08/06/23 平成20年度第2回特定疾患対策懇談会議事録 平成20年度第2回特定疾患対策懇談会 開催日:平成20年6月23日 (月) 場 所:厚生労働省専用第18-20会議室 出席委員  朝倉  均  内田 健夫  大野 良之  ○金澤 一郎       北島 康雄  草間 朋子  工藤 翔二   齋藤 英彦       笹月 健彦  猿田 享男  田仲 靖彦   辻  省次       中村 耕三  溝口 秀明  宮坂 信之   矢崎 義雄                              ○:座長 1 開会 2 議事    (1)難治性疾患克服研究事業の対象疾患について    (2)未研究の難治性疾患への対応について (3)その他 3 閉会 ○金澤会長 まだお見えになっていない委員もいらっしゃるんですが、定刻になりましたので、 第2回目の「特定疾患対策懇談会」を始めさせていただきたいと思います。  今日はお暑い中をありがとうございます。  また、まだ前回から3週間も経っていないのでありますが、御協力、ありがとうございます。  それでは、最初に西山健康局長から、一言ごあいさつをいただきましょうか。 ○西山局長 前回もごあいさつ申し上げましたので、特段ございませんけれども、本当に今、先 生からお話がありましたように、短期間でいろいろ議論をしていただきまして、いわゆる研究の 対象疾患として具体的にどういう疾患を追加していくのか、まだ研究されていない難病の研究体 制、あるいは研究内容をどのようにしていくかというようなことで、私どもは非常に関心を持っ て、また施策を進めていきたいと考えていますので、何とぞよろしくお願いしたいと思っていま す。  以上でございます。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。 (報道陣退室) ○金澤会長 ありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の御出席の状況の確認及び配布資料の確認を お願いします。 ○石川補佐 それではまず出席状況の確認をさせていただきます。  お手元に委員名簿、それから座席表をお配りしておりますけれども、本日は草間委員、谷口委 員、野中委員、秦委員、本田委員、森山委員が御欠席でございます。  辻委員は、所用により、後ほど途中からおいでになる予定でございます。  現時点で22名中、15名の委員の御出席をいただいておりまして、過半数を超えておりますの で、会議が成立となることを申し添えます。  続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。  資料1、「平成20年度第1回特定疾患対策懇談会議事要旨について」が1枚。  資料2、「難治性疾患克服研究事業の概要」1枚。  資料3、「難治性疾患克服研究事業の対象疾患と研究班の構成」は3枚ございます。こちらの 資料につきましては、傍聴席の皆様には、別途、差し替え版を配布させていただいております。  資料4、「難治性疾患克服研究事業の候補疾患について」7枚のものでございます。  資料5、「難治性疾患克服研究事業の疾患名の変更について(案)」2枚。  資料6、「未研究の難治性疾患への対応について(案)」が1枚でございます。  最後に、参考資料、3種類ございます。  参考資料1、「特定疾患とするよう要望書等が提出されている疾患」1枚。  参考資料2、「対象疾患の要件について」4枚でございます。  参考資料3、「平成20年度厚生労働科学研究費補助金公募要項」の抜粋。こちらが10枚とな っております。  不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。  資料につきましては、以上でございます。 ○金澤会長 ありがとうございました。何か、御質問ございませんね。いいですね。  それでは、議事に入りたいと思います。  まず初めに、議題1「難治性疾患克服研究事業の対象疾患について」ということで、事務局か ら御説明ください。 ○林補佐 それでは、御説明させていただきます。  まず、資料1をもとにしまして、前回の御議論の要旨について、説明させていただきます。  3つ目の○でございますが、前回の御議論で、難治性疾患克服研究事業の対象疾患の考え方に ついて御検討をいただきました。その中で「事業の対象疾患を拡大できるように、当面の対応と して、現在の研究班の対象疾患の類似の病態で、事業の対象疾患の4要件」、具体的には「希少 性、原因不明、効果的な治療法未確立、生活面への長期にわたる支障」の4要件でございますが、 4要件や「各研究班の方針を踏まえ、各研究班の研究分野に一致するものを対象に取り込めるよ うにする」となっておりました。  これについて、まず今日は御議論をお願いしたいと考えてございます。  その後、研究班の方に疾患の追加について、お諮りをさせていただきまして、「研究班の方針 を確認した上、対象疾患について具体的に検討を行う」が、今回まずお願いをすることでござい ます。  また、その後でございますけれども、研究班に対しまして、疾患の追加についてお諮りした際 に、一部の疾患について名称の変更についての要請がございましたので、これについてまた後ほ ど別に御議論をお願い申し上げます。  また、「これまで研究が行われていないその他の難治性疾患について、実態把握等のための調 査研究を奨励する仕組みについては引き続き検討する」となっておりますが、これについても今 日この時間、最後に御議論をいただきたい。この3つについて、順に御議論をお願いしたいと考 えてございます。  それではまず1つ目でございますが、資料2から4までを順に御説明をさせていただきます。  難治性疾患克服研究事業といいますのは、繰り返しになって恐縮ではございますが、「原因が 不明であって、治療方法が確立していない、いわゆる難病の中でも積極的に研究を推進する必要 のある疾患について、調査研究、重点的研究、横断的研究」を行うものでございまして、いわゆ る難病の中でも次の4要件、「希少性、原因不明、効果的な治療方法未確立、生活への長期にわ たる支障」の4つを満たす疾患の中から、この特定疾患対策懇談会の御意見をいただいて、選定 をするということで、現在123の疾患が対象となってございます。  その研究体制が資料3の方にございます。「難治性疾患克服研究事業の対象疾患と研究班の構 成」でございまして、123の病気を40ぐらいの研究班に振り分けて、臨床調査研究を行っており ます。これが最初の2ページでございます。  最後の3ページ目には、横断研究、そして重点研究の構成を掲げてございます。  資料4が今回の新しい資料でございます。前回の御議論を踏まえまして、難治性疾患克服研究 事業の各臨床調査研究班の方に問い合わせを行いました。「現在の研究班の対象疾患の類似の病 態で、研究分野が一致し、各研究班において対象疾患への追加が可能である」と、このような回 答をいただきましたのが、これから申し上げる7つの疾患でございます。  まず1つ目、下垂体機能低下症。これは、間脳下垂体機能障害に関する調査研究班からの御回 答でございます。  患者数が約7,000人で、「下垂体ホルモンの分泌が障害された結果、甲状腺、副腎、性腺を含 め、多くのホルモン分泌低下をきたす疾患」でございます。  原因としては腫瘍性疾患、あるいはシーハン症候群、自己免疫性下垂体炎等の器質性の変化、 あるいは原因不明のものもあるということでございます。  症状といたしましては、不足するホルモンによって異なっておりますが、副腎皮質ホルモン、 甲状腺ホルモンの不足で脱水、血圧低下、意識障害、耐寒能の低下などが出現するということ。 また性腺ホルモンの低下では不妊等の症状があるというものでございます。  こういった情報を含めまして、研究班の方に問い合わせいたしまして、研究班の方に、この疾 患の概要あるいは症状について御記載いただいたものを、本日資料として提示させていただいて おります。  2番目がクッシング病、これも間脳下垂体機能障害に関する調査研究班からの御回答でござい ます。  患者数は約1,000人、「下垂体腫瘍によるACTH過剰分泌のため、副腎皮質ホルモン分泌が 亢進した結果発症する疾患」ということで、原因は下垂体の腫瘍によるもの。  症状としては、中心性肥満、満月様顔貌などの特徴的な体型、あるいは皮膚線条、筋力低下な どがございます。  合併症として高血圧、糖尿病、耐糖能低下や副腎皮質ホルモン過剰のための易感染性、感染症 に罹患しやすいといったような合併症もあるということでございます。  3つ目が先端巨大症でございます。これも間脳下垂体機能障害に関する調査研究班から、関連 する疾患ということで、御提示があったものでございます。  患者数は約1万人。「成長ホルモンの過剰分泌により全身の代謝性異常、臓器肥大など一連の 特徴的な症状をきたす疾患」でございます。  下垂体腫瘍によるものが多いということ。  そして、顔貌の変化、手足の容積の増大、巨大舌、発汗増加、あるいは頭痛、高血圧といった ような症状が多く出現するということです。  また、糖尿病や耐糖能低下、高脂血症といったような合併症もございます。  続きまして4つ目でございます。原発性側索硬化症、これは神経変性疾患に関する調査研究班 からの御提案でございます。  患者数は約150人。これは前回の特定疾患対策懇談会でも御紹介させていただきましたが、A LSに近い、運動ニューロン疾患の1つのタイプでございます。病理学的には上位運動ニューロ ンに進行性の変性をきたすものの、下位運動ニューロンには病変がないという疾患でございま す。  原因については、わかっておりません。  主な症状としては、緩徐に進行する筋肉の痙性麻痺で発症する。下肢から発症することが多い というものでございます。  症状として運動障害、構音障害、嚥下障害が生じまして、進行すると発話や嚥下が困難となる。 あるいは寝たきり、呼吸障害といったことが起きてくるという疾患でございます。  5つ目が有棘赤血球を伴う舞踏病、その中の代表的なものが、有棘赤血球舞踏病でございます。  これは神経変性疾患に関する調査研究班、ここはハンチントン病等も扱っているところでござ いますが、そこから関連する疾患ということで御提案がございました。  患者数が約100人、口周囲、あるいは四肢体幹に生じる舞踏運動を中心とする不随意運動症で、 舌を噛むとか、末梢血の有棘赤血球症、精神症状、末梢神経障害といった症状を伴うものでござ います。  中でもLevine-Critchley症候群、McLeod症候群などが含まれます。一部では遺伝子の変異が 明らかになっていますが、その他の病型について、今のところ未知の部分が多い。  また病因遺伝子がわかっているものについても、機能解析、臨床症状との関連は余りわかって いないということでございます。  症状としては口周囲の不随意運動で発症し、唇、舌などに咬傷を見ることが多い。また、構音 障害、嚥下障害といった症状、そして四肢では舞踏運動やジストニア、筋萎縮といった症状が見 られるものでございます。  6番目、HTLV−1関連脊髄症、略してHAMというものでございます。  患者数が約1,400人、HTLV-1感染に伴って起こり、通常緩徐に進行する脊髄症に起因す る神経障害をきたす疾患でございます。  HTLV-1ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスによるものでございまして、このウイルス 量が高い値になっている。ただ、発症の機序の詳細は不明でございまして、HTLV-1に感染 している人の中でもごく一部の方だけが、HAMを発症されるということでございます。  主な症状としては、脊髄症に起因する痙性対麻痺よる歩行障害、下肢の異常感覚・疼痛、排尿・ 排便障害、こういった主な症状がございます。  そして、7番目でございます。先天性魚鱗癬様紅皮症。  患者数が150〜300人ということでございます。  先天性異常により皮膚の角質が厚く、もろくなるため、体表に皮膚剥離や水疱の形成をきたす 疾患でございます。  先天性魚鱗癬様紅皮症というふうに、一つにまとめさせていただいておりますが、水疱型先天 性魚鱗癬様紅皮症及び非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、そしてこれらの紅皮症に加えて、重篤な 皮膚外の症状を含むような魚鱗癬症候群と呼ばれているようなものも含めて、研究をしていきた いということでございます。  原因としては、一部タンパクの遺伝子異常がわかっているものがあるわけでございますが、発 症の機序については不明な点もございます。また、それ以外のものについては原因遺伝子がわか っていないということでございます。  症状といたしましては、全身の角質が厚くなり、剥離するためにざらざらの乾皮症となり、全 身が潮紅を生じる。また水疱形成によるびらんが目立つということでございます。  皮膚のバリア機能が失われ、体内環境の恒常性を保持できず、そのような魚の鱗のような外観 に加えて、体温の調節異常といったような症状もございます。  ここまでが資料の4でございます。  あと、参考資料1でございますが、御参考までに、「特定疾患とするよう要望書等が提出され ている疾患」は、今回は難治性疾患克服研究事業の対象について御議論いただきますので、この 難治性疾患克服研究事業の対象ではないものに限って、ここに載せさせていただいております。  また、この表には、がんなどに対する医療費助成など、この事業の対象範疇とは明らかに異な るようなものの御要望については、掲載していないということも申し添えます。  あと、参考資料2でございますが、「対象疾患の要件について」は、先ほど簡略に御説明させ ていただきまして、またこの資料は前回と同じでございますので、御説明は省かせていただきま すが、対象疾患の要件については、このような規定がこれまでの議論の積み重ねの中であるとい うことを御紹介させていただきます。  以上でございます。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。前回の議論を踏まえて、基本的に各研究班の班長 さんの御意見を確認していただいた結果を、勿論この7つ以外にあったわけではなくて、この7 つのみが出てきたわけですね。  そういう状況であることを御考慮の上、御議論をいただきたいと思うんですけれども、いかが でしょうか。今の御説明に何か御質問などございますか。  前回のこの会で、例として出た原発性の側索硬化症もあるんですが、あのときもう一つなかっ たですか。進行性球麻痺があったと思うんだけれど、あれはどうだろう。 ○林補佐 そうですね。進行性球麻痺についても、神経変性の研究班の先生に御相談をさせてい ただきました。  班長の先生がおっしゃるには、進行性球麻痺というのは、だんだんALSに進行していくよう なものであるので、研究という意味では既にもうALSを含めて対応しているということで御回 答がございました。 ○金澤会長 それでいいんだね。つまり、非常に細かい人がいて、今の状況はALSではなくて 進行性球麻痺としかいいようがないといって、それで病名を書いちゃうと外れちゃうんですよ ね。それはいいんだね。 ○林補佐 治療研究事業の方では、そのように対応せざるを得ないと思いますけれども、研究と いう意味では一連のものとしてやっていただいていると理解しております。 ○金澤会長 だそうであります。いかがでしょうか。工藤先生。 ○工藤委員 全く異議はないんですが、前回というのは6月4日のことですね。 ○金澤会長 そうです。 ○工藤委員 ちょっと期間が短かったので、恐らくこれは出された班の数も余り多くないのでは ないかと。 ○金澤会長 特にありませんという返事ももらっているんでしょう。 ○工藤委員 そういう意味では、今後引き続き応募というか、そういうことをしていただいた方 がいいのではないかというふうに思います。 ○林補佐 基本的には大半の班にあり、なしということで、お返事をいただいてございます。 ○金澤会長 そうしょっちゅうやれるかどうかわかりませんけれども、なるべく皆さん方のお考 えを取り入れるようには考えたいと思います。  事務局、頑張ってください。  ほかに御意見ございますか。どうぞ、朝倉先生。 ○朝倉委員 1、2、3で苦しまれている患者さんは確かにいるんですけれども、多くの原因を 調べてみますと、アデノーマとか(腺腫)などの腫瘍性病変が多いわけです。今までの124疾患 ですが、レクリンハウゼンを除いて、余りそういう腫瘍性のものは取り扱っていないです。そし て主に症状はホルモンの欠落症状です。ホルモンの補充療法である程度回復します。  むしろ将来は、これは再生医療の方で、重点的に研究していただいて、そういう面から新しい 治療法を開発した方がいいのではないかと、私は1番の下垂体機能低下症、2番目のクッシング、 3番目の先端巨大症、そんなような印象を持つんですけれども、ほかの先生の御意見をお聞きし たいと思います。 ○金澤会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○猿田委員 では関連しております関係で発言させていただきます。今、朝倉先生がおっしゃっ た通り、確かに腫瘍性のものが多いんですけれども、例えば一番最初の下垂体の機能低下症は、 自己免疫性のものとか、ちょっと原因不明のところがあるということで、必ずしも腫瘍だけでは ございません。3番目の成長障害の方は、名古屋大学の大礒先生が、この班の責任者をやってお られるんですけれども、大磯先生がかなり意欲を持っておられ、やはり今朝倉先生がおっしゃっ たことに加えて、この研究班としてもアプローチをしっかりやっていくとのことでございます。  あとの4、5、6、7の疾患に比べて数も多いんですけれども、どの年齢で発症するかによっ て、将来の生活などの問題も入ってくるので、一回今の班長に任せていただいてどうなっていく かみることかと思いますが。 ○金澤会長 今の点で、ほかに特に御意見はございますか。  朝倉先生、よろしいですか。 ○朝倉委員 検討することはよろしいかと思いますけれども、ただ、そういう腫瘍性のものはち ょっと別にして、そういう特発性のものを主にテーマに研究していただく方がよろしいのでない かと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。今までのポリシーも、基本的にそうだったと思いますので。 ありがとうございます。  ほかにこの7つの疾患について、御意見ございますか。  それでは、今事務局から提起のありました7つの疾患を、とりあえず対象とすることに関しま して、先生方のおおむねの御了解をいただけたのかなと思っております。  それでは、本会としては、これらの7つの疾患、難治性疾患克服研究事業の対象に加えるべき という結論を厚生労働省に対して報告をしたいと思います。  どうもありがとうございました。  確認ですけれども、先ほどの工藤先生の御意見もございましたが、勿論これで終わりというわ けではなく、これからも今後も、懇談会の機会をとらえて、今のような議論をさせていただくこ とを期待しています。よろしいですね。 ○林補佐 今のような議論、あるいはほかのいろんな御議論もあると思いますので、対象疾患に ついては、今後もまた引き続き御検討をいただきたいと思っております。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。  それでは、次の議題に移りたいと思います。資料5です。「難治性疾患克服研究事業の対象疾 患名の変更」ということでありまして、この案について、事務局から説明をしてください。 ○林補佐 はい。資料5「難治性疾患克服研究事業の疾患名の変更について(案)という資料で ございます。  このたび、各研究班に対象疾患の追加について、お諮りした際に、一部の疾患につきまして、 名称の変更についての要請がございましたので、これについての御議論をお願いしたいと考えて ございます。  まず、資料5の1ページ目、これまでヒスチオサイトーシスXという形で事業の対象疾患にさ れていた疾患でございます。  この名称は1953年に好酸球肉芽腫症、Hand-Sch?ller-Christian病、Letterer-Siwe病などの 組織球の浸潤・増殖を組織学的特徴とする疾患をHistiocytosis Xという名称で総括するという ことに起因するものでございます。  その後1987年に、国際組織球学会が、これらの疾患には連続性があり、共通してランゲルハ ンス細胞の関与があることから、ランゲルハンス細胞組織球症と呼ぶということで、提唱があっ たものでございます。  症状としては、単一臓器にあるもの、あるいは多発するもの、多臓器に多発するものというこ とで、非常に多彩な症状がある疾患でございます。  ほかの分類による名称を見ますと、ICD−10においてはランゲルハンス細胞組織球症という 名称が使われております。  そして2ページ目でございます。これまで多発限局性運動性末梢神経炎(ルイス・サムナー症 候群)ということで、この難治性疾患克服研究事業の対象とされていた疾患でございます。  これにつきまして、多巣性運動ニューロパチー、多発性限局性運動性末梢神経炎の部分を、多 巣性運動ニューロパチーというふうに修正してはどうかという御意見がございました。  これは1982年にルイス、サムナー両博士より、最初に報告された神経の伝導ブロックが多巣 性に見られる疾患でございますが、現在、学術誌等ではもっぱら多巣性運動ニューロパチーの用 語が用いられておりまして、例えば検索をしても、この用語のみ引っかかってくるということで ございます。  また、日本神経学会の用語集においても、Multifocal motor neuropathyの記載がございます ので、この方がわかりやすいということでございます。  症状としては筋肉のやせ、筋力低下、感覚障害等が見られる疾患でございます。  ICD-10の中ではこのような細かな分類まではされておりませんが、電子カルテ用の病名マ スターというものがございまして、この中では多巣性運動ニューロパチーという形で登録がござ います。  資料5につきましては、以上でございます。 ○金澤会長 ありがとうございました。疾患名の変更でありますので、これはこの会が発案する わけではないので、ほかからの申し出によって、それを検討するということになりますが、我々 のように昔の人間にはヒスチオサイトーシスXという言葉がなくなるのは寂しいなという素朴 な感じはありますけれども、ICD−10でこうなっているのであれば、よろしいでしょうか。 ○工藤委員 よろしいでしょうか。ヒスチオサイトーシスXについては、従来から呼吸不全班で 取り扱ってこられたんですけれど、私も前からこの名前がちょっと気になっておりました。我々 の世界ではもうランゲルハンス細胞組織球症といっておりますので、今回班長の三嶋教授の方か らも、強くこれを出されて、全くもっともであるということで、是非、お願いしたいと思ってい ます。 ○金澤会長 ありがとうございます。  ほかに何か御意見ございますか。  それでは、多発限局性という言葉を我々は余り使っていなかったので、多巣性運動ニューロパ チーが当然だと思っていたんですけれど、いろいろあるんだなと思っていますが、これについて はどうですか。これもよろしいでしょうか。  Multifocalというのは大体多巣性と訳しているので、よろしいでしょうか。  ありがとうございます。それではこの2つは了解するということになります。  それでは、次が議題2の「未研究の難治性疾患への対応について」でありまして、事務局から 説明をしてください。 ○林補佐 資料6「未研究の難治性疾患への対応について(案)」というものでございます。  これにつきましては、前回の特定疾患対策懇談会でも、非常に活発に御議論をいただきまして、 先生方にいろいろな御意見をいただいたところでございますが、それを踏まえまして事務局の方 で、もう少し具体的な案を出させていただき、また論点を提示した上で、先生方にお諮りしたい と考えております。  まず、概要でございます。難治性疾患克服研究事業にこれまであった3つの分野に加えまして、 「未研究の希少難治性疾患について、実態把握等のための調査研究を奨励するための、研究奨励 分野を設置する。  これにより、これまで、臨床調査研究班等により組織的・体系的に研究が行われてこなかった 難治性疾患についても、医療関係者等の関心が高まり、患者の病態の把握につながることが期待 される」というようなものでございます。  研究の対象となる疾患につきましては、「難治性疾患克服研究事業の『臨床調査研究分野』の 対象とされていない希少難治性疾患のうち」、公募を経て、研究計画を応募していただきまして、 評価委員会によって「その研究計画が適切と評価されたもの」でございます。  ただ、「『がん』『生活習慣病』『進行性筋ジストロフィー』『精神疾患』など、他の研究事 業において組織的な研究の対象となっているものは」これまでと同様、この事業の対象ではない というふうに整理をしてはどうかと考えております。  「研究内容・研究体制」でございますが、先生方から前回御議論をいただいたのは、ここが一 番多かったわけでございますが、先生方の御意見を踏まえまして、「当該疾患の診療に携わる研 究者等が」単独で応募するということではなくて、「研究班を組織して、広く臨床知見を集積す る等により実態を把握し、診断基準の作成、疫学調査、治療実態の把握等を行い、当該疾患に関 して我が国における標準的な知見をとりまとめ、当該疾患の研究の発展と、診療の確立・向上に 資するものとする」というようなことを、公募の際にも明示するとともに、そのような趣旨にか なった研究計画になっているかどうかということを評価委員会で採択の際に審査をして、それに 合ったものを採択するという考え方でございます。  また、「研究の実施にあたっては、臨床調査研究分野に関連する領域の研究班がある場合には、 既存の研究班」であるとか、あるいは「疫学調査を実施する場合には『特定疾患の疫学に関する 研究班』との連携を図るなど」、またこの特定懇の先生にも、是非とも御協力をいただいて、助 言をいただければと思いますが、「難治性疾患克服研究事業のこれまでの経験や知見を十分に活 用する」ということでございます。  これまで臨床調査研究班は、一つの班が大体1,000〜5,000万円程度で、公募を行っているも のでございますが、この研究奨励分野につきましては、これから研究を始めていくという分野で ございますので、臨床調査研究分野よりも小さな規模での公募を想定しております。  以上でございます。 ○金澤会長 ありがとうございました。前回の皆様方からの活発な御意見を踏まえて、このよう に少しリファインしたわけでありますけれども、いかがなものでしょうか。  これまで研究の対象になっていないという意味で光が当たっていない疾患について、このよう な形でイメージとしては、一つの班が1,000万円以下、数百万円ぐらいという感じでしょうか。 そんなイメージで、まずは実態把握をやってみようではないかという、そういう御提案を受けて、 それを公募という形でやっていくという、そういうイメージだと思いますけれども、何か御意見 を。どうぞ斎藤先生、笹月先生でいきましょう。 ○斎藤委員 これは大変いい案だと思います。というのは、従来は数年前まで随分議論をして毎 年、一疾患とか二疾患を追加していましたけれども、とてもそれでは間に合わないので、画期的 な対応だと思います。  ですから是非、研究を進めるためにも、もし患者さんの会というものがあれば、一緒に協力・ 連携していただいて、希少疾患の研究が進むことが非常に期待されると思います。  以上です。 ○金澤会長ありがとうございました。それでは笹月先生。 ○笹月委員 大変にいい案だと思います。最後の○の「研究の実施にあたって」というところで すが、2・の「『特定疾患の疫学に関する研究班』との連携を図る」と書いてありますが、それ が本当にその言葉だけではなくて、実行できるように。疫学研究班の方も、いわゆる年限のつい た公募ですよね。ですからそこの強化といいますか、その辺をしっかりしないと、連携しますと いうだけで、なかなか実態を伴わないと思いますので、是非配慮していただきたいと思います。 ○林補佐 ありがとうございます。例えば疫学班においては、疫学調査を実施する場合には、標 準的にはこういうことをクリアして行うべきであるとか、そういったような研究も行っておりま すので、そういうことを十分に踏まえて、また、人的な交流も、こちらからも進めるようにお話 をしていきたいと思っております。 ○笹月委員 計画書をつくる段階で、常にコンタクトをしてというようなことも、私は意味があ るんじゃないかと思います。 ○金澤会長 ありがとうございました。どうぞ、大野先生。 ○大野委員 ちょっとお聞きしたいのですが、この研究奨励の期間はどの程度を想定されておら れますか。 ○林補佐 一般的な公募は、3年を一つの区切りとしてやるということでございますので、まず はそのぐらいの期間を想定してございます。その後これを続けていくのか、あるいはもっと発展 させるのか、あるいはそれで十分なのか、そういったことについては、その研究の行われた結果 を踏まえて、また見ていくべきだと思います。 ○大野委員 3年間となりますと、比較的長期ですが、小規模の班になると思います。その場合 には、具体的に初年度にはこれを、次年度にはこれを、3年度にはこれをと、ポイントを決めて、 つまり、病態の把握とか疫学的な数だとか、というようなことを具体的に指示してあげることが 大切と思います。そうしないと、班によっては、重点がずれちゃうということもあり得るでしょ うね。その辺のところを少しガイダンスのときに、研究体制や研究振興の方針などを含めて指示 をしていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。 ○金澤会長 ありがとうございます。多分、それをおっしゃっていただくのは、この会なのでは ないかなという気がしますけれども、選ぶところで、多分。 ○林補佐 そうですね。この会、あるいは事前評価委員会という研究費の採択を決めていただく 会がございます。多くの先生は、共通に入っていただいていますので、是非とも御指導いただき たいと思います。 ○金澤会長 大変大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。  ちょっと確認なんですけれども、これは今年公募しますよね。幾つか出てくることが期待され るわけだけれども、そのうちの幾つかを採る。幾つ採るかわからないけれども。それがイメージ としては、一つが3年続くわけですよね。  例えば来年また公募してということを、当然考えているんですか。その辺をちょっと言ってく ださい。 ○林補佐 そうですね。はい。継続的に、3年おきに公募するということではなくて、少しずつ ではあっても、継続的に公募できるように。 ○金澤会長 ある年は一つかもしれない。ある年は二つ採れるかもしれないというようなことが あって、場合によっては採れない年があっても仕方がないというようなことで、少し継続的に広 げていくという考え方と見ていいの。 ○林補佐 そうですね。継続的に、必ず毎年、門が開いているという形にできたらなというふう に思っております。 ○金澤会長 わかりました。というイメージでありますので、どうぞ、そのようにおとりいただ きたいと思います。  ほかに、どうでしょうか。どうぞ、北島さん。 ○北島委員 先ほど予算のお話があったんですけれども、この班研究の内容に診断基準の作成と いうところがあります。現在、診断するためには、遺伝子シーケンスの検査、生化学的な検査、 免疫学的な検査、要するにファンクショナルな免疫学的な検査とか、あと電子顕微鏡的な検査等 があって、多分最初の1年でどこかの研究室が分担をしてその検査をすると思います。その場合 の予算が結構かかるのではないかと思うので、診断基準を決める際に本当に具体的な何の検査を どういうふうにするかということを決めて頂く必要があります。また、ある程度、例えば対象検 体が500とか1,000とかあるとすると、結構1,000万円では済まない可能性もあるので、その辺 は病気の対象によってかなり違うと思うんですけれども、そこら辺を最初に審査するときに、充 分予算を与える必要があります。例えば遺伝子診断を、どこかのほかの研究費で行えるので、今 回の研究費はこれは補助だからということで、そちらの方に研究費を任せてしまうと、少し診断 が、またあいまいになったりするかもしれませんので、数はしぼっても充分な予算が必要と思い ます。  ちょっと具体的な話になっちゃうんですけれども、審査のときには、診断基準のための検査は 何で、それについてはインフラがどれぐらいかかって、要するにお金がどれだけかかるかという ことできちんと予算を決めるということを、つまり、この研究費で研究を完結するように予算立 てもするということを最初に応募者に明確に示していただくといいのかなというふうに思った んですけれども。 ○林補佐 審査をしていただくときに、研究の予算のジャスティフィケーションをきちんとやっ ていただくということは、まさにやっていただくべきだろうと思っております。 ○朝倉委員 今の展開でいきますと、私はそれはステップ2の段階だと思うんです。まず最初に ステップ1として、そういう研究班が成り立つかどうかということで、幾つかの、少なくとも5 施設以上の異なった研究者が集まっていただいて診断基準とか検査法とか、それからどの程度患 者さんがいるかとか、実態とか、現在、行われている治療はどうかとか、そういう事を集めてい ただいて、それが整備された段階で、この研究をすると、将来非常に発展するなというときに、 今、北島先生が言われたステップ2の段階に進めばいいのではないかと私は思いますけど。 ○北島委員 今、確かにおっしゃった部分のところもあるとは思うんですけれども、最初の診断 をして、どれくらい患者さんがいるかいうときに、決めるときの、臨床検査や診断のための研究 的検査が必要で、これには疾患によって大きく予算が異なると思います。臨床のタイプだけで診 断は、ちょっと診断をつけられないんじゃないかなと、その結果疫学が不完全になるのではない かと危惧しますがいかがでしょうか。  その辺りも、ステップ1か2かの組分けがかなり難しいと思うんですけれども、そこら辺はや はりある程度は考慮が要るんじゃないかなと。 ○金澤会長 わかりました。それは出てきたときに、セレクトするときに考えましょう。  ほかにどうぞ。宮坂先生。 ○宮坂委員 ちょっと確認なんですけれど、この対象とする疾患というのは、参考資料の1に出 ている疾患が…。 ○金澤会長 それを言おうと思ったんですけれども、これは単なる参考でありまして、これ以外 のものでも一向に構わないわけです。どうぞ。 ○宮坂委員 質問の意図は、参考資料1に出ている疾患というのは、非常にヘテロジーニアスで、 ものすごく頻度が多いといわれている疾患もあるんです。例えば線維筋痛症なんかですと、研究 者によっては人口の2%いると言っているところもあります。化学物質過敏症も、これは定義の 仕方によっては、ものすごく多いわけです。  ですから、少しその辺の検討もする必要があるのかなとも思うんですが。 ○金澤会長 先生、これはあくまでも要望書が出てきているものですから、単なる参考です。  どうぞ、矢崎先生。 ○矢崎委員 今の御議論で前回の御提案に比べて、今回は非常に具体的になっていますし、非常 に前回の議論が生かされて、こういう公募にされたということと。  それからもう一つは、前回継続性がどうなんですかということだったんですが、今のように3 年をめどに、少しフィージビリティスタディーみたいな形で、実際患者さんがどの程度いらっし ゃって、臨床的にどういうふうに診断できるかというところまで終える。そういうことをまとめ られる研究班を、我々が予測して、しかるべきところで選んでいただくということで、まず最初 から難病調査研究班として本格的スタートではないという意味で、そうしますと、比較的すそ野 を広く拾っていける可能性があるのではないか。  ただ、宮坂先生がおっしゃったように、難治性疾患克服研究事業の本来の趣旨は、しっかり持 たないといけないと思う。  私は今回の対応案というのは、非常によろしいのではないかというふうに思いました。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。これから患者さんの数なんかを把握するとはいい ながら、やはりある程度希少性なども考慮に入れた選択をしなければいけない。ちょっと矛盾し たところがあるんですけれども、しかしそこは経験を生かしていただいて、いい選択をしていた だければと思います。  どうぞ、溝口先生。 ○溝口委員 こういう研究班というのは、公募でできるものでしょうか。やはり例えば大野先生 みたいな、疫学の専門家がこういう調査をするという、ある程度、指定的な研究、この前も申し 上げたんですけれども、そういう研究でないと、いい研究テーマとして出てこないのではないか という気がする。こちらの意図したものが出てこないんじゃないかと思います。 ○金澤会長 何かありますか。私が言いましょうか。  確かにおっしゃる通りだと思うんです。ただ、幸いにも班長さんが結構いらっしゃるので、そ ういう方々が少しこういうものに目を向けていただいて、芽を育てていただくつもりで、コンサ ルテーションにこたえていただけると大変ありがたいと思っているんです。  これは、勿論そういうものとインディペンデントのものもあろうかと思うのですが、あるいは ここの委員の先生方が御協力いただくのでもいいし、どうでしょうか。ある程度公募という形は とった方がいいのかなと思うのですが、だめですか。  どうぞ、大野先生。 ○大野委員 こういう提案が出れば、各臨床研究班の方が、当然レスポンスされると思います。 班員の中のどなたかが、新しい班の班長さんを兼ねながらやるということになると思います。  そのときには、診断基準としたら、現在はこういう診断基準になるとか、更に基準を厳密にし ようとすれば、こういうところまで行くべきだとか。あるいは疫学調査をする場合に、疫学班と 協力をするにはどうするとか。具体的な調査票を使うとすればどうすればいいだろうかとか。現 在行われている治療法に関しては、こうなっているとか。さらには先々もう少し進めば、再生医 療的にはこういうようなところに行けるとか、トランスレーショナルだったらこういうところに 行けるとかというように、将来発展可能性のある方向に進めるような検討をしていただくという ことを条件とするとか。私が前に具体的にどうこうと言ったのはそういう意味ですので、具体的 にインストラクトしてガイドすれば公募でも十分行くんではないかなと思います。 ○金澤会長 ほかに御意見をいただけるとありがたいです。どうぞ、矢崎先生。 ○矢崎委員 私も原則は公募でよろしいのではないかと。既存の先生方の研究班がいろいろ気づ かれて、申請されれば、またそれは公募の形で受け入れるということで、恐らく溝口先生の言わ れた趣旨のことも、公募の形式でやると、必ずしもそういう研究班が採択されないという意味で もないですし。  一応、公募という形式をとられた方が、やはりいろんな方が、違った目から研究班を組織でき るのではないかというふうに思いました。 ○金澤会長 ありがとうございます。恐らく皆様方の御協力をいただかないと、これはうまくい かないということは確かだと思います。単に公募したからいいんだというだけではないというこ とは、事実だと思いますので、皆様方の御協力をお願いしたいと思います。  どうぞ、辻先生。 ○辻委員 遅れまして申し訳ありません。  前半の話について余り理解できていないかもしれないんですが、未研究の希少性の難治性の疾 患について、公募で立ち上げようという話に関しては、私もそれがいいと思いますが、もう一つ は、難病の克服を目指すとすれば、本当に病因を解明することをめざして、重点的に機動的に研 究を展開するという柱が、別にもう一つあってしかるべきでないかと考えます。ちょっと性質の 違う議論になってしまうかもしれないですが、そういうものも積極的に考えますと、本当に成果 が上がるのではないかと思います。そういう重点的なプロジェクトも、このような難治性疾患の 研究に取り込むことができますと、さらに成果が期待できるのではないかと思います。 ○金澤会長 どうもありがとうございました。ほかにいかがですか。 ○北島委員 具体的な質問です。先ほど7つの疾患がありましたね。前の議論で、これまでの班 が取り込めるものは、そこに取り込むという視点はまだ生きていて、それからとりこめない新し い疾患は新しく研究班をたてるという点は生きているということで。  とすると、例えば先ほど7つの疾患が、親班からは分離して、これまでの班員の中だれかがそ の親の班であつかうにはちょっと無理なので、新たに第1、第2、第3ステップの、第1ステッ プの疫学的なものを中心にしたものを新たにやるということも踏まえてということでしょうか。 ○林補佐 この新しい分野につきましては、未研究のというところにも表れておりますが、123 が先ほど130になることになりましたが、それ以外の疾患、かつ4つの要件を満たす疾患が対象 となります。 ○北島委員 なるほど。全く新しい分野ということですね。わかりました。 ○猿田委員 事前評価をやらせていただいていますが、実際のところ、大切なのは、先生方への しっかりした、広報です。一番重要なことは、どういう形のものかというものをわからせるよう に、各班長のほか、先生方によく徹底させることです。そこで出てきたことからまず動いていく ことがよいと思います。そのときに、事前評価の先生方がしっかり評価して、どういう方向へ行 くんだということを、次につなげていくことだと思います。 ○金澤会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございませんか。これはどういう形で公募 というか、周知徹底するんですか。 ○林補佐 まず、事務的な手続きを申し上げますと、参考資料3にありますように、厚生労働科 学研究費補助金公募要綱というものがございます。これが例年10月末ごろに、厚生労働省のホ ームページに掲載されて、いろんな先生方が、これを一生懸命ごらんになるということが、まず 一つの手続きでございます。  溝口先生からも御指摘をいただきましたように、公募のよい面、悪い面があり、競争があると いう意味ではいいわけでございますけれども、こちらから呼びかけることがしにくいのではない かという御懸念ではないかというふうに思うのですが、その辺りは先生方にも是非とも御協力を いただきたいと思っておりますし、今日はたくさんの患者会の皆さんも聞いていらっしゃいます ので、そういった働きかけもいろいろあるとことになると思います。  また私どもの方にも、日々いろんな問い合わせがございますので、私どもの方から懇切に、猿 田先生がおっしゃるように、この研究の趣旨について、いろんな研究者の方々にお話をしていく といったこともさせていただきたいと思っております。 ○金澤会長 これは厚労省のホームページの中に、ぽんと載ってくるわけですよね。それだけで しょう。何かもうちょっとないのかね。 ○林補佐 そのほかにどんな広報の手段があるか、また工夫をしたいと思います。 ○金澤会長 多くの方々に気がついていただけるような形をとったらいいと思います。  ほかに御意見、よろしいですか。  それでは、このような方向で未研究の疾患について公募という形式をとりながら、皆さん方の 御協力で進めるんだということについては。 ○笹月委員 ちょっとよろしいでしょうか。今の、どのように皆さんに知らしめるかということ ですけれども、この間もちょっとお話ししましたように、既存の難病の研究班の班長さんの合同 の会議みたいなものを持って、そこでこういう趣旨を説明されて、そしてそれぞれの会員に徹底 してもらう。そこから何かが出てくるというのが、私は一番現実的なことではないかと思うので すが。 ○金澤会長 ありがとうございます。そういう御意見を多分いただけると思っておりましたし、 また過去の班長さんも巻き込んでも構わないと思うんです。幾らでもやり方はあると思いますか ら、どうぞそこは立体的に考えてください。  では基本的に御了承いただけたと思って、よろしいでしょうか。 (うなずきあり) ○金澤会長 ありがとうございます。それでは本日この懇談会で決まったことを受けまして、梅 田課長から一言ということです。よろしくお願いします。 ○梅田課長 委員の先生方におかれましては、御多忙にもかかわらず、前回の6月4日の開催に 引き続きまして、この懇談会に御出席いただき、貴重な御意見を賜りましたこと、まず厚くお礼 申し上げたいと思います。  本日は新たな研究対象疾患と、これまで余り研究されてこなかった難治性疾患の研究奨励の仕 組みについて、懇談会として御意見をまとめていただいたところでございますが、これを踏まえ まして、私ども、今後、各種通知ですとか、研究費公募要領に反映させるための準備を行ってま いりたいと思っております。  具体的には7つの疾患ということでお認めいただきましたけれども、この疾患の追加、それか ら2つの疾患の疾患名の変更、そして研究奨励分野の設置、いずれも平成21年度から正式にス タートできるようにしたいと考えております。  また、いまだ研究事業の対象となっていない疾患の患者の方々からは、このほかにも多くの御 要望があるということも承知しております。  まずは、本日御議論いただきました研究奨励分野が、その受け皿となるものと考えております。  研究計画を公募をすることで、研究の提案を募り、提案された疾患の実態把握を奨励するとい うことをやってまいります。  また、事業の対象疾患について、今回が最後というわけではありませんので、次の機会が参り ましたら、再びこの懇談会で検討をお願いしたいと考えております。  今後とも、本日の御議論を踏まえながら、難病克服に向けて光となるよう、難治性疾患克服研 究事業を初め、対策に取り組んでまいりたいと思っております。  ありがとうございます。 ○金澤会長 どうもありがとうございます。どうぞ。これから皆さん方、ほかに御意見ございま せんかと申し上げるところなので、どうぞ。 ○内田委員 この2回の御議論で、この事業の大きな柱であります調査研究という点では、非常 にいい議論が出されてよかったと思うのですが、もう一つ患者支援というのが、この事業の一つ の柱ではないかというふうに思うんです。  その患者支援という点で、この間、健康保険の自己負担がどんどんふえてきているという点か ら、やはりこの特定疾患に対する患者さんの要望というのが非常に強くなってきているというふ うに感じているんです。これがもし患者負担が無料であるとか、5%、1割だというところであ れば、ここまで強い患者さんの要望は出てこないのではないかというふうに感じておりました。  今後の話なんですが、やはり経済財政諮問会議であるとか、規制改革会議の方からは、必ず保 険免責性であるとか、混合診療であるとかという話が出てきますけれども、こういう制度が進み ますと、患者さんの負担というのがますますふえてくる。  そういう財源的なことで考えますと、患者負担をふやして、なおかつこういう特定疾患みたい なシステムで、大変な患者さんに関しては救済するようなシステムを拡充していくのか。それと も広く保険の方でカバーするようなシステムをつくっていくのかというのが、これからの大きな 方向性として検討しなくてはいけないというふうに思います。  この特定疾患の懇談会の中でする議論ではないかとも思ったんですけれども、是非その辺のと ころも、そういう話があったということを、ひとつ議事録の中に残しておいていただければとい うのが、一点です。  それからもう一点は、患者さんの補助に関しまして、これは確か都道府県の事業になるのでは ないかというふうに思っているのですが、都道府県が事業を取りまとめる際に、その財源がどう いう扱いになっているのかというのが一点と、それから都道府県ごとに格差が生じているところ がないのかというのが、前回、医師会の中の議論で出てきましたので、そういう点がないのかど うか、全国津々浦々、平等なシステムとして立ち上がっているのかどうかという点について、ち ょっと教えていただければと思います。 ○林補佐 ありがとうございます。1点目については非常に重要な御議論だと思います。いろん な制度の変更がある中で、この特定疾患治療研究事業が、相対的には患者さんにやさしい制度に なっているというふうに認識していますけれども、これを今後、全体の制度の中でどうしていく のか。患者さんの中でも今、いろんな御議論が始まっているというふうに伺っておりますし、私 どももいろんな御意見を伺いながら、是非、考えていきたいと思っております。  2つ目は、都道府県ごとに、この特定疾患治療研究事業がどのように取り扱われているのかと いうこと、どのような差があるのかという御質問でございます。  これは健康局の方から都道府県に補助金を出させていただいて、都道府県が実施主体として行 う事業でございます。国からは、都道府県に対する補助金の実施要綱ということで、都道府県に 一定のやり方を示して、それを守っていただいた場合に、補助金を支出するという形になってお りますので、各疾患ごとの認定基準であるとか、あるいは自己負担額がどうであるとか、こうい ったことは基本的に各都道府県、同じようにやっていただいておりまして、私どもの方とも密に 連絡をとりながらやらせていただいております。  恐らく差があるというふうにお考えになっていらっしゃるのは、この45疾患以外について、 一部の都道府県で単独で助成をされているような場合であるか、あるいはこういった病気の方々 へのそれ以外の見舞金のような制度を持っていらっしゃる都道府県、そういった県のことをおっ しゃっているのではないかと思います。 ○金澤会長 課長、何か追加はありますか。特にありませんか。 ○梅田課長 先ほど内田委員から御指摘をいただいた1番目も、引き続き大きな課題であると認 識しております。特定疾患治療研究事業の対象疾患ということで、この懇談会でも平成18年度 に、大変御議論をいただきまして、御意見をまとめていただいたということがあります。  その後、その各論について、またさまざまな御意見もいただきましたので、この件につきまし ては引き続き検討ということで、新たな議論を行うには、まだ機が熟していないところではござ いますが、今後私どもとしましては、予算の確保にも努めつつ、関係者の皆様方と意見交換を図 るなど、努力を続けてまいりたいというふうに思っておりますので、また御相談をさせていただ く際には、よろしくお願いいたします。 ○金澤会長 ありがとうございました。  ほかに。どうぞ、桐野委員。 ○桐野委員 ちょっと見当外れかもしれませんが、この特定疾患だけに関係するわけではないん ですけれども、研究のデータが報告書で送られてまいりますね。場合によっては、山のようにこ ういう冊子が集まるんですが、この情報の検索可能性について、どのようにお考えなのかを、ち ょっと知りたい。  もうお考えなのかもしれませんけれども、要するに現状において、検索可能性のない情報とい うのは、もう散逸して消えてしまうんです。これだけしっかりした研究をおやりになっていても、 それがどこかに積んであるのか、ごみ箱に行ったのかよくわからないということがありまして、 それは苦労してたどれば見つかるのかもしれませんけれども、ちょっとどうかなと思うことと。  それから、報告書に書いてしまうことと、論文にファイナルに書くことのプライオリティーの 問題も、時々疑問に思うことがあって、その辺りはどのように従来、議論されてきたのでしょう か。 ○林補佐 両方の点について、現状の取り扱いを御説明させていただきます。  研究班の報告書につきましては、まず紙の媒体のものについては、研究班から特定懇の先生方 にもお送りさせていただいておりますが、各医科大学にお送りしておりまして、各医科大学の図 書館は80ほどございますけれども、置いていただいている。また、ここの図書館、19階に図書 室がございますが、そこにも置かせていただいているという現状でございます。  また、電子的に検索をしようと思いますと、国立保健医療科学院の厚生労働科学研究成果デー タベースというものがございまして、そこにアクセスをしていただくと、インターネットで見る ことができるという形になってございます。  概要については全文検索ができますし、研究の報告書の中身については、PDFで掲載されて いるというのが現状でございますが、そういった形で図書館等に足を運ばなくても、読んでいた だけるということでございます。  あと、国立国会図書館の方にも、紙媒体の報告書を置いてございます。  2点目は、論文の発表と報告書のプライオリティーということでございます。論文の発表につ いては、是非とも進めていただきたいということで、たくさん論文に発表していただいたことを、 成果の一つというふうに見て、研究費の評価を行っていただいております。  ただ、守っていただきたいのは、論文を発表する際には、acknowledgeをしていただいて、こ のグラントでやった仕事であると。これは必ず書いてくださいということで、研究とそれから論 文での成果の発表の両立をさせていただきたいと考えております。 ○金澤会長 今でもプライオリティーのことで問題になっていますか。随分前にあったように思 うんだが、今でもあるんですかね。  やはり論文にするというのが基本だということで、あれではプライオリティーがとれないんだ ということは、多分、共通の認識ではなかったかと思うんですけれども。  どうぞ、斎藤先生。 ○斎藤委員 今のことに関連して、特許申請の場合、この報告書に出したことは、公知の事実と いう解釈なんでしょうか。それともそうじゃないんでしょうか。 ○金澤会長 あの会に不特定多数が入れるでしょう。したがってオープンになったということに なっちゃうんです。ですから半年以内に、申請を出さないとだめでしょう。それは多分変わって いないだろうと思うんです。 ○朝倉委員 特許を取るような人は、発表しないで、特許を取ってから発表しておりますので、 発表者はちょっとぼやかして、発表していますから、全然問題はないと思います。  それから、私は国立国会図書館の科学技術関係資料整備審議会に参加しているのですけれど も、あそこでは、文部科学省の博士論文などはeジャーナル化をしているんですけれども、厚生 労働省の厚生科学資金による業績、それが十分に反映していないのです。  やはり国立国会図書館のeジャーナル化の中に入れば、多くの人が見ることができますので、 是非、それを申し込んでいただきたいと思います。 ○金澤委員 そうですか。これは内幕でないとわからないことですね。ありがとうございます。  ほかにいかがですか。どうぞ、大野先生。 ○大野委員 ちょっと次元が違う話ですが…。私は特定疾患対策懇談会とか事前・中間事後評価 委員会とかの委員をやらせていただいています。班が決まれば班長の名前は、勿論わかるんです。 しかし、その班の中には分担研究者や研究協力者がいて、その名簿がありますね。その名簿は、 少なくとも私のところへは来ておりませんので、是非、お送りいただきたいと思います。底辺か らバックアップしている研究者はこういう人がいるんだなということで、身近に知っている研究 者がいれば、頑張りなさいよというような声もかけられます。班長さんの名前だけではちょっと と思いますので、是非、研究班員名簿をお送りいただけたらと思いますので、よろしくお願いし ます。 ○林補佐 ありがとうございます。大変失礼いたしました。先生方にはそのようにできるように、 やらせていただきたいと思っております。  また、一般向けには、難病情報センターというホームページがございまして、そこに各疾患、 今までは123疾患のいろんな紹介、病気の原因がどうであるとか、治療法がどうであるといった 紹介を載せておりますと同時に、各研究班の名簿が掲載されております。  今では、病名をインターネットの検索に入れると、大体まず一番上に難病情報センターのホー ムページが来るようになっておりますので、そういった形で一般の方々にも、研究班の名簿を見 ていただくような形になっております。 ○金澤会長 今のセンターの責任者は、宮坂先生ですので。 ○林補佐 はい。宮坂先生等に御指導いただきまして、そのようになっております。 ○金澤会長 ほかに御意見はございませんか。どうぞ北島さん。 ○北島委員 少し乱暴な話になるのかもしれませんけれども、120疾患のうち、45疾患が特定疾 患になっていますね。予算の財源の問題があるとは思うんですが、財源の方から、この120疾患 のうち、今、5万人以下で重症の方を選んでいますね。SLEなんかは、非常にたくさんの4万 人以上の方がありますね。  例えばこの45疾患をふやすという意味で、1,000人以下の患者さんを認めるという考え方はど うでしょうか。そうすると特定疾患の数がふえて、非常によいかと、しかも、このような患者さ んは日本に100人とか200人だと思うんですけれど、その方々はかなり孤独で疎外されています ので、その方達に光が当たって良いと思います。僕もそういう患者が何人かもっているんですけ れども、もしそういう視点での特定疾患への上げ方というのが可能かどうかというのを、ちょっ と考えていただくといいかなと思ったんですけれどもいかがでしょうか。 ○金澤会長 ちょっとよくわからないところがあるんだけど、どうぞ。 ○林補佐 希少な疾患の方々を、特定疾患治療研究事業の対象とするような形で重点的にやって いくべきではないか。 ○北島委員 123の中からでも。 ○林補佐 123の中から特に希少な疾患を、重点的に特定疾患治療研究事業の対象としていくべ きとの御発言であったかと思います。  北島先生は、今年から委員になっていただきまして、それ以外に18年ごろから委員でいらっ しゃった先生方には、非常に長い間、議論をお願いしてきたことの一つでございます。  研究という意味からいうと、希少性を重視するということが非常に意義があるという御意見 を、たくさんの先生がお持ちであることを、私も承知しているんですけれども、また患者さんの 福祉という意味で、いろいろな御意見もあるものですから、引き続きそこについては、検討をさ せていただきたいと思っております。 ○金澤会長 大変ナイーブな御意見なので、おわかりですけれども。  ほかにどうですか。  大分早いのですが、もうそろそろ時間というか、話題が尽きそうなので、一つだけちょっと。  今日たまたま『Nature Medicine』を見ておりましたら、6月号、593ページに、アメリカで、 NHIがUndiagnosed diseaseだけを扱うグループをつくるんだといって、どれぐらいお金を投 入するか、書いてありませんからわかりませんけれど、少し光を当てようとしているんですね。  日本ではUndiagnosedというのは、いかにも医学の立場からいくと恥ずかしい話で、診断がで きなかったという言い方になっちゃいますから。  ただ、日本では幸いIntractable diseaseという表現で、今までやってきた難病があるわけで す。  アメリカでこういうふうに力を急に入れ始めますと、日本でももうちょっとという思いがある んですけれども、さっきこのコピーを渡しておいたんですけれども、うまく利用してください。 ○笹月委員 私もいわゆる診断のついていない疾患、それを先ほど申し上げようかと思ったんで すが、実はそれは、いきなりそれを表面に出して、例えば研究班をつくるなんていうことは、勿 論不可能なわけです。  むしろこの研究奨励で新しく加わった4番目のこれをやる過程で、そういうものが拾えるんだ ろうと思って、先ほどは申し上げかったんですが、そういう視点で、症例研究というのもスター トしていただければ、診断名のついていないものも入れますということです。 ○金澤会長 そういうことですね。どうぞ. ○辻委員 今御紹介のあった件は『ニューズウィーク』でも取り上げられていましたね。全体像 が余り書かれていないので、是非、詳細を調べて、全体がどういうビジョンなのかということも 教えていただけるといいと思います。全体のフレームワークがどのあたりを到達点に設定してい るのかということも、参考にされたらいいと思います。  診断をつけることがゴール、それは一つのマイルストーンであって、やはり治療法、予防法と いうところにもっていくことが、ゴールだと思いますので、そういったところを意識したロード マップなり、そういうビジョンというものを、日本は当然持つべきだと私は思います。診断をつ けるというところが、ゴールでは決してないと思いますので。 ○金澤会長 今の点は確かにその通りですが、患者さんの御協力のもとに、基本は、資料をとっ ておくということなんです。そしてそれを何年か先に、例えば遺伝子がわかったときに、そこか らスタートになるというような、そんなことでありまして今までここで議論していたことが、随 分先取りされているように思えて仕方がない。  どうもありがとうございました。  ほかにどうでしょうか。御意見ありましょうか。よろしいでしょうか。  それではちょっと早目ですけれども、45分前に終わらせていただきます。どうも御協力ありが とうございました。 (終了) (照会先)   厚生労働省健康局疾病対策課   TEL 03(5253)1111 内線 2351・2353