08/05/30 第6回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会議事録 第6回 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 1 日時 平成20年5月30日(金)14:00〜 2 場所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者     委員 有田委員、鎌田委員、、橋本委員、山川委員   事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、       鈴木需給調整事業課長、田中派遣・請負労働企画官、       牛島需給調整事業課長補佐、松原需給調整事業課長補佐、       鶴谷需給調整事業課長補佐、竹野需給調整事業課長補佐、       飯郷需給調整事業課需給調整係長 4 議題  派遣労働者の雇用の安定について ○鎌田座長   少し早いですが、委員の皆様はお集まりのようなので、これから「第6回 今後の労働 者派遣制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。本日は、阿部委員が欠席され ております。  前回の研究会から各論の議論に入っており、前回は派遣労働者の雇用の安定について の第1回目として、登録型、常用型のあり方、日雇派遣のあり方を中心にご議論いただ きました。橋本委員は前回はご欠席でしたが、前回の議題についてご意見等がありまし たらお願いします。 ○橋本委員   ありがとうございます。前回の議事録を拝読して、以下のような議論が行われたと理 解しています。第1に、登録型派遣について一律に廃止することの是非ですが、一律に 廃止してしまうと、かえって派遣労働者にとって就労機会が提供されなくなってしまう 危険性も高いのではないか、という意見が出たと思います。また、登録型派遣が全て望 ましくないわけではなく、例えば紹介予定派遣は登録型で行われることが多いようです が、積極的に評価できる形態ではないかという意見があったと思います。  第2に日雇派遣についてですが、派遣元が労災の責任を負わないような悪質なケース もあることから、危険な業務等に限定して禁止するという方向も考えるべきではないか、 という議論があったと思います。私もこのような方向性に異論はなく、賛成したいと考 えています。 ○鎌田座長   どうもありがとうございます。ただいまのご発言について、委員の皆様から何かご発 言がありましたらお願いします。よろしいですか。ないようでしたら、本日の議題に入 ります。  本日は、派遣労働者の雇用の安定についての第2回目として、期間制限、雇用契約申 込義務などを中心にご議論いただきます。事務局からご説明をお願いします。 ○竹野補佐   本日は、資料が3点あります。資料1は前回もお付けしたものですが、「派遣労働者の 雇用の安定について(論点)」ということで、本日の論点です。前回、1と2については ご議論いただきましたので、本日は2頁目の期間制限等と雇用契約申込義務等ということ で、ご覧のようなテーマについてご議論いただければと考えております。  資料2ですが、第1回の研究会の資料と前回の研究会の資料から、本日のテーマに関係 するものを抜粋してお付けしております。これについても詳細の説明は省略しますが、 1点だけ、資料の1頁の「派遣受入期間の制限について」の趣旨だけ再確認します。期間 制限を設けている趣旨ですが、真ん中の囲いの部分に「労働者派遣事業は、その常用代 替の恐れが少ないと考えられる臨時的、一時的な労働力の需給調整のためのシステムと して位置付けられている」とあります。このようなことを踏まえて、派遣先の常用雇用 代替の防止の実効を期すものという趣旨で設けられております。これは平成11年改正の 際に追加をされた規定ですが、平成11年の時には1年という期間制限が設けられておりま した。これが平成15年の改正において、下の囲いの※2ですが、現行の原則1年、派遣先 の労働者の過半数で組織する労働組合等から意見聴取した上で、最長3年と定められて おります。  平成15年改正の考え方をご紹介します。当時の審議会の建議において、労働者派遣事 業制度の臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策としての位置付け及びこれに 基づく派遣期間の一定の限定は、いわゆる長期雇用慣行の我が国における位置づけを踏 まえると、今回の見直しにおいては引き続き維持することが適当。しかしながら、常用 雇用との調和を図りつつ、派遣労働者や派遣先のニーズに的確に応える観点から、3年ま での期間で臨時的、一時的と判断できる期間については、派遣を受け入れることができ ることとするのが適当。1年を超えても臨時的、一時的と考えられる期間であると判断 できるかどうかは、個別の事業所ごとに派遣先の事業主が判断することとして、派遣先 の事業主が当該事業所の労働者の過半数代表の意見を聞いた上で判断することが適当と されているものです。ですので、無制限に3年ということではなく、あくまで原則は1年 で、個別の事業所の実態に応じて最長3年までの期間を定めるとされているものです。  資料3ですが、「現行の雇用契約申込義務とドイツ、フランスのみなし雇用規定の比 較」です。特に労働者側代表のほうからは、みなし雇用制度を導入すべきではないかと いうことで、ドイツ、フランスの法制にみなし雇用があるので、これをご紹介する形で 付けております。日本の雇用契約申込義務ですが、これは期間制限のあるなしで大きく 2つに分かれており、期間制限のある業務は、期間制限抵触日以降継続して派遣労働者を 使用しようとする場合に義務がかかります。期間制限のない業務は、同一の派遣労働者 を3年を超えて受け入れており、当該業務に新たに労働者を雇い入れようとする場合です。 その趣旨ですが、期間制限のある業務は期間制限違反の未然防止、期間制限のない業務 は派遣労働者の希望を踏まえた雇用の安定ということで、優先雇用といった趣旨です。 その際の労働条件ですが、これは特に規定はなく、当事者間に委ねられることになって おります。これは行政上の義務なので、申込義務を履行しない派遣先は指導、勧告、公 表の対象となります。  ドイツのみなし雇用制度ですが、要件として、無許可の事業主が派遣した場合に発動 されます。この趣旨ですが、ドイツにおいては無許可の事業主が派遣した場合には、派 遣元と派遣先の間の契約、派遣元と派遣労働者との間の契約が無効になると法律上規定 されておりますので、法的帰結としてこういったみなし雇用制度があるということです。 その際の労働条件ですが、労働時間はもともと派遣元と派遣先の間で予定されていた時 間で、それ以外については派遣先の規定によることが原則とされております。この場合、 正当な理由がある場合には有期雇用の形になります。  備考に書いてありますが、許可事業主が違法派遣を行った場合には、みなし雇用規定 を発動しないことになっており、派遣労働者を雇用していないにもかかわらず、念のた め許可を取得する傾向が見られるということがあります。  フランスのみなし雇用制度ですが、要件として、派遣期間の終了後派遣先企業で労働 者派遣契約を結ばずに派遣労働者を就労させた場合、派遣先企業が利用事由や諸規定に 違反して派遣労働者を利用した場合に発動することとされております。その趣旨は民事 制裁で、労働条件については期間の定めのない労働契約とされることになっております。 備考に書いてありますが、期間の定めのない労働契約とみなされた場合であっても、派 遣先で引き続き働き続けるということではなく、結局解雇されて補償金を支払うことが 多いということで、解雇法制の違いがあって、違法な解雇でも有効とされ、その場合に 補償金を払うことがあるので、このような形で解決が図られております。 ○鎌田座長   ありがとうございます。それでは、論点3の期間制限等についてご発言をお願いしま す。論点3については、一応(1)〜(4)と視点を変えた論点が並記してありますが、 どこからでも結構ですので、論点3に関連してご発言をお願いします。  議論を促す意味で事務局にお尋ねします。期間制限を撤廃すべきという意見があるの ですが、どのような根拠で期間制限を撤廃すべきと言っておられるのか、ここに用意さ れている資料をもう一度読み上げていただくのでも結構ですが、何か資料があればご紹 介いただければと思います。 ○田中企画官   第5回のときにお出しした資料で、今回抜粋して「期間制限等についての労働者代表 意見、使用者代表意見ヒアリング時の発言」という資料をお配りしています。これを見 ますと、使用者代表意見として受入期間については撤廃し、当事者間において規定すべ きというご意見です。ここで特段の理由はついておりませんが、派遣は自由であるべき というお考えからなのだろうと思われます。  ヒアリング時の発言を見ると、登録型でも期間制限がなければもっと安定するのでは ないかとのご意見が、人材派遣協会から示されておりますので、JSGUについても同 じように、現在の派遣が期間を区切っていることが、かえって派遣労働者の雇用の不安 定を助長しているのではないかということです。派遣が自由であるべきとの観点から、 登録型であっても派遣労働者が長く働き続けられるという観点から、派遣期間制限がな ければよいのではないかとのご意見であろうと理解しています。 ○鎌田座長   基本的には、派遣が自由であるべきだということと、派遣労働者の雇用の安定の観点 から、期間制限を撤廃してはどうかと、受入期間を撤廃してはどうかといったご意見、 どちらかというと使ったり送ったりする事業者側の観点からの理由と、派遣労働者のも っと働きたいという理由と両方あると思うのですが、そういったところが撤廃の理由と してこれまで述べられてきているわけです。法律的な観点から言うと、職安法との関連 でどう理解するかという問題もあるかなという気もしますが。   ○山川委員   これも質問なのですが、期間制限の趣旨は、要はもともと派遣の位置づけが臨時的、 一時的な労働力として、特に労働者供給事業の例外として認めたもので、さらなる趣旨 は常用代替防止ですので、この問題は常用の代替防止という位置づけをどの程度考えて いくかの問題であろうかと思います。それと、先ほど座長がおっしゃった派遣労働者の 雇用がかえって安定しなくなるという問題をどう考えるか。いろいろな雇用があり得る かと思いますが、質問は、現在26業務においては期間制限はなくなっているわけですが、 そうすると常用代替の防止は非26業務に限定して考えられているのか、逆に言うと専門 業務については常用代替防止はどのように位置づけられるのか、現行の派遣法の常用代 替防止の位置づけをご説明いただければと思います。   ○田中企画官   おっしゃるとおり、今の派遣制度の中に派遣期間の制限がある業務と、派遣期間の制 限のない政令26業務といわれている業務があります。全体としては、日本の雇用慣行と の調和を図った上での制度であるべきという考え方があります。お手元の法令集などを 見ると、派遣法40条の2で、労働者派遣の役務の提供を受ける期間ということで、派遣 期間の制限と、派遣期間の制限を受けない業務を定める根拠がここにあります。これを 見ると、40条の2の1項1号で、いわゆる26業務を定める根拠になっているところですが、 「次のイ又はロに該当する業務であって、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生 活の全期間にわたる能力の有効な発揮、及びその雇用の安定に資すると認められる雇用 慣行を損なわないと認められるものとして政令で定める業務」ということなので、業務 の中でそのような雇用慣行を損なわないことが内在しているものについて指定をした上 で、期間制限が設けられていないという仕組みになっていると理解しています。   ○鎌田座長   今おっしゃったとおりなのですが、私から歴史的な経緯を補足します。派遣法が成立 したのは1985年なのですが、その時に大きな問題としてあったのは、常用雇用システム との調和をどう図るかでした。場合によっては、派遣制度が常用雇用制度に対して非常 に大きな脅威になるのではないかということが問題になりました。その時に、常用雇用 代替防止という、いわば派遣法の柱になる考え方が中に盛られたわけですが、常用雇用 代替防止をどう図るかといった時に、適用対象業務を限定する、つまり常用雇用の侵害 の恐れが少ないものについて、業務を限定して認めようという考え方があったわけです。 それが、今ご説明いただいたように、現在の26業務の形で位置づけられたわけです。当 初は13業務で、少しずつ拡大して、その拡大に当たってもいろいろな大きな議論があっ たとは思いますが、いずれにしろ、趣旨としては専門的なものと特別な雇用慣行を必要 とするものの2つですが、専門的な業務に関しては派遣先の常用雇用制度の侵害の恐れ が非常に少ないだろうと、かつ、派遣労働者のバーゲニングパワーがそれなりに確保さ れるのではないかということです。  それが1999年の改正の中で、いわゆるテンポラリーワーク型が、諸外国で広く派遣が テンポラリーワークとみなされているように、臨時的、一時的な労働需要に対する受皿 として労働者派遣を活用してはどうかということから、そのようなものの受入れが提案 されたわけです。これはILO181号条約などの趣旨も踏まえてですが、その際一方で常用 雇用代替防止をこの場合どう図るのかということで、期間を1年と限定したという経緯が あるわけです。違っていれば補足していただければと思います。 ○山川委員   そうしますと、根本的な問題はそもそも常用代替防止という発想を廃棄するべきかど うか、そこまで踏み込むのかどうかが第1でしょうけれど、そうでないとしたら、雇用 の安定について言えば、26業務は、ある意味で期間制限があるために雇用が不安定にな っているわけではないのですね。そこは判例で問題になっているように短期雇用を繰り 返しているとか、むしろ別個の問題が雇用安定については多くなっているという理解で よろしいのでしょうか。あまり実態がわからないのですが。   ○鈴木課長   雇用の安定の問題を2つの面から見ると、いま山川委員がおっしゃったように短期雇 用で繰り返し契約をする、いわゆる有期契約に内在する本来的な雇用不安定の問題が1 点と、期間制限が非26業務であるということで、短期雇用を繰り返して長く延びていっ たとしても、3年が来るとそこの派遣先には行けないので、本来だったら同じ派遣先で ずっと働きたいというニーズがあるにもかかわらず契約が打ち切られてしまうと、この 2つの異なった面が議論されていると認識しております。   ○山川委員   2番目のほうは非専門業務なので、それはもともと一時的労働力として位置づけたと ころから来ているので、もし期間制限を撤廃するとすると、一時的業務に限って派遣を 認めるという趣旨自体を変更することに、単純に言えば結びつくということなのでしょ うか。   ○鈴木課長   非26業務で、同じ派遣先において労働者の雇用安定を図るという政策を選択するので あれば、おっしゃるとおり臨時的、一時的ということを放棄して、そのときに常用雇用 代替防止とをどうリンクさせるかということもありますが、もし常用代替防止を維持す るのであれば、ほかの形での常用代替防止をビルトインした上でやることになるのかな と思います。   ○鎌田座長   少し複雑ですが、横軸と縦軸というか、26業務、非26業務という分け方と常用型、登 録型という分け方と錯綜しているのです。26業務でも登録型はあるわけですので、その ようなものについては、山川委員がおっしゃったように反復更新の問題もありますが、 基本的に派遣契約の受入期間制限はないわけです。その辺りが錯綜して複雑になってい ますが、委員がおっしゃったように、基本的に常用代替防止をどう考えるかが大きな問 題だと思います。どこかに事務局で作っていただいた表がなかったですか。26業務とそ れ以外と、登録型と常用型と。   ○飯郷係長   前回資料の2頁目にマトリックスがありますので、こちらをご参照いただければと思 います。   ○鎌田座長   前回資料というのは、第5回目ですね。    ○飯郷係長   はい。第5回の資料3の2頁になります。    ○鎌田座長   これでいくと、期間限定が下の欄になるわけですね。非26業務ということですね。常 用型と登録型があると。そうすると、常用型で期間限定がある場合と、登録型で期間限 定がある場合とがあることになるわけですね。そうすると、常用型で非26業務の派遣労 働者は、もっと同一企業で働きたいのに、最大3年でやめなければいけないというのが 困るのではないかという議論が出てくるわけですね。   ○田中企画官   常用型の非26業務の場合ですと、当該派遣先にはいられませんが、常用型なので、派 遣元が。   ○鎌田座長   だから、同一の派遣先でもっと長くいたいと。    ○鈴木課長   先ほどの私の発言を整理しますと、この頁の(3)、(4)がいわゆる非26業務ですから、こ れは期間限定がかかりますので、同じ派遣先で3年以上続けることができないという意 味での安定の問題です。右側の(2)、(4)は登録型の問題ですから、登録型に内在する有期 雇用が多いので、有期雇用の問題として雇用が不安定だということです。特殊なケース として、(1)の常用型26業務についても、ヒアリングの2回目の時に常用型の派遣労働者 の方がおっしゃいましたが、期間限定がないにもかかわらず、3年経つと同じ業務で派 遣先で採用する場合に優先雇用の義務が出てくるので、それを避けるために、期間制限 がないにもかかわらず3年で打ち切られることが問題だという意見が出ていたかと思い ます。これは特殊なケースで、3番目の問題として指摘されたものです。   ○山川委員   最後の問題は雇用申込義務という次の問題に関わるという理解でよろしいですか。   ○鈴木課長   はい。    ○有田委員   今の問題ですが、結局、労働市場全体の仕組みとして、基本的な政策の意向として安 定的な常用雇用を中心に据えて、それを侵食していくようなことを止める大枠の政策と、 逆に同じ派遣先でずっと働き続ける派遣労働者の個別的な利益を、どう調整するかとい うよりも、どちらを取るかにならざるを得ないと思います。全体としての需給調整とい う観点をここでは議論していますが、全体の雇用政策として安定した雇用をきちんと確 保していくという方向性からすると、常用代替という基本的な考え方をとることが妥当 ではないかと私は考えます。確かに、慣れた所でずっとその仕事を続けていくこともあ りますが、ある意味違う所へ行くことによって、別のスキルを身につけてキャリアアッ プにつながっていく、これまでの議論でも出てきた能力を身につけていくためのキャリ アパスとしても、派遣が位置づけられて機能することを期待するのであれば、むしろそ ちらは目をつぶるというか、代替を防止することを選択すべきではないかと考えます。    ○橋本委員   私も有田委員と同じ考え方です。派遣先で3年以上働ける利益を保護するという前提 として、3年派遣先で働くケースがどのぐらいあるかが問題になると思うのです。前回、 議事録等で事務局から紹介がありましたが、派遣契約は大体半年ぐらいが多くて、更新 されているケースもあまりないようですので、同じ派遣先で3年以上働く利益がどのぐ らいあるのかという疑問もあります。   ○鎌田座長   その辺りは、前回のものも含めて期間についてのデータがありましたね。確認してお きましょうか。   ○飯郷係長   先ほどの前回資料の資料3の3頁にあります。    ○有田委員   それと、派遣を利用できる活用事由を制限するかどうかという、もう1つ別の論点が あろうかと思います。フランスは期間も上限設定をして、活用事由も限定していますが、 たしかフランスは、直用の場合でも有期契約で雇う事由を限定していたと思うのです。 だから、フランスの場合は原則として常用雇用が、労働契約を結ぶ場合には期間の定め のない契約が大原則で、例外として期間をつけるものを認める場合には、それは臨時の 必要に応える場合に限るということで、事由限定を直用の場合でもつけていると思うの です。おそらく、そことの関係で前提として整合するように、派遣についても設けてい るのではないかと思うのです。  この点については、有期の方は日本の場合制限がないですね。確かに、臨時の必要性 というときに臨時のところを期間で切って確保するやり方と、そもそも事由を限定する やり方と、どちらも可能な方法だとは思うのですが、直用の有期契約の規制とのかねあ いをどう考えるかを少し議論しておくべきなのではないかと思います。前に山川委員が おっしゃったように、こちらを厳しくすると、今度は直用の方に非正規の雇用が流れて いくのではないか、そうするとどちらが安定するのかという問題が出てくると思います し、この点を考えておくべきかなという気がします。 ○鎌田座長   今フランスの例を挙げられましたが、フランスが原則長期ということで、例外として、 いわゆる有期雇用規制として利用事由限定が導入されていたと。フランスの法制の理解 としてはそれでよろしいのでしょうか。   ○田中企画官   そのような理解をしております。    ○鎌田座長   橋本委員、ドイツはいかがでしょうか。ドイツで、有期の場合の規制は派遣固有の規 制できているのか、それとも有期雇用の規制から派生して出てきているものなのか、つ まりフランスと似たような傾向で規制があるのか、もしおわかりであればお聞かせいた だければと思います。   ○橋本委員   以前は、通常の直用の有期契約の正当事由とは異なる、派遣労働独自の、派遣労働者 と派遣元の間の有期労働契約の正当事由が規制されていましたが、現在では通常の有期 契約の正当事由がそのまま派遣労働契約の正当事由になっています。フランスとは異な り、ドイツでは派遣の活用事由そのものが限定されているわけではないのですが、有期 の派遣が特別に規制されている点では、フランス型と似ているのではなのかと思います。   ○鎌田座長   そのような意味では、フランスに近い感じですね。いずれにしても、派遣で有期を使 う場合には利用事由を制限すると。ドイツでも、長期雇用が原則という考え方なのです か。   ○橋本委員   鎌田先生のおっしゃるとおりだと思います。    ○鎌田座長   山川委員、日本は長期雇用という原則はないと考えてよろしいのでしょうか。    ○山川委員   法律上はないと、有期契約の利用事由は制限していないということは言えると思いま すが。   ○鎌田座長   ただ、反復更新した場合の雇止め規制はあるわけです。そのような点では、今言った フランスとドイツと構成が違うことになろうかと思います。   ○有田委員   今のお話は、判例法理として形成されているルールの存在から考えていくと、日本で も実体法上の根拠としてそのようなものが原則として書かれているわけではないけれど、 基本的には同じような考え方が、思想としては背後にあると理解していいかということ です。   ○鎌田座長   なるほど。長期雇用を優位的に考えるというお考えですね。いずれにせよ、活用事由 の制限という法技術的な発想は、フランスとドイツで考えると、どちらかというと長期 雇用を法令上原則として、それを例外的に許す場合に、活用事由で限定しつつ認めると。 そのような法技術的な手法を用いているわけで、その部分は日本の法制とは違っている ということでよろしいですね。   ○有田委員   期間制限ということで、例えば同一業務に派遣を継続して受け入れているというとき に、クーリング期間の問題がありますね。現実問題として、一応の目安は3カ月です。 ある意味脱法的だとは思いますが、3年ギリギリで意見聴取があって3年までを前提にし て、3カ月置いてまた同じ業務に就くことを何回も繰り返すということが実態として見 られるのか、そのようになるまでの期間が経過していないこともあるのでしょうけれど、 そもそもそのような実態が把握できるのかということもありますが、このような問題を どのように考えるのか。少し違うかもしれませんが、有期雇用の更新を繰り返している 場合には、解雇権濫用を類推して適用するというのと同じような発想で、そのようなこ とが何度も繰り返されると、脱法的な利用方法ではないかという考え方になるのか。期 間制限を設けていることの実効性の確保の問題も、この際併せて議論しておくほうがい いのではないかと思うのです。また新たに起こった臨時の必要を判断する目安として、 3ヶ月ぐらいの期間が空けばということなのでしょうけれど、そのような悪用の恐れは ないのかということと、それを防ぐとすると、どのような技術的にそれを抑えることが できる手立てが考えられるのかということも、期間制限をどうするかというそのものの 問題ではありませんが、それを残すのであれば、それが実効的に守られるような仕組み についても考える必要があるかなと思いました。   ○鎌田座長   今のご指摘は、クーリング期間のことでよろしいですね。    ○有田委員   そうです。すみません、言葉を間違えました。    ○鎌田座長   今日の資料の3頁目ですね。特にコメントすることもないのですが、いわゆる2009年 問題といって、このクーリング期間をどうするかがいろいろな所で議論があって、脱法 的な手法が取られる恐れがあるのではないかと心配される向きもあったので、いまそう いったことを念頭に置いたのだろうと思います。   ○有田委員   活用事由を制限しないのであれば、期間設定をきちんと守らないと、代替防止が図ら れないということを考えると、そういったことも押さえておかなければいけないのでは ないかという趣旨です。   ○山川委員   その点は実態があまりよくわからないので、事務局として何かデータがあるのでしょ うか。クーリングオフの3カ月はある意味では形式的なので、脱法の恐れがあるのでは ないかというご意見もあるのかと思います。逆に、現場の労使には長すぎるという意見 もあるかもしれません。要は労使の取扱い、今の2009年問題との関係ですが、例えば過 半数組合があって、過半数組合としても急に3カ月で派遣労働者がいなくなってしまう と困ると、職場では誰も反対しない時に、3カ月という形式を必ず使わないといけない のかと。その点の実態について、意見は何かあるのでしょうか。   ○鈴木課長   2009年問題は、製造業が従来の請負から派遣に切り替えたのが、逆に派遣が期間制限 で使えなくなる時期があり、それが2009年に来ますよという意味で使われているのです が、今2008年ですから、これからこれが本格化してくるということです。私どもとして も、これについて違法があってはいけないと現行法令で取り締まろうということで、今 年度の重点監督項目にこれを入れております。そもそも1年から3年に延ばすときの手続 きをしっかりやっているのかということと、そのあとちゃんと3カ月空けるのであれば、 しっかり空けているのかどうかを見るということでやっております。これについては今 はデータもあまり集まっていないので、どうこうというわけではないのですが、おっし ゃるように逆に長いのでという声はあまり聞こえてきません。どちらかといえば、使用 者側からはそもそも3年自体が要らないのでと、期間制限の撤廃の話が集中して出てきて おりますが、3カ月云々の話はいまのところはあまり聞いておりません。  もう1点は、今実態を見ると、派遣を3年やった上で、同じ労働者を派遣先が直接雇用 3カ月1日やった上で派遣に戻すという状況が見られますが、これは形としては転籍出向 ではないかと。そうすると、労働者供給事業に当たってしまうのではないかということ で、その意味で取り締まれないかというところを含めて検討しております。そのような 意味で、何とかこの3カ月間をうまくクリアして、脱法的に繰り返そうという所にはある 程度の歯止めをかけようとは思っておりますが、根本的には3年の期間制限と3カ月のク ーリング期間については、この長さで、このような仕組みでいいのかどうかをこちらで ご議論いただいて、本格的に検討すべき話かなと思っております。 ○鎌田座長   大きな問題として、まだ議論されていない問題として、(4)の「派遣の対象業務を 制限すべきとの意見があるが」という論点があります。これも私の理解では経営サイド と労働者サイド双方から出てきている議論だと思いますが、1つは1999年にいわゆる26 業務から臨時的、一時的業務に、業務を限定しないで開放したわけですが、それを適用 対象業務限定方式、ポジティブリスト方式に戻すという主張があると。一方で、日本経 団連が言っておられたと思いますが、現在建設や港湾、医療が禁止業務になっていて、 これも開けたらどうかと。今回は違う議論があるわけですが、こういった議論について も何か、いろいろ錯綜した意見があるのですが。   ○山川委員   もし、対象業務を逆に限定するとなると、今の期間制限の話は、対象業務を限定しな いから一時的、臨時的にするということで出てきた話なので、対象業務をもう1回元に 戻すとなると、今の専門業務は期間制限がないことが前提になっていますから、改めて 期間制限をかける理由がなくなってしまう可能性もなくはないので、期間制限と業務限 定とはリンクしている問題ではないかと思います。   ○有田委員   問題になっているのは、業務の種類ではなくて、活用する場面の問題ですね。例えば、 育児・介護休業期間中の人の代替は利用できる場合として規定するとか、そういうこと だろうと思うのです。フランスやドイツがどこまで具体的に活用事由を具体化し、規定 上明確にしているのかを教えていただければと思うのですが、急な需要の高まりがきて、 受注が増えて、大体の見通しで何カ月間はそのような状況が続きそうだから、この間を 派遣から受け入れて何とかしのぎたいということを文言上どう書くのか。そういう場面 設定の問題だと思うのですが、技術的にうまくそのようなことが網羅的にできているの か、ドイツやフランスが具体的にどこまでそれがうまくできているのか、フランスなど は有期雇用まで制限しているわけですから、その辺りがわかればと思うのです。つまり、 規制のかけ方として現実みがある問題なのかどうなのか。   ○鎌田座長   (4)の論点は、要するにポジティブリストのことを想定しているのではないですか。 ポジティブリストに戻すという話ですね。ポジティブリストということになると、臨時 的、一時的なテンポラリーワーク型は認めないという発想ですね。これについては、臨 時的、一時的な労働需要に対する受入れを、派遣事業の存在意義として広く認めようと いう考え方があって、その背景はILO181号条約もそうですが、フランスなどが典型です が、有期労働に対して臨時的、一時的なものについて派遣を広く活用していこうという ことで、国際的に確認されてきたという事情があって、これを日本で閉鎖するというこ とですね。直接181号条約違反になることはないのかもしれないけれど、かなりドラス ティックなご主張かなという感じはします。   ○有田委員   例えば、先ほどの育児・介護休業期間中の代替労働力の確保などよりはもっと短い年 休の代替要員の確保に派遣が果たして使われるかどうかの問題、日雇の制限とも関わり ますが、1日や2日だけ使用者側に代替労働力の確保をすることが義務づけられているこ とを容易にする意味での需給調整機能を果たすということでは、非常に有用ではないか と思います。それを1つ消すことが、果たして政策としての選択の仕方として妥当かと考 えると、必ずしもそうは思えないのです。ただ実態としてそのような場面で、どれだけ 派遣労働者が代替労働力として活用されているのかがわからないので、頭の中で考えた ことだけです。あまり現実的にそのようなものがないということであれば別なのでしょ うけれど、可能性としては、とりわけ一定の期間存続する育児・介護休業のような場合 だと、大いにそのようなことはあり得ると思うし、有用だと思いますので、それをでき なくすることは、逆に政策としては反対を向いてしまうのではないかという気がします。   ○鎌田座長   今いくつか議論されましたが、私が理解したところを言うと、派遣の受入期間制限に ついては、労働者派遣法が成立したときから常用雇用代替防止をどうするかが非常に大 きな柱になっていると。その法的な根拠は、職安法44条の労働者供給事業から取り出し て例外的に制度化した経緯の中で、常用雇用システムの侵害をどのように防止するか、 調和的に派遣制度を受け入れるかが大きな問題になっていたと思います。そのような意 味では、個々の派遣労働者の保護や雇用の安定が中心的な問題となってはおらず、常用 雇用代替防止は、日本の雇用システムをどうしていくかという大きな観点からの議論で あったと思うわけです。そのような観点から、常用雇用代替防止についてはさまざまな 法的な工夫が行われてきたわけです。26業務の対象業務を限定すること、あるいは期間 限定をすることもそうであったわけです。  日本の雇用システムの将来的なことを考えた場合に、現在直ちにこのような常用雇用 システムを優位に考えるシステム、法的に長期雇用が原則となっているわけではありま せんが、優位に考える立場をここで変更する理由は、特段見当たらないのではないかと 思います。このような観点からのご意見がありました。  派遣労働者の雇用の安定の観点からどうかということですが、同じ企業でずっと働き たいという気持もわからないわけではないのですが、派遣というのは多様な派遣先から の労働需要に対して、その人にいろいろな職場で働いてもらう形での、流動化しつつ雇 用の安定を図っていくシステムとしても捉えることができるわけです。個人の同じ職場 でずっと働きたいという気持はわからないわけではないのですが、今このことを中心に 考えて、雇用制度全体としての仕組みを今ここで変えていくことに関しては、私は躊躇 せざるを得ないと思っています。そういう意味では、今後派遣労働者の保護が図られて、 将来的な日本の雇用システムを全体としてどう考えるかということの変化があれば、こ の問題についても今後はいろいろな視点からの変化があるのかなと思いますが、現状で は常用雇用代替防止を今ここで柱から消すことについては躊躇を覚えます。  活用事由を制限すべきとの意見については、広い意味で派遣労働が利用される場合を できるだけ限定しようという立場に立った場合に、わからないわけではないのですが、 何よりも活用事由の制限が諸外国で、とりわけドイツ、フランスなどをモデルにして考 えた場合には、日本の制度と違う土台の上に成り立っていた法制度なので、今ここで日 本の派遣について直ちにこれを導入する必要性があるのかは疑問です。また、何をもっ て活用事由とするかについては、有田委員もおっしゃっていましたが、これも非常に困 難な問題があるのではないかと思います。以上、少し私のほうで皆さんのご意見をまと めましたが、いかがでしょうか。 ○山川委員   私も基本的には同感なのですが、1つは「常用雇用代替防止」という言葉が、できた 1985年当時と現在とで捉え方がイメージ的にやや変わっていて、既得権を確保するため だけにそのようなことを言っているのではないかと誤解を招きかねないのです。いまは 逆に格差問題などいろいろ出てきましたが、雇用の単なる安定に加えて、スキルアップ の機会といった積極的な意味づけを与えるような形にしたほうがいいのかなと思うので す。  労働者の雇用安定が必ずしも特定の派遣先での安定ではないということですが、常用 代替防止が常に絶対的に派遣労働者の雇用安定に優先するというよりも、どこかで常用 雇用の代替防止をより具体的に細かなところで考えていって、場合によっては前回申し 上げた常用型の定義自体が、それほど安定的でないものも常用型に含まれていることを どう考えるのかとか、そもそも期間制限がない場合だったら、例えば派遣元での雇用安 定をどう考えるのかとか、常用雇用代替防止という一言ですべてを解決できない問題も あるのではないかと思うのです。あとの論点にも関わりますが、そのようなことを補足 したいと思います。 ○鎌田座長   私もそのとおりだと思います。常用雇用システムを維持するという議論の中で非常に 強く言われたのは、日本が得意とするものづくりと技能を継承していくことと非常に結 びついていくと。こういった日本の強みをどのように将来にわたって維持していくかと いう問題意識との結びつきで言っているわけで、正社員であることが何よりも大切だと いうだけで、頑なにこの問題を捉えてはいないということだと思います。  よろしいでしょうか。ほかに発言がなければ、論点4の雇用契約申込義務についての ご検討をお願いしたいと思います。ここでも論点が(1)〜(5)と分かれておりまして、 (1)、(2)は、雇用契約申込義務、これは40条の4と5に定めているものです。それと (3)に「みなし雇用制度を導入すべきとの意見があるが」ということで、問題が立て られているわけです。(4)は社員登用制度、(5)はキャリアパスの問題。(4)、(5) が法制度というよりは派遣先、あるいは派遣元でのキャリアパスの在り方ということで、 先ほどの(1)、(2)、(3)と違うわけなので、できれば(1)、(2)、(3)をまず ご議論いただいて、それから(4)、(5)としたいと思います。ということで、よろし いでしょうか。もちろん、必要であれば(4)、(5)の所も、同時に議論していただけ ればと思います。  そこで、さらに私の立場から言うと、雇用契約申込義務とみなし雇用制度なのですが、 いったいみなし雇用制度というのは法的にどのように考え、どう定義したらいいのか。 もちろん制度として現行法ではないわけですので、どのように考えたらいいのか少し特 定した上で議論しておいたほうがいいのではないか。人によっては、とにかく派遣先に 何らかの形で受入れを強制するものは、みんなみなしだと思われている人もいるのでは ないか。よくわかりませんが、必ずしもそのようなことではなくて、みなし雇用制度は かなり限定されたイメージを持っていると思います。  そこで、事務局のほうでみなし雇用制度をどう捉えるのか、あるいはどのようなもの としてご提案されているのか、何か認識があればご説明していただいて、そうでなけれ ば、たぶん諸外国、ドイツやフランスをモデルにしていると思いますので、ドイツ・フ ランスでどういったものがあるのか。そういった説明をしていただいても結構なのです が、ちょっと説明していただければと思います。 ○田中企画官   この雇用の安定の項目で、いわゆるみなし雇用制度の導入の是非についてご議論をい ただくという立て方をしています。そういう意味で、派遣労働者の雇用の安定の観点か ら、ドイツ型・フランス型のみなし雇用制度はありますが、いわゆる雇用契約の申込義 務と違って、使用者側の何らかの法的な行為なくして、派遣先の企業と、そこで働く派 遣労働者との間に労働契約が成立をしたと法的に判断される、民事的な効果がもたされ る制度ということを、主として念頭に置いて書いております。  ドイツ・フランスのみなし雇用の規定ですが、冒頭に説明したとおり、資料3で比較 を付けております。若干、ドイツもフランスも制度の趣旨は違うようですし、実際にい わゆるみなし雇用ということで、それを主張される方が念頭に置いておられるような、 派遣先の企業で安定した雇用の場の職、そこで働けるということを、必ずしもドイツ・ フランスなどでは想定はしておらないようです。日本において、みなし雇用制度の導入 を求められる場合には、派遣先で働き続けることができるという法的な根拠を、ある一 定の行為を派遣先がしたことによって、法的効果を成立させるものと捉えておられます ので、そういった観点からのみなし雇用制度の導入が法制的にどうなのか、というご議 論をいただければいいかと思っております。 ○鎌田座長   今のご説明を聞いて私が理解したところでは、要するにみなし雇用ということが議論 されている背景としては、派遣先の下で派遣労働者が何らかの理由があった場合に、派 遣先の下で働けるための、そういう状態をつくる上で工夫された、いくつかの工夫のう ちの1つがみなし雇用です。しかし、具体的にみなし雇用が法制度的にどう仕組まれて いるかというのが、ドイツとフランスで多少違うのですが、これは1つの例としてある ということかと思います。橋本先生、すみませんがドイツにはみなし雇用制度があるの ですが、私の理解では、特にドイツの場合のみなし雇用制度は、あまり専門家でないの でよくわからないところもあるのです。第1に無許可の派遣元事業主が派遣した場合に、 派遣元と派遣労働者の間の労働契約関係が無効になってしまうのですね。ところが、無 効にしてしまうと、派遣労働者の地位が空中に浮いてしまうわけですね。そこで、派遣 先と派遣労働者の間に、両当事者の合意がないにもかかわらず、法的に雇用関係を擬制 すると。こういった理解でよろしいですか。   ○橋本委員   「趣旨」に書いてあるのですが、先生のおっしゃったとおりだと思います。争い方と しては、労働者が裁判を起こして、派遣先と雇用関係にあるという確認を求めるのです が、そのときに労働者派遣にもかかわらず、派遣元、自分の雇用主が許可を得ていない ということで、(ドイツ派遣法)10条違反によって派遣先と雇用関係が成立するという 言い方をするようです。労働者派遣に当たるかどうかが問題になり、裁判ではそこが決 め手になるようで、条文には定義はないのですが、判例で日本の請負と派遣の区別のよ うな基準が確立しております。指揮命令をどちらが行っていたかが判断されて、労働者 派遣とされれば、許可を得ていなければ、みなし雇用になるという理解です。   ○鎌田座長   そうすると、いわゆる偽装請負のような場合で、かつ請負業者が派遣の許可を持たず に、請負形式で労働者を他企業に送り込んだときに、労働者としてはこれは派遣である という争い方をして、派遣であると判断されると、いま言ったような、かつ許可がない 請負業者の場合には、法律上、雇用関係の存在が擬制される、認められると。こういう ことになるわけで、偽装請負の場合に主に活用されるというか、利用される法システム ということなのですかね。許可がなければ動かないわけですから。   ○橋本委員   はい。念のため許可を取る場合が多いと、事務局からご紹介がありましたが、そうい う場合は派遣法違反として引っかからないのかなと思います。   ○鎌田座長   それはそうですね。今言ったように、派遣先と派遣労働者の間で、どのような労働関 係が法的に成立するかという問題について、ドイツとフランスとはちょっと違っていて、 ドイツでは派遣元・派遣先間で予定されていたものが、基本的に予定された労働条件が 派遣先・派遣労働者の間で出てくるということですね。ところが、フランスでは有期の 派遣しかないわけですから、契約の性質が変わってしまって、当事者の意思を得ずに、 これも期間の定めのない労働契約とされるわけですね。ところが、派遣先で働く労働者 が、それでずっと継続するかというと、先ほどのご説明ですと、結局、解雇ということ で、金銭での解決というように落ち着くと。その辺は日本とはちょっと違ってくること になろうかと思うのですが、そういった理解でよろしいのですかね。   ○田中企画官   はい。    ○鎌田座長   それぞれの国の派遣以外の法制との調整をした上での議論ということですので、少し 違っているところがあると思うのです。そうすると、今みなし雇用をどう捉えるかとい う点ですが、ドイツの例やフランスの例を参考にして言うと、法令に違反する一定の事 由、例えば無許可の派遣元から派遣労働者を受け入れるという事実があった場合、当事 者の合意を得ずに、雇用関係という私法上の法律関係が法的に擬制される制度。みなし 雇用というのは、このようなニュアンスで捉えたらいいのかなと思います。もし違って いれば、また少しご議論いただければと思います。  そうすると、雇用契約申込義務との違いは何かということで、今申し上げたみなし雇 用と、40条の4、40条の5の雇用契約申込み、これは法律上定められているものなのです が、それとの違いはいくつかありそうだなという感じがします。だからこそ、みなし雇 用を導入せよというご議論もあるのかなと思うわけです。私の理解を少し申し上げて、 もし違っていれば訂正していただければと思うのですが、まず雇用契約申込義務は、あ る一定の要件が充足されると、派遣先に対して雇用契約の申込みを義務付けるものです ね。したがって、この義務の履行として派遣先が申込みを行い、これに派遣労働者が承 諾して、初めて雇用関係が成立するという制度。ですから、契約の申込みは強制される わけですが、それがとにかく申込みという行為、意思表示があって、そしてそれに対す る労働者の承諾の申込みと、承諾の合致があって雇用関係が成立するという仕掛けのも のではないかと思うわけです。  それから、40条の4と40条の5に、雇用契約申込義務が定められていますが、先ほどの みなし雇用制度との比較で言えば、40条の4も40条の5も、ともに法令違反に対してこの ような申込義務を課するという趣旨ではなくて、40条の4は派遣期間を超えた派遣労働者 の受入の未然防止、40条の5は派遣労働者の雇用の安定を図るという、優先雇用的な趣旨 で設けられたものと言えると思います。これに対して、みなし雇用は、先ほど言いまし たように、無許可の派遣元から派遣労働者を受け入れるなど、明らかに法令違反があっ た場合に、これをどのように制裁するかという趣旨・位置づけで設けられたものではな いかと思われるわけですが、一応そのような整理でよろしいでしょうか。少し違うとこ ろがあれば、またご議論いただければと思います。一応そのような仕分けをした上で、 それぞれ雇用契約申込義務の撤廃の議論、みなし雇用の導入の問題について、ご議論い ただければと思います。順序からいうと、現行制度としてある雇用契約申込義務からご 議論をしていただければいいのかと思います。まず(1)の常用型については、「雇用 契約申込義務を撤廃すべきとの意見があるが、常用型の派遣労働者の雇用の安定の観点 等を踏まえ、どのようなメリット・デメリットがあるか考えるか」、このような問題、 論点が挙げられております。これについて、先生方の方でお考えがあれば、ご発言いた だければありがたいと思います。この辺は、一般の議論を聞いていても、非常に誤解や 無理解がある部分でもあると思いますので、もしよくわからないところがあればご質問 いただいて、それからご議論いただいてくださればありがたいと思います。 ○有田委員   常用型の場合の雇用契約申込義務の制度趣旨は、派遣労働者の雇用の安定ということ で、登録型の期間制限のある場合については、その違反の未然防止ということで、ある 種の実効性を確保するための仕組みということです。今の申込義務でフランスの制裁の ようなものとまで言えるかどうかは問題で、かなり違っていると思うのです。  常用型の場合、これが安定した雇用になっているのかは、先ほど山川先生も触れられ ましたし、前の議論の中でも出たように、有期の人たちも含まれていることがあるので、 本当に雇用の安定が確保されているのかというところに、若干の疑念は残るところもあ るのですが、仮にそれがなくなったとして、もし完全に無期のものに変わるとするなら、 それを前提に考えるならば、撤廃ということもあり得るかもしれません。労働者に選択 肢があって、派遣会社にそのまま常用型の派遣で残るのが望ましいと考えるのか、申込 みが来て、それに応えてそちらに移ることがいいと考えるのかの選択肢が労働者の側に 与えられるという意味では、申込義務はみなすわけではないので、私はなくすというこ とを考えなくてもいいかなと、今のところはそのように思っています。  みなされるということになると、労働者の方も選択の余地なくということになるので すね。派遣会社の方からすると、引抜きの問題があるということだと思うのですね。優 秀な人こそ、そうやって抜かれていって、事業自体が危うくなることが、たぶんいちば ん問題だと考えられているのだろうと思うのです。しかし、その場合には、例えば一定 の保証金のようなものの支払いを派遣先に義務付けるなど、例えばイギリスの立法例で は、たしかそういうことが規定として入っていたと思うのですが、別の対応が可能では ないかと思います。  先ほどのことに戻ってしまうのですが、ドイツなどではみなしてしまうので、労働者 の方で拒否することはできるのでしょうか。それがあるのか、ないのかわかりませんが、 みなされるということは意思に関係なく法律関係を作ってしまうので、労働者の側が、 例えば会社分割の場合の労働契約承継の場合に、主として従事しているという場合には、 拒否できないですね。労働者の側からすると行きたくないのに拒否できないということ が問題として出てきているという話をよく聞きますが、みなしをした場合も同じような ことが考えられるのではないか。その場合に、拒否権が保障されているというならまだ しも、そうでなければ嫌なところとの関係をそのまま擬制されて、ある種の強制労働で はないかという見方もできなくはないので。 ○鎌田座長   でも、実態としてないのではないですか。つまり、先ほどの偽装請負の議論にあるよ うに、労働者の方から派先との関係を認めてほしいという時に、初めて問題になるので。   ○有田委員   みなすという時も、やはり労働者側からの一定の訴えというか、アクションがないと、 発動しないということですか。   ○鎌田座長   ではないかと思うのですね。だから、会社のほうが偽装請負で働いている労働者たち を、そういう制度の下でみなすということは、実態としてはないのではないかと思うの ですね。と、私は話を聞いて思うのですけれども。今先生がおっしゃったのは、40条の 5の部分について、常用型についてどうするかということですよね。   ○有田委員   1番の問題に対して。    ○鎌田座長   要するに、40条の4は期間限定がある場合ですから、ちょっと前に議論した期間限定を どのように遵守してもらうかということで、未然防止として40条の4が設けられているわ けですね。それに対して、いま有田先生がおっしゃったのは、40条の5は期間限定がない 場合に、3年以上働いた場合で、かつ同一業務で雇い入れようという場合に、優先的に派 遣労働者に雇用申込義務を果たさなければいけないということですね。それについて、 派遣元が常用で雇っている派遣労働者については、そういう制度があると、ある種、派 遣先からの引抜き促進的な機能をこの40条の5が果たしてしまうということで、いかがな ものかという議論があると。それに対して、有田先生は、必ずしもそういった引抜き促 進を心配する必要はないのではないか。お金で解決できる問題もあるのではないか。だ から、常用型だからといって、必ずしも適用除外にする必要はないのではないかという ような。   ○有田委員   適用除外というか、これを外す部分を考えるとするなら、先ほどの代替の問題とも関 係しますが、常用型については26業務で外すということは考えられるかもしれませんが、 そもそも26業務以外の場合だと、常用型であっても臨時のものに応じるということです よね。   ○鎌田座長   期間限定ないから、要するに26業務の場合です。    ○有田委員   ここで議論されているのは26業務の場合ですか。    ○鎌田座長   40条の5はそうですね。    ○有田委員   それであれば外す選択肢もあり得るかと思います。    ○鎌田座長   ですから、40条の5は、いわゆる26業務についての申込義務ですが、ほかの先生どう ですか。   ○山川委員   私は、これは常用型で、先ほど申しました常用型が本当に雇用の安定したような常用 型と定義できるのであれば、外してもいいのではないかと思います。というのは、そう いう声も派遣労働者から出ているということもありますし、結局この規定を掛けること によって、派遣元では雇用安定しているけれども、一定の期間が来る前に派遣をやめる という方向にならざるを得ないのではないかと思いますので、それは派遣労働者の雇用 の安定につき問題があり、常用型だから、どこかほかに行けるのではないかということ があるのかもしれないのですが、実際にはいろいろな摩擦といいますか、時間の問題も あるため、必ずしもスムーズでない場合もあるでしょう。  もう1つは、ここに代替防止という発想が入ってくるかという問題なのですが、そこ は先ほど申しましたように、代替防止をもうちょっといろいろ細かく考えていけば、こ ういう場合は別だと言えるようにも思います。特に期間制限のある場合もそうなのです が、未然防止が強調されているとおり、要するにこれはその前に派遣は受け入れないよ うにすることになってしまうことが、実際上多いことになると思います。そうすると、 実際上は、期間制限のない場合は、雇用の安定という趣旨とは逆に働く可能性がありま す。ある意味では、みなし雇用でも同じようなことが言えて、要は派遣を直用とすると いう原則がない限りは、結局その期間が来る前に、受入れをやめてしまうが残されてい る以上は、そちらを選択する可能性のほうが高いかと思いますけれども。 ○橋本委員   今までの議論だと40条の5だけの話、常用型について。    ○鎌田座長   40条の4も言いたいことは少しあるのですが、言いたいことというか、議論もしていた だくとありがたいのですが、いまの議論は40条の5です。何かあれば、是非どうぞ。40条 の5ですが、40条の5は、有田先生と山川先生から、いわゆる雇用の安定がしっかり図ら れたら適用を除外することもありうる、ただし有田先生は無期に限定し、山川先生はは っきりは言わなかったのですが、無期と同視しうるものを考えておられている。   ○山川委員   無期と同視されるものをどこまで入れられるかということです。    ○鎌田座長   そういうことですね。そのようにしっかりと常用が無期、もしくはそれに同視できる ものに限れば、この40条の5の雇用契約申込義務を、そういった派遣労働者については 適用除外にするという考え方は、私も賛成です。なぜかというと、これは非公開だった のですが、ヒアリングのときに、常用型で働いている労働者の方のご意見でも、やはり 常用型は、派遣元が将来的にもその方を雇って、さまざまな教育訓練、能力開発を行い、 そのためのコストを使うことになるわけです。それが3年経ったらいなくなる、あるい は引き抜かれる可能性があるということであれば、その辺のところを常用で派遣労働者 を用いることのメリットが相当程度減殺されるのではないかと思うわけで、そうした派 遣労働者の立場、あるいは教育訓練という観点からの利益を考えると、これは適用除外 にしていいのではないかと私は思っています。  40条の4について、何かありますか。一応、確認したいのですが、40条の4の未然防止 の要件はどうなっていますか。 ○竹野補佐   本日の資料の7頁にお付けしておりますが、雇用契約の申込義務、期間制限のある業 務、40条の4ということですが、「以下のすべての要件を満たす場合」ということで、 3つ記載しております。(1)は「派遣元事業主から派遣受入期間制限に抵触する日以降、 継続して派遣を行わない旨の通知を受けたこと」。これは派遣法の35条の2に規定をし ているものですが、この通知。(2)は「派遣受入期間抵触日以降も派遣労働者を使用しよ うとすること」ということで、これは派遣先の意思の問題です。(3)は「派遣労働者が派 遣先に雇用されることを希望すること」という3つの要件があります。   ○鎌田座長   それで、何が聞きたいかというと、偽装請負といいますか、請負形式で労働者を派遣 し、それが結果として労働者派遣であったという場合に、この40条の4に基づいて、雇 用契約申込義務が発注者に発生するかどうかという問題が議論されることがあるのです。 まず、私の考えを申しますと、いま説明いただいた(1)の派遣元事業主から受入期間制限 に抵触する日の通知を受けることが前提になっていますので、法令上は請負形式で労働 者を受け入れたような場合は、もちろん派遣ではないと思っていますから、(1)に当たる 通知はないのです。  そうすると、40条の4でいうところの雇用契約申込義務というのは、いわゆる偽装請負 の場合には発注者には発生しないと考えられるのです。この辺、法律をやっている方た ち同士でも必ずしも一致しないというので、私の立場からの理解なのですが、この点、 行政としての立場をお聞きしておきたいのですが、いまの私のような考えで問題があり そうですか。 ○鈴木課長   今の鎌田先生の考えで、実務は行っています。なぜかといいますと、この40条の4は、 先ほどありましたように、法制的には担保措置ですから、もともと違法な派遣である偽 装請負は、そもそも適正な派遣にはなり得ないので、担保措置自体が働かないという趣 旨で、その場合は40条の4は(1)の要件が外れるので働いてこないということです。   ○鎌田座長   さらにお聞きしたいのですが、違反の場合には、どのような法令上の根拠と、どのよ うな措置をされているか。これは何度も議論されているのですが、それも確認の意味で 教えてください。   ○鈴木課長   いまのは40条の4違反ですか。    ○鎌田座長   いや、そうではなくて、偽装請負の場合にはどういう対応をするのでしょうか。   ○鈴木課長   偽装請負の場合、通常の指導ベースでいくと、まず違反条項としては派遣契約を結ば ないで派遣している、もしくは派遣の許可・届出をしていないところからの派遣という 格好になって、それぞれの条項違反ということです。あと付属して、例えば責任者を置 いていないなど、細かい義務違反が生じますが、基本的にはその2つです。これに違反す ると、通常の場合は、48条の指導という格好にいって、派遣元の場合、それがさらに繰 り返されると、改善命令、停止命令という形になります。  それから、派遣先については、違法状態の改善については勧告という格好になります が、それについては49条の2で勧告という形があります。その中の第2項ですが、この40 条の2の第1項の規定、これは期間制限です。これに違反して役務の提供を受けていて、 48条第1項の規定による指導をしたにもかかわらず従わないときには、派遣労働者を雇 い入れるように勧告するということで、49条の2の第2項の勧告に至 るという形です。 ○鎌田座長   ということなのです。そうすると、ドイツでいう違法な派遣についての制裁、あるい は規制という観点から、みなし雇用がドイツ・フランスではあるわけです。そういった 趣旨では、40条の4などはできてはいないということになろうかと思うわけです。ただ、 私は少し疑問もあります。つまり、通知義務にするということが前提ですよね。違法な 状態に対する救済措置についての議論も、あとの論点に出てきますので、そこで議論し てもいいと思うのですが、問題点だけちょっと言っておきます。偽装請負の場合も同じ なのですが、違法な派遣を指導・監督した場合に、何が起こるかというと、派遣をやめ ましょうということはいいのですが、そうすると派遣労働者が職を失うことになりかね ないのです。つまり、正義が貫かれて、派遣労働者が不利益を被るという結果になり得 るわけです。おそらく、これがドイツなどで無許可派遣があり、派遣元と派遣労働者の 間の労働契約は無効となった場合にみなし雇用を設けた実質的理由ではないかと思うわ けです。すなわち、派遣労働者が職を失うことを改善するために、みなし雇用というこ とで、ドイツは工夫をしたと思うのですね。ですから、同じ問題があって、違法な派遣 をどう規制して、制裁を加えるかという問題においても、日本でもあるのではないかと いう気持を持っています。しかし、後に違法な派遣に対する制裁という問題は、もっと 総合的に、先ほどの行政とのかかわり合いの中でも議論をしたいと思いますので、私の 気持としてはその程度にしておきます。みなし雇用という問題について、何かご議論が あれば、ここで少し先生方のお話を伺えたらと思いますが。   ○有田委員   今の鎌田先生のお話は、要するに派遣法に違反している違法な派遣について、1つは制 裁の手段であり、なおかつ派遣労働者の雇用の安定を図るという両面を持ったものとし て考えなければいけないのではないかということで、理解としてはよろしいですか。   ○鎌田座長   雇用の安定といいますか、要するに違法派遣を取り締まって制裁を加えるということ が、派遣労働者の不利益になるような形となっては問題はありはしないかということで す。ただし、それを法制度としてどう仕組んでいったらいいのかというのは、少し議論 いただきたいと思うのです。1つとしては、みなし雇用という制度があるわけで、ドイ ツではそういう趣旨として導入されていますし、フランスでも導入されているので、こ れについてどう考えるか、みなし雇用に限ってで結構ですが、ご意見をいただければと 思うわけです。私の立場はともかく、私の考えを言う前に、みなし雇用の問題として、 いくつか問題があると思うのです。1つは先ほど有田先生もおっしゃったのですが、両 当事者の合意を得ないで、法律上みなすということ、たとえ違法状態を制裁するという 趣旨であっても、そういったことがあり得るのか。しかも、これは私法上の法律関係と して、まさに擬制するわけですよね。こういったことが私的自治の原則、契約自由の原 則から成り立っている法制度の中で、違法の制裁としてあり得るかどうかが1つの議論 です。  それから、例えばフランスなどは典型ですが、みなした場合に、無期としてみなすと いうのですかね。こういったことが、例えば解雇無効という制度を持っている日本の制 度の中で、かえって問題を引き起こすことになりはしないだろうかということ。つまり、 労働者の立場としては良かったという面は確かにあるかもしれないけれども、悪いこと をしたから当然、会社は受け入れるべきだという考え方もあるのですが、とにかく会社 としては押し付けられるという形になっているわけですね。短期であればそれはわから ないわけでもないですが、それでずっと何十年もその関係でいきましょうということを、 法律上強制することは、かえって問題を引き起こさないだろうか。このような問題など、 いくつか考えられると思うのですが、自由にご意見をいただければと思います。 ○有田委員   まだしっかり勉強しているわけではないのですが、韓国では派遣法の改正があって、 そこは以前はみなし規定だったのを、雇用義務と言葉を換えたというか、制度を変えて いるのですが、おそらく今問題点を指摘されたようなことを考慮したのかなという気も するのです。その場合は、派遣先で同種の仕事をしている労働者がいれば、その人と同 じ労働条件で雇入れを義務付けるということで、労働者の側が明示の意思を示して、そ れを望まないという意思表示をした場合には、雇入れ義務はなくなるという規定が置か れていたかと思うのです。  韓国も確か解雇無効の構成の国ではなかったかと思うので、そのようにしているのか なと思うのです。ただ、契約のことについては、条文上見た限りでは明確にフランスの ような形にはなっていなかった。だから、同種の仕事をしている人は、臨時の仕事だっ たら有期でということになるのか。そういうことで、実際その人が働いていたところで、 同じ仕事を直用でやっている人と同条件でという形で、それを回避しようとしているの か、どうもそういう工夫をしているのではないかとも思うのです。場面としては、派遣 法に違反したような場合について、これはもう1回確かめないといけないのですが、あ る程度包括的にその対象にするような形ではなかったかと思うので、少し参考になるか なという気がしています。むしろドイツやフランスよりも、どちらかというと韓国の法 令のほうが、日本にとっては参照するには役立つようなルールを作っているのではない かと思います。 ○鎌田座長   今有田先生がおっしゃった韓国の法制は派遣法ではなくて何というのでしたか。   ○有田委員   非正規労働者保護法の中で、派遣法の改正部分です。    ○鎌田座長   先生の知っている範囲でお聞きしたところでは、当初みなしということで立法化が検 討されたけれども、結局駄目で、雇用契約申込義務という形で立法化されたのではない かというお話でしたね。そして、申込義務の場合の労働条件の部分については、いくつ かの工夫がされているということですね。   ○有田委員   「申込義務」の「申込み」という言葉がなくて、「雇用義務」というような。ただ、 それは私はハングルが読めるわけではないので、ほかの先生が日本に紹介された文献を 見る限りなので、そこはどうなっているのか正確なところはわかりません。日本の場合 だと、40条の4については行政解釈では公法上の義務だから、私法上の効果はここから 出てこないという解釈ですが、それを韓国は私法上の効果まで認めるような形の規定に しているということなのか。その辺はまだよくわかりませんが、検討する必要があるか という気がします。 ○鎌田座長   もし事務局のほうで、韓国の条文についての資料が手に入れば、次回で結構ですが、 あるいはまた違法の派遣についての救済制度を議論するから、その際にでもちょっと出 していただければと思います。その際に、立法の経緯で、もしみなし雇用が当初案とし てあれば、そういったこともわかればご紹介いただければと思います。あと、今の議論 の中で40条の4は行政解釈として、行政上の義務で私法上の効果がないと、ちょっとおっ しゃったのですが、これは私の理解だとそこまで行っていなくて、あれは要するに行政 上の措置について定めた義務なので、もちろん行政上の義務であるけれども、私法上の 効果はないとまで言っていましたか。行政としてはそういう必要性もないと思うのです ね。   ○鈴木課長   あくまでも行政上の義務ですから、そこを超えて民事上のものについて、解釈はして いなかったと思いますけれどもね。   ○有田委員   松下の高裁判決、プラズマのものですね。あれはかなり踏み込んだ判断をしていたよ うな。持ってくるのを忘れてしまったのですが。   ○鎌田座長   それは高裁ですか。    ○橋本委員   地裁の方が有田先生のおっしゃった解釈ではなかったでしょうか。    ○鎌田座長   地裁のものは、どこかで資料として出されていましたよね。高裁は資料としてはなか ったと思うのですが。   ○竹野補佐   第2回の研究会資料に付けています。    ○鎌田座長   あれは地裁は申込義務があるけれども、申し込んでいないということではないのです か。申し込んでいないから成立していないという話だったのです。   ○竹野補佐   第2回の研究会資料1-5で裁判例を付けております。読み上げると、地裁判決の要旨と して、「労働者派遣法は、申込みの義務を課してはいるが、直ちに雇用契約の申込みが あったのと同じ効果までを生じさせるものとは考えられず(したがって、原告が承諾の 意思表示をすることにより、直接の雇用契約が締結されるわけではない。)、被告に直 接雇用契約の申込義務が課せられ、これを履行しない場合に、労働者派遣法に定める指 導・助言・是正・勧告・公表などの措置が加えられることはあっても、直接雇用契約の 申込みが実際にない以上、直接の雇用契約が締結されると解することはできない」と。   ○鎌田座長   だから申込みをされていないのだから承諾がないし、私法上の効力を認めるというの かどうかよくわからないのですが、とにかく申込みがなされていないから成立していな いのだといった趣旨だと思いますよね。だから、私法上の効力があるとか、ないなどと いうところまで突っ込んではいないかと思うのですが。   ○有田委員   逆に言えば申込みがあったものとみなすわけではないということですね。   ○鎌田座長   そうです。それはそのままだと思うのです。    ○有田委員   高裁判決も、同じような考え方でしたかね。    ○鎌田座長   高裁は、40条の4について何か言っていますか。    ○有田委員   あれは、むしろ違法な派遣、偽装請負のような、派遣法に違反するものは、もともと 労働者供給事業で、公序良俗に反して、その契約自体が無効になって、あとは労働契約 の合意があったという認定で、当初からそうなっているのだからということであったと 思います。ということは、この規定の解釈についてはあまり触れていない。そもそも当 初からそういう供給事業で違法で無効だったのだからということですね。   ○鎌田座長   とにかく、その部分は地裁と同じだと思うのですよ。つまり、申し込んでいないのだ から、成立はしていないと。   ○有田委員   派遣法の解釈としては、地裁と変わらないと。    ○鎌田座長   高裁判決をまとめて、資料は出てこないですか。    ○竹野補佐   準備します。    ○山川委員   今のお話は、おっしゃるとおりだと思います。申込義務を課すことの意味は、それが 私法上の義務があったとしても、申し込む義務が生ずるということで、義務が履行され て初めて申込みがあったことになるので、有田先生のおっしゃるみなし申込みにしない と、労働者の承諾によって、直ちに雇用契約が成立するという効果は出てこない。そう いうことで、結局みなしみたいなテクニックを入れざるを得ないということなのですが、 それにしてもフランスやドイツとは、随分、前提の違うことがありますし、特にフラン スですと、違法派遣に対する金銭的救済みたいな機能として働いていて、必ずしも雇用 の安定という効果をもたらしていないのではないかと思います。日本で解雇で金銭的救 済ができるかという、別個の問題になる可能性もあります。先ほども申したように、み なし雇用とすると、結局のところ、それが義務が生ずる前に派遣請負をやめるという行 動パターンが考えられ、そこを制約しない限りは問題は消えないのではないかと思いま すけれども。   ○有田委員   偽装請負のような場合は、現行法を前提にしても松下の高裁判決みたいな解釈をとれ ば、私法上の救済をすることは可能ということですね。ただ、それはむしろ職安法の44 条と派遣法の関係をどのように解釈するかということで、あそこから切り出されるのは あくまでも適法な派遣法を守ったものだけであり、それだけが供給事業に当たらない、 という形で出されるのだという解釈を前提にしているので、そういう解釈に立たなけれ ば、そこから先の黙示の契約の成立まで判断されることにはならず、当然その前で終わ ってしまうのです。私はどちらかというと、供給事業と派遣法の関係ということについ ては、その考え方のほうが妥当かなと考えています。私の解釈は高裁と同じような考え 方なので、それだと偽装請負の部分は使用従属関係があって、賃金の支払い関係が認め られれば、黙示の合意があって、偽装請負についてはそういう形で私法上救済を受けら れる可能性が出てくる。ただ、その場合、あそこも結局、有期で、更新拒絶をできる理 由がない限り更新、そのままの状態で続いていくということが判断されているので、別 に当初から無期になったわけではないという判断ですね。だから、現実的にはそういう 救済も。ただ、やはり立法で明確にしないと、いちいち裁判をして確認しないといけな いというのは大変ですから、やはり何らかの工夫は要るとは思うのです。   ○鎌田座長   今山川先生がおっしゃったことと、有田先生がおっしゃったことに少し意見がありま す。まず、山川先生ですが、例えば派遣受入期間を徒過して、制裁としてみなしという ことを考えた場合に、どのようにみなしにするか、雇用契約申込義務にするか、いずれ にせよ、その前に派遣をやめてしまうという実態的な問題がある。つまり、結果として 派遣先がいわば自己防御から、法が予期しない、あるいは法が意図しない結果を生み出 してしまう、こういう問題があるのではないかということですね。これは後の制裁のと ころで、また議論すると思います。  違法といってもいろいろな場合があって、例えば偽装請負のような場合には、要する に派遣先が防衛のために派遣を使わないなどということがあり得ない仕組みでしょう。 そもそもそれではないと思っているわけだから。だから、こういう場合については、ど う派遣労働者の立場を救済するかという問題が起こると思うのですね。それは最初から もう派遣でないと思っていますから、それが派遣だとわかった時に、先ほど言ったよう に、適正な関係ということで、派遣を解消したときに、派遣労働者の地位、立場をどう 保護するかという問題は残るのですね。だから、違法といっても、どんな違法があるの かということを、もう少し細かく見ていかなければいけない。例えば二重派遣の場合も あるだろうし、専ら派遣の場合もあるし、派遣労働者の特定の場合もあるだろうしとい う、いろいろな違法という問題があると思うので、それをきめ細かく見て、どう保護を 図っていくかという問題は残ると。  それから、有田先生の言われた、高裁判決の判決のポイントは発注者と請負労働者の 関係ですよね。かなり偽装請負の色彩が濃厚だと思うのですが、こういった場合に高裁 判決は私も詳しくは見ていないのですが、黙示の労働契約が成立するという理屈なわけ です。これは有田先生もよくご存じだと思うのですが、黙示の労働契約関係が成立する ための要件はかなり厳格なもので、かつ判例において非常に動揺しているというか、判 決の結果について、予見可能性がないという問題があります。だから、そういったこと について、何らかの立法的な措置を考えてみたらどうかということだと思うのです。  しかし、派遣法自体がかなり行政法規として成り立っているという側面があって、完 全な事業規制法ではなく労働者保護的なものもあるのですが、私法的な関係について、 中心的に何か派遣法が処理をしていくという発想では、必ずしもできていなくて、その 辺のところをどう考えるかという問題があるわけです。そういう意味では、みなし雇用 は、まさに私法的な関係を導入するという側面が強いので、ある意味ではちょっと異質 ではあるのですが、そういった問題があると。つまり、派遣法の事業規制法として、そ ういう側面が強くある法律について、私法的な効力を正面から認めていくことを、どの ように整理していけばいいのか。何かお考えを聞かせていただけたらと思います。 ○有田委員   根本的なところから検討するということでしたので、派遣法そのものの全体の仕組み からして考え直すことも、1つの検討課題として挙げてもいいのではないかとは思ってい ます。ただ、やはり合意の契機を大事にしなければいけないところを考えたときに、申 込みをみなすというのがどう評価されるのか。しかし、そこをクリアできないと、結局 は何の意味もないと思うのですね。期間を超えてということで言うと、まさに常用代替 という要の部分を侵していることになる。しかも、継続して同じ人を同じ業務で使って いるということは、それはもう臨時の必要ではなくて、恒常的に必要な業務なのだから、 雇い入れていいのではないかと考えやすいと思うのです。  だから、鎌田先生がおっしゃったように、ほかの部分はそれぞれの規定もあるので、 また違った何らかの制裁というか、サンクションの仕組みを別途考えてもいいのかもし れません。ことに、期間を徒過したというか、経過して、なお継続してという部分につ いては、もはや根幹にある常用代替そのものの理念について考えなければいけないとい う議論も先ほどからあります。そこが要としてあるとするならば、そこのところを常用 で直接雇うようにと変えること自体は、そんなに大きな制度全体としての矛盾があると は思えないのです。あとは意思のところの、もともとの私法体系全体の中に対する違和 感をどう解消していくのかを考える必要はあるとは思います。そういうものを入れるこ とが絶対駄目だとは思えないですね。 ○鎌田座長   法律上、立法で書き込めば、別に駄目ということはないのだということですね。   ○山川委員   その問題も関連するのですが、先ほど私が申し上げたのは、違法派遣については特に 考えていなくて、適法に派遣がなされている場合に期間を超える前に派遣受入れをやめ てしまうのではないかという話で、違法派遣の場合にフランスは民事制裁と考えていま すが、日本で民事制裁という観念を導入できるかどうかという点は別で、あり得るとす れば、無効となった法的な結果についての定めということで、そこは派遣法自身を一部、 民事法規としての効力を持つように再構成することになる。そのことは、労働契約法も できてますし、いろいろなところでこれは無効とするという規定が労働法にもできてき ていますから、私はむしろ全般的には考えたほうがいいのではないかとは思うのです。 ただ、契約締結の強制という法的効果までできるかということと、結局みなしのような 法的効果が定められたとしても、雇止めの問題などで、どのぐらいの事後処理としての 実効性があるのかと、民事法規になると、いろいろ特有の問題は出てくるかと思います。  もう1つ、制裁のことにかかわるのですが、先ほど有田先生のおっしゃられた、労働者 供給か違法派遣かという問題で、違法な労働者供給でしたら受入先を処罰されるわけで すよね。でも、違法派遣は、現行法からいくと受入先は処罰されないですよね。 その辺り何かアンバランスかなという気もするのですが、全く別の話です。 ○鎌田座長   山川先生に確認したいのですが、よくわからないので教えていただきたい。契約締結 強制は、民法上も一定の場合にはあり得ると思うのですが、私は契約締結強制、つまり 契約締結を義務付けるのはあり得るかと思っているのです。だけど、契約したものとみ なすというのとは、かなり違うのではないか。みなすというのは、かなり大胆な発想と いうのですかね。ただ、あり得るとすれば、あり得るというよりは問題となるとすれば、 こういうことはできるかと。契約締結の義務付けをすると、その義務が裁判において、 申込みの意思表示を求める訴訟ということはあり得るか。つまり、登記みたいに、所有 権の移転のように、そういった意思表示があったと裁判で確認するということまで言え れば、確かにみなすということまでなると思うのですが、要するに登記の場合には、あ れは登記名義の移転というだけなのですが、この場合、雇用申込みだから、労働条件な ど、いろいろなことがありますよね。そういったことも含めて、裁判で原告側である労 働者が斯く斯くしかじかの申込みがあったものとして、確認請求するということがある のかなというのは。   ○山川委員   理論上はすごく興味深い点に入ってきたのですが、意思表示を命ずる判決は、確定に より意思表示が擬製されることはあると思いますので、それは理論上は不可能ではない と思います。登記も結局のところ、登記申請がなされたことを擬制するのと、ある意味 では同じようなことです。ただ、現実に雇用申込みの意思表示を命ずる判決は、おっし ゃられたように条件などいろいろ決めないといけませんし、判決は確定しないと、効果 は発生しないわけですね。そうすると、3年とか、最高裁まで争って、何年も経って初 めて雇用申込みの意思表示がなされて、それからというのはあまり現実的ではないよう な気がします。むしろ、申込みをしないと債務不履行になるという考え方もあり得る。 そうすれば、解雇とまた別に損害賠償の解決という方法もある。つまり、申込義務の効 果として、意思表示の擬制を判決で命ずる場合の他に、債務不履行として構成する場合 がある。その場合、損害はどうなるかという問題はあるのですが、2つあり得るかなと 思いますけれども。   ○有田委員   そうすると、債務不履行の場合の損害額を立証しなければいけないのですね。それを 法定してやる。フランスの解雇の補償金は、例えば年収1年分であったかを原則にして 法定されていますよね。あれと同じように、今山川先生がおっしゃったように、申込み をすることを私法上の義務として、履行しない場合、債務不履行の場合には、例えば1 年分の給与相当額を賠償額として、原則認容するという形にしておくと、それが嫌なら ば申し込みなさい、さもなければ1年分の給与の支払いをしなさいということになる。だ から、これは損害額といいながら、ある種のペナルティですね。それを妥当な額で決め るというやり方で、そういう意味でのまさにある種の民事制裁でもって、促していくと。   ○鎌田座長   それは実際的にフランスと同じですか。それもありますよね。    ○有田委員   だから、みなすというのは日本の法制上なかなか難しいということであれば、そこへ もって誘導していくのを私法上、何か工夫をするということです。でも、どっちにして も法律全体の中にそういう私法的なものを組み入れていかないと、やはり難しいとは思 いますので、何らかの工夫をしないと。   ○鎌田座長   予定の時間がまいりました。実は(4)、(5)は、まだ何もできていないのです。私 の不手際以外の何物でもないのですが、40条の5については、皆さん一致して、常用型、 これも無期を中心、あるいは同視できるものについては適用除外にしたらどうかという こと。みなし雇用については、今論点がいろいろ出ました。しかし、これをどうするか は、まだご議論が集約していないかと思っております。後ほど法令違反の場合について もまたご議論いただくということですので、その際に例えば韓国の法令なども参考に挙 げて、もう一度ご議論していただければと思います。(4)、(5)については、時間も まいりましたので、どこかにちょっと入れていただくということで対応できますか。と いうことで、一応、今日の議論はこの辺で終了とさせていただきたいと思います。特別 に何かご発言があればどうぞ。では、本日の議論はこれまでとします。次回の研究会で は、均衡処遇の考え方、派遣元と派遣先の役割分担について、ご議論いただきます。事 務局から、次回の日程についてお願いします。   ○田中企画官   次回の研究会は6月13日(金)の午後を予定しておりますが、時間と場所については 確定次第、改めてご連絡しますので、よろしくお願いいたします。   ○鎌田座長   なお、本日の議論について、追加でご意見等がありましたら、事務局までご連絡をお 願いします。これをもちまして、第6回の研究会を終了させていただきます。本日は、 皆さんお忙しいところ、ありがとうございました。 照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課需給調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5745)