08/06/06 平成20年度第5回介護労働者の確保・定着等に関する研究会議事録       平成20年度第5回介護労働者の確保・定着等に関する研究会          日時 平成20年6月6日(金)          10:00〜          場所 厚生労働省専用第21会議室(17階) ○座長(大橋) ただいまから「第5回介護労働者の確保・定着等に関する研究会」を 開催します。お一方の委員からは、若干遅れるという連絡が入っています。  本日も、業界関係者からヒアリングを行いますが、今回は好事例事業所ヒアリングと いうことで6つの事業所の皆様にお越しいただいています。最初に、特別養護老人ホー ム光風荘から施設長の深山繁春様に、15分程度でお願いします。 ○深山氏 事業所の設置主体は、社協以外の社会福祉法人です。主たる業務としては、 介護老人福祉施設、定員が54名。短期入所生活介護事業、定員が16名。通所介護事業、 訪問介護事業、居宅介護支援事業に併設施設として小規模ではありますが、ケアハウス の定員15名ということで設置しています。  介護事業の現状は、立地条件として千葉県茂原市ということで、九十九里海岸の真ん 中辺り。茂原市ということで、首都圏への通勤圏でもありながら、いちばん近い最寄り の駅は本納駅ですが、そこから車で15分程度を要する農村部に立地しています。地方都 市的な要素と農村部的な要素が相まっていまして、また地方都市にありがちな最寄り駅 からの公共交通機関がありません。通勤は、自家用車等となっています。  現状は、介護老人福祉施設においては平均要介護度が4.11、利用率で95%ということ で、年々重度化傾向にあります。また、短期入所生活介護事業についても介護度が4及 び5の利用者の割合が、平成18年度で36.7%、平成19年度で58.4%と、これも同じように 重度化傾向にあります。通所介護事業は、介護予防事業の導入によって登録53名中2名が 予防給付となりました。この方たちについては、認定上の若干の疑問は残るところです。 その他、居宅介護支援事業については、平成18年度改正によって、本来の機能であった ケースワークという観点が非常に発揮できるかなと思っています。  人員構成と過不足感です。平成18年度末において介護老人福祉施設、特別養護老人ホ ームですが、介護職正規職員が19人、非正規が10人いましたが、4人の退職がありました。 その補充のために、その間3/4以下のパート職員の3人の補充はできましたが、7カ月間を 要してしまいました。いままでこのようなことは全く経験がなかったものですから、世 情言われている求職者の減というものを直に感じたところです。平成19年度は、特に求 職者の絶対数が不足していたのかなと感じました。一方、定期採用においては個別ケア への方向が定まった3年前よりかなり計画的に実施しまして、確実に採用できています。 特にその中で退職者が6人中1人であったことを考えると、効果はあるのかなと思います。 このことに関しては、6年ほど前より養成校の研修を積極的に受け入れ、きちんとした プログラムによって研修に当たった結果ではないかなと思っています。これは余談です が、入職してきた人たちと話したのですが、生徒間の情報交換は非常に密でありまして、 施設の善し悪しというものはつぶさに共通情報として持っているということも言ってい ました。  ※のところですが、小さな施設において定期採用というのは非常に難しい点もあろう かと思いますが、事業の安定性を考えると効果が大だなと思われます。ニーズに対応す るということで個別ケアを整理しますと、かなりの職員変動に対してもある程度耐性は 出てくるのかなと考えています。この耐性ですが、後ほど申し上げますが、利用者を適 確に把握することで、やるべきことを必須業務とニーズ対応とに分けることができると 思います。そのことは、集団処遇の一律業務対応に比べて、即応性のない業務を先送り できる等で、明らかに職員変動に対応できるという意味でご理解ください。  雇用管理改善の効果的な取組等です。雇用管理の上でいまいちばん大事なことは、馴 れ親しんだ環境を好むという老人の特性からも、現有職員が定着することが最重要であ ると思います。そのような中で、社会福祉法人ということで小さいとはいいながら、介 護老人福祉施設を有しています。そのことは、財源・人的資源ともにある程度の余裕が あるため、組織改変あるいは研修にもじっくりと取り組むことができました。加えて、 介護保険法上の小さな事業にも鋭意取り組むことができます。このことは、今後職員の 経歴加算に伴って必須となるであろう「キャリア・パス」という点に対しても、実現可 能性を各職員たちにも示唆するものということで考えています。  いま申し上げました財源・人的資源の余裕ですが、特別養護老人ホームというのは私 どもみたいな小さな施設でも、30人以上の介護職員を有しています。また、基本情報の ところでも述べましたが、平均要介護度が4.11ということで比較的に高い。このあたり を申しています。小さな事業というのは訪問介護事業であるとか、居宅介護支援事業で あるとか、ケアハウスという予算規模、人員規模が小さくとも、地域ニーズに根差して 事業実施ができていると捉えてください。  特に改善効果が高かったものはという問についてですが、有資格者を内部登用します。 事業種別ごとに専任の管理者を置く形での管理職の拡大を図ることによって、職員一人 ひとりがスキルアップと待遇の整合を体現できるとします。併せて組織フラット化を実 現して、情報伝達の正確さ、スピード化を図っています。それと、いままではこれが有 用な人材確保の措置になるとは理解していませんでしたが、資格取得のための研修等の 際には職務免除とします。施設からの出張の形を取ります。その他、介護支援専門員に 関してはその費用の全額を施設で負担し、社会福祉士、介護福祉士等については資格取 得後、その費用の一部を報酬費として支給します。  ここで別紙の説明です。資料として別紙1から別紙3をお付け申し上げました。 ○佐藤介護労働対策室室長補佐 皆さん申し訳ありません。光風荘様からいただいてい る参考資料が資料の中に入っています。 ○深山氏 資料1です。このお話をいただいてからいろいろ考えました。人材確保対策 として、唯一無二の秘密兵器は存在しないと思いました。まず、法人としてのあり方あ るいは介護職を支えるという組織風土の醸成というものが問われるのかなと感じました。 介護は理論ということに関して申し上げれば、介護保険が介護の方法を見直す絶好のタ ーニングポイントになったと思っています。それは、要介護認定の仕組み。余分な話で すが、平成11年8月に研修を受けまして、12月から私どもの入所者のそれぞれの介護度 をシミュレーションするために、職員と一緒にすべての入所者を弾きまして、そのとき に職員が老人という括りから誰々さんという括りになったわけです。その辺も、ある意 味では介護保険がいいインパクトを与えてくれたかなと思っています。そういうことを 通じて、クライアントの全体像を知らなければならなくなります。  集団処遇から個別ケアへという流れですが、リスクマネジメントというツールを平成 11年に開始しています。これは資料に添付しておきましたので、ご覧ください。もちろ ん、このリスクマネジメントというのは事故防止にかかる評価検討をしますが、施設長 と職員とのいちばんいいコミュニケーションツールだと考えています。ということで、 日々の仕事の中に発見・学習の機会というものがあります。そこで働く意味・働きがい を見つけるということです。資料3にあるように、毎月1時間に限り行うことですが、O JTという形でどこにでもある内容かとは存じますが、単なる座学ではなくて、できるだ け体験を取り入れた学習様式で行います。ねらいとしては、法人が媚びる必要も、居丈 高になる必要もないよと。企業として社会に果たす役割、その中で自分の存在する意味 というものを理解してもらうのがねらいです。そうして働きがい、やりがいというもの を感じて、それぞれの職員に自立してもらおうということがねらいです。ということで、 させられる仕事からする仕事へ転換しようということにしました。  これらを総じて述べますと、働きがいを求めてきた人が働きがいに挫けたときに、と ころで待遇はどうだろうかと考えてしまうのだと思います。働きがい、やりがいを我々 が提供できれば、離職というのは相当少なくなるのではないかなと思いました。これは 抽象論のようではありますが、介護職の働きがいというのは利用者の笑顔であり、なぜ かといえば、彼らが利用者との濃密な関係性の中で働いているからだと思います。資料 を終わります。  元に戻りまして、今後事業所において取り組みたいこと。これは有休消化もできない 中でとお笑いかもしれませんが、リフレッシュ休暇という形で、少ないですが3年経過・ 5年経過・7年経過で、各々1日〜3日の休暇を特別休暇として付与する準備をいましてい まして、来月早々には実施しようと考えています。  最後に要望です。介護保険はその導入時から孤独死・虐待・減額改定・コムスン問題 等、我々としてみれば否定的な報道が多くて、求職者あるいは学生たちに計り知れない マイナスイメージを植え付けてしまったのではないかと思います。まず、このことの払 拭を図っていただきたい。そして、私は団塊の世代のいちばん最後のほうになりますが、 団塊の世代の高齢化問題あるいはマイナスシーリングのみに囚われるのではなくて、介 護事業は最たる労働集約型産業であり、そこに働く人のモチベーションでその施設の良 否が大きく左右される事業であることを念頭に置いて、私たちもしっかり法人改革に立 ち向かいますので、彼らが社会的に必要かつ有用な仕事なのだという夢、または世帯形 成という将来展望が持てるような改革案を発信していただきたいと思っています。以上 です。どうもありがとうございました。 ○大橋座長 どうもありがとうございました。丁寧にご説明いただきました。時間に若 干余裕がありますので、質疑はあとで行うことにしまして、いまいただいたご説明の中 で意味をもう少しはっきりさせたい点があればご質問をいただいても結構かと思います が、いかがでしょうか。  私は1つわからないところがあります。2頁の(1)の下に枠で囲ってあって、※の2番 目に「ニーズに即応するという事で個別ケアを整理すると職員変動にある程度耐性は出 てくる」というのがありますが、これの意味をもう少し説明していただくとありがたい です。 ○深山氏 いま、個別ケアに向かっていくと職員数が増えるのではないかということを しょっちゅう言われています。厚労省が用意しましたツールに、ユニット型であるとか 個室特養というのがありまして、逆に言うと職員が増えるということがありますが、そ れは大規模集団処遇を小規模集団処遇に変えていくだけなので、業務優先には変わりな いと思います。ですから、個人のニーズに即応する形で個別ケアを見詰めてみると、例 えば私どものように非常に少ない人数になってしまったときには、いまやらなければい けない仕事と少し先に送れる仕事の区別ができます。そういうことで、職員数が減って も十分対応できるということを申し上げました。 ○堀田委員 3頁の2の箱の中に「管理職の拡大」と書いてありまして、これは法人全体 として管理職の人数を増やしていくという意味なのかということで、それによって「待 遇の整合を体現」と書いてある。そうすると、全体としてどんどん人件費が膨らんでい くことにならないのかしらと思ったのです。 ○深山氏 若干の人件費の増加はあります。従来の特別養護老人ホーム等々を見ていま すと、副主任とか主任とか、それぞれが介護職あるいは生活相談員職にあるだけです。 厚労省や県等々の見方というのは、こんな小さな施設では管理職というのは施設長だけ だよという見方もあろうかと思いますが、私どもからしてみますと中間管理職という言 い方ではなくて、責任を施設長と分かち合えるような立場の人を作るという意味合いで、 それぞれ小さな事業所ですが、そこにキャリアを積んでくれた専任の管理者を置くとい うのは、下から見たときに「私もあそこまで行けるんだ」ということとの関係で、こう いうことが必要だと思います。ただ、若干の人件費の増加はあります。 ○堀田委員 その管理者を置くことはよくわかりますが、役割だけではなくてそれに伴 って賃金の面でも上げているということですよね。そうすると、人件費率がどんどん上 がっていくことにならないですか。管理職が増えて。 ○深山氏 若干の人件費の増加は仕方ないと思います。 ○堀田委員 でも、若干で済んでいるということですね。 ○深山氏 はい。 ○堀田委員 ありがとうございます。 ○佐藤委員 いまのところで確認ですが、他方でフラット化と書いてあるので、普通は フラット化すると管理職が減りますよね。ですから、管理職というより、必ずそこを通 らなければいけない階層という意味での管理職ではなくて、特定の仕事の責任、ジンイ ダイみたいなものを置いているという趣旨で理解すればよろしいですか。 ○深山氏 まずそこから始まっています。事業管理、人管理をするという意味合いでの 管理職。ですから、私も一緒の位置づけだよと。それで、スピード化を図るという意味 も含めています。 ○大橋座長 わかりました。どうもありがとうございました。  続きまして、介護老人保健施設ハートランド・ぐらんぱぐらんまから、事務長の根本 伊佐夫様に15分程度でお願いします。 ○根本氏 私どもの施設は、東京都八王子市の西部に位置しています。開設して13年目 になる施設ですが、入所定員が100名、デイケア定員が25名。常勤の職員が67名、非常勤 職員が11名です。介護職員に限定して申し上げますと、入所及びデイケア担当の介護職 員は45名です。内訳は常勤者が42名で93%、非常勤が3名です。女性の割合は30名ですか ら、約66%になります。全員が有資格者で、うち介護福祉士は40名、約9割です。年齢構 成は10代から60代まで幅広いですが、特に20代、30代の職員が多いということで、平均 年齢は35.7歳です。中途採用者は24名、新卒が21名。開設して13年目になりますので、 勤続5年以上の常勤職員は18名で43%です。  採用については、近年はそのほとんどが介護福祉士養成校の新卒者を毎年2、3名採用 しています。これは、年度途中に結婚や出産、転居等で退職する人員の補充を予め年度 当初に行うことにしています。  これまでの施設運営の中で、入職4、5年目に退職するケースが連続した年がありまし た。理由はさまざまに考えられたわけですが、一口では表わせません。ただ言えること は、介護職をやめてしまう。つまり、介護とは別の業界へ転職してしまうケースがほと んどであった。いかに介護職を定着させるか、また介護職としてのモチベーションをい かに維持して、かつ高めることができるかが大きな課題となったわけです。その後、施 設としてさまざまな取組も行ったわけですが、結果、以前に比べて定着率は良くなった と思っています。ただ、単に定着率が上がって経験年数を積むことだけでは、決して介 護職としての意欲が向上したり専門職としての力量がアップするわけではないことも痛 感させられました。従来の4、5年経験で、せっかく中堅職員としてリーダーシップを発 揮したり後輩の育成にも力を出せるものを持ちながら転職していく職員がいる一方で、 淡々と与えられた業務をこなし、中堅職員としての役割期待には全く関心を示さない職 員が滞留する現実もありました。こうした現実を転換するためには何かが足りないとい う思いが、日に日に強くなっていました。  こうした中で、雇用能力開発センターが行うキャリア形成助成制度に出会いました。 これは、全国老人保健施設協会が新たな介護労働力確保のために、平成20年度から実施 する実践型人材養成システムの基本となる制度で、新入職員の資格取得をバックアップ する制度と同時に、現任職員のキャリアアップに関わる研修等に補助金が出る制度です。 昨年、この制度に取り組むための準備を進めていく中で、いままで介護職員の定着と人 材育成のために不足しているものが何であったのかが見えてきたような気がしました。 それは介護職に限らず、施設で働くすべての職員に対し、それぞれの職務で具体的に何 が求められているのかを明確にしなければならないということでした。したがって施設 が行うことは各職種それぞれの仕事を明確にする。職員がその明確になった仕事を見て、 自分がどういう内容の仕事ができれば評価されるのか。簡単に言いますと、その職務で 最低限何ができなければいけないのか。さらに、どのような力量を付ければプラス評価 になって役職が付いたり、給料が上がったりするのか。このことを明確にすることでは ないかと考えました。  お手元の資料で説明します。1です。もちろん、これまでも事業内職業能力開発計画 (個票1)にあるように、施設の基本方針、施設の理念と役割、また施設運営の基本、 人材育成の基本といったものはありましたが、その結果どうなるのか。また、その実現 のためにはどういうプロセスを踏んで、職員自身が何を努力すればいいのかの展望。職 員にとって、目標となるものを仕組みとして施設が持っていなかった。このことに尽き るのではないか。そこに考えが至ったわけです。その上で、その後ろに個票2という資 料が付いていますが、ここでは事業内職業能力開発計画に昇進・昇格と人事管理の目標 及び視点、さらに施設が人事考課制度を確立する理由を明確にしました。例えば、人事 管理については人を生かす人事管理。「人材育成を効果的に推進し、施設の方針に沿っ てサービス提供のための適切な職員配置のためには職員研修だけではなく、昇給、昇任 ・昇格、人事異動を有機的に結びつけ、職員の意欲を活かし」云々という内容での文章 を明確に作りました。これらの内容は、人事考課の目的というのは人材育成であって、 その人材像の評価方法を明らかにして、勤務評価によって職員の育成を図る方針を打ち 出すことにしました。その辺が個票2に書いてあります。  こうした人材育成の基本方針の下で、施設における本格的な人材育成のシステムを作 り上げるためには、職種ごとの人材育成、すなわち介護職で言えば介護職の職業能力開 発の策定を行うことになります。この計画を作成するためには、ベースとなる介護職の 職業能力体系を作成することが必要になります。これは、私どもの資料の個票3に付属 する資料として、介護職の職業能力体系というものを添付しています。部門に「介護」 と書いてあります。これは全職種作ったわけですが、今日は介護職に限って紹介をしま す。このような内容です。  介護職員がこの体系を見て、いまの自分はどのレベルにあるのかを考えることができ る。そして、次にチャレンジ目標を持てるようにする。ただ、ここにお示しした職業能 力体系を見て、自発的に職員が成長するわけではありませんので、施設は能力開発のた めの訓練、すなわちOJT、OFF-JTの教育訓練を行うことになります。いまお示ししてい る職業能力体系とはいかなるものかということですが、縦軸にいま申し上げた部門、職 務の内容。横軸が職務のレベルでL1からL4まであります。基本的には4段階のレベルを 基本軸にしました。介護職でいえばレベル3、L3が介護のリーダーとしての職務であり、 中堅ないしはベテラン職員と言えます。レベル4は管理的な業務。例えば、当施設であれ ば主任などの中間管理職と捉えていただければわかりやすいかと思います。職務の内容 は多岐にわたりますが、こういった内容でそれぞれの職務についてのレベルを細かく明 示することにしました。  この職業能力体系があって、その次に先ほどご説明した職業能力開発計画が来ること になります。ぐらんぱぐらんまも開設時の給与体系を数年前に一部見直したわけですが、 将来を見通しての昇進、昇給及び人事考課を整備する余裕がないまま走ってきたのが現 状です。職員の頑張りを評価する仕組みをはっきり作る。頑張った者が報われるという システムによって、やる気を喚起する必要があると思います。  これらを整理しまして、1つのイメージとして表わしますと、個票2の別表の1のように なります。別表1では、職業能力と昇進・昇任を縦軸にしまして、それに対応した給与体 系がイメージできるようにしています。また、キャリアアップのための研修制度も表記 して、平均的な滞留年数も組み入れてみました。もちろん、能力が高かったり秀でた実 績を上げれば別表2の第6条に示すような形で、実績を上げれば昇進・昇任に限らずボー ナスなどの評価があることもわかる内容にしています。また、参考までに別表の2では、 職務能力と給与の関係について昇給の評価基軸と構造を表わし、資格による給与と役職 別の給与格付けも表わすことにしました。  ぐらんぱぐらんまでは、これまで職種別の給与基準と経験年数による昇給基準を定め ていましたが、こうした人事考課による給与規定を導入することは初めての試みとなり ます。昨年から職業能力開発計画と人材育成、そして人事考課制度についての準備を開 始し、まず課長以上の職責者に各職種の職業能力体系を作成してもらうことから始めま した。先ほど示した介護の職業能力体系も、ケアサービス課の課長が作成したものです。 体系図は、職員が見て具体的な職務内容がつかめるように作ることが求められています。 したがって、最初この話をしたときに、課長クラスから「忙しいときに何をさせるんだ」 と、大変なブーイングがありました。その後、本日説明した内容と同じことを課長たち に話をしましたところ、必要性は認めるという反応に変わりました。その後の会議を続 ける中で課長たちが、これはしっかり取り組まなければならないということを口を揃え て言い出すようになりました。1歩踏み込んでくれたなという印象があります。明らか に、中間管理職の意識が変わったのが第1点です。これまで、老健の同じ釜の飯を食っ て頑張ってきたメンバー。悩み、課題は共通しています。とにかく人が欲しい。有能な 人材に育って欲しい。燃え尽きないで、長く情熱を維持して頑張って欲しい。そのため にはどうすればいいか。その結論として、今回の職業能力開発計画に取り組むことにな りました。  この計画は、基盤構築のための3カ年計画としています。初年度となる本年度は、課 長及び主任クラスの意識改革と人材育成のための体系づくり。そして、計画内容の全職 員への周知を目標にしています。2年目は、中堅クラス職員の研修と給与規定の整備。 そして、人事考課制度の試行期間を想定しています。3年目は、全職員を対象にした職 業能力開発計画の実施と、人事考課の本格的な導入です。毎年全職員を対象にアンケー トを実施しながら検討を加え、推進していく計画です。この計画を開始するまでに都道 府県及び各市町村など、自治体の人材育成計画や病院及び福祉施設の人事考課制度等々 について閲覧し、検討を加えてまいりました。また、賃金制度やこれから必要とされる 人事考課の方法やポイントについては社会保険労務士に相談し、また私自身が社労士事 務所の主催する労務管理改革講座を度々受講して、老健施設に見合った制度について考 えてまいりました。準備のための時間をかなりかけたと思っています。その計画が、い よいよ今年度からスタートしたわけです。まだ端緒についたばかりですが、職員の間に はある種の期待感が広がっているように思います。それだけに、絶対に軌道に乗せたい と思っています。  最後になりますが、安定した質の高い介護人材の確保という長年の懸案に対し、ぐら んぱぐらんまでは、いままで申し上げた内容での職業能力開発計画を開始することにな りましたが、これらに取り組む介護職員の意欲と介護技術の向上のためには、実績の評 価としての昇給や待遇の向上は切り離せない命題であると思います。度重なる介護報酬 の減額改定で、今や介護施設の経営は危機的状況に陥っています。介護職員の育成と、 それぞれの実績に見合う給与を、名実ともに可能にするためにも、是非とも適切な介護 報酬の改定を切に念願して、私の報告とします。ありがとうございました。 ○大橋座長 どうもありがとうございました。何かありますか。 ○北浦委員 1点だけ確認をします。聞き漏らしたかもしれませんが、職員の数が45名、 うち常勤43名というのは全部正職員ですか。 ○根本氏 そうです。 ○北浦委員 そうすると、正職員でない方はいらっしゃらないのですか。 ○根本氏 非常勤ですね。 ○北浦委員 非常勤というか、非常勤の方が正職員化。 ○根本氏 常勤か非常勤かということではなくて、正職員という意味ですか。 ○北浦委員 そうです。 ○根本氏 はい。 ○北浦委員 つまり、ここで制度の適用を受ける方々ということですが。 ○根本氏 それは常勤です。 ○北浦委員 そうすると、働いていらっしゃる方全員が正職員の扱いになっているので すね。ですから、ほかの施設ですとわりと正規というか、正職員と正職員外というのが ありますね。常勤であっても、例えば嘱託契約、契約社員とかがありますよね。そうい うのはいらっしゃらないということですか。 ○根本氏 定年を迎えた方については嘱託雇用契約、契約社員ということにはなってい ます。ただ、契約社員という方は1人もいらっしゃいません。ちょっと履き違えました。 正職員です。 ○北浦委員 全部正職員ですか。 ○根本氏 はい。 ○北浦委員 それで、こういう制度ができるわけですね。 ○堀田委員 私も聞き漏らしたかもしれませんが、様式1の職業能力体系は、自己評価 をしてどなたかと面談をしてという感じですか。職業能力体系で整理がされていますよ ね。自分のいまの能力のレベルがどれぐらいかなというのは、介護職一人ひとりがマル を付けていって、上司と面談をしてという流れにしようという感じですか。 ○根本氏 想定としては、そういうものをイメージしています。 ○大橋座長 どうもありがとうございました。またあとで、引き続きご議論をいただき ますのでよろしくお願いします。  引き続きまして、株式会社やさしい手から取締役管理本部長の小林新吾様にお願いし ます。 ○小林(新)氏 いつもありがとうございます。お手元の資料は、こちらのヒアリング 資料と参考資料5、そして配付資料を使ってご説明したいと思います。  冒頭にお願いがあります。本日は事例のご紹介ということで、利用者と職員の個人的 な情報をご披露します。これについてはご利用時、また弊社のビジネスパートナーにな っていただくとき、こういう学術的な研究のときには披露して良いという同意書をいた だいていますので、個人的な情報を一部お知らせしますが、その内容はどうかこのお部 屋を出た折りにはお忘れいただければと思っています。  ヒアリング事項の資料の1頁です。弊社は株式会社です。本社が東京都目黒区にあり まして、都市型の事業社です。介護関係業務に関わる主たる業務については記載のとお りですが、その70%が訪問介護です。利用者が1万人、訪問介護員が3,000人、サービス 提供責任者が326人。したがいまして、本日は訪問介護事業のお話をと思っています。 介護事業の現状については、皆様ご承知のとおり、訪問介護員がなかなか集まらないと いう課題があります。  配付資料の1頁です。手前どもは、サービス提供責任者は正規社員です。訪問介護員、 いわゆるヘルパーは非正規社員。登録型のヘルパーにやっていただいています。他社様 のお名前も出て恐縮ですが、こういった募集チラシで人員を獲得しているというのが主 立った人員獲得の施策です。これをご覧になっていただいておわかりかと思いますが、 他社様が生活援助は1,400円、身体介護は1,900円といった時給をお支払いしている中、 弊社はあまり自慢にはならないですが、圧倒的に時給が安い。生活援助は1,100円、身 体介護は1,600円という状況です。しかしながら自分で言うのも変ですが、わりと健闘 しているのではないかというところです。どういうことを工夫して健闘しているのか。 働き手に、どういった提供価値を与えて健闘しているのか。今日は、そういった事例を ご披露したいと思います。  ヒアリング資料の2頁です。人員構成と過不足感ですが、訪問介護についてはすべて 有資格者です。経験者がなかなか採れませんので、その大半は全くの素人の方に入って いただいて、いろいろ勉強してやっていただいています。正規社員と非正規社員の比率 が1対9。正規社員のすべてがサービス提供責任者、非正規社員のすべてがヘルパーとい う状況です。東京都を中心にやっていますが、特に東京23区内の応募状況が非常に難し い。採用が難航しています。雇用管理改善の効果的な取組については記載のとおりです が、採用から育成・支援・評価といったことの雇用管理を効果的に行って、訪問介護員 個別の能力開発を行って、研修を充実してその方ができることが増えて、何かこの業界 で頑張っていけそうだと思ってもらうようにしています。  3頁は、これまでの雇用管理の改善に取り組んだ措置等です。14項目記載しています が、上から10項目がヘルパー向け、下の4項目が社内のサービス提供責任者向けという 括りができます。ヘルパーにも単に教育を与える、勉強していただくこと以外に、それ を活用していこう、勉強したことが本当にできるか現場で使ってもらおうということで、 仕事を与える機会を増やすといったことに力を入れています。  今後については、社内のサービス提供責任者においては正社員ということで、雇用管 理とか、その方の成長を促すために目標管理を使った人材マネジメントを行って定着を 図っています。ヘルパーについてはちょっとお見せしたいと思っていますが、雇用管理 をしっかりやっていますが、その方に対する目標設定達成支援がまだまだですので、今 後については非正規社員のヘルパーに向けても目標管理制度を導入して、その方の成長 を促せるようにしていきたいと思っています。  4頁は結論です。皆さんがいただけるお金は少ないより多いに越したことはないとい うことですが、単なる賃金勝負の人材獲得競争になりますと、特に東京都内でやってい る手前どもには不利ですし、なかなか難しいということで、むしろ雇用管理整備にしっ かりお金を出してやっていきたい。また、そういったことをこの業界で推奨して、単な るお金だけではなくて自分が成長することに提供価値を見出して、この業界に入ってい ただければと思っています。  実際、どういった形で活動しているかについては、手前どものシステムを少しご披露 させていただければと思います。サービス提供責任者については、こういった求人サイ トを専門に持ちまして、単なる時給がいくらということのみならず、先輩社員が実際ど う活躍しているのかを見ていただいています。利用者情報やセキュリティをかけている 情報と、インターネット上で誰でも見られる情報の2本がありますので、時間がかかっ ていまして恐縮です。こういった求人サイトで、先輩がどんな活躍をしているのか。「 私の1日」「いま思っていること」「こういうことができるようになりました」というこ とを披露して、働き手に共感をしていただこうということをやっています。また、入っ た後も社員ブログというのがありまして、日々の仕事の悩みであったり、公私ともに仲 良くなろうと。同じ価値観、気持を共有して一緒に仕事をしましょうということで、自 分の趣味とかいうことを披露して、みんなで仲良くなろうということをやっています。  また、そういう楽しいことのみならず、このお仕事は利用者のご都合で土曜日に来て ほしいですとか、利用者のご都合は待っていただけませんので、雇用状況については変 形労働時間制を導入しています。土曜日に出てと言ったらきちんと出て、水曜日はしっ かり休もうと。また、従業員が多うございますので、残業管理ということも、問題・課 題を一緒に改善していかないと減らないし、1人でいろいろな問題・課題を抱えてしま うこともあります。ここにいながら全職員の日時の就労時間、8時30分に来て何時に帰 りましたよということをしっかり見られるような状況にしています。事前に、今日は8 時30分から18時30分まで働くよと。そして、上司がそれをチェックして承認する形で雇 用管理をしています。  ヘルパー向けには同じようなシステムで、利用者が1万人、ヘルパーが3,000人います ので、そういった方たちの情報を一元的に管理して、326人という少ないサービス提供 責任者でやっています。人間ですから、けがもしますし病気もしますし風邪もひきます。 いない中をどうやってお客様に対してサービスの質を落とさないようにするかというこ とで、システム上情報を一元的に管理しています。利用者の情報だったり、利用者がい つサービスが欲しいと言っているかの情報だったり、そういうことがこれを見ればわか ってまいります。  利用者の個人的な情報で恐縮ですが、例えばいちばん上の利用者を見ますと、私はこ の方には会ったことはありませんが、どこに住んでいてどういう状況で、今日はどうい うサービスを行っているのかということは、こちらを見れば一目瞭然です。また、緊急 事態があった折りには、利用者の基本情報を見れば緊急連絡先や、いままで手前どもの サービスをどういう形でご利用いただいているのかが一元的に管理できている状況です。 これと働き手の情報をマッチングして、日々のコーディネートを圧縮して、本来やらな ければいけないサービス提供責任者業務、アセスメントしてきちんとした個別援助計画 を作ってサービス提供して、モニタリングしてということに注力するような状況にして います。日々の経過記録はプロセスレコードというのがありますが、ここに一元的に管 理して、いわゆる電子カルテと申しましょうか、これを見れば誰でも一元的にその利用 者の情報が確認できるようにしています。これを基に机上だけではなくて、みんなでカ ンファレンスしたりして議論する材料に使っています。  いまごろ出てきましたが、先ほどの雇用管理。いちばん上の方は昨日は9時から19時 30分まで出ますよ。上司が確認して、10分間残業してしまいましたね。これについて承 認する、承認しないという形で、みんなでそういった就労状況が見れるようにしていま す。  話が飛んでしまって恐縮です。ヘルパーをやったことのある方はご存じだと思います が、いつ仕事に行くというのは結構流動的で計画が立てづらい状況ですが、なんとか頑 張ってヘルパーに、「6月のあなたのお仕事の状況は、いついつ何時。この方のお宅に行 って、こういうサービスをしますよ。この方の個別援助計画を復習しておいてください ね」という情報を送れるようにしています。こういうことを送ることによって、1つのお 仕事として、かなり安心感が得られる。また、ヘルパーは賃金が多い少ないのみならず、 自分がきちんとしたお仕事ができているのか、それをどう支援してくれるのかというの が非常に気になるところで、こういう形で、ご自宅に時間どおりにお伺いできたのかど うかも一元的に管理できるようになっています。大宮店は優秀です。今日は何もないで す。業界で言う穴開けということが、今日はまだ11時ですが1件も来ていない状況です。 事業所によっては、5分遅れていますとか来ていませんとか、こういうアラームが出ます ので大変だということで、事業所でサービス提供責任者がそのケアをしていく仕組みで す。こういう形で、ヘルパーが安心して働ける環境づくりに努力をして、お金をかけて います。  また、まだまだですが、訪問介護員向けの目標管理制度も入れようということで、訪 問介護員ステータス管理というのがありまして、3,000人のヘルパーお一人お一人に、 この半年間でどういうところまで成長したいですかということを、ヒアリングして目標 設定して心情確認することが、まだできていないですが、今後やっていこうと思ってい ます。そのイメージですが、いろいろ飛んで恐縮ですが、お手元の資料に戻って実際に ヘルパーにどういう目標設定して達成支援するのかについては、スライドを飛ばしてい ただいて後ろから4枚目です。四半期ごとに個人個人に組織目標と合致するような個人 目標を設定して、具体的にこの3カ月間どういうことをやるのかを自己申告で、上司と 一緒に作ってもらっています。それで、株式会社らしいのですが、もちろん売上利益の 目標もあります。また、それに至るお客様にどうやって満足してもらおうかという目標 もあります。チーム全体でやっていますので、みんなで情報共有する仕組みをどうする かという目標もあります。そういったことを付けて、いちばん下の頁が毎月面談して、 目標はどうだったか、どういうところに課題があるか、次月はどうするかといったこと を日々やって、その方が目標達成できるように、成長できるように支援をしています。 それをクオーターごと、3カ月に1回ごとに確認していく仕組みをやっています。  お時間の都合もあると思いますが、そういったことをやっているよと、概念としては こちらのスライドをお付けしています。主に、このスライドの2頁に戦略マップと戦略 目標の関係がありますが、企業ですので収益と成長性を向上させていって、その企業の 継続性や安定性を保たないといけないのですが、そのためにはお客さんに満足してもら おう。そのためには、どういうことをすればいいか。そのためには人材育成戦略上、ど ういうことをすればいいというのを書いています。大きなものは3つあります。1つは、 個人と企業の目標の一致。先ほどお見せした目標管理制度を活用してやっていこうと。 また、サービスライン別。いまはあまり珍しくないですが、訪問介護と支援事業部は全 然違う組織体でやっていまして、牽制し合っている機能も持っていますし、サービスご とで集約される好業績のやり方を再現しやすいような環境を整えています。また、体系 的な研修制度による能力開発。また、開発された能力を発揮する場の設定。これは、先 ほどの目標管理制度を使ってやっています。そして、この介護業界に携わる方たちが、 私もそうだったのですが、全くの素人の方がこの業界に入って、自分がやれることを増 やして自分の人材価値を上げて、もっとお客さんに満足してもらって企業の収益性や成 長性を向上させていくという仕組みでやっていこうということです。  冒頭に申し上げましたとおり、なかなか、賃金勝負での人材獲得競争には勝ち目もあ りませんし、そこにどれほどの意味があるのかをこの業界全体でもう少し考える必要が あるかと思いますが、特にこの介護業界においては何かをなし遂げたいという方が非常 に多うございますので、そういった気持をそういったニーズに見出すような提供価値を やっていこうということで、雇用管理整備。また、成長に寄与するような仕組みづくり に努力をしています。  したがいまして、期待することと言ったら恐縮ですが、こういったことにお金をかけ ること、努力することを推奨していただく、そういう仕組みづくりが非常に大事かと思 います。以上です。 ○大橋座長 ありがとうございました。時間も押していますので、次に移りたいと思い ます。 ○佐藤委員 事務局にですが、参考資料の後ろ4頁は回収のほうがよくないですか。個 人名で、これは実在の人たちですね。 ○佐藤介護労働対策室室長補佐 はい。 ○佐藤委員 本来、企業のヒアリングは非公開が一般的なので、私は回収にしたほうが いいのではないかと思います。個人名が入ってしまっているので、あとで検討していた だきたい。研究会資料はホームページに載ってしまうのでしょう。それは相談していた だいたほうがいいような気がします。 ○佐藤介護労働対策室室長補佐 はい、了解しました。 ○小林(新)氏 余談ですが、本人にオーケーはいただいています。成績も良いのでい いですと言っていました。 ○佐藤委員 わかりました。ご検討ください。本人がオーケーなのですか、私が余分な ことを言いました。 ○大橋座長 ありがとうございました。 ○小林(新)氏 ありがとうございました。 ○佐藤介護労働対策室室長補佐 NPOを2つ一緒にお願いします。 ○大橋座長 わかりました。サポートハウス年輪の理事長の安岡厚子様、及びご一緒に 特定非営利活動法人の暮らしネット・えんから、代表理事の小島美里様、よろしくお願 いします。 ○安岡氏 特定非営利活動法人、通称NPO法人サポートハウス年輪の代表をしておりま す安岡です。本日はこういった機会を与えていただきまして、ありがとうございます。 よろしくお願いします。私以上に喋りたい小島さんが控えていますので、時間を少し考 慮しながらお話させていただきたいと思います。  お手元に配付されているヒアリング資料と、綴じられているいちばん後ろの資料が、 暮らしネット・えんのパンフレットですが、その前に年輪の通信やパンフレットの資料 がありますので、これは後ほど参考のために見ていただければと思います。時間もない ところですので、ヒアリングの資料に基づいてポイントをお話させていただきたいと思 います。  事業所の属性のところに、NPO法人のことを少し書いていますが、こちらもお読みい ただいて、今年で15年目、来年で15周年を迎えるNPO法人です。NPO法人になる前の任意 団体が6年、さらにサポートハウス年輪を設立する前のバームクーヘンという団体が15 年ありますので、全体を通すと来年で30周年の団体であるということです。今年度決算 が出ましたので参考のためにここに書かせていただきました。税金等もこのように払う NPO法人だということを理解いただきたいと思っています。  介護関系業務に係る事業につきましては、西東京市で活動していますが、すべて西東 京市内に事業所を持っていて、地域密着型サービスができる以前から地域密着型のサー ビスだと言われている団体です。  介護事業の現状についてどうかと言うと、訪問介護事業が2度の改正によって減収に なっています。ヘルパー不足によって利用者の望む時間、曜日に提供できないというこ ともあり、2007年度実績が前年度比88.4%となっています。それに引き換え、在宅介護 家族の負担軽減に効果を上げている通所介護、年輪の場合は認知症に特化してやってい ますから、この実績は伸びていて、2007年度実績が前年度比103.8%となっています。 介護保険サービスでできないサービスを、年輪サポート事業ということで立ち上げてい ますが、これが徐々に伸びてきている状況があります。  次の頁で人員構成と過不足感については読んでいただければと思いますが、職員は約 100名です。常勤職員と非常勤職員がこのような形でいます。全体としては、私たち住 民が立ち上げた団体の特徴なのですが、新人をゆっくり育てていくようなお金も経験も ないものですから、経験者が非常に多いということです。参考のために平成16年度に新 卒3名を採用しましたが、現在どうなっているかということで書いています。5年目を迎 えていますが、1名のみ残っています。平均年齢は51.97歳、女性と男性の比率はこのよ うな形になっています。最近ですが、募集に対して応募が非常に少なくなってきていま す。ここ1、2カ月の状況ですが、子育て中の若い女性の方で週2〜3回、短時間で働きた いという応募の方が増えてきています。即戦力にはなかなかならないところがあるので すが、先を考えて、何せ平均年齢が51.9歳ですので法人の継続性を考えて、やる気のあ る方を選び採用しています。常勤職員への応募が非常に少なくなってきていて、法人全 体としての核となる人材の確保に苦慮しているのが現状です。  (2)の雇用管理改善の取組ですが、法人の概要を説明したときにお話しましたよう に、地域密着のサービスを15年近く提供していますので、信頼を得ているとこちら側は 思っていますが、紹介による採用等があるということと、あと参考資料として今日出し ている「年輪通信」を月1回、2,000部発行して、各公共機関などいろいろな関係機関に 置かせていただいています。こういったものを通して、デイサービスが休みの日の日曜 日に行っているいろいろなイベントを通じて、法人の知名度を上げる効果があるようで、 こちらを見てから応募される方もいるということです。  認知症に特化して年輪は取り組んでいて、サポーター養成講座を定期的に開催してい ます。これでNPO法人の社会的使命を内外に認知していただくことにより、これを通じ て採用のきっかけになったり、あるいは職員が誇りを持って仕事ができるようなきっか けづくりに昨年は取り組みました。職員全員、配達スタッフの方、年輪サボーターも含 めて、約100人が認知症サポーターの養成講座を修了し、私が現在、左手に付けている このオレンジリングを事務職も含めた全職員、配達の人、運転手も受けることに取り組 んでいます。  新人研修では、法人の設立から現在までの歴史を私が必ず2時間お話させていただき ます。地域の皆さんの寄付で造られた厨房での研修を、どんな短時間のパートでも必ず 入っていただいて、NPO法人というのは何もないところから、みんなが助け合って地域 の皆さんの力でできたことを実感してもらうようにしています。  それと介護保険の報酬が下がっていく中で、介護職だけによる介護現場というのがな かなか厳しいことがありますから、年輪で取り組んでいる年輪サポートのサポーター、 あと食事サービスなどを上手に組み合わせながら、介護職の負担を少しでも軽減し、専 門職としてのケアができるような環境づくりに取り組んできています。  2の取り組んだ措置は1と似ていますが、産業医と安全衛生管理者を昨年から導入して、 月1回の相談日を設けています。これが健康意識の向上に役立っているかなと思います。 これは全職員対象です。責任者会議というものを定期的にもつようになり、各部署の管 理者同士の情報交換が行われ、自分の部署の職員の管理に管理者が目を向けるようにな ってきたのではないかと思います。特徴として3年目になりますが、各部署にリスクマ ネジャーを選任していて、月1回のリスクマネジャー会議を定期的に開催するようにな っています。事故、ケアミス、ヒヤリハット等があるわけですが、こういったものに対 する意識と、職員が、みんなでこれを解決していこうという安心感を生むような形にな ってきたと思います。契約ヘルパーというのがいるのですが、タイムカードを導入する と意識の向上が結構見られるようになってきたということです。あとは読み取りいただ きたいのですが、外部研修などの伝達研修を昨年は年5回行っています。外部で研修して きたものを全職員を対象にして、こういう事を学んできたというのを発表させるような ことをして、法人全体として、いろいろな研修に取り組んでいることを意識づけるよう な取組をしてきています。  今後は、先ほど2法人の方から、いろいろ人事評価について出ていましたのですごく 参考になりましたが、今後、介護の分野における人事評価はとても難しいのです。何を もっていいケアとするかということは非常に難しくて懸案事項となっています。今後、 これを検討していきたいなと思っています。退職や異動によって業務の引継ぎがスムー ズに行えるようなマニュアルの整備と、現場での個別指導カリキュラムがないと、定着 に結び付いていかないかなと経験上思っているので、これに取り組み始めています。  最後の頁ですが、職員のメンタルケアへの取組としては、面接を重視しています。今 後考えていきたいのは、介護業務と事務業務、マネジメントの分離というものを少し考 えていかないと、管理者になった途端、事務業務が不得手なために現場の介護職でいた かったということで、管理者になった途端に退職する例が、ここのところ相次いだとい うことがあり、これを何とかしなければいけないと思っています。そのためにも事務局 体制を強化して、他のサービスとの連携強化を図っていかなければいけないということ で、今後の取組を考えているところです。  せっかくの機会で厚生労働省への要望という欄があったので、ここは強い言葉で言わ せていただきたいと思います。介護職養成のカリキュラム自体が現場と乖離しているの ではないかと思っています。私はこの業界に入って22年で、介護職もずっとやってきて ケアマネジャーもやっているのですが、そう思っています。マネジメントの養成という のがほとんどなく、責任ある立場になると退職する例が多いわけです。利用者と対する 仕事だけをしたい人が多いのが現状なので、介護職の養成カリキュラムをもう1回検討 いただきたいと思います。  それと在宅の訪問介護ですが、これは利用者のお宅が職場になりますので特殊なので す。施設等とは全然違い、さまざまなスキルが要求されるのです。いわゆる一般教養的 なもの、あとはしつけの問題とかいろいろあるのですが、養成研修修了後、すぐ現場に 入って仕事ができることではないのです。介護福祉士養成学校を出てすぐヘルパーにな れる方はいないと思います。ですから、私は何年か前からこういう機会に言わせていた だいているのですが、在宅の経験を積むインターン制というのが必要で、そのための財 政措置が要るのではないかと考えます。  それと、そのためのカリキュラムをきちんと作るべきではないかと思います。ちょっ と余談っぽく書かせていただきましたが、今後、家事を一切したことのない人が介護職 になってくる時代がやってきます。現在は団塊の世代の女性がヘルパーをやっています のでもっていますが、団塊の世代の女性が要介護者になったときに、家事は一体誰がや るのでしょうかということです。生活全体をサポートする介護職の養成ということを、 いま根本的に見直していかないと、現場にマッチするような介護職は出てこないと私は 思っていますので、よろしくご検討ください。  それと介護職員の現任研修を各事業所任せにするのではなく、自治体単位で行うこと ができるように国が補助を考えるべきだと思います。事業所任せにしていると、どうし ても忙しい、お金がないということで研修ができない。現任研修がしっかりできないた めに離職につながっているのではないかと思います。  人材確保にかける費用が、民間だと年間600万円ぐらいと聞いていますし、NPO法人で も100万円ぐらいかけている所もあるのです。ちなみに我が事業所は昨年38万円です。 これは地域密着でいろいろな方のことがありますので、これでできていると思いますが、 でも小規模な事業所というのは人材確保のためにかける費用が捻出できない。事業継続 も危ぶまれる状況になってきていると思います。せっかくある公共機関のハローワーク や福祉開発人材センターというのを、もっともっと使い勝手がいいように工夫していた だきたいと思うのです。人が集まってアクセスが簡単であって、魅力ある広報戦略をプ ロポーザルでも公募していただき、新しいハローワーク、新しい福祉開発人材センター というのにもっともっとアクセスできるようになっていって、そこで人材が確保できて いくと、介護職員の定着にも、人材確保にもお金を使わなくてもよくなってきます。そ のお金を事業所としては、介護職の昇給あるいは介護職の研修等に充てられますので、 思い付きみたいな話ですが、要望とさせていただきたいと思います。あと小島さんにバ トンタッチしたいと思います。よろしくお願いします。 ○大橋座長 それでは暮らしネット・えんの小島美里様、よろしくお願いします。 ○小島氏 NPO法人暮らしネット・えんの代表の小島と申します。お隣にいらっしゃる 安岡さんと地域も隣接していまして、埼玉県新座市というのは西東京や練馬区に隣接し た典型的なベッドタウンで、その中でも私どもは東京都との隣接地域の所をエリアとし ています。超地域密着型NPOというふうに、これは私が付けたのではなくて取材をした 方が付けたのですけれども、そう言われているNPOです。  本日、いくつか資料をお出ししているのですが、私どもの法人パンフレットと、この 中にある総事業費と人件費とスタッフの伸びというグラフを出しています。これを見て いただければ定着については非常に好事例かもしれませんが、経営上は悪事例として報 告しなければならないような状況ではないかと思います。人件費比率が80%を超えてし まっている状況になっていることを、まずお示ししておきたいと思います。  沿革については、私どもも安岡さんの所と大変似たところがあり、地域の全身性障害 の方たちの介助ボランティアから始まって、何月何日に始めたというより、ほぼ自然発 生的に始まっていったような経過があります。ほぼ平成が始まったころから活動を続け ていて、正式に事業として始めたのは、この中にもあるように1996年です。NPO法人格が ない時代だったものですから、私どもは障害者から始めて公的な訪問介護をしたいとい うことで、医療法人の中の訪問介護部門という形で始めています。その後、NPO法人とし てはまだ経過が非常に短くて2003年4月からということですが、それ以前の経過がありま すので、そこも踏まえながらというお話になろうかと思います。  私どもの事業でいちばん大きくて古いものが訪問介護で、自立支援法の居宅介護と移 送事業です。従業員総数約120名ですが、認知症と精神障害の方たちに非常に強いと言わ れています。今日は来られなかったのですが、副代表が在宅精神医学会で報告などをし ている状況です。ヘルパーは30名です。  居宅介護支援のほうは2.2名のケアマネで、いま72名ほどの登録がありますが、動いて いる数は50名ちょっとです。通所介護は認知症対応型の9名という大変小さな通所介護に なっていますが、次にあるいわゆるグループホーム、1ユニットと組み合わせで空間も共 有する形で、在宅からグループホーム、居住へという移行ができる形でケアも空間も共 有しています。実質的な2年度目に入った小規模多機能は登録定員25名ですが、まだまだ 運営が軌道に乗らない状況です。  介護事業としては、ここに書いてあるのをご覧いただければよろしいかと思います。 訪問介護のほうが非常に安定的に推移してきたのですが、度重なる改定の中で微妙な減 少が起きてきて、結局、長期計画で立てた伸びが見込めず、その辺が影響して皆さんか らお借りした「えん債」という債券も、計画どおりにお返しできていないという苦しい 状況に陥っています。  居宅介護支援のほうは、どこでもそうであるように一貫して赤字事業です。06年以後 の予防介護の導入によって、私どもは予防介護は受けていませんけれども、利用者の数 が非常に不安定になってきて、ますますこの赤字の要因が増えている状況です。小規模 多機能については、これを語っていると時間がなくなりますので、非常に厳しいという ことだけ申し上げておきます。これは介護報酬の位置づけを考え直さないと、これ以上 増えてはいかないだろうし、いまやっている所も埼玉県で20数箇所しか開いていない中 で、私の知る限りで3事業所がもう休廃止しています。それなりの所が始めたはずです が、そういう事態が起こっています。  人員構成と過不足感で申し上げると、介護職員だけ特化して今回は書いてみましたが、 ほかに事務職が3名で、職員総数がちょうど70名になっています。常勤26名、非常勤41 名、男子7名ということで、ご覧いただきたいと思います。無資格者はいません。  介護福祉士については、私どもの所での介護福祉士の数のうち、23名までが私どもの 所で働きながら、就業年数が来たところでみんなで受けているというところで、その辺 が特徴的かと思います。介護支援専門員の有資格者は14名いますが、いわゆる居宅で使 っているのは2.2名、プラス、グループホームと、小規模多機能のほうは義務づけがあ りますので、そちらで1名ずつの4.2名しか使っていません。特に取ったからといって居 宅がやりたいわけではなくて、勉強のために取りましたという職員が非常に多いです。 サービス提供責任者のほぼ全員が持っていますが、非常に仕事が進めやすいという状況 です。  年齢構成は、平均値をとってこなかったのですが、40代後半ぐらいになるかなと思い ます。年輪よりちょっとだけ若いかなというところで、あまり変わりはないと思います。 新卒者は今までほとんど採れていません。まだ始めて間もないこともありますが、1名 ぐらいです。ここのところ大学等の福祉学部との連携が多くなってきているので、ぼつ ぼつ定期的に採用していく時期に入ったと思っています。  夜勤や不規則勤務のあるグループホームや小規模多機能は当然のことながら、30代、 20代の職員を多く配置して常勤対応です。グループホームは9名のうち7名までが常勤で す。ほかも似たような状況になっています。ここは後ほど述べますように2007年度が実 質的な始まりだったのですけれども、職員の応募がない状況の中で始めていて、登録定 員25名まで持っていくことができない状況が発生しています。この辺がいちばん困って いるところです。  NPOとして定着率が高いところが私どもの特徴かと思いますが、最近、複数の福祉資 格を持つ福祉大学卒業の職員が退職しました、30代初めですが、疲れきってというか「 将来の見込みがない」とポツッと漏らして他業種に行っています。こういうことが相次 いでいくのではないか。特に若い世代で、ここで育てた者がこういう事態になっていく というのは非常に残念ですが、一事業者ではどうにも食い止めようがない事態というこ とで悲しく思っています。  やはり他業種からこの仕事を選んで、ヘルパーの資格を取って私どもに入って来た若 い職員が、始めたころには非常にモチベーションも高くて、やりがいのある社会的にも 意義のある仕事に就けたと言っていた者が、2年過ぎたところで「ワーキングプアの職 業だったのですね」とちょこっと漏らしたのを聞いて、これも本当に私たちだけではど うにもならない。こういう社会構造自体が非常に問題だと思っています。  私どもは実は訪問介護については、NPOになるころまで一度も募集をかけたことがな いという珍しい事業者なのですが、最近では若手を採るために募集をかけています。そ れも人づてというのが非常に多いのがNPO法人の特色です。核になる人材についてです が、この人たちが核になっていくだろうという者で、20代の終わりから始めた者ももう 40に差しかかっています。ここでなければ私は働けないと笑っていますから、将来的に ここの核になっていくのでしょうけれども、彼女たち、彼らの待遇について非常に不安 です。安岡さんも同様ですが、400万円そこそこのところがトップの賃金ということで 常勤比率を高くしているということは、今は若いから何とか常勤でやってもらっていま すが、10年、20年とここに居続けられる給与になっていない。そういうものを捻出でき ない状況になっています。  その後の3頁の雇用管理改善の効果的な取組で、他の所の参考になるのか、NPOならで はですけれども、超地域密着型NPOということで職員の大半は半径2km、利用者も半径2km に居住しているということで、交通費が非常に安く済むところがうちのメリットです。 NPOの目的事業としての交流事業で、高齢者・障害者対象のコンサートなどを行っていて、 そういうときは職員もボランティアで参加することをやっています。職員が連れて来る というお話をしましたが、そのほか最近では利用者やその家族から紹介があった、ある いは、かつて自分の親や、おばあちゃんが利用者だったという方がぼつぼつ増えてきて、 数えてみたらそういう職員が4名いました。認知症や小規模ケアということをやってみた いということで、退職してうちを選んでくださっている方がぼつぼつ出てきていますが、 こういう傾向が続くかどうかは不明です。  23名の方がここで介護福祉士の資格を取っていますが、前年6名、今年4名取得してい ます。昨年、60歳で還暦記念で取ったという中堅どころが、30歳の若手の職員に自分が 使った資料などを全部あげて指導している姿は、なかなかほほえましいなと思っていま す。そういう自然な形で資格を取っていく関係ができているのは、2のところに入ります が、ミーティングと研修を重視していて、これはあり得ないという顔をいつもされてし まうのですが、金曜日の午前中の2時間は利用者をなるべく入れない時間にしていて、 そこを訪問介護のミーティングと研修に充てています。  この研修の一部は地域にも公開しています。本当に安いお金で地域の方たちにも講師 が来たり、内部講師などの研修を公開しているのですが、ここで非常に孤立感を防ぎ、 訪問介護もグループケアなのだという意識づけができていて、孤立しない、辞めていか ないということが起こっていると思います。  そのほかのところでは下に書いたとおりですが、グループホーム等についても、小規 模多機能もそうなのですが、夜勤に入るのは2カ月ぐらい経って利用者が顔を覚えたこ ろに、初めて夜勤の研修に入って実務に入っていくというふうにしています。いきなり ということは両者にとって大変だということです。  入職時の研修で特徴的なのは、訪問では通所、グループホームでは訪問や通所のとこ ろにしばらく行ってみるということをやっています。これを重ねたところで、小規模多 機能を各部署から職員を集めて始めていますが、非常に質の高いスキルを持っている職 員を集めないとできないということで、なかなか増えていかないかなという感じを、自 分のところでやってつくづく思っています。報告書の提出義務は当然なのでしょうけれ ども、これを出すことによって、書くということに対しての不得手感を減らすことがで きているかと思います。安岡さんのお話にもありましたが、子育て中のヘルパーについ ては短時間の勤務を認めています。ただし研修のミーティングへの参加は義務づけにし ています。  次のところに入っていきますが、この辺は本当に希望と言いますか夢になってしまう のですが、職員の慢性疲労感の解消です。特に幹部職員の慢性疲労感というのは非常に 強い状況です。そこを解消できる人員体制ということですが、堀田先生などがご専門の サービス提供責任者が座っていられない。自分が穴埋めに歩かなければならない。ある いは自分の担当者を持たなければ、経営上マイナスになっていくような状況の中で働い ていますので、どうしても事務仕事は夜とか休みの日になってしまうような状況が発生 している。そこにお金が付いてこない状況の中でやっていくのは非常に厳しいと思いま す。  定期的な配置転換については、すべてに対応できる職員を養成するようになって2年 目に入ったところですが、これをやっていくためには定着率がよくないとできない。訪 問を2、3年経験してこないと、小規模多機能の訪問というのはなかなかできない。通所 だけやってきても小規模多機能に行って訪問介護の担当になったときに、そわそわ、ど きどきを始めてしまって、お家に入った経験がないものですから、お家はいいですとい うことを非常に強くおっしゃる方が多い。そこへの突っ込み方がわからないから、服薬 管理の仕事だけでいいと言われたので帰ってきましたと言って、管理者にえらく怒られ ている、まだ慣れない職員がいたりということが起きてしまいます。この辺が教育の非 常に難しいところで時間もかかるところだと思っています。  経験年数と努力に応じた給与体系は、どなたもそれを目指したいところですが、私ど もは資格の取得率が高く定着率が高いだけに、これができないというのは、私は代表と して本当に職員に対して申し訳ない思いでいっぱいです。経営改善というのが介護保険 事業に頼っていたらできないという状況で、新たな展開を考えなければならないという のは経営者としての義務なのでしょうけれども、単独の事業所が、かつかつであっても 事業として運営できていけない状況、まともな給料が払えない状況というのはおかしい ということを強く申し上げておきたいと思います。最後のところは、あまり大したこと は書いていないのですけれども。 ○大橋座長 すみません、時間ですのでご要望は後で読ませていただきます。 ○小島氏 よろしくお願いします。 ○大橋座長 だいぶ時間も超過していますので、続きまして株式会社ベネッセスタイル ケア代表取締役社長の小林仁様から、お願いします。 ○小林(仁)氏 先ほどご紹介いただきましたベネッセスタイルケアの代表をしており ます小林です。よろしくお願いします。本日はこのようなお時間をいただきましてあり がとうございます。早速、お手元にある参考資料4を中心に、私どもの現状の取組と問 題意識をご説明させていただきます。  最初に会社概要を少し提示させていただいています。ベネッセスタイルケアは、名前 のとおりベネッセコーポレーショングループの1つの会社です。教育、語学、生活、介 護の「介護」の部分を担っている会社です。  2頁目ですが、介護の部分の中で基本的には施設介護事業を中心に事業を行わせてい ただいています。今日現在で130ホームございまして、その中で埼玉、千葉、東京、神 奈川という首都圏が77%ということで、これは高齢者の方のニーズが、特に施設につい て、中心部で非常に高いという現状と符合した形での展開をしています。  3頁目が介護職の属性を整理しています。男女比はここに書いているとおりで80%が 女性、20%が男性です。平均年齢は39.1歳です。雇用形態は、正社員等さまざまな雇用 形態があります。正社員比率は61%、常勤比率は72%という構成になっています。  昨年1年間、人の問題についてはさまざまな動きをしてきました。多少成果も出てい ますが、4頁で挙げているのは、1年前にどういうことが問題だと思っていたか、事業計 画の中で書いていた内容です。上のほうにある棒グラフは、まさにこれは業界全体の数 字だと思いますが、「福祉人材の求人求職状況」について、2005年8月から需給が完全 に逆転していることが統計として出ています。  下の左側にあるのは業界でよく言われることです。特に特定施設、我々のような施設 介護では、退職率が平均40%と言われています。それは仕事柄、転職ハードルが低いと か、あるいは給与水準の低さ、労働環境の悪さは一般的に言われていることですし、実 際、こういう事実があるという認識をしています。  下の右側にあるのは、私どもで退職した職員の退職理由です。1位が「転職・処遇不 満」で、やはりこれが大きいです。2位が「業務イメージ相違」です。これは何かとい うと次の5頁です。ここが我々の会社としては努力できるところだし、努力しないとい けないと考えて取り組んできたことです。従来、労働生産性を考える中で、我々の施設 は、入居者が365日、24時間、生活をする場でもありますので、そこで寄り添うスタッ フたちには、ありとあらゆる入居者の生活の支援をしてもらうことが、最初のアーキテ クチャーというか組織設計思想でした。しかし、何が起こっているかというと、回すこ とを優先しなければ終わらない業務シフトという課題が起こっている。また、本来、こ ういう仕事がしたいと思って入ってくれたその思いと、実際にかかる時間が全く逆比例 している。時間がかかる業務と顧客満足度を上げる項目は必ずしも一致していなかった。 全社標準化すべき項目も施設別に設計して非効率であった。そういう課題が見えてきま した。  結果として何が起こっていたかというと、スタッフはモチベーションが当然ダウンし ます。退職につながります。お客様からすると顧客満足度が低レベルで硬直していく。 事故、クレームにつながりやすい。実はこういう業務の大きな課題があったのだという ことを1年前に会社として捉えたということです。  何をしてきたかについて、6頁をご覧ください。先ほど退職理由の1番目は処遇の問題 だというお話をしました。これを受けて、昨年の10月に処遇は変更しました。目的は単 純に全員の給料を上げるということではなくて、ベネッセスタイルケアで働く中で少し 時間軸を長く見たときに、どんな姿が自分で見えるのかをちゃんと見せていこうという ことと、長くやればやるほど報われる、そういう人事制度あるいは処遇体系にしていく ことに取り組んできました。  具体的な改定内容として、処遇の向上は賞与支給月数を上げたり昇給の幅を引き上げ たりしています。あと長く働くこと、成長することに応える報酬制度ということで、等 級制を用いて等級要件に従って処遇が上がっていく。昇給の伸び幅も上になればなるほ ど上がっていくものに変えました。  もう1つはキャリアアップの問題です。いま私どもでは現場のスタッフで入っていた だいて、ホーム長までなってくれているメンバーがかなり出てきています。いま会社に ある職種をすべてオープンにして、そこの人材要件と処遇も全員が見えるような形にし ています。その中で、それぞれ個々がどこを目指すのかということをオープンにしてい く。ただ、当然、半年間で430万円の投資、労務費の向上につながっています。  もう1つ、先ほど業務に非常に問題があったというお話をしましたが、それは7頁目で す。サービス基準や生活支援スタッフ、研修の強化と書いていますが、スタッフたちは、 洗濯や掃除といったオペレーションではなくて、よりお客様に近いところで、お客様に 接していく仕事をしたいという気持で、この仕事を始めてくれている人が多いわけです。 しかし分析するとオペレーションに使う時間のほうが多いということですから、思い切 って業務改善をしたということです。生活支援スタッフというのは今までいないスタッ フで、これは洗濯や掃除を中心にやる人たちです。スタッフは、その時間をより個別サ ービスに割けるようにする、そういうことをしてきました。それは全社の施策です。  右側に書いているのは、それぞれのホームあるいはエリアの事業部単位での施策です。 特に大きいのは、いちばん下に書いている、退職意向者が出るときに丁寧にマネジメン トしていこうということです。いろいろな人に対して興味を持って、考え方を聞くとい うことをやっていこうということで、今までは施設長が基本的には面談していたのです が、さらにその上にホームを5つないし6つ持つ責任者であるブロック長が、退職意向が あった全員に面談をしました。そこで本質的な退職理由が聞けたりするのです。建て前 と本音が違うところが当然あります。そんな中で31%が慰留してもう一度頑張るとなり ました。これにはホームの移動をしたりして職場環境の改善、あるいは変化ということ を実際に行っています。  その結果として、定着率がどうなったかというのが8頁目です。本格的な取組は昨年 度の場合は10月からでしたが、全体で9.1ポイント定着率は改善されました。そうは言 っても退職率は全体で30%なのです。対前年は38.5%、これは常勤が9.1%改善して、 非常勤が4.5%改善したとなっています。  特に下側を見ていただくと、その内訳ですが、これは退職理由の内訳です。1年前の 前期は255人辞めたという数字です。1年前の後期は279人辞めたという数字です。去年 の前期は255人なのですが、去年の人事制度や業務改革をした後期は186人に収まってい ます。なおかつ退職理由の中で処遇不満と転職というのだけ数字を出していますが、処 遇不満は14、16、7、4と下がっています。転職のほうも業務改善とか職場環境を変えて いくことによって下がっているということで、一定程度の成果かなと思っています。こ こまでは定着の問題です。  次の頁からは採用の問題です。採用は圧倒的に危機感を持っています。非常に人が集 まりづらいということが目に見えて起こっている。4つのグラフを出していますが、左 上のグラフは私どもの会社で月次別に実際に入社した方の数です。赤い線が06年度、青 い線が去年です。7月からは採用できている数が絶対数で1年前より少なくなっています。  その下側は1つの施設で常に常勤ベースでいって、どのくらいの欠員が起こっている かをエリア別に示した数字です。東京エリアにある施設では常時4名欠員しています。 従業員の定員から足りないということです。これを補っているのが派遣です。  右上にあるのは、働いていただくスタイル別の採用数です。特に厳しかったのが非常 勤の方です。1年前は487名採用していましたが、昨年は311名しか採用できていなかっ た。採用活動は昨年以上にやりましたが、結果としてこういうことです。  右下にあるように、去年、少し特徴があったのは、介護職の未経験者の応募がだんだ ん減ってきています。つまり一般の労働市場の中で介護という仕事に就こうという方は、 もちろん国全体の労働人員不足の観点も当然あると思いますが、少なくなっており、経 験者の方がこの業界でぐるぐる回っているということが起こっているということです。 そういうことが見えてきました。  10頁は新卒です。私どもは新卒を介護スタッフで採用しています。この4月に入社した のは203名です。昨年は154名でした。ここも大きく特徴がありました。何が変わったか というと、4年制の大学の卒業生が割合として増えましたが、専門学校生が1年前と比べ ると極端に減りました。数字はここに書いているとおりですが、パーセンテージで言う と4年制大学が70%、専門学校が18%です。1年前はどうだったかというと、専門学校は 45%でした。専門学校の採用では、学校そのものに生徒が集まりづらいという問題をよ く耳にします。専門学校を出たけど、この介護以外の仕事に就く生徒が増えてきたとい うことも学校からよく聞く話です。そういう状況が、いま新卒のほうでも起こっている ことを提示しています。  11頁目、定着率の向上施策です。確かに9.1ポイントほど改善はしましたが、これは やり続けてさらにその数字を上げていくこと。特に昨年度は後半からやって9.1ポイン トですから、今年は1年間、まさに人の定着に対する施策をやり続ける1年間になります。 この図の下のほうは、今やっていることをさらに継続して、丁寧なマネジメントの継続、 あるいは業務改革を推進、浸透ということをやっていきます。  さらにプラスアルファで、今年からやろうと思っていることがあります。それは活性 化する組織風土の実現ということです。社内に新たに活性化推進部というのを作って、 働いているメンバーがお互いにやっていることを認め合ったり、励まし合ったり、表彰 し合ったりということを、全社ベースでやれるような仕組みを作ろうということを考え ています。やることは働いているメンバーの代表が決めていこうということを1つやろ うと思っています。  もう1つは、いちばん下に職場の悩み相談窓口とありますが、これはどんな悩みでも 言えない悩みがあれば、ここに電話しなさいという窓口を作っていく。そういう新たな 試みで30%の退職率を、今年は22%という目標を持っていますが、そういう目標に向け てやっていこうと考えています。  採用については12頁目です。中途の採用と新卒の採用に分けて考えています。中途に ついては業界の経験層というのをメインターゲットにしていく。やはり人の縁とか人の つながりというのが、仕事もそうですし働いているメンバーも大切ですので、この縁を 大切にする仕組みは何かということを一生懸命考えていく。単なる新聞の折込みの紙媒 体だけを出し続ける時代でもなければ効率的でもない。実際、今100回新聞に折込み広 告を入れると、40数回は1人も応募がないという現状です。ですから、ここに書いてい るような施策をやろうということです。あと、ベネッセがどういうことで人事制度を変 えたか。あるいは業務改善をやっているか。それをしっかりお伝えしていく中で、納得 していただけるような形の採用活動をやろうということが、中途に対してやろうとして いることです。  13頁目が新卒です。新卒については学校との連携というのを今年からやろうと思って います。雇用市場に普通に新卒の採用募集をするのではなくて、学校に入る段階から、 学校と一緒になってベネッセスタイルケアコースを作って、人育てからやっていこうと いうのが新しい取組です。  まとめとしては、14頁です。一事業者としては定着率ということをコアにさまざまな 動きをしてきましたし、一定程度の成果は出ているのですが、それでも採用のほうの困 難性は非常に強く、基本的に埋まらないし派遣に頼っているのが現状です。  要望事項として最後にまとめています。先ほど来の発表でもありましたが、構造的な 問題が介護の中にはありますから、人件費相当分を上げていくための仕組みというのは、 一事業者では非常に困難があるということで、上に3点ほど書いています。また、下に 書いているのは、先ほどからお話している派遣の問題です。派遣を使いたいわけではな くて、派遣を使わないと回らない状況の中で派遣可能期間が3年という問題があります。 これについて少しご検討いただけないかということを要望として持っているということ です。以上です。 ○大橋座長 質疑に入りたいと思います。残りの時間があまりないのですが、今日、ご 出席いただいたヒアリング対象者の皆様に前に出ていただきまして質疑応答したいと思 います。よろしくお願いします。堀田委員、どうぞ。 ○堀田委員 皆さんにお聞きしたいのですが、今日、お話をお聞きしていて、どこも成 長する機会、それに報いる、それから先が見えるようなキャリアを示す、業務について も安心して働けるような業務の改革、仕事のあり方、トップが職員の方々を大事にする というメッセージ、コミュニケーションを図っていると理解している。それは定着に向 けてはそれぞれ効くのだと思いますが、新しい人を確保するという点で、どこかのお話 にもありましたけれども、おそらくどこの事業者も特に賃金のレベルを上げているとか、 外から見て求人票レベルで見えやすいようなことをやっているわけでは、たぶんないの ではないかと思ったのです。でも安定的に力を持ってやっている事業者というのは、結 局、最初に申し上げたような能力開発や安心して働ける仕事、その風土づくりみたいな こと。人の定着ができているということが地域での信頼につながって、人の確保にもつ ながっていると考えればいいのか。定着を促進する事業所づくりということと、新しい 人の確保ができる事業所というのは、切り離して別の要因だと思っていらっしゃるか。 その辺、どなたでもいいですが、ご意見をいただけないでしょうか。 ○大橋座長 主にどなたにお聞きになりたいのですか。 ○堀田委員 本当にどなたでもいいのですけれども。 ○深山氏 いまの先生のご質問は同じ構造だと思います。もちろん老人が大事という思 想はありますけど、その前に老人のためにも職員が大事という思想がなければいけない のだと思います。特に事務室系統は介護職がエースですので、そこをバックアップでき るようなシステムを常にとっておく。そういうことが新採用職員に関しても、あるいは 学校の研修生に対しても伝播していって、口コミで先生が言われるように広がっていっ て同一の構造だと思います。 ○堀田委員 そうすると定着する事業所を作るということが、口コミなり何なりで人の 確保、地域での信頼など、皆さんそれぞれの言葉でおっしゃったと思いますが、目に見 える時間給なり月給なりといった以外のところで、地域の中で定着する事業所だという ことが広まっていくことによって、結果的に人の確保にもつながっているという理解で、 反対なところは逆にありますか。 ○小林(仁)氏 それも当然あると思いますが、これから5年、10年を考えたときに、定 着だけでこれからの老人介護の絶対数は賄えないと思います。つまり、それを超える採 用とか労働人口を生んでいかないと不足します。企業やそれぞれの法人が、定着につい てはもちろん目の前にスタッフがいますから、いろいろな手が打てるわけですが、労働 市場全体を考えたときには必ずしもそこがイコールではなくて、もっと抜本的なことを 業界、あるいはそれぞれの企業が考えていくことが必要です。 ○小島氏 グループホームを2003年にオープンしたときには、それなりに他業種からこ の事業に意欲を持って来た若者がいたのですが、最近はよほどのことがないと見られな くなってきているというのは、社会的な構造の中でこの職業に希望が持てない。ある意 味でワーキングプアだということが定着してしまったところで、新しい人たちがそうい う希望を持てない。介護保険が始まったころはそれができたのですが、その辺の構造を もう一度立て直さないと、特に有能な人材というか志を持った人材が、なかなか集まり にくいことになるのではないかと懸念しているし、実際に起きています。 ○北浦委員 今日は採用の問題について、ずいぶんいろいろお話いただけたのではない かと思います。確保や定着も大事ですが、採用がだんだん難しくなっているということ でいろいろありました。先ほどサポートハウス年輪の方から、具体的に、例えばハロー ワークというお話がありました。要するにパブリックなインフラがないと、小さい所は なかなか独自には採用活動ができないというお話がありました。そのときにハローワー ク、福祉人材センターは使い勝手がいいとおっしゃっていましたが、これは具体的にど ういう形であればそのメリットが感じられるのか。もう少し具体的にアイディアがあっ たら教えていただきたいと思います。 ○安岡氏 介護保険が始まったころは、ハローワークに出すと人がたくさん見えたので すが、ハローワークに出しても人が来ない状況がずっと続いているのです。それで新聞 折込みのチラシやミニコミ誌に出したり、「年輪通信」を使ってというふうに変わって きたことを考えていったときに、ハローワークで求職する方しか対象にならないですよ ね。ハローワーク自体がもう少し求職者の幅を広げていただきたい。失業手当をいただ く方がいますよね。そこで検索したりするわけですが、もう少しハローワークが一般と いうか、広く、間口を広げるような仕組みができないのかと思うのです。割と退職され て次の仕事を見つけようという方が多いですね。だけど介護職というのは先ほど年輪の ほうの採用の話もありましたが、子育て中の若い方など、いろいろな方が介護職として 入っていて成り立っていく仕事だと思うのです。CMを出すというのはあれかもしれませ んが、ハローワーク自体がもうちょっとリニューアルして、一般の人でも利用できるん だみたいに、逆になれないのかなと思っているのです。 ○北浦委員 一言だけ、先ほどベネッセの方のところで、母集団形成というお話があり ました。採用のときには母集団を作るというのが非常に大事で、先ほどの暮らしネット・ えんでは独自に地縁的な形で母集団が出来上がっている。そうすると、いまのハローワ ークや福祉人材センターがそうなのかもしれませんが、そこのところの母集団というの が介護のほうに向いていないということですよね。 ○安岡氏 そうです。 ○北浦委員 そこを広げてもらうような何かインパクトがあって、そこに集まって来れ ば自ずと使いやすくなるという意味ですね。 ○安岡氏 そうです。 ○北浦委員 わかりました。 ○駒村委員 1つは事務方に後でお願いしたいのですが、今日はいろいろ、あまりにも 多くのお話を聞いたので、頭を整理して質問が絞り込めないのです。いろいろ面白い話 があって本当に突っ込んで聞きたいのですが、必ずしも人材確保だけでなく、一見、遠 いテーマでも関連するものがありますから、後ほど事務局を通じて少し細かいところの 資料をいただければと思います。これはお願いです。  やさしい手の方のご報告の中で、情報共有システムというのは非常によくわかったの ですが、直行直帰型のヘルパーに対する技能向上の支援と、それに対する処遇上のイン センティブというのが、いまひとつ理解できなかったのです。情報共有システムだけで 果たしてどのくらいインセンティブを高めることができるのかを、ちょっと教えてもら いたいと思いました。 ○小林(新)氏 情報共有の話が出ていました。お休みとかもありますので、サービス 提供責任者の中でチームを組んで利用者に対してサービスをしています。その情報源と しては実際に現場に行っているヘルパーの情報源が大事です。それについては直行直帰 ではありますが、いわゆる変わったことがあった場合は電話なりファックスなり、来て いただいてお知らせいただく。また定期的にサービス提供責任者が定期訪問していて、 これはちょっとみんなに確認しておきたいということについては、実際に事業者に来て いただいてカンファレンスをやらせていただく。もちろん、そのときの賃金もお支払い する。そういうことを実施して情報共有しています。  その中で、あの方は大きいからどうも排泄がということについては、実際に介護技術 のレクチャーをその場でやらせていただく。そういう形になっています。定期的なもの については毎月1回ぐらい、テーマを決めて事業所で研修会をやったり、ヘルパー全体 で、こんな先生のこういうお話が聞きたいという希望を集めて、定期的にそういったセ ミナーをやっているところです。 ○堀田委員 個別な能力開発計画を作っていませんでしたか。 ○小林(新)氏 はい。堀田先生にご指導いただいて、個別に作ったものがありますの で、いわゆる排泄介助でレビューがどうだ、こうだというのは個人ごとのヘルパーに持 っていただいています。 ○大橋座長 ここでご発言ありませんかで、それで「ない」ということで終わりたいと 思うのですが、実際にはそうはいかないと思うのです。ただ、一応、時間もきています ので、本日の会議はこれで終わりたいと思います。前回からもそうですが、ご出席の方 々、特にヒアリング対象の事業所の方は、ご主張されたいことが多々あって、ついつい 時間が延びていってしまいますけれども、残念ながら今日はこれで終わりにしたいと思 います。それでは事務局から日程のご説明をお願いします。 ○佐藤介護労働対策室室長補佐 本日はありがとうございました。次回の日程を申し上 げます。次回は6月20日、場所は厚生労働省18階専用22会議室で開催することとしていま す。次回のテーマですが、中間的とりまとめの骨子案のご検討をお願いする予定として いますので、またご参集いただきますよう、よろしくお願いいたします。また一般傍聴 者の方も引き続きよろしくお願いいたします。以上です。 ○大橋座長 それでは、これをもちまして第5回の研究会は終了させていただきたいと 思います。駒村委員からもご依頼がありましたけれども、何か質問等が後で出てきたと きには、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。               連絡先                職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室係                Tel:03−5253−1111(内線5785)                Fax:03−3502−2278