際みんなこうするので すか、バグフィルターをメーカーの推薦に従って交換するという注意を十分払って行わ なければならないと。ベストを出し終わったときに、そこまで書くのですか。唐沢委員、 いかがでしょうか。 ○唐沢委員 程度問題はあるかもしれませんが、実務上必要なことは書いてある中から 選択しておかれたら、このまま全部書く必要はないかもしれませんが、そういう感じが します。 ○福島座長 これは次の10頁までずっと書いてありますが、このクリーニングのこと に関しては細かく書いてあります。こう言われると、私などはそうかなと思ってしまう のですが、いかがでしょうか。読んでいただいて、ご意見をいただきたいと思います。 基本的には、通達の高性能フィルターを備えた掃除機による吸引や湿った布による拭き 取り、さらには、適切に排気することだと思います。先ほど私が質問しましたが、布を 濡らして拭き取る方法もあるらしいということですが。通達以外のところで、あえてこ こで踏み込んで書く必要がありますか。書いてあることはもっともだと思うのですが。 ○名古屋委員 個人的には、通達レベルでいいと思います。 ○福島座長 いいですね。ちょっと思い出したのですが、通達レベルでいいということ で、掃除機による吸引や湿った布による拭き取りはどちらが先なのですか。ケース・バ イ・ケースでしょうけれど、やはり掃除機ですか。 ○名古屋委員 どちらがいいかとなると、掃除機のほうがいいと思います。濡れたもの は完全に拭き取れないかもしれないので、よく乾いたあと二次発生源になる可能性があ る。要するに掃除してみたときにその場はきれいになっても、乾いてみると残っている。 それは風によって再飛散する可能性がありますので、掃除機のほうが最優先になってい て、二次的な方法として水があるといいます。 ○福島座長 よろしいですか。そうすると、通達を基本にして、あとは事務局で整理し て、加えるべきは加えることにしたいと思います。  10頁のウに入ります。「ナノマテリアル作業場所と外部との汚染防止等」です。ここ にも7つほど書いてあります。通達では「ナノマテリアルを製造・加工する施設や取り 扱う施設と外部とを区画し、その間には除染区域を設ける等により、付着したナノマテ リアルを外部に持ち出さないように適切に処理すること」。また、「ナノマテリアルを製 造・加工する施設や取り扱う施設には関係者以外の立ち入りを制限する」ということで す。いかがでしょうか。 ○庄野委員、一番下の「実験室/作業場は、飲食を禁止とし、出る際は、作業着を着替え、 手洗い、洗顔が可能な場所を設置する」、それと、通達の「除染区域を設ける等により」 という、そことの関連はどうなのですか。除染区域を設けるという非常に広い意味にな っていて、片一方で、各論的にこういう場所を設けるということですが、その辺りは実 際に。例えば洗顔や手洗いに対応するのは当然のことなのですが、ここまでこのような 書込みをやったりするのはどうなのですか。 ○庄野委員 通達の内容は、結構包括的に網羅していると思っています。ナノマテリア ルという意味で、扱いが非常に難しいのですが、我々は動物実験施設への立入りや、化 学物質でも非常に危ないものを扱うときの取扱い、放射線取扱施設における状況を考え た場合、包括的には通達の表現ですべて網羅できるのではないかと思うのです。放射線 の場合などは特にそうですが、作業場と実験室、いわゆるオフィスと実験室は当然分離 しますし、そういうコンベンショナルな条件からある程度コントロールは利くのですが、 外出禁止とか作業場の着替えまで言及していくと、非常に細かい記述になってしまうよ うな印象を私自身は持っています。ここはかなり上で包括しているのではないかなとは 思うのですが、具体化が必要かどうかだけの議論だろうと思います。 ○福島委員 小川委員、いかがですか。 ○小川(順)委員 ご指摘のとおりで、具体的に書き込むかどうかという観点だと思う のですが、一方で、例えば付着したナノマテリアルを外部に持ち出さないように処理す るということで、どの程度のものかというのも、漠然とした中では論議が必要なのだろ うと思います。 ○福島座長 適切に処理するということですね。それをきちんとやることですね。通達 の表現でいかがでしょうか。  次に入ります。エ「呼吸用保護具を使用すべき場合」ですが、ここについてはいかが でしょうか。ここでも、通達では「ナノマテリアルを直接取り扱う労働者は、適切な保 護具(や作業衣)を着用すること」となっております。Bauaでは、保護具として、P2、 FFP2、P3、FFP3など、私はよくわからないのですが、いろいろなレベルの保護具が あって、次のオを見ると、P3がいいのかなと勝手に思ったのですが、現実に、現在粒子 状の物質について保護するときに、どの程度の保護具を工場で使ってやっているのです か。 ○田中委員 いま座長からご説明のあった2つ目の○のBauaの記載の内容ですが、P2 というのは取替え式防じんマスクで、95%の捕集効率、日本で言うと、試験条件が若干 違うので、一概に比較はできないのですが、RS2、RL2と言われているグレードのもの に相当します。次のFFP2は使い捨て式防じんマスクで、同様に95%に相当する、日本 ではDS2やDL2のグレードのマスクに相当します。P3は取替え式防じんマスクで、 99.95%の捕集効率を有する、日本ではRL3、99.9%のものに相当するであろうという ことです。FFP3は使い捨て式防じんマスクで、DS3、DL3に相当するものが記載され ている、あるいはリスクアセスメントに基づいて選べるシステムになっているのだなと いうことです。  日本の場合には、12頁ですが、前回の通達で記載されたのが、性能要件の1番目の○ で「呼吸用保護具は防じんマスクの規格に基づく国家検定に合格したもので、粒子捕集 効率が99.9%以上のもの又はそれと同等以上のものを使用するのが望ましい」というこ とです。そうすると、日本ではグレードとしては3のものを、通達では記載してありま す。日本とBauaの違い、95%日本のマスクのグレードのものがBauaでは使えるよう なシステムになっていることから、日本では明確には取替え式と使い捨て式防じんマス クの使用の有無が記載されていないわけですが、Bauaでは使い捨て式防じんマスクで も使えるような記載になっているのが、通達との違いだと言えようかと思います。 ○福島座長 基本的に、使い捨てであろうと使い捨てでなかろうと、3レベル、先ほど 言われたDS3とかRS3といったレベルのものが、通達で言う適切な保護具に入るので しょうか。 ○田中委員 確かに捕集効率の高いもののほうがよいということですが、実際は作業者 にとっては苦しいこともあるということが1つです。もう1つは、フィルターの捕集効 率以上に装着による漏れの問題が、ろ過式の呼吸用保護具には存在するのだということ です。半面形防じんマスクですと、いまの考え方では、防護係数が10倍ですから、逆 の意味ではトータルで10%漏れてくるということです。ですから、そういう意味ではフ ィルターの捕集効率もさることながら、装着の指導、あるいはそれを通達の中で記載す ることが必要ではないかと思います。 ○名古屋委員 ここは通達のとおりでいいのではないかと思うのです。先ほど言われた ように、性能ではなくて装着したときの漏れがどうかということで、アスベストもそう ですが、教育の対応の中で、防じんマスクについては時間を延ばせる傾向にあると思う のです。特別教育の中で、マスクについては30分しかなかったのを1時間にしてもら って、具体的に装着してもらって、その中で作業者が自分のマスクの装着はどうかとい う流れになっていて、教育時間を30分延ばして1時間にしようという流れになってい ます。そこで対応することで十分。要するに、あくまでも性能はこうですよ、自分の装 着を考慮してということなので、通達のレベルにおいて教育のところで対応する形のほ うが、ここできっちり書くよりはいいのかなと思います。たぶん、今、国のほうもその ような流れになっていると思います。 ○福島座長 わかりました。それは14頁の(4)の「労働(安全)衛生教育」に入れ込 むということでいいですね。 ○明星委員 教育はものすごく大事なのですが、私としては、99.9%のフィルターをつ けたから安心だと思っていただきたくない。ほかにも保護具としては電動ファン付きの 呼吸用保護具とか、場合によっては給気式の呼吸用保護具とか、いろいろな選択肢があ ると思うのです。ですから、その中で現場に合うものを、そんなに深刻でなければ99.9% でなくてもいいかもしれない。現状だと選択の幅がなくなってしまうかなと。これを見 ると、みんな99.9%のRS3やRL3を買わなければということになってしまうかなと思 うのです。いろいろな選択の幅があってもいいのではないかと思います。 ○名古屋委員 例えば、アスベストの解体のときに、マスクがレベル1、レベル2、レ ベル3となっていますね。でも、今回、作業によってマスクの選択性がありますよとい うことで見直しをやっています。そこは通達で書かなくても、こういう作業ならこのぐ らいのレベルでいいでしょうということを、教育の中に入れていって、それを使ったと きにどういうマスクをセットしたほうがいいのか、適切な保護具というのはどのぐらい 適切かを認識してもらうのはここではないということを杓子定規に書くのではなくて、 教育の中に盛り込んで、教育事項の中でこれだけは教えてほしいということを、そちら でがっちり固めたほうがいいのかなと思います。 ○田中委員 今の明星委員からの呼吸用保護具の選択の幅を広げたほうがいいのではな いかというお話ですが、是非通達の中でも、とりわけ送気マスクあるいは空気呼吸器も 記載していただく形で、その中でどれを選択するかは現場が考える。今のですと、防じ んマスクの99.9%1つなので、現場は困っているのではないかなと思います。石綿の解 体作業でのマスクのランク付けがあります。それを1つのベースにしながら、通達の中 で書けるところは書いていただく、教育のほうに回すものは回すという区分けをして、 選べるようにしていただきたいと思います。 ○福島座長 そうしますと、1つ目の○で、適切な保護具を着用すること。ここでは「適 切な保護具」としておいて、その下に田中委員がおっしゃったようなことを書くと。も う1つ、確かに教育というのもありますが、ここに「適切に着用すること」ぐらいは書 けませんか。 ○甲田委員 書き方と、通達でどこまで書けるかということなのだろうと思います。い まのお話を聞いていると、かなり広く現場の労働衛生管理の知識がないと、どれが適切 かどうかというところが出てこないと思うので、その辺りを通達以外のところで細かく 書き込んであげれば、現場も非常にわかりやすいだろうと思います。 ○化学物質対策課企画官 電動ファン付きの呼吸用保護具や送気マスク、取替え式防じ んマスクを選んでいただいて、作業に適するものを使ってもらうということでよろしい かと思うのですが、先ほど話に出てきたように99.9%のものを推奨しているわけですが、 95%のものでもいいのかどうか。どのように書こうかなと思っているのですが。 ○福島座長 次の「呼吸保護具の性能」とも絡んでくると思うのですが、そこで、こう いうものであると記載をすると。 ○明星委員 私も田中委員と同じく、ある程度状況がわかって、ある程度選択するのが いいと思うので、これ一本で絶対安心ということにはならないと思うのです。 ○福島座長 問題は、95%でもそれはそれでいいときもあるし。 ○明星委員 95%でもいいときもあるし、99.9%でも不十分なときもあるということが 言いたかったのです。先ほどの通達の11頁の上だけでよくて、あとの運用は教育に任 せたほうがいいのではないかと思ったわけです。この99.9では、あまりにもしんどすぎ るかなという気がするのです。 ○福島座長 そうすると、問題はそれぞれの企業が見て、95でいいのか、その辺りの基 準が何になってくるかですね。教育上の問題も入ってくるでしょうけれど。 ○明星委員 保護具をどう使うかというときに、何を基準に使うかは、例えばアスベス トのときの選び方などを参考にしていただくと、マスクの内側がどれぐらい安全かを期 待できるかが基準になります。日本では、特に企業の場合、マスクを与えれば問題が解 決したと思っているのですが、まずちゃんと着けていたかという問題もあるし、環境が どれぐらいマスクにとって十分守れるか守れないかも考えなければいけないし、そうい ったことを考えたくないというのが困ると。要するに、そのハザードがわからなければ、 どのマスクを使っていいかは言えないのです。 ○福島座長 そうすると、やはり一方で教育。 ○明星委員 正直、教育でわかるなら、最初から書いていたと思うのです。もっと大変 なところは、全体の中でリスクアセスメントの最後の守りとしての保護具であって、保 護具が最初にあって、99.9%のフィルターがあれば絶対大丈夫だという展開ではないと 言いたいのです。もちろん保護具は大事なのですが。ですから、リスクの状況によって はそんなに重くない、もっと使いやすいものでもいいし、もう少しきっちりしたもので なければいけない場合もあるということが言いたいのです。 ○福島座長 要するに、管理者側として、作るナノによってそこをサイエンティフィッ クにどのような保護具がいいかをきちんと調べて、それと同時に一方で教育で作業者が それをよく理解することになるということですね。 ○明星委員 そうでないと、保護具を着けてくれないのです。顔には着けていますが、 外している状態になるので。 ○甲田委員 ナノだけではなくて、いままでのいろいろな粉じん症例などで事業所で話 をしていると、やはりありきなのです。これでもレベル3からレベル2という形で書き 込む企業が、それでいいのだという形での判断が。だから、そのようなことがあるので あれば、先ほどの議論を聞いていて、もっと通達で書くこととほかでやることをしっか り分けて情報を発信しないと、どこかで誤ったことになると、私はいつもそれを懸念し ています。 ○環境改善室長 お尋ねしますが、選択を広げて選択の基準を作るときに、レベル分け をして、どのレベルならどういったマスクがいいということを定める基準を作るための 科学的知見は、すでにあると理解してよろしいのですか。 ○明星委員 堂々巡りになりますが、科学的知見のベースはハザードのデータです。例 えば、管理濃度でもいいし許容濃度でもいいですが、許容濃度がないものに対する対応 は一番厳しい対応になります。ですから、その対応をした場合は、多分みんなついてこ られないと思います。そのような場合の対応もありますが、99.9%のフィルターでOK ということではありません。もう少し厳しい対応になると思います。  しかし、逆に、そうすると現実性があまりなくなってきますし、常にばく露の状況は 完全に把握できているわけでもありませんから、それをどれぐらいに考えるかは、いろ いろ方法があるのではないかと思います。全く有害性がわからない状態になった場合は、 最初に話がありましたが、ある程度与圧をした状態の保護具であれば、与えた側の責任 は果たせるとは思います。 ○環境改善室長 よくわからないのですが、場合によっては選択の幅を広げるという話 がありましたが、電動ファン付きマスクを原則とする現状においては、そういったこと も考えられるのかなと、話を伺っていて思ったのですが、そこまでやる必要はないので しょうか。感覚的なものなのかと思いますが、どうなのでしょうか。やはり普通のレベ ル分けをして選択をするということでいいのでしょうか。 ○田中委員 ナノの業種あり、使い方はかなり範囲が広いと理解していますが、クラス 分け、リスク評価がある程度この委員会中でもできてくれば、その中で適切なマスクの 選定ができると思うのです、ハザードもないということで。それを絞ってしまうと、現 場は対応がしにくくなってくるのではないかと思います。いままでダイオキシン、PCB、 石綿という物質に対する対策を立ててきた、あるいは通達を出してきた中での保護具は、 防護係数、先ほどのマスクの中にどれだけ入り込むかというのと、ハザードのデータを 踏まえつつマスクの使い分けを記載してきた流れがあります。ハザード情報が明確でな いというところで、グレードの高いところから紹介するのは可能なのですが、現実性は ないということで、どこまでを許容するかという話になってくるのだろうと思います。 そこが現場でのリスク評価でランク分けした上でマスクの選定になってくると思うので す。その意味では、現場としてはできるだけ広い中で、先ほど甲田委員から誤った使い 方という表現がありましたが、適切なマスクの選定と装着を指導していくことが必要で はないかと思います。 ○名古屋委員 今マスクの国家検定の試験がありますが、基準がないからどうにもなら ないと思いますが、国家検定でしたマスクの基準は、ナノ粒子に対しても同等と考えて 基準づくりをしていると考えてよろしいのでしょうか。国家検定は粒子を使って検定し ていますが、それは当然ナノ粒子も同じだけの捕集効率があるから、99でいいという前 提に立たないとできないと思うのですが、そこはそれでよろしいでしょうか。バグにつ いても捕集効率がわからない状況なのに、マスクはわかっているのかなと。 ○明星委員 細かい話になって、あまり楽しくなくなるかもしれませんが、国家検定の 検定は、試験粒子は、0.1ミクロンから、1ミクロンにはいかないですが、その辺りの大 きさの粒子で試験をしています。その値に比べて、ナノ粒子はもっと取れるか取れない かは試験をしていないのでわからないのです。最近いくつか論文等が出てきていて、こ の間報告でも出しましたが、ナノ粒子で大丈夫なタイプのものもあるし、ナノ粒子が若 干それよりも漏れる傾向のあるものもあるのですが、全体をひっくり返すほど違う結果 になるわけではないということです。ですから、ほかの不安定要因に比べると、漏れ率 や環境濃度が変動していることから考えると、今おっしゃった前提は間違った前提では ないと思うのです。もし、ナノ粒子に集中するのであれば、現在よりもう少し小さい粒 子で、捕集効率が本当にあるかないか、ある程度研究の必要があるかなと思います。現 状は対応していません。 ○福島座長 わかりました。いろいろ意見をいただきました。結論として、この通達に おいては適切ということで、先ほど田中委員がおっしゃったようなことと、さらに原則 として何なのかということになりますが、その辺りはまだ見えないと理解したのですが、 それでよろしいですか。それでは、それぞれが適切なというところを理解して対応して もらう形にしたいと思います。  次に、オ「呼吸用保護具に求められる性能要件及び使用上の留意事項」です。もう議 論に入っておりますが、ここはいかがでしょうか。11〜12頁に、このようなことだとい うことが記載されています。お読みいただきたいと思います。ここでは、最初のほうで はそれぞれの実験結果が書かれていて、12頁で明星委員の論文から引用して、検査のほ うでは「ナノ粒子に対してはできるだけ呼吸用保護具に頼らない管理が必要である」と いう注釈もついております。呼吸用保護具の性能としてどのようなことを盛り込んでい くかということですが、このほかに何か文献的なものがあればご紹介いただきたいと思 います。田中委員、ここのところ、どのような性能についてわかっていることを書き加 えるかですが、いかがでしょうか。 ○田中委員 いま報告されているデータを整理して、これに+αありますので、それを 入れる形にしたいと思います。 ○明星委員 先ほどから議論を、この部分については言い尽くしてはいるのですが、厚 生労働省関係でも何種類かマスクを選択するような話をしているものもありますので、 そういった部分も参考にして、先ほど田中委員がおっしゃったように石綿やダイオキシ ンなどもありますから、それを参考にして要件を決めたらよろしいのではないでしょう か。 ○福島座長 ここは篠崎さん、田中委員と相談して加えていただけますか。田中委員、 お願いできますか。 ○田中委員 はい。 ○福島座長 次に12頁に入ります。「性能要件」と書いてありますが、これも今ディス カッションしたようなことが書いてあります。ただ、ここでは通達では下から2行目に 「捕集効率が99.9%以上のもの又はそれと同等以上のものを使用するのが望ましい」と 書いてありますが、これはどうなのでしょうか。先ほどのものと合わなくなってきませ んか。田中委員、いかがですか。 ○田中委員 田中の考えとしては、「95%以上」を併せて入れていただければ、現場の ほうで甲田委員のおっしゃるリスクアセスメントの段階でセレクトする形になろうかと 思います。その意味では、95%を入れるか入れないかというところをご議論いただけれ ばと思います。呼吸用保護具として、全体では吸気式の呼吸用保護具を加えた形のもの を、ここで入るのか前の段階で入るのかと思うのですが、入れていただきたいと思いま す。 ○庄野委員 初歩的な質問なのですが、95とか99.9というのは、それぞれ意味のある 数値なのですかね。ここで言うことは、単純に考えると、ナノマテリアルの吸入を防止 するということが基本ベースであって、そのためには、粒子捕集効率は可能な限りすぐ れたものであればそれでいいのではないかと思うのです。99や95.5というのは、例え ば国家検定に合格したのが99.9で、それに対してナノというのは。その辺はそういう感 じでもいいのではないかと思うのです。 ○田中委員 99.9あるいは95という数値を述べている背景は、市販しているマスクの グレードが、いま日本では3段階あるわけです。ですから、99.9以上のものというとグ レード3、先ほどのRL3やDL3の製品を購入して、それを使用することができるとい うことです。95は2というグレードですから。  ところが、もう1つ80%というのがあるのです。それが、先ほどのBauaも取り入れ ていないP1がそれに相当するものなのですが、それは記載していないことを考えると、 そのグレードは困るということかと。その意味では、95%、あるいは99.9%のグレード ならば、ナノの現場で使えることになるのだと思うのです。すなわち、防じんマスクの 商品としてグレードが記載されていて、それを述べているわけです。国家検定品と書く と80%が入ってきますので、それが気になるところです。 ○甲田委員 ここのところで切り分けて性能要件の改正をどうしますかという議論にな って、総合的に性能要件としてはこういうものがあって、そういうものがどういう所で 使われるのか、その使い方を書くと。それが適切なというところにつながると思うので、 それは全体の書きぶりだと思うのです。それは田中委員の才覚で書いていただいて、そ れが全体の中での保護具の考え方がうまく伝わるように、選択できるようにしていくの が一番いいのではないかと思っています。 ○福島座長 ここは99.9にするか95にするかどうかの問題ですね。 ○田中委員 はい。 ○福島座長 先ほど言われたように、適切なということでケース・バイ・ケースで95 でも十分捕集されるという考え方ですね。明星委員のご意見などは、私はそのように理 解したのですが。 ○田中委員 この前提が、現場のばく露に関する区分けが1つのキーポイントではない かと思うのです。石綿でも、レベル1、レベル2、レベル3の形で石綿の粉じん濃度が 高いグレードでセレクトを記載しているので、その意味では、ナノに関しても区分けを していただけると、それに対してこの範囲でという形で提示したいと思うのですが、ど うでしょうか。 ○福島座長 それは先ほどのP3になると、実際の作業者の使い勝手等の問題、実際に ばく露している量も考えてと解釈していいわけですか。 ○田中委員 測定、あるいはばく露濃度がどこまでついてくるのかという話になると思 うのです。 ○甲田委員 私もわからないところがあるのですが、最初に少し出た話で、例えば生産 設備の中で囲い込みをかちっと担保しているのかなと思います。局排の状態とか、それ もなくて全体換気だけでやっているような所ではマスクで、もう少し絞らなければいけ ないことも出てくるだろうし、その辺りのことになるのかなと思っています。 ○名古屋委員 アスベストの場合は、いまレベル1、レベル2、レベル3とやっていま すが、このあと改正が起こっていったと思うのです。それは何かというと、濃度と作業 について情報がいっぱい入ってきています。だからこそ分けられるのですが、ナノの場 合はいまどういう状況で、どのぐらいのときにどのようなマスクをというのがわからな いと思うのです。だから、99はしんどいけれど、95以上のものを使いなさいと、併せ て書き直しなさいと、通達でがっちり決めるのではなくて、そこは有効な保護具の中に 99ではなく95でも十分大丈夫なところがあるから、95以上を使いなさいと。  そこのところについては何かを加えて、そこできちんと位分けをしてもらう形で現場 の状況を把握して、作業性なのか濃度なのかという分け方でグレードを組んでいく形に したほうが、現段階では使いやすいと思います。それを通達で書くのは難しいので、教 育のほうに持ってきたほうがいいのかなと思います。通達でそこまで入れるとしたら、 適切な保護具の性能要件の中に95を入れても大丈夫かなと。ただ、95を入れて、知ら ないと95でよくなったのだと思って、95を使ってしまうことがあるので、それはいや だと思うので、それを識別できる形で、作業者がわかる形にしておいたほうが、文章の 書き方としてそこをちゃんとしたほうがいいと思います。 ○福島座長 それでは、先ほど田中委員から提案があったように、下に入れ込んでいく のはどうでしょう。 ○田中委員 努力します。 ○福島座長 作っていただいて、後日ディスカッションしますので、その作っていただ いた案で検討したいと思います。  そうすると、ここの記載はしないということでよろしいですか。「有効かつ清潔に保持 すること」というのは当然ですね。よろしいですか。 ○唐沢委員 「使用上の留意事項」はいかがでしょうか。(1)から(5)まで、OSHA の安全衛生基準でこういことが確かに規定されていると思います。こういう系統的なや り方、アプローチは大変有効だという気がいたしますから、通達の中に趣旨を盛り込ん でいただければありがたいなという感じがしております。 ○福島座長 これはほかの、いまアスベストかな、そちらのほうでもこういうことは出 ているのですか。もし、これを入れるとしたら、ナノが初めてになるんじゃないですか。 そういうことですか。 ○明星委員 OSHAはこういうふうにマスクの、私の理解している範囲ですが、マスク がその人に合うかどうかを調べるというプログラムをやっているのですね。マスクとい うのは形があるので、顔が様々ありますから、マスクのメーカーによっても、様々ある ので、特に顔に合うかどうかですね。もちろん、これまで議論していた部分も議論はす るのですが、そういった部分というのは、これまでないので、逆に言うと、入ると、結 構やることはいっぱいあります。特にここで言いますと、(3)はこれまで議論したので すが、(4)であるとか、その辺は新しい話になってきます。  (3)については直前田中委員の議論はあったと思うのですね。(4)の部分がフィッ トテスト。これでチェックして、合っているかどうかを調べないといけないのです。例 えば、この型式のマスクを100個買うから安くしろという交渉は、こういう方法でいう とできないのですねという話になります。ですから、やはりちょっと新しいかなと思い ます。 ○名古屋委員 ただ、これだと、ナノに入れると、当然波及効果として、粉じん作業場 でもこれをやりなさいという話になるのです。 ○福島座長 そうですね。 ○名古屋委員 当然ナノばかりでなくて、いいことは共通ですから。よろしいんじゃな いでしょうか。 ○福島座長 共通ですね。ナノを突破口にして、全部広げるということですか。 ○名古屋委員 すばらしい、いいことなのですが、選定する所というのは通達で義務化 してしまうことも、もちろんいいのですが、そこのところはやはり、結末を考えたら、 教育として置いておくのがいいのかなと。 ○福島座長 やはり、そうですね。 ○名古屋委員 あまりにも現場に負荷をかけすぎてしまって、確かにいいことはいいこ となのですが、本当にそうなのかな。現場のプロにそれだけ対応できても、じゃ全部で きるのかなというと、なかなか難しいのではないかという気はします。だから先ほど言 ったように、防じんマスクの講義を30分延ばしてもらうという中で、フィットネスが 入ってきているわけです。そこはちゃんとやりましょうよ。当然自分が今マスクをして いるマスクの仕方が本当にいいかどうかということは、いままでチェックする機会が何 もなかったと。それは座学ではなくて、ちゃんと業者が入って、マスクをしてもらって、 その中でフィットネスしてもらって、今自分がやったのは漏れているんだ、それはもう 少しこういうふうにしたらいいんだと、その感覚を学んでもらって、それを現場に自分 が行ったときに反映してもらうという形のところから引っかかって、この辺からもう少 しグレードを上げてもいい結果が出る。一気にここまでもってくると、何か現場として は大変かなあと個人的には思います。 ○福島座長 そうすると、14頁の「労働(安全)衛生教育」のところに、教育訓練と同 時に、今いい言葉が浮かびませんが、いろいろなOHSAの呼吸保護基準に対する取組み というような項目をもってきて、ここで皆さんに検討してもらうということにしたらど うでしょうか。確かにここへ入れるとなると、また非常に大変なことになると思います。 そういうことでよろしいですか。  ここのところ、このBauaの「使用制限時間を遵守し」というのは、これはいいです か。しなければならないという。どうなんでしょう。必要な作業では。私はちょっと意 味がわからなかったのですが、「呼吸保護具の使用が必要な作業では、その使用制限時間 を遵守しなければならない」というのは。 ○明星委員 短い文章なので、受け取り方として2通りあって、どれぐらいマスクを着 けて作業ができるかという意味と、もう1つは、例えば簡単なマスクですと、それをど れぐらい使ってもいいですかと。要するに、ずっと明日も明後日も使われては困るとい う、その2つの受け取り方があって、私もこの元の意味がよくわかりませんが、例えば 先ほどの99.9%のフィルターを皆さんにいまここで付けたとすると、たぶん30分は誰 も付けてはいられないと思いますが、それぞれ身体に対する負荷がこれぐらい許される と。この作業でこれぐらいの時間があるというのが、特にヨーロッパでは、このマスク を着けてどれぐらいの作業ができるかということをものすごく気にしますから。そうい うことがたぶんこの文章になっているのだと思います。 ○福島座長 そうすると、今回の検討会では、こういうことを入れる必要はありますか、 どうですか、その辺り。現実問題として、マスクを使っている時間、私は使っている時 間というふうに解釈したのですが。そうなると、それは自然に決まってしまうことだな というふうに解釈したのです。 ○明星委員 それに身体が耐えられるかということですね。 ○福島座長 そうですね。そうするとわざわざ書くこともないなと、整理的なもので終 わってしまうのではないかなと思います。その辺り、いかがでしょうか。あえて書かな いでいいですね。 ○明星委員 書かなくていいですね。 ○福島座長 いいですね、はい。 ○名古屋委員 説明する。 ○福島座長 ここはもうなしにいたします。あと10分ぐらいやりたいと思います。  次、12頁から13頁にかけて、カ「保護手袋の要件及び使用上の留意事項」というこ とで、ここのところはいかがでしょうか。まず「要件」のところで、通達では「保護手 袋のナノマテリアルの皮膚への付着を防止する適切な材質のものを使用すること」とい うことで、手袋の問題ですね。そこだけですね。これだけでいいのですかね。保護手袋 の要件ですね。 ○田中委員 これでいいと思います。まだナノマテリアルに対する保護手袋の性能を含 めたデータというのがきちんと出ていないものですから、今のところはこの2行の内容 でよろしいのではないかと思います。 ○福島座長 よろしいですか。では次、「使用上の留意事項等」に入りたいと思います。 ここでも通達では、「保護手袋は有効かつ清潔な状態を保持するために使い捨てとするこ とが望ましい。なお、使用した保護手袋を廃棄する場合は袋に封入し適切に廃棄するこ と」となっています。この、望ましいというのは要るのですか。使い捨てとするという 断定はちょっとよくないと。 ○田中委員 使い捨てだけじゃないですからね。 ○福島座長 そうなんですか。 ○田中委員 使い捨てが望ましいということでありますが、通常の保護手袋といいます か、使い捨てでない手袋も現場では使用しているのではないかということだと思います。 ○福島座長 そうすると、とにかく清潔な状態を保持するということですか。 ○甲田委員 問題はその清潔な状態を保てるかどうかというところだったのです、現場 で話を聞いていて。使い捨てが望ましいというのは、いろいろ聞くのは、コストがかか るという話を伺っています。基本的には、そういうものが次に使うときに、清潔な状態 で、またクリーンな状態で使えるかどうかの確認という意味で、そんなところをどうや ってするんだというところが課題になってくるというふうに思われます。 ○田中委員 ナノではなくて、一般の化学物質というか、気体状物質のばく露部分のた めに保護手袋を使用しますといった、そのときには上にBauaが書いてあります、透過、 手の内側のほうにどれだけ透過という形で検出されるか。実は使い捨ての手袋の性能試 験をやってみますと、やはり薄いということも含めまして、化学物質に対して、透過と いう現象で破過がはやく、もたないというのが多いのです。  ただ、ナノに関しましては、まだ全然データがないものですから、まだ断定はできな いというところであります。そういう意味では、使い捨てが望ましいというレベル程度 で押さえていただけたらと思います。 ○福島座長 よろしいですか。では、そういたします。あと、NIOSHとかBauaの意 見が書いてありますが、これはいいですね。 ○田中委員 これは要らないと思います。 ○福島座長 キに入って、「ゴーグル型保護眼鏡の要件、使用すべき場合及び使用上の留 意事項」ということで、通達では「必要な数量を備え、有効かつ清潔に保持すること」 ということになっております。何か追加することはありますか。田中委員、どうぞ。 ○田中委員 これ名古屋委員にお聞きしほうがいいのですが、石綿の解体のときのゴー グルがいま密閉タイプというか、空気孔のないゴーグルが市販されて、かつ利用されて いる。長時間使用しますと、保護眼鏡が曇ってしまうというところから、空気孔がある、 いままであったわけでありますが、曇り止め効果がかなりよくなっているものですから、 その空気孔があることによって、粉塵がゴーグルに入ってくることを防ぐことができる ということであります。  そういう意味では密閉タイプのゴーグル型の保護眼鏡ということですが、今石綿のほ うではどうでしょうか。その表現を使っているのでしょうか。 ○名古屋委員 使っていない。ただ、ゴーグルだけ。 ○田中委員 じゃ、ここもゴーグルだけで、よろしいかと思います。 ○福島座長 はい。これでよろしいですね。クに入ります。「作業着の要件、使用上の留 意事項及び脱着時等の管理方法」です。そこでは通達が2つ記載されております。「ナ ノマテリアルを直接取り扱う労働者は適切な作業衣を着用すること」。「作業衣からのナ ノマテリアルのばく露を防止するために、ナノマテリアルを取り扱う作業では専用の保 護衣を着用すること。保護衣は、その材質は不織布のものが望ましく、有効かつ清潔な 状態を保持すること。なお、ナノナノマテリアルの付着した保護衣は事業場外に持ち出 さない」。まあ、そうでしょうね。  あと、Bauaのコメントがずっと書いてあります。ここで14頁の上から2行目なので すが、「これには保護衣、保護エプロン及び保護靴が含まれる」と。靴はどうなんですか。 今気がついたのですが、通達に入っているのはどうなんですか。名古屋委員。 ○名古屋委員 今アスベストのばく露で問題になっているのは、保護衣を着けたときに、 その繊維は漏れてくると。そこが今ちょっと議論になっていて。 ○福島座長 その漏れてくるというのは。 ○名古屋委員 要するに外から中に入ってくる。通過の時点で入ってくるというのが問 題になっておりますが、それはアスベストのリスクがちゃんと決まっているから、たぶ んそのままでは駄目なので、解体修理の現場を出るときにシャワーを浴びてくるのか。 アメリカには進んだシャワーがありますが、日本でもそれはできるのか。議論されてい ないので何とも言えませんが、ただ、ナノの場合にはそこまでわかっていない。このま までオーケーじゃないかと思います。それがわかってきてから変えていく。有害性が出 てきたら、初めて変えていくと。今の現状でどう議論するかではなくて、十分担保して いるならこれで十分ではないかと私は思います。 ○福島座長 ほかの先生方はいかがですか。 ○田中委員 私も名古屋委員と同様であります。もう少しデータがほしいなというとこ ろで、この時点ではこの通達の書き方で十分ということです。 ○福島座長 わかりました。よろしいですね。 ○環境改善室長 今のところを確認させていただきます。名古屋委員の「ナノではそこ までわかっていない」というご意見は、先ほどおっしゃってますように、ナノマテリア ル(の有害性など)が明確になっていないという意味でおっしゃっているのか、保護衣 を通して、何らかが浸透してくるという確実なデータがなく、そこら辺がまだ明確な知 見がないという意味でおっしゃっているのか、あるいは両方なのか、どちらの意味でし ょうか。 ○名古屋委員 たぶんナノから考えたら、保護衣は入ってくると思います。それをその まま正常にした状態で、出て行くときにどのくらい拡散して、アスベストですと、拡散 はまずいでしょうという形で、それは外に出さないということで書いてある。これも外 に出さないということで書いてあるから、そこは一緒ではないか。本当に漏れているか どうかはやってみないとわからない。ただ、粒子が細かいから、アスベストというのは 入ってくる。入って付いたらどうなるかというところがよくわからないので、アスベス トのそこの議論は同じレベルかな。それよりももう少し状況がわかっていないので、今 の状況では、このままにしておいたほうがいいのかなと。情報自体が少ないので、いま 取りたてて、このところを詳しく議論して、何かを変えていくようなことはしなくても いいと思います。 ○環境改善室長 わかりました。我々は対外的に、こういう知見のときはこうしている という説明が求められる立場ですから、その点をお尋ねした次第です。ありがとうござ いました。 ○福島座長 結局、作業者に対するものとして、作業着などに入ってくる可能性という のは否定はできないと。しかし2つ目の、そういう保護衣を事業場外に持ち出さないと、 これが重要だということで、よろしいですね。いいですか。  ケ「製品後の保護管理」で、「適切な保管に関する規則」、Bauaがありますが、ここ は何か足すことはありますか。唐沢委員、どうですか。田中委員、何かありますか。 ○唐沢委員 情報を持っていませんが、ここまではまだ要らないかもしれませんね。 ○福島座長 わかりました。いまの唐沢委員のご意見に私も賛同したいと思います。  これまでのところで、思い出したから追加したいということが何かありましたら。な いようでしたら、今日の検討会は、ここまでということで終了したいと思います。よろ しいですか。ありがとうございました。事務局、これからのことについて、説明をお願 いできますか。 ○化学物質対策課企画官 はい、どうもありがとうございました。本日の会議議事録で すが、毎回同じように、後日委員にご確認いただいた上で、公表させていただきますの で、よろしくお願いいたします。次回の開催日ですが、8月28日(木)10時〜12時を 予定しております。会議室は九段の第3合同庁舎の共用会議所になります。その次の会 議の日にちがまだ設定されておりませんので、後日、8月28日をやる前に委員の先生方 の日程を調整させていただきまして、次々回の日程も調整させていただきたいと思いま す。事務局からは以上でございます。 ○福島座長 ありがとうございました。委員の方々からは何かこの検討会について、要 望することはございますか。ないようでしたら、本日の検討会を終了いたします。どう もありがとうございました。 照会先                                     厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課                電話03-5253-1111(内線5510・5514)