08/06/10 第6回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 第6回 障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 日時 平成20年6月10日(火) 15:30〜17:30 場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第6回障害児支援の見直しに関する 検討会を開催します。各委員の皆様方におかれましては、本当にタイトなスケジュール の中で、ご多忙の中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。事務局か ら、今日の進め方、資料についてご説明をお願いします。 ○蒲原課長 障害保健福祉部障害福祉課長の蒲原です。本日は大変お忙しいところご参 集いただきまして、ありがとうございます。重ねて御礼申し上げます。本日の出席状況 ですが、市川委員、宮崎委員がご欠席です。松矢委員は遅れるというお話がありました。  本日の進め方です。お手元に議事次第が配ってあります。まず、1つ目として「ライ フステージを通じた相談・支援について」としています。これまで、いろいろなライフ ステージに応じてどういう支援が必要かをご議論いただいてきましたが、ここではこう したライフステージを一貫して支援するための、相談支援といったことについてご議論 いただければと思っています。  2つ目は「家族支援の方策等について」です。これまでもいろいろな議論の過程で、 例えば兄弟支援を含めた家族支援が大事だという話が出てきました。こういったことを 踏まえて、是非とも積極的にご議論いただければと思っています。時間配分ですが、そ れぞれの資料の説明の時間を除きますと、50分程度ずつご議論いただくと考えていま す。  本日の配付資料ですが、議事次第のほか、資料1から参考資料1まであります。資料 1と資料2を見ますと、「ライフステージを通じた相談・支援」についての説明、検討 資料及び参考資料です。  資料3、資料4が、「家族支援の方策」についての検討資料及び参考資料です。資料 5は「第5回検討会の指摘事項について」で、前回の検討会でいろいろご指摘のあった 点について、整理をした資料です。特段内容のご説明はいたしませんが、議論の参考と していただければ幸いでございます。なお、一部ご指摘いただいた資料で、まだできて いないものがありますが、準備でき次第順次検討会に提出したいと思っています。  参考資料1は、北浦委員からご提出のあった資料ですので、後ほど言及があろうかと 思っています。  委員の皆様におかれては、次回の出欠確認票と、次回の検討会の場所ですが、次回は 場所がまた違います。「商工会館案内図」というのが入っていますが、次回の場所の確 認のために1枚入れています。  この検討会は7月14日まで日程が決まっているのですが、今後の議論の進み方によ っては、さらに1、2回程度議論が必要になる可能性もあろうかと思います。大変恐縮 ですが、事務方の準備の関係もございまして、7月中旬から8月中旬までの日程調整を やりたいと思っていますので、そのための日程調整表を配付しておりますので、後ほど ご記入をお願いしたいと思います。  資料に不足等がありましたらお申し付けください。以上です。 ○柏女座長 議事に入ります。まず、「ライフステージを通じた相談・支援について」、 事務局からご説明をお願いします。 ○矢田貝補佐 障害保健福祉部障害福祉課長補佐の矢田貝です。事前にお送りしていな かった資料5が、例えば2頁では柴田委員からご指摘のあった、障害児が自立支援法の 訪問ヘルパーをどのくらい使っているのかという資料、3、4頁は、坂本委員から「都 道府県別の利用状況はないか」ということで、障害児保育のものについて比較を載せて います。さらに5頁では、就職後の勤務状態、6頁は末光委員から「訪問教育を受けて いる方はどのくらいいるか」というお尋ねがありましたので、資料を載せていますので ご紹介させていただきます。  「ライフステージを通じた相談・支援」について、資料1をご覧ください。ご議論い ただきたい検討項目(案)として、3点あります。これまで早期発見、早期対応、就学 前、学齢期とライフステージごとにご議論いただきましたが、1点目の論点は、それら を踏まえて地域の相談支援の体制をどのようにしていくかについて、ご意見をいただき たいと思っています。  2つポツで書いてありますが、1つは身近な市町村における相談支援の充実が必要で はないか、併せて専門機関、都道府県がそれを支えていくとしてはどうかというのが1 点目です。2点目として、これもこれまでに出た議論ですが、グレーゾーンの方を含ん だ障害児、その保護者が、身近な敷居の低いところで専門性のある相談支援を受けられ るようにするためには、どのような方策が考えられるかというのが、1点目の論点です。  2点目が「関係者の連携強化」です。障害児については、さまざまな関係者が支援を 行う、また、就学時、進学時、卒業時などで関係者も変わることから、ここでは例示で 「障害者自立協議会の活用等を通じ」となっていますが、連携の強化が必要ではないか ということで、ご意見、お知恵をいただきたいというのが2点目です。  3点目が、その連携を図ることにも関連しますが、障害の発見時、入学、進学、卒業 時における個別支援計画づくり、もしくは関係者による支援会議の開催などをサービス 利用計画費を活用しながら強化すべきではないか。その際、これは前回トヨダ参考人か らもご指摘がありましたが、一貫した支援のためには、個人情報保護に留意しつつ、障 害児についての支援の情報を関係者で継続して共有する仕組みみが必要ではないかとい うことで、論点を挙げています。  その論点に関係する資料について、資料2で簡単にご説明いたします。2頁をご覧く ださい。現在の障害児の相談支援体制の全体像というもので、真ん中に市町村と書いて あって、市町村が障害者相談支援事業ということで、一般的な相談支援を交付税という 財源でやっています。そこが中核となって、上の緑のところで、都道府県が障害児等療 育支援事業ということで、訪問・外来による療育指導であったり、施設職員等に対する 技術指導、療育機関に対する支援を、交付税で行っています。  それとは別に、いちばん下にピンクで囲っていますが、サービス利用計画費の支給が 自立支援法上ありまして、これでサービス利用計画をつくって、サービスのあっせん・ 調整をします。その下に※で書いていますが、この対象になる人は、特に計画的な自立 支援を必要とする者で、例えば学齢期から就労への移行など、生活環境が大きく変わる 場合には、このサービス利用計画費が活用できるとなっていますが、現在のところは対 象者は限られている状況です。左側は制度的なものです。  右側に書いているのは、いま地域資源としてどのようなものがあるのか。いちばん上 で括っているのは、都道府県の発達障害者支援センターであったり、児童相談所という ものがあります。2点目が「関連施設」と書いていますが、障害児の入所施設、通園施 設、児童デイサービスなどの地域資源がある。さらには、いちばん下に一般施策として の市町村保健センター等があるというのが、全体像ですが、これらをどのように組み合 わせて、地域の相談支援体制をつくっていくのか。  特にこれまでの議論では、入所施設、通所施設などが、どのような役割を果たしてい くべきか、というところでご意見をいただいていたかと思いますので、その辺のところ を、今日はもう少し煮詰めてご議論いただければと思っています。  3頁は地域自立支援協議会の説明ですが、下の図にありますとおり、例えば市町村行 政やサービス事業者、相談支援事業者など、関係者によるネットワークということで、 この地域自立支援協議会という制度があります。「主な機能」にあるとおり、ネットワ ークの構築、困難事例への対応、社会資源の開発などが役割です。  4頁はその運営例で、これは厚生労働省がいろいろなところで説明をする際に使って いる資料ですが、地域自立支援協議会をつくって、個別支援会議なども踏まえて、困難 ケースや地域資源の活用等について、地域自立支援協議会の中で検討をしていっていた だきます。その際に専門部会としていろいろな部会を設ける中で、子ども部会のような ものをつくってやっていく。例の2つ目に書いていますが、その際に要保護児童対策協 議会とも連携してやることも考えられることなどが、例として示されています。  5頁です。これは数的にはよくやっているということで、岩手県ではすべての市町村 で、すでに協議会を設置していただいて、そのうち71%の市町村において、先ほどご 説明したような児童関連の部会があって、動き出しているところと、これから動き出す ところがありますが、つくっている県もあるということでご紹介しています。  6頁は全国的な状況です。1番目は相談支援で、これは大人も含めての相談支援事業 の実施状況ですが、直営で相談支援をやっているものから、相談支援事業者等に委託し ている市町村もあります。  2、3番目は、都道府県、市町村での自立支援協議会の設置状況です。先ほどの岩手 のような例もありますが、まだ市町村では半数ぐらいのところしかつくれていない現状 もあります。4番目は指定相談支援事業者数の全国の数で、5番目はサービス利用計画 費の支給決定者で、これは大人も含めて1,400人ですので、いまのところは対象は限ら れていて利用は少ない状況です。  7頁からは、3番目の論点に係る個別支援計画のところです。これは教育支援計画に ついて説明していただいているところで、就学前、就学中、卒業後ということです。赤 で書いているところに、個別の教育支援計画をつくっていくと。ただ、矢印で書いてあ るように、子どものずっとつながっていくところをどうしていくかということです。  8頁にもう少し詳しく書いていますが、上は乳幼時期、小学校、中学校、高校、就労 と続いていきますが、先ほど7頁で見ていただいたように、個別の教育支援計画という のがあります。その下に青枠で、個別支援計画、支援会議と書いていますが、先ほどご 説明したサービス利用計画の作成費が、こういう節目の部分については現在でも使える ようになっています。  そうしたところで、下に青い矢印で書いていますが、福祉サイドでは個別支援計画の 作成とか、支援会議の開催、モニタリングなどをやっていこうと思いますが、前回ご意 見がありましたが、これらを別々にやるのではなくて、いかに連携を図っていくかが論 点になろうかと思っています。  9〜12頁は「情報の共有化の取組例」ということで、湖南市と松江市の例をご説明し ています。前回のご意見でも、「そういう仕組みが必要ではないか」ということで、調 べまして、このような例がありました。10頁を開いていただくと、湖南市がいかに関 係機関の情報を共有していくかということでやっているもので、ポイントとなるのは、 左側に、ライフステージに応じた健康政策課、子育て支援課、教育委員会、社会福祉課 と、それぞれ成長に応じて関係部局は変わるわけですが、真ん中の辺りに「発達支援 室」というのがありまして、これは市の健康福祉部内にあるらしいのですが、ここがラ イフステージを通じて一貫してやることのつなぎ役になっています。そこが中心になっ て、個別指導計画、個別移行計画のようなものをつくって、関係機関で連携を図ってい く体制づくりをしています。  11頁では、そのための情報の共有化ということで、2002年からKIDSというシステム をつくっています。これはITを活用して、発達支援室の「特徴」のところに書いてい ますが、関係者間の連絡調整、会議録等をデータ化して、それを保護者の了承の下に蓄 積し、右側の「機能」の2点目に書いていますが、保護者の同意を得た上で、それらを 関係機関が見ることができるというシステムをつくっています。  12頁はまた違った視点で、松江市の取組例です。ここにはいろいろと関係機関を書 いているのですが、情報の共有ということになると、真ん中に「だんだんファイル」と あります。保護者による情報の提供とその活用です。先ほどの湖南市のものは、行政側 で保護者の同意を得てデータを持っていくパターンだったのですが、こちらは保護者が 生育録とか、相談記録、保育・教育の発達の記録を自分で書き込んだり、もしくは専門 家からその情報をいただいたものです。これが現物の「だんだんファイル」ですが、こ れに貯めていって、それを保護者が持っていて、例えば幼稚園から小学校へいけば、小 学校の先生に見せて、こういうことをいままでやってきたというのを理解していただく、 という取組みです。  13頁からですが、当検討会は厚生労働省の検討会ですが、文部科学省も密接に関係 しているので、もちろん文部科学省のところは文部科学省の検討会なりで検討いただく のですが、連携の部分については両者で一緒に検討していかなくてはいけないというこ とで、関連する資料をご用意していただいています。13頁以降は文部科学省からご説 明をお願いしたいと思います。 ○文部科学省初等中等教育局特別支援教育課企画官 13〜19頁まで、文部科学省の平 成20年度の予算に関連して、相談支援に関する事業を3つ付けています。  まず、発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業で、本年度新規のもので、約5億 円の予算措置をしています。全都道府県を指定して、特別支援教育推進地域を設けるも のです。特別支援連携協議会とか、外部専門家による巡回・派遣指導等を行う地域とい うことで、その中でもグランドモデル地域として、特に厚生労働省の事業と連携した重 点的な取組みを行う地域を考えています。  そこで、そこにある「相談支援ファイル」ですが、先ほど松江市の「だんだんファイ ル」のご紹介がありましたが、そういったものも作って、保護者が持ち、関係者間で一 貫した情報を共有していこうという具体的な取組みも想定しています。  14頁に相談支援ファイルの具体的なイメージがあります。早期から就労に至る一貫 した支援のために、行政が保護者にファイルを渡して保護者が所有するファイルである ということです。これまでの問題点としては、それぞれの関係機関がばらばらな対応に なってしまって、連携して行うことができないということがありました。そういうこと で、市町村が相談支援ファイルを作成・配付しまして、保護者が保持をする。内容とし ては、対象児のプロフィール、個別の教育支援計画、子どもの成長の様子等をそこに入 れていくということで、どういう効果を期待しているかというと、一貫した支援の推進、 あるいは保護者の外部説明の援助、保護者への情報提供、情報の共有・保持、行政の責 任ある対応で、そのような事業の中で、相談支援ファイルという具体的な取組みを行お うとするものです。  15頁には、47都道府県の推進地域と、そのグランドモデル地域を示したものがあり ます。このようなところを指定したということです。  16頁です。2つ目の事業で、早期の対応ということで「発達障害早期総合支援モデル 事業」です。平成19年度から行っている事業で、平成20年度は増額しています。モデ ル地域は予算上20地域ということで、早期の総合支援モデル地域協議会を設けて、い ろいろな連携を図っていきます。その中で、すくすく教室などの教育相談の実施、教育 的な指導の実施などを行っていくということで、発達障害についての早期の対応を行っ ていこうというものです。  17頁に、平成19年度及び平成20年度の早期総合支援モデル地域の指定地域を一覧 にしています。  18頁は3つ目の事業です。「高等学校における発達障害支援モデル事業」です。こ れも平成19年度から行っており、平成20年度は増額しています。高等学校における発 達障害のある高校生のための支援体制を強化することを目的に、高等学校20校をモデ ル校として、広域特別支援連携協議会などを設けながら、研究委員の中で、ソーシャル スキルの指導、授業、教育課程の工夫、教員の理解啓発、就労支援などを、このモデル 校の中で重点的に行っていき、全国にその結果を情報発信していこうという構想です。 19頁に高校モデル校の指定校を一覧にしていますので、ご覧いただければと思います。 以上です。 ○矢田貝補佐 以上ですので、資料1に基づいて、それぞれの論点についてお知恵、ご 意見等をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 ○柏女座長 「ライフステージを通じた相談・支援」についてご意見をいただきたいと 思います。 ○北浦委員 私のところで、本当にささやかな事業なのですが、参考資料1をご覧くだ さい。昭和44年に重症心身障害児療育相談センターを建設してから、いま現在0歳か ら母子入園というものをやりまして、幼稚園を卒園しますと、近くに光明養護がありま すので、そちらに行きまして、また帰ってきますと、このあけぼの学園で学校卒業後の 通所授業を受けるということで、お母さんたちが、1カ所で同じような仲間と一緒に過 ごしますので、大変喜んでいるのですが、その中に日中一時支援事業というので、1日 お預かりすることもできるようになっています。  この最後のところで、文科省の方もいらっしゃるので聞いていただきたいのですが、 小・中・高の学校生徒が、昨年の平成19年度に180人がいらっしゃったのです。その 中の小学校6年生の男子が、「私はお世話や車椅子体験をとおして、障害をもった方の 大変さ、命の大切さを学びました。最近は殺人や自殺のニュースをテレビをつけるとい つもやっています。私はこんなニュースを聞くととても悲しくなります。障害をもった 人も頑張っているのに、人を殺してしまったり、自分で命を断ってしまうなんて考えら れません。もし私がこの先つらいことがあって死にたくなったら、一生懸命生きている あけぼの学園の皆さんを思い出して、精一杯頑張ろうと思います。周りの人たちにも命 の大切さを伝えていけるような大人になりたいと思います」。  こういう感想文が来て感激したのですが、これは元光明養護の校長で、いま現在都立 高校の先生をしていらっしゃる鈴木たかし先生という方ですが、毎年10名の高校生を 送り込んでくださっています。先生がどういう気持でこれをなさるのかなと思って先日 伺ったのですが、「生徒に生きることの大切さを体感させ、社会福祉の原点を気づかせ たいと思う。私が100何遍ものを言ってもそれは通じないけれども、入所の皆さんの感 性によって、生徒を感動させ、変容させる力を持っている。これには本当に感激してい ます」という文書をいただきまして、障害のある人たちが社会の共感を得ることの大切 さ、特に小さいときにそういうことを体感させてあげたら、社会の土譲を肥やしていけ るのではないか、そういう願いでこれを実施しています。  次の頁の図の下に書いてある都立東大和療育センターというのは、東京都が立てて、 私どもで運営の委託を受けているのですが、平成4年にお母さんたちが、「できるだけ 在宅で過ごしたいけれども、年をとって死ぬときにこの子を残して死ねない」というこ とで、都立東大和療育センターというのは18歳以上の方が入所できるようにしました。 それが92床ありまして、あとの30床は在宅の方がいつでも短期入所できるようにして あります。あと外来もありますし、病気になったときの入院ベッドなどもやらせていた だいているのですが、それが元小児神経学会の会長の有馬正高先生が院長になられて、 その基礎をつくってくださいました。  1つ例を挙げますと、子どもが1人亡くなるときに、職員が集まって、賛美歌を歌う 中で静かに息を引き取ったというので、お母さんとお父さんが一生忘れられないと。そ ういう世界を私どもはいつも見させていただいています。その次の都立東部療育センタ ーというのは、超重症児が東京都は溢れていますので、120のうちの50%が超重症児が 入っております。  これが人工呼吸、経管栄養、痰の吸引とか大変なのですが、職員が非常によくやって くれまして、いま有馬先生が東部の院長になってくださっています。医師は両方とも 10名なのですが、そのうち6名が小児神経の先生です。あしかがの森というのは、国 療の足利病院をモデル事業として、引き継いでくれないかという話で、同じように重症 児とか、一般病棟もありまして、一貫して事業をやっているささやかな報告ですが、こ ういうこともあるということをご承知いただければありがたいと思います。 ○田中委員 専門機関による相談支援の方策については、遡れば早期発見の1歳半健診 の頃から、障害保健福祉権益ということを基盤整備の1つの枠組みの活用という意味で、 かなり広域的な対応で進めてきた経緯があるわけですが、基盤整備が30年以上経った ところで、かなり落ち着いたと考えるべきだろうと思っています。  これからの相談支援の基盤整備の軸の考え方としては、基本的には生活圏における中 枢機能として働くべきだろうと思っていますので、基本には市町村域においての相談支 援事業を核にしての対応を進めていくべきだろうと思っています。  そうは言いましても、それぞれライフサイクル全般を見ますと、それぞれのライフサ イクルごとの課題がありますので、あまりにも一元化しすぎると、特に乳幼児期の細か な視点での専門性においては、非常に薄まる可能性もありますので、「障害児」という 括りではなくて、「児童の発達」というような発想で仕組みを整えていく、それが教育 機関にも流れていくわけで、教育機関に流れていくときの情報にも大変重要になります。 今回参考資料などで出ている松江の「だんだんファイル」もそうですが、私たちの団体 からの発言として、長野のフクオカさんの資料にも、子どもの頃からの関係者の連携を どのようにつくっていくかが、表現としては適切ではないかもしれませんが、母子手帳 のように活用できるという発想で作られました。障害があるかないかということの前の ところで、そういったことが必要な人には用意されるとなれば、検討項目の(1)の2 つ目の課題になっている「障害児(グレーゾーンの者を含む)」ということにも、障害 ということが確実になってから対応することではない仕組みが、結果としてそのような 方を受け入れることに役立つだろうと思っています。  その際に、今回は各団体からも強く言われていることですが、早期発見、早期療育に、 さらに早期にサービスにつなげるというような視点で、仕組みを整えていく必要が、基 盤整備の視点ではあるだろうと思っていますので、個別支援計画というものが、この時 期からきちんと用意されることが中枢機能として役に立つ上では、重要なツールになる だろうと思っています。すでにその必要性に迫られて各地でファイル作りが進んでいる ことが1つの証でもありますし、これがただツールを作ってみましたと、いわゆる絵に 描いた餅に終わらないようにするためには、具体的なツールを動かすための費用を捻出 する必要があるだろうと思っています。検討案の中ではサービス利用計画費ということ で挙がっていますが、これも1つ留意しなければいけない点としては、グレーゾーンの お子さんのサービス利用計画作成費が受給者証を得ないと付かないことになりますと、 それはもうグレーゾーンではないとなります。このことに対しては具体的な配慮をしつ つ、方策としては、相談支援事業を市町村ごとに活用していくことを乳幼児期から、中 枢機能として位置づけ、学齢期にもその柱を共有するような形で用意し、具体的には個 別支援計画書というツールを使って、そこにサービス利用計画作成費などの個別給付を 流し込んでいく。そのような流れで専門性の活用を、利用する方の個別給付を軸に専門 家もそれを活用するという視点で、携わるということで、専門機能があって、そこに訪 ねて行くという旧来型の対応はこの際改めることを提案したいと思っています。以上で す。 ○柏女座長 個別の検討項目に沿って、非常に具体的にご意見をいただきました。 ○副島委員 私は知的障害の育成会の立場ですが、専門的な相談支援の方策ということ では、自分の子どもの発達遅れに対しては気軽に地域で相談するところがない。欲しい のは親たちの集まりがあり、そこに療育機関とのつながりをもつことです。親から考え たときには発達遅れに限らず、特に同じ月に生まれた子どもの親というのは仲間がつく りやすいし、同じ年齢の子どもは仲間がつくりやすいのです。そういう親たちの集まり、 俗に言えば仲よしクラブみたいなところの集まりがあれば、自分の子どもについて思っ たことが話しやすい。もちろん、そこには妊婦のときから相談についている保健師がい る。つまり母子保健との連携から、少しは専門的な分野との取組みができるし、あくま でもそういう親については、親を中心とした雰囲気づくりの中でやっていくことが、す ごくありがたいと思います。  特にそういう場に、母子保健の保健師がいれば、そこには療育機関とのつながりがで きます。療育機関までのつながりを持ちながら、仲よしクラブみたいなところでの取組 みが、意外と気になる子どものことについても、発達に遅れがあるなしは関係なく、相 談をしやすいことから、相談体制の中ではそのことがいちばんだと思うし、そこにお互 いの信頼関係ができないといけないと思うのです。そのことが必要だと思います。  しかし、保健師の取組みについて、療育関係については、市町村事業でやるとどうし ても予算的なものがあって、十分な効果は上がってこないということがあったり、この 相談の取組みについては、障害児等の療育支援事業が一般財源化しました。このことに よって、地域での格差が出たと思うのです。そのようなことを思っています。  それから、個別支援計画のことですが、ライフステージにわたる支援体制については、 資料の7頁に書かれているものと、8頁に書かれたものがあります。7頁のものを見た ときに、この方策でいったら学齢期のところで、つまり学齢前と学齢になったところの 切れ目、学齢が終わり、卒業後のところに切れ目ができるのではないかと思うのです。 それは8頁を見ると、個別の教育支援計画はありながら、別個に個別支援計画を本人の ライフステージに従って、同じ期間、同じ人が関わっていくことによってフォローでき る。だから、個別の教育支援計画と、青い線の個別支援計画の連携を密にする、それを いかに一致させていくかによって、ライフステージにわたって切れ目のない相談支援が できるのではないか、そして支援につながっていくと思っています。是非そういうとこ ろはやっていただきたいと思います。  それから、先ほど「だんだんファイル」というのが出ました。先ほど田中委員からも 出ましたが、育成会でも生活支援手帳みたいなものが作られているのです。最初に滋賀 県の育成会が作りまして、それがすごくいい効果を出すということで、三重県もこれに 追従しました。これは今回の緊急支援策の中の基金を使って、平成20年度であれば使 えることがわかりましたので、育成会としては、全国にこの状況を発信しています。そ れで、各県ごとにこの取組みを展開しようということもしていますので、このことは施 設でも進めていくべきではないかと思います。以上です。 ○柏女座長 ご本人、親の視点から貴重なご意見をいただきました。 ○宮田委員 お手元に、我々相談支援事業全国連絡協議会が昨年度まとめた冊子をお配 りしています。お時間があれば、今日のテーマに合うかなと思うので、ご一読願いたい と思います。  子どもの相談支援を考えるときに、障害を本人も家族も認識している大人と比べて、 そして相談支援を実施する人たちと比べて、たくさんの困難性、特殊性を認識しなけれ ばならないと思います。何人かの委員からも出ていますが、まず1点は、相談支援にか かる前の親御さんの気持です。例えば保育所の保育士が気がついている、周りも気がつ いているというところから、親御さんがそこを受け入れる、もしくはこの育てにくさが 障害に基づくものだということにたどり着くまでの気持への寄添いが、いまの契約制度 の中で、受給者証とか、「障害児」という言葉が何回も出てくるような文書を交わさな ければたどり着かない問題があると思います。  我々も相談支援事業所をお受けしているのですが、この4月から試みに、保健所の1 室を借りて、保育士、コーディネーター、相談員、心理を配置しました。2カ月しか経 っていませんが、もういっぱいになってくるくらいです。予約とか、契約以前に、子育 ての相談に乗ってほしいというところが、障害児施設の枠から外れて、もっと身近にな ければならないのではないか。  2点目は、そういった意味で、相談のしにくさです。指定相談支援事業所があの程度 しかないというところでは、親御さんが、さあというときに相談の場所が、しかも子ど もを対象に相談に乗ってくれるところがさらに少ないだろうと思います。  3つ目が、医療、福祉、教育とサービスが非常に多岐にわたります。そういったとこ ろでは、サービスの乏しさという問題があって、特に施設は、通園施設も含めて都市部 に集中する傾向があります。サービスの乏しさを、いかに相談支援事業の中で確保して、 提供していけるかという特殊性があります。  4つ目は、横軸のネットワークが中心になる成人期の支援と比較すると、移行支援に 代表される縦軸のネットワークも求められます。成人の相談支援と比べて、特殊性、困 難性を持っているというところで、我々の冊子の中では、新たに障害児の相談支援事業 を立ち上げていく必要があるのではないかと提起しています。 ○柏女座長 子どもの特性に注目した場合の相談支援の留意事項について詳しくいただ きました。 ○柴田委員 先ほど田中委員のおっしゃった、専門機能に携わる旧来方式ではない、訪 問型ではない新しい仕組みとありましたが、ちょっとよくわからなかったので、特にグ レーゾーンの方が受給者証という形で使いにくいですが、その辺はどのような提案だっ たのかがわからなかったのですが、それが1つです。  あとは先ほど副島さんの発言にもありましたが、障害児等療育支援事業が現在使いに くくなっているというか、特にコーディネーターが不在ということもあって、地域での 格差が生まれていることもあります。市町村単位で進めると同時に、障害児の数が少な いことがありますので、特に町村、この検討会の基本的な課題なのですが、町村という 非常に小さな行政基盤に、どれだけ機能を持っていけるのかが、正直言って非常に疑問 に思います。そういう点で、圏域を中心にした体制を考えていかないと、全部を市町村 に持っていくことは難しいと思います。  もう1つは児童相談所の役割です。これについては、知的障害者福祉協会としては、 入所・通園等については、基本的には都道府県における援護の実施者を都道府県にとど めるべきだと発言したところですが、だとするならば、特に児童相談所にきちんと障害 児に対応してもらえないと、非常に難しくなってきます。実際、現在の入所施設の措置 と契約の問題については、ご存じのようにほとんどが契約になってしまうような県から、 多くを措置にする県まで、解釈がばらばらであって、中にはどう見たって契約に馴染ま ない、契約能力のない保護者にまで契約を押しつけているような事例も、新聞で多々報 じられているところで、児童相談所が障害児の相談支援に対する能力を弱めているとい うか、虐待で忙しいのか。基本的に児童相談所をきちんとこの中に位置づけて、特に障 害児の支援について、その機能を強化していく必要があるのではないかと思います。 ○柏女座長 前者について田中委員から補足はありますか。 ○田中委員 グレーゾーンのお子さんが専門性の高い施設にハードルが高いというのは、 例えば西東京市の通園施設は、「障害児通園」という看板を外して、「子ども発達支援 センター」と名前を変えて、発達に気になるお子さんがいればお出でくださいとしたと ころ、相談件数が激増したと、そういうことを指して、「障害児」という看板によって しか寄れない施設の括りではなくて、利用する人の日常に専門性が届くこと、いまの例 は1つの具体的なものですが、そういったことをもっと実現したのが、東松山の事例だ と思っていますので、通園施設そのものをなくして、就学検討会もなくしたということ なので、その辺については坂本委員にさらに補足していただけるとありがたいと思いま す。 ○柏女座長 簡単に補足していただけますか。 ○坂本( )委員 資料を見させていただいて、全体的なことなのでアバウトになって しまうかもしれませんが、いくつか行政が担わなければならない役割はあると思うので す。その中で、保健師の役割です。いま厚労省ですので、保健師が市町村で足りていま せんので、この辺は住民健診だけでなく、虐待とか、いろいろなことを必要としながら も、障害児対策、対応としても、保健師がなぜ不足しているかを、市町村にもっと積極 的に投げ掛けていただいたほうがいいと感じました。  私ども子育て支援センターは、埼玉県720万人の県民、71市の中で、東松山市だけ しか単独施設がありません。公園デビューより子育て支援センターデビューということ の中で、障害のあるなしにかかわらず、お父さん、お母さんたちが相談できるような自 然な仕組みをもう少し何らかの形で実現していくべきだろう。  今日は文科省の方もいらっしゃいますが、私どもは、すべての障害児がお兄ちゃんや お姉ちゃんが通った保育園や小中学校に通うべきだという、当たり前の話だと思います が、家庭の中で一緒に暮らさない家族はいませんから、町内や地域の中で、なぜ障害を もった子どもがバスで隣の町に行くのか、逆ではないかと思うのです。元気な子どもが 隣の町に行けばいいので。そういうことを考えると、障害のあるなしにかかわらず、地 域で教育を受けるべきだと私どもは垣根を取り払ったわけですが、意外に教員が障害を もった子どもたちに対応できないのです。それはいろいろな問題を抱えておりますが、 こういったことを文科省はもう少し強く、教員の指導、教員の教育を進めていくべきだ と思います。  もう1つは、学童保育、放課後児童等に対しても、特に障害のある子どもたちが放課 後に通うところがないのです。埼玉ではかなり進展していますが、全国的にはかなり少 ないと思います。それは国や県の支援がほとんどない状況の中で、市町村では財源が厳 しい中で、対象者の少ない、障害をもつ子どもたちに対する支援がないという現状があ りますので、この辺も少し何らかの形でご支援をいただきたいと思っています。  それから、養護学校、支援学校を卒業した後の活動をする場がないのです。東松山市 は市が単独で養護学校、支援学校を出た子どもたちが親と一緒に引きこもらないように 事業を進めていますし、重度の方々も、親が先立った後に地域の中で暮らせるシステム をつくっておりますが、こういった体系も大きく国を挙げての支援策がないので、どう しても市町村では財源が厳しくなる中で、後回しになってしまいます。農業や高齢者に 関しては、有権者が多いものですから、必然的に国会議員もその支援は行うのですが、 本来はそうでなくて、いちばん大変な人たちが社会の中で幸福に生きることができれば、 それはとても素晴らしいまちづくりが実現できるのではないかと思っています。 ○柏女座長 実践の中からご提言をいただきました。 ○山岡委員 障害のある人へのライフステージの支援を考えたときに、私どもは発達障 害の関係の団体から出てきていますが、特に知的障害を伴わない発達障害のお子さんは、 グレーゾーンに非常に多いわけです。保護者は、もう少し早く見つけて、もう少し早く 対応しておけばとほとんどの方がおっしゃっているわけです。  実際には1歳半とか、3歳の健診のときに、「様子を見ましょう」と言われて、その うち「やっぱり駄目だった」みたいなところがあって、そうではなくて、「念のためも う少し見ておきましょう」と言われながら、何もなければ「よかったね」の世界でいい わけで、幅広く見ながら、問題があればきちんと対応していくことが大事だと思ってい ます。  それから、私ども保護者の立場からしますと、ライフステージを見たときに、一貫し た相談支援体制がないことが非常に厳しいわけで、それが身近で、かつ敷居の低いとこ ろにあるのが大事だと思っています。  相談支援体制については、障害者自立支援法ができたときに、3障害が統合されて、 市町村に移ったと認識していますが、発達障害については、昨年で全都道府県に設置を 終えていただいたのですが、発達障害者支援センターが大体整備されてきています。県 単位のそういった専門性のあるところと市町村の関係とか、そういうところの連携も考 えていただきたいということです。  ライフステージに応じた支援については、対象は3障害だけではなくて、発達の気に なる子、発達障害、グレーゾーンと考えていきますと、地域において身近なところにあ って、質、量ともに充実させるのが今後必要だろうと考えます。  方向性としては、圏域という話もありましたし、市町村単位でもいいと思うのですが、 質、量を充実させることと、もう1つの視点は、保護者支援というのが非常に大事で、 子育てをするときに障害をもつお子さんを持つ保護者というのは、精神的にも苦しかっ たり、保護者自身が精神的にまいってしまうことも多々あるわけです。その視点も是非 入れていただきたいです。  地域のネットワークというのがありますが、地域の中で専門性を持って、コーディネ ーター機能を発揮して、連携を動かす仕組みも必要かと思っています。具体的に言うと、 機関のイメージは、いま国の制度ではありませんが、子ども発達センター、1つは相談 支援を市町村によってやっているところはあるのですが、相談支援を行っていて、PT・ OT・ST等の専門家を置いて、来所の相談の上、幼稚園とか保育所に対して、出ていっ ての支援ができるような、専門性をもった機関が各地域ごとにある、そのようなことが いいかと思っています。  あとは地域においては、自立支援協議会を設置して、図の中にもありますとおり子ど も部会ということで想定されていますが、いまのところどちらかというと大人のほうに 目が向いていると思うので、子どもにも目を向けていただくような仕組みが必要だとい うことです。  それから、個別の支援計画です。これは計画ではなくて、これを核にして関係者が一 人ひとりのニーズに応じた支援を行うツールになるのだと思うのです。アメリカの例で いくと、教育ですが、1975年に全障害児教育法というのができていて、これは義務づ けられています。大変な労力と経費がかかっています。個別の支援計画についても、い ずれ一定の範囲の方に、法できちんと定めて位置づけることも検討していいのではない かと思います。 ○柴田委員 いま東松山市の話をしていただいたのですが、前回も申し上げたのですが、 東松山市は理想的だとは思うのですが、それを全国の共通バージョンにできるかという と、それは現時点でそれを共通バージョンに持っていくのは、逆に問題が起きるのでは ないかと思います。  実際、現時点で児童通園施設なども、いま発達支援センターとか、そのような名前に 名称を変えて、障害別ではなくてグレーゾーンにも対応していくのは必要ですが、通園 施設の機能を、拠点機能としての機能を強化していくというのは、それだけではないに しても、それも1つの大きな今後の課題として挙げていただきたいと思います。とりわ け通園施設の中に専門療育機能はあるのですが、家族支援あるいは家族相談機能、地域 へのデリバリー機能というか、専門的な支援を、地域のデイサービスや保育園、幼稚園 等にしていくような中心的な役割を、現在の通園施設にきちんと持たせること、あるい は通園施設そのものをもう少し小規模化して作りやすくすることが、現実的な対応では ないかと思います。 ○坂本(正)委員 この検討課題で、非常に基本的なこととしては、相談支援の拠点を どのように位置づけるのかということとネットワークづくりだと思うのです。ネットワ ークだけがあっても、有効なサービスは機能しません。すでにさまざまな事業がありま すし、行政機関も複数あるわけですが、いまの障害児の相談支援の実態を見ていると、 どの機関の役割も非常に曖昧になっています。ですから、それぞれの役割を果たしてい るのですが、非常に見えにくいのです。子ども、あるいはその親から見て有効な支援を どのように提供するのかという、相談体制づくりとネットワークづくりを合わせて考え ていく必要があります。ということは、もう少し整理をしないと非常にわかりにくいの ではないかと思います。  先ほど児童相談所の話も出ましたが、一時保護や施設入所に関しては大変重要な役割 を担うと思いますが、いまは市町村が児童相談を担う段階に平成17年から入っている ので、市町村の児童福祉主管課で、かなりのグレーゾーンを含めた発達に課題を持つ子 どもの相談をたくさん受けているわけです。また、保健所あるいは保健センターも同様 の役割を果たしているので、行政機関の役割の整理も必要ではないかと思います。ただ、 先ほどからいくつかご意見が出ているように、乳幼児期の相談支援については、子育て 支援あるいは子どもの発達支援の観点が非常に重要になるので、障害児という切り口で 支援するよりは、もう少し緩やかな「親子・家庭への支援」での相談機能やネットワー クづくりが、二重にはなりますが大事になると思います。保健が中心であるのか福祉が 中心になるのかは考えなければいけませんが、そこはとりわけ丁寧な対応ができる仕組 みを考えていく必要があるのではないかと思います。 ○渡辺委員 2点あるのですが、1つは皆さんがおっしゃるとおりで、なるべく敷居の 低い所で、身近な所でということで、保育所や幼稚園、子育て支援センター、つどいの 広場といった子育て支援関係の事業に専門職が出向いていって、定期的な訪問相談や訪 問療育を、こちらから出向いていくことによってアクセスするという利便性を図ること が大事だと思っています。障害相談というよりは、むしろ発達相談の形での相談の開催 が大事だと思っています。  もう1つは、関係機関や関係者の連携強化は非常に大事だと思っているのですが、現 場に関わりながら思っているのは、あまりにもあちこちに協議会がたくさんできればで きるほど現場は混乱するし、利用者の方々もよくわからないということが起こってきま す。先ほどからあるように、自立支援協議会はあるし、特別支援連携協議会はあるし、 モデル事業で早期総合支援モデル地域協議会はあるし、もちろん要保護児童対策地域協 議会は成立しているわけで、いろいろなものがあるのですが、それぞれがどのような役 割になっていて、どこまで何を話し合うのかをきちんとしなくてはいけない。また、で きれば望ましくは統合してほしい、1つにまとめていってほしい。一つひとつの会議が ばらばらにあって、それぞれが年に2回ずつやるぐらいであれば、それらを統合して1 つの協議会にして、毎月地域の専門職が出向いていって顔を合わせて協議をするほうが、 よほど密にいろいろなことが相談できるのではないかと思っています。 ○橋本委員 いちばん身近な行政、市町村にいくといろいろなサービスがあります。そ れは、考え方としては大変いいと思うのですが、市町村の中で障害に対して非常に熱心 な人や、市町村の中にある障害者団体が活発に動いているのであれば、福祉がいろいろ な形で動くのですが、そうでない所の場合は、全国的に見るとほとんど動いていないの です。そのようなときに、それを指導する制度ができないかなという気がするのです。 例えば、都道府県なりある程度大きな圏域です。そうでないと、小さな所で市町村のト ップの人が全く福祉に関心がなくて、その中で障害者の団体があまり動いていない所は、 全く動かないのです。そうすると、同じ日本に住んでいながら、住んでいる所によって かなりサービスの格差が出てくるのです。ある程度はやむを得ないと思いますが、でき ればそれをなくすような制度ができないかと考えています。 ○末光委員 「専門的な相談支援」という言葉はどの委員も使っておられるのですが、 専門的とは何かという点で、かなりギャップがあるのではないかと思うので、その辺り を整理しないと、これ以上議論してもあまり実りはないのではないかと思いました。1 つの例で、ハローキッズを中心として東松山で取り組んできた。そのハローキッズをや めてという話が、前々回に市長さんのお話の中でもありましたが、やっていることが 「結論ありき」ではなくて、その成果について検証する必要があるのではないかと、そ の上で議論すべきではないかというお話も中島委員からも出ましたし、私もしました。 さらに、前回田中委員の代わりの方が、東松山の実践の中で保育所や幼稚園等でやれて いるのには、ハローキッズでやってきた専門職員、スタッフのバックアップがあればこ そと言われました。その辺りは、先ほどの田中委員のご発言と少しずれているのかなと 思いました。  元に返りますが、専門的な相談支援云々は、診断評価、個別ニーズの捉え方、個別的 専門支援の内容について、それぞれ適切なのかどうか、それは支援する側がこれでいい という押しつけではなくて、ご本人や家族が満足しておられるのか、その方面のそれぞ れの専門家に十分だという評価をいただけるかどうか、その辺りの検証を是非していた だきたいと思います。また、先ほど「従来型」は要らないと言われましたが、本当に要 らないのか。東松山を例に挙げると、東松山にそのようなものがないとすると、そこか ら他所に出てサービスを受けに行っているというお話も君塚委員からありましたが、そ の辺りも十分検証しないといけないのではないかと思います。是非、「専門的」の整理 をお願いしたいと思っております。 ○君塚委員 東松山の坂本委員のお話で、いちばん大変な人たちがしっかり対応されれ ばということがありました。その点で、2頁目に、障害児等療育支援事業の中の上の3 つには「指導」という言葉が付いているのですが、これは「支援」に直したほうがいい のではないかと感じました。それは別として、いまの末光委員のご発言のように、専門 性の話の中で、全国組織のてんかん協会や育成会は、大きな規模以外に小さな当事者団 体、親の会がたくさんあると思うのです。厚労省に直接交渉するような中規模の団体か ら、20〜30人の親の会までたくさんあると思います。その中で、親たちは専門性が高 いです。例えば、この病気のこの合併症の治療についてはここが専門で、この先生はど のような方針であるかを網羅していて、相談してきた難しい病気の方に支援できるので す。私たちがわからない具体的な、細かい日常的な生活におけるお母さん方のニーズに 応えるだけのノウハウの蓄積を持っていて、NPOですが、親の会に対して相談支援機能 をいい形で加えられるといいのではないかと思います。具体的には、たくさんありすぎ て活動もさまざまなので、何年ぐらいやっていて、どのぐらいの規模だということを踏 まえながら、市町村や公的な相談支援の活動に対する支援をすることも検討していただ けると、余計に有効だと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。時間が少し押しておりますが、よろしいでしょ うか。先ほど山岡委員から保護者支援の話も出てきたので、そちらに移りながらまた戻 ることもあるかと思いますが、この検討項目(案)についてはほぼご了承いただいて、 その上でもっときめ細かな対策が必要だとか、メインのシステム以外のサブシステムが いくつも必要ではないかといったご意見など、さまざま出たように思います。利用者の 視点からのご発言もとても貴重だったと思いますし、最後の点では、「専門的な」とい う用語の共通理解をこの検討会としても諮っていくことも必要なのかなと考えさせられ ました。報告書の執筆段階では、おそらくこの辺りは議論になるのではないかと思いま す。  それでは、続いて「家族支援の方策について」、資料のご説明をお願いします。 ○矢田貝委員 資料3をご覧ください。いま座長からもありましたが、これまでの検討 項目とも重なるライフステージ、もしくは個別の相談支援にも重なる所ですが、家族支 援について、抜き出してスポットを当ててご議論いただくということで用意しました。  検討項目(案)ですが、1番目は「家族の養育等の支援」です。ここでは、障害児に ついては身体的、精神的、経済的な負担を感じている家族の支援を行い、障害受容、 「受容」という言葉がいいのかどうかとの議論もありましたが、ここでは障害受容とし ています。もしくは、養育能力を高めていくことが、子どもの育ちのためにも重要と考 えられるが、どのような支援が必要と考えられるか、またそれをどのように実施してい くことが考えられるかというのが1つ目の論点です。前回は、中島委員から母親だけで なく父親を含めて考えるべきとか、予防の概念を入れるべきとか、家庭の中に入ってい くことが必要等々のご意見がありましたが、今回も引き続きその辺りを詰めていただけ ればと思います。  例として、これまで出たことなども踏まえて5つ書いてあります。例えば、1点目は 専門家による、思い詰めている、もしくは悩んでいる親に対する心理的ケア・カウンセ リングの実施。2点目は、悩んではいないけれど、家にいる時間のほうが長いわけです から、療育方法を専門家が指導していくこと。3点目は、前回も出ましたが、家庭に入 っていっての家庭での療育指導など。4点目は、先ほども親の情報という話がありまし たが、保護者同士の交流や、家族会の活動というようなピアカウンセリングをどう活性 化していくか。最後には、きょうだい支援についてもどうしていくか。ここにはこのよ うなことが必要ではないかということが書いてありますが、それをどう実施していくか、 誰がすべきかも含めてご議論いただければと思っています。  3頁ですが、心理的な面だけではなくて、もう1つ親の負担感という意味では、レス パイト的なケアが必要ではないかということです。「レスパイト」という言葉がいいの かどうか、「休息的」という言葉がいいかどうかということはありますが、ぎりぎりま で頑張って最後に折れてしまうことを防ぐためにも、いくつかのそうした視点での支援 が必要ではないかということで、論点として挙げています。3点目として、経済的な支 援について、現行の軽減措置を踏まえどのように考えるか、広い意味での家庭、家族の 支援ということでここに入れております。  資料4は、ご議論のために用意した参考資料です。2頁目ですが、家族支援に係る主 なサービスです。もちろん、すべてのサービスが家族支援につながるわけですが、家族 の側から見て特徴的なものを抜き出して書いております。(1)の個別給付で、「障害 児通園施設・児童デイサービス事業における加算」と書いてあります。これは次の頁で 詳しくご説明しますが、先ほどから言っているように受けるだけではなく、家庭連携加 算の内容に書いてあるとおり、居宅を訪問する場合でも、現行でも報酬が出るという制 度がありますので、それはのちほど説明します。  (2)の個別給付は、短期入所、まさに先ほどのレスパイトに係る、一時的に施設で 短期間介護をする事業です。また、居宅介護、ホームヘルパーは、もちろん子どものケ アのためですが、結果として親の負担の軽減にもつながる事業です。そうした視点では、 ほかの移動支援、その他のサービスも家族支援に含まれますが、代表例として載せてい ます。地域生活支援事業の中では日中一時支援事業があります。移動支援はこちらに入 ってくるものもありますが、これは前回もご議論いただいた一時的にお預かりするとい う事業です。  3頁が、先ほどご説明した通園施設の家庭連携加算です。これは、保護者に対して、 健全育成の観点から、利用計画に位置づけて、了解を得て、日程調整をした上で家庭を 訪問して指導を行った場合です。つまり、通所でやることを出向いていってやった場合 に、報酬の対象になる、算定を可能とするものです。同じ日に通所と訪問の両方は無理 ですが、報酬の所に書いてあるように、月2回のこうしたものの算定を制度上認めてお ります。利用実績が取れていないのですが、おそらくまだそんなに知られていないので 使われていないのだと思いますが、このようなものを充実させていく方向なのかなと、 先ほどの議論でも感じました。  4頁は、同じようなことですが、5日以上来られなかったときにご家庭に行った場合、 月2回を限度として算定するというサービスです。  5頁ですが、「ペアレント・トレーニング」と書いてあります。これは制度の説明で はなくて、概念というか、いろいろな専門書などを読みながら事務局で作成した言葉で す。「ペアレント・トレーニング」という言葉も、親育ての支援といった言葉のほうが 適当なのかもしれませんが、概念としてはより適切な子育ての方法を親が学んでいくと いうことです。特に障害のある子どもについては、子育てにおける不安、孤立感などか ら自信をなくす、さらには適切な支援につながらない場合に、親がぎりぎりまで頑張っ てしまうと、引きこもりなど家庭内の二次的な障害が起こることもあります。そのよう なことから、これは障害のある子どもだけではなく、親育ては一般的にも必要とされて いますが、特に障害のある子どもについて心理療法士などが個別支援、もしくはグルー プでの支援を行うことが求められています。領域として、心のケアやソーシャルワーク、 ペアレンティングは虐待のある家庭でよくある、家族再統合の領域です。どこがやって いるかとなると、児相でやられているケース、もしくは情緒障害児短期治療施設での家 族療法、また、これも一般的に保育所や保健センターなどでの交流保育、家庭訪問など、 さまざまな形態があるかと思いますが、このようなものの充実が必要ではないかという ことです。  6頁目ですが、療育方法の指導のための事業で、肢体不自由児施設における母子入園 による療育の取組みがあります。肢体不自由児施設に、子どもだけではなく親も一緒に 入園して、子どもにとってもそのほうがやる気が出るということの確保と同時に、家庭 に帰ったあともそこで習ったことを活かして、引き続き家庭での訓練、日常生活等々の 機能訓練等をしていくという取組みです。これは、そのとき以降もその施設がその家庭 を支援していくものです。昭和40年の局長通知に基づいているので、「母子」という ことで父親はどうするのかと言われそうですが、そのような取組みをしています。  7頁は、きょうだい支援、もしくは家族会などの取組みの例です。今日もそれぞれの 家族会等々からいろいろあるかもしれませんが、福祉医療機構が民間のそうした活動に 対して助成しているものとして、今年度は何かないかとお聞きしたところ、3カ所ぐら いに支援をしているということで参考として載せております。重症心身障害児を守る会 では、きょうだい支援交流キャンプを全国4カ所で実施しています。兄弟に着目してい るのはこの事業です。3番目の神戸市の育成会でも、各種イベントで家族支援と、神戸 市との交流をしているという事例の紹介です。  8〜9頁は、先ほどの給付の所でどのようなサービスがあるかですが、短期入所と日 中一時支援事業を、特にレスパイト的に使えるものとして挙げています。いつも使って いる図ですが、日中一時支援事業については、前回ご説明とご議論をいただいたので、 9頁に短期入所の資料のみ載せております。短期入所は、居宅においてその介護を行う 者の疾病その他の理由により施設等への短期間の入所を必要とするものですが、現状で は人員配置にあるとおり、短期入所の利用者を本体施設の数とみなした上で、必要な人 員配置をするということです。施設の空きを利用して、先ほど30床ご用意いただいて いるとのお話がありましたが、そのようなことでやっていただいています。仮に単独型 でやろうとする場合には、生活支援員を必要数、独自に設けなければいけないことにな っています。報酬単価は下に書いてあるとおりです。実施状況は全国6,200カ所ですが、 特に書いてあるのは、医療機関で実施している短期入所は59カ所で、つまり医療的な ケアが必要な子どもを一時的に預けられるのは、全国にこのぐらいの数しかない状況で あることをご紹介しています。  10頁ですが、経済的負担の軽減の現状です。10頁は全体のものなので、わかりやす く言うと、11頁にいまの障害児の利用料がどうなっているかが書いてあります。いち ばん左の3万7,200円、24,600円、15,000円、0円と書いてあるものは、平成18年当 初の自立支援法のものですが、特別対策、緊急措置などを経て、いちばん右の(4)とある ところが現時点における月の利用者負担の上限額です。所得割28万円未満というのは、 大体890万円年収の方ですが、それ以下の方については、1カ月間の負担の上限が 4,600円から所得に応じて0円ということで、軽減が図られています。  12〜13頁は、それについて食費も含めて、措置費制度からの比較ということで、そ れぞれの所得区分に応じていまどうなっているかです。それぞれいちばん右側が、12 頁は現在施設に入った場合1カ月の負担がいくらになっているか、13頁は通所の場合 に1カ月の負担がいくらになっているかが所得別に出ています。いちばん左側が措置費 制度なので、それから比べると課税世帯は少し減っていますが、非課税世帯の方は 2,200円だったのが4,500円なり7,000円になるとか、1,100円が食費込みで3,040円 になったという変化があります。負担の軽減を特別対策、緊急措置ということで軽減を 図って、いまのような状態になっているものです。  14頁は、所得について検討すべきこととして、高額療養費、高額医療・高額介護費 などとの合算等が検討課題としてあるということを紹介しています。 ○柏女座長 ありがとうございました。家族支援方策については、事務局から検討項目 として大きく3つ挙げていただきました。もちろんそれ以外でも結構ですが、35分ほ ど時間がありますので、ご意見をお願いします。 ○田中委員 家族支援の方策については、いろいろと視点を広げて見ていかなければい けないと思います。特に、今回、措置を支援費にし、支援費から自立支援法という流れ の中で、定率負担という非常に重たいかせが科せられました。本来サービスを使うこと において定率負担の意味があったわけですが、そこへの対応が不十分だったということ では、子どもの分野は特に留意をして検討しなければいけない分野だと思っています。 また、子どもの時期、家族との関係抜きでは生活そのものが成り立たないということで は、最も重要視する部分だろうと思っております。ですので、1番目の家族の養育等の 支援については、施設による、もしくは通園施設、入所施設における療育方法の指導と、 家庭訪問による家族への相談、療育方法の指導が並列で位置づけられていますが、施設 における役割も非常に重要だとは思いますが、生活基盤が家庭において重要視されるこ とを考えると、ここに対しての工夫を相当重ねなければいけないと思います。特に発達 障害の方のいろいろなこだわりが、もちろん外においてもあるわけですが、家庭によっ て育まれる時期に、先ほどのグレーゾーンの問題も含めて、なかなかそのことが受け入 れがたい状況で施設などに託さなければいけないことが、先ほども話題になりました。 そのことをもって施設を否定するつもりはないので、ここは重ねて確認しておきますが、 家庭において必要な条件を図ることが、結果的には本人と家族の生活環境、家庭での生 活環境を良くすることになるので、重視すべきだろうと思っております。  併せてレスパイトサービスですが、家庭の養育能力を高めるという、本来発達保障を 前提にしてそれを高めていく支援と、レスパイト的な関わりは切り分けるべきだろうと 思っています。私も30数年前からこの事業に携わっておりますが、その拙い経験から 言ってもいくつかのパターンがあります。例えば、重心の子どもの場合は、長い暮しを 支えることになれば医療との連携が非常に重要なので、ここを抜きに生活を支えると言 っても絵に描いた餅になるわけですが、実際に家庭生活が行われている重心の子どもの 場合に、家に行ってみることが非常に重要です。家に行ってみることの関わりがないた めに、家族がずっと見ざるを得ないという、ちょっとした預かりのために施設に手続き をすることが、家族にとっては高いハードルになっていたということがあります。関わ ってきた経験から言えば、ご家族の声としては、家の中のよどんだ空気に風が吹き込む ように、支援が届いてよかったと伺ったことがあります。  また、行動障害の方の場合には、外に連れ出すことが大事な面が多く、家の中で見ら れない状態になったときに、先ほどの療育的な支援が必要な場面と、とりあえずブレイ クタイムとして支援が届くことによって、親子双方が落ち着いて過ごせることもありま す。逆に、行動障害ゆえに、例えばカタトニー的な、動くことが難しい状態になってし まった方の場合には、家で過ごすしか対応ができないこともあります。そういったこと に個別に対応することが非常に重要だと思いますので、個別に対応する枠組みを特に在 宅支援で強化することが、家族支援の意味合いとしては非常に意味のあるものに続くだ ろうと思っています。  そのことと併せて経済的な支援を考えると、個別な給付において、いま制度的に常時 使える家でのサービスではいろいろな紹介がありましたが、すべてのサービスがどの市 町村でも使えるわけではないことを考えると、個別支援会議が非常に重要だと思います。 例えば、日中一時支援などでとりあえずの期間を過ごすということで、地域生活支援事 業を活用しての判断を市町村がしたとしても、家での対応が常時必要になると。そこで ホームヘルパーを入れることになれば、即座に会議を開いて対応が決められるといった 機能も合わせ持たないと、市町村単位の地域生活支援事業だけでこれを支えていくのは 非常に難しいわけです。措置という言葉が今回非常に重要なキーワードになっていて、 2回目の検討会でも発言しましたが、緊急性の高い方、専門性の高い方への対応につい ては、措置という枠組みは非常に重要ですし、それを抜きには語れないと思います。逆 に行動障害などで専門性が重要でも対応が難しいということで、措置であっても施設に 断られる事態があることを考えると、措置は手続き論なので、手続き上進めるべき事柄 といまお伝えしたことはサービスの中身、質の問題につながる部分だと思うのです。措 置という枠組みに戻すことで、いまお伝えしたことがすべて賄えるとは全く思えない。 特に経済的な支援の在り方を前提に、定率負担の割合は随分圧縮されましたが、それで も収入があれば、わずかといえども兄弟の関係も含めて言えば、年収が下がっている家 庭が多いわけです。その観点から言えば負担になるだろうと思いますし、特に地方に行 けば車での移動が大前提で専門家にたどり着くこともあるので、折柄のガソリンの高騰 なども十分配慮できるような経済的支援が望ましいと思っています。 ○副島委員 家族支援の取組みは、我々育成会にとってもとても大切な取組みだと思っ ております。特に親の障害受容や養育能力を高めることは、我々は親育て事業だと思っ ているのです。親も育てていってもらわないと、子どもに対して子育てが止まっている ということです。地方では、この取組みに対して日中一時支援や児童デイサービス事業 の利用はありますが、意外と保育所の取組みが功を奏している場合があるのです。保育 所における障害児の受入れです。私立的な保育所は難しいと思いますが、行政の経営す る所は結構効果が上がっています。効果が上がったのは何かというと、保護者同士の交 流がそこに結びついているのです。保護者同士の交流ができて、子どもは子どもとして の関わりを持ってもらうし、親は親同士の関わりを持つことができるのです。このよう なところが親にとっての安心につながっていて、子育てについての疑問点が解消されて いくのです。こういう支援が必要だと思うし、特にそういう支援の中であっても、それ は相談支援の延長線上にあり、絶えず相談支援が付いて対応していくことが必要だと思 っています。  レスパイト支援ですが、障害のある子どもを抱える親にとっては非常に大切な、あり がたい事業だと思っています。これは中身のある、すなわち本当に子育てに一生懸命に なって疲れた親が利用できる支援体制であれば、これからも利用しやすいと思います。  また、経済的な支援ですが、自立支援法に対して特別対策、緊急対策で、利用者、特 に障害児を抱える親にとっては、やっと一息ついたところなのです。負担が安くなった といっても、いまの状況が普通であるか、まだ高いくらいです。どういうことかという と、子どもを育てている親はまだ年齢が若いので、収入的にもそんなに恵まれた状態で はありません。ましてや、療育機関に連れていくには、自分の町にはなくて、他の市町 村に連れていかなければならないわけです。先ほど出ましたが、交通機関を使うとか車 を使っての移動が発生するために、利用料負担だけではなく、交通機関を使うための交 通代が大変大きなウエートを占めるのです。だから、軽減されたとしても、これはあく までもすばらしく軽減された内容ではなく、普通もしくは少し高いところなので、是非 これを平成20年度までの事業で打ち切るようなことが絶対ないようにしていただきた いと思います。最低この状況を続けていってもらうことと、さらに状況を勘案して、さ らなる軽減を図ってもらうことが必要ではないかと思っていますので、是非そのような ことを考えていただきたいと思います。 ○渡辺委員 私自身は、障害児の親たちの99%は、本当に一生懸命毎日子育てをして いると思っていますし、一生懸命やっているからこそ、どうにもならなくなったときに ブツッと切れてしまうこともあり得るのだと思っていますので、親の養育能力を高める ことも大事なのかもしれませんが、むしろ子育てをする環境を変えていかなくてはいけ ないと思っています。それが前提です。その上で家族支援と考えたときに、2つ原則が あると思います。1つは、障害「児」の時期は家庭生活を保障するという大原則に立つ べきだと思うのです。それは障害のあるなしにかかわらず、子どもたちは家庭の中で育 まれて大きくなっていくのが当たり前だからというのが1点目です。  2つ目は、予防の視点は絶対に家族支援には必要だと思っています。家族の方々が過 剰なまでの負担を背負いながら生活しなくてはいけない状況は、何とか改善していかな ければなりません。それによって危機に陥っていくことを少しでも予防するという視点 を持っていかないと、危機が何度も繰り返されて家庭生活自体が破綻してしまったり、 二進も三進もいかなくなってから家族の関係が切れて、入所施設に入ったあとに家族関 係をもう一度修復しようとしてもなかなか難しいので、できれば家族の関係を切らずに、 家族がなるべく豊かに生活できるようにする。障害児の親たちと関わっていて、前にも 1度言われたことがあるのですが、「障害者のノーマライゼーションというのは聞いた ことがありますが、私たち家族のノーマライゼーションという概念はないのでしょう か」と言われて、はっとしたことがあります。障害児の親たちが通常のノーマルな生活 を送っているとはとても思えない実態がたくさんある中で、でき得る限り障害児を養育 している親たちが背負っている養育の責任、あるいは負担の範囲の中になるべくとどめ ていけるように、近づけていけるように努力をしなくてはならないと思っています。  そのために、家族を巡る環境を変えていく視点が必要だと思います。1点目は、保護 者同士の交流はものすごく大事だと思っていますが、これはできれば障害児だけではな く、もう少し広げて、障害のあるなしにかかわらない、地域の中の親同士の交流に広げ ていきたいと思います。そのためには、親が子どものことを気にせずに会合や交流に出 て来られる余裕をきちんと提供しなければ無理だということが、前提としてあると思い ます。  2点目は、カウンセリングや療育方法の指導です。先ほどペアレンティングとかペア レント・トレーニングとありましたが、私は親に対する家族生活教育という予防教育を ずっとやってきましたが、むしろ子どもへの関わり方や療育よりは、障害児の親たちは みんな将来の自立や将来の地域生活に対して、漠然とした不安を抱えています。それに 向けて、大人になってからスタートするのではなく、子どものときから少しずつ見通し を持つことが大事だと思っていて、親たちに対して予防教育を行ってきたということが あります。そのような中で私自身が感じたことは、親たちに必要な情報を提供すること や、いまではなく将来どうなっていくか、将来何が使えるかといった見通しをきちんと 提示していくこと、あるいはいまの段階から家族の関係の在り方、地域との関係の在り 方を見つめ直すという、どちらかというとソーシャルな視点に立った予防教育が必要な のだと感じています。  (1)のきょうだい支援については、きょうだい支援の原則は兄弟に対して特別なこ とをすることではなく、親が兄弟児に関わる時間をきちんと保障することだと思ってい ます。それは大前提として言っておきたいと思います。  (2)の「レスパイト等の支援」については、どこまでをレスパイトというかにより ますが、重度障害、特に医療依存度が高い重度の障害児や、行動障害を伴う障害児を養 育している親たちは、先ほどからもいろいろお話があったように、一時も子どもから目 が離せない状況があちこちで起こっています。本当に親たちに休息の機会を提供すると いう意味では、重度障害児のための在宅医療や、在宅の集中的な介護といった中核的な 機能を担う場がどの地域にも必要で、その体制をきちんと充実させていくことが不可欠 だと思っています。  また、特に重度ということではなく、障害児一般に関わってくることですが、例えば 保育所なら保育所は、もちろん児童福祉法で保育に欠ける乳幼児を保育する機能はある にしても、一方では保育所があることによって、親たちの就労の機会が保障されている 部分が確実にあると思うのです。それが児童福祉法の理念に沿っているかどうかは別で すが、それは男女の雇用機会均等化の側面もあるわけで、そういった意味ではいまは経 済状況などいろいろなことも関わってきて、M字就労の底がだんだん浅くなってきて、 共働き家庭が増えてきています。実際には、ある程度子どもに手がかからなくなってく ると、パート就労に出たりもう1度復職するお母さんたちが増えてきて、共働きも増え てきている中で、日中一時支援事業や児童デイサービス、障害児保育といったものの中 には、親たちの社会参加の機会を保障していく視点が含まれていなくてはならないと思 います。この間からデータにも出てきているように、近年、母子通園を利用する方より も児童デイサービスを利用する方が急速に伸びているのは、身近な地域にあるというだ けではなく、母子通園でなく単独で子どもを預かってもらえることによって、就労の機 会が保障されている側面もあるのではないかと思うのです。したがって、児童デイサー ビスや日中一時支援事業、放課後児童クラブや保育所等々における障害児の受入れをき ちんと進めていくことが、親の就労の機会を保障する意味でも大事だと思います。  ただ、そのような意味では、いまの日中一時支援事業などが置かれている状況は、非 常にきつい状況です。いまの単価で、動きをたくさん伴う学齢期の子どもたちを少ない 職員でぎりぎりで回している状況は、非常に悲惨です。同じようなことは、児童デイサ ービスの学齢期の部分にもありますが、ここについてはきちんと見直しをしていく必要 があると、親支援の観点からも絶対必要だと思っています。そういった意味では、レス パイトよりも一歩進めて、親たちの就労を含めた社会参加の機会を保障するためのケア と捉え直していく必要もあるのではないかと思います。  (3)の「経済的支援」は、私はこれについてはあまり詳しくないので何とも言えま せんが、いまのことと関連していると思います。私は、特別児童扶養手当や障害児福祉 手当は、所得を保障するよりも、むしろ障害児を養育することによる支出を補填する側 面があると思っています。それでイーブンだとするならば、いまのように共働きが当た り前になってきているところで、親たちが共働きすることによって得られるべき収入を どう保障していくかという、収入の部分をきちんとカバーしていく側面を持たないと、 経済的支援は考えにくいわけです。そういった意味では、これは単に利用者負担だけの 問題ではなく、親たちの所得、本来なら得られるべき収入が得られる機会を保証してい くことと、一体にして考えていただきたいと思っています。 ○末光委員 レスパイトのことでお話をしたいと思うのですが、その前に、先ほど田中 委員から「施設否定ではない」というお話をいただきました。利用する方々を抱え込ん だ閉鎖的な施設は消えていただいていいのではないかと思いますが、一定の役割を果た す施設は必要だと、重症心身障害児や発達障害の重い人に関わる中で思っております。 それに関連して、渡辺委員がおっしゃった親のノーマライゼーションを考えると、親に 限界が来たときに社会が支えることがあってもいいのではないかと思うのです。親だか ら何が何でもやれというのは、やや押しつけではないかと思いますし、我々施設側は最 も親しい他人としてお手伝いをするという位置づけをしています。  レスパイトについては、ややもするとご本人は元気で、家庭で素人のお母さんが看れ ているのだから、重症心身障害児も元気なはずだと思いがちですが、実際に預かってみ ると、その子たちはレスパイトの期間は「命懸け」であることがよくあると、是非ご理 解いただきたいと思います。  2つの例をご紹介します。昭和40年代に重症心身障害児施設ができたときに、いく つかの施設で、入所して1週間か10日で次々と子どもが亡くなることが続きました。 その原因を調べたところ、感染症でも何でもなく、入園後の心理的な不適応によるもの でした。これは小川昭之という長崎大学の助教授をされていた小児神経の先生が発表さ れました。それによって、我々施設側も、そのような方々には新しい環境に慣れてもら うために環境調整をしながら、施設に慣れていただこうという取組みをするようになっ たわけです。  もう1つは、「短期入所」の前に「緊急一時入園」の時期がありました。その時期に、 ある会でソーシャルワーカーの方がこのような事例を発表されました。お母さんの出身 が九州で、そのお父さんが亡くなったと。葬儀に駆けつける間、「緊急一時」で東京都 内のある重症児施設に預けました。ところが、九州に着いて間もなく施設から連絡があ って、病状が急変しているということで大急ぎで戻ってみたら、もう亡くなっていたと いうことです。素人の私が看れているのに、医者もおり、専門の看護師もいる所で、な ぜこの子は亡くなったのかとおっしゃったようです。それは違うのですと、このような 子どもにとっては、新しい環境に入ると大変なストレスになる。それも事前の準備なく、 ある日突然、元気な人であればおじいさんやおばあさんが亡くなったから我慢しなけれ ばならないとわかるはずですが、重症心身障害児はそのような状況が十分にはわかりま せん。いままでの家庭と違う場所で、それも言葉を発しなくてもすべて雰囲気で理解し ていたお母さんがいなくなるわけです。そうすると、発熱はする、けいれんは起こす、 食事は食べない、脱水症状になる。命に関わることはよくあるし、「突然死」の場合も あるのだと申し上げたことがあります。そういう意味で、我々は重症心身障害、特に言 葉のない、表現手段の乏しい「超重症児」の短期入所は、その日だけ、言葉は悪いかも しれませんが、猫や犬を預けるような形では預かれないのです。事前の準備が十分要る わけです。ご本人の準備も要るし、ご家族の覚悟なり対応も要るわけです。当然、施設 側の準備も整えておかなければいけません。それも、1回体験しても1年経って、また 新しい場所ということになります。ご本人は大変な抵抗感があるので、事前に日中1時 間でも来ていただいてからショートに入っていただく取組みをしております。それぐら いやらないことには、これは家族にとってはレスパイトだけれど、ご本人にとっては 「命懸け」なことがあり得ることをご理解いただきたいし、それに対応できるような単 価設定になっていないので、その辺りの配慮を是非お願いしたいと思っております。 ○北浦委員 私は本当に初期のところで、障害の受容についてですが、私の次男は元気 に誕生したわけです。7カ月目に種痘後脳炎という病状になったわけです。病院に入院 して、それを一生懸命看護しているときに、病気を治そうと親は思っているわけです。 だけど、ある日突然これは不治の病であるとバサッと言われたときの親のショックは、 本当に大変なものでした。最近伺ったことですが、「あなたのお子さんは重症児です よ」と言う前に、親の心理状況をよく観察して、徐々に自覚するように持っていって、 最後に伝えるときには、「このお子さんは私たちと一緒にお守りしましょう」とお医者 様が言ってくださったというのです。それでどれほど助かったかわからないと。最初に 関わる方の言葉のかけ方に、親は非常にデリケートに反応するということをご承知おき いただきたいと思います。 ○柴田委員 短期入所について、いま末光委員からもありましたが、私も20年前に国 立で重症心身障害の方の卒後通所の受入れをしました。その当時は、とりあえず1年か 2年だけ通所して、あとは施設に入るのだとお母さんがおっしゃっていて、結局その重 心通園施設にまで拡大したのですが、ほとんどの方がいまでもそのまま在宅で通所して おります。その強力な支えになったのが短期入所で、特に東大和療育センターができて、 何かあったらそこに預けられるというのが、親にとっては強力な安心感を与えたようで、 いまでは最後まで私が家庭で見ますとおっしゃっています。そのような点で、短期入所 は非常に重要な支援で、短期入所はそのときだけの預かりではない。これは知的障害の 方も同じですが、事前の準備ときちんとした対応が必要で、短期入所の重要性をもっと 強化していただきたいと思います。  先ほど日中一時やデイサービスの単価について言われて、そのとおりですが、もう1 つ訪問看護と移動支援もそうで、移動支援についても前回申し上げましたが、実際上は 市町村事業になったことによって大変単価が下がって、そのために使いにくいというか、 事業所の側から見たら、ヘルパーにお金を払うと、そのあと事業が成り立たないという のが現状です。現に私の所でも移動支援をやっていますが、毎年赤字で、赤字を毎年積 み重ねていて、いつになったら黒字になるのだろうかという状況です。もう1つは、前 にも北浦委員がおっしゃったのですが、訪問看護についてです。これは国の制度にはな いのですが、パーソナルな訪問型の支援として重要だろうと思います。 ○宮田委員 資料3を見ると、今回の会の冒頭から何回か出ているように、障害を受け 入れられてからの支援しか見えてこないのですが、基本的にグレーゾーン、育児に困っ た時点でサポートしていくような制度が要るだろうと思います。そういう意味では、渡 辺委員がおっしゃったように、一般的な子育て支援に包含できるような場が設定されな ければならないし、一般的な子育て支援の場に対して、専門的な支援の部分が施設や相 談支援事業所から持ち出せる制度も、平行してセットしなければならないだろうと思い ます。そのような意味では、かつての障害者地域療育等支援事業は非常に使いやすい良 い事業だったのですが、その流れとしての障害児等療育支援事業、相談支援事業のつな がりの発展を是非お願いしたいと思います。  それから、先ほど末光委員がおっしゃった施設に入って亡くなったケースですが、我 々のような、小さいときに関わっている施設の大きな責任かなと思うわけですが、やは り他人に預けられた経験がない、もしくは親以外の介護を受けた経験がない。この部分 は、親支援とは何かという部分で非常に重要な要素かなと思います。  僕は親御さんに対しては、「私の元気なうちは」と言うなと、「私の元気なうちに」 と言ってくれとお願いするわけです。やはり親御さんが若いうちに親以外の介護者の介 護を受ける経験、かつて田中委員が、レスパイトは親戚のおじさんにちょっと預かって もらうような経験と言われていたけれども、そういった経験の中で親支援にもなれば子 供たちの支援になるというような部分が要るのかなと思います。  我々は親支援という言葉もしくは家族支援という言葉を使うわけですけれども、この 定義というのをやはり、もう1度きちんと考えなければならないのかなと。今回の議論 の中ではあまり時間をとってはいけないと思いますが、我々臨床の場におりますと、親 御さんの期待と子供の状況が乖離している場面がたくさんありまして、どうしても親御 さんとの対立関係の中で子供を支援するというような図式が出てくる部分もあります。 それが結果的には家族支援につながると思いましてお話をしていくわけです。常に寄り 添うだけではなくて、やはり子供の状況をきちんと伝えていけるような専門性と、そこ のバックアップになるような資源の確保がいるかと思います。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。その他いかがでしょうか。 ○君津委員 資料4の12頁辺りを中心に話をします。例えば12頁の入所サービスの利 用者負担のいちばん左側のところで、課税世帯と非課税世帯に分けますと、課税世帯が 負担が減っているのに対して非課税が増えている。食費が含まれているにしても、結果 的に増えています。長期に社会的入院とか虐待などで入らざるを得ない方たちは、かな り母子家庭とか家庭の崩壊という形で低所得の方が多いと思うです。そのように長期で 入っている方たちの負担が増えている。その前の頁では、居宅・通所サービスの場合と いう形でありますが、ここのところでは大きく低所得者の負担が減っています。その中 で、入所すると6万円前後の特別児童扶養手当が止められます。そういう意味で、在宅 と入所とのバランスという言葉が出ましたけれども、ちょっとバランスが崩れて入所の ほうの負担が大きくなっているのではないかと、私は感じています。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。 ○柴田委員 移動支援について少し説明をしたいと思います。移動支援は本来、家族支 援でもなければ、本人支援でもないことであります。言葉として移動支援という言葉を 使っているのですが、これが支援費制度のときに急速に伸びたわけです。今でも伸びて いるとのことです。学齢期の高等部ぐらいのときの非常に元気な知的障害者の土日に、 親が一緒に動くのは親もそろそろ年になってきますので難しい。若い元気なヘルパーと 一緒に高尾山やプールに行くわけです。それが言ってみれば1つの家族支援でもあり、 本人の社会参加への支援でもある。それを移動支援という名前を付けているのは移動の 支援だからですが、本質的にはもっといろいろ意味をこめた支援なのです。これが自立 支援法で個別給付から外れたことによって市町村の単価に非常に格差が生じて、実際に は市町村によっては本当に事業そのものが成り立たないような状況がありまして悲鳴を あげている。悲鳴をあげてもやめるわけにもいかないと。私どもも悲鳴をあげているの だけれどやめるわけにもいかない。歯を食いしばってそのうちに何とかなるだろうと思 ってやっているわけです。是非とも、いろいろなところで単価の問題はありますが、特 に移動支援については非常に厳しい状況にあるので、見直しをお願いしたいと思います。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。 ○松矢委員 基本的に先ほど渡辺委員から出された視点、私も同感であります。また、 親御さんが安心して家族、障害のない兄弟、姉妹をきちっと見てあげる時間をつくって いくという意味でも、当然放課後の保障とか地域の日常活動がより充実しなければなら ない。問題は基本的な資源がきちんと整っていることを前提に、このようなライフステ ージ等でのフォローをするサービスとか家族支援を考えていかなければならないという ことです。  私は東京のほうの施策推進委員のほうもやっておりまして、例えば重症心身の場合の ショートステイで定員どおりにならないと。つまり看護師が確保できないことがありま す。まさに家族支援であるべきですね。そのようにギリギリで家族で支えているところ でレスパイトを利用するときに、定員をいっぱいに使えない状況が現実にあるわけです。 そうならないように施策を打っていくことの大切さを、是非児童法の改正の中に、人の 確保の点も含めてお願いしたいです。  一般の子育ての段階で、初めは障害のあるなしに気づかない場合が多いわけですから、 親御さんが子育てをしていくときに地域でいろいろな支援が受けられますよという情報 提供をやはりしていく必要があると思うのです。1つは母子手帳という健康手帳がある のですが、そういうものをもうすこしきちんと整理をして、それぞれのライフステージ でいろいろなサービスを受けられると。その中で個別の支援計画がきちんと入っている ものを作ってもらえますよと。それは必要な支援へのサービスだけではなくて家族につ いてもいろいろな相談を受けられますという、そういうコンパクトなツールが必要だろ うと。そういうものがあれば、例えば療育センターとかいろいろな地域支援があるとこ ろ、ないところもそれなりに手帳を活かしていくための資源作りとかネットワークをど うするかを当然議論できると思います。すべての親御さんたちが自分たちの子育てをす る上でいろいろな情報が得られます。そして障害をもった方への地域支援についてこん なふうに用意されていますと。それぞれ地域ごとにそれは書き込めばいいので、そのよ うなフォーマットをきちんとすれば、共通で全国どこでもそれを使っていくことができ るのではないか。そういうことも是非考えていただきたいと思います。以上です。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。 ○山岡委員 私も障害のある子の保護者でありまして、親の会等にも属しております。 経済的支援についてずっと考えていたのですが、実際には例えば共働きをやめなければ いけなかった、父親は転勤を拒否したために出世も諦めなければならないとか、療育を 受けるために引っ越しを何回もしたとかいろいろなことがありまして、私としても失っ た機会収益が非常に大きいわけです。そこを認定するのがなかなか難しいと思います。 例えば福祉サービスの対象外で交通費がかかりましたとか、どうしてもタクシーに乗ら なければいけなかったとか、あるいは民間の療育機関を使ったとかいろいろなことが出 てきていました。技術的に難しいのかどうかはわからないですけれど、税の扶養控除あ るいは障害者の控除などではなく、恐らく個別に見ていかなくてはならないところ、あ るいは地域性みたいなところがありまして、医療費控除のように一定のものについて経 費として認めて税控除ができるといいなとたまに思いました。そのようなことも長い目 で見て検討をいただけないかと思います。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。時間が過ぎておりますが何か特別にあり ましたらお願いします。 ○北浦委員 先ほど東大和をご利用いただいて、あちらからも意見が出ましたが、30 床の短期入所のベッドを持っているのです。それが昨年の暮れから看護師が、これは厚 労省の方に知っていただきたいのですが、大病院が7対1にすると収入が入るわけです。 奨学金を付けて看護師を引っ張られたのです。それで看護師が不足してしまい、12月 から5月まで短期ができなかったのです。今はようやく看護師を補足できましてまた復 活していますが、在宅の方は本当に頼りにしていらっしゃいます。この短期入所という のは少し増やしていったほうがいいと思います。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。 ○坂本(正)委員 家族支援の機能について一言触れたいと思います。家族支援につい ては子供の年齢、発達の段階、障害の種類等によってさまざまな支援メニューが必要な のはもう言うまでもないわけです。家族支援を行う場合にやはり個別の家庭、事例への 対応をする、アセスメント、サポートをする、サービスにつなげる、さまざまなサービ スの調整をするなど、ソーシャルワークの機能が非常に重要なわけです。それと合わせ てやはり子供の発達をしっかり見ることができる、子供や、家族の心理を見てそれのケ アができるという意味で心理的な、発達心理の面からのアプローチができる機能。この 2つが家族支援を行っていく上で基本的に非常に重要なところでありますので、その辺 りを押さえた上で家族支援の在り方、これは4番のライフステージを通じた相談支援の 在り方とも関係するのですが、そのような感想を持ちました。 ○柏女座長 はい、ありがとうございました。まだ意見はあるかとは思いますが時間が 過ぎておりますので、今日のこのテーマについてはこの辺にしたいと思いますがよろし いでしょうか。  さまざまなご意見をいただきまして、3つの論点については概ねそれをきめ細かくす るとか、あるいは深めていくテーマ等の提言をいただきました。特にレスパイトのとこ ろではさまざまな意見をいただきました。特に訪問型が必要ではないかとか、子供たち の活動保障、移動保障をすることが親のレスパイトにつながるのではないかとか、さら に3番のところでは機械費用の保障等についても話が深まったかと思われます。最後に は渡辺委員がおっしゃっていた子育て環境全体を考えていく必要があるのではないかと いう意見もありました。今後の当面の日程等も含めて、事務局からご説明をお願いした いと思います。 ○蒲原課長 濃密なご議論を本当にありがとうございました。私どもも今の話を聞いて、 うちの部だけではなくて、いろいろな関係局とよく話をしながらやっていかないといけ ないと改めて思った次第です。  今後の日程です。次回、第7回の検討会は6月16日(月)、午前10時からを予定し ています。場所については冒頭申し上げました別添のペーパーに地図が書いてあります けれども「商工会館」という場所です。次回につきましては、「入所施設の在り方」と 「行政の実施主体」についてということで、私ども資料を準備しますのでご議論をお願 いしたいと思います。いちばん最初に申し上げました7月中旬から8月中旬までの日程 の調整も併せてやりたいと思っておりますので、大変恐縮ですが、お手元のメモをいた だくか、あるいは後ほどFAXで送っていただければと思います。以上です。 ○柏女座長 はい、どうもありがとうございました。今日柴田委員のほうからも出てお りましたが、児相の在り方とか行政の実施主体について一緒に議論ができればと思って おります。今日の相談の体制のところや費用についても関わりをもってくるかと思いま すので、今日いただいた意見の連続線上で議論ができればと思います。委員の方から何 かございますか。今日はこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)