08/07/16 第6回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第6回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成20年7月16日(水) 15:00〜17:30 2.場 所:厚生労働省9階 省議室 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、尾上構成員、小川構成員、門屋構成 員、坂元構成員、佐藤構成員、田尾構成員、谷畑構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島 構成員、長野構成員、広田構成員、町野構成員、三上構成員、山根構成員、真壁参考人   厚生労働省: 阿曽沼社会・援護局長、木倉障害保健福祉部長、蒲原障害保健福祉部企画課長、藤井障害 福祉課長、福島精神・障害保健課長、塚本障害保健対策指導官、林課長補佐、野崎課長補 佐、矢田貝課長補佐 4.議 事   ○これまでの議論の整理と今後の検討の方向性について 5.議事内容 ○座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第6回今後の精神保健医療福祉の あり方等に関する検討会」を開催させていただきます。  構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ、また今日は特別に蒸し暑い中、御参集い ただきましてありがとうございます。  それでは、まず、事務局から報告事項をお願いしたいと思います。 ○野崎課長補佐 それでは、御報告いたします。  このたび、人事異動に伴いまして事務局にも異動がございましたので、この場をお借りして 御紹介させていただきます。  はじめに、阿曽沼社会・援護局長でございます。  続きまして、木倉障害保健福祉部長でございます。  続きまして、藤井障害福祉課長でございます。  続きまして、塚本精神・障害保健課障害保健対策指導官でございます。  続きまして、林精神・障害保健課課長補佐でございます。  また、蒲原企画課長でございますが、従来の障害福祉課長から7月をもって企画課長の方に 異動してございます。本日は所用により欠席させていただいておりますが、よろしくお願いい たします。  また、自立支援振興室長に山田という者が着任しております。本日欠席しておりますが、そ ちらも御承知置き願いたいと思います。  事務局からの報告は以上でございます。 ○座長 どうもありがとうございました。  それでは、本日の構成員の出欠状況について、事務局よりお願いいたします。 ○林課長補佐 報告させていただきます。  本日の構成員の出欠状況でございます。長尾構成員におかれましては、後ほどお見えになる と御連絡をいただいております。また、町野構成員、門屋構成員につきましては、所用により 中座されると伺っております。また、品川構成員、安田構成員、良田構成員より、御欠席との 御連絡をいただいております。  なお、事前に座長に御報告させていただきまして、良田構成員の代理として、全国精神保健 福祉連合会理事の真壁参考人に御出席いただいております。  本日の出席状況については、以上でございます。 ○座長 真壁参考人の御出席につきましては、構成員の皆様の御了解のほど、お願い申し上げ ます。よろしゅうございますでしょうか。  では、早速、議事に入りたいと思います。本日は、「これまでの議論の整理と今後の検討の 方向性について」というテーマでございます。  これまでの検討会での構成員の皆様からいただきました御意見を踏まえた論点を事務局の方 で整理いたしまして、お手元の資料1、資料2についてまとめてございます。これをはじめに 事務局の方から説明していただきまして、その後、構成員の方々で御議論をいただきたいと思 っております。  まず、資料1「精神保健医療福祉の現状と評価」、それから資料2「これまでの議論の整理 と今後の検討の方向性(案)」について、事務局より説明をお願いいたします。 ○野崎課長補佐 それでは、資料1及び資料2に沿いまして説明をさせていただきます。  まず、資料1でございますが、こちらにつきましては、これまでの第1回から第5回までの 検討会においてお示ししてきたデータを事務局資料として改めてまとめさせていただいたもの でございます。今回の検討会では、資料2、論点に関する議論を中心に行っていただきたいと 考えておりますので、資料1については説明は省略させていただきたいと考えています。必要 に応じて、資料2の説明の中で適宜触れることはあるかもしれませんが、資料1そのものの説 明は省略させていただきたいと思います。  それでは、資料2の説明に移らせていただきたいと思います。冒頭に、この資料の構成でご ざいますが、左側が、これまでの我々事務局が提示させていただいた資料でございますとか、 あるいは検討会の中で構成員からいただいた御議論を踏まえまして、事務局として、今後の検 討に当たって論点として掲げておくべきだろうと考えておりますものでございまして、右側が それぞれの論点に関連する構成員からの御意見を並べたものでございます。今回の検討会に先 立ちまして、右側の御発言の部分を各構成員に御確認いただき、また御意見をいただいたとこ ろでございます。いただいた御意見を踏まえまして、事務局の方で再度議事録を確認させてい ただきまして、極力、議事録に沿った形で修正させていただいております。いただいた御意見 をそのまま反映していない部分もございますけれども、議事録に沿って整理させていただいて いるという趣旨でございますので、御理解いただければと思います。  それでは、中身の説明に入らせていただきたいと思います。この資料の全体の構成といたし ましては、まず全般的な内容といたしまして、冒頭に「今後の精神保健医療福祉施策につい て」という柱を立てております。また、それに続きまして3つの施策の柱を立てまして、1つ は、「地域生活への移行及び地域生活の支援について」、2つ目が「精神保健医療体系の再構 築について」、また「精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)について」ということで、3 つの具体的施策の柱を掲げさせていただいております。  まず、それぞれの施策の柱につきましては、総論と各論に分けて整理をさせていただいてい るというものでございます。  それでは、まず、1ページ、「今後の精神保健医療福祉施策について」というところから説 明させていただきたいと思いますが、まず、冒頭の基本的考え方のところでございますが、検 討会の中でいただいた広田構成員、中島構成員の御意見も踏まえまして、こういった考え方を 掲げさせていただいているということでございますが、現在の長期入院患者の問題は、入院医 療中心であった我が国の精神障害者施策の結果であり、行政をはじめ関係者は、その認識に立 って、今後の施策の立案・実施に当たるべきであるという点をまず掲げさせていただいており ます。  また、その基本的考え方の2つ目といたしまして、2ページでございますが、こちらは、第 2回まででお示しした今後の議論の進め方におおむね沿った形で整理させていただいておりま すが、まず最初に、今後も「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に基づく方策 を更に推し進め、精神障害者が地域において安心して自立した生活を送れるような社会として いくということを基本的な考え方としたいと考えてございます。  具体的な柱といたしましては、ここは新しく掲げさせていただいてございますが、精神疾患 の早期発見・早期対応による重症化の防止というものと、2番目といたしまして、急性期入院 医療の充実等による入院医療の質の向上や、精神科救急医療等、地域生活を支える医療の整備 を通じた入院の長期化の抑止。3つ目といたしまして、地域における福祉・医療サービス等の 確保を通じた入院患者の地域生活への移行及び地域生活の支援と、長期入院が必要な患者に対 する適切な療養の提供という柱を掲げさせていただいているということでございます。  3ページでございますけれども、こちらは具体的施策、今申し上げた3つの柱を更に細かく したものでございますが、こちらにつきましては、これまでお示しした今後の議論の進め方と ほとんど変わらないものでございますので、説明の方は省略させていただければと思います。  4ページでございますが、全般的事項の2つ目の大きな柱でございますが、施策の推進体制 というものを掲げさせていただいております。  まず最初でございますが、検討会での御意見も踏まえまして、精神保健医療福祉施策を推進 していくに当たっては、まず、将来のあるべき姿、ビジョンを示した上で、可能な限り、客観 的な指標に基づく明確な数値目標を定め、それを実現するためのロードマップを明確にし個別 の対策を講じた上で、更に定期的にその進捗状況を評価するという一連の政策の流れを徹底す べきであるという、施策の推進に当たっての進め方を書かせていただいているものでございま す。  5ページでございますが、こちらは、いわゆる行政機関の推進体制でございますが、特に、 精神障害者の地域生活への移行及び地域生活の支援については、施策の着実な実施を確保する ために地域(市町村、都道府県等)における推進体制のあり方やその制度上の位置付けについ ても検討すべきではないかということを掲げさせていただいてございます。  6ページからが、「地域生活への移行及び地域生活の支援について」ということで、個別の 柱に入ってまいりますが、まず、総論でございますけれども、大きく3つの基本的な考え方を 掲げさせていただいておりますが、まずは、地域生活への移行及び地域生活支援については、 自立支援法に基づく障害福祉サービスと保健医療サービスの密接な連携の下で行われることが 不可欠であり、その体制の一層の充実を図る。  2つ目でございますが、後ほどもまた御紹介いたしますけれども、今回の第2回検討会を中 心に、かなり相談支援の充実というところが各構成員から御意見があったところでございます ので、それを踏まえまして2つ目の柱を掲げているということでございます。  読み上げますと、ケアマネジメントを含む相談支援については、日常の相談や緊急時の対応 を通じて、精神障害者が安心して地域生活を営むことを支援するとともに、地域生活を営む精 神障害者に対する適切なサービス提供を確保する上で重要な機能であり、その充実強化を今後 の施策の中核として位置付けるというものでございます。  また、関連いたしまして、7ページでございますが、相談支援の中核を担う地域自立支援協 議会についても、その機能の充実を図るとさせていただいてございます。  また、2つ目の○でございますが、総論がまだ続きますが、7ページでございますけれども、 病床調査とございますのは第5回の検討会でお示しした利用状況調査でございますが、その結 果を踏まえ、地域生活への移行に係る施策については、受入条件が整えば退院可能な者以外の 者も念頭に置いて行うべきではないかということでございます。「受入条件が整えば」といっ ても、いろいろ症状の違いによって違いがあるというものもわかりましたし、逆に、その「受 入条件が」ということでなくても、症状の改善が見込まれるとか、居住先支援が整えば退院で きるという患者さんがいらっしゃることも踏まえまして、必ずしも受入条件が整えば退院可能 な患者さんに限らなくてもいいのではないか、そのような問題意識から論点とさせていただい てございます。  8ページ、9ページは意見が続きまして、省略させていただきますが、10ページでござい ます。こちらもまだ総論の部分に当たるものでございますけれども、患者調査においては、受 入条件が整えば退院可能な方の3分の1は入院期間1年未満の方でありますが、一方で精神病 床における新規入院患者の87%が1年以内に退院されているということを踏まえまして、数 値目標の設定等、今後、住まいの場の確保をはじめとする施策を講ずるに当たっては、入院期 間1年以上の長期入院者群に重点を置くべきではないか。  一方で、11ページでございますけれども、入院期間1年未満の方についても、新たに毎年 約5万人の方が1年以上の入院期間に移行しているということを踏まえまして、新たな長期入 院の発生を抑止する観点から、入院医療あるいは地域生活を支える医療の充実、あるいは福祉 サービスの確保、精神障害者が入院予防的に又は一時的な休息を取るために利用するサービス の確保等の施策を通じて、地域生活への移行を促していくべきではないか。  続きまして、長期入院患者に対する施策ということでございますが、長期入院患者は、疾病 や入院期間、年齢など、その特性が多様であるので、その特性ごとにきめ細かい議論を行い、 具体的な施策を講ずるべきであるとしております。  また、その際、特に長期にわたり入院し、日常生活動作能力や社会適応能力の低下に対する 支援が必要となっている高齢障害者にふさわしい支援のあり方について、検討してはどうかと。 これは、改革ビジョンにも同趣旨のことが掲げられているものでございます。  12ページでございますが、ここは議論の進め方に関するものでございますけれども、具体 的方策を実際に検討していくに当たっては、長期入院患者の方をはじめとして、実際にどのよ うな居住先や支援が必要となっているのか、この間の第5回の検討会ではデータがお示しでき ていないので、それについて早急に分析を行って、できれば秋以降の議論に当たって、できる 限り早期に提示させていただきたいと考えてございます。そういった趣旨でございます。  12ページの2.個別の論点というところでございますが、まず、先ほども申しましたよう に、相談支援を冒頭に掲げさせていただいてございます。相談支援の2つ目の○に行かせてい ただければと思いますが、病院や施設からの退院・退所時に加え、民間住宅等への入居時や緊 急時等において、個々の精神障害者の方が適切な支援を受けられるよう、その評価のあり方も 含め、相談支援の充実について検討すべきではないか。  また、こうした個別のニーズ、特別なニーズだけではなくて、民間アパートなどにおいて地 域生活を営む精神障害者の方に対する日常的・継続的な相談支援の充実や、ピアサポートの活 用、コミュニティワークの充実についても検討すべきではないか。このあたりは、構成員から の御意見を踏まえたものとなってございます。  14ページでございますけれども、相談支援のもう一つの柱でございますが、ケアマネジメ ントに関するものでございます。地域生活支援においては、適切なケアマネジメントの実施が 重要であるが、現在の実施体制は十分でないことを踏まえ、サービス利用計画作成費について、 対象者の拡大や現在支給決定後に作成することとなっている取扱いの見直しなど、ケアマネジ メント機能の拡充について検討すべきではないかというものでございます。  16ページが、自立支援法に基づく相談支援に関する最後の個別の論点でございますが、地 域自立支援協議会については、今後その設置を促し、機能の強化を図っていく観点から、その 法制度的な位置付けを含めて、その機能を明確化することについて検討すべきではないか。  16ページ下半分でございますが、こちらは、自立支援法ではなくて、主に精神保健福祉法 に基づくもの、相談支援体制のあり方に関するものでございます。  障害者自立支援法に基づく相談支援に加え、精神疾患の早期発見・早期対応の観点から、相 談支援における行政機関の役割の充実を図ることが重要である。一方で、以前お示ししました ように、精神保健に関する相談指導はまだ市町村の努力義務にとどまっているということを踏 まえまして、17ページの最初の段落ですが、精神障害者福祉だけでなく、精神保健の分野に ついても、相談指導の実施について市町村を第一線の相談機関として位置付けることも含め、 市町村、保健所、精神保健福祉センターといった行政機関の役割について、制度上明確化する ことについて検討すべきではないか。  また、行政機関と医療機関の相談体制における役割分担についても検討してはどうかという ことでございます。  18ページでございますが、相談援助を担う資格者ということで、精神保健福祉士に関する 養成のあり方の見直しについて掲げさせていただいてございます。こちらにつきましては、参 考資料2でつけさせていただいてございますが、現在、「精神保健福祉士の養成の在り方等に 関する検討会」というものを同じく障害保健福祉部の方で開催させていただいておりまして、 その検討結果に基づいて、その役割や養成のあり方等について、制度的な対応を含め見直しを 検討すべきではないかというものを書かせていただいているものでございます。  19ページからでございますが、福祉サービス等の充実に係るものでございます。  まず、住まいの場を冒頭に掲げさせていただいておりますが、精神障害者が地域生活を営む に当たり最も重要な基盤の一つであるということで、1段落目の最後でございますが、自宅以 外の居住の場の確保のための方策を講ずることが必要となっている。その際、選択肢の一つで ある公営住宅について、4行目でございますが、今後、精神障害者の優先枠設定による入居推 進、グループホーム活用促進など、精神障害者の入居を促進するための取組について、国土交 通省と連携を強化し、更なる強化を図るべきではないか。  20ページの○でございますが、こちらは、検討会の中で御意見のあったお試し入居という か、トライアルのようなものでございます。  具体的には、長期にわたり入院・入所されている精神障害者について、退院後の生活につい て不安を抱く場合が少なくないと考えられることから、地域生活への移行に先立って、試行的 にグループホームや民間アパートなどでの生活を体験できる仕組みについて検討を行うべきで はないか。  20ページ、下でございますが、こちらは生活相談あるいは生活支援等の充実についてとい うことで、継続的な生活相談・支援を行うことができるように、来所による相談支援に加え、 訪問を通じた生活支援等を行う機能について、現行の生活訓練の訪問型を含め、その充実を検 討すべきではないか。  21ページでございますが、緊急時の相談支援でございます。あるいはケアマネジメント機 能の充実、訪問看護等在宅医療の充実を踏まえて、精神症状が持続的に不安定な者を含め地域 生活を営む精神障害者に対する複合的なサービス提供の具体像について、これまでの研究成果 にも留意しつつ検討すべきではないか。これはビジョンで掲げられたものでございますが、少 し今後の施策の方向性も踏まえてそのあり方を検討してはどうかということでございます。  21ページの真ん中の○でございますけれども、精神障害者本人による短期入所の利用の拡 大を含め、入院予防的に、または一時的な休息を取るために利用するサービスのあり方につい て検討すべきではないか。  また、21ページの最後の○でございますが、こちらは、地域活動支援センターの役割を含 め、障害福祉サービスについて、これまで進めさせていただいたもののほか、何か見直すべき 点がないか、引き続き検討すべきではないかということでございます。  22ページが就労支援の充実ということでございますが、まず、冒頭には、就労系の障害福 祉サービスについて、現在の機能や雇用施策との関係を踏まえ、その機能のあり方について検 討すべきではないか。その際、就労面の支援とあわせて生活面の支援を提供する機能の充実に ついて検討すべきではないか。  また、こちらは事務局の資料の中でまだきちんと提示させていただいてはおりませんでした けれども、精神保健福祉法において、社会適応訓練事業というものが法律上まだ規定が残って ございます。この事業の位置付けについて、これまで果たしてきた役割を十分に踏まえつつ検 討すべきではないかと事務局から提示させていただいてございます。  23ページでございますが、こちらは一般雇用の分野でございますけれども、雇用支援につ いては、精神障害者の雇用義務化の環境が早急に整うよう、その特性に応じ、予算措置などに よる雇用支援の一層の推進、充実について、引き続き検討すべきではないかと掲げさせていた だいてございます。  以上が就労支援に関するものでございます。  23ページ下でございますが、こちらは、家族・支援者に対する支援ということで、幾つか 構成員の方から御意見をいただいておりますので、掲げさせていただいてございます。  まず、最初の家族に対する支援でございますが、まずは、福祉サービスや医療サービスの充 実により家族に大きな負担を課さずに地域で生活を支援する体制の整備とあわせて、効果的な 家族支援のあり方についてどう考えるか。  24ページでございますが、こちらも御意見のあったところでございますが、支援者、実際 に精神障害者の方の支援に当たっている方に対する支援や人材の育成のあり方についてどう考 えるか。  25ページからが、地域生活を支える医療の充実ということで、まず、救急の充実を書かせ ていただいております。まず最初の○でございますが、精神科救急については、都道府県によ って、圏域設定の考え方や救急医療システムの機能が異なっている。その均てん化を図る観点 から、都道府県による体制確保を制度上位置付けることについて検討を行ってはどうか。  また、2つ目の○でございますが、精神科救急医療と一般救急医療の双方を必要とする患者 に対する適切な医療の提供を確保する観点から、その連携についても制度上位置付けることに ついて検討を行ってはどうか。  3つ目の○でございますが、こちらは精神科救急のいわば中身でございますけれども、機能 評価であるとか精神科救急にふさわしい人員・構造基準のあり方など、その質の向上に関する 議論については、後ほど出てまいります精神保健医療体系の再構築に関する検討の中で、あわ せて行ってはどうか。  26ページでございますが、もう一つ救急に関連するものといたしまして、精神保健指定医 の確保に困難を伴っているという意見もあることも踏まえ、精神保健指定医について、5年毎 の資格更新時に、例えば措置診察の実施状況を要件とすることや、あるいは都道府県の精神科 救急医療事業への参画に関する義務を設けることについて検討を行ってはどうかと。  26ページ下でございますが、デイ・ケア等及び訪問看護についてでございますが、こちら につきましては、精神保健医療体系の再構築に関する検討の中で具体的に検討を行うべきでは ないかとさせていただいてございます。  以上が地域移行・地域生活支援に関するものでございます。  27ページ以降でございますが、「精神保健医療体系の再構築」に関するものでございます。  まず、総論といたしまして3つ掲げさせていただいてございます。  冒頭でございますが、最初の点でございますけれども、精神保健医療体系については、病気 や疾患に応じて、入院医療をはじめとする医療機能のあり方を明示した上で、将来的な病床の 機能分化、医療体制の姿を提示する。  また、その際、精神疾患に関する入院医療の急性期化や疾病構造の変化を踏まえた上で、機 能毎の病床の必要量を明らかにし、人員・構造等の基準の見直しやそれに応じた適切な評価を 行いつつ、病床数の適正化を図る。  3つ目の点といたしまして、入院や通院を含めた医療機能について、関連する他のサービス との連携も含めて医療計画に記載するなど、制度的な対応を充実するとさせていただいてござ います。  29ページからが個別の論点でございます。  まず、入院医療でございますが、先ほどの基本的考え方と若干重複する部分があるかもしれ ませんので簡潔にいきたいと思いますが、まず、最初の○でございますが、入院機能のあり方 を明らかにするとともに、病棟・病室単位、いわゆるユニット単位での機能分化を含め病床機 能分化の推進のための具体的方策について検討すべきではないか。  30ページでございますが、病気・疾患に応じた入院機能のあり方や、通院・在宅医療ある いは他のサービスの機能等を踏まえ、現在精神病床が果たしている機能を評価した上で、人 員・構造等の基準や必要量、機能強化のための方策など、今後の精神病床のあり方についても 検討を行うべきではないか。  次の○といたしまして、精神病床の人員配置やその評価、精神病室等に係る規制についても、 地域移行推進の観点やマンパワー充実や水準の向上、身体合併症への対応という観点から、そ の見直しについて検討を行うべきではないか。  ここは、検討会で御意見をいただいている、医療法の部分も含めた部分でございます。  31ページでございますけれども、通院・在宅医療でございますが、こちらは、「精神保健 医療福祉の改革ビジョン」にも掲げられておりますが、精神科デイ・ケア等の患者の症状やニ ーズに応じた機能強化・分化、あるいは精神科訪問看護の更なる普及をはじめとした在宅医療 の充実のための方策について検討を行うべきではないか。  その際、利用者の実態を踏まえ、福祉サービスとの役割分担のあり方についても検討を行っ てはどうかと書かせていただいているということでございます。  32ページでございますが、こちらが、医療体制・連携に関するものでございます。  まず、最初の○でございますが、具体的に4つ、体制に関するものとして掲げさせていただ いてございます。1つは、精神科救急医療体制の充実について。2つ目が、精神医療における 病院と診療所の機能分担、連携のあり方について。精神医療体制の制度的な位置付けについて。 これは、医療計画も含めたものということでございます。4つ目が、いわゆる身体合併症の患 者さんに対する医療提供のあり方について。  2つ目の○でございますが、こちらは、他のサービスや関係機関との連携が必要と考えられ る分野について、入院機能のあり方や機能分化に関する検討も含め、その体制のあり方につい て、全体像について検討すべきではないかというものでございます。  33ページでございますが、特に、この検討会の中でも認知症に関する御意見がかなり多か ったことも踏まえまして、また、参考資料1でつけさせていただいてございますが、7月10 日に厚生労働省として認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトというものをまとめ させていただいていることも踏まえまして、そちらに合わせる形で記載させていただいてござ います。  読みますと、認知症に対する医療については、介護サービスにおける入所機能と密接に関係 するものであるが、認知症疾患医療センターを中核とした医療体制の整備を図りつつ、専門医 療機関の機能を更に明確化・重点化する観点から、精神病床や介護保険施設等の入院・入所機 能のあり方を含めた体制の全体像について、総合的に検討を行ってはどうかとさせていただい ております。  34ページ、35ページが、精神医療の質の向上にかかわるものでございまして、34ペー ジの○でございますが、こちらは、人材の確保に関するものです。そういった医療関係職種は、 精神保健医療を支える重要な基盤であることから、精神病床に係る人員基準の見直しや、病床 数の適正化の取組も念頭に置きつつ、その確保や資質の向上のための方策について検討を行う べきではないか。  35ページでございますが、薬物療法のあり方を含め、その他精神医療の質の向上の観点か ら必要な取組について、更に検討を行うべきではないか。  以上が精神保健医療体系の再構築に関するものでございます。  36ページから最後までが、「精神疾患に関する理解の深化」に関するものでございます。  まず、総論といたしまして、36ページでございますが、後段の部分を見ていただければと 思いますけれども、精神疾患の早期発見・早期対応による重症化の防止を図ることを念頭にお いて、今後の具体的な普及啓発方策について検討を行ってはどうか。  38ページでございますが、個別の論点の最初といたしまして、「こころのバリアフリー宣 言」のような国民一般を広く対象とする普及啓発から、疾患や年代、対象者といったターゲッ トを明確化した普及啓発に重点を移していくことについて検討すべきではないか。あわせて、 そのターゲットに応じた効果的な手法あるいは実施主体等についても検討を行うべきではない か。  また、その疾患につきましては、既にお示ししたとおり、統合失調症に関する理解がかなり 遅れているということを踏まえまして、統合失調症に関する理解の進展を目標の一つとして、 重点的に普及啓発を行うことについて検討すべきではないか。  3つ目の○でございますが、これは年代に関するものでございますけれども、ニュージーラ ンドのデータや、あるいは、39ページでございますが、近年の諸外国における普及啓発の取 組を踏まえ、早期対応の観点からの普及啓発については、学齢期等の若者とその周辺を重要な ターゲットとして位置付け、重点的に行うことについて検討すべきではないか。  また、地域移行を円滑にする観点からの普及啓発についても、その効果的な方策について引 き続き検討してはどうかと書いてございます。  41ページでございますが、上記の検討にあわせて、その普及啓発の効果を適切に評価する ための指標についても検討すべきではないか。  また、幾つか普及啓発については個別の御意見をいただきましたので、それを一つにまとめ てございますが、以下の意見についても、普及啓発方策全体の中で検討を行ってはどうかとい うことで、まず最初が、家族、医師、看護師、精神保健福祉士等の専門家等、本人の身近にい る方への普及啓発について。42ページでございますが、こちらは、社会的な影響力の強い方 に対する普及啓発について。42ページ下でございますが、地域単位での施策の決定の場への ピア・サポーター等の当事者の参画について。43ページでございますが、身近に精神障害者 と触れ合う機会を設けるなど、精神障害者に対する偏見の軽減に資する取組について。最後で ございますが、普及啓発における行政の役割についてということで、以上、駆け足になりまし たけれども、これまでいただいた御意見を踏まえまして整理させていただいてございます。  また、お示しした論点につきましては、本日の議論を踏まえて、必要に応じて追加修正させ ていただき、また、次回検討会でお示ししたいと考えておりますので、積極的な議論をお願い いたします。  以上でございます。ありがとうございました。 ○座長 ありがとうございました。  それでは、これから議論に入らせていただきます。本日、今、御説明がありましたが、議論 の内容が大変多岐にわたっております。資料2のところで、今、説明がございましたが、これ を全体で議論をやり始めると少し混乱すると思われますので、資料2の大きな見出し、要する に一番頭にある四角で囲った見出しのところで、ごらんいただきますと、1ページの頭が「今 後の精神保健医療福祉施策について」と掲げてございます。それから、6ページを開いていた だきますと、6ページの頭の一番左上に、やはり囲みで「地域生活への移行及び地域生活の支 援について」と分かれております。そして、更には27ページのところに「精神保健医療体系 の再構築について」という見出しがついておりまして、それから最後が、36ページから「普 及啓発について」と書かれてございます。4つのこういう区分けになっておりますので、この 4つを、前半2つと後半2つに分けて、最初は主に「今後の精神保健医療福祉施策について」 というのと「地域生活への移行及び地域生活の支援について」、すなわちページで言いますと 26ページまでが前半、それから27ページから最後までを後半というふうにして、その議論 をしていただければと思います。  それから、できるだけ多くの構成員の方々から御意見を賜りたいと思っておりますので、御 発言はできるだけ簡潔にして、多くの御意見を賜ればと思います。  それでは、まず前半の「今後の精神保健医療福祉施策について」と「地域生活への移行及び 地域生活の支援について」、ここについて御意見のある方お願いいたします。それから、資料 1が配られておりますが、資料1についても、もし御質問、御意見があれば、ここでお願いし たいと思います。  それでは、どなたからでもどうぞ、御意見を。 ○谷畑構成員 湖南市長の谷畑でございます。第4回目と第5回目は議会の関係で勝手をさせ ていただきました。大変失礼いたしました。  まず、資料2の1ページでありますが、基本的な考え方がございます。ここにおきまして、 精神障害者を取り巻く壮大な差別の体系があったし、今もあるという厳しい現状認識から入る べきなのではないかと思っております。広田構成員がおっしゃっておられました国の責任とい うものも非常に大きいわけでありますが、患者自身による内なる差別、それから家族による差 別、医療体系での差別、福祉体系での差別、更には地域での差別など、精神障害をめぐる包括 的な差別の枠組みから、まだ十分に抜け出せていないのではないかと思っております。  医療においては、診療単価によります精神科への差別、また「精神科」と書くだけで応募が なくなる看護現場での差別、また三障害一元化されたとはいえ、精神障害者手帳を持ちたがら ない内なる差別とともに、精神だけはパラリンピックもないし、また作業所も無認可、更には JRや航空機、タクシー、バス、高速道路等々の割引についても身体・知的止まりで、精神に ついては福祉対応がされていないという差別。更には、グループホームをつくるだけで反対運 動が起きるという国民意識レベルでの差別という、こうした包括的で総合的な差別の輪という ものがあるなということを福祉の門外漢として、この場に参加しながら、関係者の皆さんがそ この中でもがき苦しんでいるような感じをずっと受けておりました。もっと輪の外の人に助け を求めていってもよいのではないかと思っております。確かに、その輪の外にも差別はあるわ けでありますけれども、まずは、これまでの精神障害者を取り巻く施策、システム、そして関 係者が差別をされてきたし、してきたという、そういう認識からスタートすべきなのではない かと思っております。  患者や家族が自ら差別するということに次いで、差別意識が強いのは、実は厚生労働省では ないかという厳しい指摘をされた方もおられます。例えば、法務省が精神触法者に対する取り 扱いをしているのに対する、それとの比較での指摘ということでありましたが、行政担当者と しては、行政対象を改善していこうとすると、手元に置いて、そしてそれを自己完結で完全な ものを目指したいという欲求があるということは、同じ行政屋として十分理解できるところで あります。しかもそれは、実は、何事もお上がすべてやるべきだという国民の意識や国民の欲 求の裏返しの責任感だというわけでありますけれども、私は、もう少し厚生労働省が肩の力を 抜けるような、そしてほかの省庁であるとか、ほかのセクターにそれを頼んでいけるような空 気づくり、輪づくりというのが必要ではないかと思っております。  この場にずっと参加させていただいて、見せていただいておりますと、厚生労働省がやり玉 に上がることが非常に多いと思っております。それであったとしても、厚生労働省が手を抜い てよいということでは決してないわけでありますけれども、やはり国民がエールを送れるよう に、厚生労働省には更に身を削って頑張っていただきたいと思いますし、やはり当事者、そし て関係者それぞれが、自らの問題として取り組む必要があるのではないかという感じを持ちま した。  それから、11ページですが、地域生活移行と地域生活支援の総論の論点の中で、高齢障害 者にふさわしい支援のあり方というところがございますが、これが、退院促進を図って地域へ 移行しようとした人が、もし65歳以上の場合に、実は、ずっと議論しております就労という ことは現実的ではないと思っておりますし、また、介護保険を適用しようとした場合に、要介 護度が低ければ、施設入所ということが現実には非常に難しいということがございます。また、 在宅についても、精神障害に対応できるヘルパーというものが実質少なくて、物理的に対応が 難しいということもあろうかと思っております。  65歳以上の人が退院するときには、できるだけ円滑に、介護保険の体系に乗るようなシス テム上の接続というものは考えられないのだろうかと。もしくは、ずっとここの場で御議論が あります、精神病症の削減によりまして精神病院の経営ということが難しくなるというお話も ございますが、病院側の協力がそれによって鈍っていくというのであれば、例えば精神の特殊 性をここだけ強調して、介護保険の財政支援を精神医療現場に還流させるようなシステムとい うものは現実的なことではないのかどうかということについて、教えていただけたらありがた いなと思うわけであります。  それから、もう1点、16ページでありますけれども、早期発見・早期対応についてという ことでございます。後ろの方で医療的な部分もあろうと思いますが、相談指導の充実や機関の 連携ということがここでは述べられております。システムとしてつながることが非常に大切な わけでありますが、例えば文部科学省が議員立法を受けて進めています発達支援システム、厚 生労働省も乗っかっていると思っておりますが、これは、乳幼児から発達段階に応じて、保 健・医療・福祉、学校現場をつないでいるわけであります。それぞれの発達段階での適切な予 防を心がけているわけでありますけれども、この中で、成人期以降に罹患している患者の半分 が、10代の前半までに何らかの精神科的診断に該当しているということが第4回に示された わけでありますが、こうしたすべての子どもを対象に見守るシステムというものができつつあ りますので、今現在発症しておられる方も大事でありますが、予防という観点からいいますと、 こういったシステムも十分に活用していけば、水際での発病防止ということにもつながってい って、最終的には患者の数の減少ということにもつながっていくのではないかと考えておりま す。  以上です。 ○座長 ありがとうございました。  続きまして、どうぞ、大塚構成員。 ○大塚構成員 基本的なところの考え方なのですが、1ページ目に、今までの行政施策の結果 であると記載されたことはよかったと思いますが、谷畑構成員の話を聞いていて、もっと進め た法がいいのかと思いました。  2ページのところに、最初に、精神保健医療福祉施策に関しては、今後も、「入院医療中心 から地域生活中心へ」ということを更に推し進めて、安心した地域生活が送れるように社会を 変えていくんだという書きぶりになっていて、趣旨としてはいいと思いますが、もう少し積極 的に書いていただきたいと思うところがあります。「精神障害者が……安心して」と書いてあ りますが、その後の早期発見とか予防とか適切な医療提供体制のことも絡めて考えますと、 「すべての国民にとって、精神障害があっても当たり前に地域で暮らせる社会の実現を」とい う書きぶりにしていただいた方が、今、既に精神障害者になっている方だけを対象としている かに読めるようなところから、もう少し広く、精神疾患・精神障害というものを国民に対して 訴えていけるのではないかと思います。また、その手前の箇所ですが、具体的な方策は「入院 医療中心から地域生活中心へ」ということをまだまだ推し進めなければいけない現状があるの は踏まえなければいけないのですが、是非、今年発効しました障害者権利条約を意識して、ま た、障害者基本法による計画の見直しの時期でもありますので、基本理念はもう少し高く書い ていただきたいと思います。  もう一点、5ページ目の地域移行のところで相談支援体制のこと等が出てきます。地域生活 への移行及び地域生活の支援について、具体的なところで相談支援体制を中心にと書き込まれ ていくわけですが、「推進体制のあり方や制度上の位置付けについても検討すべきではない か」というところに、今、社会保障審議会の障害者部会で自立支援法の見直しが進んでいるわ けですし、こちらからもそこにリンクをしていくという計画があるはずですので、「障害者自 立支援法の見直し等を合わせた抜本的な制度的な位置付けの変更も視野に入れた検討をすべ き」という踏み込んだ書き込み方をしていただけたらありがたいと思います。 ○座長 どうぞ、小川構成員。 ○小川構成員 私も谷畑市長や大塚さんの御発言に賛成いたします。  そういう意味では、1ページ目の基本的な考え方のところでございますけれども、「その認 識に立って」、「その認識」とは何なのかということですね。ここは、やはり私も含めて、あ るいはもしかしたら当事者運動も含めてなのかもしれませんけれども、「その反省に立って」 という言葉をきちんと明確に位置付けたらどうかということを提案いたします。  また、10ページ、11ページに入院期間1年以上、1年未満の方々の取組が記載されてお りますけれども、私は、もうこれからは1年以上の入院はさせない、そういう決意を考え方に もきちんとうたって、施策でも、1年以上なのか6カ月以上なのかわかりませんが、そういう 長期入院をつくらない、新たな長期入院をつくらない覚悟で施策を進めていくというぐらいの 気概を考えていかなければいけないのではないかと思っております。  時間も、ほかの委員の発言もありますのでこの程度にしておきますが、よろしくお願いしま す。 ○座長 どうぞ、長野構成員。 ○長野構成員 全体の中で項目として抜けていると思われる部分を1点。「障害認定区分」と いうことがないんですけれども、現在、現場では、障害程度区分によってサービス料がまだ決 められないので、当事者御自身の生活に問題がまだ顕在化していない状況だろうと思うんです が、審査会を現場でやっていて、適切に評価ができないということは確かだろうと思います。 将来これが生活に直に影響が出てくることを考えれば、今の障害認定区分はどうしても見直し が必要なのではないか、その項目が必要ではないかと1点思います。  あと、25ページですけれども、精神科救急のことについて、精神科救急と一般救急の連携、 とても大切なことで、施策の中にということは是非実現と思うんですが、そもそも精神科が特 別な科である位置付けがここになされていて、一般救急の中に精神科救急がもう当たり前に組 み込まれる状況ということを将来目指さなければいけないのではないかと。逆に言うと、全総 合病院に精神科があれば、一般救急の中に精神科が当たり前に入るわけで、そういうことが、 現状ではすぐには無理にしても、やはり精神科救急と一般救急が分かれている現状をどこかで 見直すという方向ができないかと感じましたので、その2点提案をさせていただきます。  以上です。 ○座長 ありがとうございました。  ほかには。どうぞ、坂元構成員。 ○坂元構成員 行政体制のあり方ですけれども、こういう精神保健福祉医療行政を推進するに 当たって、都道府県と市町村の連携ということは非常に大事ですが、やはり基本的な責任の所 管できるだけを市町村に置くべきだと思います。都道府県は主に広域調整としての機能を果た すべきだと思います。都道府県は直接的な住民窓口を持っていない場合が多いので、なかなか 地域住民の声を反映しにくい部分があるので、あくまでも基本自治体としての市町村を主体に 考えるべきであると思います。  それから、文言上なかなか一般の方が理解できないのは、市町村といっても、保健所を持っ ている市もあれば持っていない市もあるということもあって、この文言が、単に市町村、都道 府県と書いてしまうと混乱が起きると思います。私が以前、これにもすでに書かれていますが、 市町村、それから障害福祉圏域、道府県というこの3層構造と申し上げたんですが、実はもう 一つ保健医療圏というものがあって、それぞれ保健医療計画と障害福祉計画という2つの計画 があります。我々の議会でも、この2つの計画の整合性をどこで、だれが、どういうふうに取 っているのかとの指摘をいただいております。2つを合わせてみると、なかなかお互いの整合 性がうまく取られていない部分もあります。特に保健医療計画の部分は、4疾病5事業が主体 となっており、精神保健医療全般が反映されにくいものになっているということです。最後の 方で医療の部分も出てきますが、そういう厚生労働省の中で立てられる計画の相互関係の強化 というものが必要ではないかと思っております。  以上でございます。 ○座長 ありがとうございました。  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、田尾構成員。 ○田尾構成員 この主な論点で今後検討すべきであるとかいろいろ書かれていますけれども、 これがすべてこうするという、最後の報告のときに「やるぞ」という決意表明になってくれる とすばらしいなと思いながら、検討することがまだまだあるのだなと思いながら読ませていた だきました。  4ページの下の方、「(ビジョン)を示した上で、可能な限り、客観的な指標に基づく明確 な数値目標を定め、それを実現するためのロードマップを明確にして個別の対策を工事、…… 流れを徹底すべきである」、ここは「べきである」と書いてくださっていて、これは非常に頼 もしいと思っていまして、かつての、例えば7万人、7万2,000人の数字が挙げられたと きには、その数字が挙げられただけで、その後、それをどういうふうに解決していくかという ことが、具体的な方法として提示されていなかったと思うのですね。そこのところを、今回は 理念だけではなく、相変わらず、世界一入院患者が多いわけですから、せめて第2位の国の数 まで減らすためにはどうしたらいいかということを、具体的な道筋を、担当者がかわっても、 これをやっていけばここに到達するというような道筋と明確な指標をつくっていただきたいと 思います。  それから、6ページですけれども、相談支援事業について、これはいろいろ申し上げた結果、 ここに上がっていてありがたいと思います。この支援事業が、つまり今この地域移行に関する 対処、支援事業とか特別対策とかいろいろありますけれども、単発的な有期限の事業では、こ の問題は解決しないと思っています。ですから、国の恒常的なシステムの中に、地域移行とい うか、入院した人が退院するのは当たり前だという構造が組み込まれなければならない、その きっかけになるのがこの相談支援事業だと思いますので、前も申し上げましたけれども、区市 町村に任せるのではなく、国の義務的な経費としてそれを扱って、行っていっていただきたい という問題がまだありますので、再度述べさせていただきます。  以上です。 ○座長 いかがでしょうか。どうぞ。 ○伊澤構成員 今の田尾構成員の御発言に少し足させていただくような形になるんですけれど も、相談支援事業、ページで言うと、これは各論になりまして6ページのあたりになるんです が、「施策の中核として位置付け」ということでお書きいただいているんですが、そもそも以 前の議論にもありましたけれども、精神障害者への生活支援の対応としての相談支援というも のが十分にとらえられていないのではないかという危惧を感じております。相談支援活動が、 いわば役所の受付窓口における対応と同列で考えられていないかという意味ですが、そういう 支援のイメージというものが、まだまだ非常に強い。最初から相談事がはっきりしていて、そ れが持ち込まれて、受け付けられるようなイメージで相談というものがとらえられていないだ ろうか、という表現にもなります。だから、対応により即時解決あるいは相談内容を割り出し た植での窓口紹介、振り分け機能、つまりトリアージということが基本機能としてとらえられ ているような気がしてなりません。  しかし現実には、相談事が、自分自身の生活の中で問題であると認めるまでには、かなり時 間を要す場合が決して珍しくありません。たとえば地域活動支援センターの交流室において他 の人たちとの交流を通じて確かめ合いがあったりとか、支援者との関係性をもとに、いろいろ なやり取りの中でそれが顕在化してくる、浮かび上がってくる、そういう周囲との支えあいや 支援関係をもとにして相談の内容が明らかになっていく、まさにプロセスに対する支援という ところに大きなウェートがおかれているものだと思うんですね。だから、相談支援という表現 は、まさに関係性を基にし、継続的な相談対応というかかわりをもとにした生活支援だという とらえ方をあらためて強調したいと思います。つまり、それがまさに精神の方たちの特性、つ まり、安心をベースに初めて認識できる自身の課題、相談事であり、それを導き出すためには、 安心の関係作りが欠かせないということです。このような、特性を踏まえた支援のあり方だと いうことを認識していただきたいということを強く思います。  それと、資料1に今日は触れられていなかったんですが、ちょっと加筆を求めたい部分がご ざいます。それは4ページなんですけれども、障害福祉サービスの現状のところ、これは現状 をしっかりとらえて、その上で議論を積み上げていくというあたりが非常に必要な部分だと当 然思ってはいるんですが、その中に、障害福祉サービスの現状として、社会復帰施設、旧体系、 それから新体系の自立訓練や就労移行支援、就労継続支援等々、そういう記述はあるんですが。 ○座長 ごめんなさい、資料1ですか。 ○伊澤構成員 ごめんなさい、資料1の4ページ。そこに障害福祉サービスの現状という記述 がありますが、社会復帰施設や新体系の事業についてはいろいろ書かれているんですが、実は この中に、この30年来、地域性や街の風土に立脚しながら地道に、そして様々な役割を果た してきた小規模作業所の存在が記載されていない、漏れているということが非常に気になって おります。全国的に見て、三障害合わせて約6,000の作業所があり、そのうち1,600 は精神であるということ。そして、自立支援法ができた関係で、新事業類型への移行も進んで おりますが、依然として旧体系のままで継続した地域活動、支援活動を行っているという事業 所も実態としてかなりの数ある。作業所は、わが国の地域活動を終始牽引してきたという事実 はどなたも異論のないところだと思います。その辺をしっかりととらえながら、果たしている 役割への評価とともに、現状の中にはきちんと落としていただきたいと思っております。その 点です。 ○座長 ありがとうございました。  どうぞ、末安構成員。 ○末安構成員 これまでの議論の中で私も自分で言ってきていなくて今日、今後の論点にどう しても入れておいてほしいと追加するのはちょっと失礼なのかもしれないんですけれども、入 院していた方が地域移行支援を受けて退院できて、生活するときに、その方の経済問題をどう するのかということは、社会保障審議会の方でもずっと議論してきたことですね。自立支援法 のことを踏まえまして、自己負担の問題を踏まえまして。  そのレベルの議論もあるんですけれども、今日は、そこではなくて、成年後見とか、それか ら権利養護事業を精神科の方も今、私、統計は持っていないんですが、かなり利用が進んでい ると。私は地域的に把握しているものしかないんですけれども、進んでいると言っていいと思 います。誤解を受けるかもしれませんけれども、率直に言えば、入院中にもらっている障害年 金が本人の手に届いていないということが、現場の問題としてはすごく、退院時のその患者さ んの生活保障をするところで大きな壁になっているということは事実としてありますので、地 域によっては、そういうことを意識して、かなり成年後見や権利擁護をそういう動きとして使 っていらっしゃるところもあるわけです。  やはり患者さん本人の権利という、家族も含めた患者さんの権利ではなくて、患者さん御本 人の権利、年金ってそもそもそういうものだと思いますが、それを保障するような指導を、実 際には現場の方たちやワーカーさんや看護師や自立支援員さんたちがそこまで介入するのは非 常に困難です。ですから、うまく自立支援を促進するのには、権利擁護とか成年後見を使うと いう手段しかないという認識が現場にはありますので、これは行政のあり方ともつながるので、 家族に対して厳しく迫るということよりは、考え方を変えていく、患者さん本人の障害年金と いうことを強く打ち出していくことが必要なのではないか。それを是非入れていただきたいと 思います。 ○座長 どうぞ、広田構成員。 ○広田構成員 ぼうっとしていてよくわからないんですけれども、さっき冒頭に市長さんがい ろいろばあっとお話になって、ここの一番最初の基本的考え方、差別のお話をされていました が、そういうことを入れるならば、「現在の長期入院患者の問題は、戦前のいわゆる精神病者 監護法に始まり、戦後のライシャワー事件など、いわゆる社会防衛上治安の対象としての隔離 収容施策の入院医療中心であり」という形に入れていただきたいと思います。  それと、パラリンピックはまだできていないとおっしゃっていますけれども、平成17年度 の患者実態調査で267万5,000人の通院患者がいて、恐らく今年の患者の調査、3年ご とですから、もっと増えていると思うんですよ。もしかしたら、市長もそのうちうつになるか もしれないですね、激務で。さっきお話をちょっと伺ったら、来年は選挙だということですか ら。 ○谷畑構成員 応援をお願いします。 ○広田構成員 近ければ応援に行きたいんですけれども、遠くて交通費も出せません。  そうすると、何をもって精神障害者のスポーツ大会をするのかということで、もうそういう 時代ではないと思うんですよね。過去にそういう差別があったのは実態ですよ。でも、今は私、 まちの中で暮らして、町内会の役員さんたちとパトロールしていますけれども、精神科の患者 と知っていても、別に何ということないわけですよ。そういう意味で、私を含めた本人の中に ある、いわゆる差別されているのではないかとか、そういう思い込みとか先入観とか、それか ら内なる偏見でしょうか、今日、読売新聞の安田さんが見えていないからちょっと困ったんで すが、今まではそういう時代であったけれども、これからのビジョンに書くときに、今、差別 があると書くのはちょっと時代に乗り遅れているのではないか。そういう歴史があったという 形がいいと思います。  それで、いわゆる精神障害者のスポーツ大会をやれば、だれが出られる人なんだと。ドーピ ング検査をして薬を飲んでいる人なのか、40万人が持っている手帳の人なのか、どういう人 なのか、入院している人も含めるのかということを考えて、そこにかかるお金を考えたときに、 一度何か物事がスタートしてしまったら、やめるのには大変な騒ぎですよ。  この前も、たぶんいらっしゃらなかったと思いますけれども、かつて、7年前に厚生労働省 の担当者が2人、1人は美術大会をやりたいと言った人がいて、1人がスポーツ大会をやりた いと言っていて、ソフトバレーか何かになっていったんですが、それは、自分たちでお金を出 してやればいい話で、パラリンピックとか何とか大会みたいな、いわゆる公が税金を使って、 さっき、誰もが精神障害者になる可能性があると大塚さんもおっしゃっているわけだから、そ ういうところにお金をかけないで、今、末安さんが言ったように、所得の保障とか、そういう 回さなければいけないところがいっぱいありますから。昨日も社保審の障害者部会に出ていま したけれども、お金を出さなければいけないところがいっぱいあるんですよ。昨日の話ですと、 三障害だけではなくて、難病も入れて、発達障害も入れて、それから自閉症も入れてというこ とで、社会的障害者という時代ですからということで、それを付け加えていただきたいという ことが1点。  それから、23ページ、「家族・支援者に対する支援について」という見出しがあるんです。 ここに、よく図を見ていると、いつも精神障害者本人が真ん中にいて、周り中に家族、それか ら専門家の医者、PSW、看護師、OTもいらっしゃる、それから地域住民とみんなが支援し ている図をかくんですけれども、支援されているぐらいなら苦労しないわけですよ。支援者に なっていないわけでしょう。支援者になっていないわけだから、支援者という言い方はやめて いただきたい。何かほかの、周囲の人とか、家族とか、医者とか、PSWとか、OTとか、看 護師とか、地域住民とか、そういう形にして、私は「支援者」という言葉は使わない方がいい と思います。だって、支援されているなら、差別とか偏見とかではないんです。支援されてい る人もいるかもしれないけれども、支援されていないからこそ、こういうビジョンか何かやっ て、これから国民に理解をと言っているわけですから。すべての人が支援者になる可能性があ るし、すべての人が精神障害者になる可能性があるわけですから、真ん中に精神障害者を置い て支援という言葉はやめていただきたいということです。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員 障害程度区分に関しては、やはり現場で大変な労力を割いている割には、制 度としては余り有効でないし、機能していないと思うんです。  それで、先日も申し上げましたが、障害程度区分は精神に関しては要らないのではないかと 思いますが、そうすると以前の支援費の失敗を繰り返して青天井になってしまうから、これは やはり何らかの制限が必要なんだという意見が返ってきます。だけど、本当に邪魔くさいです し、税金がもったいないです。それから、障害程度区分がタイムリーに状況を反映していなし、 支援に繋がっていないということも非常にたくさんあります。  それから、現在の障害程度区分に当たらない人たちがいます。例えば発達障害の子どもさん がいて、そして、その親がうつ病になっているような人たち。そういう家族が機能不全に陥っ ていろいろな困難を抱えているようなケースでは、一人一人は別に障害程度区分に当たらない わけです。だけど、これは家族総体として見たら非常に困難を抱えているわけで、これに対し て関係機関がいろいろ集まって援助していく体制というのは必要になってくるわけです。そこ にケアマネジメントが必要になってくるわけですね。そのときに障害程度区分なんかはほとん ど意味がなくて、その人たちにとって必要かどうかというのを市町村が責任をもって判断すれ ばいいわけだし、そして、すぐに連携が取れていけばいい。そのような時にこそ機能するよう な障害程度区分ないしはケアマネジメントの体制でなければならないと思います。  それから、最近は退院がすごく早いんですよね。措置入院の患者さんだって、本当に1カ月 以内で退院してきたりして、「あなた措置入院じゃなかったの?」、「いや、もう出てきまし た」。それで入院先の病院からも関係機関からも連絡はない。とにかく目の前に紹介状も何も なく「退院してきました」と言って来られる患者さんが結構います。とにかくベッド回転率は 随分早くなっています。その場合に、地域移行とか退院促進ということが言われるんですけれ ども、やはり関係機関をつないでいく役割というのが制度化されていないために、突然現れて、 どうしたらいいかわからないということが起こります。  ですから、とりわけ入院機関の関係者と、そして地域での受け皿の人たちが頻繁にコミュニ ケーションを持てるようなシステムを是非持ってもらいたいと思います。それから、地域移行 というのは、精神科病院だけではなくて、刑務所とか、その他関係している所がたくさんある んですよね。覚せい剤で刑務所に行きましたとかという人がぽっと来られます。いわゆる刑事 施設からの紹介状なんかは当然ないですからね。だけど突然、医療が必要ですとかといって目 の前に来られるわけです。その方の生活支援なんていうのは、また一からそこから始まるわけ で、これは単に病院という問題だけではなくて、やはり関係した施設との連携という形を常に 意識した施策というのが必要になってくるのではないかと思います。  そんなところです。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○尾上構成員 先ほどの伊澤構成員の言われていたところと重なる部分もあるんですけれども、 今回の一番の課題として、やはり相談支援をどう位置付けるかというところだと思います。そ ういった中で、14ページにもありますサービス利用計画作成というものが支援法の中である わけですが、実際のところ、「サービス利用計画作成」という名称は、ここで相談支援で何を しなければいけないのか、やはりマネジメントだと思います。生活全体を支えるところが非常 に必要になってくるというところで、ただ、この相談支援事業が市町村の位置付けにあるとこ ろ、確かに、市町村の位置付けの中で相談支援を展開されるのはいい。ただ、やはりここは裁 量の部分が非常に大きいところがあるということで、地域格差が出ているところがあるのでは ないかと思います。  そういった中で、やはりサービス利用計画作成の対象者の拡大だけではなくて、そもそもの マネジメントというか、生活全体を支えるマネジメントに関して、きっちりとここで、こうあ るべきだというものをそろそろ出すべきではないかと思うところと、やはりそこをきちんと位 置付けることが必要なのかなと感じます。  その中に、地域自立支援協議会というのは非常に大事な部分だと思います。こういったとこ ろの施策決定の場に、この中でもお話をしていますけれども、一緒なんですが、やはりそこの 場に当事者の方々が参画されていないんです。そういった中で、では、この支援の必要なもの とかそういうものを決めていくというのが、本人抜きで決めていくことはどうなんだろうかと いうところはあります。そういったところをきちんと位置付けるということも、まずは大事な のかなと思います。  やはり相談支援というつながりの中で、相談支援事業所がまさに地域をつくっていくんだと 私は思っております。そういった中で、地域からのいろいろなニーズを吸い上げて、そこで協 議会という場の中で検討していくというところの協議会の位置付けをもうちょっと明確にすべ きかなと思うところです。 ○座長 どうぞ、山根構成員。 ○山根構成員 今回のいろいろな総論とか流れというのは、大まかに見て、それほどずれてい るものではないと思います。今後のことになりますが、例えば療養病棟が、機能分化や構造転 換として挙げられましたが、大きな理念はあったけれど、結果的にそれがどういう機能を持ち、 どういう役割を果たすのかということが具体的に明示されていなかったため、あいまいなまま 経過している。せっかく方針を出しながら、効果判定ができない状況だと、無駄と言ってはい けませんが、もったいない。今後の検討においては、どう機能分化させるのか、その機能分化 させたところは一体どういう役割を持つのか、その役割が果たせているかどうかという効果判 定ができるところまで示した方がいいと思います。  それと、退院促進は、促進をするというだけでは現場に任せ切りになる。例えば身体障害領 域のように、精神科総合リハビリテーション計画書ですとか、そういう具体的な診療行為に対 して何らかの技術料を払うような経済的な背景をつくらないと、機能しないと思います。特に、 病院がきちんと機能して運営されなければいけませんから、そういう意味では、最終的には診 療報酬体制まで含めた基本的な方針というものが出ないと、結果的に何も機能しなくなるおそ れがあると思います。  それから何度も申しましたけれど、従来の機能を整理すると同時に、つなぎの部分、ケアマ ネジメントとか相談業務をしたところで、つなぎの部分をきちんと機能させるシステムがない わけですね。例えば今試みとして、京都などでも退院促進支援員が置かれていますが、彼らは 非常にいい動きをしています。今まで不十分だったつなぎの部分を補っているのです。退院で 外に出す側は、退院前訪問とかいってもなかなか十分に動けない。また受け手の側も、わざわ ざ病院に乗り込んでいって引き受けますということも難しい。そういう中で、退院促進支援員 は本人の回復過程に沿ってきちんとサポートができる、司法精神医療で言うと社会復帰調整官 のような役割をはたしている、そういう新しい制度というものも必要なのかなと思います。  我々は今、地域生活支援をしていますが、負担が大きいからデイケアに戻りますという人た ちがいます。どういうことかと聞いてみると、デイケアに戻れば、交通費が出ます、食事が出 ますと言うのです。臨床現場ってそんなものです。どんなにいいことを挙げたところで、お金 を支払う側はどれだけ負担が要るのか、医療を提供する側はどれだけ収入が入るのか、そこで 見るわけですから、下世話な話のようですけれども、きちんと経済的に見合う形にすると いうことも、この会で検討していければいいのかなと思っております。 ○座長 ほかにはいかがですか。長野構成員。 ○長野構成員 あと1点、5ページのところの3層構造、自治体の都道府県、市町村というと ころがあるんですが、現場でやっていて、いろいろな施策が市町村に位置付けられていくのは、 とてもいいことだと思いますし、生活に近い場所でというのはわかるんですが、今、ありとあ らゆる施策が市町村に下りてきてしまっていて、市町村がマンパワーがなくて悲鳴を上げてい る。私たちの現場でも、国が施策化していただいた、県がなかなか要綱ができなくて、半年遅 れてやっと要綱ができた。市町村に来て、それが周知されて実行されるまでは1年かかったと いううちに施策が変わってしまったとか、そういうことが実際起きてしまっている。  市町村は、私たちのまちだと、精神と児童の担当の保健師が1人、現実的に2万6,000 人のまちで、それぐらいが関の山だと思うんですけれども、今日この保健師さんとも話したん ですが、精神は今、スタッフがいっぱいいるから、とにかく児童を頑張ってね、精神は僕たち がやるからという話をしていたんですが、実際、この施策を使いこなす市町村がとてもあっぷ あっぷしているというのはあるのではないかと。  だから、市町村に位置付けていくときに、市町村に対する財源措置、人を増やせる措置とか、 研修ができるものであったり、そういう仕組みがないと、実際に現場まで施策が下りてこない という現実があるような気がしますので、1点足させていただきます。  以上です。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、長尾構成員。 ○長尾構成員 今の話も受けてですが、7ページにも「相談支援の中核を担う地域自立支援協 議会の機能の充実を図る」ということも書いてあって、非常にこれは結構なわけですが、こう いう協議会とかいろいろな制度をつくることは大事ではありますけれども、それを動かすだけ の人と財源というものをきちんと充てないと、やはり絵にかいたもちになってしまう。  先ほどの医療観察法のことがちらっと出ていましたけれども、医療観察法における社会復帰 調整官というのは、ここでの話とはちょっと違いますが、非常に重要な役割を果たすし、私自 身は、今後の地域ケアの一つのモデルとして、ああいう調整官ないしケアカンファレンス等は モデルになるなという感じは思っていたわけですが、しかし、あれにも非常に、形はつくられ ているけれども、実際の人が十分でない、お金はつかない、カンファレンスしてもほとんど何 もつかない、そういう中では、これはなかなか動かないんですよね。  だから、相談支援体制も非常に大事だし、そういうものについての、やはり人材をいかに確 保して、それに、人材を確保するための財源をどうしていくのかということがないと、なかな か動かない。  私の市でも、相談支援事業を1カ所で包括的にやりたい、人材は出してください。ほかの業 務をきちんとやっているのに、そんなにどんどん人を割いて出せないわけですよね。そういう 本当に人材がない中で制度だけがつくられてひとり歩きするということは、やはり何もならな いので、そういうことの手当てをきちんとやれる形で制度を構築しないと絵にかいたもちにな ってしまうということがありますので、是非ともその辺を勘案してください。 ○座長 どうぞ。 ○佐藤構成員 同様な意見なんですけれども、先ほど、山根構成員の方から診療報酬というお 話がありましたけれども、診療報酬でやって促進される面と、逆に診療報酬が足かせになって しまって、うまく地域移行が進まない側面もあると思うんですね。ですから、やはりある程度、 診療報酬は当然、利用者の自己負担というようなものがついてきますから、積極的に地域移行 を進めるためには、税金を直接使うといいましょうか、市町村に下ろすとかそういう形で、診 療報酬を介しない、国あるいは自治体が直接行うということをやって進めるということでない と、本格的に進んでいかない。診療報酬ですと、やるところもあればやらないところもあるし、 それを形式的に使うということがどうしても出てしまいますので、やはり直接的に税金を使う ということも考えていただきたいと思います。 ○座長 どうぞ、三上構成員。 ○三上構成員 先ほどの長尾構成員の意見に同調しますけれども、相談支援の問題で、地域の 自立支援協議会が十分機能していないということで、これを充実させるということですが、1 6ページに「法制度的な位置付けを含めその機能を明確化するについて検討する」と書いてあ るんですが、やはり先ほど言われたように財源が要るということで、今まで機能していなかっ た原因は何なのかということを十分検討しなければ、恐らく財源がなくて、人もいないし、形 だけつくったということなので機能していなかったんだろうということで、明確化するだけで はなくて、機能しない原因をきちんと検討するんだ、そしてその原因を取り除くということを 書いていただきたいと思います。  それと、精神科救急のところで、26ページのところに指定医が不足している問題が書かれ ておりまして、診療所の方に移行しているために、病院の指定医が少なくなっているために、 更新時に精神科救急とか、あるいは措置診察の実施状況を要件とするというような具体的なこ とが書き込まれていますが、逆にこれは、指定医の数が減る、更新ができないということにも なりますし、「指定医を増員させるための施策を考える」と大まかに書かれた方がいいのでは ないかと。逆に、どうして病院の指定医が診療所の方に移行しているのかということも、十分 検討していただきたいと思います。 ○座長 ほかには。大塚構成員どうぞ。 ○大塚構成員 重複になってしまうかもしれませんけれども、やはり最初に戻って、国の施策 の結果でありということを書いているところからすると、受け皿が整ってこないからなかなか 退院できないということを従来言われてきたわけですから、今後のPDCAで、計画があって、 実行があって、チェックがあってということをするときに、やはり進まないときに、受け皿が いつまでも整わないのは、国は勿論ですけれども、それぞれの行政単位の責任であるぐらいの ことを、つまり受け皿を整えるのは本当に行政の責任なんだというぐらいの言い方ができない かなと一つ思っています。  実際に皆さんがおっしゃるように、受け皿を整えていくとか地域移行を進めていくというこ とになりますと、箱をつくっていくお金も必要でしょうし、人を充てるとかシステムを動かす ためのお金も必要だと思うんですが、システムそのものに関する責任の所在というのが、この 間、市町村にすべきではないかという議論が出ているわけですけれども、やはり私は、介護保 険の地域包括支援センターが全市町村に設置されていったというのは大変大きな仕掛けだった なと思っておりまして、相談支援体制を充実強化させるときに、現在は、地域活動支援センタ ー1型に併設でやっているところが大変多いわけですが、そうではなくて、圏域の規模をどう いうふうに設定するかというのは今後の具体の議論だと思いますが、やはり相談支援体制の拠 点となるようなセンターをきちんと圏域ごとに設置すべきである。そこに必要最低限の人員を きちんと配置していくというようなことも含めた論点のあり方を持っていただけたらいいなと 考えます。 ○座長 広田構成員どうぞ。 ○広田構成員 相談の話が絶えず出てきて、尾上委員とか大塚委員のような、寺谷さんとか田 尾さんとか、優秀なPSWだけが全国におられればいいんですけれども、そうなんです、医者 もそうですけどね。要するに、さっき尾上さんが、当事者不在というようなお話をされたんで すけれども、何か物事を決めるときには当事者の参画も当然でしょうし、自分のケア計画をつ くるときにも、当事者が不在であってはならないし。ここにはセルフマネジメントの話は出て いなかったんですけれども、そういう時代が来ると思います。  どうなんでしょうね、例えば医師とかいろいろなPSW、国家資格があっても、この前も話 をしましたが、なかなか守秘義務を守っていただけない。そういう低レベルの専門家もたくさ んいらっしゃるんですね。私のような、いわゆるピアアドボケートでもきちんと守るわけです よ。ボランティアでやっているにしろ、お金をもらっているにしろきちんと守っているのに、 専門家が守られていないということで、ここのところではちょっと私、余り読み込めていない んですが、そういう病院に入院して、患者の実態を知って、どういうことだったらこれは救急 だとか、どういうことだったらこれは慢性期だという症状を知ってほしいから、そういう検診 をしてほしいと言ったんですが、もっと質が上がるように、そしてきちんと人様の相談って、 実際は相談というほどの話ではないんですよね。相談、相談と言っているけれども、実際は、 年金の話と言ってくるんだけれども、その話を突き詰めていくと寂しいというところにたどり 着いたとか、それから、行ってみた作業所が幼稚園のようで嫌だったとか、さっきの話ではな いけれども、いわゆるデイケアなら御飯がただとか、そのレベルのこともたくさんあるんです よ。それを、ここで話しているとすごく高尚な相談のような話になりますが、実際はその程度 のことでも、何かよくわけのわからない専門家がたくさんいるわけです。  だから、ここにそういう質の向上をもっと明確に書き込んで、何かその辺のおばさんと話し ている方が話が早いんじゃないのというようなレベルのことがたくさんありますから、是非、 私はちょっとぼうっとして、もう62ですから高齢者に近づいていますからわからないところ もたくさんありますが、そう思います。  それから、さっき小川構成員が、当事者運動も含めてという話のところが、ちょっと何が当 事者運動を含めてなのかよくわからなかったんだけれども。当事者運動も含めて反省すべきだ ということですか。 ○小川構成員 済みません、言い過ぎました。 ○広田構成員 言い過ぎではないんだけれども、そういう当事者ということがいいか、行政用 語ですが、そういう本人にさせているのが精神医療とか精神障害者の周辺にいる専門家なんで すよ。後でもっと詳しく述べますけれども。いわゆる医療も福祉もパターナリズムの中で、本 人の自己選択、自己決定、自己責任を奪ってきたのが、それこそさっき言っている支援者とい う周辺にいた人たちなんですよ。これからはそうであってはならないと思って質問しただけで す。意味がわからなかったから。何を当事者運動に含めるのかなと思って。 ○座長 コメントがありますか。 ○小川構成員 誤解があったら申し訳ございません。私は、これからのビジョンということを 考えるときに、当事者がだれかというのがいろいろ、私も含めて当事者予備軍か、もしかした らもう当事者かもしれませんけれども、そういういわゆる当事者の皆さん方も、きちんと人材 の中に入っていく、それをこれからきちんと考えていかなければいけないんだと思うんですね。  我々は、ややもすると専門家だけの議論が、その結果として今があるわけなんですね。いわ ゆる前々回でしたか、当事者の皆さん方からいろいろ教わるわけですね。我々はもっと当事者 から学ばなければならない。そういう意味で、当事者の役割というのはこれからもあるでしょ うし、また、大阪で精神医療オンブズマン、あれもまさに当事者の皆さんの活動がああいう形 で、退院支援事業まで含めて国の施策に反映してきたわけです。そういう当事者が頑張ってく れて、まさに当事者の皆さんがそういう元気な活動をしていくことによって、この精神保健医 療福祉施策も進むのではないかと私は思っております。 ○広田構成員 了解です。 ○座長 谷畑構成員。 ○谷畑構成員 先ほど来、市町村の財源問題がございました。5ページで、第1回に私が述べ た議論で、財源・人材の確保についても議論において配慮すべきと述べておりますが、論点の 中には、「推進体制のあり方や制度上の位置付け」となっておりまして、人的な部分とシステ ムの方だけしか上がっていないなと思っております。  これに付随して、先ほど来、16ページでも地域自立支援協議会の法制度的な位置付けとい うこともございますが、地方自治体は法律の範囲内での自治ということですので、国会で法律 が通れば、それを忠実にこなしてまいりますけれども、やはりその裏には、地方自治の本旨と いうことで、財源手当てがきちんとなければ動かないということでもございますので、やはり 財源の部分についてはしっかりと押さえていただきたいと思うわけでございます。  先ほど来、保健師の数等のお話もございました。第1回であったか申し上げたと思うんです が、うちの市では、保健師であり精神保健福祉士である職員がたまたま2人採用されていたと いうことでありまして、例えば、保育現場におきましても、保育士と幼稚園教諭の免許の双方 を持っている職員を最近は採用しております。ですから、現場において工夫していくというこ とは、かなりできるのではないかと思うわけであります。ただ、それをサポートするような全 体の試験制度のあり方とか、資格の養成のあり方ということを押さえていただけたら、現場で の工夫ということもかなりできるのではないかと思っております。  それから1つ、蛇足ではありますが、19ページに住まいがございます。実は、6月であっ たか、知的のグループホームで、放火で焼死の方が出られるという事件がありまして、消防庁 が全国的に点検を命じております。実際、グループホームをやっていただこうとするときに、 何とかして、例えば集合住宅の1室でもということで、うちの市でもやっているわけでありま すけれども、そこに指導が入る。集合住宅の1室なのに、それは居室ではなくて施設だという ことで、200万円、300万円かけてそこにスプリンクラーをつけなさいという指導が入っ ているというのを聞きまして、ちょっとうちの消防本部に言わないといけないなと思ってはい るんですが、やはりグループホームは施設ではなくて住まいだという位置付けを厚生労働省も しておられると思いますので、その点、総務省、消防庁の方にも十分連携を取っていただきた いと思っております。 ○座長 そろそろ時間なんですが、では、どうぞ真壁参考人。これを最後にしましょうか。 ○真壁参考人 家族支援のことなんですが、ここにもちょっと書いていただいてあるんですが、 家族に精神障害者を抱えたときに、ほかの家族はどうなるかというと、大体、普通の人たちの 3倍ぐらいのストレスが余計にかかると言われているんですね。それで、私は立川の家族会に 入っているんですが、うちの家族会の会員さんの中でも、家族の5人のうち3人が病気とか、 本当に1人が発病すると、ほかにも発病者が出てくるという現実があるんですね。ですから、 そういうことも考えて、やはり家族支援をもっと今よりも充実したものにしていただきたいと 思っております。  以上です。 ○座長 ありがとうございました。  それでは、大体この今の前半の御議論はこのあたりにして、後半に移らせていただきます。 後半は、27ページから終わりまで、すなわち、「精神保健医療体系の再構築について」とい うことと「精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)」ということでございます。今までと同 様に、どなたからでも結構でございます、御意見をいただければと思います。上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員 前回の検討会で諸外国の精神保健福祉の動向について、せっかく資料を提出 していただいたのに余り議論ができなかったので残念だなと思っていたんですけれども、諸外 国における地域をめぐる状況とか、諸外国における普及啓発をめぐる動向など、こういうこと に関して議論ができるようになったことはうれしいなと思っています。  特に、予防的な観点とか、危機介入の問題、早期発見の問題とか、こういう問題というのは、 三障害統合という話になってから余り論議されることがなかった、いわゆるメンタルヘルス特 有の問題なわけですよね。私たちは、やはりせっかくこの場に集まっているわけですから、メ ンタルヘルスという大きな枠組みの中で議論すべきではないかと思います。やっと三障害統合 という枠組みから少し踏み出して議論する場ができたのかなと思っているのが、前回の印象で した。  そこで、地域移行が進んでいる国の例を幾つか出してもらっていましたけれども、あれは、 やはり公的なサービスを中心に精神保健福祉サービスを提供してきた地域、国での地域移行が 進んだということでありまして、日本にそのままそのモデルが適用できるかどうかということ に関しては、ちょっと考えてみないといけないと思っています。欧米でやっているからいいと いうことで、そのまますぐ直輸入してくるという傾向が日本にありますけれども、日本の特別 な事情ということを踏まえた上で議論すべきではないかと思います。  私は、一応精神科診療所の立場から言いますと、全世界的に見ても、日本の精神科診療所と いうのは特異な存在だと思います。というのは、まず第一にフリーアクセスですよね。自由に アクセスできます。だから自由度が高いわけですね。それから専門性が高いわけです。そして コストパフォーマンスが高いわけです。つまり3つの点で全て高いという特徴がある。最後は 安いといっても良いかもしれません。ただ、このような特徴を持った診療所をたくさん持って いる国において、それをどのように生かしていくのか、それを生かした精神保健福祉施策をど ういうふうに取っていくのかというのは、是非検討していただきたいと思います。  例えば、イギリスだとGPといって、家庭医を通さないと専門家に診てもらえないというよ うなことですよね。だけど、日本だと直接専門家にアクセスできる、そういうフリーアクセス、 そして高い専門性、そしてコストパフォーマンスが非常に高いという利点を持っているところ を評価すべきではないかと思います。  私は、そういう意味で、この日本の精神科診療所の特徴というのは世界に訴えていってもい いかなと思っているぐらいなんですけれども、このような私たちの存在が、精神科医療に対す る敷居を低くして、アクセスをよくして、早期発見・早期対応や危機介入・再発予防に十分貢 献していると考えています。これは以前、第3回検討会のレポートでも報告したところです。 今日、精神科救急における精神科診療所が果たす社会的責任を問うような意見が散見されます が、私自身は、この一点において、既に十分責任を果たしていると考えています。  しかし、ただ一つこのシステムの問題がありまして、これは、余りにも私たちの労働が安売 りされ過ぎていると。私たちの献身によって支えられているシステムであるという欠点があり ます。そのため、私たちが骨身を削って利用者のニーズに応える努力をしてきましたけれども、 それでも地域によっては新患の受け入れが何週間待ちになるという異常な事態を生み出してい ます。要するに、夜間・休日の救急体制だけではなくて、日中の精神医療供給体制も危うくな ってきている、そういう危機意識を共有していただけたらと思います。  早期発見のところで、精神病未治療期間、いわゆるDUPが精神疾患の予後を決定する重要 な因子として主張されてきていますけれども、私たちが地域で骨身を削って頑張っていても、 新患のニーズに必ずしも十分に対応できていない現状というのは、非常に心苦しい限りです。 しかし、このような日常の困難を抱えていても、なおかつ全国的にはいろいろな地域診療所が 夜間・休日の診療体制に参画しようとしています。それでも、このままこのような医療者の献 身に期待するようなシステムというのは大変もろいものなのではないかと思います。  そして民間のこのような献身的な努力をもってしてもカバーし切れない状況が発生したとき には、公的な機関が役割を持って登場してくるのが重要ではないかと思います。公的機関と民 間がその役割を分担し合って、補い合って有効に機能するシステムをつくっていけたらと思い ます。  例えば、私は県立精神医療センター、あるいは県立病院の改革を提案したいと思います。い まだにもう一つの民間病院としてしか機能していない県立病院やセンターが数多くあります。 民間に任せられる部分は大胆に任せて、県立精神病院やセンターは、緊急入院と危機介入など、 民間では不十分になりがちな役割を担うべきではないかと思います。例えば、県立病院やセン ターでは、療養病床などは不要ですしデイケアなどを行う必要もありません。ちょっと空想的 な話になるかもしれませんけれども、あえて言いますと、県立病院やセンターの医師は、それ ぞれの県で、一応、地区担当制というものを割り当てられているようですけれども、この方た ちが病院やセンターや中に閉じこもっているのではなくて、保健所などをベースにして、チー ムを組んで担当地域でのアウトリーチ活動をしてくだされば、かなり救われるのではないかと 思います。短期の危機介入の後は、民間の医療資源につないでいけばいいわけですね。  保健所の再編が進行している中で、保健所がかつて持っていた精神保健福祉の最前線の機能 が見失われていっています。県立病院やセンターが、保健所と一種のアクトチームを組んで危 機介入に当たり、民間にうまく橋渡しをしていくような体制ができたらいいなと思っています。  現在、精神科救急システムをどのように立ち上げていくかという検討会が全国的に行われて いますし、同時に、退院促進事業、地域移行促進事業が全国的に展開されています。精神科救 急、空床の確保、危機介入、退院促進、地域生活支援体制、これらはそれぞれ単独に議論すべ き問題ではなくて、全部つながり合っているわけです。だから、例えば救急医療システムの検 討に関しては、単に空床の確保の仕方などの技術的な問題に終始するのではなくて、その県に おいて精神科医療の供給体制がどういうふうになっていったらいいのか、あるいはそういうこ とを含めた精神保健福祉体制がどのようになっていったらいいのか、そのことを官民ともに知 恵を出し合うべき時期ではないかと思います。  いつも私の滋賀県のことを言って恐縮なんですけれども、滋賀県では、人口万対ベッド数が 日本一少ない県なんですね。そのような県で退院促進事業を行おうとすればどういうことにな るかということですけれども、やはり民間の精神科病院に負担がかかることになると思います。 滋賀県独自のプランを持つべきではないかと思います。ほかの県との横並びのアリバイ的な事 業設定というような形でのやり方というのは意味がないと思います。だから、まず私の県では、 県立精神医療センターの退院促進を行うべきであると提案しています。そこでの空床の確保、 それから後方の民間病院への移行体制、圏域での地域支援体制、それらが有機的につながって いくシステムを提案しています。 ○座長 先生、少しコンパクトにまとめていただけますでしょうか。 ○上ノ山構成員 わかりました。そのようなことで、官民が協力してやっていくように体制を 工夫していければと思っています。  また後で意見を追加します。以上です。 ○座長 ありがとうございました。  できるだけ、今回のは論点整理ということもありますので、ここで提示されている論点につ いて、更に追加すべきこと、あるいは問題であるというところを御指摘いただくことを中心に お願いしたいと思います。どうぞ、中島構成員。 ○中島構成員 もう今回は黙っておこうかと思って来たんですけれども、余りにいらいらして きたので、ちょっとだけ申し上げます。  前半、後半を含めて、もう本当によくしゃべる人たちの話をよく整理していただいた事務局 に、厚く御礼申し上げます。  ところで、第4のフレーズの「精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)」ということにつ きまして、岡山では細々とアンチスティグマ研究会というものをつくりまして運動しておりま す。その中で1枚300円でシールをつくりましたが、今日は、特別にただで皆さんにお配り いたします。是非ともこれをあちこちへべたべた張って広げていただきたいと思います。  全然内容とは関係ございませんでした。失礼します。今から配らせていただきますけれども、 よろしいでしょうか。 ○座長 どうぞ。  それでは、寺谷構成員。 ○寺谷構成員 今、アンチスティグマのお話がございました。ちょうど私の関係していますJ HC板橋のクラブハウスがリリー賞をいただいたばかりです。精神疾患に関する理解の深化と、 最初の検討いたしました2つの論点とは、車の両輪のように相互に補完し合ったり、また促進 し合うような事項だと私は思っております。  この中で、私の反省点といたしましては、やはり自分たちの自身の社会をどうしたいのかと いうことと、精神保健福祉医療のあり方とPSWの役割や機能とが全く遊離しないというよう なことであって、そのことが、ソーシャルインクルージョンの時代認識を基盤として、私はこ の普及啓発という理解促進の取組が絶対切り離せないと認識しています。そして、ソーシャル インクルージョンの理念の中にしっかりと据えられているのが、当事者の視点に立つことと、 当事者自身の課題に挑戦なさっている姿をうやまって、その姿から周囲の者たちがどうやって 学んできたのか、学び足りなかったのではないかというようなところを、私自身の自己認識と して持っています。  そのソーシャルインクルージョンの基本とするところは、排除されたり孤立しがちなマイノ リティーの立場にあった者たちの経験を重視した考え方で、その環境をどう整えていくかとい うところの一つの手法としてケアマネジメントがあったり、ソーシャルサポートのネットワー クがあったりするのだと、私自身は自分のPSWの実践の意味として自覚的に取り組んできた つもりです。そんなところから、やはり理解促進の事業が日々の実践の相談支援だとかという ところと密接不可分につながっているというような意識の中でいるということをお話ししたい と思いました。  そのことの根底にあるものは、どうしたってサービスを求め、必要としている人の参加によ って、利用する客体からサービスをつくり出す主体への変化というようなところに、今、私た ちが立っているのではないかと思いました。  以上です。 ○座長 ありがとうございました。  山根構成員どうぞ。 ○山根構成員 臨床でこういう仕事をしていまして困るのは、いろいろな専門職とか援助をな さる方がありますが、実は、精神疾患とか精神障害とか、精神科の治療とかリハビリテーショ ン、そういう基本的な考え方が共通の概念になっていないことです。そのために話がずれてし まうという体験をしています。はたして今の医学教育の中で、精神疾患に対するリハビリテー ションだけでなく、リハビリテーションそのものが一体どういう概念で教育がなされているの か。その共通の概念がないまま現場で出会いますから、早期退院のカンファレンスをするとい っても、言葉の意味を説明し合わないといけないような状態です。それを何とかできないかな と思います。精神疾患の理解を深めると言っても、専門職と言われる人たちの間での共通の概 念のなさ、それが現場にとっては一番のネックだと思います。  ここでできることではないかもしれませんが、普及啓発というのは、そこがまず一番根っこ かなという気もするのですが、そのあたりを皆さん一緒に考えていただければいいなと思いま す。 ○座長 それでは、門屋構成員。 ○門屋構成員 私が申し上げたいのは簡単なことでして、ここの検討会の前の検討会、ここで 7万1,000床の削減、今回の検討会の中でも削減という言葉を使って説明されたかと思い ますが、以前お話をしたかもしれませんが、1987年に精神保健法ができたときには、今お 話になった差別とか、アンチスティグマということが、やはり物の考え方にあって、人権とい う問題を一つの柱に据えた、あるいは社会復帰ということをもう一つの柱に据えて、社会復帰 は、そこでは、まさに今で言う退院促進、地域移行のことを指していたと私は認識しているわ ですが、そのベッドは増えるわけですね。  政策を決めた平成16年以降のビジョンに従っても、ベッドそのものについて目標を定めた にもかかわらず、現実、具体的に削減する方法は全く示されてこないと言ってもいいかと思い ます。私は、地域移行が、外から迎えに行くということを主流にしていますけれども、以前申 し上げたように、精神医療は、もともと退院ということを目標にしている学問でもあると思っ ていますので、医療がその努力をなされば、当然、病床が必要でなくなるということが起こる はず。確かに、認知症であるとか、うつ病であるとか、新たな問題が発生して、それがこれだ け必要かどうかという議論は行うわけですが、そこのところでも私はもう一度、必要病床の確 定をやはりここできちんと議論して、7万1,000床でも構わないですが、私自身はもう少 し有意義なものを考えていたんですけれども、それらについて文言としても入ってくる削減病 床の達成目標を是非掲げていただきたいと思います。  実は、現状の資料1の一番最初の書き方が大変私は問題だと思いますが、平成11年が34 万1,000人、平成17年度35万3,000人、おおむね横ばいという認識の仕方が私は 違うと思っています。横ばいではなくて、こんなに増えるのは、政策が減らそうとしている中 で増えてきたわけですから、その認識があるがゆえに、病床削減ということについては全く茅 の外というふうに私自身は考えざるを得ないんです。そこのところを是非この中で明確にして いただきたい。きちんとした議論をその問題だけでもしていただきたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○座長 長尾構成員。 ○長尾構成員 ちょっとそのことを事務局の方へ確認したいんですけれども、先ほどの資料1 の1枚目、先ほど言われた平成11年で34万1,000人、17年が35万3,000人、 これは病院調査ですよね。 ○野崎課長補佐 患者調査です。 ○長尾構成員 ごめんなさい、患者調査である。病名でのですよね。いわゆる精神病床への入 院の分とは違うんですよね。その辺をちょっと、これは誤解を招いているのではないかと思う ので、少しこれは考えておかなければいかんのではないかと思うんです。 ○門屋構成員 それは訂正していただいて結構です。ただ、病床そのものは、先ほど申し上げ たように実は増えて、1987年水準は下回っていないわけですから、そこのところについて は、もう一度、病床削減についての議論はきちんとさせていただきたいという要望としてお話 ししたわけです。 ○座長 今の構成員の発言は、さっきの30ページの論点のところに関するものですね。文章 としては、何かこういう文言を加えておいた方がいいとか、そういう御指摘はございませんか。 ○門屋構成員 必要病床の確定。 ○座長 必要病床の確定ということですね。  ほかにはいかがでしょうか。平田構成員。 ○広田構成員 今の門屋委員もお話ししておられたように、削減をきちんと明文化していただ きたい。さっき、上ノ山構成員がお話しされていましたけれども、私が住む横浜市の方が、神 奈川県の方が、申し訳ありませんがベッドが全国一少ないんです。少ないけれども、社会的入 院がいる。だから、病床を削減するときに、全国平均で何十とやってしまうと、あなたのとこ ろとか私のところが増えてしまうから、現在から何%下げるという形で、それを盛り込んでい ただきたいというのが1点。  それから、救急の話を延々とお話しなさっていましたけれども、私は相談活動をやっていて、 いわゆるクリニックや診療の患者さんの相談を当然受けるわけです。そうすると、この方はも う入院治療が必要だから病院の方がいいと思っても、引っ張っているんですよ。そういうこと も含めて、前回は失礼だから申し上げなかったけれども、救急病院に精神保健指定医が行くと いうことは、当然、さっきこちらの三上先生が何かそのお話をちょろちょろと問題だというふ うにおっしゃっていたけれども、実際にどこの医者も救急をやっているのは、精神科にとどま らず、人がいなくなって、もうつぶれるのではないかという千葉の病院もあるし、テレビでし ょっちゅうやっているじゃないですか。そういう社会現象化している中で、精神科救急の担い 手も、金子晃一さんという先生も医師として復帰できませんよ。そういうような、あなたの診 療所よりももっと悲惨な目に遭っている精神科医もいらっしゃるわけです。  そういう中で、私が申し上げたのは、せめて精神保健指定医は、なぜ精神保健指定医と言っ たかというと、前回も申し上げましたが、多くの患者は任意入院だけでいきたいと言っている けれども、医療保護入院とか措置入院も、本人の人権を守ったり、本人の健康を守る上にも必 要な人がいるでしょう。そのときに、資格を持たないと診察できないから、だから精神保健指 定医という言い方をしたんです。そういう人の参画なくして、ただ精神病院にいる医者だけで はもう成り立たない精神科救急なんです。一次救急を診療所に下げたからどうぞ来てください と言ったって、そこでは間に合わない救急の患者さんもいっぱいいますよ。そういう意味で是 非参画してほしいし、そういうふうな、もし精神保健指定医でないところでも参画できるのだ ったら、指定医を持たない人も病院できちんと自分がかかわる方が、自分の臨床技術向上にも なるし、それから、全体的な国民の精神医療に対するいわゆる社会貢献にもつながると私は思 います。  そういうことで、病床削減を何%という形でやらないと、横浜市なんか15床だったんです けれども、何か長崎の人がつくってしまったんです。横浜市に言ったら、何かそれは、建築基 準法がよければそれでできましたと。できましたでは困る、病床削減の時代じゃないのと言っ ていたんですが、そういうことがありますから、是非是非、そういう、診療所でも頑張ってい る人がいるけれども、やはりPSWではないけれども、定期的に病院できちんと診察すること が、自らの臨床技術向上と社会的貢献度、それからベッドの数をきちんと入れるということ。  ですから、28ページは病床数の適正化を図るものです。「病床数を削減して適正化を図る こと」と入れていただきたいのと、それから、41ページ目、「家族や医師、看護師、精神保 健福祉士等の専門家等、本人の身近にいる者への普及啓発について」と、本人の自己啓発。本 人が精神疾患を患っているということで、多くの精神科の医療の中でインフォームドコンセン トが行われていない現状があります。そういう中で自信を失っている本人はたくさんいますか ら、本人が本人らしく、1人の人間として、1人の住民としてプライドを保っていけるような、 そういう自己啓発を入れていただきたい。  それから、42ページ目の上の方に、政治家、医師、弁護士、教師、警察関係なんて、これ が必要かどうかちょっとわかりませんけれども、もしやるとしたら、是非マスコミですよ。日 本のマスコミは、一番精神障害者に対して偏見を持つ仕事をしています。それはなぜかという ことはここでは言いませんけれども。  それから、さっきの山根先生の話ではないけれども、私は去年、たまたま脳梗塞の疑いがあ って、脳神経外科に行ったんです。そうしましたら、ほかの病名と書いてあったから、統合失 調症と書いたんですよ。そうしましたら、医者がMRIを撮って、1つ脳梗塞があったんです。 そうしたら、「来るのが遅かった、脳梗塞になっている」、それで終わりです、脳梗塞の話は。 あとは、私の顔をじっと見て、「見えない、見えない、見えない」と3回言うから、「何が見 えないの」と言ったら、「重篤な精神疾患に見えない」と。「何が重篤なの」と言ったら、 「いや、見えない。幻聴はあるの?幻覚はあるの?」と言うから、「昔、原稿を書いて見せた ら、それが妄想だったわよ」と。  それで1週間後に、「あなたね、私は相談員をやっているけれども、相談員とか警察官とか 医者というのは、人に安心感を与える人でしょう。それが、あなたは不安感を与えた」。そう したら、「いや、私は優しい医者で有名だ」と言うから、「何が優しいのさ、私を不安にさせ たでしょう」と。そうしたらまた、「どう考えても思えない、どう考えても思えない」と。 「何が?」と言ったら「重篤な精神」と言うわけですよ。それで、あげくの果てに、「先週、 何か文章が妄想とか言っていましたよね」。  そういうことですから、他科の医者、他科の医療機関に行ったときに、何か飲んでいる薬と か聴かれますよ。そのときに、精神科の薬と言うことだけで、要するに相手の看護師さんにし ろ、受付にしろ、医者にしろ、今のような状態ですから、他科の医療機関関係者、そういうと ころが重要。それからマスコミが最重要。 ○座長 では、末安構成員。 ○末安構成員 今回まとめていただいて、すっきりして、一つキャッチコピーとしては「早期 発見・早期治療」ということが、この後、政策的にも出されていくんだと思います。  今日のまとめですと38ページのところになるんですけれども、私は、これがひとり歩きす るのはすごく危険だなと思っております。というのも、前回の諸外国の報告をいろいろ出して いただきましたけれども、それらの国々で、割ときちんと統計とかに対応できている、この報 告の中にはありませんが、例えば高校生何百人とかという単位の調査とかを何カ国かでやって いらっしゃいますが、それらは、もし早期発見した場合にはどういうサービスが受けられると いうことをもう10年とかの単位でつくってきているわけです。ですから、ただ単に研究だけ やって、対象群と非対象群に分けて、ほら、きちんと差があったではないかということを言い たいのではなくて、そういう人たちがいても大丈夫だと。  私、4回目に資料を出させていただきましたけれども、今、日本の国では、うつ病の人たち の職場復帰の問題が結構大きなテーマになって、産業界と行政も一体になって取り組んでいら っしゃいますよね。しかし、メインである統合失調症というところで考えると、職業も修復と いうか復職も大事ですけれども、やはり復学ということがすごく大きなネックになっていると 思いますし、これも誤解を受ける言い方かもしれませんが、安心して学校を休めないんですよ ね。それから勿論、安心して辞められないわけですよ。病気の治療に専念できないわけです。 そういう人たちを戻すというのは、本当に、御本人も苦労するし、周りも苦労する。  今、一部の高校なんかでは、日本ですけれども、緊急退学というように位置付けをして、病 気が理由で辞めざるを得なかったと。例えば入院で3カ月以上休学というのは苦しい。あるい は親も学費を払うのが大変だ。休学の場合ですと払わなければいけませんから。そういう場合 には、戻れる、何年かたっても戻れると。ですから、高校生のときに辞めても、二十何歳にな って、やはりもう一回勉強したいという人が戻るという例が出ております。  こういうのは、文部科学省の方に言わせると学校の自治だと言うんですけれども、学校の自 治だと言った場合には、それぞればらばらだということを意味するわけでして、やってくださ るところは本当にわずかなんです。ですからこれを、前回も言いましたけれども、統合失調症 になっても、あるいはうつ病になっても、仕事を休んだり、学校を休んでも大丈夫だというこ とを国家がきちんと保障するというか、希望の光を出すというか、そういうことを是非積極的 にやることが必要ではないかと思うんです。  「心のバリアフリー宣言」と言っても、心って、人の心、個人の心みたいなことを言います けれども、やはり関係が問題になっているわけですよね。あるいは組織と個人の関係が問題に なっているわけですよね。ですから、「心のバリアフリー」と言うのであれば、組織的にどう 対応するかというところのメッセージをつくるべきだと思います。ですから、ここで言えば、 4行目のところに、「ターゲットを明確にした普及啓発に重点を移していくことについて」と いうだけではなくて、普及啓発に重点を移して、もし病気になったらどのようなサービスが受 けられるかということを明確に高校生なり中学生なりに教えるということをやっていくべきだ と思います。それには、学校の力も、文部科学省の力も、あるいは養護教諭さんの力もかりて いかなければいけないと思います。  以上です。 ○座長 では、上ノ山構成員、簡潔にお願いします。 ○上ノ山構成員 指定医の件ですけれども、これは国家と精神科医との契約によって成り立っ ているものなので、指定医は、依頼されれば鑑定に出向いたり、緊急に仕事をしたりというこ とはやっています。それはやっているんですけれども、これをこのような形で書く場合の前提 として、今の精神科医療の提供体制が、全般的な医療崩壊の中で、総合病院も物すごく苦労し ているけれども、開業精神科医だって楽しているわけではなくて、非常に苦しい状況にあると いうことをまず理解してほしい。その前提で協力を求められるなら、幾らでも協力はするわけ ですけれども、それは、おまえらちょっと時間が空いてるだろう、暇だろうからちょっと出て こいよというような感覚でやられてしまうと、それはもう困ってしまうんですよね。  それから、指定医に関して引っかかるのは、どうしてもこの制度のもつ矛盾です。この制度 自体が、拘禁に伴う人権侵害を免責するための制度なわけです。ですから、この制度と診療報 酬がリンクしていること自体が矛盾しているわけなんですね。私たちの非常に優秀な先輩たち は、地域で精神科医療をやるときは、やはり自発的な診療をやりたい、強制的なことはやりた くないということで、わざわざ指定医を返上して開業なさった先生もおられるわけです。そう いう高い志を持って地域医療をやっておられる先生もおられるということ。そして、一方では、 自分は指定医なんだから、その責任上、鑑定などを依頼されたらどんなに忙しくても必ず行く という志を持った先生もおられる。そういういろいろな状況があるということを是非御理解く ださい。  そして、今こういう医療崩壊の状況の中で、何が必要かというと、結局、新しいシステムを もう一度考えないと地域移行も進まないし新しい展開もないのではないかということで、あえ て私は、県立病院、公的病院の病床削減を数値目標にきちんと入れたらどうか。そして、それ が地域移行のモデルになるし、そして地域での生活支援につながっていくモデルになっていく と思うので、この点に関しては是非検討していただけたらと思います。 ○座長 田尾構成員。 ○田尾構成員 先ほど上ノ山構成員がおっしゃった、専門家のところにいつでも自由にアクセ スできる日本の制度というのは、これは非常にすばらしいと、世界にないぐらいにすばらしい 制度だと私も思っています。ただ、私たちのところに来る、最終的に重症の精神障害だと言わ れる人たちの中には、かなりに、最初病院に行ったけれども、何でもないといって帰されたと いう人たちが実際にいるのですね。それを考えると、末安委員の話にもつながりますけれども、 初期の時期にきちんとそれを見分けて、診断して、適切なサービス、普及啓発を重点的にする わけではなくて、例えば何をするかということも含めてやっていかなければいけないのだと思 うのですね。それが、この間、良田委員もおっしゃっていましたアーリーインターネーション という、外国からの輸入が果たしていいかどうかとおっしゃいましたけれども、そういう方向 だと思うのですね。アクトチームにも似ていますけれども、その手法はケアマネジメントです し、それからアウトリーチを基本としますね。そして、職場の環境調整、学校の調整、そうい うこともしながら初期の医療をきちんと行っていく、そういう初期介入に専門的なチームをつ くって、要するに重症化を防ぐということにつながるのであれば、私はそれは早急に取り組む べき課題だと考えています。 ○上ノ山構成員 その点に関して、私、述べたつもりなんです。つまり、そういうサービスは 民間でやっていくのはなかなか難しいので、だから公的なセンターなどがアーリーインターベ ンションをやっていこうと。そのためには、センターないしは保健所がアクト的な体制をとる こと、要するにチームで集まってアウトリーチを積極的にやっていくこと。そういうことが有 効に機能するシステムが必要なのではないかということを申し上げたんです。 ○田尾構成員 民間がやるから公的なところがやるのがいいのかというのは、それはまだ、も う一議論必要だと私は思っています。 ○座長 お待たせいたしました。それでは、長尾構成員。 ○長尾構成員 また広田委員にしかられるかもしれませんけれども、先ほどから病床削減の言 葉を入れろということが出ていますが、はじめに削減ありきという話ではなくて、やはりこれ はいろいろな居住の施設であり、またサポートする体制であり、さまざまなものが整い、そし て退院できる人がどんどん多くなることによって病床が減っていくということは、これはやむ を得ないし当然のことであって、そういうことがきちんと整わない中で、ただ単に病床削減と いうことを盛り込んだり叫ぶというのは、少し、卵が先か、また鶏が先かという話になるかも しれませんが、やはり何が先にあるべきかということをきちんと論じた上で、それが適正化に なるべきだということと思いますので、ちょっと一言。 ○中島構成員 まあ、反論するまでもないかと思っていたんですけれども、二度にわたってお っしゃいましたので。  自治体病院改革すべきだ、まさにそのとおりであります。しかし、既に上ノ山構成員がおっ しゃっているような病院を打ち立てているところもあるわけですね。だから、十把一からげで 県立の精神科というのはだめだという言い方は、おやめになっていただきたいということだけ です。  以上です。 ○座長 それでは、広田構成員、お待たせしました。 ○広田構成員 ごめんなさいね、長尾さんね。日精協と広田和子はもう7年間やり合っていま す。要するに、卵が先か鶏が先ではなくて、病床があるから患者が必要だという話をこの間ず っとしてきているんです。長尾先生がここでそうだよねと言ってしまうと、日精協に帰って怒 られてしまうでしょう。この問題については、諸々いろいろなところで、うわさによると、歴 代の厚生労働省の首脳部に日精協が圧力をかけて、あなたの前途は有望じゃないよと言ってい るといううわさまで流れているんですよ、私どもの末端のところまで。だから、ここでそれを やらなくて、何で21世紀のビジョンなんだということで、門屋さんは帰られたけれども、そ ういうことなんです。それをやった方が、さすが日精協と。日精協が横綱なら、私なんか幕下 ですもの。だから、そういうことで病床削減について入れていただきたい。  それと、本当は、私、ここには入っていないけれども、日精協も謝罪してほしいと意見とし て出ていたんですよ。だから、1枚目の現在の長期入院患者の問題は、戦前のいわゆる精神病 者監護法から始まって、戦後のライシャワー事件で社会防衛上、隔離収容施策を謝罪して、国 が一たん謝罪して、国民の前に、こういうことをやってしまいました、だから、皆さん、税金 を使ってこの人たちを出して、さっきの話ではないけれども、国が責任を持って地域で安心し て暮らしてもらいましょう。それに日精協も協力していました。済みませんでしたの一言ぐら い、長尾さんがおっしゃっても仕方がないんじゃないのという方がいらっしゃったら、鮫島さ んでしょうとおっしゃった方がいらっしゃる、そういう時代。長尾さん。何もいつまでも悪役 を買っていることはないじゃない。世の中の流れを読む。21世紀の日本です。  それから、上ノ山さん、私、全国とは言わないけれども、多くの診療所の医師と友達です。 それから公立病院の医者とも友達です。民間病院の経営者とも友達です。知っていて発言して います。大変なことは知っていますから。  ただ、私が申し上げたのは、今来てなんて言いませんよ。少なくともシステムの中に何十時 間と義務付けてほしいということ。そういうことですから。 ○座長 では、大塚構成員。 ○大塚構成員 多くの精神保健福祉士が精神科病院で働いていますので長尾先生と対立したい わけではないのですが、やはり門屋さんがおっしゃったように、かつての政策目標として挙げ たものがなし崩しにならないようなところの確認は、再度この時期にきちんとしていただきた いという思いがあります。  そうはいっても、やはりケアマネジメント、相談支援が外に体制が組まれているので、医療 の中での相談というんでしょうか、入院患者さんすべてのケアマネジメントがしっかりとされ ていて、本当に退院したいという声がきちんと上がってくる、拾っていけるような、医療と相 談のところの仕組みをどうやって医療の中で考えていったらいいのかということは、具体的な 提案は今できませんが、一つの論点だろうと思っています。  そういう意味で言うと、マンパワーの充実強化の中で、医者だけが増えても、看護だけが増 えても、ワーカーだけが増えても、OTだけが増えてもいけないわけで、やはりチーム制の基 準というんですか、そういうものを是非きちんと検討していただきたいと思っているのが1点 と、やはり上ノ山先生のおっしゃるところは大事だと思っていて、病床の話はたくさん出てい ますが、地域生活を支援していくというのであれば、やはり外来機能がとても大事なわけで、 末安構成員が初回のときに、別に医療というのは病院だけでやるものではないんだとお話しさ れました。地域生活支援をしていくための外来医療体制というものをどういうふうに充実させ ていくかという論点も、是非強調してもいいのではなかろうかと思っています。  あと、普及啓発のところですが、安田さんがいらっしゃらないんですけれども、私は、マス メディアには罪もありますが、一方で、当事者の暮らしであるとか、どういうふうに進んでい る地域があるかということなどもとてもよく伝わる一つの媒体としてのマスメディアがあると 思っています。そういう意味はもっとこの分野でマスメディアを活用するとか、昨日か一昨日、 朝日新聞に日本医師会が社会保障費抑制反対の一面広告を張っていましたし、よくピンクリボ ンのキャンペーンが物すごい勢いでお金もかけていますが、公共広告機構とかをいろいろ活用 して、いわゆるもう少し国民を巻き込んだキャンペーンですとか、もうちょっと大々的にでき るのではないかと思っている次第です。 ○座長 それでは、どうぞ、長野構成員。 ○長野構成員 少し議論がずれるんですが、大きな視点として、実は、ふだん診療をしていて 患者さんから一番問われるのは、いつ薬をやめていいんだ、いつ治るんだということだと思う んですね。その中で、認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトの中で、8ページに、 アルツハイマー病に関して、「根本的治療薬の今後10年以内の実用化を目標とした研究を推 進することとする」という心強い文章が書かれているところ、とてもうらやましく思うんです。  やはり統合失調症にしても、うつ病にしても、病気だという観点で、根本的に治すんだとい うような研究の推進について、21世紀のビジョンであれば、どこかに一文、研究をやってい ない私が言うのはおかしいかもしれないんですが、やはり一番ニーズの高いのは治してくれと いうことだろうと思いますので、ここなくして、病気から起きてくる障害だとするとやはり将 来はないのではないかと。治せない状況なので、福祉のシステムが要ったり、サポートのシス テムが要るということが根本的にあるような気がしまして、そこが大きな視点の一つとして入 るといいなと思います。  以上です。 ○座長 それでは、坂元構成員から行きましょうか。 ○坂元構成員 精神保健指定医の問題に関してなんですけれども、我々、全国衛生部長会、つ まり都道府県と政令指定都市の衛生主管部局長の集まる会議でも、やはりどの自治体も精神科 救急の現場での精神保健指定医の確保に苦慮しております。特に精神救急を所管している部署 にとっては、かなり深刻な問題であります。これは、全国衛生部長会でも、やはり精神保健指 定医の更新時に何らかの要件を課すべきではないかという意見は、度々出てきております。そ ういうことで、自治体側としても、国に救急現場における何らかの精神保健指定医確保対策を 含めたお願いをしていきたいとは思っております。  以上です。 ○座長 佐藤構成員。 ○佐藤構成員 医療崩壊全般に関しては厚生労働省も言われているわけですよね。医師の絶対 数が足りないということをお認めになって、舛添厚生労働大臣は医師数を増やすというような 政策に転換したと思っているんですけれども、精神医療に関しては、これだけ精神病床数が諸 外国に比べて圧倒的に多いということになりますと、ここを一般科と同じように増やすという のは難しいと思うんですね。そうしますと、諸外国の例にならって、入院の医療費を地域の福 祉の方に財源を移譲するということが最もわかりやすいことになると思うんですけれども、そ の場合、病床を削減するのが先か、地域の受け皿づくりが先かという、卵か鶏の議論になりま すと、これは永久に解決がつかないわけですから、ここは、病床削減と地域の受け皿づくりを 同時に進める。こういうふうにすると、病床削減は、ただ病床削減するのではなくそこの単価 を上げるという形で幾らでもケアできると思うんですね。そういう絶対的な額を入院の医療費 から地域に、あるいは外来の医療費の方に回していくことによって手当てできると思うんです。 同時に進めるということで、卵と鶏の論議は、これは永久に解決しませんから、同時に進める という観点でお願いしたいと思います。 ○座長 三上構成員。 ○三上構成員 病床の削減の問題は、この27ページに書いてあるわけですが、基本的には、 統合失調症については、恐らくどんどん減ってくるんだろうと思いますけれども、今は認知症 が非常に増えておって、入院患者でも認知症の部分が増えているという実態がございます。で すから、どういったものがどの程度必要なのかというのは、ここに書いてあるように、疾患別 あるいは機能別で必要数がわかってくるということで、全般に何%削減するという話は極めて 乱暴な話であって、やはり積み上げた形で書くというのが大事だし。  それから、これから認知症をどこで診るかというか、精神科の病床で入っている場合もあり ますし、グループホームにいる場合もあるし、その他の施設にいる場合もある、いろいろなこ とがあると思うんですが、今後、少子化で、いわゆる介護する家族も少なくなってくる段階で、 どのような施設で診ていくのがいいのかということをこれから議論した上で、精神科病床には、 どれぐらい認知症対応のベッドが要るのかということも十分検討した上で適正な数にするとい うことであって、全般に何%削るという話はちょっと乱暴ではないかと思います。 ○座長 どうぞ、中島構成員。 ○中島構成員 全体の構成としては、皆さん方おっしゃっていること、どれもすべて当たって いるわけですけれども、全体の構造として、これをきちんと精神科の医療・保健・福祉を構成 していくためにはどれぐらいの予算が要るのか。今かかっている予算の中でやるのであれば、 どこかをスクラップしなければいけない。そういう議論になってくると、対立構造が徐々に会 も終わりになって明らかになりつつある、こういうことになるわけですね。  しかし、今、政府は財務省主導で毎年2,200億円の社会保障費を削減していく、このこ とは厚生労働省が一生懸命反対しているにもかかわらず、財務省はなお堅持すると言っている。 このことに対して、我々この検討会議は反対だ、もっと十分な予算を投下しろということをま ず最初に言わないとだめですよ。それが一等最初にぼんと出たらカッコよくなるのではないか と思います。 ○座長 では、尾上構成員から先に行きましょうか。 ○尾上構成員 とても力強い、是非ともそういうところの文言を入れていただきたいと思うん ですけれども、一つだけ、入院医療にしてもそうなんですが、やはりこの中で大事なのは、権 利擁護というところの視点を是非ともきちんと加えてほしいなと。権利の擁護という言い方も 変なんですけれども、権利というところの保障という部分、それがきちんと、先ほど、小川構 成員からもあったんですが、つまり大阪のオンブズマンの制度のような、やはりそういった第 三者が入って権利保障できる、その人が本当にレツで入院しているのか、その権利というその 視点を入れてほしいと思っております。  以上です。 ○座長 佐藤構成員。 ○佐藤構成員 中島構成員の意見を入れて先ほどの私の意見をちょっと訂正させていただきま す。  精神医療保健福祉の予算を全体として増額しつつ、その配分について見直すということでい かがでしょうか。 ○座長 それでは、ほぼ時間が迫ってきておりますが、特別に御発言がなければ。簡潔にお願 いします。 ○広田構成員 是非ほかの医療と同じように、精神科もその一部分なんだとおっしゃっている わけだから、精神病院に患者をお見舞いに行ったら患者の病状が悪くなるよと言わないで、是 非お見舞いをさせていただきたい。そうすることによって、中の患者さんのところにも風が入 ると思います。よろしくお願いします。 ○座長 それでは、ほぼ時間でございますので、本日の議論はこれで終了させていただきます。  なお、恐らく次回も今日の御議論をまた1回事務局の方で整理していただいて、論点の最終 的な整理という段階になろうかと思います。  1つお願いでございますが、次回は特に時間的に大分迫って十分な時間がないかもしれませ んので、是非、議論をする際には、この論点のこの部分についてこういうふうに文章を加えて ほしいとか、意見をこういう形で入れてほしいという、具体的な形での御指摘、一般の御議論 も勿論大事なんですけれども、そういうことで次回は是非御協力をいただけたらと思います。  それでは、次回の検討会につきまして。どうぞ。 ○小川構成員 この資料は持って帰らないといけないんでしょうか。 ○座長 事務局。 ○野崎課長補佐 その場に置いておいていただければ、また次回用意いたしますが、持って帰 ったら持ってきていただきたい、そのように思います。 ○座長 置いておいてもいいという話でございます。置いていただければ、次回それをお配り します。 ○野崎課長補佐 分厚いものです。この冊子は、便利なように冊子にさせていただきましたの で、また回が追っていくにつれて冊子をつくっていきたいと思いますけれども、取りあえず、 置いておいていただいても構いませんし、持って帰っていただいても、どちらでも構いません が、置いていかれるときは名前を書いていただいて、そうしたら次回、そのときに次回用に用 意させていただきますので、そのようにしていただければと思います。 ○座長 それでは、事務局の方から次回の検討会等についての御案内をお願いいたします。 ○林課長補佐 どうもありがとうございました。  次回の検討会につきましては、今回の御意見を踏まえまして、再度、今日御議論いただいた 要点整理について、事務局で改めて整理したものについて構成員の方々に御議論をいただきま して、できれば取りまとめを行いたいと考えております。  日程につきましては、7月31日木曜日、午後3時、15時からを予定しております。なお、 場所は、この建物ではなく、航空会館を予定しておりますので、御留意願います。次回は、7 月31日木曜日、午後3時からを予定しております。  第8回は、8月21日木曜日、15時から。第8回は、8月21日木曜日の15時から。  第9回は、9月3日水曜日の15時から。第9回は、9月3日水曜日の15時から。  第10回は、9月25日木曜日、10時から。第10回は、9月25日木曜日の午前10時 からを予定しております。  また、お手元に次回以降の出席の確認について用紙を準備いたしておりますので、そちらに 御記入いただきまして、御提出いただくようお願いいたします。  事務局からは以上でございます。 ○座長 それでは、本日はお忙しい中を長時間にわたりましてありがとうございました。これ をもちまして第6回のあり方検討会を閉会いたします。  ありがとうございました。 (了) 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)