08/06/30 薬剤師国家試験出題制度検討会第7回議事録 薬剤師国家試験出題制度検討会議事録(第7回) 1.日時及び場所   日時 平成20年6月30日(月)10:00〜   場所 航空会館7階701+702会議室 2.出席委員(19名)五十音順   赤 池 昭 紀   市 川   厚   井 上 圭 三   大 野   勲   大和田 榮 治   加賀谷   肇   木 津 純 子   柴 崎 正 勝   白 神   誠   須 田 晃 治   永 井 博 弌   林   正 弘   樋 口   駿   平 井 みどり   森   昌 平   山 岡 由美子   山 本 惠 司   山 元   弘   吉 富 博 則   3.欠席委員(1名) 望 月 眞 弓    4.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 関 野 秀 人(薬事企画官)他 5.備考   本検討会は、公開で開催された。 ○薬事企画官 おはようございます。定刻になりましたので始めさせていただきます。いつものとおり、傍聴の方のカメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきます。 ○座長(井上) ただいまから第7回薬剤師国家試験出題制度検討会を開催いたします。先生方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。議事に入る前に、本日の委員の出欠状況について、事務局からご報告をお願いします。 ○薬事企画官 本日、望月先生から欠席との連絡をいただきました。それから柴崎先生が来られておりませんが、ご出席の予定です。他の先生方は出席いただいています。 ○座長 配付資料の確認をお願いします。 ○薬事企画官 お手元の資料を確認させていただきます。「議事次第」のほか座席表をお配りしています。その下に番号が振ってある資料が2種類あります。資料1として、「薬剤師国家試験出題制度検討会報告書(案)」です。資料2として、「出題分野・領域・出題数(案)」です。そのほか参考資料として、1から6までお配りしています。 ○座長 議事に入ります。事務局から連絡事項はありますか。 ○薬事企画官 これより議事に入りますので、傍聴の方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。 ○座長 本日は、前回に引き続き本検討会の報告書(案)について議論いたします。できれば今日の第7回をもって、新たな薬剤師国家試験制度の方向性を取りまとめたいと思います。期日の整備などの細かい点を含めて、本日配付している報告書(案)について、この場で検討し、後日検討結果を反映したものを改めて各委員に送付し、最終的な確認をすることで報告書を完成させたいと考えております。したがいまして、先生方にお集まりいただいて検討するのは、本日が最後になります。報告書の取りまとめに向けて、ご協力のほどをよろしくお願いします。報告書(案)について、事務局から説明をお願いします。 ○薬事企画官 資料1をご覧ください。前回お配りした報告書の案について、前回の検討会でいただいた意見及びその後にそれぞれの先生方からいただいた意見を踏まえて、本日の資料として用意しています。全体を通して説明させていただき、後ほど個別に議論いただければと思っています。  「はじめに」の部分は、前回と変わっておりません。この辺の言い方というのは、6年制の薬学教育の趣旨、国家試験の在り様を示した部分ですので、大事な部分になるかと思いますが、記述に関してはお読みいただくということで、説明に関しては付け加える部分はありませんので、省略いたします。末尾には、本検討会の報告書に基づいて、新たな試験制度は平成24年から適用されることが適当ということが記述されています。  2頁は「薬剤師国家試験の現状」です。これも現行の制度を紹介した部分ですので、説明は簡単にいたします。(1)には国家試験の目的が書いてあります。最初に書いてあるのは、薬剤師法にある記述をそのまま書いたようなもので、毎年少なくとも1回、薬剤師として必要な知識及び技能について行うということが書かれています。3段落目には、前回の検討会でご紹介したように、医道審議会の中に新たに薬剤師分科会が設置されましたので、今後試験制度に関しては、その中で取り扱うという部分です。(2)の「受験資格者」に関しては、前回と記述は変わっておりません。  3頁にいきまして、ここの冒頭に書いてある受験資格の部分は、前回の資料が多少言葉足らずで、4年制を出られた方に関する記述が曖昧でしたので、その辺を整理いたしました。  (3)の「出題科目、出題数及び試験時間」の部分は、前回と変わっていません。現行240問で行い、それを2日間で10時間かけて行っています。計算上1問あたり2.5分という内訳です。試験科目は、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、薬事関係法規及び薬事関係制度で、「出題科目」という言い方の中で4つに分かれています。(4)の「実施方法」ですが、筆記で、多肢選択方式を基本としていると紹介させていただいています。  4頁です。「合格基準」ですが、現状は(1)(2)に示したように、65%以上の正答率であって、なおかついま申し上げた4つの試験科目に関して、それぞれ35%以上の得点を求めています。配点は1問2点で、240問ですので合計480点ですが、毎年行われる問題の公平性を期す意味で、問題の難易度等に関して、ここに書いた「正答率」と「識別指数」という観点で補正をしています。  5頁です。大きな3として、「今後の薬剤師国家試験のあり方について」の部分です。最初の3つの段落には基本的なことが書かれていますが、この検討会では、「国家試験を通じて、基礎的な知識や技術はもとより、高い倫理観、医療人としての教養、医療現場で通用する実践力などを確認する必要があると考えた」ということで、これまで6年制教育の趣旨とか、薬剤師に対するいろいろなお考えに関して、よく使われている言い方をここに置いています。  「したがって」のところですが、「薬剤師資格を有する者として必要とされる基本的な知識等のほか、薬学の全領域に及ぶ一般的な理論や、医療を中心とした実践の場において必要とされる知識・技能・態度等を確認する必要がある」ということで、このあといろいろな新たな試験制度について、個別に整理しております。  (1)で出題基準について触れております。(1)は「新たな出題基準の策定とその対象の範囲」が書かれています。最初の段落は、出題基準が策定される、その意図するところが書かれていまして、「受験者が国家資格を付与するに相応しい資質を具有しているか否かを確認する」というのが国家試験の目的になりますが、その中で「出題範囲の妥当性を確保する」ことと、「水準が例年ほぼ一定程度に保つために策定されるもの」とされています。前回ご議論いただいた部分に関しては必要な記述は残していますが、「出題基準に拘束される必要はない」といった記述については省いています。これらの趣旨から考えれば、出題基準は引き続き策定することが適当ということで5頁の最後に書いております。  6頁です。出題基準というものは、どのようなものを基本とするかということで、とりあえず6年制教育が少し関係しますので、その内容に関しては、モデル・コアカリキュラムの項目を基本とすることが適当ということで、方向性を示しております。  (2)が「出題基準の体系」です。体系は、まず最初の段落で現行の体系を紹介しています。「大項目」「中項目」「小項目」及び「小項目の内容の例示」ということで、体系化されているということで触れていまして、これから策定する出題基準についても、同様の整理の仕方が適当ということが、第2段落に書いてあります。  また、項目の整理だけではなくて、出題に関する基本的な考え方や留意点、これも現行の出題基準に少し書かれているのですが、こういったものが記されることが望ましいと付け加えています。これらも医道審議会の下で成案化されることになるということを最後に加えていますが、以前、年末から年始にかけて、各大学からいただいたご意見を参考にすることが適当ということも付け加えさせていただいています。  (3)として「出題基準の見直し」についてです。これについては、現行「5年を目途に見直しを行ってきた」という記述に始まっていますが、「学術の進歩及び薬剤師業務の変化・進展は今後これまで以上に急速である」ということを踏まえれば、「見直しの期間を4年程度に短縮することが適当」ということで、これまでの議論を踏まえて、このような書き方をしています。また、社会的要請や医療の実情に照らして、薬剤師として具有すべき資質があるということであれば、それを試験制度で確認すべきものや、薬剤師業務として定着し医療の質の向上に貢献している内容といったものについても、見直しの段階で加えていくことが適当ということで、これも前回ご議論いただいた部分を、このような形で、見直しの段階で加えていくという整理の仕方をしております。  次は「出題分野」です。最初のところは現行の紹介で、先ほど申し上げたように4つの出題科目から構成されているという件です。2段落目にあるとおり、個々の各出題科目ごとの知識に関して、個別に資質として発揮しているのではないだろうという観点から、新たな試験に関しましては、科目別に試験を行うのではなくて、医療の担い手である薬剤師として、特に必要不可欠な基本的資質を確認する問題と、薬剤師が直面する一般的課題を解釈あるいは解決するための資質を確認する問題とに分けて試験を行うということで、その領域が全領域にわたるわけですが、こういったやり方をとおして、必要な資質を的確に確認することが適当という書き方をしております。  それを具体的な言葉にしたのがその次で、「必須問題」と「一般問題」に区別するという書き方をしています。このうち「一般問題」に関しては、「薬学理論問題」と、「薬学実践問題」に分けて、体系的に言うと3種類の出題分野ができることになります。  文章に書いているものを少し整理したものが、8頁にあります。この辺はそれぞれの試験の出題分野に関する定義になってきますので、大事な部分になると思います。(1)として、必須問題に関しては、「薬学の全領域のうち、医療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な基本的資質を確認する出題分野」という言い方をしています。一般問題のほうに関しては、「医療の担い手である薬剤師が直面する一般的課題を解釈・解決するための資質を確認する出題分野」ということで、1つ目の薬学理論問題に関しては、「薬剤師に必要な知識を中心に、技能・態度を含む薬学の理論に基づいて、薬剤師が直面する一般的課題を解釈するための資質を確認する出題分野」ということとし、また、薬学実践問題のほうは、「医療の実務において直面する一般的課題を解決するための基礎力、実践力及び総合力を確認する出題分野」という言い方をしております。  3番の「出題数」です。基本的な考え方としては、「現行の240問を上回る出題数を確保することが適当」というところに始まりまして、出題数の設定は、それぞれの試験出題分野ごとに行うということで、「適切に配分されることが適当」ということで書いております。  その次の「出題数」ですが、これに関して後ほど資料2で整理をさせていただきたいと思っていますが、3種類あるうちの「必須問題」に関しては、領域という言葉で表わすことにしていますが、「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」及び「実務」といった従来の医療薬学系の領域から、現在は120問ですが、それの半分程度ということで、55問を確保するとともに、「物理・化学・生物」といった基礎薬学と呼んでいた領域ですが、ここからは従来は60問ですが15問、「必須問題」については4分の1程度ということになります。「衛生」の領域からも、現在の40問に対して4分の1の10問ということで、「必須問題」に限っての配分ということでは、このような形で確保することになります。  また、従来、法規と制度に関しては、前回もご議論いただきましたが、ここの問題数に関して今回の整理では、ヒューマニズムと、カリキュラムでいうとイントロダクションに含まれる歴史といったものなどを含めて、新たに「法規・制度・倫理」といった領域をつくりまして、その中で10問という考え方にしております。以上によりまして、必須問題は90問となります。  一般問題に関しても、理論と実践とで分けて書いてありますが、理論に関しては、「実務」以外の領域で構成することとし、従来の医療薬学系の3領域からは、それぞれ15問で45問、基礎薬学系から30問、「衛生」から20問、さらに「法規・制度・倫理」から10問で、合計105問になります。  もう1つの「薬学実践問題」に関しては、「実務」の領域から20問、その他の医療薬学系の3領域を組み合わせたような、連問形式の問題ということで、合計60問、さらにこれまでご議論いただいていた複合問題に当たりますが、「実務」の領域に係る実践的な資質と、その基礎をなす「物理・化学・生物」「衛生」及び「法規・制度・倫理」、それぞれの領域における基本的な資質を複合的に確認する問題、という言い方をしておりますが、これに関して70問を確保するということで、それぞれの配分は資料2で説明いたします。以上によりまして、この部分が150問となりまして、トータルで345問になります。  その間にある10頁の2段落目で、「実務」から始まる文に関しては、複合問題のイメージということで、例えば「物理・化学・生物」の場合、「実務」との関係でどのような複合問題になるかを考えれば、この辺は適当かどうかはまた見ていただければと思いますが、薬物相互作用の実例とその根拠となる化学反応とか、生体内の薬物代謝の実例とその根拠となる生体反応や化学反応、こういったものが基礎的な知識と、実践的な知識ほか技能・態度といったものと絡めて、出題できるのではないかということで、書いています。  「衛生」に関しても、「法規・制度・倫理」に関しても、ここに書いてあるようなものを複合問題の1例として書いているということです。これら345問になりますが、出題数の増加が時間の延長に関係してくるわけですが、受験生にとって過度の負担にならないように2日間の日程の中に納まる解答時間を念頭に、問題作りをしていることが最後に書かれています。  資料2をご覧ください。この資料に関しては、縦軸で、便宜上置かせていただいた「領域」というところがいちばん左のカラムにきています。右に目を移していただくと、出題基準を想定したうちの、「大項目」と「中項目」だけをモデル・コアカリキュラムに沿った記述ということで、そのままにしています。またこの部分は、出題基準策定に当たって適切な表現に変える部分は変えることになると思います。その大項目と中項目を、ここに掲げています。さらにその右側のカラムには、「出題の分野」ということで、先ほどご紹介した3種類の出題分野ということで、「必須問題」「薬学理論問題」「薬学実践問題」の枠を設けております。  これを見ていただくと、最初に出てくる領域が、「物理・化学・生物」ということで、この領域から、必須問題については15問、薬学理論問題に関して30問、実践問題が15問です。この15問は実務との複合問題ということを構成するということですので、後ほど実務のところでも出てきます。これらを足すと、全体で60問となります。  1頁目の下が「衛生」になります。この分野は「健康」と「環境」の2つの大項目からなりまして、必須問題が10問、理論問題が20問、実践問題が10問ということで、この10問は実務との複合問題をなすということで、合計40問となります。  2頁です。まず「薬理」という領域が出てきます。これに関しては、大項目のほうで「薬の効くプロセス」と、現行のモデル・コアカリキュラムの表現を使っておりますが、このカリキュラムの項目に関しては、(1)から(5)までありまして、そのうちの薬理に該当するところが、(1)から(3)です。しかも、(1)の部分は、生体内の運命という部分が薬剤のほうに分類されるということで、それを除くところを範囲にしております。その中で必須問題が15問、基本問題が15問、実践問題10問ということで、合計40問です。このうち実践問題は、実務との組合せ問題ということで、連問形式のような形で出題することを念頭に置いた配分になっています。同じように、薬剤に関しても、15問、15問、10問で40問になります。  カリキュラムで言いますと、薬物治療とそれに役立つ情報の部分を、「病態・薬物治療」ということで領域を掲げまして、同じように15問、15問、10問で、40問となっています。  そして、「法規・制度・倫理」のところが、薬学と社会、医薬品の開発と生産、それからヒューマニズム、イントロダクション、この中には歴史が含まれます。こういった現行のカリキュラムの範囲を1つの領域としてカテゴリーにしまして、それ全体から必要数の問題を出していくことでの考え方です。必須問題が10問、理論問題が10問、実践問題が10問ということで、30問です。  「実務」のほうに関して、事前学習という言葉は、出題基準としては適切でないかもしれませんので、後ほど改めるとして、カバーする範囲としては、その部分と病院実習、薬局実習ということで構成して、必須問題の中では10問、その中は他の領域との組合せないし複合問題という形の出題で、それぞれ実践問題のところに入っていますが、30問と35問、さらに単独で20問ということで、必須問題の10問を足すと、合計95問となります。それぞれ必須問題だけが何問、理論問題が何問ということに関しては、2頁のいちばん下の縦の足し算をした部分で、90問、105問、150問というところをご覧いただければと思います。ここの表に整理したものを文章化したものが、いまご紹介した9頁になります。  資料1に戻って10頁の(4)の「実施方法」です。現行と同様に筆記試験が適当ということから始まりまして、技能・態度に関しても、実技の試験で行うことは現実的でないということで、実務に関する筆記問題で確認することが可能、という整理をしています。また、試験は正答肢を選択する問題を基本としますが、実践に即した問題解決能力を確認するという観点を考えれば、実践の場で取り得る解答肢の中から、最も適切なものを選ぶといったやり方ですとか、明らかに誤りである解答肢の中から最も適切なものを選ぶ、あるいは重要性の低いと思われるものを選ぶといった出し方もあるのではないかということで、ここに書いております。  次は「出題の形式」ですが、多肢選択方式を基本とするということに始まりまして、従来は原則5つの解答肢を設けていましたが、今後はこれにとらわれることなく、比較的柔軟に、無理して解答肢を設けることなく、出題に応じた適切な数とすることとするということを最初に書いています。「必須問題」に関しては、「設問の正誤を一問一答形式で問うことを基本とする」ということも付け加えています。「また」のところですが、正答の設問肢が1つでない、2つの正解を答えてもらうことも可能と考える、ということが2つ目に書いてあります。  解答肢の組合せということで、すべての解答肢の正誤の組合せの中から正しいものを選ぶというやり方を従来とっていましたが、これに関しては、複数の解答肢の一部の知識等に基づいて正答を導けるおそれがあるということで、これをなるべく改善するといった記述がこの部分に書かれています。  次が出版物を用いて解答する方式についてです。知識偏重型の試験の改善につながる可能性はあるけれども、実務上の負担も多大だということで、現時点で導入することは現実的ではないという整理をしています。ただ、やり方としては、添付文書情報のようなものを出題に関連する情報ということで問題作成の段階で用意して、それを配付・供与することによって、それを使いながら解くことは可能ということで、「積極的に取り入れていくことが望ましい」という記述をしております。  次は「合格基準について」です。基本的な考え方に関しては、最初に書いてあるのが、特定の領域に偏ることなく、一定水準以上であることが求められるということです。2つ目にあるのが、今回新たに設ける出題分野3分野に関して、それぞれの成績を見ても、それぞれが一定水準以上であることが求められるのではないかという部分です。3つの出題分野のうち必須問題に関しては、その趣旨を踏まえれば、総合成績に求める水準とは別にそれ以上の水準とし、かつ、他の2つの領域よりも高い水準を求めることが適当ということが書かれています。「また」に書いてあるのが、必須問題全体を捉えることに加えて、必須問題を構成する領域ごとに一定水準を求めるということが書かれています。他の理論問題と実践問題に関しても、それぞれを構成する領域ごとの出題に合格基準を適用することが適当と書かれています。  具体的な「合否の水準」ですが、(2)にあるとおり、全体として65%を基本とするということで、現行どおり問題の難易を補正して得た実際の総得点以上ということでの設定になるかと思います。加えて、各試験分野ごとに定めた水準以上ということも、今回も引き続き導入するということが書かれております。  各試験分野ごとの水準に関しては、理論問題と実践問題に関しては、構成する領域ごとの得点がすべて35%以上ということで、先ほど資料2で説明した、それぞれの領域ごとに35%を求めることになります。必須問題に関しては、すべての問題への配点、90問に対して70%以上ということと、90問をなすそれぞれの領域別に見た問題数に対して、その半分に当たる50%以上の得点を求めるという整理の仕方です。  次に「禁忌肢について」の部分です。この部分に関しては、偶発的な要素で不合格にならないような配慮が必要ということでしたが、今後に関して、他の国家試験における実施状況等も踏まえつつ、薬剤師として禁忌とする対象の選定を具体的に行っていくことにより、検討を継続して、導入に関してこれからも前向きに考えていく、といった整理をしております。  14頁です。「その他」ということで、前回ご議論いただいた各種項目に関して文書にしてみた部分です。まず、プール制に関しては、すでに出された問題(既出問題)に関しては、出題をしたという実績とともに、良質な問題というものがあるわけですので、そういったものはプール問題として活用することが適当としています。プール問題とするにあたっては、試験問題とか正答が公表されているために、大学関係者がさまざまな評価で分析を行っています。したがって、これらの意見を参考にしつつ、プール問題の質を高めていくことが望ましいという記述を加えています。そのほか公募についても、他の試験制度を参考にしながら検討するということで、この部分は引き続きの検討ということになります。  (2)の「試験問題作成上の留意点」ですが、今回新しい出題分野に基づいて問題が出されますので、それぞれに関して新たな体制ということで、しっかりとした問題作りをすることがこの部分に書かれています。特に、平成24年から実施することを考えますと、制度が実施される前に、事前の試行・検証を行うことが適当ということと、問題作りに関しても十分な検討ということで、事前にトライアルのようなものをやるということが書かれています。体制についても整備するといった記述もしております。  (3)の「多数回受験者への対応」ですが、多数回受験に対して、今回の検討会での整理は、一概に回数制限するのは難しいのではないかという考え方で、整理としては、これまでの薬剤師国家試験の合格者数の推移、新卒か既卒かの違い、あるいは回数そのほかの推移を見たり、他の国家試験の動向を踏まえつつ検討することが適当とまとめております。  (4)の「技能等を確認する試験の導入」に関しては、共用試験で行われているOSCEに関して、有効な方法の1つと考えられると書いてありますが、現時点においては、評価の客観性、透明性の確保、試験の実施体制の整備といった、OSCEを資格試験として導入するにあたって解決すべき問題、課題を検討しながら、これからも検討していく。さらには、卒業時のAdvanced OSCEみたいなものの検討も含めて、いろいろな観点からこれからも検討していく、というまとめ方です。  17頁の「おわりに」ですが、この検討会としてのメッセージに当たるものをいくつか書いています。最初には1年間検討してきたということが書いてあります。その後に期待ということで、試験というのが有効に資質を確認する上で機能するようにという記述があります。さらには、教育に対しても好影響をもたらすことを願うということと、あと、社会情勢の変化等に伴い、試験制度も柔軟に対応し、必要な検討や改善を続けることを望むという記述があります。さらには、国家試験に加えて、第三者評価というものも含めて、教育のプロセスも重要であるという記述をしていて、さらに免許取得後に関しても、生涯学習というものを充実させ、薬剤師がそれに取り組んでいくことが国民から見て非常に重要な部分ではないかという点があります。最後は、新しい試験制度が円滑に実施されて、国民が求める薬剤師が輩出されることを期待すると結んでいます。  それ以下は名簿と開催状況を書いておりますので、この部分に関しても誤記等がないか、後ほどでも結構ですのでご覧いただければと思います。全体の説明は以上です。 ○座長 ただいま事務局から報告書案の全体の説明がありましたが、ここからの検討は前回と同様に、切りのいいところで区切って議論を進めます。1頁の「はじめに」から、2頁から「薬剤師国家試験の現状」までで、ご意見なりコメントはありますか。少し細かいことを言うと、例えば3頁の上に書いてあることは、6年制になってからの薬剤師国家試験の受験資格で、大きな括りの2番の「薬剤師国家試験の現状」という中に、いまのところを入れていいのかなというのは気になりますが、どうでしょうか。 ○薬事企画官 正確な意味での現状というのは、2頁に書いてある内容です。一方で、3頁に書いてあるのは、すでに法律が改正されて制度上は位置づけられている部分ですので、大きな3に書くのもどうかと思いましたので、ご紹介という意味でこの部分に置いたのですが、そういう意味で、3頁の冒頭に「なお」と付け加えて触れておけば、いちばんいいのかなという気もします。 ○座長 いかがでしょうか。特になければ先に進みます。次は5頁の「今後の薬剤師国家試験のあり方について」です。まずは5頁から7頁の「薬剤師国家試験出題基準について」です。 ○大野委員 資料2のカラムの名前付けなのですが、「領域」とあって、「出題基準」とあって、「出題分野」とありますが、「領域」というのは「出題基準」の中に入らない別個のものなのですか。 ○薬事企画官 これは「出題基準」の中の言葉として使うことは可能だと思います。そのほうが場合によってはわかりやすいと思うので、そこは出題基準策定のときに考えさせていただきたいと思います。そうすると、6頁の(2)の「出題基準の体系」のところで、少し「領域」という言葉について触れておいたほうがいいかもしれません。 ○座長 「出題分野」という言葉で、この「分野」というのは、必須問題か一般問題かを表現するときの言葉として使っているのですが、我々が普通に「分野」というときには違うものをイメージするので、別の表現ができたらいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。例えば「区分」とか、そのような表現のほうがいいような気がするのですが、いいアイディアがあればお伺いしたいと思います。「区分」より「分野」のほうがいいというご意見はございますか。 ○樋口委員 どちらかというと「出題分野」というのが、「出題基準」に馴染みますよね。大項目、中項目のところのほうが「分野」に馴染むような感じがして、出題分野というのはスタイルですよね。ですから、その辺を整理した言葉にしたらいかがでしょうか。 ○座長 樋口先生のご意見をもう少し具体的に言っていただくと、どこをどうすることになりますか。 ○樋口委員 「出題基準」を「出題分野」にして、「出題分野」を「出題形式」とか。いまいい言葉がないのですが、イメージとしてはそちらのほうが近いのかなと思ったのです。「出題分野」が必須問題、一般問題になっていますが、「分野」とすると対象とした領域になりますから、「出題基準」のほうが、どちらかというと「出題分野」ということが馴染んでいて、「出題分野」のほう、必須問題、一般問題はどちらかというと形式、スタイルですから、「出題形式」などのほうがわかりやすいのではないかと思います。 ○薬事企画官 「出題基準」の表現に関しては、これは厚生労働省で出す公文書のような形になりますので、その中に表現としていちばん馴染みやすい出題の分野とか、出題の範囲といったものが中身に入ってくると思うのですが、その出来上がりとしては、さまざまな出題に当たっての留意点などが盛り込まれる体系的なものになりますので、言葉としては「出題基準」にさせていただきたいと思います。  一方で、「出題分野」といま書いている3種類の問題を出す、タイプということに関しては、医師の国家試験の場合でも、「領域別」という言い方とか、「問題区分別」という言い方をしていますので、先ほど井上座長の言われた「出題区分」という言葉はある程度馴染むのかなと思っています。 ○座長 「出題基準」という言葉を使うしかないというか、オフィシャルな使い方としては、このような使い方だということなので、これはそれでいくことになると思いますが、いかがでしょうか。 ○薬事企画官 「出題基準」についてはその言葉を使わせていただきたいのですが、「出題分野」のほうは「出題区分」でも構わないと思っています。 ○座長 ここは「出題区分」という方向で考えることにします。他にございますか。 ○薬事企画官 その関連で言いますと、7頁の「出題分野」のところですが、検討のまとめのこの報告書としては、最初の段落にあるとおり、現行の4つの出題の科目について触れていますので、報告書の見出しとしては「出題の分野」ということに残しておきまして、結論として、今後の呼び方として、「必須問題」「一般問題」「理論問題」「実践問題」という件の中で、「今後はこういったものを出題区分という」などとして「出題区分」におきかわる書き方にしたいと思います。 ○座長 次の7頁の「出題分野」と、8頁の「出題数」について、ご意見を伺いたいと思います。「出題分野」については議論が出尽くしていると思うのですが、「出題数」に関しては、それぞれにご意見があろうかと思いますので、「出題数」のほうはいかがでしょうか。特に、ヒューマニズム、関係法規の辺りについて、前回まで随分ご意見が出ていたと思います。基本的には、そういうご意見を入れた形で、10問に増えているわけですが、いかがでしょうか。 ○山本委員 出題数の具体的なところではないのですが、この章の最後、10頁の(4)の「実施方法」の直前の3行ですが、「1問あたりの解答時間を考慮する等により、現行の2日間の日程を維持することが適当」とありまして、私もこれは適当ではあると思うのですが、如何せん現行が240題で、今度が345題となりますと、40%以上増えるということで、この文面では、必須問題が何分、一般問題が何分ということは書かれていないのですが、必然的にいま、たしか1日5時間ずつやっていて10時間だと思うのですが、これが4割ずつ増えると結構大変になるということで、具体的なことを記述する必要はないのかもしれませんが、目安はどこかではっきりさせる必要があるかなと思っています。 ○薬事企画官 この部分の時間数に関しては、2日間に納めるというのは、この検討会の中で触れている部分なのですが、これは実際に問題作りをしていくときに、現行のように1問2.5分と画一的にしてしまうのがいいのか、また、医師などの場合ですと、問題を毎年作っていく度に、時間割も10分、20分長かったり、短かったりしますので、ある程度柔軟性をもって適切な時間設定、その余地を残しておいたほうがいいのではないかということで、ここでは2日間に納まる範囲だけについて、基本的な方針として触れる意味合いで、このようになっています。  ただ、そうは言っても、100問程度増えることに関して、全く検証ができていないのもまずいと思いましたので、いま2日間で納まる範囲の345問を捉えた場合に、1問あたりの時間ということで考えてみました。必須問題は1.5分程度で90問、理論問題は全体で105問ありますが、1問あたり現行の2.5分に対して2分ということで、少し節約をして、全体で210分です。実践問題は、実務単独は理論問題と同じで、1問あたり2分で、全部で20問ですので40分程度です。組合せと複合問題に関しては、それぞれ60問、70問で、合計130問ありますが、これらを1問あたり、現行と同じ2.5分とカウントした場合、この範囲であれば、休憩も入れて2日間に入ります。この辺りまではシミュレートしています。あとは問題に応じて、多少時間の使い方は変わってくると思いますが、いま申し上げた1問あたりの配分であれば、入ることは確認できています。  また加えて、先ほども出題の方式のところでご紹介しましたが、解答肢を5つ用意して1問解くことを原則にしていますので、その中では5種類の知識あるいは技能に対して、正誤なりを問うてる形になりますので、2.5分の使い方が、5つの知識を確認するという意味では、1問あたり大体30秒で、それの正誤を見ながら、その組合せが正しいかということで解答していますので、解答肢を5つのところを、場合によって無理して5つ作る必要もなく、4つにするとか、一問一答形式であれば、二肢択一になると思うのですが、そういったところで時間の改善は図れるのではないかということもありますので、形では100問増えていますが、いま言ったような時間配分を考えていけば、2日間に納まるのではないかと考えています。 ○白神委員 いまの問題に関連してですが、時間割の問題もあると思います。普通に考えれば、現在の複合問題と実務の問題を合わせて2日目という感じはします。そうすると、逆に言うとそれ以外の185問が1日目、残りが2日目ということで偏りが出る可能性があります。それから、時間を稼げるのが必須問題だとすると、それでうまく配分ができるのかと、その辺も考慮しながら考えなければいけないのではないかと思います。 ○薬事企画官 従来ですと、「試験科目」という形で時間割が決まっていたわけですが、今度は科目の概念を取っていますので、先ほどの話では「出題の区分」という話になるかもしれませんが、区分の中で、途中に休憩をはさんでもいいのではないかという考え方もあると思います。  また、特に問題数の多い実践問題のところは、全体を通して休憩をはさまずにやると、かなりの時間になり、3時間にも近づくようなことにもなりかねませんので、ここは2つに分けて時間割を作ってもいいのかなと考えています。 ○吉富委員 9頁の下のほうのブロックに、組合せ問題と複合問題というのがあって、組合せ問題は連問でわかりやすいのですが、複合問題というのも資料2で合わせると、2問連続でやっている形で、複合問題と称しているということですね。組合せ問題と複合問題というのは、定義的に言うとどのように違っているのですか。 ○薬事企画官 問題の出し方という意味では、同じように2問つながったような状態になっているとは思うのですが、そこで問うている趣旨は9、10頁に書きましたが、複合問題に関しては、実務の領域に係る実践的な資質というのがあって、それを聞く場合にその根底にあるような基本的な資質を問うような問題を想定しています。組合せのほうは、実務と薬理であれば、それも場合によっては実践的な資質と薬理学的な知識を確認するような問題になるかもしれませんが、必ずしも根底にあるかどうかということではなくて、関連のある問題ということで、比較的組合せ問題のほうが条件が緩やかなイメージで捉えておくのではないかと考えています。  過去にいくつか問題の例を出しましたが、その範囲が、従来でいう医療薬学系の範囲にとどまるものであれば、それを便宜上組合せ問題と呼び、物理・化学・生物といったところまで踏み込んで問うような問題であれば、実務に関係する問題と絡まった基礎的な部分を問うということで、結び付いたものを複合問題と呼ぶのかと思っています。 ○座長 この2つはある面で微妙なところはあると思います。 ○薬事企画官 試験制度自体の中で、組合せとか、複合問題が明確に出てくるわけではありませんで、あくまでも薬学実践問題の出し方ということで、問題の作り方が、基礎と実務を連動させて、複合的に出すといった考え方ということで捉えていただいてもいいのではないかと思います。 ○永井委員 9頁のいちばん下の複合問題のところですが、70問ですか、60問ではないですか。 ○薬事企画官 資料2で申し上げますと、最初の頁にある物理・化学・生物から15問、衛生から10問、法規・制度・倫理から10問で、35問になります。それと、実務と複合的に作りますので、35問に対して、それぞれ実務と結びついた状態で、35問となります。35問と35問で70問となります。  別な言い方をしますと、資料2でいう物理・化学・生物の実践問題のところにある15問と、実務のほうと複合させますので、15問と15問で、その段階で30問、解答でいうと30解答ですね。同じように、衛生が衛生分として10問、それが実務と複合するので、実務が10問、衛生と実務の組合せで20問となります。それでいくと70です。 ○座長 そうすると、10頁に「以上を合計すると」云々とあって、「今後成案化される薬剤師国家試験出題基準などにおいて明確に示される必要がある」ということは、いまここで提案している問題数が、場合によっては変更可能という意味なのでしょうか、それともここで決めてしまうと、これに当分は縛られることになるのでしょうか。 ○薬事企画官 実効上は、この検討会で非常に重要な議論をしていると思います。この報告書が基本になりますので、この報告書の中でまとめられた出題の配分で実行を考えるのが適当ではないかと考えています。一方で、手続上は医道審議会ができたこともありますし、そこで改めてプロセスがありますので、そこでも審議になる関係上、こういった多少含みのある言い方になっておりますが、我々としては基本的にこの検討会でまとめられた方向性を重視したいと思っておりますので、この検討会で書かれた問題数が基本だという考え方です。 ○座長 実際にはやってみないとわからないところもあり得るのではないかと思いますので、これから先何年かあるわけですから、仮にいろいろなことをやってみたときに多少無理があることもあり得るのではないかと思います。その辺りは、次に基準を変えるときまでは、基本的にはこれでいくことになるのでしょう。 ○薬事企画官 特に領域別というか、それぞれの出題数に関してはある程度堅いものだという捉え方をしていく必要があるのではないかと思っています。加えて、組合せや複合問題に関しては実際にいろいろやっていくということなので、今回ペーパーで配分された範囲で、その中身が具体的に複合問題としてどのようなものが出来上がっていくかは、多少流動的な部分が残されているとは思いますが、問題の配分としては物理・化学・生物であれば、実務との間で15問の薬学実践問題を出すというレベルでは、確実なものになるという取扱いをしたいと思っています。 ○座長 大変重要なことをこの瞬間に決めようとしているわけですが、何かご意見等があれば、是非この場でご発言いただきたいと思います。 ○須田委員 10頁のなお書きで、「問題作成にあたって1問あたりの解答時間を考慮」ということですが、CBTは1問1分以内で解答できるような問題です。薬剤師国家試験でも、必須問題は、1分以内で解答する問題を求めていますが、基本的な解答時間を1〜2分程度に縛ってしまうと、いわゆる問題解決を考える問題は非常に作りにくくなってしまい、CBTと国家試験との区別がつけにくくなると思うのです。それで本当にいいのかということと、いい問題を作るためには、先ほど関野さんがおっしゃったように、問題の時間配分をシミュレーションしてみて、解答に時間がかかる問題も作れるような記述にするほうがいいような気がします。解答時間が短くなって、表面的な試験にならないよう、その辺りをご考慮いただきたいと思います。 ○座長 そうですね。1分ということではなく、シミュレーションのときには必須問題は1.5分ぐらいにはカウントしているし、実践問題も2分30秒ぐらいまでカウントして2日に納まるようにしているので、確かに時間が短くなっている傾向はあるのですが、最初におっしゃったほどギチギチではないと思います。問題によって解答時間を長めに取るといったことを、当然考えなければいけないので、あえてあまり明確に定義しなかったということもご理解いただければと思います。 ○須田委員 そのような趣旨を活かしていただきたいと思います。 ○薬事企画官 確認なのですが、むしろいまの10頁のような書き方にとどめておいたほうがいいと受け止めればよろしいでしょうか。 ○森委員 先ほどのお話を聞いていると、2日間に分けて必須問題、必須問題で90問、薬学理論問題を105問、実践問題を150問という形で出題するというお話でしたが、これをグチャグチャにしては駄目なのでしょうか。あるものはポンポンと解きながら、あるものは考えてと、自分たちは常にそのような判断を求められていますね。そういう意味では、必須問題、薬学理論問題、実践問題を全部にして出題をするのはいかがかと思ったのですが、無謀ですか。 ○薬事企画官 別にできなくはないですかね。 ○森委員 あまり各委員の反応がよくないみたいですね。 ○薬事企画官 たぶん、今回領域で言うと全部の縦割りを取り払っているので、それである程度全体を網羅した問題が出せるかなと思います。あとは、加えて出題の区分のそれぞれの目的があるかと思いますので、その目的に沿った括りの中で時間配分をしておけば、ある程度は可能かと思います。そこがグチャグチャということは何を意味するかというと、出題の目的がぼやけてしまう恐れがあるので、今回いろいろな変更点がありますから、まずやってみて、もし可能であれば徐々に変更していく余地は残しておいてもいいと思いますが、グチャグチャにするということは、必須問題と理論問題と実践問題の3つの区分も必要ないことにもなると思いますので、そこまで分けるのはいかがかと思います。 ○木津委員 非常に丁寧に案を作っていただきましたが、私たちは参加していてもまだまだ組合せ問題と複合問題の区別がよくわからないところがあります。前に例示をしていただいたものが私たちの中にあるので、わかる部分があると思うのですが、例えば参考資料として出題例のようなものが、ここに参加していない方たちが理解するにあたって必要かなという気がしたのですが、いかがでしょうか。 ○薬事企画官 この検討会では一応方向性を示すということで、報告書に添付するのは時間的にも難しいと思いますが、先ほど少し触れたように、これから問題作りをやっていくにあたって、ある程度この報告書を受けて、実際の試験実施までに2年間程度あるので、その間で具体的な問題作りをしてみて、その都度それを公にしていくということで、どういったものがイメージできるかを示していきたいと思っています。 ○加賀谷委員 問題数と出題分野の項目、例えば物理・化学・生物で15問で必須問題数があります。大項目が12項目ありますが、この配分はこの段階では特に基準はないわけで、そうすると偏る可能性もあるわけですね。その辺りはどのようにお考えですか。 ○薬事企画官 現行基礎薬学もそうなのですが、基礎薬学で60問というところだけが決まっていて、その中の配分は毎年話し合いながら適切に定めていくやり方をとっております。細かく分ければ分けるほど硬直化する部分もありますし、試験制度や出題基準そのものは毎年毎年変えられるものではないので、この程度にとどめておいて、その都度問題を作る先生方が話し合いながら、あるいは厚労省がそれに加わりながら、それぞれの配分を適切なものにしていくのが適当ではないかと思います。 ○座長 よろしいでしょうか。それでは、10頁の4番「実施方法」、12頁の5番「合格基準について」まででご意見があればお願いします。 ○大野委員 13頁の(2)合否の基準について、この前も伺いましたが、全体が65%以上で、現在の言葉で言うと出題分野で一般理論、一般実践は各領域ごとすべて35%以上で、さらにその上に一般理論、一般実践が何%以上というのは置かないわけですね。必須問題のほうは、必須ですから各領域ごと50%以上と少しハードルを高くしていますが、さらにその上に必須問題として70%以上と、ほかの出題分野にはない基準をつけているのです。必須問題の重要性は理解できるし、領域ごとの得点を50%以上としていることもわかりますが、かといって必須問題にさらに70%以上とつける必要があるのかどうか、その辺りはどのようにお考えなのでしょうか。 ○座長 すべての問題の配点が65%以上を基本にするという点があるわけです。そうすると、65%を下回る数字にするわけにはいかないだろうと。ですので、65%よりも高いところだとすれば、ぎりぎり70かなという意味だと思います。 ○大野委員 数字の大きさではなくて、一般理論、一般実践のところにはそういう縛りはないわけですね。70%以上というのは、必須問題全体が70%以上で、一般理論、一般問題は各理論、実践全体で何%以上ということはないのですね。各領域で50%以上という縛りをつけておいて、さらにその上に必須問題だけ数字をつけるのは、大事だということはわかりますが、数字の問題ではなくて、つけることが。 ○座長 必須問題なのだから、何らか全体的な縛りがあってもいいはずで、そこだけにしてしまうと偏りが出てしまうだろうから、全体的には少なくとも50%としてというのはいいですね。片一方が70というのは、必須問題であることの意味するところを考えれば、そんなに無理な数字ではないような気はします。大野委員は厳しすぎるというご意見だと思いますが。 ○大野委員 整合性というか、あまりこだわりませんが。 ○座長 この中で、70%はきつすぎるというご意見の方はいらっしゃいますか。 ○山本委員 きつすぎるかどうかの意見ではないのですが、実際にいままでの学生たちの実績を見て、かなり厳しいと思います。つまり、ある大学で8割の学生が受かりましたという学生たちのデータを集めてきて、領域ごとに切ってみたら、6割か5割ぐらいにまで落ちるのではないかという気がします。私が思ったのは小学校の通信簿なのですが、9科目あって1つでも2があったら駄目だよ、という言われ方ですね。私はよく2を取っていたものですから、1つでもあったら駄目だよと言われると、ものすごく厳しいなという実感があります。ただ、これは薬剤師の国家試験としてのレベルですので、数字を云々というのは一言では言い表せませんが、正直な印象としては合格率がかなり下がるだろうという気がしました。 ○赤池委員 私は、むしろ逆に少し甘いかなという印象を持っております。必須問題は基本的に正誤二者択一になりますから、極端な言い方をすると、全く知識のない方でも50%は取れるわけです。いままでは5択が基本だったので、知識のない方の取れる確率は20%でしたから、問題形式によってだいぶラインが変わってきます。そういう意味では、7割というのは比較的甘い水準で取っているのではないかと思います。  追加ですが、初めて行う新しい制度での試験ですので、いたずらに難しくするよりは、特に足切りということでもあるので、甘いという表現が適当かどうかわかりませんが、あまり足切りで引っかからないようにするという配慮の上では、70%のラインが妥当ではないかと思います。 ○白神委員 いままでの国家試験は、問題の難易度の調整があったと思うのです。いまのご議論は、結局必須問題の難しさによることになると思うので、初めのころは出来に応じて、必須問題として適切だったらどうかということを踏まえた調整をすることも、実質的には可能なのではないかと思いますので、基準としてはこれで決めておいてもよろしいのかなと思います。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。この辺りが、いちばん今日のポイントになる気がしますが。 ○大野委員 最後に1つだけ、私が言いたかったのは厳しすぎるとかではなくて、必須問題だけ70%以上というのを設けて、一般理論や一般実践に設けないのはどうかなと。それは必須問題だからという話もありますが、いま赤池委員がおっしゃったように、50%というのは易しいかもしれないですね。必須問題だけに70%以上とつけるのであれば、むしろ必須問題の場合には領域ごと50%ではなくて、55%とか60%として、必須問題だけに括りをつけるのは違和感があるのです。 ○白神委員 いまのお話は、全体として65%という基準がありますから、70%引いた残りを計算すれば必然的に出てくる数字で、実質的には何も書かれていませんが、たぶん必須問題以外の問題で、合計して62〜63%取らないと、合計が65%いかないようになるはずです。残りの部分というだけの話ですので、数字は要らないように思います。そうでないと、何か特定の数字を入れると不整合が起こってしまうと思います。 ○山本委員 ちょっと違ったポイントの質問なのですが、35%というところについてです。一般問題の場合領域が7つあるわけですが、理論問題で35%、実践問題で35%という意味でしょうか、それとも理論と実践と合わせて35%という意味でしょうか。 ○薬事企画官 確かに、この文章だと曖昧になっていると思います。念頭に置いていたのは、それぞれ理論、実践それぞれを領域で分けてという意味です。 ○山本委員 それはもっと厳しいですね。先ほど言った9科目で2を取っては駄目という話ですが、そうすると、ここで言うと20科目ぐらいあって、1つ2を取ったら絶対駄目ということで、1つだけ2を取ることもありますね。よほどの秀才でも勘違いがあって、私は製剤ですから、製剤の実践が10問あって、それが3つしかできなかったと。それはひどいと言えばひどいのですが、ほかが全部よくても駄目ということになりますね。 ○座長 35%だったわけでしょう。 ○山本委員 表記の問題で、私が最初に質問したのは、一般問題は理論と実践と両方分けて35%、35%とゲートを作るのですか、それともトータルとして作るのですかという質問ですが、分けて作るという答えですね。 ○薬事企画官 確かに、それを念頭にこの文章は作られています。多くの先生方はそういう認識だと思います。具体的にいまどのような議論かというと、資料2で言えば、物理・化学・生物の領域に関して例示をすると、薬学理論問題が30問あって、それに対して35%以上、実践問題の15問に対して35%以上というのが、13頁の記述に当たるかと思います。いま議論になっているのは、理論と実践を合わせて45問で、これは一般問題という括りがあるわけですから、45問に対して35%以上というのでもいいのではないかということだと思います。 ○座長 そのことに関しては、別々であるとここで決めてしまうのでしょうか。ここはまとめるということでもよろしいわけですね。 ○薬事企画官 そこは試験の区分として一般問題という括りがありますから、一般問題として捉えての35%というのは、理屈としてはあると思います。 ○赤池委員 いつも山本委員と反対の意見を言っていますが、アンチテーゼという意味で、確かに両方の考え方が成り立ち得ると思いますが、薬剤師の資質を考えた場合に、この分野、あるいはその中でも理論問題と実践問題と分けた場合でも、どこかで欠けてもいいかというと、やはりすべての領域、すべての内容において、ある一定の水準を超える必要があるのではないかと思うのです。そういう意味では、少し細かめに足切りを設けることは、薬剤師の職能を考えた場合、あるいは医療における役割を考えた場合には必要なことではないかと思います。もちろん、ここまで細かくするかどうかは少し議論があるかと思いますが、現行の薬剤師国家試験でもいちばん少ない問題数が、法規の20問だったと思います。それが今回10問に減るわけですが、それで足切りがかかったとしても、現行の制度でも20問に対してということがいちばん多いと思いますが、現行でも足切りで落ちる学生はほとんどいないことを考えると、分けた場合これで少なくとも足切りが増える恐れはないのではないかと思います。むしろ、この委員会なり国家試験のメッセージとして、すべての領域、いろいろな対応において、きちんと最低基準を超えてくださいというメッセージは非常に重要ではないかと考えます。 ○山本委員 私の意見ですが、1つは学生が受けることに関しての不安度は、3×7=21のところでも、どれもしっかりやらなければいけないというのは、かなりきついと思います。自分で変なことを言っているなと思うのですが、1つも落とせないという圧迫感が大変きついのではないかということがあります。  10問、10問で35%というのは、いままでの国家試験を見ていて、科目によっては平均の正答率が非常に低いところがあります。例えば50%に近いところがあったと思いますが、そのようなもので35%と言われると、この分布から言ってそこで落ちてしまうことがあります。これは出題の先生方にいくら言っても、この分野はここまで必要なのだという思い込みがあって、かなり高いレベルまで要求されることがあるわけです。ですので、10問のところで35%というのは、実際には4題はできなければいけない、3題では駄目ということで、国民に言わせると、10題中3題しかできない者を国家試験で通していいのかと言われると、これは確かに恥じなければいけないことなのですが、統計的なことから言うと、そこで落ちてしまう学生がかなり出てくる危険性を感じます。ですから、私はどちらがいいのかと言われたら、理論と実践は合わせて、いちばん小さいところでも10+15ですので、25のうちの35%を超えなさいというゲートの設定をしてやるのが、いまの気持としてはいいのかなという気がしています。 ○座長 どうしましょうか。これはなかなか難しい点だろうとは思いますが、山本委員がおっしゃっていることは、非常に難しい問題は、実際にカウントするときに分母から省いてしまうということでは、完璧にはクリアできないのでしょうか。問題数があまり多くないから、分母を省いてしまうと、ということはあるかもしれませんが。 ○山本委員 いま思いついたのですが、私は実際に計算問題を得意として出題したことがあるのですが、計算問題の正解率は30〜40%ということが頻繁にあります。別に引っかけているわけではないのですが、対数の計算などをやらせると大体間違えます。それで私が先ほど言った意見に戻るのですが、先生方のお考えに従います。 ○赤池委員 これはまたアンチテーゼですが、全く逆も成り立つわけで、私は逆の考え方をしています。例えば、計算問題や有機関係の構造式が出るような問題は、私の印象ではおっしゃるとおり正答率が低かったと思います。あくまで私の印象ですが、これは難しいというよりは、学生が元から全体の足切りとの関係で勉強していない、あるいは初めから捨てていることが多いように思うのです。ただ、薬剤師の役割を考えた場合には、まさにそういうところが非常に重要なわけで、そういったこともきちんと勉強して国家試験で解いていただくためには、むしろ少し細かい形での足切りのほうが、しっかりと勉強していただけるのではないかと思います。 ○座長 この正論にはなかなか反論ができないと思います。現実的にはそうはいかないのですが。 ○樋口委員 いまのことなのですが、私も赤池委員がおっしゃったことと同感です。この前の原案には、基礎的な計算力を問う問題も常に配慮するべきだという一文がありましたね。そういう問題を意識づけしないと、取れないと思うのです。今回の試験の目的には、そういうところもあるのではないかと思っています。山本委員のおっしゃることはよくわかるのですが、そこは取れないと意味がないわけですから、圧迫感というより緊張感を持たせるためにも必要ではないかと思うのです。 ○森委員 いまの国家試験の合格を見るときには、問題の難易の補正を行っているようですが、足切りに関してもやっているのですか。それとも足切りは補正なしにズバッと行っているのですか。 ○薬事企画官 あまり明確なお答えはしないほうがいいのですが、補正というのはいまご議論いただいている合格ラインをどうするかの問題よりも、問題の質を見て妥当かどうかを見ているわけですので、その範囲内において、35%が変わるというよりは、全体のトータルの合計の問題数、35%なら35%に対してトータルの点数が何点かという、そちらの点数を補正するためのテクニックなのです。35を上げ下げするというよりは、15問をかけるか、問題が1問適切でないということで14問をかけるかといった話になってくるので、議論のポイントが違うかと思います。 ○座長 35%ということが非常に問題になるのであれば、補正も場合によっては考えてもいいのではないですか。それは無理ですか。 ○薬事企画官 問題を作る側からすると、あらかじめ補正がかかることを前提とした議論は、あまり相応しくないと思っています。補正がないものであることを念頭にラインを決めていくのが制度だと思いますので、そうしていただければと思います。 ○林委員 全然異質な質問ですみません。複合問題と組合せ問題ですが、これは両方できなければという趣旨で出題をするのでしょうけれど、片方はものすごく難しくて片方は大したことないと。その場合アンバランスが生じないように出せばいいのでしょうけれど、足切りにかかった場合は両方見るのですか。片方ができていれば、片方が駄目でもいいと見るのでしょうか。 ○薬事企画官 いまここで示してある案は、先ほどの70問のカウントの仕方のところで触れましたが、それぞれの分野で1問ずつカウントしているので、たとえ2問連なった問題であっても、それぞれに対して得点が与えられるので、どちらかできなかった場合に2問分が全部駄目という配点の仕方ではありません。それぞれが独立していると捉えます。 ○林委員 ただ、バランスよく出題するのは非常に難しいと思うのです。 ○薬事企画官 先ほど申し上げようとしたのは、いま議論になっているのは、一般問題の中の理論と実践の問題で、横の領域別に関してはどこの分野も大事な部分なので、領域別にラインを決めることはしたいと思います。一方で、理論と実践のところで出している問題がそれぞれ違うのであれば、どちらか一方というのは偏りがあるので、両方に対して、いまの報告書にあるようにそれぞれに対してのラインを求めていくことになると思います。理論と実践の違いは、現場で起こり得る課題に対して解釈するような問題を理論のほうで問うて、問題解決をしていく能力を問うのが実践のほうだと捉えれば、両者に違いがあるとすればラインを分けるべきですし、ないのであれば大きな括りで一般問題ということで1つのラインにとどめるやり方もあるのではないかと思います。ニュートラルに言うと、そのような分類になります。 ○座長 いかがでしょうか。先生方がどう捉えるかの問題だと思うのです。薬学理論問題に出す問題と、実践問題との複合として出す問題とで、どちらかはせめて答えてほしいというイメージをお持ちなのかどうかによっても違うのではないかという感じがします。場合によっては、まとめて足切り35%としても、それはそれでいいのではないかという気はしますが、いかがでしょうか。 ○吉富委員 理論と実践を分離して出すことができるとは思えないので、いまおっしゃったようなことで、一緒のほうが実際的ではないかと思うのです。 ○赤池委員 随分これまで議論して、問題解決型の能力をきちんと図ろうということで問題を組み立ててきていますので、ここで理論と実践を一緒にしてしまったら、いままでの議論が全部なくなってしまうし、ここは分けるべきだろうと私は思います。 ○大和田委員 私はこの流れについてはかなり早い段階から、あまり基礎とか理論とか分けないほうがいいと主張してきましたが、流れとしてはこのような流れになっているので、これで委員会の報告書を書くとしたら、いま赤池委員がおっしゃったようにやるしかないと思います。どんなに受験生にプレッシャーがかかろうが、一応はこれがこの委員会の検討した方向だということで私は納得しているのですが、もしそれがいやなら全部話を蒸し返さなければならないので、それは難しいかなと思っています。本質的には無理があると思いつつ、昔薬事法ができなくて落ちた優秀な学生はゴロゴロいましたし、生きるか死ぬかというところが基本的な判断の基準ですから、そういうものの化学構造だったり計算だったりすることは十分あり得るので、あえて分ける必要はないのではないかとは思います。あとは出題そのものにそのようなものが含まれていれば、理論の部分はそれはそれでいいのではないかということで、何かコメントをつけるぐらいで手を打つしかないかなと思っています。我々私学で教育しているものにすると、理論の部分で細かくクライテリアを作られて足切り点を作られると、大変教育がやりにくいのです。生きるか死ぬかだというほうがわかりやすいものですからそう思うのですが、それはともかく、赤池委員に賛成です。 ○大野委員 実践が目玉なわけですから、私も赤池委員の意見に賛成です。ただ、複合にしろ組合せにしろ、実践は組合せですから、先ほどの説明で物理・化学・生物を別々にやるとしたときに、物理・化学・生物の実践15問の35%ではなくて、15プラス実務の複合1の15で、足して30の35%ですね。 ○薬事企画官 見方としては15問に対してペアになる実務のほうがありますから、その組合せの問題は30問相当だということですので、先生のご指摘のとおりです。それに対する合格ラインに関しては、領域で捉えた場合、それぞれ15なら15に対しての35%となると思います。 ○大野委員 別々にカウントすると、実践の意味がなくなるかなと思うのです。実践の出題の意図が。 ○薬事企画官 報告書が意味しているのは、物理・化学・生物の15種類の設問に対して実務の15種類の設問が付いて、トータルで30問、それぞれは2問相当で合計15題あるとすると、15題に対して35%がかかるのではなく、それぞれの出題に対して横に分解する形で、その中の15問相当の物理・化学・基礎にあたるところだけを捉えて抽出してみて、それが35%を下回っていると駄目ですというシステムだと思います。 ○大野委員 何のための組合せで評価するのかが気になったものですから。 ○薬事企画官 大野委員がおっしゃったように、2つの出題をペアで捉えた形のほうがよりきつくなるのかなという気もするのです。 ○大野委員 きついかどうかはわかりませんが、実践問題を出題分野として独立させた意味を考えると、バラバラにして35%となると、国家試験に受かれば即現場で働けるとは思えないけれど、組合せで考える能力を確かめるということは、考え方がいままでにない国家試験の目的だと思うのです。そうすると、片方ができて片方ができなければ、現場での組合せを考えたときに、それは試されていないのではないかという気がしたのです。 ○薬事企画官 きついという言い方が変だったかもしれませんが、いま言ったケースだと、分解しないと、30題に対して実務だけができても半分なのです。物理・化学・基礎のパートが全部できなくても、残りの実務のほうで30題のうち解けていれば15問できますから、それだけで50%の正答率になってクリアしてしまうのです。それでもいいかということだと思うのです。 ○大野委員 逆もあり得るということですね。物理・化学・生物の15問はできたけれど、実務の15問ができない。でも実践問題としてはそれも確かめることになりますね。 ○薬事企画官 そういうことになってしまうということです。 ○座長 ここは正論でいくしかないと思いますが、よろしいでしょうか。明らかに、国家試験は難しくなるということだとは思いますが。 ○赤池委員 実際に私も昨年まで出題に関わってきましたが、難しくなるかは基準によって決まるものではなくて、実際の問題によって決まるものだと思いますので、そこは新しい出題委員の先生方がどのような問題を作られるかによって決まるのではないですか。 ○白神委員 そういう意味では、複合問題とは一体どのような問題なのか全く見当がつかない中で、個別に分けて厳しいものを出すのは、かなり勇気が要ることだと思います。 ○座長 複合問題とはそういうものだということをよく意識して、しっかり作っていくしかないと思います。 ○白神委員 教育の問題に置き換えるときの話なのですが、特に反対はありません。 ○座長 これはなかなか議論が尽きないだろうと思いますので、一応いまの原案でいくということで先に進みます。  次は、14頁の(6)の「その他」そこから「おわりに」についてですが、いかがでしょうか。先ほど忘れましたが、加賀谷委員、禁忌肢についてはこのような表現で前向きに検討するということでよろしいですか。 ○加賀谷委員 ヒューマニズムというか、その辺りの問題として取り上げられるという理解でよろしいのですね。 ○座長 いきなり取り上げるかどうかはわかりませんが、必須問題等に組み込んでみて、その動向によって前向きには検討するということではないかと思います。いまの段階で、いきなり禁忌肢を第1回目から思いきって入れることができるかどうかは難しいということで、このような表現になっているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○薬事企画官 この辺りははっきりさせておいたほうがいいと思いますが、毎年作る問題の中で、明確に禁忌肢を導入するとは書いていません。一方で、ランダムにその都度問題の中に禁忌肢を設けていいかということであれば、それに対してもここはどちらかと言うとそこまでの内容にはなっていません。逆に言うと、禁忌肢を設ける必要があると判断された場合には、もう1度いま議論している検討会のような場で議論して導入していくという捉え方になるかと思います。直ちに平成24年から実施される試験において、禁忌肢を入れていこうという内容ではありません。むしろ、その前段階に当たる導入に向けて、対象とする範囲を明確にしていくということで、それがある程度具体的に出来上がった段階で、制度が大きく変わるという1つの対象だと思うので、もう1度こういった検討の場で議論をして入れる、入れないを判断していくのが妥当だという解釈になると思います。 ○樋口委員 私も禁忌肢問題は積極的に取り入れるべきだと思います。いま言われたように、準備する時間が要るだろうというのも了解できます。ただ、これは避けて通れないのではないかと思うのです。そのような印象を持っています。 ○平井委員 ここまでの議論を聞いて、最初に戻ってしまうのですが、これは見直しを4年ごとにするということですが、最初は4年間はきついのではないかと思うのです。きついというか、どのようなことが起こってくるか、いまの議論でもいろいろなことが出てきたので、これはこれでいいと思うのですが、これでやったときにいろいろな問題が出てくるのではないかと思うのです。そのときに、4年間と決めてしまってもいいのかなと思います。最初は、期間に少し弾力性を持たせておいたほうが安全ではないかという気がします。  また、問題の作成のときに、やたらに難しい問題を作るのではないということで、問題を作成する先生方のコンセンサスを十分に作っておくことが必要ではないかと思います。 ○薬事企画官 7頁にあるとおり、出題基準に関しては4年程度で見直していくと、ある程度定期的なインターバルを明示していますが、試験制度に関しては別にこの報告書では触れておりませんので、必要があれば制度を見直すし、特段問題なければ、4年を超えてその都度と考えております。4年というのは、あくまで出題基準の話と見ていただければと思います。 ○永井委員 いまの医道審議会のことはどうなるのですか。 ○薬事企画官 医道審議会に置かれる薬剤師分科会には、毎年試験を行う問題の妥当性の検証と合否決定をするための部会が必要になってくると思います。加えて、出題基準の見直しを4年を1つの目安とするための部会も必要になってくると思います。それとは別に、制度全体の議論、この検討会と同じようなものが用意される必要があると思っていますので、そちらのほうは先ほど申し上げたように必要に応じて、その都度何年後かの制度見直しに向けた検討も随時行っていくことになりますので、当面制度の見直しは必要ないということであれば、その部会というものはしばらく活動しないことにもなるかと思います。 ○柴崎委員 私は勘違いしているのかもしれませんが、16頁の最後の、「卒業時におけるAdvanced OSCEの導入などの検討を行うことが適当である」というのは、いままでに議論したことはありましたでしょうか。 ○薬事企画官 この全体の「その他」の部分に関しては、前回は項目だけを示させていただいて、少し意見をいただいて、ほかの関係の国家資格の記述も参考にしながら書き起こしている部分ですので、今日、この場で改めて文章として見ていただいたうえで、少し修正ということは可能だと思います。 ○柴崎委員 これに関して、例えば、これからも6年制の教育、プログラム等々において、このAdvanced OSCEの導入などの可能性云々というのは相当の混乱を起こす可能性もありますし、実際、本当にこのコメントというのは残しておかなければいけないのかどうかということについて、私自身も医療の現場は知りませんから、いかがなものかという問題提起です。 ○薬事企画官 この部分は、今回初めて活字にする部分なのですが、前回から今回にかけての3週間に個別にいただいた意見の中には、少しこういったことに触れられておりましたので、今日とりあえず書き起こしてみたということです。ここはいま改めて議論していただいても構わないと思います。 ○柴崎委員 医療の現場で仕事をされている先生方は、Advanced OSCEの可能性とか重要性というのは、やはり大事だと感じられますでしょうか。 ○森委員 私も意見を出させていただいたのですが、本来は大学を卒業するときに、知識だけでなく技能と態度も、最終的には大学が責任を持って見ていただきたいと思います。そこで例えばAdvanced OSCEをやっていただければというのが、現場からの意見です。 ○座長 プラクティカルに、なかなかそれは難しいので、それなりに形を変えて、こういうペーパーでのテストをするということに関しては、最初からの議論でも多分出てきていたはずだと思います。  ただ、そういう意味で、Advanced OSCEのようなものが理想としてはあり得るというのが、ここにこういう形で入ったのだと思うのですが、このことに関しては、それほど異論の余地はないような気はします。 ○柴崎委員 Advanced OSCEの定義は何ですか。OSCEより難しいのではないですか。 ○座長 例えば、共用試験の時にやるのが最初のOSCEだとすれば、それよりは実務実習に向けて、そのあとの卒業の段階のものですから、Advanced OSCE、実技試験というぐらいの意味ではないかと私は思うのです。 ○柴崎委員 私は、それは相当の意味をもっていると思います。薬学部は、ますます典型的な職能教育の学部になるのではないかと思っています。Advanced OSCEまで考えたら。もちろん、この薬剤師の人たちを受け入れる側の先生方からすれば理想的だとは思いますが、本当にそれでいいのかと。ここまで職能教育にかなりエネルギーをかけて6年制教育をやって、最後に駄目押し的なものまでが本当に必要なのか。それよりももっと考えるトレーニングをさせて、医療の現場に送り出すほうがいいのではないかという考えを持っているものですから、それで、あえて問題提起をしました。マイノリティーであれば却下してもいいのです。 ○加賀谷委員 結局、このOSCEにみんな通ってしまうような気がしてしょうがないのです。大学で本当に落としてくれるのだったらいいのですが、結局、国家試験まで全部行けてしまうことになってくると、本当に資質に欠けるような方も、当然受けられてしまうということで、私は、何回もしつこく言っているのは、いわゆる禁忌肢を入れたほうがいい。例えば、偶発的なものだというのなら問題が赤だったりでもいいわけです。それは偶発的なものですよ、禁忌肢ですよということを教えてやれる。何かそういうことを担保しないで、薬学が6年制になって、医療現場に医師、歯科医師、あるいは看護師と並べて医療の担い手となる何かが変わったというその何かを、どこで担保するのかということで、このAdvanced OSCEというのはあってもいいのかなと思います。  ただ、定義がまたみんな同じで、全員がクリアして入ってくるのでは意味がない。何かそれを担保するものを国家試験の中に入れていただきたい、ということを何回も言っているのは、そこのところなのです。 ○座長 何かご意見がありますか。 ○赤池委員 私が発言していいのかどうか分かりませんが、医師の国家試験でも、いまOSCEの導入が検討されていて、ただ、実際には難しいということで、実施されるには至っていない経緯があります。そういう意味では、薬剤師国家試験でOSCEを入れることは、将来的にはもちろん非常に重要な課題だと思いますが、少なくとも、例えば平成24年から始めるときにすぐにということはなかなか難しいと思います。  そうしますと、やはりそれを何らかの形で代替えすることを考えた場合に、国家試験でなければ、どうしても大学で行わざるを得ないことになるのではないかと思います。その場合に、もちろん柴崎先生がおっしゃっていることは非常に重要なことだと思いますが、各大学で卒業試験を課していますが、そういったものの中にOSCEを組み込むことは方法上では可能だろうと思いますし、この文章でも検討を行うということですし、これについては、やはり薬学として、そういった基礎化学も含めて行っていく中で、どの程度のことが行えるのか、また妥当なのかを考えていくべき問題だろうと思います。  ただ、やはり態度というものをしっかりと、どこかでは卒業時に検証することは重要な課題だろうと思います。 ○山岡委員 私どもはいまのご意見に賛成です。結局、薬剤師としての資質の中に技能・態度が非常に重要だと言いながら、ペーパー試験では見られない部分があるのも事実なので、実際にどうやってやるかということ以前に、どう考えるのかを検討することを忘れないために、ここに書いておくほうがいいのではないかと思います。実際にどうなるということよりも、このことを忘れないことが非常に大事なことなのではないかと思います。 ○座長 このことを議論し出すと切りがないと思います。 ○薬事企画官 文章を起草する事務局としての発言になると思いますが、ここでの方向性としては導入をするという意味ではなくて、導入について今後の課題として検討していくことですので、各先生方の受け止め方でいいと思います。 ○座長 時間がもう来てしまいました。 ○白神委員 文章の問題だけなのですが、17頁の4つ目の段落の上から4行目に、「十分な検証と適正な評価が第三者の手によって行われる」と書いてあるのですが、何についてやるかというのがないので、このまま読むと、薬剤師の国家試験について第三者の手によるチェックが必要なようにもとれてしまうので、これはたぶん薬学教育についてなので、その前に「その」とか何かを入れていただいたほうがいいのではないかと思います。 ○薬事企画官 ありがとうございました。 ○座長 ほかにはよろしいでしょうか。 ○薬事企画官 細かい点ですが、先ほど樋口先生からご指摘いただいた計算問題に関しては、報告書の案には前回も含めて出てきてないのですが、問題提起させていただいて、その部分は重要ではないかというご議論はいただいたと思います。いま念頭においているのは、報告書の中に書くには少し細か過ぎる点だと思っていますので、きちんとテークノートしておりますので、出題基準を作るときの留意点とか問題作成の際に、そういった問題をきちんと入れていくということで取扱いをさせていただきたいと思います。 ○座長 ほかにはよろしいでしょうか。 ○薬事企画官 基本的には、今日ご議論いただいた内容を少し書き加える部分が出てきますので、座長と相談させていただいて、少し修文、「てにをは」を含めてさせていただく点があるかと思っています。その後、先生方にお送りして確認をいただくという方法をとらせていただきたいと思っていますので、改めて検討会を開く必要はないのではと事務局としてはそう考えております。  あと、18頁の名簿に関しては年度が変わったこともありまして、それぞれの先生方、分かる範囲で検討会ができた当初の役職と現在とを一応括弧書きで書いておりますが、少し変更点がある、あるいは記述が不適切、不適当だ、不十分だという部分がありましたら、正確を期す意味で、また後ほどご指摘をいただければと思います。 ○座長 ありがとうございました。今後も先生方には、出題基準の策定などいろいろとご協力いただくことになるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、本検討会をこれで終了とさせていただきます。 ○薬事企画官 一応、今日で検討会最後ですので、私どものほうから一言、お礼の言葉と申しましょうか、述べさせていただきたいと思います。 ○審議官 それでは、国家試験出題制度検討会の取りまとめにあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。  本検討会は、平成19年6月に6年制教育を通じて修得した知識・技能・態度について、医療人として求められる資質を的確に確認するに相応しい薬剤師国家試験のあり方を検討することを目的に始めさせていただきました。  委員の先生方におかれましては、お忙しい中、本日まで約1年という期間にわたりまして、7回にわたり大変ご熱心にご審議いただきました。本当に深く感謝しております。  医薬品の安全で有効な使用への一層の貢献など医療の担い手として、改めて質の高い薬剤師養成といった、こういった国民の声があります。それとともにスタートいたしました薬学教育6年制です。これは「てにをは」をもちろんこれから手を入れるわけですが、本日取りまとめられたものに関しては、さらにいただいたお考えをまた誠心誠意受け止めることと併せて、今後、医道審議会における制度設定に反映し、6年制の薬学教育を受けた最初の薬剤師が輩出される平成24年の国家試験の実施につなげてまいりたいと考えております。薬剤師国家試験が適正に実施されることによって、国民からも信頼を受けることができ、安心と希望の医療確保に貢献し得る薬剤師を社会に輩出することにつながると考えます。先生方におかれては、引き続き薬剤師、薬学教育の充実にご協力を賜りたいと思っております。  本日、報告書の取りまとめという一つの区切りをこのように迎えることができたことに、厚生労働省といたしまして、改めて深く感謝いたします。  最後に、検討会のご議論、報告書の取りまとめに大変ご尽力をいただきました座長の井上先生に厚く御礼を申し上げまして、簡単ではございますが挨拶とさせていただきます。誠にどうもありがとうございました。 ○座長 1年間、本当にありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省医薬食品局総務課 TEL:03−5253−1111(内線2715)