08/05/30 第5回障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 第5回 障害児支援の見直しに関する検討会(議事録) 日時 平成20年5月30日(金) 10:00〜12:00 場所 ホテルはあといん乃木坂・健保会館6F「ソレイユ」 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第5回障害児支援の見直しに関する検 討会を開催します。各委員の皆様方におかれましては、ご多忙の中お集まりいただきまし て、本当にありがとうございます。事務局から、今日の進め方、資料についてご説明をお 願いします。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 おはようございます。本日は本当にお忙しい中お集まり いただきまして、ありがとうございます。  本日の出欠状況ですが、数名の先生がご欠席となっています。市川委員、君塚委員、坂 本(?)委員、副島委員、田中委員、渡辺委員が欠席です。なお、副島委員の代理として、 全日本手をつなぐ育成会から大久保様が参加の予定です。併せまして、田中委員の代理と して、全国地域生活支援ネットワークより戸枝様の参加となっています。お二人からもご 意見をよろしくお願いします。  本日の進め方ですが、議事次第をご覧ください。1つ目の議題として、「就学前の支援策 について」です。この部分は前回資料として配付して説明したわけですが、時間の関係で 議論ができませんでした。本日、改めてここについてご議論をお願いしたいと考えていま す。  2つ目の議題は、「学齢期・青年期の支援策について」です。これまでのヒアリングなど で、放課後児童クラブでの受入れをはじめ、いくつかご意見が出ているところです。本日 は、放課後あるいは夏休みの過ごし方、居場所の確保、あるいは卒業後の施策を見越した 学齢期・青年期でのいろいろな対応といった辺りをご議論いただければと思います。  全体の時間配分ですが、最初の就学前の支援策に50分程度、学齢期・青年期の支援策に ついて50分程度、それぞれご議論いただければと思っています。  本日の資料の確認です。右肩の上に資料番号が振ってあります。まず、資料1、資料2 として、「就学前の支援策」についての資料が配ってあります。これは前回配府してご説明 したものと一緒です。次に資料3として、「就学前の支援策(追加資料)」というのがあり ます。これは、前回の説明の後にいくつか質問がありまして、これについての関係の資料 です。この3つが1つ目の議題に関する資料です。  続いて資料4、資料5で、これが「学齢期・青年期の支援策」についての資料です。最 初が検討のための資料、資料5が参考資料で、この2つでワンセットです。  併せて資料6として、これまでの「ヒアリングにおける主な意見と検討項目(案)」とい うことで配付しています。これは基本的には前回配付したものと同じですが、一部修正し ています。以上が配付資料です。  それに加えて、参考資料として、右肩に「参考資料」と書いた資料が4つ配られていま す。本日ご欠席の渡辺委員から、参考資料1の提出がありました。また、副島委員の全日 本手をつなぐ育成会から、参考資料2の提出がありました。また、田中委員から参考資料 3の提出がありました。参考資料4については、北浦委員から提出がありました。以上、 先生方からの資料提出が4つありましたので、配付しています。 ○柏女座長 欠席の委員の方からも、ご意見も頂戴していますので、事務局にはこの意見 も参考にしていただければと思います。  議事に入ります。前回から、全体についての論点、テーマを提示して、それを順に検討 していくということで続けているわけですが、今回は「就学前の支援策」と、「学齢期・青 年期の支援策」ということで進めていきたいと思います。いまほど課長から話がありまし たが、2つのテーマですので、就学前を11時ぐらいまで、学齢期のほうを12時ぐらいま でという時間的な目処で進めていければと思っています。就学前の支援策については1度 ご説明していただいていますが、委員の皆さんに思い出していただくという意味でも、1 度簡潔にご説明をお願いします。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 障害福祉課の矢田貝です。資料1、資料2、資料3 が、就学前の支援策の資料です。まず、資料2ですが、これは前回の資料6で、保育所で の取組み、障害児の通園施設、児童デイサービスなどの就学前の支援策の現在の状況につ いて、資料として前回ご説明したものですので、こちらの説明は今日は省略させていただ きますが、参考になさりながらご議論いただけばと思います。  資料3「就学前の支援策(追加資料)」とありますが、これは前回の議論の最後に、必要 な資料ということで、いただいたものについて追加でお配りしているものです。1枚めく ると「障害児通園施設等の概要」ということで書いていますが、前回柴田委員から「各障 害児の通われる施設についての児童1人当たりの費用を比較した資料を出してほしい」と いうお話がありました。その中に「児童デイサービスは苦しい」というご意見もありまし たが、これについて、それぞれ単価の比較を含めて載せていますので参考にしていただけ ればと思います。  3頁ですが、これも前回ご質問が出たもので、今回資料2のいちばん最初の資料につい て、例えば松矢委員から「特別支援学校の幼稚部はどこに入るのか」というご質問があり ました。これは書いていたとおり幼稚園の項目に含まれます。また「児童デイサービスは どこに入っているのか」と柴田委員からありまして、障害児通園事業に入っているという ことで回答を書いたものです。  さらに4頁ですが、資料2にも、ほかの障害児の通園施設の年齢の状況は資料として前 回出したのですが、柴田委員から「重症心身障害児通園事業についての年齢構成の資料も 出してほしい」ということで、これは委員会が終わってからご要望がありましたので、参 考にお付けしたものです。  このほか松矢委員から、例えば盲聾児施設の他の都道府県からの入所の状況如何等の資 料要求がありましたが、これについては現在調査しているところで、準備でき次第、特に 施設についてご議論いただくときまでにはご用意するようにさせていただきたいと考えて います。  資料1をご覧ください。これについては今日ご議論いただきたいことですので、簡単に 端折って読み上げます。本日ご議論いただきたい論点として、(1)保育所等での受入れの 促進です。可能な限り一般施策の中で受け入れていく方向の中で、(1)として保育所等にお ける受入体制の充実。(2)として保育所等への受入れを促進するためにも、保育所等を支え る仕組みが必要ではないか。ヒアリングの際にもそうした意見が寄せられていましたが、 例えば現行の障害児の通園施設・児童デイサービスなどの専門機関から、保育所等へのバ ックアップができないかというのが2点目です。3点目が、それらのことをすることを通 じて、通園施設や児童デイサービスに通っている子どもが、なるべく多く並行して保育所 等にも通えるようにすることができないか。  4点目して、保育所、幼稚園などのほか、現在数が非常に増えている、つどいの広場、 子育て支援センター等での障害児の親子への支援が考えられないか。これについては、前 回渡辺委員から追加資料を出していただいて、ご説明もいただいた項目です。  就学前の支援策論点の(2)ですが、障害時の通園施設と児童デイサービスの機能の充実 と書いていますが、現行の障害時の通園施設・児童デイサービスについて、通所事業のほ か、これもヒアリングの際に何名かの団体の方からご意見をいただいたところですが、専 門機関として、例えば先ほど申し上げた保育所等への支援、もしくは広く相談事業などを 行うことができないかということを、論点として設定しています。  これらの論点、その他就学前の支援策について、各委員どのような方向で施策を見直し ていく、もしくは進めていったらいいかということについて、ご意見をいただければと考 えています。よろしくお願いします。 ○柏女座長 論点が大きく2つ提示されています。一般施策、つまり子どもや子育て支援 の一般施策の中に、障害をもった子どもたちやその保護者の方々をどう支援の中に入れて いくのか。もう1つは、障害という問題に、その固有性や特性に着目して、その施策をど のように伸ばしていくのか。場合によっては、この2つの施策、一般施策と障害に固有の 施策の相互乗入れの問題も議論があるかと思います。この2つないし3つの論点になるか と思いますが、区切らずに、どれからでも自由にご意見を言っていただきたいと思います。 ○宮田委員 前回の最後で言い残していた部分なのですが、議事録を見ていますと、非常 にわかりにくいしゃべり方をしていると反省しています。その部分の発言の補充なのです が、前回「入所と通所の施設を分けて考えたほうがいいのではないか」と発言したのです が、この部分はここで議論するときに、障害児の支援システムを考える部分と、施設機能 を考える部分があると思います。  我々の協議会からのヒアリングの資料で出させていただいているように、重層構造の中 で、例えば市町村圏域で動く児童デイサービスとか、保育所の障害児保育等、それから保 健福祉圏域の中でそれをベースに動く我々通園施設、そして都道府県域を射程に入れて機 能を充実されてきた入所の部分での役割分担については、全く我々も同感で、そのように 作っていかなければならないのではと示させていただいていますが、問題は、我々通所の 部分というのは、どのような障害も身近なところで必要最低限の支援を提供するという普 遍性を求めて、今回の見直しに臨んでいます。  我々のところで手に負えない、もしくはさまざまな専門機能を期待して入所を中心とし た、より専門的な機能にお願いするケースはたくさんあるわけです。そういった中で、入 所と通所というのが、専門機能をより充実させていっていただく部分と、加えて普遍性と いうか、どんな障害も受け入れて地域で支援できるような機能、この部分を施設機能とし て分けるというか、そのときにきちんと定義しながら議論しなければ難しいかなと申し上 げました。  そして、それに伴って医療の専門性という部分を第1回のときに少しお話をしたわけで すが、障害のある子どもたちを見るときに、医療の専門性というのは、大きく2つあるか と思います。  いわゆる急性期医療で、例えば食事を喉に詰まらせて対応しなければならない、もしく は痙攣重積したというような、急性期の一般的な小児科医療という部分と、入所で培って こられた専門的な、例えば重症心身障害児の医療を少し分けなければならないのではない か。  通園施設で、例えば知的障害の通園施設だとか、重症心身障害児通園事業でも、B型な どのところで、いまどうしても課題になるのは、むしろ急性期にどういう医療的援助が受 けられるかというところが、まずもって課題になっています。通所の側からすると、もう 少し一般的な急性期医療にイメージして、システムや施設機能を考えなければならないの ではないかと申し上げました。 ○柏女座長 この問題は実施体制のところでも、是非議論を進めていかなければならない と思っています。 ○松矢委員 最初に質問ですが、先ほどご説明いただいてありがとうございました。ただ、 この追加資料の説明のところで、もう一度はっきりさせたいのですが、質問のところに「特 別支援学校(当時養護学校)」とあります。身体障害児のほうですから、盲学校、聾学校、 肢体不自由児の養護学校の幼稚部というつもりで質問しているのですが、この書き方だと、 肢体不自由養護学校の幼稚部しか入っていないのかなと、盲学校、聾学校も入ってのこと でしょうか。そのように取ってよろしいですか。幼稚園(16%)の中に、盲学校、聾学校、 肢体不自由養護学校幼稚部ととらえてよろしいですか。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 問の立て方で、幼稚園のところに「幼稚園(養護学 校幼稚部を含む)」という選択肢で調査をしていただいていますので、ほかは「通園」「デ イサービス」「保育所」「幼稚園」「自宅」「その他」という選択肢ですので、そうしたとこ ろも、4のところにおそらく入っていると考えていいと思います。ただ、そこを明確にぎ ちぎち定義して調査しているというよりは、いまぐらいの感じの項目で調査しているのが 実態ですので、いまの選択肢を見て、4の幼稚園のところにお答えになっているのではな いか、それが「養護学校幼稚部を含む」ということと類推して入っているのではないかと 考えます。 ○松矢委員 私としては、知的障害児のほうに、養護学校幼稚部2%と入っているもので すから、当然身体障害児の場合には、そういう括りで、ここでは児童についてですから、 いまの特別支援学校の視覚、聴覚、肢体不自由を主とする特別支援学校の幼稚部が、どの くらいの割合にあるのかということをきちんと理解しておかないと、福祉と教育の連携と いうところで、細かい議論ができないので、このグラフの中では明確にしてほしいという 要望です。もう少し調査をお願いします。 ○中島委員 前回の議論の説明と、渡辺委員の追加資料も拝見して思ったのですが、就学 前の支援策を考えるときに、どういう家庭、家族像を前提とした支援策を考えているのか を非常に疑問に思いました。つまり、例えば絵付きの資料があると、子どもの世話をして いるのはお母さんです。渡辺委員の資料でも、いろいろな支援策に参加しているのはお母 さんなのです。つまり、障害児の世話をするのは、家庭の中で母親だというのが議論の前 提になっている気がするのです。  離婚率が非常に高いわけですが、母1人の家庭の中で、母親が一身に育児を背負ってい るという状況を前提にして議論をするのか、それともういった障害児のいる家族そのもの のあり方をもう少し考えましょうと、そういうものを建設的につくっていく上で、我々が 考える支援策がそこに乗っかるべきなのか、その辺の議論の前提をある程度はっきりさせ る必要があるのかなと思いました。それが懸念材料です。  例えば具体的に言うならば、障害児が家庭にいる場合は、父親が育休を取りやすくする とか、家族の中で、夫婦がお互いに協力し合いながら子育てをしていくという環境づくり を、一般の家庭にも必要なことですが、とりわけ障害児のいる家庭では、そのような体制 をつくっていくことに支援をしていく、そういうことがまず前提にあって、その上でさら に必要な支援をどうしていくかを考える必要があるのではないかと思いました。 ○柏女座長 これはとても大切なご指摘ではないかと思います。また、障害をもっている お子さんを育てているご家庭での共働き率なども低いのではないかと考えられますが、そ うしたことを考えていかなければならないと思います。本当にありがとうございました。 他にいかがでしょうか。 ○柴田委員 まず、前回東松山市の例が出されたのですが、理想的には見えるのですが、 現在の日本のさまざまな地域の実情を考えると、東松山モデルを一般化することは時期早 尚というか、無理というか。逆に地域における障害児への支援の基盤を崩してしまうので はないかと危惧します。障害児の通園施設なり、デイサービスなり、障害児を専門に扱う 施設を拠点にして、保育所、幼稚部等への支援をつくっていく形を基本にしないと、あま りにも飛んだ議論になりまして、あまりにも飛びすぎた議論というのは、逆にいまのさま ざまな財政事情の中で話をしているわけですから、結局障害児の支援の財政的な基盤を崩 してしまうという危険な印象を持ちました。  もう1つは、通園施設とデイサービスのあり方について、意見を申し上げます。初めの 協会としての意見表明のときにも申し上げましたが、通園施設は基本的にはかなり広域に、 言ってみれば県ないしは療育圏です、市町村単位よりもっと広いものを単位として、療育 機能だけではなく、専門的な機能を持っていくこと、そして基本は月額制で、後で措置か 契約かという話が出てくると思いますが、基本的には行政の責任を明確にし、かつ選択が できるような、現在の保育所的なものをもう少し修正するようなものがどうかと提案して いるところです。  一方、幼児のデイのところですが、デイのよさは小規模につくれるところで、地域に密 着しているところですので、これは市町村でもいいのではないかと思っています。ただし、 ここにも療育的な機能は必要ですし、現在のデイが日額制になっていまして、経営として 成り立たないところがありますので、ここも基本的には通園と同じように、基本は月額制 にして、並行利用する場合のみ、日額をそこに加味するというような形に持っていかない と、障害児のデイサービスは成り立たないと思います。  もう1つは、通園についてですが、現在は最低規模が30名ということで、大変大きいで す。成人でも20名からになっていますので、まず施設としての最低規模を20名からにで きないかということが1つです。それと、さらにもっと小さなところでも、単独では無理 でも、何か専門的な他の種類の施設に併設して、例えば重心のB型のように5人からとか、 10人からという形で、小規模に専門的な機能を持ちつつも、小規模に展開できるというこ とで、それを地域支援の拠点にしていくというか、そういう展開が必要で、通園事業につ いても、小規模化を一方で検討していだきたいと思います。 ○田中委員代理戸枝氏 私たちは、追加資料の参考資料3ということで、「『個別の教育支 援計画』と『個別の支援計画』チームアプローチの必要性」という東京学芸大学の加瀬先 生の論文を提出しているので、ご参照ください。  今回の障害児の支援に関する見直しでは、私個人も長い間ヘルパーをやってきています。 一言で言ってしまうと、箱型の支援の限界を常に感じていて、それはどういうことかとい うと、その箱に行かないと療育支援が受けられないことです。  通園施設に子どもが行っている時間を考えたときに、1年間というのは1万時間ぐらい あるそうですが、そのうちの1,300〜1,500時間ぐらいではないかと言われています。残っ た85%の時間を誰がその子どもへのアプローチをするのかとなれば、当然家族なわけです。 その家族が、障害のある方の特別な状況に対しての理解がないとすれば、結局はその85% の時間が無意に過ぎていってしまいます。  福祉の世界で、予防という概念をきちんと入れていかないと、いろいろな障害のある方 と付き合っていて思うのは、本当にこの人たちの能力はここまでなのだろうか、2次障害 がつくられているのではないか。それは環境が彼らの能力を最大限に引き出してくれない という2次障害なわけです。  なぜ起こるのかと思ったときに、例えば保健所で、この子はたぶん障害があるというこ とを保健師が見つける。それが今度はどこに連携していきますとか。例えば私たちヘルパ ーにそれがつながってくるときに、例えば保健師の情報は、かなり専門的なレベルの高い 保健師がたくさんいるとしても、その方たちが何を感じて、どういう支援をすればいいと 思ったのかということが、私たちヘルパーには情報としてはこないのです。  例えば学齢期になったときに、学校でしている支援が何なのか。私たちヘルパー事業所 のやる支援、例えば家庭でする支援。端的にいちばんわかりやすい事例でいうと、自閉症 という障害の方たちはコミュニケーション障害なので、例えばカードを使うと言葉よりわ かりやすいです。私のかかわった人で、家庭で使っている「ご飯」というカードと、学校 で使っている「ご飯」というカードと、福祉事業所が使っている「ご飯」というカードが 違うと。本人が一生懸命変換して、この3つはご飯なのだと理解するみたいな、このよう に馬鹿げたことがこの国では普通になっています。ここを誰がくっ付けていくのかという ことが、そもそもいちばんの問題ではないかと感じています。  例えばお母さんが子どもに障害があることをわかったときに、母親に専門性があるわけ ではないですから、「あなたはどのような可能性を持った人なのですか」というアセスメン トを専門的な立場できちんとする人が要る。次の段階として、お母さんなり、いまは父親 も参加している方がたくさんいらっしゃることも、先ほどの中島委員の話を聞きながら私 も痛感しているのですが、もっと言うと、おじいちゃん、おばあちゃんも、すごい思いで 障害があるということにアプローチする方もいると。そうすると、家庭の中に入って、こ の子の可能性を一緒にどうやって引き出しましょうかと。だから、いちばんのチームはも しかしたら家族なのです。そのときに専門性はないので、一緒に考えて、生活を組み立て ましょうと。  先ほど言った箱の限界ということでは、家庭の中に相当の専門家が入らない限り、その 子の2次障害は防げないことに対して、仕組みがないことが問題であると言っているわけ です。  その家庭の中での寄り添い支援、もちろん外に出ての専門的な領域が組み立った上で、 いろいろな専門機関につながっていくわけですから、専門的、継続的支援にいく場合には、 自立支援協議会という仕組みができたので、そこできちんとトータルなアプローチとして、 ケアプランを組み立てると。  この際に、うちの事業所のお母さんたちも言っているのですが、「戸枝さん、学校で春に 同じようなことを聞かれる。先生から話を聞いてあなたのそのケアプランに記入してくれ。 それか逆にして、学校にあなたが書いたものを渡してくれ。私は1回でいい」と。これは 特別支援教育の支援計画が始まって、福祉のほうも始まっているが、全く連携が取れてい ないのです。どっちでどうやってやるのかという問題です。そこで、学校、福祉、家庭と の統一した支援のプランニングです。  最後に、あなたのいままでとこれからを地域のみんなが知っていますと。成人されて、 かなり混乱された方が何とかしてくださいと来ると。そうすると、遡って、どうしてこう なってしまったかを知ろうとしたときに、お母さんから丁寧に聞取りをする以外の手段が ないこと自体があり得ない。例えば子どもが保健所の3歳児健診で状態がわかったときの 記録がない。学校の指導計画は私たちには伝わってこない。こういう全く何もわからない 状況で、本人だけを見て支援を組み立てざるを得ない。カルテのように、何らかの特別な ニーズをもった子どもに対して、トータルで情報共有されていく仕組みをつくらないとい けない。  セキュリティの問題はありますが、いまのデジタルな時代ですから、そういった本人の 記録を何らかの形で、まさに知的財産として蓄積していくことは可能なのだと思うのです。 そういった仕組みが要ります。  そう思ったときに、例えば日本国内でいけば先ほど話のあった東松山市、さらにいくと、 今回皆さんに提出させていただいた参考資料は長野県の療育体制を加瀬先生に調べていた だきました。加瀬先生は去年1年間スウェーデンに行かれまして、スウェーデンではどう なっているのか。そういうことでは、圧倒的に早期のアプローチに金を使っていると。な ぜ本人が混乱してからたくさんの金を使うのか、予防の概念が大切なのだ、お金の使い方 がおかしい、という確信を持ったとおっしゃっていました。  具体的にはどうしたらいいのかということですが、1つ目としては、アセスメントとか、 プランニングで、日本はいろいろな専門機関の能力は高い、熱意のある専門家が多いと思 っていますので、そこをつないでいく専門家が要るのだろうと思います。この論文では「パ ーソナルマネージャー」という言葉を使っているのですが、その方がトータルプランを作 ります。そうすると、自立支援法の見直しのタイミングで、相談支援体制が、例えば介護 保険と比べても1件いくらでケアプランを作れば個別に金が付くのに、箱投げで、すごく 低額だと。こういったことを見直していかなければいけないですし、どこも相談支援者だ けでは先ほど言ったことはできていなくて、療育担当者、本人に会って継続的に、場合に よっては家庭の中で寄り添う専門家が要るだろうと。  保育所に行く場合には、その専門家に保育所に付いて行って、周りの子どもや保育士と 調整をしていく機能も要るし、場合によっては学校の中まで行くとか。専門家としては、 私たちヘルパーの中にはやむを得ずそういうことをやっている人が相当いることをご存じ いただいて、ヘルパーの中でそういった資質を持っている人たちに、もうちょっと特別な 位置づけを与えて、家庭の中や専門機関の潤滑油として動いていく。  さらに言うと、通園施設の外出しです。東松山の場合は、もともとあった通園施設の専 門性を町中に配っていったという経緯ですから、それぞれの箱の中にいる相当の専門性を 持った方たちが外に出ていける、もっというと出ていくことにインセンティブが付く仕組 みをつくらないと駄目だろうと。  そういう意味では、相談支援の個別給付化とともに、私は自立支援法の仕組みを見たと きにおかしいと思ったことでいけば、施設関係はサービス管理責任者ということで、プラ ンニングをしたり、働く人たちの働き方を調整する専門家は、ある意味きちんと予算措置 がされて、主任という形で専門にやれるようになっています。いま言った家庭の中に入っ てトータルにいろいろな調整をしている訪問系事業所の責任者だけは、サービス提供責任 者という名前にとどまって、サービス管理責任者になっていないのです。専門的にやれな いので、プランニングや調整機能に特化できないのです。ここを見直さないと、ボリュー ム感として、家庭の中で寄り添って状況整理をする人が出てきませんから、この辺を見直 していくと、出させていただいた参考資料のような状況がつくれて、かなりの方が成人し た頃には混乱も起こさずに、いろいろな活動がきちんとできる状態になると思っています ので、是非ご検討をお願いしたいと思います。 ○柏女座長 検討項目の中で、保育所等での受入れの促進ということで論点が挙がってい ましたが、いまのご指摘は訪問支援、寄添い支援の重要性ということでご指摘をいただい たかと思います。それ以外のことについては、次回の相談支援のところともかなりかかわ ってくるご意見をちょうだいしました。ありがとうございました。 ○松矢委員 関連したことですが、加瀬論文のいちばん重要なところは、いま戸枝代理委 員から出ましたが、個別の支援計画について、この資料の読み方としては、「トータルプラ ン」と「サービスプラン」というキーワードで、特別支援学校の中で、特別支援学校は個 別の教育支援計画というのと、個別の指導計画と2つ持っているのです。そのことが福祉 のほうはまだそうなっていないのです。個別の支援計画というのは、サービス利用計画と 同等にとられているような状況だと思うのです。  つまり、個別の教育支援計画は連携のためのツール、トータルプランです。そして、そ れに対して一人ひとりの学校における個別の支援というのが個別指導計画なのです。その ことが幼児期においても、学齢期においても、福祉においては同じような捉え方で、個別 の支援計画を理解していただきたいわけです。  ですから、いま戸枝代理委員が言っておられるのは、ホストセンターのほうで例えばヘ ルパーをやっている方も、いろいろなところへバックアップで入っていくわけです。その ときにはトータルプランとして入っていくところでは、保育所の子どもたちも関係してく るわけです。先ほど「施設機能でいろいろ考えていくべきではないか」という宮田委員の 考え方も、並行利用で、保育所とか幼稚園が入っているところに、通園施設とか、あるい はデイサービス、通園事業のバックアップをする場合には、トータルプランとしての個別 支援計画でバックアップしていくわけです。そういう関係で理解していかないと、これか らの障害児支援はうまくいかないのです。  いままでは支援したいのだけれども、そこには何も点数が入ってこない、単価計算がな いですから、地域支援をすればするほど赤字になっていってしまう、人員も確保できない ことがあるわけです。ですから、トータルプランとしての個別支援計画と、サービスプラ ンとしての個別支援計画、その辺を明確にしないといけないと思うのです。  保育指針で「個別の支援計画」という用語が入りました。私は非常に賛成しているので す。ただ、その2つの使い分けをしているのかどうか。つまり並行利用で、通園施設とか、 通園事業がバックアップしているときは、まさにトータルプランとしての個別支援計画が あり、そこに則る保育所における個別の保育計画があるというような関係でいくと、全体 の支援が1人の子どもに活かされていく。そこを今回の見直しではっきりさせていかなけ ればいけないということです。 ○末光委員 先ほどの戸枝代理委員の話で、後半でだいぶわかってきたのですが、箱型の 問題点というのは、箱の中に閉じこもっていた問題点があると思うのですが、箱から出て という形に変わってきていると思いますし、そのことを先ほど東松山でも言われたと思い ます。箱で働いてきたスタッフの質、力量があったればこその地域支援ができているので はないかと思います。そのことを是非共通認識させていただきたいと思います。  それから、いまの個別の支援の計画云々についても、計画はあるのだけれども、その内 容の質、レベルあるいは満足度というのは、ただ形だけというのでは駄目で、しっかりや らないと駄目だと思いました。  もう1点は、柴田委員のおっしゃられたことに関連するのですが、この時期はご本人へ の専門的あるいは地域の中での交流等々が大事ですが、それとほとんど同じ重みで、家族 支援が大事だということだろうと思います。この辺は皆さん共通認識ですが、その具体化 の部分で、柴田委員は、従来の通園は月額でやれているが、児童デイは日額であると。そ の部分について問題があるということを十分におっしゃられなかったのですが、私が思う のは、通園はご本人への専門的な支援とともに、家族支援も月額制の中でやれていたと思 うのです。それが児童デイについては細切れになっている。従来の児童デイは支えだけだ ったのが、専門的な部分をだいぶ認めていただけるようになったのですが、細切れのご本 人への支援に限定されていると。この部分つまりご家族への専門的な支援、指導、助言を 何らかの形でカウントしていただけるようになれば、必ずしも月額制にしなくてもいい部 分はあるのではないかと私個人は思いました。以上です。 ○柴田委員 通園は月額ではなくて日額になって、それも大変混乱をしているところです。  戸枝代理委員の話はとても重要だと思います。この議題の中に、通園、あとで相談支援 がありますが、ショートステイと同時にパーソナルなサービス、支援をきちんと議題に取 り上げていただきます。それは必ずしも箱型というか、入所、通園と連動はするけれども、 それの延長ではパーソナルなサービスはつくれないのです。  その中で、特に今回の支援費制度から自立支援法になって、知的障害の分野で非常に大 きな打撃を被ったのが、移動支援が個別給付から外れてしまったということで、この移動 支援はかなり障害児童も使っていたわけです。それがいまは市町村ということになって、 単価の切下げ、ヘルパーが確保できないということで、本当に危機に瀕しているのが現状 です。  家族支援のもう1つの核は、きちんとした専門的な入所及び通所の箱型のものをきちん と整えると同時に、家庭に寄り添って、家庭に入って、家庭から1対1で子どもと付き添 ってというパーソナルな支援、それも質の高いきちんとした療育的な、専門的な能力を持 ったもの、これは本当はヘルパーではないと思います。パーソナルなサポーターだと思い ます。そういうシステムを一方で作り上げる必要があって、そのことも是非ともこの検討 会ではきちんと取り上げていただけたらと思います。 ○坂本(正)委員 今日いただいた資料を見ていますと、児童デイサービスの利用が増加 している、それから障害児保育の利用児も非常に増えている。また、通園施設の利用児も 増えているということで、一般施策としての保育所の利用、通園施設、デイサービス、そ れぞれに子どもにとって、あるいは家庭にとっての意味があるという数字が出ているわけ ですが、あくまでも全国的な数字であるわけで、必ず地域性というものがあるのではない かと思います。それは、こういった社会資源がどのように整備されているのかにもよりま すし、整備されていても、利用が促進されている、あるいはされていないとか、そういう 要素もあるのではないかと考えます。  保育所での障害児保育、障害児の通園施設、児童デイサービス、都道府県レベルでいい のですが、それぞれにどういった地域特性があるのか、あるいはどういう地域性が把握さ れているのかを、それぞれの施策の中でおわかりでしたら教えていただきたいと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 都道府県別に分析したものがないのですが、どこま でできるか事務局でやってみたいと思いますが、おそらく都道府県という意味での地域差 もありますし、同じ都道府県でも都市部と田舎のほうでも、だいぶ資源が違うというご指 摘もありますので、47都道府県の差もしくは地域差の両方に対応できるような施策という ことでご検討いただけたらと思います。どこまで調査できるかは持ち帰って調べてみたい と思います。 ○坂本(正)委員 さまざまな資源が必要だということは総論としては当然出てくるので すが、そこをいかに活かしていくかを考えたときには、そういう地域性がどこに基づいて 出てくるのかをしっかり見ていく必要はあるのではないかと思っています。 ○北浦委員 先ほどから家庭の支援という話が出ていまして、これは両親のことはもちろ んですが、私たちの会には兄弟姉妹を支援する事業をやっていまして、各ブロックで作文 を集めて発表したりしているのですが、ご参考までに申し上げますと、小学校5年生の男 子が、お兄さんが重症児なのです。「お兄さんは何も言葉も言えないし、食べることもでき ない、だから大きくなったらお薬をつくって治してあげたいと思っていた。けれども、お 兄さんをじって見ていたら、お兄さんはこのままでいいのだ」ということを書いているの です。だから、障害を持っている子どもが、弟に何かを教えているのです。そういう兄弟 を、幼いときからそういう考え方に育てていくということが非常に大事だと思って、兄弟 支援事業で今度キャンプを各ブロックでやることにしていますが、このことも少し頭に入 れていただいたらありがたいと思います。 ○田中委員代理戸枝氏 いまの北浦委員の話を受けて、自分もおじいちゃん、おばあちゃ んは言ったけれども、兄弟を言い忘れていて、皆さんの話を聞きながら納得するようなフ ォローをいただいてありがとうございました。  もう1つマクロの視点で重要なことを言い忘れていて、家族が家族であり続けられるよ うに支えていくといったときに、私のかかわったケースで、お母さんが限界で介護をやっ ていられないというSOSで介入したら、お父さんとお母さんがかなり重度のうつで、精神 的なアプローチが要る。お父さんのお母さんが寝たきりで、介護保険の要介護対象です。 そこはダウン、不登校、自閉の3兄弟でした。  こうなったときに、例えば児童福祉、さらに言うと介護保険とか高齢福祉、さらに言う と障害の部分、どこの機関でこの家族全体のニーズを整理統合して、かかわるのが制度の 違ういろいろな分野の人がかかわってくるとして、どうやって常に情報共有していくのか。 こういうこと自体が、家庭とか地域の中で支えようとすると、ある程度示されたルールが ないとやっていけないと。  当然地域包括、高齢の支援センターとか障害のセンター、さらに子育てのセンターとか、 いろいろなところとその都度状況に合わせてやるわけですが、それを誰が音頭を取るのか、 この辺のルールもある程度ないと、子どもというのはその中でいちばん弱い立場で、家族 という環境の影響で、いろいろな問題が起きてきますので、是非その辺も検討していただ きたいと思います。 ○柴田委員 今日新たな追加資料の2頁で、障害児通園施設等の費用の単価を見ときに「21 日利用した場合」で、21日利用になかなかならないのでもっと深刻なわけですが、これだ けの単価の開きがあって、特に児童のデイサービスのところでは、本当に療育的な支援を きちんとできるような人材が確保できないという深刻な事態があります。重心のB型が持 っている水準を参考にしながら、児童デイサービスの費用はきちんとこの検討会でも最後 に検討していだきたいと思います。  もう1つは、先ほどパーソナルな支援のことで、移動支援についても、児童福祉法の中 にこれをきちんと位置づけていく必要があるかと思うのです。  とりあえず、現状がどうなっているのか。移動支援あるいはホームヘルプサービスを、 障害児がどのぐらい使っているのかの実態がわからないでしょうか。戸枝代理委員のとこ ろは、局地的に立派になさっているのですが、全国的には使いたくても使えない現状にあ ろうかと思うのです。  それから、前にも出ました訪問看護の問題があります。訪問看護というのは東京都だけ の制度なのですが、これらの有効性も資料として、現状がどうなっているのか。それから 短期入所についてもきちんと検討する必要はあります。就学前の施策というときに、後で 議論する部分はあるのかもしれませんが、今回とりあえず資料をお願いしたいと思います。 また改めて別の機会に、それを基に検討できたらと思います。 ○柏女座長 いまの点について、事務局で資料等をご用意いただけますか。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 いくつか資料を整理します。自立支援法が始まって、い ろいろ資料の分析が不十分なのですが、請求のシステムを入れた時期以降、去年の秋以降、 だんだん具体的な数字が整理されつつあります。そうした中で、できる範囲のことをやっ ていきたいと思いますので、よろしくお願いします。どのくらいの人数が利用していると か、その辺を少し整理したいと思っています。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 次回相談支援のところをディスカッションすること になりますので、その際には、今回は箱型のものというか、そこに受け入れることのデー タや検討項目が中心でしたけれども、出かけていくとか、訪問したり、移動したり、寄り 添ったりとか、そういう支援についてのデータや論点がありませんでしたので、それはと ても大事なご指摘だと思いますので、次回それも踏まえて、相談支援のところ全体のコー ディネートというところは、議論できればと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 また、今後相談支援や家族支援でいろいろ整理していき たいと思っています。最初に中島委員がおっしゃった関係で、兄弟やいろいろなことが出 てきまして、次の資料を作るにあたって大体のイメージ合わせなのですが、家族の支援で はわりと中島先生の問題意識のような意識を大体お持ちだということで、資料の作業をす るような感じでよろしいでしょうか。その辺の雰囲気を聞いた上で資料を作りたいと思い ます。 ○柏女座長 どういう資料があればいいかということですね。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 我々もまだこれは議論していませんが、たまたま前回の 渡辺先生はちょうどどちらかというと、専業主婦家庭のサービスとしてのつどいの広場事 業ということがあったので、あの流れでは「お母さん」と出てきたのだと思うのですが、 例えば今後いろいろ家族支援を考えたときに、当然ながらご両親が働かれていることもあ るので、そこの家族のあり方は、中立的にフラットに、要するに個々人の選択ができると いうようなことを頭に置きながら、やっていくのがいいかと思いながら聞いていました。 大体そのようなことで資料を作っていきたいと思います。 ○柏女座長 それに関連する資料を用意していただくということでお願いいたします。検 討項目についてはいろいろなご意見はございましたが、特に異論は出なかったのではない かと思います。それ以外に訪問型のものなどについての施策が必要だ、あるいはそれらの サービスをトータルに支援していくような、そういうシステムが絶対に大事だといったよ うなこと、あるいは家族支援のこと、これから議論をすべきことなども併せてご提言をい ただいたかと思います。さらに、具体的な一つひとつの費用面も含めてご提言があったか と思います。  また行きつ戻りつするかもしれませんが、先に進めさせていただきたいと思いますがよ ろしいでしょうか。次の議事で「学齢期・青年期の支援策」について議論を進めていきた いと思います。まず、最初に事務局からご説明をお願いいたします。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 貴重なご議論をありがとうございました。3番目の 検討テーマです。「学齢期・青年期の支援策」について準備した資料の説明をいたします。 資料4と5です。先に資料5から現状の施策等について、簡単に説明したいと思います。 資料5の1頁です。年齢別の児童に対する放課後支援がいまどうなっているかの概念図が あります。真ん中にある「雇児局」というのは略していますが、教育委員等児童家庭局厚 生省のやっている放課後児童クラブ、一般のお子さまを含めてのところの施策があり、そ の下にこれも一般の小学校の近くなどでやられている放課後子ども教室推進事業というも のがあります。そして、いちばん上に障害部、これは障害を持つお子さま向けのサービス として日中一時支援事業があり、参考と書いていますが、いちばん下にこれも障害を持つ お子さまを対象にした児童デイサービスというのがあるという、これが全体のイメージ図 としてご覧いただければと思います。これは学校以外の時間、放課後とか夏休みに使える 施策についての図です。  次の2頁がそれをもう少し詳しく、これも全体で書いていますが、主なサービスとして この4つがあります。日中一時支援事業、これは障害児を対象にして家族の一時的な休息 を図るなどの目的でお預かりするという事業です。20年度予算額のところに書いてありま すが、地域生活支援事業、国から400億円の補助金がありますが、その中の内数として自 治体ごとにやっていただいている現在1,527市町村で、8割ぐらいの多くの市町村で実施 していただいている事業です。  放課後児童クラブについては、留守家庭のおおむね10歳未満の児童をお預かりする事業 で、これについても補助金が全国1万6,000カ所で実施されています。3番目の放課後子 ども教室推進事業についても、主に小学生を対象として、市町村で実施している6,267カ 所があります。参考に書いてある(障害部)児童デイサービス事業は、日常生活における 基本的動作の指導、集団生活への適応訓練を行う事業で、これは就学前にもあるわけです が、これについては介護給付費、つまり自立支援法の中の負担金でなされる事業で、現在 1,092カ所あります。  3頁からはそれぞれの事業をもう少し詳しく説明した資料です。3頁は障害児の施策につ いて、左側にあるのは自立支援法ができるまでの制度として、いろいろ分かれていたので すが、現在は右側に大きく分けると日中一時支援事業、先ほど言ったような補助金でやっ ている事業と、療育指導などを行う児童デイサービス事業、これは法定給付になっている 負担金事業という2つがあります。  4頁は日中一時支援事業について、もう少し詳しく説明をした資料です。これまでの障 害者タイムケア事業とか、日中預かりのような事業について、知的障害者・身体障害者に ついても利用可ということで、大人も含めた形で日中一時支援事業ということで実施して いただいている。これは法定の給付ではないので、市町村がそれぞれ障害福祉サービスの 事業所でやったり、もしくは小学校の空教室を使ったりということで、比較的自由度の高 い中でそうした活動をしている事業です。  5頁が児童デイサービスについて改めて、前回も入っていた資料と同じですが、こちら は個別療育、集団療育を認められる児童に対して、法定給付として実施する事業です。人 員配置はありますとおり10対2以上で実施されています。  6頁は経過措置の取扱いとありますが、5頁の要件を満たされないものであっても、施行 後3年間移行期間として事業として一定の要件を満たすものは、児童デイサービス事業と みなして実施することになっています。人員配置はそういうことで先ほどよりも緩い15 対2という形になっていますが、単位のほうも低くなっているものですが、いまのところ こちらを利用していらっしゃるご家庭も多い状況です。  7頁からは放課後児童クラブについての詳しい説明です。現状は現在1万6,000カ所で 実施されています。全国の小学校区のおよそ4分の3程度で実施されている事業で、おお むね10歳未満のお子さまで、かつ、留守家庭のお子さまについて放課後、夏休みなどにお 預かりする事業です。国の助成額が186億円と書かれていますが、28億円増で、非常に近 年毎年予算の充実というか、ものすごいスピードで整備が図られている事業です。  8頁はその放課後児童クラブにおける障害児の受入推進についての施策です。13年度か ら4名以上受け入れるクラブへの加算が2人以上になったり、18年から1人以上と拡充が 行われてきまして、下に平成20年度予算での対応を書いていますが、発達障害などの障害 の種類、程度の多様化、受入れ児童数の増加に伴い、現場で対応が難しく、職員が苦慮し ているケースが増加していることから、改善内容のところ、青のところですが、市町村の 責任の基に専門的知識を有する指導員を各クラブに配置する補助方式に今年から変更して います。1クラブ当たりの加算額もいままでの68万円から142万円と大幅に引き上げがな されるなどの強化をいただいています。  9頁はその受入れ数の推移で、グラフのとおり、全体の箇所数も増えていますが、障害 のあるお子さまの受入れについても非常に大幅に増えている状況です。  10頁は放課後子ども教室という事業で、放課後児童クラブが留守家庭のお子さまをお預 かりする福祉事業ですが、こちらは文部科学省で実施しているすべてのお子さまについて の放課後対策です。安全・安心な子どもの活動拠点を設けていく事業です。ここにあると おり、コーディネーター、学習アドバイザー、安全管理員などの方々がいろいろなところ で放課後など、活動メニューに書いてあるとおり、さまざまな体験活動、交流活動などを、 それぞれ独自にやっていただいている事業です。こちらにも当然障害児の方も入ってやっ ていただいています。  11頁からは少し年齢が上がり、就労に向けたつながりでここから3枚資料を用意してい ます。障害者自立支援法では、障害者の就労を積極的に支援し、自立して暮らしていくこ とができるよう、就労移行支援などの事業を創設しており、本来18歳以上の方の事業です が、15歳以上の障害児についても附則のほうでこうしたサービスについて使えると。制度 的には、そうした事前に卒業後に向けた事業の利用ができるようにというものです。  12頁は障害者の職業能力開発推進についてで、職業能力開発についての全体像です。い ちばん左側が青年期の流れで、特別支援学校高等部がありますが、そこからどこに行って いる方が多いかというと、就職が22.7%、授産施設などにが56.1%、訓練校などが3.1% となっています。ここでよく使われる数字として、授産施設等に入った後に、その方が就 業に結び付いている割合が1.0%です。つまりここの数字を上げていくとともに、自立し て働いていく中で教育と福祉、就労というところでどう連携してお子さまの自立を図って いくかが課題になろうかと考えられます。  13頁は福祉のほうと似たような考えですが、高等部でモデル的な事業として就職先が内 定していない就職希望者に対し、早い段階で在学中から職業訓練を実施する事業です。図 にあるとおり、夏、秋ぐらいから職業訓練3カ月以内で実施して、なるべく多くの高校生 を企業に送り込んでいくというか、そういうことを促進していくことで実施している事業 です  以上のような現状の説明の下で、ここの施策についてどうしていくか、ご検討いただき たいということで、用意したのが資料4です。論点は大きく分けると2つです。1つは放 課後や夏休みなどにおける居場所の確保です。学齢期における受入れの促進として、・の1 つ目は障害児を受け入れる施策として日中一時支援事業、及び経過的に認められている児 童デイサービス事業がありますが、今後、これらについてどのようにしていくべきか。2 つ目は「放課後子ども教室」あるいは「放課後児童クラブ」において障害児の受入れがな されていますが、保育園などと同じような話ですが、今後、専門機関による支援なども含 めて、どのような受入れを進めていくための取組みが考えられるかというのが、学齢期に おける論点です。  中学児や高校児の居場所の確保では、1枚目の図のとおり、一般施策というか、普通の お子さまが使うような施策は塾に行ったり自分で遊んだりで、ほとんどない中で、現在日 中一時支援事業、経過的な児童デイサービスで受け入れていますが、今後のあり方につい てこれらの事業についてどのように考えていいかを学齢期と共通して、ご議論いただけれ ばと思っています。  3頁です。最後のほうで見ていただいた卒業後の就労・地域生活に向けた学校・福祉・ 就労施策の連携として、この連携をどのように図っていくか。さらに体験的福祉サービス を就学中から使うなど、これら3部門の連携をどのように図っていって、どのような方向 で考えて施策を進めていったらよいかということについて、ご議論をいただけたらと考え ています。 ○柏女座長 ありがとうございました。検討項目の中で、先ほどの就学前と同じように、 いわば居場所の確保という形で中心に出されていますが、就学前のときに出た論点と同じ ように、訪問移動型の支援、あるいは家族支援は当然入ってくるかと思います。一般の子 どもたちや子育て家庭のための支援のいわば一般施策と、障害の固有性に着目した施策を、 どうつないでいくのか、あるいはどう用意していくのかが大きな論点になるかと思います。  どなたでも結構ですので、ございましたら挙手をお願いしたいと思います。 ○中島委員 この辺の制度はあまり詳しくはないのですが、いまの説明を聞いて考えたこ とを少し申し上げたいと思います。1つはいろいろな放課後支援策があって、それぞれの 事業概要も書かれているのですが、その成果がどのように評価されるかという仕組みがよ くわからないわけです。基本的にはかなりの補助金が出ていて、それで事業が行われてい るということですが、特に障害児の場合はその子どもにどのような育ちをしてほしいか、 どういう形で特に青年期に入ってきますと、自立に向けてどのような支援をしていく必要 があるか、むしろ成果を問うような仕組みが必要になってくると思うのです。その辺りの 仕組みがあるのかどうか。特にこの場合はどうしても親にしてみると、放課後預かってく れるのは非常にありがたいこともあり、預かってくれるだけでも結構という形にもなりか ねないので、その辺りの仕組みづくりが必要かなというのが1つです。  もう1つは、軽度の障害児の支援の話が、特に学齢期・青年期に入ってくると必要では ないかと思っています。つまり、就労支援をしている方の話をいろいろ聞きますと、場合 によりますが軽度の方の自立が非常に難しい、就労が非常に難しいことを聞いていまして、 そういう人たちが親にしてみても放っておいても自分でそれなりに何でもやるので、放課 後辺りの支援体制ができないということで、結果的にそういう就労に本来近いはずの人た ちが就労に結び付かないという、非常にあまり望ましくないことが起きている。その辺り の仕組みも併せて考える必要があるのではないかということです。  最後に12頁の「障害者の職業能力開発の推進について(H20)」と書いてあるところです が、この辺りの数字の根拠を明らかにしてほしいと思うのです。つまり、どういうバック グラウンドの人が、どのようなことが理由で就労に結び付いているのか、あるいはあまり うまくいかないのか、あるいは職業訓練をどのようにしたからどういうように成果が上が ったのか、分析です。事実の統計を示すだけではなく、その背景にある理由を明らかにす るような分析が必要だと思います。そうしないと、ただ、このような仕組みだけ作れば、 何でもうまくいくか、あるいはそこに資源を注ぎ込みさえすればうまくいくかというわけ でも、必ずしもないと思いますので、その辺りのどこに重きを置くかをしっかりと検討す る意味でも、根拠を明らかにしていただければと思います。特に就職へと書いてあるとこ ろも、あくまでも出口の時点での数です。だから、おそらくどのくらい実際に就労が継続 したかもとても大事なので、そういった数字も一緒に入っていないと、就職が22.7%とい う数字自体も、あまり意味のある数字とは思えないという感じがします。 ○柏女座長 ありがとうございました。というところで、いま資料関係の要望がありまし たが、いかがでしょうか。 ○障害保健福祉部障害福祉課長補佐 すみません、少し時間がかかるかもしれませんが、 できる限りのところはしたいと思います。また、その辺の数字ではなく、関係者の方でお 感じのところはご紹介していただけたら、いまの流れの状況でもしあれば定設的なところ で各位の方からもこういうことでこうなっているとご指摘いただけたらと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。また、各委員のほうでも、実情をご存じの方がい らっしゃいましたら、事務局にデータ、資料その他をお寄せいただけるとありがたいと思 っています。よろしくお願いいたします。では北浦委員お願いします。 ○北浦委員 この検討項目とは少し違うのですが、学校の問題で特別支援教育が19年4 月から実施されて、一人ひとりのニーズを把握して、その持っている可能性を伸ばしてい くということでお母さんたちは大変喜んでいるのですが、私どもの子どもたちは医療ケア が要るわけです。その医療ケアの要るお母さんはずっと学校で待機していなければならな かったのです。それをお母さんたちは非常に悩んでいたので、14年でしたか文科省と厚労 省に要望書を出し、何とかお母さんが学校で待機しなくてもいいようにしてほしいという ことをお願いしました。お蔭さまで15年からモデル事業として始まって、現在では学校に おける先生方が医療ケアの3つの行為だけはしてもよろしいことになって、ようやくお母 さんが学校へ付いて行かなくてもよくなったのです。学校の先生の中には、なんで学校の 先生が医療をやらなければならないのかということや、大変その行為が不安であるなどい ろいろ話があり、東京では地域の重症児施設に近い所にある学校の先生方が3カ月研修し てくれまして、その行為に慣れてくださって、それがいま全国的に広がっていますので、 このことは本当に親の方が喜んでいます。  先ほどから日中一時支援事業というお話が出ていますが、これは本当にうちはその事業 をやっているのですが、夏休みになると学校に行っている方が予約でいっぱいになってし まって、普通の人がなかなか予約を取れないみたいな状況で、学校が夏休みの間のお母さ んたちの気持が何かわかるような気がいたします。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは続いて柴田委員どうぞ。 ○柴田委員 似たような話なのですが、ある程度単価を示して出してもらっているのです が、日中一時支援のところは費用がどれくらいかかっているのかよくわかりません。一方、 学校における費用も出していただきたいと思います。あまりにも学校との落差が激しすぎ るところを、今後どう埋めていくか。それから土日、夏休み、春休み、冬休みなど長期休 みのときにいろいろな所で一挙に障害児の子どもが増える現象があって、これは本当に深 刻な問題です。そこの実態がもう少しわからないかなと思います。  先ほど就学前のところでも言いましたが、パーソナルなサービスである移動支援やホー ムヘルプを、就学期でどのように使われているかの実態もいただきたい。この議論の中に はそもそもショートステイについては初めから議題に上がっていないのです。そういうこ とも青年期の対策として考えなくてはいけないと思います。特に高等部ぐらいになってく ると親からの自立ということもあり、例えばスウェーデンなどでは大体15歳ぐらいから親 元から離れて、エレーブヘムといって学生徒寮と言いまして、独立したグループホームの ような所で、生活面の自立の訓練をするわけです。そういうファミリーホームというか、 養護施設の中でも分園型の政策があるようですが、障害児にとってもそのようなホームの ようなものがとても必要だと思います。  かつて私も一般の成人のグループホームに、高等部の生徒を2人受け入れて、そこから 学校に通い、卒業後はそこから通所へ通うということを支援したことがあります。そのと きも非常にうまくいったことがあります。一方で施設ということもありますが、グループ ホーム形態の、特に青年期に達してきたときの問題についても検討していただきたいと思 います。  もう1つは放課後のところはもう少し整理をしてきます。あまりにも悲惨といいましょ うか、無策というか、凄まじいです。障害児は学校に行っているときはいいけれども、学 校以外のときは本当に支援が足りないというのが、これを見てもよくわかります。 ○末光委員 2つありまして、柴田委員と関連するかと思うのですが、放課後支援のこと で、児童クラブ等々が小学校で箇所数が増えている。さらには障害を持っている方々にも 積極的に取組みをしていただいているという点では、大変ありがたく評価したいと思いま す。私ども石神井の旭川荘の隣に、特別支援学校があります。しかし、そこでの放課後支 援の学童保育はたぶんないのではないかと思います。そこで我々は地域の要請に答えまし て、数年前から肢体不自由児施設併設の児童クラブに取り組んでいます。これは市の単独 のご支援によるのではないかと思うのですが、10名の障害児に対して3名のスタッフでや らせていただいていますが、実際には寝たきりの方から車椅子の方、自閉傾向の走り回る 方を一緒にお世話するので、大変スタッフの面でも大変限界があり、いまのところは5、6 名しかお受けできないような状況です。運営費についても市等から360万円ぐらいいただ き、ご家族が1カ月6,000円出す。その他残りの400万円近くは持ち出しという状況にな っています。このほうも是非、先ほど来お話が出ましたように、日中もお母さんが付いて いなければいけないような状況にある中で、我々の所に来られているような夫婦共稼ぎの 方については、どうしても放課後お願いしたいという要請がありますので、その辺りにつ いて実態はどのくらいになっているのか。今後、その辺りについて特別支援学校側でやっ ていただけるのか、あるいは我々福祉サイドからご一緒にやるような手立てがあるのか、 その辺りについてお教えいただけたらと思っています。これが1点です。  もう1点は昭和54年の養護学校義務制により、すべての学齢時の子どもたちが義務教育 を受けられる。これはたぶん世界的にも誇れる内容ではないかと思います。私も外国のい ろいろな所に行かせていただきますが、これがやられている国は、まずないのではないか と思います。そういう点で評価させていただきたいわけですが、重症心身障害児施設の旭 川児童院はいま234名の方々をお預かりしています。その中で102名は一度として学籍を いただくことなく、成人に達しています。数字を言いますと、小中学校にいま在籍、ある いは卒業した人が51名、高等部を卒業あるいは在籍者が77名、就学前が4名、残り102 名は学籍を持つことなく成人以降に達しています。この数は私どもの所が低いのではとか、 悪いのではと言われるかもしれませんので、若干、背景をご説明しますと、我々は重症心 身障害児の義務教育については、岡山県教育委員会は全国的にも先がけて取り組んでいた だいたように評価をしています。ある年に、ある重症心身障害の方が亡くなりました。ご 葬儀があって、出棺のときにお父さんが次のようなご挨拶をされました。「4月のこのごろ になると、家内と自分たちは大変落ち込む、暗い気持になる。床の間にピカピカのランド セルを飾っているのだけれども、近所の子どもたちが毎年この4月になると、同じピカピ カのランドセルを背負って、新入の1年生として登校して行く姿を見ると大変辛い。うち の子は今年も学校に行けないねと。去年もそうだった。その前もそうだったということを 話し合ってきました。  ところが、今年は、このたび、その息子が亡くなって、今年限りになりました。今日か らはこのピカピカのランドセルを天国の小学校、蓮の上の小学校にこのランドセルを背負 って、通うようになる。是非にということで、ランドセルをお棺に入れました。ありがと うございました」というご挨拶でした。  それを聞いた当時の私どもの旭川児童院の江草院長が、岡山県の小野教育長の所に行っ て、こういうお話がありましたということをご報告申し上げました。そうすると、小野教 育長は「大変申し訳ないことをした」と、涙をぬぐいながらおっしゃられたのです。「いま まで自分は十分よく理解していなかった。いままではご家族に就学猶予願いを出させてい た。これはとんでもないことをしてきた。私ども教育の責任者からお受けできないので申 し訳ないと言うべきことを、ご家族に就学猶予願いを出させてきた。申し訳なかった。」と いうことで、翌年から早速、地域の小学校と中学校から派遣学級の先生を出していただい た。これが昭和47年でした。昭和54年の義務制に先立つこと7年前です。そして、いよ いよ54年の義務制になりました。当然その年齢にある方々は学校に入学できたわけですが、 その年齢を超過している方は全然駄目だというのはおかしいではないかということで、当 時の江草関係者は県の教育委員会とやり取りし、少しずつ超過年齢の方々も受け入れてい ただいた結果がいまの数です。  そういう意味で是非その辺り、超過年齢で学籍を持たないまま成人に達した方々につい て、何らかの形での対応をお願いできたらと。その背景として、実態について是非、ご報 告いただければありがたいと思っています。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。子どもたちが学齢になりライフステージが 変わると、福祉の領域から教育の領域に変わっていったりするわけですが、子どもは1人 なわけで、それに施策が切れてしまっていることがあろうかと思います。今回、文部科学 省の担当の方もご出席をいただいておりますので、是非、児童家庭局障害保健福祉部、文 部科学省が連携を取りながら、やっていけるようにしていただければと思います。ありが とうございました。ほかにいかがですか。 ○宮田委員 2点です。放課後利用できる支援策がこれだけあるということを知らなかっ たのですが、もっと一本化を目指して、わかりやすい支援策を考えていっていただきたい ことと、同時に文科省の立場でこの部分に力を入れていただけないか。特別支援学校、養 護学校におられる子どもは年間1,000万円ぐらい平均かかっているわけで、厚生労働省で 障害のある人にこれだけお金をかけていることはないわけで、そういった意味で学齢期と いうのはやはり文科省の責任で放課後も障害のある方については見ていくような形ができ ないか。最低厚労省と協力事業として明確に広げていく形がいるのではないかということ が1点です。  例えば学校を卒業して就職される。そこで最低賃金をもらえるぐらい働く方も、親御さ んが倒れたら入所施設にという話になることが非常に多いわけです。この部分はそれだけ の能力がある人でも、生活力が育てられていない。例えば我々の所の成人施設に養護学校 を卒業して入られる男性で、パンツを膝まで降ろさないと小便ができない人がほとんどで す。この方は1年経てば何とかなる。そういう意味では生活に根差した支援がされていな い。ここは養護学校というか、特別支援学校で頑張っていただくことが第一条件なのです が、施設側としては、もう1つ就労移行支援みたいな通過型の施設で、もう少し生活に根 差した機能をもって、最低限の生活力を、もともと更生施設が本来それを担おうとして作 られたわけですが、結局より重度の方が言葉は悪いですが滞留したという状況があります。  自立支援法の中で、もう少し生活に根差した部分の支援ができる通過型の施設が考えら れないか。施設から就労へ1%の方しか移行していないのですが、これも我々の所で就職 をお世話して、さあというときに、家族から「要らんことせんとってください」と言われ ることがあるのです。一度就職して、この施設を出て、解雇されると帰る所がない。この 部分についても同じようにもう一度、受け入れられるようなシステムが作られないと、な かなか一度施設に入った方が通所施設であっても、なかなか就労に向いて行かないという 現状があるのではないかと考えています。その部分の厚労省側の機能を考えていただけた らと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。では大久保代理お願いいたします。 ○副島委員代理大久保氏 私からは育成会としてペーパーを用意しましたので、参照いた だければと思います。参考資料の2です。今回、ポイントとして学齢期・青年期の支援策 の中でも放課後・長期休暇支援に絞って発言させていただきます。養護学校に行っている お子さんは、大体は午後の早い段階で終わるわけです。その後、どうするか。その後の問 題が出てくるわけです。結局いまの段階で、資料としてお示しいただいた中でもおわかり のとおり、かつてはショートステイの日中預かり、タイムケア事業等いろいろあって、そ れなりの支援策が一応あったのですが、それがむしろ今回の自立支援法の地域生活支援事 業の日中一時預かりの事業ということで、統合補助金の中に埋没してしまったと。統合補 助金ですから、それは地方自治体の裁量になるわけです。そして、積極的にやっていただ ければいいのですが、なかなかそういうわけにはいかないということで、実際に各地から も放課後対策、支援策が非常に不足しているという声も上がってきています。  非常にわかりやすい図としてお示ししていただいた中で、資料5の1頁に書いてありま すが、いまある程度頼りにしているところが日中一時支援事業で地域生活支援事業の1事 業です。それと経過的児童デイサービス事業ですが、これは療育という目的の要件が一応 あります。学童保育的なものとは少し違います。そういうことでいくと、非常に選択肢が 狭められている。放課後児童クラブといっても、これは10歳までで、ある程度の方が利用 されていますが、この10歳で切るのは、おそらく一般の児童を意識しているから、ここで 切っているのだろう。そして、文科省の放課後子ども教室推進事業もあります。特にその 辺は安全・安心な子どもの活動拠点と書いてあります。そうすると、知的障害をお持の方 にとって、その年齢がこの10歳で止まるのかということになると、1頁に書いてある図の ところは、いわゆるここに塗りつぶした部分が、本来は右にずっと伸びてくるのです。つ まり、日中一時支援と、児童デイサービスが高校生のところまで伸びています。これが本 来は放課後児童クラブも放課後子ども教室推進事業も、伸びていっていただかなければな らないことになろうかと思います。そういう意味ではこの辺の事業を積極的に利用しやす い環境を作っていただきたいことです。例えば本来ですと養護学校で午後いっぱいまでい るのも不自然かもしれませんが、例えば午後空いているのでしたら、その部分を何かに切 り換えるとか、そういうことも1つあるでしょう。できれば、一旦地域、近所に戻って、 そこで何かさまざまな社会資源を活用して、そこで放課後支援をしていただくのが望まし いかと思っています。この辺はこの図のとおり、この図がよくわかるので、この辺のとこ ろをしっかり協力し合いながら、各省庁でご協力いただければと思っています。  もう1点、青年期の支援です。ここの中では就労支援で、養護学校の中での連携した就 労、いわゆる労働側との連携による取組みで一般就労を推進していくのだということは、 全く積極的な取組みについては賛成です。なお一方で少し気になるところがあります。現 在かなり養護学校サイドでも一般就労というか、就職率にこだわっているというか、非常 にそれを目標にしているみたいなところがあります。そうすると、就職できるか就職でき ないかで何パーセントという形で先ほどの話ではないですが教育成果みたいなことになっ てくる。そうすると、就職ということと教育成果がイコールなのかという問題、そういう ことでいくともう1点心配なのは、そこで足切りというか、就職できる子、できない子と いう線引きみたいなことも心配です。そういうことを考えたときに、教育年齢を18歳で切 って、就職ですという言い方を、障害をお持ちの方にかなり強調しているのは、少し気に なるところです。障害を持っている方は教育年齢はもっと長いと思うので、その後であと 2年でも3年でも、そういった形でいまの職業訓練的な形では卒業してからそういう場所 はあります。そういうことではなくて、一般の方が高校を卒業してから短大に行く、大学 に行くことと同じように、コミュニティカレッジみたいなものを考えてもいいのではない か。つまり、問題は社会生活の成長というか、社会経験と就労が非常に関連している、つ まり生活支援を考えると、やはりそういう条件整備も一方では必要ではないかと申し上げ たいと思います。  もう1点、先ほどのトータルプラン、個別支援計画、個別指導計画といろいろな言葉が 飛び交いました。最も重要だということは皆さんご承知なのです。それが残念ながらうま く結び付いてこない。頭の中で混乱する。というのは、教育サイドでトータルプランとい うお話がありました。そして、自立支援法でも実態はともかくとしてケアマネジメントと いう素晴らしい言葉が載っているのです。そういうことでいくと、そういったものとどの ように結び付いてくるのか。これは就労もそうです。それぞれでいろいろなプラン、個別 支援計画みたいなものが出ているのですが、その辺の連携がどのようになるのか。つまり 福祉サイドでは自立支援協議会ですという形でくるわけですが、就労でいけばチーム支援 ですよとか、いろいろな言葉が飛び交っているわけですから、こういうところも含めて、1 回何か資料でその辺を整理していただいて、いわゆる個別支援計画、あるいはケアマネジ メントなどいろいろな言葉を整理して、どのような連携の中でライフステージにおいて一 貫したサポート体制を作っていくのか、それができないから育成会は自ら組織的に障害を お持ちの方の手帳を作っていこうとしているのです。  その中で情報を障害をお持ちの方が親御さんがいないとなると情報が不足したりするわ けです。どこかへ行ったときに、この方はどういう支援を受けてきたか、どういうニーズ があるのかがよく見えない。そこで手帳を作って、その中にいろいろなことを書いていこ う。そうすれば、その人のニーズがわかるかもしれないということをあえてしなければい けないことになっているわけです。そういうことも含めて今後ご議論いただければと思い ます。 ○柏女座長 ありがとうございました。そうすると3点のご指摘をいただいたかと思いま す。いずれもとても大切なご指摘ではないかと思います。特に末光委員のご発言にも引き 付けてみますと、放課後、長期休暇中の支援でいえば、それぞれサービスはあるけれども、 それぞれの目的、機能などを考えていくと、エアポケットがあるのではないかということ で、ご指摘があったのではないか。そこを誰がどのように担っていくのか。新しい施策と して用意していくのか、あるいは既存の施策を拡充し強化していくのか。そこの議論が必 要なように思いました。ありがとうございました。では戸枝委員どうぞ。 ○田中委員代理戸枝氏 2点あります。例えば放課後支援策を議論していくことですが、 もしかしたら児童支援法の見直しの枠を超えるかもしれませんが、私は障害のある方の支 援をずっとしていて、放課後というのはいつなのかということに対して、ずっと疑問を持 っています。例えば普通に考えても私たちの常識で言うと9時5時という言葉があります が、5時までは勤務と。その時間内の支援を厚生労働省がするのかという、そもそもに関 しての議論がなぜないのかとずっと思っています。例えばその時間をもし文部科学省が普 通の暮らしといった場合には部活動があるわけです。そこで受け止めてくださるとすると、 かなりの児童に関してはわざわざ福祉に移動して支援するという、コストなり手間が要ら なくなるわけです。うちの地域は障害者の放課後支援が充実している地域ですが、先日も かなり山間部の養護学校に呼ばれて行ったときに「戸枝さんたちの地域のようなサービス はないので、あるお母さんが倒れた。お父さんは仕事をしている。6時半になればお父さ んが迎えに来られる。生活支援サービスがない。ホームヘルプで受け止めてもらえない」。 ここの学校は養護学校なのですが、部活動は自分で下校できる生徒のみ参加できる。要す るに送迎参加はないので、自分で移動できる子だけが参加できる。その子は障害の重い子 だったので、お父さんが当然迎えに6時半に来る前提で、バスケットボール部にいる先生 が見ている。どういう名目でその子を見ているのですかといったら、マネージャーにした という話を聞いて、すごくジーンとすると同時に、もう少し早く福祉サービスが充実した らなという思いと、それは福祉なのかと。一方ではやれるのではないかという思いを少し 思ったりしました。だから、そもそもの放課後というのは何時なのか。これは当然長期休 暇も、2カ月とか、例えば夏休みの期間などが、どこまでが本来は教育が担うべき責任で あって、どこからが福祉だったのか。ここはそもそもしないといけない議論なのではない かという気がしています。  その中で、送迎に関して、例えば愛知県などは大規模校でやっているものですから、私 がかかわっている子どもでも、いちばん長い子どもは1時間半バスに乗らないと家に帰れ ないという状況で、体力的にもたないので私たちの送迎車が家のベッドまで連れて行く。 親御さんは例えば商売をされているとか、お母さん自体の状態が悪くて送迎できない。そ うすると、教育の機会が保証されないわけです。これもなぜ福祉が補っているのか。教育 はもちろん義務ですが、一方で権利でもあるわけですから、これは文部科学省から私たち は委託費をいただいて、個別の送迎をするべきなのではないかという問題意識を、ずっと 持ち続けているのです。だから、そこのそもそもの部分が早急には解決できない課題だと いう認識は持っていますが、やはりされるべきだと思っているというのが1点です。  もう1点は、就労に関してです。私たちのホームヘルプやいろいろやっている仲間、相 談支援をやっている仲間に聞いたときに、いまいちばん皆さんが頭を抱えているのが広汎 性発達障害の手帳がない人の相談事例です。手帳がありますと、例えば就労に向けて何ら かのアプローチをする。無理であった場合に福祉施設という選択があるのです。ですけれ ども、手帳がない場合は自立支援法で福祉施設の利用が一部は認められたわけですが、実 際レベルではなかなか理解が進まなくて、手帳がないと福祉という選択はないとか、本人 は福祉施設ということに対してはプライドがあって、いやだと明確におっしゃったり、で は就労ができるかというと、短期間で離職を繰り返す。本当にできない人たちかというと、 その人たちなりの理屈、障害の特徴や、それも就労現場まで入ってこういう障害特徴なの で、この作業に専念させていただけると相当やりますよ、もしかしたら普通の人以上にや るかもしれませんというアプローチを、きちんと企業側に誰か専門家がすれば、本当に普 通の人以上に力を発揮できる人たちなのです。養護学校、さらに普通の学校、いまは子ど もが減っているので受験をすれば普通の高校にも広汎性発達障害なのに入っている方が増 えているのです。ここに網がかからない。その人たちの特徴をきちんと把握した上で伝え る人がいない。結果として就労につながらないとか、ミスマッチによって離職を繰り返す。 ここに対しての、特に高等部なり、人によっては高校自体に入れないので中学の段階で就 労するのですが、何らかの対策を考えないといけないだろうということを思いますし、そ ういう事例がいっぱいあることを、是非ご理解いただきたいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。では松矢委員と次に山岡委員お願いします。 ○松矢委員 資料5の1頁です。帯状になっていますが、この上に学校教育がある。子ど もの生活、就学前は保育園、幼稚園がありますが、そういうものを載せて子どもの生活全 体というイメージで我々は捉えていかなければいけないと思います。放課後というのはい つかというと、教育に属しているようでも福祉に属しているようでも、就労にも全部関係 しているのですけれども、特にここは児童福祉の改正を前提にしていますから、やはり子 どもの最善の利益というものを考えざるを得ないです。ですから大人はちょっと区別して、 やはり子どもの最善の利益というと、24時間の生活があるということを前提にして、そし て児童福祉ということを考えていってほしいなと思います。その帯状に考えていく、その ときに私は学校の先生たちとの研究会が多いですけれども、今まで学校を卒業したら社会 参加というようなイメージがあります。そうではなくて、もう誕生の時期から社会的な存 在だから社会生活がある、地域生活がある、そのように考えたときに、学校の先生が学校 の中だけのことしかやってないというのはおかしいじゃないか、少し地域を見なさい。そ ういう流れと、一方で親御さんたちは重度のお子さんたちをもって学校から帰ってくると、 なかなか他の子どもたちの面倒もあり、家族の中でどのようにするかという、その家事も 含めて生活が回らないというようなところで、やはり放課後の児童クラブは10歳までだ、 障害のある子も預かってるけれども10歳まで。そうすると足りないというところで、放課 後のいろんな授業が出てきたと思いますね。ですからその意味で、この日中一時支援事業 に全部組込まれてしまうのだけど、3頁のところの黄色になっていますよね。この部分は、 そういう放課後の子どもの実態から出てきた、田中委員の場合も東久留米の中で、正に親 御さんたちがもっているニーズからレスパイトまでいったわけですね。本当に重度のお子 さんを抱えていて、しかも学校から帰ってきた後、あるいは5日制になり土日どうするの か、それから長期休暇はどうするかというところのいろんな問題が出てきたのが、おそら くこの黄色だと思うのですね。ですから全部括るとわかりやすいのですけれども、やはり 子どもの時代にあるというところで、ここは議論をしっかりして、ここの黄色のところで いま実際に一時支援事業に括られようとしているけど、そうじゃないんじゃないかという ことを自治体レベルでいろんなプランを持ってますよね。その辺のところを少し集めて、 この児童期をいま支えることでどのように課題があるのかということも、あぶり出しなが ら議論をしていただきたいと思います。  それと、この学校か福祉か就労かというと、そういう区切り方が子どもにはできないわ けです。そういう全体の観点からインクルージョンといいますか、そういう観点で事業を 起こしている、そういう地域もあるのです。例えば末光委員の地域でありますけれども、 倉敷には倉敷市のプランをもっていて、これは放課後活動であると同時にキャリア教育の 授業でもあるという、そういうものが起きているのです。それは中学校を中心にして始ま ったのですけれども、要するに放課後活動ですが、週1回、地域の働きたいお店とか会社 で働くわけです。そこで市民のジョブ・サポーターが付くのですが、それはガイドヘルパ ーでもあるのです。ですから親御さんがついて行けない場合、週1回学校からスタートし て、お店とか会社に行ってジョブ・サポーターは一緒に働くわけです。親御さんが迎えに 来れない場合には家まで送っていくという、そういうことを長期休暇もやっていく。そう すると、それは将来働くことにもつながっていくわけです。小学校の高学年から可能では ないかというのだけど、いま中学区で始まって7つの中学校までそれが進んでいったとい うことですね。それはもう教育か福祉か就労か、中学区の地域そのものが町内会から始ま って、その商工会議所まで一緒になって作るプログラムなのですね。そういう支え方もあ るということですね。ですからそんなことも、ここは児童福祉法の議論なのですけれども、 そういった児童期を支えるというものをどのように児童福祉法体系でサポートできるのか ということもあるのではないかと思いますので、意見を述べました。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは山岡委員、お願いいたします。 ○山岡委員 中島委員のほうから軽度の障害というお話をいただきまして、それから戸枝 さんからも広汎性発達障害のお話をいただきましたので、ちょっとお話しさせていただく のですけれども、軽度の障害といいまして、かつてといいますか今もいうのですけれども、 障害としては軽度だと言われますけれども、そのニーズとかいうものが軽度かというとそ うではないという言い方があります。確かに教育の部分でいくと、軽度の障害というのは 知的障害を伴わない発達障害でありますとか、ボーダーラインの知的な障害をお持ちの方 とかいうような形だと思うのですけれども、教育の部分では軽度かもしれないけれども、 就労とか生活の面でいくと決して軽度ではなくて重度だというように言われることがあり ます。最近はそういうこともありまして、軽度発達障害という言葉はあまり使わなくなり つつありまして、知的障害を伴わない発達障害という言い方を最近しています。私はADHD 親の会にも属しておりまして、数年前に調査をして最近も追加調査をしているのですけれ ども、基本的に高校への進学率というのは95、6%ありまして、全国平均とほぼ同じであ ります。ただし進学先が、通常の高校を選んでいるケースがかつて9割、最近8割強にな ってきていまして、だんだん特別支援学校とか高等特別支援学校が増えてきておりまして そちらを選ぶケースも増えていますが、基本的には通常の学校を選んでいるケースが大半 である。もう1つは私立、地域によりますけれども私立を選んでいるケースが多くて、教 育の部分での支援がなかなか行き届かない。このお子さん方が就職に向かうときに何が困 難を持っているかといいますと、もちろん学力がないというのもあるのですけれども、作 業能力、それから集中力であったりコミュニケーション能力であったり、その他には自己 理解とか職業観みたいなものがついてないというのは非常にありまして、これらが例えば 特別支援学校に行くとそういった学習があったりというのがありますけれども、通常の高 校の中ではそういうものがないということですね。それで、当然文部科学省のほうには、 我々はそういったことについては教育の分野で、あるいは通常の高校の中でそういうカリ キュラムを入れてほしいという要望をしていくわけですけれども、これは放置していくと 結局フリーター化をしたり、一旦就職しても転職を繰り返したり、最後は在宅になってし まったりということになっています。2次障害をその後起こして初めて支援を求めて、障 害があるということで、非常にコストがかかったり元へ戻るのが大変だったりするわけで すね。もちろんここで言ってるテーマでいきますと、文部科学省と厚生労働省さんで連携 を取っていただいて進めていただきたいということです。最近は発達障害についての厚生 労働省さんでの取組みを幾つかやっていただいてるところがありましす。ハローワークの ほうで一般の窓口にきた方の中で、ちょっと発達障害の気のある方に対する支援でありま すとか、一般の能開校において発達障害を対象にした教室を作るとかいうことも、一部モ デル的にやっていただいています。それらの他に教育の分野でできないことでいきますと、 例えば就業体験事業でありますとか、相談支援体制みたいなところで福祉のレールに載っ ていない、あるいは特別支援学校や高等特別支援学校に行っていない方たちが利用できる ような仕組みも、文部科学省とご協力いただきながら作っていただければなというように 思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。時間が過ぎておりますので、手短にお願いできれ ばと思いますがよろしいでしょうか。末光委員、お願いします。 ○末光委員 先ほど舌足らずだったのですけれども、学籍を持つことなく大人になった人 の1つの例として、かつては家族がどんな思いをしてでも家族が一生懸命家で見ていたの ですね。そうしますと学校に通うとか訪問教育さえ受けれない時期に家庭で頑張ってきた。 そして、ついにはお父さんが亡くなりお母さんだけになって、重い人を支えきれなくて我々 の施設に入所してこられてお預かりしている。その方なり家族が我々のところにきてみて、 学校へこんな重い人でも通えるのか、通う姿を見て「ああ、もう一度我が子も」という、 ご本人もということです。ところが、せめて高等部でも行かせていただきたいというと、 小、中学校に行ってないと高等部に行けないというようなことらしい。そういう点からも 全く学籍が持てないという事例もあります。先ほど102名のお話を申し上げた中にそうい う事例もあるということを申し上げました。  もう1つは、私ども義務教育の中で、このような重い重症心身障害児を含めて、全ての 人をみていただくという形になったことは本当にありがたいと思うのですけれども、やは りまだまだ在宅で訪問教育しか受けられない、近くに養護学校、いわゆる知的障害の養護 学校があるので、ぜひそこにと思うのだけれども、そこには医療的ケア、看護師の確保等 に問題があって駄目だとおっしゃられるということですので、訪問教育を受けておられる 方の数なり実態について何かお教えいただけたらありがたいなと思っております。  最後にもう1つは、先ほどの大久保代理が言われた中でコミュニティカレッジにつきま して、私どもはやはり義務教育の後、高等部でやっていただくのはありがたいのですけれ ども、まず義務教育はしっかりやっていただきたい。教育は一生涯教育である、18歳で終 わりというのでなく、特に障害を持った人の発達は晩熟ですので、それをお願いしたい。 だけども全て文部省の教育でいいのか、そういう点で、若干我々は我々の取組みをしよう という中で、小、中学校が済んだ後の活動は、日中のいわゆる生活のリズムが変わる高等 部が済んだ後は生活のリズムが変わるので、ぜひ日中活動の場をさらに続けたいという声 があり、それはわからんわけではないけれども、やはりあまりにも甘えすぎではないかと いう中で取組んだのが社会教育です。岡山市から社会教育費をいただいて、昼間その費用 によって通う場所、青年文化教室と我々は称しておりますけれども、そこで受止めさせて いただきました。それで大久保代理が言われるコミュニティカレッジと社会教育の費用と の関連性、あるいはバックアップなりを少し具体的にお教えいただけたらありがたいかと 思います。以上です。 ○柏女座長 簡単に何かありますか。次回でいいですか。よろしいですか。それでは、も う時間が過ぎておりますので、次回また全般的な議論になるかと思いますので、その中で 学齢期の問題についても言及をしていただければと思います。特にまとめはいたしません けれども、おおむねこの検討項目(案)で中身についてはかなり細かな、具体的なご意見 などもいただいたのではないかと思います。また、それ以外にも、例えばいまも訪問教育 の話がありましたけれども、訪問型のもの等については、これからの今後の議論の課題と して残されているかと思います。それでは、今後の日程等につきまして、事務局からご説 明をお願いしたいと思います。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 本日はどうもありがとうございました。座長に途中途中 でいろいろおまとめいただきました。福祉の分野から検討していますけれども、子どもの 育ち、あるいは子どもの育っている場所というのは非常にまたがってるということであり ます。学校のところもあれば、時期は別としても、いずれにしても終わった後のところが あるし家庭があるし、終わった後のところの地域というのをどう考えるかというのもある と思いますので、子どもの育つ場所が連続するような観点でいろんな資料を整理していく。 それが最終的にトータルプラン、あるいは個別支援というところにもつながることではな いかと思っていますので、そういうことで整理をしていきたいと思います。  今後ですが次回の日程です。6月10日、火曜日ですけども、3時半から、次回は厚生労 働省本省の建物です。5階の共用第7会議室というところでお願いしたいと思いますので、 よろしくお願いします。次回の予定でございます、今日も幾つか話が出ました「ライフス テージに応じた相談支援の方策」ということと、「家族支援の方策」、この2つをテーマと して議論を進めていきたいと思います。これまでの議論も踏まえて資料を作っていきたい と思いますので、よろしくお願いします。以下事務的に幾つか出欠確認のペーパーがある かと思いますので、よろしくお願いします。以上でございます。 ○柏女座長 何かご質問はございますでしょうか。委員の方々、よろしいでしょうか。 ○中島委員 いま文科省のほうの関連でですけど、文科省のほうでこういう障害児支援、 就学時の取組み等が別途されている、そういうのがあれば資料を出していただけるとあり がたいです。 ○障害保健福祉部障害福祉課長 ご報告も含めて出すようにします。また出席もまた次回 お願いして、一緒に議論していきたいと思います。よろしくお願いします。 ○柏女座長 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、今日の検討会はこれで終了したい と思います。委員の皆様方にはありがとうございました。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)