08/07/15 医療機器産業政策の推進に係る懇談会議事録 医療機器産業政策の推進に係る懇談会議事録   日  時:平成20年7月15日(火)15:00〜17:00  場  所:はあといん乃木坂「フルール」                           照会先:厚生労働省医政局経済課                             課長補佐 山本                             内線2533 ○木下経済課長  それでは、役所サイドが何人かちょっと遅れているようでございますが、ほぼ時間に なりましたので、始めさせていただきます。  ただいまより医療機器産業政策の推進に係る懇談会を開催いたします。  私は7月11日付で経済課長を拝命いたしました木下でございます。よろしくお願いい たします。本日の司会進行をさせていただきたく存じます。  では、最初に江利川事務次官より挨拶がございます。 ○江利川事務次官  事務次官の江利川でございます。どうも皆さんお忙しいところをお集まりいただきま してありがとうございます。  厚生労働省は健康に係る施策を幅広くやっているわけでございますが、その中の一つ に医療機器産業の健康への貢献というものをより積極的、あるいは高めていくというも のがあるわけでございます。その関係で、革新的医薬品・医療機器創出のための5か年 戦略、あるいは先端医療開発特区、いわゆるスーパー特区、こういうようなものを関係 省庁と連携の下に様々な取組を進めているところであります。  また、医療機器に着目しまして、厚生労働省としてビジョンをまとめたのがちょうど 5年前でございます。平成15年3月に「医療機器産業ビジョン」というものがまとめら れております。このビジョンを基に医療機器産業につきましては、様々なイノベーショ ンを促進していただく、あるいはそのために研究開発環境を整えるとか薬事審議会の審 査を進めるとか、そういう医療機器産業関係の発展のための取組を計画的あるいは段階 的に実施してきたわけでございます。  そのビジョンを策定しましてから5カ年を経過したわけでありまして、次の5カ年計 画をつくるということになるわけでございます。この分野では、先端研究の競争である とか、あるいは特許戦略であるとか、国内だけではなくグローバル的な観点からの競争 もございますし、こういうものを踏まえた我が国医療機器産業の国際競争力、こういう ものも高めていかなければいけないということになるわけでございます。そのためには、 産官学が力を合わせてそれぞれの分野を責任もってやりつつ、かつその分野の垣根を越 えながら一丸となって力を合わせて取り組んでいくことが必要ということでございます。  そういう観点から、関係の皆様方のご協力もいただきながら、新たな医薬品機器産業 の将来像を描く産業ビジョン、これを取りまとめるということで取り組んできたところ でございます。昨年、懇談会を設置して数回にわたって議論をしていただいたわけでご ざいますが、それを踏まえて新たな医薬品機器産業ビジョンの策定が進められてきたわ けでござます。今日の懇談会ではそのビジョンの案を提示させていただきまして、いろ いろなご議論を賜りたいというふうに思っているわけでございます。  厚生労働省の健康分野の施策というと、比較的健康増進であるとか病院であるとか医 療保健であるとか医薬品であるとか、かつてのそういう健康政策の中心だったところか らのこだわり、関わりが多いわけでございますが、この先の健康医療を考えますと、医 薬品技術産業関係がかなりウェートが高いというふうに思っておりますので、そういう 意味で力を合わせて、この分野の発展を進めてまいりたいと思いますし、また皆様方の ご指導、ご鞭撻を賜りたいというふうに思っているところでございます。  簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○木下経済課長  続きまして、産業界を代表いたしまして、日本医療機器産業連合会の和地会長の方か らご挨拶をお願いしたいと思います。 ○和地  ただいまご紹介いただきました医機連の会長をしております和地でございます。今日 はこのような場を設けていただきまして大変ありがとうございます。  今、事務次官のお話にもありましたように、この一、二年で医療機器を取り巻く環境 が急速に変化しているというふうに感じております。私は、業界団体の会長に就任して 以来、くどいように一貫しまして医療機器と医薬品とは異なる様々な特性を持っておる と、このことをことごとく述べてまいりました。繰り返しますが、医薬品が約1万7〜 8千種に比べて、医療機器というのは30万種以上もあるということで、多種多様であり ますし、また医療機器には適正使用のためのトレーニングとかあるいは保守管理とか、 こういうものが大変重要でございます。また、医療機器は改善改良が容易にできる。逆 に言うと、改善改良が発展の命であると言ってもいいかというふうに思います。このほ か、医薬品と異なる点がたくさんありますが、したがって何を言わんとするかというと、 規制とかあるいは振興策におきましても、医薬品ベ−スのものでは全く実態に合わない。 医療機器の特性を踏まえた上での規制とかあるいは振興策と、これが現実的なものであ るということで、今後もぜひご理解いただきたいというふうに思います。  お陰さまで、厚生労働省を初めとする関係各省庁におきまして、この点に対する格段 のご理解とご配慮をいただいた結果「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦 略」が策定されて、その中で産業界から長年要望してきた多くのことを盛り込んでいた だきまして、本当に感謝しております。医療機器の産業基盤は正直言いましてまだまだ 脆弱でございます。しかし、これらの政策の推進とさらなる企業努力が相まって、着実 に産業基盤強化のためのインフラ整備が進むものと期待しておりますし、またそのよう に努力してまいりたいと思います。  また、今回待ち望んでおりました新しい医療機器・医療技術産業ビジョンが出される ことになりました。コメントについては後ほど述べたいというふうに思いますが、医療 機器・医療技術にフォーカスしたアクションプランが盛り込まれて、インフラ整備の推 進力となるものと大変期待しております。簡単でございますが、ご挨拶に代えさせてい ただきます。どうもありがとうございました。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  それでは、このあとの進行は着席をして進めさせていただきます。  続きまして、本日の出席者のご紹介ですが、時間も限られておりますので、それぞれ の座席のネームプレートとそれから議事次第の2枚目に座席表がございますので、これ をもって代えさせていただきたいと思います。また、本日は産業界に関わる方々のほか に、健康保険組合連合会の対馬専務理事、それから日本歯科医師会の稲垣常務理事にご 出席をいただいております。なお、日本医師会の竹嶋副会長もご出席いただく予定でご ざいましたけれども、急遽ご欠席とのご連絡をいただいております。  事務局の方は、事務次官を初めとする厚生労働省の幹部で構成しております医薬品・ 医療機器産業政策推進本部員が出席しております。ここで7月11日付人事異動のため事 務局に交代がありましたのでご紹介をさせていただきます。  まず、大臣官房技術総括審議官の谷口でございます。 ○谷口審議官  谷口でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○木下経済課長  それから、医政局総務課長の深田でございます。ちょっと遅れております。  それから、医政局研究開発振興課長の千村でございます。 ○千村振興課長  千村でございます。 ○木下経済課長  それから、医政局研究開発振興課治験推進室長の佐藤でございます。 ○佐藤推進室長  佐藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○木下経済課長  なお、医政局長は若干ちょっと遅れてまいります。  それから、医政、医療保険担当審議官の榮畑は公務のため欠席でございます。  また、関係省庁から経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室の増永室長がご 出席いただいております。 ○増永室長  増永でございます。よろしくお願いいたします。 ○木下経済課長  それから、厚生労働省の、すいません、保険局の医療課長の佐藤も主席しております ので、よろしくお願いします。 ○佐藤医療課長  佐藤です。よろしくお願いいたします。 ○木下経済課長  さて、本日の会合は、お手元の議事次第の順序で進めさせていただきます。まず資料 でございますが、資料1が医療機器産業ビジョン「国際競争力強化のためのアクション プラン」の5年間の成果というものがございます。それから資料2でございますが、新 医療機器・医療技術産業ビジョン策定に係る検討の概要でございます。それから資料3 −1が新医療機器・医療技術産業ビジョンの概要(案)でございます。それから資料3 −2が新医療機器・医療技術産業ビジョン(案)でございます。それから資料3−3が 新医療機器・医療技術産業ビジョン参考資料集(案)を配布いたしております。  なお、参考資料といたしまして、1つ目が新たな産業ビジョン策定に向けた検討項目 (案)19年9月27日付の資料でございます。それから参考2が新医療機器産業ビジョン 策定に向けた細胞組織工学分野ヒアリング資料(抜粋)でございます。資料3が新医療 機器・医療技術産業ビジョン(案)の概要版を配布しております。ご発言の際などに適 宜ご活用いただければなと思っております。  また、資料の何か不足等ありましたら、事務局の方にお申しつけいただきたいと思い ます。大丈夫でしょうか。  では、議事に入りたいと思います。資料1から順番に資料3まで、まず事務局の方か らまとめてご説明をしたいと思っております。そのあと質疑ということで進めさせてい ただきたいと思います。 ○事務局(山本)  それでは、事務局より資料1から3、また参考資料を用いまして、医療機器産業ビジ ョン策定後の成果、新医療機器・医療技術産業ビジョンの策定経緯、新医療機器・医療 技術産業ビジョンの概要、この3点についてご説明させていただきます。  まず初めに、資料1をご覧いただけますでしょうか。資料1に基づき、平成15年に策 定しております医療機器産業ビジョンのアクションプランの5年間の成果についてご説 明させていただきます。  1枚おめくりいただきまして、目次を見ていただけますでしょうか。医療機器産業ビ ジョンのアクションプランは、研究、開発、生産、販売、使用、情報化・その他と、研 究開発から実用化までの段階ごとに整備されており、この資料ではそれらについて5年 間で行われました国の施策、また産業界の取組をまとめたものでございます。資料の下 にページを振ってございますので2ページをご覧いただけますでしょうか。  まず、研究分野の取組についてご紹介させていただければと思います。表の左の欄が アクションプランの内容となっておりまして、右の欄がこれまで行っております施策を まとめたものとなっております。本資料では、前回の会合以降の取組について下線で示 しておりますので、時間も限られていることもありますので、前回の会合以降の取組を 中心にご紹介させていただければと思っております。  まず2ページでありますけれども、研究領域での取組であります。この領域では重点 分野に対する研究費の重点配分、また技術移転、産学官連携の推進としての厚生労働省 と経済産業省でのマッチングファンドの取組や基盤研究事業等の研究事業などの取組を 行っております。  最近の取組としましては、ページをおめくりいただいて3ページを見ていただけます でしょうか。下線を引いております中段の部分でございますけれども、医療関係特区の 情報提供の充実に関して、昨年来、iPS細胞関連技術の特許保護が重要な課題となっ てきておりますので、知的財産戦略本部において今年度から適切な特許保護の在り方に ついて検討を開始することとなっております。  次に、その下にございます医工薬連携の強化をご覧ください。主に人材育成の観点か ら今年度より厚生労働科学研究において医工連携研究推進基盤研究を実施することとし てございます。  また、4ページをご覧いただけますでしょうか。医療分野への異業種産業の先端技術 導入の促進及び高リスク治療機器の研究開発支援について、経済産業省医療・福祉機器 産業室の下、医療機器分野への参入、部材提供の活性化に向けた研究会が発足し検討を 開始してございます。  研究の領域の取組については以上でございます。  続きまして、開発についてでございます。5ページに示されておりますとおり、全国 治験活性化3カ年計画、また新たな治験活性化5カ年計画により、治験実施体制の充実 強化、また医師主導治験の導入など様々な取組が行われてきております。  また、開発に関する最近の取組としては6ページをご覧いただけますでしょうか。国 民に対する治験参加への環境整備の取組として、治験情報の国民・患者への情報提供を 推進するためポータルサイトの運用を開始しております。また、METISにおいて、 今年の1月、第3回の医療機器市民フォーラムが開催されてございます。  7ページをご覧いただけますでしょうか。さらに、本年4月より薬事法の承認が得ら れていない医薬品・医療機器を使用する医療技術について、保険との併用を認め、科学 的評価可能なデータを収集する目的で高度医療評価制度の運用を開始しております。  開発に関する取組については以上でございます。  次に、生産に関する取組でございます。8ページをご覧いただけますでしょうか。こ れは主に薬事の取組になります。平成17年に改正薬事法が施行され、第三者認証が導入 されましたが、現在、認証基準や承認基準を策定し、審査の迅速化を図っているところ であります。最近では認証基準や認証件数が徐々に増加をしてきております。  次に、販売の領域でございます。9ページをご覧いただけますでしょうか。これは主 に保険の取組になります。例えば新機能区分の導入時期を年4回に増加して、保険につ いても手続の迅速化を行っております。また、最近ではC1区分の保険適用時期を早め たことに加えて、医療機器の特徴に配慮した改良加算の新設を行ってございます。さら に、安全に配慮した機器の評価を行うとともに、今回の診療報酬改定では保守管理等の 安全使用を推進するため臨床工学技士の配置を評価する医療機器安全管理料が新設され ております。  次に、使用についてでございます。11ページをご覧いただけますでしょうか。適切な 機器の使用方法の徹底や保守管理の徹底に取り組んできております。具体的には、薬事 法や医療法において規定を明確にし、安全使用の推進などを行っております。  また、最近の取組としては12ページをご覧いただけますでしょうか。2カ所、下線部 があると思いますけれども、下の下線部でございます。日本医療機器学会が中心となっ て、MDIC(医療機器情報提供コミュニケーター)認定制度を創設し、医療機器の適 切な情報提供、使用方法の徹底等の推進に取り組んでおります。  次に、情報化・その他に関する取組であります。14ページを少しめくってご覧いただ けますでしょうか。主にJANコードの取得、貼付の推進や医療情報の標準化等を行っ てきております。最近の取組としては、この3月にバーコード表示の実施要領を取りま とめ、適切なバーコード表示の促進のために周知を行っております。  続きまして16ページをめくっていただけますでしょうか。下線部にございますとおり 臨床工学技士の活用の推進に関する取組、中小企業の活用再生を支援する取組を行って きております。  このほか17ページ以降は政府全体の取組を取りまとめておりますが、主なものとして は19ページをごらんいただけますでしょうか。革新的医療品・医療機器創出のための5 か年戦略の公表、先端医療開発特区の具体化等を行っているところであります。  医療機器産業ビジョンの5カ年間の成果に関する説明は以上でございます。  引き続きまして、資料2に基づきまして、新医療機器・医療技術産業ビジョンの策定 までの経緯について簡単にご説明をさせていただければと思います。資料2の1ページ 目をご覧いただけますでしょうか。  今回のビジョンの見直しに当たりましては、本懇談会の下にワーキンググループを設 置いたしまして、現行のビジョンの評価、また新ビジョンに対する要望についてヒアリ ングを行ってございます。昨年8月、3回ワーキンググループを開催させていただきま して、9団体からヒアリングを行ってございます。  また、ワーキンググループにおけるヒアリング結果等を踏まえまして、2ページ目を ご覧いただけますでしょうか、昨年9月に本懇談会において新たなビジョンの方向性に ついてご検討いただき、その後ビジョンの対象に追加することとなった細胞組織工学分 野について有識者、また関係企業にお集まりいただき、ヒアリングを行ってございます。  このようなヒアリングを行い、また事務局で別途行いましたアンケート調査の結果を 踏まえまして、関係者の皆様にご意見をいただきながら作成したものが本日の資料3− 1としてお配りしております新医療機器・医療技術産業ビジョン(案)でございます。 この新たなビジョンの特徴としては、単に物ではなく医療技術としての特性を踏まえて、 名称を新医療機器・医療技術産業ビジョンとすること、また先端技術では単に医療技術 として扱えないものが出てきており、例えば体外診断用医薬品や細胞組織工学再生医療 などの重要分野について対象に追加すること、また改良改善、治療、診断などの医療機 器の特徴と多様性を踏まえたビジョンにすること、5か年戦略等の他の施策と連携する ことなど、懇談会等でのご指摘を踏まえて策定をさせていただいております。  新ビジョンの策定の経緯については以上でございます。  また、引き続きまして、こうして策定されました新たなビジョンの案についてご説明 をさせていただければと思います。  新たなビジョンにつきましては、資料3−2として準備させていただいておりますの で、ご覧いただけますでしょうか。1枚めくっていただきまして目次をご覧いただけま すでしょうか。  新ビジョンは大きく5つの章から構成されてございます。具体的には、1として医療 機器産業を取り巻く環境の変化、2として医療機器産業の現状と課題、3として医療機 器産業の将来像、4として医療機器・医療技術産業政策の基本的考え方、5として革新 的医療機器創出のための集中期間(5年以内)に行う具体策、いわゆるアクションプラ ンという、この5点について取りまとめてございます。時間の関係もございますので、 その内容につきましては参考資料3として、概要、横のパワーポイント資料を準備して ございますので、その参考資料3に基づき具体的な新ビジョンの概要についてご説明を させていただければと思います。  参考資料3の1ページ目をご覧いただけますでしょうか。まず新ビジョン策定後の5 年間の状況の変化と新ビジョンの策定の考え方についてご説明をさせていただきます。  5年前に医療機器産業ビジョンを策定した後、資料の真ん中の部分にございますとお り、医療機器市場の成長、研究開発費の増加、企業の海外進出などが見られております。 また、それと同時に我が国全体として少子高齢化、人口減少、医師不足や医療事故対策 等の課題が顕著となり、さらにアジア市場の急成長といった状況の変化が見られてきて おります。こうした状況の下、我が国の医療機器に対する国際競争力指数は横ばいとい う状況を示しております。  このような状況の中、資料の1ページ目の右側に記載しておりますとおり、より優れ た、より安全性の高い医療機器の開発や国際競争力の強化を推進するために新たなビジ ョンを作成することとなっております。資料の左下に示しておりますとおり、このビジ ョンを示すことにより、産業界と国が共通認識を持つことに資するということが一つ、 また新ビジョンでは国の支援策などの具体的なアクションプランをまとめさせていただ いております。これが新ビジョン策定までのこれまでの変化と考え方になってございま す。  それでは、早速新ビジョンの概要についてご説明をさせていただきたいと思います。 2ページをご覧いただけますでしょうか。ビジョンでは、まず医療機器産業の現状を分 析してございます。近年の開発動向として組織工学分野の進展に着目しており、具体的 には2ページの左にありますとおり、組織工学分野は、神経、心筋、角膜、骨・軟骨、 脂肪、血管などに進展を見せております。また、資料の真ん中の部分にございますとお り、医薬品と医療機器が融合した薬剤溶出ステントのようなデバイスの開発やオーダー メード医療といった分野、遠隔医療といった分野の技術開発が進むなど、ますます医療 機器産業は高度化・多様化してきてございます。そういった状況を踏まえ、右側の欄で 近年の具体的な開発動向を示しております。  続きまして、3ページをおめくりいただけますでしょうか。国際競争の概要を示して ございます。この分野の市場そのものは成長してきておりますが、日本の世界市場にお けるシェアは2000年、これはちょっと表に入っておりませんけれども、2000年に15%で あったものが左下の円グラフに示しておりますとおり2005年には10%と低下してきてご ざいます。また、医療機器は1つの製品で複数の特許を持つことが多いため、知的財産 戦略は非常に重要でございますけれども、右側の棒グラフに示しておりますとおり、特 許公開件数を見ますと、アメリカが最も多く増加傾向にあるにもかかわらず、日本は、 我が国は前年と比較してマイナスの成長となっております。特にiPS細胞関連技術で は知的財産戦略が重要と言われておりますので、この点は大きな課題の一つとなってご ざいます。  次に、4ページをご覧いただけますでしょうか。医療安全対策の必要性ということで 主に高度化の取組についてまとめております。薬事法により、企業及び医療機関は不具 合の報告が義務になっておりますが、不具合等の情報を正確に集め、また必要なところ に情報提供するためには高度化とその管理が重要となります。経済課では高度の普及啓 発に努めてまいりましたが、右側の表の医療機器の全体の行に示しておりますとおり平 成19年9月現在の状況といたしまして、医療機器全体のコード取得率は93.1%、コード 貼付率は79.8%となってございます。コード取得率は高い割合ですが、今後はこれを活 用するために、必要なコードの貼付とコードによる管理の普及が課題となってきており ます。  続きまして、5ページをご覧いただけますでしょうか。医療機器に関する保険医療の 現状として、医療費の増大と内外価格差の問題について取りまとめております。保険償 還価格制度のため内外価格差は縮小してきておりますが、今後は流通施策も含めた多面 的な取組が求められていると考えております。なお、左下に示しておりますとおり、革 新的な新医療機器の適正評価も重要でありますので、この春、医療機器の特徴を踏まえ た改良加算が特定保険医療材料価格制度に新設されております。今後はこの制度の着実 な運用が重要であると考えられます。  次に6ページをご覧いただけますでしょうか。国民のニーズの変化ということで、我 が国の状況についてグラフを幾つか示させていただいております。我が国は少子高齢化 が進展し、また疾病構造としても結核等の感染症中心のものから悪性新生物、また脳血 管疾患、虚血性心疾患等の生活習慣病関連のものが中心になってきております。こうし た中、国民の健康志向の高まり、またセルフケア、自己健康管理の思想の高まりがある とともに、在宅医療に関するニーズが高まり、セルフケアやホームケアのための医療機 器というものの需要が増大するものと考えられております。また、悪性新生物による死 亡率が増加してきており、検診用の機器など早期発見、早期診断に資する医療機器の開 発も望まれてきております。  続きまして、7ページから11ページにつきましては医療機器産業の現状について取り まとめさせていただいております。7ページの右側の中段のグラフをご覧いただけます でしょうか。現在、日本の医療機器市場規模は約2.3兆円と過去最大規模になっており ますが、先ほどお話しさせていただきましたとおり、世界市場における割合は10%と小 さくなりつつあります。また、医療機器の分類別の市場規模としては7ページの右側の 下のグラフにありますとおり、診断系の機器と治療系の機器を比べると、例えば左側の 生体機能補助・代行機能や処置用機器の割合が高くなっているという状況がございます。  続きまして、国際競争力について8ページの右側の折れ線グラフをご覧いただけます でしょうか。市場規模に占める割合の高い治療系機器については赤の四角、一番下の折 れ線グラフで示しておりますとおり7割弱が輸入でございます。また、ほとんどがアメ リカからの輸入品となっております。また、そういった結果、青の折れ線グラフで真ん 中の中段で示しておりますとおり、国際競争力指数はマイナスの状態が継続していると いう状況になってございます。  続きまして9ページをご覧いただけますでしょうか。本分野の企業の規模についてで ございます。左側の中段の棒グラフをご覧いただけますでしょうか。資本規模が1,000 万から5,000万円の企業が約半数を占めるなど中小企業の割合が多いという状況がござ います。また、右側のグラフをご覧いただけますでしょうか。医療機器の種類別に見ま すと、画像診断システムや生体現象・監視システムなど200億円以上の企業の割合が高 いという分野がある一方で、治療系の機器はほとんどが中小企業という状況であります。 今後成長が期待される治療系機器の分野で競争していくのであれば、研究開発投資を確 保できるようなM&Aや企業間の連携なども考えていくべきではないかと考えられてお ります。  次に10ページをご覧いただけますでしょうか。研究開発投資の現状についてまとめた ものでございます。左下の表に示されておりますとおり、我が国の企業における研究開 発費の割合は増加傾向にございます。しかし、その上の棒グラフに示されておりますと おり、アメリカと比較しますとアメリカは研究開発投資の売上高比が我が国の2倍と高 くなっており、企業の自助努力だけで研究を推進するには難しい部分もあるというふう に推測されております。この点については本年5月に先端医療開発特区、いわゆるスー パー特区を創設することとなり、国としても支援をしていくこととなっております。  次に、特許の取得状況について、11ページの左側のグラフをご覧いただけますでしょ うか。カテーテル等の特許取得件数については欧米に大きく水を開けられておりますけ れども、左側の診断系の医療機器につきましては我が国の企業が特許を多くしているも のもございます。今後は医療関連特許のための議論の必要性が高まってくるものと考え られておおります。また、この概要、参考資料3では示しておりませんけれども、本文 の中では医療機器の流通・保守管理に関して、流通の効率化だけではなく医療安全の観 点からも取組が必要であること。また体外診断用医薬品に関しては、技術についてはレ ベルは高いけれども、国際競争力が弱いために今後は重点分野における産官学の協力の 推進の必要性などが盛り込まれております。また、そのほか医療産業の将来像について も本文の方には盛り込まれております。時間の関係もあるので、その詳細は割愛させて いただきます。  続きまして、12ページをご覧いただけますでしょうか。ただいまご説明させていただ きました状況を踏まえ、医療機器産業政策の基本的考え方について示してございます。 以前のビジョンとそれほど大きく変わった部分、変わっていない部分もございますけれ ども、やはりまず一番大事なのは市場原理に基づき自由な競争を行っていくことが重要 と考えております。また、研究から使用の段階で国の施策も整備させていただいており ますけれども、後ほど説明させていただくアクションプランと重なる部分もございます ので、ここでは割愛させていただきます。  続きまして、13ページをご覧いただけますでしょうか。これまで説明させていただき ました状況を踏まえ、今後5年間に行う具体策について説明を記載させていただいてお ります。まず、産学官一体となって取り組むべき重点分野の整理をさせていただいてお ります。具体的には、新たに重点分野の具体例のところで大きく6つ楕円のものがある と思いますけれども、右側の脳・脊髄神経刺激装置、革新的自宅医療機器を重点分野の 例示に追加してございます。  続きまして、それ以降14ページから17ページをご覧いただけますでしょうか。先ほど 割愛させていただいた12ページにもありました研究から使用までの各段階での今後のア クションプランを整理したものでございます。それぞれの取組について簡単にご説明を させていただきます。  まず(1)といたしまして、研究開発に対する支援でございます。まず、研究費の効 率的・効果的運用の推進、先端医療開発特区の着実な実施、医工連携の強化や医療分野 への異業種の参入支援などが新しい医療機器開発では重要となると考えております。  続きまして(2)ベンチャー支援等としては、医療関連特許の取扱の明確化が特にi PS細胞関連技術にとっては重要と考えております。また、中小企業向けの相談事業や 手数料支援を実施することが重要と考えております。  続きまして(3)治験等の臨床研究の推進、また(4)アジアとの連携につきまして は、新たな治験活性化5カ年計画の着実な実施が重要であるとともに、医療機器の特徴 を踏まえたGCPの見直しなども必要であると考えております。  (5)薬事制度の改善といたしましては、これは今も積極的に取り組んできていると ころでありますけれども、今後は医療機器の特徴を踏まえた審査基準の策定なども重要 と思われております。  (6)医療保険における医療機器・医療技術の適正評価といたしましては、新ビジョ ンでは医療技術という名称をタイトルにしておりますが、まさに医療機器と一体となっ ている医療技術について、通常の特定保険医療材料価格制度での評価対象にならないた め、こうした医療技術での適正な評価の推進が重要と思われます。  (7)市販後における適切な情報提供及びサービスの提供、また(8)流通機能の効 率化・高度化としては、医療機器は使用の段階までよくフォローしなければならないと いう特徴がありますので、適正使用の推進と流通機能の高度化などの課題がございます。 特に流通については医薬品のような懇談会がなく、課題もあると考えておりますので、 医療機器版の流通改善懇談会を開催して意見交換をさせていただきたいと考えておりま す。  次に(9)医療の情報化としましては、引き続き医療情報の安全管理に配慮しつつ、 医療の情報化やIT化を推進していきたいと考えております。  また(10)官民対話としては、5か戦略と同様、官民対話等を通じて、産官学の連携 を深めていきたいと考えております。  また(11)その他としては、国民等に対する普及啓発の推進等も重要なテーマと考え ております。  以上で新医療機器・医療技術産業ビジョン(案)の概要について、説明は以上で終わ ります。 ○木下経済課長  それでは、ただいまの非常に短く効率よく説明し過ぎましてちょっとわかりにくい部 分があったかもしれませんけれども、ご質問等ございましたらお願いしたいと思ってお ります。また、後ほど各それぞれ順番に全体としてのご意見をまた総論で伺いますので、 まずここでは資料につきましての何かご質問があれば、お手を挙げてよろしくお願いし たいと思います。  それでは、よろしゅうございますか。  それでは、意見交換の方に入らせていただきたいと思います。先ほど申し上げたよう に、順番にちょっとご意見を伺いたいと思っておりますが、まず和地会長の方からご意 見を伺い、順番にこうお聞きをしますので、あと歯科医師会からもご意見を伺いたいと 思います。まず、和地会長の方からよろしくお願いします。5分程度ぐらいで、すみま せん、よろしくお願いします。 ○和地  医機連会長の和地でございます。座ったままで失礼させていただきたいと思います。  今回の異動でご就任早々の方もいらっしゃいますので、ちょっとくどいようですが、 医機連の話からさせていただきたいと思います。  医機連というのは国内の医療機器関係団体20団体の取りまとめる団体でして、実は幅 が非常に広くて、CTとかMRIといった大型の診断機器から、治療用の医療機器、医 療材料、歯科、眼科、家庭用医療機器、それから流通に至るまで、多岐にわたる団体が 加盟しておりまして、傘下の会員は約4,900社に上ります。また、20団体の一つであり、 私が併せて会長をしております医器工というのがありますが、ここは主に治療用の医療 機器、医療材料を取り扱う、約240社の企業で構成されております。例えば注射器とか 血管治療用カテーテル、あるいは人工腎臓、人工関節などを扱っております。日本の医 療機器の市場はご承知のように2兆3,000億程度と言われておりますが、この医器工の シェアといのは国内売上高の約半分1兆2,000億に上っております。  さて、今ご説明がございました新医療機器・医療技術産業ビジョンについてですけれ ども、まず医療機器産業を我が国の産業成長の牽引役として期待していただいて、かつ 国際競争力の強化も視野に入れたビジョンを策定していただいたことに感謝を申し上げ たいと思います。また、策定段階におきまして、ワーキンググループとかそういうこと を通じて業界の実態とか問題点をよく把握していただいたことについても感謝を申し上 げたいと思います。  平成15年に策定されました医療機器産業ビジョンにつきましては、いわば初めて医療 機器産業が独立した産業として認知されたというふうに言っていいかと思います。この 新しい産業ビジョンでは、この間の環境の変化を的確に捉えて、さらに一歩を踏み込ん だ内容となっていると考えております。特に次の3点につきまして、医療機器産業の特 性を的確に捉えていただいた結果であると高く評価いたします。  1つは、今回のビジョンにおきまして、医療機器を単なる物として捉えるのではなく て、いろいろな角度から総合的に捉えているということです。言ってみれば医療機器の 発展が医療技術の進歩に直結しているということを踏まえて、医療機器と医療技術を一 体で捉えているという点、これはかつてなかった捉え方ですが、この点、また研究開発 から生産、販売、保守、廃棄までのサイクル全体を考慮している点、そして産官学連携 によるいわゆるオールジャパン体制を考慮している点など、医療機器産業を総合的・全 体的に捉えている点を高く評価いたします。  2つ目は、冒頭の挨拶でも申し上げましたが、医薬品と医療機器の違い、医療機器の 特徴を的確に捉えていただきまして、産業政策の基本的な考え方、国の役割の前提とし て書き込んでいただいた点でございます。  そして3つ目が医療機器産業の将来像におきまして、我が国の医療機器産業が世界一 の医療機器開発拠点になることも可能であると、このように言及していることです。こ れは我々産業界にとりまして大変勇気づけられると同時に、企業がリスクをもって革新 的な医療機器・医療技術の開発に取り組み、日本の強みである生産技術と品質にさらに 磨きをかけて国際協力を高めることにチャレンジするということを改めて決意したいと いうふうに思います。  先ほどもご指摘のとおり、診断機器は伸びているけれども治療機器は非常にまだ停滞 しているということは、ポイントはこの辺にあるというふうに思います。やはりリスク を踏まえてチャレンジするということをもう一度決意する必要があると思います。  また、先方ほどのご説明にもありましたけど、グローバル競争に勝つために複数の企 業が得意分野を生かした協力連携をするのも一つのアイデアであると、こういうご示唆 をいただきまして、私は大変これも評価したいというふうに思います。業界全体は非常 に中小零細企業が多いわけですが、それぞれ光った技術を持っているところがたくさん ございます。そういうところの連携・協力によって、日本ならではのやはり先端医療と いうものを開発していく必要があると思います。  いわゆる5か年戦略、そして新しい産業ビジョンのアクションプランを産官学が連携 して推進することによって、医療機器の産業基盤の強化に向けたインフラの整備が着実 に進むものと私は期待しております。とりわけ、インフラの中で最も重要な人材につき まして、これは一朝一夕で強化することはできませんが、新ビジョンの中でも人材育成 の必要性については大きく取り上げられておりますが、これは産官学の役割を明確にし て、中期的な重要課題として取り組んでまいりたいと、このように考えております。産 業界及び企業として、新産業ビジョンの策定を大きなチャンスとして捉えまして、中の 言葉を借りますと、我が国の産業成長の牽引役となってほしいとありますが、まさに牽 引役となるべく、自らの責務を自覚して、大事なスピードをもって取り組んでまいりた いと、このように考えております。引き続きご指導、ご支援をお願いいたします。  私のコメントはこれで終わります。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  では、次はACCJの田村さん、お願いします。 ○田村  在日米国商工会議所ACCJ医療機器・IVD小委員会でございます。きょうは委員 長の王恵民が海外出張でございますので、代理で田村がやらせていただきます。  まず私どもACCJ医療機器・IVD小委員会のご紹介を簡単にさせていただきます。 私どもは、日本で医療機器及び体外診断薬を提供しております米国企業の団体でござい ます。世界でも最先端の技術を用いた製品を多く提供しているのが特徴だろうと思いま す。現在、加盟約70社で、売り上げは85億ドル、為替にもよりますが9,000億円弱ぐら いでございます。ただし、ほとんどのメジャーな会社は医機連傘下でござます。私ども の団体のミッションは、最新の医療機器技術の提供とそれを可能にする適切な償還価格 の実現の2つでございます。これらにより日本の患者様、日本の医療に貢献できると考 えております。  本日ご説明いただきました新医療機器・医療技術産業ビジョンでございますが、5年 前に引き続きました新たな産業ビジョンを策定してくださったことに改めて感謝申し上 げます。ありがとうございました。今、和地会長のお話にもございましたが、医療機器 を単に物ではなくて医療技術であると捉えて議論を展開してくださっていることは、医 療機器の特徴に沿った非常に適切な方向であると考えております。さらに今回は、体外 診断薬をこのビジョンに含めてくださったことにも感謝申し上げます。  ビジョン案の中には医療機器の一層の安全ですとか、効率化あるいは製品導入の迅速 化等々の課題が多く指摘されていますが、当委員会としてはこれらの問題に、行政の皆 様、それから医療機関の皆様とともに積極的に取り組んでいきたいと考えております。 特に体外診断薬はオーダーメード医療の分野が今後期待されるという評価にこのビジョ ン案の中でもなっていますが、その分野で努力していきたいと存じていますので、よろ しくご支援のほどお願い申し上げます。  1点だけ、この機会にお願いさせていただきたいことがございます。それは、産業界 に大きな影響を及ぼします薬事制度と保険償還の相互関連・連携についてもできればお 考えいただきたいということでございます。例えば、安全への感心が高まり、私ども医 療機器企業に対する安全や品質に対する要求が高まるのはもちろん十分に理解できます が、その際にはそういうことについて保険償還でも留意いただければ大変ありがたいと いうことでございます。このような相互関連あるいは連携がないと、我々のような外国 事業者にとっては外国で提供している製品をなかなか日本に持ってこれない。あるいは 日本の事業者さんにとっては開発が難しいということになるのではないかというふうに 思います。ということで、薬事制度と保険償還の関連について、あるいは連携について もお考えいただけると大変ありがたく存じます。今後ともよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  それでは、EBCの上條さん、お願いいたします。 ○上條  EBC欧州ビジネス協会医療機器委員会の委員長を務めております上條でございます。  本日は、この医療機器産業政策推進に係る懇談会にお招きいただきましてありがとう ございます。  欧州ビジネス協会EBCの説明でございますが、EBCは現在18カ国からなる欧州商 工会議所及び中日経済団体の貿易政策を司る機関でございます。現在、欧州商工会議所 には350社の企業が所属しておりまして、28の産業別委員会を構成しております。広範 囲にわたる経済分野の仕事に関わっておりますが、この医療機器委員会もその一つでご ざいます。  医療機器委員会の参加企業の構成ですが、主に欧州を創業とする企業及び日本の欧州 製品輸入業者が参加しておりまして、現在24社で構成されております。取扱品は大型画 像診断機のCTやMRを初めとしまして、放射線治療機から埋め込み型の医療機器、医 療消耗品、歯科用機械までと広範囲に及んでおります。EBCの代表的な会社といたし ましては、現在ドイツのシーメンズ、ビーブラン、バイオトロニック、オランダのフィ リップス、英国のスミス&ネフュー、イタリアのソーリン、スウェーデンのエレクトラ、 そしてガンブロなどが主なメンバーでございます。当委員会は欧州の医療機器の輸入販 売を通じまして、日本の医療、福祉への貢献と委員会参加企業の発展とを目指しており ます。同時に行政通知などの周知徹底や勉強会などの活動を通じましてEucomed、 これは欧州医療機器産業連合会ですが、こことの協力あるいは医機連、そしてACCJ と協調しながら、欧州企業の観点から薬事規制、償還価格などに関する提言を行いたい と考えております。  さて、今回の産業ビジョンではもう既にいろいろとコメントが出ておりますが、医療 機器産業を取り巻く環境の変化、産業の現状と課題、将来像、また医療機器・医療技術 産業政策の基本的考え方の中で、国の役割や革新的医療品・医療機器創出のための5か 年戦略との連携をつまびらかにしていただきました。まことに感謝しております。  また、革新的医療機器の開発などを通じて、よりすぐれた医療技術の提供を目指し、 医療技術の特徴である改良改善や低リスク及び高リスクなど、これも何度もお話に出て おりますが、このような多様性に配慮した制度整備の検討、あるいは医療機器の研究開 発から廃棄、再利用までのサイクル全体を考慮した施策の方向性を示すとうたわれまし た。特に医薬品とは異なる医療機器の特徴への理解、革新的技術への医療機器への評価 などが示されたことは、大いに私どもも期待するところでございます。よろしく早期実 現をお願いいたします。  また、ビジョンの中の近年の開発動向に関しまして、私どもEBCから提案いたしま した体内埋め込み型の材料などを用いた診断情報転送及び遠隔マネジメントシステム、 それと同時に医療安全対策において誤使用の例として、複数の医療機器を組み合わせて 使用する場合に、その組み合わせが適切でないことに起因するものとの追記をいただき ましたことをまことに感謝いたします。  今後は、世界の医療機器市場の35%を占めております欧州市場から創出されます革新 的で有用な医療機器がデバイスラグと称せられることなく、速やかに上梓され、それを 必要とする日本の患者様に提供され、患者様のQOLに貢献し、医療費の削減につなが ることを希望します。このため、当EBCは、日本・欧州の連絡の架け橋となり、双方 の理解促進に寄与したいと考えております。よろしくご指導をお願いいたします。  さて、ビジョンのこの実施に対する要望ということを一つ二つ申し上げさせていただ きます。  EBCとしましては、薬事制度の改善、それと医療保険における医療機器・医療技術 の適正評価に関しまして、この2点が最も感心の高いところでございます。薬事制度の 改善に関してですが、特に企業責任のもと、自己宣言にて承認・上梓が可能なCEマー ク制度を持つ欧州の観点から、立場から見ますと、日本の薬事承認手続きは複雑難解で、 その結果、申請から承認までまだ長い時間がかかっていると考えております。この複雑 さと審査期間の長さに耐え切れず、最近、残念ながら日本から撤退した欧州企業も出て まいりました。速やかにレギュラトリサイエンスの充実、審査の国際的整合性の推進、 国際共同治験を含む審査体制の充実を図っていただきまして、迅速な上梓ができるよう お願いいたします。将来は欧州と日本の医療機器のMRA、相互承認協定の締結を希望 するところでございます。  2番目の点は、医療保険における医療機器・医療技術の適正評価についてです。有用 で新規性の高い医療機器の適正な評価による価格設定と迅速な保険収載のさらなる推進 をお願いいたします。安全性を確保して、利便性、低侵襲性を具備した医療機器に対し、 有用性加算や改良加算による適正な評価が行われ、新規のみならず改良機器に対しても、 企業の研究開発へのモチベーションが働く保険収載、加算など、すなわちクリニカルバ リューに見合った償還価格の対応を今後も継続してお願いしたいと、そのように存じま す。  最後に、今回のビジョンの内容は、これですばらしいものが出来上がったと私どもは 考えております。着実に実施されていくものと確信しております。よろしくお願いいた します。  今後は、高齢化に伴いまして、就労人口構成にも変化が見られ、女性の就業率、特に 中高齢女性の就労率の割合が増加する傾向と考えられます。したがって、育児と仕事あ るいは介護と仕事を両立するケースの増加が予想されることから、医療技術においても 単純なリスク・ベネフィットの評価ではなく、ライフスタイルに合わせた多様な治療選 択肢を提供できる基盤づくりが必要であると考えております。また、現在、高齢化社会 とその医療費に注目が集まるところですが、少子化に関連し、我が国及び近隣諸国の少 子化問題も念頭に入れまして、乳幼児、小児用の医療機器研究開発とその製品化が必要 と考えます。これらにつきましてはEBCとして、欧州の福祉国家の例を参考にしまし て、検討提案させていただきたいと考えております。これらの点につきましても、今後 ご指導いただきますよう、お願いを申し上げます。  これで、私どもEBCからの意見公述とさせていただきます。ありがとうございまし た。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本画像医療システム工業会の加藤さんの方からお願いいたします。 ○加藤  日本画像医療システム工業会の副会長をしております加藤でございます。医機連の副 会長をしております私どもの会長、猪俣の代行として代理として今日は参加させていた だいております。  今回、このような日本医療機器産業施策の推進に係る懇談会を開催いただきましてあ りがとうございます。また、このような発言の場を提供いただきましてまことにありが たく感謝いたします。ありがとうございます。  まず、日本画像医療システム工業会、通称JIRAと申しておりますが、この工業会 は画像機器並びに医療画像システムを取り扱う企業166社で構成されました団体でござ います。取り扱います製品は診断エックス線装置、エックス線CT、診断用の核磁気共 鳴装置、診断ワークステーション及びその他材料を含む関連医療機器用品でありまして、 日本における市場は約3,000億円でございます。  当工業会が今回の新産業ビジョンに対して持っております期待は3点ございます。  1つは、国家政策としての医療機器産業育成に向けた法規制、支援体制の確立という ことでございます。2つ目は、重要性を増しております医療技術としてのソフトウェア の位置づけの明確化と適正評価ということでございます。3点目は、低リスクの医療機 器の承認手続の見直しに関することでございます。これらの項目に関しましては、今回 の新ビジョンにおきます政策の方向並びにビジョンのポイント等に全体として包括記載 されておりまして、大変ありがたく厚く御礼申し上げます。今後、医療機器産業育成に 向けた国策としての視点が明確に示されておりまして、これらがアクションプランに反 映され、速やかに実施されますように、私ども業界としても力を尽くしていきたいと、 こんなふうに考えております。  2点ほどちょっとコメントさせていただきたいと思いますが、まずアクションプラン の薬事制度の改善という中で、医療関連ソフトウェア等に対する規制制度のあり方を検 討するとの記載をいただいております。大変ありがたく感謝申し上げます。医療技術と してのソフトウェアの位置づけの明確化ということに関しましては、画像診断で用いら れます臨床用ソフトの品質、有効性、安全性を担保する上で、現下の薬事法上での医療 機器が望ましいのか、あるいはソフトウェアの特徴を踏まえて、現行とは異なる別の枠 組みを構築する必要があるのか、あるいは同時に、使用者側の取扱の要件などをどう考 えるかと、こういったことを含めまして、関係する省庁との議論の場を立ち上げていた だいて、意見の集約を図っていただければ大変ありがたいと、こういうふうに考えてお ります。  また、医療技術としてのソフトウェアの一つの例としまして、臨床価値を高め、制度 管理の質的向上を可能とするようないわゆるコンピュータ支援検出技術、コンピュータ ADディテクションと申しますが、こういった技術が大変重要になっております。こう いったことに関しても適切な評価をいただけるようにお願いいただけるとありがたいと いうふうに思っております。  もう一点は、産業ビジョン、今回の新ビジョンの中の施策の方向並びにビジョンのポ イントの中でうたっていただいておりますが、革新的な医療機器だけでなく、改良改善 や低リスク及び高リスクなどの多様な医療機器の特徴を配慮した、そういった制度の整 備が求められているというふうに記載されておりまして、私ども工業会が扱う医療機器 の特徴をご理解いただき、認識を示していただいているということ、大変ありがたくこ こに御礼を申し上げたいと思います。  改善改良を目的とする医療機器の研究開発におきましても、日常のプロセスとして医 療機関での臨床研究、評価が不可欠でございます。医療機器には患者に対するリスクに ついて、高リスクのものもあれば低リスクのものもあるという中でございますけれども、 現行法では低リスクのものも高リスクと同じような規制になっておりまして、開発企業 にとりましては大きな負担となっております。今回、高度利用評価制度というものが行 われておりまして、高リスクの未承認品に関する医療機関への提供は可能になりました けれども、画像診断機器やその他の低リスクの医療機器の改善改良に伴う未承認品の使 用についてもより簡素化した仕組み等をご検討いただければ大変ありがたく、ちょっと 申し述べさせていただきたいと思います。  以上2点コメント申し上げました。全体を通しまして医療機器の特性を十分ご理解い ただき、認識を示していただいておる新ビジョンになっておりまして、大変ありがたく、 まことに深く感謝を申し上げたいと思います。また、関係省庁との連携も目に見える形 になってきておりまして、さらなる進展を期待しております。  先ほど和地会長からもありましたように、世の中の変化というのは非常に早うござい ます。私ども工業会もスピーディにいろんな活動を前倒しで全力投球で進めていきたい というふうに思っておりますので、今後ともひとつよろしくご指導の方をお願いしたい と思います。  どうもご清聴ありがとうございました。 ○木下経済課長  ありがとうございます。  続きまして、医用電子システム事業委員会の福田さんの方からお願いいたします。 ○福田  JEITAの医用電子情報技術産業協会、その中の医用電子システム事業委員会の代 表をしております福田でございます。平素JEITAに対しましてご理解いただきまし て、まことにありがとうございます。また、本日、懇談会を設けていただきましてあり がとうございます。  このJEITAでございますが、事業規模にいたしまして20兆円ほどの規模の電子情 報技術産業という大きな団体でございますが、その中の医用電子システム事業委員会と いうものがありまして、この委員会の中の企業でございますが、約40社の会社が参加し ております。それで、主に生体現象の関係でございますが、取扱品目としては超音波の 画像診断装置、それから心電計、脳波計、生体情報モニター、除細動装置、最近のAE Dなどもそうです。規模といたしまして1,300億円といった規模でございます。それで ME機器の標準化、また薬事法、医療技術、医療安全といった日本の得意とする診断機 器の発展を目指しまして、関係団体や学会とも連携協力といった活動をしているわけで す。  それで、ビジョンに対するコメント、要望でございますが、日ごろ、JEITAの意 見も取り入れていただきましてまことにありがとうございます。何度も同じことを申し 上げることになりますが、医療機器と薬は違うものということが明記されてまいりまし て、その中で改良改善と、リスクの高いもの、高くないものがあるわけですが、それに 対しまして配慮した制度整備が必要という観点から、医療機器の特徴に配慮した制度整 備という方向性も検討してお願いしたいというふうに思っております。国家戦略上、医 療機器また医療技術産業を重点的に支援することが明記されておりますが、リスクの高 い革新的医療機器の開発も重要でございますが、数は少ないということ、また改良改善 あるいは新技術によるリスクの高くない医療機器の開発、こういったものも大変重要と 考えております。医療機器の国際競争力向上のために、リスクに応じた許認可制度が重 要で、リスクの高いもののハードルを低くしていただいて、改良改善、また新技術の開 発をやりやすくするということが重要かと思います。  「お願い」でございますが、JEITAの産業ビジョンで意見を申し上げた企業が医 療事業を行うために、事業計画が立てられるということで予見性の高い認可制度の整備 ということをお願いしたい。これは、許認可に当たりまして、その認可の進みぐあい、 スケジュールをぜひ提示していただくと企業にとっても非常に事業がしやすくなるとい うことでございますので、お願いの一つでございます。  それから、最後でございますが、医療機器における国民の健康維持や生活習慣病予防 への役立つ医療機器の普及、促進について、産業界としても頑張ってまいりますので、 これからもご支援をよろしくお願いしたいと思います。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本医療機器工業会の根本さんの方からお願いします。 ○根本  日本医療機器工業会の理事長を務めさせていただいております根本でございます。  まず最初に、日本医療機器工業会について少しご説明をさせていただきたいと思いま す。  当工業会は昭和49年に設立され34年の時を経ております。また、会員の資格といたし ましては製造販売業の取得が会員資格の第一になっております。そして、現在のところ 会員は144社を数えております。そのほかに2団体、日本鋼製医科器械協同組合と大阪 医療機器協会の製販部会という団体加盟が2団体入っております。この団体加盟の2団 体の中の企業数を足しますと、約300社ほどの会員企業ということが言えると思います。  主な取扱医療機器といたしましては、心臓ペースメーカー、人工呼吸器、麻酔器、電 気メス、滅菌器、手術台、手術用照明灯等、どの医療機関においても常に普通に使われ ておる一般治療機器が非常に多くなっております。また、鋼製手術機械と申しまして、 いわゆるピンセット、はさみ、止血かんしといったようなものも扱っております。この 100年以上にわたる匠の技術を現在までも約100社の鋼製医科器械組合の皆様方が引き継 いでさらに進歩発展に努力をいたしているところでございます。  また、会員企業の規模といたしましては、資本金の1億円未満というところが約60%、 また従業員の300人以下というところが70%ということで、典型的に中小企業が多数を 占める工業会でございます。  次に、今回の医療機器産業技術ビジョンにつきまして、その案を見させていただきま して、現在の業界が抱える問題点を的確に抽出し、それに対する対応を述べていらっし ゃることについて大いに感謝と敬意を表するところでございます。その上で、我々とし てお願いをいたしたいところというのは、医療機器産業の活性化と国際競争力の強化に ついてでございます。  皆様よくご承知のように、医療機器のライフサイクルは、最近特に短くなっており、 絶えざる改良改善が求められており、また日々の絶えざる工夫、努力こそが業界の技術 的成長を支え、活力を生む基盤となり、その結果として真に国際競争力のある医療機器 の創出、医療技術の提供につながっていくのではないかというふうに考えております。 先ほどのご説明にもございましたように、残念ながら一般治療機器分野におきましては、 輸入品の増加が非常に大きなウェートを占めてきております。また、昨今の改正薬事法 の施行に伴い、医療機器の審査の長期化、また新製品の市場投入の遅れが慢性化し、承 認済みの医療機器に対する改良改善についても、再審査の適用により、時間、費用、労 力の投入が過大となってきており、業界各社の開発意欲を減少し、活力の衰退を招いて いるように見られます。同じことは医療機関の臨床現場においても、医師等の創意工夫 にこたえることが非常に難しくなってきております。私どもの工業会の平均1社当たり の先生方からの改良改善の御要望というのが約100件ほど年間ございます。もちろんい ろいろな形での改良改善があるわけですが、その中でほとんど現状ではそれにおこたえ することが難しくなっておるというのが現状でございます。  医療機器産業全体を再度活性化させるとともに、その国際競争力を強化していくとい うためには、法のめりはりある運用を確実にし、業界並びに医療現場の開発意欲をより 増進する方向へ制度を充実させることが望ましく、自己責任の意識を活性化させつつ、 QMSの遵守を基盤に置く、自由な改良改善活動を保証する法の運用こそが現在最も望 まれていることではないかと考えております。小さな改良改善から新しい医療技術、あ るいは新しい医療機器が今までも数多く生まれているわけで、そのような芽を摘むこと は業界活性化にはマイナスだろうというふうに考えております。幸い、今度の産業ビジ ョンにおきましては、改良改善の加算はもとより、機器の臨床試験及び後発製品の一部 変更基準等について触れていただいており、その簡素化の実現が待たれるところでござ います。  また、もう一つの問題としては、中小企業の育成及び支援のことでございます。先ほ ども申し上げましたように、当工業会といたしましても半数以上が中小企業という特性 もあり、ベンチャー企業等のご支援、育成と同等あるいはそれ以上に育成・支援をいた だきますことを切にお願いをいたしまして、簡単ではございますが、私のお願いとさせ ていただきます。  ありがとうございました。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本医療機器販売業協会の諸平さん、お願いいたします。 ○諸平  日本医療機器販売業協会の諸平でございます。本日はこのような発言の機会を設けて いただきましたことに、まずもって感謝申し上げます。座ったままでお話を続けさせて いただきます。  さて、日本医療機器販売業協会は通常、医器販協という略称を使う場合が多いことも ご承知いただければと思います。医器販協は平成15年の11月に全国の医療機関向け医療 機器販売業者を糾合して設立された我が国唯一の販売業の統一団体であり、会員の相互 理解を図るとともに、医療機器等の適正かつ安定供給のための諸施策を通じて会員の社 会的地位の向上と発展に寄与し、もって国民の健康と福祉の増進に貢献することを目的 として設立された団体です。全国に都道府県単位の組織を持っており、平成20年6月末 現在の会員数は1,285社であります。また医器販協は医政局経済課が実施している特定 保険医療材料価格調査の重要性を認識しており、調査に全面的に協力をさせていただい ている団体でございます。医器販協としては、医療機器が生命関連製品であり、公的保 険制度に直結していることから、薬事法等関連法規の遵守はもとより、他の業界よりも 高いコンプライアンス体制の取組が求められているとの認識の下、従来から不適切な取 引慣行の是正を図るとともに、流通の適正化の取組を進めてきております。  しかしながら、現実には会員事業者による不祥事が発生していることも事実であり、 誠に遺憾なことだと感じております。  今回の新医療機器・医療技術産業ビジョンでは、医療機器産業の将来像の中に医療機 器販売業が取り上げられたことは高く評価いたしたいと考えております。この中で、今 後は安定供給、適正使用や保守管理等の各種サービスの担い手として、製造メーカーと のすみ分けをどうするのかといった観点も踏まえ、医療機器販売業が自ら体質評価を行 い、主体的な活動が行えるようになることが将来的に発展するためのキーポイントにな ると考えられると記載されておりまして、全く同感でございます。医療の現場から複数 の種類の機械がお互いに関連を持ちながら使用されることも多く、消耗品である医療材 料と組み合わせ、使用されるのも一般的であります。これらの適切な組み合わせを提案 できる立場にいるのが販売業者です。  一方、医療機関は医療機器が正しい状態で使用されるために、医療機器の保守管理を 行う義務があります。保守管理修理は第三者に委託することができ、現在多くの販売業 者がこれらのサービスを請け負っております。我々販売業者は物流に関わるとともにこ れらのサービスを機能的・有機的に組み合わせ提供することで、医療機関の効率的な運 営に寄与し、製造販売者との違いをはっきりさせる必要があると考えております。この ことが販売業の社会的な地位を高めることにつながると考えているところです。  次に、医療機器に関する情報提供担当者の質の向上が記載されており、厚生労働省の 支援のもとに民間資格ができることに期待をしております。販売業者としても情報提供 を行うことは重要な責務であると痛感しておりますので、これらの民間資格を活用する ことにより、質の向上を図っていきたいと考えております。  それから、流通機能の効率化、高度化で医療機器の流通改善懇談会の設置が記載され ており、医器販協といたしましてはその成果に大いに期待をいたしておりますが、必要 に応じて要望させていただきたいと考えているところでございます。  さらに、医療機器データベースの整備も記載されておりますが、これまで行政及びメ ーカーの協力のもとメディスンデータベースの一元化が達成され、JANコードによる 登録が推進されておりますが、バーコード貼付も含めていまだ十分な水準ではないと考 えております。一日も早い整備が実現される必要があると考えております。  最後になりますが、医療の情報化で標準化の推進が取り上げられておりますが、医器 販協といたしましては従来から医療機器、医療材料の流通には、製造販売業者、そして 販売業者、そして医療機関の間を必要な情報が円滑に行き交う仕組みを構築する必要が あると考えております。しかしながら、おのおのの関係者は特有の事情を抱えておるの が実態でございまして、行政におかれましてはこれら関係者が共通の認識を所有するよ うに関係者間の調整に積極的に関わっていただきたく、早期に標準化が達成できるよう、 ご支援をよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  以上で発言を終わります。ありがとうございました。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本歯科商工協会の中尾様、お願いいたします。 ○中尾  日本歯科商工協会の中尾でございます。本日は、私ども歯科関係者に発言の機会をお 与えいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。  さて、私ども歯科医療に関する機材の開発、製造、また流通をしている企業、現在で は1,008社により構成をされておりまして、55年前に設立をされております。また社団 法人化をして21年を経過いたしております。現在の市場ボリュームは日本国内で3,300 億円、世界市場では2兆円超と考えておりまして、現在5,000社の企業が世界じゅうで 活躍をいたしております。欧米では企業間のM&Aが非常に盛んに行われておりまして、 集約が進行しております。また、市場では東ヨーロッパ、中国、インド等の国々の市場、 成長に著しいものが見られるわけでございます。  さて、今回の新ビジョンに歯科分野、初めて取り上げていただきましたこと、まず感 謝を申し上げます。新ビジョンにお加えいただきましたことは、生きる力を支える医療 である歯科医療にもご注目をいただいたということで、国民の皆様方のQOL向上の願 い、また健康長寿社会、この実現に向けて着実な歩みを進めることができると、このよ うに考えております。  私どもでは、8020運動等を通じまして、確実に国民の皆様方の歯の健康状態は向 上しております。今回記載をいただきました事項、唾液の検査による適切な診断等によ りまして、う蝕や歯周疾患の予防を図り、国民のお一人お一人が一生涯を通じて健康増 進維持に寄与できるものと考えております。  また、在宅療養を余儀なくされた方々の口腔機能の維持管理並びに誤嚥性肺炎の防止 策等への機器開発の重要性を表明いただいておりますし、また世界じゅうで開発競争が 激しい人工歯根、また歯根膜シート等の分野に注目をいただいております。私どもこれ らの分野につきましてリン学産の連携を強化いたしまして、国民お一人お一人のQOL 向上に直結させるとともに、世界的なリーディング技術を確立したいと考えております。 ぜひとも国のご理解とご支援をいただきたいと思います。  さて、私どもの今後の対応についてご説明を申し上げたいと存じます。私どもは日本 歯科医学会、日本歯科医師会を中心として、現在最先端医療技術の創出を目指しまして、 歯科医療技術革新推進協議会を設立いただいておりますが、ここを中心に重要分野の絞 り込みを行うと同時に、開発臨床治験評価システムを確立してまいります。しかしなが ら、同時に開発臨床治験強化について国のご支援をいただきたいと存じます。  また、具体的に2つほどお願いがございます。32ページの重点分野選定についてでご ざいますが、今世界的には新潮流として注目をされておりますセラミック、あるいはC AD/CAM等を用いた新技術が普及しつつございます。そこで我が国の要素技術を結 集し、リン学産連携による日本から生まれた世界に誇る新技術として画期的な歯冠修復 機材並びに技術をぜひお加えいただきたいと思います。  もう一つは、医療安全対策強化のために、我々は歯科会は高度化への対応は完了して おりますが、さらに安全情報を含めた総合的な情報を収集伝達するデータベースの構築 を進めてまいりたいと存じます。  38ページの医療の情報化、これにリンクさせていただきまして、我々歯科会は個人開 業医の皆さんが中心でございますが、この皆さん方の歯科医療の特性に対応した情報サ ービス体制の確立を加えていただければと存じます。  再び、今回新ビジョン、歯科医療の記述をお加えいただきましたことに感謝を申し上 げますとともに、我々歯科医療関係者は、生きる力を支える医療のために今後も全力を 投入することをお約束申し上げ、私のご説明とさせていただきます。  本日はありがとうございました。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本医療産業同友会の松本さんの方からお願いいたします。 ○松本  医療産業同友会の松本でございます。私、医機連の前身の旧日医協の会長も4年ほど 務めさせていただきまして、現在も関連学会、関連団体等のお手伝いをさせていただい ておりますが、今日は医療産業同友会の代表として発言をさせていただきたいと思いま す。  医療産業同友会というのは7年ほど前に、昭和29年に設立されました日本医科機械商 工団体連合会の有力企業を中心にしまして、大手総合商社あるいは医療コンサルタント、 あるいは外資系の企業等々の方々、現在約70社ほどで構成しております。医療機器をい ろいろな切り口、いろいろな観点から眺めようということで今日に至っているわけでご ざいますが、私も最初から数えますと9番目の発言になりますと大体いろんな方とダブ ってしまうといけませんので、多少違った表現、違った切り口で感想を申し述べさせて いただきたいと思いますが、まずは今回のビジョン、前回のビジョンに比べますとと言 っては僭越でございますが、産業分析あるいは課題、問題提起等が大変広範かつ具体的 に指摘されておりまして、そのような意味で産業界あるいは関係分野に非常に理解され やすくなっているということで、大変感謝を申し上げる次第でございます。  ただ、3つほど、それに反対という意味ではなくて、感想を申し述べさせていただき ますと、1つは、先ほど来、国際競争力あるいは今後の市場予測等々の資料がございま す。正直なところ私は4の医療機器のマーケットが実際の医療機器メーカーとしてどう いう実感を持っているかという一般的な感想から申し上げますと、確かに企業とすると 伸びているかもしれないけれども、国内マーケットとすると、これは医療費の削減とい う、あるいは医療費云々ということとは別の意味で、実感が多少ずれているかもしれな い。これは、マーケットは伸びてもそれだけ、いい悪いは別としまして、輸入品が増え ている。逆に国内メーカーの輸出が増えている。あるいは海外売り上げ比率が増えてい る。あるいは海外生産比率が増えているという現象もあるのではないかという気がいた します。したがいまして、今後の統計は官民一体になってそこら辺の予測をした方がよ ろしいのではないか。例えば、この資料の一番後ろの今回の医療機器産業ビジョン策定 後の5年間の変化と云々というところにも何ページかにグローバル化の進展と国際競争 の激化という……、医療機器市場の将来予測というところがアメリカが5.1%、日本は 6.1%と5年後の予測をされておられますが、これで日本の医療機器企業が例えばアメ リカで生産をしている。それをアメリカのマーケットで出した場合、あるいは研究開発 をした場合と、そこら辺のグローバル化の時代にあってもう少し研究をしてみる必要が あるのではないかという気がいたします。  2番目には、随所に患者安全あるいは流通の合理化等々、それとそのコード云々とい うことが出てまいります。昨年9月、それから今年の3月、それから今年のつい先月、 3回ほど欧米の医療情報システム調査団というところに参加をいたしまして、かの地の 状況もいろいろ見聞きしてまいりました。FDAあるいはJS1等々が協調します、特 に先月FDAの担当官が力説されたことが非常に脳裏に残っておりますが、なぜベース のところを法制化したかということは、一つはメディカルエラー、医療過誤が非常にア メリカでも増えていると。それをヒューマンエラーとデバイスエラーに識別するのにこ れは大事なんだと。UDIという識別システムがいよいよ法制化されたわけですが、2 番目はリコールがアメリカでも非常にふえている。これを何とかしなければいけない。 3番目は、偽造品を防止しなければいけない。4番目は流通の合理化のため。5番目は 病院の資産管理、これに利用できる。アメリカの大学病院ですと、甚だしいところは1 年間に2,000万円くらいの病院の資産がどこかへ紛失してしまうというような実例も挙 げられまして、いろいろな意味で二次元バーコード、二次元シンボル、あるいは電子タ グということの重要性を説かれました。これの今後の応用技術というのは、私は日本の 技術が非常に欧米よりも進んでいると、また進んでいくであろうという実感がいたしま して、こうした新しい技術が新しい産業を生むであろうということを実感いたしました。  最後に、3番目に、中小企業のことでございます。やはり私も例えば手術器具一つに いたしましても、食料やエネルギー等々と同じように自給率が下がっていってしまうと 大変なことになる。こうしたものをどこかの形で何らかの形で食い止めないといけない。 それにはどうしたらいいかということがやはり官民一緒になってと申しては手前勝手か もしれませんが、考えなければいけないんじゃないかという、一つは、先ほどの資料の 一番最後から3ページ目ぐらいに、薬事制度の改善のところに審査担当者の十分な質及 び量的確保と専門性の向上というところがありますが、これは審査担当者の方だけでな くて、申請者の質の向上ということもあるのではないか。それにはアメリカで全世界に 1万数千人の個人会員を有しているRAPSという組織があります。こうしたものも大 いに活用していきますと、中小企業の研究開発、あるいはそうした意味の質も大いに向 上するのではないかという気がいたしました。  それやこれやいろいろ感ずることは多々ございますが、いろんな意味で今回のビジョ ンが非常に何といいますか、前回に比べて私どもが言わんとしたいこと、あるいは考え たいことが前面に押し出されていますので、以上の3つのことを特に感じて申し述べさ せていただいたわけでございます。今後ともご指導のほどお願いいたします。  以上でございます。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本臨床工学技士会の川崎さんの方からお願いします。 ○川崎 日本臨床工学技士会の川崎と申します。  臨床工学技士会ということで医療機器産業の皆さん方とはちょっとまた違った医療関 係職種でございまして、これをちょっとご説明させていただきたいと思います。1988年 に医療機器の高度化・多様化というものを考え、従来の医療関係スタッフでは十分な対 応が難しいということで、医政局医事課の方から臨床工学技士法が上程されて可決した と。比較的、1988年ですので、20年前ということでございます。その臨床工学技士の集 まりとしまして、職業倫理の高揚を図ったり、学術技能の研さんとかシステムの向上と いうことを目的に団体を発足させております。それが1990年に発足しております。2003 年に臨床工学領域における医療器の安全対策事業を掲げまして、社団法人化しておりま す。この辺はいわゆる職能団体、幾つかの職能団体ありますけれども、医療関係職種の 団体があるんですけれども、社団法人の目的としてその医療機器の安全対策事業を掲げ て社団法人になったという会は私どもの会だけでございまして、現在の会員数は大体 9,000名というところでございます。年間に新卒者が出てきますので、年間今1,000名程 度の増加ということでございます。今後は大学とか専門学校が今どんどん増えておりま して、当初は数校だったのが10校にも満たない数だったのが今は60校と、学校、大学が 増えております。そうしますと、今後は年間に1,500から2,000名の新卒者が出てくると いう状況になっております。  私どもの主な事業としましては、いわゆる職能団体としての職業倫理の高揚であると か、学術、学会の開催であるとか、それからまた公益事業としては医療安全対策事業を 今推進しております。特に社団法人になってからは、日本医師会の安全対策との連携と か、最近では医療の質・安全学会と連携しまして、日本版医療安全100Kキャンペーン を今実施中でございます。特に私どもの会が担当している部分としましては人工呼吸器 と輸液ポンプ、注入ポンプの安全対策という部分のを担当して行っているところでござ います。  産業ビジョン、前回の産業ビジョンにおいては、主要フェーズにおいて医療機器の保 守管理を担当するマンパワーとして臨床工学技士の活用が示されました。また、医療機 器管理室の設置事業に関しましても、そこのマンパワーとして臨床工学技士ということ が明記されて、これは今後に大いに期待するところでございますし、臨床工学技士会と しましてはほんとにお礼を申し上げたいところでございます。  それから、今年の4月に施行されました医療法の改正においても、医療機器全安全体 制の構築ということで、医療機器の管理が責務となったことや医療機器安全管理責任者 の配置義務とさらには診療報酬上の医療機器安全管理料が新設されるなど、本当に臨床 工学技士の果たす役割が極めて明確になっております。  そして、その期待は期待としまして、これらの役割期待にどのようにこたえられるか ということが今の医師会の大きな責務となっております。そのスキルアップの対応とし ましては、既に関連学会と連携で専門認定なんですけれども、透析技術認定士であると か体外循環技術認定士、呼吸療法認定士、高気圧酸素治療技士、臨床ME専門認定士、 これらの学会との連携で認定制度があります。これにさらに加えまして、今年よりペー スメーカーICDの認定制度もスタートすると。そして、既にある透析技術認定士のさ らに上位資格として今考えて、今年実施予定なんですけれども、血液浄化専門臨床工学 技士という認定制度も今年発足しまして、技術レベルを保証していこうというふうに考 えております。  今回のビジョンに対しては、適切な使用法の徹底とか、保守管理において医療機器の 専門職として臨床工学技士の活用が示されております。それによって医療機器の確保が 大いに進むことと期待しております。また、臨床工学技士に関してのご理解を関係各位 の皆さん方にご理解いただきまして、ほんとにこの場をかりてお礼を申し上げたいとこ ろでございます。  いろんなビジョンの要望事項なんですけれども、ほとんどのことが網羅されているわ けでございますけれども、特に臨床工学技士会としましては、医療機器関連情報のIT 化といいますか電子化というのをどんどん進めていただければと思っております。特に 医療機器管理室で病院じゅうの医療機器を管理する場合、当然そこには標準の高度化が 必要になってきたり貼付文書の電子化を進めていただきたいというふうに考えておりま す。それから、新しい技術として手術ナビゲーションシステム等々、オペ室に新しい技 術が導入されております。そういうものに関しての臨床工学技士の研修の場というのが まだ不十分な状況でございます。それに対しても技士会として新たなそういう新しい技 術を身につけるというような場を環境を整備していきたいと考えております。  それから、最後になりますが、ビジョンでいろいろな役割というのが明確になってき ておるんですけれども、実際問題医療機関に配置、雇用されている臨床工学技士の数自 体がまだまだ少ないという偏りがございまして、透析関係には非常に臨床工学技士が雇 用されておりますけれども、他の部門ではまだまだ少ないという現状がございます。そ の辺、医療機関への理解をさらに促すような施策をぜひとも今後ともよろしくお願いし たいというところでございます。  本日はこのような場をいただきまして、厚く御礼申し上げます。以上でございます。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  続きまして、日本臨床検査薬協会の鈴木様、お願いいたします。 ○鈴木  ただいまご紹介いただきました日本臨床検査薬協会の副会長をしております鈴木博正 でございます。本日は会長の家次が出席できませんので私が代理で出席させていただき ました。また、本日はこのような発言の機会をいただきまして、どうもありがとうござ います。  まず、日本臨床検査薬協会でございますが、こちらは昭和58年に臨床検査薬を扱う企 業87社によって設立されまして、平成元年に厚生大臣の許可の公益法人となりまして、 本年で25年を迎えました。現在、体外診断用医薬品、これは医薬品の分類でございます けれども、これらの研究開発、製造販売を行っております国内外の企業122社で構成さ れております。臨床検査薬を通じまして国民の医療福祉に貢献するということを業界の 目標として活動しております。  今回の新医療機器産業ビジョンに関しまして、新しく私ども体外診断用医薬品を加え ていただきまして、業界といたしましては大変評価しておりますし、歓迎しております。 また、非常に感謝しております。体外診断用医薬品につきましては、改正薬事法で医薬 品として再定義をされました。ただ、最近ですと単なる医薬品ということではなしにい ろいろな機器と組み合わせて使うことが多うございますし、欧米ではメディカルデバイ スという形で分類されているところが多うございますので、今回このような形で日本の 医療に関わる産業政策としてこの医療機器産業ビジョンに加えていただいたことは、私 どもの業界といたしましても、この医療機器、医療技術に関する産業の一つとして今後 活動していきたいということでございます。  もう一つ、私ども昨年から今年の初めにかけまして、業界団体としまして約5年間の 注記活動戦略というものを別途検討しておりました。今回このような形で国の産業政策 と併せて検討する機会をいただきまして、平仄を合わせてこのような発展に寄与してい きたいというふうに考えております。  今回のビジョンに関してでございますけれども、私ども特に医療保険における医療機 器・医療技術の適正評価の欄に体外診断用医薬品を使用した新しいすぐれた医療導入手 続を検討するという形での表現をしていただいたことを非常に重く受け止めております。 これは産業政策の中でもオーダーメード医療との絡みで将来新しい技術的な発展を業界 挙げて進めていかなければいけないという点でございます。  これからの体外診断用医薬品の開発といたしましては、このビジョンの中の研究開発 の項目にありますように、早期診断、それから疾病の予防の検査、診断に関わる技術、 さらに遺伝子の検査など、そのようなこれまでにない新しい検査というものをいかに医 療の中で役に立てていけるかということでございます。もう1点、さらに創薬と結びつ いた、医薬品の開発と連携した新しい検査ということも開発の対象になるというふうに 考えております。先ほど申し上げましたとおり、機器と試薬が一体となった体外診断用 のシステムというものが現在主流になってきておりますので、これらの新しい記述、製 品に関しての開発、それが進展した場合の評価、規制の整備が必要かというふうに考え ております。私ども業界を挙げてこのような方向で努力してまいりたいと思いますので、 今回のビジョンに盛られましたとおり、このような新しい体外診断系を利用したすぐれ た医療技術の導入手続に関して、なるたけ早急に基盤整備をお願いしたいというふうに 考えております。  今後ともよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  それでは、最後に日本歯科医師会の稲垣様の方からお願いいたします。 ○稲垣  本日は医療提供側という形で出席をさせていただいております日本歯科医師会の稲垣 でございます。産業界の皆様のいろいろな取組とかご意見を聞かせていただきまして、 私どもの歯科というのはほとんど医療機器で治療しているということでございまして、 薬ではなくて医療機器に大変依存しているところが大きいので、皆様に大変ご支援をい ただいているということで挙げております。それから、今日ご列席いただいている行政 の皆様にもまたいろいろご支援を賜りまして、誠にありがとうございました。  今回の新医療機器・医療技術産業ビジョンの案を拝見いたしまして、歯科に関しまし ては初めていろいろ詳細に記述をしていただきました。非常に的確な記述でございまし て、担当されました関係者の皆様に心より敬意と感謝をあらわす次第でございます。  1点だけ、歯科医療ということに大きな影響を与えるということでございまして、1 点だけ少し申し述べさせていただきたいと思います。  先ほど商工協会の中尾会長の方からもございましたけれど、歯冠修復材料でございま す。現在歯冠修復材料にセラミックやチタンなどを使いまして、CAD/CAMを応用 する治療あるいは技工の技術が先進医療などで試行されております。これは技術の特性 から一部の歯科大学病院にとどまり、普及をまだしておりません。また貴金属の歯冠修 復材料は価格の変動など安定上の供給の問題がございます。今後我が国の要素技術を集 結いたしまして、素材と技術に画期性等が付与されれば、欧米においても高く評価され、 ニーズの増大も見込めるものでございます。これを特定分野に限定した重点的支援の在 り方の中の重点的分野の選定の考え方の中に具体的画期的歯冠修復材料という形で加え ていただきたいということを歯科医師会として一つ申し述べるものでございます。  本日は誠にありがとうございました。以上です。 ○木下経済課長  あと、じゃ最後に対馬さんの方から。 ○対馬  まず、きょう健保会館「はあといん乃木坂」をお使いいただきましてありがとうござ いました。お礼を申し上げます。  2つだけ観想的なことをお話ししたいんですけど、1つは私ども中医協の支払側なん ですけれども、公的な医療制度として資源に限りある中で、できるだけ皆様方の意見を 生かしていきたいということで20年度から改善改良についても改良加算をつけたという ことであります。今後とも今日のビジョン、それから産業界のニーズ、こういったこと を踏まえてできるだけの対応を図ってもらいたいというふうに思います。  それからもう1点、ちょっと気になるところで、これは事務局の方にお願いしたいん ですが、アクションプランにこういったこともやった、こういったこともやったという ことをずっと私も読まさせていただいんたんですけれども、このアクションプランの結 果、5年間の結果を読んでも全体像がなかなか浮かび上がってこないということだと思 うんですね。それで、そうしますと今回の新しいビジョン、これは概要版でありますと か、詳細版でありますとか、ないしは資料編、こういったもので全体がどうなのかとい うことをこの5年間なのかどうかということですね、ということなんだと思うんですけ れども、例えば国際競争力がほんとにどうなんだろうかということを見ますと、余りよ く見えないんですね。ないしはデバイスラグ、これがどうかということも資料を見ます とアメリカとの関係でもって、いったんまた乖離が開いたんだけどまた少し戻ったとい うことですけれども、全体的にどうかというのがなかなかちょっと見えない。そういっ た資料構成ないしは中身になっておりますので、恐らくこれは毎年毎年チェックをして いくんだろう、フォローしていくんだろうというふうに思いますけれども、できるだけ そういった目標といいますか目的との関係で実際どうなんだというところがわかるよう な資料構成にしていただければありがたいと、こういうふうに思います。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  それぞれのご専門の立場からご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。  全体としては医療機器の分野につきましては単なる物というものではなくて技術とい うものも含めて総合的にとらえているということ、あるいは新しい部分としての歯科部 分あるいは臨床工学部分とか、そういったものも加えて、かなり総合的なビジョンにな っているということでご評価をいただいたわけでありますが、ただその中でもやはり薬 事制度あるいは保険収載との関係、そういったご要望なりご意見をいただきました。特 に薬事制度に関して審査の特に迅速化というところを何人かの方がご指摘をいただきま したので、それから役所サイドからちょっとコメントをさせてもらいます。 ○中垣審査管理課長  医薬食品局の審査管理課長でございます。私の方から御礼とお願いをさせていただけ ればと思います。  医療機器業界の皆様方におかれましては、医療機器の審査の実務について業界の方々、 医薬品医療器総合機構の審査をやっている方、また我々と三者の間でタスクフォースを つくって議論をさせていただいているところでございます。現場の声を反映して、少し でも基準を明確化していくという意味で一定の成果を上げつつあるんだろうというふう に考えておりまして、御礼申し上げたいと思います。しかしながら、我が国と同様の薬 事制度を持っているアメリカと比べてみますと、新医療機器で申請までの期間が7カ月 ほど、申請から承認までの審査期間が7カ月ほど、合計14カ月ほど遅いのではないか。 いわゆるデバイスラグというのがあるのではないかというふうに分析をしているところ でございます。また、その審査を賄う審査官の数で見ますとアメリカの約10分の1にと どまっているというのが現状なんだろうと考えて、この春から皆様方と打ち合わせをさ せていただいたところでございます。  そのような中で、自民党の国際競争力調査会ほかにおいて、現状の審査官の35名を 100名程度に増員しろと。必要な費用は手数料体系の再構築で賄ったらどうだと。さら にはいろいろな施策を講じてデバイスラグの解消を目指すんだというようなご提言をい ただいたところでございますし、経済財政諮問会議の対日投資会議からも同じようなご 提言をいただいたところでございます。これらをまとめて本年の6月の骨太の方針の閣 議決定においては審査体制の充実強化を初めとする審査の迅速化のアクションプログラ ムを今年の秋までにつくれというような閣議決定をいただいたところでございます。  さらに、ご承知だと思いますけれども、医薬品医療器総合機構の中期計画は今年度で 終わって来年の4月から新5か年の中期計画に入るというような時期に来ているところ でございます。したがいまして、この骨太の方針の閣議決定にございます審査迅速化の アクションプログラム、ここにどのような施策を盛り込んでいくかというのは今後5年 の少なくとも承認審査を考える上で非常に重要なプログラムになるんだろうというふう に考えておりまして、もう既にご協力いただいているところでございますけれども、秋 に向けて皆様方との間でまたディスカッション、意見交換を積み重ねていきたいという ふうに考えておりますので、暑い中申しわけございませんけれども、大きなチャンスだ と。恐らくそれは我々にとってもそうでございますし、業界にとっても恐らく大きなチ ャンスなんだろうというふうに考えますので、ぜひご協力を賜りますようお願い申し上 げたいと思います。  そういう点で申し上げますと、今回示されているこのビジョンの中にも我々の不始末 で若干今まで議論していることと若干そごがあるところがございますから、そこはまた 事務的に調整させていただきたいと思います。どうもよろしくお願い申し上げます。 ○木下経済課長  そのほか幾つかの例えば医療機器の全体的なマーケットの予測の問題ですとか、これ から順次我々としても解決をして、官民挙げての推計ということをやらなければいけな いと思っておりますし、バーコード化とか何かその辺は、何かありますか。 ○五十嵐首席流通指導官  経済課首席流通指導官の五十嵐です。  何名かの方から情報化ということでバーコードのお話をいただきましたけれども、ご 承知のとおり昨年度の規制改革推進会議での閣議決定を踏まえて本年3月にバーコード の推進のための経済課長通知を発出させていただいたところです。向こう3年でバーコ ードを付与するということで通知を出させていただきまして、今後はやはりバーコード を貼付させていただくとともに、医療機関での使用ということも念頭に関係者の協力と いうところが重要になるかと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○木下経済課長  それから、重点支援分野につきましてもこれから具体的にどういう分野について重点 的に支援していくのかというところもまたご相談させていただきながら進めてまいりた いと思っております。  それでは、議論もいろいろございましたけれども、予定の時間に近づいてまいりまし たので、最後に和地会長の方から全体的なまとめということでご感想をお願いいたした いと思います。 ○和地  本日は大変ありがとうございました。  繰り返しになりますけれども、かつては医療機器というのは医療の道具扱いというこ とで、システムもすべからく薬中心だったのが、この数年の間に大変ご理解を深めてい ただきまして、今や国の政策として取り上げていただいたことに対して、改めて感謝を 申し上げたいというふうに思います。  昨今、目先のことに追われて、やっぱり広い目で物を見るとか、長い目で物を考える ということがおろそかになりがちでございますけれども、やはりこういうビジョンをつ くって行政・業界が認識を統一して、そして実践していくということが私は改めて大事 な時期だろうというふうに思っております。今後は企業側がこれにきちんとこたえられ るか、これが問われるというふうに思います。産業側としてもまた企業としても、要望 するばかりじゃなくて自ら決意を新たにする、志をきちっと持つ、あるいはチャレンジ していく、こういうことが大事だと改めて感じております。  ただ、特に私大事だと思いましたのは、この変化が今非常に激しい。それからグロー バルの戦いにおいても非常にスピードが速い。そういう中で、この戦略を早く実行して いかないと、変化に対応できないんじゃないかというふうに思います。某大都市の市長 が就任してすぐに中長期のビジョンをまとめさせたそうです。そして皆中長期だからの んびりやろうと思ったら、直ちにこれをあしたからやれということを言われたそうです けれども、私はそういうことがこれから大事なことなんだろうというふうに思います。 引き続きぜひご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。  簡単ではございますけれど、お礼の言葉に代えさせていただきます。どうもありがと うございました。 ○木下経済課長  ありがとうございました。  この新産業ビジョンにつきましての今後の日程でございますが、本日いろいろご意見 をまたいただきましたので、そういったことですとか、あるいはこれからパブリックコ メントを2〜3週間くらいかけまして8月の中旬ぐらいにかけてかけたいと思っており ます。そして8月中にはこのビジョンを公表するという段取りにさせていただきたいと 思っております。関係者の皆様には引き続きご協力のほどよろしくお願いしたいと思っ ております。  以上をもちまして本日の懇談会を終了させていただきます。ほんとに今日はありがと うございました。 (了)