08/05/23 平成20年5月23日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年5月23日(金)  14:00〜 厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(13名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、    上 原 至 雅、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 清 水 秀 行、    竹 内 正 弘、 早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、   三 瀬 勝 利    (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(3名)   田 村 友 秀、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成    3.行政機関出席者 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)  森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催し ます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。現在のと ころ当部会委員数16名のうち、13名の委員に御出席いただいていますので定足数に達し ていますことを御報告申し上げます。本日は田村委員、溝口委員、山口委員より御欠席と いう連絡をいただいています。また、委員の交代がありましたので御紹介申し上げます。 土屋文人委員が退任されて、その後任として、日本薬剤師会常務理事の清水秀行委員に御 参加いただいています。よろしくお願い申し上げます。それでは部会長の池田先生、議事 進行をよろしくお願いします。 ○池田部会長 先生方にはお忙しいところ、また、お暑いところありがとうございました。 それでは早速、本日の議事に入りたいと思います。いつものように事務局から配布資料の 確認と申請資料作成、さらに利益相反等に関する申合せについて報告をお願いしたいと思 います。よろしくお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委 員の名簿を配布しています。議事次第に記載されている資料1〜6をあらかじめお送りし ています。このほかに資料7「審議品目の薬事分科会における取り扱い等の案」、資料8 「専門委員リスト」、資料9「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。  続きまして、申請資料作成への関与や、利益相反等に関する「審議参加に関する遵守事 項」について御報告いたします。本日の部会より、本年3月24日に行われた薬事分科会 における新しい申合せ事項が適用されることとなっています。各委員の先生方には、既に 資料を送付させていただいておりますが、主な変更点としては、以前までの暫定ルールの 運用に加え、新たに競合企業についても申出の対象となっております。  本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストは資料9として配布しているところ ですが、各品目の競合品目選定理由については以下のとおりです。  資料9の1ページ、審議事項議題1のサイモグロブリンです。本品目の効能である再生 不良性貧血と作用機序から考えられる類似の競合品目はゼットブリンのみであることか ら、競合品目の1としてゼットブリンが挙げられています。また、もう一つの効能である 骨髄移植における移植片対宿主病の抑制に対する効能を有する薬剤は、サンディミュン及 びプログラフのみであることから、これらの3品目を競合品目・競合企業として挙げたと いう報告です。  なお、サイモグロブリンについて一点、補足の報告があります。このサイモグロブリン については、サノフィ・アベンティス社が申請を行っていますが、昨日、承認後、速やか にジェンザイム・ジャパン社に承継する予定であるとの情報提供がありました。したがっ て、ここで3品目挙げていますが、このほか本品目の審議に当たりまして、ジェンザイム 社を関係企業として利益相反の調査を行う必要があると考えています。これは連絡があっ たのがまさに昨日であり、調査が間に合わなかったわけですけれども、ジェンザイム社に ついて追加で利益相反の調査をお願いしたく存じます。本日の審議につきましては、ジェ ンザイム・ジャパン社について今の時点で分かる範囲で、もしお気付きのことがあれば御 申告いただいた上で行わせていただきたいと考えています。その後、事後ですけれども、 改めてジェンザイム・ジャパンに関して調査用紙を送付させていただき、審議に参加でき ない委員の方がいらした場合等については、再度審議することも視野に入れて部会長と相 談することとさせていただきたいと存じます。  続きまして資料9の2ページを御覧ください。審議事項の議題2は、アービタックス注 射液です。本剤の競合品目を選定した理由ですけれども、本剤は結腸・直腸癌を適応とす るモノクローナル抗体ですが、同じ癌腫を対象として承認を取得しているモノクローナル 抗体である承認予測あるいは開発中のものを対象として選定した結果、競合品目1は、既 に同じ癌腫を対象として承認している抗体薬品であるアバスチン、競合品目2は、同じE GFRに対するモノクローナル抗体でありますPanitumumab、競合品目3はEGFRに対 するモノクローナル抗体で、現在、臨床試験実施中であることから不明であるものの、同 じ癌腫を対象として開発する可能性があることから、この3品目になったということで す。  3ページで、本日の審議議題3は、ミコブティンカプセルです。このミコブティンカプ セルについての適応症は、「マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症等 を含む非結核性抗酸菌症」、「HIV感染患者における播腫性MAC症の発症抑制」及び 「結核症」です。MAC症の適応症を有する薬剤は、現在、クラリスロマイシンとアジス ロマイシン水和物の2剤のみですが、アジスロマイシンは、この申請者と同じ会社の品目 であることから選定より除外し、また、結核症の適応症を有する薬剤は複数あるものの、 リファンピシンのみ本剤同様のリファマイシン系薬剤であり、標準薬であることから、こ の競合品目で示されているクラリスロマイシン、リファンピシンの2成分を選定し、同一 成分の薬剤を販売しているが、売上げの高い品目として、クラリス錠、クラリシッド錠、 リファジンカプセルを選定したということです。  本日の議題4は、組換えインフルエンザHAワクチンです。本剤が予定している効能・ 効果である「新型インフルエンザの予防」を有する既承認の製剤として、競合品目1と2 にの掲げられている北里研究所及び阪大微生物病研究会の沈降新型インフルエンザワク チンがあります。この2企業の製剤を競合品目として指定し、さらに、デンカ生研及び化 学及血清療法研究所が同様の沈降新型インフルエンザワクチン(H5N1株)の申請を行 っており、そのうち先に申請を行ったデンカ生研を競合品目として選択したということで す。  本日の5議題目は、フォロデシン塩酸塩です。このフォロデシン塩酸塩の競合品目につ いては、構造及び作用機序から現在6品目ありますが、その中で主として本剤と同様のT 細胞腫瘍をターゲットとするものが、フルダラ及びロイスタチンを除く4品目あります。 さらに将来の競合品となる目安として、直近に承認されたもの、あるいは現在開発中であ り、フォロデシン塩酸塩よりも先行している品目に着目したことから、下にあるアラノン ジー、ほか2剤を競合品目として定めるというところです。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。先ほど御説明がありましたように、本日から今 までの暫定ルールに加えて、新たに競合企業についての申出も対象とすることになり、現 在、本日の審議品目に関する競合品目・競合企業リストについて、その選定した理由等を 御説明いただきました。ただ今の事務局からの説明について何か御意見がございますか。 ○堀内部会長代理 競合品目の選定ですが、これは広く取れば幾らでも広く取れると思い ます。例えば、サイモグロブリンについてはサンディミュン及びプログラフまで入れてあ ります。ところが、これは抗体ですよね。そうすると適応症があれば全部入れるのかとい うことになってしまうと思います。幅広く適応症を取ればどんどん広がってきます。やは り何でも適応症があればいいということではないだろうと思います。ですから、例えば同 じ抗体なら抗体とか、そういうふうに絞っていかないと広がるばかりだと思います。  2番目についても同じことで、これはアバスチンが入っていますけれども、例えばこれ は、モノクローナル抗体でEGFRだとか、ある程度限ったところで同じようなものがあ ればいいですが、アバスチンというのはVEGFですよね。ですからメインのところは明 らかに違うのです。そうすると分子標的薬はみんな入ってくる。これからどんどん世の中 に出てきたら、それが全部入ってくるという形になってしまうのではないかと思います。 ですから、その辺の適切な選定というのを是非やっていただきたいと思います。 ○審査管理課長 御意見ありがとうございます。実は私も一番最後のところで御相談しよ うかと思っていたわけですが、今、堀内委員から御指摘いただいた、特に最初のサイモグ ロブリンの競合品目というのを、どの範囲で考えるのかというのは非常に重要な点だろう と考えています。すなわち、申合せで決められている競合品目というのは、市場でその二 つが競争をする、代替性がある。よってその審議に当たって公正さを疑われる懸念がある ということなのだろうと思います。そういうことから考えると先生が御指摘のように、私 もここにございます競合の2番や競合の3番というのは、代替性が果たしてあるのか。こ の二つが市場で競争する場面は果たして考えられるのかなと思っている次第です。  一方において、その申合せにおいて競合品目は3社までということで決められているわ けです。恐らく3社という規定があったがために、ここまで選んできたのかなと思います。 市場で競合しないのであれば3社でなく1社でもいいわけで、その辺りはまた趣旨を徹底 し、今日の議論も議事録をできるだけ早く公開することによって、外に出していきたいと 考えています。よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。今日がこの議論 の始まりだということで、もちろん暫定ルールを決めた委員会では、そのことも含めて十 分に議論はしているわけですが、実施に当たっては今日が初めてだということで、先生方 に御意見をいただければ、この機会に御意見を拝聴したいと思います。いかがですか。よ ろしいですか。今、堀内委員が言われて審査管理課長からお答えがありましたように、本 日のところはこういう格好で、もし異存がなければ競合品目は決定させていただいたとい うことで、今後どういう品目を、あるいはどういう企業を選定するかについての議論は、 引き続き行いながら進めていくということにさせていただけたらと思います。よろしいで すか。委員の先生方は、それでよろしいですか。事務局の方もそれでよろしいでしょうか。 ではそのような格好で進めさせていただくということで、今回の申合せ事項についての競 合企業のところは御了解いただいたということで、今後、審議も継続するということで進 めたいと思います。それでは事務局から、それに基づいて委員からの申出があった状況に ついて報告をお願いします。 ○事務局 各委員の先生方からの申出状況について、御説明いたします。議題1のサイモ グロブリンですが、退室委員は池田委員、議決には参加しない委員は竹内委員、前崎委員 です。議題2のアービタックスですが、退室委員は池田委員、議決には参加しない委員は 堀内委員、前崎委員です。議題3のミコブティンに関しては退室委員はいらっしゃいませ ん。議決には参加しない委員は池田委員、堀内委員、前崎委員です。議題4のUMN-0501 のオーファン指定については、退室委員は竹内委員、議決には参加しない委員はいらっし ゃいません。議題5のフォロデシン塩酸塩のオーファン指定ですが、退室委員はいらっし ゃいません。議決には参加しない委員は池田委員、竹内委員、前崎委員です。したがって 議題1及び議題5については、部会長代理の堀内委員に議事進行をお願いしたいと存じま す。また、議題2、議題3については、薬事分科会規定第5条第1項において部会長及び その職務を代理する者のない時は、当該部会委員のうちから選任された者が仮に議長とし て会議を開くことができるとされていますので、御選任をお願いしたいと存じます。 ○池田部会長 ただ今御説明がありましたように第2議題、第3議題に関して、どなたか 御推薦はございますか。議長として仕切っていただくということです。特にございません か。事務局の方は何かありますか。 ○事務局 事務局といたしましては、早川委員にお願いしたらどうかと思いますが、いか がでしょうか。 ○池田部会長 委員の先生、早川委員にお願いするということで、よろしいでしょうか。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは御了解いただいたということで、部会 長として先生方に御迷惑をおかけして申し訳ございませんが、堀内委員に議題1及び議題 5、そして早川委員に議題2及び議題3の議事進行をお願いしたいと思います。本日はお 手元の議事次第を御覧いただくと分かりますように、審議事項が5議題、報告事項が1議 題となっています。それでは早速、議題1に入りたいと思います。議題1の審議について は堀内委員に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 それでは議題1について進行を務めさせていただきます。池田委員に おかれましてはこの議題の間、別室で待機をしていただければと思います。よろしくお願 いします。 ── 池田部会長退室 ── ○堀内部会長代理 それではサイモグロブリン点滴静注用25mgについて、総合機構から 概要を説明していただきたいと思います。 ○機構 議題1、資料1、医薬品サイモグロブリン点滴静注用25mgの輸入承認の可否等 について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本剤は、ヒトの胸腺細胞を、 ウサギに免疫して得られた抗血清から精製した抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン製 剤であり、ヒトT細胞表面抗原に結合し、補体依存性の細胞傷害を引き起こすことにより、 CD4陽性T細胞及びCD8陽性T細胞を減少させると考えられています。  海外におきましては、1984年にフランスで承認されて以来、現在までに58か国で承認 を取得しています。本邦におきましては、1993年にローヌ・プーラン・ジャパン株式会 社(現在のサノフィ・アベンティス株式会社)により開発が行われ、2002年10月に承認 申請がなされました。  その間、1993年11月に「再生不良性貧血」、1994年7月に「骨髄移植におけるGVH Dの治療」に対する希少疾病用医薬品の指定がなされています。なお、2003年には、日 本血液学会及び日本臨床血液学会より、本剤の早期承認に関する要望書が提出されていま す。  本剤の専門協議については、お手元の資料8にありますとおり、11名の委員に御意見 を賜りました。  提出された資料に基づき審査を行いました結果、本剤の品質について審査報告書の71 〜72ページにありますように、本剤の製造工程で使用されるヒト赤血球について、生物 由来原料基準で規定されているB型肝炎ウイルスの核酸増幅検査が設定されていません でした。しかしながら、米国では輸血製剤として用いられている赤血球が、本剤ではホル ムアルデヒド処理をして使用されていること、また、製造工程中でウイルス不活化処理が 行われていること等の理由により、本剤にHBVが混入する危険性は極めて低いと考えら れることから、添付文書において十分に情報提供した上で使用されることは基準上も可能 と判断しました。なお、申請者は、可及的速やかにHBVの核酸増幅検査を導入すると回 答しています。  本剤の毒性、薬理、動態については、特段の問題は認められませんでした。臨床につい ては、国内では「中等症以上の再生不良性貧血」、「造血幹細胞移植前治療」及び「造血 幹細胞移植後の急性GVHD」に対する三つの第II相臨床試験が実施されています。  本剤の有効性に関して、「中等症以上の再生不良性貧血」につきましては、本剤の有効 率は2.5mg/kgで13.3%、3.75mg/kgで23.1%であり、輸血に関する検討においては、本 剤投与後に経時的な輸血量の減少が認められました。また「造血幹細胞移植後の急性GV HD」については、本剤の有効率は2.5mg/kgで61.5%、3.75mg/kgで72.7%であり、一 般に急性GVHDの予後は不良であるということも加味して、本剤の有効性は認められた と判断しました。  一方、「造血幹細胞移植の前治療」のうち、急性GVHD予防については、外部対照の ATG/ALG製剤非使用群に比べて、GVHD発症率は低い結果が得られたものの、背景因子 が多岐にわたることから、本剤の有効性が明確に示されたとまでは言えないと考えまし た。しかしながら、国内外の教科書や文献報告等において、本剤の使用が標準的と考えら れている現状も踏まえて、日本人においても一定の有用性が期待できるものと判断しまし た。  本剤の安全性については、いずれの対象疾患においても重篤であることを踏まえて忍容 可能と判断しました。また、類薬であるリンフォグロブリン及びゼットブリンにおいては、 アナフィラキシー反応等の懸念から、再投与は禁忌とされていますが、臨床現場において はやむを得ず再投与される場合もあることを踏まえて、本剤では原則禁忌として、やむを 得ず再投与する場合には、原則としてウサギタンパク質に対する抗体検査を実施すること としています。  以上のように、本剤について一定の有効性及び安全性が認められると判断しましたが、 国内治験成績が極めて限られていることから、本剤が投与された全症例を対象に製造販売 後調査を実施し、特に急性GVHD予防については外部対照の利用も考慮の上、有効性を 確認することに加えて、小児や再投与における有効性及び安全性に関する情報収集等を行 うよう、申請者には指示しています。  以上の審査の結果、審査報告書の2ページにありますように、承認条件を付した上で、 中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療及び造血幹細胞移植後の急性GV HDを効能・効果として、承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は希少疾病 用医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適当であり、原薬及び製剤は 劇薬に該当すると判断しました。また、ウサギ血清を原材料とすることから生物由来製品 に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろ しくお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。サイモグロブリンについては三つの効能が あり、GVHDについては臨床試験からは明確ではないけれども、既に教科書等にも記載 されて、外国等でも標準的に使用されているという御説明がありました。委員の先生方、 何か御意見をいただければと思いますが、いかがですか。 ○竹内委員 審査報告書を読ませていただき、日本で実施された臨床試験の質を考えると 非常に悪いと私は考えます。といいますのは、例えば審査報告書の36ページですが、キ ック・オフ・ミーティングをやり、実施計画書の評価項目、有害事象、治験スケジュール 等の記載に不備があったにもかかわらず続行してしまった。症例数が集まらないので専門 の先生方にお集まりいただいて症例数を改訂した。ところがそれは報告していなくて、一 応、試験が終了した後に事後報告として取り扱っておりますので、日本でやられた臨床試 験の質に対しては私は疑問を感じています。  もう一つ、先ほど御報告がありましたように、有効率は2.5mg/kg、3.75mg/kgで、用量 反応性があるみたいなのですが、それが死亡率で見ると逆転していて、実際に有効率をこ の審査報告書から判断すると、有効率を決めた先生方は、治験に関わった先生方が関与し ていることが見られます。ここに報告された臨床試験の内容に対しては、質は非常に悪い と私は判断しました。  ただ、先ほど御紹介されたように他国で認められていますので、それは臨床的意義から は他の先生方からの御意見をいただいて、御審議していただくということですが、私が非 常に危惧しているというか知りたいのは、海外ではドーズはどうなっているのでしょう か。これは一応、2.5mg/kgと3.75mg/kgなのですが、海外でも既に承認されていて、そ の後に日本で申請されたということは、日本の患者さんとの間でドーズは、少し下がって いるのかなと思ってはいるのですけれども。 ○機構 海外の用量について説明させていただきます。海外についてはアメリカでは腎臓 移植の領域についてのみの効能・効果を有していて、欧州については日本と同様の効能・ 効果を有しています。欧州では、再生不良性貧血の治療については、2.5〜3.5mg/kg、急 性GVHDの治療の方が2〜5mg/kg、造血幹細胞移植の前治療については2.5mg/kgで す。日本と前治療については同じですが、再生不良性貧血と造血幹細胞移植後の急性GV HDについては多少異なっているという状況です。 ○堀内部会長代理 今、治験の質問が出ていましたが、旧GCPのこれを見ると申請が平 成14年ということで、旧GCPだろうと思われるのですが、その辺のことについての何 か見解はありますか。 ○機構 専門協議においても、その点について指摘がなされたところですけれども、先ほ ども堀内委員が言われたように旧GCP下の実施であるということを踏まえ、また、本剤 が既に広く使われている現状を踏まえると、致し方ないと判断せざるを得ないと機構も考 えています。 ○堀内部会長代理 この薬自体はオーファンドラッグで、いろいろな要請もあるというこ とと、海外から個人輸入等もされている薬ですし、海外では標準的に使われていることを 考慮せざるを得ないのかなという気はします。ほかに何か御意見等はございますか。 ○竹内委員 それを考えますと、製造販売後調査にいかにデータを集めるかということが 非常に重要になると思いますので、日本人の患者さんがこの薬に対してどういうエビデン スがあるかということは、しっかりと製造販売後調査でやっていただきたいと私は思って います。 ○堀内部会長代理 製造販売後調査については、メーカー側はどのような見解を持ってい ますか。 ○機構 指摘がありましたとおり、用量について2.5mg/kg〜3.75mg/kgという幅記載をし ていますけれども、どちらの用量が適切であるかについて、市販後に十分情報収集するこ とを申請者に対して指示しています。また、小児及び二次発癌、その他再投与についても 臨床治験の中から得られる情報が極めて限られていることから、製造販売後に十分に調査 をするように指示しています。 ○堀内部会長代理 竹内委員、よろしいですか。ほかに御意見はございますか。 ○新井委員 ウサギに免疫して作るということで製造方法は分かるのですが、何匹くらい をプールしたのを一つのロットとしていて、何人分くらいで試験をしているのかというの が全然分からないのです。要するにすべてロットが変わったごとにタイター試験をやるの と同時に、すべての薬理実験をやっているのかというのが、ドーズを設定する上で、どう いうふうにそれを毎回規定しているのかがよく分からなかったので、教えていただけたら と思います。 ○堀内部会長代理 その辺でデータはありますか。 ○機構 薬理試験を、それぞれのロットについて実施しているということはありません が、一応、製剤の規格についてそれぞれのロットについて出荷判定等をしていて、それぞ れのロット間の品質というのは担保されていると考えています。 ○新井委員 確かに品質という点ではいいかもしれませんが、効能とか、、もともとはヒ トの胸腺細胞を免疫しているので、自己に対する抗体というのもいつも同じウサギではあ りませんから、抗体の反応性が大きく変わるというのはロットごとに大きくあるのではな いかと思いますが、そういう点が余り記載されていない。ウイルスとかではなくてですね。 ○機構 規格試験の中において本剤の活性を規定するためのリンパ球細胞傷害性試験と いうのを設定しています。もう一点、1ロット当たりのウサギの使用数ですが、約3,300 羽のウサギを使用しています。ロット間によるばらつきに関しては、個々のウサギをそれ ぞれ比較するとばらつきはあるかもしれませんが、3,300羽まとめて製造していますので、 それほど大きなロット間のばらつきはないと考えています。 ○新井委員 3,300羽というのは、大体何人くらいの患者さんに投与するイメージなので しょうか。 ○機構 1ロット当たりのバイアル数という感じですか。 ○新井委員 そうですね。 ○機構 今、そのデータについて持ち合わせていません。申し訳ありません。 ○新井委員 件数はどうでもいいですが、ロット間の均一性の保証が大丈夫かというのが 少し気になりましたので。 ○堀内部会長代理 これはオーファンですので、患者数もそれほど多くないから、一つの ロットでかなりのところはカバーできるということかもしれません。ほかにはいかがでし ょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは議決に入ります。竹内委員 と前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御 遠慮いただきたいと思います。それでは議決に入りますが、承認を可としてよろしいでし ょうか。御意見はございますか。それでは承認を可として分科会に報告させていただきま す。ありがとうございました。早川委員、進行をお願いします。 ○早川委員 続きまして議題2に入りたいと思います。アービタックス注射液100mgの製 造販売承認の可否等についてということです。池田委員におかれましては引き続き本議題 の審議の間、別室で御待機いただくということとなります。それでは機構の方から内容の 御説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料番号2、医薬品アービタックス注射液100mgの生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構 より説明させていただきます。  本薬は、免疫グロブリンG1クラスのマウス・ヒトキメラ型モノクローナル抗体であり、 リガンドのヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)への結合を阻害することにより、EG FRを介したシグナル伝達を阻害し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍 剤です。  本薬の対象患者は、EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者です。 当該患者に対しては延命効果を期待して、一次、二次治療はフッ化ピリミジン系薬剤、オ キサリプラチン、イリノテカン等を含む併用化学療法が標準的に用いられますが、その有 効性は臨床的に十分満足できるものではなく、また、これらの治療が無効な場合、三次治 療での標準的治療は確立されていません。  今般、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する承認申請がなされました。本 薬は優先審査に指定され、審査が行われました。海外においては71か国で既に承認され ており、また、第5回未承認薬使用問題検討会議で検討結果が報告されています。本品目 の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料8にありますとおり10名の委員で す。  品質、毒性、薬理、ADMEについては大きな問題は認められませんでした。提出され ました主な臨床試験成績は、単独投与では一つの国内第I相試験と、二つの海外第II相試 験及び一つの海外第III相試験です。また、イリノテカンとの併用投与で一つの国内第II相 試験、三つの海外第II相試験及び一つの海外第III相試験が提出されました。  単独投与の海外第III相試験の結果、フッ化ピリミジン系薬剤かつイリノテカン及びオキ サリプラチンの治療歴を有するEGFR陽性の結腸・直腸癌患者に本薬を投与した場合 に、Best supportive careに対して全生存期間の延長が認められ、三次治療での本薬単 独投与の有効性が示されたと判断しました。  一方、併用投与の海外第III相試験の結果、フッ化ピリミジン系薬剤及びオキサリプラチ ンの治療歴を有するEGFR陽性の結腸・直腸癌患者に、本薬・イリノテカン併用投与し た場合に、イリノテカン単独投与に対して全生存期間の延長は検証されず、二次治療での 本薬・イリノテカン併用投与の有効性は明確に示されていないと判断しました。以上、有 効性については、本薬・イリノテカンの併用投与については検証されませんでしたが、本 薬単独投与では全生存期間の延長が検証されたため、本薬の有効性が示されたと判断しま した。  安全性については、本薬の使用において特に注意すべき有害事象として、infusion reaction、心毒性、創傷治癒合併症、間質性肺炎など、様々な臓器での有害事象が出現し ており、国内臨床試験では重篤例も認められています。  機構は、本薬は、がん化学療法に精通した医師が極めて慎重に使用する必要がある薬剤 であり、製造販売後には全例調査による有害事象の収集及び迅速な情報提供を行う必要が あると考え、承認条件として設定しました。  以上の審査の結果、機構はEGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に ついて、本薬を承認することは可能と判断しました。本薬は、新有効成分含有医薬品であ り、再審査期間は8年とすることが適当であり、原薬及び製剤は劇薬に該当すると判断し ました。また、生物由来製品に該当すると判断しました。  なお、審査報告書の1枚目及び3枚目に誤記載があります。販売名の部分が「アービタ ックス注射用」となっていますが、正しくは「注射液」となりますので訂正させていただ きます。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。 ○早川委員 ありがとうございました。抗体製剤で、コンセプトとしてはEGFR陽性を ターゲットとしたもので、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対して適応すると いうことです。先生方の御意見、コメントをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 副作用の点ですが、間質性肺炎がある程度現れている。イレッサなど と違って女性より男性に多く現れているということが記載されていますが、EGFRの遺 伝子変異との関係で言えば、結腸・直腸癌の場合には変異が少ないと。肺の場合には日本 人は変異が多いと言われているわけですが、これは日本人でも同じことが言われているわ けですか。日本人で比較をして変異が少ないから、その変異との関係については研究をや るつもりはないと書いてありますけれども、人種によって違いがある可能性があるわけで すよね。特にEGFRの肺癌については、日本人の場合は変異が多いということが言われ ているわけですけれども。特に女性についてです。その辺のことはどうなっているのでし ょうか。 ○機構 肺癌においてのお話で先生が言われているのは、イレッサで認められている有効 性に関してのEGFRの変異というお話かと思いますが、大腸癌においてはそのような細 かい話は検討されていません。また本剤は抗体でして、EGFRの変異との関係について は明確な状況ではありません。副作用との関係ですが、変異と副作用の関係に関しては大 腸癌でどういうメカ二ズムになっているかも検討されていない状況として理解していま す。 ○堀内部会長代理 審査報告書の21ページに遺伝子変異との関係が書いてありますけれ ども、ここでは人種差については余り書いていません。EGFキナーゼ領域の変異は結腸 ・直腸癌では極めてまれだと書いてありますが、本当ですかということを聞きたいのです。 ○機構 本当ですということです。 ○堀内部会長代理 日本人ですか。 ○機構 国内で詳細を検討しているわけではないということです。 ○堀内部会長代理 ですから、少ないから特別な検討を行うことを計画していないという 論理展開になっているので、外国では少ないということだから、それを日本でどうかとい うのは、例えば肺癌では、EGFRについては日本人では変異が多いと言われているので、 余り妥当ではないのではないかと思ったのです。日本では大腸癌で変異がある可能性は否 定はできないと思いますが、どうですか。 ○機構 有効性との関係で、肺癌ではレセプターとイレッサの関係については、明確な情 報が幾つも出てきているということです。その点、EGFRというようなターゲットです ので、大腸癌ではどういう形になっているかということで、審査は進んでいったというと ころです。決して日本人で調べなくていいというイメージを持っているわけではないので すが、今回の申請においてそのことについては、我々としては是非検討はいただきたいと いうことですが、メーカーの方での考えとして、今回の場合は審査の中ですけれども、我 々としては基本的にはお願いしたいということは伝えていますが、それについて何か条件 うんぬんという形では設けていません。 ○早川委員 今、おっしゃっているのは、副作用はもちろん、これから日本で投与してい く中で市販後に追っていくのは当然なのですが、EGFRの変異との関係付けを解明する ようなアプローチでいくのか、いかないのかという御質問ですね。 ○堀内部会長代理 要望だけですので結構です。 ○早川委員 よろしいですか。 ○機構 副作用のミューテーションとの関係ですか。 ○堀内部会長代理 そうです。 ○機構 発現との関係については是非調べていただきたいということで、我々としてはお 願いしているところですが、先ほど言いましたように、今現在、EGFRと薬剤との関係 でイレッサですけれども、有効性と変異という関係は調べられているところですが、変異 と副作用との関係については、まだどの癌種においても分かっていないと理解していて、 特にそれについて要求するということはしていません。 ○早川委員 そういうことで、よろしいでしょうか。有効性に関しては、これからやる中 でEGFRの発現を調べていくということは当然していくわけですが、変異と副作用との 関係を緻密に調べるというプロトコルにはなっていない、ということですよね。 ○機構 はい。もう一度繰り返しますが、EGFRの大腸癌における発現と安全性との関 係に関しては、考察ができるようなプロトコルと言いますか、調査方法にはなっていると ころですが、EGFRのミューテーションと有効性の関係についての要求はしていませ ん。 ○早川委員 ということですが、EGFR陽性との関係を、コンセプトとしては当然、陽 性でないとというコンセプトなので、そこら辺をきちんと後付けてほしいという今のとこ ろの要請です。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○新井委員 細かいことになりますが、これはレセプターに結合して、競合的にEGFR の作用を阻害するというようなイメージで書いてありますけれども、結合してエンドサイ トーシスされて、レセプターのダウンレギュレーションが起こってしまっていて効いてい ないというのと、先ほどのミューテーションとの関係を考えると、コンスティテューティ ブに活性化してしまうようなものも、エンドサイトーシスされてしまえばもしかしたら有 効かもしれない。どちらのメカニズムで主に効いていると考えていますか。 ○早川委員 まだメカニズムについては、これからの展開だろうとは思いますが。 ○機構 ご指摘ありがとうございます。メカニズムに関して、我々としても疑問な点ある いは議論が必要な点がまだまだあると理解しています。御指摘のように、一応のイメージ としてメーカーとの競合的な話というか、くっついてということで理解はしているところ なのです。一方で検出の問題もありますが、いわゆるEGFR陰性という表現になってし まいますけれども、そういうものは効果があるという情報も海外からは得られていて、果 たしてターゲットコンセプト、本来の開発コンセプトから考えると、もちろん抗体ですの で、そこを狙って作業するのですが、まだまだ違うメカニズムがあるのではないかという 議論も一方であります。結論を言いますと、正確なところが分かっていない部分があると いうことで、御理解いただきたいと思います。我々もそういうふうに理解しています。 ○早川委員 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 余り確実的なことでなくて恐縮ですが、原料として米国産のウシ由来材料を 使っていることに関するリスクとベネフィットについて、109ページ辺りに書かれていま す。その中で平成□年第□四半期には米国産以外のものへの切り換えは可能であると書か れています。ここは可及的速やかに作業しても、このくらいの期間は必要になってしまう ということなのでしょうか。 ○機構 培地の中に用いていますので、切り換えて培養した時に本当にきちんとものがで きるか、普通、それを当初は小スケールで行うのですが、スケールアップして実生産レベ ルでも、それがきちんとできるかという検討には何年かかかるのが通常です。 ○清水委員 ありがとうございました。 ○早川委員 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 イリノテカンとの併用においての有効性は、イリノテカン単独と比べ ると有効性は認められていないと捉えているわけですね。 ○機構 はい。 ○堀内部会長代理 この添付文書の書き方ですが、イリノテカン併用のデータがいろいろ 出ていますけれども、これは明確にどうだというのははっきり書いていません。表を見れ ば分かるということですが、これはどうしてこんなにイリノテカンとの関係のデータが詳 細にたくさん出ているのですか。 ○機構 国内で行われた試験というのが、安全性も含めてイリノテカンとの併用の場合と いうのがあります。また、諸外国を含めてイリノテカンとの併用がされることが実際にあ ります。最近になってから我々の判断ですが、有効性のエンドポイントとしてOver all survivalに関する情報が今回の申請では得られていて、それを確認すると、Overall survivalで、イリノテカン+本剤とイリノテカンを比べた場合に差がありません。これ は審査報告書にあります。 ○堀内部会長代理 それは書いてありますね。 ○機構 そういう状況が、現時点として得られている最近の情報であるということがあり ます。一方で、世界的にイリノテカンとの併用がされる場合があるところもありますから、 情報提供というところも一つあります。実際、PFS(Progression-Free Survival)につ いては有意な差があったということです。しかしながら、この試験でのプライマリー・エ ンドポイントとしては、後から出てくるOverall survivalのデータを明確に出すとこと で、一方でPFSのデータも実際にあるということに関しても情報提供するという趣旨 で、イリノテカンについては載せているということです。 ○堀内部会長代理 それなら、そのように明確に書いたらいかがですか。これは、ただデ ータが並べてあるだけで、その辺の評価については入っていないですよね。ただデータが 並んで、見れば一応は奏効率がどうだ、こうだと比較すれば分かることは分かりますが。 ○機構 結果として得られている情報を評価するということになると、いろいろな視点が あります。有意水準を見ることによって、評価としては有効性がある、ないというのは、 専門家であれば理解できると我々としては思っているところですが、PFSのデータを見 ることによって、患者さんの御理解等々もありますので、先生から十分説明していただく 上でも、情報としてきちんと書いていきたいというのが我々の趣旨です。 ○早川委員 今回の評価した適応症というのは、OSで評価したものが最終的な適応症に なっているわけです。イリノテカンと併用したものが最終的な適応症になっていないとい うことで、そこら辺は添付文書の中で明確にされたらどうかという、多分そういう御示唆 ですね。ですから、我が国において実際にこれから認めようという話と、それ以外の情報 とを少し書き分けておいた方が、分かりやすいのではないかと、多分、先生のおっしゃっ ているのはそういうことですね。 ○堀内部会長代理 奏効率等で見れば有効性があるというのは出ているわけですが、生存 率で見れば有効性が明確でないということが出ているわけですから、その辺は見ればいい と言えば、それはそうだけれども、評価というものが入るのではないかと思っています。 ○審査第一部長 堀内委員が御指摘の臨床の項には、実際の具体的な表記は書いていませ んが、その前の用法・用量に関連する使用上の注意の中の1番目です。「他の抗悪性腫瘍 剤との併用において、本剤の上乗せによる延命効果は検証されていない」。さらに「『臨 床成績』の項を参照」ということでリンクを貼っています。この2か所を御覧いただくこ とで、専門の先生に御判断をいただくというメッセージを我々として投げ掛けたわけで す。 ○早川委員 よろしいですか。堀内委員はそれでよろしいですか。両方、合せ技で読めば 分かるでしょうということのようです。ほかにいかがですか。 ○上原委員 先ほどの議論に戻って申し訳ないのですが、この薬は非臨床の試験では、E GFRの発現量と治療効果に明確に相関性がありますけれども、臨床になるとどうも相関 性がないという話ですね。しかし、コンセプトからしたら、この分子標的治療薬のプルー フ・オブ・コンセプトというのは必要ですので、EGFR陽性に限って使うという条件を 付けているのは非常に正しい指摘だと思います。ただ、臨床でなぜ相関性がないかについ ては、先ほどの話のように「分からない」で済ませてしまっていいのか、それについてど ういうアプローチをしているのか、もう一度確認させてください。 ○早川委員 前臨床では、比較的EGFRの発現量と効果が相関している。ヒトの場合に は必ずしもそう明確には出ていない。ただ、EGFRプラスとマイナスということでは、 ある種の差別化はできているということだろうと思いますが、その辺をお願いします。 ○機構 我々としては、全然分からないで進むつもりもなかったところですが、まず誤解 がないようにと思っているのは、現時点でヒューマンでEGFRの発現と有効性との相関 という関係が、「ない」という明確な答えにはなっていないところが一点あります。一方、 この開発のコンセプトとしてはEGFRをターゲットにした抗体ですので、そこにスペシ フィックにアタックしていくことは理解できるところです。  海外の報告から陰性の患者に使った結果として、効果と言っても奏効のベースでの効果 ですが、何例かがあったところをきっかけにEGFRネガティブな患者さんに、本剤が効 く可能性があるのではないかというディスカッションがあります。メーカーとしては基本 的にそういう情報を基に、今は臨床試験の第II相なのですが、FDAとの関係もあってデ ィスカッションしながら、ネガティブな方に対して本剤はどのような影響があるのかとい うことで、臨床試験の第II相がスタートしているところです。現時点は「分からない」と いう答えしかありませんが、それに対してのアプローチを、メーカーとしては今後やって いくという流れがあります。 ○上原委員 それから先ほどの議論にありましたが、変異との関係です。これは抗体だか ら余り関係なさそうに思っていたのですが、癌種によっては変異があるためにEGFRの シグナルが強くて、それに生存が依存していると。依存性の高い癌はEGFRが少なくて も、こういう抗体で効いたかもしれないということが有り得ると思います。ですから、イ レッサの場合もそうでしたが、同じ効く、効かないの解析を調べていった中で変異のある 癌が効いたということですから、もしかしたらこの場合もそういうことがあって、依存度 が大きいものには効いている。効かないものは、そういうディペンデンシーが小さいから 効かないということも有り得ると思いますので、堀内委員が最初に御指摘された変異とい うことの解析も、いずれは必要になってくるのではないかと思っています。 ○機構 御指摘ありがとうございました。EGFRなりシグナル伝達系の研究というのは 世界的にも非常に多く行われているところです。審査報告の一部にも書いたのですが、決 して伝達系が1個だけとなっているわけではなくて、K-Rasの変異との関係とかが調 べられていて、K-Rasがポジティブなものはセツキシマブが効きにくいというような、 違うカスケードがあるのかと想像させるような検討もされていることもあり、機構として も、御指摘のように更なる研究は是非やっていただきたいと思っているところです。 ○早川委員 それでは分子レベルでのメカニズムの研究はこれから大いに発展していた だきたいとは思いますが、医薬品としての承認の可否に関して、特にさらに追加で御発言 がございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。な お、堀内委員、前崎委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決へ の参加を御遠慮いただくこととしたいと思います。本議題について承認を可としてよろし いでしょうか。ありがとうございました。御異議がないようですので、承認を可として分 科会に報告とさせていただきます。  それでは、池田先生お願いいたします。 ── 池田部会長入室 ── ○早川委員 引き続きまして、議題3、ミコブティンカプセル150mgの製造販売承認の可 否等についてに入ります。総合機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題3、資料番号3、医薬品ミコブティンカプセル150mgの生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定の要否、並びに毒 薬又は劇薬の指定の要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  リファブチンは、旧ファルミタリア・カルロ・エルバ社(現ファイザー社)において、 リファンピシンの抗菌活性、薬物動態、組織分布を改良することを目的として開発されま した。本邦では、本薬は未承認薬ですが、厚生労働省エイズ治療薬研究班において、エイ ズ治療研究を目的に個人輸入され、エイズ治療を専門とする様々な国内医療機関にて、提 供されています。第6回未承認薬使用問題検討委員会において、「HIV感染患者におけ るMAC症の治療」及び「結核治療」を目的とする本薬の製造販売承認申請が求められま した。この検討会の意見を踏まえ、厚生労働省及び機構は「HIV感染患者におけるMA C症の治療」及び「結核治療」のみならず、ほかの国で承認を取得している「HIV感染 患者におけるMAC症の発症抑制」及び「HIV非感染患者における非結核性抗酸菌症」 についても申請を検討するよう申請者に求めました。  申請者は、これらを踏まえ、本薬の申請の可能性について検討をした結果、医学薬学上 公知であると判断し、申請に至っています。なお、海外では平成20年3月現在、米国、 英国を含めた世界35か国にて承認されております。本剤の専門委員としては、資料8に ありますとおり、岡委員を含め6名を指名し御意見を賜りました。  機構は本邦においては、本剤の投与対象となる患者数が少なく、国内臨床試験を実施す ることは困難であること。本薬の薬物動態については民族差に特段の懸念が予測されてお らず、また、本薬の感受性に国内外で大きな違いはないと考えられること。国内外の成書、 ガイドライン及び公表文献等の記載から、申請された適応症に対する本剤の有効性につい ては、広くコンセンサスが得られているものと考えられること。海外では10年以上にわ たる相当の使用成績があること等の理由から、提出された資料に基づき、本剤の有効性、 安全性は確認されたと判断いたしました。  また、日本人使用者における重篤な有害事象の報告は、現時点では確認されておらず、 日本人においても認容可能と判断するものの、日本人における本剤の安全性情報等は限ら れていることから、製造販売後に可及的速やかに情報収集する必要があると考えておりま す。この点についても申請者に指示し、申請者もこれを了承しております。  機構は以上のような審査を行いました結果、本剤の有効性・安全性は確認できたと判断 し、審査報告書、3ページの効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと判断い たしました。また、日本人の安全性情報を速やかに収集すべく審査報告書4ページの承認 条件を付帯することが適切であると判断いたしました。なお、再審査期間につきましては、 「HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制については10年、ほかの効能・効 果については8年とし、原体及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定 生物由来製品にも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。 よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○早川委員 それでは先生方の御意見、コメントを承りたいと思います。 ○庵原委員 二点お聞きしたいのですが、一点はこの適応のところでHIV患者は指定さ れているのですが、イギリスとかドイツではCD4の数を決めて、幾ら以下ならば使って もいいという適用があります。これは6ページの所です。日本でも同じようにCD4の数 を決めて適応を進めるのかどうかということが一点です。 ○早川委員 まず一点目お願いいたします。イギリス、ドイツではCD4陽性と、規定を 決めてやっている。アメリカでは規定が決まっていないようですね。 ○機構 決まっていません。 ○早川委員 6ページを見ると、特にアメリカは規定はしておりませんが、日本でどうか ということです。 ○機構 イギリスやドイツ等の効能・効果に関して、CD4の記載があるのですが、そち らの根拠については確認できなかったことから、本邦での効能・効果には特段それを付け ず、用法・用量に関する使用上の注意で、ガイドライン等を参照して使用していただきた いという旨を注意喚起することとしています。 ○庵原委員 HIV患者でMAC感染を起こしやすいCD4の数というのは、証明されて います。ということは、その数が一応ガイドラインとして記載されているので、そのガイ ドラインに従って治療するという解釈でよろしいですね。 ○機構 はい、御指摘のとおりの解釈です。 ○早川委員 関連してですか。どうぞ。 ○岡委員 米国ではCD4は50以下というふうになっています。ただ、薬は特に規定し ているわけではなくて、50以下になったときにはMACの予防をしろというふうになっ ていますので、特にこの薬を使えという指定ではないということです。それで恐らくこの 表には載っていないのだろうと思います。 ○早川委員 では、二番目の質問をお願いいたします。 ○庵原委員 二番目の質問は、この非結核性抗酸菌の中にBCG菌を含めるかどうかとい うことです。といいますのは、小児の播種性抗酸菌症に類似する病態として、BCGの副 作用として播種性疾患が出てくることがまれにあります。そのときの治療に難渋している のですが、この播種性の抗酸菌症にBCG菌の播種性病態を含めていいのかどうか、ない しはこのリファブチンのBCG菌に対するMICが分かっていましたらそれを教えてい ただきたいというのが二点目です。 ○早川委員 いかがでしょうか。 ○機構 BCGのところにつきましては、現在のところ、本薬に関する抗菌活性のデータ は得られていないことから、今回の適応としてはBCGについては含めないと判断をして います。 ○前崎委員 細かい言葉のことで恐縮なのですが、欧米の審査はほとんど「MACの発症 予防」という言葉になっていますが、日本でも普通は抗菌薬は「予防投与」という言葉が 使われると思いますが、「抑制投与」という言い方は余り一般的には使われないと思うの ですが、あえて「抑制」という言葉にされたのは、何か意味があるのですか。 ○機構 アメリカにおいては「予防」という表現が使われているのですが、本邦での既存 の抗菌薬においても、同様の意味で「発症抑制」という言葉を使っていることから、今回 もそのような対応をさせていただいています。 ○前崎委員 既存の抗菌薬も「抑制」という言葉だったでしょうか。「予防」という言葉 ではなかったかと思いますが。いわゆるprophylaxisという言葉の解釈だと思うのです が。 ○審査管理課長 恐らくいろいろな意味で、また、医療保険での扱い等も念頭に置いて、 言葉を吟味して使っているのだろうと思います。例えばこの場合は当たらないと思います が、非常に蓋然性が薄いときの予防みたいな話というふうに「予防」という言葉自体が非 常に広く求められますので、そうではなくて一定の蓋然性があるということを前提にして いるという意味で、「抑制」という言葉を、今、使っている。そういった例もほかの効能 ・効果にもございますので、恐らく今回もそういうことをやったのだろうと思いますが、 それは今の制度の中である程度やむを得ないとは思うわけですが、アカデミックに全然お かしいよということでございますと、またそれも考えなければならないのかとは思います が、恐らくそういう観点からこの言葉を選ばれているものだと思います。 ○前崎委員 分かりました。もう一点ですが、HIVはよろしいと思うのですが、いわゆ る非HIVのMACというのは、日本では結構症例があるものですから、治療に非常に難 渋しています。実際に非HIVのMACの治療にこの薬剤が使われる可能性があると思う のですが、欧米そのほかでは、用法・用量が450mgから多い時で600mgまで投与を認めら れています。今回は300mgまでということになっていますので、そうしますと、確かに安 全性の面では担保できると思うのですが、300mgで本当に有効かどうかというところに若 干疑問があるのです。実際に専門委員会でも、その辺は協議されているようですが、機構 としてはどういう御判断でしょうか。 ○機構 用法・用量なのですが、海外で承認された時というのは、治療体系としてクラリ スロマイシンが使われていなかったことから、400mg〜600mgと設定されているのですが、 現在の治療体系では、クラリスロマイシンが併用されていまして、その併用によって本剤 のばく露量が70%程度増加するということから、本剤の現行のガイドラインの記載等に 従いまして、用量を300mgとさせていただいています。その他増減等に関しましては、用 法・用量に関連する使用上の注意でガイドラインを参照していただいたり、その他の注意 の所に記載させていただいています。 ○早川委員 よろしいですか。 ○岡委員 恐らくこの薬が一番使われるのは、HIV患者の結核の治療もしくはMACの 治療だと思うのです。そうすると、HAARTを併用しながら使うことが多くて、その場合に はリファブチンを減量する必要があるのですね。ここの添付文書の記載ですと、余り減量 というのがはっきり書かれていなくて、コメントとして相互作用について簡単な表にまと めることというのを付けていて、恐らくそれで後ろにこれ付いているのだろうと思うので すが、もう少しはっきりと、何mgに減量しろというようなことを書いた方が分かりやす いのかなという気がするのです。このとおりで、もし1日150mgないし300mgを毎日投与 すると、必ずオーバードーズになって副作用が出るだろうと思います。 ○早川委員 その点はいかがでしょうか。 ○機構 ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、情報提供の仕方については、検 討させていただきたいと思います。 ○岡委員 もう一点ですが、併用禁忌薬のリトナビル(ノービア)というのが書かれている のですが、今のHIVの治療で必ずノービアは含まれるのですね。それで、例えば下のロ ピナビル・リトナビルは併用注意となっています。ノービアは、「ただし1日200mg以下 を除く」とか何か制限を付けて書いた方がいいのではないかと思います。要するに「併用 禁忌」と書いてしまうとなかなか併用しにくいです。 ○機構 ありがとうございます。記載の方法につきましては、御指摘を踏まえまして、再 度検討をさせていただきたいと思います。 ○早川委員 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思い ます。なお、池田委員、堀内委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に 基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を 可としてよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。御異議がないようですの で承認を可として分科会に報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○池田部会長 早川先生どうもありがとうございました。続いて議題4に入りたいと思い ます。議題4に関しては竹内委員におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機を お願いしたいと思います。早速事務局から議題4の概要について説明をお願いします。 ── 竹内委員退室 ── ○事務局 資料4を御覧ください。株式会社UMNファーマより申請のあった、組換えイ ンフルエンザワクチン(H5N1)を、希少疾病用医薬品として指定することの可否に関し まして資料4に基づいて御説明いたします。資料4の一番上にある報告書を御覧くださ い。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめていますので、対象患者数、医療上 の必要性、開発の可能性の三点について御説明を申し上げます。  品目の名称は組換えインフルエンザHAワクチン(H5N1)。予定される効能・効果は、 新型インフルエンザH5N1の予防。申請者は株式会社UMNファーマです。まず、対象 患者数ですが、本申請のような感染性疾病の予防に用いる医薬品の場合には、薬事法施行 規則に基づきまして、希少疾病用医薬品指定の申請時において、当該医薬品について承認 が与えられるとした場合に見込まれる人数について検討するとしております。  本申請の対象疾患である、新型インフルエンザ(H5N1型)については、これまで我が 国において症状を伴う感染例は報告されていませんが、98名の抗体陽性例が報告されて いるということでして、このことから、希少疾病用医薬品の指定要件である国内対象患者 数5万人以下を満たすものと判断しています。  次に医療上の必要性についてです。対象疾患であるH5N1型インフルエンザは、全身 感染、出血、多臓器不全、サイトカインストーム等を引き起こし、致死率が60%以上の 非常に重篤な疾病を引き起こすという知見があり、生命に重大な影響がある疾患と判断さ れ、対象疾患の重篤性が高いことから、医療上の必要性があるものと判断いたしました。  三点目の開発の可能性については、本剤と同様の方法により製造されます通年型インフ ルエンザワクチンは、20□、20□に米国において実施されました健康成人対象の臨床試験 において、rHAワクチンの遺伝性と免疫原性についてに加えて、インフルエンザ発症予 防効果が確認されています。本剤はこれまでのインフルエンザワクチンとは製造方法等が 本質的に異なることから、未知の部分もありますが、開発に値するワクチンと考えられま す。さらに本剤の国内臨床開発については、こちらに記載がありますA/Vietnam/1203/2004 株由来のワクチンを用い、本年5月から臨床薬理試験として、国内第I相試験が開始され る予定であることから、対象疾病に対する本剤の開発の可能性はあると考えております。 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤については希 少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断をしています。  なお、本議題につきまして事前に庵原委員より二点御質問を承っておりますので、併せ て御説明いたします。申請書の8ページですが、一点目は、インフルエンザHI抗体の測 定に用いた血球の由来についての御質問です。申請者によりますと、このプライミング効 果を検討した試験におきましては、WHOの会議で公表された試験結果であるということ ですが、その後、文献投稿等が行われておらず、血球の由来等については、不明であると いうことですが、この試験を実施したグループが実施している他の実験の文献を参考にす ると、ウマの血球を用いているということから、本試験についても同様ではないかとのこ とです。  二点目は、インフルエンザ中和抗体測定に用いたウイルスのチャレンジ株と、そのクレ ードについての御質問がございました。申請者によりますと、中和抗体測定に用いたウイ ルスチャレンジ株も明確な記載はないとのことですが、これをクレード1である A/Vietnam/1203/2004株でチャレンジして、抗体価の上昇を測定するという本試験の趣旨 から、中和抗体価測定についても同様にA/Vietnam/1203/2004株に由来する株を用いたも のと考えられるとのことです。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 昆虫細胞を宿主として、HA遺伝子を組み込んだ形で作った組換えの新型 インフルエンザに対するワクチンです。ただ今御紹介にありましたように、希少疾病用医 薬品として指定することの可否について先生方に御審議をお願いしたいと思うのですが、 対象者数、医療上の必要性並びに開発の可能性等について御説明をいただいたのですが、 まず最初に庵原先生の御質問に対しては、今、事務局から説明があったのですが、何か付 け加えられることはありますか。 ○庵原委員 特に異存はないです。測定系が書かれていなかったので、その確認をしたた めです。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○庵原委員 はい。 ○池田部会長 そのほか委員の先生方から、このインフルエンザのワクチンのオーファン 指定についての御意見をいただきたいと思いますが、何かございませんでしょうか。昨年 のこの部会でも、10月に2品目ほど新型のインフルエンザについては御承認をいただい たということで、これは製造方法が少し異なるもので、今ありましたように、対象者の数、 医療上の必要性、開発の可能性等について御説明をいただいたのですが、いかがでしょう か。何か御意見はございますか。特にございませんでしょうか。 ○前崎委員 指定のことではないのですが、実際にこれまで承認されたワクチンは既に感 染症の指定医療機関は、医療従事者の接種がそろそろ始まることになっています。こうい うふうに製造法が違う、新しいH5N1のワクチンができたときに、これまでのワクチン と新しい製造のワクチンが2つ並行してあるときに、それぞれのワクチンの相互の作用と いいますか、全く新しい製造法で作ってありますので、若干、安全性やそのほかの懸念が あると思うのです。実際にあるとは思いませんが、実際にはそういう可能性があるかどう か、これは指定の可否とは話が違うのですが、お聞きしたいと思っているのです。 ○池田部会長 実際に指定の可否とは少し違う視点ですが、御質問があったのですが何か 事務局の方からございますか。 ○事務局 そういった意味で、本剤の安全性、有効性につきましては、これから国内でも 臨床試験を行うということなので、その結果によって、また明らかになってくるところが あるのではないかと思っています。少なくとも現段階でオーファン指定の可否ですので、 ここで臨床試験が行われて、また申請を行う際に承認等の判断をするということになると 思います。ただ、現段階で、安全性がどのように違うのかと申し上げられないのではない かと考えています。 ○三瀬委員 前崎先生の御質問についてですが、このワクチンが良いと思うのは卵を使わ ないで済んでいる点です。今まで出来ているワクチンは2つとも阪大微生物病研究会のも のも北里研究所のものも、みんな卵を使っています。インフルエンザが大流行すると、ま ずトリがやられてしまって、卵の供給ができなくなってしまうということで、これは、バ キュロウイルスを使っていますので、そういう点でもカバーするので非常に良いのではな いかと思っています。先ほどのは利益相反のところで、阪大微生物病研究会なども一緒に 利益が競合すると言われていたのですが、私はそれは全然違うのではないかと思っている くらいです。まだ、H5N1ワクチンの備蓄量が少ないですし、申請書を読ませていただ いただけでもいろいろな点で効果がありそうで、安全性の点については何とも言えないの ですが、期待が持てそうな感じを持っています。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかに何か御意見がございますか。よろし いでしょうか。それではこのUMN-0501という新しいタイプの新型インフルエンザのワク チンの希少疾病用医薬品としての指定に関して、特に御異存がございませんでしょうか。 よろしいですか。ありがとうございました。それでは議決をさせていただいて、先生方か らこの指定を可としてよろしいということで御了解いただいたということです。これは薬 事分科会に報告ということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  議題5は堀内先生よろしくお願いいたします。 ── 竹内委員入室 ── ○堀内部会長代理 議題5に入らせていただきます。事務局から概要の説明をお願いいた します。 ○事務局 資料5に基づいて御説明いたします。品目の名称はフォロデシン塩酸塩。対象 疾患は、再発・難治性の末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞性白血病及びリンパ腫、皮膚 T細胞性リンパ腫、T細胞性急性リンパ性白血病及びT細胞性リンパ芽球性リンパ腫とな っています。申請者はムンディファーマ株式会社です。オーファンの医薬品の指定要件で あります対象患者数、医療用の必要性、開発の可能性の三点の事前評価について御説明い たします。  まず、対象疾患の患者数についてですが、疫学的調査などから、個々の疾病の正確な患 者数を把握することは困難ですが、T細胞性腫瘍全体の有病者数が約9,000人と推定され ることから、再発又は難治性の症例を開発の対象とする本薬の対象疾患数は、9,000人未 満と想定され、指定要件である5万人以下を満たすと判断されます。  続いて医療上の必要性についてですが、T細胞性急性リンパ性白血病及びT細胞性リン パ芽球性リンパ腫に関しましては、化学療法や同種造血幹細胞移植等が行われますが、再 発・難治性については治療法の選択肢に乏しく予後も不良です。また、成人T細胞白血病 及びリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫及び皮膚T細胞性リンパ腫につきましても、有効な 治療法が確立されておりません。  本薬はPurine Nucleoside Phosphorylase(PNP)に対する阻害作用により、T細胞を中 心としたアポトーシスを生じさせるということなので、抗腫瘍効果を示すと考えられてお り、本薬の治療、医療上の必要性はあると判断されます。  最後に開発の可能性についてですが、本薬は米国、欧州ともにオーファンの指定を受け ています。海外における臨床成績より難治性、再発性のT細胞性白血病等における有効性 が期待されているなどということから、開発の可能性はあると判断されます。以上、対象 患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点より、本薬については希少疾病用医薬品と しての要件を満たすと判断されます。なお、本議題におきましては、事前に庵原委員より 二点の質問を承っておりますので、併せて御説明いたします。  一点目は諸外国において、静注の試験の投与量が体表面績当たり40mgからであるのに 対して、日本で計画されているものにおいては、体表面績当たり26mgであることについ ての質問を承りました。申請者に確認したところ、当該治験が日本人の被験者を対象とし て、フォロデシン塩酸塩を初めて投与する治験であるため、安全性の確保の観点から、体 表面績当たり26mgを初回投与量として設定したということでした。  二点目は諸外国では、体表面績当たりの投与量で、経口剤も臨床試験が行われているこ とについて、日本では経口剤を用いる臨床試験では、体表面績当たりの投与量で行われて いないということについての質問ですが、こちらも申請者によりますと、本試験では当初、 50mgカプセルが使用されていましたが、試験の途中で100mgカプセルに変更され、現在、 使用できるカプセルの規格は100mgの1種類であること。参照データとすべき最新の海外 の試験により、至適投与量が200mg/ボディであると考えられていることから、日本での 第I相試験では、/ボディ当たりの100mgカプセルを使用する投与量を設定したというこ とでした。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。フォロデシン塩酸塩、これは末梢性 のT細胞リンパ腫、成人T細胞白血病・リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、T細胞急性リ ンパ性白血病、T細胞性リンパ芽球性リンパ腫を適応とするものですが、オーファンドラ ッグとしての、指定が妥当かどうかということです。まず、庵原先生、今の御説明でよろ しいでしょうか。 ○庵原委員 説明は了解しました。ただ、諸外国の治験と日本の治験のデザインが異なる のは少し腑に落ちないところがありましたので、その確認をしたということです。 ○堀内部会長代理 外国でも現在臨床試験の実施中ということだと思いますが、まだ承認 をされている国はないわけですよね。何か御意見・御質問その他ございますか。よろしい でしょうか、御意見がないようですので、この件につきましてはオーファンドラッグとし て指定をしていいかどうか議決に入りたいと思います。なお、池田委員、竹内委員、前崎 委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただく ことになると思います。本議題の指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないよう ですので、指定をして薬事分科会に報告ということにさせていただきたいと思います。ど うもありがとうございました。 ○池田部会長 堀内先生ありがとうございました。審議事項は5議題終了いたしましたの で、報告事項に移りたいと思います。報告事項をお願いします。 ○事務局 資料No.6です。優先審査品目の審査結果について御報告いたします。優先審査 の取扱いについては、この資料の2ページにその概要を示していますが、薬事法第 14条第7項に厚生労働大臣は、承認申請された医薬品が希少疾病用医薬品、その他、医 療上特に必要性が高いと認められるものであるときは、当該医薬品の審査を他の医薬品の 審査に優先して行うことができるという規定があります。その指定に当たりましては、適 応疾病の重篤性と医療上の有用性を総合的に評価して判断をすることとしております。  資料1ページに戻ります。今回、指定の報告をする品目はガーダシル□□□□□□□□ □□□です。本剤はヒトパピローマウイルス16型及び18型の感染を予防することにより、 子宮頸癌の発症を予防すること等を主な目的とするワクチンです。本剤の主な目的である 子宮頸癌ですが、これは早期癌の場合の予後は比較的有効ですが、進行癌に対する治療効 果は限られておりまして、生命に重大な影響がある重篤な疾病であると判断しています。  医療上の有用性につきましては、現在この品目と同じ効能を持つワクチンは承認されて おらず、また、本剤の有効性について海外におきまして、16歳〜23歳の健康女性を対象 とした大規模な海外第III相試験が2つ実施され、その結果、1つの試験においてはHPV 16型及び18型に関連した子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)のグレード2以上が認められた被 験者は、プラセボ群2,222例中、19例に対し、本剤群2,200例中0例であり、もう一つ の試験においても、同様、CINグレード2以上が認められた被験者は、プラセボ群5,258 例中21例に対し、本剤群5,301例中0例であり、いずれも対照群と比較して有意なCI Nグレード2以上の発生抑制を示したことなどから、本剤の医療上の有用性を総合的に評 価し、優先審査品目に指定することといたしました。以上です。 ○池田部会長 委員の先生方からの御質問をお願いいたします。ヒトパピローマウイルス に対する予防ワクチンです。何か御意見ございますか。特にございませんでしょうか。も しないようでしたら、この優先審査の指定品目のことに関しては、御確認いただいたとい うことで進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。そのほかには何 かございますか。一応、議題は以上ですが、そのほかに何か事務局の方からございますか。 ○機構 一点だけ、資料の訂正をお願いいたします。本日お配りしました資料8の2枚目 のアービタックス注射液100mgの専門委員リストの申請品目名の所が「アラノンジー静注 用250mg」となっておりましたが、正しくは「アービタックス注射液100mg」です。これ を訂正をお願いいたします。以上です。  ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかはございますか。 ○清水委員 会の手順が分からず恐縮ですが、この追加の資料で配られているものについ ては、審議の項目の中ということですか。特段話がなかったものですから。 ○池田部会長 そうですね。これについては何か説明はございますか。 ○審査管理課長 あくまで参考でお配りさせていただいているものですが、もし、御意見 があれば、教えていただければと思います。 ○清水委員 一点なのですが、ミコブティンの入れ目のことなのですが、今回100カプセ ルのばらという包装形態での申請のようですが、1日3カプセルないし2カプセルの服用 ということを考えると、もう少し少ない包装形態の方がリーズナブルなのかなと思うので すが、その辺いかがかなということと、PTPの製造というのは、今のところそういう検 討というのはなされていないのかなということについて、確認させていただければと思っ たのです。 ○審査管理課長 御指摘はある意味ごもっともだろうと思います。ただ、一方におきまし て、この薬は先ほど議論がございましたように、HIVの患者を中心に用いられるという 非常に特殊な薬です。そういう意味で申し上げますと、生産規模からしてもそれほど大き いものではないということもあるのだろうと思います。したがいまして、私どもとしまし ては、これが例えば生活習慣病の薬のようにたくさん出るということですと、そういうも のも考えろ、ああいうものも考えろということも言えるわけですが、ある面で申し上げま すと、グローバルスタンダードみたいなところで、御理解を賜らなければいけないところ もあるのだろうと思います。御指摘を基にもう一度考えてみたいと思いますが、そういう 事情もあるということで、御了解願えれば有り難いと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。                 ○清水委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほかに事務局の方から何かございますか。 ○事務局 次回の部会についてですが、既に御案内のように、7月31日(木)午後2時か ら開催させていただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○池田部会長 これですべて議事が終わりましたので、本日の部会はこれで終了させてい ただきたいと思います。先生方には御協力ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2734)