08/07/30 診療報酬調査専門組織平成20年度DPC評価分科会 第2回議事録 平成20年度2回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年7月30日(水)10:00〜12:00 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、池上直己委員、        伊藤澄信委員、熊本一朗委員、小山信彌委員、齋藤壽一委員、        酒巻哲夫委員、佐藤博委員、嶋森好子委員、難波貞夫委員、        松田晋哉委員、山口俊晴委員、吉田英機委員、西澤寛俊オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討について         ○ 松田研究班からの報告 2 平成20年度DPC評価分科会における特別調査(ヒアリング) (案)について        3 その他  (5)議事内容 ○西岡分科会長  それでは、ただいまから平成20年度第2回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科 会を開催させていただきます。  本日の委員の出欠状態でございますが、木下委員及び山口直人委員より御欠席との連 絡をいただいております。また、オブザーバーといたしまして、西澤委員に御出席いた だいております。どうぞよろしくお願いします。  続きまして、事務局の交代がございましたので、紹介をお願いいたします。 ○中田補佐  7月11日付で、事務局のほうで4名の交代がございました。  まず、医療課長の佐藤敏信でございます。 ○佐藤医療課長  よろしくお願いいたします。 ○中田補佐  続きまして、保険医療企画調査室長、小野太一でございます。 ○小野保険医療企画調査室長  よろしくお願いいたします。 ○中田補佐  医療指導監査室長、三宅智でございます。 ○三宅医療指導監査室長  三宅です。よろしくお願いします。 ○中田補佐  医療課課長補佐の佐々木健でございます。 ○佐々木補佐  よろしくお願いいたします。 ○中田補佐  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○中田補佐  お手元の資料でございますが、1枚目、議事次第がございまして、次に各委員の名簿 一覧がございます。続きまして、資料D−1、こちらは松田委員から提出資料として 「病院機能係数の考え方について」、資料D−2「平成20年度DPC評価分科会にお ける特別調査(ヒアリング)(案)について」、参考資料1、7月16日に中医協・基 本小委に提出されました「DPCの在り方について」、参考資料2「医療機関別係数に よる評価・調整」でございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  資料については、よろしいでしょうか。全てそろっておりますでしょうか。  それでは、先日、7月16日に開催されました中医協・基本問題小委員会においてD PCの在り方について議論がされておりますので、事務局より説明をお願いいたします。 ○中田補佐  先日7月16日の中医協・基本問題小委員会に提出がございました資料につきまして、 簡単に御説明申し上げたいと思います。  参考資料1「DPCの在り方について」を御覧いただきたいと思います。  こちらにつきましては、まず初めに、DPCについてということで、過去のDPC対 象病院及び導入に係る経緯等についてまとめております。  ここでは、概要だけ申し上げますと、DPC(1日当たりの包括評価制度)につきま しては、平成15年閣議決定のとおり、急性期入院医療を対象とした包括評価のことで ございます。  平成10年11月から、10の国立病院等におきまして、1入院当たりの包括評価制 度の試行を実施しておりましたが、その後の検討におきまして、1入院当たりの包括評 価制度と比較いたしまして、1日当たりの包括評価制度のほうが、在院日数がばらつい ていても、包括範囲点数と実際の治療にかかった点数との差が小さいといったことで、 1日当たりの包括評価制度としてDPC制度が導入されたという経緯でございます。  現在、平成20年度につきましては、DPC対象病院として、新たに358病院が参 加し、DPC対象病院といたしましては718病院、平成19年度の準備病院も含めま すと1,428病院であり、全一般病床ベースの50.2%を占めるに至っている状況 でございます。  (2)の平成19年度のDPC対象病院の基準に係る検討の概要については、こちら は昨年度の分科会でも御議論があったところでございます。簡単に申し上げますと、D PCの対象として、まずは急性期の件について御議論いただいたかと思います。ここに ありますとおり、「急性期とは患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安 定した状態に至るまで」とし、DPCの対象の範囲としては、ある程度以上の重症な急 性期に限定せずに、全ての急性期を対象とするということで取りまとめられたかと思い ます。  また、2年間の適切なデータの提出や、(データ/病床)比として10か月で8.7 5以上といったような新たな基準が設けられたところでございます。  第2でございますが、昨年度の中医協の取りまとめ事項といたしまして、ここで確認 させていただいております。まず一つ目といたしまして、平成19年度DPC準備病院 については、平成21年度にDPC対象病院とすべきか検討する。その基準は、その時 点におけるDPC対象病院に適用される基準と同じものとすること。  二つ目といたしましては、DPC制度の在り方や調整係数の廃止に伴う新たな機能評 価係数等について速やかに検討することについて取りまとめられたところでございます。  第3でございますが、今後の検討課題として、DPCの評価等についてでございます。 こちらは、「DPC導入の影響評価に関する調査結果および評価」最終報告書の件につ きましては、先日、5月に当分科会でも御議論いただいたところでございますので、簡 単に申し上げますと、これまでの影響評価の結果から、平均在院日数の短縮、後発医薬 品等への切り換えで効率化が進んでおり、救急車による搬送、緊急入院、他院からの紹 介の患者数は増加傾向であり、重症度の高い患者を避けるような患者選別の傾向が見ら れておらず、診療内容に悪影響は認められていないものと考えられております。  治癒・軽快を合計した割合が一定であるというところでございますが、治癒の割合は 減少傾向であることについて、急性期としてある程度病態が安定した時点までの入院医 療を反映しているものというふうに考え、急性期として適切な医療が提供されていると いうふうに考えられております。  また、再入院につきましては、主な原因といたしましては計画的再入院であり、こち らは化学療法・放射線療法の理由による増加が原因ではないかといったことで考えられ ております。  以上のことから、DPCにより、質の確保はされつつ医療の効率化が進んでおります が、軽快の割合が増えてきていることや再入院率が増加してきていることについては、 患者に十分な療養が提供されていないのではないかといった懸念や、不適切なコーディ ング等の懸念も指摘されているといったことがございます。  こういったことを受けまして、7月の基本問題小委員会におきましては、これまでの DPCの評価についてどのように考えるべきか議論が行われているところでございます。  (2)番目のDPCの対象病院につきまして、こちらは、今年度からDPCに参加し た平成20年度DPC対象病院と、平成19年度の準備病院につきましては、他年度の DPC対象病院と比較しまして、病床規模が小さい割合が高い。これは専門病院だけで はなく、慢性期の病床を併設している病院、いわゆるケアミックス型病院も多く含まれ ていることが示唆されております。  このことは、別紙6、右下のページ番号で申し上げますと、25番目を御覧いただき たいと思います。  こちらは、DPCの算定病床数の規模割合でございまして、全体的に平成20年度D PC対象病院、平成19年度準備病院は、病床規模の小さい割合が多いといった結果に なっております。  26ページ目でございますが、こちらはDPCの算定病床数割合別の医療機関の割合 でございまして、ここの50%未満というところにつきましては、いわゆる病院が持っ ている病床数をDPCの算定した病床数で割ったものということで計算しております。 御覧のとおり、平成20年度のDPC準備病院につきましては、他の年度に比べてDP C算定病床割合が小さい医療機関の割合が多くなってきております。  27ページ目につきましては、こちらはプロット図で表したものでございます。横軸 にDPC算定病床をとり、これが小さい病院は、DPC算定病床数割合も小さい病院が 多く、丸の部分が平成19年度のDPC準備病院であることから、こういった病院がD PCの算定病床数割合が非常に低いところにあることを示すものです。  お戻りいただきまして、こういったデータを検討していただきながら、基本問題小委 員会では、論点2として、DPCの適用がふさわしい病院についてどのように考えるべ きか御議論が行われたところでございます。  (3)DPC制度の運用に係る見直しについては、昨年度も議論が行われていたとこ ろでございますが、調整係数を廃止いたしまして、それに替わる新たな機能評価係数に ついての検討でございます。  論点3−1に示されていますとおり、新たな機能評価係数について、どのような観点 から評価するべきかといったことでございます。  この例といたしましては、昨年度の分科会から同様に示させていただいておりますと おり、例えば、救急、産科、小児科などの、いわゆる社会的に重要であるが、不採算に なりやすい診療科の評価。救急医療体制の整備など、高度な医療を提供できる体制を確 保していることの評価。また、高度な医療を備えることについて、地域の必要性を踏ま えた評価といったことでございます。  他に、例えば、医療計画で定めているように、その地域における医療の必要性を踏ま えた病院機能の役割を評価することについてどのように考えるべきかといった論点もご ざいます。  論点3−2につきましては、その調整係数の廃止についてということでございまして、 平成20年度改定時までは、その調整係数は存続するということとしておりますが、具 体的に廃止する時期についてどのように考えるべきか。廃止するに当たり、段階的に廃 止する等の経過措置の必要性についてどのように考えるべきか。  こういった論点につきまして、先日7月の基本問題小委員会において議論を行ったと ころでございます。今後も基本問題小委員会において、議論が続けられるところでござ いますが、特に論点3−1、新たな機能評価係数は、基本問題小委員会とDPC評価分 科会と並行して議論していくといったことでございますので、本日はこの論点3−1の ところを中心に御議論いただければというふうに思っております。  あと、補足等ありましたら、西岡先生のほうからよろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  私のほうから、特に追加はございませんが、前回、この御報告をいたしまして、その ときに出た質問あるいはコメントがございましたので、お知らせいたします。  一つは、先ほどのDPCの評価というポイントでございます。これは、2号側の委員 からの御質問でございますが、DPCにおいて、治癒率が下がって軽快の率が上がって いること、それからまた、在院日数の短縮、あるいは救急車の搬送等が変わっていない ということで、こちらの考え方としては、診療内容の質の低下は見られていないという ふうに御報告させていただいているんですが、コメントとして出てまいりましたのは、 治癒が減少して、軽快が多くなり、かつ、再入院率が高くなったということで、医療の 質が低下したのではないかというふうな御質問をいただいております。これに対しては、 これまでの活動の中で、医療の質、私たちはこれまで、粗診粗療が起こっていないかど うかということで調査しておりましたので、そういうことは起こっていないという結論 を出したのだというふうに答えさせていただきました。  また、患者の満足度等はどうかというふうなことの御質問がございました。これは、 この分科会の各委員の先生方に御担当いただきまして、各種の満足度調査をやっていた だいています。平成15年、平成16年の2年間にわたってやっていただいていました ので、その結果の一部を御報告させていただいたという状況でございます。 ○中田補佐  一つ、付け加えさせていただきまして、この論点3−1の当分科会での議論は、逐次、 基本小委員会には御報告、また、基本問題小委員会で議論されたことは、この分科会の 議論へも反映していくように、並行的に議論が行われていくといったことを補足で申し 上げます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  今の御説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。特に大きな問題はな さそうでございますか。 (発言する者なし) ○西岡分科会長  それでは、特になさそうでございますので、続きまして、議事次第にございますよう に、「病院機能係数の考え方について」ということで、松田委員より御説明をお願いい たします。 ○松田委員  松田でございます。私どもは、ずっと厚労科学研究のほうで、このDPCに関する研 究をやらせていただいていますけれども、現在は「包括払い方式が医療経済及び医療提 供体制に及ぼす影響に関する研究」ということで、今、3年間の研究の2年目をやって いるところですけれども、その中でいただいた宿題が、各病院の機能を評価するための 方法論を考えろということでございますので、それに関するたくさんの研究をやってい るわけですけれども、その中の一部を、今日は御紹介させていただきたいというふうに 思います。  私たちの研究班の中で考えているDPC対象病院の基準ですけれども、基本的にはD PCというのが急性期病院から最初に始まったということがありますので、もともと急 性期でないと、1エピソードというのはなかなか定義しにくいところでもあると思いま すので、臨床面では、この急性期の患者に対応している病院であろうと。それは、手厚 い医療体制とか中央診療部門が充実していることだろう。経営面といいますか、マネジ メントの面では、DPCというのは、いただく情報が正しいということを前提に評価す る仕組みでございますので、きちんとした情報が出せるという能力がなければいけない だろうということで、そういうものをどういうふうに評価したらよいだろうかというこ とを考えております。  今日、その情報のほうは少し入れていないんですけれども、例えばコーディングの正 確性の評価でありますとか、あるいはコーディングの正確性の評価の中には、例えば部 位不明というようなICDがどのくらい出ているのかとか、あるいはアップコーディン グと思われるような不適切なコーディングがどのくらい発生しているのか、そういうも のを指標化することは可能だろうというふうに考えて、幾つかそういう指標もつくって おりますが、今日は、そちらのほうにはあまり触れませんで、むしろ、臨床面をどうい うふうに評価するかということを、主に説明させていただきたいと思います。  1ページめくっていただきまして、3と書いたスライドでございますけれども、では、 この機能係数をどういうふうに考えるのかということですが、これは研究班の中で、大 分、長い議論があったんですけれども、基本的には各施設の持つ機能に関連する固定費 的な部分を評価するものが機能係数であろうというふうに考えております。その病院を 利用する患者全てが等しく負担することが適切なものは、やはり係数で評価することが 妥当であろうと。ただ、その病院の特定の機能を利用する患者のみが負担することが適 切なものは、加算で評価することが妥当であろうと。やはり、その二つは分ける必要が あるだろうというふうに考えています。  それから、そもそも支払の基となる診療報酬の見直しで評価することが妥当なものも あるのではないか。これは、今は、例えば手術とか、手術に関連した薬剤、麻酔という ものは、いわゆる出来高でやられているわけですけれども、例えば、その包括の範囲の 中で、ばらつきの原因になっているようなものがもしあるのであれば、もう少しそうい うものをきちんと見直していくということが必要ではないかというふうに考えています。 そのばらつきにつきましても、患者要因で起こってきているもの、あるいは、その病院 の診療が標準化されていないために起こってきているもの、この二つは明確に分けて評 価することが必要ではないかということで、今、内容の分析をしているところでござい ます。  それからもう一つは、やはり機能係数を考えていく上で、その病院だけではなくて、 病院がその地域の中でどのような機能を果たしているのかという、この点にやはり少し 踏み込んで評価していかなければ、機能係数というのはつくれないのではないかという ことで、この当該施設がその地域で果たしている機能を評価するという視点、具体的に は後ほどお示ししますように、医療計画で定められているような4疾病・5事業に対す る取組、あるいは臨床研修に関する取組というようなものを、やはり評価するというこ とが必要ではないかというふうに考えています。  その後、三つぐらいポンチ絵を書いておりますけれども、それが今、御説明したこと を図示したものでございますけれども、4枚目のスライドは、支払を最適化するための 方策ということでまとめております。  今の調整係数の中には、ばらつきを担保するというような部分があるわけですけれど も、その中で、これを多分、変動的な部分と固定的な部分に分けることができるだろう と。変動的な部分のところで、どういうふうに最適化していくかということになります と、一つは、もともとのDPC別の包括払いの点数そのものが、現行の出来高の診療報 酬表に基づいてやっているわけですので、その出来高払いの単価そのものを、やはり最 適化するということも必要ではないかというふうに考えています。それは何かというと、 具体的に一つの例としましては、例えば、まれな疾患を、後でお示ししますように、大 学病院等が非常に診ていると。もし、そういうものに対してコストがかかるのであれば、 そういうものを治療するという出来高の点数というものは、もしかしたら見直しが必要 なのかもしれないということです。  それから、包括範囲の最適化。これは、例えば、特に化学療法で先鋭化していると思 うんですけれども、そもそも患者さんにたくさん使うというインセンティブがあまり働 かないもの、多分、化学療法を、すごく利益優先で、通常量の3倍とか5倍を投与する ということは、基本的にはあり得ないことだと思いますので、やはり医療に必要なもの を、患者さんの容体、病態に応じて適用している。それが、もしばらつきの原因である とするならば、そういうものを包括範囲の中で考えることが適切なのか、あるいはそれ を、もしかすると分岐で分けるということも可能かと思いますけれども、この包括範囲 を最適化するということも必要ではないかというふうに思います。そういうことを通し て、DPC分類そのものの価格を最適化することによって、今の調整係数の中に含まれ てしまっているようなばらつきというものを適正化できるのではないか。これは、診療 報酬の見直しにより対応する部分だろうと思います。  それ以外に、それでは賄えない部分、固定費的な部分ということになりますけれども、 これは先ほど申し上げましたように、一部の患者さんが負担するというものについては、 やはり現行どおり加算によって対応するのが適切だろうと。一方で、全ての患者が負担 する、あるいは地域としての必要な機能を整備する、提供する、この部分は病院の機能 係数として評価することが妥当ではないかというふうに考えております。  では、今、研究班の中でどのような形で検討しているかといいますと、そこに書いて あるのは、5枚目が具体的な作業になります。  実際に私たちは、データに基づいてこういうものを考えていくということが、いただ いた宿題でございますので、それに沿ってやるということでございます。  まず、データを、今、集めておるところです。これは、全体を示せばよかったのです けれども、私どもは厚生労働省がおやりになっている退院患者さんの調査に加えまして、 それぞれの機能に合わせた、それぞれの特別な調査を行っております。具体的には、I CU、ER、あるいはコスト、そういうものにつきまして、別途、調査票をつくりまし て、それに基づいてデータを集めて、集計して、それを退院患者さんのデータと突き合 わせて分析するということをやっております。  その中で、例えばそのデータの品質なども検討しておりますので、病院ごと、施設ご とにどのような品質のデータが出されているのかということも、中では検討しています。  具体的には、例えばコーディングの正確性ということでございますと、病院のほうか ら出されているコード、Dファイルが入ってきているわけですけれども、それと研究班 のほうで様式1、EFファイルから、その全ての組み合わせで実際にやってみたコード との分類との一致性の検討、そういうこともできるわけでございます。それで、今度は その集めたもののデータで、一応、品質の高いものをベースにしてというか、データを 再構成するわけですけれども、ある程度、分析に耐え得るデータをつくったところで、 指標ごとのばらつきの分析でありますとかそういうものを、今度は施設の外的基準、ど のようなスタッフィングでありますとか、今、どのような機能を持っているのか、そう いうものと組み合わせて分析をしております。そのいろいろな分析の中から、適切な対 応方法というものを、一応、選択しまして、まだ始めたばかりでございますけれども、 少しいろいろな係数を組み合わせてみて、シミュレーションをやるというようなことを やっております。  ただ、この分析の中で、少し気になっていることがございまして、再三、この分科会 でも、あるいは他の委員会でも、コストをどのように反映するのかということがいろい ろなところで言われるわけでございまして、私どももそれに対応できるようにというこ とでコスト調査をやったり、あるいは財務諸表の調査をやったりしているんですけれど も、残念ながら施設からいただいている財務諸表というのが、かなり精度が悪い状況で ございます。施設によっては、損益計算書とバランスシートが合わないというようなこ とが起こっておりまして、やはりコストということを、もし本当に反映させて、この議 論を進めていくのであれば、この財務諸表の精度の向上というのが、やはり重要ではな いかなというふうに考えております。  ただ、一応、研究班の中では、これは今中委員がやってくださっているんですけれど も、現行の出来高払いの診療報酬表と、私どもがコストで計算しているものと、そんな に大きなずれがあるわけではありません。そういう意味で、特に外科系のものに関しま しては、今の出来高点数表というのが、順番としてはそれほど悪くないというふうに考 えております。要するに、価格の絶対値に関しては、いろいろ議論があるところだと思 いますけれども、平均のところを100として、それを指数化して並べてみると、それ ほど原価とずれているものではないというふうなことを、以前、報告書のほうでは報告 させていただいております。  そういう具体的な作業の中で、では、具体的に何を、今、検討しているのかというこ とを書いたのが、6番目のスライドになります。  プロセスのところでは、医療の質ということを、やはり評価しないといけませんので、 そのプロセスというものも、まず分析しております。プロセスのばらつきに関する検討 としましては、例えば手術・処置、化学療法、あるいは抗生物質の使用量につきまして、 どのようなものが使われているのかということ、そのばらつきの検討を行っております。 そのばらつきを検討することによって、例えば標準的な医療というのはどういうものな のか、そういうもののガイドラインなどとも突き合わせながら、今、このばらつきの検 討を行っております。それをやることによって、この診療プロセスの妥当性と。多分、 このプロセスに関しましては、今、DPCというのは、ある意味で後追いの仕組みにな っておりまして、現場でやられている医療の内容を全て肯定する形で、その平均像とし て点数を決めているわけですけれども、むしろその視点としては、例えばその抗生物質 の使い方のようなもの、化学療法のようなものについては、多分、その病態に合った標 準的なプロセスというもので評価すべきだろうというふうに考えています。そのばらつ きを全て肯定するのではなくて、その中の標準的なものを見てきて、それに対して評価 するということ、そのために、この診療プロセスの妥当性というものの評価を加味して やっていかなければいけないということで、この分析をしております。  あと、包括範囲についての検証ということでは、化学療法、高額処置・材料などが、 どのくらいのばらつきに寄与しているのか。それを、例えば包括範囲に含めたり出した り、あるいは分岐で分けていったときに、どのようになるのかというようなことの分析 もしております。一般的に言いますと、これはかなり物によって違います。例えば、高 額材料などですと、高額材料を使っているからばらつきの原因だという議論もあるわけ ですが、物によってはほとんど関係しないものもございますので、それは多分、医療の プロセスの中で評価していくべきものだろうというふうに考えております。  それから、ケースミックスという考え方があります。これは、それぞれの病院がどの ようなDPCの種類の換算を見ているのかというミックスですけれども、それとパフォ ーマンスの関連というものを評価する指標としまして、後ほど御説明いたします例えば 複雑性指標、複雑な傷病の診療を評価する「複雑性指数」とか、効率よい診療を行って いるものを評価する「効率性指数」とか、あるいは稀少な傷病の診療を評価する「稀少 性指数」ですとか、あるいは諸外国等で国際的によく使われている重症患者の指標とし ての副傷病スコア、Charlson's scoreですけれども、そういうものに基づいた分析とい うものをやっております。  それから、ストラクチャーに関する評価としましては、施設の外的基準について、こ れまで調査を行ってきました。  ただ、やはり非常に短期間で、非常に負荷のかかる調査をお願いしていることがあり まして、コスト調査ではそうでもないんですけれども、例えばICUとかERの調査に なりますと、この構造に関するデータというのは、かなり信頼性が低いという状況にな っていまして、実際、今、ここのところに踏み込めないでいます。今年はそういうこと で、たまたま施設調査の年度でございますので、その枠組みを活用させていただき、今、 この施設のストラクチャーを評価するための調査票を、施設調査の個票をベースにつく らせていただいております。それを基にして、このストラクチャーを評価するようなこ とをやっていきたいというふうに考えます。  それから、DPCの評価につきましては、必須3基準以外に、いわゆる望ましい5基 準というのが、一応、提示されましたので、そこにある救急医療、ICU、画像診断、 麻酔、病理、これは今、臨床研修とか、いろいろあると思うんですけれども、そういう ものを、今、状況について、評価を行っているところでございます。  それから、診療情報の質の評価のところでは、EFファイルの適切性ですとか、IC Dコーディングの状況、こういうものとDPCのコーディングの状況、こういうものを 検討しております。このEFファイルの適切性というのは何かといいますと、基本的に はEとFできちんと情報が入っているということが前提なんですけれども、どうも分析 をしてみますと、そうでない病院、施設が幾つか散見されるということで、これはそも そもデータのベースとなるところが、少し精度が低いということになりますので、そう いうところを、やはりちゃんと評価しなければいけないのではないかということで、こ の部分の分析もやっております。  それから、その次に地域の役割、貢献度ということでございますけれども、やはり研 究班が扱っているデータは、少し少ないんですけれども、厚労省のほうから今年5月の 分科会で、やはり1,420余の病院につきまして、各病院がどのような患者さんをど のくらい見ているのか、それからその手術に関しましても、どのような手術をやってい るのかということが、ある程度分かる形でデータの公開が行われました。これが、いわ ゆる一般病床の大体50%を超している状況でございまして、多分、その地域医療計画 を考えていく上で、地域によっては、その地域の急性期医療を担っている病院が、ほぼ 全て入っているという地域が幾つかございます。そういうところのデータを基にして、 例えば、医療計画で定められている4疾病・5事業に、各病院がどのような貢献をして いるのかということを、詳細データを基にして分析するということが可能になってきま したので、そういうものから地域での役割というものを評価するということをやってみ たいというふうに考えております。それが、いわゆる4疾病・5事業のところでの患者 シェアですとか専門性とか、その中でも稀少性の高い疾患ですとかも、難易度の高い手 術ですとか、あるいはその地域でのこの4疾病・5事業になりますけれども、がん診療 にどのくらい貢献しているのか、そういうことを評価できるようになりましたので、そ ういうことに着目して分析を行いたいというふうに考えております。  では、私どもの研究がどういうふうになっているかということですけれども、7枚目 のファイルに、私たちの―ちょっとこの「松田研究班」というのはあまりよくないの ですけれども―研究班の分析対象データの数と病院数が書いております。私どもの研 究は、あくまで厚労省の研究と関連しながらですけれども、独立にやっておりますので、 調査のほうには、主任研究者である私と各代表の方との個別契約に基づいてデータをい ただいて、そのデータの管理に関する厳しい取り決めをしてやっているところでござい ます。ですので、病院数でいいますと、平成19年では65%の施設が、私どもの研究 に参加していただいていますし、データ数でいうと、厚労省の集めているデータに比較 しますと76%ということですので、若干、少ない数になっております。  ですから、私どもの研究班の成果が、そのまま厚労省のデータに当てはめることがで きるかということは、やはり改めてまた検証が必要であろうかというふうに思います。 いずれにしても、このくらいの数でやっているという研究でございます。  ここから、具体的にやっている内容を、少し例示したいと思います。  ただ、これはあくまで例示でございまして、これに基づいて、今、結論が出ていると いうものではございません。  まず、ばらつきの検討というのをいろいろなものでやっているんですけれども、例え ば化学療法ですとか抗生物質の使い方とか、そういうところで少しやらせています。  例えば、これは伏見研究者がやってくださった研究でございますけれども、これは虫 垂炎・虫垂切除術等・副傷病なしという患者さんで、術中、術後の抗生物質がどのくら い使われているかということを1入院単位で見たものでございます。横軸が円というこ とでございますが、一応、外科学会のほうで出しているガイドライン等を見ますと、こ ういう症例の術中、術後の抗生物質というのは、第1世代のセフェム系、第2世代のセ フェム系というのが、一応、標準ということになっております。  それで、これは安いほうからずっと並べているんですけれども、やはり下のほう、こ の1病院当たりの抗生物質の使用量の価格として少ない安い病院というのは、やはりこ のセフェム系、第1世代、第2世代のものを中心に使われているようです。  ところが、ほとんどが、例えばオキサセフェム系の抗生物質でありますとか、あるい はカルバペネム系の抗生物質、あるいはセフェム系の第4世代を使っているというとこ ろがかなりございまして、そういうところはかなりこの点数というか、抗生物質の価格 が高くなっているというように、この虫垂炎・虫垂切除術等・副傷病なしというもので ありますと、かなり標準化可能な領域だと思うんですけれども、そういうところでもこ のくらいのばらつきがあるということが見えてきます。  そうしますと、このデータを見ながら、少しDPCの価格設定をする際にも、やはり 標準的な診療とは何だろうということを考えながら、やはり価格設定をやっていかなけ ればいけないのではないかなというふうに思います。  その下に、今度はラパコレ、腹腔鏡下胆嚢摘出術ですけれども、特に10枚目になり ますと、これは横軸に1病院当たりの手術数を示しております。上の縦軸が、平均在院 日数になります。これを見ますと、やはり例数の多いところでは、かなり在院日数が短 くなっております。ところが、手術が少ないところでは、非常にばらつきが大きくなっ ているという傾向が見てとれます。  1枚おめくりいただきまして、それを手術数と平均在院日数の集計ということで、一 応、棒グラフにしておりますけれども、やはり手術数が多い施設ほど、平均在院日数が 短くなってくるということが分かります。これは、恐らくこういうクリティカルパスが 一番乗りやすいようなものでございますので、そういう意味では、多分、そういう診療 プロセスの標準化が進んでいるのだろうというふうに考えます。  こういうものも、実際にプロセスを、DPCはEFファイルをいただいていますので、 EFファイルでは、いつ、何を行ったかということが時系列で分析できますので、そう いうものを基にしてプロセスを分析していって、標準的なプロセスというものを考えな がらやっていくということが必要ではないかというふうに考えています。  同じような傾向が、例えば12枚目のところでは、大腿骨頭再置換術等手術処置等1 なしということでやってあるものですけれども、これもやはり1病院当たりの手術数で、 この横軸を見てみますと、やはり非常に手術数の多いところで平均在院日数が短くなっ てきて、安定してくるということが見えるかと思います。大体20症例以上やりますと、 平均在院日数が、大体30日ぐらいのところでまとまってくるということになりますけ れども、それ以下のところでは、かなりばらついておるのが現状です。  13枚目は、それを棒グラフにしたものでございますけれども、このような形になる と。やはり、手術件数が少ないところでばらつきが出ていると。これは、在院日数でご ざいますので、そのアウトカムがどうであるのかという問題は、これはまた別の問題で あるというふうに考えています。  それから、ちょっと前後しますけれども、14ページのところでは、先ほどの手術数 と抗生物質の使用量というのを見ておりますけれども、やはりその例数が多いところで は、1症例当たりの抗生物質使用量というのが少ないということがありますし、例数が 少ないところでは、非常に大きくばらついているということになります。こういうもの は、やはり例数が多いところは、かなりクリパスなどの使用などもありますけれども、 プロセスそのものをしっかりと見て、ガイドラインに従ったような医療をやっていると いうことが示唆されるような視点ではないかというふうに思っています。  こういった今のプロセスの分析を、抗生物質ですとか化学療法ですとか、あるいは術 前日数の各検査とか、そういうところでやりながら、プロセスのばらつきというものを 見ていって、それを施設の外的基準と合わせていって評価するということを、今、やっ ているところでございます。  1枚めくっていただきますと、今度はもう少し大きな単位で、病院全体で何をやって いるのかということを見るということで、ケースミックスの違いの件ということをやっ ております。これは、少し分かりにくい説明になるかもしれませんけれども、例えば、 ある病院が、平均在院日数が長いといった場合に、これは要因が二つ考えられるわけで ございます。  それは何かといいますと、各病院がほかの病院に比べて、より在院日数が長いDPC の換算をたくさん見ているのであれば、当然、在院日数は長くなるわけです。一方で、 同じDPCでもその病院がほかの病院よりも長く診療をやっていれば、当然、それは在 院日数が長くなるわけです。それを評価する方法が、効率性指標・複雑性指標とやって いるわけですが、これも伏見委員にお願いしてつくっていただいた分かりやすい図なん ですけれども、例えば1番のところで見ますと、病院へのDPCごとの平均在院日数、 これを用いて、全病院のDPCごとの入院患者数というのがあるわけですけれども、全 病院の患者数で、その病院のDPCごとの平均在院日数を、全病院のDPCごとの入院 患者数で掛けて、それを全病院の平均在院日数で割ってやりますと、仮にその病院が全 国と同じ患者構成であった場合に、どのくらいの在院日数になるはずなのかという指標 がつくれます。これを、複雑性指標と考えるわけですが、よりどのくらい難しい患者さ んを診ているのかという指標になります。逆に、その全病院のDPCごとの平均在院日 数を用いて、その病院のDPCごとの入院患者数というのを評価してありますと、その 病院が全国の平均在院日数で補正した場合の在院日数というものを評価することができ ます。これは、効率性指標ということになるわけです。  この指標を用いて各病院をプロットしたものが、17番目の表になります。色分けし てありますけれども、これを見ますと、一般的に言えることは、平成15年の支払対象 病院、これはいわゆる特定機能病院ということになりますが、そこは非常に複雑性の高 い患者さんを診ている割合がやはり高い。ただ、やはりかなり効率性に関しては、低い ところから高いところまでばらついているというのが現状です。  一方で、平成16年の支払対象病院というのは、やはり非常に効率的が高い病院が多 いです。やはり1.0以上のところに、かなり多く分布しています。  ただ、やはりこれも、今度はこの複雑性指標に関して言うと、かなり上下にばらつき があるという現状になっています。これを、平成18年準備病院を含めて見ますと、こ れはもうこの四つの象限に均等にばらついておりますので、かなりケースミックスとい いますか、扱っている患者さんの種類とか、それからそれに関して行われている医療の 内容について、かなりばらつきが広がっている病院群というのが、この平成18年準備 病院ということになってくるだろうというふうに思います。  これを少しまとめてみたものが、18枚目のスライドになります。  これが、患者構成の複雑性指標ということになりますけれども、見ていただきますと、 平均像として見ますと、やはり特定機能病院がほとんどである平成15年というのは、 平均像として見ますと、やはりかなり高い複雑性指標の換算を見ているということにな ります。これは、年度によって下がってくるわけですが、ただ、この箱ひげ図で見てい ただいて分かりますように、平成15年度の支払病院の場合には、かなり複雑性指数が 高いところでまとまっているんですが、平成18年、平成19年準備病院というのを見 ていきますと、確かに平均としては下がってきているんですが、その中にかなり機能の 高い病院も含まれているということです。要するに、どの年度に入ったかということで くくれるような代物ではないということを、これは示していると思います。  では、次のページをお願いします。  次に、今度は19枚目ですけれども、これは各医療機関の機能を評価するための指標 として、一つ、稀少性を評価するというものをやっております。その病院が、どのくら い稀な患者さんを見ているのかと。それを評価する指標として、これも伏見委員が考案 した指標ですけれども、生物の種の稀少性を示すために用いられるShannonの稀少性指 数も、これは動物の今いる割合というものをログでとって、その対数をとって、それを 負にするという指標ですけれども、その絶滅のしやすさをあらわす稀少性指数というも のを、あまり言葉としては適切ではないかもしれないですけれども、患者さんの稀な病 態というもので評価したものが、稀少性指数ということになります。これで見ていただ きますと、確かに特定機能病院とは、先ほどのものに比べても、さらに上のほうに分布 しています。かなり高い稀少性指数ということで、やはり稀な疾患を診る病院群として、 特定機能病院というのは、かなり特殊な位置にあるということが分かります。  ただ、一方で、この箱ひげ図、H16支払、H18支払、H18準備がありますよう に、この範囲の中に病院が存在しているわけですので、それぞれの病院群の中にも、か なり高い稀な疾患を診る病院が存在しているということを意味しています。  それから次に、21ページのスライドですけれども、あとはどのぐらい手術をしてい るのかということも一つの指標だと思いますので、この病床の総数と、それから全退院 患者に占める手術を受けた患者さんの割合というものも、一応、評価しております。  このDPC対象病院ということで見てみますと―すみません。これはちょっとずれ ていますね。これが、一番最初の特定機能病院になると思いますけれども、そういう病 院は、確かに病床数も非常に大きい割合が多いんですが、手術処置割合が非常に高いと いう特徴があります。概ね、退院患者さんの60%以上が手術を受けているという患者 になります。この手術に、いわゆる97は含まれておりません。平成16年支払参加病 院になりますと、少し病床規模が小さいところで、やはりこの手術をやっている割合が 少なくなって、内科系の疾患が多いということになってきます。平成18年新規支払対 象病院につきましては、かなり大きなばらつきがありますけれども、この図を見ますと、 ある程度言えることは、病床数が少ないところで、やはり少し手術の件数が少ない。少 ないところで手術件数が多いところというのは、概ね大体、単科病院でございます。  こういう手術というものに着目しまして、手術の稀少性と、それから全症例での稀少 性指数というものを、少し関係を見てみているんですけれども、これはあまり大きな強 い相関はないようでございます。  この稀少性というものを、伏見先生がきれいにまとめてくれているんですけれども、 稀少性と複雑性というものを軸にして、それぞれの病院がどういう位置付けになるのか ということを示したのがこの図になります。入院と外来で比べますと入院のほうが、や はり稀少性も複雑性も高いですし、特に、特定機能病院は、稀少性が高くて、複雑性指 標が非常に高いというものを見ています。それから、臨床研修病院というものも、やは りその次につきまして非常に高い位置にありまして、公立、民間大規模、民間中小とい う形に分布しています。  次に、複雑性を見る、重症度を見るということで、Charlson's scoreというものが国 際的にも、これはいろいろ批判もあるスコアではあるんですけれども、このスコアを使 って各病院を評価してみました。これは何かといいますと、様式1に記載のあります傷 病名、これは全部で12傷病名が記載されております。入院契機病名、それから主傷病、 それから医療資源病名と、2番目に医療資源を投入した傷病、それから併存症が四つ、 続発症が四つで、全てで12病名あるわけですけれども、その12の傷病を拾ってきま して、医療資源の医療資源病名以外のものを拾ってきまして、その副傷病はどういうも のがあるのかということを、ここに示した定義に従ってウエートをかけていくわけでご ざいます。例えば、心筋梗塞があった場合にはウエートが1、あるいはヘミプリージア などがあった場合には2、あるいは非常に重症な肝障害があった場合には3、悪性腫瘍 やその転移、あるいはAIDSなどがあった場合には6という形で、副傷病のスコアを 計算するわけです。  これを、医療機関別に全てのDPCでやりまして、副傷病スコアとしての平均スコア を見たものが、この25ページ目のスライドになります。  これで見ましても、やはり平成15年の支払対象病院が、非常に平均としては高いと ころにあります。平成16年、平成18年、準備と見ますと、平成16年、平成18年 が同じぐらいのレベルで、平成18年準備病院になると少し下がるというような傾向が ありますが、ただ、これも箱ひげ図で分布を見ていただきますと、平成16年支払病院、 平成18年支払病院の中にも、非常に複雑な副傷患者さんを診ている病院があるという ことでございますので、こういうものをどういうふうに評価していくかということがポ イントであろうかと思います。  これは、開設者の種類別に整理してみたものが、26枚目のスライドでございます。 これで見ますと、ナショナルセンターが、やはり非常に高い副傷病スコアの患者さんを 診ている。続いて、各国立大学、私立大学という形になっております。  ただ、これも平均像でございますので、それぞれの設立主体の中には、かなり多様な 病院機能を目指した病院群があると思いますので、この開設者で係数をつくるというこ とは、あまり適切ではないだろうというふうには考えております。  1枚めくっていただきまして、今度は望ましい5基準の妥当性の検討というものを行 っております。望ましい5基準というのは、急性期の機能を考えるための一つの指針と して出されたものですけれども、それに対して数字的な検討をしなければいけないとい うことが宿題としてございましたので、それをやっております。これは、あくまで5基 準をいきなり係数化するとか、そういう議論ではなくて、これが本当に妥当なのかどう かということを検証するためのステップだというふうに、私どもは認識しております。  まず、最初にICUをやっております。ICUにつきましては、もう過去3年間、D PC対象施設に10月いっぱい、特別にまた別の調査をお願いしております。10月の ところで退室した患者さんに対して、入院時のアパッチスコア、それからその患者さん がICU入室期間中にどのような医療処置を受けたのか、それを、ICU学会、集中治 療医学会の先生方にいろいろ御相談していただきながら、重症度を評価するための項目 というのを選定していただきまして、それを付け加えた調査票というものを配って、そ れを評価しておるところでございます。  これは、一つの例でございますけれども、急性心筋梗塞の治療目的でICUに入った 患者さんの退室死亡に関する要因の分析結果などというものをやっております。これを 見ますと、これは簡単に申し上げますけれども、Odds比というのは、それがあるとどの くらい、ないものに比べて死亡する確率が高くなるのかということを示したものでござ いますけれども、男は死にやすいですね。それから年齢階級は、3区分になっています けれども、年齢区分が上がるにつれて死にやすいということが出ています。それ以外に は、有意確率が有意なものだけを申しますと、やはりショックがあった患者さんは7倍 ぐらい、ない者に比べて死亡しやすい。それから、人工呼吸器を付けていた割合が高い ものについては、やはり高い。それから、人工腎臓を回していた者に対しても、死亡す る確率が高いというのが出ていますが、ここで注目すべきは、有意差は出なかったんで すけれども、ICUの形態には、クローズド、オープン、セミクローズドというのがご ざいます。クローズドというのは、そのICUに常勤のスタッフでクローズドで、IC Uにいる医師、看護師でその患者さんのケアをするというのが、いわゆるクローズドと 言われているものです。オープンというのは、いろいろな診療科の先生がICUという 部屋を共同で使っているタイプのICUです。これで見てみますと、クローズドの場合 には、セミクローズドといってオープンとクローズドの間ぐらいのものに比べて、死亡 退院確率が非常に低くなる。オープンの場合には、少し高くなるという傾向がございま す。これは、クローズド、オープンというものをどういうふうに定義するかという問題 があるんですけれども、そういうものを、実は、これは脳血管障害とか、いろいろなも のでこういう分析をやっているんですけれども、総じてやはりクローズドの場合には、 死亡確率が低くなってきているという傾向があります。  そうしますと、この29枚目ですけれども、ICUのところでいいますと、やはりこ の医師を含めた専従医療職の配置が、医療の質に関連している可能性があります。それ から、患者の重症度が、施設によってかなり異なります。この人工呼吸器を付けている 患者さんの割合というのが、同じICUという枠の中でも、かなり施設によってばらつ いている。そうしますと、このスタッフィングとか重症度、どのぐらいの重症度の患者 さんを扱っているのか、こういうものに基づいて、ICUの機能評価をすることができ るのではないかというふうに考えられるわけです。これは、後ほど参考資料として付け たものをもう一回御説明しますけれども、諸外国では、このようにスタッフィングと、 それからその病院がどのような重症度のICU患者を受け入れているかによって、実は 加算を変えています。そういうものも、一つの方法ではないかなというふうに考えます。  それから、5基準の中では麻酔のことということがありましたので、全麻の割合みた いなものも、一応、評価しております。導入年度で見てみますと、確かに特定機能病院 が多い平成15年支払病院では、全手術患者さん、麻酔を受けた患者さんに対して、3 0%ぐらいの患者さんは全麻でやられているというデータです。  ただ、これもかなりばらつきがありますので、それ以外の施設のところでも、かなり 高い機能、そういう麻酔の割合が高い病院というのがございます。  続きまして、次はMRIですけれども、この辺の分析は、全て藤森委員がやってくれ たものでございます。これは、例えばMRIで受けた―これは脳梗塞を示しておりま すけれども―患者さんの中で、例えば1.5TのMRIで検査を受けた患者さんがど のくらいの割合であるのかということを示したものです。もちろん、機器のスペックと いうものをどういうふうに評価するかということはあると思いますけれども、やはり諸 外国の例を見ても、今、このMRIなどですと、1.5T以上というのは、ある意味、 かなり当たり前のことになってきておりますので、そういうそれぞれの病院の機能面で の評価をやるために、こういうスペックというのも一つのポイントになろうかと思いま す。もちろん、稼働率も見ないといけないわけですが、それを見たのがこの図になりま す。  やはり、特定機能病院が多い平成15年支払病院というのは、かなり高い割合になっ ていますが、平成16年支払病院、平成18年支払病院になってきますと、かなり低く なっております。恐らく、これに、あとはどのくらい放射線科医がきちんといるのかと いうことを掛け合わせて見ていきますと、やはりその病院の機能みたいなものが、ある 程度、評価できるのかなということはあろうかと思います。  ただ、それを係数に反映させるのか、あるいはどういうふうに反映させるのかという ことは、また別途、議論が必要だろうと思います。  それから、その次が病理専門医ですね。やはり、こういうDPC対象病院では、かな りがんの手術が行われておりますので、そうしますと、その術中迅速みたいなものがと ても重要になってくるだろうと思います。やはり、その切除する範囲を決めるとか、そ ういうことでもありますので、この病理専門医の存在割合というものを見ますと、これ は当たり前ですけれども、大学病院等が多い平成15年では100%ですが、これがだ んだん下がってきているという傾向があります。  ただ、病理につきましては、遠隔診断もございますので、それはもしかすると、各病 院が持っている医療計画の中での機能ということにも、もしかしたら関係してくるのか もしれませんけれども、こういう状況でございます。  それから、その次の33ですが、これは病理専門医がいるか、いないかによって、各 診療項目がどのくらいやられているのかということを示したものでございます。病理専 門医がいるところでは、確かに、まず退院患者数が多いですし、それから組織の検体数 も多いですし、それから組織検査率も高い。それから、迅速の病理検査率も高い。それ から、免疫染色の割合も高い、こういうことになっております。やはり、全項目で病理 専門医がいるほうが、この病理が関連するような検査に関しては、パフォーマンスが高 いということが言えるかと思います。  それをまとめたのが、この34枚目のものになりますけれども、一つの例でございま すけれども、全患者に対する迅速検査の割合というのが、やはり病理医が100%存在 している特定機能病院等で非常に高くなっているというデータでございます。  一応、ここまでが個々の病院のデータでいろいろ見られるものになってございます。  次に、35枚目のところで、地域での役割の評価方法を検討しようということで、今、 いろいろなことを検討しています。  基本的には、例えば一つの軸としては、4疾病・5事業に関して、DPC対象施設が それぞれの地域で、それぞれの4疾病・5事業に対して、どのくらいの占有率を持って、 どのくらいの症例数を見ているのかと。一つは、この二つの軸で評価することが可能で あるかと思います。既に、これは社会保険病院等ではもう取り組まれている事業だとい うふうに聞いておりますけれども、これだけの多くの病院が入ってきますと、そのDP Cのデータに基づきながら、この4疾病・5事業の評価は、ある程度、可能ではないか なというふうに考えられますので、そういうものをベースにして、一つ、それを具体的 に評価する方法ということも考えられるのではないかというふうに考えています。今、 一応、研究班のほうでは、こういう研究を協力していただける地域というのを、一応、 選定しておりまして、そことの話合いの中で、今年度、ある程度のこれに沿った形での 研究の成果というのをお出ししたいなというふうに考えております。  最後に、諸外国の例を、一応、参考のために付けさせていただきました。38は、オ ーストリアにおけるICUの評価、これは、実はERも同じような形で評価しておりま す。どういうふうにやっているかというと、TISS28とかTRISSとか、あるい はAPACHEとかSAPSとか、病態によっていろいろ使い分けているんですけれど も、これはどういうものかといいますと、向こうでは、その病院がどのくらいの平均の 重症度の患者さんを受け入れているのかというものに応じて、その病院の1日当たりの 加算点数を決めるというやり方をやっております。  例えば、区分1とか何かといいますと、パフォーマンス基準といいますと、1日当た りの平均のICUの患者さんのTISSスコアが18以上、パフォーマンス基準で、も う一つのほうの評価基準ですが、1床当たりの看護師数が1.5人以上いる、そういう ICUの場合には、1人の患者さんの1日当たりの加算点数が365点という形になり ます。他方で、区分6、1日当たりのTISS28のスコアが平均で40点以上、なお かつ、1床当たりの看護師数が4.0という病院では、1,412点の加算がつくとい う形であります。  ただし、このICUの開設というのは、オーストリアの場合には、医療計画でかなり 厳密に規定されています。その医療計画との組み合わせの中でやられているということ ですけれども、このようにその病院がどういうスタッフィングであるのか、それからど ういう重症度の患者さんを受け入れているかによって加算を変えるという仕組みで、オ ーストリアの場合には動いております。  それから、地域加算という議論がございましたので、そういう地域加算をやっている 例を少し探してみました。これは、オーストラリアのヴィクトリア州では、こういう形 で基準を決めています。これは、ちょっと分かりにくいんですけれども、標準レートと いうのが、大体1患者2,515ドルということになるわけですが、基本料みたいなも のです。1相対係数ですね。1件当たりの価格が2,515ドルということです。都市 部にある大病院には、地方換算は付きません。田舎のほうにある病院で、たくさん患者 さんを診ている病院では、たくさん患者さんを診ている病院ほど、実は加算が少ないん ですね。地方で、その病院がないと非常に困るであろう病院について、少しこの加算を 高めるという形でやっています。これは、オーストラリアについて、もし詳しい御説明 が必要であれば、また御説明いたしますけれども、これはあくまで地方加算の部分だけ です。  それ以外に、病院ではこういうことをやっています。その下が、教育・研修費用なん ですけれども、例えば、Postgraduateのドクターの3年目までの人を1人受け入れるご とに3万4,500ドルの加算を付ける。あるいは、その下のほうにありますけれども、 例えばMedical Laboratoryのサイエンティスト、要するに検査技師さんの研修をやると いうことで、1人1万1,900ドルの加算を付ける。こういう形で、教育・研修につ いても加算という形でやって、各病院が持っている機能を、いわゆるDRGの支払だけ ではなくて、その機能に応じて、係数ではなくて加算という形で評価するということを、 オーストラリアの場合にはやっています。これは、ドイツも同じようなやり方でやって いますし、こういうことも日本のこれからの医療機能評価を考える上では、参考になる 点ではないかなというふうに思っております。  これは、今やっていることのまだほんの一部なんですけれども、全部話すと、多分3 日ぐらいかかると思いますので、このくらいで終わらせていただきたいと思いますけれ ども、一応、私どもの今やっている研究の内容について、簡単に御説明させていただき ました。 ○西岡分科会長  非常に膨大なデータを、簡潔に御説明いただきまして、ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ございましたら。  どうぞ、斎藤委員。 ○斎藤委員  二つ、伺ってよろしいでしょうか。  一つは、先ほど先生は、診療プロセスの妥当性ということに関連して、標準的とはど ういうことなのか、これは集まってきたデータから後追い的に標準というものが決まっ てくるのか、後追い的ではなくて、アプリオリに最初から、メートル原器みたいに標準 的というものが想定されるのかという問題が、どうしてもあると思うんですね。私は、 診断群分類のMDC分類をやっていくときに、このMDC分類は、ある意味では平均在 院日数と投下資源量という2点から一つのまとまりになったものを特定の診断群分類で あるということで、後追いといえば後追いなんですが、底になっているのは特定機能病 院、平成15年導入のものだったわけですね。  ところが、近年、それがばらばらいろいろな格好になってきて、島としてまとまって いたものが、非常に広い雲の中にばらついてきたという傾向があって、いつまでも後追 いでよいのか、それとも原点として定めるべきメートル原器のようなものが、やはり想 定せざるを得ないのではないかというのが私の考えなので、それは診療プロセスについ ても、診断群分類についても、DPC制度の根幹を支えるもので、それは今後、ケアミ ックスのような病院をどの程度含ませていくかということで、いつまでもそこから上が ってくるデータにはというと、もう診断群分類そのものが雲の中に包まれて見えなくな ってくるという危惧があるので、その標準とは何かということを、先生の研究班でどう お考えになったかということが一つです。  それから第2点は、今、ここでICUの評価とか、それから麻酔の評価とか、病理の 存在というのでいろいろ検討していらっしゃるんですが、これは既に出来高の病院の施 設基準として、ICUの施設基準とか麻酔管理加算であるとか病理の専門医の存在とい うのが加算されているわけですね。それとの整合性がどうなるのかなと。既存の出来高 病院で十分機能しているものについて屋上屋を重ねるような格好で、DPCだけはまた 別計算でやりますということの整合性が、果たして理解が得られるかどうかということ で、既存の特掲診療料の中に盛り込まれている内容とDPC病院、これは、DPC病院 は特定機能病院を中心として、確かに高度なものはやっているわけですけれども、IC Uであるとか病理医という切り口だけで見れば、DPCを特別扱いする根拠は、必ずし も説得力がある理由を持ちにくいのかなという気もするんですね。その2点、先生方の 研究班でどうお考えになったのか教えてください。 ○松田委員  診療プロセスの妥当性ということでいいますと、一つは、やはり今、何をやっている のかといいますと、DPCごとにプロセスを少し詳しく見ていっています。その中で、 例えばこれは、実はDPCに参加しているある病院の外科の先生からサジェスチョンを 受けて、そういう分析をこれからクリティカルパスと組み合わせてやっていこうという ふうなことで考えているんですが、例えば、あるDPC14けた、もしくは10けたぐ らいのものがよいのかもしれませんけれども、その中で縦軸をどう持つかがなかなか難 しいんですけれども、標準的に行われた医療として、例えば8割の医療機関が行ってい るような医療行為というのはどういうものがあるのかということを横に持っていくこと によって、例えばラパコレならラパコレで、8割の医療機関が行っているものは何なの か。例えば、画像検査ですとか、こういうものとか、抗生物質の使用とか、いろいろあ ると思うんですけれども、そういうものを一応提示して、私たちがやることは、多分、 そこまでだろうと思っています。それを、実際に今度は臨床の先生に見ていただいて、 今、研究班では、池田委員がクリパスを全国から集めてくださっていますので、そうい うものと合わせていって、あくまで臨床医の判断に基づいて、標準的な医療プロセスと いうものを、ガイドラインとの関連の中からも考えていただけたらと思います。私たち は、その枠に合わせて、先生方に分かるような形として出していただくということをや らなければいけないのですけれども。 ○斎藤委員  私の私見といたしましては、8割といってもどんどん増えていって、いろいろな病院 が入っていったときに、その8割の中身そのものが、またぼやけてくる可能性がないか なと。このメートル原器的なものについては、平成15年に決めた特定機能病院で扱う ような疾病の診断群と、そこで行われている医療行為といったものを軸にしてやってい くというのも一つではないかなと。今後、どこまでケアミックス病院を含ませていくか ということと関わる議論なんです、これは。 ○松田委員  それを一つ、分析するための非常に重要な資料が、この5月に出されているわけです が、それは何かといいますと、DPCの6けたで手術の分別のところが、99、97、 それから01、02、03という形で、どこの病院が何をやっているかというのが、実 はもう公開されております。例えば、それを集計することによって、それは今、先生が 御懸念になられたような施設の元々の手術をする力の違いによるものが、ちょっとばら けてしまっているということですか、そこを整理し直すことによって、手術をやるとい うことの視点から見たときの施設区分みたいなものが、少し出てくるのではないかなと 思います。僕らがいろいろと分析させていただいて思うのは、必ずしも特定機能病院だ けが高い機能を持っているわけではない。民間病院とか公的病院でも、かなり高い機能 を持っている病院がございますので、ですから、そこは多分、施設の枠を一回外して、 どのような医療行為をやっているのかということでもう一回再整理をして、その中で、 今、先生が御指摘になったようなメートル原器みたいなものをつくっていくということ が、一つの課題ではないかなというふうに思います。 ○斎藤委員  よく分かりました。  それからもう一つ、後のほうはどうでしょうか。 ○松田委員  後のほうは、特掲診療料でやられていて、それを再評価すると、いわゆるダブルカウ ントになるのではないかという議論だと思うのですが、私たちは、多分こういうものは、 DPC参加病院である、なしにかかわらず、加算で評価することが望ましいだろうと思 っているんですが、特掲診療料そのものの設定に、少し問題があるのではないかなとい うふうに考えています。  これは何かといいますと、実際にAPACHEスコアがきちんとつくれた病院のデー タを基にして分析すると、重症度が非常に高い患者さんを診ている場合には、かなり透 析を回したりとか、いろいろなことをします。そうすると、今の出来高換算でやると、 実は加算を付けても赤字になるということが確かにあります。そうすると、やはりその 病院がICUの特掲診療料を取っているか取っていないかということだけではなくて、 やはりその病院がどのような重症度のICUの患者さんを診ているのかということを加 味しなければいけないだろうと思います。  ただ、それを新たな何か調査票を加えてやるということになりますと、今の日本のI CUというのは、非常に人員が少ない状況で回っていますので、できれば、せっかく日 本にはEFファイルという非常に細かい情報がとれる仕組みがあるわけですから、そこ から行われている医療行為をベースにしていって、何かそういう簡易版のAPACHE スコアみたいなものがつくれないか。それによってやはり特掲診療料そのものも、少し 変えていく必要があるのではないかなというふうに考えます。 ○斎藤委員  なるほど。  前回も、病院の機能評価係数の問題と、それからDPC以外の一般的な診療報酬体系 との整合性という御指摘があって、その辺の議論がかなりきちんとクリアされないと、 納得できるDPCの病院機能評価というものを決めにくいのではないかなというふうに 思いました。  以上です。 ○池上委員  私も、質問すれば1日かかってしまいますので、かいつまんで申しますと、まず23 ページに、医療機関機能別の診療内容の評価として、この上のほうはシェーマー図と考 えられるのでしょうか。 ○松田委員  実測値です。 ○池上委員  その実測値の根拠を、まず教えていただけますでしょうか。 ○松田委員  これは、伏見研究者が、このDPCとは別に、彼は患者調査の個票を使って分析して いまして、彼はそれで研究費をまた別にいただいてやっているわけですけれども、患者 調査の個票のデータというのは、これは診断名がICUで入っていますので、それにD PCのロジックを当てはめて、それで推計するということを、非常に画期的な研究だと 思うんですけれども、それを―すみません、これは参考で付けたほうがよかったかも しれないですね―参考資料として付けさせていただいたもので、これは患者調査の実 際のデータに基づくものでございます。 ○池上委員  ここで提示された、公立と、あるいは民間大規模というふうに非常にきれいに分かれ ていますけれども、この結果と、以前にDPC対象病院の各年度によって広がりの違い といいますか、ケースミックスの違いが、必ずしも年度によって変わっていないという ことと、整合性がないような気がしましたので、このようにきれいにまとまるのかどう かということに、若干、疑問を感じました。 ○松田委員  多分、図の見方の問題だと思うんですけれども、23ページのものは、あくまで平均 点です。平均点で、このバブルの大きさは、医療費の大きさです。こちらのほうの図と いうのは、インデックスそのもののばらつきですけれども、こちらはあくまで平均点の ところだけで評価していますので、重なりがないように見えますけれども、まず個々の 病院で見ると、もっと違うものになるだろうと思います。これは、あくまで平均点に基 づいて、バブルの大きさは医療費の大きさですので、ちょっと見ている軸が違うという ことになります。 ○池上委員  私が申し上げたいことは、これまでは機能の議論をしてきたわけですので、それとは 別の次元で、ここで提示されているように連続性のあることではないということを確認 したかったわけで、今おっしゃられたように、これは別の平均点という形での提示の仕 方であるということで分かりました。  それから次に、その下のCharlson's scoreというのは、非常に限定された範囲で、コ ストとの関係という観点からすると、必ずしも整合性がないのではないかということと、 むしろ、今後の後期高齢者が急性期病院に入院する可能性を考えると、いわゆるADL などの機能面、あるいは様々な基礎疾患ということを考えたほうが、より現実的ではな いかという気がしましたけれども、いかがでしょうか。 ○松田委員  いろいろあるので、これは一つの例です。ただ、僕たちも諸外国なりで調べてきてい ますけれども、例えばジョンズ・ホプキンスのACGみたいなものですと、やはりその 重症度というものを、疾患の組み合わせで評価するということをやっておりますので、 それをやった研究者のいろいろな今までのものを読ませていただいても、副傷病という ものは、組み合わせというのは一つのコスト面でも重症―彼女たちは医療費のことで 分析していますけれども―かなり関係しているということがあります。これは、あく まで今回、Charlson's scoreというのを僕たちが使いやすいということもあったので、 これで分析していますけれども、その副傷病を組み合わせた分析というのは、少しこれ からやっていきたいと思っています。これは、あくまでCharlson's scoreというのは例 示でございますので、今、先生がおっしゃられたことにつきましても、今後、検討して いきたいというふうに考えています。 ○池上委員  それから最後に、望ましい5基準の妥当性の検討ということを御提示されましたけれ ども、これは広く病院全体に嵩上げする係数ではなく、分野を特定した一部の患者が受 ける加算の対象の係数というふうに解釈しましたけれども、そのように解釈してよろし いでしょうか。 ○松田委員  まだそこまで私たちは踏み込んでいません。一応、その5基準というものが出ており ますので、それに対して、やはりその評価をするということが、私どもの今いただいた 宿題ですので、いろいろ分析していって、例えばそれを加算で評価する場合、あるいは 機能係数化できるのか、その辺はもう少しデータを積み上げてから検証したいというふ うに考えております。 ○池上委員  なぜそう申し上げるかといいますと、ICUがある病院とない病院、あるいは外科系 がある病院とない病院が出てきますので、これらの指標は、それがあるという前提で考 えなければいけないものですから、全ての患者に対する加算の指標としては適切でない ということで…… ○松田委員  それはそうですね、はい。 ○池上委員  そのことに留意していただきたいという点と、例えば全身麻酔に関して言えば、これ が一つの係数になるとしますと、局所麻酔でよい患者に対しても、全身麻酔の手術をす る可能性も出てくるということに留意していただきたいというふうに思います。 ○松田委員  あまりそれはないだろうと思うんですけれども、ただ、私たちがこの分析をやってい て、一つ、こういうものを見ているのは、あくまでその病院の麻酔をする力のプロキシ の一つの代替変数として、一応、全麻の割合というのを見ているだけでありまして、基 本的には麻酔をする力そのものをどういうふうに評価するということを、もう少し全体 的に考えたいというふうに、これはあくまで例示でございます。 ○池上委員  いや、例示は承知しておりましたが。  最後に、事務局に伺いたいんですけれども、最後のページにあります、ヴィクトリア 州における病院の教育・研修費用に対するこのような費用を換算するということは、健 康保険法の趣旨からして可能なんでしょうか。 ○中田補佐  我が国の診療報酬の中では、実際に患者さんに提供される医療の内容を評価するもの ですので、直接、研修にかかる費用がこうだからといったような評価は、今のところ、 なされていないというふうに理解しております。 ○池上委員  「今のところ、なされていない」のではなく、法律がある限り、これは、私は難しい と思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○中田補佐  研修費用の補てんという形での診療報酬のお支払は難しいといったような理解でござ います。 ○西岡分科会長  今の点については、大分前から、病院機能係数の中に入っておりますね。それも、法 的にはまずいということになるのでしょうか。 ○池上委員  正面からそれをやるのは難しいと思うんですけれども。 ○中田補佐  追加をよろしいでしょうか。 ○西岡分科会長  ちょっとそこのところ、解説をお願いします。 ○中田補佐  私の申し上げたところにつきまして、入院基本料の加算として臨床研修病院の入院診 療加算というものがありますが、それはあくまでも、そういった医療機関で質の高い医 療が行われ、それが患者さんに還元されているといったような観点での加算でございま す。  したがいまして、ただ単に研修費用を補てんしているといったような趣旨の加算では ないものでございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  では、小山委員、どうぞ。 ○小山委員  病院機能係数の考え方についてという観点から見たときに、このばらつきの検討は、 どういうような形で考えていく予定なんですか。 ○松田委員  基本的には、いきなり係数に入る前に、調整係数というのは、今のところはばらつき を補てんしているような形になっているわけですけれども、そのばらつきが、言い方は 悪いですけれども、例えば先ほどの抗生物質のように、ガイドラインから大きく外れて しまって、最初からこういう高い薬を不必要に使っていることで、もしばらついている のであれば、それはやはり保険診療の趣旨からいって、そういうものを補てんする必要 はないだろうと思います。そういう意味で、まずばらつきみたいなものをきちんと分析 していって、やはり見るべき範囲というのは、やはり決めなければいけないのではない かと思います。まず1点があります。  それからもう一つは、ばらつきの分析をすることによって、一つは、やはり今の分類 そのもので少し分けなければいけない部分というのが、多分、見えてくるだろうと思い ます。やはり、これは研究班の中で、石川先生がポートフォリオというのをやってくれ ているのですけれども、その中で、同じDPCの中でも明らかに違う部分というのがあ ります。それが、もしばらつきの原因であるのであれば、そういうものはきちんと分類 で分けていくということに、まず使えます。  それから、あとは、もしかすると、がんの化学療法のように、患者さんの要因によっ て使われる薬剤が大きくずれてしまうようなもの、そういうものが含まれていることに よってばらつきが生じているのであれば、以前、この分科会でも山口委員が御指摘され ましたけれども、化学療法というものがアビューズ的に使われることは、基本的にはな いわけですので、そういうものを少し外に出すということも、包括範囲の見直しという ことでも、研究班としては提案できるのではないかというふうに考えています。  ただ、そこは、それをやり過ぎてしまうと、何をやっているか分からなくなっていく 部分もありますので、こういうばらつきのところで改善するところを見ていって、今申 し上げた三つのようなことを主な目的として、今、このばらつきの検討というのはやっ ております。 ○小山委員  それから、先ほどの議論と同じであれなんですけれども、最後の40ページのところ の研修費用が出ているのは、具体的にはどういう形なんですか。これは、この値段まで 出ていますけれども、やればこれだけのものが出るというような形なんですか。それと も、何か違うのですか。 ○松田委員  なかなか申し上げにくいことなんですけれども、多分、医師の配置をフリーハンドに している国というのは、先進国ではかなり少ないだろうと思います。オーストラリアに してもフランスにしても、例えば、今年度はこの病院でしか心臓外科医のレジデントは 採らないという形で、実は専門医が、ある程度、地域に均等に分散するような形になっ ています。そういう彼らが来ることによって、例えば緊急病院はきちんと回るようにな りますし、それを補てんするという形で、むしろ医者がいることによってかかるものを 補てんするという形で設定されているということですので、フリーハンドではないです。 だから、集めればよいというものではなくて、基本的には地域医療計画と関連しながら、 どこの病院でこういう医師を何人という形でやっていますので、それに対しての支払と いうことで、その機能を補てんするという意味での支払という形になっているというふ うに、僕自身は理解しています。 ○小山委員  この額というのは、1人いればこれだけということなんですか。 ○松田委員  そうです。 ○小山委員  すると、では10人いれば、この10倍ということなんですね。そういう考え方です か。 ○松田委員  はい。そういうことです。 ○西岡分科会長  どうぞ。 ○伊藤委員  技術的なことを教えていただきたいんですけれども、これはスライド4の加算と病院 の機能係数ということの区別で、この加算というのは、一部の患者さん、特定の患者さ んに対してだけ加算するということですか。それとも、病院の全体として、その機能と して見ていくということなのかなというのが一つ目と、それから、複雑性とか効率性の 指標という形でおつくりになられているのは、母集団が例えば平成18年度準備病院と かに変わっていくと、そうすると当然のこととして、年度比較ができない指標という理 解でよろしいんでしょうかというのが2点目と、あと、スライドの28を見て分かると おりで、やはり医療の現場では、年齢の階級による違いというのは、相当違いがあるの だろうと。例えば、後期高齢者の人たちというのは、様々な意味で医療の手間がかかる し、それからアウトプット、アウトカムが悪いしということもあるのだろうと思うんで すが、これを見ても分かるとおり、年齢のファクターが相当強いと思うんですが、その 機能と患者さんの扱っている年齢層みたいなものを解析した結果というのはあるのかど うか、教えていただけますでしょうか。 ○松田委員  1点目は、やはりICUみたいなものとか、救急とか―救急は、もしかしたらちょ っと違うのかもしれないんですけれども、やはりそのサービスを受けた人が基本的には 負担する。ある意味では、逆に言うと、それについて病院としては加算がつくというも のは、特定の人たち、何かそのサービスを受けた人だけが受益を受けるようなものにつ いては、やはり加算でやっていったほうがよいのだろうと思います。  ただ、その一方で、ある病院が広範囲のところで、例えば救急をヘリコプターでやっ ていると。ヘリコプターは、今回、全然何も分析していませんけれども、その病院が持 っている機能、地域全体をカバーしているという機能というのを、やはりそれは、多分 その病院の利用する全員の患者さんで負担していただくという考え方のほうがよろしい のではないかなというふうに思います。それを、例えばヘリコプターを使った人だけが 負担するという、そんな仕組みになってしまうと、これはとんでもないことになってし まうので、やはりそこは加算と係数で評価すべきものが別ではないかなというふうに、 僕たちは考えています。  それから、2番目の御質問ですけれども、一応、今、ケースミックスを計算するとき には、年度を固定しています。例えば、平成18年度なら平成18年度で固定して、そ れ以外の年度も同じ形で評価するという形でやっています。そうしないと、時系列で評 価できませんので、一応、それはそういう形でやられています。  もっと言いますと、研究班のほうでやっているのは、一応、一番安定していたのが平 成15年度の特定機能病院のデータでございますので、そこをベースにしていろいろな 評価をするということをやっています。これは、単年度のものですけれども、時系列の 評価をするときには年度を固定して、そういう係数を計算しています。  それから、3番目が何でしたっけ。 ○伊藤委員  年齢ごとに。 ○松田委員  年齢ごとの分析はやっています。やっていまして、影響しているものもあれば、ない ものもあるという現状です。でも、一般的に、やはりDPCの特徴なんですけれども、 かなり手術処置等1、手術処置等2のところに、行われた医療行為のところでかなり吸 収している部分がありますので、年齢によって大きく変化するものが確かにあるんです けれども、一般的に考えて、それほどないというふうに思っています。  ただ、分析をしていて、ちょっと問題だなと一つ思っているのは、ベースに精神障害 のある方たち、認知症とかああいう人たちが、いわゆる総合病院でやる場合、そこのと ころの何か副傷病としての評価は、少ししなければいけないのかなということは考えて います。 ○酒巻委員  ばらつきの評価についてのお話をいただいたんですけれども、これは年度、年度とい うことで見ていきますと、つまり、例えば特定機能病院は5年、6年ぐらいデータがあ りますけれども、それで見ると、やはりばらつきというのは少なくなっている方角にあ るのですか。それとも、ますます拡散する方角にあるんでしょうか。何か医療というも のを考えると、どう考えても拡散する方角にあるように、私としては思うんですけれど も。 ○松田委員  個別の病院でいいますと、一つのまずDPC単位で見ていくと、時系列で見ると、だ んだん収縮、まとまってきています。  ところが、例えば大学病院みたいなところで見てみると、診ている患者さんの範囲は、 ケースミックスで見てくると、少し重いほうに広がってきています。ただ、個々のケー スミックスの中のDPCだけで見てみると、そのDPC自体の診療内容というのは、か なり標準化してきています。  だから、治療内容は標準化してきているけれども、施設によっては、より複雑な患者 さんが集まっている群もあるし、真ん中ぐらいのところにグーッと集まってきている群 もあるし、そういう意味では、機能分化が少し進んできているということはあるかもし れません。 ○酒巻委員  先生がお使いになった9のスライド、これは抗生物質を挙げられましたけれども、こ ういう場合でも、つまり拡散する方角にはなくて、一医療機関だったら一医療機関の中 で使われる抗生物質のレンジ、幅は、やはりますます狭まっていく方角にあるんですか。 ○松田委員  はい。狭まってきています。それはもうやっていますけれども、DPC単位で見てい って、検査も薬剤も画像も、やはり狭まる方向に来ています。在院日数も短くなってい ます。特に大きく変化してきたのは、やはり例えば術前日数ですとか、そういうものは かなりばらつきが固まってきている。少ない方向に、今、動いています。 ○酒巻委員  これは、一つ、ちょっと提案になるのかもしれないんですけれども、このいろいろな データを見せていただきますと、分類の仕方が、平成15年度に入った病院、平成16 年度、平成18年度と分けていますよね。この中で、平成15年度だけが特定機能病院 に限られています。ところで、平成16、18年は、ばらつきの範囲が非常に広がって いますよね。これは、やはりいろいろな病院が入っているからだと思うんですけれども、 このように年度で切るのではなくて、例えば病床規模とか総合病院であるとかというよ うな切り方をしていかないと、調整係数を考えていくときに、まとまってこないのでは ないかと思うんですけれども、そこら辺の考え方はどうですかね。だから、平成15年 度だけは、もうある決められたところですよね。でも、その後からは、ただ手を挙げた ところだけということなので、いろいろな病院が入ってしまっているので、そのために 分類、スタート・ディフィニションが広くなってしまっているので、これから調整係数 を考えていくときに、病床規模でいくのか、総合と単価で分けていくのか、いろいろな 切り口があると思いますけれども、そういうようなデータを出していただかないと、で は調整係数、機能係数をどうしようかという話の論拠にならないような気がするんです けれども、いかがでしょうか。 ○松田委員  御指摘のとおりだと思います。それで、今年、各病院をもう少し具体的に切り分ける 外的な基準をつくる目的で、今年度の私どもの研究班のほうの調査では、施設の機能に 関する構造、ストラクチャーに関する少し詳しいデータを私どものほうにもいただいて、 ベースは施設調査です。厚生労働省がおやりになられている施設調査に、少し僕たちの ほうで着目している点について調査項目を追加して、それをお出しいただいて、それで、 今、先生がおっしゃられたことを分析したいと思います。  それで、こんなところでお願いするのもなんですけれども、ということもありますの で、くれぐれも施設調査票は、正しいデータを入れていただくようにお願いしたいと思 います。ICUもERも、今までずっとやってきているんですけれども、常勤換算でI CUに200人とか、ERに150人とかという医師がいるというようなデータが上が ってきてしまったりして、およそ、やはりストラクチャーを評価するために、信頼性の ないデータが集まってきているので、今、それで分析できないでいるんですけれども、 ぜひ小山先生のほうからも、正しいデータを出すように、それを……。 ○小山委員  文句を言うわけではないんですけれども、先生のところの定義の仕方が、ちょっと分 かりにくいところがあるんですよ。「こういう形で計算してください」と言われると、 みんな我々は正直ですから、そのとおり計算するんですよ。そうすると、そういう結果 が出ることがあるんですよ。だから、もう少し、ソフトで入れてもよいと思うんですけ れども、その計算の仕方をもうちょっと具体的に、「こうやってこうやって、こことこ ことこれが常勤なんだよ」という常勤の計算の仕方を、特に大学病院の場合、いわゆる 無休医というのは、今はもうほとんどなくなってきましたので、大分、落ち着いてきて いますけれども、無給医がいた時代には、確かに先生の御指摘のとおりのところがある ので、それは逆に言えば、計算の仕方がちゃんと指摘されていなかったというところも あるので、そこをちゃんとやっていただければ、ちゃんとやります。 ○松田委員  分かりました。ちゃんと直すようにします。  ただ、病院全体の医師数を書いてきているところなどもあるので、明らかに、多分ち ゃんと読んでもらえていないんだなというのもありますので、もう少し分かりやすい調 査票にいたしますので、ぜひよろしくお願いします。 ○小山委員  喜んで協力します。 ○西岡分科会長  どうぞ御協力方、よろしくお願いします。  どうぞ、山口(俊)委員。 ○山口(俊)委員  簡単に質問します。現在、研究班で検討している項目の例ということで、6番目のス ライド、そこにケースミックスとパフォーマンスの評価ということで、複雑性と効率性 と稀少性と三つ挙げられていますけれども、この稀少性の指数というのは要らないので はないでしょうか。  というのは、稀少性が高いから本当に複雑かどうかということは、よく分からないと 思うからです。なくても、それは複雑性と効率性の指標がその代わりに評価されている と思うので、この稀少性指数を入れることで、かえって複雑になって分かりにくくなる と思うんですが、いかがですか。 ○松田委員  おっしゃるとおりだと思います。  ただ、複雑性指標自体が在院日数でとっているので、実は稀少性指数というのは、例 えば難病の類になってくるわけですけれども、どのくらい稀な疾患を見ているかという、 ちょっとこちらだけは、どういう患者さんを見ているかという傷病の種類に基づく分類 で、複雑性、効率性というのは、どちらかというと在院日数の指標、あと、これは出来 高点数でもつくっているんですけれども、どのくらい手間がかかるかという指数、実は 指数の中身が違いますので、複雑性と重なる部分はあるんですけれども、これをどうい うふうに評価するということは、少し考えたいと思うんですが、中身は、実は違う指数 になります。 ○山口(俊)委員  これについては、19番目のスライドの文章を見ると、やはり稀であるからこそ複雑 で、ややこしいという前提で話が進んでいるように見えますが、稀少性の指標と複雑さ というのは、本当に成り立っているのでしょうか。ただ単に珍しいだけで、大して手間 のかからない病気はたくさんあるわけで、その辺りがちょっとおかしいなと思うんです が。 ○松田委員  一応、そういう稀な疾患につきましても、EFファイルをいただいておりますので、 出来高換算になりますけれども、チャージドコストでどのくらいかかっているかという ことは、少しこの後、検討して、今の先生の御質問にお答えできるようなものをつくり たいと思います。 ○山口(俊)委員  つまり、稀な疾患が難病とは言えない、難病とは限らないと思うんですね。そういう 前提で、これは話が来ているので、それが証明されているかどうかは、ぜひ示していた だきたいと思います。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  その複雑性と稀少性というところは、重なっている部分があるかもしれませんけれど も、しかし、稀少性の疾患というのは、それ相応にその地域にとっては非常に重要な問 題でして、どこにもこの稀少疾患を見てくれる機関がないというような地域が存在する ということも起こってしまうわけですね。そういう点では、何らかの評価係数を入れて おいたほうが、私は、今後のことを考えても、妥当性があるように思いますけれども。 ○山口(俊)委員  それについては、例えば6番目のスライドでいえば、「地域での役割」というところ で評価できると思います。 ○松田委員  今の御指摘いただいた二つの点は、非常に大事なポイントだと思っておりまして、実 は、今考えている「地域での貢献度」―これは研究班で勝手にやることでございます けれども、これを考えている地域の病院群は、実は難病をやっている施設がございます ので、その施設のデータなども踏まえながら、今の酒巻委員と山口(俊)委員の御質問 に答えられるようなデータを、少し分析してみたいと思います。 ○池上委員  ちょっとその点だけ。このDPCの14けたコードに基づく稀少性なのか、6けたコ ードかによって、大分、違ってきますので、14けたコードというのは、処置の稀少性 という面もあるわけですね。ですから、そこの点で、もし難病など、そういう稀少な疾 患というのだったら、6けたコードのほうが適切かなということを今思ったので、それ については、これは機械的に14けたでやっていらっしゃるわけですか。 ○松田委員  稀少性指数は、基本的に6けたでやっています。傷病の稀少性というのは6けたでや っていまして、手術のほうの稀少性というのは、手術の発生件数を基にして、稀少性を 算定しているということです。ですから、御指摘のとおりで、基本的には6けたで、傷 病に関してはやっています。  ですから、例えば、それを処置の稀少性でやれといえば、処置の頻度を見てやること も可能ですし、それはもし何か難病患者さんについて、その中でこういう措置について 着目して分析しろというふうな御示唆がございましたら、それでこちらのほうでやらせ ていただければと思います。 ○熊本委員  精神疾患が、MDCでも独立して、また、そのデータも集められて、DPCのことが 議論されていますが、大学病院は精神科病棟を持っていて、そこに入院する方々は、ど ちらかというと悪性腫瘍の手術をする患者が今多くなってきているわけですね。そうい ったことを何か評価するような指標ができないかということ、地域医療への貢献度とか、 そういった検討はされているかどうか、ちょっとお伺いします。 ○松田委員  一応、私は精神担当で、精神の分析をずっとさせていただいているんですけれども、 ベースに精神があって手術を受けている患者さんは、やはり少し在院日数が長い傾向が あります。  ただ、非常に難しいなと思っているのは、大学病院によって精神科の在り方が、何か どうも全然違うような感じがありまして、精神というくくりをどういうふうに評価した らよいのかなということが、実は機能が非常にばらばらであるために、ちょっと見えな いでいるというのが現状です。  ただ、今回、ああいう形で分析させていただいて、主傷病を精神病にした場合の部分 で、それなりにまとまっています。ただ、問題は、今、先生の御指摘のあったように、 主目的は外科での手術だという患者さんをどう評価するか。それから、外来というか救 急部門に、かなり精神のベースを持って入ってくる患者さんがいます。これは、外傷患 者がかなり多いんですけれども、これをどういうふうに評価するかということは、少し 考えなければいけないなということで、今、いろいろな諸外国の文献を集めながら、分 析の枠組みを考えているんですけれども、何とか今年、少しそういう何かお答えできる ようなものを出せたらというふうに思います。 ○西岡分科会長  まだいろいろ御質問等はあるかと思いますが、もう一つ、議事が残っておりますので、 そちらのほうに移らせていただきたいと思います。  「平成20年度DPC評価分科会における特別調査(ヒアリング)(案)について」 でございます。これについて、事務局より御説明をお願いします。 ○中田補佐  お手元の資料D−2「平成20年度DPC評価分科会における特別調査(ヒアリン グ)(案)について」をご覧ください。  本年5月21日に、中医協基本問題小委員会におきまして、DPCに関する調査を補 完し、適切な判定ルールの構築等について検討するため、平成19年度と同様に、DP C評価分科会におきまして、調査内容に基づいた意見交換、ヒアリングを行うこととさ れております。  したがいまして、ここでは、ヒアリング項目の内容につきまして御提案させていただ いたものでございます。  第1、再入院についてでございます。  こちらにつきましては、昨年度、ヒアリングを行いました。その結果を踏まえまして、 本年度より、同一疾患での3日以内の再入院については、1入院として取り扱う等の算 定ルールの見直しを行っているところでございます。  ただし、4〜7日以内の再入院、又は本来であれば外来で実施できる治療を入院医療 で実施している例につきましては、本年度も引き続き調査することとされております。  調査方法でございますが、平成20年度の調査によりまして得られたデータから、以 下に該当する医療機関に調査票を配布いたします。  なお、ヒアリング対象医療機関につきましては、調査票を取りまとめた結果等も踏ま えまして、以下の区分に応じて、数医療機関をこの分科会に招集してはどうかといった ことでございます。  まず、ア、3日以内の再入院についてでございます。こちらにつきましては、先ほど 申し上げたとおり、同一疾患の3日以内の再入院については、1入院といったことで取 り扱っておりますが、その影響等について検証するために、3日以内再入院率が高い医 療機関、こちらは今年度のルールの見直しにより、原則として同一疾患ではなくなると いう扱いでございますが、そういった医療機関を対象としております。その際には、が んの化学療法とか放射線療法の場合とそれ以外の場合を区別、考慮した形で行うことで ございます。  イ、4〜7日以内の再入院でございます。こちらは、昨年度のヒアリングでも宿題事 項になっておりますが、本年度も4〜7日以内の再入院率が高い医療機関を対象といた します。これも、同様に、がん化学療法や放射線療法の場合を区別、考慮することでご ざいます。  次に、適切な診療報酬の請求について、DPCでは、医療資源を最も投入した傷病名 から診断群分類を決定して支払う制度ですが、本年度より、算定ルールの見直しを以下 のとおり行っております。  一つ目といたしましては、DPCにおける診療報酬明細書の提出時に、包括評価分に 係る診療報酬行為の内容が分かる情報も加えること。  二つ目は、院内で標準的な診断・治療方法の周知を徹底し、適切なコーディングを行 う体制を確保すると。こちらにつきましては、診療部門、薬剤部門、診療録情報を管理 する部門、診療報酬の請求を統括する部門等、それらに所属する医師等、その他関係職 員から構成される委員会を設置し、少なくとも年に2回は当該委員会を開催するといっ たようなルールの見直しを行っています。  調査の方法といたしましては、平成20年度調査により得られたデータから、以下に 該当する医療機関に、まず調査票を配布いたします。  ヒアリング対象医療機関につきましては、調査票を取りまとめた結果等も踏まえまし て、以下の区分に応じて、数医療機関を当該分科会に招集してはどうかといったことで ございます。  まずは、ア、主要な診断群分類につきまして、1日当たりの包括範囲出来高点数の当 該医療機関の平均が全体の平均に比べて著しく高い又は低い医療機関。  イ、主要な診断群分類について、当該医療機関の平均在院日数が全体の平均より著し く長い又は短い医療機関。  ウ、正しく診断群分類が選択されていないような、いわゆる部位不明コード― 「.9」と呼ばれておりますが、そういった症例の割合が高い医療機関。  エ、平成20年度より導入されました、がん化学療法の主要な標準レジメンによる診 断群分類の分岐及び薬剤の投与期間に応じた診断群分類の分岐、こちらはIFN−βの 7日間以上投与した場合でございますが、その効果を検証するために、その分類を選択 する割合が高い医療機関でございます。  オでございますが、昨年度の分科会でも御指摘があったとおり、データの質が、今後、 重要になるといったことでございまして、必要に応じてデータの質が適切ではないと考 えられる医療機関も、対象として含めているところでございます。  第3、その他でございますが、平成20年度よりDPC対象病院につきまして、いわ ゆる「ケアミックス型病院」が多く含まれていることが示唆されていることを踏まえま して、そういった医療機関におけるDPCの運用の状況等につきまして、ヒアリングを 実施してはどうかという御提案でございます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問あるいは追加等ございませんでしょうか。  どうぞ、松田委員。 ○松田委員  2点なんですが、まず第1点は、この部位不明コード、「.9」コードのところです けれども、一つ、これは正しいコードが振れるにもかかわらず、「.9」コードみたい なものを振ってしまっているというところは、多分、データの管理がきちんとできてい ないということだろうと思いますので、そういうところを呼ぶということでよろしいの だろうと思います。  それから、その他のところですけれども、この「DPCの在り方について」の中医協 診−2という7月16日の資料の3ページ目のところに、参考2の「指導監査で明らか となった適切でない請求例」というところの2)の項目に挙げられている施設が、もし ある程度分かるようであれば、ぜひこういうところからヒアリングをしていただけたら というふうに思います。これは、「一連の入院中に他医療機関で実施」とか「出来高評 価される算定項目として取り扱う」、こういうものをやっている施設がもし把握できる のであれば、ぜひこういう施設からのヒアリングをしていただけたらというふうに思い ます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  そのほかに、ぜひともこれをヒアリングの項目に入れてはどうかというのがございま したらお願いしたいんですが。  どうぞ、山口(俊)委員。 ○山口(俊)委員  今の2ページのところに、標準的な診断・治療方法の周知を徹底し、適切なコーディ ングを行うための委員会をつくりなさいと書いてあります。年に2回以上やるわけです が、具体的には、何をやる委員会なんでしょうか。 ○中田補佐  こちらにつきましては、経緯といたしましては、昨年度のヒアリングの中で、ある一 部の診療科の医師が、こういったコードが正しいのではないかといったようなことで、 結果的には誤ったコーディングをずっと続けてしまっているといったような事例がござ いましたので、まず院内でコーディングの体制をしっかりと立てていただくことを目的 としております。要は、複数の関係職種の中で、適切なコーディングを行えるような体 制を行っていただくことを趣旨として、こういったものを設けております。その開催の 頻度につきましては、年1回ではなく、少なくとも年に複数回は開いていただきまして、 適宜、その内容をチェックしていただくといったことを趣旨としております。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  一つは、10月からDPCにおける診療報酬明細書の提出時に、包括評価部分に係る 診療報酬行為の内容が分かる情報が追加されますけれども、この情報は適切に追加され たかどうかについての調査はよろしいのでしょうか。 ○西岡分科会長  事務局、お願いします。 ○中田補佐  そこは、支払基金や国保中央会等で、一般的にはレセプトに不備があるということで あれば返戻されると思いますので、逆に言えば、適切に添付されていなければ、請求に 結び付かないといったようなことになるかと思います。 ○池上委員  その理由など、情報のフィードバックをしていただければと思うのですけれども。 ○西岡分科会長  多分、そのデータが出るとすれば、この年度の終わりぐらいの頃になるのではないで しょうか。  どうぞ、企画官。 ○宇都宮企画官  現在、どういう情報を添付するかということを、まだ若干、調整中の部分がございま すので、現時点ではまだそこまではっきりと、なかなかお答えできないところでござい ます。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。  どうぞ、斎藤委員。 ○斎藤委員  今の件から離れてもよろしゅうございますか。 ○西岡分科会長  はい。結構です。 ○斎藤委員  冒頭、分科会長からお話がありましたけれども、例えば基本問題小委や中医協などで、 そのDPCの制度についてのいろいろな御意見があると。その中で、かなり誤解に基づ く部分があるのかなという気がいたしますので、委員長にぜひ踏まえていただきたいの は、例えば粗診粗療の根拠として、退院時の治癒率が減っているではないかという御指 摘があるのですが、最近の状況を見ますと、急性期病院の役割というのは、医療者にと っても患者にとっても変わってきているわけですね。我々が大学を出たころは、ある病 気が完全に治るまで診るのが急性期病院の役割だと、長く教えられてきたわけなんです が、今は病診連携、とりわけ医師会などでやっていただいている診療所とか、そういう ところでの役割がむしろ拡大しているので、すっかり治らなくても、あとは診療所のほ うで診ていただくということが定着し、患者の求めもそういうふうになっているんです と。だから、治癒が少ないから、これは粗診粗療でDPCをやめたほうがよいというよ うな短絡的な御意見は、むしろ診療所の役割を削減するようなことであって、ゆめゆめ 地域医療連携の立場からはお考えいただきたくない、そういうことが一つですね。  それから、アップコーディングであるとか、モラルハザードの問題があります。  ただ、これはどんな制度でも、うまく適用し、良心的に行動しなければ、モラルハザ ードは起こるのであって、もう長きにわたる国民皆保険制度の中で、レセプト病名であ るとか架空請求であるというのは、常に新聞に指摘されたのは、出来高の中の出来事な んですよね。だから、モラルハザードを減らしたほうがよいことは確かなんですが、だ からといってDPCが悪いというのは、「角を矯めて牛を殺すような議論です」と、そ ういうふうに伝えていただきたいと思います。 ○西岡分科会長  了解しました。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今、斎藤先生がおっしゃったようなことを、西岡先生ははっきりそこで説明いたしま した。そういうことでは、かなりの方々は御理解していただけたと。ただ、一部の方は、 まだ御理解いただけていないなと思っております。  以上です。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  これは、繰り返し御説明する必要があるというふうに考えております。 ○斎藤委員  そうですね。病院の役割が、特に変わっているのですから、昔の病院のイメージで治 るまでいなければいけないというのは、もう20年前の出来事ですから、そう言ってく ださい。その言葉が大事ですから。 ○西岡分科会長  はい。分かりました。できるだけ穏やかにお話ししたいと思っております。  どうぞ、山口(俊)委員。 ○山口(俊)委員  私は、斎藤先生の意見に基本的には賛成なんですけれども、ただ、やはり本当に何が 理由で治癒退院が減ったのかということは、検証すべきだと思います。そういうことを 押さえておかないと、やはり疑問を持たれても仕方がないと思います。 ○斎藤委員  おっしゃるとおりですね。 ○西岡分科会長  ほかに、全般を通して、御意見ございますでしょうか。  いろいろ御示唆をいただきました。ぜひとも実行させていただきたいと思います。 ○斎藤委員  頑張ってください。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  それでは、本日の議論は以上としたいと思います。  事務局から、連絡事項等ございましたらお願いします。 ○中田補佐  ありがとうございました。  次回の開催につきましては、未定でございますので、正式な日程が決まり次第、追っ て御連絡させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第2回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させ ていただきます。  本日は、お忙しい中、ありがとうございました。 −了− 【照会先】         厚生労働省保険局医療課包括医療推進係         代表 03−5253−1111(内線3278)