08/07/09 第5回ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会議事録         第5回 ヒトに対する有害性が明らかでない      化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会                  議 事 録                   日時 平成20年7月9日(水)                      17:00〜19:00                   場所 九段第3合同庁舎11階共用第4会議室 ○化学物質対策課企画官 ただいまから、第5回「ヒトに対する有害性が明らかでない 化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を開催します。本日の検 討会は公開で行いたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。本日は蒲生委 員、名古屋委員がご欠席です。また庄野委員もご欠席で、代理として熊本様にご出席い ただいています。よろしくお願いします。  配付資料の確認をさせていただきます。配付資料として座席表、議事次第、資料1、 参考資料1〜3となっています。資料1は、前回ご提示させていただき、先生方のご意 見をいただいた、この検討会における検討課題を整理したものです。1番から4番まで 各項目ごとに細かな項目もありますけれども、対策の内容についての項目を列挙してい ます。参考資料1は、前回、第4回検討会の概要です。参考資料2は、厚生労働省が2 月に発出した通達です。参考資料3は、資料1で挙げた検討課題の各項目ごとに、参考 資料2で出している通達の該当する部分について抜き出しています。  それに加えて、ドイツ連邦労働安全衛生研究所(Baua)で出したガイダンスの該当す る部分を抜き出しています。またNIOSHの該当する部分と、経済産業省の委託事業報 告書によって取りまとめられたガイドラインについても、該当する部分を取りまとめて いますので、今日のご議論の参考になろうかと思います。以上、資料の説明をさせてい ただきました。  なお、本会合の開催案内にも記載させていただいたとおり、会議中に写真撮影、ビデ オ撮影、録音をすることは禁止していますので、ご協力のほどよろしくお願いいたしま す。本日は検討課題に基づき、各項目ごとに順次ご検討をお願いしたいと思っています ので、よろしくお願いいたします。以降の議事進行については座長にお願いいたします。 ○福島座長 それではこれから、私、福島が進行を務めます。労働現場におけるナノマ テリアルに関する対策について検討していきますが、委員の皆様より貴重なご意見をい ただき、充実した内容にしていただきたいと考えていますので、よろしくお願いいたし ます。今日の議題としては、1の「ばく露防止の予防的対策について」を中心に行いた いと思います。実際に議論の仕方として参考資料3を見ていただきたいと思います。こ の参考資料3を土台にして議論を進めたいと思います。先ほど篠崎さんから紹介があり ましたけれども、ここには通達と、Baua、NIOSH、経産省の委託事業報告書によって 取りまとめられたガイドラインをピックアップして、前もって事務局に出しておいてい ただいています。これを土台にして、ここから1つでもいいし、2つでも3つでもいい ですが、この意見は採用しようではないかということがあったらそれを採用し、さらに ここに記載していなくても、この事については検討すべきだということがありましたら、 またそれを提言していただきたいということです。それが1点です。  今日の検討課題ですが、資料1に1から4まであります。この1から4は前回、検討 課題として挙げたほうがいいだろうということで、事務局に作っていただいた資料を基 にして委員の先生方からいただいたものと、さらに宿題で持って帰っていただき、先生 方からメール等でいただいたものも加えて作っています。これについて検討したいとい うことです。  順序が逆になりましたが、今回、この検討課題(案)の「案」は取れていますけれど も、1から4についてこれから議論を進めたいということで、これはよろしいですね。 それでは先ほど最初に言いましたように資料1の各項目について、事務局でまとめてい ただいた意見が参考資料3として載っています。したがって、この参考資料3を中心に 皆様から活発なご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。1つ1 つやっていきたいと思います。  なお、検討課題が1から4と非常に多くあります。したがって、今日1日でできれば それでよし、7月の末にもう1回とってあったと思いますので、そこでもまた議論し、 そこでできればよし、さらに不可能でしたら8月という形で、現在、いつまでというの は決めていませんが、少なくとも7月か8月のところできちっとした形にしたいと思い ます。今日いただいたものを基に、もう一度事務局で練ってもらいます。練った形のも のをもう一度出していただいて、最終的にこの検討会での結論にするという予定でいき たいと思います。そういう形でいきますので、よろしくお願いいたします。  これから始めますが、この各項目について皆さんに読んでいただいて、どの項目を取 り上げるべきか、さらに追加する意見は何かということについて、これからディスカッ ションしてもらいたいと思います。1は、「ばく露防止対策の検討に当たっての問題と対 策」ということで、(1)は有害性情報等の不足ですが、総論として事務局から5つのも のを出してもらいました。これを読んでいただいてご意見をいただきたいと思います。  基本的には通達を出していますので、その通達が基本になるのかなと思います。通達 にないところの項目を、ほかのところから取っていくという形になるのではないかと思 います。その意味からすると、この総論のところの1つ目の○の内容です。これはこれ で取ってもらうということでよろしいですね。それを土台にして何か入れるようなこと があるでしょうか。  私の意見としては3つ目です。これは各論的なことに入りますけれども、3つ目でナ ノ材料の特性ということを述べています。「ナノ材料の特性は、化学組成が同一のより大 きな材料の特性と異なる可能性があるため、ナノ材料の場合は、不確実性が大きい」と、 これはNIOSHの書きぶりです。こういうことも総論で挙げておいたほうがいいのでは ないかと思いますが、どうでしょうか。ほかにございますか。別に1つ2つではありま せん。 ○大前委員 2つ目の○で、「今後、人体への影響については更なる知見の集積が必要で あり」の後が、独立行政法人労安研でばく露防止対策等の研究を進めているということ ですけれども、これは前半の部分と後半の部分が全く乖離していて、労安研のほうでは、 ヒトへの影響のほうのことも何らかの研究をされているのでしょうか。 ○福島座長 甲田先生、いかがですか。 ○甲田委員 うちのほうのプロジェクトの研究の中では、ヒトへのトキシコロジーのほ うの研究も併せてやっています。ただ、進展具合が少し違うので、ここに書いてあるば く露防止というか評価というか、そちらのほうが先行しているような感じになりますけ れども、一応、併せてやっていることは間違いないと思います。ただ、通達の結果で、 そこから持って来られたのだろうと思いますが、いま、全体的に日本で言うとNEDO のプロジェクトもやっていますし、厚労科研もやっていますし、日本全国挙げてやって いますよね。 ○大前委員 それはヒトですか。 ○甲田委員 ヒトのほうです。 ○大前委員 動物ではなくて。 ○甲田委員 vivoもvitroも、いろいろな形でやっています。ただ、疫学のデータがな いのは間違いないと思います。 ○大前委員 この場合、疫学のデータのことを言っているのではないかと思うのですけ れども。 ○甲田委員 それを指すのであれば、ちょっと違うと思います。やっていないと思いま す。 ○福島座長 先生の所では、もうやっているわけですね。 ○甲田委員 スタートはしています。 ○福島座長 ただ、他でやっていないのかと言うと。 ○甲田委員 そうではないということになると思います。だから、書きぶりとしてこれ でいいのかと言われると、おかしいという形になると思います。 ○福島座長 ただ、「人体への影響については更なる知見の集積が必要であり」というの は重要なことです。前半のところ、少なくともこういうのは必要であると、こういうこ とは総論で挙げておいてもらいたいと思います。他によろしいですか。これ以外のとこ ろで何かご意見はございますか。よろしいですか。それでは次の有害性のところに入り ます。有害性のことに関しては3つ挙げていただいています。いずれもNIOSHからと ってきたものです。1番目のところでナノの毒性については、表面積、溶解度、形状な どいろいろな問題をはらんでいるということですが、そういうことは有害性のときに確 かに注意して、特に実験などで注意してやる必要があることは事実ですね。どこまでや るかは別問題として。これは挙げておいていいのではないかと思います。 ○大前委員 このカーボンナノチューブですけれども。 ○福島座長 2つ目ですか。 ○大前委員 ○の2つ目です。カーボンナノチューブと言うと普通、管状のものを言う と思いますけれども、私が聞いたところでは必ずしも管状のものばかりではなくて、重 なった状態のナノファイバーとか、あるいは傘形の面白い形のナノファイバーとか、さ まざまな形の。 ○福島座長 先生が言われているのは単層とか複層ではなくて。 ○大前委員 ではなくて、要するにチューブ状でないナノファイバーがあるということ を聞いたことがあります。したがって、ここのところはナノチューブではなくて、むし ろナノファイバーのような表現のほうが、もう少し包括的な意味になるのではないかと いう気がします。 ○福島座長 ナノファイバーの毒性ということですね。 ○大前委員 ええ。必ずしもチューブ状だけのものではないというふうに聞いています ので、そこら辺は、どなたか企業の方でご存じの方に聞いていただきたい。 ○福島座長 どうでしょうか。小川先生、いかがですか。 ○小川(順)委員 カーボンのチューブ状の材料にしても、ここにありますように単層 のものと複層のもの、それから層が斜めに配向したカップスタック状のものなど各種の 種類があることはご指摘のとおりです。ただ、ここでNIOSHが評価したのはあくまで も単層で、そこのところの書きぶりをどうするかというところはひとつの検討ポイント となると思います。そもそも定義そのものをどういうふうに総括するのかというのは、、 まだ論議があるところです。チューブと言うと、あくまで中に空洞があるという定義に なります。定義や用語については、ISOでも論議されていますし、別途検討が必要では ないかと思います。 ○福島座長 そうすると、ここの所にあえてこれを入れますか、どうですか。 ○甲田委員 OECDだとか、そういうところでCNTという形で挙げられているので、 それをあえて日本だけCNFという形にすることがいいのか、違和感があって逆に混乱 してしまうのか、その辺のところの問題だと思います。たぶん作られたものというのは いろいろな形があって、もっと凝集したようなものもあったりする。いろいろな形のも のがあるのだろうと思いますが、要はそういう形で解釈の問題だと思います。 ○福島座長 どうなのでしょうか。ナノチューブとかフラーレンのような粒子状のもの とか、ナノによっても毒性が違うのだということを、むしろ書くぐらいにしたらどうな のでしょうか。総論のところでチューブとかファイバーという、そういうもののほうが 有害性としてはより注目すべきだということがあれば、それは入れるべきだと思います けれども、そこら辺、小川先生は何かご意見がありますか。 ○小川(順)委員 NIOSHでは、彼らの優先順位としてシングルウォールから実験を 開始していると理解しています。マルチのほう、あるいはそのほかの形についてはまだ これからの段階で、まだこういう文章に落とすところまで、彼らの実験が進んでいない のだと理解しています。いまの段階でここだけ取り上げることに、若干の違和感があり ます。 ○福島座長 そうすると1番と連動するかもしれませんが、ナノマテリアルの種類によ って毒性は異なる可能性があるということで、どうでしょうか。 ○菅野委員 もうちょっと正確なほうがいいかもしれない。どう定義するかは難しいで すが、同じ表面積のものだったとして、同じ組成だったとしても、形が違うと毒性が違 うということは十分にあると思います。ですから、表面積が同じグラファイトとシング ルウォールと、あとバトミントンのシャトルがつながったようなものとか、組成も重量 も1個当たりの重さが同じであっても形が違うと毒性が違うという、そこが何とか書け ればいいのではないかと思います。 ○福島座長 ですから種類と言うのでなく、もう少しそこのあたりを詳しく書いたらい いということですね。 ○菅野委員 形ですね、ディメンジョン。 ○福島座長 その形というのは、1つ目の○の形状とはまた違う感じというか、菅野先 生は別の考え方ですか。要するにそこのニュアンスを踏まえて事務局でまた作ってもら いますか。 ○菅野委員 形状で代表させる手はありますね。せっかくわかっているものを書かない という、もったいなさというのはなくはないですね。 ○福島座長 ほかにございますか。形状を強調した形で書いてもらうということです。 いいですね。ここのところはよろしいですか。それでは次、ばく露の経路に入ります。 いかがでしょうか。ここも6つ挙げられていますが、ばく露経路としては吸入、皮膚、 経口といったことが書かれています。当然、inhalation(吸入)が多く、次に皮膚、そ して最終的に経口と、量的なことからいくとそういうことかなと思いますが、ほかの経 路は何かありますか。 ○大前委員 吸入と言うと、通常は肺から入るというイメージが非常に強いですが、実 験によっては鼻腔の神経の末端から嗅球のほうに入っていくという実験がありますので、 それも何らかの形で、少しニュアンスとして入れておいたほうがいいのではないかと思 います。吸入は吸入なのですが、肺だけではないという意味です。 ○福島座長 鼻腔から入る、というふうにしますか。 ○菅野委員 それ以外に眼はどうしますか。 ○福島座長 眼ね。 ○菅野委員 粘膜なのです。 ○福島座長 粘膜ですね。眼も可能性がありますね。目も入れますか。入れておいたら いいですね。大前先生、そしたら今のところは鼻腔から肺というような、そういう。 ○大前委員 そういう形です。 ○福島座長 いいですか。 ○大前委員 はい。 ○福島座長 あと、いま菅野先生からいただいた眼です。眼のばく露というのはあり得 ると思います。よろしいですね。次、ばく露の生ずる工程・作業、ここはいかがでしょ うか。  最初のほうはBauaの記載事項をずっと並べてあります。いちばん上の○は、こうい うような内容でよろしいですか。労働者のばく露ですけれども、「充填、サンプリング、 清掃、及び保守作業のような」云々ということですが、ここのところについてどうなの でしょうか。 ○甲田委員 Bauaの表現の問題なのかもしれませんが、このサンプリングというのは、 どこまでサンプリングとして出てきたのかということです。調査をやった感じでは、中 途でサンプリングを行うこともあるのですが、製品としての回収というのがかなり大き いウエイトを占めたりするので、表現としてはいくつか整理しておかないと、ここはた ぶんいろいろな意味で各企業が、うちにこんな工程があったかということで参考にする ところですから、もうちょっと標準化した、こなれた言葉にしておく必要があるような 気がします。ちょっと分かりづらいような感じがするのです。  ただ、サンプリングというのは、どこから取るものをサンプリングとするのか。清掃 の工程などでお話を聞いていると、途中で製品を取って検査をしてみるとか、そんなの もあったりなどいろいろします。それが大きなばく露の原因だよという話になってくる と、例えばそこに関しても対策をきちっとしなければいけない。企業にとってはかなり プレッシャーになる可能性もあったりするので、その辺で言うと、言葉はもうちょっと 日本流にというか、こなれた言葉にしたほうがいい感じがします。 ○唐沢委員 いろいろ貴重なご意見をいただいているのですが、この事務局の資料のま とめ方は出典が明記してあるから、おそらく出典に書いてあることを簡潔に書いてくれ たのだろうと思います。ですから、今日出たご意見で事務局にまとめていただいた出典 にないものは、例えば本検討会の新たな提言とか、そういう形でまとめたほうが、著作 権の問題もあるでしょうし今後の問題点を浮き彫りにする上でも、よりクリアになるよ うな気がします。 ○福島座長 これは、事務局が必ずそのまま作るというわけでなく、今日、意見をいた だいたので、また独自な書きぶりになるわけですね。 ○化学物質対策課企画官 はい。今日はご議論の参考にということで、参考資料3を作 っています。 ○福島座長 独自な書きぶりにしたものを、また出してもらうという格好ですね。 ○化学物質対策課企画官 委員の先生方のご議論も踏まえて整理したものを、これとは 別に出したいと思います。それでまた見ていただけたらと思います。 ○甲田委員 今あった意見で気が楽になったというわけではないですが、そういうこと なのであれば、例えば先ほど言ったばく露の生じる工程や作業という、言ってみればリ ストアップです。どこがいちばん危険なのか、リスキーなのかということのピックアッ プになってくると思います。ここに書かれていることを改めて考えるのであれば、ばく 露対策をするときには非常に重要となるターゲットとなる作業になってきます。ですか ら、そういう意味ではかなり慎重にやることが必要だろうと思います。  例えばBauaが出しているガイドラインで、その基になっているアンケートなどを見 ると非常に特徴的なのですが、ある意味偏っていて、ドイツと日本でのナノマテリアル の製造の特徴の違いみたいなものが、逆にあったりするのです。我々もアンケートを分 析して苦労したのですが、ユーザーとメーカーでも違ったりするのです。だから、その 辺なんかも検討する必要が多分あるだろうと思いますから、ここのところではかなり慎 重にと言ったらいいのでしょうか、いろいろと意見を出していただいて、企業の方から も、そこは大丈夫なのではないかということも含めて少し議論したほうが、より日本の 実情に合った、リアリティのある対策につながる課題の抽出になると思っています。 ○福島座長 菅野先生、どうぞ。 ○菅野委員 製造工程に入るのかどうかわからないのですが、リサイクルは製造の一番 頭に来るのですか。 ○甲田委員 製品のことですか。 ○菅野委員 次の製品を作るために、前の製品をリサイクルするというのは。 ○甲田委員 そこまで言っているのかは。 ○菅野委員 そこで、前の部品をばらす従業員というのが製造過程に入るのであれば、 環境省との関係があるのかもしれないのですが。 ○福島座長 労働者がばく露するということはありますよね。ですから通常の製造工程 とは別個に、それは挙げていく必要があるでしょうね。 ○唐沢委員 今の意見にもありましたが、おそらくこの辺は主要な製造工程、あるいは 今のリサイクルみたいなものも含め、労働者がばく露する可能性があるものは、一応、 漏れのないように網羅的にずっと書くのだろうと思います。そして、その中で特に重要 なばく露防止対策が必要になるのは、これとこれとこれだというふうに、おそらくそう いう感じの整理をするのではないかと思います。 ○福島座長 篠崎さんのほうでずっと調べて、リストアップできますか。また専門の先 生と相談していただいて、今挙げていただいても結構ですが、また聞いていただいてそ このところを整理していただけますか。 ○化学物質対策課企画官 はい、わかりました。 ○福島座長 他にいかがでしょうか。今、ばく露の現場で工程上の話でした。そのほか のことですが、これはいろいろなことが書いてありますね。 ○小川(順)委員 (2)のところの内容も併せての検討で、「ばく露発生の可能性の評 価に基づく対策のランク分け」というところですけれども、今、いろいろな形でどうい うばく露があるのかを、例えば製造工程をリストアップして、その強弱を評価しようと いうことであるとすると、同じようにナノマテリアルの形態についても、いろいろな形 態があるので同じように検討するべきだと思います。今ここで、ここまでの論議に入っ ていいのかとは思いますし、前回、説明させていただいたところの補足にもなりますが、 ここで言う形態というのはナノ材料が繊維状なのかパウダー状なのかに焦点があります が、樹脂等に含まれているものもナノの材料という形で厚労省のほうで定義されていま すから、繊維状かパウダー状かという形態の観点以外に、材料として固体に含まれてい るものなのか、液体に含まれているものなのか、あるいはパウダーそのものなのかとい うことも併せてご検討いただくということも必要であろうと思います。 ○福島座長 ですから先生が言われるのは、(2)も加味してここの作業を考えたほうが いいということですね。 ○小川(順)委員 はい、そういう意味です。 ○福島座長 そういう意味からすると、液体を扱う作業云々と書いてありますが、そう いうことなのですか。その辺も取り上げたほうがいいということですか。 ○小川(順)委員 そうですね。例えば樹脂の中にナノ材料が入っているもの、これは ナノ材料として考えますと定義されています。それもいろいろな形の材料で強弱がある のだろうと思います。これは作業工程と同じような位置づけで評価してみるべきではな いかということです。 ○福島座長 わかりました。そういうのはナノの何と言うのですかね。種類でもないで すね。形状、性質ですか。何かありますか。 ○甲田委員 取扱うナノの特性というか、そういう形で聞くと、先ほど言った粉体状な のか液状なのかという、ある程度の回答は返ってきます。ただ、この(2)のところは、 要するに対策のランク分けというのは当然、リスクアセスメントを踏まえてということ になると思います。通常の化学物質のリスクアセスメントをする場合だと、下に「コン トロールバンディング」と書いてありますが、結局はばく露量と毒性のマトリックスの 中での話になってくるので、いまの話だともっと複雑な軸があるだろうということです。 その複雑な軸を入れて評価したほうがいいのかどうかという議論も、まだできていない ような気がします。この辺も少し意見交換というか、議論したほうがいいと思います。 ○福島座長 そのあたりを甲田先生はずいぶん研究されていますが、今までの先生の研 究成果から見て重要なポイントになりますか。 ○甲田委員 という感じはします。単純に言うと、例えばばく露量という話をしても、 ナノの種類ごとに製造量によって、当然ばく露量が違ってきます。その使い方によって も非常に特殊な使い方をすると、例えば懸濁液にこんなものを溶かし込んでやると、接 する機会が極めて低くなってくるということになるので、その辺でも議論はもうちょっ と整理したほうがいいと思います。あまりいろいろな軸を立てると複雑になりすぎて、 現実的に対応できる対策ができるのかどうなのか、そこがちょっと心配になるのです。 ですから、それを超えて、例えば毒性のデータとしてしっかりしたものが出ているかど うかというものも片や検討しながら、ちょっと時間がかかってしまうのは欠点かもしれ ませんけれども、そういう必要もあるという気はします。 ○福島座長 いずれにしても(2)の場合、先ほどの小川先生の話で申しますと、量的 のみならず質的なランク分けをするべきだということです。非常に難しくなってきます ね。 ○唐沢委員 2番目の○のコントロールバンディングの問題ですが、これはもともとは、 イギリスのHSEのCOSHH(有害物管理規制)の体系の中で特に専門家が得にくい資 金力もないような中小企業の方が、言わば簡易的にやる場合のケースなので、無視する ことはないと思いますけれども、あまり中心に置く話ではないのではないでしょうか。 オーソドックスな話ではないので、そういう位置づけを念頭に置きながら書いたらいか がかと思います。 ○福島座長 そうしますと、いま(2)のほうに入りましたが、前のばく露の生ずる工 程・作業のところはどうですか。ここのところはしっかりと考える必要がありますか。 いまここに挙げている「これだな、これだな」でなく、どうなのでしょうか。先ほど甲 田先生が言われたようなばく露の実態です。そこら辺をきちっと調べてから、もう一度 やったほうがいいのか。もう1つは、(2)も含めてナノの特性もきちっと調べて、もう 一度ここは挙げたほうがいいのかということです。 ○唐沢委員 厚生労働省におかれては、あるタイムリミットでとりあえずまとめなけれ ばいけないということがあるでしょうから、それを前提にして現時点ではここまで詳し く議論したけど、今後の問題は今後というふうにしておかないと、まとまらないという 感じがします。 ○福島座長 そうしましたら篠崎さんのほうで、いま出たご意見をまとめて小川先生、 甲田先生と相談して、現時点ではということの形でまとめ、それで今後、更に検討する 課題がここではあるとか、何かそういうようなところを付けてもらうといいかもしれな い。そういうのを出していただいて、また検討するという形にしたいと思います。よろ しいですか。  次は2の「対策の対象」です。ここでは(1)(2)ということで、まず(1)で対象と するナノマテリアルの範囲として定義が書いてあります。通達、そして我々の検討会で も最初の○で、100nmよりも小さいナノ粒子及び構造体ということですが、これはいろ いろな読み方があって、そこまできちっと言うのかどうかとなってきますけれども、い かがですか。 ○熊本委員(庄野委員代理) これは田村さん、OECDではナノマテリアルの定義も含 めて、いま検討していると思いますが、今の状況でOECDは、このナノマテリアルの定 義をいろいろなところに使うのはどうかと言っていると思います。スケジュール的には どういう感じなのですか。 ○化学物質対策課企画官 ナノの定義の関係ですが、現在検討中ということで、まだ明 確な線が出ていない状況です。 ○福島座長 定義のところは、第1回の検討会で出されたあの内容でよろしいですね、 どうなのですか。 ○小西委員 定義と、4頁の下の経産省委託ガイドラインのところに書いてある、後半 の「なお」以下のところです。これについてはナノ粒子の定義ということと、適用の範 囲というのが2つ入っています。ですから、ここは粒子そのものの定義や形態というこ とと、研究の適用範囲というのでしょうか、そういったものをきちんと区別して書いた ほうがいいのではないかという気がします。 ○福島座長 だから「定義等」となっていますが、「定義」としておいて、あと「自然界 に存在するナノ粒子」とか、こういうものを項目として挙げていくということですか。 ○小西委員 そうですね。具体的には、その中で研究対象にするものについては、こう いうものを対象にしますよということを明確にしたほうがいいような気がします。この ままでいくとすると、非意図的に発生する粒子は含めないと書いてありますから。 ○福島座長 1回目のときに、そのようなことがどこかに書いてありましたね。 ○化学物質対策課企画官 定義に。 ○福島座長 定義か別のところで、研究対象にするとかしないとか、普通のナノ粒子、 自然界に存在するナノ粒子については、検討課題にしないとか、そんなことが書いてあ りませんでしたか。 ○化学物質対策課企画官 工業的に作られた材料を対象とする、という書きぶりのとこ ろもあります。たしかそこら辺、作られたナノ粒子だけを対象にするのか、あるいは工 業的に作られたものでないナノ粒子も通達を出す場合の対象にするのか。そこら辺もひ とつの議論になるのだろうと思います。  通達を出してからの質問がいくつか来ているのです。その中でも今のような話で、通 常、ある物質を細かくしていった場合にナノサイズになってしまう。そういったものは 対象に含まれるのかということです。ですから工業的に作り出したもの以外にも通常あ る物質を細かくしていってナノサイズになった場合には、通達の対象にしていくのかど うかということが質問としてありました。  あと、対象とするナノマテリアルの範囲については、ほかには例えば凝集して、ここ にも出てきますけれども、ナノ構造体など、すごくかっちりと凝集されて100nmを超 えてしまう場合、そうした物質についても対象としていくのかどうか。あるいは通常、 物質で粒度分布があるので、細かいのほうのものは100nmを切ってしまうけれども、 それは物質全体から見ると粒度分布のある一部の部分であるということ。だからどの程 度までの状態の分子が含まれる場合に該当するのか。あるいは無機物や有機物の両方と も含めるのかといった質問がありました。 ○福島座長 アグリゲーションしようがどうしようが、基本的には分布を取れば100nm 以下のところがあるわけですから、工業的に生産されたもので1次元が100nm以下に あれば、すべて含めるべきではないかと思いますが、そのあたりはどうなのでしょうか。 少なくともここでは、非意図的にというものについては検討は必要ないのではないかと 思います。必要ないということはないのですが、そこまでやり出すと切りがないのでは ないかと思うのです。私はそういうふうに思っているのですが、それはいかがなのでし ょうか。 ○大前委員 労働現場の場合に、ミクロの単位のときの粒子に関しては、例えば「4μ mで50%カットで通過したものをrespirableという」ということになっているわけで す。このときは測った粒径は空気力学的な直径で物を言っているわけです。でもそれは ナノになるとどういう形になるか。例えば100nmで50%カットみたいなサンプラーが できるかどうかわかりませんが、この場合は議論していても仕方がないのです。例えば 比重10のものと比重1のものは、100nmで同じに扱うのかという議論は必ず出てきま す。生体のほうから見れば当然、空気力学的な直径で関わってくるものということで、 凝集体はナンセンスということになるのですが、でもそれを議論しても仕方がないので、 誰かが割り切って世界の定義に合わせるということしか、結論は出ないのではないかと 思います。 ○菅野委員 凝集体は、体外の試験管の中では相当がんばってもばらけないけれども、 生体の作用というのはかなり強いものがあるみたいで、フラーレンは生体の中でかなり 小さくばらけるようです。例えばフラーレンも最初は何にも溶けませんよと言っていた けど、コーンオイルには溶けるし、細胞脂質二重膜の成分であるスフィンゴミエリンと か、ああいう脂質系にも溶けますから、体の中の水、油環境、それも高分子油環境のあ るところでばらける。あるいはマクロファージのように非常に強いラディカルとか、酸 化還元電位とか、寄ってたかってばらしていこうとする機能がある場合には、ばらける ことがあることがわかってきているので、凝集体=ノーケアでいいというのは、一般の 化合物と違う意味でよくないのではないかと、最近思い始めているのです。 ○熊本委員(庄野委員代理) いまのOECDの考えは、多分凝集していてもナノと考え ているみたいです。多分そうなるのではないかと私は思います。 ○甲田委員 多分今後、そういう形で規制が行われた場合、例えば許容の濃度ができる のか。またはアスベストみたいに本数でいくのかという話になってくると、いまの話で 凝集体を入れないのであれば、例えばCNTだったら本数で申し上げると、フラーレン だったら個数でという話になります。結局、もう1つの例えばミリグラム/m3みたいな 考え方になってくると、基本的には凝集体も含めていくことになると思います。ですか ら、そういうのを検討していく段階では両方とも入ってくるような感じがするので、そ ういうのはOECDの考え方に従って、広くとっておいたほうがいいような感じはします。  ただし、非意図的なものに関しては別だと思うので、これが入ってくると区別が非常 にややこしくなって、実際に我々も測定とか評価をしていて、これは外のものなのか内 のものなのか非常に鑑別が厳しくなっています。そういう非意図的なものを一緒にやる ということは、特別に非意図的なナノマテリアルと工業的なナノマテリアルが、途中で 何かの形で反応して物を作るという特別な知見がない限り、分けていただきたいと思い ます。 ○明星委員 ひとつは体内での毒性としての凝集体というのと、もう1つは、いま直前 にありましたけれども、ばく露防止という意味で空気中に飛んでいたときの凝集体とい う部分があると思います。飛んでいるところの部分では、凝集体はたぶん大きな粒子と して、ミクロの粒子として、例えば捕集するとかいうことは可能だと思いますが、(体内 に)入ってしまった後にどうなるかは確かにわからない。この後の防護策といった対策 としては、いくらナノ粒子でも1回粉として集めたものをバンバン叩いても、最初のナ ノ粒子までばらけて煙になるとはなかなか思い難い。むしろそれよりは周りにいるディ ーゼルの排ガスのほうが、ナノ粒子として影響を出すと思います。  対策の部分としてのナノ粒子の凝集体と、生体影響としてのナノ粒子の部分というの は切り分けるところが、たぶんナノ粒子が普通の粉じんではないところだと思っていま す。凝集体であれば除去するとかいった部分は、実はそんなに難しくないかもしれない。 捕集方法で、さっきの4μmで50%のような吸入性粉じんとした場合には、みんな大き いほうに落ちてしまう可能性もあります。大きい場合にはナノ粒子が集まって取れてし まうこともあり得ると思うので、煙になって空気中を飛んで急にばく露するまでと、沈 着した後を、頭の中で分けていただくと今後の混乱が少ないと思います。 ○福島座長 定義としては、通達の1つ目の○にあるような、「原材料として製造され た個体状の材料」、そこでのサイズというふうにしたほうがいいのではないかと思うので す。そうでないと非常にややこしくなって、生体の中でどうなっているかわからないわ けです。あとは、非意図的に発生する粒子には含めない、というのがいいのではないか と思います。そういう意味でいうと、経産省の委託ガイドラインに含めているようなこ とですが、いかがでしょうか。 ○明星委員 甲田先生が言うように、含めないとこっちが決めても、測っているときに 含まれてしまいます。書くのは簡単なのですけれども。 ○福島座長 少なくとも有害性の研究として、そこのところの定義としてはそうしたい のです。 ○化学物質対策課企画官 粒度分布の関係で、どの程度までというのは、どのように理 解したらよろしいのでしょうか。何パーセントまで100nmを切っていたら対象に含め ると。 ○明星委員 (粉の)粒度分布をどうやってきちんと測って何パーセントにするかとい う測る部分です。いまの測り方にも何種類かあるけれども、気相中で測る測り方、懸濁 液にして測る測り方。どうやってバラバラにするか。ナノ粒子を水の中に入れて、超音 波洗浄をかけたぐらいでは、なかなかばらけてくれないのですが、どんどん力をかけて いくとある程度ばらけます。それでは、どのぐらいどうしたかによって、粒度分布の形 がどんどん変わってきて、何でもありになってしまうので、どの粒度分布を測るかがは っきりしないと、その次の何パーセントを対象にする、ということはなかなか決まらな いと思います。測定はOECDなりISOなりで決まっていくと思うのですが、その部分 を決めて、その中の測定方法で1%なり0.1%なりはいつか書くことはできるかもしれま せん。その測定方法が決まらないと、この議論は何でもありになってしまいます。  ただもう一方で、私は空気中に浮いている部分(浮遊粉じん)については粒度分布を 測ることはできると思いますが、たぶんその議論している方は、この「粉」の粒度分布 というふうになると思うのです。この粉のうちのナノ粒子は何パーセントですかと。例 えば重量でも体積でもいいのですけれども、「粉」ということになると、これを測るのは 意外に難しいのです。空気中に浮いている粒子のうちのナノ粒子が何パーセントか、と いうのは測定機械を持ってくれば、それなりに投資をすればできると思うのです。決ま っていくと思うのですけれども、測定方法には問題がまだあると思うのです。私は答え がない、という答えをしただけで役に立ちませんでした。 ○福島座長 そうすると、残念ながらそこまで踏み込んでは書かないということですか。 ○化学物質対策課企画官 常識的な判断をしていくということですね。 ○福島座長 はい。次は、4頁の中ごろに形態とありまして、形態とはこういうものと 記載してあります。専門の先生方いかがでしょうか、こういうことを書くのでしょうか。 形態というのはどのように書いたらいいでしょうか。○の1は、そう言われればそうで しょうねということです。 ○明星委員 単一ではない、例えば複合材としてなっているとかそういうことではない のかと思っていたのですが、そうではないのですか。それだけではなくて、何かと混ぜ て、粉というのは一般に扱いにくいので顆粒にするとか、取り扱いやすくもっていくの が必要なのです。いまの純品の粉というのは試薬ぐらいしかなくて、いろいろなものを いろいろなふうに混ぜていると思うのです。そういう意味での形態があるのではないか。 凝集体という意味で、薬の顆粒などでも、本来の粉ではなくて、そういう形態にして取 り扱いやすくします。そのときに何かを入れるからあの形になるわけですので、そうい う意味での形態ということではないかと想像しているだけなのです。それで凝集体にも っていく。 ○福島座長 凝集塊ですね。 ○明星委員 凝集塊にもっていくのではないかと思うのです。 ○甲田委員 似たようなことかもしれないのですけれども、検討会としての検討すべき 課題として、この形態に関してはどんなことが言えるのかというところを書けばいいわ けですよね。だから、先ほどから議論していたことに尽きるような気がするのです。こ れはこういう記述があるにしても、非常に断片的でかすっていて、重要なのかどうなの かよくわからないのです。先ほどの定義に関係して、形態というのも非常に一様でない。  特に議論で出ていたのは、凝集塊の存在が非常に重要になってくるというか、そこの 取扱いというか、そこの考え方というか、捉え方というか、それが非常に大切なのだろ うというのがここで出た意見だと思うのです。 ○菅野委員 質問なのですが、「最近市販用に」という「最近」がどのぐらい最近なのか わからないのですが、比較的最近ソリュブルフォームがいろいろ出てきていて、水溶液 中に単体でナノ粒子が浮いているようなものがたくさんできていると思うのです。その 場合、これは全然当てはまらないですよね。フラーレンも、今はOHをたくさん付けて 水に溶けますし、ナノチューブもいろいろなものを付けて水に溶けて、静注しても何も 起こらないという論文がどんどん出てきています。それがエアロゾル化した場合は最初 から単体なのです。 この文章は、ファンクショナライズドのナノマテリアルのことが 考慮されていないのです。もちろん「形態」というのをなくしてしまうというのだった ら話は早いのですけれども。 ○福島座長 この場合の形態というのは、あくまで定義づけとの関連の形態です。そう いう意図がメインで、それに派生して、こういう実際の市販用にはこういうのがあるの だというような書き替えぶりになっているのですね。 ○化学物質対策課企画官 定義に派生して説明的に書いてあるものですので、特にこう いうことを書く必要がなければ、それはそれでいいと思います。 ○福島座長 先ほど甲田先生が言われたような、ナノマテリアルの定義としての形態の 重要性は書き込むことにして、いま菅野先生も言われたように、いろいろなものが出て きていますので、そういうものも入れ出すと収拾がつかなくなってきてしまいますので、 ここではあくまで定義に関連するものだけ入れるのを形態という表現にしておきたいと 思います。 ○唐沢委員 菅野先生がおっしゃったようなことをまとめとして、今後の課題としては こういうものがあるというのを書いたらいかがかと思います。 ○福島座長 それは、どこか別の所に書いたほうがいいと思います。次は(2)対象と する労働者ですが、対象者はこれだけでよろしいですか。ナノマテリアルの製造又は取 扱いに従事する労働者を対象とする。労働衛生の面から見てほかにどうでしょうか。「製 造又は取扱い」ということですが。 ○甲田委員 そういう意味では、たぶん廃棄にかかわる業者。先ほどリサイクルという 話もちょっと出ていましたが、リサイクルも事業所と考えれば、それも労働者なのです。 そこのところが、この中では明らかに明記されていないところになりますから、そこの 扱いをどうするのか。この場で対象として広げるのかどうなのか、それにもよると思う のです。ただ生産量の多いカーボンブラックというようなものは、それに関連する人々 というか労働者が多いのかもしれないと思っています。 ○菅野委員 これからハイテクのものにどんどん使うと、製品はそのままではばく露し ないようなものが増えてくるけれども、リサイクルに持っていって壊す所でどういう出 方をするかわからないということになるのではないか。付加価値が付いてくるのです。 それも複合材料で、カーボンナノチューブに白金か何かをまぶしたようなものがもしあ ったとしたら、また違う意味のばく露の可能性も出てくるから、リサイクルあるいは廃 棄にかかわる労働者というのは、近未来的には考慮が必要なのではないですか。 ○福島座長 取扱いのところに、そういうものも含むという形にしましょうか。次は3 の「検討すべき対策事項」です。(1)作業環境管理があり、アでばく露状況の計測評価 です。ここでは基本方針、次に測定・分析技術で、いろいろな計器類のことを挙げてい ただいております。まずばく露評価に当たっての基本方針についてはいかがでしょうか。 ○大前委員 ナノの場合は、環境評価ではなくてばく露評価でいくのですか。 ○化学物質対策課企画官 そこのところは、まだ十分議論していないところです。手法 などが十分確立してくれば、作業環境測定で現在行われているように、場の管理という ことで取り組んでいけるのではないかと思うのですが、まだ、そういうことを検討する 材料が不足しているような状況だと思いますので、そこまで議論はしておりません。 ○明星委員 私が文献を読んで理解している範囲では、ナノ粒子の個人ばく露を測る方 法というのは現状では使えないと。海外の論文でも、言ってみれば場の測定のような形 で測って、作業場の分布等を出す。そうでないと測定機械が大きいですから、そういう 作業環境を測るような形でいまのところ評価していると思うのです。  逆に言えば、日本にとってこの部分はある意味で受け入れやすいです。場の測定のあ る種、簡略版なり、何か考えて測定するという意味では、資料のほとんどの部分は海外 の受け売りで書いていますけれども、この部分は、当面はわりと日本のやり方でいける と。たぶん、向こうは体につけられるぐらいの大きさまで測定器を小さくする方法をい ま一生懸命考えていると思うのですが、現状はかなり大きい装置が多いので、そういう 意味で場の測定ならできるけれども、個人ばく露の測定は非常に難しいということが、 いろいろな文献を読んでの理解では当たっているのではないかと思います。  だから、この部分は日本の現状に合わせた書きぶりができればいいのではないかと思 うのです。個人ばく露量はどうかという問題はまた別です。 ○福島座長 大前先生の言われるタームと、この「ばく露評価」という言葉がいいかど うかという。 ○大前委員 いままでは作業環境評価という形でやっていますので、個人ばく露の評価 はこのレベルでは使っていないわけです。「ばく露評価」という言葉を基本方針の中で使 ってしまうと、そちらのほうに行くのかということになると思います。 ○福島座長 作業環境評価。 ○大前委員 まだ基本方針は決められていないということでしたので、とりあえず現段 階ではこれでもいいのではないかと思うのです。そのうちに変えることになると思うの です。 ○福島座長 この検討会では、ひとまず「ばく露評価(仮称)」という言葉でいくという ことでよろしいですか。確かに明星先生が言われたように、その場を測るのであって、 個人を測っているのではないということですね。 ○明星委員 ナノの場合、現状では測れていないと思っています。 ○唐沢委員 裸でばく露評価とするか、いわゆる場の評価、あるいは個人ばく露評価と するかというのは長い議論になりますから、それを全部一応目配りした上で、いまは Exposure Assessmentという英文を使えば両方含まれるのだと思うのです。それを「ば く露評価」と表現しても、それほど間違いではないという感じはしています。 ○福島座長 「ばく露評価」という言葉をひとまず使っていきます。私は、その辺は漠 然と考えていたのですが難しいですね。言われますと、確かにそうだと思いました。明 星先生のお話ですと、労働者が受けたばく露を測定しなければならないとなると非常に 難しくなるということになるのですか。 ○明星委員 受けたナノ粒子のばく露と言った場合は非常に難しいと思います。難しい、 答えがないような答えしか言っていないので申し訳ありません。 ○福島座長 基本的にはどういう努力をしたらいいのですか。甲田先生、実際にやって みていかがですか。 ○甲田委員 先ほど言われたように、機械がものすごく大きいので、そういう意味で言 うとそんなのはばく露にならないのです。実際にやっているプロセージャーからいうと、 いろいろな作業工程を見せていただいて、例えばここがひょっとしたら出てくるかもし れないというような所の近辺へ機械を持っていって評価する。それは、作業環境を評価 する。ある程度手を打って、対策を打って、これでいいのではないかという理屈の上で 理想的なものでやって、同じような手法で測定する。その測定する機械はサンプリング して電顕で見るところまで含めて数種類ということになると思うのです。それで、環境 が結果的に良くなったと。それが、たぶんばく露の減少につながってくれるのではない かという形での作業をいま我々はやっているわけです。  そういうところからいくと、言ってみればばく露は減ってくるだろうということを期 待しながら、作業の環境を見ているというのがナノの現場での測定というか評価、リス クアセスメントなどでやっている精一杯のことと言ったらいいのでしょうか。産総研と 一緒にやっているのはそのような仕事になります。 ○明星委員 そのときに現場で飛んでいる粒子が、要素はナノを含んでいるけれども、 もっと大きいことも多々あると思うのです。それをどう見るかという部分です。だから、 それは大きい粒子だからいいのだということでないのならば、それはそれでまたばく露 の評価として何がしか考えなければいけないと思うのです。  そのときに、空気中に飛んでいるものは、よく見ると凝集体の塊が飛んでいるという ことにした場合には、それは最初の話であれば含まれることになります。それは何がし か測る必要があると思うのです。現状では、浮いているナノ粒子を測ることに集中して いるのですけれども、そうすると逆に粉じん職場を管理すれば簡単にできてしまったり するという横着な話かもしれません。それでも結構いけるのかと思ったりもしています。  今回の話は、普通に粉じんをきちっと管理した場合には、ナノ粒子も一緒に管理でき るのではないかというのは、甲田先生どうお考えでしょうか。 ○甲田委員 それをこちらに振られてもしんどいのですけれども、うちの測定チームで やっているのは両面からやろうということで、基本的には量的な個人サンプラーも付け ながら、粉じんとしての評価と、もうちょっとサンプルを取ってきて、どの程度のもの が凝集体がどのぐらいあってというようなことを、これはものすごく時間がかかるので すけれども、こと細かに見ていくことによる手法、それからPSなどを合わせていろい ろな特性を見ながら、かなり多面的に見ようとはしています。  ただし、最近やはりそうかなと思い始めたのが、ナノマテリアルの種類によっては多 分違うのです。先ほど出たようなカーボンチューブ状のものと、金属の酸化物みたいな ものによって特性がだいぶ違うので、その辺で一言でこういうふうに書けるのですけれ ども、実際に基本方針を具体化することになってくると、どの手法がいちばんいいのか というのは今後の検討課題として時間をかけて検討しなければいけないところだと思っ ています。 ○福島座長 ザクッと書けませんか。 ○化学物質対策課企画官 いまご議論いただいているのが、事業場にやっていただきた いことになります。今の項目がばく露状況の計測評価ということなので、端的に申し上 げますと、事業場で測定をしてもらうのか、それともしてもらわなくてもいいのか、す るとしたらどういう所をするのか、するとしたらどういう機械でするのか、ということ を示さないといけないと思うのです。  現状は大きな機械がいるということで、測定はなかなか難しいということはあるので すけれども、事業場での測定をしてもらうのか、それともしてもらわなくてもいいのか、 その辺からご議論いただければと思います。それで測定するとしたらと。 ○福島座長 現実に測れるかどうかということもあります。 ○化学物質対策課企画官 どこを測定するのかとか。 ○福島座長 現実にこれは相当大きな機械ですか。現実性を帯びたことですが。 ○小西委員 現実に事業場がいまやられているような計測で、それと同じような感覚で というのはまず不可能です。そういう形でいく環境管理の手法としては、いま明星先生 などが言われているような固定的な装置を、製造設備の周辺域に計測機器として、製造 設備の一環みたいな形で常時監視していく、といったことも考えておいたほうがいいの ではないかという気がするのです。  計測して、いろいろな凝集体を測るのか何を測るのかと言って議論しているよりも、 まずそこから発生してこないような作業環境に対する設備をどう管理するかということ だと思います。いままで、作業環境管理というところではあまり考えられてきてはいな くて、人が行って計測をしてというのを主体でやってきていますけれども、そういう意 味ではある程度の装置の大きさであっても、製造設備の周辺でそういうものを監視して いくというのも1つの考え方ではないかという気がします。  コンパクトな測定器ができて、精度が高くてできるようになれば別ですけれども、現 状の計測器を使って、大きな粒子を対象にして計測していって、それで管理をある程度 していくということぐらいしか、今のところではできないのではないかという気がしま す。 ○明星委員 ザックリ言いますと5頁に書いてある中で、表面積濃度とか、個数濃度を 測る機械です。CPCと書いてありますが、これはそんなに大きいとは思わないです。大 きいのは、SMPSとか、ELPIとか、あとはAerosol mass spectroscopyといったものは 大きい、値段が高い、工場に置いてなにかあったらどうするのだという機械ですので、 やはりそれぞれによって違うかとは思います。 ○小西委員 原則として、計測をする目的として何を測定するのかということだと思う のです。その成分をきちんと測らなければいけないのか、粒子の個数だけとにかく測れ ばいいのか、それによって計測の手法も変わってきます。そういうところをもう少し議 論しないとなかなか決められないのではないかという気がするのです。成分まで見るの であれば、それなりの計測をして、後で分析をしてということが必要になってくるのだ と思います。管理という形からいくと、そういうものをひっくるめて、何かの指標で管 理をしていれば、そういうものはみんな含まれるという形で将来持っていくのかです。 ○福島座長 私は、計測のことになるとわからないからな。 ○明星委員 全く私の個人的な意見ではありますけれども、物理的な個数とか、表面積 というのは何度も縷々言いますが、一般環境の影響は防げないのです。これが起きたの は、その製造ラインのせいかもしれないけれども、そうではないかもしれないというこ とで、どうしてもクリアには言えないのです。モニターとして自主的に判断するには使 えるかもしれませんけれども、客観的にどうかといったときには、やはり成分なりを測 るような方法でないと、確かにこれだとは言えないと思うのです。ですから、ボランテ ィアでやるものか、ある種管理としてやるものかによって違ってくると思います。 ○甲田委員 福島先生からも、ザックリ書けないかという話があったのでザックリ言わ せていただきます。うちのチームでいまやっているのは、いろいろな物質があるのでし ょうけれども、その中で生産工程などいろいろなものを見させていただいて、スポット というか、可能性のある所、ないしはかなり出ているでしょうというような所、ばく露 するでしょうというような所をリストアップしていって、そこをある程度押さえる。  そこを押さえる段階ではあの手この手と、先ほど言った重い機械から小さい機械、高 い機械から安い機械といったものを持っていってある程度評価する。その中で、それこ そザックリ危険がある所というのはこういう所がありますと。そこは、こういうふうに 衛生管理としては測定する前に、今の話でいうと、たぶん封じ込めみたいなものは必要 でしょうと。  それ以外に関して言うと、そこまでしなくてもいいのであれば、逆にどういう方法で 評価できるのか。簡単な話でいうと、粉として管理できるのであれば、一応粉としての 粉じん対策みたいなもので十分なのですというような類型化がある程度できれば、先ほ どの話からいくと、ザックリしたというか、実際の事業所などでもできる衛生管理につ ながるのではないかと思っているのです。  ただし成分云々を細かく言い出しますと、これはかなりややこしいというか、先ほど 言った非意図的なものとの違いをどう区別するのかとか、その辺がかなりややこしいの で、その辺のところはある程度大雑把にいくしかない。大雑把にいくというのはちょっ と雑なのですけれども、その辺のところはもうちょっと検討する余地はあると思います。 ○福島座長 これは難しいですね。基本方針としては、ある面で言うと努力目標しか書 けないということになりますか。 ○明星委員 努力目標とおっしゃるのは、管理の値として数値を設定することはできな いという意味ですか。 ○福島座長 はい。 ○明星委員 たぶん、これは何でできたかということに100%確信を持てないと、少な くとも先ほどの物理計測としての値では言えないと思います。元素分析なりで、これが これだけの量あるということになれば、かなりなのかなとは思いますけれども、物理計 測で、例えばこの部屋の空気が3万パーティクル/cm3ぐらいあるとしても、それが何 であるかというのはわからなくて、自分が関心を持っている粒子はそれに1割増しぐら いしか関係がなかったりした場合には、ちょっと何を測っているのだかわからない話に なります。(外部の粒子の影響のない)クリーンルームの中で製造して出てくるというよ うな事態になれば、確かにそれは対象のナノ粒子でしょうけれども、一般的な工場で、 外気も入ってくるような状態で粒子個数を測った場合に、その個数は何だったかと言わ れると、これかもしれないけれども、これではないかもしれないという話になって、ザ ックリとは言えないことになります。 ○甲田委員 今の話でクリーンルームと言われたので、こういう話をしたらいいのかど うなのかわかりませんけれども、製造ラインの大中小で違うのだと思うのです。先ほど 言った製造ラインの大中小で違うというのは、生産の需要性もたぶん違うし、企業の規 模も違うし、対応能力も違うしという話になってくるのだろうと思うのです。その辺を 一緒にすると、ちょっと困るかなというか、しんどいかなというか、基準を出すほうと してはそんな感じがします。 ○菅野委員 ばく露される側からすれば、ボディーバーデンがわかるようなパラメータ ーが取れればいいというザックリした書き方では無理なのでしょうか。チラッとおっし ゃったように、意図的に、使うものがわかっているのであれば途中は素っ飛ばして、原 素分析でこれだけあるというので、それをもし何の防護もせずに、毎分何リットル呼吸 した場合のボディーバーデンが大体計算できる。そういうので推定できる、という形で は無理なのですか。そうでもしないと、とても難しそうだと脇で伺っていたのです。 ○明星委員 検討課題です。 ○福島座長 わかりました。ここはペンディングにして、皆さんで考えていただきまし ょう。ここのところについては、ずうっと飛ばしたいと思います。基本方針が決まらな いで次へ行っていいかどうかということになりますけれども、イの密閉構造とすべき箇 所及び要件へは入れませんか、ここへは入れますね。6頁のイの密閉構造とすべき箇所 及び要件で、ここにまた基本方針が入ってきます。現在の通達では、最初の○で「製造 設備は原則として密閉構造とすること。ただし、これが困難な場合においては局所排気 装置を設置すること」とされています。  2つ目の○では、同じく通達で「密閉化・無人化・自動化によって」ということが書 いてあります。この辺はどうなのですか。いずれにしてもみんな密閉化、それが困難な 場合には局所排気装置を設置するということだと思うのですが、ご意見をいただきたい と思います。 ○甲田委員 密閉化のところで、これは結構な調査をやり、その結果の印象なのですが、 2つ目の○の中では用語として出てこないのですけれども、先ほどから何回か出ている 懸濁液と混ぜるというか、混練という作業の中で、アンケートの結果からいうと、労働 者のばく露は皆さん100%懸念していました。ですから、用語として懸濁液と混ぜ合わ せたり、混練するといったところというのは、この考え方からいうと密閉化ないしグロ ーブボックスの中でやる、という形のほうが望ましいのかもしれないと思っています。 ○福島座長 ちょっと理解できなかったのですけれども、製造工程のところに加えたほ うがいいということですか。 ○甲田委員 そうです。秤量だとか投入という言葉が出てくるのですけれども、事業所・ 企業の中では混練という言葉を使って生産を進めているみたいなのです。ですから、そ ういう用語がどこかに入ってきて、その対応策の1つとしてグローブボックスというよ うなのがあったほうがいいような感じがいたします。その理由としては、先ほど言った ようにアンケートで出てきた結果では、労働者のばく露は、少ないのですけれども100% の方が懸念しているという結果でした。 ○福島座長 わかりました。 ○明星委員 混練は加工装置に含まれるのではないですか。 ○甲田委員 「加工装置からの回収」ですか。 ○明星委員 「加工装置への投入」に含まれるのではないですか。 ○甲田委員 混練しないで投入するのですか。事前に混練するというようなのはないの ですか。いま言われているのは、投入の前処理ですよね。 ○明星委員 いや、混練というのは混ぜる作業を混練というのです。 ○甲田委員 それを、手作業でやっているということですか。 ○明星委員 いいえ、機械でも何でもいいのですけれども、混ぜる作業一般を混練とい っています。 ○甲田委員 それを手作業でというのはあり得ないのですか。投入して、機械でずうっ とやらせて。 ○明星委員 それは、何でもやろうと思えばやれると思うのですけれども、おっしゃっ ている意味は、混練というのは手作業でやっているという意味なのですか。私が理解し たのは、混練という作業は一般的には混ぜる作業なので、加工の一部かなと思ったので す。 ○甲田委員 なるほど。 ○明星委員 取扱いという意味ですね。 ○甲田委員 取扱いです。明らかに秤量というのは、製品として来たものをある程度測 るということです。測って、それを混ぜて装置の中に投入するというプロセスが違うの であれば、解釈としては落ちるかなと。 ○福島座長 製造・加工装置への投入のところに入ってしまうのではないかということ なのですね。 ○明星委員 混練作業というもの自体はたぶんそういうことだと思うのです。粉をミキ サーに、あんなには速くないのですけれども、グルグル回っている中にどんどん原料を 入れていくと均一になると理解しているのですが、違うかもしれません。 ○福島座長 そこは、事務局のほうで確認してください。 ○唐沢委員 先ほどの廃棄物の処理とか、リサイクルの話で、現在の書きぶりだと文字 どおりの製造が中心のようですけれども、せっかく本日いろいろお話が出ていますから その辺も読めるように工夫していただければいいのではないかと思います。 ○福島座長 リサイクルのところで話題に出た話ですね。基本方針はそういうことでよ ろしいですか。ベースとしては密閉構造、困難な場合には局所排気装置を考える。実際 の対策はいかがでしょうか。どういう対策がいいかということです。 ○化学物質対策課企画官 対策のところでは、囲い込み装置を使用するということで書 いてあるのが主なので、いまの基本方針の中と類似しているものがあると思うのです。 この表題のところで「密閉構造とすべき箇所及び要件」ということで、要件を考慮して 書いてあります。要件と申しますのは、例えば密閉構造にして、そこを若干負圧にしな ければいけないとか、密閉といっても本当に密閉にしてしまうのか、あるいは少し空気 の取入れ口ぐらいは開けておいてもいいのか。あるいは先ほどもちょっと出ましたグロ ーブボックスといったものの活用も図っていかなければいけないのか。その要件の部分 について何かご意見がありましたらご検討いただければと思います。密閉装置を使わな ければいけないということでは意見が一致すると思うのですが、特段要件が必要なけれ ば密閉するということで済むかと思うのです。 ○甲田委員 通達の中では、エアーシャワーですかね。密閉囲い込み装置だけではなく て、入るときに。 ○化学物質対策課企画官 製造現場と、製造現場の外との出入口といいますか、仕切り のところでエアーシャワーとは言っていないのですけれども、通達の5頁に、「ナノマ テリアルを製造・加工する施設や取り扱う施設と外部とを区画し、その間には除染区域 を設ける等により、付着したナノマテリアルを外部に持ち出さないように適切に処理す ること」という書きぶりにしております。除染区域ということで書いてあります。ここ も、いま言われたようなエアーシャワーが必要なのかどうか。その辺は後ほど出てくる と思いますけれども、検討の必要があろうかと思います。 ○甲田委員 密閉というか、製造設備ということ以外に、製造空間というか、そういう スペースであれば除染区域の必要性というか存在は議論しておくということが、外に出 さないというか、その基本になってきますので、検討課題としては必要なのだろうと思 うのです。  それは先ほどの話でも出ましたけれども、クリーンルームであれば当然そういうのが あるからいいのですけれども、そうではない大きな生産工程という場合にはそれを設け るのか設けないのか、ということは議論すべき課題ではあると思います。 ○化学物質対策課企画官 密閉設備というと、機械自体が密閉設備になっていて、そこ の作業場自体が密閉設備になっているわけではないと理解しているのですが、そうする と作業場と外部との除染の話と、装置の密閉の話とは別の話になるのではないですか。 ○甲田委員 生産工程の装置の密閉化でも、これは素人考えなのですけれども、メンテ ナンスするときには開けるのですよね。だから、それは永遠に封じ込めということでは なくて、結果的に言うと、メンテナンスで開けたりするときには副産物というか、製品 というかそんなものがたぶん出るだろうという考え方に立つのであれば、どこまでがと いうことも議論する必要があるのかと思います。そのために、除染区域の活用というの も検討課題になるのではないかと思います。 ○福島座長 よくわからないのですが、密閉構造の製造設備を置いてある部屋の気圧は 変える必要がありますか。空気の流れを考えてみるか。 ○化学物質対策課企画官 クリーンルームであれば、特別に計算されて、きちんと圧も 変えて、入ってくる風の量なども計算されているのですけれども、普通の生産設備とい うか、その大きさにもよるのでしょうけれども、計算されている所もあればない所もあ るのだと思います。メーカーの意識とユーザーの意識はひょっとしたら違うのかもしれ ません。 ○小西委員 言葉の使い方で、イの基本方針の最初のところは、「製造設備は原則として 密閉構造」という書き方をしています。次の頁では「製造装置は完全密閉系」と書いて あります。ですから、意味としては装置そのものは配管系で密閉系にするということと、 もう1つは甲田先生が言われたように、その点検ということになると、その設備を置い てある部屋をどうするか、というのとはちょっと意味合いが違うのではないかという気 がするのです。基本的に生産設備というのは、生産が順調に流れているときには一切ど こにも漏れてこない装置です。それを保守点検だとかいろいろなことをやったときに、 そこから意図的に漏れてくる可能性があるものについて、漏れてきたものをどう管理す るのかということとは、ちょっと意味が違うのではないかという気がするのです。装置 と設備というのは、工場の建屋も含めて設備と呼ぶのか、そこのところはきちんと区分 けしたほうがいいような気がします。 ○熊本委員(庄野委員代理) 私も工場が長いものだからそういう気で見ていました。 例えば、最初の○の製造設備が、2番目の○の中の原材料の荷受けなどいろいろある中 で、ここに書かれている意味はこの全体を含んでいるのでしょうか。それと、いまおっ しゃった○の3の製造装置というのが、これを見たときにそれをクリアにしておかない と正しく伝わらない可能性はあります。 ○福島座長 製造設備と装置は、どういうことが違うのですか。 ○熊本委員(庄野委員代理) 違うのではないかと、私もこれを見ていて思いました。 ○小西委員 違うような書き方ではないかという気がしたのです。 ○熊本委員(庄野委員代理) これは、書かれていることが違うのではないですか。 ○小西委員 装置は密閉系だけれども、そこで開ける場所があって、開けるときに関し ては局所排気装置なり、そういうものができない場合には局所排置装置でそれを吸入し ないようにするという考え方なのではないかと思うのです。 ○熊本委員(庄野委員代理) 私もそう思います。 ○小西委員 そのように考えたほうが考えやすいのではないかという気がするのです。 ○化学物質対策課企画官 通達の内容の書きぶりでは、予防対策として設備的には2つ に分けて、製造設備と、その他の作業工程ということで分けています。6頁の下に2つ の○がありますけれども、上のほうが製造するラインのことです。下の○はそれ以外の 各作業が行われる装置になっています。通達で製造設備と書いていますけれども、これ は部屋全体の話ではなくて、装置自体のラインの話なのです。 ○高田委員 参考資料2の2頁では、「ばく露防止のための予防的対応について」の(1) 製造設備についてで、「製造装置は原則として密閉構造とすること」となっています。そ れをそのまま持ってきているのであれば、わざわざ変えてここに書いているということ になります。だから、装置でいいのではないでしょうか。 ○福島座長 設備となると部屋も入ってくるのですか。それは、施設ではないのですか。 施設になると大きくなってしまうのか。高田先生が言われるのは、製造装置は原則とし て密閉構造とする、ということでいいということですね。 ○甲田委員 わかりにくいので、どこかで統一しないと我々が混乱しているのですから、 企業はもっと混乱すると思いますので、その辺をどうにかしないといけないと思います。 考え方として、先ほど言ったように製造する装置をピシッと止めたものと、その後は近 くに局排を置きなさいという話をしているわけです。よしんば漏れる可能性があるとか、 メンテナンスしたら外に出る可能性がある。ただし、漏れた場合には局排で出しますと いう考え方で言うのであれば、労働者がばく露する空間というものが、そこで言う設備 なのかもしれない。それは施設・建屋とは絶対に一致しないという考え方に立てばいい のかという気がするのです。そこは少し言葉を選んで、わかりやすいように言葉の定義 みたいなものを書きつつやれば混乱しない可能性がある。それは補足というか、補論的 に今後整理すべき問題だと思います。そうしたらどうかということです。 ○小川(康)委員 先ほども出ているのですけれども、通達の2頁の(3)のエで、施 設を外部と区画し、除染区域を設けると。ここは施設全体の区画で、その場合は密閉と はちょっとレベルが違うということです。だから、その用語の階層性はこれをも含めて 考慮して定義したほうがわかりやすいと思います。 ○福島座長 わかりました、そこは整理してください。内容的にはこれでいいというこ とです。先ほどの対策のところなのですけれども、囲い込み装置はどのようなものをい うのか教えてください。篠崎さんがこう書かれたコンテイントインスタレーションズと いう。 ○化学物質対策課企画官 私は、囲い込み装置というのは密閉設備のことだとばかり思 っていました。 ○小西委員 囲い込みというのは、囲い込みのフードであったり、ドラフトチャンバー 型のフードだとか、私はそういうふうに読んでしまいます。配管系そのものは密閉され ているけれども、先ほどから何回も出てきているように、オープンになる場所がある。 そういう場所については空気を囲い込んでおいて、それが外に漏れないような状態を作 り出す。はっきり言えば、グローブボックスなども一緒です。中を陰圧にして引いてい るわけですから。 ○福島座長 そこの部屋自体を陰圧にしてという考え方ですね。 ○小西委員 はい。囲い込み装置というのは、私はそういうふうに受けます。 ○熊本委員(庄野委員代理) 局所排気装置ではないのですか。 ○小西委員 局所排気装置の1つのパターンとしての囲い込みという意味に私は捉えて しまうのです。 ○福島座長 普通、企業のほうは局排装置から作ります。 ○小西委員 ここのところの囲い込み装置というのは、日本で工学的に使われている名 称にきちんと置き換えたほうがいいような気がします。そのほうがわかりいいと思いま す。 ○甲田委員 これはドイツのものだとはいえ、局排であればこういう用語は使わないと 思うのです。基本的には装置自身が先ほど言った密閉型のものであれば、それ自身が囲 い込み装置だろうし、基本的にそうでない場合には局排だとかいろいろなシステムだと か、そういうものを含めたものを囲い込みのシステムという形で呼んでいるのかもしれ ないと思うのです。Bauaの書いたことなので、ここで考えてもなかなかわからないと 思うのです。 ○小西委員 いちばん下のNIOSHの書き方のほうがわかりやすいですね。挙動の知見 に基づくと、発生源の囲い込みと局排と書いてありますから、まず空気を囲い込んでし まって、そこで排気をしてやる、という書き方のほうがなんとなくわかりやすいといえ ばわかりやすいです。 ○福島座長 時間が中途半端になってしまいました。次のウ、エへ行くと長くなってし まいますので、本日はここでやめましょうか。途中ですけれども、ここで終わりたいと 思います。先ほどのところで宿題・検討課題が出ておりますので、そこのところは先生 方にしっかり勉強していただきたいと思います。次回は、7頁のウから検討することに いたします。案件2番の「その他」ということですが何かありますか。 ○化学物質対策課企画官 7月30日は予備日ということで、議論の進捗状況を見てとい うことにしていたのですけれども、次回は7月30日の10時から12時まで、三田にあ ります共用会議所で開催させていただきます。次々回は8月28日の10時から12時ま で開催させていただきます。場所については決まり次第連絡させていただきます。  本日の会議議事録については、委員にご確認いただきました後に公開させていただき ます。事務局からは以上です。ありがとうございました。 ○福島座長 次回の7月30日は10時から12時ということですが、まだたくさん残 っていますので、少し延長するかもしれません。遠くからおいでの先生方は飛行機や新 幹線の予約をそのつもりで取っておいていただきたいと思います。以上で本日の検討会 は終了いたします。どうもありがとうございました。                照会先                                     厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課                電話03-5253-1111(内線5510・5514)