08/06/24 第8回障害児支援の見直しに関する検討会議事録 第8回 障害児支援の見直しに関する検討会 日時 平成20年6月24日(火) 10:00〜12:00 場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第8回「障害児支援の見直しに関す る検討会」を開催いたします。各委員の皆様方におかれましては、毎週あるような感じ の会議ですが、ご多忙のところ本日は全く欠席がない状況でお集まりいただきました。 本当にありがとうございます。事務局から、本日の進め方、資料について説明をお願い いたします。 ○障害福祉課長 本日は、全員の出席をいただいております。本日の進め方は議事次第 をご覧ください。これまでの議論について整理を進めていく段階に入りたいと思います。 今回と次回につきましては、これまでの議論を整理するペーパーをお出しし、それをベ ースにご議論いただき、次々回から取りまとめの作業に入っていきたいと思っておりま す。  本日は、2回のうちの1回目の論点整理ということで、これまでの議論のうち、論点 の中で障害の早期発見・早期対応から、時系列的に見た論点及び家族支援のあり方、こ こまでの議論の整理を行っていきたいと思っております。関係しますので、一応全体を 20分ぐらいかけてご説明いたします。その説明の後、会議の終了まで1時間半程度ご 議論いただきます。議論の切り口がそれぞれありますので、全体を2つか3つぐらいに 分けながら議論していただければと思っております。  資料の確認をさせていただきます。資料1「これまでの議論の整理(1)」というもので、 これまでの議論の状況を右の側に整理したものです。資料2はいくつか出た議論をわか りやすくイラスト風に整理したものです。1枚追加の資料として、第3回「ペアレント トレーニング」リーダー養成講習会開催についてというもので、これは君塚委員から是 非ご紹介したいというものです。おそらく、後からご発言があるものと考えております。 ○柏女座長 いま、事務局からお話がありましたように、これまで8つ、9つの論点に ついて一通り議論を済ませてきました。それを今回は、事務局のほうで委員のご発言も 含めて論点の整理を出していただきました。私たちの意見も丁寧に拾い上げていただい た事務局に感謝申し上げます。  その上で、本日と次回で全体についての議論を一通り行い、次々回の7月14日に報 告書のたたき台のようなものを出していただき、そして議論を進めるというのが事務局 のほうの段取りです。もちろん、そのとおりにしなければいけないということではあり ませんが、一応の目安としてご理解いただければと思います。  検討方法については、「これまでの議論の整理(1)」について事務局から説明をしてい ただいた上で、私の案としてはライフステージにまたがる、つまり乳幼児から学齢まで のところをということでそこで切って、その後、相談支援と家族支援がありますのでそ れを1回分けて、40分ぐらいずつ議論していこうかということで考えています。説明 を伺った上で、最終的に委員の皆様方にお諮りをして進め方を決めていきたいと思いま す。事務局から説明をお願いいたします。 ○障害福祉課長補佐 資料1は、これまで7回にわたって検討会でご議論いただいたこ とを基に、議論の整理として今回と次回ということでまとめたものです。  2頁の左側に「これまでの主な意見」という欄がありますが、まず最初は「障害の早 期発見・早期対応策」ということでご議論いただきました。障害の発見から支援へのつ なぎの必要性というところの1つ目のポツでは、乳幼児期の健診をサービス利用につな がるように見直すべきという意見。いちばん下の、乳幼児健診に専門職が出向いていっ て、多様なサービスのエントリーとしての機能を高めていく。とにかく早めに発見し、 そして早めに確実にサポートにつなげていくことについての意見をいただきました。  右側の「議論の整理」は、こうした意見を基に事務局のほうで、今後のまとめに向け て整理したものです。障害については、出産前後・乳児期にわかる場合、健診でわかる 場合、保育所等でわかる場合がありますが、いずれの場合にも関係機関の連携により発 見から支援へとつなげ、なるべく早く親子サポートをしていく。それぞれ出産前後、健 診、保育所等ですべきことを箇条書きのように右に書いています。  このように全体をまとめていますので、これをご説明させていただきます。本日はど ういう視点で見ていただくかというと、このような議論の整理でよろしいか、こういう 方向でよろしいかということ。もしくは、報告のイメージになるものですので、これま で議論が足りていなかった部分について、追加でご発言いただきます。途中に青で出て くる、☆が付いているところがありますが、そこは重要なところですので、もう少しご 意見をいただきたいところです。  3頁の左側の(2)は早期対応への取組の強化です。親にとって敷居の低い場所での 支援/専門機関が出向いて行っての支援という項目立てをしております。3つ目のポツ で、地域の中で専門性をどこが受け持つべきか。利用者にとっては、日常生活に近い所 で、しかし専門性がある支援を安心して受けられる方法を考えていく必要があるといっ た意見が出されているところです。  3頁の左側の下のほうに、障害の確定診断前からの支援/親の立場に立った支援とい うことでまとめております。いちばん下のポツで、グレーゾーンへの支援が必要。個別 の支援計画についてもノンカテゴリーで作成するようにすべき。4頁で、診断を受ける までに時間がかかっているけれども、診断の前から療育的なかかわりができるような仕 組みにすべき。市町村等の体制ということで、特に町村でも回るような早期発見、早期 支援の仕組みを作っていくことが必要ではないかという意見をいただいています。  3頁の右側で議論の整理です。「気になる」(いわゆるグレーゾーン)の子どもにつ いては、親の受容などの問題を理由として、十分な支援につながっていない場合がある。 これについては、明確な障害があると判定できないケース、障害はあるが親が受容でき ていないケース、が考えられるが、いずれもなるべく早く支援につなげていくことがそ の後の子どもの育ちのためには重要だということ。  そのためには、親にとって敷居の低い場所で支援を行う。例えば、障害児の専門機関 が、保健センター等に出向いていくことにより、身近な所で専門的な支援を受けられる ようにしていく。また、障害の確定診断前から支援を受けられるようにすることが必要。 親の気持に寄り添った支援が必要。身近で接している者と専門機関の人が別々にかかわ るということではなくて、連続性を持って重層的に対応していくことが必要。そして、 小さな町村においても、専門機関との連携を図って、早期支援への体制を作っていくと 整理しております。  5頁は2つ目のテーマの「就学前の支援策」です。(1)は保育所等での受入れの促 進です。2つ目のポツで、保育所、幼稚園、放課後児童クラブ等における障害児の受入 れを推進する。その下の「『ハコ』に行かなければ」、というのは障害児施設というこ とだと思いますけれども、障害児施設型の支援は限界に来ている。保育所や学校に出向 いていき、家庭と専門機関をつなぐことが必要という意見が出されています。  これらを踏まえ、右側の議論の整理のほうでは事実を書いておりますが、保育所での 障害児の受入れは年々増加。平成19年度からは交付税措置の拡大もしております。こ うした保育所等での受入れを促進するために、専門機関が保育所等に巡回支援をしてい くという1つの方向性が考えられます。これまで、こうしたことで通園施設等に通って いる子どもも、なるべく並行して保育所等へも通えるようにしていこうということ。  渡辺委員からもご説明がありましたが、つどいの広場などの地域子育て支援拠点でも、 障害児の親子、気になる子どもへの適切な対応のために、障害児の専門機関との連携を 図っていくということです。  (2)の通園施設と児童デイサービスの機能の充実というのは、障害施設について地 域の拠点となる施設ということと、通園施設の一元化というところで括っております。 2つ目のポツで、通園施設や児童デイサービスを「拠点」とするのを基本と考えるべき。 6頁の上から2つ目のポツで、通園施設については専門性を高めつつ、どんな障害でも 受け入れられるよう普遍性を持たせていくべき。その下のポツで、通園施設が外に出て いく「外出し」にインセンティブが付く仕組みが必要と出ています。  5頁の右側の下のほうに、通園施設と児童デイサービスについては、障害児の専門機 関として役割を強化していく必要。通所事業のほか、保育所等への巡回による支援や、 グレーゾーンを含む相談支援を行うことができることとすることが考えられるとありま す。  ここに青い☆で2つ書いてありますが、この2点についてご意見をいただけたらと思 います。現行の通園施設・児童デイサービスについて、どんな障害でも受け入れる普遍 性を持たせていく。つまり、一元化という方向についてご意見をいただいていますが、 ここは重要なところですので、改めて本日ご意見をいただけたらと思います。その際、 診療所と一体となった医療型のものと、福祉型のものがありますが、それをどのように 考えるか。また、児童デイサービスのI型、就学前の子どもが行くような児童デイサー ビスの今後のあり方についてもどう考えるか。障害児施策として行われている、いまの 通所の事業のあり方、特に一元化、つまり障害種別をなくして一元化していくことにつ いて本日議論を深めていただけたらと思います。  2つ目の☆は、外に出ていくことをすべきという方向性が出されていますが、そこに インセンティブが必要である、ということがお二方から、ほかにも言葉を変えて多くの 委員からいただいておりますが、どのような仕組みが考えられるか。それは、こちらで 考えるべきことかもしれませんが、こうしてほしいということがありましたら、ご意見 をいただきたいということです。  7頁で3つ目の論点として「学齢期・青年期の支援策」です。左側で、放課後や夏休 み等の居場所の確保ということで、放課後、夏休み等の支援の充実の必要性ということ で、2つ目のポツにありますように、夏休み一時預かりの利用が多い、もしくは支援が 足りない、親支援の観点からも重要であるという意見が出されています。  児童デイサービス等での支援ということで括っておりますが、ここでは日中一時支援 だけでは足りないのではないか。放課後対策が不足しているという声がある。いちばん 下のポツで、児童デイサービスについて、身近な療育機関としての機能を明確化し、補 助単価等もしっかりし、さらに量的整備を拡大していくという、障害児施策のほうの充 実が必要ではないかという意見をいただいています。  8頁の左側に、放課後児童クラブ等での支援とありますが、学校もしくは児童家庭局 の施策の中で充実を図ってもらえないかという意見が出されています。  7頁に戻りまして議論の整理としては、放課後、夏休み等における居場所の確保につ いては希望も多く、障害者施策での受入れを促進し、さらに概ね10歳未満の児童を対 象とした放課後児童クラブなどにおいても、地域の実情に応じた受入れを進めていく必 要。児童デイサービスの支援については、現在放課後や夏休み等において、障害児を受 け入れる施策として日中一時支援事業と、当面の間認められている児童デイサービス事 業(II型)があります。これらについて、引き続き推進していく。ここで特に☆で書い てありますのは、日中一時支援事業、児童デイサービス(II型)はいま経過的となって おりますが、これを本当にどうしていくべきかというところで、本日確認的にご意見を いただけたらと思います。  一般施策のほうでの受入れです。放課後児童クラブでも、年々障害児の受入数拡大。 今後は専門的な対応を図るため、障害児の専門機関による放課後児童クラブ等への巡回 支援を行うことが考えられる。そして教育機関(学校)、一般の児童福祉、障害児福祉 がそれぞれ連携して対応の強化を図っていく、ということで書いてあります。  9頁では学齢期の部分で、高学年の部分です。卒業後の就労・地域生活に向けた学校 ・福祉・就労施策の連携という項目です。1つ目は、就労・地域生活への支援という項 目で括られていますが、2つ目のポツの、生活力が身に付いていないと施設入所につな がってしまう。いちばん下のポツでは、学校にいるときから社会参加をすべき。学校・ 福祉・就労のインクルージョンが必要であるという意見をいただいております。その下 の軽度、この軽度という言葉がいいのかはわからないのですが、そうした障害児の就労 の支援。いわゆる一般学級に行っているような子どもでも発達障害があるような子ども への就労の支援が必要ではないか、という意見を第5回のときにいただいております。  右側の議論整理ですが、学校卒業後の地域生活や就労を見据えて、学校・福祉・就労 施策の連携を図っていく必要。例えば学校にいるときから、体験的に福祉サービスなど を利用していくようにすることが考えられる。長期休暇期間等に、グループホームを体 験したり、もしくは就労の関係の訓練事業などを体験したりということで、卒業後を見 据えて連携してやっていくということです。それと、知的障害を伴わない発達障害者な どについての就労支援が必要との指摘があると書かれています。  10頁は横に割るほうです。「ライフステージを通じた相談支援の方策」ということ で左側です。(1)は市町村、専門機関による相談支援です。ここでは、地域における 相談支援体制の整備ということで、1つ目のポツでは、面的な支援体制を構築する。2 つ目のポツでは、市町村域単位で支援、圏域単位での支援、都道府県単位での支援とい う重層構造で支援システム機能を考えるべきという意見をいただいております。  10頁の左側の下で、専門機関の役割が書いてあります。市町村でも圏域単位でもい いので、相談支援の質量の充実が必要。いちばん下の行で、「子ども発達センター」に 専門家がいて、通所のみならず保育所等に出向いていく、という仕組みが各地域にある といい。11頁の2つ目のポツで、「専門的」支援の意味を共通理解することが必要。 専門職員のバックアップがあってこそ、一般施策の中での受入れができるという意見。 11頁の2つ目のポツでは、障害児施設について、3障害の垣根を取り払い、名称を変え て、行きやすくすることが必要という意見。  1番のところでも出てきましたが、敷居の低い所での支援、グレーゾーン時からの対 応というのが、相談支援という観点からも改めて意見が出されています。障害児の親子 が専門機関に訪ねていくというスタイルは改めるべき。11頁の左側のいちばん下で、 相談支援に至る前の親御さんに寄り添っていくことが必要。受容ができていない親に対 し、例えば受給者証を求めたり、障害児の枠組みを求めるのがハードルとなるという意 見。もしくは、旧保谷市の例で、障害児施設という名前を、「子ども発達センター」と 変えたら相談が増えた。日常の中に専門性を入れていくことが大事である。12頁の下 側で市町村、特に町村部で通園施設等がない地域でどうカバーしていくかという問題も 出されております。  そこで10頁に戻りまして、議論の整理としては、障害児に関する相談支援について は、現在は市町村において一般的な相談支援を実施するとともに、都道府県が広域的・ 専門的な支援を実施している。重層的な相談支援体制を作っていくことが必要。  2つ目の○として、重層的な中の役割を果たす機関として、市町村の相談支援を支え る機関として、通園施設等の障害児の専門機関が役割を果たすことが考えられる。例え ば、通所事業のほかに、保育所等を巡回しての相談をしていく、もしくは一般の相談を していく。これについては、グレーゾーンの対応も含めてこうした役割を専門機関が果 たしていってはどうかということ。  11頁の下段で、相談支援について、障害児の親子にとって身近な敷居の低い場、保 健センターなどで行われることが必要。グレーゾーンの段階から、相談支援が受けやす いことが必要である。グレーゾーンの段階からの対応のため、障害児の専門機関が外へ 出向いていく、あるいは名称を「子ども発達センター」のように改めるといった工夫が 必要である。  12頁で、小さな町村においても、障害児の専門機関との連携により、身近な所で相 談支援が受けられる。これは、専門機関が町村に出向いていくということです。あるい は、専門的な相談支援につなげられるような体制を作っていくということです。  13頁で(2)は関係機関の連携強化です。1つ目のポツで、自閉症の子どもについて、 コミュニケーションに使うカードがバラバラであるとか、横の連携だけではなくて縦の ネットワークが必要という意見。  (3)は個別支援計画づくりということで、1つ目のポツで、ライフステージにおけ る切れ目をうまくつないでいくためには、個別支援計画が核となり得るという意見。2 つ目のポツで、個別の支援手帳、個別の支援計画など、包括的なツールを使用した支援 を行うべきという意見。  14頁の左側で項目だけ読み上げます。個別支援計画と個別教育支援計画、教育と福 祉の計画を結び付けてしていくことが必要という意見。それから情報の共有ということ で、検討会では湖南市と松山市の例でご説明いたしましたが、情報の共有の仕組みが必 要ではないかという意見。  13頁に戻りまして議論の整理としては、障害児は、そのときどきに応じて保健・医 療・福祉・教育・就労などさまざまな関係者が支援を行うものであり、地域自立支援協 議会の活用、子ども部会の設置などにより連携を図っていく。その際、要保護児童対策 協議会、特別支援教育のための協議会との一体的な開催など連携を図っていく。  個別計画づくりについては、子どもの成長に応じて、途切れなく障害児の親子を支援 していくためには個別支援計画づくり、関係者の連携の強化が必要。今後、サービス利 用決定の際などに、個別支援計画、関係者による支援会議の開催、モニタリングの実施 を進めていく。特に進学時、卒業時などの節目においては重点的な支援をしていく。  14頁で、学齢期においては、学校における教育支援計画と連携を図っていく必要。 一貫した支援のため、個人情報保護に留意しつつ、障害児についての個別支援計画、支 援の情報を関係機関で共有していく等を促していくことが必要ということでまとめてい ます。  15頁からは「家族支援の方策」についてです。3つ論点があります。1つ目は、家族 の養育等の支援です。3つ目のポツで、家族支援が、家族の危機を回避し、いろいろな ものの予防にもつながる。この部分で、父親についてどう考えるか、もしくは女性の就 業が増えている中で、親の就労、社会参加を保障していくことも必要ではないかという 意見。  15頁の下のほうには、心理的なケア・カウンセリングの必要性について、1つ目のポ ツでは、将来に漠然とした不安を持っている。将来どんな支援があるかの情報提供など、 やはり将来の見通しを付けるような予防支援。2つ目のポツで、親の受容について、シ ョックが自分の経験では大きかった。徐々に親が受け入れられるようにしていくように、 寄り添って支援していく工夫が必要であるという意見。  16頁では療育の支援という項目で括っております。障害児については、家族が世話 する時間のほうが多いので、療育の支援をしていくべき。もしくは、家庭訪問による家 族への相談、療育支援が必要。家庭の中に入っていって、どう家族の力を引き出してい くか、どう生活を組み立てていくかを支援することが重要。  16頁のいちばん下のところで、保護者同士の交流の促進ということで、親の会の活 動、もしくは保育所などでの保護者同士の交流により、安心につながっているという例 があるという意見。  17頁できょうだい支援です。両親だけではなくて、兄弟姉妹の支援です。作文を募 集して発表したり、キャンプを実施するなどしている。障害のあるお兄さんが、弟に何 かを教えるということもある。2つ目のポツで、親が障害児以外のきょうだいにかかわ る時間を持たせてあげるようなことも重要という意見。  (2)レスパイト等の支援の3つ目のポツで、一時も目を離せないという障害児の親 のレスパイトのために在宅支援がどの地域にも必要。その下で、何かあったら預けるこ とができるという短期入所は、地域生活を続けるために重要な支援という意見。  18頁で(3)経済的負担等のところで、利用者負担への配慮が必要。2つ目のポツで、 一息ついた感もあるが、親の年齢も若いので、最低でも平成21年以降も軽減措置を続 けるべき。もしくは利用料負担だけではなく、障害児のいる家族全体の経済的支援につ いての意見。  戻りまして15頁の右側からです。障害児にとって、家族は育ちの基礎になるもの。 子どもの発達支援とともに家族を含めたトータルな支援が必要。家族の形はさまざまと 考えられるが、男女共同参画の視点も踏まえた支援が必要。障害の受容等の支援として、 専門家による心理的なケア・カウンセリングが必要。  16頁で、専門機関が家庭における療育の支援を行うことが、二次障害の予防の観点 からも子どもの発達支援のためにも必要。専門機関が家庭へ出向いて行って相談、療育 方法の指導、支援を行うことが必要。専門機関による支援と同時に、既に障害児につい ての経験のある親御さんの話を聞いたり、もしくは育てている親同士で相談や情報交換 を行ったりすることも重要と考えられ、こうした取組を促していく必要。  17頁で、さらに障害児のきょうだいに対する支援の取組も促していくことが必要。 親が、障害児以外のきょうだいにかかわる時間を持てるようにすることも必要。以上の ような取組について、各制度において充実を図っていく。レスパイト等の支援について は、家庭において障害児を育てる家族が、ギリギリまで頑張って、最後に育てられなく なるということがないようレスパイト等の支援は必要。特に、ショートステイについて は、地域生活を続けるために重要な支援であり、医療的なケアができるショートステイ について、そうした充実が必要という意見を何名かの委員からいただいております。  18頁の経済的負担のところについては、障害児のいる家庭の経済的負担について、 十分な配慮が必要。家族的支援についても検討するべきという意見をいただいておりま す。この右側のところを基に、こうした方向でいいか、さらに足すべきところはないか、 もしくは青の☆で書いたところについて見ていただければということです。  参考までに資料2をご説明させていただきます。資料2については、いまご説明いた しましたものを図したものです。2頁は全体像ということで、これまで議論してきた4 つの見直しの基本的な視点です。将来の自立に向けた支援、ライフステージに応じた一 貫した支援、家族のトータル支援、できるだけ身近な支援ということと、検討項目とし て8つあるということを示しております。  3頁は、下側に障害児の専門機関があり、それが保健センター、保育所、幼稚園、学 校、放課後児童クラブなどを支援していくことにより、左側の真ん中に赤で書いてある ところですが、専門機関が出向いていくことで、敷居の低い所で支援を受けることがで きるようにする。真ん中辺の青で括っているところのように、専門機関が出向いていく ことで、一般施策における受入れを促進する、並行通園をする児童を増やしていくとい う方向性を図したものです。  4頁は、「地域における相談支援のイメージ」ということで、これまで市町村の相談 を都道府県がしている所に、真ん中に専門機関、通園施設・児童デイなどと書いてあり ますが、こうした所が地域への新たな支援ということで、ここで掲げているような支援 をしていくという役割を負ってはどうかという図です。  5頁は、「ライフステージに応じた相談支援」ということで、学校サイドでの個別の 教育支援計画を作っているということと同時に、福祉サイドでも個別支援計画の作成、 支援会議の開催、モニタリングの実施ということを一貫してやっていく。特にその節目 の部分では重点的にやっていくということで、これらを連携してやっていくということ で、障害児に対しての一貫した支援の体制を作っていくというものを図したものです。  以上よろしくお願いいたします。 ○柏女座長 「これまでの議論の整理(1)」についてご意見を頂戴いたします。冒頭に申 し上げましたように、2つに分けてやってはどうかということでお諮りをさせていただ きます。1頁から9頁までを1つの括りとしてご意見を頂戴し、10頁から19頁までを 2つ目のテーマとしてご意見を頂戴する、という形で進めたいと思いますがよろしいで しょうか。 (異議なし) ○柏女座長 ありがとうございました。そのような方向で進めさせていただきます。ご 意見を頂戴したい点は、事務局から説明がありましたように大きく3点です。1点は、 現在あります「議論の整理」のところについて、加筆訂正がある部分についてのご意見 を頂戴したいということ。2点目は、ここには触れていないけれども、さらに追加をし て、こういう対応を図る必要があるということについてご意見を頂戴したいということ。 3点目は、特に6頁と7頁に青字で書いてある部分です。6頁については、通園施設・ 児童デイ等についての一元化、あるいは再編の問題等々についてご意見を頂戴できれば ということ。2つ目の7頁については、日中一時支援事業、児童デイサービスのあり方。 そういう意味では、日中一時支援などが、子どもたちの放課後生活を豊かに保障してい けるのだろうか。豊かに保障していくためには、どのような仕組みが必要なのだろうか。 その辺についてのご意見を別途頂戴したいということ。これらについてご意見を頂戴で きればと思います。  私からの意見ですが、前半の話を聞いていて、やはり気になったのが「グレーゾー ン」という言葉です。報告書案のところでは別の、例えば「診断がつきにくい子ども」 とか、「判断がつきにくい」といった表現に変えていただければと思いました。それで は、どなたからでも結構です、ご意見を頂戴いたします。 ○山岡委員 いま座長がおっしゃったとおりで、グレーゾーンという言葉を使って、団 体へ帰って怒られました。白黒を付けると、白が善で黒が悪だとすると、グレーは悪に 近いというところではないか。こういう言い方を当事者団体がするのかと怒られました。 ですから、「気になる子ども」とか、座長がおっしゃったとおり、最初に注釈を付けて いただいて、そういう言葉は取っていただきたいと思います。  それから「軽度」ということで事務局では迷っているようですが、ここで使われてい るのは、知的障害を伴わないということで使われているケースが多いので、「軽度」と いうのは誤解を招くので使わないでいただきたいと思います。 ○宮田委員 このまとめ方を見て、我々通園施設の願っている方向性というところは一 緒なのかと思って心強く思います。もう一度確認すると、2頁等で障害を発見したら、 すぐにサポートもしくはサービスにつないでいくということがあります。いちばん身近 な専門機関としては、我々通園施設が課題になってくるかと思います。現在、三種別の 通園施設が400弱ですが、デイサービスが1,100弱と、ここが非常に増加しています。 しかし、障害種別に分かれている点や専門性の点で課題になっている発達障害の子ども たちの受入れがなかなか難しい部分があると思います。  そういう意味では、今後受入れの枠の拡大、キャパシティの拡大が大きな課題になっ てくるかと思います。この点については、障害種別が違うから、空いていても受け入れ てもらえない子どもが少なからずいるということで、まとめのところにも出てきていま すが、通園の機能統合、そして通園施設の契約外の支援をいかに拡大していくかが非常 に大きな課題になってくるかと思います。この部分は、後で相談支援の部分にもかかわ ってくると思いますので、そのときに発言させていただきます。  6頁の医療型と福祉型の通園施設のことです。我々肢体不自由児の施設は医療型の通 園施設と言われています。医療型というのはなかなか難しいところで、君塚委員の所も そうなのですけれども、「+医療費」と書かれることによって、たくさんお金を貰って いるのではないかという誤解をされるのですが、もともとの福祉の部分が低くて、その 辺りでは医療的専門性を抱えた通園施設の拡大につながらないという部分が出てきてい ます。現状では各通園施設を利用している子どもたちはかなり混合されていて、知的障 害の通園施設にも、麻痺を伴う脳性麻痺の子どもがいたり、我々の肢体不自由児通園施 設でも発達障害の子どもをサポートしていたりしますので、基本的には福祉型で統合し、 そして力のある市町村もしくは設置主体は診療所を持つという形で、通園施設に関して は付加的な機能として医療の部分を押さえたほうが、これからの拡大につながりやすい かと考えております。 ○柏女座長 特に6頁のところで、通園施設の一元化と、福祉型に統合し、必要な場合 には診療所を併せ持っていく、という形のほうがいいのではないかというご意見でした が、君塚委員から関連して何かありますか。 ○君塚委員 この全体に、前から言っている重症な子どもへの対応は、既にできている という判断で抜けているかどうかわからないのですが、少ないのではないかと思います。 3頁に、早期対応への取組の強化、(1)の対応の強化の中身がここにはない。重症例の対 応としての母子入園とか、超重症児、準超重症児への通園のあり方という形での、重症 児のことが抜けている。  そうすると、いま宮田委員がおっしゃったようなことで、現在のこども病院とか、診 療所ではこういう子どもたちにうまく対応できないのではないか。専門性がまだないの ではないか。そういうことで、地域性を考慮しながらも、現状のマンパワーを有効に活 かすシステムが不可欠ではないかと考えています。そういう意味で、医療型というもの もなくてはならないと思います。 ○北浦委員 重症児の在宅の方々にとって、通園事業というのは誠に大切な事業だと思 います。お蔭さまで重症心身障害児は、A型、B型は補助事業で行われているのですが、 このために伸びていかないのです。非常に数が少ないので、やっていただきたいと思っ てもなかなかやっていただけないところがありますので、この通園事業をなんとか法制 化して、財源でも充実したものにしていただければ、もっと広がっていくのではないか と思いますのでこの点をお願いいたします。 ○柏女座長 重心の通園事業の法定化についてのご意見を頂戴いたしました。 ○柴田委員 学齢以前と、学齢期と一緒にここで議論するのですか。 ○柏女座長 はい。 ○柴田委員 学齢以前の幼児期についてのところで、通園と児童デイサービスとの関係 を整理する必要があると思います。通園施設については機能の統合はいいと思うのです が、その際の規模として、30人が最低基準になっています。前にも申し上げたのです が、30人という規模は非常に大きくて作りにくいことがあって、20人からできるよう にしていただければ、もう少し作られていくのではないかと思います。  重心通園もほかの機能を持っている施設に併設して行う場合は5人からという併設型 があります。この通園についても、併設型で5人ないしは10人からというものも認め ていって、もう少し地域に密着した展開ができるようにならないかと思います。  児童デイサービスと、通園との関係ですが、通園施設のほうは、ここで言われている 出向いていって専門的な支援をする、さまざまな保育園等に出向いていく、という機能 を通園は持っていくべきだろうと思います。デイサービスにそこまで求めるかどうかで す。デイサービスは、もう少し身近なところで、小規模に障害児をしっかり受け入れて いく、いわゆる療育機関としてあればよいのではないかと思います。  学齢期の問題ですが、夏休みとか放課後の対応が大きいと思うのです。そこで、現在 児童デイサービスII型のあり方ですが、児童デイサービスII型という名称は紛らわしい ので、「幼児期における児童デイ」と、「学齢期における児童デイ」は名称も分けて、 制度的にも枠組みを変えてやるべきではないかと思います。これも、各地域できめ細か く作っていく必要があります。この児童デイサービスについては、いま「経過的」とあ りますけれども、これをきちんとした制度に位置づけていくことが必要だと思います。 ○坂本( 之輔)委員 議論の整理についての意見も含めて3点お話をいたします。5 頁の上段にある「保育所での障害児の受入れは年々増加」というところですが、保育園 での障害児の受入れにとって、加配保育士の配置は必要不可欠だと自治体の立場で考え ています。そのためには、交付税措置ではなくて、加配保育士が必ず配置されるような 財源の措置が必要なのではないか。また、医療的ケアが必要な子どものための看護師の 配置であれば、その財源措置も併せて必要だと考えています。  会議資料によると、平成19年度からは保育士の加配についての、交付税措置を拡大 ということですけれども、交付税措置では保育士の加配に必ず予算が使われるという保 証が私は全くないと思っております。チョウブンケイの流れには沿わないのかもしれま せんけれども、資料2の見直しの基本的視点にあるように、国の政策の方向性として、 できるだけ子ども、家族にとって身近な地域における支援を本気になって進めるという ことであれば、補助制度の創設も含め、保育士の加配が必ず進むような財源措置を行う べきだろうと思っております。  5頁のいちばん下で、「通園施設と児童デイサービスについては、障害児の専門機関 として、役割を強化していく必要」ということですが、これではいつまで経っても障害 児だけが集まる施設がない限り、障害児の育ちの支援は進まないことになってしまうの ではないかと思います。そうなると、障害児通園施設や、あるいは児童デイサービスの 運営は成り立たないというような、障害児の育ちの支援が進まないことになって、結局 は障害児だけを通園施設や児童デイサービスに集めることになるという矛盾が起きてく ることを危惧しております。できるだけ、子どもや家族にとって、身近な地域における 支援を政策の方向にするのであれば、通園施設や児童デイサービスに頼らない支援の仕 組みを作るべきだと考えます。  東松山市においては、保育園に保育士の加配や看護師の配置を進めることで、誰でも が保育園に通うことができるようになっております。障害児通園施設が自ら閉園の道を 選んだこともご存じだと思います。当市だからできる、できないということもあるかも しれませんけれども、やってみたけれどもできなかったのか、それともやろうとしてい ないのか。やる前からできないと決めつけているのか、ということを地方自治体に私は いつも問うております。特に、人口の少ない田舎や町においては、通園施設や児童デイ サービスを作っても、少人数を1カ所に集めることになって、結局は遠くまで通わなく てはならなくなります。  保育園、保健センター、子育て支援センターがない町や村はないわけですので、支援 の拠点としては子育て支援センターや保健センターの保健師などを、一般施策における 障害児支援の充実を中心的な施策として進めるべきだと思いますし、そうしないと進む べき方向と実態が離れてしまうのではないかと思います。  6頁の下に、保育園に看護師を配置して、医療が必要な子どもを受け入れるというこ とがあります。繰返しになりますが、その充実をさせるには、保育園ではそもそも障害 種別はないわけです。どんな障害のある子どもでも受け入れています。また、療養型通 園施設も診療機能は重要だと思いますけれども、子どもにとっての集団の場は、やはり 保育園に看護師と加配保育士の配置があれば、少なくとも経管栄養や痰の吸引、あるい は導尿が必要な子どもは保育園に通うことができています。障害児の専門の特別な施策 を考える前に、政策の方向で、できるだけ子ども・家族にとって、身近な地域における 支援を中心に考えていくべきではないかということを感じました。 ○柏女座長 実践に基づいた貴重なご提案をいただきました。 ○市川委員 2頁にありますように、今後保育所等には専門機関による支援と書いてあ ります。これは、上のほうに「気付き」による発見という、特に知的障害を伴わない発 達障害についてはそういうことがあります。これは「職員の専門性の向上」ということ も入れていただかないといけないと思います。  それと同じことで、8頁の放課後児童クラブなどにおいても、ほとんどが非常勤の職 員で、研修も受けられない状況にあるという前提に立つと、やはり専門性を少しでも上 げるということがいちばん重要なことになるのではないかと思います。  6頁に「医療型通園施設」とありますが、医療型というとどうしても肢体不自由が中 心になってしまいます。知的障害を伴う方の医療も頭に入れておいていただきたいと思 います。短期間必要になる方は当然いるわけですので、需要がないのではなくて、いま はどちらかというと医療サイドのスタッフがいないために、非常に充実されていない状 況にありますので、それを是非入れていただければと思います。 ○柏女座長 最初のほうに研修は確かに抜けているのではないかと思いますので、考え ていかなければならないし、研修システムや研修時間の確保が大事だと思います。 ○末光委員 6頁の医療型、福祉型、それに関連して北浦委員からも、重症児通園事業 の法的な枠組みの中でというお話がありました。私どもも是非そのことをお願いしたい と思っております。  それに関連して、現在300カ所を国で目標にしていただいていて、いま280少々に来 ているのではないかと思います。この間、我々が期待していたより伸びが遅かったわけ です。それは、この後に申し上げます頑張れば頑張るほど施設側の負担が大きい、赤字 でやらなければいけないということがあったからです。それも、やっと300カ所が目前 に来ておりますので、是非法的な枠組みにしていただく中で、箇所数についても大幅に 増やしていただくことをお願いたします。  もう1点は、利用している方々が、平成元年に始まったモデル事業時代は、養護学校 卒業後の生活の場、あるいは日中活動の場としての期待が多かったわけです。もちろん、 それも続いておりますが、最近は就学前の子どもの利用が増えています。そのほとんど がNICU等で生命を救っていただいた後、家庭に帰った方々が、急増しています。そう いう意味からも、ほとんどがレスピレーター、酸素吸入等々が必要な子どもばかりにな ってきています。  先ほど柴田委員から言っていただきました、B型が1日5名、A型が1日15名です。 A型は特に肢体不自由施設、重症心身障害児施設の、医療機能を有する所に併設になっ ております。A型は、ほとんどが1,000万円から2,000万円の持出しという状況になっ ています。そういう意味で、専門的な部分をやれるような財政的バックアップも是非お 願いしたいと思います。  もちろん、モデル事業から一般事業化するときに、この部分は国でもかなり改善をし ていただいたわけですけれども、利用の状況が医療ニーズの特に重い方々にシフトして おりますので、そのための看護師、さらにはPT、OT、STといった、より専門性の高い スタッフを確保しなければそのニーズに対応しきれないという背景がありますので、是 非その辺りをよろしくお願いいたします。 ○副島委員 3頁の早期発見・早期対応のところで、特に早期対応についてまとめられ ているのはこれでいいのではないかと思います。ただ、親として自分たちの声を発信す る状況というのは、やはり仲間がそこにいるからということが1つあります。一人ひと りを引き上げるのではなくて、仲間同士いろいろ話ができる。つどいの広場もそうだと 思いますし、仲よしクラブでもそうだと思うし、地域の親の会というのもそうかもしれ ません。そのような所を1つの媒介として、その対応のところへ結び付けていくのに役 に立つのではないかと思います。  7頁の、地域の中での放課後対策等については、日中一時支援とかデイサービス関係 が結構重要な役割を担っていると思うのです。ただ、この児童デイサービスII型の経過 的というところに対しては、やはりこのようなII型についての取組は、放課後対策の重 要な取組の一貫だと理解していますので、経過的デイというような形の取組ではなくて、 1つの放課後対策事業として、独立した事業体としての位置づけ方をすべきではないか と思います。  9頁で、学校在学中から、卒業後の生活する力とか、就労への心構えというものを付 けていくために、夏休み等の長期の対策はどういうところがあるのか、ということはど うしても考えていただきたいと思います。学校だけの問題ではなくて、福祉施設関係と の連携を取って、夏休み期間中に、例えば就労関係の実習ではなくて、グループホーム など、こういう所への生活体験の実習ということへも広げていってもらえれば、本人が 卒業した後、少しでも福祉施設に頼らなくてもいいような自分の力が付くというところ へ持っていけると思いますので、是非そういうところへの拡大をお願いできればと思い ます。 ○田中委員 この枠組みで、座長から示された部分だけで語っていくと、幹の部分が見 えにくくなるかと思いますので、あえてそこに触れさせていただきながらお話をさせて いただきます。  早期発見・早期支援という流れを作るときの支援のあり方が、具体的に誰が司って支 援を送り届けるのかを意識しながら語っていかないと、結果的にはサービスの偏り具合 において、届かない所においては、いま語られている超重症の方の医療の問題や、知的 障害の方にも通園医療が必要であるということを語っていっても、ある所にはあって、 それがなくならないようにという議論においては有効だと思いますが、結果としてない 所にどう作っていくのかということ。坂本委員からも、施策としてどうするのかという ことが挙げられましたので、そのことについても意識をして、この部分をまとめていか ないと現状の追認で終わってしまうのではないかということを非常に危惧をしておりま す。  その意味では、学齢期の子どもの対応ということで、これも一生の課題というよりも、 永遠の課題になってしまうと諦めてしまえば、文科省と厚労省の谷間の問題だというこ とで終わってしまいます。市町村としてどうするのか、ということについてのサゼスチ ョンをここでしておかなければ、結果的には省庁間の谷間の問題の闇に葬られてしまう だろうということが非常に危惧されるところです。  サービスのあり方として、日中一時支援、もしくは児童デイサービスというのは、こ こにおいてそこは枝葉だと思っています。このサービスのあり方も、いま全国的には非 常に偏りがありますので、その問題をどの場で協議していくのかということについては、 切り込んでいった上であり方論についてを述べていく必要があると思います。  その意味においては、特に学齢期の学校に通っている状態の子どもについては、先ほ どの参考資料の5頁の図でも、学校と福祉の個別支援計画がそれぞれに位置づいている と表現されております。このことが結果としては谷間を現していることになると思いま すので、これをどのように協議していくのかということについても含めて、サービスの あり方については語っていく必要があると思います。前後してしまうということで申し 訳ない提案なのですが、サービス論のあり方だけでは、冒頭にお伝えしたような危惧か らはなかなか抜け出せないので、全部必要だと言えば必要だし、順番を付けたらどうだ と言われても、誰が付けるのかということにおいて、非常に迷ってしまうと率直に思っ ております。 ○柏女座長 その点は私も少し気になっています。つまり、現実論でいくこと、もちろ んそれが一歩でも前進していくためにはとても大切なことではあるわけです。その一方 で田中委員がおっしゃったあり方論というか、あるべき論というか、それを現実で一歩 進むからといって、そのあり方論のところを捨ててしまってはいけないのではないかと いう思いがあります。  そういう意味では報告書の中で、例えば中長期的な課題とか、そうした方向を示すよ うなことも少し考えなければいけないという思いもありますので、ここは事務局のほう と検討させていただきたいと思います。まとめ方のところで改めて議論ができればと思 います。したがいまして、あるべき論と言いましょうか、あり方論のところも、是非、 ご意見を出していただいても構いませんのでよろしくお願いします。続きまして、渡辺 委員からお願いします。 ○渡辺委員 それでは3点ほど気が付いたことを申し上げます。3頁、「敷居の低い場 所」という言葉が出てきますが、これはより具体的にきちんと定義を付けていく必要が あると思います。1つは、通園施設等、障害児を専門とした機関の敷居を下げていくと いうことです。2つ目は、例えば敷居の低い場所としては子育て支援なら子育て支援と いうことをはっきり書いて、その中にはもちろん保育所だけではなくて、地域子育て支 援拠点事業の広場とか、支援センターも入ってきます。あるいは、療育型のグループや 育児サークルであったり、すでに乳児家庭の全戸訪問も始まっておりますので、これを 一体どのように国の中で取り組んでいくのか。ファミリーサポートセンターでも、障害 児の利用があるという報告がありますので、そこはどこまで敷居の低い場所と捉えてい くのか、子育て支援とのつながりというものを視野に入れて検討していく必要があると 思います。  5頁、通園施設と児童デイサービスについては、私はこれまで田舎に住んできました ので、田舎にいるとどうしても通園施設に通うのに1時間かかるとか、1時間半かかる という地域はざらにありまして、都道府県によってかなり差もありますが、通園するこ と自体が難しいということがあって、そういう中で支援費制度以降、例えば地域の方々 であったり、親御さんたちがNPOや団体を立ち上げたりして、その中で最も取組として 作りやすかったものが児童デイということもあり、そういう意味で身近な地域の中で療 育を受けられる場所が広がってきたという経緯があると思います。そういう意味では、 児童デイサービスについては、ある程度運営が成り立っていくような補助のあり方を考 えていく必要があると思います。  もう1つは、児童デイというのはどこでも一緒というわけではなくて、例えば、地域 によって通園施設が身近になくて、児童デイがかなりいろいろな役割を担っていかなけ ればいけない地域もあると思います。ある程度通園施設が整って、児童デイサービスが やるべき役割はそれほどたくさんなくてもカバーできる地域もあると思います。児童デ イと言ったら基本事業があって、プラス地域の実状に沿ってそこに嵩んでサービスがく っ付いていくような形で、児童デイサービスは展開していけるような方策を考えていく 必要があると思います。  もう1つは、療育型がI型に移行してからは、児童デイについては役割は大事ですの で、専門性を高めていくためには児童デイサービスのスタッフに対する、療育に関する さまざまなスキルや知識の研修体制みたいなものが必要だと思いますので、そういうこ とは、例えば、都道府県がしっかり担って、全体としての底上げを図っていくような方 策も必要と思います。現実論で申し訳ないですが。  これについてはご意見がありましたが、日中一時支援とか、児童デイサービスのII型 については、ショートステイだけでもかなりレスパイトになっている部分があると思い ます。そういった意味では、親御さんの就労の機会、社会参加の機会を保障するために も、あるいはレスパイト的な意味合いでも日中一時とか、児童デイのII型については、 できれば新しい体系にして、きちんとした枠組みを作ってサービスの給付や補助のあり 方を考えるべきではないかと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。続いて、宮崎委員、よろしくお願いします。 ○宮崎委員 障害の早期発見・早期対応策のところですが、委員の皆様からお話がある ように、さまざまな所で強化をされており、このまま各地で浸透していくことが課題に なるかと思います。その強化をするに際しての考え方については、家族支援との関係も あり、次世代育成という視点では、仕事と子育ての両立というのは、障害者を持つ家族 にとっても重要なキーワードだと思います。一旦、支援施設などに通園させることにな ると、親御さんからは「もう仕事ができないよ」と。厳しい状況に立たされるというよ うなことをよく言われています。保育園でも延長保育はないという状況にもなっている わけです。  そういう意味で、仕事と子育てを両立させるための対応という基本的な仕組みを考え ることを前提として、検討していく時代にもうなっているのではないか。その点が1点 です。  そういう視点で考えていくと、敷居の低い場所での支援ということで言うと、これは 田舎であろうと、都会であろうと、非常に交通の便が悪い所での対応がやや大きくなり がちになっているのではないか。利用者の視点に立って、いろいろな環境整備を図って いくことについてのきちんとした課題があることを、自治体に配慮を求めるような対応 をしていく必要性があるのではないかと思います。  2点目は、いわゆる放課後や夏休みの居場所作りについて、先ほど来お話がいろいろ 出ていますが、学齢期における受入体制を「促進」と書いてあるのですが、これは学生 の卒論などでもかなり調査が行われていますが、文字どおり「促進」のままで終わって いる。そういう意味では、次のステージと言いますか、努力義務のような部分が今後求 められていくのではないか。なおかつ、10歳未満の児童が対象ということですが、こ の辺りは6年生ぐらいまで延長を認める。これは子育て支援というか、仕事との両立を 念頭に置けば、そういった環境整備が必要になってくるのではないか。この辺りが親御 さんたちの話を聞いても、大きな課題になっているような気がします。 ○松矢委員 田中委員が原則的な観点ということで触れましたが、私は歴史なども勉強 しておりますが、基本的にはすべての子どもが地域でというのが基本原則だと思います。 しかし、例えば先ほどの重症心身のお子さんたちを、重症心身障害施設や肢体不自由児 施設、地域の通園施設等のバックアップで在宅で育てることができるというのは、バッ クアップがあってだんだんと進んできたと言えるかと思います。  ですから、歴史的な経過のそういうものも活かしながら、やはり地域でということで、 埼玉の東松山の実践も非常に注目されています。療育センターが頑張っても、なかなか 地域ではできないではないかという問題提起は非常に重要だったろうと。坂本委員の、 看護師や保育士を加配することで、バックアップはもちろん活かしますが、地域密着型 で支援ができるのではないかという問題提起は、時代の方向を進めることである意味間 違いないだろうと思います。それは一気には進みませんが、この間の改革の基本的な方 向としては、すべての子どもたちがまず地域で、要するに子どもの最善の利益という観 点で、障害があってもその観点が生きるということです。  もう1つは、まず障害のある子が生まれるかどうかわからないわけです。これから結 婚し、子育てに入っていく若い青年男女に対して、安心して子育てができるのだと。生 まれた子どもが重い障害、また病気であっても、地域で育てることができますよと。そ ういう手立てをこの改正期に、ちゃんと置くというふうにしてほしいのです。ですから、 母子健康手帳は、母子支援手帳の膨らみを持たすことです。虐待も含めて、育てづらい なとか、いろいろな理由で夫婦が苦悩していく。そのプロセスのときに相談支援機関が いろいろありますよと。これは障害がある子、子育て何でもいいのです。そういう幅の 広がりの中で、いろいろな所に相談に行けるという、これから子どもを産み、育ててい く方たちを啓発していく所を、児童福祉法の改革のほうできちんと謳ってほしいのです。 それにはツールが必要だろう。それは個別の支援計画に結び付いていくような支援手帳 とか、いろいろなことを考えていかなければいけないのです。それは基本的に原則にか かわっていると。すべての子どもたちの健やかな成長・発達を保障していくというとこ ろで障害児のプログラムはあるということを強調していただきたいと思います。  ライフステージというところでは、わかりやすさは幼児期、学齢期、大人への移行期 という、その移行のところが非常に重要です。やはり、幼児期、つまり就学前、学齢期、 卒業後の大人になっていく境目できちんと連携がいくように、ライフステージでは就学 前の幼児期、学齢期、重症心身の問題も含んでおりますが、大人になっていく移行のと ころと、その3つをきちんと、サービスのあり方を詰めることをしていただかないと、 特に、放課後保障のあり方は非常に多様な実践がありましたので、そこを調整できるよ うにしていただきたい。これはPTA等、親御さんたちが一生懸命動いて、5日制対策と か、長期休暇はどうするかというメニューも作りましたので、そこのところを3つのラ イフステージという形で整理して、もっともよい、あるべき生活の支援にしていきたい。 要するに、学校は結構長時間子どもを預かっていただけるのですが、そういうことです。  もう一度言うと、地域でということは、教育でもまだ解決されておりません。通園事 業に合わせれば、医療的ケアが実施されるようになって、親御さんが通学に付き添って 学校にいなければならないという問題が解消してきたわけです。非常に大きなことです。 次に、身近なところで、盲・ろう・肢体不自由・知的障害、障害種別のものが特別支援 学校という形でまとまって、地域によっては総合支援学校ということで、障害の重複で 重症心身のお子さんも、知的障害のお子さんもなるべく近くの所で利用できるようにと だんだん変わってきていますので、それは地域でという考え方だと思います。なお、ま だ解決できないのは、島しょとかいう所です。6歳になると特別支援学校に子どもを預 けなければならないということで、6歳の別れということはずっと言われてきました。 そうなると、特別支援学校、特別支援教室とありますが、特別支援教室も案としてはあ ったわけです。なるべく近くで重い子どもたちもということも、実践的には可能になっ ていくというか、それは私も教育をやってきて、大胆な提案はできないにしても、方向 はそういうふうに向かってきている。なるべく子どもの最善の利益ということで、家庭 で育ち、大人になっていくところにどれだけ近づけるかというところで、我々は努力し てみないとまずいのではないかと思います。まだ、特別支援教育は入口ですが、明らか にインクルージョンに向かって第一歩を進めたということがありますので、いますぐと いうわけではないのですが、我々は将来展望を大切にして議論していくべきであろうと 思います。 ○中島委員 資料1の半分までということですが、これを拝見して、それぞれ非常に良 い方向性も出ているし、専門家の方がいろいろ意見をおっしゃったことをとりまとめた ものですから、これに対して何かということはないのですが。  しかし、非常に不思議なのは、どこにこういうものを実践するだけのお金があるのか ということです。資源とお金。ですから、厚労省の方がこういうような資料を出してく るなら、どこからこのためのお金を持ってくるかということです。つまり、財源です。 国がお金を出せないなら、本人がどれだけ負担をしなければいけないか。あるいは、地 域がどれだけ労力を出さなければいけないかということも併せて、もう1個セルを作っ て書いていかないと、こんなものは全く絵に描いた餅だと思います。そういう意味では、 非常に無責任な議論になっていると思うのです。みんなそれぞれ、こういうことをやる べき、ああいうことをやるべきと言いますが、それはどこからお金が沸いてくるのです かと私は言いたいと思います。  青い☆になっているインセンティブのところですが、インセンティブというのは要す るにお金ということです。お金でなければやる気、生きがいなのでしょうが、そのお金 をどこから持ってくるのか、明確な指針を次回の紙を作るときには是非右端に付けてい ただきたい。そうでなければ、ここでの議論は全く無責任な話に終わると思います。 ○山岡委員 すでに柴田委員、副島委員、渡辺委員がおっしゃっていますが、児童デイ のII型の学齢期以上のところで、発達障害のある子どもについても非常に大切です。し かしながら、いま経過措置になっていること、単価が引き下げられた等で、なかなかう まく機能していないのではないか。あるいは、これからの対応をどうしたらいいのかと いうことです。いまのスタイルを見ますと、タイムケア事業のときは、若干、社会適応 訓練みたいなものが入ったりしたのが、こちらになると、例えば、日中一時支援になっ たらなくなったとか、方向性として厚生労働省の管轄のところでは、レスパイトと保護 者の就労保障に限定してきたような流れがあると思います。非常に貴重な場であります し、療育の場としてもう一度きちんと位置づけるべきだろうと考えています。発達支援 とか自立支援、いろいろなことがこの場でできるということで、ST、OT、PTの専門ス タッフを揃えたようなきちんとした体制にしていくのが良いと思います。もちろん、学 校教育との棲み分けというところが、議論の中でもあったかと思います。これは渡辺委 員もおっしゃったように、地域によって「ハコ」をどこにするかとか、いろいろな問題 で縦割行政の中でも難しいところがあるかと思います。基本的には、児童デイサービス II型を維持拡充して、そちらで療育の面もやるのだということを位置づけていただくよ うに要望します。 ○柴田委員 5頁の「保育所等での受入れを促進する」は大事なことですが、「これま で通園施設等に通っている子どもがなるべく並行して保育所等へ通えるようにしてい く」、こういう表現をすると、通園施設は全部完成していて、そこから保育園へ並行通 園していくというような表現ですが、実は通園施設は足りないと思います。  同時に、保育所等との並行通園も強化していくという、両建てでしていく必要がある だろうと思います。将来の方向性と現在の施策があまり飛び過ぎた議論にならないよう に、そこは注意する必要があると思います。  児童デイのところで、いま山岡委員がおっしゃったように、学齢期の療育・発達を支 援するシステムとして、副島委員からもありましたが、ここはきちんとした法制的な位 置づけが必要だと思います。財源の問題をどうするかというのは、さらにそれは大事な 問題で、社会保障費が2,200億円の削減を継続することになっているようですが、基本 的に福祉についてのきちんとした予算の配分を作っていく施策を是非ともお願いしたい と思います。 ○末光委員 先ほどの柴田委員の意見と若干関連があるのですが、私ども重症心身障害 児を40年間お世話してきた中で考えるのは、1度重症心身障害児施設に入所されると、 再び我が家へ帰るのは大変困難です。重症児通園モデル事業を平成元年に始めたときに、 我々はお受けして家族にもお話をして、帰れる人は帰っていただけたらということでし たが、お一人だけでした。そういう意味で、やはり、いまおられる方々を我々は、その 時代の状況の中でお受けしないことにはその方の命、家庭が守れないという形でやらせ ていただいてまいりました。  そういう意味では、現在おられる方々を今後も守るということと、我々の重症心身障 害児施設の例を挙げますと、地域の中で支えるお手伝いをする。その役割はどうあるべ きかということで、2つを整理して議論しなければいけないのではないかと思います。  その中で、今後とも地域の中で在宅でやれるから、重症児施設がいらないということ であれば、我々のような施設はやめればいいわけで、その辺りは現状を守らなければい けない、保守しなければいけないという姿勢は間違っているのではないかと思います。 その辺りを誤解しないようにしていただけたらありがたいと思っております。  もう1点は、8頁の私の発言のところで、これでは誤解されると思いますので訂正を お願いします。いちばん下の「施設で云々」というところは、重症心身障害児施設で 234人中102人に学籍がないまま、「成人に達している」という実態のことを申し上げ ました。頭に「重症心身障害児」を入れていただきたいのと、学籍がないまま成人に達 しているという実態です。これはこの前も申し上げましたが、文部科学省は、重い障害 児については義務制の中で、世界に先駆けた実績を積み重ねていただいている。そうい う意味では高く評価させていただいていると申し上げたのですが、光と若干の影がある と、この部分をご指摘させていただきました。  同じ文脈で、訪問教育の数字も出していただいたわけですが、やはり、希望をされる 方については、訪問教育ではなくて特別支援学校等に通えるようにしていただきたいと 思います。先ほど来出ましたように、放課後や夏休み等の長期休暇を福祉サイドだけで はなく、文部科学省も一緒になって支える取組をしていただけるよう、こちらから文部 科学省へ提言していただくことをお願いしたいと思います。  最後に、先ほどの東松山の取組は私どもも大いに期待をしているわけです。これは幼 児期だけ一般の保育所や幼稚園でやって通園施設はいらないということですが、小中学 校はどうなっているのかということです。小中学校になったら、また特別支援学級、あ るいは施設でいいのかということになると思いますので、その辺りの明確化を是非お願 いしたいと思います。 ○宮田委員 先ほど通園施設のほうは、ベース福祉型でいいのではないかというお話を させていただきました。その後、柴田委員から発言が出ましたが、そうなると、デイと 通園施設の区別化をどうするかというところが大きな課題になると思います。どうして も協議会を代表して来ておりますので、現実的な話ばかりで申し訳ないのですが、私と しては、通園療育の基本形態は児童デイだろうと。できるだけ多く地域に密着して、ま ず通う所を保障していく。そして、児童デイをベースに考えるためにも児童デイのボト ムアップは必要だと思うのです。  それに加えて、専門性の部分、例えば、職員配置や相談支援機能の充実した確保とい う辺りで、通園施設の位置を設定していくべきだろう。まず、通園施設も含めて、 1,500ほどの通園の場所を確保して、そこからさらなる機能を持つところにインセンテ ィブを出していく、というところで考えていただけないかと考えております。 ○柏女座長 ありがとうございました。まだ、ご意見がおありになるのではないかと思 いますが、今回は横に切っていく論点になりますので、これまでも相談関係、あるいは 家族支援の関係は出ておりました。そういう意味では、10頁からの議論に入っていく 中で、また前のご意見なども頂戴できればと思います。あと35分ありますので、そち らの議論に入りたいと思います。 ○坂本(正)委員 全体にわたることですが、とりまとめに当たって、少しわからない 部分もあるのですが、方向性を出していくことは当然ですが、具体的に施策にまで、と りまとめの中で触れていくのかどうか、とても気になっているのです。  とりまとめに当たりましては、障害児の施策というのが、これまでの歴史を見ている と、障害施策と子ども施策の谷間に落ちて見え隠れする。2つが重なるということは、 非常に理屈の上では素晴らしいことですが、現実はそうではなくて、実際にどこが責任 を持って、どういう形で展開をして、ライフステージに応じた支援をしていくのか、と いうことがどうしても薄くなってしまっている感がある。しかも、障害児支援に携わる 人たちも躊躇してしまう。それは自分たちが主になってやることなのかどうかというこ とで、どうしてもサービスを提供する側、あるいは相談支援に携わる側は引いてしまっ ている感が拭えないところがありますので、このとりまとめに当たっては、そこを必ず 強く意識して、施策のあり方を少しクリアにしていかなければいけないのではないか。 特に、分担をどうするのか。分担した上での重なりをどうするのかということを意識し た上でのとりまとめを期待したいと強く感じています。 ○柏女座長 ありがとうございました。とても大事な視点だと思います。行政の実施主 体の議論もありますが、それだけではなく、横の教育と福祉、あるいは医療という議論 が出ていましたが、そちらの横の広がりや分担も議論の中に入れていかなければいけな いのではないかと思いました。 ○松矢委員 相談支援と個別の支援計画について少し意見を申し上げます。先ほど、田 中委員から、個別の支援計画の5頁の図に触れたのですが、私もこの書き方は違うので はないかと思っています。要するに、障害者基本計画にある個別の支援計画というのは、 教育・福祉・労働・保健・医療、全部共有するキーワードだと思います。連携のツール としての個別の支援計画ということで、個別の教育支援計画は、学習指導要領にも入り 込みましたが、文部科学省が、個別の支援計画を学校教育では個別の教育支援計画と言 おうと言っているだけで、これは共通です。ですから、みんながこれを共通に持つので す。そういうふうに法律制度の中に入れ込んでいただきたい。これは初めのところです ので、間違わないでそうしていただきたいと思います。  前に触れて、ここでも取り上げてくださっておりますが、これは連携のツールですの でトータルプランです。みんなが協力し合って、Aさん、Bさん、一人ひとりのお子さ んたちのニーズに応じて、障害が重ければ医療も入ってきますし、福祉も、みんなが支 えていく。それから学校ではどうなっていくか。みんなで支えていくツールですのでト ータルプランなのです。それに基づいてそれぞれのサービスの所では、サービスプラン、 個別の指導計画、支援計画がまたできるわけです。それを文科省のほうでは、個別の教 育支援計画がトータルプランで、個別のサービスプランは個別の指導計画というふうに 2つをきちんと制度に入れ込んでいます。少なくとも、学習指導要領レベルで、そうい う拘束性を持つ文書の中で規定されている。それを小中学校の特別支援学級のところま で、そこには校内委員会がありますから、コーディネーターも配置されますので、その 時点で、今年から入りましたからこれは後期の重点施策です。そこで、小中学校も本格 的にやりますよと。特別支援学校は全部できたことになっていますが、小中学校はこれ から計画的に。宮田委員からもご発言がありましたが、それは私は心配しているところ なのです。しかし、小中学校もやるということで、重点施策になっております。これは 教育指導上、全部共通なものだという書換えをしていただきたいと思います。  先ほど言いましたが、すべての、子育てを始める若い人たちが持つ相談支援の支援手 帳というのか、子育てのための支援手帳。虐待に入ってしまう場合には、障害がなくて も虐待は入ってきます。そのときの子育ての辛さを感じている親御さんたちが書き込ん でいけるようなもの。支援の窓口もそこにあるし、また、障害は疑われるけれども、そ こまで思わない、思いたくないという親御さんたちも行ける窓口があると、そういうも のをきちんと書き込んで、相談が受けやすい、シートが入っているような支援手帳も個 別支援計画がそこからスタートするという意味で、一体化して議論していただきたいと 思います。  このことは、当然バックアップすると赤字が出ると言いますが、バックアップする機 関、施設は、そこから移行していけば、なおさら個別の支援計画のトータルなプランを 作っていくホストセンターになるはずです。この手帳そのものがいろいろな費用の問題 と絡んできます。そういうきめの細かい応援になってきます。  もう1つは、この図の4頁、個別の支援計画を考えますと、専門機関、通園・児童デ イセンターの所に「個別の支援計画づくりや、支援会議のコーディネートを行う」と書 いてあります。これは当然、市区町村の中にある相談支援センターもホストセンターに なれると。それはまさに障害があるかどうか、確定診断前の親御さんがいちばん近いの は市町村です。そういったところがまず受け止めたら、そこがホストセンターになって、 いろいろな支援機関につないでいく支援計画を作るべきです。そこには当然ワーカーが 動きますし、支援会議を召集しますので、いろいろな経費がそこから補償されるような、 そういうふうに私はイメージをしておりますので、個別の支援計画というのは場合によ っては上の都道府県の療育センターとか、その3つにかかわってくるのではないかと思 っています。真ん中の通園施設・児童デイ等のところだけに出るのではなくて、この書 き方を全体にかかわるような形で書けるような内容にしていただきたいと思います。 ○宮田委員 いまの図です。4頁の「地域における相談支援のイメージ」というところ で、これを見て逆にわからなくなるので、専門機関の中の「地域への新たな支援」の部 分の財源と言いますか、ツールになるのが左の上の「障害児等療育支援事業」と私は認 識しております。  そうならば、ここを別にしてしまうとわかりにくくなるということ。加えて、専門機 関からの地域支援のツールとしての障害児等療育支援事業をコーディネートするのが、 障害者相談支援事業であると私は認識しています。そうであるなら、「支援」を「相談 支援事業」のほうに矢印を向けるのではなくて、この矢印こそが相談支援事業であろう と。この矢印のいちばん下のピンクのところは、障害児本人であるべきだと思います。  これから特に専門機関のあるべき姿を考えていくときに、障害児等療育支援事業と、 障害者相談支援事業の併設というか、委託が非常に大きな課題になってきますので、こ の部分のイメージをもう少し明確にしていただきたいと思います。 ○障害福祉課長 これからさらにご議論をいただきたいので、少しこの図についてのイ メージ合わせをしておきたいと思います。この話は、先ほど中島委員がおっしゃいまし たが、今回、絵を描いたときにどういう財源でするかということも関係しています。実 は、財源論自体について言うと、財源論の詰めとあり方が行ったり来たりしながら、だ んだん整理されていくものだと思います。そうは言っても、何か案を出すときにどうい うイメージがあるのかということは、いまの段階でこんなことは考えているということ だと思います。  この図について言うと、いまおっしゃったように、これは事業ベースで整理されてい ます。宮田委員がおっしゃったように、いちばん下が「本人」とおっしゃいましたが、 実はこれは本人が出てこなければいけなくて、我々から見ますとこれは事業ベースで書 いています。  わかりやすく言いますと、いままでは基本的な市町村のこげ茶色のところで現行はや られている。一部、黄土色の都道府県の療育等支援事業はそれをサポートしているのが 現状です。その意味で言うと、言ってみれば本人はこちら側にあって、本人に対して市 町村の部分と、一部都道府県がサポートしているのが現状という構図だと思います。  その上で、市町村でいろいろやるのが第一原則です。その意味で言うと、市町村の直 営もあれば、いろいろな委託もあると思いますが、なかなか現行の市町村の相談支援事 業は基本的には交付税ベースに一般財源が中心だということで、非常に弱いということ です。そのときに財源論と専門性もまだ不十分なところがあります。そうすると、例え ば、ここに書いてある専門機関というのは、地域で療育やデイとかをやっていて、いわ ばそこに通ってくる人をいろいろと療育している機関がそこにあるのであれば、ここの 力を借りていきましょうと考えています。その力を考えるときに、ここは療育ですから 基本的に「来る」ということでやっていますが、それがいろいろな所へ出掛けていくと いったことを、専門機関に新しくそういうこともお願いすることも考えていったらどう か。そのときの新しい機能というのが出掛けていく療育もあれば、順番が別になります が、個別の相談支援でやっていくのもあれば、グレーゾーンという言葉は別にして、気 になる子どもを含んでいろいろな相談支援をすることになるだろうと思います。  これは現行制度との関係ですが、財源論として考えるときに、いちばん上の療育支援 はこれから議論していかなければいけませんが、出掛けていく療育支援というのは来る 療育支援があるのだったら、出掛けていく療育支援も何らかの形でいろいろな給付の形 で可能性ができるのではないかというのが1つあります。  一方で、個別の相談支援のところは、これはそもそも市町村の相談支援事業に関係し ますが、一定の場合については個別の相談支援でケアマネジメントをするというツール がありますので、そういうツールを活用していって何かできるということが1つの案と しては考えられるのではないか。  ただ、いちばん難しいのは気になる子どもに対する相談支援です。これについて言う と、都道府県がやっている療育等支援事業で活用するというのも1つありますが、療育 等支援事業というのは、これも財源が補助金なりできちんと確保されているわけでは今 はないということです。この辺はもう少しこれからよく考えなければいけないと思いま す。機能論として言うと、こちら側に人があるということと、専門機関として新しく真 ん中のところを活用しようということです。財源論については、いま検討中ですが、イ メージが持てるものと、まだ残るものがあると考えます。これは作ったときのイメージ ですので、その辺をベースに皆さんからご意見をいただきたいと思います。 ○宮田委員 追加ですが、かつて、障害児は地域療育等支援事業として都道府県の相談 支援事業で動いていて、そのときはコーディネートする人間と、武器としての専門の部 分が一緒に動けたので非常に使いやすいツールとしてあったと思うのです。いまツール として障害児等療育支援事業が都道府県に上がり、それをコーディネートする相談支援 専門員は市町村に下りているところで、実施主体の部分を同時に考えていただきたいと 考えます。 ○柏女座長 ありがとうございました。先ほど来、参考資料をめぐって議論が出ており ますが、これは事務局のほうで、こちらのペーパーにたくさん書いてある意見をいわば 忖度して、具体化するときのために事務局ベースで作ったもので、それを議論すること は大事なことですが、それよりはこちらの議論の整理(1)の本体のほうに基づいて、でき ればご意見を頂戴できればと思います。 ○宮崎委員 先ほど松矢委員が前段のところでお話されたところと絡むのですが、ライ フステージに応じた相談支援の観点でいくと、乳幼児期をどんなふうに学齢期につなげ るかという大きな課題があるわけです。そして学齢期から大人への移行という視点が必 要である。それが資料の5頁に書かれているものだろうと思います。  個別の教育支援計画については、松矢委員からお話があったのでこれ以上はしません が、少なくとも、平成17年度までに盲・ろう・養護学校においては個別の教育支援計 画を作成すると閣議決定をされた中にあるわけで、そういう対応をしてきたわけです。 現実にはこれに関しては医療・保健・福祉・労働等との関係機関との連携が必要ですよ と言われて、そういう仕組みを作ったわけですが、現実には、学校が外に向かっていろ いろなお願いをするのはなかなかできにくかったという事情があります。そういう意味 では、やや教育機関内の計画にとどまっている部分がないわけではない。そのときに、 例えば9頁や13頁辺りに、それぞれのところで保健・医療・福祉・教育・労働等さま ざまな関係機関が連携をして整備をするということで、1つは支援計画があるし、それ から相談体制を整備すると。相談体制を整備して、計画を立てるということになろうか と思います。そういった体制づくりが進んでいるのだろうと思います。  そうするためには、この計画を立てたり、支援の仕組みを作るために支援会議などを やるわけですが、そこがなかなか十分でき切れていない問題があるのです。これは長野 の福岡委員がここでご発言された中にもそういったところがあったかと思います。例え ば、小学校、あるいは小学部で障害のある子ども、あるいは特別なニーズを持つお子さ んについて引取りをするということで相談に行くと、ある所では障害福祉課であるし、 ある部分では保育課で対応するということで二面性を持っているわけです。教育支援計 画を作成するにしても、教育委員会、あるいは学校と障害福祉課、子育て支援課といっ たような所と連絡をとる。それから、保育園や幼稚園との対応ということで、幼児期と 学齢期をどうつなぐかという、その移行の部分の整備を私はしっかりする必要があると 思っています。ですから、そこを一元化する。高校、あるいは高等部から社会に出ると きに就労関係と連携を取るときの仕組みも整備しなければいけない。もちろん、学齢期 にはレスパイトの問題とか、放課後活動の問題、その他のことがありますので、当然、 連携はとらなければいけないのですが、中心で支援計画を策定するのは学校でいいのだ ろうと思うのです。どこが主にその部分を担うかという辺りまで提言されていくと、ち ゃんと生きた相談体系と計画、支援ということが整備されていくのではないかと思われ ます。 ○田中委員 10頁の障害児に関する相談支援のあり方について、「市町村において」 ということから始まって、「都道府県の広域的・専門的な支援」と広がっておりますが、 重層的な相談支援体制を持つときに軸が必要だと思います。その軸となるものはいまま でお話が上がったように、個別の支援計画、もしくは母子手帳の発展系のものというよ うなことになっていますが、基本的には役割を明確にして何について話し合っていくの かということが大事になりますので、話し合った結果が手帳などに履歴として残るとい うイメージが大事だと思います。やはり、基本の軸は市町村に置いて、医療の一次、二 次、三次のような圏域の考え方を広げて、区市町村の専門機関、都道府県、さらに国の 機関ということで、児童相談所のような役割が位置づくと思います。そこにさらに教育 の部分の文科省管轄の特別支援学校、もしくは特別支援教室の役割が見えてきますので、 最終的には、軸となるところを市町村が握ると。握り方についてご家庭に情報を預ける のか、専門機関として行政、もしくは相談支援センターが持つのかは議論が必要だと思 います。  いずれにしても、そのイメージを前提としてそれが方向感だと思います。それを方向 感として持ちながら都道府県、もしくは市町村レベルでどのようになっていくのかにつ いては、財源をはじめとして、全く日本は均一ではありませんので、オールジャパンで 進めるということを前提とすること自体が難しいことだと思えば、この方向感を持って 進めていくことを1つの軸にしながら、それぞれぞんな発展系があるのか。うまく進ん だ事例においては、ロールモデルとしてそれをなぞっていく形で、少なくとも都道府県 においては市町村の動きが把握されて、1つの自治体でうまくいったのに、他の自治体 が無関心であるような流れにならないようにしつつ、国においても国の機関を使っての 児童相談所、もしくは文科省とのすり合わせということで、先ほど幹に対して枝葉と位 置づけてしまいましたが、もっともサービス提供が重要ですので、そのあり方が滞りな く、もしくは偏りがないようにするためにも、柱を持つべきだろうということで、10 頁の相談支援体制について重層的な相談支援体制についてもう少し言及をするべきでは ないかと思います。 ○柴田委員 まず、これは実施機関と非常に密接に絡む問題だと思います。現在の段階 で、市町村にすべて集約するという方向づけをするのは、非常に現実的に難しいと思い ます。と言いますのは、特に町村ですね。町村合併がまだ十分進まない中で、3,000人 を切るような小さな村に実際上の役割をと言ってもそれは無理がある。これは障害児・ 者施策全体に言えることでもあるのですが、障害児に限って言うと、なおさらそこに無 理がありますので、将来的な方向として町村合併等があって、基礎的な単位が人口3万 人以上とか、10万人以上とかに再統合されていく上でならまた話は別ですが、現状の 日本の市町村を考えた場合、特に村を考えた場合に、そこに基本的な役割を移すことに ついては私は無理があると思います。  そういう点で、特に県の役割をきちんと強化しなければいけないと思います。その中 で、ここには児童相談所について書かれていないわけですが、児童相談所が実際には虐 待のことに追われて障害児にかかわれないという実態があるのですが、療育等支援事業 と同時に、児童相談所における障害児への支援機能を強化することが現実には必要だと 思います。 ○柏女座長 児相や県と市町村の役割分担については、次回も議論をすることになりま すので、またそのときに皆さんのご発言をお願いしたいと思います。 ○末光委員 地域でというのは、誰もが共通認識していますが、やはり、その中身は人 によってかなり違うのではないかと思います。前回も「専門療育」という言葉を使いな がら、専門療育にかける中身が違うというお話を申し上げたわけです。そういう意味で、 ややもすると地域イコール在宅と、家族だけで頑張れと。そうではなくて可能な限り在 宅・地域でやれるということは当然ですが、それが困難な場合には社会全体で支える、 という視点は是非忘れないようにしていただきたいと思っております。といいますのは、 ご家族の中で真面目な親御さんほど、重い、そして大変なお子さんも抱えて頑張ってお られるわけですが、やはり疲れきってしまうことがないとは限りません。特に重症心身 障害児の親御さんから伺いますのは、学校関係の先生方の中に、施設を否定なさるよう な、施設に預けるのはけしからんというような言動をされる方がおられ、親御さんはそ れを真面目に受けて頑張っている。ところが、ついに頑張りすぎて、虐待に走るという ことがないわけではない、追い込みすぎるという部分があるわけです。これはもう既に 老老介護の中で、ご高齢の親御さんを見ている息子さんなりお嫁さんが、父や母に虐待 をしたりとか、命にかかわる行動に走ってしまうということからも、よくおわかりいた だけると思います。  そういう意味で、我々施設については、ない世の中にさせていただきたいわけですが、 そこに至るまでの経過としては、健全な施設、開かれた施設は必要だという認識を是非 していただきたいし、先ほども出ましたように、幼児期は一般保育所でやっているけれ ども、小・中学校になったらどうするのかと。そのあとは放り出すという形がないよう に、あるいはある部分だけつまみ食い的な支援という形にならないように、是非共通認 識をお願いしたいと思っております。 ○副島委員 まず、ライフステージに通じた相談支援のところなのですが、親として自 分の子どものライフステージにわたって、切れ目のない相談支援体制というのが、いち ばん望ましいと思っています。ただ、問題は幼児期から学齢期へバトンタッチするとき、 それから学齢期から卒業して大人期へ移るとき、どうしても切れ目があって、いまでも 現場では大変混乱していると思うのです。  そういうところの取組で、いま参考資料の5頁、前回にも出ましたが、それと並行し て個別支援計画等をその本人の成長に合わせて作っていきながら、学校との連携をする ということでは、是非それを具体的にやっていただく方向を考えていただきたいと思う のです。  そのときに、ちょっと気になることなのですが、特別支援教育になって、地域の中で 障害のある子どものことに対しては、ある面ではいちばん関心があり、取り組んでいる 親の会などという組織が学校との連携を取りにくくなってきている。それまでは、学校 との連携は意外と取りやすくて、いろいろな形で先生との交流会などというものをもっ てこれました。だから、具体的に両方が同じ問題を共有できたわけですが、いまそうい う働きかけをしたときに、学校は任意団体とは連携はとれませんという言葉が返ってき ているのです。それは特別支援教育になってから起こってきたのかというところの問題 があって、これは危惧していますので、そこのところをもう少し整理をしていただきた いと思います。  それから、家族支援の方策なのですが、この家族支援というのは、子どもの発達支援 は大切だけれども、そこにいちばんの受け皿である父親・母親の子育てに対する考え方 と、障害の受容、自分の子どもの状態がどうなっているかということをしっかり受け止 めるというところが十分できないために、混乱しています。そこにしっかりとしたサポ ートが要るということで、障害の受容時期の苦しさ、これをどう支えていくのかという ところをしっかり謳ってほしいことと、もう1つは、いつまでも親が抱えていくのでは なくして、親が元気な間に親に代わる支援を次のステップで作っていく、そういうとこ ろへつなげていき、最終的には本人は自分の力で、もしくはサポートを受けながら自立 していくのだという方向性を持ったような、そういうところへ導くような家族支援のあ り方が望ましいと思います。  もう1つは、最後の、経済的負担のところですが、前回のときにも障害児を抱える家 族については、大変な負担が必要になるとお話しました。親というのは、特に我が子の 発達遅れを認めるのに苦しんでいます。そういう時期に、もしくは親はそのことで心が 揺れている段階のところで、障害を受容する期間、もしくはそういう気持が揺れている 期間は、福祉サービスをお試しで使えないだろうか。つまり、お試し期間ということは、 費用が発生しないわけですよ。費用が発生しないようなお試し期間を設けてもらって、 自分の子どものことに対して、親が安心してその次のステップへ進めるようなところへ 来たときに、契約とか、いろいろな措置などというところにつなげていく方法はできな いだろうか。そこは我々親としては、すごく心配している内容です。是非考えていただ きたいと思います。以上です。 ○柏女座長 山岡委員、お願いします。 ○山岡委員 家族支援のところについて申し上げます。よく「親は将来に漠然とした不 安を持っている」と言うのですが、これは間違いですね。漠然とした不安だったら、自 分で考えれば解決するかもしれませんが、将来が漠然だから、強い不安を持っていると いうことだと思うのです。将来について、要するに支援体制なりがきちんとしていない。 例えば親として、親の亡きあとを考えるのですが、預金でも残そうかなと思っても、預 金がありすぎると応益負担が増えるという制度になっております。現在も、親に過重な 負担が掛かっているということですね。  もう1つは、障害を持つ子どもなんか産んだという罪悪感的なものが、旧来型の制度、 例えば教育の分野でも呼称などいろいろな言葉があり、そういったものに対して措置を 与えるがごときのような制度ができてきていて、何となく雰囲気がそのようになってい るというところがあるわけです。  あと、保護者支援と家族支援の中で保護者のところに絞りますと、1つは親育てとい うか、育て方をきちんと親に指導していくというポイントがあると思うのです。例えば 母親教室だったり、父親教室だったり、例で出ているペアレントトレーニングは、ADHD や発達障害に結構効果的ということで言われていますが、ほかにも随分応用できると思 っています。  当事者団体の取組をここにも挙げていただいていますが、例えば親の相談会みたいな ものでいくと、親の大半は悩みを30分聞いただけでほとんど解消しているということ があって、そういうピアカウンセリングみたいなもの。それから、自閉症協会さんでか なりやられたペアレントメンターといっている事業などといったものの支援をいただく、 あるいはペアレントトレーニングとか、指導する当事者団体そのものに支援できなけれ ば、地域単位でも構わないのですが、そういう指導者の養成のようなことを自治体がや っていくとか、ボランティアを養成するなどということはできるのではないかと思いま す。  もう1つ、保護者に対する相談支援体制ということですが、ここにも書いていただい ていますが、基本的には身近で、気軽で、かつ長期的に見ていただける所が、いちばん 良いのです。長期間は、同じ人がずっと見るのが無理であれば、松矢委員が発言されて いたように、個別の支援計画なりで、きちんと長くつないでいくという事が大事だと思 います。以上です。 ○渡辺委員 家族支援についてなのですが、特にレスパイトの部分です。このレスパイ トというのは、どういう意味でここへ使っておられるのか、まだ不明というか、よくわ からないことがあると思います。私自身は、レスパイトというのは、もともとが一時的 な休息という意味になりますので、ご家族が休息を得るためにということの必要性で言 うと、より高くその必要性があるのは、第6回の副島委員のご意見にも書いてあるよう に、重度の障害児を抱えていらっしゃって、目の離せないような状況にある親御さんた ちに、そういった休息の機会、あるいはその他のさまざまな活動にかかわる時間をきち んと保障することが重要だと思っています。そういった意味で言うと、レスパイトとい うのは必ずしもショートステイだけではなくて、先ほどから申し上げているように児童 デイや日中一時なども、レスパイト的な働きを持ちますし、あるいは例えばより重度な 障害を持っていらっしゃるお子さんを養育されている場合には、行動援護であったりと か、もちろん在宅での医療であったり、看護であったりという医療的ケアを充実させて いかないと、レスパイト的なものはなかなか難しい。そのすべての障害児の親御さんた ちに、少しでもゆとりを持って子育てをしていただくような環境を作っていくことは、 難しいだろうなと思っています。格差があまり出てこないように考えていかなくてはい けないと思っています。それが1点目です。  それから、私は先ほどの中島委員のご意見を伺っていて、ああ、なるほどなどと思っ ていたのです。ただ、私自身は決して無責任な気持でここに来ているわけでもありませ んし、むしろ私がこれまでに障害児や障害児を養育されている親御さんたちとずっとか かわってくる中で、研究や実践を通して教えていただいたことを、私はいまここでその 方々に代わって代弁してお伝えしていくというミッションを抱えていると思って、ここ にやってきております。限られた時間ですが、私がいまそういう役目を果たせるのであ れば、できる限りのものは伝えていこうと思ってここにやってきております。決して無 責任な気持でここに来ているわけではありませんし、ほかの委員の方の議論そのものも 無責任だと思っていません。  ただ、私自身の中島委員との考え方の違いは、この場で財源そのものまで扱っていく のかどうかというところは、位置づけをもっとはっきりしたほうがいいかなと思ってい ます。それはそのこと自体をここで話し合っていくということではないのですが、私は どちらかというと、財源とか何かというと、これはまた社会保障審議会がありますし、 そのあとにまた政治が絡んでくる話になってきますので、むしろここはファーストステ ップとして、なるべくあるべき論というか、理想論を述べて、できるだけ膨らみのある 原案を作っていかないと、いまの国の流れだとか財政の形から、あとからカットされて 絞られていく部分もあるのだろうなと。できる限り、ここでは広く大きく理想的なもの を作り上げておきたいし、これを保証人として聞いている傍聴席の方々もいらっしゃる わけですから、そういう位置づけの中で、なるべくあるべき姿を皆さんで議論し合う場 だと思っています。その点については、財政ということも、財源ということも、考えな がら議論していかなければいけないのかどうかということです。これはこの検討会の中 で話し合うことではないと思うのですが、位置づけは明確にしていただければと思いま す。 ○柏女座長 その辺については、またあとで事務局のほうとも詰めたいと思っています。 中島委員、お願いします。 ○中島委員 最後の、経済的負担のところですが、ある程度、現状で貧しくなってしま った方たちへの経済的支援は必要だと思うのですが、大事なことは、何が原因で貧しく なったかということで、例えば親が離婚して、母親が仕事を辞めて貧しいのか、医療費 の負担が非常にかかって貧しいのか、いろいろな原因があると思うのです。ですから、 その辺りのことをある程度きちんと資料といいますか、エビデンスに基づいて分析した 結果、適切な支援を考えていくことが重要だと思います。 ○市川委員 この議論の中にも出ておりますし、先ほどから低い敷居という話が出てお りまして、これは私は素晴らしいことで、入口はあえて低くしておくべきだと思うので す。逆に言えば、そうするとそのあとのスモールステップをきちんと用意しておいて、 必要な人はみんな上がっていくようなことは、連携というのでしょうか、そこをきちん とやっておかなければいけないなと思います。  それから、ライフステージによる支援ということで、先ほどからお話がありましたが、 もっと小さく見ていれば、学校に通っている人だって、学年が変わって、担任が変わっ たら、がらっと変わってしまう。私は普段、発達障害の方を中心に見ていますから、そ れはありますから、これは境目だけではなくて、途中も是非していかなければいけない と。  そうすると、今度は情報をきちんと共有できるかどうかということが1つ問題になる と思います。これはこの中にも書いてありますが、○○手帳というのは、私が知ってい る限り10数年前からいろいろな所で作られて、バラバラでいて、それが全部どのよう につながっているか、よくわからないような状況で、それは情報を誰が管理するかとい うことが常に問題になってきて、これはだいぶ前から保護者しかないだろうということ にはなっているわけですね。教育のほうは必ずしもそうなっていないところがあるのか もしれませんが、そうしていかない限り、ライフステージにおける情報を共有できない。 ただ情報だけ出したらいいかというと、その情報を取る側の専門性が低かったら、これ またどうしようもないわけで、これも是非挙げていただかなければいけないと思います。  あとは、今日の前のほうとも関係するかもしれませんが、私がいつも自分で感じてい るのは、早期発見・早期対応というのは、主語は誰かなと思ってしまうのですね。これ はおそらく保護者でなければいけないのだろうと思うので、発見というよりは「気付 き」なのかなと思っておりますし、その辺りのところを忘れないようにしないと、何か 早く受容していないからいけないとか、そういう極端な論議になりやすいと思うので、 そこだけは気を付けなければいけないと思います。 ○君塚委員 10頁の専門機関の役割で、2点お話させていただきたいと思います。1つ は今日急遽お配りさせていただいたA3の、私たち肢体不自由児施設で行うプログラム です。「発達障害児」の支援にかかわる職員に対し、相談支援できるようなリーダーを 育成する講習会、3回目ですが、こういう形で肢体不自由児施設であっても専門機関と して、いまの障害児に必要なニーズに対する私たちの役割として、いろいろな面で講習 を含めてやっていることを知っていただきたいと思います。  もう1つは、市町村なり地域における支援という話に関係するのですが、参考資料1 の4頁がわかりやすいのですが、専門機関による「地域の新たな支援」で、私たち施設 の8割が既に巡回相談をしております。離島とか年間8,000件をやっていますが、例え ば長崎県は島が多いので、1つの島には数名しかいないと。それで、1週間かけてチー ムで島々に泊まり込んで、年何回か行くというのはやっています。山間でも巡回をやっ ているということで、巡回相談だけで年8,000やっていると。それから、障害等療育支 援事業では3万件を超えてやっているのですが、そういう最もやっている所はここから 抜けて落ちているなというのが1つあります。  ただ、屋久島のお母さんから相談があったのですが、島にはダウン症のお子さんがほ かに誰もいなくて、島では誰も相談に乗れないと。鹿児島まで行きなさいと言われてい るのですが、結構大変だという話を受けたことがあって、やはり地域・地域において、 なるべくレベルの高い専門性のあるものを構築していくことは必要だと思っています。 ○坂本( 之輔)委員 いろいろとご審議をいただいている中で、率直に感じとすれば 厚生労働省は大変だな、という思いをしております。地方分権が進んで、交付税参入が 進む中で、おそらく地方の自治体は、首長の政治的裁量の中でものごとを考えていくと 思いますので、福祉行政はますます厳しい状況下にあろうと思います。もちろん国保も そうですし、自立支援法もそうですし、そのことが毎回、議会で取り上げられるという のが、それぞれ自治体のスタイルになっている。  そうなると、例えば教育の中でも、私どもでは埼玉県が入学するまでの医療費の支援 をしましたが、いま埼玉県71の市町村の半分が、医療費の支援はまだ就学前です。と ころが、いま市がおおよそ小学校3年生まで、小学校6年生まで、中学校3年生まで、 入院費や医療費の独自の支援をしています。たかだかお金を出すことですから、私はそ れは大きな政策だとは思いませんが、そういったことが選挙を通じて、それぞれの党派 や会派の人たちから議会として挙がってくると、そちらを優先してしまうのではないか。 障害のある方々のパーセンテージが7%以下、それだけ少ないということになると、後 回しにされるのではないかという危惧をいたしております。  そこで、もし厚生労働省が中心となって自治体を動かすのであれば、むしろ私は例え ば保育園に看護師が設置されなければ、その補助を認めないなどといった具体的な事例 をもって、そのことが担当課長や部長から首長に大変だということで、ニュースとして 入らなければ、担当部局ですべて終わってしまって、あとは首長が、違う大きな課題と されているところに取り組んでしまうと思っております。  私は今回のこの検討会に望みたいのは、先ほど宮崎委員や松矢委員がおっしゃいまし たように、ライフステージの中で幼児期・学齢期、このところを真剣に取り上げて、地 方自治体でもこれを実現していくべきだと思っております。小中学校で放り出すことは ありませんが、このことによって、小中学校でいかに支援をしていくかということがエ ネルギーとして生まれます。一般的には、高校を卒業した子どもをどうするか、社会に 出たときどうするかという議論は大人の議論なのですね。そうでなくて、いちばん根幹 にあるのは、やはり教育委員会との連携。難しい問題ですが、これをいかに行っていく か。そのことで理想とする福祉自治体を目指していく。先ほど渡辺委員がおっしゃいま したが、そういった理想論も、しっかりとここで見据えていかないと、地方自治体にこ れが流れていったときに、それぞれの首長がどういう町を目指すのかというのがわから ないことになると思います。 ○柏女委員 ありがとうございました。まだご意見があるのではないかと思いますが、 ちょっと時間を過ぎております。次回、また議論がこちらに戻っても構いませんので、 議論ができればと思います。今日の話は、2巡目ということで、とても建設的なご意見 が出てきました。かなり論点が明確になってきたなという気がします。それとともに、 どこまで広げるのかということについても、ご議論があったように思います。そういう 意味では、報告書の取りまとめ方について、皆さん方のご意見、現実論というところと、 将来方向を見据えた方向、2つを上手に組み合わせながら、一部はそこはうまくいかな いというところはあるかもしれませんが、そういったことについて、少し事務局のほう とまとめ方について議論をさせていただければと思っております。  もう1つは、財源論の話も出ましたが、これも事務局とは詰めてみます。渡辺委員が おっしゃったように、ここの部分では7月の末に報告書の取りまとめということを考え ると、やはりどういう具体的なサービスを展開していくのか、あるいはそのサービスを 展開するための実施体制をどうするのか。おそらく、そこが中心になって、いわば風が 吹いたときに、どういう凧を揚げるのか。その凧を用意しておくということが中心にな るのかなとも思ったりいたします。然はさりながら、いま少子化対策特別部会のほうで も議論がされている、新しい包括的な次世代育成支援のシステムの検討の中で、障害の 分野についても考えていかなければいけないのではないかと思っています。  実は、私はこれに関連して、文部科学省で行われている幼児期の教育の無償化の委員 会に入らせていただいていますが、幼児期の教育は幼稚園や保育所だけで行われている のではなく、児童デイでも、あるいは通園施設でも、特別支援学校の幼稚部でも行われ ているので、無償化を考える場合には、そこまで視野に入れなければいけないのではな いかといった発言をさせていただいております。委員の先生方におかれても、さまざま な場で、こうした谷間に落ちやすいといいましょうか。坂本委員がおっしゃっておりま したが、そうした障害を持った子どもたちをどのように一般施策の中で取り上げていく のかということについて、ご協力をお願いできればと思っています。  もう1つ思ったのは、今日も文部科学省の方もお見えですが、文部科学省での議論に 期待する声がありました。例えば認定子ども園については、幼稚園と保育所を一体化し た認定子ども園の検討をするための省庁横断的な対策室が作られていますし、放課後子 どもプランについても作られていますね。それを考えると、特別支援について、省庁横 断的な、つまり厚生労働省と文部科学省が共同になった対策室が作れないのかな、とい うことも思いました。もしそうしたことについてのご同意が得られるならば、この報告 書の中に提言として盛り込んでいくこともあっていいのかなと思いました。今日の議論 は、これで終わらせていただきます。事務局から、今後のことについてお願いしたいと 思います。 ○障害福祉課長 時間を過ぎましたが、本当にどうもありがとうございました。これか らの進め方について、座長とも相談しながら、また事務局として関係の省内の部局、あ るいは文部科学省、関係省庁ともよく相談してやりたいと思います。次回の日程は、7 月4日(金)の午後2時から、場所は航空会館5階の会議室を予定しております。出欠 票等についてご記入いただき、提出いただければと思います。事務局からは以上です。 ○柏女座長 委員の方から、ほかに何かご意見はありますか。それでは、今日の検討会 はこれで終了いたします。ありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)