08/06/04 中央社会保険医療協議会総会平成20年6月4日議事録 08/06/04 中央社会保険医療協議会          第129回総会議事録 (1)日時  平成20年6月4日(水)10:00〜11:44 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 前田雅英委員       石井博史委員 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員 北村光一委員          高橋健二委員(代 清水) 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       大島伸一専門委員 坂本すが専門委員 黒崎紀正専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長        <事務局>       原医療課長 宇都宮医療課企画官 八神保険医療企画調査室長        磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○医薬品の薬価収載について       ○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について       ○在宅自己注射について       ○平成20年度診療報酬改定結果の検証について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第129回中央社会保険医療協議会総 会を開催したいと思います。  まず、専門委員の選任について御報告いたします。古橋美智子専門委員におかれまして は、本日付で退任されまして、その後任として本日付で坂本すが専門委員が発令されてお ります。  なお、事務局より、今回発令されました坂本すが専門委員から、みずからが公務員であ り、高い倫理をもって行動する旨の宣誓をいただいている旨の報告を受けております。  それでは、坂本すが専門委員より一言御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○坂本(す)専門委員  古橋前看護協会副会長の後任に任命されました坂本と申します。30年間NTT東日本 関東病院で臨床をさせていただきまして、その後9年間、看護部長という仕事をしてきま した。現在は、看護大学に籍を置きまして、教員として仕事をしております。専門委員と して恥じない行動をし、それから誠意努力をさせていただき、任務を全うしたいと考えて おります。どうぞよろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  坂本すが専門委員につきましては、古橋専門委員の後任としまして、基本問題小委員会 に所属していただくことにいたしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。               「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございました。それでは、そのように決めまして、会長である私が指名した いと思います。  続いて、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、坂本昭文専門委員が御欠 席であります。また、高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えです。  また、保険局長及び審議官は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。後期高 齢者医療制度の関係で御欠席と承っております。  それでは、審議に入る前に、中医協会長といたしまして一言申し上げたいことがござい ます。一部報道によりますと、先週の厚生労働省の某会議において、舛添厚生労働大臣か ら中医協は不透明であるという趣旨の御発言があったとのことであります。マスコミや傍 聴されている皆様方は御存じのとおり、中医協は総会や小委員会あるいは各部会、それか ら調査専門組織、これらの会議はすべて公開されておりますし、資料や議事録をすべて公 開しているというのが実態でございます。また、中医協での審議においては、極力統計資 料などのいわゆるエビデンスを重視して審議を進めていくといった議事運営をしてきてお ります。それから、診療報酬の改定につきましても、効果や目的に沿ったものであるかど うかということを検証するために、中立性を担保する意味で、公益委員だけで構成されま した結果検証部会をつくって、しっかりと検証を行ってきたという実績があるわけであり ます。そういう議事運営の流れから見まして、中医協の運営が不透明だと言われるゆえん は私は毛頭ないと考えておりまして、私としましても大変困惑しております。いずれにし ましても、冒頭の御発言は、報道を通した情報でありますし、事実関係も明らかではあり ませんので、本日この問題についてここで議論することは控えたいと思いますが、厚生労 働大臣の諮問機関である中医協の運営に大臣が一抹の懸念を、疑念を抱かれているという ことがもし事実であるならば、大変残念なことでありますので、事務局に次の2つのこと をお願いしたいと思います。  第1に、大臣の発言の真意を確認してください。御指摘が適切なものであれば、当然、 それを改善するよう努めたいと思っております。  第2に、もしその御発言の内容が事実だとしても、多分にそれが誤解に基づくものであ るのであれば、それは改めていただきたいと思いますので、事務局には現在の中医協の議 事運営の実態をよく説明していただきたい。中医協の見直し以降、土田前会長の御努力に よりまして、公益機能を強化するといったことで、議事運営がかなり変わってきておりま す。この現状を的確にお伝えください。本来、大臣にそのような誤解を抱かせないような 仕事は事務局の大きな責任であると思いますので、今回のことを事務局としても重く受け とめていただきたいと思います。  以上、よろしくお願いします。  委員各位の中にはこの件について御意見のある方もいらっしゃるかもしれませんけれど も、ただいま2件、事務局に指示をいたしまして、本日のところは本件について私に預か らせていただきたいと思いますので、よろしゅうございますか。               〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。それでは、事務局、よろしくお願いします。  では、議事に移らせていただきます。  まず、医薬品の薬価収載について、議題としたいと思います。薬価算定組織の加藤委員 長より御説明をお願いしたいと思います。加藤委員長、よろしくお願いします。 ○加藤委員長  薬価算定組織の委員長を務めております加藤でございます。私から、今回検討いたしま した新医薬品の算定結果について報告いたします。  資料の中医協総−1を見てください。今回報告します品目は、資料1ページの一覧表に ありますとおり、13成分23品目であります。それでは、算定内容について説明します。  イルベタン錠、アバプロ錠についてでございますが、資料2ページをごらんください。 イルベタン錠及びアバプロ錠は、イルベサルタンを有効成分とし、高血圧症を効能・効果 とする内用薬であります。  資料3ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、最類似薬については、 効能・効果、薬理作用などが類似するオルメサルタンメドキソミルを選定することが妥当 と判断しました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しないと判断しまし た。この結果、本剤については、効能・効果、薬理作用などが類似する内用薬が既に3つ 以上ありますので、類似薬効比較方式(II)による算定が妥当と判断しました。  資料2ページに戻っていただき、本剤については、過去10年間に薬価収載された薬理 作用類似薬がありますので、薬価算定ルールにのっとって、最類似薬であるオルメサルタ ンメドキソミルを比較薬として算定した1日薬価、そして過去10年間に薬価収載された 薬理作用類似薬の平均1日薬価及び過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬の最低1 日薬価を比較した結果、1日薬価が最も低いのが過去6年間に薬価収載された薬理作用類 似薬の最低1日薬価であり、これを選択することとしました。したがいまして、本剤の算 定薬価は、過去6年間に薬価収載された薬理作用類似薬で1日薬価が最低のミカルディス 錠40mgとの1日薬価合わせを行い、50mg1錠80.10円、規格間調整により100 mg1錠154.20円となりました。  次にジュリナ錠について説明します。資料4ページをごらんください。ジュリナ錠は、 エストラジオールを有効成分とし、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状 を効能・効果とする内用薬であります。  資料5ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、最類似薬については、 同一成分であるディビゲル1mgが薬価収載されていることから、これを最類似薬とした類 似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算については、い ずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料4ページに戻り、本剤の算定薬価は最類似薬であるディビゲル1 mgとの1日薬価合わせを行い、0.5mg1錠63.70円となりました。なお、本剤の算 定薬価は、外国平均価格の4分の3を下回りますが、外国平均価格が1カ国のみの価格に 基づき算定されることとなる場合に該当するということから、外国平均価格調整による引 き上げは行いませんでした。  次にルナベル配合錠について説明します。資料6ページをごらんください。ルナベル配 合錠は、ノルエチステロン及びエチニルエストラジオールを有効成分とし、子宮内膜症に 伴う月経困難症を効能・効果とする内用薬であります。  資料7ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収 載品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方式 による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、資料6ページに戻っていただきまして、本剤の算定薬価は、1錠33 2.90円となりました。  次にエクジェイド懸濁用錠についてでございます。資料8ページを見てください。エク ジェイド懸濁用錠は、デフェラシロクスを有効成分とし、輸血による慢性鉄過剰症を効能 ・効果とする内用薬であります。  資料9ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既収 載品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方式 による算定が妥当と判断しました。営業利益率については、前回御指摘いただきましたの で、加算の理由を資料に記載しております。内用薬である本剤は、合併症などのため既存 の注射用鉄キレート剤による連日の治療が困難な多くの患者さんに対して新たな治療の選 択肢を提供する薬剤であり、革新性が認められると判断いたしました。ただし、臨床試験 の結果を踏まえ、効能・効果が注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合に限定されており、 国内における治験症例も限られていることから、限定的な評価とし、平均的な営業利益率 プラス10%の営業利益率を用いることが適当と判断しました。  したがいまして、資料8ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、125mg1錠1, 061.60円、500mg錠1錠4,624.30円となりました。  次にアログリセムカプセルについて説明いたします。資料10ページをごらんください。 アログリセムカプセルは、ジアゾキシドを有効成分とし、高インスリン血性低血糖症を効 能・効果とする内用薬であります。  資料11ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既 収載品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方 式による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、資料10ページに戻り、本剤の算定薬価は、25mg1カプセル251. 80円となりました。  次にスーテントカプセルでございます。資料12ページをごらんください。スーテント カプセルは、スニチニブリンゴ酸塩を有効成分とし、イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍 及び根治切除不能または転移性の腎細胞癌を効能・効果とする内用薬であります。  資料13ページを見てください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、 薬理作用などが類似するソラフェニブトシル酸塩を最類似薬とした類似薬効比較方式 (I)による算定が妥当と判断しました。また、本剤は、既存の抗癌剤イマチニブが効か ない消化管の間質腫瘍患者に対する有用な治療薬が存在しない状況で、プラシーボに比べ て腫瘍が増大するまでの期間の有効な延長が示されていることを踏まえ、有用性加算 (II)、A=5%を適用することが妥当と判断しました。  したがいまして、資料12ページに戻っていただきますと、本剤の算定薬価は、最類似 薬であるネクサバール錠200mgとの1日薬価合わせに有用性加算(II)、A=5%を適 用し、12.5mg1カプセル8,546.30円となりました。  次に7番のファムビル錠についてでございます。資料14ページをごらんください。フ ァムビル錠は、ファムシクロビルを有効成分とし、帯状疱疹を効能・効果とする内用薬で す。  資料15ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、 薬理作用が類似するバラシクロビル塩酸塩を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)によ る算定が妥当と判断しました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しない と判断しました。  したがいまして、資料14ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるバルトレ ックス錠500との1日薬価合わせを行い、250mg1錠562.90円となりました。  8番のポプスカイン注について説明いたします。資料16ページをごらんください。ポ プスカイン注は、塩酸レボブピバカインを有効成分とし、術後鎮痛、硬膜外麻酔を効能・ 効果とする注射薬です。  資料17ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、 薬理作用などが類似する塩酸ロピバカイン水和物を最類似薬とした類似薬効比較方式 (I)による算定が妥当と判断しました。また、本剤は、市場規模が小さい局所麻酔剤に 該当することを踏まえ、市場性加算(II)、加算率A=5%を適用することが妥当と判断 しました。  したがいまして、資料16ページに戻っていただき、本剤の0.25%製剤の算定薬価 は、最類似薬であるアナペイン注2mg/mlとの1日薬価合わせに市場性加算(II)、A= 5%を適用し、規格間調整により250mg100ml1袋1,718円、そして規格間調整 により25mg10ml1管347円、25mg10ml1筒447円となりました。また、0. 75%製剤の算定薬価は、最類似薬であるアナペイン注7.5mg/mlとの1日薬価合わせ に市場性加算(II)、A=5%を適用し、規格間調整により150mg20ml1管1,16 1円、規格間調整によって75mg10ml1管639円、75mg10ml1筒739円となり ました。なお、ポプスカイン0.25%注シリンジ25mg/10ml及びポプスカイン0. 75%注シリンジ75mg/10mlはキット製品ですが、平成20年度の薬価制度改革によ り、既収載品のキット製品と比較してキットの構造・機能に新規性が認められる場合に限 ってキット加算を行うこととされたことから、キット加算を行いませんでした。  次に9番のヒュミラ皮下注シリンジについて説明いたします。資料18ページをごらん ください。ヒュミラ皮下注シリンジは、アダリムマブ、これは遺伝子組換えでございます が、これを有効成分として、関節リウマチを効能・効果とする注射薬であります。  資料19ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果、 薬理作用などが類似するエタネルセプト、これも遺伝子組換えでございますが、これを最 類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算 については、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料18ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるエンブレ ル皮下注用25mgとの1日薬価合わせを行い、40mg0.8ml1筒6万952円となりま すが、これは外国平均価格の4分の3を下回りますから、外国平均価格調整による引き上 げの対象となり、調整後の最終的な算定薬価は、40mg0.8ml1筒7万1,097円と なりました。なお、本品目はキット製品ですが、平成20年度の薬価制度改革により、既 収載品のキット製品と比較してキットの構造・機能に新規性が認められる場合に限ってキ ット加算を行うこととされたことから、キット加算を行いませんでした。  次に10番のセヴァリンイットリウム静注用セットについて説明します。資料20ペー ジをごらんください。セヴァリンイットリウム静注用セットは、イブリツモマブチウキセ タン、これは遺伝子組換えでございますが、これと塩化イットリウムを有効成分とし、C D20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リ ンパ腫を効能・効果とする注射薬です。  資料21ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既 収載品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方 式による算定が妥当と判断しました。営業利益率については、平均的な営業利益率19. 2%ではなく、新薬収載希望者の自主申告に基づき6.5%を用いました。  したがいまして、資料20ページに戻り、本剤の算定薬価は、1セット253万3,4 77円となりました。  次に11番のゼヴァリンインジウム静注用セットでございます。資料22ページをごら んください。ゼヴァリンインジウム静注用セットは、イブリツモマブチウキセタン、これ は遺伝子組換えでございますが、これと塩化インジウムを有効成分とし、イブリツモマブ チウキセタンの集積部位の確認を効能・効果とする注射薬です。  資料23ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤については、既 収載品の中に同様の効能・効果、薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方 式による算定が妥当と判断しました。営業利益率については、平均的な営業利益率19. 2%ではなく、新薬収載希望者の自主申告に基づいて6.5%を用いました。  したがいまして、資料22ページに戻り、本剤の算定薬価は、1セット178万7,4 90円となりました。  次にアクテムラ点滴静注用についてでございます。資料24ページをごらんください。 アクテムラ点滴静注用は、トシリズマブ、遺伝子組換えでございますが、これを有効成分 として、関節リウマチ、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見の改善を効能・効果 とする注射薬です。従来、同一有効成分の製剤が薬価収載されていましたが、関節リウマ チの効能が追加されたことに伴い、80mg製剤及び400mg製剤の規格が追加されたもの でございます。  資料25ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、同一有効成 分であるアクテムラ点滴静注用200mgが薬価収載されていることから、これを最類似薬 とした規格間調整による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、資料24ページに戻って、本剤の算定薬価は、最類似薬であるアクテ ムラ点滴静注用200mgの薬価に類似薬であるリツキサン注10mg/mlの規格間比を適用 し、80mg4ml1瓶2万4,101円、400mg20ml1瓶11万7,459円となりま した。  最後にアイセントレス錠について説明します。資料26ページをごらんください。アイ セントレス錠は、ラルテグラビルカリウムを有効成分とし、HIV感染症を効能・効果と する内用薬です。  資料27ページをごらんください。薬価算定組織で検討した結果、本剤は、効能・効果 が類似するダルナビルエタノール付加物を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による 算定が妥当と判断しました。また、本剤は、これまでの抗HIV薬とは作用機序が異なり、 臨床上有用な新規の作用機序を有すると認められること、それと臨床試験において多剤併 用療法により薬剤耐性を生じた患者に対して本剤の有効性が示されており、対象となる疾 病または負傷の治療方法の改善が客観的に示されていると認められることを踏まえて、有 用性加算(I)の適用は認められると判断しましたが、国内では臨床試験が実施されてい ないことなどを考慮して、加算率A=40%を適用することが妥当と判断しました。さら に、本剤は薬事法に基づく希少疾病用医薬品の指定を受けていることから、市場性加算 (I)、加算率A=10%を適用することが妥当と判断しました。  したがいまして、資料26ページに戻り、本剤の算定薬価は、最類似薬であるプリジス タ錠300mgとの1日薬価合わせに有用性加算(I)、A=40%及び市場性加算(I)、 A=10%を適用し、400mg1錠1,290.60円となりますが、これは外国平均価 格の4分の3を下回ることから、外国平均価格調整による引き上げの対象になり、調整後 の最終的な算定薬価は、400mg1錠1,510.40円となりました。  以上で報告を終わります。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  事務局から何か補足がありますか。お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  資料の総−1の1枚目をごらんいただきたいと思います。そこの一番下に注1のところ に、No.3、ルナベル配合錠の関係での注がございます。一部訂正がございまして、1行 目の「投薬当初は1か月以上の間隔」と書いてありますが、「以上」の2文字を削除して いただければと思います。ルナベル配合錠につきましての注でございますけれども、通常、 新薬につきましては、薬価基準収載後1年間、投薬期間を14日に制限するという一般ル ールがございまして、そのほかの新薬については通常14日制限がかかるわけでございま すけれども、本剤につきましては、関係学会である産婦人科学会の御意見、また患者団体 の御意見、それから実際に本剤を承認するに当たって行いました臨床試験で、投薬当初、 実際には約4カ月でございますけれども、4カ月間、患者さんの観察頻度を1カ月あけて 診察を行い、そういった試験計画の臨床試験におきまして有効性・安全性が確認されたと いうデータが出ている薬剤でございまして、そういったことを踏まえまして、本剤につき ましては14日の処方制限ではなく、30日の処方制限という形にさせていただければと 思いまして、それもあわせてここに記載させていただいております。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。 竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  加藤先生にお尋ねします。聞き落としたかもしれません。そのときは、お許し願いたい と思います。24ページです。関節リウマチに効果が非常によく出たということで、中外 製薬から出ているアクテムラ点滴静注用80mgと400mg、量が5倍です。それで25ペ ージの用法のことですが、4週間隔で点滴静注で両方とも同じなんです。80mgと400 mgと量が5倍多いものができるのですが、そういう使い方でいくわけですね。確認だけで いいんです。  それから、戻りまして20ページ、ホジキンリンパ腫等々に効能があるという製剤です が、かなり高価な薬です。それでこれの用い方は、21ページに投与形態・剤形・用法と ありますが、例えば1週間に1回とか、2週間に1回とか、そういう間隔ですか。 ○遠藤会長  それでは、事務局からですか。 ○竹嶋委員  私が聞き漏らしたかもしれませんが。 ○遠藤会長  では、お願いいたします。 ○竹嶋委員  使い方、間隔。次も同じことなんです。次も非常に高いお薬ですよね。22ページのゼ ヴァリンインジヴムというのもあわせて、恐れ入ります。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  今の御質問に関係いたしまして、まず最初に関節リウマチのほうのアクテムラの用量で ございますけれども、関節リウマチの用量といたしましては、このトシリズマブといたし まして、1回8mg/kgを4週間隔で点滴静注するとなっております。そうしますと、体重 50kgで換算しますと1回400mgを投与するということでございまして、それに適した この規格を提供すると。そうでないと、小さいものをたくさん打たなければいけないとい うことでございますので、そういった形での規格になってございます。  それからもう一つのゼヴァリンのほうでございます。リンパ腫の薬でございますが、こ れにつきましては、使っているこのイブリツモマブの抗体がマウスの抗体でございまして、 いわゆる免疫反応の関係などもございまして、基本的にはこれは1回だけの投与でござい ます。ですから、複数回投与も研究的にはやられているようでございますけれども、基本 的にはこれは1回投与して、複数回投与は通常行わないという薬剤でございます。  以上でございます。 ○遠藤会長。  よろしゅうございますか。  はい。 ○藤原委員  No.3のルナベル配合錠について、先ほど注1において御説明いただきましたけれども、 恐らくこれは婦人科の特殊性というのがあるかと思いますが、臨床実験において1カ月で 実施されたと。その計画自体がまず30日ありきという感じもするのですけれども、その 後、患者さんの要望とか、いろいろなことがあるのだろうと思うんですけれども、その辺 のところについてちょっと教えていただきたいと思います。 ○遠藤会長  では、事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ルナベル配合錠の関係でございますが、現実に今どうしているかということを申し上げ ますと、これは成分的にはいわゆる避妊の低用量ピルと同じ成分、同じ量の製剤でござい まして、こちらのほうは自費診療でございますけれども、実際には適用外使用でかなりの 患者さんが使われているという実態がございます。その中では実際に1カ月以上の間隔で 投与されて使われているという状況がございますが、そういった実際の状況も踏まえて、 多分、臨床試験で本剤をやる場合に、1カ月間隔をどうしても設定せざるを得なかったと いう状況かと理解しております。ですから、最初からこの処方日数制限をどうこうすると いったことを念頭に置いてやったというよりは、適用外ではございますけれども、そうい う実態も含めて、どのような臨床試験が適切かということで、企業のほうと関係する治験 の先生方と議論して、このような治験の設定になったと理解しております。 ○藤原委員  臨床実験自体がそのように組まれるともう認めざるを得ないということもあるので、そ の辺のところは事前に打ち合わせとかはあるのでしょうか。 ○遠藤会長  お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  いわゆる保険上の打ち合わせというか、相談で特にこういった場合にどうするかという ルールを決めているわけではございませんけれども、今日のそういった御意見があれば、 こういったケースについては企業に対しては、早め早めに保険サイドにも相談を行えない かという呼びかけはしたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  大島専門委員、どうぞ。 ○大島専門委員  今の御説明は少し理解できなかったんですが、どういう根拠でなされてきたのかという ことについては、きちんと科学的な根拠でもって示すべきであって、その論拠で実態はこ うだったんだという説明であればいいんですが、その様な説明はなくて、実態がこうだか らこうであったという話では少し納得のしにくい話かなと思いますけれども。 ○遠藤会長  それは、事務局、何かありますか。あるいは御意見として今承るのか、それとも事務局 への質問ですか。 ○大島専門委員  もしそういったことが当たり前に通っているとすると、それは治験の在り方として非常 におかしいと思います。 ○遠藤会長  わかりました。事務局、何かコメントはございますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  正直、治験がどういう形で設定されたかということは、今手元にデータがあるわけでは ございませんけれども、通常、治験をどう組むかというときに、そのときの医療環境の状 況などもいろいろかんがみて、患者さんのドロップがいろいろ出てもいけませんので、ど ういう形で組んだらいいのかというのは、その当時の医療の状況も含めて考えるというこ とはやっております。ですから、もう完全に適用外使用の状況はそうだからこうしかでき なかったというだけでは必ずしもないわけでございますが、そういった状況も含めて、ど のような臨床試験が適切かということで、企業と臨床試験の責任医師との間で議論もし、 我々のほうにもそういう形で申請があったものと理解しております。余りお答えになって いないと思いますけれども、そのように理解しております。 ○遠藤会長  加藤委員長、どうぞ。 ○加藤委員長  薬価算定組織にかかってくる前に、当局の審査、それから日本医師会で行っております 疑義解釈委員会を経て十分討論して上がってくるわけですから、ここはそういう保険収載 が認められた薬を薬価収載するという作業でございます。 ○遠藤会長  もちろん薬価算定組織の直接的な機能ではないわけでありますけれども、その背景にあ る非常に重要な課題をここで御提示いただいたということですので、大島専門委員の御指 摘なども踏まえて、またしかるべき部署に、中医協でこういう意見が出たということをお 伝えいただければと思います。  それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  初歩的な質問で、事務局に聞いたほうがいいと思うんですけれども、今回500億円規 模の売り上げが見込まれるケースが2つあります。一つは、2ページ目の高血圧の薬です けれども、類似薬効比較方式(II)ですから、新規性は乏しい薬なんですが、8年後には 約486億円、もう一つが24ページ目の関節リウマチの薬で、規格間調整ですが10年 後には約500億円見込まれています。類似薬効比較方式(I)や原価計算方式で算定し た新規性が極めて高い薬品であれば、10年後に500億円見込まれるのもよく分かるの ですけれども、新規性も余りない、規格間調整だけでこれだけふえるというのは、ある種 の販売戦略によるものなのかそれとも、薬価差によるものなのでしょうか。そういったケ ースはけっこうよくあるんでしょうか。そのあたりがちょっとよく分からないんですが。 ○遠藤会長  では、これは事務局にお答えいただければと思いますが、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のまず2ページのイルベサルタンのほうでございますけれども、これはいわゆるAR B、アンジオテンシンII受容体拮抗阻害剤でございます。これについては、今回20年の 薬価制度改革で市場拡大再算定をやった品目でございます。このARBの群については、 市場が全体で4,000億円ぐらいございまして、その中の1割ぐらいをシェアとしてと りたいということだと思います。考え方としては、言ってみればそのARBの中でどこが どれに置きかわるかということでございますので、ARBの市場そのものをどう見るかと いう議論はいろいろあるかと思いますし、今回市場拡大再算定をやった品目でございます。 その中でのシェアをどっちがどうとるかということで、企業の見込みとしては1割ぐらい を見込んでいるという理解だと思います。そういう意味では、類似薬効比較方式(II)で あっても、そういう群で考えますと、必ずしも変なことでもないと思っております。  それからもう一つ、関節リウマチの薬で、24ページのアクテムラでございます。この 製剤につきましては、当初キャッスルマン病といういわゆるオーファン効能で承認を取り まして、その後関節リウマチという市場の非常に大きい分野で効能を追加して、その用法 に合った規格を追加して今回出てきているものでございます。そういう意味では、基本的 には効能追加の製剤ということでございます。そういたしますと、最初に算定したものと 状況は変わってまいりますので、確かにこのような関節リウマチの分野ではほかにも、先 ほど類似薬でとりましたエタネルセプトとか、バイオ系の薬が今たくさん出ておりますけ れども、こういったものについては現行のルールでございますと、このような非常に小さ い市場で算定した新薬が後から大きい市場の効能を追加するという場合については、基本 的には、将来的にはこのとおり売れてくれば再算定の対象になるというものでございます ので、規格間調整の形になっておりますけれども、またそのような形での薬価の補正とい うことも今後あり得ると理解していただければと思います。 ○遠藤会長  よろしいでしょうか。  ほかに。邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  3番のルナベルについてですが、2人の委員から意見が出ました。大島委員の言われる のは、ここの権限ではないということですが、治験を行うときにある程度薬価収載のこと まで含めてやるべきであるといったことだと思います。ただ、この薬は、月経ですので、 14日以上やらないとだめですね。だから、こういう特殊性があったんだと思いますけれ ども、ほかのものであれば、そういうことも考えてやっていくべきだろうと私は思います。 意見です。  それからもう一つの藤原委員の意見は、多分今後14日以上30日というのがどんどん 出てこないかと。新薬で1年以内であれば14日という、患者さんの安全あるいは薬の副 作用、いろいろなことを考えるというルールがなし崩しにならないかという危惧だろうと 私は思いますが、それもこの場合は、月経ですので、28日しか分からないですから、仕 方ないのではないかと思います。これは恐らく例外と考えてよろしいでしょうか。 ○遠藤会長  では、事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  まさしく、これは非常に例外的なケースだろうと思っております。通常、臨床試験の場 合でも、1カ月間医師が全然観察しないでほうっておくといった臨床試験はまずございま せんので、例えば1週間ごとにちゃんと診察していろいろな検査をするとか、そういう場 合が圧倒的でございます。まさしく邉見委員がおっしゃったように、このケースは、こう いう月経との関係でのことでございますので、非常に特殊なケースと理解しております。  それからもう一つ、藤原委員のお話で、まさしく処方日数をどう考えるかという問題に ついては、一番大事なことは、処方医の皆様がどう思われているかということが一番基本 だと思っております。ただ、学会のほうからは処方日数制限の問題についてはいろいろ議 論がございますけれども、実際の医師のほうの御意見をいろいろ伺いながら、こういった ものをどうするのかという御意見があればまた考えていきたいと思いますが、基本的には 今回は非常に例外的なケースだろうと理解しております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ほかに。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  今の議論なんですけれども、この資料の注1に関することがまず分かりにくくて、それ に対する最初の説明が僕もどういうことかなということだったので、今、邉見委員がまと めていただいたような、だれもが納得できるというか、そういう説明が書けなければいけ ないと思いますし、そういう書き方ということでの分かりやすさがもし事務局で把握でき ないのだったら、把握できるようにしていただかなければいけないということだと思いま すので、その辺をお願いしたいと思います。 ○遠藤会長  資料作成について、薬学の専門家でなくても分かるようなことに心してつくってくださ いということだと思いますので、よろしくお願いいたします。  ほかにございますか。藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  ちょっと誤解を解いておきますけれども、私はこの問題を提起するときに、婦人科の特 殊性ということを初めに申し上げたと思います。それから、疑義解釈委員会において、こ の注1ということは、ここで初めて今の説明を受けて私としては分かりましたので、改め て問題提起させていただいたというところでございますので、追加させていただきます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  御質問はございますか。御意見でも結構ですが。よろしいですか。  非常に建設的な御意見が出たかと思いますけれども、内容につきましては特段問題がな いということであれば、本件につきましては中医協で承認するということでよろしゅうご ざいますでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  それでは、説明のありました件につきましては、中医協として承認したいと思います。  加藤委員長におかれましては、長時間どうもありがとうございました。 〔加藤委員長退席〕 ○遠藤会長  それでは、次の議題に移りたいと思います。DPCにおける高額な新規の医薬品等への 対応についてを議題とします。  それでは、事務局より資料の説明をお願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  それでは、資料中医協総−2をごらんいただきたいと思います。DPCにおける高額な 新規の医薬品等への対応についてということでございます。  1番にございますように、新規に薬価収載された医薬品等については、DPCにおける 診療報酬点数に反映されないことから、以下の基準に該当する医薬品等を使用した患者に ついては、包括評価の対象外とし、出来高算定することとしている。これは昨年度中医協 のほうでお決めいただいたルールでございまして、これに照らしますと、先ほど御説明い ただきました資料総−1の6番のスーテントカプセル、それから10番のゼヴァリンイッ トリウム静注用セット、11番のゼヴァリンインジウム静注用セット、この3つがこのル ールにおいて平均+1SDを超えるということでございます。2番のほうにその旨を書い てございますが、これらについて出来高算定とすることとしたいということでございます。  その下に参考として、スーテントカプセルについてまず書いてございますが、この用法 は2通りございます。(i)根治切除不能又は転移性の腎細胞癌の場合、標準的な費用の 計算を書いてございますが、次の2ページの一番上、95.7万円ということで、その5 行下のほうにございます、この医薬品を使用していない症例の薬剤費の平均+1SDで3 万6,753点、つまり36万7,530円を超えるということでございます。  そのすぐ下の(ii)イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍の場合については、標準的な費 用として60.5万円、その下のほうにございます、この医薬品を使用していない症例の 薬剤費の平均+1SDが3万6,642点、36万6,420円ということで、やはりこ れを超えているということでございます。  次に、(2)ゼヴァリンイットリウム静注用セットでございますが、同様に計算します と、これは1回ということで253万3,477円。これに対しまして、次の3ページの 4行目でございますが、この医薬品を使用していない症例の薬剤費の平均+1SDが14 万4,120点、すなわち144万1,200円で、やはりこれを超えている。  それから、(3)ゼヴァリンインジウム静注用セットについて、標準的な費用ですが、 すみません、これには訂正がございます。178万7,477円となっていますが、最後 の「77」が「90」でございます。正しくは178万7,490円です。これは資料の 総−1と数字が同じでなければいけないので、こちらは「77」を「90」に修正してい ただきたいと思います。申しわけございません。この標準的な費用と、一番下の行にござ います、当該医薬品を使用していない症例の薬剤費の平均+1SDが12万7,132点、 すなわち127万1,320円で、やはりこれを超えているということです。  以上のことからこの3点については、これを使用した患者さんについて出来高算定とす ることとしたいということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいまの高額医薬品の出来高算定につきまして、何か御質問はございますでしょうか。  よろしいですか。それでは、中川委員、どうぞ。 ○中川委員  今日の議題直接ではないんですが、DPCに関して発言させていただいてよろしいでし ょうか。 ○遠藤会長  それでは、余り離れている内容でなければ、手短にお願いします。 ○中川委員  前回の基本小委で、今年度募集する病院が調査協力病院から準備病院になることが決ま りました。また今回もDPCに関する議題が出ておりますが、本年4月の診療報酬改定に 関する答申に際して、2月13日の中医協の総会において「平成20年度診療報酬改定に おける主要改定項目について(案)」が了承されたのは皆さん御存じのとおりです。この 中でDPCにつきましては、「制度の在り方や調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数 等について速やかに検討する」と明記されております。私は、制度検討の前提として、D PCの現状をさまざまな角度から把握しておくことが、今後の議論のためにも極めて重要 であろうと考えています。そこで一つお願いがございます。昨年8月8日に開催された基 本小委におきまして、事務局、保険局医療課医療指導監査室からDPC対象病院に対する 指導監査結果の概要が報告されております。しかし、その後、中医協においては詳細な結 果が資料として示されておりません。指導監査によって保険診療あるいはそのルールに対 する姿勢や理解だけでなくて、制度について今後議論すべき課題が明らかになる部分もあ ろうかと考えます。DPCという制度の現状把握という視点から、指導監査結果の詳細に ついて適当な時期に事務局から資料を提出して説明をいただきたいと思います。もちろん、 個別の医療機関名は伏せるということを前提にしてのお願いです。  会長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  これはDPCの制度そのものでありますので、総会で問題提起していただくのは結構な んですけれども、基本的な議論は基本問題小委で行うという話になるかと思います。既に あるデータであれば、どういう形でそれを出せるかということも含めて検討させていただ きます。  ほかにございますか。  それでは、今回の高額な医薬品の出来高算定については、報告どおり、中医協として承 認するということでよろしゅうございますか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。それでは、中医協として承認いたします。  続きまして、在宅自己注射の議論であります。  在宅自己注射について、事務局より資料が出ておりますので、御説明をお願いします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。  中医協総−3の資料をごらんいただきたいと思います。「保険医が投与することができ る注射薬及び在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について(案)です。  これにつきましては、インスリン製剤をはじめとしまして、在宅自己注射をすることが できる薬剤につきましては、学会等から要望のあった長期にわたって頻回の注射が必要な 薬剤ごとに、患者の利便性の向上という利点と、病状の急変や副作用への対応の遅れとい う問題点等を総合的に勘案して、限定的に認めております。  現在、在宅自己注射をすることができる薬剤としましては、1つ目が、欠乏している生 体物質、ホルモン等の補充療法や、生体物質の追加による抗ホルモン作用・免疫機能の賦 活化等を目的として、注射で投与しなければならないものであって、さらに頻回の投与又 は発作時に緊急の投与が必要なもので、外来に通院して投与し続けることは困難と考えら れるものについて認められているところでございます。  現実的には、在宅自己注射をすることができる薬剤については、保険医が投与すること ができる注射薬(処方せんを交付することができる注射薬)とするとともに、在宅自己注 射指導管理料の対象薬剤として、参考に書いてありますように、インスリン製剤をはじめ 17種類が認められているところでございます。  2ページ目でございますが、今回この2つの追加を御提案したいと思います。  1つ目が、遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤。これは、視床下部−下垂体機能障 害に伴う無排卵及び希発排卵に対して排卵誘発を目的として使用する場合に、頻回の投与 が必要になりますので、外来に通院して投与し続けることは困難と考えられるため、この 対象薬剤に追加してはどうか。  2点目は、先ほど出ましたが、アダリムマブ(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗 体製剤)について、基本治療で効果不十分な関節リウマチに対する治療として使用するも のであるが、頻回の投与が必要であり、外来に通院して投与し続けることは困難と考えら れるために、対象薬剤に追加する。  また、これらにつきましては、4ページの参考にございますが、「在宅自己注射を実施 するに当たっての留意事項」に留意して実施することとさせていただきたいと思います。  具体的には、今回この遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤でございますが、従来フ ォリスチム注というものが使われております。3ページ目の上に承認状況がございますが、 フォリスチム注50と75は昨年の1月26日に承認されました。最近、昨年11月に3 00IUカートリッジ、それから600IUカートリッジ、この自分で注射ができるタイプの ものが出てきたわけでございます。そこで今回、無排卵及び希発排卵に対する投与として 在宅自己注射としてはどうかということでございます。  それから、2つ目のアダリムマブ製剤、ヒュミラ皮下注40mgですけれども、これにつ きましては先ほど御承認いただきましたけれども、継続してずっと注射をし続けなければ いけないということ、それから対象患者さんが今関節リウマチの患者さんで、非常に通院 困難な状況もみられるということから、これについて在宅自己注射としてやってはどうか という御提案でございます。  説明は以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、本件につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。大島専門委員、 どうぞ。 ○大島専門委員  こういった自己注射は基本的に、進めていくというのか、進めざるを得ない部分がある ということは、十分に理解していますし、認めていくべきだろうと私自身は思っています が、今までの中で何か事故事例で問題になったといった例はあるのでしょうか、ないので しょうか。 ○遠藤会長  即答できるかどうかわかりませんが、自己注射をすることによって生じた問題というも のは、事務局、いかがでしょうか。では、どうぞ、事務局。 ○事務局(原医療課長)  あるかないかということでございますが、今のところ、私どもではそういう話を聞いた ことはありません。 ○遠藤会長  大島専門委員、それでよろしゅうございますか。保険局では特に聞いていないというこ とでございます。  ほかにございますでしょうか。西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  2剤目のアダリムマブの用量ですけれども、2週間に1回となっております。もちろん、 それをずっと継続して何年も行うから、継続して投与には合うのですけれども、条件のと ころで、頻回の投与又は発作時の緊急であり、連続と、2週間に1回はこれに当てはまる のか、ちょっと事務局の判断を伺います。 ○遠藤会長  これは事務局にお答えいただきたいと思いますが。 ○事務局(原医療課長)  すみません、投与間隔については、この十何種類全部について今は承知していないので 分からないのですか、もちろん間隔をあけているものもあります。2週間という間隔のも のは多分これが初めてだと思いますけれども。 ○遠藤会長  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  2週間に1回であれば、この条件に当てはまらないのではないか。これを認めてしまう と、この自己注射が無限に広がるような気がするんですが、その辺のことを一考願いたい なと思っております。 ○遠藤会長  今の御意見を踏まえて、事務局としてお答えいただけますか。 ○事務局(原医療課長)  ここでは、先ほどのように、外来に頻回に行ってもよければあるいは継続的にやってい くということで、外来通院の困難さというのが両方に生じるので、例えば関節リウマチの 重症な方は、通院するのもなかなか困難であろう。そういう観点から今回は追加させてい ただくということをお願いしたいと考えているところであります。 ○遠藤会長  西澤委員、いかがですか。 ○西澤委員  もうちょっとこの条件を明確にしていただきたいなと思います。今の課長の説明である 程度分かるんですけれども、もうちょっと基準というのを明確にしないと、今後何となく 例外のようなものがどんどんふえていってなし崩しになるということもありますので、こ の2剤目についてはもう一回きちんとした資料をつけて再提出していただいたほうがよろ しいかなと思います。 ○遠藤会長  それでは、そのような対応を事務局にしていただいて、これについてはもう一度再審議 するという御意見ですね。事務局はそういう対応は可能ですか。  ほかの委員の皆さんもそういう形でもう少しルールをきちんとした形で再提出というこ とでよろしゅうございますでしょうか。山本委員、どうぞ。 ○山本委員  確かに御指摘のとおりだと思うのですが、現場で考えてみますと、西澤委員のおっしゃ ることもよく分かりますし、この基準がなかなか読みにくいという意味では整理していた だきたいと思います。しかし、現にリウマチの方々の通院間隔であったり、あるいは注射 のことを考えますと、これをもう一回待ちますと、さらに延びてしまいますので、余り後 まで持ち越すというのはいかがなものかという感じがします。  ただ問題は、先ほどの幾つかの例が、藤原委員の御指摘にもありましたように、実態を 踏まえて先なのか、あるいはそうでないのかという議論はもちろん残りますので、そうし たことは議論する必要はあると思います。その上で、現に治療上必要のある患者さんに対 して投与ができなくなるということについては、私としては幾分疑問を感じますので、た だいまの会長のお話につきましては、よく分かりますし、理解はできますけれども、いか がでしょうか。 ○遠藤会長  分かりました。西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  このことに反対ではなくて、ルールの問題を言っているので、ルールをきちんと決めな ければならないということを言っているわけです。もちろん、患者さんに迷惑をかけるこ とは私もしたくない。ただ、2週間に1回であれば、例えば次回の総会に提出していただ けるのであれば、そんなに患者さんに迷惑がかかることもないんじゃないかなと思ってい ます。逆に言うと、きちんとした基準をもとにしてやらなければ、そのことによって逆に 患者さんに迷惑がかかることも今後出てくるんじゃないかなと思いますので、ルールだけ はしっかりしていただきたいと思います。 ○遠藤会長  今は1種類のことだけをおっしゃっているわけですね。 ○西澤委員  そうです。これだけです。 ○遠藤会長  はい。事務局にお尋ねしたいのですけれども、そうすると、今別々に承認を取るという ことは別に構わないわけですね。ですから、もう一つのほうはオーケーという形になりま す。で、次回の総会はいつぐらいを予定しておりますか。 ○事務局(原医療課長)  今月下旬を予定しております。 ○遠藤会長  という状況にあります。という中で、1剤だけ認めて、残りは次回に持ち越すという考 え方と、今回認めましょうという考え方が2つ出ているわけでありますけれども、どなた か御意見はございますでしょうか。前田委員、どうぞ。 ○前田委員  西澤委員の御意見は非常によく分かるんですけれども、具体的な事案について御疑念が あるということではないわけですね。このリウマチで通院困難であるということは、あわ せて考えれば、合理性はあると。だとすると、ルールメイキングに関しては次回にお諮り いただくということで、今回は患者さんにそういう要請があるとすると、お認めいただい ておいて、次回以降もう一回そのルールはきちんとするという運び方のほうが、何となく 合理性があるといいますか、害が少ないんじゃないかと私は考えます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、何か御意見はございますでしょうか。よろしゅうございますか。  原課長、どうぞ。 ○事務局(原医療課長)  全く因子剤で、利点は当然あるけれども、病状の急変や副作用の対応の遅れというもの が問題点として当然考えられるので、この在宅自己注射は慎重にやってきたと。その中で、 2週間の間隔での投与自体をこういうルールの頻回と考えられるのかどうか、その副作用 の発見の遅れというものに比べて、それでいいのかという御疑念だと思います。これにつ きましては、ヒュミラ皮下注につきましては、治験の中で在宅で自己注射をしていくと、 海外での使用例として、自己注射という形でやっておられるという例がある。そういう中 で学会等からも要請があったということでございます。 ○遠藤会長  それでは、特に御意見……。山本委員、どうぞ。 ○山本委員  2点お願いがございます。この例は今のお話でよろしいと思いますけれども、これが前 例として残らないようにしていただき、ルールを決めたときには、今回は緊急的にルール の部分を後回しにしながら現実を追いかけていますので、お認めいただくのは構わないと 思います。しかし前にあったからこの先この例もいいぞという形にはならないようにして いただきたいのが1点。  それから、先ほど前の薬価の総−1の議論にもありましたように、実態が先に来るのか あるいはそうでないのかという議論をきちんとしていただかないと、場合によっては、何 か物をつくれば、投与期間も含めてその治験もできてしまうというのは私どもとしても甚 だ問題があろうかと思いますので、それも含めて、次に整理していただきたいと思います。 ○遠藤会長  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  私ももちろんこの過去の自己注射が認められているものをすべて知っているわけではな いのですが、幾つかが認められる際に関しては患者の人たちがかなり待望されていたとい う事実がありましたので、今回のケースについて存じ上げているわけではないのですけれ ども、リウマチで歩きにくいとかということもあるかもしれませんし、前田委員がおっし ゃったように、西澤先生のお話も正論だと思うんですけれども、前田委員がおっしゃった ようなまとめ方をしていただくのが今回に関してはいいのかなという意見です。  それと、頻回という言葉も、その頻回というのは、回数割る期間になるのかもしれませ んけれども、どれぐらいの期間で、どれぐらいの回数になるのかという情報が必要で、一 概に頻回と言ってもいろいろな頻回があり得ると思いますし、回数だけを見るのではちょ っと分からない面があると思いますし、それからそれぞれの病状の方の状況というのがあ ると思いますし、お願いばかり言って恐縮なのですけれども、今後は、もう一回り詳しく 出していただけたらありがたいのかなと思います。それは西澤委員と同じような意見です。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今いろいろな意見があったので、総合的でよろしいんですが、いろいろな考え方があり ますが、自己注射でなくてはならないのか。今、2週間に1回であれば、例えば訪問看護 を使ってするほうがいいですし、重症の方が自己注射するのと、どちらが患者さんにとっ ていいのか。それから、主な副作用は、敗血症、肺炎、結核と書いてございます。という ことは、自己注射を2週間に1回本人がするんですけれども、実際、診療はどうしている のか。恐らくこのような副作用があるのであれば、月1回、2回、多分訪問診療・訪問看 護等が必要じゃないかなと思います。であれば、どうしてそのときに注射ができないのか なと、実はそういう疑問もあるということをお伝えしておきます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  勝村委員、では手短にどうぞ。 ○勝村委員  確認ですけれども、これは自己注射が認められる場合でも、もちろん人によっては通院 してやってもらってもよいということだと思いますが、こういうのは訪問看護などの対象 はどうなっているのですか、自己注射の場合は。 ○遠藤会長  原課長、どうぞ。 ○事務局(原医療課長)  先ほど少し説明しましたけれども、保険医が投与することができる注射薬とセットで考 えていますので、処方せんでその注射薬を出さなければいけないということになろうかと 思います。ですから、訪問看護でやるという場合に、医療機関から持っていくという手間 が必要になると思います。そういう意味では、絶対やれないということではないと思いま すけれども。 ○遠藤会長  勝村委員、よろしいですか。 ○勝村委員  はい。 ○遠藤会長  いずれにしましても、このような形の在宅自己注射にするかしないか、であるべきかど うかという個別の議論もしなければいけないわけですし、それから先ほど言いました頻度 の問題についてのルールメイキングを明確にするということも必要だと思います。ですか ら、そういう形で今後の議論は進めていきたいと思いますが、この件につきましてはお認 めいただくという形で大体了承いただけると思いますけれども、よろしゅうございますか。               〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  今まで出てきた議論は、かなり多様にはなりますけれども、極めて重要な議論でありま すので、次回以降類似の案件が出たときには少し整理して出していただきたいと思います。 よろしくお願いします。  それでは、本件につきましては、中医協としまして、御了承いただいたということでよ ろしゅうございますか。               〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。それでは、中医協として承認いたします。  次に、平成20年度診療報酬改定結果の検証についてを議題としたいと思います。結果 検証部会の検討状況につきまして、庄司検証部会長から御説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○庄司委員  庄司でございます。今日は、平成20年度診療報酬改定結果検証特別調査項目について、 資料がございますが、それについて御報告いたします。  検証部会におきましては、既に3月26日に検証項目についてフリーディスカッション を行いました。それから、またさらに5月21日に具体的な検証項目案について議論を行 ってきたところです。引き続きまして、個別項目の具体的な調査内容につきましては、検 証部会で議論を行う予定にしておりますけれども、これまでの検証部会での議論を踏まえ まして、今回は調査の項目とその検証の視点及び実施年度について御報告いたします。  それでは、事務局からお願いできますでしょうか。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室長でございます。  お手元に中医協総−4という資料があると思います。資料は2枚になっておりますが、 最初の1ページ、2ページが特別調査の項目案でございます。3ページ、4ページが、こ の2月13日の答申の際の附帯意見をつけてございます。もし差し支えなければ、ホチキ スをとって、附帯意見をちょっと横に置いて照らしていただければ思います。  それでは、20年度の診療報酬改定結果の項目の案でございますが、1ページ、平成2 0年度調査ということで、まず20年度に5つの調査を書いております。1つ目が、病院 勤務医の負担軽減の実態調査ということです。附帯意見で申しますと3番のところに、 「緊急課題」として診療報酬上の対策を講じた病院勤務医支援について、実際に病院勤務 医の負担権限につながったかどうか検証を行うこととされております。調査対象といたし まして、これに関しましては3つの点数がございました。入院時医学管理加算――総合的 な急性期の病院でとれる加算、それから医師事務作業補助体制加算――医療クラークとい った事務補助の方の加算、それからハイリスク分娩管理加算、いずれも勤務医の負担軽減 の計画を立てていただくといったことを要件といたしておりました。検証の視点としては、 負担が軽減されているか、具体的に考え得るのが勤務時間とか、当直の日数、休日の取得 状況とか、御自身の負担感など、こういったあたりをお尋ねしていくということになろう かと思います。  2つ目が、外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査。これは附帯意見の1番のとこ ろに「初・再診療、外来管理加算」云々とございます。調査対象は、外来管理加算の点数 でございますが、今回、5分の要件を設けたということで、診療内容、懇切丁寧な診療が 行われているかどうかといったこと、またこの患者さんの理解度・納得度といったあたり も必要かと思いますが、もう一つが算定状況で、5分要件によって算定件数がどのように なったか。中医協の議論におきましても、財政影響などの議論も多々あったかと思います。 そういった視点も含めて調査を行うということになろうかと思います。  3番目が、後発医薬品の使用状況調査。附帯意見では8番のところに書かれております。 今回、処方せん様式の変更を行った。また後発品の調剤体制の加算なども設けております。 こういった措置によって後発医薬品の使用促進が進んでいるのかどうかといったことを調 べるということになろうかと思います。  4番目、5番目は、後期高齢者医療の関係でございます。4番目が、後期高齢者にふさ わしい医療の実施状況調査1ということで、後期高齢者診療料、いわゆる担当医につく後 期高齢者診療料の関係でございます。附帯意見でいいますと2番のところにあるものでご ざいますが、治療の内容、必要な治療が行われて提供されているだろうかといった観点、 また計画を立てていただく、こういう計画の内容、それから患者さん自身の理解度あるい はその患者さんの受診行動といったあたりをお尋ねするということになろうかと思います。  20年度5番目ですけれども、同じく後期高齢者の関係でございます。附帯意見の2番 でございます。後期高齢者終末期相談支援料に関する調査でございます。どのような情報 の提供、説明の内容といったこと、それから患者さん・家族の理解度、またまとめられた 文書の内容、こういったあたりをお調べするということになろうかと思います。  めくっていただきまして2ページ、平成21年度調査でございます。平成21年度調査 と申しましても、いずれも22年度改定に生かすための調査ですので、21年度に入りま して早々にスタートして、少なくとも21年の秋の議論の本格化には間に合うような段取 りで組む必要があろうかと思っております。21年度調査は5つ組まれております。1つ 目が、明細書発行の一部義務化の実施状況ということで、今回の改定で400床以上でオ ンライン請求している病院は、希望があれば必ず明細書を出すということになっておりま す。明細書の発行数あるいは明細書の内容とか料金の問題、それから周知の方法、またも らった患者さんの理解度、こういったあたりを調べるということになろうかと思います。 明細書発行の一部義務化の実施状況は、附帯意見の7番(1)に書かれております。  それから、医療機関における医療機能の分化・連携に与えた影響調査。これも附帯意見 の7番の(2)でございます。医療機関の分化・連携ということで、今回の改定で亜急性 期入院医療管理料――急性期から退院をしてきた方のための入院医療管理料、あるいは回 復期リハビリテーション病棟の入院料に段階をつけたりしております。また、7対1の入 院基本料に看護必要度を入れて、急性期らしい病院にするといったこと。また、クリティ カルパス、地域連携診療計画管理料、地域連携診療計画退院時指導料、脳卒中を対象にし ています。こういった点数の設定によって医療機関の分化・連携が進んでいるのか、どの ような患者さんがどういうところから入院してきてどれぐらいの日数で退院していくかと いったあたりも含めて、医療機関の機能の状況を調べていくということになろうかと思い ます。  3番目が、回復期リハビリテーション病棟の関係です。今回の改定で質の評価というも のを導入しております。これによって患者さんの状態の改善の状況はどうなっているか、 また一方で患者さんの選別が行われていないかといったあたりが検証の視点になろかと思 います。少し技術的・医学的な色彩が強いかと思いますが、ちょっと検証の方法について は別途考える必要があるのかなということが少し課題になっております。  4つ目が、歯科外来診療環境体制加算の実施状況ということで、これも附帯意見の7の (4)でございます。歯科の医療安全体制はどうなっているか。歯科外来診療環境体制加 算ということで、緊急対応の機器とか、感染症対策、院内掲示などをするということを要 件に加算がついておりますが、どういった効果があったか、患者さんの理解度はどうかと いったあたりを調べるということになろうかと思います。  最後に、ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率です。18年度、 19年度も実施いたしました。結果として一定の成果が挙がっていると評価しているとこ ろですが、ただ、例えば指導の途中で5回受けないで脱落してしまうケースがあったり、 あるいは2度目のチャレンジをするようなケースをどう扱うかといった問題もまだあろう かと思います。これについても調査をするということです。これにつきましては、附帯意 見の7番で、明記はしていないんですが、平成20年度診療報酬改定で特に措置をしなか ったものについても引き続き調査検証を行うということになっております。  以上、10の調査、ただし点数項目としてはざっと数えまして16を超える診療報酬点 数の項目の調査をするということにしてはどうかということでございます。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  これが検証結果部会でこれまで議論してきたものでありますので、これについて御質問、 御意見がございましたら、どうぞ。対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  ここでは調査項目が20年度調査と21年度調査に分かれていますが、特に21年度調 査については、22年度改定に生かされるかどうかということがちょっと心配になるとこ ろもありますので、とりわけ20年度は急ぐものですから、これは当然ですけれども、2 1年度調査についてもできるだけ早くに結論を出していただいて、それを22年度改定に 生かせる、大体秋口ぐらいということになるんでしょうか、ということをぜひよろしくお 願いしたいと思います。 ○遠藤会長  当然、次回改定に役に立つためにやっているわけですから、できるだけ21年調査につ いては速やかに着手するという形で考えていると思いますが、それでよろしゅうございま すか。               〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  この調査項目については、5項目を今年度やることになっておりますけれども、同時並 行的にやられるのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。 ○遠藤会長  どうですか。では、事務局、お願いします。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  20年度の調査は、一応私どもとしては同時並行的に行っていこうと思っております。 ただ、調査設計をして調査票をつくってということになるので、少し前後することがあろ うかと思いますが、基本的にほぼ同じタイミングで進めていくつもりで準備を進めていき たいと思っています。 ○遠藤会長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  小委員会のほうで、実は問題提起というか、お話したいと思っていたんですが、ただい ま説明がありましたように、この中医協において、まさにこれから20年度改定の特別調 査項目において結果検証が行われるということは重々承知した上での発言であることをま ずお断りしておきますけれども、既にお聞き及びかと思いますが、今回の改定で医療現場 においてかつて経験したことがないほどの不満が噴出しております、満ちあふれておりま す。中でも外来管理加算の時間要件と後期高齢者診療料に集中していることをお伝えした いと思います。  特に外来管理加算の5分間ルールにおきましては、生きた医療現場の柔軟性を著しく損 なっていると感じております。近年の診療は、現場で、医師を含めた多職種が連携をとり ながらチーム医療として患者さんに医療サービスを提供しておりますけれども、このルー ルによってそうした現場でもさまざまな工夫が台なしになっている面もあるのではないか と考えております。大所高所から御賢察の上、5分間要件の呪縛から医療現場を一刻も早 く解き放していただくことを強く要望いたしたいと思います。 ○遠藤会長  まさにそういうことが起きているのかどうかということを検証するというのが検証の目 的でございますので、またその結果を見てからの議論という形になるかと思います。  ほかに何かございますでしょうか。北村委員、どうぞ。 ○北村委員  ニコチン依存症の管理料について一言。創設時から支払い者側として保険を給付するこ とについて疑問を呈してはきておりますけれども、このように保険給付という方向で事態 が動いてきておりまして、ただいま事務局からも、21年度の検証で、5回の指導を完了 せずに途中離脱して禁煙に至らない患者さんに対する給付の効果、あるいは初回算定日か ら1年を経てもう一度管理料を算定する患者さんの動向とか、今項目が出ましたので、そ れは私どもも賛成なんですが、私どもが以前から申し上げている長期的に捕捉していくこ とが重要だという視点から考えますと、21年度の調査というのは、21年度と21年度 の関連もございますが、18年度に調査した方を継続して追いかけることはできないのか といった要望を持っております。そういうことを事務局のほうでこの検証の具体的な内容 の中に入れていただけるかどうか、ちょっと御検討いただければと考えています。  以上です。 ○遠藤会長  ずっと追いかけていきたいという御要望は以前よりあるわけですけれども、それは長く なりますと、どこまで追いかけていけるかという技術上の問題もあるんですけれども、事 務局、何かありますでしょうか。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室でございます。  実は、18年度、19年度と2年継続しまして、19年度のときには継続して追いかけ るのに大変苦労いたしました。というのは、医療機関から既に5回指導を終わった方を含 めて、もう一度お声がけをして、患者さんに来てくださいといったことをやって、かなり 無理を重ねて調査しておりました。これをもう一回継続するということは、実際に患者さ んの負担とか医療機関の負担ということを考えると、またそのデータが集まるかというあ たりもかなり難しい面があろうかと思います。また、2年間やりまして、私どもの評価と しては、一定の効果があったと考えております。そういう意味では、この結果を踏まえて、 また後で出てきました議論と少し視点を変えた、新しい視点を加えた調査をしてはどうか というのが、今回の提案でございます。 ○遠藤会長  よろしゅうございますか。藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  先ほど申し上げたのは、私としてはエビデンス以前の問題を含んでいるから、検証結果 というのは非常に大切だと思いますけれども、申し上げたわけでございまして、特に今回 時間の根拠が、一応承認されたこととはいえ、非常にあいまいな形で導入されたのではな いかと思います。中医協で、確かに資料として提出されたものがありますけれども、これ は診察時間ではなく診療時間を出されて、それを平均5分といった形で皆さん承認された 部分があるのではないかと思っております。もう一度そのときに出された資料と、それか らその資料はどこから出てきたのか、その辺をこの次の総会で明らかにしていただきたい と考えております。 ○遠藤会長   まず基本的に今の議論は、この調査項目について適当であるかどうかということを御議 論いただきたいと思っておりますので、前回の改定内容について、それがどういう過程の 改定であったのかということをもう一度この場でというのは、現在やっていることとは趣 旨がちょっと違っておりますので、とりあえず御意見としては承っておきますし、恐らく その議論というのは基本問題小委員会の議論だろうと思いますし、どのタイミングでどう いうことをお出しするのかということもちょっと検討させていただきたい。御意見として は受けとめておきたいと思いますけれども、それでよろしゅうございますか。 ○藤原委員  はい、よろしくお願いします。 ○遠藤会長   はい、どうぞ。 ○北村委員  今の事務局の御説明はよく分かりますし、大変御苦労されたというお話も伺っておりま す。今事務局の話で、このニコチンの依存症の検証の具体的な方法はこれから考えるとい うことですので、一度私どもが申し上げている長期的な視点での考え方を何か入れる方法 があるかないか、ちょっと御検討していただければと思います。  以上です ○遠藤会長  はい。それでは、そのように事務局のほうで検討してください。  ほかにございますか。まだこの段階では細かな内容にまでは踏み込んでおりませんので、 基本的にこういうテーマでこの対象で調査を行います、20年と21年にこのように分け ますということの御了解をいただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。               〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長   それでは、御了承いただいたということで、検証部会ではこの内容をさらに引き続き検 討いたしまして深めていって、また総会で御説明させていただくというプロセスに入りた いと思います。ありがとうございました。  それでは、その他に入ります。前回、後期高齢者医療制度の診療報酬関係の話をしたわ けでありますが、何か事務局から報告することがございますでしょうか。お願いします。 ○事務局(原医療課長)  前回、後期高齢者の診療報酬関係について御議論いただきまして、その結果につきまし ては私どもの舛添大臣のほうにしっかりと伝えております。多分大臣のほうではこれら、 それから今現在この後期高齢者医療制度について、与党のプロジェクトチームがありまし て、そこでも一定の何らかの方向が出されると聞いておりますので、それらを踏まえて、 今後近いうちに私どもの大臣も一定の考えを出されると思って受けとめております。それ らの判断の中で、この中医協で議論が必要なものがあれば、改めてこの場で議論をいただ くということになると思いますので、そのときはよろしくお願いいたします。現在はその ような状況です。 ○遠藤会長   ありがとうございます。  そういう現状ということでありますので、またもしかして大臣の考えを受けまして必要 であれば中医協で議論するということになるかということもありますけれども、そのとき にはよろしくお願いいたしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。大島専門 委員、どうぞ。 ○大島専門委員  今世間では後期高齢者医療制度の廃止あるいは凍結といった話が極めて現実味を帯びて 話されているような感じがするのですが、実際にそういう事態が起こったときに手続的に 一体どういうことになるのか、あるいは現実の医療に対し一体どういう影響が制度上起こ るのか、私にはよく分かりませんが、少なくとも廃案といった事態が起こったときにどう いうことになるのか、ちょっと教えていただければと思います。 ○遠藤会長  では、関連ということで、中川委員、どうぞ。 ○中川委員  この総会で政治的な推測をもとに議論するというのはなじまないと思います。 ○遠藤会長  大島専門委員がおっしゃられていることは、政治的な推測ということではなく、起こり 得る可能性の中で、現実的にどういう問題が起きるかということをシミュレートしてみた らどうかといった御意見だと思います。しかし、それはまさに政治的な問題の帰結として そうなるわけなので、そもそもそれを事前に予測して議論するということは、また政治に も影響を及ぼすということもありますので、それはなじまないのではないかというご意見 であったと思います。確かに、一つの制度をやめたときにどういう影響を及ぼすかという ことをある程度知っておくということは必要かもしれませんけれども、それを知ること自 体が難しいと思いますし、それが政治的にも影響を及ぼすということもありますので、私 としては、それは御意見として承っておきますけれども、この場の議題として取り上げる べきではないと思っております。これについて何か。島専門委員、どうぞ。 ○大島専門委員  例えば、手続上こうだといったお話だけでもだめですか。 ○遠藤会長  手続上というのはどういう意味合いを言っているんですか。 ○大島専門委員   仮に廃案が決まったときに、今の制度というのはそこでストップしてしまうわけですか。 要するに、決まったことはすべて前の制度に戻るのか、あるいはそこでストップというの もよく分からないんですが、現実に医療は行われていくわけですから、4月1日の時点ま で戻るのかです。 ○遠藤会長  では、中川委員、どうぞ。 ○中川委員  私が申し上げたのは、ここでそういう具体的な議論をすることは、国会審議において政 治的なものも含めていろいろな影響が少なからずあるという意味でなじまないと申し上げ たんです。 ○遠藤会長  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  大島委員のおっしゃっていることはまことによく分かりますし、またそういった懸念も ないとは言えませんが、やはり、皆さんおっしゃられているとおり、相乗効果のようにま た大きくなって返ってくるということも懸念されますので、この場で議論することはどう かと思います。 ○大島専門委員  わかりました。取り下げます。 ○遠藤会長  重要な問題であるという御提示をいただいたというふうには受けとめさせていただきま す。ありがとうございました。  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  むしろ、従来から申し上げてきているんですが、大島先生、中医協には限界があるんで す。だから、もう一つ、例えば後期高齢者診療報酬を検討する特別部会があったりとか、 社会保障審議会の中に医療部会や医療保険部会がありますね。そういうところまで戻らな いと、本当に残念だけれども、中医協での議場には限界があるところです。さっき20年 度調査項目が5つぐらい出ましたが、藤原委員が質問した別のところの真意は、全体を同 時並行でいくと言われたんだけれども、こういう中で中医協で責任を持って、例えば、実 際にふたをあけてみたらいろいろな問題が起こっているとすれば、重点的に、どこからや っていくか。庄司部長がおやりになられるのでしょうが、どこからどういう形でやってい くかという順番的なものは一応考えてほしいということで、限界はやはり中医協の中では あるので、大島先生がおっしゃっていることは我々もよく分かるんですけれども。 ○遠藤会長  限界の中でもできることはできるだけやっていきたいと思っておりますので、貴重な御 意見をありがとうございます。  それでは、時間もかなりオーバーしておりますので、特にほかに御意見がないようであ れば、本日の総会はこれにて閉会にしたいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  先ほども申し上げましたけれども、次回は6月下旬を予定しております。 ○遠藤会長  それでは、本日の総会はこれにて閉会といたしたいと思います。どうもありがとうござ いました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)