08/06/17 平成20年6月17日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成20年6月17日(火) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(16名)五十音順 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 大 野 泰 雄、 笠 貫   宏、  神 山 美智子、 河 盛 隆 造、 黒 木 由美子、 佐 藤 光 源、 土 屋 文 人、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹  ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   他 参考人2名   欠席委員(8名)   赤 堀 文 昭、 井 部 俊 子、 岩 田   誠、 木 津 純 子、   竹 嶋 康 弘、 本 田 佳 子、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子        3.行政機関出席者   高 橋 直 人(医薬食品局長) 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 中 澤 一 隆(総務課長)、田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 山 本 順 二(化学物質安全対策室長) 松 田   勉(安全対策課長) 熊 本 宣 晴(監視指導・麻薬対策課長)  植 村 展 生(血液対策企画官) 他 4.備考   この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催 いたします。当分科会会員数24名のうち、本日は16名の御出席をいただくことになって おり、既に定足数13名に達しておりますことを御報告いたします。審議に入ります前に、 委員の交代がありましたので御紹介申し上げます。伊賀委員が退任され、後任に日本薬剤 師会副会長の土屋委員が就任されております。それでは分科会長、以後の進行をよろしく お願いいたします。 ○望月分科会長 では最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の御確認をお願いいたします。審議事項については資料1〜資料 4となっております。報告事項については資料5〜資料15となっております。当日配付 資料としては資料16、「競合品目・競合企業リスト」、「審議参加に関する遵守事項の 検証・検討委員会の設置について」、さらに議事次第、座席表、委員名簿を配付しており ます。また、文書報告の資料は既に先生方に送付しておりますが、お手元に参考までに「文 書報告一覧」を配付しております。  続いて、「本年3月24日の薬事分科会申合せ」審議参加に関する遵守事項について、 御報告します。申請資料作成に関与した委員ですが、該当委員はいらっしゃいません。ま た、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、資料16として配付 させていただいておりますが、その選定理由等を説明させていただきます。いずれも関係 部会で報告した内容となっております。  まず、1ページの「マクジェン硝子体内注射用キット0.3mg」についてです。本品目の 申請会社はファイザー株式会社です。本剤の予定されている効能・効果は、「中心窩下脈 絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」です。競合品目は本剤と薬理作用が異なり、レーザ ー照射との組合せで新生血管を物理的に閉塞するものではありますが、同じ効能・効果を 有するという観点から、ノバルティスファーマ株式会社の「ビスダイン静注用15mg」を、 また、開発中のものではありますが、同じ効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されてお り、本剤と同様のVEGF阻害作用を有する硝子体内注射剤である、ノバルティスファー マ株式会社の「RFB002」を、同様にVEGF阻害作用を有する硝子体内注射剤である、バ イエル薬品株式会社の「VEGF Trap-Eye」を挙げております。この3品目以外に現在、国 内で承認又は開発中の競合品目は確認できなかったことから、これらが競合品目として選 定されております。  2ページが、ガルデルマ株式会社から申請されている「ディフェリンゲル0.1%」です。 競合品目としては本剤の効能・効果である「尋常性ざ瘡」と類似の効能・効果のざ瘡を有 している、佐藤製薬株式会社の「ダラシンTゲル1%」を競合品目1として選定していま す。このほかに本剤と類似の効能・効果を有し、剤型が類似しているものの中で売上高が 上位である、大塚製薬株式会社の「アクアチムクリーム1%」及び「アクアチムローショ ン1%」と、株式会社ポーラファルマの「ナジフロクリーム1%」及び「ナジフロローシ ョン1%」が、競合品目として選定されております。  続いて、アイノ セラピューティックス エルエルシーから申請されている、「アイノフ ロー吸入用800ppm」について説明します。本品目は、新生児の肺高血圧を伴う低酸素性 呼吸不全の改善を効能・効果としており、その作用機序はNO(一酸化窒素)による血管 拡張作用です。本品目の作用機序は経口硝酸剤と同様で、NOによる血管拡張作用ですが、 NOガスを吸入することにより標的部位である肺血管に直接供給することで効果的に薬 剤を作用させるとともに、全身性の副作用を生じにくくするなど、既存の経口硝酸剤とは 異なっております。また、申請品目の代替療法もないことなどから、競合する品目はない とされております。  最後の品目が、萬有製薬株式会社から申請されている「アイセントレス錠400mg」です。 本剤は「インテグラーゼ阻害作用」という新規機序を有する抗HIV薬であることから、 薬理作用、組成及び科学構造から見た競合品目はないと考えられます。現在のHIV治療 としては多剤併用療法として、3クラスの薬剤を組み合わせた治療が行われていることか ら、それぞれのクラスで売上高が一番高い薬剤を、競合品目として選定することとしまし た。ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬については、グラクソ・スミスクライン株式会社の 「エピビル錠150及び300」、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬については、萬有製薬 株式会社のストックリンカプセル200が売上高がトップのため、2番目の薬剤として日本 ベーリンガーインゲルハイム株式会社の「ビラミューン錠200」、プロテアーゼ阻害薬に ついてはアボットジャパン株式会社の「カレトラ錠」を、それぞれ競合品目として選定し たところです。競合品目の選定に係る説明は以上です。 ○望月分科会長 ただ今の事務局からの説明について、どなたか特段の御意見等はありま すか。  それでは本分科会における審議の際の申合せ事項については、競合品目、競合企業の妥 当性も含め、了解を得たものといたします。続いて、各委員からの申出状況についての報 告をお願いいたします。 ○事務局 議題1の「医薬品マクジェン」については、退室委員は池田委員と永井委員、 議決に参加しない委員は河盛委員です。議題2の「医薬品ディフェリンゲル」については、 退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は池田委員と河盛委員です。議題 3の「医薬品アイノフロー」については、退室委員、議決に参加しない委員はいらっしゃ いません。議題4の「医薬品アイセントレス」については、退室委員はいらっしゃいませ ん。議決に参加しない委員は池田委員と河盛委員と永井委員です。 ○望月分科会長 それでは議題1に入ります。池田委員と永井委員におかれましては、本 議題の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。 ── 池田委員、永井委員退室 ── ○望月分科会長 議題1は資料1で、「医薬品マクジェン硝子体内注射用キット0.3mgの 生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指 定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は既承認の類似薬のない新有 効成分を含有する医薬品に関わる事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基 づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を行うことになって おります。はじめに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたい と思います。本来なら医薬品第一部会長の永井委員から御説明をいただきますが、本日は 医薬品第一部会部会長代理の首藤委員に、参考人として出席いただいておりますので、御 説明をいただきたいと思います。 ○首藤参考人 それでは第一部会の永井部会長に代わり、御説明申し上げます。マクジェ ン硝子体内注射用キット0.3mg(ペガプタニブナトリウム)の概要をお話いたします。加齢 黄斑変性症は、加齢により黄斑部に現れる慢性的かつ進行性の疾患で、視力予後が大変不 良で、中心窩の下に脈絡膜の新生血管ができると失明に至る危険性の高い疾患です。この 病気における脈絡膜新生血管では、加齢あるいは酸化的ストレスによる網膜色素上皮の異 常により血管内皮増殖因子(VEGF)の分泌が過剰になり、脈絡膜の血管新生が増進さ れ、誘発されることが知られております。  本剤の有効成分であるペガプタニブナトリウムは、ポリエチレングリコールが結合した オリゴヌクレオチドで、オリゴヌクレオチド部分はVEGFに選択的に結合するように設 計されたアプタマーとなっております。海外では、2004年12月に米国で承認されて以来、 2008年1月現在、53か国で承認されています。本邦では、類薬としてベルテポルフィン が加齢黄斑変性症で承認されております。また、本医薬品は本邦では2004年7月に、希 少疾病用医薬品に指定されております。国内での開発は□□年□月より臨床試験が開始さ れており、中心窩下脈絡膜新生血管に伴う加齢黄斑変性症に対する有効性及び安全性が確 認されたということで、2007年3月に製造販売承認の申請がなされました。本剤につい ては去る4月25日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、投与全症例を対 象にした使用成績調査の実施を条件に、承認して差し支えないという判断にいたしまし た。加えて事務局から、より詳しい説明があるかと思います。 ○望月分科会長 事務局から補足等がありましたら、よろしくお願いします。 ○事務局 それでは資料1、「マクジェン硝子体内注射用キット0.3mg」の審査の概略に ついて、臨床試験の成績を中心に御説明申し上げます。本申請に際しては、評価資料とし て国内第II相試験及び海外第II相・第III相試験等の成績が提示されております。本剤の有 効性については、国内第II相試験で主要評価項目であるベースラインから、初回投与54 週後までのETDRS視力表を用いた視力変化は、本剤0.3mg群で−3.8文字でした。国内臨 床試験では、本剤による治療を行わないシャム群は設定されていませんが、海外第II相・ 第III相試験では、本剤群はシャム群と比較してベースラインから初回投与54週後までの 視力低下を抑制していること、公表文献等から国内外での加齢黄斑変性症患者における視 力推移の自然経過は同様であると考えられたこと、国内第II相試験の視力推移は、海外第 II相・第III相試験と比較して劣るものではなかったことから、本剤の有効性は示されたと 判断しております。  安全性については、結膜出血、角膜炎、眼内炎及び眼圧上昇等の眼局所における有害事 象が主に認められておりますが、多くは硝子体内投与という本剤の投与手技に起因する事 象と考えられております。また、国内臨床試験では認められていませんが、海外市販後で は本剤の薬物過敏症と考えられる事象が認められております。しかしながら、その発現頻 度は低いと考えられており、海外でも現在、発現機序などは検討されております。なお、 これらの事象を含め、日本人の検討症例は極めて限られることなどから、本剤の投与全症 例を対象とした製造販売後調査を実施し、安全性及び有効性に係る情報が収集される予定 です。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、「中心窩下脈絡膜新生血管 を伴う加齢黄斑変性症」に対する有用性が認められ、投与全症例を対象とした使用成績調 査の実施を条件に承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが妥当と の判断に至りました。なお、再審査期間は10年、原薬及び製剤は劇薬に該当し、特定生 物由来製品又は生物由来製品には該当しないとされました。説明は以上です。御審議、よ ろしくお願いします。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等はありますか。 ○板倉委員 添付文書等に副作用が書いてあり、投与手技に起因する有害事象が非常に多 いわけです。80何%と言いますと、行っている医師の手技が悪いと言い切るには、余り にも高すぎるような気がするのです。それについてどういう対策をするのか、お教えいた だければと思います。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。事務局からお答えください。 ○事務局 実際にこの薬を使ってもらう前に、医師の方には研修ということで、この薬の 使い方については十分、企業の方から周知してもらうことをお願いしております。投与経 路は硝子体内投与ですが、この薬に限ることではなく、初めての投与経路というわけでも ないのですが、その辺りは今後の症例の積み重ねも含めて見ていくことになるのだろうと 思います。当然、注意喚起ということでは、医師に対してやっていきたいと考えておりま す。 ○笠貫委員 板倉委員の御質問につながると思います。添付文書の「重要な基本的注意」 の(1)に、「十分な知識・経験のある眼科医のみが本剤を投与すること」ということで強 調していると思うのです。今の手技上の問題を考えますと、この記載と企業による研修だ けで済むのかどうかということでは、もう少し厳しい条件を付けてもいいのではないかと 思いますが、いかがでしょうか。付け加えますと、こういったものは医薬品ということだ けではなくて、医療機器としての取扱いという手技上の問題があると思うのです。学会等 の意見とか、学会等がガイドラインを作るといった御検討はされているのでしょうか。 ○望月分科会長 事務局からお答えいただけますか。 ○事務局 これに関しては、専門協議の際に御議論いただいた中では、さらに御指摘のよ うな条件を縛るというところなのですが、実際にはこういう注意喚起を行うことで使って もらい、もともと全例調査を行っているものでもありますから、投与した後も継続的に経 過観察も含めて行うことにしております。したがって、条件でさらに縛るというよりも、 現状では注意喚起などの方法で対応するということで、問題はないのではないかという結 論になっております。学会に関しては、日本眼科学会などの関係の所にも話をしています。 そういった所は学会も含めて、これからも注意喚起をしていくのではないかと考えており ます。 ○望月分科会長 笠貫委員、よろしいでしょうか。 ○笠貫委員 87%が手技に起因する有害事象という数値は今の対応でいいのかという疑 問が残ります。学会にはどう話をして、学会がどう対応をしているかというところまで、 詰めておく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○望月分科会長 事務局から、ただ今の御意見に対する御回答をいただけますか。 ○審査管理課長 今、事務局の方からお答え申し上げたように、この品目は全数調査が義 務付けられるということで、部会での御審議をいただいたところです。したがって、全数 調査を適正に実施する上でも、学会の御理解は欠かせないものだと考えております。既に 学会の方からも、ガイドラインのようなものを作ろうかという前向きな御意見をいただい ていると聞いておりますので、できるだけ早く、その協議を進めるとともに、できれば承 認に合わせて学会に対して、適正使用法について通知をしたいと考えております。よろし くお願いいたします。 ○望月分科会長 ほかに御意見はございますか。 ○望月(眞)委員 私も全く同じところで、この薬は何らかの配慮が必要かと思いました。 多分添付文書だけでは有効ではないので、笠貫委員がおっしゃったような部分に注意をし て、学会等の協力を仰ぐということだと思います。それはそれで結構なことで進めていた だくこととして、それにしても添付文書が一番基本になると思います。  添付文書の書き方ですが、使い方の上で手技に基づく眼内炎を含めた様々な副作用があ るということに関しては、「使用上の注意」の「重要な基本的注意」に手技上の留意点等 々が書かれているのですが、直接的にそうした副作用が発現するのが、手技に基づくもの だという記述はなく、後ろの方の副作用の項目のところに、手技に基づく副作用が多いと いう記述があるだけです。すべて括弧をして、後段の方を参照することという記述になっ ています。  私もこの記述について、諸外国の添付文書等を確認させていただきましたが、諸外国の 場合は注意事項を書く部分にきちんと、手技が原因でこういうことがあるということを含 めて書いてあります。複数にまたがって同じ記述をしないというのが、今の添付文書の書 き方の原理原則だとは思うのですが、今回の場合は手技に基づくそういうものがあるか ら、こういう手技には留意をしなければいけないということを、「重要な基本的注意」の 中に書き表しておいていただいた方がいいかと思います。 ○望月分科会長 ただ今のことに対応できるかどうかという点で、いかがでしょうか。 ○事務局 添付文書の方は、そのような方向で考えたいと思います。 ○望月分科会長 ほかにありますか。 ○板倉委員 「使用上の注意」の2の3)に、「患者に対し、眼内炎を示唆する症状(眼 痛、眼脂等)があらわれた場合には直ちに連絡するように指導すること」と書いてありま すが、こういったことが実際にきちんとインフォームドコンセントということで行われて いるかどうか疑問です。非常に細かくいろいろ書いてあって、こういったことを注意事項 として行わなければならないということが、お忙しい医師の目に止まるかどうかというの も疑問を感じます。それについてはもう少し分かりやすく、目立つような表現や書きぶり を考えていただければ、有り難いと思います。  それから2の(5)で、「霧視があらわれることがあるため、症状が回復するまで機械類 の操作や自動車等の運転には従事させないように注意すること」と、日本語で書いてあり ますが、日本語として症状というのは霧視のことですよね。「症状」という言葉ですと、 私などは何の症状を指しているのか瞬間的には分からないのです。医師は分かるのかどう かは知りませんけれども。例えばこの症状が、というのだったら霧視だということが分か りますが、症状というのはいろいろな症状を指しますから、いわゆる日本語という意味で 分かりやすく、全般的に誤解のないように考えていただき、見直していただいた方がいい のではないかと思ったので、一言申し上げました。 ○望月分科会長 ただ今の点についてどうぞ。 ○事務局 添付文書とは別に、治療を受ける患者に対して、マクジェンを使う際のパンフ レットを作っております。その中で患者に対していろいろ注意していただくことに関して は、分かりやすい表現で書いております。霧視の関係についても、こういった症状に気付 いた場合は、速やかに眼科医に連絡してもらうことが、パンフレット等に書いてあります。 その記載の充実ということで、患者にも分かりやすく対応したいと思います。 ○望月分科会長 症状をきちんと説明するということで、よろしくお願いいたします。ほ かにどなたか御意見はございますか。  それでは、今まで出た意見について、申請者の方にお知らせいただくということで、特 段の御異議がないと考え、議決に入りたいと思います。河盛委員におかれましては寄附金 等に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。河盛委員は 恐れ入りますが、後ろに用意してある椅子にお移りいただけますか。  ○望月分科会長 それでは部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について製造販 売承認を可、再審査期間は10年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思います が、よろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは薬事・食品衛 生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、 厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案、その他の取扱いについては、 私に御一任いただいてよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。河 盛委員は前の席にお戻りください。池田委員、永井委員もお願いいたします。 ── 池田委員、永井委員入室 ── ○望月分科会長 次に議題2、資料2、「医薬品ディフェリンゲル0.1%の生物由来製品 及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬 又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含 有する医薬品に関わる事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基づき、医薬 品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。は じめに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思い ます。なお、本日は元東京厚生年金病院・皮膚科部長、南光弘子先生に参考人として御出 席いただいております。それでは、医薬品第一部会長の永井委員から御説明をいただきた いと思います。 ○永井委員 資料2、医薬品ディフェリンゲル0.1%についての概要を御説明いたします。 詳細は事務局の審査管理課から、御説明をお願いいたします。  医薬品の説明ですが、対象は尋常性ざ瘡、要するにニキビです。面皰、紅色丘疹、膿疱、 結節の形成が認められる毛包脂腺系における慢性炎症性疾患ということで、主に青年期に 認められる普通の皮膚疾患です。従来、この尋常性ざ瘡の治療に対して、欧米では外用の レチノイドが第一選択薬として報告されており、重症例に対しては経口剤も承認されてお ります。本邦では、現在までに尋常性ざ瘡に対して承認されたレチノイド製剤はありませ ん。洗顔等の日常生活指導、軽症では面皰の圧出、角質溶解、脱脂作用のあるイオウカン フルローション又は抗炎症作用のある外用抗生物質等、外用抗菌剤の塗布が行われてお り、中等症以上では抗生物質の経口投与が行われております。アダパレンというのは、レ チノイド受容体に作用する化合物ですが、欧米で外用レチノイドとして使用されていたト レチノインに対して、安定性等を改善することを目的として開発されております。  この申請製剤と同じ本薬0.1%製剤は、フランスで1994年9月、米国で1996年5月に 承認され、2008年3月現在、尋常性ざ瘡を適応として世界82か国で承認、販売されてお ります。また、濃度の高い0.3%製剤が米国、カナダ、アルゼンチンで承認販売されてお ります。国内で実施された第III相試験では、顔面に尋常性ざ瘡を有する患者において、プ ラセボ群に対し有意な総皮疹数の減少が認められたということで、本薬の有効性は認めら れると判断しております。  本薬については、去る5月26日の第一部会で審議をいたしまして、医療上の必要性、 催奇形性と曝露量との関係等について議論が行われました。例えば作用機序とか、特に催 奇形性については、生殖年齢の女性が使用することがあるということが懸念されました が、外国ではこれまでのところ報告がないということ、市販後調査をしっかり行うこと、 説明用の資料をきちんと用意することで対応するということが回答されております。以上 の議論を基にして、承認して差し支えないという判断に至りました。以上が概要です。事 務局から、もう少し詳しい説明をお願いいたします。 ○望月分科会長 では事務局からお願いします。 ○事務局 それでは事務局から、医薬品ディフェリンゲル0.1%の審査の概要について、 臨床試験の成績を中心に御説明申し上げます。臨床試験成績としては国内臨床試験、計6 試験が評価資料として提出されています。まず有効性に関してですが、顔面に尋常性ざ瘡 を有する患者を対象に、プラセボ群及び本薬0.1%を12週間塗布した国内第III相検証試 験において、主要評価項目である「最終観察日における開始時からの総皮疹数減少率」は、 プラセボ群36.9%及び本薬群63.2%であり、両群に有意差を認めたことから、本剤の有 効性が認められると判断いたしました。  安全性に関してですが、特に本薬投与開始初期には皮膚の乾燥等、皮膚局所の有害事象 が発現する頻度が高いものの、臨床的には忍容可能であると判断しました。一方、本薬の 毒性試験においては、高用量の経口投与時に催奇形性が認められているため、体内にある 一定以上吸収された場合には、催奇形性を示す可能性があると考えられます。しかし、外 用剤である本薬の国内臨床試験における本剤塗布時の血漿中濃度は、検出限界である 0.15ng/mL以下であり、非臨床試験においてもウサギに催奇形性が認められたときの血中 濃度と比較すると、約165倍以上の開きがあること、加えて海外で本薬の販売が開始され た1995年以降、累計2,200万人に使用されておりますが、本薬使用によるレチノイド様 の催奇形性を示唆する情報が現時点ではないことなどから、リスクは極めて低いと考えま す。  ただし、本薬が催奇形性を示す可能性を完全に否定することはできないことから、妊婦 等には使用しないよう、医療関係者及び患者に対し、催奇形性のリスクと適正使用に関す る十分な注意喚起が必要と考えます。そのため、製造販売時には添付文書に加え、医療機 関及び患者向け説明文書を通じ、適正使用情報の周知徹底を図ることを予定しておりま す。  なお、本分科会の委員である神山委員より、「劇薬であり、妊産婦や小児は使えないも のであるから、取扱い上の注意に、他の者が簡単に使える場所には置かない等の注意を加 えるべきではないか」との質問を一点いただいております。本薬について、申請者は通常 の添付文書に加え、使用方法や注意事項、妊娠についてなどを記した患者への啓発資材を 準備しております。その中で、既に子供の手の届かない所に保管すること、医師は患者の 症状に合わせて薬を処方しているため、他の方には使用しないようにすることが記載さ れ、注意喚起がされております。  また、藤田委員からも「第III相検証試験において、プラセボ群と比べて本薬0.1%群で 総皮疹数減少率が有意に改善しているが、非炎症性皮疹及び炎症性皮疹において、本薬 0.1%群で皮疹数が極めて増加した症例が見られることについて、推察される原因を含め て、これらの症例について御説明ください」という御質問を事前にいただいております。 申請者に確認したところ、第III相検証試験においてプラセボ群100例中10例、本薬群100 例中8例で総皮疹数の増加を認めております。このうち本薬群の一症例で、皮疹数の減少 率が−153.1%と、組入時の皮疹数98から248に増加した症例があります。この症例につ いては、投与開始直後に特に著しい増加が認められたものではありません。観察期間中に 徐々に増加していたということで、原因を特定するまでには至っておりません。しかしな がら添付文書においては、治療開始3か月以内に症状の改善が認められない場合には、使 用を中止すること、漫然と長期にわたって使用しないこと等の注意喚起を行っておりま す。承認後も本薬の効果が見られないケースに漫然と長期に使用されないための措置を講 じるよう、申請者に指示します。  以上、機構での審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本薬の尋常性ざ瘡への有効性 は認められ、安全性は忍容可能であることから、適正使用に関する注意喚起を十分に行う ことで、尋常性ざ瘡を効能・効果とした承認は差し支えないと判断し、薬事分科会で審議 されることが妥当と判断いたしました。なお、本薬は生物由来製品又は特定生物由来製品 に該当せず、原薬及び製剤は劇薬に該当し、また、新有効成分含有医薬品であることから、 再審査期間は8年とすることが適切であると判断しております。御審議どうぞよろしくお 願いします。 ○望月分科会長 それでは参考人の南光先生から、補足等がございましたらお願いいたし ます。 ○南光参考人 私は皮膚科医を長年やっていますが、この系統の薬が出なかったのです。 外国に比べて非常に遅かったのです。海外では既にファーストラインで標準薬になってい ます。レチノイドではなくてアダパレンという物質は、レチノイド様の構造を持ったもの です。そうは言ってもレセプターが一緒なので、一応催奇形性などはあります。やはり男 性よりも女性が使っていることが多く、しかも若い女性が多いので、その辺のことはしっ かり資材を作って、範囲を顔面のみに限定しています。臨床試験も顔面で行っております ので、それ以外のニキビに効くかどうかという試験はやっておりません。  もう一つは、今までニキビの治療薬として日本で出ていたのは炎症性のものですが、レ チノイドに関しては非炎症性の、いわゆる白ニキビという初期の段階から有効であるとい うことがありますから、この薬は今までにない作用機序で、しかも最も有効であることが 期待されます。皮膚科医としては是非承認していただきたい薬です。皆さん待望のものだ と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたしま す。 ○望月(眞)委員 この類似薬であるトレチノインという軟膏に関しては、皮膚の若返りや シミがなくなる等々の効能を謳って、インターネット等で結構宣伝されているのですが、 この軟膏剤の場合、そうした方面での懸念がないのかどうか、あるとすれば、何か対策を 考えていらっしゃるのかどうか、その辺りについて教えてください。 ○望月分科会長 ただ今の御意見について、いかがでしょうか。事務局からお答えくださ い。 ○審査管理課長 トレチノインの軟膏というのは、国内ではまだ承認されていません。恐 らく個人輸入といったことを念頭に置いて、インターネットでの議論があるのだろうと考 える次第です。一方、このものについては今回、御了解が得られて承認をするということ になりますと、当然のことながら薬事法に基づく規制がかかってくるわけですから、製造 販売業者は今、予定している尋常性のざ瘡以外の効能・効果を宣伝するということは考え られません。  他方、これを取り扱う方々がインターネットを中心に、仮にいろいろな形でそういった 広告・宣伝をなさると、製造販売業者もそれをやめるように動くと考えますし、我々とし ても一般的な監視指導の中で、注意喚起を行っていくということになるだろうと思いま す。ただ、望月先生から御指摘いただいた個人輸入を念頭に置いた広告・宣伝というのは、 なかなか相手が捕まらないという難しさもあります。我々としても今後とも引き続き、力 を入れてやっていきたいと考えているところでございます。 ○望月分科会長 そういうことで、監視をするというように取っていいかと思います。ほ かの先生からも御意見はありますか。 ○板倉委員 添付文書でまた一つ教えていただきたいと思います。2ページの「適用上の 注意」の(1)の「使用時」についてです。最後に、言葉としては「併用の際には注意する こと」ということで止められていますが、注意をするというのは、具体的にどういうこと をしなさいということなのかが分かりません。専門の医師であれば、この言葉でどういう ことを指しているのかがお分かりになるのではないかと思いますが、普通の消費者が見て 分からない中身については、もう少し具体的に書いていただいてもよろしいのではないか と思いましたので申し上げました。 ○望月分科会長 ただ今の点についていかがでしょうか。 ○事務局 御指摘、ありがとうございました。今日はお示しできませんでしたが、医師向 けの資材と患者向けの資材を今、御用意しているところです。特に患者向けの資材につい ては専門協議の中でも、一般の患者が自ら塗ることもありますので、平易でより正確なこ とが伝わるようにという御指示をいただいております。まだ最終的なブラッシュアップが 必要な状況ですので、今の板倉先生の御指摘も踏まえて盛り込ませていただきたいと思い ます。 ○望月分科会長 これからきちんと指導をするということです。ほかに御意見はあります か。 ○土屋委員 主要文献として18個出ているうちの16個までが、社内資料となっているの ですが、海外では標準的に使われているということから言えば、文献はいくらでもあると 思うのです。ですから、こういうところはきちんとした文献が引けるようにしておくべき ではないかと思います。 ○望月分科会長 ただ今の御指摘については、いかがでしょうか。 ○事務局 御指摘ありがとうございました。その件についても併せて申請者の方へ指導さ せていただきたいと思います。 ○望月分科会長 よろしくお願いします。ほかにお気付きの点はありましたか。ただ今御 指摘のあったようなことを申請者に伝えて、直すものはきちんと直すということにいたし ます。  それでは特段の御異議がないというように考えますので、議決に入りたいと思います。 池田委員と河盛委員におかれましては、寄附金等に関する申出に基づき、議決への参加を 御遠慮いただくことといたします。池田委員と河盛委員は、後ろに用意してあります席に お移りください。 ○望月分科会長 部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について製造販売承認を 可、再審査期間は8年、原体、製剤共に劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製 品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしい でしょうか。 ○望月分科会長 御異議なしと認めます。それでは薬事・食品衛生審議会規程第3条第1 項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申する ことといたします。答申書の文案、その他の取扱いについては、私に御一任いただいてよ ろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。池 田委員と河盛委員は、前の席にお戻りください。  次に議題3、資料3、「医薬品アイノフロー吸入用800ppmの生物由来製品及び特定生 物由来製品の指定の要否、製造販売承認(外国特例承認)の可否、再審査期間の指定並びに 毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分 を含有する医薬品に関わる事項ですので、薬事分科会における確認事項第3項に基づき、 医薬品第一部会での審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を行うこととなっておりま す。はじめに、部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思 います。それでは医薬品第一部会長の永井委員から御説明いただきたいと思います。 ○永井委員 資料3を御覧ください。「アイノフロー吸入用800ppm」です。これは一酸 化窒素そのものです。概要を御説明いたしますが、詳細は後ほど事務局の審査管理課から 御説明いたします。  対象となる疾患は、新生児における肺高血圧症です。これは新生児仮死、胎便吸引症候 群、呼吸窮迫症候群、肺の低形成等によって引き起こされる全身の著しい低酸素血症をも たらす疾患で、速やかに酸素化の改善を図らなければ死に至る重篤な病気です。本剤の有 効成分は一酸化窒素で、血管拡張作用を持っております。本剤の吸入により直接、標的部 位である肺の血管に効果的に供給することができ、全身性の副作用も生じにくいというこ とで期待されております。海外では1999年に米国で承認されたのを始め、2007年12月 現在、米国、欧州を含む34か国で承認されております。なお、本邦では、2002年に希少 疾病用医薬品として指定されております。新生時の肺高血圧症に伴う低酸素性呼吸不全 11例を対象として、国内第III相臨床試験においては、有効性は本剤により酸素化指数の 改善が認められ、安全性については大きな問題は認められておりませんでした。  本剤については、去る5月26日の医薬品第一部会において審議を行い、投与全症例を 対象とした使用成績調査の実施を条件に、承認して差し支えないという判断に至りまし た。議論の中では、中枢神経系への作用がないのかということでしたが、臨床上問題とな る作用はありませんでした。また、「右-左シャント患者は禁忌」という記載があります。 これは先天性心奇形等による心室中隔欠損などで肺高血圧を来し、その後に右-左シャン トを来してくるもので、こういう患者は非常に多いわけですが、このような先天性心奇形 の場合は効果がなく、逆に使い過ぎると毒性が出るということで禁忌になっているという 議論が行われました。以上が本剤の概要及び議論の内容です。事務局から、さらに詳しい 説明をお願いしたいと思います。 ○望月分科会長 では事務局からお願いいたします。 ○事務局 資料3、「アイノフロー吸入用800ppm」(一酸化窒素)の審査の概略について、 臨床試験の成績を中心に御説明申し上げます。まず、有効性に関して御説明いたします。 国内第III相臨床試験において、新生児の肺高血圧症を伴う低酸素性呼吸不全者11例を対 象に本剤20ppmが投与され、主要評価項目とした本剤吸入開始直前から吸入開始後30分 及び24時間の酸素化指数の推移は、吸入開始前で35.5cmH2O/mmHgであったのに対して、 開始後30分では14.2cmH2O/mmHg、開始後24時間では8.2cmH2O/mmHgというように改善が 認められました。また、海外で実施された臨床試験においても体外式膜型人工肺(ECM O)の適用率がプラセボ群に比べて本剤20ppm群で有意に低値を示しており、本剤20ppm の有効性は示されたと判断いたしました。  安全性については国内第III相臨床試験において11例中9例(81.8%)で89件の有害事象 が認められましたが、そのすべてが原疾患によるものと判断され、本剤との因果関係は否 定されております。海外臨床試験においても対照群と比較して特に問題となる有害事象は 認められておりません。また、本剤の性質上、メトヘモグロビン血症が特に懸念されまし たが、専用の一酸化窒素ガス管理システム「アイノベント」を用いて適切なモニタリング 及び注意喚起の下で使用されれば、大きな問題はないと考え、添付文書の「用法・用量に 関連する使用上の注意」に、専用の一酸化窒素ガス管理システムを用いる旨を記載してお ります。  国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデ ータが集積されるまでの間は、本剤が投与された全症例を対象に使用成績調査を実施する ことにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関 するデータを早期に収集し、本剤の適正な使用に必要な措置を講ずることを承認条件とす る必要があると判断いたしました。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、製造販売後に、本剤が投与 された全症例を対象とした使用成績調査の実施を条件に、本剤の効能・効果を「新生児の 肺高血圧症を伴う低酸素性呼吸不全の改善」とし、承認して差し支えないと判断し、薬事 分科会で審議されることが適当との判断に至りました。なお、再審査期間は10年、原薬 及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断して おります。お手元にはアイノフローのボンベと、専用機器「アイノベント」の写真を配付 しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等はありますか。 ○黒木委員 作用機序から考えられるメトヘモグロビン血症ですが、資料からいたします と、メトヘモグロビン血症は起こりにくいであろうということになっております。1-6の 「外国の使用状況」のところで66ページの4-9に、「過量投与」という項目があります。 そちらには、メトヘモグロビン血症が起こるかもしれず、減量又は中止した場合もメトヘ モグロビン血症の改善が見られない場合は、「臨床状態に応じてビタミンCの静注、メチ レンブルーの静注又は輸血で対処することができる」という記載があります。御存じのと おり、我が国ではメチレンブルーがまだ未承認薬ですので、その問題はあるとしても、我 が国の添付文書にはこういった対処法が書かれない状態です。添付文書の「過量投与」に は、こういったことが起こるかもしれないという記載でとどまっていますが、この辺りは 何か議論があったのでしょうか。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。事務局からお答えください。 ○事務局 海外の臨床試験において、メトヘモグロビン血症が起こっているということで すが、20ppmを超えた用量で臨床試験が行われており、その範囲でメトヘモグロビン血症 が起こっております。今回は20ppmということで、およそメトヘモグロビンの濃度が1% 当たりですので、メトヘモグロビン血症の恐れはないと考えております。今回、アイノベ ントという専用の機器についても、メトヘモグロビン血症の上限の規格値として2.5%を 設けており、NO2についても濃度が0.5ppmになるように管理できるようにしていく予 定です。 ○黒木委員 海外でメトヘモグロビン血症が起こったという点ではなくて、こういったこ とが考えられるので、メトヘモグロビン血症に対してはこうしなさいという記述があると いうのに、日本ではまだその辺の記述ができる範囲ではないということです。新しい機序 の医薬品ですので、機序的にはメトヘモグロビン血症が起こり得るものとして、企業の社 会的責任として、メチレンブルーや、ほかの対処法を考えていくとか、何か御議論があっ たかどうかを知りたいのですが、いかがでしょうか。 ○事務局 先ほど説明を忘れましたが、1-8の申請書に添付文書案が付いています。2ペ ージの(4)に、メトヘモグロビン濃度が2.5%を超える場合の対応を記載してあります。 ○黒木委員 この記載を過量投与の対処に移していただくというのはいかがでしょうか。 ○事務局 先ほど申し上げましたように、海外では20ppmを超える範囲で起こっていると いうことで、国内については20ppmと用法で決めていますので、その範囲での対応であれ ば、ここが適切だと判断した次第です。 ○審査管理課長 黒木委員の御指摘は、過量投与のときにここに書いてあることをすると いうことがすぐ分かるようにということだと理解しますので、移すことも含めて、あるい はここを参照という形になるのかもしれませんが、いずれにしても過量投与の場合に、こ こにこういう情報があることが分かるようにしたいと考えています。よろしくお願いしま す。 ○神山委員 投与期間ですが、添付文書によりますと、吸入期間は「通常4日間までで、 その後、本治療が離脱可能となるまで継続する」と書いてあり、使用上の注意には、「本 剤の使用によっても、酸素化の改善が認められない場合は、体外式膜型人工肺(ECMO) 等の救命療法を考慮すること」ということが書いてあるのですが、本文中には「出生後7 日未満に吸入を開始し、吸入期間は最長14日間とする」という記述があったのを削除し たと書いてあります。医者としては、いつまで投与をして、いつの時点で改善が認められ ないという判断をするのかが分かるのでしょうか。素人ではよく分からないのです。 ○望月分科会長 この点に関しては、事務局からお答えいただけますでしょうか。 ○事務局 お答えします。この医薬品は基本的には添付文書にありますように、4日間ま でとなっております。そこの範囲で有用性が認められているということです。海外の添付 文書においても4日未満の離脱と書いてあり、4日間ということと考えております。 ○望月分科会長 「離脱可能となるまで継続する」ということが書いてあるのですが、そ れについてはいかがですかということですが。 ○事務局 14日間と4日間という数字がありますが、国内臨床試験は14日間という規定 を設けています。海外の添付文書においても、CCDSにおいても4日間を推奨していま す。しかし、実際の臨床試験においても、若干名どうしても病態が安定しなくて、4日で 離脱できない症例もあり、14日間でも同様です。そういう形については病状を見てとい う書き方が、用法・用量に記載しています。基本的には国内外を問わず、4日を目指すと いうことは統一した記載ですので、4日を中心に書き、あとは病状によって離脱を試みて いただくという記載にしています。 ○神山委員 その離脱を試みる最長期間の定めはなくていいのでしょうか。 ○事務局 専門協議でも議論したのですが、実際に一義的には定められない、余り長期に 漫然と使うのはよろしくないということで、どこかのターゲットポイントはあった方がい いだろうとういうことです。国の内外を問わず、4日を目標にすべきだと能書にも書かれ ていますので、国内臨床試験の実績も踏まえて4日を目指していただきますが、あとは実 際の症例の状況を見ざるを得ないという御意見もいただいております。 ○望月分科会長 よろしいですか。最初のところは、吸入期間を最長14日とするという のは出ていますが、これとの関係で今のお答えなのでしょうか。 ○事務局 上限を切るという御指摘だとすると、専門協議でもその議論がありましたが、 上限は実際の臨床上、いろいろな患者がいるのでやめてくださいということで、ほとんど は4日を目指すべきだし、実際のほとんどの患者は4日でうまく離脱できているというこ とです。ただ、実際に臨床試験でも1例とか、2例とか、14日くらいまで延びてしまっ た例もありますし、必ずしも14日だけで切れるかと言われると、実際には14日間の規定 は臨床試験の規定だったので、そこはあえて書かない方がいいだろうという御意見が多か ったものですから、それを採用させていただき、実際には4日を目指すことで問題がない だろうということで、このような規定にしております。 ○望月分科会長 ほかに御意見はありますか。 ○望月(眞)委員 直接審査と関わる事項ではないかもしれませんが、今回、選任製造販売 業者と、外国特例承認取得うんぬんというのが出てきて、その関係がよく分かりませんで した。今回、選任されている製造販売業者と、実際に承認用の資料を整えた外国との関係 など、きちんと資料請求あるいは質問に対する対処等の連携あるいは責任をどうとるか等 々を含めて、どうなっているのかを教えてください。 ○望月分科会長 この点に関して事務局から御説明いただきたいと思います。 ○審査管理課長 法的には選任製造販売業者が、国内での情報伝達等について責任を持つ という形になっています。  なお一点、誠に申し訳ないのですが、諮問書自体に誤字がありましたので訂正していた だきたいのですが、諮問書の2行目の、今、望月委員がおっしゃった「外国特例承認」と いうのは、特例ではなく「外国製造承認」の誤りです。 ○望月分科会長 修正していただきたいと思います。それでは、ほかの先生方から御意見 ございますか。それでは、ただ今のような議論があったということを申請者にお伝え願い たいと思います。ほかに御異議がなければ議決に入りたいと思います。  部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期 間は10年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定 は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょう か。 ○望月分科会長 御異議なしと認めます。薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定 に基づきまして、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申するこ とといたします。答申書の文案、その他の取り扱いについては私に御一任いただいてよろ しいでしょうか。 ○望月分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  では次に入りたいと思います。議題4、資料4、「医薬品アイセントレス錠400mgの生 物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定 並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に関わる事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第二部会での審議結果を踏まえ て、薬事分科会にて審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等を御報 告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。  それでは、本来なら医薬品第二部会長の池田委員からの御説明ですが、先ほどの寄附金 等の申出によりまして、本日は医薬品第二部会委員の早川委員に御説明をいただきたいと 思います。 ○早川委員 それでは、資料4、医薬品「アイセントレス錠150mg」の審査の概略につい て御説明いたします。HIVの感染症は、御承知のように、核酸系あるいは非核酸系の逆 転写酵素阻害剤あるいはプロテアーゼ阻害剤といった複数の抗HIV薬を、患者の個々の 症状あるいは体質に合わせて組み合わせて投与します。それによってウイルスの増殖を抑 えて、エイズの発症を防ぐ治療法、いわゆる多剤併用療法の登場により、慢性疾患として コントロール可能になりました。一方で、種々の抗HIV薬を組み合わせた治療を受けて いる患者が増加して、複雑な投与方法による不耐用、長期毒性又は多剤耐性が問題となっ ております。  本剤の有効成分であるラルテグラビルカリウムは、米国メルク社において開発された初 めてのHIVインテグラーゼ阻害剤であり、既存の抗HIV薬に耐性を示すHIV-1変 異株を含む様々なHIV変異株に対して広い活性を示すとされています。  HIVインテグラーゼを標的とした抗HIV薬は、別の異なる作用機序により活性を示 す他のクラスの薬剤と交叉耐性を示さないことから、既承認の抗HIV薬を補完するもの と期待されているわけです。  本剤は、希少疾病用医薬品に指定され、2007年12月現在、海外30か国で承認されて おります。本剤については、去る4月30日に開催された医薬品第二部会において審議し、 承認して差し支えないとの判断に至っております。以上、概要を御説明いたしましたが、 事務局からもう少し詳しい説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは、資料4の医薬品「アイセントレス錠150mg」の審査の概要について、 御説明申し上げます。本剤は、HIVインテグラーゼを阻害することにより抗HIV活性 を有する初の抗HIV薬であり、米国では2007年10月に、EUでは2007年12月に承認 されたほか、2007年12月現在、海外30か国で承認されています。  本邦においては、本剤はHIV感染症治療薬であることから迅速承認審査の通知に従 い、本剤の承認申請に際し、米国の申請資料が提出されました。機構は、これらの資料に ついて審査を行い、その結果、品質、毒性、薬理、薬物動態について大きな問題は認めら れませんでした。  主な臨床試験として、2つの第III相試験が実施されています。これらの試験の結果、既 存の三つのクラスの抗HIV薬である核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害 剤及びプロテアーゼ阻害剤のそれぞれの系統の薬剤に1剤以上耐性を示すことが確認さ れた既治療例に対する有効性が確認され、安全性についても特段の問題は認められておら ず、良好な忍容性が確認されました。  機構は、これらの試験成績を基に審査を行い、提出された海外臨床試験成績より、日本 人HIV感染症患者に対する本剤の有効性・安全性は期待できると判断いたしました。本 剤は、HIVインテグラーゼ阻害作用という新しい作用機序を有しておりますので、既存 の抗HIV薬に耐性を示す患者に対しては、新たな治療選択肢として有用な薬剤となり得 ると考えております。  ただし、現時点では、抗HIV薬による治療経験のない患者における情報が不足してい ること、本剤に対する耐性ウイルスの出現を可能な限り回避すべきであることから、欧米 同様に、本剤はfirst choiceとしてではなく、他の薬剤が使用できない場合等に使用す べきであろうと考えております。  なお、日本人を対象とした臨床試験は実施されていないものの、得られている臨床成績 より民族差は示唆されておらず、HIV感染症治療薬の迅速承認審査の通知に基づき、日 本人における薬物動態の検討は製造販売後に実施する必要があると考えております。併せ て、製造販売後調査として、日本人における本剤の有効性、安全性に関する情報を早期に 収集する必要があると考えております。  以上、総合機構の審査及び医薬品第二部会での審議の結果、本剤の有効性・安全性は確 認できたと判断し、審査報告書の3ページに記載しております承認条件を付帯した上で、 本剤を承認することが可能と判断し、薬事分科会で審議されることが適当との判断に至り ました。  なお、原体・製剤ともに劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しな いと判断しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○望月分科会長 それでは、ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等はありますか。 特にございませんか。  それでは、特段の御異議がないということですので議決に入りたいと思います。池田委 員、川盛委員、永井委員におかれましては、寄附金等に関する申出に基づきまして、議決 への参加を御遠慮いただくことといたします。恐れ入りますが、後ろに用意してある椅子 にお移りください。 ○望月分科会長 それでは、部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製 造販売承認を可、再審査期間は10年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品及 び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思い ますが、よろしいでしょうか。 ○望月分科会長 御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第 1項の規定に基づきまして、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に 答申することといたします。答申書の文案、その他の取り扱いについては私に御一任いた だいてよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。 池田委員、河盛委員、永井委員はお戻りください。  それでは、これより報告事項に移らせていただきます。御担当の部会ごとに区切って報 告をいただくことといたしますので、まずは副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用 ・感染等被害判定第二部会の関係の議題5から簡単に説明をお願いします。 ○事務局 資料5です。前回の分科会以降に副作用・感染等被害判定第一部会が1回、第 二部会が2回開催されました。資料は、まず3回分をまとめたものを示し、その後ろに各 部会の判定結果を示しております。それでは「判定結果、まとめ」の1ページから御報告 いたします。  部会開催日は、第一部会が平成20年4月24日、第二部会は平成20年3月27日及び5 月 29日です。副作用被害判定については、新規188件、継続12件、現況26件の計226件 について御審議いただきました。  審議結果については、支給決定とすることが適当と考えられるものが185件あり、その 内訳は請求どおり支給決定するものが115件、請求期間の一部について支給決定するもの 68件、請求内容の一部について支給決定するもの4件となっております。なお、請求期 間の一部について、また、請求内容の一部について支給決定するものとされたもの2件が 重複です。  また、不支給決定することが適当と考えられるものは34件あり、その内訳は、医薬品 の使用が適正であったと認められないもの12件、疾病、障害等が医薬品により発現した と認められないもの15件、副作用による疾病に対する医療が、入院を必要とする医療で ないものが5件、副作用による障害の状態が、日常生活が著しく制限される程度の状態で ないもの3件です。また、追加情報を得て、再度審議することが適当と考えられたものは 7件でした。  感染症被害判定については、第二部会において3事例について御審議をいただきまし た。審議結果については、不支給決定することが適当と考えられるもの3件でした。この 3件は、いずれも生物由来製品による感染等により発現したと認められないとされており ます。以上、副作用・感染等被害判定第一及び第二部会の結果の報告です。  次に、神山委員より事前に御質問をいただいております。御質問は、不適正使用と判定 されている11事例につき、不適正使用とした理由についてです。以下、各事例につき簡 潔に回答させていだきます。  資料9ページです。69番は行うべき検査が実施されておらず、不適正使用とされてい ます。74番は肝機能検査値が急上昇し、主治医もこれを認識していたにもかかわらず、 速やかに投与を中止しておらず、不適正使用とされています。75番は白血球数が異常低 値を示しているにもかかわらず、速やかに投与を中止しておらず、不適正とされています。 76番は多数の解熱鎮痛消炎剤を併用して使用しており、不適正とされています。  資料15ページです。63番は重症な腎障害にある患者には投与禁忌とされている医薬品 を、重度の腎障害のある患者に投与していることなどから不適正とされております。65 番は角膜潰瘍の患者や角膜疾患の患者が、原則禁忌とされている医薬品を、角膜上皮に障 害のある患者に投与していることなどから、不適正とされています。66番は効能・効果 に記載のない円形脱毛症に使用しており、不適正とされています。  資料21ページです。56番は以前に鎮痛剤を服用後喘息発作を生じた既往があるにもか かわらず、カコナールカゼブロックUP錠を使用しており、不適正とされています。57 番はウイルス感染症に抗生物質を使用しておりますが、この使用は無効であると考えられ ることから不適正とされています。58番は行うべき検査が実施されておらず、不適正と されています。61番は行うべき検査が実施されておらず、不適正とされています。  なお、質問にはありませんでしたが、同じページ62番についても、不適正使用とされ ておりますが、この理由は行うべき検査が実施されておらず、不適正とされたものです。 以上です。 ○望月分科会長 では、ただ今の説明に対し、委員の先生から御意見、御質問はあります か。 ○神山委員 このような医療現場での不適正使用をなくすために何らかの方策はとられ ていると思うのですが、どのような措置がとられているのかお願いいたします。 ○望月分科会長 ただ今の質問に対していかがでしょうか。 ○安全対策課長 一般的には、当然添付文書なり使用上の注意の改訂の情報を医療現場に 情報提供しておりますし、例えば2週間に1度の検査が必要なものとか、副作用の発生の 問題で特に注意が必要なものについては、それ以外のいろいろな説明用の文書なり、いろ いろな機会を通じて適正使用の情報を重ね重ね流しています。 ○望月分科会長 情報はきちんと流しているということでよろしいですか。 ○神山委員 バセドウ病の薬については何回も質問したので、今回は質問しなかったので すが、何回も何回もこういうことがあって、病院に行くと確かにそういうことが貼ってあ って、それでもなおかつ、不適正使用が出てくるというのは、情報を流しただけではなく ならないのではないかという危惧があるものですから、副作用が出て、きちんと検査をす れば防げたのに防げなかったという立場になる患者のことを、もう少し一生懸命考えてい ただきたいと思います。 ○事務局 ただ今の御意見ですが、メルカゾール錠については、最後に申し上げた21ペ ージの62番ですが、従前から投与に当たっては、原則として2週間に1回、それ以降も 定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施するようにということで、重要な基本的注意 で注意喚起を行っているところですが、実際には検査が実施されないで重篤な副作用が発 現されてしまう患者がいる実態にかんがみて、警告欄にこの内容を掲げて、さらに一層の 注意喚起を行うという措置が最近行われたところです。 ○望月分科会長 より強い警告を出しているということです。 ○板倉委員 今回の件に関わることではないのですが、知っている方が実際に申請を出し て、申請自体の手続が非常に大変だったということと、決定までの時間が非常にかかって いるという話を聞いたのですが、実際に最初に申請してから決定して支給されるまでにど の程度の時間がかかっているのでしょうか。 ○事務局 これは事例によっては調査等に非常に時間がかかるものがありますから、平均 は仮に出しても、そういう意味では後ろの方にずれてしまうのですが、現状では事務処理 期間が8か月以内に約70%の事例については支給決定もしくは不支給決定ができている という状況です。さらにこの期間を短縮すべく今後も努力する考えでおります。 ○佐藤委員 12ページの26番の支給になっているところについて伺いたいと思います。 うつ病で、インプロメンを服用して遅発性ジスキネジアが起こって支給というケースで す。これだけを見ますと、非常に不思議です。インプロメンは抗精神病薬でうつ病には適 用外だろうと思います。  遅発性ジスキネジアというのは、ドーパミン受容体をずっと遮断し続けているうちに起 こる遅発性の副作用です。ということはインプロメンを長い間使ったということだろうと 思います。うつ病に抗精神病薬を長い間使ったその結果、遅発性ジスキネジアが出たとい うのは、むしろ適正な使用ではないのではないかと思います。この文面だけから見ますと、 どういう事情だったのか、そのことが疑問ですので、後でもいいですから、調べていただ きたいと思います。  もう一点は、支給になっているのが61例ですが、その約1割の6例にテグレトール(カ ルバマゼピン)で、全般型の薬疹やスティーブンス・ジョンソン症候群が出ております。 1割というと、かなり高頻度です。我々は神経科、精神科の領域でやっていますが、かな り頻繁であり、添付文書に重大な副作用の発現頻度が書いてありますが、かなりの頻度だ ろうと思います。頻度が高く、しかも1割くらいを占める副作用について、どのような対 応をされているのか、もし分かれば教えていただきたいのです。 ○事務局 一つ目の御質問については後ほど御回答申し上げたいと思います。 ○望月分科会長 もう一つのテグレトールの件はいかがでしょうか。 ○安全対策課長 カルバマゼピンの重篤な副作用については、最近の動きとしては遺伝子 の診断などで重篤なものが出やすい人がいるとかいないとか、そんなこともいろいろ分か りつつありまして、副作用の情報提供の中に入れようということで検討しております。先 生がおっしゃるとおり、ケース的には多いので、できるだけいろいろな対応をして、発生 頻度を下げたいと思っております。 ○佐藤委員 次回でもいいですから、どんな対応をなさるのか、是非教えていただきたい と思います。こういうことが繰り返されると非常に被害が大きくなりますので、よろしく お願いします。 ○望月分科会長 それでは、事務局から次回またお答えいただきたいと思います。ほかに はどなたかございますか。 ○望月(眞)委員 こういうことを申し上げるのはとても難しい話なのかもしれませんが、 適正に使用した上で、なおかつ起こった副作用、いわゆる健康被害については救済される わけですが、患者が被害救済の申請を出して、医療者側の不適正使用によって救済されな いのは、ちょっと矛盾した話になってしまうのかなという気がします。やはり医療者側の 不適正使用をきちんとコントロールするというか、自覚して不適正使用をしないような仕 組み、チェック機構、いろいろな医療従事者がたくさんいると思いますが、副作用をきち んとモニタリングしていくというような仕組みを検討していただきたいと思います。例え ば、定期的に2週間に1回検査をする等が添付文書に書かれている場合にはそれがきちん とできるような仕組みを作っていかなければ、救済されない方々には非常に申し訳ない気 がします。 ○望月分科会長 ただ今の御意見に、どなたかお答えできる方はいらっしゃいますか。医 療者側の適正使用に対する患者の不利益に対しては、どのような対応があるのかとか、こ れからあるのだろうかということです。 ○安全対策課長 C型肝炎の問題を踏まえた検証と、それを踏まえた薬事行政の見直しを いろいろ検討会でやらせていただいています。その中の一つの議論の中で、先ほどの医療 関係者への情報提供の問題とも関わってくるのですが、メーカーの方が情報提供をしたと 言ったところで、それが本当に医療関係者の中にきちんと伝わって、医療行為にきちんと 反映するようにしないと、本当の意味での情報提供にならないのではないかということ で、その点もいろいろ御議論いただいております。  企業がきちんと情報提供をしたかという問題もありますが、ただ情報をたくさん流し放 しにするのではなくて、もっと医療関係者にきちんと的確に伝わるような効果的な方法を 含めて、きちんとフォローアップできるようなことも大きな課題ではないかと考えてお り、具体的にどういうことができるのかも検討していきたいと思います。 ○望月分科会長 その点についてもよろしくお願いします。 ○神山委員 今の点ですが、不適正使用だからといって、すべての方が医療過誤の訴訟を 起こすことはないと思います。訴訟を起こした後は非常に大変ですので、医師会などが中 心になったADR(裁判外の紛争解決機関)が、不適正使用で救済されない人を自動的に 救済するような仕組みを作るようにしていただけると、わざわざ訴訟を起こして、時間と 費用をかけてやらなくても済むのではないかと思います。 ○望月分科会長 ただ今の意見も頭に入れて検討を続けていただきたいと思います。ほか に御意見ございますか。  それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、医薬品第一、第二部 会の関係の議題6〜11について説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、医薬品第一、第二部会の関係です。まず議題6、資料6です。販売 名「ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用」ほかです。本剤は、合成副腎皮質ステロイドで あるモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を有効成分とする点鼻液です。効能・効 果は、アレルギー性鼻炎。本剤は、5月26日に開催された医薬品第一部会において御審 議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいております。  続きまして議題7、資料7です。販売名「ガニレスト皮下注0.25mgシリンジ」です。 本剤は、ゴナドトロピン放出ホルモンのアンタゴニストであるガニレリクス酢酸塩を有効 成分とする医薬品です。効能・効果は、調節卵巣刺激下における早発排卵の防止です。本 剤についても5月26日に開催された医薬品第一部会において御審議いただきまして、提 出された資料より見て、承認して差し支えない旨の結論をいただいているものです。  資料8、「サイモグロブリン点滴静注用25mg」です。本剤は、抗ヒト胸腺細胞ウサギ 免疫グロブリンを有効成分とする医薬品です。効能・効果は中等症以上の再生不良性貧血、 造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病です。本剤については、 本年5月23日に開催された医薬品第二部会において御審議いただきました。備考欄に記 載のある承認条件の全症例調査を承認条件として、承認して差し支えない旨の御結論をい ただいたものです。  資料9、販売名「アービタックス注射液100mg」です。本剤は、抗ヒトEGFRモノク ローナル抗体であるセツキシマブ遺伝子組換えを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、E GFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を効能・効果とした医薬品です。 本剤については、本年5月23日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、 備考欄に記載のある承認条件、国内での治験症例は、極めて限られていることから、全例 調査を一定期間行うという承認条件の下、承認して差し支えないとの御結論をいただいた ものです。  資料10、「ミコブティンカプセル150mg」です。本剤は、リファマイシン系抗菌薬であ るリファブチンを有効成分とする医薬品です。効能・効果は、本剤に感性のマイコバクテ リウム属を適応菌種とし、適応症としては結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプ レックス(MAC)症等を含む非結核性抗酸菌症、HIV感染患者における播種性MAC症 の発生抑制の効能・効果で申請があったものです。  本剤については、本年5月23日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、 資料10の2ページの備考欄に記載のある三つの承認条件を付した上で、承認して差し支 えないという御結論をいただいたものです。新薬の承認等に関しては以上です。  続きまして資料11、希少疾病用医薬品の指定で、五つの品目があります。希少疾病用 医薬品については、本邦における対象患者数は5万人未満であること、医療上、特にその 必要性が高いこと、開発の可能性が高いことの三つを指定基準として、これに合致するも のを希少疾病用医薬品等として指定を行うという制度があります。今般、2ページ目に記 載のある五つの品目の1番目の「ナタリズマブ」については4月に開催された医薬品第一 部会、2番の「インフリキシマブ」、3番「タクロリムス水和物」については5月に開催 された医薬品第一部会、4番の「UMN-0501」、5番の「フォロデシン塩酸塩」については 5月に開催された医薬品第二部会において、それぞれ御審議いただき、希少疾病用医薬品 として指定して差し支えない旨の結論をいただき、右側の指定日に記載のある日付におい て希少疾病用医薬品として指定を行ったものです。  これらの医薬品については、現在あるいは今後実施される臨床試験を経て、薬事法の承 認申請がなされ、審査の後に、またこの薬事分科会等で御審議いただくことになると思い ますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○望月分科会長 医薬品第一部会長の永井委員から追加の御発言等はございますでしょ うか。 ○永井委員 ガニレストですが、これは生殖補助医療のための調節卵巣刺激下における早 発排卵の防止薬であるということです。安全性等の議論がありましたが、特別な注意喚起 の下で使用されれば、大きな問題はないであろうということ、本邦の不妊治療における新 しい薬物療法の選択肢になり得るということで判断されております。以上です。 ○望月分科会長 それでは、医薬品第二部会長の池田委員から追加の御発言はございます でしょうか。 ○池田委員 特にございません。 ○望月分科会長 医薬品第二部会員の早川委員からは追加の御発言はございませんか。 ○早川委員 特にありません。 ○望月分科会長 それでは、委員の方々からの御意見、御質問等はございますでしょうか。 ○望月(眞)委員 資料10のミコブティンカプセルに関してですが、リファブチンという 一般名の成分を含有している抗酸菌症治療薬ということですが、概要の中でもかなり説明 がありましたが、リファンピシンを越えるものではないということで、リファンピシンへ の忍容性が悪い人たちを中心に使っていくということが、かなり出てきて、「用法・用量 に関連する使用上の注意」の(2)として「本剤はリファンピシンの使用が困難な場合に使 用すること」と書いてあるのですが、このことはできれば効能・効果に関連する使用上の 注意として、そちらに挙げていただいた方が確実にリファンピシンの使用が困難な場合と いうのが伝わるのではないかと思います。趣旨的には用法・用量ではないのかと思いまし たので、御検討いただければと思います。 ○望月分科会長 ただ今の点についてお答えください。 ○事務局 今の御指摘を踏まえまして、適切に対応させていただきたいと存じます。 ○望月分科会長 ほかには御意見ございますか。 ○事務局 説明漏れがありましたので、追加いたします。資料9のアービタックス、セツ キシマブですが、アービタックスについて、本年5月30日より、米国シカゴにおいて行 われた第44回米国臨床腫瘍学会において、いわゆるK-Rasの遺伝子変異と本剤の有効 性について報告がなされたという報道等がありました。本剤とK-Ras遺伝子の変異あ るいはEGFRの発現状況と有効性に関しては、今後申請者にさらなる情報収集を指示し ていきたいと考えておりますので、追加させていただきます。 ○望月分科会長 ただ今の追加発言を含めて、御意見ございますか。それではよろしいよ うですので、医療機器・体外診断薬部会の関係の議題12〜15について説明をお願いいた します。 ○事務局 それでは、資料12の「エキシマレーザ心内リード抜去システム」です。本品 は植込み型のペースメーカ、除細動器のリードを抜く必要が生じた場合に、心臓に入って いるリードには組織が癒着しておりますので、癒着した組織をレーザ光で蒸散させてリー ドを抜きやすくする器具です。  5月29日の医療機器・体外診断薬部会で審議され、再審査期間は3年、承認条件とし て、備考欄の10にある三つの承認条件を付した上で、承認して差し支えないということ で御審議いただいたものです。  資料13です。こちらは「中心循環系血管内塞栓促進用補綴材」です。これは外科的手 術又は、塞栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難な未破裂脳動脈瘤で、瘤の首元(ネ ック部)が非常に広いタイプのものを治療するためにコイル塞栓術を使うわけですが、コ イル塊が血管の方に出てくるのを防ぐ網という形で使うステントです。こちらは希少疾病 用医療機器としての指定の可否について御審議をいただいたもので、希少疾病用医療機器 については、医薬品と同様、本邦において対象患者が5万人未満であること、この用途に 関して優れた利用価値を有すること、開発の可能性としては、開発に係る結果が妥当であ ると認められることを満たすものということで御審議いただき、こちらの機器を指定して 差し支えないという御結論をいただいたところです。  また、同じく希少疾病用医療機器としての指定の可否について御審議いただいた品目で すが、資料14の医療機器「ヒト他家移植組織」です。これは角膜上皮幹細胞疲弊症患者 の角膜上皮の修復又は視機能の改善を目的として、米国のアイバンクから入手した輸入の ヒト角膜から細胞を分離して、これを培養し、シート状に形成して患者の目の表面に使用 する他家培養角膜上皮シートです。こちらも同じ5月29日の医療機器・体外診断薬部会 で御審議いただき、名称を「他家培養角膜上皮細胞シート」と変更した上で、希少疾病用 医療機器として指定することが適当である、という御結論をいただいたものです。  資料15は「医療機器の一般的名称の追加、そのクラス分類及び特定保守管理医療機器 等の指定について」です。こちらは植込み型の心電用データレコーダで、皮下に植込んで 心臓の活動や機能に関する生体現象を測定・記録する装置、いわゆる心電計です。通常で すと、心電図の測定は体外の装置で測るときに測りに行って、測定するものですが、こち らは植込み型ですので、常時、心臓の活動や機能に関する記録を測定することができるも のです。突発性の異常なものがあったときに測るために非常に適した機器ですが、こちら の機器については名称がなかったことから、今回は一般的名称を追加するとともに、クラ ス分類を決め、生物由来製品又は特定生物由来製品等の指定について御審議いただいたも のです。  植込み型機器ということで、一番下の枠にあるように、クラス分類としてはIV、特定保 守管理機器としては非該当、生物由来製品又は特定生物由来製品としては、生物由来のも のではないので、非該当ということで御審議いただいたものです。以上です。 ○医療機器審査管理室長 一言だけ補足です。資料14ですが、表紙を2枚めくると「審 議結果報告書」が出てきます。5月29日の部会で御審議いたただいた結果です。本品に ついては、一番上に「ヒト他家移植組織」という名称が書いてありますが、組織移植では ありませんので、、審議結果の最後の2行にありますように、部会での御審議でも名称に ついて御指摘があり、「他家培養角膜上皮細胞シート」と名前を変更して希少疾病用医療 機器として指定することとしております。 ○望月分科会長 それでは、部会長の笠貫委員から追加の御発言はございますでしょう か。 ○笠貫委員 資料12のエキシマレーザ心内リード抜去システムについては、ニーズの高 い医療機器の早期導入検討会で、学会等から要望のあったものが、ここで取り上げられた という意義があります。植込まれたペースメーカリードをどうするかという臨床的に緊急 事態が含まれているわけですが、非常に効果が期待される一方、合併症もあるということ で、大事なことは、適応としてアメリカのNASPEという学会のガイドライン、日本のガイ ドラインを遵守したということ、リスクベネフィットを十分考慮するということ、医師に 対して非常に厳しい条件、施設に対しても緊急の心臓外科の手術ができる体制を整えて行 うという、厳しい承認条件が付いています。全症例登録で、臨床的に非常に重要性の高い、 一方では安全性も十分に考慮しなければいけないという観点から議論がなされました。  資料13ですが、これから希少疾病用医療機器が、医薬品と同等に議論されるものかど うかも含めて議論されたことを加えておきます。それから、「中心循環系」という名称に ついても、臨床現場等との整合性を含めて、これから検討が必要だろうという意見が出ま した。  資料14でも名称について、これから医療機器に関しては慎重な検討を加えていくこと が必要だろう、という御指摘がありました。以上です。 ○望月分科会長 委員の先生方から御意見等はございますか。それでは、本件についても 御確認いただいたものとします。本日の議題はすべて終了いたしましたが、ほかに何かご ざいますでしょうか。 ○事務局 平成20年3月、前回の薬事分科会において、一般用医薬品のニコチン貼付剤 について、赤堀委員からウサギの90日試験の妥当性について御指摘いただきまして、専 門家の意見を聞いた上で御対応するよう受けた件について、御報告いたします。  当該試験を含むニコチン貼付剤に関係する動物試験結果を、国立医薬品食品衛生研究所 の専門の方々に見ていただいたところ、提出された資料のみをもって、御指摘の試験の妥 当性を判断することは困難であるが、他の毒性試験結果や報告書などから見て、毒薬・劇 薬から除外は問題ないとの御意見をいただきました。  本件については、赤堀委員にも既に御報告いたしまして、御了解、指摘の試験の妥当性 を抜きにして、ほかの毒性試験結果や報告書などを見て、毒薬・劇薬から除外することは 問題ないとの考えをいただいておりますので、改めて分科会に報告させていただきます。 以上です。 ○望月分科会長 ほかに何かございますか。 ○事務局 本日、机の上に配付させていただきました「審議参加に関する遵守事項の検証 ・検討委員会(ワーキンググループ)の設置について」という1枚紙の資料ですが、こちら でこの委員会の設置についての御報告をさせていただければと思います。  前回の3月24日に開催された薬事分科会において、様々な観点からの御指摘をいただ きまして、審議参加に関する遵守事項が申し合わせとして了解していただいたことを踏ま えて、本日の分科会の議事もそうですが、本年5月から実際に運用を開始しているところ です。  1枚紙の下の方に「参考」として抜粋していますが、3月24日の申し合わせにおいて は、4の(7)の「検討」という項において「外部有識者及び寄附金・契約金等の受取実績 が過去3年度のいずれの年度も50万円以下の委員等のみをもって構成されるワーキング グループを設置し、本年末を目途に、本遵守事項の審議不参加等の基準や運用状況の評価、 残された課題を含め、必要な改善方策の検討を行う」こととされております。今般これを 踏まえて審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会を設置させていただくこととなり ました。  メンバーとしては、本分科会委員である神山先生、また、医学系の専門家として国立国 際医療センター総長の桐野先生、薬学系の専門家としては同志社女子大学薬学部医療薬学 科教授の杉浦先生、全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人の花井先生。そして昨年の 遵守事項を検討して頂いた基準策定ワーキンググループにも御参画いただいた東京大学 法学部の樋口先生と東京新聞論説委員の日比野先生の計6名の委員構成で、委員会を設置 します。  本委員会の主な検討事項としては、先ほどの抜粋の部分でも申し上げましたが、遵守事 項の運用状況等の検証を行っていただくことです。また、前回のワーキンググループから の残された課題として、組織の利益相反、申告の方法について、別途立ち上げる予定の厚 生労働科学研究のアンケート調査結果等を基に議論をしていただくことを考えておりま す。7月に第1回の会合を予定しており、その後、研究班における調査研究内容等も踏ま え、秋から月に1度のペースで議論をしていただき、本年末に開催予定の薬事分科会に、 その検討結果について御報告をさせていただく予定です。以上です。 ○望月分科会長 ただ今の御発言に何か御質問ございますか。それでは神山先生、よろし くお願いいたします。ほかにはございますでしょうか。 ○土屋委員 初めてですのでお聞きしたいのですが、「文書報告一覧」の資料101〜108 は、どういう扱いになるのでしょうか。 ○望月分科会長 資料101以下の扱いについて御説明いただけますか。 ○審査管理課長 この件については、正確な日付を忘れましたが、この分科会において審 議していただく品目と報告していただく品目があるわけですが、従来のやり方ですと報告 する品目だけで議題が30、40並ぶという状況でした。それについて審議の効率化の観点 から分科会の中で御議論いただいて、報告を文書だけを送っていただくものと、この場で 報告を受けるものの二つに分けることになりました。ここに書いてあるのが文書報告とい うことで、資料番号も3桁の数字を振っています。ですから、先生方の方にはあらかじめ 文書が行っていると思います。  この取扱いについて、御意見等があれば、当然この分科会の場でおっしゃっていただく という整理になっていますので、あらかじめ言っていただいても結構ですし、この点につ いて御意見があれば、今おっしゃっていただいても差し支えないという議論になっていた かと思います。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますか。 ○土屋委員 そうしますと、資料105の「アクトネル」と「ベネット」はぺージェット病 で使うものですが、同じ名称で、骨粗鬆症の場合と骨ぺージェット病の場合で包装形態を 変えることがあるようです。院内調剤の場合は患者の病名が分かるので、これが連日だと いうことが分かるのですが、院外処方になりますと、病名が分からないものですから、オ ーファンドラッグでもあるので適応患者が少ないとは思いますので、是非ページェット病 で使う方には、例えば処方カードとか、そのようなことで、この方には連続投与でやりま すということが明らかになるようなことがあると、処方箋の書き方で休薬期間のある薬は 問い合わせをしたり、実際に休薬期間のある薬で事故も起きていますので、そういった面 での安全を考えて、たくさんの人の方でやるというのは無理だと思います。限られた方で 連日投与をする場合には、是非処方カードみたいなものを使っていただいたらいいのかと 思います。それが安全を確かにするものかと思いますので、御検討いただければと思いま す。 ○審査管理課長 この品目については、部会においても、どのような形でやっていくのが いいのか。業者においても我々においても、また、部会においても御議論いただいたとこ ろですので、先生の御示唆の処方カードも含めて、改めて対応を至急検討させていただき、 御報告させていただきたいと思います。 ○望月分科会長 ほかにはよろしいでしょうか。次の薬事分科会の日程は現在調整をして おりますので、決まり次第お知らせいたします。  それでは、これで薬事分科会を閉会させていただきます。本日は、長時間どうもありが とうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)