08/06/02 第3回議事録(雇用・能力開発機構のあり方検討会)            第3回 雇用・能力開発機構のあり方検討会   日時 平成20年6月2日(月)                        13:30〜   場所 中央合同庁舎第7号館12階                       共用第2特別会議室 ○庄山座長 ただいまから、第3回の「雇用・能力開発機構のあり方検討会」 を開催したいと思います。本日は、皆様方には大変お忙しい中、お集まりい ただきまして、誠にありがとうございます。議論に先立ちまして、本日の代 理出席の方をご紹介したいと思います。日本経済団体連合会専務理事の紀陸 孝様の代理で常務理事の川本様、愛知県産業労働部労政担当局長の志治孝利 様の代理で就業推進監の上田様、日本商工会議所労働小委員長の渡辺祥二様 の代理で常務理事の篠原様です。なお、本日は座長代理の今野委員がご欠席 です。  それでは早速、議事に入りたいと思います。委員の皆様方には前回の検討 会開催以降、雇用・能力開発機構の職業能力開発促進センター、職業能力開 発総合大学校を先月実際にご視察いただいたところです。この辺の印象も含 めて、全体の説明が終わりました後に、いろいろ皆様方からお聞かせいただ ければと思っております。本日からこれまでの事務局からの説明、雇用・能 力開発機構からのヒアリング、実際にご覧いただいた施設の運営状況を踏ま えて、具体的な議論を進めていきたいと思っております。  それでは、雇用・能力開発機構のあり方を検討する上での論点について、 改めて整理したものと、その関連資料について、事務局から説明をお願いし ます。併せて前回の会合以降、開催された政府の会議での雇用・能力開発機 構に関する指摘事項等についても説明をお願いしたいと思います。それでは、 資料に基づいての説明をよろしくお願いします。 ○姉崎課長 最初に資料No.1の論点です。第1回目の検討会で大きな柱だけ を出しておりましたが、これまでの議論を踏まえて、少し細かい項目を書い たものです。1頁と2頁の大きな項目は、従前出した大きな論点の柱には入 っていなかったのですが、職業訓練の必要性、雇用・能力開発機構の役割を 評価・検討するに当たり、その前段として経済社会情勢の変化、労働市場に おける変化、それを踏まえた職業訓練の課題を念頭に置く必要があるだろう という観点から、論点の項目として追加したものです。  1頁のIが「経済社会の変化」で、少子高齢化、グローバル化、技術革新、 ものづくり分野の動向という項目です。  2頁は、そうした経済社会の変化を踏まえた「労働市場における変化と職 業訓練政策の課題」で5点あります。雇用の不透明感の増大と、失業者発生 への備えの必要性。若年者、特に年長フリーターの問題。格差の問題ですが、 大企業と中小企業、都市と地方、労働力の二極化、非正規労働者の増加とい う観点です。産業ごとの跛行性。こうしたことを踏まえた効果的な職業訓練 の実施という論点です。  3頁のIIIは「職業訓練政策における雇用・能力開発機構の役割」です。第1 回目の検討会でご議論をいただいた論点で、「政策的課題への対応」というこ とで、雇用政策における位置づけと役割、ものづくり政策における位置づけ と役割、教育訓練市場における位置づけと役割ということで整理をしていま す。(4)で総括ということで、これらの論点について、本日は中心的にご議 論いただきたいポイントということで、4頁に少し詳しいものを付けてあり ます。  最初に「雇用対策としての離職者訓練実施の保障」です。全国どこの地域 で離職したとしても必要な職業訓練を受けられることを保障する仕組み、こ ういうものは雇用対策として必要不可欠と考えるのかどうかということです。 こうした仕組みを作るために、現状において、民間で全部お任せすることが できるのか、あるいは困難であるとすれば、次のような点で公的な関与が必 要と考えられるかどうかという観点ですが、(1)公的なコーディネート。(2)モ デルカリキュラムの策定等々の話。(3)特に地方でなかなか民間では実施して いないものづくり系の訓練です。  次に公的な関与が必要であるとした場合に、次のような点で、国レベルの 公的機関の役割が必要と言えるのかどうかです。都道府県ごとの訓練の実施 状況に大きな差がある中で、一定水準の訓練機会を保障することが必要、あ るいはその訓練機会に恵まれない人たちに対する責任をどのように考えれば いいのかということです。  5頁です。「ものづくり政策としての公共の役割」です。ものづくり分野は 需要に対して供給が追いついていない状況にあって、訓練にはコストを要す るということで、公的に担っていく必要があるのかどうか。特にものづくり 分野、中小企業が大変なわけですが、中小企業について、公的に支えていく ことが必要なのか。その下の点についても同じです。  「教育訓練市場における課題」は、民間と公共との間で効果的な分担が図 られているのかどうか。次の点で、さらに連携の強化を図っていくことが必 要ではないかということで、委託訓練の効果的な実施、訓練コースの共同開 発、本年4月から実施しているジョブ・カード制度で連携強化が必要なので はないかという論点です。  6頁は、「効果的な職業訓練実施のための基盤整備」で、第2回目の検討会 で雇用・能力開発機構からヒアリングを行いましたが、そのときにご議論い ただいた論点です。(1)は、訓練のノウハウの関係の項目、(2)は指導員の 養成・再訓練に関わる論点、(3)は職業訓練のための施設・設備に関わる論 点です。  これについてもご議論いただくために、議論のポイントということで7頁 に総括ということで整理をしております。まず職業訓練と一般教育の違いは 何なのかですが、特に企業現場のニーズ、技術革新の進展に対応して、訓練 内容の絶えざる更新が必要になる。そこが職業訓練と一般教育のいちばんの 違いではないか。更新をきちんとしていくためには、(1)〜(3)のようなノウハ ウ、指導員、施設・設備という三要素が不可欠ではないのかという論点です。  こうした職業訓練の三要素を蓄積・充実していくことが重要ですが、そう した専門的な体制を国レベルで公的に作り上げていくことが必要かどうかで す。その下はこれまで1度も説明をしておりませんでしたが、教育訓練に係 るISOの議論があって、その関係をどう考えるかということで、後ほど資料 を説明させていただきます。  8頁は「民間と地方公共団体との関係」です。これはまた後ほどスケジュ ールの関係でご説明しますが、次回以降、民間との関係、都道府県との関係 については、より深めた議論をしていきたいと考えています。  その次にA3の2枚紙がありますが、これは今の論点を表形式にしたもので すので、どちらか見やすいほうを見ていただければと思います。この論点に 関わる資料が資料No.2ですので、資料No.2に基づいて説明をいたします。  最初に経済社会情勢の変化の関係ですが、5頁に「我が国の人口の推移」 と書いてありますが、その左側にIの(1)とあります。それぞれの表の番号 のところが論点の数字に対応するものですので、そのように見ていただけれ ばと思います。  資料の最初が経済社会の変化の関係です。これはご承知のように人口の関 係です。2004年をピークに既に減少傾向に入っており、2055年には高齢化率 が40%に達するということです。  6頁は、労働力人口についても人口の減少に伴い、減っていくということ で、若者、女性、高齢者の労働市場への参入が進まない場合には、2030年で 労働力人口が5,584万人となり、現在に比べて約1,000万人減ります。参入 が進むケースでは6,180万人にとどまるわけですが、それでも約480万人の 減少になるということです。  7頁は省略して8頁はグローバル化の関係です。これはIMFの資料で、格 差ということでジニ係数の変化率をとっていますが、グローバル化による寄 与が大きいというものです。  9頁は労働分配率の動向で、各国の水準の平準化が進みつつあります。10 頁は労働生産性の上昇の要因分解です。11頁は産業構造の関係ですが、左側 は各産業がGDPに占める割合で、1996年と2005年の比較です。製造業が最 も高い比率にありますが、横這いです。右側に就業者数が出ており、茶色の サービス業は一貫して増えていますが、ピンクの製造業の就業者は、長期的 に一貫して減っています。  12頁は、製造業における生産性の上昇です。13頁で製造業の年齢別の就業 者数の構成が付いていますが、55〜59歳の層が150万人で、全体の12.9%を 占め、高齢化が進んでいます。一方、20〜24歳は大変少なくなっており、若 年層の確保が課題になっています。  14頁は技能継承の関係です。当然、産業計に比べて製造業における技能継 承上、問題があるとする事業者の割合が高いということです。  16頁は大きな論点の2番目の労働市場における変化に対応するものです。 失業率、求人倍率の推移ですが、この4月にも失業率が4.0%で高くなり、 注意を要する状況にあり、先行きも不透明です。  17頁は若年者の失業の関係で高いということです。18頁でフリーターの推 移が出ていますが、特に25歳以上の年長フリーターのところの改善が遅れて いる状況にあります。  19頁が大企業と中小企業の関係です。折れ線グラフのいちばん下の資本金 10億円以上の大企業の労働分配率は、近年低下しておりますが、1億円以下 の小さい所は水準が高く、かつほぼ横這いになっています。  20頁は労働費用に占める教育訓練費の推移です。2002〜2006年にかけて大 企業では割合が高まっていますが、30〜99人の小さい企業では0.18で横這 いで、依然として低い水準にあります。  21頁はOFF-JT、計画的なOJTを実施した企業規模別の割合です。ご覧のと おり、中小企業における実施率が低い水準にあります。  22頁は地域の関係です。県の横に数字が付いていますが、これは今年の3 月のそれぞれの県の求人倍率です。いちばん高い愛知県が1.84、いちばん低 い北海道が0.34で、地域によって大きな格差があります。  23頁は労働の二極化の関係の資料です。これもご承知のように、年収200 万円以下の給与所得者が1,000万人を突破したということで、全体の約2割 強の水準になっています。  24頁には母子家庭の母の状況が書いてありますが、世帯数は増加。85%と 多くの母子家庭は就労していますが、就労しているうちの常用雇用の割合は 半分以下、収入の状況は約200万円強ということで、大変厳しい状況にあり ます。  25頁は、いわゆる非正社員の割合で、全労働者の約3分の1、概ね3人に 1人が非正規社員になっています。  26頁は、特に若年層でパート、派遣、契約社員の比率の伸びが大きいとい うことです。27頁は、非正規社員の増加の社会的な影響として、訓練の実施 率等が非常に低いものですから、社会全体としての人的資本の蓄積の弱化が 懸念されているということです。  28頁は、産業ごとの跛行性の関係です。専門的・技術的職業(オレンジ色)、 技能工(赤)については、近年、労働者の大変な不足状況になっていますが、 これに対して事務職、管理職等のホワイトカラー系の職業についてはそれほ どでもないという状況です。  29頁は、29歳以下の職業別の求人・求職の状況です。事務的職業について は求人倍率は0.3倍。一方、これに対して生産工程・労務の職業については 1倍を超えているということで職業別で随分違いがあります。  30頁は、製造業における新規学卒入職者の推移で、長期的に見ると、製造 業への新規の学卒入職者は減っています。  31頁は、ものづくり労働者に対する企業のニーズです。「質的に不足をす る」と答えている所が16.6%と20.0%で、合わせて36.6%ありますが、質 的に何が不足しているかということですが、基本的な学力や技術改善・開発 の能力ということで、企業の求めるニーズは多様であるということでした。  32頁で、技能系社員に求められる「知識・技能の変化」ということで、現 在と5年前を比べていますが、5年前に比べると、生産工程を合理化する知 識や、機械・設備の保全、品質管理など、求められる能力が高まっており、 企業のニーズが高度化しています。  33頁は、いま申した労働市場の変化の状況と職業訓練における課題で、全 体の雇用情勢は、若者、非正社員、大企業と中小企業、地域、職種ごとの違 いということで、労働市場の状況と課題を整理したものです。  34頁は、この5月に新潟で開かれたG8労働大臣会合での議長総括のご紹 介です。12に書いてあるように、我々は、G8の労働大臣は公共の職業訓練機 関が適切な支援を提供しなければならないことについて合意をする。また、 「我々は」ということで職業訓練プログラムを含めて、あらゆる人々に能力 開発の機会を確実に提供する重要性を再確認したということで、能力開発が 大きなテーマになりました。  37頁は、職業訓練政策における機構の役割というIIIの論点に関わる資料で す。雇用のセーフティネットとしての失業者に対する訓練の意義ということ で、失業者については、失業期間が長期化するほど、人材の質の劣化、経済 の生産性の低下につながっていき、こうしたことを防ぐためには、希望・能 力に応じた訓練を受講する機会を提供して、できるだけ短い失業期間で再就 職を可能にすることが、雇用対策として不可欠ということで、国の雇用対策 は、こうした考え方に立ったものであり、失業した場合に職業訓練を受けら れる仕組みを、全国にわたって保障することが雇用のセーフティネットとし て重要ないのではないかという考え方です。  38頁に雇用・能力開発機構が果たしている具体的な役割を書いています。 A県、B県、C県、D県とあり、各都道府県ごとの離職者訓練の実施状況です。 それぞれの県で機構が実施している訓練の数が括弧で書いてありますが、各 都道府県ごとに訓練の実施状況には大きな差異があります。急速に雇用情勢 が悪化した場合には全国にわたって機動的な対応をするほうが効率的なので はないか、あるいは全国組織の強みを活かした柔軟な対応が可能なのではな いか。  39頁は、離職者訓練の関係で、40頁は機構と都道府県ごとの離職者訓練の 実施状況です。41頁は、機構が行う離職者訓練、特に施設内訓練の役割で、 これも説明をしていますが、施設内訓練については、ものづくり分野を中心 に実施をし、広範な知識・技術、高度、応用的な技能を習得させるための訓 練を実施していることと、地域における必要な離職者訓練の訓練機会を担保 しているということです。  42頁は、第1回目のときにご説明しました。43頁は、委託訓練ですが、委 託訓練についても、下のほうに「機構が行う委託訓練の特徴」と書いてあり ます。単にお金を民間教育訓練機関に渡して「はい、お願いします」という ことではなく、機構がノウハウを提供し、コーディネートする、あるいは業 界団体と共同でカリキュラムを開発し、それをお願いするという形で実施し ています。  44頁は、機構の職業訓練と中小企業との関係ですが、学卒者訓練、離職者 訓練が終わってから就職した人のうち、中小企業に就職している方が77%、 在職者訓練の利用についても中小企業の占める割合が63%ということで、中 小企業が中心になっています。左下に支援状況とあり、特に中小企業に対し ては指導員を派遣したり、派遣をした上で、そこに働いている方々に訓練を したり、機構の持っている施設設備を貸与する形で貢献しています。  45頁は、能力形成機会に恵まれない方々に対する訓練で、フリーター、母 子家庭の母親等に対する職業訓練ということで、再チャレンジコースの開発、 企業実習先行型訓練を実施しています。  46頁は、ものづくり人材の育成です。これはものづくり系が中心というこ とを示している資料です。47頁は省略します。  48頁は、民間の専修学校です。専修学校の入学者については、医療関係が 最も多く、次いで文化・教養関係、衛生関係という順序になっています。工 業関係も4番目にありますが、特に多いのは情報処理で、電気・電子、機械 といったものづくりのところは少なめな状況です。  49頁は飛ばして50頁です。他の施設との総訓練時間数の比較で、すでに 出しているものです。一番下に専修学校との比較についても出ています。た だ専修学校については、ものづくり分野に限定をしていないものです。  51頁、52頁は飛ばして、53頁も前に資料を説明しております。54頁も説 明をしておりますが、おさらいをしますと、いちばん上の雇用・能力開発機 構はものづくり分野を中心に、離職者を中心にやっているということで右上 に書いてあります。都道府県は主にものづくり分野を中心に学卒者中心とい うことで、左上に書いてあります。民間の教育訓練機関については、主にも のづくり分野を担当しているということで下のほうに書き、55頁はそれを概 念的に示したものです。  56頁、57頁はジョブ・カード制度の関係です。フリーター、子育て終了後 の女性、母子家庭の母等に対して、職業訓練の機会を提供するということで、 この4月から実施しております。57頁にもありますが、このプログラムを実 施する企業の訓練計画の策定・支援、評価等を行う場合の技術的な支援、助 成金の支給等々ということで、裏方で雇用・能力開発機構が重要な役割を果 たしています。  59頁は、効果的な訓練のノウハウ等々の関係ですが、職業訓練と学校教育 の違いということで、職業訓練は技術革新に応じて絶えず見直すことが必要 である。指導員の新技術へのキャッチアップが不可欠だというところが大き な特徴です。60頁は、すでにご説明しているPDCAサイクルです。  61頁も機構のノウハウということで仕事の体系、訓練の体系と生涯職業能 力開発体系のことです。62頁は、これらを活かしたPDCAサイクルによる訓 練科の改廃の状況です。  63頁は、前回、今野座長代理からお話があった委託訓練のマネージメント 方法は一体どうなっているのかということで、企画競争に当たり、民間教育 訓練機関等に対して必要な支援等を実施し、その上で企画競争を行い、落札 した民間の事業者に訓練をやっていただき、訓練実施途中でも定期的な巡回 指導により必要なアドバイスを実施させていただき、訓練成果の評価を行い、 それをまた最初のところに活かしていくという形で委託訓練を実施している ところです。  64頁は、職業訓練指導員と学校の教員との相違点です。ここも技術革新等 に応じた絶えず内容を見直していくというところが、指導員のいちばんの特 徴だろうということです。  65頁が指導員を養成する意義です。左上に指導員に求められる能力という ことで、(1)(2)(3)(4)が重要なのではないかということで、現状は職業能力開発 総合大学校で育成をしており、ここの卒業生は右上にありますが、効果的な 訓練を実施するだけではなく、それぞれの能力開発施設の運営の中で中核的 な役割を担っています。  66頁は、前回の機構の資料で、67頁、68頁は施設・設備の関係です。69 頁は、前回、山田委員から「離職者訓練のための施設というのは、ほかの所 にも使っているのですか」という質問がありましたが、使っていますという ことです。ここはポリテクセンターの代表例ですが、離職者訓練のための整 備で、在職者訓練にも活用し、中小企業に対する事業主に施設を貸与すると いう形で有効活用を図っています。  70頁は、訓練に係る経費で、前回出されたものです。71頁は、職業訓練の 3要素で、カリキュラム、指導員、施設・設備です。わかりやすいようにポ ンチ絵風に整理したものです。  72頁は、ISOの関係です。ISOについてはISO9000シリーズとか、14000シ リーズという言葉を聞かれた委員もおられるかと思いますが、「人材育成と非 公式教育サービス」。その下で想定される典型的な対象は民間の語学学校、職 業分野の社会人教育と書いてありますが、要は民間の教育訓練事業です。民 間教育訓練の品質保証のための国際的な規格を作ろうという動きが、いまISO の中にあって、そのための委員会ができており、現在25カ国が参加していま す。  多くの国では、民間教育訓練の品質保証のための国内ガイドラインを持っ ていて、それでいろいろな議論をしているのですが、日本ではそうした幅広 いガイドラインがありません。ありませんので、このまま行くと、日本の教 育訓練市場の実態が十分反映されない議論がなされるおそれがあるります。  雇用・能力開発機構においては、従前から品質保証のためのノウハウの開 発、事業資源の整備を進めてきたということで、機構の持っているノウハウ 等を踏まえて、ある種の公共職業訓練に係るガイドラインを作っていこうと 考えています。それを基にISOの議論等にも対応していこうと考えていると ころです。こういう分野でも雇用・能力開発機構は貢献をしていきたいと考 えています。  74頁は、民間との関係で先ほど説明した資料です。75頁は、半径40km圏 内で競合しないように確認を行っているという資料です。76頁は先ほど説明 しました。  77頁が、国と地方との関係で、第1回目にご説明したものです。78頁は、 国と都道府県の実施状況です。  79頁は、各都道府県の公共職業訓練の実施状況の推移で、離職者訓練、在 職者訓練、学卒者訓練のそれぞれの経年的な変化を示したものです。  80頁は、都道府県における職業能力開発施設の長期的な推移で、この10 年ぐらいで随分数が減ってきている状況にあります。  資料No.3は、前回までに委員の皆様方から質問があった事項に対する回答 の一部です。2頁は紀陸委員から、就職先の企業規模等はどうなっているの だ、という質問ですが、離職者訓練、学卒者訓練ともに就職した人の約8割 が299人以下の中小企業になっています。  3頁は、住田委員からの質問のあった就職後の定着率ですが、これはサン プル的に調査をしたものです。学卒訓練の就職3年以内の離職率が、機構の 場合は30.1%、通常の大学卒業後の就職3年以内の離職率が36.6%となって おり、いろいろな要因がありますので、単純に比較はできないのですが、通 常の大卒の就職3年以内の離職率は産業計、規模計で36.6%になっており、 5〜29人という所でいうと52.2%、30〜99人だと43.3%ですので、機構の能 開大の卒業生の就職先が、かなり規模の小さい所ばかりが多いことから勘案 すると、30.1はかなり低いのかなという印象を個人的には持っています。  4頁です。古賀委員から、施設内訓練のほうの就職率が高い理由は何なの か、という質問です。基本的には訓練分野ということで、ものづくり分野で は人手が不足しており、事務系の分野では求人が少ないという状況があって、 こういうところがいちばん大きいということですが、それ以外にもいろいろ な要因が考えられるということで整理したものです。  5頁は、古賀委員、大久保委員から、就職率以外にどういう指標が考えら れるのかということで、就職率以外に常用就職率とか、満足度とか、住田委 員が話された定着状況等も指標として使えるのではないかということで整理 したものです。  6頁は、大久保委員からの「どれだけの人が訓練を受けているのか」とい うことで、流れを書いたものです。平成18年度の実績ですが、ハローワーク で求職申込みをした人が約214万人です。キャリア・コンサルティングを受 けていただき、訓練が必要だと判断された方が28.7万人、その後面接、適性 検査等を受けて、最終的にハローワークで受講あっせんを受けて、訓練を受 けた人が17万1,000人という状況になっています。  7頁は清成委員から、受講者の質に関するデータ等はないのか、というこ とですが、機構においては職業訓練をやって、習得度の評価を実施していま す。受講前に比べて、受講後は当然のように習得度が上がっています。  8頁は住田委員から、総合大に留学している学生は、帰国後、ちゃんと訓 練の関係の所に就職しているのかどうかということです。フィリピンがちょ っと状況が悪いのですが、全体として見ると、8割強の方が自分の国で職業 訓練指導員等に就いているという状況です。  9頁は、山田委員から、機構の支払利息100億円の要因ということでした が、財形融資等の借入等に伴い発生する支払利息の関係が、こういうことに なっているということでご理解をいただければと思います。宿題の関係は以 上です。  あと1点、資料No.4-1です。5月28日に地方分権改革推進委員会から、第 一次勧告が出て、その中で雇用・能力開発機構の行う職業訓練が取り上げら れました。課題認識の第2パラグラフですが、これは地方分権推進委員会の 認識です。同機構が行う離職者訓練事業は、都道府県との役割分担が明確に なっていないのではないかということで、勧告として、下の○にあるような 文章が28日に出たということです。  離職者訓練事業は、国においても都道府県においても、双方で実施してい るわけですが、離職者訓練事業のうち、民間への委託訓練、要するに施設で 行う訓練以外に民間に委託して行う委託訓練について、雇用・能力開発機構 で年間約10万人、都道府県で約2万4,000人をやっているわけですが、現在 の民間への委託訓練の実施状況を踏まえて、同機構と都道府県の役割分担の 考え方を明確にした上で、この委託訓練の都道府県への委譲について検討を し、あり方検討会が本年12月を目途に検討するとなっていますので、こちら のほうも平成20年中にそのことについて結論を出しなさいという勧告が出 たということです。  資料No.4-2に、分権委員会の主な意見ということで書いてありますが、昨 年の秋に1度分権委員会から呼ばれて、機構の行う職業訓練の実施状況につ いてヒアリングを受けたのですが、その後何もなかったのですが、5月9日 に公開討論を行いたいということで、突然呼ばれ、そこでいろいろな議論が ありました。そうした議論を経て、先ほどのような勧告になっています。時 間の関係もありますので、説明は省略します。  資料No.5-1ですが、5月21日に行政減量・効率化有識者会議のヒアリング がありました。前回4月10日に有識者会議があり、ヒアリングを受けて、そ の際、前回質問しましたが、次回は雇用・能力開発機構を廃止した場合のシ ミュレーションを持ってきなさいというご意見があったわけですが、5月21 日の有識者会議では、それについての議論は全くなく、基本的には私のしご と館の民間委託の方針について説明をし、議論もそこだけに基本的には集中 しました。私のしごと館については、今後、手続を進めることについて了承 を得たということで、機構の廃止のシミュレーション等々の議論は全くなか ったということですので、そのご報告だけをさせていただきます。資料の説 明は以上です。 ○庄山座長 ただいまの説明について、皆様からご質問、ご意見をお願いし たいと思います。いろいろ資料がたくさんになってきましたが、何かさらに こういうところがということがあれば、どんどん出していただいて、さらに 充実してご理解を共有化したいと思っておりますので、よろしくお願いした いと思います。 ○古賀委員 次の公務の関係で中座をさせていただきますので、大変申し訳 ございません。意見になると思いますが、数点要望を申し上げておきたいと 思います。私は雇用のセーフティネットとして、国がきちんと雇用対策をす ることについては、極めて重要なことだと認識しております。そして、今の 論点案については、よく整理をされて、このようなことを今から深掘りをし ていくべきだということを前提に、1つは8頁の国立と私立の違いは何かと いう視点があって、これはこの検討会でも争点にというか、非常に重要なポ イントになるのではないかと考え、そういう意味では、訓練の分野、内容、 メニューのみならず、質とか人材とか多様な角度から深掘りをした検討が必 要ではないか、ということを申し上げておきたいと思います。  2つ目は、たしか前回の検討委員会で住田委員から、諸外国との雇用・能 力開発に対する国の対応について、どうなっているのだろうかという質問が 出、今野副座長からは、この教育訓練あるいは能力開発については、日本は すでに小さな政府になっているのではないかと、その場で答えておられまし たが、1度これら能力開発あるいは雇用対策が、一定程度諸外国ではどのよ うな国の関与になっているのかについても、非常に調べにくい分野であるこ とは事実ですが、1度出していただければ有難いと思います。  最後に、最後の報告の中で、地方分権改革推進委員会や行政減量・効率化 有識者会議の報告がなされました。さまざまな切り口で論議はされていると 思いますが、片一方では、このあり方検討会が、さまざまな代表を集めて議 論をしているという現状があるわけで、当然のことながら、同時並行的な議 論というのは妨げられないと思います。大変口幅ったい言い方ですが、庄山 座長あるいは副座長がそれらの所と綿密な連携をとって、あり方検討委員会 での検討状況みたいなことについては、是非向こうにもインプットをするこ とに努めていただければ有難いということを申し上げておきたいと思います。 以上です。 ○庄山座長 いまの件で1番、2番で何か。 ○姉崎課長 第1点目の論点のところについては、是非、深掘りをした議論 をしていただければと思います。  2点目の諸外国の状況ですが、本日出せるように一生懸命調べたのですが、 古賀委員がおっしゃるように、なかなか調べにくいところがありまして、で きるだけ早く調べてご紹介できるようにさせていただければと思っています。 間に合わなくて申し訳ありませんでした。 ○庄山座長 他の委員会とは基本的にはそれぞれ独立ですので、どうという ことはないのですが、折角、あり方委員会が年内に結論を出す、あるいはで きれば夏ごろには方向性を出すということを、それぞれ申し上げて、できる だけそれを尊重していただくようにお願いしているつもりですが、それぞれ 独立の委員会ですので、やむを得ないところもあるかと思っています。でき るだけ連携をとれるようにしたいと思っています。 ○清成委員 随分周到な資料の整備状況と、的確なご説明だったように思い ます。以上のご説明から、いちばん重要なところは、1つは中小企業と、そ このものづくり基盤技術です。そこのところは職業訓練、特に国の関わりが 必要かどうかということがポイントではないかと思ったのです。  1980年代ぐらいまでは、少なくとも中小企業の基盤技術の国の関与はほと んどありませんでした。それで万事うまくいっていたと言ってもいいだろう と思います。基盤技術というのが中小企業の中でOJTということで非常にう まく進められたということと、その間にも相当技術進歩があったわけです。 それにも対応できた。つまり、中小企業界というのでしょうか、それの中で うまくいったわけです。そして、特に能力のある基幹的な労働力は、自分の キャリア形成ということであれば、企業を2、3年ごとに渡り歩いて、高度な 多能工になっていくだけではなく、工程全体の管理の問題やクレーム処理、 企業内における教育訓練の教師としての役割すら果たして、そういう高度な 技能工の技能と技術を媒介するような労働力が形成されていったわけです。 それが中小企業の急速な減少によって確保できなくなってしまった。そこに 公的な関わりの必要性が出てきているのであって、そういう意味では公的な 職業訓練の仕組みは不可欠であろうと思います。  これは日本だけではなく、例えばドイツの場合にはマイスター制度という 形で中小企業の基盤技術が、中小企業の内部でデュアルシステムでうまく処 理されてきたわけです。しかし、これも技術進歩の中で維持できなくなって、 現在は解体同様になってしまっています。  しかし、それに代わる国のシステムがあるのかということになると、必ず しも明確ではないし、そこは先進国は共通しているのではないかと思います。 これまで民間の中小企業の内部でうまく完結してもらっていたものが回らな くなってしまって、国の関与が必要だが、どう関与すべきかとか、どういう 仕組みがいいのかということについては、どの国もいまは模策中ではないの かということがあろうかと思います。  もう一点、非常に重要なことは、今日も高度化したという技術・技能工の 高度化という話がありました。高度化したような労働力を確保したいわけで すが、実は日本の中小企業はそれを確保できなくなってしまっているという 問題があるわけです。日本だけではなく、先進国全部が確保できなくなって きているのです。そうすると、例えば、京浜工業地帯で確保しようと思った らどうするのかというと、発展途上国から呼び寄せる。例えば、マレーシア から呼んで教える。それを自分の所で使い、マレーシアに帰したら、今度は マレーシアに自分の所の工場を出すという仕組みになって、国際的に動かざ るを得ないような形になっています。ですから、高度な技能労働力を確保で きなくなっているという問題が1つと、もう1つは非常に高度化してしまっ ていることから、中小企業の基盤技術の労働者には、一定の資質が要求され るようになっています。ですから、誰でも教えればいいという話ではないし、 離職者を訓練して簡単に技能が習得できるものでもないし、そういう基幹労 働者みたいなものをどう育成するかというわけです。  先ほど説明があったように、大企業と中小企業の間で教育訓練投資が違う ではないかということがあっても、実は大企業がやっているような教育訓練 投資を中小企業でやっても、全く意味がないことなのです。必要な労働力の 性格が違うわけですから、統計で単純に比べてもしょうがないのです。それ からそういう高度な技術と技能を媒介するような労働力は大企業では確保で きなくなって、中小企業にどんどん投げていったのです。投げていったが、 中小企業のほうがそれを維持できなくなってきて、大企業のほうで内部化す る訓練制度を作ったわけです。トヨタとかホンダ、松下などはみんなそうで す。しかし、それがうまくいっているかというと、必ずしもうまくいってい ない。これは企業内における処遇の問題がいろいろあって、なかなか難しく なってきているということで、大企業でも中小企業でも困るようになってし まっている。そうだとすれば、国がどこかで関与しなければならないという ことがあるわけです。  先ほどからのご指摘で、機構の役割で非常に強調されたのは、全国という ことです。しかし、高度な中小企業の基盤労働力というのは、地域偏在がも のすごく著しいのです。ですから、全国どこでも訓練できるという話は、実 はあまり意味があることではないのです。それは技能の種類によって地域偏 在があるものですから、地域重点的にやらなければならない。これを全国的 に広く薄くやってしまったら、非常に非効率な訓練制度になってしまうわけ です。ですから、全国ということはあまり強調しても利のあることではない と思います。  いずれにしても結論的には、やはり何らかの公の関与が必要で、これは否 定し難いことです。しかし、それを民間と組みながら、どういう仕組みを構 築していくのかというのは、むしろこれからの課題ではないか。その場合に、 機構のこれまでのノウハウということを随分強調されたわけですが、ノウハ ウがどれだけ活きるのかという問題です。私は機構というのは、そこそこの 労働力、そこそこ質のいい労働力を育成するには、今まで非常に貢献してき たように思うのですが、最先端の非常に優れた労働力を訓練する場合には、 ほとんどそのノウハウは持っていないだろうと思えて仕方がないのです。む しろそこは先端的な中小企業のほうが、よほど持っていると思います。特に 外国人労働力を訓練しているような先端的中小企業と言っても、規模は決し て大きいわけではなくて、小企業と言っていいわけですが、そういうものが まだ京浜工業地帯にはあるわけです。京浜工業地帯だけではなくて、長野県 の諏訪とか、坂城とか、静岡県の浜松、愛知県、東大阪などに地域偏在して いるわけです。そういう所に優良な中小企業があるわけで、そういう所でき ちんとしたニーズを押さえてかからないと、機構のノウハウというのが本当 にあるのだろうかと、現場を拝見して大変失礼ですが、そのように感じた次 第です。しかし、それは機構の意義を否定するのではなくて、これまでの機 構のやってきたことの延長線上で、それを高度化することも可能だし、そこ は考える余地はあるのではないかという感じがいたします。 ○庄山座長 いくつかご意見、ご質問をいただいたところで、また皆さんと 議論をすることにしたいと思いますが、どなたでもお願いします。 ○大久保委員 この論点の中では、流れとして労働市場がこのように変わっ たからとか、役割としてこういう期待があるからということで整理をされて いるのですが、一方でこの間来、大学校あるいはポリテクセンターという現 場を拝見していて、現在雇用・能力開発機構が持っている財産というか、資 産というか強みは何だろうとしっかり見たいと思って行っていたわけです。  清成委員がご指摘になるように、おそらく最先端というわけではないので すが、ほかの所であまり教える機会のない、いわばものづくり領域における 基盤的な知識を、一定の教え方のノウハウのもとに教えるという、主に指導 員が蓄積してきている力が何よりも資産なのだろうと改めて思ったわけです。  その資産をどのような形で活用していくことが効率的なのかと考えたとき に、この間からじっくり考えて、やはりまず離職者訓練ということであった り、あるいは指導者訓練というところなのだろうと思います。  それに反して私があまりよく見えないのは、学卒者訓練や民間委託、それ から在職者訓練も、民間のものづくりの現場にいる指導者の人たちに訓練を 提供して、その人たちが帰って労働者たちに提供するというものならいいの ですが、それ以外の一般的な在職者訓練ということになると、本当に在職者 訓練に一定の割合を割くことがベストなのか。それよりは少しでも離職者訓 練のほうに振り向けたほうがいいのではないか。そういうことを感じながら 帰ってきたわけです。1つは、この論点の流れ以外に、本当にいま機構が持 っているノウハウ、財産というものが一体どういうレベルのもので、それを 何にシフトして活用することが本来の役割に適っているのか。その観点から の議論も是非進めていただいたほうがいいのでないか。これは視察に行った ことも含めての感想です。 ○庄山座長 どなたでも結構です。 ○住田委員 お三方のご意見は私も基本的に賛成です。まず小さな話からい きますと手続的な話ですが、これに関する委員会や専門会議等がこんなにあ るというのは、ある意味で驚きです。それぞれが非常に熱心に議論はされて いるのだろうと思いますけれども、日本の場合は得てして縦割りで、それぞ れが勝手に言いっ放しということに陥りがちです。先ほどはよく調整をして いただきたいということでしたが、私は単なる調整ではなく、この問題に関 してはこれだけ現場にまで行って突っ込んで検討していますので、ほかの委 員会は、こちらの検討会の結論を尊重するぐらいのことを仰っていただきた い。そうしないと、それぞれ仕事を分担してやっている意味がないという気 がしました。  2つ目ですが、今回の検討会の大きな仕事としては将来像なのだろうと思 います。過去、これまでしたこと、そして今の現状の認識に対して確たる成 果を収められたことがあることに関して、皆様にそれほど異論はないのでは ないかと思います。だからといって今後、このまま続けていいかどうかに関 して、見直そうということになったわけですから、ゼロベースでの見直しは 必要であろうと思います。  そうすると、公的なものがどのように関与するかということについて、私 は諸外国と比較するとどうなるかが、非常に気になりました。勿論、ほかの 国はほかの国として、日本はどうあるべきかというのは、それぞれの国の産 業構造等が違いますので独自にまずは考えていくとしても一応検討すべきで しょう。また、先ほどの清成委員のお話で非常に興味深かったのは、大企業 が今、人材の育成の内部化を始めたというご指摘でした。しかしながら、そ れが、どうもうまくいっていないようなところもあるとも言われたわけで、 こういう最先端なものに関して大企業はやりにくい。ましてや中小企業はで きない部分があるとしたら、それを公的な分野としてどのように対応してい くのか。これは産業政策の一端を担う話なのだろうと思いながら、お聞きし ていました。  実は、これは雇用のセーフティネットと全く別次元の問題でしょうから、 そうすると厚生労働省というより、どちらかというと経済産業省とかが考え るべきことかもしれません。ここに公的なコストをかける必要というのは、 どうも所得再移転、再分配の話ではなく、やはり国としてどこに目を向けて やっていくかという、そういうお話だろうなと思いました。ここは私は素人 ですのであまり物は言えませんが、是非、そういう視点のご意見があれば聞 かせていただければと思います。  そしてどちらから見ても異論がないのは、セーフティネットとしてのあり 方でしょう。具体的には、職業訓練の機会になかなか恵まれない年長フリー ターや高齢者、女性だろうと思っています。ここの点で行政減量・効率化有 識者会議ヒアリング(資料No.5-1)の意見では、重要な雇用政策を実施すると きに、税金を投入せずに機構全体として利益を出して、その余った分をここ に入れたらどうかというお話をされているようでしたが、私自身は、この重 要な雇用対策というところに税金を投入する意味が実はあると思っています。 ここできちっとした職業訓練ができて社会的に自立できるようになれば、生 活保護やその他の社会福祉、社会保障のお金を節約できるわけですから、こ このところの重要性をしっかりと打ち出すのが、この検討会として必要なこ とだろうと思っています。  そうしますと、私は女性ですから申し上げたいのですが、普通に離婚した 母子家庭というイメージで一括りにしてしまうと、割と元気な女性をついイ メージしてしまうのです。しかしながら、ドメスティック・バイオレンスな どのいろいろな苦い思いをして、ようやく夫から逃げてこれから社会に出て 行きたいという方々などは、一からの出発ではなくマイナスからの出発とい うことがあります。  女性会館では、そのような、毎日訓練の場に出て行くことすらおぼつかな い方々を、いろいろな形でヒューマンスキルを磨いた担当者が引き上げてい って、少しずつ知識+技能を習得しているという講座があります。その方々 のその後というと、横浜の職業訓練校などは、敷居が高すぎるということな のです。なかなかそこには入れない。そこに入るまでの大きな落差の部分を 埋めるようなものを、こういう公的な機関が担っていただくことが、必要で はないかと思います。できればそういう方々がどんなご苦労で、どんな訓練 を施しているか。1回、10分でも20分でもヒアリングをしていただければ非 常にありがたいと思います。  私と同じ男女共同参画会議の専門調査会のメンバーでいらっしゃいますの で、そういう方々がどういうスキルを磨いて、そういう方々を引き上げて頑 張っているかを聞いていただければ、実は似たような形として知的障害者の 方々、発達障害者の方々に対しても必要な訓練をすることによって、社会の 中で力を発揮していただけるのではないかと思います。  もう1つは、保護観察等になっている犯罪を犯した方々の問題です。法務 省の矯正局が、指導員の訓練をするために、そういう方々を育成していると いうペーパーを拝見しました。刑務所に入っているときは基本的にそのよう な施設内の訓練をある程度できるわけですが、社会内での訓練というのが、 保護観察のときには結局、保護司さんが個人的に、社会的資源を使いながら 努力しておられるのです。この方々は、正直なところ運転免許証を取るのも 難しいぐらい、学力レベルもそれほど高くない方々が多いですが、再犯を犯 さないために、また大きな意味で治安の悪化を防ぐためには、そういう方々 を受け入れるようなコースがあるのかというと、この間も拝見したらすべて レベルが高くて、再先端とはいかないけれども、非常に高度な訓練をしてい る所にはなかなか付いていけないだろうと思います。公的機関として、そう いうところに税金を投入しても構わないのではないか。私はそういう意識を 持っています。 ○庄山座長 いま、お三方のお話がありましたが、この行政減量・効率化有 識者会議と地方分権改革推進委員会は、これはメンバーを含めてどこかに資 料がありましたか。それをまず紹介していただけますか。それからやってい る内容です。 ○姉崎課長 地方分権推進委員会については、資料No.4の参考の4枚目に名 簿が付いています。有識者会議については資料No.5の参考の2枚目に名簿が 付いています。有識者会議のほうはキッコーマンCEOの茂木友三郎様が座長 です。分権のほうは伊藤忠取締役会長の丹羽宇一郎さんが委員長です。 ○庄山座長 ご存じのようにテーマについては、それぞれ数多くのところで 検討されていて、私ども雇用・能力開発機構のあり方検討会のものは、何項 目かある中の1つのテーマとして取り上げられている。国としてですね。で すから先ほど言われたように、当然、このあり方検討会がいちばん詳しく調 べて、それが参考にされないようでしたら何のためのあり方検討会かと私も 思っていますので、それは当然尊重されるものと理解しているところです。 いろいろなところで皆様方もご関係があるかもしれませんので、そのような ことに是非ともしていただきませんと、これはこれ、あれはあれというので は何の意味もないと思っています。  これは結局、こういう労働雇用の問題、技能の問題、あるいは障害者や女 性等いろいろな方々の雇用をさらに伸ばしていくために、国としてやるべき ことというのは、当然、国民の理解を得て税金を使うという格好であるべき でしょうし、その時はいずれにしても効率よくやる。どこでやるのがいちば ん能率がよく、最先端のものを効率よくやれるかということが、この検討会 での議論の中心になるのではないかとは思っているのですが、これは無駄だ からやめたほうがいいというご意見がありましたら、そっちのほうからまず お聞かせいただきたい。このあり方検討会の中においても、こんなのは全く 無駄ではないかというのがありましたら、その辺のところもお聞かせいただ いて、それがどれだけの意味があるかよくよく調べてもらうことは、あるの ではないかと思っています。その辺はいかがですか。  いろいろ資料の説明がありましたので、説明不足のところでも結構ですし、 資料No.1の総括の4頁、5頁、あるいはいまの8頁あたりのところで、まだま だこういうところが不足しているのではないかということがありましたら、 どんどん言っていただければと思います。 ○上原委員 先ほど清成委員が言われたように、ものづくりの集中度という か、機構の果たす役割のうち、離職者訓練をすることもそうでしょうし在職 者訓練もそうですが、ニーズが偏在している部分もあると思います。だから 国と地方との関連で言うと、地方の状況をよく調査して、一律に遍くという よりは味つけをして制御することが、少し無駄の排除になるかなと思います。  それとの関連で言うと、それぞれ地方分権改革もそうでしょうし行政減量 もそうでしょうけれども、基本的には無駄をなくせということで、それはそ れで正しいことなのですが、逆に何でもかんでも地方に任せればいいのかと いうと、そうではない。特にこれは皆さんの意見と基本的に同じですが、離 職者訓練というスタンスは国家が担う意義があると思います。国が完全雇用 を目指すのであれば、そこに至らない部分について何らかのセーフティネッ トなり、手を打つことをどう担保するかは避けて通れないし、これを例えば 民営化なり地方が全部やれと言っても限度があると思います。だから中央集 権的な施策というのは避けて通れないと思います。  それとの関係で言うと、先ほど住田委員が言われたように国家戦略という か、確かに作りで言えば経済産業省が持つべき部分もあるのでしょうが、在 職者訓練の部分についても、我々中小企業のスタンスから言うと、前にも申 し上げましたけれども、ものづくりの基盤技術とのリンクを上げていただい て、先端ではないにしろ、学校の授業で言うと1学年、2学年、3学年とある わけで、いきなり先端が出ないわけです。ベースメントになる基本的な訓練 があって初めてレベル2、レベル3というのが出てくるわけで、そこの部分 を飛び超えていくことはできないわけです。そういう意味では、この間いく つか見せていただいたような施設の意義はあると思います。  あとはPRも含めて、もう少し活用度というか、私なんかもここに関係を持 つようになって、いろいろお話を聞いて調べてみると、なるほど、こんなに 国のセーフティネットは充実しているのだというのが改めてわかるわけで、 普通は学校を出て企業に就職すると、学校での教育以降は、企業でOJTをす るかOFF-JTをするかは別として、企業での教育しか普通はないわけです。そ ういう意味で改めて在職者訓練というのも充実していくことが、いずれ国の 環境技術なり次の自動車や燃費など、次の世代の基本的な技術、これから求 められる技術につなげる意味でも、そういう基盤的な技術を訓練し、トレー ニングして就業していくことは非常に重要だと思います。その先端的な技術 をどうするかということは別の問題だろうと思いますが、そういうような気 がします。  ISOの説明がありましたが、ISOの9000や14000の中でもまさにそうです けれども、審査の質問で「新入社員に対して御社はどういう教育訓練をやっ ているのですか、マニュアルを見せてください」、「こういうふうになってい ます、職種により、こういう職種の人はこういう教育訓練をやります」とい うのを、個別企業が取得を前提でやるわけです。そうすると職能要件表とい うのを作って、レベル1からレベル2にするためには、どの時間軸で、どう いう教育訓練を受けなければいけないか。それに対して受けた後の評価はど うやっているのか、と大変厳しい問いかけがずっとくるわけです。それを個 別企業は悪戦苦闘しながら、自分の会社に合ったものを構築してやっている わけです。  私は職業能力開発総合大学校を見せていただき、説明を受けた中では、職 業訓練に関するカリキュラムが大変充実していると思いました。そういうの を専門にやっていない会社からすると、あの辺をもう少し公開するなり、指 導するなりして教えていただければ、ジョブ・カード等もそうかもしれませ んが、もっと手っ取り早いのではないかと思います。試行錯誤してやるより は、モデルとしてこういうのがありますよ、この業種についてはこうですよ というのがあれば、これとこれは必須科目で入れなければ駄目だとか、これ は選択でいいとなります。  問題なのは結果の評価で、学校の教育みたいに全部が全部テストではなく、 どちらかというと技能検定に近いようなことをやらなければいけない。そう いうのを含めて、要するに教育訓練というのをしっかり積み重ねていかない と、人材の質の向上というのはないわけです。そういう意味では機構の今後 の革新も含めて、引き籠ってばかりいないで打って出るような、企業で言う と売上げを上げるような活動というか、営業とは言わないけれども、何かそ ういう逆の視点も必要なのではないか。いくつか個別企業からすると、もっ とこういうふうにしてくれたらいいのにという部分を相当お持ちなのです。 だから、そういう活用の視点がISOの要求する教育訓練、そして第3次産業 にも当てはまるような教育訓練の仕組みを構築するときに、まさに国際社会 から遅れを取ってはいけないわけで、そういうのを1度、しっかり構築して いくことが非常に重要なことだと思います。 ○渡辺委員(篠原代理) 日本全国に516も商工会議所があるものですから、 いろいろな情報が本件についても私どものほうに入ってきますが、まだこれ は議論が始まったばかりで、正確に地方には情報が伝わっていないせいもあ りますけれども、「ポリテクセンターがなくなれば、私どもの県はどうやって やったらいいのですか。民間でそういう訓練をやれる所は、いまありません よ」という陳情とか、いろいろな要望が我々の所に伝わってきています。  先ほど来、ご議論があるところですけれども、この問題は本当に地域、地 域によって十人十色で全く違うという認識を、まずしていただきたいという ことです。当然のことながら、それぞれ地域、地域によって産業構造が違い ます。それぞれ地域によって特色のある産業があって、そこにどんな人材が 必要なのかというのが、まず基本にあるというのが第1点です。  第2点は、是非、皆さん方が意思統一して議論を整理していただきたいの は、この論点でもまだ十分整理がされていませんけれども、誰の財源でこの 事業はやっているのか。お金はどこからきているのか。事業主負担でやって いるのか、一部労働者の負担も入っているのか。税金でやっているのか、あ るいはそのミックスなのか。すべての議論はその財源を整理した上で議論し てほしい。  というのは、ポリテクセンターで行われている事業、あるいは民間に委託 でいっている事業は、私の理解ではほとんど事業主負担でやられている事業 です。したがってどう改善すべきか、どう機構が必要なのか、あるいは必要 でないのか、最終的にヂャッジするのはお金を払っている人だと我々は思い ます。どこに不満があるのか、満足があるのか、あるいはどう改善すべきか。 もちろんここで議論するのは当然ですけれども、そういうユーザーの声は地 域、地域によって違うということと、地域、地域のユーザーの本当にお金を 負担している人の声を、十分反映した議論をしていただきたいということで す。 ○庄山座長 お金の件は前の資料には全部入っているのですが、いまのご指 摘のように機構の中のいろいなテーマごとに、例えば一部は企業から来る方 の訓練が有償だったり、かなりのところは税金だったり、いろいろあります けれども、それがもう少しわかる形が必要です。ついでに申しますと、例え ば昨年や今年、あるいはその後に対してどういう努力をしようとしているの かを示すものがあると、もう少し皆さんが理解ができると思いますので、こ れは次回までに是非、できれば早目に回していただくと助かると思います。 ○姉崎課長 資料はまた整理させていただきますけれども、雇用・能力開発 機構の行っている職業訓練の業務の財源は、基本的にすべて雇用保険の2事 業、事業主負担分だけが財源になっています。労働者の皆さんが負担してい ただいている雇用保険料というのは、すべて失業者給付というところに回っ ているので、そこと同率の事業主負担分があります。そこの失業給付のとこ ろに入る保険料と、雇用対策に使う事業主が負担している部分は全く別の勘 定と理解していただき、別々に分かれています。雇用・能力開発機構の予算 は、基本的にすべて雇用保険の事業主負担分だけで行っていますから、税金 の投入は全くありません。そこだけはご理解いただければと思います。  先ほど住田委員が言われた有識者会議のことですが、委員が言われていた 雇用保険の失業給付のところについては、労使それぞれの保険料負担のほか に国庫負担分というのがあって、そこの失業給付のところには一般財源を投 入することになっています。それはなぜかというと、雇用対策にかかる国の 責任があるのだということで、それを示すものとして、失業給付のところに は一般財源が一定割合投入されているということです。失業給付以外の通常 の雇用対策事業は、基本的にはすべて雇用保険の事業主負担分のみをもって 行われている。このように理解していただければと思います。 ○紀陸委員(川本代理) いまのところを私のほうから申し上げようと思っ たのですが、いま解説がありましたとおり、失業給付は労使折半で保険料を 納めています。そこに国庫負担が入っている。国庫負担はかつては3分の1 入っていたのですが、現在は13%強くらいまで暫定的に減ってきているとい う状況があります。  一方、この失業予防や訓練、雇用対策の関係は、いわゆる雇用2事業とい うことで事業主負担のもので賄っている。そういう立場から申し上げると、 私ども使用者団体から見れば、是非とも効率的にやっていただきたいと思っ ているのは当然ですし、あるいは職業者訓練について必要なものは残して、 発展してもらいたいと思っているということです。  したがって、実はこの雇用保険2事業についても別の会合があって、毎年、 毎年、PDCAを回しながら非効率なものはバンバン減らしてくれと。あるいは、 こういうものが必要なら、ここはわかりましたという会合も並行してやって いるところだということは、申し上げておきたいと思います。  その上で今日のこの訓練のお話ですが、私ども日本経団連で先般、5月20 日ですが、地域経済の発展をどう考えていくかという提言を出しました。こ の提言の中でもいろいろな企業の方のご意見を聞くと、いまやものづくり中 小企業が人手不足であり、そこの人手不足の解消と人材育成がものすごく重 要だという意見が山のように出ています。私自身も昨年、一昨年と内部にあ る中小企業委員会というところで、足で歩こうということから東京都内だけ ではなく地方のほうにも出かけて行き、いろいろな中小企業を訪ねました。 そこでご指摘があったのも人手不足、ものづくり離れの問題であり、それへ の動機づけと育成というのを是非、世の中で喚起してもらいたいという声が 本当に溢れているわけです。  一方、世の中は、先ほど資料にもありましたように格差問題があるとか、 あるいはセーフティネットの部分は国がやっていくことが重要だという議論 があるわけです。そういう中で職業訓練という、いちばん大事な部分の役割 は再認識されていいのではないかと思っているわけです。そういう意味で一 言申し上げると、厚生労働省あるいはこの機構については今回まで非常にPR が下手だったのだろうなと思っています。知らない方がたくさんいるのです。 もっとPRすることがすごく重要だろうと、まずこれを申し上げておきたいと 思います。  その上で、いま機構のやっている中身についてどう考えるかというと、中 小企業の中の在職者訓練や離職者訓練は、働く個人にとってだけでなく、企 業に人材を供給する立場からも非常に重要なのだろうと思っています。  実はこのものづくりの技能者ですが、先ほどもご指摘がありましたけれど も、初級があり中級があり上級がある。あるいは1つの専門性から多能工化 していく。あるいは指導員になっていくなど、それぞれのレベル感というの があろうかと思います。実はそれぞれのレベルにそれぞれ人材が必要であり、 それに対しての訓練というのが必要なのだろうと思っています。  つまり何を言いたいかというと、こういうレベル感がある中で機構として どの部分を担っているのか。あるいは民間で担っていられる所があるのかと いうことなのだろうと思います。ほかの所が担って十分であれば、そこは機 構がしなくてもいいのかもしれない。ただ、私が知る限り、ものづくりの部 分というのは非常に設備やコストがかかる。あるいは指導員もそれだけの技 能の高度化をしていないと、なかなか教えられないという面があることから 見ると、機構が果たしている役割はかなり大きいのではないかと思っている わけです。ですから、そういう離職者訓練や在職者訓練の中身を発展してい く必要があると思いますが、残すべきは残して、きちっとセーフティネット を確保していき、必要な人材を教育して送り出していくことがものすごく大 事だろうと思っているところです。  もう1つ質問ですが、資料No.2の70頁に「職業訓練業務に係る経費」とい うのが書いてあり、実施経費並びに訓練者1人当たりの経費の分析がなされ ています。一方、受講生の立場に立った時にどうかというのもあると思いま す。セーフティネットについて考えれば、教えてもらえる場所があるという のがセーフティネットの第1ですが、2つ目は費用対効果というのもあるわ けです。ここは組織から見た経費なのでしょうけれども、受講生から見たら どうなのだろうというのもあると思います。これが民間にいったら、民間は どうしても利潤を追求しますので受講料が非常に高くなるとか、そういう違 いはもちろんあると思いますので、そういう比較も大事なのかなとこの表を 見て思った次第です。  質問ですが、80頁のところにあるように、公共職業能力開発の施設数がど んどん減ってきていますが、これは何か理由があるのですか。お聞かせいた だければと思います。 ○庄山座長 ご意見を先にどうぞ。 ○千葉委員 専門学校の千葉でございます。いま話を伺っていて実はだんだ んわからなくなってきている部分もあるのですが、この機構自体は炭鉱労働 者の転職のために作られたということを聞いているわけです。いまの論点等 の資料を拝見すると非常に崇高な目的というふうに、だいぶ変わってきてい るという感じがします。これを見ても経済社会情勢の変化というところで、 少子高齢化が進行しているからこの機構が必要なのだと、グローバル化によ る影響といったことが進展してきているので、これが必要なのだという形に も読み取ることができるわけです。  私も実際に2校の学校を拝見してきましたが、ポリテクカレッジという所 で行われている6カ月のコースでは、ものづくりの企業のニーズに合致して いる人材の育成には、その教育内容が不足であるというふうに感じます。こ れは32頁にある生産工程を合理化する知識・技能、あるいは高度に卓越した 熟練技能といったところを訓練するには、若干不足があるのではないかと思 っています。  実際には先ほどからお話が出ているような格差の部分であるとか、あるい は母子家庭の問題であるとか、あるいは経済的、社会的弱者の方々を、中小 企業のものづくりの現場技能者として供給することが、現実にいま行われて いるところではないかと私は拝見してまいりました。  そういう意味で現在の社会情勢から、労働者不足によって日本のものづく りが危機的な状況になることに対して、何か転換を図っていくことについて は、この能力開発機構の目的ではなくして、これはもっと国家的にものづく り技術者の育成とか、初等教育のところからのものづくりに対する認知、伝 えていくということを強化していく。そういったことをやっていくことが、 本来の根本的な問題を解決していく方法ではないかと思いますので、このあ たりは非常に崇高な社会環境の変化というところから、この検討会が進んで いくと、その本質を見失ってしまうような感じがします。  見学をしてきた感想ですが、職業能力開発大学校を拝見しました。これは 従前より問題になっていることですが、卒業生の進路として、指導員として 卒業後に活躍する方の比率がいちばん低いときには10%、現在でも20数パ ーセントという状況にあるというのは非常に問題だと思っています。指導員 を自前で養成するというやり方も、今後、続けていくのか続けていかないの かについても、これから変化の速い時代には、指導員を養成するまで教育現 場が変わらないということでいいのかどうなのか。そういったこともあるの ではないかと考えています。私もいろいろ話を聞いて頭が混乱しているので すが、我々学校の立場からしますと、このような感想を持ちましたというこ とを報告させていただきます。 ○庄山座長 先ほどの数字の件はいかがですか。 ○水野課長 先ほどの質問ですが、2点質問がありました。まず後のほうの 都道府県の訓練校の設置数が減っているのはなぜかということですが、これ は基本的には、よく言われている少子高齢化の影響が大きいのではないかと 思っています。特に都道府県の場合は学卒者訓練を中心にやっていますので、 高校を卒業する方、中学を卒業する方が年々減っていますから、それによっ てニーズが減ってきて少なくなっています。もう1つは都道府県のほうの財 政難ということで、なかなか従来と同じように訓練校を維持するのが難しい という話も伺っています。  もう1点の受講生の側から見た費用負担ですが、これは離職者訓練、在職 者訓練、学卒者訓練により異なっています。離職者訓練は雇用のセーフティ ネットですので基本的には無料です。教材費は実費をいただいていますけれ ども、いわゆる受講料は無料です。在職者訓練については実費相当分をいた だくということでやっています。学卒者訓練は能開大、能開短大で、高校卒 業者2年課程と4年課程ですが、授業料は年額39万円で国立の短大と同じ額 です。 ○清成委員 先ほど住田委員が重要なことを2つご指摘になったと思います。 1つは産業政策なのか、あるいは積極的雇用政策なのか、どっちなのかとい う問題です。実は中小企業庁では何度も、こういう中小企業の基盤技術に関 係する委員会を作ったり、あるいは中小企業政策審議会で議論したり、ある いは中小企業の「ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」という法律ま でできているわけです。しかし、問題は解決していないのです。  私は、労働政策の役割は非常に重要なのではないかと思っています。長い 間、ものづくりが大事だとかいろんなことが言われていても、結局、中小企 業庁では訓練の問題が全く解決していないという問題があるわけです。特に 1999年から2000年にかけて中小企業の基盤技術というのを、どういうふう に維持、向上するかとぃうことで、中小企業庁長官の諮問委員会があって2 年ぐらい議論したのです。このときは大企業からも入っていただき、そして 先端的な中小企業からも入っていただき、あるいは技能・技術をIT化すると いった、いわゆる可視化していくことに成功している企業を呼んだり、大学 では特に金沢工業大学が非常に現場に合った大学教育をやっている所ですが、 石川学長に入っていただいたりしてまとめたのですが、これから中小企業庁 として政策的なことが展開できるかというと、なかなかできなかったという のが率直なところです。  もう1つ、住田委員が言われた福祉から雇用へというところです。これは 例えば官邸の成長力底上げ戦略の中で、福祉から雇用へというのは1つの大 きなテーマになっています。特に母子家庭、身体障害者、精神障害者、高齢 者も含めて、福祉から雇用へということが問題提起されている。他方、大学 や専門学校が一定の技能や知識を教育すべきだということが別にありながら、 実際に何もここは手が付いていないということなのです。しかもこれは全国 どこでも必要なことなのです。いま福祉のお世話になっている人たちを、雇 用者のほうに振り向けるという話になると、どうしても地域レベルの話にな って、しかも全国どこでもそれは必要であって、そうなると、いちばん重要 なのはコミュニティビジネス、特に介護や福祉の分野の労働力で、これも決 定的に不足しているわけです。  そうすると、厚生省と労働省が統合されて厚生労働省になったとすれば、 厚生労働省がそこのところで一定の役割を果たしうるのではないかというこ とです。そういうことで全国という話になると、機構と各都道府県との協力 で、ここのところは1つの仕組みを作れるのではないかということが言える と思います。  もう1つ、日本経団連ではいろいろ調査をなさったようですが、ものづく りの人手不足というのは決定的なのです。だけどこれは先進国共通の課題な のです。それでいろいろな施策を講じても、これまでうまくいかない理由は 何なのかというと、総論賛成、各論反対なのです。  例えば、私の子供や孫が技能労働者の道を仮に選ぶとすると、親や祖父母 というのは大抵反対します。それよりはホワイトカラー系の例えば金融にい ったらどうかとか、そういう話に実際にはなるわけです。だから総論と各論 がいちばんずれているところが実はここなのです。だから大学でも理工系離 れが実は起こっている。私立大学の理工系の志願者というのはこの10年で半 減です。国立のほうは理工系の比率が高いですから半減ということはないで すが、文部科学省の学校基本調査で調べてみると、国公私立を含めて理工系 の入学者は毎年どんどん減少している。  このことは、非常に質が悪くなっているということなのです。つまり定員 割れの理工系大学が増える。地方の理工系大学というのは定員割れが非常に 多いですから全入になっているのです。全部入学させてしまうことになって 質が悪くなる。学力が低い人しか拾えなくなっていて、ものすごく質が悪く なってしまっている。こういう所は、入学しても2年次、3年次に大量退学 するのです。どこに行くかというと専門学校に行くのです。専門学校のほう がいいという判断なのです。そういう意味で特に理工系の大学教育に非常に 問題が起こっているということです。  しかし、こういう中退者の受け皿ということを考えると、機構なり都道府 県の一定の役割があり得るのかなと思います。だからここは先端的なところ ではなくて、それが必要だろうと思います。地方の私立大学の理工系学部で、 特に工学部は募集停止にして廃止する所がどんどん出ている現状なのです。 これは危機的とも言えるわけで、何らかの公的なサポートがないと、この傾 向は今後も続くだろうと思います。そこまでいったら回復不能になるという 感じです。 ○庄山座長 まだご発言されていない方、どうぞ。 ○本田委員 いろいろと議論されていますけれども、私はもともと事務系な ので、この先端技術というのは不得意分野ですから、あまり詳しいことは申 し上げられませんけれども、2つの学校を見学させていただきました。結論 から申し上げると、特化したものについては国の力がないと、それは維持で きないし発展できないと思いますので、確実にそれは残してやっていくべき だろうと思います。先ほど住田委員が言われたように、これをもう一度ゼロ ベースで考え直して、国が作ったものですから大学にしてもそれなりの体裁 と言いますか、見てくれも大切なのかなと思いますが、人数からすると、あ れだけ広大な土地と施設が必要なのかどうか。そういうこと等々を含めて、 特化したものに対してやるべきではないかと思います。  この委託訓練などを見ると、事務系のものについてはそれほど神経を尖ら す訓練ではなくて、むしろヒューマンスキルのほうが多く求められるのでは ないかと思います。かつて私もホワイトカラー離職者訓練の支援プログラム をお手伝いしたことがありますが、3カ月ぐらいで修得するような内容とい うのは、そこそこのごく一般的な知識のある方はあまり訓練をしなくてもで きるのかなと思います。要は、そういうヒューマンスキルとして人と人との 関わりが得意でないのを、どうやっていくのかが大切なのではないかと思っ ています。  先ほど来、清成委員が言われていたように学力の低下というのは否めない わけですから、これは厚生労働省だけで解決できるのか。この後に出てくる ニートやフリーターに関連してくることだと思いますが、そういうことは地 域や家族が一緒になって、もう少し真剣に子供や若年層の将来の仕事がどう あるべきかを考えていかないと、高水準でない生活をしていても意識だけは そっちへ行っていますから、油にまみれることをしたがらないとか、何かす ると自分の学力と目指している職業のギャップがかなり大きくある。  私も40年ぐらい職業教育に携わってきましたが、就職のお手伝いをして相 談すると、特に女性は能力はなくても、私は青山近辺と銀座しか働く気持は ありませんというふうに言います。どんなにいい会社が足立区にあってもそ こへは行きたくありませんと言う。そういう思いを持っていて職業の理解は ちゃんとしていない部分があるものですから、先ほどありましたように親の ほうが望んでいる。特に私は専門学校が長かったせいか、そういう子が非常 に多い。親御さんもそういう感じの人が多いものですから、そういうところ もきちっと手を入れて、この機構についてはもう少し国と都道府県、あるい は民間とどう関わるべきか。そういうことをもう少し深く考えて、お互いに どこを譲り合い、協調して共同開発できるものがあるかをやっていただきた いと思っています。 ○庄山座長 秋葉委員、いかがですか。 ○秋葉委員 私も専門学校なのですが、感想から申し上げたいと思います。 我々専門学校が受け入れるのは学卒者ですから、少し離職者についての意識 が違うのだろうなという気がしました。問題として、内容的には平均的すぎ るのではないかという意識があります。離職者にしても世間並みの学習とい うところで終わっている。3カ月、6カ月という大変短い期間ですから、そう いうところで終わってしまって、要するに世間並みですから、世間並みに離 職も繰り返してしまうのだろうなという気がしています。  在職者については、もっと高度なことをやったほうがいいのかなと思いま す。そうなると今度は経済産業省との絡みになってくるのかもしれません。 その辺が非常に難しいところなのだろうという気がします。学卒者について は、施設でやる場合の学卒者は1回社会へ出して、社会の荒波にもまれてか らどこかへ入ったほうが、分野にもよるのかもしれませんけれども、ずっと 意識が変わるのだろうなと思います。  こういう施設でお願いしたいのは、指導者や我々の委託を受けているほう の教員は、確かにその分野には長けているわけですが、就職させる技術とい うか、もうひとつ違ったところがない場合があるわけです。そういう意味で の教員の再訓練みたいなものが、いちばん求められているのかなと思います。 どちらにしても、全体的に平均的すぎる。ハローワークには214万人来て、 受けられるのが17万人という段階で、もっと高度なことができるのではない かという気はしたのです。次回、我々が発表しなければいけないので、もう 少しまとめてきたいと思います。 ○佐伯委員 愛媛県の佐伯です。この横長い論点の整理ペーパーの中で私が 財源的に気になったのは、1頁のIIIの1の(4)に総括というのがあって、今 までも離職者訓練について誰がすべきなのかという議論がいろいろ出てきた ように思いますけれども、その中で公的な関与というのが○の2つ目に書か れています。そのほかに2枚目のいちばん最後のところに民間と地方公共団 体の関係ということで、(2)で国と地方公共団体の役割分担のあり方という 論点整理がされています。これは傾向として近年、さまざまな国と県の施策 について、ほぼ同じように公的関与というのがキーワードになり、国と都道 府県の切り分けというか役割分担というのがキーワードになっていて、さま ざまな業務が都道府県に来ているわけです。  ただ、今、お話の中に離職者対策はセーフティネットとして、雇用保険の うち事業主負担で行われているという財源論が出ていましたので、私も気に なったのです。地方も財政危機がこの5年間ぐらいで進んでいて、政策に投 入できる一般財源というのは、経常収支比率が85%から90%を超えるような 都道府県が多くなっていますから、そんなにできない。清成委員からもお話 がありましたが、産業政策としてする人材育成と、離職者対策としてする人 材育成は違うのではないか。離職者対策としてするものについて都道府県が 役割を担うとすれば、都道府県の一般財源ではなく、私たちは特定財源と言 っているわけですが、特定財源の措置等がなければ、することは実際には困 難になってくる。  もう1つは、例えばIT産業なら先端技術産業の誘致のために人材育成をす るとか、地場産業のために先端的な教育訓練をするというのは、政策として 行っているわけですけれども、近年はどこの都道府県でも財政危機になって いて、人件費のカット等も行っているわけですけれども、政策的なものに投 じる予算というのはかなり減っています。これはどこの県でも予算編成時に は国と同じで、国のほうも地方分権改革委員会のほうに書かれていますが、 「聖域なき見直し」とか「選択と集中」という言葉を使って、かなり思い切 ったカットをしています。国のほうは給与カットしていませんが、県のほう は大体5%から10%の給与カットをしていますから、かなり思い切ったカッ トがされています。カットされるものは産業政策とか公共投資が多く、社会 福祉関係が残りますけれども、かなり大きなカットがされていますから、そ ういう意味では「役割分担のあり方」と書く中には適正な財源の措置を講じ た上でという話がないと、なかなか現実には難しいのではないかという感想 を持ちましたので、一言披露させていただきました。 ○庄山座長 愛知県ではどうでしょうか。 ○志治委員(上田代理)愛知県の現在の訓練の実施状況の課題といった点か らお話をさせていただきます。いま現在、愛知県では学卒者訓練、離職者訓 練、在職者訓練と大きく分けて3つの訓練をやっているわけです。昔と比べ るとだいぶ変化があって、目的や狙いといったものがちょっとずれてきてい る部分があります。例えば学卒者の場合ですと、当然、ものづくり職種が中 心なものですから、ものづくり現場での人材育成が主な狙いとして実施され てきましたが、先ほど能開課長さんからお話がありましたように、少子化と いうことで入校者がだいぶ減ってきたということがあり、なかなか学卒者訓 練を維持していくことが難しい状況に、現在、直面しています。  そういった中で学卒者訓練をやっているのですが、入って来る方のレベル が相当難しいレベルの人が多いものですから、その訓練をやることの苦労が ひとつあります。特に中卒訓練については、入校者も少なくて対象者も少な くなっていますから、その人たちの就職に結び付けるための訓練というのが、 大変難しいというのが現状となっています。  離職者訓練については、これは当然、再就職を図るための訓練ということ ですから、ミスマッチの解消ということを主な狙いとして訓練を行うわけで すが、これについても例えば高齢の方が訓練を受けると、その就職には大変 難しい壁があります。企業にとっては、できるだけ若い人を採用したいとい うことがあり、そういった中で高齢者の方の訓練をしても門戸が狭められて 就職が難しいということがあります。当然、必要な訓練ではありますけれど も、就職にあたってはなかなか難しい問題があるということです。  もう1つ離職者訓練の中には、先ほど来お話にあった母子家庭の母の方あ るいは障害者の方の訓練もやっていて、去年から発達障害者の訓練をやって います。この発達障害者の訓練をやっていると、いちばん最初に企業にとっ てのメリットというのが問題になりますので、その企業の方が採用するにあ たってのメリットを、どういうふうに作り出していくのかというのが、最大 の難しい点かなと思っています。  その場合に私どもが求めているのは、障害者の雇用率の算定の中に発達障 害者の方も加えていただきたいと要望しています。そういった外枠というか 外堀を埋めるような作業からやっていかないと、なかなか就職に結び付かな いという現状があるのが辛いのかなと思っています。  最後に在職者訓練については、愛知県はポリテクセンター中部が相当大が かりに訓練をやっていますので、愛知県でやっている部分については小規模 でこじんまりした内容ですけれども、いま考えているのは、学卒者訓練を公 共訓練として担う部分が減っているものですから、それに対して中小企業の 若い人を採用した場合の訓練体制は、なかなか強化されにくい部分がありま す。そういった中小企業に入った新卒に近い在職者を、公共の部分で何とか 人材育成を担うことができないかということで、ジョブ・カードシステムが 導入されましたから、そういったものを活用しながら、うまく展開できない のかなということで、いま課題として検討しているところです。 ○庄山座長 石川県、どうぞ。 ○高本委員 石川県でございます。先ほどから各県の部分は地域、地域の問 題もあり、その地域、地域でやるべきという話もありました。石川県でもも のづくり人材というのは非常に不足しています。そういった形でものづくり 人材をいかに確保していくか。その中で職業能力開発校というのは、大変重 要な役割を果たしていると我々も思っていますし、当然果たしていかなけれ ばいけないと思います。  そういう意味では、逆に言うと国のポリテクセンターの部分では、セーフ ティネットの部分を全国的な視野できちんと確保していただきながら、また 地域課題として我々石川県にも石川ポリテクセンターがあって、連携を密に しながら所長さんとも話をして、いろいろな連携をとっています。また連絡 会みたいなものもありますし、こういう連携をもっと密にして県と国との関 係をもうちょっと密接にすれば、お互いの部分でダブッているとかいろいろ な議論がありますけれども、役割というのは基本的に違う部分があるのだと 思います。その辺、県は地域性の強いところをやっている。  ちなみに金沢の産業専門校では、工芸デザインコースということで友禅の コースまで盛り込んで、かなり地域性が高い。また先ほど言いましたように、 いま、いちばんテーマになっているのはものづくりの人材です。先ほど清成 委員も共通の課題だと言われましたが、確かに有効求人倍率が1を切ったと きでも、ものづくりは人がいないのです。とにかくこれは教育の問題か親の 問題か、そこまで行き着くような問題だと思いますけれども、そういった意 味では、ものづくりに興味を持っていただくことを我々も考えていかなけれ ばいけない。最近やっているのは、金沢専門技術校の中で例えば文化系のそ ういったフリーターなんかも集めて、ものづくりの楽しさを知ってもらう事 業も単独でやっていたりします。そういうのがどれほどの効果があるかは別 ですが、そういった事業にも取り組んでいる形です。ものづくりの人材不足 というのは大変深刻ですし、地域的にも大変深刻な問題があり、これに取り 組んでいるということです。  先ほどの地方分権推進会議の中でも、都道府県と国との役割分担が非常に 大きなテーマになっていますので、この辺は少し皆さんのご意見も聞きなが ら明確にしていただいて、私としては当然残してほしいと思いますし、それ ぞれの役割分野をきちっと分化すれば相乗効果を上げてできると思っていま す。これを例えば乱暴な議論で、これは県でやっているのだからやれという 話になると、前回もお話しましたが、先ほど愛媛の方からもお話がありまし た。いわゆる財源はどうするのかということになります。県がやっているか らやれと言ってボンと乗せても、人的問題、費用の問題がいろいろあります。 だから大きな1つの流れとして、そういう議論も必要なのですが、それをよ り効果的にやっていくにはどうやっていけばいいかという現実的な議論も、 十分議論していきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思いま す。 ○山田委員 会計士の山田です。私、個人的なことで申し訳ないのですが、 大学校とポリテクセンターを見学して、私自身もものづくりを勉強しなけれ ばと思い、5月から民間の学校に通い出しました。電子と電気を勉強してい ます。ここでわかったことは非常に難しいということがわかりました。私は 一応、4年制大学を出ている文系の人間ですが、電磁気とか力学が全く付い ていけない。ものづくり人材の不足という話が先ほどから再三出てきていま すが、育成するは難しいなと思います。基礎的なことも理系の方にとっては 簡単かもしれませんが、普通の文系の高校とか大学を出た人間にとって、も のづくりのほうにいくというのは、かなりハードルが高いことを強く認識し ました。  そこから鑑みるに、今回の第3回検討会は論点の整理だと思いますが、い ろいろ書いていますけれども、たぶんまとめるとセーフティネットと製造業 の問題、そしてあと民間や都道府県との重複の問題、この3つがポイントだ と思いました。セーフティネットと製造業に関しては、おそらくこの中の委 員の方々の話、そして国民感情も考えると、そんなに異論はないのかなと私 は認識しています。だとすれば、残るところの民間や都道府県との重複が、 今回の議論の肝なのかなと思います。そういう意味では4回、5回がちょう ど民間教育訓練機関や県からのヒアリングということなので、ここを中心に 話し合っていけば、おそらくゴールが見えるのかなというのが、今回の第3 回を議論してきた私の感想です。  1点だけ、これは依頼なのですが、機構の廃止シミュレーションをせっか く作られたということなので、それも見たいなと思いますが、議論が出なか ったので作らなかったということでしょうか。 ○姉崎課長 作っていません。 ○山田委員 下準備もしていない。 ○姉崎課長 あり方検討会は、12月を目途に検討しているということでご説 明させていただいて、廃止のシミュレーションは当然、「業務が必要か、必要 でないか」という議論になった段階で作っていくのかもしれません。まだそ ういう段階には至っていないということです。 ○山田委員 下書きがあるのかなと思いました。 ○草野審議官 廃止のシミュレーションについては、どういう意味かという ことがあって、1つはゼロベースで機構がなかったらどういう問題が出るか という意味で、まさに当検討会でご議論いただく課題です。もう1つの場合 は廃止した場合、その後、分割してしまうのか民間に委ねるのか。そういう 話であるとすれば、まず存廃を決めなければその話をしても、しかたがない ので、まずは閣議でも機構の必要性について評価を行い、評価に従って存廃 を決めるとなっていますから、まず評価していただくことが先決ということ で、これは有識者会議でも申し上げているところです。ですから前者の意味 であるとすれば、まさに当検討会のテーマですので次回以降、ヒアリングも 含めてゼロベースでご議論いただきたいということです。 ○庄山座長 ありがとうございました。後半で、花井代理は何かございます か、よろしいですか。それでは時間になりましたので本日の議論はここまで とします。教育そのものの問題や雇用そのものの問題、レベルの問題など範 囲がどんどん広がっていますが、次回、またよく議論させていただいて、必 要か不必要か、あるいは効率の話などいろいろなことを含めて答申する必要 があると思いますので、また積極的なご意見を頂戴したいと思います。次回 以降の件について事務局から説明をお願いします。 ○姉崎課長 スケジュールは資料No.6になります。次回、第4回は6月27日 の金曜日、10時から、場所は今日と同じこの会議室です。次回以降は先程か らもご議論が出ていますけれども、行政減量・効率化有識者会議、あるいは 地方分権改革推進委員会においてさまざまな意見や指摘を受けているという ことで、当検討会においてもこの民間、それから都道府県との関係について しっかり議論していくということで、本検討会の委員になっていただいてい る民間教育訓練機関の皆様方、都道府県の皆様方から、それぞれ現状をご報 告いただいて、当検討会でご議論いただいて、論点の整理をお願いできれば と考えています。とりあえず、次回の第4回目については、民間教育訓練機 関の委員の皆様方から、第5回目は都道府県の委員の皆様方から、それぞれ 職業訓練の現状等についてご報告いただき、ご議論できればと思っています。 ○庄山座長 そのように進めたいと思いますが、よろしいですか。ありがと うございました。それでは第3回の本日の会議は終了とします。皆様方のご 協力、ありがとうございました。 (照会先)職業能力開発局総務課   TEL:03-5253-1111(内線5948)      03-3502-6783(直通)   FAX:03-3502-2630